(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】臨床診断及び処方のための診療サービスの提供方法及びそのためのシステム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/00 20180101AFI20240409BHJP
【FI】
G16H50/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567128
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 KR2022007192
(87)【国際公開番号】W WO2022245160
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0064533
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0117051
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0023169
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0044731
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523412739
【氏名又は名称】アイオバイオ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AIOBIO CORP.
【住所又は居所原語表記】8F,38 Teheran-ro 4-gil,Gangnam-gu,Seoul 06241,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ホン チョル
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
臨床診断及び処方のための診療サービス提供方法及びそのためのシステムに関する。具体的には、検査デバイスで撮影された歯牙情報に基づいてデンタルデータコードを生成し、前記歯牙情報とデンタルデータコードを活用して臨床診断支援データを生成したり、処方に必要な処方情報を生成したりして、診断者またはユーザーに提供し、さらにユーザーが歯のケアに活用されるデバイスから処方実行情報を収集して、これに基づいて適切な処方行為、または治療行為が行われたか否かについてのフィードバック情報を生成して提供することで、ユーザーが歯の健康を維持管理するのに役立つようにするサービス提供方法およびシステムに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療システムに含まれる歯牙情報処理システムが歯牙情報を処理し、処理された情報を活用して診療サービスを提供する方法であって、
前記歯牙情報処理システム内の演算装置が、取得した歯牙画像内の少なくとも一つの歯についてデンタルデータコードを生成するステップ
を含み、
前記デンタルデータコードは、少なくとも各歯の口腔内の位置を識別するための座標コードを含む
ことを特徴とする診療サービス提供方法。
【請求項2】
前記デンタルデータコードは、
歯の検査項目の種類を区別するための検査コードと、
検査された歯の検査結果に基づく状態を示すための評価コードと、
をさらに含む
請求項1に記載の診療サービス提供方法。
【請求項3】
前記デンタルデータコードを生成するステップの前に、
歯の撮影画像を取得するステップと、
前記撮影画像に基づいて歯の展開画像を取得するステップと、
前記歯の展開画像から個々の歯面を識別するステップと、
をさらに含む
請求項1に記載の診療サービス提供方法。
【請求項4】
診療システムに含まれる診断支援システムが任意の診断者に診断支援のための診療サービスを提供する方法であって、
診断者端末からの入力を受信して複数の要因及び診断支援アルゴリズムを定義するステップと、
検査デバイスから検診情報-前記検診情報は、患者の歯の形態、位置又は状態に関する情報である-を取得するステップと、
前記定義された診断支援アルゴリズムを実行して診断支援データを生成するステップと、
前記診断者端末に前記診断支援データを提供するステップと、
を含む
ことを特徴とする診療サービス提供方法。
【請求項5】
前記診断支援アルゴリズムを実行するステップは、
前記検診情報を前処理するステップと、
前記検診情報を標準化するステップと、
前記標準化された検診情報に基づいて診断支援データを生成するステップと、
を含む
請求項4に記載の診療サービス提供方法。
【請求項6】
前記検診情報を前処理するステップは、
前記検診情報を分析するステップと、
前記不要なデータを削除するステップと、
前記診断支援データの生成に必要な最小限の検診情報が取得されたか否かを判断するステップと、
を含む
請求項5に記載の診療サービス提供方法。
【請求項7】
診療システムに含まれる処方システムが、任意の診断者又はユーザーに処方のための診療サービスを提供する方法であって、
任意の対象者の歯に関連する歯牙情報を取得するステップと、
前記歯牙情報に基づいて演算を行い、前記対象者に対応する処方情報を生成するステップと、
を含み、
前記歯牙情報は、歯の位置情報又は歯の状態情報の少なくとも一方を含む
ことを特徴とする診療サービス提供方法。
【請求項8】
前記処方情報を生成するステップの後に、
生成された処方情報を任意のデバイス-前記デバイスは、歯のケア用デバイスを含む-に伝送するステップ
をさらに含む
請求項7に記載の診療サービス提供方法。
【請求項9】
前記生成された処方情報を任意のデバイスに伝送するステップの後に、
前記デバイスから処方実行情報を受信するステップ
をさらに含み、
前記処方実行情報は、
ユーザーの処方実行行為による数値、画像、動画、または前記処方システムによって読み取り可能なコードを含む
請求項8に記載の診療サービス提供方法。
【請求項10】
前記デバイスから処方実行情報を受信するステップの後に、
前記歯牙情報または処方情報のいずれか一方と、前記処方実行情報とに基づいて演算を実行してフィードバック情報を生成するステップ
をさらに含む
請求項9に記載の診療サービス提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床診断及び処方のための診療サービス提供方法及びそのためのシステムに関する。より具体的には、本発明は、検診デバイスで撮影された歯牙情報に基づいてデンタルデータコードを生成し、前記歯牙情報とデンタルデータコードを活用して臨床診断支援データを生成したり、処方に必要な処方情報を生成したりして、診断者またはユーザーに提供し、さらにユーザーが歯のケアに活用されるデバイスから処方実行情報を収集して、これに基づいて適切な処方行為、または治療行為が行われたか否かについてのフィードバック情報を生成して提供することで、ユーザーが歯の健康を維持管理するのに役立つようにするサービス提供方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルヘルスケアの時代が到来し、スマート機器やシステム、プラットフォーム等を通じて、個人の健康や医療に関する情報を簡単に入手できるようになった。
【0003】
デジタルヘルスケアとは、文字通り、医療やヘルスケアサービスのデジタル環境への移行を意味し、デジタルトランスフォーメーションの中核技術であるモノのインターネット(IoT:Internet of Things)、クラウドコンピューティング、センサー、ビッグデータおよび人工知能(AI:Artificial Intelligence)をヘルスケアと組み合わせる。
【0004】
このようなデジタルヘルスケア時代の到来とともに、歯科診療に関するサービスもデジタル環境に移行し、多様に活用しようとする試みが行われている。
【0005】
例えば、デジタルヘルスケア時代における歯科診療サービスには、口腔スキャナー(撮影装置)を通じて患者の歯の画像を含む歯牙情報を取得する過程、このような歯牙情報を医師や患者のスマート機器に出力する過程、AI学習が可能な診療システムが前記歯牙情報の入力を受け、これに該当する診療結果を出力する過程などが含まれる。
【0006】
一方、このような時代の流れにもかかわらず、デジタルヘルスケア技術が十分に浸透していない医療分野、特に歯科分野では、いまだに旧来の治療・処方方法が用いられているところも少なくない。
【0007】
しかし、このような従来の診療や処方は、歯の状態を肉眼でしか確認できないなど、不十分で不正確な情報に基づいて行われることが多く、歯科医師は客観的なデータよりも専門的な知識に頼らざるを得ない環境に置かれ、現代の患者の治療や処方の質に問題が生じている。また、治療や処方にかかる労力や時間は一向に軽減されず、患者にも医師にも不便を強いることになる。
【0008】
一方、今日では、誰でも自宅で歯のケアができるように、様々なデバイスやアプリケーションが発売及び商用化されているが、これらのデバイスやアプリケーションを作製してサービスを提供するにあたっては、歯科分野の専門的な知識を持たない一般ユーザーも簡単に使用できる環境を実現することが重要である。しかし、一般ユーザーが専門的な歯のケア方法、特に自分に合った歯のケア方法を習得するには、インターネットで検索する以外にチャネルが不足しており、表面的な検索情報に頼って個人的な歯のケアを行っているのが現状である。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、上記で記述した技術的な問題を解消できることはもちろん、本技術分野で通常の知識を有する者が容易に発明できない追加的な技術要素を提供するために発明されたものである。
【0010】
また、参考までに、本発明は、以下のような国家研究開発事業の支援を受けている。
【0011】
[課題固有番号]1465033392
[課題番号]HI20C0129010021
[部署名]保健福祉部
[課題管理(専門)機関名]韓国保健産業振興院
[研究事業名]歯科医療技術の研究開発(R&D)
[研究課題名]口腔疾患評価用多機能SMARTプローブ及び融合データに基づく臨床的意思決定支援システムの開発
[寄与率]1/1
[課題実行機関名](株)アイオバイオ
[研究期間]2020年4月23日~2023年12月31日
【0012】
[課題固有番号]1711129562
[課題番号]2018M3A9F102502621
[部署名]科学技術情報通信部
[課題管理(専門)機関名]韓国研究財団
[研究事業名]バイオ・医療技術開発(R&D)
[研究課題名]口腔バイオフィルムに基づくモバイルヘルスケア技術の開発
[寄与率]1/1
[課題実行機関名](株)アイオバイオ
[研究期間]2021年1月1日~2021年12月31日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする技術的課題は、歯牙情報を取得したり、取得した情報を処理したりするための、デンタルデータコードと名付けられるデータセットを定義し、撮影された歯の画像に基づいて演算装置を使用して前記デンタルデータコードを生成して、様々な領域で活用できるようにすることである。
【0014】
また、本発明は、デンタルデータコードを活用して全ての歯を一目で把握できる画像を生成できるようにすることで、様々な領域におけるユーザーの利便性を高めることを目的とする。
【0015】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、デンタルデータコードから、観察項目や検査項目、歯の状態値や評価値、または施術の進行状況に関する情報などを容易に認識できるようにしたり、または演算装置により容易に認識できるようにしたりすることで、簡単なコードだけで歯に関する総合的な情報を把握できるようにすることである。
【0016】
本発明は、取得した歯牙情報(または検診情報)を分析し、既に保存されている累積データベースを参照して臨床診断支援データを生成するシステムを提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、診断者が診断支援アルゴリズムを任意に設定(Setup)可能にすることで、診断者に所望の臨床診断支援データを提供できるようにすることを目的とする。
【0018】
また、本発明は、複数の診断者から提供された臨床診断支援データをシステムに保存し、ビッグデータを構築し、患者の性別、年齢、診断時期に応じて、複数の診断者による診断内容の傾向を把握し、診断者に関連情報を提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、取得した歯牙情報(または検診情報)に基づいて処方情報を生成するシステムを提供することを目的とする。
【0020】
また、本発明は、処方システムと連動して処方情報の共有及び活用が可能なユーザーのデバイス、またはデバイスにインストールされているアプリケーションを提供することを目的とする。
【0021】
また、本発明は、取得した歯牙情報または処方情報と、デバイスから収集した処方実行情報(実際のユーザーにより行われた歯のケア行為に関する情報)とに基づいて演算されたフィードバック情報を生成し、提供することを目的とする。
【0022】
一方、本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないまた他の技術的課題は、以下の記載から当業者に明確に理解される。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態による診療サービス提供方法は、診療システムに含まれる歯牙情報処理システムが歯牙情報を処理し、処理された情報を活用して診療サービスを提供する方法に関するものであり、前記歯牙情報処理システム内の演算装置が、取得した歯牙画像内の少なくとも一つの歯についてデンタルデータコードを生成するステップを含み、前記デンタルデータコードは、少なくとも各歯の口腔内の位置を識別するための座標コードを含むことを特徴としてもよい。
【0024】
