(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】カメラモジュールにおける使用のためのポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 101/12 20060101AFI20240409BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20240409BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240409BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20240409BHJP
【FI】
C08L101/12
C08K3/36
G03B30/00
G02B7/04 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568194
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 US2022026096
(87)【国際公開番号】W WO2022235446
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500100822
【氏名又は名称】ティコナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヤン・シン
【テーマコード(参考)】
2H044
4J002
【Fターム(参考)】
2H044BD20
4J002CF161
4J002CL081
4J002DJ016
4J002FD016
4J002GP00
4J002GP01
(57)【要約】
約50wt.%~約90wt.%のポリマーマトリックスおよび約10wt.%~約50wt.%のシリカ粒子を含むポリマー組成物が提供される。ポリマーマトリックスは、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸から誘導された繰り返し単位をポリマーの約15mol%以下の量で含有する液晶ポリマーを含む。シリカ粒子は、約4マイクロメートル以下のメジアン粒子サイズを有する。ポリマー組成物は、ISO試験番号527:2019に従って決定して、11,000MPa以上の引張弾性率を呈する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ポリマーを含む、約50wt.%~約90wt.%のポリマーマトリックスであって、前記液晶ポリマーが、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸から誘導された繰り返し単位を前記ポリマーの約15mol%以下の量で含有する、前記ポリマーマトリックスと、
前記ポリマーマトリックス内に分散された約10wt.%~約50wt.%のシリカ粒子であって、前記シリカ粒子が、約4マイクロメートル以下のメジアン粒子サイズを有する、シリカ粒子と
を含む、ポリマー組成物であって、
前記ポリマー組成物が、ISO試験番号527:2019に従って決定して、11,000MPa以上の引張弾性率を呈する、
ポリマー組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、直径1mmおよび重量20グラムを有するボールを、1ミリメートルの高さから4,000回落下させて前記ポリマー組成物と接触させた場合に、約8マイクロメートル以下の凹みを呈する、ポリマー組成物。
【請求項3】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、直径1mmおよび重量70グラムを有するボールを、1ミリメートルの高さから20,000回落下させて前記ポリマー組成物と接触させた場合に、約8マイクロメートル以下の凹みを呈する、ポリマー組成物。
【請求項4】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、ISO試験番号11443:2014に従って400秒
-1のせん断速度および前記組成物の溶融温度よりも15℃高い温度で決定して、200Pa・s以下の溶融粘度を呈する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、前記ポリマー組成物が、ISO試験番号178:2019に従って23℃で決定して、約11,000MPa以上の曲げ弾性率を呈する、ポリマー組成物。
【請求項6】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、前記ポリマー組成物が、ASTM D785-08(スケールM)に従って決定して、約65以下のロックウェル表面硬度を呈する、ポリマー組成物。
【請求項7】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、前記ポリマー組成物が、ISO試験番号179-1:2010に従って23℃で決定して、約45kJ/m
2以上のシャルピーノッチなし衝撃強度を呈する、ポリマー組成物。
【請求項8】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、前記ポリマー組成物が、ISO試験番号527:2019に従って決定して、約150~約500MPaの引張強度を呈する、ポリマー組成物。
【請求項9】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、前記液晶ポリマーが、約200℃以上の溶融温度を有する、ポリマー組成物。
【請求項10】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、前記液晶ポリマーが、ヒドロキシカルボン酸から誘導された1個以上の繰り返し単位を含有し、前記ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位が、前記ポリマーの約50mol%~約70mol%を構成している、ポリマー組成物。
【請求項11】
請求項10に記載のポリマー組成物であって、前記液晶ポリマーが、4-ヒドロキシ安息香酸から誘導された繰り返し単位を含有する、ポリマー組成物。
【請求項12】
請求項11に記載のポリマー組成物であって、前記液晶ポリマーが、テレフタル酸、イソフタル酸、ヒドロキノン、および4,4’-ビフェノールから誘導された繰り返し単位をさらに含有する、ポリマー組成物。
【請求項13】
請求項12に記載のポリマー組成物であって、4,4’-ビフェノールのモル量が、ヒドロキノンのモル量よりも大きく、および/またはテレフタル酸のモル量が、イソフタル酸のモル量よりも大きい、ポリマー組成物。
【請求項14】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、前記シリカ粒子がほぼ球形である、ポリマー組成物。
【請求項15】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、前記シリカ粒子が非晶質シリカを含有する、ポリマー組成物。
【請求項16】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、前記シリカ粒子が、約0.1~約1.5マイクロメートルのメジアン径を有する、ポリマー組成物。
【請求項17】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、前記シリカ粒子が、微細シリカ粒子と粗シリカ粒子とのブレンドを含有し、前記粗シリカ粒子が、前記微細シリカ粒子よりも大きなメジアン径を有する、ポリマー組成物。
【請求項18】
