(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】塩官能基を有するコームポリマー
(51)【国際特許分類】
C08L 39/04 20060101AFI20240410BHJP
C09K 23/42 20220101ALI20240410BHJP
C09K 23/52 20220101ALI20240410BHJP
C09D 11/00 20140101ALI20240410BHJP
C08L 35/06 20060101ALI20240410BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240410BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
C08L39/04
C09K23/42
C09K23/52
C09D11/00
C08L35/06
G03F7/004 505
G03F7/004 501
G03F7/027
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023561874
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2022059035
(87)【国際公開番号】W WO2022214502
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596089399
【氏名又は名称】ビック-ケミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】米原 博
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン リントナー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス オッケル
(72)【発明者】
【氏名】日野 真司
(72)【発明者】
【氏名】ザビーネ シュテルツ
(72)【発明者】
【氏名】高林 亮
【テーマコード(参考)】
2H225
4D077
4J002
4J039
【Fターム(参考)】
2H225AC35
2H225AD02
2H225AM13P
2H225AM18P
2H225AM32P
2H225AM96P
2H225AN39P
2H225AN94P
2H225AN97P
2H225BA16P
2H225BA33P
2H225CA17
2H225CA21
2H225CC01
2H225CC13
4D077AA01
4D077AA03
4D077AA08
4D077AB03
4D077AC05
4D077BA02
4D077BA20
4D077CA13
4D077DC04Z
4D077DC07Y
4D077DC28Z
4D077DD03X
4D077DD14Y
4D077DD20Y
4D077DE04X
4D077DE07X
4D077DE09X
4D077DE10X
4D077DE20X
4D077DE24Y
4D077DE29X
4D077DE32X
4J002BH01X
4J002BJ00W
4J002DA036
4J002DE116
4J002DE136
4J002DE146
4J002DE186
4J002DE236
4J002DG026
4J002DH046
4J002DJ016
4J002DJ056
4J002EU026
4J002FD016
4J002FD096
4J002GH01
4J002HA05
4J039AD03
4J039AD05
4J039AD10
4J039AD11
4J039AE04
4J039AE06
4J039AE07
4J039AE08
4J039BC12
4J039BC20
4J039BE01
4J039BE02
4J039BE12
4J039BE22
4J039BE33
4J039CA02
4J039EA03
4J039FA01
4J039FA02
4J039FA04
4J039FA05
4J039GA17
(57)【要約】
本発明は、ポリマー骨格及びこのポリマー骨格に連結された側方側鎖を有するコームポリマーに関し、側方側鎖が、(a)アルキルエーテル末端ポリアルキレンオキシド側鎖、及び(b)第3級アミン官能性側鎖であって、第3級アミン基が少なくとも部分的に100g/mol~2000g/molの範囲の分子量を有する酸によって中和されており、分子量はポリマー酸の場合には数平均分子量Mnに関連する、第3級アミン官能性側鎖、を含み、側方側鎖(a)及び(b)が、ランダムな順序で分布している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー骨格及びこのポリマー骨格に連結された側方側鎖を有するコームコポリマーであって、前記側方側鎖が、
(a)アルキルエーテル末端ポリアルキレンオキシド側鎖、及び、
(b)第3級アミン官能性側鎖であって、第3級アミン基が少なくとも部分的に100g/mol~2000g/molの範囲の分子量を有する酸によって中和されており、前記分子量は、ポリマー酸の場合には、数平均分子量Mnに関連する、第3級アミン官能性側鎖
を含み、
前記側方側鎖(a)及び(b)が、ランダムな順序で分布している、
コームポリマー。
【請求項2】
前記酸が、150~2000g/molの範囲の分子量を有し、前記分子量は、ポリマー酸の場合には、数平均分子量Mnに関係する、請求項1に記載のコームポリマー。
【請求項3】
前記酸が、カルボン酸基、リン酸基、及びスルホン酸基のうちの少なくとも1つを含む酸基を含む、請求項1又は2に記載のコームポリマー。
【請求項4】
前記酸が、ポリエーテル部分又はポリエステル部分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のコームポリマー。
【請求項5】
前記第3級アミン基の少なくとも5mol%が、100g/mol~2000g/molの範囲の分子量を有する酸によって中和されており、前記分子量は、ポリマー酸の場合には、数平均分子量Mnに関連する、請求項1~4のいずれか一項に記載のコームポリマー。
【請求項6】
前記アルキルエーテル末端ポリアルキレンオキシド側鎖が、イミド基を介して前記ポリマー骨格に連結されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のコームポリマー。
【請求項7】
前記アミン官能性側鎖が、イミド基を介して前記ポリマー骨格に連結されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のコームポリマー。
【請求項8】
前記ポリマー骨格が、ビニル芳香族炭化水素モノマーの重合された単位を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のコームポリマー。
【請求項9】
前記ポリマー骨格が、N-置換マレイミドの重合された単位を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のコームポリマー。
【請求項10】
前記ポリマーのアミン価が、5~150mgKOH/gの範囲である、請求項1~9のいずれか一項に記載のコームポリマー。
【請求項11】
(A)請求項1~10のいずれか一項に記載のコームポリマー
(B)少なくとも1つの色剤、及び
(C)少なくとも1つの希釈剤、
を含有する、組成物。
【請求項12】
前記組成物が、膜形成バインダ(D)をさらに含有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
固体粒子のための濡れ剤及び/又は分散剤としての、請求項1~10のいずれか一項に記載のコームポリマーの使用。
【請求項14】
前記固体粒子が、顔料、染料、及びフィラーのうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
固体粒子を液体分散媒中に分散させる方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載のコームポリマーが、前記分散媒中に存在する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキルエーテル末端ポリアルキレンオキシド側鎖及び中和された第三級アミン官能性側鎖を有するコームポリマー(くし形ポリマー)に関し、コームポリマー及び少なくとも1つの色剤を含有する組成物に関し、かつ、固体粒子のための濡れ剤及び/又は分散剤としてのコームポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
