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特表2024-516893寛容誘導構築物及び組成物並びに免疫障害の処置のためのそれらの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】寛容誘導構築物及び組成物並びに免疫障害の処置のためのそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20240410BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240410BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240410BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240410BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240410BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240410BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240410BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240410BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240410BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240410BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240410BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240410BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20240410BHJP
   A61K 39/35 20060101ALI20240410BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20240410BHJP
   C07K 14/78 20060101ALN20240410BHJP
【FI】
A61K45/00
C12N15/63 Z ZNA
C12N15/62 Z
C07K19/00
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
A61K48/00
A61P37/06
A61K47/68
A61K47/64
A61K39/35
C07K16/00
C07K14/78
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569667
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2022062629
(87)【国際公開番号】W WO2022238395
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】PA202170226
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(31)【優先権主張番号】PA202170365
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512330710
【氏名又は名称】ナイコード セラピューティクス アルメン アクスイェ セルスカプ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100227592
【弁理士】
【氏名又は名称】孔 詩麒
(72)【発明者】
【氏名】アグネーテ ブルンスビク フレードリクセン
(72)【発明者】
【氏名】ヘイディ ミュルセト
(72)【発明者】
【氏名】アウドゥン トリッゲ ハウゲン ベルサース
(72)【発明者】
【氏名】スティーネ グラヌム
(72)【発明者】
【氏名】ピエール ディラール
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064AG26
4B064AG31
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC07
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA13
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZB131
4C084ZB132
4C085AA03
4C085BB03
4C085DD62
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA86
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、寛容誘導構築物を抗原提示細胞(APC)に標的化すること等によって、寛容を誘導するための寛容誘導構築物に関する。更に、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、医薬組成物及び当該寛容誘導構築物を含むキットが開示される。また、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶の予防的又は治療的処置等における、免疫障害の処置に使用するための、寛容誘導構築物及び組成物も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寛容誘導構築物であって、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、前記ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
前記抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)多量体タンパク質、例えばii)で定義される複数のポリペプチド、例えば2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質、を含む、寛容誘導構築物。
【請求項2】
前記二量体タンパク質等の前記多量体タンパク質が、それらの接合領域を介して、好ましくはそれらのそれぞれの第1の接合領域を介して及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結された2つのポリペプチド等の複数のポリペプチドからなる、請求項1に記載の寛容誘導構築物。
【請求項3】
前記第1及び第2の接合領域が、柔軟性単位及び結合単位を含む、請求項1又は2に記載の寛容誘導構築物。
【請求項4】
前記第1及び/又は第2の接合領域が、非共有結合単位である結合単位を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項5】
前記非共有結合単位が、T4フィブリチンのC末端ドメイン等の三量体化単位、又は例えばヒトコラーゲン由来XVIII三量体化ドメイン若しくはヒトコラーゲンXV三量体化ドメイン等のコラーゲン由来三量体化単位、又はp53に由来するドメイン等の四量体化単位を含むか、又はそれからなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項6】
前記非共有結合単位が、二量体化単位、例えばヒンジ領域及び免疫グロブリンドメイン、例えば免疫グロブリン定常ドメインを含む二量体化単位若しくはdHLXタンパク質を含む二量体化単位を含むか、又はそれからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項7】
前記第1及び/又は第2の接合領域が、共有結合単位である結合単位を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項8】
前記第1及び/若しくは第2の接合領域が、天然に存在する配列を含むか、又はそれからなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項9】
前記第1及び/若しくは第2の接合領域が、人工配列を含むか、又はそれからなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項10】
前記第1及び第2の接合領域が、システイン残基、例えば少なくとも2つのシステイン残基を含む共有結合単位を含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項11】
前記共有結合単位が、システインリッチ配列を含む、請求項10に記載の寛容誘導構築物。
【請求項12】
前記第1の接合領域の前記共有結合単位が、前記第2の接合領域の前記共有結合単位とは異なる数のシステイン残基を含む、請求項10又は11に記載の寛容誘導構築物。
【請求項13】
前記第1の接合領域の前記共有結合単位に含まれる前記システイン残基が、前記第2の接合領域の前記共有結合単位に含まれる前記システイン残基とは異なって位置付けられ、例えば、前記第1の接合領域の前記共有結合単位の前記システイン残基間のアミノ酸残基の数が、前記第2の接合領域のものと異なる、請求項10~12のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項14】
システイン残基の数が、前記抗原単位の長さに基づく、請求項10~13のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項15】
前記共有結合単位のうちの少なくとも1つが、IgG3のエクソンh4又はIgG1の中央ヒンジ等の免疫グロブリンに由来するヒンジ領域等の免疫グロブリンに由来する、請求項7~14のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項16】
前記共有結合単位のうちの少なくとも1つが、人工配列である、請求項7~15のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項17】
前記第1及び第2の接合領域が、非共有結合単位を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項18】
前記非共有結合単位のうちの少なくとも1つが、天然に存在する配列である、請求項17に記載の寛容誘導構築物。
【請求項19】
前記非共有結合単位のうちの少なくとも1つが、人工配列である、請求項17に記載の寛容誘導構築物。
【請求項20】
前記非共有結合単位が、免疫グロブリンであるか若しくはそれを含むか、又はIgG3若しくはIgG1に由来するCH3ドメイン等の免疫グロブリンに由来する、請求項17~19のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項21】
前記非共有結合単位が、ロイシンジッパーモチーフ、Jun/Fosベースのロイシンジッパーであるか若しくはそれを含むか、又は配列番号5のアミノ酸配列等の真核生物転写因子のbZIPクラスに由来する、請求項17~19のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項22】
前記接合領域が、共有結合単位及び非共有結合単位を含む結合単位を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項23】
前記柔軟性単位のうちの少なくとも1つが、天然に存在するペプチド配列である、請求項3~22のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項24】
前記柔軟性単位が、IgG3のエクソンh1又はIgG1の下部ヒンジ等の免疫グロブリンに由来するヒンジ領域等の免疫グロブリンに由来する、請求項3~23のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項25】
前記柔軟性単位のうちの少なくとも1つが、人工配列である、請求項3~24のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項26】
前記柔軟性単位が、GGGGSGGGGS(配列番号80)等のグリシン-セリンリンカーである、請求項3~22及び25のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項27】
前記柔軟性単位が、プロテアーゼの標的ではない、請求項3~26のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項28】
前記柔軟性単位が、最大20アミノ酸、例えば最大15アミノ酸、例えば12アミノ酸又は10アミノ酸からなる、請求項3~27のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項29】
前記接合領域が、非免疫原性である、請求項1~28のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項30】
前記第1又は第2の標的化単位のうちの少なくとも1つが、抗原提示細胞上の表面分子と相互作用する部分を含み、好ましくは、前記第1及び第2の標的化単位の両方が、前記抗原提示細胞上の表面分子と相互作用する部分を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項31】
前記表面分子が、TGFβ受容体(TGFβR1、TGFβR2又はTGFβR3)、IL10R、例えばIL-10RA及びIL10-RB、IL2R、IL4R、IL6R、IL11R及びIL13R、IL27R、IL35R、IL37R、CCR7、CD11b、CD11c、CD103、CD14、CD36、CD205、CD109、VISTA、MARCO、MHCII、MHCII、CD83、SIGLEC、MGL、CD80、CD86、Clec9A、Clec12A、Clec12B、DCIR2、ランゲリン、MR、DC-Sign、Treml4、Dectin-1、PDL1、PDL2、HVEM、アリール炭化水素受容体及びビタミンD受容体からなる群から選択される、請求項30に記載の寛容誘導構築物。
【請求項32】
前記標的化単位が、天然リガンド、抗体若しくはその一部、例えばscFv、又は合成リガンドである部分を含む、請求項31に記載の寛容誘導構築物。
【請求項33】
前記天然リガンドが、TGFβ、IL-10、IL1RA、IL2、IL4、IL6、IL11、IL13、IL27、IL35、IL37、CCL19、CCL21、ICAM-1(CD54としても知られる細胞間接着分子1)、ケラチン、VSIG-3、SCGB3A2、CTLA-4、好ましくはCTLA-4、PD-1の細胞外ドメイン、好ましくはPD-1及びBTLAの細胞外ドメイン、好ましくはBTLAの細胞外ドメインからなる群から選択される、請求項33に記載の寛容誘導構築物。
【請求項34】
前記第1及び前記第2の標的化単位が同一である、請求項1~33のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項35】
前記第1及び第2の標的化単位が異なる、請求項1~33のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項36】
前記表面分子が、同じ細胞上に存在する、請求項30~35のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項37】
前記第1又は前記第2の標的化単位の結合が、前記構築物の内在化を引き起こす、請求項30~36のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項38】
前記第1の標的化単位が、IL-10若しくはTGFβ、好ましくはヒトIL-10若しくはTGFβ、又はヒトIL-10若しくはヒトTGFβのアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項1~37のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項39】
前記構築物が、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を更に含むポリヌクレオチドである、請求項1~38のいずれか一項に記載の寛容誘導構築物。
【請求項40】
前記2つのポリペプチド等の前記複数のポリペプチドが、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されている、請求項1~39のいずれか一項に記載の二量体タンパク質等の多量体タンパク質。
【請求項41】
医薬組成物を調製する方法であって、
c)請求項1~40のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド又は二量体タンパク質等の多量体タンパク質を提供することと、
d)前記ポリヌクレオチド、前記ポリペプチド又は前記二量体タンパク質等の前記多量体タンパク質を、薬学的に許容される担体と合わせることと、を含む、方法。
【請求項42】
請求項1~40のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド又は二量体タンパク質等の多量体タンパク質と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物。
【請求項43】
医薬品として使用するための、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶の予防的又は治療的処置等における、望まない免疫反応を伴う状態の処置における使用のための、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項45】
請求項1~39のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項46】
請求項45に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項47】
ポリペプチド又は二量体タンパク質等の多量体タンパク質を調製する方法であって、
a)請求項45に記載のベクター又は請求項1~39のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすることと、
b)前記細胞を培養することであって、それによって前記細胞が前記ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを発現する、ことと、
c)前記二量体タンパク質等の前記多量体タンパク質、及び/又は前記細胞によって発現された前記ポリペプチドを取得及び精製することと、を含む、方法。
【請求項48】
ステップc)が、前記二量体タンパク質等の前記多量体タンパク質を含有する画分を精製するステップを含み、前記2つのポリペプチド等の複数のポリペプチドが、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されている、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶の予防的又は治療的処置等における、望まない免疫反応を伴う状態を処置するための方法であって、請求項1~40のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド若しくは二量体タンパク質等の多量体タンパク質、請求項45に記載のベクター又は請求項42~44のいずれか一項に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項50】
前記対象が、ヒト等の哺乳動物である、請求項49に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶の予防的又は治療的処置等における、望まない免疫反応を伴う状態の処置に使用するための構築物及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫応答は、疾患、例えばウイルス、細菌又は寄生虫のような病原体によって引き起こされる疾患に対する保護に必要である。しかし、望ましくない免疫活性化は、自分自身の組織の損傷又は破壊につながるプロセスを引き起こす可能性がある。望ましくない免疫活性化は、例えば、抗体及び/又はTリンパ球が自己抗原と反応して、例えば組織損傷及び病理をもたらす自己免疫疾患において生じる。望ましくない免疫活性化はアレルギー反応においても生じ、アレルギー反応は、環境からの典型的には無害な物質に対する過度の免疫応答によって特徴付けられ、組織破壊につながる炎症応答をもたらす場合がある。更に、望まない免疫活性化は、移植片拒絶、例えば、宿主に存在する同種反応性T細胞によって有意に媒介される移植された器官又は組織の拒絶において生じ、T細胞はドナー同種抗原又は異種抗原を認識する。これは、移植された器官又は組織の破壊をもたらす。
【0003】
免疫寛容は、所与の生物において免疫応答を誘発する能力を有する物質又は組織に対する特異的免疫応答の後天的欠如である。
【0004】
典型的には、特異的抗原に対する寛容を誘導するために、抗原は、活性化シグナルの非存在下で抗原提示細胞(APC)によって他の免疫細胞に提示されるべきであり、これは、抗原特異的エフェクターリンパ球の死若しくは機能的不活性化、又は寛容を維持する抗原特異的細胞の生成をもたらす。このプロセスは、全般に、自己抗原に対する寛容、又は自己寛容を説明する。免疫抑制薬は、例えば自己免疫疾患又は同種異系移植を有する患者の処置において、望ましくない免疫応答の防止又は低減に有用である。不要な免疫応答の免疫抑制を生じさせるための従来の戦略は、広く作用する免疫抑制薬に基づく。更に、免疫抑制を維持するために、免疫抑制薬療法は、生涯にわたる提案であることが多い。残念ながら、広く作用する免疫抑制薬の使用は、それらの大部分が非選択的に作用し、感染症に対する感受性の増加及び癌免疫監視の低下をもたらすため、免疫不全等の重篤な副作用のリスクを伴う。したがって、寛容抗原特異的を誘導する新しい化合物及び組成物が有益であろう。
【0005】
樹状細胞等の抗原提示細胞は、免疫応答の調節において重要な役割を果たし、樹状細胞の活性化状態及び微小環境(サイトカイン及び増殖因子)に応じて、抗原特異的T細胞シグナルを与えて、提示された抗原(推定病原体)と戦うか、又は提示された抗原(推定非病原性抗原)に対する反応をサイレンシングし、末梢寛容を誘導するかのいずれかである。寛容原性免疫療法の開発における課題は、炎症性免疫応答を誘因しない様式で、抗原をAPC/樹状細胞に効率的に送達することである。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、抗原単位と、樹状細胞等の抗原提示細胞上の表面分子と非炎症性又は寛容原性の様式で相互作用する第1及び第2の標的化単位と、を含み、炎症性活性化状態の非存在下で抗原の提示をもたらす、寛容誘導構築物に関する。
【0007】
本発明者らは、驚くべきことに、本開示の構築物が、構築物を内在化し、寛容を誘導する様式、例えば、調節性T細胞(Treg)の誘導並びにメモリー及びエフェクターT細胞応答の抑制で抗原を提示するAPC上の選択された表面受容体への結合及びそれを通したシグナル伝達を通して、選定された抗原特異的寛容原性応答の誘導に最適な方法で、疾患関連抗原を最適な抗原提示細胞(APC)に送達できることを見出した。
【0008】
したがって、第1の態様では、本開示は、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)ii)で定義される複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質、例えば、ii)で定義される2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質、を含む、寛容誘導構築物を提供する。
【0009】
別の態様では、本開示は、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)ii)で定義された複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質、を含む、寛容誘導構築物を提供する。
【0010】
したがって、別の態様では、本開示は、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)ii)で定義された2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質、を含む、寛容誘導構築物を提供する。
【0011】
複数のポリペプチドが、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されている、本明細書に記載の二量体タンパク質等の多量体タンパク質も本明細書で提供される。
【0012】
複数のポリペプチド、例えば2つのポリペプチドが、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されている、本明細書に記載の多量体タンパク質も本明細書で提供される。
【0013】
2つのポリペプチドが、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されている、本明細書に記載の二量体タンパク質も本明細書において提供される。
【0014】
更なる態様では、本開示は、医薬組成物を調製する方法であって、
a)本明細書に記載されるポリヌクレオチド、ポリペプチド又は二量体タンパク質等の多量体タンパク質を提供することと、
b)ポリヌクレオチド、ポリペプチド又は二量体タンパク質等の多量体タンパク質を、薬学的に許容される担体と合わせることと、を含む、方法を提供する。
【0015】
更なる態様では、本開示は、医薬組成物を調製する方法であって、
a)本明細書に記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド又は多量体タンパク質を提供することと、
b)ポリヌクレオチド、ポリペプチド又は多量体タンパク質を薬学的に許容される担体と合わせることと、を含む、方法を提供する。
【0016】
更なる態様では、本開示は、医薬組成物を調製する方法であって、
a)本明細書に記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド又は二量体タンパク質を提供することと、
b)ポリヌクレオチド、ポリペプチド又は二量体タンパク質を薬学的に許容される担体と合わせることと、を含む、方法を提供する。
【0017】
更なる態様では、本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチドと、ポリペプチド又は二量体タンパク質等の多量体タンパク質と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。
【0018】
本明細書に記載のポリヌクレオチドと、ポリペプチド又は多量体タンパク質と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物も本明細書で提供される。
【0019】
本明細書に記載のポリヌクレオチドと、ポリペプチド又は二量体タンパク質と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物も本明細書で提供される。
【0020】
更なる態様では、本開示は、本明細書に記載されるポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0021】
更なる態様では、本開示は、本明細書に記載されるベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0022】
更なる態様では、本開示は、ポリペプチド又は二量体タンパク質等の多量体タンパク質を調製する方法であって、
a)本明細書に記載のベクター又は本明細書に記載のポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすることと、
b)細胞を培養することであって、それによって細胞が当該ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを発現する、ことと、
c)二量体タンパク質等の多量体タンパク質、及び/又は細胞によって発現されたポリペプチドを取得及び精製することと、を含む、方法を提供する。
【0023】
更なる態様では、本開示は、ポリペプチド又は多量体タンパク質を調製する方法であって、
a)本明細書に記載のベクター又は本明細書に記載のポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすることと、
b)細胞を培養することであって、それによって細胞が当該ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを発現する、ことと、
c)細胞によって発現された多量体タンパク質及び/又はポリペプチドを取得及び精製することと、を含む、方法を提供する。
【0024】
更なる態様では、本開示は、ポリペプチド又は二量体タンパク質を調製する方法であって、
a)本明細書に記載のベクター又は本明細書に記載のポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすることと、
b)細胞を培養することであって、それによって細胞が当該ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを発現する、ことと、
c)細胞によって発現された二量体タンパク質及び/又はポリペプチドを取得及び精製することと、を含む、方法を提供する。
【0025】
更なる態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶の予防的又は治療的処置等における、望まない免疫反応を伴う状態を処置するための方法であって、本明細書に記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド若しくは二量体タンパク質等の多量体タンパク質、本明細書に記載のベクター又は本明細書に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0026】
更なる態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶の予防的又は治療的処置等における、望まない免疫反応を伴う状態を処置するための方法であって、本明細書に記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド若しくは多量体タンパク質、本明細書に記載のベクター又は本明細書に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0027】
更なる態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶の予防的又は治療的処置等における、望まない免疫反応を伴う状態を処置するための方法であって、本明細書に記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド若しくは二量体タンパク質、本明細書に記載のベクター又は本明細書に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示による免疫療法構築物の概略図を示す。
【0029】
上の図は、ポリペプチドとしての構築物の実施形態を示す。下の図は、それぞれの第1及び第2の接合領域を介して連結された2つのポリペプチドによって形成された二量体タンパク質の実施形態を示す。
【0030】
Aは、第1の標的化単位を示す。
Bは、第2の標的化単位を示す。
Cは、少なくとも1つのT細胞エピトープを含む抗原単位を示す。
Dは、柔軟性単位の存在により標的化単位に与えられた柔軟性を示す。
A.Aは、第1の接合領域を示す。
B.Aは、第2の接合領域を示す。
【0031】
図2】図は、接合領域の実施形態を示す。
【0032】
Aは、2つのポリペプチド鎖の各々に含まれる共有結合単位の間に形成される3つの共有結合を示す。
【0033】
Bは、図1の矢印Dによって示されるように、柔軟性単位が結合単位と標的化単位との間にどのように位置し、標的化単位に柔軟性を提供するかを示す。
【0034】
図3】図は、接合領域の別の実施形態を示す。
【0035】
Aは、ポリペプチドの各々に含まれる非共有結合単位間の疎水性相互作用による2つのポリペプチド鎖の二量体化を示す。
【0036】
Bは、図1の矢印Dによって示されるように、柔軟性単位が結合単位と標的化単位との間にどのように位置し、標的化に柔軟性を提供するかを示す。
【0037】
図4】図は、トランスフェクトされた細胞の上清におけるサンドイッチELISA(捕捉抗体:マウス抗MOG抗体、0.25μg/mL、100μl/ウェル、sc-73330、Santa Cruz Biotechnology、検出抗体:ヤギ抗ネズミIL-10ビオチン化抗体、0.8μg/mL、100μl/ウェル、BAF417、R&D Systems)によって検出された、本開示のMOG及びIL-10コード寛容誘導構築物の発現及び分泌レベルを示す。
【0038】
A)は、DNAベクターVB5042、VB5050、VB5072、VB5073、VB5074、及びVB5075で一過性にトランスフェクトされたExpi293F細胞からの結果を示す。
【0039】
B)は、DNAベクターVB5038で一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞からの結果を示す。
【0040】
全てのMOG及び IL-10末端コード構築物は、高度に発現され、分泌された。(A)の陰性対照は、トランスフェクション試薬ExpiFectamineのみで処理したExpi293F細胞からの上清であり、(B)の陰性対照は、トランスフェクション試薬Lipofectamineのみで処理したHEK293細胞からの上清である。
【0041】
図5】図は、DNAベクターVB5067で一過性にトランスフェクトされたExpi293F細胞からの上清を用いたサンドイッチELISA(捕捉抗体:マウス抗MOG抗体、0.25μg/mL、100μl/ウェル、sc-73330、Santa Cruz Biotechnology、検出抗体:ヤギ抗ネズミCTLA-4ビオチン化抗体、0.8μg/mL、100μl/ウェル、BAF476、R&D Systems)によって検出された、第2の標的化単位としてCTLA-4を有するMOGコード構築物(VB5067)のタンパク質発現及び分泌レベルを示す。陰性対照は、トランスフェクション試薬ExpiFectamineのみで処理したExpi293F細胞からの上清である。
【0042】
図6】図は、DNAベクターVB5072及びVB5073で一過性にトランスフェクトされたExpi293F細胞からの上清を用いたサンドイッチELISA(捕捉抗体:マウス抗MOG抗体、0.25μg/mL、100μl/ウェル、sc-73330、Santa Cruz Biotechnology、検出抗体:ヤギ抗SCGB3A2ビオチン化抗体、3.3μg/mL、100μl/ウェル、BAF3465、R&D Systems)による、第1の標的化単位としてのMARCOリガンドSCGB3A2並びに第2の標的化単位としてのIL-10(VB5072及びVB5073)を有するMOGコード構築物寛容誘導構築物のタンパク質発現及び分泌レベルを示す。陰性対照は、トランスフェクション試薬ExpiFectamineのみで処理したExpi293F細胞からの上清である。
【0043】
図7】図は、第1の標的化単位としてのMARCOリガンドSCGB3A2並びに第2の標的化単位としてのIL-10(VB5072及びVB5073)を有するMOGコード寛容誘導構築物が、DNAベクターVB5072及びVB5073で一過性にトランスフェクトされたExpi293F細胞からの上清を用いたサンドイッチELISA(捕捉抗体:マウス抗マウスIL-10抗体、2μg/mL、100μl/ウェル、MAB417、R&D Systems、検出抗体:ヤギ抗マウスSCGB3A2、3.3μg/mL、100μl/ウェル、BAF 3465、R&D Systems)によって全長融合タンパク質として分泌されたことを示す。陰性対照は、トランスフェクション試薬ExpiFectamineのみで処理したExpi293F細胞からの上清である。
【0044】
図8】図は、DNAベクターVB 5038で一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞からの上清を用いた直接ELISAによる、scFv抗DEC205コード構築物のDEC205受容体への結合及び全長タンパク質の分泌を示す。ELISAウェルを組換えDEC205受容体(aa 216~503)でコーティングし、MOG又はネズミIL-10に対する抗体によって結合を検出した。陰性対照、すなわちトランスフェクション試薬リポフェクタミンで処理したHEK293細胞からの上清からのOD450nmシグナルを、グラフ化の前に差し引いた。
【0045】
図9】図は、DNAベクターVB5038で一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞からの上清を用いた直接ELISAによる、IL-10含有構築物のIL-10受容体への結合を示す。ELISAウェルを組換えIL-10受容体でコーティングし、結合をMOGに対する抗体によって検出した。陰性対照、すなわちトランスフェクション試薬リポフェクタミンで処理したHEK293細胞からの上清からのOD450nmシグナルを、グラフ化の前に差し引いた。
【0046】
図10】図は、DNAベクターVB5051で一過性にトランスフェクトされたExpi293F細胞からの上清を用いた直接ELISA(検出抗体:マウス抗MOG抗体、3.3μg/mL、100μl/ウェル、sc-73330、Santa Cruz Biotechnology)によるMOG(27~63)ペプチドの分泌を示す。陰性対照は、トランスフェクション試薬ExpiFectamineのみで処理したExpi293F細胞からの上清である。
図11】A.CCL 3L1含有ベクターVB5052で一過性にトランスフェクトされたExpi293F細胞からの上清を用いたサンドイッチELISA(捕捉抗体:マウス抗MOG抗体、0.25μg/mL、100μl/ウェル、sc-73330、Santa Cruz Biotechnology、検出抗体:ヤギ抗ヒトCCL 3ビオチン抗体、0.2μg/mL、100μl/ウェル、BAF270、R&D Systems)によって検出された、DNAベクターVB5052によってコードされる炎症促進性対照構築物の発現及び分泌レベルを示す。融合タンパク質のMOG及びCCL3L1部分の両方の検出は、融合タンパク質の完全長分泌を示す。陰性対照は、トランスフェクション試薬ExpiFectamineのみで処理したExpi293F細胞からの上清である。
【0047】
B.CCL3L1含有ベクターVB5002bで一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞からの上清を用いたサンドイッチELISA(捕捉抗体:マウス抗ヒトIgG(CH3ドメイン)、1μg/mL、100μl/ウェル、153272、Biorad、検出抗体:ヤギ抗ヒトCCL3ビオチン抗体、0.2μg/mL、100μl/ウェル、BAF270、R&D Systems)によって検出された、DNAベクターVB5002bによってコードされる炎症促進性対照構築物の発現及び分泌レベルを示す。陰性対照は、トランスフェクション試薬リポフェクタミンのみで処理したHEK293細胞からの上清である。
【0048】
図12】A.は、VB5038によってコードされる寛容誘導タンパク質及びVB5002bによってコードされる炎症促進性対照の完全長分泌を用いたウェスタンブロットを示す。トランスフェクトされたExpi293F細胞からの還元された上清試料(10μLをロード)。一次抗体:マウス抗MOG(sc-73330)。二次抗体:ロバ抗マウス、Dylight 800(SA5-10172)。ChemidocチャネルDylight 800。
【0049】
Bは、抗ネズミIL-10抗体で検出された、還元及び非還元条件下でのVB5038によってコードされるタンパク質のウェスタンブロットを示す。トランスフェクトされたExpi293F細胞からの還元された上清試料を左に示し、還元されていない上清試料を右に示す(10μLをロード)。一次抗体:ラット抗ネズミIL10(MAB417)。二次抗体:ロバ抗ラット、Dylight 488(SA5-1006)。ChemidocチャネルDylight 488。特異的バンドが、非還元条件下でホモ二量体タンパク質に対応するサイズで検出された(黒い矢じりによって示される)。
【0050】
C.は、抗MOG抗体によって検出された、VB5041、VB5042及びVB5050によってコードされるタンパク質の完全長分泌を用いたウェスタンブロットを示す(黒い矢じり)。トランスフェクトされたExpi293F細胞からの還元された上清試料(30μLをロード)。一次抗体:マウス抗MOG(sc-73330)。二次抗体:ロバ抗マウス、Dylight 800(SA5-10172)。ChemidocチャネルDylight 650(タンパク質標準用)及び800。
【0051】
Dは、抗ネズミIL-10抗体によって検出された、VB5041、VB5042及びVB5050によってコードされるタンパク質の完全長分泌を用いたウェスタンブロットを示す(黒い矢印)。トランスフェクトされたExpi293F細胞からの還元された上清試料(30μLをロード)。一次抗体:ラット抗ネズミIL10(MAB417)。二次抗体:ロバ抗ラット、Dylight 650(SA5-10029)。ChemidocチャネルDylight 650。
【0052】
E.は、タンパク質が非還元条件下で二量体化することを示す、VB5041、VB5042及びVB5050によってコードされるタンパク質のウェスタンブロットを示す(黒い矢じり)。トランスフェクトされたExpi293F細胞からの非還元上清試料(30μlをロード)。一次抗体:マウス抗MOG(SC-73330)。二次抗体:ロバ抗マウス、Dylight 800(SA5-10172)。ChemidocチャネルDylight 650(タンパク質標準用)及び800。
【0053】
F.は、抗MOGによって検出された、VB5074及びVB5075によってコードされる第1の標的化単位としてVSIG-3を有するタンパク質の完全長分泌を用いたウェスタンブロットを示す。VB5042を陽性対照として含めた。トランスフェクトされたExpi293F細胞からの還元された上清試料(25μLをロード)。一次抗体:マウス抗MOG(sc-73330)。二次抗体:ロバ抗マウス、Dylight 800(SA5-10172)。タンパク質標準をChemidocチャネルDylight 650において検出した(シグナルは示さず)。ChemidocチャネルDylight 800。
