(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】統合型エバネッセント波スペクトル検出デバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 21/552 20140101AFI20240409BHJP
【FI】
G01N21/552
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023567165
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 US2022016532
(87)【国際公開番号】W WO2022177940
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511248294
【氏名又は名称】シーウェア システムズ
【氏名又は名称原語表記】SI-WARE SYSTEMS
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】サベリー,ヤセル エム.
(72)【発明者】
【氏名】ゴナム,アムル オー.
(72)【発明者】
【氏名】アンワー,モメン
(72)【発明者】
【氏名】ハリル,ディアー
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB04
2G059DD12
2G059EE01
2G059EE09
2G059EE12
2G059GG01
2G059HH01
2G059JJ01
2G059JJ03
2G059JJ05
2G059JJ13
2G059JJ17
2G059KK01
(57)【要約】
態様は、統合型で小型の減衰全内部反射(ATR)スペクトル検出デバイス(200)に関する。スペクトル検出デバイス(200)は、基板(202)と、分光器(204)と、検出器(206)と、を含む。基板(202)は、ATR素子(214)と、マイクロ流体チャネル(208)と、ATR素子(214)とその中に形成されたマイクロ流体チャネル(208)との間の境界のチャネル界面(216)と、を含む。ATR素子(214)は、入力光(220)を受け取り、かつ、チャネル界面での入力光(220)の全内部反射のためにチャネル界面に入力光(220)を向けるように構成される。入力光(220)の全内部反射に基づいてマイクロ流体チャネル内に包含されたサンプルによって生成されたエバネッセント波はATR素子(214)からの出力光を減衰し、結果として得られた出力光(222)は、分光計(204)及び検出器(206)を使用して分析されてもよい。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合型スペクトル検出デバイスであって、前記統合型スペクトル検出デバイスは、
減衰全内部反射(ATR)素子と、マイクロ流体チャネルと、前記ATR素子とその中に形成された前記マイクロ流体チャネルとの間の境界に対応するチャネル界面と、を備える第1基板であって、前記ATR素子は、入力光を受け取り、かつ、前記チャネル界面での前記入力光の全内部反射に基づいて出力光を生成するように構成され、前記出力光は、前記入力光の前記全内部反射に基づいて前記マイクロ流体チャネル内に包含されたサンプルによって生成されたエバネッセント波によって減衰される、第1基板と、
干渉ビームを生成するように構成された分光計であって、前記干渉ビームは、前記入力光に対応する、又は、前記出力光に基づいて生成される、分光計と、
前記干渉ビーム又は前記出力光のスペクトルを検出するように構成された検出器と、を備える、統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項2】
前記マイクロ流体チャネルが、前記ATR素子との第1チャネル界面を有する第1マイクロ流体チャネルと、前記ATR素子との第2チャネル界面を有する第2マイクロ流体チャネルと、を備え、前記入力光の前記全内部反射は前記第1チャネル界面と前記第2チャネル界面との間で発生する、請求項1に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項3】
前記第1基板がシリコン基板を備え、前記第1チャネル界面及び前記第2チャネル界面の各々がシリコン-空気界面を備える、請求項2に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項4】
前記ATR素子が、前記第1チャネル界面及び前記第2チャネル界面を形成する傾斜側壁を備え、前記傾斜側壁が、三次元の螺旋形状を有する前記入力光の光路を生成し、かつ、
前記入力光の前記光路内の前記ATR素子の上方の前記第1基板の上面に配置された追加のマイクロ流体チャネルをさらに備える、請求項2に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項5】
前記ATR素子が、前記第1チャネル界面及び前記第2チャネル界面によって形成された導波路パターンを備え、前記導波路パターンは、そのそれぞれの端部で光学的に結合された平行な導波路のアレイを備える、請求項2に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項6】
前記入力光は第1入力ビーム及び第2入力ビームを備え、
前記出力光は、前記第1入力ビームの前記全内部反射から生成された第1出力ビームと、前記第2入力ビームの前記全内部反射から生成された第2出力ビームと、を備え、
前記ATR素子は、前記第1入力ビームを受け取って前記第1チャネル界面に前記第1入力ビームを向け、かつ、前記第2入力ビームを受け取って前記第2チャネル界面に前記第2入力ビームを向けるように構成されたV字形の入力界面を備え、
前記ATR素子は、第1反射器に前記第1出力ビームを向け、かつ、第2反射器に前記第2出力ビームを向けるように構成されたV字形の出力界面を備え、
前記第1反射器及び第2反射器は、前記第1出力ビームと前記第2出力ビームとを結合して前記出力光を生成するように構成される、請求項2に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項7】
前記ATR素子が、その第1側に入出力界面と、前記第1側とは反対側のその第2側に後部界面と、を備え、
前記ATR素子は、前記入出力界面を介して前記入力光を受け取り、前記後部界面から前記入力光を全内部反射し、かつ、前記入出力界面を介して前記出力光を出力するように構成される、請求項2に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項8】
前記入出力界面が第1面角度を備え、かつ、前記後部界面が第2面角度を備え、
前記第1面角度が、前記第1チャネル界面で前記入力光の前記全内部反射を生成するように構成され、前記入力光は前記入出力界面に垂直に入射し、
前記第2面角度は、前記後部界面及び前記第2チャネル界面で前記入力光の前記全内部反射を生成するように構成され、前記第2面角度は、前記入出力界面で前記出力光の屈折を生成するようにさらに構成される、請求項7に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項9】
前記第1基板に平行な第2基板であって、前記分光計を備える第2基板と、
前記ATR素子から前記出力光を受け取り、かつ、前記分光計に前記出力光を向けるように構成された第1光方向変換素子と、
前記検出器に前記干渉ビームを反射するように構成された第2光方向変換素子と、をさらに備える、請求項1に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項10】
前記ATR素子が、前記ATR素子の平面に対して面外方向に前記第1光方向変換素子に前記出力光を結合するように構成された傾斜面を備える、請求項9に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項11】
前記ATR素子の第1平面で前記出力光を受け取り、かつ、前記第1平面に対して面外方向に前記第1光方向変換素子に向かって前記出力光を反射するように構成された第3光方向変換素子をさらに備え、前記第1光方向変換素子は、前記第2基板の第2平面に対して前記面外方向から面内方向に前記出力光を方向変換するように構成され、前記第1平面と前記第2平面とは平行である、請求項9に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項12】
前記分光計を備える第2基板と、
表面を備える第3基板であって、前記第1基板、前記第2基板及び前記検出器が前記第3基板の前記表面上に配置される、第3基板と、
前記第3基板の前記表面上に配置された光方向変換素子であって、前記第1基板及び前記第2基板の平面に対して面外方向に前記入力光を受け取り、かつ、前記第1基板に前記入力光を向けるように構成された光方向変換素子と、をさらに備える、請求項1に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項13】
前記第1基板が前記分光計をさらに備え、前記分光計が、前記第1基板にエッチングされた微小電気機械システム(MEMS)干渉計を備える、請求項1に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項14】
前記MEMS干渉計が、前記入力ビームを受け取り、前記入力ビームから前記入力光に対応する前記干渉ビームを生成し、かつ、前記ATR素子に前記干渉ビームを向けるように構成される、請求項13に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項15】
前記チャネル界面の臨界角以上の入射角で前記チャネル界面に向かって前記入力光を反射して、前記チャネル界面で前記入力光の前記全内部反射を生成するように構成された、前記基板にエッチングされた第1ガイド構造をさらに備える、請求項14に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項16】
前記ATR素子が、
前記基板内にエッチングされ、かつ、前記チャネル界面と前記第2光方向変換素子との間の前記入力光の複数の全内部反射を促進するように構成された第2ガイド構造をさらに備える、請求項15に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項17】
前記第1基板がシリコン基板を備え、前記第1ガイド構造及び前記第2ガイド構造の各々がそれぞれのシリコン-空気界面を備える、請求項16に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項18】
前記MEMS干渉計は、前記ATR素子から前記出力光を受け取り、かつ、前記出力光に基づいて前記干渉ビームを生成するように構成される、請求項13に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項19】
前記マイクロ流体チャネルが、2つの対向するマイクロ流体チャネルの複数のセットを備え、2つの対向する前記マイクロ流体チャネルの複数のセットの各々が、前記入力光のそれぞれの異なる回数の反射を生成するように構成される、請求項1に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項20】
前記ATR素子が、2つの対向する前記マイクロ流体チャネルの複数のセットの各々の2つの対向する前記マイクロ流体チャネルの間でそれぞれ異なる幅を備える階段状導波路をさらに備える、請求項19に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項21】
前記ATR素子が、2つの対向する前記マイクロ流体チャネルの複数のセットの間にテーパ状導波路をさらに備える、請求項19に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項22】
前記ATR素子が、2つの対向する前記マイクロ流体チャネルの複数のセットのための複数の導波路を備え、前記複数の導波路の各々が、2つの対向する前記マイクロ流体チャネルの複数のセットのうちのそれぞれ1つの対向する2つの前記マイクロ流体チャネルの間にあり、前記複数の導波路の各々が、それぞれ異なる幅を有し、かつ、
前記複数の導波路のうちの選択された導波路に前記入力光を反射するように構成された第1可動ミラーと、選択された前記導波路からの前記出力光を受け取るように構成された第2可動ミラーと、をさらに備える、請求項19に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項23】
前記ATR素子が、前記チャネル界面を形成する側壁を備え、かつ、
前記マイクロ流体チャネル内の前記サンプルに作動場を印加するように構成された作動場発生器をさらに備え、前記作動場は、前記サンプル内の微粒子を前記ATR素子の前記側壁に移動させて前記エバネッセント波と相互作用させるように構成される、請求項1に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項24】
前記作動場が電場を備え、前記作動場発生器が、前記電場を生成するように構成された、前記第1基板の上面上の電極を備える、請求項23に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【請求項25】
前記作動場は、前記微粒子に誘電泳動力を加えるように構成された不均一な電場を備え、前記作動場発生器は、前記第1基板の上面に櫛型電極を備える、請求項23に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2022年2月15日に米国特許商標庁に出願された非仮出願第17/671,983号及び2021年2月16日に米国特許商標庁に出願された仮出願第63/150,016号の優先権及び利益を主張し、それらの出願の全体の内容は、以下に完全に記載されているかのように、かつ、適用可能なすべての目的のために、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 以下に説明する技術は、概して、減衰全内部反射(ATR)に関し、特に、スペクトル検出デバイス内にATR素子を統合する機構に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 赤外分光法は、さまざまな材料内の分子の振動及び回転エネルギーレベルの特性評価を提供する。その材料が赤外光に曝されると、振動レベル間の遷移により特定の波長で光子の吸収が発生する。一般に、スペクトル測定を実行するために;赤外光が試験体を通過する透過モード、又は、赤外光が試験体から反射する反射モードの2つの機構がある。
