(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】負極コーティングプロセス
(51)【国際特許分類】
H01M 4/587 20100101AFI20240410BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240410BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240410BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20240410BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20240410BHJP
【FI】
H01M4/587
H01M4/36 C
H01M4/38 Z
H01M4/485
H01M4/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533394
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 AU2022050461
(87)【国際公開番号】W WO2022236382
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522220522
【氏名又は名称】アルテック・ケミカルズ・オーストラリア・プロプライエタリー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Altech Chemicals Australia Pty Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】リュー,ジンユァン
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA17
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA12
5H050GA22
5H050GA27
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA10
5H050HA14
5H050HA20
(57)【要約】
負極活物質を調製する方法であって、この方法は、負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と組み合わせて、コーティングされた負極材料を形成するステップと、固体粒子をか焼して、アルミナ含有コーティングを備える固体粒子を含むか焼された材料を形成するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極活物質を調製する方法であって、
負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と組み合わせて、コーティングされた負極材料を形成するステップと、
固体粒子をか焼して、アルミナ含有コーティングを備える固体粒子を含むか焼された材料を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と組み合わせて、コーティングされた負極材料を形成する前記ステップが、前記負極材料を前記塩化アルミニウム六水和物溶液と混合することを含む、請求項1に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項3】
固液分離して、液体と前記コーティングされた負極材料とを提供するステップを更に含む、請求項2に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項4】
負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と組み合わせて、コーティングされた負極材料を形成する前記ステップが、噴霧または注入による等して前記塩化アルミニウム六水和物溶液を前記負極材料に添加することを含む、請求項1に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項5】
前記負極材料が、グラファイト粉末、シリコン粉末、ナノシリコン粒子、シリコン-炭素複合材料粉末、カーボンナノチューブLi
4Ti
5O
12(スピネル)、TiO
2、SnO
2、Ge、Si、SOx(0<x<2)、Sn、Sb、Bi、およびZnの形態で提供される、請求項1から4のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項6】
前記塩化アルミニウム六水和物溶液が、0.1M~3.44Mの濃度で提供される、請求項1から5のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項7】
前記負極材料を前記塩化アルミニウム六水和物溶液と混合する前記ステップが、3時間以下で行われる、請求項1から6のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項8】
前記固液分離ステップが、フィルターを用いて実施される、請求項1から7のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項9】
前記コーティングされた負極材料を乾燥させて遊離水の少なくとも一部を除去し、塩化アルミニウムを塩化アルミニウム六水和物として結晶化する更なるステップを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項10】
前記コーティングされた負極材料を乾燥させる前記ステップが、100℃未満の温度で行われる、請求項7に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項11】
前記コーティングされた負極材料をか焼する前記ステップが、360℃~800℃の温度で行われる、請求項1から10のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項12】
前記コーティングされた負極材料をか焼する前記ステップが、不活性ガスの存在下である、請求項1から11のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項13】
前記負極材料を前記塩化アルミニウム六水和物溶液と組み合わせる前記ステップの前に、リチウム溶液を添加する追加のステップを含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項14】
前記スラリーの固液分離ステップの前に、リチウム溶液を添加する追加のステップを含む、請求項1から13のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項15】
負極材料と塩化アルミニウム六水和物溶液の前記スラリーに前記リチウム溶液が添加される、または前記負極材料および前記塩化アルミニウム六水和物溶液と同時に前記リチウム溶液が添加される、または負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と混合してスラリーを形成する前記ステップの前に前記リチウム溶液を前記負極材料と混合する、または負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と混合してスラリーを形成する前記ステップの前に前記リチウム溶液を前記塩化アルミニウム溶液と混合する、請求項13に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項16】
前記リチウム溶液が、水酸化リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、またはそれらの組み合わせを含む群から選択されるリチウム塩から調製される、請求項13から15のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項17】
前記スラリーのpHが3未満である、請求項13から16のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項18】
リチウム溶液と、アルミナ含有コーティングを備える固体粒子を含む前記か焼された材料とを組み合わせて、コーティングされたか焼された材料を提供する追加のステップと、
前記コーティングされたか焼された材料をか焼して、リチウム化アルミナ含有コーティングを備える固体粒子を含むか焼された材料を形成する追加のステップと
を含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項19】
前記リチウム溶液が、水酸化リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、またはそれらの組み合わせを含む群から選択されるリチウム塩から調製される、請求項17に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項20】
