(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】安全締結具
(51)【国際特許分類】
G01M 13/00 20190101AFI20240410BHJP
G01M 3/04 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G01M13/00
G01M3/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568584
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 GB2022051057
(87)【国際公開番号】W WO2022234252
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523419749
【氏名又は名称】アンスティー、クレイグ リチャード
(71)【出願人】
【識別番号】523419750
【氏名又は名称】アンスティー、カルヴィン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンスティー、クレイグ リチャード
(72)【発明者】
【氏名】アンスティー、カルヴィン
【テーマコード(参考)】
2G024
2G067
【Fターム(参考)】
2G024AA03
2G024AA04
2G024BA12
2G024CA16
2G024FA14
2G024FA15
2G067AA36
2G067DD02
2G067DD07
2G067DD11
2G067EE12
2G067EE13
(57)【要約】
本発明は、安全締結具および/または安全システムに関する。より詳細には、しかし排他的ではないが、本発明は、締結具がいつ損傷したかを示す安全締結具、および/または安全上重要な構成要素がいつ損傷したかを示す安全システムに関する。締結具は、荷重支持体を備え、荷重支持体は、流体が充填された内部容積が封入され、内部容積内の流体の存在を検出するように構成された流体センサも備える。該流体センサは、流体を検出する場合に、「流体存在」状態が起動されるように構成される。締結具が破損すると、流体が内部容積から逃げて、流体センサが「流体存在」状態を離れ、破損が生じたことを示す。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重支持体を備え、前記荷重支持体は、流体が充填された内部容積が封入され、前記内部容積内の流体の存在を検出するように構成された流体センサを備え、前記流体センサは、前記流体を検出する場合に、「流体存在」状態が起動されるように構成される、締結具。
【請求項2】
前記流体センサは、外部制御ユニットに有線接続される、請求項1に記載の締結具。
【請求項3】
前記流体センサは、外部電源に有線接続される、請求項1または2に記載の締結具。
【請求項4】
前記流体センサは、外部制御ユニットに無線接続される、請求項1に記載の締結具。
【請求項5】
前記流体センサは、外部電源に無線接続される、請求項1または4に記載の締結具。
【請求項6】
前記締結具は、前記流体センサに接続される内部電源を備える、請求項1に記載の締結具。
【請求項7】
前記締結具がピンである、請求項1から請求項6の何れか一項に記載の締結具。
【請求項8】
前記締結具はボルトである、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の締結具。
【請求項9】
前記流体は、前記荷重支持体の内部容積内で大気圧よりも高い圧力下に保持される、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の締結具。
【請求項10】
前記流体が液体である、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の締結具。
【請求項11】
前記流体が気体である、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の締結具。
【請求項12】
第1の部分と第2の部分とを備える、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の締結具。
【請求項13】
前記第1の部分は、前記第2の部分に機械的に接合される、請求項12に記載の締結具。
【請求項14】
前記第1の部分および前記第2の部分が、前記荷重支持体を備える、請求項12または13に記載の締結具。
【請求項15】
前記第1の部分および前記第2の部分の一方または両方が、前記荷重支持体の内部容積を画定する、請求項14に記載の締結具。
【請求項16】
前記第1の部分および前記第2の部分のうちの1つが、前記流体センサを備える、請求項15に記載の締結具。
【請求項17】