また、前記診療サービス提供方法において、前記デンタルデータコードは、歯の検査項目の種類を区別するための検査コードと、検査された歯の検査結果に基づく状態を示すための評価コードと、をさらに含んでいてもよい。
【0025】
さらに、前記診療サービス提供方法は、前記デンタルデータコードを生成するステップの前に、歯の撮影画像を取得するステップと、前記撮影画像に基づいて歯の展開画像を取得するステップと、前記歯の展開画像から個々の歯面を識別するステップと、をさらに含んでいてもよい。
【0026】
一方、本発明の他の実施形態による診療サービス提供方法は、診療システムに含まれる診断支援システムが任意の診断者に診断支援のための診療サービスを提供する方法に関するものであり、診断者端末からの入力を受信して複数の要因及び診断支援アルゴリズムを定義するステップと、検診デバイスから検診情報-前記検診情報は、患者の歯の形態、位置又は状態に関する情報である-を取得するステップと、前記定義された診断支援アルゴリズムを実行して診断支援データを生成するステップと、前記診断者端末に前記診断支援データを提供するステップと、を含んでいてもよい。
【0027】
また、前記診療サービス提供方法において、前記診断支援アルゴリズムを実行するステップは、前記検診情報を前処理するステップと、前記検診情報を標準化するステップと、前記標準化された検診情報に基づいて診断支援データを生成するステップと、を含んでいてもよい。
【0028】
さらに、前記診療サービス提供方法において、前記検診情報を前処理するステップは、前記検診情報を分析するステップと、前記不要なデータを削除するステップと、前記診断支援データの生成に必要な最小限の検診情報が取得されたか否かを判断するステップと、を含んでいてもよい。
【0029】
一方、本発明のさらに他の実施形態による診療サービス提供方法は、診療システムに含まれる処方システムが、任意の診断者又はユーザーに処方のための診療サービスを提供する方法に関するものであり、任意の対象者の歯に関連する歯牙情報を取得するステップと、前記歯牙情報に基づいて演算を行い、前記対象者に対応する処方情報を生成するステップと、を含み、前記歯牙情報は、歯の位置情報又は歯の状態情報の少なくとも一方を含むことを特徴としてもよい。
【0030】
また、前記診療サービス提供方法は、前記処方情報を生成するステップの後に、生成された処方情報を任意のデバイス-前記デバイスは、歯のケア用デバイスを含む-に伝送するステップをさらに含んでいてもよい。
【0031】
さらに、前記診療サービス提供方法は、前記生成された処方情報を任意のデバイスに伝送するステップの後に、前記デバイスから処方実行情報を受信するステップをさらに含み、前記処方実行情報は、ユーザーの処方実行行為による数値、画像、動画、または前記処方システムによって読み取り可能なコードを含むことを特徴としてもよい。
【0032】
さらにまた、前記診療サービス提供方法は、前記デバイスから処方実行情報を受信するステップの後に、前記歯牙情報または処方情報のいずれか一方と、前記処方実行情報とに基づいて演算を実行してフィードバック情報を生成するステップをさらに含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0033】
上記のような本発明によれば、歯の撮影画像からデンタルデータコードを生成することにより、ユーザーまたは演算装置が、歯全体に関する総合的な情報を一目で正確に把握することができるという効果がある。
【0034】
また、前記演算装置により、比較的演算処理が容易なテキスト(数字および/または文字)ベースのデータや2次元画像のみを扱うことにより、演算に必要なリソースを大幅に削減することができるという効果がある。
【0035】
また、本発明によれば、2次元画像や単純なテキストコード(デンタルデータコード)のみからなるデータを活用することで、端末間、例えば、スマートフォンとサービスサーバとの間で、何らかのサービスを提供するために送受信する必要があるデータを簡単に送受信することができるという効果がある。
【0036】
また、本発明によれば、診断支援システムが取得した検診情報を分析し、既に保存されている累積データベースを参照して臨床診断支援データを生成し、診断者に提供することにより、患者に対してより正確な診断が可能になるという効果がある。
【0037】
また、本発明によれば、経験や知識が不足している診断者や、診断に自身が持てない診断者が、診断に自信を持てるように、ガイドや指導として活用できる情報を提供し、それによって誤診の可能性を全体的に減らすことができるという効果がある。
【0038】
また、本発明によれば、診断支援アルゴリズムを診断者が任意に設定(Setup)できるようにすることで、診断者に所望の臨床診断支援データを提供することができ、診断者が独自の診断アルゴリズムや診断ルーチンを持つことができ、診断過程の能率と効率を向上させることができるという効果がある。
【0039】
また、本発明によれば、診断支援システムにより、診断に関する様々な選択肢や傾向に関する情報が診断者に提供されるため、診断ミスを防止し、診断の精度を向上させることができるという効果がある。
【0040】
また、本発明によれば、処方システムが取得した歯牙情報に基づいて処方情報を生成し、前記処方情報を提供することにより、診療に要する時間を短縮することができるとともに、正確かつ体系的な処方を提供することができるという効果がある。
【0041】
また、本発明によれば、処方システムが取得した歯牙情報と、デバイスから取得したユーザーの行動に関する情報とに基づいて演算してフィードバック情報を生成し、これを提供することにより、ユーザーの歯のケアを支援し、不十分であった歯のケア方法を補完し、不十分であった歯の疾患に関する情報を取得し、最終的にユーザーの歯の健康を向上させることができるという効果がある。
【0042】
本発明の効果は、上記した効果に限定されるものではなく、言及されていない他の効果も、以下の記載から当業者に明確に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の臨床診断及び処方のための診療サービスを提供する過程を概略的に示す図である。
【
図2】本発明による歯牙情報処理の概念を理解するための図である。
【
図3】デンタルデータコード(DDC)及びそれらの集合であるデンタルデータコードセットを説明するための図である。
【
図4】2次元標準画像内に各歯の座標コードが記入されていることを示す図である。
【
図5】本発明の他の実施形態によるデンタルデータコードを示す図である。
【
図6】座標コードに1桁の数字がさらに付加された実施形態を示す図である。
【
図7】
図5による座標コードを用いて生成可能な2次元標準画像の一例を示す図である。
【
図10】本発明による診断支援システムが診断者に診断支援データを提供する様子を示す図である。
【
図11】診断支援データの生成過程を簡単な画像により示す図である。
【
図12】診断支援アルゴリズムに含まれるパラメータの一部に重みが付与され、危険指数と危険群が算出された様子を示す図である。
【
図13】本発明の第1実施形態による診療サービス提供方法を具体的に示す図である。
【
図14】本発明の第2実施形態による診療サービス提供方法を具体的に示す図である。
【
図15】本発明の第3実施形態による診療サービス提供方法を具体的に示す図である。
【
図16】本発明による診断支援システムが診断者に診断傾向を提供する過程を示す図である。
【
図17】本発明の第4実施形態による診療サービス提供方法を具体的に示す図である。
【
図18】本発明の第4実施形態による診療サービス提供方法における検診情報の前処理ステップを細分化して示す図である。
【
図19】本発明による診断支援システムが不要なデータを除去し、必要なデータのみを抽出する過程を示す図である。
【
図20】診断支援システムで活用されるデンタルデータコードを示す図である。
【
図22】本発明の機能歯の寿命曲線を含む診断支援データを示す図である。
【
図23】本発明の診断支援データに売上関連情報を含めることを示す図である。
【
図24】本発明の診断支援データに他の売上関連情報を含めることを示す図である。
【
図25】本発明の診断支援データに将来の収益に関する情報を含めることを示す図である。
【
図26】本発明の第7実施形態による診療サービス提供方法を具体的に示す図である。
【
図27】本発明の第8実施形態による診療サービス提供方法を具体的に示す図である。
【
図28a】様々な形態のユーザーデバイスと前記ユーザーデバイスの構成を示す図である。
【
図28b】様々な形態のユーザーデバイスと前記ユーザーデバイスの構成を示す図である。
【
図28c】様々な形態のユーザーデバイスと前記ユーザーデバイスの構成を示す図である。
【
図28d】様々な形態のユーザーデバイスと前記ユーザーデバイスの構成を示す図である。
【
図29】本発明の第9実施形態による診療サービス提供方法を具体的に示す図である。
【
図30】本発明の第10実施形態による診療サービス提供方法を具体的に示す図である。
【
図31】本発明の第11実施形態による診療サービス提供方法を具体的に示す図である。
【
図32】本発明の第12実施形態による診療サービス提供方法を具体的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。本発明の利点及び特徴並びにこれらを達成する方法は、添付図面と結び付けて詳細に後述する実施形態を参照すれば明らかになる。しかしながら、本発明は、後述する実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に実現可能であり、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、且つ、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範囲により定義される。なお、明細書の全体に亘って同じ参照符号は同じ構成要素を指す。
【0045】
別段の定義がない限り、本明細書において使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の技術者が共通的に理解可能な意味として使用され得る。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、特に明白に定義されていない限り、理想的または過度に解釈されない。本明細書で使用している用語は、実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、文句において言及しない限り、複数形も含む。
【0046】
「第1」、「第2」などの用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別するためのものであり、これらの用語によって権利範囲が限定されてはならない。例えば、第1の構成要素を第2の構成要素と命名してもよく、同様に、第2の構成要素を第1の構成要素と命名してもよい。
【0047】
本明細書で使用される「含む(comprisesおよび/またはcomprising)」に言及された構成要素、ステップ、動作、および/または素子は、1つ以上の他の構成要素、ステップ、動作、および/または素子の存在または追加を排除するものではない。
【0048】
本発明による臨床診断及び処方のための診療サービス提供システム(以下、診療システム100と略称する)は、歯牙情報処理システム110、診断支援システム120及び処方システム130を含む。
【0049】
本発明の診療システム100は、主に3つのステップを通じて診断者または患者に診療サービスを提供する。具体的には、第1ステップは、歯牙情報処理システム110が、検診デバイス10により得られた歯牙情報に基づいてデンタルデータコード(DDC)を生成して歯牙情報を生成及び処理するステップ((1))であり、第2ステップは、診断支援システム120が、前記歯牙情報とデンタルデータコードを分析して臨床診断支援サービスを提供するステップ((2))であり、第3ステップは、処方システム130が、前記歯牙情報およびデンタルデータコードを分析して得られた結果値を基に、処方情報を診断者又はユーザーに提供するステップ((3))である。
【0050】
上述した診療サービス提供ステップをステップごとに順を追って説明するが、まず、最初のステップである歯牙情報の生成及び処理方法について説明する。
【0051】
<歯牙情報の生成及び処理方法((1))>。
図2~
図9は、歯牙情報の生成及び処理方法((1))を説明するための図である。
【0052】
まず、
図2は、本発明の歯牙情報の生成及び処理方法((1))を概略的に理解するために、撮影された歯牙画像の様子と、それから変換されたり、それに基づいて生成されたりしたデンタルデータコード(DDC)画像を示す。
図2を参照すると、左側には、任意の患者の歯や歯の構造をカメラで撮影した結果を示し、右側には、歯全体の様子を一目で分かるように、各歯の見える面を平面に並べたデンタルデータコード画像を示す。
【0053】
参考までに、
図2の右側に示されているデンタルデータコード画像は、画像は、歯の全体的な状態のユーザーの理解を容易にするために生成及び提供できるもので、各セルは、観察可能な歯の面に対応してもよく、各セルの内部にはデンタルデータコードが記載されてもよい。また、後述するように、前記各セルは、内部的にさらに区画化されてもよく、各区画は、任意の歯が持つ面に対応してもよい。
【0054】
一方、
図2の左側に示されている歯の画像は、患者の口腔内部を任意の検診デバイス10(例えば、撮影装置(カメラ)で撮影した後の結果物を示すものであり、このような結果物は、画像スティッチング技術などを用いて複数枚が互いに連続的に連結できるもので、この種の画像は、歯の展開画像と呼ばれる。このように、検診デバイス10によって患者の歯を複数の方向から撮影することができ、撮影の結果物として得られた複数の画像または一つ以上の動画などは、歯の展開画像を生成するために活用され得る。前述したように、画像スティッチング(Image Stitching)技術を適用して複数の画像を平面上でつなぎ合わせて歯の展開画像を生成してもよく、動画をキャプチャした複数の画像を画像スティッチング技術によってつなぎ合わせて歯の展開画像を生成してもよい。
