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特表2024-516698ILT7結合タンパク質を使用する、自己免疫疾患の治療方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ILT7結合タンパク質を使用する、自己免疫疾患の治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240409BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20240409BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20240409BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240409BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240409BHJP
【FI】
A61K39/395 V ZNA
A61K38/08
A61P37/02
A61P13/12
A61P17/00
A61P21/00
A61P17/14
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/573
A61K38/10
C07K16/28
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567897
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 US2022027620
(87)【国際公開番号】W WO2022235758
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/183,886
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/197,789
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/242,768
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/249,953
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/326,424
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520304402
【氏名又は名称】ビエラ バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】リース ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】イレイ ガボール
(72)【発明者】
【氏名】ヤン リ
(72)【発明者】
【氏名】ドラッパ ジョーン
(72)【発明者】
【氏名】ラッチフォード ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハモンド エドワード
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA16
4C084BA17
4C084BA18
4C084DA39
4C084NA14
4C084ZA81
4C084ZA92
4C084ZA94
4C084ZB07
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB31
4C085EE01
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZA92
4C086ZA94
4C086ZB07
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA22
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法であって、免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を投与することを含む、前記方法に関する。本開示はまた、ILT7結合タンパク質をその必要のある対象に投与することによって、前記対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)またはI型インターフェロン遺伝子シグネチャ(IFNGS)を低減する方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法であって、前記方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を前記対象に投与することを含み、前記ILT7結合タンパク質の前記薬学的有効量が、約100~350mgである、前記方法。
【請求項2】
前記自己免疫疾患が、円板状エリテマトーデス(DLE)、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、皮膚筋炎、抗合成酵素炎症性筋炎、及び円形脱毛症からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記自己免疫疾患が、SLEであり、前記薬学的有効量が、約200mgである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記投与することが、
a)前記対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)のレベル、
b)I型インターフェロン遺伝子シグネチャ(IFNGS)、または
c)前記対象の前記組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)及び前記I型IFNGSのレベルであって、その各々が前記投与の前の前記対象のベースラインレベルと比較したものである、前記レベル
を低減するのに有効である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記IFNGSが、SPATS2L、EPSTI1、HERC5、IFI27、IFI44、IFI44L、IFI6、IFIT1、IFIT3、ISG15、LAMP3、LY6E、MX1、OAS1、OAS2、OAS3、PLSCR1、RSAD2、RTP4、SIGLEC1、及びUSP18の集合的発現レベルを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ベースライン値と比較した、前記組織中の前記pDCのレベルの低減が、少なくとも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、または70%である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記自己免疫疾患が、ループス腎炎であり、前記薬学的有効量が、約300mgである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記投与の後、前記対象が、前記投与の前の前記対象のベースラインレベルと比較した糸球体濾過量(eGFR)または24時間尿タンパク質対クレアチニン比(UPCR)の改善のうちの1つ以上によって判定される場合にポジティブな腎応答を達成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記自己免疫疾患が、円板状エリテマトーデス(DLE)であり、前記薬学的有効量が、約150~300mgである、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記投与することが、前記投与の前の前記対象のベースラインレベルと比較して、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数-活動性(CLASI-A)スコア、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数-損傷(CLASI-D)スコア、皮膚ループス活動性医師全般評価(CLA-IGA)スケール、円板状エリテマトーデス分類基準(DLECC)スコア、円板状エリテマトーデスにおける活動性及び損傷のスコア(SADDLE)、新たな円板状病変の発症、病変のサイズ、または円板状病変の色素沈着異常のうちの1つ以上を低減するのに有効である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記自己免疫疾患が、円形脱毛症であり、前記薬学的有効量が、約300mgである、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記投与することが、脱毛症の重症度ツール(SALT)スコアならびに/または脱毛症の密度及び範囲(ALODEX)スコアの安定または低減によって判定される場合に前記対象における脱毛を安定化または低減するのに有効である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ILT7結合タンパク質が、1つ以上の追加の療法とともに投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上の追加の療法が、コルチコステロイドを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記コルチコステロイドが、プレドニゾンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上の追加の療法の実施が漸減する、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記ILT7結合タンパク質の前記薬学的有効量が、約150~300mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ILT7結合タンパク質の前記薬学的有効量が、約200~300mgである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回、または約12週間毎に1回投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ILT7結合タンパク質の前記薬学的有効量が、約300mgであり、前記300mgが、各々150mgの2用量として投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
その必要のある対象において円板状エリテマトーデス(DLE)を治療する方法であって、前記方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を前記対象に投与することを含み、前記ILT7結合タンパク質の前記薬学的有効量が、約100~約300mgである、前記方法。
【請求項22】
その必要のある対象において全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法であって、前記方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を前記対象に投与することを含み、前記ILT7結合タンパク質の前記薬学的有効量が、約200mgからである、前記方法。
【請求項23】
その必要のある対象においてループス腎炎を治療する方法であって、前記方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を前記対象に投与することを含み、前記ILT7結合タンパク質の前記薬学的有効量が、約300mgからである、前記方法。
【請求項24】
その必要のある対象において円形脱毛症を治療する方法であって、前記方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を前記対象に投与することを含み、前記ILT7結合タンパク質の前記薬学的有効量が、約300mgからである、前記方法。
【請求項25】
その必要のある対象において皮膚筋炎を治療する方法であって、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項26】
その必要のある対象において抗合成酵素炎症性筋炎を治療する方法であって、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項27】
前記ILT7結合タンパク質の前記薬学的有効量が、約100mg~約300mgである、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記ILT7結合タンパク質が、
それぞれ、配列番号3、4、5、6、7、及び8のアミノ酸配列を含む、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HDR2、HCDR3、ならびに軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3
を含む抗体である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記ILT7結合タンパク質が、
配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)、及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)
を含む抗体である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ILT7結合タンパク質が、
配列番号1の重鎖可変領域(VH)及び配列番号2の軽鎖可変領域(VL)を含む、抗体
である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ILT7結合タンパク質が、非フコシル化されている、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記ILT7結合タンパク質が、ダクスジリマブ(Daxdilimab)である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記投与が、皮下投与である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記対象が、前記ILT7結合タンパク質を、4週間毎に投与される、請求項21~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記対象が、前記ILT7結合タンパク質を、12週間毎に投与される、請求項21~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記投与の前に、前記対象が、少なくとも1つの初回用量の前記ILT7結合タンパク質を投与される、請求項21~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの初回用量が、2週間毎に1、2、3、4、5用量、またはそれ以上で投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの初回用量が、約100~300mgである、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
その必要のある対象においてループス腎炎を治療する方法であって、前記方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を前記対象に投与することを含み、前記ILT7結合タンパク質の前記薬学的有効量が、最大4週間、2週間毎に約100mg、続いて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15用量、またはそれ以上で4週間毎に100mgである、前記方法。
【請求項40】
前記対象が、12週間毎に100mgの前記ILT7結合タンパク質、または前記4週間毎の投与の後、12週間毎に300mgの前記ILT7結合タンパク質を更に投与される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記100mgを12週間毎、または前記300mgを12週間毎が、少なくとも約104週間継続する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
その必要のある対象においてループス腎炎を治療する方法であって、前記方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を前記対象に投与することを含み、前記ILT7結合タンパク質の前記薬学的有効量が、最大4週間、2週間毎に約300mg、続いて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15用量、またはそれ以上で12週間毎に300mgである、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月4日に出願された米国仮特許出願第63/183,886号、2021年6月7日に出願された米国仮特許出願第63/197,789号、2021年9月10日に出願された米国仮特許出願第63/242,768号、2021年9月29日に出願された米国仮特許出願第63/249,953号、及び2022年4月1日に出願された米国仮特許出願第63/326,424号の優先権を主張し、これらの各々は、あらゆる目的のために、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出されたテキストファイルの説明
本明細書とともに電子的に提出されたテキストファイルの内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる:配列表ファイル名のコンピュータ可読形式のコピー:HOPA_033_05WO_SeqList_ST25.txt、記録日:2022年5月2日、ファイルサイズ12,288バイト。
【0003】
技術分野
本開示は、その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法に関し、本方法は、免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を投与することを含む。
【背景技術】
【0004】
背景
I型インターフェロン(IFN)軸は、ヒト疾患における最も重要な経路の1つであり、その調節不全は、全身性エリテマトーデス(SLE)などの多くの慢性自己免疫疾患の発病の中心をなす。SLE及び他の自己免疫疾患の正確な病因は完全には解決されていないが、環境要因及び遺伝的要因の組み合わせが、細胞デブリの蓄積とともに、高レベルの循環自己反応性抗体を特徴とする末梢免疫寛容の破壊をもたらすと考えられている。現在利用可能な方法は、自己免疫疾患の治療を目的としており、そのような疾患の予防を目的としていない。更に、自己免疫疾患についての従来の治療選択肢には、幅広い副作用と関連する免疫抑制薬が含まれる。したがって、自己免疫疾患を治療及び予防するためのより良い代替治療に対する必要性が存在する。本開示は、これらの必要性に対処する。
【発明の概要】
【0005】
概要
その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法が提供され、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約100~350mgである。態様では、薬学的有効量は、同じ日に1回以上(例えば、1、2、または3回)の投与で投与される。態様では、自己免疫疾患は、円板状エリテマトーデス(DLE)、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、皮膚筋炎、抗合成酵素炎症性筋炎、及び円形脱毛症からなる群から選択される。態様では、自己免疫疾患は、SLEであり、薬学的有効量は、約200mgである。態様では、投与することは、a)対象の組織における形質細胞様樹状細胞(pDC)のレベル、b)I型インターフェロン遺伝子シグネチャ(IFNGS)、またはc)対象の組織における形質細胞様樹状細胞(pDC)及びI型IFNGSのレベルであって、その各々が投与の前の対象のベースラインレベルと比較したものである、レベル、を低減するのに有効である。態様では、IFNGSは、SPATS2L、EPSTI1、HERC5、IFI27、IFI44、IFI44L、IFI6、IFIT1、IFIT3、ISG15、LAMP3、LY6E、MX1、OAS1、OAS2、OAS3、PLSCR1、RSAD2、RTP4、SIGLEC1、及びUSP18の集合的発現レベルを含む。態様では、ベースライン値と比較した、組織中のpDCのレベルの低減は、少なくとも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、または70%である。態様では、自己免疫疾患は、ループス腎炎であり、薬学的有効量は、約300mgである。態様では、投与の後、対象が、投与の前の対象のベースラインレベルと比較した糸球体濾過量(Glomerular Filtration Rate)(eGFR)または24時間尿タンパク質対クレアチニン比(Urine Protein to Creatinine Ratio)(UPCR)の改善のうちの1つ以上によって判定される場合にポジティブな腎応答を達成する。態様では、自己免疫疾患は、円板状エリテマトーデス(DLE)であり、薬学的有効量は、約150~300mgである。態様では、投与することは、以下のうちの1つ以上を低減するのに有効である:投与の前の対象のベースラインレベルと比較した、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数-活動性(CLASI-A)スコア、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数-損傷(CLASI-D)スコア、皮膚ループス活動性医師全般評価(CLA-IGA)スケール、円板状エリテマトーデス分類基準(DLECC)スコア、円板状エリテマトーデスにおける活動性及び損傷のスコア(SADDLE)、新たな円板状病変の発症、病変のサイズ、または円板状病変の色素沈着異常。態様では、自己免疫疾患は、円形脱毛症であり、薬学的有効量は、約300mgである。態様では、投与することは、脱毛症の重症度ツール(SALT)スコアならびに/または脱毛症の密度及び範囲(ALODEX)スコアの安定または低減によって判定される場合に対象における脱毛を安定化または低減するのに有効である。態様では、ILT7結合タンパク質は、1つ以上の追加の療法とともに投与される。態様では、1つ以上の追加の療法は、コルチコステロイドを含む。態様では、コルチコステロイドは、プレドニゾンである。態様では、1つ以上の追加の療法の実施は、漸減する。態様では、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約150~300mgである。態様では、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約200~300mgである。態様では、ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回または約12週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約300mgであり、300mgが、各々150mgの2用量として投与される。
【0006】
その必要のある対象において円板状エリテマトーデス(DLE)を治療する方法が提供され、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約100~約300mgである。
【0007】
その必要のある対象において全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法が提供され、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約200mgからである。
【0008】
その必要のある対象においてループス腎炎を治療する方法が提供され、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約300mgからである。
【0009】
その必要のある対象において円形脱毛症を治療する方法が提供され、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約300mgからである。
【0010】
その必要のある対象において皮膚筋炎を治療する方法が提供され、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含む。
【0011】
その必要のある対象において抗合成酵素炎症性筋炎を治療する方法が提供され、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含む。
【0012】
態様では、提供される治療方法のいずれかのILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約100mg~約300mgである。態様では、ILT7結合タンパク質は、それぞれ、配列番号3、4、5、6、7、及び8のアミノ酸配列を含む、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HDR2、HCDR3、ならびに軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、を含む抗体である。態様では、ILT7結合タンパク質は、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)、及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)、を含む抗体である。態様では、ILT7結合タンパク質は、配列番号1の重鎖可変領域(VH)及び配列番号2の軽鎖可変領域(VL)を含む、抗体である。態様では、ILT7結合タンパク質は、非フコシル化される。態様では、ILT7結合タンパク質は、ダクスジリマブ(Daxdilimab)である。態様では、投与は、皮下投与である。態様では、対象は、4週間毎にILT7結合タンパク質を投与される。態様では、対象は、12週間毎にILT7結合タンパク質を投与される。態様では、投与の前に、対象は、少なくとも1つの初回用量のILT7結合タンパク質を投与される。態様では、少なくとも1つの初回用量は、1、2、3、4、5用量、またはそれ以上について2週間毎に投与される。態様では、少なくとも1つの初回用量は、約100~300mgである。
【0013】
その必要のある対象においてループス腎炎を治療する方法が提供され、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、最大4週間、2週間毎に約100mg、続いて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15用量、またはそれ以上で4週間毎に100mgである。態様では、対象は、12週間毎に100mgのILT7結合タンパク質、または当該4週間毎の投与の後、12週間毎に300mgのILT7結合タンパク質を更に投与される。態様では、100mgを12週間毎、または300mgを12週間毎が、少なくとも約104週間継続する。
【0014】
その必要のある対象においてループス腎炎を治療する方法が提供され、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、2週間毎に約300mg、最大4週間、続いて1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15用量、またはそれ以上で、12週間毎に300mgである。
【0015】
本開示の方法は、その必要のある対象において自己免疫障害を治療するため、その必要のある対象の組織中のpDCを低減するため、及びその必要のある対象においてI型IFNGSを低減するために使用することができる。本開示はまた、その必要のある対象にILT7結合タンパク質を投与することによって、対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減するまたはI型インターフェロン遺伝子シグネチャ(IFNGS)を低減する方法に関する。
【0016】
本開示は、その必要のある対象において自己免疫疾患を治療する方法を提供する。本方法では、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与する。態様では、有効量のILT7結合タンパク質は、約200mgである。態様では、対象は、(a)第1の用量、(b)第1の用量の約4週間後に第2の用量、(c)第1の用量の約12週間後に第3の用量、及び(d)第3の用量の約12週間後にその後の用量を投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回投与される。
【0017】
本開示はまた、その必要のある対象に有効量のILT7結合タンパク質を投与することによって、対象の組織中のpDCを低減する方法を提供する。態様では、有効量のILT7結合タンパク質は、約200mgである。
【0018】
本開示はまた、その必要のある対象においてI型IFNGSを低減するための方法を提供する。本方法では、薬学的有効量のILT7結合タンパク質は、その必要のある対象のI型IFNGSが、正常な対象のI型IFNGSと比較して上昇している場合、その必要のある対象に投与される。ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約200mgである。
【0019】
態様では、本開示は、その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法を提供する。本方法では、薬学的有効量のILT7結合タンパク質を対象に投与する。ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約200mgである。ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与される。加えて、対象は、初回用量の約4週間後に、200mg用量のILT7結合タンパク質を投与される。
【0020】
態様では、本開示は、その必要のある対象の組織中のpDCを低減する方法を提供する。本方法では、薬学的有効量のILT7結合タンパク質を対象に投与する。ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約200mgである。対象は、(a)第1の用量、(b)第1の用量の約4週間後に第2の用量、(c)第1の用量の約12週間後に第3の用量、及び(d)第3の用量の約12週間後にその後の用量を投与される。
【0021】
態様では、本開示は、その必要のある対象の組織中のpDCを低減する方法を提供する。本方法では、薬学的有効量のILT7結合タンパク質を対象に投与する。ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約200mgである。ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回投与される。
【0022】
態様では、本開示は、その必要のある対象の組織中のpDCを低減する方法を提供する。本方法では、薬学的有効量のILT7結合タンパク質を対象に投与する。ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約200mgである。ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与される。加えて、対象は、初回用量の約4週間後に、200mg用量のILT7結合タンパク質を投与される。
【0023】
態様では、本開示は、その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法を提供する。本方法では、薬学的有効量のILT7結合タンパク質を対象に投与する。ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約200mgである。ILT7結合タンパク質は、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)、及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)、を含む抗体である。対象は、(a)第1の用量、(b)第1の用量の約4週間後に第2の用量、(c)第1の用量の約12週間後に第3の用量、及び(d)第3の用量の約12週間後にその後の用量を投与される。
【0024】
態様では、本開示は、その必要のある対象において全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供する。本方法では、薬学的有効量のILT7結合タンパク質を対象に投与する。ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約200mgである。ILT7結合タンパク質は、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるVH、及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるVL、を含む抗体である。対象は、(a)第1の用量、(b)第1の用量の約4週間後に第2の用量、(c)第1の用量の約12週間後に第3の用量、及び(d)第3の用量の約12週間後にその後の用量を投与される。
【0025】
態様では、本開示は、その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法を提供する。本方法では、薬学的有効量のILT7結合タンパク質を対象に投与する。ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約200mgである。ILT7結合タンパク質は、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるVH、及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるVL、を含む抗体である。ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回投与される。
【0026】
態様では、本開示は、その必要のある対象においてSLEを治療する方法を提供する。本方法では、薬学的有効量のILT7結合タンパク質を対象に投与する。ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約200mgである。ILT7結合タンパク質は、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるVH、及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるVL、を含む抗体である。ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回投与される。
【0027】
態様では、本開示は、その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法を提供する。本方法では、薬学的有効量のILT7結合タンパク質を対象に投与する。ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約200mgである。ILT7結合タンパク質は、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるVH、及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるVL、を含む抗体である。ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与される。加えて、対象は、初回用量の約4週間後に、200mg用量のILT7結合タンパク質を投与される。
【0028】
態様では、本開示は、その必要のある対象においてSLEを治療する方法を提供する。本方法では、薬学的有効量のILT7結合タンパク質を対象に投与する。ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約200mgである。ILT7結合タンパク質は、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるVH、及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるVL、を含む抗体である。ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与される。加えて、対象は、初回用量の約4週間後に、200mg用量のILT7結合タンパク質を投与される。
【0029】
態様では、本開示は、その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法を提供する。本方法では、薬学的有効量のILT7結合タンパク質を対象に投与する。ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約200mgである。ILT7結合タンパク質は、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるVH、及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるVL、を含む抗体である。これら及び他の実施形態を以下に記載する。
【0030】
その必要のある対象において円形脱毛症を治療する方法が提供され、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約250mg~350mgである。
【0031】
円形脱毛症を有する対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減する方法が提供され、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約250mg~350mgである。
【0032】
態様では、ILT7結合タンパク質を投与することは、対象における形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減する。態様では、pDCは、循環pDCである。態様では、pDCの低減は、可逆的である。態様では、ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回投与される。
【0033】
その必要のある対象において円形脱毛症を治療する方法が提供され、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約250mg~350mgであり、ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される。
【0034】
円形脱毛症を有する対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減する方法が提供され、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約250mg~350mgであり、ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される。
【0035】
態様では、ベースライン値と比較した、組織中のpDCの低減は、約1%~約99%の範囲である。態様では、ベースライン値と比較した、組織中のpDCの低減は、少なくとも約50%である。態様では、ILT7結合タンパク質は、pDCに対する抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活動性を誘導する。態様では、ILT7結合タンパク質は、pDCからのI型インターフェロン(IFN)の放出を少なくとも抑制する。態様では、I型IFNは、IFNαである。態様では、ILT7結合タンパク質は、ILT7に結合する。態様では、ILT7結合タンパク質は、それぞれ、配列番号3、4、5、6、7、及び8のアミノ酸配列を含む、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HDR2、HCDR3、ならびに軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、を含む抗体である。態様では、ILT7結合タンパク質は、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)、及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)、を含む抗体である。態様では、ILT7結合タンパク質は、配列番号1の重鎖可変領域(VH)及び配列番号2の軽鎖可変領域(VL)を含む、抗体である。態様では、ILT7結合タンパク質は、非フコシル化される。
【0036】
その必要のある対象において円形脱毛症を治療する方法が提供され、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約250mg~350mgであり、ILT7結合タンパク質が、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)、を含む抗体であり、ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される。
【0037】
その必要のある対象において円形脱毛症を治療する方法が提供され、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約250mg~350mgであり、ILT7結合タンパク質が、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)、及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)、を含む抗体である。
【0038】
態様では、ILT7結合タンパク質は、1つ以上の追加の療法とともに投与される。態様では、1つ以上の追加の療法のうちの1つは、標準治療(standard of care)療法である。態様では、ILT7結合タンパク質は、皮下投与される。態様では、投与することは、脱毛症の重症度ツール(SALT)スコアならびに/または脱毛症の密度及び範囲(ALODEX)スコアの安定または低減によって判定される場合に対象における脱毛を安定化または低減するのに有効である。態様では、ILT7結合タンパク質は、円形脱毛症を有するマウスに投与され、投与することは、マウスの毛包を含む生検において、免疫組織化学によって判定される場合に1型インターフェロン誘導性ミクソウイルスタンパク質A(MxA)のレベルを低減するのに有効である。態様では、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約300mgである。態様では、300mg量は、同じ日に投与される、各々150mgの2回の別個の用量として投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、ダクスジリマブである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、唯一または排他的ではないが、いくつかの例示的な実施形態及び/または特徴を示す。本明細書に開示される実施形態及び図は、限定的ではなく例示的であるとみなされることが意図される。
図1】全体的な試験設計を示す。COVID-19:コロナウイルス感染症2019、OGC:経口グルココルチコイド、Q4W:4週間毎、Q12W:12週間毎、SC:皮下(皮下に)、SLE:全身性エリテマトーデス、SLEDAI-2K:SLE疾患活動性指数2000、W:週。
図2】実施例2の臨床試験図を示す。
図3】例示的な経口グルココルチコイド漸減スケジュールを示す。
図4】実施例3の例示的な試験図を描示する。
図5】Olsen EA et al.,Alopecia areata investigational assessment guidelines--Part II.National Alopecia Areata Foundation.J Am Acad Dermatol.2004;51(3):440-447からの脱毛症の重症度ツール(SALT)評価ツールを示す。
図6】Olsen EA et al.,SALT II:A new take on the Severity of Alopecia Tool(SALT)for determining percentage scalp hair loss.J Am Acad Dermatol.2016;75(6):1268-1270及びOlsen EA et al.,Objective outcome measures:Collecting meaningful data on alopecia areata.J Am Acad Dermatol.2018;79(3):470-478 e473からの脱毛症の密度及び範囲(ALODEX)評価ツールを示す。