【0054】
G.は、抗ネズミIL-10抗体によって検出された、VB5074及びVB5075によってコードされる第1の標的化単位としてVSIG-3を有するタンパク質の全長分泌を用いたウェスタンブロットを示す。VB5042を陽性対照として含めた。トランスフェクトされたExpi293F細胞からの還元された上清試料(25μLをロード)。一次抗体:ラット抗IL 10(MAB417)。二次抗体:ロバ抗ラット、Dylight 488(SA5-10026)。ChemidocチャネルDylight 650(タンパク質標準用)及び488。
【0055】
図13】図は、二色IL-10/IFNγ FluoroSpotを示す。C57BL/6マウスに50μgの示されたDNAベクターを1回(0日目)ワクチン接種し、ワクチン接種後7日目に脾臓を採取した。個々のマウス及び平均±SEMを示す(n=5マウス/群)。**(p<0.01)、両側マン-ホイットニー検定。構築物ID番号をx軸上に示す。
【0056】
A.は、IL-10及びIFN-γ分泌について試験したマウスの脾細胞(SFU/10脾細胞)を、刺激していない脾細胞について二色FluoroSpotを用いて示す。
【0057】
B.は、MOG(35~55)ペプチドで44時間再刺激した後に、二色FluoroSpotを用いてIL-10及びIFN-γ分泌について試験したマウスの脾細胞(SFU/10脾細胞)を示す。
【0058】
C.は、IL-10/IFN-γ比が、MOG(35~55)再刺激脾細胞からの(B)のデータからプロットされることを示す。個々のマウス及び平均±範囲を示す。**(p<0.01)、両側マン-ホイットニー検定。
【0059】
図14】図は、MOG(38~49)特異的Foxp3+細胞の検出を示す。C57BL/6マウスに50μgの示されたDNAベクターを1回(0日目)ワクチン接種し、ワクチン接種後7日目に脾臓を採取した。H-2 Iab/MOG(38~49)四量体によって検出された脾臓CD4+Foxp3+細胞のパーセンテージ。四量体染色をエクスビボで実行し、脾細胞をMOG(35~55)ペプチドで再刺激しなかった。データは、1群当たり5匹のマウスのプールから生成する(分析前に脾臓をプールした)。構築物ID番号をx軸上に示す。
【0060】
図15】図は、二色IL-10/IFNγ FluoroSpotを示す。C57BL/6マウスに50μgの示されたDNAベクターを1回(0日目)ワクチン接種し、ワクチン接種後7日目に脾臓を採取した。個々のマウス及び平均±SEMを示す(n=5マウス/群)。**(p<0.01)、両側マン-ホイットニー検定。構築物ID番号をx軸上に示す。
【0061】
A.は、IL-10及びIFN-γ分泌について試験したマウスの脾細胞(SFU/10脾細胞)を、刺激していない脾細胞について二色FluoroSpotを用いて示す。
【0062】
B.は、MOG(35~55)ペプチドで44時間再刺激した後に、二色FluoroSpotを用いてIL-10及びIFN-γ分泌について試験したマウスの脾細胞(SFU/10脾細胞)を示す。
【0063】
C.は、MOG(35~55)再刺激脾細胞からの(B)のデータからプロットしたIL-10/IFN-γ比を示す。個々のマウス及び平均±範囲を示す。**(p<0.01)、両側マン-ホイットニー検定。
【0064】
図16】図は、MOG(38~49)特異的Foxp3+細胞の検出を示す。C57BL/6マウスに50μgの示されたDNAベクターを1回(0日目)ワクチン接種し、ワクチン接種後7日目に脾臓を採取した。H-2 Iab/MOG(38~49)四量体によって検出された脾臓CD4+Foxp3+細胞のパーセンテージ。四量体染色をエクスビボで実行し、脾細胞をMOG(35~55)ペプチドで再刺激しなかった。データは、1群当たり5匹のマウスのプールから生成する(分析前に脾臓をプールした)。構築物ID番号をx軸上に示す。
【0065】
図17】図は、二色IL-10/IFNγ FluoroSpotを示す。C57BL/6マウスに50μgの示されたDNAベクターを1回(0日目)ワクチン接種し、ワクチン接種後7日目に脾臓を採取した。個々のマウス及び平均±SEMを示す(n=5マウス/群)。**(p<0.01)、両側マン-ホイットニー検定。構築物ID番号をx軸上に示す。
【0066】
A.は、IL-10及びIFN-γ分泌について試験したマウスの脾細胞(SFU/10脾細胞)を、刺激していない脾細胞について二色FluoroSpotを用いて示す。
【0067】
B.は、MOG(35~55)ペプチドで44時間再刺激した後に、二色FluoroSpotを用いてIL-10及びIFN-γ分泌について試験したマウスの脾細胞(SFU/10脾細胞)を示す。
【0068】
C.は、MOG(35~55)再刺激脾細胞からの(B)のデータからプロットしたIL-10/IFN-γ比を示す。個々のマウス及び平均±範囲を示す。(p<0.05)、両側マン-ホイットニー検定。
【0069】
図18】図は、MOG(38~49)特異的Foxp3+細胞の検出を示す。C57BL/6マウスに50μgの示されたDNAベクターを1回(0日目)ワクチン接種し、ワクチン接種後7日目に脾臓を採取した。H-2 Iab/MOG(38~49)四量体によって検出された脾臓CD4+Foxp3+細胞の頻度。四量体染色をエクスビボで実行し、脾細胞をMOG(35~55)ペプチドで再刺激しなかった。データは、1群当たり5匹のマウスのプールから生成する(分析前に脾臓をプールした)。構築物ID番号をx軸上に示す。
【0070】
図19】図は、第2の標的化単位としてIL-10、VB5077及びVB5078を有するMet e 1含有寛容誘導構築物の発現及び分泌レベルを示す。VB5077及びVB5078で一過性にトランスフェクトされたExpi293F細胞からの上清を有するサンドイッチELISA:捕捉抗体:抗ネズミIL-10抗体(MAB417、R&D Systems)、検出抗体:抗ネズミIL-10ビオチン化抗体(BAF417、R&D Systems)。両方のMet e 1含有構築物が高度に発現され、分泌された。陰性対照は、トランスフェクション試薬ExpiFectamineのみで処理したExpi293F細胞からの上清である。
【0071】
図20】図は、Met e 1含有DNAベクターVB5077及びVB5078によってコードされるタンパク質の完全長分泌を用いたウェスタンブロットを示す(黒い矢じり)。トランスフェクトされたExpi293F細胞からの還元された上清試料(35μLをロード)。一次抗体:ラット抗IL10(MAB417)。二次抗体:ロバ抗ラット、Dylight 650(SA5-10029)。ChemidocチャネルDylight 650。
【発明を実施するための形態】
【0072】
第1の態様では、本開示は、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)ii)で定義される複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質、例えば、ii)で定義される2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質、を含む、寛容誘導構築物を提供する。
【0073】
別の態様では、本開示は、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)ii)で定義された複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質、を含む、寛容誘導構築物を提供する。
【0074】
別の態様では、本開示は、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)ii)で定義された2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質、を含む、寛容誘導構築物を提供する。
【0075】
そのような構築物は、対象に投与されると、寛容を誘導する様式で抗原単位におけるエピトープの提示を可能にし、したがって、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶等の免疫疾患の予防的又は治療的処置としての使用に好適である。
【0076】
寛容誘導構築物は、問題の免疫疾患を引き起こす免疫系の疾患特異的細胞の下方制御を引き起こすので、全身免疫系を抑制しない。したがって、本開示の構築物による問題の免疫疾患の処置は、感染に対する感受性の増加及び癌免疫監視の減少をもたらさない。しかしながら、関連疾患抗原に特異的な免疫細胞のバイスタンダー抑制は、誘導された抗原特異的調節細胞との細胞間接触による短距離阻害性サイトカインの放出によると予想される。
【0077】
本開示の寛容誘導構築物は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶等の免疫疾患の予防的又は治療的処置における使用のための、本開示の構築物と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物の形態で投与されてもよい。
【0078】
「寛容誘導構築物」は、投与に好適な形態及び寛容を誘導するのに有効な量(すなわち、有効量)で対象に投与された場合に、炎症性免疫応答を誘発せず、むしろ抗原単位に含まれるT細胞エピトープに対する寛容を誘導するものである。
【0079】
本明細書で使用される「寛容」という用語は、自己抗原、アレルゲン又は同種抗原のような無害な抗原に対する炎症性免疫応答のレベルの低下、炎症性免疫応答の発症若しくは進行の遅延、及び/又は炎症性免疫応答の発症若しくは進行のリスクの低下を指す。
【0080】
「対象」は、動物、例えばマウス、又はヒト、好ましくはヒトである。対象は、治療的処置を必要とする患者、すなわち自己免疫疾患、アレルギー若しくは移植片拒絶のような免疫疾患に罹患しているヒトであってもよく、又は予防的処置を必要とする対象若しくは免疫疾患を有することが疑われる対象であってもよい。「対象」及び「個体」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0081】
「疾患」は、疾患に罹患している対象における特定の徴候及び症状に典型的に関連する異常な医学的状態である。本明細書で使用される「免疫疾患」は、自己免疫疾患、アレルギー又は移植片拒絶、すなわち、宿主に移植された同じ(同種)又は異なる(異種)種由来の細胞、組織又は器官の宿主による拒絶等の同種移植片又は異種移植片の拒絶を含む、望まない免疫反応を伴う状態、障害又は疾患を指す。
【0082】
本明細書で使用される「同種抗原/アロ抗原」又は「同種移植抗原」という用語は、ドナーからレシピエントに移された場合に、レシピエントのB又はT細胞受容体の抗体によって認識及び結合され得る、細胞又は組織に由来する(そこから脱落した、及び/若しくはそこに存在する)抗原を指す。アロ抗原は、典型的には多型遺伝子の産物である。アロ抗原は、ドナーとレシピエント(同じ種に属する)との間で比較した場合に、わずかな構造的差異を示すタンパク質又はペプチドである。レシピエントの体内にそのようなドナー抗原が存在すると、レシピエントにおいて炎症性免疫応答を誘発することがある。そのようなアロ反応性免疫応答は、アロ抗原に特異的である。
【0083】
本明細書で使用される「異種抗原」という用語は、異なる種の個体に由来する抗原を指す。
【0084】
「処置」は、予防的処置又は治療的処置である。
【0085】
「予防的処置」は、免疫疾患の徴候若しくは症状を示さないか、又は免疫疾患の初期徴候若しくは症状のみを示す対象に施される処置であり、その結果、処置は、免疫疾患を防止するか、又は少なくともその発症リスクを減少させる目的のために施される。予防的処置は、免疫疾患に対する防止的処置として、又は免疫疾患及び/若しくはその関連症状の更なる発症若しくは増強を阻害若しくは低減する処置として機能する。「予防的処置」、「予防」及び「防止」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0086】
「治療的処置」は、免疫疾患の症状又は徴候を示す対象に施される処置であり、処置は、それらの徴候若しくは症状を軽減若しくは排除する目的で、又は疾患の進行を遅延若しくは停止させる目的で対象に施される。
【0087】
「部分/一部」は、抗原の一部/断片、すなわち抗原のアミノ酸配列の一部/断片、又はそれをコードするヌクレオチド配列、例えばエピトープを指し;好ましくは、抗原の一部又は断片は、免疫原性である。これらの用語は、全体を通して互換的に使用される。
【0088】
本明細書で使用される「T細胞エピトープ」は、単一のT細胞エピトープ、又は複数のT細胞エピトープ、例えば複数の最小エピトープを含有する抗原の一部若しくは領域を指す。
【0089】
「最小エピトープ」という用語は、MHC I又はMHC IIに結合すると予測されるエピトープの部分配列を指す。言い換えれば、最小エピトープは、免疫原性であってもよく、すなわち、免疫応答を誘発することができる。したがって、最小エピトープという用語は、MHC I又はMHC IIに結合すると予測されるエピトープの短い部分配列を指す場合がある。したがって、27merエピトープは、各々が27のアミノ酸よりも短い長さを有し得、各々が免疫原性であるいくつかの最小エピトープを包含してもよい。例えば、最小エピトープは、それがMHC I若しくはMHC IIに結合すると予測される限り、エピトープの最初の14アミノ酸からなり得るか、又はこれらの配列がMHC I又はMHC IIに結合すると予測される限り、それは、エピトープのアミノ酸9~18若しくはアミノ酸7~22からなり得る。
【0090】
「ヌクレオチド配列」は、ヌクレオチドからなる配列である。「ヌクレオチド配列」及び「核酸配列」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0091】
「マウス」及び「ネズミ」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0092】
「ワクチン接種」及び「投与」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0093】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成上の目的のみのためであり、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0094】
寛容誘導構築物
構築物のいくつかの実施形態の構造は、ポリペプチドと、それらのそれぞれの第1及び第2の接合領域を介して連結された2つのポリペプチドによって形成された二量体タンパク質とに基づいて、図1図3に示される。ポリペプチド(図1、上)は、指定された順序で、第1の標的化単位(A)、第1の接合領域(A.A)、本明細書に記載される抗原単位(C)、第2の接合領域(B.A)及び第2の標的化単位(B)を含む。図1の下部は、第2の接合領域に含まれる柔軟性単位が第2の標的化単位に柔軟性をどのように提供するかを示す(矢印D)。
【0095】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド及び二量体タンパク質等の多量体タンパク質は、それらのそれぞれの第1及び第2の接合領域を介して連結された複数のポリペプチドによって形成される。ポリペプチドは、指定された順序で、第1の標的化単位、第1の接合領域、本明細書に記載の抗原単位、第2の接合領域及び第2の標的化単位を含む。第2の接合領域に含まれる柔軟性単位は、第2の標的化単位に柔軟性を提供する。
【0096】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド及び多量体タンパク質は、それらのそれぞれの第1及び第2の接合領域を介して連結された複数のポリペプチドによって形成される。ポリペプチドは、指定された順序で、第1の標的化単位、第1の接合領域、本明細書に記載の抗原単位、第2の接合領域及び第2の標的化単位を含む。第2の接合領域に含まれる柔軟性単位は、第2の標的化単位に柔軟性を提供する。
【0097】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド及び二量体タンパク質は、それぞれの第1及び第2の接合領域を介して連結された2つのポリペプチドによって形成される。ポリペプチドは、指定された順序で、第1の標的化単位、第1の接合領域、本明細書に記載の抗原単位、第2の接合領域及び第2の標的化単位を含む。第2の接合領域に含まれる柔軟性単位は、第2の標的化単位に柔軟性を提供する。
【0098】
以下の開示において、構築物の様々な単位が詳細に考察される。それらは、単位をコードする核酸配列としてポリヌクレオチドに含まれる一方で、アミノ酸配列としてポリペプチド又は多量体/二量体タンパク質に含まれる。読みやすさのために、以下の開示において、構築物の単位は、主にポリペプチド又は多量体/二量体タンパク質に関して、すなわち、それらのアミノ酸配列に基づいて説明される。
【0099】
接合領域
本開示のポリペプチドは、第1の接合領域及び第2の接合領域を含む。第1の接合領域及び第2の接合領域は、以下のいずれの領域であってもよい。
【0100】
第1の接合領域は、本明細書に記載の第1の標的化単位と本明細書に記載の抗原単位との間に位置する。
【0101】
いくつかの実施形態では、第2の接合領域は、本明細書に記載される抗原単位と本明細書に記載される第2の標的化単位との間に位置する。
【0102】
いくつかの実施形態では、本開示の二量体タンパク質等の多量体タンパク質は、複数のポリペプチド、例えば2つのポリペプチドがそれらの接合領域を介して互いに連結されているものである。他の実施形態では、本開示の二量体タンパク質等の多量体タンパク質は、2つのポリペプチド等の複数のポリペプチドが、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されているものである。
【0103】
いくつかの実施形態では、本開示の多量体タンパク質は、複数のポリペプチドがそれらの接合領域を介して互いに連結されているものである。他の実施形態では、本開示の多量体タンパク質は、複数のポリペプチドが、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されているものである。
【0104】
いくつかの実施形態では、本開示の二量体タンパク質は、2つのポリペプチドがそれらの接合領域を介して互いに連結されているものである。他の実施形態では、本開示の二量体タンパク質は、2つのポリペプチドが、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されているものである。
【0105】
本明細書で使用される「接合領域」という用語は、抗原単位と標的化単位との間のアミノ酸配列を指す。複数のポリペプチドを接合することができる(多量体タンパク質に関する実施形態の場合)、例えば、2つのポリペプチドを接合することができる(二量体タンパク質に関する実施形態の場合)が、同時に、多量体又は二量体タンパク質に柔軟性及び適切なタンパク質立体構造を提供する、任意のアミノ酸配列が、好適な接合領域である。
【0106】
接合領域は、二量体タンパク質等の多量体タンパク質に柔軟性を提供し、その結果、標的化単位は、APC上の表面分子と、例えば同じAPC上の表面分子と、それらが可変距離に位置する場合であっても相互作用することができる。更に、接合領域は、複数の単量体ポリペプチドを接合して、二量体タンパク質等の多量体タンパク質にする。これらの要件のうちの1つ以上を満たす任意のアミノ酸配列が、好適な接合領域である。
【0107】
接合領域は、多量体タンパク質に柔軟性を提供し、その結果、標的化単位は、APC上の表面分子と、例えば、同じAPC上の表面分子と、それらが可変距離に位置する場合であっても相互作用することができる。更に、接合領域は、複数の単量体ポリペプチドを接合して多量体タンパク質にする。これらの要件のうちの1つ以上を満たす任意のアミノ酸配列が、好適な接合領域である。
【0108】
接合領域は、二量体タンパク質に柔軟性を提供し、その結果、標的化単位は、APC上の表面分子と、例えば同じAPC上の表面分子と、それらが可変距離に位置する場合であっても相互作用することができる。更に、接合領域は、2つの単量体ポリペプチドを接合して二量体タンパク質にする。これらの要件のうちの1つ以上を満たす任意のアミノ酸配列が、好適な接合領域である。
【0109】
好ましくは、接合領域は、柔軟性を提供する柔軟性単位、及び2つのポリペプチド等の複数のポリペプチドを接合して二量体等の多量体を形成する結合単位を含む。好ましい実施形態では、接合領域に含まれる柔軟性単位は標的化単位に最も近く、結合単位は抗原単位に最も近い。他の実施形態では、接合領域は、柔軟性を提供する柔軟性単位、及び複数のポリペプチドを接合して多量体タンパク質を形成する結合単位を含む。
【0110】
好ましくは、接合領域は、柔軟性を提供する柔軟性単位、及び複数のポリペプチドを接合して多量体を形成する結合単位を含む。好ましい実施形態では、接合領域に含まれる柔軟性単位は標的化単位に最も近く、結合単位は抗原単位に最も近い。他の実施形態では、接合領域は、柔軟性を提供する柔軟性単位、及び複数のポリペプチドを接合して多量体タンパク質を形成する結合単位を含む。好ましくは、接合領域は、柔軟性を提供する柔軟性単位、及び2つのポリペプチドを接合して二量体を形成する結合単位を含む。好ましい実施形態では、接合領域に含まれる柔軟性単位は標的化単位に最も近く、結合単位は抗原単位に最も近い。他の実施形態では、接合領域は、柔軟性を提供する柔軟性単位、及び2つのポリペプチドを接合して二量体タンパク質を形成する結合単位を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の接合領域の結合単位は異なる。
【0111】
いくつかの実施形態では、1つのポリペプチド分子の第1の接合領域に含まれる結合単位は、別のポリペプチド分子の第1の接合領域に含まれる結合単位に結合することができ、それによって、複数の分子は、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して連結される。同様に、1つのポリペプチド分子の第2の接合領域に含まれる結合単位は、別のポリペプチド分子の第2の接合領域に含まれる結合単位に結合することができ、それによって、複数の分子は、それらのそれぞれの第2の接合領域を介して連結される。したがって、複数のポリペプチド分子は、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されることによって、二量体タンパク質等の多量体タンパク質を形成する。
【0112】
いくつかの実施形態では、1つのポリペプチド分子の第1の接合領域に含まれる結合単位は、別のポリペプチド分子の第1の接合領域に含まれる結合単位に結合することができ、それによって、複数の分子は、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して連結される。同様に、1つのポリペプチド分子の第2の接合領域に含まれる結合単位は、別のポリペプチド分子の第2の接合領域に含まれる結合単位に結合することができ、それによって、複数の分子は、それらのそれぞれの第2の接合領域を介して連結される。したがって、複数のポリペプチド分子は、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されることによって多量体タンパク質を形成する。
【0113】
したがって、いくつかの実施形態では、1つのポリペプチド分子の第1の接合領域に含まれる結合単位は、別のポリペプチド分子の第1の接合領域に含まれる結合単位に結合することができ、それによって、2つの分子は、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して連結される。同様に、1つのポリペプチド分子の第2の接合領域に含まれる結合単位は、別のポリペプチド分子の第2の接合領域に含まれる結合単位に結合することができ、それによって、2つの分子は、それらのそれぞれの第2の接合領域を介して連結される。したがって、2つのポリペプチド分子は、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されることによって二量体タンパク質を形成する。
【0114】
他の実施形態では、第1の接合領域及び第2の接合領域は、同じである。
【0115】
したがって、いくつかの実施形態では、1つのポリペプチド分子の第1の接合領域に含まれる結合単位は、別のポリペプチド分子の第1の接合領域又は第2の接合領域のいずれかに含まれる結合単位に結合することができる。同じことが、第2の接合領域に含まれる結合単位にも当てはまる。
【0116】
第1及び第2の接合領域が同じである場合、第1及び第2の標的化単位のいずれかが異なるが、APC上の同じ表面分子と相互作用すること、又は第1及び第2の標的化単位は同一であることが好ましい。
【0117】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の接合領域のアミノ酸配列は、少なくとも1つの天然に存在する配列を含むか、又は天然に存在する配列からなる。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の接合領域のアミノ酸配列は、少なくとも1つの人工配列を含むか、又は人工配列からなる。
【0118】
いくつかの実施形態は、結合単位は、共有結合単位であり、他の実施形態では、結合単位は、非共有結合単位である。
【0119】
好ましい実施形態では、接合領域のアミノ酸配列は、非免疫原性配列である。
【0120】
二量体タンパク質のいくつかの実施形態に含まれる接合領域の実施形態は、図2及び図3に示される。
【0121】
図2に示される接合領域(接合領域1又は接合領域2)は、標的化単位に最も近い柔軟性単位(B)、及びそれに隣接し、抗原単位に最も近い共有結合単位を含む。図2の共有結合単位は、2つのポリペプチド鎖の間に形成された3つの共有結合(A)を示す。
図3に示す接合領域(接合領域1又は接合領域2)は、標的化単位に最も近い柔軟性単位(B)、及びそれに隣接し、抗原単位に最も近い非共有結合単位を含む。図3の非共有結合単位は、例えば、疎水性相互作用(A)による2つのポリペプチド鎖の二量体化を促進する。
【0122】
柔軟性単位
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される接合領域は、柔軟性単位を含む。
【0123】
好ましい実施形態では、柔軟性単位のアミノ酸配列は、非免疫原性配列である。
【0124】
いくつかの実施形態では、柔軟性単位のアミノ酸配列は、天然に存在するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、柔軟性単位は、免疫グロブリンに由来する。いくつかの実施形態では、柔軟性単位は、免疫グロブリンのヒンジ領域であり、ヒンジ領域は、システイン残基を含まない。
【0125】
いくつかの実施形態では、柔軟性単位のアミノ酸配列は、人工配列である。
【0126】
いくつかの実施形態では、柔軟性単位は、小さい非極性(例えば、グリシン、アラニン若しくはロイシン)又は極性(例えば、セリン若しくはスレオニン)アミノ酸を含む。これらのアミノ酸の小さいサイズは、柔軟性を提供し、接続されたアミノ酸配列の可動性を可能にする。セリン又はスレオニンの取り込みは、水分子と水素結合を形成することによって水溶液中のリンカーの安定性を維持することができ、したがって、リンカーと抗原との間の好ましくない相互作用を低減する。いくつかの実施形態では、柔軟性単位は、人工配列、例えば、セリン(S)及び/又はグリシン(G)リッチリンカー、すなわち、いくつかのセリン及び/又はいくつかのグリシン残基を含むリンカーである。好ましい例は、GGGGSGGGSS(配列番号75)、GGGSG(配列番号76)、GGSGG(配列番号77)、SGSSGS(配列番号78)、GGGGS(配列番号79)又はその複数の変異体、例えばGGGGSGGGGS(配列番号80)、(GGGGS)m(配列番号81)、(GGGSS)m(配列番号82)、(GGGSG)m(配列番号83)又は(SGSSGS)m(配列番号84)であり、mは1~5の整数、例えば、1、2、3、4又は5である。好ましい実施形態では、mは2である。他の好ましい実施形態では、セリン及び/又はグリシンリッチリンカーは、少なくとも1つのロイシン(L)残基、例えば少なくとも1つ又は少なくとも2つ又は少なくとも3つのロイシン残基、例えば、1、2、3又は4つのロイシン残基を更に含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、柔軟性単位は、LGGGS(配列番号85)、GLGGS(配列番号86)、GGLGS(配列番号87)、GGGLS(配列番号88)若しくはGGGGL(配列番号89)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、柔軟性単位は、LGGSG(配列番号90)、GLGSG(配列番号91)、GGLSG(配列番号92)、GGGLG(配列番号93)若しくはGGGSL(配列番号94)を含むか、又はそれからなる。更に他の実施形態では、柔軟性単位は、LGGSS(配列番号95)、GLGSS(配列番号96)若しくはGGLSS(配列番号97)を含むか、又はそれからなる。
【0128】
他の実施形態では、柔軟性単位は、LGLGS(配列番号98)、GLGLS(配列番号99)、GLLGS(配列番号100)、LGGLS(配列番号101)若しくはGLGGL (配列番号102)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、柔軟性単位は、LGLSG(配列番号103)、GLLSG(配列番号104)、GGLSL(配列番号105)、GGLLG(配列番号106)若しくはGLGSL(配列番号107)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、柔軟性単位は、LGLSS(配列番号108)若しくはGGLLS(配列番号109)を含むか、又はそれからなる。
【0129】
他の実施形態では、柔軟性単位は、10のアミノ酸の長さを有し、1つ又は2つのロイシン残基を含むセリン-グリシンリンカーである。
【0130】
いくつかの実施形態では、柔軟性単位は、LGGGSGGGGS(配列番号110)、GLGGSGGGGS(配列番号111)、GGLGSGGGGS(配列番号112)、GGGLSGGGGS(配列番号113)若しくはGGGGLGGGGS(配列番号114)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、柔軟性単位は、LGGSGGGGSG(配列番号115)、GLGSGGGGSG(配列番号116)、GGLSGGGGSG(配列番号117)、GGGLGGGGSG(配列番号118)若しくはGGGSLGGGSG(配列番号119)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、柔軟性単位は、LGGSSGGGSS(配列番号120)、GLSSGGGSS(配列番号121)、GGLSSGGGSS(配列番号122)、GGGLSGGGSS(配列番号123)若しくはGGGSLGGGSS(配列番号124)を含むか、又はそれからなる。
【0131】
更なる実施形態では、柔軟性単位は、LGGGSLGGGS(配列番号125)、GLGGSGLGGS(配列番号126)、GGLGSGGLGS(配列番号127)、GGGLSGGGLS(配列番号128)若しくはGGGGLGGGGL(配列番号129)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、柔軟性単位は、LGGSGLGGSG(配列番号130)、GLGSGGLGSG(配列番号131)、GGLSGGGLSG(配列番号132)、GGGLGGGGLG(配列番号133)若しくはGGGSLGGGSL(配列番号134)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、柔軟性単位は、LGGSSLGGSS(配列番号135)、GLGSSGLGSS(配列番号136)若しくはGGLSSGGLSS(配列番号137)を含むか、又はそれからなる。
【0132】
他の実施形態では、柔軟性単位は、GSGGGA(配列番号138)、GSGGGAGSGGGA(配列番号139)、GSGGGAGSGGGAGSGGGA(配列番号140)、GSGGGAGSGGGAGSGGGAGSGGGA(配列番号141)若しくはGENLYFQSGG(配列番号142)を含むか、又はそれからなる。更に他の実施形態では、柔軟性単位は、SGGGSSGGGS(配列番号143)、SSGGGSSGGG(配列番号144)、GGGSGGGGSGG(配列番号145)、GSGSGSGSGS(配列番号146)、GGSSGGGSG(配列番号147、及び配列番号1のアミノ酸121~130)、GGGSSS(配列番号148)、GGGSSGGGSSGGGSS(配列番号149)若しくはGLGGLAAA(配列番号150)を含むか、又はそれからなる。
【0133】
他の実施形態では、柔軟性単位は、配列TQKSLSLSPGKGLGGL(配列番号151)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、柔軟性単位は、配列SLSLSPGKGLGGL(配列番号152)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、AAY若しくはGPGPG(配列番号153)を含むか、又はそれからなる。
【0134】
他の実施形態では、柔軟性単位は、GSATリンカー、すなわち、1つ以上のグリシン、セリン、アラニン及びスレオニン残基を含むリンカー、例えば、配列GGSAGGSGSGSSGGSSGASGTGTAGGTGSGSGTGSG(配列番号154)を含むか、又はそれからなるリンカー若しくはSEGリンカー、すなわち、1つ以上のセリン、グルタミン酸及びグリシン残基を含むリンカー、例えば、配列GGSGGGSEGGGSEGGGSEGGGSEGGGSEGGGSGGGS(配列番号155)又はELKTPLGDTTHT(配列番号19)を含むか、又はそれからなるリンカーを含むか、又はそれからなる。
【0135】
いくつかの実施形態では、柔軟性単位は、プロテアーゼの標的ではない。
【0136】
いくつかの実施形態では、柔軟性単位は、最大20アミノ酸、例えば最大15アミノ酸、例えば14アミノ酸、例えば13アミノ酸、例えば12アミノ酸、例えば11アミノ酸又は10アミノ酸からなる。
【0137】
いくつかの実施形態では、柔軟性単位は、配列番号1のアミノ酸配列1~12に対して少なくとも50%の配列同一性、例えば60%又は例えば70%又は例えば80%若しくは例えば90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0138】
好ましい実施形態では、柔軟性単位は、IgG3のヒンジエクソンh1である。
【0139】
好ましい実施形態では、柔軟性単位は、配列番号1のアミノ酸配列1~12を含むか、又はそれからなる。
【0140】
いくつかの実施形態では、柔軟性単位は、配列番号2のアミノ酸配列16~23に対して少なくとも50%の配列同一性、例えば60%若しくは例えば70%若しくは例えば80%若しくは例えば90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0141】
いくつかの実施形態では、柔軟性単位は、配列番号2のアミノ酸配列16~23を含むか、又はそれからなり、柔軟性単位のアミノ酸のいずれか1つは、別のアミノ酸に対して置換、欠失、又は挿入され、但し、5以下のアミノ酸、例えば4以下のアミノ酸、3以下のアミノ酸、例えば2以下のアミノ酸、又は1以下のアミノ酸がそのように置換、欠失、又は挿入されている。
【0142】
他の実施形態では、柔軟性単位は、IgG1の下部ヒンジ領域である。
【0143】
好ましい実施形態では、柔軟性単位は、配列番号2のアミノ酸配列16~23を含むか、又はそれからなる。
【0144】
共有結合単位
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される接合領域は、共有結合単位を含む。
【0145】
好ましい実施形態では、共有結合単位は、1つ以上のシステイン残基を含み、本明細書に記載されるポリペプチドは、それぞれの第1及び第2の接合領域の共有結合単位に含まれるシステイン残基間に形成された1つ以上のジスルフィド結合を介して連結される。
【0146】
いくつかの実施形態では、共有結合単位は、システインリッチ配列からなるか、又はそれを含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、共有結合単位は、少なくとも2個のシステイン残基、例えば少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13個のシステイン残基を含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、第1の接合領域の共有結合単位は、第2の接合領域の共有結合単位とは異なる数のシステイン残基を含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、第1の接合領域の共有結合単位のシステイン残基は、第2の接合領域の共有結合単位のシステイン残基とは異なって位置付けられる。例えば、第1の接合領域の共有結合単位のシステイン残基間のアミノ酸残基の数は、第2の接合領域のものとは異なる。
【0150】
いくつかの実施形態は、システイン残基の数は、抗原単位の長さに基づく:抗原単位に含まれるアミノ酸残基が多いほど、共有結合単位中のシステイン残基の数は多くなる。
【0151】
いくつかの実施形態では、共有結合単位は、配列EPKSCDTPPPCPRCP(配列番号156;配列番号1のアミノ酸13~27に対応する)を含む。
【0152】
好ましい実施形態では、共有結合単位のアミノ酸配列は、非免疫原性配列である。
【0153】
いくつかの実施形態では、共有結合単位のアミノ酸配列は、人工配列である。
【0154】
いくつかの実施形態では、共有結合単位のアミノ酸配列は、天然に存在するペプチド配列である。
【0155】
いくつかの実施形態では、共有結合単位は、2~100アミノ酸、例えば3~70アミノ酸、例えば4~50アミノ酸又は5~30アミノ酸からなる。更なる実施形態では、共有結合単位は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20アミノ酸からなる。好ましい実施形態では、共有結合単位は、15アミノ酸からなる。より好ましい実施形態では、共有結合単位は、15アミノ酸からなり、そのうちの3つは、システイン残基である。
【0156】
いくつかの実施形態では、共有結合単位は、免疫グロブリンに由来する。
【0157】
いくつかの実施形態では、共有結合単位は、IgG3のエクソンh4又はIgG1の中央ヒンジ領域等の、免疫グロブリンに由来するヒンジ領域である。ヒンジ領域は、Ig由来、例えばIgG由来、例えばIgG2又はIgG3に由来であってもよい。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、IgMに由来し、例えば、配列番号157を有するヌクレオチド配列若しくは当該ヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0158】
いくつかの実施形態では、共有結合単位は、配列番号1のアミノ酸配列13~27に対して少なくとも40%の配列同一性、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%若しくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0159】
いくつかの実施形態では、共有結合単位は、配列番号1のアミノ酸配列13~27を含むか、又はそれからなり、柔軟性単位のアミノ酸のいずれか1つは、別のアミノ酸に対して置換、欠失、又は挿入され、但し、6以下のアミノ酸、例えば5以下のアミノ酸、例えば4以下のアミノ酸、例えば3以下のアミノ酸、例えば2以下のアミノ酸、又は1以下のアミノ酸がそのように置換、欠失、又は挿入されている。
【0160】
好ましい実施形態では、共有結合単位は、IgG3のヒンジエクソンh4である。
【0161】
他の好ましい実施形態では、共有接合領域は、配列番号1のアミノ酸配列13~27からなる。
【0162】
いくつかの実施形態では、共有結合単位は、システイン残基が、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性でそれらの数及び位置において保持される限り、配列番号2のアミノ酸配列5~15に対して少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0163】
いくつかの実施形態では、共有結合単位は、配列番号2のアミノ酸配列5~15を含むか、又はそれからなり、柔軟性単位のアミノ酸のいずれか1つは、別のアミノ酸に対して置換、欠失、又は挿入され、但し、5以下のアミノ酸、例えば4以下のアミノ酸、例えば3以下のアミノ酸、例えば2以下のアミノ酸又は1以下のアミノ酸がそのように置換、欠失、又は挿入されている。
【0164】
好ましい実施形態では、共有結合単位は、IgG1の中央ヒンジ領域である。
【0165】
他の実施形態では、共有結合単位は、配列番号2のアミノ酸配列5~15からなるか、又はそれを含む。
【0166】
非共有結合単位
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される接合領域は、非共有結合単位を含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、非共有結合相互作用、例えば疎水性相互作用を通して二量体化等の多量体化に寄与する。いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、非共有結合相互作用を介して、二量体等の多量体を形成する能力を有する。
【0168】
いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、非共有結合相互作用、例えば疎水性相互作用を通して多量体化に寄与する。いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、非共有相互作用を介して、多量体を形成する能力を有する。
【0169】
非共有結合単位は、非共有相互作用、例えば疎水性相互作用を通して二量体化に寄与する。いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、非共有結合相互作用を介して、二量体を形成する能力を有する。
【0170】
好ましい実施形態では、非共有結合単位のアミノ酸配列は、非免疫原性配列である。
【0171】
いくつかの実施形態では、非共有結合単位のアミノ酸配列は、人工配列である。
【0172】
いくつかの実施形態では、非共有結合単位のアミノ酸配列は、天然に存在する配列である。
【0173】
いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、免疫グロブリンドメイン、例えば免疫グロブリン定常ドメイン(Cドメイン)、例えばカルボキシ末端Cドメイン(すなわちCH3ドメイン)、CH1ドメイン若しくはCH2ドメイン、又はCドメイン若しくはその変異体と実質的に同一である配列であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、IgGに由来する、例えばIgG3又はIgG1に由来する、好ましくはIgG1に由来するカルボキシ末端Cドメインである。
【0174】
1つの接合領域中の非共有結合単位がCH3ドメインを含む場合、それは更にCH2ドメインを含まず、逆もまた同様であることが好ましい。
【0175】
いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するIgG3に由来するカルボキシ末端Cドメインを含むか、又はそれからなる。
【0176】
好ましい実施形態では、非共有結合単位は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性、例えば少なくとも86%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも88%、例えば少なくとも89%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するIgG3由来のカルボキシ末端Cドメインを含むか、又はそれからなる。
【0177】
好ましい実施形態では、非共有結合単位は、配列番号3のアミノ酸配列を有するIgG3に由来するカルボキシ末端Cドメインを含むか、又はそれからなる。
【0178】
いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、配列番号3のアミノ酸配列を有するIgG3に由来するカルボキシ末端Cドメインを含むか、又はそれからなり、柔軟性単位のアミノ酸のいずれか1つは、別のアミノ酸に置換、欠失、又は挿入され、但し、21以下のアミノ酸、例えば20以下のアミノ酸、例えば19以下のアミノ酸、例えば18以下のアミノ酸、例えば17以下のアミノ酸、例えば16以下のアミノ酸、例えば15以下のアミノ酸、例えば14以下のアミノ酸、例えば13以下のアミノ酸、例えば12以下のアミノ酸、例えば11以下のアミノ酸、例えば10以下のアミノ酸、例えば9以下のアミノ酸、例えば8以下のアミノ酸、例えば7以下のアミノ酸、例えば6以下のアミノ酸、例えば5以下のアミノ酸、例えば4以下のアミノ酸、例えば3以下のアミノ酸、例えば2以下のアミノ酸、例えば1以下のアミノ酸がそのように置換、欠失、又は挿入されている。
【0179】
いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するIgG1に由来するCH3ドメインを含むか、又はそれからなる。
【0180】
いくつかの好ましい実施形態では、非共有結合単位は、配列番号4によるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性、例えば少なくとも86%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも88%、例えば少なくとも89%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するIgG1由来のCH3ドメインを含むか、又はそれからなる。
【0181】
いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、配列番号3のアミノ酸配列を有するIgG1に由来するCH3ドメインを含むか、又はそれからなり、柔軟性単位のアミノ酸のいずれか1つは、別のアミノ酸に置換、欠失、又は挿入され、但し、21以下のアミノ酸、例えば20以下のアミノ酸、例えば19以下のアミノ酸、例えば18以下のアミノ酸、例えば17以下のアミノ酸、例えば16以下のアミノ酸、例えば15以下のアミノ酸、例えば14以下のアミノ酸、例えば13以下のアミノ酸、例えば12以下のアミノ酸、例えば11以下のアミノ酸、例えば10以下のアミノ酸、例えば9以下のアミノ酸、例えば8以下のアミノ酸、例えば7以下のアミノ酸、例えば6以下のアミノ酸、例えば5以下のアミノ酸、例えば4以下のアミノ酸、例えば3以下のアミノ酸、例えば2以下のアミノ酸、例えば1以下のアミノ酸がそのように置換、欠失、又は挿入されている。
【0182】
いくつかの好ましい実施形態では、非共有結合単位は、IgG1のCH3であるか、又はそれを含む。
【0183】
他の実施形態では、非共有結合単位は、ロイシンジッパーモチーフであるか、又はそれを含む。
【0184】
ロイシンジッパーは、タンパク質における一般的な三次元構造モチーフであり、1つのアルファヘリックス由来のロイシン側鎖が別のアルファヘリックス由来のロイシン側鎖と噛み合い、二量体化を促進する。
【0185】
ロイシンジッパーは、真核生物転写因子のbZIP(塩基性領域ロイシンジッパー)クラスの二量体化モチーフである。bZIPドメインは、60~80アミノ酸長であり、高度に保存されたDNA結合塩基性領域及びより多様なロイシンジッパー二量体化領域を有する。いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、真核生物転写因子のbZIPクラスに由来するロイシンジッパーモチーフであるか、又はそれを含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、Jun/Fosベースのロイシンジッパーであるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、ATF6ベースのロイシンジッパーであるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、PARベースのロイシンジッパーであるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、C/EBPaベースのロイシンジッパーであるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、OASISベースのロイシンジッパーであるか、又はそれを含む。
【0187】
更に好ましい実施形態では、非共有結合単位は、CREB転写因子(配列番号5)由来のロイシンジッパーモチーフ(アミノ酸308~336)であるか、又はそれを含む。
【0188】
更に好ましい実施形態では、非共有結合単位は、配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、例えば、少なくとも81%若しくは少なくとも81%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0189】
更に好ましい実施形態では、非共有結合単位は、配列番号5のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなり、柔軟性単位のアミノ酸のいずれか1つは、別のアミノ酸に置換、欠失又は挿入され、但し、12以下、例えば11以下、例えば10以下、例えば9以下、例えば8以下、例えば7以下、例えば6以下、例えば5以下、例えば4以下のアミノ酸、例えば 3以下のアミノ酸、例えば2以下のアミノ酸、例えば1以下のアミノ酸の場合である。
【0190】
いくつかの実施形態では、接合領域は、柔軟性単位、及び共有結合単位又は非共有結合単位のいずれかである結合単位を含む。いくつかの実施形態では、接合領域は、共有結合単位及び非共有結合単位の両方を含む、結合単位を含む。
【0191】
他の実施形態では、接合領域は、柔軟性単位、共有結合単位及び非共有結合単位を含む。いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、抗原単位と共有結合単位との間に位置する。他の実施形態では、共有結合単位は、抗原単位と非共有結合単位との間に位置する。
【0192】
他の実施形態では、接合領域は、柔軟性単位及び非共有結合単位を含む。他の実施形態では、接合領域は、柔軟性単位及び共有結合単位を含む。好ましい実施形態では、柔軟性単位は標的化単位に最も近く、すなわち、標的化単位と共有結合単位との間及び/又は非共有結合単位との間に位置する。
【0193】
いくつかの実施形態では、接合領域は、リンカーを更に含む。更なる実施形態では、リンカーは、共有結合単位と非共有結合単位との間に位置する。
【0194】
3つ以上のポリペプチドの多量体化を促進する/連結する非共有結合単位
抗原単位及び標的化単位を連結することに加えて、非共有結合単位は、複数のポリペプチド、例えば2つ、3つ、4つ以上のポリペプチドの多量体タンパク質、例えば二量体タンパク質、三量体タンパク質又は四量体タンパク質への多量体化/接合を促進する。
【0195】
いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、三量体化単位、例えばコラーゲン由来三量体化単位、例えばヒトコラーゲン由来三量体化ドメイン、例えばヒトコラーゲン由来XVIII三量体化ドメイン(例えば、A.Alvarez-Cienfuegos et al.,Sci Rep 6,28643(2016)を参照されたい)又はヒトコラーゲンXV三量体化ドメインであるか、又はそれを含む。したがって、一実施形態では、非共有結合単位は、配列番号158を有する核酸配列若しくは当該核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる三量体化単位である。他の実施形態では、三量体化単位は、T4フィブリチンのC末端ドメインである。したがって、いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、配列番号159を有するアミノ酸配列若しくは当該核酸配列をコードする核酸配列を含むか、又はそれからなる三量体化単位である。
【0196】
他の実施形態では、非共有結合単位は、p53に由来するドメイン等の四量体化単位であるか、又はそれを含み、任意選択で、以下に記載されるヒンジ領域を更に含む。したがって、いくつかの実施形態では、非共有結合単位は、配列番号160を有する核酸配列若しくは当該核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなり、任意選択で、以下に記載されるヒンジ領域を更に含む、四量体化単位である。
【0197】
接合領域の特定の実施形態
好ましい実施形態では、接合領域は、IgG3のヒンジエクソンh1及びヒンジエクソンh4を含む。更に好ましい実施形態では、接合領域は、配列中のシステイン残基が、例えば、少なくとも50%の配列同一性、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性でそれらの数及び位置において保持される限り、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0198】
更に好ましい実施形態では、接合領域は、配列中のシステイン残基がそれらの数及び位置において保持される限り、配列番号1のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなり、柔軟性単位のアミノ酸のいずれか1つは、別のアミノ酸に置換、欠失、又は挿入され、但し、16以下のアミノ酸、例えば15以下のアミノ酸、例えば14以下のアミノ酸、例えば13以下のアミノ酸、例えば12以下のアミノ酸、例えば11以下のアミノ酸、例えば10以下のアミノ酸、例えば9以下のアミノ酸、例えば8以下のアミノ酸、例えば7以下のアミノ酸、例えば6以下のアミノ酸、例えば5以下のアミノ酸、例えば4以下のアミノ酸、例えば3以下のアミノ酸、例えば2以下のアミノ酸、例えば1以下のアミノ酸がそのように置換、欠失、又は挿入されている。
【0199】
いくつかの実施形態は、接合領域は、IgG3のヒンジエクソンh1及びヒンジエクソンh4である。いくつかの実施形態では、接合領域は、配列番号1のアミノ酸配列を含む。
【0200】
上記の接合領域が第2の接合領域である場合、当該接合領域は、h4からh1の順序でヒンジエクソンを含み、すなわち、上記の配列は、柔軟性単位h1が第2の標的化単位に最も近くなるように「反転」されている。
【0201】
他の好ましい実施形態では、接合領域は、IgG1の中央及び下部ヒンジ領域を含む。更に好ましい実施形態では、接合領域は、配列中のシステイン残基が、例えば、少なくとも50%の配列同一性、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性でそれらの数及び位置において保持される限り、配列番号2のアミノ酸配列5~23に対して少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0202】
更に好ましい実施形態では、接合領域は、配列中のシステイン残基がそれらの数及び位置において保持される限り、配列番号2のアミノ酸配列5~23を含むか、又はそれからなり、柔軟性単位のアミノ酸のいずれか1つは、別のアミノ酸に置換、欠失又は挿入され、但し、11以下のアミノ酸、例えば10以下のアミノ酸、例えば9以下のアミノ酸、例えば8以下のアミノ酸、例えば7以下のアミノ酸、例えば6以下のアミノ酸、例えば5以下のアミノ酸、例えば4以下のアミノ酸、例えば3以下のアミノ酸、例えば2以下のアミノ酸、例えば1以下のアミノ酸がそのように置換、欠失又は挿入されている。
【0203】
いくつかの実施形態では、接合領域は、IgG1の中央及び下部ヒンジ領域である。他の好ましい実施形態では、接合領域は、配列番号2のアミノ酸配列5~23からなるか、又はそれを含む。
【0204】
上記の接合領域が第1の接合領域である場合、当該接合領域は、下部ヒンジ領域から中間ヒンジ領域の順序でヒンジ領域を含み、すなわち、上記の配列は、柔軟性単位である下部ヒンジ領域が第1の標的化単位に最も近くなるように「反転」されている。
【0205】
いくつかの実施形態では、接合領域は、IgG3のヒンジエクソンh1及びヒンジエクソンh4を含み、並びに/又はIgG1の中央及び下部ヒンジ領域を含む接合領域は、非共有接合領域、例えば、前述の非共有接合領域、好ましくは免疫グロブリン定常ドメインを更に含んでもよい。
【0206】
標的化単位
本開示の寛容誘導構築物は、抗原提示細胞(APC)を標的とする第1及び第2の標的化単位を含む。
【0207】
第1及び第2の標的化単位は、それぞれ、本明細書に記載されるように、第1及び第2の接合領域に接続される。
【0208】
本明細書で使用される「標的化単位」という用語は、本開示の構築物を抗原提示細胞に送達し、細胞の成熟を誘導することなく、APC上の表面分子と相互作用する、例えば、APC上の表面受容体に結合する、単位を指す。APCは、構築物を内在化するものであり、MHC上の抗原単位に含まれるT細胞エピトープを、抗炎症性の寛容原性様式で、例えば共刺激シグナルを上方制御しないことによって、及び/又は阻害性表面受容体を上方制御することによって、及び/又は阻害性サイトカインの分泌を促進することによって、その表面上に提示する。いくつかの実施形態では、標的化単位は、TGFβ受容体(TGFβR1、TGFβR2、及びTGFβR3を含む)、IL-10RA及びIL10-RB等のIL10R、IL2R、IL4R、IL6R、IL11R及びIL13R、IL27R、IL35R、IL37R、GM-CSFR、FLT3、CCR7、CD11b、CD11c、CD103、CD14、CD36、CD205、CD109、VISTA、MARCO、MHCII、CD83、SIGLEC、MGL/Clec10A、ASGR(ASGR1/ASGR2)、CD80、CD86、Clec9A、Clec12A、Clec12B、DCIR2、Langerin、MR、DC-Sign、Treml4、Dectin-1、PDL1、PDL2、HVEM、CD163、及びCD141からなる群から選択されるAPC上の表面分子に結合する部分を含むか、又はそれからなる。
【0209】
好ましい実施形態では、標的化単位は、hTGFβ受容体(hTGFβR1、hTGFβR2、及びhTGFβR3を含む)、hIL-10RA及びhIL-10RB等のhIL-10R、hIL-2R、hIL-4R、hIL-6R、hIL-11R、hIL-13R、hIL-27R、hIL-35R、hIL-37R、hGM-CSFR、hFLT3、hCCR7、hCD11b、hCD11c、hCD103、hCD14、hCD36、hCD205、hCD109、hVISTA、hMARCO、hMHCII、hCD83、hSIGLEC、hClec10A(hMGL)、hASGR(hASGR1/hASGR2)、hCD80、hCD86、hClec9A、hClec12A、hClec12B、hDCIR2、hLangerin、hMR、hDC-Sign、hTreml4、hDectin-1、hPDL1、hPDL2、hHVEM、hCD163及びhCD141からなる群から選択されるヒト(h)APC上の表面分子に結合する部分を含むか、又はそれからなる。
【0210】
この部分は、天然リガンド、抗体若しくはその一部、例えばscFv、又は合成リガンドであってもよい。
【0211】
いくつかの実施形態では、この部分は、前述の受容体のいずれかに対する特異性を有する抗体又はその一部、例えばscFvであり、その受容体への結合により、抗原単位に含まれるT細胞エピトープが抗炎症性寛容原性様式で提示される。
【0212】
他の実施形態では、この部分は、前述の受容体のいずれかに対する特異性を有する合成リガンドであり、その受容体への結合により、抗原単位に含まれるT細胞エピトープが抗炎症性寛容原性様式で提示される。タンパク質モデリングを使用して、そのような合成リガンドを設計してもよい。
【0213】
他の実施形態では、この部分は、天然リガンドである。
【0214】
いくつかの実施形態では、天然リガンドは、TGFβ1、TGFβ2又はTGFβ3等のTGFβ、IL-10、IL2、IL4、IL6、IL11、IL13、IL27、IL35、IL37、GM-CSF、FLT3L、CCL19、CCL21、ICAM-1(CD54としても知られる細胞間接着分子1)、ケラチン、VSIG-3、SCGB3A2、CTLA-4、好ましくはCTLA-4の細胞外ドメイン、PD-1、好ましくはPD-1の細胞外ドメイン及びBTLA、好ましくはBTLAの細胞外ドメインからなる群から選択される。
【0215】
他の実施形態では、標的化単位は、IL-10又はTGFβ、好ましくはヒトIL-10又はヒトTGFβであるか、又はそれを含む。
【0216】
他の実施形態では、標的化単位は、ヒトTGFβのアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0217】
他の実施形態では、標的化単位は、ヒトTGFβのアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性、例えば少なくとも86%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも88%、例えば少なくとも89%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%若しくは例えば100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0218】
他の実施形態では、標的化単位は、最大22アミノ酸、例えば、最大21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸が置換、欠失又は挿入されていることを除いて、ヒトTGFβのアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0219】
他の実施形態では、標的化単位は、ヒトIL-10のアミノ酸配列(配列番号66)に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0220】
他の実施形態では、標的化単位は、ヒトIL-10のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性、例えば少なくとも86%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも88%、例えば少なくとも89%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%若しくは例えば100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0221】
他の実施形態では、標的化単位は、最大22アミノ酸、例えば、最大21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸が置換、欠失又は挿入されていることを除いて、ヒトIL-10のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0222】
他の実施形態では、標的化単位は、ヒトIL-10のアミノ酸配列若しくはヒトIL-10をコードするヌクレオチド配列を含むか、又はそれからなる。
【0223】
いくつかの実施形態では、標的化単位は、SCGB3A2又はVSIG-3、好ましくはヒトVSIG-3又はヒトSCGB3A2であるか、又はそれを含む。
【0224】
他の実施形態では、標的化単位は、ヒトSCGB3A2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0225】
他の実施形態では、標的化単位は、ヒトSCGB3A2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性、例えば少なくとも86%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも88%、例えば少なくとも89%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%若しくは例えば100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0226】
他の実施形態では、標的化単位は、最大22アミノ酸、例えば、最大21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸が置換、欠失又は挿入されていることを除いて、ヒトSCGB3A2のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0227】
他の実施形態では、標的化単位は、ヒトSCGB3A2のアミノ酸配列、又はヒトSCGB3A2をコードするヌクレオチド配列を含むか、又はそれからなる。
【0228】
他の実施形態では、標的化単位は、ヒトVSIG-3のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0229】
他の実施形態では、標的化単位は、ヒトVSIG-3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性、例えば少なくとも86%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも88%、例えば少なくとも89%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%若しくは例えば100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0230】
別の実施形態では、標的化単位は、最大22アミノ酸、例えば、最大21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸が置換、欠失又は挿入されていることを除いて、ヒトVSIG-3のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0231】
他の実施形態では、標的化単位は、ヒトVSIG-3のアミノ酸配列若しくはヒトVSIG-3をコードするヌクレオチド配列を含むか、又はそれからなる。
【0232】
他の実施形態では、標的化単位は、CD205に対する特異性を有する抗体又はその一部、例えばscFvであるか、又はそれを含む。
【0233】
抗原単位
本開示の寛容誘導構築物の抗原単位は、Tregエピトープ又は阻害性ネオ抗原、アレルゲン、アロ抗原又は異種抗原を含むがこれらに限定されない、自己抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む。
【0234】
抗原単位は、本明細書に記載されるように、第1の接合領域と第2の接合領域との間に位置する。
【0235】
いくつかの実施形態では、抗原単位は、自己抗原の1つ以上のT細胞エピトープ、すなわち自己抗原の1つのT細胞エピトープ、又は自己抗原の2つ以上のT細胞エピトープ、すなわち自己抗原の複数のT細胞エピトープを含む。一実施形態では、複数のT細胞エピトープは、同じ自己抗原のものであり、すなわち、同じ自己抗原に含まれる。別の実施形態では、複数のT細胞エピトープは、複数の異なる自己抗原のものであり、すなわち、異なる自己抗原に含まれる。
【0236】
いくつかの実施形態では、抗原単位が2つ以上のT細胞エピトープを含む場合、抗原単位は、T細胞エピトープを分離する1つ以上のリンカーを含む。いくつかの実施形態では、抗原単位は、複数の抗原、例えば、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原の複数のT細胞エピトープを含み、T細胞エピトープは、好ましくはリンカーによって分離されている。更に他の実施形態では、抗原単位は、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原の複数のT細胞エピトープを含み、各T細胞エピトープは、リンカーによって他の抗原から分離されている。リンカーによる他のT細胞エピトープからの自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原の各T細胞エピトープの分離を説明する代替方法は、末端T細胞エピトープ、すなわち、ポリペプチドのN末端開始又はポリペプチドのC末端(すなわち、二量体化単位に連結されていない抗原単位の末端に位置する)の抗原を除く全てがサブユニットに配置され、各サブユニットが本明細書に記載の抗原及びリンカーを含むか、又はそれからなるというものである。
【0237】
したがって、n個の抗原を含む抗原単位は、n-1個のサブユニットを含み、各サブユニットは、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原のT細胞エピトープ、及びリンカーを含み、末端T細胞エピトープを更に含む。いくつかの実施形態では、nは、1~50、例えば、3~50又は15~40又は10~30又は10~25又は10~20又は15~30又は15~25又は15~20の整数である。
【0238】
抗原単位中のリンカーは、その中に含まれる抗原、例えばエピトープを分離する。上記のように、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原の全てのT細胞エピトープは、リンカーによって互いに分離され、サブユニットに配置されてもよい。
【0239】
いくつかの実施形態では、リンカーは、非免疫原性であるように設計される。それは、それが接続する2つのアミノ酸配列が互いに対して実質的に自由に移動することを可能にしないことを意味する、剛性リンカーであってもよい。あるいは、それは、柔軟性リンカー、すなわち、それが接続する2つのアミノ酸配列が互いに対して実質的に自由に移動することを可能にするリンカーであってもよい。
【0240】
リンカーによる抗原の分離により、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原の各T細胞エピトープは、免疫系に最適な様式で提示される。
【0241】
例として、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、ミエリン関連糖タンパク質(MAG)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)及びミエリン関連塩基性オリゴデンドロサイトタンパク質(MOBP)は全て、多発性硬化症(MS)に関与する自己抗原として研究及び提案されており、抗原単位は、例えば、MBPの1つ以上のT細胞エピトープ、すなわち、MBPの1つのT細胞エピトープ又はMBPの複数のT細胞エピトープを含んでもよい。更に、抗原単位は、例えばMOG及びPLPの複数のT細胞エピトープ、例えばMOGの1つ以上のT細胞エピトープ及びPLPの1つ以上のT細胞エピトープを含んでもよい。
【0242】
他の実施形態では、抗原単位は、アレルゲンの1つ以上のT細胞エピトープ、すなわち、アレルゲンの1つのT細胞エピトープ、又はアレルゲンの2つ以上のT細胞エピトープ、すなわち、アレルゲンの複数のT細胞エピトープを含む。一実施形態では、複数のT細胞エピトープは、同じアレルゲンのものであり、すなわち、同じアレルゲンに含まれる。他の実施形態では、複数のT細胞エピトープは、複数の異なるアレルゲンのものであり、すなわち、異なるアレルゲンに含まれる。
【0243】
例として、Fel d1、Fel d4及びFel d7は、最も顕著なネコアレルゲンのうちの3つであり、ヒトネコアレルギーの大部分を占め、抗原単位は、例えば、Fel d1の1つ以上のT細胞エピトープ、すなわち、Fel d1の1つのT細胞エピトープ又はFel d1の複数のT細胞エピトープを含んでもよい。更に、抗原単位は、例えばFel d4及びFel d7の複数のT細胞エピトープ、例えばFel d4の1つ以上のT細胞エピトープ及びFel d7の1つ以上のT細胞エピトープを含んでもよい。
【0244】
他の実施形態では、抗原単位は、同種抗原/異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープ、すなわち、同種抗原/異種抗原の1つのT細胞エピトープ、又は同種抗原/異種抗原の2つ以上のT細胞エピトープ、すなわち、同種抗原/異種抗原の複数のT細胞エピトープを含む。いくつかの実施形態では、複数のT細胞エピトープは、同じ同種抗原/異種抗原のものであり、すなわち、同じ同種抗原/異種抗原に含まれる。他の実施形態では、複数のT細胞エピトープは、複数の異なる同種抗原/異種抗原のものであり、すなわち、異なる同種抗原/異種抗原に含まれる。
【0245】
いくつかの実施形態では、抗原単位は、1つのT細胞エピトープを含む。他の実施形態では、抗原単位は、2つ以上のT細胞エピトープ、すなわち複数のT細胞エピトープを含む。
【0246】
本開示の寛容誘導構築物は、個別化された処置であってもよく、すなわち、特定の対象/1人の患者のために設計されてもよい。他の実施形態では、本開示の寛容誘導構築物は、患者集団又は患者における一般的使用、すなわちすぐ使用可能な(off-the-shelf)処置のためのものである。
【0247】
個別化された寛容誘導構築物
個別化された寛容誘導構築物について、T細胞エピトープは、抗原単位に含めるために選択され、このT細胞エピトープは、構築物での処置を受ける患者について最適化される。これは、寛容誘導構築物を含むすぐ使用可能な処置と比較して、治療効果を増加させる。
【0248】
個別化された寛容誘導構築物の抗原単位は、MSに罹患している患者について例示されるように、以下のように設計されてもよい:
1)患者のHLAクラスI及び/又はHLAクラスII対立遺伝子が決定される。
2)1つ以上の自己抗原(例えば、MSに関与する自己抗原として研究及び提案されている自己抗原)に含まれるT細胞エピトープが同定される。
3)T細胞エピトープが、患者のHLAクラスI及び/又はクラスII対立遺伝子への予測される結合に基づいて選択される。
4)1つ以上の寛容誘導試験構築物が設計及び産生され、T細胞エピトープが、任意選択で、本出願に記載されるように構築物の抗原単位中に配置される。
【0249】
T細胞エピトープは、患者のHLAクラスI/II対立遺伝子に結合するそれらの予測される能力に基づいて上記の方法において選択される、すなわち、予測HLA結合アルゴリズムを使用してインシリコで選択される。関連エピトープを同定した後、エピトープは、患者のHLAクラスI/II対立遺伝子に結合するそれらの能力に従ってランク付けされ、最もよく結合すると予測されるエピトープが、試験構築物の抗原単位に含まれるように選択される。
【0250】
任意の好適なHLA結合アルゴリズム、例えば、以下のうちの1つが使用されてもよい:
ペプチド-MHC結合の利用可能なソフトウェア分析(IEDB、NetMHCpan及びNetMHCIIpan)は、以下のウェブサイトからオンラインでダウンロード又は使用されてもよい。
www.iedb.org/
services.healthtech.dtu.dk/service.php?NetMHCpan-4.0
services.healthtech.dtu.dk/service.php?NetMHCIIpan-3.2
すぐ使用可能な寛容誘導構築物
すぐ使用可能な寛容誘導構築物の抗原単位は、好ましくは、最小T細胞エピトープのホットスポット、すなわち、広範の対象、例えば、民族集団又は更に世界人口を網羅するために異なるHLA対立遺伝子によって提示されると予測される複数の最小T細胞エピトープ(例えば、8~15アミノ酸の長さを有する)を含有する抗原の1つ以上の領域を含む。
【0251】
そのようなホットスポットを含むことによって、構築物が広範囲の対象において寛容を誘導する可能性が最大化される。
【0252】
抗原単位の更なる説明
本開示の構築物の抗原単位に含まれるT細胞エピトープは、7~約200アミノ酸の長さを有し、より長いT細胞エピトープは、場合により最小エピトープのホットスポットを含む。
【0253】
いくつかの実施形態では、抗原単位は、7~150アミノ酸、好ましくは7~100アミノ酸、例えば、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50アミノ酸等、約10~約100アミノ酸、又は約15~約100アミノ酸、又は約20~約75アミノ酸、又は約25~約50アミノ酸の長さを有するT細胞エピトープを含む。
【0254】
約60~200アミノ酸の長さを有するT細胞エピトープは、より短い配列に分割され、本明細書に記載されるリンカーによって分離された抗原単位に含まれてもよい。例として、150アミノ酸の長さを有するT細胞エピトープは、各々50アミノ酸の3つの配列に分割され、3つの配列を互いに分離するリンカーと共に抗原単位に含まれてもよい。
【0255】
いくつかの実施形態では、1つのT細胞エピトープの長さは、タンパク質が正しく折り畳まれないような長さである。例えば、最も顕著なネコアレルゲンであるFel d 1は、2つのヘテロ二量体によって形成されたタンパク質であり、各二量体は2つの鎖から構成され、鎖1は70アミノ酸残基を含み、鎖2は90又は92残基を含む。両方の鎖の長いT細胞エピトープを抗原単位に含めることは、タンパク質の正しい折り畳みをもたらし得、対象の肥満細胞及び好塩基球上の2つ以上のIgEが構築物の抗原単位に結合する場合、アレルギー反応を誘発する場合がある。
【0256】
より長いT細胞エピトープが抗原単位に含まれる場合、タンパク質折り畳みは、例えば、タンパク質に対する抗体(例えば、ネコアレルゲン)を使用し、抗体がT細胞エピトープに結合するかどうかを判定するELISAによってインビトロで試験されてもよい。
【0257】
いくつかの実施形態では、T細胞エピトープは、MHC(主要組織適合性複合体)による提示に好適な長さを有する。MHC分子には2つの主要なクラス、MHCクラスI及びMHC IIがある。MHCクラスI及びMHCクラスIIという用語は、本明細書ではHLAクラスI及びHLAクラスIIと互換的に使用される。HLA(ヒト白血球抗原)は、ヒトにおける主要組織適合性複合体である。したがって、好ましい実施形態では、抗原単位は、MHCクラスI又はMHCクラスII上での特異的提示に好適な長さを有するT細胞エピトープを含む。いくつかの実施形態では、T細胞エピトープは、MHCクラスI提示のために7~11アミノ酸の長さを有する。他の実施形態では、T細胞エピトープ配列は、MHCクラスII提示のために、9~60アミノ酸、例えば9~30アミノ酸、例えば15~60アミノ酸、例えば15~30アミノ酸の長さを有する。好ましい実施形態では、T細胞エピトープは、MHCクラスII提示のために15アミノ酸の長さを有する。
【0258】
抗原単位中のT細胞エピトープの数は変動してもよく、抗原単位中に含まれる他の要素、例えば本出願に記載されるT細胞エピトープリンカーの長さ及び数に応じて異なる。
【0259】
いくつかの実施形態では、抗原単位は、最大3500アミノ酸、例えば60~3500アミノ酸、例えば約80又は約100又は約150アミノ酸~約3000アミノ酸、例えば約200~約2500アミノ酸、例えば約300~約2000アミノ酸又は約400~約1500アミノ酸又は約500~約1000アミノ酸を含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、抗原単位は、1~10個のT細胞エピトープ、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8若しくは9若しくは10個のT細胞エピトープ、又は11~20個のT細胞エピトープ、例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20個のT細胞エピトープ、又は21~30個のT細胞エピトープ、例えば、21、22、23、24、25、26、27、28、29若しくは30個のT細胞エピトープ、又は31~40個のT細胞エピトープ、例えば、31、32、33、34、35、36、37、38、39若しくは40個のT細胞エピトープ、又は41~50個のT細胞エピトープ、例えば、41、42、43、44、45、46、47、48、49若しくは50個のT細胞エピトープを含む。他の実施形態では、抗原単位は、1~3個のT細胞エピトープ、例えば1、2、3若しくは1~5個のT細胞エピトープ、例えば1、2、3、4、5若しくは3~6個のT細胞エピトープ、例えば3、4、5、6若しくは5~15個のT細胞エピトープ、例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15個のT細胞エピトープ、又は7~17個のT細胞エピトープ、例えば7、8、9、10、11、12、13、14、15、16若しくは17個のT細胞エピトープ、又は9~19個のT細胞エピトープ、例えば9、10、11、12、13、14、15、16、17、18若しくは19個のT細胞エピトープを含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、T細胞エピトープは、抗原単位中にランダムに配置される。他の実施形態では、抗原単位中にそれらを配置するための以下の方法のうちの1つ以上(on or more)が使用されてもよい。
【0262】
いくつかの実施形態では、T細胞エピトープは、多量体化/二量体化単位から抗原単位の末端への方向に、より抗原性の高いものからより抗原性の低いものの順序で配置される(図1を参照されたい)。あるいは、特に親水性/疎水性がT細胞エピトープ間で大きく変動する場合、最も疎水性のT細胞エピトープは、抗原単位の実質的に中央に位置付けられてもよく、最も親水性のT細胞エピトープは、多量体化/二量体化単位又は抗原単位の末端の最も近くに位置付けられる。
【0263】
いくつかの実施形態では、T細胞エピトープは、多量体化単位から抗原単位の末端への方向に、より抗原性の高いものからより抗原性の低いものの順序で配置される。あるいは、特に親水性/疎水性がT細胞エピトープ間で大きく変動する場合、最も疎水性のT細胞エピトープは、抗原単位の実質的に中央に位置付けられてもよく、最も親水性のT細胞エピトープは、多量体化単位又は抗原単位の末端に最も近く位置付けられる。
【0264】
いくつかの実施形態では、T細胞エピトープは、二量体化単位から抗原単位の末端への方向に、より抗原性の高いものからより抗原性の低いものの順序で配置される(図1を参照されたい)。あるいは、特に親水性/疎水性がT細胞エピトープ間で大きく変動する場合、最も疎水性のT細胞エピトープは、抗原単位の実質的に中央に位置付けられもよく、最も親水性のT細胞エピトープは、二量体化単位又は抗原単位の末端の最も近くに位置付けられる。
【0265】
抗原単位の中央への真の位置付けは、抗原単位が奇数のT細胞エピトープを含む場合にのみ可能であるため、この文脈における「実質的に」という用語は、偶数のT細胞エピトープを含む抗原単位を指し、最も疎水性のT細胞エピトープは、可能な限り中央に近接して位置付けられる。
【0266】
例として、抗原単位は、5つのT細胞エピトープを含み、これらは以下のように配置される:1-2-3-4-5;1、2、3、4及び5は各々異なるT細胞エピトープであり、-はT細胞エピトープリンカーであり、は抗原単位の中央に位置付けられる最も疎水性のT細胞エピトープを示す。
【0267】
別の例では、抗原単位は、6個のT細胞エピトープを含み、これらは以下のように配置される:1-2-3-4-5-6、あるいは以下のように配置される:1-2-4-3-5-6;1、2、3、4、5及び6は、各々T細胞エピトープであり、-はT細胞エピトープリンカーであり、は抗原単位の実質的に中央に位置付けられる最も疎水性のT細胞エピトープを示す。
【0268】
あるいは、T細胞エピトープは、親水性T細胞エピトープと疎水性T細胞エピトープとの間で交互に配置されてもよい。任意選択で、GCリッチT細胞エピトープは、GCクラスターが回避されるように配置される。好ましい実施形態では、GCリッチT細胞エピトープは、それらの間に少なくとも1つの非GCリッチT細胞エピトープが存在するように配置される。いくつかの実施形態では、T細胞エピトープをコードするGCリッチ配列は、それらの間に少なくとも1つの非GCリッチT細胞配列が存在するように配置される。GCリッチ配列は、60%以上、例えば65%以上、例えば70%以上、例えば75%以上、例えば80%以上のGC含量を有する配列である。
【0269】
抗原単位が複数のT細胞エピトープを含む場合、エピトープは、好ましくはT細胞エピトープリンカーによって分離される。これは、各T細胞エピトープが最適な方法で免疫系に提示されることを確実にする。抗原単位がn個のT細胞エピトープを含む場合、それは、好ましくは、各T細胞エピトープを1つ又は2つの他のT細胞エピトープから分離するn-1個のT細胞エピトープリンカーを含む。
【0270】
T細胞エピトープリンカーは、非免疫原性であるように設計され、好ましくはまた、抗原単位が多数のT細胞エピトープを含む場合であっても、最適な様式でT細胞エピトープを免疫系に提示することを可能にする柔軟性リンカーである。
【0271】
好ましくは、T細胞エピトープリンカーは、4~20アミノ酸、例えば5~20アミノ酸若しくは5~15アミノ酸又は8~20アミノ酸若しくは8~15アミノ酸、例えば8、9、10,11、12、13、14、若しくは15アミノ酸、10~15アミノ酸又は8~12アミノ酸、例えば8、9、10、11、若しくは12アミノ酸からなるペプチドである。特定の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、10アミノ酸からなる。