【0055】
[デンタルデータコードの定義及び構造]
デンタルデータコード(DDC)とは、個々の歯の状態に関する情報を、一連の数字、文字、または数字と文字の組み合わせで表したものを意味する。デンタルデータコード(DDC)は、基本的に、口腔内の歯の数以上に存在することができ、各歯の面に対して別々のデンタルデータコードが割り当てられている場合、デンタルデータコードを歯面の数に一致させることができる。
【0056】
図3は、本発明で定義するデンタルデータコードの一例を示すもので、
図3のデンタルデータコードは、数字のみの組み合わせで構成されていることが分かる。また、
図3を参照すると、この詳細な説明で言及されるデンタルデータコードは、歯の座標を示す座標コード、歯の検査項目を示す検査コード、または各歯の検査結果を示す評価コードのうち少なくとも1つを含むことが分かる。
【0057】
以下、デンタルデータコードを構成する詳細コードについて詳しく説明する。
【0058】
まず、座標コードは、口腔内に存在する各歯を識別するためのコードであってもよく、さらに、各歯の観察された観察面を識別するためのコードであってもよい。参考までに、歯科分野では、各歯を位置で識別するために、FDI(federation dentaire international、国際歯科連盟)表記法が用いられているが、本発明における座標コードは、従来のFDI表記とは異なり、部分的に上記FDIを参照しつつ、各歯の観察面を識別するための数字(または文字)をさらに含む。
【0059】
本発明における座標コードは、
図3に示すように3つの数字で構成されてもよく、これらのうち、前の2桁の数字は口腔内での歯の位置を表し、3桁目の数字は観察面の方向性を表してもよい。例えば、前の2桁の数字のうち10桁の位置の数字は、患者の歯の左右上下を表すためのものであり、数字1は患者の歯の右上、数字2は患者の歯の左上、数字3は患者の歯の左下、数字4は患者の歯の右下をそれぞれ表してもよい。また、前の2桁の数字のうち1桁の位置の数字は、歯列における各歯の順序を区別するためのものであり、歯列の中央に該当する第1前歯(中切歯)を番号1、第2前歯(側切歯)を番号2、糸切り歯(犬歯)を番号3、2本の小臼歯を番号4(第1小臼歯)および番号5(第2小臼歯)、そして2本の大臼歯を番号6(第1大臼歯)および番号7(第2大臼歯)、最後の親知らずを番号8とそれぞれ表してもよい。
【0060】
また、
図3を参照すると、座標コードのうち3桁目の数字は、歯の観察面の方向性を示すためのものであり、例えば、患者の視点から見て、頬側面を1、咬合面を2、舌側面を3とそれぞれ表してもよい。
【0061】
このように、本発明における座標コードは、口腔内の歯の位置と観察する観察面を示すために3つの数字を利用することができる。参考までに、
図4には、口腔内の各歯の上下左右咬合面、上下左右頬側面、上下左右舌側面、前歯部舌側面及び前歯部頬側面が2次元画像で示されており、各歯には最初の3桁の座標コードが割り当てられている様子を確認できる(
図4のデンタルデータコードは合計4桁の数字で表示されているが、ここでは1桁の位置に記入されている数字「0」を除外して見る)。例えば、座標コード「181」がどの歯を指すかというと、左2桁の数字「18」は右上顎の第3大臼歯(親知らず)を表し、残りの1桁の数字「1」は頬側面を表す。したがって、「181」の座標コードは、右上顎に位置する第3大臼歯(親知らず)の頬側面として特定されてもよい。
【0062】
次に、検査コードについて説明する。検査コードとは、歯の検査の種類や検査項目の種類を区別するためのコードであり、例えば、各歯の温度、体積、歯垢、虫歯、または磨耗度などを検査する場合、検査項目ごとに異なる数字を付与することができる。ただし、検査コードは、必ずしも歯の検査の種類を区別するためのものに限定されるものではなく、歯の検査装置の種類を区別するためのものとしても活用することもできる。例えば、虫歯を検査するための別個の装置が存在する場合には、その装置を用いて得られた結果に、予め定義された数字を付与することができ、また、歯の微生物活性度を検査するための別個の装置が存在する場合には、その装置を用いて得られた結果に、別の予め定義された別の数字を付与することができる。
【0063】
次に、評価コードについて説明する。評価コードとは、検査された歯の検査結果に基づく状態をその程度に応じて数値で表すものを意味する。例えば、歯の重症度、歯の危険度、施術の優先順位などの歯の状態値を3桁の数値で表し、デンタルデータコードに含めることができる。より具体的には、歯の表面に存在する亀裂(クラック)に関連する検査が行われたと仮定すると、最も深刻な亀裂を有する歯に番号999を割り当て、最も弱い亀裂を有する歯に番号001を割り当てることができる。また、この場合、前記評価コードは、3桁の数字があるからといって、必ずしも全ての評価項目を0から999までの数字で表す必要はなく、必要に応じて数字の範囲を調整して用いることができる。例えば、001から005までを使用する評価項目があってもよい。さらに、繰り返しになるが、前記評価コードは必ずしも3桁の数字に限定されるものではなく、必要に応じて桁数を調整してもよい。このような評価コードの付与は、歯牙情報処理システム内の演算装置(図示せず)によって行ってもよいし、演算装置を介した術者(歯科医師など)からの入力に応じて行ってもよい。前者の場合、歯牙情報処理システムによって任意のアルゴリズムが実行され、撮影された歯の画像を分析することによって重程度を判定することができる。
【0064】
一方、上述した座標コード、検査コード、および評価コードに加えて、歯に対する施術の進行状況に関するコードをさらに含んでもよい。この詳細な説明では、これを施術進行コードと命名する。施術進行コードは、例えば、患者が歯科病院を訪れた回数、複数の施術の中で現在患者が受けた施術の数、または一連の施術の中で患者が最近受けた施術の順番など、デンタルデータコードにおける特定の歯の施術進行状況を数値で表したものであってもよい。
【0065】
参考までに、
図3の(a)は、個々の歯の位置及び状態を示すデンタルデータコード(DDC)を示す図であり、
図3の(b)は、複数のデンタルデータコードを含むデンタルデータコードセットを示す図である。換言すれば、デンタルデータコードセットは、任意の患者の口腔内の全ての歯に対するデンタルデータコードが一つの集合を構成するものと理解することができる。後述するように、このようなデンタルデータコードセットは、2次元画像を表現するために利用されてもよいし、デンタルデータコードセットが2次元画像から生成されてもよい。
【0066】
一方、
図5は、本発明による歯牙情報処理方法によって生成されるデンタルデータコードの他の実施形態を示す図であり、
図5におけるデンタルデータコードは、合計13桁の数字(digit)からなり、そのうち、最初の4桁の数字は座標コードを表し、次の4桁の数字は検査コードを表し、最後の5桁の数字は評価コードを表す。ただし、前述したように各コードに含まれる数字の数(桁数)は様々であってもよく、
図5に示すデンタルデータコードは、本発明の理解を助けるための一例であることが理解される。
【0067】
図5のデンタルデータコードは、
図3で説明したデンタルデータコードと比較して、座標コードが1桁追加されて合計4桁の数字となる点と、検査コードが2桁追加される点とで違いがあり、
図5~
図7を参照して、そのうち、特に座標コードが4桁に拡張することで得られる機能的効果、活用性の効果についてさらに説明する。
【0068】
図6は、先に説明した3桁の座標コード(Original Digit、元の桁)を、1桁の追加桁(Additional Digit)を有する合計4桁の座標コードに拡張した様子を示す図であり、1桁の追加桁の数字は、歯面上の領域を識別するために、または、歯を多面体(好ましくは四角錐台)に形状化したときに生成される各面を識別するために使用することができる。
【0069】
図6の(a)は、歯の一面を5つの領域に分割し、各領域に1~5の番号を付与した例を示す図である。
図6の(a)の左側は、特定の歯の正面図であり、歯面を合計5つの領域、すなわち、上側領域((1))、右側領域((2))、下側領域((3))、左側領域((4))、中央領域((5))に分割した様子を示す図であり、
図6(a)の右側は、それをより簡略化した模式図である。
【0070】
図6の(b)は、観察対象の特定の歯1本を多面体(四角錐台)に形状化したとき、四角錐台を上方から見たときの平面図を基準にして、見える各面に1~5の番号を付けた例を示す図である。
図6の(b)の左側は、四角錐台を上方から見たときの平面図であり、図面の四角錐台を基準にして、上側面((1))、右側面((2))、下側面((3))、左側面((4))、中央面((5))に分割した様子を示す図であり、
図6の(b)の右側は、それをより簡略化した模式図である。参考までに、
図6の(b)の左側に示す四角錐台は、右側が唇側、左側が舌側、上側が頬側を想定しているが、その方向性や方向性によって桁(digit、数字)の付与は異なってもよい。
【0071】
一方、
図6の内容を再度整理すると、座標コードには、
図6の(a)または(b)で定義している歯面上での特定の領域、または多面体形状の歯面上での個々の面を識別するための番号(数字)をさらに含んでもよい。患者の歯を分析する場合、歯全体の状態、例えば歯垢や虫歯の有無、歯の破折の有無等を観察することが基本であり、歯の状態を観察する際に問題となる部位を正確に特定して記録することができれば、その記録を参照するユーザー(特に歯科医師)は、歯科治療や歯の健康維持に大いに役立てることができる。このような効果を得るために、前記
図6で提案したデンタルデータコード、その中でも座標コードに追加情報を付加するという技術的思想が活用されることが期待される。
【0072】
図7は、
図6のように座標コードが追加の数字を含む場合に生成され得る2次元標準画像の一例を示す図である。
図7を参照すると、2次元標準画像は、口腔内の頬側(Buccal)から見た歯を示す頬側面
図501と、咬合面側(Occlusal)から見た歯を示す咬合面
図502と、舌側(Lingual)から見た歯を示す舌側面
図503とに分割されてもよい。さらに、頬側面
図501及び舌側面
図503は、
図6の(a)で説明した方法により、歯面上での各領域が区別された状態の歯を図式化して示し、咬合面
図502は、
図6の(b)で説明した方法により、歯の四角錐台上での各面が区別された状態の歯を図式化して示していることが分かる。参考までに、図中の「No occlusal」と表示された領域は、咬合面の面積値が小さい歯に相当し、一般に、この領域の歯の咬合面は、単独で疾患を有しているのではなく、頬側組織や舌側組織などの近傍の生体組織と接触して疾患を生じていることが多いので、咬合面そのものよりも、その周囲を中心に観察する。また、
図7では、このような観点から2次元標準画像内に「No occlusal」領域を設けているが、実施形態では「No occlusal」領域を設けることに限定されるものではなく、必要に応じて全ての歯の咬合面を表示してもよい。
【0073】
また、
図7の2次元標準画像は、
図4の2次元標準画像と比較すると、咬合面の配置が特に異なっていることにも注目されたい。咬合面の配置は、観察面の全体的な配置と同様に、この2次元標準画像の利用に応じて変化し得ることが理解される。例えば、歯科医のような専門家が容易に認識できる配置から、素人(一般人)が容易に認識できる配置など様々である。
【0074】
また、
図7では別途デンタルデータコードが各セル内、または各セル内の区画面には表示されていないが、前述のデータコードが各セル内、特に各セル内の区画面ごとに生成されてもよいことを前述した以上、このように生成されたデータコードが
図7のような画像内にも一緒に表示されてもよいという点についても容易に理解できるであろう。
【0075】
[デンタルデータコードの生成方法]
次に、歯牙情報処理システム110に含まれる演算装置(図示せず)がデンタルデータコードを生成する過程について説明する。デンタルデータコードは、いわゆる歯牙情報処理方法を実行することにより生成することができ、その代表的な実施形態を
図8及び
図9に基づいて説明する。
【0076】
図8を参照すると、演算装置は、最初に、歯の画像を取得するステップ(S101)を実行してもよい。撮影画像とは、患者の口腔内部を撮像装置によって得られる結果物である。口腔専用カメラ(スキャナー)や、必ずしも口腔専用でなくても任意の対象物を撮像可能な撮像装置を患者の口腔内に挿入して歯を撮像する場合、複数の方向から歯を撮像した画像や、複数の方向から歯を撮像した動画を記録してもよく、演算装置はこのようにして歯の撮像画像を取得してもよい。
【0077】
次に、演算装置は、歯の展開画像を取得するステップ(S103)を実行してもよい。一般に、展開画像とは、対象物の表面を平面上に展開した画像を意味し、したがって、歯の展開画像は、撮影画像から各歯の表面を平面上に展開した画像として理解され得る。演算装置は、先に取得した撮影画像(複数可)に対して画像スティッチング(Image Stitching)を実行することができ、画像スティッチングにより、複数の画像をつなぎ合わせて、結果として一つのパノラマ画像のような形の歯の展開画像を取得することができる。画像スティッチング技術は、関連分野において既に実用化されているため、この詳細な説明では詳細な説明を省略する。
【0078】
次に、演算装置は、先に得られた歯牙展開画像に対して画像セグメンテーション(Image segmentation)を実行することにより、個々の歯牙面を識別するステップ(S105)を実行してもよい。このステップは、歯の展開画像から歯面のみを抽出し、抽出された各歯面を特定の歯として識別するステップとして理解することができ、例えば、歯の展開画像から前歯面を抽出し、その歯面を中切歯(前歯)として識別する過程が、このステップに含まれてもよい。
