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特表2024-516782パワーモジュールおよびパワーモジュールを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】パワーモジュールおよびパワーモジュールを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560410
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 EP2022054848
(87)【国際公開番号】W WO2022207205
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】21166015.4
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トゥート,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】トゥルッセル,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】エルバー,ローマン
(72)【発明者】
【氏名】バイヤー,ハラルト
(57)【要約】
いくつかの接点部分(6、6’、7、7’、37)を備え、接点部分(6、6’、7、7’、37)のうちの1つ以上を外部へと電気的に接続するための端子(3、3’)を有し、接点部分(6、6’、7、7’、37)のうちの1つに接触する少なくとも1つの中間脚部(4、4’、28)を備える端子部材(2)を備えるパワーモジュール(1)であって、中間脚部(4、4’、28)は、端子部材(2)の2つの部位(17、18、19)の間に位置する、パワーモジュール(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
いくつかの接点部分(6、6’、7、7’、37)と、前記接点部分(6、6’、7、7’、37)のうちの1つ以上を外部へと電気的に接続するための端子(3、3’)を有する端子部材(2)とを備え、
前記端子部材(2)は、いくつかの部位(17、18、19)と、前記接点部分(6、6’、7、7’、37)のうちの1つに接触する少なくとも1つの中間脚部(4、4’、28)とを備え、
前記中間脚部(4、4’、28)は、前記部位(17、18、19)のうちの2つの間に位置する、パワーモジュール(1)であって、
前記端子部材(2)に高さ方向に少なくとも部分的に重なる少なくとも1つのさらなる端子部材(21、22)を備える、パワーモジュール(1)。
【請求項2】
前記端子部材(2)は、前記端子部材(2)の前記部位(17、18、19)のうちのただ1つに接続された少なくとも1つの端部脚部(5、5’)を備える、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記接点部分(6、6’、7、7’、37)は、1つ以上の基板(6、6’、7、7’、37)上のメタライゼーションおよび電気コンポーネント(15、15’、16、16’)の表面上の接点部分のうちの少なくとも一方を含む、先行する請求項のいずれかに記載のパワーモジュール(1)。
【請求項4】
1つ以上の基板(11、11’、12、12’、39)を備え、前記接点部分(6、6’、7、7’、37)のうちの少なくとも2つが、前記基板(11、11’、12、12’、39)のうちの同一の基板上に位置し、前記端子部材(2)は、前記接点部分(6、6’、7、7’、37)のうちの少なくとも前記2つに接触する、先行する請求項のいずれかに記載のパワーモジュール(1)。
【請求項5】
いくつかの基板(11、11’、12、12’、39)を備え、前記接点部分(6、6’、7、7’、37)のうちの少なくとも2つが、前記基板(11、11’、12、12’、39)のうちの異なる基板上に位置し、前記端子部材(2)は、前記接点部分(6、6’、7、7’、37)のうちの少なくとも前記2つに接触する、先行する請求項のいずれかに記載のパワーモジュール(1)。
【請求項6】
第1のスイッチ要素の形態の第1の電気コンポーネント(15、15’)と、第2のスイッチ要素の形態の第2の電気コンポーネント(16、16’)とを備え、前記第1のスイッチ要素および前記第2のスイッチ要素は、ハーフブリッジを形成するように電気的に接続され、前記端子部材(2)は、前記第1のスイッチ要素および前記第2のスイッチ要素を電気的に接続する、先行する請求項のいずれかに記載のパワーモジュール(1)。
