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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】イヤフォン
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20240410BHJP
   G01J 5/00 20220101ALI20240410BHJP
   G01J 5/0806 20220101ALI20240410BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20240410BHJP
   H04R 1/06 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
H04R1/10 104E
H04R1/10 104Z
G01J5/00 101G
G01J5/0806
A61B5/01 350
H04R1/06 310
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553580
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 CN2021086101
(87)【国際公開番号】W WO2022213346
(87)【国際公開日】2022-10-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592051453
【氏名又は名称】ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リー, エンドン
(72)【発明者】
【氏名】リャン, ティエイー
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ, ジンフア
【テーマコード(参考)】
2G066
4C117
5D005
5D017
【Fターム(参考)】
2G066AC13
2G066BA23
2G066BA25
4C117XB01
4C117XC26
4C117XD09
4C117XE23
5D005BA01
5D005BA08
5D005BB11
5D017AH10
(57)【要約】
イヤフォンが提供される。イヤフォンは、音声開口を定める筐体であって、音声開口は、イヤフォンの着用位置において着用者の外耳道内に位置付けられるように構成され、または外耳道に向かって対向している、筐体と、筐体内に位置付けられたスピーカドライバであって、音声開口に向かって対向するダイアフラムを備え、ダイアフラムと開口との間で音声チャネルを定める、スピーカドライバと、音声チャネル内に位置付けられた体温測定モジュールであって、体温測定モジュールは、反射器及び温度センサを含み、温度センサは、音声開口を通じて伝達され、反射器によって反射された赤外線光を受信するように構成される、前記体温測定モジュールと、を含む。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヤフォンであって、
音声開口を定める筐体であって、前記音声開口は、前記イヤフォンの着用位置において着用者の外耳道内に位置付けられるように構成され、または外耳道に向かって対向している、前記筐体と、
前記筐体内に位置付けられたスピーカドライバであって、前記音声開口に向かって対向するダイアフラムを備え、前記ダイアフラムと前記開口との間で音声チャネルを定める、前記スピーカドライバと、
前記音声チャネル内に位置付けられた体温測定モジュールであって、前記体温測定モジュールは、反射器及び温度センサを含み、前記温度センサは、前記音声開口を通じて伝達され、前記反射器によって反射された赤外線光を受信するように構成される、前記体温測定モジュールと、
を備えた、前記イヤフォン。
【請求項2】
前記体温測定モジュールは更に、前記音声開口において、または前記音声開口に近くに、光フィルタを含む、請求項1に記載のイヤフォン。
【請求項3】
前記光フィルタは、選択された波長のIR光が通過することを可能にすると共に、他の波長の光を実質的に吸収するように構成される、請求項2に記載のイヤフォン。
【請求項4】
前記反射器は、前記筐体の形状付けられた内側表面と、前記形状付けられた内側表面に塗布された被膜とを含む、先行請求項のいずれか1項に記載のイヤフォン。
【請求項5】
