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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】左心耳インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20240410BHJP
   A61B 17/12 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
A61B17/00 500
A61B17/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565982
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 US2022026174
(87)【国際公開番号】W WO2022232043
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/180,210
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ナテサン、ハリシャンカー
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジャン-フン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160DD54
4C160DD62
4C160MM33
4C160NN04
4C160NN09
(57)【要約】
左心耳を閉塞するためのインプラントは、第1のフレームワーク部分および第2のフレームワーク部分を含む拡張可能なフレームワークを備えてもよく、拡張可能なフレームワークは、つぶれた形態と拡張構成との間で長手方向軸線に沿ってシフトするように構成される。第2のフレームワーク部分は、つぶれた形態において、第1のフレームワーク部分の半径方向内側に配置されてもよい。拡張可能なフレームワークは、近位ハブおよび遠位ハブを含む。第1のフレームワーク部分は、近位ハブおよび遠位ハブに固定して取り付けられてもよい。第2のフレームワーク部分は、近位ハブおよび遠位ハブに固定して取り付けられてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左心耳を閉塞するためのインプラントであって、
第1のフレームワーク部分および第2のフレームワーク部分を含む拡張可能なフレームワークであって、前記拡張可能なフレームワークは、つぶれた形態と拡張した形態との間で長手方向軸線に沿ってシフトするように構成された、拡張可能なフレームワークを含み、
前記第2のフレームワーク部分は、前記つぶれた形態において、前記第1のフレームワーク部分の半径方向内側に配置され、
前記拡張可能なフレームワークは、近位ハブおよび遠位ハブを含み、
前記第1のフレームワーク部分は、前記近位ハブおよび前記遠位ハブに固定して取り付けられ、
前記第2のフレームワーク部分は、前記近位ハブおよび前記遠位ハブに固定して取り付けられる、インプラント。
【請求項2】
前記第1のフレームワーク部分は、第1の管状部材から形成された第1の複数の相互連結されたストラットを含み、
前記第2のフレームワーク部分は、第2の管状部材から形成された第2の複数の相互連結されたストラットを含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記第2のフレームワーク部分の一部が、前記拡張した形態において前記第1のフレームワーク部分の半径方向外側に配置される、請求項1または2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記第1のフレームワーク部分は、前記第1のフレームワーク部分から半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材を含む、請求項3に記載のインプラント。
【請求項5】
前記第1のフレームワーク部分の半径方向外側に配置された前記第2のフレームワーク部分の前記一部は、前記第2のフレームワーク部分から半径方向外側に延在する少なくとも1つの係留部材を含む、請求項3に記載のインプラント。
【請求項6】
前記第1のフレームワーク部分の半径方向外側に配置された前記第2のフレームワーク部分の前記一部が、前記第1のフレームワーク部分の近位肩部に隣接して配置される、請求項3に記載のインプラント。
【請求項7】
前記第1のフレームワーク部分の半径方向外側に配置された前記第2のフレームワーク部分の前記一部が、前記第1のフレームワーク部分の中央部に近接して配置される、請求項3に記載のインプラント。
【請求項8】
前記第2のフレームワーク部分の外面は、前記拡張した形態において前記第1のフレームワーク部分の内面に当接する、請求項1または2に記載のインプラント。
【請求項9】
前記第1のフレームワーク部分は、前記第1のフレームワーク部分から半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材を含む、請求項8に記載のインプラント。
【請求項10】
前記少なくとも1つの係留部材は、前記第1のフレームワーク部分の前記内面に当接する前記第2のフレームワーク部分の前記外面と長手方向に整列される、請求項9に記載のインプラント。
【請求項11】
前記第2のフレームワーク部分の前記外面は、前記第1のフレームワーク部分の近位肩部に隣接する前記第1のフレームワーク部分の前記内面に当接する、請求項8に記載のインプラント。
【請求項12】
前記第2のフレームワーク部分の前記外面は、前記第1のフレームワーク部分の中央部に近接する前記第1のフレームワーク部分の前記内面に当接する、請求項8に記載のインプラント。
【請求項13】
前記第2のフレームワーク部分が、前記第1のフレームワーク部分よりも柔軟である、請求項1~12のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項14】
前記拡張可能なフレームワーク上に配置された閉塞要素をさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項15】
左心耳を閉塞するためのシステムであって、
管腔を有する送達シースと、
請求項1~14のいずれか一項に記載のインプラントと、
前記インプラントの前記近位ハブに解放可能に固定できるコアワイヤと、
を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、医療装置に関し、より詳細には、心臓の左心耳(LAA)への移植を含む経皮的医療処置における使用に適合された医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
左心耳は、心臓の左心房に付属する小さな器官である。正常な心臓機能の間、左心房が収縮して血液を左心室内に押し込むとき、左心耳が収縮して血液を左心房内に押し込む。左心耳が収縮する能力は、左心室の充填の改善を補助し、それによって、心拍出量を維持する役割を果たす。しかしながら、心房細動を患う患者では、左心耳は、適切に収縮せず、または空にならない場合があり、停滞した血液をその内部に貯留させ、左心耳内に望ましくない血栓の形成をもたらし得る。
【0003】
左心耳に形成される血栓は、この領域から遊離して血流に入る可能性がある。血管を通って移動する血栓は、最終的に、下流のより小さい血管を塞ぎ、それによって脳卒中または心臓発作に寄与し得る。臨床研究は、心房細動を有する患者における血餅の大部分が左心耳に由来することを示している。治療として、左心耳を閉鎖するように配置される医療装置が開発されている。既知の医療装置および方法の各々は、特定の利点および欠点を有する。代替的な医療装置および導入器、ならびに医療装置および導入器を製造および使用するための代替的な方法を提供する継続的な必要性がある。
【発明の概要】
【0004】
一例では、左心耳を閉塞するためのインプラントは、第1のフレームワーク部分および第2のフレームワーク部分を含む拡張可能なフレームワークを備えてもよく、拡張可能なフレームワークは、つぶれた形態と拡張した形態との間で長手方向軸線に沿ってシフトするように構成される。第2のフレームワーク部分は、つぶれた形態において、第1のフレームワーク部分の半径方向内側に配置されてもよい。拡張可能なフレームワークは、近位ハブおよび遠位ハブを含む。第1のフレームワーク部分は、近位ハブおよび遠位ハブに固定して取り付けられてもよい。第2のフレームワーク部分は、近位ハブおよび遠位ハブに固定して取り付けられてもよい。
【0005】
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、第1のフレームワーク部分は、第1の管状部材から形成された第1の複数の相互連結されたストラットを含む。
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、第2のフレームワーク部分は、第2の管状部材から形成された第2の複数の相互連結されたストラットを含む。
【0006】
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、第2のフレームワーク部分の一部は、拡張した形態において、第1のフレームワーク部分の半径方向外側に配置される。
【0007】
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、第1のフレームワーク部分は、第1のフレームワーク部分から半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材を含む。
【0008】
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、第1のフレームワーク部分の半径方向外側に配置された第2のフレームワーク部分の一部は、第2のフレームワーク部分から半径方向外側に延在する少なくとも1つの係留部材を含む。
