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特表2024-516805トルク伝達装置の接触点を決定するための方法
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  • 特表-トルク伝達装置の接触点を決定するための方法 図1
  • 特表-トルク伝達装置の接触点を決定するための方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】トルク伝達装置の接触点を決定するための方法
(51)【国際特許分類】
   F16D 48/02 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
F16D48/02 640A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564510
(86)(22)【出願日】2022-04-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 DE2022100252
(87)【国際公開番号】W WO2022223071
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】102021110231.6
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エアハート ホドルス
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン エーバーレ
【テーマコード(参考)】
3J057
【Fターム(参考)】
3J057AA03
3J057BB03
3J057FF11
3J057GB22
3J057GC04
3J057GD01
3J057GD20
3J057GE01
3J057HH01
3J057JJ01
3J057JJ02
(57)【要約】
本発明は、トルク伝達装置(10)の接触点を決定するための方法であって、トルク伝達装置(10)は、油圧作動装置(18)に接続された作動要素(20)の作動状態に依存する伝達トルクを伝達するように構成されており、最大の伝達可能な伝達トルクを少なくとも特徴付ける伝達パラメータと、作動状態の作動パラメータとの間の関係を示すトルク伝達特性曲線(50、52)を有する方法において、検出時点から開始して、接触点は、作動要素(20)を充填して作動要素(20)内に流体圧(p)を引き起こす流体量(V)を作動パラメータとして採用し、トルク伝達特性曲線(50、52)が流体量(V)に応じて検出され、接触点がトルク伝達特性曲線(50、52)に応じて計算されることによって決定されることを特徴とする、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルク伝達装置(10)の接触点を決定するための方法であって、前記トルク伝達装置(10)は、油圧作動装置(18)に接続された作動要素(20)の作動状態に依存する伝達トルクを伝達するように構成されており、最大の伝達可能な前記伝達トルクを少なくとも特徴付ける伝達パラメータと、前記作動状態の作動パラメータとの間の関係を示すトルク伝達特性曲線(50、52)を有する、方法において、
検出時点から開始して、前記接触点は、前記作動要素(20)を充填して前記作動要素(20)内で流体圧(p)を引き起こす流体量(V)を作動パラメータとして採用し、前記トルク伝達特性曲線(50、52)が前記流体量(V)に応じて検出され、前記接触点が前記トルク伝達特性曲線(50、52)に応じて計算されることによって決定されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記流体量(V)は、ポンプ装置(24)によって供給され、前記ポンプ装置(24)のポンプ回転数に依存することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記作動パラメータは、ポンプ回転数に応じて検出されていることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出時点以降および前記接触点を決定している継続時間の間に、前記ポンプ装置(24)から供給された前記流体量(V)は、前記作動要素(20)にのみ伝達されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記トルク伝達装置(10)は、前記検出時点において開放されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記接触点を決定している間に、前記流体量(V)は、前記検出時点から開始して少なくともカットオフ点(62)まで恒常的に増加することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記カットオフ点(62)は、搬送された流体量に相当し、前記流体量において前記流体圧(p)が第1の圧力値を取ったことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記作動要素(20)に印加される前記流体圧(p)は、伝