前記リチウム溶液が、塩化リチウムについては0.01M~19.8M、水酸化リチウムについては0.01M~5.3Mの濃度で提供される、請求項17または18に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項21】
前記スラリーが約20w/w%の固体である、請求項17から19のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項22】
前記リチウム溶液と、アルミナ含有コーティングを備える前記か焼された材料とを混合する前記ステップが、3時間以下で行われる、請求項17から20のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項23】
前記固液分離ステップが、フィルターを用いて実施される、請求項17から21のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項24】
前記固体粒子を乾燥させて遊離水の少なくとも一部を除去する追加のステップを含む、請求項17から22のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項25】
前記固体粒子を乾燥させる前記ステップが、100℃未満の温度で行われる、請求項21に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項26】
前記固体粒子をか焼する前記ステップが、360℃~800℃の温度で行われる、請求項17から24のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【請求項27】
前記固体粒子をか焼する前記ステップが、不活性ガスの存在下である、請求項17から24のいずれか1項に記載の負極活物質を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負極活物質をコーティングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景に関する以下の議論は、本発明の理解を容易にすることを意図している。ただし、この議論は、言及された材料のいずれかが、優先日においてオーストラリアまたは任意の他の国における一般的な知識の一部であったことを承認するまたは認めるものではないことを理解されたい。
【0003】
負極は、リチウムイオン電池の主要部品の1つである。ほとんどの市販のリチウムイオン電池は、負極材料としてグラファイトカーボンを使用している。シリコンは、その天然存在比、毒性がないこと、および高い理論的比容量(約4,200mAhg-1)により大きな注目を集めている。シリコン合金は、近い将来における、潜在的な次世代負極材料である。
【0004】
しかし、多くの負極材料はリチウムの挿入/脱離サイクルの体積変化を受け、該変化により負極の粉砕、および不安定な固体電解質界面(SEI)層の形成が起こる。これにより容量が低下し、商業的用途での負極の使用が制限される。最終的に、ひずみによるクラックは、負極粒子の接続性の喪失および電極の剥離につながり、電池容量およびサイクル寿命の両方に影響を与える。
【0005】
多くの負極にはまた、充放電サイクル中における最初のクーロン効率の低さ、および容量劣化率の問題がある。最初のクーロン効率の低下は、最初の充放電サイクル中の固体電解質界面(SEI)形成による不可逆的なリチウム消費によるものである。
【0006】
したがって、負極を調製するための改善された手法が依然として必要である。
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、負極活物質を調製する方法であって、負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と組み合わせて、コーティングされた負極材料を形成するステップと、コーティングされた負極材料をか焼して、アルミナ含有コーティングを備える固体粒子を含むか焼された材料を形成するステップとを含む、方法が提供される。
【0008】
アルミナ含有コーティングは、各粒子の表面を完全に覆っていてもよく、または各粒子の表面を部分的にのみ覆っていてもよいことが理解されよう。あるいは、一部の粒子はアルミナ含有コーティングで完全に覆われ、一部の粒子はアルミナ含有コーティングで部分的にのみ覆われていてもよい。
【0009】
有利なことに、アルミナ含有コーティングは人工SEIとして機能し、最初のサイクルでのリチウム損失を低減し、サイクル中のSEIの劣化を抑制し、それにより、最初のクーロン効率およびサイクル性が改善される。
【0010】
本発明の一形態において、負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と組み合わせて、コーティングされた負極材料を形成するステップは、負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と混合することを含む。
【0011】
負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と組み合わせて、コーティングされた負極材料を形成するステップが、負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と混合することを含む場合、該方法は、固液分離して液体とコーティングされた負極材料とを提供する追加のステップを含んでもよい。
【0012】
本発明の別の形態において、負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と組み合わせて、コーティングされた負極材料を形成するステップは、例えば、塩化アルミニウム六水和物溶液を負極材料に噴霧または注入し、続いて混合することによって、該溶液を負極材料に添加することを含む。
【0013】
負極材料は、グラファイト粉末、シリコン粉末、ナノシリコン粒子、シリコン-炭素複合材料粉末、カーボンナノチューブLi4Ti5O12(スピネル)、TiO2、SnO2、Ge、Si、SOx(0<x<2)、Sn、Sb、BiおよびZnの形態で提供されてもよい。好ましい負極材料は、グラファイト粉末およびシリコン粉末である。
【0014】
好ましくは、負極材料は粉末である。
【0015】
負極材料の好ましい平均粒子径は、負極材料自体によって影響を受けることが理解されよう。理論によって制限されるものではないが、より小さなシリコン粒子は、より膨張および収縮しやすいシリコンのような負極材料で好ましいと考えられている。対照的に、より大きな粒子は、より膨張および収縮しにくいグラファイトなどの負極材料に使用できる。
【0016】
負極材料の粒子径分布は、Malvern Mastersizer MS2000でレーザー回折を使用して測定された。
【0017】
本発明の一形態において、負極材料の平均粒子径は10nm~3,000nmの間である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は50nm~2,000nmの間である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は100nm~1,500nmの間である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は100nm~1,000nmの間である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は300nm~500nmnmの間である。
【0018】
本発明の一形態において、負極材料の平均粒子径は約100nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約150nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約200nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約250nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約300nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約350nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約400nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約450nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約500nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約550nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約600nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約650nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約700nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約750nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約800nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約850nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約900nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約950nmである。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は約1,000nmである。
