(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】外鉄式変圧器用の変圧器タンク、外鉄式変圧器および外鉄式変圧器の磁気コアの締付方法
(51)【国際特許分類】
H01F 27/26 20060101AFI20240410BHJP
H01F 27/02 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
H01F27/26 160
H01F27/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023558197
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2022053122
(87)【国際公開番号】W WO2022199926
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アギーレ,ミゲル
【テーマコード(参考)】
5E059
【Fターム(参考)】
5E059BB02
(57)【要約】
外鉄式変圧器(100)用の変圧器タンクであって、
-壁(111)であって、タンク内部(112)を囲む前記壁(111)と、
-前記外鉄式変圧器(100)の磁気コア(101)に締付力(121)を作用させるための締付装置(120)とを備え、
-前記締付装置(120)は、
-前記壁(111)に固定されるビーム(122)と、
-プランジャ(123)であって、前記プランジャ(123)は前記磁気コア(101)に前記締付力(121)を作用させるように構成される第1軸端(124)を備え、前記プランジャ(123)は、その長手方向軸(126)に沿って前記ビーム(122)に対して移動可能であり、前記締付力(121)の値は、前記ビーム(122)に対する前記プランジャ(123)の位置に応じて設定可能である、前記プランジャ(123)とを備える、変圧器タンク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外鉄式変圧器(100)用の変圧器タンクであって、
-壁(111)であって、タンク内部(112)を囲む前記壁(111)と、
-前記外鉄式変圧器(100)の磁気コア(101)に締付力(121)を作用させるための締付装置(120)とを備え、
-前記締付装置(120)は、
-前記壁(111)に固定されるビーム(122)と、
-プランジャ(123)であって、前記プランジャ(123)は前記磁気コア(101)に前記締付力(121)を作用させるように構成される第1軸端(124)を備え、前記プランジャ(123)は、その長手方向軸(126)に沿って前記ビーム(122)に対して移動可能であり、前記締付力(121)の値は、前記ビーム(122)に対する前記プランジャ(123)の位置に応じて設定可能である、前記プランジャ(123)と、
-ねじ装置(128)であって、その長手方向軸(126)に沿って前記プランジャ(123)を移動させるために前記プランジャ(123)の第2軸端(125)と接触する前記ねじ装置(128)とを備える、変圧器タンク。
【請求項2】
-前記締付装置(120)はプランジャスリーブ(127)を備え、前記プランジャスリーブ(127)は前記ビーム(122)の内部に配置され、
-前記プランジャ(123)は前記プランジャスリーブ(127)内に配置され、かつその長手方向軸(126)に沿ってプランジャスリーブ(127)に対して移動可能である、請求項1に記載の変圧器タンク。
【請求項3】
-前記プランジャスリーブ(127)は第1軸端(131)と反対の第2軸端(132)とを備え、
-前記ねじ装置(128)は前記第1軸端(131)に配置される、請求項2に記載の変圧器タンク。
【請求項4】
-前記プランジャスリーブ(127)は前記第2軸端(132)に開口(130)を備え、
-前記プランジャ(123)は前記開口(130)を通じて到達し、前記第2軸端(132)で前記プランジャスリーブ(127)を越えて突き出る、請求項3に記載の変圧器タンク。
【請求項5】
前記締付装置(120)は、前記締付装置(120)が前記変圧器タンク(110)の上側開口部(115)からアクセス可能であるように前記変圧器タンク(110)の上側タンク部分(113)の中に配置される、請求項1から4のいずれか1項に記載の変圧器タンク。
【請求項6】
前記締付装置(120)は、前記磁気コア(101)に前記締付力(121)の調整可能な値を作用させるように構成された複数のプランジャ(123)を備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の変圧器タンク。
【請求項7】
外鉄式変圧器であって、
-請求項1~6のいずれか1項に記載の変圧器タンク(110)と、
-前記磁気コア(101)であって、前記プランジャ(123)は前記磁気コア(101)に前記締付力(121)の予め設定された値を作用させる、外鉄式変圧器。
