(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】微細充填剤及び微細な粉砕された粒子状高炉スラグを含む結合材組成物
(51)【国際特許分類】
C04B 28/08 20060101AFI20240409BHJP
C04B 14/28 20060101ALI20240409BHJP
C04B 18/14 20060101ALI20240409BHJP
C04B 22/06 20060101ALI20240409BHJP
C04B 24/18 20060101ALI20240409BHJP
C04B 24/30 20060101ALI20240409BHJP
C04B 24/22 20060101ALI20240409BHJP
C04B 24/26 20060101ALI20240409BHJP
C04B 22/14 20060101ALI20240409BHJP
C04B 24/12 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
C04B28/08
C04B14/28
C04B18/14 A
C04B22/06 Z
C04B24/18 Z
C04B24/30 A
C04B24/22
C04B24/26 B
C04B22/14 A
C04B24/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566768
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2022061570
(87)【国際公開番号】W WO2022229433
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522395978
【氏名又は名称】エコセム マテリアルズ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523224752
【氏名又は名称】エコール ノーマル シュペリウール パリ-サクレー
【氏名又は名称原語表記】ECOLE NORMALE SUPERIEURE PARIS-SACLAY
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】523407285
【氏名又は名称】アンスティテュ・ナシオナル・デ・シアンス・アプリケ・ドゥ・トゥールーズ
(71)【出願人】
【識別番号】506018536
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ポール サバティエ トゥールーズ 3
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エリサ・ミルジャ
(72)【発明者】
【氏名】アルチュール・キーアシコ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・フルアン
(72)【発明者】
【氏名】マルタン・シール
(72)【発明者】
【氏名】モヘンド・シャウーシュ
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112MA00
4G112MB04
4G112MB06
4G112MB12
4G112MD01
4G112PA29
4G112PB10
4G112PB20
4G112PB22
4G112PB23
4G112PB24
4G112PB29
4G112PB31
4G112PB35
4G112PC03
4G112PE00
(57)【要約】
本発明が解決しようとする課題は:
a.乾燥質量で1%~30%の少なくとも1つの石灰源;b.乾燥質量で5%~75%の粉砕された粒子状高炉スラグ;c.乾燥質量で20%~90%の少なくとも1つの充填材;d.成分a、b及びcの総質量に対して、乾燥質量で0.1%~5%のSO3
-;e.成分a、b及びcの総質量に対して、乾燥質量で0.1%~1%の少なくとも1つの減水ポリマー;f.成分a、b及びcの総質量に対して、乾燥質量で0%~2%の、dとは異なる少なくとも1つの活性化剤;を含み、前記粉砕された粒子状高炉スラグは:- 粉砕された粒子状高炉スラグの総質量に関して10質量%~100質量%の、1μm以上及び厳密に5μm未満のd50を有する粒子、- 粉砕された粒子状高炉スラグの総質量に関して0質量%~90質量%の、5μm以上、好ましくは15μm未満のd50を有する粒子の粒子混合物であり、前記充填材は:- 充填材の総質量に関して10質量%~90質量%の、0.05μm以上及び厳密に8μm未満のd50を有する粒子、並びに- 充填材の総質量に関して10質量%~90%質量%の、8μm以上及び厳密に200μm未満のd50を有する粒子の粒子混合物である、結合材組成物によって達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.乾燥質量で1%~30%の少なくとも1つの石灰源;