請求項17に記載のポリマー組成物であって、前記微細シリカ粒子が、約0.1~約1.2マイクロメートルのメジアン径を有し、前記粗シリカ粒子が、約1.8~約3.5マイクロメートルのメジアン径を有する、ポリマー組成物。
【請求項19】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、前記シリカ粒子が、約1~約50平方メートル毎グラムの比表面積を有する、ポリマー組成物。
【請求項20】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、前記ポリマー組成物が、ガラス繊維をほぼ含まない、ポリマー組成物。
【請求項21】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、前記ポリマー組成物が、耐衝撃性改良剤をほぼ含まない、ポリマー組成物。
【請求項22】
請求項1に記載のポリマー組成物であって、前記ポリマー組成物が、鉱物フィラーをほぼ含まない、ポリマー組成物。
【請求項23】
請求項1に記載のポリマー組成物を含む、カメラモジュール。
【請求項24】
請求項23に記載のカメラモジュールであって、前記カメラモジュールが、
1つ以上のレンズを含むレンズモジュールが内部に位置しているハウジングと、
任意選択的に、レンズモジュールを光軸方向に駆動するように構成されたアクチュエータアセンブリと
を含み、
前記ハウジング、レンズモジュール、アクチュエータアセンブリ、またはそれらの組み合わせの少なくとも一部が前記ポリマー組成物を含有する、
カメラモジュール。
【請求項25】
請求項24に記載のポリマー組成物であって、前記アクチュエータアセンブリが、任意選択的に、前記ハウジングと前記レンズモジュールとの間に位置しているガイドユニットを含み、前記ガイドユニットが、ばね、ボールベアリング、静電気力発生器、液圧力発生器、またはそれらの組み合わせを含む、ポリマー組成物。
【請求項26】
請求項25に記載のポリマー組成物であって、前記ガイドユニットの少なくとも一部が前記ポリマー組成物を含有する、ポリマー組成物。
【請求項27】
請求項25に記載のポリマー組成物であって、前記ガイドユニットがボールベアリングを含む、ポリマー組成物。
【請求項28】
請求項27に記載のポリマー組成物であって、前記ボールベアリングが、約800マイクロメートル以下の平均サイズを有する、ポリマー組成物。
【請求項29】
請求項1に記載のポリマー組成物を含む、電子デバイス。
【請求項30】
前記電子デバイスが無線通信デバイスである、請求項29に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本願は、2021年5月6日を出願日とする米国仮特許出願第63/184,819号および2021年5月21日を出願日とする米国仮特許出願第63/191,384号の優先権に基づき、この優先権を主張するものであり、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]カメラモジュール(またはコンポーネント)は、多くの場合、携帯電話機、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどで用いられる。一般に、カメラモジュールは、レンズモジュールと、物体の画像を電気信号に変換するための画像センサーとを含む。レンズモジュールは、ハウジング内に配設されてよく、1つ以上のレンズが内部に配設されたレンズバレルを含み得る。さらに、カメラモジュールは、手振れによって引き起こされる解像度の損失またはぼやけを軽減するために、光学式手振れ補正(OIS)のためのアクチュエータアセンブリを含み得る。アクチュエータアセンブリは、特定の信号を受信した後に、レンズモジュールを目標位置に移動させることによって機能する。移動中にレンズモジュールの適切な位置合わせを確実にすることを助けるために、多くのアクチュエータアセンブリは、レンズモジュールを所望の方向にガイドすることを助けるボールベアリングも含む。従来的に、これらのボールベアリングは、使用中に加えられる力に耐えるのに十分に強いセラミック材料から形成される。ボールベアリングは、強いものの、カメラモジュールの表面に、ノイズおよび衝撃性能を発生させる「凹み(dent)」の形成を引き起こす可能性がある。
【0003】
[0003]したがって、カメラモジュールにおいて用いられた場合により良好な性能を呈し得る材料が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本発明の一実施形態によると、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸から誘導された繰り返し単位をポリマーの約15mol%以下の量で含有する液晶ポリマーを含む約50wt.%~約90wt.%のポリマーマトリックスを含むポリマー組成物が開示されている。ポリマー組成物はまた、ポリマーマトリックス内に分散された約10wt.%~約50wt.%のシリカ粒子であって、シリカ粒子が、約4マイクロメートル以下のメジアン粒子サイズを有する、シリカ粒子を含む。ポリマー組成物は、ISO試験番号527:2019に従って決定して、11,000MPa以上の引張弾性率を呈する。
【0005】
[0005]本発明の他の特徴および態様は、以下でより詳細に示されている。
[0006]本発明の完全かつ実現可能な開示は、当業者に対するその最良の形態を含むものであり、添付図面の参照を含む明細書の残りの部分においてより具体的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】[0007]
図1は、本発明の一実施形態に従って形成され得るカメラモジュールの斜視図である。
【
図2】[0008]
図2は、本発明のカメラモジュールを含む電子デバイスの一実施形態の上面斜視図である。
【
図3】[0009]
図3は、
図2に示されている電子デバイスの底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0010]当業者であれば、本議論が例示的な実施形態のみを説明するものであり、本発明のより広範な態様を限定するものとして意図されることはないと理解されたい。
[0011]一般に言うなら、本発明は、カメラモジュールにおける使用のためのポリマー組成物を対象とする。ポリマー組成物は、液晶ポリマーを含むポリマーマトリックス内に分散された複数のシリカ粒子を含む。シリカ粒子および液晶ポリマーの特定の性質、ならびにそれらの相対濃度を選択的に制御することによって、本発明者は、得られる組成物が、カメラモジュールでより容易に用いられることを可能にする独自の特性組み合わせを呈し得ることを発見した。例えば、引張弾性率は、例えばISO試験番号527:2019に従って23℃で決定して、約11,000MPa以上、いくつかの実施形態では約12,000MPa~約30,000MPa、いくつかの実施形態では約13,000MPa~約25,000MPa、いくつかの実施形態では約14,000MPa~約22,000MPaであり得る。同様に、本明細書に記載されているような「ボール凹み」試験に曝された場合、ポリマー組成物は、重量20グラムの直径1mmを有するボールを1mmまたは0.5mmの高さから組成物の表面に4,000回落下させることによって決定して、約8マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約7.5マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約1~約7マイクロメートル、いくつかの実施形態では約2~約6マイクロメートルのみの凹みを呈し得る。より大きな重量(例えば、70グラム)のボールおよび/またはより多くの落下数(例えば、20,000回)が用いられる場合、ポリマー組成物はまた、上述の範囲内の凹みを呈し得る。
