IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テルモ カーディオバスキュラー システムズ コーポレイションの特許一覧

特表2024-516743半自律的な開始モードを有する人工心肺装置
<>
  • 特表-半自律的な開始モードを有する人工心肺装置 図1
  • 特表-半自律的な開始モードを有する人工心肺装置 図2a
  • 特表-半自律的な開始モードを有する人工心肺装置 図2b
  • 特表-半自律的な開始モードを有する人工心肺装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】半自律的な開始モードを有する人工心肺装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/36 20060101AFI20240409BHJP
   A61M 1/14 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A61M1/36 111
A61M1/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568592
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 US2022025512
(87)【国際公開番号】W WO2022235431
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】17/314,856
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500204326
【氏名又は名称】テルモ カーディオバスキュラー システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲリック、ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA02
4C077DD13
4C077DD27
4C077EE01
4C077HH03
4C077HH15
4C077JJ08
4C077JJ09
4C077JJ19
4C077JJ28
(57)【要約】
本文書は、スタートアッププロセス中に操作設定を開始するための特徴を有する医療システムを説明する。例えば、本文書は、半自律的なスタートアップ手順を実行する特徴をプログラムされ、その特徴と統合された人工心肺装置システムを説明する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工心肺装置システムであって、
動脈ポンプと、
貯血槽レベル検出器と、
ユーザインタフェースと、
中央コンピュータシステムと
を備え、前記中央コンピュータシステムは、
前記貯血槽レベル検出器が作動しているか又は作動していないかを決定するために前記貯血槽レベル検出器に質問することと、
前記貯血槽レベル検出器が作動していないと決定することに応答して、前記貯血槽レベル検出器を自動的に作動させることと
を行うように構成されている、人工心肺装置システム。
【請求項2】
空気検出器を更に備え、前記中央コンピュータシステムは、
前記空気検出器が作動しているか又は作動していないかを決定するために前記空気検出器に質問することと、
前記空気検出器が作動していないと決定することに応答して、前記空気検出器を自動的に作動させることと
を行うように更に構成されている、請求項1に記載の人工心肺装置システム。
【請求項3】
高速クランプを更に備え、前記中央コンピュータシステムは、
前記高速クランプが作動しているか又は作動していないかを決定するために前記高速クランプに質問することと、
前記高速クランプが作動していないと決定することに応答して、前記高速クランプを閉鎖することによって前記高速クランプを自動的に作動させることと
を行うように更に構成されている、請求項1又は2に記載の人工心肺装置システム。
【請求項4】
静脈オクルーダを更に備え、前記中央コンピュータシステムは、
前記静脈オクルーダが作動しているか又は作動していないかを決定するために前記静脈オクルーダに質問することと、
前記静脈オクルーダが作動していないと決定することに応答して、前記静脈オクルーダを予め構成された閉塞設定に調節することによって前記静脈オクルーダを自動的に作動させることと
を行うように更に構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の人工心肺装置システム。
【請求項5】
前記動脈ポンプは、遠心ポンプであり、前記中央コンピュータシステムは、
前記遠心ポンプが作動しているか又は作動していないかを決定するために前記遠心ポンプに質問することと、
前記遠心ポンプが作動していないと決定することに応答して、前記遠心ポンプを予め構成されたRPM設定に調節することによって前記遠心ポンプを自動的に作動させることと
を行うように更に構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の人工心肺装置システム。
【請求項6】
前記中央コンピュータシステムは、前記遠心ポンプのRPM設定を生じさせる前記人工心肺装置システムへの手動入力に応答して、前記遠心ポンプを前記予め構成されたRPM設定に調節することを停止するように構成されている、請求項5に記載の人工心肺装置システム。
【請求項7】
前記貯血槽レベル検出器が自動的に作動させられた後、最初は、前記貯血槽レベル検出器からのアラームは、前記中央コンピュータシステムによって抑制される、請求項1~6のいずれか一項に記載の人工心肺装置システム。
【請求項8】
前記中央コンピュータシステムは、前記貯血槽レベル検出器による流体の第1の検出に応答して、前記貯血槽レベル検出器からの前記アラームをもはや抑制しないように構成されている、請求項7に記載の人工心肺装置システム。
【請求項9】
人工心肺装置システムを操作する方法であって、前記方法は、
前記人工心肺装置システムの中央コンピュータシステムによって、前記人工心肺装置システムの貯血槽レベル検出器が作動しているか又は作動していないかを決定するために前記貯血槽レベル検出器に質問することと、
前記貯血槽レベル検出器が作動していないと決定することに応答して、前記人工心肺装置システムの中央コンピュータシステムによって、前記貯血槽レベル検出器を自動的に作動させることと
を備える、方法。
【請求項10】
前記貯血槽レベル検出器が自動的に作動させられた後、最初は、前記中央コンピュータシステムによって、前記貯血槽レベル検出器からのアラームを抑制することを更に備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記貯血槽レベル検出器による流体の第1の検出に応答して、前記貯血槽レベル検出器からの前記アラームを前記抑制することを停止することを更に備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記中央コンピュータシステムによって、前記人工心肺装置システムの遠心ポンプが作動しているか又は作動していないかを決定するために前記遠心ポンプに質問することと、
前記遠心ポンプが作動していないと決定することに応答して、前記中央コンピュータシステムによって前記遠心ポンプを自動的に作動させることと
を更に備える、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記遠心ポンプを自動的に作動させることは、前記中央コンピュータシステムによって、前記遠心ポンプを予め構成されたRPM設定に調節することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記中央コンピュータシステムによって、前記遠心ポンプのRPM設定を生じさせる前記人工心肺装置システムへの手動入力に応答して、前記遠心ポンプを前記予め構成されたRPM設定に調節することを停止することを更に備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記中央コンピュータシステムによって、前記人工心肺装置システムの空気検出器が作動しているか又は作動していないかを決定するために前記空気検出器に質問することと、
