IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アヴィジ テクノロジーズ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-516786眼疾患を治療するための調整可能な装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】眼疾患を治療するための調整可能な装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
A61F9/007 160
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023560703
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 US2022023064
(87)【国際公開番号】W WO2022212851
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】63/169,587
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】520273474
【氏名又は名称】アヴィジ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ジアン、ルイ ジン
(72)【発明者】
【氏名】カオ、ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】グリッグス、ジョージア
(72)【発明者】
【氏名】エメリー、ジェフリー ローン
(57)【要約】
本明細書に記載されるのは、高眼圧または緑内障等の様々な疾患を治療するために使用される、調整可能な治療装置である。治療装置(1)は、治療用途に基づいて変更されるプレート構造(200)を含む。治療装置(1)の機械的特性は、所望の曲げ剛性、流量、および/または引張弾性率を達成するために調整され得る。機械的特性は、装置全体の形状、装置の厚さ、コア材料、および/またはチャネルの寸法を変更することにより調整し得る。たとえば、治療装置(1)は、高眼圧の患者を治療するために、より大きい流量となるように調整され得る。別の例では、治療装置(1)のコアの厚さを増加させてもよく、それにより曲げ剛性が増加し、外科的な取り扱いが改善し、移植後の折れ曲がりの可能性を低減する。さらに、治療装置の引張弾性率を変更して、周辺組織の機械的歪みを低減し得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2面の反対側に第1面を備え、前記第1面が内部連結された流体チャネルを含む、プレートと、
前記第1面上の第1のコーティングと、
前記第2面上の第2のコーティングと、
を備える、
眼圧を低下させるための装置であって、
前記プレートの厚さ、前記プレートの寸法、前記第1のコーティングの厚さ、前記第2のコーティングの厚さ、または前記流体チャネルの寸法の少なくとも1つは、所望の曲げ剛性、引張弾性率、または流体流量を達成するために選択される、
装置。
【請求項2】
前記流体チャネルは六角形パターンを形成し、各チャネルは、所望の流体流量を生成するための高さおよび第1の幅を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プレートの第1の部分は第1の厚さを有し、前記プレートの第2の部分は第2の厚さを有する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の厚さは、前記第2の厚さより厚い、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の部分は延在部を含み、前記第2の部分は本体部を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記プレートの前記厚さ、前記プレートの前記寸法、前記第1のコーティングの前記厚さ、前記第2のコーティングの前記厚さ、または前記流体チャネルの前記寸法の少なくとも1つは、治療用途または所望の結果に基づいて選択される、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項7】
前記プレートは、アルミナ、窒化ケイ素、シリカ、酸化ハフニウム、窒化チタン、および炭化チタンからなる群から選択されるセラミック材料から形成される、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のコーティングは、約0.1μm~約10μmの厚さを有する、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のコーティングは、パリレンC、パリレンD、パリレンN、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせの少なくとも1つを含むパリレンポリマーである、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項10】
前記第2のコーティングは、酸化アルミニウムまたはパリレンポリマーである、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のコーティングまたは前記第2のコーティングの少なくとも1つは、生体適合性フィルム、多孔性コーティング、または潤滑性コーティングの少なくとも1つを含む、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項12】
前記生体適合性フィルムは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または延伸PTFEを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
一連の前記流体チャネルは、相互連結して流体経路の交差格子パターンを形成する、複数の開放端チャネルを含む、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項14】
前記第1面または前記第2面の少なくとも1つは、手術中または手術後のモニタリングのために、可視光、紫外線、または赤外線の少なくとも1つの下で視認できるマーキングを含む、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項15】
前記プレート構造は、周縁に沿って少なくとも1つのノッチを含み、前記ノッチは、前記第1面または前記第2面のどちらを外科医が視認しているかを示す、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項16】
前記プレート構造は、患者の組織への取り付けのための少なくとも1つの幾何学的特徴を含む、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項17】
装置の機械的特性または治療用途の少なくとも一つの入力を受け取ることと、
前記入力に基づいて装置の寸法を決定することと、
流体マイクロチャネルの六角形パターンを含む決定した寸法を達成するために、フォトリソグラフィおよび反応性イオンエッチングを使用してモールド、基板、またはウェハを準備することと、
酸化アルミニウムの層を堆積して装置を形成することと、
前記モールド、前記基板、または前記ウェハを取り除くことと、
パリレンポリマーで装置をコーティングすることと、
決定した前記寸法に基づいて装置をカットすることと、
を含む、
組織または器官の流体圧を低下させる治療用途のための装置の製造方法。
【請求項18】
前記治療用途には、眼圧低下、緑内障、水頭症、血腫、漿液腫もしくは漿液性の液体の形成外科手術による排出、細胞増殖、細胞の送達、核酸の送達、ナノ粒子の送達、または薬物の送達のための導管の少なくとも1つが含まれる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記装置の前記寸法には、前記装置の厚さ、前記装置の寸法、前記コーティングの厚さ、前記流体マイクロチャネルの寸法、または開放セルの寸法の少なくとも1つが含まれる、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記機械的特性には、所望の曲げ剛性、引張弾性率、または流体流量の少なくとも1つが含まれる、請求項17、18、または19に記載の方法。
【請求項21】
前記装置の第1の部分は第1の厚さを有するように形成され、前記装置の第2の部分は第2の厚さを有するように形成される、請求項17、18、または19に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の厚さは前記第2の厚さより厚い、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記寸法は、さらに患者の配置情報に基づいて決定される、請求項17、18、または19に記載の方法。
【請求項24】
酸化アルミニウムの前記層は、決定された前記寸法に基づく特定の厚さで堆積される、請求項17、18、または19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
数百万の人が眼疾患、特に緑内障を患っている。ほとんどの緑内障患者は、線維柱帯網を通して過剰な房水を前房から排出することができないために、異常に高い眼圧(IOP)を有する。適切な治療により眼圧を下げなければ、病気の進行に伴い、高いIOPは視神経に継続的にダメージを与え続け、視力の低下又は失明につながる。現在の薬物治療、手術、およびインプラントは、何年もの間眼圧を下げたり、眼圧を正常に保ったりするのに不十分であることが証明されている。したがって、IOPを緩和し、それにより緑内障を治療する新規な方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本明細書で説明されるのは、眼および他の症状を治療するために構成された治療装置、または単に装置である。ある実施形態では、眼の症状は高い眼圧であり、本明細書に記載される装置は、眼圧を低下させるために構成される。別の実施形態では、症状は水頭症であり、本明細書に記載される装置は、圧を低下させるために構成される。装置は、一般的に、第1材料でコーティングされた第1主面、および第2材料でコーティングされた第2主面を含む、プレート構造またはコア構成要素である。
【0003】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される治療装置は、治療用途に基づいて変更される。たとえば、治療装置の機械的特性は、所望の曲げ剛性、流量、および/または引張弾性率を達成するために調整され得る。機械的特性は、全体的な装置の形状、装置の厚さ、コア材料、および/またはチャネルの寸法を変更することにより調整され得る。たとえば、治療装置は、より大きい流量に調整して、より高い眼圧を有する患者を治療することができる。別の例では、治療装置のコア厚を増加させ、それにより曲げ剛性を増加させて、外科的な取り扱いを改善し、移植後の折れ曲がりの可能性を低減し得る。さらに、治療装置の引張弾性率を変更して、周辺組織の機械的歪みを低減し得る。別の例では、治療用途に基づいてコーティングを変更してもよい。