【0009】
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、第1のフレームワーク部分の半径方向外側に配置された第2のフレームワーク部分の一部は、第1のフレームワーク部分の近位肩部に隣接して配置される。
【0010】
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、第1のフレームワーク部分の半径方向外側に配置された第2のフレームワーク部分の一部は、第1のフレームワーク部分の中央部に近接して配置される。
【0011】
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、第2のフレームワーク部分の外面は、拡張した形態において第1のフレームワーク部分の内面に当接する。
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、第1のフレームワーク部分は、第1のフレームワーク部分から半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材を含む。
【0012】
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、少なくとも1つの係留部材は、第1のフレームワーク部分の内面に当接する第2のフレームワーク部分の外面と長手方向に整列される。
【0013】
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、第2のフレームワーク部分の外面は、第1のフレームワーク部分の近位肩部に隣接した第1のフレームワーク部分の内面に当接する。
【0014】
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、第2のフレームワーク部分の外面は、第1のフレームワーク部分の中央部に近接した第1のフレームワーク部分の内面に当接する。
【0015】
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、インプラントは、拡張可能なフレームワーク上に配置される閉塞要素をさらに備えてもよい。
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、左心耳を閉塞するためのシステムは、管腔を有する送達シースと、左心耳を閉塞するためのインプラントであって、インプラントは、第1のフレームワーク部分および第2のフレームワーク部分を含む拡張可能なフレームワークであって、拡張可能なフレームワークは、つぶれた形態と拡張した形態との間で長手方向軸線に沿ってシフトするように構成され、第2のフレームワーク部分は、つぶれた形態において第1のフレームワーク部分の半径方向内側に配置され、拡張可能なフレームワークは、近位ハブおよび遠位ハブを含み、第1のフレームワーク部分は、近位ハブおよび遠位ハブに固定して取り付けられ、第2のフレームワーク部分は、近位ハブおよび遠位ハブに固定して取り付けられる、拡張可能なフレームワークを含むインプラントと、インプラントの近位ハブに解放可能に固定できるコアワイヤとを含んでもよい。
【0016】
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、第1のフレームワーク部分は、第1の管状部材から切り出された第1の複数の相互連結されたストラットを含み、第2のフレームワーク部分は、第2の管状部材から切り出された第2の複数の相互連結されたストラットを含む。第2の管状部材の近位端は、第1の管状部材の近位端内に同心円状に配置される。
【0017】
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、第2のフレームワーク部分は、第1のフレームワーク部分よりも柔軟である。
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、拡張可能なフレームワークは、そこから半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材を含む。
【0018】
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、拡張可能なフレームワークは、拡張した形態に向かって自己付勢される。
本明細書に開示される任意の例に加えて、またはその代わりに、左心耳を閉塞するためのインプラントは、第1の管状部材から切り出された第1のフレームワーク部分および第2の管状部材から切り出された第2のフレームワーク部分を含む拡張可能なフレームワークであって、つぶれた形態と拡張した形態との間で長手方向軸線に沿ってシフトするように構成される、拡張可能なフレームワークと、拡張可能なフレームワークの半径方向外側に配置される閉塞要素とを備えてもよい。第1の管状部材は、第1の外径を有し、第2の管状部材は、第1の外径よりも小さい第2の外径を有する。第2のフレームワーク部分は、つぶれた形態において、第1のフレームワーク部分の半径方向内側に配置される。拡張可能なフレームワークは、近位ハブおよび遠位ハブを含む。第1のフレームワーク部分の近位端は近位ハブに固定され、第1のフレームワーク部分の遠位端は遠位ハブに固定される。第2のフレームワーク部分の近位端は近位ハブに固定され、第2のフレームワーク部分の遠位端は遠位ハブに固定される。
【0019】
いくつかの実施形態、態様、および/または例の上記の概要は、本開示の各実施形態またはすべての実装を説明することを意図していない。図面および詳細な説明は、これらの実施形態の態様をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本開示は、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解され得る。
図1】左心耳を閉塞するための例示的システムの側面図である。
図2】左心耳を閉塞するための例示的システムの側面図である。
図3】左心耳を閉塞するためのインプラントの選択された態様を示す。
図4図3のインプラントの選択された態様を示す。
図5図3のインプラントの選択された態様を示す。
図6】つぶれた形態における図3のインプラントの態様を示す部分断面図である。
図7】拡張した形態における図3のインプラントの態様を示す部分断面図である。
図8】拡張した形態における図3のインプラントの態様を示す部分断面図である。
図9】拡張した形態における図3のインプラントの態様を示す部分断面図である。
図10】拡張した形態における図3のインプラントの態様を示す部分断面図である。
【0021】
本開示の態様は、様々な修正形態および代替形態を受け入れるが、例が図面に示され、本明細書で説明される。しかしながら、その意図は、本開示の態様を説明される特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。むしろ、本開示は、その趣旨および範囲内にあるすべての修正形態、均等物、および代替形態を包含するものとする。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明は、必ずしも縮尺通りではない図面を参照して読まれたく、同様の参照番号は、いくつかの図を通して同様の要素を示す。詳細な説明および図面は、本開示を例示することを意図しているが、本開示を限定することを意図していない。当業者は、説明され、および/または示される様々な要素が、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な組合せおよび構成で配置され得ることを認識するであろう。詳細な説明および図面は、本開示の例示的な実施形態を示す。しかしながら、明確さおよび理解の容易さのために、すべての特徴および/または要素が各図面に示されない場合があるが、特徴および/または要素は、別段の指定がない限り、それにかかわらず存在すると理解され得る。
【0023】
以下に定義される用語については、特許請求の範囲または本明細書の他の箇所において異なる定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
全ての数値は、本明細書において、明示的に示されているか否かにかかわらず、「約」という用語によって修飾されると想定される。数値の文脈における「約」という用語は、全般的に、当業者が列挙された値と同等である(例えば、同じ機能または結果を有する)と考えるであろう数の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数を含み得る。「約」という用語の他の使用(例えば、数値以外の文脈における)は、別段の指定がない限り、本明細書の文脈から理解され、本明細書の文脈と一致するように、それらの通常の慣習的な定義を有すると想定され得る。
【0024】
端点による数値範囲の記載は、端点を含むその範囲内の全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
様々な構成要素、特徴、および/または仕様に関するいくつかの適切な寸法、範囲、および/または値が開示されているが、本開示によって駆り立てられた当業者は、所望の寸法、範囲、および/または値が明示的に開示されたものから逸脱し得ることを理解するであろう。
【0025】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、「または」という用語は、内容が明らかに他のことを示さない限り、「および/または」を含む意味で全般的に使用される。理解を容易にするために、本開示の特定の特徴は、それらの特徴が開示された実施形態内で複数または繰り返され得るとしても、単数形で説明され得ることに留意されたい。特徴の各事例は、そうではないと明示的に述べられていない限り、単数の開示を含み、かつ/またはそれによって包含され得る。簡略化および明確性の目的のために、本開示のすべての要素が必ずしも各図に示されているわけではなく、または以下で詳細に説明されているわけでもない。しかしながら、以下の説明は、そうでないと明示的に述べられていない限り、1つより多く存在する構成要素のいずれかおよび/またはすべてに等しく適用され得ることが理解されるであろう。さらに、明確にするために、いくつかの要素または特徴のすべての例が各図に示されているわけではない。
