(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】口腔で溶解するフィルム
(51)【国際特許分類】
A24B 13/00 20060101AFI20240410BHJP
A24B 15/10 20060101ALI20240410BHJP
A24B 15/30 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
A24B13/00
A24B15/10
A24B15/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564522
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 IB2022053749
(87)【国際公開番号】W WO2022224196
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザワトツキ,マイケル・アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】アルダーマン,スティーブン・リー
(72)【発明者】
【氏名】プール,トーマス・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ジョイス,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,ウェスリー・スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ランプ,マシュー
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BB11
4B043BB22
4B043BC02
4B043BC03
4B043BC04
4B043BC18
4B043BC20
(57)【要約】
食用フィルムの形態の口腔用製品が本明細書に提供されている。食用フィルムは、少なくとも約30重量パーセントの量の結合剤;少なくとも約5重量パーセントの量の可塑剤;及び活性剤を含むことができ、食用フィルムは口腔で溶解可能である。食用フィルムは、別の口腔用製品、例えば、フリースベースのパウチ製品の構成成分として使用することもできる。食用フィルムは、フリースベースのパウチ製品の内側又は外側表面の一部分上にコーティングを形成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用フィルムを含む口腔用製品であって、
食用フィルムが、
少なくとも約30重量パーセントの量の結合剤、
少なくとも約5重量パーセントの量の可塑剤、及び
活性剤を含み、
食用フィルムが口腔で溶解可能である、口腔用製品。
【請求項2】
結合剤が、膜形成多糖、デンプン、加工デンプン、メチルセルロース、修飾セルロース、プルラン、ペクチン、カラギーナン、アルギネート、ガム、寒天、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項3】
結合剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、加工トウモロコシデンプン、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項4】
結合剤が、少なくとも約35重量パーセントの量で存在する、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項5】
可塑剤が、グリセリン、プロピレングリコール、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項6】
可塑剤が、少なくとも約10重量パーセントの量で存在する、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項7】
食用フィルムがフィラーをさらに含む、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項8】
フィラーが、炭水化物、セルロース粉末、繊維、デンプン、マルトデキストリン、ポリグリシトール、多糖、ミネラル、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の口腔用製品。
【請求項9】
食用フィルムが加工助剤をさらに含む、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項10】
加工助剤が、界面活性剤及び乳化剤からなる群から選択される、請求項9に記載の口腔用製品。
【請求項11】
加工助剤が、レシチン、ポリソルベート、ステアリン酸ポリオキシル、モノステアリン酸グリセロール、及びこれらの組合せから選択される、請求項9に記載の口腔用製品。
【請求項12】
食用フィルムが、着香剤、着色剤、甘味剤、又はこれらの任意の組合せをさらに含む、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項13】
食用フィルムが抗付着コーティングをさらに含む、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項14】
活性成分が、ニコチン成分、ボタニカル、刺激剤、栄養補給食品、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物、テルペン、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項15】
活性成分が、ニコチン安息香酸塩及びニコチンポラクリレックスから選択されるニコチン成分である、請求項14に記載の口腔用製品。
【請求項16】
塩基性アミン及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含み、有機酸が約1.0~約12.0のlogP値を有し、塩基性アミンの少なくとも一部分が有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、この結合が、塩基性アミン-有機酸の塩の形態、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態、又は両方の形態での結合である、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項17】
有機酸が、約1.4~約4.5のlogP値を有する、請求項16に記載の口腔用製品。
【請求項18】
有機酸が約4.5~約8.0のlogP値を有し、組成物が溶解増強剤をさらに含む、請求項16に記載の口腔用製品。
【請求項19】
有機酸が、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、ジカルボン酸のメンチルモノエステル又はトコフェロールモノエステル、又はこれらの任意の組合せである、請求項16に記載の口腔用製品。
【請求項20】
有機酸が、オクタン酸、デカン酸、安息香酸、ヘプタンスルホン酸、コハク酸トコフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、又はこれらの任意の組合せである、請求項16に記載の口腔用製品。
【請求項21】
塩基性アミンがニコチンである、請求項16に記載の口腔用製品。
【請求項22】
活性成分が刺激剤を含む、請求項14に記載の口腔用製品。
【請求項23】
刺激剤が、カフェイン、テアニン、又はこれらの組合せからなる群から選択される、請求項22に記載の口腔用製品。
【請求項24】
活性成分がテアニン、γ-アミノ酪酸、カフェイン、及びタウリンのうちの1種以上を含む、請求項22に記載の口腔用製品。
【請求項25】
食用フィルムがタバコ材料を実質的に含まない、請求項1~24のいずれかに記載の口腔用製品。
【請求項26】
口腔用製品がタバコ材料を実質的に含まない、請求項1~24のいずれかに記載の口腔用製品。
【請求項27】
口腔用製品が白色化タバコ材料を含む、請求項1~24のいずれかに記載の口腔用製品。
【請求項28】
食用フィルムから本質的になる、請求項1~24のいずれかに記載の口腔用製品。
【請求項29】
食用フィルムが、寸法約33mm×11mmに対して坪量約100~約400mgを有する、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項30】
食用フィルムが消費者の口腔サイズを有するストリップ形態である、請求項1~24のいずれかに記載の口腔用製品。
【請求項31】
食用フィルムが約5~約10重量パーセントの含水量を有する、請求項30に記載の口腔用製品。
【請求項32】
食用フィルムを含むパウチ製品の形態の口腔用製品であって、口腔用製品が、空洞を輪郭づける外側パウチを含み、
外側パウチがフリース材料を含む、請求項1~24のいずれかに記載の口腔用製品。
【請求項33】
食用フィルムがフリース材料の少なくとも一部分の内側又は外側表面上のコーティングである、請求項32に記載の口腔用製品。
【請求項34】
食用フィルムが、フリース材料の実質的にすべての内側又は外側表面上のコーティングである、請求項32に記載の口腔用製品。
【請求項35】
食用フィルムがフリース材料の内側又は外側表面の特定の領域上のコーティングである、請求項32に記載の口腔用製品。
【請求項36】
食用フィルムがパウチの空洞内にある、請求項32に記載の口腔用製品。
【請求項37】
食用フィルムがニコチンを含む、請求項32に記載の口腔用製品。
【請求項38】
パウチの空洞内に口腔用組成物をさらに含む、請求項32に記載の口腔用製品。
【請求項39】
口腔用組成物が、
口腔用組成物の少なくとも約0.5重量%の量の少なくとも1種の活性剤及び着香剤、並びに
口腔用組成物の少なくとも約30重量%の量のフィラー
を含む口腔用組成物である、請求項38に記載の口腔用製品。
【請求項40】
フィラーが、糖代替物、微結晶性セルロース、又はこれらの組合せからなる群から選択される、請求項39に記載の口腔用製品。
【請求項41】
パウチ製品の形態の口腔用製品であって、
空洞を輪郭づける外側パウチ、及び
空洞内に位置する口腔用組成物を含み、
外側パウチが少なくとも約30重量パーセントの量の結合剤及び少なくとも約5重量パーセントの量の可塑剤を含む食用フィルムを含み、食用フィルムが口腔で溶解可能である、口腔用製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒトへの使用を目的とする口腔用製品に関する。本製品は、口腔用使用のために構成され、使用中にフレーバー及び/又は活性成分などの物質を送達する。このような製品はタバコ又はタバコ由来の製品を含んでもよいし、又はタバコを含まない代替物であってもよい。
【背景技術】
【0002】
タバコは、いわゆる「無煙」の形態で楽しむことができる。特に人気のある無煙タバコ製品は、いくつかの形態の加工タバコ又はタバコ含有配合物を使用者の口に挿入することにより利用される。このような無煙タバコ製品に対する従来のフォーマットとして、湿潤型嗅ぎたばこ、スヌース及び噛みたばこが挙げられ、これらは通常、粒状、顆粒状、又は刻みたばこでほぼ全体が形成され、使用者により分割される、又は個々の部分、例えば、使い捨てパウチ若しくは小袋に入れて使用者に提供される。無煙製品の他の従来の形態として、圧縮形態又は凝集形態、例えば、プラグ、錠剤、又はペレットが挙げられる。代替の製品フォーマット、例えば、タバコ含有ガム及びタバコと他の植物性材料との混合物などもまた公知である。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Schwartzの米国特許第1,376,586号;Pittmanらの米国特許第4,513,756号;Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,528,993号;Storyらの米国特許第4,624,269号;Tibbettsの米国特許第4,991,599号;Townsendの米国特許第4,987,907号;Sprinkle、IIIらの米国特許第5,092,352号;Whiteらの米国特許第5,387,416号;Williamsの米国特許第6,668,839号;Williamsの米国特許第6,834,654号;Atchleyらの米国特許第6,953,040号;Atchleyらの米国特許第7,032,601号;及びAtchleyらの米国特許第7,694,686号;Williamsの米国特許公開第2004/0020503号;Quinterらの米国特許公開第2005/0115580号;Stricklandらの米国特許公開第2006/0191548号;Holton,Jr.らの米国特許公開第2007/0062549号;Holton,Jr.らの米国特許公開第2007/0186941号;Stricklandらの米国特許公開第2007/0186942号;Dubeらの米国特許公開第2008/0029110号;Robinsonらの米国特許公開第2008/0029116号;Robinsonらの米国特許公開第2008/0173317号;Neilsenらの米国特許公開第2008/0209586号;Essenらの米国特許公開第2009/0065013号;及びAtchleyの米国特許公開第2010/0282267号、並びにArnarpらのWO2004/095959に記載の無煙タバコ配合物、成分及び加工方法の種類を参照されたい。
【0003】
タバコ材料を様々な結合剤及びフィラーと組み合わせる無煙タバコ製品の構成が最近提案されており、ロゼンジ剤、パステル剤、ゲル剤、押出し形態などを含む例示的製品フォーマットなどが挙げられる。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Engstromらの米国特許出願公開第2008/0196730号;Crawfordらの米国特許出願公開第2008/0305216号;Kumarらの米国特許出願公開第2009/0293889号;Gaoらの米国特許出願公開第2010/0291245号;Muaらの米国特許出願公開第2011/0139164号;Cantrellらの米国特許出願公開第2012/0037175号;Huntらの米国特許出願公開第2012/0055494号;Cantrellらの米国特許出願公開第2012/0138073号;Cantrellらの米国特許出願公開第2012/0138074号;Holton,Jr.の米国特許出願公開第2013/0074855号;Holton,Jr.の米国特許出願公開第2013/0074856号;Muaらの米国特許出願公開第2013/0152953号;Jacksonらの米国特許出願公開第2013/0274296号;Moldoveanuらの米国特許出願公開第2015/0068545号;Marshallらの米国特許出願公開第2015/0101627号;及びLampeらの米国特許出願公開第2015/0230515号に記載されている製品の種類を参照されたい。類似のフォーマットであり、タバコを含まない口腔用製品もまた提案されている。
【0004】
活性成分を楽しめる形態で消費者に送達することができる、口腔用使用に対して構築された製品を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第1376586号明細書
【特許文献2】米国特許第4513756号明細書
【特許文献3】米国特許第4528993号明細書
【特許文献4】米国特許第4624269号明細書
【特許文献5】米国特許第4991599号明細書
【特許文献6】米国特許第4987907号明細書
【特許文献7】米国特許第5092352号明細書
【特許文献8】米国特許第5387416号明細書
【特許文献9】米国特許第6668839号明細書
【特許文献10】米国特許第6834654号明細書
【特許文献11】米国特許第6953040号明細書
【特許文献12】米国特許第7032601号明細書
【特許文献13】米国特許第7694686号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2004/0020503号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2005/0115580号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2006/0191548号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2007/0062549号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2007/0186941号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2007/0186942号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2008/0029110号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2008/0029116号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2008/0173317号明細書
【特許文献23】米国特許出願公開第2008/0209586号明細書
【特許文献24】米国特許出願公開第2009/0065013号明細書
【特許文献25】米国特許出願公開第2010/0282267号明細書
【特許文献26】国際公開第2004/095959号
【特許文献27】米国特許出願公開第2008/0196730号明細書
【特許文献28】米国特許出願公開第2008/0305216号明細書
【特許文献29】米国特許出願公開第2009/0293889号明細書
【特許文献30】米国特許出願公開第2010/0291245号明細書
【特許文献31】米国特許出願公開第2011/0139164号明細書
【特許文献32】米国特許出願公開第2012/0037175号明細書
【特許文献33】米国特許出願公開第2012/0055494号明細書
【特許文献34】米国特許出願公開第2012/0138073号明細書
【特許文献35】米国特許出願公開第2012/0138074号明細書
【特許文献36】米国特許出願公開第2013/0074855号明細書
【特許文献37】米国特許出願公開第2013/0074856号明細書
【特許文献38】米国特許出願公開第2013/0152953号明細書
【特許文献39】米国特許出願公開第2013/0274296号明細書
【特許文献40】米国特許出願公開第2015/0068545号明細書
【特許文献41】米国特許出願公開第2015/0101627号明細書
【特許文献42】米国特許出願公開第2015/0230515号明細書
【発明の概要】
【0006】
(簡単な要旨)
本開示のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、添付の図と一緒に以下の詳細な説明を読むことで明らかとなり、図は以下に簡単に説明されている。本発明には、上述の実施形態のうちの2つ、3つ、4つ、又はこれよりも多くの任意の組合せ、並びに本開示に記載の任意の2つ、3つ、4つ、又はこれよりも多くの特徴又は要素の組合せが、このような特徴又は要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わせられているかどうかに関わらず、含まれている。本開示は、全体的に読み取るように意図されているので、特に文脈が明確に他を指示しない限り、開示された発明の任意の分離可能な特徴又は要素は、その様々な態様及び実施形態のいずれかにおいて結合可能なことが意図されていると見なされるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、一態様では、食用フィルムを含む口腔用製品であって、食用フィルムが、少なくとも約30重量パーセントの量の結合剤、少なくとも約5重量パーセントの量の可塑剤、及び活性剤を含み、食用フィルムが口腔で溶解可能である、口腔用製品を提供する。
【0008】
一実施形態では、結合剤は、フィルム形成多糖、デンプン、加工デンプン、メチルセルロース、修飾セルロース、プルラン、ペクチン、カラギーナン、アルギネート、ガム(例えば、ローカストビーンガム)、寒天、及びこれらの組合せからなる群から選択される。例えば、ある特定の実施形態では、結合剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、加工トウモロコシデンプン、又はこれらの組合せを含む。結合剤は、例えば、食用フィルムの重量に対して、少なくとも約35重量パーセント、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%の量で存在することができる。
【0009】
ある特定の実施形態では、可塑剤は、グリセリン、プロピレングリコール、及びこれらの組合せからなる群から選択される。可塑剤は、例えば、少なくとも約10重量パーセントの量で存在することができる。
【0010】
一部の実施形態では、食用フィルムはフィラーをさらに含む。適切なフィラーの例として、これらに限定されないが、炭水化物、セルロース粉末、繊維、デンプン、マルトデキストリン、ポリグリシトール、多糖、ミネラル、及びこれらの組合せからなる群から選択されるフィラーが挙げられる。一部の実施形態では、食用フィルムは加工助剤をさらに含む。加工助剤の例として、例えば、界面活性剤及び乳化剤からなる群から選択される加工助剤が挙げられる。一部の実施形態に使用されているある特定の具体的な加工助剤として、例えば、レシチン、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、ステアリン酸ポリオキシル(例えば、ステアリン酸ポリオキシル40)、モノステアリン酸グリセロール、及びこれらの組合せが挙げられる。一部の実施形態では、食用フィルムは、着香剤、着色剤、甘味剤、又は任意のこれらの組合せをさらに含む。一部の実施形態では、食用フィルムは抗付着コーティングをさらに含む。
【0011】
一部の実施形態では、活性成分は、ニコチン成分、ボタニカル、刺激剤、栄養補給食品、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物、テルペン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。例えば、様々な実施形態では、活性成分は、ニコチン安息香酸塩及びニコチンポラクリレックスから選択されるニコチン成分である。一部の実施形態では、口腔用製品は、塩基性アミン(例えば、ニコチン)及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含むことができ、有機酸は約1.0~約12.0のlogP値を有し、塩基性アミンの少なくとも一部分は、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、結合が塩基性アミン-有機酸の塩の形態、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態、又は両方の形態での結合である。様々な実施形態では、有機酸は、約1.4~約4.5又は約2.5~約3.5のlogP値を有することができる。一部の実施形態では、有機酸は、約4.5~約8.0のlogP値を有することができ、組成物は溶解増強剤(例えば、グリセロール及び/又はプロピレングリコール)をさらに含む。一部の実施形態では、口腔用製品は、アミン遊離塩基として計算される塩基性アミンに対して、約0.05モル当量、約0.1モル当量、約1モル当量、約1.5モル当量、約2モル当量、又は約5モル当量から、約10モル当量、約15モル当量、又は約20モル当量まで(例えば、約2~約10モル当量)の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、有機酸は、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、ジカルボン酸のメンチル若しくはトコフェロールモノエステル又はこれらの任意の組合せである。例えば、有機酸はオクタン酸、デカン酸、安息香酸、ヘプタンスルホン酸、コハク酸トコフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、又はこれらの任意の組合せであることができる。一部の実施形態では有機酸は安息香酸である。一部の実施形態では、アルカリ金属はナトリウム又はカリウムである。一部の実施形態では、口腔用製品は有機酸及び有機酸のナトリウム塩(例えば、安息香酸及び安息香酸ナトリウム)を含む。一部のこのような実施形態では、有機酸の、有機酸のナトリウム塩に対する比は約0.1~約10である。
【0012】
一部の実施形態では、活性成分は刺激剤を含む。適切な刺激剤の例として、これらに限定されないが、カフェイン、テアニン、又はこれらの組合せからなる群から選択される刺激剤が挙げられる。一部の実施形態では、活性成分はテアニン、γ-アミノ酪酸、カフェイン、及びタウリンのうちの1種以上を含む。ある特定の実施形態では、食用フィルムはタバコ材料を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、口腔用製品はタバコ材料を実質的に含まない。一部の実施形態では、口腔用製品は、タバコ材料、例えば、具体的には白色化タバコ材料を含む。
【0013】
一部の実施形態では、口腔用製品は、食用フィルムから本質的になることができる。例えば、ある特定の実施形態では、食用フィルムは消費者の口腔サイズを有するストリップ形態である。一部の実施形態では、口腔用製品及び/又は食用フィルムは、約33mmx11mmの寸法に対して約100~約400mgの坪量を有することができる(適宜スケーリングすることにより異なる寸法のフィルムに適用可能と考えられている)。食用フィルムの含水量は異なってもよい。一部の実施形態では、食用フィルムは約5~約10重量パーセントの含水量を有する。
【0014】
一部の実施形態では、口腔用製品は、食用フィルムを含むパウチ製品の形態であり、口腔用製品は空洞を輪郭づける、外側パウチを含み、外側パウチはフリース材料を含む。一部のこのような実施形態では、食用フィルムは、フリース材料の少なくとも一部分の内側又は外側表面上のコーティングである。一部のこのような実施形態では、食用フィルムは、フリース材料の実質的にすべての内側又は外側表面上のコーティングである。一部のこのような実施形態では、食用フィルムは、フリース材料の内側又は外側表面の特定の領域上のコーティングである。一部のこのような実施形態では、食用フィルムはパウチの空洞内にある。
【0015】
パウチ製品に結合するフィルムは異なってもよい。一部の実施形態では、食用フィルムはニコチンを含む。一部の実施形態では、食用フィルムは刺激剤を含む。適切な刺激剤の例として、これらに限定されないが、カフェイン、テアニン、又はこれらの組合せからなる群から選択される刺激剤が挙げられる。一部の実施形態では、活性成分は、テアニン、γ-アミノ酪酸、カフェイン、及びタウリンのうちの1種以上を含む。ある特定の実施形態では、食用フィルムはタバコ材料を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、口腔用製品はタバコ材料を実質的に含まない。一部の実施形態では、フィルムは、タバコ材料、例えば、具体的に白色化タバコ材料を含む。
【0016】
一部の実施形態では、パウチ製品は、パウチの空洞内に口腔用組成物をさらに含む。口腔用組成物は、例えば、口腔用組成物の少なくとも約0.5重量%の量の、活性剤及び着香剤のうちの少なくとも1種、並びに口腔用組成物の少なくとも約30重量%の量のフィラーを含むことができる。一部の実施形態では、フィラーは、糖代替物、微結晶性セルロース、又はこれらの組合せからなる群から選択される。
【0017】
別の態様では、パウチ製品の形態の口腔用製品であって、空洞を輪郭づける外側パウチ、及び空洞内に位置する口腔用組成物を含み、外側パウチが少なくとも約30重量パーセントの量の結合剤及び少なくとも約5重量パーセントの量の可塑剤を含む食用フィルムを含み、食用フィルムが口腔で溶解可能である、口腔用製品が提供される。
【0018】
本開示は、制限なしで、以下の実施形態を含む:
実施形態1:食用フィルムを含む口腔用製品であって、食用フィルムが、少なくとも約30重量パーセントの量の結合剤、少なくとも約5重量パーセントの量の可塑剤、及び活性剤を含み、食用フィルムが口腔で溶解可能である、口腔用製品。
【0019】
実施形態2:結合剤が、フィルム形成多糖、デンプン、加工デンプン、メチルセルロース、修飾セルロース、プルラン、ペクチン、カラギーナン、アルギネート、ガム(例えば、ローカストビーンガム)、寒天、及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態1に記載の口腔用製品。
【0020】
実施形態3:結合剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、加工トウモロコシデンプン、又はこれらの組合せを含む、実施形態1又は2に記載の口腔用製品。
【0021】
実施形態4:結合剤が少なくとも約35重量パーセントの量で存在する、実施形態1~3のいずれかに記載の口腔用製品。
【0022】
実施形態5:可塑剤がグリセリン、プロピレングリコール、及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態1~4のいずれかに記載の口腔用製品。
【0023】
実施形態6:可塑剤が少なくとも約10重量パーセントの量で存在する、実施形態1~5のいずれかに記載の口腔用製品。
【0024】
実施形態7:食用フィルムがフィラーをさらに含む、実施形態1~6のいずれかに記載の口腔用製品。
【0025】
実施形態8:フィラーが、炭水化物、セルロース粉末、繊維、デンプン、マルトデキストリン、ポリグリシトール、多糖、ミネラル、及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態7に記載の口腔用製品。
【0026】
実施形態9:食用フィルムが加工助剤をさらに含む、実施形態1~8のいずれかに記載の口腔用製品。
【0027】
実施形態10:加工助剤が、界面活性剤及び乳化剤からなる群から選択される、実施形態9に記載の口腔用製品。
【0028】
実施形態11:加工助剤が、レシチン、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、ステアリン酸ポリオキシル(例えば、ステアリン酸ポリオキシル40)、モノステアリン酸グリセロール、及びこれらの組合せから選択される、実施形態9に記載の口腔用製品。
【0029】
実施形態12:食用フィルムが着香剤、着色剤、甘味剤、又は任意のこれらの組合せをさらに含む、実施形態1~11のいずれかに記載の口腔用製品。
【0030】
実施形態13:食用フィルムが抗付着コーティングをさらに含む、実施形態1~12のいずれかに記載の口腔用製品。
【0031】
実施形態14:活性成分がニコチン成分、ボタニカル、刺激剤、栄養補給食品、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物、テルペン、及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態1~13のいずれかに記載の口腔用製品。
【0032】
実施形態15:活性成分がニコチン安息香酸塩及びニコチンポラクリレックスから選択されるニコチン成分である、実施形態14に記載の口腔用製品。
