IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイミ アールアンドディー インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】迅速ロック解除継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/22 20060101AFI20240409BHJP
   F16L 37/38 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
F16L37/22
F16L37/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568217
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 CA2022050686
(87)【国際公開番号】W WO2022232922
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/201,573
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/201,574
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
(71)【出願人】
【識別番号】523414744
【氏名又は名称】タイミ アールアンドディー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トランブレ、セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】タイヨン、ミシェル
【テーマコード(参考)】
3J106
【Fターム(参考)】
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC04
3J106BD01
3J106CA06
3J106EA03
3J106EB05
3J106ED11
3J106GA01
3J106GA21
(57)【要約】
一対の油圧ライン間に接続をもたらす迅速解除継手が提供される。継手は、流体通路が中を通っている雄型構成要素であって、第1の油圧ラインに係合するようになっているシャンク部分を含む雄型構成要素を備える。シャンク部分は、第1の油圧ラインと流体通路との間に流体連通を確立する第1のポートを有する。シャンク部分はまた、第1の油圧ラインに係合するとともに第1の油圧ラインに対する雄型構成要素の回転運動及び軸方向移動を阻止するようになっている拘束機構を有する。継手は、雄型構成要素に接続可能であるとともに、流体通路と流体連通するようになっている流体チャネルが中を通っている継手アダプタも備える。継手アダプタは、第2の油圧ラインに係合するようになっており、第2の油圧ラインと流体チャネルとの間に流体連通を確立する第2のポートを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボール・ベアリング組立体を含む雌型構成要素が設けられた第1の流体ラインと、第2の流体ラインとの間に接続をもたらす迅速解除継手であって、
流体通路が中を通っている雄型構成要素であって、
前記流体通路を少なくとも部分的に画定する内面を有する本体部分と、
前記本体部分から延出するとともに、前記第1の流体ラインの前記雌型構成要素に係合するようになっているシャンク部分であって、前記シャンク部分は、前記第1の流体ラインと前記流体通路との間に流体連通を確立するようになっているシャンク部分ポートを有し、前記シャンク部分は、前記ボール・ベアリング組立体に係合するようになっているとともに前記第1の流体ラインに係合すると前記第1の流体ラインに対する前記雄型構成要素の回転運動及び軸方向移動を阻止するようになっている拘束機構を含む、シャンク部分と、を含む、雄型構成要素と、
流体チャネルが中を通っているとともに、前記流体チャネルと前記流体通路との間に流体連通を確立するように、前記本体部分に近接して前記雄型構成要素に固定可能である継手アダプタであって、前記継手アダプタは、前記第2の流体ラインに係合するようになっており、前記第2の流体ラインと前記流体チャネルとの間に流体連通を確立するようになっているアダプタ・ポートを含む、継手アダプタと、
を備える、迅速解除継手。
【請求項2】
前記シャンク部分は、外面を有し、前記拘束機構は、前記シャンク部分の前記外面に沿って設けられる、請求項1に記載の迅速解除継手。
【請求項3】
前記拘束機構は、前記シャンク部分の周りに周方向に延在する溝を含み、前記溝は、前記雄型構成要素の前記軸方向移動を阻止するために前記ボール・ベアリング組立体を受け入れるように形状決めされるとともにそのようになっている、請求項1又は2に記載の迅速解除継手。
【請求項4】
前記溝は、単一平面内で前記シャンク部分の周りに周方向に延在する、請求項3に記載の迅速解除継手。
【請求項5】
前記溝は、互いから離間しているとともに溝なし部分を間に画定する第1の端及び第2の端を前記溝が含むように、前記シャンク部分の周りに部分的に延在する、請求項3又は4に記載の迅速解除継手。
【請求項6】
前記溝なし部分は、一対の隣接したベアリング・ボール間で前記ボール・ベアリング組立体に係合して前記雄型構成要素の前記回転運動を阻止するように形状決めされるとともにそのようになっている、請求項5に記載の迅速解除継手。
【請求項7】
前記拘束機構は、前記ボール・ベアリング組立体に係合して前記雄型構成要素の前記回転運動を阻止するようになっているディテントをさらに含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の迅速解除継手。
【請求項8】
前記ディテントは、前記ボール・ベアリング組立体のそれぞれのベアリング・ボールを受け入れて前記雄型構成要素の前記回転運動を阻止する、前記溝に沿って設けられた複数のリセスを含む、請求項7に記載の迅速解除継手。
【請求項9】
前記ディテントは、前記シャンク部分から延びる突出部を含み、前記突出部は、一対の隣接したベアリング・ボール間で前記ボール・ベアリング組立体に係合して前記雄型構成要素の前記回転運動を阻止するように形状決め及びサイズ決めされる、請求項7又は8に記載の迅速解除継手。
【請求項10】
前記突出部は、前記溝内から延びる、請求項9に記載の迅速解除継手。
【請求項11】
前記突出部は、前記シャンク部分と一体的に形成されるか、又は前記シャンク部分に溶接される、請求項9又は10に記載の迅速解除継手。
【請求項12】
前記シャンク部分を前記第1の流体ラインと係合させる前、係合させている間及び係合させた後に前記雄型構成要素の前記流体通路に沿う流体の流れを制御するように動作可能な弁組立体をさらに備える、請求項1から11までのいずれか一項に記載の迅速解除継手。
【請求項13】
前記弁組立体は、前記シャンク部分ポートに近接して前記流体通路内に設けられた弁ヘッドであって、流体の流れが前記シャンク部分ポートを介して阻止される閉位置と、開位置とで動作可能である弁ヘッドを含み、前記弁組立体は、前記弁ヘッドに接続されるとともに、前記弁ヘッドを前記閉位置に付勢するようになっているヘッドばねをさらに含む、請求項12に記載の迅速解除継手。
【請求項14】
前記弁組立体は、前記本体部分に沿って前記流体通路内に設けられた弁体であって、前記流体通路を通る流体の流れが阻止される閉位置と、前記流体通路を通る流体の流れが許可される開位置とで動作可能である弁体を含み、前記弁組立体は、前記弁体に接続されるとともに、前記弁体を前記閉位置に付勢するようになっている本体ばねをさらに含む、請求項12又は13に記載の迅速解除継手。
【請求項15】
前記継手アダプタは、少なくとも1つの半径方向面及び少なくとも1つの軸方向面を含む内面を有するハウジングをさらに備え、前記内面は、開端を有するキャビティを画定し、前記雄型構成要素の前記本体部分は、前記開端を介して前記キャビティに係合するとともに前記少なくとも1つの半径方向面に当接するように形状決め及びサイズ決めされる、請求項1から14までのいずれか一項に記載の迅速解除継手。
【請求項16】
前記迅速解除継手は、前記ハウジングの前記キャビティ内に固定可能であるとともに前記シャンク部分の一区画を囲んで前記雄型構成要素を半径方向に拘束するナットをさらに備え、前記ナットは、前記本体部分を前記キャビティ内に軸方向に拘束するようになっているとともに、前記雄型構成要素が前記ハウジング及び前記ナットに対して前記シャンク部分の長手方向軸の周りに回転することにより、前記第1の流体ライン及び前記第2の流体ラインが旋回可能に相互接続されることができることを可能にするようになっている、請求項15に記載の迅速解除継手。
【請求項17】
前記ナットと前記本体部分との間で前記シャンク部分を囲むスラスト・ワッシャをさらに備える、請求項16に記載の迅速解除継手。
【請求項18】
前記シャンク部分は、半径方向外側に延出するフランジであって、前記シャンク部分の前記外面に対して略垂直であるとともに前記ナットに面するフランジ面を有する、フランジを含み、前記迅速解除継手は、前記シャンク部分を囲むとともに前記フランジ面と前記ナットとの間に延びる外側封止要素をさらに備える、請求項16又は17に記載の迅速解除継手。
【請求項19】
ボール・ベアリング組立体を含む雌型構成要素が設けられた油圧ラインとの接続のための迅速解除継手の雄型構成要素であって、前記雄型構成要素は、流体通路が中を通っており、
長手方向軸に沿って延出するとともに、前記油圧ラインに係合するようになっているシャンク部分であって、前記油圧ラインと前記流体通路との間に流体連通を確立するようになっているシャンク部分ポートを有する、シャンク部分を含み、
前記シャンク部分は、前記ボール・ベアリング組立体に係合して前記長手方向軸の周りでの前記雄型構成要素の回転を阻止するようになっている拘束機構を含む、雄型構成要素。
【請求項20】
前記シャンク部分は、外面を有し、前記拘束機構は、前記シャンク部分の前記外面に沿って設けられる、請求項19に記載の雄型構成要素。
【請求項21】
前記拘束機構は、前記シャンク部分の周りに周方向に延在する溝を含み、前記溝は、前記長手方向軸に沿っての前記雄型構成要素の軸方向移動を阻止するために前記ボール・ベアリング組立体を受け入れるように形状決めされるとともにそのようになっている、請求項19又は20に記載の雄型構成要素。
【請求項22】
前記拘束機構は、前記ボール・ベアリング組立体に係合して前記雄型構成要素の回転運動を阻止するようになっているディテントをさらに含む、請求項19から21までのいずれか一項に記載の雄型構成要素。
【請求項23】
前記ディテントは、前記ボール・ベアリング組立体のそれぞれのベアリング・ボールを受け入れて前記雄型構成要素の前記回転運動を阻止する、前記溝に沿って設けられた複数のリセスを含む、請求項22に記載の雄型構成要素。
【請求項24】
前記ディテントは、前記シャンク部分から延びる突出部を含み、前記突出部は、一対の隣接したベアリング・ボール間で前記ボール・ベアリング組立体に係合して前記雄型構成要素の前記回転運動を阻止するように形状決め及びサイズ決めされる、請求項22又は23に記載の雄型構成要素。
【請求項25】
前記突出部は、前記溝内から延びる、請求項24に記載の雄型構成要素。
【請求項26】
前記突出部は、前記シャンク部分と一体的に形成されるか、又は前記シャンク部分に溶接される、請求項24又は25に記載の雄型構成要素。
【請求項27】
一対の油圧ライン間に接続をもたらす迅速解除継手であって、
流体通路が中を通っている雄型構成要素であって、
第1の油圧ラインに係合するようになっているシャンク部分であって、前記シャンク部分は、前記第1の油圧ラインと前記流体通路との間に流体連通を確立するようになっている第1のポートを有し、前記シャンク部分は、前記第1の油圧ラインに協働的に係合するようになっているとともに前記第1の油圧ラインと係合すると前記第1の油圧ラインに対する前記雄型構成要素の回転運動及び軸方向移動を阻止するようになっている拘束機構を含む、シャンク部分と、を含む、雄型構成要素と、