【0019】
本発明の一形態において、負極材料の平均粒子径は100nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は150nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は200nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は250nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は300nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は350nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は400nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は450nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は500nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は550nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は600nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は650nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は700nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は750nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は800nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は850nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は900nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は950nm未満である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は1,000nm未満である。
【0020】
本発明の一形態において、負極材料の平均粒子径は100nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は150nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は200nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は250nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は300nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は350nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は400nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は450nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は500nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は550nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は600nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は650nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は700nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は750nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は800nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は850nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は900nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は950nmより大きい。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は1,000nmより大きい。
【0021】
本発明の一形態において、負極材料の平均粒子径は2~100ミクロンの間である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は10ミクロン~50ミクロンの間である。本発明の別の形態において、負極材料の平均粒子径は20ミクロン~30ミクロンの間である。
【0022】
塩化アルミニウム六水和物溶液は、0.1M~3.44Mの濃度で提供されてもよい(20℃での飽和)。好ましくは、塩化アルミニウム六水和物溶液は、0.5M~2Mの濃度で提供される。
【0023】
本発明の一形態において、塩化アルミニウム六水和物溶液は、約0.25Mの濃度で提供される。本発明の別の形態において、塩化アルミニウム六水和物溶液は、約0.50Mの濃度で提供される。本発明の別の形態において、塩化アルミニウム六水和物溶液は、約0.75Mの濃度で提供される。本発明の別の形態において、塩化アルミニウム六水和物溶液は、約1.00Mの濃度で提供される。本発明の別の形態において、塩化アルミニウム六水和物溶液は、約1.25Mの濃度で提供される。本発明の別の形態において、塩化アルミニウム六水和物溶液は、約1.50Mの濃度で提供される。本発明の別の形態において、塩化アルミニウム六水和物溶液は、約1.75Mの濃度で提供される。本発明の別の形態において、塩化アルミニウム六水和物溶液は、約2.00Mの濃度で提供される。本発明の別の形態において、塩化アルミニウム六水和物溶液は、約2.25Mの濃度で提供される。本発明の別の形態において、塩化アルミニウム六水和物溶液は、約2.50Mの濃度で提供される。本発明の別の形態において、塩化アルミニウム六水和物溶液は、約2.75Mの濃度で提供される。本発明の別の形態において、塩化アルミニウム六水和物溶液は、約3.00Mの濃度で提供される。本発明の別の形態において、塩化アルミニウム六水和物溶液は、約3.25Mの濃度で提供される。
【0024】
塩化アルミニウム溶液は、好ましくは、高純度塩化アルミニウム六水和物を高純度水に所望の濃度で溶解することによって調製される。
【0025】
固液分離ステップで得られた、コーティングされた負極材料は、表面に若干の塩化アルミニウム溶液を保持していることが理解されよう。
【0026】
固液分離ステップの性質は、コーティングされた負極材料表面に残っている塩化アルミニウム溶液の量に関係することが理解されよう。固体および液体が濾過によって分離される場合、濾過は重力または差圧の下で行われてもよい。すなわち、圧力差により、フィルターを通過する液体の移動が促進される場合がある。
【0027】
適切なフィルターは当技術分野で知られており、ベルトフィルター、フィルタープレス、チューブフィルター、フレームフィルターまたは遠心式が含まれる。
【0028】
理論によって制限されるものではないが、コーティングされた負極材料は、付着力、および表面張力を含む凝集力の下で負極材料に保持された塩化アルミニウム溶液のコーティングを含有すると考えられている。
【0029】
理論によって制限されるものではないが、固体表面に残っている塩化アルミニウム溶液の残留量が多いほど、アルミナコーティングが厚くなると考えられている。
