(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】生体組織を安全にセクショニングするための装置
(51)【国際特許分類】
A61B 18/20 20060101AFI20240409BHJP
A61B 17/56 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A61B18/20
A61B17/56
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023568583
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 ES2021070319
(87)【国際公開番号】W WO2022234161
(87)【国際公開日】2022-11-10
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523419738
【氏名又は名称】デネブ、メディカル、ソシエダッド、リミターダ
【氏名又は名称原語表記】DENEB MEDICAL, S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】ノエ、オルテガ、キハノ
(72)【発明者】
【氏名】オリベル、ルビオ、サモラ
(72)【発明者】
【氏名】ハビエル、ラグアルディア、アライサ
(72)【発明者】
【氏名】フアン、アルレギ、アルトゥナ
(72)【発明者】
【氏名】パブロ、サクリスタン、ゴンサレス
【テーマコード(参考)】
4C026
4C160
【Fターム(参考)】
4C026AA02
4C026BB07
4C026DD02
4C026DD03
4C026DD06
4C026DD08
4C026HH04
4C026HH15
4C026HH24
4C160LL04
4C160LL24
(57)【要約】
本発明は、外科的介入中に生体組織をセクショニングするための装置および当該装置の使用に関する。詳細には、セクショニングは、その作動速度に不利益を与えることなく、レーザによって安全に実施される。本装置は、安全対策を講じるために、レーザに関する情報、組織に関する情報、およびユーザに関する情報を組み合わせる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織セクショニング装置であって、
生体組織を領域(R)内でセクショニングするように適合されたレーザエミッタ(1)と、
前記レーザエミッタ(1)を起動および停止させるように適合された、前記レーザエミッタ(1)と通信するコントローラ(2)と、
動作モードにおいて前記領域(R)の組織の表面(S)を決定するように適合された光学モジュール(3)と、
前記コントローラ(2)および前記光学モジュール(3)と通信する中央処理装置(5)であって、
前記レーザエミッタ(1)の予め確立されたセクショニング深さ(d)を定義し、
少なくとも1つの基準面(RS)を定義し、
前記領域(R)の前記組織の前記表面(S)の形状と、
その下でのセクショニングが禁止される前記少なくとも1つの基準面(RS)の形状と、
前記レーザエミッタ(1)が配向されるレーザビームの方向と、
を少なくとも含む前記領域(R)の数値モデル(NM)を生成し、
前記数値モデル(NM)において、前記レーザビームを表す直線の点に対応し、同じ前記直線と前記組織の前記表面(S)との交点から前記セクショニング深さ(d)に等しい距離だけ離間した位置が、セクショニングが禁止されている前記領域(R)の前記組織の部分のいずれかである禁止領域の外側に位置する場合、前記レーザエミッタ(1)を起動する、
ように適合された中央処理装置(5)と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記中央処理装置(5)が、前記数値モデル(NM)において、前記直線と前記組織の前記表面(S)との前記交点と、前記交点に前記セクショニング深さ(d)に等しい距離を加えたものと、の間に位置する前記レーザビームを表す前記直線の前記点の前記位置の少なくとも1つが、禁止領域の少なくとも1つの点の位置と一致する場合、前記レーザエミッタ(1)を停止するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中央処理装置(5)が、前記数値モデル(NM)において、前記レーザビームを表す前記直線の前記点の前記位置のいずれも前記組織の前記表面(S)の点の位置と一致しない場合、前記レーザエミッタ(1)を停止するようにさらに構成される、請求項1から2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの基準面(RS)が、
前記領域(R)の前記組織の端部を画定する境界面、または
前記光学モジュール(3)によって決定された前記表面の前記領域(R)の前記組織に対して異なる組織であって、前記異なる組織が前記領域(R)の前記組織よりも深いところに位置する、異なる組織の開始部を画定する境界面、または
前記光学モジュール(3)によって決定された前記表面の前記領域(R)の前記組織に対して異なる組織であって、前記異なる組織が前記領域(R)の前記組織よりも深いところに位置する、異なる組織の端部を画定する境界面、または
前述のいずれかの組み合わせである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの基準面(RS)が、前記レーザエミッタ(1)の焦点面および/または前記光学モジュール(3)の焦点面に本質的に平行な平坦面である、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの基準面(RS)が、前記組織の表面(S)から決定される最大深さを有する前記表面である、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの基準面(RS)が、
請求項4に記載の少なくとも1つの境界面、および/または
レーザエミッタ(1)の焦点面および/または前記光学モジュール(3)の焦点面に本質的に平行な平坦面、および/または
前記組織の前記表面(S)から決定される最大深さを有する表面である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記中央処理装置(5)が、安全マージンを有して前記少なくとも1つの基準面(RS)を定義する、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記光学モジュール(3)が、光干渉断層撮影OCTシステムを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記光干渉断層撮影システムが、偏光感受性光干渉断層撮影PS-OCTシステムである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記光学モジュール(3)が、
構造化光タイプ、または
ステレオペアタイプ、または
光音響断層撮影タイプ
のシステムを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記レーザエミッタ(1)が、前記領域(R)の異なる点にビームを向けるように前記ビームの方向を変更することを可能にするスキャナを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記光学モジュール(3)が、光源および前記領域(R)の異なる点に光源を向けるように前記光源の方向を変更することを可能にするスキャナを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記中央処理装置(5)が、前記少なくとも1つの基準面(RS)に到達するまで、前記領域(R)にわたって前記レーザエミッタ(1)によって放射された前記レーザビームの連続走査を実行するように適合される、請求項12から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記中央処理装置(5)が、前記領域(R)にわたって前記光学モジュール(3)の前記光源の連続走査を実行するように適合される、請求項13から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記レーザエミッタ(1)によって確立された前記走査の制御および前記光学モジュール(3)によって確立された前記走査が独立している、請求項13から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記領域(R)にわたる前記光学モジュール(3)の前記光源の前記走査が、
予め確立された期間が経過した後、
前記中央処理装置(5)による前記レーザエミッタ(1)の起動または停止の前、
から選択される陳腐化基準が満たされると、実施される、請求項15および請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記中央処理装置(5)によって生成された前記数値モデル(NM)において、前記少なくとも1つの平坦面が、前記レーザエミッタ(1)のレーザの作用の結果として前記組織の前記表面(S)が前記平坦面の深さまで下降すると、前記少なくとも1つの平坦面がより深い深さに変化するように、前記レーザエミッタ(1)の前記焦点面および/または前記光学モジュール(3)の前記焦点面に対して複数の深さレベルで徐々に確立される、請求項14から17および請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記中央処理装置(5)が、前記数値モデル(NM)に割り当てられる少なくとも1つの基準面(RS)の定義を入力するための入力手段を備える、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの基準面(RS)が、術前画像によって、好ましくは磁気共鳴画像、コンピュータ断層撮影画像、または蛍光透視画像によって決定される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
術前画像によって決定される前記少なくとも1つの基準面(RS)が、前記領域(R)の骨組織の端部を画定する境界面である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記中央処理装置(5)が、回避されるべき領域(RA)の定義を入力する入力手段を備え、その形状が、前記数値モデル(NM)に割り当てられ、
前記中央処理装置(5)が、前記数値モデル(NM)において、前記直線と前記組織の前記表面(S)との交点と、前記交点に前記セクショニング深さ(d)に等しい距離を加えたものと、の間に位置する前記レーザビームを表す前記直線の前記点の位置の少なくとも1つが、前記回避されるべき領域(RA)の少なくとも1つの点の位置と一致する場合、前記レーザエミッタ(1)を停止するようにさらに構成される、
請求項1から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
