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  • 特表-血液がんを処置する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】血液がんを処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/17 20060101AFI20240410BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240410BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240410BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
A61K31/17
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568137
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 US2022072091
(87)【国際公開番号】W WO2022236270
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/183,519
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521400268
【氏名又は名称】ランタン ファルマ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クルカルニ、アディティア
(72)【発明者】
【氏名】バティア、キショー
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、ジャンリー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA58
4C084MA59
4C084MA63
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC751
4C206AA01
4C206AA02
4C206HA29
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZB27
4C206ZC75
(57)【要約】
対象に有効量のヒドロキシウレアメチルアシルフルベンを投与する工程を含む、骨がん若しくは血液がん、又は骨に転移するがんを有するそれを必要とする対象を処置する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液がんを有するそれを必要とする対象を処置する方法であって、前記対象に有効量の以下の構造を有する化合物を投与する工程を含む、前記方法。
【化1】
【請求項2】
処置される前記血液がんが白血病である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
処置される前記血液がんがマントル細胞リンパ腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
処置される前記血液がんがダブルヒットリンパ腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
処置される前記血液がんが、再発性又は不応性急性白血病のどちらか一方である急性白血病である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
処置される前記血液がんが、再発性若しくは不応性急性リンパ芽球性白血病(ALL)、又は再発性若しくは不応性急性骨髄性白血病(AML)のどちらか一方である急性白血病である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記血液がんが、リンパ腫及び骨髄腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記血液がんが、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ダブルヒットリンパ腫(DHL)、バーキットリンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、多発性骨髄腫(MM)である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記対象に第2の抗がん剤を投与する工程と連携した、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の抗がん剤が、DNA損傷剤、グルココルチコイド、免疫調節薬(IMiD)、BCL2阻害剤、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤、スピロノラクトン、PARP阻害剤及び/又はプロテアソーム阻害剤からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記それを必要とする対象が、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性障害又は慢性骨髄性白血病を処置する別の治療法と同時に処置される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記それを必要とする対象がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