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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-18
(54)【発明の名称】眼用ラキニモド製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4704 20060101AFI20240411BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20240411BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240411BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240411BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A61K31/4704
A61P27/06
A61P27/02
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/18
A61K47/32
A61K47/38
A61K9/107
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023557096
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 EP2022058523
(87)【国際公開番号】W WO2022207773
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】21166691.2
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500493702
【氏名又は名称】アクティブ バイオテック エイビー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ウェンマン,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】トルングレーン,マリー
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン,ヘレナ
(72)【発明者】
【氏名】ブール,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA17
4C076AA95
4C076BB24
4C076CC10
4C076DD09
4C076DD38
4C076DD49
4C076DD67
4C076EE06G
4C076EE09G
4C076EE16G
4C076EE23
4C076EE32G
4C076FF14
4C076FF15
4C076FF17
4C076FF36
4C076FF39
4C076GG41
4C076GG45
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC29
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA22
4C086MA28
4C086MA58
4C086NA03
4C086NA10
4C086NA13
4C086ZA33
(57)【要約】
有効成分としてのラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、薬学的に許容される粘稠化剤、薬学的に許容される等張化剤、薬学的に許容される保湿剤、薬学的に許容される酸化防止剤、および薬学的に許容されるpH調整剤を含む医薬製剤。本製剤は、眼投与、好ましくは眼局所投与による眼疾患の治療に適している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼投与のための製剤であって、水相中に、
(i)有効成分としてのラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、
(ii)薬学的に許容される粘稠化剤、
(iii)薬学的に許容される等張化剤、
(iv)薬学的に許容される保湿剤、
(v)薬学的に許容される酸化防止剤、および
(vi)薬学的に許容されるpH調整剤を含む、製剤。
【請求項2】
前記薬学的に許容される粘稠化剤が、20℃で測定して2~200mPasの動的粘度をもたらすのに十分な量で存在する、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記薬学的に許容される粘稠化剤が、20℃で測定して15~45mPasの動的粘度をもたらすのに十分な量で存在する、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
前記薬学的に許容される粘稠化剤が、ポリビニルアルコール、ポリ(アクリル酸)ホモポリマーまたはコポリマー(カルボマー)、ポリビニルピロリドン、およびセルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群のうちの1種または複数を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