手術野表示手段、好ましくはRGBビデオ画像を示すスクリーンを備える、請求項1から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記手術野表示手段が、前記組織の前記表面(S)の各点から前記少なくとも1つの基準面(RS)までの距離に関する情報をさらに示す、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記中央処理装置(5)が、前記レーザエミッタ(1)が前記領域(R)の点のセットを走査する間のセクショニングプロセス中に、前記一連の点が前記レーザエミッタ(1)の放射が妨げられる点に達するたびに、前記レーザエミッタが、前記レーザビームの放射を停止することなく放射が許可される次の点に位置付けられるようにさらに構成される、請求項12から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記中央処理装置(5)が、特定のパターンを有する前記領域(R)の点のセット内の温度レベルを表すスカラー(X)を表す関数を定義するようにさらに構成され、
前記関数が最初に予め確立された基準値をとり、
前記レーザエミッタ(1)がパターンの点に衝突するたびに、前記関数がその点で第1の予め確立された増分値(deltaX)だけ増加され、
前記すべての点の値が、予め確立された期間ごとに、第2の予め確立された増分値だけ低減され、
前記パターンの各点について、各点が予め確立された閾値(Xth)を超える場合、前記点が、前記閾値(Xth)を超えたままである限りセクショニングが許容されない点として前記数値モデル(NM)に割り当てられる、
請求項1から25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記中央処理装置(5)が、前記レーザエミッタ(1)が前記領域(R)の点のセットを走査する間のセクショニングプロセス中に、セクショニング深さが他のものよりも浅い点が、前記セクショニング深さを補償するように走査シーケンスにおいて優先されるようにさらに構成される、請求項12から26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記中央処理装置(5)が、前記少なくとも1つの基準面(RS)の前記安全マージンの前記定義を入力するための入力手段を備える、請求項1から27のいずれか一項および請求項8に記載の装置。
【請求項29】
前記中央処理装置(5)が、動作しているときに前記レーザエミッタ(1)の放射を停止するように適合された前記レーザエミッタ(1)の放射を停止するための手段を備える、請求項1から28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記装置が、動作モードにおいて、前記レーザエミッタ(1)が作用する生体組織の領域(R)を含む前記領域内で、気体、または液体、または気体中の液体粒子を有するミストの流れを提供するように適合された流体管理ユニットをさらに備える、請求項1から29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
低侵襲ロボット支援外科処置における請求項1から30のいずれか一項に記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科的介入中に生体組織をセクショニング(sectioning)するための装置および当該装置の使用に関する。詳細には、セクショニングは、その作動速度に不利益を与えることなく、レーザによって安全に実施される。本装置は、安全対策を講じるために、レーザに関する情報、組織に関する情報、およびユーザに関する情報を組み合わせる。
【背景技術】
【0002】
外科用途では、レーザベースの装置は、外科用ブレード、ソー、ドリル、または圧電ツールなどの従来の機械的ツールに対して大きな利点を提示する。上記の利点の中でも、精度、任意の幾何学的形状でのセクショニング、振動の欠如、より良好な組織回復、および接触の欠如が目立つ。しかしながら、接触の欠如は、触覚フィードバックを失い、それによって深さに関してセクショニングの程度に対する制御を失うという欠点を有する。
【0003】
手術で従来使用されている機械的器具では、外科医はこの触覚フィードバックを受け取り、実施されるセクショニングの深さを常に制御することができる。したがって、機械的ツールの作動は常に空間的に制限され、その結果、該ツールは物理的に接触している部品のみを修正する。対照的に、レーザベースの装置では、レーザは直線的に伝播し、セクショニングを制限する接触および制御なしに組織に作用することができ、すなわち、レーザは作動点を有さず、むしろ作動方向を有する。したがって、外科用途のためのレーザセクショニングの安全性を保証することには明らかな問題がある。
【0004】
最新技術で提案されているこの問題に対するいくつかの解決策は、セクショニングされる組織の表面の測定に基づいて、レーザがどこまで進入できるかを推定しようとするものである。この種の解決策では、プロセスは、反復検証プロセスにおいて、組織の表面の測定を該組織のセクショニングにインターカレートすることによって実行される。これは、セクショニング手順の総持続時間に関して重大な欠点を有し、これらの解決策は実際の手術では実行不可能である。
【0005】
さらに、これらの解決策のいくつかでは、組織のセクショニングが単一の点で行われ、セクショニングは、端部に達するまで前述の位置で進行させられ、次のセクショニング位置への移動は、先行するセクショニング位置が完了したときにのみ行われる。これは、組織の表面の測定が、深くて狭い個々の穴において、または表面上に不規則なまたは角度のある形状が存在する場合に、極めて困難になり得るという欠点を有する。
【0006】
さらに、これらの解決策は、1つ以上の組織が良好にセクショニングされる最初の領域を画定(define)しないか、またはセクショニングされる組織の端部を全く画定しないか、またはほとんど正確さを伴わずに、または特定の特性(例えば、硬組織)を有する組織に対してのみ画定するため、組織セクショニングにおける安全性を保証しない別の一連の欠点を提示し、この場合、追加の画像処理技術を必要とするか、または非常に特定の手術への解決策の適用を制限する。組織セクショニングのための安全機構の定義(definition)
におけるこれらの制限は、不適切なセクショニング、したがって不満足な手術につながる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、請求項1に記載の生体組織セクショニング装置および請求項31に記載の装置の使用による前述の問題の解決策を提案する。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明の態様は、生体組織セクショニング装置であって、
生体組織を領域内でセクショニングするように適合されたレーザエミッタと、
レーザエミッタを起動および停止させるように適合された、レーザエミッタと通信するコントローラと、
動作モードにおいて領域の組織の表面を決定するように適合された光学モジュールと、
コントローラおよび光学モジュールと通信する中央処理装置であって、
レーザエミッタの予め確立されたセクショニング深さを定義(define)し、
少なくとも1つの基準面を定義し、
領域の組織の表面の形状と、
その下でのセクショニングが禁止される少なくとも1つの基準面の形状と、
レーザエミッタが配向されるレーザビームの方向と、を少なくとも含む領域の数値モデルを生成し、
数値モデルにおいて、レーザビームを表す直線の点に対応し、同じ直線と組織の表面との交点からセクショニング深さに等しい距離だけ離間した位置が、セクショニングが禁止されている領域の組織の部分のいずれかである、禁止領域の外側に位置する場合、レーザエミッタを起動する、ように適合された中央処理装置と、
を備える、装置。
【0009】
この第1の発明の態様は、手技の速度を含まずに、セクショニング中の安全性を保証することができる生体組織セクショニング装置を定義する。一例では、本発明による装置は、50~400秒の範囲で10×10×10立方ミリメートルの体積の生体骨組織をセクショニングする。
【0010】
このセクショニング装置は、レーザエミッタ、すなわちレーザビームまたは単にレーザを備え、それを起動または停止させるコントローラと通信する。好ましくは、このレーザエミッタは、2940ナノメートルの典型的な発光波長を有するEr:YAGタイプである。セクショニング中の安全性を保証するために、セクショニングされる組織の表面は既知でなければならず、そのためセクショニング装置は光学モジュールをさらに備える。該光学モジュールは、例えば、光干渉断層撮影システム、または構造化光、またはステレオペアを含む光学トポロジカル技術、または、例えば光音響断層撮影システムを含むハイブリッド技術に基づく。さらに、光学モジュールは、光学システムまたは光音響システムによって行われた測定に基づいて組織の表面の形状を識別することができる計算手段を備える。
【0011】
さらに、セクショニング装置は、コントローラおよび光学モジュールと通信する中央処理装置を備える。本明細書を通して、中央処理装置は、データを受信および送信することができ、ならびに該データを処理することができる装置を意味すると理解される。好ましい例では、中央処理装置はプロセッサまたはマイクロプロセッサである。
【0012】
一方で、この中央処理装置は、レーザエミッタの予め確立されたセクショニング深さを定義し、セクショニング深さは、レーザを定義する直線と生体組織との交点の位置から測定される、レーザがセクショニングを行うことができる深さを意味すると理解される。好ましくは、レーザエミッタのセクショニング深さは、50マイクロメートル~200マイクロメートルの範囲である。
【0013】
他方で、中央処理装置は、その下でのセクショニングが許容されない少なくとも1つの基準面を定義する。該1つまたは複数の基準面は、組織の端部の境界、組織の開始部の境界、予め確立された最大深さ、または予め確立された最大平坦レベルなどの異なる基準を考慮して定義される。さらに、該基準面は動的であり、すなわち、外科的介入全体を通して、新しい基準面を追加することができ、既存の基準面を修正および/または排除することができる。
【0014】
これらの基準面の形状、ならびに光学モジュールによって決定された組織の表面の形状は、中央処理装置によって生成された数値モデルにインポートされる。組織の表面などの測定装置によって取得された物理的実体に対応する表面、または例えばユーザによって定義することができる基準面などの仮想表面は、前述の数値モデルで表すことができる。さらに、該数値モデルは、レーザが配向されるレーザビームの方向を含む。数値モデルは、どの決定を行うことができるかに基づいて交点および/または条件を決定することを可能にする。好ましい例では、数値モデルは、レーザの表面および作動線に関連する領域および幾何学的実体を定義することを少なくとも可能にするデータ構造によって計算的に描写される。
【0015】
この数値モデルは、1つまたは複数の定義された基準面に基づく安全基準が満たされているかどうかに応じて、レーザを起動させなければならないかどうかを判定することを可能にする。数値モデルの結果として、同じ直線と組織の表面との交点からセクショニング深さに等しい距離だけ離間した、レーザビームを表す直線の点の位置が決定される。次いで、中央処理装置は、前述の位置が禁止領域に位置するかどうかを評価し、禁止領域は、セクショニングが禁止されている領域の組織の部分のいずれかを意味すると理解される。具体的には、禁止領域は、基準面のうちの1つの下に存在する組織領域である。
【0016】
