(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】オフセット寛骨臼シェルインパクタアダプタ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/34 20060101AFI20240410BHJP
A61F 2/46 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
A61F2/34
A61F2/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568311
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 IB2022053818
(87)【国際公開番号】W WO2022234387
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ラシュア・ダニエル・イー
(72)【発明者】
【氏名】シュロー・コーリー・エイ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA06
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097MM09
4C097SC06
(57)【要約】
整形外科用手術器具は、インプラント端部(16)及びインパクタ端部(14)を有する細長い本体(12)を含み得る。ラッチレバー(74)は、細長い本体に枢動可能に結合され得る。ラッチレバーは、開位置と、ラッチレバーが本体内に保持されるラッチ位置との間で移動可能であり得る。寛骨臼シェルコンポーネントは、細長い本体のインプラント端部に堅固に取り付けられ得る。自動外科用インパクタは、インパクタ端部に取り付けられ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寛骨臼インプラントと共に使用するための整形外科用手術器具であって、前記整形外科用手術器具は、
第1の端部から第2の端部まで延在する細長い本体であって、前記第1の端部は、自動外科用インパクタによって受容されるように構成されている、細長い本体と、
ヘッドと、前記細長い本体の前記第2の端部に位置付けられたねじ山付き本体とを含む摺動可能なボルトであって、前記ねじ山付き本体は、前記細長い本体の前記第2の端部から外向きに延在している、摺動可能なボルトと、
前記細長い本体に摺動可能に結合されたキャリアであって、前記キャリア内に画定されたノッチは、前記摺動可能なボルトの前記ヘッドに係合する、キャリアと、
枢動端部からラッチ端部まで延在する細長いレバーであって、前記枢動端部は、前記細長い本体に枢動可能に結合されている、細長いレバーと、
前記レバーの動きが前記キャリアの動きを引き起こすように、前記レバーに枢動可能に結合された第1の端部と、前記キャリアに枢動可能に結合された第2の端部と、を有する、板ばねと、
前記細長い本体に結合された押しボタンキャッチと、を備え、
前記レバーは、前記ラッチ端部が前記細長い本体から離間されている第1の位置と、前記ラッチ端部が前記押しボタンキャッチによって捕捉されている第2の位置との間で移動可能であり、前記第2の位置において、前記板ばねは、前記キャリアをインプラント端部から離れるように内向きに付勢し、前記第2の位置において、前記キャリアは、前記ボルトの前記ヘッドを前記インプラント端部から離れるように内向きに引っ張る、整形外科用手術器具。
【請求項2】
前記細長い本体は、直線部分、角度付き部分、及びオフセット部分を含み、前記直線部分は、前記第1の端部から前記角度付き部分まで延在し、前記角度付き部分は、前記直線部分から前記オフセット部分まで延在し、前記オフセット部分は、前記角度付き部分から前記第2の端部まで延在している、請求項1に記載の整形外科用手術器具。
【請求項3】
前記第1の端部の中心線は、前記摺動可能なボルトの中心から所定の距離だけオフセットされている、請求項2に記載の整形外科用手術器具。
【請求項4】
前記所定の距離は、41ミリメートルである、請求項3に記載の整形外科用手術器具。
【請求項5】
前記細長い本体は、(i)細長い開口部が画定された上面と、(ii)前記上面の反対側にあり、細長い開口部が画定された底面と、(iii)前記上面に画定された前記細長い開口部と前記底面に画定された前記細長い開口部との間に延在する1つ以上の内壁と、(iv)前記1つ以上の内壁によって画定された第1の空洞と、を含み、
前記細長いレバーの前記枢動端部は、前記第1の空洞内で前記細長い本体に枢動可能に結合され、前記細長いレバーの前記ラッチ端部は、前記上面に画定された前記細長い開口部を通って前記第1の空洞から外に延在しており、
前記板ばねは、前記第1の空洞内に位置付けられており、
前記細長いレバーが前記第2の位置にあるとき、前記キャリアは、前記ボルトの前記ヘッドを前記第1の空洞に向かって内向きに引っ張る、請求項1に記載の整形外科用手術器具。
【請求項6】
前記細長い本体は、前記細長い本体の前記第2の端部上に位置付けられた凸状前面を含み、円形開口が、前記凸状前面に画定され、前記円形開口は、前記第1の空洞内に開口しており、
前記摺動可能なボルトの前記ねじ山付き本体は、前記円形開口を通って前記第2の端部から外向きに延在している、請求項5に記載の整形外科用手術器具。
【請求項7】
前記細長い本体は、前記第1の空洞内に位置付けられ、前記内壁の間に結合された第1のクロス部材を含み、
前記第1のクロス部材の上面は、前記摺動可能なボルトの前記ヘッドへの案内路を画定し、前記案内路は、前記第1の空洞と連通している、請求項5に記載の整形外科用手術器具。
【請求項8】
前記細長いレバーと前記細長い本体との間に結合された第2のばねを更に備え、前記第2のばねは、前記細長いレバーを前記第1の位置に付勢する、請求項7に記載の整形外科用手術器具。
【請求項9】
前記細長い本体は、前記第1の空洞内に位置付けられ、前記内壁の間に結合された第2のクロス部材を含み、前記第2のばねは、前記レバーの前記枢動端部と前記第2のクロス部材の底面との間に位置付けられている、請求項8に記載の整形外科用手術器具。
【請求項10】
前記細長いレバーは、前記細長いレバーの上面から外向きに延在する停止部を含み、前記細長いレバーが前記第1の位置にあるとき、前記停止部は、前記第2のクロス部材の前記底面に接触する、請求項9に記載の整形外科用手術器具。
【請求項11】
前記キャリアは、前記キャリアの前面及び側面を囲むレールを有する細長い本体を含み、
細長い開口が、前記細長い本体の前記底面に画定され、前記細長い開口は、前記底面の前記細長い開口部から前記第2の端部に向かって延在しており、
内壁は、前記細長い開口部から前記第1の空洞内へ内向きに延在しており、
溝が、前記細長い開口を囲む前記内壁に画定され、前記キャリアの前記レールは、前記溝内に位置付けられる、請求項5に記載の整形外科用手術器具。
【請求項12】