US7078464は、アミン官能スチレン無水マレイン酸コポリマーの不飽和カルボン酸塩を含む組成物を記載している。その使用顔料分散剤も記載されている。好ましい不飽和カルボン酸は、アクリル酸及びメタクリル酸である。
【0003】
WO2008/080580は、SMA樹脂の、ポリアルキレンオキシドモノアミン及び第一級第三級ジアミンとの反応によって調製される修飾コームコポリマーを記載している。第三級アミン基は、少なくとも部分的に、第四級アンモニウム塩に変換される。修飾コームコポリマーは、顔料分散樹脂として適している。
【0004】
WO2013/189568は、コポリマー並びに濡れ剤及び分散剤としてのそれらの使用を記載している。これらのコポリマーは、主鎖ポリマーを、第一級アミン又はアルコール、それぞれ少なくとも1つの第三級アミン基を有する、と反応させ、その後で四級化することによって、調製される。いくつかの実施態様では、主鎖ポリマーが、ポリアルキレンオキシドモノアミンで修飾されてよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、濡れ剤及び分散剤としての使用に適しているポリマーへの要求が存在し、これは、水媒体及び有機溶媒系の顔料分散体に、向上した特性を提供する。特に、低粘性、良好な保存安定性、並びに、コーティング組成物及び他の顔料含有組成物で用いられる異なるタイプのバインダと幅広い適合性を有する顔料分散体の必要性が存在する。フラットパネルディスプレイ用カラーレジストの製造のための顔料分散体は、向上した現像特性及び良好な再溶解性を提供する必要がある。ポリマーは、容易に利用可能な原材料から容易に調製できる必要があり、好ましくは、慎重な重合技術を用いる必要なく容易に調製できる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ポリマー骨格及びポリマー骨格に連結した側方側鎖を有するコームポリマーを提供し、この側方側鎖は、
(a)アルキルエーテル末端ポリアルキレンオキシド側鎖、及び、
(b)第三級アミン官能性側鎖であって、第三級アミン基が、少なくとも部分的に、100g/mol~2000g/molの範囲の分子量を有する酸によって中和されており、この分子量は、ポリマー酸の場合には数平均分子量Mnに関係する、第三級アミン官能性側鎖、
を含み、
側方側鎖(a)及び(b)が、ランダムな順序で分布している。
【0007】
本発明のコームポリマーは、濡れ剤及び分散剤として使用するために適しており、水媒体及び有機溶媒系の顔料分散体に向上した特性を提供する。コームポリマーは、低粘性、良好な保存安定性、並びに、コーティング組成物及び他の顔料組成物で用いられる異なるタイプのバインダとの幅広い適合性を有する顔料分散体をもたらす。フラットパネルディスプレイ用のカラーレジストの製造のための顔料分散体のために用いる場合には、改善した現像特性及び良好な再溶解性が観察される。このポリマーは、慎重な重合技術を用いる必要なく、容易に利用可能な原材料から容易に調製される。
【0008】
本発明のポリマーは、ポリマー骨格を含む。ポリマー骨格は、繰り返し単位を有する直鎖ポリマー又は分岐ポリマーである。好ましくは、ポリマー骨格は、実質的に又は全体的に、直鎖構造を有する。一般に、ポリマー骨格を形成するポリマーのタイプは、特に限定されず、当業者に既知のポリマータイプから選択してよい。適切なポリマータイプの例としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、並びに、重合性エチレン性不飽和モノマーのポリマー及びコポリマーが挙げられる。多種多様な、さらなる官能基を有する利用可能なエチレン性不飽和モノマーを考慮すると、そのようなモノマーのポリマー及びコポリマー(集合的に(コ)ポリマーとして言及される)が、ポリマー骨格として好ましい。適切なエチレン性不飽和モノマーの例は、ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニル芳香族化合物、例えばスチレン、アクリル酸及びメタクリル酸、並びにそれらのエステル及びアミド(集合的に(メタ)アクリレートとして言及される)である。適切なモノマーとしては、また、マレイン酸及びフマル酸、並びにそれらの誘導体、例えば無水物、エステル、アミド、及びイミドが挙げられる。
【0009】
好ましい実施態様では、ポリマー骨格が、ビニル芳香族炭化水素モノマーの重合された単位(重合単位)を含み、特にはスチレンを含む。
【0010】
さらに好ましくは、ポリマー骨格が、N-置換マレイミド(N-置換マレイン酸イミド)の重合単位を含む。特に好ましくは、側方側鎖(a)及び(b)が、N-置換マレイミドの重合単位の窒素原子を介して、ポリマーに連結している。
【0011】
本発明のポリマーでは、側方側鎖が、ポリマー骨格に連結している。一般に、側方側鎖は、ポリマー骨格に共有結合している。結果として得られる構造は、コームポリマー(くし形ポリマー)としても言及されうる。
【0012】
典型的には、2以上の側方側鎖が、ポリマー骨格に共有結合している。
【0013】
側方側鎖は、アルキルエーテル末端ポリアルキレンオキシド側鎖を含有する。
【0014】
このアルキルエーテルは、一般に、1~32の炭素原子を含有するアルキル基を有する。アルキル基は、直鎖又は分岐であってよい。アルキル基は、同様に、環状基を含有してよい。好ましい実施態様では、アルキル基が、1~8の炭素原子を有する。
【0015】
このポリアルキレンオキシド基は、一般に、88~5000g/molの範囲の数平均分子量を有する。好ましい実施態様では、132~4000g/mol、より好ましくは132~2000g/molである。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定できる。
【0016】
このポリアルキレンオキシド基は、アルキレンオキシドの重合された単位(重合単位)を含む。アルキレンオキシドは、好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びこれらの組み合わせから選択される。特に好ましくは、ポリアルキレンオキシド基が、エチレンオキシドの重合された単位(重合単位)を含み、又はエチレンオキシドの重合された単位(重合)からなる。ポリアルキレンオキシド側鎖が、1超のタイプのアルキレンオキシドの重合単位を有する場合には、そのような単位は、統計的に、グラジエントで、又はブロックで、配置されてよい。ポリアルキレンオキシド側鎖における重合されたアルキレンオキシド単位の数は、一般に、1~114の範囲であり、例えば、3~91、又は4~45である。
【0017】
1つの実施態様では、個々の側方鎖が、同一のタイプのアルキルエーテル末端ポリアルキレンオキシド基を有する。他の実施態様では、異なるタイプのそのような基を有する複数の側方鎖が存在してよい。
【0018】
アルキルエーテル末端ポリアルキレン基を含む側方側鎖は、一般に、連結基(リンカー基)を介して、ポリマー骨格に連結される。適切な連結基の例は、エステル基、アミド基、及びイミド基である。好ましい実施態様では、アルキルエーテル末端ポリアルキレンオキシド側鎖が、イミド基を介して、ポリマー骨格に連結している。
【0019】
本発明のコームポリマーは、さらに、第三級アミン官能性側方側鎖を有する。この第三級アミン官能性側鎖は、第三級アミン基を含む。一般に、これらの側鎖は、側鎖あたり、1つの第三級アミン基を含む。第三級アミン基は、アミン窒素に連結した直鎖、分岐、又は環状のアルキル基を有する。典型的な実施態様では、アルキル基が、アルキル基あたり、1~18の炭素原子、好ましくは1~8の炭素原子を有する。いくつかの実施態様では、アルキル基が、アミン窒素を有する環状構造を形成してよい。
【0020】
第三級アミン基を有する側方側鎖は、一般に、連結基(リンカー基)を介してポリマー骨格に連結している。適切な連結基の例は、エステル基、アミド基、及びイミド基である。好ましい実施態様では、第三級アミン官能性側方側鎖が、イミド基を介してポリマー骨格に連結している。
【0021】
本発明のコームポリマーにおける第三級アミン基の量は、一般に、コームポリマーが5~150mgKOH/gの範囲のアミン価を有するように、選択される。好ましくは、アミン価は、少なくとも10mgKOH/gであり、より好ましくは少なくとも15mgKOH/gである。好ましくは、コームポリマーのアミン価が、最大で120mgKOH/gであり、より好ましくは最大100mgKOH/gである。アミン価は、コームポリマーの非揮発分に関連する。非常に好ましい実施態様では、コームポリマーのアミン価が、15~100mgKOH/gの範囲である。
【0022】
