(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 209/28 20060101AFI20240410BHJP
C07C 211/08 20060101ALI20240410BHJP
C07C 211/09 20060101ALI20240410BHJP
C07C 211/05 20060101ALI20240410BHJP
C07C 211/35 20060101ALI20240410BHJP
C07C 211/55 20060101ALI20240410BHJP
C07C 213/02 20060101ALI20240410BHJP
C07C 215/08 20060101ALI20240410BHJP
C07D 295/03 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
C07C209/28
C07C211/08
C07C211/09
C07C211/05
C07C211/35
C07C211/55
C07C213/02
C07C215/08
C07D295/03
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510538
(86)(22)【出願日】2022-12-27
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 CN2022142367
(87)【国際公開番号】W WO2023134439
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】202210034548.2
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523414331
【氏名又は名称】浙江新化化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100201606
【氏名又は名称】田岡 洋
(72)【発明者】
【氏名】洪 ▲キン▼
(72)【発明者】
【氏名】王 勇
(72)【発明者】
【氏名】応 思斌
(72)【発明者】
【氏名】劉 震
(72)【発明者】
【氏名】劉 承偉
(72)【発明者】
【氏名】洪 旭
(72)【発明者】
【氏名】陳 潔雅
(72)【発明者】
【氏名】許可
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB01
4H006AB20
4H006AB49
4H006AB50
4H006AB84
4H006AB99
4H006AC52
4H006AD11
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC19
4H006BC31
4H006BE01
4H006BE02
4H006BE03
4H006BE04
4H006BJ20
4H006BJ50
4H006BN10
4H006BU32
4H006BU42
4H006BU46
(57)【要約】
【課題】本発明は、第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法を開示する。
【解決手段】この方法は、第二級アミンを原料とし酸と反応してプロトン性イオン液体を生成するステップと、プロトン性イオン液体とアルデヒドを還元剤の作用で反応させて第三級アミンを生成するステップと、を含む。第二級アミンは、脂肪族第二級アミン及び/又は芳香族第二級アミン及び/又は環状第二級アミンであり、酸は、有機カルボン酸、無機酸のうちの1つまたは複数の組み合わせから選択され、アルデヒドは、モノアルデヒド、ジアルデヒド又はアルデヒドのポリマーであり、還元剤は、ギ酸、ギ酸ナトリウム、シュウ酸、シュウ酸ナトリウム及びトリフェニルシランのうちの1つ又は複数の組み合わせである。本発明におけるプロトン性イオン液体は、第三級アミン製品の高純度及び高収率を確保しつつ、反応条件が穏やかであり、高圧や水素ガス反応雰囲気なしで実現し、安全で環境にやさしい還元剤を使用することができるように、自己触媒作用を果たすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法であって、第二級アミンを原料とし酸と反応してプロトン性イオン液体を生成するステップと、前記プロトン性イオン液体とアルデヒドを還元剤の作用で反応させて第三級アミンを生成するステップと、を含み、前記方法は、
1)前記酸を前記第二級アミンに滴下し、或いは、前記第二級アミンを前記酸に滴下して、前記プロトン性イオン液体を形成するステップと、
2)リアクターに前記プロトン性イオン液体及び前記還元剤を添加し、前記アルデヒドをリアクターに添加するステップと、
3)反応システムの圧力が0~5.0MPaになるまで窒素ガスを注入し、60~200℃まで昇温し、5~300分間反応させるステップと、
4)反応終了後、反応システムに対して精製して、前記第三級アミンを取得するステップと、を含み、
前記第二級アミンの構造式は
【化1】
であり、R
1、R
2は、独立してC
1~C
8アルキル基、C
4~C
8環状アルキル基、アリール基又はC
7~C
9アルカリール基から選択され、或いは、R
1、R
2は、NHとともにC
3~C
7の環を形成し、
前記アルデヒドは、構造式が
【化2】
であるモノアルデヒド、構造式が
【化3】
であるモノアルデヒドのポリマー又は構造式が
【化4】
であるジアルデヒドから選択され、R
3は、H、C
1~C
6アルキル基、ヒドロキシル基置換のC
1~C
6アルキル基から選択され、R
4は、単結合又はC
1~C
4アルキリデン基から選択され、
前記プロトン性イオン液体の構造式は
【化5】
であり、R
1、R
2は、独立してC
1~C
8アルキル基、C
4~C
8環状アルキル基、アリール基又はC
7~C
9アルカリール基から選択され、或いは、R
1、R
2は、NとともにC
3~C
7の環を形成し、nは、1、2又は3から選択され、[X]
n-は、C
1~C
3の有機カルボキシル、CO
3
2-、HCO
3
-、Cl
-、NO
3
-、SO
4
2-、PO
4
3-、HPO
4
2-又はH
2PO
4
-から選択される
ことを特徴とする第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項2】
第二級アミンを原料とし酸と反応してプロトン性イオン液体を生成するステップと、前記プロトン性イオン液体とアルデヒドを還元剤の作用で反応させて第三級アミンを生成するステップと、を含む
ことを特徴とする第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項3】
前記第二級アミンの炭素原子数は、30以下であり、好ましくは25以下、さらに好ましくは20以下であり、且つ/或いは、前記第二級アミンは脂肪族第二級アミン及び/又は芳香族第二級アミン及び/又は環状第二級アミンであり、且つ/或いは、前記酸は、有機カルボン酸、無機酸のうちの1つ又は複数の組み合わせから選択され、且つ/或いは、前記アルデヒドはモノアルデヒド、ジアルデヒド又はアルデヒドのポリマーである
ことを特徴とする請求項2に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項4】
前記酸は、C
1~C
3の有機カルボン酸、塩酸、炭酸、硫酸、リン酸及び硝酸のうちの1つ又は複数の組み合わせから選択され、好ましくは、前記酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、炭酸、塩酸、硫酸、リン酸及び硝酸のうちの1つまたは複数の組み合わせから選択される
ことを特徴とする請求項2に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項5】
前記還元剤は、ギ酸、ギ酸ナトリウム、シュウ酸、シュウ酸ナトリウム及びトリフェニルシランのうち1つ又は複数の組み合わせから選択され、好ましくは、前記還元剤は、ギ酸、ギ酸ナトリウム、シュウ酸又はシュウ酸ナトリウムから選択される
