(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】可撓性導管の固定用の器具および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/02 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
A61M25/02 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566937
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 GB2022051089
(87)【国際公開番号】W WO2022229649
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523408905
【氏名又は名称】ジャベロ ヘルス リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】アシュトン バーネット-ベインズ
(72)【発明者】
【氏名】アラン キッチング
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA33
4C267BB20
4C267BB23
(57)【要約】
開示されているのは、可撓性導管(101a、101b)の固定用の固定装置(100)、固定装置を含む医療システムおよびそれに固定された導管;ならびに可撓性導管を固定する方法である。固定装置は、支持部分およびそれに結合された弾性的に拡張可能な第1のストラップ(132a)および第2のストラップ(120)を含む。使用中、ストラップは可撓性導管に取付けられ、この可撓性導管は湾曲したまたは回旋状の経路内に押し込まれる。ストラップは、導管に張力が加えられた場合に弾性的に拡張することができ、固定装置は、固定装置の一方の側まで拡張する導管を、固定装置のもう一方の側の導管に加えられた張力から隔離する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性導管を固定するための導管固定装置において:
支持部分と;
前記支持部分に結合された弾性的に拡張可能な第1のストラップであって、その一部分が導管の第1の領域の周囲に取付けられるように構成されている第1のストラップと;
前記支持部分に結合された弾性的に拡張可能な第2のストラップであって、その一部分が前記導管の長手方向に隣接する第2の領域の周囲に取付けられるように構成されている第2のストラップと;
前記可撓性導管のさらなる領域を前記支持部分に取付けるための第3の取付け具であって、前記さらなる領域が前記第2の領域に長手方向に隣接している、第3の取付け具と;
を含む装置であって、
前記第1および第2のストラップが可撓性導管の長手方向に隣接する第1および第2の領域の周囲に取付けられ、前記可撓性導管を前記固定装置に固定した場合、前記可撓性導管は前記ストラップによって湾曲したまたは回旋状の経路内に押し込まれ、
前記装置に固定された導管に対し長手方向に加えられた張力が、前記湾曲したまたは回旋状の経路を直線化し、前記第1および/または第2のストラップを拡張またはさらに拡張させ前記導管との静止摩擦を増大させるように作用する、
導管固定装置。
【請求項2】
前記第1のストラップおよび前記第2のストラップが、相対する方向または向きで導管に巻き付くように構成されている、請求項1に記載の固定装置。
【請求項3】
導管の周囲に取付け可能である前記第1および第2のストラップの一部分が、弾性変形可能である、請求項1または2に記載の固定装置。
【請求項4】
前記固定装置に対し近位のまたは遠位の前記導管に沿って長手方向の力が加えられたとき、前記第1のストラップは弾性的に拡張するかまたはさらに拡張し第1の力を前記可撓性導管に加え;かつ/または、前記第2のストラップは、弾性的に拡張するかまたはさらに拡張して第2の力を前記可撓性導管に加え;
前記第1および/または第2の力の少なくとも一成分が、前記導管の前記長手方向に対し垂直に加えられる、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の固定装置。
【請求項5】
前記固定装置が、前記支持部分に結合された第1の定着部分、弾性的に拡張可能な第1の中間部分および第1のループを形成するために前記支持部分または前記第1のストラップの別の部分に結合可能な第1の自由端部を有する第1のストラップ;および
前記支持部分に結合された第2の定着部分、弾性的に拡張可能な第2の中間部分および第2のループを形成するために前記支持部分または前記第2のストラップの別の部分に結合可能な第2の自由端部を有する第2のストラップ;
を含み、
第1および第2のループが各々、その内部に対応する第1および第2のチャネルを画定しており;
前記ストラップが弾性的に拡張されておらず、前記第1および第2のチャネルが概して互いに平行である場合に、前記第1および第2のチャネルが互いから横方向にオフセットされており;かつ
前記第1および第2のストラップが、前記第1および第2のループを通って前記支持部分を横断して長手方向に延在する湾曲したまたは回旋状の経路を画定するように構成されている、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の固定装置。
【請求項6】
前記ストラップは、使用中、可撓性導管が前記装置に固定される場合に、前記第1のチャネルが隣接する前記第2のチャネルまで略連続して延在するように配置されている、請求項5に記載の固定装置。
【請求項7】
前記第3の取付け具が、前記第2の部分に長手方向に隣接する導管のさらなる第1の部分の周囲に取付け可能なさらなる第1のストラップである、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の固定装置。
【請求項8】
前記第1および第2のストラップが可撓性導管の長手方向に隣接する領域の周囲に交互に取付け可能となるように前記支持部分上に配置された、2つ以上の第1のストラップおよび/または2つ以上の第2のストラップを含む、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の固定装置。
【請求項9】
前記支持部分に結合された2つの弾性的に拡張可能な第1のストラップであって、各々の第1のストラップの一部分が、導管の対応する第1の領域の周囲に取付けられるように構成されている第1のストラップと;前記支持部分に結合された弾性的に拡張可能な第2のストラップであって、その一部分が、前記第1の領域の間にあり前記第1の領域に長手方向に隣接している前記導管の第2の領域の周囲に取付けられるように構成されている第2のストラップとを含む、請求項7または8に記載の固定装置。
【請求項10】
1つ以上の前記ストラップの自由端部が、前記ストラップまたは前記支持部分の別の部分に対して定着具を介して結合されるように構成されており、定着具の一部分が前記自由端部上に具備されており、定着具の相補的部分が前記ストラップまたは前記支持部分の別の部分上に具備されており;ここで前記定着具が、スナップ、ボタン、かぎホック、バックル、ラチェット、面状ファスナの中から選択される、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の固定装置。
【請求項11】
1つ以上の前記ストラップが調整可能である、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の固定装置。
【請求項12】
装置を患者に取付けるための外部取付け具をさらに含み、外部取付け具が患者の四肢の周囲への取付けのためのバンドを含むか、または前記外部取付け具が衣類または衣類の一部分を構成する、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の固定装置。
【請求項13】
前記固定装置またはその1つ以上の部品が、実質的に非多孔質表面を有する払拭材料でできており;かつ/または、前記固定装置またはその1つ以上の部品には、抗病原性コーティングが具備されているかまたは抗病原性構成成分が含浸されており;かつ/または前記固定装置またはその1つ以上の構成部品には発光コーティングが具備されているかまたは発光顔料または染料が含浸されている、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の固定装置。
【請求項14】
前記ストラップおよび/または前記支持部分および/または外部取付け具が、成形プラスチックまたは伸縮素材材料を含むかまたはこれらから形成されており、かつ/または前記ストラップおよび外部取付け具が、前記支持部分上にオーバーモールドされている、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の固定装置。
【請求項15】
固定装置に固定された可撓性導管を含む医療システムにおいて:
前記固定装置が:
支持部分と;
前記支持部分に結合された弾性的に拡張可能な第1のストラップ、弾性的に拡張可能な第2のストラップおよび第3の取付け具と;
を含み、
前記第1のストラップの一部分が前記導管の第1の領域の周囲に取付けられており;前記第2のストラップの一部分が前記第1の領域に長手方向に隣接する前記導管の第2の領域の周囲に取付けられており;前記第3の取付け具が前記第2の領域に長手方向に隣接する前記導管の第3の領域に取付けられており;前記可撓性導管が湾曲したまたは回旋状の経路内に押し込まれ;
長手方向の力が前記導管に加えられた場合に、前記第1のストラップおよび/または前記第2のストラップが弾性的に拡張するかまたはさらに拡張して、前記導管との前記静止摩擦を増大させる、
医療システム。
【請求項16】
前記可撓性導管が、流体ライン、あるいは電気または光導管である請求項15に記載の医療システム。
【請求項17】
請求項1ないし14のいずれか1項に記載の固定装置を含む、請求項15または16に記載の医療システム。
【請求項18】
概して互いに平行な前記湾曲したまたは回旋状の経路に沿って前記固定装置に固定された、同じまたは異なるタイプまたは直径の2つ以上の導管を含む、請求項15ないし17のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項19】
可撓性導管を固定する方法において:
前記可撓性導管の一領域の周囲に第1の弾性的に拡張可能なストラップを取付けることと;
前記可撓性導管の長手方向に隣接する領域の周囲に第2の弾性的に拡張可能なストラップを取付けることと;
前記可撓性導管の第3の領域に第3の取付け具を取付けることと;
前記導管と前記第1および第2のストラップの間の取付け具によって画定された湾曲したまたは回旋状の経路内に前記可撓性導管を押し込むことと;
を含む方法。