が、経口、局所、経鼻内、全身、静脈内、皮下、腹腔内、皮内、眼内、イオン導入的、粘膜内又は筋肉内に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記投与する工程が、静脈内又は腹腔内注射を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記血液がんが、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ダブルヒットリンパ腫(DHL)、バーキットリンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、多発性骨髄腫(MM)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)及び慢性骨髄性白血病(CML)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
血液がんを有するそれを必要とする対象を処置する方法であって、前記対象に有効量のヒドロキシウレアメチルアシルフルベンを投与する工程を含む、前記方法。
【請求項17】
前記ヒドロキシウレアメチルアシルフルベンが、以下の構造を有する、請求項16に記載の方法。
【化2】
【請求項18】
前記それを必要とする対象が、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ダブルヒットリンパ腫(DHL)、バーキットリンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、多発性骨髄腫(MM)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)及び慢性骨髄性白血病(CML)を処置する別の治療法と同時に処置される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
処置される前記血液がんが、マントル細胞リンパ腫である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
処置される前記血液がんが、ダブルヒットリンパ腫である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年5月3日に出願された米国仮特許出願第63/183,519号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、がん処置、及びより詳細には血液がんを処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
血液がんは、血液細胞及び骨髄、すなわち血液細胞が作られる、骨内部の海綿状組織に影響を及ぼす。これらのがんは、血液細胞が挙動する方法及びそれらがいかにうまく機能するかを変化させる。これらのがんは、3種の主な血液がんのタイプ:白血病、リンパ腫及び骨髄腫がある。これらのがんにより、骨髄及びリンパ系は、欠陥のある血液細胞を造りだす。これらのがんはすべて、異なるサブタイプの血液細胞に影響を及ぼし、異なる方法で作用する。血液がんは、早期に発見された場合、化学療法、標的治療又は手術によって処置することができ、これらは、とりわけ、腫瘍及びがん性細胞が広がっておらず、きれに取り除くことができる場合、理想的である。
【0004】
血液がんの予後は、サブタイプ、並びに総合的な健康、年齢及び処置に対する応答を含めた他の因子に基づいてさまざまとなる。血液がんの処置の領域において、大きな改善が起きているが、血液がんの全5年間生存率は、70%である。更に、一部の患者、とりわけ高齢患者は、高度集中化学療法又は幹細胞移植手術に耐えることができず、このような患者には、がん処置に対する選択肢は非常に少ない。標準がん治療に対する抵抗性又は再発もまた、一般的である。例えば、イマチニブにより処置された慢性骨髄性白血病(CML)患者の50%は、抵抗性又は不耐性を最終的に発症する。マントル細胞リンパ腫などのいくつかの血液がんは治癒不能であり、このことは、患者が、利用可能な処置のすべてから最終的に再発し、選択肢がなくなることを意味する。処置が依然として非常に難題である希少血液がんも存在する。例えば、ダブルヒットリンパ腫に対する標準治療は確立されておらず、生存期間の中央値は、たった5か月である。
【0005】
したがって、ダブルヒットリンパ腫を含めた、血液がんの処置を改善することが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本出願の一態様は、血液がんを有する患者を処置する方法であって、ヒドロキシウレアメチルアシルフルベン又はその塩が、血液がんを有するそれを必要とする対象に治療有効量で投与される、方法を含む。血液がんは、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ダブルヒットリンパ腫(DHL)、バーキットリンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、多発性骨髄腫(MM)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)及び慢性骨髄性白血病(CML)を含むことができる。
【0007】
別の態様は、有効量のヒドロキシウレアメチルアシルフルベン又は薬学的に許容されるその塩;及び(b)少なくとも1種の薬学的に許容される担体を有する医薬組成物を含む。1種のヒドロキシウレアメチルアシルフルベンである標識化合物1が、以下に示されている:
