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特表2024-516916コネクテッド自動運転車両の交通を管理する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-17
(54)【発明の名称】コネクテッド自動運転車両の交通を管理する方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240410BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G08G1/09 H
G08G1/16 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513568
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 JP2022002973
(87)【国際公開番号】W WO2023032249
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】21306165.8
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】ブティエ、アルノー
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181LL09
5H181LL15
5H181MC14
5H181MC19
5H181MC27
(57)【要約】
本発明は、N本の分岐路を含む道路交差点におけるコネクテッド自動運転車両(CAV)の交通を管理する方法であって、N本の分岐路のうちのM本の分岐路のうちの分岐路iごとに、i∈[1;M]であり、Mは2以上かつN以下であるとして、CAVによって、第iの分岐路内の車両に関するデータを取得することと、上記CAVによって、第iの分岐路の優先レベルに関連する第iの値を求めることと、第iの値を比較することと、比較の結果に応じて、M本の分岐路のうちの1つの第pの分岐路内の第1のCAVに、進入時間に道路交差点の横断領域(CA)に進入するように命令することと、を含む、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N本の分岐路を含む道路交差点におけるコネクテッド自動運転車両(CAV)の交通を管理する方法であって、
前記N本の分岐路のうちのM本の分岐路のうちの分岐路iごとに、i∈[1;M]であり、Mは2以上かつN以下であるとして、
CAVによって、前記第iの分岐路内の車両に関するデータを取得することと、
前記CAVによって、前記第iの分岐路の優先レベルに関連する第iの値を求めることと、
前記第iの値を比較することと、
前記比較の結果に応じて、前記M本の分岐路のうちの1つの第pの分岐路内の第1のCAVに、進入時間に前記道路交差点の横断領域(CA)に進入するように命令することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第pの分岐路内の前記第1のCAVは、前記CAに目標速度で進入して横断するように命令される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記M本の分岐路のうちの各第iの分岐路内で、前記第iの分岐路の前記第1のCAVが、1つの時間単位内に前記第1のCAVが前記CAに前記進入時間に進入することができるような前記CAからの距離及び速度であるように、前記N本の分岐路のうちの前記M本の分岐路を選択することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記M本の分岐路のうちの第iの分岐路ごとに、前記第iの分岐路の前記第1のCAVは、
前記第iの分岐路内の第1の位置及び目標速度であるか、又は
前記第iの分岐路内の第2の位置及び0の速度である、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記M本の分岐路のうちの前記第pの分岐路以外の少なくとも1つの第qの分岐路について、
前記第qの分岐路内の第1のCAVが前記第1の位置にある場合、前記第qの分岐路内の前記第1のCAVに、時間単位内に減速して前記第2の位置に停止するように命令すること、又は
前記第qの分岐路内の前記第1のCAVが前記第2の位置にある場合、前記第qの分岐路内の前記第1のCAVに、少なくとも時間単位中は前記第2の位置で静止するように命令すること、
を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第qの分岐路内の前記第1のCAVに、少なくとも時間単位中は前記第2の位置で静止するように命令することは、前記進入時間後の少なくともL-1個の時間単位中は前記第2の位置に静止する命令であり、L個の時間単位は、前記目標速度で前記CAを横断する持続時間に対応する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第pの分岐路内の前記第1のCAVに、
前記第pの分岐路内の前記第1のCAVが前記第2の位置にある場合、1つの時間単位内で前記目標速度まで加速して前記CAに前記進入時間に進入すること、又は
前記第pの分岐路内の前記第1のCAVが前記第1の位置にある場合、前記目標速度を維持して前記進入時間に前記CAに進入すること、
を命令することを更に含む、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の位置及び前記第2の位置は、1つの時間単位内で前記第2の位置から加速して前記CAに進入するための及び1つの時間単位内で前記第1の位置から減速して前記第2の位置に停止するための既定の速度曲線及び/又は加速度曲線に基づいて決定される、請求項4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第pの分岐路内の第2のCAVに、前記CAに進入する前記第pの分岐路内の前記第1のCAVに続いて前記CAに進入するように命令することを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記M本の分岐路のうちの少なくとも第iの分岐路について、車両に関する前記データを取得し、前記第iの分岐路の前記優先レベルを求める前記CAVは、前記第iの分岐路の前記第1のCAVである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
第iの分岐路ごとに、前記第iの分岐路の前記第1のCAVは、前記値を比較し、前記第iの分岐路が前記M本の分岐路のうちで最高の優先レベルを有するか否かを判定する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
各第iの値は、前記第iの分岐路内の前記第1のCAVの待ち時間に基づいて求められる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第iの分岐路内の車両に関する前記データは、前記CAからのD以内の距離にある前記第iの分岐路内の車両に関するデータを含み、前記第iの値は、前記CAからのD以内の距離にある前記第iの分岐路内の前記車両の前記待ち時間に基づいて求められる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第iの分岐路内の車両に関する前記データは、前記CAからのD以内の距離にある前記第iの分岐路内の車両に関するデータを含み、前記第iの値は、待ち中の車両の仮想数に基づいて求められ、前記待ち中の車両の仮想数は、前記第iの分岐路内の前記第1のk台の待ち中の車両における2つの連続した車両間の前記待ち時間の差の平均に基づいて求められ、kは、前記CAからのD以内の距離にある前記第iの分岐路内で待ち得る最大車両である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第iの分岐路内の車両に関する前記データは、前記第iの分岐路内の前記車両の位置及び/又は速度及び/又は待ち時間に関するデータである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法を実行するためにコンピューター可読媒体に記憶されたコード命令を含む、コンピュータープログラム製品。
【請求項17】
コネクテッド自動運転車両(CAV)であって、
通信ユニットと、
プロセッサと、
命令が記憶された非一時的コンピューター可読媒体と、
