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特表2024-516919口腔ケア添加剤、口腔ケア組成物、製造方法、セット用具及びその応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-18
(54)【発明の名称】口腔ケア添加剤、口腔ケア組成物、製造方法、セット用具及びその応用
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20240411BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240411BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 31/455 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20240411BHJP
   C07H 21/02 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 38/06 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240411BHJP
   C07D 213/80 20060101ALN20240411BHJP
   C07H 19/048 20060101ALN20240411BHJP
   C07D 471/04 20060101ALN20240411BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q11/00
A61P1/02
A61K31/455
A61K8/60
A61K31/706
C07H21/02
A61K31/7076
A61K8/64
A61K38/06
A61K8/67
A61K31/4745
A61K9/06
A61K9/08
C07D213/80
C07H19/048
C07D471/04 102
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547884
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 CN2022074521
(87)【国際公開番号】W WO2023108866
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】202111550053.7
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511158890
【氏名又は名称】バイオライト・ワールドワイド・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BioRight Worldwide Company Limited
【住所又は居所原語表記】TrustNet Chambers, P.O. Box 3444, Road Town, Tortola, British Virgin Islands
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ジュン
(72)【発明者】
【氏名】プーン、ウィン・ケウン
(72)【発明者】
【氏名】ロー、カム・チュン
【テーマコード(参考)】
4C055
4C057
4C065
4C076
4C083
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA01
4C055CA02
4C055CA57
4C055CA58
4C055DA01
4C057BB02
4C057CC03
4C057DD01
4C057LL05
4C057LL18
4C057LL21
4C057LL29
4C057LL41
4C057LL46
4C057MM00
4C057MM02
4C065AA04
4C065AA19
4C065BB04
4C065CC09
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH08
4C065JJ01
4C065KK08
4C065LL04
4C065PP01
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076BB22
4C076CC16
4C076FF11
4C076FF68
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD391
4C083AD392
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD621
4C083AD622
4C083AD631
4C083AD632
4C083AD641
4C083AD642
4C083AD651
4C083AD652
4C083AD671
4C083AD672
4C083BB55
4C083CC41
4C083DD17
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE31
4C084BA08
4C084BA15
4C084BA23
4C084BA44
4C084MA02
4C084MA16
4C084MA27
4C084MA28
4C084MA43
4C084MA57
4C084NA05
4C084ZA67
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC19
4C086EA11
4C086EA16
4C086EA18
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA06
4C086MA16
4C086MA17
4C086MA27
4C086MA28
4C086MA43
4C086MA57
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA67
(57)【要約】
本発明は、口腔ケア添加剤、口腔ケア組成物、その製造方法、口腔ケアセット用具及びその応用を提供する。口腔ケア添加剤の主成分は1種類または複数のニコチン酸、ニコチンアミド、またはその誘導体を含み、口腔内のβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルを補充および向上させる。組成物の成分は、主成分の機能を補助するための様々なビタミンや補酵素を更に含んでいてもよい。本発明の添加剤とその応用方法は、既存の口腔ケア製品の機能を保持しつつ新しい効能を追加し、使用者により全面的な口腔健康管理体験をもたらせる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチン酸またはその誘導体、およびニコチンアミドまたはその誘導体から選ばれる少なくとも一つの主成分を含むことを特徴とする、口腔ケア添加剤。
【請求項2】
前記ニコチン酸またはその誘導体、およびニコチンアミドまたはその誘導体が、β-ニコチン酸リボシド及びその塩、β-ニコチン酸モノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、β-ニコチンアミドリボシド及びその塩、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載の口腔ケア添加剤。
【請求項3】
前記口腔ケア添加剤が、ビタミンおよび補酵素から選ばれる少なくとも一つの補助成分を更に含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の口腔ケア添加剤。
【請求項4】
前記ビタミンが、ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンC類、ビタミンD類およびビタミンK類から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする、請求項3に記載の口腔ケア添加剤。
【請求項5】
前記補酵素が、グルタチオンまたはその誘導体、三リン酸アデノシンおよびその誘導体、ピロロキノリンキノンまたはその誘導体、アデノシルメチオニンまたはその誘導体、補酵素Aまたはその誘導体、補酵素Q類またはその誘導体から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする、請求項3または4に記載の口腔ケア添加剤。
【請求項6】
前記誘導体が、β-ニコチン酸リボシドまたはその塩、β-ニコチン酸モノヌクレオチドまたはその塩、β-ニコチンアミドリボシドまたはその塩、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドまたはその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドまたはその塩、または還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドまたはその塩であり、
前記ビタミンがビタミンB類、ビタミンC類またはビタミンK類であり、
前記補酵素がグルタチオンまたはその誘導体、またはピロロキノリンキノンまたはその誘導体である
ことを特徴とする、請求項2に記載の口腔ケア添加剤。
【請求項7】
前記口腔ケア添加剤は固体、液体または気体の形態である、請求項1~6のいずれか一項に記載の口腔ケア添加剤。
【請求項8】
前記固体が粉末状、クリーム状、ゼリー状、結晶体から選択された少なくとも一つであり、好ましくは、前記液体が溶液、スラリー、エッセンシャルオイル、非ニュートン流体から選択された少なくとも一つであり、好ましくは、前記気体が液体噴霧から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の口腔ケア添加剤。
【請求項9】
前記主成分の含有量が前記口腔ケア添加剤の総重量の0.1~100%(重量/重量)、好ましくは0.1~90%(重量/重量)、より好ましくは0.1~50%(重量/重量)であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔ケア添加剤。
【請求項10】
前記主成分:前記ビタミン:前記補酵素の重量比が(0.1~99%):(0.1~99%):(0.1~99%)であり、好ましくは(0.1~75%):(0.1~12.5%):(0.1~12.5%)、より好ましくは(0.1~50%):(0.1~25%):(0.1~25%)であることを特徴とする、請求項3に記載の口腔ケア添加剤。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の口腔ケア添加剤を含むことを特徴とする、口腔ケア組成物。
【請求項12】
前記口腔ケア添加剤の含有量が前記口腔ケア組成物の総重量の0.1~50%(重量/重量)、好ましくは0.1~25%(重量/重量)、より好ましくは0.3~15%(重量/重量)であることを特徴とする、請求項11に記載の口腔ケア組成物。
【請求項13】
歯磨き粉、うがい液、口腔スプレー、歯清潔粉末から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項11または12に記載の口腔ケア組成物。
【請求項14】