【0079】
画像セグメンテーションとは、デジタル画像を複数の画素の集合に分割する過程を指し、本発明では、画像セグメンテーションを用いて、特に歯の展開画像において、各歯面の境界(線、曲線)を見つけることができる。画像セグメンテーションは様々な方法で行うことができ、例えば、閾値を用いる方式、エッジ検出方式、領域拡大方式、テクスチャ特徴値を使用する方式などが活用されてもよい。
【0080】
一方、演算装置は、画像セグメンテーションによって歯面領域が識別された後、その歯面がどの歯の歯面であるかを識別しなければならないが、このとき、識別過程では、識別された歯面の特徴、識別された歯面の領域のサイズ、または識別された歯面の外観を参照してもよい。さらに、一旦、ある歯面が特定の歯として識別されると、前記演算装置は、その特定の歯を基準にして、隣接する歯面に対する歯の識別を行うこともできる。
【0081】
参考までに、ステップS105は、識別された歯面が2次元の標準画像に再構成される過程をさらに含んでいてもよい。すなわち、前記識別された歯面は、先に
図4に示した複数のセル(cell)からなる2次元の標準画像内に表示されるが、各歯面を、対応するセル内に表示することにより、患者の観察可能な歯面の全てを一目で確認することができる。
【0082】
2次元標準画像と関連して補足説明をすると、以下の通りである。2次元標準画像は、3次元の歯の画像に比べて容量が小さく軽いため、データ容量をあまりとらず、同じストレージ空間でより多くの歯牙情報を保存できるという利点がある。また、2次元規格画像は容量が小さいため、3次元歯の画像の送受信速度に比べ、送受信速度が速いという利点がある。さらに、2次元標準画像は、3次元の歯の画像に比べ、歯垢や虫歯などの各歯の状態を一目で把握できるという利点がある。
【0083】
一方、本発明の2次元標準画像にはいくつかの特徴があり、その一つは、各歯の歯根側面が含まれていないことである。これは、現状の技術では、撮像装置で歯根側面をスキャンすることができないためであるが、将来、歯根側面をスキャンできる撮像装置が開発されれば、歯根側面を2次元標準画像に配置することももちろん可能である。
【0084】
また、本発明の2次元標準画像では、前歯部の上顎の咬合面及び前歯部の下顎の咬合面は表示されないが、これは、あえて画像データ化をしなくても術者が肉眼で容易に把握できる点、かつ、前歯部の上下顎の咬合面の咬合面積が比較的非常に小さいため画像化が困難である点などの理由によるものである。しかし、同様に前記前歯部の上下顎の咬合面も必要に応じて2次元標準画像に配置することができる。
【0085】
一方、前記のように個々の歯面が識別された後、演算装置は、歯ごとにデンタルデータコードを演算してもよい(S107)。すなわち、このステップにおいて、演算装置は、識別された各歯にデンタルデータコードを付与するステップを実行してもよく、このとき、デンタルデータコードには、前述したような座標コード、検査コード、および評価コードが含まれてもよい。座標コードは、先のステップS105で識別された歯面が特定の歯として識別されたときに決定されてもよく、検査コード及び評価コードは、前記識別された歯面に対して行われた検査(分析)の種類、前記歯の撮影に使用された装置の種類、又は検査(分析)による結果値などに基づいてその値が決定されてもよい。
【0086】
参考までに、前記検査コード及び評価コードに関連して、演算装置は、別途取得及び保存されている口腔検診データを参照して前記検査コード及び評価コードの値を決定することもできる。口腔検診データとは、口腔内の歯や組織の検査結果がデータ化されたものを意味し、このような口腔検診データは、画像データの形態を有することができる。例えば、特殊なフィルターを用いて蛍光画像を撮影するバイオフィルム蛍光検査(キュレイ検査)用装置を用いて患者の口腔内を検査した場合には、歯の表面に微生物の活性度に応じて蛍光色を帯びた画像が撮影されるが、このような画像データも口腔検診データの一種といえる。または、患者の口腔内部を撮影することにより、虫歯の形成状況や歯垢(プラーク)の形成状況を画像データとして取得することができ、これも口腔検診データの一種といえる。
【0087】
一方、前記口腔検診データは、必ずしも画像データの形式である必要はなく、数字、文字、または数字と文字の組み合わせからなるテキスト型データであってもよい。また、前記口腔検診データが画像データの形式である場合、前記口腔検診データは、2次元画像データであってもよいし、3次元画像データであってもよい。
【0088】
演算装置は、前記識別された歯に検査コード及び評価コードを付与する際に、前述の口腔検診データを参照することができ、所定の基準に従って口腔検診データを分析し、そこから値を算出し、算出された値を前記検査コード及び評価コードとして活用することができる。
【0089】
演算装置は、上述したステップS101~ステップS107を通じて歯ごとにデンタルデータコードを演算することができ、このように演算されたデンタルデータコードをそのまま活用してもよいし、
図4に示すような2次元標準画像の形で構成して活用してもよい。
【0090】
一方、
図9は、演算装置が第2実施形態により歯牙情報を処理する方法を、順を追って示している。
【0091】
図9を参照すると、ステップS201~ステップS205は、先の
図8で説明したものと実質的に同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0092】
ステップS207は、個々の歯面を分析するステップ(S207)であり、演算装置は、前記ステップS205で識別された個々の歯面に対して異常があるか否かを分析することができる。このときの分析は、好ましくは画像処理を伴うものであってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0093】
ステップS207によって分析可能な歯の異常の種類には、歯冠残留、歯冠破折、複合歯冠破折、歯根破折、歯冠-歯根破折などのように歯の表面に加えられる物理的な力によって引き起こされる損傷、および、虫歯や歯垢などのように細菌性の原因によって歯質が破壊される疾患などが含まれ得る。参考までに、ステップS207は、
図8の説明で既述したQ-ray検査方式を活用することもできる。
【0094】
一方、演算装置は、個々の歯面の分析を完了した後、歯ごとにデンタルデータコードを付与することにより(S209)、全体歯に対するデンタルデータコードセットを完成してもよく、または、前記個々の歯面を識別する画像又は個々の歯面の分析結果に基づいて3次元画像を構成してもよい(S210)。
【0095】
ステップS209では、すべての歯についてデンタルデータコードが決定されてもよく、このように決定されたデンタルデータコードは、他の連携サービス団に提供されて、任意のサービスを提供するために活用されてもよい。
【0096】
ステップS210は、演算装置によって別途取得された3次元データを、前記識別された個々の歯面、または前記歯の展開画像の中から取得された画像と合成することによって行われてもよい。簡単に言えば、患者の口腔内部を事前に3次元撮影しておいたデータが存在することを前提として、前記3次元データ上に先に取得した歯面を重ね合わせる過程としても理解できる。このとき、3次元データの種類には、患者の口腔内部を撮影したX線データ、またはCTデータが含まれてもよく、この他に前記患者の口腔内部を3次元座標系で表示できるデータがあれば何でもよい。
【0097】
演算装置は、個々の歯牙表面画像を前記3次元データに合成する際に、3次元データと2次元の個々の歯別画像とを比較し、複数の特徴点を定め、これらの特徴点の一致する形状を検索することにより、前記3次元データ上に前記2次元画像を重ね合わせてもよい。このようにして構築された3次元画像は、専門家(歯科医)や患者個人に提供され得、3次元画像は、これらにより患者または自分の歯の状態を確認するのに大きな助けとなる。
【0098】
以上、本発明の診療サービスの第1ステップである歯牙情報の生成及び処理方法((1))について説明した。
【0099】
次に、本発明の診療サービスの第2ステップである臨床診断支援サービス提供方法((2))について説明する。
【0100】
<臨床診断支援サービス提供方法((2))>
図10~
図25は、診断支援サービス提供方法((2))を説明するための図である。
【0101】
本発明による診療システムのうち、臨床診断支援システム(以下、診断支援システム120と略称する)は、歯科分野において、患者から把握できる情報と、既に保存されている累積データベースとを参照することにより、当該患者に対する臨床診断時に診断者が正確な判断を行うのに役立つ分析結果物を提供するシステムである。
【0102】
本発明の臨床診断支援サービス提供方法((2))を詳しく説明する前に、本発明の臨床診断支援サービスを提供する過程で頻出する用語について簡単に説明する。
【0103】
図10は、診断者が検診デバイス10を通じて患者の歯に関する情報を取得し(
図10-(1))、診断支援システム120が、取得された患者の歯牙情報とサーバーのデータベースに既に保存されている累積データとを参照して診断支援データを生成し、診断者端末20を通じて診断支援データを表示する(
図10-(2))様子を示す図である。
【0104】
[検診デバイス10]
図10を参照すると、検診デバイス10は、患者から把握できる情報を取得するために使用されるデバイスを指し、患者から有意義な状態情報を得ることができる限り、デバイスの種類は限定されない。例えば、検診デバイス10は、患者の歯をそのまま撮影し、歯の形態や位置を2次元画像や3次元画像で表示する口腔カメラや3D口腔スキャナーであってもよいし、特定の波長の光を照射して歯のう蝕(虫歯)を把握することで、具体的な歯の状態を確認できる定量的光誘導蛍光装置であってもよい。また、前述の口腔カメラ、3D口腔スキャナー及び定量的光誘導蛍光装置に加えて、診断者が患者の正確な歯科診断を行う前に診断の根拠として活用できる情報、すなわち、患者の歯の形態、位置または状態に関する情報を取得するために設けられた装置であれば、この詳細な説明で言及される検診デバイス10に含まれ得る。
【0105】
[検診情報]
前述の診断者が患者に対して正確な歯科診断を行う前に診断の根拠として活用できる情報、すなわち、患者の歯の形態、位置または状態に関する情報は、本発明で検診情報という用語で含意されている。参考までに、検診情報は、先に歯牙情報の生成及び処理方法((1))のステップで説明した歯牙情報を含んでいてもよい。
【0106】
このような検診情報は、診断者に、本発明による臨床診断支援サービスを提供するための基礎リソースとして活用される。具体的には、診断者は、検診デバイス10を通じて得られた検診情報を用いるだけで自ら診断を下すことができるが、まだ経験と知識が不足している一部の診断者は、診断に対する確信が持てず、自ら診断を下すことが困難な場合があるため、本発明は、このような診断者が正確な診断を下すのに役立つように臨床診断支援サービスを提供する。ここで、診断支援システム120が臨床診断支援サービスを提供するためには、参照データである検診情報を受信する必要があり、その結果、検診情報は、診断者に臨床診断支援サービスを提供するための基礎リソースとなり得る。
【0107】
[診断支援システム120]
図10を参照すると、診断支援システム120は、検診デバイス10から検診情報を受信し、受信した検診情報と既に保存された累積データ(ビッグデータ)とを用いて診断支援データを生成し、生成された診断支援データを診断者端末20に表示することにより、診断者に臨床診断支援サービスを提供するシステムである。
【0108】
[診断者端末20]
本発明で説明する診断者端末20は、デスクトップ、ノートパソコン、スマートフォン、タブレットPC、スマートウォッチ等、演算機能及びネットワーク機能を有する端末であればどのようなものでもよい。この詳細な説明では、本発明の理解を助けるために、
図10に示すような歯科診療室に設置された診断者端末20を代表的な診断者端末20として想定する。
【0109】
[診断支援アルゴリズム及び診断支援データ]。
図11は、本発明の診断支援システム120が、取得した検診情報(
図11の(1))を既に設定された診断支援アルゴリズムで分析して(
図11の(2))、診断支援データを生成する(
図11の(3))過程を簡潔に示す図である。
【0110】
診断支援アルゴリズムとは、診断支援システム120が、診断者端末20からいくつかの要因、例えば疾患要因、危険要因または保護要因に対する設定値を予め入力された状態を前提として、予め入力された設定値に基づいて検診情報を分析して診断支援データを生成するようにするルールの集合をいう。参考までに、疾患要因には、検診情報から把握できる疾患の原因や、疾患に起因する患者の歯の状態などが含まれ、危険要因には、検診情報から把握された疾患誘発の原因などが含まれ、保護要因には、疾患の改善に役立つ要因や、疾患の予防に役に立つ要因などが含まれ得る。
【0111】
これらの要因に基づいて診断支援アルゴリズムに従って診断支援データを生成する過程を説明すると、まず、診断者は、患者の疾患を把握するために最も優先的に必要な要因及び/又は診断支援アルゴリズムを設定することができ、このように設定された診断支援アルゴリズムにより、診断者が設定しておいた要因が分析されて、その結果値である診断支援データを診断者に提供することができる。例えば、診断者が重度の歯痛の患者を診断する際に確認したい要因が「象牙質う蝕」、「隣接面のう蝕の程度(う蝕脆弱部位の確認)」である場合、診断者は診断者端末20を通じて「象牙質う蝕」と「隣接面のう蝕」を疾患要因として設定し、さらに前記疾患要因に基づいて診断支援アルゴリズムをも定義することができる。そして、診断支援アルゴリズムにより、前記設定に基づいて、検診情報における「象牙質う蝕」と「隣接面のう蝕」に関する情報が分析され、分析された結果値である診断支援データを診断者に提供することができる。参考までに、前記実施形態では、本発明の理解を容易にするために、「疾患要因」のみを活用する例を説明したが、もちろん、「疾患要因」だけでなく、「危険要因」や「防御要因」も診断支援アルゴリズムを通じて活用できることは理解される。
