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特表2024-516885ピロロトリアジン系化合物の塩形、その結晶形及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】ピロロトリアジン系化合物の塩形、その結晶形及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 519/00 20060101AFI20240410BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240410BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240410BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240410BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
C07D519/00 311
C07D519/00 CSP
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P1/00
A61K31/53
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568714
(86)(22)【出願日】2022-05-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 CN2022091452
(87)【国際公開番号】W WO2022237682
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202110501179.9
(32)【優先日】2021-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522194474
【氏名又は名称】成都嘉葆薬銀医薬科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】呉凌雲
(72)【発明者】
【氏名】魏霞蔚
(72)【発明者】
【氏名】尤旭
(72)【発明者】
【氏名】徐雄彬
(72)【発明者】
【氏名】姜寧
(72)【発明者】
【氏名】陳曙輝
【テーマコード(参考)】
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C072MM02
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA66
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
ピロロトリアジン系化合物の塩形、その結晶形及びその製造方法と応用に関し、特に、MNK1/2阻害剤薬物の製造及び/又は結腸直腸癌を治療する薬物の製造における応用に関する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物。
【化1】
【請求項2】
X線粉末回折パターンは、7.78±0.20°、11.38±0.20°及び20.58±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する、
【化2】

式(II)の化合物のA結晶形。
【請求項3】
X線粉末回折パターンが、7.78±0.20°、9.44±0.20°、11.38±0.20°、19.84±0.20°、20.58±0.20°、21.56±0.20°、22.86±0.20°及び24.82±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する、
請求項2に記載のA結晶形。
【請求項4】
X線粉末回折パターンが、6.58±0.20°、7.78±0.20°、9.44±0.20°、11.38±0.20°、14.38±0.20°、18.66±0.20°、19.84±0.20°、20.58±0.20°、21.56±0.20°、22.86±0.20°、23.54±0.20°及び24.82±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する、
請求項3に記載のA結晶形。
【請求項5】
X線粉末回折パターンが、4.78°、6.58°、7.78°、9.44°、11.38°、13.48°、14.38°、14.80°、16.42°、17.00°、17.32°、18.34°、18.66°、19.08°、19.60°、19.84°、20.28°、20.58°、21.56°、21.84°、22.52°、22.86°、23.26°、23.54°、24.46°、24.82°、25.50°、26.04°、26.58°、27.42°、27.82°、28.07°、28.42°、29.08°、29.66°、30.08°、31.20°、31.42°、38.22°及び39.04°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する、
請求項4に記載のA結晶形。
【請求項6】
XRPDパターンが基本的に図1に示すとおりである、
請求項5に記載のA結晶形。
【請求項7】
示差走査熱量曲線が287.17±3℃に吸熱ピークを有する、
請求項2~6の何れか一項に記載のA結晶形。
【請求項8】
DSCパターンが図2に示すとおりである、
請求項7に記載のA結晶形。
【請求項9】
熱重量分析曲線が200.0±3℃で重量損失0.075%に達する、
請求項2~6の何れか一項に記載のA結晶形。
【請求項10】
TGAパターンが図3に示すとおりである、
請求項9に記載のA結晶形。
【請求項11】
式(II)の化合物を溶剤に加えて懸濁液にするステップ(a)と、
懸濁液を40~55℃で2~25時間撹拌するステップ(b)と、
濾過後、30~45℃で10~24時間真空乾燥するステップ(c)とを含む、製造方法であって、
前記溶剤は、メタノール、アセトニトリル及びtert-ブチルメチルエーテルから選ばれる、
式(II)の化合物のA結晶形の製造方法。
【請求項12】
X線粉末回折パターンは、7.55±0.20°、15.13±0.20°及び19.82±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する、
式(II)の化合物のB結晶形。
【化3】
【請求項13】
X線粉末回折パターンが、6.89±0.20°、7.55±0.20°、9.50±0.20°、11.35±0.20°、12.72±0.20°、15.13±0.20°、19.82±0.20°及び26.63±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する、
請求項12に記載のB結晶形。
【請求項14】
X線粉末回折パターンが、6.89±0.20°、7.55±0.20°、9.50±0.20°、11.35±0.20°、12.24±0.20°、12.72±0.20°、15.13±0.20°、18.94±0.20°、19.82±0.20°、23.25±0.20°、26.63±0.20°及び27.27±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する、
請求項13に記載のB結晶形。
【請求項15】
X線粉末回折パターンが、4.98°、6.89°、7.55°、8.46°、9.50°、10.12°、11.35°、12.24°、12.72°、14.05°、15.13°、15.65°、16.20°、17.79°、18.94°、19.82°、20.76°、21.61°、23.25°、23.87°、26.09°、26.63°、27.27°、28.45°、29.12°、30.95°、32.32°、34.62°及び38.41°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する、
請求項14に記載のB結晶形。
【請求項16】
XRPDパターンが基本的に図4に示すとおりである、
請求項15に記載のB結晶形。
【請求項17】
示差走査熱量曲線が300.0±3℃に吸熱ピークを有する、
請求項12~16の何れか一項に記載のB結晶形。
【請求項18】
DSCパターンが図5に示すとおりである、
請求項17に記載のB結晶形。
【請求項19】
MNK1/2阻害剤薬物の製造における、請求項1に記載の式(II)の化合物、請求項2~10の何れか一項に記載のA結晶形、請求項12~18の何れか一項に記載のB結晶形、及び請求項11の方法により製造された結晶形の応用。
【請求項20】
結腸直腸癌を治療する薬物の製造における、請求項1に記載の式(II)の化合物、請求項2~10の何れか一項に記載のA結晶形、請求項12~18の何れか一項に記載のB結晶形、及び請求項11の方法により製造された結晶形の応用。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
優先権及び関連出願