図7】実施例4の全体的な試験設計を示す。CRR:完全腎応答、D:日、IP:試験薬、MMF:ミコフェノール酸モフェチル、MPA:ミコフェノール酸、OCS:経口コルチコステロイド、PRR:部分腎応答、Q4W:4週間毎に1回、Q12W:12週間毎に1回、SC:皮下、SFU:安全性フォローアップ、SOC:標準治療、W:週。
図8】実施例5の全体的な試験設計を示す。LTE:長期延長、N:総人口、Q4W:4週間毎に1回、SC:皮下、SFU:安全性フォローアップ、W:週。
【発明を実施するための形態】
【0040】
詳細な説明
本開示は、ILT7結合タンパク質を用いて対象における自己免疫障害を治療するための方法を提供する。特定の態様では、ILT-7結合タンパク質は、200mgの用量で投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回投与される。他の態様では、ILT-7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与される。態様では、本方法は、その必要のある対象において自己免疫障害を治療することを提供し、対象は、高い血中I型インターフェロン遺伝子シグネチャ(IFNGS)レベルを有すると判定される。本開示はまた、その必要のある対象においてIFNGSを低減するための方法を提供する。態様では、ILT7結合タンパク質は、I型IFNGSが、正常な対象におけるI型IFNGSと比較して、対象において上昇している場合、対象に投与される。態様では、例えば、ILT7結合タンパク質は、正常な対象におけるI型IFNGSと比較して、ベースラインI型IFNGSが上昇している対象に投与される。特定の態様では、ILT7結合タンパク質は、抗体である。態様では、抗体は、ダクスジリマブである。
【0041】
特定の疾患(例えば、自己免疫疾患)では、活性化されたpDCは、かなりの量のI型及びIII型インターフェロン(IFN)を分泌する。I型IFNは、免疫系を調節するのに役立つIFNタンパク質の大きいグループである。哺乳動物のIFNは、IFNα、IFNβ、IFNω、IFNε、IFNκ、IFNτ、IFNδ、IFNζ、及びIFNυと称される。態様では、I型IFNGSを生成するI型IFNは、IFNαである。I型IFNのタンパク質レベルは、信頼できる方式で直接測定することはできないが、IFN誘導性遺伝子の測定は、1型IFNタンパク質レベルに対する堅牢な代替物として機能する。これらのI型IFN誘導性遺伝子の発現レベルは、生体試料(例えば、血液、皮膚、骨格筋など)で測定することができ、「I型インターフェロン遺伝子シグネチャ」、または「I型IFNGS」、または「IFNGS」と称される複合結果として分析することができる。
【0042】
定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本主題が属する当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によってそれらの全体が明確に組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含めて本明細書が優先する。加えて、本明細書に記載の材料、方法、及び実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0043】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈により別様に明確に示されない限り、複数形の指示対象を含む。
【0044】
本明細書では、範囲は、「約」ある特定の値から、及び/または「約」別の特定の値まで、のように表現され得る。そのような範囲が表現される場合、別の態様は、1つの特定の値から及び/または他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」の使用によって値が近似値として表現される場合、特定の値は別の態様を形成することが理解される。範囲の各々のエンドポイントは、他のエンドポイントと関連して、及び他のエンドポイントとは独立して、両方とも重要であることが更に理解されよう。本明細書で使用される「約」という用語は、特定の使用の文脈内で記載された数値から15%プラスまたはマイナスである範囲を指す。例えば、約10は、8.5~11.5の範囲を含む。「約」という用語はまた、値の測定における典型的な誤差または不正確さを説明する。
【0045】
核酸配列またはタンパク質配列を指す場合、「同一性」という用語は、2つの配列間の類似性を示すために使用される。別段の指示がない限り、本明細書に記載のパーセント同一性は、デフォルトのパラメータを使用して、ワールドワイドウェブアドレス:blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiで利用可能なBLASTアルゴリズムを使用して決定される。
【0046】
「試験生体試料」とは、自己免疫障害などの疾患または状態に罹患している、罹患している可能性が高い、もしくは罹患していると疑われる個体から、及び/または限定されないがI型IFNGSの上昇など、その1つ以上の症状を示す個体から得られる任意の生体試料を意図している。
【0047】
「正常な生体試料」とは、正常な対象から得られた任意の生体試料を意図している。
【0048】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、診断、予後、または療法が望まれる任意の個体(例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物)を指す。「対象」という用語は、疾患(例えば、自己免疫疾患)または状態に罹患しているか、罹患する可能性が高いか、または罹患していると疑われるヒトもしくは非ヒト哺乳動物を意味し得る。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用される。本明細書に提供されるILT7結合タンパク質組成物は、主に、ヒトへの投与に好適である組成物を対象としているが、かかる組成物が、一般に、あらゆる種類の対象への投与に好適であることを当業者は理解するであろう。態様では、対象は、哺乳動物である。哺乳動物としては、霊長類(例えば、ヒト、サル、チンパンジー、及び類人猿)、ならびに非霊長類(例えば、実験動物(例えば、ウサギ及びげっ歯類(モルモット、ラット、またはマウスなど))及び家庭用ペット及び家畜(例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ)を含む家畜)、ならびに野生動物、鳥、爬虫類、魚などの非家畜)が挙げられる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「その必要のある対象」という用語は、本明細書に記載の方法から利益を得ることができるまたは利益を得るであろう対象を含む。治療を必要としている対象には、既に状態または障害を有する者、状態または障害にかかりやすい者、状態または障害が疑われる者、ならびに状態もしくは障害を予防、改善、または逆転させる必要がある者が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書で使用される場合、「正常な対象」という用語は、疾患に罹患していないか、または疾患もしくは状態に罹患している疑いがない、任意の健康な個体(例えばヒトまたは非ヒト哺乳動物)を指す。「正常な対象」という用語は、I型IFNGSの上昇などの自己免疫障害と関連する任意の症状を示す前の個体(例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物)を指す。正常な対象は、対象がI型IFNGSの上昇などの自己免疫疾患の任意の症状を示す前に、治療を必要とする対象と同じ対象であり得るが、これらに限定されない。他の態様では、正常な対象及び治療を必要とする対象は、2つの異なる個体である。
【0051】
本明細書で使用される場合、「治療すること」または「治療する」とは、疾患、状態、もしくは障害と闘うことを目的とした対象の管理及びケアを説明し、疾患、状態、もしくは障害の症状または合併症を緩和するために、または疾患、状態、もしくは障害を排除するために、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の投与を含む。したがって、「治療する」または「治療すること」という用語は、治療手段及び予防もしくは防止手段の両方を指し、その目的は、疾患(例えば、自己免疫疾患)の進行を予防、減速(軽減)、または改善することである。有益なまたは所望の臨床結果としては、限定されないが、症状の緩和、疾患の程度の減少、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患の進行の遅延または減速、疾患の状態の改善または緩和、及び疾患の逆転(部分的または全体的)が挙げられる。「治療する」という用語はまた、インビトロでの細胞または動物モデルの治療を含むことができる。
【0052】
態様では、治療は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を、その必要のある対象もしくはその治療が必要であると疑われる対象に、適用もしくは投与すること、または本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を、対象が疾患、疾患の症状、もしくは疾患(例えば、自己免疫疾患)に対する素因を有する対象から単離された組織もしくは細胞株に適用または投与することを含む。正式な診断が確認されていなくても、対象が過剰なpDC数もしくは活動性によって状態または疾患の症状を示している場合、対象は、本明細書に記載の治療が必要であると疑われ得る。態様では、治療が必要であると疑われる対象は、高いベースライン血中I型IFNGSレベルを有する。他の態様では、治療はまた、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を含む薬学的組成物を、その必要のある対象もしくはその治療が必要であると疑われる対象に適用もしくは投与すること、または本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を含む薬学的組成物を、疾患、疾患の症状、もしくは疾患(例えば、自己免疫疾患)に対する素因を有する対象から単離された組織または細胞株に適用または投与することを含むことも意図される。
【0053】
「低減する」、「低減すること」、または「低減」という用語は、初期値と比較して、程度、レベル、量、活動性、または程度が減少することを意味する。低減は、ある値から次の値と比べて統計的に有意である必要はない。
【0054】
本明細書で使用される場合、「pDCの低減」または「pDCを低減すること」という用語は、対象もしくは対象から採取された生体試料(例えば、血液及び/または他の組織(皮膚細胞、皮膚生検試料など))中の活性化pDCのレベルの減少、対象もしくは対象から採取された生体試料中のpDCの総数のレベルの減少、またはその両方を指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、「高い」または「上昇した」という用語は、I型IFNGSと併せて使用される場合、I型IFNGSが、正常なI型IFNGSと比較して、少なくとも約1.1~約1000の倍率変化であることを意味する。「正常なI型IFNGS」とは、正常な対象から得られたI型IFNGSを意図している。「高い」または「上昇した」という用語は、I型IFNGSと併せて使用される場合、互換的に使用される。態様では、本明細書に記載の方法で使用されるI型IFNGSが、正常な対象におけるI型IFNGSと比較して、少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、または100倍である場合、I型IFNGSは、「高い」または「上昇している」。態様では、本明細書に記載の治療方法は、I型IFNGSが、正常なI型IFNGSと比較して、少なくとも約4倍上昇している場合に適用される。
【0056】
「投与する」、「投与」、「投与すること」などの用語は、例えば、対象、細胞、組織、臓器、または生体試料に適用される場合、対象、細胞、組織、臓器、または生体試料との化合物または試薬の接触を指す。細胞の文脈では、投与は、細胞との試薬の接触(例えば、インビトロまたはエクスビボ)、ならびに流体が細胞と接触している流体との試薬の接触を含む。本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質は、当該技術分野で既知の様々な経路を介して対象に投与され得る。本明細書に記載の方法に使用されるILT7結合タンパク質の例示的な投与経路には、非経口、経口、粘膜、局所、経皮、吸入、舌下、頬側、直腸、膣、及び鼻腔内が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される非経口という用語には、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入技術が含まれる。態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質は、静脈内投与される。態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質は、皮下注射によって投与される。「投与する」、「投与」、または「投与すること」という用語は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の単回投与もしくは複数回投与を含み得る。例えば、複数回投与は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の対象への少なくとも2回(すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9、10回、またはそれ以上)の投与を伴う。
【0057】
化合物(例えば、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質)の「治療有効量」、または「薬学的有効量」、または「有効量」は、対象において所望の予防、治療、もしくは緩和応答を生み出すのに十分である量、または統計的に有意な様式で疾患もしくは状態の1つ以上の症状の予防もしくは緩和をもたらすのに十分である量を指す。単独で投与される個々の活性成分を指す場合、治療有効量は、その成分単独を指す。組み合わせを指す場合、治療有効量は、連続的にまたは同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分の組み合わせた量を指す。本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質が、プラセボと比較して、処方または指示されたように使用される場合、医学的に有益な効果を発揮することができる(例えば、その必要のある対象において、I型IFNGSの上昇の低減及び/またはpDCの低減を引き起こす)ことを意味する。治療有効量は、投与される対象の種及び体重に応じて変化するが、標準的な技術を使用して確認することができる。
【0058】
免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質
一般に、「ILT7結合タンパク質」、「ILT7結合分子」、及び「本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質」という用語は、免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)に特異的に結合するタンパク質または分子を指すために互換的に使用される。タンパク質及びペプチドという用語は、本明細書では互換的に使用することができる。態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質は、全長ILT7に結合する。態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質は、ILT7の断片に結合する。態様では、ILT7結合タンパク質が結合するILT7の断片は、ILT7の細胞外ドメインを含む。
【0059】
態様では、本明細書に開示される方法で使用されるILT7結合タンパク質は、任意の哺乳動物のILT7に結合する。態様では、本明細書に開示される方法で使用されるILT7結合タンパク質は、ヒトILT7またはその断片(例えば、ヒトILT7の細胞外部分)に結合する。他の態様では、本明細書に開示される方法で使用されるILT7結合タンパク質は、カニクイザルILT7またはその断片(例えば、カニクイザルILT7の細胞外部分)に結合する。態様では、ILT7結合タンパク質は、ILT7のIg1領域に結合する。態様では、ILT7結合タンパク質は、ILT7のIg2領域に結合する。態様では、ILT7結合タンパク質は、ヒト及びカニクイザルILT7に結合する。
【0060】
態様では、ILT7結合タンパク質は、抗体またはその抗原結合断片を含む。態様では、抗体またはその抗原結合断片は、非フコシル化される。
【0061】
ILT7は、ヒト及び非ヒト霊長類における形質細胞様樹状細胞(pDC)に固有の細胞表面タンパク質である。ILT7結合タンパク質、それを含む組成物、及びそれを使用する方法が提供される。態様では、組成物は、有効量の抗ILT7結合タンパク質を含み得る。
【0062】
ILT7結合タンパク質の例は、PCT公開第WO2017/156298号、米国特許第US8084585B2号、PCT公開第WO2021/113702号に開示及び記載されており、これらは全て、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。態様では、ILT7結合タンパク質が結合するILT7は、pDC上に位置する。態様では、PCT公開第WO2017/156298号におけるクローンILT70137が提供され、以下の表1に更に記載されている。態様では、抗ILT7結合タンパク質は、表1の配列のうちのいずれか1つと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を含む配列を含む。態様では、抗ILT7結合タンパク質は、表1の配列のうちのいずれか1つを含む。ダクスジリマブは、配列番号1の重鎖可変領域(VH)及び配列番号2の軽鎖可変領域(VL)を含む、抗体である。VIB7734及びHZN7734は、ダクスジリマブを参照する。
【0063】
(表1)例示的な抗ILT7 mAb配列
【0064】
態様では、ILT7結合タンパク質は、それぞれ、配列番号1及び配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のVH及びVLを含む。態様では、ILT7結合タンパク質のVH及びVLは、それぞれ、配列番号1及び配列番号2を含む。態様では、ILT7結合タンパク質のVH及びVLは、それぞれ、配列番号1及び/または配列番号2と少なくとも約85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有する配列を含む。態様では、単離されたILT7結合タンパク質は、それぞれ、配列番号1及び配列番号2からなる群から選択されるVH及びVLを含む抗体と同じILT7エピトープに結合することができるILT7結合タンパク質である。態様では、単離されたILT7結合タンパク質は、それぞれ、配列番号1及び配列番号2からなる群から選択されるVH及びVLを含む抗体のILT7への結合を競合的に阻害するILT7結合タンパク質である。態様では、単離されたILT7結合タンパク質は、配列番号1を含むVHを含む。態様では、ILT7結合タンパク質は、配列番号1と少なくとも約85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する配列を含むVHを含む。
【0065】
態様では、単離されたILT7結合タンパク質は、配列番号2を含むVLを含む。態様では、ILT7結合タンパク質は、配列番号2と少なくとも約85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する配列を含むVLを含む。
【0066】
態様では、単離されたILT7結合タンパク質は、それぞれ、配列番号3~8からなる群から選択されるCDR:HCDR1、HDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むILT7結合タンパク質である。態様では、単離されたILT7結合タンパク質は、少なくとも1~2、2~3、または2~4つの残基修飾を有する、それぞれ、配列番号3~8からなる群から選択されるCDR:HCDR1、HDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むILT7結合タンパク質である。
【0067】
態様では、ILT7結合タンパク質は、配列番号1と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一のVH、及び/または配列番号2と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一のVLを含むか、またはそれらからなる。態様では、単離されたILT7結合タンパク質は、それぞれ、配列番号3~8の配列を含む相補性決定領域(CDR)HCDR1、HDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むILT7結合タンパク質である。
【0068】
態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質は、それぞれ、配列番号3、4、5、6、7、及び8のアミノ酸配列を有する、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HDR2、HCDR3、ならびに軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。他の態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質は、それぞれ、配列番号3、4、5、6、7、及び8と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HDR2、HCDR3、ならびに軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0069】
態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質は、配列番号9の重鎖を含む。他の態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質は、配列番号10の軽鎖を含む。態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質は、配列番号9の重鎖、及び配列番号10の軽鎖を含む。他の態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質は、配列番号9と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である重鎖、及び/または配列番号10と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である軽鎖を含む。
【0070】
態様では、ILT7結合タンパク質は、配列番号1を含むVH、及び配列番号2を含むVLを含む。態様では、単離されたILT7結合タンパク質は、配列番号1を含むVHを含むILT7結合タンパク質である。態様では、単離されたILT7結合タンパク質は、配列番号2を含むVLを含むILT7結合タンパク質である。態様では、ILT7結合タンパク質は、配列番号9及び/または配列番号10と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有する配列を含む。態様では、ILT7結合タンパク質は、配列番号9及び/または配列番号10を含むかまたはそれからなる。態様では、ILT7結合タンパク質は、ヒト免疫グロブリン(Ig)G1ラムダ(IgG1λ)非フコシル化モノクローナル抗体(mAb)である、ダクスジリマブである。ダクスジリマブは、pDCの表面上でILT7に結合し、マクロファージ及びナチュラルキラー(NK)細胞の動員をもたらし、したがって、インビボでのpDCのアポトーシス及び枯渇を誘導する。ダクスジリマブの非フコシル化は、pDCに対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)に対するダクスジリマブの効力を増強するように設計される。pDCは、核酸含有免疫複合体に応答してI型インターフェロン(IFN)を分泌する主要な細胞型であるため、pDCの枯渇は、異常に高いレベルのI型IFNによって部分的に駆動される自己免疫疾患(例えば、脱毛症)を有する対象の疾患活動性を低減すると仮定される。
【0071】
態様では、ILT7結合タンパク質は、PMBCにおける形質細胞様樹状細胞(pDC)に対するADCC活動性を有する。
【0072】
態様では、ILT7結合タンパク質は、マウス、ヒト、キメラ、ヒト化、もしくは再表面化抗体、またはその抗原結合断片を含む。態様では、ILT7結合タンパク質は、抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、一本鎖FvもしくはscFv、ジスルフィド結合Fv、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH2、ミニボディ、F(ab’)3、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、単一ドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb2、(scFv)2、またはscFv-Fcを含む。態様では、ILT7結合タンパク質は、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片を含む。態様では、ILT7結合タンパク質は、ダクスジリマブを含む。態様では、ILT7結合タンパク質は、ダクスジリマブである。
【0073】
態様では、ILT7結合タンパク質は、以下からなる群から選択される重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む:(a)IgA定常ドメイン、(b)IgD定常ドメイン、(c)IgE定常ドメイン、(d)IgG1定常ドメイン、(e)IgG2定常ドメイン、(f)IgG3定常ドメイン、(g)IgG4定常ドメイン、及び(h)IgM定常ドメイン。態様では、ILT7結合タンパク質は、以下からなる群から選択される軽鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む:(a)Igカッパ定常ドメイン、及び(b)Igラムダ定常ドメイン。態様では、ILT7結合タンパク質は、ヒトIgG1定常ドメイン及びヒトラムダ定常ドメインを含む。
【0074】
態様では、本明細書において、ILT7結合分子を産生する宿主細胞が提供される。
【0075】
態様では、本明細書において、VHをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドが提供され、VHが、配列番号1のVHと少なくとも85%、90%、95%同一、または同一のアミノ酸配列を含む。
【0076】
態様では、本明細書において、VLをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドが提供され、VLが、配列番号2のVLと少なくとも85%、90%、95%同一、または同一のアミノ酸配列を含む。
【0077】
態様では、核酸は、対照配列に作動可能に連結されている。態様では、核酸によってコードされるVHまたはVLを含む抗体またはその抗原結合断片は、ILT7に特異的に結合することができる。
【0078】
態様では、ポリヌクレオチドは、本明細書に提供されるILT7結合分子をコードする。
【0079】
態様では、本明細書において、ポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。
【0080】
態様では、本明細書において、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドが提供される。
【0081】
態様では、本明細書において、本明細書に提供されるポリヌクレオチド(例えば、VHをコードする核酸を含むポリヌクレオチド及びVLをコードする核酸を含むポリヌクレオチド)で形質転換された宿主細胞が提供される。
【0082】
態様では、本明細書において、本明細書に提供されるポリヌクレオチド(例えば、VHをコードする核酸を含むポリヌクレオチド及びVLをコードする核酸を含むポリヌクレオチド)、本明細書に提供されるベクター、または本明細書に提供されるポリペプチドを含む宿主細胞が提供される。態様では、宿主細胞は、哺乳動物宿主細胞である。態様では、宿主細胞は、NS0マウス骨髄腫細胞、PER.C6(登録商標)ヒト細胞、またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。態様では、宿主細胞は、酵素α-1,6-フコシルトランスフェラーゼを欠く。
【0083】
態様では、本明細書に記載の方法に使用されるILT7結合タンパク質は、フコース部分を含有してもよく、またはそれらが非フコシル化されていてもよい。
【0084】
自己免疫疾患
態様では、自己免疫疾患は、本明細書に提供されるILT7結合タンパク質のうちのいずれかで予防または治療され得る。
【0085】
自己免疫性疾患の例としては、全身性エリテマトーデス(SLE)、円板状エリテマトーデス(DLE)、ループス腎炎、皮膚エリテマトーデス(CLE)、シェーグレン症候群、炎症性筋炎、皮膚筋炎、抗合成酵素炎症性筋炎(ASIM)、封入体筋炎、若年性筋炎及び多発性筋炎、全身性硬化症、糖尿病、橋本病、自己免疫性副腎不全、真正赤血球性貧血、多発性硬化症、リウマチ性心炎、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、慢性炎症、慢性関節リウマチ、白斑、円形脱毛症、化膿性汗腺炎、セリアック病、急性及び慢性移植片対宿主病(GVHD)、血管炎症症、心筋梗塞、ならびに1型インターフェロン症が挙げられるが、これらに限定されない。態様では、対象は、1型IFNGSの上昇を示す。
【0086】
態様では、自己免疫疾患は、SLEである。更なる態様では、自己免疫疾患は、CLEである。態様では、自己免疫疾患は、ループスである。態様では、ループスは、円板状エリテマトーデス(DLE)ではない。態様では、ループスは、DLEである。態様では、自己免疫障害は、原発性DLEである。態様では、DLEを有する対象は、全身性ループスを有しない。態様では、DLEは、他の治療に対して難治性である。態様では、DLEを有する対象は、以前に、局所ステロイド、病巣内ステロイド、抗マラリア薬、タクロリムス、サリドマイド、局所タクロリムス、アザチオプリン、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、及びアシトレチンからなる群から選択される1つ以上の療法で治療されている。
【0087】
態様では、自己免疫疾患は、円板状エリテマトーデス(DLE)である。円板状エリテマトーデスは、一般に、円板状の丸い病変として、主に頭皮、顔、及び耳に現れ、しばしば赤く、鱗状で、厚い。時間が経つにつれて、これらは瘢痕性の不可逆的な脱毛、及び皮膚の変色を引き起こす可能性がある。ヒドロキシクロロキンを除いて、DLEの治療に承認された療法はなく、現在の管理は、サリドマイドのような承認されていない全身療法、及び局所ステロイドまたはカルシニューリン阻害剤による局所療法で構成されている。更に、DLEは、対象の約30%で生じると推定されている現在の標準治療に応答せず、治療することが最も困難な皮膚症状のままである。原発性DLE病変は、増加した数のpDCを含むことが知られており、これは、I型IFNの産生の上昇を示している。DLE対象の血液中のインターフェロン遺伝子の発現スコアも、健康な対照と比較して、大幅に上昇している。更に、pDCは、ヒト及び非ヒト霊長類におけるpDCに固有の細胞表面タンパク質である免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)を発現する。
【0088】
態様では、自己免疫疾患は、シェーグレン症候群である。態様では、自己免疫疾患は、皮膚筋炎である。態様では、自己免疫疾患は、皮膚筋炎である。態様では、自己免疫疾患は、抗合成酵素炎症性筋炎である。態様では、自己免疫疾患は、多発性筋炎である。態様では、自己免疫疾患は、全身性硬化症である。態様では、自己免疫疾患は、化膿性汗腺炎である。態様では、自己免疫疾患は、白斑である。
【0089】
態様では、自己免疫疾患は、円形脱毛症である。円形脱毛症は、明確に定義された領域における一過性の非瘢痕性脱毛を特徴とする急性発症自己免疫障害である。これは、アンドロゲン型に次いで2番目に最も一般的な脱毛症である。脱毛の程度は、3つの主要なAA形態、すなわち斑状AA、全頭脱毛症(全ての頭皮の毛髪の喪失)、及び全身性脱毛症(全ての体毛の喪失)が定義される。斑状AAが最も一般的な形式である。臨床的には、AAの斑は、通常、完全に脱毛し、滑らかであり、円形または楕円形である。病変の周辺では、特にAAの急性期に、4mm未満の短い感嘆符毛及び黒い点が一般的に観察される。頭皮、ひげの領域、眉毛が最も一般的に関与しているが、毛のあるどの領域も影響を受ける可能性がある。態様では、脱毛症は、毛包を破壊しない。
【0090】
感嘆毛及び禿領域は、毛包周期の阻害によって引き起こされる可能性があり、これは、毛包の免疫特権の喪失及びCD8+T細胞及びTh1サイトカインによる成長期毛包の球状領域のその後の自己免疫攻撃から始まる脱毛症の病態生理学的プロセスの最終結果の1つを表す。ゲノムワイドの関連研究により、ヒト白血球抗原(HLA)領域遺伝子及び他の免疫機能遺伝子が、円形脱毛症と関連していることが特定された。態様では、CD8+NKG2D+T細胞は、AA発症のエフェクターである。エフェクターCD8T細胞は、上皮細胞上のMHCI及びNKG2DLの発現によって活性化され、IFNgを介してその細胞傷害効果を発揮することができる。加えて、CD4T細胞及びNK細胞はまた、罹患した対象の上皮細胞の周りに存在し、IFNgを含む多数の炎症誘発性サイトカインを分泌することができる。態様では、病変周囲及び病変内のNK及びT細胞の動員及び活性化は、pDC及び/またはI型IFNによって引き起こされ得る。
【0091】
態様では、自己免疫疾患は、皮膚筋炎である。態様では、皮膚筋炎を有する対象は、皮膚発疹、筋力低下、嚥下障害、疲労、鱗状皮膚、カルシウム沈着、炎症、及びそれらの組み合わせを含む。
【0092】
態様では、自己免疫疾患は、抗合成酵素炎症性筋炎である。態様では、症状は、筋肉の炎症(筋炎)、いくつかの関節の炎症(多発性関節炎)、間質性肺疾患、手の皮膚の肥厚及びひび割れ、ならびに指またはつま先が寒さに応答してしびれるかまたは刺すような感覚があるレイノー現象と呼ばれる状態を含む。罹患した対象はまた、倦怠感、原因不明の発熱、及び意図しない体重減少などの非特異的な症状を有する。
【0093】
態様では、自己免疫疾患は、ループス腎炎(LN)である。LNは、SLEの最も一般的な主要な器官の症状である。LNは、ループス患者の約31~60%が罹患し、アフリカ系アメリカ人、アジア人、ヒスパニック系などの特定の民族でより一般的である。LNは、ループス自己抗体が老廃物を濾過する腎臓の構造に影響を及ぼすときに発生する。これは腎臓の炎症を引き起こし、血尿、尿タンパク質、高血圧、腎機能障害、または更に腎不全につながる可能性がある。
【0094】
態様では、本明細書に記載の自己免疫疾患を有する対象は、自己免疫疾患を有しないその他は同等の対象または自己免疫疾患と診断された前の同じ対象と比較して、インターフェロンレベルの増加を含む。例えば、中等度から重度のSLEでは、対象の約80%がIFNであり、中等度から重度の皮膚筋炎陽性対象、抗合成酵素筋炎陽性対象、及びループス腎炎陽性対象の更に高い割合がIFNである。しかしながら、おそらくシェーグレン症候群患者の約半数のみがIFNであり、RAの場合は約15%のみであり得る。したがって、これらの様々な疾患には、IFNである患者のサブグループが存在する。態様では、自己免疫疾患を有する対象の大部分は、IFNを含む。
【0095】
方法
ILT7結合タンパク質を含む方法が提供される。態様では、方法は、治療方法においてILT7結合タンパク質を使用することを含む。態様では、治療方法は、自己免疫疾患を有する対象にILT7結合タンパク質を投与することを含む。態様では、方法は、インビトロアッセイによって判定される場合にIFNである自己免疫疾患を有する対象を治療することを含み、治療することは、本開示のILT7結合タンパク質の投与を含む。
【0096】
理論に束縛される必要はないが、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質は、形質細胞様樹状細胞(pDC)に対する抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活動性を誘導し、それによって、pDCを枯渇させる。態様では、ILT7結合タンパク質媒介性ADCCは、循環pDCの低減を引き起こす。態様では、ILT7結合タンパク質媒介性ADCCは、局所pDCまたは組織pDCの低減を引き起こす。態様では、pDCSが低減される組織としては、皮膚細胞、皮膚生検試料、腎臓細胞、肺細胞、肝臓細胞、心臓細胞、脳細胞、神経組織、甲状腺細胞、眼細胞、骨格筋細胞、軟骨、骨組織、及び気道流路由来の細胞が挙げられるが、これらに限定されない。態様では、組織は、皮膚生検試料である。より具体的な態様では、ILT7結合タンパク質を投与することは、皮膚pDCの低減を引き起こす。態様では、pDCSが低減される組織には、頭皮、眉毛、爪、及びまつ毛が含まれるが、これらに限定されない。態様では、組織は、頭皮生検試料である。態様では、ILT7結合タンパク質を投与することは、毛包を含む組織中のpDCの低減を引き起こす。
【0097】
通常、pDCは、皮膚組織に存在せず、未成熟のpDCは、典型的には、血液、胸腺リンパ組織、扁桃及び肺組織にのみ見られる。したがって、皮膚生検試料中のpDCの存在は、pDCが皮膚に動員される異常な状態を示す。したがって、本開示の方法は、対象の皮膚中のpDCの存在によって特徴付けられる状態の治療を必要とする対象にILT7結合タンパク質を投与することを含む。本開示の方法は、治療を必要とする対象にILT7結合タンパク質を投与することによって、対象の皮膚中のpDCのレベルを低減することを含む。
【0098】
態様では、皮膚(例えば、頭皮)生検試料中のpDCの存在は、pDCが皮膚に動員されている異常な状態を示す。したがって、本開示の方法は、対象の皮膚中のpDCの存在によって特徴付けられる状態の治療を必要とする対象にILT7結合タンパク質を投与することを含む。特定の態様では、pDCは、対象の毛包に位置する。態様では、pDCは、毛包の底に位置する。本開示の方法は、治療を必要とする対象にILT7結合タンパク質を投与することによって、対象の皮膚中のpDCのレベルを低減することを含む。
【0099】
態様では、対象は、治療前の皮膚組織中のpDCが上昇しているかまたは高レベルである。態様では、治療前の皮膚組織中のpDCレベルが高い対象は、治療により応答する。態様では、皮膚組織中の高いpDCレベルを有する対象は、少なくとも約50pDC/mmの皮膚組織、少なくとも約60pDC/mmの皮膚組織、少なくとも約70pDC/mmの皮膚組織、少なくとも約80pDC/mmの皮膚組織、少なくとも約90pDC/mmの皮膚組織、少なくとも約100pDC/mmの皮膚組織、少なくとも約110pDC/mmの皮膚組織、少なくとも約120pDC/mmの皮膚組織、少なくとも約125pDC/mmの皮膚組織、少なくとも約150pDC/mmの皮膚組織、少なくとも約175pDC/mmの皮膚組織、少なくとも約200pDC/mmの皮膚組織、またはそれ以上を有する。態様では、皮膚組織中の低いpDCレベルは、皮膚組織の≦10pDC/mmとみなされる。態様では、皮膚組織における高いpDCレベルは、少なくとも約100pDC/mmの皮膚組織とみなされる。
【0100】
態様では、本開示の方法は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を投与して、pDCの位置に関係なく、pDCからのI型IFNの放出を抑制することを含む。他の態様では、本開示の方法は、ILT7結合タンパク質を投与して、血液中または循環中のpDCからのI型IFNの放出を抑制することを含む。他の態様では、本開示の方法は、ILT7結合タンパク質を投与して、局所pDCからのI型IFNの放出を抑制することを含む。他の態様では、本開示の方法は、ILT7結合タンパク質を投与して、対象の皮膚中のpDCからのI型IFNの放出を抑制することを含む。態様では、その放出で抑制されるI型IFNは、IFNαである。態様では、pDCからのI型IFNの放出のILT7結合タンパク質媒介性抑制は、I型IFNGSの低減を引き起こす。
【0101】
態様では、自己免疫疾患が脱毛症である場合、治療は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を、その必要のある対象もしくはその治療が必要であると疑われる対象に適用もしくは投与すること、または本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を、単離された組織(例えば、頭皮、眉毛、爪、及び/またはまつ毛)に適用もしくは投与することを含み、対象が、疾患、疾患の症状、または疾患(例えば、円形脱毛症)に対する素因を有する。正式な診断が確認されていなくても、対象が過剰なpDC数または活動性によって状態または疾患の症状を示している場合、対象は、本明細書に記載の治療が必要であると疑われ得る。態様では、治療を必要とする対象は、治療を必要としないかまたはそうでなければ健康である、その他は同等の対象と比較して、高いベースライン血中I型IFNGレベルを有する。態様では、治療はまた、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を含む薬学的組成物を、その必要のある対象もしくはその治療が必要であると疑われる対象に適用もしくは投与すること、または本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を含む薬学的組成物を、疾患、疾患の症状、もしくは疾患(例えば、円形脱毛症)に対する素因を有する対象から単離された組織または細胞株に適用または投与することを含むことも意図される。態様では、治療は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を、その必要のある対象もしくはその治療が必要であると疑われる対象に適用もしくは投与すること、または本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を、単離された組織(例えば、頭皮、眉毛、爪、及び/またはまつ毛)に適用もしくは投与することを含み、対象が、疾患、疾患の症状、または疾患(例えば、円形脱毛症)に対する素因を有する。正式な診断が確認されていなくても、対象が過剰なpDC数または活動性によって状態または疾患の症状を示している場合、対象は、本明細書に記載の治療が必要であると疑われ得る。態様では、その必要のある対象は、その他は同等の健康な対象と比較して、高いベースライン血中I型インターフェロンレベル(例えば、IFNα)を有する。態様では、治療はまた、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を含む薬学的組成物を、その必要のある対象もしくはその治療が必要であると疑われる対象に適用もしくは投与すること、または本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を含む薬学的組成物を、疾患、疾患の症状、もしくは疾患(例えば、円形脱毛症)に対する素因を有する対象から単離された組織または細胞株に適用または投与することを含むことも意図される。態様では、本明細書に提供される方法は、円形脱毛症を有する対象における脱毛を低減するために、ダクスジリマブの効果を、プラセボと比較して評価することを含む。評価はいつでも行われ得る。態様では、評価は、投与の前、投与と同時、または投与の後に行われる。態様では、評価は、ILT7結合タンパク質の投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、または60週間後に行われる。態様では、評価は、12~36週目及び/または40~48週目に行われる。態様では、ILT7結合タンパク質の投与は、投与を欠くその他は同等の対象と比較して、治療対象における脱毛を低減するのに有効である。ILT7結合タンパク質の投与は、治療対象における脱毛を約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、1年、1.5年、2年、3年、4年、または最大約5年にわたって低減するのに有効である。態様では、治療対象は、本開示のILT7結合タンパク質による約9ヶ月の治療を通して低減された脱毛を経験する。
【0102】
本開示は、本明細書に記載のILT7結合タンパク質を投与することを含む、I型IFNGSの上昇を伴う対象を治療する方法を提供する。対象は、自己免疫障害に罹患している場合、I型IFNGSの上昇を示す可能性がある。したがって、本開示は、対象がI型IFNGSの上昇を示している場合、自己免疫障害を治療する方法を提供する。態様では、自己免疫障害は、そうでなければ無症候性である。態様では、本方法は、ILT7結合タンパク質で治療するための対象を選択することを提供し、本方法は、(i)対象のベースライン血中I型IFNGSレベルを決定することと、(ii)ILT7結合タンパク質による治療のために、ベースライン血中I型IFNGSレベルが高い対象を選択することと、を含む。