ことを特徴とする請求項2に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項6】
前記第二級アミンを原料として前記酸とのモル比は0.2~1.5であり、好ましくは0.3~1.4であり、特に好ましくは0.4~1.2であり、且つ/或いは、前記アルデヒドと前記プロトン性イオン液体とのモル比は0.2~5.0であり、好ましくは0.3~3.0であり、特に好ましくは0.4~2.0であり、且つ/或いは、前記還元剤と前記プロトン性イオン液体とのモル比は1.0~5.0であり、好ましくは1.0~2.0である
ことを特徴とする請求項2に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項7】
前記第二級アミンを原料とし、酸と反応してプロトン性イオン液体を生成するステップは、室温、常圧で行われる
ことを特徴とする請求項2に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項8】
前記プロトン性イオン液体とアルデヒドが還元剤の作用で反応して第三級アミンを生成するステップは、0~5.0MPa、好ましくは0~3.0MPa、特に好ましくは0~2.0MPaの圧力で行われ、且つ/或いは、前記プロトン性イオン液体とアルデヒドが還元剤の作用で反応して第三級アミンを生成するステップは、60~200℃、好ましくは120~160℃の温度で行われ、且つ/或いは、前記プロトン性イオン液体とアルデヒドが還元剤の作用で反応する時間は、5~300分間、好ましくは30~120分間である
ことを特徴とする請求項2に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項9】
前記方法は、
1)前記酸を前記第二級アミンに滴下し、或いは、前記第二級アミンを前記酸に滴下して、前記プロトン性イオン液体を形成するステップと、
2)リアクターに前記プロトン性イオン液体及び前記還元剤を添加し、前記アルデヒドをリアクターに添加するステップと、
3)反応システムの圧力が0~5.0MPaになるまで窒素ガスを注入し、60~200℃まで昇温し、5~300分間反応させるステップと、
4)反応終了後、反応システムに対して精製して、前記第三級アミンを取得するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項2~8のいずれか一項に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項10】
前記ステップ1)で前記酸を前記第二級アミンの水溶液に滴下して、前記プロトン性イオン液体を形成し、且つ/或いは、前記ステップ1)で前記酸は前記酸の水溶液の形態で前記第二級アミンに滴下すし、且つ/或いは、前記ステップ2)で前記アルデヒドは、リアクターに一度添加したり、間欠的に添加したり、連続的に添加したりし、且つ/或いは、前記ステップ2)で前記還元剤は、リアクターに一度添加したり、間欠的に添加したり、連続的に添加したりし、且つ/或いは、前記ステップ4)で前記精製は、常圧精留又は減圧精留である
ことを特徴とする請求項9に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項11】
前記第二級アミンの構造式は
【化6】
であり、R
1、R
2は、独立してC
1~C
8アルキル基、C
4~C
8環状アルキル基、アリール基又はC
7~C
9アルカリール基から選択され、或いは、R
1、R
2は、NHとともにC
3~C
7の環を形成し、且つ/或いは、前記アルデヒドは、構造式が
【化7】
であるモノアルデヒド、構造式が
【化8】
であるモノアルデヒドのポリマー又は構造式が
【化9】
であるジアルデヒドから選択され、R
3は、H、C
1~C
6アルキル基、ヒドロキシル基置換のC
1~C
6アルキル基から選択され、R
4は、単結合又はC
1~C
4アルキリデン基から選択される
ことを特徴とする請求項2~8のいずれか一項に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項12】
前記プロトン性イオン液体の構造式は
【化10】
であり、R
1、R
2は、独立してC
1~C
8アルキル基、C
4~C
8環状アルキル基、アリール基又はC
7~C
9アルカリール基から選択され、或いは、R
1、R
2は、NとともにC
3~C
7の環を形成し、nは、1、2又は3から選択され、[X]
n-は、C
1~C
3の有機カルボキシル、CO
3
2-、HCO
3
-、Cl
-、NO
3
-、SO
4
2-、PO
4
3-、HPO
4
2-又はH
2PO
4-から選択される
ことを特徴とする請求項2~8のいずれか一項に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項13】
前記R
1、R
2は、独立してメチル基、エチル基、n-ブチル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、12-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、2-エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基又はシクロオクチル基、フェニル基、2-ナフチル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,3,4-トリメチルフェニル基、2,3,5-トリメチルフェニル基、2,3,6-トリメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、3-n-プロピルフェニル基、4-n-プロピルフェニル基から選択され、或いは、R
1、R
2は、NHとともにピロール、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、N-メチルピペラジン、シクロヘキサメチレンイミン又はアゼチジンを形成し、且つ/或いは、前記R
3は、H、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基から選択され、且つ/或いは、前記R
4は、単結合、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基から選択され、且つ/或いは、前記アルデヒドは、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、メタアルデヒド、プロピオンアルデヒド、グリコールアルデヒド、グリオキサール、マロンジアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド又はアジポアルデヒドから選択される
ことを特徴とする請求項11に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第三級アミンは、工業生産や生活の中で幅広く利用され、燃料添加剤、農薬製造、医薬品合成、エポキシ樹脂硬化剤、ポリウレタン触媒の中間体、第四級アンモニウム塩/アルカリの製造用原料、可塑剤、染料、脱硫剤等として使用されることができる。
【0003】
第三級アミン製品の伝統的な合成には、一般的に高圧固定床反応装置が使用され、担体に搭載されたPd、Ptなどの非均質貴金属触媒が用いられ、反応が水素ガス条件で行われる必要もあることが知られている。例えば、CN101460445Aには、懸濁触媒Pd/Cを触媒として使用し、ジイソプロピルアミンとアセトアルデヒドがアミノ化反応してジイソプロピルエチルアミンを調製する方法が開示されるが、反応には高圧、水素ガス条件が必要であり、且つ貴金属触媒が高価である。
【0004】
金属触媒を使用せず、水素ガスを使用せず、常圧条件で、第二級アミンと2つ以上の炭素原子数のアルデヒドを還元剤の存在で反応させて第三級アミンを生成することも知られている。例えば、中国公開専利CN101360726Aには、第二級アミンをアルデヒドと酸との混合溶液に滴下して第三級アミンを調製する方法が開示され、この方法の特徴としては、アルデヒドとギ酸をまず混合して、還流温度まで昇温し、その後、第二級アミンを添加して反応させる。この方法は、原料の添加順序について制限があり、他の2つの原料にアルデヒドや酸を滴下する場合に、反応収率が明らかに低下する。反応終了後に、反応に多量の有機物含有の排水が生じるように、反応システムに多量のアルカリ(例えばNaOH水溶液)を添加して反応システムを中和する必要がある。