を備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記CAVを、
前記CAVが道路交差点の第pの分岐路にあり、前記道路交差点がN本の分岐路を含むとき、
前記第pの分岐路内の車両に関するデータを受信取得することと、
前記第pの分岐路の優先レベルに関連する第pの値を求めることと、
前記N本の分岐路のうちのM本の分岐路それぞれの優先レベルに関連する第iの値を比較することであって、Mは2以上かつN以下であることと、
前記比較の結果に応じて、1つの第pの分岐路内の第1のCAVに、進入時間内に前記道路交差点の横断領域(CA)に進入するように命令することと、
を行うように構成する、CAV。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下では車両とも称されるコネクテッド自動運転車両(CAV:Connected and Automated Vehicle)に関する。本発明は、より正確には、コネクテッド自動運転車両による交差点横断の管理又は支援に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの方法は、交差点におけるコネクテッド自動運転車両の横断を管理するために交通信号灯に依拠する。そのような技法では、搭載カメラを使用して交通信号灯を検出する。しかしながら、そのような技法は、交通信号灯がない交差点、例えば、優先規則によって又は単に一時停止標識によって横断が行われる場合には実装することができない。
【0003】
いくつかの他の方法では、コネクテッド自動運転車両の横断を制御するために、交差点における特定の機器(例えば、通信ユニット及び計算ユニット)の配備が必要になる。そのような機器の配備は、コスト及び時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、特定のインフラストラクチャを必要としない、コネクテッド自動運転車両(CAV)による交差点横断の管理を可能にする方法が必要とされている。
【0005】
加えて、そのような方法は、複雑な横断状況にあっても、搭載プロセッサによって大量の計算をリアルタイムに行う必要はないものであるべきである。
【0006】
本発明は、上記状況を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために、本発明は、N本の分岐路を含む道路交差点におけるコネクテッド自動運転車両の交通を管理する方法であって、
N本の分岐路のうちのM本の分岐路のうちの分岐路iごとに、i∈[1;M]であり、Mは2以上かつN以下であるとして、
CAVによって、第iの分岐路内の車両に関するデータを取得することと、
上記CAVによって、第iの分岐路の優先レベルに関連する第iの値を求めることと、
第iの値を比較することと、
比較の結果に応じて、M本の分岐路のうちの1つの第pの分岐路内の第1のCAVに、進入時間に道路交差点の横断領域(CA)に進入するように命令することと、
を含む、方法に関する。
【0008】
したがって、交差点にあるCAVは、第iの分岐路の他の車両からのデータを取得(例えば、受信)し、優先レベルを計算する。この優先レベルは、他の分岐路の車両からのデータを必要とすることなく計算される。したがって、分岐路のうちの1つの優先レベルに関連する各値は、他の分岐路とは独立して計算することができる。そのため、これにより、計算の柔軟性を大きく改良することが可能になり、例えば、レベルの計算を、交差点にある異なるCAV全体を通してディスパッチすることができる。例えば、交差点の各分岐路内において、CAVは、このCAVがある分岐路の優先レベルの算出を行うことができ、そのため、本方法を実施するために必要なデータ送信の量が削減され、実際には、或る分岐路内の車両に関するデータは、その分岐路内のCAVにのみ送信される。加えて、計算のディスパッチにより、複数のプロセッサが相互化される又は関与するため、全てのレベルの計算を行うために必要な時間を削減することが可能になる。
【0009】
したがって、本方法は、N本の分岐路のうちのM本の分岐路のうちの少なくとも2本の分岐路i及びj等について、i,,j∈[1;M]であり、Mは2以上かつN以下であるとして、
第iの分岐路内のCAVによって、第iの分岐路内の車両に関するデータを取得し、第iの分岐路内の上記CAVによって、第iの分岐路の優先レベルに関連する第iの値を求めることと、
第jの分岐路内のCAVによって、第jの分岐路内の車両に関するデータを取得し、第jの分岐路内の上記CAVによって、第jの分岐路の優先レベルに関連する第jの値を求めることと、
によって実施することができる。
【0010】
その場合、第iの値の算出を行うCAVは、第jの値を求めるCAVとは異なる。
【0011】
値の算出を行うCAVは、車両に関するデータを受信する元となる車両の分岐路とは別の分岐路内にあるものとすることもできる。しかしながら、第iの値の算出を行うCAVは、第jの値を求めるCAVとは異なり得る。
【0012】
レベルの算出が行われるとき、これらのレベルは一緒に比較される。例えば、比較を交差点にあるCAVのうちの1つによって行うことができ、例えば、レベルのうちの1つ又は複数の算出を行ったCAVのうちの1つは、このCAVが計算しなかったレベルを受信して比較を行うことができる。加えて、この比較は、複数のCAVによって行うことができ、例えば、優先レベルを求めた各CAVは、そのレベルを他のレベル(CAVに送信されたレベル)と比較することができる。優先レベルは、車両に関するデータと比較して非常に少数のデータを表し、したがって、車両に関するデータをより大規模に送信する代わりに、これらの優先レベルを送信することにより、ネットワーク容量及び安定性に関する要件を削減することが可能になる。比較は、M本の分岐路のそれぞれにおいてその分岐路の第1のCAVによって行うことができ、その場合、該当する第1のCAVに横断領域に進入するように命令するために送信を行う必要はない。加えて、これらの第1のCAVは、自身の分岐路の優先レベルを求めることもでき、第1のCAVのそれぞれは、優先レベルの値を他の第1のCAVに送信する。値を送信する他の方法を使用することができ、例えば、各第1のCAVは、自身が受信した及び/又は求めた値のうちの最高値のみを返信することができる。
【0013】
したがって、本方法により、交差点にあるCAVの効率的な管理を行うために必要なデータ送信の負荷を削減することが可能になる。さらに、本方法により、CAVが本方法の各タスクを行うために関与する柔軟性を大きくすることが可能になる。前述のように、各分岐路の第1のCAVを選択して、その分岐路内の車両に関するデータを受信し、(その分岐路の)優先レベルの値を計算することができる。M本の分岐路の第1のCAVは、上記値を送信して、第1のCAVのそれぞれが比較の一部又は全てを行うことを可能にすることができる。値の算出を行ったCAVは、その計算能力又は交差点にある他のCAVとの送信リンクの品質について選択することもできる。
【0014】
コネクテッド自動運転車両とは、人の入力をほとんど又は全くなしで操縦、加速、及び制動する車両であると理解されたい。車両によって行われるこれらの動作は、ネットワークを通じて、例えば、別の車両と直接通信すること(V2V通信)、任意のアクセスポイント(基地局)と通信すること、又はV2X通信を通じて他の任意のエンティティと通信すること(例えば、道路付近のユニットと通信すること)によって取得されるデータに少なくとも基づいて行われる。交差点内のいくつかの車両は、CAVでない場合があり、その場合、これらの従来の車両は、値の算出及びこれらの値の比較を行うことはない。しかしながら、これらの車両に関するデータも処理のためにCAVに送信される。これらのデータはCAVを通じて取得することができる。例えば、CAVのセンサー及びカメラに基づいて、非CAV車両に関するデータを取得することができる。従来の車両もまた、運転手を支援する、又は単純な動作、例えば、CAVに続くことを自動化するためにセンサー及びカメラを有することができる。
【0015】
CAVの交通を管理するとは、これらのCAVに、交差点において行うべき動作を行うように命令すること、又は少なくとも、これらのCAVに、交差点にある他の車両に応じて交差点において決断を行うことを可能にする命令を決定することを可能にすることであると理解されたい。これらの動作は、例えば、減速して特定の位置に停止すること、特定の速度を維持すること、特定の速度で横断領域に進入すること、静止を維持すること等である。
【0016】