【0008】
【化1】
【0009】
別の態様は、DNA損傷剤、グルココルチコイド、免疫調節薬(IMiD)、BCL2阻害剤、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤、PARP阻害剤及び/又はプロテアソーム阻害剤を含むことができる、第2の抗がん剤の投与を含む。
【0010】
別の態様は、血液がんを、経口、局所、経鼻内、全身、静脈内、皮下、腹腔内、皮内、眼内、イオン導入的、粘膜内又は筋肉内で処置するための、ヒドロキシウレアメチルアシルフルベンの投与を含む。
【0011】
別の態様は、血液がんがリンパ腫又は骨髄腫である方法を含む。
【0012】
別の態様は、血液がんが、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ダブルヒットリンパ腫(DHL)、バーキットリンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)又は多発性骨髄腫(MM)である、方法を含む。
【0013】
別の態様は、それを必要とする対象に第2の抗がん剤を投与する工程と連携させて、ヒドロキシウレアメチルアシルフルベンが投与される、方法を含む。
【0014】
別の態様は、第2の抗がん剤が、DNA損傷剤、グルココルチコイド、免疫調節薬(IMiD)、BCL2阻害剤、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤、スピロノラクトン、PARP阻害剤及び/又はプロテアソーム阻害剤から選択される、方法を含む。
【0015】
別の態様は、それを必要とする対象が、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性障害又は慢性骨髄性白血病を処置する別の治療法と同時に処置される、方法を含む。
【0016】
別の態様は、それを必要とする対象がヒトである方法を含む。
【0017】
別の態様は、血液がんが、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ダブルヒットリンパ腫(DHL)、バーキットリンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、多発性骨髄腫(MM)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)及び/又は慢性骨髄性白血病(CML)である、方法を含む。
【0018】
別の態様は、血液がん、又は骨に転移するがんを有する、それを必要とする対象を処置する方法を含む。対象に、有効量のヒドロキシウレアメチルアシルフルベン又は化合物1を投与する工程を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】パネル細胞系を使用する、化合物1の細胞傷害活性の有効性及び選択性を実証する表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本出願は、血液がんを有する患者を処置する方法であって、ヒドロキシウレアメチルアシルフルベン又はその塩が、血液がんを有する対象に治療有効量で投与される、方法を含む。ある特定の実施形態では、血液がんは、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ダブルヒットリンパ腫(DHL)、バーキットリンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、多発性骨髄腫(MM)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)及び/又は慢性骨髄性白血病(CML)とすることができる。用語「血液がん」とは、身体の他の部分に広がる可能性を有する、異常な細胞成長を含む疾患を指すことができる。このような血液がんは、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ダブルヒットリンパ腫(DHL)、バーキットリンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、多発性骨髄腫(MM)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)及び慢性骨髄性白血病(CML)を含む。
【0021】
特定の実施形態では、光を正にシフトさせる(正の旋光角を有する)、ヒドロキシウレアメチルアシルフルベンの構造(Lantern Pharma Inc.によってLP-284と称される)は、以下に示されている:
【0022】
【化2】
【0023】
別の特定の実施形態では、光を正にシフトさせる(負の旋光角を有する)、ヒドロキシウレアメチルアシルフルベンの構造(Lantern Pharma Inc.によってLP-184と称される)は、以下に示されている:
【0024】
【化3】
【0025】
一実施形態は、それを必要とする対象におけるがんを処置するための、特に、血液がんを処置するための、方法、及び式I又は薬学的に許容されるその塩を有する化合物1の使用を含む。
【0026】
一実施形態では、「それを必要とする対象」は、血液がんを有する対象である。例えば、白血病は、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性混合系統白血病、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性障害又は慢性骨髄性白血病である。ある特定の実施形態では、対象は、年齢又は併発疾病のために、がんを処置する他の治療方法を受けることができない対象である。ある特定の実施形態では、対象は、少なくとも20歳、又は少なくとも30歳、又は少なくとも40歳、又は少なくとも50歳、又は少なくとも60歳、又は少なくとも65歳、又は少なくとも70歳、又はそれより年上である。