【0008】
[0012]組成物はまた、例えばISO試験番号527:2019に従って23℃で決定して、約150~約500MPa、いくつかの実施形態では約160~約400MPa、いくつかの実施形態では約170~約350MPaの引張強度および/または約0.5%以上、いくつかの実施形態では約1%~約15%、いくつかの実施形態では約2%~約10%の引張破断歪みを呈し得る。ポリマー組成物はまた、例えばISO試験番号178:2019に従って23℃で決定して、約11,000MPa以上、いくつかの実施形態では約12,000MPa~約30,000MPa、いくつかの実施形態では約13,000MPa~約25,000MPaの曲げ弾性率、約40~約500MPa、いくつかの実施形態では約100~約400MPa、いくつかの実施形態では約150~約350MPaの曲げ強度、および/または約0.5%以上、いくつかの実施形態では約1%~約15%、いくつかの実施形態では約2%~約10%の曲げ破断歪みを呈し得る。組成物はまた、ISO試験番号179-1:2010に従って23℃で測定して、約45kJ/m2以上、いくつかの実施形態では約45~約100kJ/m2、いくつかの実施形態では約50~約80kJ/m2のシャルピーノッチなし衝撃強度を呈し得る。さらに、荷重たわみ温度(DTUL)は、ASTM D648-18に従って1.8MPaの指定荷重で測定して、約180℃以上、いくつかの実施形態では約190℃~約280℃である。
【0009】
[0013]従来的に、優れた機械特性を有する組成物は、カメラモジュールにおけるそれらの使用を容易に可能にするほど十分に良好な表面特性および流動特性も有しないと考えられていた。しかしながら、従来的な考えとは異なり、本発明者は、本発明のポリマー組成物がなおも優れた表面特性および流動特性を達成することができることを発見した。ポリマー組成物は、例えば、ASTM D785-08(2015年)(スケールM)に従って決定して、約65以下、いくつかの実施形態では約60以下、いくつかの実施形態では約40~約55のロックウェル表面硬度を呈し得る。さらに、ポリマー組成物はまた、400秒-1のせん断速度で決定して、約200Pa・s以下、いくつかの実施形態では約150Pa・s以下、いくつかの実施形態では約10~約100Pa・s、いくつかの実施形態では約20~約90Pa・sの溶融粘度を有し得る。溶融粘度は、ISO試験番号11443:2014に従って組成物の溶融温度よりも15℃高い温度(例えば、約305℃)で決定され得る。
【0010】
[0014]これより、本発明の様々な実施形態をより詳細に説明する。
I.ポリマー組成物
A.ポリマーマトリックス
[0015]ポリマーマトリックスは、典型的には、1種以上の液晶ポリマーを、一般に、ポリマー組成物全体の約50wt.%~約90wt.%、いくつかの実施形態では約55wt.%~約85wt.%、いくつかの実施形態では約60wt.%~約80wt.%の量で含有する。液晶ポリマーが鋳型の小さな空間を効果的に充填することを可能にする高度な結晶化度を有する液晶ポリマーが特に適している。液晶ポリマーは、一般に、これらが棒状構造を有し得、かつそれらの溶融状態(例えば、サーモトロピックネマチック状態)で結晶挙動を呈し得る限りにおいて「サーモトロピック」として分類される。ポリマー組成物に用いられる液晶ポリマーは、典型的には、約200℃以上、いくつかの実施形態では約220℃~約350℃、いくつかの実施形態では約260℃~約330℃の溶融温度を有する。溶融温度は、例えばISO試験番号11357-3:2011によって決定して、示差走査熱量測定(「DSC」)を使用して当技術分野で周知であるように決定され得る。そのようなポリマーは、当技術分野で知られているように、1つ以上のタイプの繰り返し単位から形成され得る。液晶ポリマーは、例えば、一般に、以下の式(I):
【0011】
【0012】
[式中、
環Bは、置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、1,4-フェニレンもしくは1,3-フェニレン)、置換もしくは非置換の5員もしくは6員アリール基に縮合した置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、2,6-ナフタレン)、または置換もしくは非置換の5員もしくは6員アリール基に結合した置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、4,4-ビフェニレン)であり、
Y1およびY2は、独立的に、O、C(O)、NH、C(O)HN、またはNHC(O)である]
によって表される1個以上の芳香族エステル繰り返し単位を含有し得る。
【0013】
[0016]典型的には、Y1およびY2の少なくとも1つはC(O)である。そのような芳香族エステル繰り返し単位の例としては、例えば、芳香族ジカルボン酸繰り返し単位(式IのY1およびY2はC(O)である)、芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位(式Iにおいて、Y1はOであり、Y2はC(O)である)、およびそれらの様々な組み合わせが挙げられ得る。
【0014】
[0017]例えば、4-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ-4’-ビフェニルカルボン酸、2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸、2-ヒドロキシ-5-ナフトエ酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸、4’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸、3’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸、4’-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸など、ならびにそれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換基、ならびにそれらの組み合わせなどの芳香族ヒドロキシカルボン酸から誘導された芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位が用いられ得る。特に適した芳香族ヒドロキシカルボン酸は、4-ヒドロキシ安息香酸(「HBA」)および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(「HNA」)である。用いられる場合、ヒドロキシカルボン酸(例えば、HBAおよび/またはHNA)から誘導された繰り返し単位は、典型的には、ポリマーの約30mol%以上、いくつかの実施形態では約40mol%~約80mol%、いくつかの実施形態では約50mol%~70mol%を構成している。
【0015】
[0018]テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-カルボキシフェニル)ブタン、ビス(4-カルボキシフェニル)エタン、ビス(3-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3-カルボキシフェニル)エタンなど、ならびにそれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換基、ならびにそれらの組み合わせなどの芳香族ジカルボン酸から誘導された芳香族ジカルボン酸繰り返し単位も用いられ得る。特に適した芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸(「TA」)、イソフタル酸(「IA」)、および2,6-ナフタレンジカルボン酸(「NDA」)が挙げられ得る。用いられる場合、芳香族ジカルボン酸(例えば、IA、TA、および/またはNDA)から誘導された繰り返し単位はそれぞれ、典型的には、ポリマーの約1mol%~約50mol%、いくつかの実施形態では約2mol%~約40mol%、いくつかの実施形態では約5mol%~約30mol%を構成している。