本発明は、2021年5月8日に中国国家知識産権局に提出された、特許出願番号が202110501179.9、名称が「ピロロトリアジン系化合物の塩形、その結晶形及びその製造方法」である先行出願の優先権を主張する。当該先行出願の全文は、引用により本発明に組み込まれる。
[技術分野]
本発明は、ピロロトリアジン系化合物の塩形、その結晶形及びその製造方法と応用に関する。具体的には、式(II)の化合物及びその結晶形に関する。
[背景技術]
マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ相互作用キナーゼ(MAP kinase interacting kinase、MNKと略称される)は、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼに属する。ヒトのMNKは、それぞれMNK1及びMNK2遺伝子によって発現されるMNK1a、MNK1b、MNK2a、MNK2bという4つのアイソフォームがある。4つのアイソフォームは、N末端において核局在化シグナル配列(nuclear localization signal、NLS)、及びeIF4Gに結合する配列を含むため、細胞核に入って役割を果たし、下流のeIF4Eを認識して結合することができる。アイソフォームMNK1a及びMNK2aのC末端は、MAPKに結合する部位を有し、上流のERK及びp38のリン酸化によって活性化されることができる。MNK1aは、そのC末端における核外搬出シグナル配列(nuclear export signal、NES)により、細胞質に広く存在することができるが、他の3つのアイソフォームは、細胞核に存在することが多い。
【0002】
真核生物翻訳開始因子4E(eukaryotic initiation factor 4E、eIF4Eと略称される)は、キャップ結合タンパク質であり、mRNAの5’末端のキャップ構造を特異的に認識することができ、タンパク質翻訳プロセスに重要な開始因子である。S209でリン酸化されたeIF4Eは、下流のタンパク質の翻訳プロセスを促進することができ、主にc-MYC、cyclin D1、VEGF、FGF、及びmcl-1やBcl-2などの抗アポトーシスタンパク質を含む。eIF4Eの発現は、肺癌、結腸直腸癌、胃癌、膵管癌などの複数種の悪性腫瘍においてアップレギュレートされる。MNKは、eIF4Eをリン酸化できる既知の唯一のキナーゼである。なお、MNKは、腫瘍及び免疫シグナル経路に関連する複数の交差部位に位置し、例えばRASとT細胞受容体(TCR)であり、抗腫瘍免疫応答のモジュレーターの転写を選択的に制御することができる。MNK活性及びeIF4Eの活性化は、腫瘍の発生及び進行に対して非常に重要であるが、正常な細胞に対して必須ではない。従って、選択的MNK阻害剤は、低毒性の抗腫瘍薬物になることが期待されている。EFT508(WO2015/200481、WO2016/172010、WO2017/075394、WO2017/075412、WO2017/087808、WO2017/117052、WO2018/152117、WO2018/218038)は、EFFECTOR THERAPEUTICS, INC.社により開発された選択的経口MNK阻害剤である。研究により、eFT508は、PD-1、LAG3、IL-10の発現を選択的に阻害し、細胞毒性T細胞の機能を向上させることができると共に、正常なT細胞の増殖に影響を与えていないことが示されている。前臨床研究において、eFT508とPD-1モノクローナル抗体の併用によって薬効が強化できると共に、応答率が高められることが見出された。現在、第I相臨床試験が完了し、安全性が良好であり、また、血液腫瘍及び去勢性前立腺癌における単剤の使用は、何れも第II相臨床研究中であり、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(MSS CRC)の治療におけるAvelumabモノクローナル抗体との併用は、第II相臨床研究中であり、固形腫瘍の治療におけるPD-1/PD-L1療法との併用(単一のPD-1/PD-L1療法に対して疾患進行が発生したか、或いは完全寛解や部分寛解しない患者)は、第II相臨床研究中である。
[発明の概要]
本発明は、式(II)の化合物を提供する。
【0003】
【化1】
【0004】
本発明は、X線粉末回折パターンが、7.78±0.20°、11.38±0.20°及び20.58±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有することを特徴とする、式(II)の化合物のA結晶形を更に提供する。
【0005】
【化2】
【0006】
本発明の幾つかの形態において、上記A結晶形のX線粉末回折パターンは、7.78±0.20°、9.44±0.20°、11.38±0.20°、19.84±0.20°、20.58±0.20°、21.56±0.20°、22.86±0.20°及び24.82±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する。
【0007】
本発明の幾つかの形態において、上記A結晶形のX線粉末回折パターンは、6.58±0.20°、7.78±0.20°、9.44±0.20°、11.38±0.20°、14.38±0.20°、18.66±0.20°、19.84±0.20°、20.58±0.20°、21.56±0.20°、22.86±0.20°、23.54±0.20°及び24.82±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する。
【0008】
本発明の幾つかの形態において、上記A結晶形のX線粉末回折パターンは、4.78°±0.20°、6.58°±0.20°、7.78°±0.20°、9.44°±0.20°、11.38°±0.20°、13.48°±0.20°、14.38°±0.20°、14.80°±0.20°、16.42°±0.20°、17.00°±0.20°、17.32°±0.20°、18.34°±0.20°、18.66°±0.20°、19.08°±0.20°、19.60°±0.20°、19.84°±0.20°、20.28°±0.20°、20.58°±0.20°、21.56°±0.20°、21.84°±0.20°、22.52°±0.20°、22.86°±0.20°、23.26°±0.20°、23.54°±0.20°、24.46°±0.20°、24.82°±0.20°、25.50°±0.20°、26.04°±0.20°、26.58°±0.20°、27.42°±0.20°、27.82°±0.20°、28.07°±0.20°、28.42°±0.20°、29.08°±0.20°、29.66°±0.20°、30.08°±0.20°、31.20°±0.20°、31.42°±0.20°、38.22°±0.20°及び39.04°±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する。
【0009】
本発明の幾つかの形態において、上記A結晶形のX線粉末回折パターンは、4.78°±0.10°、6.58°±0.10°、7.78°±0.10°、9.44°±0.10°、11.38°±0.10°、13.48°±0.10°、14.38°±0.10°、14.80°±0.10°、16.42°±0.10°、17.00°±0.10°、17.32°±0.10°、18.34°±0.10°、18.66°±0.10°、19.08°±0.10°、19.60°±0.10°、19.84°±0.10°、20.28°±0.10°、20.58°±0.10°、21.56°±0.10°、21.84°±0.10°、22.52°±0.10°、22.86°±0.10°、23.26°±0.10°、23.54°±0.10°、24.46°±0.10°、24.82°±0.10°、25.50°±0.10°、26.04°±0.10°、26.58°±0.10°、27.42°±0.10°、27.82°±0.10°、28.07°±0.10°、28.42°±0.10°、29.08°±0.10°、29.66°±0.10°、30.08°±0.10°、31.20°±0.10°、31.42°±0.10°、38.22°±0.10°及び39.04°±0.10°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する。
【0010】
本発明の幾つかの形態において、上記A結晶形のX線粉末回折パターンは、4.78°、6.58°、7.78°、9.44°、11.38°、13.48°、14.38°、14.80°、16.42°、17.00°、17.32°、18.34°、18.66°、19.08°、19.60°、19.84°、20.28°、20.58°、21.56°、21.84°、22.52°、22.86°、23.26°、23.54°、24.46°、24.82°、25.50°、26.04°、26.58°、27.42°、27.82°、28.07°、28.42°、29.08°、29.66°、30.08°、31.20°、31.42°、38.22°及び39.04°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する。