前記空気検出器が作動していないと決定することに応答して、中央コンピュータシステムによって、前記空気検出器を自動的に作動させることと
を更に備える、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記中央コンピュータシステムによって、前記人工心肺装置システムの高速クランプが作動しているか又は作動していないかを決定するために前記高速クランプに質問することと、
前記高速クランプが作動していないと決定することに応答して、中央コンピュータシステムによって、前記高速クランプを自動的に作動させることと
を更に備える、請求項9~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記高速クランプを前記作動させることは、前記高速クランプを閉鎖することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記中央コンピュータシステムによって、前記人工心肺装置システムの静脈オクルーダが作動しているか又は作動していないかを決定するために前記静脈オクルーダに質問することと、
前記静脈オクルーダが作動していないと決定することに応答して、中央コンピュータシステムによって、前記静脈オクルーダを自動的に作動させることと
を更に備える、請求項9~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記静脈オクルーダを作動させることは、前記静脈オクルーダを予め構成された閉塞設定に調節することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記予め構成された閉塞設定は、50%である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2021年5月7日に出願された米国特許出願第17/314,856号の利益を主張する。先行出願の開示は、本出願の開示の一部とみなされる(且つ本出願の開示に参照によって援用される)。
【技術分野】
【0002】
本文書は、操作設定を開始するための特徴を有する医療システムに関する。例えば、本文書は、半自律的なスタートアップ手順を実行する特徴をプログラムされ、その特徴と統合された人工心肺装置システムに関する。
【背景技術】
【0003】
心肺バイパス(「CPB」)手術などの医療手順中に患者の循環及び血液ガス交換の必要性を満たすために、体外回路及び中空糸型人工肺と共に、人工心肺装置(「HLM」)システムが使用される。患者からの血液は、体外回路の貯血槽中に十分な容積を維持するために必要とされる血流量を得るために、落差脱血(gravity drained)されるか、又はVAVD(陰圧吸引補助脱血(vacuum assisted venous drainage))が使用されるかのうちのいずれかである。血液を貯血槽から送り出し、人工肺を通って、最終的に患者に戻すために、磁気駆動システムと結合された蠕動ポンプ又は遠心ポンプなどのポンプが、体外回路の主ラインにおいて使用されることがある。HLM自体に加えて、人工心肺装置システムは、HLMと共に使用される複数のタイプの患者モニタリングデバイスを含むことができる。
【発明の概要】
【0004】
本文書は、医療手順の開始時に操作設定を開始するための特徴を有する医療システムを説明する。例えば、本文書は、HLMが半自律的なスタートアップ手順を実行することができる特徴をプログラムされ、その特徴と統合されたHLMシステムを説明する。
【0005】
一態様では、本文書は、動脈ポンプ、貯血槽レベル検出器、ユーザインタフェース、及び中央コンピュータシステムを含む人工心肺装置システムを対象としている。中央コンピュータシステムは、貯血槽レベル検出器が作動しているか又は作動していないかを決定するために貯血槽レベル検出器に質問することと、貯血槽レベル検出器が作動していないと決定することに応答して、貯血槽レベル検出器を自動的に作動させることとを行うように構成される。
【0006】
そのような人工心肺装置システムは、任意選択で、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。人工心肺装置システムはまた、空気検出器を含み得る。中央コンピュータシステムはまた、空気検出器が作動しているか又は作動していないかを決定するために空気検出器に質問することと、空気検出器が作動していないと決定することに応答して、空気検出器を自動的に作動させることとを行うように構成され得る。人工心肺装置システムはまた、高速クランプを含み得る。中央コンピュータシステムはまた、高速クランプが作動しているか又は作動していないかを決定するために高速クランプに質問することと、高速クランプが作動していないと決定することに応答して、高速クランプを閉鎖することによって高速クランプを自動的に作動させることとを行うように構成され得る。人工心肺装置システムはまた、静脈オクルーダを含み得る。中央コンピュータシステムはまた、静脈オクルーダが作動しているか又は作動していないかを決定するために静脈オクルーダに質問することと、静脈オクルーダが作動していないと決定することに応答して、静脈オクルーダを予め構成された閉塞設定に調節することによって静脈オクルーダを自動的に作動させることとを行うように構成され得る。動脈ポンプは、遠心ポンプであり得る。中央コンピュータシステムはまた、遠心ポンプが作動しているか又は作動していないかを決定するために遠心ポンプに質問することと、遠心ポンプが作動していないと決定することに応答して、遠心ポンプを予め構成されたRPM設定に調節することによって遠心ポンプを自動的に作動させることとを行うように構成され得る。中央コンピュータシステムは、遠心ポンプのRPM設定を生じさせる人工心肺装置システムへの手動入力に応答して、遠心ポンプを予め構成されたRPM設定に調節することを停止するように構成され得る。いくつかの実施形態では、貯血槽レベル検出器が自動的に作動させられた後、最初は、貯血槽レベル検出器からのアラームは、中央コンピュータシステムによって抑制される。中央コンピュータシステムは、貯血槽レベル検出器による流体の第1の検出に応答して、貯血槽レベル検出器からのアラームをもはや抑制しないように構成され得る。
【0007】
別の態様では、本開示は、人工心肺装置システムを操作する方法を対象としている。本方法は、人工心肺装置システムの中央コンピュータシステムによって、人工心肺装置システムの貯血槽レベル検出器が作動しているか又は作動していないかを決定するために貯血槽レベル検出器に質問することを含む。本方法はまた、貯血槽レベル検出器が作動していないと決定することに応答して、人工心肺装置システムの中央コンピュータシステムによって、貯血槽レベル検出器を自動的に作動させることを含む。
【0008】
そのような方法は、任意選択で、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。本方法はまた、貯血槽レベル検出器が自動的に作動させられた後、最初は、中央コンピュータシステムによって、貯血槽レベル検出器からのアラームを抑制することを含み得る。本方法はまた、貯血槽レベル検出器による流体の第1の検出に応答して、貯血槽レベル検出器からのアラームを抑制することを停止することを含み得る。本方法はまた、中央コンピュータシステムによって、人工心肺装置システムの遠心ポンプが作動しているか又は作動していないかを決定するために遠心ポンプに質問することを含み得る。本方法はまた、遠心ポンプが作動していないと決定することに応答して、中央コンピュータシステムによって遠心ポンプを自動的に作動させることを含み得る。遠心ポンプを自動的に作動させることは、中央コンピュータシステムによって、遠心ポンプを予め構成されたRPM設定に調節することを含み得る。本方法はまた、中央コンピュータシステムによって、遠心ポンプのRPM設定を生じさせる人工心肺装置システムへの手動入力に応答して、遠心ポンプを予め構成されたRPM設定に調節することを停止することを含み得る。本方法はまた、中央コンピュータシステムによって、人工心肺装置システムの空気検出器が作動しているか又は作動していないかを決定するために空気検出器に質問することを含み得る。本方法はまた、空気検出器が作動していないと決定することに応答して、中央コンピュータシステムによって、空気検出器を自動的に作動させることを含み得る。本方法はまた、中央コンピュータシステムによって、人工心肺装置システムの高速クランプが作動しているか又は作動していないかを決定するために高速クランプに質問することを含み得る。本方法はまた、高速クランプが作動していないと決定することに応答して、中央コンピュータシステムによって、高速クランプを自動的に作動させることを含み得る。いくつかの実施形態では、高速クランプを作動させることは、高速クランプを閉鎖することを含む。本方法はまた、中央コンピュータシステムによって、人工心肺装置システムの静脈オクルーダが作動しているか又は作動していないかを決定するために静脈オクルーダに質問することを含み得る。本方法はまた、静脈オクルーダが作動していないと決定することに応答して、中央コンピュータシステムによって、静脈オクルーダを自動的に作動させることを含み得る。静脈オクルーダを作動させることは、静脈オクルーダを予め構成された閉塞設定に調節することを含み得る。予め構成された閉塞設定は、50%であり得る。