【0033】
実施形態16:塩基性アミン(例えば、ニコチン)及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含み、有機酸が約1.0~約12.0のlogP値を有し、塩基性アミンの少なくとも一部分が有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、結合が塩基性アミン-有機酸の塩の形態、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態、又は両方の形態での結合である、実施形態1~14のいずれかに記載の口腔用製品。
【0034】
実施形態17:有機酸が約1.4~約4.5、例えば、約2.5~約3.5のlogP値を有する、実施形態16に記載の口腔用製品。
【0035】
実施形態18:有機酸が約4.5~約8.0のlogP値を有し、組成物が溶解増強剤(例えば、グリセロール又はプロピレングリコール)をさらに含む、実施形態16に記載の口腔用製品。
【0036】
実施形態19:アミン遊離塩基として計算される塩基性アミンに対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2、又は約5から、約10、約15、又は約20(例えば、約2~約10)モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む、実施形態16~18のいずれかに記載の口腔用製品。
【0037】
実施形態20:有機酸が、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、ジカルボン酸のメンチルモノエステル又はトコフェロールモノエステル、又は任意のこれらの組合せである、実施形態16~19のいずれかに記載の口腔用製品。
【0038】
実施形態21:有機酸がオクタン酸、デカン酸、安息香酸、ヘプタンスルホン酸、コハク酸トコフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、又はこれらの任意の組合せである、実施形態20に記載の口腔用製品。
【0039】
実施形態22:アルカリ金属がナトリウム又はカリウムである、実施形態16~21のいずれかに記載の口腔用製品。
【0040】
実施形態23:有機酸及び有機酸のナトリウム塩(例えば、安息香酸及び安息香酸ナトリウム)を含む、実施形態16~22のいずれかに記載の口腔用製品。
【0041】
実施形態24:有機酸の、有機酸のナトリウム塩に対する比が約0.1~約10である、実施形態23に記載の口腔用製品。
【0042】
実施形態25:口腔用製品のpHが約4.0~約9.0である、実施形態16~24のいずれかに記載の口腔用製品。
【0043】
実施形態26:活性成分が刺激剤を含む、実施形態14に記載の口腔用製品。
【0044】
実施形態27:刺激剤が、カフェイン、テアニン、又はこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態26に記載の口腔用製品。
【0045】
実施形態28:活性成分が、テアニン、γ-アミノ酪酸、カフェイン、及びタウリンのうちの1種以上を含む、実施形態14に記載の口腔用製品。
【0046】
実施形態29:食用フィルムがタバコ材料を実質的に含まない、実施形態1~28のいずれかに記載の口腔用製品。
【0047】
実施形態30:口腔用製品がタバコ材料を実質的に含まない、実施形態1~29のいずれかに記載の口腔用製品。
【0048】
実施形態31:口腔用製品が白色化タバコ材料を含む、実施形態1~29のいずれかに記載の口腔用製品。
【0049】
実施形態32:食用フィルムから本質的になる、実施形態1~31のいずれかに記載の口腔用製品。
【0050】
実施形態33:食用フィルムが、約33mm×11mmの寸法に対して約100mg~約400mgの坪量を有する、実施形態1~32のいずれかに記載の口腔用製品。
【0051】
実施形態34:食用フィルムが消費者の口腔サイズを有するストリップの形態である、実施形態1~33のいずれかに記載の口腔用製品。
【0052】
実施形態35:食用フィルムが約5~約10重量パーセントの含水量を有する、実施形態1~34のいずれかに記載の口腔用製品。
【0053】
実施形態36:食用フィルムを含み、口腔用製品が、空洞を輪郭づける外側パウチを含み、外側パウチがフリース材料を含む、実施形態1~31又は33~35のいずれかに記載のパウチ製品の形態の口腔用製品。
【0054】
実施形態37:食用フィルムが、フリース材料の少なくとも一部分の内側又は外側表面上のコーティングである、実施形態36に記載の口腔用製品。
【0055】
実施形態38:食用フィルムが、フリース材料の実質的にすべての内側又は外側表面上のコーティングである、実施形態36又は37に記載の口腔用製品。
【0056】
実施形態39:食用フィルムがフリース材料の内側又は外側表面の特定の領域上のコーティングである、実施形態36~38のいずれかに記載の口腔用製品。
【0057】
実施形態40:食用フィルムがパウチの空洞内にある、実施形態36~39のいずれかに記載の口腔用製品。
【0058】
実施形態41:食用フィルムがニコチンを含む、実施形態36~40のいずれかに記載の口腔用製品。
【0059】
実施形態42:パウチの空洞内に口腔用組成物をさらに含む、実施形態36~41のいずれかに記載の口腔用製品。
【0060】
実施形態43:口腔用組成物が、口腔用組成物の少なくとも約0.5重量%の量の、活性剤及び着香剤のうちの少なくとも1種、並びに口腔用組成物の少なくとも約30重量%の量のフィラーを含む、実施形態42に記載の口腔用製品。
【0061】
実施形態44:フィラーが、糖代替物、微結晶性セルロース、又はこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態43に記載の口腔用製品。
【0062】
実施形態45:パウチ製品の形態の口腔用製品であって、空洞を輪郭づける外側パウチ、及び空洞内に位置する口腔用組成物を含み、外側パウチが少なくとも約30重量パーセントの量の結合剤及び少なくとも約5重量パーセントの量の可塑剤を含む食用フィルムを含み、食用フィルムが口腔で溶解可能である、口腔用製品。
【0063】
実施形態46:口腔用組成物がフィラーの少なくとも約30重量%を含む、実施形態45に記載の口腔用製品。
【0064】
実施形態47:フィラーが微結晶性セルロース又はイソマルト又はこれらの組合せを含む、実施形態46に記載の口腔用製品。
【0065】
実施形態48:口腔用組成物が、ニコチン成分、ボタニカル、刺激剤、栄養補給食品、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物、テルペン、及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の活性成分を含む、実施形態45~47のいずれかに記載の口腔用製品。
【0066】
実施形態49:活性成分が、ニコチン安息香酸塩及びニコチンポラクリレックスから選択されるニコチン成分である、実施形態48に記載の口腔用製品。
【0067】
実施形態50:塩基性アミン(例えば、ニコチン)及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含み、有機酸が約1.0~約12.0のlogP値を有し、塩基性アミンの少なくとも一部分が有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、結合が塩基性アミン-有機酸の塩の形態、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態、又は両方の形態での結合である、実施形態48に記載の口腔用製品。
【0068】
実施形態51:有機酸が約1.4~約4.5、例えば、約2.5~約3.5のlogP値を有する、実施形態50に記載の口腔用製品。
【0069】
実施形態52:有機酸が約4.5~約8.0のlogP値を有し、組成物が溶解増強剤(例えば、グリセロール又はプロピレングリコール)をさらに含む、実施形態50に記載の口腔用製品。
【0070】
実施形態53:アミン遊離塩基として計算される塩基性アミンに対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2、又は約5から、約10、約15、又は約20(例えば、約2~約10)モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む、実施形態50~52のいずれかに記載の口腔用製品。
【0071】
実施形態54:有機酸が、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、ジカルボン酸のメンチルモノエステル又はトコフェロールモノエステル、又は任意のこれらの組合せである、実施形態50~53のいずれかに記載の口腔用製品。
【0072】
実施形態55:有機酸がオクタン酸、デカン酸、安息香酸、ヘプタンスルホン酸、コハク酸トコフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、又はこれらの任意の組合せである、実施形態54に記載の口腔用製品。
【0073】
実施形態56:アルカリ金属がナトリウム又はカリウムである、実施形態50~55のいずれかに記載の口腔用製品。
【0074】
実施形態57:有機酸及び有機酸のナトリウム塩(例えば、安息香酸及び安息香酸ナトリウム)を含む、実施形態50~56のいずれかに記載の口腔用製品。
【0075】
実施形態58:有機酸の、有機酸のナトリウム塩に対する比が約0.1~約10である、実施形態57に記載の口腔用製品。
【0076】
実施形態59:口腔用製品のpHが約4.0~約9.0である、実施形態50~58のいずれかに記載の口腔用製品。
【0077】
実施形態60:活性成分が刺激剤を含む、実施形態48に記載の口腔用製品。
【0078】
実施形態61:刺激剤が、カフェイン、テアニン、又はこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態60に記載の口腔用製品。
【0079】
実施形態62:カフェインが、封入されたカフェインである、実施形態61に記載の口腔用製品。
【0080】
実施形態63:活性成分が1種以上のテアニン、γ-アミノ酪酸、カフェイン、タウリン、ビタミンC、レモンバーム抽出物、及びこれらの組合せを含む、実施形態48に記載の口腔用製品。
【0081】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、並びに利点は、以下に簡単に記載されている添付の図と一緒に以下の詳述された説明を読むことにより明らかとなる。本発明は、このような特徴又は要素が本明細書の特定の実施形態の記載において明示的に組み合わせられているかどうかに関わらず、上述の実施形態の2つ、3つ、4つ以上の任意の組合せ並びに本開示に記載されている任意の2つ、3つ、4つ以上の特徴又は要素の組合せを含む。本開示は、このような開示された発明の任意の分離可能な特徴又は要素は、文脈が別の方法を明確に示さない限り、その様々な態様及び実施形態のいずれかにおいて結合可能であることが意図されると見なされるべきであるように、全体的に読み取ることが意図されている。
【0082】
前述の一般的な項目において本開示の態様をこうして記載してきたが、ここからは添付の図について言及する。ただし、添付の図は必ずしもスケール通りに描かれているとは限らない。図は例示のみであり、本開示を限定すると解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1A】本開示の特定の実施形態によるフィルムの形態の口腔用製品に対して適切な形状の非限定的例である。
【
図1B】本開示の特定の実施形態によるフィルムの形態の口腔用製品に対して適切な形状の非限定的例である。
【
図1C】本開示の特定の実施形態によるフィルムの形態の口腔用製品に対して適切な形状の非限定的例である。
【
図1D】本開示の特定の実施形態によるフィルムの形態の口腔用製品に対して適切な形状の非限定的例である。
【
図1E】本開示の特定の実施形態によるフィルムの形態の口腔用製品に対して適切な形状の非限定的例である。
【
図1F】本開示の特定の実施形態によるフィルムの形態の口腔用製品に対して適切な形状の非限定的例である。
【
図1G】本開示の特定の実施形態によるフィルムの形態の口腔用製品に対して適切な形状の非限定的例である。
【
図2A】本開示の特定の実施形態による2種のフィルムベースのパウチ製品の調製の例である。
【
図2B】本開示の特定の実施形態による2種のフィルムベースのパウチ製品の調製の例である。
【
図3】本開示の実施形態によるフリースベースのパウチ製品の透視図である。
【
図4A】本開示の様々な実施形態によるフィルムを含む、フリースベースのパウチ製品を図解している断面図である。
【
図4B】本開示の様々な実施形態によるフィルムを含む、フリースベースのパウチ製品を図解している断面図である。
【
図4C】本開示の様々な実施形態によるフィルムを含む、フリースベースのパウチ製品を図解している断面図である。
【
図5A】本開示の様々な実施形態によるパウチ製品の外側に配置されたフィルム材料を含むフリースベースのパウチ製品の様々な、非限定的な設計の上面(表面)図である。
【
図5B】本開示の様々な実施形態によるパウチ製品の外側に配置されたフィルム材料を含むフリースベースのパウチ製品の様々な、非限定的な設計の上面(表面)図である。
【
図5C】本開示の様々な実施形態によるパウチ製品の外側に配置されたフィルム材料を含むフリースベースのパウチ製品の様々な、非限定的な設計の上面(表面)図である。
【
図5D】本開示の様々な実施形態によるパウチ製品の外側に配置されたフィルム材料を含むフリースベースのパウチ製品の様々な、非限定的な設計の上面(表面)図である。
【
図5E】本開示の様々な実施形態によるパウチ製品の外側に配置されたフィルム材料を含むフリースベースのパウチ製品の様々な、非限定的な設計の上面(表面)図である。
【
図5F】本開示の様々な実施形態によるパウチ製品の外側に配置されたフィルム材料を含むフリースベースのパウチ製品の様々な、非限定的な設計の上面(表面)図である。
【
図5G】本開示の様々な実施形態によるパウチ製品の外側に配置されたフィルム材料を含むフリースベースのパウチ製品の様々な、非限定的な設計の上面(表面)図である。
【
図5H】本開示の様々な実施形態によるパウチ製品の外側に配置されたフィルム材料を含むフリースベースのパウチ製品の様々な、非限定的な設計の上面(表面)図である。
【
図5I】本開示の様々な実施形態によるパウチ製品の外側に配置されたフィルム材料を含むフリースベースのパウチ製品の様々な、非限定的な設計の上面(表面)図である。
【
図5J】本開示の様々な実施形態によるパウチ製品の外側に配置されたフィルム材料を含むフリースベースのパウチ製品の様々な、非限定的な設計の上面(表面)図である。
【
図6A】本開示の様々な実施形態による、それに付随するフィルム材料を有する様々なフリースベースのパウチの略図である。
【
図6B】本開示の様々な実施形態による、それに付随するフィルム材料を有する様々なフリースベースのパウチの略図である。
【
図6C】本開示の様々な実施形態による、それに付随するフィルム材料を有する様々なフリースベースのパウチの略図である。
【
図6D】本開示の様々な実施形態による、それに付随するフィルム材料を有する様々なフリースベースのパウチの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
本発明はこれより以下、より完全に記載される。しかし、本発明は、多くの異なる形態で実施形態化することができ、本明細書で記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分で、完全であるように提供され、本発明の範囲を当業者に完全に伝達するものである。本明細書及び特許請求の範囲で使用された場合、単数形「a」「an」及び「the」は、特に文脈が明確に他を指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0085】
本開示は口腔用使用に対して構築された製品を一般的に提供する。「口腔用使用に対して構築された」という用語は、本明細書で使用される場合、使用中使用者の口内唾液により混合物の1種以上の構成成分(例えば、香味付与剤及び/又はニコチン)が使用者の口の中に運ばれるような形態で、製品が提供されることを意味する。ある特定の実施形態では、製品は、1種以上の構成成分を、使用者の口内粘膜を介して使用者に送達するように適合されており、ある場合には、上記構成成分は、製品が使用された際に口内粘膜を介して吸収され得る活性成分(例えば、ニコチンを含むが、これに限定されない)である。
【0086】
特に、本開示は、食用の、口腔で溶解可能であるフィルムを含む製品を提供する。「フィルム」という用語は、口腔で溶解可能であり、ヒトによる消費に適した経口投与を目的とする配合物を意味するように本明細書で使用されている。これらの食用フィルムは一般的に、消費者の口腔内に配置されるように、及び/又は様々な方式で他の材料と組み合わせて、口腔用製品を形成するように設計されている薄いストリップ/シート/テープ/小片の形態である。本明細書に提供されているフィルムは通常1種以上の活性剤の舌下及び/又は口腔送達を提供する。フィルムは、単独で、又は1種以上の追加の構成成分(例えば、非フィルム)と組み合わせて提供することによって、口腔用製品を提供することができる。
【0087】
開示されたフィルムの構成成分は異なってもよい。通常、各食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、結合剤構成成分及び可塑剤構成成分、並びに一部の実施形態では、1種以上の活性剤及び/又は1種以上の着香剤を含む、様々な食用の材料を含む。開示された食用の、口腔で溶解可能なフィルム内に組み込むことができる構成成分の種類の例は、本明細書で以下に提供されている。
【0088】
結合剤構成成分
フィルムは、1種以上の結合剤を含む結合剤構成成分を一般的に含み、これらの結合剤は通常、例えば、特定の形状、強度、口腔での溶解速度、及び/又は口当たりの特徴をフィルムにもたらす。本明細書に提供されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムに使用されている結合剤は一般的に1種以上のフィルム形成材料を含み、多くの場合2種以上のフィルム形成材料を含む(すなわち、結合剤構成成分は成分の混合物である。)。フィルムを形成する材料は公知であり、例えば、フィルム形成多糖、デンプン、加工トウモロコシデンプン、修飾セルロース、プルラン、ペクチン、カラギーナン、アルギネート(例えば、架橋アルギネートを含む)、ガム(例えば、ローカストビーンガム)、寒天、及び他のフィルム形成剤、例えば、天然のフィルム形成剤を含むことができる。
【0089】
結合剤の構成成分として利用することができる修飾セルロースのある特定の具体例として、これらに限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。一部の実施形態では、2種以上のHPMCが利用される。HPMCは、例えば、粘度、粒子特性、ポリマー分子量により、並びにメトキシ基の平均含有量及びヒドロキシプロピル(hydroxpropyl)基の平均含有量により、並びに置換パターンにより異なり得る。開示された製品に適切に利用することができるHPMC結合剤は特に限定されていない。様々なタイプのHPMCが、例えば、JRS Pharma(例えば、Vivapharm(登録商標)HPMC、例えば、E5等級)、Dow(例えば、Methocel(商標)例えば、等級K99)、Lotte Fine Chemical(例えば、AnyAddy(登録商標)HPMC)、及びその他が入手可能であり、これらもまた本開示により包含される。
【0090】
加工トウモロコシデンプンとして、例えば、化学的加工デンプン(例えば、OSAデンプン)及び酸加工デンプンを挙げることができる。利用することができる変性トウモロコシデンプンのある特定の具体例として、これらに限定されないが、その粘稠度を改善するように処理されたトウモロコシデンプン、例えば、ローストされた、酸で処理された、電気的なデンプンで処理された、又は水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムで処理されたトウモロコシデンプンが挙げられる。特に、乾燥させるとフィルムを形成するトウモロコシデンプンは、本開示による結合剤として適用可能である。加工デンプンは、一部の実施形態では、所望の機械的特性、触知性の特性、及び/又は感覚的な特性(例えば柔軟性、低粘着性、中性の感覚特性)を付与するように選択することができる。他の実施形態では、これらの特性は組成物の他の構成成分により修飾することができる。本開示に従い利用することができる1種の特定のデンプンは、Grain Processing Corporationから入手可能なPure Cote(登録商標)B792であり、これは、デンプンを水和させるために加熱せずに、透明な、軟質フィルムを生成するように設計された、酸加水分解デンプンである。
【0091】
ある特定の実施形態では、結合剤はガム、例えば、天然ガムを含む。本明細書で使用される場合、天然ガムとは、結合特性を有し、増粘剤又はゲル化剤としても有用である天然起源の多糖材料を指す。植物由来の代表的な天然ガムは、通常ある程度水溶性であるが、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、ガティガム、トラガカントガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、寒天、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0092】
結合剤は一般的に、食用の、口腔で溶解可能なフィルムの総重量に対して、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、又は少なくとも約40重量%の量で存在する。一部の実施形態では、結合剤は、食用の、口腔で溶解可能なフィルムの総重量に対して、約20重量%~約90重量%、例えば、約25%~約75重量%、例えば、約30%~約60重量%の量で存在することができる。結合剤が構成成分の組合せを含む場合、構成成分は互いに異なる比で存在することができる。一実施形態では、結合剤は、大部分が修飾セルロースを含み(すなわち、結合剤構成成分の少なくとも約50%は1種以上の修飾セルロースを含む)及び少量の1種以上の他の結合剤を含む。
【0093】
可塑剤
可塑剤は通常、本明細書に提供されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムの柔らかさ及び/又は柔軟性を促進するために組み込まれる。理論により限定されることなく、可塑剤は、フィルム内の補水を促進するよう作用することができると考えられている。適切な可塑剤の例として、これらに限定されないが、有機非ポリマー性材料が挙げられる。ある特定の非限定的な可塑剤は、モノステアリン酸グリセリル、クエン酸トリエチル、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの組合せを含む。様々な実施形態では、可塑剤は、グリセリン、プロピレングリコール、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0094】
食用の、口腔で溶解可能なフィルム内で利用される可塑剤の量は異なってもよい。代表的な食用の、口腔で溶解可能なフィルム内に存在する可塑剤の量は、乾燥重量ベースで、最終形成製品の少なくとも約1パーセント、少なくとも約2パーセント、少なくとも約3パーセント、少なくとも約5パーセント、少なくとも約10パーセント、又は少なくとも約15パーセントであることができる。利用する場合、口腔用製品内で利用される、代表的な加工された可塑剤の量は通常、フィルムの約50パーセント以下、約35パーセント以下、約25パーセント以下、15パーセント以下、約10パーセント以下、又は約5パーセント以下である。
【0095】
活性成分
本明細書で開示されているフィルムは通常、1種以上の活性成分を含む(ただし、一部の実施形態では、活性成分を含まないフィルムが提供され得る。例えば、その別のコンポーネント内に活性成分を組み込んだ製品の1つのコンポーネントとして使用された場合などである。)。
【0096】
本明細書で使用される場合、「活性成分」とは、以下のカテゴリーのいずれかに属する1種以上の物質を指す:API(医薬品有効成分)、食品添加物、天然薬剤及びヒトに対して作用を有し得る天然由来物質。例示的活性成分として、1種以上の体内の生物学的機能に影響を及ぼすことが公知の任意の成分、例えば、疾患の診断、治癒、軽減、治療、若しくは予防において、薬理学的活性又は他の直接的作用をもたらす、又はヒトの身体の構造又は任意の機能に影響を与える成分(例えば、中枢神経系に刺激作用をもたらす、活発化作用、解熱作用若しくは鎮痛作用、又は身体に有用な他の作用を有する)が挙げられる。一部の実施形態では、活性成分は、一般的にニュートラシューティカル食品、栄養補給食品、「植物化学作用物質」又は「機能性食品」と呼ばれる種類であってもよい。これらの種類の添加剤は、1種以上の有利な生物学的作用(例えば、健康促進、疾患予防、又は他の薬理作用)を提供するが、薬物として分類されても、規制されてもいない天然由来の供給源(例えば、ボタニカル材料)から通常入手可能な物質を包含するように当技術分野で定義される場合もある。
【0097】
活性成分の非限定的例として、ボタニカル成分、刺激剤、アミノ酸、ニコチン成分及び/又は医薬品、栄養補給食品及び薬用成分(例えば、ビタミン、例えば、A、B3、B6、B12、及びC、並びに/又はカンナビノイド、例えば、テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD))のカテゴリーに入るものが挙げられる。これらのカテゴリーのそれぞれがさらに以下の本明細書に記載されている。活性成分の特定の選択は、特定フィルム及び/又は口腔用製品の所望のフレーバー、テキスチャー及び所望の特徴に応じて異なる。
【0098】
ある特定の実施形態では、活性成分は、カフェイン、タウリン、GABA、テアニン、ビタミンC、レモンバーム抽出物、ニンジン、シチコリン、ヒマワリレシチン及びこれらの組合せからなる群から選択される。例えば、活性成分は、カフェイン、テアニン及び任意選択的にニンジンの組合せを含むことができる。別の実施形態では、活性成分は、テアニン、γ-アミノ酪酸(GABA)及びレモンバーム抽出物の組合せを含む。さらなる実施形態では、活性成分はテアニン、テアニン及びトリプトファン、又はテアニン及び1種以上のビタミンB(例えば、ビタミンB6又はB12)を含む。またさらなる実施形態では、活性成分はカフェイン、タウリン及びビタミンCの組合せを含む。
【0099】
さらに、化学分解を回避するため(例えば、口腔用製品の加工中又は貯蔵時に、活性成分が酸化的、光分解性、熱的、又は蒸発による分解に感受性がある場合)又はこれらに限定されないがカフェイン、ビタミンA、及び鉄(Fe)を含むこれらの活性物質の強い味覚を減少させるために、本明細書に記載されている活性成分の種類のいずれかが組成物、最終生成物、又は両方の中に封入されていてもよい。さらに、これらの封入された活性物質は、これらの溶解度及び/又はバイオアベイラビリティーを増加させるために、組成物内の賦形剤と対を形成しなければならないこともある。これらの賦形剤の非限定的例として、ベータ-カロテン、リコピン、ビタミンD、ビタミンE、コエンザイムQ10、ビタミンK、及びクルクミンが挙げられる。
【0100】
存在する活性成分の特定のパーセンテージは、特定の製品の所望の特徴に応じて異なる。通常、活性成分又はこれらの組合せは、組成物の少なくとも約0.001重量%、例えば、約0.001重量%~約20重量%の範囲の総濃度で存在する。一部の実施形態では、活性成分又は活性成分の組合せは、組成物の総重量に対して、約0.1w/w%~約10%w/w%、例えば、約0.5w/w%~約10w/w%,約1w/w%~約10w/w%、約1w/w%~約5w/w%の濃度で存在する。一部の実施形態では、活性成分又は活性成分の組合せは、組成物の総重量に対して、約0.001重量%、約0.01重量%、約0.1重量%、又は約1重量%から、約20重量%まで、例えば、約0.001重量%、約0.002重量%、約0.003重量%、約0.004重量%、約0.005重量%、約0.006重量%、約0.007重量%、約0.008重量%、約0.009重量%、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、又は約0.9重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、又は約20重量%までの濃度で存在する。特定の活性成分に対するさらに適切な範囲が本明細書において以下に提供されている。
【0101】
ボタニカル
一部の実施形態では、活性成分はボタニカル成分を含む。本明細書で使用される場合、「ボタニカル成分」又は「ボタニカル」という用語は、任意の植物性材料又は菌類由来の材料(その天然形態での植物性材料を含む)及び天然植物性材料由来の植物性材料、例えば、植物性材料又は処理した植物性材料からの抽出物又は分離物(例えば、材料の物理的及び/又は化学的性質を改変することが可能な加熱処理、発酵、漂白、又は他の処理プロセスに供された植物性材料)を指す。本開示の目的のため、「ボタニカル」には、これらに限定されないが、「薬草材料」が含まれ、この薬草材料とは、持続性の木質組織を生み出さず、多くの場合、これらの薬用特性又は感覚特性(例えば、茶又はハーブ茶)に対して評価されている種子生成植物を指す。「非タバコ」としてのボタニカル材料についての言及は、タバコ材料を除外することを意図する(すなわち、いかなるニコチアナ属種も含まない)。一部の実施形態では、本明細書で開示されている組成物は、いかなるタバコ材料も含まないことを特徴とすることができる(例えば、本明細書で開示されている任意の実施形態はいかなるタバコ材料も完全に又は実質的に含まなくてもよい)。「実質的に含まない」とは、いかなるタバコ材料も意図的に添加されていないことを意味する。例えば、ある特定の実施形態は、0.001重量%未満のタバコ、又は0.0001%未満、又はさらに0重量%のタバコを有することを特徴とすることができる。
【0102】
ボタニカルが存在する場合、通常、口腔で溶解するフィルムの総重量に対して又は口腔で溶解するフィルムを含む口腔用製品の総重量に対して、約0.01%w/w~約10重量%、例えば、約0.01%w/w、約0.05%w/w、約0.1%w/w、又は約0.5%w/wから、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、又は約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、又は約15重量%までの濃度である。
【0103】