【0011】
本発明の幾つかの形態において、上記A結晶形のX線粉末回折パターンは、4.78°±0.20°、及び/又は6.58°±0.20°、及び/又は7.78°±0.20°、及び/又は9.44°±0.20°、及び/又は11.38°±0.20°、及び/又は13.48°±0.20°、及び/又は14.38°±0.20°、及び/又は14.80°±0.20°、及び/又は16.42°±0.20°、及び/又は17.00°±0.20°、及び/又は17.32°±0.20°、及び/又は18.34°±0.20°、及び/又は18.66°±0.20°、及び/又は19.08°±0.20°、及び/又は19.60°±0.20°、及び/又は19.84°±0.20°、及び/又は20.28°±0.20°、及び/又は20.58°±0.20°、及び/又は21.56°±0.20°、及び/又は21.84°±0.20°、及び/又は22.52°±0.20°、及び/又は22.86°±0.20°、及び/又は23.26°±0.20°、及び/又は23.54°±0.20°、及び/又は24.46°±0.20°、及び/又は24.82°±0.20°、及び/又は25.50°±0.20°、及び/又は26.04°±0.20°、及び/又は26.58°±0.20°、及び/又は27.42°±0.20°、及び/又は27.82°±0.20°、及び/又は28.07°±0.20°、及び/又は28.42°±0.20°、及び/又は29.08°±0.20°、及び/又は29.66°±0.20°、及び/又は30.08°±0.20°、及び/又は31.20°±0.20°、及び/又は31.42°±0.20°、及び/又は38.22°±0.20°、及び/又は39.04°±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する。
【0012】
本発明の幾つかの形態において、上記A結晶形のX線粉末回折パターンは、4.78°±0.10°、及び/又は6.58°±0.10°、及び/又は7.78°±0.10°、及び/又は9.44°±0.10°、及び/又は11.38°±0.10°、及び/又は13.48°±0.10°、及び/又は14.38°±0.10°、及び/又は14.80°±0.10°、及び/又は16.42°±0.10°、及び/又は17.00°±0.10°、及び/又は17.32°±0.10°、及び/又は18.34°±0.10°、及び/又は18.66°±0.10°、及び/又は19.08°±0.10°、及び/又は19.60°±0.10°、及び/又は19.84°±0.10°、及び/又は20.28°±0.10°、及び/又は20.58°±0.10°、及び/又は21.56°±0.10°、及び/又は21.84°±0.10°、及び/又は22.52°±0.10°、及び/又は22.86°±0.10°、及び/又は23.26°±0.10°、及び/又は23.54°±0.10°、及び/又は24.46°±0.10°、及び/又は24.82°±0.10°、及び/又は25.50°±0.10°、及び/又は26.04°±0.10°、及び/又は26.58°±0.10°、及び/又は27.42°±0.10°、及び/又は27.82°±0.10°、及び/又は28.07°±0.10°、及び/又は28.42°±0.10°、及び/又は29.08°±0.10°、及び/又は29.66°±0.10°、及び/又は30.08°±0.10°、及び/又は31.20°±0.10°、及び/又は31.42°±0.10°、及び/又は38.22°±0.10°、及び/又は39.04°±0.10°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する。
【0013】
本発明の幾つかの形態において、上記A結晶形のXRPDパターンは基本的に図1に示すとおりである。
【0014】
本発明の幾つかの形態において、上記A結晶形のXRPDはCu-Kα照射を用いて測定される。
【0015】
本発明の幾つかの形態において、上記A結晶形のXRPDパターン解析データは表1に示すとおりである。
【0016】
【表1】
【0017】
本発明の幾つかの形態において、上記A結晶形の示差走査熱量曲線は287.17±3℃に吸熱ピークを有する。
【0018】
本発明の幾つかの形態において、上記A結晶形のDSCパターンは図2に示すとおりである。
【0019】
本発明の幾つかの形態において、上記A結晶形の熱重量分析曲線(TGA)は200.0±3℃で重量損失0.075%に達する。
【0020】
本発明の幾つかの形態において、上記A結晶形のTGAパターンは図3に示すとおりである。
【0021】
本発明は、
式(II)の化合物を溶剤に加えて懸濁液にするステップ(a)と、
懸濁液を40~55℃で2~25時間撹拌するステップ(b)と、
濾過後、30~45℃で10~24時間真空乾燥するステップ(c)と、を含む製造方法であって、
上記溶剤は、メタノール、アセトニトリル及びtert-ブチルメチルエーテルから選ばれる、式(II)の化合物A結晶形の製造方法を更に提供する。
【0022】
本発明は、X線粉末回折(XRPD)パターンが、7.55±0.20°、15.13±0.20°及び19.82±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有することを特徴とする、式(II)の化合物のB結晶形を提供する。
【0023】
【化3】
【0024】
本発明の幾つかの形態において、上記B結晶形のX線粉末回折パターンは、6.89±0.20°、7.55±0.20°、9.50±0.20°、11.35±0.20°、12.72±0.20°、15.13±0.20°、19.82±0.20°及び26.63±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する。
【0025】
本発明の幾つかの形態において、上記B結晶形のX線粉末回折パターンは、6.89±0.20°、7.55±0.20°、9.50±0.20°、11.35±0.20°、12.24±0.20°、12.72±0.20°、15.13±0.20°、18.94±0.20°、19.82±0.20°、23.25±0.20°、26.63±0.20°及び27.27±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する。
【0026】
本発明の幾つかの形態において、上記B結晶形のX線粉末回折パターンは、4.98°±0.20°、6.89°±0.20°、7.55°±0.20°、8.46°±0.20°、9.50°±0.20°、10.12°±0.20°、11.35°±0.20°、12.24°±0.20°、12.72°±0.20°、14.05°±0.20°、15.13°±0.20°、15.65°±0.20°、16.20°±0.20°、17.79°±0.20°、18.94°±0.20°、19.82°±0.20°、20.76°±0.20°、21.61°±0.20°、23.25°±0.20°、23.87°±0.20°、26.09°±0.20°、26.63°±0.20°、27.27°±0.20°、28.45°±0.20°、29.12°±0.20°、30.95°±0.20°、32.32°±0.20°、34.62°±0.20°及び38.41°±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する。
【0027】
本発明の幾つかの形態において、上記B結晶形のX線粉末回折パターンは、4.98°±0.10°、6.89°±0.10°、7.55°±0.10°、8.46°±0.10°、9.50°±0.10°、10.12°±0.10°、11.35°±0.10°、12.24°±0.10°、12.72°±0.10°、14.05°±0.10°、15.13°±0.10°、15.65°±0.10°、16.20°±0.10°、17.79°±0.10°、18.94°±0.10°、19.82°±0.10°、20.76°±0.10°、21.61°±0.10°、23.25°±0.10°、23.87°±0.10°、26.09°±0.10°、26.63°±0.10°、27.27°±0.10°、28.45°±0.10°、29.12°±0.10°、30.95°±0.10°、32.32°±0.10°、34.62°±0.10°及び38.41°±0.10°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する。
【0028】
本発明の幾つかの形態において、上記B結晶形のX線粉末回折パターンは、4.98°、6.89°、7.55°、8.46°、9.50°、10.12°、11.35°、12.24°、12.72°、14.05°、15.13°、15.65°、16.20°、17.79°、18.94°、19.82°、20.76°、21.61°、23.25°、23.87°、26.09°、26.63°、27.27°、28.45°、29.12°、30.95°、32.32°、34.62°及び38.41°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する。