【0009】
本文書で説明する技術は、複数の利益を提供することができる。例えば、本明細書で説明するシステム及び方法は、所望の範囲内でHLMシステムの構成要素及びパラメータを開始し、任意の望ましくない設定を迅速に識別し、予め構成されたパラメータ設定能力を提供するためのユーザのニーズを満たすようにユーザ(例えば、医療実施者、灌流技師、臨床医)がカスタマイズすることができる半自律的なモニタリング及び制御機能を提供することができる。結果として、HLMの操作及び灌流の実施の安全性及び有効性を改善することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、開示するシステムは、医療手順のスタートアッププロセス中に半自律的に開始される異なる設定及びパラメータを評価するためにユーザが使用することができる統合されたシステムを提供する。この能力は、本明細書で説明するHLMシステムの使用中の患者の安全性を改善することができる。このことから、開示するシステム及び方法は、安全且つ効果的な体外灌流のための統合された相乗的HLMシステムを伴う単一デバイス解決策を提供する。
【0011】
別の例として、本明細書で説明するシステム及び方法を使用して、ユーザは、HLMの半自律的なスタートアップ手順をリアルタイムでモニタすることができる。スタートアップパラメータは、リアルタイムでHLMのユーザインタフェース上でモニタ及び表示されるので、ユーザは、システム構成要素及びパラメータの各々の状態を容易に見ることができる。結果として、ユーザは、スタートアップ中に1つ以上のパラメータを確認及び/又は調節することができ、そのため、患者は害を受けない。
【0012】
更に別の例として、いくつかの実施形態では、開示する技術は、医療手順のスタートアップ中に、予め構成されたパラメータ設定を提供することができる。これは、ユーザがスタートアップ中にパラメータに対する調節を手動で計算又は推定する必要がないので有利である。従って、ユーザは、手順の前にパラメータの所望の設定を識別することができるため、患者の安全性及び治療の有効性を改善することができる。
【0013】
開示する技術はまた、医療手順中に使用される1つ以上のデバイスの半自律的な制御を提供することができる。半自律的な制御は、医療手順の前にユーザによって構成されるパラメータ、設定、及びパラメータ調節に基づくことができる。これは、ユーザが、全てのパラメータをモニタし、手順が正しく実行されていることを確実にすることに時間を集中させることができるため、効果的な灌流制御の実施を実行する際にユーザを支援することができる。高ストレス状況の間、ユーザが全てのパラメータをモニタし、1つ以上のデバイスに調節を行って、患者の安全性を確立及び維持することは、困難であり得る。従って、手順より前にユーザ定義の設定に基づいて1つ以上のデバイス/パラメータの半自律的なスタートアップを呼び出すオプションを有することにより、患者の安全性及び全体的な灌流の実施を改善することができる。
【0014】
開示する技術は、ユーザが異なる医療実施分野のためのパラメータ及び設定を定義するのを支援することができる。このことから、開示する技術は、幅広い範囲のユーザ及び機関の選好及び慣例に対処するために、制御及びモニタリングの高度なユーザカスタマイズを提供することができる。言い換えれば、ユーザは、第1のタイプの医療手順のためのパラメータ及び設定を定義することができる。それらのパラメータ及び設定は、第1のタイプの医療手順を受けている任意の患者に適用することができる。ユーザは、次いで、第2のタイプの医療手順についての異なるパラメータ及び設定を定義することができる。それらのパラメータ及び設定は、第2のタイプの医療手順を受けている任意の患者に適用することができる。これは、手順前のより迅速且つより効率的な準備と、手順中の状態のモニタリング及び制御とを容易にする、合理化されたモニタリング及び制御システムを提供する。結果として、患者の安全性を全体にわたって改善することができる。
【0015】
開示する技術は、任意選択のユーザ設定可能な半自動化された機能を提供することができる。そのようなユーザ設定可能な半自動化された機能は、ユーザが手順中に完全な手動制御能力を依然として維持しながら、実行することができる。このことから、灌流の実施及び患者の転帰を改善することができる。
【0016】
別段に定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明が関連する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で説明するものと同様又は同等の方法及び材料を、本発明を実施するために使用することができるが、適切な方法及び材料を、本明細書で説明する。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先されるであろう。加えて、材料、方法、及び例は、例示的なものに過ぎず、限定することを意図されない。
【0017】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び本明細書の説明に記載する。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来のHLMシステム及び体外回路を使用してサポートされながら開心術を受ける患者の概略図である。
図2a図1のHLMシステム及び体外回路の半自律的な開始モードのための実例的なプロセスのフローチャートである。
図2b図1のHLMシステム及び体外回路の半自律的な開始モードのための実例的なプロセスのフローチャートである。
図3図1のHLMシステム及び体外回路を使用する実例的な手順のプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
同様の参照番号は、全体を通して対応する部分を表す。
【0020】
本文書は、医療手順の開始時に操作設定を開始するための特徴を有する医療システムを説明する。例えば、本文書は、HLMが半自律的なスタートアップ手順を実行することができる特徴をプログラムされ、その特徴と統合されたHLMシステムを説明する。
【0021】
ここで図を参照すると、図1では、患者10が生命維持HLMシステム100に接続されている間に、患者10に対して様々なタイプの医療手順を実行することができる。この例では、患者10は、患者10の心臓12及び肺が一時的に意図的に機能を停止させられる開心術を受けている。しかしながら、患者10の身体は、医療手順中に循環する酸素化された血液の供給を受ける代謝要求を有し続けるので、HLMシステム100は、そのような機能を実行する。即ち、以下で更に説明するように、HLMシステム100は、患者10に接続され、患者10が開心術中に生存し健康なままであるように、患者10の心臓12及び肺の機能を実行する。
【0022】
HLMシステム100は、多くの異なるタイプの医療手順に使用することができる。例えば、HLMシステム100を使用することができる医療手順は、限定されないが、冠動脈バイパス移植、心臓弁修復、心臓弁置換、心臓移植、肺移植、アブレーション手順、中隔欠損の修復、先天性心臓欠損の修復、動脈瘤の修復、肺動脈内膜切除、肺血栓切除などを含む。
【0023】