アルキルエーテル末端ポリアルキレン基を有する側方側鎖(a)、及び第三級アミン基を有する側方側鎖(b)は、ランダムな順序で分布している。これが意味するのは、これらの側方側鎖(a)及び(b)が、特定の順序又は構造無し、でポリマー骨格に沿って位置していることであり、これは、ブロックコポリマーとは対照的であり、その場合には、特定の構造がコポリマーの特定可能な部分に存在し、他の部分には存在しない。
【0023】
本発明のコームポリマーでは、第三級アミン基が、少なくとも部分的に、少なくとも100g/molの分子量を有する酸によって中和されている。酸は、モノマー酸又はポリマー酸であってよい。酸がポリマーの場合には、分子量は、数平均分子量Mnに関係する。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって適切に決定できる。
【0024】
好ましい実施態様では、酸が、少なくとも150g/molの分子量を有する。一般に、酸は、2000g/mol以下、好ましくは1500g/mol以下の分子量を有する。いくつかの実施態様では、酸の分子量が、1000g/mol以下である。酸は、ポリマーの形態で存在してよいが、一般的には、膜形成バインダとしては適していない。酸の酸性基は、一般に、カルボン酸基、リンを含有する酸性基、及びスルホン酸基から選択される。リンを含有する酸基の例としては、ホスホン酸基、及び、リン酸のモノエステル及びジエステルが挙げられる。酸性基がリンを含有する実施態様では、酸が、好ましくは、250~2000g/molの範囲の分子量を有する。
【0025】
酸は、分子あたり1、2又はそれ以上の酸性基を含有してよい。好ましくは、分子が、分子あたり1又は2の酸性基を含有する。分子あたりの酸性基の数は、平均官能性として表現することもでき、すなわち、サンプル中における分子の数で割った、サンプル中における酸基の数である。好ましくは、この平均官能性が、分子あたり0.9~1.2の範囲の酸性基である。
【0026】
適切な酸の例は、脂肪酸、例えば、8~18炭素原子を有する脂肪酸である。現在のところ、非常に良好な結果が、スルホン酸でも得られており、特に、芳香族スルホン酸、例えば、パラトルエンスルホン酸で得られている。
【0027】
酸がポリマー酸である場合には、それは、適切には、ポリエーテル部分又はポリエステル部分を有する。
【0028】
ポリマー酸は、直鎖ポリマー又は分岐ポリマーであってよい。好ましくは、それは、本質的に直鎖のポリマーである。ポリマー酸は、1又は複数のタイプのモノマーに基づいてよい。いくつかの実施態様では、ポリマー酸が、エステル基を有する。ポリマー酸は、ポリエステルであってよく、例えば、ジカルボン酸、ジオール、及び随意にモノアルコール、モノカルボン酸、及びこれらの組み合わせ、に基づくポリエステルであってよい。分岐ポリエステルが所望される場合には、3以上のエステル形成官能基を有するエステル形成構成ブロックを含んでよい。代替的には、エステル基を含有するポリマーが、ラクトンの開環重合によって調製されてよい。適切なラクトンの例としては、イプシロン-カプロラクトン及びデルタ-バレロラクトンが挙げられる。
【0029】
さらなる実施態様では、ポリマー酸が、エーテル基を含有する。ポリマー酸は、ポリエーテルであってよく、例えば、環状エーテル基、例えばエポキシド及びオキセタン、の開環重合によって調製されたポリエーテルであってよい。適切なエポキシドの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリジシルエーテル、グリシジルエステル、及びこれらの混合物が挙げられる。適切なオキセタンとしては、無置換オキセタン又は置換オキセタン、例えば、トリメチロールプロパンオキセタンが挙げられる。ヒドロキシル官能性環状エーテルの重合は、分岐したポリエーテル構造をもたらしうる。
【0030】
さらなる実施態様では、ポリマー酸が、エステル基及びエーテル基を含有する。1つの実施態様では、ポリマー酸が、少なくとも1つのポリエーテルブロック及び少なくとも1つのポリエステルブロックを含有するブロックポリマーであってよい。代替的には、エステル基及びエーテル基が、ランダムに分布していてよい。
【0031】
酸性基は、公知の方法によってポリマーに導入されてよい。
【0032】
酸性のリン酸エステルは、1リン酸当量のエステル形成リン化合物を、1~2等量のヒドロキシル官能性ポリマーと反応させることによって、適切に調製される。
【0033】
1等量のモノヒドロキシル官能性ポリマーを、各リン酸当量のエステル形成リン化合物のために用いる場合には、モノエステルが形成される。2等量を用いる場合には、ジエステルが形成される。1~2の間の当量を用いる場合には、モノエステルとジエステルの混合物が形成される。
【0034】
本開示で用いられるとおり、用語「エステル形成リン化合物」は、ヒドロキシ化合物との反応によってリン酸エステルを形成できるリン化合物に言及していると理解される。例えば、オキシ塩化リン(塩化ホスホリル)、五酸化リン、ポリリン酸、及びアセチルリン酸を、エステル形成リン化合物として用いることができる。追加的な例が、ドイツ特許出願に係る番号DE-A2,726,854に示されている。五酸化リン及びポリリン酸が、好ましい。
【0035】
上記のエステル形成リン化合物とヒドロキシ化合物との反応は、好ましくは、溶媒無しで、約100℃までの温度で行われる。しかしながら、反応は、適切な不活性溶媒の存在下で行ってもよく、例えば、欧州特許出願に係るEP0193019Aに記載されているようにして行ってよい。
【0036】
カルボン酸基を有するポリマーは、ヒドロキシル官能性又は第1級若しくは第2級のアミン官能性のポリマーを、環状カルボン酸無水物と反応させることによって適切に調製される。適切な環状カルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、コハク酸無水物、及びフタル酸無水物が挙げられる。代替的には、ラクトンの開環重合をカルボン酸で開始してカルボン酸官能性ポリエステルを生成してもよい。
【0037】
スルホン酸基を有するポリマーは、アルキル基を有するポリマーを、二酸化硫黄及び酸素で、ラジカル形成剤の存在下で処理することによって、チオ官能性ポリマーの酸化によって、又はハロゲン化官能性ポリマーを硫酸ナトリウムで処理してその後に酸性化処理することによって、調製できる。
【0038】
一般に、コームポリマーの第3級アミン基の少なくとも5mol%が、少なくとも100g/molの分子量を有する酸によって中和されている。好ましい実施態様では、コームポリマーの第3級アミン基の少なくとも10mol%が、中和される。特に好ましくは15~100mol%の、最も好ましくは20~100mol%の第3級アミン基が、中和される。いくつかの実施態様では、第3級アミン基の中和のために用いられる酸の量が、第3級アミン基の100mol%を中和するための理論量よりも多くてよい。しかしながら、一般には、酸の量は、第3級アミン基を中和するために必要とされる理論量の5~130%の範囲である。
【0039】
第3級アミン基の中和は、コームポリマーを酸と組み合わせ、かつこれら2成分を混合することによって、適切に行ってよい。コームポリマー若しくは酸又はその両方は、1以上の有機溶媒中の溶液として適切に提供してよく、それによって、粘性を低減し、かつ取扱い性及び混合を促進する。中和及び塩形成は、組成物を、一定期間にわたって、周囲温度又は高温に保持することによって、促進されると考えられる。例示的な実施態様では、組成物を、混合の後で、20分間~24時間にわたって20~80℃の範囲の温度で保持することによって、塩形成を平衡させる。
【0040】
本発明のコームポリマーは、一般に、低い含有量の第4級アミン基を有し、又は、そのような基を全く有しない。典型的な実施態様では、ポリマー中のすべての窒素原子の0.0~4.0mol%、好ましくは0.0~0.5mol%が、第4級アンモニウム基として存在する。
【0041】
本発明のコームポリマーは、側方側鎖を取り付けるために適切な官能基を有するベースポリマーから適切に調製できる。好ましい実施態様では、ベースポリマーが、スチレンと無水マレイン酸のコポリマーである。そのようなコポリマーは、公知の方法によって調製でき、例えば、ラジカル重合プロセスによって調製できる。スチレン及び無水マレイン酸のコポリマーは、市販物としても利用可能である。
【0042】
側方側鎖基(a)は、スチレン無水マレイン酸ベースコポリマーに、このベースコポリマーを適切な修飾剤(a)と反応させることによって、連結できる。
【0043】