【0029】
本発明の幾つかの形態において、上記B結晶形のX線粉末回折パターンは、4.98°±0.20°、及び/又は6.89°±0.20°、及び/又は7.55°±0.20°、及び/又は8.46°±0.20°、及び/又は9.50°±0.20°、及び/又は10.12°±0.20°、及び/又は11.35°±0.20°、及び/又は12.24°±0.20°、及び/又は12.72°±0.20°、及び/又は14.05°±0.20°、及び/又は15.13°±0.20°、及び/又は15.65°±0.20°、及び/又は16.20°±0.20°、及び/又は17.79°±0.20°、及び/又は18.94°±0.20°、及び/又は19.82°±0.20°、及び/又は20.76°±0.20°、及び/又は21.61°±0.20°、及び/又は23.25°±0.20°、及び/又は23.87°±0.20°、及び/又は26.09°±0.20°、及び/又は26.63°±0.20°、及び/又は27.27°±0.20°、及び/又は28.45°±0.20°、及び/又は29.12°±0.20°、及び/又は30.95°±0.20°、及び/又は32.32°±0.20°、及び/又は34.62°±0.20°、及び/又は38.41°±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する。
【0030】
本発明の幾つかの形態において、上記B結晶形のX線粉末回折パターンは、4.98°±0.10°、及び/又は6.89°±0.10°、及び/又は7.55°±0.10°、及び/又は8.46°±0.10°、及び/又は9.50°±0.10°、及び/又は10.12°±0.10°、及び/又は11.35°±0.10°、及び/又は12.24°±0.10°、及び/又は12.72°±0.10°、及び/又は14.05°±0.10°、及び/又は15.13°±0.10°、及び/又は15.65°±0.10°、及び/又は16.20°±0.10°、及び/又は17.79°±0.10°、及び/又は18.94°±0.10°、及び/又は19.82°±0.10°、及び/又は20.76°±0.10°、及び/又は21.61°±0.10°、及び/又は23.25°±0.10°、及び/又は23.87°±0.10°、及び/又は26.09°±0.10°、及び/又は26.63°±0.10°、及び/又は27.27°±0.10°、及び/又は28.45°±0.10°、及び/又は29.12°±0.10°、及び/又は30.95°±0.10°、及び/又は32.32°±0.10°、及び/又は34.62°±0.10°、及び/又は38.41°±0.10°の2θ角度に特徴的回折ピークを有する。
【0031】
本発明の幾つかの形態において、上記B結晶形のXRPDパターンは基本的に図4に示すとおりである。
【0032】
本発明の幾つかの形態において、上記B結晶形のXRPDはCu-Kα照射を用いて測定される。
【0033】
本発明の幾つかの形態において、上記B結晶形のXRPDパターン解析データは表2に示すとおりである。
【0034】
【表2】
【0035】
本発明の幾つかの形態において、上記B結晶形の示差走査熱量曲線は300.0±3℃に吸熱ピークを有する。
【0036】
本発明の幾つかの形態において、上記B結晶形のDSCパターンは図5に示すとおりである。
【0037】
本発明は、
式(II)の化合物を溶剤に加えて懸濁液にするステップ(a)と、
懸濁液を40~55℃で2~25時間撹拌するステップ(b)と、
濾過後、30~45℃で10~24時間真空乾燥するステップ(c)と、を含む製造方法であって、
上記溶剤は、エタノール及びn-ヘプタンから選ばれる、式(II)の化合物B結晶形の製造方法を更に提供する。
【0038】
本発明は、MNK1/2阻害剤薬物の製造における、上記式(II)の化合物、上記A結晶形及び上記B結晶形、又は上記方法により製造された結晶形の応用を更に提供する。
【0039】
本発明は、結腸直腸がんを治療する薬物の製造における、上記式(II)の化合物、上記A結晶形及び上記B結晶形、又は上記方法により製造された結晶形の応用を更に提供する。
[発明の効果]
本発明に係る式(I)の化合物は、MNK1/2に対して非常に高い選択性を有し、且つ当該キナーゼに対して顕著な阻害活性を有すると共に、比較的良い膜透過性を有し、且つ優れた薬物動態学及び薬力学的性質を有する。また、式(II)の化合物は、各結晶形が安定的であり、光、熱、湿度の影響が少なく、且つ体内での薬効が良好であり、製薬見込みが広い。
【0040】
定義及び説明
特に断りのない限り、本願に用いられる下記用語及び語句は、下記意味を有することを意図する。特定の語句又は用語は、特に定義されていない場合、不明確又は不明瞭であると見なされるべきではなく、通常の意味で理解すべきである。本願に商品名が記載されている場合、その対応する商品又はその活性成分を示すことを意図する。
【0041】
本発明に係る中間体化合物は当業者に周知の複数種の合成方法により製造可能であり、以下に挙げられる具体的な実施形態、その他の化学合成法と組み合わせることにより形成される実施形態、及び当業者に周知の同等の代替方法が含まれ、好ましい実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0042】
本発明の具体的な実施形態の化学反応は適当な溶剤において完成され、上記溶剤は、本発明の化学変化及びその必要な試薬と材料に適しなければならない。本発明の化合物を得るために、当業者は、既存の実施形態に基づいて合成工程又は反応プロセスを修正し又は選択する必要がある場合がある。
【0043】
本発明に係る化合物は、当業者によく知られている従来の方法で構造を確認することができ、本発明は化合物の絶対配置に関わる場合、当該絶対配置は、この分野で従来の技術的手段により確認することができる。例えば、単結晶X線回折法(SXRD)では、培養された単結晶に対して回折強度データをBruker D8 venture回折計により収集し、光源がCuKα放射で、走査方式がφ/ω走査であり、相関データを収集した後、更に直接法(Shelxs97)により結晶構造を解析することで、絶対配置を確認することができる。
【0044】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらの実施例は、本発明を限定するものではない。
【0045】
本発明に用いられる全ての溶剤は市販されるものであり、更に精製することなく使用することができる。
【0046】
本発明に記載の略語について、DCMはジクロロメタンを表し、DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを表し、DMSOはジメチルスルホキシドを表し、EtOHはエタノールを表し、MeOHはメタノールを表し、2-MeTHFは2-メチルテトラヒドロフランを表し、Dioxaneはジオキサンを表し、ACNはアセトニトリルを表し、Tolueneはトルエンを表し、Acetoneはアセトンを表し、EtOAcは酢酸エチルを表し、THFはテトラヒドロフランを表し、H2Oは水を表し、TosOHはp-トルエンスルホン酸を表す。
【0047】
化合物は、当該分野での従来の命名原則に従い、又はChemDraw(登録商標)ソフトウェアにより命名され、市販化合物は供給業者のカタログ名称を採用する。
[図面の簡単な説明]
図1]式(II)の化合物のA結晶形のXRPDパターンである。
図2]式(II)の化合物のA結晶形のDSCパターンである。
図3]式(II)の化合物のA結晶形のTGAパターンである。
図4]式(II)の化合物のB結晶形のXRPDパターンである。
図5]式(II)の化合物のB結晶形のDSCパターンである。
図6]式(II)の化合物のA結晶形のDVSパターンである。
図7]式(II)の化合物の単結晶楕円体図である。
【0048】
機器パラメータ
本発明のA結晶形のX-線粉末回折(X-ray powder diffractometer、XRPD)法の測定パラメータを表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
本発明のA結晶形の示差熱分析(Differential Scanning Calorimeter、DSC)法の測定パラメータを表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】
本発明のA結晶形の熱重量分析(Thermal Gravimetric Analyzer、TGA)法の測定パラメータを表5に示す。
【0053】
【表5】
【0054】
本発明のA結晶形の動的蒸気吸着分析(Dynamic Vapor Sorption、DVS)法の測定パラメータを表6に示す。
【0055】
【表6】
【0056】
吸湿性評価分類を下記の表7に示すとおりである。
【0057】
【表7】
【0058】