【0016】
[0019]他の繰り返し単位もポリマーに用いられ得る。ある特定の実施形態では、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(または4,4’-ビフェノール)、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンなど、ならびにそれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換基、ならびにそれらの組み合わせなどの芳香族ジオールから誘導された繰り返し単位が用いられ得る。特に適した芳香族ジオールとしては、例えば、ヒドロキノン(「HQ」)および4,4’-ビフェノール(「BP」)が挙げられ得る。用いられる場合、芳香族ジオール(例えば、HQおよび/またはBP)から誘導された繰り返し単位はそれぞれ、典型的には、ポリマーの約1mol%~約30mol%、いくつかの実施形態では約2mol%~約25mol%、いくつかの実施形態では約5mol%~約20mol%を構成している。芳香族アミド(例えば、アセトアミノフェン(「APAP」))および/または芳香族アミン(例えば、4-アミノフェノール(「AP」)、3-アミノフェノール、1,4-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミンなど)から誘導されたものなどの繰り返し単位も用いられ得る。用いられる場合、芳香族アミド(例えば、APAP)および/または芳香族アミン(例えば、AP)から誘導された繰り返し単位は、典型的には、ポリマーの約0.1mol%~約20mol%、いくつかの実施形態では約0.5mol%~約15mol%、いくつかの実施形態では約1mol%~約10mol%を構成している。様々な他のモノマー繰り返し単位がポリマーに組み込まれ得ることも理解されたい。例えば、ある特定の実施形態では、ポリマーは、脂肪族または脂環式ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、ジオール、アミド、アミンなどの非芳香族モノマーから誘導された1個以上の繰り返し単位を含有し得る。当然のことながら、他の実施形態では、ポリマーは、非芳香族(例えば、脂肪族または脂環式)モノマーから誘導された繰り返し単位を欠くという点で「全芳香族」であり得る。
【0017】
[0020]典型的には、液晶ポリマーは、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸(「NDA」)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(「HNA」)、またはそれらの組み合わせなどの、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸およびナフテン系ジカルボン酸から誘導された低含有量の繰り返し単位を含有する限りにおいて「低ナフテン系」ポリマーである。すなわち、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸(例えば、NDA、HNA、またはHNAとNDAとの組み合わせ)から誘導された繰り返し単位の総量は、典型的には、ポリマーの約15mol%以下、いくつかの実施形態では約10mol%以下、いくつかの実施形態では約6mol%以下、いくつかの実施形態では0mol%~約5mol%である。一実施形態では、例えば、HNAおよび/またはNDAから誘導された繰り返し単位は、ポリマーの0mol%であり得る。そのような実施形態では、ポリマーは、HBAから誘導された繰り返し単位を、約40mol%~約80mol%、いくつかの実施形態では約45mol%~約75mol%、いくつかの実施形態では約50mol%~約70mol%の量で含有し得る。ポリマーはまた、芳香族ジカルボン酸(例えば、IAおよび/またはTA)を、約1mol%~約20mol%、いくつかの実施形態では約4mol%~約15mol%の量で、および/または芳香族ジオール(例えば、BPおよび/またはHQ)を、約1mol%~約20mol%、いくつかの実施形態では約4mol%~約15mol%の量で含有し得る。特定の例では、HQに対するBPのモル比は、約0.8~約2.5、いくつかの実施形態では約1~約2.2、いくつかの実施形態では約1.1~約2であるように選択的に制御され得、および/またはIAに対するTAのモル比は、約0.8~約2.5、いくつかの実施形態では約1~約2.2、いくつかの実施形態では約1.1~約2であるように選択的に制御され得る。例えば、BPは、モル比が1超になるようにHQよりも大きなモル量で使用され得、および/またはTAは、モル比が1超になるようにIAよりも大きなモル量で使用され得る。
【0018】
[0021]すべての場合に必要というわけではないが、多くの場合、ポリマーマトリックスのかなりの部分が、上記のような低ナフテン系ポリマーから形成されることが望ましい。例えば、本明細書に記載されているような低ナフテン系ポリマーは、典型的には、ポリマーマトリックスの50wt.%以上、いくつかの実施形態では約65wt.%以上、いくつかの実施形態では約70wt.%~100wt.%、いくつかの実施形態では約80wt.%~100%(例えば、100wt.%)を構成している。
【0019】
B.シリカ粒子
[0022]先に示されているように、ポリマー組成物は、ポリマーマトリックス内に分散された複数のシリカ粒子を含有する。そのような粒子は、典型的には、ポリマー組成物の約10wt.%~約50wt.%、いくつかの実施形態では約12wt.%~約40wt.%、いくつかの実施形態では約15wt.%~約30wt.%を構成している。
【0020】
[0023]シリカ粒子は、所望の結果に応じて、様々な異なる形態および形状を有し得る。例えば、粒子は、球体、結晶、棒、円盤、管、紐などの形状であり得る。一実施形態では、例えば、シリカ粒子は、アスペクト比(厚さに対するメジアン径の比)が、約0.7~約1.3、いくつかの実施形態では約0.8~約1.2、いくつかの実施形態では約0.9~約1.1(例えば、1)であるという点でほぼ球形であり得る。しかしながら、それらの特定の形状に関係なく、シリカ粒子は、一般に、例えばレーザー回折粒子サイズ分析装置(例えば、Mastersizer 3000)によって決定して、約4マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約0.01~約3マイクロメートル、いくつかの実施形態では約0.05~約2マイクロメートル、いくつかの実施形態では約0.1~約1.5マイクロメートルなどの特定のメジアン(D50)径を有するように選択的に制御される。シリカ粒子はまた、狭いサイズ分布を有し得る。すなわち、粒子の少なくとも約70体積%、いくつかの実施形態では粒子の少なくとも約80体積%、いくつかの実施形態では粒子の少なくとも約90体積%は、上述の範囲内のサイズを有し得る。さらに、上述の一般的なサイズ範囲内で、場合によって、目標特性を達成するために、異なるサイズを有するシリカ粒子のブレンドを用いることが望ましいことがある。例えば、微細シリカ粒子は、この微細粒子よりも大きなメジアン径を有する粗シリカ粒子と組み合わせて用いられ得る。微細粒子は、例えば、約1.5マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約0.1~約1.2マイクロメートル、いくつかの実施形態では約0.2~約1マイクロメートルのメジアン径を有し得、その一方で、粗粒子は、約1.5マイクロメートル~約4マイクロメートル、いくつかの実施形態では約1.8~約3.5マイクロメートル、いくつかの実施形態では約2~約3マイクロメートルのメジアン径を有し得る。