【請求項8】
前記プランジャ(123)は、前記締付力(121)が前記ビーム(122)から前記磁気コア(101)を遠ざけるように前記磁気コア(101)に前記締付力(121)を作用させるために前記ビーム(122)に対して移動可能である、請求項7に記載の外鉄式変圧器。
【請求項9】
前記磁気コア(101)は2つの分かれた磁気コア部材(103、104)を備え、2つの前記磁気コア部材(103、104)の間の接合部(150)における力は前記締付力(121)の前記値に応じて設定可能である、請求項7または8に記載の外鉄式変圧器。
【請求項10】
外鉄式変圧器(100)の磁気コア(101)の締付方法であって、
-変圧器タンク(110)の壁(111)に対してその長手方向軸(126)に沿ってプランジャ(123)を移動させるためにねじ(129)を回すステップを備え、前記ねじ(129)が前記プランジャ(123)の軸端(125)と接触し、それゆえ、
-前記変圧器(100)の磁気コア(101)に締付力(121)を作用させるステップと、
-前記締付力(121)の予め設定された値に対応するトルクの値で前記ねじ(126)を回すことによって前記締付力(121)を前記予め設定された値に設定するステップとを備える、外鉄式変圧器(100)の磁気コア(101)の締付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外鉄式変圧器用の変圧器タンク、外鉄式変圧器および外鉄式変圧器の磁気コアの締付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
US3,082,391およびUS3,234,492は外鉄式変圧器に関する。
信頼性および安定性がある外鉄式変圧器用の変圧器タンク、信頼性および安定性がある外鉄式変圧器ならびに締付力の精密な設定を可能とする外鉄式変圧器の磁気コアの締付方法には需要がある。
【0003】
変圧器タンクは、1つ以上のコイルおよび1つ以上の磁気コア等の、磁気回路とも呼ばれる変圧器の要素を収容する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態によれば、外鉄式変圧器用の変圧器タンクが開示される。
前記変圧器タンクは、
-壁であって、タンク内部を囲む前記壁と、
-前記外鉄式変圧器の磁気コアに締付力を作用させるための締付装置と、を備え、
-前記締付装置は、
-前記壁に固定されるビームと、
-プランジャであって、前記プランジャは、前記磁気コアに前記締付力を作用させるように構成される第1軸端を備え、前記プランジャは、その長手方向軸に沿って前記ビームに対して移動可能であり、前記締付力の値は、前記ビームに対する前記プランジャの位置に応じて設定可能である、前記プランジャと、を備える。
【0005】
前記変圧器タンクは、変圧器、特に外鉄式変圧器の要素を収容するように構成される。例えば、前記変圧器タンクは、前記磁気コアおよび1つ以上のコイルを収容するように構成される。前記ビームは、前記変圧器タンクの前記壁に固定され、短絡ビームとしても参照される。前記長手方向軸に沿って、前記磁気コアのための指定された設置空間は、前記ビームの下に配置される。前記プランジャは、前記ビームと前記磁気コアとの間に前記締付力を作用させるように配置され且つ構成される。前記プランジャは、前記ビームの前記第1軸端の反対側の第2軸端において支持される。前記締付力は、前記ビームに対する前記プランジャの前記位置を制御することで制御可能である。そのため、前記磁気コアに伝えられるすべての力は、所望の値に設定可能である。例えば、このことは、前記磁気コアの信頼性のある締め付け、特に前記磁気コアの異なる複数の部分を一緒に締め付けることを可能にする。このことは、前記変圧器タンクおよび前記変圧器タンクを備える前記変圧器の、安定性および信頼性のある配置を可能にする。
【0006】
例えば、前記変圧器タンク、特に前記締付装置は、ねじ装置を備える。前記ねじ装置は前記プランジャの前記第2軸端と接触する。前記ねじ装置は、その長手方向軸に沿って前記プランジャを移動させるように構成される。前記ねじ装置の1つ以上のねじを回すことで前記プランジャは、前記磁気コアの方向へ押圧可能である。そのため、前記締付力は、前記ねじ装置の前記ねじに応じて、特に前記ねじに作用するトルクに応じて設定可能である。
【0007】
例えば、前記プランジャは、プランジャスリーブ内に配置される。前記プランジャスリーブおよび前記プランジャは、例えば、特に前記ねじ装置と共にユニットを構成する。このユニットは、前記変圧器タンクの前記壁上にある前記ビームに据え付けられる。
【0008】
実施形態によれば、前記変圧器タンク、特に前記締付装置は、複数のプランジャを備える。例えば、前記複数プランジャはすべて構造および機能の点で類似している。例えば、前記複数のプランジャは構造および設計の点で相違している。
