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特表2024-516896低温破裂可能なポリプロピレン複合材料及びその製造方法並びに使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】低温破裂可能なポリプロピレン複合材料及びその製造方法並びに使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 53/00 20060101AFI20240410BHJP
   C08L 23/16 20060101ALI20240410BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240410BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20240410BHJP
   C08K 3/30 20060101ALI20240410BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20240410BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20240410BHJP
   C08K 5/20 20060101ALI20240410BHJP
   C08K 5/524 20060101ALI20240410BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
C08L53/00
C08L23/16
C08K3/013
C08K3/34
C08K3/30
C08K5/13
C08K5/098
C08K5/20
C08K5/524
C08K5/17
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569725
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 CN2022082398
(87)【国際公開番号】W WO2022242297
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】202110542310.6
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517393787
【氏名又は名称】金発科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100221512
【弁理士】
【氏名又は名称】山中 誠司
(72)【発明者】
【氏名】銭 志軍
(72)【発明者】
【氏名】陳 平緒
(72)【発明者】
【氏名】黄 険波
(72)【発明者】
【氏名】兪 飛
(72)【発明者】
【氏名】唐 宇航
(72)【発明者】
【氏名】郭 唐華
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB03Y
4J002BB05Z
4J002BB15X
4J002BP02W
4J002DG046
4J002DJ046
4J002EG017
4J002EJ019
4J002EN008
4J002EP007
4J002EW069
4J002FD016
4J002FD048
4J002FD079
4J002FD177
4J002GN00
(57)【要約】
本発明は、低温破裂可能なポリプロピレン複合材料及びその製造方法並びに使用を開示する。当該ポリプロピレン複合材料は、特殊のポリプロピレンAを35~75部、特殊のポリプロピレンBを3~10部、フィラーを15~30部、特殊の強靭化剤を2~10部、強靭化剤を15~25部、潤滑剤を0.1~0.3部、光安定剤を0.1~0.3部、酸化防止剤を0.2~0.6部含み、ここで、特殊の強靭化剤には、超高分子量ポリエチレン及びメタロセンエチレン-プロピレン共重合体が含まれる。特殊のポリプロピレンA、特殊のポリプロピレンB、特殊の強靭化剤を、一般的なフィラー及び強靭化剤と合わせて使用することにより、低温破裂可能で良好な剛性を有するポリプロピレン複合材料を製造し、幅広い応用の将来性を有する(例えば低温破裂可能な被覆無しピラー等の自動車内装部品において)。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特殊のポリプロピレンAを35~75部、特殊のポリプロピレンBを3~10部、フィラーを15~30部、特殊の強靭化剤を2~10部、強靭化剤を15~25部、潤滑剤を0.1~0.3部、光安定剤を0.1~0.3部、酸化防止剤を0.2~0.6部含み、
前記特殊のポリプロピレンAは、エチレン、プロピレンで合成された二元ブロック共重合ポリプロピレンであり、
前記特殊のポリプロピレンBは、1-ブテン、エチレン、プロピレンで合成された三元ランダム共重合ポリプロピレンであり、
前記特殊の強靭化剤には、超高分子量ポリエチレン及びメタロセンエチレン-プロピレン共重合体が含まれ、両者の質量比は(2~9):1であり、ここで、超高分子量ポリエチレンの分子量は100万以上である、