前記雄型構成要素に接続可能であるとともに、前記流体通路と流体連通するようになっている流体チャネルが中を通っている継手アダプタであって、前記継手アダプタは、第2の油圧ラインに係合するようになっており、前記第2の油圧ラインと前記流体チャネルとの間に流体連通を確立するようになっている第2のポートを含む、継手アダプタと、
を備える、迅速解除継手。
【請求項28】
一対の油圧ライン間に接続をもたらす迅速解除継手の使用であって、前記迅速解除継手は、
流体通路が中を通っている雄型構成要素であって、
第1の油圧ラインに係合するようになっているシャンク部分であって、前記シャンク部分は、前記第1の油圧ラインと前記流体通路との間に流体連通を確立するようになっている第1のポートを有し、前記シャンク部分は、前記第1の油圧ラインに協働的に係合するようになっているとともに前記第1の油圧ラインと係合すると前記第1の油圧ラインに対する前記雄型構成要素の回転運動及び軸方向移動を阻止するようになっている拘束機構を含む、シャンク部分と、を含む、雄型構成要素と、
前記雄型構成要素に接続可能であるとともに、前記流体通路と流体連通するようになっている流体チャネルが中を通っている継手アダプタであって、前記継手アダプタは、第2の油圧ラインに係合するようになっており、前記第2の油圧ラインと前記流体チャネルとの間に流体連通を確立するようになっている第2のポートを含む、継手アダプタと、
を備える、迅速解除継手の使用。
【請求項29】
前記迅速解除継手は、約0psi~5000psiの間で動作するようになっている、請求項28に記載の迅速解除継手の使用。
【請求項30】
前記迅速解除継手は、請求項1から18までの特徴部のうちのいずれか1つを含む、請求項28又は29に記載の迅速解除継手の使用。
【請求項31】
一対の油圧ライン間に接続をもたらす、請求項1から26までのいずれか一項に記載の迅速解除継手の使用。
【請求項32】
請求項1から26までのいずれか一項に記載の迅速解除継手を使用して第1の流体ラインを第2の流体ラインに接続する方法は、
前記継手アダプタを前記第2の流体ラインに接続することと、
前記シャンク部分を前記第1の流体ラインと係合させて前記第1の流体ラインに対する前記迅速解除継手の回転運動及び軸方向移動を阻止することと、
を含む、方法。
【請求項33】
前記迅速解除継手は、約0psi~5000psiの間で動作するようになっている、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
雌型構成要素が設けられた第1の流体ラインを第2の流体ラインに接続する方法は、
油圧継手の第1の端を前記第2の流体ラインに接続することと、
前記油圧継手の第2の端を前記第1の流体ラインに接続することであって、前記第2の端は、前記雌型構成要素に係合するとともに前記雌型構成要素に対する前記雄型構成要素の回転運動及び軸方向移動を阻止するように構成された雄型構成要素が設けられている、前記油圧継手の第2の端を前記第1の流体ラインに接続することと、
を含む、方法。
【請求項35】
前記油圧継手は、迅速解除継手である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記迅速解除継手は、請求項1から18までのいずれか一項に記載の特徴部のうちのいずれか1つを含む、請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、継手に関し、より詳細には、油圧ラインとともに使用する迅速ロック解除継手に関する。
【背景技術】
【0002】
流体輸送産業においていくつかのタイプの継手が使用される。例えば、たとえ用途及び構造のいくつかが他の既知の継手と同様であっても、押し込み式接続又は「迅速解除継手」が異なる。迅速解除継手は、空気圧産業において、また低圧用途用に、広く使用されているが、加圧流体が流れているとともにねじり拘束が存在する重機での流体の輸送用など、より高い圧力の用途用に設計されていない。例えば、編組又は絡み合った金属ワイヤ又は合成プラスチック材料で大部分が構成された油圧ラインは、ねじり拘束に非常に影響を受けやすい。
【0003】
スイベル継手は、2つ以上の油圧ラインが軸方向又は角度方向に相互接続されるとともにそれらの物理的な完全性又は内部構造に影響する可能性があるねじり拘束を低減させることができるようにする構成要素である。迅速解除継手は多くの場合、雄型コネクタからなり、雄型コネクタの周囲の溝が、この溝に雌型コネクタのボール・ベアリングが捕捉されることを可能にする。したがって、軸方向移動が排除されるのに対し、組立体は回転自由である。したがって、それは、1つ又は複数の列のボールとシールとからなる回転ジョイントにあらゆる点で類似したものとなる。加圧油圧流体が、既知の回転ジョイント及びスイベル継手の回転とともに、継手内における様々なシールの摩耗及び引き裂きを加速し、このことが頻繁なメンテナンス、修繕及び交換を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8,047,579号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、ボール・ベアリング組立体を含む雌型構成要素が設けられた第1の流体ラインと、第2の流体ラインとの間に接続をもたらす迅速解除継手が提供される。迅速解除継手は、流体通路が中を通っている雄型構成要素であって、流体通路を少なくとも部分的に画定する内面を有する本体部分と、本体部分から延出するとともに、第1の流体ラインの雌型構成要素に係合するようになっているシャンク部分であって、シャンク部分は、第1の流体ラインと流体通路との間に流体連通を確立するようになっているシャンク部分ポートを有し、シャンク部分は、ボール・ベアリング組立体に係合するようになっているとともに第1の流体ラインに係合すると第1の流体ラインに対する雄型構成要素の回転運動及び軸方向移動を阻止するようになっている拘束機構を含む、シャンク部分と、を含む、雄型構成要素を備える。迅速解除継手はまた、流体チャネルが中を通っているとともに、流体チャネルと流体通路との間に流体連通を確立するように、本体部分に近接して雄型構成要素に固定可能である継手アダプタであって、継手アダプタは、第2の流体ラインに係合するようになっており、第2の流体ラインと流体チャネルとの間に流体連通を確立するようになっているアダプタ・ポートを含む、継手アダプタを備える。
【0006】
可能な実施例によれば、シャンク部分は、外面を有し、拘束機構は、シャンク部分の外面に沿って設けられる。
【0007】
可能な実施例によれば、拘束機構は、シャンク部分の周りに周方向に延在する溝を含み、溝は、雄型構成要素の軸方向移動を阻止するためにボール・ベアリング組立体を受け入れるように形状決めされるとともにそのようになっている。
【0008】
可能な実施例によれば、溝は、単一平面内でシャンク部分の周りに周方向に延在する。
【0009】
可能な実施例によれば、溝は、互いから離間しているとともに溝なし部分を間に画定する第1の端及び第2の端を溝が含むように、シャンク部分の周りに部分的に延在する。
【0010】
可能な実施例によれば、溝なし部分は、一対の隣接したベアリング・ボール間でボール・ベアリング組立体に係合して雄型構成要素の回転運動を阻止するように形状決めされるとともにそのようになっている。
【0011】
可能な実施例によれば、拘束機構は、ボール・ベアリング組立体に係合して雄型構成要素の回転運動を阻止するようになっているディテントをさらに含む。
【0012】
可能な実施例によれば、ディテントは、ボール・ベアリング組立体のそれぞれのベアリング・ボールを受け入れて雄型構成要素の回転運動を阻止する、溝に沿って設けられた複数のリセスを含む。
【0013】
可能な実施例によれば、ディテントは、シャンク部分から延びる突出部を含み、突出部は、一対の隣接したベアリング・ボール間でボール・ベアリング組立体に係合して雄型構成要素の回転運動を阻止するように形状決め及びサイズ決めされる。
【0014】
可能な実施例によれば、突出部は、溝内から延びる。
【0015】
可能な実施例によれば、突出部は、シャンク部分と一体的に形成されるか、又はシャンク部分に溶接される。
【0016】
可能な実施例によれば、迅速解除継手は、シャンク部分を第1の流体ラインと係合させる前、係合させている間及び係合させた後に雄型構成要素の流体通路に沿う流体の流れを制御するように動作可能な弁組立体をさらに備える。
【0017】
可能な実施例によれば、弁組立体は、シャンク部分ポートに近接して流体通路内に設けられた弁ヘッドであって、流体の流れがシャンク部分ポートを介して阻止される閉位置と、開位置とで動作可能である弁ヘッドを含み、弁組立体は、弁ヘッドに接続されるとともに、弁ヘッドを閉位置に付勢するようになっているヘッドばねをさらに含む。
【0018】
可能な実施例によれば、弁組立体は、本体部分に沿って流体通路内に設けられた弁体であって、流体通路を通る流体の流れが阻止される閉位置と、流体通路を通る流体の流れが許可される開位置とで動作可能である弁体を含み、弁組立体は、弁体に接続されるとともに、弁体を閉位置に付勢するようになっている本体ばねをさらに含む。
【0019】
可能な実施例によれば、継手アダプタは、少なくとも1つの半径方向面及び少なくとも1つの軸方向面を含む内面を有するハウジングをさらに備え、内面は、開端を有するキャビティを画定し、雄型構成要素の本体部分は、開端を介してキャビティに係合するとともに少なくとも1つの半径方向面に当接するように形状決め及びサイズ決めされる。
【0020】
可能な実施例によれば、迅速解除継手は、ハウジングのキャビティ内に固定可能であるとともにシャンク部分の一区画を囲んで雄型構成要素を半径方向に拘束するナットをさらに備え、ナットは、本体部分をキャビティ内に軸方向に拘束するようになっているとともに、雄型構成要素がハウジング及びナットに対してシャンク部分の長手方向軸の周りに回転することにより、第1の流体ライン及び第2の流体ラインが旋回可能に相互接続されることができることを可能にするようになっている。
【0021】
可能な実施例によれば、迅速解除継手は、ナットと本体部分との間でシャンク部分を囲むスラスト・ワッシャをさらに備える。
【0022】
可能な実施例によれば、シャンク部分は、半径方向外側に延出するフランジであって、シャンク部分の外面に対して略垂直であるとともにナットに面するフランジ面を有する、フランジを含み、迅速解除継手は、シャンク部分を囲むとともにフランジ面とナットとの間に延びる外側封止要素をさらに備える。
【0023】
別の態様によれば、ボール・ベアリング組立体を含む雌型構成要素が設けられた油圧ラインとの接続のための迅速解除継手の雄型構成要素であって、雄型構成要素は、流体通路が中を通っており、長手方向軸に沿って延出するとともに、油圧ラインに係合するようになっているシャンク部分であって、油圧ラインと流体通路との間に流体連通を確立するようになっているシャンク部分ポートを有する、シャンク部分を含み、シャンク部分は、ボール・ベアリング組立体に係合して長手方向軸の周りでの雄型構成要素の回転を阻止するようになっている拘束機構を含む、雄型構成要素が提供される。
【0024】
可能な実施例によれば、シャンク部分は、外面を有し、拘束機構は、シャンク部分の外面に沿って設けられる。
【0025】
可能な実施例によれば、拘束機構は、シャンク部分の周りに周方向に延在する溝を含み、溝は、長手方向軸に沿っての雄型構成要素の軸方向移動を阻止するためにボール・ベアリング組立体を受け入れるように形状決めされるとともにそのようになっている。
【0026】
可能な実施例によれば、拘束機構は、ボール・ベアリング組立体に係合して雄型構成要素の回転運動を阻止するようになっているディテントをさらに含む。
【0027】
可能な実施例によれば、ディテントは、ボール・ベアリング組立体のそれぞれのベアリング・ボールを受け入れて雄型構成要素の回転運動を阻止する、溝に沿って設けられた複数のリセスを含む。
【0028】
可能な実施例によれば、ディテントは、シャンク部分から延びる突出部を含み、突出部は、一対の隣接したベアリング・ボール間でボール・ベアリング組立体に係合して雄型構成要素の回転運動を阻止するように形状決め及びサイズ決めされる。