道路交差点(road intersection)又は交差点(crossing intersection)とは、同じ平面にある3つ以上の分岐路のジャンクション(junction)又は交差点、すなわち、平面ジャンクションであると理解されたい。そのような交差点は、一時停止標識又は交通信号灯等の交通整理装置を含むことができる。以下では、道路交差点は、少なくとも3本の分岐路と横断領域とを含む。
【0017】
分岐路とは、交差点において合流する交通幹線若しくは道路区画であるか、又はこれらの交通幹線若しくは道路区画の少なくとも一部(すなわち、少なくとも道路交差点の中心付近の部分)であると理解されたい。したがって、分岐路は、
交差点の基準点からの、又は自動車が即座に横断領域に進入しない場合に横断するべきでない線(以下では停止線と称される)からの特定の距離から延在する交通幹線又は道路区画の一部であり、これらの停止線は、通常、交通信号灯又は一時停止標識に関する線、分岐路の停止線に対応する。
【0018】
分岐路は、等しい長さ(全ての分岐路について同じ特定の距離)である場合も、そうでない場合もある。特定の距離は、分岐路内の2台のCAV間の通信を可能にするために必要な最大距離に応じて求めることができる(例えば、特定の距離は、この最大距離として設定することができる)。
【0019】
交差点の基準点とは、交差点に進入する全てのCAVによって、又は少なくとも、値を求めるCAV及び/又は各分岐路の第1のCAVによって既知である地理的点であると理解されたい。交差点の基準点は、交差点の中心として識別される点であり得る。
【0020】
分岐路は、横断領域に向かう車線に対応する交通幹線又は道路区画の一部に限定され得る。多車線道路(横断領域に向かう複数の車線を有する)の横断領域に向かう各車線は、分岐路とみなされ得る。
【0021】
横断領域とは、全ての分岐路の停止線によって境界が定められる交差点の領域であると理解されたい。この横断領域は、或る分岐路から別の分岐路に進むために車両が通過する領域である。
【0022】
CAVによってデータを受信するとは、データがCAVの通信能力を介して受信されることであると理解されたい。
【0023】
CAVによって分岐路内の車両に関するデータを取得するとは、これらのデータを受信すること及び/又はこれらのデータを決定することであると理解されたい。例えば、CAVは、自身に関するデータを決定する。CAVは、付近の車両、特にCAVでない車両に関するデータを決定することもできる。
【0024】
分岐路の優先レベルに関する値とは、別の分岐路の値と比較したとき、他の分岐路が考慮されない場合の、第1のCAVが横断領域に進入するべき分岐路を決定することを可能にする値であると理解されたい。別の言い方をすれば、1本の分岐路の優先レベルが少なくとも1つの他の分岐路の優先レベルよりも低い場合、その1本の分岐路の第1のCAVは、進入時間に横断領域に進入しない。これに対し、1本の分岐路の優先レベルが全ての他の分岐路の優先レベルよりも高い場合、その1本の分岐路の第1のCAVは、進入時間に横断領域に進入する。
【0025】
M本の分岐路は、少なくとも1つのCAVがこれらの分岐路のそれぞれに存在する分岐路であり得る。他の車両(非CAV)も存在し得る。M本の分岐路以外のN本の分岐路のうちの分岐路には、CAVが存在しない場合があり、例えば、本方法が行われる瞬間に車両がそのような分岐路内に存在しない、又は少なくとも、進入時間に横断領域に進入するための適所にあるCAVが存在しない。
【0026】
進入時間とは、M本の分岐路のうちの1つの第1のCAVのうちの1つが横断領域に進入するように命令される時間であると理解されたい。
【0027】
横断領域に進入するとは、車両上の基準点が横断領域に進入することであると理解されたい。車両上のこの基準点は、車両上の任意の箇所、例えば、車両の前部、又は車両の後部、又は車両の中央部にあり得る。同等に、或る位置にある車両とは、車両上の基準点がこの同じ位置にあることであると理解されたい。
【0028】
分岐路の第1のCAVとは、横断領域の方向に進むその分岐路のCAVのうち、その分岐路の停止線への近接性に関してその分岐路内に一番目に位置決めされるCAVであると理解されたい。
【0029】
分岐路内の車両に関するデータとは、その分岐路の優先レベルを求めるために関連する任意のデータ、より具体的には、その分岐路の車両の待ち時間に関するデータであるため、このデータは、これらの車両の位置(例えば、複数の瞬間における車両の位置)、これらの車両の速度(例えば、複数の瞬間における車両の速度)、分岐路内で各車両が静止したまま費やす時間、分岐路内で各車両が費やす時間等に関し得ると理解されたい。
【0030】
Mは、厳密に2よりも大きいものであり得る。CAVが存在しない分岐路の値は、より低い優先レベルとみなされ得る。
【0031】
本発明の一態様によれば、第pの分岐路内の第1のCAVは、CAに目標速度で進入して横断するように命令される。
【0032】
したがって、横断領域に進入するように命令される第1のCAVは、特定の速度でCAに進入する命令を受信するか、又はこれらの命令を決定することが(例えば、CAVのパラメーター化によって)可能にされる。これにより、交差点横断の管理を単純化することが可能になる。実際には、目標速度を設定することによって、計算を減らしてCA内のCAVの進行及び/又は第1のCAVがCAを離れる瞬間を予測することが可能になる。これにより、いつ次のCAVがCAに進入するべきかを容易に判断することが可能になる。加えて、CAに進入する目標速度(CAに進入する各CAVについて同じであり得る目標速度)を設定することにより、CAに進入する前の第1のCAVの管理を単純化することが可能になる。実際には、CAVが進入時間にCAに進入するべき目標速度を有することにより、進入時間にCAに効果的に進入するために第1のCAVが行うべき動作(加速、速度の維持)の決定の複雑度が低減される。例えば、CAVが静止している場合、進入時間に目標速度でCAに進入するために必要な加速度を求めるのはあまり複雑でない。これらの命令は、この目標速度でCAを横断するように命令することができる。したがって、第1のCAVの位置の予測はあまり複雑でない。
【0033】
目標速度は、第1のCAVがその位置から進入時間にCAに効果的に進入するために動作を行うために必要な時間が或る時間単位の間続くものとして求めることができる。時間単位とは、タイムラインが分割され、CAVによる動作を予測及び実行するための基準として使用される基となる基本持続時間として理解されたい。
【0034】
本発明の一態様によれば、本発明は、M本の分岐路のうちの各第iの分岐路内で、第iの分岐路の第1のCAVが、1つの時間単位内に第1のCAVがCAに進入時間に進入することができるようなCAからの距離(すなわち、停止線からの距離)及び速度であるように、N本の分岐路のうちのM本の分岐路を選択することを含む。
【0035】
第1のCAVが進入時間にCAに進入できない分岐路の優先レベルは計算されない。これにより、必要な計算が削減される。これらの分岐路の第1のCAVは、停止線から遠すぎて、進入時間にCAに進入することを可能にできない。
【0036】
一方、これらのM本の分岐路の全ての第1のCAVは、進入時間にCAに進入する候補である。したがって、これらのM本の分岐路の優先レベルが計算され、これらの第1のCAVのうちのいずれがCAに進入するかを判断する。各分岐路の第1のCAVは、時間単位の開始前にCAからの距離(すなわち、停止線からの距離)及び速度になるように命令することができる。進入時間に先立つ最後の時間単位の前に(進入時間は、この時間単位が終了する瞬間である)これらの位置及び速度に到達する第1のCAVは、進入時間から開始するCAの占有率を競合するとみなされる。N本の分岐路のうちの他の分岐路の第1のCAVは、そのような位置の後方にあり、したがって、進入時間にCAに進入することを可能にするための適所にないが、これらの第1のCAVは、進入時間後の時間単位の開始時にこれらの位置及び速度に到達する。CAVが到達する速度は、目標速度以下であり得る。
【0037】
CAからの距離とは、停止線と車両との間の距離であると理解されたい。
【0038】
本発明の一態様によれば、M本の分岐路のうちの第iの分岐路ごとに、第iの分岐路の第1のCAVは、
第iの分岐路内の第1の位置及び目標速度であるか、又は
第iの分岐路内の第2の位置及び0の速度である。
【0039】
第1の位置及び第2の位置の両方において、第1のCAVは、それぞれ、1つの時間単位内に進入時間にCAに進入することができるようなCAからの距離及び速度にある。したがって、これにより、