b.乾燥質量で5%~75%の粉砕された粒子状高炉スラグ;
c.乾燥質量で20%~90%の少なくとも1つの充填材;
d.成分a、b、及びcの総質量に対して、乾燥質量で0.1%~5%のSO
3
-;
e.成分a、b、及びcの総質量に対して、乾燥質量で0.1%~1%の少なくとも1つの減水ポリマー;
f.成分a、b、及びcの総質量に対して、乾燥質量で0%~2%の、dとは異なる少なくとも1つの活性化剤;
を含み、
前記粉砕された粒子状高炉スラグが、
- 粉砕された粒子状高炉スラグの総質量に対して10質量%~100質量%の、1μm以上且つ厳密に5μm未満のd
50を有する粒子、
- 粉砕された粒子状高炉スラグの総質量に対して0質量%~90質量%の、5μm以上、且つ好ましくは15μm未満のd
50を有する粒子
の粒子混合物であり、
前記充填材が、
- 充填材の総質量に対して10質量%~90質量%の、0.05μm以上且つ厳密に8μm未満のd
50を有する粒子、並びに
- 充填材の総質量に対して10質量%~90%質量%の、8μm以上且つ厳密に200μm未満のd
50を有する粒子
の粒子混合物であり、
d
50の測定が、レーザー回折分光法としても公知のレーザー回折分析によって、レーザー回折測定装置(例えば、MALVERN社により市販されている「Mastersizer2000」)によって、湿式法で行われる、
結合材組成物。
【請求項2】
前記石灰源が、ポルトランドセメント、又は石灰(例えば、水硬性石灰、水酸化カルシウム、消石灰、生石灰、及び石灰スラリー)である、請求項1に記載の結合材組成物。
【請求項3】
前記石灰源がポルトランドセメントであり、ポルトランドセメントの少なくとも一部が、8μm以下、好ましくは3.5μm以下のd
50を有する極微細セメントであり、
d
50の測定が、レーザー回折分光法としても公知のレーザー回折分析によって、レーザー回折測定装置(例えば、MALVERN社により市販されている「Mastersizer2000」)によって、湿式法で行われる、
請求項1又は2に記載の結合材組成物。
【請求項4】
前記充填材が、採石場から供給される天然材料(例えば、方解石及びその多形体(アラレ石又はヴァテライトなど)並びにドロマイト)又は沈降炭酸カルシウム、並びにこれらの混合物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の結合材組成物。
【請求項5】
SO
3
-が、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、無水硫酸塩、リサイクル石膏、又はこれらの混合物に由来する、請求項1から4のいずれか一項に記載の結合材組成物。
【請求項6】
前記減水ポリマーが、リグノスルホネートポリマー、メラミンスルホネートポリマー、ナフタレンスルホネートポリマー、ポリカルボン酸エーテルポリマー、ポリオキシエチレンホスホネート、ビニルコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の結合材組成物。
【請求項7】
前記dとは異なる活性化剤が、アルカリ金属塩、好ましくは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、硝酸カルシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸カルシウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム;アルカノールアミン(例えば、トリエタノールアミン(TEA)、トリイソプロパノールアミン(TIPA)、ジエタノールアミン(DEA))、又は、これらの混合物、好ましくは硝酸カルシウムである、請求項1から6のいずれか一項に記載の結合材組成物。
【請求項8】
少なくとも1つの骨材及び請求項1から7のいずれか一項に記載の結合材組成物を含む、乾式コンクリート組成物又は乾式産業用モルタル組成物、特に、タイル用接着剤、コーティング、組み立て用モルタル、修繕用モルタル、下塗り、工業用モルタル、及び床被覆用モルタル。
【請求項9】
少なくとも1つの骨材、請求項1から7のいずれか一項に記載の結合材組成物、及び水を含む、湿式コンクリート組成物又は湿式産業用モルタル組成物、特に、タイル用接着剤、コーティング、組み立て用モルタル、修繕用モルタル、下塗り、工業用モルタル、及び床被覆用モルタル。
【請求項10】
請求項9に記載の湿式コンクリート組成物又は湿式産業用モルタル組成物から得られる、硬化したコンクリート組成物又は硬化した産業用モルタル組成物。
【請求項11】
請求項9に記載の湿式コンクリート組成物又は湿式産業用モルタル組成物を調製する方法であって、少なくとも1つの骨材及び請求項1から7のいずれか一項に記載の結合材組成物を水と混合する工程を含み、前記結合材組成物が、混合工程の前又は混合工程の間にその場で、別々に及び/又はプレミックスの形態で取得される結合材組成物のさまざまな成分の少なくとも一部から調製される、方法。