【0004】
[0004] 減衰全内部反射(ATR)分光法は、材料にサンプルを密接に接触させている間の高屈折率材料の内部の光の内部反射に依存する反射結合の一種である。ATR分光法は、最小限のサンプル調製であらゆるタイプのサンプルのスペクトル分析を可能にする。ATRは、2つの媒体間の境界における光の全内部反射の現象に基づいて、流体及び固体のサンプルを分析する効果的な方法として使用されてきた。通常、ATR結晶、ATR内部反射素子(IRE)又はATR素子と呼ばれるセレン化亜鉛、ゲルマニウム又はシリコンなどの高屈折率材料は、サンプルがATR結晶を覆ってATR結晶に密接に接触している間にIR光源で照明される。入力光の角度が、ATR結晶とサンプルとの間の境界における臨界角より大きい場合、光が全内部反射され、エバネッセント波と呼ばれる特殊なタイプの電磁波がサンプル側に形成される。サンプルは、特定の波長での分子振動によるエバネッセント波の強度の一部を吸収する。したがって、反射光の強度は、入射光の強度に比べて減衰される。その後、結晶の出力光は、分光技術の一例として、マイケルソン干渉計に基づき得るフーリエ変換赤外(FTIR)システムに結合され得、及びその後、サンプルスペクトルを分析するために広帯域IR検出器に結合され得る。
【0005】
[0005] ATR技術は、IREのサイズに応じてマクロATR技術とマイクロATR技術とに分類される。マクロATRでは、必要な視野及び空間解像度に応じて、さまざまな大きなサイズの市販のATR結晶が使用される。さらに、マクロATR技術は、液体がミクロンサイズのチャネル内を流れるマイクロ流体チップ内の液体の分析ツールとして実装されてきた。マクロATR技術の一例には、ポリジメチルシロキサン(PDMS)デバイスを使用して市販の研磨済みATR IREの上部に構築されたマイクロ流体デバイスが含まれる。
【0006】
[0006] IREの高額なコスト及び機械研磨の必要性を回避するため、シリコンウエハ上に製造された微細加工素子が、マイクロATRと呼ばれるバルキーな結晶の代わりになり始めている。シリコンウエハの異方性KOHエッチングが、光の相互作用のための傾斜した光学面を提供するために使用される。その後、微細加工チャネルを有するガラスウエハがウエハの上部に接合されるか、又は、流体パターンがこの溝のない表面に作製される。これにより、生物学及び化学の分野でさまざまな応用を有するATR分光法とマイクロ流体工学との組み合わせを可能にする。ただし、マイクロ流体チップ、マイクロATR IRE及び分光計の光結合システムといった3つの別個のシステムをともに位置合わせする必要があるので、サンプルの調製及び測定のステップはさらに複雑になる。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 以下に、本開示の1以上の態様の基本的な理解を提供するため、そのような態様の概要を提示する。この概要は、本開示のすべての検討される特徴の広範な概要ではなく、本開示のすべての態様の肝要な又は重要な要素を特定すること、又は、本開示のいずれか又はすべての態様の範囲を規定することも意図していない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明への前置きとしての形態で本開示の1以上の態様のいくつかの概念を提示することである。
【0008】
[0008] 一例では、統合型スペクトル検出デバイスが開示される。統合型スペクトル検出デバイスは、減衰全内部反射(ATR)素子と、マイクロ流体チャネルと、ATR素子とその中に形成されたマイクロ流体チャネルとの間の境界に対応するチャネル界面と、を含む第1基板を含む。ATR素子は、入力光を受け取り、かつ、チャネル界面での入力光の全内部反射に基づいて出力光を生成するように構成される。出力光は、入力光の全内部反射に基づいて、マイクロ流体チャネル内に包含されるサンプルによって生成されたエバネッセント波によって減衰される。統合型スペクトル検出デバイスは、入力光に対応する干渉ビーム又は出力光に基づいた干渉ビームを生成するように構成された分光計と、干渉ビーム又は出力光のスペクトルを検出するように構成された検出器と、をさらに含む。
【0009】
[0009] 本発明のこれら及び他の態様は、以下の詳細な説明を検討することによってより完全に理解される。本発明の他の態様、特徴及び実施形態は、添付の図面と併せて本発明の特定の例示的な実施形態についての以下の説明を検討することにより、当業者には明らかとなる。本発明の特徴は、以下の特定の実施形態及び図面に対して説明され得るが、本発明のすべての実施形態は、本明細書で説明される有利な特徴のうちの1以上を含むことができる。言い換えると、1以上の実施形態が特定の有利な特徴を有するものとして説明され得る一方で、そのような特徴のうちの1以上が、本明細書で説明される本発明のさまざまな実施形態に従って使用されてもよい。同様に、例示的な実施形態は、デバイス、システム又は方法の実施形態として以下に説明され得るが、そのような例示的な実施形態は、さまざまなデバイス、システム及び方法で実装可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010] ある態様に係る分光計を示す図である。
【
図2A】[0011] 統合型スペクトル検出デバイスの一例を示す図である。
【
図2B】[0012] ある態様に係る統合型スペクトル検出デバイスの別の例の平面図である。
【
図3】[0013] ある態様に係る複数基板統合型スペクトル検出デバイスの一例を示す図である。
【
図4】[0014] ある態様に係る複数基板統合型スペクトル検出デバイスの別の例を示す図である。
【
図5】[0015] ある態様に係る複数基板統合型スペクトル検出デバイスの別の例を示す図である。
【
図6】[0016] ある態様に係る複数基板統合型スペクトル検出デバイスの別の例を示す図である。
【
図7A】[0017] ある態様に係る統合型スペクトル検出デバイスの小型ATR分光計の例を示す図である。
【
図7B】[0017] ある態様に係る統合型スペクトル検出デバイスの小型ATR分光計の例を示す図である。
【
図8】[0018] ある態様に係る統合型スペクトル検出デバイスの小型ATR分光計の別の例を示す図である。
【
図9】[0019] ある態様に係る、小型ATR分光計を含む統合型スペクトル検出デバイスの一例を示す図である。
【
図10】[0020] ある態様に係るATR素子設計の一例を示す図である。
【
図11】[0021] ある態様に係るATR素子設計の別の例を示す図である。
【
図12A】[0022] ある態様に係るATR素子設計の別の例を示す図である。
【
図12B】[0022] ある態様に係るATR素子設計の別の例を示す図である。
【
図13】[0023] ある態様に係るATR素子設計の別の例を示す図である。
【
図14】[0024] ある態様に係るATR素子設計の別の例を示す図である。
【
図15】[0025] ある態様に係るATR素子設計の別の例を示す図である。
【
図16】[0026] ある態様に係るATR素子設計の別の例を示す図である。
【
図17】[0027] ある態様に係るフィールドフローフラクネーション(FFF)に基づいたATR素子設計の別の例を示す図である。
【
図18】[0028] ある態様に係る誘電泳動(DEP)に基づいたATR素子設計の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0029] 添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、さまざまな構成の説明として意図しており、かつ、本明細書に記載の概念が実施され得る唯一の構成を表すことを意図したものではない。詳細な説明には、さまざまな概念の完全な理解をもたらすための具体的な詳細が含まれている。ただし、これらの具体的な詳細がなくてもそれらの概念が実施され得ることは当業者には明らかである。場合によっては、そうした概念がわかりにくくなるのを避けるために、よく知られている構造及びコンポーネントがブロック図の形式で示される。
【0012】
[0030] 本開示のさまざまな態様は、統合型で小型のATRスペクトル検出デバイスに関する。スペクトル検出デバイスは、基板、分光計及び検出器を含む。基板は、ATR素子と、マイクロ流体チャネルと、ATR素子とその中に形成されたマイクロ流体チャネルとの間の境界のチャネル界面と、を含む。ATR素子は、入力光を受け取り、かつ、チャネル界面での入力光の全内部反射のためにチャネル界面に入力光を向けるように構成されている。その後、入力光の全内部反射に基づいて、マイクロ流体チャネル内に包含されたサンプルによってエバネッセント波が生成され得る。エバネッセント波はATR素子からの光出力を減衰させ、結果として生じた出力光が分光計及び検出器を使用して分析されてもよい。
【0013】
[0031] 分光計コアは、FTIR分光技術、同調フィルタ、回折格子、又は、光スペクトルの異なる波長を選択的に測定するための他の適切な分光技術に基づくことができる。ある例では、ATR IRE(本明細書ではATR結晶又はATR素子ともいう)が、例えば、微小電気機械システム(MEMS)マイケルソン干渉計及び分光計コアとの間で光を結合するための反射微小光学素子(光方向変換素子)を含んでもよいFTIRベースの分光計と統合され得る。
【0014】
[0032] 統合型スペクトル検出デバイスでは、光は、分光計の別個の基板内又は同じ基板内で、分光計に対して面内にATR素子の内部を伝播する。このような面内構成では、ATR IRE素子は、光が基板に平行に進むように、例えば深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)を使用して微細加工されてもよく、単一の小型モジュール内にすべてのATR及び分光計素子を高レベルでモノリシックに統合することを可能にする。さらに、面内ATRにより、測定されたサンプルに応じて所望の形状及び寸法を有するIREを形成することを可能にする。例えば、入射角と反射の回数とが設計に適合されてもよい。
【0015】
[0033] ある例では、統合型スペクトル検出デバイスは、3つの基板を含み、1つは分光計(例えば、MEMS干渉計)用、もう1つは光方向変換素子用、そして3番目はATR結晶(ATR素子)用であり、3つの基板は単一のモジュールにともに結合されている。他の例では、ATR素子及び分光計(例えば、MEMS干渉計)は、同じ基板(例えば、シリコン基板)内に形成され、かつ、光方向変換素子を含む別の基板に結合される。モノリシックに統合されたATR素子/MEMS干渉計を含む基板は、液体が流れるマイクロ流体チャネルへ/マイクロ流体チャネルから光を誘導するために、シリコン内にガイド構造をさらに含み得る。
【0016】
[0034] 従来のATR素子設計とは異なり、本開示のさまざまな態様において、サンプル流体は、同じ基板上のATR IREに隣接する入力ポートと出力ポートとの間を流れ、2つの別個のウエハを一緒に接合及び位置合わせする困難なステップを回避する。IR範囲のシリコン透過特性と、MEMSチップへの自由空間結合と、を利用して、ATR信号を測定し、かつ、中赤外(MIR)範囲で材料を分析するために、本明細書で提示される両方の設計を簡単に使用することができる。さらに、マイクロ流体チャネルとマイクロ分光計とを単一モジュールに統合することで、ATRサンプリングモードでサンプルを分析するための安価でシンプルなデバイスが実現される。統合型スペクトル検出デバイスを使用して微小粒子及び汚染物質を分析するため、さまざまな粒子分離及びソーティング技術がマイクロ流体デバイスにさらに追加されてもよい。
【0017】
[0035]
図1は、ある態様に係る分光計100を示す図である。分光計100は、例えば、フーリエ変換赤外(FTIR)分光計であってもよい。
図1に示す例では、分光計100はマイケルソンFTIR干渉計である。他の例では、分光計はFTIRファブリペロー干渉計を含んでもよい。
【0018】
[0036] FTIR分光計は単一ビームスペクトル(パワースペクトル密度(PSD))を測定し、単一ビームスペクトルの強度は、検出器に到達する放射のパワーに比例する。サンプルの吸光度を測定するため、まず、バックグラウンドスペクトル(すなわち、サンプルが存在しない場合の単一ビームスペクトル)が最初に測定されて、機器の伝達関数を補償する。その後、サンプルを透過した光又はサンプルから反射した光の単一ビームスペクトルが測定されてもよい。サンプルの吸光度は、サンプルの透過率、反射率又は半反射率から計算されてもよい。例えば、サンプルの吸光度は、サンプルからの透過光、反射光又は半反射光のスペクトルとバックグラウンドスペクトルとの比として計算されてもよい。
【0019】
[0037] 干渉計100は、固定ミラー104、可動ミラー106、ビームスプリッタ110及び検出器112(例えば、光検出器)を含む。分光計100に関連付けられた光源102が、入力ビームを放射し、かつ、ビームスプリッタ110に入力ビームを向けるように構成される。光源102は、例えば、レーザ源、1以上の広帯域熱放射源、又は、対象の波長範囲をカバーする発光デバイスのアレイを有する量子源を含んでもよい。
【0020】
[0038] ビームスプリッタ110は、入力ビームを2つのビームに分割するように構成されている。一方のビームは固定ミラー104から反射されてビームスプリッタ110に向かって戻る一方で、他方のビームは可動ミラー106から反射されてビームスプリッタ110に向かって戻る。可動ミラー106は、ビームを反射するための所望の位置に可動ミラー106を変位させるアクチュエータ108に結合されてもよい。そして、ミラー106の変位の2倍に実質的に等しい光路長差(OPD)が反射ビーム間に生成される。ある例では、アクチュエータ108は、微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータ、熱アクチュエータ又は他のタイプのアクチュエータを含んでもよい。
【0021】