【0004】
いくつかの実施形態では、治療装置のいくつかの部分は第一の構成に調整され、一方、治療装置の他の部分は別の構成で調整され得る。治療装置のこれらの部分を様々に調整することにより、治療装置の特定のこれらの部分は対応する眼の構造に適合することができ、それにより患者の快適性および治療成績が改善され得る。たとえば、引張弾性率を、患者の眼組織に大きな変形を与えることになるであろう特定の場所で増大させ得る。
【0005】
プレート構造またはプレートは、約1ナノメートル(nm)~約10,000nm、または約50nm~約800nmの範囲の厚さであってもよい。
【0006】
プレート構造は、眼液の移動を助け、当該移動により眼圧を低下させるチャネルを含むことができる。
【0007】
別の実施形態には、眼圧を低下させる方法が含まれる。ある実施形態では、方法は、本明細書に記載される装置を眼に固定することを含み、それにより眼液を移動させ、眼圧を低下させる。
【0008】
いくつかの実施形態では、プレート構造はセラミック材料で形成される。セラミック材料は、酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化ケイ素、シリカ、酸化ハフニウム、窒化チタン、チタン、またはそれらの組み合わせがら選択することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1のコーティングはポリマー材料である。ポリマー材料は、パリレンポリマーであってもよい。パリレンポリマーは、パリレンC、パリレンD、パリレンN、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料には、ゴム、合成ゴム、シリコーンポリマー、パリレン、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、アクリルポリマー、エチレン-コ-酢酸ビニル、ポリメタクリル酸ブチル、ハロゲン化ビニルポリマー、ポリビニルエーテル、ポリハロゲン化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニル芳香族樹脂、ポリビニルエステル、アクリルニトリル-スチレンコポリマー、ABS樹脂、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリアミド、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、レーヨン、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロハン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(エーテル-エーテル-ケトン)、PLA、PLGA、PLLA等のポリラクチド、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0011】
いくつかの実施形態では、第2のコーティングには、酸化アルミニウム、および/またはパリレンポリマーが含まれる。
【0012】
いくつかの実施形態では、第2のコーティングには、ゴム、合成ゴム、シリコーンポリマー、パリレン、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、アクリルポリマー、エチレン-コ-酢酸ビニル、ポリメタクリル酸ブチル、ハロゲン化ビニルポリマー、ポリビニルエーテル、ポリハロゲン化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニル芳香族樹脂、ポリビニルエステル、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、ABS樹脂、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリアミド、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、レーヨン、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロハン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(エーテル-エーテル-ケトン)、PLA、PLGA、PLLA等のポリラクチド、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせと組み合わせた酸化アルミニウムが含まれる。
【0013】
一連の流体チャネルは、相互連結して流体経路の交差ネットワーク(または格子パターン)を形成する、複数の開放端チャネルを含むことができる。いくつかの実施形態では、チャネルはマイクロチャネルである。
【0014】
いくつかの実施形態では、高眼圧の治療は、緑内障の治療である。
【0015】
本明細書に記載される開示に鑑みて、かつ本開示を何ら限定することなく、本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第1の観点において、眼圧降下のための装置は、第2面の反対側の第1面を含むプレートを含む。第1面は、相互連結された流体チャネルを含む。また、装置は、第1面に第1のコーティングを、第2面に第2のコーティングを含む。プレートの厚さ、プレートの寸法、第1のコーティングの厚さ、第2のコーティングの厚さ、または流体チャネルの寸法の少なくとも1つは、所望の曲げ剛性、引張弾性、流体流量を達成するために選択される。
【0016】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第2の観点において、流体チャネルは、各チャネルが所望の流体流量を生じさせるための高さおよび第1の幅を有するように六角形パターンを形成する。
【0017】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第3の観点において、プレートの第1の部分は第1の厚さを有し、第2の部分は第2の厚さを有する。
【0018】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第4の観点において、第1の厚さは第2の厚さより厚い。
【0019】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第5の観点において、第1の部分は延在部を含み、第2の部分は本体部を含む。
【0020】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第6の観点において、プレートの厚さ、プレートの寸法、第1のコーティングの厚さ、第2のコーティングの厚さ、または流体チャネルの寸法の少なくとも1つは、治療用途または所望の結果に基づいて選択される。
【0021】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第7の観点において、プレートは、アルミナ、窒化ケイ素、シリカ、酸化ハフニウム、窒化チタン、炭化チタンからなる群から選択されるセラミック材料から形成される。
【0022】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第8の観点において、第1のコーティングは、約0.1μm~10μmの厚さを有する。
【0023】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第9の観点において、第1のコーティングは、パリレンC、パリレンD、パリレンN、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせの少なくとも1つを含むパリレンポリマーである。
【0024】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第10の観点において、第2のコーティングは、酸化アルミニウムまたはパリレンポリマーである。
【0025】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第11の観点において、第1のコーティングまたは第2のコーティングの少なくとも1つは、生体適合性フィルム、多孔性コーティング、または潤滑性コーティングの少なくとも1つを含む。
【0026】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第12の観点において、生体適合性フィルムは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または延伸PTFEを含む。
【0027】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第13の観点において、一連の流体チャネルは、相互連結して流体経路の交差格子パターンを形成する複数の開放端チャネルを含む。
【0028】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第14の観点において、第1面または第2面の少なくとも1つは、術中または術後のモニタリングのために、可視光、紫外線、または赤外線の少なくとも1つの下で視認できるマーキングを含む。
【0029】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第15の観点において、プレート構造は、周縁に沿って少なくとも1つのノッチを含み、ノッチは、第1面または第2面のどちらを外科医が視認しているかを示す。
【0030】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第16の観点において、プレート構造は、患者の組織への取り付けのための少なくとも1つの幾何学的特徴を含む。
【0031】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第17の観点において、組織または器官の流体圧を低下させる治療用途のための装置の製造方法は、装置の機械的特性または治療用途の少なくとも一方の入力を受け取ることと、入力に基づいて装置の寸法を決定することと、流体マイクロチャネルの六角形パターンを含む決定した寸法を達成するために、フォトリソグラフィおよび反応性イオンエッチングを使用してモールド、基板、またはウェハを準備することと、酸化アルミニウムの層を堆積して装置を形成することと、モールド、基盤、またはウェハを取り除くことと、パリレンポリマーで装置をコーティングすることと、決定した寸法に基づいて装置を切ることと、を含む。
【0032】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第18の観点において、治療用途には、眼圧低下、緑内障、水頭症、血腫、漿液腫もしくは漿液性の液体の形成外科手術による排出、細胞増殖、細胞の送達、核酸の送達、ナノ粒子の送達、または薬物の送達のための導管の少なくとも1つが含まれる。