【0009】
さらなる実施形態によれば、前記複数の異なるプランジャが異なるように設計される。前記複数のプランジャは、前記磁気コアに前記締付力の予め設定された値を作用させるように構成される。前記締付力の予め設定された値は、前記それぞれのプランジャによって同一、または異なりうる。
【0010】
実施形態によれば、外鉄式変圧器は、ここに記載される少なくとも1つの実施形態に従った前記変圧器タンクを備える。前記外鉄式変圧器は、磁気コアを備える。前記プランジャは、前記磁気コアに前記締付力の予め設定された値を作用させる。そのため、前記磁気コアは、前記変圧器タンク内に安定かつ信頼できる方法で固定される。
【0011】
実施形態によれば、外鉄式変圧器の磁気コアの締付方法は、変圧器タンクの壁に対してその長手方向軸に沿ってプランジャを移動させることを含む。そのため、締付力は、前記変圧器の磁気コア上に作用される。前記プランジャをその長手方向軸に沿って移動させることで、前記締付力の値は、所望のかつ予め設定された値に設定される。そのため、前記磁気コアは前記締付力の既知の値で締め付けられる。
【0012】
例えば、前記プランジャは、1つ以上のねじを用いて前記磁気コアに対して押し付けられる。例えば、複数のプランジャは、所望のかつ予め設定された値で前記磁気コアに対して前記締付力を作用させるためにそれぞれの長手方向軸に沿って移動する。
【0013】
例えば、磁気コアを締め付ける前記方法は、ここに記載される外鉄式変圧器用の変圧器タンクを用いて実施される。前記変圧器タンクおよび前記変圧器に関して記載される特徴および利点は、また前記方法にも適用され、その逆も成り立つ。
【0014】
添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれる。図面において、同じ構造および/または機能の要素は、同じ参照符号によって参照されうる。図面に示される実施形態は、例示的な表現であり、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】一実施形態による変圧器タンクの概略図である。
【
図4】一実施形態による変圧器タンクの概略図である。
【
図5】一実施形態によるプランジャおよびプランジャスリーブの概略図である。
【
図6】一実施形態によるプランジャおよびプランジャスリーブの概略図である。
【
図7】一実施形態によるプランジャおよびプランジャスリーブの概略図である。
【
図10】一実施形態による磁気コアの締付方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、種々の修正および代替形態を受け入れることができるが、その詳細は、例として図面に示され、詳細に説明されるであろう。しかしながら、本開示を記載される特定の実施形態に限定することを意図しないことを理解されたい。それどころか、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲内に入るすべての修正形態、同等物、および代替形態をカバーすることが意図される。
【0017】
図1は、一実施形態による外鉄式変圧器100を概略的に示す。
図2は、外鉄式変圧器100の部品を上面図で概略的に示す。
【0018】
外鉄式変圧器100は、例えば、単相変圧器または三相変圧器でありうる。外鉄式変圧器100は変圧器タンク110を備える。変圧器タンク110の壁111はタンク内部112を囲む。タンク内部112の内側に磁気コア101および1つ以上のコイル102が配置される。例えば、磁気コアは、磁気コア101を共に形成する複数の磁気コア部材103および104(
図2)を備える。磁気コア部材103、104は接合部105で連結される。コイル102は少なくとも部分的に磁気コア101によって囲まれる。
【0019】
変圧器タンク110は上側タンク部分113および下側タンク部分114を備える。下側タンク部分114は、例えば、長軸126に沿って上側タンク部分113の下に配置される。下側タンク部分114は、例えば地下で外鉄式変圧器100を支えるための底117を備える。
【0020】
上側タンク部分113は上側開口部115を備える。上側開口部115はタンク内部112へのアクセスを可能にする。使用中は、上側開口部115は例えばカバー116によって閉じられる。
【0021】
締付装置120は、タンク内部112、特に上側タンク部分113内の壁111の内側に配置される。締付装置120は1つのビーム122または複数のビーム122を備える。ビーム122は短絡ビームとも呼ばれる。ビーム122は磁気コア101の上側に配置される。コイル102の一部分は複数のビーム122の間に配置される。ビーム122は長手方向軸126に沿って上側開口部115またはカバー116、および磁気コア101の間に配置される。
【0022】