本発明のB結晶形のX-線粉末回折(X-ray powder diffractometer、XRPD)法の測定パラメータを表8に示す。
【0059】
【表8】
【0060】
本発明のB結晶形の示差熱分析(Differential Scanning Calorimeter、DSC)法の測定パラメータを表9に示す。
【0061】
【表9】
【0062】
実施例1:式(I)の化合物の製造
【0063】
【化4】
【0064】
ステップ1
化合物1a(100 g、462 mmol)をエタノール(500 mL)に溶解し、0℃で濃硫酸(49.94 g、509 mmol、純度:98%)を滴下し、反応液を95℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、反応液を減圧濃縮して大部分のエタノールを除去し、濃縮液に水(300 mL)を加え、酢酸エチル(250 mL×3)で抽出し、合わせた有機相を飽和炭酸水素ナトリウム(300 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮し、化合物1bを得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.60 (s, 1H), 7.78 (s, 1H), 4.48-4.42 (m, 2H), 2.58 (s, 3H), 1.43 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0065】
ステップ2
化合物1b(10.0 g、41.0 mmol)をジクロロメタン(200 mL)に溶解し、0℃で撹拌しながらトリフルオロ酢酸無水物(17.2 g、81.9 mmol)及び過酸化水素尿素(8.09 g、86.0 mmol)を加え、反応液を25℃に昇温して16時間撹拌した。反応液に水(200 mL)を加え、ジクロロメタン(100 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム(200 mL×2)及び飽和食塩水(500 mL)を順に用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、化合物1cを得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.23 (s, 1H), 7.29 (s, 1H), 4.52-4.45 (m, 2H), 2.29 (s, 3H), 1.41 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0066】
ステップ3
化合物1c(22.0 g、84.6 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(130 mL)に溶解し、0℃で撹拌しながらトリフルオロ酢酸無水物(35.5 g、169 mmol)を加え、反応液を50℃で1時間撹拌した。反応液に水(200 mL)を加え、酢酸エチル(100 mL×4)で抽出し、有機相を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム(200 mL×3)及び飽和食塩水(150 mL×3)を順に用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。粗製品を石油エーテル/酢酸エチルの混合溶液(8/1、90 mL)において室温で2時間撹拌し、濾過して化合物1dを得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.89 (br s, 1H), 7.75 (s, 1H), 4.46-4.41 (m, 2H), 2.44 (s, 3H), 1.43 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0067】
ステップ4
化合物1d(2.00 g、7.69 mmol)をエタノール(20 mL)に溶解し、アンモニア水(16.2 g、115 mmol、純度:25%)を加え、反応液を40℃で16時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、粗製品をメタノール/ジクロロメタンの混合溶液(1/5、48 mL)において室温で一晩撹拌した。その後、濾過し、ジクロロメタン(5 mL×2)で洗浄し、濾過ケーキを減圧濃縮して化合物1eを得た。MS-ESI計算値[M+H]+が231及び233で、実測値が231及び233であった。
【0068】
ステップ5
化合物1e(500 mg、1.97 mmol)及びシクロペンタノン(664 mg、7.89 mmol)を無水ジオキサン(6 mL)に溶解し、反応液に濃硫酸(98.7 mg、0.986 mmol、純度:98%)を1滴ずつ加え、反応液を95℃で3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮して一部のジオキサン(約3 mL)を除去し、濾過した。収集した濾過ケーキにn-ヘキサン(10 mL)を加え、室温で2時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを真空下で2時間乾燥し、化合物1fを得た。MS-ESI計算値[M+H]+が297及び299で、実測値が297及び299であった。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ10.16 (s, 1H), 8.02 (s, 1H), 2.71-2.78 (m, 2H), 2.37 (s, 3H), 1.91-1.93 (m, 2H), 1.79-1.84 (m, 2H), 1.63-1.67 (m, 2H)。
【0069】
ステップ6
化合物1g(50 g、0.442 mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(67.3 g、0.442 mol)をテトラヒドロフラン(500 mL)に溶解した。反応液を55℃に加熱し、この温度で反応液にアセトアルデヒド(9.74 g、0.221 mol)を加えた。反応液を55℃で18時間撹拌した。反応液を22℃に降温させ、酢酸(25 mL)でクエンチした。反応液を減圧濃縮し、残留物を酢酸エチル(1000 mL)及び希塩酸(1000 mL、1 M)に溶解し、分液した後、有機相を保持し、水相を酢酸エチルで抽出し(300 mL×3)、有機相を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(100 mL)及び食塩水(200 mL)を順に用いて有機相を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離して(4/1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.56)化合物1hを得た。MS-ESI計算値[M+H]+が226で、実測値が226であった。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ9.29 (br s, 1H), 7.48 (d, J=3.2 Hz, 1H), 4.35 (q, J=7.2 Hz, 2H), 4.29 (q, J=7.2 Hz, 2H), 2.61 (s, 3H), 1.38 (t, J=7.2 Hz, 3H), 1.35 (m, J=7.2 Hz, 3H)。
【0070】
ステップ7
化合物1h(11.0 g、48.8 mmol)をN-メチルピロリドン(60 mL)に溶解し、反応液にカリウムtert-ブトキシド(6.03 g、53.7 mmol)を加えた。反応液を25℃で0.5時間撹拌した後、化合物1i(9.78 g、53.7 mmol)のN-メチルピロリドン(30 mL)溶液を加えた。引き続き反応液を20時間撹拌した。反応液を水(200 mL)で洗浄し、酢酸エチルで抽出し(200 mL×3)、有機相を合わせ、有機相を飽和食塩水(20 mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離して(4/1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.55)化合物1jを得た。MS-ESI計算値[M+H]+が241で、実測値が241であった。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.49 (s, 1H), 4.35 (q, J=7.2 Hz, 2H), 4.27 (q, J=7.2 Hz, 2H), 2.57 (s, 3H), 1.40 (t, J=7.2 Hz, 3H), 1.34 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0071】
ステップ8