前記細長い本体は、(i)第1の側壁及び前記第1の側壁の反対側にある第2の側壁と、(ii)前記第1の側壁に画定された開口部と、(iii)前記第1の側壁の前記開口部から内向きに延在する1つ以上の内壁であって、前記1つ以上の内壁は、第2の空洞を画定する、1つ以上の内壁と、(iv)前記第1の端部と前記細長い開口部との間の前記上面に画定された第2の開口部であって、前記第2の開口部は、前記第2の空洞内に開口している、第2の開口部と、を含み、
前記押しボタンキャッチは、前記第2の空洞内に位置付けられ、
前記細長いレバーが前記第2の位置にあるとき、前記ラッチ端部から下方に延在するラッチは、前記第2の空洞内に位置付けられ、前記押しボタンキャッチによって保持される、請求項5に記載の整形外科用手術器具。
【請求項13】
前記押しボタンキャッチは、前記押しボタンキャッチが前記第2の空洞内に位置付けられた前記ラッチに係合する第1の位置と、前記押しボタンキャッチが前記ラッチに係合しない第2の位置との間で移動可能である、請求項12に記載の整形外科用手術器具。
【請求項14】
前記第2の空洞内に位置付けられた第2のばねを更に備え、前記第2のばねは、前記押しボタンキャッチを前記第1の位置に付勢するように構成されている、請求項13に記載の整形外科用手術器具。
【請求項15】
前記押しボタンキャッチは、前記細長い本体の前記第1の側壁に向かって位置付けられたボタン表面と、前記ボタン表面から前記第2の空洞内に延在する一対の側壁と、前記一対の側壁を接続する後壁と、前記後壁から前記第2の空洞内に延在するキャッチと、を含む、請求項14に記載の整形外科用手術器具。
【請求項16】
前記細長いレバーの前記ラッチは、第1のカム面を含み、前記押しボタンキャッチの前記キャッチは、第2のカム面を含み、前記細長いレバーが前記第1の位置から前記第2の位置に移動するとき、前記第1のカム面は、前記第2のカム面に係合し、前記第1のカム面が前記第2のカム面に係合するとき、前記押しボタンキャッチは、前記第1の位置から前記第2の位置に付勢される、請求項15に記載の整形外科用手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的には、整形外科用関節置換術の実施に用いるための整形外科用器具に関し、特に、人工股関節置換術の実施に用いるための整形外科用手術器具に関する。
【背景技術】
【0002】
関節形成術は、病変した生体関節及び/又は損傷した生体関節が人工関節によって置換される、よく知られた外科的処置である。例えば、股関節形成外科的処置では、患者の生体股関節の臼状関節を部分的又は全体的に人工股関節で置換する。一般的な人工股関節には、寛骨臼人工コンポーネント及び大腿骨頭人工コンポーネントが含まれる。寛骨臼人工コンポーネントは、一般に、患者の寛骨臼に係合するように構成された外側シェルと、シェルに結合され、かつ大腿骨頭に係合するように構成された内側ベアリング又はライナーと、を有する。大腿骨頭人工コンポーネントと、寛骨臼コンポーネントの内側ライナーとは、生体股関節に近い臼状関節を形成する。
【0003】
典型的な関節形成術の外科的処置は、手術器具(例えば、ブローチ、チゼル、又は他の切削工具)及び/又は人工インプラントの患者の骨への嵌入を含む。歴史的に見て、嵌入は、整形外科医が外科用マレット又はハンマーを使用して手術器具を手動で打つことによって実施されてきた。このような手動の嵌入は、予測不可能であり、不正確であり得る。更に、典型的な手動嵌入器具は、外科医が一方の手で器具を保持し、外科医の他方の手に保持されたマレットで器具を打つことを必要とし得る。
【0004】
特定の自動外科用インパクタは、各々が制御された量の嵌入エネルギーを提供する一連の打撃嵌入を実施することができる。自動外科用インパクタは、様々な手術器具及び/又はインプラントに接続するために1つ以上のアダプタと共に使用され得る。典型的なアダプタは、1つ以上の駆動シャフト、歯車列、又は他の剛性機械的接続部を含む剛性駆動列を使用して、手術器具及び/又はインプラントに接続される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、整形外科用手術器具は、第1の端部から第2の端部まで延在する細長い本体と、摺動可能なボルトと、細長い本体に摺動可能に結合されたキャリアと、枢動端部からラッチ端部まで延在する細長いレバーと、板ばねと、細長い本体に結合された押しボタンキャッチと、を備える。細長い本体の第1の端部は、自動外科用インパクタによって受容されられるように構成されている。摺動可能なボルトは、ヘッドと、細長い本体の第2の端部に位置付けられたねじ山付き本体と、を含む。ねじ山付き本体は、細長い本体の第2の端部から外向きに延在している。キャリア内に画定されたノッチは、摺動可能なボルトのヘッドに係合する。細長いレバーの枢動端部は、細長い本体に枢動可能に結合されている。板ばねは、レバーの動きがキャリアの動きを引き起こすように、レバーに枢動可能に結合された第1の端部と、キャリアに枢動可能に結合された第2の端部と、を有する。レバーは、ラッチ端部が細長い本体から離間されている第1の位置と、ラッチ端部が押しボタンキャッチによって捕捉されている第2の位置との間で移動可能である。第2の位置において、板ばねは、キャリアをインプラント端部から離れるように内向きに付勢し、第2の位置において、キャリアは、ボルトのヘッドをインプラント端部から離れるように内向きに引っ張る。
【0006】
一実施形態では、細長い本体は、直線部分、角度付き部分、及びオフセット部分を含む。直線部分は、第1の端部から角度付き部分まで延在し、角度付き部分は、直線部分からオフセット部分まで延在し、オフセット部分は、角度付き部分から第2の端部まで延在している。一実施形態では、第1の端部の中心線は、摺動可能なボルトの中心から所定の距離だけオフセットされている。一実施形態では、所定の距離は、41ミリメートルである。
【0007】
一実施形態では、細長い本体は、細長い開口部が画定された上面と、上面の反対側にあり、細長い開口部が画定された底面と、上面に画定された細長い開口部と底面に画定された細長い開口部との間に延在する1つ以上の内壁と、1つ以上の内壁によって画定された第1の空洞と、を含む。細長いレバーの枢動端部は、第1の空洞内で細長い本体に枢動可能に結合され、細長いレバーのラッチ端部は、上面に画定された細長い開口部を通って第1の空洞から外に延在している。板ばねは、第1の空洞内に位置付けられている。細長いレバーが第2の位置にあるとき、キャリアは、ボルトのヘッドを第1の空洞に向かって内向きに引っ張る。
【0008】
一実施形態では、細長い本体は、細長い本体の第2の端部上に位置付けられた凸状前面を含む。円形開口が、凸状前面に画定され、円形開口は、第1の空洞内に開口している。摺動可能なボルトのねじ山付き本体は、円形開口を通って第2の端部から外向きに延在している。
【0009】