締付装置120は1つのプランジャ123または複数のプランジャ123を備える。プランジャ123はビーム122および磁気コア101の間で張られている。プランジャ123は、磁気コア101に長手方向軸126に沿って力を作用させる。これにより、磁気コア101および、特に磁気コア部材103、104は変圧器タンク110内で強く固定される。所望の締付力121が磁気コア部材103、104に作用する。このことは、磁気コア部材103、104間の接続力を発生させる。締付装置120は、締付力121の値の所望のリセット値への精確な設定を可能にする。このことが、接合部105における高い圧力を伴う硬いコアに繋がる。特に、短絡ビームの場合、この硬く硬直したコアが負荷を吸収する。そのため、信頼性があり安定した外鉄式変圧器100が実現する。
【0023】
図3および
図4は、変圧器タンク110の異なる図を概略的に示し、
図5~
図7は、プランジャ123およびプランジャスリーブ127を概略的に示している。
【0024】
図3は、上側開口部115を有する上側タンク部分113を示す。
図4は、下側タンク部分114を下側から見た図である。
【0025】
締付装置120はプランジャスリーブ127に対応して配置されるプランジャ123を備える。プランジャスリーブは、例えば溶接によってビーム122にそれぞれ接続される。プランジャ123は対応するプランジャスリーブ127に対して長手方向軸126に沿って動作可能であり、摺動可能であり、変位可能であり、調節可能である。
【0026】
例えば
図5および
図7で示すように、スリーブ内部135(例えば
図5および
図7)を囲う中空のスリーブである。スリーブ内部135は第1軸端131で区切られる。動作中、プランジャスリーブ127の第1軸端131は上側開口部115に面する。プランジャスリーブ127の第1軸端131は、上側開口部115を通してアクセス可能である。
【0027】
ねじ装置128はプランジャスリーブ127の第1軸端131に配置される。ねじ装置128は、1つ以上のねじ129、例えば4本のねじ129を備える。ねじ129は、長手方向軸126に沿ってプランジャスリーブ127に対して移動するために、プランジャスリーブ127のねじ山の中で回転可能である。そのため、スリーブ内部135を押し出させるねじ129の一部分が設定可能である。特に、ねじ129の押し出す部分の長さが設定可能である。
【0028】
プランジャスリーブ127は、長手方向軸126に沿って第1軸端131の反対に第2軸端132を備える。プランジャスリーブ127はプランジャスリーブ127の第2軸端132に開口130を備える。開口130は、プランジャ123が開口130を通してスリーブ内部135からプランジャスリーブ127の外へ到達できるように構成される。プランジャ123の突起133は突出しており、プランジャスリーブ127の第2軸端132でプランジャスリーブ127を越えて突き出ている。
【0029】
例えば
図6で示されるように、プランジャ123は、第1軸端124および第2軸端125を備える。第2軸端125は、長手方向軸126に沿って第1軸端124の反対にある。プランジャ123は、長手方向軸126に沿って第1軸端124および第2軸端125の間に長尺形状を備える。
【0030】
プランジャ123の第2軸端125は、プランジャスリーブ127の第1軸端131に配置される。プランジャ123の第2軸端125は、ねじ装置128、特にねじ129と接触する。
【0031】
プランジャ123の第1軸端124は、プランジャスリーブ127の第2軸端132においてプランジャスリーブ127を越えて突き出ている。接触面134は、プランジャ123の第1軸端124に形成される。プランジャ123は、接触面134で磁気コア101と接触する。
【0032】
ねじ装置128のねじ129は、プランジャスリーブ127に対するプランジャ123の精密な位置決めを可能にする。ねじ129は、長手方向軸126に沿って磁気コア101に向かう方向におけるプランジャ123の変位を設定する。ねじにより突起133がどの程度プランジャスリーブ127を越えて突出するかを調整可能となる。ねじ129は、第1軸端124によって締付力121が作用することができるように、プランジャスリーブ129の第2軸端125を押す。
【0033】
図3および
図4に示す実施形態によれば、締付装置120は、タンク110の2つの対向する内側に4つのプランジャ123を備える。さらなる実施形態によれば、プランジャ123の数は異なり、例えば片側に4つより多く、または4つより少ない。タンク110に対するプランジャ123の位置は、例えば締付力121が磁気コア101に作用すべき好ましい位置によって設定される。特に、プランジャ123のそれぞれの位置は、磁気コア部材103、104の間の接合部105の位置によって予め決まる。プランジャ123の位置は、所望の接続力が接合部105に作用するように選択される。
【0034】
図8および