【請求項20】
前記第1のストラップを弾性的に拡張することによって前記可撓性導管の前記第1の領域に対して第1の力を加えること;および/または
前記第2のストラップを弾性的に拡張することによって前記可撓性導管の前記第2の領域に対して第2の力を加えること;
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1および第2のストラップが弾性的に拡張された場合に、前記第2の力の少なくとも一成分が前記第1の力に対抗する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のストラップまたは第2のストラップが、前記ストラップを取付ける作用によって弾性的に拡張される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
相対する方向または向きで前記導管の周囲に前記第1および/または第2のストラップを巻き付けることを含む、請求項19ないし23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記可撓性導管に対して2つ以上の第1のストラップおよび/または2つ以上の第2のストラップを取付け、こうして前記可撓性導管の対応しかつ隣接する第1および第2の領域が交互に取付けられることになることを含む、請求項19ないし24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記ストラップが固定装置の一部を形成し、前記固定装置が外部取付け具を含み、前記方法が、前記可撓性導管の固定前または後に患者または構造に対し前記外部取付け具を取付けることを含む、請求項19ないし24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
2つ以上の可撓性導管を前記固定装置または同じタイプもしくは異なるタイプに固定することを含む、請求項19ないし25のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床現場における流体ライン取付け、詳細には、臨床現場における患者に対するカテーテル、血管内ラインなどの取付けに関する。
【背景技術】
【0002】
医学的処置には一般に、胸腔、腹部、頭蓋などの体腔または静脈、動脈、脊髄、尿道、腸などの管腔導管に対して流体ラインを連結することによって、患者に流体を注入することまたは患者から流体を引き出すことが関与する。
【0003】
例えば、静脈内(IV)ラインを使用して薬物を送達し、血漿を送達または交換し、または患者に水分補給することができ、一方、尿路または腸内カテーテル挿入を介して体液を除去することができ、あるいは、外科手術中またはその後に外科用ドレンが必要となる可能性がある。
【0004】
患者または身体部分は、流体ラインが取付けられている間、比較的可動状態を保ち続け、患者は、特に長期にわたる治療の間または意識の回復時に、流体ラインのことを忘れるかまたはそれに気付かない場合がある。臨床現場はまた、追加の流体および医療器具で混み合っている可能性もあり、臨床医は、流体ラインに極めて近接して頻繁に作業する必要があるかもしれない。したがって、患者からの予期せぬライン抜去が共通の問題であり、治療の質を低下させる可能性があり、不利な臨床転帰につながることがある。
【0005】
たとえ低コストの薬剤または流体であってもそれを送達する流体ラインの意図せぬ抜去は、浪費を導き、治療時間を延長させ、かつ患者の苦痛をひき起こす可能性がある。同様に、ラインの取外しにより針などの医療器具が患者の体内に残され、それを除去するために画像化または外科的介入が必要となる場合があるということも知られている。さらにいくつかの状況における意図せぬライン抜去の帰結は、救急や外科の環境では重篤さらには致命的になることさえあり得る。
【0006】
流体ラインを固定し、ラインに加えられる力から進入点を隔離する多くのアプローチが、一般的に使用されている。
【0007】
流体ラインを固定するためには、接着剤またはテープを使用することができる。このアプローチは異なるタイプまたは直径のラインに容易に適応され得るものの、毛髪、汗または他の流体が患者の皮膚、に対する接着力を弱める可能性があり、せいぜい限定的な引張り抵抗力しか達成されない可能性がある。これらの措置は、絶えず更新する必要があり、時間の経過とともに接着剤および粘着テープは、皮膚炎症の原因となり得、いくつかの事例においては、流体ラインを引張ることでこれらを抜去した場合、痛みや負傷を発生させる結果となりかねない。
【0008】
流体ラインを切断するかまたは特注のインラインコネクタを外す装置も知られているが、コストに加えて、治療は中断され、連結を再び確立するために臨床医の時間が取られる。
【0009】
同様に、患者の四肢または他の身体部分の周囲にストラップを使用し流体ラインをストラップに取付けることも知られている。このような解決法の1つは、Stedline(商標)スリーブ(Redpoint Internatinal、Vancouver、Washington、USA製)である。IVラインが、面状ファスナ表面が備わったウェビングストラップによってリストバンドに固定される。各ストラップは、ボタンによりバンドに固定され、その周囲にIVラインを巻き付けることができる。回旋状の通路は、バンドの近位で(すなわちバンドと流体供給源の間)に加えられたライン張力をバンドに対して遠位のライン部分(すなわちバンドと体内進入点の間)に隔離する上で比較的有効である。しかしながら、IVラインをStedlineに固定するのは、比較的時間のかかることであり、装置は、ストラップを一直線に通ってラインを取付けるか(これは非常に限定された張力隔離しか提供しない)またはループ全体を介してラインを取付けるかの選択肢しか提供しない。したがって、該装置は、(曲率が大きすぎることに起因して)IVライン内にキンクや折り目をひき起こす傾向を有し、したがって、限定的な範囲の利用分野にしか好適でない。
【0010】
特許文献1(米国特許第4445894号明細書)は、一定範囲の流体ラインサイズに対応するために面状ファスナが具備されたバンドおよびストラップを使用する別の固定装置である。該装置は、流体ラインの周囲に巻き付けることのできる、縫い目線から離れて反応方向に延在するファブリックストラップを含む。しかしながら、相対するストラップは、流体ラインをねじってストラップと整列させるように作用することから、流体ラインに付加できる張力の量は限定的である。
【0011】
例えば特許文献2(米国特許第5916199号明細書)、特許文献3(国際公開第2020/124214号)中に記載の、剛性または半剛性形態に流体ラインが固定またはクリップ留めされている装置、あるいはMeadow Healtl Care、Lund Sweden製のIV-ブレスレット;または特許文献4(欧州特許第0916361号明細書)または特許文献5(国際公開第2015/079333号)に示されている通りの一連のクリップも同様に公知である。クリップは本質的に、固定可能なライン直径の数および範囲を限定し、流体ラインが剛性形態を退出する点は、圧力を集中させ、流体ラインのキンクおよび遮断を導く可能性がある。
【0012】
したがって、既存の流体ライン固定において遭遇する欠陥の1つ以上に対処する必要性がなおも存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第4445894号明細書
【特許文献2】米国特許第5916199号明細書
【特許文献3】国際公開第2020/124214号
【特許文献4】欧州特許第0916361号明細書
【特許文献5】国際公開第2015/079333号
【発明の概要】
【0014】
本発明の一態様によると、可撓性導管を固定するための導管固定装置において:
支持部分と;
支持部分に結合された弾性的に拡張可能な第1のストラップであって、その一部分が導管の第1の領域の周囲に取付けられるように構成されている第1のストラップと;
支持部分に結合された弾性的に拡張可能な第2のストラップであって、その一部分が前記導管の長手方向に隣接する第2の領域の周囲に取付けられるように構成されている第2のストラップと;
前記可撓性導管のさらなる領域を支持部分に取付けるための第3の取付け具であって、前記さらなる領域が第2の領域に長手方向に隣接している、第3の取付け具と;
を含む装置であって、
第1および第2のストラップおよび第3の取付け具が可撓性導管の長手方向に隣接する第1、第2および第3の領域に取付けられ、可撓性導管を固定装置に固定した場合、可撓性導管はストラップによって湾曲したまたは回旋状の経路内に押し込まれ、
装置に固定された導管に対し長手方向に加えられた張力が、湾曲したまたは回旋状の経路を直線化し、第1および/または第2のストラップを拡張またはさらに拡張させ導管との静止摩擦を増大させるように作用する、
導管固定装置が提供されている。
【0015】
使用中、可撓性導管長手方向に隣接する部分は、第1および第2のストラップならびに第3の取付け具に取付けられて、導管を装置に固定する。第1および第2のストラップは、流体ラインまたは電気的または光学的導管などの可撓性導管の周囲に取付けられてよい(例えば巻き付けられてよい)。導管は、装置を横断して湾曲したまたは回旋状の経路へと押し込まれる。
【0016】
湾曲したまたは回旋状の経路およびストラップと導管の間の静止摩擦は、一定程度の「引張り抵抗力」を提供する、すなわち固定装置との関係における導管の長手方向の移動に抵抗するための抵抗力を提供する。
【0017】
固定装置の近位でまたは遠位で長手方向に導管に加えられる張力(すなわち、ここでは力の少なくとも一成分が導管の長さに沿って加えられる)は、経路を直線化するように作用する。さらに、経路が直線になるにつれて、第1および/または第2のストラップは弾性的に拡張し(またはさらに弾性的に拡張し)、導管の長手方向変位に抵抗する導管との静止摩擦を増大させる。実際、固定装置は、固定装置とこの装置から近位に拡張する導管との間に加えられる力から、装置から遠位に拡張する導管を隔離し、その逆もまた同様である。固定装置は、こうして患者に対する導管または付随する医療器具の進入点が中断されるリスクを削減する。
【0018】
さらに、弾性的に変形可能なストラップは、装置に近位または遠位の導管の横方向移動または屈曲に対処するように変形して、導管の屈曲または圧着のリスクを削減することもできる。
【0019】
使用中、ストラップまたは第3の取付け具に取付けられた可撓性導管の隣接する第1、第2および第3の領域は、導管の長さに沿って直接隣接していてよく、こうして導管の連続的長さが取付けられるか、あるいは、互いに離隔されて第1、第2および/または第3の領域が、ストラップまたは取付け具に取付けられていない導管の長さによって分離され得るようになっている。
【0020】