【0103】
態様では、I型IFNGSは、21遺伝子のシグネチャである。態様では、対象におけるI型IFNGSは、治療前の正常スコアと比較して、少なくとも1.5倍上昇している。態様では、対象におけるI型IFNGSは、治療前の正常スコアと比較して、少なくとも2倍上昇している。態様では、治療前にI型IFNGSが上昇している対象は、治療により応答する。態様では、I型IFNGSは、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質による治療前の正常スコアと比較して、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、またはそれ以上である。特定の態様では、I型IFNGSは、皮膚生検から決定される。他の態様では、組織I型IFNGSは、IFN誘導性ミクソウイルスタンパク質A(MxA)免疫組織化学(IHC)試験を使用して決定される。更なる態様では、表皮におけるIFN誘導性遺伝子の発現は、皮膚テープストリッピング、RNA単離、及び遺伝子発現プロファイリング(https://dermtech.com/wp-content/uploads/Lupus-Reference.pdf)を使用して決定される。
【0104】
態様では、本開示は、その必要のある対象においてI型インターフェロン遺伝子シグネチャ(IFNGS)を低減するための方法に関し、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質が、正常な対象におけるI型IFNGSと比較して、対象におけるI型IFNGSが上昇している場合、対象に投与される。態様では、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約200mgである。
【0105】
態様では、I型IFNGSは、生体試料中の全てのI型IFN誘導性遺伝子の発現レベルを含む。他の態様では、I型IFNGSは、生体試料中のI型IFN誘導性遺伝子のサブセットの発現レベルを含む。
【0106】
態様では、I型IFNGSは、生体試料中の少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、または少なくとも500個のI型IFN誘導性遺伝子の発現レベルをアッセイすることによって決定される。態様では、I型IFNGSは、2つ以上のI型IFN誘導性遺伝子の集合的発現レベルを含む。態様では、2つ以上のI型インターフェロン(IFN)誘導性遺伝子は、SPATS2L、EPSTI1、HERC5、IFI27、IFI44、IFI44L、IFI6、IFIT1、IFIT3、ISG15、LAMP3、LY6E、MX1、OAS1、OAS2、OAS3、PLSCR1、RSAD2、RTP4、SIGLEC1、またはUSP18から選択される2つ以上の遺伝子を含むが、これらに限定されない。態様では、I型IFNGSは、SPATS2L、EPSTI1、HERC5、IFI27、IFI44、IFI44L、IFI6、IFIT1、IFIT3、ISG15、LAMP3、LY6E、MX1、OAS1、OAS2、OAS3、PLSCR1、RSAD2、RTP4、SIGLEC1、及びUSP18の集合的発現レベルをアッセイすることによって決定される。これらの遺伝子記号は当該技術分野で周知であり、列挙された遺伝子のヒト及び非ヒトオルソログを指す。
【0107】
(表2)遺伝子記号及びそれらの関連する名称
【0108】
態様では、I型インターフェロン(IFN)誘導性遺伝子の発現レベルは、生体試料中のI型インターフェロン(IFN)誘導性遺伝子のDNAレベル(例えば、相補DNAまたはcDNAレベル)を測定することによって決定される。態様では、I型インターフェロン(IFN)誘導性遺伝子の発現レベルは、生体試料中のI型インターフェロン(IFN)誘導性遺伝子のメッセンジャーRNA(mRNA)レベルを測定することによって決定される。態様では、I型IFNGSは、生体試料中の全てのI型IFN誘導性遺伝子のmRNAレベルを含む。他の態様では、I型IFNGSは、疾患(例えば、自己免疫疾患)に罹患している、罹患している可能性が高い、または罹患していると疑われる対象から採取された生体試料中のI型IFN誘導性遺伝子のサブセットのmRNAレベルを含む。態様では、I型IFNGSは、生体試料中の2つ以上のI型インターフェロン(IFN)誘導性遺伝子のmRNAレベルをアッセイすることによって決定される。態様では、I型IFNGSは、生体試料中の21のI型インターフェロン(IFN)誘導性遺伝子(例えば、SPATS2L、EPSTI1、HERC5、IFI27、IFI44、IFI44L、IFI6、IFIT1、IFIT3、ISG15、LAMP3、LY6E、MX1、OAS1、OAS2、OAS3、PLSCR1、RSAD2、RTP4、SIGLEC1、及びUSP18)のmRNAレベルをアッセイすることによって決定される。態様では、生体試料は、試験生体試料である。他の態様では、生体試料は、正常な生体試料である。
【0109】
態様では、I型IFNGSは、対象から採取された試験生体試料において測定される。他の態様では、pDCは、対象から採取された試験生体試料において測定される。生体試料としては、血液、痰、唾液、皮膚細胞、皮膚生検試料、腎臓細胞、肺細胞、肝臓細胞、心臓細胞、脳細胞、神経組織、甲状腺細胞、眼細胞、骨格筋細胞、軟骨、骨組織、気道流路からの細胞、及び培養細胞が挙げられるが、これらに限定されない。態様では、生物学的試料は、血液である。他の態様では、生体試料は、組織である。より具体的な態様では、試料は、皮膚細胞を含む組織である。他の態様では、試料は、皮膚生検試料である。
【0110】
態様では、治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の、その必要のある対象への投与は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の投与の前のI型IFNGSと比較して、対象におけるI型IFNGSの約1%~約100%の減少をもたらす。態様では、治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の、その必要のある対象への投与は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の投与の前のI型IFNGSと比較して、対象におけるI型IFNGSの少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の減少をもたらす。態様では、治療有効量のILT7結合タンパク質の投与は、対象におけるI型IFNGSの少なくとも約50%の減少をもたらす。
【0111】
態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の、その必要のある対象への投与は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の投与の前のI型IFNGSと比較して、対象におけるI型IFNGSの少なくとも約50%の減少をもたらす。態様では、治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の、その必要のある対象への投与は、ILT7結合タンパク質の投与の約8時間後、約12時間後、約24時間後、または約48時間後に、対象におけるI型IFNGSの少なくとも約50%の減少をもたらす。
【0112】
態様では、治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を投与された対象は、ILT7結合タンパク質の投与の前の対象におけるI型IFNGSと比較して、ILT7結合タンパク質の投与の約24時間後に、I型IFNGSの少なくとも約50%の減少を示す。
【0113】
態様では、I型IFNGSの低減は、治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を、その必要のある対象に投与した後、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約28日間、少なくとも約30日間、少なくとも約45日間、少なくとも約60日間、少なくとも約90日間、もしくは少なくとも約180日間またはそれ以上持続する。態様では、I型IFNGSの低減は、その必要のある対象に、治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を投与した後、最大約30日間持続する。追加の態様では、I型IFNGSの低減は、その必要のある対象に、治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を投与した後、最大約60日間持続する。
【0114】
態様では、本開示の方法を使用して、I型IFNGS及び/または活性化pDCのレベルを監視することによって、状態または障害の治療の有効性を監視することができる。上述のように、自己免疫状態は、多くの場合、I型IFNGSの上昇及び/またはpDCの上昇によって特徴付けられ、したがって、治療の有効性を監視することは、I型IFNGS及び/またはpDCレベルの監視を含み得る。
【0115】
したがって、いくつかの態様では、本開示は、自己免疫障害または自己免疫状態の治療の有効性を監視する方法を提供し、本方法は、(a)対象から採取された生体試料中のI型インターフェロン遺伝子シグネチャ(IFNGS)を測定して、I型IFNGSのベースライン値を取得するステップと、(b)治療の実施後に対象から採取された生体試料中のI型IFNGSを測定するステップと、を含み、治療が、ILT7結合タンパク質を投与することを含み、ベースライン値と比較した、ステップ(b)におけるI型IFNGSの低減が、対象において治療が有効であることを示す。
【0116】
態様では、治療は、ベースライン値と比較して、I型IFNGSの低減をもたらす。態様では、ベースライン値と比較した、I型IFNGSの低減は、約1%~約99%の範囲である。態様では、ベースライン値と比較した、I型IFNGSの低減は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%である。態様では、ベースライン値と比較した、I型IFNGSの低減は、少なくとも約30%である。態様では、ベースライン値と比較した、I型IFNGSの低減は、少なくとも約50%である。
【0117】
態様では、正常な生体試料と比較した試験生体試料中、または正常な対象と比較したILT7結合タンパク質による治療を必要とする対象におけるI型IFNGSの上昇は、少なくとも約1.1~約1000の倍率変化である。したがって、態様では、I型IFNGSは、正常な生体試料と比較して、試験生体試料において、または正常な対象と比較して、ILT7結合タンパク質による治療を必要とする対象において、少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100倍上昇する。態様では、I型IFNGSは、正常な生体試料と比較して、試験生体試料において、または正常な対象と比較して、ILT7結合タンパク質による治療を必要とする対象において、少なくとも約4倍上昇する。
【0118】
態様では、本開示は、その必要のある対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減する方法を対象とし、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含む。態様では、ILT-7結合タンパク質の薬学的有効量は、150mgである。態様では、ILT-7結合タンパク質の薬学的有効量は、200mgである。態様では、ILT-7結合タンパク質の薬学的有効量は、300mgである。態様では、ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与され、対象は、初回用量の約4週間後、追加の200mg用量のILT7結合タンパク質を投与される。態様では、本開示は、その必要のある対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減する方法を対象とし、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約200mgであり、対象に、第1の用量、第1の用量の約4週間後に第2の用量、第1の用量の約12週間後に第3の用量、及び第3の用量の約12週間後にその後の用量を投与される。
【0119】
態様では、本開示は、その必要のある対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減する方法を対象とし、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含む。態様では、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約100mg、150mg、200mg、250mg、または300mgである。態様では、ILT7結合タンパク質は、約4週毎に、12週毎に、またはそれらの組み合わせで投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、毎週、2週間毎、3週間毎、4週間毎、12週間毎、またはそれらの組み合わせで投与される。態様では、ILT-7結合タンパク質は、ダクスジリマブである。態様では、自己免疫疾患は、ループスである。態様では、自己免疫疾患は、SLEである。態様では、自己免疫疾患は、DLEである。態様では、自己免疫疾患は、円形脱毛症である。態様では、自己免疫疾患は、皮膚筋炎である。
【0120】
態様では、対象におけるpDCの低減は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の投与の前の対象におけるpDCと比較して、約1%~約100%である。態様では、対象におけるpDCの低減は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の投与の前の対象におけるpDCと比較して、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%である。態様では、対象におけるpDCの低減は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の投与の前の対象におけるpDCと比較して、少なくとも約50%である。したがって、態様では、治療有効量のILT7結合タンパク質の投与は、対象におけるpDCの総数の少なくとも約10%の減少をもたらす。追加の態様では、治療有効量のILT7結合タンパク質の投与は、対象における活性化pDCの少なくとも約10%の減少をもたらす。態様では、pDCは、対象から採取された試験生体試料において測定される。したがって、態様では、治療上有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を、その必要のある対象に投与することは、対象から採取された試験生体試料中のpDCの低減をもたらす。態様では、対象から採取された試験生体試料中のpDCの低減は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の投与の前の試験生体試料中のpDCと比較して、少なくとも約10%である。態様では、試験生体試料は、血液である。態様では、試験生体試料は、組織であり、皮膚細胞及び皮膚生検標本を含むが、これらに限定されない。態様では、pDCは、循環pDCである。他の態様では、pDCは、皮膚中のpDCである。追加の態様では、pDCの低減は、可逆的である。
【0121】
態様では、治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の、その必要のある対象への投与は、ILT7結合タンパク質の投与の約5分後、約10分後、約15分後、約30分後、約1時間後、約2時間後、約3時間後、約6時間後、約12時間後、約24時間後、または約48時間後、対象におけるpDCが、少なくとも約10%減少する。他の態様では、治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の、その必要のある対象への投与は、ILT7結合タンパク質の投与の約5分後、約10分後、約15分後、約30分後、約1時間後、約2時間後、約3時間後、約6時間後、約12時間後、約24時間後、または約48時間後、対象から採取された試験生体試料中のpDCが、少なくとも約10%減少する。態様では、治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の、その必要のある対象への投与は、ILT7結合タンパク質の投与の約1週間後、2週間後、3週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、5ヶ月後、8ヶ月後、12ヶ月後、または1.5年後、対象におけるpDCが、少なくとも約10%減少する。態様では、治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の、その必要のある対象への投与は、ILT7結合タンパク質の投与の約12時間後、約24時間後、または約48時間後、対象から採取された試験生体試料中のpDCの少なくとも約10%の減少をもたらす。
【0122】
態様では、pDCの低減は、治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を、その必要のある対象に投与した後、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約28日間、少なくとも約30日間、少なくとも約45日間、少なくとも約60日間、少なくとも約90日間、もしくは少なくとも約180日間またはそれ以上持続する。態様では、pDCの低減は、その必要のある対象に、治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を投与した後、少なくとも約30日間持続する。追加の態様では、pDCの低減は、その必要のある対象に、治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を投与した後、少なくとも約60日間持続する。
【0123】
態様では、皮膚筋炎を予防または治療するための方法が提供される。態様では、方法は、有効量のダクスジリマブを含む組成物を投与して、皮膚筋炎を治療することを含む。態様では、投与は、皮膚発疹、筋力低下、嚥下障害、疲労、鱗状皮膚、カルシウム沈着、及び炎症からなる群から選択される皮膚筋炎の症状を軽減または排除するのに有効である。態様では、症状は、投与を欠くその他は同等の対象と比較して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、90%、120%、140%、160%、180%、または200%減少する。
【0124】
評価
態様では、本明細書に提供される方法は、自己免疫疾患の症状を軽減または排除するために、プラセボと比較して、ダクスジリマブの効果を評価することを含む。自己免疫疾患の評価は、いつでも行われ得る。態様では、評価は、本明細書に提供される任意の組成物の投与の前、投与と同時、または投与の後に行われる。態様では、評価は、ダクスジリマブの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、24、30、40、45、48、50、52、60、64、70、80、90、100、104、または110週間後に行われる。態様では、評価は、投与の48週間後に行われる。
【0125】
態様では、本明細書に提供される方法は、ダクスジリマブの投与後の持続的な経口グルココルチコイドの減少を評価することを含む。態様では、評価は、ベースライン(1日目)で、≦7.5mg/日のプレドニゾンまたは当量のOCGを達成する、≧10mgのプレドニゾンまたは当量の経口グルココルチコイドでの対象の割合を測定することを含む。評価はいつでも行われ得る。態様では、評価は、投与の前、投与と同時、または投与の後に行われる。態様では、評価は、1週目~10週目、20週目~40週目、30週目~50週目、または1週目~50週目に行われる。態様では、評価は、36週目~48週目に行われる。
【0126】
他の態様では、本開示の方法は、その必要のある対象の組織において皮膚エリテマトーデス病の活動性及び重症度指数(CLASI)を低減するために使用することができる。本方法は、薬学的有効量のILT7結合タンパク質を対象に投与することを含む。態様では、ILT7結合タンパク質は、200mgの用量で投与される。特定の態様では、ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与される。一態様では、ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与され、対象は、初回用量の約4週間後、追加の200mg用量のILT7結合タンパク質を投与される。
【0127】
本明細書で使用される場合、「CLASI」という用語は、皮膚エリテマトーデス病の活動性及び重症度指数を指す。CLASIは、CLEの皮膚症状を測定するための検証された手段である。CLASIは2つのスコアで構成されており、1つ目は疾患の炎症活動性を要約し、2つ目は疾患による損傷の尺度である。活動性スコアには、紅斑(0~3)、鱗屑/肥大(0~2)、粘膜病変(0~1)、最近の脱毛(0~1)、及び非瘢痕性脱毛(0~3)が含まれる。損傷スコアは、色素沈着異常(0~1)、瘢痕化/萎縮/脂肪織炎(0~2)、頭皮の瘢痕化(0~6)を表す。対象は、色素沈着異常が12ヶ月間以上続いているかどうかを尋ねられ、その場合、色素沈着異常スコアは2倍になる。上記のパラメータの各々は、CLEに最も頻繁に関与するために特に含まれる13の異なる解剖学的位置で測定される。各領域で最も重度の病変が測定される。
【0128】
本明細書で使用される場合、「低減CLASI」という用語は、対象におけるもしくは対象から採取された生体試料(例えば、皮膚細胞、皮膚生検試料などの組織)中のCLASI-活動性(CLASI-A)スコアのレベルの低減、または対象におけるもしくは対象から採取された生体試料中のCLASI損傷(CLASI-D)スコアのレベルの低減、またはその両方を指す。
【0129】
態様では、本開示の方法は、皮膚疾患活動性を低減するために、プラセボと比較してダクスジリマブの投与の効果を評価することを含む。態様では、評価は、ベースライン(1日目)でCLASI-Aスコアが10以上であり、CLASI-Aスコアにおいてベースライン(1日目)から50%以上の低減を達成する対象の割合を測定することを含む。スコアリングは、疾患の炎症活動性及び/または疾患によってなされる損傷の少なくとも1つを評価することを含む。評価はいつでも行われ得る。態様では、評価は、投与の前、投与と同時、または投与の後に行われる。態様では、評価は、ダクスジリマブの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15週間後に行われる。態様では、評価は、投与の12週間後に行われる。
【0130】
したがって、態様では、本開示の方法は、対象におけるCLASI-Aスコアの減少をもたらす。態様では、対象のCLASI-Aスコアの減少は、ベースライン値から少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ポイントのCLASI-Aスコアの減少を伴う。態様では、対象のCLASI-Aスコアの減少は、ベースライン値から少なくとも4ポイントのCLASI-Aスコアの減少を伴う。態様では、対象のCLASI-Aスコアの減少は、ベースライン値から少なくとも7ポイントのCLASI-Aスコアの減少を伴う。他の態様では、対象のCLASI-Aスコアの減少は、ベースライン値から少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%のCLASI-Aスコアの減少を伴う。態様では、対象のCLASI-Aスコアの減少は、ベースライン値から少なくとも50%のCLASI-Aスコアの減少を伴う。態様では、ベースライン値は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質による治療前の対象におけるCLASI-Aスコアの値である。他の態様では、本開示の方法は、対象におけるCLASI-Dスコアの減少をもたらす。追加の態様では、本開示の方法は、対象におけるCLASI-Aスコアの減少及びCLASI-Dスコアの減少をもたらす。
【0131】
態様では、本方法は、ループス低疾患活動性状態(LLDAS)疾患活動性を評価することを含む。態様では、評価は、LLDASを達成する対象の割合を測定することを含む。LLDASは、5つの基準を測定するSLE疾患活動性の複合尺度である。(1)SLEDAI-2K≦4、主要臓器系での活動性なし、(2)新たなループス疾患活動性なし、(3)PGA≦1(スケール0~3)、(4)現在のプレドニゾンまたは等価用量≦7.5mg/日、(5)免疫抑制薬の耐容維持用量、及び承認された生物学的薬剤。評価はいつでも行われ得る。態様では、評価は、投与の前、投与と同時、または投与の後に行われる。態様では、評価は、ダクスジリマブの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、または60週間後に行われる。態様では、評価は、投与の48週間後に行われる。
【0132】
態様では、その必要のある対象またはその必要のある対象からの試料を、インビトロ試験を使用して評価する。好適なインビトロ試験には、限定されないが、以下が含まれる:SLE疾患活動性指数2000(SLE Disease Activity Index 2000)(SLEDAI-2K)、英国諸島ループス評価グループ(British Isles Lupus Assessment Group)(BILAG)2004指数、医師全般評価(Physician Global Assessment)(PGA)、SLEの分類基準、抗核抗体(antinuclear antibody)(ANA)、抗dsDNA抗体、抗Smith抗体、及びそれらの任意の組み合わせ。
【0133】
態様では、その必要のある対象は、以下のうちの少なくとも1つまたは全てを含む:インフォームドコンセントフォーム(informed consent form)(ICF)に署名した時点で18歳以上70歳以下であること、任意の試験関連手順の前に、全ての試験要件を遵守し、かつ試験評価を完了するために、書面によるインフォームドコンセントを理解及び提供することができること、2019年のSLEに対する欧州リウマチ学会/米国リウマチ学会の分類基準を満たすこと(Aringer et al、2019)、ICFに署名した時点で診断時から少なくとも6ヶ月間の疾患期間、以下の全ての存在によって示される活動性SLE:発熱、SLE頭痛、または器質性脳症候群を除く、スクリーニングでSLEDAI-2K総スコア≧6、スクリーニング及びベースライン(1日目)で尿または検査結果、免疫学的測定、発熱、SLE頭痛、または器質性脳症候群に起因する点を除く、SLEDAI-2K総スコア≧4、スクリーニング時の疾患の以下のBILAG2004指数レベルのうち少なくとも1つ:≧1の臓器系におけるBILAG A疾患及び/または≧2の臓器系におけるBILAG B疾患、スクリーニング時の0~3視覚的アナログスケール(VAS)でPGAスコア≧1、スクリーニング時に、中央検査室毎の以下のスクリーニングで以下のうち少なくとも1つを有する:抗核抗体(ANA)≧1:80、中央検査室によって確立された正常範囲を超えて上昇した抗dsDNA抗体(すなわち、陽性結果)、正常を超える抗Smith抗体(すなわち、陽性結果)、(a)または(b)として定義されるSLEの進行中の治療:(a)疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)または免疫抑制薬による治療:以下のいずれかの薬物は、SLEの治療のために、スクリーニング前に少なくとも12週間(中止された場合、または文書化された薬物関連毒性もしくはサイズ/体重に合わせて用量を調整しない限り)従来の抗リウマチ薬用量で、及びスクリーニング前に最低8週間(投与経路を含む)一定用量で、各々投与され、ベースライン(1日目)まで維持される:(1)抗マラリア薬(クロロキン、ヒドロキシクロロキン、キナクリン)、(2)アザチオプリン(AZA)もしくは6-メルカプトプリン(6-MP)、(3)レフルノミド、(4)ミコフェノール酸モフェチル(MMF)またはミコフェノール酸(MPA)、(5)メトトトレキサート(MTX)(MTXを使用する場合、対象は併用葉酸もしくは葉酸補給を受けなければならない)、(6)ボクロスポリン(治療用に承認されている場合)、及び/または(7)GCが許可されるが、対象が上記の少なくとも1つの他の薬物を投与される場合は必須ではない。グルココルチコイドが許容されるDMARDまたは免疫抑制剤と併用する場合、それらは、スクリーニング前の最低2週間、POプレドニゾン(またはプレドニゾン当量)の平均1日用量≦40mg、及びスクリーニング前の最低2週間は一定用量であってもよい。加えて、OGCの用量は、無作為化の前に少なくとも2週間安定して維持されなければならない。POプレドニゾン(またはプレドニゾン当量)の毎日の投与または隔日の投与が許可され、かつ(b)経口グルココルチコイド単剤療法による治療(DMARDまたは免疫抑制剤の併用なし):スクリーニング前の最低4週間、POプレドニゾン(またはプレドニゾン当量)の1日平均用量が10mg以上40mg以下、及びスクリーニング前の最低2週間は一定用量。加えて、OGCの用量は、無作為化の前に少なくとも2週間安定して維持されなければならない。POプレドニゾン(またはプレドニゾン当量)の毎日の投与または隔日の投与が許可され、妊娠可能な女性は、無作為化時に尿妊娠検査が陰性でなければならない。妊娠可能な女性は、外科的に不妊ではない女性(すなわち、外科的不妊手術には、両側卵管結紮、両側卵巣摘出、もしくは子宮摘出が含まれる)、または閉経後ではない女性(閉経後のホルモン補充療法を受けている場合を除き、別の医学的原因なしに月経がなく、中央検査室によって確立された閉経後の範囲内の卵胞刺激ホルモン[FSH]を伴わない12ヶ月間と定義される)と定義される。不妊手術を受けていない男性パートナーと性的に活発な妊娠可能な女性は、インフォームドコンセントの署名により非常に効果的な避妊方法を使用することに同意しなければならず、試験のフォローアップの終了までまたは試験を早期に中止した場合は試験薬の最終用量後3ヶ月間(約5半減期)、かかる予防措置を使用し続けることに同意しなければならない。この時点以降の避妊に関する決定は、対象及び彼女の通常の医療提供者によってなされるべきである。持続的な禁欲は許容される行為であるが、定期的な禁欲、リズム法、及び離脱法は、許容される避妊方法ではない。態様では、ミコフェノール酸塩は、ホルモン性避妊薬の代謝に影響を及ぼし、避妊のためにホルモン性避妊薬を使用しているMMFまたはMPAを投与される女性におけるそれらの有効性を低減する可能性があるため、対象は、追加の避妊方法(例えば、バリア法)を採用しなければならず、及び/または妊娠可能な女性パートナーと性的に活発な不妊手術を受けていない男性対象は、無作為化から最終用量の受与後3ヶ月(約5半減期)まで、殺精子剤を含むコンドームを使用することに同意しなければならない。殺精子剤を含む男性用コンドームは非常に効果的な避妊方法ではないため、男性対象は妊娠可能な女性パートナーにこの期間全体を通して非常に効果的な避妊方法を使用するように助言することを強く推奨する。
【0134】
態様では、その必要のある対象は、提供される組成物の任意の成分、以前のmAb、及び/またはヒトIg療法に対するアレルギー、過敏反応、もしくはアナフィラキシーの病歴を有していなくてもよい。態様では、対象は、1日目の前の4週間以内または公表されている5半減期以内のいずれか長い方のIPによる別の臨床試験に登録された対象ではない。態様では、対象は、授乳中もしくは妊娠中、またはICFに署名してからIPの最終用量の投与後6ヶ月までに妊娠予定ではない。態様では、対象は、治験責任医師の見解では、対象の安全性もしくは来院の遵守に影響を及ぼす可能性がある、または他の試験評価を妨げる可能性のある、薬物もしくはアルコール乱用の病歴を有していない。態様では、対象は、スクリーニング前に8週間以内に大手術を受けていないか、またはスクリーニングから393日目までに計画された待機的手術を受けていない。態様では、対象は、スクリーニングの≦4週間前に、自然流産もしくは人工流産、死産もしくは出産したことがない、または妊娠していない。態様では、対象は、主要な免疫不全の既知の病歴、または既知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染などの基礎状態、中央検査室毎のHIV感染の陽性結果、脾摘出、または治験責任医師の見解では、対象が著しく感染しやすいとする任意の基礎状態を有しない。
【0135】
態様では、スクリーニング時の対象は、中央検査室毎に以下のいずれも有さない(無作為化前に結果を確認するために、同じスクリーニング期間内に検査を1回繰り返すことができる):AST≧2.5×ULN、ALT≧2.5×ULN、総ビリルビン≧1.5×ULN(ジルベール症候群による場合を除く)、血清IgG≦600mg/dL(もしくは≦6g/L)、好中球数≦1000/μL(もしくは≦1.0×10/L)または活動性SLEによる場合は≦500/μL(≦0.5×10/L)、血小板数≦50,000/μL(もしくは≦50×10/L)または活動性SLEによる場合は≦250,000/μL(もしくは≦25×10/L)、ヘモグロビン≦8g/dL(もしくは≦80g/L)または活動性SLEによる場合は≦7g/dL(≦70g/L)、グリコシル化ヘモグロビン≧8%(もしくは≧0.08)、総リンパ球数≦200細胞/mm、糸球体濾過量≦30mL/分/1.73m、UPCr≧3mg/mg、以下のように定義されるB型肝炎血清学の検査で陽性が確認されている:B型肝炎表面抗原(HBsAg)、またはB型肝炎コア抗体(HBcAb)及びB型肝炎ウイルス(HBV)DNAが、スクリーニング時の中央検査室によるリフレックス検査によって定量下限(LLOQ)を超えて検出されている。態様では、スクリーニング時にHBcAb陽性である対象は、HBV DNAについて3ヶ月毎に試験される。態様では、対象のHBV DNAレベルが中央検査室に従ってLLOQを超えることが確認された場合、試験薬は中止される。態様では、対象は、C型肝炎ウイルス抗体の試験で陽性ではない。態様では、対象は、活動性結核を有しないか、または活動性もしくは潜在性TBの適切な治療歴が文書化されていない限り、スクリーニング時のIFNγ放出アッセイ(IGRA)で陽性ではない。態様では、IGRA検査結果が不確定な対象は、試験を繰り返すことができるが、反復検査もまた不確定である場合、それらは、本明細書に提供される組成物の投与から除外される。態様では、対象は、無作為化前の任意の時点で、播種性ヘルペス、ヘルペス脳炎、最近の再発性帯状疱疹(過去2年以内に2回のエピソードとして定義される)、または眼部ヘルペスを含むがこれらに限定されない、任意の重篤なヘルペスウイルスファミリー感染(エプスタインバーウイルス、サイトメガロウイルス[CMV]を含む)を有しない。態様では、対象は、無作為化の12週間前に完全に解消されなかった、いかなる帯状疱疹、CMV、またはエプスタインバーウイルス感染も有しない。
【0136】
態様では、対象は、ICFに署名する前の30日以内から無作為化まで、以下のいずれも有しない:治験責任医師の見解では、抗生物質または抗ウイルス薬を必要とする進行中の感染症及び慢性感染症(慢性爪感染は許容される)、入院またはIV抗感染薬による治療を必要とする任意の感染症、SARSCoV-2検査で陽性と文書化されている対象は、無症状である場合は陽性検査の少なくとも2週間後及び症候性COVID-19の病気から少なくとも3週間後に再スクリーニングされ得る、及び/または無作為化の前の2年以内に入院または非経口抗菌剤治療を必要とする日和見性感染症を含む、臨床的に有意な活動性感染症。
【0137】
態様では、対象は、急性の病気または臨床的に有意な活動性感染の証拠(例えば、1日目に≧38.0℃(≧100.5°F)の発熱)を有しない。
【0138】
態様では、対象は、不安定狭心症、無作為化の前の6ヶ月以内の心筋梗塞、うっ血性心不全、臨床的に有意でない期外収縮もしくは軽微な伝導異常を除く動的療法を必要とする不整脈、または治験責任医師の見解では、試験参加のリスクを増加させる場合、ECG上の臨床的に有意な異常の存在を含む、臨床的に有意な心疾患の病歴を有していない。態様では、対象は、以下を除いて、過去5年以内にがんの病歴を有しない:スクリーニングの≧12ヶ月前に根治療法で明らかな成功により治療された子宮頸部の上皮内癌、または根治療法で明らかな成功により治療された皮膚基底細胞癌もしくは扁平上皮癌。
【0139】
態様では、対象は、1日目の前の4週間以内に弱毒化生ワクチンを受けていない。態様では、対象は、不活性化(死菌)ワクチンの投与を受けていない。態様では、対象は、不活性化(死菌)ワクチンの投与を受けている。
【0140】
態様では、対象は、個人の参加のリスクに関する決定を下す場合、重篤な疾患の危険因子の現在の理解に基づいて、COVID-19の疫学的リスク(すなわち、最近の曝露、高リスクの住宅)及びCOVID-19の重症度の健康関連リスクについて評価される。COVID-19もしくはその他の重大な感染症を有するか、または治験責任医師の判断においてCOVID-19もしくはその合併症のリスクが高い可能性がある任意の対象は、無作為化されるべきではない。
【0141】
態様では、対象は、活動性LN、活動性重症SLE、または不安定な神経精神性SLEのうちのいずれか1つを有しない。態様では、対象は、非SLE血管炎症候群、混合性結合組織病、またはリウマチ性(重複)症候群の診断を有しない。態様では、対象は、プロトコルで定義されたウォッシュアウト期間内に免疫抑制剤、生物製剤、及びDMARDを使用しない。
【0142】
DLEにおける活動性及び損傷のスコア(SADDLE)
態様では、方法は、SADDLEスコアを決定することを含む。SADDLEは、DLEに起因する活動性(紅斑、鱗屑、硬結)及び損傷(瘢痕化/萎縮及び色素沈着異常)の重症度を測定する。合計スコアは、0~195の範囲である。態様では、方法は、SADDLEスコアにおけるベースラインからの変化を決定することを含む。態様では、SADDLEスコアの平均変化が決定される。態様では、SADDLEスコアは、少なくとも約3%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、80%、100%、150%、200%、または400%変化する。態様では、SADDLEスコアは、少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、または120ポイント変化する。
【0143】
円板状エリテマトーデス分類基準(DLECC)スコア
態様では、方法は、DLECCスコアにおけるベースラインからの変化を決定することを含む。態様では、DLECCスコアは、少なくとも約3%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、80%、100%、150%、200%、または400%変化する。
【0144】
重症度脱毛症ツール(SALT)
態様では、方法は、治療対象のSALTスコアにおけるベースラインからの変化率%を決定することを含む。態様では、対象は、スクリーニング時及びベースライン(1日目)での≧50及び≦95のSALTスコアによって評価される、中等度~重度のAAを有する。SALTスコアは、頭皮-頂点(40%)、右プロファイル(18%)、左プロファイル(18%)、及び後部(24%)の4つの領域の各々における脱毛の割合を測定し、合計して複合スコアを達成することによって計算することができる。SALTスコアは、ベースラインを文書化するために、治療後または治療前の任意の時点で決定され得る。態様では、SALTスコアは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30週目に決定される。態様では、SALTスコアは、未治療対象と比較して、治療対象において、12~20週目及び/または28~36週目に減少している。
【0145】
態様では、ILT7結合タンパク質の投与は、20~30週目、22~26週目、23~25週目、24~28週目、または23~26週目でのSALTスコアにおけるベースラインからの変化率%を達成するのに有効である。態様では、ILT7結合タンパク質の投与は、24週目でのSALTスコアにおけるベースラインからの変化率%を達成するのに有効である。態様では、ILT7結合タンパク質の投与は、ベースラインまたはILT7結合タンパク質の投与を欠くその他は同等の対象と比較して、SALTスコアのベースラインからの変化率%を安定化または低減するのに有効である。態様では、ILT7結合タンパク質の投与は、ベースラインまたはILT7結合タンパク質の投与を欠くその他は同等の対象と比較して、SALTスコアのベースラインからの変化率%を、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、70%、90%、100%、120%、140%、160%、180%、もしくは最大約200%安定化または低減するのに有効である。態様では、治療対象は、ベースラインと比較して、≧50%のSALTの減少を達成する。
【0146】
態様では、方法は、30~40、35~45、40~48、40~45、または40~50週目に、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、または55以下の絶対SALTスコアを有する対象の割合を決定することを含む。態様では、方法は、40~48週目に、10、20、30、50以下の絶対SALTスコアを有する対象の割合を決定することを含む。
【0147】
眉毛脱毛に関する医師報告結果(ClinRO)
医師報告結果(ClinRO)を使用して、眉毛及びまつ毛の関与を評価した。眉毛脱毛に関するClinRO(商標)及びまつ毛脱毛に関するClinRO(商標)は、各ClinRO測定値の増分重症度を評価するための単一項目の4点Likert型応答スケールで構成されている。
【0148】
態様では、眉毛脱毛スコアが0または1(完全なカバレッジまたは最小のギャップ)であり、各来院時にベースライン(ベースラインスコア≧2(顕著なギャップ~目立った毛髪がない))から≧2ポイント改善した、ClinRO、を達成した対象の割合が決定される。態様では、まつ毛脱毛スコアが0または1(完全なカバレッジまたは最小のギャップ)であり、各来院時にベースライン(ベースラインスコア≧2(顕著なギャップ~目立った毛髪がない))から≧2ポイント改善した、ClinRO、を達成した対象の割合が決定される。態様では、ILT7結合タンパク質による治療は、まつ毛及び/または眉毛の喪失を安定化または低減するのに有効である。
【0149】
態様では、治療対象は、本開示のILT7結合タンパク質による治療後、少なくとも約1ヶ月間、3ヶ月間、5ヶ月間、8ヶ月間、1年間、1.5年間、もしくは最大約2年間、ClinROを維持するか、またはClinROの減少を達成する。
【0150】
脱毛症の密度及び範囲(ALODEX)スコア
態様では、方法は、ALODEXスコアを決定することを含む。ALODEXスコアは、程度及び毛密度の両方を組み合わせて、頭皮の脱毛の全体的な割合にする。0~10の密度スケールは、末期脱毛の割合に関連し、100%の脱毛は10に等しく、90%は9に等しく、80%は8に等しく、70%は7に等しく、60%は6に等しく、50%は5に等しく、40%は4に等しく、30%は3に等しく、20%は2に等しく、10%は1に等しく、脱毛なしは0に等しい。所与の象限における1%の頭皮領域の各々の密度割り当てを合計し、脱毛の最大グレード(10)で割って、その象限の脱毛の割合%を得る。次いで、各象限のスコアを合計して、ALODEXスコアを得る。態様では、本開示のILT7結合タンパク質による治療は、治療対象におけるALODEXスコアを維持または低減するのに有効である。態様では、本開示のILT7結合タンパク質による治療は、未治療対象と比較して、治療対象におけるALODEXスコアを少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ポイント低減するのに有効である。態様では、本開示のILT7結合タンパク質による治療は、未治療対象と比較して、治療対象におけるALODEXスコアを少なくとも約1~3、2~4、1~5、3~4、2~5、または4~5ポイント低減するのに有効である。
【0151】
医療写真
態様では、医療写真は、本明細書に記載の方法で利用される。対象の任意の組織の医療写真を撮影することができる。態様では、頭皮全体の写真が得られる。態様では、これらの領域において脱毛を有する対象の眉毛及び/またはまつ毛の写真が撮影される。写真はいつでも撮影することができる。態様では、写真は、治療前、治療中、及び治療後に撮影される。態様では、頭皮、眉毛、及びまつ毛からなる群から選択される領域の写真が撮影される。態様では、限定されないが、病変(例えば、DLE病変)を含む領域の写真が撮影される。任意の好適なカメラを写真に利用することができる。
【0152】
態様では、方法は、医療写真によって経時的な毛髪再生の密度を決定することを含む。態様では、デジタル写真は、経時的に病変内の毛髪再生を評価するために使用される。態様では、医療写真を使用して、経時的なサイズ及び色素沈着異常を含むがこれらに限定されない円板状病変の特徴の変化を決定する。