【0027】
一部の実施形態では、それを必要とする対象は、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ダブルヒットリンパ腫(DHL)、バーキットリンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、多発性骨髄腫(MM)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)及び慢性骨髄性白血病(CML)などの血液がんを処置する少なくとも1つの事前の治療を有した。一部の実施形態では、対象は、抵抗性又は不応性血液がんを有する。抵抗性又は不応性血液がんは、開始時に処置に対する抵抗性として、又は処置の間若しくはその後に獲得された抵抗性として定義される。
【0028】
一部の実施形態では、ヒドロキシウレアメチル-アシルフルベン(例えば、化合物1)又は薬学的に許容されるその塩の治療有効量は、0.5mg/日、1mg/日、2.5mg/日、5mg/日、10mg/日、20mg/日、30mg/日、60mg/日、90mg/日、120mg/日、150mg/日、180mg/日、210mg/日、240mg/日、270mg/日、300mg/日、360mg/日、400mg/日、440mg/日、480mg/日、520mg/日、580mg/日、600mg/日、620mg/日、640mg/日、680mg/日及び720mg/日からなる群から選択される。
【0029】
ヒドロキシウレアメチルアシルフルベン又はその塩は、薬学的に許容される構成成分を含むことができる。用語「薬学的に許容される」とは、本明細書において使用する場合、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、ヒト及び他の哺乳動物の組織に接触させて使用するのに好適であり、かつ妥当な利益/リスク比に見合う、妥当な医療的判断の範囲内にある構成成分を指す。例えば、このような慣用的な非毒性の塩には、以下に限定されないが、2-アセトキシ安息香酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、炭酸水素塩、炭酸塩、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、1,2-エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコリルアルサニル(glycollyarsanilic)酸、ヘキシルレゾルシン酸、ヒドラバミン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナプシル酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸(salicyclic)、ステアリン酸、セバスチン酸(subacetic)、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、及び一般に生じるアミン酸、例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、アルギニンなどから選択される、無機酸及び有機酸から誘導されるものが挙げられる。
【0030】
一例では、ヒドロキシウレアメチルアシルフルベン又はその塩は、化学治療剤又は薬剤の投与前、これと同時に、又はこの後のいずれかに投与されてもよい。
【0031】
細胞をヒドロキシウレアメチルアシルフルベン若しくは化合物1、又は薬学的に許容されるそれらの塩、プロドラッグ、代謝産物若しくは溶媒和物に接触させることにより、がん細胞において、選択的に細胞死が誘発又は活性化され得る。それを必要とする対象に、化合物1、又は薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物若しくは溶媒和物を投与することにより、がん細胞において、選択的に細胞死が誘発又は活性化され得る。細胞を、本明細書において開示されている化合物、又は薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物若しくは溶媒和物に接触させることにより、細胞増殖性障害によって影響を受ける1種以上の細胞において、選択的に細胞死が誘発され得る。
【0032】
一実施形態では、それを必要とする対象は、単剤療法として、化合物1又は本明細書において開示されている化合物により処置され得る。「単剤療法」とは、それを必要とする対象への、単一活性化合物又は治療用化合物の投与を指す。単剤療法は、治療有効量の単一活性化合物の投与を含むことができる。
【0033】