【請求項12】
結合材組成物に対する水の比が、0.1~0.5、有利には0.15~0.45、より有利には0.2~0.4である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
事前成型(プレキャスト)若しくは生コンクリートの調製、又は湿式コンクリート組成物若しくは湿式産業用モルタル組成物、特に、タイル用接着剤、コーティング、組み立て用モルタル、修繕用モルタル、下塗り、工業用モルタル、及び床被覆用モルタルのフレッシュな状態のレオロジーを改善するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の結合材組成物の使用。
【請求項14】
ペーストのフレッシュな状態の降伏応力が、0Pa~200Pa、有利には5Pa~100Pa、より有利には10Pa~50Paである、請求項13に記載の結合材組成物の使用。
【請求項15】
ペーストのフレッシュな状態の粘度が、0Pa.s~5Pa.s、有利には0.1Pa.s~3Pa.s、より有利には0.25Pa.s~1.5Pa.s.である、請求項13に記載の結合材組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンクリート又は産業用モルタルを調製するための結合材組成物の分野に関する。本発明の技術分野は、モルタル又はコンクリートの組成物などの、固化及び硬化が可能な組成物に使用される、少なくとも1つのスラグ、例えば粉砕された粒子状高炉スラグ(GGBS(Ground Granulated Blast furnace Slag)又はスラグ)を含む水硬性鉱物結合材に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、水硬性結合材として少なくとも1つのスラグを含み、その一部は、極微細な石灰石充填材(ultrafine limestone filler)並びに微細な石灰石充填材(fine limestone filler)である、建築産業用の固化及び硬化が可能な結合材及び組成物に関する。
【0003】
本発明はまた、これらのスラグベースの結合材、固化及び硬化が可能なこれらの乾式又は湿式組成物の調製方法にも関する。
【0004】
これらの組成物から得られる固化及び硬化された生成物から作製さえる建築用途もまた本発明の分野である。
【背景技術】
【0005】
ポルトランドセメント製造は、大量の二酸化炭素の放出により、環境に強い悪影響を及ぼす。セメントの製造はもともと、焼成炉中の非常に高い温度(1450℃)での原材料のか焼中に、石灰石の脱炭酸を通して、CO2を生じる(式(1)):
CaCO3(s)→CaO(s)+CO2(g) (式(1))
【0006】
加えて、セメント焼成炉を加熱するために必要な化石燃料の燃焼の結果として、二酸化炭素が放出される。粉砕による追加の放出を加えると、1トンのポルトランドセメント当たり、ほぼ1トンのCO2が得られる。結局、セメント産業は、世界中の二酸化炭素放出の約7~9%の責任を負っている。
【0007】
その上、ポルトランドセメントの取り扱いは、特に、その高いアルカリ性に起因して(13より高いpH)健康問題(アレルギーなど)をもたらす恐れがある。加えて、混錬時に、六価クロム(Cr(VI))などの有害元素が放出されるおそれがあり、これもまた、皮膚に接触した場合に作業員にとって健康によくない。Cr(VI)還元剤(硫酸第一鉄など)が、通常はセメント粉末に含まれるが、その効果は時間的に制限がある。建築作業員、特に第三世界における建築作業員がそのような処理に関連する期限を頻繁に確認することは期待されない。
【0008】
新しい結合材に関する現在の探索の大部分は、様々な用途において、セメントを、環境的影響がより低い結合材に置き換えることを目的としている。1つの経路は、他の産業からの副産物などのように、資源をその高価な処理を伴うことなく使用することである(ある産業にとっては廃棄物であるが、他の産業では主要資源である)。鉄産業の副産物である溶鉱炉スラグがその例である。溶鉱炉スラグを微細粉末に粉砕することにより(GGBS)、セメントの部分的代替に使用されうるか、又は化学的活性化剤を添加することによって単独で使用されうるセメント質材料を得ることができる。
【0009】
GGBSの使用は、環境にやさしいだけではなく、モルタル及びコンクリートを配合するのに使用された場合、硫酸塩攻撃に対する高い耐性、低い透過性、化学的に攻撃的な環境における良好な耐性、低い水和熱(大型構造物に必要とされる)、一般に優れた耐久性、重金属又は放射性核種の固定化の可能性などのような、いくつかの強化された特性をもたらすことにも留意することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記との関連において、本発明は、以下の課題のうちの少なくとも1つを満足することを通して、上記の問題及び/又は必要性の少なくとも1つに対処することを目的とする:
-O1- 普通ポルトランドセメント(OPC)ベースの組成物に対する魅力的な代替物である、スラグベースの結合材又は前記スラグベースの結合材を含むモルタル若しくはコンクリートの組成物を提供すること。
-O2- 環境にやさしい、スラグベースの結合材又は前記スラグベースの結合材を含むモルタル若しくはコンクリートの組成物を提供すること。
-O3- 健康及び安全性の問題に関して、OPCベースの組成物より許容される、スラグベースの結合材又は前記スラグベースの結合材を含むモルタル若しくはコンクリートの組成物を提供すること。
-O4- 振動締固め、噴霧、コテ塗り、鋳造などのいくつかの方法によって製造されるのに適当な能力を有する、乾式モルタル、乾式及び半乾式の事前成型(プレキャスト)コンクリート並びに湿式モルタル及びコンクリートの配合物をもたらす、スラグベースの結合材又は前記スラグベースの結合材を含むモルタル若しくはコンクリートの組成物を提供すること。
-O5- 適当なレオロジー特性、すなわち、前記湿式配合物の使用者により必要とされる通例の固化時間(例えば数分から数時間まで)内での安定したレオロジー(良好な作業可能性)を有する湿式配合物をもたらす、スラグベースの結合材又は前記スラグベースの結合材を含むモルタル若しくはコンクリートの組成物を提供すること。
-O6- 必要とされる機械的特性、特に許容される初期強度(例えば24時間)を有する硬化材料をもたらす、スラグベースの結合材又は前記スラグベースの結合材を含むモルタル若しくはコンクリートの組成物を提供すること。
-O7- 必要とされる耐久性を有する硬化材料をもたらす、スラグベースの結合材又は前記スラグベースの結合材を含むモルタル若しくはコンクリートの組成物を提供すること。
-O8- 通例、必要とされる固化時間(例えば数分から数時間まで)を有する硬化材料をもたらす、スラグベースの結合材又は前記GGBSベースの結合材を含むモルタル若しくはコンクリートの組成物を提供すること。
-O9- 目標-O1-~-O9-のうちの少なくとも1つを満たす、スラグベースの結合材又は前記スラグベースの結合材を含むモルタル若しくはコンクリートの組成物の、簡単で且つ安価な調製方法を提供すること。
-O10- スラグベースの結合材又は前記スラグベースの結合材を含むモルタル若しくはコンクリートの組成物の湿式形態の、簡単で且つ安価な調製方法を提供すること。
-O11- 少なくとも部分的結合材としてのスラグを含む、建築産業用の硬化製造物を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は:
a.乾燥質量で1%~30%の少なくとも1つの石灰源;
b.乾燥質量で5%~75%の粉砕された粒子状高炉スラグ;
c.乾燥質量で20%~90%の少なくとも1つの充填材;
d.成分a、b、及びcの総質量に対して、乾燥質量で0.1%~5%のSO3
-;
e.成分a、b、及びcの総質量に対して、乾燥質量で0.1%~1%の少なくとも1つの減水ポリマー;
f.成分a、b、及びcの総質量に対して、乾燥質量で0%~2%の、dとは異なる少なくとも1つの活性化剤;
を含み、
前記粉砕された粒子状高炉スラグは、
- 粉砕された粒子状高炉スラグの総質量に対して10質量%~100質量%の、1μm以上且つ厳密に5μm未満のd50を有する粒子、
- 粉砕された粒子状高炉スラグの総質量に対して0質量%~90質量%の、5μm以上、且つ好ましくは15μm未満のd50を有する粒子
の粒子混合物であり、
前記充填材は、
- 充填材の総質量に対して10質量%~90質量%の、0.05μm以上且つ厳密に8μm未満のd50を有する粒子、並びに
- 充填材の総質量に対して10質量%~90%質量%の、8μm以上且つ厳密に200μm未満のd50を有する粒子
の粒子混合物である、
結合材組成物によって達成される。
【0012】
本発明はまた、少なくとも1つの骨材及び上述した結合材組成物を含む乾式コンクリート組成物又は乾式産業用モルタル組成物、特に、タイル用接着剤、コーティング、組み立て用モルタル、修繕用モルタル、下塗り、工業用モルタル及び床被覆用モルタルにも関する。
【0013】
本発明は更に、少なくとも1つの骨材、上述した結合材組成物、及び水を含む湿式コンクリート組成物又は湿式産業用モルタル組成物、特に、タイル用接着剤、コーティング、組み立て用モルタル、修繕用モルタル、下塗り、工業用モルタル及び床被覆用モルタルに関する。
【0014】
本発明は、加えて、上述した湿式コンクリート又は産業用モルタル組成物から得られる硬化コンクリート組成物又は硬化産業用モルタル組成物を対象とする。
【0015】
更に、本発明は、上述した湿式コンクリート組成物又は湿式産業用モルタル組成物を調製する方法であって、少なくとも1つの骨材及び上述した結合材組成物と水とを混合する工程を含み、結合材組成物が、混合工程の前、又は混合工程の間にその場で、別々に及び/又は予混合物(プレミックス)の形態で得られる結合材組成物のさまざまな成分の少なくとも一部から調製される、方法に関する。