本開示に有用なボタニカル材料は、制限されるものではないが、これらの混合物を含めた、本明細書に記載の化合物及び供給源のいずれかを挙げることができる。この種類のある特定のボタニカル材料は、時には栄養補助食品、栄養補給食品、「植物化学物質」又は「機能性食品」と呼ばれる。ある特定のボタニカルは、ボタニカル材料又はボタニカル抽出物として、従来の薬草薬における使用が見出され、本明細書でさらに記載されている。植物又は植物由来の材料の非限定的例として、アシュワガンダ、バコパ・モニエラ(Bacopa monniera)、バオバブ、バジル、センテラ・アジアチカ(Centella asiatica)、チャイフー、カモミール、サクラの花、クロロフィル、シナモン、カンキツ、クローブ、ココア、ノムシタケ属(cordyceps)、クルクミン、ダミアナ、ドルステニア・アリフォリア(Dorstenia arifolia)、ドルステニア・オドラータ(Dorstenia odorata)、エッセンシャルオイル、ユーカリ、フェンネル、ガルフィミア・グラウカ(Galphimia glauca)、ショウガ、ギンコ・ビロバ(Ginkgo biloba)、ニンジン(例えば、パナックス・ジンセン(Panax ginseng))、緑茶、グリフォニア・シンプリシフォリア(Griffonia simplicifolia)、ガラナ、アサ、大麻、ホップ、ジャスミン、カエンフェリア・パルビフローラ(Kaempferia parviflora)(ウコン)、カバ、ラベンダー、レモンバーム、レモングラス、甘草、ルテイン、マカ、マッチャ、ナルドスタキス・チネンシス(Nardostachys chinensis)、ビオラ・オドラータ(Viola odorata)の油ベースの抽出物、ペパーミント、ケルセチン、リスベラトロール、リゾマ・ガストロジアエ(Rhizoma gastrodiae)、ロディオラ(Rhodiola)、ルイボス(rooibos)、ローズエッセンシャルオイル、ローズマリー、スケレチウム・トルトゥオスム(Sceletium tortuosum)、チョウセンゴミシ、スカルキャップ、スペアミント抽出物、スパイクナード、テルペン、ハーブ茶、ターメリック、トゥルネラ・アフロディシアカ(Turnera aphrodisiaca)、バレリアン、クワ及びイェルバマテが挙げられる。
【0104】
一部の実施形態では、活性成分はレモンバームを含む。レモンバーム(メリッサ・オフィキナリス(Melissa officinalis))はミント(シソ科(Lamiaceae))と同じ科の穏やかなレモンのよい香りがする薬草である。薬草は欧州、北アフリカ及び西アジアを原産とする。レモンバームの茶、並びにエッセンシャルオイル及び抽出物は伝統的な薬及び代替薬として使用されている。一部の実施形態では、活性成分はレモンバーム抽出物を含む。一部の実施形態では、レモンバーム抽出物は、口腔で溶解するフィルムの総重量に対して又は口腔で溶解するフィルムを含む口腔用製品の総重量に対して、約1~約4重量%の量で存在する。
【0105】
一部の実施形態では、活性成分はニンジンを含む。ニンジンはパナックス属(Panax)植物の根であり、独特なステロイドサポニン植物化学作用物質(ジンセノシド)及びジントニンの存在を特徴とする。ニンジンは、エネルギードリンク又は薬草茶及び伝統的な薬において栄養補助食品としての使用を見出している。栽培種として、チョウセンニンジン(P.ジンセン(P.Ginseng))、サンシチニンジン(P.ノトジンセン(P.notoginseng))及びアメリカニンジン(P.キンケフォリウス(P.quinquefolius))が挙げられる。アメリカニンジン及びチョウセンニンジンは存在する様々なジンセノシドの種類及び量が異なる。一部の実施形態では、ニンジンはアメリカニンジン又はチョウセンニンジンである。特定の実施形態では、活性成分はチョウセンニンジンを含む。一部の実施形態では、ニンジンは、口腔で溶解するフィルムの総重量に対して又は口腔で溶解するフィルムを含む口腔用製品の総重量に対して、約0.4~約0.6重量%の量で存在する。
【0106】
刺激剤
一部の実施形態では、活性成分は1種以上の刺激剤を含む。本明細書で使用される場合、「刺激剤」という用語は、中枢神経系及び/又は身体の活性を増加させる、例えば、集中、認知、活力、気分、警戒などを増強する材料を指す。刺激剤の非限定的例として、カフェイン、テアクリン、テオブロミン及びテオフィリンが挙げられる。テアクリン(1,3,7,9-テトラメチル尿酸)はカフェインと構造的に関係しているプリンアルカロイドであり、刺激作用、鎮痛作用及び抗炎症作用を有する。存在する刺激剤は天然のものでも、自然に由来するものでも、又は完全に合成のものであってもよい。例えば、ある特定のボタニカル材料(ガラナ、茶、コーヒー、ココアなど)は、例えば、カフェイン又は関連アルカロイドの存在により刺激作用を有することができ、したがって「天然の」刺激剤である。「自然に由来する」とは、刺激剤(例えば、カフェイン、テアクリン)は、その天然(例えば、ボタニカル)マトリックスの外側が精製された形態であることを意味する。例えば、カフェインは、ボタニカル供給源(例えば、茶)からの抽出及び精製により得ることができる。「完全に合成による」とは、刺激剤が化学合成により得られることを意味する。一部の実施形態では、活性成分はカフェインを含む。一部の実施形態では、カフェインは封入された形態で存在する。封入されたカフェインの1つの例は、Balchem Corp.、52 Sunrise Park Road、New Hampton、NY、10958から入手可能なVitashure(登録商標)である。
【0107】
存在する場合、刺激剤又は刺激剤の組合せ(例えば、カフェイン、テアクリン、及びこれらの組合せ)は通常、組成物の総重量に対して、約0.1%w/w~約15重量%、例えば、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、又は約0.9%w/wから、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、又は約15重量%までの濃度である。一部の実施形態では、組成物は、口腔で溶解するフィルムの総重量に対して又は口腔で溶解するフィルムを含む口腔用製品の総重量に対して、約1.5~約6重量%の量でカフェインを含む。
【0108】
アミノ酸
一部の実施形態では、活性成分はアミノ酸を含む。本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、アミン(-NH2)及びカルボキシル(-COOH)又はスルホン酸(SO3H)官能基を、各アミノ酸に特異的である側鎖(R基)と共に含有する有機化合物を指す。アミノ酸はタンパク質原性であっても、非タンパク質原性であってもよい。「タンパク質原性」とは、アミノ酸がタンパク質中に見出される20種の天然由来アミノ酸のうちの1種であることを意味する。タンパク質原性アミノ酸として、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンが挙げられる。「非タンパク質原性」とは、アミノ酸がタンパク質中に自然に見出されないか、細胞機構により直接生成されない(例えば、翻訳後修飾の生成物である)ことを意味する。非タンパク質原性アミノ酸の非限定的例として、γ-アミノ酪酸(GABA)、タウリン(2-アミノエタンスルホン酸)、テアニン(L-γ-グルタミルエチルアミド)、ヒドロキシプロリン及びβ-アラニンが挙げられる。一部の実施形態では、活性成分はテアニンを含む。一部の実施形態では、活性成分はGABAを含む。一部の実施形態では、活性成分はテアニンとGABAの組合せを含む。一部の実施形態では、活性成分はテアニン、GABA及びレモンバームの組合せである。一部の実施形態では、活性成分はカフェイン、テアニン及びニンジンの組合せである。一部の実施形態では、活性成分はタウリンを含む。一部の実施形態では、活性成分はカフェインとタウリンの組合せである。
【0109】
存在する場合、アミノ酸又はアミノ酸の組合せ(例えば、テアニン、GABA、及びこれらの組合せ)は通常、口腔で溶解するフィルムの総重量に対して又は口腔で溶解するフィルムを含む口腔用製品の総重量に対して、約0.1%w/w~約15重量%、例えば、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、又は約0.9%w/wから、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、又は約15重量%までの濃度である。
【0110】
ビタミン
一部の実施形態では、活性成分はビタミン又はビタミンの組合せを含む。本明細書で使用される場合、「ビタミン」という用語は、哺乳動物における代謝の適正な機能に必要とされる主要な微量栄養素である有機分子(又は関連する分子のセット)を指す。ヒトの代謝には13種のビタミンが必要とされ、これらは以下の通りである:ビタミンA(all-trans-レチノール、all-trans-レチニル-エステル、並びにall-trans-β-カロテン及び他のプロビタミンAカロチノイド)、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸又はフォレート)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(カルシフェロール)、ビタミンE(トコフェロール及びトコトリエノール)及びビタミンK(キノン)。一部の実施形態では、活性成分はビタミンCを含む。一部の実施形態では、活性成分はビタミンC、カフェイン及びタウリンの組合せである。
【0111】
存在する場合、ビタミン又はビタミンの組合せ(例えば、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンC、又はこれらの組合せ)は通常、口腔で溶解するフィルムの総重量に対して又は口腔で溶解するフィルムを含む口腔用製品の総重量に対して、約0.01%w/w~約6重量%、例えば、約0.01%w/w、約0.02%w/w、約0.03%w/w、約0.04%w/w、約0.05%w/w、約0.06%w/w、約0.07%w/w、約0.08%w/w、約0.09%w/w、又は約0.1%w/ww/wから、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、又は約6重量%までの濃度である。
【0112】
抗酸化剤
一部の実施形態では、活性成分は1種以上の抗酸化剤を含む。本明細書で使用される場合、「抗酸化剤」という用語は、フリーラジカル反応を終結させることによって、酸化を防止又は抑制する物質を指し、一部の種類の細胞損傷を遅延又は防止することができる。抗酸化剤は天然由来でも、合成でもよい。天然由来の抗酸化剤として、食物及びボタニカル材料に見出されるものが挙げられる。抗酸化剤の非限定的例として、ある特定のボタニカル材料、ビタミン、ポリフェノール及びフェノール誘導体が挙げられる。
【0113】
抗酸化性特徴を伴うボタニカル材料の例として、制限なしで、アサイーベリー、アルファルファ、オールスパイス、アナトーシード、アンズ油、バジル、ビーバーム、野生型ベルガモット、黒コショウ、ブルーベリー、ルリジサ種子油、キランソウ、カカオ、カラマスルート、イヌハッカ、カツアバ、カイエンペッパー、チャガマッシュルーム、チャービル、シナモン、ダークチョコレート、ジャガイモの皮、ブドウ種、ニンジン、イチョウ、セイヨウオトギリ、ノコギリヤシ、緑茶、紅茶、ブラックコホシュ、カイエン、カモミール、クローブ、ココア粉末、クランベリー、タンポポ、グレープフルーツ、ハニーブッシュ、エキナセア、ニンニク、イブニングプリムローズ、ナツシロギク、ショウガ、ゴールデンシール、サンザシ、ハイビスカスの花、アマチャヅル、カバ、ラベンダー、甘草、ハナハッカ、オオアザミ、ミント(マント)、ウーロン茶、ビート根、オレンジ、オレガノ、パパイヤ、ペニーロイヤル、ペパーミント、赤色クローバ、ルイボス(レッド又はグリーン)、ローズヒップ、ローズマリー、セージ、クラリーセージ、セイボリー、スペアミント、スピルリナ、スリッペリーエルムバーク、ソルガムふすま高タンニン、ソルガム種子高タンニン、スマックふすま、ヒレハリソウの葉及び根、ゴジベリー、ゴツコーラ、タイム、ターメリック、ウバウルシ、バレリアン、野生型ヤムの根、ウィンターグリーン、ヤーコンの根、イエロードック、イェルバマテ、イェルバサンタ、バコパ・モニエラ、アシュワガンダ、ヤマブシタケ及びシリバム・マリアナム(silybum marianum)が挙げられる。このようなボタニカル材料は新鮮なまま又は乾燥させた形態、エッセンシャルオイルで提供されてもよいし、又は抽出物の形態であってもよい。ボタニカル材料(並びにこれらの抽出物)は、多くの場合、抗酸化作用をもたらすことが公知の様々なクラスの化合物、例えば、ミネラル、ビタミン、イソフラボン、フィトステロール(phytoesterols)、硫化アリル、ジチオールチオン、イソチオシアネート、インドール、リグナン、フラボノイド、ポリフェノール及びカロチノイドを含む。ボタニカル抽出物又は油に見出される化合物の例として、アスコルビン酸、ピーナッツ内果皮、リスベラトロール、スルフォラファン、β-カロテン、リコピン、ルテイン、コエンザイムQ、カルニチン、ケルセチン、ケンフェロールなどが挙げられる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Santhoshら、Phytomedicine、12巻(2005年)216~220頁を参照されたい。
【0114】
他の適切な抗酸化剤の非限定的例として、クエン酸、ビタミンE又はその誘導体、トコフェロール、エピカテコール、エピガロカテコール、没食子酸エピガロカテコール、エリソルビン酸、エリトルビン酸ナトリウム、4-ヘキシルレソルシノール、テアフラビン、テアフラビンモノガレートA又はB、テアフラビンジガレート、フェノール酸、グリコシド、クエルシトリン、イソクエルシトリン、ヒペロシド、ポリフェノール、カテコール、リスベラトロール、オレウロペイン、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、第三級ブチルヒドロキノン(TBHQ)及びこれらの組合せが挙げられる。
【0115】
存在する場合、抗酸化剤は通常、口腔で溶解するフィルムの総重量に対して又は口腔で溶解するフィルムを含む口腔用製品の総重量に対して、約0.001%w/w~約10重量%、例えば、約0.001%w/w、約0.005%w/w、約0.01%w/ww/w、約0.05%w/w、約0.1%w/w、又は約0.5%w/wから、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、又は約10重量%までの濃度である。
【0116】
ニコチン成分
ある特定の実施形態では、本開示のフィルム又は口腔用製品はニコチン酸化合物を挙げることができる。様々なニコチン酸の化合物及びこれらの投与のための方法は、参照により本明細書に組み込まれる、Borschkeの米国特許公開第2011/0274628号に記載されている。本明細書で使用される場合、「ニコチン酸化合物」又は「ニコチン供給源」とは多くの場合、植物性材料から取った天然由来の又は合成ニコチン酸化合物を指し、これは、化合物が少なくとも部分的に精製され、植物構造、例えば、タバコの葉中に含有されていないことを意味する。最も好ましくは、ニコチンは天然由来であり、ニコチアナ属種(例えば、タバコ)から抽出物として得られる。ニコチンはエナンチオマー形態S(-)-ニコチン、R(+)-ニコチン、又はS(-)-ニコチンとR(+)-ニコチンの混合物を有することができる。最も好ましくは、ニコチンはS(-)-ニコチンの形態(例えば、実質的にはすべてS(-)-ニコチンである形態)又は主に若しくは大部分S(-)-ニコチン(例えば、約95重量部のS(-)-ニコチンと約5重量部のR(+)-ニコチンで構成される混合物)で構成されるラセミ混合物である。最も好ましくは、ニコチンは実質的に純粋な形態で又は本質的に純粋な形態で利用される。利用される極めて好ましいニコチンは、重量ベースで、約95パーセントより大きい、より好ましくは約98パーセントより大きい、最も好ましくはより大きい約99パーセントより大きい純度を有する。
【0117】
ある特定の実施形態では、ニコチン成分は、遊離塩基形態、塩形態で、複合体として、又は溶媒和物として含まれていてもよい。「ニコチン成分」とは、存在するニコチンの少なくとも一部分の経口吸収をもたらすための、任意の適切な形態のニコチン(例えば、遊離塩基又は塩)を意味する。通常、ニコチン成分はニコチン遊離塩基及びニコチン塩からなる群から選択される。一部の実施形態では、ニコチンは遊離塩基形態であり、例えば、微結晶性セルロース材料に簡単に吸着されて、微結晶性セルロース-ニコチン担体複合体を形成することができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Hanssonの米国特許出願第2004/0191322号における遊離塩基形態のニコチンの考察を参照されたい。
【0118】
一部の実施形態では、ニコチンの少なくとも一部分は塩の形態で利用することができる。ニコチン塩は、参照により本明細書に組み込まれる、Coxらの米国特許第2,033,909号及びPerfetti、Beitrage Tabakforschung Int.、12巻:43~54頁(1983年)に記載の種類の成分及び技術を使用して提供することができる。さらに、ニコチンの塩は、例えば、Pfaltz and Bauer、Inc.及びK&K Laboratories、Division of ICN Biochemicals、Inc.などの供給源から入手可能である。通常、ニコチン成分は、ニコチン遊離塩基、ニコチン塩、例えば、塩酸塩、ジヒドロクロリド、モノ酒石酸塩、酒石酸水素塩、硫酸塩、サリチル酸塩及び塩化亜鉛ニコチンからなる群から選択される。一部の実施形態では、ニコチン成分又はその一部分は、1種以上の有機酸とのニコチン塩である。
【0119】
顧客満足度を上げるため、一部の実施形態では、貯蔵中、最初の塩基性アミン含有量(例えば、ニコチン含有量)を保持し、口腔用製品中に最初に存在する塩基性アミン(例えば、ニコチン)の実質的に全部の量を送達する、口腔用使用に対して構築された、塩基性アミンを含有する口腔用製品を提供することが望ましいこともある。一部のこのような実施形態では、ニコチン又は他の塩基性アミンは、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分と共同で利用される(本明細書で「イオン対形成」と呼ばれる)。本明細書で開示されているフィルムの実施形態は、少なくとも1種の結合剤、可塑剤、塩基性アミン、例えば、ニコチン又はニコチン成分;水;及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含むことができ、有機酸は約1.4~約8.0のlogP値を有する。
【0120】
本明細書で開示されているように、塩基性アミン(例えば、ニコチン)の少なくとも一部分は有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合する。本開示の目的のため、本明細書でより詳細に記載されている他の活性成分の代わりに又はこれに加えて、塩基性アミンを含むこともできることに注目されたい。複数の変数(有機酸の濃度、pH、性質など)に応じて、組成物中に存在する塩基性アミンは、対を形成したイオン、溶液で(すなわち、完全に溶媒和して)、遊離塩基として、カチオンとして、塩として、又は任意のこれらの組合せを含めた複数の形態で存在することができる。口腔用製品組成物内の様々な構成成分の相対量は異なってもよく、通常所望の感覚性及び性能特徴を口腔用製品にもたらすように選択される。一部の実施形態では、塩基性アミンと、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分との間の結合は、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態である。
【0121】
イオン対形成とは、イオン対と呼ばれるはっきりと異なる化学種を形成するための比較的濃縮された溶液中の反対に荷電したイオンの部分的な結合について記載している。結合の強度(すなわち、イオン対形成)は、正イオンと負イオンとの間(すなわち、プロトン化された塩基性アミン、例えば、ニコチンと、有機酸の共役塩基)の引力の静電力に依存する。「共役塩基」とは、対応する酸の脱プロトン化から生成される塩基を意味する(例えば、安息香酸イオンは安息香酸の共役塩基)。平均して、これらイオン対のある特定の集団は、いかなる時点にも存在するが、イオン対の形成及び解離は連続的である。本明細書で開示されている口腔用製品において、及び/又は前記口腔用製品の口腔での使用の際に(例えば、唾液との接触の際に)、塩基性アミン、例えばニコチン、及び有機酸の共役塩基は、イオン対の形態で少なくとも部分的に存在する。理論に制約されることを望むことなく、このようなイオン対形成は、塩基性アミンの化学分解を最小化する、及び/又は塩基性アミン(例えば、ニコチン)の口腔での利用の可能性を増強することができると考えられている。アルカリ性のpH値では(例えば、例えば、約7.5~約9)、ある特定の塩基性アミン、例えばニコチンは、遊離塩基形態で主として存在し、この形態は水溶性が比較的低く、蒸発及び酸化的分解に関して安定性が低いが、粘膜での利用の可能性は高い。逆に、酸性のpH値では(例えば、約6.5~約4)、ある特定の塩基性アミン、例えばニコチンはプロトン化された形態で主として存在し、この形態は水溶性が比較的に高く、蒸発及び酸化的な分解に関して安定性がより高いが、粘膜での利用の可能性は低い。驚くことに、本開示によると、口腔用使用に対して構築された組成物中でのニコチン安定性、溶解度、及び利用の可能性の特性は、ニコチンの、適当な有機酸及び/又はこれらの共役塩基とのイオン対形成又は塩形成を介して相互に増強され得ることが判明した。具体的には、中程度の親油性のニコチン-有機酸イオン対は好ましい安定性及び吸収特性をもたらす。親油性は、logP、親油性相と水相、普通それぞれオクタノールと水との間の分子の分配係数の点から好都合に測定される。塩基性アミン-有機酸イオン対のオクタノールへの分布を好むオクタノール-水の分配は、組成物中に存在する塩基性アミンの口腔粘膜を介した良好な吸収を予測する。
【0122】
上述のように、アルカリ性のpH値において(例えば、例えば、約7.5~約9)、ニコチンは主として遊離塩基形態で存在し(したがって、オクタノールへの高い分配)、その一方で酸性のpH値において(例えば、約6.5~約4)、ニコチンはプロトン化された形態で主として存在する(したがって、オクタノールへの低い分配)。ある特定の有機酸の間のイオン対、例えば、約1.4~約8.0、例えば、約1.4~約4.5のlogP値を有するイオン対は、ニコチンがオクタノールへと分配するのを可能にし、これは、pH8.4において、ニコチンがオクタノールへと分配すると予測されたことと一致する。
【0123】
消費者による使用前と使用中との両方で、開示された組成物のイオン対形成の範囲は、例えば、pH、有機酸の性質、ニコチンの濃度、組成物中に存在する有機酸又は有機酸の共役塩基の濃度、組成物の含水量、組成物のイオン強度などに基づき異なり得ることを当業者は認識している。当業者はまた、イオン対形成が前述の変数により影響される平衡過程であることを認識する。したがって、イオン対形成の範囲の定量化は困難であるか、又は計算又は直接的観察では不可能である。しかし、本明細書で開示されているように、イオン対形成の存在は、代用の測定、例えば、オクタノールと水との間でのニコチンの分配又は塩基性アミンプラス有機酸及び/若しくはこれらの共役塩基の水溶液の膜透過を介して実証することができる。
【0124】
有機酸
本明細書で使用される場合、「有機酸」という用語は、酸の特性により特徴付けられる有機(すなわち、炭素ベースの)化合物を指す。通常、有機酸は比較的弱酸(すなわち、これらは水の存在下で完全に分離しない)、例えば、カルボン酸(-CO2H)又はスルホン酸(-SO2OH)である。本明細書で使用される場合、有機酸についての言及は、意図的に添加された有機酸を意味する。これに関連して、有機酸は、別の組成物の成分の構成成分として単に本来存在する有機酸(例えば、組成物成分、例えば、タバコ材料中に本来存在し得る少量の有機酸)とは対照的に、特定の組成物成分として意図的に添加することができる。
【0125】
適切な有機酸は通常ある範囲の親油性を有する(すなわち、水と有機の溶解度との適当な平衡を付与する両極性を有する)。通常、logPで示される適切な有機酸の親油性は、約1~約12(水中よりもオクタノール中でより溶解性がある。)の間で変動する。一部の実施形態では、有機酸は約1~約12、例えば、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、又は約8.0から、約8.5、約9.0、約9.5、約10.0、約10.5、約11.0、約11.5、又は約12.0までのlogP値を有する。ある特定の実施形態では、logPで示される適切な有機酸の親油性は、約1.4~約4.5(水中よりもオクタノール中でより溶解性がある。)の間で変動する。一部の実施形態では、有機酸は、約1.5~約4.0、例えば、約1.5、約2.0、約2.5、又は約3.0から、約3.5、約4.0、約4.5、又は約5.0までのlogP値を有する。特に適切な有機酸は、約1.7~約4、例えば、約2.0、約2.5、又は約3.0から、約3.5、又は約4.0までのlogP値を有する。特定の実施形態では、有機酸は約2.5~約3.5のlogP値を有する。一部の実施形態では、本明細書で以下にさらに記載されているように、この範囲の外側の有機酸もまた、様々な目的に対して及び様々な量で利用することができる。例えば、一部の実施形態では、有機酸は、約4.5より大きい、例えば、約4.5~約12.0のlogP値を有することができる。特に、ある特定の溶媒又は可溶化剤の存在(例えば、組成物中のグリセリン又はプロピレングリコールの包含)は親油性の範囲(すなわち、4.5より高いlogPの値、例えば、約4.5~約12.0)を延ばすことができる。
【0126】
理論に制約されることを望むことなく、適度に親油性の有機酸(例えば、約1.4~約4.5のlogP)は、両極性であるニコチンとイオン対を生成し、イオン対の良好なオクタノール-水の分配をもたらし、したがってニコチンを、オクタノール対水に分配すると考えられている。上記で検討された通り、このようなオクタノールへの分配は、好ましい口腔での利用の可能性を予測する。
【0127】
一部の実施形態では、有機酸はカルボン酸又はスルホン酸である。カルボン酸又はスルホン酸官能基は、例えば、1~20個の炭素原子(C1~C20)を有する任意のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基に結合していてもよい。一部の実施形態では、有機酸はアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールカルボキシル又はスルホン酸である。
【0128】
本明細書で使用される場合,「アルキル」は、任意の直鎖又は分枝鎖炭化水素を指す。アルキル基は飽和していてもよく(すなわち、すべてのsp3炭素原子を有する)、又は不飽和であってもよい(すなわち、少なくとも1つの不飽和部位を有する)。本明細書で使用される場合、「不飽和の」という用語は、アルキル基内の1つ以上の位置における炭素-炭素、sp2二重結合の存在を指す。不飽和のアルキル基は、単価不飽和又は多価不飽和であってもよい。代表的な直鎖アルキル基として、これらに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、及びn-ヘキシルが挙げられる。分枝鎖アルキル基として、これらに限定されないが、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、及び2-メチルブチルが挙げられる。代表的な不飽和アルキル基として、これらに限定されないが、エチレン又はビニル、アリル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニルなどが挙げられる。アルキル基は非置換であっても、又は置換されていてもよい。
【0129】
「シクロアルキル」は本明細書で使用される場合、炭素環式基を指し、この炭素環式基は単環式であっても、又は二環式であってよい。シクロアルキル基として、単環式として3~7個の炭素原子を有する環又は二環式として7~12個の炭素原子を有する環が挙げられる。単環式シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル基は非置換であっても、又は置換されていてもよく、1つ以上の不飽和部位を含むことができる(例えば、シクロペンテニル又はシクロヘキセニル)。
【0130】
「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、炭素環式芳香族基を指す。アリール基の例として、これらに限定されないが、フェニル及びナフチルが挙げられる。アリール基は非置換であっても、又は置換されていてもよい。
【0131】
「ヘテロアリール」及び「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、芳香族又は非芳香族環系をそれぞれ指し、この中で1個以上の環原子はヘテロ原子、例えば窒素、酸素、及び硫黄である。ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル基は、20個までの炭素原子並びにN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む。ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルは、3~7環員を有する単環式(例えば、2~6個の炭素原子及びN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子)又は7~10環員を有する二環式(例えば、4~9個の炭素原子及びN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子)、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]系であってもよい。ヘテロアリール基の例は、例として、ただしこれらに限定されないが、ピリジル、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、1H-インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH-カルバゾリル、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、及びイサチノイルが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例は、例として、ただしこれらに限定されないが、ジヒドロピリジル(dihydroypyridyl)、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、2-ピロリドニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス-テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、及びモルホリニルが挙げられる。ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキル基は非置換であっても、又は置換されていてもよい。
【0132】
