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特表2024-516750オキシラセタムを含む筋肉疾患の予防または治療用組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】オキシラセタムを含む筋肉疾患の予防または治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4015 20060101AFI20240409BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20240409BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240409BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20240409BHJP
   A23G 3/34 20060101ALN20240409BHJP
   A23G 4/06 20060101ALN20240409BHJP
   A21D 13/80 20170101ALN20240409BHJP
【FI】
A61K31/4015
A61P21/00
A61P21/04
A23L33/10
A23L2/52
A23L2/00 F
A23G3/34 101
A23G4/06
A21D13/80
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509292
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 KR2022005916
(87)【国際公開番号】W WO2022231257
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】10-2021-0053617
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0086607
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0146501
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Witepsol
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523403911
【氏名又は名称】ケイエスビー トゥジェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】キム ボキュン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン スン ヒョ
(72)【発明者】
【氏名】イ キュン-ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム ス ジュン
【テーマコード(参考)】
4B014
4B018
4B032
4B117
4C086
【Fターム(参考)】
4B014GB06
4B014GB13
4B014GK05
4B014GK12
4B014GL03
4B014GL10
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB03
4B018LB04
4B018LB05
4B018LB06
4B018LB08
4B018LB09
4B018MD18
4B018ME14
4B032DB22
4B032DG02
4B032DG08
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4B032DK03
4B032DK05
4B032DK07
4B032DK12
4B032DK18
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4B032DK70
4B032DL05
4B032DP08
4B117LC04
4B117LG04
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4B117LK13
4B117LK14
4B117LP01
4B117LP14
4B117LP17
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC08
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA57
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA94
(57)【要約】
本発明は、オキシラセタムの新規用途に関し、オキシラセタムを有効成分として含有する筋肉疾患の改善、治療または予防用組成物に関する。本発明の組成物は、筋肉疾患を予防、治療または改善させることができ、特にデキサメタソン処理による筋萎縮動物モデル、加齢性筋萎縮(sarcopenia)動物モデル、デュシェンヌ型筋ジストロフィー動物モデルおよび悪液質筋肉疾患細胞モデルおよび炎症性筋肉疾患細胞モデルにおける改善、予防、治療効果を確認したところ、筋肉疾患の予防または治療用薬学組成物、食品組成物などに活用することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキシラセタム(Oxiracetam)、その薬学的に許容可能な塩またはその水和物を有効成分として含有する筋肉疾患の予防または治療用薬学組成物。
【請求項2】
オキシラセタムは、下記化学式1で表されることを特徴とする請求項1に記載の筋肉疾患の予防または治療用薬学組成物。
[化学式1]
【化1】
【請求項3】
前記筋肉疾患は、無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋肉退化、筋無力症、筋肉炎症、悪液質(cachexia)および加齢性筋肉減弱症(sarcopenia)から成る群から選択されるいずれか1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の筋肉疾患の予防または治療用薬学組成物。
【請求項4】
前記筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)であることを特徴とする請求項1に記載の筋肉疾患の予防または治療用薬学組成物。
【請求項5】
前記組成物は、口腔、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、硬膜内、心臓内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸管、局所、舌下および直腸投与から成る群から選択された1つ以上の方法で投与することを特徴とする請求項1に記載の筋肉疾患の予防または治療用薬学組成物。
【請求項6】
オキシラセタム(Oxiracetam)、その薬学的に許容可能な塩またはその水和物を有効成分として含有する筋肉疾患の改善または予防用食品組成物。
【請求項7】
前記筋肉疾患は、無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋肉退化、筋無力症、筋肉炎症、悪液質(cachexia)および加齢性筋肉減弱症(sarcopenia)から成る群から選択されるいずれか1つ以上であることを特徴とする請求項6に記載の筋肉疾患の改善または予防用食品組成物。
【請求項8】
オキシラセタム(Oxiracetam)、その薬学的に許容可能な塩またはその水和物を有効成分として含む筋機能の改善用食品組成物。
【請求項9】
前記筋機能の改善は、筋肉分化促進、筋肉再生、筋肉強化または運動能力強化であることを特徴とする請求項8に記載の筋機能の改善用食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキシラセタム(Oxiracetam)を有効成分として含む筋肉疾患の予防または治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
骨格筋(skeletal muscle)は、活動筋と姿勢保持筋に分けられ、筋肉量が減少すると、筋肉線維の体積が減少する筋肉萎縮が発生する。
【0003】
骨格筋萎縮(skeletal muscle atrophy)または筋肉減弱症(Sarcopenia)は、一般的に老化が進むにつれて自然に発生し、筋肉の未使用や運動量の不足などが原因で現れたり、他の病的状態(がん、腎不全、肺疾患、敗血症、飢餓、抗がん治療、炎症、ストレスホルモンなど)が原因となって二次的に発生する。このような筋萎縮は、身体活動のための筋力が弱まることから始まり、虚弱感、活動障害および長期間の機能回復期間などの問題を発生させる悪循環の輪となる。したがって、世界的に高速化している老齢化と病気の増加から抜け出して健康なかつ人間らしい人生を追求するためには、必ず解決すべき大きな問題の1つである。
【0004】
筋肉減弱症を効率的に制御する方法について様々な研究が行われている。例えば、筋肉質量を増加させる成長ホルモン(GH)が開発されたが、非常に高価であり、平均寿命の短縮などのような好ましくないいくつかの副作用を引き起こすという問題があった。ミトコンドリア安定化薬物も、ミトコンドリア内部への治療薬の浸透が難しく、ミトコンドリア以外の部分に影響を与え、「薬物副作用(off-target effect)」の発生などで筋肉減弱症に対しては効果を示さなかった。また、筋肉の再生および分化を誘導できる筋肉減弱症の治療薬や技術の開発が主な課題の対象となっているが、患者または病床に横になっている患者などにとっては非常に不適切な方法である。したがって、加齢性筋肉減弱症を含む筋肉減弱症および筋萎縮症に関する更なる研究と薬物開発が行わなければならないのが現状である。
【0005】
筋ジストロフィー(muscular dystrophy)は、遺伝子変異によって引き起こされる遺伝性筋肉疾患であり、老化によって引き起こされる筋肉減弱症(Sarcopenia)および活動低下、脱神経、栄養欠乏、ステロイドによって誘発される筋萎縮とは異なる疾患である。
【0006】
筋ジストロフィーのうち、X染色体上のジストロフィン遺伝子の変異によって引き起こされるものとしては、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DUCHENNE muscular dystrophy:DMD)と軽症型のベッカー型筋ジストロフィー(BECKER muscular dystrophy:BMD)が含まれる。前記デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、進行性筋ジストロフィーのうち、最も頻度が高い疾患であり、主に2~5歳の男児で発症することが知られている。
【0007】
ジストロフィンは、全長2.2Mbp(base pairs)に達する巨大遺伝子であり、染色体Xp21.2とXp21.1との間に存在するが、ジストロフィンタンパク質に翻訳される部分は、11kbpに過ぎない。筋肉型ジストロフィンは、筋肉膜の直下に存在し、細胞骨格と細胞外基質を連結するジストロフィン関連糖タンパク質複合体(dystrophin-associated glycoprotein complex)の核心タンパク質であり、筋収縮による筋肉細胞膜の損傷に関与する。
【0008】
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、非常に急速に進行し、90%以上の患者が12歳以前に歩行機能を喪失し、18歳以降には、心筋機能障害による心不全、心電図異常が発見される。ほとんどの患者は、区間筋萎縮、脊椎と胸廓の変形による呼吸障害で30歳以前に死亡する。
【0009】
現在まで筋ジストロフィーに有効な薬物があまりない。筋ジストロフィーに対するステロイド投与は、歩行期間を延長する効果があるが、進行を停止させたり逆転させることはできず、長期間の服用による副作用を甘受しなければならない問題がある。また、遺伝子治療剤が開発されたが、エクソンスキッピング遺伝子治療が可能な患者は、約10~13%にすぎないという制限点がある。また、毎週皮下または静脈内投与が要求され、心筋細胞への浸透が円滑でないため、心筋病の治療が期待できないという問題があり、ナンセンス突然変異治療剤を使用可能な患者がきわめて少数(約11~14%)にすぎないという問題がある。ウイルスを用いた遺伝子治療は、ジストロフィン遺伝子の大きさ(cDNA長が約14kb)がベクター中の用量を超えて伝達できないという問題もある。これを克服するために、ジストロフィン中間部の24個のロッド繰り返し構造のうち4個だけを残したマイクロジストロフィンが開発されたが、AAVベクターによる免疫反応副作用が現れたり、ジストロフィンの発現が非常に制限的であるという問題がある。
【0010】
したがって、筋肉減弱症と筋ジストロフィーなどを含む筋肉疾患を治療するために、より根本的かつ副作用がない治療剤を開発する緊急の必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2021-0093954号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10-2018-0010961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これより、本発明者らは、優れた筋肉疾患の予防または治療効果を有し、安全に適用することができる物質を探索した結果、ラセタム系(Racetam family)の向知性薬(Nootropic)であるオキシラセタム(Oxiracetam)が、筋肉疾患の改善、予防または治療用活性があることを確認し、本発明を完成した。
【0013】
したがって、本発明の目的は、オキシラセタム(Oxiracetam)を有効成分として含有する筋肉疾患の予防または治療用薬学組成物を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、オキシラセタム(Oxiracetam)を有効成分として含有する筋肉疾患の改善または予防用食品組成物を提供することにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、オキシラセタム(Oxiracetam)を有効成分として含有する筋機能の改善または予防用食品組成物を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的およびメリットは、下記の発明の詳細な説明、請求範囲および図面によってさらに明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明は、オキシラセタム(Oxiracetam)、その薬学的に許容可能な塩またはその水和物を有効成分として含有する筋肉疾患の予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0018】
また、本発明は、オキシラセタム(Oxiracetam)、その薬学的に許容可能な塩またはその水和物を有効成分として含有する筋肉疾患の改善または予防用食品組成物を提供する。
【0019】
また、本発明は、オキシラセタム(Oxiracetam)、その薬学的に許容可能な塩またはその水和物を有効成分として含有する筋肉疾患の改善または予防用飼料添加剤を提供する。
【0020】
また、本発明は、筋肉疾患の予防または治療用医薬の製造のためのオキシラセタム(Oxiracetam)、その薬学的に許容可能な塩またはその水和物を有効成分として含む組成物の治療用途(for use in therapy)を提供する。
【0021】
また、本発明は、筋肉疾患の患者にオキシラセタム(Oxiracetam)、その薬学的に許容可能な塩またはその水和物を有効成分として含む薬学組成物を投与することを含む筋肉疾患の治療方法を提供する。
【0022】
以下、本発明の構成を具体的に説明する。
【0023】
本発明の発明者らは、第一に、デキサメタソン処理による筋萎縮動物モデル、第二に、老化動物モデル、第三に、デュシェンヌ型筋ジストロフィー動物モデル、第四に、悪液質筋肉萎縮細胞モデル、第五に、炎症性筋肉萎縮細胞モデルにおけるオキシラセタム(Oxiracetam)効果を評価したところ、オキシラセタム(Oxiracetam)の投与による筋肉疾患の改善または予防または治療効能を確認した。
【0024】
本発明は、オキシラセタム(Oxiracetam)、その薬学的に許容可能な塩またはその水和物を有効成分として含有する筋肉疾患の予防または治療用薬学組成物;オキシラセタム(Oxiracetam)、その薬学的に許容可能な塩またはその水和物を有効成分として含有する筋肉疾患の改善または予防用動物用薬学組成物;オキシラセタム(Oxiracetam)、その薬学的に許容可能な塩またはその水和物を有効成分として含有する筋肉疾患の改善または予防用食品組成物;またはオキシラセタム(Oxiracetam)、その薬学的に許容可能な塩またはその水和物を有効成分として含有する筋肉疾患の改善または予防用飼料添加剤;またはオキシラセタム(Oxiracetam)、その薬学的に許容可能な塩またはその水和物をヒト、またはヒトを除いた動物に適用することを含有する筋肉疾患の治療方法を提供する。
【0025】
また、本発明は、オキシラセタム(Oxiracetam)またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む筋肉分化促進、筋肉再生または筋肉強化用薬学組成物に関する。
【0026】
本発明は、オキシラセタム(Oxiracetam)、その薬学的に許容可能な塩またはその水和物を有効成分として含有する組成物の治療用途(for use in therapy)を提供することにある。
【0027】
また、本発明は、筋肉疾患治療用医薬、または動物用医薬の製造のためのオキシラセタム(Oxiracetam)またはその薬学的に許容可能な塩の新規用途を提供する。
【0028】
