(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】電磁界を使用して管電子ビームを偏向することによる複数のパルス作動X線源を用いた高速3D X線撮影
(51)【国際特許分類】
A61B 6/40 20240101AFI20240410BHJP
H01J 35/14 20060101ALI20240410BHJP
H01J 35/22 20060101ALI20240410BHJP
H01J 35/16 20060101ALI20240410BHJP
H05G 1/52 20060101ALI20240410BHJP
G01T 7/00 20060101ALN20240410BHJP
【FI】
A61B6/40 523A
H01J35/14
H01J35/22
H01J35/16
H05G1/52 B
G01T7/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560314
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 US2022013237
(87)【国際公開番号】W WO2022211880
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522300662
【氏名又は名称】アイクススキャン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マオリンベイ,マナト
(72)【発明者】
【氏名】ク,チュン-ユアン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,リンボ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジアンチアン
【テーマコード(参考)】
2G188
4C092
4C093
【Fターム(参考)】
2G188AA02
2G188BB02
2G188DD05
4C092AA01
4C092AB13
4C092AB14
4C092AC08
4C092AC16
4C092AC20
4C092BD16
4C092BF04
4C092CE07
4C092CE18
4C093AA11
4C093EA06
4C093EB17
4C093EC15
4C093EC25
4C093FA15
4C093FA52
4C093FA59
(57)【要約】
複数のパルス作動X線源を使用して高効率かつ超高速の3D X線撮影を実行するX線イメージングシステムが提示される。線源のアレイを形成するように運動している構造上に取り付けられた複数のパルス作動X線源が存在する。複数のX線源は、グループとして一定速度で、あらかじめ定められた弧状トラック上で被写体に対して同時に移動する。個々の各X線管の内部の電子ビームは、磁界又は電界によって偏向されて、焦点を小距離移動させる。X線管ビームの焦点が、グループ速度に等しいが反対の移動方向を有する速度を有するとき、X線源及びX線フラットパネル検出器は、線源管が一瞬、等しく静止したままであるように、外部露出制御ユニットを介して作動される。3D走査は、はるかに短い時間ではるかに広い掃引角度をカバーすることができ、画像分析もリアルタイムで行うことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁界を使用して管電子ビームを偏向することによる複数のパルス作動X線源を有する高速3D X線撮影システムであって、
所定の形状を有する弧状レール上で自由に移動する一次モータステージと、
前記一次モータステージと係合し、前記一次モータステージの速度を制御する一次モータと、
各々が前記一次モータステージに取り付けられた複数のX線源と、
前記一次モータステージのためのハウジングを提供する支持フレーム構造と、
X線を受容し、X線イメージングデータを伝送するためのX線フラットパネル検出器と、を備える、システム。
【請求項2】
X線源の各X線管上に電気偏向プレートの対を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
X線源のX線管の各々上に1つの磁気偏向コイルのヨーク、又は磁気偏向コイルの対のヨークを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記X線源のうちの1つ以上が、所定のスキームを使用して作動される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記一次モータステージの初期空間位置が、ソフトウェアによって調整可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
各分析及び累積された分析の結果が、次のX線源及び露出の条件を決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
X線源の露出時間が、ソフトウェアによって調整可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記被写体が、静止している、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
各X線源が、X線管焦点を含み、前記X線管焦点が、偏向電界又は偏向磁界によって、X線管標的上の静止位置の周りで小距離移動する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
各X線源が、X線管焦点を含み、個々のX線源上の前記X線管焦点が、グループX線源速度に等しいが反対の移動方向の速度を有するときに、前記個々のX線源が、外部露出制御ユニットを介してトリガされ、前記X線源が、前記X線パルストリガ露出持続時間中に相対的に静止したままである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
電磁界を使用して管電子ビームを偏向することによる複数のパルス作動X線源を用いる高速3D X線撮影の方法であって、
一次モータによって駆動される一次モータステージを所定の初期の場所に位置付けることと、
前記一次モータによって前記一次モータステージを所定の一定速度で掃引することと、
プレートに電圧を印加することによって、又は磁気コイルに電流を印加することによって、所定のシーケンスでX線管電子ビームを偏向することと、
X線管焦点が前記一次モータステージの方向と反対方向に、かつ前記一次モータステージの選択された速度で移動するときに、X線源及びX線フラットパネル検出器を電気的に作動させることと、
前記X線フラットパネル検出器から画像データを取得することと、を含む、方法。
【請求項12】
X線源の各X線管上に電気偏向プレートの対を提供することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
X線源のX線管の各々上に、1つの偏向磁気コイルのヨーク、又は偏向磁気コイルの対のヨークを提供することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
時間成分を3D空間イメージングデータに追加することによって、4Dイメージングが実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