複数の内部容積と、前記内部容積内の流体の存在を検出するように構成された少なくとも1つの対応する流体センサとを備え、前記少なくとも1つの流体センサは、前記流体を検出する場合に、「流体存在」状態が起動されるように構成される、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の締結具。
【請求項18】
内部容積は、締結具の長手方向中心軸と同軸上に位置する、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の締結具。
【請求項19】
前記複数の内部容積は、前記締結具の外周に向かって位置している請求項17に記載の締結具。
【請求項20】
前記複数の内部容積は、流体連通状態にある、請求項17に記載の締結具。
【請求項21】
前記複数の内部容積は、互いに連結しない別個の内部容積である、請求項17に記載の締結具。
【請求項22】
内部容積と、該内部容積内に位置する検出バーとを備え、前記検出バーは、前記締結具が変形すると、前記検出バーが、前記内部容積を画定する表面に接触し、該接触によって、変形警告または通知がトリガーされることを促すように構成される、請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の締結具。
【請求項23】
請求項1に記載の締結具の荷重支持体の亀裂を検出する方法であって、前記締結具を観察するステップと、前記締結具を観察した場合に、前記締結具が流体の存在状態にない場合にアラーム信号を発するステップと、を含む、方法。
【請求項24】
前記アラーム信号によって、可視警報または可聴警報が発せられる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記アラーム信号が、制御ユニットまたはスマートデバイスに通知を送信させる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記アラーム信号は、前記締結具を含む機械の停止を引き起こす、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
荷重支持体を備え、前記荷重支持体は、前記荷重支持体の内面によって画定される内部容積を備え、検出バーは、通常状態では、前記検出バーが、前記荷重支持体の内面と接触せず、変形状態では、前記検出バーが、前記荷重支持体の内面と接触する、締結具。
【請求項28】
前記検出バーは、前記検出バーの長手軸から離れて延在する検出接点を備える、請求項27に記載の締結具。
【請求項29】
前記検出バーは、前記検出バーに沿って離間して配置された複数の検出接点を備える、請求項27または28に記載の締結具。
【請求項30】
前記検出バーは、中央に位置する第1の検出接点と、前記中央に位置する第1の検出接点から離間して配置される第2の検出接点とを備える、請求項29に記載の締結具。
【請求項31】
締結具であって、荷重支持体を備え、前記荷重支持体は、流体が充填された第1の内部容積と、前記第1の内部容積内の流体の存在を検出するように構成された流体センサとを含み、前記流体センサは、前記流体を検出する場合に、「流体存在」状態が起動されるように構成され、前記締結具はさらに、第2の内部容積を含み、前記内部容積は、前記荷重支持体の内面によって画定され、検出バーは第2の内部容積の内部に位置し、通常状態では、前記検出バーは前記荷重支持体の内面に接触せず、変形状態では、前記検出バーは、前記荷重支持体の内面に接触するように配置される、締結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全締結具および/または安全システムに関する。より詳細には、しかし排他的ではないが、本発明は、締結具がいつ損傷したかを示す安全締結具、および/または安全上重要な構成要素がいつ損傷したかを示す安全システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ボルトやピンのような締結具は、多くの安全上重要な状況で使用されている。例えば、林業用途において木材を加工するために使用される研削盤またはチッパのような大型機械には、機械の種々の部品を一緒に保持する多数のピンが含まれる。これらのピンには、使用中に重大な、ときには予測できない負荷が発生する。疲労、及び/又は製造上の欠陥により、ピンは使用中に故障し、特に現場での固定に長い時間を要する可能性がある機械に重大で高価な損傷を引き起こす可能性がある。また、故障によって安全上の問題が発生する可能性もある。機械のオペレータは、機械の使用前に重要なピンを検査することがあるが、そのような検査は時間がかかる可能性がある。また、ピンの表面にまだ移行していない亀裂のような内部損傷を有するピンを特定することができず、その結果、機械の使用中にピンの不具合が生じる可能性がある。ピンの中には、現場での検査のためにアクセスすることが困難なものもあり、及び/又はピンが相互作用する他の機械部品によって欠陥が不明瞭になるものもある。目視検査に加えて、ピンは、例えば電磁センサ及び試験技術を用いて、又は超音波検査を用いて、種々の非破壊試験技術を用いて検査され得る。しかし、このようなテストには時間がかかり、高価になる可能性がある。また、非破壊試験は、環境条件が厳しい可能性があり、機械が汚れていたり、濡れていたり、処理中の材料に汚染されている可能性がある現場では困難な場合がある。
