(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ワイヤレス充電用の混合アナログフロントエンド
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20240409BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20240409BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20240409BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/12
H02J50/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568254
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 US2022027916
(87)【国際公開番号】W WO2022235967
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2022-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520310643
【氏名又は名称】アイラ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】グッドチャイルド,エリック,ハインデル
(57)【要約】
ワイヤレス充電のためのシステム、方法および装置が開示されている。装置は、充電回路に結合されたバッテリ充電電源と、ワイヤレス充電装置の表面に設けられた複数の充電セルと、1つ以上のプロセッサを含み得るコントローラまたは処理回路と、を有するワイヤレス充電装置として動作するかこれを含む。この装置は、充電動作中の伝送コイルにおける電圧を表す測定信号から高周波成分を抽出するように構成されたハイパスフィルタと、測定信号を減衰させて減衰測定信号を提供するように構成された第1の減衰器と、前記高周波成分を表す信号を前記減衰測定信号に加算してスケーリングされた測定信号を得るように構成されたミキサと、前記スケーリングされた測定信号から充電動作に関連する1または複数のメッセージを復号化するように構成された復調器とを含み得る。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電中のデバイスと通信する方法であって、
充電動作中のワイヤレス充電装置の伝送コイルにおける電圧を表す測定信号から高周波成分を抽出する工程と、
前記測定信号を減衰させて減衰測定信号を得る工程と、
前記高周波成分を表す信号を前記減衰測定信号と混合してスケーリング測定信号を得る工程と、
前記スケーリング測定信号を復調して充電動作に関連する1以上のメッセージを得る工程とを含む方法。
【請求項2】
前記高周波成分を表す信号を得るために前記高周波成分を減衰させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スケーリングされた測定信号をアナログ/デジタル変換器に供給する工程と、
前記アナログ/デジタル変換器によって供給される一連のデジタル値から1以上のメッセージを復号する工程であって、前記一連のデジタル値は、一定期間にわたる前記スケーリングされた測定信号の電圧サンプルを表す工程と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記スケーリングされた測定信号をアナログ/デジタル変換器に供給する工程が、前記スケーリングされた測定信号をローパスフィルタ処理する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記測定信号から高周波成分を抽出するためにハイパスフィルタを使用する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記高周波成分が振幅シフトキー変調信号に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
振幅シフトキー変調された信号が、充電動作に参加しているワイヤレス受電デバイスから受信される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ワイヤレス充電装置であって、
ワイヤレス充電デバイスの表面に設けられた複数の充電セルと、
充電動作中の複数の充電セルのうちの1つの伝送コイルにおける電圧を表す測定信号から高周波成分を抽出するように構成されたハイパスフィルタと、
前記測定信号を減衰させて減衰測定信号を提供するように構成された第1の減衰器と、
前記高周波成分を表す信号を前記減衰測定信号に加算してスケーリングされた測定信号を得るように構成されたミキサと、
前記スケーリングされた測定信号から充電動作に関連する1または複数のメッセージを復号化するように構成された復調器とを含む、ワイヤレス充電装置。
【請求項9】
さらに、前記高周波成分を減衰させ、前記高周波成分を表す信号を供給するように構成された第2の減衰器を具える、請求項8に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項10】
さらに、前記スケーリングされた測定信号を受信し、一定期間にわたる前記スケーリングされた測定信号の電圧サンプルを表す一連のデジタル値を提供するように構成されたアナログ/デジタル変換器を具え、
前記復調器は、前記一連のデジタル値から1または複数のメッセージを復号するように構成されている、請求項8に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項11】
さらに、前記ミキサの出力をフィルタリングし、前記スケーリングされた測定信号を提供するように構成されたローパスフィルタを具える、請求項10に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項12】
前記高周波成分は、振幅シフトキー変調信号に対応する、請求項8に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項13】
前記振幅シフトキー変調信号は、充電動作に参加しているワイヤレス受電デバイスから受信される、請求項12に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項14】
プロセッサ可読記憶媒体であって、
充電動作中のワイヤレス充電装置の伝送コイルにおける電圧を表す測定信号から高周波成分を抽出する工程と、
前記測定信号を減衰させて減衰測定信号を得る工程と、
前記高周波成分を表す信号を前記減衰測定信号と混合してスケーリング測定信号を得る工程と、
前記スケーリング測定信号を復調して充電動作に関連する1以上のメッセージを得る工程と、を実行させるコードを含む、プロセッサ可読記憶媒体。
【請求項15】
さらに、前記高周波成分を表す信号を得るために前記高周波成分を減衰させるコードをさらに含む、請求項14に記載の記憶媒体。
【請求項16】
さらに、前記スケーリングされた測定信号をアナログ/デジタル変換器に供給する工程と、
前記アナログ/デジタル変換器によって供給される一連のデジタル値から14以上のメッセージを復号する工程であって、前記一連のデジタル値は、一定期間にわたる前記スケーリングされた測定信号の電圧サンプルを表す工程と、
を実行させるコードを含む、請求項14に記載の記憶媒体。
【請求項17】
さらに、前記スケーリングされた測定信号をローパスフィルタ処理させるコードをさらに含む、請求項14に記載の記憶媒体。
【請求項18】
前記測定信号から高周波成分を抽出するためにハイパスフィルタを使用させるコードをさらに含む、請求項14に記載の記憶媒体。
【請求項19】
前記高周波成分は、振幅シフトキー変調信号に対応する、請求項14のいずれかに記載の記憶媒体。
【請求項20】
前記振幅シフトキー変調信号は、充電動作に参加しているワイヤレス受電デバイスから受信される、請求項19に記載の記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2022年5月4日に米国特許庁に出願された仮特許出願第17/736,689号および2021年5月5日に米国特許庁に出願された仮特許出願第63/184,776号の優先権および利益を主張するものであり、これらの出願の内容全体は以下に完全に記載されているかのようにその全体およびすべての適用目的のために参照により本書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般的にバッテリのワイヤレス充電に関し、より具体的には、マルチコイルワイヤレス充電装置の表面で充電中のデバイスとの通信に関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス充電システムは、特定のタイプのデバイスが物理的な充電接続を使用せずに内部バッテリを充電できるようにするために開発されてきた。ワイヤレス充電を利用できるデバイスには、モバイルコンピューティング/プロセッシング機器やモバイル通信機器などがある。ワイヤレスパワーコンソーシアムが定めるQi規格などの標準規格では、第1のサプライヤが製造した機器を、第2のサプライヤが製造した充電器でワイヤレス充電することが可能である。ワイヤレス充電の規格は、比較的単純な構成のデバイス向けに最適化されており、基本的な充電機能を提供する傾向にある。