ガムまたは口腔ゼリー剤であることを特徴とする、請求項11または12に記載の口腔ケア組成物。
【請求項15】
固体、液体または気体の形態であることを特徴とする、請求項11または12に記載の口腔ケア組成物。
【請求項16】
前記ガムは、樹脂、ワックス、リン脂質、調味料、エラストマーのうちの少なくとも一つを更に含み、
好ましくは、前記口腔ゼリー剤は、グリセリン、ソルビトール、トラガカントガム、ナトリウムベンゾエート、ペパーミント油を更に含む
ことを特徴とする、請求項14に記載の口腔ケア組成物。
【請求項17】
ニコチン酸またはその誘導体およびニコチンアミドまたはその誘導体から選択される少なくとも一つの主成分を含む口腔ケア添加剤を提供すること、
前記口腔ケア添加剤が口腔歯肉組織に吸収されることに寄与する担体に対して前記口腔ケア添加剤を添加すること、
を含むことを特徴とする、口腔ケア組成物の製造方法。
【請求項18】
前記担体が、歯磨き粉、うがい液、口腔スプレー、歯清潔粉末、ガム、口腔ゼリー剤のうちの少なくとも一つであることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記口腔ケア添加剤が、ビタミンおよび補酵素から選択される少なくとも一つの補助成分を更に含むことを特徴とする、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記ニコチン酸またはその誘導体およびニコチンアミドまたはその誘導体が、β-ニコチン酸リボシド及びその塩、β-ニコチン酸モノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、β-ニコチンアミドリボシド及びその塩、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項17または18に記載の方法。
【請求項21】
請求項11~16のいずれかに記載の口腔ケア組成物と歯科矯正用ブレースとを含むことを特徴とする、口腔ケアセット用具。
【請求項22】
口腔疾患を治療、予防、または緩和する口腔ケア組成物を製造するための請求項1~10に記載の口腔ケア添加剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人のケア分野に属し、具体的に、口腔ケア添加剤、口腔ケア組成物、製造方法、セット用具及びその応用に関するものであり、特にβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドを主成分とする添加剤を既存および新型の口腔ケア製品に使用して、その効果を増強する。
【背景技術】
【0002】
口腔疾患は歯列不正、虫歯、歯肉炎・出血、歯肉萎縮、歯周炎などを主に含み、中国および世界保健機関によって、心血管・脳血管疾患、がん、糖尿病などの従来の慢性疾患と並んで、5つの重点的な慢性疾患の1つに分類されている。中国においては口腔疾患の患者が年々増加しており、統計によると2018年の患者数が6.94億人を超え、その深刻さが示されている。数多くの口腔疾患の中でも虫歯、歯肉炎・出血が比較的一般的な症状であり、口内清掃不良が原因で、歯垢が歯と歯茎の間に長期間蓄積され、その中の細菌が毒素を生成して組織を刺激し、疾患を引き起こす。口内清掃は口腔疾患を予防・治療する上で重要な要素であり、中国は長年にわたり口腔清掃の重要性を積極的に呼びかけて教育し、幼児期からの毎日の歯磨きの重要性を教育しているが、衛生知識と行動改善を推進するために多大な資源を投入しても、口腔疾患の発病率が高まり続けている問題、特に中国の成人における増加傾向を解決することができていない。
【0003】
人口の高齢化と喫煙も口腔疾患の主要な原因であり、特に中国の人口高齢化問題がますます深刻になるにつれて、2030年に60歳以上の高齢者人口が全体の四分の一を占めるようになった際、口腔疾患の患者数は必ずや高止まりし、国の口腔衛生関連の負担はますます重くなるだろう。口腔疾患は患者に咀嚼の不便をもたらすだけでなく、歯周病が糖尿病、がん、心血管疾患などの他の慢性疾患と関連していることが近年の研究で見出されている。したがって、口腔の健康は公衆衛生を推し進めるにあたっての最前線であると認識されるべきであり、口腔疾患が引き起こす深刻さと関連性を正しく認識しない限り、国民の健康状態は不可避的に後退するほか、口腔疾患が蔓延する現状では予測可能な将来、中国の医療や保健の弱みとなることが必定であり、現在それを抑えしなければ国民や社会の利益に大きなリスクをもたらすことになる。
【0004】
現在の口腔ケアの主な対策は、口腔清掃に重点を置き、口腔内に生じる微生物を除去し繁殖速度を抑制する多様な成分を口腔ケア製品に添加し、歯垢と歯石の形成を抑えることである。例えば、フッ素入り歯磨き粉を毎日朝晩正しい方法で使用し、口腔洗浄剤を使用し、食事後に歯間ブラシを使用して口腔内の残余物を清掃し、定期的に歯科医院で歯の検査を受けることなどが挙げられる。これらの対策は口腔疾患の予防には積極的に効果があり、引き続き推進して実行していくべきだが、予防が主であり、手法として単一的である。成人やすでに口腔疾患にかかっている患者にとっては、病状を遅らせるだけで実質的な改善をもたらすことはできないほか、歯列不正、歯ぎしり、長期の喫煙などによる歯肉やその毛細血管の萎縮など口腔内の細菌によらない口腔疾患には効果がない。また、近年の研究では、口腔疾患、特に歯肉炎・出血、歯肉およびその毛細血管の萎縮によって引き起こされる歯周病と歯骨の退化は、歯肉における炎症性細胞因子の増加によって引き起こされることが分かっている。歯肉炎や歯周病が発生すると、体の免疫系は活性酸素や炎症性細胞因子を生成して細菌や病原体の侵入に対抗するが、これらの物質は歯肉組織にも損傷を与える。研究では、歯肉組織の長寿命タンパク質遺伝子1(Sirtuin 1)を活性化させ、炎症性細胞因子の持続的な生成を抑制することが、これらの状況を改善するための効果的な対策であることが明らかになっている。
【0005】
口腔ケア製品は、多くの年月を経てもなお、細菌を減少させる機能の開発や化学物質の添加に重点を置いており、歯や歯肉の感受性などの問題に対する物理的なアプローチは過去を踏襲したもので進歩的でなく、口腔ケア製品の機能上の発展は長年停滞している。一般の人々が口腔ケアに対する意識を益々高めていても口腔疾患患者数は依然として年々増加しており、公衆衛生に前例のない課題をもたらしている。
【0006】
よって、(少なくとも一つの面で改善された)新しい口腔ケア添加剤やその添加剤を使用した口腔ケア組成物がやはり必要である。
【発明の概要】
【0007】
上記の問題を解決するために、本発明は口腔ケア添加剤、それの口腔ケア組成物における使用、口腔ケア組成物、口腔ケア組成物の製造方法と使用方法を提供する。特に、既存の口腔ケア製品に当該添加剤を添加することにより、当該製品の効果(例えば、歯周病や歯肉炎などの口腔疾患の治療、予防、緩和)を向上させることができる。また本発明は、当該添加剤を主成分とする製品の使用と方法も提供する。
【0008】
本発明に係る口腔ケア添加剤は主成分としてβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドを使用しており、既存の口腔ケア製品に組み合わせることにより、歯肉組織中のβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルを高めるとともに、当該製品の元来の効果を発揮させることができる。本発明はさらに、当該添加剤を主成分とする新型口腔ケア製品も提供する。この新型製品はβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドを含有するガムや口腔ゼリー剤が含まれ、当該添加剤の組み合わせに適した使用プラットフォームを提供しており、様々な口腔の健康状態を持つ人々に便利性をもたらす。
【0009】
具体的には、本発明は以下のものを提供する。
1. ニコチン酸またはその誘導体、およびニコチンアミドまたはその誘導体から選ばれる少なくとも一つの主成分を含む、口腔ケア添加剤。
2. 前記ニコチン酸またはその誘導体、およびニコチンアミドまたはその誘導体が、β-ニコチン酸リボシド及びその塩、β-ニコチン酸モノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、β-ニコチンアミドリボシド及びその塩、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一つである、上記任意の口腔ケア添加剤。
3. 前記口腔ケア添加剤が、ビタミンおよび補酵素から選ばれる少なくとも一つの補助成分を更に含む、上記任意の口腔ケア添加剤。
4. 前記ビタミンが、ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンC類、ビタミンD類およびビタミンK類から選ばれる少なくとも一つである、上記任意の口腔ケア添加剤。
5. 前記補酵素が、グルタチオンまたはその誘導体、三リン酸アデノシンおよびその誘導体、ピロロキノリンキノンまたはその誘導体、アデノシルメチオニンまたはその誘導体、補酵素Aまたはその誘導体、補酵素Q類またはその誘導体から選ばれる少なくとも一つである、上記任意の口腔ケア添加剤。
6. 前記誘導体が、β-ニコチン酸リボシドまたはその塩、β-ニコチン酸モノヌクレオチドまたはその塩、β-ニコチンアミドリボシドまたはその塩、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドまたはその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドまたはその塩、または還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドまたはその塩であり、
前記ビタミンがビタミンB類、ビタミンC類またはビタミンK類であり、
前記補酵素がグルタチオンまたはその誘導体、またはピロロキノリンキノンまたはその誘導体である、
上記任意の口腔ケア添加剤。
7. 前記口腔ケア添加剤は固体、液体または気体の形態である、上記任意の口腔ケア添加剤。
8. 前記固体が粉末状、クリーム状、ゼリー状、結晶体から選択された少なくとも一つであり、好ましくは、前記液体が溶液、スラリー、エッセンシャルオイル、非ニュートン流体から選択された少なくとも一つであり、好ましくは、前記気体が液体噴霧から選択される、上記任意の口腔ケア添加剤。
9. 前記固体はゼリーから選択され、前記液体は溶液から選択され、前記気体は液体噴霧から選択される、上記任意の口腔ケア添加剤。
10. 前記主成分の含有量が前記口腔ケア添加剤の総重量の0.1~100%(重量/重量)、好ましくは0.1~90%(重量/重量)、より好ましくは0.1~50%(重量/重量)である、上記任意の口腔ケア添加剤。
11. 前記主成分:前記ビタミン:前記補酵素の重量比が(0.1~99%):(0.1~99%):(0.1~99%)であり、好ましくは(0.1~75%):(0.1~12.5%):(0.1~12.5%)、より好ましくは(0.1~50%):(0.1~25%):(0.1~25%)である、上記任意の口腔ケア添加剤。
12. 1~11の何れか1項に記載の口腔ケア添加剤を含むことを特徴とする、口腔ケア組成物。
13. 前記口腔ケア添加剤の含有量が前記口腔ケア組成物の総重量の0.1~50%(重量/重量)、好ましくは0.1~25%(重量/重量)、より好ましくは0.3~15%(重量/重量)である、上記任意の口腔ケア組成物。