【0016】
本発明は、湿式コンクリート組成物又は湿式産業用モルタル組成物、特に、タイル用接着剤、コーティング、組み立て用モルタル、修繕用モルタル、下塗り、工業用モルタル、及び床被覆用モルタルのフレッシュな状態レオロジーを改善するための、上述した結合材組成物の使用に関する。
【0017】
定義
本明細書の用語の使用方法により、以下の非限定的な定義を考慮しなければならない。
【0018】
「スラグ」は、鉱石の製錬又は精製中に、金属から分離される石質の副産物を表す。
【0019】
「GGBS」又は「GGBFS」:粉砕された粒子状高炉スラグ(高炉スラグ微粉末)(Ground Granulated Blast Furnace Slag)は、高炉スラグ、粒状高炉スラグ(GBFS)(Granulated Blast Furnace Slag)、高炉水砕スラグ粉末、及び高炉スラグ細骨材と同等のものである。
【0020】
「セメント」は、モルタル又はコンクリートの作製における使用のために作製される粉末状物質を意味することが理解される。セメントは、無機結合材であり、有機化合物を含まない可能性が高い。セメントは、任意の普通セメントを指し、スラグポルトランドブレンド及びアルカリ活性化ベースのセメントを含む。
【0021】
「結合材」は、水を添加するだけで硬化する、GGBS及びセメントのような任意の材料を意味する「水硬性結合材」を指す。
【0022】
「モルタル」は、結合材、砂などの骨材、及び混和材のような他の成分から構成される材料を指す。
【0023】
「コンクリート」は、結合材、砂及び砂利などの骨材、並びに混和材のような他の成分から構成される材料を指す。
【0024】
「d50」は、材料の粒子の粒度分布の中位径を与える(通例、セメンテーション材料に関してマイクロメートル単位での)。d50は、粒子の50%が、規定された数より小さい径を有し、かつ、粒子の50%がその規定された数より大きい径を有することを意味する。d50の測定は、レーザー回折分光法としても公知のレーザー回折分析により、レーザー回折測定装置、たとえば、MALVERN社により市販されている「Mastersizer2000」によって、湿式法で行われる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<結合材組成物>
本発明による結合材組成物は、
a.乾燥質量で1%~30%の少なくとも1つの石灰源;
b.乾燥質量で5%~75%の粉砕された粒子状高炉スラグ;
c.乾燥質量で20%~90%の少なくとも1つの充填材;
d.成分a、b、及びcの総質量に対して、乾燥質量で0.1%~5%のSO3
-;
e.成分a、b、及びcの総質量に対して、乾燥質量で0.1%~1%の少なくとも1つの減水ポリマー;
f.成分a、b、及びcの総質量に対して、乾燥質量で0%~2%の、dとは異なる少なくとも1つの活性化剤;
を含み、
前記粉砕された粒子状高炉スラグは、
- 粉砕された粒子状高炉スラグの総質量に対して10質量%~100質量%の、1μm以上且つ厳密に5μm未満のd50を有する粒子、
- 粉砕された粒子状高炉スラグの総質量に対して0質量%~90質量%の、5μm以上、且つ好ましくは15μm未満のd50を有する粒子
の粒子混合物であり、
前記充填材は、
- 充填材の総質量に対して10質量%~90質量%の、0.05μm以上且つ厳密に8μm未満のd50を有する粒子、並びに
- 充填材の総質量に対して10質量%~90%質量%の、8μm以上且つ厳密に200μm未満のd50を有する粒子
の粒子混合物である。
【0026】
<成分a>
本発明による結合材組成物は、石灰源である成分aを、乾燥質量で1%~30%、好ましくは3%~25%、より好ましくは5%~20%含む。
【0027】
好ましくは、石灰源は、ポルトランドセメント、又は石灰、例えば、水硬性石灰、水酸化カルシウム、消石灰、生石灰、及び石灰スラリーである。
【0028】
石灰源がポルトランドセメントである場合、ポルトランドセメントの少なくとも一部は、8μm以下、好ましくは3.5μm以下のd50を有する極微細セメントであることが有利である。この実施形態は、他の実施形態と比較して、増大した圧縮強度を得ることを可能にするので有利である。
【0029】
<成分b>
本発明による結合材組成物は、粉砕された粒子状高炉スラグ(GGBS)である成分bを、乾燥質量で5%~75%、好ましくは、10%~65%、より好ましくは15%~50%、更により好ましくは20%~40%含む。
【0030】
本発明によれば、粉砕された粒子状高炉スラグの少なくとも一部は、極微細、すなわち、1μm以上且つ厳密に5μm未満のd50を有する粒子からなる。
【0031】
一部の実施形態では、前記の粉砕された粒子状高炉スラグは、
- 粉砕された粒子状高炉スラグの総質量に対して、20質量%~90質量%、好ましくは30質量%~80質量%、より好ましくは40質量%~65質量%の、1μm以上且つ厳密に5μm未満のd50を有する粒子、