【0004】
従来のワイヤレス充電システムは、ワイヤレス充電用ベースステーションの伝送コイル上またはその近くに受電デバイスが存在するかどうかを判断するために、典型的には「デジタルPing」を用いる。デジタルPingは、アクティブPingとも呼ばれ得る。伝送コイルはインダクタンス(L)を有し、伝送コイルに結合して共振LC回路を得るための静電容量(C)を持つ共振コンデンサを有する。共振LC回路に電力を供給することでPingが生成される。電力が一定時間(一例では90ミリ秒)供給され、その間トランスミッタが受電デバイスからの応答を待つ。応答は、振幅シフトキー(ASK)変調を用いて符号化された信号で提供され得る。一例として、一般的な送信ベースステーションは、毎秒12.5回(周期=1/80ms)のpingを送信し、毎秒(80mJ×12.5)=1Wの電力を消費する。
【0005】
ワイヤレス充電機能の改善は、絶えず複雑化するモバイルデバイスや変化するフォームファクタに対応するために必要である。例えば、マルチコイル、マルチデバイス充電装置における充電手順の制御を改善するために、電力トランスミッタとレシーバ間の通信を改善する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本明細書に開示される特定の態様に従って充電面を提供するために採用され得る充電セルの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る充電面のセグメントの単一層に設けられた充電セルの配列の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る、充電面のセグメント内に複数の層が重ねられる場合の充電セルの配置の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成された複数層の充電セルを採用する充電面によって提供される電力伝達領域の配置を示す図である。
【
図5】
図5は、本明細書に開示される特定の態様による、充電器ベースステーションに設けられ得るワイヤレストランスミッタを示す図である。
【
図6】
図6は、本明細書に開示される特定の態様により適合されたワイヤレス充電装置において使用するためのマトリクス多重化スイッチングをサポートする第1のトポロジを示す図である。
【
図7】
図7は、本明細書に開示される特定の態様により適合されたワイヤレス充電装置における直流駆動をサポートする第2のトポロジを示す図である。
【
図8】
図8は、本明細書に開示される特定の態様に従ってASK復調をサポートするコントローラを示す図である。
【
図9】
図9は、本明細書に開示される特定の態様に従って、電力レシーバと電力トランスミッタと間で交換されるメッセージをデジタル的に符号化するために適応され得る符号化スキームの例を示す。
【
図10】
図10は、本明細書に開示される特定の態様に従って、受電デバイスによって送信された変調信号を検出するように構成されたワイヤレストランスミッタを示す図である。
【
図11】
図11は、
図10に示すワイヤレス電力トランスミッタにおいて復調に使用される信号の特定の態様を示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の特定の態様に従って構成されるワイヤレス電力トランスミッタを示す図である。
【
図13】
図13は、本明細書に開示される特定の態様に従って、減衰していないASKエンベロープを減衰したピーク電圧エンベロープに追加する様子を示す。
【
図14】
図14は、本開示の特定の態様に従って構成された可変減衰回路の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本明細書に開示される特定の態様に従って充電中のデバイスと通信する方法の一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る処理回路を採用する装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成を説明することを意図しており、本明細書に記載の概念が実施され得る唯一の構成を示すことを意図したものではない。詳細な説明には、様々な概念の完全な理解を提供するための具体的な詳細が含まれている。しかしながら、それらの概念が具体的な詳細なしで実施できることは当業者には明らかであろう。時には、そのような概念を不明瞭にしないために、周知の構造および構成要素をブロック図の形式で示している。
【0008】
次に、ワイヤレス充電システムの特定の態様を、様々な装置および方法を参照して提示する。これらの装置および方法は、以下の詳細な説明に記載されるとともに、添付の図面において、様々なブロック、モジュール、コンポーネント、回路、ステップ、プロセス、アルゴリズムなど(総称して「要素」と呼ぶ)によって示される。これらの要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはそれらの任意の組合せを使用して実装することができる。そのような要素がハードウェアとして実装されるか、またはソフトウェアとして実装されるかは、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課される設計上の制約に依存する。
【0009】
例えば、要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、1以上のプロセッサを含む「処理システム」で実装され得る。プロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載された様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。処理システムの1以上のプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数などを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、プロセッサ可読記憶媒体に常駐するようにしてもよい。本明細書でコンピュータ可読媒体とも呼ばれるプロセッサ可読記憶媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、近距離ワイヤレス通信(NFC)トークン、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、搬送波、伝送路、ソフトウェアを格納または伝送するのに適した他の任意の媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、処理システムに存在していても、処理システムの外部にあっても、処理システムを含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0010】
概要
本開示の特定の態様は、ワイヤレス充電装置を含む、複数の伝送コイルを用いるか複数の受電デバイスを同時に充電できる自由配置充電面を提供するワイヤレス充電装置に関するシステム、装置、および方法に関する。一態様では、ワイヤレス充電装置のコントローラは、充電されるデバイスの位置を特定し、受電デバイスに電力を供給するように最適に配置された1つまたは複数の伝送コイルを構成することができる。充電セルは、1つまたは複数の誘導伝送コイルを備えるかこれを構成することができ、複数の充電セルは、充電面を提供するように配置または構成することができる。充電対象デバイスの位置は、デバイスの位置を充電面上の既知の位置を中心とする物理的特性の変化に関連付けるセンシング技術を介して検出することができる。いくつかの例では、位置の感知は、容量性、抵抗性、誘導性、接触、圧力、負荷、歪み、および/または別の適切なタイプの感知を使用して実装することができる。
【0011】
本明細書に開示される特定の態様は、改善されたワイヤレス充電技術に関する。伝送デバイスと受電デバイス間の通信を改善することにより、受電デバイスへのワイヤレス電力伝送の効率と容量を改善できるシステム、装置、および方法が開示される。本明細書に開示される特定の態様によれば、充電が可能になっている任意の個別の配置場所に関係なく、任意に規定されたサイズおよび/または形状を有することができる充電面上の任意の場所に配置された受電デバイスに伝送デバイスから電力をワイヤレスで伝送することができる。伝送デバイスにおいて、充電動作中のワイヤレス充電装置の伝送コイルにおける電圧を表す測定信号から高周波成分を抽出することができる。この測定信号を減衰させて、減衰測定信号を得ることができる。高周波成分を表す信号を減衰測定信号と混合して、スケーリングされた測定信号を得ることができる。スケーリングされた測定信号を、充電動作に関連する1以上のメッセージを得るために復調することができる。
【0012】
充電セル