導管が固定装置に固定された場合、第1のストラップは、弾性的に拡張されて、第1の力を可撓性導管に加えることができ、かつ/または第2のストラップは弾性的に拡張されて第2の力を可撓性導管に加えることができる。いくつかの実施形態において、導管は、導管を固定装置に固定した場合、少なくとも部分的に、湾曲したまたは回旋状の経路を手でたどるように押し込まれてもよい。
【0021】
第1および第2の力の少なくとも一成分が、導管の長手方向に対し垂直に加えられる第1および第2の力の少なくとも一成分が導管の長手方向との関係において反対方向で、導管の長手方向に対し垂直に加えられる。
【0022】
湾曲したまたは回旋状の経路に沿って導管が拡張する場合に、可撓性導管の長手方向は少なくとも或る程度は変動し得るということが理解される。
【0023】
(固定装置に対して近位または遠位に)導管に沿って長手方向力が加えられた場合、第1および/または第2のストラップは弾性的に拡張(またはさらに拡張)し、可撓性導管に対して対応する第1および/または第2の力を加えることができる。第2の力の少なくとも一成分が第1の力に対抗してよい。第2の力の少なくとも一成分が、導管の長手方向との関係において、第1の力に対抗してよい。
【0024】
導管に加えられた長手方向力が言及される場合、それは、導管に対して平行な少なくとも一成分を有する、固定装置との関係において導管に対して加えられた力(すなわちいずれかの移動を通して発生し得ると考えられる力)のことである。
【0025】
第1および第2のストラップが弾性的に拡張する場合、第2の力の少なくとも一成分が第1の力に対抗してよい。
【0026】
第1および第2の力は、導管および固定装置を「休止」または弛緩構成(すなわち導管に対し最小限の外力しか付加されていないかまたはいかなる外力も付加されていない構成)に向かって戻るように押す。弛緩構成では、第1および第2の力は、互いに平衡化することができるか、または第1および/または第2の力は、導管の弾性バイアスを直線またはより直線の構成に向かって平衡化し得る。いくつかの実施形態において、弛緩構成では、第1および/または第2のバンドは弾性的に拡張され得ない。
【0027】
第1および第2の力は、ストラップの弾性変形の結果として可撓性導管に対して加えられる力であることが理解される。さらに、「対抗する」とは、力またはその成分が反対方向であること、すなわち別の力に対して平行に、ただし反対の向きで作用することを意味する。このような2つの力は完全に相対している、すなわち互いに平行かつ反対方向であってよく、あるいは2つのこのような力は、互いに対し一定の角度にあり得るものの、互いに直交以上の角度になくてもよい。好ましくは、力は、互いに鋭角、例えば約45度、40度、35度または30度未満を成す。さらに、可撓性導管の第1または第2の領域に沿って加えられる第1または第2の力の方向は、ストラップが湾曲したまたは回旋状の経路へと曲がるかまたは弾性変形する場合に変動してよい。
【0028】
第1のストラップおよび第2のストラップの少なくとも一部分は、弾性的に拡張可能であってよい。いくつかの実施形態において、ストラップの全てまたは各々が弾性的に拡張可能である。
【0029】
導管の周囲に取付け可能な第1および第2のストラップの部分は、1本の導管の周囲全体に取付け可能であって、例えば閉チャネルを画定するループを形成するか;または例えば導管をカップの形で支えるかまたは把持するように構成された開チャネルを画定する手段が具備されて、導管の周囲に少なくとも部分的に取付け可能であってもよい。
【0030】
導管の周囲に取付け可能である第1および第2のストラップの部分は、有利には可撓性であるかまたは弾性的に変形可能である。可撓性または弾性的に変形可能である部分を介した導管周囲への取付けは、均等な力の分配を助け、使用中、取付けられた部分が、導管の曲率および/または患者または導管の移動によってひき起こされかねない導管の曲率の変化に適合できるようにすることができる。
【0031】
第1および第2のストラップは、導管の周囲に解除可能な形で取付け可能であってよい。解除可能な取付けは、装置への導管の固定および装置からの導管の解除を簡単かつ迅速に達成できるようにする。
【0032】
いくつかの実施形態において、導管の周囲に取付け可能である第1および/または第2のストラップの部分は、支持部分との関係において自由に移動可能である。使用中、支持部分との関係におけるストラップの取付け部分の距離および位置を変動させることが可能であることから、広範囲の方向での固定装置との関係における導管の移動にこうして対処することができる。この配設は、さらに、導管の圧着または折畳みのリスクを削減することができる。
【0033】
第1のストラップは第1の自由端部を含んでいてよい。第1の自由端部は、導管の周囲に取付け可能であってよい。第2のストラップは、第2の自由端部を含んでいてよい。第2の自由端部は、導管の周囲に取付け可能であってよい。
【0034】
第1および/または第2のストラップは、導管に巻き付くように構成されてよい。第1および/または第2の自由端部は、対応するストラップの別の部分または支持部分に対し連結可能で、対応する第1または第2のループを画定し得る。
【0035】
弾性的に拡張可能なストラップ、詳細には導管に巻き付くように構成された実施形態は、一定範囲の導管直径および/または多数の導管に対処することができる。
【0036】
第1および第2のループは、弾性的に変形可能であってよい。
【0037】
固定装置は、隣接する第1および第2のループが反対方向で、かつ任意には反対の向きで導管に巻き付くことができるように構成されてよい。
【0038】
ループの「向き」とは、長手方向に沿って見た場合に、ループがストラップに沿ってその自由端部に向かって湾曲する時計回りまたは反時計回りの方向を意味する。
【0039】
各ストラップは、支持部分に結合された定着部分、例えば定着端部;中間部分および自由端部を含んでいてよい。
【0040】
第1および/または第2のストラップの少なくとも中間部分は、弾性的に拡張可能であってよい。いくつかの実施形態において、前記ストラップの他の部分または全てが弾性的に拡張可能であってよい。例えば、各ストラップの少なくとも一部分は、エラストマまたは弾性ファブリックなどの弾性材料から形成されてよい。
【0041】
いくつかの実施形態において、固定装置は、支持部分に結合された第1の定着部分、弾性的に拡張可能な第1の中間部分および第1のループを形成するために支持部分または第1のストラップの別の部分に、任意には解除可能な形で結合可能な第1の自由端部を有する第1のストラップ;および支持部分に結合された第2の定着部分、弾性的に拡張可能な第2の中間部分および第2のループを形成するために支持部分または第2のストラップの別の部分に、任意には解除可能な形で結合可能な第2の自由端部を有する第2のストラップ;を含む。
【0042】
第1および第2のループは各々、その内部に対応する第1および第2のチャネルを画定しており、ここでストラップが弾性的に拡張されておらず、かつ第1および第2のチャネルが概して互いに平行である場合に、第1および第2のチャネルは互いから横方向にオフセットされており;ここで、第1および第2のストラップは、弾性的に変形可能である。第第1および/または第2のストラップは、1および第2のループを通って支持部分を横断して長手方向に延在する湾曲したまたは回旋状の経路を画定するように構成されている、例えば弾性的に変形可能かまたは他の形で移動可能(例えば本明細書中で開示されているように枢動可能)であってよい。
【0043】
ストラップは、可撓性導管が使用中に装置に固定されている場合、各々の第1のチャネルが概して連続的に各々の隣接する第2のチャネルまで延在し得るように位置付けされていてよい。代替的には、湾曲したまたは回旋状の経路に沿って、第1および第2のチャネルの間に間隙が存在していてよい。
【0044】
チャネルの位置は、支持部分との関係におけるストラップの適切な位置付け、長さに沿ったストラップの位置付けおよび/または形状または輪郭によって決定可能である。
【0045】
第3の取付け具は、支持部分との関係において定着される取付け点を提供し得る。第3の取付け具は例えば、導管の第3の部分の周囲にクリップ留めするためのC-クリップなどの弾力性あるクリップを含んでいてよい。第3の取付け具は、導管上またはその周囲に固定するためのストラップ(弾性または非弾性)を含んでいてよい。
【0046】
固定装置は、2つ以上の第1のストラップおよび/または2つ以上の第2のストラップを含んでいてよい。第1のストラップまたは各々の第1のストラップは、前記第1および第2のストラップが、可撓性導管の長手方向に隣接した領域に対し交互に取付け可能となるように、第2のストラップまたは各々の第2のストラップとの関係において支持部分上に配置されてよい。すなわち、どの2つの第1の領域も互いに隣接せず、どの2つの第2の領域も互いに隣接していない。
【0047】
第3の取付け具は、さらなる第1または第2のストラップであってよい。したがって、導管の第3の部分は、導管のさらなる第1の領域またはさらなる第2の領域であってよい。
【0048】
したがって、導管固定装置は、支持部分に結合された2つの弾性的に拡張可能な第1のストラップであって、各々の第1のストラップの一部分が、導管の対応する第1の領域の周囲に取付けられるように構成されている第1のストラップと;支持部分に結合された弾性的に拡張可能な第2のストラップであって、その一部分が、前記第1の領域の間にあり前記第1の領域に長手方向に隣接している前記導管の第2の領域の周囲に取付けられるように構成されている第2のストラップとを含むことができる。こうして、第1および第2のストラップは、前記第1および第2のストラップが可撓性導管の長手方向に隣接する第1および第2の領域に対し交互に取付け可能となるように、支持部分上に配置される。
【0049】
導管固定装置は、前記第1および第2のストラップが可撓性導管の長手方向に隣接する第1および第2領域に対し交互に取付け可能となるように支持部分上に配置された、2つ以上の第1のストラップおよび/または2つ以上の第2のストラップを含んでいてよい。
【0050】
交互にとは、装置内に固定された導管の長さに沿って(すなわち導管に沿って長手方向に)、導管の一領域が、使用中第1のストラップに、続いて第2のストラップに、続いて第1のストラップに、または第2のストラップに、続いて第1のストラップに、続いて第2のストラップに取付けられることを意味する。例えば、いくつかの実施形態において、使用中、可撓性導管の湾曲したまたは回旋状の経路は、第1および第2のループを通って交互に延在していてよい。
【0051】
1つ以上の前記ストラップは、支持部分に対して(すなわち概して支持部分に対して直交して延在する軸を中心にして)枢動可能な形で結合されてよい。したがって、可撓性導管が、使用中固定装置に固定された場合、ストラップは、例えば導管の極めて広い範囲の運動が予期されると思われる臨床現場において有益であり得るように、導管に対し垂直な方向でそれぞれの第1または第2の力を維持するように枢動してよい。