「置換されている」は、本明細書で使用される場合及び上記アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルのいずれかに適用される場合、1個以上の水素原子がそれぞれ独立して置換基で置き換えられていることを意味する。典型的置換基として、これらに限定されないが、-Cl、Br、F、アルキル、-OH、-OCH3、NH2、-NHCH3、-N(CH3)2、-CN、-NC(=O)CH3、-C(=O)-、-C(=O)NH2、及び-C(=O)N(CH3)2が挙げられる。基が「任意選択的に置換されている」と記載されている場合は常に、その基は、それぞれの場合に対して独立して選択される上記置換基のうちの1個以上で置換されていることができる。一部の実施形態では、置換基は1個以上のメチル基又は1個以上のヒドロキシル基であってもよい。
【0133】
一部の実施形態では、有機酸はアルキルカルボン酸である。アルキルカルボン酸の非限定的例として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリアン酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。
【0134】
一部の実施形態では、有機酸はアルキルスルホン酸である。アルキルスルホン酸の非限定的例として、プロパンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、及びオクタンスルホン酸が挙げられる。
【0135】
一部の実施形態では、アルキルカルボキシル又はスルホン酸は1つ以上のヒドロキシル基で置換されている。非限定的例として、グリコール酸、4-ヒドロキシ酪酸、及び乳酸が挙げられる。
【0136】
一部の実施形態では、有機酸として、1つより多くのカルボン酸基又は1つより多くのスルホン酸基(例えば、2、3以上カルボン酸基)を含むことができる。非限定的例として、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、及びグルタル酸が挙げられる。複数のカルボン酸を含有する(例えば、2~4つのカルボン酸基)有機酸において、カルボン酸基の1つ以上がエステル化していてもよい。非限定的例として、コハク酸モノエチルエステル、フマル酸モノメチル、クエン酸モノメチル又はクエン酸ジメチルシトレートなどが挙げられる。
【0137】
一部の実施形態では、有機酸は1つより多くのカルボン酸基及び1つ以上のヒドロキシル基を含むことができる。このような酸の非限定的例として、酒石酸、クエン酸などが挙げられる。
【0138】
一部の実施形態では、有機酸はアリールカルボン酸又はアリールスルホン酸である。アリールカルボン酸及びスルホン酸の非限定的例として、安息香酸、トルイル酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸が挙げられる。
【0139】
ある特定の実施形態で有用となり得る有機酸のさらなる非限定的例として、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、アルファ-メチル酪酸、樟脳酸(+)、カンファー-10-スルホン酸(+)、ケイヒ酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-二スルホン酸、エタンスルホン酸、フロ酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、レブリン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-二スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモ酸、フェニル酢酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、セバシン酸酸性、ステアリン酸、及びウンデシレン酸が挙げられる。
【0140】
適切な酸の例として、これらに限定されないが、表1の有機酸のリストが挙げられる。
【0141】
【0142】
一部の実施形態では、有機酸は安息香酸、トルイル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸、又はオクタン酸である。一部の実施形態では、有機酸は安息香酸、オクタン酸、又はデカン酸である。一部の実施形態では、有機酸はオクタン酸である。
【0143】
一部の実施形態では、有機酸は二酸又はポリ酸のモノエステル、例えば、コハク酸モノオクチル、フマル酸モノオクチルなどである。例えば、有機酸はジカルボン酸又はポリカルボン酸のモノエステルである。一部の実施形態では、ジカルボン酸はマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、ジカルボン酸はコハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では,ジカルボン酸はコハク酸、グルタル酸、又はこれらの組合せである。
【0144】
一部の実施形態では、ジカルボン酸のアルコール形成モノエステルは親油性アルコールである。適切な親油性アルコールの例として、これらに限定されないが、オクタノール、メントール、及びトコフェロールが挙げられる。一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸のオクチルモノエステル、例えば、コハク酸モノオクチル、フマル酸モノオクチルなどである。一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸のモノメンチルエステルである。ある特定のメンチルエステルは、組成物を含む製品の使用時にこれらが冷却感覚をもたらすことができるため、本明細書に記載されている口腔用組成物中あるのが望ましいこともある。一部の実施形態では、有機酸はコハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸のモノトコフェリルエステルである。ある特定のトコフェリルエステルは、これらが抗酸化剤作用をもたらすことができるため、本明細書に記載されている口腔用組成物中にあるのが望ましいこともある。一部の実施形態では、有機酸はコハク酸トコフェリル、フマル酸トコフェリル、グルタル酸トコフェリル、又はこれらの組合せである。
【0145】
一部の実施形態では、有機酸は1つ以上のカルボン酸を有するカロチノイド誘導体である。カロチノイドはテトラテルペンであり、これらは8個のイソプレン分子から生成され、40個の炭素原子を含有することを意味する。したがって、これらは普通長い不飽和の脂肪族鎖の存在により親油性であり、色は一般的に黄色、オレンジ色、又は赤色である。ある特定のカロチノイド誘導体は、イオン対形成と、組成物中の着色剤としての役目の両方をもたらすことにより、口腔用組成物において有利となり得る。一部の実施形態では、有機酸は、2E,4E,6E,8E,10E,12E,14E,16Z,18E)-20-メトキシ-4,8,13,17-テトラメチル-20-オキソイコサ-2,4,6,8,10,12,14,16,18-ノナエン酸(ビキシン)又はその異性体である。ビキシンは、アチョーテ木(ビクサ・オレラナ(Bixa orellana))からのアナトーシードに見出されるアポカロテノイドであり、赤みを帯びたオレンジ色をアナトーに提供する天然由来の顔料である。ビキシンは脂肪及びアルコールに溶解性があるが、水には不溶性であり、単離した場合、化学的に不安定であり、異性化を介して二重結合異性体、trans-ビキシン(β-ビキシン)へと変換され、以下の構造を有する:
【0146】
【0147】
一部の実施形態では、有機酸は、(2E,4E,6E,8E,10E,12E,14E,16E,18E)-4,8,13,17-テトラメチルイコサ-2,4,6,8,10,12,14,16,18-ノナエン二酸(ノルビキシン)であり、ビキシンの水溶性加水分解生成物であり、以下の構造を有する:
【0148】
【0149】
有機酸の選択は、mlogP値に対する考慮に加えて又はこれを考慮せずに、追加の特性にさらに依存し得る。例えば、有機酸は、ヒトによる消費に対して安全と認識され、許容されるフレーバー、臭気、揮発性、安定性などを有する有機酸であるべきである。適当な有機酸の判定は当業者の認識範囲内である。
【0150】
一部の実施形態では、有機酸は安息香酸、トルイル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸、又はオクタン酸である。一部の実施形態では、有機酸は安息香酸、オクタン酸、又はデカン酸である。一部の実施形態では、有機酸はオクタン酸である。
【0151】
一部の実施形態では、1種より多くの有機酸が存在してもよい。例えば、組成物は、2種,又は3種、又は4種以上有機酸を含むことができる。したがって、本明細書での「有機酸」という言及は、2種以上の有機酸の混合物を想定している。複数の有機酸の相対量は変動し得る。例えば、組成物は、等量の2種、又は3種以上の有機酸を含むことができ、又は異なる相対量を含むこともできる。このように、他の有機酸と組み合わせた場合、組合せに対して所望の平均logP範囲をもたらすように、所望の範囲の外側のlogP値を有するある特定の有機酸(例えば、クエン酸又はミリスチン酸)を含めることも可能である。一部の実施形態では、目的に対して所望の範囲の外側のlogP値を有する組成物中に、例えば、これらに限定されないが、望ましい官能特性、安定性をフレーバー成分として提供する有機酸を含むことが望ましいこともある。さらに、ある特定の親油性有機酸は、唯一の有機酸(例えば、ニコチンと比べて等モル又はより大きな量の)としてのこれらの存在を妨げる有害なフレーバー及び又は芳香特徴を有する。理論に制約されることを望むことなく、異なる有機酸の組合せは、組成物中の任意の単一有機酸の濃度を、感覚性の観点から好ましくないと判明した閾値よりも低いまま保ちながら、所望のイオン対形成を提供することができると考えられる。
【0152】
例えば、一部の実施形態では、有機酸は、例えば、約0.2モル当量のオクタン酸又はその塩、及び0.2モル当量のデカン酸又はその塩と組み合わせて、ニコチンに対して、約1~約5以上のモル当量の安息香酸を含むことができる。
【0153】
一部の実施形態では、有機酸は、安息香酸、トルイル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸、及びオクタン酸からなる群から選択されるいずれか2種の有機酸の組合せである。一部の実施形態では、有機酸は安息香酸、オクタン酸、及びデカン酸、又は安息香酸及びオクタン酸の組合せである。一部の実施形態では、組成物は、安息香酸、トルイル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸、及びオクタン酸のうちの1種以上に加えてクエン酸を含む。
【0154】
一部の実施形態では、組成物は有機酸のアルカリ金属塩を含む。例えば、有機酸の少なくとも一部分はアルカリ金属塩の形態で組成物中に存在し得る。適切なアルカリ金属塩として、リチウム、ナトリウム、及びカリウムが挙げられる。一部の実施形態では、アルカリ金属はナトリウム又はカリウムである。一部の実施形態では、アルカリ金属はナトリウムである。一部の実施形態では、組成物は有機酸及び有機酸のナトリウム塩を含む。
【0155】
一部の実施形態では、組成物は、安息香酸及び安息香酸ナトリウム、オクタン酸及びオクタン酸ナトリウム、デカン酸及びデカン酸ナトリウム、又はこれらの組合せを含む。
【0156】
一部の実施形態では、有機酸の、有機酸のナトリウム塩に対する比は、約0.1~約10、例えば、約0.1、約0.25、約0.3、約0.5、約0.75、又は約1から、約2、約5、又は約10までである。例えば、一部の実施形態では、有機酸とそのナトリウム塩の両方が組成物の他の構成成分に添加され、有機酸は、ナトリウム塩を超える量で、ナトリウム塩と等モルの量で、又はナトリウム塩の一部分として添加される。当業者は、相対量は、組成物の所望のpH、並びに所望のイオン強度により決定されることを認識している。例えば、有機酸は組成物の所望のpHレベルをもたらす量で添加されてもよく、その一方でアルカリ金属(例えば、ナトリウム)塩は所望の範囲のイオン対形成をもたらす量で添加される。組成物中に存在するアルカリ金属塩又は共役塩基形態に対する、組成物中に存在する有機酸(すなわち、プロトン化形態)の量は、組成物のpH及び有機酸のpKaにより、並びに組成物に最初に添加された実際の相対的な量により変動することを当業者は理解している。
【0157】
ニコチンに対する、組成物中に存在する有機酸又はそのアルカリ金属塩の量は、変動し得る。一般的に、有機酸(又はその共役塩基)の濃度が増加するにつれて、有機酸とイオン対を形成するニコチンのパーセントは増加する。これは通常、logP(分配係数のlog10)で測定した場合、イオン対の形態の、オクタノール対水のニコチンの分配を増加させる。一部の実施形態では、組成物は、遊離塩基ニコチンとして計算されるニコチン成分に対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2、又は約5から、約10、約15、又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む。
【0158】
一部の実施形態では、組成物は、遊離塩基ニコチンベースで、ニコチンに対して、約2~約10、又は約2~約5モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せは、約2、約3、約4、又は約5から、約6、約7、約8、約9、又は約10までのニコチンとのモル比で存在する。1種より多くの有機酸、そのアルカリ金属塩、又は両方が存在する実施形態では、このようなモル比は、存在する有機酸の全体を反映すると理解される。
【0159】
ある特定の実施形態では有機酸の包含は、約4.0~約9.0、例えば、約4.5~約7.0、又は約5.5~約7.0、約4.0~約5.5、又は約7.0~約9.0の組成物pHをもたらすのに十分である。一部の実施形態では、有機酸の包含は、約4.5~約6.5、例えば、約4.5、約5.0、又は約5.5から、約6.0、又は約6.5までの組成物pHをもたらすのに十分である。一部の実施形態では、有機酸は、約5.5~約6.5、例えば,約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、又は約6.0から、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、又は約6.5までの組成物のpHをもたらすのに十分な量で提供される。他の実施形態では、鉱酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、など)を添加して、組成物のpHを所望の値に調節する。
【0160】
一部の実施形態では、有機酸は、遊離酸として、純粋な形態(すなわち、天然の固体又は液体形態)又は溶液、例えば、水中溶液として、他の組成物構成成分に添加される。一部の実施形態では、有機酸のアルカリ金属塩は、純粋な形態又は溶液、例えば、水中溶液として、他の組成物構成成分に添加される。一部の実施形態では、有機酸及び塩基性アミン(例えば、ニコチン)を合わせて塩を形成するが、塩は組成物への添加前に形成されるか、又は塩がその中に形成されて、そのまま組成物中に存在するかのいずれかである。他の実施形態では、有機酸及び塩基性アミン(例えば、ニコチン)は組成物中に個々の構成成分として存在し、水分(例えば、消費者の口内唾液)との接触によりイオン対を形成する。
【0161】
一部の実施形態では、組成物は、ニコチン安息香酸塩及び安息香酸ナトリウム(又は他のアルカリ金属安息香酸塩)を含む。他の実施形態では、組成物はニコチン及び有機酸を含み、有機酸はジカルボン酸のモノエステルであるか、又は1種以上のカルボン酸を有するカロチノイド誘導体である。
【0162】
一部の実施形態では、ニコチンの少なくとも一部分はニコチンの樹脂複合体の形態であることができ、ニコチンは、イオン交換樹脂に結合している、例えば、ニコチンポラクリレックスであり、これは、例えば、ポリメタクリル酸に結合しているニコチン、例えば、Amberlite IRP64、Purolite C115HMR、又はDoshion P551である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Lichtneckertらの米国特許第3,901,248号を参照されたい。別の例は、ニコチン-ポリアクリルカルボマー複合体、例えば、Carbopol 974Pのものである。一部の実施形態では、ニコチンはニコチンポリアクリル複合体の形態で存在することができる。
【0163】
通常、ニコチン成分(遊離塩基として計算)は、存在する場合、混合物の少なくとも約0.001重量%、例えば、約0.001%~約10%の範囲の濃度である。一部の実施形態では、ニコチン成分は、遊離塩基として計算され、食用、口腔用の溶けるフィルムの総重量に対して、約0.1%w/w~約10重量%、例えば、約0.1%w/w、約0.2w/w%、約0.3w/w%、約0.4w/w%、約0.5w/w%約0.6w/w%、約0.7w/w%、約0.8w/w%、又は約0.9w/w%から、約1w/w%、約2w/w%、約3w/w%、約4w/w%、約5w/w%、約6w/w%、約7w/w%、約8w/w%、約9w/w%、又は約10重量%までの濃度で存在する。一部の実施形態では、ニコチン成分は、遊離塩基として計算され、混合物の総重量に対して、約0.1%w/w~約3重量%、例えば、約0.1%w/w~約2.5%、約0.1w/w%~約2.0w/w%,約0.1w/w%~約1.5w/w%、又は約0.1w/w%~約1重量%の濃度で存在する。これらの範囲はまた、本明細書で指摘された他の活性成分にも適用することができる。
【0164】
一部の実施形態では、本開示の製品又は組成物は、任意のニコチン成分を含まないことを特徴とすることができる(例えば、本明細書で開示されている任意の実施形態はいかなるニコチン成分も完全に又は実質的に含まなくてもよい)。「実質的に含まない」とは、例えば、ボタニカル材料中に自然に存在し得る微量を超えて、いかなるニコチンも意図的に添加されていないことを意味する。例えば、ある特定の実施形態は、遊離塩基として計算された0.001重量%未満のニコチン、又は0.0001重量%未満のニコチン、又はさらに0重量%未満のニコチンを有することを特徴とすることができる。
【0165】
一部の実施形態では、活性成分はニコチン成分を含む(例えば、本明細書で開示されている任意の活性成分又は活性成分の組合せを含むことに加えて、本開示の任意の生成物又は組成物はニコチン成分をさらに含むことができる)。
【0166】
カンナビノイド
一部の実施形態では、活性成分は1種以上のカンナビノイドを含む。本明細書で使用される場合、「カンナビノイド」という用語は、脳内の神経伝達物質放出を変化させる、細胞内のカンナビノイド受容体(すなわち、CB1及びCB2)に作用するクラスの多様な天然又は合成化学化合物を指す。カンナビノイドは、特定の特性、例えば、血液脳関門を簡単に横断する能力などを示す環式の分子である。カンナビノイドは、植物、例えばアサなどからの天然由来(植物性カンナビノイド)であっても、動物由来(内在性カンナビノイド)であっても、又は人為的に製造されたもの(合成カンナビノイド)であってもよい。アサ種は、少なくとも85種の異なる植物性カンナビノイドを発現し、これらはカンナビゲロール、カンナビクロメン、カンナビジオール、テトラヒドロカンナビノール、カンナビノール及びカンナビノジオール、及び他のカンナビノイド、例えば、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノール(CBN)及びカンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、トラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変化形(CBNV)、カンナビノトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、及びテトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)を含むサブクラスに分割することができる。
【0167】
一部の実施形態では、カンナビノイドは、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノール(CBN)及びカンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、トラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変化形(CBNV)、カンナビノトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一部の実施形態では、カンナビノイドは少なくともテトラヒドロカンナビノール(THC)を含む。一部の実施形態では、カンナビノイドはテトラヒドロカンナビノール(THC)である。一部の実施形態では、カンナビノイドは少なくともカンナビジオール(CBD)を含む。一部の実施形態では、カンナビノイドはカンナビジオール(CBD)である。一部の実施形態では、CBDは合成CBDである。とりわけ、CBDはlogP値約6.5を有し、これによって水性環境内(例えば、唾液)で不溶性となる。
【0168】
一部の実施形態では、カンナビノイド(例えば、CBD)は、分離物の形態で口腔用製品に添加される。分離物とは、植物、例えば、アサからの抽出物であり、目的の活性物質(この場合カンナビノイド、例えば、CBD)は、高度の純度で、例えば、95%より大きい、96%より大きい、97%より大きい、98%より大きい、又は99%の周辺の純度で存在する。
【0169】
一部の実施形態では、カンナビノイドは、高度の純度でのCBDの分離物であり、口腔用製品中のいずれか他のカンナビノイドの量は、口腔用製品の約1重量%以下、例えば、口腔用製品の約0.5重量%以下、例えば、口腔用製品の約0.1重量%以下、例えば、口腔用製品の約0.01重量%以下である。
【0170】
開示された口腔用製品内に存在し得るカンナビノイドの選択及びその特定のパーセンテージは、口腔用製品の所望のフレーバー、テキスチャー、及び他の特徴に応じて変動することになる。
【0171】
代わりに、又はカンナビノイドに加えて、活性剤は大麻類似物を含んでもよく、この大麻類似物は、カンナビノイドと類似の内在性カンナビノイド系に対する生物学的作用を有する、アサ以外の植物由来のクラスの化合物である。例として、ヤンゴニン、アルファ-アミリン又はベータ-アミリン(テルペンとしても分類される)、シアニジン、クルクミン(ターメリック)、カテキン、ケルセチン、サルビノリンA、N-アシルエタノールアミン、及びN-アルキルアミド脂質が挙げられる。このような化合物は、カンナビノイドに対して本明細書で記述されたものと同じ量及び比で使用することができる。
【0172】
存在する場合、カンナビノイド(例えば、CBD)又は大麻類似物は通常、組成物の総重量に対して、組成物の少なくとも約0.1重量%の濃度、例えば、約0.1重量%~約30重量%の範囲、例えば、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、又は約0.9重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、又は約30重量%までの濃度である。一部の実施形態では、カンナビノイド(例えば、CBD)は、口腔用製品中に、口腔用製品の少なくとも約0.001重量%の濃度、例えば、口腔用製品の約0.001%~約2重量%の範囲の濃度で存在する。一部の実施形態では、カンナビノイド(例えば、CBD)は、口腔用製品中に、口腔用製品の総重量に対して、約0.1%~約1.5重量%の濃度で存在する。一部の実施形態では、カンナビノイド(例えば、CBD)は、口腔用製品の総重量に対して、約0.4%~約1.5重量%の濃度で存在する。
【0173】
テルペン
本開示における使用に適した活性成分はまたテルペンとして分類することができ、このうちの多くは生物学的作用、例えば、沈静作用を伴う。テルペンは、一般式(C5H8)nを有すると考えられ、モノテルペン、セスキテルペン及びジテルペンを含む。テルペンは非環式、単環式又は二環式の構造であることができる。一部のテルペンは、カンナビノイド又は大麻類似物と組み合わせて使用された場合、アントラージュ効果を提供する。例として、ベータ-カリオフィレン、リナロール、リモネン、ベータ-シトロネロール、酢酸リナリル、ピネン(アルファ又はベータ)、ゲラニオール、カルボン、ユーカリプトール、メントン、イソ-メントン、ピペリトン、ミルセン、ベータ-ブルボネン及びゲルマクレンが挙げられ、これらは個々に又は組み合わせて使用することができる。
【0174】
一部の実施形態では、テルペンは、植物性カンナビノイド生成植物、例えば、カンナビス・サティヴァ種、例えば、大麻の株の植物から誘導可能なテルペンである。この関連で適切なテルペンとして、いわゆる「C10テルペン」(10個の炭素原子を含むようなテルペン)、及びいわゆる「C15テルペン」(15個の炭素原子を含むようなテルペン)が挙げられる。一部の実施形態では、活性成分は1種より多くのテルペンを含む。例えば、活性成分は、本明細書で定義された、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種以上のテルペンを含むことができる。一部の実施形態では、テルペンは、ピネン(アルファ及びベータ)、ゲラニオール、リナロール、リモネン、カルボン、ユーカリプトール、メントン、イソ-メントン、ピペリトン、ミルセン、ベータ-ブルボネン、ゲルマクレン及びこれらの混合物から選択される。
【0175】
医薬品成分
一部の実施形態では、活性成分は医薬品有効成分(API)を含む。APIは、治療用、予防用、又は診断用の使用に適応した任意の公知の薬剤であることができる。これらは、例えば、合成有機化合物、タンパク質及びペプチド、多糖及び他の糖、脂質、リン脂質、無機化合物(例えば、マグネシウム、セレン、亜鉛、硝酸塩)、神経伝達物質又はその前駆体(例えば、セロトニン、5-ヒドロキシトリプトファン、オキシトリプタン、アセチルコリン、ドーパミン、メラトニン)及び核酸配列を含むことができ、これらは治療的、予防的、又は診断用活性を有する。APIの非限定的例として、鎮痛剤及び解熱剤(例えば、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、3-(4-イソブチルフェニル)プロパン酸)、ホスファチジルセリン、ミオイノシトール、ドコサヘキサエン酸(DHA、オメガ-3)、アラキドン酸(AA、オメガ-6)、S-アデノシルメチオニン(SAM)、ベータ-ヒドロキシ-ベータ-メチルブチレート(HMB)、シチコリン(シチジン-5’-ジホスフェート-コリン)及びコチニンが挙げられる。一部の実施形態では、活性成分はシチコリンを含む。一部の実施形態では、活性成分はシチコリン、カフェイン、テアニン及びニンジンの組合せである。一部の実施形態では、活性成分はヒマワリレシチンを含む。一部の実施形態では、活性成分はヒマワリレシチン、カフェイン、テアニン及びニンジンの組合せである。
【0176】
APIの量は異なってもよい。例えば、存在する場合、APIは通常、組成物の総重量に対して、約0.001%w/w~約10w/w%、例えば、約0.01w/w%、約0.02w/w%、約0.03w/w%、約0.04w/w%、約0.05w/w%、約0.06w/w%、約0.07w/w%、約0.08w/w%、約0.09w/w%、約0.1%w/w、約0.2w/w%、約0.3w/w%、約0.4w/w%、約0.5w/w%約0.6w/w%、約0.7w/w%、約0.8w/w%、約0.9w/w%、又は約1w/w%から、約2w/w%、約3w/w%、約4w/w%、約5w/w%、約6w/w%、約7w/w%、約8w/w%、約9w/w%、又は約10重量%までの濃度である。
【0177】
一部の実施形態では、このようなフィルムを含む、食用の、口腔で溶解可能なフィルム又は製品はいかなるAPIも実質的に含まない。「いかなるAPIも実質的に含まない」とは、組成物は、本明細書で定義されたいずれかのAPI、例えば、いずれかの医学的状態を治療することを意図した、いずれかの食品医薬品局(FDA)承認治療剤の存在を含有せず、選択的に排除することを意味する。
【0178】
タバコ材料
一部の実施形態では、食用の、口腔で溶解可能なフィルムはタバコ材料を含むことができる。タバコ材料は種、種類、及び形態が異なってもよい。一般的に、タバコ材料は、ニコチアナ属種の収穫された植物から得る。例示的ニコチアナ属種として、N.タバカム(N.tabacum)、N.ルスチカ(N.rustica)、N.アラタ(N.alata)、N.アレントシ(N.arentsii)、N.エクセルシオール(N.excelsior)、N.フォルゲティアナ(N.forgetiana)、N.グラウカ(N.glauca)、N.グルチノーザ(N.glutinosa)、N.ゴッセイ(N.gossei)、N.カワカミ(N.kawakamii)、N.ナイチアナ(N.knightiana)、N.ラングスドルフィ(N.langsdorffi)、N.オトホラ(N.otophora)、N.セトケリ(N.setchelli)、N.シルベストリス(N.sylvestris)、N.トメントサ(N.tomentosa)、N.トメントシホルミス(N.tomentosiformis)、N.アンドゥラタ(N.undulata)、N.xサンデラエ(N.x sanderae)、N.アフリカーナ(N.africana)、N.アムプレキシカウリス(N.amplexicaulis)、N.ベナビデシ(N.benavidesii)、N.ボナリエンシス(N.bonariensis)、N.デブネイ(N.debneyi)、N.ロンギフロラ(N.longiflora)、N.マリチナ(N.maritina)、N.メガロシホン(N.megalosiphon)、N.オシデンタリス(N.occidentalis)、N.パニクラタ(N.paniculata)、N.プルムバギニフォリア(N.plumbaginifolia)、N.ライモンジ(N.raimondii)、N.ロスラタ(N.rosulata)、N.シムランス(N.simulans)、N.ストクトニ(N.stocktonii)、N.スアベオレンス(N.suaveolens)、N.アンブラチカ(N.umbratica)、N.ベルチナ(N.velutina)、N.ウィガンジオイデス(N.wigandioides)、N.アカウリス(N.acaulis)、N.アクミナタ(N.acuminata)、N.アテヌアタ(N.attenuata)、N.ベンサミアナ(N.benthamiana)、N.カビコラ(N.cavicola)、N.クレベランジ(N.clevelandii)、N.コルジフォリア(N.cordifolia)、N.コリンボサ(N.corymbosa)、N.フラグランス(N.fragrans)、N.グッドスピーディ(N.goodspeedii)、N.リネアリス(N.linearis)、N.ミエルシ(N.miersii)、N.ヌジカウリス(N.nudicaulis)、N.オブツシフォリア(N.obtusifolia)、N.オシデンタリス亜種へスぺリス(N.occidentalis subsp.Hersperis)、N.パウシフロラ(N.pauciflora)、N.ペツニオイデス(N.petunioides)、N.クアドリバルビス(N.quadrivalvis)、N.レパンダ(N.repanda)、N.ロツンジフォリア(N.rotundifolia)、N.ソラニフォリア(N.solanifolia)及びN.スペガジニ(N.spegazzinii)が挙げられる。ニコチアナ属種の様々な代表的な他の種類の植物が、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Goodspeed、The Genus Nicotiana、(Chonica Botanica)(1954年);Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,660,577号;Whiteらの米国特許第5,387,416号、Lawsonらの米国特許第7,025,066号;Lawrence,Jr.の米国特許第7,798,153号及びMarshallらの米国特許第8,186,360号に記載されている。様々な種類のタバコ、栽培の実施及び収穫の実施の説明が、参照により本明細書に組み込まれる、Tobacco Production、Chemistry and Technology、Davisら(編)(1999年)に記載されている。