本開示の特定の態様は、複数の伝送コイルを有する、または複数の受電デバイスを同時に充電できる自由配置充電面を提供するワイヤレス充電装置に適用可能なシステム、装置、および方法に関する。一態様では、ワイヤレス充電装置のコントローラは、充電されるデバイスの位置を特定し、受電デバイスに電力を供給するように最適に配置された1つまたは複数の伝送コイルを構成することができる。充電セルは、1つまたは複数の誘導伝送コイルを備えるかこれを構成することができ、複数の充電セルは、充電面を提供するように配置または構成することができる。充電対象デバイスの位置は、デバイスの位置を充電面上の既知の位置を中心とする物理的特性の変化に関連付けるセンシング技術を介して検出することができる。いくつかの例では、位置の感知は、容量性、抵抗性を使用して実装することができる。
【0013】
本明細書に開示される特定の態様によれば、ワイヤレス充電装置の充電面は、充電装置の表面に隣接配置された充電セルを使用して提供され得る。一実施例では、充電セルは、充電面の下または隣接する1または複数の層にハニカムパッケージ構成に従って配備される。充電セルは、それぞれがコイルに隣接する充電面に実質的に直交する軸に沿って磁場を誘導することができる1以上のコイルを使用してワイヤレス充電装置に実装することができる。本明細書において、充電セルとは、各コイルが充電セル内の他のコイルによって生成される場に対して加算的であって共通の軸に沿うか近接して配向される電磁場を生成するように構成された1以上のコイルを有する構成要素いう。本開示では、充電セル内のコイルは、充電コイル、伝送コイル、リッツコイル、またはこれらの用語の組み合わせを用いて呼ばれることもある。
【0014】
いくつかの実装例では、充電セルは、共通の軸に沿って積層され、および/または、充電装置の表面に実質的に直交するように誘導された磁界に寄与するように重なり合うコイルを含む。いくつかの実施態様では、充電セルは、充電装置の表面の規定された部分内に配置され、充電表面の規定された部分内の誘導磁場に寄与するコイルを含み、磁場は、充電面に実質的に直交して流れる磁束に寄与する。
【0015】
いくつかの実装例では、充電セルは、1以上の動的に定義される充電セルに含まれるコイルに励起電流を供給することによって構成可能であり得る。例えば、ワイヤレス充電装置は、充電面全体に配置された複数のコイルのスタックを含み、ワイヤレス充電装置は、1以上のコイルのスタックへの近接性に基づいて、充電されるデバイスの位置を検出することができる。充電装置は、コイルのスタックのいくつかの組み合わせを選択して、充電されるデバイスに隣接する充電セルを定義または提供することができる。いくつかの実装例では、充電セルは、単一のコイルを含むか、単一のコイルとして特徴付けられ得る。しかしながら、充電セルは、複数の積層コイルおよび/または複数の隣接するコイルもしくはコイルの積層を含むことができることを理解されたい。本明細書では、コイルを、充電コイル、ワイヤレス充電コイル、伝送器コイル、伝送コイル、送電コイル、電力トランスミッタコイルなどと呼ぶことがある。
【0016】
図1は、ワイヤレス充電装置の充電面を提供するために配備され、および/または構成され得る充電セル100の一例を示す。本開示において、充電面は、プリント回路基板の1以上の基板106上に設けられた充電セル100のアレイ、または1以上の基板106から形成された構造内に埋め込まれた充電コイルのアレイを含むと理解され得る。1以上の基板106上に、1以上の集積回路(IC)および/またはディスクリート電子部品からなる回路を設けることができる。この回路は、受電デバイスに電力を伝送するために使用するコイルに供給される電流を制御するために使用されるドライバおよびスイッチを含み得る。この回路は、本明細書に開示される特定の機能を実行するように構成され得る1以上のプロセッサおよび/または1以上のコントローラを含む処理回路を用いて実装することができる。いくつかの実施例では、処理回路の一部または全部を充電装置の外部に設けてもよい。いくつかの実施例では、電源を充電装置に結合することができる。
【0017】
充電セル100は、充電装置の外表面領域の近くに設けることができ、その上に充電のために1つまたは複数のデバイスを配置することができる。充電装置は、充電セル100の複数のインスタンスを含むことができる。一実施例では、充電セル100は、1以上のコイル102を区切るか囲む実質的に六角形の形状を有する。各コイルは、電力伝送領域104に電磁界を生成するのに十分な電流を受け取ることができる導体、ワイヤ、または回路基板トレースを用いて構築され得る。様々な実施態様において、いくつかのコイル102は、
図1に例示される六角形の充電セル100を含む、実質的に多角形である全体形状を有することができる。いくつかの実施態様では、1以上のコイルは、平坦な螺旋形状または実質的に円形の形状を有し得る。他の実装例では、円形または楕円形、あるいは他の形状を持つコイル102が提供される。コイル102の形状は、少なくとも部分的に各コイルの巻線数、製造技術の能力または制限、および/またはプリント回路基板などの基板106上の充電セルのレイアウトを最適化するように決定され得る。各コイル102は、螺旋構成のワイヤ、プリント回路基板トレースおよび/または他のコネクタを使用して実装することができる。各充電セル100は、異なる層のコイル102が共通軸108に中心を持つように、絶縁体または基板106によって分離された2以上の層にわたることができる。
【0018】
図2は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合された充電システムに含まれ得る充電面のセグメントまたはその一部の単一層に設けられた充電セル202の配列200の一例を示す図である。充電セル202は、ハニカムパッケージング構成に従って配置されている。本実施例では、充電セル202は、重なり合うことなく端と端を合わせて配置されている。この配置は、スルーホールやワイヤ配線なしで提供することができる。充電セル202の一部が重なり合う配置など、他の配置も可能である。例えば、2以上のコイルのワイヤをインターリーブしたり、同心円状に配置したり、ある程度重ねたりしてもよい。
【0019】
図3は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る充電面のセグメントまたは部分内で複数の層が重ね合わされる場合の、2つの視点300、310からの充電セルの配置の一例を示す。この例では、4層の充電セル302、304、306、308が充電面内に設けられている。各層の充電セル302、304、306、308内の充電セルは、ハニカムパッケージング構成に従って配置されている。一実施例では、充電セル302、304、306、308の銅の層が、4層以上のプリント回路基板上に形成され得る。充電セル100の配置は、図示されたセグメントに隣接する割り当てられた充電領域を完全にカバーするように選択することができる。
【0020】
図4は、本明細書に開示される特定の態様による充電システムによって提供される充電面400に規定又は構成される電力伝送領域の配置を示す図である。図示された充電面400は、4層の充電セル402、404、406、408を用いて構成されている。
図4において、第1層の充電セル402の充電セルが提供する各電力伝送領域が「L1」と記され、第2層の充電セル404の充電セルが提供する各電力伝送領域が「L2」と記され、第3層の充電セル406の充電セルが提供する各電力伝送領域が「L3」と記され、第4層の充電セル408の充電セルが提供する各電力伝送領域が「L4」と記されている。
【0021】
ワイヤレストランスミッタ
図5は、ワイヤレス充電装置のベースステーションに設けられ得るワイヤレストランスミッタ500の特定の態様を示す図である。ワイヤレス充電装置のベースステーションは、ワイヤレス充電装置の動作を制御するために使用される1以上の処理回路を含み得る。コントローラ502は、フィルタ回路508でフィルタリングされるか、他の方法で処理されたフィードバック信号を受信することができる。コントローラは、共振回路506に交流を供給するドライバ回路504の動作を制御し得る。いくつかの例では、コントローラ502は、ドライバ回路504によって出力される交流電流の周波数を制御するために使用されるデジタル周波数基準信号を生成する。いくつかの例では、デジタル周波数基準信号は、プログラマブルカウンタなどを使用して生成され得る。いくつかの例では、ドライバ回路504は、直流電源または入力から交流電流を生成するために協働する電力インバータ回路および1つまたは複数の電力増幅器を含む。いくつかの例では、デジタル周波数基準信号は、ドライバ回路504によって生成されてもよいし、別の回路によって生成されてもよい。共振回路506は、コンデンサ512とインダクタ514を含む。インダクタ514は、交流電流に応答して磁束を生成する充電セル内の1または複数の伝送コイルを表すか含み得る。共振回路506は、本明細書においてタンク回路、LCタンク回路、またはLCタンクとも呼ばれ、共振回路506のLCノード510で測定される電圧516はタンク電圧とも呼ばれる。
【0022】