【0153】
薬物動態
態様では、薬物動態分析のために、対象の試料を得る。薬物動態は、吸収、分布、及び薬物除去、代謝、及び排泄の2つの経路を含む。対象の任意の試料を利用することができる。態様では、試料は、血液または血清試料を含む。試料は、ILT7結合タンパク質の濃度の分析のために採取され得る。試料は、いつでも採取することができる。試料は、ILT7結合タンパク質の投与前、投与中、及び/または投与後に採取することができる。
【0154】
薬力学
態様では、薬力学的分析のために、対象の試料を得る。血液または血清試料は、来院時及び本明細書で指定された時点でのILT7結合タンパク質のPD分析のために採取され得る。ILT7結合タンパク質のPD分析は、全血トランスクリプトミクス(例えば、IFN遺伝子シグネチャ)、pDCフローサイトメトリー、PBMC(例えば、他の循環細胞のレベル)、血清及び血漿バイオマーカー、及び/または血中MxAの評価を含み得るが、これらに限定されない。
【0155】
免疫原性
態様では、対象の試料が得られる。好適な試料としては、限定されないが、血液、血清、PBMC、または細胞試料が挙げられる。態様では、血清中ILT7結合タンパク質抗薬物抗体(ADA)の分析のために試料を採取する。態様では、血清中ADAが検出されない場合、治療を継続する。態様では、血清中ILT7結合タンパク質ADAが検出される場合、治療を継続する。ADAを検出するための好適なアッセイは、以下からなる群から選択される:酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫沈降アッセイ(RIP)、電気化学発光免疫アッセイ(ECLIA)、表面プラズモン共鳴免疫アッセイ(SPRIA)、及びそれらの組み合わせ。
【0156】
バイタルサイン
態様では、本明細書に提供される方法は、対象のバイタルサインを得ることを含む。バイタルサインは、収縮期血圧、拡張期血圧(mmHg)、脈拍(bpm)、体温(℃)、呼吸数(呼吸/分)、体重(kg)、及び身長(cm)からなる群から選択される。態様では、体重及び身長を収集して、対象のBMIを計算することができる。バイタルサインは、例えば、治療前、治療中、及び治療後の任意の時点で決定することができる。
【0157】
身体検査
態様では、方法は、対象の身体検査を行うことを含む。身体検査は、一般的な外観、皮膚、頭、目、耳、鼻、喉、呼吸器、心血管、腹部、神経、筋骨格、及び/またはリンパのうちの少なくとも1つを評価することを含む。
【0158】
身体検査は、例えば、治療前、治療中、及び治療後の任意の時点で決定することができる。
【0159】
臨床検査
態様では、方法は、臨床検査を行うことを含む。検査は、妊娠可能な女性のための尿検査、血液学、化学パネル(肝機能検査の有無で)、及び血清妊娠検査(スクリーニング)からなる群から選択することができる。態様では、臨床検査は、細胞数、サイトカイン、ケモカイン、遺伝子発現、及びこれらの組み合わせのレベルを評価する。態様では、臨床検査は、IFN-α、IL-17、及びIFNγのうちの1つ以上のレベルを評価する。態様では、臨床検査は、eGFRのレベルを決定することを含む。態様では、臨床検査は、UPCRのレベルを決定することを含む。態様では、方法は、eGFR≧60mL/分/1.73m、ベースラインレベルよりも15%低くないeGFR、24時間UPCR≧0.5mg/mg、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上によって判定される場合のCRRを達成する対象の割合を決定することを含む。態様では、方法は、eGFR≧60mL/分/1.73m、ベースラインレベルよりも15%低くないeGFR、または24時間UPCRの改善のうちの1つ以上によって判定される場合のORRを達成する対象の割合を決定することを含む。UPCRの改善は、ベースラインUPCR≦3.0mg/mg:<1.0mg/mg、またはベースラインUPCR>3.0mg/mgの対象の場合:ベースラインからの>50%の改善及び≦3.0mg/mgによって決定され得る。
【0160】
態様では、方法は、自己免疫疾患を有する対象におけるIFNのレベルを決定することと、インビトロアッセイによって決定されかつその他は同等の健康な対象と比較して、対象がIFNである場合、本開示のILT7結合タンパク質で対象を治療することと、を含む。態様では、IFNは、健康な対象プールの平均レベルまたは対象の健康なベースラインレベルよりも少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、もしくは30%高いIFNのレベルを含む。
【0161】
生活の質
態様では、方法は、生活の質を決定することを含む。態様では、本明細書に提供される組成物の投与は、治療対象の生活の質を改善するのに有効である。生活の質は、以下のうちの1つ以上で評価することができる。患者全般評価(PGA)、患者全般印象度変化(PGIC)スケール、皮膚科生活の質指数(DLQI)質問票、皮膚エリテマトーデス生活の質(CLE-QoL)質問票、またはEQ-5D-5L質問票。態様では、スコアは、少なくとも約1、3、5、10、20、30、50、60、80、または100ポイント改善(増加または減少)する。態様では、スコアは、本明細書に提供される組成物による治療後に減少する。態様では、スコアは、治療後に少なくとも5%、10%、20%、30%、または40%減少する。
【0162】
薬学的組成物
本開示はまた、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を含む薬学的組成物に関する。態様では、本開示は、対象を治療するための医薬の製造における、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の使用を提供する。
【0163】
態様では、組成物は、約100mg/mL~約170mg/mLの抗ILT7結合タンパク質を含み得る。態様では、組成物は、約110mg/mL~約150mg/mLの抗ILT7結合タンパク質を含み得る。態様では、組成物は、約120mg/mL~約150mg/mLの抗ILT7結合タンパク質を含み得る。態様では、組成物は、約140mg/mL~約160mg/mLの抗ILT7結合タンパク質を含み得る。態様では、組成物は、約145mg/mL~約155mg/mLの抗ILT7結合タンパク質を含み得る。
【0164】
態様では、組成物は、約100mg/mL、102mg/mL、104mg/mL、106mg/mL、108mg/mL、110mg/mL、112mg/mL、114mg/mL、116mg/mL、118mg/mL、120mg/mL、122mg/mL、124mg/mL、126mg/mL、128mg/mL、130mg/mL、132mg/mL、134mg/mL、136mg/mL、138mg/mL、140mg/mL、142mg/mL、144mg/mL、146mg/mL、148mg/mL、150mg/mL、155mg/mL、160mg/mL、もしくは最大約170mg/mL、少なくとも約100mg/mL、102mg/mL、104mg/mL、106mg/mL、108mg/mL、110mg/mL、112mg/mL、114mg/mL、116mg/mL、118mg/mL、120mg/mL、122mg/mL、124mg/mL、126mg/mL、128mg/mL、130mg/mL、132mg/mL、134mg/mL、136mg/mL、138mg/mL、140mg/mL、142mg/mL、144mg/mL、146mg/mL、148mg/mL、150mg/mL、155mg/mL、160mg/mL、もしくは最大約170mg/mL、または多くても約:100mg/mL、102mg/mL、104mg/mL、106mg/mL、108mg/mL、110mg/mL、112mg/mL、114mg/mL、116mg/mL、118mg/mL、120mg/mL、122mg/mL、124mg/mL、126mg/mL、128mg/mL、130mg/mL、132mg/mL、134mg/mL、136mg/mL、138mg/mL、140mg/mL、142mg/mL、144mg/mL、146mg/mL、148mg/mL、150mg/mL、155mg/mL、160mg/mL、もしくは最大約170mg/mLの抗ILT7結合タンパク質を含み得る。
【0165】
態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の治療有効量は、約0.1mg~約1000mgの範囲である。他の態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の治療有効量は、約50mg~約300mgの範囲である。態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の治療有効量は、単一用量で約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約450mg、または約500mgである。態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の治療有効量は、単一用量で約200mgである。治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質は、その必要のある対象に、単一用量または複数用量で投与され得る。態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の治療有効量は、約0.1mg~約1000mgの範囲である。態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の治療有効量は、約50mg~約300mgの範囲である。態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の治療有効量は、単一用量で約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約450mg、または約500mgである。態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の治療有効量は、単一用量で約300mgである。態様では、ILT7結合タンパク質は、約20~50mg、30~50mg、40~60mg、50~100mg、50~200mg、100~150mg、50~150mg、100~200mg、100~250mg、50~300mg、200~250mg、200~300mg、150mg~300mg、150~350mg、または175~375mgの用量で投与される。治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質は、その必要のある対象に、単一用量または複数用量で投与され得る。
【0166】
態様では、治療有効量のILT7結合タンパク質は、少なくとも約300mgの投与を含む。態様では、治療有効用量を達成するために、ILT7結合タンパク質の少なくとも2回の投与が必要である。態様では、投与は、ILT7結合タンパク質の2回の皮下注射を含む。皮下注射は、ILT7結合タンパク質の2回の1.5mL注射として投与され得る。態様では、治療レジメンは、約4週間毎に1回のILT7結合タンパク質の投与を含む。
【0167】
本方法は、薬学的有効量のILT7結合タンパク質を対象に投与することを含む。態様では、ILT7結合タンパク質は、100mg、150mg、200mg、250mg、及び/または300mgの用量で投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与され、対象は、初回用量の約4週間後、追加の300mg用量のILT7結合タンパク質を投与される。
【0168】
態様では、本開示はその必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法を対象とし、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約200mgである。態様では、薬学的有効量は、約300mgである。態様では、自己免疫障害は、ループスである。態様では、自己免疫疾患は、SLEである。特定の態様では、ILT7結合タンパク質は、約2週間毎に1回、約3週間毎に1回、約4週間毎に1回、約5週間毎に1回、約6週間毎に1回、約8週間毎に1回、約10週間毎に1回、約12週間毎に1回、約1ヶ月毎に1回、約2ヶ月毎に1回、約3ヶ月毎に1回、約4ヶ月毎に1回、または約6週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与され、対象は、初回用量の約2、3、または4週間後に追加の200mg用量のILT7結合タンパク質を投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与され、対象は、初回用量の約4週間後に追加の200mg用量のILT7結合タンパク質を投与される。一態様では、本開示は、その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法を対象とし、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約200mgであり、対象は、第1の用量、第1の用量の約4週間後に第2の用量、第1の用量の約12週間後に第3の用量、及び第3の用量後12週間毎にその後の用量を投与される。一態様では、本開示は、その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法を対象とし、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約200mgであり、ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与され、対象は、初回用量の約4週間後に追加の200mg用量のILT7結合タンパク質を投与される。態様では、ILT-7結合タンパク質は、ダクスジリマブである。態様では、自己免疫疾患は、ループスである。態様では、自己免疫疾患は、SLEである。態様では、自己免疫疾患は、DLEである。態様では、自己免疫疾患は、皮膚筋炎である。態様では、自己免疫疾患は、円形脱毛症である。
【0169】
態様では、ILT7結合タンパク質で治療される自己免疫疾患は、DLEである。態様では、ILT7結合タンパク質は、50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、125mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、175mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、225mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、275mg、280mg、290mg、300mg、325mg、または350mgの用量で投与される。実施形態では、ILT7結合タンパク質は、約1週間毎に1回、約2週間毎に1回、約3週間毎に1回、約4週間毎に1回、約5週間毎に1回、約6週間毎に1回、約7週間毎に1回、約8週間毎に1回、約9週間毎に1回、約10週間毎に1回、約11週間毎に1回、約12週間毎に1回、約13週間毎に1回、約14週間毎に1回、約15週間毎に1回、約16週間毎に1回、約20週間毎に1回、または約1ヶ月毎に1回、約2ヶ月毎に1回、約3ヶ月毎に1回、約4ヶ月毎に1回、約6ヶ月毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、4週間毎に約120mg~200mg、4週間毎に50~300mg、または12週間/四半期毎に150mg~300mgの用量で投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、4週間毎に約150mg、4週間毎に50~300mg、または12週間/四半期毎に150mg~300mgの用量で投与される。実施形態では、1回以上の負荷用量は、1回以上の維持用量の前に、最初に投与される。態様では、ILT-7結合タンパク質は、ダクスジリマブである。
【0170】
態様では、ILT7結合タンパク質で治療される自己免疫疾患は、SLEである。態様では、ILT7結合タンパク質は、50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、125mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、175mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、225mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、275mg、280mg、290mg、300mg、325mg、または350mgの用量で投与される。実施形態では、ILT7結合タンパク質は、約1週間毎に1回、約2週間毎に1回、約3週間毎に1回、約4週間毎に1回、約5週間毎に1回、約6週間毎に1回、約7週間毎に1回、約8週間毎に1回、約9週間毎に1回、約10週間毎に1回、約11週間毎に1回、約12週間毎に1回、約13週間毎に1回、約14週間毎に1回、約15週間毎に1回、約16週間毎に1回、約20週間毎に1回、または約1ヶ月毎に1回、約2ヶ月毎に1回、約3ヶ月毎に1回、約4ヶ月毎に1回、約6ヶ月毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、4週間毎に約120mg~200mg、4週間毎に50~300mg、または12週間/四半期毎に150mg~300mgの用量で投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、4週間毎に約150mg、4週間毎に50~300mg、または12週間/四半期毎に150mg~300mgの用量で投与される。実施形態では、1回以上の負荷用量は、1回以上の維持用量の前に、最初に投与される。態様では、ILT-7結合タンパク質は、ダクスジリマブである。
【0171】
態様では、ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与される。一態様では、ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与され、対象は、初回用量の約4週間後に追加の200mg用量のILT7結合タンパク質を投与される。態様では、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約200mgであり、対象は、第1の用量、第1の用量の約4週間後に第2の用量、第1の用量の約12週間後に第3の用量、及び第3の用量後12週間後毎にその後の用量を投与される。一態様では、ILT-7結合タンパク質は、ダクスジリマブである。態様では、自己免疫疾患は、ループスである。特定の態様では、自己免疫疾患は、SLEである。
【0172】
態様では、ILT7結合タンパク質で治療される自己免疫疾患は、皮膚筋炎/抗合成酵素炎症性筋炎(DM/ASIM)である。いくつかの態様では、ILT7結合タンパク質は、50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、125mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、175mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、225mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、275mg、280mg、290mg、300mg、325mg、または350mgの用量で投与される。実施形態では、ILT7結合タンパク質は、約1週間毎に1回、約2週間毎に1回、約3週間毎に1回、約4週間毎に1回、約5週間毎に1回、約6週間毎に1回、約7週間毎に1回、約8週間毎に1回、約9週間毎に1回、約10週間毎に1回、約11週間毎に1回、約12週間毎に1回、約13週間毎に1回、約14週間毎に1回、約15週間毎に1回、約16週間毎に1回、約20週間毎に1回、または約1ヶ月毎に1回、約2ヶ月毎に1回、約3ヶ月毎に1回、約4ヶ月毎に1回、約6ヶ月毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、4週間毎に約120mg~200mg、4週間毎に50~300mg、または12週間/四半期毎に150mg~300mgの用量で投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、4週間毎に約150mg、4週間毎に50~300mg、または12週間/四半期毎に150mg~300mgの用量で投与される。実施形態では、1回以上の負荷用量は、1回以上の維持用量の前に、最初に投与される。態様では、ILT-7結合タンパク質は、ダクスジリマブである。
【0173】
態様では、ILT7結合タンパク質で治療される自己免疫疾患は、ループス腎炎である。態様では、ILT7結合タンパク質は、50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、125mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、175mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、225mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、275mg、280mg、290mg、300mg、325mg、または350mgの用量で投与される。実施形態では、ILT7結合タンパク質は、約1週間毎に1回、約2週間毎に1回、約3週間毎に1回、約4週間毎に1回、約5週間毎に1回、約6週間毎に1回、約7週間毎に1回、約8週間毎に1回、約9週間毎に1回、約10週間毎に1回、約11週間毎に1回、約12週間毎に1回、約13週間毎に1回、約14週間毎に1回、約15週間毎に1回、約16週間毎に1回、約20週間毎に1回、または約1ヶ月毎に1回、約2ヶ月毎に1回、約3ヶ月毎に1回、約4ヶ月毎に1回、約6ヶ月毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、4週間毎に約120mg~200mg、4週間毎に50~300mg、または12週間/四半期毎に150mg~300mgの用量で投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、4週間毎に約150mg、4週間毎に50~300mg、または12週間/四半期毎に150mg~300mgの用量で投与される。実施形態では、1回以上の負荷用量は、1回以上の維持用量の前に、最初に投与される。態様では、ILT-7結合タンパク質は、ダクスジリマブである。態様では、LNは、ベースラインで、2週目に、及び4週目に100mgのダクスジリマブ100mgで治療され、続いて、4週間毎に100mgのダクスジリマブで治療される。態様では、LNは、ベースラインで、2週目に、及び4週目に300mgの投与量のダクスジリマブで治療され、続いて、4週間毎に300mgのダクスジリマブで治療される。態様では、LNは、12週間毎に100mgまたは300mgの投与量のダクスジリマブで治療される。
【0174】
態様では、本開示は、その必要のある対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減する方法を対象とし、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約300mgである。態様では、ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回投与される。態様では、本開示は、その必要のある対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減する方法を対象とし、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約300mgであり、対象は、第1の用量、第1の用量の約4週間後に第2の用量、及び4週間毎の追加用量を合計9用量投与される。態様では、本開示は、その必要のある対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減する方法に関し、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約300mgであり、ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される。態様では、ILT-7結合タンパク質は、ダクスジリマブである。
【0175】
態様では、本開示は、その必要のある対象において円形脱毛症を治療する方法に関し、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約100mgまたは300mgである。態様では、ILT7結合タンパク質は、約2週間毎に1回、約3週間毎に1回、約4週間毎に1回、約5週間毎に1回、約6週間毎に1回、約8週間毎に1回、約10週間毎に1回、約12週間毎に1回、約1ヶ月毎に1回、約2ヶ月毎に1回、約3ヶ月毎に1回、約4ヶ月毎に1回または約6週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、4週間毎に約150mg、4週間毎に約50~約300mg、または12週間/四半期毎に約150mg~約300mgの用量で投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回投与され、対象は、初回用量の約4週間後に追加の300mg用量のILT7結合タンパク質を投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回投与され、対象は、初回用量の約4週間後に追加の300mg用量のILT7結合タンパク質を投与される。態様では、本開示は、その必要のある対象において円形脱毛症を治療する方法を対象とし、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約300mgであり、対象は、第1の用量、第1の用量の約4週間後に第2の用量、第1の用量の約12週間後に第3の用量、及び第3の用量後12週間毎にその後の用量を投与される。態様では、本開示は、その必要のある対象において円形脱毛症を治療する方法を対象とし、本方法は、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を対象に投与することを含み、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量が、約300mgであり、ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与され、対象は、初回用量の約4週間後に追加の300mg用量のILT7結合タンパク質を投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、4週間毎に約120mg~200mg、4週間毎に50~300mg、または12週間/四半期毎に150mg~300mgの用量で投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、4週間毎に約150mg、4週間毎に約50mg~約300mg、または12週間/四半期毎に約150mg~約300mgの用量で投与される。態様では、ILT-7結合タンパク質は、ダクスジリマブである。
【0176】
態様では、本明細書に提供される組成物の投与は、投与の前の対象のベースライン値と比較して、治療対象の組織中のpDCのレベルの減少をもたらし、この減少は、少なくとも約3%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85% 90%、100%、120%、130%、140%、150%、200%、250%、300%、400%、または最大約500%である。
【0177】
態様では、ILT7結合タンパク質で治療される自己免疫疾患は、円形脱毛症である。態様では、ILT7結合タンパク質は、50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、125mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、175mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、225mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、275mg、280mg、290mg、300mg、325mg、または350mgの用量で投与される。実施形態では、ILT7結合タンパク質は、約1週間毎に1回、約2週間毎に1回、約3週間毎に1回、約4週間毎に1回、約5週間毎に1回、約6週間毎に1回、約7週間毎に1回、約8週間毎に1回、約9週間毎に1回、約10週間毎に1回、約11週間毎に1回、約12週間毎に1回、約13週間毎に1回、約14週間毎に1回、約15週間毎に1回、約16週間毎に1回、約20週間毎に1回、または約1ヶ月毎に1回、約2ヶ月毎に1回、約3ヶ月毎に1回、約4ヶ月毎に1回、約6ヶ月毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、4週間毎に約120mg~200mg、4週間毎に50~300mg、及び12週間/四半期毎に150mg~300mgの用量で投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、4週間毎に約150mg、4週間毎に50~300mg、及び/または12週間/四半期毎に150mg~300mgの用量で投与される。実施形態では、1回以上の負荷用量は、1回以上の維持用量の前に、最初に投与される。態様では、ILT-7結合タンパク質は、ダクスジリマブである。
【0178】
態様では、ILT7結合タンパク質は、約4週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与される。態様では、ILT7結合タンパク質は、約12週間毎に1回投与され、対象は、初回用量の約4週間後に追加の300mg用量のILT7結合タンパク質を投与される。態様では、ILT7結合タンパク質の薬学的有効量は、約300mgであり、対象は、第1の用量、約4週間毎に追加用量を合計9用量投与される。態様では、ILT-7結合タンパク質は、ダクスジリマブである。
【0179】
態様では、提供される組成物のいずれかは、1つ以上の標準治療(standard-of-care)(SOC)療法または併用療法とともに投与される。態様では、SOC療法は、コルチコステロイドを含む。例示的なコルチコステロイドとしては、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、及びプレドニゾンが挙げられる。態様では、コルチコステロイドは、プレドニゾンである。態様では、方法は、SOC療法の漸減を含む。好適な漸減スケジュールが、本明細書に提供される。態様では、漸減スケジュールは、12週目までに、コルチコステロイドを≦7.5mg/日のプレドニゾン等価用量に減少させ、24週目までに、≦2.5mg/日のプレドニゾン等価用量に減少させることを含む。態様では、SOC療法は、免疫抑制剤を含む。態様では、免疫抑制剤は、ミコフェノール酸を含む。態様では、方法は、SOC療法と組み合わせて本開示のILT7結合タンパク質を投与された対象において、SOC療法のみを実施された、その他は同等の対象と比較して、自己免疫疾患を低減または排除するのに有効である。
【0180】
態様では、本開示の薬学的組成物は、本明細書に開示されるILT7結合タンパク質と、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と、を含む。これに関して、「薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤」には、ヒトまたは家畜における使用が許容されるものとして、米国食品医薬品局によって承認されていてもされていなくてもよい任意の補助剤、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、風味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒、または乳化剤が含まれるが、これらに限定されない。例えば、適切な担体は当業者に既知であり、安定剤、希釈剤、及び緩衝剤を含む。好適な安定剤には、ソルビトール、ラクトース、マンニトール、デンプン、スクロース、デキストラン、及びグルコースなどの炭水化物、ならびにアルブミンまたはカゼインなどのタンパク質が含まれる。好適な希釈剤には、生理食塩水、ハンクス平衡塩、及びリンゲル溶液が含まれる。好適な緩衝剤には、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属炭酸塩、またはアルカリ土類金属炭酸塩が含まれる。
【0181】
態様では、本開示の薬学的組成物は、1つ以上の補助物質、そのような1つ以上の脂質、リン脂質、炭水化物、及びリポ多糖を更に含有し得る。態様では、本開示の薬学的組成物は、任意選択的に、1つ以上の追加の活性物質を含む。
【0182】
態様では、本開示の薬学的組成物は、当業者に既知の技術によって調製され得る。薬学的組成物の製剤化及び/または製造における一般的な考慮事項は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams&Wilkins,2005(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。一般に、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質またはその断片を、担体と混合して、溶液、懸濁液、またはエマルジョンを形成する。本明細書で考察される添加剤のうちの1つ以上は、担体に添加され得るか、またはその後に添加され得る。本開示の薬学的組成物は、水溶液、エマルジョン、もしくは懸濁液であり得るか、または乾燥調製物であり得る。態様では、本開示の薬学的組成物は、貯蔵または製剤化の目的で、例えば、凍結乾燥または噴霧乾燥によって、乾燥または凍結乾燥され得る。それらは、その後、適切な液体担体を添加することによって液体組成物に再構成されるか、または当業者に既知の方法を使用して乾燥製剤で投与され得る。態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質は、凍結乾燥された粉末として貯蔵され、その後、その必要のある対象に投与される前に、液体組成物に再構成される。
【0183】
薬学的組成物の投与の選択は、選択される製剤に依存することになる。本開示の薬学的組成物は、投薬製剤と適合する様式で、かつ治療的に有効であるかかる量で投与される。態様では、本開示の薬学的組成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル、マイクロスフェア、及びエアロゾルを含むがこれらに限定されない、固体、半固体、液体、または気体の形態の調製物に製剤化される。
【0184】
態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を含む薬学的組成物は、固体または液体の形態であってもよい。態様では、担体(複数可)は粒子状であり、そのため、組成物は、例えば、錠剤または粉末の形態である。他の態様では、担体(複数可)は液体であり、組成物は、例えば、経口シロップ、注射可能な液体、またはエアロゾル(例えば、吸入投与で有用である)である。経口投与を目的とする場合、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を含む薬学的組成物は、固体または液体のいずれかの形態であり、半固体、半液体、懸濁液、及びゲルの形態が、本明細書で固体または液体のいずれかとみなされる形態に含まれる。
【0185】
態様では、経口投与用の固体組成物として、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を含む薬学的組成物は、粉末、顆粒、圧縮錠剤、ピル、カプセル、チューインガム、ウエハーなどの形態に製剤化することができる。態様では、このような固体組成物は、典型的には、1つ以上の不活性希釈剤または可食担体を含有する。態様では、以下のうちの1つ以上が更に存在し得る:結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、ゴムトラガカント、またはゼラチン)、賦形剤(例えば、デンプン、ラクトース、またはデキストリン)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、コーンスターチなど)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはSterotex)、滑剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン)、香料(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香料)、及び着色剤。
【0186】
態様では、本開示の薬学的組成物がカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)の形態である場合、本明細書に開示される材料に加えて、液体担体(例えば、ポリエチレングリコールまたは油)を含有し得る。経口製剤には、例えば、医薬品グレードのサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウムなどの通常用いられる賦形剤も含まれ得る。
【0187】
態様では、本開示の薬学的組成物は、液体の形態(例えば、エリキシル、シロップ、溶液、エマルジョン、または懸濁液)である。態様では、液体は、経口投与または注射による送達用であり得る。態様では、経口投与を目的とする場合、本開示の薬学的組成物は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質に加えて、甘味剤、防腐剤、染料/着色剤、及び風味増強剤のうちの1つ以上を含む。態様では、注射による投与を目的とする薬学的組成物には、界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤、及び等張剤のうちの1つ以上が含まれ得る。態様では、本開示の薬学的組成物は、その必要のある対象に静脈内投与される。態様では、本開示の薬学的組成物は、その必要のある対象に皮下注射によって投与される。
【0188】
態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を含む液体薬学的組成物は、それらが溶液、懸濁液、または他の同様の形態であるかどうかにかかわらず、以下の成分のうちの1つ以上を含んでもよい:滅菌希釈剤(例えば、注射用水、食塩水(例えば、生理食塩水、リンゲル溶液、等張塩化ナトリウム))、固定油(例えば、溶媒または懸濁媒体として機能し得る合成モノまたはジグリセリド)、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピングリコール、または他の溶媒、抗菌剤(例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム)、キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸)、緩衝剤(例えば、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩)、及び浸透圧を調整するための薬剤(例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース)。態様では、調製物は、ガラスもしくはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または複数用量バイアルに封入され得る。態様では、注射用薬学的組成物は、好ましくは無菌である。
【0189】
他の態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を含む薬学的組成物は、局所投与を目的としてもよく、その場合、担体は、溶液、エマルジョン、軟膏、またはゲルベースを好適に含み得る。態様では、基剤は、例えば、以下のうちの1つ以上を含み得る:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、鉱油、希釈剤(例えば、水、及びアルコール)、ならびに乳化剤及び安定剤。他の態様では、増粘剤は、局所投与用の薬学的組成物中に存在してもよい。態様では、経皮投与を目的とする場合、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の薬学的組成物は、経皮パッチまたはイオン泳動デバイスに含まれてもよい。
【0190】
態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を含む薬学的組成物は、例えば、坐剤の形態で、直腸投与を目的とする。坐剤の場合、結合剤及び担体は、例えば、ポリアルカレングリコールまたはトリグリセリドを含み得る。態様では、直腸投与用の組成物は、好適な非刺激性賦形剤として油性基剤を含有する。そのような基剤としては、ラノリン、カカオバター、またはポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0191】
態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質を含む薬学的組成物は、エアロゾルとして投与され得る投与量単位を含む。エアロゾルという用語は、コロイド性質のものから加圧パッケージで構成されるシステムまで、様々なシステムを表すために使用される。態様では、送達は、液化ガスもしくは圧縮ガスによって、または活性成分を分配する好適なポンプシステムによって達成される。態様では、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質のエアロゾルは、活性成分(複数可)を送達するために、単相、二相、または三相系で送達することができる。他の態様では、エアロゾルの送達には、必要な容器、アクチベーター、弁、サブ容器などが含まれ、これらが一緒になってキットを形成することができる。当業者は、特定のエアロゾル製剤及び送達モードを容易に決定することができる。
【0192】
本開示の薬学的組成物は、好適で無毒な薬学的担体で投与されてもよく、マイクロカプセル、マイクロビーズに含まれてもよく、及び/または持続放出インプラントに含まれてもよい。
【0193】
態様では、本開示の薬学的組成物は、活性成分の周りにコーティングシェルを形成する材料を含む。態様では、コーティングシェルを形成する材料は、典型的には、不活性であり、例えば、砂糖、シェラック、及び他の腸溶コーティング剤から選択され得る。
【0194】
態様では、固体または液体形態の本開示の薬学的組成物は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質に結合し、それによって、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の送達を補助する薬剤を含む。態様では、この能力で作用する好適な薬剤は、タンパク質またはリポソームを含む。
【0195】
態様では、対象に投与される薬学的組成物は、1つ以上の投与量単位の形態をとり、例えば、錠剤は、単一の投与量単位であり得、エアロゾル形態で本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質の容器は、複数の投与量単位を保持することができる。そのような剤形を調製する実際の方法は、既知であるか、または当業者には明らかである。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition(Philadelphia College of Pharmacy and Science,2000)を参照されたい。投与される組成物は、いずれにせよ、本明細書の教示に従って、目的の疾患もしくは病態の治療を補助するために、治療有効量の本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0196】
態様では、本開示の薬学的組成物は、1つ以上の追加の治療活性物質を含む。他の態様では、治療有効用量の本開示の薬学的組成物は、その必要のある対象に、1つ以上の追加の治療活性物質と組み合わせて投与される。本明細書で使用される場合、「組み合わせ」は、本明細書に記載の方法で使用されるILT7結合タンパク質と、1つ以上の追加の治療活性物質と、を含む組み合わせを指し、これらの各々は、連続的に(serially)(逐次的に(sequentially))、同時に(concurrently)または同時に(simultaneously)投与され得る。
【0197】
本開示の薬学的組成物は、治療レベルを維持するために、いくつかの間隔で投与されることが望ましい。本開示の薬学的組成物は、他の殺菌または静菌方法と併用して使用することができる。
【0198】