【0029】
可能な実施例によれば、突出部は、溝内から延びる。
【0030】
可能な実施例によれば、突出部は、シャンク部分と一体的に形成されるか、又はシャンク部分に溶接される。
【0031】
別の態様によれば、一対の油圧ライン間に接続をもたらす迅速解除継手が提供される。迅速解除継手は、流体通路が中を通っている雄型構成要素であって、第1の油圧ラインに係合するようになっているシャンク部分であって、シャンク部分は、第1の油圧ラインと流体通路との間に流体連通を確立するようになっている第1のポートを有し、シャンク部分は、第1の油圧ラインに協働的に係合するようになっているとともに第1の油圧ラインと係合すると第1の油圧ラインに対する雄型構成要素の回転運動及び軸方向移動を阻止するようになっている拘束機構を含む、シャンク部分を含む、雄型構成要素を備える。迅速解除継手はまた、雄型構成要素に接続可能であるとともに、流体通路と流体連通するようになっている流体チャネルが中を通っている継手アダプタであって、継手アダプタは、第2の油圧ラインに係合するようになっており、第2の油圧ラインと流体チャネルとの間に流体連通を確立するようになっている第2のポートを含む、継手アダプタを有する。
【0032】
別の態様によれば、一対の油圧ライン間に接続をもたらす迅速解除継手の使用が提供される。迅速解除継手は、流体通路が中を通っている雄型構成要素であって、第1の油圧ラインに係合するようになっているシャンク部分であって、シャンク部分は、第1の油圧ラインと流体通路との間に流体連通を確立するようになっている第1のポートを有し、シャンク部分は、第1の油圧ラインに協働的に係合するようになっているとともに第1の油圧ラインと係合すると第1の油圧ラインに対する雄型構成要素の回転運動及び軸方向移動を阻止するようになっている拘束機構を含む、シャンク部分を含む、雄型構成要素を備える。迅速解除継手はまた、雄型構成要素に接続可能であるとともに、流体通路と流体連通するようになっている流体チャネルが中を通っている継手アダプタであって、継手アダプタは、第2の油圧ラインに係合するようになっており、第2の油圧ラインと流体チャネルとの間に流体連通を確立するようになっている第2のポートを含む、継手アダプタを備える。
【0033】
可能な実施例によれば、迅速解除継手は、約0psi~5000psiの間で動作するようになっている。
【0034】
別の態様によれば、一対の油圧ライン間に接続をもたらす上記で定義した迅速解除継手の使用が提供される。
【0035】
別の態様によれば、上記で定義された迅速解除継手を使用して第1の流体ラインを第2の流体ラインに接続する方法が提供される。方法は、継手アダプタを第2の流体ラインに接続することと、シャンク部分を第1の流体ラインと係合させて第1の流体ラインに対する迅速解除継手の回転運動及び軸方向移動を阻止することと、を含む。
【0036】
別の態様によれば、雌型構成要素が設けられた第1の流体ラインを第2の流体ラインに接続する方法が提供される。方法は、油圧継手の第1の端を第2の流体ラインに接続することと、油圧継手の第2の端を第1の流体ラインに接続することであって、第2の端は、雌型構成要素に係合するとともに雌型構成要素に対する雄型構成要素の回転運動及び軸方向移動を阻止するように構成された雄型構成要素が設けられている、油圧継手の第2の端を第1の流体ラインに接続することと、を含む。
【0037】
可能な実施例によれば、油圧継手は、迅速解除継手である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】可能な実施例による、迅速ロック解除継手の一部の移動を防ぐ拘束機構が設けられた迅速ロック解除継手の斜視図である。
図2】一実施例による、迅速ロック解除継手の対向し合う端において延出する雄型構成要素及び継手アダプタを示す、図1に示す迅速ロック解除継手の側面図である。
図3】一実施例による、継手のポート内に設けられた弁ヘッドを示す、図1に示す迅速ロック解除継手の前面図である。
図4】一実施例による、迅速ロック解除継手のハウジングを通って延在する流体通路を示す、4-4の線に沿った、図3に示す迅速ロック解除継手の断面図である。
図5】拘束機構の可能な実施例を示す、雄型構成要素の様々な実施例のうちの1つの上面図である。
図6】拘束機構の可能な実施例を示す、雄型構成要素の様々な実施例のうちの1つの上面図である。
図7】拘束機構の可能な実施例を示す、雄型構成要素の様々な実施例のうちの1つの上面図である。
図8】拘束機構の可能な実施例を示す、雄型構成要素の様々な実施例のうちの1つの上面図である。
図9】代替的な実施例による、迅速ロック解除継手の斜視図である。
図10】一実施例による、迅速ロック解除継手の対向し合う端において延出する雄型構成要素及び継手アダプタを示す、図9に示す迅速ロック解除継手の側面図である。
図11】一実施例による、継手のポート内に設けられた弁ヘッドを示す,図9に示す迅速ロック解除継手の前面図である。
図12】一実施例による、弁体内に設けられた圧力排除装置を示す、12-12の線に沿った、図11に示す迅速ロック解除継手の断面図である。
図13】代替的な実施例による、スイベル継手の斜視図である。
図14】一実施例による、ナットにより継手アダプタ内に連結された雄型構成要素を示す、図13に示すスイベル継手の側面図である。
図15】一実施例による、雄型構成要素のポート内に設けられた弁ヘッドを示す、図13に示すスイベル継手の前面図である。
図16】一実施例による、継手アダプタのハウジングの内面とナットとの間に設けられた、雄型構成要素のフランジ部分を示す、16-16の線に沿った,図15に示すスイベル継手の断面図である。
図17】代替的な実施例による、スイベル継手の斜視図である。
図18】一実施例による、ナットにより継手アダプタ内に連結された雄型構成要素を示す、図17に示すスイベル継手の側面図である。
図19】一実施例による、雄型構成要素ポートを示す、図17に示すスイベル継手の前面図である。
図20】一実施例による、継手アダプタのハウジング内に設けられたフランジ部分に連結されている、雄型構成要素のシャンク部分を示す、20-20の線に沿った、図19に示すスイベル継手の断面図である。
図20A】一実施例による、シャンク部分とナットとの間でシャンク部分の周りに設けられた一対の封止リングを示す、図20に示すスイベル継手の一部の拡大図である。
図21】代替的な実施例による、スイベル継手の斜視図である。
図22】一実施例による、雌型接続を規定するシャンク部分を示す、図21に示すスイベル継手の断面図である。
図23】可能な実施例による、継手カートリッジを示す、継手の上面図である。
図24】可能な実施例による、スイベル継手を示す、継手の上面図である。
図25】可能な実施例による、迅速解除雄型継手を示す、継手の上面図である。
図25B】一実施例による、継手の様々な実施態様が提供されるマルチポート・スイベル組立体の斜視図である。
図25C】ねじ山付き接続ポートを示す、継手の代替的な実施例の断面図である。
図26】一実施例による、マルチポート・スイベル組立体に連結された一対のスイベル継手の上面図である。
図27】代替的な実施例による、圧着嵌め部が設けられた継手の斜視図である。
図28】一実施例による、継手の対向し合う端において延出する継手アダプタ及び圧着嵌め部を示す、図27に示す継手の側面図である。
図29】一実施例による、図27に示す継手の前面図である。
図30】一実施例による、迅速ロック解除継手のハウジングを通って延在する流体通路を示す、30-30の線に沿った、図29に示す迅速ロック解除継手の断面図である。
図31】沈められる前の漁船ポンプを示す、1つ又は複数の継手を含む可能な用途の描写である。
図32】動作のために水中にある漁船ポンプを示す、1つ又は複数の継手を含む可能な用途の描写である。
図33】可能な実施例による、垂直構成で設置された継手を含む油圧機の例示である。
図34】細長い形状を有するとともに雄型構成要素のポート内に周方向に部分的に延びるラッチ要素を示す、継手の代替的な実施例の斜視図である。
図35】細長い形状を有するとともに雄型構成要素のポート内に周方向に部分的に延びるラッチ要素を示す、継手の代替的な実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
様々な実施態様に関連して以下で説明するように、本開示は、油圧ラインに及び油圧ライン間で連結されるように構成された迅速ロック解除継手などの、油圧機のための改善された接続を提供するデバイス及びシステムを記載する。本開示は、高圧での油圧流体の輸送に適合された油圧ラインに容易且つ確実に接続可能である迅速ロック解除継手を記載する。迅速ロック解除継手は、油圧ラインの雌型構成要素に係合するように形状決め及びサイズ決めされた雄型構成要素を備えることができる。雄型構成要素は、油圧ラインに連結されると油圧ラインに対する(例えば、雌型構成要素に対する)雄型構成要素の移動を阻止するようになっている拘束機構を含む。雌型構成要素は従来的に、雄型構成要素に連結されると雄型構成要素の回転を可能にしつつ雄型構成要素の軸方向移動を防ぐようになっているボール・ベアリング組立体を含む。本明細書において説明される拘束機構はさらに、雄型構成要素の回転運動を阻止するようになっているものとすることができる。例えば、拘束機構は、ボール・ベアリング組立体の一対の隣接したボール間に延びることにより、雄型構成要素の回転を防ぐように形状決め及びサイズ決めされたディテントを含むことができる。
【0040】
したがって、雄型構成要素は、拘束機構により油圧ラインに対して概して静止したままであるようになっていることが留意される。さらに、油圧ラインに対する雄型構成要素の移動を阻止することは、迅速ロック解除継手の様々な封止構成要素の寿命及び効率を高めることができ、これが、雄型構成要素の静止組立体により、より低い応力、より低い摩擦、より低い圧縮力などを持続させることが理解される。
【0041】
迅速ロック解除継手は、様々な作業のために油圧流体の輸送を可能にするように構成されることができる。継手は、とりわけ、林業コンボ・ハーベスタ、産業用刈取機、小型無限軌道式ローダ・アタッチメント、農業アタッチメントなどの、様々な装置、機械及びデバイスで実施することができる。本明細書において説明するように、油圧継手は、2つの流体ライン間に相互接続をもたらすようになっているものとすることができる。継手は、2つの流体ラインの同軸相互接続を可能にすることができるが、継手は、90°接続又は斜め接続など、異なる相互接続をもたらすように適合され得ることを理解されたい。代替的に又は追加的に、迅速ロック解除継手は、迅速ロック解除継手に接続された1つ又は複数の油圧ラインの動きを可能にするとともに整備前に永続的な封止性能を提供するようになっている統合型スイベル組立体を含むことができる。
【0042】
図1図4を参照すると、一対の流体ライン間において相互接続するとともに流体連通を確立する一実例の迅速解除継手10(又は単に「継手」)が示されている。継手10は、互いに接続されるとともに継手10を通る中央通路12を画定する1つ又は複数の構成要素を含む。したがって、油圧流体などの流体が、中央通路12を介して継手10を通って流れることができる。いくつかの実施例では、継手10は、第1の流体ラインに係合するように構成された第1の構成要素と、第2の流体ラインに係合するように構成された第2の構成要素とを含むことにより、流体ラインを互いに接続する。第1の構成要素及び第2の構成要素は、互いに固定され、それぞれ、中央通路12の一部を画定する。この実施例では、中央通路12は包括的に、長手方向であり、第1の構成要素の入口は、第2の構成要素の入口と実質的に位置合わせされる。しかしながら、湾曲した又は曲がった中央通路12を有するなど、他の構成が可能であることが理解される。
【0043】
この実施例では、継手10の第1の構成要素は、中を通る流体通路15を画定するとともに本体部分16と本体部分16の第1の側から延出するシャンク部分18とを有する、雄型構成要素14を含むことができる。図4に見られるように、雄型構成要素14は、流体通路15を画定する本体部分16及びシャンク部分18に沿って延出する内面20を有する。さらに、以下でさらに説明されるように、シャンク部分18は、第1の流体ラインに係合するようになっており、第1の流体ラインと流体通路15との間に流体連通を確立するように構成された、第1のポート又は雄型構成要素ポート22を含む。