【0030】
理論によって制限されるものではないが、より高濃度の塩化アルミニウム溶液は、より厚いアルミナコーティングを生成すると考えられている。
【0031】
負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と組み合わせるステップが、負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と混合することを含む場合、塩化アルミニウム溶液は、好ましくは過剰に供給される。
【0032】
本発明の一形態において、負極材料と塩化アルミニウム溶液との重量比は10:90である。本発明の別の形態において、負極材料と塩化アルミニウム溶液との重量比は20:80である。本発明の別の形態において、負極材料と塩化アルミニウム溶液との重量比は30:70である。本発明の別の形態において、負極材料と塩化アルミニウム溶液との重量比は40:60である。本発明の別の形態において、負極材料と塩化アルミニウム溶液との重量比は50:50である。
【0033】
塩化アルミニウム溶液に対する負極材料の比率が高いと、ポンプ能力の低下などのスラリー取り扱いにおける問題が発生する可能性があることが理解されよう。
【0034】
本発明の一形態において、負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と混合するステップは、少なくとも0.5時間行われる。
【0035】
本発明の一形態において、負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と混合するステップは、最大3時間行われる。
【0036】
好ましくは、負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と混合するステップは、約1時間行われる。
【0037】
本発明の一形態において、該方法は、固体粒子をか焼して、アルミナ含有コーティングを備える固体粒子を含むか焼された材料を形成するステップの前に、コーティングされた負極材料を乾燥させて遊離水の少なくとも一部を除去し、塩化アルミニウムを塩化アルミニウム六水和物として結晶化させる追加のステップを含む。
【0038】
有利なことに、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップにより、コーティングされた負極材料の解凝集を促進することができる。
【0039】
好ましくは、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、100℃未満の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、40℃~100℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、50℃~100℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、60℃~100℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、70℃~100℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、80℃~100℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、90℃~100℃の間の温度で行われる。
【0040】
本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、40℃~90℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、50℃~90℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、60℃~90℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、70℃~90℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、80℃~90℃の間の温度で行われる。
【0041】
本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、40℃~80℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、50℃~80℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、60℃~80℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、70℃~80℃の間の温度で行われる。
【0042】
本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、40℃~70℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、50℃~70℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、60℃~70℃の間の温度で行われる。
【0043】
本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、40℃~60℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、50℃~60℃の間の温度で行われる。
【0044】
本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、40℃~50℃の間の温度で行われる。
【0045】
本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、10分~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、30分~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、1時間~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、2時間~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、4時間~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、8時間~12時間行われる。
【0046】
本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、10分~8時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、30分~8時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、1時間~8時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、2時間~8時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、4時間~8時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、6時間~8時間行われる。
【0047】
本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、10分~6時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、30分~6時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、1時間~6時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、2時間~6時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、4時間~6時間行われる。
【0048】
本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、10分~3時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、30分~3時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、1時間~3時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、2時間~3時間行われる。
【0049】
本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、10分~2時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、30分~2時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、1時間~2時間行われる。