本明細書に提供される薬学的組成物の説明は、主に、ヒトへの投与に好適な薬学的組成物を対象としているが、かかる組成物が、一般に、あらゆる種類の対象への投与に好適であることが当業者によって理解される。態様では、対象は、哺乳動物である。態様では、哺乳動物としては、霊長類(例えば、ヒト、サル、チンパンジー、及び類人猿)、ならびに非霊長類(例えば、実験動物及び家庭用ペット及び家畜(例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ)を含む家畜)、ならびに非家畜(例えば、野生動物、鳥など)が挙げられる。
【0199】
キット
抗ILT7結合タンパク質を含むキットも提供される。態様では、キットは、a)その必要のある対象において脱毛症の治療に使用するための抗ILT7結合タンパク質を含む薬学的組成物と、b)その必要のある対象に当該薬学的組成物を投与する方法を記載する説明書と、を含む。
【0200】
キットは、抗ILT7結合タンパク質(例えば、液体もしくは凍結乾燥形態で)、または抗ILT7結合タンパク質を含む薬学的組成物を含むことができる。加えて、かかるキットは、抗ILT7結合タンパク質(例えば、シリンジまたはプレフィルドペン)を投与するための手段及び使用説明書を含むことができる。これらのキットは、追加の治療剤を収容してもよい。
【0201】
態様では、容器は、キット内に含まれ、バイアルであり得る。バイアルは、本明細書に提供される組成物の凍結乾燥剤形を含むことができる。実施形態では、バイアルは、本明細書に提供される組成物の液体剤形を含むことができる。実施形態では、容器は、バイアルであり、約1mL、1.25mL、1.5mL、1.75mL、2mL、2.25mL、2.5mL、2.75mL、3mL、3.25mL、3.5mL、3.75mL、4mL、4.25mL、4.5mL、4.75mL、5mL、5.25mL、5.5mL、5.75mL、6mL、6.25mL、6.5mL、6.75mL、7mL、7.25mL、7.5mL、7.75mL、8mL、8.25mL、8.5mL、8.75mL、9mL、9.25mL、9.5mL、9.75mL、10mLの溶液を収容する。
【0202】
番号付けされた実施形態
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示は、以下の番号付けされた実施形態を記載する。
【0203】
実施形態セット1
1.その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgである、当該方法。
【0204】
2.その必要のある対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgである、当該方法。
【0205】
3.その必要のある対象においてI型インターフェロン遺伝子シグネチャ(IFNGS)を低減するための方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質が、正常な対象における当該I型IFNGSと比較して、当該対象における当該I型IFNGSが上昇している場合、当該対象に投与され、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgである、当該方法。
【0206】
4.当該I型IFNGSが、当該対象から採取された試験生体試料において測定され、当該試験試料が、血液、痰、唾液、皮膚細胞、皮膚生検試料、腎臓細胞、肺細胞、肝臓細胞、心臓細胞、脳細胞、神経組織、甲状腺細胞、眼細胞、骨格筋細胞、軟骨、骨組織、及び培養細胞からなる群から選択される、実施形態3に記載の方法。
【0207】
5.当該試験生体試料が、血液、皮膚細胞、または皮膚生検試料である、実施形態4に記載の方法。
【0208】
6.当該I型IFNGSが、その他は同等の正常な生体試料と比較して、当該試験生体試料において少なくとも約4倍上昇している、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
7.当該I型IFNGSが、2つ以上のI型インターフェロン(IFN)誘導性遺伝子の集合的発現レベルを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
8.当該2つ以上のI型インターフェロン(IFN)誘導性遺伝子が、SPATS2L、EPSTI1、HERC5、IFI27、IFI44、IFI44L、IFI6、IFIT1、IFIT3、ISG15、LAMP3、LY6E、MX1、OAS1、OAS2、OAS3、PLSCR1、RSAD2、RTP4、SIGLEC1、及びUSP18からなる群から選択される、実施形態7に記載の方法。
【0211】
9.当該I型IFNGSが、SPATS2L、EPSTI1、HERC5、IFI27、IFI44、IFI44L、IFI6、IFIT1、IFIT3、ISG15、LAMP3、LY6E、MX1、OAS1、OAS2、OAS3、PLSCR1、RSAD2、RTP4、SIGLEC1、及びUSP18の全ての集合的発現レベルを含む、実施形態7に記載の方法。
【0212】
10.当該I型IFNGSが、当該試験生体試料中の当該2つ以上のI型インターフェロン(IFN)誘導性遺伝子のmRNAレベルをアッセイすることによって決定される、実施形態7に記載の方法。
【0213】
11.当該I型IFNGSが、当該試験生体試料中のSPATS2L、EPSTI1、HERC5、IFI27、IFI44、IFI44L、IFI6、IFIT1、IFIT3、ISG15、LAMP3、LY6E、MX1、OAS1、OAS2、OAS3、PLSCR1、RSAD2、RTP4、SIGLEC1、及びUSP18のmRNAレベルをアッセイすることによって決定される、実施形態8に記載の方法。
【0214】
12.当該ILT7結合タンパク質を当該投与することが、当該対象の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0215】
13.当該pDCが、循環pDCである、実施形態12に記載の方法。
【0216】
14.当該pDCの当該低減が、可逆的である、実施形態12または13に記載の方法。
【0217】
15.当該I型IFNGSの低減が、当該対象における自己免疫疾患を治療する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0218】
16.当該ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0219】
17.当該ILT7結合タンパク質が、約12週間毎に1回投与される、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0220】
18.当該対象が、初回用量の約4週間後に、追加の200mg用量の当該ILT7結合タンパク質を投与される、実施形態17に記載の方法。
【0221】
19.その必要のある対象において自己免疫疾患を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgであり、当該対象が、a)第1の用量、b)当該第1の用量の約4週間後に第2の用量、c)当該第1の用量の約12週間後に第3の用量、及びd)当該第3の用量の約12週間後にその後の用量を投与される、当該方法。
【0222】
20.その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される、当該方法。
【0223】
21.その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、約12週間毎に1回投与され、当該対象が、初回用量の約4週間後に追加の200mg用量の当該ILT7結合タンパク質を投与される、当該方法。
【0224】
22.その必要のある対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgであり、当該対象が、a)第1の用量、b)当該第1の用量の約4週間後に第2の用量、c)当該第1の用量の約12週間後に第3の用量、及びd)当該第3の用量の約12週間後にその後の用量を投与される、当該方法。
【0225】
23.その必要のある対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される、当該方法。
【0226】
24.その必要のある対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、約12週間毎に1回投与され、当該対象が、初回用量の約4週間後に追加の200mg用量の当該ILT7結合タンパク質を投与される、当該方法。
【0227】
25.ベースライン値と比較した、当該組織中のpDCの当該低減が、約1%~約99%の範囲である、実施形態22~24のいずれか1つに記載の方法。
【0228】
26.当該ベースライン値と比較した、当該組織中のpDCの当該低減が、少なくとも約50%である、実施形態22~25のいずれか1つに記載の方法。
【0229】
27.当該対象が、当該ILT7結合タンパク質の投与の前に、高い血中I型IFNGSレベルを有する、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0230】
28.当該対象が、当該ILT7結合タンパク質の投与の前に、組織生検において高いpDCレベルを有する、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0231】
29.当該対象が、自己免疫疾患を含み、当該自己免疫疾患が、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、皮膚エリテマトーデス(CLE)、シェーグレン症候群、炎症性筋炎、例えば、皮膚筋炎、封入体筋炎、若年性筋炎及び多発性筋炎、全身性硬化症、糖尿病、橋本病、自己免疫性副腎不全、真正赤血球性貧血、多発性硬化症、リウマチ性心炎、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、慢性炎症、慢性関節リウマチ、白斑、円形脱毛症、化膿性汗腺炎、セリアック病、急性及び慢性移植片対宿主病(GVHD)、血管炎、心筋梗塞、1型インターフェロン症、ならびにこれらの組み合わせである、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
【0232】
30.当該自己免疫疾患が、SLEである、実施形態29に記載の方法。
【0233】
31.当該自己免疫疾患が、CLEである、実施形態29に記載の方法。
【0234】
32.当該自己免疫疾患が、ループスである、実施形態29に記載の方法。
【0235】
33.当該対象が、円板状エリテマトーデス(DLE)を有しない、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
34.当該対象が、DLEを有する、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
【0237】
35.当該ILT7結合タンパク質が、皮下注射によって投与される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0238】
36.当該ILT7結合タンパク質の投与が、当該ILT7結合タンパク質の投与の前の当該I型IFNGSと比較して、当該対象における当該I型IFNGSの少なくとも約50%の減少をもたらす、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0239】
37.当該ILT7結合タンパク質が、pDCに対する抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活動性を誘導する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0240】
38.当該ILT7結合タンパク質が、pDCからのI型インターフェロン(IFN)の放出を少なくとも抑制する、実施形態1~37のいずれか1つに記載の方法。
【0241】
39.当該I型IFNが、IFNαである、実施形態38に記載の方法。
【0242】
40.当該ILT7結合タンパク質が、ILT7に結合する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0243】
41.当該対象が、当該ILT7結合タンパク質の投与の前に、高い血中I型IFNGSレベルを有すると判定される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0244】
42.当該ILT7結合タンパク質が、
それぞれ、配列番号3、4、5、6、7、及び8のアミノ酸配列を含む、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HDR2、HCDR3、ならびに軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3
を含む抗体である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0245】
43.当該ILT7結合タンパク質が、
配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)、及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)
を含む抗体である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0246】
44.当該ILT7結合タンパク質が、
配列番号1の重鎖可変領域(VH)及び配列番号2の軽鎖可変領域(VL)を含む、抗体
である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0247】
45.当該ILT7結合タンパク質が、非フコシル化されている、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0248】
46.その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)、を含む抗体であり、当該対象が、a)第1の用量、b)当該第1の用量の約4週間後に第2の用量、c)当該第1の用量の約12週間後に第3の用量、及びd)当該第3の用量の約12週間後にその後の用量を投与される、当該方法。
【0249】
47.その必要のある対象において全身性エリテマトーデスを治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)、を含む抗体であり、当該対象が、a)第1の用量、b)当該第1の用量の約4週間後に第2の用量、c)当該第1の用量の約12週間後に第3の用量、及びd)当該第3の用量の約12週間後にその後の用量を投与される、当該方法。
【0250】
48.その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)、を含む抗体であり、当該ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される、当該方法。
【0251】
49.その必要のある対象において全身性エリテマトーデスを治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)、を含む抗体であり、当該ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される、当該方法。
【0252】
50.その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)、を含む抗体であり、当該ILT7結合タンパク質が、約12週間毎に1回投与され、当該対象が、初回用量の約4週間後に追加の200mg用量の当該ILT7結合タンパク質を投与される、当該方法。
【0253】
51.その必要のある対象において全身性エリテマトーデスを治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)、を含む抗体であり、当該ILT7結合タンパク質が、約12週間毎に1回投与され、当該対象が、初回用量の約4週間後に追加の200mg用量の当該ILT7結合タンパク質を投与される、当該方法。
【0254】
52.その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約150~350mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)、を含む抗体である、当該方法。
【0255】
53.当該ILT7結合タンパク質が、1つ以上の追加の療法とともに投与される、実施形態1~52のいずれか1つに記載の方法。
【0256】
54.当該1つ以上の追加の療法のうちの1つが、標準治療療法である、実施形態53に記載の方法。
【0257】
55.当該ILT7結合タンパク質の投与が、当該対象における疾患のフレアの発生を低減する、実施形態1~54のいずれか1つに記載の方法。
【0258】
56.当該1つ以上の追加の療法が、グルココルチコイドを含む、実施形態53に記載の方法。
【0259】
57.当該1つ以上の追加の療法の実施が漸減する、実施形態53~56のいずれか1つに記載の方法。
【0260】
58.当該自己免疫障害が、円板状エリテマトーデス(DLE)、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、皮膚筋炎/抗合成酵素炎症性筋炎(DM/ASIM)、及び円形脱毛症からなる群から選択される、実施形態53~57のいずれか1つに記載の方法。
【0261】
59.当該自己免疫障害が、DLEであり、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約300mgである、実施形態58に記載の方法。
【0262】
60.当該自己免疫障害が、SLEであり、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgである、実施形態58に記載の方法。
【0263】
61.当該自己免疫障害が、ループス腎炎であり、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約300mgである、実施形態58に記載の方法。
【0264】
62.その必要のある対象において円板状エリテマトーデス(DLE)を治療する方法であって、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含む、当該方法。
【0265】
63.当該DLEが、原発性DLEである、実施形態62に記載の方法。
【0266】
64.当該対象が、全身性ループスを有しない、実施形態62または63に記載の方法。
【0267】
65.当該DLEが、難治性である、実施形態62~64のいずれか1つに記載の方法。
【0268】
66.当該DLEが、局所ステロイド、病巣内ステロイド、抗マラリア薬、タクロリムス、サリドマイド、オピカルタクロリムス、アザチオプリン、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、及びアシトレチンからなる群から選択される1つ以上の療法に対して難治性である、実施形態65に記載の方法。
【0269】
67.当該ILT7結合タンパク質が、抗体である、実施形態62~66のいずれか1つに記載の方法。
【0270】
68.当該抗体が、配列番号3、4、5、6、7、及び8のアミノ酸配列を有する、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HDR2、HCDR3、ならびに軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、実施形態67に記載の方法。
【0271】
69.当該抗体が、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である可変重鎖(VH)と、配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である可変軽鎖(VL)と、を含む、実施形態67または68に記載の方法。
【0272】
70.その必要のある対象において円形脱毛症を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約250mg~350mgである、当該方法。
【0273】
71.円形脱毛症を有する対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減させる方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約250mg~350mgである、当該方法。
【0274】
72.当該ILT7結合タンパク質を当該投与することが、当該対象の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0275】
73.当該pDCが、循環pDCである、実施形態71または72に記載の方法。
【0276】
74.当該pDCの当該低減が、可逆的である、実施形態72または73に記載の方法。
【0277】
75.当該ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される、実施形態70~74のいずれか1つに記載の方法。
【0278】
76.その必要のある対象において円形脱毛症を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約250mg~350mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される、当該方法。
【0279】
77.円形脱毛症を有する対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)を低減する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約250mg~350mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される、当該方法。
【0280】
78.ベースライン値と比較した、当該組織中のpDCの当該低減が、約1%~約99%の範囲である、実施形態71~77のいずれか1つに記載の方法。
【0281】
79.当該ベースライン値と比較した、当該組織中のpDCの当該低減が、少なくとも約50%である、実施形態71~78のいずれか1つに記載の方法。
【0282】
80.当該ILT7結合タンパク質が、pDCに対する抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活動性を誘導する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0283】
81.当該ILT7結合タンパク質が、pDCからのI型インターフェロン(IFN)の放出を少なくとも抑制する、実施形態71~80のいずれか1つに記載の方法。
【0284】
82.当該I型IFNが、IFNαである、実施形態81に記載の方法。
【0285】
83.当該ILT7結合タンパク質が、ILT7に結合する、実施形態70~82のいずれか1つに記載の方法。
【0286】
84.当該ILT7結合タンパク質が、
それぞれ、配列番号3、4、5、6、7、及び8のアミノ酸配列を含む、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HDR2、HCDR3、ならびに軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3
を含む抗体である、実施形態70~83のいずれか1つに記載の方法。
【0287】
85.当該ILT7結合タンパク質が、
配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)、及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)
を含む抗体である、実施形態70~84のいずれか1つに記載の方法。
【0288】
86.当該ILT7結合タンパク質が、
配列番号1の重鎖可変領域(VH)及び配列番号2の軽鎖可変領域(VL)を含む、抗体
である、実施形態70~85のいずれか1つに記載の方法。
【0289】
87.当該ILT7結合タンパク質が、非フコシル化されている、実施形態70~86のいずれか1つに記載の方法。
【0290】
88.その必要のある対象において円形脱毛症を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約250mg~350mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)、を含む抗体であり、当該ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される、当該方法。
【0291】
89.その必要のある対象において円形脱毛症を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約250mg~350mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)、を含む抗体である、当該方法。
【0292】
90.当該ILT7結合タンパク質が、1つ以上の追加の療法とともに投与される、実施形態70~89のいずれか1つに記載の方法。
【0293】
91.当該1つ以上の追加の療法のうちの1つが、標準治療療法である、実施形態90に記載の方法。
【0294】
92.当該ILT7結合タンパク質が、皮下投与される、実施形態70~91のいずれか1つに記載の方法。
【0295】
93.当該投与することが、脱毛症の重症度ツール(SALT)スコアならびに/または脱毛症の密度及び範囲(ALODEX)スコアの安定または低減によって判定される場合に当該対象における脱毛を安定化または低減するのに有効である、実施形態70~92のいずれか1つに記載の方法。
【0296】
94.当該ILT7結合タンパク質が円形脱毛症を有するマウスに投与された場合に当該投与することが、当該マウスの毛包を含む生検において、免疫組織化学によって判定される場合に1型インターフェロン誘導性ミクソウイルスタンパク質A(MxA)のレベルを低減するのに有効である、実施形態70~93のいずれか1つに記載の方法。
【0297】
95.当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約300mgである、実施形態70~94のいずれか1つに記載の方法。
【0298】
96.当該300mgが、各々150mgの2用量として投与される、実施形態95に記載の方法。
【0299】
97.当該ILT7結合タンパク質が、ダクスジリマブである、実施形態70~96のいずれか1つに記載の方法。
【0300】
98.その必要のある対象においてループス腎炎を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約300mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される、当該方法。
【0301】
99.その必要のある対象においてループス腎炎を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約100mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される、当該方法。
【0302】
100.当該ILT7結合タンパク質を4週間毎に投与される前に、当該対象が、1つ以上の初回用量の当該ILT7結合タンパク質を投与される、実施形態98または99に記載の方法。
【0303】
101.当該ILT7結合タンパク質の当該初回用量が、約2週間毎に1回投与される、実施形態100に記載の方法。
【0304】
102.当該対象が、4週間毎に、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12用量、またはそれ以上の当該ILT-7タンパク質を投与された後、維持療法に割り当てられる、実施形態98~101のいずれか1つに記載の方法。
【0305】
103.当該維持用量が、約12週間毎に1回投与される、実施形態102に記載の方法。
【0306】
104.当該ILT7結合タンパク質が、1つ以上の追加の療法とともに投与される、実施形態98~103のいずれか1つに記載の方法。
【0307】
105.当該1つ以上の追加の療法のうちの1つが、コルチコステロイドである、実施形態104に記載の方法。
【0308】
106.当該コルチコステロイドの投与が漸減する、実施形態105に記載の方法。
【0309】
107.その必要のある対象においてDLEを治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約300mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される、当該方法。
【0310】
108.その必要のある対象においてDLEを治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約150mgであり、当該ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回投与される、当該方法。
【0311】
109.当該投与することが、以下のうちの1つ以上を低減するのに有効である、実施形態107または108に記載の方法:皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数-活動性(CLASI-A)スコア、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数-損傷(CLASI-D)スコア、皮膚ループス活動性医師全般評価(CLA-IGA)スケール、円板状エリテマトーデス分類基準(DLECC)スコア、円板状エリテマトーデスにおける活動性及び損傷のスコア(SADDLE)、新たな円板状病変の発症、病変のサイズ、または円板状病変の色素沈着異常。
【0312】
実施形態セット2
1.その必要のある対象において自己免疫障害を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約100~350mgである、当該方法。
【0313】
2.当該自己免疫疾患が、円板状エリテマトーデス(DLE)、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、皮膚筋炎、抗合成酵素炎症性筋炎、及び円形脱毛症からなる群から選択される、実施形態1に記載の方法。
【0314】
3.当該自己免疫疾患が、SLEであり、当該薬学的有効量が、約200mgである、実施形態2に記載の方法。
【0315】
4.当該投与することが、a)当該対象の組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)のレベル、b)I型インターフェロン遺伝子シグネチャ(IFNGS)、またはc)当該対象の当該組織中の形質細胞様樹状細胞(pDC)及び当該I型IFNGSのレベルであって、その各々が当該投与の前の当該対象のベースラインレベルと比較したものである、当該レベルを低減するのに有効である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0316】
5.当該IFNGSが、SPATS2L、EPSTI1、HERC5、IFI27、IFI44、IFI44L、IFI6、IFIT1、IFIT3、ISG15、LAMP3、LY6E、MX1、OAS1、OAS2、OAS3、PLSCR1、RSAD2、RTP4、SIGLEC1、及びUSP18の集合的発現レベルを含む、実施形態4に記載の方法。
【0317】
6.ベースライン値と比較した、当該組織中の当該pDCのレベルの低減が、少なくとも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、または70%である、実施形態4に記載の方法。
【0318】
7.当該自己免疫疾患が、ループス腎炎であり、当該薬学的有効量が、約300mgである、実施形態2に記載の方法。
【0319】
8.当該投与の後、当該対象が、当該投与の前の当該対象のベースラインレベルと比較した糸球体濾過量(eGFR)または24時間尿タンパク質対クレアチニン比(UPCR)の改善のうちの1つ以上によって判定される場合にポジティブな腎応答を達成する、実施形態7に記載の方法。
【0320】
9.当該自己免疫疾患が、円板状エリテマトーデス(DLE)であり、当該薬学的有効量が、約150~300mgである、実施形態2に記載の方法。
【0321】
10.当該投与することが、投与の前の対象のベースラインレベルと比較して、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数-活動性(CLASI-A)スコア、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数-損傷(CLASI-D)スコア、皮膚ループス活動性医師全般評価(CLA-IGA)スケール、円板状エリテマトーデス分類基準(DLECC)スコア、円板状エリテマトーデスにおける活動性及び損傷のスコア(SADDLE)、新たな円板状病変の発症、病変のサイズ、または円板状病変の色素沈着異常のうちの1つ以上を低減するのに有効である、実施形態9に記載の方法。
【0322】
11.当該自己免疫疾患が、円形脱毛症であり、当該薬学的有効量が、約300mgである、実施形態2に記載の方法。
【0323】
12.当該投与することが、脱毛症の重症度ツール(SALT)スコアならびに/または脱毛症の密度及び範囲(ALODEX)スコアの安定または低減によって判定される場合に当該対象における脱毛を安定化または低減するのに有効である、実施形態11に記載の方法。
【0324】
13.当該ILT7結合タンパク質が、1つ以上の追加の療法とともに投与される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0325】
14.当該1つ以上の追加の療法が、コルチコステロイドを含む、実施形態13に記載の方法。
【0326】
15.当該コルチコステロイドが、プレドニゾンである、実施形態14に記載の方法。
【0327】
16.当該1つ以上の追加の療法の実施が漸減する、実施形態13~15のいずれか1つに記載の方法。
【0328】
17.当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約150~300mgである、実施形態1に記載の方法。
【0329】
18.当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200~300mgである、実施形態17に記載の方法。
【0330】
19.当該ILT7結合タンパク質が、約4週間毎に1回、または約12週間毎に1回投与される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0331】
20.当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約300mgであり、当該300mgが、各々150mgの2用量として投与される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0332】
21.その必要のある対象において円板状エリテマトーデス(DLE)を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約100~約300mgである、当該方法。
【0333】
22.その必要のある対象において全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約200mgからである、当該方法。
【0334】
23.その必要のある対象においてループス腎炎を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約300mgからである、当該方法。
【0335】
24.その必要のある対象において円形脱毛症を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約300mgからである、当該方法。
【0336】
25.その必要のある対象において皮膚筋炎を治療する方法であって、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含む、当該方法。
【0337】
26.その必要のある対象において抗合成酵素炎症性筋炎を治療する方法であって、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含む、当該方法。
【0338】
27.当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、約100mg~約300mgである、実施形態25または26に記載の方法。
【0339】
28.当該ILT7結合タンパク質が、
それぞれ、配列番号3、4、5、6、7、及び8のアミノ酸配列を含む、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HDR2、HCDR3、ならびに軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3
を含む抗体である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0340】
29.当該ILT7結合タンパク質が、
配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変重鎖(VH)、及び/または配列番号2と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である可変軽鎖(VL)
を含む抗体である、実施形態28に記載の方法。
【0341】
30.当該ILT7結合タンパク質が、
配列番号1の重鎖可変領域(VH)及び配列番号2の軽鎖可変領域(VL)を含む、抗体
である、実施形態29に記載の方法。
【0342】
31.当該ILT7結合タンパク質が、非フコシル化されている、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0343】
32.当該ILT7結合タンパク質が、ダクスジリマブである、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0344】
33.当該投与が、皮下投与である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0345】
34.当該対象が、当該ILT7結合タンパク質を、4週間毎に投与される、実施形態21~33のいずれか1つに記載の方法。
【0346】
35.当該対象が、当該ILT7結合タンパク質を、12週間毎に投与される、実施形態21~33のいずれか1つに記載の方法。
【0347】
36.当該投与の前に、当該対象が、少なくとも1つの初回用量の当該ILT7結合タンパク質を投与される、実施形態21~35のいずれか1つに記載の方法。
【0348】
37.当該少なくとも1つの初回用量が、2週間毎に1、2、3、4、5用量、またはそれ以上で投与される、実施形態36に記載の方法。
【0349】
38.当該少なくとも1つの初回用量が、約100~300mgである、実施形態36または37に記載の方法。
【0350】
39.その必要のある対象においてループス腎炎を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、最大4週間、2週間毎に約100mg、続いて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15用量、またはそれ以上で4週間毎に100mgである、当該方法。
【0351】
40.当該対象が、12週間毎に100mgのILT7結合タンパク質、または前記4週間毎の投与の後、12週間毎に300mgのILT7結合タンパク質を更に投与される、実施形態39に記載の方法。
【0352】
41.当該100mgを12週間毎、または当該300mgを12週間毎が、少なくとも約104週間継続する、実施形態40に記載の方法。
【0353】
42.その必要のある対象においてループス腎炎を治療する方法であって、当該方法が、薬学的有効量の免疫グロブリン様転写産物7(ILT7)結合タンパク質を当該対象に投与することを含み、当該ILT7結合タンパク質の当該薬学的有効量が、最大4週間、2週間毎に約300mg、続いて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15用量、またはそれ以上で12週間毎に300mgである、当該方法。
【実施例
【0354】
実施例1:中等度から重度の活動性全身性エリテマトーデスの治療のためのVIB7734(ダクスジリマブ)の第2相無作為化二重盲検プラセボ対照有効性及び安全性試験
中等度から重度の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を有する対象におけるダクスジリマブの有効性及び安全性を評価するために、第II相多施設国際二重盲検無作為化プラセボ対照平行群治験を実施する。
【0355】
標的集団は、SLE疾患活動性指数2000(SLEDAI-2K)、英国諸島ループス評価グループ(BILAG)2004指数、及び医師全般評価(PGA)によって定義される、中等度から重度の活動性(最近のフレアまたは慢性活動性疾患)SLEを有する18歳以上70歳以下の成人である。この試験では、約195人の対象を、1:1:1の比率で無作為化して(1群当たり65人の対象)、4週間毎にダクスジリマブ200mg(SC)、12週間毎にダクスジリマブ200mg(SC)、及び4週目に追加の200mg(SC)の用量、またはプラセボを投与する。盲検性を維持するために、ダクスジリマブ200mg12週間毎のSC投与レジメンに無作為化された対象は、12週間毎のスケジュール外の投与来院時に、SCプラセボ注射を投与される。無作為化は、スクリーニング時のSLE疾患活動性指数2000(SLEDAI-2K)合計スコア(≧10または≦10)及びベースライン時(1日目)のプレドニゾンまたは当量の経口グルココルチコイド(OGC)用量(≧10mgまたは≦10mg)によって層別化される。
【0356】
試験は、約4週間(-28日目~-1日目)のスクリーニング期間、1日目の無作為化、48週目までの治療及び評価、ならびに8週間(56週目まで)の安全性フォローアップ(SFU)期間を含む。検査結果の遅延、薬物のウォッシュアウト、またはCOVID-19の影響などの例外的な状況下では、メディカルモニターの承認を得て、スクリーニング期間を2週間延長することができる。本試験は、外来ベースで実施される。全ての投与について、IPは、診療所における施設スタッフによって投与され、対象は、第1及び第2の用量後、少なくとも60分間観察される。44週目前に投与を早期に停止した対象は、56週目まで追跡される。IPの投与が見逃された場合、対象は試験から自動的に除外されることはない。
【0357】
安全性及び有効性のための長期延長(LTE)試験は、48週目の来院を完了した対象に、別個のプロトコルの一部として提供され得る。48週目の来院の完了後にLTE試験に直接入る対象は、SFU期間の来院を完了しない。
【0358】
試験設計を図1に要約する。
【0359】
主要目的は、SoC療法で治療された対象における48週目のSLE疾患活動性の低減における、プラセボと比較したダクスジリマブの効果を評価することである。主要目的は、以下の基準に従って測定される。
●48週目に、BILAGベースの複合ループス評価(BICLA)応答、及びOGC用量≦7.5mg/日、及び≦1日目の用量のプレドニゾンまたは当量を達成した対象の割合。対象は、48週目にBICLA及び経口グルココルチコイドを評価される。
●BICLA応答は、ベースライン(1日目)と比較して、以下の全ての条件を満たすものとして定義される。
○BILAG2004指標の改善(全てのベースライン[1日目]BILAG AがB/C/Dに改善し、全てのベースライン[1日目]BILAG BがC/Dに改善し、新しいBILAG Bが≦1で、新しいBILAG Aがないこと。
○SLEDAI-2K合計スコアの悪化がないこと。
○PGAスコアの顕著な悪化がない(≦10%の増加)こと。
○評価前にプロトコル許容閾値を超える制限薬の使用がないこと。
○IPの中止がないこと。
【0360】
試験の有効性の目的は、以下の通りである。
●12週目に皮膚疾患活動性を低減するために、プラセボと比較したダクスジリマブの効果を評価すること。
○評価は、ベースライン(1日目)のCLASI-Aスコア≧10であり、12週目のCLASI-Aスコアがベースライン(1日目)から≧50%減少した対象の割合を測定する。スコアリングは、(1)疾患の炎症活動性、及び(2)疾患による損傷からなる。
●48週目にSLE疾患活動性を低減するために、プラセボと比較したダクスジリマブの効果を評価すること。
○評価は、48週目におけるSRI-4応答及びOGC用量≦7.5mg/日及び≦ベースライン(1日目)用量のプレドニゾンまたは当量を達成した対象の割合を測定する。SRI-4(SLEレスポンダー指数)は、ベースラインと比較して全ての基準を満たすことを指す(例えば、症状の悪化なし)。
●36週目~48週目までの持続的なOGCの減少に対する、プラセボと比較したダクスジリマブの効果を評価すること。
○評価は、ベースライン(1日目)で、OGC≧10mgのプレドニゾンまたは当量、36週目~48週目に、≦7.5mg/日のプレドニゾンまたは当量のOCGを達成する対象の割合を測定する。