達パラメータとして採用されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記接触点は、前記トルク伝達特性曲線(50、52)上にある接触点位置(54)であり、前記接触点位置(54)は、少なくとも1つの第1の傾きを持つ第1の特性曲線部分(56)と、前記第1の傾きより大きい、少なくとも1つの第2の傾きを持つ第2の特性曲線部分(58)との間の移行部にあることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記トルク伝達特性曲線(50、52)は、測定データ点(60)によって形成され、前記第1の特性曲線部分(56)は、前記第1の特性曲線部分(56)に割り当てられた前記測定データ点(60)の第1の回帰であり、前記第2の特性曲線部分(58)は、前記第2の特性曲線部分(58)に割り当てられた前記測定データ点(60)の第2の回帰であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トルク伝達装置は、例えば、独国特許出願公開第102019130158号明細書に記載されている。トルク伝達装置は、デュアルクラッチとして実施されており、第1のクラッチおよび第2のクラッチを有し、それらのクラッチはそれぞれ、流体圧によって作動可能であり、それぞれ流体ラインを経由して、流体圧を供給するポンプ装置と油圧により油圧接続されている。それぞれのクラッチの作動制御は、個々のクラッチに割り当てられたクラッチ弁によって行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、トルク伝達装置の接触点を、可能な限り正確かつ容易に検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本課題のうちの少なくとも1つは、請求項1のすべての特徴を有する方法によって解決される。それにより、トルク伝達装置の接触点を、より正確かつ簡単に検出することができる。接触点決定に対する環境の影響を、より良好に調整かつ顧慮することができる。例えば、トルク伝達装置が作動中の液漏れおよび温度の影響を顧慮することができる。
【0005】
トルク伝達装置の接触点として、特に、作動装置の作動状態が把握され、その作動状態において、トルク伝達装置は、開放された状態から出発して、例えば、5Nmの伝達トルクといった伝達トルクを伝達できるようになり始める。
【0006】
トルク伝達装置は、車両内に配置され得る。車両は、電気車両であり得る。
【0007】
トルク伝達装置は、クラッチとして実施され得る。クラッチは、駆動要素、例えば、内燃機関および/または電気モータのトルクを、作動装置の作動状態に応じて、従動要素、例えば、変速機に伝達することができる。クラッチは、第1のクラッチとして実施され、それに追加して、第2のクラッチが配置され得る。第1のクラッチおよび第2のクラッチは、デュアルクラッチに割り当てることができる。デュアルクラッチは、負荷切換変速機の前側に取り付けることができる。
【0008】
トルク伝達装置は、ブレーキとして実施され得る。伝達トルクは、ブレーキのブレーキトルクであり得る。ブレーキは、作動装置の作動状態に応じて、駆動要素および/または従動要素のトルクを、固定された参照要素で支持することができる。参照要素は、ハウジング、特に変速機ハウジングであり得る。
【0009】
検出時点は、車両が停止または作動しているとき、特に走行しているときに存在し得る。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、流体量がポンプ装置によって供給され、ポンプ装置のポンプ回転数に依存する場合に有利である。流体量とポンプ回転とは、相互に温度依存性である。流体の温度が上昇するほど、同時に搬送される流体量に対して必要なポンプ回転は低下する。ポンプ装置は、電動駆動式ポンプを有してもよい。ポンプは、ギアポンプであり得る。ポンプは、電気モータによって駆動することができる。
【0011】
本発明の特有の実施形態では、ポンプ回転数に応じて作動パラメータが検出される場合に有利である。ポンプ回転数は、測定されてもよい。ポンプ装置が電気モータによって作動する場合、ポンプ回転は、電気モータのモータ回転に依存する。
【0012】
本発明の特有の実施形態では、検出時点以降および接触点を決定している継続時間の間に、ポンプ装置から供給された流体量が作動要素にのみ伝達される場合に有利である。それにより、伝達パラメータを、流体量に一意的に割り当てることができる。
【0013】
本発明の特有の実施形態では、トルク伝達装置が検出時点において開放されている場合に有利である。作動装置は、流体量に基づいて空であり得る。トルク伝達装置が開放されていると、伝達トルクの伝達が中断される。
【0014】
本発明の有利な実施形態では、接触点を決定している間に、流体量は、検出時点から開始して少なくともカットオフ点まで恒常的に増加することが企図されている。流体量を増加させる流体流量は、好ましくは、検出時点から既に開始してカットオフ点まで、少なくとも部分ごとに、好ましくは、接触点を決定している間に継続して、恒常的に減少させることができる。それにより、作動要素内の流体圧の圧力ピークを低下させることができる。また、圧力増加時のヒステリシス効果を、より良好に顧慮することができる。