ことを特徴とするポリプロピレン複合材料。
【請求項2】
前記超高分子量ポリエチレンの分子量は100~300万である、
ことを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン複合材料。
【請求項3】
前記メタロセンエチレン-プロピレン共重合体におけるエチレンの含有量は9~15%である、
ことを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン複合材料。
【請求項4】
前記特殊のポリプロピレンAの多分散指数PDIは6~10である、
ことを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン複合材料。
【請求項5】
前記特殊のポリプロピレンBの溶融温度は130~135℃である、
ことを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン複合材料。
【請求項6】
前記超高分子量ポリエチレンとメタロセンエチレン-プロピレン共重合体との質量比は8~9:1である、
ことを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン複合材料。
【請求項7】
前記フィラーは、塩基性硫酸マグネシウムウィスカ又はタルクのうちの1種以上であり、前記強靭化剤は、エチレン-オクテンランダム共重合体又はエチレン-オクテンブロック共重合体のうちの1種以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン複合材料。
【請求項8】
前記潤滑剤は、アミド類、ステアリン酸塩類のうちの1種以上であり、前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール類又は亜リン酸エステル類であり、前記光安定剤は、ヒンダードアミン類である、
ことを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン複合材料。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のポリプロピレン複合材料の製造方法であって、特殊のポリプロピレンA、特殊のポリプロピレンB、特殊の強靭化剤、通常の強靭化剤、光安定剤、潤滑剤、酸化防止剤を秤量して、均一に混合するステップと、続いて、フィラーを加え、均一に混合した後、混合物を溶融混練して、押出造粒するステップと、を含む、
ことを特徴とする製造方法。
【請求項10】
自動車の被覆無しピラー材料の製造における請求項1~8のいずれか一項に記載のポリプロピレン複合材料の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン複合材料技術の分野に属し、具体的には、低温破裂可能なポリプロピレン複合材料及びその製造方法並びに使用に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車内装部品としての自動車ピラーは、いずれも内部にエアバッグが組み込まれ、車内の搭乗者が不慮の衝撃を受けるとき、搭乗者を保護することができる。そのため、ピラー材料は、低温・衝撃に耐える一定の要件を満たさなければならない。従来の自動車ピラー材料は、通常、ポリプロピレン、タルク及び熱可塑性エラストマーを混練して製造したもので、耐低温性能が悪く、靭性が悪く、自動車内装部品の要件及び基準を満たすことができない。
【0003】
現在、改質ポリプロピレン産業では、ピラー材料の配合系の大部分は、タルク、一般的なエチレン-プロピレンブロック共重合ポリプロピレン(多分散指数PDIが2~5である)、通常の強靭化剤POE(エチレン-オクテンランダム共重合体)、酸化防止剤、潤滑剤、光安定剤からなる。そのうち、公開番号がCN111763399Aであるものも、高密度ポリエチレンとエチレン-オクテンランダム共重合体とを共に使用してポリプロピレンの強靭化改質を行うが、材料の靭性(例えば、カンチレバノッチアイゾット衝撃強度が49KJ/mである)を向上させると同時に、剛性(例えば、引張強度が16.7MPaで、曲げ強度が22.3MPaで、曲げ弾性率が1530MPaである)を顕著に向上させない。従来の技術に開示されているポリプロピレン複合材料は、満足できる低温・衝撃靭性及び良好な剛性の総合性能を達成していない。
【0004】
従って、低温破裂可能で剛性の良い被覆無しピラー材料の開発には、重要な研究意義と経済的価値がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、自動車ピラー材料の低温・衝撃靭性及び良好な剛性を同時に保証できないという従来の技術における総合性能問題を解決するために、ポリプロピレン複合材料の提供を目的とする。本発明は、特定の割合の超高分子量ポリエチレン及びメタロセンエチレン-プロピレン共重合体を特殊の強靭化剤として、特殊のポリプロピレンA及び特殊のポリプロピレンBを合わせることにより、低温-35℃で破裂する要件を満たし且つ良好な剛性を有するポリプロピレン複合材料を製造した。
【0006】