これにより、レーザは、手術の対象ではない領域の組織または組織の一部をセクショニングすることが防止される。これらの安全対策は、特に神経、硬膜、または血管などの非標的組織が特に重要である場合に不可欠である。
【0017】
複数の基準面がある場合、これらの面を連帯的に考慮しなければならない、すなわち、レーザの起動および停止は、これらの表面のすべてに同時に依存することを指摘しておきたい。したがって、基準面のうちの1つがレーザ起動基準を満たさない場合、基準面の残りが該起動基準を満たしていても、中央処理装置はレーザを起動しない。
【0018】
したがって、第1の発明の態様の装置によって、中央処理装置は、禁止領域を省略し、領域の残りで遅延なくプロセスを継続することを可能にするレーザの起動を制御する。これにより、レーザは常に準備ができているが、処理が適用されなければならない領域にのみ作用することができる。
【0019】
セクショニングおよび光学モジュールによる測定の実行は、中央処理装置によって協調的および独立した方法で連続的に実施される。前述の装置は、光学モジュールから受け取った情報を更新して、セクショニング処置中に組織の表面を再び動的に決定する。
【0020】
したがって、本発明は、レーザおよび光学モジュールが同時に作用することを提案し、この特徴は、最新技術の教示に反する。レーザは、光学モジュールによって行われる測定を悪化させる組織に影響を与えるので、これまでの傾向は、その同時使用を防止することであった。例えば、レーザによるセクショニングは、光学モジュールの測定を変える煙、骨粉、振動、または火花の出現をもたらす。さらに、外科領域の冷却および洗浄を確実にする目的で、ミスト、灌注、ブローイング、吸引、またはこれらの動作の任意の組み合わせを連続的または周期的に適用することはまた、光学モジュールによって行われる測定に障害を引き起こす可能性がある。しかしながら、本発明の装置は、組織の表面を決定することのみを必要とし、該決定は、動作可能なセクショニングレーザならびに洗浄流体および冷却流体の存在下であっても堅調であり、したがって、光学モジュールの測定に関するレーザの作動によって引き起こされる変更の影響は、組織の表面の形状の堅調な識別を妨げず、有利には、処置の回数が大幅に低減される。
【0021】
一実施形態では、中央処理装置は、数値モデルにおいて、前述の直線と組織の表面との交点と該交点にセクショニング深さに等しい距離を加えたものとの間に位置するレーザビームを表す直線の点の位置の少なくとも1つが、禁止領域の少なくとも1つの点の位置と一致する場合、レーザエミッタを停止するようにさらに構成される。
【0022】
この実施形態では、中央処理装置は、数値モデルに従って、レーザビームを表す直線の点のセグメントの位置を推定し、該セグメントの点の少なくとも1つが禁止領域内にあるかどうかをチェックし、その場合、レーザを停止させる。そうでない場合、中央処理装置はレーザを起動する。
【0023】
このセグメントは、組織の表面を有するレーザビームを表す直線の交点と該交点にセクショニング深さに等しい距離とを加えたものとの間に位置する点とを含む。
【0024】
一実施形態では、中央処理装置は、数値モデルにおいて、レーザビームを表す直線の点の位置のいずれも組織の表面の点の位置と一致しない場合、レーザエミッタを停止するようにさらに構成される。
【0025】
安全のために、中央処理装置は、レーザが特定の位置で標的組織の表面と交差しない場合、該位置でレーザを停止する。例えば、レーザが誤って外科領域の外側に位置付けられた場合、起動されたときに標的組織に衝突することはなく、治療されるべきではない患者の他の組織を損傷するか、医療従事者に害を及ぼす可能性さえある。
【0026】
例えば、装置が事前にオンにされ、患者が手術台にまだ位置付けられていないため、または単に光学モジュールに故障が発生したため、光学モジュールが組織を検出しなかったという選択肢も、この実施形態では考えられる。このような状況下では、事故の発生を防止するためにレーザセクショニングを停止しなければならない。
【0027】
一実施形態では、少なくとも1つの基準面は、
領域の組織の端部を画定する境界面、または
その表面が光学モジュールによって決定された領域の組織に対して異なる組織であって、該異なる組織が領域の組織よりも深いところに位置する、異なる組織の開始部を画定する境界面、または
その表面が光学モジュールによって決定された領域の組織に対して異なる組織であって、該異なる組織が領域の組織よりも深いところに位置する、異なる組織の端部を画定する境界面、または
前述のいずれかの組み合わせである。
【0028】
上述したように、1つまたは複数の基準面は、異なる基準を考慮して定義される。この実施形態では、組織が、主要組織と呼ばれ、光学モジュールによってその表面が決定された組織であるか、またはそれに隣接する組織であるかにかかわらず、基準面は、組織の端部または開始部を画定する境界面である。
【0029】
例えば、脊椎手術では、レーザがセクショニングを実行する領域は、少なくとも1つの椎骨、軟組織、血管、ならびに脊髄および脊髄神経を取り囲む硬膜嚢を保護する硬膜などの他の隣接または下にある構造からなる組織の混合を含む。この場合、手術の開始時に、主要組織は、その表面が光学モジュールによって決定された椎骨であり得る。可能な基準面は、該椎骨の端部である。代替的にまたは同時に、基準面または他の基準面は、任意の軟組織または椎骨に隣接する神経の開始部または端部を画定する表面であり得る。手術の別のより進行した段階では、主要組織は黄色靱帯であり得、可能な基準面は黄色靱帯の端部または硬膜嚢の開始部である。
【0030】
中央処理装置は、手術野に存在する解剖学的構造について受け取った情報に基づいてこれらの境界面を定義する。前述の情報は、術前画像、および/または術中画像、および/または光学モジュールによって行われた測定からもたらされ得る。
【0031】
一実施形態では、少なくとも1つの基準面は、術前画像によって、好ましくは磁気共鳴画像、コンピュータ断層撮影画像、または蛍光透視画像によって決定される。
【0032】
手術を必要とする患者の解剖学的構造は、手術の前および/または最中に行われる1つまたは複数の医用撮像技術、典型的には磁気共鳴、コンピュータ断層撮影、または蛍光透視法の結果として知られている。この計画は、例えば、硬膜嚢、神経、または血管などの重要な構造に属し得るため、体積の特定の要素を治療する必要がないことを示すことができる。
【0033】
この画像は、対象の主要組織の体積のみを定義するために処理およびセグメント化される。結果として、主要組織および隣接する組織の境界が適切に区別され、この情報は、中央処理装置によって少なくとも1つの基準面に変換される。
【0034】
代替的に、または先行情報を補完するために、光学モジュールは、中央処理装置が基準面を定義することができるように、組織を互いに画定する1つまたは複数の表面を決定することもできる。
【0035】
前述の1つまたは複数の基準面を用いて、レーザでセクショニングされ得る1つまたは複数の組織は、セクショニングできないものから画定され、それによってセクショニングの安全性を保証する。
【0036】
一実施形態では、術前画像によって決定される少なくとも1つの基準面は、領域の骨組織の端部を画定する境界面である。
【0037】
前述の脊椎手術のような特定の種類の手術では、標的組織は骨である。具体的には、椎弓切除術および椎弓切開術のための骨切り術または骨除去は、減圧および安定化処置における共通の段階である。術前画像によって、黄色靱帯、硬膜嚢、および神経などの軟組織などの隣接組織に対するこの種の組織の境界を視覚化することができる。
【0038】
したがって、このタイプの処置では椎骨に対してセクショニングを行うだけでよいことを考えると、該椎骨の端部を画定する境界面としての基準面の定義は、それに隣接する組織がセクショニングによって影響を受けるのを防ぐための信頼性の高い安全基準である。
【0039】
椎骨の1つまたは複数の部分の骨切り術の後、上述の脊椎手術の別の共通の段階は、神経を減圧し、管狭窄を除去し、疼痛を引き起こす圧力源からそれらを解放する目的で、骨と硬膜嚢、典型的には黄色靱帯(yellow ligament)すなわち黄色靱帯(ligamentum flavum)との間に位置する軟組織の除去である。この処置では、黄色靱帯の端部、硬膜嚢の表面、または対象の解剖学的領域に存在する組織の初期または最終表面の任意の他の組み合わせを基準面として使用することができる。
【0040】
一実施形態では、少なくとも1つの基準面は、レーザエミッタの焦点面および/または光学モジュールの焦点面に本質的に平行な平坦面である。
【0041】
この実施形態では、基準面または基準面の少なくとも1つは、許容される最大セクショニングレベルを定義する平坦面である。この表面は、レーザの焦点面であろうと光学モジュールの焦点面であろうと、実質的に平坦であり、焦点面に平行である。好ましくは、両方の焦点面は互いに一致する。本明細書を通して、焦点面は、レーザエミッタおよび/または光学モジュールがそれらの最適な空間分解能または焦点に達する光軸に垂直な平面を意味すると理解される。
【0042】
好ましくは、この最大レベルは、外科医によって選択され、情報を基準面に変換する中央処理装置によって受信される。さらに、この最大レベルは動的であり得る、すなわち、その深さは、外科的介入が進行すると徐々に更新され得る。本明細書を通して、外科医という用語が言及される場合、手術または医療従事者に介入することを認可された任意のユーザを意味すると理解することができる。
【0043】
好ましくは、セクショニングレーザは、表面を水平化することに成功したと考えられる許容範囲を考慮して、表面を水平化するまで生体組織を徐々にスイープする。安全上の理由から、組織セクショニングにおけるこの進行および水平化は、定義された平坦面に侵入することなく常に行われる。この作動モードによれば、レーザビームは、より高い高さを有する表面の点により頻繁に作用する。
【0044】
さらに、このタイプの基準面は、セクショニングレーザおよび光学モジュールの両方が、測定が最適である焦点面を有するという事実から導かれるいくつかの関連する技術的利点を提供する。
【0045】
一方で、領域の組織が水平化されている場合、測定を低下させるかまたは陰影領域を生成する可能性があるいかなる高さの不規則性もなく最適に焦点を合わせることができ、それによって試料の表面の測定を最も好ましい条件で実行することができるため、光学モジュールの測定値が好ましい条件で得られる。さらに、組織の水平化はまた、より効率的なセクショニングに変換する、レーザが組織により最適に焦点を合わせ、障害物のない表面に遭遇することを可能にする。最後に、水平化されたセクショニング領域を提供することは、それ自体手術の一部ではないが、手術中に洗浄を行って手術野を清潔に保ち、熱損傷を防ぐ作業など、手術の成功に厳密に必要な他の作業を容易にする。
【0046】
一実施形態では、少なくとも1つの基準面は、組織の表面から決定される最大深さを有する表面である。
【0047】
この実施形態では、基準面または基準面の1つは、光学モジュールによって決定された組織の表面に対して、点ごとに許容される最大セクショニング深さを示す深さを有する表面である。
【0048】
深さを有するこの表面は、光学モジュールによって最初に決定された領域の組織の表面に対して、または組織の該表面の更新が行われた手術の他の任意の時点で定義することができる。
【0049】