【0044】
この実施例では、継手10の第2の構成要素は、中を通る流体チャネル25を画定する継手アダプタ24を含む。継手アダプタ24は、流体チャネル25が流体通路15と連通するようにして雄型構成要素14に固定可能である。この実施例では、流体通路15及び流体チャネル25の組み合わせは、継手10の中央通路12を形成するが、他の構成が可能であることに留意される。この実施例では、継手アダプタ24は、シャンク部分18とは反対側で、雄型構成要素14の本体部分16に固定されるようになっている。例えば、本体部分18及び継手アダプタ24は、継手アダプタ24が本体部分18に螺合することを可能にする、相補形状のねじ山を有することができる。いくつかの実施例では、継手10は、構成要素をともにさらに固定するとともに流体が継手アダプタ24と雄型構成要素14と間で漏れることを防ぐように、継手アダプタ24と雄型構成要素14との間に設けられたアダプタ・シール28を含む。図2及び図4に見られるように、継手アダプタ24には、第2の流体ラインに係合するとともに第2の流体ラインと流体チャネル25との間に流体連通を確立するようになっているアダプタ・ポート26が設けられている。したがって、第1の流体ライン及び第2の流体ラインは、継手10を介して流体接続され、そこで、流体が、流体チャネル25及び流体通路15を通ってどちらかの方向に流れることに留意される。
【0045】
さらに図1図4を参照すると、継手10には、継手10を通る(例えば、雄型構成要素14を通る、継手アダプタ24又はそれらの組み合わせを通る)流体の流れを制御するように構成された弁組立体30が設けられているものとすることができる。弁組立体30は、第1のポート22を通る流体の流れが阻止される閉構成と、第1のポート22を通る流体の流れが許可される開構成との間で動作可能とすることができる。この実施例では、弁組立体30は、流体通路15に沿って、より具体的には第1のポート22内に設けられた弁ヘッド32を含む。弁ヘッド32は、弁ヘッド32が第1のポート22を塞ぐ閉位置(図4に見られる)と、第1のポート22が塞がれなくなるように弁ヘッド32が変位する開位置との間で移動するようになっている。
【0046】
この実施例では、弁組立体30は、弁ヘッド32に連結されるとともに弁ヘッド32を閉位置に付勢するように構成された弾性要素34を含む。例えば、弾性要素34は、弁ヘッド32を閉位置に付勢するように弁ヘッド32に動作可能に接続されるばね35を含むことができる。図4に見られるように、ばね35は、流体通路15に沿って延び、継手アダプタ24の内面に当接することができる。弁組立体30を開くこと(すなわち、弁ヘッド32を開位置に移動させること)は、弁ヘッド32を流体通路15内に(すなわち、継手ダプタ24へ向けて)さらに移動させ、それにより、ばね35を圧縮し、第1のポート22を開けることを含むことが留意される。いくつかの実施例では、雌型構成要素には、シャンク部分18を第1の流体ラインと係合させると弁ヘッド32に押し当たるように構成された、ステムなどのアクチュエータを設けることができる。換言すると、弁ヘッドは、雌型構成要素のステムに押し当てられつつ、雄型構成要素の内側へ後退することにより、第1のポート22を開く。弁ヘッド32は例示的に、閉位置にある場合に、シャンク部分18の端と実質的に同一平面上にあるようになっている平坦な外面36を有する。
【0047】
いくつかの実施例では、シャンク部分18は、雄型構成要素14が第1の流体ラインから望ましくなく又は不慮に外れることを防ぐようになっている拘束機構40を含む。例えば、拘束機構40は、第1の流体ラインの内面に係合する、シャンク部分18の外面に沿って設けることができる。従来的に、第1の流体ラインは、内面に沿って周方向に取り付けられたボール・ベアリング組立体が設けられた雌型構成要素(図示せず)を含むことができる。さらに、図1図2及び図4に見られるように、拘束機構40は、シャンク部分18の周りに周方向に延在するとともにボール・ベアリング組立体を受け入れるように形状決め及びサイズ決めされている溝42を含む。したがって、シャンク部分18が第1の流体ラインに係合すると、ボール・ベアリング組立体及び溝42は互いと協働して、第1の流体ラインに対する雄型構成要素14の軸方向移動を阻止することにより、第1の流体ラインから外れることを防ぐ。
【0048】
いくつかの実施例では、拘束機構40はさらに、第1の流体ラインに対する雄型構成要素14の回転運動を阻止するようになっている。さらに詳細には、ボール・ベアリング組立体は、その長手方向軸(A)の周りでの雄型構成要素14の回転を可能にすることができることに留意される。しかしながら、拘束機構40は、ボール・ベアリング組立体と係合して雄型構成要素14の回転を防ぐように形状決め及びサイズ決めされたディテント44を含むことができる。ディテント44は、ボール・ベアリング組立体とのディテント44の係合がどちらかの方向における長手方向軸の周りでのシャンク部分18(したがって、雄型構成要素14)の回転を防ぐようにシャンク部分18に固定接続することができる。図2に見られるように、ディテント44は、シャンク部分18から延びる突出部46であって、第1の流体ラインに対する雄型構成要素の回転を阻止するために一対の隣接したボール・ベアリング間に延びるように形状決め及びサイズ決めされた突出部46を含むことができる。
【0049】
この実施例では、突出部46は、ボール・ベアリング組立体との(例えば、一対の隣接したボール・ベアリング間の)その係合を容易にするように溝42内から延びる。さらに、突出部46は、(例えば、溝42の機械加工時に)シャンク部分18の一部として一体的に形成することができるが、他の構成が可能であることが理解される。例えば、図5図8を参照すると、ディテント44は、本体部分16と溝42との間(図5及び図6を参照)又は溝42内(図7及び図8を参照)において、シャンク部分18の周りに設けることができる。図5の実施例では、ディテント44は、シャンク部分18に接続されるとともにシャンク部分18から延びて第1の流体ラインの雌型構成要素に係合するためのボール48又はドーム状要素を有することができる。雌型構成要素は、ボール48と係合して雄型構成要素の回転運動を阻止するように構成されたさらなる相補形状の要素を必要とし得ることに留意すべきである。ボール48は、任意の適切な方法を用いて、シャンク部分18にスポット溶接することができるか、シャンク部分18と一体的に形成することができるか、又はシャンク部分18と接続することができる。
【0050】
代替的に、図6を参照すると、ディテント44は、シャンク部分18の外面に沿って本体部分16と溝42との間に設けられた突起50を含むことができる。ボール48と同様の様式で、突起50は、雄型構成要素の回転を阻止する雌型構成要素の相補形状要素に係合するように構成される。いくつかの実施例では、相補形状要素は、突起50の形状に一致する形状を有するリセス(図示せず)を含み、そのため、雄型構成要素14が所定の向きで雌型構成要素に係合するようになっている。雄型構成要素14は、溝42内及び/又は溝42の近くの両方においてシャンク部分18の周りに設けられた複数のディテント44を含むことができることが理解される。
【0051】
さらに別の実施例では、図7に見られるように、ディテント44は、シャンク部分18の周りに及び/又は溝42内に設けられた1つ又は複数のリセス52を含むことができる。リセス52は、長手方向軸の周りでの雄型構成要素14の回転が阻止されるようにボール・ベアリング組立体のボール・ベアリングを受けるように形状決め及びサイズ決めされる。ボール・ベアリング組立体は、有限数のボール・ベアリングを含むこと、及び、ディテント44は、ボール・ベアリングの数よりも少ない、ボール・ベアリングの数よりも多くの、又は同じ数などの、任意の適切な数のリセス52を含むことができることに留意される。例えば、ボール・ベアリング組立体は、12個のボール・ベアリングを含むことができ、ディテント44は、ディテントとのボール・ベアリングの係合を容易にするために24個のリセス52を含むことができる。
【0052】
ここで、より具体的に図8を参照すると、この実施例では、ディテント44は、溝42に沿って設けられた突出部46を含み、突出部46に接続されているとともに突出部46から延出するボール48をさらに含む。突出部46は、雌型構成要素と係合すると雄型構成要素14の回転を防ぐようになっているものとすることができ、その一方、ボール48は、突出部46の両側に一対の隣接したボール・ベアリングを有するように雄型構成要素14を位置決めすることを容易にすることができる。拘束機構40のディテント44は、雄型構成要素14の回転を防ぐために任意の適切な構成要素、特徴部又はそれらの組み合わせを含むことができることに留意されたい。例えば、ディテント44は、本体部分18から、一対の隣接したボール・ベアリング間に延びる突起50を有することに加え、溝42に沿って設けられたリセス52を含むことができる。ディテント44の任意の他の組み合わせを用いることができるとともにその組み合わせが可能であることが理解される。
【0053】
ここで、図9図12を参照しながら、継手10の別の実施例を説明する。シャンク部分18、及び関連構成要素(例えば、拘束機構40)は、前述した実施例と略同じとすることができ、第1の流体ラインに係合するようになっているものとすることができ、雄型構成要素の軸方向移動及び回転運動を防ぐことができる。この実施例では、本体部分16は細長く、流体通路15に沿って1つ又は複数の内部キャビティ60を画定するようになっている内面を含む。より具体的に図12を参照すると、内部キャビティ60は、シャンク部分18に近い第1のキャビティ62と、継手アダプタ24が雄型構成要素14に接続された場合に継手アダプタ24に近い第2のキャビティ64とを含むことができる。
【0054】
この実施例では、弁組立体30は、第2のキャビティ64内などの、流体通路15に沿って取り付けられるとともに、第1のキャビティ62と第2のキャビティ64との間での流体の流れを阻止するようになっている弁体70をさらに含む。弁体70は、第1のキャビティ62と第2のキャビティ64との間で弁体70が流体通路15を塞ぐ、閉位置と、流体の流れが可能にされるように弁体70が変位される、開位置との間で移動するようになっている。図12に見られるように、本体部分16の内面は、流体通路15を通る流体の流れを阻止するために弁体70を当接させるように形状決め及びサイズ決めされた当接面17を含むことができる。弁組立体30はまた、弁体70を閉位置に付勢する(例えば、弁体70を当接面17に対して付勢する)ように構成された、第2のばね73などの第2の弾性要素72を含むことができる。
【0055】
さらに、弁組立体30は、弁体70を閉位置から開位置へ変位させることにより、第2のばね73を圧縮するとともに流体の流れを可能にするように構成される弁体アクチュエータ71を含むことができる。この実施例では、弁体アクチュエータ71は、弁ヘッド32に接続されているとともに弁ヘッド32から流体通路15内に延出するシャフト74を含む。したがって、第1の流体ラインの雌型構成要素との雄型構成要素の係合により、弁ヘッド32が流体通路15内に後退し、その後、シャフト74が弁体70に係合するとともに押し当たって弁体70を開位置に移動させることが留意される。したがって、シャンク部分18は、シャフトヘッド77と弁体70との間の距離により流体連通が第1の流体ラインと第2の流体ラインとの間に確立される前に雌型構成要素に少なくとも部分的に係合することができる。
【0056】