1つの実施態様では、修飾剤(a)が、ポリアルキレンオキシドモノアミンであり、これは、C1~C4アルコール開始ポリエーテルであり、これは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドから構成されており、かつ第1級アミノ基を有しており:エチレンオキシド単位の、プロピレンオキシド単位に対する重量比は、多くの場合、5:95~100:1であり、好ましくは、30:70~70:30である。ポリアルキレンオキシドモノアミンの数平均分子量は、典型的には、500g/mol~3000g/molである。
【0044】
さらなる実施態様では、修飾剤(a)が、モノヒドロキシ末端ポリエーテルである。これらは、例えば、単官能アルコール、例えばアルカノール、シクロアルカノール、フェノール、を、アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、脂肪族又は芳香族のグリシジルエーテル、例えば、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル及びフェニルグリシジルエーテル、でアルコキシル化することによって、調製できる。これらの原材料の混合物を用いてもよい。混合ポリエーテルの場合には、それらは、統計的に、段階的な形態(グラジエントで)で、又はブロックで配置されてよい。これらのポリエーテルは、多くの場合、約100~25,000、特には150~15,000、特に典型的には200~10,000g/molの範囲の、数平均分子量(Mn)を有する。エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はそれらの混合物に基づくポリエーテルが、好ましい。
【0045】
側方側鎖基(b)は、スチレン無水マレイン酸ベースコポリマーに、このベースコポリマーを適切な修飾剤(b)と反応させることによって、連結できる。
【0046】
適切な修飾剤(b)の例としては、第1級アミン基及び少なくとも1つの第3級アミン基を有するポリアミン化合物が挙げられる。適切なジアミンとしては、例えば、N,N-ジアルキルアミノアルキルアミンが挙げられる。好ましいジアミンは、N,N-ジメチルアミノプロピルアミンである。用いることができる他のアミンとしては、ジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)、ジメチルアミノブチルアミン(DMABA)、ジメチルアミノエチルアミン(DMAEA)、アミノプロピルモルホリン、及びジイソプロピルアミノプロピルアミン(DIAPA)が挙げられる。
【0047】
上記のとおり、本発明のコームポリマーは、色剤の濡れ剤及び/又は分散剤として非常に適している。
【0048】
したがって、本発明は、下記を有する組成物にさらに関する:
(A)本発明のコームポリマー
(B)少なくとも1つの色剤、及び
(C)少なくとも1つの希釈剤。
【0049】
適切な色剤としては、顔料、染料、及び不透明性提供フィラー、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0050】
適切な色剤の例は、国際特許出願PCT/EP2018/081346の第9ページ目30行目~第13ページ目16行目、JP6248838Bの第6ページ目32行目~第9ページ目の33行目に記載されている。さらに、顔料 赤-291、顔料 黄色-231、及び顔料 緑-62、顔料 緑-63、Raven 5000 Ultra2(ビルラ カーボンの製品)、Raven 5000 Ultra3(ビルラ カーボンの製品)、COLOUR BLACK FW 100(オリオン エンジニアード カーボンズの製品)、COLOUR BLACK FW 171(オリオン エンジニアード カーボンズの製品)、COLOUR BLACK FW 200(オリオン エンジニアード カーボンズの製品)、COLOUR BLACK FW 255(オリオン エンジニアード カーボンズの製品)、COLOUR BLACK FW 310(オリオン エンジニアード カーボンズの製品)、デンカブラック、及びバッテリー用途で用いられる他のカーボンブラック、単層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブが、非常に適切な色剤として言及されうる。
【0051】
本組成物は、少なくとも1つの希釈剤をさらに含有する。適切な希釈剤としては、水、有機液体、及びこれらの混合物が挙げられる。有機液体の例としては、有機溶媒が挙げられ、これは、典型的には、組成物の粘度を低減させる揮発性液体である。有機溶媒の例としては、ジアルキルケトン、アルカンカルボン酸及びアルカノールのアルキルエステルが挙げられ、特には、このような液体が、合計で6~8までの炭素原子を有する。特定の例としては、ジアルキルケトン及びシクロアルキルケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルn-アミルケトン及びシクロヘキサノン;アルキルエステル、例えば、メチルアセテート(酢酸メチル)、エチルアセテート(酢酸エチル)、イソプロピルアセテート(酢酸イソプロピル)、ブチルアセテート(酢酸ブチル)、ギ酸エチル、メチルプロピオネート(プロピオン酸メチル)、メトキシプロピルアセテート、及びエチルブチラート(酪酸エチル);グリコール並びにグリコールエステル及びグリコールエーテル、例えば、エチレングリコール、2-エトキシエタノール、3-メトキシプロピルプロパノール、3-エトキシプロピルプロパノール、2-ブトキシエチルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、3-エトキシプロピルアセテート、及び2-エトキシエチルアセテート;アルカノール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、及びイソブタノール、並びに、ジアルキル及び環状エーテル、例えば、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン、が挙げられる。
【0052】
さらなる実施態様では、溶媒が、脂肪族基、芳香族基、又はこれらの混合物を含む。例としては、非ハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、トルエン及びキシレン)、ハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン)、非ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、完全に及び部分的に飽和している、6以上の炭素原子を含有する直鎖及び分岐の脂肪族炭化水素)、ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、ジクロロメタン、カーボンテトラクロリド、クロロホルム、トリクロロエタン)及び天然の非極性有機物、例えば、植物オイル、ヒマワリ油、リンシード油、テルペン、及びグリセリドが挙げられる。
【0053】
有機液体のさらなる例としては、いわゆる反応性希釈剤が挙げられる。反応性希釈剤は、化学硬化反応に関与できる官能基を有する有機液体である。反応性希釈剤の例としては、1以上のエポキシ基を有するグリシジルエーテル及びグリシジルエステル、並びに、1以上の(メタ)アクリロイル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステルが挙げられる。
【0054】
所望される場合には、さらなる成分を、組成物中に含有させてよい。さらなる成分の例としては、膜形成バインダ、他の樹脂及びポリマー、反応性希釈剤及び溶媒、硬化触媒、並びにさらなる添加剤が挙げられる。さらなる成分の選択は、色を有する組成物の意図される使用に依存する。例示的な実施態様では、色を有する組成物が、インクジェットインク組成物として、自動車ベースコート組成物として、又はカラーフィルターのための組成物として配合され、特には、フラットパネルディスプレイのためのカラーフィルターとして配合される。
【0055】
コーティング組成物又はインクである組成物は、種々の適用分野で用いることができ、例えば、自動車コーティング、建造物コーティング、保護コーティング(例えば海洋又は橋のコーティング)、カン及びコイルのコーティング、木及び家具のコーティング、工業コーティング、プラスチックコーティング、ワイヤエナメル、食品及び種子のコーティング、又はレザーコーティング(天然レザー及び合成レザーの両方)で用いることができる。コーティング材料としては、ペースト材料が挙げられ、これは、典型的には、高含有量の固形分及び低含有量の液体成分を含んでおり、例えば、顔料ペースト又はエフェクト顔料ペースト(アルミニウム、銀、真鍮、亜鉛、銅、金青銅などの青銅、酸化鉄‐アルミニウムに基づく顔料を用いたもの)が挙げられ、エフェクト顔料の他の例は、干渉顔料及び真珠光沢顔料であり、例えば、金属酸化物‐マイカ顔料、酸化ビスマスクロリド又は塩基性炭酸鉛である。