前記薬学的に許容される等張化剤が、200~600mOsm/kgの浸透圧をもたらすのに十分な量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
前記薬学的に許容される等張化剤が、250~375mOsm/kgの浸透圧をもたらすのに十分な量で存在する、請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
前記薬学的に許容される等張化剤が、非イオン性等張化剤である、請求項1から6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
前記非イオン性等張化剤がマンニトールである、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
前記薬学的に許容される保湿剤が、非イオン性ポリオールである、請求項1から8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
前記非イオン性ポリオールがグリセロールである、請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
前記薬学的に許容されるpH調整剤が、6.8~8.5の範囲のpHをもたらすのに十分な量で存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
前記薬学的に許容されるpH調整剤が、6.8~8.0の範囲のpHをもたらすのに十分な量で存在する、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
(vii)薬学的に許容される保存剤をさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項14】
前記薬学的に許容される保存剤が塩化ベンザルコニウムである、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
(viii)薬学的に許容される界面活性剤をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項16】
前記薬学的に許容される界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、請求項15に記載の製剤。
【請求項17】
(ix)薬学的に許容される溶解補助剤をさらに含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項18】
ゲルの形態である、請求項1から17のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項19】
(i)5~100g/lのラキニモド、または対応する量の、ラキニモドの薬学的に許容される塩、
(ii)1~10g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウム、および/または0.5~6g/lのカルボマーコポリマー、
(iii)1.5~4g/lのマンニトール、
(iv)10~40g/lのグリセロール、
(v)0.2~2g/lのNa-EDTA、ならびに
(vi)6.8~8.5の範囲、好ましくは6.8~8.0の範囲のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤を含む、請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
0.1~5g/lのポリソルベートをさらに含む、請求項19に記載の製剤。
【請求項21】
水および油含有エマルション、好ましくは水中油型エマルションの形態である、請求項1から17のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項22】
前記眼投与が眼局所投与である、請求項1から21のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項23】
眼障害の治療に使用するための、請求項1から22のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項24】
前記眼障害が、緑内障、眼炎症疾患、および眼の過剰な脈管形成を伴う疾患から選択される、請求項23に記載の製剤。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか一項に記載の製剤を含有する用量容器。
【請求項26】
眼障害を治療するための医薬の製造における、請求項1から22のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項27】
前記眼障害が、緑内障、眼炎症疾患、および眼の過剰な脈管形成を伴う疾患から選択される、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
治療有効量の請求項1から22のいずれか一項に記載の製剤を、治療を必要とする哺乳動物に投与することによる、眼障害を治療する方法。
【請求項29】