【0033】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第19の観点において、装置の寸法には、装置の厚さ、装置の寸法、コーティングの厚さ、流体マイクロチャネルの寸法、または開放セルの寸法の少なくとも1つが含まれる。
【0034】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第20の観点において、機械的特性には、所望の曲げ剛性、引張弾性率、または流体流量の少なくとも1つが含まれる。
【0035】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第21の観点において、装置の第1の部分は第1の厚さを有するように形成され、装置の第2の部分は第2の厚さを有するように形成される。
【0036】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第22の観点において、第1の厚さは第2の厚さより厚い。
【0037】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第23の観点において、寸法はさらに患者の配置情報に基づいて決定される。
【0038】
本明細書に記載される他のいずれかの観点、またはその一部と組み合わされ得る本開示の第24の観点において、酸化アルミニウムの層は、決定された寸法に基づく特定の厚さで堆積される。
【0039】
第25の観点において、図1図16のいずれか1つ以上に関連して記載される特徴、機能性、および代替案のいずれかを、図1図16の他のいずれか関連して説明された特徴、機能性、代替案のいずれかと組み合わせることができる。
【0040】
さらなる特徴および利点が、以下の詳細な説明および図に記載され、かつそれらから明らかであろう。本明細書に記載される特徴および利点は網羅されているわけではなく、特に、図および記載に鑑みて、多くのさらなる特徴および利点が当業者に明らかであろう。また、特定の実施形態のいずれも、本明細書に羅列される利点の全てを有しなければならないわけではなく、個々の有利な実施形態を個別に請求することが明確に企図される。さらに、明細書で使用される文言は、主として読みやすさと説明の目的で選択されたものであり、本発明の主題の範囲を限定するためのものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明は、詳細な説明および添付の図面から、より完全に理解される。
【0042】
図1】一実施形態に係る装置の斜視図である。
図2図1で特定される部分Aに係る治療装置の拡大図である。
図3図2の線III-IIIに沿って示す装置の断面図である。
図4】別の実施形態に係る装置の斜視図である。
図5A】一実施形態に係る、図4に示す装置の部分Aの部分断面図である。
図5B】一実施形態に係る、図4に示す装置の部分Aの部分断面図である。
図5C】一実施形態に係る、図4に示す装置の部分Aの部分断面図である。
図6】本開示の実施形態の例による、患者の眼の前房内及び結膜組織と強膜組織との間に移植された治療装置の図である。
図7】本開示の実施形態の例による、第1の治療用途のための治療装置の図である。
図8A】本開示の実施形態の例による、別の治療用途のために構成された治療装置を示す。
図8B】本開示の実施形態の例による、薄片としての治療装置を示す。
図9】本開示の実施形態の例による、本明細書で開示されるぷれ―と構造の製造のための例示的な手順の図である。
図10】本開示の実施形態の例による、所望のブレブ形状、曲げ剛性、引張弾性率、流体分散パターン、および/または流体流量を達成するために図9の手順を用いて形成され得る、図1の治療装置の代替的な実施形態の図である。
図11】本開示の実施形態の例による、所望のブレブ形状、曲げ剛性、引張弾性率、流体分散パターン、および/または流体流量を達成するために図9の手順を用いて形成され得る、図1の治療装置の代替的な実施形態の図である。
図12】本開示の実施形態の例による、図10および11の治療装置の断面図である。
図13】本開示の実施形態の例による、図12の治療装置上の例示的なパターンの図である。
図14】本開示の実施形態の例による、チャネルおよび開放セルから形成される治療装置の表面のテクスチャーを示す図である。
図15】本開示の実施形態の例による、患者の組織への取り付けのための縫合糸を受けるための治療装置の幾何学的特徴の図である。
図16】本開示の実施形態の例による、所望の曲げ剛性、引張弾性率、および/または流体流量を達成するために図9の手順を用いて形成され得る、図1の治療装置の様々な可能な形状および寸法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
実施形態の以下の説明は、単に例示的なものであり、本発明、その適用、または使用を限定することを意図するものではない。
【0044】
本明細書では、眼圧の低下について言及する。しかし、本開示の装置および方法は、他の器官または組織の流体圧を低下させ得ることが正しく理解されるべきである。たとえば、本開示の装置および方法は、脳における流体の蓄積を低減するために使用してもよい。
【0045】
全体を通して使用されるように、範囲は、範囲内にある各値を記載するための略語として使用される。範囲内の任意の値を、範囲の末端として選択することができる。さらに、本明細書で引用されたすべての参照は、その全体が援用される。本開示の定義と引用された参照の定義との間に矛盾がある場合、本開示に従う。
【0046】
本発明の原理に従った例示的な実施形態の説明は、記載全体の一部であるとみなされるべき添付の図面と関連して読まれることを意図している。本明細書で開示される本発明の実施形態の説明において、方向または向きへの言及は、説明の便宜性のみを意図しており、本発明の範囲を限定することは意図されない。「下方の」「上方の」「横の」「縦の」「上に」「下に」「上へ」「下へ」「上」「下」のような相対的な用語やそれらの派生語(たとえば、「水平に」「下向きに」「上向きに」等)は、その時点で説明されている方向、または言及された図面に示されているような方向を意味すると解釈されるべきである。
【0047】
「付着された」、「添付された」、「連結された」、「結合された」、「相互連結された」及びその類似語は、可動式もしくは固定式の付着または結びつきの両方も含め、特に明記されていない限り、直接的もしくは介在する構造物を介して間接的に相互に固定され、または取り付けられた構造を意味する。さらに、本発明の特徴および利点は、例示された実施形態を参照することにより示される。したがって、本発明は、単独で、または別の特徴との組み合わせで存在し得る特徴の限定されない組み合わせを示す例示的な実施形態に明確に限定されるべきではなく、発明の範囲は添付の特許請求の範囲により定義される。
【0048】
特に明記されていない限り、本明細書および他の場所で表現される全ての百分率および量は、重量百分率を意味すると理解されるべきである。記載されている量は、物質の重量に基づいている。本出願によれば、「約」という用語は参照値の±5%を意味する。本出願によれば、「実質的に含まない」という用語は、総参照量に基づいて約0.1重量%以下であることを意味する。
【0049】
本明細書における「対象」はヒトまたはヒト以外の動物であり、たとえば、マウス、ラット、ハムスターおよびモルモット等のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ、ならびに類人猿およびサル等のヒト以外の霊長類等であるが、これらに限定されない。
【0050】
(治療装置例)
図1~3を参照すると、治療装置1、または単にプレートは、第2主露出面202の反対側に第1主露出面201、およびそれらの間に延びる側面203を有するプレート構造200、または単にプレートを備えていてもよい。プレート構造200は、延在部250および本体部240を含むことができる。
【0051】
プレート構造200は、移植および治療に適した特徴を有する任意の材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、プレート構造200は、金属、ポリマー、セラミック(たとえば、酸化アルミニウム)、他の複合材料、またはそれらの組み合わせで形成することができる。金属は、限定されないが、アルミニウム、チタン、亜鉛、白金、タンタル、銅、ニッケル、ロジウム、金、銀、パラジウム、クロム、鉄、インジウム、ルテニウム、オスミウム、スズ、イリジウム、またはそれらの組み合わせ、およびそれらの合金を含むことができる。いくつかの実施形態では、合金は、鋼、およびニチノール等のニッケルチタンを含むことができる。
【0052】
プレート構造200を形成するために使用されるポリマーまたはポリマー材料には、本明細書に記載される任意のポリマーが含まれる。
【0053】
ケイ素複合材料等の複合材料も使用することができる。ある実施形態では、複合材料は窒化ケイ素(Si)を含むことができる。窒化ケイ素は、限定されないが、三方晶系のα-Si、六方晶系のβ-Si、または立法晶系のγ-Si等の、任意の既知の結晶構造を有し得る。
【0054】
プレート構造200、またはプレートは、約1nm~約1、000nm、約1nm~約500nm、約1nm~約400nm、約100nm~約1、000nm、約200nm~約1、000nm、約300nm~約1、000nm、約400nm~約1、000nm、約1nm~約900nm、約1nm~約800nm、約1nm~約700nm、約1nm~約600nm、約300nm~約500nm、約300nm~約600nm、約400nm~約600nm、約200nm~約600nm、約200nm~約500nm、または約50nm~約800nmの範囲の厚さを有し得る。
【0055】
プレート構造200は、第2主面212の反対側に第1主面211を含む多方向プレート210を備えていてもよい。多方向プレート210は、第1主面211と第2主面212の各々に、複数のトポグラフィー的特徴(たとえば、ハニカムパターンの繰り返し)を形成し得る。第1および第2トポグラフィーの各々は、独立して、複数のチャネル232および/または複数の開放セル222を含み得る。
【0056】
複数のチャネル232は相互連結して、チャネルのネットワークを形成することができる。チャネルは開放型または閉鎖型であってもよく、流体が複数のチャネル232の各チャネルに容易に入り、それを通って流れることができるようになる。ネットワークは、複数のチャネル232を通ってプレート構造200を横切る流体の流れを促進するのに最も役立つように、任意の適切な構成の交差するチャネルを含んでもよい。ある実施形態では、チャネル232は六角形パターンを形成するように構成されていてもよい。図1に示す治療装置1が移植されると、流体(たとえば房水)は圧力勾配により駆動されて、チャネルを通り、プレート構造200の表面を横切って流れる。
【0057】