【0272】
抗原単位に含まれる全てのT細胞エピトープリンカーは、好ましくは同一である。しかしながら、T細胞エピトープのうちの1つ以上がリンカーの配列と類似の配列を含む場合、隣接するT細胞エピトープリンカーを異なる配列のリンカーで置換することが有利であり得る。また、T細胞エピトープ/リンカー接合部がそれ自体でエピトープを構成すると予測される場合、異なる配列のT細胞エピトープリンカーを使用することが好ましい。
【0273】
好ましくは、T細胞エピトープリンカーは、セリン(S)及び/又はグリシン(G)リッチリンカー、すなわち、いくつかのセリン及び/又はいくつかのグリシン残基を含むリンカーである。好ましい例は、GGGGSGGGSS(配列番号75)、GGGSG(配列番号76)、GGGGS(配列番号77)、SGSSGS(配列番号78)、GGSGG(配列番号79)、又はその複数の変異体、例えばGGGGSGGGGS(配列番号80)、(GGGGS)m(配列番号81)、(GGGSS)m(配列番号82)、(GGSGG)m(配列番号161)、(GGGSG)m(配列番号83)又は(SGSSGS)m(配列番号84)であり、mは1~5の整数、例えば、1、2、3、4又は5である。好ましい実施形態では、mは2である。他の好ましい実施形態では、セリン及び/又はグリシンリッチリンカーは、少なくとも1つのロイシン(L)残基、例えば少なくとも1つ又は少なくとも2つ又は少なくとも3つのロイシン残基、例えば、1、2、3又は4つのロイシン残基を更に含む。
【0274】
いくつかの実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、LGGGS(配列番号85)、GLGGS(配列番号86)、GGLGS(配列番号87)、GGGLS(配列番号88)若しくはGGGGL(配列番号89)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、LGGSG(配列番号90)、GLGSG(配列番号91)、GGLSG(配列番号92)、GGGLG(配列番号93)若しくはGGGSL(配列番号94)を含むか、又はそれからなる。更に他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、LGGSS(配列番号95)、GLGSS(配列番号96)、若しくはGGLSS(配列番号97)を含むか、又はそれからなる。
【0275】
他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、LGLGS(配列番号98)、GLGLS(配列番号99)、GLLGS(配列番号100)、LGGLS(配列番号101)、GLGGL(配列番号102)若しくは(GLGGL)m(配列番号162)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、LGLSG(配列番号103)、GLLSG(配列番号104)、GGLSL(配列番号105)、GGLLG(配列番号106)若しくはGLGSL(配列番号107)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、LGLSS(配列番号108)若しくはGGLLS(配列番号109)を含むか、又はそれからなる。
【0276】
他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、10アミノ酸の長さを有し、1つ又は2つのロイシン残基を含むセリン-グリシンリンカーである。
【0277】
いくつかの実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、LGGGSGGGGS(配列番号110)、GLGGSGGGGS(配列番号111)、GGLGSGGGGS(配列番号112)、GGGLSGGGGS(配列番号113)若しくはGGGGLGGGGS(配列番号114)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、LGGSGGGGSG(配列番号115)、GLGSGGGGSG(配列番号116)、GGLSGGGGSG(配列番号117)、GGGLGGGGSG(配列番号118)若しくはGGGSLGGGSG(配列番号119)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、LGGSSGGGSS(配列番号120)、GLGSSGGGSS(配列番号121)、GGLSSGGGSS(配列番号122)、GGGLSGGGSS(配列番号123)若しくはGGGSLGGGSS(配列番号124)を含むか、又はそれからなる。
【0278】
更なる実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、LGGGSLGGGS(配列番号125)、GLGGSGLGGS(配列番号126)、GGLGSGGLGS(配列番号127)、GGGLSGGGLS(配列番号128)若しくはGGGGLGGGGL(配列番号129)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、LGGSGLGGGSG(配列番号130)、GLGSGGLGGSG(配列番号131)、GGLSGGGLSG(配列番号132)、GGGLGGGGLG(配列番号133)若しくはGGGSLGGGSL(配列番号134)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、LGGSSLGGSS(配列番号135)、GLGSSGLGSS(配列番号136)、GGLSSGGLSS(配列番号137)を含むか、又はそれからなる。
【0279】
他の実施形態では、T細胞性エピトープリンカーは、GSGGGA(配列番号138)、GSGGGAGSGGGA(SEQ ID NO:139)、GSGGGAGSGGGAGSGGGA(配列番号140)、GSGGGAGSGGGAGSGGGAGSGGGA(配列番号141)若しくはGENLYFQSGG(SEQ ID NO:142)を含むか、又はそれからなる。更に他の実施形態では、SGGGSSGGGS(配列番号143)、GGGGSGGGGS(配列番号80)、SSGGGSSGGG(配列番号144)、GGSGGGGSGG(配列番号145)、GSGSGSGSGS(配列番号146)、GGGSGGGSG(配列番号147)、GGGSSS(配列番号148)、GGGSSGGGSSGGGSS(配列番号149)(配列番号)若しくはGLGGLAAA(配列番号150)を含むか、又はそれからなる。
【0280】
他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、剛性リンカーである。そのような剛性リンカーは、(より大きな)抗原を効率的に分離し、それらの互いの干渉を防止するのに有用であり得る。一実施形態では、サブユニットリンカーは、KPEPKPAPAPKP(配列番号163)、AEAAAKEAAAKA(配列番号164)、(EAAAK)mGS(配列番号165)、EAAK)mGS(配列番号39)、PSRLEEELRRRLTEP(配列番号166)若しくはSACYCELS(配列番号167)を含むか、又はそれからなる。
【0281】
他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、配列TQKSLSLSPGKGLGGL(配列番号151)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、配列SLSLSPGKGLGGL(配列番号168)を含むか、又はそれからなる。他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、AAY若しくはGPGPG(配列番号153)を含むか、又はそれからなる。
【0282】
他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、GSATリンカー、すなわち、1つ以上のグリシン、セリン、アラニン及びスレオニン残基を含むリンカー、例えば、配列GGSAGGSGSGSSGGSSGASGTGTAGGTGSGSGTGSG(配列番号154)を含むか、又はそれからなるリンカー若しくはSEGリンカー、すなわち、1つ以上のセリン、グルタミン酸及びグリシン残基を含むリンカー、例えば、配列GGSGGGSEGGGSEGGGSEGGGSEGGGSEGGGSGGGS(配列番号155)又はELKTPLGDTTHT(配列番号19)を含むか、又はそれからなるリンカーである。
【0283】
他の実施形態では、T細胞エピトープリンカーは、切断可能なリンカー、例えばエンドペプチダーゼ、例えばフューリン、カスパーゼ、カテプシン等のエンドペプチダーゼのための1つ以上の認識部位を含むリンカーである。切断可能なリンカーは、遊離の機能的タンパク質ドメイン(例えば、より大きな抗原によってコードされる)を放出するために導入されてもよく、これは、減少した生物活性、改変された生体内分布のようなそのようなドメイン間の立体障害、又はそのようなドメインの干渉による他の欠点を克服し得る。
【0284】
T細胞エピトープリンカーの例は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2020/176797(A1)号の段落[0098]~[0099]及び列挙された配列(特に配列番号37~65及び配列番号67~76)、並びに参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2019/0022202(A1)号の段落[0135]~[0139]に開示されている。
【0285】
アレルゲン
本明細書に記載される寛容誘導構築物は、ある範囲の異なるタンパク質アレルゲン、例えば、翻訳後修飾を受けるタンパク質アレルゲンを含む、本開示の構築物のポリヌクレオチドに含まれる核酸配列によってコードされ得るアレルゲンに対する寛容を誘導するのに有用である。
【0286】
いくつかの実施形態では、アレルゲンは、食物アレルゲンである。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、甲殻類アレルゲンである。いくつかの実施形態、アレルゲンは、トロポミオシンであり、他の実施形態では、アレルゲンは、アルギニンキナーゼ、ミオシン軽鎖、筋小胞体カルシウム結合タンパク質、トロポニンC又はトリオースリン酸イソメラーゼ又はアクチンである。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、Pan b 1である。いくつかの実施形態では、抗原単位は、Pan b 1 T細胞エピトープ(251~270)である。
【0287】
いくつかの実施形態では、アレルゲンは、牛乳アレルゲンである。いくつかの実施形態では、牛乳アレルゲンは、Bos d 4、Bos d 5、Bos d 6、Bos d 7、Bos d 8、Bos d 9、Bos d 10、Bos d 11又はBos d 12である。
【0288】
いくつかの実施形態では、アレルゲンは、卵アレルゲンである。いくつかの実施形態では、卵アレルゲンは、オボムコイドであり、他の実施形態では、卵アレルゲンは、オボアルブミン、オボトランスフェリン、コンアルブミン、Gal 3 3、卵リゾチーム(egg lyaozyme)、又はオボムチンである。
【0289】
当技術分野で既知であり、卵アレルギーに関連して研究されている1つのT細胞エピトープは、アミノ酸配列SIINFEKL(配列番号168)を有するOVA(257~264)である。
【0290】
いくつかの実施形態では、本開示による構築物の抗原単位は、T細胞エピトープOVA(257~264)を含む。当該Tエピトープを含む医薬組成物は、卵アレルギーの処置に使用されてもよい。
【0291】
いくつかの実施形態では、アレルゲンは、魚アレルゲンである。いくつかの実施形態では、魚アレルゲンは、パルブアルブミンである。他の実施形態では、魚アレルゲンは、エノラーゼ、アルドラーゼ又はビテロゲニンである。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、果実アレルゲンである。いくつかの実施形態では、果物アレルゲンは、病原(pathgenesis)関連プロテイン10、プロフィリン、nsLTP、タウマチン様プロテイン、ジベレリン調節プロテイン、イソフラボンレダクターゼ関連プロテイン、クラス1キチナーゼ、ベータ1,3グルカナーゼ、ゲルミン様プロテイン、アルカリセリン・プロテアーゼ、病原関連プロテイン1、アクチニジン、フィトシスタチン(phytocyctatin)、キウェリン、主要ラテックス・プロテイン、クシン、又は2Sアルブミンである。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、野菜アレルゲンである。いくつかの実施形態では、野菜アレルゲンは、病原(pathgenesis)関連プロテイン10、プロフィリン、nsLTP 1型、nsLTP 2型プロテイン、オスモチン様プロテイン、イソフラボンレダクターゼ様プロテイン、β-フルクトフラノシダーゼ、PRプロテインTSI-1、シクロフィリン又はFAD含有オキシダーゼである。
【0292】
いくつかの実施形態では、アレルゲンは、小麦アレルゲンである。いくつかの実施形態では、小麦アレルゲンは、Tri a 12、Tri a 14、Tri a 15、Tri a 18、Tri a 19、Tri a 20、Tri a 21、Tri a 25、Tri a 26、Tri a 27、Tri a 28、Tri a 29、Tri a 30、Tri a 31、Tri a 32、Tri a 33、Tri a 34、Tri a 35、Tri a 36、Tri a 37又はTri a 38である。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、大豆アレルゲンである。いくつかの実施形態では、大豆アレルゲンは、Gly m 1、Gly m 2、Gly m 3、Gly m 4、Gly m 5、Gly m 6、Gly m 7又はGly m 8である。他の実施形態では、大豆アレルゲンは、Gly mアグルチニン、Gly m Bd28K、Gly m 30 kD、Gly m CPI又はGly m TIである。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、ピーナッツアレルゲンである。いくつかの実施形態では、ピーナッツアレルゲンは、Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 5、Ara h 6、Ara h 7、Ara h 8、Ara h 9、Ara h 10、Ara h 11、Ara h 12、Ara h 13、Ara h 14、Ara h 15、Ara h 16、又はAra h 17である。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、木の実又は種子アレルゲンである。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、11Sグロブリン、7Sグロブリン、2Sグロブリン、PR10、PR-14 nsLTP、オレオシン又はプロフィリンである。
【0293】
他の実施形態では、食物アレルゲンは、ソバ、セロリ、着色添加物、ニンニク、グルテン、オート麦、豆果、トウモロコシ、からし、家禽、肉、米、ゴマである。
【0294】
いくつかの実施形態では、アレルゲンは、ハチ毒アレルゲンである。いくつかの実施形態では、ハチ毒アレルゲンは、ホスホリパーゼA2、ヒアルロニダーゼ、酸性ホスファターゼ、メリチン、アレルゲンC/DPP、CRP/lcarapin又はビテロゲニンである。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、スズメバチアレルゲンである。いくつかの実施形態では、スズメバチアレルゲンは、ホスホリパーゼA1、ヒアルロニダーゼ、プロテアーゼ、antigen 5、DPP IV又はビテロゲニンである。
【0295】
いくつかの実施形態では、アレルゲンは、ラテックスアレルゲンである。いくつかの実施形態では、ラテックスアレルゲンは、Hev b 1、Hev b 2、Hev b 3、Hev b 4、Hev b 5、Hev b 6、Hev b 7、Hev b 8、Hev b 9、Hev b 10、Hev b 11、Hev b 12、Hev b 13、Hev b 14、又はHev b 15である。
【0296】
いくつかの実施形態では、アレルゲンは、貯蔵庫ダニアレルゲンである。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、イエダニアレルゲンである。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、貯蔵庫ダストアレルゲンである。いくつかの実施形態では、イエダニアレルゲンは、Der p 1、Der p 2、Der p 3、Der p 4、Der p 5、Der p 7、Der p 8、Der p 10、Der p 11、Der p 21、又はDer p 23である。いくつかの実施形態では、抗原単位は、Der p 1 T細胞エピトープ(111~139)である。いくつかの実施形態では、イエダニアレルゲンは、Der f 1、Der f 2、Der f 3、Der f 7、Der f 8又はDer f 10である。いくつかの実施形態では、イエダニアレルゲンは、Blot t 1、Blot t 2、Blot t 3、Blot t 4、Blot t 5、Blot t 8、Blot t 10、Blot t 12又はBlot t 21である。
【0297】
いくつかの実施形態では、アレルゲンは、ゴキブリアレルゲンである。いくつかの実施形態では、ゴキブリアレルゲンは、Bla g 1、Bla g 2、Bla g 3、Bla g 4、Bla g 5、Bla g 6、Bla g 7、Bla g 8又はBla g 11である。いくつかの実施形態では、ゴキブリアレルゲンは、Per a 1、Per a 2、Per a 3、Per a 6、Per a 7、Per a 9又はPer a 10である。
【0298】
いくつかの実施形態では、アレルゲンは、カビアレルゲンである。いくつかの実施形態では、カビアレルゲンは、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)アレルゲンである。いくつかの実施形態では、アスペルギルス・フミガーツスアレルゲンは、Asp f 1、Asp f 2、Asp f 3、Asp f 4、Asp f 5、Asp f 6、Asp f 7、Asp f 8、Asp f 9、Asp f 10、Asp f 11、Asp f 12、Asp f 13、Asp f 14、Asp f 15、Asp f 16、Asp f 17、Asp f 18、Asp f 22、Asp f 23、Asp f 27、Asp f 28、Asp f 29、又はAsp f 34である。
【0299】
いくつかの実施形態では、アレルゲンは、真菌アレルゲンである。いくつかの実施形態では、真菌アレルゲンは、マラセチアアレルゲンである。いくつかの実施形態では、マラセチアアレルゲンは、Mala f 1、Mala f 2、Mala f 3、Mala f 4、Mala f 5、Mala f 6、Mala f 7、Mala f 8、Mala f 9、Mala f 10、Mala f 11、Mala f 12若しくはMala f 13又はMGL_1204である。
【0300】
いくつかの実施形態では、アレルゲンは、毛皮獣アレルゲンである。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、イヌアレルゲンである。いくつかの実施形態では、イヌアレルゲンは、Can f 1、Can f 2、Can f 3、Can f 4、Can f 5、又はCan f 6である。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、ウマアレルゲンである。いくつかの実施形態では、ウマアレルゲンは、Ecu c 1、Ecu c 2、Ecu c 3又はEcu c 4である。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、ネコアレルゲンである。いくつかの実施形態では、ネコアレルゲンは、Fel d 1、Fel d 2、Fel d 3、Fel d 4、Fel d 5、Fel d 6、Fel d 7、又はFel d 8である。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、実験動物アレルゲンである。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、リポカリン、尿中プレアルブミン、セクレトグロブリン又は血清アルブミンである。
【0301】
いくつかの実施形態では、アレルゲンは、花粉アレルゲンである。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、草本花粉アレルゲンである。いくつかの実施形態では、草本花粉アレルゲンは、オオアワガエリ、カモガヤ、ケンタッキーブルーグラス、ペレニアルライ麦、ハルガヤ、バヒエ、ジョンソングラス又はギョウギシバアレルゲンである。いくつかの実施形態では、草本花粉アレルゲンは、Phl p 1、Phl p 2、Phl p 3、Phl p 4、Phl p 5、Phl p 6、Phl p 7、Phl p 11、Phl p 12又はPhl p 13である。
【0302】
いくつかの実施形態では、アレルゲンは、樹木花粉アレルゲンである。いくつかの実施形態では、樹木花粉アレルゲンは、ハンノキ、カバノキ、シデ、ハシバミ、ヨーロッパホハシバミ、栗、ヨーロッパブナ、ホワイトオーク、灰、イボタノキ、オリーブ、ライラック、ヒノキ又はスギの花粉アレルゲンである。いくつかの実施形態では、樹木花粉アレルゲンは、Aln g 1若しくはAln g 4、Bet v 1、Bet v 2、Bet v 3、Bet v 4、Bet v 6若しくはBet v 7、Car b 1、Cor a 1、Cor a 2、Cor a 6、Cor a 8、Cor a 9、Cor a 10、Cor a 11、Cor a 12、Cor a 13、Cor a 14、Ost c 1、Cas 1、Cas 15、Cas 18、若しくはCas 19、Fag s 1、Que a 1、Fra e 1、Lig v 1、Ole e 1、Ole e 2、Ole e 3、Ole e 4、Ole e 5、Ole e 6、Ole e 7、Ole e 8、Ole e 9、Ole e 10、Ole e 11、若しくはOle e 12、Syr v 1、Cha o 1、Cha o 2、Cry j 1、Cry j 2、Cup s 1、Cup s 3、Jun a 1、Jun a 2、Jun a 3、Jun o 4、Jun v 1、Jun v 3、Pla a 1、Pla a 2若しくはPla a 3、又はPla若しくは1、Pla若しくは2又はPla若しくは3である。いくつかの実施形態では、抗原単位は、Bet v 1 T細胞エピトープ(139~152)である。
【0303】
いくつかの実施形態では、アレルゲンは、雑草花粉アレルゲンである。いくつかの実施形態では、雑草アレルゲンは、ブタクサ、ヨモギ、ヒマワリ、ナツシロギク、ペリトリー、ヘラオオバコ、一年生マーキュリー、アカザ、ロシアアザミ又はアマランス花粉アレルゲンである。いくつかの実施形態では、ブタクサ花粉アレルゲンは、Amb a 1、Amb a 4、Amb a 6、Amb a 8、Amb a 9、Amb a 10、又はAmb a 11である。いくつかの実施形態では、ヨモギ花粉アレルゲンは、Art v 1、Art v 3、Art v 4、Art v 5、又はArt v 6である。いくつかの実施形態では、ヒマワリ花粉アレルゲンは、Hel a 1又はHel a 2である。いくつかの実施形態は、ペリトリー花粉アレルゲンは、Par j 1、Par j 2、Par j 3又はPar j 4である。いくつかの実施形態では、ヘラオオバコ花粉アレルゲンは、Pla l 1である。いくつかの実施形態では、一年生マーキュリー花粉アレルゲンは、Mer a 1である。いくつかの実施形態では、アカザ花粉アレルゲンは、Che a 1、Che a 2又はChe a 3である。いくつかの実施形態では、ロシアアザミ花粉アレルゲンは、Sal k 1、Sal k 4又はSal k 5である。いくつかの実施形態では、アマランス花粉アレルゲンは、Ama r 2である。
【0304】
更に他の実施形態では、アレルゲンは、昆虫、ゴキブリ、イエダニ又はカビ等の環境アレルゲンから選択される。
【0305】
いくつかの実施形態では、アレルギー性疾患は、アレルギー性鼻炎、ぜんそく、アトピー皮膚炎、アレルギー性胃腸疾患、接触性皮膚炎、薬物アレルギー又はそれらの組み合わせである。
【0306】
薬物に対するアレルギーは、全般集団の7%超が罹患している。本開示の構築物は、そのような薬物中に存在する免疫原性エピトープに対する寛容を誘導し、それにより、罹患した患者が薬物による処置を継続し、薬物処置から利益を受けることを可能にする。
【0307】
したがって、いくつかの実施形態では、アレルゲンは、不要な免疫原性を有する薬物に含まれる。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、第VIII因子である。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、インスリンである。いくつかの実施形態では、アレルゲンは、療法に使用される1つ以上のモノクローナル抗体である。
【0308】
自己抗原
他の実施形態では、本寛容誘導構築物は、自己免疫疾患に関与する自己アレルゲンに含まれるT細胞エピトープを含有する。これは、概して免疫系を阻害することなく、自己免疫疾患の原因である免疫系の一部の抗原特異的下方制御を可能にする。
【0309】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、多発性硬化症(MS)である。いくつかの実施形態では、自己抗原は、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)である。他の実施形態では、自己抗原は、MAG、MOBP、CNPase、S100ベータ又はトランスアルドラーゼである。いくつかの実施形態では、自己抗原は、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)である。いくつかの実施形態では、自己抗原は、ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)である。
【0310】
実施例において、本発明者らは、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)由来の短い(35~55アミノ酸)又はより長い(27~63アミノ酸)T細胞エピトープのいずれかを含む、多発性硬化症のための構築物を提供する。MOGは、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、中枢神経系においてのみ発現される。MOG(35~55)は、自己抗体産生及び再発寛解型神経疾患を誘導することができ、広範なプラーク様脱髄を引き起こす。MOG(35~55)に対する自己抗体応答は、MS患者において観察されており、MOG(35~55)誘導性実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)は、C57/BL6マウス及びLewisラットにおいて観察されている。
【0311】
当技術分野で既知であり、研究されている他のMS関連T細胞エピトープとしては、以下のものが挙げられる:
【表1】
T細胞エピトープ誘導性EAEが観察された。
好ましい実施形態では、本開示の構築物の抗原単位は、MOG(35~55)、MOG(27~63)、PLP(139~151)、PLP(131~159)、PLP(178~191)、PLP(170~199)、MBP(84~104)及びMBP(76~112)からなる群から選択される1つ以上のT細胞エピトープを含む。そのような構築物を含む医薬組成物は、MSの処置において使用されてもよい。
【0312】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、1型糖尿病である。いくつかの実施形態では、自己抗原は、グルタミン酸デカルボキシラーゼ65-キロダルトンアイソフォーム(GAD65)であり、これは、1型糖尿病に関与する自己抗原である。いくつかの他の実施形態では、自己抗原は、インスリン、IA-2又はZnT8である。更にいくつかの他の実施形態では、自己抗原は、IGRP、ChgA、IAPP、ペリフェリン、テトラスパニン-7、GRP78、ウロコルチン-3又はインスリン遺伝子エンハンサータンパク質isl-1である。
【0313】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、セリアック病である。いくつかの実施形態では、自己抗原は、α-グリアジン、γ-グリアジン、ω-グリアジン、低分子量グルテニン、高分子量グルテニン、ホルデイン、セカリン、又はアベニンbである。いくつかの実施形態では、抗原単位は、T細胞エピトープα-グリアジン(76~95)を含む。
【0314】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、関節リウマチである。いくつかの実施形態では、自己抗原は、コラーゲンである。いくつかの実施形態では、自己抗原は、熱ショックタンパク質60(HSP60)である。いくつかの実施形態では、自己抗原は、Band 3である。いくつかの実施形態では、自己抗原は、核内低分子リボ核タンパク質D1(SmD1)である。いくつかの実施形態では、自己抗原は、アセチルコリン受容体(AChR)である。いくつかの実施形態では、自己抗原は、ミエリンタンパク質0(P0)である。
【0315】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、慢性炎症性脱髄性多発神経根ニューロパシー(CIDP)であり、自己抗原は、ニューロファシン155である。他の実施形態では、自己免疫疾患は、橋本甲状腺炎(HT)であり、自己抗原は、甲状腺ペルオキシダーゼ及び/又はサイログロブリンである。他の実施形態では、自己免疫疾患は、葉状天疱瘡であり、自己抗原は、デスモソーム関連糖タンパク質である。他の実施形態では、自己免疫疾患は、尋常性天疱瘡であり、自己抗原は、デスモグレイン3である。他の実施形態では、自己免疫疾患は、甲状腺眼症(TED)であり、自己抗原は、カルシウム結合タンパク質(カルセケストリン)である。他の実施形態では、自己免疫疾患は、バセドウ病であり、自己抗体は、甲状腺刺激ホルモン受容体である。他の実施形態では、自己免疫疾患は、原発性胆汁性肝硬変(PBC)であり、自己抗体は、抗ミトコンドリア抗体(AMA)、抗核抗体(ANA)、リム様/膜(RL/M)及び/又は多核ドット(MND)である。他の実施形態では、自己免疫疾患は、重症筋無力症であり、自己抗原は、アセチルコリン受容体である。他の実施形態では、自己免疫疾患は、インスリン抵抗性糖尿病であり、自己抗原は、インスリン受容体である。他の実施形態では、自己免疫疾患は、免疫介在性溶血性貧血であり、自己抗原は、赤血球である。他の実施形態では、自己免疫疾患は、リウマチ性関節炎であり、自己抗原は、シトルリン化、ホモシトルリン化タンパク質及びIgGのFc部分である。他の実施形態では、自己免疫疾患は、乾癬であり、自己抗原は、カテリシジン(LL-37)、ディスインテグリン様及びメタロプロテアーゼドメイン含有トロンボスポンジン1型モチーフ様5(ADAMTSL5)、ホスホリパーゼA2群IVD(PLA2G4D)、ヘテロ核リボ核タンパク質A1(hnRNP-A1)及びケラチン17である。
【0316】
シグナルペプチド
いくつかの実施形態では、本開示の構築物は、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を更に含むポリヌクレオチドである。シグナルペプチドは、ポリペプチド中の標的化単位の配向に応じて、標的化単位のN末端又は標的化単位のC末端のいずれかに位置する(図1)。シグナルペプチドは、ポリヌクレオチドに含まれる核酸によってコードされるポリペプチドの分泌を、当該ポリヌクレオチドでトランスフェクトされた細胞において可能にするように設計される。
【0317】
任意の好適なシグナルペプチドが使用されてもよい。好適なペプチドの例は、本明細書に記載される標的化単位のいずれかのN末端に天然に存在するヒトIg VHシグナルペプチド又はシグナルペプチド、例えば、ヒトIL-10のヒトシグナルペプチド又はヒトTGFβのヒトシグナルペプチドである。
【0318】
したがって、いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、ヒトIL-10シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、好ましくは、ヒトIL-10標的化単位をコードするヌクレオチド配列を含む。他の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ヒトIg VHシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、好ましくはscFv、例えばヒト抗DEC205をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0319】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、例えば少なくとも86%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも88%、例えば少なくとも89%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、又は例えば少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0320】
好ましい実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号6のアミノ酸配列を含むシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0321】
他の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、例えば少なくとも86%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも88%、例えば少なくとも89%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%又は例えば少なくとも99%を有するアミノ酸配列からなるシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0322】
他の好ましい実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号6のアミノ酸配列を有するシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0323】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなり、シグナルペプチドのアミノ酸のいずれか1つは、別のアミノ酸に対して置換、欠失、又は挿入され、但し、5以下のアミノ酸、例えば4以下のアミノ酸、例えば3以下のアミノ酸、例えば2以下のアミノ酸又は1以下のアミノ酸がそのように置換、欠失、又は挿入されている。
【0324】
配列同一性
配列同一性は、以下のように決定されてもよい:高レベルの配列同一性は、第2の配列が第1の配列に由来する可能性を示す。アミノ酸配列同一性は、2つの整列(アライメント)された配列間で同一のアミノ酸配列を必要とする。したがって、参照配列と70%のアミノ酸同一性を共有する候補配列は、アラインメント後に、候補配列中のアミノ酸の70%が参照配列中の対応するアミノ酸と同一であることを必要とする。同一性は、限定されるものではないが、the ClustalW computer alignment program(Higgins D.,Thompson J.,Gibson T.,Thompson J.D.,Higgins D.G.,Gibson T.J.,1994.CLUSTAL W:improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting,position-specific gap penalties and weight matrix choice.Nucleic Acids Res.22:4673-4680)等のコンピューター分析、及びそこに提案されているデフォルトパラメータによって決定されてもよい。このプログラムをそのデフォルト設定で使用して、クエリー及び参照ポリペプチドの成熟(生物活性)部分を整列させる。完全に保存された残基の数を計数し、参照ポリペプチドの長さで割る。そうすることで、クエリー配列の一部を形成する任意のタグ又は融合タンパク質配列は、アラインメント及びその後の配列同一性の決定において無視される。
【0325】
ClustalWアルゴリズムは、ヌクレオチド配列を整列させるために同様に使用されてもよい。配列同一性は、アミノ酸配列について示したのと同様の方法で計算されてもよい。
【0326】
配列の比較に利用される別の好ましい数学的アルゴリズムは、Myers and Miller,CABIOS(1989)のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、FASTA配列アラインメントソフトウェアパッケージ(Pearson WR,Methods Mol Biol,2000,132:185-219)の一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。Alignは、グローバルアラインメントに基づいて配列同一性を計算する。Align0は、配列の末端におけるギャップにペナルティを課さない。アミノ酸配列を比較するためにALIGN及びAlign0プログラムを利用する場合、ギャップ開口/伸長ペナルティが-12/-2であるBLOSUM50置換マトリックスが好ましくは使用される。
【0327】
アミノ酸配列変異体は、寛容誘導構築物をコードするヌクレオチド配列に適切な変化を導入することによって、又はペプチド合成によって調製されてもよい。そのような改変としては、例えば、アミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又は残基への挿入、及び/又は残基の置換が挙げられる。アミノ酸配列及び配列同一性に関して本明細書で使用される置換された/置換、欠失した/欠失及び挿入した/挿入という用語は、当業者に周知であり、明らかである。最終構築物が所望の特徴を有する限り、欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせを行って最終構築物に到達することができる。例えば、アミノ酸残基の欠失、挿入又は置換は、サイレント変化を生じ、機能的に等価なペプチド/ポリペプチドをもたらし得る。
【0328】
意図的なアミノ酸置換は、物質の二次結合活性が保持される限り、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及び/又は両親媒性の性質における類似性に基づいてなされてもよい。例えば、負に荷電したアミノ酸としては、アスパラギン酸及びグルタミン酸が挙げられ;正に荷電したアミノ酸としては、リジン及びアルギニンが挙げられ;同様の親水性値を有する非荷電極性頭部基を有するアミノ酸としては、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、及びチロシンが挙げられる。
【0329】
本明細書に包含されるのは、保存的置換、すなわち、塩基性と塩基性、酸性と酸性、極性と極性等の同種置換、及び非保存的置換、すなわち、あるクラスの残基から別のクラスの残基への置換、あるいはオルニチン、ジアミノ酪酸オルニチン、ノルロイシン、オルニチン、ピリイルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニン及びフェニルグリシン等の非天然アミノ酸を含めることを伴う置換である。なされ得る保存的置換は、例えば、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、脂肪族アミノ酸(アラニン、バリン(aaline)、ロイシン、イソロイシン)、極性アミノ酸(グルタミン、アスパラギン、セリン、スレオニン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン)、ヒドロキシルアミノ酸(セリン、スレオニン)、大アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン)及び小アミノ酸(グリシン、アラニン)の群内である。
【0330】
置換はまた、非天然アミノ酸によって行われてもよく、置換残基としては、アルファ及びアルファ-二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸、天然アミノ酸のハロゲン化物誘導体、例えばトリフルオロチロシン、p-CI-フェニルアラニン、p-Br-フェニルアラニン、p-I-フェニルアラニン、L-アリルグリシン、β-アラニン、L-a-アミノ酪酸、L-y-アミノ酪酸、L-a-アミノイソ酪酸、L-e-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、L-メチオニンスルホン、L-ノルロイシン、L-ノルバリン、p-ニトロ-L-フェニルアラニン、L-ヒドロキシプロリン、L-チオプロリン、フェニルアラニン(Phe)のメチル誘導体、例えば4-メチル-Phe、ペンタメチル-Phe、L-Phe(4-アミノ)#、L-Tyr(メチル)、L-Phe(4-イソプロピル)、L-Tic(l,2,3,4テトラヒドロイソキノリン-3-カルボキシル酸)、L-ジアミノプロピオン酸並びにL-Phe(4-ベンジル)が挙げられる。
【0331】
上の段落において、は置換残基の疎水性を示し、#は置換残基の親水性を示し、#は置換残基の両親媒性を示す。変異体アミノ酸配列は、グリシン又はβ-アラニン残基等のアミノ酸スペーサーに加えて、メチル基、エチル基又はプロピル基等のアルキル基を含む配列の任意の2つのアミノ酸残基の間に挿入されてもよい好適なスペーサー基を含んでもよい。更なる変形形態は、ペプトイド形態の1つ以上のアミノ酸残基の存在を伴う。
【0332】
ポリヌクレオチド
本開示の寛容誘導構築物は、ポリヌクレオチドの形態であってもよい。
【0333】
本開示の更なる態様は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであり、ポリペプチドは、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、