【0021】
[0024]シリカ粒子はまた、約1~約50平方メートル毎グラム(m2/g)、いくつかの実施形態では約2~約20m2/g、いくつかの実施形態では、約4~約12m2/gなどの制御された比表面積を有し得る。「比表面積」という用語は、一般に、吸着ガスとして窒素を用いて、Bruanauer,Emmet,and Teller,Journal of American Chemical Society,Vol.60,1938,p.309の物理ガス吸着(BET)法によって決定されるような表面積を指す。
【0022】
[0025]シリカ粒子は、ヒュームドプロセス、沈殿などの様々な異なるプロセスを使用して形成され得る。ヒュームド粒子は、それらの表面積が大きく、かつ粒子サイズが小さいため、本発明における使用に特に適している。例えば、ヒュームドシリカは、水素酸素炎中での四塩化ケイ素の気相加水分解によって生成され得る非晶質SiO2である。三次元分岐鎖凝集体が火炎中で一次粒子の融合から生成される。冷却中に、これらの凝集体は、アグロメレート化して、上述の範囲内の粒子サイズを有する微細粉末になる。ヒュームドシリカは、酸性条件下で反応して架橋ネットワークを形成することができるシラノール基を有する。得られるシロキサン架橋は、ケイ素と酸素との化合物であり、ケイ素の各原子は、4個の酸素原子と結合しており、メタンにおける水素への炭素の結合と同様の形式で、結合がいずれの場合もほぼ同じ強さである四面体構造を形成する。この構造は、二酸化物およびシリケートに一般に見られ、SiO4基は、鎖または環で生じる。シロキサン架橋を生成することによって、電解質の液相を閉じ込めるゲルが形成される。
【0023】
C.任意選択的な成分
[0026]本発明の1つの有益な態様は、流動性および表面特性などの他の特性に悪影響を与えることなく、良好な機械特性の組み合わせが達成され得ることである。これらの特性が維持されることを確実にすることを助けるために、一般に、ポリマー組成物が、繊維状フィラー(例えば、ガラス繊維)、鉱物フィラー、および耐衝撃性改良剤などの特定の従来的な強度向上添加剤をほぼ含まないままであることが望ましい。例えば、たとえ用いられるとしても、そのような成分は、典型的には、ポリマー組成物の約10wt.%未満、いくつかの実施形態では約5wt.%未満、いくつかの実施形態では約0.001wt.%~約3wt.%を構成している。
【0024】
[0027]それにもかかわらず、いくつかの場合では、ポリマー組成物においてそのような成分を用いることが望ましいことがある。適切な鉱物フィラーとしては、例えば、鉱物粒子、鉱物繊維(または「ウィスカー」)など、ならびにそれらのブレンドが挙げられ得る。典型的には、鉱物フィラーは、組成物の機械的強度、接着強度、および表面特性の改善を助ける特定の硬度値を有し、これは、組成物をカメラモジュールの小さな部品の形成に独自に適合させることができる。例えば、硬度値は、モース硬度スケールに基づいて、約2.0以上、いくつかの実施形態では約2.5以上、いくつかの実施形態では約3.0以上、いくつかの実施形態では約3.0~約11.0、いくつかの実施形態では約3.5~約11.0、いくつかの実施形態では約4.5~約6.5であり得る。一般に、タルク、マイカ、ハロイサイト、カオリナイト、イライト、モンモリロナイト、バーミキュライト、パリゴルスカイト、パイロフィライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ウォラストナイトなどの天然および/または合成シリケート鉱物、スルフェート、カーボネート、ホスフェート、フッ化物、ボレートなどから形成されたものなどの様々な異なるタイプの鉱物粒子のいずれかが用いられ得る。炭酸カルシウム(CaCO3、モース硬度3.0)、炭酸水酸化銅(Cu2CO3(OH)2、モース硬度4.0)、フッ化カルシウム(CaFl2、モース硬度4.0)、ピロリン酸カルシウム((Ca2P2O7、モース硬度5.0)、無水リン酸二カルシウム(CaHPO4、モース硬度3.5)、水和リン酸アルミニウム(AlPO4・2H2O、モース硬度4.5)、ケイ酸アルミニウムカリウム(KAlSi3O8、モース硬度6)、ケイ酸銅(CuSiO3・H2O、モース硬度5.0)、水酸化ホウケイ酸カルシウム(Ca2B5SiO9(OH)5、モース硬度3.5)、硫酸カルシウム(CaSO4、モース硬度3.5)、硫酸バリウム(BaSO4、モース硬度3~3.5)、マイカ(モース硬度2.5~5.3)など、ならびにそれらの組み合わせなどの所望の硬度値を有する粒子が特に適している。例えば、マイカが特に適している。一般に、例えば、白雲母(KAl2(AlSi3)O10(OH)2)、黒雲母(K(Mg,Fe)3(AlSi3)O10(OH)2)、金雲母(KMg3(AlSi3)O10(OH)2)、レピドライト(K(Li,Al)2-3(AlSi3)O10(OH)2)、海緑石(K,Na)(Al,Mg,Fe)2(Si,Al)4O10(OH)2)などを含むいずれの形態のマイカも用いられ得る。白雲母ベースのマイカがポリマー組成物における使用に特に適している。
【0025】
[0028]特定の実施形態では、硫酸バリウムおよび/または硫酸カルシウム粒子などの鉱物粒子は、一般に本質的に顆粒状または結節状の形状を有し得る。そのような実施形態では、粒子は、(例えば、Horiba LA-960粒子サイズ分布分析装置を用いて)例えばISO13320:2009に従ったレーザー回折技術を使用して決定して、約0.5~約20マイクロメートル、いくつかの実施形態では約1~約15マイクロメートル、いくつかの実施形態では約1.5~約10マイクロメートル、いくつかの実施形態では約2~約8マイクロメートルのメジアンサイズ(例えば、直径)を有し得る。他の実施形態では、約4以上、いくつかの実施形態では約8以上、いくつかの実施形態では約10~約500などの比較的高いアスペクト比(例えば、平均厚さで割った平均直径)を有するマイカ粒子などのフレーク状の鉱物粒子を用いることも望ましいことがある。そのような実施形態では、粒子の平均直径は、例えば、約5マイクロメートル~約200マイクロメートル、いくつかの実施形態では約8マイクロメートル~約150マイクロメートル、いくつかの実施形態では約10マイクロメートル~約100マイクロメートルの範囲であり得る。平均厚さは、同様に、(例えば、Horiba LA-960粒子サイズ分布分析装置を用いて)例えばISO13320:2009に従ったレーザー回折技術を使用して決定して、約2マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約5ナノメートル~約1マイクロメートル、いくつかの実施形態では約20ナノメートル~約500ナノメートルであり得る。
【0026】