いくつかの実施形態では、チャネル232は畝織り模様パターンを含み得る。プレート中のチャネルの畝織り模様パターンおよび/または形状は、疾患の重症度(たとえば、軽度、中度、または重度の緑内障)の違いに基づき多様であり得る。ある実施形態では、大きなまたは小さなチャネルを使用して、眼圧の減少量を変えることができる。少量だけ眼圧を変化させることにより、低眼圧(眼圧を下げすぎた場合に起こり得る状態)の危険を減少させ、目的のレベルにまで圧力を効果的に減少させることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような、小さいチャネルを有する装置は、流動を減少させ、低眼圧の危険を減少させることができる。同様に、大きいチャネルは流動を増加させ、装置が眼圧をより低いレベルまで減少させることができる。
【0058】
プレート構造200は、多方向プレート210の第1主面211に適用される第1のコーティング280をさらに含んでいてもよい。第1のコーティング280は、多方向プレート210の第1主面211の第1トポグラフィーと一致してもよい。別の実施形態では、第1のコーティング280は、多方向プレート210の第1主面211の第1トポグラフィーと一致しないトポグラフィーを形成してもよい。
【0059】
第1のコーティング280は、約0.1μm~約10μm、または約0.1μm~約2μmの範囲の厚さを有していてもよく、それらの間の全ての厚さおよび前記の範囲より狭い範囲を含む。ある実施形態では、厚さは、約0.4μm(400nm)と0.6μm(600nm)の間である。ある実施形態では、厚さは、約0.4μm(400nm)である。別の実施形態では、厚さは、約1μmと約5μmの間、約1μmと約3μmの間、約2μmと約5μmの間、または約2μmと約4μmの間である。ある実施形態では、厚さは、約2μmである。
【0060】
プレート構造200は、多方向プレート210の第2主面212に適用される第2のコーティング290をさらに含んでいてもよい。第2のコーティング290は、多方向プレート210の第2主面212の複数の面の特徴に追従してもよい。別の実施形態では、第2コーのティング290は、多方向プレート210の第2主面212の第2トポグラフィーと一致しないトポグラフィーを形成してもよい。
【0061】
第2のコーティング290は、約0.1μm~約10μm、または約0.1μm~約1μmの範囲の厚さを有していてもよく、それらの間の全ての厚さおよび前記の範囲より狭い範囲を含む。ある実施形態では、厚さは、約0.4μm(400nm)と0.6μm(600nm)の間である。ある実施形態では、厚さは、約0.4μm(400nm)である。別の実施形態では、厚さは、約1μmと約5μmの間、約1μmと約3μmの間、約2μmと約5μmの間、または約2μmと約4μmの間である。ある実施形態では、厚さは、約2μmである。
【0062】
いくつかの実施形態では、プレート構造200は、第1のコーティング280のみを含んでいてもよい-すなわち、第2のコーティングはない。いくつかの実施形態では、プレート構造200は、第2のコーティング290のみを含んでいてもよい-すなわち、第1のコーティングはない。別の実施形態では、プレート構造200は、第1のコーティング280および第2のコーティングを含み、第1および第2のコーティングは両方とも重複して多方向プレート210を完全に包んでいてもよい。そのような実施形態では、プレート構造200の側面203は、第1のコーティング280および第2のコーティング290の少なくとも一方を含むことができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、第1および第2のコーティング、ならびに任意の端のコーティングは、プレート自体より厚くてもよい。いくつかの実施形態では、コーティングの厚さは、プレート構造より1、2、または3桁のオーダーで厚くすることができる。しかし、別の実施形態では、プレートは、各コーティング、または2つのコーティングの厚さの和より厚くすることができる。
【0064】
本明細書に記載されるコーティングは、限定されないが、物理蒸着、化学蒸着、原子層堆積、スプレーコーティング、スピンコーティング、自己集合、浸漬コーティング、またはブラッシング等の任意の適切な成膜方法により適用することができる。
【0065】
第1のコーティング280は、任意の適切な成膜方法により、第1主面211に適用してもよい。非限定的な例では、第1のコーティング280は、化学蒸着、物理蒸着、またはプラズマ加速化学蒸着により第1主面211に適用してもよい。非限定的な別の例では、第1のコーティング280は、原子層堆積により第1主面211に適用してもよい。非限定的な別の例では、第1のコーティング280は、スプレーコーティングにより第1主面211に適用してもよい。非限定的な別の例では、第1のコーティング280は、浸漬コーティングにより第1主面211に適用してもよい。非限定的な別の例では、第1のコーティング280は、ブラッシングにより第1主面211に適用してもよい。
【0066】
第2のコーティング290は、任意の適切な成膜方法により、第2主面212に適用してもよい。非限定的な例では、第2のコーティング290は、化学蒸着、物理蒸着、またはプラズマ加速化学蒸着により第2主面212に適用してもよい。非限定的な別の例では、第2のコーティング290は、原子層堆積により第2主面212に適用してもよい。非限定的な別の例では、第2のコーティング290は、スプレーコーティングにより第2主面212に適用してもよい。非限定的な別の例では、第2のコーティング290は、浸漬コーティングにより第2主面212に適用してもよい。非限定的な別の例では、第2のコーティング290は、ブラッシングにより第2主面212に適用してもよい。
【0067】
第1のコーティング280は、第2のコーティング290と同一であってもよい。第1のコーティング280と第2のコーティング290は、異なっていてもよい。第1のコーティング280は、親水性であってもよい。第1のコーティング280は、疎水性であってもよい。第1のコーティング280は、親油性であってもよい。第1のコーティング280は、疎油性であってもよい。第2のコーティング290は、親水性であってもよい。第2のコーティング290は、疎水性であってもよい。第2のコーティング290は、親油性であってもよい。第2のコーティング290は、疎油性であってもよい。第1および第2のコーティング280、290の各々は、独立して連続していてもよい。第1および第2のコーティング280、290の各々は、独立して不連続であってもよい。いくつかの実施形態では、第1および第2のコーティング280、290の両方が疎水性であってもよい。いくつかの実施形態では、第1および第2のコーティング280、290の両方が親水性であってもよい。いくつかの実施形態では、第1および第2のコーティング280、290の両方が親油性または疎油性であってもよい。
【0068】
第1のコーティング280は、有機物であってもよい。第1のコーティング280は、無機物であってもよい。第2のコーティング290は、有機物であってもよい。第2のコーティング290は、無機物であってもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、第1のコーティング280は親水性でり、第2のコーティング290は疎水性である。いくつかの実施形態では、第1のコーティング280は親水性であり、第2のコーティング290は親水性である。第1および/または第2のコーティング280、290の少なくとも一方が疎水性であることにより、移植中に治療装置1が不注意に組織に接着するのを予防し得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2のコーティングの目的は、装置の堅牢性を増加させることである。また、第1および/または第2のコーティングは、装置の生体適合性を増加させ、かつ/または、組織および/もしくは線維芽細胞の接着を減少させることで瘢痕化を減少させることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるコーティングは、疎水性であり、組織接着を減少させる。いくつかの実施形態では、組織接着は、コーティングされていないプレートと比較した場合に、約10%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、または約99%超減少し得る。
【0071】
非限定的な実施形態では、第1および/または第2のコーティングは、パリレンポリマー(ポリ(パラキシリレン))またはその誘導体等のポリマーを含み得る。別の実施形態では、第1および/または第2のコーティングは、酸化アルミニウム、生体適合性フィルム、多孔性コーティング、または潤滑性コーティングを含み得る。ある実施形態では、パリレンポリマーは、塩素修飾ポリ(パラキシリレン)、またはフッ素修飾ポリ(パラキシリレン)である。ある実施形態では、パリレンポリマーは、パリレンC、パリレンD、パリレンN、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせであり得る。別の実施形態では、第1および/または第2のコーティングは、酸化アルミニウムを含み得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、パリレンポリマーおよび/もしくは酸化アルミニウムに加えて、パリレンポリマーおよび/もしくは酸化アルミニウムと組み合わせて、またはパリレンポリマーおよび/もしくは酸化アルミニウムの代わりに、他のポリマー(単数または複数)を使用することができる。いくつかの実施形態では、他のポリマー材料は、限定されないが、ゴム、合成ゴム、シリコーンポリマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、アクリルポリマー、エチレン-コ-酢酸ビニル、ポリメタクリル酸ブチル、ハロゲン化ビニルポリマー(たとえば、ポリ塩化ビニル)、ポリビニルエーテル(たとえば、ポリビニルメチルエーテル)、ポリハロゲン化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニル芳香族樹脂、ポリビニルエステル、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、ABS樹脂、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリアミド(たとえば、ナイロン66およびポリカプロラクタム)、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、レーヨン、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロハン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン(たとえば、テフロン)、ポリ(エーテル-エーテル-ケトン)、PLA、PLGA、PLLA等のポリラクチド、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0073】