有利には、このタイプの基準面は、中央処理装置によって定義される深さよりも深い深さで組織がセクショニングされるのを防止する装置の安全手段を構成し、それによって標的組織以外の組織のセクショニングを防止する。
【0050】
一実施形態では、少なくとも1つの基準面は、
領域の組織の端部を画定する境界面、および/または
その表面が光学モジュールによって決定された領域の組織に対して異なる組織であって、該異なる組織が領域の組織よりも深いところに位置する、異なる組織の開始部を画定する境界面、および/または
その表面が光学モジュールによって決定された領域の組織に対して異なる組織であって、該異なる組織が領域の組織よりも深いところに位置する、異なる組織の端部を画定する境界面、および/または
レーザエミッタの焦点面および/または光学モジュールの焦点面に本質的に平行な平坦面、および/または
組織の表面から決定された最大深さを有する表面である。
【0051】
基準面は、前述の実施形態で定義された表面のいずれかによる個々の表面、または同時に考慮されなければならない基準面のセットであり得る。したがって、本発明による装置は、各特定の手術に適合させることができる多種多様な安全オプションを企図する。
【0052】
一実施形態では、中央処理装置は、安全マージンを有する少なくとも1つの基準面を画定する。
【0053】
レーザによるセクショニングが従来の外科用器具によるセクショニングよりもはるかに正確であるという事実にもかかわらず、本発明の装置は、すべての基準面が方法の安全性をさらに高めるための安全マージンを有し、非標的組織のセクショニングを常に防止することを企図している。
【0054】
さらに、安全マージンは動的であり得る、すなわち、外科的介入を通して徐々に変化し得る。
【0055】
安全マージンは、レーザビームが基準面を超えてはならない場合に、基準面を超えるか否かを決定する点が、該基準面に到達するのを防止するように予め確立された距離だけ離間された点であるように、予め確立された距離を意味すると理解される。この場合、安全マージンは、基準面が予め確立された距離だけ放射源に接近したことを考慮することに相当する。
【0056】
一実施形態では、中央処理装置は、少なくとも1つの基準面の安全マージンの定義を入力するための入力手段を備える。
【0057】
マージンは、これらのマージンの値を入力手段を介して中央処理装置に送信する、手術を担当する外科医または医療従事者によって選択することができる。次に、中央処理装置は、数値モデル内の前述のマージンを考慮して、1つまたは複数の基準面を定義または更新する。
【0058】
一実施形態では、光学モジュールは、光干渉断層撮影OCTシステムを備える。
【0059】
本文献を通して、OCTシステムは、部分的にコヒーレントな光源、典型的にはスーパールミネッセントダイオードまたは走査光源で領域を照明することによって、セクショニングされる生体組織の該領域の体積を決定することができる光学システムを意味すると理解される。OCTシステムによって得られたこの情報に基づいて、光学モジュールは、標的組織または主要組織の表面を識別する。
【0060】
一実施形態では、光干渉断層撮影システムは、偏光感受性光干渉断層撮影PS-OCTシステムである。
【0061】
より具体的には、本実施形態では、偏光感受性光干渉断層撮影PS-OCTシステムである光学モジュールのOCTシステムが考えられる。このタイプのシステムは、それらの測定が、組織が反射する光の偏光状態を変更することができることを考慮に入れることを特徴とする。
【0062】
有利には、このタイプのシステムは、組織によって反射された光の後処理を実行するので、極めて堅調な測定を提供し、その結果、反射率または強度信号が該組織によって引き起こされる偏光変動に反応しなくなり、組織で生成される偏光効果に関係なく最適なコントラストを提供する。これにより、組織の表面を堅調に決定することができる。さらに、OCTによって区別することができない組織は、偏光に対するその異なる応答を考慮して、PS-OCTを用いて正確に区別することができ、それによって、そうでなければ識別されなかった禁止区域を識別することができる。
【0063】
上述したように、好ましくは、セクショニングレーザは、表面を水平にするまで生体組織にわたって徐々にスイープする。これらの状況下では、光学モジュールのシステム、例えばPS-OCTシステムは、表面の平坦化により組織を該システムの焦点面に配置することができるため、最適な条件で測定を行う。同様に、レーザエミッタは、組織の平坦化された表面がその焦点面に位置するときに最適な条件で作用する。
【0064】
一実施形態では、光学モジュールは、
構造化光タイプ、
ステレオペアタイプ、または
光音響断層撮影タイプのシステムを備える。
【0065】
OCTおよびPS-OCTシステムの代わりに、光学モジュールは、上述のような別のタイプの光学システム(構造化光またはステレオペア)または光音響システム(光音響断層撮影)を備えてもよい。
【0066】
具体的には、構造化光システムは、例えば市松模様などの空間パターンを作るプロジェクタを用いて、典型的には赤外光を使用して組織を照射する。光パターンは表面の形状に応じて変形するため、平面上のパターンが既知であれば、変形したパターンの撮像から表面の形状を推測することができる。
【0067】
ステレオペアシステムは、典型的には赤外光源で組織を照射し、立体技術によって組織の体積を再構成する。
【0068】
次に、光音響断層撮影システムは、レーザで組織を照射し、超音波トランスデューサで測定を行う。
【0069】
一実施形態では、レーザエミッタは、領域の異なる点にビームを向けるようにビームの方向を変更することを可能にするスキャナを備える。
【0070】
このスキャナは、レーザが事前に定義された走査領域またはパターンにわたってスイープすることを可能にする。好ましくは、前述のパターンは均一である。一例では、手術を行う外科医の観点から、パターンは外科医の左側から右側に、そして上から下に作られる。
【0071】
1つの位置でのセクショニングが完了するまでレーザが次の位置に進行しないように、セクショニングが各位置で特に確立される解決策は、最新技術で知られている。しかしながら、本発明の文脈において、この種の解決策は、その測定が、深くて狭い個々の穴において、または組織の表面上に複雑な角度または形状が存在する場合には極めて困難になり、不可能にさえなり得るため、光学モジュールの動作に最適ではない。したがって、単一の点ではなく全領域で徐々に進行することは、光学モジュールの測定、したがって手術全体にわたる組織の表面の定義を容易にする。さらに、外科医による手術野の視覚化が容易になり、重要な組織に最も近い手術の段階に徐々に到達し、それらに一斉に接近し、安全性を向上させることができる。
【0072】
反復的かつ連続的に実行されるプロセスの間、レーザは、処理する必要のない領域と相互作用する可能性がある。すなわち、上記で禁止区域と呼ばれるものである。好ましくは、そのような状況では、スキャナは、禁止領域を省略して、標的組織を有する領域に向けてレーザを方向転換させることを可能にする。結果として、レーザは冷却されず、遅延なく最適な条件でセクショニング手順を継続し、セクショニングを実行するために必要な時間を最小限に抑えることができる。
【0073】
代替で、スキャナは、禁止区域をスイープすることによってレーザが事前定義されたパターンを継続することを可能にするが、中央処理装置はレーザが起動されるのを防ぎ、それによって非標的組織をセクショニングするのを防ぐ。
【0074】
一実施形態では、中央処理装置は、少なくとも1つの基準面に到達するまで、領域にわたってレーザエミッタによって放射されたレーザビームの連続走査を実行するように適合される。
【0075】
この実施形態では、中央処理装置は、基準面または基準面の1つに到達するまでレーザの走査を可能にする。
【0076】
例えば、基準面が最大セクショニングレベルを定義する平坦面である場合、中央処理装置は、該最大レベルに達するまでレーザの画定する走査を可能にする。この時点で、レベルの深さが増大される場合、中央処理装置はレーザの走査を再開するように進む。
【0077】
別の例では、基準面が骨の端部を画定する境界面である場合、中央処理装置は、骨の端面に到達するまでレーザの走査を可能にする。安全マージンがさらに課されるより具体的な例では、中央処理装置は、該安全マージンに等しい残りの厚さが骨全体に残るまでレーザの走査を可能にする。
【0078】
一実施形態では、光学モジュールは、光源および領域の異なる点に光源を向けるように光源の方向を変更することを可能にするスキャナを備える。
【0079】
この実施形態では、光学モジュールは、OCTシステム、PS-OCTシステム、または光源を備える光音響断層撮影システムを備える。対象領域を走査するために、光学モジュールは、前述の光源を領域の異なる点に焦点を合わせることを可能にするスキャナをさらに備える。
【0080】
有利には、手術中にセクショニングが進行すると、中央処理装置が数値モデル内の新しい表面を正確に再定義することができるように、光学モジュールの光源は、該表面が位置する組織の点に焦点を合わせる。
【0081】
一実施形態では、中央処理装置は、領域にわたって光学モジュールの光源の連続走査を実行するように適合される。
【0082】
このより具体的な実施形態では、中央処理装置は、前述の光源の走査を制御する。
【0083】
一実施形態では、レーザエミッタによって確立された走査の制御および光学モジュールによって確立された走査は独立している。
【0084】
レーザエミッタ走査および光学モジュール走査は中央処理装置によって制御されるが、両方の走査は互いに独立している。したがって、速度などの前述の走査の各々を定義するパラメータは、互いに完全に独立しているため、前述の走査は、他の走査が影響を受けることなく停止または変更することができる。
【0085】
光学モジュールによる走査は、例えば、組織に関する情報が適切に更新されるように、より小さい走査周波数を必要とし得る。
【0086】
一実施形態では、領域にわたる光学モジュールの光源の走査は、
予め確立された期間が経過した後、
中央処理装置によるレーザエミッタの起動または停止の前、
から選択される陳腐化基準が満たされると、実施される。
【0087】
上述したように、光学モジュールのセクショニング経路および測定は独立して実行されるので、それらは互いに一直線上にある必要はない。
【0088】
光学モジュールは連続的に測定を行うが、モジュールが対象領域を走査するときにエラーが発生する可能性があり、または測定が過度に長い時点に行われる可能性がある。したがって、数値モデルが所与の時点に基づく情報は古くなっている可能性があり、これにより組織が誤ってセクショニングされ、手術を危険にさらす可能性がある。
【0089】
そのような状況を防止するために、装置は、特に以前に事前に定義された期間が経過したときに、重大な状況において光学モジュールによって行われた測定の更新を提供し、それによって、測定の実行をリフレッシュするとき、および中央処理装置がレーザエミッタを起動または停止する前に、いかなる問題も防止し、その結果、数値モデルにおいてその情報が更新された組織がセクショニングされているか、またはセクションではないことが保証される。
【0090】