[0039] 反射ビームは、ビームスプリッタ110で干渉して干渉ビーム(例えば、干渉パターン)を生成し、可動ミラー106によって提供される各々異なる光路差(OPD)で光の時間的コヒーレンスを測定することを可能にする。ある例では、干渉ビームに対応する信号がサンプル(図示せず)に向けられてもよく、かつ、サンプルからの出力光(散乱光)は、可動ミラー106の多くの離散位置で検出器112によって検出及び測定されてインターフェログラムを作成してもよい。他の例では、入力ビームは、干渉計100への入力前にサンプルに向けられてもよい。ある例では、検出器112は、検出器アレイ又は単一ピクセル検出器を含んでもよい。インターフェログラムデータ対OPDは、その後、プロセッサ(簡略化のため図示せず)に入力されてもよい。スペクトルは、その後、例えば、プロセッサによって実行されるフーリエ変換を使用して取得されてもよい。
【0022】
[0040] ある例では、干渉計100は、MEMS干渉計100a(例えば、MEMSチップ)として実装されてもよい。MEMSチップ100aは、例えば、1以上のプロセッサ、メモリデバイス、バス及び/又は他のコンポーネントを含んでもよいプリント回路基板(PCB)116に取り付けられてもよい。本明細書で使用される場合、MEMSという用語は、微細加工技術を通じて共通のシリコン基板上に機械素子、センサ、アクチュエータ及び電子機器を統合することを指す。例えば、マイクロ電子機器は通常、集積回路(IC)プロセスを使用して製造されるが、マイクロメカニカル部品は、シリコンウエハの一部を選択的にエッチング除去する又は新たな構造層を追加して機械部品及び電気機械部品を形成する、互換性を有するマイクロマシニングプロセスを使用して製造される。MEMS素子の一例は、反射又は屈折モードで動作する誘電体又は金属被覆された表面を有するマイクロ光学部品である。MEMS素子の他の例には、アクチュエータ、検出器溝及びファイバ溝が含まれる。
【0023】
[0041]
図1に示す例では、MEMS干渉計100aは、固定ミラー104、可動ミラー106、ビームスプリッタ110及び可動ミラー106を移動可能に制御するためのMEMSアクチュエータ108を含んでもよい。さらに、MEMS干渉計100aは、ビームスプリッタ110に入力ビームを向け、かつ、ビームスプリッタ110から検出器(例えば検出器112)に出力ビームを向けるためのファイバ114を含んでもよい。ある例では、MEMS干渉計100aは、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板に平行に伝播する自由空間光ビームを処理することができるマイクロ光学部品及び他のMEMS素子を製造するため、SOIウエハ上で深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)プロセスを使用して製造されてもよい。例えば、電気機械設計がマスク上に印刷されてもよく、かつ、マスクが使用されて、フォトリソグラフィによってシリコン又はSOIウエハ上に設計をパターニングしてもよい。パターンは、その後、バッチプロセスを使用して(例えば、DRIEによって)エッチングされてもよく、結果として得られたチップ(例えば、MEMSチップ100a)は、ダイシングされてパッケージ化されてもよい(例えば、PCB116に取り付けられてもよい)。
【0024】
[0042] 例えば、ビームスプリッタ110は、入力ビームからある角度(例えば、45度)で配置されたシリコン/空気界面ビームスプリッタ(例えば、半平面ビームスプリッタ)であってもよい。入力ビームは、その後、2つのビームL1及びL2に分割されてもよく、L1は可動ミラー106に向かって空気中を伝播し、L2は固定ミラー104に向かってシリコン内を伝播する。ここで、L1は、半平面ビームスプリッタ110からの入力ビームの部分反射から生じ、及びしたがって、ビーム入射角に等しい反射角を有する。L2は、半平面ビームスプリッタ110を通る入力ビームの部分透過から生じ、かつ、スネルの法則によって決定された角度でシリコン内を伝播する。ある例では、固定ミラー104及び可動ミラー106は金属ミラーであり、ビームスプリッタ110を保護するために(例えば、金属被覆ステップ中にシャドウマスクを使用した)選択的金属被覆法が使用される。他の例では、ミラー104及び106は、例えばDRIEを使用して実現可能な垂直ブラッグミラーである。
【0025】
[0043] ある例では、MEMSアクチュエータ108は、櫛歯駆動装置及びばねから形成された静電アクチュエータであってもよい。例えば、櫛歯駆動装置に電圧を印加することによって、アクチュエータ108の両端に電位差が生じ、そのことがアクチュエータ108内に静電容量を誘導し、駆動力及びばねからの復元力が生成され、それによって、ビームスプリッタ110に向かってビームを戻すように反射させるための所望の位置に可動ミラー106を変位させる。
【0026】
[0044] 本開示のさまざまな態様において、
図1に示す分光計100又は他の適切なスペクトル検出ユニットは、統合型エバネッセント波スペクトル検出デバイスに組み込まれてもよい。
図2Aは、ある態様に係る統合型スペクトル検出デバイス200の一例を示す図である。統合型スペクトル検出デバイス200は、シリコン基板又はSOI基板などの基板202、分光計204(例えば、
図1に示すMEMS干渉計)及び検出器206を含む。基板202は、ATR素子214と、例えばDRIEプロセスを使用して基板202に形成されたマイクロ流体チャネル208と、を含む。ATR素子214は、そこを通って光を通過させるための導波路に対応してもよく又は導波路を含んでもよい。マイクロ流体チャネル208は、入力マイクロ流体ポート212と出力マイクロ流体ポート212との間でマイクロ流体チャネル208を通って流れるサンプル210(例えば、流体)を含む。サンプル210は、マイクロ流体チャネル208とATR素子214との間の境界216に隣接して流れる。境界216は、ATR素子214とマイクロ流体チャネル208との間のチャネル界面に対応し、かつ、サンプル210が接触しているATR素子214の表面によって形成されてもよい。例えば、境界又はチャネル界面216は、マイクロ流体チャネル208の内面としてさらに機能するATR素子214の傾斜面又は垂直面に対応してもよい。基板202がシリコン基板又はSOI基板である例では、チャネル界面216は、サンプルが挿入されたシリコン-サンプル(Si-サンプル)界面を形成するシリコン-空気(Si-空気)界面に対応してもよい。
【0027】
[0045] 光源218(例えば、外部IR黒体光源)は、入力光220(例えば、IR光又はNIR光)を生成するように構成される。入力光220は、基板202内のATR素子214に向けられる。ATR素子214は、
図2Aに示すような単一反射ATR素子であってもよく、又は、多重反射ATR素子であってもよい。ATR素子214は、チャネル界面216において入力光220の全内部反射を生成するように設計されている。例えば、ATR素子214は、ATR素子214とサンプル210との間の境界216における臨界角より大きい入力光220の角度を生成するよう構成されたサイズ(寸法、厚さなど)及び形状(例えば、V字形の入力界面226及び出力界面228)を有してもよい。入力光220の全内部反射に基づいてサンプル210内で生成される結果として得られたエバネッセント波は、入力光220を減衰させて、分光計204に入力され得る出力光222を生成する。ある例では、統合型スペクトル検出デバイスは、ATR素子214に光を向ける及び/又はATR素子214から分光計204に光を向けるための光集束素子(例えば、レンズ)及び/又は光方向変換素子(例えば、ミラー又は他の反射器)などの1以上の光学素子をさらに含んでもよい。分光計204は、出力光222の干渉ビーム(干渉パターン)224を生成し、かつ、スペクトル分析のために検出器206に干渉ビーム224を提供するように構成されている。
【0028】
[0046] ある例では、分光計204はATR素子214の前の位置に配置されてもよい。この例では、分光計204は、光源218から入力光220を受け取り、入力光220から干渉ビーム224を生成し、かつ、ATR素子214に干渉ビーム224を向けるように構成されてもよい。ATR素子214からの出力光222は、その後、検出器206に向けられてもよい。
【0029】
[0047]
図2Bは、ある態様に係る統合型スペクトル検出デバイス250の別の例の平面図である。統合型スペクトル検出デバイス250は、基板252、分光計254(例えば、
図1に示すようなMEMS干渉計)、及び、検出器256を含む。基板252は、ATR素子262と、基板252内に形成されたマイクロ流体チャネル258と、を含む。ATR素子262は、導波路に対応してもよく又は導波路を含んでもよい。マイクロ流体チャネル258は、マイクロ流体チャネル258とATR素子262との間の境界264(例えば、チャネル界面)に隣接するマイクロ流体チャネル258を通って流れるサンプル260(例えば、流体)を含む。
【0030】
[0048] 光源256(例えば、外部IR黒体光源)は、入力光270(例えば、IR光又はNIR光)を生成し、かつ、ATR素子262内に入力光270を結合する光学部品(例えば、レンズ)268に入力光270を向けるように構成される。
図2Bに示す例では、ATR素子262は多重反射ATR素子である。ATR素子262は、チャネル界面264において入力光270の全内部反射を生成するように設計される。例えば、ATR素子264は、ATR素子262とサンプル260との間のチャネル界面264の臨界角θ
Cよりも大きい入力光270の角度θを生成するように設計されてもよい。入力光270の全内部反射は、境界262のサンプル側にエバネッセント波272を形成する。サンプル260は、特定の波長での分子振動によりエバネッセント波272の強度の一部を吸収する。したがって、反射光の強度(全内部反射光)は入射強度に比べて減衰される。入力光270の全内部反射及びサンプル260によって生成されたエバネッセント波に基づいて入力光270に対して減衰された出力光274は、光方向変換素子(例えばミラー)276を介して分光計254内に結合される。
【0031】
[0049]
図2Bに示す分光計254は、ビームスプリッタ278、可動ミラー280及び固定ミラー282を含むMEMS干渉計である。ビームスプリッタ278は、出力光274を2つのビームに分割するように構成される。一方のビームは固定ミラー282から反射されてビームスプリッタ278に向かって戻る一方で、他方のビームは可動ミラー280から反射されてビームスプリッタ278に向かって戻る。可動ミラー280は、ビームを反射するための所望の位置に可動ミラー280を変位させるアクチュエータ(図示せず)に結合されてもよい。そして、ミラー280の変位の2倍に実質的に等しい光路長差(OPD)が反射ビーム間に生成される。反射ビームはビームスプリッタ278で干渉して干渉ビーム(例えば、干渉パターン)284を生成し、可動ミラー280によって提供される各々異なる光路差(OPD)で出力光274の時間的コヒーレンスを測定することを可能にする。干渉ビーム(干渉パターン)284は、可動ミラー280の多くの離散位置で検出器256によって検出及び測定されて、サンプル260のスペクトルを表すインターフェログラムを生成してもよい。
【0032】
[0050]
図3は、ある態様に係る複数基板統合型スペクトル検出デバイス300の一例を示す図である。
図3に示す例では、統合型スペクトル検出デバイス300は3つの基板302、304及び306を含む。第1基板302は、第3基板306の第2平面に平行な第1平面内に配置される。統合型スペクトル検出デバイス300はパッケージ基板308をさらに含んでもよい。第3基板306は、パッケージ基板308上に配置されてもよい(例えば、接合されてもよい)。さらに、第2基板304は、第3基板306上に配置されてもよく、かつ、第2基板304のそれぞれの端部でパッケージ基板308に接合されてもよい。検出器318が、パッケージ基板308上にさらに配置されてもよい。基板302、306及び308の各々は、例えば、シリコン基板又はSOI基板であってもよい。ある例では、第2基板304は、射出成形光学技術を使用して形成されたプラスチック基板又はガラス基板であってもよい。
【0033】
[0051] 第1基板302は、ATR素子310と、2つの対向するマイクロ流体チャネル312a及び312bと、を含む。ATR素子310並びにマイクロ流体チャネル312a及び312bは、例えばDRIEプロセスを介して第1基板302内に形成される。ATR素子310は、導波路に対応してもよく又は導波路を含んでもよい。各マイクロ流体チャネル312a及び312bは、それぞれのマイクロ流体チャネル312a及び312bとATR素子310との間のそれぞれの境界314a及び314b(例えば、チャネル界面)に隣接するマイクロ流体チャネル312a及び312bを通って流れるサンプル(例えば、流体)を含む。各チャネル界面314a及び314bは、第1基板302の深掘りエッチングされた垂直表面に対応してもよい。例えば、各チャネル界面312a及び312bは、サンプルが挿入されたシリコン-サンプル(Si-サンプル)界面を形成するシリコン-空気(Si-空気)界面に対応してもよい。ATR素子310、第1マイクロ流体チャネル312a及び第2マイクロ流体チャネル312bは、光の全内部反射がATR素子310内で第1チャネル界面314aと第2チャネル界面314bとの間で生じるように構成される。
【0034】
[0052] 第2基板304は、その中に形成された1以上の光方向変換素子316及び320を含む。例えば、光方向変換素子316及び320は、曲面反射器(例えば、マイクロ反射器又はマイクロミラー)であってもよい。ある例では、光方向変換素子316及び320は、その反射率を改善するためにアルミニウム金属コーティングを有する第2基板304の成形部品内に製造されてもよい。
【0035】
[0053] 第3基板306は、例えば、DRIEプロセスによってその中に形成された分光計322を含む。分光計322は、ビームスプリッタ324、固定ミラー326及び可動ミラー328を含んでもよい。可動ミラー328は、MEMS静電アクチュエータなどのアクチュエータ330に結合されてもよい。
【0036】
[0054]