【0026】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、それらの変形などの相対的な用語は、全般的に、装置のユーザ/オペレータ/マニピュレータに対する様々な要素の位置決め、方向、および/または動作に関して考慮されてもよく、「近位」および「後退」は、ユーザにより近いまたはユーザに向かうことを示すか指し、「遠位」および「前進」は、ユーザからより遠いまたはユーザから離れることを示すか指す。場合によっては、「近位」および「遠位」という用語は、本開示の理解を容易にするために任意に割り当てられてもよく、そのような場合は、当業者には容易に明らかになるであろう。「上流」、「下流」、「流入」、および「流出」などの他の相対的な用語は、体管腔、血管などの管腔内、または装置内の流体流の方向を指す。「軸線方向」、「円周方向」、「長手方向」、「横方向」、「半径方向」などのさらに他の相対的な用語、および/またはそれらの変形は、全般的に、開示される構造または装置の中心長手方向軸線に対する方向および/または向きを指す。
【0027】
「範囲」という用語は、問題の範囲または寸法が、述べられたまたは特定された寸法の最小測定値を意味すると理解され得る「最小」によって先行されるかまたは「最小」として特定されない限り、述べられたまたは特定された寸法の最大測定値を意味すると理解され得る。例えば、「外側範囲」は外側の寸法を意味すると理解されてもよく、「半径方向範囲」は半径方向の寸法を意味すると理解されてもよく、「長手方向範囲」は長手方向の寸法を意味すると理解されてもよい、などである。「範囲」の各例は異なっていてもよく(例えば、軸線方向、長手方向、横方向、半径方向、円周方向など)、個々の用法の文脈から当業者には明らかであろう。全般的に、「範囲」は、意図された用途に従って測定された可能な限り最大の寸法と考えられてもよく、一方、「最小範囲」は、意図された用途に従って測定された可能な限り最小の寸法と考えられてもよい。場合によっては、「範囲」は、全般的に、平面および/または断面内で直角に測定されてもよいが、特定の文脈から明らかになるように、限定ではないが、角度的に、半径方向に、円周方向に(例えば、弧に沿って)等、異なって測定されてもよい。
【0028】
「モノリシック(monolithic)」および「単一(unitary)」という用語は、全般的に、単一の構造またはベースユニット/要素から作製されるか、またはそれから成る、1つまたは複数の要素を指すものとする。モノリシックおよび/または単一要素は、複数の別個の構造または要素を一緒に組み立てるか、または別様に接合することによって作製される構造および/または特徴を除外するものとする。
【0029】
「経大動脈弁移植」および「経カテーテル大動脈弁移植」という用語は、互換的に使用され得、各々、頭字語「TAVI」を使用して称されてもよい。「経大動脈弁置換」および「経カテーテル大動脈弁置換」という用語は、互換的に使用され得、各々、頭字語「TAVR」を使用して称されてもよい。
【0030】
本明細書における「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、説明される実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、すべての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、または特性を含まなくてもよいことを示すことに留意されたい。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されているか否かにかかわらず、そうでないと明確に述べられていない限り、他の実施形態に関連して特定の特徴、構造、または特性をもたらすことは、当業者の知識の範囲内であろう。すなわち、以下で説明される様々な個々の要素は、特定の組合せで明示的に示されていなくても、当業者によって理解されるように、他の追加の実施形態を形成するために、または説明される実施形態を補完および/または強化するために、互いに組合せ可能または配置可能であると考えられる。
【0031】
明確にするために、説明および/または特許請求の範囲の全体にわたって、ある特定の識別する数値命名法(例えば、第1、第2、第3、第4など)を使用して、様々な説明および/または特許請求の範囲の特徴を命名および/または区別する場合がある。数値命名法は限定を意図するものではなく、単なる例示であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、簡潔さおよび明確さのために、以前に使用された数値命名法の変更およびそれからの逸脱が行われ得る。すなわち、「第1の」要素として識別された特徴は、後に「第2の」要素、「第3の」要素などと称されてもよく、または完全に省略されてもよく、および/または異なる特徴が「第1の」要素と称されてもよい。各例における意味および/または名称は、当業者には明らかであろう。
【0032】
左心耳は、患者の心臓の左心房に付属し、それと連通し得る。一部の患者では、左心耳は、複雑な幾何学形状および/または不規則な表面領域を有し得る。当業者はまた、本明細書に開示される医療装置および方法が、必要に応じて、左心耳の様々なサイズおよび形状に適合され得ることを認識するであろう。左心耳は、左心耳の本体の深さに沿って配置される略長手方向軸線を含んでもよい。本体は、壁と、近位口を形成する小孔とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、小孔および/または壁の横方向範囲は、長手方向軸線に沿った本体の深さよりも小さくてもよく、または本体の深さは、小孔および/または壁の横方向範囲よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、左心耳は、本体の遠位部分と関連付けられた尾部様要素を含んでもよく、その要素は、本体から離れて半径方向または横方向に突出してもよい。
【0033】
以下の図は、左心耳を閉塞するためのインプラント、左心耳を閉塞するためのシステム、ならびに/あるいはインプラントおよび/またはシステムを使用する方法の選択された構成要素および/または配置を示す。任意の所与の図において、いくつかの特徴が簡略化のために示されていない場合があり、または概略的に示されている場合があることに留意されたい。インプラントおよび/またはシステムの構成要素のうちのいくつかに関するさらなる詳細は、他の図においてより詳細に図示され得る。左心耳を閉塞する状況で議論されるが、インプラントおよび/またはシステムはまた、患者内の他の介入および/または経皮的医療処置のために使用されてもよい。同様に、経皮的配置に関して本明細書に説明される装置および方法は、適宜、他のタイプの外科的処置において使用されてもよい。例えば、いくつかの例では、装置は、非経皮的処置において使用されてもよい。本開示による装置および方法はまた、解剖学的構造内での他の使用のために適合および構成されてもよい。
【0034】
図1~2は、左心耳を閉塞するためのシステム10の選択された構成要素および/または配置を示す。任意の所与の図において、システム10のいくつかの特徴が簡略化のために示されていない場合があり、または概略的に示されている場合があることに留意されたい。システム10の構成要素のうちのいくつかに関するさらなる詳細は、他の図においてより詳細に図示され得る。システム10は、様々な医療用インプラント(例えば、心血管医療用インプラント、閉塞性医療用インプラント、置換心臓弁インプラント等)を、いくつかの実施形態では心臓を含むが、それに限定されない解剖学的構造内の1つ以上の位置に経皮的に送達および/または配置するために使用されてもよい。
【0035】
システム10は、近位開口部から遠位開口部まで延在する管腔42を有する送達シース40と、管腔42内に摺動可能に配置されるコアワイヤ30と、左心耳を閉塞するためのインプラント100とを含んでもよい。インプラント100は、インプラント100がつぶれた形態で遠位開口部に近接して管腔42内に配置されるつぶれた形態(例えば、図1)と、拡張した形態(例えば、図2)との間でシフトするように構成された拡張可能なフレームワーク(例えば、図3)を含んでもよく、インプラント100が管腔42の遠位開口部および/または送達シース40の遠位に配置されるとき、および/またはインプラント100が送達シース40によって拘束されていないときに、インプラント100および/または拡張可能なフレームワーク110は、つぶれた形態と拡張された形態との間でシフトするように構成される。少なくともいくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワーク110は、拡張した形態に向かって自己付勢されてもよい。
【0036】
インプラント100は、コアワイヤ30の遠位部分に配置されてもよく、および/または取り外し可能に固定可能であってもよい。コアワイヤ30は、送達シース40の管腔42内に摺動可能および/または回転可能に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、コアワイヤ30の近位端は、臨床医または開業医による手動操作のために、送達シース40の近位端および/または管腔42の近位開口部の近位に延在してもよい。いくつかの実施形態では、インプラント100は、コアワイヤ30の遠位端に取り外し可能に取り付けられ、接合され、固定され、または別様に連結されてもよい。コアワイヤ30は、インプラント100を送達シース40に対して軸線方向に平行移動させるように構成されてもよく、および/または軸線方向に平行移動させることが可能であってもよい。送達シース40および/またはコアワイヤ30は、選択されたレベルの軸線方向剛性および/または押し込み特性を有し得る一方で、患者の血管系を通るナビゲーションを可能にする選択されたレベルの可撓性も有し得る。