【0056】
色を有する組成物をカラーフィルター組成物として配合する場合には、好ましくは、アルカリ可溶性樹脂を、組成物中に含有させる。適切なアルカリ可溶性樹脂の例が、国際特許出願PCT/EP2018/081346の第14ページ目20行目~第15ページ目21行目、及びJP6248838Bの第11ページ目の20行目~第13ページ目の6行目に記載されている。
【0057】
フラットパネルディスプレイのためのカラーフィルターのための組成物は、好ましくは、1以上のエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和成分も含有する。そのような成分の例は、国際特許出願PCT/EP2018/081346の第15行目23行目~16ページ目33行目に記載されている。
【0058】
好ましくは、組成物は、膜形成バインダ(D)をさらに含む。
【0059】
例としては、この膜形成バインダは、組成物の意図される使用に応じた任意の適切な有機ポリマーであってよい。膜形成バインダは、任意の適切な熱可塑性ポリマー及び任意の適切な架橋性ポリマーから選択できる。
【0060】
適切な熱可塑ポリマーの例は、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、スチレン性プラスチック(例えば、ABS、SEBS、SBS)、ポリエステル、ポリビニルエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリビニルクロリド、ポリオキシメチレン、ポリエチレン又はポリプロピレンである。
【0061】
本開示で定義される架橋性膜形成バインダは、少なくとも1つの架橋性官能基を有する。当業者に知られている任意の慣用的な架橋性官能基が、本記載において想定されうる。より特に適切な架橋性官能基としては、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボン酸基、及び不飽和炭素二重結合、イソシアナート、ポリイソシアナート、及び、エポキシド、例えば、グリシジルエーテル、が挙げられる。架橋性膜形成バインダは、発熱的に又は吸熱的に架橋性であり又は硬化性であってよい。架橋性膜形成バインダは、好ましくは-20℃~250℃の温度範囲において架橋性又は硬化性である。架橋性膜形成バインダは、好ましくは、エポキシド樹脂、ポリエステル(ポリエステルは不飽和であってよい)、ビニルエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリイソシアナート、及びメラミンホルムアルデヒド樹脂のうちの少なくとも1つから選択される。そのような膜形成バインダ及びその調製は、当業者に知られている。
【0062】
本発明は、さらに、本発明に係るコームポリマーの、固体粒子のための濡れ剤及び/又は分散剤としての使用に関する。
【0063】
好ましくは、上記のように、固体粒子は、顔料、染料、及びフィラーのうちの少なくとも1つを含む。
【0064】
本発明は、また、固体粒子を分散媒中に分散させる方法に関し、本発明のコームポリマーを、分散媒中に含有させる。この方法は、典型的には、固体粒子、本発明のコームポリマー、及び分散媒を、せん断力を適用しつつ、混合すること、を含む。
【実施例】
【0065】
原材料
SMA 1000:スチレン無水マレイン酸コポリマー(スチレン/無水マレイン酸のモル比=1/1)(Polyscope)
SMA 2000:スチレン無水マレイン酸コポリマー(スチレン/無水マレイン酸のモル比=2/1)(Polyscope)
SMA 3000:スチレン無水マレイン酸コポリマー(スチレン/無水マレイン酸のモル比=3/1)(Polyscope)
スチレン:(シグマアルドリッチ)
無水マレイン酸:(シグマアルドリッチ)
α-MSD:α-メチルスチレンダイマー(シグマアルドリッチ)
AMBN:2,2´-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(シグマアルドリッチ)
PMA:1-メトキシ-2‐プロピルアセテート(DOWケミカル)
PM:1-メトキシ2-プロピルアルコール(DOWケミカル)
Jeffamine M 2070:アミン末端EO/POポリエーテル(Huntsman)
Jeffamine M 2005:アミン末端EO/POポリエーテル(Huntsman)
DMAPA:N,N-ジメチルアミノプロピルアミン(Huntsman)
BzCl:ベンジルクロリド(シグマアルドリッチ)
BzBr:ベンジルブロミド(シグマアルドリッチ)
Lutensol AO11:C13-C15アルコキシル化ポリエチレングリコール(エチレンオキシド単位の数:11)(BASF)
MPEG-350:メトキシポリエチレングリコール(エチレンオキシド単位の数:8)(シグマアルドリッチ)
ε‐カプロラクトン:(シグマアルドリッチ)
δ‐バレロラクトン:(シグマアルドリッチ)
KOH:水酸化カリウム(シグマアルドリッチ)
DBSA:ドデシルベンゼンスルホン酸(シグマアルドリッチ)
Phosmer M:(2-メタクリロイルオキシ)エチルホスフェート(Uni-Chemical)、理論分子量=210.12g/mol
MAA メタクリル酸(シグマアルドリッチ)、理論分子量=86.06g/mol
PTSA p-トルエンスルホン酸、理論分子量=172.12g/mol
BA 安息香酸、理論分子量=122.12g/mol
【0066】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
DIN 55672-1:2007-08に従い、35℃で、高圧液体クロマトグラフィーポンプ(WATERS 600 HPLCポンプ)及び屈折率検出器(Waters 410)を用いて、数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mw並びに分子量分布を測定した。分離カラムとして、300mm×7.8mm ID/カラムのサイズ、5μmの粒径、並びに孔径HR4、HR2及びHR1を有するWaters製の3つのStyragelカラムの組み合わせを使用した。使用した溶離液は、1mL/分の溶出速度で、1体積%のジブチルアミンを含むテトラヒドロフランであった。慣用的な校正を、ポリスチレン標準を用いて行った。
【0067】
非揮発分(固形分)の測定
試料(1.0±0.2gの試験物質)を、予め乾燥させたアルミニウム皿に正確に秤量し、約2mlのエタノールを加えた。均質化した後、ニス乾燥キャビネット内において150℃で20分間乾燥し、デシケーター内で冷却した後、再度秤量する。残留物は、試料中の固形分に対応する(ISO 3251)。
【0068】
アミン価の測定
1.5~3.0gの試料を80mLのビーカーに正確に秤量し、50mLの酢酸で溶解した。pH電極を備えた自動滴定装置を用いて、この溶液を0.1mol/L HClO4酢酸溶液で中和-滴定した。滴定終点として滴定pH曲線の屈曲点を用い、次式によりアミン価を求めた。
アミン価[mg KOH/g]=(561×0.1×f×V)/(W×S)
(式中、f:滴定剤の係数、V:滴定終点での滴定量[mL]、W:試料の秤量量[g]、S:試料の固形分濃度[wt%])
【0069】
酸価の測定
1.5~3.0gの試料を80mLビーカーに正確に量り取り、50mLのエタノールで溶解した。pH電極を備えた自動滴定装置を用いて、この溶液を0.1mol/LエタノールKOH溶液で中和滴定した。滴定終点として滴定pH曲線の屈曲点を用い、次式によりアミン価を求めた。
酸価[mg KOH/g]=(561×0.1×f×V)/(W×S)
(式中、f:滴定剤の係数、V:滴定終点での滴定量[mL]、W:試料の秤量量[g]、S:試料の固形分濃度[wt%])
【0070】
全酸価の測定
1.5~3.0gの試料を80mLのビーカーに正確に秤量し、40mLのピリジン及び10mLの脱イオン水に溶解した。80mLビーカーを蓋に装着し、撹拌下、温調器中又は水浴中で、60分間にわたって、70℃で加熱した。冷却後、pH電極を備えた自動滴定装置を用いて0.1mol/L NaOH水溶液で溶液を中和滴定した。滴定終点として滴定pH曲線の屈曲点を用い、次式によりアミン価を求めた。
全酸価[mg KOH/g]=(561×0.1×f×V)/(W×S)
(式中、f:滴定剤の係数、V:滴定終点での滴定量[mL]、W:試料の秤量量[g]、S:試料の固形分濃度[wt%])
【0071】
スチレン-無水マレイン酸コポリマー(I-SMA 1000/I-SMA 1081)の合成