第1のCAVを、自身の分岐路が優先とみなされていない場合、CAに進入する前にスタンバイさせ、CAに進入するように命令される前に次の進入時間を待つことを可能にするとともに、
第1のCAVを、第2の位置に停止することを予め必要とすることなく、CAに進入させることを可能にする。
【0040】
命令を第1のCAVに送信して(又はそのような命令を決定するように第1のCAVをパラメーター化して)、第1のCAVに、時間単位の開始時に第1の位置又は第2の位置にあるように命令することができる。
【0041】
停止線から第1の位置までの距離は、停止線から第2の位置までの距離の2倍であり得る。
【0042】
本発明の一態様によれば、本発明は、M本の分岐路のうちの第pの分岐路以外の少なくとも1つの第qの分岐路について、
第qの分岐路内の第1のCAVが第1の位置にある場合、第qの分岐路内の第1のCAVに、時間単位内に減速して第2の位置に停止するように命令すること、又は
第qの分岐路内の第1のCAVが第2の位置にある場合、第qの分岐路内の第1のCAVに、少なくとも時間単位中は第2の位置で静止するように命令すること、
を更に含む。
【0043】
したがって、CAに進入するように命令されていない第1の位置にあるCAVは、1つの時間単位内に第2の位置に停止することができ、したがって、次の進入時間内にCAに進入することについて競合する候補であり得る。したがって、第1の位置において、CAVは、進入時間にCAに進入することについて第2の位置にあるCAVと競合することができ、したがって、優先とみなされないCAVは、第2の位置に停止することができる。したがって、第1のCAVは、CAに進入するために必ずしも停止する必要はなく、これは交通が密でないときに特に有利である。これは、第1の位置にある第1のCAVについて、CAに進入するために必要な時間、及び第2の位置に停止するために必要な時間が同じである、すなわち、1つの時間単位であるため、また、第2の位置からCAに進入するために必要な時間も1つの時間単位であるため、可能になる。これにより、第1のCAVがあり得る及び/又はなり得る状態の複雑度及び多様度を削減することが可能になり、ひいては、各第1のCAVに命令するために必要な計算が削減される。
【0044】
停止線からの距離及び速度により、第1のCAVが1つの時間単位内にCAに進入すること、又は第1のCAVが1つの時間単位内にCAに進入することを同様に可能にする距離に1つの時間単位内に停止することが可能になる限り、第1の位置、第2の位置及び目標速度は、分岐路ごとに又は第1のCAVごとに異なり得る。
【0045】
本発明の一態様によれば、第qの分岐路内の第1のCAVに、少なくとも時間単位中は第2の位置で静止するように命令することは、進入時間後の少なくともL-1個の時間単位中は第2の位置に静止する命令であり、L個の時間単位は、目標速度でCAを横断する持続時間に対応する。
【0046】
したがって、CAは、少なくとも第pの分岐路の第1のCAVがCAを横断するために必要な時間の間は第pの分岐路のこの第1のCAVに割り当てられる。これにより、計算の複雑度及び周期性が削減される。実際には、次の進入時間(第pの分岐路の第1のCAVがCAに進入した進入時間の後)は、少なくとも進入時間の後のL個の時間単位の後となり、CA内の第pの第1のCAVの位置を考慮する必要はない。
【0047】
本発明の一態様によれば、本発明は、第pの分岐路内の第1のCAVに、
第pの分岐路内の第1のCAVが第2の位置にある場合、1つの時間単位内で目標速度まで加速してCAに進入時間に進入すること、又は
第pの分岐路内の第1のCAVが第1の位置にある場合、目標速度を維持して進入時間にCAに進入すること、
を命令することを更に含む。
【0048】
前述のように、第1の位置及び第2の位置はどちらも、1つの時間単位内にCAに進入することを可能にするため、計算を単純化する(システムの状態と状態の複雑度とが削減される)。
【0049】
本発明の一態様によれば、第1の位置及び第2の位置は、1つの時間単位内で第2の位置から加速してCAに進入するための及び1つの時間単位内で第1の位置から減速して第2の位置に停止するための既定の速度曲線及び/又は加速度曲線に基づいて決定される。
【0050】
加えて、タイムラインを分割するために使用される時間単位は、加速を行うことを可能にするように適合することもでき、減速を安全に行うことができる。
【0051】
速度曲線及び/又は加速度は、交差点を使用する車両に可能な速度曲線及び/又は加速度曲線に基づいて求めることができ、すなわち、これらの速度曲線及び/又は加速度曲線は、車両の動力を考慮に入れる、例えば、低動力車両の平均動力を考慮に入れる。加えて、これらの速度曲線及び/又は加速度曲線は、第2の位置から加速してCAに進入すること及び第1の位置から減速して第2の位置に停止することをCAVの乗員にとって安全に又は/及び快適に行うことができるように考慮に入れることができる。
【0052】
本発明の一態様によれば、本発明は、第pの分岐路内の第2のCAVに、CAに進入する第pの分岐路内の第1のCAVに続いてCAに進入するように命令することを更に含む。
【0053】
これにより、交差点を横断する車両の数を増大させることが可能になる。実際には、2台以上の車両が、CAの占有時間(すなわち、第pの分岐路とは異なる分岐路からの第1のCAVがCAに進入することができる時間)を大幅に増加させることなくCAに進入するため、CAの使用は最適化される。
【0054】
第1のCAVに続いてCAに進入するとは、例えば、特定の距離を置いて、CAを通して第1のCAVに続くことであると理解されたい(この場合、第1のCAV及び第2のCAVは車間が詰まっている(packed)とみなされる)。
【0055】
本発明の一態様によれば、M本の分岐路のうちの少なくとも第iの分岐路について、車両に関するデータを取得し、第iの分岐路の優先レベルを求めるCAVは、第iの分岐路の第1のCAVである。
【0056】
これにより、本方法を行うために交換されるデータ量が削減される。実際には、各分岐路の第1のCAVのそれぞれは、その分岐路の車両に関するデータを取得し、その分岐路の優先レベルを計算することができる。第iの分岐路の第1のCAVは、他の分岐路内のCAV、特に他の第1のCAVに最も近い第iの分岐路内のCAVである。したがって、異なる分岐路のCAV間の通信は、これらの分岐路の2台の第1のCAV間において容易であるため、それゆえに、2つの異なる分岐路の2台のCAV間でデータを送信するために(双方向(two-to-two)V2V通信、すなわち、第3のCAVを使用することなく、2台のCAV間の直接的な通信に)関与する必要があるCAVの数が削減され、そのため、ネットワーク輻輳が低減される。有利には、比較を行う1つ又は複数のCAVは、第1のCAVであり得るため、自身が計算した値ではなく他の値を受信することのみが必要である。最終的に、比較を行った第1のCAV又は複数の第1のCAVは、CAに進入するか又は第2の位置に減速する若しくは第2の位置に静止するように命令を受けるための更なるデータを受信する必要はない(第1のCAVは比較から命令を推定することができるため)。したがって、分岐路の第1のCAVを使用して計算動作を行うことにより、データ交換を削減する。
【0057】
例えば、第iの分岐路ごとに、第iの分岐路の第1のCAVは、値を比較し、第iの分岐路がM本の分岐路のうちで最高の優先レベルを有するか否かを判定する。
【0058】
本発明の一態様によれば、各第iの値は、第iの分岐路内の第1のCAVの待ち時間に基づいて求められる。
【0059】
したがって、最長時間を待った第1のCAVを伴う第iの分岐路は、CAの使用を優先させる分岐路としてみなすことができる。
【0060】
待ち時間とは、交差点内の車両がCAに進入する前に費やす時間、すなわち、対応する分岐路内の車両が費やす時間の任意の尺度であると理解されたい。例えば、車両の待ち時間は、以下であり得る。
車両が分岐路に進入してから分岐路内で費やす時間、
車両が分岐路に進入してから分岐路の長さに比例して分岐路内で費やす時間、
分岐路内で車両が一回目の停止をしてから費やす時間、
その車両が静止したまま費やす累積時間、
車両が分岐路内の基準線を通ってから費やす時間(基準線は分岐路のそれぞれにおける同じ位置にある)等。
【0061】
これらの待ち時間は、分岐路の車両に関するデータ内に含めることができる。第iの値は、第iの分岐路内の第1のCAVの待ち時間にのみ基づいて求めることができる。
【0062】
第1のCAVのそれぞれの待ち時間にそれぞれ基づいて値を求めることにより、計算の複雑度を削減することが可能になる。