14. 歯磨き粉、うがい液、口腔スプレー、歯清潔粉末から選択される少なくとも一つである、上記任意の口腔ケア組成物。
15. ガムまたは口腔ゼリー剤である、上記任意の口腔ケア組成物。
16. 固体、液体または気体の形態である、上記任意の口腔ケア組成物。
17. 前記ガムは、樹脂、ワックス、リン脂質、調味料、エラストマーのうちの少なくとも一つを更に含み、
好ましくは、前記口腔ゼリー剤は、グリセリン、ソルビトール、トラガカントガム、ナトリウムベンゾエート、ペパーミント油を更に含む、上記任意の口腔ケア組成物。
18. ニコチン酸またはその誘導体およびニコチンアミドまたはその誘導体から選択される少なくとも一つの主成分を含む口腔ケア添加剤を提供すること、
前記口腔ケア添加剤が口腔歯肉組織に吸収されることに寄与する担体に対して前記口腔ケア添加剤を添加すること、
を含む、口腔ケア組成物の製造方法。
19. 前記担体が、歯磨き粉、うがい液、口腔スプレー、歯清潔粉末、ガム、口腔ゼリー剤のうちの少なくとも一つである、上記任意の方法。
20. 前記口腔ケア添加剤が、ビタミンおよび補酵素から選択される少なくとも一つの補助成分を更に含む、上記任意の方法。
21. 前記ニコチン酸またはその誘導体およびニコチンアミドまたはその誘導体が、β-ニコチン酸リボシド及びその塩、β-ニコチン酸モノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、β-ニコチンアミドリボシド及びその塩、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩から選択される少なくとも一つである、上記任意の記載の方法。
22. 上記任意の口腔ケア組成物と歯科矯正用ブレースとを含む、口腔ケアセット用具。
23. 口腔疾患を治療、予防、または緩和する口腔ケア組成物を製造するための上記任意の口腔ケア添加剤の使用。
【0010】
この発明の特徴と利点は以下の通りである。
1. 本発明は口腔ケア添加剤、その使用および関連方法を提供する。添加剤には一種類または複数種類のニコチン酸またはその誘導体、ニコチンアミドまたはその誘導体(好ましくはβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドおよび酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドおよびその塩)が主成分として含まれ、歯肉組織中のβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルを補充および向上させるために使用される。この組成物の口腔衛生への応用は新しい躍進であり、口腔ケア製品は口腔衛生の維持や歯の敏感症状の緩和といった単一の機能にもはや限定されない。
2. 本発明に係る口腔ケア添加剤の物質はすべて天然素材で無害であり、各生物の体内に存在しており、安全であり信頼性が高く、一般の使用者の口腔衛生に有害な反応や悪影響を与えることがなく、年齢を問わず誰でも毎日使用できる。
3. 本発明は、口腔ケア添加剤を歯磨き粉やうがい液などの既存の口腔ケア製品に添加する方法を提供しており、これは簡単に行える。添加剤の組み合わせは口腔ケア製品中の成分と科学的に反応しないため、口腔ケア製品の元来の機能や効果に影響を与えたり、それを低下させたりしない。当該口腔ケア製品を使用すれば、使用者は口腔を清潔できると同時に、その過程で添加剤の成分を吸収して歯肉中のβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルを補充および向上させることができるため、余分な時間を必要とせずに両側面からより全面的な口腔ケアを行うことができる。
4. 本発明に係る新型口腔ケア組成物の1つは、口腔ケア添加剤を含むガムである。この製品は通常の咀嚼能力を持つ使用者に適しており、いつでもどこでもガムを咀嚼することにより、歯肉中のβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルを補充および向上させることができる。使用者はガムを咀嚼することで添加剤を放出させるが、ガムの咀嚼時間は通常比較的長いため、歯肉中の毛細血管に直接吸収される機会が増える。この方法は、ガムの物理的特性上含有量の高い添加剤を効果的に活用するのみならず、口腔内での咀嚼習慣、即ち絶えず咀嚼する過程で歯肉に貼りつくという点を利用しており、ガム中の添加剤が最も直接的かつ安定的に歯肉組織中の毛細血管に吸収されるため、他の使用方法よりも直接的で持続的である。
5. 本発明に係るもう1つの新型口腔ケア組成物は、口腔ケア添加剤を含有した口腔ゼリー剤である。この製品は咀嚼能力が低い人々や義歯の使用者に適している。このような人々は多くが高齢者や重度の歯周病患者であり、歯肉の健康を促進し、歯肉炎を減らし、歯肉の毛細血管の増殖を促進して歯肉の収縮を避けるために、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルを補充および向上させる必要性がより大きい。こういった側面の機能は既存の口腔ケア製品に欠けたものであり、本発明は特に専らそういった人々のために設計を行った。口腔ゼリー剤は水を主成分としており、ハーブなど天然の鎮静成分を添加して、使用者に鎮静効果をもたらすことができる。使用者は口腔ゼリー剤を歯科矯正用ブレースに注入した上で口腔内に入れるのみで、口腔ゼリー剤を歯肉の表層に直接接触させて、最も直接的な条件で歯肉に直接吸収させることができる。水性ゼリー剤は使用前に冷凍または保温して適切な温度にすることができ、使用者が自分自身の体験に合わせて最適な選択をできるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施例6(図中では口腔ケア添加剤と表示)と実施例7(図中ではβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドと表示)の時間経過に伴う安定性の研究結果を示している。
図2図2は、口腔ケア添加剤を添加しなかった場合と、実施例2の口腔ケア添加剤を異なる投与量だけ添加した場合、の培地中の口腔組織細胞の生長効果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
具体的な実施の形態
以下、具体的な実施の形態の記述を通して本発明について更なる説明を加えるが、これは本明細書に対する制限ではない。当業者は、本明細書の基本的な考え方に基づいて様々な変更や改善を行うことができ、それらは本明細書の基本的な考え方から逸脱しない限り、本明細書の範囲に含まれる。
【0013】
口腔疾患は現在、中国で最も重視すべき公衆衛生問題となっており、虫歯や歯周病などの疾患にかかっている人の数は全人口の3分の1を超え、この傾向はますます顕著になりつつある。予てからの人口高齢化も加味すれば、口腔疾患は数年のうちに中国の慢性疾患の筆頭に鎮座してしまう恐れがあり、それは中国の保健状況にとって大きな重荷となるだろう。したがって、社会は口腔疾患の重要性を重視すべきである。『「健康中国2030」計画概要』および『中国慢性病予防中長期計画(2017-2025年)』では口腔衛生の重要性が強調されており、口腔衛生の啓蒙活動をより一層強化し、一般市民の行動と積極性を高めることが提唱されている。これらの政策と措置は特に若年層の口腔衛生において段階的な成果を上げているが、中国の口腔疾患の患者数はいまだ高止まりしている。この長年棚上げされてきた公共衛生問題に新たな知見をもたらすことは、ある程度の成果が見込めるものである。
【0014】
近年の科学技術の日進月歩とも言える発展に伴い、科学界では口腔衛生と疾患に関する研究も益々広がっており、特にβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの口腔衛生における重要性がより明確に理解されるようになっている。
【0015】
β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは生物体内における重要な補酵素であり、体の各生理機能の調節に加えて、長寿命タンパク質遺伝子の活性化や炎症性細胞因子の抑制の役割を持っている。そのため、歯肉組織中のβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルを増加させる物質を使用することは口腔ケアにとって非常に重要である。β-ニコチンアミドモノヌクレオチドは、β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの直接前駆体であり、細胞内で酵素によってβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドに変換される。β-ニコチンアミドモノヌクレオチドは高い安定性と安全性を持ち、人体に容易に吸収されるため、歯肉中のβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルを増加させるには理想的な物質である。
【0016】
また、他のニコチン酸やその誘導体及びニコチンアミドやその誘導体を直接投与することでも同様の効果が得られる。これらのニコチンアミドやその誘導体及びニコチン酸やその誘導体には、β-ニコチン酸リボシド及びその塩、β-ニコチン酸モノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、β-ニコチンアミドリボシド及びその塩、、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0017】
歯肉炎や歯周病といった口腔疾患の患者の多くが成人から老年者に集中していることに本発明者は着目した。これらの患者は年齢とともに病状が悪化し、咀嚼能力が低下して生活の質が低下することが多い。近年の科学的研究により人体中のβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルが年齢とともに減少することが明らかになっているが、この事実とこのような老化状態とには密接な関係があることを本発明者は見出した。また最近の研究では、β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドが歯肉炎に対して保護作用をもたらし、歯周病によって生じた活性酸素による歯肉組織の破壊を抑制するために歯肉中の長寿命タンパク質遺伝子1を活性化することが示されている。したがって本発明者は、歯肉中のβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルが口腔の健康にとって非常に重要であると考えた。また、このような人々は自身のβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルが低いため、体内のレベルを可能な限り速やかに引き上げなければならず、同時に歯肉から直接吸収する必要がある。近年の科学的研究によると、ニコチンアミドまたはその誘導体を吸収すれば、生物中のβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルを上げることができる。また、その中でもβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの直接前駆体であるβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドを使用することが最も効果的で安全であるとされている。