反応容器に51.4gのPMAを加え、攪拌しながら120℃まで加熱した。次いで、18.3gの無水マレイン酸、19.5gのスチレン、及び2.1gのAMBN、8.7gのPMAに溶解、を、反応容器に滴下した。120℃で1時間反応させた。冷却後、スチレン-無水マレイン酸コポリマー(I-SMA 1000)を得た。
【0072】
I-SMA 1000は、40%の固形分、及び211mg KOH/gの全酸価を有していた。
【0073】
スチレン-無水マレイン酸コポリマー(I-SMA 2000)の合成
3.7gのα-MSD及び37.9gのPMAを反応容器に加え、攪拌しながら130℃まで加熱した。次いで、14.8gの無水マレイン酸、26.9gのスチレン及び2.1gのAMBN、14.6gのPMAに溶解、を、反応容器に滴下した。130℃で1時間反応させた。冷却後、スチレン-無水マレイン酸コポリマー(I-SMA 2000)を得た。
【0074】
I-SMA 2000は、47.5%の固形分、及び150mg KOH/gの全酸価を有した。
【0075】
アミンコーム状コポリマーC-1の合成
39.5gのI-SMA 2000を反応容器に加え、攪拌しながら混合物を70℃まで加熱した。次いで、35.5gのJeffamine M 2070及び3.9gのDMAPAを反応容器に滴下した。170℃で4時間反応させた。PMAを反応中に留去した。
【0076】
アミンコーム状コポリマーC-2~C-8の合成
アミンコーム状コポリマーC-2~C-8の合成は、必要に応じて、異なる種類及び量の、側鎖に関連するモノマー、顔料親和性基、及び追加の溶媒を用いたことを除いて、アミンコーム状コポリマーC-1で用いたのと同じ手順を用いて、合成した(詳細は表1に記載されている)。
【0077】
アミンランダムコポリマーRC-1の合成
85.0gのPMAを反応容器に加えた。次に、撹拌中に52.8gのSMA 1000を加え、混合物を70℃まで加熱した。次いで、7.2gのDMAPAを反応容器に滴下した。170℃で4時間反応させた。PMAを反応中に留去した。
【0078】
第4級化コーム状コポリマーQC-1の合成
38.5gのコーム状コポリマーC-1、58.6gのPMA及び2.9gのベンジルクロリドを反応容器に加え、反応容器を120℃に加熱した。第4級化反応を、120℃で4時間にわたって行った。その後、第4級化コーム状コポリマーQC‐1を得た。
【0079】
第4級化コームコポリマーQC‐1は40%の固形分、及び、4mg KOH/gの、ポリマーのアミン価を有していた。
【0080】
第4級化コーム状コポリマーQC-2~QC-4の合成
第4級化コーム状コポリマーQC-2~QC-6を、異なるタイプ及び量の第4級化剤及び溶媒を用いたこと以外は、第4級化コーム状コポリマーQC-1に用いたのと同じ手順を用いて、合成した(詳細は表2に記載した)。
【0081】
水媒体コーム状コポリマーWC‐1の調製
50.0gのコーム状コポリマーC-1及び50.0gの脱イオン水を反応容器に加え、反応容器を撹拌しながら100℃で加熱した。混合物からのPMAと脱イオン水の蒸留を減圧下において100℃で6時間にわたって行った。60℃に冷却した後、50.0gの脱イオン水を反応容器に添加し、蒸留操作を数回行った。適切な量の脱イオン水を添加して固形分を調整した後、水媒体コーム状コポリマーWC-1を得た。
【0082】
水媒体コーム状コポリマーWC-1は、40%の固形分、及び36mg KOH/gのポリマーのアミン価を有していた。
【0083】
酸性ポリマーAP-1の合成
0.3gのKOH、77.5gのMPEG-350及び22.2gの無水コハク酸を反応容器に加え、反応容器を80℃まで加熱した。酸性ポリマーAP-1の合成を80℃で1時間行った。
【0084】
酸性ポリマーAP-1は、100%の固形分、124mg KOH/gのポリマーの酸価、及び450g/molの理論分子量を有していた。
【0085】
酸性ポリマーAP-2の合成
反応容器にLutensol AO11 86.0g、及び14.0gのPAAを加え、反応容器を80℃にまで加熱した。酸性ポリマーAP-2の合成を80℃で1時間行った。
【0086】
酸性ポリマーAP-2は、100%の固形分、186mg KOH/gのポリマーの酸価、及び772g/molの理論分子量を有していた。
【0087】
酸性ポリマーAP-3の合成
0.3gのKOH、77.9gのMPEG-350及び21.8gの無水マレイン酸を反応容器に加え、反応容器を80℃まで加熱した。酸性ポリマーAP-3の合成を80℃で1時間にわたって行った。
【0088】
酸性ポリマーAP-1は、100%の固形分、125mg KOH/gのポリマーの酸価、及び448g/molの理論分子量を有していた。
【0089】
酸性ポリマーAP-4の合成
0.1gのDBSA、43.7gのMPEG-350、27.4gのε-カプロラクトン及び16.1gのδ-バレロラクトンを反応容器に加え、反応容器を80℃まで加熱した。80℃で1時間反応させた。その後、12.4gの無水コハク酸及び0.3gのKOHを反応容器に加えた。酸性ポリマーAP-4の合成を80℃で1時間行った。
【0090】
酸性ポリマーAP-4は、100%の固形分、70mg KOH/gのポリマーの酸価、及び780g/molの理論分子量を有した。
【0091】
酸性ポリマーAP-5の合成
0.1gのDBSA、44.9gのMPEG-350、28.2gのε-caprolactone及び16.5gのδ-バレロラクトンを反応容器に加え、反応容器を80℃まで加熱した。80℃で1時間反応させた。その後、10.3gのPPAを反応容器に加えた。酸性ポリマーAP-5の合成を80℃で1時間行った。
【0092】
酸性ポリマーAP-5は、100%の固形分、137mg KOH/gのポリマーの酸価、及び875g/molの理論分子量を有していた。
【0093】
中和生成物S-1の合成
30.9gのアミンコーム状コポリマーC-1、9.2gの酸性ポリマーAP-1及び59.9gのPMAを反応容器に入れ、反応容器を80℃まで加熱した。中和反応を80℃で1時間行った。中和生成物S-1の実験結果を表4に記載した。
【0094】
中和生成物S-2~S-24の合成
中和生成物S-2~S-24は、異なるタイプのアミンコーム状コポリマー、酸性ポリマー及び成分、アミンの酸に対する異なるモル比、並びに異なる投与量の溶媒及び脱イオン水を用いたことを除いて、中和生成物S-1について用いたのと同じ手順を用いて合成した(詳細は表4に記載した)。
【0095】
アルカリ可溶性樹脂B1の合成
300gのPMAを反応容器に入れた。137gのBzMA、34gのメタクリル酸及び1.65gのAMBNを、120℃の温度で180分かけて計量した。計量終了後の反応時間は120分であった。次いで、PMAを用いて、固形分を35重量%に調整した(DIN EN ISO 3251:2008-06、150℃で20分間)。数平均分子量は7875g/molであった。
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
顔料組成物の調製
【0101】
カラーフィルター用途に使用される赤、緑及び青分散体の製造
PG-58: ファストゲン グリーン A110(DIC)
PR-254: Irgaphor Red BT-CF (BASF)
PB-15:6: ファストゲン ゲンブルーEP-193(DIC)
【0102】
カラーフィルター用途に用いられる分散体R-1の一般的な製造手順
表4に示す4.3gのアルカリ可溶性樹脂B1及び9.4gの分散剤S-1を140mlのガラス瓶に入れた。その後、ガラス瓶にPMA28.8gを加えて、アルカリ可溶性樹脂R1及び分散剤を溶解させた。次いで、7.5gのPR-254及び150gのジルコニアビーズ(直径:0.4~0.6mm)をガラス瓶に加えた。分散プロセスは、LAU-Disperser DAS 200中で30℃において5時間にわたって行った。5時間後、濃縮物を50mlのガラス瓶に濾過して、ジルコニアビーズを除去した。
【0103】
カラーフィルター用途に使用される分散体R-2~R-5 G-1~G8及びB-1~B-4の一般的な製造手順
分散体R-2~R6、G-1~G-9及びB-1~B-5を、分散体R-1の手順に従って調製した(詳細は表5に記載した)。
【0104】
【0105】
レジストインクの製造
BYK-330:シリコーン系添加剤(BYK-Chemie)
Aronix M305:ペンタエリスリトールトリアクリレート(TOA GOSEI)
オムニラッド369:旧名:Irgacure 369、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4´-モルホリノブチロフェノン(IGM Resins B.V.)