- 粉砕された粒子状高炉スラグの総質量に対して、0質量%~90質量%、好ましくは20質量%~70質量%、より好ましくは35質量%~60質量%の、5μm以上、且つ好ましくは15μm未満のd50を有する粒子
の粒子混合物である。
【0032】
<成分c>
本発明による結合材組成物は、充填材である成分dを、乾燥質量で20%~90%、好ましくは、30%~80%、より好ましくは40%~70%、更により好ましくは50%~60%含む。
【0033】
充填材は、不活性である微細に粒状化された無機材料である。言い換えれば、充填材は、水の存在下で石灰又はセメントと反応して水和物を生成することはできない。
【0034】
好ましくは、充填材は石灰石充填材であり、より好ましくは、充填材は、採石場から供給される天然材料、例えば、方解石及びその多形体(アラレ石又はヴァテライトなど)、並びにドロマイト又は沈降炭酸カルシウム、並びにこれらの混合物である。
【0035】
本発明によれば、充填材は、
- 充填材の総質量に対して10質量%~90質量%の、0.05μm以上且つ厳密に8μm未満のd50を有する粒子、並びに
- 充填材の総質量に対して10質量%~90%質量%の、8μm以上且つ厳密に200μm未満のd50を有する粒子
の粒子混合物である。
【0036】
この充填材配分は、GGBS配分と組み合わせて、本発明による結合材組成物及びコンクリート又は産業用モルタルの粘度を低減させ、及び圧縮強度を増大させる技術的効果を得ることを可能とする。
【0037】
一部の実施形態では、充填材は、
- 充填材の総質量に対して20質量%~80質量%、好ましくは25質量%~50質量%、より好ましくは30質量%~40質量%の、0.05μm以上且つ厳密に8μm未満のd50を有する粒子、並びに
- 充填材の総質量に対して20質量%~80質量%、好ましくは30質量%~70質量%、より好ましくは40質量%~65質量%の、8μm以上且つ厳密に200μm未満のd50を有する粒子
の粒子混合物である。
【0038】
<成分d>
本発明によれば、結合材組成物は、成分a、b、及びcの総質量に対して、乾燥質量で0.1%~5%のSO3を更に含む。
【0039】
SO3の含有量は、成分a、b、及びcの配分に対して決定される。言い換えれば、SO3
-の乾燥質量百分率は、成分a、b及びcの含有量の合計が、乾燥質量で100%を表すことを考慮して決定される。
【0040】
好ましくは、SO3
-は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、無水硫酸塩、リサイクル石膏、又はこれらの混合物に由来する。
【0041】
<成分e>
本発明によれば、結合材組成物は、成分a、b、及びcの総質量に対して、乾燥質量で0.1%~1%の少なくとも1つの減水ポリマーを更に含む。
【0042】
減水ポリマーの含有量は、成分a、b、及びcの配分に対して決定される。言い換えれば、減水ポリマーの乾燥質量百分率は、成分a、b、及びcの含有量の合計が、乾燥質量で100%を表すことを考慮して決定される。
【0043】
好ましくは、減水ポリマーは、リグノスルホネートポリマー、メラミンスルホネートポリマー、ナフタレンスルホネートポリマー、ポリカルボン酸エーテルポリマー、ポリオキシエチレンホスホネート、ビニルコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0044】
<成分f>
本発明によれば、この結合材組成物は、成分a、b、及びcの総質量に対して、乾燥質量で0%~2%の、dとは異なる少なくとも1つの活性化剤を更に含む。
【0045】
dとは異なる活性化剤の含有量は、成分a、b、及びcの配分に対して決定される。言い換えれば、活性化剤の乾燥質量百分率は、成分a、b、及びcの含有量の合計が、乾燥質量で100%を表すことを考慮して決定される。
【0046】
好ましくは、dとは異なる活性化剤は、アルカリ金属塩、好ましくは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、硝酸カルシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸カルシウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム;アルカノールアミン、例えば、トリエタノールアミン(TEA)、トリイソプロパノールアミン(TIPA)、ジエタノールアミン(DEA)、又はこれらの混合物、好ましくは硝酸カルシウムである。
【0047】
<任意選択による他の成分>
結合材組成物は、1種又は数種の他の構成成分を有利には追加で含み、それらは成分、特に機能性添加剤であり、それらは好ましくは以下のリストから選択される。
【0048】
・ 保水剤
保水剤は、固化する前に、混合水を保持する特性を有する。水は、湿式配合物ペースト中に閉じ込められ、その結合を改善する。ある程度まで、水は支持体によって少ない量しか吸収されない。