いくつかの実施例では、圧力差又は加圧問題が引き起こす故障又は損傷を防ぐために流体チャネル25及び流体通路15内(例えば、第1のキャビティ62及び/又は第2のキャビティ64内)などの、継手10内の圧力を、少なくとも部分的に制御することが望ましいものとすることができる。例えば、第1のキャビティ62への流体の流れを弁体70が阻止しつつ、第2の流体ラインを介して第2のキャビティ64に油圧流体を供給することができる。したがって、第1のキャビティ62内の圧力が低いまま(例えば、ゼロ)であるのに対し、第2のキャビティ64内の圧力が増加することで、弁体70を開位置に移動させて油圧流体を第1の流体ラインに供給することは困難となることが留意される。したがって、いくつかの実施例では、弁体70は、弁体70を開位置に移動させる前に第1のキャビティ62及び第2のキャビティ64内の圧力を排除する又は少なくとも減少させるように動作可能な圧力排除装置76を含むことができる。
【0057】
この実施例では、依然として図12を参照すると、弁体70は、弁体70中に画定されたボア75であって、その第1の端が第1のキャビティ62と連通するとともにその第2の端が第2のキャビティ64と連通するボア75を有する。圧力排除装置76は、ボア75内の弁体70に連結することができ、第2のキャビティ内の圧力を選択的に排除して弁体70を開く(例えば、開位置に移動させる)ことを容易にするように動作可能である。より具体的には、圧力排除装置76は、ボア75内に設けられているとともにボア75中を通る流体の流れを阻止するように形状決め及び構成されている、プラグ78などの閉塞構成要素を含むことができる。プラグ78は、第2のキャビティ64から第1のキャビティ62への流体の制限された流れを可能にするように変位することにより、第2のキャビティ64内の圧力を減少させる(例えば排除させる)、又は第1のキャビティと第2のキャビティとの圧力平衡(例えば、各キャビティ内に略同じ圧力)を少なくとももたらすことができる。したがって、弁体70を開位置に動作させるために弁体70が第2のキャビティ64内へ変位することが容易となる。
【0058】
いくつかの実施例では、ボア75は、ボア75を通る流体の流れを閉塞する際にプラグ78を着座させるようになっている座部80を含むことができる。図12に見られるように、この実施例では、座部80は、ボア75の第1の端の近く(すなわち、第1のキャビティ62の近く)に設けられ、プラグ78は、座部80と係合してボア75を通る流体の流れを阻止する。プラグ78は、プラグ78が座部80と係合して流体の流れを阻止する、着座位置と、プラグ78が変位し、座部80から離間することにより、第1のキャビティ62と第2のキャビティ64との間での流体の流れを可能にする、離座位置と、の間で移動可能であることが留意される。この実施例では、圧力排除装置76は、プラグ78に動作可能に接続されているとともにプラグ78を着座位置に付勢するように構成されているプラグ付勢要素82をさらに含む。以下でさらに説明するように、圧力排除装置76は、プラグ78を変位及び離座させるために、プラグ78に力を加えるように動作することができる。力が取り除かれると、プラグ付勢要素82は、プラグ78を着座位置に戻すことにより、ボア75を通る流体の流れを以前のように阻止するように構成される。
【0059】
この実施例では、圧力排除装置76は、ボア75中を通る流体の流れを少なくとも部分的に制限するためにボア75内に適合するように形状決め及びサイズ決めされたキャップ84をさらに含む。この実施例では、キャップ84は、締まり嵌めによりボア75内において弁体70に接続されるが、締結具、キージョイント(keyjoint)接続、接着剤などによるような、他の接続方法が可能である。キャップ84は、ボア75の第2の端の近くに例示的に設けられており、それにより、第2のキャビティ64の側にある。図12に見られるように、プラグ付勢要素82は、キャップ84に接続され、キャップ84とプラグ78との間に延びる。さらに、キャップ84は、第2のキャビティ64からボア75への流体の流れを可能にする、キャップ84中に画定されたキャップ通路85を含む。したがって、流体が(例えば、第2の流体ラインを介して)第2のキャビティ64内に導入されると、流体はキャップ通路85を介してボア75に流れ込むことができるが、第1のキャビティ62内への流体の流れは、プラグ78が着座位置にある場合にプラグ78によって阻止される。
【0060】
前述したように、第1の流体ラインの雌型構成要素との継手10の係合により、弁ヘッド32が流体通路15内に後退し、その後、シャフトヘッド77が弁体70に係合するとともに押し当たる。さらに、プラグ78は、着座位置にある場合、プラグ78の一部を第1のキャビティ62に延出させることができる。例えば、図12の例示の実施例では、プラグ78は、略球状の本体79であって、球状の本体79の一部が第1のキャビティ62と連通するようにして座部80に係合するように構成された、略球状の本体79を含む。したがって、シャフト74を弁体70に向けて移動させることにより、シャフトヘッド77が弁体70に係合する前にプラグ78に係合するとともにプラグ78をボア75内に内側へ(例えば、第2のキャビティ64に向けて)押す。したがって、シャフトヘッド77による、プラグ78の離座により、制限された流量の流体が第1のキャビティ62と第2のキャビティ64との間でボア75を通して可能となることが留意される。キャビティ62、64間の流体の流れを可能にすることによって、第2のキャビティ64内の圧力が下がることにより、第2のキャビティ64内への、また、開位置への、弁体70の変位が容易となり、ゆえに、第1のキャビティ内への、したがって、第1の流体ラインと第2の流体ラインとの間での、流体のより大きな流量を確立することがさらに留意される。
【0061】
継手10は、流体の流れが望ましくない場合(例えば、継手10が第1の流体ライン及び第2の流体ラインのうちの一方にしか接続されない場合)に継手10を通る流体の流れを防ぐ、様々な構成要素間に設けられるシール90又は封止要素を含むことが理解される。例えば、継手10は、継手10を第1の流体ラインと係合させる前にシャンク部分シール91が弁ヘッド32に係合するように、また図12に見られるように、雄型構成要素ポート22の近くに設けられたシャンク部分シール91を含むことができる。さらに、継手10は、弁体70が閉位置にある場合に内部シール92が当接面17に係合して弁体70と本体部分16との隙間を通る流体の流れを防ぐように、弁体70の周りに設けられた内部シール92を含むことができる。継手10は、その任意の当接構成要素間に設けられた任意の適切な数のシールを含むことができることが理解される。
【0062】
継手の上述した実施態様は、相補部分(例えば、雄部分及び/又は雌部分)に接続するとともにそれら部分間に静的接続を定めるように構成された、迅速接続継手又は迅速接続継手のためのカートリッジ(図17に見られる)を提供する。特に、継手10は、例えば、雄部分の溝との雌部分のボール・ベアリングの係合により、雄部分と雌部分との間の軸方向移動を阻止するようになっている。さらに、拘束機構40は、雄型構成要素及び雌型構成要素の互いに対する回転運動を阻止するように構成される。したがって、継手は、雄型構成要素と雌型構成要素との間の軸方向移動及び回転運動の両方を阻止することにより、それら構成要素間に静的接続を定めるようになっていることが理解される。静的接続をもたらすことは、応力、摩擦、とりわけ、動作時に継手の様々な構成要素に加えられる力を減少させることによって、継手の寿命を高めることができることに留意されたい。
【0063】
ここで、図13図16を参照すると、継手の別の実施態様が示されている。この実施例では、継手は、第1の流体ラインが第2の流体ラインに対して回転することができるように雄型構成要素14が継手アダプタ24に回転可能に連結される、スイベル継手100とすることができる。換言すると、継手100は、第1の流体ラインと第2の流体ラインとの間にスイベル接続をもたらす。この実施例では、雄型構成要素14は、雄型構成要素14の、シャンク部分18とは反対側の端に、本体部分16から半径方向外側に延出するフランジ部分102を含む。さらに、この実施例では、継手アダプタ24は、雄型構成要素14の本体部分16を受け入れるように形状決めされているとともにそのようになっているアダプタ・キャビティ105を画定するハウジング104を含む。以下でさらに説明するように、スイベル継手100はまた、雄型構成要素14をハウジング104内に少なくとも部分的に固定する、ハウジング105内に挿入可能なナット110を含む。
【0064】
いくつかの実施例では、アダプタ・キャビティ105は、少なくとも1つの半径方向面106及び少なくとも1つの軸方向面108を含む内面を有する。本明細書において使用される場合、「半径方向面(複数可)」という表現は、継手100の長手方向軸(A)に対して概ね垂直な平面内に延在する表面を指すものとすることができることを理解されたい。同様に、本明細書において使用される場合、「軸方向面(複数可)」という表現は、長手方向軸(A)に対して概ね平行である、したがって、半径方向面に対して概ね垂直である表面を指すものとすることができることを理解されたい。内面106、108は、雄型構成要素14が挿通可能な開端107を有するアダプタ・キャビティ105を画定する。しかしながら、他の構成が可能であり、例えば、ハウジング104は、対応する数の雄型構成要素及びナットが導入され得る複数のキャビティを含んでもよいことが理解される。内面106、108は好ましくは、互いと一体的に形成される。これは通常、固体ピースからのハウジング104の機械加工によるものである。さらに、ハウジング104は、任意の適切な仕上げ及び/又は形状を有する外面112を有する。例えば、外面112は、概ね円筒又は円形の形状を有することができる。図13図16の例示の実施例では、外面112は湾曲しており、油圧機に取り付けられた保持リング(図示せず)内に保持されるとともに保持リングに対する回転の自由を可能にするようになっている。
【0065】
いくつかの実施例では、本体部分16をアダプタ・キャビティ105の開端107内に挿入することは、フランジ部分102をアダプタ・キャビティ105の内面に協働して当接させることを含む。依然として図16を参照すると、雄型構成要素14をハウジング104内に係合させることは、雄型構成要素14の流体通路15と継手アダプタ24の流体チャネル25との間に流体連通を確立することができることが理解される。この実施例では、流体通路15及び流体チャネル25は、略同一直線上にあるが、他の構成が可能であるとともに他の構成を用いてもよいことが理解される。例えば、流体通路15及び流体チャネル25は、所望の用途に応じて、90°の角度又は斜角など、様々な配向を有してもよい。
【0066】
この実施例では、フランジ部分102は、本体部分16と一体的に形成され、雄型構成要素14が概ねT字形を有するようにして本体部分16から延在する。フランジ部分102は、半径方向に連続しているとともに対称とすることができ、ディスク状であるとともに本体部分16に対して垂直に延在するものとすることができる。以下で説明するように、雄型構成要素14のこの構成は、ハウジング104の内面とナット110とに当接する支持面を提供することにより、継手100の構成要素に加えられた力を分布させる(すなわち、圧力を減少させる)ことができる。しかしながら、フランジ部分102、及び/又は雄型構成要素14の任意の他の構成要素は、ハウジング104の内面と協働する任意の適切な形状を有することができることが理解される。いくつかの実施例では、フランジ部分102は、流体がフランジ部分102とハウジング104との間に流れることを可能にする、フランジ部分102の外周面に画定された刻み目(図示せず)を含むことができる。これは、潤滑目的に有用であるとともに、本出願人の米国特許第8,047,579号に記載されているもののような自己潤滑継手を規定するのに有用であるものとすることができ、この米国特許は参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