前記被膜は、銀被膜である、請求項4に記載のイヤフォン。
【請求項6】
前記形状付けられた内側表面及び前記被膜は、湾曲表面のものであり、前記赤外線光を前記温度センサに反射及び集束するように構成される、請求項4に記載のイヤフォン。
【請求項7】
前記温度センサは、FIRセンサである、先行請求項のいずれか1項に記載のイヤフォン。
【請求項8】
前記温度センサは、前記温度センサの前記フォト表面が前記音声チャネルの軸に実質的に並列である、水平方位に配列される、先行請求項のいずれか1項に記載のイヤフォン。
【請求項9】
前記温度センサは、可撓性PCB上に搭載される、先行請求項のいずれか1項に記載のイヤフォン。
【請求項10】
前記温度センサは、単一のチップFIRセンサである、先行請求項のいずれか1項に記載のイヤフォン。
【請求項11】
前記イヤフォンは、インイヤ式イヤフォンまたはTWSイヤフォンである、先行請求項のいずれか1項に記載のイヤフォン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、イヤフォンに関し、特に、イヤフォンの着用者の体の(鼓膜の)温度を測定及び/または監視することができるイヤフォンに関し、特に、着用者の体(鼓膜の)の温度を測定及び/または監視することができるインイヤ式(in-ear)イヤフォンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Covid-19など、様々な理由に起因して、人々は、体温測定にますます注目を払っている。耳の温度計など、多くの種類の温度計が存在する。しかしながら、それらの温度計に関連して、何らかの不便さがなおも存在する。例えば、それらの温度計は、十分に運搬可能でなく、及び/または人々は通常は、それらと共に温度計を搬送せず、よって、必要であるときにそれを発見することができない。
【0003】
インイヤ式イヤフォン、準インイヤ式イヤフォン、またはTWSイヤフォンなどのイヤフォンは、ますます普及しており、近年では、日々の生活において人々によって搬送されることが多い。体温測定モジュールをそのようなイヤフォンに組み込む何らかの試みが存在している。しかしながら、それらのイヤフォン内での制約された空間に起因して、音声チャネルを実質的に妨害することなく、体温測定モジュールをイヤフォンに統合する際の困難が存在しており、音声性能の劣化を結果としてもたらす。
【0004】
改善された音声性能を有する、体温測定モジュールを有するイヤフォンに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示の1つの態様により、音声開口を定める筐体であって、音声開口は、イヤフォンの着用位置において着用者の外耳道内に位置付けられるように構成され、または外耳道に向かって対向している、筐体と、筐体内に位置付けられたスピーカドライバであって、スピーカドライバは、音声開口に向かって対向し、ダイアフラムと開口との間で音声チャネルを定める、スピーカドライバと、音声チャネル内に位置付けられた体温測定モジュールであって、体温測定モジュールは、反射器及び温度センサを含み、温度センサは、音声開口を通じて伝達され、反射器によって反射された赤外線光を受信するように構成される、前記体温測定モジュールと、を含む、イヤフォンが提供される。
【0006】
本開示の1つ以上の実施形態により、体温測定モジュールは更に、音声開口において、または音声開口に近くに、光フィルタを含む。
【0007】
本開示の1つ以上の実施形態により、光フィルタは、選択された波長のIR光が通過することを可能にすると共に、他の波長の光を実質的に吸収するように構成される。
【0008】
本開示の1つ以上の実施形態により、反射器は、筐体の形状付けられた内側表面と、形状付けられた内側表面に塗布された被膜とを含む。
【0009】
本開示の1つ以上の実施形態により、被膜は、銀被膜である。
【0010】
本開示の1つ以上の実施形態により、形状付けられた内側表面及び被膜は、湾曲表面のものであり、赤外線光を温度センサに反射及び集束するように構成される。
【0011】
本開示の1つ以上の実施形態により、温度センサは、FIRセンサである。
【0012】
本開示の1つ以上の実施形態により、温度センサは、温度センサのフォト表面が音声チャネルの軸に実質的に並列である、水平方位に配列される。
【0013】
本開示の1つ以上の実施形態により、温度センサは、可撓性PCB上に搭載される。