一実施形態では、細長い本体は、第1の空洞内に位置付けられ、内壁の間に結合された第1のクロス部材を含む。第1のクロス部材の上面は、摺動可能なボルトのヘッドへの案内路を画定し、案内路は、第1の空洞と連通している。一実施形態では、整形外科用手術器具は、細長いレバーと細長い本体との間に結合された第2のばねを更に含む。第2のばねは、細長いレバーを第1の位置に付勢する。一実施形態では、細長い本体は、第1の空洞内に位置付けられ、内壁の間に結合された第2のクロス部材を含む。第2のばねは、レバーの枢動端部と第2のクロス部材の底面との間に位置付けられている。一実施形態では、細長いレバーは、細長いレバーの上面から外向きに延在する停止部を含む。細長いレバーが第1の位置にあるとき、停止部は、第2のクロス部材の底面に接触する。
【0010】
一実施形態では、キャリアは、キャリアの前面及び側面を囲むレールを有する細長い本体を含む。細長い開口が、細長い本体の底面に画定され、細長い開口は、底面の細長い開口部から第2の端部に向かって延在している。内壁は、細長い開口部から第1の空洞内へ内向きに延在しており、溝が、細長い開口を囲む内壁に画定されている。キャリアのレールは、溝内に位置付けられている。
【0011】
一実施形態では、細長い本体は、第1の側壁及び第1の側壁の反対側にある第2の側壁と、第1の側壁に画定された開口部と、第1の側壁の開口部から内向きに延在する1つ以上の内壁であって、1つ以上の内壁は、第2の空洞を画定する、1つ以上の内壁と、第1の端部と細長い開口部との間の上面に画定された第2の開口部であって、第2の開口部は、第2の空洞内に開口している、第2の開口部と、を含む。押しボタンキャッチは、第2の空洞内に位置付けられている。細長いレバーが第2の位置にあるとき、ラッチ端部から下方に延在するラッチは、第2の空洞内に位置付けられ、押しボタンキャッチによって保持される。一実施形態では、押しボタンキャッチは、押しボタンキャッチが第2の空洞内に位置付けられたラッチに係合する第1の位置と、押しボタンキャッチがラッチに係合しない第2の位置との間で移動可能である。一実施形態では、整形外科用手術器具は、第2の空洞内に位置付けられた第2のばねを更に含む。第2のばねは、押しボタンキャッチを第1の位置に付勢するように構成されている。
【0012】
一実施形態では、押しボタンキャッチは、細長い本体の第1の側壁に向かって位置付けられたボタン表面と、ボタン表面から第2の空洞内に延在する一対の側壁と、一対の側壁を接続する後壁と、後壁から第2の空洞内に延在するキャッチと、を含む。一実施形態では、細長いレバーのラッチは、第1のカム面を含み、押しボタンキャッチのキャッチは、第2のカム面を含む。細長いレバーが第1の位置から第2の位置に移動するとき、第1のカム面は、第2のカム面に係合する。第1のカム面が第2のカム面に係合するとき、押しボタンキャッチは、第1の位置から第2の位置に付勢される。
【0013】
別の態様によれば、整形外科的処置を実施するための方法は、寛骨臼シェルコンポーネントを整形外科用手術器具の第1の端部に固定することと、寛骨臼シェルコンポーネントを第1の端部に固定することに応答して、整形外科用手術器具のレバーを第1の位置から第2の位置に移動させることであって、レバーを第1の位置から第2の位置に移動させることは、レバーを第2の位置にラッチ掛けすることと、整形外科用手術器具のコンプライアント部材を用いて第1の端部に接して寛骨臼シェルコンポーネントに張力を加えることと、を含む、移動させることと、レバーを移動させることに応答して、整形外科用手術器具の第2の端部を自動外科用インパクタに結合することと、を含む。
【0014】
一実施形態では、寛骨臼シェルコンポーネントを第1の端部に固定することは、寛骨臼シェルコンポーネントの中央ねじ穴を、整形外科用手術器具の摺動可能なボルトのねじ山付き本体にねじ込むことであって、ねじ山付き本体は、整形外科用手術器具の第1の端部から外向きに延在している、ねじ込むことと、中央ねじ穴をねじ山付き本体上にねじ込むことに応答して、整形外科用手術器具の上面によって画定される案内路にドライバ工具を位置付けることと、ドライバ工具を位置付けることに応答して、摺動可能なボルトのヘッドをドライバ工具で締め付けることと、を含む。
【0015】
一実施形態では、本方法は、寛骨臼シェルコンポーネントを第1の端部に固定することに応答して、寛骨臼シェルコンポーネントの回転位置を調整することを更に含み、レバーを移動させることは、回転位置を調整することに応答してレバーを移動させることを更に含む。
【0016】
一実施形態では、本方法は、第2の端部を自動外科用インパクタに結合することに応答して、自動外科用インパクタを用いて、寛骨臼シェルコンポーネントを、患者の外科的に準備された寛骨臼内に嵌入させることと、寛骨臼シェルコンポーネントを嵌入させることに応答して、整形外科用手術器具の押しボタンキャッチを押し下げることであって、押しボタンキャッチを押し下げることは、レバーを第2の位置からラッチ解除し、コンプライアント部材による張力を解放することを含む、押し下げることと、押しボタンキャッチを押し下げることに応答して、寛骨臼シェルコンポーネントを整形外科用手術器具の第1の端部から解放することと、を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
詳細な説明は、具体的には、以下の図面を参照する。
【
図1】開構成のオフセット寛骨臼シェルインパクタアダプタの斜視図である。
【
図2】
図1のオフセット寛骨臼シェルインパクタアダプタの断面立面図である。
【
図3】ラッチ構成にある
図1のオフセット寛骨臼シェルインパクタアダプタの斜視図である。
【
図4】
図3のオフセット寛骨臼シェルインパクタアダプタの断面立面図である。
【
図5】
図3のオフセット寛骨臼シェルインパクタアダプタの断面背面図である。
【
図6】寛骨臼シェルコンポーネントに取り付けられ、開構成にある、
図1~
図5のオフセット寛骨臼シェルインパクタアダプタの立面図である。
【
図7】
図6のオフセット寛骨臼シェルインパクタ及び寛骨臼シェルコンポーネントの部分断面立面図である。
【
図8】寛骨臼シェルコンポーネントに取り付けられ、ラッチ構成にある、
図1~
図5のオフセット寛骨臼シェルインパクタアダプタの立面図である。
【
図9】
図8のオフセット寛骨臼シェルインパクタ及び寛骨臼シェルコンポーネントの部分断面立面図である。
【
図10】自動外科用インパクタを使用した整形外科的処置の実施中のオフセット寛骨臼シェルインパクタ及び寛骨臼シェルコンポーネントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の概念は、様々な修正及び代替形態を受け入れる余地があるが、その特定の例示的な実施形態を例として図面に示し、本明細書において詳細に説明する。しかしながら、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、それどころか、本発明は、添付の「特許請求の範囲」によって定義される発明の趣旨及び範囲に包含される全ての修正物、均等物、並びに代替物を網羅することを意図するものであるということを理解されたい。