HLMシステム100は、典型的には、灌流技師と呼ばれる特別に訓練された臨床医によってセットアップ及び操作される。灌流技師は、心臓外科医、麻酔科医、及び看護師を含む、より幅広い心血管外科チームの一部を形成する。HLMシステム100を使用する医療手順中に、灌流技師は、多くの責任を課され、その中でも特に重要なのは、患者の組織への血流を維持し、それが患者10の血液中の酸素及び二酸化炭素のレベルを調整する様式でHLMシステム100を操作することによって、患者10が生存し健康に保たれることを確実にすることである。灌流技師の他の責任は、限定されないが、血液製剤の投与、麻酔薬又は薬物の投与、選択された検査値(血球数など)の測定、循環のモニタ、血液ガスのモニタ、抗凝固の監視、低体温の誘発、及び血液希釈を含む。灌流技師の責任は、HLMシステム100を使用して患者10に対して実行される手順の成功した転帰を達成するために、多様であり、動的であり、非常に重要である。
【0024】
図示する例では、HLMシステム100は、HLM110、体外回路120、1つ以上の温度制御システム130、血液モニタリングシステム140(例えば、CDI(登録商標)血液パラメータモニタリングシステム)、灌流データ管理システム150、及び局所酸素測定システム160などの構成要素及びサブシステムを含む。HLMシステム100を使用するいくつかのタイプの手順は、示している構成要素及びサブシステムの全てを必要とするとは限らない場合がある。HLMシステム100を使用するいくつかのタイプの手順は、示していない追加の構成要素及び/又はサブシステムを必要とし得る。
【0025】
体外回路120は、患者10及びHLM110に接続される。温度制御システム130、血液モニタリングシステム140、及び灌流データ管理システム150などの他のシステムもまた、体外回路120とインタフェースするように配置され得る。体外回路120は、患者の心臓12において患者10に接続される。患者10からの酸素欠乏血液(静脈血)は、静脈カテーテル121を使用して患者の心臓12において患者10から抽出される。以下で更に説明するように、血液は、体外回路120を通って循環されて、酸素を受け取りし、二酸化炭素を除去する。酸素化された血液は、次いで、体外回路120を通って、大動脈カニューレ129を介して患者の心臓12に戻される。
【0026】
体外回路120は、少なくとも、静脈カテーテル121に結合された静脈チューブ122と、貯血槽123と、遠心ポンプ124と、人工肺125と、動脈フィルタ126と、1つ以上の気泡検出器128と、大動脈カニューレ129に結合された動脈チューブ127とを含むことができる。静脈カテーテル121及び静脈チューブ122は、患者10の循環系の静脈側と流体連通する。静脈オクルーダ170及び第1のチューブクランプ172aは、静脈チューブ122に沿って配置することができる。静脈チューブ122はまた、貯血槽123への入口と流体連通する。貯血槽123からの出口は、チュービングによってポンプ124の入口に接続される。ポンプ124の出口は、チュービングによって人工肺125の入口に接続される。人工肺125の出口は、チュービングによって動脈フィルタ126の入口に接続される。動脈フィルタ126の出口は、動脈チューブ127に接続される。1つ以上の圧力トランスデューサを、動脈チューブ127に沿って配置して、動脈チューブ127中の血液の人工心肺装置(HLM)システムライン圧力を検出することができ、その圧力は、HLM110によって測定され、灌流技師によってモニタされる。いくつかの実施形態では、1つ以上の気泡検出器が、体外回路120に沿って配置される。動脈チューブ127は、動脈カニューレ129に接続され、動脈カニューレ129は、心臓12と物理的に接触し、患者10の循環系の動脈側と流体連通する。
【0027】
手短に言えば、体外回路120は、静脈カテーテル121を介して患者10から静脈の酸素欠乏血液を除去し、静脈チューブ122を介して貯血槽123中に静脈血を貯めることによって動作する。場合によっては、重力(gravity)を使用して、血液を患者10から貯血槽123に流させるか、又は脱血させる。場合によっては、真空(vacuum)を使用して、血液が患者10から貯血槽123に流れるのを支援する。少なくとも幾らかの量の血液が、外科的手順中に常に貯血槽123中に維持されることを意図される。1つ以上のレベルセンサ174を使用して、貯血槽123中の血液のレベルを検出し、システム100を制御するために使用されるフィードバックを提供して、レベルを所望の範囲内に維持することができる。そうでなければ、貯血槽123が空になった場合、空気が体外回路120中に、潜在的には患者10の血管系中に送り出される可能性がある。そのような結果は、患者10にとって致命的となる可能性が高いであろう。それ故に、灌流技師は、貯血槽123中の血液のレベルのモニタリングを課される。加えて、レベル検出器174を、貯血槽123内の低レベル状態の検出に応答してアラームを発するために、貯血槽123と共に含むことができる。その上、1つ以上の気泡検出器128を、体外回路120に沿った様々な場所に配置することができる。
【0028】
貯血槽123からの血液は、ポンプ124によって貯血槽123から引き出される。図示する実施形態は、ポンプ124として単回使用の遠心ポンプを含むが、場合によっては、HLM110の蠕動ポンプが代わりに使用される。ポンプ124によって生成された圧力は、人工肺125を通して血液を推進させる。灌流技師は、体外回路120の血液中に微小空気を作り出す可能性がある負のキャビテーションなどの動作上の問題を回避しながら、ポンプ124を所望のように動作するように調節するであろう。人工肺125では、静脈血は酸素で富化され、二酸化炭素が血液から除去される。今や酸素富化の動脈血は、人工肺125を出て、動脈圧センサ176、動脈高速クランプ178、塞栓を除去するための動脈フィルタ126、及び第2のチュービングクランプ172bを含むことができる複数の構成要素を通って動脈チューブ127に沿って移動する。動脈チューブ127は、酸素化された血液を大動脈カニューレ129を介して患者10に戻す。
【0029】
体外回路120はまた、限定されないが、患者10の心臓に蓄積する血液の脱血、手術野の可視性を維持するための外科的吸引の提供、手順中の患者10の心臓12への心筋保護液の送達、血液パラメータの測定、血液からの空気の除去、血液濃縮、薬物添加、血液試料の取得、血液の加熱及び冷却、等などの機能を容易にするためのチュービング及び他の構成要素を含むことができる。
【0030】
HLMシステム100を使用する外科的手順中に、患者10の様々なバイタルサインが測定及び/又はモニタされる。例えば、患者の平均動脈圧(「MAP」)が測定され得る。患者10のMAPは、HLMシステム100が外科的手順中に所望のように機能していることを確実にするために、HLMシステム100を操作する灌流技師がモニタするであろうパラメータである。場合によっては、MAP読み取り値は、麻酔システムの画面上に表示され、及び/又は手術室の画面上に表示される。患者10のMAPが所望の範囲外にある場合、灌流技師は、患者10のMAPを改善するためにHLMシステム100に対して調節を行い得る。
【0031】
HLMシステム100はまた、HLM110を含む。HLM110は、複数のポンプ、モニタ、制御装置、ユーザインタフェース、アラーム、安全デバイス、等を含む複雑なシステムであり、これらは全て、外科的手順中に灌流技師によってモニタされ、操作/調節される。例えば、図示するHLM110は、動脈ポンプ111(示しているような使い捨て遠心ポンプ124、又は蠕動ポンプのための駆動システムであり得る)、吸引ポンプ112、通気/脱血ポンプ113、心筋保護液ポンプ114、及び心筋保護液送達ポンプ115を含む。HLM110はまた、チュービングオクルーダ、電子ガス混合器システム、血液濃縮器、等などのデバイスを含むことができるか、又はそれらとインタフェースすることができる。ポンプの各々の回転速度及び他のパラメータなどのHLM110のパラメータは、灌流技師によって設定及び調節される。例えば、動脈ポンプ111の速度は、貯血槽123中の血液の望ましいレベルを維持し、患者10内の血液循環の必要なレベルを提供するように調節される。
【0032】