【0014】
本開示の1つ以上の実施形態により、温度センサは、単一のチップFIRセンサである。
【0015】
本開示の1つ以上の実施形態により、イヤフォンは、インイヤ式イヤフォンまたはTWSイヤフォンである。
【0016】
開示の他のシステム、方法、特徴、及び利点は、以下の図面及び詳細な説明を検査すると、当業者にとって明らかであり、または明らかになるであろう。全てのそのような追加のシステム、方法、特徴、及び利点は、本説明に含まれ、開示の範囲内にあり、以下の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【0017】
以下の図面及び説明を参照して、開示をより良好に理解することができる。図面内の構成要素は、必ずしも同一縮尺ではなく、代わりに、開示の原理を例示すると、強調が置かれる。その上、図面では、同一の参照符号は、異なる図の全体を通じて対応する部分を指定する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の1つ以上の実施形態に係る、イヤフォン100の断面図を示す。
図2A】イヤフォンの部分を示す、図1の拡大図である。
図2B】本開示の1つ以上の実施形態に係る、イヤフォンの一部のキー寸法を示す、図2Aと同様の図である。
図2C】本開示の1つ以上の実施形態に係る、イヤフォンの別の断面図を示す。
図3A】本開示の1つ以上の実施形態に係る、イヤチューブ(ear tube)を示す。
図3B】本開示の1つ以上の実施形態に係る、イヤチューブを示す。
図3C】本開示の1つ以上の実施形態に係る、イヤチューブを示す。
図4】Aは、本開示の1つ以上の実施形態に係る、光フィルタを示す。Bは、本開示の1つ以上の実施形態に係る、光フィルタを示す。
図5】Aは、本開示の1つ以上の実施形態に係る、FIRセンサアセンブリを示す。Bは、本開示の1つ以上の実施形態に係る、FIRセンサアセンブリを示す。
図6】周波数応答曲線チャートを示し、実線は、水平方位に配列されたFIRセンサを含む、本開示の1つ以上の実施形態に係るイヤフォンの周波数応答曲線であり、点線は、垂直方位に配列されたFIRセンサを含む、イヤフォンの比較可能な実施形態の周波数応答曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本開示の好ましい実施形態が更に詳細に説明される。
【0020】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、コンテキストが他に明確に示されない限り、複数形をも含むことが意図される。本明細書で使用されるように、用語「を備える(comprises)」、「を備える(comprising)」、「を含む(includes)」、及び/または「を含む(including)」は、述べられる特徴、整数、ステップ、オペレーション、要素、及び/または構成要素の存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、オペレーション、要素、構成要素、及び/またはそれらのステップの存在または追加を排除しない。本明細書で使用されるように、用語「及び/または(and/or)」及びシンボル「/」は、関連するリスト表示されたアイテムのうちの1つ以上のいずれか及び全ての組み合わせを含むことが意味される。加えて、第1の(first)、第2の(second)などという用語は、様々な要素、構成要素、ステップ、または計算を説明するために本明細書で使用され得ると共に、それらの要素、構成要素、ステップ、または計算は、それらの用語によって限定されるべきではなく、むしろ、それらの用語は、1つの要素、構成要素、ステップ、または計算を相互に区別するために使用されるにすぎない。全てが本開示の範囲から逸脱することなく、例えば、第1の構成要素は、第2の構成要素と命名されてもよく、同様に、第1の計算は、第2の計算と命名されてもよく、同様に、第1のステップは、第2のステップと命名されてもよい。
【0021】