得られる治療装置1は、プレート構造200の第1主露出面201上に存在する、複数の第1チャネル222を備えていてもよく、複数の第1チャネル222は第1のコーティング280の存在により親水性である。得られる治療装置1は、プレート構造200の第2主露出面202上に存在する、複数の第2チャネル232を備えていてもよく、複数の第2チャネル232は第2のコーティング290の存在により親水性である。議論のとおり、親水性のチャネルは、装置1が対象の眼の中に移植された後に、チャネルを通じた流体流動を促進し得る。
【0074】
図4、5A、5B、および5Cを参照すると、一般的に、治療装置1001は、別の実施形態に従って示される。治療装置1001は、下記の事項を除き、治療装置1と同様である。上述の治療装置1に関する記載は、以下に特記する相違点を除いて、概して下記の治療装置1001に当てはまる。「1000」番台の数字が用いられることを除き、治療装置1001について、装置1の場合と同様の番号のつけ方が用いられる。
【0075】
治療装置1001は、第2主露出面1202の反対側に第1主露出面1201を有するプレート構造1200を備える。プレート構造1200は、第2主面1212の反対側に第1主面1211を含む多方向プレート1210を備えていてもよい。多方向プレート1210は、第1主面1211と第2主面1212の各々に、複数のトポグラフィー的特徴(たとえば、ハニカムパターンの繰り返し)を形成し得る。第1および第2トポグラフィーの各々は、独立して、複数のチャネル1232および/または複数の開放セル1222を含み得る。
【0076】
図5Bを参照すると、プレート構造1200は、多方向プレート1210の第1主露出面1211により形成される第1トポグラフィーにより作られる開放空隙中に存在する、第1送達成分1070を含み得る。特に、第1送達成分1070は、多方向プレート1210の第1主面1211により形成される第1トポグラフィーの開放セル1222により作られる開放空隙中に存在していてもよい。
【0077】
第1送達成分1070は、限定されないが、治療および/または医薬成分等の、1種以上の活性剤を含み得る。第1送達成分1070は、第1トポグラフィーにより形成される開放セル1222中に存在する空の体積の一部、全部、または実質的に全部を占めてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、活性剤は、対象において治療効果を有する、任意の化合物または薬剤を含むことができる。非限定的な活性剤には、限定されないが、FKBP-12結合化合物を含むマクロライド系抗生物質、エストロゲン、シャペロン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質-チロシンキナーゼ阻害剤、レプトマイシンB、ペルオキシソーム増殖薬活性化受容体ガンマリガンド(PPARγ)、ヒポセマイシン、一酸化窒素、ビスホスホネート、上皮増殖因子阻害剤、抗体、ステロイド、プロテアソーム阻害剤、抗生物質、抗炎症剤、アンチセンスヌクレオチド、形質転換核酸、メッセンジャーリボ核酸、IOP降下剤、プロスタグランジン、細胞増殖抑制性化合物、毒性化合物、抗炎症性化合物、化学療法薬、鎮痛剤、抗生物質、プロテアーゼ阻害剤、スタチン、核酸、ポリペプチド、成長因子、および組み換え微生物を含む送達ベクター、細胞、幹細胞、リポソーム、マイトマイシンC等の抗代謝剤、それらの組み合わせ、それらのプロドラッグ、それらの薬学的な塩、それらの誘導体等を含む、抗増殖剤が含まれる。
【0079】
治療装置1001は、多方向プレート1210の第1主露出面1211に適用される第1のコーティング1050をさらに含むことができる。第1のコーティング1050は、多方向プレート1210の第1主露出面1211と、多方向プレート1210の第1主露出面1211中に形成される開放セル1222中に存在する第1送達成分1070との両方を覆ってもよい。第1のコーティング1050は、連続したフィルムに形成されてもよい。第1のコーティング1050は、平らであってもよい。別の実施形態では、第1のコーティング1050は、多方向プレート1210および第1送達成分1070により形成される下地パターンと共形であってもよい。
【0080】
図5Aを参照すると、プレート構造1200は、多方向プレート1210の第2主露出面1212により形成される第2トポグラフィーにより作られる開放空隙中に存在する第2送達成分1080を含み得る。特に、第2送達成分1080は、多方向プレート1210の第2主露出面1212により形成される第2トポグラフィーの開放チャネル1232により作られる空隙中に存在していてもよい。第2送達成分1080は、第1送達成分1070と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0081】
第2送達成分1080は、限定されないが、抗炎症剤、ステロイド、抗生物質、鎮痛剤を含む、1種以上の治療および/または医薬成分を含んでいてもよい。第2送達成分1080は、第1トポグラフィーにより形成されるチャネル1232中に存在する空の体積の一部、全部、または実質的に全部を占めてもよい。
【0082】
治療装置1001は、多方向プレート1210の第2主露出面1212に適用される第2のコーティング1060をさらに含むことができる。第2のコーティング1060は、多方向プレート1210の第2主露出面1212と、多方向プレート1210の第2主露出面1212中に形成される開放チャネル1232中に存在する第2送達成分1080との両方を覆ってもよい。第2のコーティング1060は、連続したフィルムに形成されてもよい。第2のコーティング1060は、平らであってもよい。別の実施形態では、第2のコーティング1060は、多方向プレート1210および第2送達成分1080により形成される下地パターンと共形であってもよい。
【0083】
第2のコーティング1060は、第1のコーティング1050と同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1および第2のコーティング1050、1060の各々について、得られるフィルムは、房水または他の生体液に曝された後にゆっくりと溶解する徐放性材料から形成されてもよく、それにより、治療装置1001が対象に移植された後、第1送達成分1070を、治療装置1001のチャネル1232から放出させる。
【0084】
図5Cを参照すると、別の実施形態では、治療装置1001は、第1および第2送達成分1070、1080の両方、ならびに第1および第2の送達成分1070、1080を包むための第1および第2のコーティング1050、1060を含んでいてもよい。
【0085】
別の実施形態では、プレート構造1200は、第1および/または第2送達成分1070、1080なしに、第1のコーティング1050および/または第2のコーティング1060の少なくとも一方を含んでいてもよい。そのような実施形態では、第1のコーティング1050および/または第2のコーティング1060は、多方向プレートにより形成される開放セル1222および/または開放チャネル1232を覆うフィルムを形成してもよい。
【0086】
第1および/または第2のコーティング1050、1060から得られるフィルムの存在により、得られる治療装置の全体的な強度を高めることができる。特に、第1および/または第2のコーティング1050、1060により形成され、多方向プレート1210の第1および第2主面1211、1212に結合する層構造(単数または複数)のフィルムは、得られる治療装置にさらなる機械的強度をもたらす。
【0087】
眼の曲率に適合するために基本的な柔軟性を達成することに加えて、第1および/または第2のコーティング1050、1060の追加は、生体適合性または生体統合を最大化するために、治療装置全体が周囲の組織(たとえば、結膜および強膜組織)の弾性率と一致させることができるメカニズムを提供し得る。脳移植研究における知見では、柔組織における移植片の柔軟性は、周辺組織の微小な動きに対する移植片の適合性を改善し、組織の変位および外傷を減少させ、治療装置の移植を容易にすることが確認される。
【0088】
(治療装置調整の実施形態)
図6は、本開示の例示的な実施形態による、患者の眼600の結膜組織602と強膜組織604との間に移植された治療装置1の図である。治療装置1は、安全、快適、かつ効果的な治療を容易にするための、薄く柔軟なプレートを含む生体適合性眼インプラントである。治療装置1は、複数のチャネル232を有するプレート構造200を含む。例のチャネル232は、眼600の前房606に溜まった房水を、結膜組織602と強膜組織604との間に位置するポケット(ブレブ)へ排出するのを容易にするように構成される。これにより、前房606内の房水の蓄積からの眼圧を低下させることができる。ポケット608中の除去された房水は、周りの組織により徐々に再吸収され、それによりさらに溜まった房水を前房606から除去することができる。この連続的な房水の排出(たとえば、緑内障ドレナージ)は、眼600内の圧力を低下させ、視神経を保護する。プレート構造200の冗長チャネル232は、瘢痕組織による一端の詰まりを防止する。さらに、プレート構造200の薄いプロファイルは、組織浸食を妨げる。
【0089】
また、図6は、周縁に沿ってノッチ610を含むプレート構造200を示す。ノッチ610は、プレート構造200の左下部分に示されるが、ノッチ610は、周縁のいずれの部分に位置してもよいことが正しく理解されるべきである。さらに、1つのノッチが示されているが、プレート構造200は、2つ以上のノッチを備え得る。ノッチ610は、プレート構造200の、患者の眼内での正確な取り付けおよび配置を容易にするように構成されている。ノッチ610は、プレート構造200のチャネル232が上向きに配置されているか下向きに配置されているかを示し得る。したがってノッチ610は、プレート構造200が適切な向きに配置されていることを臨床医に確認させる。
【0090】
図7は、本開示の例示的な実施形態による、第1の治療用途のための治療装置1の図である。治療装置1は、相互連結されたチャネル232を有するプレート構造200を含む。いくつかの実施形態では、チャネル232は、格子パターンで提供される。プレート構造200は、第2主露出面202の反対側に第1主露出面を備え得る。また、プレート構造200は、第2主面212の反対側に第1主面211を含む多方向プレート210を含む。多方向プレート210は、第1主面211と第2主面212の各々に、複数のトポグラフィー的特徴(たとえば、ハニカムパターンの繰り返し)を形成し得る。第1および第2トポグラフィーの各々は、独立して、複数のチャネル232および/または複数の開放セル222を含み得る。
【0091】
プレート構造200は、多方向プレート210の第1主面211に適用される第1のコーティング280をさらに含んでいてもよい。第1のコーティング280は、多方向プレート210の第1主面211の第1トポグラフィーと一致してもよい。別の実施形態では、第1のコーティング280は、多方向プレート210の第1主面211の第1トポグラフィーと一致しないトポグラフィーを形成してもよい。プレート構造200は、多方向プレート210の第2主面212に適用される第2のコーティング290をさらに含んでいてもよい。第2のコーティング290は、多方向プレート210の第2主面212の面の複数の特徴と一致してもよい。別の実施形態では、第2コーのティング290は、多方向プレート210の第2主面212の第2トポグラフィーと一致しないトポグラフィーを形成してもよい。