本発明のオキシラセタムは、ラセタム系(Racetam family)の向知性薬(Nootropic)であり、Cas No.は、62613-82-5であり、分子式は、C10であり、分子量は、158.155g/molであり、構造は、下記化学式1に示された通りであるが、これに限らず、オキシラセタムと同一または同様の活性を有するものであり、当業者によって理解され得る範囲の異性体、水和物または誘導体であれば、いずれも適用可能である。
【0029】
オキシラセタムのIUPAC名称は、(RS)-2-(4-hydroxy-2-oxopyrrolidin-1-yl)acetamideである。オキシラセタムは、白色の固体である。前記オキシラセタムの収得方法は、特に限定されず、前記オキシラセタムは、公知の製法を用いて化学的に合成したり、市販品を使用することができる。
【0030】
[化学式1]
【化1】
【0031】
本発明において、向知性薬(Nootropic)とは、健康な個人に認知機能、実行機能、記憶力などを改善する薬物、補充剤およびその他のものを称する単語である。ラセタム(Racetam)は、一般的に、アセチルコリン(Acetylcholine)、グルタミン酸(Glutamate)を含む中枢神経伝達物質の調節が報告されており、グルタミン酸受容体との相互作用を通じて記憶力を向上させると見なされる。ピラセタム(Piracetam)の誘導体と知られたオキシラセタム(Oxiracetam)は、高用量を長期間摂取しても安全な物質と知られており、高い選択的透過性を有する血液-脳障壁を容易に通過できるので、記憶障害、認知障害、脳血管疾患および脳梗塞認知症の治療に使用されているが、筋萎縮症(Muscle Atrophy)や遺伝性筋肉疾患である筋ジストロフィー(Muscular Dystrophy)、特に加齢性筋肉減弱症(Sarcopenia)やデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne Muscular Dystrophy,DMD)、がん性または抗がん剤による悪液質(Cachexia)に関する研究は全くない。
【0032】
本発明の薬学組成物は、有効成分としてオキシラセタム(Oxiracetam)またはその薬学的に許容可能な塩を含み、筋細胞(myocyte)または筋芽細胞(myoblast)が筋管細胞(myotube)に分化するために必要なATP活性を増加させることによって筋肉分化を促進し、TNF-αによって萎縮した筋管細胞(myotube)に対する防御効果を有し、デキサメタソン(dexamethasone)による筋肉減弱症誘発動物モデルと老化(aging)動物モデルに対する筋力向上を促進し、前脛骨筋(Tibialis Anterior Muscle)の筋肉損失の抑制および回復を誘導し、除脂肪筋肉量(Lean Body Mass)、腓腹筋(Gastrocnemius Muscle)の回復を増加させることによって、筋肉再生(Muscle Regeneration)または筋肉強化(Muscle Strengthening)を促進し、筋肉萎縮または筋肉減少を阻害することができるところ、オキシラセタム(Oxiracetam)の投与によって筋肉消耗または筋肉退化による筋肉疾患の改善または予防または治療効能を確認した。
【0033】
また、本発明の薬学組成物は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーが誘発された動物モデルでオキシラセタム(Oxiracetam)を経口投与し、筋肉の大きさ、筋力および筋肉の動きなどを評価した結果、オキシラセタム(Oxiracetam)の経口投与による筋ジストロフィーの改善または予防または治療効能を確認した。
【0034】
また、本発明の薬学組成物は、抗がん剤で誘導された悪液質(Cachexia)細胞モデルにオキシラセタムを投与し、評価した結果、濃度依存的に筋管細胞の萎縮を抑制することができることを確認したところ、これを通じて、本発明の薬学組成物は、筋肉減弱症、筋ジストロフィーを始めとして、がんまたは抗がん剤など二次筋肉疾患によって誘発される身体の全般的な筋肉損失を抑制、改善、予防または治療する効能を確認した。
【0035】
上記の結果を通じて、本発明による有効成分であるオキシラセタムまたはその薬学的に許容可能な塩またはその水和物は、筋肉疾患の予防または治療に使用できることが分かる。
【0036】
本発明において筋肉疾患は、筋肉消耗または退化による筋肉疾患であれば、特に限定されないが、筋肉消耗および退化は、遺伝的要因、後天的要因、老化などを原因として発生し、筋肉消耗は、筋肉量の漸進的損失、筋肉、特に骨格筋または随意筋および心臓筋肉の弱化および退行を特徴とする。
【0037】
本発明において筋肉消耗または退化による筋肉疾患は、これらに限定されないが、無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋肉退化、筋無力症、悪液質(cachexia)、筋炎および筋肉減弱症(sarcopenia)から成る筋肉疾患から選択されるいずれか1つ以上であってもよく、好ましくは、筋肉減弱症(sarcopenia)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、悪液質(cachexia)、および/または筋肉炎症から成る筋肉疾患から選択されるいずれか1つ以上であってもよく、より好ましくは、筋肉減弱症(sarcopenia)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)および悪液質(cachexia)から成る筋肉疾患から選択されるいずれか1つ以上であってもよい。
【0038】
本発明において筋肉減弱症は、眼、顔など身体に存在するすべての筋肉の萎縮性疾患を含む筋機能低下、筋肉減少、筋肉萎縮、筋肉消耗または筋肉退化によって誘発される病気の範囲を含む。具体的には、前記筋機能低下、筋肉減少、筋肉萎縮、筋肉消耗または筋肉退化は、遺伝的要因、後天的要因、老化などを原因として発生し、好ましくは、漸進的な筋肉損失、特に骨格筋または随意筋の萎縮、弱化、減少および退行を特徴とする。加齢性筋肉減弱症は、筋ジストロフィーや筋萎縮症および悪液質などの筋肉疾患とは異なって、老化に伴う様々な病因によって漸進的な骨格筋肉量の減少または筋肉の密度と機能が次第に弱まるのであり、直接的に筋力の低下の他に筋肉量(除脂肪)と身体機能が同時に低下する状態を意味する。したがって、このような加齢性筋肉減弱症の改善、予防または治療効果を確認するためには、筋肉量と筋力および身体機能に全て効果を示さなければならず、筋力と筋肉量の増加は、必ず一致するわけではないので、他の筋肉疾患とは異なって、前記三つの効果に対する明らかな分析が必要である。
【0039】
本発明において筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)、ベッカー型筋ジストロフィー(Becker muscular dystrophy)、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー(Emery-Dreifuss Muscular Dystrophy)、顔面・肩甲・上腕筋ジストロフィー(Facioscapulohumeral Muscular Dystrophy)、肢帯型筋ジストロフィー(Limb-Girdle Muscular Dystrophy)、1型筋緊張性ジストロフィー(Myotonic Dystrophy)および2型筋緊張性ジストロフィーから成る群から選択されるいずれか1つ以上であってもよい。
【0040】
前記筋ジストロフィーは、筋肉組織検査で筋肉の壊死を示し、筋線維の大きさが均一でなく、筋線維が壊死した部位が脂肪および線維化組織に代替される症状を示すのであり、他の筋肉疾患と区別される。特に、前記筋ジストロフィーのうち、デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、特定の遺伝子変異を原因として発症するので、一般的な筋肉疾患と明確に区別される。筋ジストロフィーに対する治療法としては、DMD治療ガイドラインとしてプレドニゾン(Prednisone)、デフラザコート(Deflazacort)のようなコルチコステロイド標準治療(Corticosteroid Therapy)方法が提案されるが、症状の遅延だけを示し、完全な治療は不可能である。筋ジストロフィーに使用される前記コルチコステロイドは、他の筋肉疾患に使用する場合、副作用が発生するので、治療剤としてほとんど使用しない。具体的には、コルチコステロイドは、筋線維の衰弱と萎縮による筋疾患を誘導し、ステロイドは、悪液質患者または栄養状態の悪い患者または多発性筋炎のような他の筋肉疾患がある患者に使用する場合、かえって筋疾患を誘導することが知られている。したがって、前記筋ジストロフィー、特にデュシェンヌ型筋ジストロフィーは、病の原因だけでなく、治療方法において他の筋肉疾患と区別されることが分かる。
【0041】
本発明において悪液質は、がん、結核、心臓異常、腎臓異常、糖尿病、後天性免疫不全症候群(Acquired immunodeficiency syndrome,AIDS)などの末期で見られる高度な全身衰弱症状を特徴とする。
【0042】
本発明において悪液質は、がんまたは抗がん剤によって誘発される悪液質でありうる。前記悪液質は、加齢性筋肉減弱症や一時的な空腹で見られる体重減少が現れるが、様々なサイトカインが起こす炎症反応や炭水化物、タンパク質および脂肪代謝の変化によって異化反応が増加し、筋肉損失が生じるのであり、正常な食べ物摂取にもかかわらず、筋肉および体重減少が現れることが特徴である。悪液質における筋損失は、様々なサイトカインの過活性化によってタンパク質異化作用の増加とタンパク質生成が減少するので、筋肉の代謝を調節するインスリンとテストステロンに影響を及ぼし、筋肉タンパク質の合成に異常を起こすことが知られているが、まだ明確な成績を出す薬物は全くないのが現状である。
【0043】
前記がんは、白血病、リンパ腫、骨髄腫、骨髄異形成症候群、乳がん、頭頸部がん、食道がん、胃がん、大腸がん(=結腸がん)、直腸がん、肛門がん、肝細胞肝がん、胆管がん、胆のうがん、膵臓がん、肺がん(非小細胞性肺がん、小細胞性肺がん)、胸腺がん、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、睾丸がん、卵巣がん、子宮頸がん、肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、原発部位不明がん、中皮腫、黒色腫、神経内分泌腫瘍、皮膚がんおよび血液がんから成る群から選択されるいずれか1つ以上であってもよく、前記抗がん剤は、ドキソルビシン(doxorubicin)、イリノテカン(irinotecan)、パクリタキセル(paclitaxel)、ダウノルビシン(daunorubicin)、ドセタキセル(docetaxel)、シスプラチン(cisplatin)および5-フルオロウラシル(5-fluorouracil)から成る群から選択されるいずれか1つ以上であってもよい。
【0044】
さらに、本発明の有効成分であるオキシラセタムは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)および加齢性筋肉減弱症(sarcopenia)のそれぞれに対する動物モデルで顕著な効果を確認し、悪液質(cachexia)細胞モデルで抗がん剤に対する筋萎縮を抑制し、正常レベル以上に回復させることを確認したところ、互いに異なる機序のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)、悪液質(cachexia)および加齢性筋肉減弱症(sarcopenia)に対する優れた改善、予防または治療効果を同時に有することを確認した。すなわち、本発明の有効成分であるオキシラセタムは、1つの薬物にて三つの筋肉疾患の改善、予防および治療が可能であるという点から、有意な意味を有し、これによって、TNF-aによって引き起こされる炎症性のすべての筋肉疾患に対する治療が可能になり得る。
【0045】
本発明において「筋」は、腱、筋肉を包括的に指し、「筋機能」は、筋肉の収縮によって力を発揮する能力を意味し、筋肉が抵抗を勝ち抜くために最大限に収縮力を発揮できる能力である筋力と、筋肉が与えられた重量にどれくらいの期間または何回くらいの収縮と弛緩を繰り返すことができるかを示す能力である筋持久力と、短時間内に強い力を発揮する能力である瞬発力を含む。このような筋機能は、筋肉量に比例し、筋機能の改善は、筋機能をさらに良好に向上させることを意味し、より好ましくは、筋肉分化促進、筋肉再生、筋肉強化または運動能力強化であってもよい。
【0046】
本発明において筋肉分化促進は、筋管および筋線維に分化誘導したり、または培養するのであり、特に筋細胞から筋管および筋線維に分化を誘導することを意味し、これは、筋肉細胞に対するミトコンドリア活性増加およびすべての筋線維の増加による筋線維直径の増加によって測定することができる。具体的には、ATP検出試薬で測定したミトコンドリア活性が、正常対照群に比べて、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%以上増加したものであり、筋管線維の直径が、TNF-αによって筋萎縮が発生した萎縮モデルに比べて、10%、20%、30%、40%以上増加することまたは正常対照群の筋管線維の直径の60%~120%、70%~110%の範囲に入ることを意味する。
【0047】
本発明の筋芽細胞(myoblast)は、分化しない状態にある筋肉細胞であり、単核細胞である衛星細胞(satellite cell)が活性化すると、筋芽細胞に増殖する。筋芽細胞の分化が進行されると、他の細胞と融合し、多核の細くてかつ長い筋管(myotube)を形成し、筋線維(muscle fiber)を作る。筋肉分化(myogenesis)は、筋管を作り出すための筋芽細胞のすべての融合を意味し、筋芽細胞の分化促進効果は、骨格筋、心筋および平滑筋内で誘導され得るが、これらに限定されない。
【0048】
前記筋肉再生および筋肉強化は、二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA,dual-energy X-ray absorptiometry)で測定した前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の直径が、デキサメタゾンによって筋減少が誘発された動物に比べて、1%、5%、10%、15%、20%以上増加したものであり、腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)と前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)に対する除脂肪筋肉量(Lean Mass)が2%、4%、5%、7%、8%、10%以上増加するものであり、また、デキサメタゾンによって筋減少が誘発された動物に比べて、筋力(Grip Strength)が2%、4%、5%、7%、8%、10%、15%、20%以上増加するものであり、運動負荷試験でデキサメタゾンによって筋減少が誘発された動物に比べて、速度が0.1%、0.5%、0.8%、1%以上増加することを意味する。
【0049】
本発明において「予防」は、前記筋肉疾患の発病と症状を抑制または遅延させるすべての行為を意味する。本発明において「治療」とは、前記筋肉疾患による症状が好転したり有益に変更されるすべての行為を意味する。「改善」は、任意の症状、病気または病症状態を好転または有益に変更するすべての行為を意味し、一例として、筋減少または筋損失、筋機能の低下または運動実行能力の低下、肉体的疲労回復能力の低下などの症状を好転させたり、筋ジストロフィーによる筋肉の仮性肥大化(Pseudohypertrophy)を抑制し、筋肉量を増加させ、脂肪蓄積を抑制し、筋肉の大きさ、筋力、筋機能および筋肉の動きを向上させたり、抗がん剤またはがんによる筋損失と筋萎縮を抑制するなどの症状を好転させることを意味する。
【0050】
本発明のオキシラセタム(Oxiracetam)は、薬学的に許容可能な塩の形態で使用することができ、塩としては、薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)により形成された酸付加塩が有用である。酸付加塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜硝酸または亜リン酸のような無機酸類と脂肪族モノおよびジカルボキシレート、フェニル-置換されたアルカノエート、ヒドロキシアルカノエートおよびアルカンジオエート、芳香族酸類、脂肪族および芳香族スルホン酸類のような無毒性有機酸から得る。このような薬学的に無毒な塩類としては、サルフェート、ピロサルフェート、バイサルフェート、サルファイト、バイサルファイト、ニトラート、ホスフェート、モノハイドロゲンホスフェート、ジハイドロゲンホスフェート、メタホスフェート、ピロホスフェートクロリド、ブロミド、ヨージド、フルオライド、アセテート、プロピオネート、デカノエート、カプリレート、アクリレート、ホルメート、イソブチレート、カプレート、ヘプタノエート、プロピオレート、オキサレート、マロネート、スクシネート、スベレート、セバケート、フマレート、マリエート、ブチン-1,4-ジオエート、ヘキサン-1,6-ジオエート、ベンゾアート、クロロベンゾアート、メチルベンゾアート、ジニトロベンゾアート、ヒドロキシベンゾアート、メトキシベンゾアート、フタレート、テレフタレート、ベンゼンスルホナート、トルエンスルホナート、クロロベンゼンスルホナート、キシレンスルホナート、フェニルアセテート、フェニルプロピオネート、フェニルブチレート、シトレート、ラクテート、β-ヒドロキシブチレート、グリコレート、マレート、タルトレート、メタンスルホナート、プロパンスルホナート、ナフタレン-1-スルホナート、ナフタレン-2-スルホナートまたはマンダラートを含む。
【0051】