b.第1の接合領域;
c.抗原単位;
d.第2の接合領域;及び
e.第2の標的化単位;を含み、抗原単位は、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む。
【0334】
ポリヌクレオチドは、二本鎖又は一本鎖のいずれかのゲノムDNA、cDNA及びmRNAを含む、DNA又はRNAであってもよい。好ましい実施形態では、構築物は、DNAプラスミドであり、すなわちポリヌクレオチドは、DNAである。
【0335】
ポリヌクレオチドは、それが投与される種における使用のために最適化されることが好ましい。したがって、ヒトへの投与のためには、ポリヌクレオチド配列がヒトコドン最適化されていることが好ましい。
【0336】
ポリペプチド及び多量体/二量体タンパク質
本開示の寛容誘導構築物は、上記のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの形態であってもよい。
【0337】
本開示の更なる態様は、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含むポリペプチドであり、抗原単位は、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む。
【0338】
ポリペプチドは、寛容誘導構築物の産生のために、例えば、構築物を含む医薬組成物の産生のためにインビトロで発現されてもよく、又はポリペプチドは、上記のように、対象へのポリヌクレオチドの投与の結果としてインビボで発現されてもよい。多量体化/二量体化単位の存在により、多量体/二量体タンパク質は、ポリペプチドが発現される場合、すなわち、複数のポリペプチドをそれらのそれぞれの多量体化/二量体化単位を介して連結することによって、形成される。
【0339】
多量体タンパク質
本開示の更なる態様は、複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質であり、ポリペプチドの各々は、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、抗原単位は、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含み、
複数のポリペプチドは、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されている。
【0340】
多量体タンパク質は、インビトロでのポリペプチドの発現によって調製されてもよい。
【0341】
したがって、本開示の更なる態様は、複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質を調製するための方法であり、ポリペプチドの各々は、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、抗原単位は、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含み、
複数のポリペプチドは、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結され、方法は、
a.ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすることと、
b.細胞を培養することと、
c.細胞から多量体タンパク質を収集することと、
d.多量体タンパク質の画分を単離及び精製することであって、複数のポリペプチドが、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されている、単離及び精製することと、を含む。
【0342】
ステップd.における多量体タンパク質の単離及び任意選択の精製は、沈殿、示差的可溶化及びクロマトグラフィーを含む、当技術分野で既知の方法によって行うことができる。
【0343】
本開示の多量体タンパク質は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶の予防的又は治療的処置のためのタンパク質ワクチンにおける活性成分として使用されてもよい。
【0344】
多量体/二量体タンパク質は、ホモ多量体又はヘテロ多量体であってもよく、例えばタンパク質が二量体タンパク質である場合、二量体タンパク質は、ホモ二量体、すなわち2つのポリペプチド鎖が同一であり、結果として同一の単位、したがって抗原配列を含む二量体タンパク質であってもよく、又は二量体タンパク質は、2つのポリペプチド鎖を含むヘテロ二量体であってもよく、ポリペプチド鎖1は、その抗原単位においてポリペプチド2とは異なる抗原配列を含む。後者は、抗原単位に含めるための抗原の数が抗原単位のサイズ上限を超える場合に関連し得る。二量体タンパク質は、ホモ二量体タンパク質であることが好ましい。
【0345】
二量体タンパク質
本開示の更なる態様は、2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質であり、ポリペプチドの各々は、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、抗原単位は、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含み、
2つのポリペプチドは、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されている。
【0346】
二量体タンパク質は、インビトロでのポリペプチドの発現によって調製されてもよい。
【0347】
したがって、本開示の更なる態様は、2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質を調製するための方法であり、ポリペプチドの各々は、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、抗原単位は、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含み、
2つのポリペプチドは、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されており、方法は、
a.ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすることと、
b.細胞を培養することと、
c.細胞から二量体タンパク質を収集することと、
d.二量体タンパク質の画分を単離及び精製することであって、2つのポリペプチドが、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されている、単離及び精製することと、を含む。
【0348】
ステップd)における二量体タンパク質の単離及び精製は、沈殿、示差的可溶化及びクロマトグラフィーを含む、当技術分野で既知の方法によって行うことができる。
【0349】
本開示の二量体タンパク質は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶の予防的又は治療的処置のためのタンパク質ワクチンにおける活性成分として使用されてもよい。
【0350】
ベクター
寛容誘導構築物のポリヌクレオチド配列は、宿主細胞をトランスフェクトし、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド又は多量体/二量体タンパク質を発現させるのに好適なベクター、すなわち発現ベクターに含まれるDNAポリヌクレオチド、例えばDNAプラスミド又はウイルスベクター、好ましくはDNAプラスミドであってもよい。別の実施形態では、ベクターは、宿主細胞をトランスフェクトし、ポリペプチド又は多量体/二量体タンパク質をコードするmRNAを発現させるのに好適である。
【0351】
本発明のベクターは、DNA又はRNA等の外来核酸配列を細胞内に運ぶのに好適な任意の分子であってもよく、そこでそれらを発現させることができ、すなわち発現ベクターである。
【0352】
一実施形態では、ベクターは、DNAプラスミド等のDNAベクター、又はアデノウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、サイトメガロウイルス及びセンダイウイルスからなる群から選択されるDNAウイルスベクター等のDNAウイルスベクターである。
【0353】
別の実施形態では、ベクターは、RNAプラスミド等のRNAベクター、又はレトロウイルスベクター、例えばアルファウイルス、レンチウイルス、モロニーネズミ白血病ウイルス及びラブドウイルスからなる群から選択されるレトロウイルスベクター等のRNAウイルスベクターである。
【0354】
好ましい実施形態では、ベクターは、DNAベクターであり、より好ましくはDNAプラスミドである。
【0355】
好ましくは、ベクターは、上記の様々な単位、特に個別化された寛容誘導構築物の場合には抗原単位の容易な交換を可能にする。
【0356】
したがって、本開示は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含むベクターを提供し、ポリペプチドは、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.少なくとも1つのT細胞エピトープを含む抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位、を含み、抗原単位は、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む。
【0357】
いくつかの実施形態では、ベクターは、pALD-CV77、又は対象に導入された場合に好ましくない方法で免疫応答を誘因することが知られている細菌ヌクレオチド配列を含まない任意の他のベクターであってもよい。抗原単位は、好都合な制限酵素によって制限された抗原単位カセット、例えば、5’部位がGLGGL(配列番号102)及び/又はGLSGL(配列番号40)単位リンカーをコードするヌクレオチド配列に組み込まれ、3’部位がベクター中の終止コドンの後に含まれるSfiI制限酵素カセットと交換されてもよい。
【0358】
好ましい実施形態では、ベクターはDNAプラスミドであり、ポリヌクレオチドはDNAである。
【0359】
DNAプラスミド
プラスミドは、染色体DNAから物理的に分離され、独立して複製することができる細胞内の小さな染色体外DNA分子である。プラスミドは、細菌において小さな環状の二本鎖DNA分子として主に見出される。しかし、プラスミドは、場合により古細菌及び真核生物に存在する。人工プラスミドは、分子クローニングにおけるベクターとして広く使用され、宿主生物内での組換えDNA配列の送達のために、及びその高発現を確実にするために役立つ。プラスミドは、プラスミドを含む細胞の選択のための特徴、例えば、抗生物質耐性のための遺伝子、複製起点、マルチクローニング部位(MCS)及び挿入された目的の遺伝子の発現を駆動するためのプロモーター等を含む、いくつかの重要な特徴を含む。
【0360】
概して、プロモーターは、遺伝子が転写されるように、開始因子及びポリメラーゼをプロモーターに誘引することができる配列である。プロモーターは、遺伝子の転写開始部位の近く、DNAの上流に位置する。プロモーターは、約100~1000塩基対長であることができる。プロモーターの性質は、通常、遺伝子及び転写産物並びに部位に動員されるRNAポリメラーゼのタイプ又はクラスに依存する。RNAポリメラーゼがプラスミドのDNAを読み取ると、RNA分子が転写される。プロセシング後、リボソームがmRNAをタンパク質に翻訳する場合、mRNAは何度も翻訳され得、したがって、目的の遺伝子によってコードされるタンパク質の多くのコピーを生じる。概して、リボソームは、相補的tRNAアンチコドン配列のmRNAコドンへの結合を誘導することによって、解読を促進する。tRNAは、mRNAがリボソームを通過し、リボソームによって「読み取られる」際に一緒に連鎖してポリペプチドになる特定のアミノ酸を保有する。翻訳は、開始、伸長及び終結の3つの段階で進行する。翻訳プロセスに続いて、ポリペプチドは、折り畳まれて活性タンパク質になり、細胞中でその機能を果たすか、又は細胞から輸送され、場合によりかなりの数の翻訳後修飾の後に、他の場所でその機能を果たす。
【0361】
タンパク質が細胞外に輸送されることになっている場合、シグナルペプチドは、タンパク質を小胞体に向かわせ、そこでシグナルペプチドは、切断され、タンパク質は、翻訳が終了した後に細胞末梢に移される。
【0362】
本発明のDNAプラスミドは、いかなる特定のプラスミドにも限定されず、当業者は、好適な骨格を有する任意のプラスミドが、本開示の要素及び単位を含むように、当技術分野で既知の方法によって選択及び操作できることを理解するであろう。
【0363】
宿主細胞
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0364】
いくつかの実施形態では、本開示は、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)ポリヌクレオチドを含むベクター、を含む宿主細胞を提供する。
【0365】
好適な宿主細胞としては、原核生物細胞、酵母細胞、昆虫細胞又は高等真核生物細胞が挙げられる。好ましい実施形態では、宿主細胞は、ヒト細胞、好ましくは免疫疾患に罹患しており本開示の構築物による予防的又は治療的処置を必要とするヒト個体の細胞である。
【0366】
ポリシストロン性ベクター
いくつかの実施形態では、上記のベクターは、本開示のポリペプチドの発現、及び加えて、別個の分子としての1つ以上の免疫阻害性化合物の発現を可能にするポリシストロン性ベクターである。
【0367】
本開示の更なる態様は、
(A)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチドと、
(B)1つ以上の免疫阻害化合物をコードする1つ以上の核酸配列と、を含むベクターであり、
ベクターは、ポリペプチドと1つ以上の免疫阻害化合物とを別々の分子として共発現させることを可能にする。
【0368】
1つ以上の免疫阻害化合物は、寛容を誘導する様式で、又は例えば、寛容を維持する細胞の誘導に有利に働くか、又はそのような細胞を維持するのを助けることによって、抗原単位におけるエピトープの提示に有利に働く環境を生成又は促進するのを助ける。
【0369】
本開示のポリシストロニックベクターは、任意の好適なベクター、例えば、DNAプラスミド又はウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクターであってもよい。好ましい実施形態では、ベクターは、ポリシストロン性DNAプラスミドである。本開示のポリシストロン性ベクターは、DNAプラスミド(すなわち、本開示のポリシストロン性DNAプラスミド)を考察して示されるが、その考察は、他のベクター、例えばウイルスベクターにも当てはまることが理解される。
【0370】
ポリシストロン性プラスミドは、当技術分野で既知であり、したがって、当業者は、本開示のポリシストロン性プラスミドを設計及び構築することができる。
【0371】
好ましい実施形態では、本開示のポリシストロン性プラスミドは、1つ以上の共発現エレメント、すなわち、プラスミドからのポリペプチド及び1つ以上の免疫阻害性化合物の別々の分子としての共発現を可能にする核酸配列を含む。
【0372】
本開示のいくつかの実施形態では、ポリシストロン性プラスミドは、ポリペプチド及び1つ以上の免疫阻害化合物が単一の転写物上で転写されるが、独立してポリペプチド及び1つ以上の免疫阻害化合物に翻訳されることを引き起こす、共発現エレメントを含む。したがって、共発現エレメントの存在は、別個の翻訳産物の最終産生をもたらす。
【0373】
いくつかの実施形態では、そのような共発現エレメントは、IRESエレメント(内部リボソーム進入部位)である。他の実施形態では、そのような共発現エレメントは、2A自己切断ペプチド(2Aペプチド)である。両方の共発現エレメントは、当技術分野で既知である。
【0374】
2つ以上の免疫阻害性化合物が本開示のポリシストロン性プラスミドから発現される場合、IRESエレメント及び/又は2Aペプチドは、プラスミド中に、例えば、免疫阻害性化合物をコードする各核酸配列の上流に存在する必要がある。
【0375】
他の実施形態では、ポリシストロン性プラスミドは、ポリペプチド及び1つ以上の免疫阻害性化合物が別個の転写物として転写されることを引き起こす共発現エレメントを含み、これは、別個の転写産物、したがって別個のタンパク質を生じさせる。
【0376】
いくつかの実施形態では、そのような共発現エレメントは、双方向性プロモーターである。
【0377】
他の実施形態では、そのような共発現エレメントは、様々なプロモーターであり、すなわち、ポリシストロン性プラスミドは、ポリペプチド又は1つ以上の免疫阻害化合物のいずれかをコードするヌクレオチド配列の各々についてのプロモーターを含む。両方の共発現エレメントは、当技術分野で既知である。
【0378】
上記の共発現エレメントは、任意の様式で組み合わせることができ、すなわち、本開示のポリシストロン性プラスミドは、そのような同じ又は異なる共発現エレメントのうちの1つ又はいくつかを含んでもよい。
【0379】
免疫阻害性化合物
本開示のポリシストロン性プラスミドは、1つ以上の免疫阻害化合物をコードする1つ以上の核酸配列を含む。
【0380】
本開示のいくつかの実施形態では、免疫阻害性化合物は、免疫寛容を誘導、増加又は維持することが知られている化合物である。
【0381】
本開示のいくつかの実施形態では、免疫阻害化合物は、阻害性チェックポイント分子の細胞外部分である。いくつかの実施形態では、阻害性チェックポイント分子は、CLTA-4(配列番号72)、PD-1(配列番号74)、BTLA及びTIM-3からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、阻害性チェックポイント分子は、CLTA-4(配列番号72)である。いくつかの実施形態では、阻害性チェックポイント分子は、PD-1(配列番号74)である。いくつかの実施形態では、阻害性チェックポイント分子は、BTLAである。いくつかの実施形態では、阻害性チェックポイント分子は、TIM-3である。本開示のいくつかの実施形態では、免疫阻害化合物は、IL-10(配列番号66)、TGFβ1(配列番号60)、TGFβ2(配列番号62)、TGFβ3(配列番号64)、IL-27、IL-2、IL-37及びIL-35からなる群から選択されるサイトカインである。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-10(配列番号66)である。いくつかの実施形態では、サイトカインは、TGFβ1(配列番号60)である。いくつかの実施形態では、サイトカインは、TGFβ2(配列番号62)である。いくつかの実施形態、サイトカインは、TGFβ3(配列番号64)である。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-27である。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-2である。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-37である。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-35である。
【0382】
本開示のいくつかの実施形態では、DNAプラスミドは、2、3、4、5、6、7又は8個の免疫阻害化合物をコードする核酸配列を含む。好ましい実施形態では、DNAプラスミドは、2~6個の免疫阻害化合物、例えば2又は3又は4又は5又は6個の異なる免疫阻害化合物をコードする核酸配列を含む。免疫阻害化合物は、同じであっても異なっていてもよく、好ましくは異なっている。
【0383】
好ましい実施形態では、異なる免疫阻害化合物は、多くの異なるレベルで寛容誘導環境を生成又は促進する。例として、本開示のプラスミドは、3つの異なる免疫阻害化合物をコードする核酸配列を含んでもよく、第1のものは寛容を誘導し、第2のものは寛容を増加させ、第3のものは寛容を維持する。
【0384】
医薬組成物
本開示の構築物は、構築物、例えばポリヌクレオチド又は二量体タンパク質等の多量体タンパク質の形態と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物として対象に投与されてもよい。
【0385】
本開示の構築物は、構築物、例えば、ポリヌクレオチド又は多量体タンパク質の形態と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物として対象に投与されてもよい。
【0386】
本開示の構築物は、構築物、例えば、ポリヌクレオチド又は二量体タンパク質の形態と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物として対象に投与されてもよい。
【0387】
本開示の更なる態様は、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリペプチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)ii)で定義される複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質、例えば、ii)で定義される2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む医薬組成物である。
【0388】
本開示の更なる態様は、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリペプチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)ii)で定義された複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質と、を含む医薬組成物である。
【0389】
本開示の更なる態様は、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリペプチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)ii)で定義される2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む医薬組成物である。好適な薬学的に許容される担体としては、生理食塩水、緩衝生理食塩水、例えばPBS、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、滅菌等張水性緩衝液、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0390】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体又は希釈剤は、水性緩衝液である。他の実施形態では、水性緩衝液は、タイロード緩衝液、例えば、140mM NaCl、6mM KCl、3mM CaCl2、2mM MgCl2、10mM 4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(Hepes)pH 7.4及び10mMグルコースを含むタイロード緩衝液である。
【0391】
好適なアジュバントとしては、デキサメタゾン、エンテロトキシンコレラ毒素(CTB)のBサブユニット、TLR2リガンド、蠕虫由来排出/分泌(ES)産物、ラパマイシン、又はビタミンD3類似体及びアリール炭化水素受容体リガンドが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0392】
いくつかの特定の実施形態では、組成物は、ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)のブロックを含む薬学的に許容される両親媒性ブロックコポリマーを含んでもよい。
【0393】
本明細書で使用される「両親媒性ブロックコポリマー」は、ポリ(エチレンオキシド)(「PEO」)のブロック及びポリ(プロピレンオキシド)(「PPO」)のブロックを含むか、又はそれからなる直鎖状又は分岐状コポリマーである。有用なPEO-PPO両親媒性ブロックコポリマーの典型的な例は、一般構造PEO-PPO-PEO(ポロキサマー)、PPO PEO PPO、(PEO PPO-)4ED(ポロキサミン)、及び(PPO PEO-)4ED(逆ポロキサミン)を有し、式中、「ED」はエチレンジアミニル基である。
【0394】
「ポロキサマー」は、PEOの1つのブロックに結合したポリ(プロピレンオキシド)の1つのブロックに結合したポリ(エチレンオキシド)の1つのブロックによって構成される線状両親媒性ブロックコポリマー、すなわち、式EOa-POb-EOaの構造であり、式中、EOはエチレンオキシドであり、POはプロピレンオキシドであり、aは2~130の整数であり、bは15~67の整数である。ポロキサマーは、通常、3桁の識別子を使用することによって命名され、最初の2桁に100を掛けると、PPO含量のおよその分子量が得られ、最後の桁に10を掛けると、PEO含量のおよそのパーセンテージが示される。例えば、「ポロキサマー188」は、約1800の分子量のPPOブロック(bが約31 PPOであることに対応する)及び約80%(w/w)のPEO(aが約82であることに対応する)を含むポリマーを指す。しかしながら、値はある程度変動することが知られており、研究グレードのLutrol(登録商標)F68及び臨床グレードのKolliphor(登録商標)P188等の市販製品は、製造者のデータシートによれば両方ともPoloxamer 188であり、分子量の大きな変動(7,680~9,510)を示し、これらの特定の製品について提供されるa及びbの値は、それぞれ約79及び28であることが示されている。これは、ブロックコポリマーの不均一な性質を反映しており、a及びbの値が最終配合物中に見出される平均であることを意味する。
【0395】
「ポロキサミン」又は「連続ポロキサミン」(Tetronic(登録商標)の商品名で市販されている)は、PEO-PPOアームに含まれる遊離OH基とエチレンジアミン部分中の第一級アミン基との間の結合を介して中心エチレンジアミン部分に接続された4つのPEO-PPOアームを有するX型ブロックコポリマーである。逆ポロキサミンも同様に、PPO-PEOアームに含まれる遊離OH基とエチレンジアミン中の第一級アミン基との間の結合を介して中心エチレンジアミン部分に接続された4つのPPO-PEOアームを有するX型ブロックコポリマーである。
【0396】
好ましい両親媒性ブロックコポリマーは、ポロキサマー又はポロキサミンである。ポロキサマー407及び188が好ましく、特にポロキサマー188が好ましい。好ましいポロキサミンは、式(PEO-PPO)4-EDの連続ポロキサミンである。特に好ましいポロキサミンは、それぞれ登録商標Tetronic(登録商標)904、704、及び304として市販されているものである。これらのポロキサミンの特性は以下の通りである:Tetronic(登録商標)904は、6700の総平均分子量、4020のPPO単位の総平均重量、及び約40%のPEOパーセンテージを有する。Tetronic(登録商標)704は、5500の総平均分子量、3300のPPO単位の総平均重量、及び約40%のPEOパーセンテージを有する。Tetronic(登録商標)304は、1650の総平均分子量、990のPPO単位の総平均重量、及び約40%のPEOパーセンテージを有する。
【0397】
いくつかの実施形態では、組成物は、0.2%w/v~20%w/v、例えば0.2%w/v~18%w/v、0.2%w/v~16%w/v、0.2%w/v~14%w/v、0.2%w/v~12%w/v、0.2%w/v~10%w/v、0.2%w/v~8%w/v、0.2%w/v~6%w/v、0.2%w/v~4%w/v、0.4%w/v~18%w/v、0.6%w/v~18%w/v、0.8%w/v~18%w/v、1%w/v~18%w/v、2%w/v~18%w/v、1%w/v~5%w/v、又は2%w/v~4%w/vの量で両親媒性ブロックコポリマーを含む。特に好ましいのは、0.5%w/v~5%w/vの範囲の量である。他の実施形態では、組成物は、2%w/v~5%w/v、例えば約3%w/vの量で両親媒性ブロックコポリマーを含む。ポリヌクレオチドを含む医薬組成物について、組成物は、細胞のトランスフェクションを容易にする分子を更に含んでもよい。
【0398】
医薬組成物は、対象、例えば自己免疫疾患、アレルギー性疾患又は移植片拒絶に罹患しているか罹患している疑いのある患者への投与に好適な任意の方法で、例えば皮内又は筋肉内注射のために製剤化されてもよい。
【0399】
いくつかの実施形態では本明細書に記載されるポリヌクレオチドを含む医薬組成物、例えば、ポリシストロニックベクター等のベクターに含まれる医薬組成物は、皮内、筋肉内、若しくは皮下注射によって、又は鼻腔内若しくは経口投与等の粘膜若しくは上皮適用によって投与される等、対象への投与に好適な任意の方法で投与されてもよい。
【0400】
好ましい実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載のポリヌクレオチドを含み、例えばポリシストロニックベクター等のベクターに含まれ、筋肉内又は皮内注射によって投与される。
【0401】
本開示の医薬組成物は、典型的には、0.1μg~10mgの範囲、例えば、約0.2μg、0.3μg、0.4μg、0.5μg、0.75μg、1μg、5μg、10μg、25μg、50μg、75μg以上;例えば、0.1~10mg、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9若しくは1mg、又は例えば、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10mgのポリヌクレオチドを含む。本開示の医薬組成物は、典型的には、5μg~5mgの範囲のポリペプチド/二量体タンパク質を含む。
【0402】
ポリヌクレオチド/ポリペプチド/多量体又は二量体タンパク質の量は、医薬組成物が予防的又は治療的処置のために投与されるかどうか、免疫疾患に罹患している個体における免疫疾患の重症度、並びに年齢、体重、性別、病歴及び既応症のようなパラメータに応じて変動してもよい。
【0403】
医薬組成物を調製するための方法
本開示による医薬組成物又はワクチンを調製するための好適な方法は、国際公開第2004/076489(A1)号、国際公開第2011/161244(A1)号、国際公開第2013/092875(A1)号及び国際公開第2017/118695(A1)号に開示されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0404】
一態様では、本開示は、ポリペプチドをインビトロで産生することによって、多量体タンパク質、例えば二量体タンパク質、又は上記で定義したポリペプチド、を含む医薬組成物を調製するための方法に関する。ポリペプチド及びタンパク質のインビトロ合成は、当業者に既知の任意の好適な方法によって、例えば、ペプチド合成又は種々の発現系におけるポリペプチドの発現とそれに続く精製によって行われてもよい。
【0405】
したがって、本開示の更なる態様は、複数のポリペプチドからなる二量体タンパク質等の多量体タンパク質;又はポリペプチド、を含む医薬組成物を調製するための方法であって、
a)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすることであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、トランスフェクトすることと、
b)細胞を培養することと、
c)二量体タンパク質等の多量体タンパク質、又は細胞から発現されたポリペプチドを収集及び精製することと、
d)ステップc)から得られた二量体タンパク質等の多量体タンパク質又はポリペプチドを薬学的に許容される担体と混合することと、を含む、方法である。
【0406】
したがって、本開示の更なる態様は、複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質;又はポリペプチド、を含む医薬組成物を調製するための方法であって、
a)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすることであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、トランスフェクトすることと、
b)細胞を培養することと、
c)細胞から発現された多量体タンパク質又はポリペプチドを収集及び精製することと、
d)ステップc)から得られた多量体タンパク質又はポリペプチドを薬学的に許容される担体と混合することと、を含む、方法である。
【0407】
したがって、本開示の更なる態様は、2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質;又はポリペプチド、を含む医薬組成物を調製するための方法であって、
a)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすることであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、トランスフェクトすることと、
b)細胞を培養することと、
c)細胞から発現された二量体タンパク質又はポリペプチドを収集及び精製することと、
d)ステップc)から得られた二量体タンパク質又はポリペプチドを薬学的に許容される担体と混合することと、を含む、方法である。
【0408】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるベクターに含まれる。
【0409】
好ましい実施形態では、ステップc)から得られた二量体タンパク質等の多量体タンパク質又はポリペプチドは、当該薬学的に受容される担体に溶解される。
【0410】
好ましい実施形態では、ステップc)から得られた多量体タンパク質又はポリペプチドは、当該薬学的に許容される担体に溶解される。
好ましい実施形態では、ステップc)から得られた二量体タンパク質又はポリペプチドは、当該薬学的に許容される担体に溶解される。精製は、クロマトグラフィー、遠心分離、又は溶解度差等の任意の好適な方法に従って行われてもよい。
【0411】
別の態様では、本開示は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む医薬組成物を調製するための方法であって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含み、方法が、
a)ポリヌクレオチドを調製することと、
b)任意選択で、ポリヌクレオチドを発現ベクターにクローニングすることと、
c)ステップa)から得られたポリヌクレオチド又はステップb)から得られたベクターを薬学的に許容される担体と混合することと、を含む、方法に関する。
【0412】
ポリヌクレオチドは、当業者に既知の任意の好適な方法によって調製されてもよい。例えば、ポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド合成機を使用する化学合成によって調製されてもよい。
【0413】
発現ベクターは、本明細書に記載されるベクターのいずれであってもよい。
【0414】
特に、標的化単位及び/又は二量体化単位をコードするヌクレオチド配列は、個々に合成され得、次いで、ベクター骨格にライゲートされて、抗原単位をコードする核酸配列をベクターにライゲートすることによって最終ポリヌクレオチドを産生してもよい。
【0415】
一態様では、本開示は、本明細書に記載の構築物、ポリヌクレオチド、ポリペプチド又は二量体タンパク質等の多量体タンパク質の、医薬品としての使用に関する。
【0416】
一態様では、本開示は、本明細書に記載の構築物、ポリヌクレオチド、ポリペプチド又は多量体タンパク質の、医薬品としての使用に関する。
【0417】
一態様では、本開示は、本明細書に記載の構築物、ポリヌクレオチド、ポリペプチド又は二量体タンパク質の、医薬品としての使用に関する。
【0418】
医薬品
一態様では、本開示は、本明細書に記載の構築物、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多量体タンパク質又は二量体タンパク質の、医薬品としての使用に関する。
【0419】
投与
本開示の構築物又は医薬組成物は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患又は移植片拒絶を処置するために使用され得、処置は、予防目的又は治療目的のいずれかであってもよい。
【0420】
構築物/医薬組成物は、そのような医薬組成物を投与された個体において寛容を誘導するように投与される。寛容は、単回投与、及び好ましくは適切な時間間隔を置いた複数回投与のいずれかによって誘導される。
【0421】
更なる態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有するか、又はその防止を必要とする対象を処置するための方法であって、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)ii)で定義される複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質、例えば、ii)で定義される2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0422】
更なる態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有するか、又はその防止を必要とする対象を処置するための方法であって、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)ii)で定義された複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質と、を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0423】
更なる態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有するか、又はその防止を必要とする対象を処置するための方法であって、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)ii)で定義された2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0424】
更に別の態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患の予防的又は治療的処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質、例えばi)で定義されるヌクレオチドによってコードされる2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む、医薬組成物を提供する。
【0425】
更に別の態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患の予防的又は治療的処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されたヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質と、を含む、医薬組成物を提供する。
【0426】
更に別の態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患の予防的又は治療的処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む、医薬組成物を提供する。
【0427】
第1及び第2の標的化単位、第1及び第2の接合領域、並びに抗原単位は、本明細書において上に詳細に記載されている。
【0428】
更に別の態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患に罹患しているか又は罹患している疑いのある対象の予防的又は治療的処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質、例えば、i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む、医薬組成物を提供し、
医薬組成物は、当該対象に投与される。
【0429】
更に別の態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患に罹患しているか又は罹患している疑いのある対象の予防的又は治療的処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質と、を含む、医薬組成物を提供し、
医薬組成物は、当該対象に投与される。
【0430】
更に別の態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患に罹患しているか又は罹患している疑いのある対象の予防的又は治療的処置において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む、医薬組成物を提供し、
医薬組成物は、当該対象に投与される。
【0431】
第1及び第2の標的化単位、第1及び第2の接合領域、並びに抗原単位は、本明細書において上に詳細に記載されている。
【0432】
更に別の態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患の予防的又は治療的処置のための医薬組成物の使用であって、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質、例えばi)で定義されるヌクレオチドによってコードされる2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む、医薬組成物の使用を提供する。
【0433】
更に別の態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患の予防的又は治療的処置のための医薬組成物の使用であって、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されたヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質と、を含む、医薬組成物の使用を提供する。
【0434】
更に別の態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患の予防的又は治療的処置のための医薬組成物の使用であって、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む、医薬組成物の使用を提供する。
【0435】
第1及び第2の標的化単位、第1及び第2の接合領域、並びに抗原単位は、本明細書において上に詳細に記載されている。