【0063】
加えて、待ち時間は、係数によって重み付けされた、(上記の)費やす時間又は費やす累積時間と定義することができる。したがって、1よりも小さい係数又は1よりも大きい係数をそれぞれ適用することによって、分岐路に低い又は高い優先度を与えることが可能である。本発明の一態様によれば、第iの分岐路内の車両に関するデータは、CAからのD以内の距離にある第iの分岐路内の車両に関するデータを含み、第iの値は、CAからのD以内の距離にある第iの分岐路内の車両の待ち時間に基づいて求められる。
【0064】
したがって、値は、分岐路内の第1のCAVの待ち時間に基づいて、また、第1のCAVの後方の車両の待ち時間に応じて求めることができる。より具体的には、値は、CAからの(すなわち、停止線からの)距離DとCA(すなわち、停止線)との間の車両の待ち時間に基づいて求めることができる。したがって、より多くの車両を伴う分岐路は優先される傾向がある。これにより、第1のCAVがCAに進入したら第1のCAVに続いて複数の車両がCAに進入することができるため、交差点にある全ての車両の累積待ち時間を削減することが可能になる。
【0065】
分岐路内の車両の待ち時間に基づく算出は、これらの車両の累積待ち時間に基づく又は待ち時間の平均に基づく算出等であり得る。
【0066】
本発明の一態様によれば、第iの分岐路内の車両に関するデータは、CAからのD以内の距離にある第iの分岐路内の車両(例えば、CAからのD以内の距離にある第iの分岐路内の全ての車両)に関するデータを含み、第iの値は、待ち中の車両の仮想数に基づいて求められ、上記待ち中の車両の仮想数は、第iの分岐路内の第1のk台の待ち中の車両における2つの連続した車両間の待ち時間の差の平均に基づいて求められ、kは、CAからのD以内の距離にある第iの分岐路内で待ち得る最大車両である。
【0067】
したがって、第iの分岐路内の車両(すなわち、停止線からの距離Dと停止線との間の車両)の待ち時間の進展に基づいて、第iの分岐路の第1のCAVの後方に一列で待ち中の車両の数の推定値が取得され、したがって、停止線からのDよりも大きい距離にあり得る車両(そのため、分岐路内にあるものとみなされない)を考慮に入れる。これにより、交差点にある全ての車両の累積待ち時間を削減することが可能になる。これは、分岐路が短い場合(例えば、分岐路が2つの近い交差点を連結する場合、又は2台のCAV間の最大通信距離が短い場合)に特に該当する。
【0068】
本発明の第2の態様は、プロセッサによって実行されると、前述の方法を行うコード命令がコンピューター可読媒体に記憶されたコンピュータープログラム製品に関する。
【0069】
本発明の第3の態様は、コネクテッド自動運転車両(CAV)であって、
通信ユニットと、
プロセッサと、
命令が記憶された非一時的コンピューター可読媒体と、
を備え、命令は、プロセッサによって実行されると、CAVを、
CAVが道路交差点の第pの分岐路にあり、上記道路交差点がN本の分岐路を含むとき、Mは2以上かつN以下であるとして、
第pの分岐路内の車両に関するデータを取得することと、
第pの分岐路の優先レベルに関連する第pの値を求めることと、
N本の分岐路のうちのM本の分岐路それぞれの優先レベルに関連する第iの値を比較することであって、Mは2以上かつN以下であることと、
比較の結果に応じて、1つの第pの分岐路内の第1のCAVに、進入時間内に道路交差点の横断領域(CA)に進入するように命令することと、
を行うように構成する、CAVに関する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】本発明によるT+2における交差点にあるCAVを示す図である。
図2】本発明によるT+3における交差点にあるCAVを示す図である。
図3】本発明によるT+3における交差点にあるCAVを示す図である。
図4】本発明の一実施形態によるステップを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本発明は、添付図面の図に、限定としてではなく例として示される。添付図面において、同様の参照符号は同様の要素を参照する。
【0072】
図1を参照すると、横断領域11と5本の分岐路12~16とを含む交差点10が示されている。横断領域11への進入は、停止線によってマークされている。これらの停止線は、道路の右側の線12.1~16.1上に位置決めされ、これらの線12.1~16.1も以下では停止線と呼ばれる。分岐路12~16は、停止線12.1~16.1からそれぞれ開始し、これらの停止線12.1~16.1からの距離Dへと延在する道路の領域である。例えば、分岐路12は、停止線12.1から、停止線12.1からの距離Dにある線12.2へと延在する。横断領域11は、停止線12.1~16.1によって境界が定められる領域であり、或る分岐路から別の分岐路に進むために車両が通過する領域である。
【0073】
図1は、時間単位の開始時T+2における交差点10にあるCAVの状態に対応し、時間単位は、進入時間ETによってT+3に終了する。
【0074】
車両1.1~5.1は、分岐路12内の車両であり、特定の速度V12で横断領域11に向かっている。車両1.1~5.1は、車間が詰まっている(2台の連続した車両が特定の距離にある、例えば、2台の連続した車両間の距離が、緊急制動に必要な最小距離である)。分岐路12の第1の車両1.1は、停止線12.1からの距離D1にある。第1の車両1.1がその速度を維持する場合、1つの時間単位内に距離D1を進む(すなわち、前進する)ことになる。
【0075】
車両1.2及び2.2は、分岐路13内の車両であり、静止している。車両1.2及び2.2は、同じく車間が詰まっており、静止しているため、これらの2台の車両間の距離は、分岐路12内の2台の連続した車両間の最小距離と比較して削減することができる。分岐路13の第1の車両1.2は、停止線13.1からの距離D2にある。第1の車両1.2が速度V(目標速度)まで加速する場合、1つの時間単位内に距離D2を前進することになる。
【0076】
車両1.3は、分岐路15内にあり、特定の速度V15で横断領域11に向かっている。分岐路15のこの第1にして唯一の車両1.3は、停止線15.1からの距離D1’にある。この第1の車両1.3がその速度を維持する場合、1つの時間単位内に距離D1’を前進することになる。
【0077】
したがって、第1の車両1.1、1.2及び1.3は、1つの時間単位内に横断領域に進入することができる。
【0078】
車両1.4は、分岐路14内にあり、特定の速度V14で横断領域11に向かっている。分岐路14のこの第1にして唯一の車両1.4は、停止線14.1からのD1よりも大きい距離にある。
【0079】
分岐路14には車両がない。
【0080】
車両7は、横断領域11内にあり、目標速度Vで分岐路16に向かっている。単純にするために、V12、V14、V15及びVは等しく、以下では速度Vと称される。したがって、距離D1、D1’も等しく、以下では距離D1と称される。ここでは、全ての分岐路の境界を定めるために1つの距離(距離D)のみが記載されているが、各分岐路は、固有の長さを有する可能性があり、したがって、分岐路と同数の距離が画定され得る。
【0081】
車両6.1は、分岐路12内にいないため、交差点10内にいない。しかしながら、車両6.1は、車両1.1~5.1に続いており、間もなく分岐路12に進入することになる。
【0082】
分岐路12、13、14、15内の第1の車両1.1、1.2、1.3及び1.4はCAVである。分岐路の第2の他の車両は、CAVでない場合がある、例えば、分岐路12内の車両3.1は従来の車両であり得る。この車両に関する情報は、付近のCAVによって、例えば、車両2.1及び4.1を介して取得することができる。単純にするために、図1の全ての車両はCAVであり、したがって、互いに通信し、受信又は推定された命令を実施する(速度Vで加速する、速度Vから減速して停止する、静止する等)ことができる。
【0083】
そのために、各CAVは、通信モジュールと、処理モジュールと、メモリユニットとを備える。例えば、CAV1.1は、通信モジュール(COM)1.11と、処理モジュール(PROC)1.12と、メモリユニット(MEMO)1.13とを備える。
【0084】