本明細書で使用されるように、用語「音声チャネル」は、スピーカドライバのダイアフラムとイヤフォンの音声開口との間など、スピーカドライバとイヤフォンの音声開口との間にある、イヤフォンの筐体によって定められたチャネルを指す。用語「有効音声チャネル」は、体温測定モジュールによって音声チャネルの部分が占有された後の音声チャネルの遮断されていない部分を指す。用語「着用位置」は、イヤフォンが着用者によって着用されるときのイヤフォンの位置を指す。用語「音声開口」は、イヤフォンの筐体の開口を指し、イヤフォンの筐体の開口を通じて、イヤフォンまたはスピーカドライバによって生み出された音が、着用者の耳に伝達される。イヤフォンの音声開口は、普段は、イヤフォンの着用位置において、すなわち、イヤフォンが着用者によって着用されるとき、着用者の外耳道内及び/または外耳道に向かって位置付けられる。音声開口は、普段は、メッシュが設けられ、メッシュは、イヤフォンまたはスピーカドライバによって生み出された音が通過することを可能にすると共に、ほこりまたは破片がイヤフォンの音声チャネルに侵入することを防止する。
【0022】
継続中の請求項における使用を明確にし、以下で公衆への通知を提供するために、フレーズ「<A>、<B>、…及び<N>のうちの少なくとも1つ」または「<A>、<B>、…<N>、もしくはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つ」は、最も広い意味で出願人によって定義され、出願人によって明白に逆に断言されない限り、以前または以後でのいずれかの他の暗に示される定義よりも、A、B、…及びNを含むグループから選択された1つ以上の要素を意味することを優先し、要素A、B、…またはNのうちの1つ以上のいずれかの組み合わせは、いずれかの1つの要素を単独で、または他の要素のうちの1つ以上との組み合わせで含み、他の要素は、リスト表示されない追加の要素も組み合わせで含み得る。
【0023】
インイヤ式イヤフォンまたはTWSイヤフォンなど、イヤフォンの着用位置では、すなわち、イヤフォンが着用者によって着用されるとき、イヤフォンの音声チャネルは、着用者の外耳道内に部分的に位置付けられ得る。よって、イヤフォンの音声チャネルは、普段は、相対的に小さい寸法を有し得、その結果、イヤフォンを着用者の外耳道内に部分的に位置付けることができる。例えば、一部のインイヤ式イヤフォンまたはTWSイヤフォンは、4ミリメートル~5ミリメートルの直径を有する音声チャネルを有する。
【0024】
FIR(Far-Infra-Red)センサは、FIR光を受信するためのフォト表面(photo surface)(その上に搭載されたセンサ要素を有するFIRセンサの側)を有し、フォト表面は、普段は、センサの他の側と比較して、相対的に大きなエリアを有する。耳の温度を測定するためにFIR(Far-Infra-Red)センサを使用するために、FIRセンサは、普段は、垂直方位に位置付けられる必要があり、垂直方位では、FIRセンサの大きなフォト表面は、着用者の外耳道または鼓膜に対向しており、その結果、フォト表面は、着用者の外耳道または鼓膜からFIR光を受信することができる。しかしながら、イヤフォンの音声チャネルの小さい直径に起因して、垂直方位に音声チャネル内に位置付けられたFIRセンサは、音声チャネルを実質的に妨害し得、遮断されないままである音声チャネルの部分が小さく、すなわち、有効音声チャネルが小さく、イヤフォンの不良な音声性能を結果としてもたらす。
【0025】
本開示は、イヤフォンを提供する。イヤフォンは、イヤフォンの音声チャネル内に位置付けられた体温測定モジュールを含む。音声チャネルは、イヤフォンのスピーカドライバと音声開口との間で定められる。体温測定モジュールは、反射器及び温度センサを含み、温度センサは、音声開口を通じて伝達され、反射器によって反射された赤外線光を受信するように構成される。
【0026】
イヤフォンの音声チャネル内に反射器を設けることによって、入射する赤外線光が温度センサに反射することができ、及び再方向付けることができる。よって、温度センサは、垂直方位以外の異なる方位に配列されることが可能であり得る。すなわち、温度センサは、温度のフォト表面が着用者の外耳道または鼓膜に対向していない方位に配列され得る。例えば、温度センサは、フォト表面が音声チャネルの軸xに実質的に並列である水平方位に配列され得る。水平方位では、温度センサによって遮断される音声チャネルの部分が大いに削減され、相対的に大きな有効音声チャネルを残し、垂直方位に配列された温度センサを有するイヤフォンと比較して、改善された音声性能を結果としてもたらす。
【0027】
本開示の1つ以上の実施形態では、反射器が温度センサに対して形状付けられ及び位置付けられ、その結果、反射器に到達するIR光が温度センサに反射及び集束され、温度測定の改善された感度及び精度を結果としてもたらす。