【請求項7】
前記端子部材(2)は、前記パワーモジュール(1)の長さ方向(L)に関して異なる位置に位置した接点部分(6、6’、7、7’、37)に接続される少なくとも1つの端部脚部(5、5’、28)を備え、前記長さ方向(L)は、前記端子(3、3’)が位置する前記パワーモジュール(1)の側面に垂直である、請求項2~6のいずれかに記載のパワーモジュール(1)。
【請求項8】
前記端子部材(2)は、単一ピースの金属板である、先行する請求項のいずれかに記載のパワーモジュール(1)。
【請求項9】
前記端子部材(2)は、電気的に直列に接続された少なくとも2つの中間脚部(4、4’、28)を備える、先行する請求項のいずれかに記載のパワーモジュール(1)。
【請求項10】
前記端子部材(2)は、電気的に並列に接続された少なくとも2つの中間脚部(4、4’、28)を備える、先行する請求項のいずれかに記載のパワーモジュール(1)。
【請求項11】
前記端子部材(2)は、バー(20)を備え、前記部位(17、18、19)のうちの2つの間に位置する中間脚部(4、4’)および前記部位(17、18、19)のうちのただ1つに接続された端部脚部(5、5’)の少なくとも一方の形態の少なくとも2つの脚部を備え、前記バー(20)は、前記少なくとも2つの脚部を並列に接続する、先行する請求項のいずれかに記載のパワーモジュール(1)。
【請求項12】
前記端子(3、3’)は、DC+端子、DC-端子、AC端子、および制御または監視の少なくとも一方の目的のための補助端子のうちの少なくとも1つである、先行する請求項のいずれかに記載のパワーモジュール(1)。
【請求項13】
パワーモジュール(1)を製造するための方法であって、
A)接点部分(6、6’、7、7’、37)を備える1つ以上の基板(11、11’、12、12’、39)を用意し、前記接点部分(6、6’、7、7’、37)を外部へと電気的に接続するための端子(3、3’)を備える端子部材(2)を用意し、前記端子部材(2)は、前記接点部分(6、6’、7、7’、37)のうちの1つに接触する少なくとも1つの中間脚部(4、4’、28)を備え、前記少なくとも1つの中間脚部(4、4’、28)は、前記端子部材(2)の2つの部位(17、18、19)の間に位置する、ステップと、
B)前記中間脚部(4、4’、28)を前記接点部分(6、6’、7、7’、37)のうちの1つに機械的および電気的に接続するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの中間脚部(4、4’、28)は、溶接によって前記接点部分(6、6’、7、7’、37)に接続される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パワーモジュールおよびパワーモジュールを製造するための方法に関する。パワーモジュールは、例えば、電動車両(EV)のモータ駆動装置または電力変換装置などのパワーエレクトロニクスデバイスにおいて使用可能である。パワーモジュールは、パワー半導体モジュールであってよい。パワーモジュールは、高電圧パワーモジュールであってよい。
【背景技術】
【0002】
中国特許出願公開第105655306号明細書および中国特許出願公開第110060971号明細書が、基板のメタライゼーションおよびチップを相互接続するための金属クリップを備えるパワーモジュールを開示している。あるいは、そのような接続は、ワイヤボンドによってもたらされてもよい。両方の場合において、パワーモジュールを外部へと接続するための別個の通電端子部材が設けられる。欧州特許出願公開第3065164号明細書が、半導体デバイスがインターポーザの両側で2列に配置される半導体配列を開示している。それぞれの電流をパワー半導体配列へと誘導するために、導電要素が設けられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の実施形態は、改善された外部への接続を有するパワーモジュール、およびパワーモジュールを製造するための改善された方法の必要性に関する。
【0004】
本開示の第1の態様によれば、パワーモジュールは、いくつかの接点部分と、接点部分のうちの1つ以上を外部へと電気的に接続するための端子を有する端子部材とを備える。外部接点を、例えば、ねじおよびボルト接続によって端子に電気的および機械的に接続することができる。外部接点を取り付けるための他の適切な接続方法は、例えば、溶接、はんだ付け、接着、および圧入である。
【0005】