本発明による酸付加塩は、通常の方法、例えば、前記オキシラセタムを過量の酸水溶液中に溶解させ、この塩を水混和性有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、アセトンまたはアセトニトリルを用いて沈殿させて製造することができる。同量のオキシラセタムおよび水中の酸またはアルコールを加熱し、引き続いて、この混合物を蒸発させて乾燥させたり、または析出した塩を吸入ろ過させて製造することもできる。
【0052】
また、塩基を用いて薬学的に許容可能な金属塩を作ることができる。アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩は、例えば、化合物を過量のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物溶液中に溶解し、非溶解化合物塩をろ過し、ろ液を蒸発、乾燥させて得る。この際、金属塩としては、ナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩を製造することが製薬上適している。また、これに対応する銀塩(silver salt)は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩を適当な銀塩(silver salt)(例えば、硝酸銀)と反応させて得る。また、本発明のオキシラセタムは、薬学的に許容される塩だけでなく、通常の方法によって製造できるすべての塩、水和物および溶媒和物を全部含む。
【0053】
本発明による付加塩は、通常の方法で製造することができ、例えば、オキシラセタムを水混和性有機溶媒、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルなどに溶かし、過量の有機酸を加えたり、無機酸の酸水溶液を加えた後、沈殿させたり、結晶化させて製造することができる。引き続いて、この混合物から溶媒や過量の酸を蒸発させた後、乾燥させて、付加塩を得たり、または析出した塩を吸引ろ過させて製造することができる。
【0054】
本発明において「水和物(hydrate)」は、非共有的分子間力(non-covalent intermolecular force)により結合した化学量論的(stoichiometric)または非化学量論的(non-stoichiometric)量の水を含んでいる本発明のオキシラセタムまたはその塩を意味する。本発明の前記オキシラセタムの水和物は、非共有的分子間力で結合する化学量論的または非化学量論的量の水を含んでもよい。前記水和物は、1当量以上、好ましくは、1当量~5当量の水を含有することができる。このような水和物は、水または水を含有する溶媒から本発明の前記オキシラセタム、その異性体またはこれらの薬学的に許容可能な塩を結晶化させて製造することができる。
【0055】
本発明において「溶媒和物(solvate)」は、非共有的分子間力によって結合した化学量論的または非化学量論的量の溶媒を含んでいる本発明の化合物またはその塩を意味する。それに関する好ましい溶媒としては、揮発性、非毒性、および/またはヒトに投与されるのに適した溶媒がある。
【0056】
本発明において「異性体(isomer)」は、同じ化学式または分子式を有するが、構造的または立体的に異なる本発明の化合物またはその塩を意味する。このような異性体には、互変異性体(tautomer)などの構造異性体と、非対称炭素中心を有するRまたはS異性体、幾何異性体(トランス、シス)などの立体異性体、光学異性体(enantiomer)が全部含まれる。これらのすべての異性体およびその混合物も、本発明の範囲に含まれる。
【0057】
前記「薬学組成物」、「医薬」、「動物用薬学組成物」または「動物用医薬」は、有効成分でオキシラセタム(Oxiracetam)またはその薬学的に許容可能な塩以外に、薬学組成物などの製造に通常使用する適切な担体、賦形剤および希釈剤をさらに含んでもよい。
【0058】
前記「担体」は、細胞または組織内への化合物の付加を容易にする化合物である。前記「希釈剤」は、対象化合物の生物学的活性形態を安定化させるだけでなく、化合物を溶解させる水で希釈される化合物である。
【0059】
前記担体、賦形剤および希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアガム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、メチルヒドロキシベンゾアート、プロピルヒドロキシベンゾアート、タルク、マグネシウムステアレート、イオン交換樹脂、アルミナ、アルミニウムステアレート、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、各種リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、カリウムソルベート、飽和植物性脂肪酸の部分的なグリセリド混合物)、水、塩、電解質(例えば、プロタミンサルフェート、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウムおよび亜鉛塩)、膠質性シリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリエチレングリコール、ポリアリレート、ワックス、羊毛脂および鉱物油などが使用できるが、これらに限定されない。
【0060】
前記薬学組成物、医薬、動物用薬学組成物または動物用医薬は、それぞれ、通常の方法によって散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口型剤形、外用剤、坐剤または滅菌注射溶液の形態で剤形化して使用することができる。詳細には、製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を用いて調製することができる。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記本発明の薬学組成物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)、ラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調製することができる。また、単純な賦形剤以外に、マグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も使用できる。経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、頻用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に、様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。非経口投与のための製剤には、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤および坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物油、エチルオレートのような注射可能なエステル、ハンクス溶液(Hank’s solution)、リンゲル液(Ringer’s solution)などが使用できる。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用できる。
【0061】
前記薬学組成物、医薬、動物用薬学組成物または動物用医薬の投与経路は、これらに限定されるものではないが、口腔、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、硬膜内、心臓内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸管、局所、舌下または直腸が含まれる。経口または非経口投与が好ましい。本発明において使用された用語「非経口」は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、硬膜内、病巣内および頭蓋骨内注射または注入技術を含み、直腸投与のための坐剤の形態で投与することもできる。
【0062】
本発明の薬学組成物は、上述したような投与経路によって経口投与用または非経口投与用製剤で剤形化することができる。剤形化する場合には、1つ以上の緩衝剤(例えば、食塩水またはPBS)、抗酸化剤、静菌剤、キレート化剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン)、充填剤、増量剤、結合剤、アジュバント(例えば、アルミニウムヒドロキシド)、懸濁剤、濃厚剤、湿潤剤、崩解剤または界面活性剤、希釈剤または賦形剤を用いて調製することができる。
【0063】
経口投与のための固形製剤には、ナノ剤形(生体吸収率を高めるための剤形であり、効果が迅速に発現できる製剤)錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁液またはカプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、本発明の薬学組成物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、デンプン(コーンデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプンなどを含む)、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)、ラクトース(lactose)、デキストロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルメチル-セルロースまたはゼラチンなどを混ぜて調製することができる。例えば、活性成分を固体賦形剤と配合した後、これを粉砕し、適切な補助剤を添加した後、顆粒混合物に加工することによって、錠剤または糖衣錠を収得することができる。
【0064】
単純な賦形剤以外にマグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も使用される。経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤またはシロップ剤などが該当するが、頻用される単純希釈剤である水またはリキッドパラフィン以外に、様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤または保存剤などが含まれ得る。
【0065】
また、場合によって架橋結合ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはナトリウムアルギネートなどを崩解剤として添加することができ、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤および防腐剤などをさらに含んでもよい。
【0066】
非経口的に投与する場合、本発明の薬学組成物は、適切な非経口用担体とともに、注射剤、経皮投与剤および鼻腔吸入剤の形態で当業界に一般的に知られている方法によって剤形化することができる。前記注射剤の場合には、必ず滅菌しなければならず、バクテリアおよび真菌のような微生物の汚染から保護しなければならない。注射剤の場合、適切な担体の例としては、これらに限定されるものではないが、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、これらの混合物および/または植物油を含有する溶媒または分散媒質であってもよい。より好ましくは、適切な担体としては、ハンクス溶液、リンゲル液、トリエタノールアミンが含有されたPBS(phosphate buffered saline)または注射用滅菌水、10%エタノール、40%プロピレングリコールおよび5%デキストロースのような等張溶液などを使用することができる。前記注射剤を微生物汚染から保護するためには、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどのような様々な抗菌剤および抗真菌剤をさらに含んでもよい。また、前記注射剤は、ほとんどの場合、糖またはナトリウムクロリドのような等張剤をさらに含んでもよい。
【0067】
経皮投与剤の場合、軟こう剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、外用液剤、パスタ剤、リニメント剤、エアロル剤などの形態が含まれる。前記で「経皮投与」は、薬学組成物を局所的に皮膚に投与し、薬学組成物に含有された有効な量の活性成分が皮膚内に伝達されることを意味する。
【0068】
吸入投与剤の場合、本発明によって使用される化合物は、適切な推進剤、例えば、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体を用いて、加圧パックまたは煙霧器からエアロゾルスプレー形態で便利に伝達することができる。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は、計量された量を伝達するバルブを提供して決定することができる。例えば、吸入器または吹込器に使用されるゼラチンカプセルおよびカートリッジは、化合物、およびラクトースまたはデンプンのような適切な粉末基剤の粉末混合物を含有するように剤形化することができる。非経口投与用剤形は、すべての製薬化学に一般的に知られている処方書である文献(Remington’s Pharmaceutical Science、15th Edition、1975.Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania 18042,Chapter 87:Blaug,Seymour)に記載されている。
【0069】
前記薬学組成物、医薬、動物用薬学組成物または動物用医薬の使用量は、患者または治療対象動物の年齢、性別、体重によって変わることができ、何よりも、治療対象個体の状態、治療対象疾患の特定のカテゴリーまたは種類、投与経路、使われる治療剤の属性に依存する。
【0070】
前記薬学組成物、医薬、動物用薬学組成物または動物用医薬は、体内で活性成分の吸収度、排泄速度、患者または治療対象動物の年齢および体重、性別および状態、治療する病気の重症度などによって適切に選択されるが、一般的に1日0.1~1,000mg/kg、好ましくは、1~500mg/kg、より好ましくは、5~250mg/kg、最も好ましくは、10~100mg/kgで投与することが好ましい。このように剤形化された単位投与型製剤は、必要に応じて一定の時間間隔で数回投与することができる。前記投与量は、いかなる面においても、本発明の範囲を限定するものではない。
【0071】
前記薬学組成物、医薬、動物用薬学組成物または動物用医薬は、個別的に予防剤または治療剤として投与したり、他の治療剤と併用して投与することができ、従来の治療剤と順次にまたは同時に投与することができる。
【0072】
前記筋肉疾患の治療方法は、ヒト、またはヒトを除いた動物、特に哺乳動物に前記組成物を投与するのであり、具体的には、経口投与であってもよい。例えば筋肉疾患を有する治療対象個体に前記組成物を経口投与するのである。
【0073】
前記筋肉疾患を有する治療対象個体は、前述したように、無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋肉退化、筋無力症、悪液質(cachexia)および筋肉減弱症(sarcopenia)から成る群から選択されるいずれか1つ以上の筋肉疾患を有する場合であってもよく、好ましくは、筋肉減弱症(sarcopenia)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、悪液質(cachexia)、または炎症性筋肉疾患などから成る群から選択されるいずれか1つ以上の筋肉疾患を有する場合であってもよい。より好ましくは、前記筋肉疾患を有する治療対象個体は、老化によって徐々に筋肉量と筋肉密度および機能が減少する加齢性筋肉減弱症(Sarcopenia)であり、筋肉量と筋力および身体機能が全て低下した場合であるか、特定の遺伝的変異によって誘導された筋機能低下、筋肉減少、筋肉萎縮、筋肉消耗または筋肉退化した場合であってもよく、がんまたはこれを治療するための投与された抗がん剤によって筋機能低下、筋肉減少、筋肉萎縮または筋肉消耗が発生する悪液質を病んでいる場合であってもよい。
【0074】
前記治療のための投与量、投与方法および投与回数は、前記薬学組成物、医薬、動物用薬学組成物または動物用医薬の投与量、投与方法および投与回数を参考にすることができる。
【0075】
本発明は、オキシラセタム(Oxiracetam)、その薬学的に許容可能な塩またはその水和物を有効成分として含有する筋肉疾患の改善または予防用食品組成物に関する。
【0076】
本発明は、オキシラセタム(Oxiracetam)またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む筋機能の改善用食品組成物に関する。
【0077】
前記食品組成物において、前記オキシラセタム(Oxiracetam)またはその薬学的に許容可能な塩に対する具体的な内容は、前述した通りである。
【0078】
前記食品組成物は、無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋肉退化、筋無力症、悪液質(cachexia)、筋炎および筋肉減弱症(sarcopenia)から成る群から選択されるいずれか1つ以上の筋肉疾患の改善または予防に使用できる。前記食品組成物において、前記筋肉疾患に対する具体的な内容は、前述した通りである。
【0079】
本発明において運動能力とは、運動実行能力とも言い、日常生活やスポーツで見られる身体動作であり、外形的には、走ること、跳ぶこと、投げること、泳ぐことに区分するとき、前記動作を行う能力を意味する。運動能力の改善は、運動実行能力の改善または向上を意味し、具体的には、前記動作を迅速に、強く、正確に、長時間行うことができるように改善または向上したり、前記運動能力の低下時に本来の運動能力または本来より優れた程度に回復することを意味する。前記運動能力は、筋力、敏捷性および持久力などの因子に規定することができる。
【0080】