パッシブping技術は、LCノード510で測定または観測された電圧および/または電流を使用して、本明細書に開示された特定の態様に従って適合されたデバイスの充電パッドに近接する受電コイルの存在を識別することができる。従来のワイヤレス充電装置は、共振回路506のLCノード510の電圧や共振回路506の電流を測定する回路を含む。これらの電圧と電流は、電力調整目的および/またはデバイス間の通信をサポートするために監視され得る。本開示の特定の態様によれば、
図5に示すワイヤレストランスミッタ500のLCノード510の電圧は、共振回路506を介して伝送されるエネルギーの短いバースト(ping)に対する共振回路506の応答に基づいて、充電式デバイスまたは他の物体の存在を検出できるパッシブping技術をサポートするために監視され得る。
【0023】
パッシブPingディスカバリ技術を用いて、高速で低消費電力のディスカバリを提供することができる。パッシブPingは、共振回路506を含むネットワークを通して、少量のエネルギーを含む高速パルスで駆動することによって生成することができる。高速パルスは共振回路506を励起し、注入されたエネルギーが減衰して消滅するまで、その固有の共振周波数でネットワークを発振させる。高速パルスに対する共振回路506の応答は、共振LC回路の共振周波数によって部分的に決定され得る。パッシブPing(初期電圧V
0)に対する共振回路506の応答は、LCノード510で観測される電圧V
LCにより、次のように表すことができる。
【0024】
共振回路506の電圧または電流は、コントローラ502または他のプロセッサが物体の存在を検出するためにデジタルPingを使用しているときに監視され得る。デジタルPingは、共振回路506を一定時間駆動することで生成される。共振回路506は、ワイヤレス充電装置の伝送コイルを含む同調ネットワークである。受電デバイスは、変調信号のシグナリング状態に応じて受電回路が示すインピーダンスを変更することにより、共振回路506で観測される電圧または電流を変調することができる。次に、コントローラ502または他のプロセッサは、受電デバイスが近くにあることを示すデータ変調応答を待つ。
【0025】
選択的コイル励起
本明細書に開示された特定の態様によれば、1以上の充電セル内の電力伝送コイルを選択的にアクティブ化して互換デバイスの充電に最適な電磁界を提供することができる。いくつかの実施例では、電力伝送コイルが充電セルに割り当てられ、一部の充電セルが他の充電セルと重なり得る。充電セル単位で最適な充電設定を選択することができる。いくつかの例では、充電設定は、充電されるデバイスと整列しているか、またはデバイスの近くに位置していると判断される充電面の充電セルを含み得る。コントローラは、充電されるデバイスの位置の検知に基づく充電設定に基づいて、単一の電力伝送コイルを作動させてもよいし、電力伝送コイルの組み合わせを作動させてもよい。いくつかの実施態様では、ワイヤレス充電装置は、充電イベント中に1つまたは複数の電力伝送コイルまたは1つまたは複数の所定の充電セルを選択的に作動させることができるドライバ回路を有し得る。
【0026】
図6は、本明細書に開示される特定の態様により適合されたワイヤレス充電装置において使用するためのマトリクス多重化スイッチングをサポートする第1のトポロジ600を示す図である。ワイヤレス充電装置は、受電デバイスを充電するために1以上の充電セル100を選択することができる。使用しない充電セル100は、電流から遮断することができる。
図2、3に例示するハニカムパッケージング構成では、対応する数のスイッチを必要とする比較的多数の充電セル100を使用することができる。本明細書に開示される特定の態様によれば、充電セル100は、特定のセルに給電できるようにする2以上のスイッチに接続された複数のセルを有するマトリクス608に論理的に配置され得る。図示されたトポロジ600では、2次元マトリクス608が提供され、次元はXおよびY座標によって表され得る。スイッチの第1のセット606の各々は、セル列の各セルの第1の端子を、ワイヤレス充電中にコイルを励起するために電流を供給する電圧源または電流源602の第1の端子に選択的に結合するように構成される。スイッチの第2のセット604の各々は、セル列の各セルの第2の端子を、電圧源または電流源602の第2の端子に選択的に結合するように構成される。セルの両端子が電圧源または電流源602に結合されると、充電セルはアクティブとなる。
【0027】
マトリクス608を使用することで、同調LC回路のネットワークを動作させるために必要なスイッチングコンポーネントの数を大幅に削減することができる。例えば、個別に接続されたN個のセルは少なくともN個のスイッチを必要とするが、N個のセルを有する2次元マトリクス608は、√N個のスイッチで動作させることができる。マトリクス608を使用することで、大幅なコスト削減を実現し、回路および/またはレイアウトの複雑さを軽減することができる。1例では、9セルの実装例は、6つのスイッチを使用して3x3マトリクス608で実装することができ、3つのスイッチを節約することができる。別の例では、16セルの実装は、8つのスイッチを使用して4x4マトリクス608で実装することができ、8つのスイッチを節約することができる。
【0028】
動作中は、少なくとも2つのスイッチが閉じられ、1つのコイルまたは充電セルを電圧源または電流源602にアクティブに結合する。複数のコイルまたは充電セルの電圧源または電流源602への接続を容易にするために、複数のスイッチを一度に閉じることができる。例えば、複数のスイッチを閉じて、受電デバイスに電力を転送する際に、複数の伝送コイルを駆動する動作モードを有効にすることができる。
【0029】
図7は、本明細書に開示される特定の態様に従って、各個のコイルまたは充電セルがドライバ回路702によって直接駆動される第2のトポロジ700を示す。ドライバ回路702は、コイルグループ704から1以上のコイルまたは充電セル100を選択して、受電デバイスを充電するように構成され得る。充電セル100に関連してここに開示された概念は、個々のコイルまたはコイルスタックの選択的励起に適用され得ることを理解されたい。使用されていない充電セル100は電流が流れない。比較的多数の充電セル100を使用することができ、個々のコイルまたはコイルグループを駆動するためにスイッチングマトリクスを採用することができる。一例では、第1のスイッチングマトリクスは、充電イベント中に使用される充電セルまたはコイル群を定義する接続を構成することができ、第2のスイッチングマトリクスは、充電セルおよび/または選択されたコイル群を励起するために使用することができる。
【0030】
充電手順中の制御メッセージ
本開示の特定の態様は、電力トランスミッタと、電力トランスミッタによってワイヤレス充電されている電力レシーバとの間の、設定、制御、ステータス、およびその他の情報のワイヤレス通信に関する。設定、制御、ステータス、およびその他の情報は、送電前および送電中に通信され、標準定義プロトコルに従ってエンコードされたメッセージで伝送される。一例として、Qiプロトコルは、電力レシーバが送電リンクを通じて電力トランスミッタにメッセージを送信できるようにすることで、電力レシーバが電力トランスミッタに対してワイヤレスで何らかの制御を行うことを提供する。メッセージはリクエスト、コマンド、ステータス、および他の情報を伝えることができる。Qiプロトコルは、多くのワイヤレス充電装置に実装されており、電力トランスミッタと電力レシーバ間のワイヤレス相互接続を管理する。Qiプロトコルの中には、振幅シフトキー(ASK)変調を使用して電力レシーバから電力トランスミッタへのメッセージ交換を行うものがある。一例として、電力レシーバは受電回路の負荷を変化させてASK信号を生成することができる。負荷の変動は、電力トランスミッタと電力レシーバの送受信コイル間の磁気結合により、充電トランザクション中の共振回路506の負荷にそれぞれ反映される。負荷の変動は、タンク回路で測定される電圧または電流で検出することができる。
【0031】
図8は、ASK変調信号を受信して復号するように構成され得る処理回路800の一例を示す図である。処理回路800は、メモリデバイス804および/またはレジスタ、あるいはASK変調信号812を使用して送信されるメッセージおよび/または受信したASK変調信号812から復号されたメッセージを格納することができる他の種類のストレージに結合され得るプロセッサ802を含む。処理回路800は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの何らかの組合せを用いて実装され得るASKデコーダ806を含む。ASKデコーダ806は、クロック生成または回復回路808から受信したクロック信号を使用して、送信ASK変調信号812のタイミングを制御し、受信ASK変調信号812のサンプリングおよび復号を制御することができる。
【0032】
いくつかの例では、デジタル信号プロセッサ(DSP)を用いて、誘導型電力伝送装置のタンク回路内の電圧または電流を変調するASK変調信号812をデコードすることができる。