【0015】
流体量は、検出時点から開始して、第1の流体流量と共に増加し、接触点を決定している間のさらなる変化の中で、第2の流体流量が低下することがある。好ましくは、ポンプ装置のポンプ回転数は、好ましくは、検出時点から開始して少なくとも一時的に、または接触点決定の全継続時間中に恒常的に低下する。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、カットオフ点は、搬送された流体量に相当し、この流体量において流体圧が第1の圧力値を取ったときに有利である。カットオフ点は、特に、搬送された流体量に基づいて、接触点前に偏差があり得る。それにより、流体圧の行き過ぎ量を低下させることができる。偏差は、温度に依存し、かつ/または事前に確定することができる。偏差は、前述の測定によって確定することができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、作動要素に印加される流体圧を伝達パラメータとして採用する場合に有利である。伝達トルクもまた、伝達パラメータとして採用することができる。例えば、伝達トルクは、トルクが印加されているとき、トルク伝達装置で検出することができる。
【0018】
本発明の特有の実施形態では、接触点は、トルク伝達特性曲線上にある接触点位置であり、接触点位置は、少なくとも1つの第1の傾きを持つ第1の特性曲線部分と、第1の傾きより大きい、少なくとも1つの第2の傾きを持つ第2の特性曲線部分との間の移行部にある場合に有利である。第1の特性曲線部分は、一定の第1の傾きを有してもよい。第2の特性曲線部分は、一定の第2の傾きを有してもよい。第1の特性曲線部分および/または第2の特性曲線部分はまた、非線形的な経過を有してもよい。2つの特性曲線部分のうちの少なくとも一方は、直線であることを特徴としてもよい。接触点位置は、第1の特性曲線部分を特徴付ける線形または非線形の経過と、第2の特性曲線部分を特徴付ける線形の経過との間の交差位置であり得る。第1の特性曲線部分の線形の経過は、第1の傾きを有してもよい。第2の特性曲線部分の線形の経過は、第2の傾きを有してもよい。
【0019】
本発明の特有の実施形態では、トルク伝達特性曲線は、測定データ点によって形成され、第1の特性曲線部分は、第1の特性曲線部分に割り当てられた測定データ点の第1の回帰であり、第2の特性曲線部分は、第2の特性曲線部分に割り当てられた測定データ点の第2の回帰であることが企図されている。回帰は、測定データ点と、その測定データ点に関連する近似した経過との間の二乗誤差を低減する目的で実行され得る。
【0020】
本発明のさらなる利点および有利な実施形態は、図面説明と図面から明らかになる。
【0021】
本発明は、以下で図を参照して詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の特有の実施形態のトルク伝達装置を作動させるための油圧作動装置の図である。
図2】本発明の特有の実施形態のトルク伝達装置のトルク伝達特性曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の特有の実施形態のトルク伝達装置10を作動させるための油圧作動装置18を示す。トルク伝達装置10は、第1のクラッチ12および第2のクラッチ14を含み、それらのクラッチはそれぞれ、1つの伝達トルクを伝達することができる。伝達トルクは、駆動要素、例えば、内燃機関および/または電気モータの駆動トルクであり得、トルク伝達装置10を介して従動要素、例えば、変速機、好ましくは、負荷切換変速機に伝達され得る。
【0024】
第1のクラッチ12および第2のクラッチ14は、好ましくは、デュアルクラッチ16に割り当てられており、変速機は、好ましくは、デュアルクラッチ変速機である。変速機は、少なくとも2つの伝達段を有することができる。駆動要素としての電気モータの場合はまた、それにより、変速機の大きな従動回転数域を通じて駆動効率の拡大を達成することができる。
【0025】
トルク伝達装置10は、作動装置18に接続されており、作動装置18は、第1のクラッチ12を作動させるための第1の作動要素20と、第2のクラッチ14を作動させるための第2の作動要素22と、を有する。第1のクラッチ12を介して伝達可能な伝達トルクは、第1の作動要素20の作動状態に依存する。第2のクラッチ14を介して伝達可能な伝達トルクは、第2の作動要素22の作動状態に依存する。第1の作動要素20および第2の作動要素22は、相互に独立して作動可能であり、油圧作動装置18に割り当てられており、油圧作動装置18は、流体圧および流体流量をポンプ装置24によって供給する。
【0026】
ポンプ装置24は、流体フィルタ28を経由して流体蓄蔵器26に接続され、システム圧分岐30を経由して、第1の作動要素20に油圧接続されている第1のクラッチ分岐32と接続され、第2の作動要素22に油圧接続されている第2のクラッチ分岐34に接続されている。第1のクラッチ12の作動状態は、第1のクラッチ分岐32内の流体圧に依存し、第2のクラッチ14の作動状態は、第2のクラッチ分岐34内の流体圧に依存する。
【0027】