接点部分は、例えば、基板上のメタライゼーションまたは電気コンポーネントの表面上の導電性部分の形態であってよい。電気コンポーネントは、例えばチップであってよい。電気コンポーネントは、基板上のメタライゼーション上に配置されてよい。端子部材は、1つ以上の基板のメタライゼーションを相互接続することができる。これに代え、あるいは加えて、端子部材は、電気コンポーネントをメタライゼーションに接続することができ、あるいは電気コンポーネントを電気コンポーネントに接続することができる。
【0006】
端子部材は、単一ピースとして形成されてよい。端子部材は、金属板から形成されてよい。また、端子部材は、互いに接合された2つ以上の部品を備えても、互いに接合された2つ以上のピースで構成されてもよい。2つ以上のピースの各々が、金属板から形成されてよい。ピースは、硬度の異なる材料から形成されてよく、あるいは異なる厚さを有してよい。一例として、異なる硬度の銅を使用することができる。
【0007】
端子は、例えば、主端子、すなわち通電端子の形態であってよい。端子が、制御または監視の目的のための補助端子であることも可能である。一例として、補助端子は、スイッチングデバイスを制御するための信号端子を含んでもよい。
【0008】
端子部材は、接点部分のうちの1つに電気的に接触する少なくとも1つの脚部を備える。端子部材は、少なくとも2つの脚部を備えることができる。端子部材の脚部のうちの少なくとも1つが、中間脚部である。さらに、端子部材の脚部のうちの少なくとも1つが、端部脚部であってよい。端部脚部が自立しており、すなわち端子部材の1つの部位のみにつながっている一方で、中間脚部は、端子部材の2つの部位の間に位置する。例示的には、端部脚部が、一端においてのみ端子部材の部位につながっている一方で、中間脚部は、両端において端子部材の部位につながっている。
【0009】
一例として、中間脚部は、端子と端部脚部との間に位置することができる。この場合、端子から端部脚部までの電流経路は、中間脚部を通る。以下で、中間脚部は「ステッチ」と呼ばれることもあり、中間脚部を備える端子は「ステッチ端子」と呼ばれることもある。
【0010】
一実施形態によれば、端子部材は、直列に配置されたいくつかの中間脚部を備えることができる。したがって、端子から端部脚部までの電流経路は、直列に配置された中間脚部のすべてを通る。直列に配置された中間脚部は、異なる基板または同一の基板の少なくとも1つの上のいくつかの接点部分に接触することができる。端子部材が、直列に配置された中間脚部と、並列に配置された中間脚部とを備えることも可能である。端子部材が2つ以上の並列な部品を備え、それらの部品のうちの1つ以上が、端部脚部のみを備え、中間脚部を備えず、それらの部品のうちの1つ以上が、端部脚部および中間脚部を備えることも可能である。
【0011】
一実施形態において、パワーモジュールは、接点部分の少なくともいくつかを備えるいくつかの基板を備える。基板は、ベースプレート上に配置されてもよい。端子部材は、異なる基板の少なくとも2つの接点部分に接触することができる。したがって、ステッチ端子は、外部への接続を提供するだけでなく、一体化された基板間接続も提供する。
【0012】
これに代え、あるいは加えて、端子部材は、単一の基板の接点部分を接続してもよい。単一の基板は、ベースプレート上に配置されてもよい。また、パワーモジュールは、絶縁金属基板の設計を有してもよい。端子部材が、1つの基板上のいくつかの接点部分およびさらなる基板上の1つ以上の接点部分の両方を接続することも可能である。接点部分の少なくともいくつかが、電気コンポーネントの表面上の導電部分であってもよい。電気コンポーネントは、基板上のメタライゼーション上に搭載されてもよい。
【0013】
端子部材は、中間脚部と端部脚部との間に位置し、あるいは2つの中間脚部の間に位置するブリッジを備えることができる。ブリッジは、接点部分から浮き上がる。特定の実施形態において、ブリッジは、例えば、異なる基板間のギャップをまたぐことができる。
【0014】
一実施形態によれば、パワーモジュールは、ハーフブリッジを形成するように電気的に接続された第1のスイッチ要素および第2のスイッチ要素の形態の電気コンポーネントを備える。端子部材は、スイッチ要素を電気的に接続することができる。スイッチ要素は、同じ基板上に位置しても、異なる基板上に位置してもよい。パワーモジュールは、やはり端子部材によって接続されてよいいくつかのさらなるスイッチ要素を備えることができる。パワーモジュールは、端子部材によって接続されてよい他の受動コンポーネントまたはディスクリートコンポーネントを備えることができる。
【0015】