【0112】
一方、診断支援アルゴリズムは、これらの要因の各々に重み付けを与えるように設計されることにより、診断者が所望の情報を受け取ることができるようにする。
図12を参照すると、重み付けは、診断支援アルゴリズムが患者の歯の危険指数を算出する際に個々の要因に付与する重要度であってもよく、歯の健康への影響が大きいほど高い重み付けが付与され、歯の健康への影響が少ないほど低い重み付けが付与されることがある。このような重み付け値は、各診断者の意図に応じて異なるように設定され得る。このように診断支援アルゴリズムに含まれる各要因に診断者が重み付けを付与すると、診断支援アルゴリズムによって、重み付けが反映されたまま診断支援データを生成することになり、診断者は希望する方法、希望する形で診断支援データを受け取ることができる。
【0113】
[臨床診断支援サービス提供方法-(1):第1実施形態]
図13は、本発明の第1実施形態による臨床診断支援サービス提供方法を具体的に示す図である。
【0114】
本発明の第1実施形態による臨床診断支援サービス提供方法は、まず、診断者が自分の診断者端末20を介して診断支援システム120に接続した後、要因(疾患要因、危険要因、または保護要因など)を設定したり、診断支援アルゴリズムを定義したりするステップ(S300)から開始され得る。このステップは、簡単に言えば、医師が患者を診断したいときに受け取りたい診断支援データをカスタマイズするステップとしても理解できる。すなわち、医師は複数の要因のうち、自分が望む要因のみを設定しておき、また、設定された要因から一連の演算過程を通じて所望の結果値を得るためのアルゴリズムを定義することができる。
【0115】
ステップS300が実行された後には、検診デバイス10により検診情報が生成されるステップS301が実行されてもよい。例えば、診断者である歯科医は、患者の口腔内を検診デバイス10で撮影し、これにより検診デバイス10によって口腔画像などの検診情報が生成されてもよい。
【0116】
検診情報が生成された後、検診デバイス10は、生成された検診情報を診断支援システム120に伝送する(S302)。参考までに、ステップS302で説明したように、検診デバイス10により生成された検診情報を診断支援システム120に直接伝送してもよいが、検診デバイス10が診断支援システム120と連動していない場合や、検診デバイス10に通信モジュールが装着されていない場合には、前記検診デバイス10が取得した検診情報を、診断者端末20を介して診断支援システム120に伝送してもよい。例えば、診断者端末20に口腔カメラが接続された環境では、口腔カメラによって撮影された画像は、診断者端末20内部に1次的に保存されてもよく、このように保存された画像は、後に診断支援システム120側に伝送されてもよい。
【0117】
ステップS302の後、診断支援システム120は、診断支援アルゴリズムを実行してもよい(S303)。診断支援アルゴリズムは、先のステップS300において診断者によって既に設定または定義されたアルゴリズムを指し、前記診断支援アルゴリズムは、ステップS302で受信した検診情報に基づいて行われてもよい。
【0118】
ステップS303が実行されると、診断支援データが生成される(S304)。診断支援データは、例えば画像や動画、数値やテキストなど様々な形式が考えられる。
【0119】
診断支援データが生成された後、診断支援システム120は、前記診断支援データを診断者端末20に提供し(S305)、これにより、本発明の第1実施形態による臨床診断支援サービス提供方法が完了する。
【0120】
[臨床診断支援サービス提供方法-(2):第2実施形態]
図14は、本発明の第2実施形態による臨床診断支援サービス提供方法を具体的に示す図である。
【0121】
本発明の第2実施形態による臨床診断支援サービス提供方法は、診断者に提供可能な基準診断支援アルゴリズム、すなわち、リファレンスアルゴリズムを生成し、共有する過程を含む。
【0122】
リファレンスアルゴリズムは、本発明による診断支援サービスを利用する多数の診断者に提供可能なアルゴリズムであってもよく、このようなリファレンスアルゴリズムを多数の診断者に提供するため、その信頼性を検証する必要があり、
図14に示すような過程が必要となる場合がある。
【0123】
例えば、特定の小児歯科専門医は、7歳未満の子供患者を診断する際に、自分自身の知識及び経験に基づく特定の要因のみに基づいて特定の疾患を診断することができる場合があり、その小児歯科専門医は、自分自身の要因及びアルゴリズムを、診断支援システム120を介してリファレンスアルゴリズムとして登録することにより、他の診断者とそれらを共有することができる。
【0124】
特に、歯科病院の場合、口腔顎顔面外科、補綴歯科、矯正歯科、小児歯科、歯周病科、保存歯科、口腔内科、口腔顎顔面放射線科、口腔病理科、予防歯科などの専門科が存在するにもかかわらず、開業歯科医の多くは、特定の専門分野に特化した歯科医院を運営しておらず、患者によっては特定の専門医の診断ノウハウを必要とする場合があり、本発明による診断支援システム120は、診断者にリファレンスアルゴリズムを提供することができ、診断者の利便性を向上させることができる。
【0125】
リファレンスアルゴリズムを生成するために、まず、診断者端末20が要因及びアルゴリズムを設定及び定義し、かつ、診断支援システム120にリファレンスアルゴリズムの承認を要求する、ステップ(S401)が実行され得る。
【0126】
その後、診断支援システム120は、ステップS401で診断者端末20が設定及び定義した事項に基づいて診断支援アルゴリズムを生成する(S402)。
【0127】
ステップS402の後、診断支援システム120は、他の診断者端末20Bに対して、ステップS402で生成した診断支援アルゴリズムをリファレンスアルゴリズムとして活用することの承認を要求する(S403)。この過程は、事前に専門家プール(pool)として指定された複数の他の診断者を対象として行ってもよく、この場合、承認要求の対象となる複数の他の診断者は、前記診断支援アルゴリズムがどのような疾患を診断するためのものであるか、あるいはどのような患者を診断するためのものであるかといったカテゴリーに応じて区別されていてもよい。
【0128】
ステップS403の後、他の診断者端末20Bでは、ステップS402で生成された診断支援アルゴリズムがリファレンスアルゴリズムとして適切であると認められれば承認し、その承認事実を診断支援システム120に伝送する(S404)。
【0129】
承認後、診断支援システム120は、前記ステップS402における診断支援アルゴリズムをリファレンスアルゴリズムとして認定及び生成し(S405)、生成されたリファレンスアルゴリズムをサーバーにアップロードして共有し、他の診断者端末20Bにリファレンスアルゴリズムを提供できるようにする(S406)。
【0130】
[臨床診断支援サービス提供方法-(3):第3実施形態]
図15は、本発明の第3実施形態による臨床診断支援サービス提供方法を具体的に示す図である。
【0131】
本発明の第3の実施形態による臨床診断支援サービス提供方法は、診断者が、リファレンスアルゴリズムによって生成された診断支援データが気に入らない場合や、独自の診断支援アルゴリズムを生成したい場合、設定を変更する過程を含む。
【0132】
本発明の第3実施形態による臨床診断支援サービス提供方法は、まず、診断者が検診デバイス10で患者の口腔内を撮影することにより、検診デバイス10に検診情報を生成するステップ(S501)から開始される。
【0133】
検診デバイス10により検診情報が生成された後、検診デバイス10は、生成された検診情報を診断支援システム120に伝送する(S502)。
【0134】
その後、診断支援システム120は、サーバーにアップロードされたリファレンスアルゴリズムにより診断支援データを生成する(S503)。
【0135】
ステップS503の後、診断支援システム120は、リファレンスアルゴリズムにより生成された診断支援データを診断者端末20に提供する(S504)。
【0136】
診断支援システム120が、リファレンスアルゴリズムにより生成された診断支援データを診断者端末20に提供した後(S504)、診断者は、提供された診断支援データが気に入らない場合や、独自の診断支援アルゴリズムを生成したい場合、診断者端末20を通じてリファレンスアルゴリズム内で決まっている要因を追加/削除したり、またはアルゴリズムを変更したりして設定する(S505)。
【0137】
診断者端末20がアルゴリズムを変更して設定した場合(S505)、診断支援システム120は、変更された診断支援アルゴリズムにより修正された診断支援データを生成する(S506)。
【0138】
その後、診断支援システム120は、修正された診断支援データを診断者端末20に提供し(S507)、本発明の第3実施形態による臨床診断支援サービス提供方法が終了する。
【0139】
[診断傾向]
図16は、本発明の診断支援システム内に既に保存されている累積データベース(診断支援アルゴリズム又は診断支援データ)を参照して診断者に診断傾向を提供する過程を示す図である。
【0140】
図16を参照すると、診断支援システム120は、本発明の診断支援サービスを利用する診断者の診断者端末20から非常に多くのデータ(診断支援アルゴリズム又は診断支援データ)を受信し、これらのデータに基づいてビッグデータを構築し、ビッグデータを通じて、複数の診断者が行った診断内容の傾向を患者の性別、年齢、診断時期に応じて把握し、ユーザーに提供する。具体的な例では、診断者が小児患者を診断する場合を想定し、診断者は小児患者の情報(年齢、性別、診断時期、疑われる疾患)を選択的に入力し、診断支援システム120に伝送することができ、診断支援システム120は、サーバーに構築されたビッグデータを通じて、前記小児患者とほぼ同程度の年齢、同じ性別、診断時期、疑われる疾患の患者がどのような診断を受けたかの傾向を分析し、分析結果値をユーザーに提供して診断を支援する。より具体的な例では、小児患者の年齢が7歳、診断時期が7月(夏)、疑われる疾患が歯のう蝕(虫歯)であると仮定すると、同じような年齢の子どもは、暑さによるアイスクリームの食べ過ぎが主な原因で虫歯と診断されるというビッグデータ分析(診断傾向)を診断者に提供することができる。
【0141】
[臨床診断支援サービス提供方法-(4):第4実施形態]
図17は、本発明の第4実施形態による臨床診断支援サービス提供方法を具体的に示す図である。
【0142】
本発明の第4実施形態による臨床診断支援サービス提供方法は、診断支援システム120の予め設定された診断支援アルゴリズムが診断支援データを生成し、生成された診断支援データを提供する方法の実施形態である。
【0143】
本発明の第4実施形態による臨床診断支援サービス提供方法は、まず、診断支援システム120が検診デバイス10から検診情報を収集するステップから始まる(S601)。
【0144】
診断支援システム120が検診デバイス10から検診情報を収集した場合(S601)、診断支援システム120は、検診情報を前処理する(S602)。ここで、
図18を参照すると、検診情報を前処理するステップ(S602)は、検診情報を分析するステップ(S6021)、不要なデータを削除するステップ(S6022)、または、診断支援データの生成に必要な最小限の検診情報が取得されたか否かを判断するステップ(S6023)を含んでもよい。
【0145】
検診情報を分析するステップ(S6021)は、検診情報に基づいて診断支援データに含まれ得る全ての情報を収集又は分析するステップであり、前記ステップS303(
図13参照)で設定された要因(疾患要因、危険要因、又は保護要因)を優先的に分析してもよい。
【0146】
不要なデータを削除するステップ(S6022)は、システム内のデータリソースを極力削減し、システム内に保存されるデータ量を削減し、データの送受信速度を向上させるために、必要なデータと不要なデータとを区別して不要なデータを削除するステップである。必要なデータと不要なデータは、ユーザーが設定した要素に基づいて区別してもよいし、診断支援システム120が自ら必要ないと分析したデータを不要なデータとして区別してもよい。
【0147】
一方、
図19は、このような必要なデータと不要なデータとを区別し、不要なデータを削除する過程を示す図である。
図19を参照すると、診断支援システム120は、検診デバイス10から検診情報を収集し、収集された検診情報を分析し、分析された結果値のうち、疾患(例えば、虫歯)が疑われる歯の部分を必要なデータとし、疾患が疑われない正常な歯の部分を不要なデータとする。このように区別された不要なデータは診断支援システム120により削除され、必要なデータのみが残るように検診情報が前処理される。
【0148】
診断支援データの生成に必要な最小限の検診情報が取得されたか否かを判断するステップ(S6023)は、検診情報に含まれる情報が診断支援データの生成に不十分であったり、診断者が検診デバイス10を誤って使用して誤った検診情報を取得したりした可能性があるため、診断支援データの生成に必要な最小限の検診情報が取得されたか否かを判断して、最小限の検診情報が取得されていない場合には、診断支援データを生成せず、診断者に、検診デバイス10を介して検診情報を取得し直すように誘導する。
【0149】
再び
図17を参照すると、診断支援システム120が検診情報を前処理した場合(S402)、診断支援システム120は、検診情報を標準化する(S403)。ここで、検診情報を標準化するということは、
図5に示すように、検診情報をデンタルデータコード(Dental Data Code)に変換することを意味する場合がある。
【0150】
診断支援システム120におけるデンタルデータコードは、上述した歯牙情報処理システム110が生成及び処理したデンタルデータコードを指してもよいが、患者に対する臨床診断をより正確に行うために、座標コード、検診コード、及び評価コードに加えて、