【0436】
更に別の態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患に罹患しているか又は罹患している疑いのある対象の予防的又は治療的処置のための医薬品の製造のための医薬組成物の使用であって、医薬組成物が、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質、例えばi)で定義されるヌクレオチドによってコードされる2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む、医薬組成物の使用を提供する。
【0437】
更に別の態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患に罹患しているか又は罹患している疑いのある対象の予防的又は治療的処置のための医薬品の製造のための医薬組成物の使用であって、医薬組成物が、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されたヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質と、を含む、医薬組成物の使用を提供する。
【0438】
更に別の態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患に罹患しているか又は罹患している疑いのある対象の予防的又は治療的処置のための医薬品の製造のための医薬組成物の使用であって、医薬組成物が、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む、医薬組成物の使用を提供する。
【0439】
第1及び第2の標的化単位、第1及び第2の接合領域、並びに抗原単位は、本明細書において上に詳細に記載されている。
【0440】
更に別の態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有する対象の予防的又は治療的処置のための、医薬組成物の使用であって、医薬組成物が、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されたヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質、例えば二量体タンパク質と、を含む、医薬組成物の使用を提供する。
【0441】
更に別の態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有する対象の予防的又は治療的処置のための、医薬組成物の使用であって、医薬組成物が、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されたヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質と、を含む、医薬組成物の使用を提供する。
【0442】
更に別の態様では、本開示は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有する対象の予防的又は治療的処置のための、医薬組成物の使用であって、医薬組成物が、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む、医薬組成物の使用を提供する。
【0443】
第1及び第2の標的化単位、第1及び第2の接合領域、並びに抗原単位は、本明細書において上に詳細に記載されている。
【0444】
更に、以下が本明細書に開示される:
薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質、例えば、i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む医薬組成物の、
自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有する対象の予防的又は治療的処置のための医薬品の製造のための使用であって、医薬品が当該対象に投与される、使用。
【0445】
更に、以下も本明細書に開示される:
薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質と、を含む医薬組成物の、
自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有する対象の予防的又は治療的処置のための使用であって、医薬品が当該対象に投与される、使用。
【0446】
更に、以下も本明細書に開示される:
薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む医薬組成物の、
自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有する対象の予防的又は治療的処置のための使用であって、医薬品が当該対象に投与される、使用。
【0447】
第1及び第2の標的化単位、第1及び第2の接合領域、並びに抗原単位は、本明細書において上に詳細に記載されている。
【0448】
更に、以下も本明細書に開示される:
薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質、例えば、i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む医薬組成物であって、
自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患の予防的又は治療的処置において使用される場合の、医薬組成物。
【0449】
更に、以下も本明細書に開示される:
薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質と、を含む医薬組成物であって、
自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患の予防的又は治療的処置において使用される場合の、医薬組成物。
【0450】
更に、以下も本明細書に開示される:
薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む医薬組成物であって、
自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患の予防的又は治療的処置において使用される場合の、医薬組成物。
【0451】
第1及び第2の標的化単位、第1及び第2の接合領域、並びに抗原単位は、本明細書において上に詳細に記載されている。
【0452】
更に、以下も本明細書に開示される:
薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されるヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質、例えばi)で定義されるヌクレオチドによってコードされる2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む医薬組成物を対象に投与することによる、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有する対象の予防的又は治療的処置のための医薬品。
【0453】
また、本明細書に開示されるのは、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されたヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質と、を含む医薬組成物を対象に投与することによる、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有する対象の予防的又は治療的処置のための医薬品である。
【0454】
また、本明細書に開示されるのは、薬学的に許容される担体と、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)i)で定義されたヌクレオチドによってコードされる複数のポリペプチドからなる二量体タンパク質と、を含む医薬組成物を対象に投与することによる、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有する対象の予防的又は治療的である。
【0455】
第1及び第2の標的化単位、第1及び第2の接合領域、並びに抗原単位は、本明細書において上に詳細に記載されている。
【0456】
処置成功の指標は、当技術分野で既知であり、これには、抗原特異的調節性T細胞の増加したレベル、抗原特異的エフェクターT細胞の減少したレベル(及び調節性T細胞の増加したレベル)、エフェクターT細胞の減少したレベル、抗原単位中の抗原単位/T細胞エピトープで刺激された場合のELISPOTにおけるT細胞活性化の減少したレベル、好塩基球活性化試験(BAT)における好塩基球活性化の減少したレベルが含まれる。放射性アレルゲン吸着試験(RAST)を同様に使用して、寛容誘導構築物の投与前後の対象からの血液試料中のアレルゲン特異的IgE抗体レベルが比較され得、より低いアレルゲン特異的IgE抗体レベルは、寛容誘導の成功を示す。
【実施例
【0457】
実施例1:多発性硬化症の処置に使用するための、本発明による寛容誘導構築物の設計、産生、及びインビトロ特性評価。
【0458】
ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)は、中枢神経系において発現されるタンパク質である。MOGの免疫優性35~55エピトープであるMOG(35~55)は、多発性硬化症の間の細胞性及び体液性免疫応答の両方についての主要な標的である。MOG(35~55)誘導性の実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)は、最も一般的に使用されている多発性硬化症の動物モデルである(Hunterman,H.et al.2022)。
【0459】
DNAベクターの設計
記載された全ての遺伝子配列は、発現ベクターpALD-CV77にクローニングされたGenScript(Genscript Biotech B.V.,Netherlands)から取り寄せた。以下の単位/部分をコードするヌクレオチド配列を含むDNAベクターを設計した:
1. シグナルペプチド
2. 1st標的化単位
3. 1st接合領域:ヒトIgG3由来のヒンジ領域1(配列番号1アミノ酸1~12)、ヒトIgG3由来のヒンジ領域4(配列番号1アミノ酸13~27)、グリシン-ロイシンリンカー(配列番号102)。
4. 抗原単位:MOG(27~63)(配列番号12)。
5. 2nd接合領域
6. 2nd標的化単位
標的化単位及び第2の二量体化単位におけるヒトIgG3由来のヒンジ領域1の挿入を含むベクター間の差異を表1に記載する。
【0460】
【表2】
抗原単位:Krienkeet al.(Science 371,145-153,2021)から入手したネズミミエリンオリゴデンドロサイト糖オリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)27~63配列(配列番号13)。米国特許出願公開第2020061166(A1)号。
【0461】
**抗原単位:MOG(35~55)(配列番号14)
***細胞外ドメイン
プラスミドDNAベクターVB5038、VB5041、VB5042、VB5043、VB5050、VB5066、VB5067、VB5072、VB5073、VB5074及びVB5075は、本開示によるベクターであり、表1に記載の標的化単位、二量体化単位及び抗原単位を含む、寛容誘導構築物をコードする。
【0462】
対照として使用したベクターを表2に記載する。
【0463】
【表3】
MOG(27~63)配列は、Krienke et al.2021から入手した。米国特許出願公開第2020061166(A1)号。
【0464】
DNAベクターVB5052(配列番号33)及びVB5002b(配列番号34)は、炎症促進性様式でAPCを標的化することが知られているヒトCCL3L1標的化単位を含む融合タンパク質をコードする、すなわち、そのような標的化単位を含む抗原特異的構築物は、それらが投与される対象において炎症性免疫応答を誘導し、この化合物がIFN-γ産生を誘導することが予想される(例えば、国際公開第2011161244 (A1)号を参照されたい)。
【0465】
DNAベクターVB5051(配列番号35)及びVB5001b(配列番号36)は、抗原単位MOG(27~63)のみ、すなわち単一のタンパク質/ペプチドをコードする。
【0466】
ネズミMOG(27~63)抗原単位は、T細胞エピトープMOG(35~55)を含む。
【0467】
MOG含有構築物のタンパク質発現及び分泌のインビトロ特性評価。
この実験の目的は、MOG含有DNAベクターで一過性にトランスフェクトされた哺乳動物細胞の上清におけるタンパク質発現及び分泌を特性評価する(特徴付ける)ことであった。
【0468】
Expi293F細胞をThermo Fisher Sci.から入手し、MOG(27~63)含有DNAベクター(VB5042、VB5050、VB5067、VB5072、VB4073、VB5074、及びVB5075)で一過性にトランスフェクトした。簡潔に述べると、Expi293F細胞(1.7×10細胞/mL、1mL)を96ウェル培養プレートに播種した。ExpiFectamine 293試薬(Thermo Fisher Sci.)を使用して0.64μg/mLのプラスミドDNAで細胞をトランスフェクトし、プレートを加湿CO細胞インキュベーター(8% CO、37℃)中、オービタルシェーカー(直径3mm、900rpm)上でインキュベートした。トランスフェクションの72時間後に上清を回収した。
【0469】
HEK293細胞をATCCから入手し、MOG(27~63)含有DNAベクターVB5038で一過性にトランスフェクトした。簡潔に述べると、2×10細胞/ウェルを、10%FBS増殖培地を含む24ウェル組織培養プレートにプレーティングし、製造業者(Thermo Fischer Scientific)によって提案された条件下でLipofectamine(登録商標)2000試薬を使用して1μgのそれぞれのDNAベクターでトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を37℃、5%COで5日間維持し、細胞上清を収集した。
【0470】
MOG含有ベクターによってコードされる分泌タンパク質を、MOGに対する抗体及び標的化単位のうちの1つを使用して、一過性にトランスフェクトされたExpi293F細胞又はHEK293細胞からの上清のサンドイッチELISAによって特徴付けた。結果を図4図6に示す。
【0471】
図4A及び4Bは、捕捉抗体としてマウス抗MOG抗体(0.25μg/mL、100μl/ウェル、sc-73330、Santa Cruz Biotechnology)及び検出抗体としてヤギ抗ネズミIL-10ビオチン化抗体(0.8μg/mL、100μl/ウェル、BAF417、R&D Systems)を使用するELISAにおいて、全てのIL-10コード寛容誘導構築物がインビトロで発現及び分泌されたことを示す。
【0472】
図5は、捕捉抗体としてマウス抗MOG抗体(0.25μg/mL、100μl/ウェル、sc-73330、Santa Cruz Biotechnology)及び検出抗体としてヤギ抗マウスCTLA-4ビオチン化抗体(0.8μg/mL、100μl/ウェル、BAF476、R&D Systems)を使用するELISAにおいて、CTLA-4をコードする寛容誘導構築物がインビトロで発現及び分泌されたことを示す。
【0473】
図6は、捕捉抗体としてマウス抗MOG抗体(0.25μg/mL、100μl/ウェル、sc-73330、Santa Cruz Biotechnology)及び検出抗体としてヤギ抗マウスSCGB3A2(3.3μg/mL、100μl/ウェル、BAF3465、R&D Systems)を使用するELISAにおいて、SCGB3A2をコードする寛容誘導構築物がインビトロで発現及び分泌されたことを示す。
【0474】
ネズミIL-10に対する抗体(捕捉抗体:ラット抗ネズミIL-10抗体、2μg/mL、100μl/ウェル、MAB417、R&D Systems)及びネズミSCGB3A2に対する抗体(検出抗体:ヤギ抗マウスSCGB3A2、3,3μg/mL、100μl/ウェル、BAF3465、R&D Systems)を使用する上清のサンドイッチELISAによって、それぞれ第1及び第2の標的化単位としてSCGB3A2及びIL-10を有する全長寛容誘導構築物の分泌を検証した。結果を図7に示し、この図は、DNAベクターVB5073及びVB5072によってコードされる標的化単位としてIL-10及びSCGB3A2を有するワクチンが、それぞれ第2の二量体化単位においてヒトIgG3由来のヒンジ領域1の余分なコピーの有無にかかわらず、全長融合タンパク質として発現及び分泌されたことを示す。
【0475】
DEC205受容体への寛容誘導構築物の結合のインビトロ特性評価
この実験の目的は、組換えDEC205受容体へのscFv抗DEC205標的化単位の機能的結合を特徴付けることであった。標的化単位の機能的結合を、組換えDEC205受容体でELISAプレートをコーティングし、検出抗体として抗原単位又は第2の標的化単位に対する抗体を使用することによって、第1の標的化単位としてscFv抗DEC205をコードするDNAベクターVB5038で一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞からの上清に対するELISAにおいて評価した。
【0476】
HEK293細胞をATCCから入手し、VB5038で一過性にトランスフェクトした。簡潔に述べると、2×10細胞/ウェルを、10%FBS増殖培地を含む24ウェル組織培養プレートにプレーティングし、製造業者(Invitrogen、Thermo Fischer Scientific)によって提案された条件下でLipofectamine(登録商標)2000試薬を使用して、1μgのそれぞれのDNAベクターでトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を37℃、5%COで5日間維持し、細胞上清を収集した。VB5038によってコードされる分泌タンパク質を、直接ELISAによって一過性にトランスフェクトされた細胞からの上清において評価した。ELISAプレートを100μl/ウェルの5μg/mLの組換えDEC205受容体(aa 216-503、OPCD 05072、Aviva Systems Biology)でコーティングし、上清を添加する前にブロッキングした。組換え受容体へのワクチンタンパク質の結合を、MOGに対する抗体(マウス抗MOG抗体、1μg/mL、100μl/ウェル、sc-73330、Santa Cruz Biotechnology)又はネズミIL-10に対する抗体(ヤギ抗ネズミIL-10ビオチン化抗体、1μg/mL、100μl/ウェル、BAF417、R&D Systems)によって検出した。
【0477】
図8に示される結果は、VB5038を含有するscFv抗DEC205のDEC205受容体への結合及び全長融合タンパク質の分泌を確認する。
寛容誘導構築物のIL-10受容体への結合のインビトロ特性評価
この実験の目的は、組換えIL-10受容体へのIL-10標的化単位の機能的結合を特徴付けることであった。標的化単位の機能的結合を、組換えIL-10受容体(IL-10R)でELISAプレートをコーティングし、検出抗体の抗原単位に対する抗体を使用することによって、第2の標的化単位としてIL-10をコードするDNAワクチンで一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞からの上清に対するELISAにおいて評価した。
【0478】
HEK293細胞をATCCから入手し、VB5038で一過性にトランスフェクトした。簡潔に述べると、2×10細胞/ウェルを、10%FBS増殖培地を含む24ウェル組織培養プレートにプレーティングし、製造業者(Invitrogen、Thermo Fischer Scientific)によって提案された条件下でLipofectamine(登録商標)2000試薬を使用して、1μgのそれぞれのDNAベクターでトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を37℃、5%COで5日間維持し、細胞上清を収集した。VB5038によってコードされる分泌タンパク質を、直接ELISAによって一過性にトランスフェクトされた細胞からの上清において評価した。ELISAプレートを100μl/ウェルの2.5μg/mL組換えIL-10受容体でコーティングし、上清を添加する前にブロッキングした。組換え受容体へのワクチンタンパク質の結合を、MOGに対する抗体(100μl/ウェル、1μg/mLマウス抗MOG抗体、sc-73330、Santa Cruz Biotechnology)によって検出した。
【0479】
図9に示される結果は、第2の標的化単位としてIL-10を有する寛容誘導構築物タンパク質が、IL-10受容体に結合することができることを実証する。
【0480】
ベクターVB5051にコードされたMOG(27~63)ペプチドの哺乳動物細胞の一過性トランスフェクション後のタンパク質発現及び分泌のインビトロ特性評価
この実験の目的は、インビトロで一過性にトランスフェクトされた哺乳動物細胞における、ベクターVB5051によってコードされるMOG(27~63)抗原単独対照のタンパク質発現及び分泌を評価することであった。簡潔に述べると、Expi293F細胞(2×10細胞/mL、1mL)を96ウェル培養プレートに播種した。ExpiFectamine 293試薬(Thermo Fisher Sci.)を使用して0.64μg/mLのプラスミドDNAで細胞をトランスフェクトし、プレートを加湿CO細胞インキュベーター(8% CO、37℃)中、オービタルシェーカー(直径3mm、900rpm)上でインキュベートした。トランスフェクションの72時間後に上清を回収した。
【0481】
MOG(27~63)ペプチドの分泌を、直接ELISA、上清でのコーティング、及びMOGに対する抗体(捕捉抗体、100μl/ウェル、3.3μg/mLマウス抗MOG抗体、sc-73330、Santa Cruz Biotechnology)を使用する検出によって特徴付けた。図10は、MOG(27~63)ペプチドがVB5051から発現され、当該ベクターでトランスフェクトされた哺乳動物細胞から分泌されることを示す。
【0482】
DNAベクターVB5052及びVB5002bによってコードされる炎症促進性対照構築物での哺乳動物細胞の一過性トランスフェクション後のタンパク質発現及び分泌のインビトロ特性評価
DNAベクターVB5052(配列番号33)及びVB5002b(配列番号34)は、炎症促進性様式でAPCを標的化することが知られているヒトCCL3L1標的化単位を含む融合タンパク質をコードする、すなわち、そのような標的化単位を含む抗原特異的ワクチンは、それらが投与される対象において炎症性免疫応答を誘導し、この化合物がIFN-γ産生を誘導することが予想される(例えば、国際公開第2011161244 (A1)号を参照されたい)。
【0483】
これらの実験の目的は、一過性にトランスフェクトされた哺乳動物細胞におけるDNAベクターVB5052及びVB5002bによってコードされるタンパク質のタンパク質発現及び分泌を特徴付けることであった。
【0484】
Expi293F細胞をThermo Fisher Sci.から入手し、DNAベクターVB5052で一過性にトランスフェクトした。簡潔に述べると、Expi293F細胞(1.7×10細胞/mL、1mL)を96ウェル培養プレートに播種した。ExpiFectamine 293試薬(Thermo Fisher Sci.)を使用して0.64μg/mLのプラスミドDNAで細胞をトランスフェクトし、プレートを加湿CO細胞インキュベーター(8% CO、37℃)中でオービタルシェーカー(直径3mm、900rpm)上でインキュベートした。トランスフェクションの72時間後に上清を回収した。
【0485】
HEK293細胞をATCCから入手し、DNAベクターVB5002bで一過性にトランスフェクトした。簡潔に述べると、2×10細胞/ウェルを、10%FBS増殖培地を含む24ウェル組織培養プレートに播種し、製造業者(Thermo Fischer Scientific)によって提案された条件下でLipofectamine(登録商標)2000試薬を使用して1μgのそれぞれのDNAベクターでトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を5%COと共に37℃でインキュベートした。トランスフェクションの5日後に上清を回収した。
【0486】
DNAベクターVB5052によってコードされる分泌タンパク質を、MOG(マウス抗MOG、0.25μg/mL、100μl/ウェル、sc-73330、Santa Cruz Biotechnology)及びヒトCCL3L1(ヤギ抗ヒトCCL3 0.2μg/mL、100μl/ウェル、BAF270、R&D Systems)に対する抗体を使用するサンドイッチELISAによって、一過性にトランスフェクトされた細胞からの上清において評価した。結果を図11Aに示し、ベクターVB5052によってコードされる炎症促進性対照ワクチンが高度に発現され、完全長融合タンパク質として分泌されたことを示す。
【0487】
DNAベクターVB5002bによってコードされる分泌タンパク質を、ヒトIgG3(CH3)(マウス抗ヒトIgG(CH3ドメイン)、1μg/mL、100μl/ウェル、153272、Biorad)及びヒトCCL3L1(ヤギ抗ヒトCCL3 0.2μg/mL、100μl/ウェル、BAF270、R&D Systems)に対する抗体を使用するサンドイッチELISAによって、一過性にトランスフェクトされた細胞からの上清において評価した。結果を図11Bに示し、ベクターVB5002bによってコードされる免疫原性対照ワクチンが発現され、タンパク質として分泌されたことを示す。
【0488】
ウェスタンブロットによるDNAベクターVB5038、VB5041、VB5042、VB5050、VB5074及びVB5075から発現されたタンパク質の特性評価。
DNAベクターVB5038、VB5041、VB5042、VB5050、VB5074、VB5075及びVB5002bによってコードされるタンパク質を更に特徴付けるために、トランスフェクトされたExpi293F細胞からの上清に対してウェスタンブロット分析を実行した。
【0489】
Expi293F細胞をThermo Fisher Sci.から入手し、DNAベクターVB5038及びVB5002bで一過性にトランスフェクトした。簡潔に述べると、Expi293F細胞(3×106細胞/mL、1.6mL)を6ウェル培養プレートに播種した。ExpiFectamine 293試薬(Thermo Fisher Sci.)を使用して1μg/mLプラスミドDNAで細胞をトランスフェクトし、プレートを、加湿CO2細胞インキュベーター(8%CO2、37℃)中、オービタルシェーカー(直径19mm、125rpm)上でインキュベートした。18時間のインキュベーション後、ExpiFectamine 293トランスフェクションエンハンサー(Thermo Fisher Sci.)を各ウェルに添加した。プレートを更に78時間インキュベートした後、上清を回収した。試料は、トランスフェクトされたExpi293F細胞からの105μlの上清を、還元条件及び非還元条件についてそれぞれ7.5μlのDTT(Thermo Fisher Sci.)又は7.5μlの超純水を含む37.5μlの4×Laemmli試料緩衝液(Bio-Rad)と混合することによって調製した。試料(還元又は非還元)を70℃で10分間加熱した後、4%~20%Criterion TGX Stain-Freeプレキャストゲル(Bio-Rad)に添加した(添加試料体積は図の説明文に記載)。SDS-PAGEを、Precision Plus Protein All Blue染色済みタンパク質標準(Bio-Rad)を含む1×Tris/グリシン/SDSランニング緩衝液(Bio-Rad)中で実行した。Tran-Blot Turboセミドライトランスファーシステム(Bio-Rad)を使用することによって、タンパク質をゲルからEtOH活性化低蛍光(LF)0.45μm PVDF膜(Bio-Rad)上に移した。PVDF膜をEveryBlot緩衝液(Bio-Rad)中で5分間ブロッキングし、マウス抗MOG(sc-73330、Santa Cruz Biotechnology)及びラット抗ネズミIL-10抗体(MAB417、R&D systems)でプローブして、それぞれMOG及びIL-10を検出した。膜を蛍光色素コンジュゲート二次抗体と共に室温で1時間インキュベートし、次いで洗浄し、乾燥させた。ChemiDoc(商標)MPイメージングシステム(設定Dylight 488及び800、Auto Optimal)を使用することによって画像を撮影した。結果を図12A及び図12Bに示す。
【0490】
Expi293F細胞をThermo Fisher Sci.から入手し、DNAベクターVB5041、VB5042、VB5050、VB5074及びVB5075で一過性にトランスフェクトした。簡潔に述べると、Expi293F細胞(2又は1.7×10細胞/mL、1mL)を96ウェル培養プレートに播種した。ExpiFectamine 293試薬(Thermo Fisher Sci.)を使用して0.64μg/mLのプラスミドDNAで細胞をトランスフェクトし、プレートを加湿CO細胞インキュベーター(8% CO、37℃)中、オービタルシェーカー(直径3mm、900rpm)上でインキュベートした。プレートを72時間インキュベートした後、上清を回収した。試料は、トランスフェクトされたExpi293F細胞からの14μlの上清を、還元条件及び非還元条件についてそれぞれ1μlのDTT(Cayman Chemical)又は1μlの超純水を含む5μlの4×Laemmli試料緩衝液(Bio-Rad)と混合することによって調製した(所与の比率での総試料体積のスケールアップ)。試料(還元又は非還元)を70℃で10分間加熱した後、4%~20%のCriterion TGX Stain-Freeプレキャストゲル(Bio-Rad)に添加した(図の説明文に記載の追加試料体積)。SDS-PAGEを、Precision Plus Protein All Blue染色済みタンパク質標準(Bio-Rad)を含む1×Tris/グリシン/SDSランニング緩衝液(Bio-Rad)中で実行した。Tran-Blot Turboセミドライトランスファーシステム(Bio-Rad)を使用することによって、タンパク質をゲルからEtOH活性化低蛍光(LF)0.45μm PVDF膜(Bio-Rad)上に移した。PVDF膜をEveryBlot緩衝液(Bio-Rad)中で5分間ブロッキングし、マウス抗MOG(sc-73330、Santa Cruz Biotechnology)又はラット抗ネズミIL-10(MAB417、R&D Systems)でプローブして、それぞれMOG又はIL-10を検出した。膜を蛍光色素コンジュゲート種特異的二次抗体と共に室温で1時間インキュベートし、次いで洗浄し、乾燥させた。Dylight-488チャネルにおけるIL10検出のために、膜をDylight-488二次抗体で再プローブした。膜をエタノール及びTBST中で再活性化した。膜をブロッキングし、Dylight 488コンジュゲート二次抗体と共に室温で1時間インキュベートし、次いで洗浄し、乾燥させた。ChemiDoc(商標)MPイメージングシステムを使用することによって画像を撮影した。結果を図12C図12D図12E図12F及び図12Gに示す。
【0491】
第1の標的化単位としてscFv抗DEC205、抗原単位としてMOG(27~63)、及び第2の標的化単位としてIL-10をコードするワクチン(VB5038、VB5041、VB5042及びVB5050)の抗MOG抗体を用いたウェスタンブロット分析(図12A及び図12C)は、これらのワクチンが全長融合タンパク質として分泌されたことを示す。抗ネズミIL-10抗体での検出(図12B及び図12D)は、以前に記載された抗ネズミMOG抗体と同じ分子で単一バンドを示し、これは両方の抗体が同じタンパク質バンドを検出したことを実証し、したがって、MOG及びIL-10が同じ融合タンパク質の一部であることを確認する。図12B及び図12Eの非還元試料は、これらのタンパク質の二量体化を示す。
【0492】
第1の標的化単位としてVSIG-3、抗原単位としてMOG(27~63)、及び第2の標的化単位としてIL-10(VB5074及びVB5075)をコードするワクチンの抗ネズミMOGを用いたウェスタンブロット分析(図12F)は、これらのワクチンが全長融合タンパク質として分泌されたことを示す。タンパク質は、それらの計算された分子量に基づいて予想されるよりも遅い速度で移動し、これは、既知の翻訳後グリコシル化によって説明することができる(図12F)。VB5074及びVB5075でトランスフェクトされた細胞からの上清における抗ネズミIL-10での検出(図12G)は、両方の抗体が同じタンパク質バンドを検出したことを示し、したがって、MOG及びIL-10が同じ融合タンパク質の一部であることを確認する。
【0493】
実施例2:VB5067の寛容誘導能力の評価。
【0494】
VB5067(表1に記載)の寛容誘導能力を、50μgのVB5067で1回ワクチン接種したマウス由来の脾臓において評価し、誘導されたIL-10/IFN-γ比を計算することによって決定した。IL-10(免疫抑制機能を発揮することが知られている抗炎症性サイトカイン)及びIFN-γ(炎症性免疫応答を誘導するためのマーカー)シグナルを、MOG(35~55)ペプチドでワクチン接種したマウスから採取した脾細胞の再刺激後に、二色FluoroSpotアッセイにおいて決定した。IL-10/IFN-γ比は、DNAベクターによって誘導された免疫応答がどの程度寛容原性応答に偏っているかを示す。寛容原性プロファイルを、ワクチン接種に応答して誘導され、エクスビボで検出されたMOG(38~49)特異的Foxp 3+T細胞の頻度によって更に評価した。Foxp3は、調節性T細胞(Treg)の発生及び機能における免疫抑制経路のマスター調節因子として作用するものであり、MOG特異的炎症性免疫応答を抑制及び制御するように作用し、それによって自己寛容を維持するTreg細胞を示す。得られた結果を、炎症促進性対照ワクチンVB5052によって誘発された応答又は/及びVB5051ワクチン接種の寛容誘導能力(両方とも表2に記載)と比較した。
【0495】
マウスワクチン接種及びFluorospot
以下の研究設計を適用した:
雌の6週齢C57BL/6マウスをJanvier Labs(France)から入手した。全ての動物をRadium Hospital(Oslo,Norway)の動物施設に収容した。全ての動物プロトコルは、ノルウェー食品安全機関(Oslo,Norway)によって承認された。5匹のマウス/群を、VB5067(表1に記載)、VB5052及びVB5051(表2に記載)の試験に使用した。VB5052を、MOG(27~63)コードワクチンの炎症促進性バージョンとして含めた。VB5052は、炎症促進性様式でAPCを標的化することが知られているヒトCCL3L1標的化単位を含み、すなわち、そのような標的化単位を含むワクチンは、それらが投与される対象において炎症性免疫応答を誘導し、この化合物がIFN-γ産生を誘導することが予想される。MOG(27~63)ペプチドのみをコードするDNAベクター、VB5051を、VB5067との比較として含めた。
【0496】
滅菌PBSに溶解した50μgのDNAベクターVB5067又は対照ベクターVB5051若しくはVB5052の1用量を、筋肉内針注射によって各前脛骨筋に投与し(2×25μl、1000μg/mL)、続いてAgilePulseインビボエレクトロポレーションシステム(BTX,USA)を用いてエレクトロポレーションを行った。ワクチン接種の7日後に脾臓を採取し、細胞ストレーナーですりつぶして単細胞懸濁液を得た。塩化アンモニウム-カリウム(ACK)溶解緩衝液を使用して赤血球を溶解した。洗浄後、脾細胞を、NucleoCounter NC-202(ChemoMetec,Denmark)を使用して計数し、6×106細胞/mLの最終濃度に再懸濁し、96ウェルIFN-γ/IL-10二色FluoroSpotプレートに6×105細胞/ウェルとして播種した。次いで、脾細胞を16.67μg/mLのMOG(35~55)ペプチドで44時間再刺激した後、製造業者のプロトコル(Mabtech AB,Sweden)に従って二色FluoroSpotアッセイにおいてIFN-γ及びIL-10サイトカイン産生について試験した。スポット形成細胞をIRIS Fluorospot及びELISpotプレートリーダー(Mabtech AB)で測定し、Apexソフトウェア(Mabtech AB)を使用して分析した。結果は、3連のIL-10+又はIFN-γ+スポット/106脾細胞の平均数として示す。
【0497】
図13Aから分かるように、IL-10の産生は、3つ全ての構築物;VB5067、VB5051及びVB5052でワクチン接種したマウスから採取した非再刺激脾細胞において検出されたが、低いバックグラウンドレベルのIFN-γしか観察されなかった。図13Bに示すように、脾細胞のMOG(35~55)再刺激時に、VB5052によるワクチン接種後にIFN-γレベルの上昇が検出され、これは、VB5067及びVB5051によって誘発されたレベルを超えて有意に増加した。過剰な炎症を回避し、炎症の最終的な消散を確実にするために、IFN-γ等の炎症促進性サイトカインの産生が、IL-10等の抗炎症性サイトカインの産生を含む負のフィードバック機構によって調節されることが重要である。したがって、VB5052に応答して観察されたIL-10のレベルの増加は、誘導された炎症応答を制御するそのようなフィードバック機構によって説明され得る。図13Cに示すように、VB5052と比較してVB5067では有意に高いIL-10/IFN-γ比が検出され、VB5052と比較してVB5067の免疫抑制能が高いことが示された。
【0498】
四量体(H-2IAb/GWYRSPFSRVVH)を使用するワクチン接種マウス由来の脾臓におけるMOG(38~49)特異的T細胞のフローサイトメトリー分析。
MOG特異的Foxp3+細胞(すなわち、MOG特異的炎症性免疫応答を抑制及び制御するように作用し、それによって自己寛容を維持するT細胞を示す)の生成を、MOG特異的四量体染色及びフローサイトメトリーによってマウスにおいて同定した(CD4+MOG(38~49)-tet+Foxp3+細胞)。
【0499】
簡潔に述べると、各群からプールした2×10個の脾細胞を96ウェルV底プレートに移した。四量体及び抗体を、使用前に5%FBSを含むPBS中で希釈し、光から保護した。細胞洗浄を必要とした全てのステップは、特に明記しない限り、5%FBSを含むPBSで実行した。最初に、細胞を、(MOG 38-49)に特異的なProT2(登録商標)MHCクラスII四量体(1μg/mL、H-2 IAb-GWYRSPFSRVVH-ProT2(登録商標)四量体PE、2958、Proimmune)で染色し、プレートを加湿CO2細胞インキュベーター(5%CO2、37℃)で2時間インキュベートした。細胞を洗浄せずに、FC受容体を氷上で5分間ブロッキングして、フローサイトメトリー抗体のFc受容体への非特異的結合を防止した(precvent)(0.25μg/mL、TruStain FcX(商標)PLUS(抗マウスCD16/32)抗体、156604、Biolegend)。細胞を洗浄せずに、細胞を氷上で30分間、抗マウスCD8 PE-Cy7(0.25μg/mL、クローン:53-6.7、100721、BD Biosciences)、抗マウスCD4 eFluor450(0.25μg/mL、クローン:GK1.5、48-0041-82、Thermofischer/eBioscience)、抗マウスCD25 PerCP-Cy5.5(0.25μg/mL、クローン:PC61、102030、Biolegend)を含有する表面抗体カクテルで染色した。細胞をPBSで2回洗浄した。次に、細胞を氷上で10分間、fixable viability dye(ウェル当たり150μl、PBS中1:8000希釈、Fixable Viability Stain 780、565388、BD biosciences)で染色した。細胞をPBSのみで2回洗浄し、固定し、製造業者の説明書に従ってFoxp3/転写因子染色緩衝液セット(ウェル当たり200μl、00-5523-00、Thermofischer/eBioscience)を使用して透過処理した。細胞を洗浄し、細胞を氷上で30分間、抗マウスFOXP3 eFluor 660(0.25μg/mL、クローン:FJK-16s、50-5773-82、Thermofischer/eBioscience)、抗マウスKi-67 Alexa Fluor 488(0.25μg/mL、クローン:クローン:11F6、151204、Biolegend)を含有する細胞内抗体カクテルで染色した。細胞を洗浄し、5%FBSを含む150μlのPBSに再懸濁し、BD FACSymphony(商標)A3 Cell Analyzerで分析した。以下の対照である未染色対照(=細胞はいかなる抗体も受けなかった)及び蛍光マイナスワン(FMO)対照(=全てのフルオロフォア標識抗体で染色した試料、陽性シグナルと陰性シグナルとを正確に区別するためのマイナスワン)を、FlowJo(商標)v10.8ソフトウェア(BD Life Sciences)を使用して所望の集団をゲーティングするためのガイドとして使用した。
【0500】
図14に示されるように、VB5051と比較して、より高いパーセンテージのMOG(38~49)特異的Foxp3+細胞が、VB5067に応答して検出された。
【0501】
したがって、実施例2は、標的化単位としてscFv-抗DEC205及びCTLA-4並びに抗原単位としてMOG(27~63)を有する構築物をコードするVB5067によるワクチン接種が、炎症促進性ワクチンVB5052と比較して、より高い抗炎症性サイトカイン対炎症性サイトカイン比(IL-10/IFN-γ)及び炎症性IFN-γ産生の欠如をもたらすことを示す。更に、scFv抗DEC205及びCTLA-4標的タンパク質は、VB5051と比較して、より高いパーセンテージのMOG(38~49)特異的Foxp3+細胞を誘導する。まとめると、これらの結果は、scFv抗DEC205及びCTLA-4二重特異性構築物によるワクチン接種が、VB5052とは対照的に、炎症促進性サイトカイン産生(IFN-γ)の欠如を示し、VB5051と比較してより大きな抗原特異的寛容原性応答を誘発することを示す。
【0502】
Sugimoto MA,Sousa LP,Pinho V,Perretti M,Teixeira MM.Resolution of Inflammation:What Controls Its Onset? Front Immunol.2016 Apr 26;7:160.doi:10.3389/fimmu.2016.00160.