本発明の食品組成物は、機能性食品(functional food)、栄養補助剤(nutritional supplement)、保健機能食品(health function food)、食品添加剤(food additives)および飼料などのすべての形態を含み、ヒトまたは家畜を含む動物を取食対象とする。前記類型の食品組成物は、当業界に一般的に知られている通常の方法によって様々な形態で製造することができる。
【0081】
前記「食品組成物」は、有効成分としてオキシラセタム(Oxiracetam)またはその薬学的に許容可能な塩以外に、食品の製造に通常使用される食品の基準および規格(「食品規制」)に記載された食品であり、使用可能な食品原料、食品添加物規制に記載された食品添加物を含む。
【0082】
特に限定する必要はないが、例えば、タンパク質、炭水化物、脂肪、栄養素、調味剤および香味剤を含む。前記炭水化物は、単糖類、例えば、ブドウ糖、果糖など;二糖類、例えば、マルトース、砂糖、乳糖など;オリゴ糖またはポリサッカライド、例えば、デキストリン、水飴、シクロデキストリンなど;糖アルコール、例えば、キシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどを使用することができる。前記香味剤は、天然香味剤[ソーマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウディオサイドA、グリチルリチンなど)および合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を使用することができる。
【0083】
前記オキシラセタム(Oxiracetam)またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として食品組成物を製造する場合、オキシラセタム(Oxiracetam)またはその薬学的に許容可能な塩は、筋肉疾患に効能を示す含有量であれば、特に限定する必要はないが、例えば、0.1~99重量%、0.5~95重量%、1~90重量%、2~80重量%、3~70重量%、4~60重量%、5~50重量%で含まれ得る。
【0084】
前記食品組成物において有効成分であるオキシラセタム(Oxiracetam)またはその薬学的に許容可能な塩は、摂取者の状態、体重、病気の有無や程度および期間によって異なるが、通常の技術者によって適切に選択することができる。例えば、1日投与量を基準として1~5,000mg、好ましくは、5~2,000mg、より好ましくは、10~1,000mg、さらに好ましくは、20~800mg、最も好ましくは、25~500mgであってもよく、投与回数は、特に限定する必要はないが、1日に3回~1週間に1回の範囲内で通常の技術者が調節することができる。健康および衛生を目的としたりまたは健康調節を目的とする長期間の摂取の場合には、前記範囲以下であってもよい。
【0085】
前記食品組成物は、特に限定する必要はないが、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、エキス剤、ジェリー剤形、ティーバッグ剤形または飲料剤形であってもよい。
【0086】
また、一般食品に筋肉疾患の予防または改善および筋機能の改善に対する機能性を付与するために、前記オキシラセタム(Oxiracetam)またはその薬学的に許容可能な塩を添加することができ、添加が可能な食品は、特に限定する必要はないが、例えば、食品衛生法第7条による食品の基準および規格(「食品規制」)に例示された菓子類、パンまたは餅類、ココア加工品類またはチョコレート類、食肉または卵加工品、魚肉加工品、豆腐類またはムク類、麺類、茶類、コーヒー、飲料類、特殊用途食品、醤類、調味食品、ドレッシング類、キムチ類、チョッカル類、漬物食品、煮物食品、酒類、乾燥食品類、その他食品類などに添加することができる。また、畜産物衛生管理法第4条による畜産物の加工基準および成分規格(「畜産物規制」)に例示された乳加工品、食肉加工品および包装肉、卵加工品に添加することができる。
【0087】
なお、前記オキシラセタム(Oxiracetam)またはその薬学的で許容可能な塩を有効成分とする食品組成物は、単独で『筋肉疾患の予防または改善を助ける保健機能食品』に用られ得、または『筋機能を助ける保健機能食品』に用いられ得る。
【0088】
前記「保健機能食品」は、人体に有用な機能性を有する原料や成分を用いて法的基準によって製造(加工を含む)する食品(保健機能食品に関する法律第3条第1号)を言う。前記「保健機能食品」は、国家ごとに用語や範囲に差異がありえるが、米国の「栄養補助食品(Dietary Supplement)」、ヨーロッパの「食品補充剤(Food Supplemnet)」、日本の「保健機能食品」または「特定保健溶蝕品(Food for Special Health Use,FoSHU)」、中国の「保健食品」などに該当することができる。
【0089】
前記食品組成物または保健機能食品は、食品添加物をさらに含んでもよく、食品添加物としての適合の有無は、他の規定がない限り、「食品添加物規制」の総則および一般試験法などによって当該品目に関する規格および基準に従う。
【0090】
また、前記保健機能食品には、前記オキシラセタム(Oxiracetam)またはその薬学的に許容可能な塩と共に『筋肉疾患を予防または改善するのに助けになる保健機能食品』または『筋機能を助ける保健機能食品』に使用される「機能性原料」として告示された原料または個別認定された原料であり、フルーツエキス粉末、冬虫夏草発酵エキス、クレアチン、五味子エキスなどの運動実行能力改善または筋力改善に関連した保健機能食品素材を複合して使用することができる。
【0091】
本発明の組成物は、筋肉疾患の予防または改善を目的に飼料添加剤またはこれを含む飼料組成物に添加することができる。
【0092】
本発明は、オキシラセタム(Oxiracetam)またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む筋機能の改善用飼料組成物に関する。
【0093】
本発明において用語、「飼料添加剤」は、栄養素の補充および体重減少の予防、飼料内線維素の消化利用性の増進、乳質改善、繁殖障害の予防および受胎率の向上、夏季の高温ストレス予防など様々な効果を目的として飼料に添加する物質を含む。本発明の飼料添加剤は、飼料管理法上の補助詞料に該当し、炭酸水素ナトリウム、ベントナイト(bentonite)、酸化マグネシウム、複合鉱物質などの鉱物製剤、亜鉛、銅、コバルト、セレニウムなどの微量鉱物であるミネラル製剤、ケロチン、ビタミンA、D、E、ニコチン酸、ビタミンB複合体などのビタミン剤、メチオニン、リジンなどの保護アミノ酸剤、脂肪酸カルシウム塩などの保護脂肪酸剤、生菌剤(乳酸菌剤)、酵母培養物、かび発酵物などの生菌、酵母制などがさらに含まれ得る。
【0094】
本発明において用語「飼料」とは、ペットを含むすべての動物が食べ、摂取し、消化させるための、またはこれに適した任意の天然または人工飼料、食事などまたは前記食事の成分であり、本発明による筋肉疾患の予防または改善用組成物を有効成分として含む飼料は、当業界に一般的に知られている様々な形態の飼料で製造可能であり、好ましくは、濃厚飼料、粗飼料および/または特殊飼料が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0095】
濃厚飼料には、小麦、オート麦、とうもろこしなどの穀類を含む種子実類と、穀物を精製して得る副産物として米ぬか、ふすま、麦ぬかを含むもみ殻類、大豆、菜種、ゴマ、亜麻仁、ココヤシなどを採油して得る副産物である油粕類と、さつまいも、ジャガイモなどから澱粉を抜いた残りの澱粉残渣の主成分である残存澱粉類などの残留物類と、魚粉、魚かす、魚類から得た新鮮な液状物を濃縮させたものであるフィッシュソルブル(fish soluble)、肉粉、血粉、羽毛粉、脱脂粉乳、牛乳からチーズ、脱脂乳からカゼインを製造する際の残液であるホイ(whey)を乾燥した乾燥ホイなどの動物飼料、酵母、クロレラ、海藻類があるが、これらに限定されない。
【0096】
粗飼料には、野草、牧草、青刈などの生草飼料、飼料用カブ、飼料用ビート、カブの一種であるルターベアガーなどの根菜類、生草、青刈作物、穀実などをサイロに満たし、乳酸発酵させた貯蔵飼料であるサイレージ(silage)、野草、牧草を切って乾燥させた乾草、種畜用作物のわら、豆科植物の葉があるが、これらに限定されない。特殊飼料には、カキ殻、岩塩などのミネラル飼料、尿素やその誘導体であるジウレイドイソブタンなどの尿素飼料、天然飼料原料のみを配合したときに不足しやすい成分を補充したり、飼料の保存性を高めるために配合飼料に微量で添加する物質である飼料添加物、栄養補助食品があるが、これらに限定されない。
【0097】
本発明による前記筋肉疾患の予防または改善用飼料添加剤は、当業界に一般的に知られている様々な飼料製造方法によって適切な有効濃度の範囲でオキシラセタムを添加して製造可能である。
【0098】
本発明による飼料添加剤は、筋肉疾患の予防または改善を目的とする個体であれば、限定なく適用可能である。例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウサギなどのような非ヒト動物、鳥類および魚類などどの個体にも適用可能である。
【発明の効果】
【0099】
本発明のオキシラセタムは、筋肉疾患を予防、治療または改善させることができ、特にデキサメタソン処理による筋萎縮動物モデル、老化動物モデル、デュシェンヌ型筋ジストロフィー動物モデルおよび悪液質細胞モデルにおける改善、予防、治療効果を確認したところ、筋肉疾患の予防または治療用薬学組成物、食品組成物などに活用することができる。
【0100】
具体的には、本発明のオキシラセタムは、筋萎縮動物モデル、老化動物モデル、遺伝性筋ジストロフィー動物モデルの筋力、筋肉の直径、筋肉量を顕著に増加させ、筋肉分化、筋肉再生、筋肉量増加効果を示すところ、筋機能の改善のための薬学または食品組成物などに活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
図1】無処置群(normal)とデキサメタソン処置群(Dexamethasone)の筋力(Grip strength)を測定して示すグラフである。
図2】無処置群(normal)とデキサメタソン処置群(Dexamethasone)の21日目にデキサ法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)で分析した代表イメージである。
図3】無処置群(normal)とデキサメタソン処置群(Dexamethasone)の21日目に前脛骨筋の直径(T1)を測定して示すグラフである。
図4】無処置群(normal)とデキサメタソン処置群(Dexamethasone)の21日目に全体除脂肪(Lean Body Mass)を測定して示すグラフである。
図5】デキサメタソン処置筋肉疾患モデル動物でデキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)およびオキシラセタム投与群(Oxiracetam)の前脛骨筋の直径(T1)を測定して示すグラフである。
図6】デキサメタソン処置筋肉疾患モデル動物でデキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)およびオキシラセタム投与群(Oxiracetam)の腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)に対する除脂肪筋肉量(Lean Mass)を測定して示すグラフである。
図7】デキサメタソン処置筋肉疾患モデル動物でデキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)およびオキシラセタム投与群(Oxiracetam)の前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)に対する除脂肪筋肉量(Lean Mass)を測定して示すグラフである。
図8】デキサメタソン処置筋肉疾患モデル動物でデキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)およびオキシラセタム投与群(Oxiracetam)の筋力(Grip Strength)を測定して示すグラフである。
図9】デキサメタソン処置筋肉疾患モデル動物でデキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)およびオキシラセタム投与群(Oxiracetam)の筋機能に対する運動負荷試験結果を示すグラフである。
図10】老化マウスで対照群(Vehicle)とオキシラセタム投与群(Oxiracetam 30、Oxiracetam 100、Oxiracetam 300)による筋力(Grip Strength)変化を測定して示す結果グラフである。対照群(Vehicle)は、薬物を投与せず、生理食塩水処理群である。
図11】老化マウスで対照群(Vehicle)とオキシラセタム投与群(Oxiracetam 30、Oxiracetam 100、Oxiracetam 300)の83日目にデキサ法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)で分析した代表イメージである。
図12】老化マウスで対照群(Vehicle)とオキシラセタム投与群(Oxi 30、Oxi 100、Oxi 300)による前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフである。
図13】老化マウスで対照群(Vehicle)とオキシラセタム投与群(Oxi 30、Oxi 100、Oxi 300)による腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフである。
図14】老化マウスで対照群(Vehicle)とオキシラセタム投与群(Oxi 30、Oxi 100、Oxi 300)における筋機能に対する運動負荷試験結果を示すグラフであり、図14Aは、走った距離(m)であり、図14Bは、走った時間(sec)を測定して表記した図である。
図15】老化マウスで対照群(Vehicle)とオキシラセタム投与群(Oxi 42、Oxi 83、Oxi 167、Oxi 333)における筋力(Grip Strength)変化を測定して示す結果グラフである。
図16】老化マウスで対照群(Vehicle)とオキシラセタム投与群(Oxi 42、Oxi 83、Oxi 167、Oxi 333)において91日目にデキサ法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)で分析した代表イメージおよび腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフである。
図17】老化マウスで対照群(Vehicle)とオキシラセタム投与群(Oxi 42、Oxi 83、Oxi 167、Oxi 333)において前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフである。
図18】対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、pi 100、phenylpi 30、ani 30、prami 30、briva 30、roli 30)において筋力(Grip Strength)変化を測定して示す結果グラフである。
図19】対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、pi 100、phenylpi 30、ani 30、leveti 30、nefi 30、colu 30)において筋力(Grip Strength)変化を測定して示す結果グラフである。
図20】対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、rolzi 30、faso 30、prami 30)において0日目に比べて21日目に変化した筋力(Grip Strength)を測定して示す結果グラフである。
図21】対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、pi 100、phenylpi 30、ani 30、leveti 30、nefi 30、colu 30)において前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフである。
図22】対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、pi 100、phenylpi 30、ani 30、prami 30、briva 30、roli 30)において前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフである。
図23】対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、rolzi 30、faso 30、prami 30)において前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフである。
図24】対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、pi 100、phenylpi 30、ani 30、leveti 30、nefi 30、colu 30)において腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフである。
図25】対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、rolzi 30、faso 30、prami 30)において腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフである。