【0018】
したがって、本発明者はこの物質の応用可能性を研究した。その結果、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドは人体に容易に吸収される上、体内で速やかにβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドに変換され、体内レベルを向上させることが証明された。研究はまた、β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルを向上することが、新陳代謝、体内時計、身体機能の改善に明らかに効果があることを指摘しているほか、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを使用してβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを向上させることが、筋肉中の毛細血管の生成を促進して機能の改善につながることが証明されており、このことは歯周病による歯肉萎縮が起因して歯が抜けてしまうことを予防するために歯肉中の毛細血管の生成を促進することに利用できる。β-ニコチンアミドモノヌクレオチドは天然物質であり、安定性が高く、研究でも人体に対して安全であることが証明されている上、各国の人々が摂取し始めており、良いフィードバックを得ている。そのため、本発明者は、添加剤の主要成分としてはβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドが最も適切であると考えている。β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは体内に重要な補酵素であり、各細胞組織は各種の生理反応を行うためにその存在に依存している。ただ口腔の問題に関しては、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを経口摂取することによってのみでは十分に対処できず、より直接的な方法でβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドを歯肉に入れ、その毛細血管に吸収させる必要がある。そのようにすれば、歯肉中のβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルを直接向上させることができる。また同時に本発明者は、歯肉中のβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルを向上させるための応用と方法は、使用者の利便性を重視して既存の口腔清掃習慣に組み合わせることで相乗効果が生まれると考えている。
【0019】
このため、本発明は口腔ケア添加剤、口腔ケア組成物、その応用及び方法を提供し、従来の口腔ケアに新たな手段を提供し、既存の口腔ケア製品の効果を向上させて新しい応用と方法を提供する。新しい科学成果を実際に一般庶民に応用し、口腔清掃と歯肉中のβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルの向上とを融合させ、より良好な口腔衛生環境を作り出す。これは一般庶民の個人的健康ニーズと公共衛生の利益に合致するものとなる。
【0020】
本発明の口腔ケア添加剤及びその応用は、従来の口腔健康ケアにおいて偏重されていた口腔清掃に対する固定観念や思考様式を一掃するものであり、β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルの向上を新たな基軸として既存の口腔ケア習慣に組み込むことで、より包括的な口腔健康体験を提供し、国の公共健康の基盤をより安定的にするものとなる。
【0021】
一つの側面において、本発明は、ニコチン酸またはその誘導体、およびニコチンアミドまたはその誘導体から選択される少なくとも1つの主成分を含む口腔ケア添加剤を提供する。
【0022】
ニコチン酸またはその誘導体、およびニコチンアミドまたはその誘導体は、β-ニコチン酸リボシド及びその塩、β-ニコチン酸モノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、β-ニコチンアミドリボシド及びその塩、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一つである。
【0023】
好ましくは、口腔ケア添加剤は、口腔中のβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのレベルの向上と補充を主な機能とする。口腔ケア添加剤の組み合わせは、少なくとも1種類の直接的または間接的な機能性物質を含み、それは1種類または複数のニコチン酸またはその誘導体とニコチンアミドまたはその誘導体が含まれる。1種類または複数のニコチン酸またはその誘導体は、ニコチン酸、β-ニコチン酸リボシド及びその塩、β-ニコチン酸モノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩を含む。1種類または複数のニコチンアミドまたはその誘導体は、ニコチンアミド、β-ニコチンアミドリボシド及びその塩、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、又は還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩を含む。
【0024】
前記少なくとも1種の直接または間接的な機能性物質の重量パーセント合計は、口腔ケア添加剤全体の0.1~100%(w/w)であることが望ましく、0.1~90%(w/w)がより望ましく、0.1~50%(w/w)が最も望ましい。
【0025】
口腔ケア添加剤中の直接または間接的な機能性物質は、好ましくはβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド、β-ニコチンアミドボシド、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、β-ニコチン酸モノヌクレオチド、およびβ-ニコチン酸リボシドから選択され、より好ましくはβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド、β-ニコチンアミドリボシド、および酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドから選択され、最適なのはβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドの使用である。
【0026】
好ましくは、口腔ケア添加剤は更に、ビタミンと補酵素から選択される少なくとも1つの補助成分を含む。
【0027】
ビタミンは、ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンC類、ビタミンD類、ビタミンK類から選択される少なくとも1つである。
【0028】
補酵素は、グルタチオンまたはその誘導体、三リン酸アデノシンおよびその誘導体、ピロロキノリンキノンまたはその誘導体、アデノシルメチオニンまたはその誘導体から選択される少なくとも1つである。
【0029】
口腔ケア添加剤の1つの好ましい実施形態では、ニコチン酸またはその誘導体、およびニコチンアミドまたはその誘導体は、β-ニコチン酸リボシドまたはその塩、β-ニコチン酸モノヌクレオチドまたはその塩、β-ニコチンアミドリボシドまたはその塩、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドまたはその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドまたはその塩、または還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドまたはその塩であり、ビタミンは、ビタミンB類、ビタミンC類、またはビタミンK類であり、補酵素はグルタチオンまたはその誘導体、ピロロキノリンキノンまたはその誘導体、補酵素Aまたはその誘導体、補酵素Qまたはその誘導体のうちの少なくとも1つである。
【0030】
口腔ケア添加剤は固体、液体、気体のいずれかであってもよい。固体は粉末、ペースト、ゼリー、および結晶体から選択できる。液体は溶液、スラリー、エッセンシャルオイル、非ニュートン流体から選択できる。気体は液体噴霧から選択できる。
【0031】
本発明の口腔ケア添加剤の1つの実施形態によると、少なくとも1つの主成分の含有量は口腔ケア添加剤の総重量の0.1~100%(重量/重量)であり、好ましくは0.1~90%(重量/重量)、より好ましくは0.1~50%(重量/重量)である。
【0032】
好ましくは、主成分:前記ビタミン:前記補酵素の重量比は(0.1-99%):(0.1-99%):(0.1-99%)であり、好ましくは(0.1-75%):(0.1-12.5%):(0.1-12.5%)、より好ましくは(0.1-50%):(0.1-25%):(0.1-25%)である。
【0033】
本発明の口腔ケア剤は高い安定性を有し、既存の口腔ケア製品中の化合物と化学反応を生じることがなく、その有効性に影響を与えたりそれを低下させたりすることがないという利点がある。
【0034】
本発明の第二の側面では、上記の口腔ケア添加剤を含む口腔ケア組成物を提供する。言い換えると、本発明の口腔ケア組成物は、ニコチン酸またはその誘導体、およびニコチンアミドまたはその誘導体のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0035】
一つの実施形態において、口腔ケア添加剤の含有量は、口腔ケア組成物の総重量の0.1~50%(重量/重量)であり、好ましくは0.1~25%(重量/重量)、より好ましくは0.3~15%(重量/重量)である。
【0036】
一つの実施形態において、口腔ケア組成物は、歯磨き粉、うがい液、口腔スプレー、歯清潔粉末から選択される少なくとも1つであってもよい。これらはすべて既存の口腔ケア製品である。
【0037】
口腔ケア組成物は更に、ガムや口腔ゼリーなどの新しい口腔ケア製品であってもよい。
【0038】
口腔ケア組成物は固体、液体、気体の形態であってもよい。固体は粉末、クリーム、ゼリー、結晶体などから選択することができる。液体は溶液、スラリー、エッセンシャルオイル、非ニュートン流体などから選択することができる。気体は液体噴霧から選択することができる。
【0039】
新型口腔ケア製品として、ガムは樹脂、ワックス、リン脂質、調味料、エラストマーのうちの少なくとも1つを含んでもよい。一つの実施形態において、口腔ケア添加剤を含む新型口腔ケア製品としてのガムは、口腔ケア添加剤の担体である。この担体は担持量が大きく携帯性に優れるという利点があり、使用者の歯肉表面に安定して付着することができ、ガム中に放出された口腔ケア添加剤組成物を直接歯肉とその毛細血管に吸収させることができる。使用者は咀嚼時に物質を放出させ、唾液を介して歯肉とその毛細血管に吸収させることもできる。
【0040】