中央処理装置によって生成された数値モデルの一実施形態では、少なくとも1つの平坦面は、レーザエミッタのレーザの作用の結果として組織の表面が前述の平坦面の深さまで下降すると、少なくとも1つの平坦面がより大きな深さに変化するように、レーザエミッタの焦点面および/または光学モジュールの焦点面に対して複数の深さレベルで徐々に確立される。
【0091】
基準面のうちの少なくとも1つが焦点面、すなわちレーザエミッタの焦点面および/または光学モジュールの焦点面に平行な平坦面である場合、該面は特定の深さに定義される。この深さは、平坦面が先行するものよりも深い深さで更新されるように、レーザが所与の時間に定義された平坦面に到達すると徐々に進行することができる。
【0092】
そこで、安全性が確保されたセグメントで徐々にセクショニングを実施できる異なる深さの複数のレベルを定義する。
【0093】
複数のレベルは、固定することができ、すなわち、手術を開始する前に事前定義することができ、または動的に、すなわち、手術が進行すると平坦面が徐々に更新される。特定の例では、連続するレベル間の深さの差は一定である。別の例では、連続するレベル間の深さの差は可変である。別の例では、外科医は、手術中に平坦面の新しい深さを決定し、情報を新しい更新された平坦面に変換し、それを数値モデルに割り当てる中央処理装置内の入力手段を介してその値を入力する。
【0094】
一実施形態では、中央処理装置は、数値モデルに割り当てられた少なくとも1つの基準面の定義を入力するための入力手段を備える。
【0095】
本文献を通して、外科医または医療従事者は、外科的介入の前および間に基準面に関する異なる決定を行うことができることが言及されている。これらの決定は、受け取った情報を分析し、それを使用して基準面を定義し、該基準面を数値モデルに割り当てる中央処理装置によって考慮されなければならない。
【0096】
好ましくは、入力手段は、中央処理装置と外科医、医療従事者、またはユーザとの間の相互作用を可能にするインターフェースで構成される。
【0097】
一実施形態では、中央処理装置は、回避されるべき領域の定義を入力する入力手段を備え、その形状は、数値モデルに割り当てられ、中央処理装置は、数値モデルにおいて、前述の直線と組織の表面との交点と該交点にセクショニング深さに等しい距離を加えたものとの間に位置するレーザビームを表す直線の点の位置の少なくとも1つが、回避されるべき領域の少なくとも1つの点の位置と一致する場合、レーザエミッタを停止するようにさらに構成される。
【0098】
禁止領域に加えて、安全上の理由から、ユーザ、外科医、または医療従事者は、例えば、手術中に禁止領域内にない重要な構造の存在が識別された場合に、手術前または手術中にレーザでセクショニングすることができない他の種類の特定の領域を決定することができる。
【0099】
これらの状況では、中央処理装置は、ユーザが回避されるべき領域を定義することができる追加の入力手段を備え、回避されるべき領域は、レーザでセクショニングすることができない特定の領域を意味すると理解される。好ましくは、これらの入力手段はインターフェースである。
【0100】
好ましい例では、回避されるべき領域は手術野の平面図内に定義され、したがって、その座標が定義された領域に属する「x」および「y」のすべての点で任意の深さでのセクショニングが禁止される。「x」および「y」座標は、表面がパラメータ化された方法にかかわらず、表面の特定の点が識別される座標として一般的に解釈されなければならない。デカルト座標系が使用される特定の例では、「x」および「y」座標はx軸およびy軸に対応する。
【0101】
この情報は、回避されるべき領域の形状を数値モデルに割り当てるために情報を処理することに関与する中央処理装置によって受信される。さらに、中央処理装置は、確立されたセクショニング深さに従って、そのビームが回避されるべき領域に進入する場合、レーザエミッタを停止させるように構成される。
【0102】
一実施形態では、装置は、手術野表示手段、好ましくはRGBビデオ画像を示すスクリーンを備える。
【0103】
外科的介入中に常にユーザに視覚情報を提供するために、装置はこれらの表示手段を備える。好ましい例では、表示手段は、平面図における手術野のビデオ画像、特にRGB画像を外科医に示すスクリーンまたはモニタである。RGB画像は、その色が標準RGBカラーモデルによって定義され得る画像を意味すると理解されなければならない。
【0104】
さらに、表示手段は、必要であると考えられる場合、ユーザまたは外科医が回避されるべき領域を選択するのを有利に助ける。回避されるべきその領域は、表示手段に示される画像、好ましくは平面図で手術野を示すRGBビデオの文脈においてユーザによって描画される。これらの場合、「x」および「y」座標が表示手段上に示された画像から定義された領域に属するすべての点で、任意の深さでのセクショニングは禁止される。
【0105】
一実施形態では、手術野表示手段は、組織の表面の各点から少なくとも1つの基準面までの距離に関する情報をさらに示す。
【0106】
手術の標的に向かうアプローチに関する視覚情報を提供する追加のソースを有するために、この実施形態では、外科医は、組織の表面の各点から基準面までの距離を知らされる。複数の基準面がある場合、各点に最も近い基準面までの距離が計算される。この追加情報は、手術野表示手段に示される画像に付される。
【0107】
中央処理装置は、数値モデルに従って距離を計算し、手術野表示手段を介して該距離を示す。
【0108】
一実施形態では、中央処理装置は、レーザエミッタが領域の点のセットを走査する間のセクショニングプロセス中に、一連の点がレーザエミッタの放射が妨げられる点に達するたびに、レーザエミッタが、レーザビームの放射を停止することなく放射が許可される次の点に位置付けられるようにさらに構成される。
【0109】
処置の遅延を防止するために、装置のレーザがセクショニングを実施してはならない点に当たるとき、中央処理装置は、標的組織を含む別の領域に向かって、すなわちセクショニングを実施しなければならない別の領域に向かってレーザを方向転換する。好ましくは、レーザは、光学モジュールに含まれるスキャナによって方向転換される。
【0110】
この実施形態によれば、有利には、レーザが停止する時間が回避されるだけでなく、むしろレーザが動作し続けることができる別の点にスキップすることによって、レーザは冷却されず、最適な動作条件のままである。
【0111】
あるいは、中央処理装置は、レーザエミッタに領域のすべての点をスイープするように指示するが、セクショニングが可能な点でのみその起動を可能にする。
【0112】
一実施形態では、中央処理装置は、特定のパターンを有する領域の点のセット内の温度レベルを表すスカラーを表す関数を定義するようにさらに構成され、
関数は最初に予め確立された基準値をとり、
レーザエミッタがパターンの点に衝突するたびに、関数はその点で第1の予め確立された増分値だけ増加され、
すべての点の値は、予め確立された期間ごとに、第2の予め確立された増分値だけ低減され、
パターンの各点について、それが予め確立された閾値を超える場合、前述の点は、それが前述の閾値を超えたままである限りセクショニングが許容されない点として数値モデルに割り当てられる。
【0113】
セクショニング領域のサイズが非常に小さいと、これらの領域にレーザがほぼ連続的に作用し、これらの領域を熱的に損傷する状況が起こり得る。したがって、プロセスは広い作動範囲で開始することができるが、ますます大きな禁止区域、および任意選択的に回避されるべき区域が、セクショニング中に生じる可能性がある。したがって、セクショニングが実行される領域はますます小さくなり、レーザは該領域をより頻繁に通過し、プロセスにおける表面の単位当たりの出力を増加させる。この電力が特定の閾値を超えると、組織が熱傷を起こし始める。
【0114】
最新技術では、レーザセクショニングが組織加熱によるいかなる熱損傷も引き起こさないようにするために、灌注またはミストによってセクショニング領域を冷却する必要がある。結果として、これまでの傾向は、レーザエミッタおよび光学モジュールを同時に使用せず、むしろ組織のセクショニングおよび光学モジュールの測定が交互に行われる。しかしながら、本明細書全体を通して述べられているように、本発明は、一実施形態としてレーザおよび光学モジュールの同時使用を企図している。
【0115】
本実施形態による装置は、レーザの表面の単位当たりの出力が、事前定義された閾値を超えないように調整することを企図している。この閾値は、動的閾値とすることができ、または外科的介入を通して徐々に変化することができる。一例では、ユーザ、外科医、または医療従事者は、手術の所与の時点で閾値を選択し、好ましくはインターフェースである中央処理装置の入力手段を介して閾値を入力する。
【0116】
この熱保護は、単位時間当たりに許容されるレーザパルスの数を有する点ごとの組織の加熱および冷却を考慮した、単純化された組織温度モデルに基づいている。
【0117】
このモデルでは、組織の点の温度を反映するスカラーが定義される。レーザが発射されるたびに、このスカラーは一定の増分量だけ増加し、所定の閾値を超えた場合、数値モデルは、前述の点が、関連する温度スカラーが閾値を超えたままである限り、セクショニングが許容されない点であることを企図する。
【0118】
上述したように、モデルは組織冷却も企図しているので、スカラーは、組織の各点において、所定の期間が経過したときに固定された減少量(固定された増分量に等しいかまたはそれとは異なる)だけ減少する。この期間は、手術中の固定または動的な期間であり得る。さらに、それは、入力手段、好ましくはインターフェースを介して中央処理装置に値を入力する外科医または医療従事者によって、手術の所与の時点で選択することができる。
【0119】
一実施形態では、中央処理装置は、レーザエミッタが領域の点のセットを走査する間のセクショニングプロセス中に、セクショニング深さが他のものよりも小さい点が、セクショニング深さを補償するように走査シーケンスにおいて優先されるようにさらに構成される。
【0120】
上述したように、標的領域をレーザセクショニングする1つの方法は、常に平坦な底部を有する切片(section)を達成するようにレーザの起動を調整する制御モードによって実行することができる。したがって、セクショニングプロセス中に、他の領域よりも深い領域が存在する。
【0121】
切片の底部を水平化する目的を達成するために、本実施形態では、中央処理装置は、より深い点または領域でレーザを停止し、より表面の点または領域でレーザを起動するように、より浅い点を優先するように構成されることが考えられる。別の実施形態によれば、ある点から別の点へのスキップは、レーザを停止させることなく実行されるが、より高い高さを有するそれらの点をより多く打撃する。このようにして、表層領域はますます深くなるが、深部領域は、すべての点が同じレベルになるまで変化しないままである。
【0122】
一実施形態では、中央処理装置は、動作しているときにレーザエミッタの放射を停止するように適合されたレーザエミッタの放射を停止するための手段を備える。
【0123】
本発明の装置はまた、上記で定義された他の安全基準が満たされない場合であっても、任意の状況下でレーザの起動を停止するための選択肢を企図する。
【0124】
そのために、中央処理装置は、好ましくはユーザまたは外科医によって発行された停止命令を外部から受信する。有利には、何らかの理由で医療従事者がセクショニングを停止しなければならないと考える場合、セクショニングの安全性が保証される。
【0125】