別の実施形態では、処置の上記の方法のいずれも、患者に、1種以上の第2の治療剤を共投与する更なる工程を含む。薬剤又は第2の治療剤の組合せの選択は、ヒドロキシウレアメチルアシルフルベン又は塩との共投与に有用であることが知られている、任意の第2の治療剤から行われてもよい。第2の治療剤の選択はまた、処置される特定の疾患又は状態に依存し得る。この用途の方法に使用されてもよい第2の治療剤の例は、本発明の化合物及び第2の治療剤を含む組成物組合せでの使用に関して、上で説明されているものである。具体的な化学治療剤には、以下に限定されないが、シクロホスファミド、フルオロウラシル(又は5-フルオロウラシル又は5-FU)、メトトレキセート、エダトレキサート(10-エチル-10-デアザ-アミノプテリン)、チオテパ、カルボプラチン、シスプラチン、タキサン、パクリタキセル、タンパク質結合パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、フルベストラント、ゲムシタビン、イリノテカン、イキサベピロン、テモゾロミド(temozolmide)、トポテカン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エリブリン、ミュタマイシン、カペシタビン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、リュープロリド、アバレリックス、ブセレリン(buserlin)、ゴセレリン、酢酸メゲストロール、リセドロネート、パミドロネート、イバンドロネート、アレンドロネート、デノスマブ、ゾレドロネート、トラスツズマブ、タイケルブ、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン及びドキソルビシン)、クラドリビン、ミドスタウリン、ベバシズマブ、オキサリプラチン、メルファラン、エトポシド、メクロレタミン、ブレオマイシン、微小管毒、アノナセオスアセトゲニン、クロラムブシル、イフォスファミド、ストレプトゾシン、カルムスチン、ロムスチン、ブスルファン、ダカルバジン、テモゾロミド、アルトレタミン、6-メルカプトプリン(6-MP)、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ヒドロキシウレア、ペメトレキセド、エピルビシン、イダルビシン、SN-38、ARC、NPC、カンプトテシン(campothecin)、9-ニトロカンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、ルビフェン、ギマテカン、ジフロモテカン、BN80927、DX-8951f、MAG-CPT、アムサクリン(amsacnne)、リン酸エトポシド、テニポシド、アザシチジン(Vidaza)、デシタビン、アカチンIII、10-デアセチルタキソール、7-キシロシル-10-デアセチルタキソール、セファロマンニン、10-デアセチル-7-エピタキソール、7-エピタキソール、10-デアセチルバッカチンIII、10-デアセチルセファロマンニン、ストレプトゾトシン、ニムスチン、ラニムスチン、ベンダムスチン、ウラムスチン、エストラムスチン、マンノスルファン、カンプトテシン、エキサテカン、ルルトテカン、ラメラリンD9-アミノカンプトテシン、アムサクリン、エリプチシン、アウリントリカルボン酸、HU-331又はそれらの組合せが挙げられる。
【0034】
別の実施形態では、第2の治療剤は、カンプトテシン誘導体、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロンB、5-FU、ゲムシタビン、オキサリプラチン、シスプラチナム、カルボプラチン、メルファラン、ダカルバジン、テモゾロミド、ドキソルビシン、イマチニブ、エルロチニブ、ベバシズマブ、セツキシマブ及びRafキナーゼ阻害剤から選択される、1種以上の化学治療剤である。
【0035】
別の実施形態では、第2の治療剤は、パクリタキセル又はシスプラチナムから選択される1種以上の化学治療剤である。
【0036】
治療有効用量は、当業者によって認識されるように、処置される疾患、疾患の重症度、投与経路、患者の年齢及び全身健康状態、賦形剤の使用、他の薬剤の使用などの他の治療的処置との併用の可能性、並びに処置する医師の判断に応じて変わり得る。例えば、有効用量を選択するためのガイダンスは、ヒドロキシウレアメチルアシルフルベンの処方情報又はその雑誌の議論を参照することによって決定することができる。
【0037】
用語「有効量」とは、本明細書において使用する場合、疾患又は障害の少なくとも1つ以上の症状を軽減するために必要な薬剤の量を指し、所望の効果を実現する薬理学的組成物の十分な量に関する。したがって、用語「治療有効量」とは、典型的な対象に投与されると、特定の効果を実現するのに十分な薬剤の量を指す。さまざまな状況における有効量はまた、本明細書において使用する場合、疾患の症状の発症を遅延させる、疾患症状の経過を改変させる(例えば、以下に限定されないが、疾患の症状の進行を減速させる)、又は疾患の症状を反転させるのに十分な量も含む。したがって、正確な「有効量」を指定することは一般に現実可能ではない。しかし、任意の所与の場合、適切な「有効量」は、型通りの実験だけを使用して、当業者によって決定することができる。
【0038】
したがって、任意の化合物に関して、治療有効量は、例えば、新生物細胞の細胞培養アッセイ、又は動物モデル、通常、ラット、マウス、ウサギ、イヌ若しくはブタのどちらか一方において、最初に推定され得る。動物モデルはまた、適切な濃度範囲及び投与経路を決定するために使用されてもよい。次に、このような情報は、ヒトにおいて、投与を行うために有用な用量及び経路を決定するために使用することができる。治療的/予防的効力及び毒性は、細胞培養物又は実験動物における標準医薬手順、例えば、ED50(集団の50%に治療的に有効な用量)及びLD50(集団の50%に致死に至る用量)によって決定され得る。毒性作用と治療作用との間の用量比が治療指数であり、治療指数は、比、LD50/ED50として表すことができる。大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。投与量は、使用される剤形、患者の感受性及び投与経路に応じて、この範囲内でさまざまになり得る。所与の状況に対する治療有効量は、臨床医の技量及び判断の範囲内にある型通りの実験によって決定することができる。一態様では、処置される疾患又は状態は、CLLである。別の態様では、処置される疾患又は状態は、AMLである。