図3に示す例では、光源(図示せず)からの入力光332は、第1基板302上のATR素子310内に入力される。例えば、ATR素子310はV字形の入力界面を含んでもよく、V字形の入力界面は、チャネル界面314bで入力光332の全内部反射を生成するための臨界角よりも大きい、マイクロ流体チャネル312bのチャネル界面314b上で入力光332の角度を生成するように構成されている。その後、入力光332はチャネル界面314a及び314bの間で全反射され、そこで入力光332は、マイクロ流体チャネル312a及び312bの各々に包含されるサンプル内に形成されたそれぞれのエバネッセント波によって減衰される。減衰された入力光は、ATR素子310から出力光334として出力される。例えば、ATR素子310は、マイクロ流体チャネル312bのチャネル界面314bから反射された出力光334の透過を促進するように構成されたV字形の出力界面を含んでもよい。
【0037】
[0055] 出力光334は、光学素子315(例えば、傾斜反射器又は曲面反射器)によって、第1基板302の平面に対する面内方向から、第1基板302の第1平面に対して面外の面外方向に向きを変えられてもよい。したがって、光学素子315は、第1基板302の平面に平行に伝播する出力光を受け取り、かつ、出力光334を90度反射させて、第1基板302の平面に垂直に光方向変換素子316に向かう出力光334の伝播を容易にする。光学素子315は、第2基板302の一部として形成されてもよく、又は、外部部品であってもよい(後者が図示されている)。光方向変換素子316は、第1基板302の平面に対して面外に伝播する出力光334を受け取り、かつ、分光計322に向かって出力光をさらに90度反射させて、第3基板306の平面に対して面内の出力光334の伝播を促進する。
【0038】
[0056] 出力光334は、分光計322のビームスプリッタ324に入力される。ビームスプリッタ324は、出力光334を2つのビームに分割するように構成される。一方のビームは固定ミラー326から反射されてビームスプリッタ324に向かって戻る一方で、他方のビームは可動ミラー328から反射されてビームスプリッタ324に向かって戻る。可動ミラー328は、アクチュエータ330によってビームを反射するための所望の位置に変位させられてもよい。その後、可動ミラー328の変位の2倍に実質的に等しい光路長差(OPD)が反射ビーム間に生成される。反射ビームはビームスプリッタ324で干渉して干渉ビーム(例えば、干渉パターン)336を生成し、可動ミラー328によって提供される各々異なる光路差(OPD)で出力光334の時間的コヒーレンスを測定することを可能にする。その後、干渉ビーム(干渉パターン)336は、分光計322によって出力され、かつ、光方向変換素子320によって検出器318に向けて方向変換されて、マイクロ流体チャネル312a及び312b内のサンプルのスペクトルを取得してもよい。例えば、光方向変換素子320は、検出器318のアクティブな領域に干渉ビーム336を集束させるように構成された曲面反射器であってもよい。
【0039】
[0057]
図3に示す統合型スペクトル検出デバイス300の設計は、レンズベースの設計ではなく、反射器ベースの設計であるので、統合型スペクトル検出デバイス300の色収差を低減する。さらに、シリコンの透過特性により、統合型スペクトル検出デバイス300が、シリコン結晶及び検出器材料によってのみ制限される超広帯域スペクトル範囲内で動作することを可能にする。さらに、統合型スペクトル検出デバイス300は、安価で単純なデバイスを製造するために(例えば、パッケージ基板308を使用して)単一のパッケージに統合されて示されている。さらに、結晶長さ(例えば、ATR素子310を包含する第1基板302の長さ)は、パッケージングを容易にするために、第2基板304の光学モールド設計寸法と同じオーダーで示されている。ただし、他の例では、内部反射の目標回数に応じて、より長い結晶設計又はより短い結晶設計が使用されてもよい。
【0040】
[0058]
図4は、ある態様に係る複数基板統合型スペクトル検出デバイス400の別の例を示す図である。
図4に示す例では、統合型スペクトル検出デバイス400は3つの基板402、404及び406を含む。第1基板402は、第3基板406の第2平面に平行な第1平面内に配置される。統合型スペクトル検出デバイス400は、パッケージ基板408をさらに含んでもよい。第3基板406は、パッケージ基板408上に配置されてもよい(例えば、接合されてもよい)。さらに、第2基板404は、第3基板406上に配置されてもよく、かつ、第2基板404のそれぞれの端部でパッケージ基板408に接合されてもよい。検出器418はパッケージ基板408上にさらに配置されてもよい。基板402、406及び408の各々は、例えば、シリコン基板又はSOI基板であってもよい。ある例では、第2基板404は、射出成形光学技術を使用して形成されたプラスチック基板又はガラス基板であってもよい。
【0041】
[0059] 第1基板402は、ATR素子410と、2つの対向するマイクロ流体チャネル412a及び412bと、を含む。ATR素子410並びにマイクロ流体チャネル412a及び412bは、例えば、DRIEプロセスを介して第1基板402内に形成される。各マイクロ流体チャネル412a及び412bは、それぞれのマイクロ流体チャネル412a及び412b並びにATR素子410間のそれぞれの境界(例えば、
図3に示すチャネル界面と同様のチャネル界面)に隣接するマイクロ流体チャネル412a及び412bを通って流れるサンプル(例えば、流体)を含む。
【0042】
[0060] 第2基板404は、その中に形成された1以上の光方向変換素子416及び420を含む。例えば、光方向変換素子416及び420は、曲面反射器(例えば、マイクロ反射器又はマイクロミラー)であってもよい。ある例では、光方向変換素子416及び420は、その反射率を改善するためにアルミニウム金属コーティングを有する第2基板404の成形部品内に製造されてもよい。第3基板406は、例えば、DRIEプロセスを介してその中に形成された分光計428を含む。
【0043】
[0061]
図4に示す例では、光源(図示せず)からの入力光422は第1基板402上のATR素子410内に入力される。例えば、ATR素子410は、マイクロ流体チャネル412a及び412bの間でATR素子410を通る入力光422の全内部反射を生成するために臨界角よりも大きい入力光422の角度を生成するように構成されたV字形の入力界面を含んでもよい。入力光422は、マイクロ流体チャネル412a及び412bの各々内に包含されるサンプル内で形成されたそれぞれのエバネッセント波によって減衰される。減衰された入力光は、その後、ATR素子410から出力光424として出力される。
【0044】
[0062]
図4に示す例では、ATR素子410は、光方向変換素子416に向けて出力光424を面外結合するための傾斜面414を含む。例えば、傾斜面414は、ATR素子410の平面(例えば、第1基板402の平面)に対する面外方向において、光方向変換素子416に出力光424を結合してもよい。ある例では、傾斜面414は、例えばKOHエッチングを使用して第1基板402内に異方性エッチングされてもよい。光方向変換素子416は、第1基板402の平面に対して面外に伝播する出力光424を受け取り、かつ、第3基板406の分光計428に向けて出力光424を方向変換して(例えば、出力光を90度反射して)、第3基板406の平面に対して面内の出力光424の伝播を容易にする。
【0045】
[0063] 分光計428は、出力光424に基づいて干渉ビーム(干渉パターン)426を生成し、出力光424は、光方向変換素子420によって検出器418に向かって方向変換され、マイクロ流体チャネル412a及び412b内のサンプルのスペクトルを取得する。例えば、光方向変換素子420は、検出器418のアクティブな領域に干渉ビーム426を集束させるように構成された曲面反射器であってもよい。
【0046】
[0064]
図5は、ある態様に係る複数基板統合型スペクトル検出デバイス500の別の例を示す図である。
図5に示す例では、統合型スペクトル検出デバイス500は3つの基板502、504及び506を含む。第1基板502は、第3基板506の第2平面に平行な第1平面内に配置される。統合型スペクトル検出デバイス500はパッケージ基板508をさらに含んでもよい。第3基板506は、パッケージ基板508上に配置されてもよい(例えば、パッケージ基板508に接合されてもよい)。さらに、第2基板504は、第3基板506上に配置され、かつ、第2基板504のそれぞれの端部でパッケージ基板508に接合されてもよい。検出器518はさらに、パッケージ基板508上に配置されてもよい。基板502、506及び508の各々は、例えば、シリコン基板又はSOI基板であってもよい。ある例では、第2基板504は、射出成形光学技術を使用して形成されたプラスチック基板又はガラス基板であってもよい。
【0047】
[0065] 第1基板502は、ATR素子510と、2つの対向するマイクロ流体チャネル512a及び512bと、を含む。ATR素子510並びにマイクロ流体チャネル512a及び512bは、例えば、DRIEプロセスを介して第1基板502内に形成される。各マイクロ流体チャネル512a及び512bは、それぞれのマイクロ流体チャネル512a及び512bとATR素子510との間のそれぞれの境界(例えば、
図3に示すチャネル界面と同様のチャネル界面)に隣接するマイクロ流体チャネル512a及び512bを通って流れるサンプルを含む。
【0048】
[0066] 第2基板504は、その中に形成された1以上の光方向変換素子514、516及び520を含む。例えば、光方向変換素子514、516及び520は、曲面反射器(例えば、マイクロ反射器又はマイクロミラー)であってもよい。ある例では、光方向変換素子514、516及び520は、その反射率を改善するためにアルミニウム金属コーティングを有する第2基板504の成形部品内に製造されてもよい。第3基板506は、例えば、DRIEプロセスを介してその中に形成された分光計528を含む。
【0049】
[0067]
図5に示す例では、光源(図示せず)からの入力光522は第1基板502上のATR素子510内に入力される。例えば、ATR素子510は、マイクロ流体チャネル512a及び512bの間でATR素子510を通る入力光522の全内部反射を生成するために臨界角よりも大きい入力光522の角度を生成するように構成されたV字形の入力界面を含んでもよい。入力光522は、マイクロ流体チャネル512a及び512bの各々内に包含されるサンプル内で形成されるそれぞれのエバネッセント波によって減衰される。減衰された入力光は、その後、ATR素子510から出力光524として出力される。
【0050】
[0068]
図5に示す例では、出力光524は、光方向変換素子516に面外結合するために光方向変換素子514に向けられる。例えば、光方向変換素子514は、ATR素子510の第1平面(例えば、第1基板502)で出力光524を受け取り、かつ、第1平面に対して面外方向に光方向変換素子516に向かう出力光524を反射(方向変換)するように構成される。光方向変換素子516は、第1基板502の平面に対して面外に伝播する出力光524を受け取り、かつ、第3基板506の第2平面に対して面外方向から面内方向に分光計528に向かって出力光524を向ける(例えば、出力光を90度反射する)。
【0051】
[0069] 分光計528は、出力光524に基づいて干渉ビーム(干渉パターン)526を生成し、出力光524は、光方向変換素子520によって検出器518に向かって方向変換されて、マイクロ流体チャネル512a及び512b内のサンプルのスペクトルを取得する。例えば、光方向変換素子520は、検出器518のアクティブな領域に干渉ビーム526を集束させるように構成された曲面反射器であってもよい。
【0052】
[0070]
図6は、ある態様に係る複数基板統合型スペクトル検出デバイス600の別の例を示す図である。
図6に示す例では、統合型スペクトル検出デバイス600は、やはり3つの基板(例えば、第1基板602、第2基板604及び第3基板606)を含む。ただし、第1基板602及び第3基板606は同一平面内に配置される。統合型スペクトル検出デバイス600はパッケージ基板608をさらに含んでもよい。第1基板602及び第3基板606はパッケージ基板608上に配置されてもよい(例えば、パッケージ基板608に接合されてもよい)。さらに、第2基板604は、第1基板602及び第3基板606上に配置されてもよく、かつ、第2基板604のそれぞれの端部でパッケージ基板608に接合されてもよい。検出器618は、パッケージ基板608上にさらに配置されてもよい。基板602、606及び608の各々は、例えば、シリコン基板又はSOI基板であってもよい。ある例では、第2基板604は、射出成形光学技術を使用して形成されたプラスチック基板又はガラス基板であってもよい。
【0053】
[0071] 第1基板602は、ATR素子610と、2つの対向するマイクロ流体チャネル612a及び612bと、を含む。ATR素子610並びにマイクロ流体チャネル612a及び612bは、例えば、DRIEプロセスを介して第1基板602内に形成される。各マイクロ流体チャネル612a及び612bは、それぞれのマイクロ流体チャネル612a及び612bとATR素子610との間のそれぞれの境界(例えば、
図3に示すチャネル界面と同様のチャネル界面)に隣接するマイクロ流体チャネル612a及び612bを通って流れるサンプル(例えば、流体)を含む。
【0054】
[0072] 第2基板604は、その中に形成された1以上の光方向変換素子616及び620を含む。例えば、光方向変換素子616及び620は、曲面反射器(例えば、マイクロ反射器又はマイクロミラー)であってもよい。ある例では、光方向変換素子616及び620は、その反射率を改善するためにアルミニウム金属コーティングを有する第2基板604の成形部品内に製造されてもよい。第3基板606は、例えば、DRIEプロセスを介してその中に形成された分光計628を含む。
【0055】
[0073]
図6に示す例では、光源(図示せず)からの入力光622は、第1基板602及び第3基板606の平面に対して面外方向に光方向変換素子616に向かって統合型スペクトル検出デバイス600に入力される。光方向変換素子616は、面外方向で入力光622を受け取り、かつ、第1基板602に入力光622を向ける(例えば、入力光622を第1基板602に向かって90度方向変換/反射する)ように構成される。入力光622は、マイクロ流体チャネル612a及び612bの間のATR素子610を通る入力光622の全内部反射を生成するために臨界角よりも大きい入射角でATR素子610に入射してもよい。入力光622は、マイクロ流体チャネル612a及び612bの各々内に包含されるサンプル内に形成されるそれぞれのエバネッセント波によって減衰される。減衰された入力光は、その後、ATR素子610から出力光624として第3基板606の分光計628に向けて出力される。