関心領域に基づいて、掃引角度を変更することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
X線イメージングデータをリアルタイムで取得及び再構成して、次のX線源及び露出の条件を決定する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
掃引中に被写体密度に基づいて、X線源電圧入力を変更することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記X線フラットパネル検出器が、X線源の場所に基づいて位置を調整するためのリニアステージに結合されている、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
各X線源が、X線管焦点を含み、前記X線管焦点が、偏向電界又は偏向磁界によって、X線管標的上の静止位置の周りで小距離移動する、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
各X線源が、X線管焦点を含み、個々のX線源上の前記X線管焦点が、グループX線源速度に等しいが反対の移動方向の速度を有するときに、前記個々のX線源が、外部露出制御ユニットを介してトリガされ、前記X線源が、前記X線パルストリガ露出持続時間中に相対的に静止したままである、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2021年4月30日に出願された仮出願第63182426号、2021年7月28日に出願された仮出願第63226508号、2021年4月2日に出願された仮出願第63170288号、2021年4月16日に出願された仮出願第63175952号、2021年5月27日に出願された仮出願第63194071号、2021年5月14日に出願された仮出願第63188919号、2021年7月23日に出願された仮出願第63225194号、2021年6月11日に出願された仮出願第63209498号、2021年6月25日に出願された仮出願第63214913号、2021年7月12日に出願された仮出願第63220924号、2021年7月16日に出願された仮出願第63222847号、2021年7月22日に出願された仮出願第63224521号、及び2021年1月24日に出願された米国出願第17149133号(当該出願は、2020年1月29日に出願された仮出願第62967325号の優先権を主張する)の優先権を主張し、これらの内容は、参照により組み込まれる。
【0002】
この特許明細書は、3D X線撮影システム及び方法の分野におけるものであり、特に、パルス作動X線源及びX線デジタルフラットパネル検出器を使用することに対するものである。
【背景技術】
【0003】
デジタルトモシンセシス(DTS)は、従来のX線撮影と同程度の放射線量レベルで高分解能の限定角度トモグラフィを実行する。
【0004】
トモシンセシスが実行されるときに、X線源は、走査される被写体の周りで円弧状に移動する必要がある。X線源が被写体の周りで移動する間、一連のX線画像が、異なる角度で取得される。
【0005】
収集されたデータセットは、平行な平面の再構成を可能にする。各平面は、合焦しており、平面外の組織画像であるものは、ぼけている。通常、掃引角度をより広くすれば、より多くのデータ投影を生成し、より良好な3D分解能をもたらすであろうが、それにはより長い時間がかかる。加えて、データ処理は、種々の再構成アルゴリズムが使用され得るため、製造元固有である。
【0006】
X線マンモグラフィ、COVID用のX線3D胸部診断システム、X線3D非破壊検査(NDT)システム、及びX線3Dセキュリティ検査システムなどのX線3D撮影用途に、これらの種類のデジタルトモシンセシスシステム及び方法を応用することができる。
【0007】
X線3D撮影を実行するために単一のX線源及び単一のフラットパネルを用いる先行技術がある。しかしながら、従来技術の中には欠点がある。
【0008】
主な欠点は、単一のX線源が良好なデータ投影を取得するのに非常に長い時間がかかることである。そのことは、連続モード及びステップアンドシュートモードの両方に当てはまる。連続モードでは、X線源は、X線源が移動している間、X線を放射し、ステップアンドシュートモードでは、X線源は、ある場所に移動し、停止し、X線を放出し、次の場所に移動し続ける。
【0009】
全ての患者がX線イメージングを可能な限り高速で行うことができればと望んでいるが、最小のX線源移動掃引角度の要件がある。掃引角度が小さすぎる結果、X線源があまり移動できず、かつ必要な合計時間が短くなる場合には、システムのデータ投影数は少なくなることとなる。データ投影の数が少なくなると、深度分解能の低下と詳細な認識の喪失とをもたらす。一方、より良好な3D分解能の良好なデータ投影のために掃引角度を十分に大きくする必要がある場合には、単一のX線源が機械的に長く移動しすぎて、患者が不快に感じることとなり、もはや乳房が動かないように静止していることができなくなる。いくつかの場合では、50度の掃引であれば、約30秒もの時間がかかる。
【0010】
2つ目の欠点は、万事が低速であるため、リアルタイムの再構成が困難であることである。通常、先行技術は、掃引を終えるのに何十秒かかかる。
【0011】
本発明では、電界又は磁界のいずれかを使用してX線管電子ビームを偏向することによる、複数のパルス作動X線源を用いる高速3D X線撮影が提案されている。高速3D X線撮影は、動き制御、複数のパルス作動X線源、及び偏向電界又は磁界を利用する。
【0012】
磁界によって電子ビームを偏向する機構は、陰極線管で磁気偏向ヨークを使用することと同様である。しかしながら、本発明は、電子ビームを水平に一方向にのみ偏向するようになっている。
【0013】
電子ビームを偏向する別の方法は、電子銃構造の後にX線管の内側又は外側に一対の電極を置設することである。静電偏向は、高周波では、偏向磁気ヨークの大きなインダクタンスを駆動するよりも一般的である。
【0014】
静電偏向と比較して、磁気偏向は、X線管での障害物が少なく、より大きな直径の電子ビームを可能にする。
【発明の概要】
【0015】
第1の態様では、所定の形状を有する弧状レール上で自由に移動する一次モータステージと、当該一次モータステージと係合し、一次モータステージの速度を制御する一次モータと、各々が一次モータステージ上で移動される複数のX線源と、一次モータステージのためのハウジングを提供する支持フレーム構造と、X線イメージングデータを受信するためのフラットパネル検出器と、X線管電子ビームにおける、電界を生成するための偏向プレート、又は磁界を生成するための磁気コイルヨークと、を有する、運動している複数のパルス作動X線源を使用して高速3D X線撮影を提供するためのシステム。
【0016】
第2の態様では、運動している複数のパルス作動X線源を使用する高速3D X線撮影の方法は、一次モータステージを所定の初期の場所に位置付けることと、当該一次モータによって所定の一定速度で一次モータステージを掃引することと、プレートに電圧を印加することによって、又は磁気コイルに電流を印加することによって、所定のシーケンスでX線管電子ビームを偏向することと、X線管焦点が一次モータステージの方向と反対方向に、かつ一次モータステージの選択された速度で移動するときに、X線源及びX線フラットパネル検出器を電気的に作動させることと、フラットパネルを用いてX線源から画像データを取得することと、を含む。