図20に示すように、患者に関する情報を含むことができる。例えば、デンタルデータコードは、患者の性別、年齢、結婚の有無、歯科受診歴、身体サイズ、または家族歴などを含んでもよい。
【0151】
再び
図17を参照すると、診断支援システム120が検診情報をデンタルデータコードで標準化した場合(S603)、診断支援システム120は、標準化された検診情報に基づいて診断支援データを生成し(S604)、生成された診断支援データをユーザー端末30に提供し、本発明の第4実施形態による臨床診断支援サービス提供方法が終了する。
【0152】
[臨床診断支援サービス提供方法-(5):第5実施形態]
本発明の第5実施形態による臨床診断支援サービスは、診断者に機能歯の寿命曲線を提供することで、診断者が効率的な臨床診断を行えるように誘導する。ここで、機能歯とは、歯としての本来の機能(例えば、咀嚼機能)を発揮できる歯であり、歯のう蝕(虫歯)、歯周病、歯の破折等の疾患のない正常な歯の範疇にある歯という。さらに、機能歯の寿命曲線は、患者の年齢及び現在の機能歯の数を把握し、患者の寿命に応じて予測される残存機能歯の数を示す曲線である。このような機能歯の寿命曲線は、診断される患者の機能歯の寿命曲線だけでなく、正常な患者の平均的な機能歯の寿命曲線を提供することにより、患者の歯の状態のリスク(危険度)を思い出させるものとして活用され得る。
【0153】
[機能歯の寿命曲線]
図21は、従来の機能歯の寿命曲線を示す図である。
図12を参考すると、機能歯の寿命曲線の横軸(X軸)は患者の年齢であり、縦軸(Y軸)は患者の機能歯の数である。従来の機能歯の寿命曲線は、複数のパーセンタイル(Percentile)曲線から構成されてもよい。これらのパーセンタイル曲線は、患者の年齢に応じた機能歯の数を用いて、上位10%、25%、50%(平均値のパーセンタイル)、75%、90%パーセンタイル等の生物学的歯の年齢を予測する曲線である。
【0154】
このような機能歯の寿命曲線を用いて患者の臨床診断を行う過程を例示すると、診断者はまず患者の年齢と機能歯数を把握し、機能歯の寿命曲線表の対応するパーセンタイル曲線を見つけ(
図21を参照すると、45歳男性が現在19本の機能歯を持っている場合、この男性は90%パーセンタイル曲線に該当する)、診断しようとする患者のパーセンタイル曲線がわかったら、そのパーセンタイル曲線に基づき、将来何本の機能歯が期待できるかを患者に伝えたり、正常な範疇に入る50%パーセンタイルと比較して、当該患者が正常な患者とどの程度異なるかを説明したりすることで、当該患者の診断を行うことができる。
【0155】
しかし、一方、
図21のような従来の機能歯の寿命曲線は、単に抜歯が必要な歯であるか否かを基準としているため、正確な機能歯数を予測することが困難である。すなわち、従来の機能歯の寿命曲線は、機能歯の本数を測定するために、単に当該歯が抜歯を必要とする歯であるか否かのみを考慮しており、疾患(虫歯、歯周病、歯の破折など)により抜歯が予想される歯については考慮していないため、機能歯の残存本数を正確に予測することが困難であった。
【0156】
これに対し、本発明の診断支援システム120は、より正確な機能歯の寿命曲線を診断者に提供するために「欠損機能歯の数」をさらに分析することができる。ここで、欠損機能歯とは、現在抜歯されていない歯や、病気や疾患により咀嚼等の本来の機能を果たせなくなることが予想される歯であり、治療により再び機能歯となる可能性がある歯も含まれる。このような欠損機能歯の数は、正確な機能歯の数が計算されるように、歯の総数(28本)から差し引かれる。すなわち、本発明による診断支援システム120は、上述した診断支援データを参照することにより、患者の「欠損機能歯の数」をさらに算出することができ、患者を観察して得られた従来の機能歯の寿命曲線に欠損機能歯の数をさらに反映させることができるので、患者に対して、歯の健康状態をより正確に提供することができる。
【0157】
図22は、本発明の診断支援システム120によって生成される診断支援データが機能歯に関連するデータを含むことを示す図である。
図22を参照すると、「患者Aの診断支援データ1」は、機能歯に関連する診断支援データを表形式で表したものである。前記診断支援データに提供された欠損機能歯の数は、診断支援システム120が診断支援アルゴリズムを介して歯を分析し、抜歯するのに十分な危険性のある歯を区分した結果値である。このように診断支援システム120が欠損機能歯の数を計算するとき、欠損機能歯の数を歯の総数(28)から減算して、より正確な機能歯の数を得ることができる。参考までに、診断支援システム120では、診断者が、欠損機能歯に分類され得る歯の危険度を任意に設定することができるため、診断者の個人的な経験、知識、意思を反映した機能歯の寿命曲線を生成することができる。
【0158】
一方、
図22に示す「患者Aの診断支援データ2」は、診断支援システム120が患者の検診情報を分析した結果値に基づいて形成した患者Aの機能歯の寿命曲線である。前記寿命曲線は、患者が来院して診断を受ける度に更新することができ、当該患者の歯の危険度、治療有無、回復速度および生活習慣等に基づいて患者Aの機能歯の寿命曲線が形成される。また、本発明の機能歯の寿命曲線は、従来の機能歯の寿命曲線と同様に、正常範疇の機能歯の寿命曲線、上限パーセンタイル曲線及び下限パーセンタイル曲線を一緒に備えることができる。
【0159】
図22に示す「患者Aの診断支援データ1」及び「患者Aの診断支援データ2」を活用して患者に診断を下す過程は、次のように行われることもある。患者Aが「2021年9月1日」に来院した場合、診断支援システム120は、患者Aの機能歯が8本欠損しているという診断支援データを診断者に提供し、診断者はその危険性を患者に伝え、患者の同意と診断者の判断に基づいて歯科施術を進めることができる。一方、患者Aが3ヶ月後の「2021年12月1日」に再来院すると、診断支援システム120を通じて診断者は更新された診断支援データを取得し、診断者は患者Aの欠損歯数が3ヶ月で4本に減少していること、患者Aの機能歯曲線の減少幅が改善されたことを確認できる。したがって、診断者は、患者Aに対して、「現在の生活習慣を維持しながら治療を継続することが歯の健康増進につながる」という診断を行うことができる。このように、診断支援システム120を通じて診断者に提供される機能歯の寿命曲線情報、特に、患者の検診結果が診断支援データ及び欠損機能歯数で反映された状態の機能歯の寿命曲線情報は、診断者及び患者の両方に患者の現在の口腔内の健康状態を正確に伝え、かつ、現在の治療やケア過程が適切に進められているか否かを判断するのに役に立つという効果がある。
【0160】
[全身疾患による機能歯の寿命曲線]
一方、本発明の診断支援システム120は、患者の歯科疾患を引き起こす可能性のある全身疾患に基づいて、新たな機能歯の寿命曲線を生成することができる。すなわち、診断支援システム120は、歯科疾患の原因となり得る肥満、糖尿病、心臓疾患、動脈硬化等の全身疾患を少なくとも1つ有する患者を疾患の種類によって分類して、各集団(肥満集団、糖尿病集団等)を形成し、形成された各集団の機能歯の寿命曲線の平均値を算出し、全身疾患に基づいて新たな機能歯の寿命曲線を生成することができる。生成された新たな機能歯の寿命曲線は、全身疾患患者の機能歯関連診断を行う際の良好な参考資料とすることができる。このような全身疾患に基づく機能歯の寿命曲線情報の生成が可能であるのは、本発明による診断支援システム120が、多数の患者から個人が有する疾患に関する情報、及び患者が検診者によって検診を受けることによって生成される検診情報を累積的に収集し、最終的にビッグデータを構成することができるからである。
【0161】
[臨床診断支援サービス提供方法-(6):第6実施形態]
本発明の第6実施形態による診断支援システム120は、患者の診断に関連するサービスだけでなく、診断者が運営する病院の売上に関連する情報を提供するサービスを提供することができる。
【0162】
図23を参照すると、本発明の診断支援システム120は、当該年月の治療法毎の売上比重、治療法毎の患者数を診断者に提供することができる。参考までに、治療法毎の患者数を考える場合、治療(又は診療)を予約している患者と、治療(又は診療)を予約していない患者とを区別することで、診断者が将来の収益予測と現在の売上状況(又は予約状況)とをより簡便に確認することができる。
【0163】
図24を参照すると、本発明の診断支援システム120は、実施された治療法とこれによる診療費を、患者個人別に分類して診断者に提供することができる。このように、本発明の診断支援システム120は、売上台帳として利用可能な過去の治療のデータ記録を、診断者に提供することができる。
【0164】
また、本発明の診断支援システム120は、前記記録されたデータを様々な方法(例えば、治療法毎の患者数、患者毎の診療費の分類)で整理し、整理された結果物に基づいて効率的な病院運営を支援することができる。例えば、ある病院において、歯のう蝕の治療法が全治療法の70%以上を占めている場合、当該病院は、歯のう蝕の治療法に関連する機器を多く購入したり、歯のう蝕の治療法に関連するマーケティングを行ったりすることで、効率的な病院運営を支援することができる。
【0165】
一方、本発明の診断支援システム120は、将来の収益に関する情報を予測して診断者に提供することができる。具体的には、診断支援システム120は、患者の検診情報を分析して、患者がどのような歯科治療法を必要としているか、また、患者が今後何回の治療を必要とするかに関する情報を診断者に提供することができ、このとき、診断者が各治療法の料金を設定しておけば、診断支援システム120は、診断支援データにおいて患者が必要としている治療法に対応する診療費に関する情報を、診断者に提供するとともに、今後、現在の患者を治療して得ることができる将来の予想料金総額に関する情報を、診断者に提供することができる。
【0166】
図25は、診断支援データが診療費に関するデータを含むことを示す図である。
図25を参照すると、診断支援データは、患者名、歯の状態、必要診療回数、治療法及び診療費を含んでいる。また、診断支援データは、週単位/月単位のいずれかに基づいて予測される総収入に関する情報を含んでもよい。具体的には、診断支援データでは、過去/現在の収益だけでなく、基準期間(週/月)内の将来の収益も一緒に計算して、その期間内の予想総収益を診断者に提供することができる。参考までに、ここで言う未来の収益は、患者が以前に予約した診療、または一人の患者に必要な予想診療回数を考慮して計算された収益であろう。
【0167】
以上、本発明の診療サービスの第2ステップである臨床診断支援サービス提供方法((2))について説明した。
【0168】
次に、本発明の診療サービスの第3ステップである処方サービス提供方法((3))について説明する。
【0169】
<処方サービス提供方法((3))>。
図26~
図32は、処方サービス提供方法((3))を説明するための図である。
【0170】
[処方システム130]
図1を参照すると、本発明の処方システム130は、検診デバイス10または他のシステム(歯牙情報処理システム110、診断支援システム120)から歯牙情報を受信することができる。ちなみに、ここでいう歯牙情報とは、先ほど診断支援システム120で説明した検診情報を指す場合があることを理解されたい。続いて、受信した歯牙情報に基づいて、一連のアルゴリズムに従って演算を行うことにより処方情報を生成し、生成した処方情報を各種診断者端末20、ユーザー端末30及びユーザーデバイス40に提供してもよい。参考までに、診断者端末20とユーザー端末30は、ユーザーが携帯するスマートフォン又は診断者が治療する際に活用するコンピューティングデバイスを指す場合があり、ユーザーデバイス40は、歯ブラシデバイス、または治療用デバイスを指す場合がある。
【0171】
[処方システム130と他のシステムとの関係]
本発明による処方システム130は、他のシステム(歯牙情報処理システム110、診断支援システム120)から歯牙情報(又は検診情報)を受信してもよく、このとき、歯牙情報は、デンタルデータコード(Dental Data Code)を含んでもよく、または、診断支援システム120によって演算された結果値を含んでもよい。デンタルデータコード(DDC)、または診断支援システム120からの結果値については後ほど説明するが、前記デンタルデータコード、または診断支援システム120からの結果値は、いずれも、個々の歯の位置を特定可能な情報(歯の位置情報)または歯の状態を識別可能な情報(歯の状態情報)の少なくとも一方を含んでいてもよく、論理的には、当然、前記歯牙情報にもこのような情報が含まれていてもよい。前記歯の位置情報または歯の状態情報は、本発明による処方システム130が処方情報を生成するために必須の情報に相当し得る。
【0172】
また、
図1では、本発明による処方システム130が、別のシステム、例えば、歯牙情報処理システム110及び/又は診断支援システム120からデンタルデータコードや演算結果値を受信するものと理解できるが、必ずしもこれに限定されず、前記処方システム130がデンタルデータコードを自ら生成してもよいし、または、診断支援システムとして機能して結果値を生成してもよいことも理解されたい。この場合、処方システム130は、外部から歯牙情報を受信するのではなく、自ら歯牙情報を生成して取得するものと理解されるべきである。
【0173】
[ユーザーデバイス40]
一方、ユーザーデバイス40の場合、前記処方システム130から処方情報を提供される個人ユーザーが歯のケアのために使用する歯ブラシデバイス、口腔洗浄用デバイスなども、ネットワーク機能及び電子演算機能を備えていれば、この詳細な説明でいうユーザーデバイス40の範囲に含まれ得る。
【0174】
参考までに、後述する処方サービス提供方法を容易に理解しやすくするために、ユーザーデバイス40は、診断者端末20とユーザー端末30とに区別して理解されたい。具体的には、前記診断者端末20は、診療室に設置され、診療に必要な情報を出力するコンピューティングデバイスを指し、前記ユーザー端末30は、我々が一般的に使用するスマートフォンを指すので、ユーザーデバイス40、診断者端末20、ユーザー端末30を区別すると理解しやすい。