【0037】
システム10、コアワイヤ30、送達シース40、および/またはインプラント100等のための材料のいくつかの好適であるが非限定的な例が、以下で議論される。本明細書に開示される任意のおよび/または全ての例示的なインプラントは、上述の例示的なシステム10に従って使用されてもよく、および/または関連付けられてもよいことが企図される。
【0038】
インプラント100は、つぶれた形態と拡張した形態との間で長手方向軸線102に沿ってシフトするように構成された拡張可能なフレームワーク110を備えてもよい。つぶれた形態では、拡張可能なフレームワーク110は、軸線方向に伸長および/または半径方向に圧縮されてもよい。拡張した形態では、拡張可能なフレームワーク110は、軸線方向に短縮され、および/または半径方向に拡張されてもよい。拡張可能なフレームワーク110は、複数のセルを画定する複数の相互連結されたストラットを備えてもよい。いくつかの実施形態では、複数のセルは、複数の閉鎖セルであってもよい。いくつかの実施形態では、複数のセルは、複数の開口セルであってもよい。いくつかの実施形態では、複数のセルは、様々な組合せおよび/または配置で複数の開口セルおよび複数の閉鎖セルを含んでもよい。
【0039】
拡張可能なフレームワーク110は、近位ハブ112および遠位ハブ114を含んでもよい。いくつかの実施形態では、近位ハブ112および/または遠位ハブ114は、長手方向軸線102を中心とし、かつ/またはそれと同軸であってもよい。複数の相互連結されたストラットは、近位ハブ112および/または遠位ハブ114において一緒に接合されてもよく、および/またはそれらに固定して取り付けられてもよい。近位ハブ112は、インプラント100および/または拡張可能なフレームワーク110をコアワイヤ30に解放可能に連結し、固定し、および/または取り付けるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、近位ハブ112は、コアワイヤ30の雄ねじ付き遠位端に回転可能および/または螺合可能に係合するように構成された雌ねじを含んでもよい。インプラント100をコアワイヤ30に解放可能に固定するための他の構成も企図される。拡張可能なフレームワーク110は、第1のフレームワーク部分130(例えば、図3図5図6)および第2のフレームワーク部分150(例えば、図5図6)を含んでもよく、これらの要素は、本明細書でより詳細に説明される。上述したように、いくつかの特徴は、明確さを向上させるために全ての図に示されているわけではない。
【0040】
いくつかの実施形態では、インプラント100は、図4に見られるように、任意選択で、拡張可能なフレームワーク110および/または複数の相互連結されたストラットの少なくとも一部に連結され、その上に配置され、それを覆って配置され、その周囲に配置され、および/またはその半径方向外側に配置される閉塞要素120を含んでもよい。いくつかの実施形態では、閉塞要素120は、近位ハブ112に取り付けられてもよく、および/または近位ハブ112において拡張可能なフレームワークに取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、閉塞要素120は、近位ハブ112から半径方向外向きに延在してもよく、および/または遠位に延在してもよい。いくつかの実施形態では、閉塞要素120は、複数の別個の箇所で拡張可能なフレームワーク110に取り付けられ、および/または固定されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、閉塞要素120は、膜、織物、メッシュ、組織要素、または別の好適な構造を含んでもよい。いくつかの実施形態では、閉塞要素120は、多孔質でもよい。いくつかの実施形態では、閉塞要素120は、非多孔質でもよい。いくつかの実施形態では、閉塞要素120は、血液および/または水などの他の流体に対して透過性または不透過性であってもよい。いくつかの実施形態では、閉塞要素120は、血栓および/または塞栓物質が左心耳から出て左心房および/または患者の血流に入ることを防止するように設計、サイズ決定、および/または構成されてもよい。いくつかの実施形態では、閉塞要素120(例えば、膜、織物、または組織要素等)は、移植後の内皮化を促進し、それによって、患者の循環系から標的部位(例えば、左心耳等)を効果的に除外する。閉塞要素120のための材料のいくつかの好適であるが非限定的な例が、以下で議論される。
【0042】
図5は、インプラント100の選択された態様を概略的に示す。図示されているが本明細書で明示的に説明されていない特徴のパターン、配置、および/または相対的な位置決めは、単に例示的なものであり、限定することを意図していないことに留意されたい。いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワーク110は、第1のフレームワーク部分130および第2のフレームワーク部分150を含んでもよい。第2のフレームワーク部分150は、つぶれた形態において、第1のフレームワーク部分130の半径方向内側に配置されてもよい。
【0043】
第1のフレームワーク部分130は、第1の管状部材から形成および/または切り出された第1の複数の相互連結されたストラット132を含んでもよい。第1のフレームワーク部分130は、近位端134および遠位端136を有し得る。いくつかの実施形態では、第1のフレームワーク部分130および/または第1の複数の相互連結されたストラット132は、単一部材から一体的に形成および/または切り出されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のフレームワーク部分130および/または第1の複数の相互連結されたストラット132は、単一の管状部材から一体的に形成および/または切り出され、その後、拡張した形態における所望の形状に形成および/またはヒートテットされてもよい。いくつかの実施形態では、第1のフレームワーク部分130および/または第1の複数の相互連結されたストラット132は、単一の平坦部材またはシートから一体的に形成および/または切り出され、次いで、管状構造に巻かれるか形成され、その後、拡張した形態における所望の形状に形成および/またはヒートセットされてもよい。第1のフレームワーク部分130および/または第1の複数の相互連結されたストラット132を作製および/または形成するいくつかの例示的な手段および/または方法としては、レーザ切り出し、機械加工、パンチング、スタンピング、放電加工(EDM)、化学溶解などが挙げられる。他の手段および/または方法も企図される。
【0044】
第2のフレームワーク部分150は、第2の管状部材から形成および/または切り出された第2の複数の相互連結されたストラット152を含んでもよい。第2のフレームワーク部分150は、近位端154および遠位端156を有し得る。いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150および/または第2の複数の相互連結されたストラット152は、単一部材から一体的に形成および/または切り出されてもよい。いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150および/または第2の複数の相互連結されたストラット152は、単一の管状部材から一体的に形成および/または切り出され、その後、拡張した形態における所望の形状に形成および/またはヒートセットされてもよい。いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150および/または第2の複数の相互連結されたストラット152は、単一の平坦部材またはシートから一体的に形成および/または切り出され、次いで、管状構造に巻かれるか形成され、その後、拡張した形態における所望の形状に形成および/またはヒートセットされてもよい。第2のフレームワーク部分150および/または第2の複数の相互連結されたストラット152を作製および/または形成するいくつかの例示的な手段および/または方法としては、レーザ切り出し、機械加工、パンチング、スタンピング、放電加工(EDM)、化学溶解などが挙げられ得る。他の手段および/または方法も企図される。
【0045】
図5に示されるように、第2のフレームワーク部分150は、つぶれた形態において、第1のフレームワーク部分130の半径方向内側に配置されてもよい。第1の管状部材は、第1の外径を有してもよく、第2の管状部材は、第1の外径よりも小さい第2の外径を有してもよい。少なくともいくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150は、第1のフレームワーク部分130とは独立して形成および/または切り出されてもよく、次いで、第2のフレームワーク部分150は、第1のフレームワーク部分130の中に軸線方向に挿入および/または位置付けられてもよい。
【0046】
図6に見られるように、第1のフレームワーク部分130の近位端134は、近位ハブ112に固定および/または固定して取り付けられてもよく、第1のフレームワーク部分130の遠位端136は、遠位ハブ114に固定および/または固定して取り付けられてもよい。第2のフレームワーク部分150の近位端154は、近位ハブ112に固定および/または固定して取り付けられてもよく、第2のフレームワーク部分150の遠位端156は、遠位ハブ114に固定および/または固定して取り付けられてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150および/または第2の管状部材の近位端154は、第1のフレームワーク部分130および/または第1の管状部材の近位端134内に同心円状に配置され得る。