一実施形態によれば、端子部材は、いくつかの脚部を並列に接続するバーを備える。バーは、例えば、端子が位置する側面に平行に向けられてよい。バーは、平行に配置された中間脚部および/または端部脚部などのいくつかの端子部分を接続することができる。一例として、バーは、いくつかの端部脚部といくつかの中間脚部との間に配置されてよい。しかしながら、端部脚部は、明示的に平行ではなく、端子の一般的な方向と比較して任意の角度で、バーから分岐することもできる。
【0016】
パワーモジュールは、さらなる端子部材を備えてよい。一例として、上記で説明した端子部材がAC端子を提供することができ、さらなる端子がDC+端子およびDC-端子を提供することができる。端子部材が補助端子を提供することも可能である。さらなる端子部材は、例えば、端部脚部を備えることができるが、中間脚部を備えなくてもよい。さらなる端子部材のうちの少なくとも1つが、中間脚部を備え、あるいは中間脚部および端部脚部の両方を備えることも可能である。さらなる端子部材のうちの1つ以上が、高さ方向において端子部材に部分的に重なってもよい。一例として、さらなる端子部材は、端子部材のバーと重なるバーを備えてもよい。
【0017】
本開示のさらなる態様によれば、パワーモジュールを製造するための方法が、1つ以上の接点部分を備える1つ以上の基板を用意し、接点部分を外部へと電気的に接続するための端子を備える端子部材を用意するステップを含む。1つ以上の基板は、例えばチップの形態であってもよいパワー半導体デバイスを備えることができる。基板は、ベースプレート上に配置されてもよい。パワーモジュールおよび端子部材は、上記で説明した端子部材のすべての構造的および機能的特徴を含むことができる。本方法は、少なくとも1つの中間脚部を接点部分のうちの1つに固定することによって電気的に接続するさらなるステップを含む。例示的には、端子部材は、少なくとも1つの中間脚部および少なくとも1つの端部脚部を備えることができ、中間脚部および端部脚部の各々が、接点部分のうちの異なる接点部分に接続される。
【0018】
この方法により、接点部分の互いの接続および外部への接続を、単一のプロセスで提供することができる。接点部分は、一体化された基板間接続が提供されるように、異なる基板上に配置されてよい。基板は、端子部材が基板に接続されるまで、互いに電気的に接続されていなくてもよい。したがって、基板を互いに接続するためのワイヤボンドまたはクリップなどの別個の要素は、必要とされない。また、接点部分が同一基板上に位置し、端子部材が同一基板内の接点部分同士を接続することも可能である。接点部分は、端子部材が接続されるまで、互いに電気的に接続されていなくてもよい。端子部材が、基板内の接点部分および異なる基板の接点部分の両方を接続することも可能である。
【0019】
一実施形態によれば、脚部は、溶接によって接点部分に接続される。例として、超音波溶接、レーザ溶接、または抵抗溶接技術を使用することができる。
【0020】
別の実施形態によれば、脚部は、接着、はんだ付け、または焼結によって接点部分に接続される。
【0021】
本開示は、いくつかの態様および実施形態を含む。態様および実施形態のうちの1つに関して説明されるすべての特徴は、他の態様および実施形態に関して、たとえそれぞれの特徴がこの文脈において明示的に言及されていない場合でも、本明細書において開示される。
【0022】
さらなる特徴、改良、および便宜が、図面に関連する例示的な実施形態の以下の説明から明らかになる。図において、同じ構造および/または機能の要素を、同じ参照符号によって参照することができる。図中に示される実施形態は、説明用の表現であり、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態によるパワーモジュールの上面図である。
図2図1のパワーモジュールの側面図である。
図3】一実施形態によるパワーモジュール用の端子部材の斜視図である。
図4】さらなる実施形態によるパワーモジュールの概略図である。
図5】さらなる実施形態によるパワーモジュールの上面図である。
図6図5のパワーモジュールの側面図である。
図7A】パワーモジュールの製造方法におけるステップを概略的に示している。
図7B】パワーモジュールの製造方法におけるステップを概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、パワーモジュール1の一実施形態の上面図を示しており、このパワーモジュール1は、パワーモジュール1を外部に電気的に接続するための端子部材2を備える。図2が、パワーモジュール1の側面図を示している。