前記眼障害が、緑内障、眼炎症疾患、および眼の過剰な脈管形成を伴う疾患から選択される、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼用医薬製剤に関する。より詳細には、本発明は、眼用、好ましくは眼局所用の、ラキニモドを含有する医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ラキニモドは、経口バイオアベイラビリティの高い合成キノリンカルボキサミドであり、例えば多発性硬化症(MS)の治療のための経口製剤として提案されている。ラキニモドおよびその薬学的に許容される塩は、米国特許第6,077,851号に記載されている。
【0003】
緑内障、眼炎症疾患、眼の過剰な脈管形成を伴う疾患などの眼疾患の治療におけるラキニモドの使用は、以前に開示されている。したがって、緑内障の治療に使用するためのラキニモドは、WO2015/073697として公開された国際出願番号PCT/US2014/065497に開示されている。US2018/0071275A1として公開された米国特許出願第15/816402号は、ラキニモドの使用による眼炎症疾患の治療を開示している。WO2021/123142A1として公開された国際出願番号PCT/EP2020/086993において、眼の過剰な脈管形成を伴う疾患を治療するためのラキニモドの使用が開示されている。眼疾患のタイプごとに、ラキニモドの全身投与または局所投与が提案されており、後者の場合には眼投与または眼科投与が記載されている。
【0004】
しかしながら、眼障害、特に眼の後部に影響を及ぼす障害の治療における眼局所製剤とその効果的な使用に関しては、いくつかの課題が克服されなければならない。実際、主に親油性または親水性という相反する性質を有するいくつかのコンパートメントを有する角膜バリアのため、標的部位への活性薬剤の送達が非効率的であることによって、薬物が眼の後部に到達しなければならない障害の治療は多くの場合妨げられる。
【発明の概要】
【0005】
眼疾患の治療に使用するための、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬製剤が本明細書で提供される。
【0006】
また、眼疾患を患う被験体を治療する方法であって、治療有効量のラキニモド、または被験体を治療するのに有効なラキニモドの薬学的に許容される塩を含有する、本明細書に記載の製剤を、被験体の眼に部分的に、好ましくは局所投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
【0007】
したがって、一態様は、治療有効量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を治療的に有効な薬剤として含む、患者の眼に部分的に、好ましくは局所投与する(眼部分用、または眼局所用)ための医薬製剤に関する。
【0008】
したがって、一態様において、眼投与のための医薬製剤であって、前記製剤が、水相中に、
(i)有効成分としてのラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、
(ii)薬学的に許容される粘稠化剤、
(iii)薬学的に許容される等張化剤(tonicity adjusting agent)、
(iv)薬学的に許容される保湿剤、
(v)薬学的に許容される酸化防止剤、および
(vi)薬学的に許容されるpH調整剤を含む、製剤が提供される。
【0009】
さらなる態様において、ラキニモドまたはラキニモドの薬学的に許容される塩を眼に投与するための医薬製剤であって、前記製剤の、20℃で測定された粘度が2mPas(mPa・s)~200mPas、浸透圧(オスモル濃度)(osmolality)が200mOsm/kg~600mOsm/kg、pHが6.8~8.5である、医薬製剤が提供される。
【0010】
したがって、いくつかの実施形態において、眼投与のための医薬製剤は、
(i)治療有効量の、有効成分としてのラキニモドまたはその薬学的に許容される塩;
(ii)20℃で測定して2~200mPasの動的粘度をもたらすのに十分な量の、薬学的に許容される粘稠化剤;
(iii)200~600mOsm/kgの浸透圧をもたらすのに十分な量の、薬学的に許容される等張化剤;
(iv)薬学的に許容される保湿剤;
(v)薬学的に許容される酸化防止剤;および
(vi)6.8~8.5のpHをもたらすのに十分な量の、薬学的に許容されるpH調整剤を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、製剤はさらに、(vii)薬学的に許容される保存剤、(viii)薬学的に許容される界面活性剤(表面活性剤)、(ix)薬学的に許容される可溶化剤、および(x)薬学的に許容される油
から選択される1種または複数の成分を含む。
【0012】
製剤は、ラキニモドまたはラキニモドの薬学的に許容される塩を溶質および/または懸濁粒子の形態で含有するゲル、または水および油含有エマルション(すなわち、水中油型エマルションまたは油中水型エマルション)の形態であってもよい。
【0013】
したがって、いくつかの実施形態において、製剤は、薬学的に許容される油と、ラキニモドまたはラキニモドの薬学的に許容される塩の懸濁液または溶液の形態である水相とを含む、水中油型エマルションである。
【0014】
いくつかのさらなる実施形態において、製剤は、薬学的に許容される油相中に、ラキニモドまたはラキニモドの薬学的に許容される塩の懸濁液または溶液の形態である水相を含む、油中水型エマルションである。好ましくは、本明細書で提供されるエマルションは、水中油型エマルションである。