【0179】
適切なタバコ材料を得ることができるニコチアナ属種は、遺伝的改変又は交配育種技術を使用して誘導することができる(例えば、タバコ植物は、遺伝子操作又は異種交配して、構成成分、特徴又は特質の生成を増加又は低減することができる)。例えば、Fitzmauriceらの米国特許第5,539,093号;Wahabらの米国特許第5,668,295号;Fitzmauriceらの米国特許第5,705,624号;Weiglの米国特許第5,844,119号;Dominguezらの米国特許第6,730,832号;Liuらの米国特許第7,173,170号;Colliverらの米国特許第7,208,659号及びBenningらの米国特許第7,230,160号;Conklingらの米国特許出願公開第2006/0236434号;並びにNielsenらのPCT WO2008/103935に記載の植物の遺伝子改変の種類を参照されたい。また、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,660,577号;Whiteらの米国特許第5,387,416号;及びDominguezらの米国特許第6,730,832号に記載の種類のタバコも参照されたい。
【0180】
一部の実施形態では、ニコチアナ属種は、その中に存在する様々な化合物の含有量に対して選択することができる。例えば、植物は、単離を希望する1種以上の化合物を比較的多量に生成するような植物であることに基づき選択することができる。ある特定の実施形態では、ニコチアナ属種の植物(例えば、ガルパオコムンタバコ)は、これらの葉面化合物が豊富なことから特別に栽培されている。タバコ植物は、温室、生育チャンバー、又は屋外のフィールドで栽培することができ、又は水耕栽培することができる。
【0181】
ニコチアナ属種の植物の様々な部分又は一部分が、本明細書で開示されている混合物内に含まれていてもよい。例えば、実質的には植物のすべて(例えば、植物全体)を収穫し、そのまま利用することができる。代わりに、植物の様々な部分又は小片は、収穫する、又は収穫後のさらなる使用のために分離することもできる。例えば、花、葉、茎、幹、根、種子及び様々なこれらの組合せは、さらなる使用又は処理のために単離することができる。一部の実施形態では、タバコ材料はタバコ葉(葉身)を含む。本明細書で開示されている混合物は、加工したタバコ部分若しくは小片、本質的に天然葉身及び/又は茎の形態で乾燥加工し、熟成させたタバコ、タバコ抽出物、抽出タバコパルプ(例えば、水を溶媒として使用)、又は前述の混合物(例えば、抽出タバコパルプを顆粒化し、乾燥加工して、熟成させた天然のタバコ葉身と合わせた混合物)を挙げることができる。
【0182】
ある特定の実施形態では、タバコ材料は、葉身及び茎からなる群から選択される固形タバコ材料を含む。混合物に使用されるタバコは、最も好ましくは、タバコ葉身、又はタバコ葉身と茎の混合物(このうち少なくとも一部分は煤煙処理している)が挙げられる。混合物内のタバコの一部分は加工した形態、例えば、加工タバコ茎(例えば、切断圧延茎、切断圧延拡張茎又は切断パフ茎)、又は体積膨張タバコ(例えば、パフタバコ、例えば、ドライアイス膨張タバコ(DIET))を有してもよい。例えば、すべてが参照により組み込まれているde la Burdeらの米国特許第4,340,073号;Guyらの米国特許第5,259,403号;並びにPoindexterらの米国特許第5,908,032号;及びPoindexterらの米国特許第7,556,047号に記載のタバコ膨張加工を参照されたい。加えて、混合物は任意選択的に発酵性であるタバコを組み込んでもよい。参照により本明細書に組み込まれる、AtchleyらのPCT WO2005/063060に記載のタバコ加工技術の種類を参照されたい。
【0183】
タバコ材料は通常、粒状と記載することができる形態(すなわち、細断、製粉、顆粒化、又は粉末形態)で使用されている。タバコ材料が微細に分割された又は粉末形態のタイプで提供される方式は異なり得る。好ましくは、植物部分又は小片は、製粉、ミリングなどに対する装置及び技術を使用して、粉末化、製粉、又は微粉化されて粒状形態となる。最も好ましくは、植物性材料は、ハンマーミル、カッターヘッド、空気制御ミルなどの装置を使用して製粉又はミリングしている間、比較的乾燥した形態である。例えば、タバコ部分又は小片は、その含水量が約15重量パーセント未満又は約5重量パーセント未満である場合、製粉又はミリングすることができる。最も好ましくは、タバコ材料は、1.4ミリメートル~250ミクロンの間の平均粒径を有する部分又は小片の形態で利用される。ある場合には、タバコ粒子は、必要とされる粒径範囲を得るため、スクリーンメッシュの通過サイズにすることができる。所望する場合、空気分級装置を使用して、所望のサイズ、又はサイズ範囲の、小さなサイズのタバコ粒子を確実に収集することができる。所望する場合、顆粒化タバコの異なるサイズの小片を一緒に混合することができる。
【0184】
タバコが微細に分割された又は粉末タイプの形態で提供される方式は異なってもよい。好ましくは、タバコ部分又は小片は、製粉、ミリングなどのための装置及び技術を使用して、粉末化、製粉、又は微粉化され、粉末タイプの形態にする。最も好ましくは、タバコは、ハンマーミル、カッターヘッド、空気制御ミルなどの装置を使用して製粉又はミリングしている間、比較的乾燥した形態である。例えば、タバコ部分又は小片は、その含水量が約15重量パーセント未満~約5重量パーセント未満である場合、製粉又はミリングすることができる。例えば、タバコ植物又はその一部分は、個々の部分又は小片へと分離することができる(例えば、葉は茎から除去することができ、並びに/又は茎及び葉は幹から除去することができる)。収穫された植物又は個々の部分又は小片は、部分又は小片へとさらに細分することができる(例えば、葉は、細断、切断、粉末化、微粉化、ミリング、又は製粉して、小片又は部分にすることができ、これら小片又は部分はフィラータイプ小片、顆粒、粒状又は微細な粉末であることを特徴とし得る)。植物、又はその部分は、外部の力又は圧力に供することができる(例えば、圧縮又はロール処理により)。このような加工条件を実行する場合、植物若しくはその一部分はその天然含水量に近似する含水量(例えば、収穫直後のその含水量)、水分を植物若しくはその一部分に添加することにより達成される含水量、又は植物若しくはその一部分の乾燥から得られる含水量を有することができる。例えば、粉末化、微粉化、製粉又はミリングした植物の小片又はその一部分は、約25重量パーセント未満、多くの場合約20重量パーセント未満、及び頻繁には約15重量パーセント未満の含水量を有することができる。
【0185】
口腔用製品の調製のため、ニコチアナ属種の収穫された植物を乾燥加工化プロセスに供することが通常である。本明細書で開示されている製品内への包含用の混合物内に組み込まれるタバコ材料は、適切に乾燥加工した、及び/又は熟成したものである。様々な種類のタバコに対する様々な種類の乾燥加工プロセスの説明が、Tobacco Production、Chemistry and Technology、Davisら(編)(1999年)に記載されている。熱風乾燥したタバコを乾燥加工するための技術及び条件の例が、参照により本明細書に組み込まれる、Nestorら、Beitrage Tabakforsch.Int.、20巻、467~475頁(2003年)及びPeeleの米国特許第6,895,974号に記載されている。タバコを空気乾燥加工するための代表的な技術及び条件が、参照により本明細書に組み込まれる、Grovesらの米国特許第7,650,892号;Rotonら、Beitrage Tabakforsch.Int.、21巻、305~320頁(2005年)及びStaafら、Beitrage Tabakforsch.Int.、21巻、321~330頁(2005年)に記載されている。ある特定の種類のタバコは、代替の種類の乾燥加工プロセス、例えば、直火煙乾燥又は日光乾燥に供することもできる。
【0186】
ある特定の実施形態では、利用することができるタバコ材料として、熱風乾燥した又はバージニア(例えば、K326)、バーレー種、日光乾燥したもの(例えば、インディアンクルヌール及びオリエンタルタバコ、これにはカテリニ、プレリップ、コモティニ、クサンティ及びヤンボルタバコが含まれる)、メリーランド、ダーク、ダークファイアード、ダーク空気乾燥(例えば、マドール、パサンダ、クバーノ、ジャティン及びベズキタバコ)、ライト空気乾燥(例えば、ノースウィスコンシン及びガルパオタバコ)、インディアン空気乾燥、レッドロシアン及びルスチカタバコ、並びに様々な他の稀な又は専門タバコ及び前述のタバコのいずれかの様々なブレンドが挙げられる。
【0187】
タバコ材料はまた、いわゆる「ブレンド」形態を有することができる。例えば、タバコ材料は、熱風乾燥、バーレー種(例えば、マラウイバーレー種タバコ)及びオリエンタルタバコの部分又は小片の混合物を含むことができる(例えば、タバコ葉身、又はタバコ葉身とタバコ茎の混合物で構成される、又はこれら由来のタバコ)。例えば、代表的なブレンドは、乾燥重量ベースで、約30~約70部のバーレー種タバコ(例えば、葉身、又は葉身及び茎)、及び約30~約70部の熱風乾燥タバコ(例えば、茎、葉身、又は葉身及び茎)を組み込むことができる。他の例示的タバコブレンドは、乾燥重量ベースで、約75部の熱風乾燥タバコ、約15部のバーレー種タバコ、及び約10部のオリエンタルタバコ;又は約65部の熱風乾燥タバコ、約25部のバーレー種タバコ、及び約10部のオリエンタルタバコ;又は約65部の熱風乾燥タバコ、約10部のバーレー種タバコ、及び約25部のオリエンタルタバコを組み込んでいる。他の例示的タバコブレンドは、乾燥重量ベースで、約20~約30部のオリエンタルタバコ及び約70~約80部の熱風乾燥タバコを組み込んでいる。
【0188】
本開示において使用されているタバコ材料は、例えば、発酵、漂白などに供することができる。所望する場合、タバコ材料は、例えば、照射、低温殺菌、又はさもなければ制御された加熱処理に供することもできる。このような処理プロセスは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Muaらの米国特許第8,061,362号に詳述されている。ある特定の実施形態では、タバコ材料は、水で、及びタバコ材料の加熱時にアクリルアミドを形成するアスパラギンの反応を阻害することが可能な添加剤(例えば、リシン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、メチオニン、システイン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、フェニルアラニン、バリン、アルギニン、二価及び三価のカチオンを組み込んでいる組成物、アスパラギナーゼ、ある特定の非還元性糖類、ある特定の還元剤、フェノール系化合物、少なくとも1つの遊離チオール基又は官能基を有するある特定の化合物、酸化剤、酸化触媒、天然の植物抽出物(例えば、ローズマリー抽出物)、並びにこれらの組合せからなる群から選択される添加剤)で処理することができる。例えば、すべて参照により本明細書に組み込まれる、Chenらの米国特許公開第8,434,496号、米国特許公開第8,944,072号及び米国特許公開第8,991,403号に記載されているタイプの処理プロセスを参照されたい。ある特定の実施形態では、このタイプの処理は、以前に記述されたプロセスにおいて元のタバコ材料を加熱に供する場合有用である。
【0189】
一部の実施形態では、タバコ材料の種類は、最初に目視により他のタバコ材料よりも色がある程度薄いものが選択される(例えば、白色化又は漂白されている)。ある特定の実施形態では、タバコパルプは、当技術分野で公知の任意の手段により白色化することができる。例えば、様々な漂白剤又は酸化剤及び酸化触媒を使用して様々な白色化方法により生成された漂白タバコ材料を使用することができる。例示的酸化剤として、過酸化物(例えば、過酸化水素)、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、オゾン、アンモニア、過マンガン酸カリウム及びこれらの組合せが挙げられる。例示的酸化触媒は二酸化チタン、二酸化マンガン及びこれらの組合せである。漂白剤を用いてタバコを処理するためのプロセスは、例えば、すべて本明細書に参照により組み込まれている、Daniels,Jr.の米国特許第787,611号;Oelenheinzの米国特許第1,086,306号;Dellingの米国特許第1,437,095号;Rosenhochの米国特許第1,757,477号;Hawkinsonの米国特許第2,122,421号;Baierの米国特許第2,148,147号;Baierの米国特許第2,170,107号;Baierの米国特許第2,274,649号;Pratsらの米国特許第2,770,239号;Rosenの米国特許第3,612,065号;Rosenの米国特許第3,851,653号;Rosenの米国特許第3,889,689号;Minamiの米国特許第3,943,940号;Rosenの米国特許第3,943,945号;Rainerの米国特許第4,143,666号;Campbellの米国特許第4,194,514号;Rainerらの米国特許第4,366,823号、米国特許第4,366,824号及び米国特許第4,388,933号;Schmekelらの米国特許第4,641,667号;Bergerの米国特許第5,713,376号;Byrd Jr.らの米国特許第9,339,058号;Beesonらの米国特許第9,420,825号;並びにByrd Jr.らの米国特許第9,950,858号;並びにBjorkholmらの米国特許出願公開第2012/0067361号;Crooksの米国特許出願公開第2016/0073686号;Bjorkholmの米国特許出願公開第2017/0020183号;及びBjorkholmの米国特許出願公開第2017/0112183号、並びにGiolvasのPCT公開出願第WO1996/031255号及びBjorkholmのPCT公開出願第WO2018/083114号において論じられている。
【0190】
一部の実施形態では、白色化タバコ材料は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、又は少なくとも約80%のISO白色度を有することができる。一部の実施形態では、白色化タバコ材料は、約50%~約90%、約55%~約75%、又は約60%~約70%の範囲のISO白色度を有することができる。ISO白色度は、ISO3688:1999又はISO2470-1:2016に従い測定することができる。
【0191】
一部の実施形態では、白色化タバコ材料は、未処理のタバコ材料と比較して、明色化した色を特徴とすることができる(例えば、「白色化」)。白色の色は多くの場合国際照明委員会(International Commission on Illumination(CIE))の色度図を参照して定義される。ある特定の実施形態では、白色化タバコ材料は、色度図上で未処理のタバコ材料よりも純粋な白色により近いことを特徴とすることができる。
【0192】
様々な実施形態では、タバコ材料は、処理して、タバコ材料の溶解性構成成分をそれから抽出することができる。「タバコ抽出物」は本明細書で使用される場合、抽出プロセスでタバコ材料と接触させる溶媒により、固形のタバコパルプから抽出されるタバコ材料の単離した構成成分を指す。タバコ材料の様々な抽出技術を使用して、タバコ抽出物及びタバコ固形材料を得ることができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Beesonらの米国特許出願公開第2011/0247640に記載されている抽出プロセスを参照されたい。タバコの構成成分を抽出するための他の例示的技術は、すべてが参照により本明細書に組み込まれる、Fioreの米国特許第4,144,895号;Osborne,Jr.らの米国特許第4,150,677号;Reidの米国特許第4,267,847号;Wildmanらの米国特許第4,289,147号;Brummerらの米国特許第4,351,346号;Brummerらの米国特許第4,359,059号;Mullerの米国特許第4,506,682号;Keritsisの米国特許第4,589,428号;Sogaらの米国特許第4,605,016号;Pouloseらの米国特許第4,716,911号;Niven,Jr.らの米国特許第4,727,889号;Bernasekらの米国特許第4,887,618号;Clappらの米国特許第4,941,484号;Faggらの米国特許第4,967,771号;Robertsらの米国特許第4,986,286号;Faggらの米国特許第5,005,593号;Grubbsらの米国特許第5,018,540号;Whiteらの米国特許第5,060,669号;Faggの米国特許第5,065,775号;Whiteらの米国特許第5,074,319号;Whiteらの米国特許第5,099,862号;Whiteらの米国特許第5,121,757号;Faggの米国特許第5,131,414号;Munozらの米国特許第5,131,415号;Faggの米国特許第5,148,819号;Kramerの米国特許第5,197,494号;Smithらの米国特許第5,230,354号;Faggの米国特許第5,234,008号;Smithの米国特許第5,243,999号;Raymondらの米国特許第5,301,694号;Gonzalez-Parraらの米国特許第5,318,050号;Teagueの米国特許第5,343,879号;Newtonの米国特許第5,360,022号;Clappらの米国特許第5,435,325号;Brinkleyらの米国特許第5,445,169号;Lauterbachの米国特許第6,131,584号;Kierulffらの米国特許第6,298,859号;Muaらの米国特許第6,772,767号;及びThompsonの米国特許第7,337,782号に記載されている。
【0193】
タバコ材料に対する典型的な包含範囲は、タバコ材料の性質及び種類、並びに最終の食用の、口腔で溶解可能なフィルム又はこのようなフィルムを含む製品に対して意図された作用に応じて異なってもよく、例示的範囲は、食用の、口腔で溶解可能なフィルム又はこのようなフィルムを含む製品の総重量に対して、約30重量%まで(又は約20重量%まで又は約10重量%まで又は約5重量%まで)である(例えば、約0.1~約15重量%)。
【0194】
一部の実施形態では、食用の、口腔で溶解可能なフィルム又は本開示のこのようなフィルムを含む製品は、タバコ材料を完全に含まない又は実質的に含まない(一部の実施形態では、活性成分としての精製されたニコチン以外)と特徴付けることができる。例えば、ある特定の実施形態は、タバコ材料の1重量%未満、0.5重量%以下、0.1重量%以下、又はタバコ材料の0重量%を有すると特徴付けることができる。
【0195】
他の構成成分
結合剤構成成分、可塑剤構成成分、及び任意選択の活性成分に加えて、本明細書に提供されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、1種以上のいくつかの追加の構成成分を含むことができる。例えば、これらは、構成成分、例えば、フィラー、着香剤、着色剤、塩、甘味剤、保存剤、透過促進剤、乳化剤、界面活性剤、緩衝剤/pH調整剤、加工助剤などを含むことができる。
【0196】
フィラー(一部の実施形態では、[増量剤]とも呼ばれる)は、一部の実施形態では、結合剤に関して本明細書で上記に参照された構成成分と化学構造が似ている構成成分であることができる。しかし、フィラーは低いフィルム形成特徴を有する。一部の実施形態では、フィラーは、フィルム構造の溶解性質を変化させるよう機能することができる。フィラーは、本明細書に提供されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムを調製するために使用されている構成成分の混合物中で粒状であるか、又は溶解性を有することができる。開示されたフィルムに利用されるフィラーは、単一種類のフィラー又は1種より多くの(例えば、2種若しくはそれよりも多く又は3種若しくはそれよりも多くの)異なるフィラーを含むことができる。
【0197】
適切なフィラーの例として、これらに限定されないが、炭水化物、セルロース、繊維、デンプン、マルトデキストリン、ポリグリシトール、多糖(非フィルム形成多糖)、及びミネラルが挙げられる。例えば、適切なフィラーは、このような供給源由来のセルロース材料を含む、いかなる非タバコ植物性材料又はその誘導体であることができる。セルロース系非タバコ植物性材料の例として、穀物(例えば、トウモロコシ、カラスムギ、オオムギ、ライムギ、ソバなど)、テンサイ(例えば、International Fiber Corporationから入手可能なFIBREX(登録商標)ブランドフィラー)、ふすま繊維及びこれらの混合物が挙げられる。非タバコ植物性材料の誘導体の非限定的例として、デンプン(例えば、ジャガイモ、小麦、米、トウモロコシ由来のもの)、天然セルロース及び修飾セルロース系材料が挙げられる。一部の実施形態では、フィラーは、グルコースとデンプン由来の多糖の混合物を含む。グルコース及びデンプン-誘導された多糖の1つのこのような適切な混合物は、JRS PHARMA LP、USA、2981 Route 22、Patterson、NY12563-2359から入手可能なEMDEX(登録商標)である。潜在的フィラー成分の追加の例として、マルトデキストリン、ブドウ糖、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ラクトース、マンニトール、キシリトール、及びソルビトールが挙げられる。フィラーの組合せもまた使用することができる。
【0198】
「デンプン」とは、本明細書で使用される場合、任意の供給源からの純粋なデンプン、加工デンプン、又はデンプン誘導体を指すことができる。デンプンは通常、ほとんどすべての緑色植物において、及び様々な種類の植物組織及び器官(例えば、種子、葉、根茎、根、塊茎、新芽、果実、穀粒及び茎)において顆粒状の形態で存在する。デンプンは組成並びに顆粒の形状及びサイズが異なってもよい。多くの場合、異なる供給源由来のデンプンは異なる化学的及び物理的な特徴を有する。特定のデンプンは、特定の感覚刺激特性を組成物に付与するデンプン材料の能力に基づき、混合物内への包含に対して選択することができる。様々な供給源由来のデンプンを使用することができる。例えば、デンプンの主要な供給源として、穀物(例えば、米、小麦及びトウモロコシ)及び根菜類(例えば、ジャガイモ及びキャッサバ)が挙げられる。デンプンの供給源の他の例として、ドングリ、アロールート、アラカチャ、バナナ、オオムギ、マメ(例えば、ソラマメ、レンズマメ、ヤエナリ、エンドウマメ、ひよこマメ)、パンノキ、ソバ、カンナ、クリ、コロカシア、カタクリ、クズ、マランガ、雑穀、カラスムギ、オカ、ポリネシアンアロールート、サゴ、ソルガム、サツマイモ、キノア、ライムギ、タピオカ、タロイモ、タバコ、シログワイ及びヤムが挙げられる。ある特定のデンプンは加工デンプンである。加工デンプンは、1種以上の構造的変化が施され、多くの場合その高い熱特性を変化させるように設計されている。一部のデンプンは遺伝子組換えにより開発され、「遺伝子組換え」デンプンと見なされている。他のデンプンは入手されてから、続いて物理的(例えば、加熱、冷水膨潤など)、化学的、又は酵素的に修飾される。例えば、加工デンプンは、化学反応、例えば、エステル化、エーテル化、酸化、酸触媒作用若しくは塩基の存在下での酸化による脱重合(低粘調化)、漂白、グリコシル基転移及び脱重合(例えば、触媒の存在下でのデキストリン化)、架橋、アセチル化、ヒドロキシプロピル化並びに/又は部分加水分解に供したデンプンであってよい。酵素的処理には、天然澱粉を酵素分離物又は濃縮物、微生物酵素及び/又は植物性材料由来の酵素にさらすこと、例えば、トウモロコシデンプンを修飾するために、トウモロコシ種実に存在するアミラーゼにさらすことが含まれる。他のデンプンは加熱処理、例えば、アルファ化、デキストリン化及び/又は冷水膨潤プロセスにより修飾される。ある特定の加工デンプンとして、リン酸化デンプン、グリセロール架橋デンプン、トリメタリン酸ナトリウムでエステル化したリン酸架橋デンプン、リン酸化リン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、無水酢酸でエステル化した酢酸デンプン、酢酸ビニルでエステル化した酢酸デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化グリセロール架橋デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、ヒドロキシプロピル化グリセロール架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムが挙げられる。
【0199】
一部の実施形態では、フィラーはセルロース材料又はセルロース誘導体である。セルロースは、例えば、粉末(例えば、「微結晶性」(MCC)又は「超微粒」(UFC))形態、例えば、ARBOCEL(登録商標)粉末化セルロース、例えば、これらに限定されないが、ARBOCEL(登録商標)UFC 100を含むもの、又はVIVAPUR(登録商標)MCC、例えば、これらに限定されない、VIVAPUR(登録商標)105を含むもの)が提供され得る。本明細書に記載されている製品における使用に対して1種の特に適切な粒状フィラー成分は微結晶性セルロース(「MCC」)である。MCCは合成であっても、半合成であってもよく、又は全面的に天然セルロースから得ることもできる。MCCは、AVICEL(登録商標)グレードPH-100、PH-102、PH-103、PH-105、PH-112、PH-113、PH-200、PH-300、PH-302、VIVACEL(登録商標)グレード101、102、12、20及びEMOCEL(登録商標)グレード50M及び90Mなど、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。一部の実施形態では、フィラーは、セルロース誘導体又はこのような誘導体の組合せをさらに含む。一部の実施形態では、混合物は、混合物の総重量に対して、約1~約10重量%のセルロース誘導体を含み、ある特定の実施形態では、約1~約5重量%のセルロース誘導体を含む。
【0200】
ある特定の実施形態では、セルロース誘導体はセルロースエーテル(カルボキシアルキルエーテルを含む)であり、これはセルロース構造中の1つ以上のヒドロキシル基の水素がアルキル、ヒドロキシアルキル、又はアリール基で置き換えられたセルロースポリマーを意味する。このようなセルロース誘導体の非限定的例として、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(「HPC」)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース(「CMC」)が挙げられる。一実施形態では、セルロース誘導体はメチルセルロース、HPC、HPMC、ヒドロキシエチルセルロース及びCMCのうちの1種以上である。一実施形態では、セルロース誘導体はHPCである。これらの材料は、様々な製造元、例えば、Tic Gumsから提供され得る(例えば、これらに限定されないが、CMC pH15を含む。これらは開示された製品のある特定の実施形態で利用することができる)。ある特定の実施形態では、フィルムは、ポリオール、ブドウ糖、マルトデキストリン、及びこれらの組合せからなる群から選択されるフィラーを含む。一部の実施形態では、組成物は、糖アルコール/糖代替物(例えば、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、イソマルト、エリスリトール、及びこれらの組合せ)、グルコース、マルトース、マルトトリオース、マルトデキストリン、加工デンプン、及びこれらの組合せからなる群から選択されるフィラーを含む。
【0201】
本明細書に記載されている、食用の、口腔で溶解可能なフィルム又はこのようなフィルムを含む口腔用製品中に任意選択的に存在するフィラーの量は、所望の特性により変動し得る。一部の実施形態では、開示されたフィルム中に含まれるフィラーは、約1%~約10重量%、例えば、約2%~約5重量%の量で提供することができる。通常、開示されたフィルムにおいて、フィラーは、食用の、口腔で溶解可能なフィルムの総重量に対して、約15重量%未満、10重量%未満、8重量%未満、6重量%未満、又は5重量%未満の量で存在する。
【0202】
一部の実施形態では、食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、1種以上の香味付与剤を含むことができる。本明細書で使用される場合、「香味付与剤」又は「着香剤」は、口腔用製品に伴う感覚特性を改変することが可能な任意の風味豊かな又は香りの良い物質である。香味付与剤で修正することができる感覚特性の例として、味覚、口当たり、湿り気、冷却/加熱及び/又は香料/芳香が挙げられる。香味付与剤は天然又は合成であってよく、これによりもたらされるフレーバーの性質は、制限なしで、フレッシュ、スイート、ハーバル、菓子類、フローラル、フルーティー、又はスパイシーと記載することができる。特定の種類のフレーバーとして、これらに限定されないが、バニラ、コーヒー、チョコレート/ココア、クリーム、ミント、スペアミント、メントール、ペパーミント、ウィンターグリーン、ユーカリ、ラベンダー、カルダモン、ナツメグ、シナモン、クローブ、カスカリラ、ビャクダン、蜂蜜、ジャスミン、ショウガ、アニス、セージ、甘草、レモン、オレンジ、リンゴ、桃、ライム、サクランボ、イチゴ、三叉神経感覚剤、テルペン及びこれらの任意の組合せが挙げられる。参照により本明細書に組み込まれる、Leffingwellら、Tobacco Flavoring for Smoking Products、R.J.Reynolds Tobacco Company(1972年)もまた参照されたい。香味付与剤は、テルペン、テルペノイド、アルデヒド、ケトン、エステルなどの構成成分を含んでもよい。一部の実施形態では、香味付与剤は三叉神経感覚剤である。本明細書で使用される場合、「三叉神経感覚剤」とは三叉神経に対する作用を有し、加熱、冷却、ピリピリ感などを含む感覚を生成する香味付与剤を指す。三叉神経感覚剤の香味付与剤の非限定的例として、カプサイシン、クエン酸、メントール、四川ボタン(Sichuan button)、エリスリトール及びクベボールが挙げられる。香味付与剤としてまた、湿潤剤、冷却剤又は平滑化剤であると考えられる構成成分、例えば、ユーカリを挙げることができる。一部の実施形態では、香味付与剤は、例えば、バニリルブチルエーテル、スピラントール、アルファ-ヒドロキシサンショール、WS-3(N-エチル-5-メチル-2-(1-メチルエチル)-シクロヘキサンカルボキサミド)、WS-23(N,2,3-トリメチル-2-(1-メチルエチル)-ブタンアミド)、コハク酸モノメンチル、グルタル酸モノメチル及びグルタル酸ジメチル、及びその他から選択される感覚剤である。これらのフレーバーは純粋(すなわち、単独で)又は複合体で提供されてもよいし、濃縮物又はフレーバーパッケージ(例えば、スペアミント及びメントール、オレンジ及びシナモン;ライム、パイナップル、など)として利用されてもよい。構成成分の代表的な種類はまた、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Whiteらの米国特許第5,387,416号;Stricklandらの米国特許出願公開第2005/0244521号;及びQuinterらPCT出願WO05/041699号に記載されている。ある場合には、香味付与剤はスプレー乾燥形態又は液体形態で提供されてもよい。