図9は、実施形態による締付装置120の概略図を示す。ビーム122は、コイル102の一部を囲むように構成される長方形のフレームを形成する。プランジャスリーブ127は、ねじ装置128が上からアクセス可能であるようにほぼ完全に、または完全にビーム122の内部に配置される。プランジャスリーブ127は、フレーム136の上側137からフレーム136の下側138まで到達する。上側137は、タンク110の開口115に面する。フレーム136の下側138は、タンクの底117に面する。ねじ装置128は、上側137においてアクセス可能である。プランジャ123は、ねじ装置128からフレーム136を通して下側138に到達する。下側138においてプランジャ123は、磁気コア101に締付力121を作用させる。締付力121の値は、対応するトルクをねじに作用させることで精密に調整可能である。ねじ129に作用されるトルクは、プランジャ123に伝えられ、磁気コア101との接触面134におけるプランジャ123の接触により、磁気コア101に伝えられる。実施形態によれば、例えば、100ニュートンメートルと300N・Mとの間のトルクがM16タイプ(メートルねじ)ねじ129に作用する。もちろん、異なる直径を有する他の種類のねじも使用でき、それに従って異なるトルクが所望の締付力121に応じてねじ129に作用する。
【0035】
図10は、実施形態による磁気コア101の締付方法のフローチャートを示す。
ステップS1において、ねじ129は、プランジャ123にトルクを作用させるために回される。ねじは、所望の締付力121に応じて決定された、予め設定されたトルクに応じて回される。
【0036】
ステップS2において、ねじ129の回転は、作用されるトルクに応じたプランジャ123の移動を発生させる。
【0037】
ステップS3において、プランジャ123の移動は、磁気コア101に締付力121を作用させる。当然、ねじ129の回転、プランジャの移動、締付力121の作用は、実際に同時に起こる。
【0038】
締付装置120は、外鉄式変圧器100の磁気コア101の接合部105における接続力の増加を可能にする。プランジャ123は、プランジャスリーブ127の中と上側タンク部分113のビーム122の中とに設けられる。締付力121およびしたがって接続力は、プランジャスリーブ127の第1軸端131に位置するねじ129によって制御される。既知のトルクまたはねじ129の締結力は、磁気コア101に伝えられる既知の締付力121を発生させ、ひいては既知の接続力を発生させる。プランジャ123およびプランジャスリーブ129はねじ装置128と共に、実施形態によれば、ビーム122に溶接される前にユニットとして組み立てられる。
【0039】
ねじ装置128は、上側開口部150を上から通してアクセス可能である。そのため、締付力121は、外鉄式変圧器100の最初の据え付けの間だけでなく、のちのメンテナンスにおいても制御可能である。締付力121を制御するために外鉄式変圧器100は、完全に分解される必要はない。上側開口部115またはカバー116の開口を通して容易にアクセス可能である上側137におけるねじ129が、工具によって到達されなければならないのみである。そのため磁気コア101、特に接合部105に作用する力は、容易に、精密におよび確実に制御可能である。締め付けられた磁気コア101は、より短絡力に耐える。
【0040】
精密に設定可能な締付力121を通じた磁気コア101の制御された締付は、変圧器100の高い信頼性をもたらす。締付装置120は、耐用期間を通じて磁気コア101の再締付を可能にする。締付装置120は、磁気コア101への所望のかつ予め設定された締付力121を作用させるための信頼性のあるシステムを実現する。
【0041】
上述の
図1~
図10に示される実施形態は、変圧器タンク110、変圧器100、及び磁気コア101の締付方法の例示的な実施形態を表し、したがって、それらは、変圧器タンク110、変圧器100および方法によるすべての実施形態の完全なリストを構成するわけではない。変圧器タンク110、変圧器100、および方法の実際の配置は、図に示される実施形態とは異なり得る。
【符号の説明】
【0042】
符号
100 外鉄式変圧器
101 磁気コア
102 コイル
103,104 磁気コア部材
105 接合部
110 変圧器タンク
111 壁
112 タンク内部
113 上側タンク部分
114 下側タンク部分
115 上側開口部
116 カバー
117 底
120 締付装置
121 締付力
122 ビーム
123 プランジャ
124 第1軸端
125 第2軸端
126 長手方向軸
127 プランジャスリーブ
128 ねじ装置
129 ねじ
130 開口
131 プランジャスリーブの第1軸端
132 プランジャスリーブの第2軸端
133 突起
134 接触面
135 スリーブ内部
136 フレーム
137 上側
138 下側
S1~S3 方法ステップ
【手続補正書】