【0005】
中国公開専利CN102875385Aには、パラアルデヒドを原料とし酸触媒を採用して加水分解してからジイソプロピルアミン、還元性金属水素化物、例えば水素化ホウ素ナトリウムと反応して第三級アミンを生成する方法が開示されることも知られている。この専利は、第三級アミン製品の純度を開示していないが、同時に、使用される還元剤、例えば水素化ホウ素ナトリウムなどは、毒性が高く、爆発性が高く、水に敏感であるため、反応の進行に寄与しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術課題は従来技術の欠点及び不足に対して、改良されたプロトン性イオン液体とアルデヒドを反応させて第三級アミンを調製する方法を提供することであり、この方法は均質な自己触媒反応であり、高圧水素ガス及び金属触媒条件の必要がなく、かつ安全で環境に優しい還元剤を使用することができ、反応材料添加過程がより安全である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術課題を解決するために、本発明で採用される技術的手段は下記である。
【0008】
第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法であって、第二級アミンを原料とし酸と反応してプロトン性イオン液体を生成するステップと、前記プロトン性イオン液体とアルデヒドを還元剤の作用で反応させて第三級アミンを生成するステップと、を含む。
【0009】
さらには、前記第二級アミンの炭素原子数は、30以下であり、好ましくは25以下、さらに好ましくは20以下であり、且つ/或いは、前記第二級アミンは脂肪族第二級アミン及び/又は芳香族第二級アミン及び/又は環状第二級アミンであり、且つ/或いは、前記酸は、有機カルボン酸、無機酸のうちの1つ又は複数の組み合わせから選択され、且つ/或いは、前記アルデヒドはモノアルデヒド、ジアルデヒド又はアルデヒドのポリマーである。
【0010】
さらには、前記酸は、C1~C3の有機カルボン酸、塩酸、硫酸、リン酸及び硝酸のうち1つ又は複数の組み合わせから選択され、好ましくは、前記酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、炭酸、塩酸、硫酸、リン酸及び硝酸のうち1つまたは複数の組み合わせから選択される。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態において、前記還元剤は、ギ酸、ギ酸ナトリウム、シュウ酸、シュウ酸ナトリウム及びトリフェニルシランのうちの1つ又は複数の組み合わせから選択され、好ましくは、前記還元剤は、ギ酸、ギ酸ナトリウム、シュウ酸又はシュウ酸ナトリウムから選択される。
【0012】
本発明者は、第二級アミンと酸が室温常圧条件で反応してプロトン性イオン液体を生成することができ、操作が安全で制御可能であり、第二級アミンと酸とのモル比が1に近く、酸の消費量が小さいことを発見する。さらに、このプロトン性イオン液体とアルデヒドを還元剤の作用で反応させて第三級アミンを生成すると、第二級アミンとアルデヒドが反応して第三級アミンを生成する穏やかな反応条件を実現することができ、反応過程において高圧、水素ガス還元雰囲気の必要がなく、且つこの反応の収率が高く、得られた第三級アミンの純度が高く、反応システムで安全で環境に優しい還元剤を使用する。反応システムで形成されたプロトン性イオン液体は、反応触媒としての作用を果たすことができ、本発明の反応システムは自己触媒反応システムであり、さらに金属触媒を添加する必要がない。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態において、前記第二級アミンを原料として前記酸とのモル比は0.2~1.5であり、好ましくは0.3~1.4であり、特に好ましくは0.4~1.2である。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態において、前記アルデヒドと前記プロトン性イオン液体とのモル比は0.2~5.0であり、好ましくは0.3~3.0であり、特に好ましくは0.4~2.0である。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態において、前記還元剤と前記プロトン性イオン液体とのモル比は1.0~5.0であり、好ましくは1.0~2.0である。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、前記第二級アミンを原料として酸と反応してプロトン性イオン液体を生成するステップは、室温、常圧で行われる。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態において、前記プロトン性イオン液体とアルデヒドが還元剤の作用で反応して第三級アミンを生成するステップは、0~5.0MPa、好ましくは0~3.0MPa、特に好ましくは0~2.0MPaの圧力で行われる。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態において、前記プロトン性イオン液体とアルデヒドが還元剤の作用で反応して第三級アミンを生成するステップは、60~200℃、好ましくは120~160℃の温度で行われる。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態において、前記プロトン性イオン液体とアルデヒドが還元剤の作用で反応する時間は、5~300分間、好ましくは30~120分間である。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態において、前記方法は、
1)前記酸を前記第二級アミンに滴下し、或いは、前記第二級アミンを前記酸に滴下して、前記プロトン性イオン液体を形成するステップと、
2)リアクターに前記プロトン性イオン液体及び前記還元剤を添加し、前記アルデヒドをリアクターに添加するステップと、
3)反応システムの圧力が0~5.0MPaになるまで窒素ガスを注入し、60~200℃まで昇温し、5~300分間反応させるステップと、
4)反応終了後、反応システムに対して精製して、前記第三級アミンを取得するステップと、を含む。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態において、前記ステップ1)で前記酸を前記第二級アミンの水溶液に滴下して、前記プロトン性イオン液体を形成する。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、前記ステップ1)で前記酸は前記酸の水溶液の形態で前記第二級アミンに滴下される。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態において、前記ステップ2)で前記アルデヒドは、リアクターに一度添加したり、間欠的に添加したり、連続的に添加したりする。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態において、前記ステップ2)で前記還元剤は、リアクターに一度添加したり、間欠的に添加したり、連続的に添加したりする。本発明のいくつかの実施形態において、前記ステップ4)で精製としては、生成物の沸点に応じて常圧精留又は減圧精留が行われることができる。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態において、前記リアクターとしては、攪拌容器、オートクレーブ、管状リアクター、マイクロリアクター又は充填気泡塔、好ましくはオートクレーブが用いられる。
【0026】
さらには、前記第二級アミンの構造式は
【化1】
であり、R1、R2は、独立してC
1~C
8アルキル基、C
4~C
8環状アルキル基、アリール基又はC
7~C