【0052】
2つの第1のストラップおよび/または2つの第2のストラップの定着部分は、支持部分の共通の領域に結合されてよい。2つの第1のストラップおよび/または2つの第2のストラップの定着部分は、共通の点から分岐していてよい。このように分岐するストラップは、例えば、(いかなる張力も加わっていない場合)互いに一定の角度を成すループを創出するために、分岐するストラップの長さに概して直交して配向されたその自由端部に結び付けられた定着具を有していてよい。使用中、このような分岐するストラップを取付けることは、湾曲したまたは回旋状の経路内に可撓性導管を押し込むのを補助し、使用中に導管に対してより均等な力を加え得る。
【0053】
例えば、2つの第1のストラップおよび/または2つの第2のストラップの定着部分は、共通の点を中心として枢動可能であってよい。2つの第1のストラップおよび/または2つの第2のストラップの定着部分は、共通の点または領域から延在し、それらの定着部分から離れるように互いから分岐していてよい。
【0054】
いくつかの実施形態において、2つの第2のストラップは、使用中、導管に沿って長手方向に、第1の部分のいずれかの側に可撓性導管の第2の部分の周囲で取付け可能となるように、反対方向に枢動してよい。
【0055】
固定装置は、ストラップを含むことができ、2つ以上の前記ストラップの定着部分は、支持部分上で長手方向に離隔されている。例えば、隣接する第1および第2のストラップの定着部分は、支持部分上で長手方向および横方向の両方に離隔されていてよい。
【0056】
固定装置は、2つ以上の第1のストラップおよび/または2つ以上の第2のストラップを含むことができ、2つの前記第1のストラップまたは2つの前記第2のストラップの自由端部は、支持部分の共通の点または領域に結合可能である。
【0057】
固定装置は、2つ以上の第1のストラップおよび/または2つ以上の第2のストラップを含むことができ、2つの前記第1のストラップまたは2つの前記第2のストラップの自由端部は、支持部分の横方向に離隔した点または領域に対して結合可能である。
【0058】
いくつかの実施形態において、2つの第1のストラップまたは2つの第2のストラップは、支持部分の共通の点または領域に結合された定着部分から(任意には枢動的に)延在し、支持部分の横方向に離隔した点または領域に対し結合可能な自由端部を含んでいてよい。
【0059】
2つ以上の前記第1のストラップまたは2つ以上の前記第2のストラップの自由端部は、互いに連結されているかまたは連結可能であってよい。例えば、これにより、2つ以上のストラップを同時に取付けることが容易になり得る。
【0060】
1つ以上の前記ストラップは、支持部分に対して解除可能な形で結合されているかまたは結合可能であってよい。このようなストラップは、こうして交換可能であってよい。解除可能な形で結合されたストラップ(すなわち定着端部)により、単一の装置は一定の範囲の異なる利用分野と相容性を有することになる。例えば、可撓性導管の数、導管の可撓性の程度、導管がいかに容易に圧搾または圧着されるか、どれほどの導管を固定すべきか、などの特定の用途のために、異なる長さ、幅、弾性などを有するストラップを選択することができる。
【0061】
前記ストラップの自由端部は、ストラップの別の部分または支持部分に対して解除可能な形で結合されてよい。
【0062】
前記ストラップの自由端部は、一部分が自由端部上に具備され、その相補的部分がストラップの別の部分または支持部分上に具備されている任意の好適な定着具を介して結合されてよい。例えば、定着具は、スナップ、ボタン、かぎホック、バックル、ラチェット、面状ファスナ(例えば、Velcro(登録商標)タイプの締結具)を含んでいてよい。
【0063】
定着具は、変形可能な結合形成部、例えばボタン、フックの上または周囲またはスロットを通してなど、定着形成を通して、その上でまたはその周囲で変形または伸長させられてよいアパーチャまたは変形可能な単数または複数の尾根部などを含むことができ;ここで、自由端部は、変形可能な結合形成部または定着形成部のうちの一方を含み、ストラップの別の部分または支持部分は、変形可能な結合形成部または定着形成部のうちの他方を含む。
【0064】
前記ストラップの定着端部または自由端部における解除可能な取付け具を、(中間部分、ループなどの、ストラップの別の単数または複数の部分に比べて)補強することができる。解除可能な取付け具は、例えば、アパーチャを画定するより剛性の材料をオーバーモールドすることによって、および/または解除可能な取付け具の近傍におけるストラップの肥厚化領域によって、補強されてよい。このような補強は、そうでなければ意図せぬ解除をひき起こす場合があると考えられる解除可能な取付け具の変形を制限または防止する一方で、ストラップの弾性拡張を容易にし得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、ストラップの定着端部または自由端部内のアパーチャなどの、解除可能な取付け具のショアD硬度(すなわちASTMD2240-00試験規格に準じて測定された弾性圧入硬度)は、10~100、20~80または40~60の範囲内である。解除可能な取付け具の周囲のショアD硬度は、約10、20、30、40、50、60、80または100であってよい。
【0066】
ストラップの少なくとも1つの中間部分などの他の部分のショアD硬度は、より低いものであってよい、例えば前記解除可能な取付け具の周囲のショアD硬度の約75%、60%または50%であってよい。
【0067】
前記ストラップは、ストラップの長さ、自由端部の取付け具の位置、使用中の可撓性導管に加えられる張力の量を調整するべく、調整可能であってよい。
【0068】
例えば、前記ストラップの自由端部には、使用中ストラップまたは支持部分上に配置された面状ファスナの相補的部分に対して解除可能な形で結合された、面状ファスナの一構成要素が具備されてよい。
【0069】
前記ストラップは、定着部分と自由端部の間のストラップに沿った長さを変更することによって、調整可能である。
【0070】
例えば、前記ストラップは、調整を達成し得るバックル配設を含んでいてよい。ストラップは、支持部分またはストラップの別の部分から延在するボタンまたは他の突出部上に位置付けされるように適応された、ストラップの長さに沿って離隔したアパーチャのアレイを含んでいてよい。ストラップは、ラチェット配設、例えばストラップを横断するリブのアレイ(例えば各々がストラップの幅を横断して延在し、ストラップの長さに沿って、典型的にはその自由端部から配列されている)などのラチェット配設を含むことができ、かつ、ストラップの別の部分または支持部分は、リブ付き自由端部または定着端部を収容し1つ以上の前記リブと係合するように適応されたスロットを含んでいてよい。本発明は、任意の特定のタイプのストラップ調整に限定されず、なおさらなる代替案、例えばストラップをピンチまたはクランプするためのカムロックまたは、当業者にとって公知である他の代替案も同様に企図される。
【0071】
いくつかの臨床現場において、ストラップの張力または最大および/または最小のストラップ張力が予め選択されていることそして前記ストラップの自由端部に単一の結合点が提供されることが望ましい場合がある。例えば、これにより、流体導管の場合にはそうでなければ平坦化または遮断を導き得ると考えられる導管の過剰張力付加を防止することができる。一部の現場においては、自由端部の単一の結合点はさらに、唯一必要なものでもあり得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、ストラップは、ストラップの張力を予め選択するために、一定長にカットされてよい。
【0073】
支持部分は、使用中、長手方向力が導管に加えられた場合にストラップにより加えられる第1および第2の力に耐えるように構成されている。こうして、使用中、ストラップの定着端部が互いとの関係において移動する傾向を、使用中の支持部分の変形によって防止または削減することができる。
【0074】
これは、多くの方法で達成可能である。
【0075】
支持部分は、ストラップよりも剛性が高いか、あるいは弾性が低いものであってよい。
【0076】
第1および/または第2のストラップの少なくとも中間部分は、弾性的に拡張可能であり(かつ例えばエラストマまたは弾性ファブリックなどの弾性材料から形成され)ていてよく)、かつ支持部分は、例えばストラップの弾性的に拡張可能な中間部分より厚い材料、またはそれとは異なる材料を含んでいてよい。
【0077】
支持部分または少なくともその一部分は、硬質または半硬質であってよい。半硬質とは、支持部分が(例えば快適性のために)患者の身体部分に適合するように或る程度可撓性を有し得るものの、なお、使用中にストラップにより加えられる第1および第2の力に耐えるのに充分な硬さを有し得ることを意味する。支持部分は例えば、ポリプロピレンなどのプラスチック材料シートを含むかまたはこのシートから形成されてよく、ここで支持部分は、患者の四肢または他の身体部分に取り付けられた場合、装置が一部分の周囲で湾曲させられるのに充分な可撓性を有するものの、使用中、ストラップ間に加えられる横方向力の作用の下で実質的に変形しない。
【0078】
装置は、装置を患者または構造に取付けるための外部取付け具をさらに含んでいてよい。外部取付け具は、例えば患者の四肢の周囲への取付けのためのバンドまたはストラップを含んでいてよい。外部取付け具は衣類または衣類の一部分、例えばベスト、下着または四肢カバーなどを含んでいてよい。外部取付け具は、例えば、患者の皮膚または衣服あるいは家具またはワゴンなどの構造に対して貼付可能な、粘着パッチまたはストリップの形をした粘着性部分を含んでいてよい。外部取付け具は、解除可能な締結具、例えばクリップまたは面状ファスナの一構成要素を含んでいてよい。
【0079】
患者に対して装置を取付けるための外部取付け具は、調整可能なバンドまたはストラップを含んでいてよい。調整可能性は、面状ファスナ、バックル、ラチェット、紐などの任意の適切な手段によって提供されてよい。
【0080】
支持部分は、外部取付け具に対し(任意には解除可能な形で)取付けられるか、または少なくとも部分的に外部取付け具内に埋込まれるかまたは外部取付け具により取り囲まれていてよい。例えば、外部取付け具は、プラスチックまたはエラストマ材料を含むことができ、支持部分は、少なくとも部分的にプラスチック/エラストマ材料内に埋込まれるかまたはこの材料によって取り囲まれた、好適な厚みのポリプロピレンシート材料などのより剛性の高い材料であってよい。
【0081】
支持部分は、外部取付け具まで延在するかまたは外部取付け具と一体として形成されてよく、このため、使用中に患者または構造に固定された場合、第1および第2の力は患者または構造まで伝達され、それによる抵抗を受ける。