図5のワイヤレストランスミッタ500において、ASK変調信号812は、共振回路506のLCノード510で測定された充電電流518または電圧516の測定値を表すか、またはこの測定値から導出することができる。多くの例では、割り込みを使用して、ASK変調信号812のレベル変化間のタイミングを特定または測定することができる。一例では、復調回路は、マイクロコントローラ(MCU)が提供するタイマを使用して、ASK変調信号812のエッジ間またはエッジによってトリガされる割り込み間の時間を測定または計算することができる。連続的な時間測定を用いてASK変調信号812をデコードするようにしてもよい。別の例では、DSPまたはデジタル信号コントローラを使用して、デジタル信号処理方法を使用してASK変調された信号を復調することができる。
【0033】
図9は、電力レシーバと電力トランスミッタの間で交換されるメッセージをデジタル的に符号化するために適応され得る符号化スキーム900、920の例を示す。第1の例では、差動バイフェーズ符号化スキーム900は、データ信号904の位相でバイナリビットを符号化する。図示の例では、データバイト906の各ビットは、エンコーダクロック信号902の対応するサイクル908で符号化される。各ビットの値は、対応するサイクル908中のデータ信号904に遷移910の有無(位相変化)で符号化される。
【0034】
第2の例では、振幅変調を使用することができる。ある実施例では、タンク電圧または充電電流924は、タンク回路で観測される様々な電力信号振幅を定義または引き起こすデータ符号化スキーム920を使用して変調される。図示の例では、データバイト926のバイナリビットは充電電流924のレベルで符号化される。データバイト926の各ビットは、エンコーダクロック信号922の対応するサイクル928で符号化される。各ビットの値は、対応するサイクル908中の充電電流924の公称100%電圧レベル930に対する充電電流924の電圧レベルで符号化される。
【0035】
図10は、本開示の特定の態様に従ってASK変調をサポートするように構成され得るシステムの一例を示す図である。図示の例では、ワイヤレス電力トランスミッタ1000は、ワイヤレス電力レシーバ1020に電力を伝送するように構成されている。充電動作は、ワイヤレス電力レシーバ1020を充電するために定義された充電設定に従ってドライバ回路1004を制御する処理回路1002によって制御される。ドライバ回路1004は、少なくとも1つの送信インダクタ1016を含む共振回路1006に充電電流を供給し、これは1以上のワイヤレス電力伝送コイルのインダクタンスを表し得る。送信インダクタ1016にまたがって測定されるタンク電圧1012は、送信インダクタ1016を流れる電流と共振回路1006の他のインピーダンスの積である。共振回路1006のインピーダンスは、ワイヤレス電力レシーバ1020に関連するいくつかのコンポーネントを含み得る。例えば、電力変換回路1022のインピーダンスとワイヤレス電力レシーバ1020の負荷1026は、充電動作中に共振回路1006のインピーダンスに寄与する。
【0036】
いくつかの例では、ワイヤレス電力レシーバ1020は変調回路1024を具え、これは共振回路1006のインピーダンスにワイヤレス電力レシーバ1020によって寄与されるインピーダンスを変更することによってタンク電圧1012の変調に使用することができる。寄与されるインピーダンスは、電力変換回路1022、負荷1026、および変調回路1024からの寄与を含む。図示の例では、ワイヤレス電力レシーバ1020は、変調回路1024のインピーダンスを変化させることによってタンク電圧1012を変調するように構成されている。負荷1026に結合された変調抵抗1034が、スイッチングトランジスタ1032のゲート1030に供給される変調信号に従ってスイッチイン/アウトされ得る。図示の例では、スイッチングトランジスタ1032は、変調信号が第1の信号状態のときにオンになり、変調信号が第2の信号状態のときにオフになるスイッチとして動作するように構成される。ここで、スイッチングトランジスタ1032は、変調信号が第1の信号状態にあるとき、変調抵抗1034を負荷1026と並列に結合させ、それにより、変調信号が第2の信号状態にあるときの共振回路1006のインピーダンスに対して、共振回路1006に寄与されるインピーダンスを低減させる。
【0037】
図示の例では、変調回路1024は負荷1026と並列に結合されている。他の例では、変調回路1024は、電力変換回路1022内の受信インダクタ1028と並列に結合されてもよい。
【0038】
図示の例では、スイッチングトランジスタ1032は通常オフであり、スイッチングトランジスタ1032をオンにして共振回路1006のインピーダンスを低下させることにより変調が達成される。他の例では、スイッチングトランジスタ1032は通常オンであり、スイッチングトランジスタ1032をオンにして共振回路1006のインピーダンスを増加させることにより変調が達成される。
【0039】
ワイヤレス電力トランスミッタ1000は、ワイヤレス電力レシーバ1020によって送信された変調信号を検出するように構成されてもよい。変調信号は、タンク電圧1012で検出されてもよいし、送信インダクタ1016を流れる電流で検出されてもよい。いくつかの例では、変調信号はASK変調を用いて符号化される。いくつかの例では、タンク電圧1012を変調するのに使用される変調信号は、パルス幅変調を使用して符号化されてもよい。
【0040】
特定の例では、測定回路1008は、共振回路1006のLCノード1018におけるタンク電圧1012を示す測定信号1014を得るように、またはLCノード1018を通る電流の流れを示す測定信号1014を得るように構成され得る。測定回路1008は、共振回路1006のQファクタの計算または推定を含む様々な計算をサポートするように提供または構成され得る。測定回路1008は、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)、フィルタ、増幅器、減衰器、比較器、カウンタなどを含み得る。測定回路1008は、受信したデータ信号1014を復調回路1010に供給することができる。受信したデータ信号1014は、タンク電圧1012の成分である変調信号を表すものであり得る。復調回路は、受信したデータ信号1014から情報を復号し、データ、制御またはステータス情報を処理回路1002に提供する。
【0041】
図11は、
図10に示すワイヤレス電力トランスミッタ1000における復調の特定の態様を示すグラフ1100である。第1の曲線1102は、充電動作中のタンク電圧1012を表す。電力供給が開始されると、タンク電圧1012はピーク電圧レベルまで上昇する。ピーク電圧レベルは、包絡線電圧レベル1104、直流(DC)電圧レベル、および/またはピークDCレベルを表すか称される。ある時点1110で、ワイヤレス電力レシーバ1020はタンク電圧1012の変調を開始する。変調の効果により、変調信号に応じてタンク電圧1012が増減し得る。変調信号は、図示の例ではASKエンベロープ1106内で送信され、ここでASKエンベロープ1106はエンベロープ電圧レベル1104に重畳され、エンベロープ電圧レベル1104からの変調信号に起因する変動(excursions)の振幅を呈する。
【0042】
いくつかのワイヤレス充電システムでは、測定回路1008は、ASKエンベロープ1106内の電圧レベルに加えて、エンベロープ電圧レベル1104を測定するように構成される。測定回路1008は、ADC回路を使用してタンク電圧1012のサンプルを取得し、サンプルの電圧レベルを測定して電圧レベルのデジタル表現を提供することができる。プロセッサは、ADC出力のデジタル処理によって、エンベロープ電圧レベル1104からASKの変動を分離することができる。
【0043】
特定の実装例では、ADC回路の入力は電圧範囲が限られており、例えば最大振幅が1~2ボルトの入力信号を扱うことができる。エンベロープ電圧レベル1104は、1~2ボルトよりかなり高くあってよく、場合によっては100ボルトまで及ぶ。したがって、測定回路1008は、エンベロープ電圧レベル1104をADCによって感知され得るより低い電圧レベル1114にスケーリングしてもよい。第2の曲線1112は減衰したタンク電圧1012を表し、対応する減衰したASKエンベロープ1116が重畳されている。ASK変調は、エンベロープ電圧レベル1104の0.5%~2%の振幅またはスイングを有するASKエンベロープ1106をもたらし得る。100ボルトのエンベロープ電圧レベル1104と500mV~2VのASK変調の例では、エンベロープ電圧レベル1104を減衰させるのに必要なダウンスケール係数50により、10mV~40mVの振幅またはスイングを持つ減衰されたASKエンベロープ1116が得られる。減衰されたASKエンベロープ1116の10mVから40mVの範囲は、ADCの入力における信号対雑音比(SNR)を劣化させる可能性があり、ADCは、減衰された変調信号の振幅をカバーするためにADCの偏向の数ビットまたは増分以上を提供するには感度が不十分である可能性がある。場合によっては、測定回路1008が減衰した変調信号の振幅の小さな変動を検出できず、ADCの出力の量子化誤差によって復調器が変調信号から誤った情報を生成することがある。
【0044】