化合物1j(10.2 g、42.5 mmol)をカルボキサミド(120 mL)に溶解し、反応液にリン酸(832 mg、8.49 mmol)を加えた。反応液を125℃で16時間撹拌した。反応液を22℃に降温させ、この時、大量の白色固体が析出した。混合物を濾過し、収集した濾過ケーキを石油エーテル/酢酸エチルの混合溶液(1/1、100 mL)に加え、混合物を30℃で0.5時間撹拌し、濾過して化合物1kを得た。MS-ESI計算値[M+H]+が222で、実測値が222であった。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ7.90 (s, 1H), 7.84 (s, 1H), 4.23 (q, J=7.2 Hz, 2H), 2.61 (s, 3H), 1.28 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0072】
ステップ9
化合物1k(4.00 g、18.0 mmol)を無水テトラヒドロフラン(50 mL)に溶解した。25℃で反応液にメチルマグネシウムブロミド(30.1 mL、90.3 mmol)を滴下した後、反応を25℃に昇温させ、15時間撹拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム溶液(100 mL)でクエンチし、酢酸エチル(50 mL×5)で抽出し、有機相を合わせ、有機相を飽和食塩水(10 mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物を薄層クロマトグラフィーによって分離して(2/1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.39)化合物1lを得た。
【0073】
MS-ESI計算値[M+H]が+208で、実測値が208であった。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.30 (br s, 1H), 7.24 (br s, 1H), 2.59 (s, 3H), 1.54 (s, 6H)。
【0074】
ステップ10
化合物1l(1.00 g、4.83 mmol)、過酸化水素水(4.64 mL、48.26 mmol、含有量:30%)を無水テトラヒドロフラン(30 mL)に溶解した。0℃で反応液に冷メタンスルホン酸(3.44 mL、48.26 mmol)の水(10 mL)溶液を滴下した。反応液を0℃で1時間撹拌した。ヨウ化カリウムデンプン紙が陰性を示すまで、反応液を10%亜硫酸ナトリウム水溶液(15 mL)でクエンチした。溶液を酢酸エチル(50 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、有機相を飽和食塩水(10 mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離して(2/1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.38)化合物1mを得た。MS-ESI計算値[M+H]+が166で、実測値が166であった。
【0075】
ステップ11
化合物1m(400 mg、2.42 mmol)を無水テトラヒドロフラン(10 mL)に溶解し、反応液にトリエチルアミン(0.674 mL、4.84 mmol)、塩化ピバロイル(350 mg、4.84 mmol)を加えた。反応液を0℃で1時間撹拌し、反応液を水(10 mL)で洗浄し、酢酸エチルで抽出し(10 mL×5)、有機相を合わせ、有機相を飽和食塩水(10 mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物を薄層クロマトグラフィーによって分離して(2/1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.63)化合物1nを得た。MS-ESI計算値[M+H]+が250で、実測値が250であった。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.61 (s, 1H), 7.47 (s, 1H), 2.34 (s, 3H), 1.38 (s, 9H)。
【0076】
ステップ12
化合物1n(450 mg、1.81 mmol)をオキシ塩化リン(8.85 mL)に溶解した。反応液を100℃で1時間撹拌した。反応液を室温に降温させ、飽和炭酸水素アンモニウム溶液(300 mL)に注入した。混合物をジクロロメタンで抽出し(50 mL×3)、有機相を合わせ、有機相を飽和食塩水(20 mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物1oを得た。MS-ESI計算値[M+H]+が268で、実測値が268であった。
【0077】
ステップ13
化合物1o(2.00 g、7.47 mmol)、2,4-ジメトキシベンジルアミン(1.87 g、11.21 mmol)、トリエチルアミン(2.27 g、22.4 mmol)を無水テトラヒドロフラン(30 mL)に溶解した。反応液を70℃で1時間撹拌した。反応液を減圧濃縮して化合物1pを粗製品として得た。MS-ESI計算値[M+H]+が399で、実測値が399であった。
【0078】
ステップ14
化合物1p(3.50 g、8.78 mmol)をメタノール(3 mL)及びテトラヒドロフラン(20 mL)に溶解し、反応液に水酸化ナトリウム(703 mg、17.6 mmol)の水(20 mL)溶液を加えた。反応液を25℃で0.5時間撹拌した。反応液を濃縮して有機溶剤を除去し、水相を希塩酸水溶液(1 M)でpH=7に調節し、混合物をジクロロメタンで抽出し(50 mL×3)、有機相を合わせ、有機相を飽和食塩水(10 mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離して(2/1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.32)化合物1qを得た。MS-ESI計算値[M+H]+が315で、実測値が315であった。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.67 (s, 1H), 7.21 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.07 (s, 1H), 6.56 (d, J=2.4 Hz, 1H), 6.47 (dd, J=2.4, 8.4 Hz, 1H), 4.66 (s, 2H), 3.90 (s, 3H), 3.79 (s, 3H), 2.36 (s, 3H)。
【0079】
ステップ15
化合物1t(250 mg、795 μmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(4 mL)に溶解した後、化合物1q(187 mg、875 μmol)及び水酸化ナトリウム(63.6 mg、1.59 mmol)を加え、50℃で0.5時間撹拌した。反応が完了した後、反応液に水(50 mL)を加えて希釈し、酢酸エチルで抽出し(30 mL×3)、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって分離して(1:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.1)化合物1rを得た。MS-ESI計算値[M+H]+が448で、実測値が448であった。
【0080】
ステップ16
化合物1r(300 mg、670 μmol)をトリフルオロ酢酸(3.0 mL)に溶解し、反応液を100℃で1時間撹拌した。反応が完了した後、反応液を濃縮し、残留物を高速液体クロマトグラフィー(塩酸系)によって精製して化合物1sの塩酸塩を得た。MS-ESI計算値[M+H]+が298で、実測値が298であった。
【0081】
ステップ17
化合物1sの塩酸塩(90 mg)、化合物1f(72 mg、241 μmol)を無水ジオキサン(2 mL)に溶解した後、炭酸セシウム(250 mg、766 μmol)及びメタンスルホン酸(2-ジシクロヘキシルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2,4,6-トリイソプロピル-1,1-ビフェニル)(2-アミノ-1,1-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(20 mg、21.9 μmol)を加え、反応液を窒素ガス保護で105℃で12時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって分離して(10:1、ジクロロメタン/メタノール、Rf=0.3)精製して化合物を粗製品として得た。粗製品にメタノールとエタノールの混合溶液(4/1、10 mL)を加え、20℃で16時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキをメタノールで洗浄し(2 mL×2)、水で洗浄し(2 mL×2)、乾燥して式(I)の化合物を得た。MS-ESI計算値[M+H]+が514で、実測値が514であった。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.00 (s, 1H), 8.84 (s, 1H), 8.64 (s, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.70 (s, 1H), 4.08 (t, J=5.6 Hz, 2H), 3.00 (t, J=13.5 Hz, 2H), 2.91-2.78 (m, 6H), 2.47 (s, 3H), 2.46 (s, 3H), 2.31-2.18 (m, 2H), 2.04-1.92 (m, 2H), 1.91-1.78 (m, 2H), 1.76-1.62 (m, 2H)。