図26】対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、pi 100、phenylpi 30、ani 30、prami 30、briva 30、roli 30)において腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフである。
図27】対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxiracetam30、Mirtazapine10、Olanzapine10)において0日目に比べて21日目に変化した筋力(Grip Strength)を測定して示す結果グラフである。
図28】対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxiracetam 30、Mirtazapine 10、Olanzapine 10)において前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフである。
図29】対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxiracetam 30、Mirtazapine 10、Olanzapine 10)において腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフである。
図30】対照群(Vehicle)と薬物投与群(Oxiracetam)をデキサ法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)で体脂肪(fat)の分布を撮影した写真である。
図31】対照群(Vehicle)と薬物投与群(Oxiracetam)における全体除脂肪(Lean Body Mass)を測定して示すグラフである。
図32】対照群(Vehicle)と薬物投与群(Oxiracetam)における体脂肪量(fat,%)を測定して示すグラフである。
図33】対照群(Vehicle)と薬物投与群(Oxiracetam)をデキサ法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)で測定した写真である。
図34】対照群(Vehicle)と薬物投与群(Oxiracetam)の前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)に対する除脂肪(lean body mass)を測定して示すグラフである。
図35】対照群(Vehicle)と薬物投与群(Oxiracetam)の腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)に対する除脂肪(lean body mass)を測定して示すグラフである。
図36】対照群(Vehicle)と薬物投与群(Oxiracetam)において筋力(Grip Strength)変化を測定して示す結果グラフである。
図37】対照群(Vehicle)と薬物投与群(Oxiracetam)において体重(Body Weight)変化を測定して示す結果グラフである。
図38】筋管細胞(Myotube)においてオキシラセタム処理群(Oxiracetam 10μM)および非処理群(溶媒処理、control)のATP含有量変化程度を確認した結果を示すグラフである。
図39】TNF-α処理(TNF-α10ng/ml)筋管細胞(Myotube)においてオキシラセタム処理群(Oxiracetam 10μM)および非処理群(Oxiracetam 0μM、TNF-α10ng/ml)を光学顕微鏡で撮影した写真である。Controlは、溶媒処理群(TNF-αまたはOxiracetam非処理群)である。
図40】TNF-α処理(TNF-α10ng/ml)筋管細胞(Myotube)においてオキシラセタム処理群(Oxiracetam 10μM)および非処理群(Oxiracetam 0μM、TNF-α10ng/ml)において筋管細胞(Myotube)の直径を測定して示すグラフである。Controlは、非処理群(TNF-αまたはOxiracetam非処理群)である。
図41】抗がん剤処理群(Doxorubicin)、オキシラセタム処理群(Oxiracetam 0.01μM、0.1μM、1μM、10μM、30μM)および対照群(control)を光学顕微鏡で撮影した写真である。
図42】抗がん剤処理群(Doxorubicin)、オキシラセタム処理群(Oxiracetam 0.01μM、0.1μM、1μM、10μM、30μM)および対照群(control)の筋管細胞(Myotube)の直径を測定して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0102】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は、ただ本発明を例示するものであり、本発明の範疇および技術思想範囲内で様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明白であり、このような変形および修正が添付の特許請求範囲に属することも当然である。
【0103】
<実施例>
化学式1の構造を有する東京化成工業社(日本国)(品番:O0398、CAS RN:62613-82-5、純度:96%)のオキシラセタム(Oxiracetam)を購入して使用した。
【0104】
[化学式1]
【化2】
【0105】
<試験例>
試験例1.筋肉減弱症動物モデルにおける薬効分析
1-1.実験動物および試料の準備
本発明において実験群としてオキシラセタム(Oxiracetam)を東京化成工業社(日本国)(品番:O0398、CAS RN:62613-82-5、純度:96%)から購入して使用した。
【0106】
実験動物は、7週齢の雄ICR mouseを購入して使用した。実験動物は、実験当日まで一般飼料(EEGJ30060:Cargill Agri Purina,Seongnam,Korea)と水を十分に供給し、温度23±2℃、湿度55±10%、12時間-12時間(light-dark cycle)の環境で1週間適応させた後、実験に使用した。
【0107】
実験動物の適応期間後、筋萎縮モデルを作るために、マウスを群当たり10匹ずつ無処置群(normal、n=10)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、n=10)、オキシラセタム投与群(Oxiracetam、n=10)に無作為に配分した。無処置群を除いた群は、デキサメタソン10mg/kgを7日から21日まで14日間腹腔に注射した。オキシラセタム投与群は、デキサメタソン腹腔投与7日前からオキシラセタム(Oxiracetam)を30mg/kg/dayの用量で1日1回ずつ21日間ゾンデを用いて経口投与した。同じ期間の間無処置群に何の薬物も投与せず、生理食塩水は1回100μlを経口投与した。
【0108】
【表1】
【0109】
1-2.除脂肪(Lean)変化
各群の腓腹筋と前脛骨筋に対する除脂肪(Lean)を7日ごとに測定して示した。具体的には、各グループの動物モデルをisoflurane 3%を用いて麻酔し、撮影用ベッド(bed)に固定した後、撮影した。撮影中、動物モデルの呼吸数と体温をanimal monitoring system(SA instrument,USA)で測定した。
【0110】
前記動物モデルのデキサ法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)による撮影は、iNSiGHT VET DXA(Osteosys,KR)装備を用いて全身を撮影し、腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)と前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の二次元イメージをプログラムとしてROI(region of interest)を用いて腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)と前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)に対するそれぞれの除脂肪(lean body mass)を測定および計算した。
【0111】
1-3.筋力測定
筋力(Grip strength)を測定するために、grip strength testを実施した。各グループの動物モデルの尾をつかみ、装置のロッドを二つの前足で握ることができるようにし、この状態で尻を水平に引っ張った各グループの動物モデルの前足がこれ以上装置のロッドを握ることができないときに提示された最大力をgrip strength(g)と見なした。2日ごとに1回測定し、各マウスに対して11回測定した。
【0112】
1-4.前脛骨筋(Tibialis anterior)の直径(T1)
各群に対して二重エネルギーX線吸収測定法で二次元イメージを撮影し、これからT1(前脛骨筋、Tibialis anterior)の直径を測定し、比較した。
【0113】
1-5.運動負荷試験(Treadmill test)
測定前に2回各群の実験動物をランニングマシン(treadmill)機械に適応させた後(1回目:傾斜10° 5m/min 10分、10m/min 10分、2回目:傾斜10° 5m/min 5分、10m/min 15分)、本実験日に、最初速度10m/minで傾斜10°で20分間走るようにした後、2分ごとに速度を2m/minずつ上げて走らない状態で10秒間留まる場合を終末点と取り、走った時間と距離を測定した。
【0114】
1-6.統計分析
GraphPad Prism(GraphPad Software Inc.,San Diego,CA,USA)を用いて統計処理した。各繰り返し実験の結果をmean±standard errors of meanで示し、analysis of variance(Tukey’s test)を用いて分析し、統計的な有意性は、P-valueが0.05以下である場合に認めた。
【0115】
図1は、無処置群(normal)とデキサメタソン処置群(Dexamethasone)の筋力(Grip strength)を測定して示すグラフであり、図2は、無処置群(normal)とデキサメタソン処置群(Dexamethasone)の21日目にデキサ法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)で分析した代表イメージである。図3は、前脛骨筋の直径(T1)を測定して示すグラフであり、図4は、無処置群(normal)とデキサメタソン処置群(Dexamethasone)の21日目に除脂肪(Lean)を測定して示すグラフである。
【0116】
図1図4に示されたように、デキサメタソン処置群(Dexamethasone)は、14日間のデキサメタソンを投与して筋力が低下し、前脛骨筋の直径(T1)が有意味に減少し、除脂肪筋肉量(Lean Mass)が大きく減少することを確認した。すなわちデキサメタソン投与を通じて加齢性筋萎縮と同様の筋萎縮を誘導する筋減少モデルが製造されたことを確認できる。
【0117】
図5は、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)とオキシラセタム投与群(Oxiracetam)の前脛骨筋の直径(T1)を測定して示すグラフであり、図6は、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)とオキシラセタム投与群(Oxiracetam)の腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)に対する除脂肪筋肉量(Lean Mass)を測定して示すグラフであり、図7は、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)とオキシラセタム投与群(Oxiracetam)の前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)に対する除脂肪筋肉量(Lean Mass)を測定して示すグラフである。図8は、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)とオキシラセタム投与群(Oxiracetam)の筋力テスト(Grip Strength)の結果である。この際、オキシラセタム投与群(Oxiracetam)は、図面上で「Dex+Oxiracetam(30mg/kg)」で表記した。
【0118】
図5および図8は、オキシラセタム(Oxiracetam)の経口投与による骨格筋萎縮または筋肉減弱症の予防または治療効果を確認しようとした結果であり、具体的には、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)とオキシラセタム投与群(Oxiracetam)は、前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の直径(Diameter)、前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪筋肉量(Lean Mass)、腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪筋肉量(Lean Mass)および筋力テスト(Grip Strength)を確認したものである。
【0119】
図5および図7に示されたように、オキシラセタム投与群(Oxiracetam)の前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の直径が、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)に比べて有意的に顕著に増加したことが分かる。
【0120】
図6および図7に示されたように、前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪筋肉量(Lean Mass)、腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪筋肉量(Lean Mass)の場合、オキシラセタム投与群(Oxiracetam)が、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)より有意的に減少量が抑制されたことが分かる。すなわち、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)は、デキサメタソンが処理される時点から除脂肪筋肉量が全体的に大きく減少したが、オキシラセタム投与群(Oxiracetam)は、デキサメタソンを処理しても、減少が大きくないことが分かる。
【0121】
図8に示されたように、オキシラセタム投与群(Oxiracetam)は、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)より有意的に筋力が増加していることを確認できる。
【0122】
総合すれば、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)に比べて、オキシラセタム投与群(Oxiracetam)が骨格筋萎縮または減少を顕著に抑制することが分かる。これは、老化マウスと同じ傾向であることが分かる。
【0123】
図9は、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)とオキシラセタム投与群(Oxiracetam)に対する運動負荷試験結果を示すグラフであり、これによれば、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)に比べて、オキシラセタム投与群(Oxiracetam)が有意的に顕著な運動能力向上(筋力および持久力)があることを確認できる。
【0124】
試験例2.老化動物モデルでオキシラセタム(Oxiracetam)の効能分析
2-1.実験動物および試料の準備
本発明において実験群としてオキシラセタム(Oxiracetam)を東京化成工業社(日本国)(品番:O0398、CAS RN:62613-82-5、純度:96%)から購入して使用した。
【0125】
加齢性筋肉減弱症(sarcopenia)モデルとして、22月齢の雄C57BL/6J mouseを使用した。実験動物は、実験当日まで一般飼料(EEGJ30060:Cargill Agri Purina,Seongnam,Korea)と水を十分に供給し、温度23±2℃、湿度55±10%、12時間-12時間(light-dark cycle)の環境で1週間適応させた後に実験に使用した。
【0126】
群当たり10匹ずつ対照群(vehicle、n=10)、30、100、300mg/kg/dayオキシラセタム投与群(Oxiracetam、各濃度別n=10)を無作為に配分した。オキシラセタム投与群は、オキシラセタム(Oxiracetam)を30、100、300mg/kg/dayの用量で1日1回ずつ90日間ゾンデを用いて経口投与した。同じ期間の間対照群には、何の薬物も投与せず、生理食塩水は1回100μlを経口投与した。
【0127】
【表2】
【0128】
2-2.筋力測定
筋力(Grip strength)を測定するために、grip strength testを実施した。各グループの動物モデルの尾をつかみ、装置のロッドを二つの前足で握ることができるようにし、この状態で尾を水平に引っ張った各グループの動物モデルの前足がこれ以上装置のロッドを握ることができないときに提示された最大力をgrip strength(N)と見なした。3日ごとに1回ずつ測定し、1回に5回繰り返して測定した後、その平均値を示した。薬物投与前に3回以上grip strength適応訓練を施行した。
【0129】
2-3.除脂肪(Lean)変化