HLMシステム100はまた、1つ以上の温度制御システム130を含む。第1の態様では、温度制御システム(複数可)130は、熱交換器を介して人工肺125中の患者の血を加熱及び冷却するために使用される。追加として、温度制御システム(複数可)130は、患者10の心臓12に送達される心筋保護液を加熱及び冷却するために使用される。一般に、温度制御システム(複数可)130は、手順中に冷却モードで使用され(代謝要求を低減するために)、その後、外科的手順がその終わりに近づいているときに血液及び/又は心筋保護液を温めるために使用される。灌流技師は、外科的手順中に必要に応じて温度制御システム(複数可)130のセットアップ及びモニタリング/調節を課される。
【0033】
HLMシステム100はまた、図示するように、血液モニタリングシステム140を含む。血液モニタリングシステム140は、外科的手順中に患者10の体外血液をモニタするために使用される。モニタされるパラメータは、限定されないが、pH、pCO2、pO2、K+、温度、SO2、ヘマトクリット、ヘモグロビン、塩基過剰、重炭酸塩、酸素消費量、及び酸素送達量を含むことができる。灌流技師は、外科的手順中に血液モニタリングシステム140のセットアップ及びモニタリングを課される。場合によっては、灌流技師は、血液モニタリングシステム140からの読み取り値に応答して、HLMシステム100の他の構成要素又はサブシステムを調節する必要があるであろう。
【0034】
HLMシステム100はまた、図示するように、灌流データ管理システム150及び局所酸素測定システム160を含む。これらのシステムはまた、外科的手順中に患者10の状態及び/又はHLMシステム100の状態をモニタするために灌流技師が使用することができる。
【0035】
HLMシステム100の様々なシステム、サブシステム、及び構成要素を上記で説明した。場合によっては、特定の患者10のためのHLMシステム100は、上記で説明したシステム、サブシステム、及び構成要素の全てを用いて完全に構成されるであろう。他の場合には、HLMシステム100の上記で説明したシステム、サブシステム、及び構成要素のうちの1つ以上は、他の患者10のために使用されない場合がある。特定の手順に対して何のシステム、サブシステム、及び構成要素が使用されるかに関するそのような変動は、患者のタイプ(例えば、成人、小児、体重、併存疾患、等)、医療機関の標準的な手順、外科医の選好、灌流技師の選好、機器の利用可能性、等などの多くの異なる要因及び要因の組み合わせに起因する可能性がある。それ故に、灌流技師は、HLMシステム100の幅広い多種多様な異なる構成をセットアップ及びスタートアップする準備ができていなければならない。これは、灌流技師にとって非常に困難であり、ストレスが多い。
【0036】
上記の説明から、灌流技師は、従来のHLMシステム100を使用して外科的手順をセットアップ及びスタートアップするために、膨大な量の非常に重要な責任を課されることを観察及び理解することができる。タスクのうちのいくつかはHLM110に関連し、他のタスクは体外回路120に関連し、更に他のタスクはHLMシステム100の追加のサブシステムに関連する。それ故に、本開示は、灌流技師がHLMシステム100のセットアップ及びスタートアップを首尾良く実行することを支援することができるシステム及び技法を説明する。
【0037】
図2a及び2bは、HLMシステム100をスタートアップするための半自律的な開始モードプロセス400(「AIMプロセス400」)のフローチャートである。AIMプロセス400は、HLMシステム100及び他の医療機器システムのスタートアップのための半自律的な開始モードシステム(「AIMシステム」)の動作を説明する。いくつかの実施形態では、AIMプロセス400は、セットアップ及びプライミングの後に、及び心肺バイパスを開始するための外科医の指示を待っている間に実行されるであろう。
【0038】
AIMシステム及びAIMプロセス400の目的及び利益のうちのいくつかは、安全アラームの全てを作動させてはないこと、人工肺125への酸素供給をオンにしてはいないこと、静脈オクルーダ170又は高速クランプ178を完全に閉鎖してはいないこと、レベルセンサ174を作動させてはいないこと、気泡検出器(「ABD」)を作動させてはいないこと、等などの灌流技師の見落としに関連するリスクの軽減を含む。加えて、AIMシステム及びAIMプロセス400は、HLMシステム100のシステム、サブシステム、及び構成要素をセットアップし、作動させ、試験するために灌流技師が普通であれば実行しなければならないタスクの数を有益に低減することができる。
【0039】
AIMプロセス400のいくつかのステップは、場合によっては省略され得ることを理解されたい。ある特定のステップの省略は、使用されるHLMシステム100の特定の構成、灌流技師の選好、及び他の要因に起因する可能性があるか、又はそれらに基づく可能性がある。その上、AIMシステムは、AIMプロセス400のステップのうちの任意のものを実行するか、又は実行しないように構成することができる。それ故に、AIMプロセス400のステップの各々は、任意選択のステップであると考えられるべきである。
【0040】
AIMシステムは、HLMシステム100と統合することができる。いくつかの実施形態では、AIMプロセス400は、HLM110の中央コンピュータの一部であり得るか、又はそれによって実行することができる。
【0041】
AIMプロセス400のステップ401では、HLM110のユーザインタフェース上のAIMシステムタブが、ユーザ(例えば、灌流技師)によってアクセスされる。これに応答して、HLM110のユーザインタフェースは、ステップ402においてAIMシステムメニューを表示するであろう。いくつかの実施形態では、このアクションは、AIMプロセス400の実行中に半自律的にチェック及び/又は作動させられるであろうHLMシステム100のシステム、サブシステム、及び構成要素を再検討及び/又は調節する機会を灌流技師に提供する。
【0042】
AIMシステムメニューから、灌流技師は、開始前タブなどのユーザインタフェース上の要素を選択すること403によって、半自律的なチェック及び作動プロセスを開始することができる。これに応答して、HLM110のユーザインタフェースは、半自律的にチェックされるであろうHLMシステム100のシステム、サブシステム、及び構成要素の概要を表示するであろう。加えて、半自律的なチェック及び作動プロセスが始まるであろう。即ち、AIMシステムは、AIMプロセス400の以下のステップで説明するように、HLMシステム100のシステム、サブシステム、及び構成要素に対して逐次的に質問し、作動信号を送り始めるであろう。以下のステップの各々が実行されるとき、HLMシステム100のシステム、サブシステム、及び構成要素の状態のインジケーションを、ユーザインタフェース表示上に提供することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザインタフェース上のAIMシステム表示画面は、チェックされるパラメータの表形式のリストを有することができる。各パラメータの傍らの緑色光などのインジケーションは、パラメータが首尾良く適切に作動させられたときに提供することができる。
【0043】
AIMプロセス400のステップ404及び405では、AIMシステムは、空気検出器(例えば、上記で説明したような気泡検出器)が作動させられている(又は「作動可能にされている」)かどうかを決定するために空気検出器に質問する。空気検出器が作動可能にされている場合、AIMプロセス400の次のアクションは、ステップ407である。しかしながら、空気検出器が作動可能にされていない場合、AIMプロセス400の次のアクションは、ステップ406である。AIMプロセス400のステップ406では、AIMシステムは、空気検出器を作動可能にさせる。次いで、AIMシステムは、空気検出器が作動可能にされていることを確認するためにAIMシステムがチェックするステップ405をもう一度実行する。空気検出器が作動可能にされていることをAIMシステムが確認したとき、ユーザインタフェース表示は、インジケーションを提供し、次いで、AIMシステムは、ステップ407に進む。故に、この第1の例(AIMプロセス400の他のステップを表す)から想像することができるように、AIMシステムは、空気検出器が作動可能にされていないことに(ステップ405において)AIMシステムが気付いたときにステップ406において空気検出器を作動可能にするので、AIMシステムは、AIMプロセス400を半自律的に実行すると言える。
【0044】