本発明は、上記ポリプロピレン複合材料の製造方法の提供を別の目的とする。
【0007】
本発明は、自動車の被覆無しピラー材料の製造における上記ポリプロピレン複合材料の使用の提供を別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の発明目的を達成するために、下記の技術的解決手段を用いる。
【0009】
ポリプロピレン複合材料であって、特殊のポリプロピレンAを35~75部、特殊のポリプロピレンBを3~10部、フィラーを15~30部、特殊の強靭化剤を2~10部、強靭化剤を15~25部、潤滑剤を0.1~0.3部、光安定剤を0.1~0.3部、酸化防止剤を0.2~0.6部含み、
前記特殊のポリプロピレンAは、エチレン、プロピレンで合成された二元ブロック共重合ポリプロピレンであり、
前記特殊のポリプロピレンBは、1-ブテン、エチレン、プロピレンで合成された三元ランダム共重合ポリプロピレンであり、
前記特殊の強靭化剤は、超高分子量ポリエチレンとメタロセンエチレン-プロピレン共重合体とを複合したもので、質量比が(2~9):1であり、ここで、超高分子量ポリエチレンの分子量は100万以上である。
【0010】
特許CN111763399Aでは、ポリプロピレンAとポリプロピレンBとの複合を改質PPのベースとして使用して、よい外観及び低温破裂性能を同時に満たすことができ、また、高密度ポリエチレンと通常の強靭化剤(エチレン-オクテンランダム共重合体)とを共に使用してポリプロピレンの強靭化改質を行うことにより、材料の光沢度及び低温靭性を向上させることができ、複合材料の外観及び低温破裂について大きな利点を有する。しかし、その性能テスト結果から分かるように、材料の外観を改善し且つ材料の靭性を向上させるとともに、材料の剛性(例えば、引張強度、曲げ強度)を顕著に向上させない。
【0011】
超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)とは、相対分子量が100万以上であるポリエチレンをいい、エンジニアリングプラスチックの中でも総合性能が最も優れている新規エンジニアリングプラスチックである。超高分子量ポリエチレンの分子構造配列は、一般的なポリエチレンと全く同じであるが、それは、非常に高い相対分子量を有するため、例えば耐摩耗性に優れ、衝撃強度が極めて高く、異物が付着しにくく、摺動時の優れた耐接着性を有するなど、一般的なポリエチレン材料が有していない多くの優れた性能を有する。その優れた引張強度及び破断伸びのため、その衝撃強度がポリカーボネートよりも1.5倍高く、エチレンユニットを含有する共重合型ポリプロピレンとの相溶性がよく、混練して改質する場合に効果が顕著である。
【0012】
メタロセンエチレン-プロピレン共重合体の主成分は、プロピレンであり、エチレンの含有量は少ない。当該ポリマーの結晶化度が非常に低く、非常に強い非晶質特徴を有し、且つ他のオレフィンエラストマー材料では得られない優れた弾性を示す。新規エラストマーとして、ポリプロピレンの改質に好適に使用され得、その弾性及び靭性を向上させる。
【0013】
本発明の技術的解決手段において、超高分子量ポリエチレンとメタロセンエチレン-プロピレン共重合体との特定の割合での複合を特殊の強靭化剤として、ポリプロピレンに対して強靭化改質を行う。ここで、超高分子量ポリエチレンの分子量が大きく、複合材料において絡み合いネットワークの役割を果たし、それにより、複合材料の靭性を向上させ、メタロセンエチレン-プロピレン共重合体は、ポリプロピレン及びポリエチレンの相溶化剤の役割を果たし、複合材料の総合性能、特に剛性を一層向上させる。
【0014】
本発明は、特殊のポリプロピレンA及び特殊のポリプロピレンBを改質PPのベースとして用い、超高分子量ポリエチレンとメタロセンエチレン-プロピレン共重合体との特定の割合での複合を特殊の強靭化剤として、ポリプロピレンに対して強靭化改質を行うことにより、製造されたたポリプロピレン複合材料が、良好な剛性(例えば引張強度、曲げ強度)及び低温破裂性能を同時に備え、自動車の被覆無しピラー材料に応用できる。
【0015】
好ましくは、前記ポリプロピレン複合材料は、特殊のポリプロピレンAを40~45部、特殊のポリプロピレンBを5~6部、フィラーを20~25部、特殊の強靭化剤を3~5部、通常の強靭化剤を15~20部、潤滑剤を0.1~0.2部、光安定剤を0.1~0.2部、酸化防止剤を0.2~0.4部含む。
【0016】
好ましくは、前記超高分子量ポリエチレンの分子量は100~300万である。
【0017】
好ましくは、前記メタロセンエチレン-プロピレン共重合体におけるエチレンの含有量は9~15%である。
【0018】
好ましくは、前記特殊のポリプロピレンAの多分散指数PDIは6~10である。
【0019】
好ましくは、前記特殊のポリプロピレンBの溶融温度(Tm)は130~135℃である。
【0020】
好ましくは、前記特殊の強靭化剤において、超高分子量ポリエチレンとメタロセンエチレン-プロピレン共重合体との質量比は8~9:1である。
【0021】
好ましくは、前記フィラーは、タルク又は塩基性硫酸マグネシウムウィスカのうちの1種以上である。