【0003】
当業者は、留め具の故障が安全上の危険を生じさせ、及び/又はその留め具を含む機械又は構造に費用や損傷を生じさせるような、使用される留め具の他の多くの例があることを理解するであろう。例えば、橋やビルといった大型エンジニアリング構造物に使用されるピン及び/又はボルト、例えばローラーコースター及び観覧車のような遊園地の乗り物に使用されるピン及び/又はボルト、並びに自動車、宇宙用途、及び航空用途に使用されるピン及び/又はボルトである。
【0004】
ボルトの例をUS 4447388に示す。ボルトは、放射性ガスで満たされた内部チャンバを含む。センサはボルトに近接して配置され、ボルトからのガスの流出を検出し、ボルトに亀裂が生じたことを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題の緩和を追求する。これに代えて又はこれに加えて、本発明は、締結具の故障前に損傷を検出するために、改善された締結具及び締結具を試験する方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の態様によれば、締結具は荷重支持体を備え、前記荷重支持体は、流体が充填された内部容積が封入され、前記内部容積内の流体の存在を検出するように構成された流体センサを備え、前記流体センサは、前記流体を検出する場合に、「流体存在」状態が起動されるように構成される、締結具を提供する。
【0007】
締結具が破損した場合、荷重支持体に亀裂が生じるような場合、荷重支持体の内部容積内に含まれる流体は、亀裂を介して逃げることができる。これにより、流体センサは流体存在の状態を離れることになる。この状態変化は、以下に記載するように、様々な方法で検出することができ、これらは全て、締結具の荷重支持体が損傷したことを示し、締結具は、修理または交換が必要である。
【0008】
流体存在の積極的チェックは、流体センサが故障した場合、流体存在が検出されないという追加の利点をもたらす。したがって、流体存在の検出は、荷重支持体がひび割れがない、流体センサが働いている、ことの両者に確実性を与える。流体が検出されない場合にのみアラートがトリガーされる場合、流体センサが損傷した場合、流体は亀裂を通って逃れ、亀裂損傷が、その後、検出される可能性がある。
【0009】
流体存在状態は、流体存在信号を能動的に送信する流体センサを含んでもよい。流体存在信号は、外部制御ユニットによって検出することができ、流体センサの流体存在状態を表示することができる。外部制御ユニットは、スマートフォンまたはタブレットなどのスマートデバイスであってもよい。外部制御ユニットは、締結具が使用される機械の制御装置の一部を形成してもよい。例えば、締結具が木材チッピングまたは研削機に使用されている場合、外部制御ユニットをチッピングまたは研削機に配置することができる。
【0010】
流体存在状態は、流体センサが外部制御ユニットによって問い合わせされると、流体存在状態が検出されるように、受動的状態にある流体センサを備え得る。そのような構成は、流体センサを動作させるための電力要求を低減または除去し得る。
【0011】
締結具が能動的にまたは受動的に流体存在を示すかどうかに関わらず、締結具は、継続的に、または従来のチェック技術よりはるかに高い頻度で、損傷をチェックすることができる。締結具は、従来のチェック技術とは異なり、締結具が取付けられた機械が作動されているときにもチェックされ得る。したがって、締結具の故障は、締結具の破損よりもはるかに事前に検出される可能性が高い。その後、締結具の故障によって起こりうる損傷および/または危険を回避して、予防的メンテナンスが行われる可能性がある。締結具は、多くの場合、複数のアレイで使用される。そのため、必ずしも機器の故障を引き起こすことなく、留め具が損傷する可能性がある。しかし、アレイ内の十分な締結具が損傷すると、機器の故障が発生する可能性がある。本発明は、機器の故障前に破損した締結具の交換を可能にするために、破損した締結具を良好なタイミングで検出することを可能にする。
【0012】
流体センサは、外部制御ユニットに有線接続されてもよい。流体センサは、外部電源に有線接続することができる。流体センサは、例えば、Bluetooth(登録商標)または他の適切な近距離通信装置およびプロトコルを使用して、外部制御ユニットに無線接続することができる。流体センサは、例えば、導電性電力伝送装置およびプロトコルを用いて、外部電源に無線接続されてもよい。締結具は、例えばバッテリのような流体センサに接続された内部電源を備えてもよい。
【0013】