【0017】
別の態様では、運動している複数のパルス作動X線源を使用して、超高速、高効率の3D X線撮影を実行するX線イメージングシステムが提示されている。このシステムでは、複数のパルス作動X線源が、線源のアレイを形成するように運動している構造上に取り付けられている。複数のX線源は、一定のグループ速度で、あらかじめ定められたトラック上で被写体の周りで同時に移動する。各X線源におけるX線管焦点は、偏向電界又は偏向磁界によって、小距離のX線源焦点の静止位置の周りで迅速に移動することもできる。個々のX線源上のX線管焦点が、グループ速度に等しいが反対の移動方向の速度を有するとき、個々のX線源は、外部露出制御ユニットを介してトリガされる。この配置は、X線パルストリガ露出持続時間中、X線源が相対停止することを可能にする。複数のX線源は、個々のX線源についての線源移動距離の大幅な短縮をもたらす。X線受容器は、X線フラットパネル検出器である。3D X線撮影画像投影データを、はるかに短い期間で全体的にはるかに広い掃引で取得することができ、走査が進行する間、画像分析をリアルタイムで行うこともできる。
【0018】
別の態様では、運動している複数のパルス作動X線源を使用して高効率かつ超高速の3D X線撮影を実行するX線イメージングシステムは、線源のアレイを形成するように運動している構造上に取り付けられた複数のパルス作動X線源を含む。複数のX線源は、グループとして一定速度で、あらかじめ定められた弧状トラック上で被写体に対して同時に移動する。個々の各X線源における焦点は、小距離にある焦点の静止位置の周りで迅速に移動することもできる。個々のX線源のX線管焦点が、グループ速度に等しいが反対の移動方向である速度を有するとき、個々のX線源及びX線検出器は、外部露出制御ユニットを介して作動される。この配置は、X線源が、X線源作動及びX線検出器露出中に相対的に静止したままであることを可能にする。X線受容器は、X線フラットパネル検出器である。運動している多X線源の動作は、個々のX線源についての線源管移動距離の大幅な短縮をもたらす。3D X線撮影画像データを、はるかに短い時間で全体的にはるかに広い掃引角度で取得することができ、走査が進行する間、画像分析をリアルタイムで行うこともできる。
【0019】
実装態様では、X線を、ランダム射出スキームを使用してアレイ中の任意の線源のうちの1つからランダムに作動させることもできる。各分析及び累積された分析の結果は、次のX線源及び露出の条件を決定する。3D X線撮影画像は、X線露出源の角度付き幾何学配置を有する各画像に基づいて再構成される。より広範な用途としては、3Dマンモグラフィ若しくはトモシンセシス、COVID用の胸部3D X線撮影、又は3D NDT、高速3D X線セキュリティ検査が挙げられる。
【0020】
上記システムの利点としては、以下のうちの1つ以上が挙げられ得る。運動している複数のX線源の様々な実施形態は、新規な超高速3D X線撮影システムで使用される。
【0021】
第1の利点は、システム全体が数倍高速であることである。各X線源は、弧状軌道で全距離のほんの一部を機械的に移動するだけでよい。それにより、X線診断機で患者に必要とされるデータ取得時間が大幅に短縮される。
【0022】
第2の利点は、走査が進行する際に画像分析をリアルタイムで行うこともできることである。撮影された画像に対する判断は、次の撮影に対するX線源焦点位置に影響を与えることとなる。階層化された画像再構成を行うために、画像全体の取得が終了するまで待つ必要はない。
【0023】
第3の利点は、動きアーチファクトの低減に起因して、高分解能かつ高コントラストの画像の取得が可能であることである。各X線源は、X線源焦点の原点の周りでX線源焦点を移動させることができる、X線源の電界又は磁界を有する。焦点移動速度及びトラック速度の合成は、個々のX線源が作動される瞬間におけるX線源の相対的な静止位置をもたらす。
【0024】
第4の利点は、システムがはるかに広範囲の掃引を進行させて、より高速でありながらより多くのデータ投影を取得することができることである。より多くのデータ投影は、誤診率の低減をもたらす、より良好な画像構成を意味する。
【0025】
第5の利点は、より広い角度及びより高速のイメージング取得であるがために、時間成分を3D空間イメージングに追加して4Dイメージングデータセットを形成することが可能であることである。
【0026】
本発明は、好ましい実施形態の観点で記載されており、明示的に述べられたもの以外の、均等物、代替物、及び修正が可能であり、かつ添付の特許請求の範囲の範囲内であると認識される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】偏向電界を使用する、運動している複数のX線源管を有する超高速3DデジタルX線撮影システムを例示する。
【0028】
【
図2】偏向磁界を使用する運動しているX線源管を有する超高速3DデジタルX線撮影システムの一部を例示する。
【0029】
【
図3】各X線源が総距離の5分の1のみ移動することによって25セットの投影データを撮る、5つのX線源を有するシステムを例示する。
【0030】
【
図4】電流がコイルを通って流れるときの、磁気コイルの対によるX線管内の電子ビームの例示的な偏向を例示する。
【0031】
【
図5】電圧差を介した電気プレートの対によるX線管内の電子ビームの例示的な偏向を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の考察は、本発明の一実施形態(及びその実施形態のいくつかの変形例)について詳細に記載したものである。しかしながら、この考察は、本発明をそれらの特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。当業者は、多数の他の実施形態も同様に認識するであろう。本発明の完全な範囲の定義については、添付の特許請求の範囲を参照されたい。
【0033】
それゆえ、例えば、図、概略図、図解などが、本発明を具現化するシステム及び方法を例示する概念図又はプロセスを表すことは、当業者によって理解されるであろう。図に示される様々な要素の機能は、専用ハードウェア、及び関連付けられたソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を通じて提供され得る。同様に、図に示される任意のスイッチは、概念的であるにすぎない。それらの機能は、プログラムロジックの動作を通して、専用ロジックを通して、プログラム制御と専用ロジックとの相互作用を通して、又は更には手動で実行され、この特定の技法は、本発明を実装するエンティティによって選択可能であってもよい。当業者は、本明細書に記載の例示的なハードウェア、ソフトウェア、プロセス、方法、及びオペレーティングシステムが例示の目的のためであり、それゆえ、任意の特定の名称の製造元に限定されることを意図されていないことを更に理解する。
【0034】
電界を使用して管電子ビームを偏向することによる、多パルス作動X線源を有する新規な超高速3Dデジタルイメージングシステムが、
図1に示されている。このシステムは、一次モータステージ4と係合した一次モータ3と、各々がX線源管ハウジング5内にある複数のX線管6と、各管6の各側にある偏向電気プレート7の対と、を備える。X線源管ハウジング5は、支持フレーム構造2上に取り付けられており、X線源管ハウジング5の全てが、一次モータステージ4上で一緒に移動する。