【0050】
本発明の一形態において、コーティングされた負極材料を乾燥させるステップは、70℃で3時間行われる。
【0051】
コーティングされた負極材料をか焼するステップにより、結晶水および塩化水素ガスの一部が有利に除去される。好ましくは、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、360℃~1,000℃の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、400℃~800℃の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、400℃~600℃の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、約400℃の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、約600℃の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、約800℃の温度で行われる。
【0052】
本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、10分~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、30分~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、1時間~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、2時間~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、4時間~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、8時間~12時間行われる。
【0053】
本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、10分~6時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、30分~6時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、1時間~6時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、2時間~6時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、4時間~6時間行われる。
【0054】
本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、10分~3時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、30分~3時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、1時間~3時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、2時間~3時間行われる。
【0055】
本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、10分~2時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、30分~2時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、1時間~2時間行われる。
【0056】
本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、400℃で3時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、600℃で3時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされた負極材料をか焼するステップは、800℃で3時間行われる。
【0057】
か焼装置は、ロータリーキルン、バブリング流動層、循環流動層、フラッシュか焼装置、サスペンションか焼装置(suspension calciner)、トンネルキルン、移動層か焼装置(moving bed calciner)またはそれらの組み合わせの形態で提供されてもよい。
【0058】
該方法は、不活性ガスをか焼装置に添加する追加のステップを含んでもよい。
【0059】
該方法は、か焼された材料を冷却する追加のステップを含んでもよい。
【0060】
本発明の方法は、負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と組み合わせるステップの前に、塩化アルミニウム溶液にリチウム溶液を添加する追加のステップを含んでもよい。
【0061】
本発明の方法は、スラリーの固液分離ステップの前に、リチウム溶液を添加する追加のステップを含んでもよい。リチウム溶液は、固液分離ステップの前であればいつでも添加することができる。本発明の一形態において、負極材料および塩化アルミニウム六水和物溶液のスラリーにリチウム溶液が添加される。本発明の別の形態において、負極材料および塩化アルミニウム六水和物溶液と同時にリチウム溶液が添加される。本発明の別の形態において、負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と混合してスラリーを形成するステップの前に、リチウム溶液を負極材料と混合する。本発明の別の形態において、負極材料を塩化アルミニウム六水和物溶液と混合してスラリーを形成するステップの前に、リチウム溶液を塩化アルミニウム溶液と混合する。
【0062】
リチウム溶液は、水酸化リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、またはそれらの組み合わせを含む群から選択されるリチウム塩から調製することができる。好ましい形態は、水酸化リチウム一水和物および塩化リチウム、ならびにそれらの混合物である。
【0063】
本発明が塩化アルミニウム溶液にリチウム溶液を添加するステップを含む場合、スラリーのpHは好ましくは3未満である。より好ましくは、スラリーのpHは2未満である。
【0064】
本発明が、スラリーの固液分離ステップの前に、リチウム溶液を添加するステップを含む場合、か焼された材料のアルミナ含有コーティングは、リチウム化アルミナコーティングであり得る。理論によって制限されるものではないが、そのようなリチウム化アルミナコーティングは、Al、O、ClおよびLi化合物、またはそれらの任意の組み合わせによって表され得ると考えられている。
【0065】
リチウム溶液は、塩化リチウムの場合は0.01M~19.8Mの濃度で、水酸化リチウムの場合は0.01M~5.3Mの濃度で提供されてもよい。
【0066】
リチウムの添加は、溶液の塩化アルミニウム濃度に基づいている。リチウムとアルミニウムとのモル比は1:11~5:1の範囲である。
【0067】
本発明の方法は、リチウム溶液と、アルミナ含有コーティングを備える固体粒子を含むか焼された材料とを組み合わせて、コーティングされたか焼された材料を提供する追加のステップ;コーティングされたか焼された材料をか焼して、リチウム化アルミナ含有コーティングを備える固体粒子を含むか焼された材料を形成する追加のステップを含んでもよい。
【0068】
好ましくは、か焼された材料は粉末である。
【0069】
本発明の一形態において、リチウム溶液と、アルミナ含有コーティングを備える固体粒子を含むか焼された材料とを組み合わせて、コーティングされたか焼された材料を提供するステップは、か焼された材料をリチウム溶液と混合することを含む。
【0070】
リチウム溶液と、アルミナ含有コーティングを備える固体粒子を含むか焼された材料とを組み合わせて、コーティングされたか焼された材料を提供するステップが、か焼された材料をリチウム溶液と混合することを含む場合、該方法は、固液分離して、液体とコーティングされたか焼された材料とを提供する追加のステップを含んでもよい。
【0071】
本発明の別の形態において、リチウム溶液と、アルミナ含有コーティングを備える固体粒子を含むか焼された材料とを組み合わせて、コーティングされたか焼された材料を提供するステップは、例えば、リチウム溶液をか焼された材料に噴霧または注入することによって、か焼された材料に該溶液を添加することを含む。
【0072】
リチウム溶液は、水酸化リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、またはそれらの組み合わせを含む群から選択されるリチウム塩から調製することができる。好ましくは、リチウム塩は水酸化リチウム一水和物である。
【0073】
リチウム溶液は、塩化リチウムの場合は0.01M~19.8Mの濃度で、水酸化リチウムの場合は0.01M~5.3Mの濃度で提供されてもよい。