【0082】
例えば、支持部分は、バンドの両端部などの外部取付け具の第1および第2の部品によって画定されてよい。少なくとも1つの第1のストラップは、バンドの第1の端部などの支持部分の第1の部品に結合されてよく;少なくとも1つの第2のストラップは、バンドの第2の端部などの支持部分の第2の部品に結合されてよい。使用中、バンドが患者の身体部分または構造の周囲に取付けられ締め付けられた場合、ストラップ内の張力がバンドに伝達される。実際、いくつかの実施形態において、バンドの端部部分は、支持部分の前記部品としてかつ前記ストラップとして機能してよい。
【0083】
いくつかの実施形態において、バンドの取付けまたは締付けなどの外部取付けは、ストラップの張力付加、および可撓性導管に巻き付けられた前記第1または第2のストラップの自由端部の、支持部分の対応する第1および第2の部品に対する取付けによって達成される。
【0084】
支持部分は、例えば1つ以上のクリップまたはループなどを介して、外部取付け具に対し連結されてよい。
【0085】
支持部分は、例えば清浄のために、外部取付け具から取外し可能であってよい。支持部分および外部取付け具は、例えば単一の材料から形成されて一体であってよい。
【0086】
固定装置またはその構成部品のための材料選択は、臨床現場に応じて決定され得る。当業者であれば、外科手術または緊急時の利用分野のためといったいくつかの状況においては、装置を使い捨て用に適応させることができる、ということを理解するものである。一方で、例えば、より長い期間にわたり装置の使用が必要とされ得る場合などの、他の利用分野については、患者の快適性、装置の清浄および/または装置の消毒および再利用可能性のための材料選択が望ましい場合がある。
【0087】
いくつかの実施形態において、固定装置またはその1つ以上の構成部品は、便宜上、払拭材料でできている。払拭材料は、実質的に非多孔質表面を有する材料である。例としては、プラスチック材料またはエラストマ材料、例えばシリコーン、独立気泡ネオプレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリオレフィンおよび医療用途での使用のために当業者にとって公知である他このような材料が含まれる。固定装置は、プラスチックまたはエラストマでコーティングされたファブリックなどの、清浄可能または消毒可能なファブリックを含んでいてよい。
【0088】
同様にして、ストラップの弾性度は、特定の目的に応じて選択され得る。当業者であれば、ストラップには、所与の導管または導管群を湾曲したまたは回旋状の経路内に押し込むのに充分な弾力性を有することまたは単数または複数の導管の直線性の傾向に抵抗し;一方で、使用中の固定装置と導管の間に作用する典型的な力に応答して拡張するように充分に弾性的に拡張可能であること、が求められるということを理解するものである。例えば、IVラインの固定のためには、固定装置が、静脈へのIVライン進入点を、少なくとも流体滴下バッグから隔離できることが望ましい。このようなバッグ(例えば生理食塩水、血漿などの)は典型的に、約1リットルの水性流体を格納し、したがってストラップは、装置と保定されたIVラインの間に約1~10Nまたは1~5Nまたは約1または1.5~3Nの長手方向力が加えられた場合に弾性的に拡張するもののIVラインを湾曲したまたは回旋状の経路内に保定することが望ましい。経路を直線化するためにストラップに求められる撓みは、それ自体固定装置のサイズおよび構成に左右されるが、約5~100mm、5~50mmまたは約10~50mmまたは10~25mmであってよい。材料の厚みまたは弾力性は、相応して選択可能である。
【0089】
いくつかの実施形態において、固定装置またはその1つ以上の構成部品は、例えば熱可塑性材料などの再利用可能な材料、あるいは例えば生分解性プラスチック材料などの生分解性材料でできている。生分解性プラスチック材料、例えば植物性ポリマまたは樹脂をベースとするセルロース系または他のプラスチック材料が、当該技術分野において知られている。
【0090】
固定装置の1つ以上の構成要素は、成形可能である(すなわち、圧縮成形または射出成形などの成形によって形成される)。ストラップは、成形プラスチックまたは伸縮素材材料を含むかまたはそれから形成されてよい。ストラップは、製織または不織布であり得るファブリックを含むことができ、このファブリックは弾性を有していてよい。ファブリックを含むストラップは、例えばプラスチックまたはエラストマ材料でコーティングされていてよい。
【0091】
支持部分は、同様に形成されるかまたは任意にはオーバーモールドされてよい。
【0092】
ストラップは支持部分に、そして任意には支持部分は外部取付け具に、任意の好適な手段によって取付けられていてよい。ストラップ、支持部分そして任意には外部取付け具は、一体として形成されていてよい。
【0093】
ストラップそして任意には外部取付け具(例えばバンド)は、支持部分または少なくともその部品を覆うようにオーバーモールドされ得る。このような構造は、病原菌が内部に集中しまたは増殖する可能性のあるキャビテまたは縫い目を削減する上で一助となり得る。
【0094】
ストラップ、支持部分そして任意には外部取付け具は、一体構造を有していてよい(すなわち、単一の材料部片から成形、機械加工または他の形で製造されていてよい)。
【0095】
固定装置またはその構成部品は、抗病原性(例えば抗菌性、抗真菌性または抗微生物性)コーティングが具備されていてよく、あるいは、抗原原性構成成分が含浸されていてよい。当該技術分野では、金属コロイド組成物、例えば銀また銅系の第4級アンモニウム組成物またはポリマ、ビグアニドポリマおよび多くのさらなる組成物を含め、このような抗病原性組成物が多く知られている。
【0096】
固定装置またはその構成部品には、発光コーティングが具備されているかまたは発光顔料または染料が含浸されていてよい。これは、例えば夜間または低照明条件下で固定装置を位置特定する上で一助となり得、あるいは、患者に対してまだ固定装置を装着したままであることのリマインダとして役立ち得る。
【0097】
固定装置は、使用中に本明細書中で開示されている湾曲したまたは回旋状の経路を各々画定している第1および第2のストラップの2つ以上の群を含む。各々の第1/第2のストラップ群は、共通の支持部分または異なる支持部分に結合されてよい。
【0098】
本発明のさらなる態様では、固定装置に固定された可撓性導管を含む医療システムにおいて:
固定装置が:
支持部分と;
支持部分に結合された弾性的に拡張可能な第1のストラップ、弾性的に拡張可能な第2のストラップおよび第3の取付け具と;
を含み、
第1のストラップの一部分が導管の第1の領域の周囲に取付けられており;第2のストラップの一部分が第1の領域に長手方向に隣接する導管の第2の領域の周囲に取付けられており;第3の取付け具が第2の領域に長手方向に隣接する導管の第3の領域に取付けられており;可撓性導管が湾曲したまたは回旋状の経路内に押し込まれ;
長手方向の力が導管に加えられた場合に、第1のストラップおよび/または第2のストラップが弾性的に拡張するかまたはさらに拡張し、導管との静止摩擦を増大させる、
医療システムが提供されている。
【0099】
第1および/または第2のストラップは、導管が弛緩構成にある場合に弾性的に拡張されてよい。第1および/または第2のストラップは、いくつかの実施形態において、導管が弛緩構成にある場合に弾性的に拡張されず、長手方向力が導管に加えられた場合に弾性的に拡張された状態になる可能性がある。
【0100】
弾性的に拡張された場合、第1のストラップは第1の力を可撓性導管に加える。弾性的に拡張された場合、第2のストラップが第2の力を可撓性導管に加える。
【0101】
第1および第2のストラップが弾性的に拡張された場合、第2の力の少なくとも一成分が第1の力に対抗し得る。第1および第2の力の少なくとも一成分は、導管の長手方向との関係において反対方向に、導管の長手方向に対して垂直に加えられる。第2の力の少なくとも一成分は、第1の力に対抗し得る。第2の力の少なくとも一成分は、導管の長手方向との関係において、第1の力に対抗し得る。
【0102】
第3の取付け具は、支持部分との関係において定着した取付け点を提供し得る。第3の取付け具は、例えば、導管の第3の部分に対してまたはその周囲にクリップ留めされるC-クリップなどの弾力性あるクリップを含んでいてよい。第3の取付け具は、導管の第3の領域の周囲に固定されるストラップ(弾性または非弾性)を含んでいてよい。
【0103】
固定装置は、2つ以上の第1のストラップおよび/または2つ以上の第2のストラップを含んでいてよい。第1のストラップまたは各々の第1のストラップは、前記第1および第2のストラップが、可撓性導管の長手方向に隣接した領域に対し交互に取付けられるように、第2のストラップまたは各々の第2のストラップとの関係において支持部分上に配置されていてよい。
【0104】
第3の取付け具は、さらなる第1または第2のストラップであってよい。
【0105】
したがって、医療システムは、支持部分に結合された2つの弾性的に拡張可能な第1のストラップであって、各々の第1のストラップの一部分が、導管の対応する第1の領域の周囲に取付けられている第1のストラップと;支持部分に結合された弾性的に拡張可能な第2のストラップであって、その一部分が、前記第1の領域の間にあり前記第1の領域に長手方向に隣接している前記導管の第2の領域の周囲に取付けられている第2のストラップとを有する導管固定装置を含むことができる。こうして、第1および第2のストラップは、前記第1および第2のストラップが可撓性導管の長手方向に隣接する第1および第2の領域に対し交互に取付けられるように、支持部分上に配置される。
【0106】
導管固定装置は、前記第1および第2のストラップが可撓性導管の長手方向に隣接する第1および第2領域に対し交互に取付けられるように支持部分上に配置された、2つ以上の第1のストラップおよび/または2つ以上の第2のストラップを含んでいてよい。
【0107】
導管は、IVライン、静脈ライン、動脈ライン、ドレンなどの流体ラインであり得る。導管は、例えば麻酔薬または酸素を送達するための気体ラインであり得る。導管または各導管は、患者に対し体外にまたは経皮的に適用されるモニター装置(例えばコンパートメントモニタ、電気または光学センサなど)から延在し得ると考えられるような電気的または光学的導管でもあってもよい。
【0108】
導管の周囲に取付けられた第1および第2のストラップの部分は、導管の周囲全体に取付けられて、例えば閉鎖した第1または第2のチャネルを画定する対応する第1または第2のループを形成し得る。第1および第2のループは、弾性的に変形可能である。
【0109】