留め具はピンであってもよい。留め具はボルトでもよい。当業者は、本発明が多くの異なる締結具に適用され得ることを理解するであろうが、ただし、それらの締結具は荷重支持体を含むものである。本発明は、機械類、構造物、または資産、あるいは機械類または構造物を操作するかその近くに位置する使用者への損傷を防止するためのいずれかの安全上重要な締結具に特に適用可能である。例えば、締結具は、グラインダ又はチッパのような木材処理機械に使用されるピンであってもよい。締結具は、例えばローラーコースター又は観覧車といった遊園地の乗り物に使用されるピン又はボルトであってもよい。締結具は、航空宇宙、自動車、または航空用途で使用されるピンまたはボルトであってもよい。例えば、締結具は、車両シャーシ構成に使用されるピンまたはボルトであってもよい。
【0014】
流体は、荷重支持体の内部容積内で大気圧よりも高い圧力下に保持されてもよい。流体を大気圧よりも高い圧力下に保持することは、流体が荷重支持体の亀裂から脱出する速度を増加させる可能性があり、したがって、亀裂が検出され、亀裂警告信号がトリガされる速度を増加させる。
【0015】
流体は液体であってもよい。液体が締結具の荷重支持体の亀裂を通過する場合に締結具の亀裂を目視で検出するのを助けるために、液体を明るく着色することができる。液体は、締結具の荷重支持体の亀裂を目視で検出するのを助けるために、紫外線光の下で液体が蛍光を発するように選択することができる。液体は、荷重支持体の亀裂を通って逃れ、空気に曝露されるようになった場合に発泡、気泡、または凝固するように選択され得る。
【0016】
流体センサは、レベルセンサ、例えば、荷重支持体の内部容積内の閾値レベルを超える液体の存在を検出するように配置されたレベルセンサであってもよい。例えば、亀裂を通る漏れのために、荷重支持体の内部容積内の液面が閾値レベルより下に低下する場合、流体センサは、流体存在から外れる可能性がある。
【0017】
流体は気体であってもよい。気体は、液体よりも迅速に荷重支持体の亀裂を通って逃げることができ、それによって、荷重支持体の亀裂をより迅速に検出することができる。
【0018】
流体センサは、圧力センサ、例えば、荷重支持体の内部容積内の閾値レベルを上回る圧力を検出するように配置された圧力センサであってもよい。例えば、亀裂を通る漏洩のために、もし荷重支持体の内部容積内の圧力が閾値レベルより下に低下すれば、流体センサは、流体存在から外れる可能性がある。
【0019】
流体は、不活性液体またはガスであってもよい。流体は、流体が荷重支持体から漏れ出た場合に環境への影響がほとんどまたはまったくないように選択することができる。例えば、流体は、水、又は二酸化炭素ガスであってよい。流体は、流体が荷重支持体から漏れ出た場合に、締結具を取り囲む機器に対する損傷が流体によって引き起こされないように選択することができる。
【0020】
留め具は、第1の部分および第2の部分を含んでもよい。第1の部分は、例えば、第1の部分と第2の部分との間のねじ接続部を介して、第2の部分に機械的に接合されてもよい。第1の部分は、第2の部分にねじ込まれてもよく、またはその逆も可能である。第1の部分および第2の部分は、荷重支持体を備えてもよい。第1の部分および第2の部分の一方または両方は、荷重支持要素の内部容積を画定してもよい。例えば、第2の部分は、内部チャンバを備えてもよく、第1の部分は、第2の部分に機械的に接合される場合、内部チャンバをキャップしてもよい。第1の部分および第2の部分の一方は、流体センサを備えてもよい。
【0021】
締結具は、複数の内部容積と、内部容積内の流体の存在を検出するように構成された少なくとも1つの対応する流体センサとを含んでもよく、少なくとも1つの流体センサは、流体を検出した場合に、「流体存在」状態が起動されるようにさらに構成される。
【0022】
内部容積は、締結具の長手方向中心軸と同軸上に位置してもよい。これに代えて又はこれに加えて、締結具の外周に向かって位置する複数の内部容積が存在してもよい。内側容積は、締結具の外周が設定点まで磨耗したことを示すように配置することができる。このような構成は、留め具が故障する危険性をもたらすような過度に摩耗した留め具が使用されることを防止する。このような構成は、第五車輪ピンのような高摩耗締結具において有益である場合がある。複数の内部容積は、例えば、流体リザーバを介して流体連通状態にあってもよく、または互いに接続しない別個の内部容積を含んでもよい。複数の内部容積が流体連通している場合、単一の流体センサが提供されてもよい。複数の内部容積が流体連通していない場合、流体センサは、各内部容積に対し提供されてもよい。
【0023】
締結具は、ライトユニット、例えば、LEDを含んでもよい。このライトユニットは、締結具が流体の存在状態にあるときに作動させることができ、これにより、締結具に亀裂が入っていないことを容易に視覚的に確認することができる。ライトユニットは、締結具が流体の存在状態にないとき、例えば、締結具が流体の存在状態にあるときとは異なる色の光を点滅または放射するよう作動させることができる。締結具は、サウンドユニット、例えば、可聴アラームを備えてもよい。ファスナーが流体存在状態にある場合、サウンドユニットが作動し、例えば、規則的なビープ音を鳴らすと、ファスナーに亀裂が入っていないことを容易に聞き取ることができる。サウンドユニットは、締結具が流体の存在状態にないときに作動されてもよく、例えば、可聴アラーム信号を発して、ユーザに締結具の損傷を警告する。