9アルカリール基から選択され、或いは、R
1、R
2は、NHとともにC
3~C
7の環を形成し、且つ/或いは、前記アルデヒドは、構造式が
【化2】
であるモノアルデヒド、構造式が
【化3】
であるモノアルデヒドのポリマー又は構造式が
【化4】
であるジアルデヒドから選択され、R
3は、H、C
1~C
6アルキル基、ヒドロキシル基置換のC
1~C
6アルキル基から選択され、R
4は、単結合又はC
1~C
4アルキリデン基から選択される。
【0027】
前記プロトン性イオン液体の構造式は
【化5】
であり、R
1、R
2は、独立してC
1~C
8アルキル基、C
4~C
8環状アルキル基、アリール基又はC
7~C
9アルカリール基から選択され、或いは、R
1、R
2はNとともにC
3~C
7の環を形成し、nは1、2又は3から選択され、[X]
n-は、C
1~C
3の有機カルボキシル、CO
3
2-、HCO
3
-、Cl
-、NO
3
-、SO
4
2-、PO
4
3-、HPO
4
2-又はH
2PO
4
-から選択される。
【0028】
前記アルデヒドは、構造式が
【化6】
であるモノアルデヒド、構造式が
【化7】
であるモノアルデヒドのポリマーから選択される場合に、前記プロトン性イオン液体と前記アルデヒドとの反応式は、下記に示すように、
【化8】
前記アルデヒドは、構造式が
【化9】
であるジアルデヒドから選択される場合に、前記プロトン性イオン液体と前記アルデヒドとの反応式は、下記に示すように、
【化10】
【0029】
前記プロトン性イオン液体は、まず前記アルデヒドと反応して対応するシッフ塩基を生成し、シッフ塩基は、還元剤による還元によって前記第三級アミンが調製し取得される。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R1、R2は、独立してメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、2-エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、フェニル基、2-ナフチル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,3,4-トリメチルフェニル基、2,3,5-トリメチルフェニル基、2,3,6-トリメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、3-n-プロピルフェニル基又は4-n-プロピルフェニル基から選択される。
【0031】
本発明の他のいくつかの実施形態において、前記R1、R2は、NHとともにアゼチジン、ピロール、ピペリジン、シクロヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペラジン又はN-メチルピペラジンを形成する。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R3は、H、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基から選択される。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態において、前記R4は、単結合、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基から選択される。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態において、前記アルデヒドは、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、メタアルデヒド、プロピオンアルデヒド、グリコールアルデヒド、グリオキサール、マロンジアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド又はアジポアルデヒドから選択される。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態において、前記第二級アミンは、ジメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピペリジン、モルホリン又はN-メチルピペラジンから選択され;前記アルデヒドは、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、メタアルデヒド、プロピオンアルデヒド、グリコールアルデヒド又はスクシンアルデヒドから選択され;前記第三級アミンは、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルエタノールアミン、N-エチルピペリジン、N-プロピルモルホリン、N-プロピルピペラジン又はN,N’-ジプロピルピペラジンから選択される。
【0036】
本発明の特に好ましい一実施形態において、アセトアルデヒドとジメチルアミンは、反応してジメチルエチルアミンを生成する。
【0037】
本発明の特に好ましい一実施形態において、プロピオンアルデヒドとジメチルアミンは、反応してジメチルプロピルアミンを生成する。
【0038】
本発明の特に好ましい一実施形態において、スクシンアルデヒドとジメチルアミンは、反応してN,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミンを生成する。
【0039】
本発明の特に好ましい一実施形態において、アセトアルデヒドとジイソプロピルアミンは、反応してジイソプロピルエチルアミンを生成する。
【0040】
本発明の特に好ましい一実施形態において、パラアルデヒドとジイソプロピルアミンは、反応してジイソプロピルエチルアミンを生成する。
【0041】
本発明の特に好ましい一実施形態において、グリコールアルデヒドとジイソプロピルアミンは、反応してジイソプロピルエタノールアミンを生成する。
【0042】
本発明の特に好ましい一実施形態において、アセトアルデヒドとピペリジンは、反応してN-エチルピペリジンを生成する。
【0043】
本発明の特に好ましい一実施形態において、プロピオンアルデヒドとモルホリンは、反応してN-プロピルモルホリンを生成する。
【0044】
本発明の特に好ましい一実施形態において、プロピオンアルデヒドとピペラジンは、反応してN-プロピルピペラジンを生成する。
【0045】
本発明の特に好ましい一実施形態において、プロピオンアルデヒドとピペラジンは、反応してN,N’-ジプロピルピペラジンを生成する。
【0046】
本発明の特に好ましい一実施形態において、アセトアルデヒドとジシクロヘキシルアミンは、反応してN-エチルジシクロヘキシルアミンを生成する。
【0047】
本発明の特に好ましい一実施形態において、アセトアルデヒドとジフェニルアミンは、反応してN-エチルジフェニルアミンを生成する。
【発明の効果】
【0048】
従来技術に比べて、本発明は下記の利点を有する。
本発明は、第二級アミンを原料として第三級アミンを生成するシステムにおいて、創造的に、まず酸を添加して第二級アミンと反応させてプロトン性イオン液体を生成してから、プロトン性イオン液体とアルデヒドを反応させて第三級アミンを生成し、このプロトン性イオン液体は、第三級アミン製品の高純度及び高収率を確保しつつ、この反応システムにおいて、反応条件が穏やかであり、高圧や水素ガス反応雰囲気の必要がなく、且つ、穏やかで安全な還元剤を使用することができることを実現するように、自己触媒作用を果たすことができる。本発明で取得される第三級アミン製品は、純度が99%、収率が98%に達する。また、この反応は、均質な自己触媒反応であるため、生産コストも大幅に低下する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】ジイソプロピルアミン及びジイソプロピルアミンのそれぞれギと、酸、塩酸、硫酸とから対応するプロトン性イオン液体を形成するNMRスペクトルである。 ここで、ジイソプロピルアミン:δ
H(DMSO)0.93(d,12H)、2.80(m,2H)、3.32(s,2H)。 ギ酸ジイソプロピルアミンプロトン性イオン液体:δ