AIMプロセス400のステップ407及び408では、AIMシステムは、貯血槽レベル検出器(複数可)が作動可能にされているかどうかを決定するために、貯血槽レベル検出器(複数可)をチェック/質問する。ステップ408で、貯血槽レベル検出器(複数可)が作動可能にされていないとAIMシステムが決定した場合、AIMシステムは、ステップ409で貯血槽レベル検出器(複数可)を作動可能にする。この時点で、貯血槽は、貯血槽レベル検出器(複数可)の領域中に流体をまだ収容していない場合があることを理解されたい。それ故に、貯血槽レベル検出器(複数可)が作動可能にされていても、AIMシステムは、貯血槽レベル検出器(複数可)の領域中の流体(例えば、血液)の欠如によって普通であれば生成されるであろう貯血槽レベル検出器(複数可)からのアラームを最初は抑制することができる。しかしながら、流体が貯血槽レベル検出器(複数可)の領域中で最初に検出されると、それに応答して、AIMシステムは、アラームの抑制を中断することができる。貯血槽レベル検出器(複数可)が作動可能にされていることをAIMシステムが確認すると、ユーザインタフェース表示は、対応するインジケーションを提供し、AIMプロセス400は、ステップ410に進む。
【0045】
AIMプロセス400のステップ410及び411では、AIMシステムは、動脈圧センササブシステム(例えば、図1の動脈圧センサ176)をチェック/質問する。特に、いくつかの実施形態では、AIMシステムは、低圧限界及び高圧限界が設定されていることと、動脈圧センサがAIMシステムに通信可能であることとをチェック及び検証することができる。
【0046】
AIMプロセス400のステップ412では、AIMシステムは、動脈圧センササブシステムをトラブルシューティングする。例えば、これは、トランスデューサが正しくゼロにされているかどうか、ライン圧力を読み取るためにストップコックが正しい位置でインラインに回されているかどうか、圧力ケーブルがトランスデューサに正しく固定されているかどうか、等を決定するためにポイントをチェックすることによって、表示されていないライン圧力をトラブルシューティングすることを含むことができる。
【0047】
AIMプロセス400のステップ413では、AIMシステムは、動脈圧が範囲内にあるかどうかを決定する。このステップにおいて、外科医は、既に大動脈にカニューレを挿入し、一次回路の動脈チュービングをカニューレに接続し、その接続部においてクランプを取り外している。接続が行われると、灌流技師は、大動脈から伝達されたライン圧力をモニタする。この範囲は、典型的には、患者の全身圧力及び大動脈内の圧力に応じて、100~200mmHgであり得る。灌流技師は、次いで、バイパスを開始する時間まで患者を安全に固定するために、彼/彼女の近くの動脈ライン上にクランプを配置する。
【0048】
動脈圧センササブシステムが適切に動作していることをAIMシステムが確認すると、ユーザインタフェース表示は、対応するインジケーションを提供し、AIMプロセス400は、ステップ414に進む。
【0049】
AIMプロセス400のステップ414及び415では、AIMシステムは、高速クランプが用いられているかどうかと、用いられている場合、高速クランプが作動可能にされ、且つ閉鎖されているかどうかとを決定するために、高速クランプサブシステム(例えば、図1の動脈高速クランプ178)をチェック/質問する。高速クランプが用いられているが、作動可能にされておらず、及び/又は閉鎖されていない場合、AIMシステムは、ステップ416において、高速クランプを半自律的に作動可能にし、及び/又は閉鎖することができる。高速クランプが適切に動作している(且つ閉鎖されている)ことをAIMシステムが確認すると、ユーザインタフェース表示は、対応するインジケーションを提供し、AIMプロセス400は、ステップ417に進む。
【0050】
AIMプロセス400のステップ417及び418では、AIMシステムは、オクルーダが用いられているかどうかと、用いられている場合、オクルーダが作動可能にされ、且つ閉鎖されているかどうかとを決定するために、静脈オクルーダサブシステム(例えば、図1の静脈オクルーダ170)をチェック/質問する。オクルーダが用いられているが、作動可能にされておらず、及び/又は閉鎖されていない場合、AIMシステムは、ステップ419において、オクルーダを半自律的に作動可能にし、及び/又は閉鎖することができる。オクルーダが適切に動作している(且つ閉鎖されている)ことをAIMシステムが確認すると、ユーザインタフェース表示は、対応するインジケーションを提供し、AIMプロセス400は、ステップ420に進む。
【0051】
AIMプロセス400のステップ420及び421では、AIMシステムは、遠心ポンプをチェック/質問する(遠心ポンプが用いられる場合)。例えば、AIMシステムは、遠心ポンプのRPMが設定可能な惰性速度設定ポイント(coast speed set point)に設定されていることをチェックする。設定されていない場合、AIMシステムは、設定された惰走速度(RPM)で動作するように遠心ポンプのRPMを半自律的に増加又は減少させることができる。遠心ポンプが適切に動作している(且つそのRPMが確立された惰走速度にある)ことをAIMシステムが確認すると、ユーザインタフェース表示は、ステップ423において対応するインジケーションを提供し、AIMプロセス400は、ステップ424に進む。
【0052】
AIMプロセス400のステップ424及び425では、AIMシステムは、チュービングクランプ(例えば、図1のクランプ172a及び172b)が体外回路をクランプしているかどうか、又はチュービングクランプが体外回路をクランプしていないかどうかを決定するためにチェック/質問する。いくつかの実施形態では、これは、ユーザインタフェース上にメッセージを提供し、ユーザインタフェース中に応答を入力することによって、クランプが取り外されたことを確認するように灌流技師に求めることによって実行される。場合によっては、クランプのうちの1つ以上が体外回路を閉鎖しているとAIMシステムが決定する場合、メッセージをユーザインタフェース上に表示して、灌流技師に1つ以上のクランプを取り外すように促すことができる。クランプが体外回路を閉鎖していないとAIMシステムが決定すると、AIMプロセス400は、ステップ427に進む。
【0053】
AIMプロセス400のステップ427において、AIMシステムは、CPBを開始する。このステップは、AIMシステムによって、及び/又はHLMの中央コンピュータシステムによって自律的又は半自律的な様式で実行される以下のアクションのうちの1つ以上を含むことができる。ポンプ時間クロックを開始することができる。ガススイープは、予め構成された設定(例えば、半自律的な目標流量について成人の場合1L/min)に調節することができる。FiO2は、予め構成された設定(例えば、半自律的な目標について成人の場合100パーセント)に調節することができる。動脈高速クランプ(用いられる場合)は、開放することができる。動脈血流は、ある時間期間(設定可能、例えば20秒)にわたって、予め構成された目標値(例えば、成人の場合1L/min)まで徐々に増加させることができる。AIMシステムは、半自律的な動作を制御し続けるために、設定可能な安全な上限流量によって制限されるであろう。即ち、血流を完全な流量目標値に調節し、静脈還流を制御することは、依然として灌流技師の義務であろう。静脈オクルーダ(用いられる場合)は、予め構成された設定まで開放することができる(例えば、半自律的な目標流量のために50パーセント開放)。
【0054】
いくつかの実施形態では、AIMシステムは、及び/又はHLMの中央コンピュータシステムによって、AIMシステムがその目標流量値に到達すると、静脈貯血槽レベル、動脈ライン圧力、及び空気検出に関して、全てに対して適切な応答を伴って、灌流システムを自律的又は半自律的にモニタするであろう。AIMシステム制御されたスタートアップ中の動脈ポンプ血流に対する灌流技師による介入(例えば、速度調節ノブ又はカーソル)は、AIMシステムを直ちに解除し、灌流技師に完全な制御を返すであろう。AIMシステム及び/又はHLMの中央コンピュータシステムがその予め構成された半自律的な目標動脈流に到達すると、灌流技師は、CPBの手動制御を想定し、動脈ポンプ流を完全流量指数まで増加させ、静脈還流の制御を調節する。AIMシステムは、動脈ポンプ血流の調節を自動的に解除する。
【0055】