【0035】
電気偏向プレート7に電圧差を印加することによって、
図5に示されるように、電気偏向プレート7間に電界が作成されるようになる。電界の強度は、印加される電圧によって変化する。X線管の電子ビームの偏向は、
図4に示されるような偏向磁界を使用することによって達成され得る。一次モータ3は、一次モータステージ4と機械的に係合して、一次モータステージ4の速度を制御する。X線源は、一次モータステージ4と同じ速度で円弧状に移動し、一次モータ3は、一次モータステージ4の一方側にある。支持フレーム構造2は、一次モータステージ4及びX線源のためのハウジングを提供する。フラットパネル検出器1は、X線イメージングデータを受信する。偏向プレート7の対又は磁気コイル8の対のヨークは、X線管電子ビーム9において電界又は磁界を生成する。
【0036】
複数のパルス作動X線源又はX線管6は、線源のアレイを形成するように、一次モータステージ4上に取り付けられている。複数のX線源は、グループとして一定速度で、あらかじめ定められた弧状トラック上で被写体に対して同時に移動する。個々の各X線管の内部の電子ビーム9は、磁界又は電界によって偏向されて、焦点を小距離移動させることができる。X線管ビームの焦点が、グループ速度に等しいが反対の移動方向を有する速度を有するとき、X線管6及びX線フラットパネル検出器1は、線源管が一瞬、等しく静止するように、外部露出制御ユニットを介して作動される。複数の線源又はX線管6が平行に動作している場合、システムは、単一管システムが移動しなければならない距離のほんの一部しか移動しない。その結果、3D走査は、はるかに短い時間ではるかに広い掃引角度をカバーすることができ、画像分析をリアルタイムで行うこともできる。
【0037】
運動している構造に動力を供給するために、一次モータ3は、ギアによって一次モータステージ4と係合する。一次モータ3は、所定の一定速度で剛性レールに沿って一次モータステージ4を移動させることができる。X線管6における偏向電気プレート7の対に電圧を印加することによって、X線管電子がX線管標的11に到達する前に、電子を偏向することができる。電圧を微調節することによって、電子焦点は、一次モーションステージ4の方向に沿って移動することができる。焦点速度が一次モーションステージ4に等しく、かつ反対方向を有するときに、X線管6及びX線フラットパネル検出器1がトリガされる。このトリガ時に、X線管6及びX線検出器1は、実際には、相対的な静止位置を有する。
【0038】
X線源を有する一次モーションステージ4は、所定の形状を有する弧状レール上で移動され、X線源は、当該一次モータ3によって一定速度で、当該一次モーションステージ4上で移動される。複数のX線源は、線源のアレイの形態で当該一次モーションステージ4に取り付けられている。複数のX線源は、グループとして一定の速度で、あらかじめ定められたトラック上で被写体の周りで同時に移動する。X線源の焦点は、小距離の焦点の静止位置の周りで迅速に移動することもできる。個々のX線源上のX線管焦点が、グループ速度に等しいが反対の移動方向の速度を有するとき、それぞれのX線源は、外部露出制御ユニットを介してトリガされる。この配置は、X線パルストリガ露出持続時間中、X線源が相対的に静止したままであることを可能にする。複数のX線源は、個々のX線源についての線源移動距離の大幅な短縮をもたらす。フラットパネル検出器1が、X線イメージングデータを受信するように支持フレーム構造上に置設されている。偏向プレート7の対又は磁気コイル8のヨークは、X線管電子ビーム9において電界又は磁気コイルを生成するように位置付けられている。
【0039】
アレイ中の複数のX線管6は、一次モータステージ4によって所定の弧状トラックで機械的に移動されるようになっている。複数のX線管のセットを、ラック及びピニオン型の機械構造を介して一次モータステージ4に接続するか、又は互いの間に固定された距離を有する複数のベース上に固定することができる。X線管焦点は、電界又は磁界によって一方向及び反対方向に偏向される。弧状トラック上で移動している間、個々のX線管は、偏向電界又は磁界によってX線管の静止位置の周りで迅速に移動することとなる。線源のうちの1つからのX線源を、制御ユニットを介してランダムに作動させることができ、この場合に、走査が進行する間、3D X線撮影画像データ取得及び画像分析をリアルタイムで行うことができる。運動している複数のパルス作動X線源をトリガするための好ましい方法は、一次モータステージ4を所定の初期の場所に位置付けることと、当該一次モータ3によって所定の一定速度で一次モータステージを掃引することと、プレートに電圧を印加することによって、又は磁気コイルに電流を印加することによって、所定のシーケンスでX線管電子ビーム9を偏向することと、X線管焦点が一次モータステージ4の方向と反対方向に、かつ一次モータステージ4の選択された速度で移動するときに、X線源及びX線フラットパネル検出器1を電気的に作動させることと、X線フラットパネル検出器1から画像データを取得することと、を含む。
【0040】
X線源管ハウジング5は、X線源取り付けプレートに平行な軸上に枢動可能に取り付けられており、X線源管ハウジングをX線源取り付けプレートに平行な軸の周りに回転させる回転駆動機構に結合されている。本出願では、回転角度は、角度「β」によって指定される。回転角度の量は、特定の要件に基づいてユーザによって設定され得る。例示的な実施形態では、回転角度は、約12.5度である。単一の回転ドライバが、X線源管ハウジング5を、X線源管ハウジング5を回転させるためのギア付きモータに結合する。回転駆動機構は、2つのプーリ対を備え、各プーリ対は、X線源管ハウジング5の各端部に取り付けられており、駆動ギアによって結合されている。プーリ対は、回転ドライバがソフトウェアによって作動されると、ギアを駆動し、X線源管ハウジング5を回転させる。X線管ハウジング5の好ましい速度範囲は、約20mm/秒~約50mm/秒である。
【0041】
偏向電気プレート7の対は、X線源及びX線フラットパネル検出器1の弧に配設されている。偏向電気プレート7は、X線源及びフラットパネル検出器1が並んでいない位置に調整される。弧状形状があらかじめ定められ、かつX線源が、トリガ源から生成されたトリガ信号を介してX線源から出力されるX線の持続時間を制御するX線露出制御ユニットと連携して一次モータ3の速度を制御する速度制御ユニットに従って、X線源の焦点の周りの円運動で機械的に移動される場合、X線源は、検出器上で3D空間の曲線をトレースするようになる。同時に、X線源はまた、3D空間である程度回転して検出器上で対応する曲線をトレースするようになる。X線源が通過する各場所における標的被写体構造の知識を用いて、画像データを再構成することができる。標的被写体の幾何学的形状の知識は、あらかじめ測定された目印及び画像処理ツールを用いて計算して、患者内の体内構造の正確な幾何学的モデリングを生じさせることができる。一実施形態は、処置中の患者の動きを検出し、かつリアルタイムで患者の動きを補正するための、二次元のカメラ又は3Dカメラのセットを含む。
【0042】