【0024】
第2の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様に係る締結具の荷重支持体内のクラックを検出する方法を提供し、本方法は、締結具を観察するステップを含み、締結具を観察した場合には、締結具が流体の存在状態にない場合には、アラーム信号を起動する。アラーム信号によって、可視または可聴アラームがトリガーされる場合がある。例えば、アラーム信号は、締結具に関連するライトを作動させることができ、これにより、ユーザは、締結具が注意を必要とすることが分かるであろう。これに代えて又はこれに加えて、ブザーのような可聴信号を作動させて、締結具に注意を要することをユーザに知らせるようにしてもよい。アラーム信号は、制御ユニット、例えば締結具を含む機械の一部を形成する制御ユニット、又は機械に関連する遠隔制御ユニット、又はスマートフォン又はタブレットのようなスマートデバイスに送られる通知をもたらすことができる。代替的または付加的に、アラーム信号は、締結具を含む機械の停止を引き起こし、それ以上の損傷が生じるのを自動的に防止することができる。アラーム信号は、機械を再度操作する前に、例えば、締結具を物理的に検査するか、締結具を交換することでクリアする必要がある場合がある。このような構成は、ユーザがアラーム信号を無視することにより、機械が損傷されることを防止し得る。
【0025】
締結具は、内部容積と、内部容積内に位置する検出バーとを含んでもよい。内部容積は、流体が充填される内部容積に対応してもよく、または別個の内部容積であってもよい。締結具が変形すると、検出バーが内部容積を規定する表面に接触する可能性がある。そのような接触は、検出され、変形警告または通知がトリガーされるように促され得る。
【0026】
第3の態様によれば、荷重支持体を備えた締結具が提供され、該荷重支持体は、該荷重支持体の内面によって画定される内部容積と、該内部容積内に位置する検出バーとを備え、通常の状態では、該検出バーは、該荷重支持体の内面と接触せず、変形状態では、該検出バーは、該荷重支持体の内面と接触する。
【0027】
変形状態は、荷重支持体が過度の荷重にさらされ、荷重支持体が曲がったり、ねじれたりして、形状が崩れることを含む。荷重支持体がある点を越えて変形すると、締結具は、例えば故障のリスクが増大するために、もはや使用に適さなくなることがある。
【0028】
検出バーが荷重支持体の内部表面に接触すると、留め具が警告または通知をトリガするように構成されてもよい。例えば、荷重支持体の内部表面および検出バーは、導電性材料を含んでもよい。検出バーが荷重支持体の内部表面に接触すると、回路が完成することができ、この回路が、例えば、可視または可聴の警告、または通知をトリガーし、通知が例えばスマートデバイスに送信される。締結具は、発光装置、または発音装置を備えてもよい。締結具は、通信ユニット、例えば、無線通信ユニットを備えてもよい。あるいは、通信ユニットは有線通信ユニットであってもよい。留め具は、電源、例えば、バッテリを備えてもよい。
【0029】
検出バーは、検出バーの長手軸から離れて延在する検出接点を備え得る。そのような構成は、締結具の特定の変形を示す特定の間隔への締結具構成の調整を可能にすることができる。検出バーは、検出バーに沿って離間して配置された複数の検出接点を備えることができる。そのような構成は、異なるレベルの変形が検出されることを可能にし得る。例えば、中央に配置された検出接点は、締結具が許容変形レベルにあるときに、荷重支持体の内部表面に接触し得る。第2の検出接点は、中央に位置する検出器接点から離間して配置することができ、締結具が許容変形レベルを超えた場合に荷重支持体の内部表面に接触するように配置することができる。当業者は、多数の検出接点が、留め具の変形の表示のさらなる正確度を提供するために、互いに離間して配置されてもよいことを理解するであろう。
【0030】
第4の態様によれば、本発明は、構成要素を提供することができ、構成要素は、本体を備え、本体は、流体が充填された内部容積が封入され、流体が内部容積内に存在することを検出するように構成された流体センサも備え、流体センサは、流体を検出する場合に「流体存在」状態が起動されるように、さらに構成される。
【0031】
構成要素は、構成要素に対する損傷を検出することが望ましい任意の構成要素であってもよい。例えば、構成要素は、航空機、列車、又は自動車の車輪ハブとすることができる。
【0032】