通信モジュール1.11は、他のCAVに対して無線信号を発信及び受信する。CAV1.1、ひいては通信モジュールが他のCAVと通信することができる距離は、Dの最小値である。この距離は、CAV1.1と分岐路13~16の他の第1のCAVとの間の距離と比較して、これらのCAVが横断領域からの距離D1にあるときに大きいものであり得る。通信モジュール1.11が受信する無線信号は、他の分岐路13、14、15及び16の優先レベルに関連する値、又は実施される命令(速度Vで加速する、速度Vから減速して停止する、静止する等)を含むことができる。無線信号は、分岐路12の他の車両2.1~5.1に関するデータを含むこともできる。通信モジュール1.11が発信する無線信号は、他の分岐路13~16の第1のCAV1.2、1.3によって実施される命令(速度Vで加速する、速度Vから減速して停止する、静止する等)を含むことができる。発信される無線信号は、分岐路12の優先レベルに関連する値を含むこともできる。
【0085】
メモリユニット1.13は、コンピュータープログラムを取り出す不揮発性ユニットと、本方法のパラメーターを記憶することができる揮発性ユニットとを含み、パラメーターは、例えば、距離D、D1、D2、速度V、2台の連続した車両間の最小距離、分岐路12の車両に関するデータ、分岐路12の優先レベルに関連する値、他の分岐路13、14、15及び16の優先レベルに関連する値、値の比較の結果、受信又は推定された命令等である。
【0086】
処理モジュール1.12は、分岐路12の優先レベルに関連する値を求め、この値を他の分岐路13、14、15及び16の優先レベルに関連する値と比較して、他の分岐路と比較した分岐路12の優先度を求め、比較の結果に基づいて命令を決定し、これらの命令を実施する(速度Vで加速する、速度Vから減速して距離D2に停止する、距離D2に静止する等)ように構成することができる。
【0087】
図2は、時間単位の終了時T+3、すなわち進入時間ETにおける交差点10にあるCAVの状態に対応する。
【0088】
分岐路13が、他の分岐路のうちで最高の優先度を有するものとみなされる場合、
CAV1.1は、減速してT+3(ET)に停止線12.1からの距離D2に停止するように命令される。
CAV2.1、3.1、4.1、5.1は、減速してT+3(ET)にCAV1.1の後方で車間を詰めて停止するように命令される。
CAV1.3は、減速してT+3(ET)に停止線15.1からの距離D2に停止するように命令される。
CAV1.2は、加速して進入時間ETに横断領域11に進入するように命令される。
CAV2.2は、CAV1.2の後方で横断領域11に進入するように命令される。
CAV1.4は、前進してT+3に停止線14.1からの距離D1及び速度Vとなるように命令される。
【0089】
加えて、CAV1.1及び1.3は、ETから開始する次のL-1個の時間単位の間は静止するように命令することができ、L個の時間単位は、CAV1.2が横断領域11を横断するために必要な時間、すなわち、CAV1.2が向かっている分岐路に進入するために必要な時間である。Lは、CAV2.2が向かっている分岐路に進入するために必要な時間を考慮するためにより大きいものであり得る。
【0090】
図3は、時間単位の終了時T+3、すなわち進入時間ETにおける交差点10にあるCAVの状態に対応する。
【0091】
分岐路12が、他の分岐路のうちで最高の優先度を有するものとみなされる場合、
CAV1.1は、速度Vを維持し、進入時間ETに横断領域11に進入するように命令される。
CAV2.1、3.1、4.1、5.1及び最終的にCAV6.1は、速度を維持し、CAV1.1の後方で横断領域11に進入するように命令される(CAV6.1は、分岐路に入るとそうするように命令される)。
CAV1.3は、減速してT+3(ET)に停止線15.1からの距離D2に停止するように命令される。
CAV1.2は、減速してT+3(ET)に停止線13.1からの距離D2に停止するように命令される。
CAV2.2は、T+3(ET)にCAV1.2の後方で停止するように命令される。
CAV1.4は、前進してT+3に停止線14.1からの距離D1及び速度Vとなるように命令される。
【0092】
これは一例証であるが、CAV1.3が進入時間(T+3、ET)に横断領域11に進入するCAVであると判断することもできる。CAV1.4が進入時間ETにCA11に進入する位置にないため、CAV1.4は、CA11を使用することについてCAV1.1、1.2及び1.3と競合することはない。
【0093】
CAV1.4に関する命令はパラメーターとして設定することができる。実際には、D1及びVが既知であるとき、分岐路内の全ての第1のCAVは、特定の命令を受信することなく、前進して速度Vで時間T+1、T+2、T+3、T+4、T+5等のうちの1つにおいて距離D1に移ることができる。
【0094】
図4を参照すると、交差点10にあるCAVの管理のフローチャートが示されている。
【0095】
ステップS0において、CAVをパラメーター化する。すなわち、CAVは、交差点10に関するパラメーターを受信してメモリユニットに記憶する。これらのパラメーターは、距離D1、D2、D、目標速度、各分岐路内のCAVの速度V12、V13、V14、V15及びV16(目標速度Vに等しいものであり得る)、分岐路の数、時間単位のサイズ、時間基準点(CAVが同期することができる、例えば、進入時間)、各分岐路間の角度、値の計算を行うCAV(例えば、各分岐路内の第1のCAV、又は計算能力が最も高いCAV等)に関連する情報、値の比較を行うCAV(例えば、第1のCAVのうちの1つ、又は全ての第1のCAV、又は全ての第1のCAVを通じて相互化される)を決定する規則に関連する情報、交差点にあるCAVに命令するCAVを決定する規則に関連する情報、分岐路内の車両に関するデータのタイプについての情報、値の計算に関連する情報(例えば、値を計算するために使用される式又はアルゴリズム)等のうちのいくつか又は全てであり得る。
【0096】
これらのパラメーターは、従来のセルラー無線ネットワークを通じて又はCAV間のV2V通信を介して受信することができる。例えば、CAV6.1は、これらのパラメーターをCAV5.1から受信することができる。これらのパラメーターは、したがって、交差点内のCAVによって必ずしも同時に受信されるとは限らない。
【0097】
ステップS1において、値の計算を行うCAVに関連する情報と、分岐路内の車両に関するデータのタイプについての情報とに応じて、各CAVは、自身に関するこのデータを、その分岐路の値を計算するCAVに送信する。その分岐路の値を計算するCAVは、自身に関する固有のデータを取得するため、これを送信する必要はない。
【0098】
前述のように、この例においては、各分岐路内の値の計算を行うCAVは、その分岐路の第1のCAVである。
【0099】
例えば、CAV2.1、3.1、4.1、5.1は、自身に関するデータをCAV1.1に送信する。
【0100】
例えば、これらのCAVのそれぞれは、以下のうちの少なくとも1つを送信する。
分岐路12内での位置、
速度、
分岐路12内で静止したまま費やす時間、
分岐路12内で費やす、すなわち、線12.2を通ってから費やす時間等。
【0101】
分岐路12内の車両(例えば、3.1)がCAVでない場合、自身に関するデータは、付近の他のCAV、例えば、この車両3.1が線12.2を横断するときに車両3.1の待ち時間の推定値を計算する前方のCAV(その場合、CAV2.1)によって決定することができる。
【0102】
同様に、CAV2.2は、自身に関するデータをCAV1.2に送信する。CAV1.3、1.4は、分岐路14、15内で唯一の車両であるため、これらの分岐路14、15内の車両に関するデータを受信することはない。
【0103】
このステップはT+2の前に行われる。
【0104】
ステップS2において、ステップS1においてデータを取得したCAVは、分岐路iの優先レベルに関連する値λの計算を行う。この例で前述のように、各第1のCAVは、その分岐路iの優先レベルに関連する値λを求める。
【0105】
値の算出は、分岐路i内の車両の待ち時間に基づいて行われる。
【0106】
例えば、分岐路iの値λは、分岐路iの第1の車両の待ち時間、すなわちT1,iに等しいものとすることができる。したがって、分岐路12について、λ12は、T1,12に等しいものとすることができ、分岐路13について、λ13は、T1,13に等しいものとすることができ、分岐路15について、λ15は、T1,15に等しいものとすることができる。その場合、各分岐路内の第1の車両の待ち時間のみが考慮されるため、分岐路内の車両に関するデータを、分岐路内の第1の車両に関するデータに縮約することができる。
【0107】