各群の腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)と前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)に対する除脂肪(Lean)を7日ごとに測定して示した。具体的には、各グループの動物モデルをisoflurane 3%を用いて麻酔し、撮影用ベッド(bed)に固定した後に撮影した。撮影中、動物モデルの呼吸数と体温をanimal monitoring system(SA instrument,USA)で測定した。
【0130】
前記動物モデルのデキサ法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)による撮影は、iNSiGHT VET DXA(Osteosys,KR)装備を用いて全身を撮影し、腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)と前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の二次元イメージをプログラムとしてROI(region of interest)を用いて腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)と前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)に対するそれぞれの除脂肪(lean body mass)を測定および計算した。
【0131】
2-4.運動負荷試験(Treadmill test)
実験を開始してから90日が経過した時点に、運動負荷試験を行った。測定前に2回各群の実験動物をランニングマシン(treadmill)機械に適応させた後(1回目:傾斜10° 5m/min 10分、10m/min 10分、2回目:傾斜10° 5m/min 5分、10m/min 15分)、本実験日に、最初速度10m/minから傾斜10°で20分間走るようにした後、2分ごとに速度を2m/minずつ上げて走らない状態で10秒間留まる場合を終末点と取り、走った時間(sec)と距離(m)を測定して示した。
【0132】
2-5.統計分析
GraphPad Prism(GraphPad Software Inc.,San Diego,CA,USA)を用いて統計処理した。各繰り返し実験の結果をmean±standard errors of meanで示し、analysis of variance(Tukey’s test)を用いて分析し、統計的な有意性は、P-valueが0.05以下である場合に認めた。
【0133】
図10は、老化マウスでオキシラセタム投与群(Oxi 30、Oxi 100、Oxi 300)による筋力(Grip Strength)変化を測定して示す結果グラフであり、対照群(Vehicle)は、薬物を投与せず、生理食塩水処理群である。老化(22月齢)動物モデルである対照群の場合、時間が経つにつれて筋力が顕著に低下することを確認できる。これに対し、オキシラセタムを処理した投与群(Oxi 30、Oxi 100、Oxi 300)は、有意的に筋力の低下が抑制され、かえって増加することを確認できる。
【0134】
図11は、対照群(Vehicle)とオキシラセタム投与群(Oxi 30、Oxi 100、Oxi 300)の83日目にデキサ法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)で分析した代表イメージであり、図12は、対照群(Vehicle)、オキシラセタム投与群(Oxi 30、Oxi 100、Oxi 300)において前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフであり、図13は、対照群(Vehicle)、オキシラセタム投与群(Oxi 30、Oxi 100、Oxi 300)において腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフである。
【0135】
図12および図13に示されたように、オキシラセタムを処理した投与群(Oxi 30、Oxi 100、Oxi 300)は、老化(22月齢)動物モデルである対照群に比べて、前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)および腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪の減少なしにかえって増加することを確認でき、7週目から安定して除脂肪の向上を示すことを確認できる。特にOxi 300グループは、腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪の場合、7週目から有意的に顕著な増加を確認できる。
【0136】
図14は、対照群(Vehicle)、オキシラセタム投与群(Oxi 30、Oxi 100、Oxi 300)における筋機能測定項目である運動負荷試験結果を示すグラフであり、図14aは、走った距離(m)であり、図14bは、走った時間(sec)を測定して表記した図である。
【0137】
図14に示されたように、オキシラセタムを処理した投与群(Oxi 30、Oxi 100、Oxi 300)は、老化(22月齢)動物モデルである対照群よりも身体実行能力(運動能力)が減少せず、かえって増加することを確認でき、Oxi 300グループは、有意的に顕著に増加することを確認した。
【0138】
したがって、本発明によるオキシラセタムは、サルコペニア(sarcopenia)の症状である老化によって誘導される筋減少、筋損失を抑制および防止することを越えて増加/回復させる効果を有することが分かる。
【0139】
試験例3.老化動物モデルで濃度別オキシラセタム(Oxiracetam)の効能分析
3-1.実験動物および試料の準備
本発明において実験群としてオキシラセタム(Oxiracetam)を東京化成工業社(日本国)(品番:O0398、CAS RN:62613-82-5、純度:96%)から購入して使用した。
【0140】
加齢性筋肉減弱症(sarcopenia)モデルとして、24月齢の雄C57BL/6J mouseを使用した。実験動物は、実験当日まで一般飼料(EEGJ30060:Cargill Agri Purina,Seongnam,Korea)と水を十分に供給し、温度23±2℃、湿度55±10%、12時間-12時間(light-dark cycle)の環境で1週間適応させた後に実験に使用した。
【0141】
群当たり10匹ずつ対照群(vehicle、n=10)、42、83、167、333mg/kg/dayオキシラセタム投与群(Oxiracetam、各濃度別n=10)を無作為に配分した。オキシラセタム投与群は、オキシラセタム(Oxiracetam)を42、83、167、333mg/kg/dayの用量で1日1回ずつ93日間ゾンデを用いて経口投与した。同じ期間の間対照群には何の薬物も投与せず、生理食塩水は1回100μlを経口投与した。
【0142】
【表3】
【0143】
3-2.筋力測定
筋力(Grip strength)を測定するためにgrip strength testを実施した。各グループの動物モデルの尾をつかみ、装置のロッドを二つの前足で握ることができるようにし、この状態で尾を水平に引っ張った各グループの動物モデルの前足がこれ以上装置のロッドを握ることができないときに提示された最大力をgrip strength(N)と見なした。3日ごとに1回ずつ測定し、1回に5回繰り返して測定した後、その平均値を示した。薬物投与前に3回以上grip strength適応訓練を施行した。
【0144】
3-3.除脂肪(Lean)変化
各群の腓腹筋と前脛骨筋に対する除脂肪(Lean)を7日ごとに測定して示した。具体的には、各グループの動物モデルをisoflurane 3%を用いて麻酔し、撮影用ベッド(bed)に固定した後に撮影した。撮影中、動物モデルの呼吸数と体温をanimal monitoring system(SA instrument,USA)で測定した。
【0145】
前記動物モデルのデキサ法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)による撮影は、iNSiGHT VET DXA(Osteosys,KR)装備を用いて全身を撮影し、腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)と前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の二次元イメージをプログラムとしてROI(region of interest)を用いて腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)と前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)に対するそれぞれの除脂肪(lean body mass)を測定および計算した。
【0146】
3-4.統計分析
GraphPad Prism(GraphPad Software Inc.,San Diego,CA,USA)を用いて統計処理した。各繰り返し実験の結果をmean±standard errors of meanで示し、analysis of variance(Tukey’s test)を用いて分析し、統計的な有意性は、P-valueが0.05以下である場合に認めた。
【0147】
図15は、対照群(Vehicle)、オキシラセタム投与群(Oxi 42、Oxi 83、Oxi 167、Oxi 333)において筋力(Grip Strength)変化を測定して示す結果グラフであり、老化(24月齢)動物モデルである対照群の場合、時間が経つにつれて筋力が顕著に低下することを確認できる。これに対し、オキシラセタムを処理した投与群(Oxi 42、Oxi 83、Oxi 167、Oxi 333)は、有意的に筋力の低下が抑制され、かえって増加することを確認できる。オキシラセタムの効果は、濃度依存的に増加することを確認した。
【0148】
図16は、対照群(Vehicle)、オキシラセタム投与群(Oxi 42、Oxi 83、Oxi 167、Oxi 333)において91日目にデキサ法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)で分析した代表イメージおよび腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフであり、図17は、対照群(Vehicle)、オキシラセタム投与群(Oxi 42、Oxi 83、Oxi 167、Oxi 333)において前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフである。
【0149】
図16および図17に示されたように、老化(24月齢)動物モデルである対照群は、時間が経つにつれて腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)および前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪量が有意的に大きく減少することを確認できる。一方、オキシラセタムを処理した投与群(Oxi 42、Oxi 83、Oxi 167、Oxi 333)は、老化(24月齢)動物モデルである対照群より腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)および前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪量がかえって有意的に顕著に増加することを確認でき、Oxi 333グループが最も大きく増加することを確認した。
【0150】
したがって、本発明によるオキシラセタムは、サルコペニア(sarcopenia)の症状である老化によって誘導される筋減少、筋損失を抑制および防止することを越えて増加/回復させる効果を有することが分かる。
【0151】
試験例4.ラセタム系薬物との効能比較
4-1.実験動物および試料の準備
本発明において実験群としてオキシラセタム(Oxiracetam)を東京化成工業社(日本国、品番:O0398、CAS RN:62613-82-5、純度:96%)から購入して使用した。他のラセタム系薬物であるアニラセタムおよびネフィラセタムは、畢得(中国、品番:BD114391、BD140804、純度:96%)から購入し、ピラセタム、フェニルピラセタム、コルラセタムおよびプラミラセタムは、東京化成工業社(日本国、品番:P2880、P2604、C3689、P2061、純度:96%)から購入し、レベチラセタムの場合、羅恩(中国、品番:R025860、純度:96%)、ブリバラセタムは、R&D system(米国、品番:7271、純度:96%)、ロルジラセタムおよびファソラセタムは、Targetmol(米国、品番:T16783、T19624、純度:96%)、ロリプラムは、阿拉丁(中国、品番:R129674純度:96%)から購入して使用した。
【0152】
実験動物は、7週齢の雄ICR mouseを購入して使用した。実験動物は、実験当日まで一般飼料(EEGJ30060:Cargill Agri Purina,Seongnam,Korea)と水を十分に供給し、温度23±2℃、湿度55±10%、12時間-12時間(light-dark cycle)の環境で1週間適応させた後に実験に使用した。
実験動物の適応期間後、筋萎縮モデルを作るために、マウスを群当たり10匹ずつ対照群(Vehicle、n=7)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、n=7)、薬物投与群(n=7)において無作為に配分した。対照群を除いた群は、デキサメタソンを10mg/kgを7日から21日まで14日間腹腔に注射した。薬物投与群は、デキサメタソン腹腔投与7日前から薬物を30または100mg/kg/dayの用量で1日1回ずつ21日間ゾンデを用いて経口投与した。同じ期間の間対照群には、何の薬物も投与せず、生理食塩水を1回当たり100μl経口投与した。デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)は、薬物の代わりに0.5% CMC(0.5% carboxymethylcellulose)溶液を100μl添加した。これは、賦形剤に対する影響をblankに設定するためである。
【0153】
【表4】
【0154】
4-2.筋力測定
筋力(Grip strength)を測定するために、grip strength testを実施した。各グループの動物モデルの尾をつかみ、装置のロッドを二つの前足で握ることができるようにし、この状態で尾を水平に引っ張った各グループの動物モデルの前足がこれ以上装置のロッドを握ることができないときに提示された最大力をgrip strength(N)と見なした。薬物投与前に3回以上grip strength適応訓練を施行した。薬物投与前(0日)および薬物投与20日目にそれぞれ測定した後、薬物投与する前(0日)に比べて、薬物投与した後(20日)の筋力変化量(%)を計算して示した。
【0155】
4-3.除脂肪(Lean)変化
各群の腓腹筋と前脛骨筋に対する除脂肪(Lean)を7日ごとに測定して示した。具体的には、各グループの動物モデルをisoflurane 3%を用いて麻酔し、撮影用ベッド(bed)に固定した後に撮影した。撮影中、動物モデルの呼吸数と体温をanimal monitoring system(SA instrument,USA)で測定した。
【0156】
前記動物モデルのデキサ法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)による撮影は、iNSiGHT VET DXA(Osteosys,KR)装備を用いて全身を撮影し、腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)と前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の二次元イメージをプログラムとしてROI(region of interest)を用いて腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)と前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)に対するそれぞれの除脂肪(lean body mass)を測定および計算した。
【0157】
4-4.統計分析
GraphPad Prism(GraphPad Software Inc.,San Diego,CA,USA)を用いて統計処理した。各繰り返し実験の結果をmean±standard errors of meanで示し、analysis of variance(Tukey’s test)を用いて分析し、統計的な有意性は、P-valueが0.05以下である場合に認めた。
【0158】
図18は、対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、pi 100、phenylpi 30、ani 30、prami 30、briva 30、roli 30)において筋力(Grip Strength)変化を測定して示す結果グラフであり、図19は、対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、pi 100、phenylpi 30、ani 30、leveti 30、nefi 30、colu 30)において筋力(Grip Strength)変化を測定して示す結果グラフであり、図20は、対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、rolzi 30、faso 30、prami 30)において筋力(Grip Strength)変化を測定して示す結果グラフである。
【0159】
図18図19および図20に示されたように、対照群は、筋力の変化が増加しないことが確認された。しかしながら、デキサメタソン処置群は、時間が経つにつれて筋力が有意的に顕著に低下することを確認できる。これより、オキシラセタムと同じ機序を有するラセタム系薬物を比較群で処理した結果、オキシラセタムを除いては、有意な筋力回復効果を有意的に示さないことが分かる。