【0025】
端子部材2は、外部接点の接続のための1つ以上の端子3、3’を有する。端子3、3’の各々は、たとえばねじおよびボルト接続によって外部接点を固定するための孔30を備える。レイアウトによっては、孔30が存在しなくてもよく、溶接、はんだ付け、接着、または圧入などの別の接続方法を使用することができる。端子部材2は、金属板から形成され、単一ピースからなってよい。端子部材2を、互いに接続されたいくつかのピースから形成することも可能である。
【0026】
端子部材2は、通電端子部材であってよい。端子部材2は、例えばAC端子を提供することができる。あるいは、モジュール1のレイアウトに応じて、端子部材2は、DC+またはDC-端子を提供してもよい。端子部材2が、例えば制御または監視の目的のための補助端子を提供することも可能である。一例として、補助端子は、例えばスイッチングデバイスを制御するための信号端子を含んでもよい。
【0027】
端子部材2は、接点部分6、6’、7、7’に電気的および機械的に接触する中間脚部4、4’および端部脚部5、5’の形態のいくつかの脚部を備える。脚部4、4’、5、5’は、例えば溶接、焼結、はんだ付け、または接着によって接点部分6、6’、7、7’に接続されてよい。端子部材2は、端部脚部5、5’に通じる電流経路13、13’に位置する2つの平行な中間脚部4、4’を備える。接点部分6、6’、7、7’は、1つ以上の基板11、11’、12、12’上のメタライゼーションであってよい。接点部分は、例えばチップなどの電気コンポーネントの表面上の電気接点であってもよい。
【0028】
中間脚部4、4’の各々は、接点部分6、6’から持ち上がるブリッジ8、8’へと続く。ブリッジ8、8’は、さらなる接点部分7、7’に接触する4つの平行な端部脚部5、5’に通じる。
【0029】
端部脚部5、5’が自立しており、すなわち一端においてのみ端子部材2のただ1つの部位19に接続されている一方で、中間脚部4、4’は、端子部材2の2つの部位17、18の間に位置し、両端が部位17、18に接続されており、したがって自立していない。端部脚部への電流経路は、別の端部脚部を通ることがない。
【0030】
少なくとも1つの中間脚部4、4’を備える図示の端子部材2は、以下で「ステッチ型端子」とも呼ばれる。中間脚部4、4’は、以下で「ステッチ」とも呼ばれる。ステッチ型の端子部材2は、パワーモジュール1の外部接続のための端子3への接続を提供するだけでなく、中間脚部4、4’および端部脚部5、5’などのいくつかの脚部の存在ゆえに、異なる接点部分6、6’、7、7’間の一体化された接続も提供する。
【0031】
図示の実施形態では、パワーモジュール1は、いくつかの基板11、11’、12、12’が配置されたベースプレート10を備える。基板11、11’、12、12’は、例えば、はんだ付けによってベースプレート10に固定されても、ハイブリッドベースプレートアセンブリの一体部品であってもよい。一例として、絶縁金属基板(IMS)の構成が代わりに提供されてもよい。そのような構成において、絶縁樹脂シートおよび回路メタライゼーションを備えた金属ベースを設けることができる。
【0032】
端子部材2は、異なる基板11、11’、12、12’への一体化された電気経路を提供する。端子部材2は、外部への接続を提供するだけでなく、異なる基板11、11’、12、12’も接続する。この場合、異なる基板11、11’、12、12’の接点部分6、6’、7、7’を接続し、あるいは単一の基板の接点部分を接続するためのワイヤボンドを、もはや不要とすることができる。これにより、モジュール1の外形寸法を小さくすることができ、製造を簡素化することができる。
【0033】
基板11、11’、12、12’の各々に、1つ以上の電気コンポーネント15、15’、16、16’が配置される。電気コンポーネント15、15’、16、16’は、例えば、IGBT(絶縁ゲートブリッジトランジスタ)またはMOSFETなどのスイッチ要素の形態であってよい。各々のスイッチ要素について、関連のダイオードが同じ基板11、11’、12、12’上に配置され得る。いくつかの実施形態においては、例えば炭化ケイ素パワーMOSFETの場合に、ダイオードは不要としてもよい。ダイオードは、例えばFWD(フリーホイーリングダイオード)であってよく、関連のスイッチ要素に並列に接続されてよい。電気コンポーネント15、15’、16、16’は、例えばワイヤボンドによって接点部分6、6’、7、7’に接続されてよい。
【0034】