●48週目に低い疾患活動性を達成するために、プラセボと比較したダクスジリマブの効果を評価すること。
○評価は、48週目にループスの低い疾患活動性状態(LLDAS)を達成する対象の割合を測定する。LLDASは、5つの基準を測定するSLE疾患活動性の複合尺度である。(1)SLEDAI-2K≦4、主要臓器系での活動性なし、(2)新たなループス疾患活動性なし、(3)PGA≦1(スケール0~3)、(4)現在のプレドニゾンまたは等価用量≦7.5mg/日、(5)免疫抑制薬の耐容維持用量、及び承認された生物学的薬剤。
【0361】
探索的目的
(1)年換算フレア率によって決定される場合の、48週目までの中等度から重度のフレアの発生の減少に対する、プラセボと比較したVIB7734の効果を評価すること。フレアは、前回の来院と比較して、≧1の新しいBILAG Aの項目または≧2の新しいBILAG Bの項目のいずれかとして定義される。(2)BICLA、BILAG2004指数、SRI-4、SRI-5、SRI-6、SRI-7、またはSRI-8、SLEDAI-2K、CLASI、OGC用量、関節数、主要臨床応答、部分臨床応答、最小疾患活動性、疾患寛解、及び曝露-応答関係によって決定される場合の、48週目及び経時的な様々な疾患活動性尺度に対する、プラセボと比較したVIB7734の効果を評価すること。(3)経時的な探索的バイオマーカーのレベルの変化によって決定される場合の、遺伝的変異、遺伝子発現、及び循環タンパク質のプロファイルとVIB7734応答との潜在的な関連性を探索すること。(4)運動及び認知機能の疲労スケール、病院及び不安うつ病スケール、ケンブリッジ神経心理学的試験自動バッテリー、患者全般評価、患者全般印象度変化、及びループス生活の質によって決定される場合の、48週目の参加者が報告した健康関連の生活の質及び健康評価に対する、プラセボと比較したVIB7734の効果を評価すること。(5)全身性エリテマトーデス国際協力クリニック/米国リウマチ学会損傷指数の変化によって決定される場合の、48週目の臓器損傷に対する、プラセボと比較したVIB7734の効果を評価すること。
【0362】
薬物動態/薬力学/免疫原性の目的
VIB7734の濃度、pDCの変化、及び抗薬物抗体率によって決定される場合の、VIB7734の薬物動態、薬力学、及び免疫原性を特徴決定すること。
【0363】
組み入れ基準:
この試験に含めるには、各対象が以下の全ての基準を満たす必要がある。
1.インフォームドコンセントフォーム(ICF)に署名した時点で18歳以上70歳以下の年齢。
2.試験関連手順を行う前に、書面によるインフォームドコンセントを理解し提供する意思と能力があり、全ての試験要件を遵守し、試験評価を完了する。
3.2019年欧州リウマチ学会/米国リウマチ学会のSLE分類基準を満たす(Aringer et al,2019)。
4.ICFに署名した時点で、診断時から少なくとも6ヶ月間の罹患期間。
5.以下の全ての存在によって示される活動性SLE:
●発熱、SLE頭痛、または器質性脳症候群を除く、スクリーニング時のSLEDAI-2K合計スコア≧6。
●スクリーニング及びベースライン(1日目)時の尿または検査結果、免疫学的測定、発熱、SLE頭痛、または器質性脳症候群に起因する点を除き、SLEDAI-2K合計スコア≧4。
●スクリーニング時の疾患の以下のBILAG2004指数レベルのうちの少なくとも1つ:
○≧1の臓器系におけるBILAG A疾患、
○≧2の臓器系におけるBILAG B疾患。
●スクリーニング時の視覚的アナログスケール(VAS)0~3でのPGAスコア≧1。
6.中央検査室毎のスクリーニング時、以下のうち少なくとも1つを有していること:
●抗核抗体(ANA)≧1:80。
●抗dsDNA抗体が、中央検査室によって確立された正常範囲を超えて上昇している(すなわち、陽性結果)。
●抗Smith抗体が正常値を超えて上昇している(すなわち、陽性結果)。
7.(a)または(b)として定義されるSLEのための進行中の治療:
a.疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)または免疫抑制薬による治療:以下のいずれかの薬物が、スクリーニング前に少なくとも12週間(中止された場合、または文書化されている薬物関連の毒性またはサイズ/重量に対して用量を調整しない限り)SLEの治療のための従来の抗リウマチ用量で、及びスクリーニング前に最低8週間一定用量で(投与経路を含む)、各々投与され、ベースライン(1日目)まで維持される。
i.抗マラリア薬
■クロロキン
■ヒドロキシクロロキン
■キナクリン
ii.アザチオプリン(AZA)または6-メルカプトプリン(6-MP)
iii.レフルノミド
iv.ミコフェノール酸モフェチル(MMF)またはミコフェノール酸(MPA)
v.メトトレキサート(MTX)(MTXを使用する場合、対象は葉酸またはフォリン酸の補給を併用しなければならない)
vi.ボクロスポリン(治療用に承認されている場合)
vii.GCは許可されているが、対象が上記の少なくとも1つの他の薬物を投与されている場合は必須ではない。GCが許容されるDMARDまたは免疫抑制剤と併用する場合、それらは、スクリーニング前の最低2週間、POプレドニゾン(またはプレドニゾン当量)の平均1日用量≦40mg、及びスクリーニング前の最低2週間は一定用量でなければならない。加えて、OGCの用量は、無作為化の前に少なくとも2週間安定して維持されなければならない。POプレドニゾン(またはプレドニゾン当量)の毎日の投与または隔日の投与が許容される。
b.OGC単剤療法による治療(DMARDまたは免疫抑制剤の併用を伴わない):
i.スクリーニング前の最低4週間、POプレドニゾン(またはプレドニゾン当量)の平均1日用量が10mg以上40mg以下、及びスクリーニング前の最低2週間は一定用量。加えて、OGCの用量は、無作為化の前に少なくとも2週間安定して維持されなければならない。POプレドニゾン(またはプレドニゾン当量)の毎日の投与または隔日の投与が許容される。
8.妊娠可能な女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査が陰性であり、無作為化時に尿妊娠検査が陰性でなければならない。妊娠可能な女性は、外科的に不妊ではない女性(すなわち、外科的不妊手術には、両側卵管結紮、両側卵巣摘出、もしくは子宮摘出が含まれる)、または閉経後ではない女性(閉経後のホルモン補充療法を受けている場合を除き、別の医学的原因なしに月経がなく、中央検査室によって確立された閉経後の範囲内の卵胞刺激ホルモン(FSH)を伴わない12ヶ月間と定義される)と定義される。
不妊手術を受けていない男性パートナーと性的に活発な妊娠可能な女性は、インフォームドコンセントの署名により非常に効果的な避妊方法を使用することに同意しなければならず、試験のフォローアップの終了までまたは試験を早期に中止した場合は試験薬の最終用量後3ヶ月間(約5半減期)、かかる予防措置を使用し続けることに同意しなければならない。この時点以降の避妊に関する決定は、対象及び通常の医療提供者よって行われる必要がある。
禁欲は許容される慣行であるが、定期的な禁欲、リズム法、及び離脱法は、許容される避妊法ではない。
ミコフェノール酸は、ホルモン性避妊薬の代謝に影響を及ぼし、避妊のためにホルモン性避妊薬を使用しているMMFまたはMPAを投与されている女性におけるそれらの有効性を低減する可能性があるため、対象は追加の避妊法(例えば、バリア法)を使用しなければならないことに留意されたい。
9.妊娠可能な女性パートナーと性的に活発な不妊手術を受けていない男性対象は、無作為化から最終用量の受与から3ヶ月目(約5半減期)まで、殺精子剤を含むコンドームを使用することに同意する必要がある。殺精子剤を含む男性用コンドームは非常に効果的な避妊方法ではないため、男性対象は妊娠可能な女性パートナーにこの期間全体を通して非常に効果的な避妊方法を使用するように助言することを強く推奨する。
【0364】
除外基準:
1.試験の実施に関与した個人、その従業員、またはそのような個人の近親者。
2.治験責任医師の見解では、IPの評価、または対象の安全性もしくは試験結果の解釈を妨げる可能性のある任意の状態。
3.IPの任意の成分または以前のmAbもしくはヒトIg療法に対するアレルギー、過敏反応、またはアナフィラキシーの病歴。
4.1日目の前の4週間以内または公表されている5半減期以内のいずれか長い方のIPによる別の臨床試験への参加。
5.授乳中もしくは妊娠中の女性、またはICFに署名してからIPの最終用量の投与後6ヶ月までに妊娠を予定している女性。
6.治験責任医師の見解では、対象の安全性もしくは来院の遵守に影響を及ぼす可能性がある、または他の試験評価を妨げる可能性のある、薬物またはアルコール乱用の病歴。
7.スクリーニング前の8週間以内の大手術、またはスクリーニングから393日目までに計画された待機的手術。
8.スクリーニング前の≦4週間の自然流産もしくは人工流産、死産もしくは出産、または妊娠。
9.主要な免疫不全の既知の病歴、もしくは既知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染などの基礎状態、中央検査室毎のHIV感染の陽性結果、脾摘出、または治験責任医師の見解では、対象が著しく感染しやすいとする任意の基礎状態。
10.スクリーニング時の中央検査室毎の以下のいずれか(無作為化の前に結果を確認するために、同じスクリーニング期間内に検査を1回繰り返すことができる):
●AST≧2.5×ULN、
●ALT≧2.5×ULN、
●総ビリルビン≧1.5×ULN(ジルベール症候群による場合を除く)、
●血清IgG≦600mg/dL(もしくは≦6g/L)、
●好中球数≦1000/μL(もしくは≦1.0×10/L)または活動性SLEによる場合は≦500/μL(≦0.5×10/L)、
●血小板数≦50,000/μL(もしくは≦50×10/L)または活性型SLEによる場合は≦250,000/μL(≦25×10/L)、
●ヘモグロビン≦8g/dL(もしくは≦80g/L)または活動性SLEによる場合は≦7g/dL(≦70g/L)、
●グリコシル化ヘモグロビン≧8%(もしくは≧0.08)、
●総リンパ球数≦200細胞/mm
●糸球体濾過量≦30mL/分/1.73m
●スポットUPCr≧3mg/mg(339mg/mmol超)。
11.以下のように定義されるB型肝炎血清学の検査で陽性が確認されている:
●B型肝炎表面抗原(HBsAg)、または
●B型肝炎コア抗体(HBcAb)及びB型肝炎ウイルス(HBV)DNAが、スクリーニング時の中央検査室によるリフレックス検査によって定量下限(LLOQ)を超えて検出されている。
スクリーニング時にHBcAb陽性である対象は、HBV DNAについて3ヶ月毎に試験されることに留意されたい。中央検査室によると、対象のHBVDNAレベルがLLOQを超えていることが確認された場合、試験薬は中止される。
12.C型肝炎ウイルス抗体検査で陽性。
13.活動性結核、または活動性もしくは潜在性TBの適切な治療歴が文書化されていない限り、スクリーニング時のIFNγ放出アッセイ(IGRA)で陽性。IGRA検査結果が不確定な対象は、検査を繰り返すことができるが、反復検査も不確定な場合は除外される。
14.無作為化の前の任意の時点で、播種性ヘルペス、ヘルペス脳炎、最近の再発性帯状疱疹(過去2年以内に2回のエピソードとして定義される)、または眼部ヘルペスを含むがこれらに限定されない、任意の重篤なヘルペスウイルスファミリー感染(エプスタインバーウイルス、サイトメガロウイルス[CMV]を含む)。
15.無作為化の12週間前に完全に解消されなかった、任意の帯状疱疹、CMV、またはエプスタインバーウイルス感染。
16.ICFに署名する前の30日以内から、以下のいずれか:
●治験責任医師の見解では、抗生物質または抗ウイルス薬を必要とする進行中の感染症及び慢性感染症を含む、臨床的に有意な活動性感染(慢性爪感染症は許容される)、
●入院またはIV抗感染薬による治療を必要とする任意の感染症、
●SARSCoV-2検査で陽性と文書化されている対象は、無症状である場合は陽性検査の少なくとも2週間後及び症候性COVID-19の病気の少なくとも3週間後に再スクリーニングされ得る。
17.無作為化の前の2年以内に入院または非経口抗菌治療を必要とする日和見感染。
18.任意の急性の病気または臨床的に有意な活動性感染の証拠。
19.無作為化前の6ヶ月以内の不安定狭心症及び/または心筋梗塞及び/またはうっ血性心不全を含む臨床的に有意な心疾患の病歴。または以下を含むがこれらに限定されない任意の心臓状態:不適切に制御された不整脈、治験責任医師の見解では、試験参加のリスクを増加させる場合、ECG上の臨床的に有意な異常の存在。
20.以下の場合を除き、過去5年以内のがんの病歴:
●スクリーニングの≧12ヶ月前に根治療法で明らかな成功により治療された子宮頸部の上皮内癌、または
●根治療法で明らかな成功により治療された皮膚基底細胞癌もしくは扁平上皮癌。
21.1日目の前の4週間以内に弱毒化生ワクチンの受与。不活化(死菌)ワクチンの投与は許容される。
22.対象は、個人の参加のリスクに関する決定を下す場合、重篤な疾患の危険因子の現在の理解に基づいて、COVID-19の疫学的リスク(すなわち、最近の曝露、高リスクの住宅)及びCOVID-19の重症度の健康関連リスクについて評価される必要がある。COVID-19もしくはその他の重大な感染症を有するか、または治験責任医師の判断においてCOVID-19もしくはその合併症のリスクが高い可能性がある対象は、無作為化されるべきではない。
23.活動性LNまたは活動性の重度もしくは不安定な精神神経性SLE(例えば、無菌性髄膜炎、脳血管炎、脊髄症、脱髄症候群[上行性、横行性、急性炎症性脱髄性多発性神経根症])、急性錯乱状態、意識レベルの障害、精神病、急性脳卒中または脳卒中症候群、脳神経障害、てんかん重積症、小脳失調症、多発性単神経炎)
のうちのいずれか1つ。治験責任医師またはメディカルモニターの見解では、プロトコルで指定されたSoCでは不十分であり、シクロホスファミド静注などのより積極的な治療アプローチ(例えば、高用量のIVパルスGC療法、MMFが>3gm/日(MPAが>2.16gm/日)、もしくはMMF/MPAのベースライン用量からの増量、及び/またはプロトコルで許可されていないその他の治療が適応される可能性がある)が利用される。
24.非SLE血管炎症候群、混合性結合組織病、またはリウマチ性(重複)症候群の診断。
25.プロトコルで定義されたウォッシュアウト期間内の免疫抑制剤、生物製剤、及びDMARDの使用。
【0365】
実施例2:全身性エリテマトーデス(SLE)を有する対象におけるダクスジリマブの長期間の安全性及び忍容性を評価するための非盲検拡張試験
RECAST SLE臨床試験の治療期間を完了した対象におけるダクスジリマブの長期間の安全性及び忍容性を評価するために、第2相多施設非盲検延長(OLE)試験が行われる。RECAST SLE試験は、中等度から重度の活動性全身性SLEの治療のためのダクスジリマブの第2相無作為化二重盲検プラセボ対照有効性及び安全性試験である。本試験には、約195人の対象が登録される。SLE非盲検延長(OLE)試験(HZN-DAX-204)は、RECAST SLEプロトコルの治療期間を完了した対象における、ダクスジリマブ+標準治療の長期OLE試験である。RECAST SLE試験で割り当てられた治療にかかわらず、OLEに参加した全ての対象は、標準治療のSLE療法に加えて、12週間毎(Q12W)にダクスジリマブで皮下(SC)治療される。
【0366】
対象の連続投与を可能にするために、このOLE試験の開始は、RECAST SLE治療期間の完了直後(すなわち、RECAST SLE試験の48週目/来院14回目と一致する最初のOLE投与[1日目])に行われるべきである。
【0367】
主要目的及び二次目的、ならびに関連するエンドポイントを以下に詳述する。簡潔に、この試験の主要目的は、中等度から重度の活動性SLEを有する成人対象における12週間毎の200mgのダクスジリマブの長期間の安全性及び忍容性を評価することである。これは、有害事象(AE)、重篤な有害事象(SAE)、及び特に注目すべき有害事象(AESI)を要約することによって評価される。安全性所見を裏付けるために、局所注射部位の忍容性、バイタルサイン、身体検査、心電図、及び臨床検査も実施する。
【0368】
(表3)主要目的、二次目的、探索的目的
【0369】
治療
対象は、12週間毎(Q12W)に皮下(SC)で48週間、試験施設で非盲検のダクスジリマブ200mgで治療される(図2を参照)。ダクスジリマブは、2回の1.0mLのSC注射として投与される。治療の概要を、表4に提供する。
【0370】
(表4)試験薬及び投与の説明
【0371】
治療期間中、遠隔医療来院(例えば、電話またはビデオ通話)は、対象の現在の疾患状態、OGC漸減スケジュール、安全性、及び併用薬を評価するために、診療所来院(in-clinic visit)の間に4週間毎に行われることになる。治療期間(0週目~48週目)後、試験対象は、8週間の安全性フォローアップ期間(48週目~56週目)に入ることになる(表5の活動スケジュールを参照)。
【0372】
(表5)例示的な活動スケジュール
【0373】
組み入れ基準
(1)試験関連手順を行う前に、書面によるインフォームドコンセントを理解し提供する意思と能力があり、全ての試験要件を遵守し、試験評価を完了する。(2)IP(ダクスジリマブまたはプラセボ)に関して適格であり、IPを投与されていなければならず、RECAST SLE試験の治療期間(337日目まで)を完了している必要がある。RECAST SLEで早期にIPを中止した対象は、この試験に適格ではない。(3)妊娠可能な女性は、1日目に尿妊娠検査が陰性でなければならない。妊娠可能な女性は、外科的に不妊ではない女性(すなわち、外科的不妊手術には、両側卵管摘除、両側卵巣摘出、もしくは子宮摘出が含まれる)、または閉経後ではない女性(閉経後にホルモン補充療法を受けている場合を除き、別の医学的原因なしに月経がなく、RECAST SLE試験のスクリーニング期間中に中央検査室によって確立された閉経後の範囲内の卵胞刺激ホルモン[FSH]がない12ヶ月間と定義される)と定義される。女性対象が試験中に閉経後(すなわち、閉経後にホルモン補充療法を受けている場合を除き、別の医学的原因なしに月経がない12ヶ月間)になると、FSH検査が中央検査室で行われる。FSHレベルが閉経後の範囲内にある場合、女性対象は、その後の避妊を必要としない。不妊手術を受けていない男性パートナーと性的に活発な妊娠可能な女性は、ICFの署名により非常に効果的な避妊方法を使用することに同意しなければならず、試験のフォローアップの終了までまたは試験を早期に中止した場合は試験薬の最終用量後3ヶ月間(約5半減期)、かかる予防措置を使用し続け、この期間中の卵子採取/卵子提供を控えることに同意しなければならない。この時点以降、避妊に関する決定は、対象及び通常の医療提供者よって行われる必要がある。SLE OLEに参加する女性対象は、RECAST SLE試験中に使用したものと同じ形態の避妊を維持することが期待される。ミコフェノール酸は、ホルモン性避妊薬の代謝に影響を及ぼし、避妊のためにホルモン性避妊薬を使用しているMMFまたはミコフェノール酸(MPA)を投与されている女性におけるそれらの有効性を低減する可能性があるため、対象は追加の避妊法(例えば、バリア法)を使用しなければならないことに留意されたい。(4)妊娠可能な女性パートナーと性的に活発な不妊手術を受けていない男性対象は、1日目から最終用量の投与後3ヶ月目(約5半減期)まで、殺精子剤を含むコンドームを使用することに同意する必要がある。殺精子剤を含む男性用コンドームは非常に効果的な避妊方法ではないため、男性対象は妊娠可能な女性パートナーにこの期間全体を通して非常に効果的な避妊方法を使用するように助言することを強く推奨する。
【0374】
除外基準
(1)治験責任医師または治験依頼者の見解では、対象の安全性の評価及び解釈を妨げ、IP投与と関連するリスクベネフィットを変更するであろう、RECAST SLE試験中の状態または変化。(2)RECAST SLE試験期間中にIPを用いる別の臨床試験への参加。(3)治験責任医師または治験依頼者の見解では、対象の安全性の評価及び解釈を妨げる可能性のある計画された待機的手術。(4)来院1回目の前に完全に解消されなかった、任意の帯状疱疹、サイトメガロウイルス、またはエプスタインバーウイルス感染。(5)治験責任医師の見解では、抗生物質または抗ウイルス薬を必要とする進行中及び慢性感染症を含む、来院1回目での臨床的に有意な活動性感染(慢性爪感染症は許容される)。(6)妊娠中または授乳中の女性。前療法及び併用療法の基準:(7)RECAST SLE試験期間中の禁止薬の受与。RECAST SLE試験期間中の制限された薬物の受与は、治験依頼者のメディカルモニターと話し合い、本試験への登録前に合意しなければならない。
【0375】
中止の理由
対象において以下のいずれかが発生した場合、個々の対象は、ダクスジリマブをそれ以上投与されない:(1)許容されない薬物または療法の受与、(2)ダクスジリマブに対するグレード3以上のアレルギー反応、(3)ダクスジリマブに関連すると考えられるグレード3以上の感染症、(4)治験責任医師及び/または治験依頼者、メディカルモニターの見解では、更なる投与を禁じるその他の有害事象、(5)ダクスジリマブによる更なる治療からの同意の撤回、(6)対象が1つ以上の除外基準を満たしているか、試験参加のための全ての組み入れ基準を満たしておらず、メディカルモニターとの協議で特定された継続と関連する潜在的な安全性リスクがある、(7)妊娠または妊娠する決意、(8)以下の肝機能異常のいずれか:アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≧8×正常上限(ULN)、2週間を超えるALTまたはAST≧5×ULN、ALTまたはAST≧3×ULN及び総ビリルビン≧2×ULNまたは代替説明のない国際標準比≧1.5、疲労、吐き気、嘔吐、右上腹部痛もしくは圧痛、発熱、発疹、及び/または好酸球増加(≧5%)の出現を伴うALTまたはAST≧3×ULN。
【0376】
併用療法-試験中の全身性エリテマトーデス標準治療のための併用薬
免疫抑制薬は、RECAST SLE試験中に投与された場合、経口グルココルチコイド(OGC)及び非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を除き、治療期間中、一定に維持しなければならない。背景療法は、文書化された安全性の問題に対してのみ変更することができる。毒性/事象は、文書化されたAEとして確認されなければならない。用量は、毒性/事象が解消し、臨床的に示される場合、OLEベースライン(1日目)レベルに戻すことができる。任意の新しい免疫抑制剤もしくは免疫調節剤療法の開始、またはOLEの1日目に使用されるレベルを上回る用量の増加は、対象のIPの使用中止をもたらし得る(治験依頼者のメディカルモニターの裁量による)。
【0377】
グルココルチコイド(GC)。経口GCは許可されるが、試験への参加には必要ではない。プレドニゾン以外の経口GCは、等価用量で経口(PO)使用され得る。このOLEの目標は、応答を維持しながら提供され得る36週目までに、ステロイドの中止を含む、ステロイドの臨床的に適切な最低レベルを決定することであるため、治験責任医師には、対象が試験に登録した後に許容されるだけOGC用量を漸減することを強く推奨される。漸減及びバーストのガイダンスを、以下に概説する。治験中、治験責任医師は、必要に応じて、漸減またはバーストのシナリオについてメディカルモニターと話し合うために連絡を取ることができる。
【0378】
経口グルココルチコイドの漸減ガイダンス。経口GCの漸減は、臨床試験の4週目までに開始しなければならない。推奨されるOGC漸減レジメンの例を、図3に提供する。しかしながら、OGC治療に対する対象の応答の変動及び漸減の忍容性に起因して、治験責任医師は、各来院時にOGC用量をどのように減少させるかについて柔軟性を有すると考えられるが、治験責任医師には、少なくとも1mg/日で毎月漸減することが奨励される。以下の基準のうちの少なくとも1つが満たされていない限り、OGCの漸減を試みる必要がある:(1)SLEの影響を受ける新規または悪化している臓器系(複数可)がある。(2)皮膚の関与の増加がある。(3)新規のまたは悪化している関節の関与がある。これらの列挙された基準の外に、漸減が適切でないと治験責任医師が判断するシナリオがある場合、メディカルモニターに通知し、漸減を行わない理由について話し合う必要がある。
【0379】
グルココルチコイドバーストのガイダンス。治験責任医師には、臨床的に実行可能な限り、臨床試験全体を通してGCバーストの使用を制限することが奨励される。GCバーストは、治験責任医師の裁量で許容される。
【0380】
手術及び副腎不全の予防のための経口グルココルチコイドの増加。手術及び副腎不全の予防のためのOGCの増加は、臨床的に示されるように許容される。
【0381】
他の許可された薬物
アンジオテンシン変換酵素阻害剤及びアンジオテンシン受容体遮断剤:RECAST SLE試験中に使用する場合、文書化された安全上の理由で用量の変更、中止、または開始が必要な場合を除き、OLE試験中は一定用量で維持することが推奨される。
【0382】
抗COVID治療用抗体
アスピリン。低用量のアスピリン(≦350mg/日)が、心血管の予防に使用され得る。これは、NSAIDの使用に加えて、以下に指定されるように許可される。
【0383】
骨粗鬆症の予防及び治療。ビタミンD及びカルシウムの補給、及び必要に応じて、骨粗しょう症の治療は、現地の標準治療ガイドラインに従って許可されている。
【0384】
試験中、ハーブサプリメントを継続してもよい。投与量及び調製物は、全て一緒に中止されない限り、一定に維持することが推奨される。試験中に一度中止したハーブサプリメントを開始または再開しないことが推奨される。
【0385】
注射部位の反応の治療のための薬物。これらは、局所または全身抗ヒスタミン薬、局所GC、パラセタモール、またはNSAIDを含み得る。
【0386】
NSAID。NSAIDは、OLE中に必要に応じて(PRN)使用することができる。OLEベースライン(1日目)におけるSLE症状に対して定期的なスケジュールでNSAID(シクロオキシゲナーゼ2阻害剤;局所、処方、またはOTCを含む)を服用している対象は、試験全体を通して、一定用量で服用し続けることができる。全ての評価が完了するまで、来院日にNSAIDを服用すべきではない。対象は、文書化された毒性/安全上の理由により、試験中に用量を調整され得る。いかなるNSAID(処方箋、OTC、または局所)も、現地のガイドラインに従って最大許容用量を超えて使用すべきではない。
【0387】
オピオイド。OLEベースライン(1日目)に存在する場合、安定用量で最大40mg/日のモルヒネ当量が許可される。SLEのOLEの1日目の後のオピオイド及び/またはPRN投与の開始は推奨されず、40mg/日または当量(処方される場合)を超えるべきではない。これらは、試験中に、許容される範囲で滴定することができる。オピエートを含む鎮痛剤は、SLEに起因しない症状の一時的な緩和のために一定用量またはPRNで使用することができるが、その後、各試験来院前の24時間は避けることを強く推奨する。
【0388】
アセトアミノフェン。短時間作用型アセトアミノフェン(パラセタモール)は、承認された用量で試験中、疼痛管理のために開始または継続することができる。鎮痛薬は、予定された来院の最低6~12時間以内(既知の効果期間に基づいて)に使用すべきではない。
【0389】
CLEに対する局所療法。CLEに対する局所療法(例えば、GC、ピメクロリムス)の併用は許可されている。局所療法は、OLEベースライン(1日目)の前の2週間に使用されているものと同じでなければならず、適用の用量及び頻度は一定でなければならない。試験中、臨床症状及び治験責任医師の裁量に基づいて、局所療法を低減または中止することができる。皮膚症状が再発した場合、同じ局所療法は、OLEベースライン(Day1)で使用した用量まで再開され得る。必要に応じて、新しい外皮用薬を試験の期間中に使用することができる。また、対象は日焼け止め(SLEの併用薬として列挙される)を使用し、試験中の日光への曝露を避けることが推奨される。局所保湿剤も許可されている。
【0390】
対象の福祉に必要であると考えられ、試験薬に干渉しないであろう任意の薬物(プロトコルで禁止されているものを除く)は、治験責任医師の裁量で投与することができる。
【0391】
禁止薬
●生物学的免疫調節剤(ベリムマブ、アバタセプト、またはリツキシマブを含むが、これらに限定されない)
●骨髄、幹細胞(例えば、間葉系幹細胞)、または固形臓器移植
●シクロホスファミド
●GC
- 病変内
- 脱毛症のための皮内
- 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)類似体(例えば、Acthar(登録商標)、Synacthen(登録商標))
- デヒドロエピアンドロステロン
- 組み入れ基準及び除外基準に従って使用される場合、局所使用(許可された薬物毎に許容され得る)。
●Ig療法
●試験薬
●IPP-201101(Lupuzor(商標))
●IVコルチコステロイド≧1gメチルプレドニゾロンまたは当量
●ヤヌスキナーゼ阻害剤(例えば、トファシチニブ[Xeljanz(登録商標)]、バリシチニブ[Olumiant(登録商標)]、ウパダシチニブ[Rinvoq(商標)]、フィルゴチニブ、ペフィシチニブ)
●Bacille-Calmette-Guerinを含む生ワクチンまたは弱毒化ワクチン(治験依頼者は、試験に参加する前に、全ての対象が必要なワクチン接種を受けていることを確認することを推奨する)
●ミノサイクリン
●プラズマフェレーシス、血漿交換、またはTherakos(登録商標)フォトフェレーシス
●サリドマイド及びサリドマイド誘導体(例えば、レナリドミド[Thalomid(登録商標)、Revlimid(登録商標)])
●局所カルシニューリンまたは哺乳類ラパマイシン標的(mTOR)阻害剤(例えば、ピメクロリムス[例えば、Elidel(登録商標)]、シロリムス)
●スルファサラジン
●全身性mTOR阻害剤(例えば、シロリムス[Rapamune(登録商標)])
【0392】
制限薬
ダクスジリマブは治験中の免疫調節剤であるため、試験における免疫修飾剤または免疫抑制剤へのプロトコルで許可されていない変更は強く推奨されない。
対象が、治療期間中に以下のいずれかを開始する、またはOLEベースライン(1日目)用量を超えて用量を増加させる場合、治験責任医師は、治験依頼者のメディカルモニターに直ちに通知しなければならない。メディカルモニターは、対象がIPを投与され続け得るかどうかを決定する。
●抗マラリア薬:
- クロロキン
- ヒドロキシクロロキン
- キナクリン
●AZA
●シクロスポリン
- シクロスポリン点眼剤は、試験中に使用することが許可されている。
- リフィテグラスト点眼液(Xiidra点眼剤)は、試験中の使用が許可されている。
●ダナゾール
●ダプソン
●GC
- 筋肉内≧80mg/日のメチルプレドニゾロンまたは当量。
- 総メチルプレドニゾロン≧80mgまたは当量の関節内/腱鞘/嚢注射。
- IV≧40mg/日であるが、≦1g/日のメチルプレドニゾロンまたは当量。
- OGC
○≧40mg/日のプレドニゾンまたは当量。
○≧14日間の投薬期間のOLEベースライン(1日目)用量を上回る治療。
- 長い生物学的半減期(例えば、デキサメタゾン、ベタメタゾン)。
- SCまたは筋肉内前駆体(例えば、ACTH)。
●GC以外の関節内薬
●レフルノミド
●6-メカプトプリン(6-MP)
●MPA
●MMF
●MTX、またはPO、SC、もしくは筋肉内MTXの投与経路の変更
●スルファサラジン
●タクロリムス
●ボクロスポリン
【0393】
評価
(1)ループス評価の完了と審査プロセス。適切に訓練され、資格のある治験責任医師は、全身性エリテマトーデス疾患活動性指数2000(SLEDAI-2K)、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(CLASI)、ならびに関節数を含むがこれらに限定されない、ループス評価を完了する。SLEDAI-2K、医師全般評価(PGA)、及びCLASIは、治験責任医師または適切な資格のある医師によって実施される必要がある。ただし、適切な評価経験を文書化した他の臨床訓練を受けた治験施設の担当者について、治験依頼者の承認が事前に得られている場合を除く。ジョイントカウント評価は、治験責任医師の裁量により、評価を行う資格があり、ジョイントカウント評価を少なくとも1年間実施した経験がある他の治験施設の担当者によって完了されてもよい。
【0394】
(2)エリテマトーデス全身性ループス疾患活動性指数2000。SLEDAI-2K指数は、臓器症状のリストで構成され、各々定義を有する。認定された治験責任医師または指定された医師がSLEDAI-2K評価を完了し、過去4週間以内に各症状が「存在する」か「存在しない」かを判断する。評価には、SLEDAI-2Kの検査室カテゴリーを評価するための血液及び尿の採取も含まれる。SLEDAI-2K評価は、24のループス関連項目で構成される。これは重み付けされた手段であり、記述子に臓器の「重量」が乗算される。例えば、腎記述子に4を掛け、中枢神経系(CNS)記述子に8を掛ける。これらの重み付けされた臓器の症状は、最終スコアに合計される。SLEDAI-2Kスコアは、ループス疾患活動性の有効で信頼性があり、かつ感度の高い臨床評価である。臨床及び検査値のための来院の30日前の時間枠を使用して計算されるSLEDAI-2Kは、10日間の時間枠を有するSLEDAI-2Kと同様であることが示されている(Touma et al、2010)。この試験では、28日間の時間枠(±許容来院時間枠)を使用する。
【0395】
(3)改変SLEDAI-2Kフレア指数。古典的なエリテマトーデスにおけるエストロゲンの安全性の全国評価(SELENA)-全身性エリテマトーデス疾患活動性指数(SLEDAI)フレア指数(SFI)は、SELENA-SLEDAI、PGA(範囲0~3)、治療変更、及びいくつかの追加項目の複合結果である(Arora et al,2020;Petri et al,2005)。Thanou et al(2014)は、古典的SFIから薬物基準が除外される古典的SFIの改変版を開発した(Thanou et al,2014;Thanou et al,2018)。このOLE試験では、SELENA-SLEDAIの代わりにSLEDAI-2Kを使用し、したがって、改変SLEDAI-2Kフレア指数を使用し、スコアリングは以下の通りである(28日間のリコール期間):(A)専門家の臨床医の見解による軽度または中等度のフレア:(i)SLEDAI-2Kスコアの3点以上の変化(しかし、12点を超えない)、(ii)新規/悪化:円板状、感光性、深在性、皮膚血管炎、水疱性ループス、上咽頭潰瘍、胸膜炎、心膜炎、関節炎、発熱(SLE)、PGAスコアが≧1.0増加するが、2.5を超えない。(B)重度のフレア:(i)SLEDAI-2Kスコアの12以上への変化、(ii)新規/悪化:CNS-SLE、血管炎、腎炎、筋炎、血小板≦60,000、溶血性貧血:ヘモグロビン≦70g/L、またはヘモグロビン≧30g/Lの減少、SLE活動性のための入院、PGAが≧2.5に増加。
【0396】
(4)医師全般評価。PGAは、過去4週間にわたる0(疾患なし)から3(重度)の疾患活動性を有する視覚的アナログスケールでの平均SLE疾患重症度の医師の全体的な評価を表す。所与の対象のPGAは、可能な限り、同じ医師によって完了される必要がある。PGAは、0~3の数字で固定されているという点で、古典的なアナログスケールの改変であり、なし、軽度、中等度、及び重度の疾患を画定する。数字の3は重篤な疾患を示し、スケールの最後にある。これは、可能な限り最も重篤な疾患を指し、特定の対象で観察された最も重篤な疾患ではなく、全てのSLE対象でこれまでに観察された最も重篤な疾患を反映している。したがって、医師によってこのスケールに沿って作られた道筋は、実質的にこのエッジに近づくべきではない。格付けされた2.5を超える疾患は、非常に重篤である。中等度の疾患の範囲は、約1.5~2.4をカバーする。軽度の疾患は、1.5を下回る。この手段は対数スケールのようなもので、より軽度から中等度の症状の間で、より大きい距離または境界が可能である。PGAをスコアリングする場合、前回の来院時のスコアを見直し、前回の来院時からのスコアと比較してマークを移動する必要がある。これは、対象のループス疾患活動性の全ての態様を考慮した、全体的な評価である。これは、非ループス医学的状態を反映すべきではない。
【0397】
(5)ループス低疾患活動性状態。ループス低疾患活動性状態(LLDAS)は、臨床試験で使用されているSLE疾患活動性の複合尺度である(Franklyn et al,2016)。LLDASは、以下の5つの基準全てを達成することによって定義及び測定される:SLEDAI-2K≦4、主要な臓器系(腎臓、CNS、心肺、血管炎、発熱)では活動性がなく、溶血性貧血または胃腸管活動性もなく、以前の評価(SLEDAI-2K)と比較して新しいループス疾患活動性がなく、PGA≦1(スケール0~3)、現在のプレドニゾン(または当量)用量≦7.5mg/日、及び免疫抑制薬及び承認された生物学的薬剤の忍容性の高い標準維持用量。
【0398】
(6)経口グルココルチコイドの低減。
【0399】
(7)全身性ループス国際協力クリニック/米国リウマチ学会損傷指数。全身性ループス国際協力クリニック/米国リウマチ学会(SLICC/ACR)損傷指数(SDI)は、その原因(SLE活動性、療法、併存疾患)とは独立して、疾患発症後に生じるSLE対象における不可逆的損傷を評価するために開発された。損傷(すなわち、SLEの発症以降の不可逆的障害)は、通常、スコアリングするために少なくとも6ヶ月間継続的に存在しなければならない臨床的特徴として定義される。加えて、心筋梗塞または脳血管障害などのいくつかの不可逆的事象は、それらの発生時の損傷としてスコアリングされる。簡潔には、損傷は、末梢血管、眼、神経精神、腎臓、肺、心血管、胃腸、筋骨格、皮膚、内分泌(糖尿病)、性腺、及び悪性腫瘍の12の臓器系について定義される。経時的なダメージは、安定であり得るか、または最大47ポイントまで増加し得るが、ポイント数は減少しないようにする必要がある。
【0400】
(8)皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数。CLASIは、SLEの皮膚病変を評価するために使用される検証された指数であり、2つの別個のスコアで構成される:第1のスコアは、疾患の炎症活動性を要約する;第2のスコアは、疾患によってなされる損傷の尺度である。活動性スコアは、紅斑、鱗屑/肥大、粘膜病変、最近の脱毛、及び非瘢痕性脱毛症を考慮する。損傷スコアは、色素沈着異常、瘢痕化/萎縮/脂肪織炎、及び頭皮の瘢痕化を表す。対象は、色素沈着異常が12ヶ月以上続いたかどうかを尋ねられ、その場合、色素沈着異常スコアは2倍になる。上記の各パラメータは、CLEに最も頻繁に関与しているため、特に含まれている13の異なる解剖学的位置で測定される。各領域で最も重度の病変が測定される。
【0401】
(9)28関節数。痛み、腫れ、及び圧痛のある関節数は、上肢の左右の肩、肘、手首、中手指節関節(MCP)1、MCP2、MCP3、MCP4、MCP5、近位指節間関節(PIP)1、PIP2、PIP3、PIP4、及びPIP5関節、ならびに下肢の左右の膝に基づく。対象は、関節数の開始時(圧痛及び腫脹の評価前)に、過去30日以内に28関節のうちのいずれかで疼痛を経験したか、または経験しているかどうかを尋ねられる。SLEDAI-2Kの計算のための活動性関節は、疼痛及び炎症の兆候(すなわち、圧痛、腫脹、または滲出)を有する関節として定義される。次に、28関節の各々を、圧痛(関節を触診することによって)及び腫脹について別個に評価する。4週間以内の関節内注射を伴う関節は、評価することができない。関節数の評価には、運動範囲の制限及び日常生活の基本的及び機能的活動性に対する関節症状の影響に関する質問が含まれる。
【0402】
(10)安全性評価は、表5に記載されている。
【0403】
(11)身体検査完全な身体検査は、0週目[1日目]及び48週目の来院時に行われる。他の全ての来院では、焦点を絞った身体検査を行う必要がある。焦点を絞った身体検査には、常に、頭、耳、目、鼻、喉、肺、心臓、腹部、皮膚、四肢の評価が含まれる必要がある。SLEの症状とみなされ、SLEDAI-2KまたはCLASIで捕捉される場合を除き、スクリーニング身体検査からの医学的に有意な変化は、AEとして記録される。
【0404】
(12)バイタルサイン。バイタルサイン、血圧(mmHg)、脈拍数(拍動数/分)、呼吸数(呼吸数/分)、及び体温(℃)、ならびに体重(kg)は、表5に概説されているように、そこに概説されている臨床的に許容される方法及びデバイスを使用して得られる。バイタルサインは、各読み取りの前に少なくとも5分間この位置で安静にした座位で測定する必要があり、可能であれば、採血の前に取得する必要がある。IP投与の前後で、以下のようにバイタルサインをチェックする必要がある:IPの投与前に15分以内、しかし、ECGを実施する日は30分以内。投与後60分間または安定するまでのいずれか遅い方で(最初の2回の試験来院のみ)、30分間毎(±5分間)。IPのSC投与後にアナフィラキシーまたは過敏反応が生じた場合、バイタルサインは、治験責任医師の判断に基づいて、及び反応の重症度に応じて、より頻繁に取得される。
【0405】
(13)心電図。コンピュータ化された12誘導ECGは、表5に指定されている来院時に行われる。治験責任医師または資格のある被指名人は、ECGが正常である、異常であるが臨床的に有意ではない、または異常かつ潜在的に臨床的に有意であるかどうかを確認し、指示する。ECGは、バイタルサインを検査した後、仰臥位で10分間安静にしてから行う必要がある。
【0406】
(14)局所注射忍容性評価。ダクスジリマブは、診療所の試験施設スタッフによって投与され、各対象は、第1及び第2の用量(1日目及び12週目)が投与されて60分後に局所注射忍容性について評価される。治験責任医師または被指名人は、彼らの来院時に注射部位を評価し、局所の忍容性/注射部位の反応の有無を文書化し、局所注射部位の忍容性の場合にAEを開く。追加の局所注射の忍容性評価を、表5に指定されている追加の時点で実施する。48週後の追加のフォローアップは、任意の進行中の注射部位の反応について行うことができる。
【0407】
(15)臨床安全性の臨床検査。表5に定義されているように、全てのプロトコルで必要とされる臨床検査は、検査室マニュアルに従って、表5に指定されている来院時に中央検査室で実施する必要がある。基礎疾患と関連する異常な検査所見は、対象の状態について予想されるものよりも重篤であると治験責任医師が判断しない限り、臨床的に有意であるとはみなされない。試験への参加中、値が臨床的に有意に異常であると判断される全ての臨床検査は、値が正常またはベースラインに戻るまで、または治験責任医師もしくはメディカルモニターが臨床的に有意でないと判断するまで、できるだけ早く(好ましくは24~48時間以内)繰り返す必要がある。例示的な臨床検査を表6に示す。
【0408】
(表6)臨床検査
【0409】
RECAST SLE試験で単離されたB型肝炎コアが陽性の結果の場合、B型肝炎DNA検査(リフレックスDNA検査)が引き続き12週間毎に行われる。中央検査室により、対象のB型肝炎ウイルスのDNAレベルが定量下限を超えていることが確認された場合、IPは中止される。
【0410】
薬物動態。PK分析のための血清は、表4に指定されている来院時に採取され、検証された生体分析方法を使用して分析される。
【0411】
薬力学。フローサイトメトリーによるpDCレベルの評価のための全血は、表4に指定されている来院時に採取される。ダクスジリマブは、マクロファージ及びNK細胞の動員につながるpDCの表面上のILT7に結合し、したがって、アポトーシス及びpDCの数の減少を誘導する。
【0412】
バイオマーカー評価。全血が採血され、表4に指定されている時点で血清、血漿、及び末梢血単核細胞(PBMC)へと処理される。IFNα(血清)及びミクソウイルス耐性タンパク質A(全血)の評価のために試料を採取する。以下の追加の試料を採取し、ダクスジリマブの作用機序またはSLE疾患活動性に関連する探索的バイオマーカーについて評価する:血清(例えば、自己抗体プロファイル、サイトカイン/ケモカインプロファイル、及びSLE疾患経路に関連する他のタンパク質または因子)、血漿(例えば、補体分解産物)、全血トランスクリプトミクス(例えば、IFN遺伝子シグネチャまたは疾患活動性と関連する遺伝子)、PBMC(例えば、免疫細胞集団の頻度及び/または遺伝子発現)。
【0413】
免疫原性評価。免疫原性ADA分析のための血清は、表4に指定されている来院時に採取され、検証された免疫測定法を使用して評価される。血清試料を、ダクスジリマブに結合する抗体についてスクリーニングし、確認された陽性試料の力価を報告する。他の分析を行って、ダクスジリマブの免疫原性を更に特徴決定することができる。抗体は、ダクスジリマブの活性を中和する能力について更に特徴決定され、及び/または評価され得る。
【0414】
(16)妊娠検査。尿妊娠検査は、表5に示されるように、治療中に妊娠可能な女性において行われ、治験施設でディップスティックを使用してフォローアップされる。
【0415】
(17)生活の質評価。生活の質及び薬剤経済学的評価は、表5に指定されている来院時に行われる。
【0416】
(18)患者全般評価。対象は、患者全般評価(PtGA)を完了する。PtGAは、現時点で病気及び健康状態が対象に影響を与える可能性のある全ての方式を考慮した単一項目の質問である。対象は、この質問に答える際に、前の週を考慮する必要がある。応答は、100mmの視覚的アナログスケールで、「非常に良好」から「非常に不良」までの範囲である。