【0074】
リチウム溶液は、好ましくは、塩化リチウムまたは/および水酸化リチウム一水和物を高純度水に所望の濃度で溶解することによって調製される。
【0075】
固液分離ステップの性質は、コーティングされたか焼された材料表面に残っているリチウム溶液の量に関係することが理解されよう。固体および液体が濾過によって分離される場合、濾過は重力または差圧の下で行われてもよい。すなわち、圧力差により、フィルターを通過する液体の移動が促進される場合がある。
【0076】
適切なフィルターは当技術分野で知られており、ベルトフィルター、フィルタープレス、チューブフィルター、フレームフィルターまたは遠心式が含まれる。
【0077】
理論によって制限されるものではないが、コーティングされたか焼された材料は、表面張力を受けてか焼された材料に保持されたリチウム溶液コーティングを含有すると考えられている。
【0078】
か焼された材料をリチウム溶液と組み合わせるステップが、か焼された材料をリチウム溶液と混合することを含む場合、リチウム溶液は、好ましくは過剰に供給される。
【0079】
本発明の一形態において、か焼された材料とリチウム溶液との重量比は10:90である。本発明の別の形態において、か焼された材料とリチウム溶液との重量比は20:80である。本発明の別の形態において、か焼された材料とリチウム溶液との重量比は30:70である。本発明の別の形態において、か焼された材料とリチウム溶液との重量比は40:60である。本発明の別の形態において、か焼された材料とリチウム溶液との重量比は50:50である。
【0080】
リチウム溶液に対するか焼された材料の比率が高いと、ポンプ能力の低下などのスラリー取り扱いにおける問題が発生する可能性があることが理解されよう。
【0081】
本発明の一形態において、リチウム溶液と、アルミナ含有コーティングを備えるか焼された材料とを混合するステップは、少なくとも0.5時間行われる。
【0082】
本発明の一形態において、リチウム溶液と、アルミナ含有コーティングを備えるか焼された材料とを混合するステップは、最大3時間行われる。
【0083】
好ましくは、リチウム溶液と、アルミナ含有コーティングを備えるか焼された材料とを混合するステップは、約1時間行われる。
【0084】
本発明の一形態において、固液分離ステップはフィルターを用いて実施される。適切なフィルターは当技術分野で知られており、ベルトフィルター、フィルタープレス、チューブフィルターまたは遠心式が含まれる。
【0085】
本発明の一形態において、混合ステップおよび濾過ステップの代わりに、溶液とアルミナコーティング負極とをミキサーで混合することができる。
【0086】
本発明の一形態において、該方法は、コーティングされたか焼された材料をか焼して、リチウム化アルミナ含有コーティングを備える固体粒子を含むか焼された材料を形成するステップの前に、コーティングされたか焼された材料を乾燥させて遊離水の少なくとも一部を除去し、リチウムをアルミナコーティング層表面に結晶として結晶化させる追加のステップを含んでもよい。
【0087】
好ましくは、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、100℃未満の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、40℃~100℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、50℃~100℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、60℃~100℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、70℃~100℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、80℃~100℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、90℃~100℃の間の温度で行われる。
【0088】
本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、40℃~90℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、50℃~90℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、60℃~90℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、70℃~90℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、80℃~90℃の間の温度で行われる。
【0089】
本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、40℃~80℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、50℃~80℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、60℃~80℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、70℃~80℃の間の温度で行われる。
【0090】
本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、40℃~70℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、50℃~70℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、60℃~70℃の間の温度で行われる。
【0091】
本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、40℃~60℃の間の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、50℃~60℃の間の温度で行われる。
【0092】
本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、40℃~50℃の間の温度で行われる。
【0093】
本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、10分~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、30分~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、1時間~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、2時間~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、4時間~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、8時間~12時間行われる。
【0094】
本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、10分~8時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、30分~8時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、1時間~8時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、2時間~8時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、4時間~8時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、6時間~8時間行われる。
【0095】
本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、10分~6時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、30分~6時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、1時間~6時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、2時間~6時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、4時間~6時間行われる。
【0096】