【0047】
代替として、いくつかの実施形態では、第1のフレームワーク部分130の近位端134は、近位ハブ112に固定および/または固定して取り付けられてもよく、第1のフレームワーク部分130の遠位端136は、遠位ハブ114に固定および/または固定して取り付けられてもよい。第2のフレームワーク部分150の近位端154は、近位ハブ112に固定および/または固定して取り付けられてもよく、第2のフレームワーク部分150の遠位端156は、第2の遠位ハブ(図示なし)に固定および/または固定して取り付けられてもよい。第2の遠位ハブは、遠位ハブ114から軸線方向に離間されてもよい。第2の遠位ハブは、第1のフレームワーク部分130の内部内に配置され得る。例えば、遠位ハブ114は、近位ハブ112から軸線方向および/または長手方向に第1の距離にあってもよく、第2の遠位ハブは、近位ハブ112から軸線方向および/または長手方向に第2の距離にあってもよく、第2の距離は、第1の距離より小さい。いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150は、つぶれた形態および/または拡張した形態において、第1のフレームワーク部分130よりも短くてもよい。いくつかの実施形態では、連結要素が、遠位ハブ114と第2の遠位ハブとの間に延在してもよい。いくつかの実施形態では、連結要素は、ストラット、テザー、または他の要素であってもよい。いくつかの実施形態では、連結要素は、第2の遠位ハブを遠位ハブ114に向かって、またはそれから離れるように付勢するように構成されたコイルばねであってもよい。いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワーク110が拡張した形態にシフトされるとき、コイルばねは、第2の遠位ハブを遠位ハブ114から離れさせ、および/または近位ハブ112に向かわせて、第2のフレームワーク部分150を拡張した形態にシフトすることを補助し得る。他の構成も企図される。
【0048】
いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワーク110は、柔軟であり、拡張した形態において左心耳の側壁の形状および/または幾何学形状に実質的に適合および/または密封係合してもよい。いくつかの実施形態では、インプラント100は、左心耳の周囲組織および/または側壁によって決定されるように、最大非拘束範囲未満または最大非拘束範囲とは異なるサイズ、範囲、または形状に拡張してもよい。いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワーク110の様々な要素の厚さを低減することは、拡張可能なフレームワーク110および/またはインプラント100の可撓性および伸展性を増加させ、それによって、組織を拡張なフレームワーク110および/またはインプラント100に適合させるのではなく、拡張可能なフレームワーク110および/またはインプラント100が、その周囲の組織に適合することを可能にし得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1のフレームワーク部分130は、第2のフレームワーク部分150より剛性であり、および/または可撓性が低くてもよい。いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150は、第1のフレームワーク部分130よりも柔軟であってもよい。いくつかの実施形態では、第1のフレームワーク部分130は、左心耳の側壁が第1のフレームワーク部分130の外形に実質的に適合するように、左心耳の組織を成形および/または伸張するように構成されてもよい。当業者によって理解されるように、解剖学的特徴は、サイズおよび/または形状が変化し得る。いくつかの実施形態では、左心耳は、不規則な(例えば、長尺状および/または楕円形の)断面形状を有することがある。そのような実施形態では、左心耳は、第1のフレームワーク部分130の外形に完全に一致しなくてもよい。例えば、左心耳の側壁の大部分は、第1のフレームワーク部分130の外形に適合し得るが、左心耳の側壁の一部は、左心耳の不規則な断面形状に起因して、第1のフレームワーク部分130から離間され得、および/または離間されたままであり得、したがって、インプラント100と左心耳との間の不完全なおよび/または漏出封止をもたらす。
【0050】
いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150は、図7に示すように、拡張した形態において、第2のフレームワーク部分150の一部160が第1のフレームワーク部分130の半径方向外側に配置されるように構成および/またはヒートセットされてもよい。第2のフレームワーク部分150は、第1のフレームワーク部分130と左心耳の側壁との間の任意の間隙を充填するように構成されてもよく、それによって、インプラント100と左心耳との間の封止を向上させる。いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワーク110は、そこから半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材170を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のフレームワーク部分130が、第1のフレームワーク部分130から半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材170を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のフレームワーク部分130は、近位肩部140に近接した第1のフレームワーク部分130から半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材170を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のフレームワーク部分130は、第1のフレームワーク部分130の中央部に近接した第1のフレームワーク部分130から半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材170を含んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係留部材170は、左心耳の本体の側壁と係合するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係留部材170は、拡張可能なフレームワーク110の長手方向軸線102に関して近位方向に延在し、および/または近位方向に向かって指向される自由端を有する、J字形フックとして形成されてもよい。他の構成も企図される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係留部材170のうちの1つ、いくつか、および/または全ては、図4に示されるように、存在すれば、閉塞要素120を通って延在してもよい。いくつかの実施形態では、第1のフレームワーク部分130の半径方向外側に配置された第2のフレームワーク部分150の一部160は、図7に見られるように、第1のフレームワーク部分130の近位肩部140に隣接して配置されてもよい。
【0051】
図8に見られるように、代替構成において、いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150の外面は、拡張した形態において第1のフレームワーク部分130の内面に当接してもよい。いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150の外面は、拡張した形態において、第1のフレームワーク部分130の近位肩部140に隣接する第1のフレームワーク部分130の内面に当接してもよい。いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150は、近位肩部140において、および/またはそれに隣接して、第1のフレームワーク部分130を支持するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150は、第1のフレームワーク部分130の外形に対する左心耳の側壁の成形および/または適合を改善するために、近位肩部140において、および/またはそれに隣接して、第1のフレームワーク部分130によって左心耳の側壁に及ぼされる半径方向外向きの力を増加させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のフレームワーク部分130は、近位肩部140に近接した第1のフレームワーク部分130から半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材170を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のフレームワーク部分130は、第1のフレームワーク部分130の中央部に近接した第1のフレームワーク部分130から半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材170を含んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係留部材170は、左心耳の本体の側壁と係合するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係留部材170は、拡張可能なフレームワーク110の長手方向軸線102に関して近位方向に延在し、および/または近位方向に向かって指向される自由端を有する、J字形フックとして形成されてもよい。他の構成も企図される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係留部材170のうちの1つ、いくつか、および/または全ては、図4に示されるように、存在すれば、閉塞要素120を通って延在してもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係留部材170は、第1のフレームワーク部分130の内面に当接する第2のフレームワーク部分150の外面と長手方向に整列されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係留部材170は、第1のフレームワーク部分130の内面に当接する第2のフレームワーク部分150の外面から長手方向にオフセットされてもよい。