【0022】
好ましくは、前記強靭化剤は、エチレン-オクテンランダム共重合体又はエチレン-オクテンブロック共重合体のうちの1種以上である。
【0023】
好ましくは、前記潤滑剤は、アミド類、ステアリン酸塩類のうちの1種以上であり、前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール類、亜リン酸エステル類のうちの1種以上であり、前記光安定剤は、ヒンダードアミン類である。
【0024】
本発明は、さらに、上記ポリプロピレン複合材料の製造方法を提供し、当該方法は、
特殊のポリプロピレンA、特殊のポリプロピレンB、特殊の強靭化剤、通常の強靭化剤、光安定剤、潤滑剤、酸化防止剤を秤量して、均一に混合するステップと、続いて、フィラーを加え、均一に混合した後、得られた混合物を溶融・混練して、押出造粒するステップと、を含む。
【0025】
自動車の被覆無しピラー材料の製造における上記ポリプロピレン複合材料の使用も、本発明の保護範囲内にある。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、従来技術に比べ、以下の有益な効果を有する。
【0027】
(1)本発明は、特殊のポリプロピレンAと特殊のポリプロピレンBとの複合を改質ポリプロピレンのベースとして使用することにより、材料の低温破裂性能を向上させることができる。
【0028】
(2)本発明は、超高分子量ポリエチレンとメタロセンエチレン-プロピレン共重合体との複合を特殊の強靭化剤として使用してポリプロピレンを改質することにより、材料の剛性及び低温破裂性能を同時に向上させることができる。
【0029】
(3)本発明は、特殊のポリプロピレンA、特殊のポリプロピレンB及び複合された特殊の強靭化剤を同時に使用することにより、製造されたポリプロピレン複合材料は、良好な剛性及び低温破裂性能を同時に備え、自動車の被覆無しピラー材料に応用でき、且つ、生産プロセスが簡単で、大量生産に適する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、実施例を参照しながら本発明についてさらに記述する。これらの実施例は、本発明を説明するためにしか使用されず、本発明の範囲を制限するものではない。下記の実施例において、具体的な条件を明記していない実験方法は、通常、当該技術分野における通常の条件又は製造業者が提案する条件に従い、使用される原料、試薬等は、特に説明しない限り、いずれも市場等から商業的に入手可能な通常の原料及び試薬である。当業者が本発明に基づいて行う任意の非実質的な変更及び置換は、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【0031】
本発明の各実施例及び比較例に使用した試薬の一部は、以下に示すとおりである。
特殊のポリプロピレンA:
型番:X1956A(PDI=6) メーカー:リヨンデルバーゼル(LyondellBasell)、
型番:BI871(PDI=7.5) メーカー:hanwha total、
特殊のポリプロピレンB:
型番:C5608(Tm=130℃) メーカー:中国石油化工集団公司、
型番:ADSYL 6089(Tm=133℃) メーカー:リヨンデルバーゼル、
一般的な共重合ポリプロピレン:
型番:EP648U(PDI=3.8) メーカー:中海殻牌、
特殊の強靭化剤:
UHMWPE型番:U010P(分子量100万) メーカー:大韓油化工業株式会社、
UHMWPE型番:9300GK1(分子量300万) メーカー:中国石油化工集団公司、
メタロセンエチレン-プロピレン共重合体型番:Vistamaxx 6202、エチレン含有量15%、供給元:エクソンモービル、
メタロセンエチレン-プロピレン共重合体型番:Vistamaxx 3980FL、エチレン含有量9%、供給元:エクソンモービル、
強靭化剤:エチレン-オクテンランダム共重合体(POE):
型番:Engage 8842 メーカー:ダウ・ケミカル・カンパニー、
タルク:
型番:HTPultra5L メーカー:IMI FABI、
酸化防止剤:ヒンダードフェノール類
型番:1010 メーカー:山東三豊、
光安定剤:ヒンダードアミン類
型番:UV-3808PP5 メーカー:ベルギールベイ、
潤滑剤:ステアリン酸亜鉛
型番:BS-2818 メーカー:華明泰化工。
【0032】
本発明の各実施例及び比較例のポリプロピレン複合材料は、下記の手順で製造され得る。
【0033】
特殊のポリプロピレンA、特殊のポリプロピレンB、特殊の強靭化剤、強靭化剤、光安定剤、潤滑剤、酸化防止剤、一般的な共重合ポリプロピレン(ある場合)の原料を成分に応じて秤量し、高速ミキサーに入れて43~5min混合し、ここで、高速ミキサーの回転速度は200~300250回転/分であり、続いて、フィラーを秤量して高速ミキサーに入れて53~5分間混合し、ここで、高速ミキサーの回転速度は200~300回転/分であり、均一に混合した後、混合物を二軸押出機に入れて、溶融混練、押出造粒を行った。二軸押出機の温度は、フィード部分からヘッドまで、順番に170℃、200℃、200℃、210℃、210℃、205℃、205℃、205℃、200℃、200℃であった。押出には、二重真空プロセスが用いられ、且つ真空度要件は≦-0.08MPaであった。