第1および/または第2のストラップを導管に、例えば反対の方向および/または向きで巻付けてよい。本明細書中で開示されているように、多数の第1および/または第2のストラップを含む実施形態においては、交互の第1および第2のストラップを、交互の方向または向きで導管に巻き付けてもよい。
【0110】
導管の周囲に取付けられる第1および第2のストラップの部分は、導管をカップ状に支えるかまたは把持するように構成された開チャネルを画定する手段で、導管の周囲に少なくとも部分的に取付けることができる。
【0111】
導管の周囲に取付けられる第1および第2のストラップの部分は、可撓性であるかまたは弾性的に変形可能であってよく、湾曲したまたは回旋状の経路に適合するように曲げられるかまたは湾曲させられてよい。
【0112】
いくつかの実施形態において、固定装置は、支持部分に結合された第1の定着部分、弾性的に拡張されたまたは拡張可能な第1の中間部分および導管の第1の領域の周囲に第1のループを形成するために支持部分または第1のストラップの別の部分に任意には解除可能な形で結合された第1の自由端部を有する第1のストラップ;および支持部分に結合された第2の定着部分、弾性的に拡張されたまたは拡張可能な第2の中間部分および導管の長手方向に隣接する第2の領域に第2のループを形成するために支持部分または第2のストラップの別の部分に任意には解除可能な形で結合された第2の自由端部を有する第2のストラップ;を含み、ここで第1および第2のループは各々、その内部に対応する第1および第2のチャネルを画定しており;かつ導管は、第1および第2のループを通って第1および第2のチャネルに沿って延在している。
【0113】
ストラップは、第1のチャネルまたは各々の第1のチャネルが概して連続的に各々の隣接する第2のチャネルまで延在するように位置付けされていてよい。
【0114】
医療システムの固定装置はさらに、外部取付け具を含んでいてよい。
【0115】
外部装置は、患者または構造に対して、例えば、患者の四肢、頭、首または胴の周囲、またはワゴン、ベッドフレームなどに対してまたはその周囲に取付けられているかまたは取付け可能であってよい。
【0116】
医療システムは、固定装置に固定された(同じまたは異なるタイプまたは直径の)2つ以上の導管を含んでいてよい。2つ以上の導管は、概して同じ湾曲したまたは回旋状の経路に沿って固定されてよい。2つ以上の導管は、概して互いに平行である前記回旋状の経路に沿って延在していてよい。
【0117】
固定装置のさらなる代替的なまたは任意の特徴は、本明細書中で開示されている固定装置の他の態様または実施形態のものに対応する。
【0118】
湾曲した経路などの、湾曲したとは、少なくとも1つの屈曲を含む経路を意味する。湾曲した経路は、1つまたは2つ以上の曲率半径を含んでいてよい。回旋状の経路などの回旋状とは、経路の長さに沿って、概して反対の、ただし必ずしも同一平面上の方向ではない方向に少なくとも2つの屈曲を含む経路を意味する。回旋状の経路は概して、例えば蛇行したまたはS字形の経路であってよい。
【0119】
横方向、横方向に、および長手方向、長手方向になる用語は、使用中固定装置に固定される可撓性導管を含めた導管の全体的配向との関係において定義された相対的用語であるものと理解される。これらの用語は、本明細書中で開示されている固定装置のいずれかの部品の長さ、幅、または配向に対するいかなる具体的関係も、長手方向または横方向のいかなる相対的大きさも暗示しない。
【0120】
別の態様では、可撓性導管を固定する方法において:
可撓性導管の一領域の周囲に弾性的に拡張可能な第1のストラップを取付けるステップと;
可撓性導管の長手方向に隣接する領域の周囲に弾性的に拡張可能な第2のストラップを取付けるステップと;
可撓性導管の第3の領域に第3の取付け具を取付けるステップと;
導管と第1のストラップ、第2のストラップおよび第3のストラップの間で取付け具によって画定された湾曲したまたは回旋状の経路内に可撓性導管を押し込むステップと;
を含む方法が提供されている。
【0121】
該方法のステップは、任意の好適な順序で行うことができるということが理解される。
【0122】
いくつかの実施形態において、該方法は、第1のストラップを弾性的に拡張することによって可撓性導管の第1の領域に対して第1の力を加えるステップ;および/または
第2のストラップを弾性的に拡張することによって可撓性導管の第2の領域に対して第2の力を加えるステップ;
を含むことができる。
【0123】
第1および第2のストラップが弾性的に拡張された場合に、第2の力の少なくとも一成分が第1の力に対抗してよい。
【0124】
該方法は、第1および/または第2の力の作用下で、可撓性導管を湾曲したまたは回旋状の経路内に押し込むステップを含んでいてよい。
【0125】
いくつかの実施形態において、第1のストラップおよび/または第2のストラップは、前記ストラップを取付ける作用によって弾性的に拡張される。いくつかの実施形態において、第1のストラップおよび/または第2のストラップは、第1のストラップまたは第2のストラップのうちの他方のものを弾性的に拡張する作用によって、例えば前記他方のストラップを取付けることによって、弾性的に拡張される。さらに、可撓性導管は、ストラップまたは各ストラップを取付けるかまたは弾性的に拡張するプロセスの間に、湾曲したまたは回旋状の経路へと押し込まれ得る。導管は、概して直線の構成から、または別の湾曲したまたは回旋状の構成から、湾曲した/回旋状の経路へと押し込まれ得る。
【0126】
第1および第2のストラップの少なくとも一部分または全てが、他の態様に関連して本明細書中に開示されているように、弾性的に拡張可能であってよい。
【0127】
該方法は、導管の周囲に第1および/または第2のストラップを巻き付けるステップを含んでいてよい。
【0128】
該方法は、隣接する第1および第2のループを導管の隣接する第1および第2の領域の周囲に、反対方向で、かつ任意には反対の向きで巻き付けるステップを含んでいてよい。
【0129】
該方法は、導管に対して第1のストラップおよび/または第2のストラップを解除可能な形で取付けるステップを含んでいてよい。
【0130】
該方法は、2つ以上の第1のストラップ、および/または2つ以上の第2のストラップを取り付けるステップを含んでいてよい。該方法は、可撓性導管に対して前記2つ以上の第1のストラップおよび/または2つ以上の第2のストラップを取付け、こうして可撓性導管の対応しかつ隣接する第1および第2の領域が交互に取付けられることになるステップを含んでいてよい。
【0131】
第3の取付け具は、さらなる第1または第2のストラップであってよい。
【0132】
該方法は、2つ以上の第1のストラップおよび/または2つ以上の第2のストラップを同時に取付けるステップを含んでいてよい。該方法は、2つ以上の前記ストラップを共に連結するかまたはその間の連結を用いて、導管の周囲の同時取付けを容易にするステップを含んでいてよい。
【0133】
該方法は、導管の周囲に第1および/または第2のストラップを解除可能な形で結合するステップを含んでいてよい。
【0134】
該方法は、調整可能な解除可能である締結具の締結を解除し再度確立することによって1つ以上の前記ストラップを調整するステップを含んでいてよい。調整ステップは、(定着部分と導管への取付け具の間のように)前記ストラップの長さを調整するステップを含んでいてよい。調整ステップは、湾曲したまたは回旋状の経路の曲率を調整するステップを含んでいてよい。調整ステップは、前記ストラップの少なくとも一部分を弾性的に拡張するかまたはさらに拡張することにより、前記ストラップの張力を調整するステップを含んでいてよい。
【0135】
該方法は、固定装置の支持部分に対して第1のストラップおよび/または第2のストラップを定着させるステップを含んでいてよい。該方法は、第1および/または第2のストラップを所望の長さにカットするステップを含んでいてよい。これは、導管の固定前または後に行なうことができる。
【0136】
該方法は、外部取付け具を患者または構造に取付けるステップを含んでいてよい。
【0137】
外部取付け具は、バンドまたは衣服を含んでいてよく、該方法は、バンドを患者の四肢または他の身体部分に巻き付けるステップ、または外部取付け具を通してまたはこの取付け具の中に患者の四肢または身体部分を置くステップを含んでいてよい。身体部分とは、特定の状況によって求められるように、臨床現場で装置が取付けられる患者の四肢(例えば手首、前腕または上腕、足首、大腿)、腰、胸、頭または他のあらゆる身体部分を意味する。
【0138】
外部取付け具は、粘着テープを含んでいてよく、該方法は、患者または衣類上に固定装置を設置するステップ、および固定装置の一部品の上に粘着テープを貼付するステップを含んでいてよい。外部取付け具は、粘着性表面を含んでいてよく、該方法は、粘着性表面を準備または露出し、それを患者に貼付するステップを含んでいてよい。
【0139】
外部取付け具は、クリップまたはクランプを含んでいてよく、該方法は、前記クリップまたはクランプを患者の衣服、ベッドフレームなどに取付けるステップを含んでいてよい。1つのこのような例は、HEDclip(商標)の外部取付け具に類似したばね付勢されたクリップまたはペグである(https://www.he-dk.com/hedclip)。
【0140】
該方法は、導管を固定装置に固定する前および/または後に外部取付け具を取付けるステップを含んでいてよい。
【0141】
第1および第2のストラップが固定装置の支持部分のそれぞれの第1および第2の部品に定着され、支持部分がバンドの端部などの外部取付け具の第1および第2の部品により画定されているいくつかの実施形態において;外部取付け具の取付けステップは、第1および/または第2のストラップを導管に取付けるステップおよび/または第1および/または第2の力を加えるステップを含んでいてよい。例えば、いくつかの実施形態において、外部取付け具がバンドである場合、該方法は、任意には第1および/または第2のストラップのうちの一方の周囲に導管が取付けられている状態で患者の身体部分の周囲にバンドを巻き付けるステップ、そして次に導管の周囲に第1または第2のストラップのうちの他方を取付けて、バンドを取付けるかまたは締め付け、第1および第2の力を加えるステップを含んでいてよい。
【0142】
該方法は、本明細書中で開示された固定装置に導管を固定するステップを含むことができ、固定装置は、その態様および実施形態に関連して開示されているその特徴のいずれかを含むことができる。該方法は、本明細書中で開示されている医療システムを形成するステップを含むことができる。
【0143】
該方法は、2つ以上の導管を固定装置に固定するステップを含んでいてよいことが理解される。同時に2つ以上の導管を固定することが可能である。いくつかの実施形態において、1つ以上の導管を異なる時点で1つ以上の他の導管に取付けることができる。例えば、臨床医は、いくつかの状況下で、患者の所に戻り、例えばIV点滴を交換する目的で導管を固定するおよび/または取外すことができる。