新型口腔ケア製品として、口腔ゼリーは更にグリセリン、ソルビトール、トラガカントガム、ナトリウムベンゾエート、ペパーミント油を含んでもよい。一つの実施形態において、口腔ケア添加剤を含む新型口腔ケア製品としての口腔ゼリーは歯科矯正用ブレースと併用でき、口腔ケア添加剤の担体である。この担体は歯科矯正用ブレースと併用することで歯肉表面に付着し、口腔ケア添加剤組成物を歯肉に吸収させることができ、咀嚼能力が不十分な患者や義歯を使用している患者、歯の欠損がある患者に適している。
【0041】
口腔ケア添加剤を含む前記ガムと口腔ゼリーには、使用者の要望に合わせて様々な味や色を加えられる。前記口腔ゼリーは10~40度で使用することができる。
【0042】
一つの実施例において、本発明は一般的な使用者の利便性を考慮し、口腔ケア添加剤の組成物を含むガムを製造した。ガムは主に樹脂、ワックス、エラストマーを主成分としているが、本発明が応用した材料は植物性原料を基にしており、主成分としてManilkara zapota樹液、アラビアゴム、レシチンなどを含んでいる。これらは通常のガムと同じ特性と機能を持ち、自然的に分解される。口腔ケア添加剤組成物の食用担体には、次のような多くの利点がある。まずガムの成分はすべて不活性物質であり、製造時に口腔ケア添加剤組成物中の物質と反応することがない。口腔ケア添加剤の組成物は0.1~20%(重量/重量)の固体または液体としてガムに添加することができ、その際に口腔ケア添加剤組成物の成分は変化せず、機能成分の含有量は通常の保存条件下で3ヶ月間95%以上維持される。またガムには使用者に合った食感や味を生じさせるために、多種多様な天然調味料を加えることもできる。
【0043】
別の実施例において、本発明は更に、使用者がガムを噛む習慣を利用して、添加剤中の主要成分であるβ-ニコチン酸モノヌクレオチドが歯肉とその毛細血管に吸収されるような有利な条件を作り出した。1. 使用者がガムを噛むたびに、ガム中に担持された口腔ケア添加剤の組成物が歯肉に放出される。2. ガムを噛むと同時に唾液の分泌が刺激され、口腔ケア添加剤も唾液を介して体内に吸収される。3. ガムを噛むと歯肉とガムが頻繁に接触するため、使用者は自然とガムを歯肉と歯の部位に付着させることになる。このようにして、歯肉組織に長時間接触する有利な条件が作られ、口腔ケア添加剤は直接歯肉に吸収され、毛細血管に送られる。口腔ケア添加剤の組成物を含むガムは使用者が持ち運びしやすく、いつでもどこでもβ-ニコチンアミドジヌクレオチドを歯肉に補充してそのレベルを高めることができる。
【0044】
別の実施例において、発明者は、口腔ケア添加剤の組成物を含む別の新型口腔ケア製品を製造した。その製品は口腔ゼリー剤であり、咀嚼能力が低い人、義歯を使用している人、歯の一部が欠落している口腔疾患患者の使用に供する。製品の総重量に対して10%(w/w)の口腔ケア添加剤の組成物(β-ニコチンアミドモノヌクレオチド:S-アセチルグルタチオン:ビタミンCの比率が6:2:2)、15%(w/w)のグリセリン、15%(w/w)のソルビトール、2%(w/w)のトラガカントガム、2.5%(w/w)のナトリウム安息香酸、0.1%(w/w)のペパーミント油を容器に順次加え、純水を添加して容量を調整し、250rpmで12時間かき混ぜて液体状のペースト状にした。使用者は使用前に口腔ゼリーを二つの歯科矯正用ブレースに均等に注入し、歯科矯正用ブレースを上下の歯茎に別々に挿入し、唇を閉じてブレースが落ちないようにする。10分間後、歯科矯正用ブレースを取り出して口をすすげば終了する。口腔ゼリーにおける口腔ケア添加剤の組成物の成分は、歯肉と毛細血管に吸収されて使用目的を達成する。口腔ゼリーの成分はどれも不活性物質であり、口腔ケア添加剤の組成物の機能成分と化学反応を起こさず、口腔ケア添加剤を安定させられるので、一般的な保存条件下で口腔ゼリーの口腔ケア添加剤の含有量は95%以上に保たれる。口腔ゼリーは使用するまでに10℃を下回らない温度に冷却するか37℃以下に保温することができ、温度変化が物理的、機能的性質や安定性に影響を与えることはない。
【0045】
本発明によれば、口腔ケア添加剤は高い安定性という利点が得られる。既存の口腔ケア製品の化合物と化学的反応を起こすことも、製品の有効性に影響を与えたりそれを低下させたりすることもない。
【0046】
本発明の第三の側面では、口腔ケア組成物の製造方法を提供する。以下の手順を含む。
ニコチン酸またはその誘導体およびニコチンアミドまたはその誘導体から選択される少なくとも一つの主成分を含む口腔ケア添加剤を提供する。
前記口腔ケア添加剤が口腔歯肉組織に吸収されることに寄与する担体に対して前記口腔ケア添加剤を添加する。
【0047】
一つの実施形態において、担体は歯磨き粉、うがい液、口腔スプレー、歯清潔粉末、ガム、口腔ゼリーのうちの少なくとも1つである。
【0048】
上記のように、口腔ケア添加剤は更に、ビタミンと補酵素から選択される少なくとも1つの補助成分を含んでもよい。前記ニコチン酸またはその誘導体、およびニコチンアミドまたはその誘導体は、β-ニコチン酸リボシド及びその塩、β-ニコチン酸モノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、β-ニコチンアミドリボシド及びその塩、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩から少なくとも1つを選択することができる。
【0049】
本発明の第四の側面では、口腔ケア組成物および歯科矯正用ブレースを含む口腔ケア用のセット用具を提供している。口腔ケア組成物は、ニコチン酸またはその誘導体、およびニコチンアミドまたはその誘導体から選択した少なくとも一つを含んでよい。
【0050】
一つの実施形態によれば、本発明は、1種または複数種のニコチン酸およびその誘導体、ニコチンアミドおよびその誘導体、ビタミンおよび補酵素を主成分として構成される口腔ケア添加剤の組成物を提供する。ニコチン酸またはその誘導体は、ニコチン酸、β-ニコチン酸リボシド及びその塩、β-ニコチン酸モノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩を含む。ニコチンアミドの誘導体は、ニコチンアミド、β-ニコチンアミドリボシド及びその塩、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩を含む。ビタミンは、ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンC類、ビタミンD類、ビタミンK類を含む。補酵素は、グルタチオンおよびその誘導体、三リン酸アデノシンおよびその誘導体、ピロロキノリンキノンおよびその誘導体、アデノシルメチオニンおよびその誘導体、補酵素Aまたはその誘導体、補酵素Q類またはその誘導体のうちの少なくとも一つを含む。好ましくは、組成物におけるニコチン酸またはその誘導体は、β-ニコチン酸リボシド及びその塩とβ-ニコチン酸モノヌクレオチド及びその塩である。好ましくは、組成物におけるニコチンアミドまたはその誘導体は、β-ニコチンアミドリボシド及びその塩、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドまたはその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドまたはその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドまたはその塩である。好ましくは、組成物におけるビタミンは、ビタミンB類、ビタミンC類、及びビタミンK類である。好ましくは、組成物における補酵素は、グルタチオンおよびその誘導体、及びピロロキノリンキノンおよびその誘導体である。この組成物の最大の目的は、歯肉中のβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを補充してそのレベルを向上させることであるため、発明者は当該組成物においてβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドを主成分とし、その他の成分を補助成分として提案している。
【0051】
本発明者は、この組成物中の物質を既存の口腔ケア製品に直接添加することを提案しており、添加量は0.1~10%(w/v)であってよい。本発明の一つの実施例によると、口腔ケア組成物はβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド、グルタチオン誘導体であるS-アセチルグルタチオン、およびビタミンCを選択して歯磨き粉に添加している。組成物の総重量に対してβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド:S-アセチルグルタチオン:ビタミンCの重量比を6:2:2として容器にて粉末状態で混合し、歯磨き粉の総重量の1%として加えた上で、スプーンで混合して明らかな固形物がなくなるまで撹拌した。別の実施例では、同一の組成物を同一の比率でうがい液に添加して溶解した。添加剤の組成物を加えた歯磨き粉とうがい液は元来の製品と色、匂い、安定性および抗菌性の対比実験を行ない、口腔ケア製品の物理的および機能的特性に影響を与えていないことを証明した。
【0052】
前記組成物中の直接的または間接的な機能性物質は、好ましくはβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド、β-ニコチンアミドリボシド、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、β-ニコチン酸モノヌクレオチド、β-ニコチン酸リボシドであり、より好ましくは、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド、β-ニコチンアミドリボシド、および酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドであり、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドおよび酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを使用することが最適である。
【0053】
本発明は更に、口腔疾患を治療、予防、または緩和する口腔ケア組成物を製造するための上記任意の口腔ケア添加剤の使用を提供する。
【0054】
以下、実例を通して本発明の内容をより詳しく説明するが、これらの実例は本発明の請求範囲を限定するものと理解されるべきではない。
【実施例
【0055】
以下の例は、特定の条件が明記されていない場合は、通常の条件またはメーカーの推奨条件に従って行われる。特に説明がない限り、記載されているパーセンテージは重量パーセンテージである。
【0056】
以下の例で使用される材料と機器の説明は以下のとおりである。
β-ニコチンアミドモノヌクレオチド:GeneHarbor (Hong Kong) Biotechnologies Ltd.からの提供。
酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド:GeneHarbor (Hong Kong) Biotechnologies Ltdからの提供。
S-アセチルグルタチオン:GeneHarbor (Hong Kong) Biotechnologies Ltdからの提供。