【0056】
[0074] 分光計628は、出力光624に基づいて干渉ビーム(干渉パターン)626を生成し、出力光624は、光方向変換素子620によって検出器618に向かって方向変換されてマイクロ流体チャネル612a及び612b内のサンプルのスペクトルを取得する。例えば、光方向変換素子620は、検出器618のアクティブな領域に干渉ビーム626を集束させるように構成された曲面反射器であってもよい。
【0057】
[0075]
図7A及び
図7Bは、ある態様に係る統合型スペクトル検出デバイスの小型ATR分光計700の例を示す図である。
図7A及び
図7Bに示す例では、小型ATR分光計700は、同じ基板702上に統合された分光計704、ATR素子706及びマイクロ流体チャネル708を含む。基板702は、例えば、シリコン基板又はSOI基板であってもよい。ATR素子706は、光を通過させるための導波路に対応する、又は、導波路を含んでもよい。マイクロ流体チャネル708は、入力マイクロ流体ポート710と出力マイクロ流体ポート710との間でマイクロ流体チャネル708を通って流れるサンプル712(例えば、流体)を含む。サンプル712は、マイクロ流体チャネル708とATR素子706との間の境界730に隣接して流れる。境界730は、ATR素子706とマイクロ流体チャネル708との間のチャネル界面に対応し、かつ、サンプル712が接触するATR素子706の表面によって形成されてもよい。例えば、境界又はチャネル界面730は、マイクロ流体チャネル708の内面としてさらに機能する、(例えば、DRIEプロセスを介して)基板702にエッチングされたATR素子706の垂直面に対応してもよい。したがって、チャネル界面730は、Si-空気/Si-サンプル界面に対応する。
【0058】
[0076]
図7A及び
図7Bに示す分光計704は、深掘りエッチングされた微細加工されたMEMS干渉計である。MEMS干渉計は、ビームスプリッタ706、固定ミラー718、移動ミラー720及び移動ミラー720に結合されたアクチュエータ722(例えば、静電MEMSアクチュエータ)を含む。さらに、1以上のガイド構造726及び732が、ATR素子706及びマイクロ流体チャネル708にMEMS干渉計704を結合するために(例えば、DRIEプロセスを介して)基板702にエッチングされてもよい。各ガイド構造726及び732はSi-空気界面であってもよい。
【0059】
[0077]
図7A及び
図7Bに示す例では、入力光714は小型ATR分光計700に結合されてもよい。ある例では、統合型スペクトル検出デバイスは、
図3~
図6に示すように、基板702に結合された1以上の光方向変換素子(例えば、成形された自由空間反射器)を包含する第2基板(図示せず)を含んでもよい。入力光714は、成形された自由空間反射器からMEMS干渉計704に向けられてもよく、光路差は、アクチュエータ722を使用して固定ミラー718及び移動ミラー720の2つの経路の間で変化して干渉ビーム724を生成する。その後、干渉ビーム724は、ガイド構造726を介してATR素子706とマイクロ流体チャネル708との間のチャネル界面730に向けられてもよい。ガイド構造726は、チャネル界面730における干渉ビーム724の全内部反射を生成するために、Si-サンプルチャネル界面730の臨界角より大きいチャネル界面730上での干渉ビーム724の入射角を生成するように設計される。
【0060】
[0078]
図7Aに示す例では、干渉ビーム724は単一の全内部反射を受け、結果として生じたサンプル712内のエバネッセント波が干渉ビーム724を減衰させて、小型ATR分光計700の出力を介して検出器(図示せず)に向けられ得る出力光728を生成する。ある例では、サンプル712からの情報を運ぶ反射出力光728は、小型ATR分光計700の出力での屈折後に、(例えば、基板702に結合された第2基板に成形された)出力光方向変換素子によって収集されてもよい。出力光方向変換素子は、
図3~
図6に示すように、検出器に出力光728を方向変換してもよい。
図7Bに示す例では、干渉ビーム724の複数回の全内部反射は、追加のガイド構造732を使用することによって達成される。ガイド構造732は、各反射における内部反射臨界角を超える干渉ビーム724の入射角度を生成するように設計されている。
【0061】
[0079]
図8は、ある態様に係る統合型スペクトル検出デバイスの小型ATR分光計800の別の例を示す図である。小型ATR分光計800は、分光計804、ATR素子806及び同じ基板802に統合された2つの対向するマイクロ流体チャネル808a及び808bを含む。基板802は、例えば、シリコン基板又はSOI基板であってもよい。マイクロ流体チャネル808a及び808bは各々、そのそれぞれの入力マイクロ流体ポート810及び出力マイクロ流体ポート810の間でマイクロ流体チャネル808a及び808bを通って流れるサンプル812(例えば、流体)を含む。
【0062】
[0080] 通常、サンプル812は、マクロATR又はマイクロATRのいずれかにおいてATR結晶の片側から測定される。ただし、
図3~
図6に示す複数基板統合型スペクトル検出デバイス又は
図8及び
図9に示す小型ATR分光計の面内設計は、臨界角より大きい入射角を維持しながら、2つのマイクロ流体チャネル808a及び808bの間に光を捕捉することによってATR素子806の両側にサンプルを挿入することを可能にする。この設計により、達成され得る反射の回数が増加するので、ATR感度が向上する。
【0063】
[0081] サンプル812は、対応のマイクロ流体チャネル808a及び808bとATR素子806との間のそれぞれの境界830a及び830bに隣接して流れる。境界830a及び830bの各々は、ATR素子806とそれぞれのマイクロ流体チャネル808a及び808bとの間のそれぞれのチャネル界面に対応し、かつ、サンプル812が接触するATR素子806のそれぞれの表面によって形成されてもよい。例えば、チャネル界面830a及び830bは各々、Si-空気/Si-サンプル界面に対応してもよい。
【0064】
[0082] 分光計804は、深掘りエッチングされたマイクロマシン加工されたMEMS干渉計である。MEMS干渉計は、ビームスプリッタ806、固定ミラー818、移動ミラー820及び移動ミラー820に結合されたアクチュエータ822(例えば、静電MEMSアクチュエータ)を含む。さらに、ガイド構造826が基板802にエッチングされて、ATR素子806及びマイクロ流体チャネル808a及び808bにMEMS干渉計804を結合してもよい。ガイド構造826はSi-空気界面であってもよい。
【0065】
[0083]
図8に示す例では、入力光814は小型ATR分光計800に結合されてもよい。ある例では、統合型スペクトル検出デバイスは、基板802に結合された、
図3~
図6に示すような1以上の光方向変換素子(例えば、成形された自由空間反射器)を包含する第2基板(図示せず)を含んでもよい。入力光814は、成形された自由空間反射器からMEMS干渉計804に向けられてもよく、光路差は、アクチュエータ822を使用して固定ミラー818及び移動ミラー820の2つの経路の間で変化して干渉ビーム824を生成する。その後、干渉ビーム824は、ガイド構造826を介してATR素子806並びにマイクロ流体チャネル808a及び808bに向けられてもよい。ガイド構造826は、チャネル界面830a及び830bの間のATR素子806内で干渉ビーム824の複数回の全内部反射を生成ために、Si-サンプルチャネル界面830aの臨界角よりも大きいチャネル界面830a上での干渉ビーム824の入射角を生成するように設計されている。
【0066】
[0084] 干渉ビーム824の複数回の全内部反射は、干渉ビーム824を減衰させて、小型ATR分光計800の出力を介して検出器(図示せず)に向けられてもよい出力光828を生成するエバネッセント波をサンプル812内に生成する。ある例では、サンプル812からの情報を運ぶ結果として得られた出力光828は、小型ATR分光計800の出力での屈折後に、出力光方向変換素子(例えば、基板802に結合された第2基板に成形される)によって収集されてもよい。出力光方向変換素子は、
図3~
図6に示すように、検出器に出力光828を方向変換してもよい。
【0067】
[0085]
図9は、ある態様に係る、小型ATR分光計905を含む統合型スペクトル検出デバイス900の一例を示す図である。スペクトル検出デバイス900は第1基板902及び第2基板904を含む。第1基板902は小型ATR分光計905を含む。第2基板904は、その中に形成された1以上の光方向変換素子906及び908を含んでもよい。例えば、光方向変換素子906及び908は曲面反射器(例えば、マイクロ反射器又はマイクロミラー)であってもよい。ある例では、光方向変換素子906及び908は、その反射率を改善するためにアルミニウム金属コーティングを有する第2基板904の成形部品内に製造されてもよい。
【0068】
[0086] 統合型スペクトル検出デバイス900はパッケージ基板912をさらに含んでもよい。第1基板902は、パッケージ基板912上に配置されてもよい(例えば、パッケージ基板912に接合されてもよい)。さらに、第2基板904は、第1基板902上に配置され、かつ、第2基板904のそれぞれの端部でパッケージ基板912に接合されてもよい。検出器910は、パッケージ基板912上にさらに配置されてもよい。基板902及び912の各々は、例えば、シリコン基板又はSOI基板であってもよい。ある例では、第2基板904は、射出成形光学技術を使用して形成されたプラスチック基板又はガラス基板であってもよい。
【0069】
[0087] 小型ATR分光計905は、分光計916、ATR素子918及び第1基板902上に統合された2つの対向するマイクロ流体チャネル920a及び920bを含む。マイクロ流体チャネル920a及び920bは各々、そのそれぞれの入力マイクロ流体ポート926及び出力マイクロ流体ポート926の間でマイクロ流体チャネル920a及び920bを通って流れるサンプル924(例えば、流体)を含む。サンプル924は、対応のマイクロ流体チャネル920a及び920bとATR素子918との間のそれぞれの境界922a及び922bに隣接して流れる。境界922a及び922bの各々は、ATR素子918とそれぞれのマイクロ流体チャネル920a及び920bとの間のそれぞれのチャネル界面に対応する。例えば、チャネル界面922a及び922bは各々、Si-空気/Si-サンプル界面に対応してもよい。
【0070】
[0088] 分光計916は、深掘りエッチングされたマイクロマシン加工されたMEMS干渉計である。MEMS干渉計は、ビームスプリッタ928、固定ミラー930、移動ミラー932及び移動ミラー932に結合されたアクチュエータ934(例えば、静電MEMSアクチュエータ)を含む。さらに、ガイド構造938が基板902にエッチングされて、ATR素子918並びにマイクロ流体チャネル920a及び920bにMEMS干渉計916を結合してもよい。ガイド構造938はSi-空気界面であってもよい。
【0071】
[0089]
図9に示す例では、入力光936は、光方向変換素子906を介して小型ATR分光計905に結合されてもよい。例えば、光方向変換素子906は、第1基板902の平面に対して面外方向で入力光936を受け取り、かつ、第1基板902に入力光936を向けてもよい(例えば、第1基板902に向かって90度入力光936を方向変換させる/反射する)。入力光936は、小型ATR分光計905への入力で屈折されて、臨界角(例えば、チャネル界面922bのSi-サンプル界面の臨界角)よりも大きい入射角でマイクロ流体チャネル920bとATR素子918との間のチャネル界面922bに衝突して、マイクロ流体チャネル920a及び920bの間のATR素子918を通る入力光936の複数回の全反射を生成してもよい。入力光936は、マイクロ流体チャネル920a及び920bの各々内に包含されるサンプル924内に形成されたそれぞれのエバネッセント波によって減衰される。減衰された入力光はその後、出力光940としてATR素子918から出力され、ガイド構造938を介してMEMS干渉計916の入力に向かって屈折される。
【0072】
[0090] MEMS干渉計916内では、アクチュエータ934を使用して固定ミラー930及び移動ミラー932の2つの光路の間で光路差が変化し、出力光940に基づいて干渉ビーム(干渉パターン)942を生成する。MEMS干渉計916によって出力される干渉ビーム942は、光方向変換素子908によって検出器910に向けて方向変換され、マイクロ流体チャネル920a及び920b内のサンプル924のスペクトルを取得する。例えば、光方向変換素子908は、検出器910のアクティブな領域に干渉ビーム942を集束させるように構成された曲面反射器であってもよい。
【0073】
[0091] ATR分光法では、1回の反射に対するサンプルの内部の光侵入深さは数式(数式1)で与えられ、d
p、λ、θ、n
1及びn
2は、侵入深さ、放射波長、入射角、ATR結晶の屈折率及びサンプルの屈折率である。したがって、結晶の内部の光の入射角及び反射の回数は、用途と測定された吸収ピークとに基づいて選択されてもよい。
【0074】
[0092] 用途によっては、光を完全に遮断する可能性がある水の強い赤外線吸収を減らすために、ATR侵入深さを小さくすることが好ましい。ただし、他の用途では、赤外光とサンプルとの間の有効相互作用長が増大すると、分光計のノイズレベルを超える弱い赤外(IR)信号の吸収が増大する可能性がある。このような用途の例には、限定されないものの、IR分光法を使用してサンプルを測定する前にサンプルが一般的に乾燥させられる油分析及び生体サンプル検出が含まれる。ATR結晶の長さを大きくする又はATRの厚さを小さくすることによって反射の回数を増やすと、IR吸収を向上させる場合があるが、限られた設計領域及び製造の難しさにより長さには制限があり得、また、デバイスの光スループットに影響を与える入出力界面におけるビームの切断により厚さには制限があり得る。
【0075】
[0093]
図2~