スイッチ要素は、ハーフブリッジの形態で電気的に接続されてよい。ハーフブリッジは、DC+端子とDC-端子との間に直列に接続された2つのスイッチを備える電気回路であり、出力端子であるAC端子がスイッチ間に接続されている。スイッチの各々は、並列に接続されたいくつかのスイッチ要素を備えることができる。
【0035】
例えば、右側のスイッチ要素をDC+端子(ハイ側)に接続し、左側のスイッチ要素をDC-端子(ロー側)に接続することができる。端子部材2を、異なる側の基板11、11’、12、12’を接続するAC端子として用いることができる。とくには、中間脚部4、4’の各々が、ハイ側の接点部分6、6’に接触し、端部脚部8が、ロー側の接点部分7、7’に接触する。より具体的には、端部脚部5、5’が、ロー側スイッチ16、16’のコレクタまたはドレインに電気的に接続されてよく、中間脚部4、4’が、ハイ側スイッチのエミッタまたはソースに電気的に接続されてよい。ハイ側スイッチ要素は、互いに並列に接続される。同様に、ロー側スイッチ要素は、互いに並列に接続される。
【0036】
端子部材2は、長さ方向L、すなわちパワーモジュール1のうちの端子3、3’が位置する側からパワーモジュール1の反対側への方向に沿って、異なる接点部分6、6’、7、7’および異なる基板11、11’、12、12’の接続を提供する。接点部分6、6’は、接点部分7、7’と電気的に直列に接続される。
【0037】
これに加えて、端子部材2は、長さ方向Lに垂直な幅方向Wに沿って、異なる接点部分6、6’、7、7’および異なる基板11、11’、12、12’の接続を提供する。これは、いくつかの平行な中間脚部4、4’および平行な端部脚部5、5’によって達成される。端子部材がその方向を変え、例えば90°の曲がりを形成することも可能である。これは、接点部分が直線に沿って配置されてはいない場合や、端子3が異なる側に設けられる場合であり得る。この目的のために、端子部材2はバー20を備え、バー20から一方の方向にいくつかの端部脚部5、5’が延び、バー20から他方の方向にいくつかの中間脚部4、4’が延びる。1つ以上の端部脚部が1つ以上の中間脚部と同じ方向に延びることも可能である。一般に、平行な中間脚部4、4’および平行な端部脚部5、5’は、電気的に並列に接続され、幾何学的にも平行に配置されてよい。しかしながら、脚部4、4’、5、5’は、バー20から任意の方向に分岐してもよく、必ずしも幾何学的に平行に配置される必要はない。
【0038】
バー20は、電流の分配および電流の均一化に役立つ。接点部分6’、7’は、例示的には、接点部分6、7と電気的に並列に接続される。これに加え、バー20は、機械的安定化を提供することができる。また、熱応力の低減もバー20によってもたらすことができる。いくつかの中間脚部4、4’および端部脚部5、5’を接続するバー20は、脚部4、4’、5、5’の異なる位置の公差の制御に役立ち、例えば溶接およびはんだ付けなどの接続プロセスの際に脚部を安定させる。
【0039】
端子部材2は、両側が中間脚部4、4’によって境界付けられた切り欠き14を備える。さらに、端子部材2は、脚部4、4’、5、5’を端子3、3’に接続する接続部分26を備える。接続部分26は、脚部4、4’、5、5’の各々よりも幅方向の幅が大きくてよい。端子部材2は、射出成形プロセスによってプラスチックハウジングに少なくとも部分的に埋め込まれてもよい。
【0040】
図3が、端子部材2の斜視図を示している。端部脚部5、5’およびまたがるバー20の形状は、図1および図2の実施形態の形状に対応する。
【0041】
また、中間脚部4、4’の形状は、図1および図2の実施形態の形状に対応するが、幅方向Wにおける脚部4、4’の位置が入れ替えられている。図1および図2とは異なり、中間脚部4、4’と端子3との間の板状の接続部分26は、バー20よりも小さい幅を有する。とくには、接続部分26が、脚部4、4’を超えて幅方向に延びてはいない。これにより、さらなる要素のためのスペースが利用可能である。
【0042】
バー20は、例えば、その断面の局所的な縮小などの追加の応力緩和機構を備えることができる。例示的には、脚部5’に隣接する部位17、18、19も、そのような応力緩和機構9を備えることができる。
【0043】
図4が、さらなる実施形態によるパワーモジュール1の側面図を概略的に示している。