本発明の第5の態様によれば、締結具が提供され、前記締結具は、荷重支持体を備え、前記荷重支持体は、流体が充填された第1の内部容積と、前記第1の内部容積内の流体の存在を検出するように構成された流体センサとを含み、前記流体センサは、前記流体を検出する場合に「流体存在」状態が起動され、前記締結具はさらに、第2の内部容積を含み、前記内部容積は、前記荷重支持体の内面によって画定され、検出バーは、通常状態では、前記荷重支持体の内面に接触せず、変形状態では、前記検出バーは、前記荷重支持体の内面に接触するように配置される。
【0033】
このような構成は、亀裂または過剰な摩耗のような損傷、また締結具の変形を示すことができる締結具を提供する。本発明の第5の態様は、本発明の第1、第2、第3、または第4の態様の特徴のいずれかを備え得る。
【0034】
第6の態様によれば、荷重支持体を備え、前記荷重支持体は、気体で満たされた内部容積が封入され、前記内部容積内の気体の存在を検出するように構成されたセンサを備え、前記センサは、気体を検出する場合に、気体の存在状態が起動されるように構成される。このような構成は、液体に浸されている間に使用される締結具の亀裂を検出するために使用され得る。例えば、締結具が水中にあり、荷重支持体に亀裂が進展すると、内部容積が損なわれる。これは、気体が内部容積から逃げて水と交換される原因となり、これはセンサによって検出されることになる。本発明の前述の実施形態のように、これは、亀裂が検出され、締結具を交換または修理するように、警告または通知をトリガーし得る。
【0035】
もちろん、本発明の1つの態様に関連して記載された特徴は、本発明の他の態様に組み入れられてもよいことを理解されたい。例えば、本発明の第1の態様は、本発明の他の態様を参照して説明した特徴のいずれかを組み込むことができ、逆もまた同様である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
以下、本発明の実施の形態を、添付の概略図を参照して単なる例として説明する。
【
図1】本発明の第1の実施の形態によるシアーボルトの側面図を示す。
【
図3】本発明の第2の実施形態によるねじ付きボルトの側面図を示す。
【
図5】本発明の第3の実施形態によるねじ付きボルトの側面図を示す。
【
図7】本発明の第4の実施形態による安全システムを示す。
【
図8】本発明の第5の実施形態による、複数の接触点を備えたデフレクタバーと複数の内部容積を備える締結具の断面図を示す。
【
図9】複数の内部容積を伴わない、
図8に示されるものと同様の締結具の断面図を示す。
【
図10】本発明の第6の実施形態による、複数の内部容積を伴う締結具の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1および
図2は、シアーボルト10を示す。シアーボルト10は、内部容積12を含む荷重支持本体16を備える。内部容積12は、内部容積12が流体密であるように封止するように配置されたセンサ素子14と共に、荷重支持体16の内面によって画定される。この実施形態では、センサ素子14は、ねじ切りされ、所定の位置にねじ込まれた圧力センサである。他の実施形態では、代替的な固定方法、例えば締まりばめを用いてもよい。内部容積12には流体、この場合は圧力下で二酸化炭素ガスが充填され、センサ素子14は大気圧と比較して増加した圧力を検出するように配置される。増加した圧力が検出されると、センサは「流体存在」状態にある。荷重支持体16がクラックを生じて、荷重支持体16の内面によって規定された内部容積12がもはや流体密閉ではなくなると、流体は内部容積12から逃げ、センサ素子14は、大気圧に対して増加した圧力をもはや検出せず、流体存在の状態から出ることになる。センサ素子14は、電源と、光源ユニット18とを含む。流体存在状態にあるとき、光ユニット18は、光を放出するように起動されるように配置される。したがって、センサ素子14は、センサが流体存在状態にあることの積極的な確認を提供する。これはセンサが作動しており、シアーボルト10に亀裂が入っていないことを示している。光ユニット18が照明されていないときには、シアーボルト10が割れているか、センサ素子14または光ユニット18が機能していないことが明らかである。いずれの場合も、シアーボルト10は、より密接な点検と可能な交換を必要とする。
【0038】
図3および
図4は、荷重支持体36と、流体で満たされた内部容積32と、センサ素子34とを有するボルト30を示す。この構成は、異なるタイプの締結具に適用されるが、
図1および
図2を参照して説明したものと同様である。センサ素子34は、センサ素子34が流体存在状態にあるときに「流体存在」信号を、センサ素子が流体存在状態にないときに「流体非存在」信号を送信するように配置された通信ユニット38を含む。この実施形態では、信号は、一定の間隔で能動的に送られる。信号は、当業者によって理解されるように、任意の適切な無線通信プロトコルを介して無線送信される。信号は、スマートデバイス、例えば、コントロールパネルまたは電話またはタブレットデバイスによって受信されてもよい。このような構成は、締結具を目視で観察することが困難である場合に、締結具の完全性の遠隔監視を可能にする。代替的な構成では、適切な無線通信装置による通信ユニット38の問い合わせによってセンサ素子の状態が検出されるように、通信ユニット38が受動的な状態に構成することができる。受動的な構成は、能動的な構成よりも、締結具における電力貯蔵をあまり必要としない場合があり、これは、締結具が、例えばバッテリを備えている主電源に接続されていない場合に特に有利となり得る。