【0052】
図9に示すように、別の代替実施形態において、いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150は、拡張した形態において、第2のフレームワーク部分150の一部160が第1のフレームワーク部分130の半径方向外側に配置されるように構成および/またはヒートセットされてもよい。第2のフレームワーク部分150は、第1のフレームワーク部分130と左心耳の側壁との間の任意の間隙を充填するように構成されてもよく、それによって、インプラント100と左心耳との間の封止を向上させる。いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワーク110は、そこから半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材170を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150が、第2のフレームワーク部分150から半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材170を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150は、近位肩部140に近接した第2のフレームワーク部分150から半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材170を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150は、第1のフレームワーク部分130の中央部142に近接した第2のフレームワーク部分150から半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材170を含んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係留部材170は、左心耳の本体の側壁と係合するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係留部材170は、拡張可能なフレームワーク110の長手方向軸線102に関して近位方向に延在し、および/または近位方向に向かって指向される自由端を有する、J字形フックとして形成されてもよい。他の構成も企図される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係留部材170のうちの1つ、いくつか、および/または全ては、図4に示されるように、存在すれば、閉塞要素120を通って延在してもよい。いくつかの実施形態では、第1のフレームワーク部分130の半径方向外側に配置された第2のフレームワーク部分150の一部160は、図9に見られるように、第1のフレームワーク部分130の中央部142に近接して配置されてもよい。いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150は、左心耳の側壁との係留部材の係合を増加させることによって、左心耳内のインプラント100の固定を向上させるように構成されてもよい。
【0053】
図10に見られるように、別の代替構成において、いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150の外面は、拡張した形態において第1のフレームワーク部分130の内面に当接してもよい。いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150の外面は、拡張した形態において、第1のフレームワーク部分130の中央部142に近接した第1のフレームワーク部分130の内面に当接してもよい。いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150は、第1のフレームワーク部分130の中央部142に近接したおよび/または隣接した第1のフレームワーク部分130を支持するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150は、第1のフレームワーク部分130の外形に対する左心耳の側壁の成形および/または適合を改善するために、および/または左心耳の側壁との係留部材の係合を改善するために、第1のフレームワーク130の中心部142に近接したおよび/またはそれに隣接した第1のフレームワーク部分130によって左心耳の側壁に及ぼされる半径方向外向きの力を増加させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のフレームワーク部分130は、第1のフレームワーク部分130の中央部142に近接した第1のフレームワーク部分130から半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材170を含んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係留部材170は、左心耳の本体の側壁と係合するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係留部材170は、拡張可能なフレームワーク110の長手方向軸線102に関して近位方向に延在し、および/または近位方向に向かって指向される自由端を有する、J字形フックとして形成されてもよい。他の構成も企図される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係留部材170のうちの1つ、いくつか、および/または全ては、図4に示されるように、存在すれば、閉塞要素120を通って延在してもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの係留部材170は、図10に見られるように、第1のフレームワーク部分130の内面に当接する第2のフレームワーク部分150の外面と長手方向に整列されてもよい。いくつかの実施形態では、第2のフレームワーク部分150は、左心耳の側壁との係留部材の係合を増加させることによって、左心耳内のインプラント100の固定を向上させるように構成されてもよい。
【0054】
左心耳を閉塞するための方法は、インプラント100を左心耳の中に前進させるステップを含んでもよい。例えば、インプラント100は、つぶれた形態で送達シース40の管腔42内で左心耳に前進させられてもよい。本方法は、左心耳内で送達シース40から拡張可能なフレームワーク110を配置するステップを含む。本方法はさらに、拡張可能なフレームワーク110を左心耳内でつぶれた形態から拡張した形態に拡張および/またはシフトさせるステップを含む。拡張した形態では、拡張可能なフレームワーク110は、左心耳の本体の側壁と接触し、係合し、および/またはそれに係留されるように付勢されてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、インプラント100および/または拡張可能なフレームワーク110は、左心耳の小孔にわたって広がってもよい。いくつかの実施形態では、インプラント100および/または拡張可能なフレームワーク110は、左心耳の小孔を完全に横断し、それによって、患者の循環系から左心耳を効果的に除外してもよい。
【0055】
左心耳内へのインプラント100の位置決めの要件が満たされると、コアワイヤ30をインプラント100から切り離すことができ、それによって、インプラント100が左心耳におよび/または左心耳内に配置されたままになる。いくつかの実施形態では、コアワイヤ30をインプラント100から切り離すことは、コアワイヤ30の雄ねじ付き遠位端をインプラント100および/または近位ハブ112に対して回転させて、コアワイヤ30をインプラント100から係合解除することを含んでもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、送達シース40および/またはコアワイヤ30は、近位ハブ112に対するコアワイヤ30の回転を防止するように構成されたキーイング構造を含んでもよい。そのような実施形態では、キーイング構造は、インプラント100および/または近位ハブ112に対してコアワイヤ30を回転させる前に係合解除される。キーイング構造が係合されると、コアワイヤ30の回転がインプラント100および/または拡張可能なフレームワーク110に伝達され得る。いくつかの実施形態では、インプラント100および/または拡張可能なフレームワーク110の回転は、左心耳に対する、例えば、非対称および/または不規則な小孔および/または左心耳に対する、インプラント100および/または拡張可能なフレームワーク110の位置決めおよび/または配向を容易にし得る。他の構成、目的、および/または結果も企図される。
【0057】
システムの様々な構成要素(および/または本明細書に開示される他の要素)ならびに本明細書に開示されるその様々な構成要素のために使用され得る材料は、医療装置および/またはシステムと一般的に関連付けられるものを含んでもよい。簡単にするために、以下の議論はシステムに言及する。しかしながら、この議論は、限定されないが、インプラント、送達シース、コアワイヤ、拡張可能なフレームワーク、閉塞要素等、および/またはそれらの要素もしくは構成要素等の本明細書に開示される他の要素、部材、構成要素、または装置に適用され得るが、これは、本明細書に説明される装置および方法を限定することを意図しない。