図9に示す面内ATR素子の設計は、測定されたサンプルに応じて所望の形状及び寸法を有するATR IREを形成することを可能にする。したがって、入射角と反射の回数とが設計に適合されてもよい。さらに、ATR結晶は、結晶の寸法を変えずに反射の回数を増加させることによって有効光路長を向上させるように設計されてもよい。これらの設計は、成形された光方向変換素子に異なる光学設計を使用するATR基板又は小型ATR分光計の異なる実装を可能にする可能性がある。
【0076】
[0094]
図10は、ある態様に係るATR素子設計の一例を示す図である。
図10に示すATR素子設計は、同じ領域内でより長い光路長を得ることを可能にする複数経路ATR素子設計である。有効光路長を増大させると、パワー及び信号対雑音比を損なうことなく、サンプルの吸光度をさらに高め得る。ただし、電力損失を引き起こし、かつ、分光計の検出限界に影響を与える(光の)曲げ損失が存在する可能性がある。したがって、
図10に示すATR素子設計は、より多くの反射の回数により吸収を高めながら、曲げ損失を最小限に抑えるように最適化されてもよい。
【0077】
[0095] ATR素子設計は、ATR素子1004と、(例えば、DRIEプロセスを介して)その中に形成されたマイクロ流体チャネル1006a及び1006bと、を有する基板1002を含む。基板は、例えば、シリコン基板又はSOI基板であってもよい。ある例では、分光計は、
図7~
図9に示すように、ATR素子1004と同じ基板1002上に形成されてもよく、又は、
図3~
図6に示すように、異なる別個の基板上に形成されてもよい。
【0078】
[0096] マイクロ流体チャネル1006a及び1006bは各々、そのそれぞれの入力マイクロ流体ポート1010及び出力マイクロ流体ポート1010の間でマイクロ流体チャネル1006a及び1006bを通って流れるサンプル(例えば、流体)を含む。サンプルは、対応のマイクロ流体チャネル1006a及び1006bとATR素子1004との間のそれぞれのチャネル界面1008a及び1008bに隣接して流れる。例えば、チャネル界面1008a及び1008bは各々、Si-空気/Si-サンプル界面に対応してもよい。
【0079】
[0097]
図10に示す例では、ATR素子1004は、チャネル界面1008a及び1008bによって形成された導波路パターンを有している。導波路パターンは、そのそれぞれの端部1014で光学的に結合された平行な導波路1012のアレイを含む。したがって、Siサンプルのチャネル界面1008bの臨界角より大きい角度でチャネル界面1008bに入射する入力光1016は、平行な導波路1012の導波路パターンを通じた全内部反射を介して反射されて出力光1018を生成する。出力光1018は、全内部反射入力光1016に基づいてサンプル内に形成されたエバネッセント波によって減衰される。
【0080】
[0098]
図11は、ある態様に係るATR素子設計の別の例を示す図である。ATR素子設計は、ATR素子1104と、(例えば、DRIEプロセスを介して)その中に形成されたマイクロ流体チャネル1106a及び1106bと、を有する基板1102を含む。基板は、例えば、シリコン基板又はSOI基板であってもよい。ある例では、分光計は、
図7~
図9に示すように、ATR素子1104と同じ基板1102上に形成されてもよく、又は、
図3~
図6に示すように、異なる別個の基板上に形成されてもよい。
【0081】
[0099] マイクロ流体チャネル1106a及び1106bは各々、そのそれぞれの入力マイクロ流体ポート1110及び出力マイクロ流体ポート1110の間でマイクロ流体チャネル1106a及び1106bを通って流れるサンプル(例えば、流体)を含む。サンプルは、対応のマイクロ流体チャネル1106a及び1106bとATR素子1104との間のそれぞれのチャネル界面1108a及び1108bに隣接して流れる。例えば、チャネル界面1108a及び1108bは各々、Si-空気/Si-サンプル界面に対応してもよい。
【0082】
[0100]
図11に示すATR素子設計は、それぞれV字形の入力界面1120及び出力界面1122を使用して、ATR素子1104に2つのIRビーム1112a及び1112bを入力することに基づいている。2つの入力ビーム1112a及び1112bは、V字形の入力界面1120に入力ビーム1112a及び1112bを反射するビームスプリッタ及び結合光学系(例えば、オンチップ又は外部光反射器)を用いて、2つのIR源又は単一の光源から生じてもよい。例えば、V字形の入力界面1120は、第1入力ビーム1112aを受け取り、かつ、臨界角よりも大きい角度で第1チャネル界面1108aに第1入力ビーム1112aを向けて、チャネル界面1108a及び1108bの間でATR素子1104を通じて第1入力ビーム1112aの全内部反射を生成するように構成される。V字形の界面1120は、第2入力ビーム1112bを受け取り、かつ、臨界角より大きい角度で第2チャネル界面1108bに第2入力ビーム1112bを向けて、チャネル界面1108a及び1108bの間でATR素子を通じて第1入力ビーム1112aの全内部反射を生成するようにさらに構成される。
【0083】
[0101] 各入力光ビーム1112a及び1112bは、マイクロ流体チャネル1106a及び1106bの各々内に包含されるサンプル内に形成されたそれぞれのエバネッセント波によって減衰される。減衰された入力光ビームは、その後、V字形の出力界面1122を介して出力光ビーム1114a及び1114bとしてATR素子1104から出力される。例えば、第1入力ビーム1112aの全内部反射から生成された第1出力ビーム1114aは、V字形の出力界面1122を介して第2チャネル界面1108bから出力されてもよい。さらに、第2入力ビーム1112bの全内部反射から生成された第2出力ビーム1114bは、V字形の出力界面1122を介して第1チャネル界面1108aから出力されてもよい。出力ビーム1114a及び1114bは、反射器1116a及び1116bによって分光計上に集束されてもよい。例えば、V字形の出力界面1122は、第1反射器1116aに第1出力光ビーム1114aを向け、第2反射器1116bに第2出力光ビーム1114bを向けて、第1出力光ビーム1114a及び第2出力光ビーム1114bを結合し、かつ、分光計入力に集束された出力光1118を生成するように構成されてもよい。
【0084】
[0102]
図11に示すATR素子設計では、ATR素子1104の内部で内部反射の回数が2倍になる。ある例では、IRビームスポットサイズは、入力界面1120より小さくてもよく、すなわち、入力での切り捨て(truncation)がない。
【0085】
[0103]
図12A及び
図12Bは、ある態様に係るATR素子設計の別の例を示す図である。
図12Aに示すATR素子設計は、ATR素子1204と、(例えば、DRIEプロセスを介して)その中に形成されたマイクロ流体チャネル1206a及び1206bと、を有する基板1202を含む。基板は、例えば、シリコン基板又はSOI基板であってもよい。ある例では、分光計は、
図7~
図9に示すように、ATR素子1204と同じ基板1202上に形成されてもよく、又は、
図3~
図6に示すように、異なる別個の基板上に形成されてもよい。
【0086】
[0104] マイクロ流体チャネル1206a及び1206bは各々、そのそれぞれの入力マイクロ流体ポート1210及び出力マイクロ流体ポート1210の間でマイクロ流体チャネル1206a及び1206bを通って流れるサンプル(例えば、流体)を含む。サンプルは、対応のマイクロ流体チャネル1206a及び1206bとATR素子1204との間のそれぞれのチャネル界面1208a及び1208bに隣接して流れる。例えば、チャネル界面1208a及び1208bは各々、Si-空気/Si-サンプル界面に対応してもよい。
【0087】
[0105]
図12Aに示すATR素子設計は、ATR素子1204の内部で前後に2つの光路を有することに基づいており、入力及び出力はATR素子1204の片側にある。例えば、ATR素子1204は、その第1側に入出力界面1216を含み、第1側の反対側のその第2側に後部界面1218を含んでもよい。ATR素子1204は、入出力界面1216を介して入力光1212を受信するように構成される。入力光1212は、臨界角より大きい角度でチャネル界面(例えば、チャネル界面1208b)に衝突し、チャネル界面1208a及び1208bの間でATR素子1204を通って後部界面1218に向かう入力光1212の全内部反射を生成してもよい。後部界面1218は、チャネル界面1208a及び1208bの間でATR素子1204を通って全内部反射を介して入力光を反射して、入出力界面1216を介して出力され得る出力光1214を生成するようにさらに構成されてもよい。出力光1214は、全内部反射入力光1214に基づいてサンプル内に形成されたエバネッセント波によって減衰される。
【0088】
[0106]
図12Aに示すATR素子設計は、同じATR素子長内での反射の回数を増加させる。
図12Bにさらに示すように、ATR素子1204内の(前後)2つの光路は、一方がATR素子のいずれかの側にある2つの異なる面角度(θ、φ)を使用して達成されてもよい。例えば、入出力界面1216は第1面角度θを有してもよく、後部界面1218は第2面角度φを有してもよい。第1面角度θは、入力光が入出力界面1216に対して垂直に入射するときにATR素子1204のチャネル界面(例えば、チャネル界面1208b)で入力光1212の全内部反射を生成するように構成されてもよい。第2面角度は、ATR素子の後部界面1218及び他のチャネル界面(例えば、チャネル界面1208a)において入力光1212の全内部反射を生成するように構成されてもよい。さらに、第2面角度は、入出力界面1216において出力光1214の屈折を生成するように構成されてもよい。
【0089】
[0107] したがって、第1面角度(入出力面角度(θ))は、以下のように、チャネル界面1208b(例えば、ATR素子1204とサンプルとの間の界面)の臨界角よりも大きく:
n
1及びn
2は、それぞれATR素子の屈折率及びサンプルの屈折率である。さらに、第2面角度(後部面角度(φ))は、以下のように、後部界面1218上での光の全内部反射を保証するように構成され:
n
airは空気の屈折率である。
【0090】
[0108] さらに、後部面角度(φ)は、以下のように、光がATR素子1204を通って反射して戻る間に、チャネル界面1208a及び1208bでの光の全内部反射を保証するようにさらに構成される:
さらに、後部面角度(φ)は、以下のように、入出力界面1216上での光の屈折を保証するようにさらに構成される:
したがって、出力光1214は、以下のように、後部面角度に依存する角度で入力光1212の方向から偏向され得る:
【0091】
[0109]
図13は、ある態様に係るATR素子設計の別の例を示す図である。
図13に示すATR素子設計は、ATR素子の4つの面における光と測定サンプルとの間の全内部反射及び相互作用に基づいている。このATR素子設計では、ATR素子は、入力界面及び出力界面に加えて、両側壁に面角度を有する形状を使用して製造される。
【0092】
[0110] ATR素子設計は、ATR素子1304と、(例えば、DRIEプロセスを介して)その中に形成されたマイクロ流体チャネル1306a及び1306bと、を有する基板1302を含む。基板は、例えば、シリコン基板又はSOI基板であってもよい。ある例では、分光計は、
図7~
図9に示すように、ATR素子1304と同じ基板1302上に形成されてもよく、又は、
図3~
図6に示すように、異なる別個の基板上に形成されてもよい。
【0093】
[0111] マイクロ流体チャネル1306a及び1306bは各々、そのそれぞれの入力マイクロ流体ポート1310及び出力マイクロ流体ポート1310の間でマイクロ流体チャネル1306a及び1306bを通って流れるサンプル(例えば、流体)を含む。サンプルは、対応のマイクロ流体チャネル1306a及び1306bとATR素子1304との間のそれぞれのチャネル界面1308a及び1308bに隣接して流れる。例えば、チャネル界面1308a及び1308bは各々、Si-空気/Si-サンプル界面に対応してもよい。
図13に示す例では、チャネル界面1308a及び1308bは、基板1302の傾斜した側壁である。例えば、傾斜した側壁を作成するため、MEMS分光計の製造手順で使用されるDRIEプロセスに、異方性KOHエッチングなどの追加のエッチング工程が追加されてもよい。
【0094】
[0112] チャネル界面1308a及び1308bを形成する傾斜側壁は、従来の単一の2D平面における多重反射の代わりに、ATR素子1304内に三次元の螺旋形状を有する光路1315を生成する。例えば、傾斜側壁のうちの1つ(例えば、チャネル界面1308b)の臨界角より大きい入射角で入力光1312を受け取るように、かつ、傾斜側壁(例えば、チャネル界面1308a及び1308b)とATR素子1304の上面及び下面の両方とで入力光1312が反射されてサンプル内に形成されたエバネッセント波によって減衰された出力光1314を生成するようにATR素子1304を通る全内部反射を介して入力光1312を螺旋状に反射するように、ATR素子1304が構成されてもよい。
【0095】
[0113] ある例では、追加の反射を利用するため、サンプルを含む追加のマイクロ流体チャネル1318が基板1302の上方(例えば、基板1302の上面1316)に挿入されてもよい。例えば、マイクロ流体PDMSデバイス1320は、基板1302の上面1316上に結合されてもよい。このATR素子設計では、入力光1312は、基板1302に平行に伝播するだけでなく、PDMSデバイス1320との上部シリコン界面から反射して戻る。
【0096】
[0114]
図14は、ある態様に係るATR素子設計の別の例を示す図である。
図14に示すATR素子設計は、さまざまなターゲット用途をサポートするため、可変の内部反射の回数を提供する。ATR素子設計は、ATR素子1404と、(例えば、DRIEプロセスを介して)その中に形成された対向するマイクロ流体チャネルの複数のセット(例えば、対向するマイクロ流体チャネル1406a及び1406bの第1セット、対向するマイクロ流体チャネル1406c及び1406dの第2セット、及び、対向するマイクロ流体チャネル1406e及び1406fの第3セット)と、を有する基板1402を含む。基板は、例えば、シリコン基板又はSOI基板であってもよい。ある例では、分光計は、
図7~
図9に示すように、ATR素子1404と同じ基板1402上に形成されてもよく、又は、
図3~
図6に示すように、異なる別個の基板上に形成されてもよい。
【0097】