【0039】
本明細書に記載されている方法に準拠する薬剤の投与の投与量範囲は、例えば、薬剤の形態、その効力、及び本明細書に記載されている状態の症状、マーカー又は指標が低減することが望ましい程度、例えば、腫瘍成長に対して望ましい低下率に依存する。投与量は、有害な副作用を引き起こすほど多くあるべきではない。一般に、投与量は、患者の年齢、状態、及び性別に応じてさまざまとなり得、当業者によって決定することができる。投与量は、いかなる合併症の事象も個々の医師によってやはり調節可能である。
【0040】
例えば、本明細書に記載されている状態の処置における、又は本明細書に記載されている応答(例えば、血液がん)を誘発するための、本明細書に記載されている薬剤の効力は、熟練した臨床医によって決定することができる。しかし、本明細書に記載されている状態の兆候又は症状の1つ以上が有益に変化し、他の臨床的に許容される症状が好転する、若しくは改善さえする、又は所望の応答が、例えば、本明細書に記載されている方法による処置後に少なくとも10%誘導される場合、処置は、この用語が本明細書で使用される場合、「有効な処置」と考えられる。例えば、効力は、本明細書に記載されている方法により処置される状態のマーカー、指標、症状及び/若しくは出現率、又は任意の他の測定可能な適切なパラメータ、例えば腫瘍サイズ及び/若しくは成長速度を測定することによって評価することができる。効力はまた、入院によって評価される個体が悪化するという不良、又は医学的介入(すなわち、疾患の進行が停止される)の必要性によって測定され得る。これらの指標を測定する方法は、当業者に公知である、及び/又は本明細書に記載されている。処置は、個体又は動物(一部の非限定例には、ヒト又は動物を含む)における疾患の任意の処置を含み、(1)疾患を阻害すること、例えば、症状(例えば、疼痛又は炎症)の悪化を予防すること、又は(2)疾患の重症度を軽減すること、例えば、症状の後退を誘導することを含む。疾患の処置のための有効量は、それを必要とする対象に投与した場合、その用語がその疾患に対して本明細書に定義されるような有効な処置をもたらすのに十分な量であることを意味する。薬剤の効力は、状態の物理的な指標又は所望の応答を評価することによって判定することができる。このようなパラメータのいずれか1つ、又はパラメータの任意の組合せを測定することにより、投与及び/又は処置の効力をモニタリングすることは、当業者の能力の範囲内に十分ある。実験動物モデルを使用する場合、処置の効力は、マーカーの統計学的に有意な変化、例えば、腫瘍サイズ及び/又は腫瘍成長速度を観察すると立証される。
【0041】
用語「処置する」が使用され、治療的処置及び予防的処置(発症の可能性を低減する)の両方を含む。どちらの用語も、疾患の発症若しくは進行(例えば、本明細書において記載されている疾患又は障害)を低減する、抑制する、弱化させる、消滅させる、停止させる、又は安定化させる、疾患の重症度を低下させる、又は疾患に関連する症状を改善することを意味する。
【0042】
がんの処置は、腫瘍のサイズの低下をもたらすことができる。腫瘍サイズの低下はまた、「腫瘍退縮」とも称されることがある。腫瘍サイズは、処置後に、処置前のそのサイズに比べて、5%以上、低下する。又は腫瘍サイズは、10%以上、低下する、又は20%以上、低下する、又は30%以上、低下する、又は40%以上低下する、又は50%以上、低下する、及び又は75%以上、低下する。腫瘍のサイズは、任意の再現可能な測定手段によって測定されてもよい。腫瘍のサイズは、腫瘍の直径として測定されてもよい。
【0043】
がんの処置は、腫瘍体積の低下をもたらすことができる。腫瘍体積は、処置後に、処置前のそのサイズに比べて、5%以上、低下し得る。腫瘍体積は、10%以上、低下する、20%以上、低下する、30%以上、低下する、40%以上、低下する、50%以上、低下する、又は75%以上、低下し得る。腫瘍体積は、任意の再現可能な測定手段によって測定されてもよい。
【0044】
がんの処置は、腫瘍の数の低下をもたらす。腫瘍の数は、処置後に、処置前の数に比べて、5%以上、減少し得る。更に、腫瘍数は、10%以上、減少し得る、20%以上、減少し得る、30%以上、減少し得る、40%以上、減少し得る、50%以上、減少し得る、又は75%超で減少し得る。腫瘍の数は、任意の再現可能な測定手段によって測定されてもよい。腫瘍の数は、裸眼に目視可能な、又は特定の倍率で、腫瘍を計数することによって測定され得る。
【0045】
がんの処置により、担体を単独で受ける集団と比べ、処置対象の集団の平均生存期間が増大し得る。平均生存期間は、30日超、60日超、90日超、及び120日超、増大し得る。集団の平均生存期間の増大は、任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。
【0046】
がんの処置により、未処置対象の集団と比べ、処置対象の集団の平均生存期間の増大がもたらされ得る。好ましくは、平均生存期間は、30日超、より好ましくは60日超、より好ましくは90日超、及び最も好ましくは120日超、増大する。集団の平均生存期間の増大は、任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。集団の平均生存期間の増大は、例えば、活性化合物による処置の開始後に、集団の生存平均長さについて計算することによって測定され得る。集団の平均生存期間の増大はまた、例えば、活性化合物による処置の第1のラウンドの完了後に、集団に関して、生存平均長さを計算することによって測定することができる。