【0039】
図5及び
図6はボルト50を示す。ボルト50は、荷重支持体58の内部表面によって画定される内部容積52を備えた荷重支持体58を備える。センサ素子54が設けられ、このセンサ素子は、内部容積52に沿って延在する細長いロッド60を含む。ボルト50が通常の非変形状態にあるとき、細長いロッドは荷重支持体58の内面に接触しない。しかし、細長いロッド60と荷重支持体58の内面との間の間隔は小さく、その結果、荷重支持体58の変形は細長いロッド60と荷重支持体58の内面との間の接触を生じさせる。荷重支持体58の内面及び細長いロッド60は、両方とも導電性材料からなり、センサ素子は、細長いロッド60に電流を流して細長いロッド60と荷重支持体58の内面との間の接触を検出するように配置される。本構成では、細長いロッド60と荷重支持体54の内面との間に接触がなされていないとき、センサ素子54は「通常」状態にある。この正常な状態は、正常の通知、または前述のような光の起動などの信号が作動する結果となり得る。上記実施形態のように、このような配置は、センサ素子54が作動しており、ボルト50が不変形であることを示す。絶縁ワッシャ56が細長いロッド60の端部に設けられて、ボルト50の振動によって細長いロッド60が荷重支持体58の内部表面に接触して、ボルト50の損傷を誤って表示することを引き起こさないことを確実にする。
【0040】
図7は、締結具70を含む安全システムを示し、この締結具は、
図1から
図6のいずれかを参照して説明することができる。締結具70は、無線通信ユニットを備えたセンサ素子を備えており、この無線通信ユニットは、締結具70の状態の表示を受信ユニット72に送るように配置されている。受信ユニット72は、締結具70がその一部である機械または構造の一部を形成する制御スクリーンであってもよい。あるいは、受信ユニット72は、スマートデバイス、例えば、電話またはタブレットであってもよい。別の実施例において、締結具70の通信ユニットは、受信ユニット72に配線されてもよい。
【0041】
図8は、共通の本体の第1の取り付け点82と第2の取り付け点84との間に延在する締結具80を示す。締結具80は、第1の取り付け点82及び第2の取り付け点84における相補的なねじ山との係合を可能にするために、ねじ山が切られている(図示せず)。当業者であれば、代替の実施形態では、締結具は他の固定機構によって固定されてもよいことを理解するであろう。細長いロッド86は、締結具80の荷重支持体81の中央縦軸に沿って空所88を通って延び、センサーアセンブリ90の一部を形成し、検出ユニット92は、締結具80の一端に位置する。細長いロッド86は、絶縁されたワッシャ94によって締結具80の本体から隔離されており、このワッシャはまた、誤った読み取りを引き起こす可能性のある、締結具80が受けるあらゆる振動を減衰させるように作用する。絶縁ワッシャ94はまた、細長いロッド84を締結具の荷重支持体81の変形から隔離するように構成される。細長いロッド86は、第1接触部96と、第2接触部98とをさらに有する。第1接触部96は、締結具80の長さのほぼ中央に位置し、第2接触部98は、締結具80の端部により近接して位置する。締結具80が荷重支持体81にかかる荷重によって変形する場合、第1接触部96は締結具の本体に接触することになる。締結具80がさらに変形すると、第2接触部98が締結具本体に接触することになる。第1接触部96及び第2接触部98は、互いに電気的に絶縁されている。細長いロッドに沿って電流を第1接触部96および第2接触部98のそれぞれに流すことによって、第1接触部96および/または第2接触部98が締結具本体に接触したときにそれを検出することができる。これは、次に、前述のように警報または警告を発し、締結具の変形を示し、より精密な検査または交換を可能にし得る。多数の接触点を含むことによって、変形のレベルが示されてもよい。例えば、第一接触部96は、許容された変形レベルを示すように構成されているのに対し、第二接触部9は、変形が最大の限界を超えて、締結具80の交換が必要であることを示すように構成されている。また、締結具80は、締結具80の周縁に向かって締結具80の長さに沿って延びる第1の内部容積100および第2の内部容積102を備え、第1の内部容積100および第2の内部容積102は、流体リザーバ104を介して互いに流体連通する。流体センサ106は、流体リザーバ104と関連し、「流体存在」状態および「流体非存在」状態を検出するように構成される。