【0092】
多方向プレート210は、波形の構造でチャネル232および/または複数の開放セル222を形成する、自立性の酸化アルミニウム(アルミナ、Al)プレートを含む。コーティング280および/または290は、パリレン-Cを含み得る。また、コーティング280および/または290は、パリレンC、パリレンD、パリレンN、これらの誘導体、またはこれらの組み合わせの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態では、コーティング280または290の少なくとも1つは、酸化アルミニウム、生体適合性フィルム、多孔性コーティング、または潤滑性コーティングを含み得る。生体適合性フィルムは、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または延伸PTFEを含み得る。
【0093】
波形のパターンは、面内で接続して六角形のハニカムを形成するチャネル232のネットワークを含む。プレート構造200は、引張弾性率、曲げ剛性、および流量を含む特定の機械的特性を有する。これらの機械的特性は、チャネルの寸法および/もしくは形状、多方向プレート210の厚さ、ならびに/またはコーティング280および/もしくは290の厚さを変更することにより調整し得る。また、機械的特性は、プレート構造200の形状を変更することにより変化させ得る。また、機械的特性は、プレート構造200の形状を変更することにより変化させ得る。波形の多方向プレート210のヤング率は、以下の方程式(1)に基づく。この方程式において、αは約0.234であり、βは約0.062である。Wribは、チャネル232および六角形パターンを形成するリブの幅に対応する。Dhexは、開放セル222の六角形または他の形状の各々の寸法に対応する。hは、リブの高さまたはチャネルの高さに対応し、tは、アルミナコアの厚さ等の、リブまたはプレートの厚さに対応する。
【0094】
【数1】
【0095】
波形の多方向プレート210の曲げ剛性は、六角形パターンの直径および幅に基づき、以下の方程式(3)で表される。
【0096】
【数2】
【0097】
波形の多方向プレート210の流量は、矩形チャネル用に修正されたハーゲン・ポアズイユの式に基づき、以下の方程式(4)に示す。式中、wはリブの幅、hはチャネルの高さ、Lはチャネルの長さ、Δpは系における圧力差、μは流体の粘度、λは級数の固有値である。
【0098】
【数3】
【0099】
図7Aの例では、プレート構造200は、チャネル寸法が10×14μmであり、ネック幅が5mmであり、内部のアルミナコアの厚さが300nmである。これにより、患者の眼の前傍に移植された場合、流量は2.91μL/分となる。このプレート構造200は、ヤング率が22.10ギガパスカル(GPa)、曲げ剛性が9.30×10-9Nm^2であり、これは目標眼圧が10mmHg前後の患者に治療を提供するのに適しているかもしれない。チャネルのx軸の寸法を2μmだけ調整して10×16μmとし、アルミナコアを350nmに変更した場合(図8Aに示すように)、流量は3.60μL/分、ヤング率は24.96GPa、曲げ剛性は1.48×10^-8Nm^2となる。小さな変更が装置の性能に大きな影響を有し得るが、プレート構造200を外科的および/または機能的な性能要件に適合するように微調整することも可能であることが正しく理解されるべきである。
【0100】
患者の緑内障が眼圧の大幅な減少を必要とする場合、プレート構造200のチャネル寸法を大きくして、さらなる房水のシャントをわずかに容易にし得る。別の実施形態では、多方向プレート210の厚さをナノメートルオーダーで変更することにより、より硬いプレート構造200となり、外科的な取り扱いが改善され、折れ曲がりの可能性が低減し得る。
【0101】
さらに別の実施形態では、チャネル寸法または厚さの変更はヤング率に影響し、プレート構造200の選択された領域で微調整して、周辺組織の機械的な負担を低減することができる。たとえば、延在部250で厚さを増加させ、本体部240で減少させてもよい。これにより、流量に影響することなく、ポケット608にかかる負担を低減し得る。他の例では、延在部250を本体部240より薄くしてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、本体部240の様々な部分を様々な厚さにしてもよい。
【0102】
別の実施形態では、プレート構造200は、図8Bに示すように、別の解剖学的領域への配置のために薄い矩形のストリップ(たとえば、100μm×4mm)を含み得る。たとえば、薄い矩形のストリップは、他の既存の緑内障技術と併用してドレナージスペースを空いたままにし得る。薄い矩形のストリップは、注射器または注射針から射出され眼内に入って、結膜下腔または毛様体上腔等に配置され得る。また、薄い矩形のストリップは、水頭症等の他の疾患のシャント機構として使用して、脳の空洞から頭の表面に流体を排出して圧を下げることができるようにし得る。また、薄い矩形のストリップは、形成手術後の外科用ドレーン(たとえば、血腫、血清腫、漿液を排出するため)に使用され得る。プレート構造200の寸法および機械的特性は、使用事案により上記の方程式(1)~(4)に従ってカスタマイズされ得ることが正しく理解されるべきである。外科用ドレーンとしてのプレート構造200の使用は、大きいチューブと比較して患者の瘢痕を最小限にし、美観を改善する。
【0103】
また、プレート構造200の例は、眼疾患の治療のための、網膜色素上皮(PRE)の足場、ならびに/または後房、網膜、黄斑、および/もしくは視神経における細胞増殖の足場として構成することもできる。様々なチャネルのパターンが、細胞の種類および/または所望の結果に基づいて提供され得る。さらに、プレート構造200は、化学療法薬、核酸、および/または眼腫瘍を治療または同定するためのナノ粒子でコーティングされ得る。さらに、開放隅角緑内障患者の場合、プレート構造200の寸法は、患者のドレナージ角の開口に基づいて変更され得る。さらに、プレート構造200は、水頭症の治療のために構成してもよく、かつ/または血腫、漿液腫、または漿液性の液体の形成外科ドレナージを提供し得る。また、プレート構造200は、前房への微粒子または薬剤の送達または投与のために提供され得る。
【0104】
図9は、本開示の実施形態の例による、本明細書で開示されるプレート構造200を製造するための手順900の例の図である。手順900は、図9に示すフロー図を参照して説明されるが、手順900に関連するステップを実行する他の多くの方法が使用され得ることが正しく理解されるべきである。たとえば、ブロックの多くは順番を変更してもよく、あるブロックを他のブロックと組み合わせてもよく、記載されているブロックの多くは任意でも良い。いずれかの実施形態では、ブロックの数を変更してもよい。
【0105】
手順900の例は、所望の機械的特性901がコンピューターシステムに入力されたとき(ブロック901)に開始する。機械的特性901は、上述の治療装置1のプレート構造200により達成すべき所望の流体の流量を特定し得る。また、機械的特性901は、記載された材料(薬剤、細胞等)の送達のための所望の幾何学的形状を特定し得る。また、機械的特性901は、1以上の領域について曲げ剛性または引張弾性率を特定し得る。いくつかの例では、機械的特性901は、治療用途を特定し得る。
【0106】
手順900の例は、機械的特性902に基づいて、プレート構造200の寸法を決定する(ブロック904)。寸法には、全体の幅、全体の長さ、全体の形状、延在部の幅または長さ、チャネルの幅および/または高さ、開放セルの形状、プレートの厚さ、コーティングの厚さ等が含まれ得る。手順900は、次に、フォトリソグラフィを使用して、ウェハ、基板、またはモールドを準備する(ブロック906)。これには、ウェハの準備、フォトレジストの塗布、予備焼なまし、マスクの位置調節、光の照射、およびフォトレジストの一部を除去するための現像が含まれる。除去されたフォトレジスト部分は、チャネルの位置および幅、ならびにプレート構造200の他の構造の形状を規定する。このようにして、決定された寸法に基づいてレジストマスクが作製される。次に、深掘り反応性イオンエッチングを使用して、除去されたフォトレジストにより露出した領域のウェハまたはモールドをエッチングする。エッチングの深さは、チャネルの高さおよびプレート全体の厚さを決定する。したがって、深さは決定された寸法に基づいて制御される。エッチング後、残りのフォトレジストを除去する。
【0107】
薄層(たとえば、酸化アルミニウムの)をモールドまたはウェハに堆積させることにより、プロセス900の例を継続する(ブロック908)。後ろ側のエッチングにより薄膜が取り外される(ブロック910)。いくつかの実施形態では、酸化アルミニウムは、所望の曲げ剛性および/または引張弾性率を達成するために所望の厚さで堆積される。いくつかの実施形態では、薄膜は、たとえばコンフォーマルな化学蒸着、物理蒸着、またはプラズマ加速化学蒸着を使用して、ポリマー(たとえば、パリレンC)でコーティングされる(ブロック912)。別の実施形態では、薄膜は、生体適合性フィルム、多孔性コーティング、または潤滑性コーティングの少なくとも1つでコーティングされる。次いで薄膜を所望の寸法にレーザーカットしてプレート構造を形成する(ブロック914)。別の実施形態では、コーティングする前に薄膜をレーザーカットする。レーザーカットに代えて、スタンピング、パンチング、またはミリング等の別の種類の切断法が使用され得ることが正しく理解されるべきである。所望の寸法への切断に加え、1つ以上の幾何学的特徴が切断され得る。特徴には、ノッチ610、および/または患者の組織に接続するための孔、スロット、穴、バーブ(barb)等が含まれ得る。
【0108】
プレート構造200の例は、次いで治療のために患者に移植され得る(ブロック916)。手順900の例はその時点で終了する。上述のように、プレート構造200の例は、患者の医学的治療のために具体的に調整され、それにより患者の快適性および治療の結果が改善する。
【0109】
図10および11は、本開示の実施形態の例による、所望の曲げ剛性、引張弾性率、および/または流量を達成するために図9の手順900を用いて形成され得る治療装置1の代替的な実施形態の図である。図10の治療装置1は、幅が1.5±0.5mm、長さが2.5±0.5mmの延在部250を有するプレート構造200を含む。プレート構造200は、幅が5±0.5mm、長さが10±1mmの本体部240を有する。さらに、プレート構造の第1端1000は、曲率半径が3.78mmである。また、図10はノッチ610を含むプレート構造200を示す。プレート構造200の寸法は、たとえば、曲げ剛性または引張弾性率を減少させるために選択される。さらに、プレート構造200の比較的長い長さは、房水等の流体を比較的長い距離移動させることができる。
【0110】
図11の治療装置1は、プレート構造200の比較的幅の広い延在部250を有する。さらに、本体部240は比較的短い。図11のプレート構造200の寸法は、たとえば、曲げ剛性または引張弾性率を増加させるために選択される。