別の例において、分岐路iの値λは、分岐路iの車両の累積待ち時間、すなわち、Σ(m=1) (m,i)に対応することができ、ここで、kは分岐路i内にあり得る車両の最大数(すなわち、分岐路12について、第1の車両1.1を含む、第1の車両1.1と線12.2との間に車間を詰めることができる車両)であり、T(m,i)は、車両が分岐路内にない場合はヌルとみなされる。
【0108】
したがって、分岐路12について、λ12は、T1,12+T2,12+T3,12+T4,12+T5,12に等しいものとすることができ、分岐路13について、λ13は、T1,13+T2,13に等しいものとすることができ、分岐路15について、λ15は、T1,15に等しいものとすることができる。その場合、分岐路内の全ての車両の待ち時間が考慮される。
【0109】
別の例において、分岐路iの値λは、分岐路iの車両の同じ累積待ち時間、すなわち、Σ(m=1) (m,i)に、分岐路Iの外側の車両の仮想累積待ち時間CT(i)を加算したものに対応することができ、すなわち、λ=Σ(m=1) (m,i)+CT(i)であり、ここで、kは分岐路i内にあり得る車両の最大数(すなわち、分岐路12について、第1の車両1.1を含む、第1の車両1.1と線12.2との間に車間を詰めることができる車両)であり、T(m,i)は、車両が分岐路内にない場合はヌルであり、
【数1】
であり、
【数2】
である。したがって、
λ12は、分岐路12について、T1,12+T2,12+T3,12+T4,12+T5,12+CT(12)に等しく、
λ13は、分岐路13について、CT(13)がヌルであるため、T1,13+T2,13に等しく、
λ15は、分岐路15について、CT(15)がヌルであるため、T1,15に等しい。
【0110】
その場合、分岐路の外側の車両の待ち時間が予測され考慮される。分岐路が新たな車両を受け入れることができない場合(分岐路12に当てはまる)を除いて、値は前例と同じである。分岐路12内では、CT(12)が考慮され、CAV6.1の実際の待ち時間ではなく予測である。
【0111】
ステップS2において、各分岐路内の車両の待ち時間は、分岐路内の車両に関するデータに基づいて求められる。
【0112】
前述のように、分岐路内の車両に関するデータは、これらの車両の位置(例えば、複数の瞬間における車両の位置)、これらの車両の速度(例えば、複数の瞬間における車両の速度)、分岐路内で各車両が静止したまま費やす時間、分岐路内で各車両が費やす時間等であり得る。分岐路内の車両に関するこのデータに基づいて、分岐路の優先レベルに関連する値を計算するCAVは、分岐路内の各車両の待ち時間T(m,i)を直接又は計算によって取得することができ、すなわち、以下のうちの1つを取得する。
車両が分岐路に進入してから分岐路内で費やす時間、
車両が分岐路に進入してから分岐路の長さに比例して分岐路内で費やす時間、
分岐路内で車両が一回目の停止をしてから費やす時間、
車両が静止したまま費やす累積時間、
車両が分岐路内の基準線を通ってから費やす時間(基準線は分岐路のそれぞれにおける同じ位置にある)。
【0113】
第1のCAV1.4が進入時間に横断領域11に進入するための適所にない分岐路の優先レベルに関連する値λを計算する必要はない。これは、例えば、分岐路14内にあるが、T+2において停止線14.1からのD1よりも大きい距離にあるCAV1.4について当てはまる。
【0114】
ステップS3において、ステップS2において計算した優先レベルに関連する値λを、これらの値を求めたCAVが送信する。第1のCAVがこれらの値を求めた例において、これらの第1のCAV(すなわち、各分岐路の第1のCAV)は、これらの値を、これらの値の比較を行うCAV又は複数のCAVに送信する。
【0115】
第1の例において、CAV1.2及びCAV1.3は、それぞれ、CAV1.1に値λ13及びλ15を送信し、CAV1.1は、これらの値を値λ12と併せて比較するCAVである。
【0116】
第2の例において、値を求めた各CAVは、進入時間に横断領域11に進入するための適所にある他の第1のCAVに値を送信する。すなわち、CAV1.2は、CAV1.1及び1.3に値λ13を送信し、CAV1.1は、CAV1.2及び1.3に値λ12を送信し、CAV1.3は、CAV1.1及び1.2に値λ15を送信する。その場合、横断領域11に進入するために競合する各第1のCAVは、求めた全ての値間の比較を行う。
【0117】
少なくとも1つのCAVが全ての値を受信することを可能にする他の任意の解決策を本発明とともに実施することができる。
【0118】
ステップS4において、優先レベルに関連する値λを受信したCAVが値を比較する。例えば、CAVは、
【数3】
を計算し、pは、優先とみなされる分岐路のインデックスである。
【0119】
ステップS3に記載した第1の例の場合、CAV1.1は、値λ12、λ13及びλ15のうちの最大値を求める。
【0120】
ステップS3に記載した第2の例の場合、各CAV1.1、1.2及び1.3は、値λ12、λ13及びλ15のうちの最大値を求める。
【0121】
いずれの場合にせよ、図2においてはλ13が最大値とみなされ、図3においてはλ12が最大値とみなされる。
【0122】
ステップS5において、交差点10にある各CAVは、実行する必要がある命令を決定する。
【0123】
比較を行ったCAVは、その位置に応じて実行する命令をこれらの比較から直接推定することができる。
【0124】
ステップS3に記載した第1の例において、CAV1.1は、図3においてはCT2(ET)にCA11に進入する命令、又は図2においては減速して停止線12.1からの距離D2に停止する命令を推定する。
【0125】
ステップS3に記載した第2の例において、CAV1.1、1.2及び1.3は、以下の命令を推定する。
CAV1.1について、図3においてはCT2(ET)にCA11に進入する命令、又は図2においては減速して停止線12.1からの距離D2に停止する命令、
CAV1.2について、図2においてはCT2(ET)にCA11に進入する命令、又は図3においては停止線12.1からの距離D2に静止する命令、
CAV1.3について、図2及び図3の両方において、停止線12.1からの距離D2に静止する命令。
【0126】
比較を行わなかったCAVは、
別のCAVからの直接命令を受信すること(例えば、CAVは、これらの命令を、比較を行った第1のCAVから又はこれらの命令を中継するCAVから受信することができる)、
優先とみなされる分岐路のインデックスを受信することにより、各CAVは、いずれの第1のCAVが横断領域11に進入するかを判断し、したがって、行うべき命令を推定することを可能にすること、
他のCAVの挙動に基づいて命令を推定すること(例えば、前方のCAVが減速及び停止を行う場合、CAVは減速及び停止を行うことができる)、
のいずれかによって、実行する命令を決定することができる。
【0127】
CAV1.4は、交差点10にある別のCAVから命令を受信するか、又は、どちらの場合でも、前進してT+3に停止線14.1からの距離D1及び速度VTとなるようにCAV1.4に命令する記憶された命令を実行するようにパラメーター化することができる。
【0128】
ステップS6において、各CAVは命令を実行する。命令の実行はT+2において開始し、T+3の後に及び得る。例えば、ETにおいて距離D2に停止するように命令するとき、この命令は、L-1の持続時間の間は静止するように更に命令することができ、ここで、L個の時間単位は、VでCAを横断するために必要な時間に対応する。
【0129】
CA11が依然としてCAV1.1の横断、ひいては後続の車両2.1~6.1の横断に使用されるため、CAV1.4は、減速してT+4において距離D2に停止するように命令される。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
このために、本発明は、N本の分岐路を含む道路交差点におけるコネクテッド自動運転車両の交通を管理する方法であって、
N本の分岐路のうちのM本の分岐路のうちの分岐路iごとに、i∈[1;M]であり、Mは2以上かつN以下であるとして、
第iの分岐路内のCAVによって、第iの分岐路内の他の車両に関するデータを受信することと、
上記CAVによって、CAVに関連するデータと、第iの分岐路内の他の車両に関するデータとに基づいて、第iの分岐路の優先レベルに関連する第iの値を求めることと、
第iの値を比較することと、
比較の結果に応じて、M本の分岐路のうちの1つの第pの分岐路内の第1のCAVに、進入時間に道路交差点の横断領域(CA)に進入するように命令することと、
を含む、方法に関する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