システム圧分岐30は、第1の逆止弁36および第1のクラッチ弁38を経由して第1のクラッチ分岐32に接続され、第2の逆止弁40および第2のクラッチ弁42を経由して第2のクラッチ分岐34に接続されている。システム圧弁44により、システム圧分岐30の流体蓄蔵器26との還流接続によるシステム圧の制御が可能になる。
【0028】
ポンプ装置24は、電気モータ46によって作動し、好ましくは、この電気モータ46に相対回転不能に接続されている。電気モータ46の回転数は、その際、ポンプ装置24の回転数と連動している。その際、電気モータ46の回転数が既知の場合、ポンプ装置24の回転数についての知見も存在する。ポンプ装置24の作動によって、システム圧が上昇し、第1のクラッチ弁38の制御によってもまた第1のクラッチ分岐32内の流体圧、ひいては、第1の作動要素20での流体圧も上昇し、それに伴って、伝達トルクを伝達するための第1のクラッチ12を作動させることができる。第2のクラッチ弁42の制御によって、第2のクラッチ分岐34内の流体圧、ひいては第2の作動要素22での流体圧が上昇し、それに伴って、伝達トルクを伝達するための第2のクラッチ14を作動させることができる。
【0029】
第1のクラッチ12を介して伝達トルクを可能な限り正確かつ省エネに優れて伝達可能にするためには、第1のクラッチ12の接触点についての知見が必要である。接触点は、第1のクラッチを介した最大の伝達可能な伝達トルクを少なくとも特徴付ける伝達パラメータと、作動状態の作動パラメータとの間の関係を示す、第1のクラッチ12のトルク伝達特性曲線を用いて規定される。伝達パラメータは、第1のクラッチ分岐32内の流体圧または第1のクラッチ12の伝達トルクであり得る。トルク伝達特性曲線は、複数の測定データ点によって決定され、次に、接触点は、トルク伝達特性曲線からの回帰によって計算される。
【0030】
第1のクラッチ12の接触点を決定するための方法は、例えば、検出時点から開始し、この検出時点においては、第1のクラッチ12が開放されており、第1のクラッチ12を介した伝達トルクが遮断されている。システム圧弁44は、閉鎖されるか、または閉鎖されたままであり、第2のクラッチ弁42は、閉鎖されるか、または閉鎖されたままである。それにより、ポンプ装置24から供給された流体圧は、第1のクラッチ分岐32にのみ導かれる。
【0031】
作動パラメータとして、第1の作動要素20を充填し、その中にポンプ装置24の流体圧を引き起こす流体量が採用される。検出時点において、第1のクラッチ分岐は、好ましくは、空になっており、ポンプ装置24は、流体量のシステム圧分岐30内への搬送と、閉鎖されたシステム圧弁44および閉鎖された第2のクラッチ弁42による第1のクラッチ分岐32への搬送と、を開始する。第1のクラッチ分岐32内で圧力センサ48によって測定された流体圧と、割り当てられた流体量とがそれぞれ、測定された測定データ点として記録され、トルク伝達特性曲線の回帰のために利用される。
【0032】
システム圧分岐30内、ひいては第1のクラッチ分岐32内で恒常的に増加する流体量は、ポンプ装置24のポンプ回転数および電気モータ46のモータ回転数の検出時点に依存する。流体量は、好ましくは、ポンプ回転数またはモータ回転数によって検出され、例えば、搬送された流体量に相応するカットオフ点まで上昇し、カットオフ点では、第1の作動要素20内の流体圧が第1の圧力値を取ったか、または超過した。
【0033】
検出時点から開始して、流体量は、可能な2つの手順によって増加する。第1の手順において、第1のクラッチ分岐32は、流体圧が第1の圧力値に到達するか、またはその圧力値を超過するまで、極めて高い流体流量で充填される。第2の手順において、第1のクラッチ分岐32は、極めて高い流体流量で充填され、第1のクラッチ12の圧力作用の開始時には、流体流量を低下させることによって増加する流体圧で充填される。第2の手順は、第1の手順に比べて長く続くが、第1のクラッチ分岐内の動圧、ひいては、圧力ピークが低下し、接触点決定の精度が改善される。また、システム内のモーメントおよび圧力ヒステリシスによる影響は、第1の作動要素20の低速運動によって低下する。
【0034】
図2は、本発明の特有の実施形態のトルク伝達装置のトルク伝達特性曲線を示す。図2には、クラッチとして、例えば、第1のクラッチとして実施されているトルク伝達装置のトルク伝達特性曲線50と、ブレーキとして実施されているトルク伝達装置のさらなるトルク伝達特性曲線52とが、比較して図示されている。伝達パラメータとして、両方のトルク伝達特性曲線50、52に関して、作動要素内の流体圧pと、作動パラメータとして作動要素に搬送されたポンプ装置の流体量Vとが採用されている。
【0035】
クラッチのトルク伝達特性曲線50に基づいて、接触点は、トルク伝達特性曲線50から接触点位置54として計算され、接触点位置54は、少なくとも1つの第1の傾きを持つ第1の特性曲線部分56と、第1の傾きより大きい、少なくとも1つの第2の傾きを持つ第2の特性曲線部分58との間の移行部にある。測定データ点60を介して、第1の特性曲線部分56は、それに割り当てられた測定データ点60の第1の回帰によって図示され、第2の特性曲線部分58は、それに割り当てられた測定データ点60の第2の回帰によって図示されている。
【0036】