支持フレーム構造2が、X線源移動機構のためのハウジングを提供する。単一軸モーションステージの一部であり得る弧状レールが、円形トラックに沿って一方向に移動するように提供されている。電子コントローラ(図示せず)が、弧状レールの速度を正確に制御することを可能にする。複数のパルス作動X線源が、弧状レールの周辺の周りにアレイ状に、移動機構上に取り付けられている。X線源には、任意の好適なタイプのX線管が使用され得る。弧状レール及び弧状レールの関連構造を、支持フレーム構造2上で高速かつ最小限の摩擦でスムーズに移動させることができる。各X線源は、X線源が掃引中に患者に対する所定位置に来ると、トリガされる。各X線源は、X線源がトリガされるまで、X線源の焦点が患者のいかなる部分にも照射されないように位置付けられなければならない。
【0043】
一実施形態では、システムは、運動している多パルス作動X線源を使用して、超高速、高効率の3D X線撮影を実行する。このシステムでは、複数のパルス作動X線源が、線源のアレイを形成するように運動している構造上に取り付けられている。複数のX線源は、一定のグループ速度で、あらかじめ定められたトラック上で被写体の周りで同時に移動する。各X線源におけるX線管焦点は、偏向電界又は偏向磁界によって、X線管焦点の小距離の静止位置の周りで迅速に移動することもできる。個々のX線源上のX線管焦点が、グループ速度に等しいが反対の移動方向の速度を有するとき、それぞれのX線源は、外部露出制御ユニットを介してトリガされる。この配置は、X線パルストリガ露出持続時間中、X線源が相対的に静止したままであることを可能にする。複数のX線源は、個々のX線源についての線源移動距離の大幅な短縮をもたらす。X線受容器は、X線フラットパネル検出器1である。結果として、3D X線撮影画像投影データを、はるかに短いで全体的にはるかに広範な掃引で取得することができ、走査が進行する間、画像分析をリアルタイムで行うこともできる。
【0044】
偏向磁界を使用して管電子ビーム9を偏向することによる多パルス作動X線源を有する超高速3Dデジタルイメージングシステムのより多くの詳細が、
図2に示されており、
図2は、複数のX線源のうちの1つを示し、複数のX線源の各々は、X線源管ハウジング5の内部のX線管6に置設されている磁気偏向コイル8の対を含む。磁気偏向コイル8に電流を印加することによって、磁気偏向コイル8の対の間に磁界が生成されるようになる。磁界の強度は、磁気コイルを通る電流に応じて変化する。
【0045】
動作中、一次モータ3は、ギアによって一次ステージ4と係合して、ハウジング5内のX線源を動かす。一次モータ3は、所定の一定速度で剛性レールに沿って一次ステージ4を移動させることができる。X線管6における磁気偏向コイル8の対に電流を印加することによって、電子がX線管標的に到達する前に、X線管電子ビーム9を磁界からの力によって偏向することができる。電流を微調整することによって、電子の焦点は、一次モータステージ4の方向に沿って移動することができる。X線管焦点の移動速度が一次モーションステージ4の速度に等しく、かつ反対方向を有するときに、X線管6及びX線検出器1がトリガされる。このトリガ時に、X線管6及びX線検出器1は、実際には、相対的な静止位置を有する。
【0046】
X線管6は、X線機の心臓部である。X線管6は、電線を介して外部高電圧電源に接続された高電圧端子を有する。X線管6は、X線管6内の真空容器内の電子銃列に沿った電流を生成する。
【0047】
磁気偏向コイル8の対を使用して、X線管6のビームを調整する。X線管6又はX線源は、点線源であり得るが、焦点サイズが小さいほうが望ましい。焦点サイズが小さくなれば、より良好な画像分解能を有する。所望のエネルギー範囲のX線ビームを生成するには、分光フィルタリングされたX線管が望ましい。管取り付けアセンブリが、X線管6と一次モータステージ4との間に電気的かつ機械的な接続を提供する。管取り付けアセンブリは、二次的又は三次的又はそれを超えるレベルの、電気的干渉からシールドするための金属を有する。前面カバー及び背面カバーは、それぞれ、周囲の放射線及び空気中の粒子に対するシールドを提供することができよう。
【0048】
内部にX線管6が取り付けられたX線源管ハウジング5は、一次モータステージ4上で移動可能である。X線源管ハウジング5は、所定の一定速度で弧状レール上で自由に移動する一次モータステージ4と、一次モータステージ4の速度を制御する一次モータ3と、一次モータステージ4と同じ速度で全て同時に移動される、(全てのうちの1つが)X線源管ハウジング5に収容された複数のX線源と、に取り付けられている。X線フラットパネル検出器1は、X線を受容し、イメージングデータを送信するようになっている。X線フラットパネル検出器1は、一次モータステージ4の回転中心の周りに取り付けられており、回転中心に置設された、検査中に被写体の一部分を透過したX線ビームを受容する。5つのX線源のアレイは、互いに等しい角度でX線源管ハウジング5に取り付けられており、これらのX線源は、一次モータステージ4とともに一定速度で移動する。一次モータステージ4のモーション軸に沿ってX線源管ハウジング5とフラットパネルX線検出器1との間に位置付けられたコリメータが、通過するX線ビームの水平成分を制限することができる。支持フレーム構造2は、一次モータステージ4と、偏向プレート7の対などの電界偏向デバイスと、のためのハウジングを提供する。
【0049】
一次モータ3は、一次モータステージ4を所定のトラック上で移動させるための駆動モーションを提供する。X線を順次放射するために、一次モータステージ4上に複数のX線源が取り付けられている。X線源は、アレイ構成で配置されており、各X線源は、一定速度及びグループとしての速度で、同じ経路に沿って一次モータステージ上で他のX線源と同時に移動する。フラットパネル検出器1は、通常、X線を受容し、イメージングデータを送信するために、支持フレーム構造2上に取り付けられている。電気偏向プレート7の対又は磁気偏向コイル8ヨークは、X線源焦点の位置を制御するために、X線管標的11の前方に位置する。運動している複数のパルス作動X線源を使用して、超高速、高効率の3D X線撮影を実行するX線イメージングシステムの技術的特徴:第1の技術的特徴は、一次モータステージ4が所定のトラック上で移動されることである。各X線源は、所定のトラック上で一次モータステージ4とともに移動され、X線源は、一定速度及びグループとしての速度で、同じ経路に沿って一次モータステージ4上で他のX線源と同時に移動する。
【0050】
一次モータステージ4は、所定の形状を有する弧状レール上で自由に移動されてもよい。一次モータステージ4と係合する一次モータ3は、一次モータステージ4の速度を制御する。ある特定の実装態様では、X線源は、一次モータステージ4に取り付けられ、一定のグループ速度であらかじめ定められたトラック上で被写体の周りで同時に移動し得る。各X線源におけるX線管焦点は、偏向電界又は偏向磁界によって、X線管焦点の小距離の静止位置の周りで迅速に移動することもできる。個々のX線源上のX線管焦点が、グループ速度に等しいが反対の移動方向の速度を有するとき、それぞれのX線源は、外部露出制御ユニットを介してトリガされる。この配置は、X線パルストリガ露出持続時間中、X線源が相対的に静止したままであることを可能にする。複数のX線源は、個々のX線源についての線源移動距離の大幅な短縮をもたらす。X線受容器は、X線フラットパネル検出器1である。結果として、3D X線撮影画像投影データを、はるかに短いで全体的にはるかに広範な掃引で取得することができ、走査が進行する間、画像分析をリアルタイムで行うこともできる。
【0051】