【0160】
オキシラセタム投与群(Oxi 30)は、30mg/kg/day投与を通じて、デキサメタソンで筋萎縮が誘導された動物モデルの筋力低下を防止するだけでなく、さらには、筋力を対照群(vehicle)以上に回復させることを確認できる。したがって、オキシラセタムと同じ機序を有するラセタム系薬物であるとしても、本発明のオキシラセタムの筋肉減弱症に対する改善、予防、治療効果を得ることができないことを確認できる。
【0161】
図21は、対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、pi 100、phenylpi 30、ani 30、leveti 30、nefi 30、colu 30)において前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフであり、図22は、対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、pi 100、phenylpi 30、ani 30、prami 30、briva 30、roli 30)において前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフであり、図23は、対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、rolzi 30、faso 30、prami 30)において前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフであり、ただし、図26は、対照群(Vehicle)に比べて、薬物投与群の除脂肪変化量(%)を計算して示す図である。
【0162】
図21図22および図23に示されたように、対照群は、前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪変化が殆どないが、デキサメタソン処置群は、時間が経つにつれて前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪が有意的に顕著に低下することを確認できる。これより、オキシラセタムと同一機序を有するラセタム系薬物を比較群で処理した結果、オキシラセタムを除いたラセタム系薬物は、いずれも、デキサメタソン処置群と同様に、前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪が回復せず、かえって減少することが分かる。
【0163】
一方、オキシラセタム投与群(Oxi 30)は、30mg/kg/day投与を通じて、デキサメタソンで筋萎縮が誘導された動物モデルの前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪減少を防止するだけでなく、さらには、前脛骨筋の除脂肪を対照群(vehicle)レベルに回復させることを確認できる。したがって、オキシラセタムと同一の機序を有するラセタム系薬物であるとしても、本発明のオキシラセタムの筋肉減弱症に対する改善、予防、治療効果を得ることができないことを確認できる。
【0164】
図24は、対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、pi 100、phenylpi 30、ani 30、leveti 30、nefi 30、colu 30)において腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフであり、図25は、対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、rolzi 30、faso 30、prami 30)において腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフであり、図26は、対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(oxi 30、pi 100、phenylpi 30、ani 30、prami 30、briva 30、roli 30)において腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフである。
【0165】
図24図25および図26に示されたように、対照群は、除脂肪変化が殆どないが、デキサメタソン処置群は、時間が経つにつれて腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪が有意的に顕著に低下することを確認できる。これより、オキシラセタムと同じ機序を有するラセタム系薬物を比較群で処理した結果、オキシラセタムを除いたラセタム系薬物は、いずれも、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)と同様に、腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪が回復せず、顕著に減少することが分かる。
【0166】
一方、オキシラセタム投与群(Oxi 30)は、30mg/kg/day投与を通じて、デキサメタソンで筋萎縮が誘導された動物モデルの腓腹筋の除脂肪減少を防止するだけでなく、さらには、腓腹筋の除脂肪を対照群(vehicle)レベルに回復させることを確認できる。したがって、オキシラセタムと同じ機序を有するラセタム系薬物であるとしても、本発明のオキシラセタムの筋肉減弱症に対する改善、予防、治療効果を得ることができないことを確認できる。
【0167】
上述の実験を通じて他のラセタム系薬物(Piracetam、Oxiracetam、Phenylpiracetam、Aniracetam、Levetiracetam、Nefiracetam、Coluracetam、Rolziracetam、Fasoracetam、Pramiracetam、Brivaracetam、Rolipram)に比べて、本発明の有効成分であるオキシラセタムは、有意的に顕著な筋力および除脂肪量回復効能を有することを確認できる。特にオキシラセタムは、ピラセタムの誘導体であるが、ピラセタムよりも顕著に有意な筋力および筋肉量の回復効果を有することを確認した。
【0168】
試験例5.認知症薬物との効能比較
5-1.実験動物および試料の準備
本発明において実験群としてオキシラセタム(Oxiracetam)を東京化成工業社(日本国)(品番:O0398、CAS RN:62613-82-5、純度:96%)から購入して使用した。ミルタザピン、オランザピンは、東京化成工業社(日本、品番:M2151、O0393、純度:96%)から購入して使用した。
【0169】
実験動物は、7週齢の雄ICR mouseを購入して使用した。実験動物は、実験当日まで一般飼料(EEGJ30060:Cargill Agri Purina,Seongnam,Korea)と水を十分に供給し、温度23±2℃、湿度55±10%、12時間-12時間(light-dark cycle)の環境で1週間適応させた後に実験に使用した。
【0170】
実験動物の適応期間後、筋萎縮モデルを作るために、マウスを群当たり10匹ずつ対照群(Vehicle、n=7)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、n=7)、薬物投与群(n=7)に無作為に配分した。対照群を除いた群は、デキサメタソンを10mg/kgを7日から21日まで14日間腹腔に注射した。薬物投与群は、デキサメタソン腹腔投与7日前から薬物を30または10mg/kg/dayの用量で1日1回ずつ21日間ゾンデを用いて経口投与した。同じ期間の間対照群には何の薬物も投与せず、生理食塩水を1回当たり100μl経口投与した。デキサメタソン処置群(Dexamethasone賦形剤、CMC)は、薬物の代わりに0.5% CMC(0.5% carboxymethylcellulose)溶液を100μl添加した。これは、賦形剤に対する影響をblankに設定するためである。
【0171】
【表5】
【0172】
5-2.筋力測定
筋力(Grip strength)を測定するために、grip strength testを実施した。各グループの動物モデルの尾をつかみ、装置のロッドを二つの前足で握ることができるようにし、この状態で尾を水平に引っ張った各グループの動物モデルの前足がこれ以上装置のロッドを握ることができないときに提示された最大力をgrip strength(N)と見なした。薬物投与前に3回以上grip strength適応訓練を施行した。薬物投与前(0日)および薬物投与20日目にそれぞれ測定した後、薬物投与する前(0日)に比べて、薬物を投与した後(20日)の筋力変化量(%)を計算して示した。
【0173】
5-3.除脂肪(Lean)変化
各群の腓腹筋と前脛骨筋に対する除脂肪(Lean)を7日ごとに測定して示した。具体的には、各グループの動物モデルをisoflurane 3%を用いて麻酔し、撮影用ベッド(bed)に固定した後に撮影した。撮影中、動物モデルの呼吸数と体温をanimal monitoring system(SA instrument,USA)で測定した。
【0174】
前記動物モデルのデキサ法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)による撮影は、iNSiGHT VET DXA(Osteosys,KR)装備を用いて全身を撮影し、腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)と前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の二次元イメージをプログラムとしてROI(region of interest)を用いて腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)と前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)に対するそれぞれの除脂肪(lean body mass)を測定および計算した。
【0175】
5-4.統計分析
GraphPad Prism(GraphPad Software Inc.,San Diego,CA,USA)を用いて統計処理した。各繰り返し実験の結果をmean±standard errors of meanで示し、analysis of variance(Tukey’s test)を用いて分析し、統計的な有意性は、P-valueが0.05以下である場合に認めた。
【0176】
図27は、対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(Oxiracetam 30、Mirtazapine 10、Olanzapine 10)において筋力(Grip Strength)変化を測定して示す結果グラフであり、図28は、対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(Oxiracetam 30、Mirtazapine 10、Olanzapine 10)において前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフであり、図29は、対照群(Vehicle)、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)、薬物投与群(Oxiracetam 30、Mirtazapine 10、Olanzapine 10)において腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪(Lean Mass)を7日ごとに測定して示すグラフである。この際、グラフ上でデキサメタソン処置群は、DEX賦形剤(CMC)で表記した。
【0177】
図27図29に示されたように、対照群は、筋力および前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)および腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪の変化が殆どないが、デキサメタソン処置群は、時間が経つにつれて筋力と除脂肪が有意的に顕著に低下することを確認できる。ミルタザピン、オランザピンのような認知症薬物を比較群で処理した結果、いずれも、デキサメタソン処置群(Dexamethasone、賦形剤)と同様に筋力が減少し、前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)および腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪が回復せず、かえって減少することが分かる。
【0178】
一方、オキシラセタム投与群(Oxiracetam 30)は、30mg/kg/day投与を通じて、デキサメタソンで筋萎縮が誘導された動物モデルの筋力と腓腹筋および前脛骨筋の除脂肪減少を防止するだけでなく、さらには、筋力と除脂肪を対照群(vehicle)より有意的に顕著に回復させることを確認できる。したがって、オキシラセタムと同じ機序を有する認知症薬物であるとしても、本発明のオキシラセタムの筋肉減弱症に対する改善、予防、治療効果を得ることができないことを確認できる。
【0179】
試験例6.デュシェンヌ型動物モデルでオキシラセタム(Oxiracetam)の効能分析
6-1.動物の飼育
実験動物として生後23週齢の雄マウス(C57BL/10 ScSn-Dmdmdx/J)をTHE JACKSON LABORATORY(USA)から購入し、実験を進めた。すべての動物の飼育室環境は、温度23±2℃、相対湿度55±10%に維持させた。実験開始前に、合計20匹のマウスを無作為に1群当たり10匹になるように分けた。1週間適応させた後、実施例1のオキシラセタム(Oxiracetam)30mg/kgを毎日35日間経口投与した(薬物投与群、Oxiracetam)。この際、対照群(Vehicle)は、試料の代わりに、食塩水で経口投与を実施した。
【0180】
6-2.統計
実験の統計分析のために、対応標本t-検定(paired t-test)を用いてグループ間の平均値の有意差を確認し、0.05より低いp値を有する場合には、*、0.01より低いp値を有する場合には、**、0.001より低いp値を有する場合には、***、有意差がない場合には、N.Sで有意差を表記した。エラーバーは、S.E.Mを示す。
【0181】
6-3.オキシラセタムの除脂肪向上、脂肪減少効果の確認
経口投与初日(0日)から7日ごとに二重エネルギーX線吸収測定法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)を用いて全体除脂肪(Lean Body Mass)、体脂肪量(fat,%)、腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)と前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の除脂肪量を分析した。具体的には、各グループの動物モデルをisoflurane 3%を用いて麻酔し、撮影用ベッド(bed)に固定した後に撮影した。撮影中、動物モデルの呼吸数と体温をanimal monitoring system(SA instrument,USA)で測定した。
【0182】
前記動物モデルのデキサ法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)による撮影は、iNSiGHT VET DXA(Osteosys,KR)装備を用いて全身を撮影し、全体除脂肪量および体脂肪量(fat,%)を分析した。また、前記撮影イメージから腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)と前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)の二次元イメージをプログラムとしてROI(region of interest)として指定して、腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)と前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)に対するそれぞれの除脂肪(lean body mass)を測定および計算した。DEXA映像は、マウスの除脂肪量、脂肪、骨密度を測定および分析することができるので、細部的な除脂肪量だけでなく、全体除脂肪量および体脂肪量(fat,%)をも測定および計算することができる。
【0183】
6-4.オキシラセタム(Oxiracetam)の筋機能向上効果の確認
経口投与初日(0日)から2日ごとに筋力(Grip Strength)を測定した。握力測定は、BIOSEB社のマウス用握力測定機で測定し、力の強度をモニタリングできる計器盤に取り付けられた金網の上にマウスを載置し、尾をつかんで下方に引き下げながら、マウスが金網を握る力を測定した。連続的に5回繰り返して示された平均値を記録した。
【0184】
6-5.オキシラセタム(Oxiracetam)の体重維持効果の確認
経口投与初日(0日)から1日ごとに体重(Body Weight)を測定した。
図30は、薬物投与群(Oxiracetam)と対照群(Vehicle)のデキサ法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)で撮影した写真であり、図31は、実験群(Oxiracetam)と対照群(Vehicle)における全体除脂肪(Lean Body Mass)を測定して示すグラフであり、図32は、薬物投与群(Oxiracetam)と対照群(Vehicle)における体脂肪量(fat,%)を測定して示すグラフである。
【0185】