図3は、医療手順200中に使用される実例的なモニタリング及び制御システムの概略図である。手順200は、患者10及び医療実施者206を含むことができる。医療実施者206は、手順200及び/又は手順200の一部分を実行する灌流技師又は他の専門家であり得る。患者10は、本開示全体を通して図示及び説明するように、HLM(例えば、HLMシステム100)に連結することができるか、又はHLMと通信することができる。センサ(複数可)208もまた、患者10又は体外回路に取り付けることができる。センサ(複数可)208は、HLMシステム100及び/又は手順200中に使用される任意の他のデバイスと更に通信することができる。センサ(複数可)208は、患者10、HLMシステム100、及び手順200中にモニタされているパラメータのリアルタイム状態を捕捉することができる。
【0056】
医療実施者206は、患者10、HLMシステム100、及び手順200中に使用される他のデバイスの状態又はパラメータをモニタするために、ユーザデバイス204(ユーザインタフェース)を使用することができる。いくつかの実施形態では、ユーザデバイス204は、HLMシステム100の一部であるか、又はそれに物理的に取り付けられる。いくつかの実施形態では、ユーザデバイス204は、HLMシステム100とは別個であり得る。いくつかの実施形態では、ユーザデバイス204は、スマートフォン又はタブレットなどのモバイルコンピューティングデバイスであり得る。ユーザデバイス204はまた、コンピュータ又はラップトップであり得る。ユーザデバイス204は、モニタされた状態及びパラメータをリアルタイムで表示するように構成されたユーザインタフェース(例えば、タッチ画面、モニタ、等)を有することができる。ユーザデバイス204はまた、医療実施者206から調節を受信するように構成された1つ以上の入力デバイスを有することができる。医療実施者206は、ユーザデバイス204に入力を提供することによって、状態及びパラメータのうちのいずれか1つに対して調節を行うことができる。
【0057】
ユーザデバイス204は、コンピュータシステム202(例えば、モニタリング及び制御システム)と通信することができる。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム202は、HLMシステム100の一部である。いくつかの実施形態では、ユーザデバイス204は、コンピュータシステム202の一部である。その上、コンピュータシステム202は、1つ以上の入力デバイス及び/又はディスプレイを含むことができる。AIMシステムは、コンピュータシステム202上で実行されるようにインストールすることができる。
【0058】
コンピュータシステム202は、モニタされた状態及びパラメータを表示するユーザインタフェースをユーザデバイス204に提供するように構成することができる。いくつかの実装形態では、コンピュータシステム202及びユーザデバイス204は、同じシステムであり得る。他の実装形態では、コンピュータシステム202及びユーザデバイス204は、互いにリモートであり得る。コンピュータシステム202はまた、手順200中に医療実施者206によって行われるか、又は提案される1つ以上の調節を容易にすることができる。従って、コンピュータシステム202はまた、HLMシステム100、センサ(複数可)208、及び手順200中に使用される任意の他のデバイスと通信することができる。1つ以上の構成要素(例えば、ユーザデバイス204、HLM110、センサ(複数可)208、及びコンピュータシステム202)の間の通信は、ネットワーク(複数可)210を介してワイヤレス及び/又はワイヤードであり得る。
【0059】
依然として図2を参照すると、手順200が始まる前に、医療実施者206は、ユーザデバイス204においてパラメータ範囲及び半自律的な調節を設定することができる(A)。ユーザデバイス204は、医療実施者206に表示を提供し、医療実施者206に、手順200中にモニタされるであろうパラメータの各々についての値を設定するように促すことができる。パラメータが医療実施者定義のパラメータ範囲から外れる場合、医療実施者206に、医療実施者206が手順200中に実施したくあり得るパラメータへの所望の調節を入力するように促すこともできる。言い換えれば、手順200の前に、医療実施者206は、医療実施者206が同様に手順200の前に定義する理想的な範囲をパラメータのいずれかが上回るか又は下回る場合に、何のアクション(例えば、予め定義された調節)を取ることができるかを示すことができる。次いで、手順200中に、パラメータのいずれかが実際に医療実施者定義の範囲外に外れる場合、医療実施者206は、予め定義された調節のうちの1つを選択及び実行することができる。そのような調節は、医療実施者206が手動で実行することができる。そのような調節はまた、コンピュータシステム202が半自律的に実行することができる。
【0060】
医療実施者206は、全ての同様の手順又は特定の実施分野に概ね適用されるパラメータ範囲及び半自律的な調節を設定することができる。従って、どの患者が手順200を受けるかにかかわらず、同じパラメータ範囲及び半自律的な調節を、手順200に適用することができる。これは、医療実施者206が全ての手順を同じように実行するのに有益であり得、それは、患者の安全性及び全体的な手順の転帰を改善することができる。その上、特定の実施分野において同じパラメータ範囲及び半自律的な調節を使用することは、コンピュータシステム202がパラメータ傾向分析をより正確に予測及び/又は生成するために有利であり得る。他の例では、医療実施者206は、患者毎の手順毎にパラメータ範囲及び半自律的な調節を設定することができる。言い換えれば、第1及び第2の患者は、同じ手順を受けることができる。しかしながら、医療実施者206は、患者の各々に対して異なるパラメータ範囲及び調節を設定することができる。これは、患者が異なる健康状態又は感受性を有する場合に有益であり得る。
【0061】
次に、コンピュータシステム202は、ユーザデバイス204からパラメータ設定を受信することができる(B)。これらのパラメータ設定は、医療実施者定義のパラメータ範囲及び/又は半自律的なパラメータ調節のうちの1つ以上であり得る。
【0062】
受信されたパラメータ設定に基づいて、コンピュータシステム202は、1つ以上のユーザインタフェース表示を生成することができる(C)。例えば、コンピュータシステム202は、ユーザインタフェース上に対話型/選択的オプションを生成することができ、選択的オプションの各々は、医療実施者206がユーザデバイス204において定義した半自律的な調節に相関する。言い換えれば、医療実施者206がHLMシステム100中の体外回路を通る血流を増加させるための調節を定義した場合、コンピュータシステム202は、手順200中に医療実施者206によってクリックされたときに、回路を通る血流を自動的に増加させることができるボタンを生成することができる。別の例として、コンピュータシステム202はまた、医療実施者206がユーザデバイス204において定義したパラメータの各々について、1つ以上のグラフ又は他の描写を生成することができる。
【0063】
生成されたユーザインタフェース表示は、ユーザデバイス204において受信することができる(D)。言い換えれば、ユーザインタフェースは、手順200中にユーザデバイス204上に表示することができる。表示は、患者10のパラメータ、パラメータ傾向、及び/又は状態のリアルタイム変化を反映するように、手順200中に更新することができる。本開示全体を通して図示及び説明するように、表示は、単一のユーザインタフェース上でモニタ又は定義されたパラメータの各々についての情報を提供することができる。結果として、いくつかの実施形態では、医療実施者206は、手順200中に全てのパラメータを同時にモニタすることができる。他の実施態様では、医療実施者206は、複数の異なるユーザインタフェース表示/画面間で切り替わることができる。ユーザインタフェース表示/画面の各々は、特定のパラメータに関連することができる。ユーザインタフェースの各々は、医療実施者定義のパラメータの全てのサブセットに関連することができる。
【0064】