一実施形態では、装置は、動作モードにおいて、レーザエミッタが作用する生体組織の領域を含む領域内で、気体、または液体、または気体中の液体粒子を有するミストの流れを提供するように適合された流体管理ユニットをさらに備える。
【0126】
装置によってセクショニングされた組織は連続的に出血する傾向があり、セクショニング動作自体もまた、レーザ起動領域から除去されなければならない粒子および固体残留物を連続的に生成する。
【0127】
この実施形態では、レーザセクショニングに加えて、装置は洗浄能力を有する。そのために、レーザエミッタによってセクショニングされる組織の領域を含む領域に存在する望ましくない要素を同伴することができる気体、液体、またはミストの流れを提供する流体管理ユニットを備える。
【0128】
好ましくは、気体または液体またはミストの流れは、流体管理ユニットを手術領域と接続する導管を通して提供される。
【0129】
有利には、一方では、レーザは、セクショニング精度に影響を及ぼし得る血液および/または望ましくない粒子を含まない組織領域に作用することができ、他方では、光学モジュールの測定の精度は影響を受けず、標的組織の実際の表面は、これらの望ましくない要素を含まずに決定することができる。
【0130】
第2の発明の態様は、低侵襲ロボット支援外科処置における第1の発明の態様の装置の使用を提供する。
【0131】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、添付の図面を参照して単に例示的かつ非限定的な例として与えられる好ましい実施形態の以下の詳細な説明に基づいてより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【
図1】本発明の一実施形態による装置の全体図を示す。
【
図2】3つの異なる基準面と共に光学モジュールによって決定された組織の表面の切片の図を示す。
【
図3】中央処理装置が、組織の表面を水平化するために、他の点よりもセクショニングするため点に優先順位を付ける方法の例を示す。
【
図4】中央処理装置が回避されるべき領域と相互作用するためにレーザを停止させる状況を示す。
【
図5】本発明の装置によって実行される組織の温度制御の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0133】
図1は、この図に示す生体組織を平行線によってセクショニングするための生体組織セクショニング装置の全体図を示す。装置は、領域(R)で前述の組織をセクショニングするように構成されたレーザエミッタ(1)を備え、その起動および停止はコントローラ(2)によって指示される。
【0134】
一実施形態では、レーザエミッタ(1)は、領域(R)の異なる点にビームを向けるようにビームの方向を変更することを可能にするスキャナを備える。
【0135】
装置は、領域(R)の組織の表面(S)を検出することができる光学モジュール(3)をさらに備える。好ましくは、光学モジュール(3)は、組織の表面(S)を決定するために計算手段によってその後処理される一連の測定を行う光学または光音響システムを備える。
【0136】
好ましい例では、光学モジュール(3)は、偏光感受性光干渉断層撮影(PS-OCT)システムとすることができる光干渉断層撮影システム(OCT)を備える。光学モジュール(3)の光学系の他の例は、構造化光またはステレオペア型である。光学モジュール(3)の光音響システムの別の例は、光音響断層撮影システムである。
【0137】
一実施形態では、光学モジュール(3)は、光源および領域(R)の異なる点に光源を向けるように光源の方向を変更することを可能にするスキャナをさらに備える。
【0138】
装置は、コントローラ(2)および光学モジュール(3)と通信する中央処理装置(5)をさらに備える。一方では、レーザを起動および停止するための命令をコントローラ(2)に送信し、他方では、光学モジュール(3)から情報を受信してそれを処理する。中央処理装置(5)は、光学モジュール(3)によって決定された領域(R)の表面(S)の形状、レーザエミッタ(1)が配向されるレーザビームの方向、および1つまたは複数の基準面(RS)の形状を少なくとも含む領域(R)の数値モデル(NM)を生成する。
【0139】
1つまたは複数の基準面(RS)は、処理装置(5)自体によって定義される。これらの表面(RS)は、例えば、神経または血管などの重要な組織を含むため、いくつかの理由でセクショニングが禁止されている組織の禁止領域の表面を画定する。
【0140】
さらに、中央処理装置(5)は、外科的介入全体にわたって固定または変更することができるレーザエミッタ(1)のセクショニング深さ(d)を定義する。好ましくは、セクショニング深さ(d)を選択することができる。
【0141】
生成された数値モデル(NM)に基づいて、中央処理装置(5)は、直線と組織の表面(S)との交点からセクショニング深さ(d)に等しい距離だけ離間した、レーザビームを表す該直線の点の位置を推定する。推定された位置が、点が禁止領域の外側に位置することを示す場合、中央処理装置(5)は、コントローラ(2)を介してレーザエミッタ(1)を起動させ、対照的に、前述の点が禁止領域内にある場合、中央処理装置は、レーザエミッタを停止させる。
【0142】
代替でまたは追加で、生成された数値モデル(NM)に基づいて、中央処理装置(5)は、直線と組織の表面(S)との交点から該交点にセクショニング深さ(d)に等しい距離を加えたものに位置付けられた、レーザビームを表す該直線の点のうちの点の位置を推定する。前述の点の推定された位置が、禁止領域の点と一致しない場合、中央処理装置(5)は、コントローラ(2)を介してレーザエミッタ(1)を起動させ、対照的に、点のうちの少なくとも1つの点が禁止領域の少なくとも1つの点と一致する場合、中央処理装置は、レーザエミッタを停止させる。
【0143】
中央処理装置(5)は、いくつかの基準に基づいて1つまたは複数の基準面(RS)を定義する。
【0144】
基準1:組織の開始部または端部を画定する境界面。この組織は、光学モジュール(3)によってその表面(S)が決定された組織、すなわち主要組織またはそれに隣接する組織であり得る。
【0145】
基準2:最大セクショニングレベルを確立するレーザエミッタ(1)の焦点面および/または光学モジュール(3)の焦点面に本質的に平行な平坦面。
【0146】
基準3:光学モジュール(3)によって決定された組織の表面(S)から点ごとに推定された最大深さを有する表面。
【0147】
これらの基準面(RS)は、動的な面とすることができ、すなわち、外科的介入全体にわたって変化し得る。例えば、動作の開始時に最大セクショニングレベルを確立する平坦面は、セクショニングが進行するとより深い深さに更新することができる。別の例では、組織の表面(S)は手術全体を通して徐々に変化するため、最大深さを有する異なる表面を徐々に定義することができる。
【0148】
中央処理装置(5)は、術前情報、光学モジュール(3)自体の測定、および/または医療従事者によって行われた決定に基づいて、これらの基準面(RS)を定義する。前述の基準面が定義されると、該基準面を生成された数値モデル(NM)に割り当てる。
【0149】
さらに、セクショニング中の安全性を高めるために、装置は、前述の基準面(RS)に、固定され得るかまたは外科的介入全体にわたって変化する安全マージンを含めることを企図する。好ましくは、中央処理装置(5)は、安全マージンの定義を入力するための入力手段を備え、医療従事者はインターフェースを介して該マージンを入力する役割を担う。
【0150】
図2は、光学モジュール(3)によって決定された領域(R)の組織の例示的な表面(S)と、3つの異なる基準に従って定義された3つの基準面(RS1~RS3)とを示す。
【0151】
基準面RS1は、主要組織の端部、例えば脊椎手術における椎骨の端部を画定する表面である。
図2のこの例では、中央処理装置(5)は、この表面RS1を定義し、磁気共鳴、コンピュータ断層撮影、または蛍光透視法によって取得された画像などの術前画像に基づいて数値モデル(NM)に割り当てる。代替の例では、中央処理装置(5)は、この表面RS1を定義し、それを光学モジュール(3)の光学または光音響システムによって行われる測定に基づいて数値モデル(NM)に割り当てる。
【0152】
基準面RS2は、最大レベルを有する平坦面である。
図2のこの例では、この基準面RS2の深さは、手術の開始時に外科医によって定義されている。外科医によって決定された深さの値は、インターフェースを介して中央処理装置(5)によって受信され、該装置(5)は、次いで、基準面RS2を定義するために情報を処理し、それを数値モデル(NM)に割り当てる。
【0153】
基準面RS3は、光学モジュール(3)による外科的介入の開始時に決定された組織の表面(S)に対して点ごとに定義された最大深さを有する表面である。中央処理装置(5)は、光学モジュール(3)から組織の表面(S)を受け取り、情報を処理し、最大深さRS3を有する表面を定義し、それを数値モデル(NM)に割り当てる。
【0154】
さらに、基準面RS2およびRS3は、外科的介入を通して徐々に変化する。一方では、外科医は、インターフェースを介して、その後中央処理装置(5)によって処理される新しい平坦面RS2の深さの新しい値を入力して、該面を定義し、数値モデル(NM)に割り当てることができる。さらに、セクショニング手順が進行するにつれ組織の表面(S)が発展することを考慮に入れて、中央処理装置(5)は、光学モジュール(3)から組織の表面(S)に関する更新を徐々に受け取ると最大深さRS3を有する新しい表面を定義することができ、続いて、最大深さRS3を有する該新しい表面を数値モデル(NM)に割り当てる。
【0155】
追加で、
図2は、レーザビームが当たる組織の一連の点(P1~P4)を示し、中央処理装置(5)は、各場合にレーザを起動させる必要があるか否かを決定する役割を果たす。そのために、上述したように、中央処理装置(5)は、直線と組織の表面(S)との交点からセクショニング深さ(d)に等しい距離だけ離間した、レーザビームを表す該直線の点の位置を推定する。前述の点は、図ではxで示されている。点は、レーザビーム源の反対方向の交点、すなわち組織内に位置する点から離間していることが理解される。推定された位置が、点が禁止領域、すなわち、基準面(RS1~RS3)のうちの1つの下の領域の外側に位置することを示す場合、中央処理装置(5)は、コントローラ(2)を介してレーザエミッタ(1)を起動させ、対照的に、前述の点が禁止領域内にある場合、中央処理装置は、レーザエミッタを停止させる。
【0156】
代替で、中央処理装置(5)は、直線と組織の表面(S)との交点と、該交点にセクショニング深さ(d)に等しい距離を加えたものとの間に含まれる、レーザビームを表す該直線上の点の位置を推定する。推定された位置が、セグメント全体が禁止領域、すなわち、基準面(RS1~RS3)のうちの1つの下の領域の外側に位置することを示す場合、中央処理装置(5)は、コントローラ(2)を介してレーザエミッタ(1)を起動させ、対照的に、セグメントが禁止領域内に少なくとも部分的にある場合、中央処理装置は、レーザエミッタを停止させる。
【0157】
図2の前述の各点におけるレーザ(1)の状態を以下に説明する。
点P1:点は、すべて禁止領域の外側であるため、レーザを起動する。
点P2:点は、面RS2によって定義された禁止領域内にあるため、レーザは停止される。