【0028】
図1は、本開示の1つ以上の実施形態に係る、イヤフォン100の断面図を示す。図1に示されるように、イヤフォン100は、筐体を含み、筐体は、後筐体102、前筐体104、及びイヤチューブ106から構成される。後筐体102及び前筐体104は、共に接続されて、その中のイヤフォン100の受信要素及び構成要素のための内部チャンバを定める。イヤチューブ106は、前筐体104に接続され、前筐体104から前方に突出し、イヤフォン100の開口108を定め、開口108は、イヤフォン100の音声開口として機能する。イヤフォン100は更に、後筐体102及び前筐体104によって定められた内部チャンバ内に設けられた、メインPCT112、バッテリ114、及びスピーカドライバ122を含む。メインPCB112は、その上に搭載された、MCUなどの様々な電子要素を有する。スピーカドライバ122は、ダイアフラム(図示せず)を含む。前筐体104及びイヤチューブ106は、スピーカドライバ122(スピーカドライバのダイアフラム)と開口108との間で音声チャネル124を定める。イヤフォン100は更に、音声チャネル124内に位置付けられた体温測定モジュール130を含む。
【0029】
図2Aは、イヤフォン100の部分を示す、図1の拡大図である。図2Aに示されるように、体温測定モジュール130は、FIRセンサアセンブリ210、反射器220、及び光フィルタ230を含む。光フィルタ230は、メッシュ260によって並んで位置付けられ、光フィルタ230及びメッシュは共に、イヤチューブ220の開口108、すなわち、イヤフォンの音声開口を覆う。イヤフォンが着用者によって着用されるとき、着用者の外耳道または鼓膜からのFIR光250は、光フィルタ230を通過し得、反射器220に到達し得る。光フィルタ230は、選択された波長のIR光が通過することを可能にすると共に、他の波長の光を実質的に吸収する。FIR光250は、反射器220によって、FIRセンサアセンブリのFIRセンサ212に反射され及び再方向付けられる。本開示の1つ以上の実施形態では、反射器220は、イヤチューブ106の内側表面に塗布される反射被膜である。示されるように、FIRセンサ212は、上方に対向するそのフォト表面と水平方位にある。FIRセンサアセンブリ210は、支持プレート216によって支持される。支持プレート216は、音声チャネル124を上位部分と下位部分とに分割し、上位部分は、FIRセンサアセンブリ210を収容し、下位部分は、音声チャネルの遮断されない部分、すなわち、有効音声チャネルである。
【0030】
図2Bは、本開示の1つ以上の実施形態に係る、イヤフォン100の一部のキー寸法を示す、図2Aと同様の図である。図2Cは、イヤフォン100の別の断面図を示す。図2Bに示されるように、FIRセンサアセンブリ210(FIRセンサ212、可撓性PCB214、及び支持プレート216)は、Hの全高を有する。FIRセンサ212は、Lの長さを有し、FIRセンサ212の上表面(フォト表面)は、D2の距離によって、音声チャネルの内側表面の最上部から間隔を空けられる。音声チャネル全体は、D1の全高を有する。本開示の1つ以上の実施形態によれば、Hは、約1.35ミリメートル、D1は、約4.5ミリメートル、D2は約1.20ミリメートル、Lは、約3.7ミリメートルである。図2Bに示されるFIRセンサ212の水平方位では、体温測定モジュール130は、約2.55ミリメートル(D2+H)の全高を有する。比較すると、FIRセンサ212が垂直方位に位置付けられる場合、FIRセンサ212の全高は、L、すなわち、約3.7ミリメートルの寸法である。よって、反射器を設け、水平方位にFIRセンサ212を配列することによって、FIRセンサアセンブリの全高を約3.7ミリメートル~約2.55ミリメートルに低減させることができ、すなわち、三分の一の因子だけ低減させることができる。図2A、2Bに示されるように、本開示の配列によって、イヤフォン100は、相対的に大きな有効音声チャネルを達成することができ、イヤフォン100の改善された音声性能を結果としてもたらす。
【0031】