【0203】
香味付与剤は少なくとも1種の揮発性フレーバー成分を一般的に含む。本明細書で使用される場合、「揮発性」とは、周辺温度で容易に蒸気を形成する化学物質を指す(すなわち、不揮発性物質と比べて所与の温度で高い蒸気圧を有する化学物質)。通常、揮発性フレーバー成分は、約400Da未満の分子量を有し、多くの場合、少なくとも1種の炭素-炭素二重結合、炭素-酸素二重結合、又は両方を含む。一実施形態では、少なくとも1種の揮発性フレーバー成分は1種以上のアルコール、アルデヒド、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、テルペン、テルペノイド、又はこれらの組合せを含む。アルデヒドの非限定的例として、バニリン、エチルバニリン、p-アニスアルデヒド、ヘキサナール、フルフラール、イソバレルアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンズアルデヒド及びシトロネラールが挙げられる。ケトンの非限定的例として、1-ヒドロキシ-2-プロパノン及び2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテノン-1-オンが挙げられる。エステルの非限定的例として、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸エチル、ヘキサン酸エチル、酢酸イソアミル及び3-メチルブチルアセテートが挙げられる。テルペンの非限定的例として、サビネン、リモネン、γ-テルピネン、β-ファルネセン、ネロリドール、ツジョン、ミルセン、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、リナロール及びユーカリプトールが挙げられる。一実施形態では、少なくとも1種の揮発性フレーバー成分は、エチルバニリン、ケイ皮アルデヒド、サビネン、リモネン、γ-テルピネン、β-ファルネセン、又はシトラルのうちの1種以上を含む。一実施形態では、少なくとも1種の揮発性フレーバー成分はエチルバニリンを含む。
【0204】
一部の実施形態では、食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、pH調整剤又は緩衝剤を含むことができる。使用することができるpH調整剤及び緩衝剤の例として、これらに限定されないが、金属水酸化物(例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム)及び他のアルカリ金属緩衝液、例えば、金属炭酸塩(例えば、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウム)、又は金属炭酸水素塩、例えば、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。存在する場合、緩衝剤は、フィルムの重量に対して、通常約5パーセント未満の量で存在し、例えば、フィルムの総重量に対して、約0.5%~約5%、例えば、約0.75%~約4%、約0.75%~約3%、又は約1%~約2重量%の量で存在する。適切な緩衝液の非限定的例として、アルカリ金属酢酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、ホウ酸塩、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0205】
一部の実施形態では、本明細書に提供されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、通常所望の官能属性をフィルムに提供するのに十分な量で利用される塩(例えば、アルカリ金属塩)をさらに含むことができる。適切な塩の非限定的例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、穀粉塩などが挙げられる。
【0206】
着色剤は、フィルムに所望の物理的特質をもたらすのに十分な量で任意選択的に利用することができる。着色剤の例として、様々な染料及び顔料、例えば、カラメル着色剤及び二酸化チタンが挙げられる。
【0207】
一部の実施形態では、本明細書に提供されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムは1種以上の甘味剤をさらに含むことができる。存在する場合、甘味剤は、天然又は人工の形態、又は天然及び人工甘味剤の組合せとして、いかなる甘味剤又は甘味剤の組合せであることができる。天然甘味剤の例として、イソマルツロース、フルクトース、スクロース、グルコース、マルトース、マンノース、ガラクトース、ラクトース、ステビア、蜂蜜などが挙げられる。人工甘味剤の例として、スクラロース、マルトデキストリン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、ネオテームなどが挙げられる。一部の実施形態では、甘味剤は1種以上の糖代替品、例えば、アルコールを含む。糖アルコールは部分的又は完全に水素化された形態を有する、単糖又は二糖由来のポリオールである。糖アルコールは、例えば、約4~約20個の炭素原子を有し、エリスリトール、アラビトール、リビトール、イソマルト、マルチトール、ズルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、ソルビトール及びこれらの組合せ(例えば、水素化デンプン加水分解物)が挙げられる。
【0208】
一部の実施形態では、本明細書に提供されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、1種以上の加工助剤をさらに含むことができる。加工助剤は、例えば、乳化剤、分散剤、可溶化剤、及び/又は界面活性剤であることができる。
【0209】
一部の実施形態では、例えば、食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、1種以上の界面活性剤及び/又は乳化剤を含むことができる。一部の実施形態では、界面活性剤及び乳化剤は、本明細書で概説されている通り、フィルムの生成を促進するために使用することができる。開示された方法において使用することができる界面活性剤及び乳化剤の例として(及び最終の食用の、口腔で溶解可能なフィルムの一部の実施形態に含まれる)、これらに限定されないが、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド、グリセロールエステル、ポリグリセロールエステル、レシチン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート)、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及びこれらの組合せが挙げられる。特定の界面活性剤及び乳化剤として、例えば、Lumulse(商標)(例えば、Lumulse(商標)GMS Kが挙げられ、これは、油中水型乳化剤、分散剤、担体、及び/又は摩擦調整剤に使用されている油溶性非イオン性界面活性剤である。)、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、レシチン、モノステアリン酸グリセロール、Lumisorb(商標)界面活性剤、例えば、これらに限定されないが、PSMO-20-FGK(可塑剤としても機能することができる)を含むもの、及びこれらの組合せである。
【0210】
一部の実施形態では、食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、フィルムの片側又は両側上の非粘着性/抗付着コーティングをさらに含むことができる。非粘着性/抗付着コーティング材料は、生成又は貯蔵中(例えば、容器内で)隣接するフィルムが互いに粘着しないことを確実にすることができる。適切な抗付着コーティングは、例えば、油及び/又はワックスを含むことができ、当技術分野で公知である。本明細書に提供されているフィルムの片方又は両方の表面に適した抗付着コーティングの1つの例はCAPOL(登録商標)である。
【0211】
本明細書に提供されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムは通常いくらかの水分をさらに含む。よって、フィルムは、水、例えば、通常約20重量%未満、約15重量%未満、又は約10重量%未満の量の水を含む。一般的に、平均含水量は、食用の、口腔で溶解可能なフィルムの総重量に対して、約1%~約15%、例えば、約2%~約10重量%である。
【0212】
フィルムを生成する方法
本明細書に提供されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、溶媒(例えば、水)中で構成成分を混合すること、生成した混合物をフィルム形態にキャスティングすること、及びキャストフィルム形態を乾燥させて、少なくとも一部分の水をそこから除去することを一般的に含む方法により生成することができる。方法は熱が存在しない中で行うこともできるし、又は一部の実施形態では、熱は方法の様々な段階において利用することもできる。本明細書に提供されているフィルムは、このように生成されることに限定されず、フィルムを生成するための他の方法、例えば、押出しなどを様々な実施形態で使用することができる。
【0213】
第1に、フィルム内に組み込まれる1種以上の構成成分を一緒に混合する。混合物成分を密接に接触させる任意の混合方法、例えば、インペラ又は他の撹拌可能な構造を特徴とする混合装置を使用することができる。混合装置の例として、ケーシングドラム、コンディショニングシリンダー又はドラム、液体スプレー装置、コニカル型ブレンダー、リボンブレンダー、Littleford Day、Inc.から入手可能なミキサー、例えば、FKM130、FKM600、FKM1200、FKM2000及びFKM3000、Plough Share型ミキサーシリンダー、Hobartミキサー、v型ミキサー、オーバーヘッドミキサーなどが挙げられる。また、例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Solomonらの米国特許第4,148,325号;Korteらの米国特許第6,510,855号;及びWilliamsの米国特許第6,834,654号に記載されている方法論の種類を参照されたい。このような混合物中の水の量は通常少なくともフィルム組成物の混合及びキャスティングを促進するのに十分なような量である。例えば、一部の実施形態では、全固形成分含有量は、約50%以下、約40%以下、例えば、約5%~約50%又は約10%~約40%であることができる。
【0214】
次いで、一部の実施形態では、生成した混合物をフラット担体にキャストする。フラット担体はあらゆる種類の基材又は成形面であることができる。キャスティングステップの間、混合物は、フラット担体上に分注し(例えば、注入又はスプレーする)、重力の影響下で、及び/又は紡糸することにより、及び/又は拡散を援助する適切なツールを使用することにより、表面領域にわたり拡散させることができる。成形面は、好ましくはその上に均一フィルムを形成するのに適切であり、そこから乾燥フィルムを放出するように適合されている。成形面は、ガラス、ステンレススチール、テフロン、ポリエチレン、ワックスなどを含むあらゆる適切な材料から形成することができる。一部の実施形態では、分配の速度は、フィルムの厚さを制御するよう調整することができる。分配の間、混合物の粘度は、例えば、混合物の温度を制御することにより制御することができる。好ましくは、既定の厚さのフィルムは、成形面上に形成される。
【0215】
一部の実施形態では、混合物は、コーティング又はキャスティングシステムを介して、成形面上に計量して出すことができる。構成成分の混合物を分配するのに適した装置は、マニホールド、1種以上の導管、ノズル、弁、及び/又はブレードなどを含むことができる。
【0216】
キャストフィルムは好ましくは風乾される。一部の実施形態では、キャストフィルムは最初に成形面から除去される。他の実施形態では、キャストフィルムは、成形面上でin situで乾燥させ、そこから乾燥したフィルムを乾燥ステップに従い除去することができる。一部の実施形態では、乾燥オーブン、熱ランプ、真空乾燥器又はあらゆる他の適切な乾燥システムを利用して、キャストフィルムを乾燥させることができる。キャストし、乾燥させた後、生成したフィルムは、本明細書で以下に概説されているように所望のサイズ/形状へと切断することができ、他の材料と共に使用するため、及び/又は組み合わせるためにパッケージされて、様々な種類の口腔用製品を形成することができる。
【0217】
一実施形態では、フィルム内に含まれるべきすべての構成成分は室温で、水中で一緒に混合する。フィルム組成物はフラット担体上にキャストし、乾燥させる(例えば、水分約1~10%まで)。一実施形態では、水を加熱し、結合剤と合わせる。生成した混合物を混合する。次いで、あらゆる残留成分と共に可塑剤を添加し、平滑化するまで混合物を混合する。フィルム組成物は、フラット担体上にキャストし、高温で乾燥させる(例えば、少なくとも約50℃、少なくとも約70℃、少なくとも約80℃、又は少なくとも約90℃、例えば、約100℃又は約50℃~約100℃又は約80℃~約100℃)。
【0218】
一部の実施形態では、明示的に本明細書に記載されているもの以外の材料(例えば、マイクロカプセル、活性成分、細かく粉砕したフィルムを含む材料)は、本明細書に提供されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムを調製するプロセスの間に組み込むことができる。例えば、一部の実施形態では、このような追加の材料を、例えば、生成中に湿ったフィルムの表面に添加し、これによって、生成したマトリックス中に組み込むことができる。一部の実施形態では、本明細書に提供されているフィルムは、例えば、フィルムの変換中、ピン又はブラシロールの使用を介してフィルムに添加したミシン目付多孔質構造を有することができる。
【0219】
フィルムを含む口腔用製品
口腔フィルム
ある特定の実施形態では、本明細書に提供されている1種以上の食用の、口腔で溶解可能なフィルム(すなわち、口腔フィルム)から本質的になる口腔用製品が提供される。食用の、口腔で溶解可能なフィルムは半透明又は遮光性であることができる。よって一部のこのような実施形態では、食用の、口腔で溶解可能なフィルムは口腔内でフィットするのに適したサイズ及び形状である。例えば、口腔で溶解可能なフィルムは、四角形(例えば、長方形、正方形、ひし形、又は平行四辺形)であることができ、又は例えば、楕円形、環状、台形、又は三角形の形状であることができる。一部の実施形態では、食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、例えば、単一部分が除去され、口腔内に配置されるのを可能にする穿孔を有する長いリボン/ストリップで提供される。フィルムの形態の口腔用製品に対して適した形状のいくつかの例が本明細書で
図1A~1Gに提供されている。
【0220】
使用に適した小片サイズの例(材料の単一部分であるか又はより大きな部分のミシン目付部分であるかに関わらず)は、例えば、あらゆる次元において(例えば、長さ及び幅、直径など)約10~約40mmである。一実施形態では、小片は長方形であり(角のある又は丸い縁を有する)、小片は長さ約30~40mm及び幅約10~15mmを有する。口腔用製品の小片の坪量(1種以上の口腔で溶解可能なフィルムから本質的になる)は一般的に、例えば、33mm×11mmの大きさの小片に対して、約10mg~約500mg、例えば、約25mg~約500mg又は約50mg~約500mg、例えば、100mg~約400mgである。このような小片は、特定の、非限定的実施形態において、参照された寸法で、約10mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、又は約50mgの坪量を有することができる。特に、本明細書に提供されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムが別の材料、例えば、フリースと組み合わせて利用される実施形態では、小片は、より低い坪量(例えば、約25mg又は約50mg)を有利に有することができる。一部の実施形態では、本明細書に提供されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、独立した口腔用製品として利用される場合、いくらかより高い坪量を有利に示す。一部の実施形態では、小片は、有利なことに、フィルムがより長い期間の間口腔内に留まることができるように、例えば、呼吸ストリップより高いキャリパーを有する食用の、口腔で溶解可能なフィルムを提供する。
【0221】
様々な実施形態では、フィルムは、約5分間以上、約15分間以上、約30分間以上、又は約1時間以上の時間で、少なくとも部分的に溶解するか、又は完全に溶解するように適合させる、又は構築することができる。ある特定の実施形態では、フィルムは、30分間以下、45分間以下、又は1時間以下で少なくとも部分的に溶解するか、又は完全に溶解するように構築することができる。一部の実施形態では、フィルムは、約30秒以上、例えば、30秒~約30分間、約1分間~約25分間、約5分間~約20分間、又は約5分間~約15分間の時間で少なくとも部分的に溶解するか、又は完全に溶解するように構築することができる。
【0222】
一部の実施形態では、フィルム製品の坪量は、2種以上のフィルムを組み合わせることにより、例えば、2つ以上フィルムを互いに積層させることにより、変動させることができる。口腔用食用フィルムを積層する様々な方法が公知であり、本開示に従い利用することができる。よって、一部の実施形態では、単一フィルムからなるか、又は本質的になる口腔用製品が提供される。一部の実施形態では、2つの積層されたフィルムからなるか、又は本質的になる口腔用製品が提供される。一部の実施形態では、3つの積層されたフィルムからなるか、又は本質的になる口腔用製品が提供される。一部の実施形態では、4つの(以上の)積層されたフィルムからなるか、又は本質的になる口腔用製品が提供される。このようなそれぞれ積層されたフィルムは、同一であることもできるし、又は組成及び/又はサイズ及び/又は形状が異なることもできる。
【0223】
一部の実施形態では、1種以上のフィルムからなるか、又は本質的になる口腔用製品(すなわち、単一フィルム又は積層されたフィルム)は、その片方又は両方の表面(すなわち、最上部と底面)上に平滑と描写することができるテキスチャーを有することができる。一部の実施形態では、単一フィルム又は積層されたフィルムは、その片方又は両方の表面上に、表面模様付きと描写することができるテキスチャーを有することができる。例えば、一部の実施形態では、フィルムの片方又は両方の表面は、例えば、使用中のグリップ及び小片の制御に対して有効となり得る上昇させた部分(例えば、ドット又はストリップ)を含むことができる。一部の実施形態では、上昇させた部分は、残りのフィルムと同じ材料を含むこともできるし、又は異なってもよい。一部の実施形態では、上昇させた部分は、フィルムそれ自体の生成中に導入されるか、又は、例えば、フィルムが形成された後、例えば、エンボス加工若しくはテキスチャーを表面に導入するいずれか他の種類の方法を介して、上昇させた部分がフィルムの1つ以上の表面上に導入されるように、生産後の改変であることもできる。
【0224】
他の実施形態では、口腔で溶解可能であるフィルムは、別の種類の口腔用製品内に組み込まれる、すなわち、口腔用製品は、口腔で溶解可能なフィルムに加えて、1種以上の追加の構成成分を含む。
【0225】
フィルムベースのパウチ
一部の実施形態では、本明細書に提供されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、フィルムベースのパウチの構成成分、例えば、その中に口腔用使用に適応した材料を含有するための構成成分(例えば,口腔用使用に適応した粒状混合物)として使用することができる。例えば、例示的口腔用製品は、外側の水透過性容器として、その中に口腔用使用に適応した粒状混合物を含有するパウチの形態で本明細書に記載されているフィルムを含むことができる。外側の水透過性フィルムベースのパウチの方向性、サイズ、及び種類、並びに本明細書で例示されている口腔用使用に適応した組成物の種類及び性質は、それに限定されると解釈されるものではない。
【0226】
一部の実施形態では、このようなフィルムベースのパウチに対して使用されるフィルムは活性成分を含まない。他の実施形態では、フィルムは本明細書で上記に概説されている1種以上の活性成分を含むことができる。
【0227】
図2Aに示されている通り、一実施形態では、フィルム2は、口腔用使用に適応した材料4の上に折り畳まれ(例えば、口腔用使用に適応した粒状混合物)、粒状混合物4を含有するようにすべての他の縁が密封されて、単一フィルムとして提供されてもよく、これによってフィルムベースのパウチ製品6が得られる。別の実施形態では、
図2Bに示されている通り、2枚のフィルム2a及び2b(これらは同一であるか、又は異なることができる)は、下方に1つのフィルムを積層し(例えば、2b)、口腔用使用に適応した材料4をそのフィルム(2b)の表面上に配置し、第2のフィルム、2aを上側に配置し、粒状混合物4を含有するようにそのすべての縁を密封することによって、パウチの2つの表面として使用することができ、これによってフィルムベースのパウチ製品6が得られる。
【0228】
このようなフィルムベースのパウチ6内に含有される口腔用使用に適応した材料4は、特に限定されず、従来の(例えば、フリースベースの)パウチ製品内に含まれ得るものを含むあらゆる充填組成物を含むことができる。このような組成物は、一般的に混合物、例えば、2種以上の構成成分の粒状混合物であり、よって、この組成物は、ある場合には、本明細書で以下に「混合物」として言及されている。このような混合物は、例えば、1種以上の活性成分及び/又は1種以上の着香剤、及び様々な他の任意選択の成分(例えば、フィラー、pH調整剤/緩衝剤、着色剤、保湿剤、塩、甘味剤など)を含むことができる。様々な添加剤が開示された混合物に含まれ得る。例えば、混合物は、他の材料又は成分と共に、加工され、ブレンドされ、製剤化され、組み合わせられ、及び/又は混合されてもよい。添加剤は人工のものであってもよいし、又は薬草若しくは生物源から得られるもの若しくはこれら由来のものでもよい。さらなる種類の添加剤の例として、増粘剤若しくはゲル化剤(例えば、魚ゼラチン)、乳化剤、オラルケア添加剤(例えば、タイム油、ユーカリ油及び亜鉛)、保存剤(例えば、ソルビン酸カリウムなど)、水溶性の高い組成物に対しては比較的水溶性であるために選択される亜鉛塩若しくはマグネシウム塩(例えば、グルコン酸マグネシウム又はグルコン酸亜鉛)又は水溶性の低い組成物に対しては比較的不水溶性であるために選択される亜鉛塩若しくはマグネシウム塩(例えば、酸化マグネシウム又は酸化亜鉛)、崩壊助剤、又はこれらの組合せが挙げられる。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Muaらの米国特許第9,237,769号、Holton,Jr.らの米国特許第7,861,728号、Gaoらの米国特許出願公開第2010/0291245号及びHolton,Jr.らの米国特許出願公開第2007/0062549号に記載されているような、代表的な構成成分、構成成分の組合せ、それら構成成分の相対量、並びにこれら構成成分を利用するための方式及び方法を参照されたい。このような追加の添加剤に対する典型的な包含範囲は、添加剤の性質及び機能並びに最終混合物に対して意図された作用に応じて異なってもよく、例示的範囲は、混合物の総重量に対して、約10重量%までである(例えば、約0.1~約5重量%)。
【0229】
本明細書に提供されているパウチのある特定の実施形態内の混合物に有利に含むことができるある特定の構成成分は、以下に全般的に概説されている。しかし、以下の考察は、開示されたパウチ内に組み込むことができる構成成分を限定することを意図していないことを理解されたい。ある特定の実施形態では、本明細書に提供されているフィルムベースのパウチ内の組成物は、唾液溶解性材料のみを含む。様々な実施形態では、フィルムベースのものの中の組成物は口腔で溶解可能であることができる。組成物は、使用者の口内の唾液と接触した際に活性成分及び/又は着香剤の持続放出を提供するように構築することができる。使用後、全組成物、及びある特定の実施形態では、組成物をもともと収納している全フィルムベースのパウチした材料は、溶解され、ユーザーの口から除去するパウチ製品が何も残らないように、ユーザーにより口腔で取り込まれ得る。
【0230】
様々な実施形態では、フィルムベースのパウチ内の組成物は、約5分間又はより長い時間で、約15分間又はより長い時間で、約30分間又はより長い時間で、又は約1時間又はより長い時間で、少なくとも部分的に溶解するか、又は完全に溶解するように適合させる又は構築することができる。ある特定の実施形態では、組成物は、30分以上、45分以上又は1時間以上で少なくとも部分的に溶解するか、又は完全に溶解するように構築することができる。一部の実施形態では、組成物は、約30秒~約30分間、約1分間~約25分間、約5分間~約20分間又は約5分間~約15分間の時間で少なくとも部分的に溶解するか、又は完全に溶解するように構築することができる。
【0231】
本明細書に記載されているパウチ内の材料は、少なくとも1種の粒状フィラー成分を含むことができる。このような粒状フィラー成分は、複数の機能、例えば、ある特定の官能特性、例えば、テキスチャー及び口当たりを増強する、製品の粘着性又は圧縮性を増強することなどを満たすことができる。フィラー成分は粒状材料であり、本明細書に提供されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムの任意選択のフィラー成分に関して上に記載されているような構成成分、例えば、セルロース系非タバコ植物性材料及びその誘導体、例えば、これらに限定されないが、穀物、テンサイ、ふすま繊維、デンプン、天然セルロース、修飾セルロース系材料、マルトデキストリン、ブドウ糖、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ラクトース、糖代替品(例えば、マンニトール、キシリトール、及びソルビトール)などを含めた構成成分を含むことができる。フィラーの組合せもまた使用することができる。一部の実施形態では、フィラー成分は粒状材料と記載することができる。本明細書で使用される場合、「粒状」という用語は複数の個々の粒子の形態の材料を指し、このうちの一部は複数の粒子の凝集の形態であることができ、粒子は、2:1未満、例えば、1.5:1未満、例えば、約1:1未満の平均長の幅に対する比を有する。様々な実施形態では、粒状材料の粒子は実質的に球状又は顆粒状(例えば、ビーズ状)であると記載することができる。
【0232】
フィルムベースのパウチ製品内の粒状フィラー成分の量は異なってもよいが、通常、混合物の総重量に対して、パウチ内に含有されている材料の約75重量パーセントまでである(すなわち、混合物)。混合物内の粒状フィラー材料(例えば、MCC)の典型的な範囲は、混合物の総重量の約10~約75重量パーセント、例えば、約10重量パーセント、約15重量パーセント、約20重量パーセント、約25重量パーセント、又は約30重量パーセントから、約35重量パーセント、約40重量パーセント、約45重量パーセント、又は約50重量パーセントまで(例えば、約20~約50重量パーセント又は約25~約45重量パーセント)であることができる。ある特定の実施形態では、粒状フィラー材料の量は、混合物の総重量に対して、少なくとも約10重量パーセント、例えば、少なくとも約20重量パーセント、又は少なくとも約25重量パーセント、又は少なくとも約30重量パーセント、又は少なくとも約35重量パーセント、又は少なくとも約重量40パーセントである。
【0233】
製品の消費者による使用前の本明細書に記載されているフィルムベースのパウチ製品内の粒状混合物の含水量は、所望の特性により変動し得る。通常、使用者の口への挿入前に製品内に存在する混合物は、約60重量パーセント未満の水、一般的に約1~約60重量%の水、例えば、約5~約55重量パーセント、約10~約50重量パーセント、約20~約45重量パーセント、又は約25~約40重量パーセントの水含み、これは、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%及び少なくとも約20重量%の水量を含む。
【0234】
一部の実施形態では、粒状混合物は、1種以上の香味付与剤をさらに含むことができる。混合物において利用される香味付与剤の量は異なってもよいが、通常約10重量パーセントまでであり、ある特定の実施形態は、混合物の総重量に対して、少なくとも約0.1重量パーセント、例えば、約0.5~約10重量パーセント、約1~約6重量パーセント、又は約2~約5重量パーセントの香味付与剤含有量であることを特徴とする。混合物内に存在する香味付与剤の量は一定時間異なってもよい(例えば、混合物の調製後の貯蔵期間の間)。例えば、混合物中に存在するある特定の揮発性成分は蒸発又は化学転換を受けることもあり、これは1種以上の揮発性フレーバー成分の濃度の減少をもたらす。一実施形態では、存在する少なくとも1種の揮発性フレーバー成分のうちの1種以上の濃度は、同じ期間の後、1種以上の有機酸を含まない対照パウチ製品中に存在する1種以上の揮発性フレーバー成分の濃度より高い。理論に制約されることを望むことなく、白さの損失の原因である同様の機序が、香味付与剤分(例えば、アルデヒド、ケトン、テルペン)中のある特定の揮発成分にゆっくりとした低下をもたらすと考えられる。したがって、時間の経過と共に変色をもたらすこれら揮発性成分の存在の低下が、このような分解プロセスにさらされる製品に伴う感覚満足度を減退させることが予想され得る。
【0235】
一部の実施形態では、フィルムベースのパウチ内の混合物は通常、所望の官能属性を混合物にもたらすのに十分な量で利用される塩(例えば、アルカリ金属塩)をさらに含むことができる。適切な塩の非限定的例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、穀粉塩などが挙げられる。存在する場合、塩の代表的な量は少なくとも約0.5重量パーセント、少なくとも約1.0重量パーセント、又は少なくとも約1.5重量パーセントであるが、通常混合物の総重量の約10パーセント以下、又は約7.5パーセント以下、又は約5パーセント以下(例えば、約0.5~約5重量パーセント)を構成する。
【0236】