本開示の特定の態様は、測定信号が測定回路によってサポートされる電圧範囲内に収まるように減衰される場合を含め、タンク電圧1012を表す測定信号から導出されるASK変調信号の振幅を最大化することができる測定回路および復調回路を提供する。一例では、エンベロープ電圧レベル1104を表す低周波信号は、ASKエンベロープ1106から抽出された高周波ASK変調信号から分離される。低周波信号と高周波信号は、測定回路への入力を生成する混合信号技術を使用して個別に減衰または増幅され、ASK変調信号の電圧状態が最適化されたビット数または多数のビット数によってADC出力で区別可能になる。一態様では、低周波信号が減衰している間、ASK変調信号の高いSNRが維持され、ASK変調信号の正確な復調が可能になる。
【0045】
図12は、本開示の特定の態様に従って構成されるワイヤレス電力トランスミッタ1200を示す図である。ワイヤレス電力トランスミッタ1200は、ドライバ回路1204を制御し、ASK復調器1212の出力を受信する処理回路1202を含む。ドライバ回路1004は、少なくとも1つの送信インダクタ1214を含む共振回路1206に充電電流1218を供給する。タンク電圧信号1216は、送信インダクタ1214にまたがって測定された電圧を表し、送信インダクタ1214を流れる電流と共振回路1206または送信インダクタ1214のインピーダンスとの積を表し得る。いくつかの実施例では、タンク電圧信号1216は、共振回路1206に含まれる、または測定目的のためにドライバ回路1204と共振回路1206の間にある小さな抵抗にまたがって測定された電圧を表す。
【0046】
ワイヤレス電力トランスミッタ1200は、タンク電圧信号1216の変調信号を検出するように構成され得る。一例として、変調信号はASK変調またはパルス幅変調を用いて符号化される。本開示の特定の態様によれば、可変減衰回路1208は、ピークエンベロープ電圧レベル1104と、ASKエンベロープ1106に関連する電圧の変動を表す変調信号に様々なレベルの減衰を適用するために使用される。
【0047】
本開示の一態様では、異なる周波数または異なる周波数帯域の信号に、異なる減衰を適用してもよい。
図13に示される例1300では、高周波成分を含む減衰されていない変調信号が、ハイパスフィルタまたはバンドパスフィルタを用いてタンク電圧信号1216から抽出され得る。変調信号はASKエンベロープ1308内伝送される。タンク電圧信号1216の低周波成分は、変調信号に影響を与えることなく減衰させることができる。場合によっては、タンク電圧信号1216は、変調信号の抽出後に整流または平均化されてもよい。いくつかの例では、ローパスフィルタを使用して、タンク電圧信号1216と同等のDC電圧レベルを表すDC信号を整流、平均化、またはその他の方法で生成することができる。DC信号は、ローパスフィルタ処理の前、最中、または後に減衰させることができる。減衰タンク信号1220は、ASKエンベロープ1308に対応する高周波成分を減衰DC信号と組み合わせることによって得ることができる。減衰されたタンク信号1220は、受電デバイスによって生成された高周波数変調信号に対応する、重畳された非減衰ASKエンベロープ成分1304を有するタンク電圧信号1216の減衰されフィルタリングされたバージョンを描写する曲線1302で表すことができる。DC信号を得るために適用される減衰のレベルは、タンク電圧の測定に使用されるADCか復調器に含まれるADCの入力仕様に基づいて定義または構成される平均電圧レベル1306を得るために選択され得る。
【0048】
図示の例1300では、ASKエンベロープ1308の変調信号がDC信号と組み合わされ、組み合わされた信号がADC回路に供給され得る。ADC回路の出力は、処理回路、デジタル信号プロセッサ、または他の適切な処理装置によって処理することができる。いくつかの実装例では、ASKエンベロープ1308は、DC信号と再結合することなく、復調回路に直接供給される。いくつかの実装例では、ASKエンベロープ1308は、復調回路で使用されるADCでキャプチャするために最適化されたDC電圧レベルにオフセットされる。
【0049】
特定の例では、可変減衰回路1208は、ピークエンベロープ電圧レベル1104を表す信号(ピークエンベロープ信号)からASKエンコード信号を分離し、分離された信号に異なる減衰係数を適用することができる。別の例では、可変減衰回路1208は、ASKエンコード信号がピークエンベロープ信号をスケーリングするために使用される減衰回路をバイパスできるようにしてもよい。いくつかの例では、ASKエンコード信号とピークエンベロープ信号に対して、それぞれの予想、観測、または測定された電圧レベルに基づいて、異なる自動可変減衰または増幅を適用することができる。
【0050】
ワイヤレス電力トランスミッタ1200は、減衰タンク信号1220から取得されたサンプルの電圧レベルを示す受信データ信号1222を生成する測定回路1210を含み得る。受信データ信号1222は、変調された信号を表し、ASK復調器1212に提供することができ、ASK復調器1212は、受信データ信号1222から情報を復号し、データ、制御またはステータス情報を処理回路1202に提供するように構成され得る。
【0051】
図14は、本開示の特定の態様に従って構成された可変減衰回路1400の一例を示す図である。可変減衰回路1400の一実装例の回路
図1420も提供されている。図示の例では、タンク電圧を表す変調信号1402は、ピークエンベロープ電圧を特定定して保持し得るピーク検出器1404に供給される。ピーク検出器1404の出力は、減衰器1406とハイパスフィルタ1408に供給される。減衰器1406は、ピークエンベロープ電圧レベルを所望のレベル範囲内に低減するように構成され得る。一例では、所望のレベル範囲は、ADC回路の入力に関連する電圧制限との整合性を考慮して選択される。いくつかの例では、減衰器1406は調整可能であってもよく、測定されたピーク電圧レベルに基づいて設定され得る。ハイパスフィルタ1408は、DCレベルや電力伝送に使用される周波数を含む低周波数信号を遮断するように構成され得る。ハイパスフィルタ1408は、変調信号に特徴的な周波数を含む周波数範囲の信号を通過させるように構成されてもよい。
【0052】
減衰器1406とハイパスフィルタ1408の出力は、ミキサ1410を使用して加算結合することができる。一例では、ミキサ1410の出力1414は、
図13に示す曲線1302で表すことができる。いくつかの実装例では、スケーリングされた出力1416は、予想される変調関連周波数よりも高い周波数をミキサ1410の出力1414から除去するためにローパスフィルタ1412を使用して提供される。
【0053】
図15は、充電中のデバイスと通信する方法の一例を示すフローチャート1500である。この方法は、マルチ充電セル、マルチデバイスワイヤレス充電器のコントローラによって実行することができる。ブロック1502において、コントローラは、充電動作中のワイヤレス充電装置の伝送コイルにおける電圧を表す測定信号から高周波成分を抽出することができる。ブロック1504において、コントローラは、測定信号を減衰させて、減衰測定信号を得ることができる。ブロック1506において、コントローラは、高周波成分を表す信号を減衰測定信号と混合して、スケーリングされた測定信号を得ることができる。ブロック1508において、コントローラは、スケーリングされた測定信号を復調して、充電動作に関連する1つ以上のメッセージを取得することができる。
【0054】
いくつかの例では、高周波成分を表す信号を減衰信号と混合することは、高周波成分を減衰させて減衰した高周波成分を表す信号を得ることを含む。
【0055】
様々な例において、コントローラは、スケーリングされた測定信号をADCに供給し、ADCによって供給された一連のデジタル値から1または複数のメッセージを復号することができる。一連のデジタル値は、一定期間にわたってスケーリングされた測定信号の電圧サンプルを表すことができる。
【0056】
いくつかの例では、コントローラは、スケーリングされた測定信号をローパスフィルタ処理することによって、スケーリングされた測定信号をADCに供給してもよい。
【0057】
特定の例では、コントローラは、ハイパスフィルタを使用して、測定信号から高周波成分を抽出してもよい。
【0058】
いくつかの例では、高周波成分はASK変調信号に対応する。ASK変調信号は、充電動作に参加しているワイヤレス受電デバイスから受信され得る。
【0059】
処理回路の例
図16は、バッテリをワイヤレス充電することを可能にするワイヤレス充電装置または受電デバイスに組み込むことができる装置1600のハードウェア実装の一例を示す図である。いくつかの例では、装置1600が、本明細書に開示の1以上の機能を実行することができる。本開示の様々な態様によれば、本明細書に開示の要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せを、処理回路1602を用いて実装することができる。処理回路1602は、ハードウェアモジュールおよびソフトウェアモジュールのある組合せによって制御される1以上のプロセッサ1604を含むことができる。プロセッサ1604の例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、SoC、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、シーケンサ、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。1以上のプロセッサ1604は、特定の機能を実行する専用のプロセッサを含むことができ、ソフトウェアモジュール1616の1つによって構成、増強または制御され得る。1以上のプロセッサ1604は、初期化中にロードされるソフトウェアモジュール1616の組合せを通じて構成されてもよく、動作中に1以上のソフトウェアモジュール1616をロードまたはアンロードすることによってさらに構成されてもよい。