【0082】
実施例2:式(II)の化合物の製造及びその単結晶の培養
【0083】
【化5】
【0084】
式(I)の化合物(2 g、3.89 μmol)をヘキサフルオロイソプロパノール(40 mL)と撹拌して均一に混合し、溶液にp-トルエンスルホン酸一水和物(814.89 mg、4.28 mmol)を加え、反応液を40℃で3時間撹拌し、反応液をイソプロパノール(160 mL)に滴下し、濾過し、濾過ケーキを真空乾燥して式(II)の化合物を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.02 (s, 1H), 8.86 (br s, 1H), 8.64 (s, 1H), 8.11 (s, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.48 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.10 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.31 (br d, J = 4.4 Hz, 2H), 4.08 - 3.62 (m, 6H), 2.89 - 2.78 (m, 2H), 2.72 - 2.57 (m, 2H), 2.51 (br s, 3H), 2.46 (s, 3H), 2.28 (s, 3H), 1.95-1.97 (m, 2H), 1.89 - 1.79 (m, 2H), 1.73 - 1.64 (m, 2H)。MS-ESI計算値[M+H]+が514で、実測値が514であった。
【0085】
適量な式(II)の化合物を室温で1 mLのジクロロメタン/メタノール(1:1)に溶解し、サンプル溶液を4 mLの半密封のサンプル瓶に入れ、室温で徐々に揮発させた。翌日、無色塊状結晶を得て、X-ray単結晶回折測定に供し、単結晶構造解析の結果を図7に示す。
【0086】
実施例3:式(II)の化合物のA結晶形の製造
内部温度を20~30℃に制御し、反応釜にアセトニトリル(7.0 L)、式(I)の化合物(700.22 g)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(272.25 g)を順に加え、反応釜の内部温度を45~55℃に昇温して4.5時間撹拌した。濾過し、濾過ケーキをアセトニトリル(0.7 L)で濯いだ。得られた濾過ケーキを反応釜に移し、アセトニトリル(7.0 L)を加えた後、45~55℃で20時間撹拌した。濾過し、濾過ケーキをアセトニトリル(0.7 L)及びtert-ブチルメチルエーテル(1.4 L)で順に濯いだ後、45℃以下の温度、圧力≦-0.1 MPaで17時間真空減圧乾燥し、式(II)の化合物のA結晶形を得た。そのXRPD、DSC、TGA検出結果を図1図2及び図3に示す。
【0087】
実施例4:異なる溶剤における式(II)の化合物の結晶形のスクリーニング試験
約50 mgの式(II)の化合物をそれぞれ秤量して異なる溶剤に入れ、50℃で3時間撹拌し、反応液を室温に冷却し、濾過して収集し、真空で乾燥して固体を得て、XRPD測定を行い、実験結果を下記の表10に示す。
【0088】
【表10】
【0089】
結論:式(II)の化合物は、メタノール、アセトニトリル及びtert-ブチルメチルエーテル中で結晶形Aを形成し、エタノール及びn-ヘプタン中で結晶形Bを形成した。そのうち、B結晶形のXRPD、DSC検出結果を順に図4及び図5に示す。
【0090】
実施例5:式(II)の化合物のA結晶形の吸湿性研究
実験材料:
SMS DVS intrinsic動的気体吸着装置
実験方法:
式(II)の化合物のA結晶形10~15 mgをDVSサンプルパンに取り、測定を行った。
【0091】
実験結果:
式(II)の化合物のA結晶形のDVSパターンを図6に示し、△W=1.179%であった。
【0092】
実験結論:
式(II)の化合物のA結晶形は25℃、80%のRHでの吸湿重量増加が1.179%であり、吸湿性が比較的弱く、且つ吸湿前後で結晶形が変化しないため、安定的な結晶形であった。
【0093】
実験例6:本発明に係る化合物のA結晶形の固体安定性試験研究
本発明に係る化合物のA結晶形について、中国薬局方2020年版4部9001「原薬及び製剤の安定性試験ガイドライン」及び中国国家食品医薬品監督管理局医薬品審査センターが発行した「化学薬(原薬及び製剤)安定性研究技術ガイドライン(改訂)」並びにICH Q1Bの規定要件を参考に、加速放出安定性試験及び長期放出安定性研究を行った。
【0094】
1.長期加速放出安定性試験:
各サンプルを2層のLDPE製袋に入れ、LDPE製袋の各層に対してそれぞれベルトで密封し、更にアルミ箔袋に入れてヒートシールし、次に、相応する条件の安定箱に入れて考察した。化合物のA結晶形固体の安定性試験の結果を表11に示す。
【0095】
【表11】
【0096】
結論:本発明の化合物のA結晶形は、長期加速放出安定性試験条件で良好な安定性を有し、A結晶形は安定的な結晶形に属する。
【0097】
生物活性測定
測定例1:MNK2タンパク質キナーゼに対する本発明に係る化合物の阻害活性のインビトロ評価
実験の目的:化合物のMNK2タンパク質キナーゼ阻害活性を検出すること
実験材料:アッセイ緩衝溶液は、8 mMの3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、0.2 mMのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、0.01%のポリオキシエチレンラウリルエーテル、5%のグリセリン、0.1%のβ-メルカプトエタノール、1 mgのウシ血清アルブミン
実験操作:Eurofins Pharma Discovery Services UK LimitedのKinaseProfilerTMサービスを用いてMnk2タンパク質キナーゼ阻害活性を測定した。測定待ちの化合物を含む連続DMSO希釈液(10μMから3倍連続希釈を行った)、MNK2(h)タンパク質キナーゼ及び0.33 mg/mLのミエリン塩基性タンパク質を新たに製造した緩衝溶液(pH 7.0)に加え、均一に撹拌した。33P-ATP(放射強度10μCi/μL)及び10 mMの酢酸マグネシウム混合物を加えて反応を開始し、室温で40分間反応させ、リン酸を加えて0.5%の濃度に希釈して反応を停止した。10 μLの反応液をP30濾過機(P30 filtermat)で濾過し、0.425%のリン酸で1回あたり4分間で4回洗浄し、メタノールで1回洗浄し、乾燥した後、Filter-Binding方法によって放射強度を検出した。
【0098】
化合物のタンパク質キナーゼ阻害活性は、ブランクプライマー(純粋なDMSO)に対して残されたタンパク質キナーゼ活性の百分率として示される。IC50値及び曲線はPrism4ソフトパケット(GraphPad)を利用して計算し、具体的な情報を下記の表12に示す。
【0099】
【表12】
【0100】
実験結論:本発明の式(I)の化合物は、MNK2タンパク質キナーゼに対する優れた阻害活性を示した。
【0101】
測定例2:eIF4Eリン酸化に対する本発明に係る化合物の阻害活性のインビトロ評価
実験の目的:HCT116細胞株のeIF4Eリン酸化に対する化合物の阻害IC50値を検出すること。
【0102】
実験材料:HCT116細胞(ATCC)、RPMl1640培地(Life technology)、ウシ胎児血清(Hyclone)、二重抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシン)(Millipore)、リン酸塩緩衝溶液(Corning)、384ウェル細胞プレート(PerkinElmer)、AlphaLISA(登録商標)SureFire(登録商標)UltraTM p-eIF4E(Ser209)Assay Kit(PerkinElmer)