[0029]適切な鉱物繊維としては、同様に、ネオシリケート、ソロシリケート、イノシリケート(例えば、ウォラストナイトなどのイノケイ酸カルシウム、トレモライトなどのイノケイ酸カルシウムマグネシウム、アクチノライトなどのイノケイ酸カルシウムマグネシウム鉄、アンソフィライトなどのイノケイ酸マグネシウム鉄など)、フィロシリケート(例えば、パリゴルスカイトなどのフィロケイ酸アルミニウム)、テクトシリケートなどのシリケート、硫酸カルシウムなどのスルフェート(例えば、脱水石膏または無水石膏)、ミネラルウール(例えば、ロックウールまたはスラグウール)などから誘導されたものが挙げられ得る。Nyco MineralsからNyglos(登録商標)(例えば、Nyglos(登録商標)4WまたはNyglos(登録商標)8)という商品名で市販されているウォラストナイト(モース硬度4.5~5.0)などのイノシリケートから誘導された繊維を含む、所望の硬度値を有する繊維が特に適している。鉱物繊維は、約1~約35マイクロメートル、いくつかの実施形態では約2~約20マイクロメートル、いくつかの実施形態では約3~約15マイクロメートル、いくつかの実施形態では約7~約12マイクロメートルのメジアン幅(例えば、直径)を有し得る。上述のサイズ特性を有することに加えて、鉱物繊維は、得られるポリマー組成物の機械特性および表面品質のさらなる改善を助けるために、比較的高いアスペクト比(メジアン幅で割った平均長さ)も有し得る。例えば、鉱物繊維は、約2~約100、いくつかの実施形態では約2~約50、いくつかの実施形態では約3~約20、いくつかの実施形態では約4~約15のアスペクト比を有し得る。そのような鉱物繊維の体積平均長さは、例えば、約1~約200マイクロメートル、いくつかの実施形態では約2~約150マイクロメートル、いくつかの実施形態では約5~約100マイクロメートル、いくつかの実施形態では約10~約50マイクロメートルの範囲であり得る。
【0027】
[0030]適切な耐衝撃性改良剤は、同様に、1種以上のα-オレフィンから誘導されたオレフィンモノマー単位を含有するポリマーを含み得る。そのようなモノマーの例としては、例えば、2~20個の炭素原子、典型的には2~8個の炭素原子を有する線状および/または分岐状のα-オレフィンが挙げられる。具体例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ペンテン、1個以上のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ペンテン、1個以上のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ヘキセン、1個以上のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ヘプテン、1個以上のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-オクテン、1個以上のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ノネン、エチル、メチルまたはジメチル置換された1-デセン、1-ドデセン、およびスチレンが挙げられる。特に望ましいα-オレフィンモノマーは、エチレンおよびプロピレンである。オレフィンポリマーは、当技術分野で知られているような他のモノマー単位を含有するコポリマーの形態であり得る。例えば、別の適したモノマーとしては、アクリルモノマーおよびメタクリルモノマー、ならびにそれらの塩またはエステル、例えばアクリレートおよびメタクリレートモノマーを含む、「(メタ)アクリル」モノマーが挙げられ得る。そのような(メタ)アクリルモノマーの例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、i-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、s-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、i-アミルアクリレート、イソボルニルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-デシルアクリレート、メチルシクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-プロピルメタクリレート、i-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、i-アミルメタクリレート、s-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-エチルブチルメタクリレート、メチルシクロヘキシルメタクリレート、シンナミルメタクリレート、クロチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなど、およびそれらの組み合わせが挙げられ得る。一実施形態では、例えば、耐衝撃性改良剤は、エチレンメタクリル酸コポリマー(「EMAC」)であり得る。用いられる場合、モノマー成分の相対的な割合は、選択的に制御され得る。α-オレフィンモノマーは、例えば、コポリマーの約55wt.%~約95wt.%、いくつかの実施形態では約60wt.%~約90wt.%、いくつかの実施形態では約65wt.%~約85wt.%を構成し得る。他のモノマー成分(例えば、(メタ)アクリルモノマー)は、コポリマーの約5wt.%~約35wt.%、いくつかの実施形態では約10wt.%~約32wt.%、いくつかの実施形態では約15wt.%~約30wt.%を構成し得る。
【0028】
[0031]他の適したオレフィンコポリマーは、分子1個当たり、平均して2個以上のエポキシ官能基を含有するという点で「エポキシ官能化」されたものであり得る。コポリマーはまた、エポキシ官能性モノマー単位を含有し得る。そのような単位の一例は、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー成分である。例えば、適したエポキシ官能性(メタ)アクリルモノマーとしては、1,2-エポキシ基を含むもの、例えば、グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートが挙げられ得るが、これらに限定されることはない。他の適したエポキシ官能性モノマーとしては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエチルアクリレート、およびグリシジルイトコネートが挙げられる。望ましい分子量の達成を助けるために、他の適したモノマーも用いられ得る。1つの特定の実施形態では、例えば、コポリマーは、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー成分、α-オレフィンモノマー成分、および非エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー成分から形成されたターポリマーであり得る。コポリマーは、例えば、ポリ(エチレン-co-ブチルアクリレート-co-グリシジルメタクリレート)であり得る。用いられる場合、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマーは、典型的には、コポリマーの約1wt.%~約20wt.%、いくつかの実施形態では約2wt.%~約15wt.%、いくつかの実施形態では約3wt.%~約10wt.%を構成している。
【0029】