点P3:点は、すべて禁止領域の外側であるため、レーザを起動する。
点P4:点は、面RS1によって定義された禁止領域内にあるため、レーザは停止される。
【0158】
一例では、
図1または
図2のいずれかに記載の装置の中央処理装置(5)は、領域(R)にわたって光学モジュール(3)の光源の連続走査を実行するようにさらに適合される。
【0159】
中央処理装置(5)は、スキャナを制御して、光学モジュール(3)の光源が連続走査を実行しながら領域(R)をスイープすることを可能にする。結果として、測定値、およびそれらを用いて組織の表面(S)は、数値モデル(NM)において徐々に更新される。
【0160】
より具体的な例では、光源によるこの走査は、
予め確立された期間が経過した後、
中央処理装置(5)によるレーザエミッタ(1)の起動または停止の前、
から選択される測定の陳腐化基準が満たされると、実施される。
【0161】
これらの陳腐化基準を課すことによって、装置は、光学モジュール(3)の測定値が、少なくとも予め確立された期間ごとに、および/またはレーザが停止状態から起動状態に(またはその逆に)変化するごとに徐々に更新されることを保証する。
【0162】
一例では、中央処理装置(5)は、少なくとも1つの基準面(RS)に到達するまで、領域(R)にわたってレーザエミッタ(1)によって放射されたレーザビームの連続走査を実行するように適合される。特定の例では、レーザエミッタ(1)によって確立された走査の制御および光学モジュール(3)によって確立された走査は独立している。
【0163】
この走査は、事前に定義された走査パターンに従って行われる。好ましくは、前述のパターンは均一である。一例では、手術を行う外科医の観点から、パターンは外科医の左側から右側に、そして上から下に作られる。
【0164】
反復的かつ連続的に実行されるプロセスの間、レーザ(1)は、処理する必要のない領域、すなわち、上記で禁止区域と呼ばれる領域、と相互作用する可能性がある。
【0165】
好ましい例では、中央処理装置(5)は、レーザエミッタ(1)が領域(R)の点のセットを走査する間のセクショニングプロセス中に、一連の点がレーザエミッタ(1)の放射が妨げられる点に達するたびに、レーザエミッタが、レーザビームの放射を停止することなく放射が許可される次の点に位置付けられるようにさらに構成される。
【0166】
すなわち、中央処理装置(5)は、レーザが禁止領域を省略するように制御することで、プロセスが遅滞なく完了する。レーザは、光学モジュール(3)のスキャナによって禁止されていない領域に向けて方向転換することができる。
【0167】
この方法で達成される明らかな速度に加えて、レーザは停止されず、したがって冷却されないため、常に最適な条件で動作するという利点をさらに提供する。
【0168】
代替で、中央処理装置(5)は、禁止区域にわたってスイープするが、レーザ(1)が該区域にわたって起動されるのを防止することによって、所定のパターンを走査し続けるようにレーザに命令することができる。
【0169】
好ましい例では、セクショニングレーザは、表面(S)を水平化することに成功したと考えられる許容範囲を考慮して、表面を水平化するまで生体組織を徐々に走査する。
【0170】
切片の底部を水平化する目的を達成するために、一実施形態では、中央処理装置(5)は、セクショニング深さが他のものよりも小さい点が、セクショニング深さを補償するように走査シーケンスにおいて優先されるようにさらに構成される。
【0171】
したがって、中央処理装置(5)は、より深い点または領域でレーザを停止し、より表面的な点または領域でレーザを起動するように、より浅い点を優先する。このようにして、表層領域はますます深くなるが、深部領域は、すべての点が同じレベルになるまで変化しないままである。
【0172】
別の実施形態によれば、レーザの動作条件を維持し、レーザが停止しても冷却されないようにするために、レーザは、起動したままであるが、より高い点間をスキップし、より低い高さの点を通過することを回避する。
【0173】
本実施形態は、レーザ(1)が当たる組織の表面(S)の点のセットの位置を示す
図3に示されている。この特定の例では、到達すべき最大セクショニングレベルを定義する平坦な基準面(RS)が定義されている。
【0174】
点1では、組織の表面(S)が最大セクショニングレベルに達しているのに対して、点P2~P4では、表面(S)がより浅いことが分かる。切片を水平化するという目的を達成するために、この例の中央処理装置(5)は、点P4、続いて点P3およびP2でのセクショニングを優先する。安全上の理由から、組織セクショニングにおけるこの進行および水平化は、定義された平坦な基準面(RS)に侵入することなく常に実行される。
【0175】
この平坦な基準面(RS)は、レーザエミッタ(1)のレーザの作用の結果として組織の表面(S)全体が前述の平坦面の深さまで下降すると、少なくとも1つの平坦面がより深い深さに変化するように、レーザエミッタ(1)の焦点面および/または光学モジュール(3)の焦点面に対して複数の深さレベルで徐々に確立することができる。
【0176】
一例では、基準面(RS)のいずれかは、少なくとも1つの基準面(RS)の定義を入力するために中央処理装置(5)に含まれる入力手段によって定義することができ、定義された基準面(RS)は、その後数値モデル(NM)に割り当てられる。
【0177】
追加で、別の例では、中央処理装置(5)は、回避されるべき領域(RA)の定義を入力するための入力手段を備え、その形状は数値モデル(NM)に割り当てられる。中央処理装置(5)は、数値モデル(NM)において、直線と組織の表面(S)との交点と該交点にセクショニング深さ(d)に等しい距離を加えたものとの間に位置するレーザビームを表す前述の直線の点の位置の少なくとも1つが、回避されるべき領域(RA)の少なくとも1つの点の位置と一致する場合、レーザエミッタ(1)を停止するようにさらに構成される。
【0178】
具体的な例では、外科医は、平面図で手術野を表示するための手術野表示手段を通して示される、好ましくはRGBビデオ画像である画像から回避されるべき領域(RA)を選択する。さらにより具体的な例では、中央処理装置(5)は、組織の表面(S)の各点と各点に最も近い基準面(RS)との間の距離を計算し、RGB画像に情報を重ね合わせることにより、手術野表示手段を介してユーザに前述の距離を示す。深さに関する情報を示す具体的な方法は、異なる深さの領域を区別するレベルによるカラーパレットまたは描写の使用である。
【0179】
両方のタイプの入力手段は、ユーザと中央処理装置(5)との間の中間として機能するインターフェースに配置することができる。
【0180】
図4は、中央処理装置(5)の入力手段、特にインターフェースを介して外科医によって定義された基準面(RS)および回避されるべき領域(RA)の一例を示す。次いで、中央処理装置(5)は、回避されるべき領域(RA)の表面および形状を数値モデル(NM)に割り当てる。
【0181】
追加で、この
図4は、中央処理装置(5)が停止を指示したレーザビーム(1)が当たる表面(S)の点Pを示す。図から分かるように、数値モデル(NM)によれば、レーザビームを表す直線と組織の表面(S)との交点と、該交点にセクショニング深さ(d)に等しい距離を加えたものとの間に定義されたセグメントの点のセットは、回避されるべき領域(RA)内にある。したがって、セクショニングが回避されるべき領域(RA)において禁止されることを考えると、レーザは前述の点Pにおいて停止されなければならない。
【0182】
一例では、中央処理装置(5)は、危険な状況でレーザが起動するのを防止するための他の安全機構を備える。
【0183】
一方で、中央処理装置(5)は、動作しているときにレーザエミッタ(1)の放射を停止するように適合されたレーザエミッタ(1)の放射を停止するための手段を備える。これらの停止手段は、医療従事者が適切と考える手術中のいかなるときでも使用することができる。
【0184】
さらに、同時にまたは代替で、中央処理装置(5)は、数値モデル(NM)において、レーザビームを表す直線の点の位置のいずれも組織の表面(S)の点の位置と一致しない場合、レーザエミッタ(1)を停止するようにさらに構成される。この手段は、レーザが外科領域(R)の上にうまく位置付けられていないとき、または、例えば、光学モジュール(3)の故障のために組織の実際の表面(S)に関する情報が利用できないときに、重要な組織および非標的組織をセクショニングするのを防止するため、レーザが起動されるのを防止しようとする。これはまた、患者がまだ手術台上に位置決めされていない場合の安全対策を構成する。
【0185】
最後に、
図5は、本発明の装置の別の安全対策、すなわち、組織が熱的に損傷されるのを防ぐため表面の単位当たりのレーザ出力制御を示す。
【0186】
そのため、中央処理装置(5)は、特定のパターンを有する領域(R)の点のセット内の温度レベルを表すスカラー(X)を表す関数を定義するようにさらに構成され、
関数は最初に予め確立された基準値、例えば0をとり、
レーザエミッタ(1)がパターンの点に衝突するたびに、関数はその点で第1の予め確立された増分値(deltaX)だけ増加され、
すべての点の値は、予め確立された期間ごとに、第2の予め確立された増分値だけ低減され、
パターンの各点について、それが予め確立された閾値(Xth)を超える場合、前述の点は、それが前述の閾値(Xth)を超えたままである限りセクショニングが許容されない点として数値モデル(NM)に割り当てられる。
【0187】
これにより、装置は、所定の閾値(Xth)を超えないように、表面単位当たりのレーザ出力を調整する。この閾値(Xth)は、動的閾値とすることができ、または外科的介入を通して徐々に変化することができる。一例では、ユーザ、外科医、または医療従事者は、手術の所与の時点で閾値(Xth)を選択し、好ましくはインターフェースである中央処理装置(5)の入力手段を介して閾値を入力する。予め確立された期間は、手術中の固定または動的な期間であり得る。さらに、それは、入力手段を介して、中央処理装置(5)に値を入力するユーザまたは医療従事者によって、手術の所与の時点で選択することができる。この例では、外科医は、手術の開始時に固定の期間を選択する。
【0188】
一例では、図のいずれかに記載された装置は、外科領域(R)を洗浄する能力を装置に提供するために、前述の図のいずれにも示されていない流体管理ユニットをさらに備える。このユニットは、動作モードにおいて、レーザエミッタ(1)が作用する生体組織の領域(R)を含む領域において、気体、液体、または気体中の液体粒子を伴うミストの流れを提供するように適合される。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織セクショニング装置であって、
生体組織を領域(R)内でセクショニングするように適合されたレーザエミッタ(1)と、
前記レーザエミッタ(1)を起動および停止させるように適合された、前記レーザエミッタ(1)と通信するコントローラ(2)と、
動作モードにおいて前記領域(R)の組織の表面(S)を決定するように適合された光学モジュール(3)と、
前記コントローラ(2)および前記光学モジュール(3)と通信する中央処理装置(5)であって、
前記レーザエミッタ(1)の予め確立されたセクショニング深さ(d)を定義し、
少なくとも1つの基準面(RS)を定義し、
前記領域(R)の前記組織の表面(S)の形状と、