【0019】
解剖学的基準を表す、前方、後方、内側、外側、上方、下方などの用語は、本明細書を通じて、本明細書に記載される整形外科用インプラント及び整形外科用手術器具に関して、並びに患者の生体解剖学的構造に関して使用され得る。このような用語は、解剖学の研究及び整形外科学の分野のいずれにおいても十分に理解された意味を有する。記述されている説明及び「特許請求の範囲」におけるこのような解剖学的基準用語の使用は、特に明記しないかぎり、それらの十分に理解された意味と一貫性を有することが意図される。追加的に、本明細書で使用され得る「頂部」、「底部」、「前部」、「後部」、「側部」、「高さ」、「長さ」、「幅」、「上部」、「下部」などの用語は、単に参照点を説明するだけのものであり、本開示の実施形態を任意の特定の配向又は構成に必ずしも限定するものではないことを理解されたい。
【0020】
ここで、
図1~
図5を参照すると、オフセット寛骨臼シェルインパクタアダプタ10(以下、インパクタアダプタ10)が示されている。インパクタアダプタ10は、整形外科用手術器具である。すなわち、整形外科的処置を実施する際に外科医が使用する手術道具である。したがって、本明細書で使用されるとき、「整形外科用手術器具」及び「複数の整形外科用手術器具」という用語は、患者の身体に外科的に埋め込まれる整形外科用インプラント又は人工装具とは異なることを理解されたい。以下で更に説明するように、インパクタアダプタ10は、患者の外科的に準備された寛骨臼内に寛骨臼シェルコンポーネントを着座させるために、自動外科用インパクタと共に使用され得る。
【0021】
図1~
図5に示すように、インパクタアダプタ10は、インパクタ取り付け端部14からインプラント端部16まで延在する、細長いオフセット本体12を含む。以下で更に説明するように、使用時に、遠位端又は後端とも呼ばれるインパクタ端部14は、自動外科用インパクタ工具に取り付けられてもよい。同様に、使用時に、近位端、先端部、又は前端とも呼ばれるインプラント端部16は、寛骨臼シェルコンポーネント又は他の人工インプラントに取り付けられてもよい。
【0022】
例示的な実施形態では、本体12は、例えば、ステンレス鋼又はコバルトクロムなどの、金属材料から形成される。細長い本体12は、インパクタ端部14に位置付けられた直線部分18、角度付き部分20、及びインプラント端部16に位置付けられたオフセット部分22を含む。直線部分18は、直線部分軸線24を画定し、オフセット部分22は、オフセット部分軸線26を画定する。角度付き部分20は、軸線24、26が距離28だけオフセットされるように延在しており、その距離28は、例示的には41ミリメートルである。例示的なオフセットされた細長い本体12は、股関節形成術を実施するための直接前方アプローチ(direct anterior approach、DAA)外科的処置と共に使用されてもよい。
【0023】
これらの部分18、20、22の各々は、断面がほぼ矩形であり、したがって、上面30と、上面30の反対側に位置付けられた底面32と、一対の側面34、36と、を有する。一対の細長い開口部38、40は、上面30及び底面32の各々にそれぞれ画定されている。1つ以上の内壁42は、本体12を通って開口部38、40の間に延在しており、本体12の内部に空洞44を画定する。頂部クロス部材46及び中間クロス部材48は、内壁42の間の空洞44内に位置付けられている。各クロス部材46、48は、湾曲した上部表面50を有する。
【0024】
インプラント端部16は、中央円形開口54が画定された凸状表面52を含む。内壁56は、中央円形開口54から内向きに延在しており、内部空洞44内に延在する通路58を画定する。ボス60は、円形開口54を囲み、凸状表面52から外向きに延在している。
【0025】
図2及び
図4の断面図に示すように、摺動可能なボルト62が、円形開口54内に位置付けられている。ボルト62は、ねじ山付き本体64と、ヘッド66と、を含む。ヘッド66は、締結工具を受容するように構成されたポケットを画定する上面68を含む。例示的に、上面68は、手動ボールエンド六角ドライバを受容するように構成された六角形状を含むが、他の実施形態では、ボルト62は、任意の他の好適なねじ回し又は締結工具を受容するように構成されてもよい。クロス部材46、48の湾曲した上部表面50及び本体12の内壁42は、協働して、ボルト62の上面68に画定されたポケットにつながる案内路70を画定する。ねじ山付き本体64は、円形開口54を通ってインプラント端部16から外向きに延在しており、ボルト62は、インプラント端部16に対して内向き及び外向きに摺動可能である。カラー72が、ボルト62を囲んでいる。カラー72は、円形開口54よりも大きな直径を有し、それにより、ボルト62を本体12内に保持する。
【0026】
再び
図1~
図5を参照すると、インパクタアダプタ10は、上面30に形成された開口部38を通って空洞44から外向きに延在する細長いラッチレバー74を含む。ラッチレバー74は、空洞44内で本体12に枢動可能に装着された枢動端部76を含む。例示的には、孔78が枢動端部76を通って画定され、一対の円形開口部80が、本体12の側面34、36を通って画定されている。孔78は、ラッチレバー74の枢動点を包含する。ピン82は、ラッチレバー74が本体12と接合され、ピン82の周りを回転することができるように、孔78及び開口部80に位置付けられている。例示的な実施形態では、ピン82は、開口部80内に圧入されるが、ピン82を固定する任意の好適な方法が使用されてもよい。
【0027】
枢動端部76は、上部表面84から外向きに延在するピン86を有する上部表面84を更に含む。ピン86は、つる巻きばね88内に捕捉されている。ばね88自体は、頂部クロス部材46の下部表面92に画定されたポケット90内に保持されている。ばね88は、下部表面92及び上部表面84に対して付勢し、これにより、
図1及び
図2に示すように、ラッチレバー74を開位置に向けて付勢する。
【0028】
ラッチレバー74は、枢動端部76からレバー本体96に向かって延在するネック94を更に含む。頂部フィン98は、ネック94から外向きに延在している。レバー74が全開位置に達すると、フィン98は、頂部クロス部材46の背面100に接触する。したがって、フィン98は、レバー74の運動範囲を制限する停止部として動作する。レバー74の動き、すなわち、レバー74が全開位置にあるときの、レバー74の本体96と本体12の直線部分18との間の角度は、約40~45度未満に制限され得る。
【0029】
ラッチレバー74の本体96は、ラッチ端部102に向かって延在している。ラッチ端部102は、レバー本体96から下方に延在するラッチ104を含む。
図5の断面図に示すように、ラッチ104は、下側カム面106、及び本体12の内部に向かって内向きに延在する上部表面108を含む。以下で更に説明するように、レバー74が