[0115] マイクロ流体チャネル1406a/1406b、1406c/1406d及び/又は1406e/1406fのセットのうちの1以上が、そのそれぞれの入力マイクロ流体ポート1410及び出力マイクロ流体ポート1410の間のマイクロ流体チャネルを通って流れるサンプル(例えば、流体)を含んでもよい。サンプルは、対応のマイクロ流体チャネル1406a/1406b、1406c/1406d及び/又は1406e/1406fとATR素子1404との間のそれぞれのチャネル界面1408a/1408b、1408c/1408d及び/又は1408e/1408fに隣接して流れる。例えば、チャネル界面1408a~1408fは各々、Si-空気/Si-サンプル界面に対応してもよい。
【0098】
[0116] 最適なATR有効侵入深さは、ターゲット用途及び測定サンプルのIR吸収レベルに直接依存するので、ATR素子1404は、対向するマイクロ流体チャネル1406a/1406b、1406c/1406d及び1406e/1406fのセットの各々の対向するマイクロ流体チャネルの間のそれぞれ異なる幅1416a、1416b及び1416bを有する階段状導波路として構成されてもよい。反射の回数は、以下のように、幅1416a、1416b及び1416cの関数であり:
Nは内部反射の回数、θは入射角、L及びWはATR素子の長さ及び幅である。幅広のATR素子は、強吸収の材料に使用されてもよく、幅狭のATR素子は、弱吸収の材料に使用されてもよい。
【0099】
[0117] したがって、
図14に示すATR素子の階段状導波路設計は、異なるタイプのサンプルを測定するために使用されてもよい。例えば、強吸収のサンプルは、その間により大きなATR幅1416aを有するマイクロ流体チャネル1406a及び1406b内に挿入されてもよい。Si-サンプルチャネル界面1408bの臨界角より大きい角度でチャネル界面1408bに入射する入力光1412は、チャネル界面1408a及び1408bの間、並びに、Si-空気チャネル界面1408c/1408d及び1408e/1408fの間でATR素子1404を通る全内部反射を介して反射されて、出力光1414を生成する。出力光1414は、全内部反射入力光1412に基づいて、マイクロ流体チャネル1406a及び1406b内のサンプルに形成されたエバネッセント波によって減衰される。より弱吸収の特性を有するサンプルは、マイクロ流体チャネル1406c/1406dの第2セット又はマイクロ流体チャネル1406e/1406fの第3セットを使用して同様に測定されてもよい。
【0100】
[0118]
図15は、ある態様に係るATR素子設計の別の例を示す図である。
図15に示すATR素子設計は、さまざまなターゲット用途をサポートするため、可変の回数の内部反射も提供する。ATR素子設計は、ATR素子1504と、(例えば、DRIEプロセスを介して)その中に形成された複数の対向するマイクロ流体チャネルのセット(例えば、対向するマイクロ流体チャネル1506a及び1506bの第1セット、並びに、対向するマイクロ流体チャネル1506c及び1506dの第2セット)と、を有する基板1502を含む。基板は、例えば、シリコン基板又はSOI基板であってもよい。ある例では、分光計は、
図7~
図9に示すように、ATR素子1404と同じ基板1502上に形成されてもよく、又は、
図3~
図6に示すように、異なる別個の基板上に形成されてもよい。
【0101】
[0119] マイクロ流体チャネル1506a/1506b及び/又は1506c/1506dのセットのうちの1以上が、そのそれぞれの入力マイクロ流体ポート1510及び出力マイクロ流体ポート1510の間のマイクロ流体チャネルを流れるサンプル(例えば、流体)を含んでもよい。サンプルは、対応のマイクロ流体チャネル1506a/1506b及び/又は1506c/1506dとATR素子1504との間のそれぞれのチャネル界面1508a/1508b及び/又は1508c/1508dに隣接して流れる。例えば、チャネル界面1508a~1508dは各々、Si-空気/Si-サンプル界面に対応してもよい。
【0102】
[0120]
図15に示すATR素子1504は、マイクロ流体チャネル1506a/1506bとマイクロ流体チャネル1506c/1506dとの間で直線的に変化するATR幅1516を有するテーパ状の導波路として構成される。この例では、入射角は、テーパのためにATR素子1504を通じて変化してもよい:ただし、ATR素子設計は、Si-空気(又はSi-サンプル)界面の臨界角を超える入射角を維持することができる。
図14に示す例のように、強吸収のサンプルには広いATR幅が使用されてもよい一方で、弱吸収のサンプルには狭い幅が使用されてもよい。例えば、弱吸収のサンプルがマイクロ流体チャネル1506c及び1506dの第2セット内に挿入されてもよい。Si-空気チャネル界面1508bの臨界角より大きい角度でチャネル界面1508bに入射する入力光1512は、Si-空気チャネル界面1508a及び1508bの間と、Si-サンプルチャネル界面1508c及び1508dの間とのATR素子1504を通る全内部反射によって反射されて出力光1514を生成する。出力光1514は、全内部反射入力光1512に基づいて、マイクロ流体チャネル1506c及び1506d内のサンプル内に形成されるエバネッセント波によって減衰される。
【0103】
[0121]
図16は、ある態様に係るATR素子設計の別の例を示す図である。
図16に示すATR素子設計は、さまざまなターゲット用途をサポートするため、可変の回数の内部反射も提供する。ATR素子設計は、複数の導波路1604a、1604b及び1604cと、(例えば、DRIEプロセスを介して)その中に形成された複数の対向するマイクロ流体チャネルのセット(例えば、対向するマイクロ流体チャネル1606a及び1606bの第1セット、対向するマイクロ流体チャネル1606c及び1606dの第2セット、及び、対向するマイクロ流体チャネル1606e及び1606fの第3セット)と、を含むATR素子を有する基板1602を含む。基板は、例えば、シリコン基板又はSOI基板であってもよい。ある例では、分光計は、
図7~
図9に示すように、ATR素子1604と同じ基板1602上に形成されてもよく、又は、
図3~
図6に示すように、異なる別個の基板上に形成されてもよい。
【0104】
[0122] マイクロ流体チャネル1606a/1606b、1606c/1606d及び/又は1606e/1606fのセットのうちの1以上は、そのそれぞれの入力マイクロ流体ポート1610及び出力マイクロ流体ポート1610の間のマイクロ流体チャネルを通って流れるサンプル(例えば、流体)を含んでもよい。サンプルは、対応のマイクロ流体チャネル1606a/1606b、1606c/1606d及び/又は1606e/1606fと、対応の導波路1604a、1604b及び/又は1604cとの間のそれぞれのチャネル界面1608a/1608b、1608c/1608d及び/又は1608e/1608fに隣接して流れる。例えば、チャネル界面1608a~1608fは各々、Si-空気/Si-サンプル界面に対応してもよい。
【0105】
[0123] ATR導波路1604a、1604b及び1604cの各々は、異なる回数の内部反射を生成するように構成された異なるそれぞれの幅1620a、1620b及び1620cを有してもよい。さらに、ATR素子設計は、(例えば、金属被覆ステップを伴うDRIEプロセスを介して)基板1602に形成された可動ミラー1616及び1618をさらに含んでもよい。各可動ミラー(例えば、入力ミラー1616及び出力ミラー1618)は、例えば、それぞれのアクチュエータ(例えば、静電櫛歯駆動アクチュエータなどのMEMSアクチュエータ)に結合されてもよい。
図16に示す例では、台形状のATR素子設計における90度の光偏向により、入力ミラー1616及び出力ミラー1618が、2つの垂直な方向に平行移動させられるので、2つの異なるアクチュエータが使用されてもよい。偏向することなく光路が平行移動させられ得る、平行四辺形状のATR素子設計が使用される場合、ミラー1616及び1618の両方に単一のアクチュエータが使用されてもよい。
【0106】
[0124] 可動ミラー1616及び1618の位置に従って、入力光1612は、入力ミラー1616によって、ATR導波路1604a、1604b又は1604cのうちの選択された1つに向かって、特定の用途(サンプル)に対する所望の反射回数で反射されてもよい。選択された導波路1604a、1604b又は1604c内の全内部反射の回数に基づいて生成された出力光1614は、その後、出力ミラー1618によって受け取られ、かつ、出力界面に向かって反射されてもよい。
【0107】
[0125] 水中のマイクロプラスチックなど、液体中のミクロンサイズの粒子のATR分析には、通常、水中での強いIR吸収を伴うATR有効侵入深さ付近の外側にある可能性がある、液体全体にわたる粒子のランダムな分布によって課題がある。本開示のさまざまな態様において、ATR素子の側壁への粒子の蓄積は、ATR結晶の外側の導波モードのエバネッセント場領域に入るために、マイクロ流体チャネル内の粒子の分離及びソーティングによって実行されてもよい。
【0108】
[0126] ある例では、粒子分離にあたってフィールドフローフラクショネーション(FFF)が使用されてもよい。FFFでは、外部作動場が適用されて、強制的に印加場の方向に側壁に向かって粒子を移動させる。一般に、印加場は、電気的、熱的、重力的又はクロスフローによって誘導され得る。他のさまざまなアクティブ分離機構がATR設計で使用されてもよい。例えば、誘電泳動(DEP)が使用されて、流体中に懸濁された粒子の移動を電気的に制御することができる。DEPでは、懸濁された誘電体粒子が、不均一な電場に曝されて粒子を分極させ、それによって、電場強度の高い領域に向かって又はそこから遠ざけるように粒子を移動させる。DEP力の強度及び方向は、媒体及び粒子の電気的特性、粒子の形状及びサイズ、並びに、印加される電場の周波数及び位相に依存する。
【0109】
[0127]
図17は、ある態様に係る、FFFに基づいたATR素子設計の別の例を示す図である。ATR素子設計は、ATR素子1704(例えば、導波路)と、(例えば、DRIEプロセスを介して)その中に形成されたマイクロ流体チャネル1706a及び1706bと、を有する基板1702を含む。基板は、例えば、シリコン基板又はSOI基板であってもよい。ある例では、分光計は、
図7~
図9に示すように、ATR素子1704と同じ基板1702上に形成されてもよく、又は、
図3~
図6に示すように、異なる別個の基板上に形成されてもよい。
【0110】
[0128] マイクロ流体チャネル1706a及び1706bは各々、そのそれぞれの入力マイクロ流体ポート1710及び出力マイクロ流体ポート1710の間でマイクロ流体チャネル1706a及び1706bを通って流れるサンプル(例えば、流体)を含む。サンプルは、対応のマイクロ流体チャネル1706a及び1706bとATR素子1704との間のそれぞれのチャネル界面1708a及び1708bに隣接して流れる。例えば、チャネル界面1708a及び1708bは各々、Si-空気/Si-サンプル界面を形成するATR素子1704の垂直側壁に対応してもよい。
【0111】
[0129]
図17に示すFFF ATR素子設計では、外部作動場1718を電気的に誘導するために、マイクロ流体チャネル1706a及び1706bに隣接する基板1702の上面に電極から形成された作動場発生器1716がさらに配置されてもよい。印加された作動場1718は、ATR素子1704の側壁(例えば、チャネル界面1708a及び1708b)にサンプル中の微粒子1720を移動させるように構成される。側壁に蓄積された微粒子1720は、ATR素子1704を通る入力光1712の全内部反射に基づいて生成されるエバネッセント波と相互作用して、エバネッセント波によって減衰された出力光1714を生成する。
【0112】
[0130]
図18は、ある態様に係る、DEPに基づいたATR素子設計の別の例を示す図である。ATR素子設計は、ATR素子1804(例えば、導波路)と、(例えば、DRIEプロセスを介して)その中に形成されたマイクロ流体チャネル1806a及び1806bと、を有する基板1802を含む。基板は、例えば、シリコン基板又はSOI基板であってもよい。ある例では、分光計は、
図7~
図9に示すように、ATR素子1804と同じ基板1802上に形成されてもよく、又は、
図3~
図6に示すように、異なる別個の基板上に配置されてもよい。
【0113】
[0131] マイクロ流体チャネル1806a及び1806bは各々、そのそれぞれの入力マイクロ流体ポート1810及び出力マイクロ流体ポート1810の間でマイクロ流体チャネル1806a及び1806bを通って流れるサンプル(例えば、流体)を含む。サンプルは、対応のマイクロ流体チャネル1806a及び1806bとATR素子1804との間のそれぞれのチャネル界面1808a及び1808bに隣接して流れる。例えば、チャネル界面1808a及び1808bは各々、Si-空気/Si-サンプル界面を形成するATR素子1804の垂直側壁に対応してもよい。
【0114】
[0132]
図18に示すDEP ATR素子設計では、櫛型電極システムから形成された作動場発生器1816が、不均一な電場を電気的に誘導するために基板1802上にさらにあってもよい。櫛型電極システム1816は、適度な値の印加電圧を使用して、大きな値の電場勾配を生成する。
図18に示す例では、櫛型電極1816は、例えば、リソグラフィ技術を使用してガラス基板1818の裏側に適用されてもよい。その後、ガラス基板1818は、ATR素子1804を含むシリコン基板1802の上部に接合されてもよい。AC電圧が印加された電極1816は、電極1816の中心の下方に微粒子を捕捉するためのDEP力を提供する。電極1816は、サンプル中の微粒子が光相互作用領域の近接した側壁(例えば、チャネル界面1808a及び1808b)に向かって凝集されるように、マイクロ流体チャネル1806a及び1806bに対して配置されてもよい。
【0115】
[0133] したがって、印加された作動場は、ATR素子1804の側壁(例えば、チャネル界面1808a及び1808b)にサンプル中の微粒子を移動させるように構成される。側壁に蓄積された微粒子は、ATR素子1804を通る入力光1812の全内部反射に基づいて生成されたエバネッセント波と相互作用し、エバネッセント波によって減衰された出力光1814を生成する。
【0116】