本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、10分~3時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、30分~3時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、1時間~3時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、2時間~3時間行われる。
【0097】
本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、10分~2時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、30分~2時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、1時間~2時間行われる。
【0098】
本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料を乾燥させるステップは、70℃で3時間行われる。
【0099】
コーティングされたか焼された材料をか焼するステップにより、結晶水および塩化水素ガスの一部が有利に除去される。好ましくは、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、360℃~1,000℃の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、400℃~800℃の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、400℃~600℃の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、約400℃の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、約600℃の温度で行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、約800℃の温度で行われる。
【0100】
本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、10分~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、30分~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、1時間~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、2時間~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、4時間~12時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、8時間~12時間行われる。
【0101】
本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、10分~6時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、30分~6時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、1時間~6時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、2時間~6時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、4時間~6時間行われる。
【0102】
本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、10分~3時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、30分~3時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、1時間~3時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、2時間~3時間行われる。
【0103】
本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、10分~2時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、30分~2時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、1時間~2時間行われる。
【0104】
本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、400℃で3時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、600℃で3時間行われる。本発明の一形態において、コーティングされたか焼された材料をか焼するステップは、800℃で3時間行われる。
【0105】
か焼装置は、ロータリーキルン、バブリング流動層、循環流動層、フラッシュか焼装置、サスペンションか焼装置、トンネルキルン、移動層か焼装置またはそれらの組み合わせの形態で提供されてもよい。
【0106】
該方法は、不活性ガスをか焼装置に添加する追加のステップを含んでもよい。
【0107】
該方法は、か焼された材料を冷却する追加のステップを含んでもよい。
【0108】
本発明のさらなる特徴は、その非限定的な実施形態の以下の説明においてより完全に説明される。この説明は、本発明を例示する目的でのみ含まれている。説明は、上記に示される発明の概要、開示または説明に対する制限として理解されるべきではない。説明は、添付の図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【
図1】本発明の第1の実施形態による負極活物質を調製する方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の第2の実施形態による負極活物質を調製する方法のフローチャートである。
【
図4】グラファイト粒子のナノ層アルミナコーティングを示す本発明のSEM写真である。
【
図5】グラファイト粒子のナノ層アルミナコーティングを示す本発明のSEM写真である。
【
図6】シリコン粒子のナノ層アルミナコーティングを示すSEM写真である。
【
図7】複合材料負極のハーフセル試験結果を提示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0110】
本明細書全体を通して、文脈上別段の必要がない限り、「溶液(solution)」という単語または「溶液(solutions)」などの変形は、スラリー、懸濁液、および溶解していない固体を含有する他の混合物を包含すると理解される。
【0111】
本明細書全体を通して、文脈上別段の必要がない限り、「含む(comprise)」という単語または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は、記載された整数または整数の群を含むが、任意の他の整数または整数の群を除外しないことを意味すると理解される。
【0112】
当業者は、本明細書に記載される発明が、詳細に記載されているもの以外の変形および修正に適していることを理解するであろう。本発明は、そのようなすべての変形および修正を含むことを理解すべきである。本発明はまた、本明細書で個別にまたは集合的に言及されるまたは示されるすべてのステップ、特徴、組成物および化合物、ならびに任意のすべての組み合わせまたは任意の2つ以上のステップもしくは特徴を含む。
【0113】
図1に、本発明の実施形態によるコーティングプロセスのフローチャートを示す。
【0114】
本発明は、主要な材料としてアルミナベースの前駆体を使用することによって、負極粒子表面にナノスケール層をコーティングするプロセスを提示する。コーティング層の厚さは均一でむらがない。コーティング層は、人工固体電解質界面(SEI)として機能する。
【0115】
脱イオン水10、負極粉末12および塩化アルミニウム溶液14が供給され、撹拌混合タンク16内において、室温で0.5時間~3時間、好ましくは約1時間混合される。
【0116】
塩化アルミニウムの濃度は0.1M~3.44M(20℃での飽和)、好ましくは1M~2Mである。
【0117】
負極粉末12は、グラファイト、シリコンカーボンナノチューブ、Li4Ti5O12(スピネル)、TiO2、SnO2、Ge、Si、SOx(0<x<2)、Sn、Sb、BiおよびZnなどの任意の負極材料であってもよい。好ましい基材は、グラファイト粉末およびシリコン粉末である。リチウム塩は、水酸化リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0118】
十分に混合されたスラリー18をフィルター20で濾過して、過剰の溶液を除去する。フィルター20は、ベルトフィルター、フィルタープレス、チューブフィルターまたは遠心式であってもよい。
【0119】
濾液22はタンク22に集められ、混合タンク16に再び循環される。