【0111】
図16は、本開示の実施形態の例による、所望の曲げ剛性、引張弾性率、および/または流体流量を達成するために図9の手順900を用いて形成され得る治療装置1について、様々な可能な形状および寸法を示す図である。治療装置1の寸法は、たとえば、それぞれ、流体を後方に集める、異物反応を起こす可能性のある領域を減らす、および/または流体をより広い表面積に拡散させるために選択される。示した設計は、治療装置1の事実上無限の設計および可能な寸法の例示に過ぎないということが正しく理解されるべきである。
【0112】
図12は、本開示の実施形態の例による、図10および11のプレート構造200の断面図である。断面は、図10および11に示されるプレート構造200のいずれかの長さに沿って描かれ得る。示されるように、プレート構造200は、番号「1」として参照されるアルミナコアを含む。アルミナコアは、RO00002アルミナ前駆体由来であってもよく、800±30nmの厚さであってもよい。アルミナコアは、番号「3」として参照されるパリレン-Cコーティングにより少なくとも1つの側がコーティングされる。コーティングは、2±0.2μmの厚さを有する。プレート構造200は、幅が41±3μmの開放セル222、および幅が12±3μmのチャネル232を含む。いくつかの実施形態では、チャネル232およびセル222の幅は、所望の引張流量、曲げ剛性、および/または引張弾性率に基づいて変更され得る。
【0113】
また、図12は、プレート構造200が、番号「2」として参照される、外科用インク、または視認性を高めるためにマーキングする他の材料を含み得ることを示す。マーキングは、プレート構造200のコーティングの一部(または全部)に施され得る。いくつかの実施形態では、マーキングは、プレート構造200の両側に施され得る。
【0114】
図13は、本開示の実施形態の例による、図12のプレート構造200上の外科用インク1302のパターンの例の図である。外科用インク1302は、1つ以上の線を含み得る。臨床医は、術後のモニタリングのために、眼組織を通じて外科的な線を見ることができる。たとえば、臨床医は、プレート構造200がずれていないか確認するために、術後の患者の眼に紫外線を照射して外科用インク1302を見ることができる。いくつかの実施形態では、外科用インク1302は、セラミックおよび/またはコーティングに対するドープ剤を含み得る。外科用インク1302は、可視光、紫外線、および/もしくは赤外線による可視化、または術中もしくは術後のモニタリングを介して構成され得る。
【0115】
上述のように、プレート構造200は、患者の眼の前房からの房水の流れを提供するチャネル232を含む。図14は、本開示の実施形態の例による、チャネル232および開放セル222から形成されるプレート構造200の表面のテクスチャーを示す図である。図Aは、プレート構造200の第1または上側を示す。図Bは、プレート構造200の第2または底側を示す。示されるように、プレート構造200は、格子パターンで配列された、相互連結されたチャネル232を含む。開放セル222は、チャネル232により規定される。この実施形態では、開放セル222は六角形のハニカムパターンを形成する。別の例では、パターンには、円、矩形、三角形等が含まれ得る。チャネル232により房水または他の液体を通して流すことができる一方、開放セル222は構造的な剛性を提供し、有効な治療薬の貯蔵場所として機能する。
【0116】
チャネル232に対する開放セル222の寸法を変更して、プレート構造200の流量、曲げ剛性、および/または引張弾性率を変化させ得る。たとえば、チャネル232を広げて流量を増加させてもよい。しかし、より広いチャネルは、曲げ剛性を減少させ、かつ/または引張弾性率を増加させることにもなり得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、プレート構造200は、患者の組織への取り付けのための1つ以上の幾何学的特徴を有し得る。図15は、本開示の例示的な実施形態による、患者の組織への取り付けのための縫合糸を受けるための、プレート構造200の幾何学的特徴1500の図である。幾何学的特徴1500には、縫合糸を受けるための補強された周縁を有する開口または穴が含まれてもよい。あるいは、幾何学的特徴には、患者の眼組織に直接連結するために構成されたウェル、孔、スロット、バーブ、または溝が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、幾何学的特徴1500は、細胞の内部成長を促進し、プレート構造200が動くのを防ぐために構成される。そのような幾何学的特徴1500は、縫合糸の必要性を低減し得る。
【0118】
(結論)
現在最も実用的で好ましいと考えられている実施形態に基づいて説明することを目的として、本技術を詳細に説明してきたが、このような詳細はそのためだけのものであり、本技術は開示された実施形態に限定されるものではなく、逆に、添付の請求項の精神と範囲内にある修正および同等のアレンジをカバーすることが意図されていることを理解されたい。たとえば、本技術は、可能な限り、任意の実施形態の1以上の複数の特徴を、他の実施形態の1以上の特徴と組み合わせることができることを意図していることを理解されたい。
【0119】
特に明記しない限り、明細書および特許請求の範囲で使用される成分量、分子量、反応条件などの量を表すすべての数字は、すべての事例において、「約」という用語によって加減されると理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、本明細書および添付する特許請求の範囲に示す数値パラメータは、本発明によって得られようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、等価物としての適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、通常の丸め手段を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例で示す数値は、可能な限り正確に報告されている。ただし、いかなる数値にも、それぞれの試験測定で見られる標準偏差から必然的に生じる誤差が本質的に含まれている。
【0120】
本発明を説明する文脈で(特に以下の請求項の文脈で)使用される用語「a」、「an」、「the」、および類似の言及は、別段の記載がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方をカバーすると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、単に、範囲内に含まれるそれぞれの個別の値を個々に言及するための略記法として機能することを意図している。本明細書で別段の記載がない限り、個々の値は、本明細書で個々に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書に別段の記載がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるあらゆる全ての実施例、または例示的な言語(例えば、「のような」)の使用は、本発明をよりよく明らかにすることを意図しており、別途請求項に記載された発明の範囲を限定するものではない。本明細書中の記載は、本発明の実施に不可欠な、請求項以外の要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0121】
本明細書に開示した本発明の代替要素または実施形態のグループ化は、限定として解釈されるべきではない。各グループの構成要素は、個別に、またはグループの他の構成要素または本明細書で見られる他の要素との任意の組み合わせで参照され、主張され得る。利便性や特許性の理由から、グループの1以上の構成要素が、グループに含まれるか、またはグループから削除されることが予想される。そのような包含または削除が発生した場合、本明細書は変更されたグループを含むものと見なされ、添付の特許請求の範囲で使用されるマーカッシュグループのすべての記載を満たす。
【0122】
本明細書では、発明者が知る本発明を実施するための最良の形態を含む、本発明のいくつかの実施形態について説明する。もちろん、これらの説明された実施形態の変形は、前述の説明を読めば当業者に明らかであろう。発明者は、当業者がそのような変形を適切に使用することを期待し、発明者は、本明細書に具体的に記載した以外の方法で本発明を実施することを意図している。したがって、本発明は、適用される法律によって許可されるように、添付の特許請求の範囲に記載された主題の変更および同等物の一切を含む。さらに、考えうるあらゆる変形をした上述の要素の組み合わせは、本明細書に別段の記載がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明に含まれる。
【0123】
本明細書に開示された特定の実施形態のいくつかは、「からなる」または「本質的にからなる」という文言の使用により、特許請求の範囲においてさらに限定され得る。請求項中で使用される場合、出願時ものであれ、補正によって追加されたものであれ、「からなる」という移行句は、請求項で指定されていない要素、ステップ、または成分を除外する。「から本質的になる」という移行句は、請求項の範囲を、特定の材料またはステップ、および基本的かつ新規の特徴(複数可)に実質的に影響しないものに限定します。そのようにクレームされた本発明の実施形態は、本明細書において本質的または明示的に記載され、可能になる。
【0124】
最後に、本明細書に開示された本発明の実施形態は、本発明の原理を例示するものであることを理解すべきである。採用され得る他の変更は、本発明の範囲内である。したがって、限定ではなく例として、本発明の代替構成を本明細書の教示に従って利用することができる。したがって、本発明は、示され、記載されたとおりに正確に限定されるものではない。
【0125】
(付記)
(付記1)
第2面の反対側に第1面を備え、前記第1面が内部連結された流体チャネルを含む、プレートと、
前記第1面上の第1のコーティングと、
前記第2面上の第2のコーティングと、
を備える、
眼圧を低下させるための装置であって、
前記プレートの厚さ、前記プレートの寸法、前記第1のコーティングの厚さ、前記第2のコーティングの厚さ、または前記流体チャネルの寸法の少なくとも1つは、所望の曲げ剛性、引張弾性率、または流体流量を達成するために選択される、
装置。
【0126】
(付記2)
前記流体チャネルは六角形パターンを形成し、各チャネルは、所望の流体流量を生成するための高さおよび第1の幅を有する、付記1に記載の装置。
【0127】
(付記3)
前記プレートの第1の部分は第1の厚さを有し、前記プレートの第2の部分は第2の厚さを有する、付記1または2に記載の装置。
【0128】
(付記4)
前記第1の厚さは、前記第2の厚さより厚い、付記3に記載の装置。
【0129】
(付記5)
前記第1の部分は延在部を含み、前記第2の部分は本体部を含む、付記3に記載の装置。
【0130】
(付記6)