図3A~3Cは、本開示の1つ以上の実施形態に係る、イヤチューブ106を示す。反射器220は、イヤチューブ106の形状付けられた内側表面と、内側表面に塗布された反射被膜とを含む。図2A、3A~3Cに示されるように、形状付けられた内側表面は、湾曲表面である。内側表面は、FIRセンサ212に対して形状付けられ及び位置付けられ、その結果、内側表面に塗布された反射被膜は、入射するFIR光を、FIRセンサ212のセンサ要素に反射し得、及び再方向付け得る。本開示の1つ以上の実施形態では、内側表面は、FIRセンサ212に対して形状付けられ及び位置付けられ、その結果、反射被膜に到達するFIR光の実質的に全ては、入射するFIR光を、FIRセンサ212のセンサ要素に反射し、及び再方向付ける。反射被膜のエリアは、FIRセンサ212のセンサ要素よりもはるかに大きく成り得、よって、反射被膜に到達するFIR光は、FIRセンサに反射及び収束され、FIRセンサ212の改善された感度及び精度を結果としてもたらす。
【0032】
本開示の一部の1つ以上の実施形態では、反射被膜は、銀被膜であり、銀被膜は、入射するFIR光をFIRセンサ212に反射するための高反射係数を有する。本開示の他の実施形態では、反射被膜は、それが入射するFIR光をFIRセンサ212に反射することができる限り、いずれかの種類の適切な被膜であり得る。
【0033】
図4A~4Bは、本開示の1つ以上の実施形態に係る、光フィルタ230を示す。示されるように、光フィルタ230は基本的には、音声開口の上位部分を覆うと共に、メッシュ260は基本的には、音声開口の下位部分を覆う。本開示の1つ以上の実施形態では、光フィルタ230は、選択された波長のIR光が通過することを可能にすると共に、他の波長の光を実質的に吸収する、いずれかの適切な材料から成り得る。
【0034】
図5A~5Bは、本開示の1つ以上の実施形態に係る、FIRセンサアセンブリ210を示す。FIRセンサアセンブリ210は、可撓性PCB214と、可撓性PCB214上に搭載されたFIRセンサ212とを含む。FIRセンサ212は、FIR光を受信及び検出するためのセンサ要素212aを含む。FIRセンサは、スタンバイモード(<2uA)及びワーキングモードの間に非常に低い電力消費を有する単一のチップFIRセンサであり得る。よって、体温測定モジュールを有さないイヤフォンと比較して、本開示のイヤフォンは、イヤフォンの再生時間を実質的に低減させることなく、体温測定または監視をもたらすことができる。可撓性PCB214は、電気回路を包含し、電気回路は、FIRセンサ212を、メインPCT112上に搭載されたMCUなどのメインPCB112に電気的に接続する。
【0035】
イヤフォン100の着用位置では、すなわち、イヤフォンが着用者によって着用されるとき、着用者の外耳道または鼓膜からのIRまたはFIR光は、光フィルタ230を通過し得、反射器220に到達し得る。FIRまたはIR光は、FIRまたはIRセンサ212内のセンサ要素に反射され得、再方向付けられ得、及び集束され得る。FIRまたはIRセンサ212は、受信されたFIRまたはIR光に応答して、電気信号を生み出す。センサ212によって生み出された電気信号は、可撓性PCB214内の電気回路を介して、メインPCB112上に搭載されたMCUに伝達される。MCUがFIRまたはIRセンサから電気信号を受信した後、それは、計算及びアルゴリズム較正を行い、体温、耳の温度、または鼓膜の温度を判定する。
【0036】
図6は、周波数応答曲線チャートを示し、チャート内の実線は、水平方位に配列されたFIRセンサを含む、本開示の1つ以上の実施形態に係るイヤフォンの周波数応答曲線を示し、点線は、垂直方位に配列されたFIRセンサを含む、イヤフォンの比較可能な実施形態の周波数応答曲線を示す。図6に示されるように、本開示の1つ以上の実施形態に係るイヤフォンは、特に、6キロヘルツよりも高く、または50ヘルツよりも低い周波数範囲内で、より良好な周波数応答性能を有する。一般的に、本開示に係るイヤフォンの周波数応答曲線(実線)は、6キロ~約15キロの周波数範囲内の比較可能な実施形態(点線)よりも、約5~15デシベル高い。
【0037】