H(DMSO)1.18(d,12H)、3.31(m,2H)、8.80(s,1H)。 硫酸ジイソプロピルアミンプロトン性イオン液体:δ
H(DMSO)1.22(d,12H)、3.34(m,2H)、8.13(s,2H)。 塩酸ジイソプロピルアミンプロトン性イオン液体:δ
H(DMSO)1.25(d,12H)、3.31(m,2H)、8.89(s,2H)。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、実施例を参照して本発明をさらに説明する。しかしながら、本発明は、下記の実施例に限定されない。実施例で採用される実施条件は具体的な使用の異なる要求に応じてさらに調整されることができ、明示されていない実施条件は本業界での一般的な条件である。本発明の様々な実施形態に係る技術的特徴は、互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0051】
以下の各実施例で用いられる各種類の原料は、いずれもaladdin試薬会社から購買され、ここで、ジメチルアミンは、純度40%の水溶液であり、ジイソプロピルアミン、ピペリジン、モルホリン、エチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、パラアルデヒド、グリコールアルデヒド、スクシンアルデヒド、酢酸、プロピオン酸及びマロン酸は、純度99%以上の水溶液であり、ピペラジン、ジフェニルアミン、ギ酸ナトリウム、シュウ酸、シュウ酸ナトリウムは、純度99%以上の固体であり、ギ酸は、純度98%以上の固体であり、塩酸は、純度36.5%以上の水溶液であり、リン酸は、純度85%以上の水溶液であり、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド及び濃硫酸は、純度98%以上の水溶液であり、濃硝酸は、純度65%以上の水溶液である。
【0052】
実施例1
ジメチルアミン及びアセトアルデヒドの反応によるジメチルエチルアミンの合成
【0053】
100mLのオートクレーブリアクターで、40%のジメチルアミン水溶液15gを添加し、7.5gのギ酸溶液をリアクター内に一滴ずつ添加し、攪拌して均一溶液を形成し、ギ酸ジメチルアミンのプロトン性イオン液体の水溶液を調製し取得し、その後、このプロトン性イオン液体水溶液に10gのギ酸ナトリウム固体及び6.5gのアセトアルデヒド溶液を添加し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入して圧力を1MPaまで高め、温度を140℃まで昇温し、120分間反応させる。
【0054】
反応生成物である混合物を精留し精製し、常圧で蒸留し、34~36℃のフラクションを収集し、フラクションは、ガスクロマトグラフィーによって純度分析が行われ、ガスクロマトグラフィーの使用測定プログラムとしては、分離カラムHP-1、長さ:60m、内径:0.25mm、キャリア:窒素ガス、温度プログラム:55℃であり、その後、10℃/分間で220℃まで昇温し、最後に220℃で10分間恒温維持し、純度99%のジメチルエチルアミンが取得され、製品の収率が95%である。
【0055】
実施例2
ジメチルアミン及びプロピオンアルデヒドからのジメチルプロピルアミンの形成
【0056】
100mLのオートクレーブリアクターに、40%のジメチルアミン水溶液15gを添加して、8gの酢酸溶液をリアクター内に一滴ずつ添加し、攪拌して均一溶液を形成し、酢酸ジメチルアミンのプロトン性イオン液体の水溶液を調製し取得し、その後、このプロトン性イオン液体水溶液に10gのギ酸ナトリウム溶液及び8gのプロピオンアルデヒド溶液を添加し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入して圧力を2MPaまで高め、温度を160℃まで昇温し、120分間反応させる。
【0057】
反応生成物である混合物を精留し精製し、常圧で蒸留し、70~71℃のフラクションを収集し、フラクションはガスクロマトグラフィーによって純度分析が行われ、方法が実施例1と同じであり、純度99%のジメチルプロピルアミンが取得され、製品の収率が96%である。
【0058】
実施例3
ジメチルアミン及びスクシンアルデヒドからのN,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミンの形成
【0059】
100mLのオートクレーブリアクターに、40%のジメチルアミン水溶液15gを添加し、11gのプロピオン酸溶液をリアクター内に一滴ずつ添加し、攪拌して均一溶液を形成し、プロピオン酸ジメチルアミンのプロトン性イオン液体の水溶液を調製し取得し、その後、このプロトン性イオン液体水溶液に13gのシュウ酸及び5gのスクシンアルデヒドを取得し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入して圧力を2MPaまで高め、温度を160℃まで昇温し、120分間反応させる。
【0060】
反応生成物である混合物を精留し精製し、常圧で蒸留し、166~167℃のフラクションを収集し、フラクションはガスクロマトグラフィーによって純度分析が行われ、方法が実施例1と同じであり、純度99%のN,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミンが取得され、製品の収率が95%である。
【0061】
実施例4
ジイソプロピルアミン及びアセトアルデヒドの反応によるジイソプロピルエチルアミンの合成
【0062】
100mLのオートクレーブリアクターに、15gのジイソプロピルアミンを添加し、15gの濃塩酸を含む水溶液をリアクター内に一滴ずつ添加し、攪拌して均一溶液を形成し、塩酸ジイソプロピルアミンのプロトン性イオン液体の水溶液(DMSOにおけるNMRスペクトルを
図1に示す)を調製し取得し、その後、このプロトン性イオン液体水溶液に10gのギ酸ナトリウム及び7gのアセトアルデヒドを添加し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入して圧力を2MPaまで高め、温度を120℃まで昇温し、30分間反応させる。
【0063】
反応生成物である混合物を精留し精製し、常圧で蒸留し、127~128℃のフラクションを収集し、フラクションはガスクロマトグラフィーによって純度分析が行われ、方法が実施例1と同じであり、純度99%のジイソプロピルエチルアミンが取得され、製品の収率が97%である。
【0064】
実施例5
ジイソプロピルアミン及びパラアルデヒドの反応によるジイソプロピルエチルアミンの合成
【0065】
100mLのオートクレーブリアクターに、15gのジイソプロピルアミンを添加し、7gのギ酸含有の水溶液をリアクター内に添加し、攪拌して均一溶液を形成し、ギ酸ジイソプロピルアミンのプロトン性イオン液体の水溶液(DMSOにおけるNMRスペクトルを
図1に示す)を調製し取得し、その後、このプロトン性イオン液体水溶液に7gのギ酸及び7gのパラアルデヒドを添加し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入し、常圧を維持し(即ち圧力表示数が0MPaである)、温度を160℃まで昇温し、120分間反応させる。
【0066】
反応終了後、油層と水層が分離され、水層がそのままリサイクルして使用されることができ、常圧で蒸留し、127~128℃のフラクションを収集し、フラクションはガスクロマトグラフィーによって純度分析が行われ、方法が実施例1と同じであり、純度99%のジイソプロピルエチルアミンが取得され、製品の収率が98%である。
【0067】
実施例6
ジイソプロピルアミン及びグリコールアルデヒドの反応によるジイソプロピルエタノールアミンの合成
【0068】
100mLのオートクレーブリアクターに、15gのジイソプロピルアミンを添加し、12gの濃硫酸を含む水溶液(10%含有量)をリアクター内に一滴ずつ添加し、攪拌して均一溶液を形成し、硫酸ジイソプロピルアミンのプロトン性イオン液体の水溶液(DMSOにおけるNMRスペクトルを