【0106】
レジストインクの処方(レシピ)は、以下のように記載される;
分散体 50.0g
2%のBYK-330 PMA溶液 1.0g
アルカリ可溶性樹脂B1 14.2g
Aronix M305 2.0g
オムニラッド369 1.0g
PMA 31.8g
合計 100.0g
【0107】
適用テスト結果
【0108】
赤、緑及び青分散体の粘度
BROOKFIELD VISCOMETER DV-II+(BROOKFIELD、粘度上限:1000mPa・s)を用いて、赤、緑及び青分散体の粘度を測定した。
【0109】
赤、緑及び青分散体の粒径:
赤、緑及び青分散体の粒径(メジアン径:D50)は、粒子径分析装置ELSZ-1000(大塚電子)を用いて測定した。
【0110】
現像特性
バーコーターNo.4(湿膜での厚さ9.16μm)を用いて、赤、緑、青のレジストインクをガラス板に塗布し、塗膜(コーティング)を80℃で3分間乾燥させた。乾燥した塗膜を0.05%KOH水溶液に徐々に浸漬した(間隔:10~60秒)。これらを洗浄した後、KimWipes(Kimberly Clark Corporation product)を用いて塗膜を拭き取り、以下に記載されるとおり、塗膜の外観を記録した;
1 (優れている):拭き取り後、塗膜が完全になくなった
2 (非常に良好):拭き取り後、塗膜が部分的に除去された
3 (良好):塗膜は除去されなかったが、拭き取り後に塗膜の表面はほとんど除去された
4 (不良):塗膜は除去されなかったが、拭き取り後に塗膜の表面が部分的に除去された
5 (劣悪):拭き取り後に塗膜の外観が変化しなかった
【0111】
PMAへの再溶解性
バーコーターNo.4(湿膜での厚さ厚さ9.16μm)を用いて、赤、緑、青のレジストインクをガラス板に塗布し、塗膜を80℃で3分間乾燥させた。塗膜上にPMAの液滴を1滴置き、キムワイプを用いて直ちに拭き取った。拭き取り後の塗膜の外観を、以下のとおり記録した;
1 (優れた):拭き取り後、微量のPMA液滴中の塗膜は、完全に除去された
2 (非常に良好):拭き取り後、微量のPMA液滴中の塗膜は、部分的に除去された
3 (良好):拭き取り後、微量のPMA中の塗膜は除去されなかったが、塗膜の表面はほとんど除去された
4 (不良):拭き取り後、微量のPMA中の塗膜除去されなかったが、塗膜の表面が部分的に除去された
5 (劣悪):拭き取り後、塗膜の外観が変化しなかった
【0112】
実施例1~10:赤(R)、緑(G)及び青(B)の分散体の粘度及び粒径、並びに赤(R)、緑(G)及び青(B)のレジストインクの現像特性及びPMAにおける再溶解性
赤、緑及び青分散体の粘度(20℃でのmPa・s、回転数:60rpm)及び粒径(D50)、並びに赤、緑及び青レジストインクの現像特性及びPMAへの再溶解性を、表6に記載した。
【0113】
【0114】
比較例C-1~C-7:赤(R)、緑(G)及び青(B)分散体の粘度及び粒径、並びに赤、緑及び青レジストインクの現像特性及びPMAにおける再溶解性;
【0115】
赤、緑及び青分散体の粘度(20 ℃でのmPa・s、回転数:60rpm)及び粒径(D50)を表8に記載し、赤、緑及び青レジストインクの現像特性及びPMAへの再溶解性を表7に記載した。
【0116】
【0117】
表6及び7の結果によれば、アミンコームコポリマーと酸性ポリマーとの間の中和生成物を含む赤、緑及び青分散体は、優れた分散性及び貯蔵安定性を示した(実施例1~10)。さらに、これらの分散体を含む赤、緑及び青レジストインクも、優れた現像特性及びPMAへの再溶解性を示した。
【0118】
しかしながら、アミンコーム状コポリマーと低分子量の酸性成分との間の中和物を含む緑分散体(比較例C-3、C-4)は、貯蔵安定性が劣っており、それらのレジストインクは、劣った現像特性及びPMAへの再溶解性を示した。
【0119】
アミン(非コーム型)コポリマーと酸性ポリマー又は低分子量の酸性成分との中和物を含む赤分散体(比較例C-1)は、劣った分散性を示した。
【0120】
アミンコーム状コポリマー(比較例C‐6)及び第4級化コーム状コポリマー(比較例C‐5)を含む緑分散体は、劣った分散性を示した。
【0121】
第4級化コーム状コポリマーを含有する赤及び青分散体(比較例C-2及びC-7)は、比較的良好な分散性及び貯蔵安定性を示したが、それらのレジストインクは、PMA中での劣った再溶解性を示した。
【0122】
溶媒系漆黒コーティングに使用されるカーボンブラック分散体の製造
Raven U3: Raven 5000 Ultra 3(ビルラ カーボン)
PMA: 1-メトキシ-2-プロピルアセテート(DOW Chemicals)
【0123】
溶媒系カーボンブラック分散体Bk-1の一般的な製造手順
9.7gの分散剤S-1を140mlのガラス瓶に入れた。その後、36.0gのPMAをガラス瓶に加えて、分散剤をPMAに溶解させた。次いで、4.3gのRaven 5000 Ultra 3(Raven U3)及び150gのジルコニアビーズ(直径:0.4~0.6mm)をガラス瓶に加えた。分散プロセスは、LAU-Disperser DAS 200において、30℃で10時間にわたって行った。10時間後、濃縮物を50mlのガラス瓶に濾過して、ジルコニアビーズを除去した。
【0124】
カーボンブラック溶媒系分散体Bk-2~Bk-6の一般的な製造手順
溶媒系分散体Bk-2~Bk-6は、分散体Bk-1手順に従った(詳細は表8に記載されている)。
【0125】
【0126】
実施例11-13:溶媒系カーボンブラック分散体Bk-1、Bk-3及びBk-4の粘度及び粒径
溶媒系カーボンブラック分散体Bk-1、Bk-2及びBk-4の粘度(20℃でのmPa・s、回転数: 60rpm)及び粒径(D50)を、表9に記載した。
【0127】
【0128】
比較例8-10:溶媒系カーボンブラック分散体Bk-2、Bk-5及びBk-6の粘度及び粒径
溶媒系カーボンブラック分散体Bk-2、Bk-5及びBk-6の粘度(20℃でのmPa・s、回転数:60rpm)及び粒径(D50)を表10に記載した。
【0129】
【0130】
表9及び10の結果によれば、アミン状コームコポリマーと酸性ポリマーとの間の中和物を含む溶媒系黒色分散体は、輸送乗り物用コーティングに用いた溶媒系カーボンブラック分散体として有望な結果を示した(実施例11~13)。
【0131】
一方、アミン状コームコポリマーと低分子量の酸性成分との間の中和物を含む黒色分散体(比較例C-8)と、第4級化コーム状コポリマーを含む黒色分散体(比較例C-9)は、劣った貯蔵安定性を示した。また、アミンコーム状コポリマーを含む黒色分散体(比較例C-10)は、劣った分散性を示した。
【0132】
水媒体青コーティングに使用される青分散体の製造
G314: Cyanine Blue G-314(SANYO COLOR)
BYK-011: ポリマー系消泡剤(BYK-Chemie)
DYN 800N: BYK-DYNWET 800N、濡れ剤(BYK-Chemie)
【0133】
水媒体青分散体Bl-1の一般的な製造手順
31.4gの脱イオン水、0.3gのBYK-011及び0.80gのBYK-DYNWET 800Nを140mlのガラス瓶に入れた。その後、7.50gの分散剤S-15をガラス瓶に加えて、分散剤を脱イオン水に溶解させた。次いで、10.00gのCyanine Blue G-314及び150gのジルコニアビーズ(直径:0.4~0.6mm)をガラス瓶に加えた。分散プロセスは、LAU-Disperser DAS 200において、30℃で8時間にわたって実施した。粉砕後、濃縮物を50mlのガラス瓶に濾過して、ジルコニアビーズを除去した。
【0134】
水媒体青分散体Bl-2~Bl-4の一般的な製造手順
水媒体青分散体Bl-2~Bl-4は、分散体Bl-1手順に従った(詳細は表11に記載されている)。
【0135】
【0136】
実施例14-15:水媒体青分散体Bl-1~Bl-2の粘度及び粒径