図3~
図5に示すようなラッチ位置にあるとき、ラッチレバー74のラッチ104は、押しボタンキャッチ機構によって本体12内に捕捉され得る。ラッチ位置では、レバー74の本体96は、本体12の上面30に接触することができ、レバー74の運動範囲を制限する停止部として動作する。上述したように、ラッチレバー74は、
図1~
図2に示す開位置と
図3~
図5に示すラッチ位置との間で移動可能である。
【0030】
本体12は、底面32に画定された開口110を更に含む。開口110は、開口部40からインプラント端部16に向かって延在している。内壁112は、開口110から空洞44内に延在している。溝114は、開口110を囲む内壁112に画定されている。
【0031】
ボルトキャリア116は、開口110内に位置付けられている。ボルトキャリア116は、ノッチ120が画定された上部表面118を含む。
図2及び
図4に示すように、ノッチ120は、ボルト62のヘッド66を受容するようにサイズ決定されている。レール122が、キャリア116の側面及び前面を囲み、タング124が、キャリア116の後部から延在している。孔126が、タング124を通って画定されている。ボルトキャリア116が開口110内に位置付けられると、レール122は、内壁112に画定された溝114内に受容される。キャリア116は、溝114内に捕捉されたときに、インパクタ端部14に向かって、かつインパクタ端部14から離れるように摺動可能である。ボルト62のヘッド66がキャリア116によって捕捉されているので、キャリア116がインパクタ端部14に向かって摺動すると、ボルト62も同じ方向に摺動し、それにより、ボルト62のねじ山付き本体64を円形開口54を通って本体12内に後退させる。
【0032】
インパクタアダプタ10は、ラッチレバー74とボルトキャリア116とを接続する板ばね128又は他のコンプライアント接続部材を更に含む。板ばね128は、端部132と端部134との間に延在する可撓体130を含む。端部132は、ラッチ76の枢動端部76に枢動可能に結合され、端部134は、キャリア116のタング124に枢動可能に結合されている。例示的に、端部132、136の各々は、一対の装着板138まで延在するフォーク136を含む。円形開口部140は、各装着板138を通って画定されている。端部132の装着板138は、レバーの枢動端部76を通って画定された孔142を囲む。ピン144が、開口部140及び孔142に位置付けられることによって端部132をレバー74に枢動可能に結合する。同様に、端部134の装着板138は、キャリア116を通って画定された孔126を囲み、ピン146が開口部140及び孔126に位置付けられて、端部138をキャリア116に枢動可能に結合する。
【0033】
レバー74が開位置にあるとき(
図1~
図2に示すように)、板ばね128は、弛緩した二重弓形形状を有する。レバー74をラッチ位置に移動させたとき(
図3~
図5に示すように)、板ばね128は、相対的に拡張しかつ平坦になった形状を有し、板ばね128は、緊張状態になる。緊張状態にあるとき、板ばね128は、キャリア116を付勢して、溝114内でインパクタ端部14に向かって後方に摺動させる。次に、キャリア116は、摺動可能なボルト62をインパクタ端部14に向かって引き戻す。板ばね128上の張力は、以下で更に説明するように、レバー74をラッチ位置から開位置に移動させることによって解放することができる。
【0034】
図1~
図5に示すように、開口部148は、本体12の側面34に画定されている。開口部148は、空洞44と本体12の直線部分18上のインパクタ端部14との間に位置付けられている。1つ以上の内壁150は、開口部148から内向きに延在しており、空洞152を画定する。追加の開口部154が、上面30に画定されている。通路が、開口部154を通って空洞152内に延在している。
【0035】
ボタン156とも称される押しボタンキャッチ156は、空洞152内に位置付けられている。以下で更に説明するように、押しボタンキャッチ156は、ラッチレバー74を、
図3~
図5に示すラッチ位置に選択的に保持するために使用することができる。押しボタンキャッチ156は、本体12の側面34に向かって位置付けられたボタン表面158を含む。ボタン表面158は、外科医が押すように構成されており、したがって、追加の取っ手を提供するために、テクスチャ加工されるか、又は別様に構成されてもよい。追加的に、
図5に示すように、通常の動作では、ボタン表面158は、意図しない動作を防止するために、側面34と同一平面であってもよく、かつ/又は空洞152内に陥凹されていてもよい。
【0036】
押しボタンキャッチ156は、ボタン表面158から空洞152内に内向きに延在する一対の側壁160を更に含む。側壁は、後壁162によって接続されている。ボタン表面158、側壁160、及び後壁162は共に、ボタン空洞164を囲んでいる。キャッチ166は、後壁162から上方に、かつボタン空洞164内に内向きに延在している。キャッチ166は、上側カム面168及び下部表面170を含む。ガイドピン172が、キャッチ166の背面174から他方の側面36に向かって延在している。つる巻きばね176は、本体12とキャッチ166の背面174との間に保持され、ガイドピン172は、ばね176内に捕捉されている。ばね176は、本体12及び背面174に対して付勢して、押しボタンキャッチ156を側面34の開口部148に向けて付勢する。ラッチ空洞152内に延在する停止ピン178は、本体12の底面32を通って画定された穴に位置付けられている。押しボタンキャッチ156が空洞152内に位置付けられると、停止ピン178もボタン空洞164内に延在する。したがって、停止ピン178は、押しボタンキャッチ156の後壁162に係合し、押しボタンキャッチ156を本体12の空洞152内に保持する。
【0037】
図5に示すように、レバー74がラッチ位置にあるとき、ラッチ104は、空洞152及びボタン空洞164内に延在する。ラッチ104の上部表面108は、キャッチ166の下部表面170に係合し、それにより、ラッチ104をボタン空洞164内に保持する。外科医又は他のユーザがボタン表面162を押し下げると、押しボタンキャッチ156が側面36に向かって摺動し、キャッチ166の下部表面170が上部表面108から摺動して外れ、ラッチ104を解放する。上述したように、ばね88は、ラッチレバー74を開位置に付勢する。したがって、ラッチ104が解放されると、レバー74のラッチ端部102は、開位置に向かって空洞152から自動的に揺動し、それによって板ばね128の張力が解放される。
【0038】