「流体存在」状態にある場合、流体センサ106は、光を起動し、および/または「流体存在」状態を遠隔機器、例えば、スマートフォンまたはコンピュータに送信することによって、これを示すように構成される。これにより、内部容積100および102内に流体が存在し、センサ106が動作可能であるという確信が得られる。例えば、亀裂が原因で締結具80が損傷した場合、流体は内部容積100および102から流れ出ることになり、センサは「流体が存在しない」状態に移動する。次いで、流体センサ106は、光をもはや活性化せず、および/または「流体存在」状態を遠隔機器への伝達を停止し、流体の肯定的確認がないことは、締結具が損傷した可能性があり、検査を必要とすることを示す。流体センサ106が故障した場合には、流体が存在することの肯定的な確認がないこともあり、これは、締結具の検査につながり、動作不良のセンサが検出され得る。当業者には理解されるように、流体は液体またはガスであってもよい。好ましくは、流体は、内部容積100および102内に、周囲圧力よりも高い圧力で存在する。したがって、内部容積100、102が損なわれるように締結具に亀裂が入ったり磨耗したりすると、流体は圧力下で逃げ、したがって「流体が存在しない」状態がトリガーされる。第1の内部容積100および第2の内部容積102を締結具80の周縁部に向けて配置することによって、締結具80の過剰な摩耗が検出され得る。
【0042】
図9は、共通の本体の第1の取り付け点982と第2の取り付け点984との間に延在する締結具980を示す。締結具980はまた、別個の本体987のボア985を通って延在し、2つの本体を一緒に固定する。締結具980の内部構成は、流体で満たされる内部容積ではなくたわみバーのみが存在することを除いて、
図8を参照して説明した締結具80の構成と一致する。
【0043】
図10は、本発明による締結具120の断面図を示す。締結具120は、運搬業界で一般的に使用されている第5のホイールピンである。締結具120は、第1の内部容積124および第2の内部容積126を伴う本体122を備える。締結具120は、縦軸X-Xを有し、第1の内部容積124および第2の内部容積126は、主本体122の周縁に向かって、縦軸X-Xの方向に延在する。第1の内部容積124および第2の内部容積126は、共用流体リザーバ128と流体連通し、内部容積および流体リザーバを流体充填し、流体センサ130は、流体リザーバ128に栓をするように配置される。流体は、周囲圧力よりも高い圧力で存在し、その結果、内部容積が損なわれると、流体は逃げる。このような構成では、流体センサ130は圧力センサである。流体センサ130は、流体リザーバ128内の流体の存在を検出するようにさらに構成される。流体が検出されると、流体センサ130は「流体存在」状態に入り、流体存在信号が外部監視装置に送信される。流体が検出されないとき、または流体センサ130が故障したとき、流体存在信号は伝送を停止し、それによって締結具120に潜在的な問題があることがユーザに通知される。第1の内部容積124および第2の内部容積126は、締結具120の特定の摩耗を示すように選択された位置で、本体122の周縁に向かって位置する。内部容積は、本体122内の小さなボアであり、締結具120の全体的な強度にほとんど影響を及ぼさないか又は全く影響を及ぼさない。本体122が設定点まで摩耗されると、1つ以上の内部容積が損なわれ、存在する流体が圧力を逃がすことになる。これは、流体センサ130を「流体が存在しない」状態に移動させることになり、その状態は、先に記載したようにユーザに送信される。したがって、使用中に締結具120を常時点検することを必要とせずに、締結具120の過剰摩耗が示される。
【0044】
本発明を特定の実施形態を参照して説明し、図示してきたが、本発明は、本明細書において特に図示しない多くの異なる変形形態そのものに役立つことが当業者には理解されよう。単なる例として、ここでは、特定の可能な変形が説明される。
【0045】
図1から
図6の締結具に関して示されたものと同様の配置が、任意の荷重支持構成要素に適用されてもよい。例えば、同様の構成を自動車車両のホイールハブ、又は任意の他の車両もしくは輸送機械に適用することができる。あるいは、同様の配置が、橋梁または建物の構成要素などの耐荷構造に適用されてもよい。
【0046】
前述の説明において、既知、自明または予見可能な同等物を有する数または要素が言及されている場合、そのような同等物は、個別に記載されているかのように、本明細書に組み込まれる。本発明の真の範囲を決定するための特許請求の範囲を参照すべきであり、そのような均等物を包含するように解釈すべきである。好ましい、有利な、便利な等々として記載されている本発明の数又は特徴は任意であり、独立クレームの範囲を限定しないことも読者には理解されよう。更に、このような任意の数又は特徴は、本発明の幾つかの実施例では有益であるが、望ましくない場合があり、従って、他の実施例では存在しない場合があることを理解されたい。
【国際調査報告】