アスコルビン酸ナトリウム(ビタミンC):Shanghai Aladdin Biochemical Technology Co., Ltdから購入。
黒人歯磨き粉:Market Place by Jasonsから購入。
コロゲートトータル3ポイント歯磨き粉:Market Place by Jasonsから購入。
リステリン全面ガード配合うがい液:Market Place by Jasonsから購入。
ガムベースパウダー:Glee gumから購入。
ソルビトール:Shanghai Aladdin Biochemical Technology Co., Ltdから購入。
ペパーミントエキス:Guangzhou Baiyu Biotechnology Co., Ltd.から購入。
ブリリアントブルー:山東谷康生物工程有限公司から購入。
リン酸ナトリウム(リン酸二水素ナトリウム一水合物およびリン酸一水素二ナトリウム):Shanghai Aladdin Biochemical Technology Co., Ltdから購入。
【0057】
実施例1:β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを含有する固体口腔ケア添加剤の調製
100gの固体口腔ケア添加剤を調製する。滅菌済みの500ml容量のビーカーに、順番にβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド、S-アセチルグルタチオン、アスコルビン酸ナトリウムを加える。口腔ケア添加剤の組成物において、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド:グルタチオン:アスコルビン酸ナトリウムの重量比は6:2:2であり、即ち100gの固体口腔ケア添加剤中、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドの重量は60g、S-アセチルグルタチオンの重量は20g、アスコルビン酸ナトリウムの重量は20gとなる。これら三つの物質はすべて粉末状であり、ビーカーに加えた後、スプーンで20回以上かき混ぜ、各物質を完全に混合させる。10mgの混合サンプルを取り1mlの純水に溶解して、付属書1の高速液体クロマトグラフィーで機能成分の含有量を分析する。
【0058】
実施例2:β-ニコチンアミドモノヌクレオチドと酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含有する固体口腔ケア添加剤の調製
100gの固体口腔ケア添加剤を調製する。滅菌済みの500ml容量のビーカーに、順番にβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、S-アセチルグルタチオン、アスコルビン酸ナトリウムを加える。口腔ケア添加剤の組成物において、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド:酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド:グルタチオン:アスコルビン酸ナトリウムの重量比は3:3:2:2であり、即ち100gの固体口腔ケア添加剤中、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドの重量は30g、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの重量は30g、S-アセチルグルタチオンの重量は20g、アスコルビン酸ナトリウムの重量は20gとなる。これら四つの物質はすべて粉末状であり、ビーカーに加えた後、スプーンで20回以上かき混ぜ、各物質を完全に混合させる。10mgの混合サンプルを取り1mlの純水に溶解して、付属書1の高速液体クロマトグラフィーで機能成分の含有量を分析する。
【0059】
実施例3:β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドと酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含有する固体口腔ケア添加剤の調製
100gの固体口腔ケア添加剤を調製する。滅菌済みの500ml容量のビーカーに、順番にβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、グルタチオン、アスコルビン酸ナトリウムを加える。口腔ケア添加剤の組成物において、β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド:酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド:S-アセチルグルタチオン:アスコルビン酸ナトリウムの重量比は4:4:1:1であり、即ち100gの固体口腔ケア添加剤中、β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの重量は40g、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの重量は40g、グルタチオンの重量は10g、アスコルビン酸ナトリウムの重量は10gとなる。これら四つの物質はすべて粉末状であり、ビーカーに加えた後、スプーンで20回以上かき混ぜ、各物質を完全に混合させる。10mgの混合サンプルを取り1mlの純水に溶解して、付属書1の高速液体クロマトグラフィーで機能成分の含有量を分析する。
【0060】
実施例4:β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを含有する液体口腔ケア添加剤の調製
100mlの液体口腔ケア添加剤を調製する。滅菌された500ml容量のビーカーに、順番にβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド、グルタチオン、アスコルビン酸ナトリウムを加える。口腔ケア添加剤の組成物において、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド:グルタチオン:アスコルビン酸ナトリウムの重量比は6:2:2であり、即ちβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドの重量は600mg、S-アセチルグルタチオンの重量は200mg、アスコルビン酸ナトリウムの重量は200mgとなる。これら三つの物質は全て粉末状であり、ビーカーに加えた後、食用グレードのリン酸ナトリウムを酸度調整剤として加えて溶解する。口腔ケア添加剤の組成物1gを0.1Mリン酸ナトリウム酸度調整剤溶液(pH 6.5) 99mlに加えて溶解させ、1%(w/v)の液体口腔ケア添加剤の組成物を得る。1mlの液体口腔ケア添加剤の組成物を取り、付属書1の高速液体クロマトグラフィーで機能成分の含有量を分析する。
【0061】
実施例5:β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含有する液体口腔ケア添加剤の調製
100mlの液体口腔ケア添加剤を調製する。滅菌された500ml容量のビーカーに、順番にβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、グルタチオン、アスコルビン酸ナトリウムを加える。口腔ケア添加剤の組成物において、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド:グルタチオン:アスコルビン酸ナトリウムの重量比は4:4:2であり、即ちβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの重量は400mg、グルタチオンの重量は400mg、アスコルビン酸ナトリウムの重量は200mgとなる。これら三つの物質は全て粉末状であり、ビーカーに加えた後、食用グレードのリン酸ナトリウムを酸度調整剤として加えて溶解する。口腔ケア添加剤の組成物1gを0.1Mリン酸ナトリウム酸度調整剤溶液(pH 6.5) 99mlに加えて溶解させ、1% (w/v)の液体口腔ケア添加剤の組成物を得る。1mlの液体口腔ケア添加剤の組成物を取り、付属書1の高速液体クロマトグラフィーで機能成分の含有量を分析する。
【0062】
実施例6:口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉の製造
口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉100gを製造する。まず、実施例1の方法で固体の口腔ケア添加剤を調製し、それを1g取り、滅菌されたビニール袋に入れる。次に99gの黒人歯磨き粉を入れ、ビニール袋の中で口腔ケア添加剤と歯磨き粉を完全に混ぜ合わせれば完成する。口腔ケア添加剤の組成物を含む歯磨き粉1gを純水に完全に混ぜ合わせ、13000rpmで5分間遠心分離した後、上澄み液を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで含有量を分析する。また、口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉とそれを含まない歯磨き粉の物理的な香りと味を二重盲検試験で比較した。研究者は上記二種類の歯磨き粉をそれぞれサンプル1とサンプル2としてラベルを貼った上で10人の被験者に提供し、色、香り、味を比較して二つのサンプルに差異があるかどうかを尋ねた。その結果、10人中9人が色、香り、味のいずれにおいても差異はないと判断した。
【0063】
また、口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉とそれを含まない歯磨き粉の抗菌効果についても研究した。二つの歯磨き粉に対して付属書2の方法により大腸菌を用いて試験を行った。3つの対照実験において、口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉の平均抑菌ゾーン直径は20.2±1.1であり、口腔ケア添加剤を含まない歯磨き粉の平均抑菌ゾーン直径は20.3±1.3であった。この実験結果は、口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉とそれを含まない歯磨き粉の抑菌ゾーン直径が3種類の濃度の試験において非常に近いことを示しており、両者の抗菌効果が同一であることと、口腔ケア添加剤の組成物は歯磨き粉の元来の効果に影響を与えないということが証明された。
【0064】
研究者は口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉に対して安定性試験も行った。6か月間の実験期間中、口腔ケア添加剤の組成物を含む歯磨き粉を正常な包装状態に置き、温度25度、湿度60%に保った環境にて保存した。付属書1の高速液体クロマトグラフィーを使用して、口腔ケア添加剤の主成分であるβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドに対し含有量分析を行い、歯磨き粉における含有量の変化を研究した。試験結果は図1に示したとおりであり、口腔ケア添加剤の主成分であるβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドは歯磨き粉において優れた安定性を持つことが証明された。