【0417】
(19)患者全般印象度変化。患者全般印象度変化は、対象に、以下のスケールで、対象の状態に関連する活動制限、症状、感情、及び全般的な生活の質の変化を説明するように依頼する自己評価スケールである:1(非常に改善)、2(かなり改善)、3(わずかに改善)、4(変化なし)、5(わずかに悪化)、6(かなり悪化)、7(非常に悪化)。
【0418】
(20)ループス生活の質。ループス生活の質(LupusQoL)は、34項目のSLE特有の健康関連の生活の質の尺度である。この手段は8つのドメイン(身体的健康[8項目]、疼痛[3項目]、計画[3項目]、親密な関係[2項目]、他者への負担[3項目]、情緒的健康[6項目]、身体像[5項目]、疲労[4項目])で構成されている。
【0419】
実施例3:中等度から重度の円形脱毛症の治療のためのダクスジリマブの第2a相オープンラベル概念実証試験
これは、スクリーニング及び1日目のSALTスコアによって定義されるように、総頭皮脱毛が≧50%以上、≦95%である、中等度から重度のAAを有する対象におけるダクスジリマブの予備的な有効性、安全性、忍容性、PK、及びPDを評価する、第2a相多施設非盲検概念実証治験である。対象は、18~65歳(境界値を含む)であり、約3ヶ月以上7年未満の現在の脱毛のエピソードは、毛髪再生が可能であり、ベースラインで活発な再生の証拠が存在せず、過去6ヶ月間に有意な再生の既知の病歴がないという治験責任医師の評価がある。約30人の対象が登録され、ダクスジリマブ300mgが32週間、4週間毎に皮下投与される。この治験は、1日目に登録して最大30日間のスクリーニング期間で構成される。対象は、32週目まで4週間毎に、ダクスジリマブ300mgで治療される。主要エンドポイント評価は、24週目の来院中に行われる。24週目に、脱毛を低減する治療の効果を評価する。また、治療期間後の長期間の安全性及び有効期間も評価される。対象が治験参加の同意を撤回するか、またはフォローアップを失わない限り、投与を早期に中止する対象は、48週目までフォローアップされる。治験を早期に中止し、治療後のフォローアップ期間に参加する予定のない対象は、早期終了(ET)来院を完了するよう要請される。
【0420】
予定された治験来院の場合、対象は、スクリーニング、1日目、4週目、8週目、12週目、16週目、20週目、24週目、28週目、32週目、36週目、40週目、44週目、及び48週目(早期終了[ET])の14回にわたって治験センターに来院する。
【0421】
有効性は、SALTスコア、ALODEXスコア、眉毛脱毛に関するClinRO尺度(商標)、及びまつ毛脱毛に関するClinRO尺度(商標)の評価によって評価される。全ての対象の頭皮全体、及びベースライン時にこれらの領域で脱毛を有する対象の眉毛及びまつ毛の写真も、治験中の発毛の変化を評価するために撮影される。
【0422】
血液試料は、ダクスジリマブのPK、PD、及び免疫原性を特徴決定するために、全ての対象から採取される。
【0423】
安全性は、AE、SAE、AESIを収集し、局所注射部位の忍容性評価を行い、バイタルサインを記録し、身体検査及びECGを行い、臨床検査結果を評価することによって評価される。
【0424】
治験では、合計最大30名の対象が、ダクスジリマブを投与される。試料サイズは、潜在的な有効性、安全性、及び忍容性、ならびにPK/PDを評価する必要性によって決定された。例示的な治験図を、図1に示す。
【0425】
治療
この試験は、ダクスジリマブ300mg(2回の1.5mL注射)の4週間毎の32週間のSC投与を伴う。1日目及び4週目に、対象は、IP投与後少なくとも1時間観察下に置かれることになる。IPは、治験依頼者によって提供される。更なる詳細は、表7に見出される。
【0426】
(表7)治療
【0427】
組み入れ基準
全ての対象は、スクリーニング及び1日目の来院のいずれかで、または基準に記載されている指定された来院(スクリーニングまたは1日目)のいずれかでのみ、治験参加の対象となるために、以下の全ての基準を満たさなければならない。
1.書面によるインフォームドコンセント及びスクリーニング評価を含む任意のプロトコル関連手順を行う前に対象から取得された任意の現地で必要とされる承認(例えば、米国における健康保険の携行性と説明責任に関する法律)。
2.インフォームドコンセントの時点で、18~65歳(境界値を含む)の成人男性及び女性。
3.治験期間中、所定の治療プロトコル及び評価を遵守する意思と能力。
4.治験期間中、同じ髪型及び色(ヘア製品、プロセス、美容院予約のタイミングなど)を維持する意思がある。
5.中等度から重度のAAの臨床診断 - SALTスコアによって定義されるスクリーニング時及びベースライン(1日目)での≧50%及び≦95%の総頭皮脱毛の存在として定義される。
6.スクリーニング時及び1日目での3ヶ月以上7年未満の現在の脱毛エピソードの持続時間、ならびに毛髪再生が可能であるという治験責任医師の評価。AAの診断以来の合計期間は、≧7年であり得る。
7.治験責任医師の判断によれば、ベースライン時に活動的な再生の証拠が存在せず、過去6ヶ月間の有意な再生の既知の病歴もない。
8.妊娠可能な女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査が陰性であり、1日目の尿妊娠検査が陰性でなければならない。
9.妊娠につながる可能性のある性交に関与する妊娠可能な女性対象の場合:対象は、1日目の少なくとも4週間前から最後のIP投与の少なくとも6ヶ月(約5半減期)または治験終了後までの非常に効果的な避妊方法を使用することに同意し、この期間中の卵子採取/卵子提供を控える必要がある。非常に効果的な避妊方法には、ホルモン性避妊薬(例えば、複合経口避妊薬、パッチ、膣リング、注射用、またはインプラント)、子宮内避妊具もしくは子宮内システム、精管切除パートナー(複数可)(スクリーニングの≧4ヶ月前に精管切除が行われた場合に限る)、卵管結紮、または二重バリア法(例えば、男性用コンドームと子宮頸部キャップ、男性用コンドームとダイヤフラム、及び男性用コンドームと避妊スポンジ)が含まれる。
注釈:二重バリア法が非常に効果的な避妊法として受け入れられていない国では、この選択肢を考慮すべきではない。
注釈:対象は、1日目の前の少なくとも4週間、一定用量のホルモン性避妊薬を服用していなければならない。
注釈:上記の避妊方法のリストは、1日目の前の少なくとも4週間禁欲し、治験中及び最後のIP投与後少なくとも6ヶ月間または治験の終了までのいずれか長い期間、陰茎-膣間性交を禁欲し続ける対象には適用されない。性的禁欲の信頼性は、臨床治験の期間と対象の好ましい通常のライフスタイルに関連して評価される必要がある。定期的な禁欲(カレンダー法、症状体温法、排卵後法)は許容されない。
注釈:妊娠不可能な女性対象は、以下のように定義される。
- 外科的不妊手術(子宮摘出、両側卵巣摘出、両側卵管摘出)を受けた女性対象。
- 別の医学的原因なしにスクリーニング来院の前に少なくとも12ヶ月間月経が停止しており、卵胞刺激ホルモン(FSH)検査により妊娠不可能であることが確認された女性対象(確認レベルについては検査室参照範囲を参照)。
10.妊娠につながる可能性のある性交に関与する男性対象の場合、対象は、最終IP投与の1日目から少なくとも6ヶ月後(約5半減期)まで、組み入れ基準#9に列挙されている非常に効果的な避妊方法のうちの1つを使用することに同意し、この期間中に精子を提供することを控えなければならない。男性対象の女性パートナーが上に列挙されたホルモン性避妊薬のいずれかを使用する場合、この避妊方法は、1日目の前の少なくとも4週間前から、ダクスジリマブの最終用量の少なくとも6ヶ月後まで、女性パートナーによって使用される必要がある。
【0428】
除外基準:
対象は、該当する場合、スクリーニング時及び/または1日目の来院で以下の基準のいずれかを満たしている場合、治験に参加する資格がない。
(1)治験の実施に関与した個人、その従業員、またはそのような個人の近親者。(2)治験責任医師の見解では、対象を過度のリスクにさらすかまたはIPの評価もしくは治験結果の解釈を妨げる可能性のある、任意の臨床的に有意な医学的状態または身体/検査室/ECG/バイタルサインの異常。(3)IPの任意の成分または以前のモノクローナル抗体(mAb)もしくはヒト免疫グロブリン(Ig)療法に対するアレルギー、過敏反応、またはアナフィラキシーの病歴。(4)対象が過度の日光への曝露を受けたことがある、日のよくさす気候への旅行を計画している、もしくは1日目前の4週間以内に日焼けブースを使用したことがある、または治験中に自然及び人工の日光への曝露を最小限に抑える意思がない。日光への曝露を避けることができない場合、日焼け止め製品及び防護服を使用することが推奨される。(5)スクリーニング前の≦4週間の自然流産もしくは人工流産、または死産もしくは出産。(6)授乳中もしくは妊娠中の女性、またはICFに署名してからIPの最終用量の投与後6ヶ月までもしくは治験の終了までのいずれか長い方で妊娠を予定している女性。(7)治験責任医師の見解では、対象の安全性もしくは来院の遵守に影響を及ぼす可能性がある、または他の治験評価を妨げる可能性のある、薬物またはアルコール乱用の病歴。(8)スクリーニング前の8週間以内の大手術、または治験中に計画された待機的手術。(9)主要な免疫不全の既知の病歴、または既知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染などの基礎状態のHIV感染の陽性結果、脾摘出、または治験責任医師の見解では、対象が著しく感染しやすいとする任意の基礎状態。(10)スクリーニング時の以下のいずれか(1日目の前に結果を確認するために、同じスクリーニング期間内に検査を1回繰り返すことができる)。
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≧2.5×正常上限(ULN)
・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≧2.5×ULN
・総ビリルビン≧1.5×ULN(ジルベール症候群による場合を除く)
・血清免疫グロブリンG(IgG)≦600mg/dL(または≦6g/L)
・好中球数≦1000/μL(または≦1.0×10/L)
・血小板数≦50,000/μL(または≦50×10/L)
・ヘモグロビン≦8g/dL(または≦80g/L)
・総リンパ球数≦200細胞/mm
・糸球体濾過量(腎疾患における食事改善[MDRD])≦30mL/分/1.73m
・スポット尿タンパク質対クレアチニン比(UPCr)≧3mg/mg
【0429】
(11)以下のように定義されるB型肝炎血清学の検査で陽性が確認されている:B型肝炎表面抗原(HBsAg)またはB型肝炎コア抗体(HBcAbもしくは抗HBc)。(12)C型肝炎ウイルス抗体検査で陽性。(13)活動性結核(TB)またはスクリーニング時のTB検査で陽性。対象は、精製タンパク質誘導体(PPD)検査またはQuantiFERON-TB Gold検査を用いて潜在的なTB感染について評価される。Bacille Calmette-Guerinワクチン接種状態にかかわらず、潜在的なTB感染の証拠(PPD≧5mmの硬結またはQuantiFERON-TB Gold検査で陽性のいずれか)を示す対象は、活動性または潜在性TBに対する適切な治療歴が文書化されていない限り、治験に参加することを許可されない。検査結果が不確定な対象は、検査を繰り返すことができるが、反復検査も不確定な場合は除外される。(14)1日目の前の任意の時点で、播種性ヘルペス、ヘルペス脳炎、最近の再発性帯状疱疹(過去2年以内に2回のエピソードとして定義される)、または眼部ヘルペスを含むがこれらに限定されない、任意の重篤なヘルペスウイルスファミリー感染(エプスタインバーウイルス、サイトメガロウイルス[CMV]を含む)。(15)1日目の12週間前に完全に解消されなかった、任意の帯状疱疹、CMV、またはエプスタインバーウイルス感染。(16)ICFに署名する前の30日以内から1日目までの、以下のいずれか。
・治験責任医師の見解では、抗生物質または抗ウイルス薬を必要とする進行中の感染症及び慢性感染症を含む、臨床的に有意な活動性感染(慢性爪感染症は許容される)。注釈:ICFの署名から1日目までの間に口唇ヘルペスまたは性器ヘルペスの再発が限定的である対象は、治験責任医師の判断に基づいて適格となる可能性がある。
・入院または静脈内(IV)抗感染薬による治療を必要とする任意の感染症。
・重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)検査で陽性と文書化されている対象は、無症状である場合は陽性検査の少なくとも2週間後及び症候性コロナウイルス疾患2019(COVID-19)の病気の解消の少なくとも3週間後に再スクリーニングされ得る。
【0430】
(17)1日目の前の2年以内に入院または非経口抗菌治療を必要とする日和見感染。(18)急性の病気または臨床的に有意な活動性感染の証拠(例えば、1日目に≧38.0℃(≧100.5°F)の発熱)。(19)不安定狭心症、1日目の前の6ヶ月以内の心筋梗塞、うっ血性心不全、臨床的に有意でない期外収縮もしくは軽微な伝導異常を除く動的療法を必要とする不整脈、または治験責任医師の見解では、治験参加のリスクを増加させる場合、ECG上の臨床的に有意な異常の存在を含む、臨床的に有意な心疾患の病歴。(20)以下の場合を除く、1日目の前の5年以内のがんまたはリンパ増殖性疾患の病歴:
・スクリーニングの≧12ヶ月前に根治療法で明らかな成功により治療された子宮頸部の上皮内癌、または
・根治療法で明らかな成功により治療された皮膚の非転移性皮膚基底細胞癌もしくは扁平上皮癌。
【0431】
(21)1日目の前の8週間以内に生ワクチンもしくは弱毒化生ワクチンの受与、または治験中及び最後のIP投与後4週間までに生ワクチンもしくは弱毒化ワクチンの投与の計画。(22)COVID-19に対する非生ワクチン及び非弱毒化生ワクチン(例えば、RNAベースのワクチン、タンパク質ベースのワクチン、及び非複製ウイルスベクターベースのワクチン)は、1日目の前の4週間以内及び各治験来院の2週間以内は許容されない。(23)対象は、個人の参加のリスクに関する決定を下す場合、重篤な疾患の危険因子の現在の理解に基づいて、COVID-19の疫学的リスク(すなわち、最近の曝露、高リスクの住宅)及びCOVID-19の重症度の健康関連リスクについて評価される必要がある。COVID-19またはその他の重大な感染症を有する対象、または治験責任医師の判断では、COVID-19もしくはその合併症のリスクが高い可能性がある対象は、登録されるべきではない。(24)スクリーニングの30日以内に≧50mlの血液もしくは血漿を献血した対象、またはスクリーニングの56日以内に≧499mLの血液もしくは血漿を献血した対象(臨床治験中もしくは血液バンクの寄付時)、または治験への参加中もしくは最後のIP投与後6ヶ月までのいずれか長い方で血液もしくは血漿を献血する予定である対象。(25)血液、濃厚赤血球、血小板の輸血、または1日目の前の8週間以内及び治験参加の全期間にわたるプラズマフェレーシスもしくは血漿交換による治療。
【0432】
疾患関連の除外基準
(26)スクリーニング時及び1日目までに、治験責任医師の見解では、AAの評価及び活動性尺度の評価を妨げる可能性がある、他の炎症性皮膚疾患(複数可)の活性型、または他の皮膚状態(例えば、乾癬、脂漏性皮膚炎、ループス)の証拠。(27)別の形態の脱毛症の存在(アンドロゲン性脱毛症を除く)。(28)男性または女性のパターン脱毛の病歴≧HamiltonステージIIIまたは≧LudwigステージII。(29)植毛の既往歴または有無。(30)頭皮のマイクロピグメンテーションの既往歴または有無(注釈:眉毛のマイクロブレーディングは許可される)。
【0433】
前療法及び併用療法の基準
(31)ステロイド(全身及び病変内)、アントラリン、スクアリン酸、ジフェニルシクロプロペノン(DPCP)、ジニトロクロロベンゼン(DCNB)、プロトピック、ミノキシジル、または治験責任医師の見解では、1日目の来院の4週間以内に毛髪再生に影響を及ぼし得る任意の他の薬物の使用。鼻腔内及び吸入コルチコステロイドは許容され、コルチコステロイドを含有する点眼剤及び点耳剤も許容される。(32)1日目の前の最後の12週間における多血小板血漿注入の使用。(33)1日目の来院から2週間以内に、局所コルチコステロイド、カルシニューリン阻害剤、抗菌薬、医療デバイスを含むがこれらに限定されない、AAに影響を及ぼし得る局所薬物治療。局所コルチコステロイドは、頭皮、眉毛、及びまぶたを除いて許可されている。(34)1日目の前の12ヶ月以内に、任意の生物学的B細胞枯渇療法(例えば、リツキシマブ、オクレリズマブ、またはオファツムマブ)または他のB細胞標的療法(例えば、ベリムマブ)で以前に治療を受けたことがあった対象。(35)pDC阻害療法(例えば、抗ILT7、抗血液樹状細胞抗原2[BDCA2])による以前の治療を受けたことがある対象。(36)経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤の適切な治験に対する不十分な応答。応答に関係なく、局所JAK阻害剤への以前の曝露は許容される。(37)任意の生物製剤または従来の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、メトトレキサート、またはアザチオプリン)、JAK阻害剤、インターフェロン(IFN)遮断療法、または抗増殖剤(a.1日目の前の8週間以内またはb.薬物特異的5半減期除去期間(8週間を超える場合)に最終用量が服用された場合)。(38)対象は、1日目の前の12週間以内または5半減期以内(いずれか長い方)に、任意の市販のまたは治験中の生物学的薬剤を投与されている。(39)現在、非生物学的IPもしくはデバイスを投与されているか、またはそれを1日目の前の4週間以内もしくは公表されている5半減期以内のいずれか長い方で投与されている。(40)対象は、任意の紫外(UV)-B光線療法(日焼けベッドを含む)を受けたことがあるか、ソラレン-UV-A(PUVA)治療を受けたことがあるか、または1日目の前の4週間以内にエキシマレーザーを受けたことがある。
【0434】
併用療法
スクリーニング前の4週間以内及び治験中に服用された全ての薬物(市販薬、ビタミン、ハーブ/天然物、制酸剤を含む)を記録しなければならない。加えて、あらゆる禁止薬の使用は、除外基準に記載された時間枠内で記録する必要がある。この試験では、レスキュー薬または治療は許可されない。
【0435】
許可された療法
以下の療法が許可されている:鼻腔内コルチコステロイド及び吸入コルチコステロイド、コルチコステロイドを含有する点眼剤及び点耳剤、日焼け止め製品及び保護服は、日光への曝露を避けることができない場合に許可され、局所コルチコステロイドは、頭皮、眉毛、及びまぶたを除いて許可され、COVID-19に対する非生ワクチン及び非弱毒化生ワクチン(例えば、RNAベースのワクチン、タンパク質ベースのワクチン、及び非複製ウイルスベクターベースのワクチン)は、1日目の≧4週間前及び各治験来院の≧2週間前に許可される。
【0436】
禁止されている療法または手順
禁止される療法または手順を、表8に示す。
【0437】
(表8)禁止薬、製品、及び手順の概要
【0438】
有効性分析
24週目のSALTスコアにおけるベースラインからの変化率%を、記述統計量とともに要約する。他の全ての有効性エンドポイントは、連続エンドポイントの要約統計量及びバイナリエンドポイントの頻度分布とともに、記述的に分析される。
【0439】
安全性分析
治療に起因する有害事象(TEAE)、治療に起因する重篤な有害事象(TESAE)、及び特に注目すべき有害事象(AESI)の発生は、国際医薬用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)(MedDRA)器官別大分類(System Organ Class)(SOC)及び基本語(Preferred Term)(PT)、ならびに重症度及びIPとの関係によって要約されている。臨床検査評価及びバイタルサインを含むがこれらに限定されない他の安全性パラメータも、必要に応じて要約される。
【0440】
薬力学及びバイオマーカー分析
ベースラインからの変化及び変化率%とともに、観測された計数が、必要に応じて記述的に要約される。
【0441】
薬物動態分析
来院毎の血清中濃度が、記述的に要約される。追加のPK分析は、必要に応じて実施され、臨床試験報告とは別に報告され得る。
【0442】
抗薬物抗体
抗薬物抗体(ADA)率が決定される。
【0443】
計画された分析
一次分析は、最後の対象が24週目を完了した場合、または予定された24週目の来院前に中止した場合に行われる。データカットオフ時点で利用可能な全てのデータ(24週目以降に収集されたデータを含む)を、一次分析に含める。最終分析は、全ての対象が治験を完了したときに行われる。
【0444】
評価スケジュール
各来院時に行われる手順の説明を、表9に描示する。特に明記しない限り、1日目に予定された評価は、IP投与前に行わなければならない。治験評価を行うための推奨される順序は、血清ダクスジリマブのADA及びPK試料の分析(表9に指定されている来院時にIP投与の前に行われなければならない)のための血液試料の採取を除いて、以下の通りである。治験責任医師の評価、バイタルサイン、12誘導ECG、医療写真、及び採血。
【0445】
AAの臨床評価は、経験豊富で資格のある皮膚科医(委員会認定もしくは同等)または他の好適に資格のある経験豊富な被指名人によって行われる。
【0446】
(表9)実施例3の評価のスケジュール
【0447】
有効性は、SALTスコア、ALODEXスコア、医師報告結果(ClinRO)眉毛脱毛に関する尺度(商標)、及びClinROまつ毛脱毛に関する尺度(商標)の評価によって評価される。全ての対象の頭皮全体、及びベースライン時にこれらの領域で脱毛を有する対象の眉毛及びまつ毛の写真も、治験中の発毛の変化を評価するために撮影される。
【0448】
血液試料は、ダクスジリマブのPK、PD、及び免疫原性を特徴決定するために、全ての対象から採取される。
【0449】
試験の目的及びエンドポイントを、表10に提供する。
【0450】
(表10)目的及びエンドポイント
【0451】
1)脱毛症の重症度ツール(SALT)
参加するには、対象は、スクリーニング時及びベースライン(1日目)での50以上95以下のSALTスコアによって評価されるように、中等度から重度のAAを有していなければならない。SALTスコアは、AAの頭皮の上部、背部、及び各側面に関与する頭皮表面積の割合に基づいて脱毛の程度を決定するためのツールである。治験責任医師は、各象限における頭皮の脱毛の割合(%)を決定し、これに、その象限によって区切られた総頭皮面積を掛け、各象限で得られた数値を合計して、最大スコアが100の頭皮脱毛の合計の割合(%)を得る。SALT評価ツールを、図2に提供する。
【0452】
脱毛症の密度及び範囲(ALODEX)
ALODEXスコアは、程度及び毛密度の両方を組み合わせて、頭皮の脱毛の全体的な割合にする。0~10の密度スケールは、末期脱毛の割合に関連し、100%の脱毛は10に等しく、90%は9に等しく、80%は8に等しく、70%は7に等しく、60%は6に等しく、50%は5に等しく、40%は4に等しく、30%は3に等しく、20%は2に等しく、10%は1に等しく、脱毛なしは0に等しい。各象限における1%の頭皮領域の各々の密度割り当てを合計し、脱毛の最大グレード(10)で割って、その象限の脱毛の割合(%)を得る。次いで、各象限のスコアを合計して、ALODEXスコアを得る。ALODEX評価を、図3に提供する。
【0453】
眉毛脱毛及びまつ毛脱毛の医師報告結果(ClinRO)
眉毛脱毛に関するClinRO(商標)及びまつ毛脱毛に関するClinRO(商標)は、各ClinRO測定値の増分重症度を評価するための単一項目の4点Likert型応答スケールで構成されている。ClinROを、図4に提供する。
【0454】
医療写真
全ての対象の頭皮全体、及びベースライン時にこれらの領域で脱毛を有する対象の眉毛及びまつ毛の医療写真は、表9のスケジュールに指定されている来院時に行われる。比較可能な写真を得るために、各来院時に、各写真について同じカメラ、同じ倍率、及び同じ設定を使用するように注意を払う。
【0455】
薬物動態
血液試料は、1日目の投与の2時間(±5分)後に、及び表9に指定されている他の全ての来院時の投与前に、≧1用量のダクスジリマブを投与された全ての対象について、ダクスジリマブ濃度の分析のために採取される。
【0456】
薬力学
表9に指定されている来院時及び時点で、ダクスジリマブのPD分析のために血液試料を採取する。ダクスジリマブのPD分析には、全血トランスクリプトミクスの評価(例えば、IFN遺伝子シグネチャ)、pDCフローサイトメトリー、PBMC(例えば、他の循環細胞のレベル)、血清及び血漿バイオマーカー、ならびに血中MxAが含まれるが、これに限定されない。
【0457】
免疫原性
血清ダクスジリマブADAの分析のために血液試料を採取する。
【0458】
バイタルサイン
以下のバイタルサインは、少なくとも5分間穏やかに座った後、収縮期及び拡張期血圧(mmHg)、脈拍(bpm)、体温(℃)、及び呼吸数(呼吸数/分)を座位または仰臥位で、表9に指定されている来院時に記録される。BMIを計算するために、体重(kg)及び身長(cm)を収集し、表9に指定されている来院時に記録する。身長は、スクリーニング来院時に1回のみ記録され、同じ値が他の来院時のBMIの計算に使用される。
【0459】
身体検査
以下の部位/系は、表9に指定されている来院時に行われる焦点を絞った身体検査に少なくとも含まれる:(1)一般的な外観、(2)皮膚科(AAを除く)、(3)頭、目、耳、鼻、喉(HEENT)、(4)呼吸器、(5)心血管、(6)腹部、(7)神経学、(8)筋骨格、及び(9)リンパ。
【0460】
臨床検査
臨床検査は、表9に指定されている来院時に行われる。検査には、尿検査、鑑別を伴う血液検査、標準的な化学パネル(化学検査には肝機能検査が含まれる)、及び妊娠可能な女性のための血清妊娠検査(スクリーニング)(WOCBP)が含まれる。表9に指定されている来院時に、WOCBPについて尿妊娠検査を行う(治験責任医師の施設で実施)。これらのパネルにおける具体的な検査は、表11に列挙されている。
【0461】
(表11)臨床検査
【0462】
心電図
表4に指定されている来院時に安全性評価として12誘導ECGを行う。ECGにおける臨床的に有意な所見により、対象を治験参加から除外する必要がある。臨床的に有意な値は全て、AEとして報告される。
【0463】
局所注入の忍容性評価
評価者の局所注射忍容性評価は、表9に指定されている来院時に、投与の約30分後に行われる(ダクスジリマブが投与されないため、36週目の任意の時点で行うことができる)。治験責任医師または被指名人は、彼らの来院時に注射部位を評価し、局所の忍容性/注射部位の反応の有無を文書化し、局所注射部位の忍容性の場合にAEを開く。36週後の追加のフォローアップは、任意の進行中の注射部位の反応について行うことができる。
【0464】
有害事象
有害事象(AE)は、医薬品を投与された対象における任意の望ましくない医学的出来事であり、必ずしもこの治療との因果関係があるわけではない。したがって、AEは、ダクスジリマブと関連しているとみなされるかどうかにかかわらず、ダクスジリマブの使用と一時的に関連する任意の好ましくない意図しない兆候(異常な検査所見を含む)、症状、または疾患であり得る。治療に起因する有害事象(TEAE)は、ダクスジリマブによる治療前には存在しなかったが、治療後に出現した、治療開始時に存在していたが治療中に悪化した、または治療開始時に存在していたが、解消し、次いで、個人が治療中に再出現した(治療開始時のAEの強度にかかわらず)任意の状態である。重篤な有害事象(SAE)または反応は、任意の用量で、以下の結果のいずれかを引き起こす、任意の望ましくない医学的出来事である:死に至る、生命を脅かす、入院または既存の入院の延長を必要とする、持続的または重大な障害/無能力を引き起こす、及び/または先天性異常/先天性欠損を引き起こす。有害事象共通用語基準(Common Terminology Criteria for Adverse Events)(CTCAE)に概説されているガイドラインを利用する。
【0465】
中止
対象において以下のいずれかが発生した場合、個々の対象は、ダクスジリマブをそれ以上投与されない。
・AAの治療に有効であると実証されている薬物の受与。
・ダクスジリマブに対するCTCAEグレード3以上のアレルギー反応。
・ダクスジリマブに関連すると考えられるCTCAEグレード3以上の感染症。
・治験責任医師、及び/または治験依頼者、もしくはメディカルモニターの見解では、更なる投与を禁じるその他のAE。
・ダクスジリマブによる更なる治療からの同意の撤回。
・対象が除外基準のうちの1つ以上を満たしている、または試験参加のための全ての組み入れ基準を満たしていないと判断され、メディカルモニターとの協議で特定された継続と関連する潜在的な安全性リスクがある。
・妊娠または妊娠の決定。
・以下の肝機能異常のいずれか:
- ALTまたはAST≧8×ULN、
- 2週間を超えるALTまたはAST≧5×ULN、
- ALTまたはAST≧3×ULN及び総ビリルビン≧2×ULN、
- 疲労、吐き気、嘔吐、右上腹部痛もしくは圧痛、発熱、発疹、及び/または好酸球増加(≧5%)の出現を伴うALTまたはAST≧3×ULN。
【0466】
実施例4:活動性増殖性ループス腎炎を治療するためのダクスジリマブの第2相無作為化二重盲検プラセボ対照有効性及び安全性試験
ループス腎炎(LN)を有する対象におけるダクスジリマブの有効性及び安全性を評価するために、第2相多施設国際二重盲検無作為化プラセボ対照治験を実施する。標的集団は、活動性及び増殖性ループス腎炎(LN)が文書化されている18歳以上80歳以下の成人である。対象1人当たりの最大試験期間は、約116週間であり、これには、約4週間(-28日~-1日)のスクリーニング期間、104週間の治療期間、8週間(100週目の最後の試験介入実施の12週間後)の安全性フォローアップ(SFU)期間が含まれる。
【0467】
目的及びエンドポイント
主要目的は、活動性、増殖性LNを有する対象において、SOCと併用したプラセボと比較して、SOCと併用したダクスジリマブの有効性を評価することである。主要目的は、以下の基準に従って測定される:48週目にCRRを達成し、52週目まで持続する対象の割合。CRRは、以下の全てを満たすものとして定義される:(i)eGFR≧60mL/分/1.73m、またはベースラインよりも15%低くないこと、(ii)24時間UPCR≦0.5mg/mgであること、及び(iii)評価前の試験介入の中止またはプロトコルで許容される閾値を超えた制限薬の使用がないこと。
【0468】
二次目的は、活動性、増殖性LNを有する対象において、ダクスジリマブ対プラセボによるORR(CRR+PRRとして定義される)を評価することである。二次目的は、以下の基準に従って測定される:48週目にORRを達成し、52週目まで持続する対象の割合。PRRは、以下の全てを満たすものとして定義される:(i)eGFRが60mL/分/1.73m2以上、またはベースラインよりも15%低くないこと、(ii)ベースラインUPCR≦3.0mg/mg:<1.0mg/mgを有する対象、及びベースラインUPCR>3.0mg/mg:ベースラインから>50%改善かつ≦3.0mg/mgを有する対象の24時間UPCの改善、ならびに(iii)試験介入の中止または評価前のプロトコル許容閾値を超える制限薬の使用がないこと。試験の他の二次目的は、以下の通りである。
●活動性、増殖性LNを有する対象において、eGFRにおける、ダクスジリマブ対プラセボによるベースラインからの変化を評価すること。
○52週目のeGFRにおけるベースラインからの変化。
●活動性、増殖性LNを有する対象において、ダクスジリマブ対プラセボによる経口コルチコステロイド(OCS)の用量要件を改善する能力を評価すること。
○24週目までにOCSを≦2.5mg/日プレドニゾン当量に漸減させ、この用量を52週目まで維持することができる対象の割合。
○OCS用量の持続的な低減:
■24週目までにプレドニゾン等価用量≦2.5mg/日、かつ52週目までこの用量を超えないこと、及び
■治験介入の中止または評価前にプロトコル許容閾値を超える制限薬の使用がないこと。
●活動性、増殖性LNを有する対象において、ダクスジリマブの薬物動態(PK)及び免疫原性を特徴決定すること。
○ダクスジリマブの血清中濃度。
○試験期間中のダクスジリマブに対する抗薬物抗体(ADA)の割合及びADA力価。
●活動性、増殖性LNを有する対象において、SOCと併用したダクスジリマブの安全性及び忍容性を評価すること。
○治療に起因する有害事象(TEAE)の発生率。
○治療に起因する重篤な有害事象(TESAE)の発生率。
○特に注目すべき有害事象(TEAESI)の発生率:アナフィラキシーを含む過敏性反応、重度(グレード3以上)のウイルス感染/再活性化、帯状疱疹、日和見感染、及び悪性腫瘍(非メラノーマ皮膚癌を除く)。
●試験の探索的目的及びエンドポイントは、以下の通りである。
i.活動性、増殖性LNを有する対象において、LN疾患活動性の尺度に対するダクスジリマブ対プラセボの効果を評価すること。探索的エンドポイントは、以下の通りである。
●52週目に代替CRR(aCRR)を満たす対象の割合。aCRRは、以下の全てを満たすものとして定義される。
○eGFR≧60mL/分/1.73m、またはベースラインよりも15%低くない。
○24時間UPCR<0.5mg/mg
○尿沈渣が不活性(<10赤血球[RBC]/高倍率視野[hpf]として定義される)。
○治験介入の中止または評価前にプロトコル許容閾値を超える制限薬の使用がない。
●経時的に腎応答(CRR、ORR、aCRR)を達成する対象の割合。
●経時的なUPCRのベースラインからの変化。
●経時的なeGFRのベースラインからの変化。
●eGFR≧60mL/分/1.73mまたは経時的にベースラインよりも15%低くない対象の割合。
●52週目まで持続した腎応答(CRR、ORR、aCRR)を達成するまでの時間。
●52週目まで持続され、24週目までにOCSを≦2.5mg/日プレドニゾン当量に漸減させ、52週目まで維持される、腎応答(CRR、ORR、aCRR)を達成するまでの時間。
ii.活動性、増殖性LNを有する対象において、最初の腎フレアまでの時間を評価すること。
●PRRまたはCRRを達成し、少なくとも1回のその後の来院の間維持されてから1年目の最初の腎フレアまでの時間。腎フレアは、PRRまたはCRRを達成した後、少なくとも1回の来院の間それが維持された対象における、活動性LNに起因するスポットUPCRの増加及び/または腎機能の低下として定義される。フレアは、タンパク尿または腎炎のいずれかとして特徴付けられる。
a)タンパク尿フレア:
(1)eGFRの≦20%の減少。
(2)CRRを達成した対象における:スポットUPCR。
(3)少なくとも2週間間隔で得られた2つの尿試料で1.0mg/mg。
(4)PRRを達成した対象における:PRR基準が満たされたときの最後の2つの測定値の平均からのスポットUPCRの>50%の増加、及び少なくとも2週間間隔で得られた2つの尿試料でのスポットUPCRが>2.0mg/mg。
b)腎炎フレア:併存疾患または併用薬の変化によって説明されない、以前の2回の来院の平均と比較したeGFRの≧20%の減少。非全身性エリテマトーデス(SLE)の原因が修正または除外された後、少なくとも5日間隔の少なくとも2つの試料に対してeGFRの減少を確認しなければならない。OCSまたは免疫抑制療法の増加につながる場合、1つの測定値が許容される。
iii.活動性、増殖性LNを有する対象において、SLE疾患活動性及び損傷に対するダクスジリマブ対プラセボの効果を評価すること。
●エリテマトーデス疾患活動性指数2000(SLEDAI-2K)スコアの経時的な変化。
●SLEDAI-2Kスコアの非腎臓成分の経時的な変化。
●全身性ループス国際協力クリニック/米国リウマチ学会(SLICC/ACR)損傷指数(SDI)の経時的な変化。
●グルココルチコイド毒性指数(GTI)スコアの経時的な変化。
iv.活動性、増殖性LNを有する対象において、ダクスジリマブ対プラセボによる患者報告転帰スコアのベースラインからの変化を評価する。
●医師全般評価(PGA)スコアの経時的な変化。
●患者全般評価(PtGA)スコアの経時的な変化。
●患者全般印象度変化(PGI-C)スコアの経時的な変化。
v.活動性、増殖性LNを有する対象において、ダクスジリマブの薬力学(PD)を特徴決定すること。
●血中pDC、IFN-α、ミクソウイルスタンパク質A(MxA)、及びIFN遺伝子シグネチャレベルを含む、PDバイオマーカーのベースラインからの変化。
●タンパク尿とダクスジリマブの血清中濃度との関連性。
vi.遺伝的変異、遺伝子発現、ならびに循環及び尿中の細胞及びタンパク質のプロファイルと、ダクスジリマブ応答との潜在的な関連性を探ること。
●血液バイオマーカーの経時的な変化。
●尿バイオマーカーの経時的な変化。
●全血遺伝子発現の経時的な変化。
vii.活動性、増殖性LNを有する対象において、腎生検組織の変化を評価する。
●国際腎臓学会(ISN)/腎病理協会(RPS)[ISN/RPS]分類、ならびに国立衛生研究所(NIH)活動性及び慢性指標のベースラインからの変化。
●pDC及び他の組織バイオマーカーのベースラインからの変化。
【0469】
試験設計
治験設計の概要は、図7に提供されている概略図に示されている。
【0470】
約210人の対象を、1:1:1の比率で無作為化し(1群当たり70人の対象)、以下の表12に記載されているように、SOC背景療法に加えて、ダクスジリマブ(SC)またはプラセボ(SC)のいずれかを投与する。無作為化は、以下によって層別化される:
●無作為化前の尿タンパク質対クレアチニン比(UPCR)<3.0mg/mg対≧3.0mg/mg、
●スクリーニングeGFR<60mL/分/1.73m2対≧60mL/分/1.73m2。
【0471】
(表12)1年目の治療割り当て
【0472】
64週目に、3つ全ての治療群(上記)からの対象を、以下の表13に記載されているように、48週目及び52週目に観察された腎応答に基づいて、四半期毎の投与維持レジメンに割り当てる。
【0473】
(表13)2年目の治療割り当て
【0474】
対象は、0.5mg/kg/日プレドニゾン当量の最大用量の経口コルチコステロイド(OCS)を毎日服用し(40mg/日を超えない)、無作為化の前に少なくとも10日間一定用量で服用しなければならない、試験に参加することができる。加えて、対象は、無作為化の日に500mgのメチルプレドニゾロンパルスを受けるが、ただし、参加の前に既にOCSを服用している対象については、無作為化の前の10日以内に≧500mgのメチルプレドニゾロンのパルスを受け、続いて、OCSの漸減を受ける。無作為化前に処方されたミコフェノール酸モフェチル(MMF)をまだ服用していない対象については、MMFの投与は、最初の1週間は、合計1日用量が1gm/日で500mgを1日2回(BID)で始まり、2週目及びそれ以降の週は(すなわち、8日目に始まる)、合計1日用量が2gm/日で1gmを1日2回に増加する。等価用量のミコフェノール酸(MPA)は、MMFの代替として使用され得る。
【0475】
この治験は、約4週間(-28日目~-1日目)のスクリーニング期間、1日目の無作為化を伴う治療期間、続いて、104週目までの治療(100週目に最終用量を投与)(48週目及び52週目に観察された腎応答に基づいて、64週目に四半期毎の投与維持レジメンを割り当てた全ての治療群の合計19回の投与)、ならびに8週間のSFU期間(112週目まで)を含む。検査結果の遅延、薬物ウォッシュアウト、または新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響などの例外的な状況下では、メディカルモニターの承認を得て、スクリーニング期間を2週間延長することができる。
【0476】
LNの悪化の場合のレスキュー療法は、臨床的に示されるように、治験責任医師の裁量で投与され得る。レスキュー療法には、ループスもしくはLNに対する任意の新しい治療の開始、またはSOC背景療法(MMF/MPAもしくはコルチコステロイド)のベースラインからの増加が含まれる。
【0477】
有効性エンドポイントの一次評価は、48週目及び52週目に行われる。二重盲検治療期間の最終評価は、104週目に行われる。SFU期間は、104週目のEOT来院の完了後に開始し、8週間続く。全ての対象は、対象が正常にOCSを中止していない限り、MMF/MPA及びOCSによるSOC免疫抑制背景療法を受け続けることになる。対象は、全ての治験要件に従い、最終的な安全性評価のために、112週目の試験終了来院のため臨床現場に戻ることになる。
【0478】
組み入れ基準
全ての対象は、治験参加の対象となるために以下の全ての基準を満たす/提供しなければならない。
1.プロトコル関連手順及びスクリーニング評価を行う前の書面によるインフォームドコンセント及び現地で必要とされる承認。
2.治験期間中、所定の治療プロトコル及び評価を遵守する意思と能力。
3.18歳以上80歳以下の成人男性または女性。
4.2019欧州リウマチ学会/米国リウマチ学会の全身性エリテマトーデス(SLE)の分類基準を満たす。
5.中央検査室毎のスクリーニングで、以下のうちの少なくとも1つを有すること。
●抗核抗体(ANA)≧1:80。
●抗二重鎖デオキシリボ核酸(抗dsDNA)抗体が、中央検査室によって確立された正常範囲を超えて上昇している(すなわち、陽性結果)。
●抗Smith抗体が正常値を超えて上昇している(すなわち、陽性結果)。
6.インフォームドコンセントフォーム(ICF)に署名する前の6ヶ月以内またはスクリーニング期間中に得られた腎生検に基づく増殖性LNの診断:
●クラスIII(±クラスV)またはクラスIV(±クラスV)LN。試験に参加するには、判定のためのスクリーニング生検試料の提出が必要である。
7.以下の時点での24時間採尿によって得られた尿タンパク質対クレアチニン比≧1.5mg/mg(113.17mg/mmol):
●スクリーニングの開始時、及び
●無作為化の予定日の14日以内。
8.推定糸球体濾過量≧35mL/分/1.73m2。
9.女性対象の場合、血清βヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)検査が陰性。
10.妊娠可能な女性は、血清及び尿の妊娠検査が陰性でなければならず、男性は、女性パートナーを妊娠させず、治験中に精子の提供を控えるように適切な避妊法を使用することに同意しなければならない。
【0479】
除外基準
対象は、該当する場合、スクリーニング時及び/または1日目の来院で以下の基準のいずれかを満たしている場合、治験に参加する資格がない。
1.スクリーニング時の体重>160kg(352ポンド)。
2.IPの任意の成分または以前のモノクローナル抗体(mAb)もしくはヒト免疫グロブリン(Ig)療法に対するアレルギー、過敏反応、またはアナフィラキシーの病歴。
3.≦1.0gm/日のMMFまたは等価用量のMPAに対する既知の不忍容性。
4.1日目の前の4週間以内または公表されている5半減期以内のいずれか長い方の治験薬による別の臨床試験への参加。
5.授乳中もしくは妊娠中の女性、またはICFに署名してからIPの最終用量の投与後6ヶ月までに妊娠を予定している女性。
6.薬物またはアルコール乱用歴。
7.スクリーニング前の8週間以内の大手術、またはスクリーニングから治験終了までに計画された待機的手術。
8.スクリーニング前の≦4週間から無作為化までの自然流産もしくは人工流産、死産もしくは出産、または妊娠。
9.ICFに署名する前の6ヶ月以内またはスクリーニング期間中に得られた腎生検に基づく、純粋クラスV膜性LNの診断。
10.ICFに署名する前の12ヶ月以内の透析の病歴、または登録後12ヶ月以内の腎代替療法(透析または腎移植)の予想される必要性。
11.治験責任医師の見解では、LN評価を妨げ、疾患活動性評価を混乱させる可能性のある腎疾患(例えば、糖尿病性腎症)の病歴または現在の腎疾患(LN以外)。
12.主要な免疫不全の既知の病歴、または既知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染などの基礎状態、中央検査室毎のHIV感染の陽性結果、脾摘出、または治験責任医師の見解では、対象が著しく感染しやすいとする任意の基礎状態。
13.スクリーニング中、中央検査室毎に以下のいずれか:
●アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ>2.5×正常上限(ULN)、
●アラニンアミノトランスフェラーゼ>2.5×ULN、
●総ビリルビン>1.5×ULN(ジルベール症候群による場合を除く)、
●血清IgG<600mg/dL(または<6g/L)、
●好中球数<1000/μL(もしくは<1.0×10/L)、または活動性SLEによる場合は<500/μL(<0.5×10/L)、
●血小板数<50,000/μL(もしくは<50×10/L)、または活動性SLEによる場合は<25,000/μL(<25×10/L)、
●ヘモグロビン<8g/dL(もしくは<80g/L)、または活動性SLEによる場合は<7g/dL(<70g/L)、
●グリコシル化ヘモグロビン>8%(または>0.08)、
●総リンパ球数<200細胞/mm
14.以下のように定義されるB型肝炎血清学の検査で陽性が確認されている:
●B型肝炎表面抗原、または
●リフレックス検査によって定量下限(LLOQ)を超えて検出されたB型肝炎コア抗体(HBcAb)及びB型肝炎ウイルス(HBV)DNA。
15.C型肝炎ウイルス抗体検査で陽性。
16.活動性結核(TB)、またはスクリーニング時のIFN-ガンマ放出アッセイ(IGRA)検査で陽性。
17.任意の重度のヘルペスウイルスファミリー感染症。