【0175】
[歯牙情報を活用した処方サービス提供方法(1)-第7実施形態]
図26は、本発明の歯牙情報を活用した処方サービス提供方法の第7実施形態を具体的に示す図である。
図26を参照すると、本発明による処方システム130が実際に実行するステップは、図面上のステップS704から始まるが、本発明の全体的な理解のために、デンタルデータコードが生成される初期過程から説明する。
【0176】
歯牙情報を活用した処方サービス提供方法は、まず、デンタルデータコード(DDC)が生成されるステップS701から開始されてもよい。このステップは、歯牙情報処理システム110によって実行されてもよく、また、前記歯牙情報処理システム110は、デンタルデータコード(DDC)を生成する前に、対象者の歯の画像を先に受信して、保存しておいてもよい。このとき、前記歯の画像は、口腔専用カメラ(スキャナー)、または、必ずしも口腔専用でなくても任意の対象物を撮影して画像を生成することが可能な装置によって得られてもよい。
【0177】
ステップS701の後、先に生成されたデンタルデータコード(DDC)が診断支援システム120側に伝達されてもよく(S702)、診断支援システム120は、受信したデンタルデータコードを活用して、歯牙情報(ここでの歯牙情報は診断支援データであってもよいことが理解される)を生成してもよい(S703)。診断支援システム120によって生成される歯牙情報には、少なくとも個々の歯の位置を識別するための位置情報、または歯の状態を識別するための状態情報が含まれてもよく、これらの情報は、デンタルデータコード(DDC)内に含まれる情報と本質的に同じであってもよい。一方、前記歯牙情報には、診断支援システム120によって加工及び追加された情報がさらに含まれてもよく、例えば、診断支援システム120の人工知能アルゴリズム(ここでの人工知能アルゴリズムは、上述の診断支援アルゴリズムであってもよいことが理解される)によって学習及び分析された各歯についての診療情報がさらに含まれてもよい。
【0178】
一方、ステップS703の後には、処方システム130側に歯牙情報が伝達されてもよく(S704)、処方システム130は、それに基づいて処方情報を生成してもよい(S705)。
【0179】
処方情報とは、診断者端末20またはユーザー端末30を通じて出力されたり、ユーザーデバイス40の特定の駆動を誘導するために活用されたりできるもので、本発明による処方システム130から各デバイスまたは端末にネットワークを介して伝送され得る(S706)。
【0180】
処方情報は、前記歯牙情報と同様に、歯の位置情報または状態情報の少なくとも一方を含んでいてもよいが、但し、処方情報に含まれる位置情報または状態情報は、先の歯牙情報に含まれるものとは異なる形式であってもよい。これは、前記処方情報と歯牙情報とが異なるフォーマットのデータであってもよく、設計者の任意で自由に決定することができるからであると理解される。
【0181】
一方、前記処方情報は、数字、文字、数字と文字の組み合わせ、画像、動画、または任意のデバイスにより読み取り可能なコードの形態であってもよい。
【0182】
例えば、前記処方情報をスマートフォンなどのディスプレイ画面上でユーザーが閲覧することを想定した場合、前記処方情報は、数字、文字、数字と文字の組み合わせ、画像、動画などの形式で生成されることがある。ユーザーのスマートフォンに伝送された処方情報は、専用のアプリケーション(APP)を介して、または、スマートフォン固有の機能によって、ディスプレイ画面に表示され、ユーザーは、自分の歯に対する処方を確認した後、処方行為(歯のケア行為)を行うことができる。より具体的な例では、前記処方情報には、ユーザーがどの歯をどのくらいの時間磨くべきかの情報、歯磨き(ブラッシング)の方向に関する情報、どの歯と歯の間をフロスで磨くかの情報等の歯磨きに関する処方情報が含まれ得、ユーザーが認識しやすいように画像や動画の形で表示されてもよい。
【0183】
別の例では、前記処方情報は、任意の歯ケア用デバイス、より具体的には歯ブラシデバイスの駆動に参照され得る情報を含み得る。ユーザーは、姿勢検知が可能な歯ブラシデバイスを使用して歯を磨くことができ、このとき、歯ブラシデバイスは、処方システム130から処方情報を受信した後、処方情報内に含まれる情報を参照して駆動されることができる。このとき、処方情報内には、前記歯ブラシデバイスによって読み取り可能なコードの形で様々な情報が保存されている可能性があり、例えば、歯の位置情報、歯ブラシの姿勢情報、歯ブラシが特定の姿勢にあるときにマッピングされる特定の駆動(振動、音など)情報など、歯ブラシデバイスを駆動するために参照できる情報が含まれていてもよい。
【0184】
一方、前記処方情報は、薬物治療の処方、手術が必要か否かを含む処方、歯のケアのための指針など、歯の処方と関連する情報をさらに含んでいてもよい。さらに一方、前記処方システム130が処方情報を生成する過程には、人工知能アルゴリズムも活用され得る。すなわち、処方システム130は、過去の処方情報を学習したり、新たな処方情報の入力を受けてそれを分析したりすることができ、過去に生成された処方情報と類似の形態の歯牙情報が入力された場合に、学習された内容に基づいて類似の処方情報を生成するように実現されてもよい。
【0185】
[歯牙情報を活用した処方サービス提供方法(1)-第8実施形態]
一方、
図27は、先の
図26から続く更なる実施形態である第8実施形態を示す図であり、処方システム130が処方情報をユーザーデバイス40側に送信した後、ユーザーデバイス40が処方実行情報を収集及び受信すると、処方システム130がそれに基づいてフィードバック情報を生成及び提供する過程を説明するための図である。
【0186】
図27を参照すると、処方システム130は、ユーザーデバイス40によって収集された処方実行情報を受信することになるが、このとき、処方実行情報とは、ユーザーが、先に提供された処方情報に基づいて、歯のケアまたは歯の治療のための行為を実際にどのように行ったかについての情報を含むものと理解さ得る。
【0187】
図27の処方実行情報収集ステップS707は、例えば、ユーザーが先ほどの処方情報に従って歯のケアをどのように行ったかについて、デバイス、すなわちスマートフォンを介してユーザーからの直接入力を受信するステップであってもよい。より具体的な例としては、スマートフォンにインストールされた専用アプリケーションは、前記処方システム130から処方情報を受信してから所定期間(1時間、1日、1週間、1ヶ月など)が経過した後に、前記ユーザーが処方情報に従って歯のケアをどの程度行ったかのアンケートを表示し、ユーザーの入力を受けて、このようにして収集した処方実行情報を処方システム130側に伝送することができる。あるいはまた、前記処方実行情報収集ステップS707は、例えば歯ブラシデバイスのように姿勢を収集するためのセンサー、動きに関する情報を収集するためのセンサー、及びキャリブレーション用のセンサーを有するデバイスによって実行されてもよく、この場合、ユーザーが歯ブラシデバイスで歯磨き(ブラッシング)を行う際に、歯磨き行為から収集可能なデバイスの姿勢情報及び動き情報がセンサーによって検知されると、そのような情報をリアルタイムで収集するように実行されてもよい。
【0188】
参考までに、前述の処方実行情報は、本発明の理解を助けるために例示的に挙げられたものであり、処方実行情報には、ユーザーが自分の歯をケアまたは治療するために取った行動に対応する情報、その中でもユーザーデバイス40を介して入力、検知、受信が可能な情報が含まれてもよいことを理解されたい。
【0189】
一方、ステップS707の後、処方システム130は、ユーザーデバイス40から処方実行情報を受信し(S708)、その後、それに対応するフィードバック情報を生成してもよい(S709)。フィードバック情報は、前記ユーザーデバイス40側に提供された処方情報と比較して、ユーザーが歯をケアするための処方にどれだけ従ったかを示す情報であってもよい。例えば、処方システム130は、ユーザーが直接入力したアンケートの結果を、先に提供された処方情報と比較することにより、どの処方項目をどれだけ履行したかについての演算(計算)を行うことができる。また、前記処方システム130は、ユーザーデバイス40によって検知された姿勢情報及び動き情報を、先に提供された処方情報と比較することにより、当該ユーザーデバイス40が処方に合わせて適切に駆動されたか否か、すなわち、ユーザーが処方情報に合わせて歯ブラシデバイスを動かしたか否かなど、処方履行の程度を演算(計算)することができる。
【0190】
次に、このように生成されたフィードバック情報をユーザーデバイス40側にフィードバックして、ユーザーが自分の歯のケアをどのように行っているかを理解するのに役立つことができる。
【0191】
以上、
図26及び
図27を参照して、本発明による処方システム130が関与する処方サービス提供過程全体について説明した。
【0192】
[様々なユーザーデバイス40の構成]
図28aは、前述の処方システム100から処方情報を受信するユーザーデバイス40、中でも特に歯ブラシデバイスを一例として説明するためのものである。
【0193】
図28aを参照すると、ユーザーデバイス40は、センシング部41、演算部42、通信部43及び通知部44を含んでいてもよい。ただし、前記ユーザーデバイス40の構成要素は、本発明の目的を達成するための主要な構成要素に過ぎず、必要に応じて一部の構成要素を追加または削除してもよく、ある一つの構成要素が行う役割を他の構成要素が一緒に行ってもよいことが理解される。
【0194】
センシング部41は、所定の動きや姿勢を検知するセンサーであってもよい。センシング部41は、角速度を測定するジャイロセンサー、加速度を測定する加速度センサー、前記センサーの補正のための地磁気センサー、圧力を検知する圧力検知センサーを含んでもよく、所定の動きや姿勢を検知できるものであれば特に限定されない。
【0195】
ユーザーデバイス40は、センシング部41を通じてユーザーの動きや行為を検知してもよく、例えば、ユーザーデバイス40は、センシング部41のジャイロセンサーを通じてユーザーがどのような角度、姿勢で歯磨きをするかを検知してもよく、加速度センサーを通じて歯磨きの強さを検知してもよく、前記センサーの補正のための地磁気センサー、圧力感知センサーを通じて歯ブラシが歯に適切に接触しているかどうかの圧力を検知してもよい。
【0196】
演算部42は、中央処理ユニットを含めてプログラムを処理する構成要素であり、センシング部41によって検知されたデータに基づいて処方実行情報を生成することができる。このとき、処方実行情報を生成するという意味は、収集された情報をパッケージングすること、収集された情報を処方システム130側への伝送に適した形式に変換すること等を含んでもよい。
【0197】
一方、処方実行情報は、ユーザーがユーザーデバイス40を使用することにより発生するユーザーの動きや行為に関する情報である。例えば、ユーザーが歯磨きをしているか否か、ユーザーがどのような角度または姿勢で歯磨きをしているか、ユーザーがどの程度の強さで歯磨きをしているかに関する情報であってもよい。また、行為情報は、目標に到達したかどうかを判断するために利用される情報であることもあり、これは後述するフィードバック情報に対応する。
【0198】
通信部43は、ユーザーデバイス40にネットワーク機能を持たせるための構成要素であり、処方システム130から処方情報を受信したり、処方システム130に処方実行情報を送信したりする役割を果たす。前記通信部43は、必ずしも処方システム130と直接ネットワーク接続されている必要はなく、スマートフォンやローカルコンピュータなど、中間的な構成がさらにあってもよい。例えば、通信部43はブルートゥース(Bluetooth)通信が可能なので、スマートフォンとの近距離通信が可能であり、このスマートフォンを用いて前記処方システム130とネットワーク接続してデータ伝送を行うことができる。
【0199】
通知部44は、光、音、振動の少なくとも1つを出力するように構成されている。具体的には、通知部44は、処方システム130によって生成された処方情報や、後述するフィードバック情報が存在する場合、これらの情報に基づいてユーザーデバイス40の特定の通知機能を起動し、例えば、処方情報に従って歯ブラシデバイスが動いているか、適切な強さで歯磨きをしているか等、ユーザーが処方指示に適切に従ったか否かを光、音、または振動により知らせることができる。
【0200】
参考までに、
図28bは、処方システム130から処方情報を受信するユーザーデバイス40のより具体的な態様を示す図である。
図28bを参照すると、ユーザーデバイス40は、センシング部41、より具体的には、3D加速度センサー41a、3Dジャイロセンサー41b、および地磁気センサー41cを含んでいてもよい。また、ユーザーデバイス40は、演算部42及びブルートゥース通信部43aを含んでもよく、前記センシング部41によって取得された情報は、前記演算部42、ブルートゥース通信部43aを通じて処理されてもよく、他の外部デバイスとの間で送受信されてもよい。さらに、ユーザーデバイス40は、通知部44、具体的には振動通知部44aをさらに含み、振動により通知信号をユーザーに伝達することができる。最後に、ユーザーデバイス40は、電力を供給する手段としての電源部45をさらに含んでもよく、この電源部45は、充電によって蓄えられた電気エネルギーを消費する方式、または、有線または無線で外部電力源に接続されて、前述の複数の構成要素に電力を供給する方式などをとることができる。
【0201】
一方、前記処方システム130から処方情報を受信する装置は、必ずしも
図28aや
図28bに示すような歯ブラシの形状のデバイスである必要はない。すなわち、前記ユーザーデバイス40の形状は、
図28cや
図28dに示すようなリング(ring)形状やバンド(band)形状であってもよく、従来の歯ブラシやスケーリングハンドピースの形状、またはユーザーの指にはめ込んで使用できる方式の形状であってもよい。
【0202】