【提出日】2023-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外鉄式変圧器(100)用の変圧器タンクであって、
-壁(111)であって、タンク内部(112)を囲む前記壁(111)と、
-前記外鉄式変圧器(100)の磁気コア(101)に締付力(121)を作用させるための締付装置(120)とを備え、
前記締付装置(120)は、前記タンク内部(112)の前記壁(111)の内側に配置され、
-前記締付装置(120)は、
-前記壁(111)に固定されるビーム(122)と、
-プランジャ(123)であって、前記プランジャ(123)は前記磁気コア(101)に前記締付力(121)を作用させるように構成される第1軸端(124)を備え、前記プランジャ(123)は、その長手方向軸(126)に沿って前記ビーム(122)に対して移動可能であり、前記締付力(121)の値は、前記ビーム(122)に対する前記プランジャ(123)の位置に応じて設定可能である、前記プランジャ(123)と、
-ねじ装置(128)であって、その長手方向軸(126)に沿って前記プランジャ(123)を移動させるために前記プランジャ(123)の第2軸端(125)と接触する前記ねじ装置(128)と
、
-プランジャスリーブ(127)とを備え、前記プランジャスリーブ(127)は前記ビーム(122)の内部に配置され、
-前記プランジャ(123)は前記プランジャスリーブ(127)内に配置され、かつその長手方向軸(126)に沿ってプランジャスリーブ(127)に対して移動可能であり、
-前記プランジャスリーブ(127)は第1軸端(131)と反対の第2軸端(132)とを備え、
-前記ねじ装置(128)は前記第1軸端(131)に配置され、
-前記ねじ装置(128)は、1つ以上のねじ(129)を備え、
-前記ねじ(129)は、前記長手方向軸(126)に沿って前記プランジャスリーブ(127)に対して移動するために、前記プランジャスリーブ(127)のねじ山の中で回転可能であり、前記スリーブ内部(135)を押し出させる前記ねじ(129)の一部分が設定可能であり、
-前記プランジャ(123)の前記第2軸端(125)は、前記プランジャスリーブ(127)の前記第1軸端(131)に配置され、前記ねじ装置(128)と接触する、変圧器タンク。
【請求項2】
-前記プランジャスリーブ(127)は前記第2軸端(132)に開口(130)を備え、
-前記プランジャ(123)は前記開口(130)を通じて到達し、前記第2軸端(132)で前記プランジャスリーブ(127)を越えて突き出る、請求項
1に記載の変圧器タンク。
【請求項3】
前記締付装置(120)は、前記締付装置(120)が前記変圧器タンク(110)の上側開口部(115)からアクセス可能であるように前記変圧器タンク(110)の上側タンク部分(113)の中に配置される、請求項1
または2に記載の変圧器タンク。
【請求項4】
前記締付装置(120)は、前記磁気コア(101)に前記締付力(121)の調整可能な値を作用させるように構成された複数のプランジャ(123)を備える、請求項1から
3のいずれか1項に記載の変圧器タンク。
【請求項5】
外鉄式変圧器であって、
-請求項1~
4のいずれか1項に記載の変圧器タンク(110)と、
-前記磁気コア(101)であって、前記プランジャ(123)は前記磁気コア(101)に前記締付力(121)の予め設定された値を作用させる、外鉄式変圧器。
【請求項6】
前記プランジャ(123)は、前記締付力(121)が前記ビーム(122)から前記磁気コア(101)を遠ざけるように前記磁気コア(101)に前記締付力(121)を作用させるために前記ビーム(122)に対して移動可能である、請求項
5に記載の外鉄式変圧器。
【請求項7】
前記磁気コア(101)は2つの分かれた磁気コア部材(103、104)を備え、2つの前記磁気コア部材(103、104)の間の接合部(150)における力は前記締付力(121)の前記値に応じて設定可能である、請求項
5または
6に記載の外鉄式変圧器。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項に記載の外鉄式変圧器(100)の磁気コア(101)の締付方法であって、
-
前記変圧器タンク(110)の
前記壁(111)に対してその長手方向軸(126)に沿って
前記プランジャ(123)を移動させるために
前記ねじ(129)を回すステップを備え、前記ねじ(129)が前記プランジャ(123)の
前記軸端(125)と接触し、それゆえ、
-前記変圧器(100)の
前記磁気コア(101)に
前記締付力(121)を作用させるステップと、
-前記締付力(121)の
前記予め設定された値に対応するトルクの値で前記ねじ(126)を回すことによって前記締付力(121)を前記予め設定された値に設定するステップとを備える、外鉄式変圧器(100)の磁気コア(101)の締付方法。
【国際調査報告】