水媒体青分散体Bl-1~Bl-2の粘度(20℃でのmPa・s、回転数:60rpm)及び粒径(D50)を表12に記載した。
【0137】
【0138】
比較例11-12:水媒体青分散体Bl-3~Bl-4の粘度及び粒径
水媒体青分散Bl-3~Bl-4の粘度(20℃でのmPa・s、回転数:60rpm)及び粒径(D50)を表13に記載した。
【0139】
【0140】
表12及び13の結果によれば、アミンコーム状コポリマーと酸性ポリマーとの間の中和生成物を含む水媒体青分散体は、輸送乗り物用のコーティングに使用された水媒体青分散体として有望な結果を示した(実施例14~15)。
【0141】
一方、アミンコーム状コポリマーと低分子酸性成分との間の中和物を含む青分散体(比較例C-11)は、劣った貯蔵安定性を示した。また、アミンコーム状コポリマーを含む青分散体(比較例C-12)は、劣った分散性を示した。
【0142】
電池用途に使用される黒色分散体の製造
デンカブラック:デンカ ブラック(粒状)(デンカ)
BYK-017:ポリマータイプの消泡剤(BYK-Chemie)
【0143】
水媒体黒色分散体WBk-1の一般的な製造手順
15.2gの脱イオン水、0.1gのBYK-017を70mlのガラス瓶に入れた。その後、0.70gの分散剤S-15をガラス瓶に加えて、分散剤を脱イオン水に溶解させた。次いで、4.0gのデンカブラックと60gのジルコニアビーズ(直径:2.0mm)をガラス瓶に加えた。分散プロセスは、LAU-Disperser DAS 200中、30℃で3時間にわたって行った。粉砕後、濃縮物を50mlのガラス瓶に濾過して、ジルコニアビーズを除去した。
【0144】
水媒体黒色分散体WBk-2~WBk-4の一般的な製造手順
水媒体黒色分散体WBk-2~WBk-4は、分散体WBk-1手順に従った(詳細は表14に記載されている)。
【0145】
【0146】
実施例16-17:水媒体黒色分散体WBk-1~WBk-2の粘度及び粒径
水媒体黒色分散体WBk-1~WBk-2の粘度(20℃でのmPa・s、回転数:60rpm及び6rpm)及び粒径(D50)を表15に記載した。
【0147】
【0148】
比較例13-14:水媒体黒分散体WBk-3~WBk-4の粘度及び粒径
水媒体黒色分散体WBk-3~WBk-4の粘度(20℃でのmPa・s、回転数:60rpm及び6rpm)及び粒径(D50)を表16に記載した。
【0149】
【0150】
表15及び16の結果によれば、アミンコーム状コポリマーと酸性ポリマーとの間の中和生成物を含む水媒体黒色分散体は、リチウムイオン電池に使用された水媒体黒色分散体として有望な結果を示した(実施例16~17)。
【0151】
一方、アミンコーム状コポリマーと低分子酸性成分との中和物を含む黒分散体(比較例C-13)は、チキソトロピー現象を示した。また、コーム状コポリマーを含む黒分散体(比較例C-14)は、劣った分散性及び粘度を示した。
【0152】
溶媒系青コーティングに使用される青分散体の製造
Heliogen Blue L7110F ベータフタロシアニンブルー有機顔料(BASF)
エタノール
酢酸エチル
【0153】
溶媒系青分散体SB-1の一般的な製造手順
29.4gのエタノール/酢酸エチルの9:1混合物を100mlのガラス瓶に入れ、5.6gの分散剤S-17を加えた。次いで、15.0gのHeliogen Blue L7110F及び50gのジルコニアビーズ(直径1.0~1.3mm)をガラス瓶に加えた。分散プロセスは、LAU-Disperser DAS 200中で60分間にわたって行った。
【0154】
溶媒系青分散体SB-2~SB-11の一般的な製造手順
溶媒系青分散体SB-2~SB-11は、分散体SB-1手順に従った(詳細は表17に記載されている)。
【0155】
【0156】
実施例18-24:溶媒系青分散体SB-1~SB-7の粘度及び粒径
溶媒系青分散体SB-1~SB-7の粘度を表18に記載した。
【0157】
【0158】
比較例15-18:溶媒系青分散体SB-8~SB-11の粘度及び粒径
溶媒系青分散体SB-8~SB-11の粘度及び粒径、粘度及び粒径表19に記載した。
【0159】
【0160】
表18及び19の結果によれば、アミンコーム状コポリマーと酸性ポリマーとの間の中和生成物を含む溶媒系青分散体は、印刷インクに使用された溶媒系青分散体として有望な結果を示した(実施例18~25)。
【0161】
一方、アミンコームコポリマーと低分子量の酸性成分との中和物を含む青分散体(比較例C-15)は、比較的高い粘度を示した。また、アミンコームコポリマーを含む青分散体(比較例C-16-18)は、比較的劣った分散性を示した。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー骨格
であってビニル芳香族炭化水素モノマーの重合された単位を有するポリマー骨格、及びこのポリマー骨格に連結された側方側鎖を有するコームコポリマーであって、前記側方側鎖が、
(a)アルキルエーテル末端ポリアルキレンオキシド側鎖、及び、
(b)第3級アミン官能性側鎖であって、第3級アミン基が少なくとも部分的に100g/mol~2000g/molの範囲の分子量を有する酸によって中和されており、
ポリマー酸の場合には、前記酸がポリエーテル部分又はポリエステル部分を含み、かつ前記分子量は
校正のためのポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される数平均分子量Mnに関連する、第3級アミン官能性側鎖
を含み、
前記側方側鎖(a)及び(b)が、ランダムな順序で分布している、
コームポリマー。
【請求項2】
前記酸が、150~2000g/molの範囲の分子量を有し、前記分子量は、ポリマー酸の場合には、数平均分子量Mnに関係する、請求項1に記載のコームポリマー。
【請求項3】
前記酸が、カルボン酸基、リン酸基、及びスルホン酸基のうちの少なくとも1つを含む酸基を含む、請求項1又は2に記載のコームポリマー。
【請求項4】
前記第3級アミン基の少なくとも5mol%が、100g/mol~2000g/molの範囲の分子量を有する酸によって中和されており、
ポリマー酸の場合には、前記酸が、ポリエーテル部分又はポリエステル部分を含み、かつ前記分子量は、
校正のためのポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される数平均分子量Mnに関連する、請求項1~
3のいずれか一項に記載のコームポリマー。
【請求項5】
前記アルキルエーテル末端ポリアルキレンオキシド側鎖が、イミド基を介して前記ポリマー骨格に連結されている、請求項1~
4のいずれか一項に記載のコームポリマー。
【請求項6】
前記アミン官能性側鎖が、イミド基を介して前記ポリマー骨格に連結されている、請求項1~
5のいずれか一項に記載のコームポリマー。
【請求項7】
前記ポリマー骨格が、N-置換マレイミドの重合された単位を有する、請求項1~
6のいずれか一項に記載のコームポリマー。
【請求項8】
前記ポリマーのアミン価が、5~150mgKOH/gの範囲である、請求項1~
7のいずれか一項に記載のコームポリマー。
【請求項9】
(A)請求項1~
8のいずれか一項に記載のコームポリマー
(B)少なくとも1つの色剤、及び
(C)少なくとも1つの希釈剤、
を含有する、組成物。
【請求項10】
前記組成物が、膜形成バインダ(D)をさらに含有する、請求項
9に記載の組成物。
【請求項11】
固体粒子のための濡れ剤及び/又は分散剤としての、請求項1~
8のいずれか一項に記載のコームポリマーの使用。
【請求項12】
前記固体粒子が、顔料、染料、及びフィラーのうちの少なくとも1つを含む、請求項
11に記載の使用。
【請求項13】
固体粒子を液体分散媒中に分散させる方法であって、請求項1~
8のいずれか一項に記載のコームポリマーが、前記分散媒中に存在する、方法。
【国際調査報告】