実験操作:HCT116細胞を消化して、細胞懸濁液を製造し、96ウェルプレートにプレーティングした。その後、細胞プレートをインキュベーターに入れて一晩培養した。化合物を相応する濃度まで希釈して細胞培養プレートに加え、引き続き3時間培養した。その後、lysis bufferを用いて細胞を溶解させ、溶解液を384ウェルプレートに移した。試薬キットの説明書に従って混合受容体を新たに製造し、且つ384ウェルプレートに加え、室温で1時間インキュベートし、試薬キットの説明書に従って混合給与体を新たに製造し、384ウェルプレートに加え、室温で1時間インキュベートし、EnVisionにおいて標準的なAlphaLISAプログラムを用いてシグナルを読み取り、Graphpad prismを用いて曲線フィッティングを行うと共にIC50を計算し、具体的な情報を下記の表13に示す。
【0103】
【表13】
【0104】
実験結論:本発明の式(I)の化合物は、eIF4Eリン酸化に対する優れた阻害活性を示した。
【0105】
測定例3:CT-26マウス移植腫瘍における本発明に係る化合物のインビボ薬効測定
実験の目的:CT-26マウス移植腫瘍における化合物のインビボ薬効を測定すること
実験材料:CT-26細胞、10%のウシ胎児血清を含むRMPI-1640培地、マウス(雌性、上海必凱実験動物有限公司)
実験操作:CT-26細胞を10%のウシ胎児血清を含むRMPI-1640培地で培養し、5%のCO2、37℃のインキュベーターで培養した。継代によって適切な濃度に増殖させ、且つ腫瘍細胞が対数増殖期にある場合、腫瘍細胞を収集し、カウントしてDPBS(リン酸塩緩衝溶液)に再懸濁し、細胞懸濁液の濃度を3×106/mLに調整して接種に用いた。
【0106】
マウス結腸癌移植腫瘍の確立:細胞を収集し、濃度を3×106細胞/ミリリットル(DPBSで細胞懸濁液に再懸濁した)に調整し、滅菌条件下で、マウスの右側背部に0.1 mLの腫瘍細胞を皮下注射し、各マウスに接種される細胞数は3×105であった。腫瘍が一定の大きさに増殖した後、デジタルノギスで腫瘍の長さ(a)及び幅(b)を測定し、腫瘍体積を計算し、腫瘍体積(Tumor volume、TV)の計算式はTV=a×b2/2であった。
【0107】
CT-26腫瘍細胞の接種:接種当日に動物の体重に応じて群分けして投与し、1群当たり8匹の動物にし、接種当日はD0として示された。腫瘍が60 mm3程度に増殖した時に腫瘍の大きさ及び体重に応じて抗体群を群分けした。実験期間に動物の体重及び腫瘍の大きさを週に3回測定し、同時に動物の臨床症状を毎日観察して記録し、毎回の投与は、何れも最も近い一回に秤量された動物の体重を基準とした。30 mg/Kg QD(1日1回)、90 mg/Kg QD(1日1回)、200 mg/Kg QD(1日1回)の投与量で21日間投与した後のマウス結腸癌移植腫瘍に対する化合物の阻害効果を測定し、具体的な情報を下記の表14に示す。
【0108】
抗腫瘍活性の評価指標は相対腫瘍増殖率T/C(%)であり、T/C(%)>40%は無効を示し、T/C(%)≦40%で、且つ統計学的処理においてP<0.05は有効を示し、T/C(%)の計算式はT/C(%)=(TRTV/CRTV)×100%であった。TRTVは治療群の相対腫瘍体積であり、CRTVは陰性対照群の相対腫瘍体積であり、TGI(%)a=(1-処理群の投与終了時の平均腫瘍体積/溶剤対照群の治療終了時の腫瘍体積)×100%。
【0109】
【表14】
【0110】
実験結論:本発明の式(I)の化合物は、マウス結腸癌移植腫瘍に対して顕著な阻害効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0111】
図1】式(II)の化合物のA結晶形のXRPDパターンである。
図2】式(II)の化合物のA結晶形のDSCパターンである。
図3】式(II)の化合物のA結晶形のTGAパターンである。
図4】式(II)の化合物のB結晶形のXRPDパターンである。
図5】式(II)の化合物のB結晶形のDSCパターンである。
図6】式(II)の化合物のA結晶形のDVSパターンである。
図7】式(II)の化合物の単結晶楕円体図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物。
【化1】
【請求項2】
X線粉末回折パターンは、7.78±0.20°、11.38±0.20°及び20.58±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有し、
好ましくは、X線粉末回折パターンが、7.78±0.20°、9.44±0.20°、11.38±0.20°、19.84±0.20°、20.58±0.20°、21.56±0.20°、22.86±0.20°及び24.82±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有し、
より好ましくは、X線粉末回折パターンが、6.58±0.20°、7.78±0.20°、9.44±0.20°、11.38±0.20°、14.38±0.20°、18.66±0.20°、19.84±0.20°、20.58±0.20°、21.56±0.20°、22.86±0.20°、23.54±0.20°及び24.82±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有し、
更に好ましくは、X線粉末回折パターンが、4.78°、6.58°、7.78°、9.44°、11.38°、13.48°、14.38°、14.80°、16.42°、17.00°、17.32°、18.34°、18.66°、19.08°、19.60°、19.84°、20.28°、20.58°、21.56°、21.84°、22.52°、22.86°、23.26°、23.54°、24.46°、24.82°、25.50°、26.04°、26.58°、27.42°、27.82°、28.07°、28.42°、29.08°、29.66°、30.08°、31.20°、31.42°、38.22°及び39.04°の2θ角度に特徴的回折ピークを有し、
特に好ましくは、XRPDパターンが基本的に以下に示すとおりである、
図1
式(II)の化合物のA結晶形。
【化2】
【請求項3】
示差走査熱量曲線が287.17±3℃に吸熱ピークを有する、
請求項2に記載のA結晶形。
【請求項4】
DSCパターンが以下に示すとおりである、
請求項に記載のA結晶形。
図2
【請求項5】
熱重量分析曲線が200.0±3℃で重量損失0.075%に達する、
請求項2に記載のA結晶形。
【請求項6】
TGAパターンが以下に示すとおりである、
請求項に記載のA結晶形。
図3
【請求項7】
式(II)の化合物を溶剤に加えて懸濁液にするステップ(a)と、
懸濁液を40~55℃で2~25時間撹拌するステップ(b)と、
濾過後、30~45℃で10~24時間真空乾燥するステップ(c)とを含む、製造方法であって、
前記溶剤は、メタノール、アセトニトリル及びtert-ブチルメチルエーテルから選ばれる、
式(II)の化合物のA結晶形の製造方法。
【請求項8】
X線粉末回折パターンは、7.55±0.20°、15.13±0.20°及び19.82±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有し、
好ましくは、X線粉末回折パターンが、6.89±0.20°、7.55±0.20°、9.50±0.20°、11.35±0.20°、12.72±0.20°、15.13±0.20°、19.82±0.20°及び26.63±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有し、
より好ましくは、X線粉末回折パターンが、6.89±0.20°、7.55±0.20°、9.50±0.20°、11.35±0.20°、12.24±0.20°、12.72±0.20°、15.13±0.20°、18.94±0.20°、19.82±0.20°、23.25±0.20°、26.63±0.20°及び27.27±0.20°の2θ角度に特徴的回折ピークを有し、
更に好ましくは、X線粉末回折パターンが、4.98°、6.89°、7.55°、8.46°、9.50°、10.12°、11.35°、12.24°、12.72°、14.05°、15.13°、15.65°、16.20°、17.79°、18.94°、19.82°、20.76°、21.61°、23.25°、23.87°、26.09°、26.63°、27.27°、28.45°、29.12°、30.95°、32.32°、34.62°及び38.41°の2θ角度に特徴的回折ピークを有し、
特に好ましくは、XRPDパターンが基本的に以下に示すとおりである、
図4
式(II)の化合物のB結晶形。
【化3】
【請求項9】
示差走査熱量曲線が300.0±3℃に吸熱ピークを有する、
請求項8に記載のB結晶形。
【請求項10】
DSCパターンが以下に示すとおりである、
請求項に記載のB結晶形。
図5
【請求項11】
MNK1/2阻害剤薬物の製造における、請求項1に記載の式(II)の化合物、請求項2~の何れか一項に記載のA結晶形、請求項8~10の何れか一項に記載のB結晶形、及び請求項の方法により製造された結晶形の応用。
【請求項12】
結腸直腸癌を治療する薬物の製造における、請求項1に記載の式(II)の化合物、請求項2~の何れか一項に記載のA結晶形、請求項8~10の何れか一項に記載のB結晶形、及び請求項の方法により製造された結晶形の応用。
【国際調査報告】