【0058】
いくつかの実施形態では、システムおよび/またはその構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例が以下に開示される)、金属-ポリマー複合材料、セラミック、それらの組み合わせなど、または他の適切な材料から作製されてもよい。
【0059】
適切な金属および合金のいくつかの例としては、444V、444L、および314LVステンレス鋼などのステンレス鋼;軟鋼;線形弾性および/または超弾性ニチノールなどのニッケル-チタン合金;ニッケル-クロム-モリブデン合金などの他のニッケル合金(例えば、INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22などのUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276などのUNS:N10276、他のHASTELLOY(登録商標)合金など)、ニッケル-銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(商標)400、NICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(商標)などのUNS:R44035)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)などのUNS:N100665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステンまたはタングステン合金など;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R44003);白金強化ステンレス鋼;チタン;これらの組み合わせ;同等のもの;または任意の他の適切な材料が挙げられる。
【0060】
本明細書で示唆されるように、市販のニッケル-チタン合金またはニチノール合金のファミリーの中には、「線形弾性」または「非超弾性」と称されるカテゴリーがあり、これは、従来の形状記憶および超弾性種と化学的に類似し得るが、別個の有用な機械的性質を示し得る。線形弾性および/または非超弾性ニチノールは、その応力/歪み曲線において、超弾性ニチノールが示すような実質的な「超弾性プラトー」または「フラグ領域」を示さないという点で、線形弾性および/または非超弾性ニチノールは超弾性ニチノールと区別され得る。代わりに、線形弾性および/または非超弾性ニチノールでは、回復可能なひずみが増加するにつれて、応力は、塑性変形が始まるまで、実質的に線形、またはいくらかであるが必ずしも完全に線形ではない関係で、あるいは少なくとも、超弾性ニチノールで見られ得る超弾性プラトーおよび/またはフラグ領域より線形である関係で、増加し続ける。したがって、本開示の目的のために、線形弾性および/または非超弾性ニチノールはまた、「実質的に」線形弾性および/または非超弾性ニチノールと称されてもよい。
【0061】
また、場合によっては、線形弾性および/または非超弾性ニチノールは、実質的に弾性のままでありながら(例えば、塑性変形前に)、最大約2~5%の歪みを許容することができるが、超弾性ニチノールは、塑性変形前に最大約8%の歪みを許容することができるという点で、線形弾性および/または非超弾性ニチノールは超弾性ニチノールと区別することができる。これらの材料は両方とも、塑性変形前に約0.2~0.44パーセントの歪みしか許容できないステンレス鋼(その組成に基づいて区別することもできる)などの他の線形弾性材料と区別することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金は、広い温度範囲にわたって示差走査熱量測定(DSC)および動的金属熱分析(DMTA)分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化を示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態では、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金において、約-60℃~約120℃の範囲で、DSCおよびDMTA分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化がなくてもよい。したがって、そのような材料の機械的曲げ性質は、全般的に、この非常に広い温度範囲にわたる温度の影響に対して不活性であり得る。いくつかの実施形態では、周囲温度または室温での線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金の機械的曲げ性質は、例えば、それらが超弾性プラトーおよび/またはフラグ領域を示さないという点で、体温での機械的特性と実質的に同じである。換言すれば、広い温度範囲にわたって、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金は、その線形弾性および/または非超弾性特性および/または性質を維持する。
【0063】
いくつかの実施形態では、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金は、約50~約60重量パーセントニッケルの範囲であってもよく、残りは本質的にチタンである。いくつかの実施形態では、組成は、約54~約57重量パーセントニッケルの範囲である。適切なニッケル-チタン合金の一例は、日本国神奈川県所在の古河テクノマテリアル社から市販されているFHP-NT合金である。他の適切な材料としては、ULTANIUM(商標)(Neo-Metricsから入手可能)およびGUM METAL(登録商標)(Toyotaから入手可能)が挙げられる。いくつかの他の実施形態では、所望の特性を達成するために、超弾性合金、例えば、超弾性ニチノールが使用されてもよい。
【0064】
少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステムおよび/または他の要素の一部または全部はまた、放射線不透過性材料でドープされ、放射線不透過性材料から作製され、または別様に放射線不透過性材料を含んでもよい。放射線不透過性材料は、医療処置中に蛍光透視スクリーンまたは別のイメージグ技術で比較的明るい画像を生成することができる材料であると理解される。この比較的明るい画像は、本明細書に開示されるシステムおよび/または他の要素の位置を決定する際にユーザを支援する。放射線不透過性材料のいくつかの例としては、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填材が装填されたポリマー材料などが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、他の放射線不透過性マーカバンドおよび/またはコイルもまた、同じ結果を達成するために本明細書に開示されるシステムおよび/または他の要素の設計に組み込まれ得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI)適合性が、本明細書に開示されるシステムおよび/または他の要素に付与される。例えば、システムおよび/またはその構成要素もしくは部分は、画像を実質的に歪めず、実質的なアーチファクト(すなわち、画像内のギャップ)を生成しない材料で作製されてもよい。例えば、特定の強磁性材料は、MRI画像にアーチファクトを生成する可能性があるので、適切でない場合がある。システムまたはその一部は、MRIの機械が撮像できる材料から作製されてもよい。これらの特性を示すいくつかの材料としては、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R44003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(商標)などのUNS:R44035)、ニチノールなど、およびその他が挙げられる。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステムおよび/または他の要素は、ポリマーまたは他の好適な材料から作製されてもよく、またはそれを含んでもよい。適切なポリマーのいくつかの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、DuPontから入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、Polyurethane 85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSM Engineering Plasticsから入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルまたはエステル系コポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレートおよび/またはDuPontから入手可能なHYTREL(登録商標)などの他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、Bayerから入手可能なDURETHAN(登録商標)またはElf Atochemから入手可能なCRISTAMID(商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、PEBAX(登録商標)の商品名で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、MARLEX(登録商標)高密度ポリエチレン、MARLEX(登録商標)低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン12(EMS American Grilonから入手可能なGRILAMID(登録商標)など)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチルビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBSおよび/またはSIBS 50A)、ポリカーボネート、イオノマー、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、またはそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材などが挙げられる。