本発明の第3の態様は、コネクテッド自動運転車両(CAV)であって、
通信ユニットと、
プロセッサと、
命令が記憶された非一時的コンピューター可読媒体と、
を備え、命令は、プロセッサによって実行されると、CAVを、
CAVが道路交差点の第の分岐路にあり、上記道路交差点がN本の分岐路を含み、第iの分岐路は、N本の分岐路のうちのM本の分岐路のうちの一つであるとき、
の分岐路内の他の車両に関するデータを受信することと、
CAVに関するデータと、第iの分岐路内の他の車両に関するデータとに基づいて、の分岐路の優先レベルに関連する第iの値を求めることと、
N本の分岐路のうちの上記M本の分岐路それぞれの優先レベルに関連する第iの値を比較することであって、Mは2以上かつN以下であることと、
比較の結果に応じて、1つの第pの分岐路内の第1のCAVに、進入時間内に道路交差点の横断領域(CA)に進入するように命令することと、
を行うように構成する、CAVに関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0079】
分岐路16には車両がない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N本の分岐路を含む道路交差点におけるコネクテッド自動運転車両(CAV)の交通を管理する方法であって、
前記N本の分岐路のうちのM本の分岐路のうちの分岐路iごとに、i∈[1;M]であり、Mは2以上かつN以下であるとして、
第iの分岐路内のCAVによって、前記第iの分岐路内の他の車両に関するデータを受信することと、
前記CAVによって、前記CAVに関するデータと、前記第iの分岐路内の前記他の車両に関する前記データとに基づいて、前記第iの分岐路の優先レベルに関連する第iの値を求めることと、
前記第iの値を比較することと、
前記比較の結果に応じて、前記M本の分岐路のうちの1つの第pの分岐路内の第1のCAVに、進入時間に前記道路交差点の横断領域(CA)に進入するように命令することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第pの分岐路内の前記第1のCAVは、前記CAに目標速度で進入して横断するように命令される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記M本の分岐路のうちの各第iの分岐路内で、前記第iの分岐路の前記第1のCAVが、1つの時間単位内に前記第1のCAVが前記CAに前記進入時間に進入することができるような前記CAからの距離及び速度であるように、前記N本の分岐路のうちの前記M本の分岐路を選択することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記M本の分岐路のうちの第iの分岐路ごとに、前記第iの分岐路の前記第1のCAVは、
前記第iの分岐路内の第1の位置及び目標速度であるか、又は
前記第iの分岐路内の第2の位置及び0の速度である、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記M本の分岐路のうちの前記第pの分岐路以外の少なくとも1つの第qの分岐路について、
前記第qの分岐路内の第1のCAVが前記第1の位置にある場合、前記第qの分岐路内の前記第1のCAVに、時間単位内に減速して前記第2の位置に停止するように命令すること、又は
前記第qの分岐路内の前記第1のCAVが前記第2の位置にある場合、前記第qの分岐路内の前記第1のCAVに、少なくとも時間単位中は前記第2の位置で静止するように命令すること、
を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第qの分岐路内の前記第1のCAVに、少なくとも時間単位中は前記第2の位置で静止するように命令することは、前記進入時間後の少なくともL-1個の時間単位中は前記第2の位置に静止する命令であり、L個の時間単位は、前記目標速度で前記CAを横断する持続時間に対応する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第pの分岐路内の前記第1のCAVに、
前記第pの分岐路内の前記第1のCAVが前記第2の位置にある場合、1つの時間単位内で前記目標速度まで加速して前記CAに前記進入時間に進入すること、又は
前記第pの分岐路内の前記第1のCAVが前記第1の位置にある場合、前記目標速度を維持して前記進入時間に前記CAに進入すること、
を命令することを更に含む、請求項~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の位置及び前記第2の位置は、1つの時間単位内で前記第2の位置から加速して前記CAに進入するための及び1つの時間単位内で前記第1の位置から減速して前記第2の位置に停止するための既定の速度曲線及び/又は加速度曲線に基づいて決定される、請求項4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第pの分岐路内の第2のCAVに、前記CAに進入する前記第pの分岐路内の前記第1のCAVに続いて前記CAに進入するように命令することを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記M本の分岐路のうちの少なくとも第iの分岐路について、車両に関する前記データを取得し、前記第iの分岐路の前記優先レベルを求める前記CAVは、前記第iの分岐路の前記第1のCAVである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
第iの分岐路ごとに、前記第iの分岐路の前記第1のCAVは、前記値を比較し、前記第iの分岐路が前記M本の分岐路のうちで最高の優先レベルを有するか否かを判定する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
各第iの値は、前記第iの分岐路内の前記第1のCAVの待ち時間に基づいて求められる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第iの分岐路内の車両に関する前記データは、前記CAからのD以内の距離にある前記第iの分岐路内の車両に関するデータを含み、前記第iの値は、前記CAからのD以内の距離にある前記第iの分岐路内の前記車両の前記待ち時間に基づいて求められる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第iの分岐路内の車両に関する前記データは、前記CAからのD以内の距離にある前記第iの分岐路内の車両に関するデータを含み、前記第iの値は、待ち中の車両の仮想数に基づいて求められ、前記待ち中の車両の仮想数は、前記第iの分岐路内の第1のk台の待ち中の車両における2つの連続した車両間の前記待ち時間の差の平均に基づいて求められ、前記kは、前記CAからのD以内の距離にある前記第iの分岐路内で待ち得る最大車両である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第iの分岐路内の車両に関する前記データは、前記第iの分岐路内の前記車両の位置及び/又は速度及び/又は待ち時間に関するデータである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法を実行するためにコンピューター可読媒体に記憶されたコード命令を含む、コンピュータープログラム製品。
【請求項17】
コネクテッド自動運転車両(CAV)であって、
通信ユニットと、
プロセッサと、
命令が記憶された非一時的コンピューター可読媒体と、
を備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記CAVを、
前記CAVが道路交差点の第の分岐路にあり、前記道路交差点がN本の分岐路を含み、前記第iの分岐路が、前記N本の分岐路のうちのM本の分岐路のうちの1つであるとき
前記第の分岐路内の他の車両に関するデータを受信することと、
前記CAVに関するデータと、前記第iの分岐路内の前記他の車両に関する前記データとに基づいて、前記第の分岐路の優先レベルに関連する第の値を求めることと、
前記N本の分岐路のうちの前記M本の分岐路それぞれの優先レベルに関連する第iの値を比較することであって、Mは2以上かつN以下であることと、
前記比較の結果に応じて、1つの第pの分岐路内の第1のCAVに、進入時間内に前記道路交差点の横断領域(CA)に進入するように命令することと、
を行うように構成する、CAV。
【国際調査報告】