図1に示す)を調製し取得し、その後、このプロトン性イオン液体水溶液に10gのギ酸ナトリウム及び9gのグリコールアルデヒドを添加し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入して圧力を2MPaまで高め、温度を120℃まで昇温し、30分間反応させる。
【0069】
反応生成物である混合物を精留し精製し、常圧で蒸留し、187~192℃のフラクションを収集し、フラクションはガスクロマトグラフィーによって純度分析が行われ、方法が実施例1と同じであり、純度99%のジイソプロピルエタノールアミンが取得され、製品の収率が94%である。
【0070】
実施例7
ピペリジン及びアセトアルデヒドの反応によるN-エチルピペリジンの合成
【0071】
100mLのオートクレーブリアクターに、8.5gのピペリジンを添加し、10gのリン酸を含む水溶液(10%含有量)をリアクター内に一滴ずつ添加し、攪拌して均一溶液を形成し、リン酸ピペリジンのプロトン性イオン液体の水溶液を調製し取得し、その後、このプロトン性イオン液体水溶液に5.0gのギ酸及び4.6gのアセトアルデヒドを添加し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入して圧力を2MPaまで高め、温度を160℃まで昇温し、90分間反応させる。
【0072】
反応生成物である混合物を精留し精製し、常圧で蒸留し、126~129℃のフラクションを収集し、フラクションはガスクロマトグラフィーによって純度分析が行われ、方法が実施例1と同じであり、純度99%のN-エチルピペリジンが取得され、製品の収率が94%である。
【0073】
実施例8
モルホリン及びプロピオンアルデヒドの反応によるN-プロピルモルホリンの合成
【0074】
100mLのオートクレーブリアクターに、15gのモルホリンを添加し、17gの濃塩酸をリアクター内に一滴ずつ添加し、攪拌して均一溶液を形成し、モルホリン硝酸塩のプロトン性イオン液体の水溶液を調製し取得し、その後、このプロトン性イオン液体水溶液に12gのギ酸ナトリウム及び11gのプロピオンアルデヒドを添加し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入し、圧力を2MPaまで高め、温度を160℃まで昇温し、120分間反応させる。
【0075】
反応生成物である混合物を精留し精製し、減圧で蒸留し、30mmHg圧力での67~69℃のフラクションを収集し、フラクションはガスクロマトグラフィーによって純度分析が行われ、方法が実施例1と同じであり、純度99%のN-プロピルモルホリンが取得され、製品の収率が90%である。
【0076】
実施例9
ピペラジン及びプロピオンアルデヒドの反応によるN-プロピルピペラジンの合成
【0077】
100mLのオートクレーブリアクターに、15gのピペラジンを添加し、18gの濃硝酸を含む水溶液(10%含有量)をリアクター内に一滴ずつ添加し、攪拌して均一溶液を形成し、硝酸ピペラジンのプロトン性イオン液体の水溶液を調製し取得し、その後、このプロトン性イオン液体水溶液に12gのギ酸ナトリウムを添加し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入して圧力を2MPaまで高め、温度を160℃まで昇温した1時間内に10gのプロピオンアルデヒドを注入し、120分間反応させる。
【0078】
反応生成物である混合物を精留し精製し、減圧で蒸留し、15mmHg圧力での61~64℃のフラクションを収集し、フラクションはガスクロマトグラフィーによって純度分析が行われ、方法が実施例1と同じであり、純度99%のN-プロピルピペラジンが取得され、製品の収率が91%である。
【0079】
実施例10
ピペラジン及びプロピオンアルデヒドの反応によるN,N’-ジプロピルピペラジンの合成
【0080】
100mLのオートクレーブリアクターに、15gのピペラジンを添加し、18gの濃硝酸を含む水溶液(10%含有量)をリアクター内に一滴ずつ添加し、攪拌して均一溶液を形成し、硝酸ピペラジンのプロトン性イオン液体の水溶液を調製し取得し、その後、このプロトン性イオン液体水溶液に24gのギ酸ナトリウム及び20gのプロピオンアルデヒドを添加し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入して圧力を2MPaまで高め、温度を160℃まで昇温し、120分間反応ささせる。
【0081】
反応生成物である混合物を精留し精製し、減圧で蒸留し、12mmHg圧力での84~88℃のフラクションを収集し、フラクションはガスクロマトグラフィーによって純度分析が行われ、方法が実施例1と同じであり、純度99%のN,N’-ジプロピルピペラジンが取得され、製品の収率が90%である。
【0082】
実施例11
ジメチルアミン及びスクシンアルデヒドからのN,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミンの合成
【0083】
100mLのオートクレーブリアクターに、40%のジメチルアミン水溶液15gを添加し、14gのマロン酸水溶液をリアクター内に一滴ずつ添加し、攪拌して均一溶液を形成し、マロン酸ジメチルアミンのプロトン性イオン液体の水溶液を調製し取得し、その後、このプロトン性イオン液体水溶液に13gのシュウ酸を添加し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入して圧力を2MPaまで高め、温度を160℃まで昇温し、120分間反応させ、そのうちの5gのスクシンアルデヒドは、前段の60分間内において反応システムに均一に注入される。
【0084】
反応生成物である混合物を精留し精製し、常圧で蒸留し、166~167℃のフラクションを収集し、フラクションはガスクロマトグラフィーによって純度分析が行われ、方法が実施例1と同じであり、純度99%のN,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミンが取得され、製品の収率が96%である。
【0085】
実施例12
アセトアルデヒド及びジシクロヘキシルアミンからのN-エチルジシクロヘキシルアミンの合成
【0086】
100mLのオートクレーブリアクターに、24gのジシクロヘキシルアミン水溶液を添加し、14gの濃塩酸をリアクター内に一滴ずつ添加し、攪拌して均一溶液を形成し、塩酸ジシクロヘキシルアミンのプロトン性イオン液体の水溶液を調製し取得し、その後、このプロトン性イオン液体水溶液に10gのギ酸ナトリウム及び7gのアセトアルデヒドを添加し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入して圧力を2MPaまで高め、温度を160℃まで昇温し、120分間反応させる。
【0087】
反応生成物である混合物を精留し精製し、減圧で蒸留し、14mmHg圧力での137~138℃のフラクションを収集し、フラクションはガスクロマトグラフィーによって純度分析が行われ、方法が実施例1と同じであり、純度99%のN-エチルジシクロヘキシルアミンが取得され、製品の収率が94%である。
【0088】
実施例13
アセトアルデヒド及びジフェニルアミンからのN-エチルジフェニルアミンの合成
【0089】
100mLのオートクレーブリアクターに、23gのジフェニルアミン固体を添加し、12gの濃硫酸を含む水溶液(10%含有量)をリアクター内に一滴ずつ添加し、攪拌して均一溶液を形成し、硫酸ジフェニルアミンのプロトン性イオン液体の水溶液を調製し取得し、その後、このプロトン性イオン液体水溶液に15gのシュウ酸及び6gのアセトアルデヒドを添加し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入して圧力を2MPaまで高め、温度を160℃まで昇温し、120分間反応させる。
【0090】
反応生成物である混合物を減圧で精留し精製し、14mmHg圧力での150~152℃のフラクションを収集し、フラクションはガスクロマトグラフィーによって純度分析が行われ、方法が実施例1と同じであり、純度99%のN-エチルジフェニルアミンが取得され、製品の収率が92%である。
【0091】
実施例14
ジエチルアミン及びアセトアルデヒドからのトリエチルアミンの合成
【0092】