いくつかの実施形態では、シースは、液晶ポリマー(LCP)と混合されてもよい。例えば、混合物は最大約6%のLCPを含有してもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステムおよび/または他の要素は、構造の上または中に配置された織物材料を含んでもよい。織物材料は、組織内方成長を促進するように適合されたポリマー材料または生体材料などの生体適合性材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、織物材料は、生体吸収性材料を含んでもよい。適切な織物材料のいくつかの例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、ePTFE)、ポリエチレンなどのポリオレフィン材料、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、および/またはこれらのブレンドもしくは組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステムおよび/または他の要素は、織物材料を含んでもよく、および/または織物材料から形成されてもよい。適切な織物材料のいくつかの例としては、フラットな、成形され、撚られ、テクスチャード加工され、予備収縮され、または非収縮され得る合成糸が挙げられ得る。本開示における使用に適切な合成生体適合性糸としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリエステルを含むポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリメチルアセテート、ポリアミド、ナフタレンジカルボキシレン誘導体、天然絹、およびポリテトラフルオロエチレンが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、合成糸の少なくとも1つは、金属糸またはガラスまたはセラミック糸または繊維であってもよい。有用な金属糸としては、ステンレス鋼、白金、金、チタン、タンタル、またはNi-Co-Cr系合金から作製されるか、またはそれらを含有する糸が挙げられる。糸は、炭素、ガラス、またはセラミック繊維をさらに含んでもよい。望ましくは、糸は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリナフタレン、ポリテトラフルオロエチレンなどを含むがこれらに限定されない熱可塑性材料から作製される。糸は、マルチフィラメント、モノフィラメント、またはスパンタイプであってもよい。選択される糸の種類およびデニールは、生体適合性および埋め込み可能なプロテーゼ、より具体的には、望ましい特性を有する血管構造を形成するように選択されてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステムおよび/または他の要素は、適切な治療剤を含んでもよく、および/または適切な治療剤で処理されてもよい。適切な治療剤のいくつかの例としては、抗血栓剤(ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、およびPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)など);抗増殖剤(エノキサパリン、アンギオペプチン、平滑筋細胞増殖を遮断することができるモノクローナル抗体、ヒルジン、およびアセチルサリチル酸など);抗炎症剤(デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、およびメサラミンなど);抗腫瘍/抗増殖/抗有糸分裂剤(パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン、およびチミジンキナーゼ阻害剤など);麻酔剤(リドカイン、ブピバカイン、およびロピバカインなど);抗凝固剤(D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、およびダニ抗血小板ペプチドなど);血管細胞増殖促進剤(増殖因子阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写活性剤、および翻訳促進剤など);血管細胞増殖阻害剤(増殖因子阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写リプレッサー、翻訳リプレッサー、複製阻害剤、阻害抗体、増殖因子に対する抗体、増殖因子および細胞毒からなる二官能性分子、抗体および細胞毒からなる二官能性分子など);コレステロール低下剤;血管拡張剤;および内因性血管作動性機構を妨害する薬剤が挙げられる。
【0070】
本開示は、多くの点で例示的なものにすぎないことを理解されたい。本開示の範囲を超えることなく、詳細に、特に形状、サイズ、およびステップの配置に関して変更を行うことができる。これは、適切な範囲で、他の実施形態で使用される1つの例示的な実施形態の特徴のいずれかの使用を含んでもよい。本開示の範囲は、当然ながら、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左心耳を閉塞するためのインプラントであって、
第1のフレームワーク部分および第2のフレームワーク部分を含む拡張可能なフレームワークであって、前記拡張可能なフレームワークは、つぶれた形態と拡張した形態との間で長手方向軸線に沿ってシフトするように構成された、拡張可能なフレームワークを含み、
前記第2のフレームワーク部分は、前記つぶれた形態において、前記第1のフレームワーク部分の半径方向内側に配置され、
前記拡張可能なフレームワークは、近位ハブおよび遠位ハブを含み、
前記第1のフレームワーク部分は、前記近位ハブおよび前記遠位ハブに固定して取り付けられ、
前記第2のフレームワーク部分は、前記近位ハブおよび前記遠位ハブに固定して取り付けられる、インプラント。
【請求項2】
前記第1のフレームワーク部分は、第1の管状部材から形成された第1の複数の相互連結されたストラットを含み、
前記第2のフレームワーク部分は、第2の管状部材から形成された第2の複数の相互連結されたストラットを含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記第2のフレームワーク部分の一部が、前記拡張した形態において前記第1のフレームワーク部分の半径方向外側に配置される、請求項1または2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記第1のフレームワーク部分は、前記第1のフレームワーク部分から半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材を含む、請求項3に記載のインプラント。
【請求項5】
前記第1のフレームワーク部分の半径方向外側に配置された前記第2のフレームワーク部分の前記一部は、前記第2のフレームワーク部分から半径方向外側に延在する少なくとも1つの係留部材を含む、請求項3に記載のインプラント。
【請求項6】
前記第1のフレームワーク部分の半径方向外側に配置された前記第2のフレームワーク部分の前記一部が、前記第1のフレームワーク部分の近位肩部に隣接して配置される、請求項3に記載のインプラント。
【請求項7】
前記第1のフレームワーク部分の半径方向外側に配置された前記第2のフレームワーク部分の前記一部が、前記第1のフレームワーク部分の中央部に近接して配置される、請求項3に記載のインプラント。
【請求項8】
前記第2のフレームワーク部分の外面は、前記拡張した形態において前記第1のフレームワーク部分の内面に当接する、請求項1または2に記載のインプラント。
【請求項9】
前記第1のフレームワーク部分は、前記第1のフレームワーク部分から半径方向外向きに延在する少なくとも1つの係留部材を含む、請求項8に記載のインプラント。
【請求項10】
前記少なくとも1つの係留部材は、前記第1のフレームワーク部分の前記内面に当接する前記第2のフレームワーク部分の前記外面と長手方向に整列される、請求項9に記載のインプラント。
【請求項11】
前記第2のフレームワーク部分の前記外面は、前記第1のフレームワーク部分の近位肩部に隣接する前記第1のフレームワーク部分の前記内面に当接する、請求項8に記載のインプラント。
【請求項12】
前記第2のフレームワーク部分の前記外面は、前記第1のフレームワーク部分の中央部に近接する前記第1のフレームワーク部分の前記内面に当接する、請求項8に記載のインプラント。
【請求項13】
前記第2のフレームワーク部分が、前記第1のフレームワーク部分よりも柔軟である、請求項1または2に記載のインプラント。
【請求項14】
前記拡張可能なフレームワーク上に配置された閉塞要素をさらに備える、請求項1または2に記載のインプラント。
【請求項15】
左心耳を閉塞するためのシステムであって、
管腔を有する送達シースと、
請求項1または2に記載のインプラントと、
前記インプラントの前記近位ハブに解放可能に固定できるコアワイヤと、
を含む、システム。
【国際調査報告】