[0134] 以下に本開示の例の概要を示す。
【0117】
[0135] 例1:統合型スペクトル検出デバイスであって、前記統合型スペクトル検出デバイスは:減衰全内部反射(ATR)素子と、マイクロ流体チャネルと、前記ATR素子とその中に形成された前記マイクロ流体チャネルとの間の境界に対応するチャネル界面と、を備える第1基板であって、前記ATR素子は、入力光を受け取り、かつ、前記チャネル界面での前記入力光の全内部反射に基づいて出力光を生成するように構成され、前記出力光は、前記入力光の前記全内部反射に基づいて前記マイクロ流体チャネル内に包含されたサンプルによって生成されたエバネッセント波によって減衰される、第1基板と;干渉ビームを生成するように構成された分光計であって、前記干渉ビームは、前記入力光に対応する、又は、前記出力光に基づいて生成される、分光計と;前記干渉ビーム又は前記出力光のスペクトルを検出するように構成された検出器と、を備える、統合型スペクトル検出デバイス。
【0118】
[0136] 例2:前記マイクロ流体チャネルが、前記ATR素子との第1チャネル界面を有する第1マイクロ流体チャネルと、前記ATR素子との第2チャネル界面を有する第2マイクロ流体チャネルと、を備え、前記入力光の前記全内部反射は前記第1チャネル界面と前記第2チャネル界面との間で発生する、例1に記載の統合型検出デバイス。
【0119】
[0137] 例3:前記第1基板がシリコン基板を備え、前記第1チャネル界面及び前記第2チャネル界面の各々がシリコン-空気界面を備える、例2に記載の統合型検出デバイス。
【0120】
[0138] 例4:前記ATR素子が、前記第1チャネル界面及び前記第2チャネル界面を形成する傾斜側壁を備え、前記傾斜側壁が、三次元の螺旋形状を有する前記入力光の光路を生成し、かつ、前記入力光の前記光路内の前記ATR素子の上方の前記第1基板の上面に配置された追加のマイクロ流体チャネルをさらに備える、例2又は3に記載の統合型検出デバイス。
【0121】
[0139] 例5:前記ATR素子が、前記第1チャネル界面と前記第2チャネル界面とによって形成された導波路パターンを備え、前記導波路パターンは、そのそれぞれの端部で光学的に結合された平行な導波路のアレイを備える、例2又は3に記載の統合型検出デバイス。
【0122】
[0140] 例6:前記入力光は第1入力ビーム及び第2入力ビームを備え、前記出力光は、前記第1入力ビームの前記全内部反射から生成された第1出力ビームと、前記第2入力ビームの前記全内部反射から生成された第2出力ビームと、を備え、前記ATR素子は、前記第1入力ビームを受け取って前記第1チャネル界面に前記第1入力ビームを向け、かつ、第2入力ビームを受け取って前記第2チャネル界面に前記第2入力ビームを向けるように構成されたV字形の入力界面を備え、前記ATR素子は、第1反射器に前記第1出力ビームを向け、かつ、第2反射器に前記第2出力ビームを向けるように構成されたV字形の出力界面を備え、前記第1反射器及び第2反射器は、前記第1出力ビームと前記第2出力ビームとを結合して前記出力光を生成するように構成される、例2又は3に記載の統合型検出デバイス。
【0123】
[0141] 例7:前記ATR素子が、その第1側に入出力界面と、前記第1側とは反対側のその第2側に後部界面と、を備え、前記ATR素子は、前記入出力界面を介して前記入力光を受け取り、前記後部界面から前記入力光を全内部反射し、かつ、前記入出力界面を介して前記出力光を出力するように構成される、例2又は3に記載の統合型検出デバイス。
【0124】
[0142] 例8:前記入出力界面が第1面角度を備え、かつ、前記後部界面が第2面角度を備え、前記第1面角度が、前記第1チャネル界面で前記入力光の前記全内部反射を生成するように構成され、前記入力光は前記入出力界面に垂直に入射し、前記第2面角度は、前記後部界面及び前記第2チャネル界面で前記入力光の前記全内部反射を生成するように構成され、前記第2面角度は、前記入出力界面で前記出力光の屈折を生成するようにさらに構成される、例7に記載の統合型検出デバイス。
【0125】
[0143] 例9:前記第1基板に平行な第2基板であって、前記分光計を備える第2基板と;前記ATR素子から前記出力光を受け取り、かつ、前記分光計に前記出力光を向けるように構成された第1光方向変換素子と;前記検出器に前記干渉ビームを反射するように構成された第2光方向変換素子と、をさらに備える、例1~8のいずれか1つに記載の統合型検出デバイス。
【0126】
[0144] 例10:前記ATR素子が、前記第1光方向変換素子に、前記ATR素子の平面に対して面外方向に前記出力光を結合するように構成された傾斜面を備える、例9に記載の統合型検出デバイス。
【0127】
[0145] 例11:前記ATR素子の第1平面で前記出力光を受け取り、かつ、前記第1平面に対して面外方向に前記第1光方向変換素子に向かって前記出力光を反射するように構成された第3光方向変換素子をさらに備え、前記第1光方向変換素子は、前記第2基板の第2平面に対して前記面外方向から面内方向に前記出力光を方向変換するように構成され、前記第1平面と前記第2平面とは平行である、例9に記載の統合型検出デバイス。
【0128】
[0146] 例12:前記分光計を備える第2基板と;表面を備える第3基板であって、前記第1基板、前記第2基板及び前記検出器が前記第3基板の表面上に配置される、第3基板と;前記第3基板の前記表面上に配置された光方向変換素子であって、前記第1基板及び前記第2基板の平面に対して面外方向に前記入力光を受け取り、かつ、前記第1基板に前記入力光を向けるように構成された光方向変換素子と、をさらに備える、例1~8のいずれか1つに記載の統合型検出デバイス。
【0129】
[0147] 例13:前記第1基板が前記分光計をさらに備え、前記分光計が、前記第1基板にエッチングされた微小電気機械システム(MEMS)干渉計を備える、例1~8のいずれか1つに記載の統合型検出デバイス。
【0130】
[0148] 例14:前記MEMS干渉計が、前記入力ビームを受け取り、前記入力ビームから前記入力光に対応する前記干渉ビームを生成し、かつ、前記ATR素子に前記干渉ビームを向けるように構成される、例13に記載の統合型検出デバイス。
【0131】
[0149] 例15:前記チャネル界面の臨界角以上の入射角で前記チャネル界面に向かって前記入力光を反射して、前記チャネル界面で前記入力光の前記全内部反射を生成するように構成された、前記基板にエッチングされた第1ガイド構造をさらに備える、例14に記載の統合型検出デバイス。
【0132】
[0150] 例16:前記ATR素子が、前記基板内にエッチングされ、かつ、前記チャネル界面と前記第2光方向変換素子との間の前記入力光の複数の全内部反射を促進するように構成された第2ガイド構造をさらに備える、例15に記載の統合型検出デバイス。
【0133】
[0151] 例17:前記第1基板がシリコン基板を備え、前記第1ガイド構造及び前記第2ガイド構造の各々がそれぞれのシリコン-空気界面を備える、例16に記載の統合型検出デバイス。
【0134】
[0152] 例18:前記MEMS干渉計は、前記ATR素子から前記出力光を受け取り、かつ、前記出力光に基づいて前記干渉ビームを生成するように構成される、例13~17のいずれか1つに記載の統合型検出デバイス。
【0135】
[0153] 例19:前記マイクロ流体チャネルが、2つの対向するマイクロ流体チャネルの複数のセットを備え、2つの対向する前記マイクロ流体チャネルの複数のセットの各々が、前記入力光のそれぞれの異なる回数の反射を生成するように構成される、例1~18のいずれか1つに記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【0136】
[0154] 例20:前記ATR素子が、2つの対向する前記マイクロ流体チャネルの複数のセットの各々の2つの対向する前記マイクロ流体チャネルの間でそれぞれ異なる幅を備える階段状導波路をさらに備える、例19に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【0137】
[0155] 例21:前記ATR素子が、2つの対向する前記マイクロ流体チャネルの複数のセットの間にテーパ状導波路をさらに備える、例19に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【0138】
[0156] 例22:前記ATR素子が、2つの対向する前記マイクロ流体チャネルの複数のセットのための複数の導波路を備え、前記複数の導波路の各々が、2つの対向する前記マイクロ流体チャネルの複数のセットのうちのそれぞれ1つの対向する2つの前記マイクロ流体チャネルの間にあり、前記複数の導波路の各々が、それぞれ異なる幅を有し、かつ、前記複数の導波路のうちの選択された導波路に前記入力光を反射するように構成された第1可動ミラーと、選択された前記導波路からの前記出力光を受け取るように構成された第2可動ミラーと、をさらに備える、例19に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【0139】
[0157] 例23:前記ATR素子が、前記チャネル界面を形成する側壁を備え、かつ、前記マイクロ流体チャネル内の前記サンプルに作動場を印加するように構成された作動場発生器をさらに備え、前記作動場は、前記サンプル内の微粒子を前記ATR素子の前記側壁に移動させて前記エバネッセント波と相互作用させるように構成される、例1~22のいずれか1つに記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【0140】
[0158] 例24:前記作動場が電場を備え、前記作動場発生器が、前記電場を生成するように構成された、前記第1基板の上面上の電極を備える、例23に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【0141】
[0159] 例25:前記作動場は、前記微粒子に誘電泳動力を加えるように構成された不均一な電場を備え、前記作動場発生器は、前記第1基板の上面に櫛型電極を備える、例23に記載の統合型スペクトル検出デバイス。
【0142】
[0160] 本開示内では、「例示的な」という単語は、「一例、一実施例又は一実例として機能する」という意味で使用される。本明細書で「例示的な」として説明される実装又は態様は、必ずしも、本開示の他の態様よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。同様に、「態様」という用語は、本開示のすべての態様が、議論された特徴、利点又は動作モードを含むことを要求するものではない。「結合された」という用語は、本明細書では、2つのオブジェクト間の直接的又は間接的な結合を指すために使用される。例えば、オブジェクトAがオブジェクトBに物理的に接触し、かつ、オブジェクトBがオブジェクトCに接触した場合、オブジェクトA及びCは、たとえそれらが互いに直接物理的に接触していないとしても、依然として互いに結合されているとみなされ得る。例えば、第1オブジェクトが第2オブジェクトに物理的に直接接触していない場合でも、第1オブジェクトは第2オブジェクトに結合され得る。「回路(circuit)」及び「電気回路(circuitry)」という用語は、広範に使用され、かつ、電気装置及び導体のハードウェア実装と、情報及び命令のソフトウェア実装と、の両方を含むことを意図しており、ハードウェア実装は、接続及び構成された場合に、電子回路のタイプに限定されることなく、本開示で説明される機能の実行を可能にし、ソフトウェア実装は、プロセッサによって実行された場合に、本開示で説明される機能の実行を可能にする。
【0143】
[0161]
図1~
図18に示されるコンポーネント、ステップ、特徴及び/又は機能のうちの1以上は、単一のコンポーネント、ステップ、特徴又は機能に再配置及び/又は結合されてもよく、若しくは、いくつかのコンポーネント、ステップ又は機能で具体化されてもよい。本明細書に開示される新規な特徴から逸脱することなく、追加の要素、コンポーネント、ステップ及び/又は機能が追加されてもよい。
図1~
図18に示される装置、デバイス及び/又はコンポーネントは、本明細書で説明される方法、特徴又はステップのうちの1以上を実行するように構成されてもよい。本明細書で説明される新規なアルゴリズムは、ソフトウェアに効率的に実装されてもよく、及び/又は、ハードウェアに埋め込まれてもよい。
【0144】
[0162] 開示された方法におけるステップの特定の順序又は階層は、例示的なプロセスを例示するものであることを理解されたい。設計志向に基づいて、方法におけるステップの特定の順序又は階層が並べ替えられてもよいことが理解される。添付の方法の請求項は、さまざまなステップの要素をサンプルの順序で提示しており、かつ、本明細書で特に記載がない限り、提示される特定の順序又は階層に限定されることを意図するものではない。
【0145】
[0163] 前述の説明は、当業者が本明細書に記載のさまざまな態様を実施することができるようにするために提供される。これらの態様に対するさまざまな修正は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般原理は他の態様にも適用されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲の文言と一致する全範囲を与えられるべきであり、単数形での要素への言及は、そのように特に明記されていない限り「唯一のもの」を意味することを意図しておらず、むしろ「1以上」であることを意図している。特に明記しない限り、「いくつかの」という用語は1以上を指す。アイテムのリスト「のうちの少なくとも1つ」を指す語句は、単一の部材を含むそれらのアイテムの任意の組み合わせを指す。一例として、「a、b又はcのうちの少なくとも1つ」は:a、b、cと:a及びbと:a及びcと:b及びcと:a、b及びcとをカバーすることを意図している。当業者に知られている又は後に知られるようになる、本開示を通じて説明されるさまざまな態様の要素に対する構造的及び機能的な等価物はすべて、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、かつ、特許請求の範囲に包含されることが意図される。さらに、本明細書に開示されるものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかに関わらず、公衆に提供されることを意図したものではない。
【国際調査報告】