【0065】
実施例7:口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉の製造
口腔ケア添加剤としてβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドを含む歯磨き粉100gを製造する。それを1g取り、滅菌されたビニール袋に入れる。次に、99gの黒人歯磨き粉を入れ、ビニール袋の中で口腔ケア添加剤と歯磨き粉を完全に混ぜ合わせれば完成する。口腔ケア添加剤の組成物を含む歯磨き粉1gを純水に完全に混ぜ合わせ、13000rpmで5分間遠心分離した後、上澄み液を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで含有量を分析する。また、口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉とそれを含まない歯磨き粉の物理的な香りと味を二重盲検試験で比較した。研究者は上記二種類の歯磨き粉をそれぞれサンプル1とサンプル2としてラベルを貼った上で10人の被験者に提供し、色、香り、味を比較して二つのサンプルに差異があるかどうかを尋ねた。その結果、10人中9人が色、香り、味のいずれにおいても差異はないと判断した。
【0066】
研究者は口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉に対して安定性試験も行った。6か月間の実験期間中、口腔ケア添加剤の組成物を含む歯磨き粉を正常な包装状態に置き、温度25度、湿度60%に保った環境にて保存した。付属書1の高速液体クロマトグラフィーを使用して、口腔ケア添加剤の主成分であるβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドに対し含有量分析を行い、歯磨き粉における含有量の変化を研究した。試験結果は図1に示したとおりである。
【0067】
実施例8:口腔ケア添加剤を含むうがい液の製造
口腔ケア添加剤を含むうがい液100mlを製造する。まず、実施例1の方法で固体の口腔ケア添加剤を調製し、それを1g取り、消毒済みのビーカーに入れる。次に99g(約99mlの容量)のリステリン全面ガード配合うがい液を加え、250rpmで30分間撹拌して完全に溶解させれば完成する。口腔ケア添加剤を含むリステリン全面ガード配合うがい液1mlを取り出し、付属書1の高速液体クロマトグラフィーで含有量を分析した。
【0068】
口腔ケア添加剤を含むうがい液とそれを含まないうがい液の物理的な色、香り、味について、二重盲検試験を行った。研究者は上記二種類のうがい液をそれぞれサンプル3およびサンプル4としてラベルを貼った上で10人の被験者に提供し、色、香り、味を比較して二つのサンプルに差異があるかどうかを尋ねた。その結果、10人中8人が色、香り、味のいずれにおいても差異はないと判断した。
【0069】
また、口腔ケア添加剤を含むうがい液とそれを含まないうがい液の抗菌効果についても研究した。二つのうがい液に対して付属書3の方法により大腸菌を用いて試験を行った。3つの対照実験において、口腔ケア添加剤を含むうがい液の平均抑菌ゾーン直径は24.4mmであり、口腔ケア添加剤を含まないうがい液の平均抑菌ゾーン直径は24.1mmであった。この実験結果は、口腔ケア添加剤を含むうがい液とそれを含まないうがい液の抑菌ゾーン直径が3種類の濃度の試験において非常に近いことを示しており、両者の抗菌効果が同一であることと、口腔ケア添加剤の組成物はうがい液の元来の効果に影響を与えないということが証明された。
【0070】
研究者は口腔ケア添加剤の組成物を含むうがい液に対して安定性試験も行った。6か月間の実験期間中、口腔ケア添加剤を含むうがい液を元来の包装状態に置き、温度25℃、湿度60%に保った環境にて保存した。付属書1の高速液体クロマトグラフィーを使用して、口腔ケア添加剤の主成分であるβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドに対し含有量分析を行い、うがい液における含有量の変化を研究した。試験結果は、6か月後のうがい液中のβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドの含有量が初期の実験サンプルの94.5%であったことを示しており、口腔ケア添加剤の主成分であるβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドはうがい液において優れた安定性を持つことが証明された。
【0071】
実施例9:口腔ケア添加剤を含むペパーミント味のガムの製造
口腔ケア添加剤を含むペパーミント味のガム200gを製造する。まず、実施例1の方法で固体の口腔ケア添加剤を調製し、それを2g取ってソルビトール16.5gとキシリトール16.5gに混ぜ、スプーンで完全に混ぜ合わせておく。ビーカーにガムベース粉末100g、ソルビトール70g、大豆レシチン15gを入れ、中程度の電子レンジで5分加熱する。加熱が終わったら、よくかき混ぜながら温度を40℃以下に冷却して取り出す。予め混ぜ合わせた口腔ケア添加剤、ソルビトール、キシリトールの粉末を平らな面に置き、溶けたガムベース粉末を粉末の中央に置き、揉んで均等に粉末をガムベース粉末に付着させる。その後、0.85gのペパーミントエキスと3~5滴のブリリアントブルーを加え、均等に薄い青色を呈するまで混ぜ合わせる。その後、ガムを6cm(長さ)x 6cm(幅)x 1cm(高さ)のプレートに均等に分散させ、ナイフで20mm(長さ)x 20mm(幅)x 1cm(高さ)の正方体に切り分ける。室温で12時間乾燥させれば、製造工程はすべて終了である。口腔ケア添加剤を含むペパーミント味のガムは1粒あたり約4g、口腔ケア添加剤40mgを含む。
【0072】
実施例10:口腔ケア添加剤を含む口腔ゼリーの製造
口腔ケア添加剤を含む口腔ゼリー100gを製造する。まず、実施例1の方法で固体の口腔ケア添加剤を調製し、10gを取りおく。次に、ビーカーに15gのトラガカントガム、15gのグリセリン、15gのソルビトールを順に入れ、70℃に加熱し、流動状態になるまでかき混ぜ続ける。さらに室温でかき混ぜながら、40℃まで冷却し、口腔ケア添加剤の組成物10g、ナトリウム安息香酸2.5g、ペパーミント抽出物100mgを順に加え、室温下で12時間かき混ぜれば製造工程はすべて終了である。
【0073】
実施例11:口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉の製造
口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉100gを製造する。実施例2で調製した口腔ケア添加剤1gを黒人歯磨き粉99gに加え、ビニール袋の中で完全に混ぜ合わせれば完成である。口腔ケア添加剤を含む黒人歯磨き粉1gを純水に完全に溶解させ、13000rpmで5分間遠心分離した後、上澄み液を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで含有量を分析する。口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉とそれを含まない歯磨き粉の物理的な香りと味について、二重盲検試験を行った。研究者は上記二種類の歯磨き粉をそれぞれサンプル1とサンプル2としてラベルを貼った上で10人の被験者に提供し、色、香り、味を比較して二つのサンプルに差異があるかどうかを尋ねた。その結果、10人中9人が色、香り、味のいずれにおいても差異はないと判断した。
【0074】
また、口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉とそれを含まない歯磨き粉の抗菌効果についても研究した。二つの歯磨き粉に対して付属書2の方法により大腸菌を用いて試験を行った。3つの対照実験において、口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉の平均抑菌ゾーン直径は20.2±1.1であり、口腔ケア添加剤を含まない歯磨き粉の平均抑菌ゾーン直径は20.3±1.3であった。この実験結果は、口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉とそれを含まない歯磨き粉の抑菌ゾーン径が3種類の濃度の試験において非常に近いことを示しており、両者の抗菌効果が同一であることと、口腔ケア添加剤の組成物は歯磨き粉の元来の効果に影響を与えないということが証明された。
【0075】
研究者は口腔ケア添加剤を含む歯磨き粉に対して安定性試験も行った。6か月間の試験期間中、口腔ケア添加剤の組成物を含む歯磨き粉を正常な包装状態に置き、温度25℃、湿度60%に保った環境にて保存した。付属書1の高速液体クロマトグラフィーを使用して、口腔ケア添加剤の主成分であるβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドと酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドに対し総含有量分析を行い、歯磨き粉における含有量の変化を研究した。試験結果は、6か月後に歯磨き粉中のβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドと還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの総含有量が初期の実験サンプルの96.3%であったことを示しており、口腔ケア添加剤の組成物の主成分であるβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドと酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは歯磨き粉において優れた安定性を持つことが証明された。
【0076】
実験例
口腔組織における口腔ケア添加剤の効果をさらに検証するために、細胞培養の対照実験を行った。実験にはHGF-1細胞(人歯肉線維芽細胞、Human gingival fibroblast)を実験細胞モデルとして使用し、異なる濃度(12~50ug/mL)の口腔ケア添加剤とブランク試料を含む培地中で48時間の細胞増殖の変化を比較した。
【0077】
実施例2の方法により口腔ケア添加剤100gを調製し、12mg、24mg、50mgの口腔ケア添加剤をそれぞれ1000mLのHGF-1培地(ATCC-formulated Dulbecco's Modified Eagle's Medium + 10% fetla bovine serum)に溶解して、異なる濃度の口腔ケア添加剤を含んだHGF-1培地を三つ作成した。ブランク試料は口腔ケア添加剤が添加されていないHGF-1培地である。12穴の細胞培養プレートを使用し、各孔に2.5 x 104のHGF-1を加え、細胞培養箱(37℃で一定、5%の二酸化炭素)に3時間置き、穴の中の培地を除去し、直列の3つの穴に12ug/mlの口腔ケア添加剤を含んだHGF-1培地を加え、別の直列の3つの穴に24ug/mlの口腔ケア添加剤を含んだHGF-1培地を加え、更に別の直列の3つの穴に50ug/mlの口腔ケア添加剤を含んだHGF-1培地を加え、最後の直列の3つの穴に口腔ケア添加剤を含まないHGF-1培地を加え、細胞培養箱に置いた。24時間後に試料穴内の培地を交換し、培養48時間後に細胞数カウンターで当該培地中の平均細胞数を計測した。対照実験では、12ug/mlの口腔ケア添加剤を含んだHGF-1培地の平均細胞数はブランク試料よりも7.8%多く、24ug/mlの口腔ケア添加剤を含んだHGF-1培地と50ug/mlの口腔ケア添加剤を含んだHGF-1培地の平均細胞数はブランク試料よりもそれぞれ8.4%、8.8%多かった。詳細な結果については図2を参照する。この結果から、口腔ケア添加剤は口腔組織の成長を促進し、歯肉炎などの口腔疾患の軽減や予防、治療に一定の効果があることが示された。