場合によっては、パラメータを単一のユーザインタフェース表示に統合することが有利であり得る。これは、医療実施者206が、手順200中に全てのパラメータをより容易且つ連続的にモニタすることができるためである。リアルタイム更新により、医療実施者206はまた、パラメータにおける任意の望ましくない変化に対してより迅速且つ正確に応答することができる。
【0065】
ユーザデバイス204は、手順中にHLMシステム100及び/又はセンサ(複数可)208からリアルタイムパラメータ情報を受信することができる(E)。コンピュータシステム202はまた、HLMシステム100及び/又はセンサ(複数可)208からリアルタイムパラメータ情報を受信することができる(E)。リアルタイムパラメータ情報に基づいて、コンピュータシステム202は、パラメータ傾向を生成することができる(F)。例えば、コンピュータシステム202は、モニタされたパラメータの各々の傾向分析を図示するグラフを生成することができる。グラフは、モニタされたパラメータの過去、現在、及び予想される傾向を示すことができる。グラフはまた、医療実施者定義のパラメータ範囲に対するモニタされたパラメータの過去、現在、及び予想される傾向を示すことができる。
【0066】
生成されたパラメータ傾向は、コンピュータシステム202からユーザデバイス204に提供することができる。従って、パラメータ傾向は、ユーザインタフェース(G)に表示することができる。このことから、ユーザインタフェースは、リアルタイムパラメータ情報が受信され(E)、パラメータ傾向が生成される(F)につれて、動的に更新することができる。いくつかの実装形態では、ユーザデバイス204は、パラメータ傾向を決定及び生成することができる。ユーザデバイス204はまた、HLMシステム100及び/又はセンサ(複数可)208から受信されるリアルタイムパラメータ情報を表示することができる(G)。例えば、ユーザデバイス204は、センサ(複数可)208によってリアルタイムで感知されるパラメータ値でユーザインタフェースを更新することができる。そのユーザインタフェースはまた、コンピュータシステム202によって生成されたパラメータ傾向を反映するように更新することができる(F)。このことから、ユーザインタフェースは、過去の又は現在のパラメータ値と、予想されるパラメータ傾向との両方を表示することができる。
【0067】
全てのこの情報がユーザデバイス204において医療実施者206に表示されるので、医療実施者は、モニタされるパラメータに影響を及ぼすために何らかの調節を行うか否かを選ぶことができる。例えば、パラメータのうちの1つが、そのパラメータについて医療実施者定義の範囲から外れる傾向にあると予想される場合、医療実施者206は、医療実施者206の予め定義されたパラメータ調節のうちの1つをユーザインタフェースから選択することができる(H)。上述したように、予め定義されたパラメータ調節は、ボタンなどの選択可能なオプションとしてユーザインタフェース中に表示することができる。
【0068】
予め定義されたパラメータ調節のうちの1つ以上を医療実施者206が選択すると、コンピュータシステム202は、ユーザデバイス204から調節を受信することができる(I)。いくつかの実施形態では、医療実施者206は、1つよりも多くの予め定義されたパラメータ調節を選択することができる。医療実施者206による選択は、コンピュータシステム202によって同時に通信及び実行することができる。
【0069】
パラメータ調節(複数可)を、次いで、実行することができる(J)。いくつかの実施形態では、パラメータ調節は、コンピュータシステム202によって半自律的に実行することができる。言い換えれば、医療実施者206は、手順200が始まる前に調節を定義した。手順200中に予め定義されたパラメータ調節を医療実施者206が選択したとき、コンピュータシステム202は、調節を実行するための命令を受信した。従って、医療実施者206は、手順200中に何のタイプの調節が発生するのかの制御を維持する。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム202は、何の調節(複数可)を行うかを予測しないか、又は医療実施者206に提案しない。代替として、いくつかの実施形態では、コンピュータシステム202は、何の調節(複数可)を行うかを医療実施者206に提案する。
【0070】
他の例では、調節(複数可)は、医療実施者206が手動で実行することができる。医療実施者206はまた、ユーザデバイス204、HLMシステム100、及び/又は手順200中に使用される任意の他のデバイスの1つ以上のボタン又は他の物理的な構成要素を選択的に制御することによって、半自律的な調節を無効にすることができる。例えば、医療実施者206は、体外回路の特定の部分を通る圧力を第1の値だけ増加させることを必要とする、手順200の前の予め定義されたパラメータ調節を確立している場合がある。手順200中に、医療実施者206は、依然としてその調節を実行したくあり得るが、体外回路の特定の部分を通る圧力を第1の値の代わりに第2の値だけ増加させたくあり得る。第2の値は、第1の値よりも大きくあり得るか、又は小さくあり得る。従って、医療実施者206は、手動で制御を行い、1つ以上の物理的なボタンを操作して、圧力を第2の値だけ調節することができる。これは、予め定義された調節の手動又は半手動の実行であり得る。
【0071】
ユーザデバイス204及びコンピュータシステム202は、そのような1つ以上の調節が行われた後、手順200中にリアルタイムパラメータ情報を受信し続けることができる。結果として、医療実施者206は、パラメータを連続的にモニタし、手順200全体を通して任意の必要な調節を行うことができる。
【0072】
本明細書は、多くの特定の実装形態の詳細を含むが、これらは、いかなる発明の範囲又は特許請求され得るものの範囲に対する限定としても解釈されるべきではなく、むしろ、特定の発明の特定の実施形態に固有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈において本明細書で説明したある特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて実装することができる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明する様々な特徴はまた、複数の実施形態で別個に、又は任意の適切なサブコンビネーションで実装することができる。その上、特徴は、ある特定の組み合わせで作用するものとして上記で説明され、最初はそのように特許請求されさえし得るが、特許請求される組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、組み合わせから削除することができ、特許請求される組み合わせは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形形態を対象とし得る。
【0073】
同様に、動作は、特定の順序で図面に図示しているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示した特定の順序で若しくは逐次的な順序で実行されること、又は全ての例示した動作が実行されることを必要とすると理解されるべきではない。ある特定の状況では、マルチタスキング及び並列処理が有利であり得る。その上、上記で説明した実施形態における様々なシステム構成要素の分離は、全ての実施形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、説明したプログラム構成要素及びシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に共に統合することができるか、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化することができることを理解されたい。
【0074】
主題の特定の実施形態を説明した。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。例えば、特許請求の範囲に記載したアクションは、異なる順序で実行し、依然として望ましい結果を達成することができる。一例として、添付の図面に図示したプロセスは、望ましい結果を達成するために、示した特定の順序、又は逐次的な順序を必ずしも必要としない。ある実装形態では、マルチタスキング及び並列処理が有利であり得る。
図1
図2a
図2b
図3
【国際調査報告】