【0503】
実施例3:VB5042の寛容誘導能力の評価。
【0504】
実施例2に記載のように、VB5042(表1に記載)の寛容誘導能を決定し、VB5052(表2に記載)の炎症促進性対照ワクチンによって誘導された応答及びVB5051(表2に記載)の寛容誘導能と比較した。
【0505】
図15Aから分かるように、IL-10の産生は、3つ全ての構築物;VB5042、VB5051及びVB5052でワクチン接種したマウスから採取した非再刺激脾細胞において検出されたが、低いバックグラウンドレベルのIFN-γしか観察されなかった。図15Bに示されるように、脾細胞のMOG(35~55)再刺激の際に、VB5052でのワクチン接種後にIFN-γのレベルの上昇が検出され、これは、VB5042及びVB5051によって誘発されたものを超えて有意に増加した。VB5052に応答して観察されたIL-10のレベルの増加は、実施例2に記載されるように、炎症応答を制御するための潜在的なフィードバック機構によって説明され得る。VB5042及びVB5051のいずれかでワクチン接種したマウス由来の脾細胞は、MOG(35~55)ペプチド再刺激あり(図15A)及びなし(図15B)の両方で、同様のレベルのIL-10及びIFN-γを示した。図15Cに示すように、VB5052と比較してVB5042では有意に高いIL-10/IFN-γ比が検出され、VB5052と比較してVB5042の免疫抑制能が高いことが示された。
【0506】
図16に示されるように、VB5051と比較して、より高いパーセンテージのMOG(38~49)特異的Foxp3+細胞が、VB5042に応答して検出された。
【0507】
したがって、実施例3は、標的化単位としてscFv抗DEC205及びIL-10並びに抗原単位としてMOG(27~63)を有する構築物をコードするVB5042によるワクチン接種が、炎症促進性ワクチンバージョンVB5052と比較して、より高い非炎症サイトカイン対炎症サイトカイン比(IL-10/IFN-γ)及び炎症IFN-γの欠如をもたらすことを示す。更に、scFv抗DEC205及びIL-10標的化タンパク質は、VB5051と比較して、より高い頻度のMOG(38~49)特異的Foxp3+細胞を誘導した。まとめると、これらの結果は、scFv抗DEC205及びIL-10二重特異性構築物によるワクチン接種が、VB5052とは対照的に、炎症促進性サイトカイン産生(IFN-γ)の欠如を示し、VB5051と比較してより大きな抗原特異的寛容原性応答を誘発することを示す。
【0508】
実施例4:VB5073の寛容誘導能力の評価。
【0509】
実施例2に記載のように、VB5073(表1に記載)の寛容誘導能を決定し、炎症促進性対照ワクチンVB5052(表2に記載)によって誘導された応答及びVB5051(表2に記載)の寛容誘導能と比較した。
【0510】
図17Aから分かるように、IL-10の産生は、3つ全ての構築物;VB5073、VB5051及びVB5052でワクチン接種したマウスから採取した非再刺激脾細胞において検出されたが、低いバックグラウンドレベルのIFN-γしか観察されなかった。図17Bに示すように、脾細胞のMOG(35~55)再刺激時に、VB5052でのワクチン接種後に高レベルのIFN-γが検出され、これはVB5073及びVB5051によって誘発されたものを超えて有意に増加した。VB5052に応答して観察されたIL-10のレベルの増加は、実施例2に記載されるように、炎症応答を制御するための潜在的なフィードバック機構によって説明され得る。VB5073又はVB5051のいずれかでワクチン接種されたマウス由来の脾細胞は、MOG(35~55)ペプチド再刺激あり(図17B)及びなし(図17A)の両方で同様のレベルのIL-10及びIFN-γを示した。図17Cに示すように、VB5052と比較してVB5073では有意に高いIL-10/IFN-γ比が検出され、VB5052と比較してVB5073の免疫抑制能が高いことが示された。
【0511】
図18に示すように、VB5051と比較して、より高いパーセンテージのMOG(38~49)特異的Foxp3+細胞が、VB5073に応答して検出された。
【0512】
したがって、実施例4は、標的化単位としてSCGB3A2及びIL-10、並びに抗原単位としてMOG(38~49)を有する構築物をコードするVB5073によるワクチン接種が、より高い非炎症サイトカイン対炎症サイトカイン比(IL-10/IFN-γ)をもたらし、炎症促進性構築物VB5052と比較して炎症IFN-γ産生の欠如を示し、VB5051と比較してより高い頻度のMOG(38~49)特異的Foxp3+細胞を誘導することを示す。まとめると、これらの結果は、SCGB3A2及びIL-10二重特異性構築物によるワクチン接種が、VB5052とは対照的に、炎症促進性サイトカイン産生(IFN-γ)の欠如を示し、VB5051と比較してより大きな抗原特異的寛容原性応答を誘発することを示す。
【0513】
実施例5:甲殻類アレルギーの処置に使用するための6つのT細胞エピトープを有する本発明による寛容誘導構築物の設計、産生、及びインビトロ特性評価。
【0514】
トロポミオシンは、甲殻類における主要なアレルゲンである。6つの主要なT細胞エピトープを、Met e 1過敏症のBalb/cマウスモデルにおいて、Metapenaeus ensis(Met e 1)種由来のトロポミオシンについて同定した。6つのT細胞エピトープのペプチドによる経口免疫療法は、シュリンプトロポミオシンに対するアレルギー応答を効果的に減少させた(Wai,C.Y.Y et al.2015)。
【0515】
DNAベクターの設計
以下の表3に列挙される要素(エレメント)/単位をコードする核酸配列を含むDNAベクターVB5077及びVB5078を設計し、産生した。記載された全ての遺伝子配列は、発現ベクターpALD-CV77にクローニングされたGenScript(Genscript Biotech B.V.,Netherlands)から取り寄せた。
【0516】
【表4】
本開示によるベクターであるDNAベクターVB5077(配列番号37)及びVB5078(配列番号38)は、上記の表に記載されている標的化単位、二量体化単位及び抗原単位を含む構築物をコードする。
【0517】
Met e 1(241-260)、(210-230)、(136-155)、(76-95)、(46-65)、(16-35)抗原単位(配列番号22)は、T細胞エピトープ間にGGGGSGGGGS(配列番号80)リンカーを含有する。
【0518】
Met e 1含有寛容誘導構築物のタンパク質発現及び分泌のインビトロ特性評価
この実験の目的は、哺乳動物細胞の一過性トランスフェクション後のMet e 1含有DNAベクターVB5077及びVB5078によってコードされるタンパク質の発現及び分泌を特徴付けることであった。
【0519】
Expi293F細胞をThermo Fisher Sci.から入手し、DNAベクターVB5077及びVB5078で一過性にトランスフェクトした。簡潔に述べると、Expi293F細胞(1.7×10細胞/mL、1mL)を96ウェル培養プレートに播種した。ExpiFectamine 293試薬(Thermo Fisher Sci.)を使用して0.64μg/mLのプラスミドDNAで細胞をトランスフェクトし、プレートを加湿CO細胞インキュベーター(8% CO、37℃)中、オービタルシェーカー(直径3mm、900rpm)上でインキュベートした。プレートを72時間インキュベートした後、上清を回収した。
【0520】
Met e 1含有ベクターによってコードされる分泌タンパク質を、ネズミIL-10に対する抗体(捕捉抗体:マウス抗ネズミIL-10抗体、2μg/mL、100μl/ウェル、MAB417、R&D Systems、検出抗体:ヤギ抗ネズミIL-10ビオチン化抗体、0.8μg/mL、100μl/ウェル、BAF417、R&D Systems)を使用するサンドイッチELISAによって、一過性にトランスフェクトされた細胞からの上清において評価した。結果を図19に示し、両方のMet e 1含有構築物が高レベルで発現及び分泌されたことを示す。
VB5077及びVB5078から発現されたインタクトなタンパク質の特性評価
トランスフェクトされたExpi293F細胞からの上清試料に対してウェスタンブロット分析を実行して、VB5077及びVB5078によってコードされるタンパク質を更に特徴付けた。
【0521】
試料は、トランスフェクトされたExpi293F細胞からの14μlの上清を、還元条件及び非還元条件についてそれぞれ1μlのDTT(Cayman Chemical)又は1μlの超純水を含む5μlの4×Laemmli試料緩衝液(Bio-Rad)と混合することによって調製した(所与の比率での総試料体積のスケールアップ)。試料(還元又は非還元)を70℃で10分間加熱した後、4%~20%Criterion TGX Stain-Freeプレキャストゲル(Bio-Rad)に添加した(添加試料体積は図の説明文に記載)。SDS-PAGEを、Precision Plus Protein All Blue染色済みタンパク質標準(Bio-Rad)を含む1×Tris/グリシン/SDSランニング緩衝液(Bio-Rad)中で実行した。Tran-Blot Turboセミドライトランスファーシステム(Bio-Rad)を使用することによって、タンパク質をゲルからEtOH活性化低蛍光(LF)0.45μm PVDF膜(Bio-Rad)上に移した。PVDF膜をEveryBlot緩衝液(Bio-Rad)中で5分間ブロッキングし、ラット抗ネズミIL-10(MAB417、R&D Systems)でプローブしてIL-10を検出した。膜を蛍光色素コンジュゲート種特異的二次抗体と共に室温で1時間インキュベートし、次いで洗浄し、乾燥させた。ChemiDoc(商標)MPイメージングシステムを使用することによって画像を撮影した。
【0522】
結果を図20に示す。
【0523】
抗ネズミIL-10抗体を用いたウェスタンブロット分析は、6つのMet e 1T細胞エピトープ含有構築物が全長融合タンパク質として分泌されたことを示す。
【0524】
配列
配列番号1
IgG3由来のヒンジエクソンh1(アミノ酸1~12)及びヒトIgG3由来のヒンジエクソンh4(アミノ酸13~27)のアミノ酸配列
LKTPLGDTTHT1213PKSCDTPPPCPRCP27
配列番号2
ヒトIgG1のヒンジ領域のアミノ酸配列:上部ヒンジ領域(アミノ酸1~4)、中間ヒンジ領域(アミノ酸5~15)及び下部ヒンジ領域(アミノ酸16~23)。
【0525】
PKSDKTHTCPPCP1516PELLGGP23
配列番号3
ヒトIgG3のCH3ドメインのアミノ酸配列
GQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESSGQPENNYNTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNIFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
配列番号4
ヒトIgG1のCH3ドメインのアミノ酸配列
GQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号5
CREB bZIPモチーフのアミノ酸配列
VKCLENRVAVLENQNKTLIEELKALKDLY
配列番号6
マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列(Ig VHシグナル配列)
MNFGLRLIFLVLTLKGVQC
配列番号7
マウス単鎖可変断片(scFv)抗DEC205
DIQMTQSPSFLSTSLGNSITITCHASQNIKGWLAWYQQKSGNAPQLLIYKASSLQSGVPSRFSGSGSGTDYIFTISNLQPEDIATYYCQHYQSFPWTFGGGTKLELKGGGGSGGGGSGGGGSEVKLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNDFYMNWIRQPPGQAPEWLGVIRNKGNGYTTEVNTSVKGRFTISRDNTQNILYLQMNSLRAEDTAIYYCARGGPYYYSGDDAPYWGQGVMVTVSS
配列番号8
ヒンジ領域形態ヒトIgG1。上部ヒンジ領域hIgG1(1-5)、中間ヒンジ領域hIgG1(6-20)。
GLQGLEPKSCDKTHTCPPCP
配列番号9
ネズミIL-10
SRGQYSREDNNCTHFPVGQSHMLLELRTAFSQVKTFFQTKDQLDNILLTDSLMQDFKGYLGCQALSEMIQFYLVEVMPQAEKHGPEIKEHLNSLGEKLKTLRMRLRRCHRFLPCENKSKAVEQVKSDFNKLQDQGVYKAMNEFDIFINCIEAYMMIKMKS
配列番号10
成熟ネズミTGFβ1
ALDTNYCFSSTEKNCCVRQLYIDFRKDLGWKWIHEPKGYHANFCLGPCPYIWSLDTQYSKVLALYNQHNPGASASPCCVPQALEPLPIVYYVGRKPKVEQLSNMIVRSCKCS
配列番号11
ネズミCTLA-4細胞外ドメイン
EAIQVTQPSVVLASSHGVASFPCEYSPSHNTDEVRVTVLRQTNDQMTEVCATTFTEKNTVGFLDYPFCSGTFNESRVNLTIQGLRAVDTGLYLCKVELMYPPPYFVGMGNGTQIYVIDPEPCPDSD
配列番号15
ネズミMARCOリガンドSCGB3A2シグナル配列
MKLVSIFLLVTIGICGYSATA
配列番号16
ネズミMARCOリガンドSCGB3A2
LLINRLPVVDKLPVPLDDIIPSFDPLKMLLKTLGISVEHLVTGLKKCVDELGPEASEAVKKLLEALSHLV
配列番号17
ネズミVISTAリガンドVSIG-3シグナル配列
MTRRRSAPASWLLVSLLGVATS
配列番号18
ネズミVISTAリガンドVSIG-3細胞外ドメイン
LEVSESPGSVQVARGQTAVLPCAFSTSAALLNLNVIWMVIPLSNANQPEQVILYQGGQMFDGALRFHGRVGFTGTMPATNVSIFINNTQLSDTGTYQCLVNNLPDRGGRNIGVTGLTVLVPPSAPQCQIQGSQDLGSDVILLCSSEEGIPRPTYLWEKLDNTLKLPPTATQDQVQGTVTIRNISALSSGLYQCVASNAIGTSTCLLDLQVISPQPRSV
配列番号19
ヒンジh1 hIgG3
ELKTPLGDTTHT
配列番号20
ヒトCCL3L1シグナル配列
MQVSTAALAVLLCTMALCNQVLS
配列番号21
ヒトCCL3L1
APLAADTPTACCFSYTSRQIPQNFIADYFETSSQCSKPSVIFLTKRGRQVCADPSEEWVQKYVSDLELSA
配列番号23
VB5050のアミノ酸配列。マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列「Ig VHシグナル配列」(1~19)、マウス一本鎖可変断片「scFv」抗DEC205(20~265)、ヒンジh1 hIgG3(266~277)、ヒンジh4 hIgG3(278~292)、リンカー(293~297)、MOGアミノ酸27~63(298~334)、上部ヒンジ領域hIgG1(335~339)、中央ヒンジ領域hIgG1(340~354)、ネズミIL-10(355~514)。
【0526】
【表5】
配列番号24
VB5038のアミノ酸配列。マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列「Ig VHシグナル配列」(1~19)、マウス単鎖可変断片「scFv」抗DEC205(20~265)、ヒンジh1 hIgG3(266~277)、ヒンジh4 hIgG3(278~292)、リンカー(293~297)、MOGアミノ酸27~63(298~334)、上部ヒンジ領域hIgG1(335~339)、中央ヒンジ領域hIgG1(340~354)、ネズミIL-10(355~514)。MOG(27~63)配列の一部は、Krienkeet al.2021の論文から入手した。
【0527】
【表6】
配列番号25
VB5042のアミノ酸配列。マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列「Ig VHシグナル配列」(1~19)、マウス一本鎖可変断片「scFv」抗DEC205(20~265)、ヒンジh1 hIgG3(266~277)、ヒンジh4 hIgG3(278~292)、リンカー(293~297)、MOGアミノ酸27~63(298~334)、上部ヒンジ領域hIgG1(335~339)、中央ヒンジ領域hIgG1(340~354)、ヒンジh1 hIgG3(355~366)、ネズミIL-10(367~526)。
【0528】
【表7】
配列番号26
VB5066のアミノ酸配列。マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列「Ig VHシグナル配列」(1~19)、マウス一本鎖可変断片「scFv」抗DEC205(20~265)、ヒンジh1 hIgG3(266~277)、ヒンジh4 hIgG3(278~292)、リンカー(293~297)、MOGアミノ酸27~63(298~334)、上部ヒンジ領域hIgG1(335~339)、中央ヒンジ領域hIgG1(340~354)、マウスTGFβ1成熟配列(355~466)。
【0529】
【表8】
配列番号27
VB5043のアミノ酸配列。マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列「Ig VHシグナル配列」(1~19)、マウス一本鎖可変断片「scFv」抗DEC205(20~265)、ヒンジh1 hIgG3(266~277)、ヒンジh4 hIgG3(278~292)、リンカー(293~297)、MOGアミノ酸27~63(298~334)、上部ヒンジ領域hIgG1(335~339)、中央ヒンジ領域hIgG1(340~354)、ヒンジh1 hIgG3(355~366)、マウスTGFβ1成熟配列(355~478)。
【0530】
【表9】
配列番号28
VB5067のアミノ酸配列。マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列「Ig VHシグナル配列」(1~19)、マウス一本鎖可変断片「scFv」抗DEC205(20~265)、ヒンジh1 hIgG3(266~277)、ヒンジh4 hIgG3(278~292)、リンカー(293~297)、MOGアミノ酸27~63(298~334)、上部ヒンジ領域hIgG1(335~339)、中央ヒンジ領域hIgG1(340~354)、マウスCTLA-4(355~480)。
【0531】
【表10】
配列番号29
VB5072のアミノ酸配列。ネズミMARCOリガンドSCGB3A2シグナル配列(1~21)、ネズミMARCOリガンドSCGB3A2(22~91)、ヒンジh1 hIgG3(92~103)、ヒンジh4 hIgG3(104~118)、リンカー(119~123)、MOGアミノ酸27~63(124~160)、上部ヒンジ領域hIgG1(161~165)、中央ヒンジ領域hIgG1 166~180)、ネズミIL-10(181~340)。
【表11】
配列番号30
VB5073のアミノ酸配列。ネズミMARCOリガンドSCGB3A2シグナル配列(1~21)、ネズミMARCOリガンドSCGB3A2(22~91)、ヒンジh1 hIgG3(92~103)、ヒンジh4 hIgG3(104~118)、リンカー(119~123)、MOGアミノ酸27~63(124~160)、上部ヒンジ領域hIgG1(161~165)、中央ヒンジ領域hIgG1 166~180)、ヒンジh1 hIgG3(181~192)、ネズミIL-10(193~352)
【表12】
配列番号31
VB5074のアミノ酸配列。ネズミVISTAリガンドVSIG-3シグナル配列(1~22)、ネズミVISTAリガンドVSIG-3細胞外ドメイン(23~240)、ヒンジh1 hIgG3(241~252)、ヒンジh4 hIgG3(253~267)、リンカー(268~272)、MOGアミノ酸27~63(273~309)、上部ヒンジ領域hIgG1(310~314)、中央ヒンジ領域hIgG1(315~329)、ネズミIL-10(330~489)。
【0532】
【表13】
配列番号32
VB5075のアミノ酸配列。ネズミVISTAリガンドVSIG-3シグナル配列(1~22)、ネズミVISTAリガンドVSIG-3細胞外ドメイン(23~240)、ヒンジh1 hIgG3(241~252)、ヒンジh4 hIgG3(253~267)、リンカー(268~272)、MOGアミノ酸27~63(273~309)、上部ヒンジ領域hIgG1(310~314)、中間ヒンジ領域hIgG1(315~329)、ヒンジh1 hIgG3(330~341)、ネズミIL-10(342~501)。
【0533】
【表14】
配列番号33
VB5052のアミノ酸配列。ヒトCCL3L1シグナル配列「Mip1a」(1~23)、ヒトCCL3L1「hMip1a」(24~93)、ヒンジh1 hIgG3(94~105)、ヒンジh4 hIgG3(106~120)、リンカー(121~130)、hCH3 IgG3(131~237)、リンカー(238~242)、MOGアミノ酸27~63(243~279)。
【0534】
【表15】
配列番号34
VB5002bのアミノ酸配列。ヒトCCL3L1シグナル配列「Mip1a」(1~23)、ヒトCCL3L1「hMip1a」(24~93)、ヒンジh1 hIgG3(94~105)、ヒンジh4 hIgG3(106~120)、リンカー(121~130)、hCH3 IgG3(131~237)、リンカー(238~242)、MOGアミノ酸27~63(243~279)。MOG(27~63)配列の一部は、Krienke et al.2021の論文から入手した。
【0535】
【表16】
配列番号35
VB5051のアミノ酸配列。マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列「Ig VHシグナル配列」(1~19)、MOGアミノ酸27~63(20~56)。
【0536】
MNFGLRLIFLVLTLKGVQCSPGKNATGMEVGWYRSPFSRVVHLYRNGKDQDAEQAP
配列番号36
VB5001bのアミノ酸配列。マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列「Ig VHシグナル配列」(1~19)、MOGアミノ酸27~63(20~56)。MOG(27~63)配列の一部は、Krienkeet al.2021の論文から入手した。
【0537】
MNFGLRLIFLVLTLKGVQCSPGKNATGMEVGWYRSPFSRVVHLYRNGKDQDAEAQP
配列番号37
VB5077のアミノ酸配列。マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列「Ig VHシグナル配列」(1~19)、マウス一本鎖可変断片「scFv」抗DEC205(20~265)、ヒンジh1 hIgG3(266~277)、ヒンジh4 hIgG3(278~292)、リンカー(293~297)、Met e 1「241~260」、「210~230」、「136~155」、「76~95」、「46~65」、「16~35」(293~468)、上部ヒンジ領域hIgG1(469~473)、中央ヒンジ領域hIgG1(474~488)、ネズミIL-10(489~648)。
【0538】
【表17】
配列番号38
VB5078のアミノ酸配列。マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列「Ig VHシグナル配列」(1~19)、マウス一本鎖可変断片「scFv」抗DEC205(20~265)、ヒンジh1 hIgG3(266~277)、ヒンジh4 hIgG3(278~292)、リンカー(293~297)、Met e 1「241~260」、「210~230」、「136~155」、「76~95」、「46~65」、「16~35」(293~468)、上部ヒンジ領域hIgG1(469~473)、中央ヒンジ領域hIgG1(474~488)、ヒンジh1 hIgG3(489~500)、ネズミIL-10(501~660)。
【0539】
【表18】
配列番号41
VB5041のアミノ酸配列。マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列「Ig VHシグナル配列」(1~19)、マウス一本鎖可変断片「scFv」抗DEC205(20~265)、ヒンジh1 hIgG3(266~277)、ヒンジh4 hIgG3(278~292)、リンカー(293~297)、MOGアミノ酸35~55(298~318)、上部ヒンジ領域hIgG1(319~323)、中央ヒンジ領域hIgG1(323~338)、ヒンジh1 hIgG3(339~350)、ネズミIL-10(315~510)。
【0540】
【表19】
実施形態
1.寛容誘導構築物であって、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)ii)で定義される複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質、例えば、ii)で定義される2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質、を含む、寛容誘導構築物。
【0541】
2.寛容誘導構築物であって、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)ii)で定義された複数のポリペプチドからなる多量体タンパク質、を含む、寛容誘導構築物。
【0542】
3.寛容誘導構築物であって、
i)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ポリペプチドが、指定された順序で、
a.第1の標的化単位、第1の接合領域;
b.抗原単位;
c.第2の接合領域;及び
d.第2の標的化単位;を含み、
抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原若しくは異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープを含む、ポリヌクレオチド;又は
ii)i)で定義されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド;又は
iii)ii)で定義された2つのポリペプチドからなる二量体タンパク質、を含む、寛容誘導構築物。
【0543】
4.二量体タンパク質等の多量体タンパク質が、それらの接合領域を介して、好ましくはそれらのそれぞれの第1の接合領域及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されている2つのポリペプチド等の複数のポリペプチドからなる、実施形態1~3のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0544】
5.多量体タンパク質が、それらの接合領域を介して、好ましくはそれらのそれぞれの第1の接合領域及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結された複数のポリペプチドからなる、実施形態1~4のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0545】
6.二量体タンパク質が、それらの接合領域を介して、好ましくはそれらのそれぞれの第1の接合領域及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結された2つのポリペプチドからなる、実施形態1~5のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0546】
7.第1及び第2の接合領域が、柔軟性単位及び結合単位を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0547】
8.第1及び/又は第2の接合領域が、非共有結合単位である結合単位を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0548】
9.非共有結合単位が、三量体化単位である、実施形態1~8のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0549】
10.三量体化単位が、コラーゲン由来三量体化単位である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0550】
11.コラーゲン由来三量体化単位が、ヒトコラーゲン由来XVIII三量体化ドメインである、実施形態10に記載の寛容誘導構築物。
【0551】
12.コラーゲン由来三量体化単位が、ヒトコラーゲンXV三量体化ドメインである、実施形態10に記載の寛容誘導構築物。
【0552】
13.非共有結合単位が、四量体化単位である、実施形態1~8のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0553】
14.四量体化ドメインが、p53に由来するドメインである、実施形態13に記載の寛容誘導構築物。
【0554】
15.非共有結合単位が、二量体化単位である、実施形態1~8のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0555】
16.二量体化単位が、ヒンジ領域及び免疫グロブリンドメインを含む、実施形態15に記載の寛容誘導構築物。
【0556】
17.二量体化単位が、免疫グロブリン定常ドメインである、実施形態16に記載の寛容誘導構築物。
【0557】
18.二量体化単位が、dHLXタンパク質を含む、実施形態15に記載の寛容誘導構築物。
【0558】
19.第1及び/又は第2の接合領域が、共有結合単位である結合単位を含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0559】
20.第1及び/若しくは第2の接合領域が、天然に存在する配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~19のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0560】
21.第1及び/若しくは第2の接合領域が、人工配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~19のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0561】
22.第1及び第2の接合領域が、1つ以上のシステイン残基を含む共有結合単位を含む、実施形態19~21のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0562】
23.共有結合単位が、少なくとも2つのシステイン残基を含む、実施形態22に記載の寛容誘導構築物。
【0563】
24.共有結合単位が、少なくとも2つのシステイン残基、例えば少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13個のシステイン残基を含む、実施形態22又は23に記載の寛容誘導構築物。
【0564】
25.共有結合単位が、システインリッチ配列を含む、実施形態19~22の寛容誘導構築物。
【0565】
26.第1の接合領域の共有結合単位が、第2の接合領域の共有結合単位とは異なる数のシステイン残基を含む、実施形態19~25のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0566】
27.第1の接合領域の共有結合単位に含まれるシステイン残基が、第2の接合領域の共有結合単位に含まれるシステイン残基とは異なって位置付けられている、実施形態22~26のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0567】
28.第1の接合領域の共有結合単位のシステイン残基間のアミノ酸残基の数が、第2の接合領域のものと異なる、実施形態22~27に記載の寛容誘導構築物。
【0568】
29.システイン残基の数が、抗原単位の長さに基づく、実施形態22~28のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0569】
30.共有結合単位のうちの少なくとも1つが、免疫グロブリンに由来する、実施形態19~29のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0570】
31.共有結合単位が、IgG3のエクソンh4又はIgG1の中央ヒンジ等の免疫グロブリンに由来するヒンジ領域である、実施形態30に記載の寛容誘導構築物。
【0571】
32.ヒンジ領域が、Ig由来、例えばIgG由来、例えばIgG1、IgG2又はIgG3に由来する、実施形態30に記載の寛容誘導構築物。
【0572】
33.ヒンジ領域が、IgMに由来する、実施形態30に記載の寛容誘導構築物。
【0573】
34.ヒンジ領域が、配列番号157を有するヌクレオチド配列若しくは当該ヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、実施形態30に記載の寛容誘導構築物。
【0574】
35.共有結合単位が、配列番号1のアミノ酸配列13~27に対して少なくとも40%の配列同一性、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%若しくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、実施形態30に記載の寛容誘導構築物。
【0575】
36.共有結合単位が、配列番号1のアミノ酸配列13~27を含むか、又はそれからなり、柔軟性単位のアミノ酸のいずれか1つが別のアミノ酸に置換、欠失又は挿入され、但し、6以下のアミノ酸、例えば5以下のアミノ酸、例えば4以下のアミノ酸、例えば3以下のアミノ酸、例えば2以下のアミノ酸又は1以下のアミノ酸がそのように置換、欠失又は挿入されている、実施形態30に記載の寛容誘導構築物。
【0576】
37.共有結合単位が、配列番号1のアミノ酸配列13~23 27からなる、実施形態30に記載の寛容誘導構築物。
【0577】
38.共有結合単位が、IgG3のヒンジエクソンh4である、実施形態31に記載の寛容誘導構築物。
【0578】
39.共有結合単位が、配列EPKSCDTPPPCPRCP(配列番号156;配列番号1のアミノ酸13~27に対応する)を含む、実施形態30に記載の寛容誘導構築物。
【0579】
40.共有結合単位が、システイン残基が例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性でそれらの数及び位置において保持される限り、配列番号2のアミノ酸配列5~15に対して少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~30のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0580】
41.共有結合単位が、配列番号2のアミノ酸配列5~15を含むか、又はそれからなり、柔軟性単位のアミノ酸のいずれか1つが別のアミノ酸に置換、欠失又は挿入され、但し、5以下のアミノ酸、例えば4以下のアミノ酸、例えば3以下のアミノ酸、例えば2以下のアミノ酸又は1以下のアミノ酸がそのように置換、欠失又は挿入されている、実施形態1~30に記載の寛容誘導構築物。
【0581】
42.共有結合単位が、配列番号2のアミノ酸配列5~15からなるか、又はそれを含む、実施形態41に記載の寛容誘導構築物。
【0582】
43.共有結合単位が、IgG1の中央ヒンジ領域である、実施形態30に記載の寛容誘導構築物。
【0583】
44.共有結合単位が、非免疫原性配列である、実施形態19~43のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0584】
45.共有結合単位が、天然に存在するペプチド配列である、実施形態19~44のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0585】
46.共有結合単位が、2~100アミノ酸、例えば3~70アミノ酸、例えば4~50アミノ酸又は5~30アミノ酸からなる、実施形態19~45のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0586】
47.共有結合単位が、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20アミノ酸からなる、実施形態19~46のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0587】
48.共有結合単位のうちの少なくとも1つが、人工配列である、実施形態19~47のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0588】
49.第1及び第2の接合領域が、非共有結合単位である結合単位を含む、実施形態8~48のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0589】
50.非共有結合単位が、疎水性相互作用等の非共有相互作用を通して多量体化に寄与する、実施形態8~49のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0590】
51.非共有結合単位が、疎水性相互作用等の非共有相互作用を通して二量体化に寄与する、実施形態8~50のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0591】
52.非共有結合単位が、非共有結合相互作用を介して多量体タンパク質を形成する能力を有する、実施形態8~51のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0592】
53.非共有結合単位が、非共有結合相互作用を介して二量体を形成する能力を有する、実施形態8~52のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0593】
54.非共有結合単位のうちの少なくとも1つが、天然に存在する配列である、実施形態8~53のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0594】
55.非共有結合単位のうちの少なくとも1つが、人工配列である、実施形態8~54のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0595】
56.非共有結合単位が、免疫グロブリンであるか、又はそれを含む、実施形態8~55のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0596】
57.非共有結合単位が、免疫グロブリン定常ドメイン(Cドメイン)等の免疫グロブリンドメイン、例えば、カルボキシ末端定常ドメイン(すなわち、CH3ドメイン)、CH1ドメイン若しくはCH2ドメイン、又はCドメインと実質的に同一である配列若しくはその変異体からなるか、又はそれを含む、実施形態8~56のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0597】
58.非共有結合単位が、IgGに由来する、例えばIgG3若しくはIgG1に由来する、好ましくはIgG1に由来するCH3ドメインを含むか、又はそれからなる、実施形態8~57のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0598】
59.非共有結合単位が、IgG3に由来するCH3ドメインを含むか、又はそれからなる、実施形態8~58のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0599】
60.非共有結合単位が、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するIgG3に由来するカルボキシ末端Cドメインを含むか、又はそれからなる、実施形態8~59のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0600】
61.非共有結合単位が、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性、例えば少なくとも86%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも88%、例えば少なくとも89%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するIgG3に由来するカルボキシ末端Cドメインを含むか、又はそれからなる、実施形態8~60のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0601】
62.非共有結合単位が、配列番号3のアミノ酸配列を有するIgG3に由来するカルボキシ末端Cドメインを含むか、又はそれからなり、柔軟性単位のアミノ酸のいずれか1つが、別のアミノ酸に置換、欠失又は挿入され、但し、21以下のアミノ酸、例えば20以下のアミノ酸、例えば19以下のアミノ酸、例えば18以下のアミノ酸、例えば17以下のアミノ酸、例えば16以下のアミノ酸、例えば15以下のアミノ酸、例えば14以下のアミノ酸、例えば13以下のアミノ酸、例えば12以下のアミノ酸、例えば11以下のアミノ酸、例えば10以下のアミノ酸、例えば9以下のアミノ酸、例えば8以下のアミノ酸、例えば7以下のアミノ酸、例えば6以下のアミノ酸、例えば5以下のアミノ酸、例えば4以下のアミノ酸、例えば3以下のアミノ酸、例えば2以下のアミノ酸、例えば1以下のアミノ酸がそのように置換、欠失又は挿入されている、実施形態8~61のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0602】
63.非共有結合単位が、IgG1由来のCH3ドメインを含むか、又はそれからなる、8~62のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0603】
64.非共有結合単位が、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するIgG1に由来するCH3ドメインを含むか、又はそれからなる、8~63のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0604】
65.非共有結合単位が、配列番号4によるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性、例えば少なくとも86%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも88%、例えば少なくとも89%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するIgG1由来のCH3ドメインを含むか、又はそれからなる、8~64のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0605】
66.非共有結合単位が、配列番号3のアミノ酸配列を有するIgG1に由来するCH3ドメインを含むか、又はそれからなり、柔軟性単位のアミノ酸のいずれか1つが、別のアミノ酸に置換、欠失又は挿入され、但し、21以下のアミノ酸、例えば20以下のアミノ酸、例えば19以下のアミノ酸、例えば18以下のアミノ酸、例えば17以下のアミノ酸、例えば16以下のアミノ酸、例えば15以下のアミノ酸、例えば14以下のアミノ酸、例えば13以下のアミノ酸、例えば12以下のアミノ酸、例えば11以下のアミノ酸、例えば10以下のアミノ酸、例えば9以下のアミノ酸、例えば8以下のアミノ酸、例えば7以下のアミノ酸、例えば6以下のアミノ酸、例えば5以下のアミノ酸、例えば4以下のアミノ酸、例えば3以下のアミノ酸、例えば2以下のアミノ酸、例えば1以下のアミノ酸がそのように置換、欠失又は挿入されている、実施形態8~65のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0606】
67.前記非共有結合単位が、ロイシンジッパーモチーフを含むか、又はそれからなる、8~66のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0607】
68.ロイシンジッパーモチーフが、真核生物転写因子のbZIPクラスに由来する、実施形態67に記載の寛容誘導構築物。
【0608】
69.非共有結合単位が、Jun/Fosベースのロイシンジッパーを含むか、又はそれからなる、8~67のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0609】
70.ロイシンジッパーモチーフが、配列番号5のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、8~67のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0610】
71.非共有結合単位が、配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、例えば、少なくとも81%又は少なくとも81%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、8~67のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0611】
72.非共有結合単位が、配列番号5のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなり、柔軟性単位のアミノ酸のいずれか1つが別のアミノ酸に置換、欠失又は挿入され、但し、12以下、例えば11以下、例えば10以下、例えば9以下、例えば8以下、例えば7以下、例えば6以下、例えば5以下、例えば4以下のアミノ酸、例えば3以下のアミノ酸、例えば2以下のアミノ酸、例えば1以下のアミノ酸の場合である、8~67のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0612】