外科医又は他のユーザが、押しボタンキャッチ156を押し下げることなくレバー74を開位置からラッチ位置に移動させると、ラッチ104の下側カム面106が、キャッチ166の上側カム面168に係合する。カム面110、170のこの係合は、押しボタンキャッチ156を側面36に向かって摺動させ、ラッチ104がボタン空洞164に入ることを可能にする。ラッチ104がキャッチ156を通過し、カム面110、170が係合解除されると、ばね176は、押しボタンキャッチ156を側面34に向かって後方に摺動させ、これにより、キャッチ166の下部表面170がラッチ104の上部表面108を保持する。したがって、ラッチレバー74は、外科医が片手を使用して開閉することができる。
【0039】
図1~
図4に示すように、インパクタ端部14は、自動外科用インパクタによって受容されるように構成されたシャンク180を含む。例示的なシャンク180は、ピン182及びフランジ184を含む。シャンク180は、前方向(すなわち、インパクタアダプタ10を患者の骨に向かって前進させる)又は逆方向(すなわち、インパクタアダプタ10を患者の骨から後退させる)のいずれかにおいて、自動外科用インパクタによって嵌入されるように構成されている。他の実施形態では、シャンク180は、自動外科用インパクタによって捕捉及び/又は嵌入されるように構成されたピン、フランジ、及び/又は他の特徴の任意の他の構成を含み得ることを理解されたい。例示的なシャンク180は、シャンク180が自動外科用インパクタ内に完全に着座する深さをマークするインジケータ溝186を更に含む。
【0040】
本体12は、シャンク180と押しボタンキャッチ156との間に位置付けられた円形部分188を更に含む。円形部分188は、傾斜ガイド及び/又は組み合わされた傾斜及び位置合わせガイドのための取り付け点として構成されている。追加的に又は代替的に、いくつかの実施形態では、本体12は、追加的な整形外科用手術器具の取り付けを支持するように構成された1つ以上の取り付けブラケット又は他の特徴を含んでもよい。
【0041】
インパクタアダプタ10は、
図6~
図10に示すものと類似の整形外科的処置の実施中に利用することができる。最初に、外科医は、寛骨臼シェルコンポーネントを受容するために患者の骨を外科的に準備する。そうするために、外科医は、外科用リーマを利用して、シェルコンポーネントを受容するために患者の寛骨臼を準備してもよい。患者の骨を準備した後、
図6~
図7に示すように、外科医は、寛骨臼シェルコンポーネント190をインパクタアダプタ10に取り付ける。シェルコンポーネント190は、患者の寛骨臼に埋め込まれるように構成されたドーム状外側表面192を含む。外側表面192は、例示的には半半球状であるが、他の実施形態では、外側表面192は、任意の適切な形状を有していてもよい。シェルコンポーネント190は、外側表面192とは反対側に位置付けられた内側表面194を更に含む。ねじ山付き中央開口部196は、内側表面194及び外側表面194を通って画定されている。
【0042】
図6に示すように、インパクタアダプタ10のレバー74は、最初は開位置にある。レバー74が開位置にあるとき、板ばね128は、キャリア116を付勢して、溝114内でインプラント端部16に向かって前方に摺動させ、それにより、ボルト62のねじ山付き本体64が、本体12の凸状表面52に画定された円形開口54を通って外向きに延在する。
図7に示すように、外科医は、シェルコンポーネント190のねじ山付き中央開口部196を、上述したように本体12のインプラント端部16から外向きに延在するボルト62のねじ山付き本体64にねじ込む。外科医は、ボールエンド六角ドライバ198を使用してボルト62を締め付けることによって、シェルコンポーネント190をインプラントアダプタ10に固定する。
図6及び
図7に示すように、外科医は、クロス部材46、48の上部表面50及び本体12の内壁42によって形成された案内路70を通って六角ドライバ198のシャフト200を挿入する。六角ドライバ198の先端202は、ボルト62のヘッド66に接触し、外科医がボルト62を手動で締め付けることを可能にする。外科医は、トルク応答又は別様に抵抗を感じるまで、手でボルト62を締め付けてもよい。ボルト62は、完全に締め付けられる必要はなくてもよく、又は別様に、任意の特定の量のトルクまで締め付けられてもよい。
【0043】
シェルコンポーネント190をインパクタアダプタ10に固定した後、外科医は、六角ドライバ198を取り外す。外科医は、所望の回転位置を達成するために、シェルコンポーネント190をその中央開口部196の周りで回転させてもよい。ボルト62が完全に締め付けられていないので、ボルト62は、シェルコンポーネント190と共に回転することもできる。
【0044】
シェルコンポーネント190を固定し、任意選択で位置付けた後、外科医は、
図8~
図9に示すように、ラッチレバー74を開位置からラッチ位置に移動させる。ラッチレバー74がラッチ位置に移動されると、板ばね128が伸張されて張力がかかる。板ばね128に張力がかかると、板ばね128は、キャリア116に力を及ぼし、キャリア116をインパクタ端部14に向かって引き戻す。キャリア116は、次に、ボルト62に力を及ぼし、ボルト62は、取り付けられたシェルコンポーネント190に力を及ぼす。この力は、本体のインプラント端部16上に位置付けられたボス60に対してシェルコンポーネント190の内側表面194をしっかりと引っ張る。したがって、シェルコンポーネント190は、インプラントアダプタ10に対して剛性かつ不動に保持される。上述したように、ラッチレバー74がラッチ位置にあるとき、押しボタンキャッチ156は、ラッチ104を保持し、ラッチレバー74がラッチ位置に留まり、シェルコンポーネント190がインパクタアダプタ10に堅固に取り付けられたままであることを確実にする。追加的に、ラッチレバー74がプッシュボタンキャッチ156によって保持されているので、板ばね128は、ラッチレバー74を保持するために、オーバーセンター位置まで延在しない。したがって、インパクタアダプタ10は、オーバーセンタークランプ機能を使用する嵌入道具と比較して、摩耗を低減し、寿命を延ばすことができる。
【0045】
インパクタアダプタ10をラッチ掛けした後、外科医又は他のユーザは、
図10に示すように、インパクタアダプタ10のインパクタ端部14を自動外科用インパクタ204に取り付ける。追加的に又は代替的に、いくつかの実施形態では、インパクタアダプタ10は、シェルコンポーネント190に取り付けられる前に自動外科用インパクタ204に取り付けられてもよい。
【0046】
自動外科用インパクタ204は、DePuy Synthes(Warsaw,Indiana)から市販されているKincise(商標)外科用自動システムのコンポーネントとして具現化され得る。例示的な実施形態では、自動外科用インパクタ204は、ツイストロックカラー208及びバッテリパック210を有するインパクタ本体206を含む。電気駆動コンポーネント212は、インパクタ本体206内に収容されている。インパクタ本体206は、一次取っ手214、二次取っ手216、及びトリガ218を更に含む。
【0047】