前記プレートの前記厚さ、前記プレートの前記寸法、前記第1のコーティングの前記厚さ、前記第2のコーティングの前記厚さ、または前記流体チャネルの前記寸法の少なくとも1つは、治療用途または所望の結果に基づいて選択される、付記1、2または3に記載の装置。
【0131】
(付記7)
前記プレートは、アルミナ、窒化ケイ素、シリカ、酸化ハフニウム、窒化チタン、および炭化チタンからなる群から選択されるセラミック材料から形成される、付記1、2または3に記載の装置。
【0132】
(付記8)
前記第1のコーティングは、約0.1μm~約10μmの厚さを有する、付記1、2または3に記載の装置。
【0133】
(付記9)
前記第1のコーティングは、パリレンC、パリレンD、パリレンN、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせの少なくとも1つを含むパリレンポリマーである、付記1、2または3に記載の装置。
【0134】
(付記10)
前記第2のコーティングは、酸化アルミニウムまたはパリレンポリマーである、付記1、2または3に記載の装置。
【0135】
(付記11)
前記第1のコーティングまたは前記第2のコーティングの少なくとも1つは、生体適合性フィルム、多孔性コーティング、または潤滑性コーティングの少なくとも1つを含む、付記1、2または3に記載の装置。
【0136】
(付記12)
前記生体適合性フィルムは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または延伸PTFEを含む、付記11に記載の装置。
【0137】
(付記13)
一連の前記流体チャネルは、相互連結して流体経路の交差格子パターンを形成する、複数の開放端チャネルを含む、付記1、2または3に記載の装置。
【0138】
(付記14)
前記第1面または前記第2面の少なくとも1つは、手術中または手術後のモニタリングのために、可視光、紫外線、または赤外線の少なくとも1つの下で視認できるマーキングを含む、付記1、2または3に記載の装置。
【0139】
(付記15)
前記プレート構造は、周縁に沿って少なくとも1つのノッチを含み、前記ノッチは、前記第1面または前記第2面のどちらを外科医が視認しているかを示す、付記1、2または3に記載の装置。
【0140】
(付記16)
前記プレート構造は、患者の組織への取り付けのための少なくとも1つの幾何学的特徴を含む、付記1、2または3に記載の装置。
【0141】
(付記17)
装置の機械的特性または治療用途の少なくとも一つの入力を受け取ることと、
前記入力に基づいて装置の寸法を決定することと、
流体マイクロチャネルの六角形パターンを含む決定した寸法を達成するために、フォトリソグラフィおよび反応性イオンエッチングを使用してモールド、基板、またはウェハを準備することと、
酸化アルミニウムの層を堆積して装置を形成することと、
前記モールド、前記基板、または前記ウェハを取り除くことと、
パリレンポリマーで装置をコーティングすることと、
決定した前記寸法に基づいて装置をカットすることと、
を含む、
組織または器官の流体圧を低下させる治療用途のための装置の製造方法。
【0142】
(付記18)
前記治療用途には、眼圧低下、緑内障、水頭症、血腫、漿液腫もしくは漿液性の液体の形成外科手術による排出、細胞増殖、細胞の送達、核酸の送達、ナノ粒子の送達、または薬物の送達のための導管の少なくとも1つが含まれる、付記17に記載の方法。
【0143】
(付記19)
前記装置の前記寸法には、前記装置の厚さ、前記装置の寸法、前記コーティングの厚さ、前記流体マイクロチャネルの寸法、または開放セルの寸法の少なくとも1つが含まれる、付記17または18に記載の方法。
【0144】
(付記20)
前記機械的特性には、所望の曲げ剛性、引張弾性率、または流体流量の少なくとも1つが含まれる、付記17、18、または19に記載の方法。
【0145】
(付記21)
前記装置の第1の部分は第1の厚さを有するように形成され、前記装置の第2の部分は第2の厚さを有するように形成される、付記17、18、または19に記載の方法。
【0146】
(付記22)
前記第1の厚さは前記第2の厚さより厚い、付記21に記載の方法。
【0147】
(付記23)
前記寸法は、さらに患者の配置情報に基づいて決定される、付記17、18、または19に記載の方法。
【0148】
(付記24)
酸化アルミニウムの前記層は、決定された前記寸法に基づく特定の厚さで堆積される、付記17、18、または19に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2面の反対側に第1面を備え、前記第1面が内部連結された流体チャネルを含む、プレートと、
前記第1面上の第1のコーティングと、
前記第2面上の第2のコーティングと、
を備える、
眼圧を低下させるための装置であって、
前記第1面または前記第2面の少なくとも1つは、手術中または手術後のモニタリングのために、可視光、紫外線、または赤外線の少なくとも1つの下で視認できるマーキングを含む
装置。
【請求項2】
前記流体チャネルは六角形パターンを形成し、各チャネルは、所望の流体流量を生成するための高さおよび第1の幅を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プレートの第1の部分は第1の厚さを有し、前記プレートの第2の部分は第2の厚さを有する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の厚さは、前記第2の厚さより厚い、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の部分は延在部を含み、前記第2の部分は本体部を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記内部連結された流体チャネルは、10×16マイクロメートル(「μm」)の寸法を有し、前記プレートは、5ミリメートル(「mm」)のネック幅および350nmのコア厚を含み、1分間あたり3.6マイクロリットル(「μL/分」)の流量をもたらす、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項7】
前記プレートは、アルミナ、窒化ケイ素、シリカ、酸化ハフニウム、窒化チタン、および炭化チタンからなる群から選択されるセラミック材料から形成される、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のコーティングは、約0.1μm~約10μmの厚さを有する、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のコーティングは、パリレンC、パリレンD、パリレンN、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせの少なくとも1つを含むパリレンポリマーである、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項10】
前記第2のコーティングは、酸化アルミニウムまたはパリレンポリマーである、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のコーティングまたは前記第2のコーティングの少なくとも1つは、生体適合性フィルム、多孔性コーティング、または潤滑性コーティングの少なくとも1つを含む、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項12】
前記生体適合性フィルムは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または延伸PTFEを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
一連の前記流体チャネルは、相互連結して流体経路の交差格子パターンを形成する、複数の開放端チャネルを含む、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項14】
前記内部連結された流体チャネルは、10×14マイクロメートル(「μm」)の寸法を有し、前記プレートは、5ミリメートル(「mm」)のネック幅および300nmのコア厚を含み、1分間あたり2.9マイクロリットル(「μL/分」)の流量をもたらす、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項15】
前記プレート構造は、周縁に沿って少なくとも1つのノッチを含み、前記ノッチは、前記第1面または前記第2面のどちらを外科医が視認しているかを示す、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項16】
前記プレート構造は、患者の組織への取り付けのための少なくとも1つの幾何学的特徴を含む、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項17】
装置の機械的特性または治療用途の少なくとも一つの入力を受け取ることと、
前記入力に基づいて装置の寸法を決定することと、
流体マイクロチャネルの六角形パターンを含む決定した寸法を達成するために、フォトリソグラフィおよび反応性イオンエッチングを使用してモールド、基板、またはウェハを準備することと、
酸化アルミニウムの層を堆積して装置を形成することと、
前記モールド、前記基板、または前記ウェハを取り除くことと、
パリレンポリマーで装置をコーティングすることと、
決定した前記寸法に基づいて装置をカットすることと、
を含む、
組織または器官の流体圧を低下させる治療用途のための装置の製造方法。
【請求項18】
前記治療用途には、眼圧低下、緑内障、水頭症、血腫、漿液腫もしくは漿液性の液体の形成外科手術による排出、細胞増殖、細胞の送達、核酸の送達、ナノ粒子の送達、または薬物の送達のための導管の少なくとも1つが含まれる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記装置の前記寸法には、前記装置の厚さ、前記装置の寸法、前記コーティングの厚さ、前記流体マイクロチャネルの寸法、または開放セルの寸法の少なくとも1つが含まれる、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記機械的特性には、所望の曲げ剛性、引張弾性率、または流体流量の少なくとも1つが含まれる、請求項17、18、または19に記載の方法。
【請求項21】
前記装置の第1の部分は第1の厚さを有するように形成され、前記装置の第2の部分は第2の厚さを有するように形成される、請求項17、18、または19に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の厚さは前記第2の厚さより厚い、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記寸法は、さらに患者の配置情報に基づいて決定される、請求項17、18、または19に記載の方法。
【請求項24】
酸化アルミニウムの前記層は、決定された前記寸法に基づく特定の厚さで堆積される、請求項17、18、または19に記載の方法。
【国際調査報告】