73.非共有結合単位が、複数のポリペプチド、例えば2つ、3つ、4つ以上のポリペプチドを接合して、多量体タンパク質、例えば二量体タンパク質、三量体タンパク質又は四量体タンパク質にする、8~72のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0613】
74.非共有結合単位が、三量体化単位、例えばコラーゲン由来三量体化単位、例えばヒトコラーゲン由来三量体化ドメイン、例えばヒトコラーゲン由来XVIII三量体化ドメイン又はヒトコラーゲンXV三量体化ドメインであるか、又はそれを含む、8~73のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0614】
75.非共有結合単位が、配列番号158を有するヌクレオチド配列若しくは当該ヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる三量体化単位である、8~74のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0615】
76.三量体化単位が、T4フィブリチンのC末端ドメインを含むか、又はそれからなる、8~75のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0616】
77.非共有結合単位が、配列番号159を有するアミノ酸配列若しくは当該アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むか、又はそれからなる三量体化単位である、8~76のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0617】
78.非共有結合単位が、p53に由来するドメイン等の四量体化単位を含むか、又はそれからなる、8~77のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0618】
79.非共有結合単位が、配列番号160を有するヌクレオチド配列若しくは当該ヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる四量体化単位である、8~78のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0619】
80.第1及び/若しくは第2の接合領域が、天然に存在する配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~79のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0620】
81.第1及び/若しくは第2の接合領域が、人工配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~80のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0621】
82.第1及び/又は第2の接合領域におけるシステイン残基の数が、抗原単位の長さに基づく、実施形態1~81のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0622】
83.接合領域が、共有結合単位及び非共有結合単位を含む結合単位を含む、実施形態1~82のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0623】
84.接合領域が、非免疫原性である、実施形態1~83のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
85.柔軟性単位が、標的化単位と結合単位との間にある、実施形態7~84のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0624】
86.柔軟性単位が、非免疫原性配列である、実施形態7~85のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0625】
87.柔軟性単位のうちの少なくとも1つが、天然に存在するペプチド配列である、実施形態7~86のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0626】
88.柔軟性単位が、免疫グロブリンに由来する、実施形態7~87のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0627】
89.柔軟性単位が、IgG3のエクソンh1又はIgG1の下部ヒンジ等の免疫グロブリンに由来するヒンジ領域である、実施形態7~88のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0628】
90.柔軟性単位が、IgG3のヒンジエクソンh1を含むか、又はそれからなる、実施形態7~89のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0629】
91.柔軟性単位が、IgG1の下部ヒンジ領域を含むか、又はそれからなる、実施形態7~90のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0630】
92.柔軟性単位が、配列番号1のアミノ酸配列1~12を含むか、又はそれからなる、実施形態7~91のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0631】
93.柔軟性単位が、配列番号2のアミノ酸配列16~23に対して少なくとも50%の配列同一性、例えば60%又は例えば70%又は例えば80%若しくは例えば90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、実施形態7~92のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0632】
94.柔軟性単位のアミノ酸のいずれか1つが、別のアミノ酸に置換、欠失又は挿入され、但し、5以下のアミノ酸、例えば4以下のアミノ酸、3以下のアミノ酸、2以下のアミノ酸又は1以下のアミノ酸がそのように置換、欠失又は挿入されている、実施形態7~93のいずれか1つの寛容誘導構築物。
【0633】
95.柔軟性単位が、免疫グロブリン、例えば免疫グロブリンのヒンジ領域、例えばシステイン残基を含まない免疫グロブリンのヒンジ領域に由来する、実施形態7~94のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0634】
96.柔軟性単位のうちの少なくとも1つが、人工配列である、実施形態7~95のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0635】
97.柔軟性単位が、セリン及び/又はグリシンリッチリンカーである、実施形態7~83及び96のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0636】
98.柔軟性単位が、GGGGSGGGGS(配列番号80)等のグリシン-セリンリンカーである、実施形態7~84及び97~98のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0637】
99.柔軟性単位が、プロテアーゼの標的ではない、実施形態7~99のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0638】
100.柔軟性単位が、最大20アミノ酸、例えば最大15アミノ酸、例えば12アミノ酸又は10アミノ酸からなる、実施形態7~99のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0639】
101.第2の接合領域に含まれる柔軟性単位が、5~60アミノ酸、例えば7~55アミノ酸又は8~50アミノ酸又は9~45アミノ酸又は10~40アミノ酸又は11~35アミノ酸又は12~30アミノ酸又は13~20アミノ酸からなる、実施形態7~100のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0640】
102.柔軟性単位が、グリシン、アラニン若しくはロイシン等の小さな非極性アミノ酸、又はセリン若しくはスレオニン等の極性アミノ酸を含む、実施形態7~101のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0641】
103.接合領域が、非免疫原性である、実施形態1~102のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0642】
104.第1又は第2の標的化単位のうちの少なくとも1つが、抗原提示細胞上の表面分子と相互作用する部分を含み、好ましくは、第1及び第2の標的化単位の両方が、抗原提示細胞上の表面分子と相互作用する部分を含む、実施形態1~103のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0643】
105.表面分子が、TGFβ受容体(TGFβR1、TGFβR2、又はTGFβR3)、IL-10RA及びIL10-RB等のIL10R、IL2R、IL4R、IL6R、IL11R及びIL13R、IL27R、IL35R、IL37R、CCR7、CD11b、CD11c、CD103、CD14、CD36、CD205、CD109、VISTA、MARCO、MHCII、MHCII、CD83、SIGLEC、MGL、CD80、CD86、Clec9A、Clec12A、Clec12B、DCIR2、Langerin、MR、DC-Sign、Treml4、Dectin-1、PDL1、PDL2、HVEM、アリール炭化水素受容体並びにビタミンD受容体からなる群から選択される、実施形態104に記載の寛容誘導構築物。
【0644】
106.標的化単位が、天然リガンド、抗体又はその一部、例えばscFv、又は合成リガンドである部分を含む、実施形態105に記載の寛容誘導構築物。
【0645】
107.天然リガンドが、TGFβ、IL-10、IL1RA、IL2、IL4、IL6、IL11、IL13、IL27、IL35、IL37、CCL19、CCL21、ICAM-1(CD54としても知られる細胞間接着分子1)、ケラチン、VSIG-3、SCGB3A2、CTLA-4、好ましくはCTLA-4、PD-1の細胞外ドメイン、好ましくはPD-1及びBTLAの細胞外ドメイン、好ましくはBTLAの細胞外ドメインからなる群から選択される、実施形態106に記載の寛容誘導構築物。
【0646】
108.標的化単位が、IL-10又はTGFβ、好ましくはヒトIL-10若しくはヒトTGFβを含むか、又はそれからなる、実施形態1~107のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0647】
109.標的化単位が、ヒトTGFβのアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~108のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0648】
110.標的化単位が、ヒトTGFβのアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性、例えば、それに対して少なくとも86%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも88%、例えば少なくとも89%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%若しくは例えば100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~109のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0649】
111.標的化単位が、最大22アミノ酸、例えば最大21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸が置換、欠失又は挿入されていることを除いて、ヒトTGFβのアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~110のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0650】
112.標的化単位が、ヒトIL-10のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~111のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0651】
113.標的化単位が、ヒトIL-10のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性、例えば、それに対して少なくとも86%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも88%、例えば少なくとも89%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%若しくは例えば100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~112のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0652】
114.標的化単位が、最大22アミノ酸、例えば最大21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸が置換、欠失又は挿入されていることを除いて、ヒトIL-10のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~113のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0653】
115.標的化単位が、ヒトIL-10のアミノ酸配列若しくはヒトIL-10をコードするヌクレオチド配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~114のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0654】
116.標的化単位が、SCGB3A2又はVSIG-3、好ましくはヒトVSIG-3又はヒトSCGB3A2であるか、又はそれを含む、実施形態1~115のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0655】
117.標的化単位が、ヒトSCGB3A2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~116のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0656】
118.標的化単位が、ヒトSCGB3A2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性、例えば少なくとも86%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも88%、例えば少なくとも89%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%若しくは例えば100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~117のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0657】
119.標的化単位が、最大22アミノ酸、例えば最大21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸が置換、欠失又は挿入されていることを除いて、ヒトSCGB3A2のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~118のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0658】
120.標的化単位が、ヒトSCGB3A2のアミノ酸配列若しくはヒトSCGB3A2をコードするヌクレオチド配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~119のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0659】
121.標的化単位が、ヒトVSIG-3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~120のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0660】
122.標的化単位が、ヒトVSIG-3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性、例えば少なくとも86%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも88%、例えば少なくとも89%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%若しくは例えば100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~121のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0661】
123.標的化単位が、最大22アミノ酸、例えば最大21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸が置換、欠失又は挿入されていることを除いて、ヒトVSIG-3のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~122のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0662】
124.標的化単位が、ヒトVSIG-3のアミノ酸配列若しくはヒトVSIG-3をコードするヌクレオチド配列を含むか、又はそれからなる、実施形態1~123のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0663】
125.標的化単位が、CD205に対する特異性を有する抗体若しくはその一部、例えばscFvを含むか、又はそれからなる、実施形態1~124のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0664】
126.第1及び第2の標的化単位が同一である、実施形態1~125のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0665】
127.第1及び第2の標的化単位が異なる、実施形態1~125のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0666】
128.表面分子が、同じ細胞上に存在する、実施形態104~127のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0667】
129.第1又は第2の標的化単位の結合が、構築物の内在化を引き起こす、実施形態104~128のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0668】
130.抗原単位が、第1の接合領域と第2の接合領域との間に位置する、実施形態1~129のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0669】
131.抗原単位が、自己抗原の1つ以上のT細胞エピトープ、例えば自己抗原の1つのT細胞エピトープ又は自己抗原の2つ以上のT細胞エピトープ、例えば自己抗原の複数のT細胞エピトープを含む、実施形態1~130のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0670】
132.複数のT細胞エピトープが、同じ自己抗原に含まれるもの等、同じ自己抗原のものである、実施形態131に記載の寛容誘導構築物。
【0671】
133.複数のT細胞エピトープが、異なる自己抗原に含まれるもの等、複数の異なる自己抗原のものである、実施形態131又は132に記載の寛容誘導構築物。
【0672】
134.抗原単位が、2つ以上のT細胞エピトープを含み、抗原単位が、T細胞エピトープを分離する1つ以上のリンカーを含む、実施形態1~133のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0673】
135.抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原の複数のT細胞エピトープ等の複数の抗原を含み、T細胞エピトープが、好ましくはリンカーによって分離されている、実施形態1~134のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0674】
136.抗原単位が、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原の複数のT細胞エピトープを含み、各T細胞エピトープが、リンカーによって他のT細胞エピトープから分離されている、実施形態1~135のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0675】
137.n個の抗原を含む抗原単位が、n-1個のサブユニットを含み、各サブユニットが、自己抗原、アレルゲン、同種抗原又は異種抗原のT細胞エピトープ、及びリンカーを含み、末端T細胞エピトープを更に含む、実施形態1~136のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0676】
138.nが、1~50、例えば、3~50又は15~40又は10~30又は10~25又は10~20又は15~30又は15~25又は15~20の整数である、実施形態137に記載の寛容誘導構築物。
【0677】
139.抗原単位が、非免疫原性であるように設計されたリンカーを含む、実施形態1~138のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0678】
140.抗原単位が、アレルゲンの1つ以上のT細胞エピトープ、例えばアレルゲンの1つのT細胞エピトープ又はアレルゲンの2つ以上のT細胞エピトープ、例えばアレルゲンの複数のT細胞エピトープを含む、実施形態131~139のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0679】
141.複数のT細胞エピトープが、同じアレルゲンに含まれるもの等、同じアレルゲンのものである、実施形態131~140のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0680】
142.複数のT細胞エピトープが、複数の異なるアレルゲンのものである、すなわち異なるアレルゲンに含まれる、実施形態131~141のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0681】
143.抗原単位が、同種抗原/異種抗原の1つ以上のT細胞エピトープ、例えば同種抗原/異種抗原の1つのT細胞エピトープ又は同種抗原/異種抗原の2つ以上のT細胞エピトープ、例えば同種抗原/異種抗原の複数のT細胞エピトープを含む、実施形態1~142のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0682】
144.複数のT細胞エピトープが、同じ同種抗原/異種抗原のものである、すなわち、同じ同種抗原/異種抗原に含まれる、実施形態131~143のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0683】
145.複数のT細胞エピトープが、異なる同種抗原/異種抗原に含まれるもの等、複数の異なる同種抗原/異種抗原のものである、実施形態131~144のいずれかの寛容誘導構築物。
【0684】
146.抗原単位が、1つのT細胞エピトープを含む、実施形態1~145のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0685】
147.抗原単位が、複数のT細胞エピトープ等の2つ以上のT細胞エピトープを含む、実施形態1~146のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0686】
148.抗原単位が、7~150アミノ酸、好ましくは7~100アミノ酸、例えば、約10~約100アミノ酸、又は約15~約100アミノ酸、又は約20~約75アミノ酸、又は約25~約50アミノ酸、例えば、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50アミノ酸の長さを有するT細胞エピトープを含む、実施形態1~147のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0687】
149.1つのT細胞エピトープの長さが、タンパク質が正しく折り畳まれないような長さである、実施形態131~148のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0688】
150.T細胞エピトープが、MHC(主要組織適合遺伝子複合体)による提示に好適な長さを有する、実施形態131~149のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0689】
151.抗原単位が、MHCクラスI又はMHCクラスII上での特異的提示に好適な長さを有するT細胞エピトープを含む、実施形態1~150のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0690】
152.T細胞エピトープが、MHCクラスI提示のために7~11アミノ酸の長さを有する、実施形態131~151のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。別の実施形態では、T細胞エピトープ配列は、MHCクラスII提示のために、9~60アミノ酸、例えば9~30アミノ酸、例えば15~60アミノ酸、例えば15~30アミノ酸の長さを有する。
【0691】
153.T細胞エピトープが、MHCクラスII提示のために15アミノ酸の長さを有する、実施形態131~152のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0692】
154.抗原単位が、最大3500アミノ酸、例えば60~3500アミノ酸、例えば約80又は約100又は約150アミノ酸~約3000アミノ酸、例えば約200~約2500アミノ酸、例えば約300~約2000アミノ酸又は約400~約1500アミノ酸又は約500~約1000アミノ酸を含む、実施形態1~153のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0693】
155.抗原単位が、1~10個のT細胞エピトープ、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8若しくは9若しくは10個のT細胞エピトープ、又は11~20個のT細胞エピトープ、例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20個のT細胞エピトープ、又は21~30個のT細胞エピトープ、例えば、21、22、23、24、25、26、27、28、29若しくは30個のT細胞エピトープ、又は31~40個のT細胞エピトープ、例えば、31、32、33、34、35、36、37、38、39若しくは40個のT細胞エピトープ、又は41~50個のT細胞エピトープ、例えば、41、42、43、44、45、46、47、48、49若しくは50個のT細胞エピトープを含む、実施形態1~154のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0694】
156.サブユニット抗原単位が、1~3個のT細胞エピトープ、例えば、1、2、3若しくは1~5個のT細胞エピトープ、例えば、1、2、3、4、5若しくは3~6個のT細胞エピトープ、例えば、3、4、5、6若しくは5~15個のT細胞エピトープ、例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、若しくは15個のT細胞エピトープ、又は7~17個のT細胞エピトープ、例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16若しくは17個のT細胞エピトープ、又は9~19個のT細胞エピトープ、例えば、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18若しくは19個のT細胞エピトープを含む、実施形態137~155のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0695】
157.T細胞エピトープが、抗原単位中にランダムに配置されている、実施形態131~156のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0696】
158.T細胞エピトープが、多量体化/二量体化単位から抗原単位の末端への方向に、より抗原性の高いものからより抗原性の低いものの順序で配置されている、実施形態131~157のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0697】
159.T細胞エピトープが、第1の接合領域から前記第2の接合領域への方向に、より抗原性の高いものからより抗原性の低いものの順序で配置されている、実施形態131~158のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0698】
160.最も疎水性のT細胞エピトープが、第1の抗原単位の実質的に中央に位置付けられ、最も親水性のT細胞エピトープが、接合領域に向かって位置付けられている、実施形態131~158のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0699】
161.T細胞エピトープが、親水性T細胞エピトープと疎水性T細胞エピトープとの間で交互に配置されている、実施形態131~158のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0700】
162.T細胞エピトープをコードするGCリッチ配列が、GCクラスターが回避されるように配置されている、実施形態131~158のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0701】
163.GCリッチT細胞配列が、それらの間に少なくとも1つの非GCリッチT細胞配列が存在するように配置されている、実施形態162に記載の寛容誘導構築物。
【0702】
164.構築物が、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を更に含むポリヌクレオチドである、実施形態1~163のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0703】
165.ポリヌクレオチドが、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、例えば少なくとも86%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも88%、例えば少なくとも89%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%又は例えば少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、実施形態1~164のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0704】
166.ポリヌクレオチドが、配列番号6のアミノ酸配列を含むシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、実施形態1~165のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0705】
167.ポリヌクレオチドが、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、例えば少なくとも86%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも88%、例えば少なくとも89%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%又は例えば少なくとも99%を有するアミノ酸配列からなるシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、実施形態1~166のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0706】
168.ポリヌクレオチドが、配列番号6のアミノ酸配列を有するシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、実施形態1~167のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0707】
169.シグナルペプチドが、配列番号6のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなり、シグナルペプチドのアミノ酸のいずれか1つが、別のアミノ酸に置換、欠失又は挿入され、但し、5以下のアミノ酸、例えば4以下のアミノ酸、例えば3以下のアミノ酸、例えば2以下のアミノ酸又は1以下のアミノ酸がそのように置換、欠失又は挿入されている、実施形態1~168のいずれか1つに記載の寛容誘導構築物。
【0708】
170.実施形態1~169のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【0709】
171.実施形態170に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【0710】
172.実施形態に記載のポリヌクレオチド及び/又は実施形態169若しくは170に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【0711】
173.実施形態1~169のいずれかに1つ記載のヌクレオチド配列核酸によってコードされるポリペプチド。
【0712】
174.複数のポリペプチド、例えば2つのポリペプチドが、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されている、実施形態1~169のいずれか1つに記載の多量体タンパク質、例えば二量体タンパク質。
【0713】
175.複数のポリペプチドが、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されている、実施形態1~169のいずれかに1つに記載の多量体タンパク質。
【0714】
176.2つのポリペプチドが、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されている、実施形態1~175のいずれかに1つに記載の二量体タンパク質。
177.医薬組成物を調製する方法であって、
a)実施形態1~176のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド又は二量体タンパク質等の多量体タンパク質を提供することと、
b)ポリヌクレオチド、ポリペプチド又は二量体タンパク質等の多量体タンパク質を、薬学的に許容される担体と合わせることと、を含む、方法。
【0715】
178.医薬組成物を調製する方法であって、
a)実施形態1~176のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド又は多量体タンパク質、例えば二量体タンパク質を提供することと、
b)ポリヌクレオチド、ポリペプチド又は二量体タンパク質等の多量体タンパク質を、薬学的に許容される担体と合わせることと、を含む、方法。
【0716】
179.医薬組成物を調製する方法であって、
a)実施形態1~176のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド又は二量体タンパク質を提供することと、
b)ポリヌクレオチド、ポリペプチド又は二量体タンパク質を薬学的に許容される担体と合わせることと、を含む、方法。
【0717】
180.実施形態1~176のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド又は二量体タンパク質等の多量体タンパク質と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物。
【0718】
181.実施形態1~175のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド又は多量体タンパク質と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物。
【0719】
182.実施形態1~176のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド又は二量体タンパク質と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物。
【0720】
183.実施形態1~176のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドを含み、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤及び/又は希釈剤を更に含む、医薬組成物。
【0721】
184.薬学的に許容される担体が、生理食塩水、緩衝生理食塩水、PBS、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、滅菌等張水性緩衝液、及びそれらの組み合わせ(combin157ation)からなる群から選択される、実施形態1~176のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドを含む医薬組成物。
【0722】
185.医薬品として使用するための、実施形態180~185に記載の医薬組成物。
【0723】
186.自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶の予防的又は治療的処置等における、望まない免疫反応を伴う状態の処置において使用するための、実施形態180~185に記載の医薬組成物。
【0724】
187.自己免疫疾患の処置に使用するための、実施形態180~186に記載の医薬組成物。
【0725】
188.アレルギーの処置に使用するための、実施形態180~187に記載の医薬組成物。
【0726】
189.移植片拒絶の処置に使用するための、実施形態180~188に記載の医薬組成物。
【0727】
190.自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有する若しくは有する疑いがある対象、又はその防止を必要とする対象を処置するための方法であって、薬学的に許容される担体を含む実施形態180~189のいずれか1つに記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、方法。
【0728】
191.医薬組成物が、実施形態180~189のいずれか1つに記載の医薬組成物である、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患の予防的又は治療的処置において使用するための、医薬組成物。
【0729】
192.医薬組成物が、実施形態180~189のいずれか1つに記載の医薬組成物である、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患に罹患しているか又は罹患している疑いがある対象の予防的又は治療的処置において使用するための、医薬組成物。
【0730】
193.医薬組成物が、実施形態180~189のいずれか1つに記載の医薬組成物である、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患の予防的又は治療的処置のための、医薬組成物の使用。
【0731】
194.医薬組成物が、実施形態180~189のいずれか1つに記載の医薬組成物である、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患に罹患しているか又は罹患している疑いがある対象の予防的又は治療的処置のための医薬品の製造のための、医薬組成物の使用。
【0732】
195.医薬組成物が、実施形態180~189のいずれか1つに記載の医薬組成物である、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有する対象の予防的又は治療的処置のための、医薬組成物の使用。
【0733】
196.医薬品が当該対象に投与される、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有するか又は有することが疑われる対象の予防的又は治療的処置のための医薬品の製造のための、実施形態180~189のいずれか1つに記載の医薬組成物の使用。
【0734】
197.医薬品が当該対象に投与される、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有するか又は有することが疑われる対象の予防的又は治療的処置のための、実施形態180~189のいずれか1つに記載の医薬組成物の使用。
【0735】
198.自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患の予防的又は治療的処置において使用される場合の、実施形態180~189のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0736】
199.実施形態180~189のいずれか1つに記載の医薬組成物を対象に投与することによる、自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶からなる群から選択される免疫疾患を有するか又は有することが疑われる対象の予防的又は治療的処置のための医薬品。
【0737】
200.ポリペプチド又は二量体タンパク質等の多量体タンパク質を調製する方法であって、
a)実施形態171に記載のベクター又は実施形態1~170のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすることと、
b)細胞を培養することであって、それによって細胞が当該ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを発現する、ことと、
c)二量体タンパク質等の多量体タンパク質、及び/又は細胞によって発現されたポリペプチドを取得及び精製することと、を含む、方法。
【0738】
201.ポリペプチド又は多量体タンパク質を調製する方法であって、
a)実施形態171に記載のベクター又は実施形態1~170及び173のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすることと、
b)細胞を培養することであって、それによって細胞が当該ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを発現する、ことと、
c)細胞によって発現された多量体タンパク質及び/又はポリペプチドを取得及び精製することと、を含む、方法。
【0739】
202.ポリペプチド又は二量体タンパク質を調製する方法であって、
a)実施形態171に記載のベクター又は実施形態1~170及び173のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすることと、
b)細胞を培養することであって、それによって細胞が当該ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを発現する、ことと、
c)細胞によって発現された二量体タンパク質及び/又はポリペプチドを取得及び精製することと、を含む、方法。
【0740】
203.ステップc)が、二量体タンパク質等の複数のタンパク質を含有する画分を精製するステップを含み、2つのポリペプチド等の複数のポリペプチドが、それらのそれぞれの第1の接合領域を介して、及びそれらのそれぞれの第2の接合領域を介して互いに連結されている、実施形態200~202のいずれか1つに記載の方法。
【0741】
204.自己免疫疾患、アレルギー性疾患及び移植片拒絶の予防的又は治療的処置等における、望まない免疫反応を伴う状態を処置するための方法であって、実施形態1~170及び173のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド、多量体タンパク質若しくは二量体タンパク質、実施形態171に記載のベクター、又は実施形態180~189のいずれか1つに記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【0742】
205.対象が、哺乳動物である、実施形態204に記載の方法。
【0743】
206.哺乳動物が、ヒトである、実施形態205に記載の方法。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12G
図13A
図13B
図13C
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17A
図17B
図17C
図18
図19
図20
【配列表】
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【国際調査報告】