依然として図13図16を参照すると、ナット110は、ハウジング104のアダプタ・キャビティ105内に固定可能であるとともに、雄型構成要素14をアダプタ・キャビティ105内に半径方向に拘束するように雄型構成要素14を囲む。いくつかの実施例では、ナット110は、ポート22からフランジ部分102にかけて雄型構成要素14を囲むようになっているものとすることができ、これにより、向上した支持、安定性及び耐力性が可能となる。この実施例では、ナット110は、雄型構成要素14の本体部分16の周りに固定され、シャンク部分18、したがってポート22が、第1の流体ラインとの接続を容易にするようにナット110を越えて延出する。この実施例では、ナット110は、雄型構成要素14がハウジング104及びナット110に対して回転することを可能にしつつ、フランジ部分102を軸方向に拘束する、ハウジング104のキャビティ105内へ軸方向且つ内側に延出する突出部114を含む。雄型構成要素14の回転は、シャンク部分18の長手方向軸(A)の周りで行われる。
【0068】
いくつかの実施例では、ナット110は、雄ねじを有することができ、ハウジング104の内面(すなわち、アダプタ・キャビティ105の表面)は、ハウジングのキャビティ内にナット110を固定するために対応する雌ねじを有することができる。代替的に、これらの構成要素は、ねじ山がなくボルト締めされてもよく、圧着されてもよく、又は他の方法で互いに接続されてもよい。図13図16に見られるように、ナット110は、継手アダプタ24との係合においてナット110をさらに固定するためにアダプタ・キャビティ105の開端の周囲リム109にわたって延びるリップ116を含む。
【0069】
いくつかの実施例では、アダプタ・キャビティ105内の油圧が、雄型構成要素14をナット110に向けて軸方向に押す。ハウジング104の内部の圧力は、加圧されると、あらゆる方向において略均一であり、表面に(例えば、フランジ部分102並びに半径方向面106及び軸方向面108に)垂直に押し当たる。動作時、流体通路15及び/又は流体チャネル25内に収容された流体は油圧下にある。動作圧力は、重くとも軽くとも、用途に応じて様々である。林業における油圧の一般的な範囲は例えば、約50~約4000psiの間であり、場合によっては最大およそ5000psiである。負荷感知油圧回路において、動作圧力は最も多くの場合、約250psiから3000~4000psiまでの間で様々である。
【0070】
いくつかの実施例では、この圧力の結果、フランジ部分102がナット110の突出部114に直接当接することになる。しかしながら、この実施例では、スイベル継手100は、本体部分16を囲むとともにナット110とフランジ部分102との間に配置されるスライド・リング120をさらに含む。スライド・リング120は、雄型構成要素14の回転中、構成要素間の、例えば、フランジ部分102とナット110と間での摩擦係数を減少させるようになっているものとすることができる。スライド・リング120は、雄型構成要素14にかかる軸方向圧力がフランジ部分102とナット110との間の摩擦を大幅に増加させるため、高圧油圧システムにおいて(又は代替的に、流体が低潤滑性である用途において)特に望ましいものとすることができる。いくつかの実施例では、スライド・リング120は、Nylatron(登録商標)材料群、Nyloil(商標)、Nycast(商標)、Teflon、又はそのような構成要素のための別の適切な材料から構成される。いくつかの実施例では、スライド・リング120は、動作中及び/又は油圧ショック中にフランジ部分102によってスライド・リング120に加えられる負荷などの、スライド・リング120に加えられる軸方向負荷を支持するようになっているスラスト・ワッシャを含むことができる。
【0071】
図16を参照すると、雄型構成要素14がアダプタ・キャビティ105内に連結されると、フランジ部分102は、アダプタ・キャビティ105の半径方向面106とともに、軸方向遊び95を画定する。より詳細には、アダプタ・キャビティ105の内部の深さは、フランジ部分102の幅とナット110の突出部114の長さとの和よりも大きく、したがって、或る量の軸方向遊び95を可能にする。いくつかの実施例では、軸方向遊びの量は、約0.0127cm(0.005インチ)~約0.2032cm(0.08インチ)の間とすることができるが、より狭い軸方向遊び(例えば、<0.0127cm(0.005インチ)又はより広い軸方向遊び(例えば、>0.2032cm(0.08インチ)を有するなど、他の構成が可能である。
【0072】
この実施例では、フランジ部分102は、内部流体圧力下にある場合、ナット110の突出部114に向けて押され、したがって、スライド・リング120に当接する。スライド・リング120は、力の分布を可能にすることにより、構成要素間の圧力を減少させるようになっている。これは次いで、スイベル継手100が、例えば3000~5000psiの範囲などのより高い圧力での旋回性能の向上を得ることを可能にする。いくつかの実施例では、スライド・リング120は、平坦なディスク形状を有するが、摩擦係数を減らすためにOリング形状を有することもある。フランジ部分102がスライド・リング120に押し付けられると、フランジ部分102はアダプタ・キャビティ105の内部軸方向面108と離間関係で保持され、これは軸方向遊び95の量に対応することに留意されたい。アダプタ・キャビティ105内に画定された軸方向遊び95は、継手100の様々な構成要素を、油圧ショック(「油圧ラム」とも呼ばれる)又は継手内及び継手の周りの他のタイプの流体ショック若しくは圧力差から保護することを助け得ることに留意されたい。
【0073】
いくつかの実施例では、継手100の封止効率を高める(例えば、外部流体(複数可)、塵埃及び/又はデブリが継手に入り込むことを防ぐ)ために、フランジ部分102と、スライド・リング120と、ナット突出部114との間での接触を維持することが望ましいものとすることができる。動作時、継手100を通って流れる油圧流体は、フランジ部分102をスライド・リング120に対して付勢することにより、フランジ部分102と、スライド・リング120と、ナット突出部114との間での接触をもたらし、封止効率を増大させる。しかしながら、いくつかの実施例では、これらの構成要素間での接触が断たれることにより、継手のシールの完全性を損なう可能性がある。例えば、図31図33を参照すると、継手のいかなる事前加圧もない水中用途(図31及び図32)、フランジ部分102が重力下でスライド・リング120から離れる傾向がある、継手の垂直設置(図33)、又は油圧ショックの影響及び継手内で生じる真空/吸引作用は、継手の内部構成要素に圧力を加えることによって、また、例えば、フランジ部分102とスライド・リング120との接触を断つことによって、継手のシールの完全性を低減させる可能性がある。そのような状況下で、継手内に塵埃、デブリ又は他の夾雑物が侵入する危険性が増し、いくつかの問題を引き起こす可能性がある。
【0074】
図16を依然として参照すると、スイベル継手100は、雄型構成要素14、ナット110及び継手アダプタ24のうちの1つ又は複数と協働するようになっている少なくとも1つの封止リング132(又はOリング)を含むシール組立体130を有することができる。この実施例では、スイベル継手100が組み付けられると、動作時に、シール組立体130は、雄型構成要素14とナット110との間において押圧されて、継手100の隙間を通って漏れる流体の圧力を少なくとも部分的にカットする。シール組立体130は、流体が継手100から漏れることを防ぐようになっているものとすることができる。いくつかの実施例では、シール組立体130は、Oリング、バック・アップ・リングなどを含み得る。また、シール組立体130は、その効率を失うと、容易に交換され得る。様々な封止ジョイントが流体の速度をカットするのに用いられ得るため、シールのうちの1つのシールを越えて漏れる場合、次のシールを越えて漏れる可能性が低い。換言すると、一連のシールがシール組立体130の一部として用いられ得る。
【0075】
いくつかの実施例では、シール組立体130は、流体が継手100の外側に漏れることを防ぐようになっている、又はデブリ及び塵埃が継手100に入り込むことを防ぐようになっている1つ又は複数の外側シール134をさらに含む。図13図16を参照すると、この実施例では、外側シール134は、シャンク部分18に近接して雄型構成要素14を囲むワイパ・リング136を含む。ワイパ・リング136はまた、ナット110と雄型構成要素14との間にシールをつくり出すためにナット110に係合するようになっている。いくつかの実施例では、ワイパ・リング136は、平坦なディスク形状を有することができるが、以下で説明するように、他の構成が可能である。
【0076】
この実施例では、雄型構成要素14は、シャンク部分18の周りに延在する外溝140を含む。外溝140は、ワイパ・リング136の一部を受け入れるように形状決めされるとともにそのようになっているものとすることができる。図14及び図16に見られるように、ワイパ・リング136は、ナット110に係合するようになっているリング部分138と、リング部分138から延びるとともに外溝140に係合する突出部分139とを含むことができる。リング部分138及び突出部分139は両方とも、雄型構成要素14を囲む、すなわち、雄型構成要素の周りに周方向に延在することに留意される。この実施例では、外溝140は、シャンク部分18に対して比較的垂直に延びるとともに、したがって、ナット110の前面に対して略平行な溝壁142を含む。それゆえ、ワイパ・リング136は、ナット110と溝壁142との間に延びるように形状決めされるとともにそのようになっており、リング部分138がナット110に係合し、突出部分139が溝壁142に係合する。
【0077】
いくつかの実施例では、ワイパ・リング136は、ゴムなどの弾性材料から作製され、油圧ラインの動作中(例えば、流体が継手を介して第1の流体ラインと第2の流体ラインとの間で流れている間)、継手の様々な構成要素を保護するようになっている。動作中、継手100の様々な構成要素は、これら構成要素の移動、摩擦、損傷又は故障を引き起こす可能性がある油圧ショック(「油圧ラム」とも呼ばれる)を受ける可能性があることに留意される。
【0078】
油圧ショックによっては、流体チャネル25と流体通路との間の圧力差によってもたらされる吸引作用に起因し得るものもある。具体的には、油圧流体は、第2の流体ラインを介して流体チャネル25に供給され、弁体70が流体通路15への流体の流れを阻止する。したがって、流体チャネル25に沿う、アダプタ・キャビティ105内の圧力が増加するのに対し、流体通路15に沿う圧力は低いまま(例えば、ゼロ)であることに留意される。したがって、弁体70が開位置に変位されると、流体通路内の低い圧力が真空をつくり出すことで、アダプタ・キャビティ105内の圧力を実質的に急速に下げて、流体通路15に沿う圧力(例えば、0psi)に合わせることにより、継手100内に吸引作用を生じさせる可能性がある。
【0079】
吸引作用(すなわち、油圧ショック)は多くの場合、フランジ部分102をナット110に押し付ける力をフランジ部分102に対してつくり出す。この実施例では、ナット110は次いで、雄型構成要素の周りに設けられたワイパ・リング136に押し当たる。ワイパ・リング136の弾性材料は、変形されるように構成され、したがって、油圧ショックによってもたらされる力の少なくとも一部を吸収するとともに、雄型構成要素14、スライド・リング120及び/又はナット110の移動を低減させる。圧力が安定する及び/又は解放されると、すなわち、継手の構成要素に加えられる力がもはやなくなると、ワイパ・リング136は、その初期形状及び構成に戻るようになっていることにより、同様にナット110及び/又は雄型構成要素14を移動させて所定位置に戻す。
【0080】
したがって、継手100が第1の流体ラインに対して接続及び/又は接続解除されるたび、それに応じてアダプタ・キャビティ105内の圧力が増減することにより、繰り返しの吸引作用を生じさせることが理解される。ワイパ・リング136は、この吸引作用を少なくとも部分的に減殺して、継手100の構成要素(例えば、雄型構成要素14)及びその構成要素に接続された構成要素(複数可)(例えば、雌型構成要素)を保護するように構成されることにより、それらの寿命及び効率を高める。
【0081】