【0015】
さらにいくつかの実施形態において、製剤は、ラキニモドまたはラキニモドの薬学的に許容される塩の溶液または懸濁液であって、該製剤は粘性ゲルである。
【0016】
本明細書で提供される医薬製剤は、種々の眼疾患、例えば緑内障、眼炎症疾患および眼の過剰な脈管形成を伴う疾患の治療に有用である。
【0017】
いくつかの実施形態において、緑内障を治療するための医薬製剤が本明細書において提供される。いくつかのさらなる実施形態において、眼炎症疾患を治療するための眼用製剤が本明細書において提供される。いくつかのさらなる実施形態において、眼の過剰な脈管形成を伴う疾患を治療するための眼用製剤が本明細書において提供される。
【0018】
いくつかの実施形態において、眼疾患は、眼の中間部または後部に影響を及ぼす疾患である。
【0019】
製剤の有利な特徴は、製剤中に存在するラキニモドまたはラキニモドの薬学的に許容される塩の化学分解に対する高い安定性である。
【0020】
製剤のさらなる有利な特徴は、製剤全体の高い均質性である。
【0021】
さらなる有利な特徴は、ラキニモドまたはラキニモドの薬学的に許容される塩を広範囲の濃度で含有する、製剤の能力である。
【0022】
製剤のさらなる有利な特徴は、治療的に有効な薬剤の、眼の角膜を通った送達率が高いことであり、有利には、ラキニモドを被験体の眼へ部分的に(例えば局所)投与することを可能にする。
【0023】
さらなる有利な態様は、患者の眼に部分的に、例えば局所投与された場合のラキニモドの高い有効性、例えば経口投与に匹敵するレベルの有効性である。薬物の部分的投与は、好ましくない全身作用を有利に回避し得る。したがって、一態様は、眼用医薬製剤であって、水相中に、
(i)有効成分としてのラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、
(ii)薬学的に許容される粘稠化剤、
(iii)薬学的に許容される等張化剤、
(iv)薬学的に許容される保湿剤、
(v)薬学的に許容される酸化防止剤、および
(vi)薬学的に許容されるpH調整剤、
ならびに任意で、
(vii)薬学的に許容される保存剤、
(viii)薬学的に許容される界面活性剤、
(ix)薬学的に許容される溶解補助剤、および
(x)薬学的に許容される油
から選択される1種または複数の成分を含む、眼用医薬製剤である。
【0024】
さらなる態様は、本明細書で提供される医薬眼用製剤を含有する用量容器(dosage container)である。したがって、眼投与のための医薬製剤を含有する用量容器であって、
(i)有効成分としてのラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、
(ii)薬学的に許容される粘稠化剤、
(iii)薬学的に許容される等張化剤、
(iv)薬学的に許容される保湿剤、
(v)薬学的に許容される酸化防止剤、および
(vi)薬学的に許容されるpH調整剤、
ならびに任意で、
(vii)薬学的に許容される保存剤、
(viii)薬学的に許容される界面活性剤、
(ix)薬学的に許容される溶解補助剤、および
(x)薬学的に許容される油
から選択される1種または複数の成分を含む、用量容器も本明細書で提供される。
【0025】
薬学的に許容されるpH調整剤は、好ましくは、製剤に少なくとも6.8のpHをもたらす量で存在する。
【0026】
さらなる態様は、本明細書に記載される用量容器および使用説明書を含むキットである。
【0027】
さらなる態様は、眼障害、例えば、緑内障、眼炎症疾患、および眼の過剰な脈管形成を伴う疾患から選択される眼障害を治療するための医薬の製造における、本発明の製剤の使用である。
【0028】
有利には、本明細書に開示されるような製剤は、眼の刺痛、一時的な眼のかすみ、および/または眼の流涙などの副作用がほとんどないか、または少ない(許容される)副作用で、患者(動物またはヒトなどの哺乳動物、好ましくはヒト)の眼にラキニモドを部分的投与、好ましくは局所投与するための手段を提供する。
【0029】
したがって、本明細書において、ラキニモドまたはラキニモドの薬学的に許容される塩の医薬製剤、好ましくは局所製剤であって、治療を必要とする哺乳動物、例えばヒトへの眼投与による眼疾患の治療を可能にする、製剤が提供される。
【0030】
さらなる態様および有利な実施形態は、以下の詳細な説明および実施例から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本明細書で調製された製剤を含有するバイアルの写真である。矢印は、沈降分析のためのサンプリング点(バイアルの上部、中央部または底部)を示す。
図2】ラキニモドを含有する、本明細書に記載される製剤E1、E2、およびS1~S8を含むバイアル(APIあり)の写真、ならびに同様の製剤であるがラキニモドを含有しないバイアル(APIなし)の写真であり、再懸濁後におけるt=0での写真である。
図3】異なる温度(5℃、25℃、30℃および40℃)でt=1週間保存後における、本明細書に記載されるラキニモド含有製剤E1、E2およびS1~S8が入ったバイアルの、再懸濁後の一連の写真である。
図4】異なる温度(5℃、25℃、30℃および40℃)でt=2週間保存後における、本明細書に記載されるラキニモド含有製剤E1、E2およびS1~S8が入ったバイアルの、再懸濁前および再懸濁後の一連の写真である。