フィルムベースのパウチ内の混合物は通常、本明細書に提供されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムに関して上記に言及されたような1種以上の甘味剤をさらに含む。存在する場合、甘味剤の代表的な量は、混合物の総重量に対して、重量ベースで、混合物の約0.1~約20重量パーセント以上、例えば、混合物の約0.1~約1重量%、約1~約5重量%、約5~約10重量%、又は約10~約20重量%を構成してもよい。
【0237】
ある特定の実施形態では、結合剤(又は結合剤の組合せ)は、フィルムベースのパウチ内の粒状材料の構成成分として、所望の物理的特質及び物理的完全性を混合物にもたらすのに十分な量で利用することができる。結合剤はまた、多くの場合増粘剤又はゲル化剤として機能する。典型的な結合剤は有機でも無機でも、又はこれらの組合せであってもよい。代表的な結合剤として、修飾セルロース、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプンベースの結合剤、ペクチン、カラギーナン、プルラン、ゼイン、ガムなど、及びこれらの組合せが挙げられる。結合剤は、混合物に所望の物理的特質及び物理的完全性をもたらすのに十分な量で利用することができる。一部の実施形態では、パウチ内の粒状材料の結合剤はペクチン又はカラギーナン又はこれらの組合せを含む。混合物において利用される結合剤の量は異なってもよいが、通常約30重量パーセントまでであり、ある特定の実施形態は、混合物の総重量に対して、少なくとも約0.1重量%の結合剤含有量、例えば、約1~約30重量%、又は約5~約10重量%の結合剤含有量を特徴とする。
【0238】
ある特定の実施形態では、1種以上の保湿剤を混合物において利用することができる。保湿剤の例として、これらに限定されないが、グリセリン、プロピレングリコールなどが挙げられる。含まれる場合、保湿剤は通常、混合物に所望の水分特質をもたらすのに十分な量で提供される。さらに、ある場合には、保湿剤は、型内への堆積のため、混合物に望ましい流れ特性を付与することができる。存在する場合、保湿剤は通常混合物の重量の約5重量%以下(例えば、約0.5~約5重量%)を構成する。存在する場合、保湿剤の代表的な量は、混合物の総重量に対して、約0.1重量%~約1重量%、又は約1重量%~約5重量%である。
【0239】
着色剤は、混合物に所望の物理的特質をもたらすのに十分な量で利用することができる。混合物において利用される着色剤の量は異なってもよいが、存在する場合、通常約3重量パーセントまで、例えば、混合物の総重量に対して、約0.1%、約0.5%、又は約1%から約3重量%までである。
【0240】
パウチ内の材料は、活性成分を含んでも、含まなくてもよい。活性成分が含まれる場合、パウチ内の活性成分は、フィルムベースのパウチ構成成分中に任意選択的に含有されている活性成分と同一であるか、又は異なることができる。パウチの組成物中に含めることができる活性成分の例として、これらに限定されないが、本明細書の上記に記載されている活性成分が挙げられる。
【0241】
このようなフィルムベースのパウチは粒状混合物を含有することに限定されないことに注目されたい。一部の実施形態では、パウチ内の口腔用使用に適応した材料4は、例えば、さらなるフィルムベースの材料であることができ、又は液体又はゲル材料であることができる。
【0242】
一部の実施形態では、フィルムベースのパウチ製品の1つ以上のフィルム層は、少なくとも1つの穿孔、例えば、複数の穿孔を含むことができる。穿孔は、食用の、口腔で溶解可能なフィルム及びその中に封入された1種以上の材料の絡合に役立つことができる(例えば、より良い層間の接着及びさらに構造的に安定した製品を提供する。)。
【0243】
フリースベースのパウチ上のフィルム
一実施形態では、本明細書に記載されている口腔で溶解可能なフィルムをフリースベースのパウチの構成成分として含む(例えば、本明細書で以下に概説されているように、その内部表面及び/又は外部表面の少なくとも一部分又はパウチの空洞内に)パウチ製品が提供される。パウチ製品は一般的に、水分透過性容器(例えば、水透過性パウチ)内に配置された1種以上の構成成分の混合物を含む。唾液への曝露は、その中の混合物の構成成分のいくつかが(例えば、香味付与剤及び/又は活性成分)、例えば、水透過性パウチを通り抜けることを引き起こし、ユーザーにフレーバー及び満足度を提供し、ユーザーは混合物のいかなる部分も吐き出す必要はない。約10分間~約60分間、通常約15分間~約45分間の使用/楽しみの後、相当量の混合物がヒト対象により摂取され、パウチは廃棄のために消費者の口から除去することができる。本明細書に記載されている製品に対して好ましいパウチ材料は、正常な使用の条件下で、パウチ内の著しい量の配合物の内容物が、パウチがその物理的完全性を失う時点より前に、パウチ材料を介して透過するように設計及び製造することができる。
【0244】
パウチ製品の一例は、
図3に全般的に例示されており、例示的パウチ製品10は、口腔用使用に適応した組成物15を含有する外側の水透過性容器20をパウチの形態で含むことができる。一部の実施形態では、組成物15は、粒状材料であることができ、又は本明細書に記載されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムであることもできる。様々な実施形態では、水分透過性パケット又はパウチは、組成物の使用(例えば、粒状材料又はフィルム)に対して容器として作用することができる。例えばパウチはティーバッグの構築に使用されているメッシュ状タイプの材料と性質が類似すると考え得るタイプの液体透過性容器を提供する。所望する場合、フレーバー成分、崩壊助剤及び他の所望の構成成分を、パウチ材料内に組み込む、又はパウチ材料に適用することができる。このようなパケット又はパウチ、例えば、
図3に例示された実施形態の容器パウチ20の一般的な組成/構造は、本明細書で記述されているように異なってもよい。例えば、無煙タバコ製品の製造に使用される種類の適切なパケット、パウチ又は容器は、本開示に従い修正することができ、商標名CatchDry、Ettan、General、Granit、Goteborgs Rape、Grovsnus White、Metropol Kaktus、Mocca Anis、Mocca Mint、Mocca Wintergreen、Kicks、Probe、Prince、Skruf and TreAnkrareの下で入手可能である。本明細書に記載されているパウチ製品の様々な実施形態に類似した形状及び形態のパウチタイプの製品は、ZONNIC(Niconovum ABにより流通)として市販されている。さらに、パウチタイプの製品は、参照により本明細書に組み込まれる、AxelssonらのPCT WO2007/104573の実施例1の嗅ぎたばこバッグ組成物E~Jとして記載されている、パウチ製品の様々な実施形態に形状及び形態が全般的に類似しており、それらは本明細書に記載されているパウチ製品を製造するのに使用することができる賦形剤成分及び加工条件を使用して生成される。
【0245】
パウチそれ自体は、フリース材料、例えば、繊維不織ウェブから形成することができる。本明細書で使用される場合、「繊維」という用語は織物の基本的要素と定義される。繊維は多くの場合ロープ状又は糸状要素の形態である。本明細書で使用される場合、「繊維」という用語は、繊維、フィラメント、連続フィラメント、ステープル繊維などを含むことを意図する。「多成分繊維」という用語は、物理性質又は化学的性質が異なる2種以上の構成成分を含む繊維を指し、複合繊維を含む。具体的には、「多成分繊維」という用語は、ドメインが分散している、ランダム又は非構造化されている傾向にあるブレンドとは対照的な、繊維内の別個の構造化されたドメインに存在する2種以上のポリマーから調製したステープル繊維及び連続繊維を含む。
【0246】
「フリース材料」は、本明細書で使用される場合、本明細書で以下により詳細に記載されているような様々な種類の繊維から形成することができ、従来のフリース織物又は他の従来のパウチ材料を形成することが可能である。例えば、フリース材料は、織布又は不織布の形態で提供され得る。適切なタイプのフリース材料は、例えば、すべてが参照により本明細書に組み込まれる、Sebastianらの米国特許第8,931,493号;並びにSebastianらの米国特許出願公開第2015/0128978号、Sebastianらの米国特許出願公開第2016/0000140号及びSebastianらの米国特許出願公開第2016/0073689号に記載されている。
【0247】
「不織布」という用語は、繊維が規定されていない又はランダムな方向性で整列している繊維材料、ウェブ、マット、バット、又はシートに関連して本明細書で使用されている。不織布繊維は未結繊維又はフィラメントとして最初に提示されている。不織布の製造において重要なステップは、様々な繊維又はフィラメントを一緒に結合することを含む。繊維又はフィラメントを結合する方式は異なってもよく、本明細書で以下により詳細に論じられているように、最終生成物の所望の特徴に部分的に基づき選択される熱的、機械的及び化学的技術を含む。
【0248】
様々な実施形態では、パウチ材料は、正常な使用の条件下で(すなわち、使用者の口内の唾液と接触した際)パウチ材料が溶解するように、溶解可能である(すなわち、口腔用に摂取可能である)ことができる。好ましくは、パウチ材料は、パウチ内の著しい量の組成物の溶解成分(例えば、活性成分及び/又は着香剤)がパウチ材料を介して使用者の口へと浸透した後で溶解する。例えば、パウチ材料は、パウチ材料が、実質的にすべての水溶性成分の放出を可能にする位十分な期間の間、組成物を一緒に保持するような速度で溶解するように構築することができる。以下により詳細に記載されているように、ある特定の実施形態では、パウチ材料内の組成物も溶解可能であることができる。このような実施形態では、パウチ材料は、組成物が溶解する速度と類似の速度で溶解するように構築することができる。ある特定の実施形態では、パウチ材料は、約5分間以上、約15分間以上、約30分間以上又は約1時間以上で少なくとも部分的に溶解するか、又は完全に溶解するように適合させる、又は構築することができる。ある特定の実施形態では、パウチ材料は、30分間以上、45分間以上又は1時間以上で少なくとも部分的に溶解するか、又は完全に溶解するように適合させる、又は構築することができる。一部の実施形態では、パウチ材料は、約30秒~約30分間、約1分間~約25分間、約5分間~約20分間又は約5分間~約15分間の時間で少なくとも部分的に溶解するか、又は完全に溶解するように適合させる、又は構築することができる。理論により限定されることなく、溶解可能であるパウチ材料を含むパウチ製品は、環境上の利点をもたらすことができる。
【0249】
様々な実施形態では、溶解可能であるパウチ材料として、これらに限定されないが、紡糸された又は不織布アルギン酸繊維、グルテン繊維、アルギネート由来のミシン目付ミニフラットシート、カラギーナン及び他のポリマー結合剤及びこれらの組合せを挙げることができる。理論により限定されることなく、パウチ材料の溶解速度は、例えば、アルギネート又はペクチンとカルシウム塩との間の架橋技術を使用することにより、部分的に制御することができる。ある特定の実施形態では、溶解可能なパウチ材料は、親水性ポリマーを用いたエレクトロスピニングプロセス(例えば、溶液ベースのエレクトロスピニング)を使用して形成された速溶性繊維を含むことができる。例えば、その全体が本明細書に参照により組み込まれている、Asawahame、Chawalineeら、Formation of Orally Fast Dissolving Fibers Containing Propolis by Electrospinning Technique、Chiang Mai J.Sci.、2015年、42巻(2号)、469~480頁で開示された技術及び繊維を参照されたい。
【0250】
一部の実施形態では、フリース材料内の繊維は、これらに限定されないが、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート及びこれらのコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含むことができる。一部の実施形態では、フリース材料内の繊維は、ウール、コットン、セルロース系材料で作製された繊維、例えば、再生セルロース、酢酸セルロース、トリ酢酸セルロース、硝酸セルロース、エチルセルロース、酢酸セルロースプロピオネート、酢酸酪酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、タンパク質繊維などからなる群から選択することができる。参照により本明細書に組み込まれている、Sebastianらの米国特許出願公開第2014/0083438号に記載されている繊維の種類も参照されたい。様々な実施形態では、パウチ材料は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びこれらの組合せからなる群から選択されるポリマーを含むことができる。
【0251】
再生セルロース繊維は特に有利となり得るが、これは通常、木材から非セルロース系化合物を抽出し、抽出した木材を苛性ソーダと接触させ、これに続いて二硫化炭素、次いで水酸化ナトリウムと接触させて、粘性の溶液を得ることにより調製される。続いて溶液をスピナレットヘッドに通して押し出し、再生繊維の粘性の糸を作り出す。再生セルロースの調製のための例示的方法は、参照により本明細書に組み込まれる、Leoniの米国特許第4,237,274号、Baldiniらの米国特許第4,268,666号;Baldiniらの米国特許第4,252,766号;Ishidaらの米国特許第4,388,256号;Yokogiらの米国特許第4,535,028号;Laityの米国特許第5,441,689号;Vosらの米国特許第5,997,790号;及びSumnichtの米国特許第8,177,938号に提供されている。再生セルロースが作製される方式は、限定されず、例えば、レーヨンとLyocellプロセスの両方を含むことができる。Lenzing(オーストリア)、Cordenka(ドイツ)、Aditya Birla(インド)及びDaicel(日本)を含む、再生セルロースの様々な製造元が公知である。
【0252】
本開示による不織ウェブに使用されている繊維の形態は異なってもよく、これらに限定されないが、円形、長方形、正方形、楕円形、三角形及び多葉形を含む任意の種類の断面を有する繊維を含むことができる。ある特定の実施形態では、繊維は1つ以上の空隙空間を有することができ、空隙空間は、例えば、円形、長方形、正方形、楕円形、三角形、又は多葉形の断面を有することができる。以前に記述されたように、繊維は、単一成分(すなわち、繊維全体にわたり組成が均一)又は、これらに限定されないが、シース/コア構造を有する繊維若しくは海島型構造を有する繊維、並びに並列型を有する繊維、セグメント化パイ、セグメント化クロス、セグメント化リボン、又は先端部を有する多葉形の断面を含む多成分繊維の種類から選択することができる。
【0253】
不織ウェブ中に存在する繊維の物理的パラメーターは異なってもよい。例えば、不織ウェブに使用される繊維は異なるサイズ(例えば、長さ、フィラメント当たりのデニール(dpf))及び捲縮特徴を有することができる。一部の実施形態では、不織ウェブに使用される繊維は、ナノ繊維、サブミクロン繊維及び/又はミクロンサイズの繊維であってよい。ある特定の実施形態では、本明細書で有用な不織ウェブの繊維は、約1.5dpf~約2.0dpf、又は約1.6dpf~約1.90dpfと測定することができる。様々な実施形態では、各繊維は、1cm当たり約4~10捲縮、又は1cm当たり約5~8捲縮と測定することができる。一部の実施形態では、各繊維は連続フィラメント繊維であることができる。ある特定の実施形態では、各繊維はステープル繊維であることができる。各繊維長は、例えば、約35mm~約60mm、又は約38mm~約55mmと測定することができる。不織ウェブ中の繊維の好ましいブレンド及び方向性を確実にするために、不織ウェブ中のすべての繊維が類似の繊維サイズ及び捲縮特質を有することが有利となり得る。
【0254】
繊維ウェブは異なる厚さ、多孔性及び他のパラメーターを有することができる。不織ウェブは、不織ウェブから形成されるパウチ製品の繊維方向性及び多孔性によって、外側水透過性パウチ内に封入される口腔用使用に適応した組成物を保持し、しかも消費者が組成物のフレーバーを楽しめるように形成することができる。例えば、一部の実施形態では、繊維ウェブは、約20gsm~約35gsm、又は約25gsm~約30gsmの坪量を有することができる。好ましい実施形態では、繊維ウェブは約28gsmの坪量を有することができる。織物の坪量は、例えば、ASTM D3776/D3776M-09a(2013)(布の単位面積質量(重量)に対する標準試験法(Standard Test Methods for Mass Per Unit Area(Weight) of Fabric))を使用して測定することができる。様々な実施形態では、繊維ウェブは約0.1mm~約0.15mm(例えば、約0.11mm)の厚さを有することができる。繊維ウェブは、約70%~約80%、例えば、約78%の伸長率を有することができる。一部の実施形態では、繊維ウェブは約4lbs.~約8lbs.、例えば、約5.5lbs.のピークロードを有することができる。繊維製品織物の伸長率及び破断強度は、例えば、ASTMD5034-09(2013)(織物の強度と伸びの標準試験法(Standard Test Method for Breaking Strength and Elongation of Textile Fabrics(グラブ試験)))を使用して、測定することができる。様々な実施形態では、繊維ウェブは、約35~約40、例えば、約37の引張強度指数(Tensile Energy Absorption(TEA))を有することができる。ある特定の実施形態では、繊維ウェブは、約10,000ml/分/cm2より大きい多孔性を有することができる。TEAは、例えば、試料の1側面領域当たりかけられる引張荷重下で、試料を破損するための作用力として測定することができる。繊維織物の多孔性、又は通気性は、例えば、ASTM D737-04(2012)(繊維布の通気性に関する標準試験法(Standard Test method for Air Permeability of Textile Fabrics))を使用して測定することができる。
【0255】
外側水透過性パウチの方向性、サイズ、及び種類並びに本明細書で例示されている口腔用使用に適応した組成物の種類及び性質はそれに限定されると解釈されるものではない。本開示によるフリース(
図3に示されていない)に結合する食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、例えば、外側の水透過性容器20の内部表面及び/又は外部表面に付随することができる。例えば、口腔で溶解可能なフィルムは、容器20の1つ以上の内部表面及び/又は外部表面上の全コーティングとして提供することができる。一部の実施形態では、食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、容器20の内部表面及び/又は外部表面上の別個のセクションで提供される。例えば、フィルムは、内部表面及び/又は外部表面上の1つ以上のストリップ/ストライプ、内部表面及び/又は外部表面上の1つ以上の丸/ドット(例えば、隆起したドット)、内部表面及び/又は外部表面上の格子型構造、又は内部表面及び/又は外部表面上の他のパターンなどの形態で提供することができる。
【0256】
容器20の内部表面及び/若しくは外部表面又は容器20内で結合しているフィルムのある特定の例が
図4A、4B、及び4Cにおいて断面で示されており、これらの図の中で、20は外側の水透過性容器(例えば、フリース材料を含む)を表し、22は食用の、口腔で溶解可能なフィルムを表している(
図4Cの22a及び22bは2種の異なるフィルム構成成分を表しており、これらは同一であるか、又は異なることができる)。フィルムは、製品10の前面と裏面の両方で、又は製品10の片側のみで、容器20の内部表面及び/又は外部表面に結合することができる。容器20の内部表面及び/又は外部表面に結合するパターン化したフィルムの他の非限定的例が
図5A、5B、5C、5D、5E、5F、5G、5H、5I、及び5Jの表面(例えば、トップダウン)図に示されており、これらの図の中で、フィルムにより生成されたパターンは、容器20の内面及び/又は外面に存在することができ、製品の片側又は両側上に存在することができる(例えば、
図3に例示されているように、製品10の片側又は両側上に)。1つより多くのフィルム構成成分22が表面上に存在する場合、それぞれのこのようなフィルム構成成分は同一であるか、又は異なることができる。いくつかの特定の実施形態では、複数のフィルム構成成分が表面上に存在することができ、それぞれが異なる着香剤及び/若しくは活性剤を含有するか、又はそれぞれが異なる量の着香剤及び/若しくは活性剤を含有する。一部の実施形態では、例えば、
図5A、5B、及び5Gの複数のストリップ、及び
図5C、5H、5I、及び5Jの複数のドットは、1種以上の互いに異なる構成成分(例えば、異なる着香剤)を含むことができる。
【0257】
パウチ製品に対するフィルムの作用は異なってもよい。一部の実施形態では、それは、独特な感覚性作用を提供することができ、これは、例えば、使用中に口腔と接触する口腔用製品の1つ以上の外部表面上の隆起したフィルム構造(例えば、ドット又はストリップ/ストライプ)により提供される。一部の実施形態では、フィルムは、独特な視覚的作用を提供することができる。例えば、フィルムは着色することができ、口腔用製品に着色された部分を、例えば、表面全体にわたり(例えば、材料内に分布したコンフェッティ)与えることができる。
【0258】
一部の実施形態では、ヒートシール可能な結合剤コーティング又は結合剤材料(例えば、コーティング又は他の添加剤)は、フリース材料を形成する前、その間、又はその後に繊維に添加することができる。本明細書で使用される場合、「ヒートシール可能な結合剤コーティング」とは、基材(例えば、不織ウェブ又はフリース材料)に適用されるコーティング材料、例えば、アクリルポリマー組成物を指し、これらは加熱により個々のパウチの継ぎ目の密封が可能である。一部の実施形態では、結合剤材料は、繊維ウェブを積層する前又はその間(すなわち、繊維ウェブが結合されてフリース材料を形成する前)にウェブ繊維に添加することができる。ある特定の実施形態では、結合剤材料は、フリース材料が形成された後でそれに添加することができる。様々な実施形態では、結合剤材料は液体コーティングの形態である。ある特定の実施形態では、結合粉末はフリース材料に塗布することができる。例えば、粉末化ポリエチレンは結合剤材料として使用することができる。液体又は粉末コーティングは、例えば、クロス積層、空気積層において、又は処理後に、繊維層の間に塗布することができる。オーブン内の短時間の曝露は結合剤材料を溶融及び融合するのに十分である。
【0259】
フリースベースのパウチ内の口腔用組成物は異なってもよく、一部の実施形態では、本明細書に提供されているフィルムを含むことができ、このフィルムは、パウチ製品の生成前に又は生成後に空洞内に単に配置することができる。一部の実施形態では、フィルムベースのパウチに関して上に記載されているようなフリースベースのパウチ内の口腔用組成物は混合物(例えば、粒状混合物)である。フリースベースのパウチ内の組成物は通常、本明細書の上記に記載されているように1種以上の活性成分を含む。ある特定の実施形態では、パウチ製品内の組成物は、ロゼンジ剤又はパステル剤タイプの組成物を含むことができ、次いでこの組成物はフリース材料への挿入前に製粉する。ロゼンジ剤/パステル剤製品を製剤化及び製造するための使用される方式及び方法は異なってもよい。例えば、組成物は、ハード糖剤の調製に対して一般的に使用されている任意の方法を介して調製することができる。硬質な糖剤の調製に対する例示的な方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、LFRA Ingredients Handbook、Sweeteners、Janet M.Dalzell編、Leatherhead Food RA(1996年12月)、21~44頁に見出すことができる。その全体が本明細書に参照により組み込まれている、Holton Jr.らの米国特許公開第2018/0228204号も参照されたい。
【0260】
フリースパウチ材料を生成する手段は異なってもよい。ウェブ形成は、当技術分野で公知の任意の手段で達成することができる。不織ウェブ形成は通常、カーディングステップを含み、これは表面上に繊維を堆積させ、これに続いて繊維を縦方向に整列/ブレンドすることを含む。その後、繊維ウェブは通常、これらに限定されないが、熱的溶融又は結合、機械的な絡合、化学的接着、又はこれらの組合せを含むいくつかの種類の結合/絡合に供する。一実施形態では、繊維ウェブは、カレンダー(フラット又はポイント結合を提供することができる)、水蒸気ジェット式結合、又は通気炉を使用して熱的に結合させる。追加の結合方法は超音波結合及び捲縮を含む。一部の実施形態では、ニードルパンチが利用され、これによりニードルを使用して、繊維間の物理的絡合が得られる。一実施形態では、ウェブは、水流絡合法を使用して絡合され、これは、水力学的力を使用して繊維を絡合及び結合させるために使用されるプロセスである。上述のように、結合剤材料は、繊維ウェブを積層する前、繊維ウェブの形成中、及び/又は繊維ウェブが結合されてフリース材料を形成した後に繊維ウェブの繊維に適用することができる。フリース材料を形成した後、熱をフリース材料に加えて、結合剤材料を活性化/少なくとも部分的に融解することによって、フリース材料をさらに結合し、よってフリース材料の機械的完全性をさらに増強させることができる。
【0261】
天然繊維及び合成繊維を含む不織ウェブを形成するための方法は、乾式、エアレイド及び湿式方法を含むことができる。一部の実施形態では、不織布はスパンレイド又はスパンメルトプロセスを使用して形成することができ、これはスパンボンドプロセスとメルトブロープロセスの両方を含み、このようなプロセスは通常、繊維不織ウェブを形成するために、熱可塑性ポリマー材料の溶融、押出し加工、収集及び結合を必要とすると考えられている。メルトブローの技術は当技術分野で公知であり、様々な特許、例えば、それぞれがその全体において本明細書に参照により組み込まれている、Butinの米国特許第3,849,241号、Buntinらの米国特許第3,987,185号、Buntinの米国特許第3,972,759号及びMcAmishらの米国特許第4,622,259号において論じられている。一般的スパンボンドプロセスは、例えば、すべてが参照により本明細書に組み込まれる、Appelらの米国特許第4,340,563、Dorschnerらの米国特許第3,692,618号、Matsukiらの米国特許第3,802,817号、Kinneyらの米国特許第3,338,992号及び米国特許第3,341,394号、Hartmannの米国特許第3,502,763号、並びにDoboらの米国特許第303,542,615号に記載されている。
【0262】
様々な実施形態では、不織ウェブは、繊維の乾式ウェブ又はスパンレイドウェブを準備し、次いでウェブにニードルパンチして、乾式ウェブ又はスパンレイドウェブを結合することにより作製される。バーブ付き針が繊維ウェブを介して押し進められ、バーブ付き針がウェブを介して一部の繊維を上向きに押し上げ、又は下向きに押し下げると、ニードルパンチしたフリース材料が生成される。ニードルが回収されると、ウェブを介してパンチされた繊維はこれら新規の位置に留まる。この穿刺処置が繊維をかみ合せ、ウェブの圧縮により引き起こされる繊維間摩擦力で一緒に構造を保持させ、これによってウェブを結合させる。十分な数の繊維をウェブ内で動かすことによって、ウェブは不織布へと変換される。
【0263】
ある特定の実施形態では、不織ウェブはポイント結合を用いたフリースカーディングプロセスにより作製される。ポイント結合(例えば、カレンダーを使用)は、口腔用使用の間、ウェブを介した水溶性成分の移動のためウェブ内に良好な多孔性を維持するために不織ウェブの表面積の比較的に小さな部分に限定されるべきである。ある特定の実施形態では、ポイント結合は不織ウェブ(又は生成したパウチ)の表面積の約60%未満、例えば、約50%未満、約30%未満、又は約20%未満(例えば、約1%~約50%、約5%~約40%、又は約10%~約30%)に限定される。ポイント結合の利点は、多孔性、可撓性及び織物強度を制御する能力にある。
【0264】
他の実施形態では、不織ウェブは水流交絡に供することができる。「水流交絡される」又は「スパンレースされる」という用語は、本明細書の不織布に適用される場合、ウェブが、多くの場合マニホールド又はインジェクターと呼ばれる、圧力容器内に収容されたノズルジェットストリップから通常放射される高速の微細水ジェットのカーテンによる衝突に供されることと定義される。この水流交絡された織物は、再配向された、ねじれた、回転した、絡合された繊維であることを特徴とすることができる。例えば、繊維は、約10バール~約1000バールの範囲の水圧で、1つ以上の水流交絡マニホールドからの水圧に不織ウェブを曝露することによって水流交絡することができる。ある特定の実施形態では、ポイント結合と比較して、スパンレース技術は、ウェブの多孔性に対する影響は低く、よって不織布パウチ材料を介したフレーバーの移動を増強させることができる。
【0265】
様々な実施形態では、不織ウェブは、加工中のウェブの伸長率を減少させるために第2の結合方法に供することができる。ある特定の実施形態では、本開示の不織ウェブは、パウチ装置上での高速加工中、著しい伸長率を示し得る。不織ウェブの過剰な伸長率は加工中ウェブの収縮を起こす可能性があり、最終生成物が適切なサイズとならない。よって、例えば、伸長率による最終生成物の任意の収縮を埋め合わせるために、加工装置を改造して、フリースのより幅広いロールにフィットさせることが必要となり得る。
【0266】
このような伸長率の問題を回避するか、又は少なくとも減少させるため、様々な実施形態では不織ウェブは、第1の結合(例えば、水流交絡)が完了した後、ポイント結合することができる。第2の結合プロセスは不織ウェブの引張強度を増加させ、伸長率特徴を減少させることができる。特に、ポイント結合プロセスは、ウェブを別個のポイントで部分的に又は完全に溶融することにより(例えば、ヒートシール可能な結合剤材料)、不織ウェブを結合することができる。例えば、一部の実施形態では、不織ウェブは、ウェブの最初の結合後、超音波結合に供することができる。不織ウェブを超音波結合するために、不織布材料に対して当技術分野で公知の任意の超音波結合システムを使用することができる。例えば、本明細書に参照により組み込まれる、Austの米国特許第8,096,339号及びWeilerの米国特許第8,557,071号に開示された装置及びデバイスを参照されたい。一部の実施形態では、不織ウェブは、エンボス加工及び/又は彫刻カレンダーロールを介したポイント結合に供することができ、この場合通常加熱される。例えば、その全体が本明細書に参照により組み込まれる、Schmidtの米国特許公開第2008/0249492号で論じられている非常に高いカレンダー圧力及びエンボス加工技術の使用を組み込んだポイント結合方法を参照されたい。ポイント結合プロセスは通常、上述のように不織ウェブの表面積の約60%未満に限定される。