【0060】
図示の例では、処理回路1602が、概してバス1610で示されるバスアーキテクチャで実装され得る。バス1610は、処理回路1602の特定の用途および全体的な設計上の制約に応じて、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含むことができる。バス1610は、1以上のプロセッサ1604およびストレージ1606を含む様々な回路をリンクする。ストレージ1606は、メモリデバイスおよび大容量ストレージデバイスを含むことができ、本明細書では、コンピュータ可読媒体および/またはプロセッサ可読媒体とも呼ばれる。ストレージ1606は、一時的な記憶媒体および/または非一時的な記憶媒体を含むことができる。
【0061】
バス1610は、タイミングソース、タイマ、周辺機器、電圧レギュレータおよび電源管理回路などの様々な他の回路をリンクしてもよい。バスインターフェース1608は、バス1610と1以上のトランシーバ1612との間のインターフェースを提供することができる。一例では、標準規定プロトコルに従って、装置1600が充電装置または受電デバイスと通信できるようにするために、トランシーバ1612を設けることができる。また、装置1600の性質に応じて、ユーザインターフェース1618(例えば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイク、ジョイスティック)が提供されてもよく、バス1610に直接またはバスインターフェース1608を介して通信可能に結合することができる。
【0062】
プロセッサ1604は、バス1610の管理と、ストレージ1606を含むコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアの実行を含む全体的な処理とを担うことができる。この点において、プロセッサ1604を含む処理回路1602は、本明細書に開示の方法、機能および技術のいずれかを実装するために使用することができる。ストレージ1606は、ソフトウェアの実行時にプロセッサ1604によって操作されるデータを格納するために使用することができ、ソフトウェアは、本明細書に開示の方法のいずれか一つを実行するように構成することができる。
【0063】
処理回路1602の1以上のプロセッサ1604は、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかに拘わらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、関数、アルゴリズムなどを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、コンピュータ可読形式でストレージ1606に存在するようにしても、外部のコンピュータ可読媒体に存在するようにしてもよい。外部のコンピュータ可読媒体および/またはストレージ1606は、非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、「フラッシュドライブ」、カード、スティック、キードライブ)、RAM、ROM、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、EEPROMを含む消去可能PROM(EPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を格納するための他の任意の適切な媒体を含むことができる。また、コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1606は、例えば、搬送波、伝送線、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を伝送するための他の任意の適切な媒体も含むことができる。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1606は、処理回路1602に存在していても、プロセッサ1604に存在していても、処理回路1602の外部にあっても、処理回路1602を含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1606は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0064】
ストレージ1606は、本明細書でソフトウェアモジュール1616とも呼ばれる、ロード可能なコードセグメント、モジュール、アプリケーション、プログラムなどのソフトウェアを維持および/または編成することができる。ソフトウェアモジュール1616の各々は、処理回路1602にインストールまたはロードされて、1以上のプロセッサ1604によって実行されると、1以上のプロセッサ1604の動作を制御するランタイムイメージ1614に寄与する命令およびデータを含むことができる。特定の命令は、実行されると、処理回路1602に、本明細書に記載の特定の方法、アルゴリズムおよびプロセスに従って機能を実行させることができる。
【0065】
ソフトウェアモジュール1616のいくつかは、処理回路1602の初期化中にロードされるものであってもよく、これらのソフトウェアモジュール1616は、本明細書に開示の様々な機能の実行を可能にするように処理回路1602を構成することができる。例えば、いくつかのソフトウェアモジュール1616は、プロセッサ1604の内部デバイスおよび/または論理回路1622を構成することができ、トランシーバ1612、バスインターフェース1608、ユーザインターフェース1618、タイマ、数値演算コプロセッサなどの外部デバイスへのアクセスを管理することができる。ソフトウェアモジュール1616は、割り込みハンドラおよびデバイスドライバと相互作用し、処理回路1602が提供する様々なリソースへのアクセスを制御する制御プログラムおよび/またはオペレーティングシステムを含むことができる。リソースは、メモリ、処理時間、トランシーバ1612へのアクセス、ユーザインターフェース1618などを含むことができる。
【0066】
処理回路1602の1以上のプロセッサ1604は多機能であり、それによってソフトウェアモジュール1616のいくつかがロードされ、異なる機能または同じ機能の異なるインスタンスを実行するように構成される。さらに、1以上のプロセッサ1604は、例えばユーザインターフェース1618、トランシーバ1612およびデバイスドライバからの入力に応答して開始されるバックグラウンドタスクを管理するように適合されてもよい。複数の機能の実行をサポートするために、1以上のプロセッサ1604は、マルチタスク環境を提供するように構成されてもよく、それによって複数の機能の各々が、必要に応じて1以上のプロセッサ1604によって提供されるタスクのセットとして実装される。一例では、マルチタスク環境は、異なるタスク間でプロセッサ1604の制御を引き渡すタイムシェアリングプログラム1620を使用して実装されてもよく、それによって各タスクは、未処理の動作の完了時および/または割り込みなどの入力に応答して、1以上のプロセッサ1604の制御をタイムシェアリングプログラム1620に戻す。タスクが1以上のプロセッサ1604の制御を有する場合、処理回路は、制御タスクに関連する機能によって対処される目的のために効果的に特化される。タイムシェアリングプログラム1620は、オペレーティングシステム、ラウンドロビン方式で制御を転送するメインループ、機能の優先順位に従って1以上のプロセッサ1604の制御を割り当てる機能、および/または、1以上のプロセッサ1604の制御を処理機能に提供することによって外部イベントに応答する割込み作動メインループを含むことができる。
【0067】
一実施例では、装置1600は、充電回路に結合されたバッテリ充電電源と、ワイヤレス充電装置の表面に設けられた複数の充電セルと、1つ以上のプロセッサ1604を含み得るコントローラまたは処理回路と、を有するワイヤレス充電装置として動作するかこれを含む。複数の充電セルは、充電面として機能する面に隣接して構成または配置され得る。少なくとも1つのコイルが、各充電セルの電荷伝送領域を通して電磁場を導くように構成され得る。
【0068】
本開示の特定の態様によれば、装置1600は、タンク電圧を変調することによって受電デバイスによって送信される情報の復号化を改善するように適合された電力トランスミッタであり得る。装置1600は、充電動作中の複数の充電セルのうちの1つの伝送コイルにおける電圧を表す測定信号から高周波成分を抽出するように構成されたハイパスフィルタと、測定信号を減衰させて減衰測定信号を提供するように構成された第1の減衰器と、前記高周波成分を表す信号を前記減衰測定信号に加算してスケーリングされた測定信号を得るように構成されたミキサと、前記スケーリングされた測定信号から充電動作に関連する1または複数のメッセージを復号化するように構成された復調器とを含み得る。