使用時、外科医は、インパクタアダプタ10のシャンク180をツイストロックカラー208に挿入し、次いで、カラー208をシャンク180にロックする。外科医は、一次取っ手214及び/又は二次取っ手216を保持して、
図10に示すように、シェルコンポーネント190を患者の外科的に準備された寛骨臼220に挿入する。シェルコンポーネント190を位置付けた後、外科医は、トリガ218を押し下げ、これにより、電気駆動コンポーネント212に、バッテリパック208から提供される電気エネルギーを使用して、インパクタアダプタ10に一連の制御された打撃嵌入を生成させる。インパクタアダプタ10は、それらの打撃嵌入からの嵌入力をシェルコンポーネント190に伝達し、それにより、シェルコンポーネント190を患者の寛骨臼220内に埋め込む。嵌入中、外科医の手は、自動外科用インパクタ204上に留まることができ、ラッチレバー74は、ラッチ位置に留まる。追加的に、板ばね128は、嵌入中にシェルコンポーネント190をインパクタアダプタ10に対して堅固に保持する。典型的な剛性駆動列取り付け機構を使用するアダプタとは異なり、インパクタアダプタ10のコンプライアントな可撓性板ばね128は、自動外科用インパクタ204によって生成される頻繁な低振幅嵌入を受けるときであっても、嵌入中に後退しないか、又は別様に緩み得ない。
【0048】
シェルコンポーネント190が患者の寛骨臼220内に完全に嵌入された後、外科医は、シェルコンポーネント190からインパクタアダプタ10を取り外す。そうするために、外科医は、押しボタンキャッチ156のボタン表面158を押し下げ、押しボタンキャッチ156を本体12の空洞152内に摺動させる。押しボタンキャッチ156が空洞152内に摺動すると、下部表面170がラッチ104の上部表面108から係合解除され、これにより、ラッチレバー74のラッチ端部102が解放される。ばね88は、レバー74をラッチ解除された開位置まで揺動して開かせる。開位置では、板ばね128の張力が解放され、板ばね128は、インパクタ端部14に向かってキャリア116に力を及ぼさない。次に、キャリア116は、インパクタ端部14に向かってボルト62に力を及ぼすことを停止する。したがって、外科医は、片手でインパクタアダプタ10をラッチ解除することができる。
【0049】
インパクタアダプタ10をラッチ解除した後、外科医は、シェルコンポーネント190をボルト62のねじ山付き本体64から取り外す。外科医は、六角ドライバ198の先端202がボルト62のヘッド66に接触するまで、六角ドライバ198を案内路70に挿入する。外科医は、六角ドライバ198を使用して、ボルト62をシェルコンポーネント190から外す。ボルト62がシェルコンポーネント190から外された後、外科医は、インパクタアダプタ10をシェルコンポーネント190から取り外す。インパクタアダプタ10を取り外した後、シェルコンポーネント190は、患者の寛骨臼220内に留まり、外科医は、寛骨臼ベアリング又はライナーなどの追加の人工コンポーネントを埋め込むことを進めることができる。外科医は、シェルコンポーネント190をインパクタアダプタ10から取り外す前又は後に、インパクタアダプタ10を自動外科用インパクタ204から取り外すこともできることを理解されたい。
【0050】
図面及び前述の説明において本開示を詳細に例示及び説明してきたが、このような例示及び説明は、その性質上、あくまで例示的なものであって限定的なものとはみなすべきではなく、あくまで例示的な実施形態を示して説明してきたにすぎず、本開示の趣旨に含まれる全ての変更及び修正が保護されることが望ましいことが理解される。
【0051】
本開示は、本明細書において説明される方法、装置、及びシステムの様々な特徴から生じる複数の利点を有するものである。本開示の方法、装置、及びシステムの代替的実施形態は、説明される特徴の全てを含むわけではないが、依然として、このような特徴の利点のうちの少なくともいくつかから利益を享受するものであることに留意されよう。当業者であれば、本発明の特徴のうちの1つ以上を組み込み、添付の「特許請求の範囲」によって定義される本開示の趣旨及び範囲に包含される方法、装置、及びシステムの独自の実装様態を容易に考案することができる。
【0052】
〔実施の態様〕
(1) 寛骨臼インプラントと共に使用するための整形外科用手術器具であって、前記整形外科用手術器具は、
第1の端部から第2の端部まで延在する細長い本体であって、前記第1の端部は、自動外科用インパクタによって受容されるように構成されている、細長い本体と、
ヘッドと、前記細長い本体の前記第2の端部に位置付けられたねじ山付き本体とを含む摺動可能なボルトであって、前記ねじ山付き本体は、前記細長い本体の前記第2の端部から外向きに延在している、摺動可能なボルトと、
前記細長い本体に摺動可能に結合されたキャリアであって、前記キャリア内に画定されたノッチは、前記摺動可能なボルトの前記ヘッドに係合する、キャリアと、
枢動端部からラッチ端部まで延在する細長いレバーであって、前記枢動端部は、前記細長い本体に枢動可能に結合されている、細長いレバーと、
前記レバーの動きが前記キャリアの動きを引き起こすように、前記レバーに枢動可能に結合された第1の端部と、前記キャリアに枢動可能に結合された第2の端部と、を有する、板ばねと、
前記細長い本体に結合された押しボタンキャッチと、を備え、
前記レバーは、前記ラッチ端部が前記細長い本体から離間されている第1の位置と、前記ラッチ端部が前記押しボタンキャッチによって捕捉されている第2の位置との間で移動可能であり、前記第2の位置において、前記板ばねは、前記キャリアをインプラント端部から離れるように内向きに付勢し、前記第2の位置において、前記キャリアは、前記ボルトの前記ヘッドを前記インプラント端部から離れるように内向きに引っ張る、整形外科用手術器具。
(2) 前記細長い本体は、直線部分、角度付き部分、及びオフセット部分を含み、前記直線部分は、前記第1の端部から前記角度付き部分まで延在し、前記角度付き部分は、前記直線部分から前記オフセット部分まで延在し、前記オフセット部分は、前記角度付き部分から前記第2の端部まで延在している、実施態様1に記載の整形外科用手術器具。
(3) 前記第1の端部の中心線は、前記摺動可能なボルトの中心から所定の距離だけオフセットされている、実施態様2に記載の整形外科用手術器具。
(4) 前記所定の距離は、41ミリメートルである、実施態様3に記載の整形外科用手術器具。
(5) 前記細長い本体は、(i)細長い開口部が画定された上面と、(ii)前記上面の反対側にあり、細長い開口部が画定された底面と、(iii)前記上面に画定された前記細長い開口部と前記底面に画定された前記細長い開口部との間に延在する1つ以上の内壁と、(iv)前記1つ以上の内壁によって画定された第1の空洞と、を含み、
前記細長いレバーの前記枢動端部は、前記第1の空洞内で前記細長い本体に枢動可能に結合され、前記細長いレバーの前記ラッチ端部は、前記上面に画定された前記細長い開口部を通って前記第1の空洞から外に延在しており、
前記板ばねは、前記第1の空洞内に位置付けられており、