いくつかの実施例では、ワイパ・リング136は、ワイパ・リングの第1の端における、ワイパ・リングの直径が、ワイパ・リングの第2の対向端におけるよるも大きい、テーパ形状を有することができる。例えば、この実施例では、突出部分139は、リング部分138に沿うワイパ・リング136の内径が突出部分139に沿うワイパ・リングの内径よりも大きいように、リング部分138から或る角度で延びる。さらに、突出部分139に沿うワイパ・リング136の厚さは例示的に、リング部分138に沿うワイパ・リング136の厚さよりも小さい。この構成は、ワイパ・リング136のショック吸収性能を高めることができ、ワイパ・リング136の弾性(すなわち、ワイパ・リング136の初期の形状及び構成に戻す、ワイパ・リング136の能力)も高めることができる。動作中、継手内の油圧により、ワイパ・リング136がナット110と溝壁142との間で圧搾されることにより、突出部分139が少なくとも部分的に変形(例えば、座屈)して、例えば油圧ラムからの力の少なくとも一部を吸収することができる。突出部分139は、継手内の圧力が安定すると突出部分139の初期構成に戻るようになっている。
【0082】
いくつかの実施例では、リング部分138及び突出部分139は、同じ材料から作製することができ、それにより、略同じ弾性及び/又は可撓性を有する。しかしながら、他の構成が可能であることが理解される。例えば、突出部分139は、リング部分139よりも弾性又は可撓性がある材料から作製することができる。そのような実施例では、リング部分138は、油圧ショックからの力の一部を吸収することができるが、より弾性がある突出部分139が、より多くの力を吸収するように構成されることが留意される。
【0083】
図16に見られるように、第2のばね72は例示的に、アダプタ・キャビティ105の内面とフランジ部分102との間に延び、同様に油圧ショックの力の一部を吸収するとともにスライド・リング120に対してフランジ部分102を付勢するようになっている。したがって、継手の構成要素(例えば、フランジ部分102、スライド・リング120及びナット110)は、継手の封止効率を確実にするように互いと接触したままであるようになっている。第2のばね72は、任意選択とすることができ、継手の構成要素の軸方向移動が、雄型構成要素14(例えば、シャンク部分)及びナット110とのワイパ・リング136の協働によって少なくとも部分的に阻止される。さらに具体的には、特定の状況下で、フランジ部分102が移動させられて軸方向遊び95に入り込むことにより、ハウジングとの衝突の危険性が増し、スライド・リング120との接触を断つ可能性がある。この実施例では、雄型構成要素14が軸方向遊び95に向けて押される(例えば、油圧ショック、垂直設置によって又は外圧下で引き起こされる)と、溝壁42がワイパ・リング136に係合する。ワイパ・リング136は、力の一部を吸収するようになっているものとすることができ、ワイパ・リング136はまた、ナット110に係合し、ナット110が次いで、リップ116を介してハウジング104に当接する。したがって、軸方向遊び95に向けての雄型構成要素14の軸方向移動は、阻止されるか、又は少なくとも低減される。
【0084】
継手の構成要素(例えば、フランジ部分102、スライド・リング120及びナット110)の移動を低減又は阻止することは、それら構成要素が動作中に被る応力、変形及び衝撃を減らすことができることに留意されたい。これら構成要素に加えられる力を減らすことは、その寿命を高めることができ、これにより、それら構成要素を交換及び/又は修繕する必要が減ることにより、継手100の効率及び寿命が高まる。
【0085】
図1図16を大まかに参照すると、継手(10又は100)の雄型構成要素14が第1の流体ラインの雌型構成要素に係合すると、(例えば、シャンク部分18の周りに設けられた溝42内へのボール・ベアリング組立体の係合により)拘束機構40が雌型構成要素に対する雄型構成要素14の軸方向移動を防ぐようになっていることに留意されたい。さらに、拘束機構40はまた、ボール・ベアリング組立体とのディテント44の係合により雌型構成要素に対してシャンク部分18の長手方向軸の周りでの雄型構成要素14の回転運動を防ぐようになっている。
【0086】
さらに、フランジ部分102は、アダプタ・キャビティ105に係合するように形状決め及びサイズ決めされ、ナット110がアダプタ・キャビティ105の開端に向けての雄型構成要素14の軸方向移動を阻止し、いくつかの実施例では、ワイパ・リング136は、継手アダプタ24に向けての(すなわち、軸方向遊び95内への)雄型構成要素14の軸方向移動を阻止する又は少なくとも妨げるようになっている。したがって、スライド・リング120(例えば、スラスト・ワッシャ)の変形及び摩耗による雄型構成要素の軸方向移動はまた、吸引作用及び/又は大気圧(例えば、水中に沈められている場合)とともに、ワイパ・リング136により少なくとも部分的に管理され、フランジ部分102と、スライド・リング120と、ナット突出部114との間の接触が維持される。ワイパ・リング136が溝壁142とナット突出部114との間で適所に圧搾されるため、ワイパ・リング136に加えられるより大きな力がワイパ・リング136の封止効率を高めることにより、ナット110と雄型構成要素14との間の隙間をさらに封止することも留意されたい。このことは、水からの圧力が増すことによりワイパ・リング136の封止効率が高まることができるため、垂直設置におけるような、又は、継手が、沈められる前に加圧されることを必要とされない、水中用途のためのような、特定の状況において望ましいものとすることができる。
【0087】
ここで、図17図20Aを参照すると、継手100の別の実施態様が示されている。雄型構成要素14は、継手アダプタ24のハウジング104内に設けられ、シャンク部分18が雌型構成要素と接続するためにハウジング104から延びている。継手100はまた、雄型構成要素14を継手アダプタのハウジング104に接続するナット110を含む。図20をより具体的に参照すると、雄型構成要素14は、互いに連結される複数の部品を含むことができる。例えば、この実施例では、雄型構成要素14は、継手アダプタ24に近接してアダプタ・キャビティ105内に設けられたフランジ部分102を含む内側部品180と、開端107に向けてフランジ部分102から延びる内側シャフト184とを有する。さらに、雄型構成要素14は、シャンク部分18を含む外側部品182を有する。この実施例では、シャンク部分18は、内側部品180に取り外し可能に連結され、アダプタ・キャビティ105の開端107から延出する。シャンク部分18は、内側シャフト184と接続するように形状決めされているとともにそのようになっている外側シャフト186を含むことにより、雄型構成要素14の内側部品及び外側部品をともに接続することができる。
【0088】
この実施例では、内側部品180及び外側部品182は、内側シャフト184と外側シャフト186との締まり嵌めによりともに接続されるが、締結具の使用、キージョイント接続、接着剤などによるような、他の接続方法が可能である。内側部品180は、外側部品182内に延出する(すなわち、内側シャフト184が外側シャフト186内に延出する)ようになっている。しかしながら、これら2つの部品を互いに接続するために外側部品182を内側部品180内に延出させるなど、他の構成が可能であることが理解される。例示の実施例では、外側シャフト186はさらに、外側シャフト186が内側シャフト184とナット突出部114との間に連結されるようにナット110に係合するようになっており、ナット突出部114が外側シャフト186とハウジング104との間に連結される。したがって、雄型構成要素14の内側部品180及び外側部品182は、互いとの及びナット110との協働により、ハウジングに固定されることが留意される。
【0089】
依然として図20を参照すると、シャンク部分18は、外側シャフト186及びポート22との間に設けられた円筒本体188を含むことができる。円筒本体188は、ナット110に係合して、外側部品182(例えば、シャンク部分18)をナット110、したがってハウジング104にさらに接続するように構成される。円筒本体188は概して、外側シャフト186及びポート22よりも大きい直径を有する。したがって、ナット110は、例えば、雄型構成要素14の外側部品182に対して相補形状を有することができ、ナット110の突出部114が外側シャフト186を受け入れるが円筒本体188を挿入しないようになっている内径を有する。ナット110は例示的に、突出部114よりも大きい直径を有するとともにシャンク部分18の円筒本体188を受け入れるようになっている外端111を有する。
【0090】
この実施例では、外端111は、円筒本体188に面するようになっているナット半径方向面113を画定する。以下でさらに説明するように、雄型構成要素14は、ナット110に係合するとともにナット110と協働してフランジ部分102と継手アダプタのハウジング104との間に軸方向遊び95を画定するようになっている。さらに、雄型構成要素14は、円筒本体188がナット半径方向面113から離間することで、円筒本体188とナット半径方向面113との間に第2の軸方向遊び195を画定するようにして、ナット110に係合する。軸方向遊び95及び第2の軸方向遊び195は概して、同じ寸法を有するが、例えば、一方が他方よりも大きいものとすることができることが理解される。
【0091】
いくつかの実施例では、シール組立体は、雄型構成要素14とナット110との間、ナット110とハウジング104との間、又はそれらの組み合わせにおいて設けられたOリングなどの様々な封止要素を含む。この実施例では、図20及び図20Aを参照すると、継手100は、ナット110とシャンク部分18の円筒本体188との間で、ナット110の外端111内に設けられた一対の封止リング132を含む、複数の封止リング132を有する。封止リング132は、ナット110と雄型構成要素14(例えば、円筒本体188)との間の隙間を封止するとともに雄型構成要素14をナット110内に半径方向に拘束するように構成される。図20Aをより具体的に参照すると、封止リング132は、円筒本体188の周りに画定された周方向ポケット189内に設けられた第1の封止リング132a及び第2の封止リング132bを含む。述べたように、各封止リング132は、ナット110(その内面)と円筒本体188(その外面)との間に延びるとともにそれらに係合することにより、ナット110に対して円筒本体188を半径方向に拘束する。
【0092】
第1の封止リング132aは、雄型構成要素14とナット110との間にシールを画定するとともに、雄型構成要素14をナット110内に半径方向に拘束するように、略平坦な表面に係合する。この実施例では、ナットの外端111は、テーパ状内縁115を有することができ、第2の封止リング132bがテーパ状内縁115に係合する。したがって、第2の封止リング132bは、雄型構成要素14(例えば、外側部品182)を半径方向に拘束するとともにさらにまた雄型構成要素に軸方向拘束を少なくとも部分的に与えるようになっているものとすることができる。例えば、上記で説明したように、動作中、継手100は、雄型構成要素14をアダプタ・キャビティ105にさらに引き込み、したがって、円筒本体188をナット110の外端111にさらに引き込む吸引作用を受ける可能性がある。テーパ状外縁115は、第2の封止リング132bに対して当接を与えるように形状決めされているとともに構成されているものとすることができ、それゆえ、この当接が、ナット110に向けての円筒本体188の軸方向移動を阻止することができる。換言すると、第2の封止リング132bは、周方向ポケット189の側面とテーパ状内縁115との間で圧搾されることにより、円筒本体188の軸方向移動を阻止するようになっている。円筒本体188の軸方向移動を阻止することによって、外側部品182は、内側部品180に押し当たらないことにより、フランジ部分102をアダプタ・キャビティ105内でスライド・リング12と接触状態に維持することに留意されたい。いくつかの実施例では、第2の封止リング132bは、雄型構成要素の軸方向移動及び回転運動の両方を少なくとも部分的に阻止するとともに、雄型構成要素にかかる圧力が増大するにつれ、より大きな封止効率を可能にする、圧力励起(pressure-enerigized)シールとすることができる。
【0093】