【0078】
本発明は上記の具体的な記述に制限されるものではなく、請求範囲内で各種修正や変更を行うことができる。これらの変更はすべて本発明の保護範囲に含まれる。
【0079】
付属書1
ニコチン酸またはその誘導体のリボシドおよびヌクレオチド含有量(例えば、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド、β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、β-ニコチンアミドリボシド、β-ニコチン酸モノヌクレオチド、ニコチン酸アデニンジヌクレオチド、β-ニコチン酸リボシド等)を高速液体クロマトグラフィーで分析する条件
操作方法は以下の通り。
固体口腔ケア添加剤:
純水で適宜希釈し、高速液体クロマトグラフィーで分析する。
液体口腔ケア添加剤:
純水で適宜希釈し、高速液体クロマトグラフィーで分析する。
歯磨き粉:
歯磨き粉10mgを取って小さな管に入れ、純水1mLを加えて1分間混合する。10000rpmで5分間遠心分離し、水相を0.5mL取り、0.22umの注射器フィルターを使用してろ過する。その後、純水で適宜希釈し、高速液体クロマトグラフィーで分析する。
うがい液:
純水で適宜希釈し、高速液体クロマトグラフィーで分析する。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
付属書2 口腔ケア添加剤の組成物を含んだ歯磨き粉の抑菌試験
LB培地に大腸菌を接種し、温度37度、220rpmの条件下で24時間培養した後、大腸菌を含んだ培地0.8mLをLB寒天プレートに接種して1時間自然乾燥させる。
【0083】
滅菌済みのステンレスの棒を用い、直径5mmで深さがプレート底部に達するような中空の丸い穴をプレートの中心箇所に作成する。口腔ケア添加剤の組成物を含んだ歯磨き粉1gを取って滅菌済みの純水1mLと完全に混合した後、混合液0.15mLを丸い穴に滴下する。当該プレートを温度37度の恒温培養箱に24時間放置し、取り出して、直線定規で当該プレート上の抑菌ゾーンの直径を計測する。
【0084】
付属書3 口腔ケア添加剤の組成物を含んだうがい液の抑菌試験
LB培地に大腸菌を接種し、温度37度、220rpmの条件下で24時間培養した後、大腸菌を含んだ培地0.8mLをLB寒天プレートに接種して1時間自然乾燥させる。
【0085】
滅菌済みのステンレスの棒を用い、直径5mmで深さがプレート底部に達するような中空の丸い穴をプレートの中心箇所に作成する。口腔ケア添加剤の組成物を含んだうがい液1gを取って滅菌済みの純水1mLと完全に混合した後、混合液0.15mLを丸い穴に滴下する。当該プレートを温度37度の恒温培養箱に24時間放置し、取り出して、直線定規で当該プレート上の抑菌ゾーンの直径を計測する。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔ケア添加剤及び前記口腔ケア添加剤が口腔歯肉組織に吸収されることに寄与する担体を含む口腔ケア組成物であって、
前記口腔ケア添加剤は少なくとも一つの主成分及び補助成分を含み、
前記少なくとも一つの主成分が、ニコチン酸又はその誘導体及びニコチンアミド又はその誘導体から選ばれ、
前記補助成分が、ビタミン及び補酵素であり、
前記ニコチン酸又はその誘導体及びニコチンアミド又はその誘導体が、β-ニコチン酸リボシド及びその塩、β-ニコチン酸モノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、β-ニコチンアミドリボシド及びその塩、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、又は還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩から選ばれ、
前記ビタミンが、ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンC類、ビタミンD類及びビタミンK類から選ばれ、
前記補酵素が、グルタチオン又はその誘導体、三リン酸アデノシン及びその誘導体、ピロロキノリンキノン又はその誘導体、アデノシルメチオニン又はその誘導体、補酵素A又はその誘導体、補酵素Q類又はその誘導体から選ばれ、
前記口腔ケア添加剤が、前記口腔ケア組成物の総重量の0.1~50%(重量/重量)であり、
前記主成分:前記ビタミン:前記補酵素の重量比が、(0.1~99%):(0.1~99%):(0.1~99%)である、
口腔ケア組成物。
【請求項2】
前記ニコチン酸又はその誘導体及びニコチンアミド又はその誘導体が、β-ニコチン酸リボシド若しくはその塩、β-ニコチン酸モノヌクレオチド若しくはその塩、β-ニコチンアミドリボシド若しくはその塩、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド若しくはその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド若しくはその塩、又は還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド若しくはその塩であり、
前記ビタミンが、ビタミンB類、ビタミンC類又はビタミンK類であり、
前記補酵素が、グルタチオン若しくはその誘導体、又はピロロキノリンキノン若しくはその誘導体である、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項3】
前記口腔ケア添加剤は、固体、液体又は気体の形態である、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項4】
前記固体が、粉末状、クリーム状、ゼリー状、結晶体から選択された少なくとも一つであり、好ましくは前記液体が、溶液、スラリー、エッセンシャルオイル、非ニュートン流体から選択された少なくとも一つであり、好ましくは前記気体が、液体噴霧から選択される、請求項3に記載の口腔ケア組成物。
【請求項5】
前記主成分の含有量が、前記口腔ケア添加剤の総重量の0.1~90%(重量/重量)である、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項6】
前記主成分の含有量が、前記口腔ケア添加剤の総重量の0.1~50%(重量/重量)である、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項7】
前記主成分:前記ビタミン:前記補酵素の重量比が(0.1~75%):(0.1~12.5%):(0.1~12.5%)である、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項8】
前記主成分:前記ビタミン:前記補酵素の重量比が(0.1~50%):(0.1~25%):(0.1~25%)である、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項9】
前記口腔ケア添加剤の含有量が前記口腔ケア組成物の総重量の0.1~25%(重量/重量)である、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項10】
前記口腔ケア添加剤の含有量が前記口腔ケア組成物の総重量の0.3~15%(重量/重量)である、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項11】
前記口腔ケア組成物が、歯磨き粉、うがい液、口腔スプレー、歯清潔粉末から選択される少なくとも一つである、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項12】
前記口腔ケア組成物が、ガム又は口腔ゼリー剤である、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項13】
前記ガムが、樹脂、ワックス、リン脂質、調味料、エラストマーのうちの少なくとも一つを更に含み、
前記口腔ゼリー剤が、グリセリン、ソルビトール、トラガカントガム、ナトリウムベンゾエート、ペパーミント油を更に含む、ことを特徴とする、請求項12に記載の口腔ケア組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の口腔ケア組成物の製造方法であって、
前記方法は、
前記口腔ケア添加剤を提供すること、
前記口腔ケア添加剤を前記口腔ケア添加剤が口腔歯肉組織に吸収されることに寄与する担体に対して添加すること、
を含む、製造方法。
【請求項15】
前記担体が、歯磨き粉、うがい液、口腔スプレー、歯清潔粉末、ガム、口腔ゼリー剤のうちの少なくとも一つであることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の口腔ケア組成物と歯科矯正用ブレースとを含む、口腔ケアセット用具。
【請求項17】
口腔疾患を治療、予防又は緩和する口腔ケア組成物の製造における口腔ケア添加剤の使用であって、
前記口腔ケア添加剤は少なくとも一つの主成分及び補助成分を含み、前記補助成分が、ビタミン及び補酵素であり、
前記少なくとも一つの主成分が、ニコチン酸又はその誘導体、及びニコチンアミド又はその誘導体から選ばれ、前記補助成分が、ビタミン及び補酵素であり、
前記ニコチン酸又はその誘導体、及びニコチンアミド又はその誘導体が、β-ニコチン酸リボシド及びその塩、β-ニコチン酸モノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、酸化型β-ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、β-ニコチンアミドリボシド及びその塩、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びその塩、酸化型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及びその塩から選ばれ、
前記ビタミンが、ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンC類、ビタミンD類及びビタミンK類から選ばれ、
前記補酵素が、グルタチオン又はその誘導体、三リン酸アデノシン及びその誘導体、ピロロキノリンキノン又はその誘導体、アデノシルメチオニン又はその誘導体、補酵素A又はその誘導体、補酵素Q類又はその誘導体から選ばれ、かつ、
前記口腔ケア添加剤が、前記口腔ケア組成物の総重量の0.1~50%(重量/重量)であり、
前記主成分:前記ビタミン:前記補酵素の重量比が、(0.1~99%):(0.1~99%):(0.1~99%)である、
使用。
【国際調査報告】