100mLのオートクレーブリアクターに、10gのジエチルアミンを添加し、その後、4.5gのギ酸を滴下し、ギ酸ジエチルアミンのプロトン性イオン液体の水溶液を調製し取得し、その後、このプロトン性イオン液体水溶液に19gのシュウ酸ナトリウム固体及び6.5gのアセトアルデヒドを添加し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入して圧力を2MPaまで高め、温度を120℃まで昇温し、120分間反応させる。
【0093】
反応終了後、リアクターに残ったガスを除去し、ガスクロマトグラフィーにより反応生成物である混合物を分析する。ガスクロマトグラフィーは実施例1と同じである。
【0094】
ガスクロマトグラフィー分析の結果、反応システムにはジエチルアミンが含まれ、即ちギ酸ナトリウムの還元作用でエチルアミンとアセトアルデヒドからジエチルアミンが生成したことが示される。反応生成物である混合物を精留し精製し、常圧で蒸留し、89~91℃のフラクションを収集し、純度99%のトリエチルアミンが取得され、製品の収率が94%である。
【0095】
比較例1
ジイソプロピルアミン及びアセトアルデヒドの反応
【0096】
100mLのオートクレーブリアクターに、15gのジイソプロピルアミンを添加し、その後、11gのギ酸ナトリウム及び7gのアセトアルデヒドを添加し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入して圧力を2MPaまで高め、温度を120℃まで昇温し、120分間反応させる。
【0097】
反応終了後、リアクターに残ったガスを除去し、ガスクロマトグラフィーにより反応生成物である混合物を分析する。ガスクロマトグラフィーは実施例1と同じである。ガスクロマトグラフィー分析によると、反応生成物である混合物には、アセトアルデヒドとジイソプロピルアミンのサンプルピークのみが存在するが、リアクターでジイソプロピルエチルアミンが生成されていないことが示される。この比較例1と実施例4を比較すると、本発明で添加された酸と第二級アミンからプロトン性イオン液体が形成され、このようなプロトン性イオン液体は、アルデヒドと反応してシッフ塩基を生成し、その後還元剤で第三級アミンに還元されやすく、酸を添加しない場合に、システムでプロトン性イオン液体を形成せず、第二級アミンとアルデヒドが反応することができないことが分かっている。
【0098】
比較例2
エチルアミン及びアセトアルデヒドの反応によるジエチルアミンの合成
【0099】
100mLのオートクレーブリアクターに、7gのエチルアミンを添加し、その後、23gのギ酸ナトリウム固体及び14gのアセトアルデヒドを添加し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入して圧力を2MPaまで高め、温度を120℃まで昇温し、120分間反応させる。
【0100】
反応終了後、リアクターに残ったガスを除去し、ガスクロマトグラフィーにより反応生成物である混合物を分析する。ガスクロマトグラフィーは実施例1と同じである。
【0101】
ガスクロマトグラフィー分析の結果、反応システムにはジエチルアミンが含まれ、即ちギ酸ナトリウムの還元作用でエチルアミンとアセトアルデヒドからジエチルアミンが生成したことが示される。反応生成物である混合物を精留し精製し、常圧で蒸留し、55~56℃のフラクションを収集し、純度99%のジエチルアミンが取得され、製品の収率が55%である。
【0102】
一般的には、第一級アミンとアルデヒドが反応して第二級アミンを生成する反応は、対応する第二級アミンとアルデヒドが反応して第三級アミンを生成する反応よりも実行しやすく、第一級アミンとアルデヒドが反応して第二級アミンを生成する収率が、対応に第二級アミンを原料として第三級アミンを生成する収率よりも高いことが示される。一方、比較例2は、第一級アミンジエチルアミンとアセトアルデヒドが反応して第二級アミンジエチルアミンを生成する反応は、その収率が、本発明のジエチルアミンがまずギ酸とともにギ酸ジエチルアミンのプロトン性イオン液体を生成してから、このイオン液体がアセトアルデヒドとともに反応し、還元された後に第三級アミントリエチルアミンを生成する収率よりも明らかに低く、本発明では、プロトン性イオン液体とアルデヒドが反応して還元されて第三級アミンを生成する場合に、プロトン性イオン液体は、自体が反応に関与するほかに、反応に対し一定の触媒効果があることが示される。
【0103】
上記実施例は、本発明の技術的思想及び特徴を説明するためのものに過ぎなく、その目的として、本技術分野の当業者が本発明の内容を了解してこれによって実施することができるが、これにより本発明の保護範囲を制限することができない。本発明の思想によれば実質的に行われた同等変更又は修飾はいずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【0104】
本明細書に開示された範囲の端点及び任意の値はいずれも該精確な範囲又は値に限定されず、これらの範囲又は値はこれらの範囲又は値に近い値を含むと理解されるべきである。数値範囲については、各範囲の端点値の間、各範囲の端点値と単一点値との間、および単一点値の間は、互いに組み合わせて1つ又は複数の数値範囲を取得することができ、これらの数値範囲は本明細書に具体的に開示されていると見なすべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第二級アミンを原料とし酸と反応してプロトン性イオン液体を生成するステップと、前記プロトン性イオン液体とアルデヒドを還元剤の作用で反応させて第三級アミンを生成するステップと、を含む
ことを特徴とする第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項2】
前記第二級アミンの炭素原子数は、30以下であり、好ましくは25以下、さらに好ましくは20以下であり、且つ/或いは、前記第二級アミンは脂肪族第二級アミン及び/又は芳香族第二級アミン及び/又は環状第二級アミンであり、且つ/或いは、前記酸は、有機カルボン酸、無機酸のうちの1つ又は複数の組み合わせから選択され、且つ/或いは、前記アルデヒドはモノアルデヒド、ジアルデヒド又はアルデヒドのポリマーである
ことを特徴とする請求項
1に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項3】
前記酸は、C
1~C
3の有機カルボン酸、塩酸、炭酸、硫酸、リン酸及び硝酸のうちの1つ又は複数の組み合わせから選択され、好ましくは、前記酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、炭酸、塩酸、硫酸、リン酸及び硝酸のうちの1つまたは複数の組み合わせから選択される
ことを特徴とする請求項
1に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項4】
前記還元剤は、ギ酸、ギ酸ナトリウム、シュウ酸、シュウ酸ナトリウム及びトリフェニルシランのうち1つ又は複数の組み合わせから選択され、好ましくは、前記還元剤は、ギ酸、ギ酸ナトリウム、シュウ酸又はシュウ酸ナトリウムから選択される
ことを特徴とする請求項
1に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項5】
前記第二級アミン
と前記酸とのモル比は0.2~1.5であり、好ましくは0.3~1.4であり、特に好ましくは0.4~1.2であり、且つ/或いは、前記アルデヒドと前記プロトン性イオン液体とのモル比は0.2~5.0であり、好ましくは0.3~3.0であり、特に好ましくは0.4~2.0であり、且つ/或いは、前記還元剤と前記プロトン性イオン液体とのモル比は1.0~5.0であり、好ましくは1.0~2.0である
ことを特徴とする請求項
1に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項6】
前記第二級アミンを原料とし、酸と反応してプロトン性イオン液体を生成するステップは、室温、常圧で行われる
ことを特徴とする請求項