テーパ状内縁115が延在する角度を調整することは、それに応じて、第2の封止リング132bが与えることができる軸方向拘束の量を調整することができることが理解される。例えば、約45度のテーパ状縁は、約10度のテーパ状縁よりも大きい範囲の圧力に対する軸方向移動を防ぐようになっているものとすることができる。いくつかの実施例では、ナット110のテーパ状内縁115は、ナット軸方向面117に対して約5~約85度傾斜することができるが、他の構成が可能である。円筒本体188がナットの外端111との間で封止リング132を押圧及び圧搾するため、第2の封止リング132bに加えられる力がより大きいほど封止リング132bの封止効率を高めることも留意されたい。
【0094】
このことは、垂直設置(図33に見られる)におけるような、又は、水からの漸増圧力が第2の封止リング132bの封止効率を高めるため、継手が、沈められる前に加圧されることを必要とされない、水中用途(図31及び図32に見られる)のためのような、特定の状況において望ましいものとすることができる。例えば、図31及び図32に見られるように、1つ又は複数の継手100は、沈められる前に、商業漁船の一部として魚を捕集するように構成されたポンプなどの水中ポンプに接続することができる。次いでポンプを、水が継手に侵入することを防ぐために継手を予め加圧することなく沈めることができる。図32に見られるように、ポンプは、継手を通して流体を供給する前に水面下約20mまで下げることができ、封止リング132(すなわち、第2の封止リング132b)は、水及びデブリが継手100に入り込むことを防ぐように構成される。水中にある場合の継手の封止効率を高めることは、水が継手に侵入することを防ぐとともに、例えば、継手内の流体を凍結させるなどの問題を引き起こす可能性がある油圧流体と混合することを防ぐことが望ましいことを理解されたい。ポンプに接続される継手は、スイベル継手100、又は代替的に非スイベル継手とすることができ、1つ又は複数のスイベル継手が等間隔(例えば、10mごと)でなど、ポンプ導管に沿って取り付けられることに留意されたい。
【0095】
いくつかの実施例では、雄型構成要素14の外側部品182は、内側部品180にナット110内で取り外し可能に接続される。したがって、外側部品182は、内側部品180から接続解除されることにより、別の部品との交換を可能にすることができる。例えば、外側部品182は、(例えば、メンテナンス若しくは修繕のために)別の雄型構成要素外側部品182と交換することができるか、又は、対応する雌型部品と交換することができる。図21及び図22を参照すると、継手100は、雌型構成要素190との雄型構成要素の外側部品182の交換により雌型接続を規定するようになっているものとすることができる。雌型構成要素190は、(例えば、外側シャフト186が内側シャフト184とナット110との間に連結される場合での)上述した外側部品182と同様の様式で内側部品180に接続し、同様に、ナット110及びハウジング104に対して雌型構成要素の軸方向及び半径方向移動を少なくとも部分的に阻止するように構成された第1の封止リング132a及び第2の封止リング132bを介してナット110に係合する。
【0096】
継手は、継手の構成要素の何らかの形態の移動を防ぐ又は阻止するようになっている上述した機構のうちのいずれかの1つを含むことができることに留意されたい。いくつかの実施例では、継手は、拘束機構40及び外側シール134(例えば、図13に見られるようにワイパ・リング136、又は、図20Aに見られるようにテーパ状内縁115及び封止リング132)の両方を含むことができるのに対し、他の実施例では、継手は、例えば、図1に見られるように拘束機構40及び外側シール134のうちの一方(すなわち、拘束機構40のみ)を含む。継手は、本明細書において説明したように一対の流体ライン間に接続をもたらすようになっているものとすることができるが、他の構成が可能であることにも留意されたい。例えば、継手はまた、2つよりも多くの流体ラインに相互接続してもよく、その場合、雄型構成要素14は複数のポート22を含むことができ、対応する数の流体ラインに接続可能とすることができる。いくつかの実施例では、継手は、装置と第1の油圧ラインとの間に連結することができ、それによって装置が油圧流体の流れを提供する。
【0097】
図23図25Cを参照すると、迅速解除雄型継手及び関連構成要素(例えば、ワイパ・リング136及び/又はテーパ状内縁115及び封止リング132)並びに本明細書において説明した機構(例えば、拘束機構40)を、様々な用途のために適合された様々なタイプの継手に含めることができる。例えば、拘束機構40は、林業におけるように、3D空間内での油圧ラインの操作を必要とする用途に適合されたスイベル継手ハウジング(図24)などの、継手ハウジングとの接続に適合された継手カートリッジ10a(図23)に設けることができる。他の実施例では、継手は、迅速解除雄型継手とすることができるマニホールド型継手(図25)を含むことができる。代替的に、図25B及び図25Cを参照すると、継手は、迅速ロック(又は迅速解除)性能部100b、ねじ山付き雄型接続部(複数可)100c、雌型接続部100d及び/又は「スイベルによるねじ込み式接続継手」100eを含むことができるスイベル・マニホールド型継手に対応することができる。しかしながら、他の構成が可能であること、また、継手は、任意の適切なサイズ及び/又は形状を有することができることが理解される。さらに、図26に見られるように、継手は、マルチポート組立体150の一部とすることができ、それによってスイベル継手100などの複数の継手が、任意の適切なやり方で油圧機に接続することができるロック・プレート152に連結することができる。
【0098】
ここで図27図30を参照すると、継手10には、雄型構成要素14になど、継手10の一端に取り付け可能な圧着嵌め部160を設けることができる。圧着嵌め部又は圧着スリーブ160は、カスタム油圧ホース組立体を形成するようになっており、油圧ライン(例えば、第1の流体ライン)に接続されるようになっている継手10の圧着端162(すなわち、圧着嵌め部160が設けられた端)を画定することに留意されたい。圧着端162は、圧着機又は圧着デバイスを介して油圧ラインに固定可能であり、油圧ライン組立体を修繕又は形成するために油圧ラインとの間に恒久的な接続をもたらす。この実施例では、継手は、ナット110及びハウジング104に対して圧着スリーブ160の軸方向移動を阻止することにより、同様の様式で雄型構成要素14の軸方向移動を阻止するように構成された中間封止リング132c(例えば、Oリング)を圧着スリーブとナット110の突出部114との間に含む、複数の封止リング132を有することができる。
【0099】
本明細書において説明される実施態様では、継手は、例えば、水中用途などにおいて、外部圧力に対して封止効率が増加しているものとすることができることが理解される。さらに、これら継手の封止効率は、継手を囲むシールが所定位置へと圧搾されることで、継手における隙間をさらに封止するため、周囲圧力が増加するにつれて高まり得る。いくつかの実施例では、封止要素は、継手の1つ又は複数の構成要素との軸方向及び半径方向接触をもたらすことができる。これら封止要素は、1つ又は複数の構成要素の半径方向及び軸方向移動を少なくとも部分的に阻止することにより、構成要素に加えられる応力を減らすとともに構成要素の寿命を高めるようになっているものとすることができる。
【0100】
本開示は、他の特定の形態で具現化され得る。説明される例示的な実施態様は、すべての点で単に例示的であって限定的ではないものとみなされるべきである。例えば、雄型構成要素14の形状は複数のやり方で変更されてもよいことを理解されたい。同様に、アダプタ・キャビティ105の内部形状は変更することができ、フランジ部分102を収容するように、また、潤滑及び移動のために十分な遊びを可能にしつつ力を分布させる支持面を提供するように、対応する形状を有するべきである。さらに、フランジ部分102は、傾斜又は湾曲した表面を有し得る。これらの傾斜又は湾曲した表面は、継手の表面間での流体移動に影響する可能性があり、力分布にも影響する可能性がある。加圧流体が継手構成要素の固体表面に対して垂直に圧力をかけるため、雄型構成要素の角度及び曲率及び/又は表面積を変えると、種々の力分布作用が達成され得ることが理解される。
【0101】
さらに、本明細書において説明される継手(複数可)の構成要素及び/又は方法(複数可)のステップのうちの1つ又は複数は、本明細書において簡潔に例示されるものとして、また当業者に明らかでもあるものとして、継手が意図される特定の用途、及び/又は所望の最終結果に応じて、本開示の範囲から逸脱することなく、変更、簡単化、改変、省略及び/又は置換され得る。例えば、拘束機構40は、ボール・ベアリング組立体とは異なる構成要素との相互作用及び協働を可能にするように変更することができる。図34及び図35に見られるように、いくつかの実施例では、雌型部分の内部構成要素は、細長い形状を有する1つ又は複数のラッチ要素300であって、例えば、雌型部分のポート内に少なくとも部分的に周方向に延びることができる、1つ又は複数のラッチ要素300を含むことができる。したがって、雄型構成要素は、ラッチ要素300を受け入れる相補形状ディテント(例えば、リセス52)を含むことができる。ラッチ要素300は、雄型構成要素14の周りに(例えば、シャンク部分18の周りに)90度間隔などの等間隔で設けることができるが、他の構成が可能であることが留意される。
【0102】
本開示は、すべての適切な技術変更をカバー及び包含することを意図している。したがって、本開示の範囲は、上記の説明によるよりもむしろ添付の特許請求の範囲によって記載される。特許請求の範囲は、実例に記載の実施態様によって限定されるべきではなく、全体として説明と矛盾しない最も広い解釈を与えられるべきである。
【0103】
本明細書において使用される場合、「連結される」、「連結する」、「取り付けられる」、「接続される」という用語又は本明細書において使用される場合のそれらの変形語は、これらの用語が使用される文脈に応じていくつかの異なる意味を有することができる。例えば、連結される、連結する、接続される又は取り付けられるという用語は、機械的な含意を有することができる。例えば、本明細書において使用される場合、連結される、連結する又は取り付けられるという用語は、2つの要素又はデバイスが、特定の文脈に応じて、互いに直接接続されるか、又は、機械的な要素を介して1つ又は複数の中間要素又はデバイスにより互いに接続されることを示すことができる。
【0104】
上記の説明において、同じ番号符号は同様の要素を指す。さらに、簡潔性及び明確性のため、すなわち、図にいくつかの参照番号を過度に入れないようにするために、すべての図がすべての構成要素及び特徴部への参照を含むわけではなく、いくつかの構成要素及び特徴部への参照が1つの図だけに見られることがあり、他の図に示されている、本開示の構成要素及び特徴部をそこから容易に推察することができる。実施態様、幾何学的構成、言及された材料及び/又は図に示された寸法は任意選択であり、単なる例示のために示されている。
【0105】
さらに、添付の図面に例示するような任意選択の構成は様々な構成要素を含むが、また、示すような継手の任意選択の構成は、本明細書において説明及び例示するような特定の幾何学的構成からなり得るが、これらの構成要素及び幾何学形状のすべてが本質的であるわけではなく、したがって、その限定的な意味にとられるべきではなく、すなわち、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。他の適切な構成要素及びそれらの間の協働、並びに他の適切な幾何学的構成は、簡潔に説明するように、また、そこから容易に推察することができるように、本開示の範囲から逸脱することなく、継手及び対応する部品の実施及び使用のために用いられ得ることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図20A
図21
図22
図23
図24
図25
図25B
図25C
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
【国際調査報告】