[0032]滑剤、熱伝導性フィラー、顔料、酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、ワックス、難燃剤、滴下防止添加剤、核形成剤(例えば、窒化ホウ素)、静電気防止剤、摩擦学的コンパウンド、ならびに特性および加工性を向上させるために添加される他の材料などの幅広い種類の追加的な添加剤もポリマー組成物に含まれ得る。例えば、実質的な分解なしで液晶ポリマーの加工条件に耐えることができる滑剤がポリマー組成物に用いられ得る。そのような滑剤の例としては、脂肪酸エステル、それらの塩、エステル、脂肪酸アミド、有機ホスフェートエステル、およびエンジニアリングプラスチック材料の加工において滑剤として一般に使用されるタイプの炭化水素ワックスが、それらの混合物を含め、挙げられる。適した脂肪酸は、典型的には、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、モンタン酸、オクタデシン酸(octadecinic acid)、パリン酸(parinric acid)などの、約12~約60個の炭素原子の骨格炭素鎖を有する。適したエステルとしては、脂肪酸エステル、脂肪族アルコールエステル、ワックスエステル、グリセロールエステル、グリコールエステル、および複合エステルが挙げられる。脂肪酸アミドは、脂肪第1級アミド、脂肪第2級アミド、メチレンおよびエチレンビスアミド、ならびにアルカノールアミド、例えば、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N,N’-エチレンビスステアラミドなどを含む。ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸の金属塩;パラフィンワックス、ポリオレフィンワックスおよび酸化ポリオレフィンワックス、ならびにマイクロクリスタリンワックスを含む炭化水素ワックスも適している。特に適した滑剤は、ステアリン酸の酸、塩、またはアミド、例えば、ペンタエリトリトールテトラステアレート、ステアリン酸カルシウム、またはN,N’-エチレンビスステアラミドである。用いられる場合、滑剤は、典型的には、ポリマー組成物の約0.05wt.%~約1.5wt.%、いくつかの実施形態では約0.1wt.%~約0.5wt.%(重量)を構成している。
【0030】
II.形成
[0033]ポリマー組成物の成分(例えば、液晶ポリマー、シリカ粒子など)は、溶融加工され得るか、または一緒にブレンドされ得る。これらの成分は、バレル(例えば、円筒形のバレル)内に回転可能に取り付けおよび収容された少なくとも1つのスクリューを含む押出機に個別にまたは組み合わせて供給することができ、供給セクションと、スクリューの長さに沿って供給セクションの下流に置かれている溶融セクションとを画定し得る。押出機は、単軸スクリュー押出機または二軸スクリュー押出機であり得る。スクリューの速度は、望ましい滞留時間、せん断速度、溶融加工温度などを達成するように選択され得る。例えば、スクリュー速度は、約50~約800回転毎分(「rpm」)、いくつかの実施形態では約70~約150rpm、いくつかの実施形態では約80~約120rpmの範囲であり得る。溶融ブレンディングの最中の見かけのせん断速度はまた、約100秒-1~約10,000秒-1、いくつかの実施形態では約500秒-1~約5000秒-1、いくつかの実施形態では約800秒-1~約1200秒-1の範囲であり得る。見かけのせん断速度は、4Q/πR3に等しく、式中、Qは、ポリマー溶融物の体積流量(「m3/s」)であり、Rは、溶融ポリマーが流れる毛細管(例えば、押出機ダイ)の半径(「m」)である。
【0031】
III.カメラモジュール
[0034]先に示されているように、本発明のポリマー組成物は、カメラモジュールに用いられ得る。典型的には、カメラモジュールは、1つ以上のレンズを含むレンズモジュールが位置しているハウジングを含む。しかしながら、カメラモジュールの特定の構成は、当業者に知られているように変更されてもよい。
【0032】
[0035]
図1を参照すると、例えば、ハウジング内に含まれているレンズモジュール120を含むカメラモジュール100の一実施形態が示されており、レンズモジュール120は、レンズホルダ123に結合されたレンズバレル121を含む。レンズバレル121は、物体を撮像するための複数のレンズが光軸方向1でレンズバレル121内に収められ得るように、中空円筒形状を有し得る。レンズバレル121は、レンズホルダ123内に設けられた中空キャビティに挿入されていてもよく、レンズバレル121およびレンズホルダ123は、締結具(例えば、ネジ)、接着剤などによって互いに結合されていてもよい。レンズバレル121を含むレンズモジュール120は、アクチュエータアセンブリ150によって(例えば、自動焦点合わせのために)光軸方向1で移動可能であり得る。図示されている実施形態では、例えば、アクチュエータアセンブリ150は、レンズモジュール120を光軸方向1で移動させるように構成された磁性体151およびコイル153を含み得る。磁性体151は、レンズホルダ123の片側に取り付けられていてもよく、コイル153は、磁性体151に面するように配設されていてもよい。コイル153は、基板155上に取り付けられていてもよく、基板155はまた、コイル153が磁性体151と面するようにハウジング130に取り付けられていてもよい。アクチュエータアセンブリ150は、基板155上に取り付けられており、かつ制御入力信号に応じてアクチュエータアセンブリ150を駆動するための信号(例えば、電流)を出力する、駆動デバイス160を含み得る。アクチュエータアセンブリ150は、信号を受信することができ、レンズモジュール120を光軸方向1で移動させる駆動力を発生させることができる。必要に応じて、ストッパー140も、光軸方向1におけるレンズモジュール120の移動距離を制限するためにハウジング130上に取り付けられていてもよい。さらに、シールドケース110(例えば、金属)も、ハウジング130の外面を囲むようにハウジング130に結合されていてもよく、このようにして、カメラモジュール100の駆動の最中に発生させられる電磁波を遮断することができる。
【0033】
[0036]アクチュエータアセンブリはまた、レンズモジュールの動きのガイドを助けるようにハウジングとレンズモジュールとの間に位置しているガイドユニットを含み得る。当技術分野で知られているように、ばね、ボールベアリング、静電気力発生器、液圧力発生器などの様々なガイドユニットのいずれかが用いられ得る。例えば、レンズモジュールに作用してこれを望ましい光軸方向にガイドする予荷重力を発生させるばねが用いられ得る。あるいは、
図1に示されている実施形態に図示されているように、ボールベアリング170は、アクチュエータアセンブリ150のガイドユニットとして機能することができる。より具体的には、ボールベアリング170は、レンズホルダ123の外面およびハウジング130の内面に接触して、光軸方向1におけるレンズモジュール120の移動をガイドすることができる。すなわち、ボールベアリング170は、レンズホルダ123とハウジング130との間に配設されていてもよく、回転運動を通じて光軸方向におけるレンズモジュール120の移動をガイドすることができる。この目的のために、一般に、2個以上、いくつかの実施形態では3~20個、いくつかの実施形態では4~12個などの任意の数のボールベアリング170が用いられ得る。ボールベアリング170は、離間されていても、または互いに接触していてもよく、また、光軸方向1に垂直な方向に積層されていてもよい。ボールベアリング170のサイズは、当業者に知られているように変更されてもよい。例えば、ボールベアリングは、約800マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約600マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約400マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約50~約200マイクロメートルの平均サイズ(例えば、直径)を有し得る。
【0034】
[0037]注目すべきは、本発明のポリマー組成物が、カメラモジュールの様々な部品のいずれにも用いられ得ることである。再び