一次モーションステージ4は、フレームの固定ベース構造上に取り付けられており、所定の形状を有する弧状レール上で一次モーションステージ4が自由に移動できるように置設されている。一次モータ3が、一次モータステージ4を駆動する。一次モータ速度コントローラは、所望の移動時間と走査中のコンピュータシステムからの入力(又はプログラムされたタイミング)とに基づいて、一次モータステージの速度を制御する。電源が、一次モータの動作のために給電するために、一次モータに接続されている。一次モータステージ4は、ベース構造のレールに沿って一定速度でこの方向に掃引モーションで移動する駆動要素であり、一次モータ3によって制御される。一次モータステージ4の中心は、X線管及び高電圧発生器を支持するシリンダである。
【0052】
運動している複数のパルス作動X線源を、所定の形状を有する弧状レール上で自由に移動する一次モータステージ4とともに使用して高速3D X線撮影を提供するためのX線イメージングシステムのX線フラットパネル検出器1、当該一次モータステージ4と係合し、かつ一次モータステージ4の速度を制御する一次モータ3、各々が一次モータステージ4上で移動される複数のX線源、一次モータステージ4のためのハウジングを提供する支持フレーム構造2、X線イメージングデータを受容するためのフラットパネル検出器1、X線管電子ビーム9における、電界を生成するための偏向プレート7の対、又は磁界を生成するための磁気コイル8の対のヨーク。運動している複数のパルス作動X線源を使用する高速3D X線撮影の方法は、一次モータステージ4を所定の初期の場所に位置付けることと、当該一次モータ3によって所定の一定速度で一次モータステージを掃引することと、プレートに電圧を印加することによって、又は磁気コイル8に電流を印加することによって、所定のシーケンスでX線管電子ビーム9を偏向することと、X線管焦点が一次モータステージ4の方向と反対方向に、かつ一次モータステージ4の選択された速度で移動するときに、X線源及びフラットパネル検出器を電気的に作動させることと、フラットパネル検出器から画像データを取得することと、を含む。一実施形態では、運動している複数のパルス作動X線源を使用して超高速、高効率のD X線撮影を実行するX線イメージングシステムが提示されている。
【0053】
図3は、例示的な全X線露出位置を例示している。この例では、X線源管ハウジング5内に5つのX線管6があり、X線源管ハウジング5における5つのX線管6は、異なる角度位置で25回の合計X線露出を実行する。5つのX線管6の各々は、総被覆角度の5分の1移動するだけでよい。したがって、複数のX線管6が並行して動作し、単一のX線源のものと比較して、わずかな時間で大量の投影データを取得することができる。X線フラットパネル検出器1を、X線受容機として機能させる。電子信号は、常に、機械モーションの信号よりも高速に進行し、ボトルネックの律速要因は、常に、モータステージモーション自体である。次のボトルネックは、検出器の読み出し律速である。検出器は、多くのメガピクセルデータを読み出してからコンピュータに転送するのにもある程度の時間が必要であるためである。
【0054】
利用可能な広く普及している超高速コンピュータを考慮すると、画像取得とリアルタイムで画像分析を行うことができる。撮影された画像に対する判断は、次の撮影についてのX線管6の位置に影響を与えることとなる。画像再構成を行うために、画像全体の取得が終了するまで待つ必要はない。
図3は、5つのX線源を有するシステムが総距離の5分の1のみ移動することによって25セットの投影データを撮影することを例示している。X線管6は、線源のアレイを形成するための、複数のパルス作動X線源のグループであるか、又は線源のアレイを形成するための、運動している構造上に取り付けられたパルス作動X線源の複数のグループである。複数のX線源は、グループとして一定速度で、あらかじめ定められた弧状トラック上で被写体に対して同時に移動する。各X線源における焦点は、小距離にある焦点の静止位置の周りで迅速に移動することもできる。それぞれのX線源のX線管焦点が、グループ速度に等しいが反対の移動方向である速度を有するとき、X線源及びX線検出器は、外部露出制御ユニットを介して作動される。
【0055】
この配置は、X線源が、X線源作動及びX線検出器露出中に相対的に静止したままであることを可能にする。X線受容器は、X線フラットパネル検出器である。第1の利点は、システム全体が数倍高速であることである。各X線源は、弧状軌道で全距離のほんの一部を機械的に移動するだけでよいこととなる。それにより、X線診断機で患者に必要とされるデータ取得時間が大幅に短縮される。第2の利点は、走査が進行する際に画像分析をリアルタイムで行うこともできることである。撮影された画像に対する判断は、次の撮影についてのX線源焦点位置に影響を与えることとなる。
【0056】
X線源管ハウジング5は、高電圧発生器によって電力供給される一次X線管6を収容している。本特許では、1つの一次X線管線源のみが記載されているが、3D画像データセットの異なる部分を取得するために2つ以上の線源が同時に使用されてもよいことを理解されたい。一次X線管ハウジング5は、患者の周りで弧状トラック又は螺旋運動トラックの一部を形成する弧状レール上で任意の方向への移動を可能にするためのモータ制御システムを有する移動可能な構造(図示せず)上に取り付けられている。高電圧発生器は、一次X線管の裏側の入力コネクタに至る電源ケーブルを通って流れる高電圧電流を出力する。加えて、X線源は、静止位置の周りで焦点位置を制御するように、高電圧一次X線管及び個々のX線管焦点移動電圧の両方の出力電圧を調整することができる別個の電圧コントローラを有することができる。
【0057】
複数のX線管6は、アレイ状に配置されている。X線管6は、例示的な実施形態では、弧状レール上の一次モータによって被写体に対して移動される構造上に取り付けられている。X線管の構造を一定速度及びわずかな角度で移動させるシーケンスは、被写体の周りで同時に運動するX線管のアレイを生成するようにあらかじめ定められている。各時点で、X線管の移動の方向と、隣接するX線管間の距離と、隣接するX線管間の時間遅延と、を決定して、全てのX線管についての弧状軌道を形成することができる。ある特定のタイミングポイントでは、各X線管の焦点(電子ビーム)は、偏向プレートからの所定の電界又は磁界によって焦点の静止位置の周りで移動される。高電圧供給は、
図5に例示されるように、X線管の焦点を焦点の静止位置から所定の幾何学的形状を形成する新しい場所に所定の距離だけ偏向する偏向プレートの対において偏向電界を生成することができる。
【0058】
X線フラットパネル検出器1が、X線イメージングシステムの検出器として使用される。X線フラットパネル検出器1は、正方形又は長方形の形状を形成するための二次元に配置された複数の個々の検出器パネルを備え、X線に感度を有し得る。X線フラットパネル検出器1は、高速読み出し能力を有する超高速、高効率のアクティブピクセルセンサフラットパネル検出器1である。X線フラットパネル検出器1は、25fpsよりも高いフレームレートで画像を提供することができる。X線フラットパネル検出器1は、パネルドライバを介してアドレスユニットによって読み出しのために個別にアドレス指定され得る各検出器パネルを含む。X線管6は、X線コントローラからの偏向電界又は偏向磁界によって移動されるX線管焦点を有するX線装機の内部に位置する。X線コントローラは、トリガ信号をX線電源にバイパスして、X線管6の作動をトリガする。
【0059】