【0049】
保水剤は、好ましくは:変性セルロース、変性グアー、変性セルロースエーテル、及び/又はグアーエーテル、並びにこれらの混合物を含む群、より好ましくは、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0050】
・ レオロジー改質剤
可能なレオロジー改質剤(「増粘剤」とも称される)は、好ましくは、デンプンエーテル、セルロースエーテル、及び/又はガム(例えばウェランガム、グアーガム、キサンタンガム、スクシノグリカン)、変性多糖類(好ましくは変性デンプンエーテルからのもの)、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、海泡石(セピオライト)、及びこれらの混合物を含む群、より好ましくはこれらに存する群から選択される。
【0051】
・ 脱泡剤/消泡剤
可能な脱泡剤は、好ましくは、ポリエーテルポリオール及びこれらの混合物を含む群、より好ましくはこれらからなる群から選択される。
【0052】
・ 殺生物剤
可能な殺生物剤は、好ましくは、無機酸化物(酸化亜鉛など)及びこれらの混合物を含む群、より好ましくはこれらからなる群から選択される。
【0053】
・ 顔料
可能な顔料は、好ましくは、TiO2、酸化鉄、及びこれらの混合物を含む群、より好ましくはこれらからなる群から選択される。
【0054】
・ 難燃剤
難燃剤(又は防炎剤)は、耐火性を向上し、及び/又は組成物の延焼速度を低下させることを可能にする。
【0055】
・ 空気連行剤(Air-entraining agents)
空気連行剤(界面活性剤)は、有利には、天然樹脂、硫酸化又はスルホン化された化合物、合成界面活性剤、有機脂肪酸及、びこれらの混合物を含む群、より好ましくはこれらからなる群、好ましくは、リグノスルホネート、脂肪酸の塩基性せっけん、及びこれらの混合物を含む群、より好ましくはこれらからなる群、並びにより好ましくは、スルホネートオレフィン、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物を含む群、より好ましくはこれらからなる群から選択される。
【0056】
・ 遅延剤
遅延剤は、有利には、酒石酸及びその塩:ナトリウム又はカリウム塩、クエン酸及びその塩:ナトリウム(クエン酸三ナトリウム)及びこれらの混合物を含む群、より好ましくはこれらからなる群から選択される。
【0057】
加えて、他の成分は以下のものであってよい。
・ 可塑剤
・ 繊維
・ 分散粉末
・ 湿潤剤
・ ポリマー樹脂
・ 錯化剤
・ ポリオールをベースとする乾燥収縮低減剤
でありうる。
【0058】
結合材組成物中のこれらの任意選択の他の成分の総含有量は、好ましくは、結合材組成物の総質量の0.001質量%~10質量%を構成する。
【0059】
<乾式コンクリート組成物又は乾式産業用モルタル組成物>
本発明はまた、少なくとも1つの骨材及び上述した結合材組成物を含む、乾式コンクリート組成物又は乾式産業用モルタル組成物、特に、タイル用接着剤、コーティング、組み立て用モルタル、修繕用モルタル、下塗り、工業用モルタル、及び床被覆用モルタルにも関する。乾式コンクリート組成物又は乾式産業用モルタル組成物は、最終的に、他の混和材及び添加物を含有してもよい。
【0060】
本発明によれば、「乾式」コンクリート組成物又は「乾式」産業用モルタル組成物は、粉末形態であり、水との混合準備完了状態の組成物を指す。言い換えれば、本発明の乾式コンクリート組成物又は乾式産業用モルタル組成物は、いくらかの水分を含有してもよいが、本質的に、その適用前に、水と混合されることを意図した固体成分を含む。
【0061】
骨材は、砂、砂利、砕石、スラグ(粒状化されていない)、リサイクルされたコンクリート及びジオシンセティック骨材を含む、建築に使用される、大きな範疇の粒状材料を含む。これらは、複合材料全般に強度を付与するための増強材として役立つ。
【0062】
有利には、前記の乾式コンクリート組成物又は乾式産業用モルタル組成物はまた、骨材以外に、1つ又はいくつかの成分、特に機能性混和材、添加物、及び繊維も含むことができ、これらは結合材組成物の詳細な説明において定義した上述の他の任意選択成分と同じであることができる。
【0063】
乾式コンクリート又は産業用モルタル組成物中のこれらの任意選択による他の成分の総含有量は、好ましくは、結合材組成物の総質量の0.1質量%~10質量%を構成する。
【0064】
<湿式コンクリート組成物又は湿式産業用モルタル組成物>
本発明はまた、少なくとも1つの骨材、上述した結合材組成物、及び水を含む、湿式コンクリート組成物又は湿式産業用モルタル組成物、特に、タイル用接着剤、コーティング、組み立て用モルタル、修繕用モルタル、下塗り、工業用モルタル及び床被覆用モルタルにも関する。
【0065】