図1を参照すると、例えば、ポリマー組成物は、ガイドユニット(例えば、ボールベアリング170)、ハウジング130、レンズバレル121、レンズホルダ123、基板155、ストッパー140、シールドケース110、および/またはカメラモジュールのその他の部分のすべてまたは一部を形成するために使用され得る。望ましい部品は、様々な異なる技術を使用して形成され得る。適した技術としては、例えば、射出成形、低圧射出成形、押出圧縮成形、ガス射出成形、発泡射出成形、低圧ガス射出成形、低圧発泡射出成形、ガス押出圧縮成形、発泡押出圧縮成形、押出成形、発泡押出成形、圧縮成形、発泡圧縮成形、ガス圧縮成形などが挙げられ得る。例えば、ポリマー組成物が射出され得る鋳型を含む射出成形システムが用いられ得る。ポリマーマトリックスが事前に凝固しないように、射出機内の時間が制御および最適化され得る。サイクル時間に達し、バレルが排出に向けて満ちたら、組成物を鋳型キャビティに射出するためにピストンが使用され得る。圧縮成形システムも用いられ得る。射出成形と同様に、望ましい物品へのポリマー組成物の成形も鋳型内で生じる。組成物は、自動ロボットアームによって拾い上げられることなどによる任意の公知の技術を使用して圧縮鋳型内に設置され得る。鋳型の温度は、凝固を可能にするのに望ましい期間にわたって、ポリマーマトリックスの凝固温度以上に維持され得る。次いで、成形される生成物は、これを溶融温度未満の温度にすることによって凝固され得る。得られた生成物は、離型され得る。各成形プロセスのサイクル時間は、十分な結合を達成し、全体的なプロセス生産性を向上させるように、ポリマーマトリックスに合わせて調整され得る。
【0035】
[0038]得られるカメラモジュールは、当技術分野で知られているように、幅広い種類の電子デバイス、例えば、ポータブル電子デバイス(例えば、携帯電話機、ポータブルコンピュータ、タブレット、時計など)、コンピュータ、テレビ、自動車部品などにおいて使用され得る。1つの特定の実施形態では、ポリマー組成物は、無線通信デバイス(例えば、携帯電話)において一般に用いられるものなどのカメラモジュールにおいて用いられ得る。
図2~3を参照すると、例えば、カメラモジュール100を含む電子デバイス2(例えば、電話機)の一実施形態が示されている。図示されているように、カメラモジュール100のレンズは、外部の物体を撮像するために、開口部2bを通じて電子デバイス2の外部に露出されていてもよい。カメラモジュール100はまた、ユーザの選択に応じて制御動作を実施するために、特定用途向け集積回路2cに電気的に接続されていてもよい。
【0036】
[0039]本発明は、以下の実施例を参照することでより良好に理解され得る。
試験方法
[0040]溶融粘度:溶融粘度(Pa・s)は、ISO試験番号11443:2014に従って、1,000s-1のせん断速度および溶融温度よりも15℃高い温度で、Dynisco LCR7001キャピラリーレオメーターを使用して決定され得る。レオメーターオリフィス(ダイ)は、直径1mm、長さ20mm、L/D比20.1、および入口角180°を有していた。バレルの直径は9.55mm+0.005mmであり、ロッドの長さは233.4mmであった。
【0037】
[0041]溶融温度:溶融温度(「Tm」)は、当技術分野で知られているように、示差走査熱量測定(「DSC」)によって決定され得る。溶融温度は、ISO試験番号11357-2:2020によって決定されるような示差走査熱量測定(DSC)のピーク溶融温度である。DSC手順では、TA Q2000装置において行われるDSC測定を使用して、ISO規格10350に述べられているように、サンプルを毎分20℃で加熱および冷却した。
【0038】
[0042]荷重たわみ温度(「DTUL」):荷重温度下でのたわみは、ISO試験番号75-2:2013(技術的にはASTM D648-18と同等)に従って決定され得る。より具体的には、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmの試験片サンプルを、指定荷重(最大外部繊維応力)が1.8メガパスカルであるエッジワイズ三点曲げ試験に供することができる。試料をシリコーン油浴中に下げることができ、そこで、試料が0.25mm(ISO試験番号75-2:2013では0.32mm)たわむまで、毎分2℃で温度を上げる。
【0039】
[0043]引張弾性率、引張応力、および引張伸び:引張特性は、ISO試験番号527:2019(技術的にはASTM D638-14と同等)に従って試験され得る。弾性率および強度の測定は、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmの同じ試験片サンプルについて行われ得る。試験温度は23℃であり得、試験速度は1または5mm/分であり得る。
【0040】
[0044]曲げ弾性率、曲げ応力、および曲げ伸び:曲げ特性は、ISO試験番号178:2019(技術的にはASTM D790-10と同等)に従って試験され得る。この試験は、64mmのサポートスパン(support span)で実施され得る。試験は、切断されていないISO3167多目的バーの中心部分において実行され得る。試験温度は23℃であり得、試験速度は2mm/分であり得る。
【0041】
[0045]シャルピー衝撃強度:シャルピー特性は、ISO試験番号ISO179-1:2010(技術的にはASTM D256-10、方法Bと同等)に従って試験され得る。この試験は、タイプ1の試料サイズ(長さ80mm、幅10mm、および厚さ4mm)を使用して実行され得る。ノッチ付き衝撃強度を試験する場合、ノッチは、タイプAノッチ(基部半径0.25mm)であり得る。試料は、単刃フライス盤を使用して多目的バーの中心から切断され得る。試験温度は23℃であり得る。
【0042】
[0046]ロックウェル硬度:ロックウェル硬度は、材料の押込抵抗の尺度であり、ASTM D785-08(スケールM)に従って決定され得る。試験は、指定された小さな荷重を使用して材料の表面に鋼球圧子を最初に押し込むことによって実施される。次いで、荷重は、指定された主要な荷重まで増加し、元々の小さな荷重まで減少して戻る。ロックウェル硬度は、圧子の深さの正味の増加の尺度であり、スケールの目盛りで割った針入度を130から引くことによって計算される。
【0043】
[0047]ボール凹み試験:物理的な力に耐える材料の能力を試験するために、「ボール凹み」試験が実施され得る。より具体的には、サンプル組成物は、幅および長さ40mm、ならびに厚さ0.23mmを有するプレートに射出成形され得る。セラミックボール(直径1mm)は、形成されたら、試料の上側表面から0.5mmまたは1mmの距離から何度も(例えば、4,000回または20,000回)落下させられ得る。20グラムまたは70グラムなどの様々な重量がボールの上部に加えられ得る。ボールが試料に接触した後に、Keyenceの画像測定センサーを使用して、試料に形成された凹みの深さおよび直径が測定される。
【0044】
比較例1
[0048]サンプル1は、57.5wt.%のLCP1、12.5wt.%のLCPカラーマスターバッチ、20wt.%のシリカ1(2.3μmのメジアン粒子サイズを有する非晶質シリカ)、および10wt.%のウォラストナイト繊維(Nyglos(商標)4W)から形成される。LCP1は、約60%のHBA、13%のTA、12%のBP、8%のHQ、および7%のIAから形成される。
【0045】
実施例1~4
[0049]サンプル1~4は、様々な割合のLCP1、カラーマスターバッチ、シリカ1、シリカ2(0.7μmのメジアン粒子サイズを有する非晶質シリカ)、および滑剤から形成される。
【0046】
【0047】
[0050]部品を比較例1および実施例1~4のサンプルからプラーク(60mm×60mm)へと射出成形し、機械特性について試験する。結果を以下の表2に示す。
【0048】
【0049】
[0051]本発明のこれらおよび他の修正形態および変形形態は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって実践され得る。さらに、様々な実施形態の態様が全体的または部分的のどちらで交換されてもよいと理解されたい。さらに、当業者であれば、前述の説明は単なる例であり、そのような添付の特許請求の範囲にさらに記載されている本発明を限定することを意図していないと理解するであろう。
【国際調査報告】