磁気偏向コイル8の対が、
図4におけるX線管の近くに位置付けられている。X線源は、それぞれ、コイルによって生成された磁界によって移動することができる焦点を有する。
【0060】
図4は、電流がコイルを通って流れるときに、X線管内の電子ビームの例示的な偏向を磁気コイル8によって偏向することができることを例示している。X線管6は、支持フレーム上に固定され得るか、又はX線焦点位置付けを可能にするために電気的に作動される機構を有し得る。後者の場合、X線管は、一次モータステージ4とともに移動することができ、一次モータは、回転子軸を回転させるように係合され、こうして、一次モータステージ4の速度を制御する。一方、偏向プレートは、X線源から等距離にある台に取り付けられている。プレートは、電界又は磁界を生成することができる電圧/電流駆動システムの一部である。プレートは、デジタルインターフェースを介して露出制御ユニットからコマンドを受信する制御基板によって駆動される。露出制御ユニットからの電圧は、コンバータを通過して磁気コイルの電気コイルを励磁し、X線管を取り囲む磁界を生成する。露出制御ユニットは、磁気コイルドライバを介して磁気コイルを制御する。走査シーケンスを開始した後、制御基板は、露出制御ユニットによって生成されたデジタル信号を用いて、信号ケーブルを介して個々のパルス作動X線源をトリガする。トリガコマンドを受信すると、それぞれのパルス作動X線源は、電力出力を増加させるためのランプアップ動作を始める。
【0061】
一実施形態では、X線管内のX線源は、動作の始めに静止しているが、X線受容器(フラットパネル検出器)を露出する時には、X線源は、選択された速度で射出されながら、一次モータステージ4から反対方向に移動する。別の実施形態では、ランダムな射出スキームを使用して、システムの外部から、又はシステムの内部からのいずれかでトリガすることによって、X線源をランダムにオンすることができる。各分析及び累積された分析の結果は、次のX線源及び露出の条件を決定する。3D X線撮影画像は、X線露出源の角度付き幾何学配置を有する各画像に基づいて再構成される。より広範な用途としては、3Dマンモグラフィ若しくはトモシンセシス、COVID用の胸部3D X線撮影、又は3D NDT、高速3D X線セキュリティ検査が挙げられる。
【0062】
X線管電子ビーム9及びフラットパネル検出器1は、互いに平行な配置で位置付けられている。X線管焦点は、X線管焦点の設計に応じて、磁気コイルヨークによって生成される磁界又は偏向プレートによって生成される電界に起因して、X線管アノード上の小距離にある静止位置の周りで移動する。X線管焦点の原点の周りのX線管焦点の移動の各事例において、関心領域上に投影されるX線ビームは、特定の期間における切り替えに起因して迅速に変化するX線管電流強度によって決定される。X線イメージングシステムはまた、ランダム射出スイッチモジュール(FFW)を有する制御ユニットと、X線源を動作させるための露出制御ユニット(ECU)と、を含む。ランダム射出スイッチモジュールは、全てのX線源に接続されている。ランダム射出スイッチモジュールは、外部で生成されたトリガ信号を用いて、X線源のうちの1つを一度にランダムに射出する。それゆえ、各X線源の作動及び画像取得は、同時に行われる。X線源のうちの1つが作動されると、フラットパネル検出器に接続された関連付けられた電子ユニット(合計でのユニット)は、X線イメージングデータの取得がX線源の作動と同時に始まるように、フラットパネル検出器に印加された電子トリガ信号を制御することとなる。
【0063】
図5は、電圧差を介した電気プレート対によるX線管の偏向における例示的な電子ビームを例示している。X線管6は、初期位置で有限のサイズの焦点を有し、焦点は、電界又は磁界がX線管焦点を後続の位置に偏向した後に変化する。複数のX線源は、所定のトラック上で、一次モータステージと同じ速度であるが一次モータステージの速度とは反対側に移動する。X線源はまた、第1のX線源及び第2のX線源に対して、互いに対して選択された角度で位置付けられている。この例では、4つのパルス作動X線源が、グループとして一定速度で被写体に対して同時に移動し、これらのパルス作動X線源が被写体中を掃引する際に、互いに順次移動する。対応する検出器は、パルス作動X線源の移動方向に平行である一次モータステージ4の反対側に取り付けられている。
【0064】
電気偏向プレート7は、X線管カソードと標的との間に位置する。概略図に示されるように、電気偏向プレート7に、追跡軸に沿ったX線源に対する焦点の移動を制御するための電圧パルスが印加される。電気偏向プレート7に、トラック軸に垂直な方向に沿った焦点の移動を制御するための他の電圧パルスが印加され、このことが、トラック軸上の他の移動と同期する、トラック軸に沿った焦点の前後移動をもたらす。磁気コイルは、X線管カソードと標的との間に取り付けられており、焦点の移動を制御するためにも使用される。電界又は磁界の種々の組み合わせを偏向デバイスに同時に適用することによって、X線管電子ビーム9は、一次モータステージ4の移動方向に沿って偏向される。
【0065】
X線管電子ビーム9は、外部偏向電界(プレート)又は外部偏向磁界(コイル)によって、X線管静止軸の周りでX線管電子ビーム9の焦点を移動させる。一次モータステージ4が所定の掃引速度で円形経路で掃引して被写体を走査するにつれて、焦点は、絶えず移動する。この方法は、複数のX線源と並行して行われる。
【0066】
X線管カソード10は、電子ビーム9を生成し、電子ビーム9がX線管標的11に当たった後にX線が放射され、被写体に向かって移動するX線は、一次X線と称される。偏向コイルは、偏向コイルに電流を通すことによって、電子ビーム9を管標的11に向けて偏向するように、X線管カソード10の間に位置し得る。カソードに接続された高電圧発生器(高電圧パルスを提供する構造)は、電気パルスを生成し、電子ビーム9が標的に当たる前に電子ビーム9を偏向するために電気パルスを偏向コイルに送信する。
【0067】
X線管6は、電子銃、加熱カソード10、X線管標的11、又は一端部から電子ビーム9を生成する他の材料を含むことができる。X線管標的11は、X線管6の別の端部に取り付けられている。電気絶縁体及び材料は、ハウジングに取り付けられており、標的と導電性である。電気絶縁体は、多くの異なる材料で作製され得る。電気絶縁体の例としては、テフロン及び/又はガラス若しくはマイカなどの他の誘電体材料が挙げられ得る。ハウジングは、多くの異なる材料で作製され得る。ハウジングの例としては、ステンレス鋼、アルミニウム、プラスチック、セラミック、それらの組み合わせ、又はX線の透過に干渉することがない任意の他の材料が挙げられる。電気絶縁体及び材料は、同じ又は異なる組成を有することができ、標的とハウジングとの間に単一又は複数の層で構成され得る。
【0068】
一次モータステージ4は、一次モータステージ4のためのハウジングを提供する支持フレーム構造2上に取り付けられている。X線束を受容するためのX線フラットパネル検出器1は、複数のX線源からX線画像投影データを生成するように位置付けられている。X線源は、所定の形状を有する弧状レール上で自由に移動する一次モータステージ4上に配置されている。露出制御ユニットは、X線管電子ビーム9を偏向するために各X線源に印加される電界を制御する。X線源は、グループとして一定速度で、あらかじめ定められたトラック上で被写体に対して同時に移動する。各X線源焦点は、偏向電界又は偏向磁界によって、小距離にあるX線源焦点の静止位置の周りで迅速に移動することもできる。個々のX線源上のX線管焦点が、グループ速度に等しいが反対の移動方向の速度を有するとき、それぞれのX線源は、外部露出制御ユニットを介してトリガされる。複数のパルス作動X線源は、個々のX線源についての線源移動距離の大幅な短縮をもたらす。