特定の実施形態では、湿式モルタル組成物は、「即時使用可能な」モルタルとも呼ばれる。「即時使用可能な」モルタルは、建築現場における組み立て用のれんが又はブロックとして使用される。それらは、混合設備で、組成物の全要素(結合材、骨材、及び他の成分)を水と直接混合することによって得られる。それらは固化遅延剤を含み、そのレオロジー及び硬化特性を維持しながら、数日までの輸送及び遅延使用を可能にする。
【0066】
<湿式コンクリート組成物又は湿式モルタル組成物を調製する方法>
本発明はまた、上述した湿式コンクリート組成物又は湿式産業用モルタル組成物を調製する方法であって、少なくとも1つの骨材及び上述した結合材組成物と水とを混合する工程を含み、結合材組成物は、混合工程の前又は混合工程の間にその場で、別個に及び/又は予混合物(プレミックス)の形態で取得される結合材組成物のさまざまな成分の少なくとも一部からから調製される方法にも関する。
【0067】
言い換えれば、湿式コンクリート組成物又は湿式産業用モルタル組成物は、2つの別の方法によって調製されうる。
【0068】
第1の方法では、結合材組成物が調製し、次に少なくとも1つの骨材と混合する。乾式コンクリート組成物又は乾式モルタル組成物を、その後、水と混合する。
【0069】
第2の方法では、湿式コンクリート組成物又は湿式産業用モルタル組成物は、結合材組成物及び骨材の各成分を水中で混合することによって調製される。
【0070】
本開示によれば、用語「混合」は、任意の形態の混合と理解されなければならない。
【0071】
好ましい実施形態では、結合材組成物の一部及び水の少なくとも一部は、骨材との混合前に、共に混合される。
【0072】
好ましい実施形態では、本方法は、0.1~0.5、有利には0.15~0.45、より有利には0.2~0.4となる、結合材組成物に対する水の比で実施される。
【0073】
<硬化コンクリート組成物又は硬化産業用モルタル組成物>
本発明はまた、上述した湿式コンクリート組成物又は湿式産業用モルタル組成物から得られる、硬化コンクリート組成物又は硬化産業用モルタル組成物に言及する。
【0074】
<結合材組成物の使用>
本発明はまた、湿式コンクリート組成物又は湿式産業用モルタル組成物、特に、タイル用接着剤、コーティング、組み立て用モルタル、修繕用モルタル、下塗り、工業用モルタル、及び床被覆用モルタルのフレッシュな状態のレオロジーを改善するための、上述した結合材組成物の使用についても対象とする。
【0075】
有利には、本発明による使用のために、ペーストのフレッシュな状態の降伏応力は、0Pa~200Pa、有利には5Pa~100Pa、より有利には10Pa~50Paである。
【0076】
有利には、本発明による使用のために、ペーストのフレッシュな状態の粘度は、0Pa.s~5Pa.s、有利には0.1Pa.s~3Pa.s、より有利には0.25Pa.s~1.5Pa.s.である。
【0077】
本発明はまた、事前成型(プレキャスト)又は生コンクリートの調製のための、上述した結合材組成物の使用をも対象とする。
【実施例】
【0078】
(実施例1:充填材粒子及びGGBS粒子の粒度分布の相乗効果)
4種のモルタルを、NF EN 196-1規格に準拠して、混合のプロトコル及び試験体サイズに従って調製した。これらのモルタルの圧縮強度を、NF EN 196-1規格に準拠して決定した。それらの組成及び圧縮強度を下の表1に示す。
【0079】
【0080】
表1から分かるように、標準の石灰石充填材及び標準のGGBS(CE1)を含有するモルタルの圧縮強度は、極微細石灰石充填材(CE2)又は極微細GGBS(CE3)のいずれかを含むモルタルより低い。極微細石灰石充填材及び極微細GGBSの両方を組み合わせたモルタル(E1)は、CE2及びCE3のモルタルより大きな圧縮強度を有し、これは極微細石灰石充填材と極微細GGBSの組合せの相乗効果を示している。
【0081】
(実施例2:極微細GGBSの量の効果)
1つの追加のモルタルを、NF EN 196-1規格に準拠して、混合のプロトコル及び試験体サイズに従って調製した。このモルタルの圧縮強度を、NF EN 196-1規格に準拠して決定した。それらの組成及び圧縮強度を下の表2に示し、表中に実施例E1を再掲している。
【0082】
【0083】
表2から分かるように、より多くの極微細GGBSを含むモルタルE2の圧縮強度は、モルタルE1の圧縮強度より大きい。
【0084】
(実施例3:極微細セメントの効果)
5種の追加のモルタルを、NF EN 196-1規格に準拠して調製した。これらのモルタルの24時間後の圧縮強度を、NF EN 196-1規格に準拠して決定した。それらの組成及び圧縮強度を下の表3に示し、表中には実施例E1を再掲する。
【0085】
【0086】
表3からわかるとおり、約13質量%の標準ポルトランドセメントを極微細ポルトランドセメントによって置き換える(E3)ことによるわずかな低下がみられるにもかかわらず、標準ポルトランドセメントを極微細ポルトランドセメントによって置き換える割合が増加すると共に、本発明によるモルタルの圧縮強度が増大したと結論付けることができる。
【国際調査報告】