図30図32に示されたように、デュシェンヌ型筋ジストロフィー動物モデルにオキシラセタムを投与した結果、全体除脂肪筋肉量(Lean Body Mass)が増加し、体脂肪が減少することを確認できる。特に、薬物投与群は、対照群に比べて、除脂肪の増加が35日目有意的に増加し、体脂肪は、薬物投与群が対照群に比べて有意的に減少することを確認した。
【0186】
また、対照群は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの進行につれて、線維萎縮と共に結合組織の過剰成長および脂肪蓄積が発生し、これによるデュシェンヌ型筋ジストロフィーの特徴的な兆候である仮性肥大化(Pseudohypertrophy)が観察されることを確認できる。一方、オキシラセタムが投与された薬物投与群の場合、筋肉減少と脂肪の蓄積を抑制し、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの特徴的な兆候である仮性肥大化(Pseudohypertrophy)が減少することを確認できる。
【0187】
したがって、オキシラセタムは、遺伝的要因によって発症したデュシェンヌ型筋ジストロフィーにおいて全体除脂肪筋肉量(Lean Body Mass)の仮性肥大化(Pseudohypertrophy)を減少させる効果を有していることが分かる。
【0188】
図33は、薬物投与群(Oxiracetam)と対照群(Vehicle)をデキサ法(dual energy X-ray absorptiometry,DEXA)で測定したイメージであり、図34は、薬物投与群(Oxiracetam)と対照群(Vehicle)の前脛骨筋(Tibialis Anteriors,TA)に対する全体除脂肪筋肉量(lean body mass)を測定して示すグラフである。
【0189】
図33および図34に示されたように、対照群は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの特徴的な症状である前脛骨筋の除脂肪筋肉量(Lean Mass)が急激に減少することを確認できる。一方、オキシラセタムが投与された薬物投与群は、前脛骨筋の除脂肪筋肉量(Lean Mass)が、対照群に比べて有意的に増加することを確認できる。
【0190】
図35は、薬物投与群(Oxiracetam)と対照群(Vehicle)の腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)に対する除脂肪筋肉量(lean body mass)を測定して示すグラフであり、これによれば、対照群では、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの特徴的な症状である腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)に対する除脂肪筋肉量(lean body mass)の減少が徐々に進行されることを確認できる。
【0191】
一方、薬物投与群は、対照群に比べて腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪筋肉量(lean body mass)が有意的に増加し、これを通じて、オキシラセタムは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーによって発生する腓腹筋(Gastrocnemius Muscle,GS)の除脂肪筋肉量(lean body mass)の減少を顕著に抑制することが分かる。
【0192】
図36は、薬物投与群(Oxiracetam)と対照群(Vehicle)において筋力(Grip Strength)変化を測定して示す結果グラフである。
【0193】
図36に示されたように、対照群は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの特徴的な症状である筋力、筋機能弱化が観察された。一方、薬物投与群は、オキシラセタムの投与によって、筋機能の尺度である筋力(Grip Strength)が、対照群に比べて有意的に顕著に増加することを確認した。すなわちオキシラセタムは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに治療効果を示すことが分かる。
【0194】
図37は、薬物投与群(Oxiracetam)と対照群(Vehicle)において体重(Body Weight)変化を測定して示す結果グラフであり、デュシェンヌ型筋ジストロフィーが発症したモデルにオキシラセタム(Oxiracetam)を投与する場合、体重(Body Weight)に有意的影響を及ぼさないことを確認した。すなわちオキシラセタムは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーが発症した動物の身体に副作用を示さないことが分かる。
【0195】
試験例7.筋肉減弱症に対する細胞実験
マウス由来C2C12細胞株は、American Type Culture Collection(ATCC,CRL-1772;Manassas,VA,USA)から分譲されて使用し、37℃ 5% CO状態で培養した。分化前の細胞の増殖期には、penicillin/streptomycin 1%を含有する高濃度ブドウ糖Dulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM)と10% fetal bovine serum(FBS)培地を使用し、分化誘導時には、FBSを2%ウマ血清(horse serum,HS)に変更した。C2C12筋芽細胞(myoblast)を96 well culture plateと6 well culture plateにそれぞれ2×10/wellと5×10/wellで分注(seeding)し、37℃ CO培養器で培養した。飽和度(confluency)が約90%になると、培地を2%ウマ血清(horse serum,HS)が含まれたDMEMに変えて、筋芽細胞(myoblast)の分化を誘導した。5日が経過して分化が完了したC2C12筋管(myotube)に炎症因子であるTNF-α 10ng/mlを48時間処理し、筋管萎縮(myotube atrophy)を誘発することによって、筋萎縮細胞モデルであるTNF-α処理群(TNF-α)を形成した。
【0196】
TNF-αを処理する間にオキシラセタム(Oxiracetam)10μMを処理し、オキシラセタム処理群(Oxiracetam 10μM)を製造し、同じ期間の間何の処理もしない細胞を対照群(control)として準備した。
【0197】
TNF-αとオキシラセタム(Oxiracetam)を処理してから2日が経過した後、常温でTNF-α処理群(TNF-α)、オキシラセタム処理群(Oxiracetam 10μM)および対照群(control)にそれぞれATP検出試薬(detection reagent)を入れた後、Mitochondrial ToxGloTM Assay kit(Promega)を用いて蛍光(Luminescence)を測定した。また、TNF-α処理群(TNF-α)、オキシラセタム処理群(Oxiracetam 10μM)および対照群(control)を光学顕微鏡で撮影し、それぞれの筋管細胞(Myotube)の直径を測定して比較した。
【0198】
GraphPad Prism(GraphPad Software Inc.,San Diego,CA,USA)を用いて統計処理した。各繰り返し実験の結果をmean±standard errors of meanで示し、analysis of variance(Tukey’s test)を用いて分析し、統計的な有意性は、P-valueが0.05以下である場合に認めた。
【0199】
図38は、筋管細胞(Myotube)においてオキシラセタム処理群(Oxiracetam 10μM)および対照群(control)のATP含有量変化程度を確認した結果を示すグラフであり、これによれば、オキシラセタム処理群(Oxiracetam 10μM)は、ATPの生成活性が、対照群(control)に比べて50~80%以上有意味に増加したことを確認した。すなわち、オキシラセタムは、ミトコンドリア機能活性を顕著に増進させることが分かる。ミトコンドリアは、細胞エネルギーであるATPを生成する必須細胞小器官であり、筋肉細胞内ATPの量が増加したことを確認したところ、本発明のオキシラセタムは、TNF-αによって誘発される骨格筋細胞萎縮(skeletal muscle cell atrophy)によるミトコンドリア機能異常およびATP不足に対する防御効果を有することが分かる。
【0200】
図39は、TNF-α処理(TNF-α)筋管細胞(Myotube)においてオキシラセタム処理群(Oxiracetam 10μM)および非処理群(Oxiracetam 0μM)を光学顕微鏡で撮影した写真であり、図40は、TNF-α処理(TNF-α)筋管細胞(Myotube)においてオキシラセタム処理群(Oxiracetam 10μM)および非処理群(Oxiracetam 0μM、TNF-α)において筋管細胞(Myotube)の直径を測定して示すグラフである。
【0201】
図39および図40に示されたように、オキシラセタム処理群(Oxiracetam 10μM)は、TNF-α処理群(TNF-α)に比べて、筋管細胞の直径が有意味に増加したことを確認できる。オキシラセタム処理群(Oxiracetam 10μM)は、対照群(control)と同様の程度で筋管細胞の直径が回復することが分かるが、TNF-α処理群(TNF-α)は、対照群(control)の半分レベルに大きく減少したことが分かる。
【0202】
総合すれば、TNF-αによって筋管細胞(myotube)の萎縮が発生することを確認し、これより、オキシラセタム(Oxiracetam)を処理するにつれて、ミトコンドリアの活性増進でATP生成を増加させ、筋管細胞の萎縮を抑制し、対照群レベルに回復させることが分かる。
【0203】
試験例8.悪液質に対するオキシラセタム(Oxiracetam)の効能分析
マウス由来C2C12細胞株は、American Type Culture Collection(ATCC,CRL-1772;Manassas,VA,USA)から分譲されて使用し、37℃ 5% CO状態で培養した。分化前の細胞の増殖期には、penicillin/streptomycin 1%を含有する高濃度ブドウ糖Dulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM)と10% fetal bovine serum(FBS)培地を使用し、分化誘導時には、FBSを2%ウマ血清(horse serum,HS)に変更した。C2C12筋芽細胞(myoblast)を96 well culture plateと6 well culture plateにそれぞれ2×10/wellと5×10/wellに分注(seeding)し、37℃ CO培養器で培養した。飽和度(confluency)が約90%になると、培地を2%ウマ血清(horse serum,HS)が含まれたDMEMに変えて、筋芽細胞(myoblast)の分化を誘導した。5日が経過して分化が完了したC2C12筋管(myotube)に抗がん剤(Doxorubicin)500nMを48時間処理し、筋管萎縮(myotube atrophy)を誘発することによって、悪液質(cachexia)細胞モデルを形成した。
【0204】
抗がん剤を処理する間にオキシラセタム(Oxiracetam)を濃度別に(0、0.01μM、0.1μM、1μM、10μM、30μM)処理し、オキシラセタム処理群(Oxiracetam)を製造し、同じ期間の間何の処理もしない細胞を対照群(control)として準備した。
【0205】
抗がん剤とオキシラセタム(Oxiracetam)を処理して2日が経過した後、常温で抗がん剤処理群(Doxorubicin)、オキシラセタム処理群(Oxiracetam 0.01μM、0.1μM、1μM、10μM、30μM)および対照群(control)を光学顕微鏡で撮影し、それぞれの筋管細胞(Myotube)の直径(Diameter,%)を測定して比較した。
【0206】
GraphPad Prism(GraphPad Software Inc.,San Diego,CA,USA)を用いて統計処理した。各繰り返し実験の結果をmean±standard errors of meanで示し、analysis of variance(Tukey’s test)を用いて分析し、統計的な有意性は、P-valueが0.05以下である場合に認めた。
【0207】
図41は、抗がん剤処理群(Doxorubicin)、オキシラセタム処理群(Oxiracetam 0μM、0.01μM、0.1μM、1μM、10μM、30μM)および対照群(control)を光学顕微鏡で撮影した写真であり、図42は、抗がん剤処理群(Doxorubicin)、オキシラセタム処理群(Oxiracetam 0μM、0.01μM、0.1μM、1μM、10μM、30μM)および対照群(control)の筋管細胞(Myotube)の直径を測定して示すグラフである。
【0208】
図41および図42に示されたように、抗がん剤で誘発された悪液質細胞モデル(Doxorubicin)は、対照群(control)に比べて、筋管細胞の直径が有意味に減少、萎縮したことを確認できる。一方、オキシラセタム処理群(Oxiracetam 0.01μM、0.1μM、1μM、10μM、30μM)は、筋管細胞の直径が有意的に回復し、対照群(control、正常群)レベルに大きく増加したことが分かる。
【0209】
総合すれば、抗がん剤によって筋管細胞(myotube)の萎縮が発生する悪液質が誘導されることを確認し、これより、オキシラセタム(Oxiracetam)を処理するにつれて、筋管細胞の萎縮を抑制し、対照群レベルに回復させることが分かる。したがって、本発明によるオキシラセタムは、筋肉減弱症、筋ジストロフィーだけでなく、悪液質にも改善、予防または治療効果があることが分かる。
【0210】
以下、本発明によるオキシラセタム(Oxiracetam)を有効成分として含有する医薬品、食品の製造例を説明するが、本発明は、これを限定しようとするものではなく、単に具体的に説明しようとするものである。前記筋肉減弱症、筋ジストロフィーまたは悪液質改善、治療または予防効果に優れたオキシラセタム(Oxiracetam)を用いて下記のような組成成分および組成比によって製造例1~2の医薬品、食品組成物を通常の方法によって製造した。
【0211】
[製造例1]医薬品
<1-1>散剤
本発明のオキシラセタム(Oxiracetam)50mg、結晶セルロース2gを混合した後、通常の散剤の製造方法によって気密袋に充填し、散剤を製造した。
【0212】
<1-2>錠剤
本発明のオキシラセタム(Oxiracetam)50mg、結晶セルロース400mg、ステアリン酸マグネシウム5mgを混合した後、通常の錠剤の製造方法によって打錠し、錠剤を製造した。
【0213】
<1-3>カプセル剤
本発明のオキシラセタム(Oxiracetam)30mg、乳清タンパク質100mg、結晶セルロース400mg、ステアリン酸マグネシウム6mgを混合した後、通常のカプセル剤の製造方法によってゼラチンカプセルに充填し、カプセル剤を製造した。
【0214】
[製造例2]食品
<2-1>健康食品の製造
本発明のオキシラセタム(Oxiracetam)1000mg、ビタミンAアセテート70ug、ビタミンE 1.0mg、ビタミンB1 0.13mg、ビタミンB2 0.15mg、ビタミンB6 0.5mg、ビタミンB12 0.2ug、ビタミンC 10mg、ビオチン10ug、ニコチン酸アミド1.7mg、葉酸50ug、パントテン酸カルシウム0.5mg、硫酸第一鉄1.75mg、酸化亜鉛0.82mg、炭酸マグネシウム25.3mg、第一リン酸カリウム15mg、第二リン酸カルシウム55mg、クエン酸カリウム90mg、炭酸カルシウム100mg、塩化マグネシウム24.8mgを混合して製造することができ、その配合比を任意に変形実施してもよく、通常の健康食品の製造方法によって前記の成分を混合した後、顆粒を製造し、通常の方法によって健康食品組成物の製造に使用することができる。
【0215】
<2-2>健康飲料の製造
本発明のオキシラセタム(Oxiracetam)1000mg、クエン酸1000mg、オリゴ糖100g、梅の実エキス2g、タウリン1gに精製水を加えて全体900mLを通常の健康飲料の製造方法によって前記の成分を混合した後、約1時間85℃で撹拌加熱した後、作られた溶液をろ過し、滅菌された2L容器に取得し、密封滅菌した後、冷蔵保管した後、健康飲料組成物の製造に使用することができる。
【0216】
<2-3>チューインガム
ガムベース20重量%、砂糖76.9重量%、香料1重量%および水2重量%と本発明のオキシラセタム(Oxiracetam)0.1重量%を配合し、通常の方法でチューインガムを製造した。
【0217】
<2-4>キャンディ
砂糖60重量%、水飴39.8重量%および香料0.1重量%と本発明のオキシラセタム(Oxiracetam)0.1重量%を配合し、通常の方法でキャンディを製造した。
【0218】
<2-5>ビスケット
薄力粉1級25.59重量%、中力粉1級22.22重量%、精糖4.80重量%、食塩0.73重量%、ブドウ糖0.78重量%、パームショートニング11.78重量%、アンモニウム1.54重量%、重曹0.17重量%、亜硫酸ナトリウム0.16重量%、米粉1.45重量%、ビタミンB 0.0001重量%、ミルク香0.04重量%、水20.6998重量%、全脂粉乳1.16重量%、代替乳0.29重量%、第一リン酸カルシウム0.03重量%、食塩0.29重量%およびスプレー油7.27重量%と本発明のオキシラセタム(Oxiracetam)0.8301重量%を配合し、通常の方法でビスケットを製造した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図17
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図41
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【国際調査報告】