図5】ゲル製剤S2中の粒子(懸濁液)およびエマルションE1中の粒子のFlowCam(登録商標)顕微鏡写真である。
図6】製剤S3への4時間の曝露期間における、in vitroのウシ角膜を通ったラキニモドの累積吸収量(μg/cm)(n=6)を、時間(min)の関数として示すグラフである。
図7】製剤S4への4時間の曝露期間における、in vitroのウシ角膜を通ったラキニモドの累積吸収量(μg/cm)(n=6)を、時間(min)の関数として示すグラフである。
図8】製剤S7への4時間の曝露期間における、in vitroのウシ角膜を通ったラキニモドの累積吸収量(μg/cm)(n=6)を、時間(min)の関数として示すグラフである。
図9】製剤E2-2Aへの4時間の曝露期間における、in vitroのウシ角膜を通ったラキニモドの累積吸収量(μg/cm)(n=6)を、時間(min)の関数として示すグラフである。
図10】製剤S3-1への4時間の曝露期間における、in vitroのウシ角膜を通ったラキニモドの累積吸収量(μg/cm)(n=6)を、時間(min)の関数として示すグラフである。
図11】製剤S3-3Aへの4時間の曝露期間における、in vitroのウシ角膜を通ったラキニモドの累積吸収量(μg/cm)(n=6)を、時間(min)の関数として示すグラフである。
図12】製剤S3-6への4時間の曝露期間における、ウシ角膜を通ったラキニモドの累積吸収量(μg/cm)(n=6)を、時間(min)の関数として示すグラフである。
図13】製剤S3-7への4時間の曝露期間における、ウシ角膜を通ったラキニモドの累積吸収量(μg/cm)(n=6)を、時間(min)の関数として示すグラフである。
図14】製剤S3-8Aへの4時間の曝露期間における、ウシ角膜を通ったラキニモドの累積吸収量(μg/cm)(n=6)を、時間(min)の関数として示すグラフである。
図15】PBS中ラキニモドへの4時間の曝露期間における、in vitroのウシ角膜を通ったラキニモドの累積吸収量(μg/cm)(n=6)を、時間(min)の関数として示すグラフである。
図16】製剤S3-3Aへの4時間の曝露期間における、in vitroのウシ角膜を通ったラキニモドの累積吸収量(μg/cm)(n=6)を、時間(min)の関数として示すグラフである。
図17】製剤S7-1への4時間の曝露期間における、in vitroのウシ角膜を通ったラキニモドの累積吸収量(μg/cm)(n=6)を、時間(min)の関数として示すグラフである。
図18】PBS製剤、製剤S3-3AおよびS7-1それぞれへの4時間の曝露期間における、in vitroのウシ角膜を通ったラキニモドの平均透過プロファイル(μg/cm)(n=6)を示すグラフである。
図19】実験的in vivoぶどう膜炎マウスモデルにおいて、接種後20日間、製剤S3-3Aの、マウスへの眼局所投与、ラキニモドの経口投与、またはラキニモドの眼局所投与と経口投与の両方、およびビヒクルのみの眼局所投与もしくは経口投与により、各実験群の各動物の左眼(L)および右眼(R)で観察された臨床的スコアを合計することにより得られた、後部ぶどう膜炎の総臨床徴候を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語ならびに略語は、別段の定義がない限り、または文脈によって明確に示されない限り、本開示が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。ただし、本明細書で使用されるいくつかの用語の定義は後述される。
【0033】
定義
特に明記しない限り、または文脈から明らかでない限り、冠詞「a」および「an」は、冠詞の、1つまたは2つ以上(つまり、少なくとも1つ)の文法上の目的語を指すために本明細書で用いられる。例として、「要素(an element)」は一般に、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「API」とは「有効医薬成分(active pharmaceutical ingredient)」の略であり、本開示との関連では、ラキニモドまたはラキニモドの薬学的に許容される塩である。
【0035】
本明細書で使用される「自己免疫疾患関連眼炎症」とは、自己免疫疾患に続発する眼球または眼球周辺組織の1つまたは複数の部分に影響を及ぼす炎症のことである。
【0036】
「自己免疫疾患」という用語は、細胞介在性(例えば、T細胞)および抗体介在性(例えば、B細胞)の障害を含む。このような障害は、特に、関節炎性疾患、脱髄疾患、および炎症疾患であり得る。例えば、自己免疫疾患は、多発性硬化症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性ぶどう膜網膜炎、クローン病、慢性免疫血小板減少性紫斑病、大腸炎、接触感度疾患、真性糖尿病、バセドウ病、ギランバレー症候群、橋本病、特発性粘液水腫、重症筋無力症、乾癬、尋常性天疱瘡、関節リウマチ、または全身性エリテマトーデスであり得る。
【0037】
「カルボマーコポリマータイプB」という用語は、アクリル酸と長鎖メタクリル酸アルキルが多価アルコールのアリルエーテルで架橋された高分子量コポリマーを指す。カルボマーコポリマータイプBは一般に、種々の医薬製剤の増粘剤、安定剤、乳化剤として使用される。
【0038】