【0267】
ある特定の実施形態では、不織ウェブをブレンド、絡合及び結合するために使用される加工技術はまた、繊維不織ウェブ材料に所望のテキスチャーを付与することができる。例えば、ポイント結合又は水流交絡は不織ウェブに所望のテキスチャー(例えば所望のパターン)を付与することができる。このテキスチャーパターンは情報を識別する製品を含むことができる。一部の実施形態では、製品識別情報は、製品ブランド、会社名称、企業ロゴ、企業ブランド,マーケティングメッセージ、製品強度、活性成分、製品製造日、製品有効期限、製品フレーバー、製品放出プロファイル、重量、製品コード(例えば、バッチコード)、他の製品との識別マーキング及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0268】
様々な製造装置及び方法は、本明細書に記載されているパウチ製品を作り出すために使用することができる。例えば、その全体が以前に参照により組み込まれているNovak、IIIらの米国公開第2012/0055493号は、無煙タバコ製品の製造における使用のために、管状に形成されるパウチ材料を提供するための装置及びプロセスに関する。パウチ材料の連続供給を供給するための装置を組み込む類似の装置(例えば、パウチ材料から連続的管状部材を形成するために、パウチ材料を連続的管形成単位に供給するように適合されているパウチ加工単位)を使用して、本明細書に記載されているパウチ製品を作り出すことができる。このようなパウチ材料の連続的管を形成するための代表的装置は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Boldriniらの米国特許出願公開第2010/0101588号に開示されている。装置は、連続的管状部材が細分され、密封されて別個のパウチ部分になった場合、各パウチ部分が口腔用使用に適応した組成物の充填材料を含むように、パウチ材料を連続的管状部材に供給するための装置をさらに含む。フィラー材料を供給するための代表的な装置は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Brinkleyの米国特許出願公開第2010/0018539号において開示されている。ある場合には、装置は連続的管状部材を個々のパウチ部分に細分するための細分単位を含んでもよく、個々のパウチ部分へと細分された際に各パウチ部分の末端の少なくとも1つを密封するための密封単位を含んでもよい。他の場合には、連続的管状部材は密封単位により密封されて、個々のパウチ部分となってもよく、よって、個々のパウチ部分が密封された場合、直列に配置されたパウチ部分の密封された末端の間で連続的管状部材を細分単位で細分することにより、連続的管状部材が別個の個々のパウチ部分へと細分されてもよい。さらに他の場合には、連続的管状部材の個々のパウチ部分の密封(閉鎖)は、閉鎖及び分割単位を使用して、その細分化と実質的に同時に生じてもよい。低融点結合剤材料が使用される本開示のある特定の実施形態では、パウチ製品の継ぎ目の密封に必要とされる温度は、従来の結合剤材料に伴う従来のプロセスに必要とされる温度より低くてもよいことが指摘されている。その結果、本開示によるパウチ製造プロセスは、従来のプロセスと比較して、必要とされるエネルギーがより少なく、及び/又はパウチ製品のより速い生産を必要とする。少なくともこれらの理由のため、本開示のある特定のプロセスは、従来のプロセスよりも経済的であることができる。
【0269】
経口パウチ製品を製造するための例示的装置は、Novak、IIIらの米国公開第2012/0055493号の
図1~5に例示されている。しかし、この装置は一般的な及び説明的な観点のみから使用されているもので、限定する目的のためのものではない。以下の製造プロセス及び関連装置は、以下に記載されているプロセス順序に限定されないこともまた認識されたい。本開示の様々な実施形態では、米国公開第2012/0055493号に記載されているものと類似の装置は、巻き戻しスピンドルアセンブリー上の第1のボビンを除去可能なように受けるように構築することができ、第1のボビンは、その上に巻かれたパウチ材料などの材料の連続的な長さを有する。第1のボビンが装置と係合した場合、パウチ材料は、第1のボビンから形成単位へ向かう経路を取ることができ、この形成単位は、縦方向軸を規定する連続的管状部材へのパウチ材料の連続供給を形成するように構築されている。
【0270】
よって、パウチ材料が第1のボビンから巻き戻されると、パウチ材料は、ローラーメンバー(本明細書で他にダンサーアセンブリーとも呼ばれる)の配置の周辺へと方向づけることができる。形成単位は、パウチ材料が第1のボビンから巻き戻され、例えば、駆動システムにより形成単位に供給される間、第1のボビン及びダンサーアセンブリーと協働して、パウチ材料内の緩みを取り、パウチ材料上にある特定量の縦方向の引張りを維持するように構築することができる。当業者であれば、第1のボビンと形成単位との間で、パウチ材料が、所望の経路に沿ってパウチ材料を誘導するための、適切に整列された一連の任意の数の、例えばアイドラーローラー、ガイドポスト、エアバー、ターニングバー、ガイド、トラック、トンネルなどにより支持され、経路に乗り、及び/又は誘導されることが可能であると認識している。従来の自動化パウチ作製装置に使用されている典型的なボビンは、多くの場合長さが異なり得るパウチ材料の連続ストリップを含有する。よって、本明細書に記載されている装置は、その種類及びサイズのボビンを扱うように構築することができる。
【0271】
形成単位は1つ以上のローラーメンバーを含むことができ、このローラーメンバーは、連続的管状部材へのパウチ材料の連続供給が形成され得るように、パウチ材料を中空シャフト周囲に方向づけるよう構築されている。形成単位は密封デバイスを含むことができ、この密封デバイスは、パウチ材料の側面縁を密封、固定、又はさもなければ係合して、縦方向に広がる継ぎ目を形成し、これによって縦方向に広がる連続的管状部材を形成するように構築されている。様々な実施形態では、挿入単位は、中空シャフトを介して口腔用使用に適応した組成物の充填材料を連続的管状部材に導入するよう構築することができる。挿入単位は中空シャフトと直接的又は間接的に係合することができる。
【0272】
連続的管状部材の最先端又は末端(また横方向に広がる継ぎ目ともと呼ばれる)は、挿入単位により挿入された口腔用使用に適応した組成物の充填材料が連続的管状部材内の先端近位に含有されるよう、閉鎖/密封することができる。先端は閉鎖及び分割単位を介して閉鎖/密封することができ、この閉鎖及び分割単位は、連続的管状部材の第1の部分を閉鎖/密封して、パウチメンバー部分の閉鎖された先端を形成するように構築されている。閉鎖及び分割単位はまた、前のパウチメンバー部分の閉鎖された後縁又は末端を形成するように構築することもできる。この関連で、閉鎖及び分割単位はまた、連続的管状部材の第2の部分を閉鎖して、パウチメンバー部分の閉鎖された終端を形成するように構築することもできる。この関連で、閉鎖及び分割単位は、ヒートシーリング、又は他の適切な密封機序により末端を閉鎖することができる。
【0273】
Novak、IIIらの米国公開第2012/0055493号の
図20~22に例示されているように、閉鎖及び分割単位は、それぞれ別個のパウチメンバー部分が挿入単位からの口腔用組成物の一部分を含むように、直列に配置されたパウチメンバー部分の閉鎖された終端と、閉鎖された先端との間で、連続的管状部材の縦方向軸に沿って連続的管状部材を分割して、複数の別個のパウチメンバー部分にするように構築することができる。この関連で、閉鎖及び分割単位は、連続的管状部材を別個のパウチメンバー部分へと切り離すためのブレード、熱線、又は他の切断配列を含むことができる。例えば、閉鎖及び分割単位は、相互作用して連続的管状部材を閉鎖及び分割するよう構築された第1及び第2のアームメンバーを含むことができる。
【0274】
作動中、口腔用使用に適応した組成物の充填材料(すなわち、個々のパウチメンバー部分に適した量)は、先端が閉鎖された後、ただし終端の閉鎖前に、挿入単位によりパウチメンバー部分へと供給することができる。様々な実施形態では、口腔用組成物の充填材料を受け取った後、個々のパウチ製品が形成されるよう、終端を閉鎖し、閉鎖されたパウチメンバー部分を連続的管状部材から切り離すことにより、別個の個々のパウチメンバー部分が形成され得る。
【0275】
各パウチ内に含有される材料の量は異なってもよい。様々な実施形態では、各パウチ内の混合物の重量は、少なくとも約50mg、例えば、約50mg~約2グラム、約100mg~約1.5グラム、又は約200mg~約700mgである。ある特定のより小さな実施形態では、各パウチ内の材料の重量は少なくとも約50mg~約150mgである。一部のより大きな実施形態に対して、各パウチ内の材料の重量は好ましくは約300mg~約500mgを超えない。一部の実施形態では、各パウチ/容器は、参照により本明細書に組み込まれる、Holton,Jr.らの米国特許第7,861,728号により詳細に記載されているように、その中に着香料メンバーを配置することができる。一部の実施形態では、本明細書に提供されている食用の、口腔で溶解可能なフィルムは空洞内に配置することもできる。このようなフィルムは、折り畳む、クランプルするか、又は切断する/細かく刻む(例えば、コンフェッティ状材料の形態にするため)ことによって、パウチ内に容易に組み込むことができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれるScottらの米国特許第6,887,307号及びLeungらの米国特許第6,923,981号;並びにThe EFSA Journal(2004年)85巻、1~32頁に記載されている材料及び技術の種類を参照されたい。不織布パウチを生成するための一般的な、非限定的な方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sebastianらの米国特許出願公開第2016/0073689に記載されている。
【0276】
様々な実施形態では、不織ウェブは十分に粘着性であることで、高速パウチ装置に伴う問題が生じ得る。したがって、ある特定の実施形態では、テフロンコーティング、又は類似の材料を、不織ウェブと接触するパウチ装置、例えば、ローラー、切断装置及びヒートシーリングデバイスの1つ以上の表面に適用して、加工中パウチ装置に固着するパウチ材料に伴う任意の問題を減少させる及び/又は緩和することができる。
【0277】
一実施形態では、本開示による少なくとも一部分の繊維を含む不織ウェブの形態でのパウチ材料の連続供給を提供することができる。縦方向に広がる継ぎ目が形成されるよう、パウチ材料の側面縁を密封することにより、パウチ材料は連続的管状部材へと形成される。本明細書に記述されているように、継ぎ目は、例えば、従来のヒートシーリング技術をパウチ材料に適用し、不織ウェブ内のヒートシール可能な結合剤材料の軟化及び/又は溶融をもたらし、密封を形成することにより形成することができる。口腔用使用に適応した組成物の充填材料を連続的管状部材に挿入することができる。連続的管状部材は、既定の間隔で細分して、複数のパウチメンバー部分を形成することができ、各パウチメンバー部分は組成物の充填材料を含む。次いで、各別個のパウチ部分は、組成物を封入する外側水透過性パウチが形成されるよう、全面的に密封することができる。この第2の密封ステップは、従来のヒートシーリング技術をパウチ材料に適用し、不織ウェブ内のヒートシール可能な結合剤材料の軟化及び/又は溶融をもたらし、密封を形成することを含むことができる。したがって、本開示の態様は、特に別個のパウチ製品を提供するよう構築される。本明細書で記載されている作業及び例示されている方法ステップの順序は、これを限定するものと解釈されない。
【0278】
パウチ製品は、外側水透過性パウチに印刷又は染色された又は外側水透過性パウチにインプリントされた(例えば、エンボス加工、デボス加工、又はさもなければプレス加工された)情報を識別する製品をさらに含むことができ、これらは例えば、本明細書に参照により組み込まれている、2013年3月11日に出願した、Reddickらの米国特許出願公開第2014/0255452号に記載されている。上述のように、着香剤もまた、所望する場合、例えば、食用着香剤インクを不織ウェブ上にコーティング又は印刷することにより、不織ウェブに組み込むことができる。例えば、それぞれが本明細書に参照により組み込まれている、Kawataらの米国特許出願公開第2012/0085360号及びSebastianらの米国特許出願公開第2012/0103353号を参照されたい。
【0279】
食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、異なる段階のパウチ生成工程及び異なる方式でフリースに適用することができる。一部の実施形態では、フィルムは、パウチの生成前又は生成後にフリースの表面上に積層することができる。このような積層を行うことができるある特定の、非限定的な方法として、例えば、任意選択的にいくらかの保湿と組み合わせることができる熱的結合及び熱/圧力の適用を含む。一部の実施形態では、この積層はパウチを作製する前に行われる。
【0280】
他の実施形態では、食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、スプレー、プリンティング、又はさもなければ、液体組成物をフリースに塗布することにより、フリースに塗布し、液体を乾燥させて、その上にフィルム層を得ることができる。液体組成物は、例えば,本明細書の上記に提供されているフィルム構成成分(例えば、活性剤、結合剤、可塑剤、着香剤、味覚改質剤、フィラー、pH調整剤、又はあらゆるこれらの組合せ)、並びに溶媒を一般的に含む。フィルムをこのような方式で塗布するのに適したある特定の噴霧可能な/印刷可能な液体組成物は、例えば、HPMC、他のセルロース系、寒天、アルギン酸塩、デンプン、天然ポリマー混合物(例えば、Agaroid RS500/Ingredion、これは寒天、ローカストビーンガム、及びカラギーナンを含有する。)、及びこれらの組合せから選択される結合剤を含むことができる。フィルムをこのような方式で塗布するのに適したある特定の噴霧可能な/印刷可能な液体組成物は、1種以上の可塑剤及び/又は溶媒、例えば、水、グリセリン、プロピレングリコールなどを含む溶媒を含むことができる。一部のこのような実施形態では、スプレーする方法は異なってもよく、流れ、ファンスプレー、及び微粒化から選択することができる。一部のこのような実施形態では、印刷の方法は異なってもよく、接触印刷、インクジェット印刷、及び他の印刷方法から選択することができる。
【0281】
一部の実施形態では、食用の、口腔で溶解可能なフィルムは、調製し、次いで、それが密封される前にフリースベースのパウチの空洞内に単に配置することができる。
【0282】
口腔用使用に対して構築された本開示の製品は、従来のタイプの無煙タバコ製品がパッケージされ、貯蔵されるのとほぼ同じ方式で任意の適切な包装内にパッケージされ、貯蔵され得る。例えば、複数のパケット又はパウチは円柱状の容器に含有されてもよい。調製後の製品の貯蔵期間は異なってもよい。本明細書で使用される場合、「貯蔵期間」とは、開示された製品の調製後の期間を指す。一部の実施形態では、本明細書で開示されている製品の1つ以上の特徴(例えば、白さの保持、変色の欠如、揮発性フレーバー成分の保持)は、貯蔵期間の一部又はすべてにわたり示される。一部の実施形態では、貯蔵期間(すなわち、期間後の調製物)は少なくとも1日である。一部の実施形態では、貯蔵期間は、約1日、約2日、若しくは約3日から、約1週まで、又は約1週~約2週、約2週~約1カ月、約1カ月~約2カ月、約2カ月~約3カ月、約3カ月~約4カ月、又は約4カ月~約5カ月である。一部の実施形態では、貯蔵期間は、約1日~約150日の間の任意の数の日である。ある特定の実施形態では、貯蔵期間は、5カ月、例えば、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、又は約12カ月より長くてもよい。
【実施例】
【0283】
以下の実施例において、「ヒドロキシプロピルメチルセルロースA」は、粘度4.0cPsを有するHPMCである。「ヒドロキシプロピルメチルセルロースB」は粘度79~119cPsを有するHPMCである。「ヒドロキシプロピルメチルセルロースC」は80~120cPsを有するHPMCである。本明細書に提供されている実施例において、ステアリン酸ポリオキシ(40)塩は、組成物中に存在する場合、ステアリン酸グリセリル及びポリソルベート(80)と置き換わってもよいことが記述されている。
【0284】
実施例1:フィルムA
【0285】
【0286】
フィルムAのすべての構成成分の水溶液(表2に提供されている通り)を固体約20%で調製した。溶液をフラット担体上にキャストし、水分約7%まで乾燥させて、食用の、口腔で溶解可能なフィルムを得た。
【0287】
フィルムAと同等の追加のフィルムもまた以下の通り想定される:フィルムA-1、L-テアニンの代わりに7.5%ニコチン溶液(炭酸ナトリウムでpHを約8.5調節したフィルム組成物から調製し、約220mgのストリップ1枚当たり約3~5mgのニコチンを有するフィルムを生成);フィルムA-2、L-テアニンの代わりに7.5%ニコチン溶液(炭酸ナトリウムでpHを約8.5に調節したフィルム組成物から調製し、約220mgのストリップ1枚当たり約5~7mgのニコチンを有するフィルムを生成);フィルムA-3、L-テアニンの代わりにテアニンとγ-アミノ酪酸の組合せを有する(約220mgのストリップ1枚当たり約30~40mgのテアニン/約40~50mgのγ-アミノ酪酸の量で存在する。);フィルムA-4、L-テアニンの代わりにテアニンとカフェインの組合せを有する(約220mgのストリップ1枚当たり、約35~45mgのカフェイン/約35~45mgのL-テアニンの量で存在する。);及びフィルムA-5、L-テアニンの代わりにカフェインとタウリンの組合せを有する(約220mgのストリップ1枚当たり約30~40mgカフェイン/約40~50mgタウリンの量で存在する。)。
【0288】
実施例2:フィルムベースのパウチ
【0289】
【0290】
フィルムBのすべての構成成分の水溶液(表3に提供されている通り)を固体約20%で調製した。溶液をフラット担体上にキャストし、水分約3%まで乾燥させて、食用の、口腔で溶解可能なフィルムを得た。
【0291】
パウチA:表4の構成成分をV形状のミキサー内で組み合わせて、粉末Aを得た。フィルムBを正方形パウチ(約25~50mg)へと成形し、粉末材料A(約75~125mg)をパウチの内側に添加した。パウチを密封された正方形パウチ形状で加熱して、粉末材料Aを封入した。
【0292】
【0293】
パウチB:表5の構成成分をV形状のミキサー内で合わせて、粉末Bを得た。フィルムBを正方形パウチ(約25~50mg)へと成形して、粉末材料B(約75~125mg)をパウチの内側に添加した。パウチを正方形パウチ形状に熱密封して、粉末材料Bを封入した。
【0294】
【0295】
パウチC:表6の構成成分をV形状のミキサー内で合わせて、粉末Cを得た。フィルムBを正方形パウチ(約25~50mg)に成形し、以下の表6に提供されている粉末材料C(約75~125mg)をパウチの内側に添加した。パウチを正方形パウチ形状で熱密封して、粉末材料Cを封入した。
【0296】
【0297】
パウチD:表7の構成成分をオーバーヘッドミキサー内で合わせて、粉末材料Dを得た。フィルムBを正方形パウチ(約25~50mg)に成形し、以下の表7に提供されている粉末材料D(約75~125mg)をパウチの内側に添加した。パウチを正方形パウチ形状で熱密封して、粉末材料Dを封入した。
【0298】
【0299】
実施例3:フィルム修飾フリースベースのパウチ
【0300】
【0301】
この実施例フィルムCは、表8の上記構成成分を使用して、以下のプロセスで作製した:1)水を加熱する、2)界面活性剤及びミックスを20~30秒間添加する、3)HPMC及びCMC構成成分を添加し、混合する、4)溶液が塊を含まなかったら、グリセリン及びポリソルベートを添加する、5)残りの成分を添加し、平滑になるまで混合を継続する、6)フィルム組成物をマイラーフィルム上にキャストし、約100℃で乾燥させて、最終含水量約5~10%を有する「乾燥フィルム」を得る、7)乾燥フィルムを所望のサイズに切断する(例えば、一実施形態では、各小片が約100mgの重量の約1インチ×0.625インチの小片)。最終生成物の構成成分は以下の表9に提供されている。
【0302】
【0303】
このような乾燥フィルム材料(C)で修飾したフリースを以下の通り生成した。構造の例が
図6に概略的に例示されている。これらの図の中で、フリースは構成成分20として示されており、食用の、口腔で溶解可能なフィルムは22として示されている(又は、
図6Dの事例では、22a及び22bは、これら2つのフィルムの組成及び特徴は同一であるか、又は異なることができる。)。示されている通り、フィルムは、フリースに様々な方式で結合することができ、例えば、
図6Aは、フリース表面の部分の上に積層されたフィルムを示している(示されているのは一片の積層されたフィルムである。)。
図6Bは、フリースベースのパウチ内にフィルムを有する構成を示す(すなわち、フリースの内側の表面上又はパウチの空洞内に配置されている。)。
図6Cはその上にフィルムが配置されたフリース小片を示す(フィルムは、2つのこのようなフリース小片から構築されるパウチの内側又は外側に配置することができる。)。
図6Dは、その両方の表面にフィルムが配置された(2つのこのようなフリース小片から構築されるパウチの内側と外側の両方の上にフィルムを配置することができるように)フリース小片を示す。
【0304】
【0305】
実施例4:フィルムD
【0306】
【0307】
この実施例フィルムDは、表11の上記構成成分を使用して、以下のプロセスで作製した:1)水を加熱する、2)界面活性剤を添加し、20~30秒間混合する、3)HPMC及びCMC構成成分を添加し、混合する、4)溶液が塊を含まなかったら、グリセリン及びポリソルベートを添加する、5)残りの成分を添加し、平滑になるまで混合を継続する、6)フィルム組成物をマイラーフィルム上にキャストし、約100℃で乾燥させて、最終含水量約5~10%を有する「乾燥フィルム」を得る、7)乾燥フィルムを所望のサイズに切断する(例えば、一実施形態では、各小片が約100mgの重量の約1インチ×0.625インチの小片)。最終生成物の構成成分は以下の表12に提供されている。
【0308】
【0309】
実施例5:フィルムE
【0310】
【0311】
この実施例フィルムEは、表13の上記構成成分を使用して、全固体%約31.64%で、以下のプロセスで作製した:1)水を加熱する、2)界面活性剤を添加し、20~30秒間混合する、3)HPMCを添加し、溶液を増粘させ、冷却する(塊をチェックする)、4)混合物が平滑であれば、グリセリン及びポリソルベートを添加する、5)残りの成分を添加し、平滑になるまで混合を継続する、6)フィルム組成物をマイラーフィルム上にキャストする(キャスティングの厚さは、湿潤厚50milから開始し、温度ゾーンは上側100℃、下側100℃である。)。
【0312】
試験を行って、仕様の標的を以下の通り達成した:活性物質含有量(1.5mgニコチン)、フィルム重量(100mg)、水分レベル(5~10%)。フィルムを上に記載されているようにキャストし、丸い縁を有する100mg/小片重量を標的として、1.25”(3.18cm)×0.63”(1.6cm)ストリップに切断した(丸いエッジテンプレートを有するダイローリングカッターを使用して切断)。第1の試験は、重量114mg、水分レベル8.31%をもたらした。第2の試験は重量106mg、水分レベル6.92%をもたらした。最終乾燥により、重量0.108g及び水分レベル6.10%のストリップを得た。
【0313】
【0314】
実施例6:フィルムF
【0315】
【0316】
この実施例フィルムFは、表15の上記構成成分を使用して、全固体%約35.53%で、以下のプロセスで作製した:1)水を加熱する、2)界面活性剤を添加し、20~30秒間混合する、3)HPMCを添加し、溶液を増粘させ、冷却する(塊をチェックする)、4)混合物が平滑であれば、グリセリン及びポリソルベートを添加する、5)残りの成分を添加し、平滑になるまで混合を継続する、6)フィルム組成物をマイラーフィルム上にキャストする(キャスティング厚さは、湿潤厚50milから開始し、温度ゾーンは上側100℃、下側100℃である。)。
【0317】
この実施例は、以下の通り仕様の標的を達成するように設計された:活性物質含有量(2.0mgニコチン)、フィルム重量(140mg)。フィルムを上に記載されているようにキャストし、140mg/小片重量を標的として、丸いエッジを有する1.25”(3.18cm)×0.43”(1.09cm)のストリップに切断した(丸いエッジテンプレートを有するダイローリングカッターを使用して切断)。
【0318】
【0319】
実施例7:フィルムG
【0320】
【0321】
この実施例フィルムGは、表17の上記構成成分を使用して、全固体%約32.04%で、以下のプロセスで作製した:1)水を加熱する、2)界面活性剤を添加し、20~30秒間混合する、3)HPMCを添加し、溶液を増粘させ、冷却する(塊をチェック)、4)混合物が平滑であれば、グリセリン及びポリソルベートを添加する、5)残りの成分を添加し、平滑になるまで混合を継続する、6)フィルム組成物をマイラーフィルム上にキャストする(キャスティング厚さは湿潤厚50milから開始し、温度ゾーンは上側100℃、下側100℃である。)。
【0322】
この実施例は、以下の通り仕様標的を達成するように設計された:活性物質含有量(2.0mgニコチン)、フィルム重量(140mg)。フィルムを上に記載されているようにキャストし、140mg/小片重量を標的として、丸いエッジを有する1.25”(3.18cm)×0.43”(1.09cm)ストリップに切断した(丸いエッジテンプレートを有するダイローリングカッター使用して切断)。
【0323】
【0324】
実施例8:フィルムH
【0325】
【0326】
この実施例フィルムHは、表19の上記構成成分を使用して、全固体%約31.57%で、以下のプロセスで作製した:1)水を加熱する、2)界面活性剤を添加し、20~30秒間混合する、3)HPMCを添加し、溶液を増粘させ、冷却する(塊をチェックする)、4)混合物が平滑であれば、グリセリン及びポリソルベートを添加する、5)残りの成分を添加し、平滑になるまで混合を継続する、6)フィルム組成物をマイラーフィルムにキャストする(キャスティング厚さは、湿潤厚50milから開始し、温度ゾーンは上側100℃、下側100℃である。)。
【0327】
この実施例は、以下の通り仕様の標的を達成するように設計された:活性物質含有量(2.0mgニコチン)、フィルム重量(140mg)。フィルムを上に記載されているようにキャストし、140mg/小片重量を標的として、丸いエッジを有する1.25”(3.18cm)×0.43”(1.09cm)のストリップに切断した(丸いエッジテンプレートを有するダイローリングカッターを使用して切断した)。
【0328】
【0329】
実施例9:フィルム修飾フリースベースのパウチ(パウチ内側の活性剤)
フリース及び粉末充填材料を使用してパウチを調製し、次いでパウチをフィルム形成溶液で処理し、乾燥させて、フィルム修飾フリースベースのパウチを得た。フリースを調製し、約350mgの粉末充填材料(粉末E、その組成物は以下の表21に提供されている)を含むパウチをそれから調製した。
【0330】
【0331】
別々に印刷溶液を調製した(印刷溶液A、その組成は以下の表22に提供されている)。デンプン及びAgaroid RS500を冷水中に分散させることにより、印刷溶液Aを調製した。ステアリン酸ポリオキシ(40)及びスクラロースを混合物に添加し、約5分間撹拌しながら混合物を約193°Fに加熱した。混合物を約115°Fに冷却し、撹拌しながら、フレーバーを添加した。次いで、600mmステンレススチールメッシュを介して混合物を濾過した。
【0332】
【0333】
BioDot AD1500プリンターを使用して、弁及びシリンジ温度を約70℃に設定し、約2psiの圧力を使用して、印刷溶液Aを用いて個々のパウチに印刷した。パウチ1つ当たり約120mgの湿性の追加の印刷溶液Aを付与して、長方形の形状をパウチの片側に印刷し(例えば、
図5Fに示されている通り)、次いでこれを乾燥させて、フィルム修飾フリースベースパウチを得た。
【0334】
さらなる実施例では、粉末Eを使用して、口腔のパウチされた生成されたものを作製した(約342gの粉末E及び約30mgのフリース材料を含む)。印刷溶液Aをパウチの外面上にスプレーして、フィルム修飾フリースベースのパウチを得た。これは最終重量約420mgを有した(パウチ充填材、フリース、及びコーティングを含む)。
【0335】
実施例10:フィルム修飾フリースベースのパウチ(フリース上の活性剤)
フリース及び粉末充填材料を使用してパウチを調製し、次いでパウチをフィルム形成溶液で処理し、乾燥させて、フィルム修飾フリースベースのパウチを得た。フリースを調製し、約350mgの非ニコチン粉末充填材料を含むパウチをそれから調製した。
【0336】
別に、印刷溶液を調製した(印刷溶液B、その組成は以下の表23に提供されている)。ブレンダーを使用して、アルギン酸ナトリウムを冷水中に分散することにより印刷溶液Bを調製した。終夜静置させることによって溶液を脱気した。約75℃で、プロピレングリコール中約260gのニコチン、約210gのコハク酸トコフェロール、及び水を混合して、均質な液体を得ることにより、ニコチンコハク酸トコフェロールを作製した。印刷溶液Bの他の構成成分を手動での撹拌により混合した。
【0337】
【0338】
弁及びシリンジの温度を約60℃に設定し、約20psi圧力を使用して、印刷溶液Bを用いてパウチに印刷した。パウチ1つ当たり約100mg湿性の追加の印刷溶液Bを付与して、円形の形状をパウチの片側に印刷し(例えば、
図5Eに示されている通り)、次いで乾燥させて、約2mgのニコチンを有するニコチンコハク酸トコフェロールを含有するフィルム修飾フリースベースのパウチを得た。
【0339】
実施例11:フィルムI
【0340】
【0341】
水を加熱し、ステアリン酸グリセリルを添加した。混合物を約20~30秒間撹拌した。HPMC-A及びHPMC-Cを添加し、継続して撹拌すると、混合物は増粘し始め、冷却した。混合物が塊を含まない/平滑である場合、グリセリン及びポリソルベート80を添加した。次いで、残りの成分を添加し、混合物が平滑になるまで撹拌を継続した。混合物を板ガラス又はマイラー担体上にキャストし、乾燥させた。乾燥した材料を、約1.25”(3.18cm)×0.43”(1.09cm)及び約140mgの個々の食用の、口腔で溶解可能なフィルムのストリップに切断した。この試料中のAgaroidの存在は、ストリップの口腔の溶解時間を有利に減少させ、きれいな仕上げが得られた。
【0342】
前述の説明に提示された教示の利益を有する、本発明が付随する本発明の多くの変化形及び他の実施形態が、当業者により考案されるであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるわけではなく、変化形及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図することを理解されたい。特定の用語が本明細書で利用されているが、これらは一般的及び説明的な観点のみで使用され、制限目的のためではない。
【国際調査報告】