【0120】
濾過ケーク26は、遊離水を除去するために乾燥機28へと供給される。乾燥機28は、バブリング流動層式、循環流動層式、フラッシュもしくは衝撃式、真空乾燥機、マルチサイクロン式を含むサスペンション式、ロータリー式、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0121】
乾燥機28は、集塵システム、燃焼室を備える燃焼装置、ファン、フィーダー、ダンパー、ダクトおよび他の関連する補助装置を備えていてもよい。乾燥機28は、100℃未満、好ましくは80~90℃の温度で作動する。
【0122】
コーティングされた乾燥材料30および不活性ガス32は、結晶水およびHClを除去するためにか焼装置34へと供給される。か焼中に、コーティングは塩化アルミニウム六水和物から酸化アルミニウムへと変化する。か焼温度は、アルミナのモルフォロジーに影響を与える。700℃までの温度では、アルミナはアモルファスである。800℃でのか焼により、結晶性アルミナが得られる。運転温度は360℃~800℃、好ましくは400℃~600℃の範囲である。か焼装置は、ロータリーキルン、バブリング流動層、循環流動層、サスペンション、トンネルキルンもしくは移動層か焼装置、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0123】
か焼された負極材料36を冷却装置38へと送り出し、そこで、該固体は通常100℃未満の温度に冷却される。冷却装置38は、ロータリー式、バブリング流動層、循環流動層、サスペンション、スクリュー冷却装置または移動床層式、直接冷却または間接冷却であってもよい。冷却媒体は、水、空気、または他の種類の気体もしくは/および液体であってもよい。
【0124】
冷却された固体40は、最終的なアルミナコーティング負極材料であり得、ビン42へと直接送られる。最終生成物は、バギングステーション44で袋詰めされる。
【0125】
脱イオン水10は、少なくとも部分的にリチウム塩46溶液で置き換えることができる。溶液中のリチウム含有量は、0~Li/Alモル比1である。乾燥およびか焼手順は上記と同じであり、負極粒子表面にAl-O-Cl-Li化合物層が付与される。
【0126】
図2は、本発明の第2の実施形態による2つのステップのプロセスを説明するものである。上記のプロセスで得られた、冷却された固体40は、撹拌タンク50へと供給され、リチウム溶液52と混合される。リチウム溶液は、脱イオン水とリチウム塩56とを混合することによって調製タンク54内で調製される。リチウム塩は、水酸化リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、またはそれらの組み合わせ、好ましくは水酸化リチウム一水和物であってもよい。
【0127】
スラリー58はポンプでフィルター60へと送られ、そこで溶液64から固形分62が分離される。溶液64はリチウム溶液調製タンク54へと再循環させる。濾過ケーク62は、遊離水を除去するために乾燥機64へと供給される。フィルターは、ベルトフィルター、フィルタープレス、チューブフィルターもしくは遠心式、またはそれらの組み合わせであってもよい。乾燥機の運転温度は70~120℃、好ましくは90~100℃の範囲である。乾燥機は、バブリング流動層式、循環流動層式、フラッシュもしくは衝撃式、真空乾燥機、マルチサイクロン式を含むサスペンション式、ロータリー式、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0128】
前駆体でコーティングされた乾燥材料72は、不活性ガス74と共にか焼装置76へと供給される。層は、Al-O-Cl-Liからなるアルミナ関連化合物へと変わる。運転温度は600℃~800℃、好ましくは700~800℃の範囲である。か焼装置76は、ロータリーキルン、バブリング流動層、循環流動層、サスペンション、スクリュー式もしくは移動層式のうち任意の種類、または任意の種類の組み合わせであってもよい。
【0129】
か焼された負極材料78を冷却装置80へと送り出し、そこで、該固体は通常100℃未満の温度に冷却される。冷却装置は、ロータリー式、バブリング流動層、循環流動層、サスペンション、スクリュー冷却装置または移動層か焼装置であってもよい。
【0130】
冷却された固体82は、製品保存ビン84に保存される。最終生成物は、バギングステーション86で袋詰めされる。
【0131】
出願人は、本発明を実証するために一連の試験を行った。詳細には、出願人は、グラファイトおよびシリコン粒子を高純度アルミナ層およびリチウム化アルミナ層でコーティングした。
【0132】
図3に、アルミナコーティング負極材料を調製するための実験装置の概略図を示す。装置は、一部が炉102内に収められた石英管または炭化ケイ素管100を備える。炉は、管100を保持するための第1の開口部104および第2の開口部106を備える。第1の開口部104および第2の開口部106は両方とも、耐HClサーマルウール108を備える。
【0133】
管100は、第1の端部110および第2の端部112を備える。第1の端部110および第2の端部112は両方とも、耐HClサーマルウール114でシールされている。
【0134】
炉102の中心と一致する管100の中心には、アルミナるつぼ116が設けられている。
【0135】
管100の第1の端部110は、管100内に延びて、るつぼ116に隣接している熱電対118と、必要に応じてパージガス導入口120とを備える。
【0136】
管100の第2の端部112は、か焼中にHClガスおよび水蒸気を放出するためのベント122を含有する。
【実施例】
【0137】
[実施例1]
高純度の1M AlCl3溶液が入っている撹拌容器にグラファイト粉末を添加した。グラファイトとAlCl3溶液との質量比は20:80で、固形分濃度が20%のスラリーが得られた。スラリーを室温で3時間撹拌した。
【0138】
スラリーを濾過して過剰の溶液を除去し、濾液を再利用のため再循環させた。濾過ケークを70℃で3時間乾燥させ、遊離水分を除去した。乾燥した材料を解凝集させ、高純度のアルミナるつぼに入れた。るつぼを管状炉に入れ、不活性ガス雰囲気(窒素またはアルゴン)中において400℃で3時間か焼した。か焼中に放出されたガスにはHClおよび水蒸気が含有されており、ガスは回収のためガススクラバーへと導かれた。か焼された材料を室温まで冷却した。か焼された負極粒子は、アモルファス高純度アルミナでコーティングされていた。
【0139】
すべての材料調製は、不活性ガスで保護されたグローブボックス内で行われた。
【0140】
[実施例2]
実施例1に従って調製された高純度アルミナコーティンググラファイトを、撹拌された1.5M水酸化リチウム溶液へと添加した。グラファイトと水酸化リチウム溶液との質量比は20:80で、固形分濃度が20%のスラリーが得られた。スラリーを室温で3時間撹拌した。
【0141】
スラリーを濾過して過剰の溶液を除去し、濾液を再利用するために再循環させた。濾過ケークを70℃で3時間乾燥させ、遊離水分を除去した。乾燥した材料を解凝集させ、高純度のアルミナるつぼに入れた。るつぼを管状炉に入れ、不活性ガス雰囲気(窒素またはアルゴン)中において600℃で3時間か焼した。か焼中に放出されたガスにはHClおよび水蒸気が含有されており、ガスは回収のためガススクラバーへと導かれた。か焼された材料を室温まで冷却した。か焼された負極粒子は、リチウム化アルミナおよび少量のAl-Li-Cl-O化合物でコーティングされていた。
【0142】
以下の表1~5に、様々な条件での実験結果を提示する。本明細書の文脈において、「浸漬」は、固体負極基材を塩化アルミニウム六水和物などのコーティング溶液へ添加すること、およびそれに続く濾過を指す。「混合」は、溶液を基材表面に吹付けることによって少量の溶液を塗布することを指す。
【0143】
コーティング(%)の計算は、か焼された負極材料のか焼前後における質量の増加を測定することによって実施された。
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
図4および
図5に、下記条件下で調製されたグラファイト粒子のナノ層アルミナコーティングを示すSEM写真を提示する。
【0151】
【0152】
図6に、下記条件下で調製されたシリコン粒子のナノ層アルミナコーティングを示すSEM写真を提示する。
【0153】
【0154】
図9に、下記条件下で調製された複合材料負極のハーフセル試験結果を提示する。
【0155】
【0156】
コイン電池で2種の負極材料の性能を試験した。
i.未処理シリコン10%+グラファイト90%
ii.アルミナコーティングシリコン10%+グラファイト90%
【0157】
コイン電池は、0.27Cの決まった充電/放電レートでバッテリーテスターにて測定し、比容量(mAh/g)が図で報告される。材料2(灰色の線)は200サイクルまで430mAh/gと報告され、材料1(オレンジ色の線)は330mAh/gと報告される。これは、シリコンのアルミナコーティング技術によりバッテリーの負極材料の容量が大幅に増加することを示す。
【国際調査報告】