前記細長いレバーが前記第2の位置にあるとき、前記キャリアは、前記ボルトの前記ヘッドを前記第1の空洞に向かって内向きに引っ張る、実施態様1に記載の整形外科用手術器具。
【0053】
(6) 前記細長い本体は、前記細長い本体の前記第2の端部上に位置付けられた凸状前面を含み、円形開口が、前記凸状前面に画定され、前記円形開口は、前記第1の空洞内に開口しており、
前記摺動可能なボルトの前記ねじ山付き本体は、前記円形開口を通って前記第2の端部から外向きに延在している、実施態様5に記載の整形外科用手術器具。
(7) 前記細長い本体は、前記第1の空洞内に位置付けられ、前記内壁の間に結合された第1のクロス部材を含み、
前記第1のクロス部材の上面は、前記摺動可能なボルトの前記ヘッドへの案内路を画定し、前記案内路は、前記第1の空洞と連通している、実施態様5に記載の整形外科用手術器具。
(8) 前記細長いレバーと前記細長い本体との間に結合された第2のばねを更に備え、前記第2のばねは、前記細長いレバーを前記第1の位置に付勢する、実施態様7に記載の整形外科用手術器具。
(9) 前記細長い本体は、前記第1の空洞内に位置付けられ、前記内壁の間に結合された第2のクロス部材を含み、前記第2のばねは、前記レバーの前記枢動端部と前記第2のクロス部材の底面との間に位置付けられている、実施態様8に記載の整形外科用手術器具。
(10) 前記細長いレバーは、前記細長いレバーの上面から外向きに延在する停止部を含み、前記細長いレバーが前記第1の位置にあるとき、前記停止部は、前記第2のクロス部材の前記底面に接触する、実施態様9に記載の整形外科用手術器具。
【0054】
(11) 前記キャリアは、前記キャリアの前面及び側面を囲むレールを有する細長い本体を含み、
細長い開口が、前記細長い本体の前記底面に画定され、前記細長い開口は、前記底面の前記細長い開口部から前記第2の端部に向かって延在しており、
内壁は、前記細長い開口部から前記第1の空洞内へ内向きに延在しており、
溝が、前記細長い開口を囲む前記内壁に画定され、前記キャリアの前記レールは、前記溝内に位置付けられる、実施態様5に記載の整形外科用手術器具。
(12) 前記細長い本体は、(i)第1の側壁及び前記第1の側壁の反対側にある第2の側壁と、(ii)前記第1の側壁に画定された開口部と、(iii)前記第1の側壁の前記開口部から内向きに延在する1つ以上の内壁であって、前記1つ以上の内壁は、第2の空洞を画定する、1つ以上の内壁と、(iv)前記第1の端部と前記細長い開口部との間の前記上面に画定された第2の開口部であって、前記第2の開口部は、前記第2の空洞内に開口している、第2の開口部と、を含み、
前記押しボタンキャッチは、前記第2の空洞内に位置付けられ、
前記細長いレバーが前記第2の位置にあるとき、前記ラッチ端部から下方に延在するラッチは、前記第2の空洞内に位置付けられ、前記押しボタンキャッチによって保持される、実施態様5に記載の整形外科用手術器具。
(13) 前記押しボタンキャッチは、前記押しボタンキャッチが前記第2の空洞内に位置付けられた前記ラッチに係合する第1の位置と、前記押しボタンキャッチが前記ラッチに係合しない第2の位置との間で移動可能である、実施態様12に記載の整形外科用手術器具。
(14) 前記第2の空洞内に位置付けられた第2のばねを更に備え、前記第2のばねは、前記押しボタンキャッチを前記第1の位置に付勢するように構成されている、実施態様13に記載の整形外科用手術器具。
(15) 前記押しボタンキャッチは、前記細長い本体の前記第1の側壁に向かって位置付けられたボタン表面と、前記ボタン表面から前記第2の空洞内に延在する一対の側壁と、前記一対の側壁を接続する後壁と、前記後壁から前記第2の空洞内に延在するキャッチと、を含む、実施態様14に記載の整形外科用手術器具。
【0055】
(16) 前記細長いレバーの前記ラッチは、第1のカム面を含み、前記押しボタンキャッチの前記キャッチは、第2のカム面を含み、前記細長いレバーが前記第1の位置から前記第2の位置に移動するとき、前記第1のカム面は、前記第2のカム面に係合し、前記第1のカム面が前記第2のカム面に係合するとき、前記押しボタンキャッチは、前記第1の位置から前記第2の位置に付勢される、実施態様15に記載の整形外科用手術器具。
(17) 整形外科的処置を実施するための方法であって、前記方法は、
寛骨臼シェルコンポーネントを整形外科用手術器具の第1の端部に固定することと、
前記寛骨臼シェルコンポーネントを前記第1の端部に固定することに応答して、前記整形外科用手術器具のレバーを第1の位置から第2の位置に移動させることであって、前記レバーを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させることは、前記レバーを前記第2の位置にラッチ掛けすることと、前記整形外科用手術器具のコンプライアント部材を用いて前記第1の端部に接して前記寛骨臼シェルコンポーネントに張力を加えることと、を含む、移動させることと、
前記レバーを移動させることに応答して、前記整形外科用手術器具の第2の端部を自動外科用インパクタに結合することと、を含む、方法。
(18) 前記寛骨臼シェルコンポーネントを前記第1の端部に固定することは、
前記寛骨臼シェルコンポーネントの中央ねじ穴を、前記整形外科用手術器具の摺動可能なボルトのねじ山付き本体上にねじ込むことであって、前記ねじ山付き本体は、前記整形外科用手術器具の前記第1の端部から外向きに延在している、ねじ込むことと、
前記中央ねじ穴を前記ねじ山付き本体上にねじ込むことに応答して、前記整形外科用手術器具の上面によって画定される案内路にドライバ工具を位置付けることと、
前記ドライバ工具を位置付けることに応答して、前記摺動可能なボルトのヘッドを前記ドライバ工具で締め付けることと、を含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記寛骨臼シェルコンポーネントを前記第1の端部に固定することに応答して、前記寛骨臼シェルコンポーネントの回転位置を調整することを更に含み、
前記レバーを移動させることは、前記回転位置を調整することに応答して前記レバーを移動させることを更に含む、実施態様17に記載の方法。
(20) 前記第2の端部を前記自動外科用インパクタに結合することに応答して、前記自動外科用インパクタを用いて、前記寛骨臼シェルコンポーネントを、患者の外科的に準備された寛骨臼内に嵌入させることと、
前記寛骨臼シェルコンポーネントを嵌入させることに応答して、前記整形外科用手術器具の押しボタンキャッチを押し下げることであって、前記押しボタンキャッチを押し下げることは、前記レバーを前記第2の位置からラッチ解除し、前記コンプライアント部材による張力を解放することを含む、押し下げることと、
前記押しボタンキャッチを押し下げることに応答して、前記寛骨臼シェルコンポーネントを前記整形外科用手術器具の前記第1の端部から解放することと、を更に含む、実施態様17に記載の方法。
【国際調査報告】