本開示は、TWSイヤバドと関連して説明されたが、本開示は、それに限定されず、本開示は、インイヤ式イヤフォンまたは準インイヤ式イヤフォンなど、いずれかの種類の適切なイヤフォンに適用され得る。図1、2A~2C、5A~5Bに示された実施形態では、FIRセンサアセンブリは、可撓性PCBと、可撓性PCB上に搭載された単一のチップFIRセンサとを含む。しかしながら、本開示は、それに限定されない。いくつかの実施形態では、FIRセンサアセンブリは、剛体PCBと、PCB上に搭載された単一のチップFIRセンサとを含み得る。いくつかの実施形態では、本開示は、IRセンサなど、いずれかの適切な温度センサを採用し得る。示される実施形態では、反射器は、イヤチューブ内の形状付けられた内側表面と、内側表面に塗布された被膜とを含む。しかしながら、本開示は、それに限定されない。いくつかの実施形態では、反射器は、イヤフォンの音声チャネル内に搭載され得る別個の部分であり得る。示される実施形態では、温度センサは、水平方位に配列され、水平方位では、温度センサのフォト表面は、音声チャネルの軸xに実質的に並列である。しかしながら、本開示は、それに限定されず、温度センサは温度センサのフォト表面が音声チャネルの軸xに対する角度にある他の方位に配列され得る。
【0038】
開示のいくつかの実施形態によれば、本開示を、以下のように実装することができる。
【0039】
アイテム1:イヤフォンであって、
音声開口を定める筐体であって、前記音声開口は、前記イヤフォンの着用位置において着用者の外耳道内に位置付けられるように構成され、または外耳道に向かって対向している、前記筐体と、
前記筐体内に位置付けられたスピーカドライバであって、前記音声開口に向かって対向するダイアフラムを備え、前記ダイアフラムと前記開口との間で音声チャネルを定める、前記スピーカドライバと、
前記音声チャネル内に位置付けられた体温測定モジュールであって、前記体温測定モジュールは、反射器及び温度センサを含み、前記温度センサは、前記音声開口を通じて伝達され、前記反射器によって反射された赤外線光を受信するように構成される、前記体温測定モジュールと、
を備えた、前記イヤフォン。
【0040】
アイテム2:前記体温測定モジュールは更に、前記音声開口において、または前記音声開口に近くに、光フィルタを含む、アイテム1に記載のイヤフォン。
【0041】
アイテム3:前記光フィルタは、選択された波長のIR光が通過することを可能にすると共に、他の波長の光を実質的に吸収するように構成される、アイテム1~2のいずれか1つに記載のイヤフォン。
【0042】
アイテム4:前記反射器は、前記筐体の形状付けられた内側表面と、前記形状付けられた内側表面に塗布された被膜とを含む、アイテム1~3のいずれか1つに記載のイヤフォン。
【0043】
アイテム5:前記被膜は、銀被膜である、アイテム1~4のいずれか1つに記載のイヤフォン。
【0044】
アイテム6:前記形状付けられた内側表面及び前記被膜は、湾曲表面のものであり、前記赤外線光を前記温度センサに反射及び集束するように構成される、アイテム1~5のいずれか1つに記載のイヤフォン。
【0045】
アイテム7:前記温度センサは、FIRセンサである、アイテム1~6のいずれか1つに記載のイヤフォン。
【0046】
アイテム8:前記温度センサは、前記温度センサの前記フォト表面が前記音声チャネルの軸に実質的に並列である、水平方位に配列される、アイテム1~7のいずれか1つに記載のイヤフォン。
【0047】
アイテム9:前記温度センサは、可撓性PCB上に搭載される、アイテム1~8のいずれか1つに記載のイヤフォン。
【0048】
アイテム10:前記温度センサは、単一のチップFIRセンサである、アイテム1~9のいずれか1つに記載のイヤフォン。
【0049】
アイテム11:前記イヤフォンは、インイヤ式イヤフォンまたはTWSイヤフォンである、アイテム1~10のいずれか1つに記載のイヤフォン。
【0050】
システム及び方法が、開示の詳細を理解することの支援として、一般的な用語において説明されてきた。いくつかのインスタンスでは、開示の態様を曖昧にすることを回避するために、周知の構造、材料、及び/またはオペレーションは、特別に示されておらず、または詳細に説明されていない。他のインスタンスでは、開示の完全な理解を提供するために、特定の詳細が与えられてきた。当業者は、その精神または必須の特性から逸脱することなく例えば、特定のシステムまたは装置または状況または材料または構成要素に適合するために、開示が他の特定の形式において具体化され得ることを認識するであろう。したがって、本明細書における開示及び説明は、例示的であり、開示の範囲を限定しないことが意図される。したがって、開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物を考慮して、それらを除いて制限されないことになる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】