図28cは、既製歯ブラシ40Bのハンドル、またはユーザーの指にはめ込んで使用できるリング型デバイス50を示しており、前記リング型デバイス50は、リングの形状に作られたハウジング(housing)内にセンシング部および他の構成要素を含んでもよい。前記リング型デバイス50を、必要に応じて既製歯ブラシ40Bのハンドル部分、またはその他の歯のケア用や治療用ツールのハンドル部分、またはリング型デバイス50がフィット(fitting)できる他の部分にはめてもよく、かつ、ツールを使用するユーザーの動きを検知し、検知された情報又はデータを近くのユーザー端末(スマートフォン)等に伝達してもよく、この情報又はデータは、処方システム130側とも共有されてもよい。参考までに、前記リング型デバイス50を有線型に具現されてもよく、線の一端がスマートフォンまたはローカルコンピュータに接続可能なUSBなどに具現されてもよい。
【0203】
図28dは、ユーザーの指に巻いて使用できるバンド(band)型デバイス60を示しており、ユーザーは、バンド型デバイス60をテープのように指に巻き付け、手の動きを検知させることができる。このようなバンド型デバイス60は、伸縮可能なバンド部分を含んでもよく、バンド部分に取り付けられた別個のハウジングをさらに含んでもよい。このハウジング内には、同図に示すように、センシング部61、演算部62、通信部63、通知部64などが設けられてもよく、これについては、先の
図28aの説明を参照する。一方、場合によっては、前記バンド型デバイス60は、別体のハウジングを備えることなく、バンド部分上に前記センシング部、演算部、通信部、または通知部などが直接備えられてもよい。
【0204】
以下、
図29から順に、本発明による処方サービスが実際の生活で具体的にどのように適用できるかについて説明する。
【0205】
[処方サービス活用例(1)-第9実施形態]
まず、
図29は、ユーザーが歯ブラシデバイス40を用いて歯磨きをしている第9実施形態を説明するためのものであり、具体的には、歯ブラシデバイス40が、前記処方システム130から処方情報またはフィードバック情報を受信し、それに基づいて駆動されている様子が示されて折、より正確には、歯ブラシデバイス40の通知部44から振動や警告音が出力されている様子が示されている。
【0206】
処方システム130で生成された処方情報が歯ブラシデバイス40に送信されたと仮定すると、処方情報は、ユーザーの歯に合わせてカスタマイズされ、ユーザーが歯磨きをする際に歯磨くべき歯の部位に関する位置情報、ユーザーが歯磨きをする際に最小限の必要な歯磨き強度に関する情報などを含み得る。
【0207】
歯ブラシデバイス40がこのような処方情報を受信すると、処方システム130は、ユーザーが処方情報に従って適切に歯磨きをしたか否かを確認するために、歯ブラシデバイス40から処方実行情報を受信することができる。
【0208】
処方実行情報は、ユーザーが歯ブラシデバイス40を使用して行う行為や動きに関する情報であり、歯ブラシデバイス40内のセンシング部41によるユーザーの行為や動きの検知に基づいて演算部42によって生成される。処方実行情報には、センシング部41に含まれるジャイロセンサー、加速度センサー、前記センサーの補正のための地磁気センサーを通じて得られるユーザーの歯磨き(ブラッシング)位置、姿勢に関する情報が含まれてもよく、また、圧力検知センサーを通じて得られる歯磨きの強さに関する情報が含まれてもよい。
【0209】
このように歯ブラシデバイス40によって生成された処方実行情報を処方システム130が受信すると、処方システム130は、受信された処方実行情報と先に提供された処方情報とに基づいてフィードバック情報を生成する。
【0210】
このフィードバック情報は、処方システム130によって先に生成された処方情報と、後に収集された処方実行情報との比較に基づく歯磨き(ブラッシング)に対する評価情報であってもよい。例えば、処方システム130が「歯磨きを20回以上してください」という処方情報をユーザーに提供し、ユーザーが歯磨きを10回だけしたと仮定したとき、歯ブラシデバイス40は、ユーザーが歯磨きを10回だけしたという処方実行情報を処方システム130に送信し、処方システム130は、前記処方実行情報を元の処方情報と比較して、ユーザーがさらに10回以上の歯磨きをする必要があるというフィードバック情報を生成してユーザーに提供することができる。
【0211】
図29に示すように、前記フィードバック情報をユーザーに提供する方式は、歯ブラシデバイス40の通知部44を介して提供されてもよい。例えば、通知部44は、処方システム130が提供した「20回以上の歯磨き」というフィードバック情報が満たされるまで振動を発生させてもよく、または、ユーザーがフィードバック情報に従わずに歯磨き動作を停止した場合には、「10回以上の歯磨きがさらに必要です」といったメッセージを出力してもよい。通知部44は、光、音、振動の少なくとも1つを出力するための手段をいずれも含み得、具体的には、OLEDやLCDなどのディスプレイ手段を含み得る。一方、別の例では、虫歯のある歯、プラークのリスク(危険度)が高い歯など、特定の歯がより多くの歯磨きを必要とする場合、通知部44の振動または警告音は、前記特定の歯の位置を見つけるのを支援するために使用されてもよい。
【0212】
[処方サービス活用例(2)-第10実施形態]
次に、
図30は、ユーザーがユーザー端末30(例えば、スマートフォン)を見ながら歯磨きをする第10実施形態を説明するための図であり、具体的には、処方システム130で生成された処方情報やフィードバック情報を、ユーザー端末30上のアプリケーションを介して出力し、ユーザーがユーザー端末30を見ながら歯磨きする過程をリアルタイムで確認できるようにした実施形態を説明するための図である。
【0213】
本発明の第10実施形態は、歯牙情報を生成し、歯牙情報に基づいて処方情報およびフィードバック情報を生成する点は第9実施形態と同様であるが、アプリケーションを活用してユーザーにディスプレイする点で異なる。
【0214】
前記アプリケーションは、歯牙情報処理システム110で生成されたデンタルデータコード(DDC)、及び、診断支援システム120で生成された歯牙情報についてのデータを読み取って受け入れることが可能なアプリケーションであり得、ユーザーの歯の状態に関する情報、歯のケア指針に関する情報、歯の処方に関する情報など、ユーザーの歯にカスタマイズされた情報を伝達するアプリケーションである。
【0215】
図30によれば、ユーザーは、アプリケーションを活用して歯磨きの進行過程をリアルタイムで確認することができる。具体的には、アプリケーション上に表示される情報は、歯の3D画像であってもよく、前記歯の3D画像は、ユーザーの歯牙情報に対応する歯の画像であり、ユーザーの歯の疾患の位置、疾患の危険度(リスク)などを示す。このような歯の3D画像を見ることで、ユーザーは、どの歯をもっと磨く必要があるかがわかり、歯磨きをする際に必要な回数や時間などの情報を提供されることができる。
【0216】
また、前記アプリケーションは、ユーザーの歯の健康のために様々な方面で活用され得る。
【0217】
[処方サービス活用例(3)-第11実施形態]
一方、
図31は、歯ブラシデバイス40を使用したユーザーが、スマートフォンのアプリケーション介して、処方システム130から歯のケア状態に関する情報を受信する第11実施形態を示す図である。
図31によれば、前記アプリケーションは、処方システム130が生成した処方情報またはフィードバック情報と、歯ブラシデバイス40が生成した行為情報とに基づいて、ユーザーの歯のケア状態を表示することができる。
【0218】
例えば、アプリケーションで提供する情報は、ユーザーが過去の歯磨きで不足していた事項についての情報、フィードバック情報が提示した目標達成値にユーザーがどの程度到達したかについての情報などのようにテキスト上の情報を提供したり、1日当たりの歯磨き回数、1週間当たりの平均歯磨き回数、1日当たりの平均歯磨き時間、1週間当たりの平均歯磨き時間などのように数値上の情報を提供したり、前記数値上の情報に基づいて表示可能なグラフやチャートなどの画像上の情報を提供したりすることができる。
【0219】
さらに、アプリケーションが提供する情報は、歯ブラシデバイス40に関連して、歯ブラシデバイス40の充電状態、歯ブラシデバイス40の連動状態、歯ブラシデバイス40の管理状態、歯ブラシデバイス40の故障の有無などを含むことができるる。
【0220】
[処方サービス活用例(4)-第12実施形態]
図32は、ユーザーが特に医師等の専門家である場合に、専門家(診断者)が診断者端末20を見ながら患者を施術している第12実施形態を説明するための図である。具体的には、処方システム130で生成された処方情報又はフィードバック情報は、診断者端末20に出力され得、ユーザー(診断者)は、診断者端末20上に出力された処方情報又はフィードバック情報を参照して施術を行うことができる。
【0221】
本発明の第12実施形態による、歯牙情報を活用した処方システム130提供方法の活用例は、歯牙情報を生成し、それに基づいて処方情報およびフィードバック情報を生成するという点と、それを参照できるように診断者端末40に出力するという点とは、第11実施形態と同様であるが、診断者端末20を活用するという点と、治療及び施術に使用されるという点とで異なる。
【0222】
前記診断者端末20に出力される情報は、処方システム130で生成された処方情報であってもよい。例えば、患者の歯の状態に関する情報、疾患に感染した歯の位置に関する情報、疾患の転移の可能性が高い歯に関する情報、疾患に感染した歯の施術難易度に関する情報、疾患に感染した歯の危険度に関する情報、施術に必要な施術道具に関する情報などを含んでもよい。
【0223】
また、診断者端末20が出力し得る情報は、処方システム130で生成されたフィードバック情報であってもよい。例えば、前記フィードバック情報は、ユーザー(診断者)が患者を治療したり施術をしたりする際の進行度に関する情報であってもよく、特定の施術による付加的フィードバック事項などを含んでいてもよい。
【0224】
ここで、特定の施術による付加的フィードバック事項とは、ユーザー(診断者)が患者の歯を削除する施術を行ったと仮定した場合、処方システム130が、ユーザー(診断者)が目標の歯の削除量に達したか否かの情報を分析し、達していない場合には、目標の歯の削除量に基づく残りの削除量に関する情報や、削除すべき部分に関する情報などの事項である。
【0225】
[処方サービス活用例(5)-第13実施形態]
本発明の第13実施形態による、歯牙情報を活用した処方システム提供方法のユーザーデバイス40は、本発明の第9実施形態によるユーザーデバイス40の構成要素であるセンシング部41、演算部42、通信部43及び通知部44を含み、前記構成要素の役割が同じであるので、重複説明を避けるため、同じ事項については、その説明を省略し、以下、相違点についてのみ説明する。参考までに、ここでのユーザーデバイス40は、デバイスを使用するユーザーが診断者であり、上述した検診デバイス10がユーザーデバイス40として活用されたものであることが理解される。換言すると、本発明の第13実施形態による、歯牙情報を活用した処方システム提供方法のユーザーデバイス40は、歯科治療及び診療に使用されるデバイス40である。
【0226】
第13実施形態によるユーザーデバイス40は、処方システム130が提供する処方情報またはフィードバック情報を受信し、ユーザー(診断者)がより精密かつ正確に歯科治療及び診療を提供するのを支援する。
【0227】
例えば、前記ユーザーデバイス40がハンドピースであると仮定すると、ハンドピースは、歯を削除して支台歯を形成するために使用されることもある。前記支台歯とは、固定性補綴物や取り外し式の部分義歯(部分入れ歯)を支持する役割を果たす歯のことで、理想的な支台歯を形成するためには、適切な歯の削除量を遵守しなければならず、前記適切な歯の削除量を遵守するためには、施術中にユーザーがハンドピースの角度を一定に維持することが重要である。これにより、本発明の第13実施形態による前記ユーザーデバイス40がユーザーの処方実行情報を処方システム130に送信すると、処方システム130は、ユーザーが支台歯形成過程中にハンドピースの角度を一定に維持しているか否かのフィードバック情報を送信することができる。ユーザーが支台歯形成過程中にハンドピースの角度を一定に維持していない場合、通知部440は、振動または警告音を発生させることで、ユーザーがハンドピースの角度を一定に維持するのを助けることができる。
【0228】
このように、第13実施形態によるユーザーデバイス40は、ユーザー(診断者)に対して、患者を治療する際の治療の高度さや正確さを提供することができ、ユーザー(診断者)が経験やノウハウの中で頼りにしてきた治療技術の基準を提示することができ、さらに見習いユーザー(診断者)のスキルアップを支援することができる。
【0229】
以上、本発明の臨床診断及び処方のための診療サービス提供方法及びそのためのシステムの実施形態を全て説明した。
【0230】
一方、本発明は、上述した特定の実施形態及び応用例に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲において請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により種々の変形実施が可能なのはいうまでもなく、これらの変形実施は、本発明の技術思想や見込から区別して理解されてはならない。
【符号の説明】
【0231】
10 検診デバイス
20 診断者端末
20B 他の診断者端末
30 ユーザー端末
40 ユーザーデバイス
41、51 センシング部
41a 3D加速度センサー
41b 3Dジャイロセンサー
41c 地磁気センサー
42、52 演算部
43、53 通信部
43a ブルートゥース通信部
44、54 通知部
45 電源部
50 リング型デバイス
60 バンド型デバイス
100 診療システム
110 歯牙情報処理システム
120 診断支援システム
130 処方システム
【国際調査報告】