この実施形態において、端子部材2は、直列に接続されたいくつかの中間脚部4、28を備える。したがって、中間脚部4、28は、長さ方向Lに沿って異なる位置に位置する。端子3から端部脚部5への電流経路は、両方の中間脚部4、28を通過する。パワーモジュール1は、長さ方向Lに沿って一列に並んだ3つの基板11、12、39を備える。脚部4、28、5は、基板11、12、39上の接点部分6、7、37を接続する。端子部材2は、基板11、12、39のうちの電気コンポーネント15、16、29を含む部品と、基板11、12、38の間のギャップ40とをまたぐためのブリッジ8、39を備える。
【0044】
脚部4、28、5は、例えば、一方側のいくつかのスイッチ要素を接続することができる。また、スイッチ要素が異なる側に属することも可能である。
【0045】
レイアウトに応じて、脚部4、28、5は、幅方向Wにおける同じ位置または幅方向Wにおける異なる位置に位置することができる。パワーモジュール1が、脚部4、28、5に平行に配置されたさらなる中間脚部および端部脚部によって接続された幅方向に沿った基板のさらなる列をさらに備えることも可能である。また、脚部が電気的に並列に接続されるが、幾何学的に平行には配置されず、互いに対して或る角度に向けられることも可能である。ブリッジ8、38を、図3に示されるとおりのバー20として形成することが可能である。
【0046】
図示の実施形態においては、2つの中間脚部4、28が直列に接続されている。3つ以上の中間脚部4、28が直列に接続されてもよい。さらに、図示の実施形態において、パワーモジュール1は、長さ方向Lに沿って一列に並んだ3つの基板11、12、39を備える。パワーモジュール1が基板を1つだけ備えることも可能である。中間脚部4、28および端部脚部5は、例えば同一基板上に位置する接点部分同士を接続してもよい。この目的のために、脚部4、5、28は、適切な角度で端子部材2から分岐してもよく、幾何学的に互いに平行に配置されなくてもよい。
【0047】
図5および図6が、追加のさらなる端子部材21、22を有する図1および図2のパワーモジュール1に対応するパワーモジュール1の上面図および側面図を示している。
【0048】
さらなる端子部材21、22は、外部接続用のさらなる端子31、32を備える。さらなる端子31、32は、端子3、3’の反対側に配置されてもよい。さらなる端子部材21、22は、それぞれDC-およびDC+の接続用に構成されてもよい。さらなる端子部材のうちの一方の端子部材22は、さらなるバー25も備え、さらなるバー25からさらなる端部脚部24が延びている。さらなるバー25は、端子部材2のバー20に重なる。さらなるバー25は、基板12、12’と基板11、11’との間のギャップ40の上方に位置する。さらなるバー25は、接続ウェブ33によってさらなる接続部分34に接続される。さらなる端子部材のうちの他方の端子部材21は、さらなる接続部分35に接続されたさらなる端部脚部23を備える。図示の実施形態において、さらなる端子部材21、22は、中間脚部を備えない。代替の実施形態においては、パワーモジュールのレイアウトに応じて、さらなる端子部材が中間脚部をさらに備えてもよい。
【0049】
図7Aおよび図7Bが、パワーモジュール1を製造するための方法ステップを概略的に示している。
【0050】
図7Aに示される第1の方法ステップによれば、ベースプレート10と、ベースプレート10上のいくつかの基板11、12とを備えるアセンブリ36が用意される。基板11、12は、例えばはんだ接続によってベースプレート10に固定される。スイッチおよびダイオードなどの電気コンポーネント(図示せず)が、基板11、12上に位置してよい。さらに、接点部分6、7が、基板6、7上に設けられている。
【0051】
このステップにおいて、基板11、12は互いに電気的に接続されなくてよい。また、このステップにおいて、一部の基板のみが互いに電気的に接続されてもよい。一例として、いくつかの基板が並列および直列に配置される場合、このステップにおいて、並列に配置された基板が互いに電気的に接続されてよく、直列に配置された基板は互いに電気的に接続されなくてよい。また、接点部分6、7が、ベースプレート上に取り付けられた単一の基板上に設けられてもよく、あるいは、一体化絶縁金属基板の構成が用意されてもよい。
【0052】
図7Bに示される第2のステップにおいて、金属板の形態の端子部材2が、基板11、12上の接点部分6、7に接続される。接続は、例えば、超音波溶接、レーザ溶接、または抵抗溶接などの溶接プロセスによって行われる。また、端子部材2を、例えば、はんだ付け、焼結、または接着などの他の方法によって固定することも可能である。図7Bに示されるパワーモジュール1は、さらなる実施形態である。
【0053】