1に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項7】
前記プロトン性イオン液体とアルデヒドが還元剤の作用で反応して第三級アミンを生成するステップは、0~5.0MPa、好ましくは0~3.0MPa、特に好ましくは0~2.0MPaの圧力で行われ、且つ/或いは、前記プロトン性イオン液体とアルデヒドが還元剤の作用で反応して第三級アミンを生成するステップは、60~200℃、好ましくは120~160℃の温度で行われ、且つ/或いは、前記プロトン性イオン液体とアルデヒドが還元剤の作用で反応する時間は、5~300分間、好ましくは30~120分間である
ことを特徴とする請求項
1に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項8】
前記方法は、
1)前記酸を前記第二級アミンに滴下し、或いは、前記第二級アミンを前記酸に滴下して、前記プロトン性イオン液体を形成するステップと、
2)リアクターに前記プロトン性イオン液体及び前記還元剤を添加し、前記アルデヒドをリアクターに添加するステップと、
3)反応システムの圧力が0~5.0MPaになるまで窒素ガスを注入し、60~200℃まで昇温し、5~300分間反応させるステップと、
4)反応終了後、反応システムに対して精製して、前記第三級アミンを取得するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項
1~
7のいずれか一項に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項9】
前記ステップ1)で前記酸を前記第二級アミンの水溶液に滴下して、前記プロトン性イオン液体を形成し、且つ/或いは、前記ステップ1)で前記酸は前記酸の水溶液の形態で前記第二級アミンに滴下すし、且つ/或いは、前記ステップ2)で前記アルデヒドは、リアクターに一度添加したり、間欠的に添加したり、連続的に添加したりし、且つ/或いは、前記ステップ2)で前記還元剤は、リアクターに一度添加したり、間欠的に添加したり、連続的に添加したりし、且つ/或いは、前記ステップ4)で前記精製は、常圧精留又は減圧精留である
ことを特徴とする請求項
8に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項10】
前記第二級アミンの構造式は
【化1】
であり、R
1、R
2は、独立してC
1~C
8アルキル基、C
4~C
8環状アルキル基、アリール基又はC
7~C
9アルカリール基から選択され、或いは、R
1、R
2は、NHとともにC
3~C
7の環を形成し、且つ/或いは、前記アルデヒドは、構造式が
【化2】
であるモノアルデヒド、構造式が
【化3】
であるモノアルデヒドのポリマー又は構造式が
【化4】
であるジアルデヒドから選択され、R
3は、H、C
1~C
6アルキル基、ヒドロキシル基置換のC
1~C
6アルキル基から選択され、R
4は、単結合又はC
1~C
4アルキリデン基から選択される
ことを特徴とする請求項
1~
7のいずれか一項に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項11】
前記プロトン性イオン液体の構造式は
【化5】
であり、R
1、R
2は、独立してC
1~C
8アルキル基、C
4~C
8環状アルキル基、アリール基又はC
7~C
9アルカリール基から選択され、或いは、R
1、R
2は、NとともにC
3~C
7の環を形成し、nは、1、2又は3から選択され、[X]
n-は、C
1~C
3の有機カルボキシル、CO
3
2-、HCO
3
-、Cl
-、NO
3
-、SO
4
2-、PO
4
3-、HPO
4
2-又はH
2PO
4-から選択される
ことを特徴とする請求項
1~
7のいずれか一項に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【請求項12】
前記R
1、R
2は、独立してメチル基、エチル基、n-ブチル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、12-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、2-エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基又はシクロオクチル基、フェニル基、2-ナフチル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,3,4-トリメチルフェニル基、2,3,5-トリメチルフェニル基、2,3,6-トリメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、3-n-プロピルフェニル基、4-n-プロピルフェニル基から選択され、或いは、R
1、R
2は、NHとともにピロール、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、N-メチルピペラジン、シクロヘキサメチレンイミン又はアゼチジンを形成し、且つ/或いは、前記R
3は、H、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基から選択され、且つ/或いは、前記R
4は、単結合、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基から選択され、且つ/或いは、前記アルデヒドは、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、メタアルデヒド、プロピオンアルデヒド、グリコールアルデヒド、グリオキサール、マロンジアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド又はアジポアルデヒドから選択される
ことを特徴とする請求項
10に記載の第二級アミンを原料とし第三級アミンを調製する方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
100mLのオートクレーブリアクターに、40%のジメチルアミン水溶液15gを添加して、8gの酢酸溶液をリアクター内に一滴ずつ添加し、攪拌して均一溶液を形成し、酢酸ジメチルアミンのプロトン性イオン液体の水溶液を調製し取得し、その後、このプロトン性イオン液体水溶液に10gのギ酸ナトリウム及び8gのプロピオンアルデヒド溶液を添加し、反応容器を閉鎖し、窒素ガスを注入して圧力を2MPaまで高め、温度を160℃まで昇温し、120分間反応させる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
ガスクロマトグラフィー分析の結果、反応システムにはトリエチルアミンが含まれ、即ちギ酸ナトリウムの還元作用でジエチルアミンとアセトアルデヒドからトリエチルアミンが生成したことが示される。反応生成物である混合物を精留し精製し、常圧で蒸留し、89~91℃のフラクションを収集し、純度99%のトリエチルアミンが取得され、製品の収率が94%である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0102】
一般的には、第一級アミンとアルデヒドが反応して第二級アミンを生成する反応は、対応する第二級アミンとアルデヒドが反応して第三級アミンを生成する反応よりも実行しやすく、第一級アミンとアルデヒドが反応して第二級アミンを生成する収率が、対応に第二級アミンを原料として第三級アミンを生成する収率よりも高いことが示される。一方、比較例2は、第一級アミンエチルアミンとアセトアルデヒドが反応して第二級アミンジエチルアミンを生成する反応は、その収率が、本発明のジエチルアミンがまずギ酸とともにギ酸ジエチルアミンのプロトン性イオン液体を生成してから、このイオン液体がアセトアルデヒドとともに反応し、還元された後に第三級アミントリエチルアミンを生成する収率よりも明らかに低く、本発明では、プロトン性イオン液体とアルデヒドが反応して還元されて第三級アミンを生成する場合に、プロトン性イオン液体は、自体が反応に関与するほかに、反応に対し一定の触媒効果があることが示される。
【国際調査報告】