【0047】
がんの処置により、本発明の化合物、又は薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、アナログ若しくは誘導体ではない薬物による単剤治療を受けている集団に比べて、処置対象の集団の平均生存期間の増大がもたらされ得る。平均生存期間は、30日超、60日超、90日超、及び120日超、増大し得る。集団の平均生存期間の増大は、任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。集団の平均生存期間の増大は、例えば、活性化合物による処置の開始後に、集団に関して、生存平均長さを計算することによって測定することができる。
【0048】
がんの処置により、担体を単独で投与を受ける集団と比べ、処置対象の集団の致死率の低下がもたらされ得る。処置対象の集団の致死率の低下は、任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。集団の致死率の低下は、例えば、活性化合物による処置の開始後に、集団に関して、単位時間あたりの疾患関連死の数平均を計算することによって測定することができる。集団の致死率の低下はまた、例えば、活性化合物による処置の第1のラウンドの完了後に、集団に関して、単位時間あたりの疾患関連死の数平均を計算することによって測定することができる。
【0049】
がんの処置により、腫瘍成長速度の低下がもたらされ得る。腫瘍成長速度は、処置後に、処置前の数に比べて、少なくとも5%、低下する。更に、腫瘍成長速度は、少なくとも10%低下し得る、少なくとも20%低下し得る、少なくとも30%低下し得る、少なくとも40%低下し得る、少なくとも50%低下し得る、少なくとも50%低下し得る、又は少なくとも75%低下し得る。腫瘍成長速度は、任意の再現可能な測定手段によって測定されてもよい。腫瘍成長速度は、単位時間あたりの腫瘍の直径の変化により測定され得る。
【0050】
がんの処置により、腫瘍の再成長の低下がもたらされ得る。腫瘍の再成長は、任意の再現可能な測定手段によって測定されてもよい。腫瘍の再成長は、例えば、処置の後に続く以前の腫瘍収縮後の腫瘍の直径の増加を測定することによって測定される。腫瘍の再成長の低下は、処置が停止された後に腫瘍が再発生しないことによって示される。
【0051】
がんの処置又は予防により、外観又は幾何形状の異常を有する細胞の数又は割合の低下がもたらされ得る。異常細胞の幾何形状は、例えば、倒立組織培養顕微鏡を使用することによって測定することができる。異常細胞の幾何形状は、核多形成の形態をとり得る。
【0052】
がん又は細胞増殖性障害の処置は、細胞死をもたらすことができ、細胞死は、集団における細胞数の少なくとも10%の低下をもたらす。細胞死は、少なくとも20%の低下、より好ましくは少なくとも30%の低下、少なくとも40%の低下、少なくとも50%の低下、又は少なくとも75%の低下を意味する。集団における細胞数は、任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。
【0053】
処置は、1種以上のバイオマーカーの使用を含んでもよい。バイオマーカーは、健康なヒトのそれらのマーカーのレベルよりも低いことがあり、高いことがあり、又は等しいことがある。
【実施例
【0054】
本明細書において開示されている本開示が一層効率的に理解され得るために、以下に実施例を提示する。これらの実施例は、例示目的に過ぎず、本開示を制限するものと決して解釈されるべきではないことが理解されるべきである。
【0055】
実施例1
化合物1の合成は、「ILLUDIN ANALOGS,USES THEREOF,AND METHODS FOR SYNTHESIZING THE SAME」と題するWO/2020/051222に見出すことができる。
【0056】
実施例2
化合物1(正の光学的キラリティーを有する)の感度及び選択性を、ヒト血液細胞系のパネルを使用して評価した。この実施例に使用した細胞系を以下に示し、図1にプロットする。細胞を、細胞系の倍加時間に応じて、ウェルあたりさまざまな数の細胞で96ウェルプレートに、24時間、接種した。次に、これらの細胞を5~8の異なる用量の化合物1、及びDMSOビヒクル対照によって処理した。更に48時間又は72時間のインキュベート後、ウェルあたりの生存細胞数を、スルホローダミンB(SRB)アッセイ(48時間)又はPromega Celltiter Fluor Cell Viability(72時間)によって測定した。次に、IC50値をさまざまな化合物1の用量において、正規化した細胞数基準で計算した。抗増殖活性は、細胞生存率の測定によって求めた。表1は、さまざまな白血病及びリンパ腫における、化合物1の感度を示す。表1は、本検討の詳細を示す。
【0057】
【表1】
【0058】
上述の実施例及び好ましい実施形態の記載は、特許請求の範囲によって規定される本発明を限定するものとしてよりもむしろ、例示として捉えられるべきである。
【0059】
容易に理解されるとおり、上で説明された多数の変形、及び特徴の組合せが、特許請求の範囲に説明されている本発明から逸脱することなく利用さすることができる。このような変形は、本発明の範囲からの逸脱として見なされず、このような変形はすべて、以下の特許請求の範囲内に含まれていると意図される。本明細書において引用されている参照文献はすべて、その全体が参照により組み込まれている。
図1
【国際調査報告】