端子部材2は、通電主端子の形態の端子3を提供することができる。端子部材2が、補助端子の形態の端子3を提供することも可能である。端子部材2に補助接続部を接続することも可能である。端子部材2を基板11、12に接続した後に、端子部材2を、例えば射出成形またはトランスファ成形プロセスによってプラスチックハウジングに少なくとも部分的に埋め込むことができる。端子部材2を、端子部材2の接点部分6、7への接続前または接続後に、部分的に埋め込むことができる。前者の場合、端子部材2は、一種の端子台として設けられてもよい。
【0054】
すべての実施形態において、端子部材は、外部への接続を提供するだけでなく、ワイヤボンドまたはクリップなどの追加の電気接続が不要であるように、接点部分間の一体化された接続も提供することができる。一例として、端子部材は、異なる基板の接点部分の接続および1つの基板の接点部分の接続の少なくとも一方を提供することができる。端子部材が、異なる基板の接点部分の少なくとも1つの接続および同じ基板の接点部分の少なくとも1つの接続を提供することも可能である。接点部分は、基板上の接点部分およびチップなどの電気コンポーネントの表面上の接点部分の少なくとも1つであってよい。電気コンポーネントは、基板上のメタライゼーション上に配置されてよい。
【0055】
端子部材による一体化された接続は、パワーモジュールのコストを下げ、製造時間を短縮する。これに加え、追加の基板間接続のための余分な空間がもはや必要とされず、したがってパワー半導体ダイに使用することができる基板上の総面積が増加する。したがって、端子部材の他の別個の基板間接続と比較して、パワーモジュールの電流定格を増加させることができる。さらに、少なくともいくつかの実施形態において、基板をベースプレートに取り付けた後に追加のワイヤボンドプロセスが必要とされず、溶接接続などの少数の追加の接続のみを設ければよい。
【0056】
本開示が、図に示される特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。図7Bに示されるように、例えば、4つの基板の代わりに、基板が2つだけ存在してもよい。端子部材が、単一の基板上の接点部分の接続を提供することも可能である。基板は、例えば、行および列に配置されても、単一の行にのみ配置されてもよい。基板を行および/または列とは異なる形態で配置することも可能である。さらに、端子部材が、ベースプレート上のすべての基板ではなく、一部の基板のみを接続することも可能である。
【0057】
さらに、端子部材は、任意の数の中間脚部を備えてよい。中間脚部は、例えば、並列または直列に配置されてよい。一例として、端子部材は、例えば、単一の中間脚部および単一の端部脚部のみを備えてもよい。端子部材が端部脚部よりも多くの中間脚部を備えること、またはその逆も可能である。
【0058】
端子の配置を、例えば90°反転させることも可能である。端子をモジュールのすべての辺に配置することも可能である。一例として、端子は、主端子および補助端子の少なくとも一方として構成されてよい。
【0059】
一般に、接点部分の少なくともいくつかは、1つ以上の基板上のメタライゼーションの形態であってよい。接点部分の少なくともいくつかは、チップなどの電気コンポーネントの表面上の接点部分であってよい。
【0060】
さらに、基板は1つだけしか存在しなくてもよい。この場合、端子部材は、単一の基板上の接点部分を相互接続することができる。ベースプレートを設けずにいくつかの基板が存在することも可能である。接点部分の少なくともいくつかが、例えば絶縁金属基板の構成においてベースプレート上に設けられることも可能である。
【0061】
参照符号
【符号の説明】
【0062】
1 パワーモジュール
2 端子部材
3、3’ 端子
4、4’ 中間脚部
5、5’ 端部脚部
6、6’ 接点部分
7、7’ 接点部分
8、8’ ブリッジ
9 応力緩和機構
10 ベースプレート
11、11’ 基板
12、12’ 基板
13、13’ 電流経路
14 切り欠き
15、15’ 電気コンポーネント
16、16’ 電気コンポーネント
17 部位
18 部位
19 部位
20 バー
21、22 さらなる端子部材
23 さらなる端部脚部
24 さらなる端部脚部
25 さらなるバー
26 接続部分
28 中間脚部
29 電気コンポーネント
30 孔
31 さらなる端子
32 さらなる端子
33 接続ウェブ
34 さらなる接続部分
35 さらなる接続部分
36 アセンブリ
37 接点部分
38 ブリッジ
39 基板
40 ギャップ
L 長さ方向
W 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】