その下でのセクショニングが禁止される前記少なくとも1つの基準面(RS)の形状と、
前記レーザエミッタ(1)が配向されるレーザビームの方向と、
を少なくとも含む領域(R)の数値モデル(NM)を生成し、
前記数値モデル(NM)において、前記レーザビームを表す直線の点に対応し、同じ前記直線と前記組織の前記表面(S)との交点から前記セクショニング深さ(d)に等しい距離だけ離間した位置が、セクショニングが禁止されている前記領域(R)の前記組織の部分のいずれかである禁止領域の外側に位置する場合、前記レーザエミッタ(1)を起動する、
ように適合された中央処理装置(5)と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記中央処理装置(5)が、前記数値モデル(NM)において、前記直線と前記組織の前記表面(S)との前記交点と、前記交点に前記セクショニング深さ(d)に等しい距離を加えたものと、の間に位置する前記レーザビームを表す前記直線の前記点の前記位置の少なくとも1つが、禁止領域の少なくとも1つの点の位置と一致する場合、前記レーザエミッタ(1)を停止するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中央処理装置(5)が、前記数値モデル(NM)において、前記レーザビームを表す前記直線の前記点の前記位置のいずれも前記組織の前記表面(S)の点の位置と一致しない場合、前記レーザエミッタ(1)を停止するようにさらに構成される、請求項1から2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの基準面(RS)が、
前記領域(R)の前記組織の端部を画定する境界面、または
前記光学モジュール(3)によって決定された前記表面の前記領域(R)の前記組織に対して異なる組織であって、前記異なる組織が前記領域(R)の前記組織よりも深いところに位置する、異なる組織の開始部を画定する境界面、または
前記光学モジュール(3)によって決定された前記表面の前記領域(R)の前記組織に対して異なる組織であって、前記異なる組織が前記領域(R)の前記組織よりも深いところに位置する、異なる組織の端部を画定する境界面、または
前述のいずれかの組み合わせである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの基準面(RS)が、前記レーザエミッタ(1)の焦点面および/または前記光学モジュール(3)の焦点面に本質的に平行な平坦面である、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの基準面(RS)が、前記組織の表面(S)から決定される最大深さを有する前記表面である、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの基準面(RS)が、
請求項4に記載の少なくとも1つの境界面、および/または
レーザエミッタ(1)の焦点面および/または前記光学モジュール(3)の焦点面に本質的に平行な平坦面、および/または
前記組織の前記表面(S)から決定される最大深さを有する表面である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記中央処理装置(5)が、安全マージンを有して前記少なくとも1つの基準面(RS)を定義する、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記光学モジュール(3)が、光干渉断層撮影OCTシステムを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記光干渉断層撮影システムが、偏光感受性光干渉断層撮影PS-OCTシステムである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記光学モジュール(3)が、
構造化光タイプ、または
ステレオペアタイプ、または
光音響断層撮影タイプ
のシステムを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記レーザエミッタ(1)が、前記領域(R)の異なる点にビームを向けるように前記ビームの方向を変更することを可能にするスキャナを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記光学モジュール(3)が、光源および前記領域(R)の異なる点に光源を向けるように前記光源の方向を変更することを可能にするスキャナを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記中央処理装置(5)が、前記少なくとも1つの基準面(RS)に到達するまで、前記領域(R)にわたって前記レーザエミッタ(1)によって放射された前記レーザビームの連続走査を実行するように適合される、請求項12から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記中央処理装置(5)が、前記領域(R)にわたって前記光学モジュール(3)の前記光源の連続走査を実行するように適合される、請求項13から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記レーザエミッタ(1)によって確立された前記走査の制御および前記光学モジュール(3)によって確立された前記走査が独立している、請求項13から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記領域(R)にわたる前記光学モジュール(3)の前記光源の前記走査が、
予め確立された期間が経過した後、
前記中央処理装置(5)による前記レーザエミッタ(1)の起動または停止の前、
から選択される陳腐化基準が満たされると、実施される、請求項15および請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記中央処理装置(5)によって生成された前記数値モデル(NM)において、前記少なくとも1つの平坦面が、前記レーザエミッタ(1)のレーザの作用の結果として前記組織の前記表面(S)が前記平坦面の深さまで下降すると、前記少なくとも1つの平坦面がより深い深さに変化するように、前記レーザエミッタ(1)の前記焦点面および/または前記光学モジュール(3)の前記焦点面に対して複数の深さレベルで徐々に確立される、請求項14から17および請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記中央処理装置(5)が、前記数値モデル(NM)に割り当てられる少なくとも1つの基準面(RS)の定義を入力するための入力手段を備える、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの基準面(RS)が、術前画像
および/または手術中の画像によって、好ましくは磁気共鳴画像、コンピュータ断層撮影画像、または蛍光透視画像によって決定される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
術前画像
および/または手術中の画像によって決定される前記少なくとも1つの基準面(RS)が、前記領域(R)の骨組織の端部を画定する境界面である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記中央処理装置(5)が、回避されるべき領域(RA)の定義を入力する入力手段を備え、その形状が、前記数値モデル(NM)に割り当てられ、
前記中央処理装置(5)が、前記数値モデル(NM)において、前記直線と前記組織の前記表面(S)との交点と、前記交点に前記セクショニング深さ(d)に等しい距離を加えたものと、の間に位置する前記レーザビームを表す前記直線の前記点の位置の少なくとも1つが、前記回避されるべき領域(RA)の少なくとも1つの点の位置と一致する場合、前記レーザエミッタ(1)を停止するようにさらに構成される、
請求項1から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
手術野表示手段、好ましくはRGBビデオ画像を示すスクリーンを備える、請求項1から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記手術野表示手段が、前記組織の前記表面(S)の各点から前記少なくとも1つの基準面(RS)までの距離に関する情報をさらに示す、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記中央処理装置(5)が、前記レーザエミッタ(1)が前記領域(R)の点のセットを走査する間のセクショニングプロセス中に、前記一連の点が前記レーザエミッタ(1)の放射が妨げられる点に達するたびに、前記レーザエミッタが、前記レーザビームの放射を停止することなく放射が許可される次の点に位置付けられるようにさらに構成される、請求項12から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記中央処理装置(5)が、特定のパターンを有する前記領域(R)の点のセット内の温度レベルを表すスカラー(X)を表す関数を定義するようにさらに構成され、
前記関数が最初に予め確立された基準値をとり、
前記レーザエミッタ(1)がパターンの点に衝突するたびに、前記関数がその点で第1の予め確立された増分値(deltaX)だけ増加され、
前記すべての点の値が、予め確立された期間ごとに、第2の予め確立された増分値だけ低減され、
前記パターンの各点について、各点が予め確立された閾値(Xth)を超える場合、前記点が、前記閾値(Xth)を超えたままである限りセクショニングが許容されない点として前記数値モデル(NM)に割り当てられる、
請求項1から25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記中央処理装置(5)が、前記レーザエミッタ(1)が前記領域(R)の点のセットを走査する間のセクショニングプロセス中に、セクショニング深さが他のものよりも浅い点が、前記セクショニング深さを補償するように走査シーケンスにおいて優先されるようにさらに構成される、請求項12から26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記中央処理装置(5)が、前記少なくとも1つの基準面(RS)の前記安全マージンの前記定義を入力するための入力手段を備える、請求項1から27のいずれか一項および請求項8に記載の装置。
【請求項29】
前記中央処理装置(5)が、動作しているときに前記レーザエミッタ(1)の放射を停止するように適合された前記レーザエミッタ(1)の放射を停止するための手段を備える、請求項1から28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記装置が、動作モードにおいて、前記レーザエミッタ(1)が作用する生体組織の領域(R)を含む前記領域内で、気体、または液体、または気体中の液体粒子を有するミストの流れを提供するように適合された流体管理ユニットをさらに備える、請求項1から29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
低侵襲ロボット支援外科処置における請求項1から30のいずれか一項に記載の装置の使用。
【国際調査報告】