第1の特性曲線部分56は、線形回帰によって形成されており、一定の第1の傾きを有する。同様に、第2の特性曲線部分58は、線形回帰によって形成され、第1の傾きより大きい一定の第2の傾きを有する。好ましくは、測定データ点60の密度は、例えば、流体量Vおよび流体圧pを、一定の規定の時間間隔で検出し、ポンプ回転数を、検出時点から開始して恒常的に低下させることによって、流体量Vの増加に伴って上昇している。それにより、システム内の行き過ぎ量も低下させることができる。接触点の検出中に流体量Vを増加させるためのポンプ装置の作動時間の継続時間は、好ましくは、接触点に依存する。その点からはポンプ装置24が停止するカットオフ点62は、好ましくは、搬送された流体量Vに基づいて、偏差64の分だけ接触点前にある。偏差64は、環境パラメータ、例えば、温度に応じてもまた選択することができる。これらの依存関係は、一連の実験によって決定することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 トルク伝達装置
12 第1のクラッチ
14 第2のクラッチ
16 デュアルクラッチ
18 作動装置
20 第1の作動要素
22 第2の作動要素
24 ポンプ装置
26 流体蓄蔵器
28 流体フィルタ
30 システム圧分岐
32 第1のクラッチ分岐
34 第2のクラッチ分岐
36 第1の逆止弁
38 第1のクラッチ弁
40 第2の逆止弁
42 第2のクラッチ弁
44 システム圧弁
46 電気モータ
48 圧力センサ
50 トルク伝達特性曲線
52 トルク伝達特性曲線
54 接触点位置
56 第1の特性曲線部分
58 第2の特性曲線部分
60 測定データ点
62 カットオフ点
64 偏差
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルク伝達装置(10)の接触点を決定するための方法であって、前記トルク伝達装置(10)は、油圧作動装置(18)に接続された作動要素(20)の作動状態に依存する伝達トルクを伝達するように構成されており、最大の伝達可能な前記伝達トルクを少なくとも特徴付ける伝達パラメータと、前記作動状態の作動パラメータとの間の関係を示すトルク伝達特性曲線(50、52)を有する、方法において、
検出時点から開始して、前記接触点は、前記作動要素(20)を充填して前記作動要素(20)内で流体圧(p)を引き起こす流体量(V)を作動パラメータとして採用し、前記トルク伝達特性曲線(50、52)が前記流体量(V)に応じて検出され、前記接触点が前記トルク伝達特性曲線(50、52)に応じて計算されることによって決定されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記流体量(V)は、ポンプ装置(24)によって供給され、前記ポンプ装置(24)のポンプ回転数に依存することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記作動パラメータは、ポンプ回転数に応じて検出されていることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出時点以降および前記接触点を決定している継続時間の間に、前記ポンプ装置(24)から供給された前記流体量(V)は、前記作動要素(20)にのみ伝達されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記トルク伝達装置(10)は、前記検出時点において開放されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記接触点を決定している間に、前記流体量(V)は、前記検出時点から開始して少なくともカットオフ点(62)まで恒常的に増加することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記カットオフ点(62)は、搬送された流体量に相当し、前記流体量において前記流体圧(p)が第1の圧力値を取ったことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記作動要素(20)に印加される前記流体圧(p)は、伝達パラメータとして採用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記接触点は、前記トルク伝達特性曲線(50、52)上にある接触点位置(54)であり、前記接触点位置(54)は、少なくとも1つの第1の傾きを持つ第1の特性曲線部分(56)と、前記第1の傾きより大きい、少なくとも1つの第2の傾きを持つ第2の特性曲線部分(58)との間の移行部にあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記トルク伝達特性曲線(50、52)は、測定データ点(60)によって形成され、前記第1の特性曲線部分(56)は、前記第1の特性曲線部分(56)に割り当てられた前記測定データ点(60)の第1の回帰であり、前記第2の特性曲線部分(58)は、前記第2の特性曲線部分(58)に割り当てられた前記測定データ点(60)の第2の回帰であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【国際調査報告】