【0144】
該方法は、固定装置から導管を取外すステップを含むことができる。取外しは、本明細書中で開示されている固定方法を逆転することによって達成可能である。取外しは、1つ以上の前記ストラップを破断することによって、例えば1つ以上のストラップをカットして単数または複数の導管を解除することによって達成され得る。
【0145】
本発明の各態様のさらなるおよび任意の特徴が、本発明の任意の他の態様のさらなるおよび任意の特徴に対応することが理解される。本明細書中で開示されている方法は例えば、本明細書中で開示されている固定装置または医療システムの特徴のいずれかの使用を含むことができ;一方、固定装置および医療システムは該方法の実施に必要とされる任意の器具を含んでいてよい。
【0146】
ここで、例示的実施形態について、以下の図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【
図1】
図1は、固定装置に固定された2つの導管を伴う医療システムを示す。
【
図2】
図2は、導管に沿った断面図で、
図1のシステムを示す。
【
図5】
図5は、導管を収容するように位置付けされたストラップを伴う組立て済みの固定装置を示す。
【
図6】
図6は、代替的な固定装置および導管が固定された状態の、患者の手首の周囲に配置された別の医療システムを示す;
【
図7】
図7は、枢動的に取付けられたストラップを有するさらなる固定装置を示す。
【
図8】
図8は、枢動的に取付けられたストラップを有するさらなる固定装置を示す。
【
図9】
図9は、共通の点から延在する2つのストラップを有する、枢動的に取付けられたストラップを伴う別の固定装置を示す。
【
図10】
図10は、共通の点から延在し装置の支持部分の長手方向に離隔した領域に対して自由端部において取付けられている2つのストラップを有する、枢動的に取付けられたストラップを伴うさらなる固定装置を示す。
【
図11】
図11は、ブリッジによって接合されたストラップ、および支持部分の一部品とストラップを画定するバンドを有する、さらなる固定装置を示す。
【
図12】
図12は、ブリッジによって接合されたストラップ、および支持部分の一部品とストラップを画定するバンドを有する、さらなる固定装置を示す。
【
図13】
図13は、ブリッジによって接合されたストラップ、および支持部分の一部品とストラップを画定するバンドを有する、さらなる固定装置を示す。
【
図14】
図14は、ブリッジによって接合されたストラップ、および支持部分の一部品とストラップを画定するバンドを有する、さらなる固定装置を示す。
【
図15】
図15は、ブリッジによって接合されたストラップを有する別の固定装置を示す。
【
図16】
図16は、共通の点から分岐するストラップを有する装置を伴う固定システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0148】
図1は、固定装置100そして図示されている実施形態においては固定装置100を固定するために固定された2つの可撓性導管101aおよび101bを含む医療システム1を示している。
図2は、導管101aおよび101bを通して長手方向に取った断面図を伴う医療システム1を示す。
【0149】
固定装置100は、全体として110と標示された支持部分、弾性的に拡張可能な第1のストラップ130aおよび弾性的に拡張可能な第2のストラップ120を含む。図示された実施形態において、固定装置100は2つの弾性的に拡張可能な第1のストラップ130aおよび130bを含む。
【0150】
第1のストラップ130aの部分131aが、(
図2にマーキングされている)導管の第1の領域104aの周囲に取付けられ、第2のストラップ120の部分121が、導管の長手方向に隣接する第2の領域102の周囲に取付けられている。他の第1のストラップ130bの部分131bが、第2の領域102に長手方向に隣接する導管のさらなる第1の領域104bの周囲に取付けられる。したがって、導管は、その長さに沿って第1のストラップ130a、第2のストラップ120および他の第1のストラップ130bに対して交互に取付けられている。
【0151】
第1および第2のストラップが可撓性導管101a、101bの長手方向に隣接する第1および第2の領域の周囲に取付けられた場合、導管は回旋状の経路内に押し込まれる。代替的実施形態においては、固定装置が異なる数のストラップを含んでいてよく、導管は代替的な湾曲したまたは回旋状の経路内に押し込まれてよいということが理解される。
【0152】
代替的実施形態(図示せず)においては、第1のストラップの1つに代って第3の取付け具が具備される。C-クリップなどの第3の取付け具は、導管のための定着した取付けを提供し、使用中の導管は、残りのストラップにより湾曲したまたは回旋状の経路内に押し込まれる。
【0153】
図示されている実施形態において、ストラップは、エラストマシリコーン材料から形成され、各々、それぞれの自由端部122、132a、132bで支持部分110に対し解除可能な形で取付けられている。解除可能な取付けは、ボタン126、136a、136bが中に導入される、自由端部122、132a、132b(
図3参照)を貫通するアパーチャ132、134a、134bによって達成される。ボタンとアパーチャは共に、解除可能な定着具を形成する。代替的実施形態においては、調整可能な定着具を含めた定着具を使用してもよいということが理解される。
【0154】
第1および第2のストラップは各々、
図3および4に示されているように、支持部分110に結合された定着端部128、138a、138bを有する。
【0155】
第2のストラップは、導管に巻き付けられて第2のループ123を形成し、第1のストラップの各々は、反対の向きで導管に巻き付けられて、対応する第1のループ133aおよび133bを形成する。ループは各々、図示された実施形態においては、互いから概して連続的に延在し共に少なくとも部分的に回旋状経路を画定する対応する第1および第2のチャネルを画定している。
【0156】
固定装置100は、ループ123、133a、133bが形成され、チャネルを通って延在するいかなる導管も不在の状態で、アパーチャ132、134a、bおよびボタン126、136a、bが共に取付けられて、ストラップが弾性的に拡張されていない場合に、第1および第2のチャネルが互いから横方向に(すなわち、概してループおよびチャネルの方向に直交する方向に)オフセットされるように構成されている。したがって、ストラップ120、130a、130bが、
図1および2に示されているように、単数または複数の導管の周囲に取付けられた場合、ループ123、133a、133bを画定するストラップの中間部分は弾性的に拡張される。第2のストラップ120は、第2の力を加え、第1のストラップ130a、130bは、各々、導管101a、101bに対し概して相対する第1の力を加えて、それらを回旋状経路内に押し込む。
【0157】
固定装置100とこの固定装置100に近位または遠位の導管101a、101bの部分との間に力が加わった場合、少なくともこの力の一成分が導管に沿って長手方向(方向L)に作用し、これが、回旋状経路を直線化しさらに第1および第2のストラップ120、130a、130bを弾性的に拡張するように作用し、これによりこれらのストラップと導管の間の静止摩擦は増大し、固定装置との関係における導管の長手方向変位に抵抗する。こうして、臨床的に敏感な部域、詳細には患者への進入点を導管に加えられるこのような力から隔離することができる。
【0158】
ストラップ120、130a、130bの固有弾性も同様に、システム1が、固定装置100と導管101a、101bの間で他の方向に加えられた力に対処することを可能にする。図示された実施形態において、ループ123、133a、133bは、支持部分110に取付けられておらず、したがって、そこから離れるように持ち上がり、導管が第2のチャネル133a、133bから外に延在する場合に導管を折曲げるかまたはキンクさせるリスクをさらに低減させることができる。IVライン101a、101bなどの流体ラインでの使用中、ストラップ120、130a、130bまたはそのループ123、133a、133bの弾性は、ストラップが、流体ラインを圧縮するのに必要な力よりも低い力で弾性的に拡張または変形するように選択されてよい。
【0159】
固定装置100はさらに、外部取付け具、図示された実施形態においては、支持部分110から延在する調整可能なリストバンド140を含む。
【0160】
本明細書中で開示されている態様および実施形態の湾曲したまたは回旋状の経路は、固定装置のいずれかの側から存在する導管を、他方の側から延在する導管に加えられる長手方向のまたは他の力から隔離する。この点に関しては、対称的な湾曲したまたは回旋状の経路がさらなるメリットを有し得る。したがって、固定装置は、例えば患者の腕または手首のいずれかに対して、いずれの方向にでも取付けることが可能である。
【0161】
固定装置100の構造は、
図3、4および5の中でより詳細に示されている。
図3は、ボタン126、136a、136bを統合する半硬質ポリプロピレンコア112を含む支持構造110を示している。ポリプロピレンは、ボタンひいては使用中のストラップの定着端部128、138a、138bの相対的位置を維持するのに充分な硬さを有する一方で、患者の快適性のための一定の屈曲性を有する。
【0162】
コア112は同様に、調整可能なリストバンド140内の孔142に掛けるためのタブ116を伴うバックル114をも形成する。
【0163】
コア112は、第1のストラップ120も形成しているエラストマシリコーン材料でオーバーモールドされる。シリコーン材料は、平滑な非多孔質の表面を有し、洗濯または払拭が可能である。
【0164】
図4に示されているように、バンド140および第1のストラップ130a、130bは、共に、シリコーン材料から、別個のモールディングとして形成される。ストラップ130a、130bの端部を支持部分110に定着するため、ボタン136a、136b上に固定されるようにアパーチャ114が位置付けされる。組立て済みの固定装置100は、
図5に示されている。単数または複数の導管を固定するために、1つの導管が装置を横断して位置付けされ、ストラップは導管に巻き付けられ、ボタン126、136a、136は、ストラップ120、130a、130bの自由端部122、132a、132b内のアパーチャ124、134a、134b内に通される。
【0165】
ストラップの取付けは、任意の順序で(かつ実際に、リストバンドが患者の手首の周囲に固定される前、または後で)行なうことができるが、図示された実施形態においては、第1または第2のバンドのうちの一方が取付けられた時点で、バンドは、第1または第2のバンドの他方を取付ける作用によって弾性的に拡張されて、
図1に示されている通りの回旋状経路内に導管を押し込む。
【0166】