18.任意の帯状疱疹、CMV、またはエプスタインバーウイルス感染。
19.ICFに署名する前の30日以内及び無作為化まで、以下のいずれか:
●抗生物質または抗ウイルス薬を必要とする臨床的に有意な活動性感染、
●入院または静脈内抗感染薬による治療を必要とする任意の感染症、
●文書化された陽性の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)を有する、またはCOVID-19の疫学的リスクを有する対象。
20.無作為化の前の2年以内に入院または非経口抗菌治療を必要とする日和見感染。
21.任意の急性の病気、または1日目の臨床的に有意な活動性感染の証拠。
22.不安定狭心症、心筋梗塞、無作為化前の6ヶ月以内のうっ血性心不全を含む臨床的に有意な心疾患(不適切に制御された不整脈及び心電図(ECG)上の異常の存在を含む)。
23.以下の場合を除き、過去5年以内のがんの病歴:
●スクリーニングの≧12ヶ月前に根治療法で明らかな成功により治療された子宮頸部の上皮内癌、または
●根治療法で治療された皮膚基底細胞癌もしくは扁平上皮癌。
24.1日目の前の4週間以内に生ワクチンの受与。
25.無菌性髄膜炎、脳血管炎、骨髄症、脱髄症候群(上行性、横行性、急性炎症性脱髄性多発性神経根症)、急性錯乱状態、意識レベルの障害、精神病、急性脳卒中または脳卒中症候群、脳神経障害、てんかん重積症、小脳運動失調症、及び多発性単神経炎を含むが、これらに限定されない、活動性重症または不安定な神経精神性SLE:
a)対象がICFを完全に理解することができなくなる可能性があるか、または
b)プロトコルで指定されたSOCは、SLEの神経学的特徴を制御するには不十分であり、IVシクロホスファミド療法及び/または高用量IVパルスコルチコステロイド療法またはプロトコルで許可されていない他の治療の追加など、より積極的な治療アプローチの利用が適応または予想される。
26.全身性硬化症の既往歴または重複全身性硬化症を伴うSLEの診断。
27.ICFに署名する前の1年以内の劇症型抗リン脂質抗体症候群(APS)またはAPS関連の血栓塞栓性事象もしくは妊娠喪失の病歴または現在の診断。抗凝固剤またはアスピリンによって少なくとも12週間適切に制御されたAPSを有する対象は試験に動員され得る。
28.ICFに署名する前の最後の24週間以内に合計2週間を超えて経口または非経口コルチコステロイドによる治療を必要とした任意の非SLE疾患の病歴。
29.前療法及び併用療法の基準:以下の時間枠内で以下の治療のいずれかを受けた。
●無作為化の6週間前:
○40mg/日モルヒネ当量を超えるオピオイドの使用、一定ではない投与、または定期投与の開始
○IVコルチコステロイド>3.0gm(累積用量)
●無作為化の8週間前:
○免疫グロブリン(抗SARS-CoV-2治療用抗体を除く)
○カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン、ボクロスポリン、タクロリムス)、ラパマイシン阻害剤、レチノイド、サリドマイド、レナリドミド、またはヤヌスキナーゼ阻害剤の機械的標的
○血液、濃厚赤血球、血小板、または血漿置換、血漿交換、またはTherakos(登録商標)光フェレーシスによる治療による輸血
●無作為化前の12週間(または5半減期のいずれか長い方):
○IVシクロホスファミド>2パルスの高用量(≧0.5gm/m)または>4用量の低用量(2週間毎に500mg)
○シクロホスファミド以外のアルキル化剤(例えば、クロラムブシル)
○インターロイキン(IL)-1、IL-6、IL17、IL-12/23、IL-23、IFN、インテグリン、またはTNFαアンタゴニストを含むがこれに限定されない、サイトカインまたはサイトカイン受容体アンタゴニスト(IFN-αキノイドを除き、その受与はいつでも除外される)
○ベリムマブ、アバタセプト、またはエクリズマブ
○免疫抑制または免疫調節に使用される他の生物製剤(例えば、IFN療法、IL-2)
○治験薬
○IPP-201101(Lupuzor(商標))
●無作為化の24週間前:
○アタシセプトまたはオビヌツズマブ以外のB細胞枯渇療法(例えば、リツキシマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、イネビリズマブ、テリタシセプト)
○喘息、炎症性腸疾患、または薬物誘発性SLEを含む任意の併発症に対する、合計2週間を超える全身性グルココルチコイド(すなわち、PO、直腸、IV、またはIM)の受与
●無作為化の40週間前:
○アタシセプト
●無作為化の1年前:
○Bacille-Calmette-Guerin(BCG)ワクチン接種
●無作為化の1.5年前:
○オビヌツズマブ
●以下の薬物は、無作為化の日の前に中止しなければならない:
○メトトレキサート、アザチオプリン、レフルノミド、ミゾリビン、プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾールなど)、及びコレスチラミン、
○生物学的半減期が長いコルチコステロイド(すなわち、デキサメタゾン、ベタメタゾン)。
【0480】
併用療法
LNの標準治療(SOC)のための許可された薬物は、以下に記載されている。LNのSOCは、MMF/MPAとコルチコステロイドとの組み合わせで構成される。
1)ミコノール酸モフェチル(MMF)/ミコフェノール酸(MPA):MMFの目標用量は、試験全体を通して経口で2gm/日であり、用量は、無作為化から8週目までの間に目標用量に滴定される。無作為化前に処方されたMMFをまだ服用していない対象については、MMFの投与は、最初の1週間は、合計1日用量が1gm/日で500mgを1日2回で始まり、2週目及びそれ以降の週は(すなわち、8日目に始まる)、合計1日用量が2gm/日で1gmを1日2回に増加する。等価用量のMPAは、MMFの代替として使用され得る。全ての対象は、食前(すなわち、空腹時)に、MMF/MPA(すなわち、朝と夕方)をコップ一杯の水とともに1日2回服用することになる。8週目~24週目までの間に準最適応答を有する対象については、24週目まで3.0gm/日の最大用量が許容され、32週目までに≦2.0gm/日に低減される。MMFの用量は、40週目~52週目まで一定でなければならない。52週目以降、MMF用量は、≦2gm/日である必要がある。52週目にMMF用量が>2gm/日である場合、60週目までに≦2gm/日に漸減することが推奨される。MMFの用量は、92週目~104週目まで一定でなければならない。IV形態のミコフェノール酸の使用は禁止されている。
a)目標用量を達成または維持するためのMMF/MPA用量の初期調整(無作為化から8週目まで)
i)0週目(1日目)に2gm/日(または当量)の用量でMMF/MPAを投与される対象は、中断することなくこの用量を継続する。
ii)0週目(1日目)にMMF/MPAを服用していない対象、または2gm/日未満(または当量)を服用している対象、用量は、1週目(8日目)までに2gm/日の用量(または局所治療標準がより低用量を指示する場合、治療目標用量)を達成するという目標で漸増される(ただし、用量漸増が不忍容性によって制限される場合、8週目(57日目)までに)。
iii)0週目(1日目)に、>2gm/日のMMF用量を服用している対象は、準最適応答の基準を満たさない限り(準最適応答については以下を参照)、8週目(57日目)までに、その用量を2gm/日に低減する。
b)8週目~24週目までの間のMMF/MPA用量
i)MMF/MPAの用量は、準最適応答(以下に定義される)のために最大3gm/日の用量漸増が必要であるか、または毒性もしくは不忍容性を管理するために用量低減が必要である場合を除き、8週目~24週目まで一定に維持される。
ii)準最適応答の基準:準最適応答は、少なくとも2週間間隔で行われた2つの独立した測定で以下に示されるUPCR値によって定義される:
(1)スポットUPCRが>3mg/mg、及び
(2)ベースラインのスポットUPCRと比較して、スポットUPCRが<15%減少。
iii)対象が8週目以降に基準を満たしている場合、用量を漸増させるか、または2gm/日超を維持することができる。準最適応答の最初の確認後、MMF/MPAは、準最適応答基準について再検査することなく、16週目まで3gm/日(または当量)まで増加させることができる。MMF/MPAの用量は、非忍容性またはMMF/MPA関連有害事象のために用量低減が必要でない限り、16週目から一定に維持されなければならない。
c)24週目~52週目までの間のMMF/MPA用量:
i)24週目にMMF(またはMPA当量)を>2gm/日服用している対象の場合、MMF/MPAの用量は、32週目までに最大用量を2gm/日(または当量)に低減しなければならない。MMF/MPAの用量は、40週目~52週目まで一定でなければならない(毒性または不忍容性を管理するために用量減少が必要である場合を除く)。
d)52週目~104週目までのMMF/MPA用量:
i)MMF/MPAの目標用量は、約≦2gm/日である。52週目のMMF/MPA用量が>2gm/日である場合、60週目までに≦2gm/日に漸減する必要がある。MMF/MPA用量は、92週目~104週目までに変更してはならない。
2)コルチコステロイド
a)LN及びSLEを制御するための最初のコルチコステロイド治療:対象は、0.5mg/kg/日プレドニゾン当量の最大用量のOCSを毎日服用し(40mg/日を超えない)、無作為化の前に少なくとも10日間一定用量で服用しなければならない、試験に参加することができる。加えて、対象は、無作為化の前の10日以内に≧500mgのメチルプレドニゾロンのパルスを受けていない限り、無作為化の日に500mgのメチルプレドニゾロンパルスを受ける。
b)試験中のステロイドの漸減:OCSを、12週目までに≦7.5mg/日のプレドニゾン等価用量に、及び24週目までに≦2.5mg/日のプレドニゾン等価用量に段階的に低減することを目的として、試験中に経口コルチコステロイド用量を漸減することが必要である。ステロイドの漸減は、40週目~52週目までは許可されない。推奨される漸減スケジュールは、以下の表14に提供されている。
(表14)例示的な経口プレドニゾンの漸減スケジュール
c)ステロイドの「バースト及び漸減」:
i)ステロイドバーストは、以下のうちの1つとして定義される。
(1)OCSを、0.5mg/kg/日の最大1日用量のプレドニゾン等価用量(最大40mg/日)まで、合計14日間増加させ、14日目の終わりまで、バースト前の開始用量以下に漸減させなければならない。OCSバーストのコースは、コースがいつ開始されたかにかかわらず、40週を超えて延長してはならない、または、
(2)最大1回の関節内、腱鞘、もしくは嚢内注射(メチルプレドニゾロンの総用量≦80mgもしくは当量)を投与することができる。関節内/腱鞘/嚢内注射を投与された対象に、OCSバーストを投与すべきではない(また、その逆も同様)。
ii)ステロイドバーストは、以下のように許容される。
(1)無作為化から40週目まで:SLE疾患活動性または非SLE活動性の増加に対して、1回のコルチコステロイドのバースト及び漸減が許容される。
(2)40週目~52週目までコルチコステロイドを増加させる:40週目~52週目の評価まで、OCSの増加、またはIVもしくは関節内、腱鞘もしくは嚢注射の使用は許容されない。
(3)52週目~92週目までの間に1回のバースト及び漸減が許容される。
d)副腎不全の予防のためのコルチコステロイドの増加
i)重篤な病気、手術、または副腎不全の症状に対して、臨床的に正当化される場合、対象が非応答者とみなされることなく、無作為化から40週目までに上記の「バースト及び漸減」に加えて、以下を使用することができる。
(1)初日に8時間毎に最大100mgの経口もしくはIVヒドロコルチゾン、続いて、通常の用量に戻す前に、2日間、以前の用量の半分を投与するか、または
(2)≦7.5mg/日のプレドニゾンもしくは当量を服用している対象に、追加の7.5mg/日を、合計15mg/日の経口プレドニゾンもしくは当量まで、合計14日間投与することができる。
ii)40週目~52週目までの間に副腎不全の予防のためにこれらのコルチコステロイドレジメンのいずれかを投与される対象は、52週目の分析に対する非応答者とみなされる。
【0481】
併用薬
SOC免疫抑制背景療法以外の薬物は、以下を投与することができる:(i)抗高血圧剤及びHMG-CoAレダクターゼ阻害剤(スタチン)(ただし、コレスチラミンではない)は、無作為化の日の前に中止されなければならない、(ii)ナトリウム・グルコース共輸送体2阻害剤、(iii)抗マラリア剤、(iv)非ステロイド性抗炎症薬、(v)アセトアミノフェン(パラセタモール)、(vi)麻薬性鎮痛薬、及び(vii)局所療法。
【0482】
LNの悪化の場合に試験介入を任意の時点で中止するための基準
LNまたはSLEの悪化の場合の規定の基準を満たす対象において、盲検試験介入が中止される:(i)LNに起因するベースラインと比較したeGFRの>30%の低下及びeGFRが<60mL/分/1.73m、(ii)禁止されている全身性免疫抑制治療(例えば、シクロホスファミド、リツキシマブ、ベリムマブ)を必要とする腎臓もしくは腎臓外のループス活動性の増加、(iii)無作為化の日以降の>1回のメチルプレドニゾロンパルスの受与、(iv)8週目以降の任意のメチルプレドニゾロンパルスの受与、または(v)MMFが中止され、別の免疫抑制剤が開始された場合。
【0483】
12~24週目にLNの悪化の場合に試験介入を中止するための基準
LNまたはSLEの悪化の場合の規定の基準を満たす対象において、12~24週目に盲検試験介入が中止される:(i)eGFRがベースラインの<75%及び<60mL/分/1.73m未満、(ii)ベースライン時の24時間UPCR≦3mg/mgの対象の場合、腎症範囲UPCRが24時間でベースラインから>3.5mg/mgに>50%の増加を示し、ベースライン時の24時間UPCRが>3mg/mgの対象の場合、24週目に3.5mg/mgかつベースラインから<50%の改善を示すか、または(iii)コルチコステロイド要件に従うことができないこと:12週目にOCSを<15mg/日プレドニゾン当量に低減することができないか、もしくは24週目までにOCSを≦10mg/日プレドニゾン当量に低減することができないこと。
【0484】
試験の早期中止
対象において以下のいずれかが発生した場合、個々の対象は、更なる研究介入を受けることはない。
●禁止薬の投与、研究介入に対する有害事象の共通用語基準グレード3以上のアレルギー反応、研究介入に関連するとみなされるCTCAEグレード3以上の感染症、あるいは治験責任医師及び/または治験依頼者もしくはメディカルモニターの見解では、更なる受与を禁じる他のAE。
●以下の肝機能異常のいずれか:
○アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≧8×ULN。
○2週間を超えるALTまたはAST≧5×ULN。
○ALTまたはAST≧3×ULN、及び総ビリルビン≧2×ULN。
○疲労、吐き気、嘔吐、右上腹部痛もしくは圧痛、発熱、発疹、及び/または好酸球増加(≧5%)の出現を伴うALTまたはAST≧3×ULN。
【0485】
ダクスジリマブの組成、投与量、及び投与様式
ダクスジリマブは、20mMのL-ヒスチジン/L-ヒスチジン塩酸、240mMのスクロース、0.02%(w/v)のポリソルベート80、pH6.0を含有する公称1mLの100mg/mLのダクスジリマブを含む2Rバイアルとして供給される。無作為化された対象は、標準治療(SOC)療法に加えて、ベースライン時、2週目、及び4週目に2回の1.5mLの注射として、ダクスジリマブ100mgまたは300mgのいずれかを皮下(SC)投与され、続いて、52週目まで4週間毎(Q4W)にダクスジリマブをSC投与される。64週目に、全ての対象を、48週目及び52週目に観察された腎応答に基づいて、四半期毎の投与維持レジメンに割り当てられる。治療割り当てにかかわらず、48週目または52週目のいずれかで少なくとも部分腎臓応答(PRR)を達成することができない全ての対象は、SOC療法に加えて、64週目に2回の1.5mL注射として、及びその後、104週目まで12週間毎(Q12W)にダクスジリマブ300mg(SC)を投与される(100週目に最終用量を投与)。48週目及び52週目の両方で少なくともPRR(または完全腎応答(CRR))を達成し、100mgまたは300mgのいずれかによるダクスジリマブ治療に無作為化された対象は、SOC療法に加えて、64週目、及びその後、104週目まで12週毎に同じ用量(すなわち、100mgまたは300mgのいずれか)の維持レジメンに割り当てられる(100週目に最終用量を投与)。
【0486】
参照として、プラセボは、市販の生理食塩水として調達され、無作為化された対象に、SOC療法に加えて、ベースライン時、2週目、及び4週目にSC投与され、続いて、プラセボを52週目まで4週間毎にSC投与される。64週目に、当初プラセボによる治療に割り当てられ、48週目及び52週目の来院の両方で少なくともPRR(またはCRR)を達成した対象は、SOC療法に加えて、104週目まで12週毎に2回の1.5mL注射(100週目に最終用量を投与)としてプラセボをSC投与され続ける。無作為化は、以下によって層別化される:(1)無作為化前の尿タンパク質対クレアチニン比(UPCR)<3.0mg/mg対≧3.0mg/mg、及び(2)スクリーニング推定糸球体濾過量(eGFR)<60mL/分/1.73m対≧60mL/分/1.73m
【0487】
ダクスジリマブ及びプラセボの投与に関する更なる詳細は、以下の表15に見出すことができる。
【0488】
(表15)投与される試験介入
【0489】
治療期間及びフォローアップ
スクリーニングは、1日目の来院の前の28日以内に完了する。
【0490】
二重盲検治療期間(1日目~104週目):試験薬(ダクスジリマブまたはプラセボ)は、2週目に追加の用量で、52週目まで4週間毎にSC投与される;64週目に、全ての対象は、48週目及び52週目に観察された腎応答に基づいて、四半期毎の投与維持レジメンに割り当てられ、104週目まで12週毎にダクスジリマブまたはプラセボのいずれかを投与される(100週目に最終用量を投与)。最終評価は、104週目に行われる。
【0491】
試験終了/早期終了の来院:対象が治験への参加への同意を撤回する場合、112週目またはそれ以前。
【0492】
安全性フォローアップ:対象が同意を撤回しない限り、対象は、最後の試験介入実施後少なくとも12週間、最後の試験介入用量後、約4週間、8週間、及び12週間、AE/SAEを評価するために追跡される必要がある。
【0493】
有効性評価
有効性は、腎応答、タンパク尿の変化、及びGFRによって評価される。対象の経験は、患者全般評価(PtGA)及び患者全般印象度変化(PGI-C)スケールによって評価される。有効性の測定は、表12及び13A~Cに示されている時点で行われる。
【0494】
一次有効性エンドポイントの分析:ダクスジリマブ群で48週目にCRRを達成し、52週目まで持続した対象の割合を、モデルに含まれる治療、ベースラインeGFR値、及びベースラインUPCR値を含むロジスティック回帰モデルを使用して、プラセボ群と比較する。
【0495】
二次有効性エンドポイントの分析:48週目及び52週目まで持続したORRは、モデルに含まれる治療、ベースラインeGFR値、及びベースラインUPCR値含むロジスティック回帰モデルを使用して分析された。OCS用量の持続的な減少における応答は、モデルに含まれる治療、無作為化、層別化因子、及びベースラインOCS用量を含むロジスティック回帰モデルを使用して、同様に分析される。52週目のeGFRのベースラインからの変化は、モデルに含まれる治療、来院、治療相互作用による来院、無作為化、層別因子(UCPRのみ)及びベースラインeGFR値を含む反復測定の混合モデル(mixed models for repeated measures)(MMRM)を使用して分析される。
【0496】
臨床検査に基づく有効性評価には、以下が含まれる。
1)尿タンパク質対クレアチニン比(UPCR):24時間UPCRは、スクリーニング期間中、0週目、12週目、24週目、36週目、48週目、52週目、64週目、76週目、88週目、100週目、104週目、及びET来院時に、24時間尿試料により決定される。0週目(1日目)に開始して、24時間尿試料は、試験介入の実施前に常に採取されなければならない。0週目(1日目)に採取した試料は、無作為化前及び第1用量の試験介入の実施前に、1日目に提供されなければならないベースライン試料である。24時間UPCRは、一次エンドポイント及び二次エンドポイント、48週目及び52週目のPRR基準及びCRR基準、ならびに12週目及び24週目の中止基準を決定するために使用される。24時間UPCRは、他の探索的エンドポイントにも使用することができ、SAPに詳述されている。スポットUPCRは、全ての来院で行われ、SLEDAI-2K及びフレア評価のためのCRR及びPRR分類を含む他の探索的エンドポイントの計算に使用される。
2)臨床評価に基づく有効性評価には、SLEDAI-2K、PGA、OCS減少、SDI、及びGTIが含まれる。
a)SLEDAI-2Kスコアリング:
i)専門臨床医の見解による軽度または中等度のフレア:SLEDAI-2Kスコアの3ポイント以上の変化(ただし、12ポイント以下)、新規または悪化した円板状、光線過敏、深在性、皮膚血管炎、水疱性ループス、鼻咽頭潰瘍、胸膜炎、心膜炎、関節炎、発熱、PGAスコアの1.0以上の増加(ただし、2.5以下)。
ii)重度のフレア:SLEDAI-2Kスコアの12超への変化、新規または悪化したCNS-SLE、血管炎、腎炎、筋炎、血小板<60,000、溶血性貧血:ヘモグロビン<70g/Lまたはヘモグロビンの低下>30g/L、SLE活動性で入院、PGAの>2.5への増加。
b)訓練を受け認定された治験責任医師がPGAを完了し、PGAは、0(なし)~3(過去30日間の重度の疾患活動性)の視覚的アナログスケール(VAS)上の平均疾患重症度の医師の全体的な評価を表す。
c)SDIは、その原因(すなわち、SLE活動性による損傷、SLE関連瘢痕化、療法、併存疾患を含む)とは独立しているが、疾患発症後に生じる、SLE対象における不可逆的損傷を評価するために使用される。
d)GTIは、グルココルチコイド関連罹患率及び他の療法のグルココルチコイド温存能力を評価するために使用される。
e)対象は、PtGA及び患者全般印象度(PGI-C)を完了するように求められる。
f)必要に応じて腎生検を行う。
【0497】
薬物動態、薬力学、及び免疫原性
ダクスジリマブのPKは、血中PK濃度によって評価される。ダクスジリマブの免疫原性は、ADAの割合及び力価によって評価される。薬力学的(PD)バイオマーカーに対するダクスジリマブの効果は、末梢血中の形質細胞様樹状細胞(pDC)、IFN-αタンパク質、ミクソウイルスタンパク質A(MxA)、及びIFN遺伝子シグネチャレベルを測定することによって評価される。血中pDCレベル、陽性ADA及びADA力価のベースラインからの変化を、治療及び来院によって評価する。同意した対象において、ベースライン時に採取された血液試料からDNAを単離して、ループスの発症またはダクスジリマブの作用機序に関連している可能性がある遺伝子(例えば、Fcガンマ受容体)における一塩基多型(SNP)を検査する。ダクスジリマブの免疫原性は、ダクスジリマブ投与前及び指定された時点での抗薬物抗体の発生率及び力価によって評価される。
【0498】
血液試料を、血清分離器採取チューブに採取し、以下の来院時にPKを評価する:1日目の注射前及び注射後6時間(±1時間)、2、4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、64、76、88、100、及び104週目のSC投与前。
【0499】
安全性
安全性が評価され、薬物関連かどうかにかかわらず、全てのAEの監視及び記録、バイタルサインの測定、身体検査、ならびに臨床検査の実施による血液学、血液化学、及び尿検査の監視が含まれる(表16)。AEは、国際医薬用語集(MedDRA)の最新版を使用してコード化される。TEAEを報告する対象の数及び割合は、各治療群について、MedDRA器官別大分類及び基本語(PT)、重症度、ならびに研究介入との関係によって要約される。臨床検査評価及びバイタルサインを含むがこれらに限定されない他の安全性パラメータも、必要に応じて測定される。
【0500】
(表16)臨床検査
【0501】
実施例5:中等度から重度の原発性円板状エリテマトーデスを治療するためのダクスジリマブの第2相無作為化二重盲検プラセボ対照有効性及び安全性試験
中等度から重度の原発性円板状エリテマトーデスを有する成人対象における疾患活動性の低減におけるダクスジリマブ皮下注射の有効性及び安全性を調査するための第2相多施設無作為化二重盲検プラセボ対照並列群治験。
【0502】
研究の主要目的は、原発性DLEを有する参加者における24週目の活動性疾患活動性の低減における、プラセボと比較したダクスジリマブの効果を評価することである。
【0503】
試験の二次目的は、以下の通りである:(i)原発性DLEを有する対象における、24週目のDLE疾患活動性の低減における、プラセボと比較したダクスジリマブの効果を評価すること、(ii)原発性DLEを有する対象における、疾患活動性及び損傷におけるプラセボと比較したダクスジリマブの効果を評価すること、(iii)原発性DLEを有する対象における、ダクスジリマブのPK及び免疫原性を特徴決定すること、ならびに(iv)原発性DLEを有する対象における、ダクスジリマブの安全性及び忍容性を評価すること。
【0504】
試験の探索的目的には、以下が含まれる:(i)DLE疾患活動性の他の尺度に対するプラセボと比較したダクスジリマブの効果を評価すること、(ii)ダクスジリマブのPDを特徴決定すること、(iii)循環及び組織中の細胞及びタンパク質の遺伝的変異、遺伝子発現、ならびにプロファイルとダクスジリマブとの潜在的な関連性を調査すること、ならびに(iv)対象の知覚されるDLEの負担及び影響に対するダクスジリマブの効果を評価すること。
【0505】
治験設計
これは、標準治療に対して難治性の中等度から重度の活動性(すなわち、最近のフレアまたは慢性活動性疾患)の原発性DLEを有する18歳以上75歳以下の対象の、第2相多施設二重盲検無作為化プラセボ対照並列群治験である。対象は、無作為化によって治験介入(ダクスジリマブまたはプラセボのいずれか)に割り当てられ、これは、スクリーニングに成功してから遅くとも28日後に行われる。無作為化は、ベースライン(1日目)の皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数-活動性(CLASI-A)スコアによって層別化される(>13対≧13)。約99名の対象が、1:1:1の比率(1群当たり33人の対象)で、以下の3つの治療群に無作為化される:
●群1:プラセボ、
●群2:ダクスジリマブ150mg、
●群3:ダクスジリマブ300mg。
【0506】
スクリーニングから安全性フォローアップ(SFU)期間の終了までの推定合計治験期間(図8及び表19A~Cに示されている)は、最大60週間である。
●約4週間のスクリーニング期間(-28日目~-1日目)。
●1日目の無作為化(二重盲検)。
●1日目~48週目までの治療期間(二重盲検)。
○来院頻度:4週間毎に1回(Q4W)。
○1日目~44週目まで4週間毎に治験介入の実施。
○48週目まで4週間毎に有効性及び安全性評価。
○24週目(6回の投与後)の有効性エンドポイントの一次評価。
○24週目の評価後:プラセボ群(群1)の対象は、残りの治験の間、300mgのダクスジリマブの用量に移る。最初に、対象を、ダクスジリマブ150mg群または300mg群(群2及び群3)に無作為化し、残りの治験の間、同じ用量を維持する。全ての対象は、24週目から積極的治療を受けるが、これは非盲検ではない。
●48週~56週まで8週間のSFU期間。
●IPは、公称1mLの100mg/mLのダクスジリマブを含む2Rバイアルとして提供される。
●対象に、対応する治験介入の2回の1.5mLの皮下(SC)注射を実施する。
【0507】
治験介入の全ての実施は、診療所の施設スタッフによって行われる。治験介入の実施後、全ての対象は、20分間観察されるが、例外として、1日目、4週目、24週目、及び28日目は、少なくとも60分間観察される。
【0508】
有効性は、以下によって評価される。
●皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数-活動性(CLASI-A)スコア:CLASI-Aにおける4点の改善は、臨床的に有意義であるとみなされる。
●皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数-損傷(CLASI-D)スコア:CLASI-Dは、解消された炎症からの不可逆的変化を表すため、改善は予想されない。
●皮膚ループス活動性医師全般評価(CLA-IGA)スケール:スケールは、0(なし)~4(重度)の範囲である。
●円板状エリテマトーデス分類基準(DLECC)スコア(可能な合計スコア-10ポイント):萎縮性瘢痕化-3点、耳甲介腔内の位置-2ポイント、頭頸部の優先度-2ポイント、色素沈着異常-1ポイント、毛孔性過角化/角栓-1ポイント、及び紫色調の紅斑-1ポイント。
●円板状エリテマトーデスにおける活動性及び損傷のスコア(SADDLE):紅斑、鱗屑、硬結、瘢痕化/萎縮、及び色素沈着異常は、独立して活動性(0~117)及び損傷(0~78)の各領域のスコアで評価される。
●評価のためのデジタル写真:i)新しい円板状病変の発症、ii)円板状病変の特徴(例えば、サイズ、色素沈着異常など)の変化、及びiii)円板状病変内の毛髪の再生。
【0509】
安全性は、以下によって評価される:
●身体検査の測定、
●バイタルサインの監視、
●心電図(ECG)、
●血液学、血液化学、及び尿検査の監視、
●妊娠検査、
●局所注射の忍容性の評価、
●全ての有害事象(AE)の監視及び記録。
【0510】
生活の質は、以下を用いて評価される:
●患者全般評価(PGA)及び患者全般印象度変化(PGIC)スケール、
●皮膚科生活の質指数(DLQI)質問票、
●皮膚エリテマトーデス生活の質(CLE-QoL)質問票、
●EQ-5D-5L質問票:可動性、セルフケア、通常の活動、痛み/不快感、及び不安/うつの5つの領域における健康に関連する生活の質を測定する質問票。
【0511】
血液試料は、ダクスジリマブの薬物動態(PK)、薬力学(PD)、及び免疫原性を特徴決定するために、全ての対象から採取される。
●薬物動態:SoAで指定された来院及び時点でのダクスジリマブの血清中濃度の測定のために、約3.5mLの血清試料(全血採取チューブ)を採取する。
●薬力学:血液(pDCフローサイトメトリー)及び組織(例えば、円板状病変生検における免疫組織化学[IHC][任意選択])におけるpDCのレベル、血清IFN-α、血中ミクソウイルス耐性タンパク質(MxA)、及びIFN遺伝子シグネチャレベル。
●遺伝学:ベースライン時の血液からDNAを単離して、DLEの発症またはダクスジリマブの作用機序に関連している可能性がある遺伝子(例えば、Fcガンマ受容体)における一塩基多型を検査する。
●バイオマーカー:i)血清試料を採取して、DLEの病因またはダクスジリマブの作用機序に関連している可能性があるサイトカイン、ケモカイン、または他のタンパク質(例えば、IFN-α、IL-17、及びIFNγ)のレベルの変化を評価する。ii)末梢血単核細胞を採取して、凍結保存された血液白血球中の免疫細胞集団の頻度及び場合によっては遺伝子発現の変化を監視する。iii)全血試料を採取し、RNAを単離して、ダクスジリマブまたはDLEの病因の作用機序に関連している可能性がある遺伝子の発現または遺伝子経路の変化を経時的に評価する。iv)任意選択的な円板状病変の生検を行って、ダクスジリマブが組織中のpDC、炎症性細胞、及び/または他のバイオマーカーのレベルを変化させるかどうかを検査する。及び/またはv)任意選択的な円板状病変の生検を行って、組織中のpDC、炎症細胞、及び/または他のバイオマーカーのレベルを変化させるかどうかを検査する。
●免疫原性:ダクスジリマブに対する抗体は、ダクスジリマブの投与前に、評価のスケジュールに従って、全ての対象から採取された血清試料における抗薬物抗体の発生率及び力価によって評価される。
【0512】
投与
IPダクスジリマブは、20mMのL-ヒスチジン/L-ヒスチジン塩酸、240mMのスクロース、0.02%(w/v)のポリソルベート80、pH6.0を含有する公称1mLの100mg/mLのダクスジリマブを含む2Rバイアルとして供給される。プラセボは、市販の生理食塩水として供給される。両方の治験介入は、1日目~24週目まで4週間毎のSC注射によって実施される(表17)。24週目~44週目までの後、IPのみが、全ての対象に投与される。全ての群にわたって同じ注射の回数及び量を維持するために、必要な用量が、2回の1.5mLの注射として投与される。
【0513】
(表17)ダクスジリマブまたはプラセボの投与
【0514】
表18は試験設計に従って試験群を示す。
【0515】
(表18)試験群
【0516】
組み入れ基準
全ての対象は、スクリーニング及び1日目の来院、または基準に記載されている指定された来院(スクリーニングまたは1日目)でのみのいずれかで、治験参加の対象となるために、以下の全ての基準を満たさなければならない。
1)書面によるインフォームドコンセント及び治験期間中に所定の治療プロトコル及び評価を遵守することができる意思がある。
2)18歳以上75歳以下の成人男性または女性。
3)a)生検、及び/または、生検が利用できない場合、b)DLECCスケールで≧7の臨床的特徴スコアの病歴によって支持されるスクリーニング前の≧6ヶ月間の円板状エリテマトーデスの診断。
4)以下の全てを有する現在活動的な円板状ループス:a)現在活動的な円板状疾患病変を確認するために中央読み取りで判定されたデジタル写真;及びb)ベースライン時の円板状病変に関連するCLASI-Aスコア≧8。
5)治療難治性DLEは、全身性抗マラリア薬、メトトレキサート、ミコフェノール酸塩、アザチオプリン、ダプソン、コルチコステロイド、サリドマイド、またはレナリドミドによる現在もしくは過去の治療にもかかわらず、あるいは抗マラリア薬及び/または免疫抑制薬に対する不忍容性の病歴が記録されているにもかかわらず、活動性疾患として定義される。
6)現在、以下のいずれかの療法を受けている活動性疾患を有する対象は、スクリーニング前に一定の投与量でなければならず、無作為化まで及び以下に記載される治験全体にわたって一定の投与量でなければならない。
a.抗マラリア薬(例えば、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、キナクリン)は、スクリーニング前及び無作為化まで、少なくとも8週間一定の投与量でなければならない。
b.メトトレキサート≦20mg/週(経口またはSC)、スクリーニング前の少なくとも4週間及び無作為化まで、一定の投与量及び投与経路。
c.ミコフェノール酸モフェチル≦2g/日またはミコフェノール酸≦1.44g/日、スクリーニング前の少なくとも4週間及び無作為化まで、一定の投与量。
d.アザチオプリンは、スクリーニング前の少なくとも4週間及び無作為化まで、一定でなければならない。
e.プレドニゾンと同等のコルチコステロイド≦10mg/日、スクリーニング前の少なくとも4週間及び無作為化まで、一定の投与量。
f.局所コルチコステロイド及びカルシニューリン阻害剤、スクリーニング前の少なくとも1週間及び無作為化まで、一定の投与量。
7)妊娠可能な女性(WOCBP)は、スクリーニング時の血清妊娠検査が陰性であり、1日目の尿妊娠検査が陰性でなければならない。女性は、2つの承認された避妊形態を使用することに同意しなければならない。そのうちの1つは、1日目の少なくとも4週間前から、最後のIP投与または治験の終了のいずれか長い方の少なくとも6ヶ月後(約5半減期)までホルモン性避妊薬であることが推奨され、治験中及び最後のIP投与の少なくとも6ヶ月後(約5半減期)まで、卵子採取及び卵子提供を控えるべきである。
8)男性は、最終IP投与の1日目から少なくとも3ヶ月後(約5半減期)まで、非常に効果的な避妊方法のうちの1つを使用し、この期間中に精子を提供することを控えることに同意しなければならない。
【0517】
除外基準
一般的な除外基準:
1.治験の実施に関与した個人、その従業員、またはその個人の近親者。
2.不作為化の前の4週間以内または公表されている5半減期以内のいずれか長い方の治験薬による別の臨床治験への参加。
【0518】
医学的状態:
3.治験責任医師の見解では、IPの評価、または対象の安全性もしくは治験結果の解釈を妨げる可能性のある任意の状態。
4.スクリーニング時の体重>160kg(352ポンド)。
5.IPの任意の成分または以前のモノクローナル抗体(mAb)もしくはヒト免疫グロブリン(Ig)療法に対するアレルギー、過敏反応、またはアナフィラキシーの病歴。
6.スクリーニング前の≦4週間から無作為化までに、授乳中もしくは妊娠中の女性、または自然流産もしくは人工流産、死産もしくは出産した女性、または妊娠した女性。
7.薬物またはアルコール乱用歴。
8.スクリーニング前の8週間以内の大手術、またはスクリーニングから48週目までに計画された待機的手術。
9.脾摘出。
10.無作為化前の6ヶ月以内の不安定狭心症、心筋梗塞、うっ血性心不全を含む臨床的に有意な心疾患の病歴、臨床的に有意でない期外収縮、または軽微な伝導異常を除く動的療法を必要とする不整脈、またはECG上の臨床的に有意な異常の存在。
11.以下を除き、過去5年以内のがんの病歴:i)スクリーニングの>12ヶ月前に治療された子宮頸部の上皮内癌;またはii)根治療法で治療された皮膚基底細胞癌または扁平上皮癌。
12.対象が感染しやすくなる任意の基礎状態。
13.スクリーニングの30日以内に>50mLの血液もしくは血漿を献血した対象、またはスクリーニングの56日以内に>499mLの血液もしくは血漿を献血した対象(臨床治験中もしくは血液バンクの寄付時)、または治験への参加中もしくは最後のIP投与後6ヶ月までのいずれか長い方で血液もしくは血漿を献血する予定である対象。
14.血液、濃厚赤血球、血小板の輸血、または無作為化の前の8週間以内及び治験参加の全期間にわたるプラズマフェレーシスもしくは血漿交換による治療。
【0519】
検査基準:
15.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染などの原発性免疫不全の既知の病歴、またはHIV感染の陽性結果。
16.スクリーニング時に、中央臨床検査毎に以下のいずれか:
a.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)>2.5×正常上限(ULN)、
b.アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)>2.5×ULN、
c.総ビリルビン(TBL)>1.5×ULN(ジルベール症候群による場合を除く)、
d.好中球数<1500/μL(または<1.5×10/L)、
e.血小板数<135,000/μL(または<135×10/L)、
f.ヘモグロビン<10g/dL(または<100g/L)、
g.総リンパ球数<800/μL(または<0.8×10/L)、
h.抗核抗体力価>1:320。
17.i)B型肝炎表面抗原、またはii)B型肝炎コア抗体として定義されるB型肝炎ウイルス血清学の検査で陽性が確認されている。
18.活動性C型肝炎感染の治療に成功したことが文書化されていない限り、C型肝炎ウイルス抗体の検査で陽性。
19.活動性結核(TB)、またはスクリーニング時のIFNγ放出アッセイ(IGRA)検査で陽性。
20.播種性ヘルペス、ヘルペス脳炎、最近の再発性帯状疱疹(過去2年以内に2回のエピソードとして定義される)、または眼部ヘルペスなどの任意の重度のヘルペスウイルスファミリー感染。
21.任意の帯状疱疹、CMV、またはエプスタインバーウイルス感染。
22.ICFに署名する前の30日以内及び無作為化までの、以下のいずれか:
a.治験責任医師の見解では、抗生物質または抗ウイルス薬を必要とする進行中の感染症及び慢性感染症を含む、臨床的に有意な活動性感染、
b.入院または静脈内抗感染薬による治療を必要とする任意の感染症、
c.重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)検査で陽性と文書化されている参加者は、無症状である場合は陽性検査の少なくとも2週間後及び症候性コロナウイルス疾患2019(COVID-19)の病気の少なくとも3週間後に再スクリーニングされ得る。
23.無作為化の前の2年以内に入院または非経口抗菌治療を必要とする日和見感染。
24.いずれかの急性の病気、または1日目の臨床的に有意な活動性感染の証拠。
25.COVID-19またはその他の重大な感染症を有する参加者、または治験責任医師の判断では、COVID-19もしくはその合併症のリスクが高い可能性がある参加者は、無作為化されるべきではない。
【0520】
疾患関連基準:
26.全身性エリテマトーデス。
27.全身性結合組織病の現在の診断。
28.DLE以外の現在の炎症性皮膚疾患。
【0521】
前療法/併用療法
29.無作為化前の4週間以内に、全身性ステロイド(プレドニゾン当量の>10mg/日)もしくは病変内ステロイド、または非生物学的免疫調節剤もしくは免疫抑制剤(例えば、ダプソン、ダナゾール、カルシニューリン阻害剤、スルファサラジン、ミゾリビン、ラパマイシン標的タンパク質阻害剤、レチノイド、サリドマイド、レナリドミド、副腎皮質刺激ホルモン類似体、デヒドロエピアンドロステロン)、またはヤヌスキナーゼ阻害剤の使用。
30.12ヶ月以内の任意の生物学的B細胞枯渇療法(例えば、リツキシマブ、オクレリズマブ、またはオファツムマブ)または3ヶ月以内の他のB細胞標的療法(例えば、ベリムマブ)による以前の治療。
31.pDC阻害療法(例えば、ダクスジリマブ、抗BDCA2[BIIB059])による以前の治療を受けた。
32.4週間以内の生物製剤または抗増殖剤。
33.30日間、薬剤の5半減期、または薬剤の生物学的効果の持続時間の2倍のいずれか長い方のいずれかの実験薬を投与された。
34.4週間以内に弱毒化生ワクチンを接種された。
【0522】
許可された療法
●以下の療法が許可される:抗マラリア薬(例えば、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、キナクリン)は、スクリーニング前の少なくとも8週間及び無作為化まで、一定の投与量でなければならない。
●メトトレキサート≦20mg/週(経口またはSC)、スクリーニング前の少なくとも4週間及び無作為化まで、一定の投与量及び投与経路。
●ミコフェノール酸モフェチル≦2g/日またはミコフェノール酸≦1.44g/日、スクリーニング前の少なくとも4週間及び無作為化まで、一定の投与量。
●アザチオプリンは、スクリーニング前の少なくとも4週間及び無作為化まで、一定でなければならない。
●プレドニゾンと同等のコルチコステロイド≦10mg/日、スクリーニング前の少なくとも4週間及び無作為化まで、一定の投与量。治験責任医師は、臨床的に示される場合、プレドニゾンを漸減することができる。
●局所コルチコステロイド及びカルシニューリン阻害剤、スクリーニング前の少なくとも1週間及び無作為化まで、一定の投与量。
●高血圧または糖尿病などの他の医学的状態のルーティング治療に使用される非免疫調節薬。
【0523】
禁止された療法
表19は、1日目の来院時の治験介入の最初の実施の前の定義されたウォッシュアウト期間から最後の治験来院まで使用されない禁止薬物を列挙する。
【0524】
(表19)禁止された療法及び手順
【0525】
試験介入の中止
個々の対象で以下のいずれかが発生した場合、個々の対象は、更なる投与を受けない。
●CTCAE(有害事象の共通用語)グレード3以上の治験介入に対するアレルギー反応。
●治験介入に関連すると考えられるCTCAEグレード3以上の感染症。
●治験責任医師、及び/または治験依頼者、もしくはメディカルモニターの見解では、更なる投与を禁じる他のAE。
●治験介入による更なる治療からの同意の撤回。
●禁止された療法の受与(セクション6.9.2を参照)。
●対象が、より積極的な治療を必要とする全身性ループスもしくはループス腎炎などの除外基準のうちの1つ以上を満たしている、または治験参加のための全ての組み入れ基準を満たしていないと判断され、メディカルモニターとの協議で特定された継続と関連する潜在的な安全性リスクがある。
●妊娠または妊娠の決意。
●肝機能異常:
○ALTまたはAST≧8×ULN、
○2週間を超えるALTまたはAST≧5×ULN、
○疲労、吐き気、嘔吐、右上腹部痛もしくは圧痛、発熱、発疹、及び/または好酸球増加(≧5%)の出現を伴うALTまたはAST≧3×ULN。
●Bazettの[QTcB]公式またはFridericiaの[QTcF]公式を使用した補正されたQT間隔のベースラインからの臨床的に有意な変化。
【0526】
参照による組み込み
本特許出願は、あらゆる目的のために参照によりそれらの全体を以下の特許公開を組み込む:WO2021113702。本明細書で引用される全ての参考文献、論文、刊行物、特許、特許公開、及び特許出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により組み込まれる。しかしながら、本明細書で引用されるいずれの参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願の言及も、それらが有効な先行技術を構成するか、または世界のいずれかの国で共通の一般知識の一部を形成するという承認または何らかの示唆とみなされるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
2024516698000001.app
【国際調査報告】