【0034】
本発明の各実施例及び比較例のポリプロピレン複合材料の性能テスト方法及び基準は、下記のとおりである。
(1)密度:ISO 1183-1-2012基準を用いた。
(2)引張強度:ISO 527-2-2016に従ってテストし、引張速度は50mm/minであった。
(3)曲げ性能:サンプルを機械的スプラインに射出成形し、ISO 178-2010に従ってテストし、曲げ速度は2mm/minであった。
(4)カンチレバノッチアイゾット衝撃強度:ISO 180-2000に従ってテストした。
(5)低温-35℃多軸衝撃:ISO 6603-2-2000基準を参照してテストした(2mm厚さの四角パネル評価、4.4m/s衝撃速度、一般に、YD&YSの破壊形態が破裂要件を満たし、YU&NYの破壊形態が破裂要件を満たさないと考えられる)。
実施例1~10
【0035】
本実施例は、表1に示す配合の一連のポリプロピレン複合材料を提供する。
【0036】
【表1】
比較例1~5
【0037】
本比較例は、表2に示す配合の一連のポリプロピレン複合材料を提供する。
【0038】
【表2】
【0039】
上記の言及した方法に従って、各実施例及び比較例のポリプロピレン複合材料の性能を測定し、結果は、表3に示すとおりである。
【0040】
【表3】
【0041】
表3から分かるように、本発明の実施例1~10で製造され得るポリプロピレン複合材料は、いずれも良い機械的な性能及び耐低温・衝撃性能を有する。実施例6及び実施例7において、特殊の強靭化剤における超高分子量ポリエチレンとメタロセンエチレン-プロピレン共重合体との質量比を調整すると、その低温多軸性能が要件を満たすことができるが、製造されたポリプロピレン複合材料の剛性(引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率)が若干悪くなった。
【0042】
実施例1を比較例1~5と比較して分かるように、配合における主成分のいずれかが取り換えられると、総合性能が自動車の被覆無しピラー材料の要件を満たさなかった。
【0043】
比較例1において、一般的なポリプロピレンで特殊のポリプロピレンAを取り換えた後、その低温多軸性能が要件を満たすことができるが、曲げ弾性率が顕著に低下し、比較例2において、一般的なポリプロピレンで特殊のポリプロピレンBを取り換え、その低温多軸性能が要件を満たすことができず、且つ引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率及びカンチレバノッチアイゾット衝撃強度がいずれも顕著に低下し、剛性及び低温靭性は両方とも悪くなった。比較例3において、特殊の強靭化剤を加えず、その引張強度、曲げ弾性率及びカンチレバノッチアイゾット衝撃強度がいずれも顕著に低下し、剛性は著しく低下し、低温多軸性能は要件を満たすことができなかった。
【0044】
比較例4において、特殊の強靭化剤としてメタロセンエチレン-プロピレン共重合体のみを加え、その低温多軸性能が要件を満たすことができず、且つ剛性(引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率)が実施例に比べ顕著に低下した。比較例5において、特殊の強靭化剤として超高分子量ポリエチレンのみを用い、低温多軸性能が要件を満たすことができるが、剛性が実施例に比べ顕著に低下した。これは、超高分子量ポリエチレンとメタロセンエチレン-プロピレン共重合体とを複合して使用し且つ特定の割合を用いると、ポリプロピレン複合材料の総合性能を相乗的に向上させて、良好な剛性及び低温破裂性能を同時に備えさせることができることを示す。
【0045】
最後に説明すべきことは、以上の実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、本発明の保護範囲を制限するものではなく、好適な実施例を参照して本発明について詳細に説明したが、当業者であれば、本発明の技術的解決手段の本質と範囲から逸脱せずに、本発明の技術的解決手段に対して修正又は等価置換を行えることが理解できるだろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
特殊のポリプロピレンA、特殊のポリプロピレンB、特殊の強靭化剤、強靭化剤、光安定剤、潤滑剤、酸化防止剤、一般的な共重合ポリプロピレン(ある場合)の原料を成分に応じて秤量し、高速ミキサーに入れて3~5min混合し、ここで、高速ミキサーの回転速度は200~300回転/分であり、続いて、フィラーを秤量して高速ミキサーに入れて3~5分間混合し、ここで、高速ミキサーの回転速度は200~300回転/分であり、均一に混合した後、混合物を二軸押出機に入れて、溶融混練、押出造粒を行った。二軸押出機の温度は、フィード部分からヘッドまで、順番に170℃、200℃、200℃、210℃、210℃、205℃、205℃、205℃、200℃、200℃であった。押出には、二重真空プロセスが用いられ、且つ真空度要件は≦-0.08MPaであった。

【国際調査報告】