【0069】
いくつかの例では、装置1600は、高周波成分を減衰させ、前記高周波成分を表す信号を供給するように構成された第2の減衰器を含む。
【0070】
様々な実施例において、装置1600は、前記スケーリングされた測定信号を受信し、一定期間にわたるスケーリングされた測定信号の電圧サンプルを表す一連のデジタル値を提供するように構成されたADC回路を含む。前記復調器は、一連のデジタル値から1以上のメッセージをデコードするように構成され得る。装置1600は、ミキサの出力をフィルタリングし、スケーリングされた測定信号を提供するように構成されたローパスフィルタを含み得る。
【0071】
特定の例では、前記高周波成分は振幅シフトキー変調信号に対応する。前記高周波成分には、個々の周波数、高調波、または周波数帯が含まれる。振幅シフトキー変調された信号は、充電操作に参加しているワイヤレス受電デバイスから受信される。
【0072】
別の実施例では、ストレージ1606が、1つまたは複数のプロセッサ1604に、充電動作中のワイヤレス充電装置の伝送コイルにおける電圧を表す測定信号から高周波成分を抽出し、当該測定信号を減衰させて減衰測定信号を取得し、前記高周波成分を表す信号を減衰測定信号と混合してスケーリングされた測定信号を取得し、前記スケーリングされた測定信号を復調して充電動作に関連する1または複数のメッセージを得るように構成された命令および情報を保持する。
【0073】
様々な実施例では、記憶媒体は、減衰した高周波成分を表す信号を得るために高周波成分を減衰させるコードを含む。
【0074】
いくつかの実施例では、記憶媒体は、前記スケーリングされた測定信号をADC回路に提供し、前記ADC回路によって提供された一連のデジタル値から1以上のメッセージを復号するためのコードを含む。前記一連のデジタル値は、一定期間にわたってスケーリングされた測定信号の電圧サンプルを表し得る。
【0075】
特定の実施例では、記憶媒体は、前記スケーリングされた測定信号をローパスフィルタ処理するためのコードを含む。
いくつかの例では、記憶媒体は、測定信号から高周波成分を抽出するためにハイパスフィルタを使用するためのコードを含む。
【0076】
様々な実施例において、前記高周波成分はASK変調信号に対応し得る。前記ASK変調信号は、充電動作に参加しているワイヤレス受電デバイスから受信され得る。
【0077】
いくつかの実装例を以下の番号の項目に記載する。
1.充電中のデバイスと通信する方法であって、充電動作中のワイヤレス充電装置の伝送コイルにおける電圧を表す測定信号から高周波成分を抽出する工程と、前記測定信号を減衰させて減衰測定信号を得る工程と、前記高周波成分を表す信号を前記減衰測定信号と混合してスケーリング測定信号を得る工程と、前記スケーリング測定信号を復調して充電動作に関連する1以上のメッセージを得る工程とを含む方法。
【0078】
2.前記高周波成分を表す信号を得るために前記高周波成分を減衰させる工程をさらに含む、項目1に記載の方法。
【0079】
3.前記スケーリングされた測定信号をアナログ/デジタル変換器に供給する工程と、前記アナログ/デジタル変換器によって供給される一連のデジタル値から1以上のメッセージを復号する工程であって、前記一連のデジタル値は、一定期間にわたる前記スケーリングされた測定信号の電圧サンプルを表す工程と、をさらに含む、項目1または項目2に記載の方法。
【0080】
4.前記スケーリングされた測定信号をアナログ/デジタル変換器に供給する工程が、前記スケーリングされた測定信号をローパスフィルタ処理する工程を含む、項目3に記載の方法。
【0081】
5.前記測定信号から高周波成分を抽出するためにハイパスフィルタを使用する工程をさらに含む、項目1~4のいずれかに記載の方法。
【0082】
6.前記高周波成分が振幅シフトキー変調信号に対応する、項目1~5のいずれかに記載の方法。
【0083】
7.振幅シフトキー変調された信号が、充電動作に参加しているワイヤレス受電デバイスから受信される、項目6に記載の方法。
【0084】
8.ワイヤレス充電装置であって、ワイヤレス充電デバイスの表面に設けられた複数の充電セルと、充電動作中の複数の充電セルのうちの1つの伝送コイルにおける電圧を表す測定信号から高周波成分を抽出するように構成されたハイパスフィルタと、前記測定信号を減衰させて減衰測定信号を提供するように構成された第1の減衰器と、前記高周波成分を表す信号を前記減衰測定信号に加算してスケーリングされた測定信号を得るように構成されたミキサと、前記スケーリングされた測定信号から充電動作に関連する1または複数のメッセージを復号化するように構成された復調器とを含む、ワイヤレス充電装置。
【0085】
9.さらに、前記高周波成分を減衰させ、前記高周波成分を表す信号を供給するように構成された第2の減衰器を具える、項目8に記載のワイヤレス充電装置。
【0086】
10.さらに、前記スケーリングされた測定信号を受信し、一定期間にわたる前記スケーリングされた測定信号の電圧サンプルを表す一連のデジタル値を提供するように構成されたアナログ/デジタル変換器を具え、前記復調器は、前記一連のデジタル値から1または複数のメッセージを復号するように構成されている、項目8または項目9に記載のワイヤレス充電装置。
【0087】
11.さらに、前記ミキサの出力をフィルタリングし、前記スケーリングされた測定信号を提供するように構成されたローパスフィルタを具える、項目10に記載のワイヤレス充電装置。
【0088】
12.前記高周波成分は、振幅シフトキー変調信号に対応する、項目8~11のいずれかに記載のワイヤレス充電装置。
【0089】
13.前記振幅シフトキー変調信号は、充電動作に参加しているワイヤレス受電デバイスから受信される、項目12に記載のワイヤレス充電装置。
【0090】
14.プロセッサ可読記憶媒体であって、充電動作中のワイヤレス充電装置の伝送コイルにおける電圧を表す測定信号から高周波成分を抽出する工程と、前記測定信号を減衰させて減衰測定信号を得る工程と、前記高周波成分を表す信号を前記減衰測定信号と混合してスケーリング測定信号を得る工程と、前記スケーリング測定信号を復調して充電動作に関連する1以上のメッセージを得る工程と、を実行させるコードを含む、プロセッサ可読記憶媒体。
【0091】
15.さらに、前記高周波成分を表す信号を得るために前記高周波成分を減衰させるコードをさらに含む、項目14に記載の記憶媒体。
【0092】
16.さらに、前記スケーリングされた測定信号をアナログ/デジタル変換器に供給する工程と、前記アナログ/デジタル変換器によって供給される一連のデジタル値から14以上のメッセージを復号する工程であって、前記一連のデジタル値は、一定期間にわたる前記スケーリングされた測定信号の電圧サンプルを表す工程と、を実行させるコードを含む、項目14または15に記載の記憶媒体。
【0093】
17.さらに、前記スケーリングされた測定信号をローパスフィルタ処理させるコードをさらに含む、項目14~16のいずれかに記載の記憶媒体。
【0094】
18.前記測定信号から高周波成分を抽出するためにハイパスフィルタを使用させるコードをさらに含む、項目14~17のいずれかに記載の記憶媒体。
【0095】
19.前記高周波成分は、振幅シフトキー変調信号に対応する、項目14~18のいずれかに記載の記憶媒体。
【0096】
20.前記振幅シフトキー変調信号は、充電動作に参加しているワイヤレス受電デバイスから受信される、項目19に記載の記憶媒体。
【0097】
上述した説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施できるようにするために提供されたものである。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、本明細書で規定される一般的な原理は、他の態様に適用することができる。このため、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、請求項の文言と一致する全範囲が認められるものであり、単数形の要素への言及は、特に明記がなければ、「唯一の」を意味するものではなく、「1以上」を意味するものとする。特に明記されていない限り、「いくつか」という用語は1以上を指している。当業者に知られている、または後に当業者に知られるようになる、本開示を通して説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的均等物は、引用により本明細書に明示的に援用されるとともに、特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図していない。クレームの要素は、その要素が「means for」という語句で明示的に記載されているか、方法クレームの場合には「step for」という語句で記載されていなければ、35U.S.C.§112、第6章の規定に基づいて解釈されるべきではない。
【国際調査報告】