【0069】
一次モータステージ4は、あらかじめ定められた初期の場所に位置付けられており、当該一次モータによって一定速度で弧状トラック上で掃引する。1つ以上のX線源各々が一次モータステージ4上で移動される。あらかじめ定められた初期の場所は、X線走査のためにX線イメージング機上に被写体をどのように位置付けたいかに応じて、様々な初期の場所のいずれかに設定され得る。様々な例示的な場所は、胸部X線走査(腹部/背部)、胸部CT走査などである。
【0070】
本発明の様々な修正及び変更が、添付の特許請求の範囲によって規定された本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者には明らかになるであろう。以下の任意の方法の請求項に列挙されたステップは、必ずしもそれらが列挙された順序で実行される必要はないことに留意されたい。当業者は、ステップを実行する際に、列挙されたものとは異なる、順序の変形を認識するであろう。加えて、特徴、ステップ、又は構成要素の言及又は説明の欠如は、存在しない特徴、又は構成要素が但し書き若しくは同様の請求項の文言によって除外される、請求項の基礎を提供する。
【0071】
本発明の様々な実施形態が上に記載されたが、それらは限定ではなく、例としてのみ提示されてきたことを理解されたい。様々な図は、本発明のための例示的なアーキテクチャ又は他の構成を描くことができ、このことは、本発明に含まれ得る特徴及び機能性を理解するために行われる。本発明は、例示される例示的なアーキテクチャ又は構成に限定されず、所望の特徴が、様々な代替的なアーキテクチャ及び構成を使用して実装されてもよい。実際、代替的な機能的、論理的、又は物理的な分割及び構成が、本発明の所望の特徴を実装するためにどのように実装され得るかは、当業者には明らかであろう。また、本明細書に表されるもの以外の多くの異なる構成モジュール名が、様々な分割に適用されてもよい。追加的に、フロー図、動作説明、及び方法の請求項に関して、本明細書でステップが提示される順序は、文脈が別段の指示をしない限り、列挙された機能性を同じ順序で実行するための様々な実施形態が実装されることを義務付けないものとする。
【0072】
本発明は、様々な例示的な実施形態及び実装態様の観点で上述されているが、個々の実施形態のうちの1つ以上に記載の様々な特徴、態様、及び機能性は、それらが記載されている特定の実施形態への適用に限定されず、代わりに、そのような実施形態が記載されているかどうか、及び記載された実施形態の一部としてそのような特徴が提示されているかどうかにかかわらず、単独で又は様々な組み合わせで、本発明の他の実施形態のうちの1つ以上に適用され得ることを理解されたい。したがって、本実施形態の広さ及び範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【0073】
この文書において使用される用語及び語句、並びにその変化形は、別途明示的に記載されない限り、限定的であるのとは反対に、オープンエンドであると解釈されるべきである。先述の例として、「含む」という用語は、「含むが、これに限定されない」などの意味として解釈されるべきであり、「例」という用語は、その網羅的又は限定的なリストではなく、説明中の項目の例示的な事例を提供するために使用されるべきであり、「a」又は「an」という用語は、「少なくとも1つ」、「1つ以上」などを意味するものとして解釈されるべきであり、「従来の」、「伝統的な」、「通常の」、「標準の」、「知られている」などの形容詞及び同様の意味の用語は、所与の期間に又は所与の時点で利用可能な項目に記載された項目を限定するものと解釈されるべきではない。代わりに、それらは、現在又は将来の任意の時点で利用可能であり得るか、又は知られ得る、従来の、伝統的な、通例の、又は標準的な技術を包含するように読まれるべきである。これゆえ、この文書が、当業者に明らかであるか、又は知られている技術に言及する場合、そのような技術は、現在又は将来の任意の時点で当業者に明らかであるか、又は知られている技術を包含する。
【0074】
接続詞「及び」と関連付けられた項目のグループは、それらの項目の全てがグループ内に存在することを必要とするものとして読み取られるべきではなく、特に明示的に記述されていない限り、「及び/又は」として読み取られるべきである。同様に、接続詞「又は」と関連付けられた項目のグループは、そのグループ間の相互排他性を必要とするものとして読み取られるべきではなく、また、特に明示的に記述されていない限り、「及び/又は」として読み取られるべきである。更に、本発明の項目、要素、又は構成要素は、単数形で記載又は特許請求され得るが、単数形への限定が明示的に記載されない限り、複数形は、その範囲内であることが企図されている。
【0075】
いくつかの事例では、「1つ以上」、「少なくとも」、「であるがこれらに限定されない」などの拡大語及び語句、又は語句などの他のもの存在は、そのような意義の拡大語句が存在しないことがある場合に、より狭い場合が意図されるか、又は必要とされることを意味すると解釈されないものとする。「モジュール」という用語の使用は、モジュールの一部として記載又は特許請求される構成要素又は機能性が全て共通のパッケージ内に構成されていることを含意しない。実際、制御ロジック又は他の構成要素にかかわらず、モジュールの様々な構成要素のいずれか又は全ては、単一のパッケージに組み合わされてもよいし、別個に維持されてもよく、複数の場所にわたって更に分散されてもよい。
【0076】
追加的に、本明細書に詳述される様々な実施形態は、例示的なブロック図、フローチャート、及び他の説明図に記載されている。この文書を読んだ後に当業者に明らかになるであろうように、例示される実施形態及びそれらの様々な代替形態は、例示される例に限定されることなく実装されてもよい。例えば、ブロック図とそれらに付随する説明とは、特定のアーキテクチャ又は構成を義務付けるものと解釈されるべきではない。
【0077】
開示される実施形態の先述の説明は、当業者が本発明を作成又は使用することを可能にする。これらの実施形態の様々な修正形態は、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で定義される一般原理は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用されてもよい。それゆえ、本開示は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理及び新規な特徴と整合する最も包括的な範囲を付与される。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態及び代替実施形態が示されたが、特定の変更を、上及び下に考察及び記載される本発明の基礎となる範囲から逸脱することなく、当業者であれば知られているように行うことができることを理解されたい。更に、上述した実施形態は、本発明の原理を例示することのみを意図されている。それらは、本発明の範囲を開示された要素に限定することを意図されていない。
【国際調査報告】