図6は、患者の手首4の周囲の固定装置200ならびに固定装置200に固定された導管201a、201bを含む医療システム2の別の実施形態を示す。固定装置100と共通である固定装置の特徴に、100ずつ増分させた同様の参照番号が付されている。
【0167】
固定装置200は、固定装置100と類似の構成を有するが、リストバンド240は、それぞれ支持部分210およびストラップ240に取付けられた2つのループを含むバックル214に固定されている。支持部分210は、外側にボタン226、236a、236bを含むポリプロピレンコア(図には見えず)を含む。バックル214を通して、コアにシリコーンモールディング218が巻き付けられ、コアおよびバンド240に封止される。さらなるシリコーンモールディング219がストラップ220、230a、230bを画定し、ボタン226、236a、236bを介して、モールディング218全体にわたりコアに取付けられる。
【0168】
固定装置300およびシステム3の別の実施形態が
図7および8に示されている。固定装置100と共通である固定装置300の特徴に、200ずつ増分させた同様の参照番号が付されている。
【0169】
固定装置300は、支持部分310を形成するためにシリコーンコーティングでオーバーモールドされたコア312を含む。バンド340を画定するシリコーンモールディングが、概して
図3~5を参照して装置100について上述した通りのボタン333a、333b全体にわたり支持部分に取付けられる。以上で論述した通り、バンドはバックル314により患者の手首の周囲に調整可能な形で固定可能である。
【0170】
第1のストラップ330a、330bおよび第2のストラップ320の各々は、その定着端部および自由端部でボタン326、336a、336bに対し取外し可能な形で取付け可能である。これにより、例えば破損の場合、または特定の目的のために好適な弾性を有するストラップを選択するために、ストラップを交換または選択することができる。
【0171】
ストラップ320、330a、330bは、ボタン326、336a、336bに対して枢動的に組付けされ、したがって、比較的動ける患者または外来患者用などといった一定の状況下で遭遇し得ると考えられるように、装置を通って延在する導管301の比較的極端な動きに対処するべく枢動することができる。
【0172】
図7および8に例示されているように、1つの導管301または複数の導管301a、301bが装置300に固定された場合、ストラップは、導管に巻き付けられて、(この実施形態では導管に沿って互いから離隔されるように移動可能である)対応するチャネルを画定するループ323、333a、333bを形成し、それにより、導管は湾曲したまたは回旋状の経路内に押し込まれる。装置300が弛緩構成(
図8に示されている通り)にある場合には、ストラップのいくつかまたは全てが弾性的に拡張される必要はない。固定装置100、200の場合と同様に、ストラップが弾性的に拡張されておらず220、230a、230、ループを通るチャネルが平行となるようにボタンの周囲に配向されている場合、チャネルは互いから横方向に(方向X)オフセットされる。したがって使用中、少なくとも長手方向の成分を有する力が導管に加えられた場合、ストラップは、湾曲したまたは回旋状の経路が直線状になり始めるにつれて弾性的に拡張し、弾性的に伸長したストラップの間に加えられる相対する第1および第2の力は、ストラップと導管の間の摩擦を増大させ、導管の長手方向の変位に抵抗する。同様にして、ループ333a、333bは支持部分310に取付けられていないことから、ストラップの弾性的拡張または変形を導く移動を含めた導管と固定装置300間の大きい面外移動に対処することができる。
【0173】
図8Aは、患者の腕の模型の周囲で使用中の
図7および8の固定装置300を示す。導管および回旋状経路の長手方向から「面外」方向に、概して、支持部分310との関係において図中に示された配向で上向きに、導管に対して張力が付加されている。ストラップ330a、330bおよび320のループ333aおよび333b(そして323も)は、支持部分との関係において自由に移動できる。したがって、図中で例示されているように、使用中、固定装置との関係における導管の広範囲の方向でのこのような比較的大きい移動は、支持部分との関係におけるループ(すなわち導管に取付けられたストラップの部分)の距離および位置が変動可能であることから、こうして対処可能である。この配設によりさらに、それぞれのループによって画定されるチャネルを退出する際の導管301の圧着または折畳みのリスクが削減される。
【0174】
別の固定装置400が
図9に示されている。固定装置400は、装置300と類似の形で構築されており、それと共通である特徴には、100ずつ増分させた同様の参照番号が付されている。
【0175】
固定装置400は、2つの第1のストラップ430a、430bが、ボタン436上で支持部分の共通の点に対して枢動的に(かつ解除可能な形で)取付けられているという点において固定装置300と異なっている。
図10に示されている固定装置500は、固定装置400と類似しており、同様の特徴には、100ずつ増分させた同様の参照番号が付されている。第1のストラップの解除可能な形で取付けられた定着端部538は、中央ボタン536上に取付けられる。第1のストラップ536a、536bは、導管501に巻き付けられ、その自由端部532a、532bにおいて、長手方向に離隔されたボタン533a、533bに取付けられ、第2のストラップ520と共に、装置500を横断して導管501の湾曲したまたは回旋状の経路を画定している。分岐する第1のストラップは、湾曲したまたは回旋状の経路内へと導管を押し込むのを補助し、そのループを通って均等な圧力を加える。
【0176】
図11~14は、固定装置の代替的実施形態600、700を示す。装置600、700は各々、第1の部品610a、710aを有する支持構造を有する。この部品には、第1のストラップ630a、630b、および730a、730bが固定されている。第1のストラップの自由端部は、便宜上、第1のストラップを互いに同時に取付けることができるようにブリッジ632、732により、その自由端部を横断して互いに接合される。
【0177】
支持部分およびブリッジは、使用中導管の周囲で支持部分に第1のストラップを取付ける定着具の相補的部品を含む。
【0178】
固定装置600は、ストラップ630a、630bを固定するためにブリッジ632内のスロット634(
図12に示されている)を通して導入されるキャッチ636を含む。
図12を見れば分かるように、第1のストラップの自由端部とブリッジ632はポリプロピレン補強材633に固着されて、キャッチ636全体にわたる「スナップフィット」を提供する。使用中ループ633a、633bを画定する第2のストラップ630a、630bの中間部分は、弾性的に拡張可能なシリコーン材料から形成される。以上で論述した通り、代替的実施形態においては、他の材料を使用することができる。
【0179】
固定装置700は、面状ファスナのフック構成要素として形成された支持部品710aの表面736を含む。ブリッジ732の相対する表面737は、面状ファスナの相補的ループ材料でコーティングされており、こうして、第1のストラップ730a、730bを支持部品710aに対し、調整可能な形かつ解除可能な形で取付けることができるようになっている。
【0180】
同様に支持部品610a、710aに固着され(かつ第1のストラップと共にシリコーン材料から同時成形され)るのは、バンド640、740である。使用中、バンド640、740の遠位端部は、第1のストラップ630a、630bおよび730a、730bの間で導管(明確さのため図からは割愛されている)の周囲でループ状にされ、バンドに対し解除可能な形で固定されている。
【0181】
したがって、バンドの端部の領域は、支持部分の別の部品610b、710bとして、および第1のバンド620、720として機能する。
【0182】
第2のストラップ620、720を画定するバンド640、740の端部の解除可能かつ調整可能な締結具の詳細は、明確さのために割愛されているが、面状ファスナまたは他の実施形態に関連して図示されているようなペグ/開口部などの任意の好適な締結具を使用してよい。
【0183】
使用中、概して
図12および14に例示されている構成でひとたび導管に巻き付けられると、第2のストラップ620、720、ひいてはリストバンド640、740は、それぞれの第1および第2のストラップを弾性的に拡張させ導管を回旋状経路内に押し込むために締め付けられる。
【0184】
図15は、固定装置800とそれに固定された導管801a、801bを含む医療システム8を示す。固定装置800は、第1のストラップ830a、830bがブリッジ832によってその自由端部で互いに接合されているという点を除いて、固定装置100と類似している。
【0185】
図16は、装置900および、それに固定されそのストラップに固定され回旋状経路に沿って装置900を横断して延在する導管901を含む別の固定システム900aを示す。固定装置900は、装置100と類似の形で構築されており、それと共通である特徴には、800ずつ増分させた同様の参照番号が付されている。
【0186】
2つの第1のストラップ930a、930bは、ボタン936上で支持部分の共通の点に対して(解除可能な形で)取付けられ、そこから分岐している。分岐する第1のストラップ930a、930bは、湾曲したまたは回旋状の経路内に導管を押し込む一助となり、そのループを通して均等な圧力を加える。
【0187】
図17は、装置900と共に使用するため、ブリッジ932によりその自由端部で接合された2つの第1のストラップ930a、930bを示す。ストラップは、アパーチャ932から分岐し、このアパーチャによりストラップは支持部分910上のボタン926に取付けられている。同様に
図17に示されているのは、第2のストラップ920および支持部分910およびバンド940である。図示されている実施形態内の支持部分910は、穿孔911で通気されている。ストラップの定着端部および自由端部をボタン926、936a、936bに取付けているアパーチャ924、925、934a、934bおよび935は、追加の強度を提供するため、より剛性の高い材料上にオーバーモールドされている。図示された実施形態において、ブリッジも同様に補強されオーバーモールドされている。ボタン926、936a、936bは非対称であり、ストラップのしっかりした取付けを支援するため、拡張した張出し部分(例えば図にマーキングされた部分936’)を有している。
【0188】
本発明は、上述の例示的実施形態に関連して説明されてきたが、当業者であれば、特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明に対しさまざまな修正、追加および改変を加えることができる。
【国際調査報告】