本明細書で使用される「用量容器」という用語は、本明細書で提供される製剤の容量、すなわち1単位に相当する容量(シングルドーズ)または2回以上の投与量に相当する容量(マルチドーズ)を入れるのに適したボトル、バイアル、チューブ、フラスコなどの容器を指す。用量容器は、患者の眼に適量の製剤を点眼するための手段を含んでもよく、そのような手段が容器とは別に設けられてもよい。
【0039】
本明細書において、ある目的を達成するのに有効な量、すなわち「治療有効量」としての「有効」とは、本開示の方法で使用される場合、過度の有害な副作用(毒性、刺激、アレルギー反応など)を伴わずに、妥当な利益/リスク比に釣り合う、望ましい治療反応をもたらすのに十分な成分の量を意味する。有効量は、治療されるヒトまたは動物の疾患状態、年齢、性別、および体重などの、当技術分野で公知の因子に従って変化し得る。
【0040】
「賦形剤」という用語は、薬学分野における当業者に公知であるような、医薬剤の投与を補助するための薬学的に許容される化学物質を指す。賦形剤は、医薬組成物の調製に有用で、一般に安全で、毒性がなく、生物学的にもその他の点でも好ましくないものではない化合物であり、ヒトの医薬用途だけでなく、動物用として許容される賦形剤も含む。
【0041】
脈管形成に関連して使用される「程度」という用語は、脈管形成の重症度を意味する。このような脈管形成の程度は、脈管形成部位、脈管形成部位の血管の数、脈管形成部位の血管の長さ、脈管形成部位の血管の太さなど、いくつかの異なる測定可能なパラメータを使用して評価され得る。
【0042】
「保湿剤」という用語は、製剤中の水分を保持することができる親水性化合物を指す。
【0043】
「ラキニモド」という用語は、構造式
【0044】
【化1】
【0045】
を有する化合物5-クロロ-N-エチル-4-ヒドロキシ-1-メチル-2-オキソ-N-フェニル-1,2-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミドを指す。
【0046】
特に明記しない限り、または文脈から明らかでない限り、ラキニモドという用語は、化合物の遊離塩基形態およびその塩形態を含む。
【0047】
「マクロゴール15ヒドロキシステアレート」という用語は、主に12-ヒドロキシステアリン酸のモノエステルおよびジエステルと、12-ヒドロキシステアリン酸のエトキシル化によって得られるマクロゴールとの混合物を指す。マクロゴール15ヒドロキシステアレートは、α-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)を有する12-ヒドロキシオクタデカン酸ポリマー;12-ヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコールコポリマー;マクロゴール15ヒドロキシステアレート;ポリエチレングリコール-15-ヒドロキシステアレート;およびポリエチレングリコール660 12-ヒドロキシステアレートとしても知られている。いくつかの実施形態において、マクロゴール15ヒドロキシステアレートは、Kolliphor(登録商標) HS 15(BASF AG、ドイツ)である。Kolliphor(登録商標) HS 15は、12-ヒドロキシステアリン酸のポリグリコールモノエステルおよびジエステルと、約30%の遊離ポリエチレングリコールとからなる。
【0048】
「哺乳類」という用語は、ヒトまたは任意の哺乳動物、例えば霊長類、農耕動物、愛玩動物、実験動物などを指す。そのような動物の例は、サル、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、ラットなどである。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0049】
「界面活性剤」という用語は、2液間、気体/液体間、液体/固体間の表面張力(または界面張力)を低下させることができる有機化合物を指す。界面活性剤は両親媒性化合物、すなわち疎水性部分(「疎水性尾部」)および親水性部分(「親水性頭部」または「極性頭部」)を含有する化合物である。最も一般的には、界面活性剤は親水性頭部によって分類される。「非イオン性界面活性剤」は頭部に電荷を帯びた基を有さず、「陽イオン性界面活性剤」の親水性頭部はプラスの正味電荷を有し、「陰イオン性界面活性剤」の親水性頭部はマイナスの正味電荷を有する。
【0050】
本明細書で使用される「等張化剤」(または代替的に「張力剤」)という用語は、溶液の浸透圧に寄与する化合物を指す。眼用製剤の浸透圧は、好ましくは、眼投与時における患者の不快感を最小にするように調整される。
【0051】
本明細書で使用される場合、製剤の「眼投与」または「眼科投与」などの表現は、被験体の眼へ製剤を点眼することを指す。
【0052】
本明細書において、「眼用製剤」、「眼科用製剤」などの表現は、被験体の眼に投与するために製剤化された医薬組成物を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「眼疾患」という用語(この用語は、本明細書において、「眼障害」、「目の疾患」または「目の障害」と同義であると考えられる)は、哺乳動物被験体、すなわち動物またはヒト、好ましくはヒトの眼に影響を及ぼす疾患を指す。
【0054】
本明細書で使用される「眼炎症疾患」または「OID」とは、眼球または眼球周辺組織の1つまたは複数の部分に影響を及ぼす炎症を意味する。OIDは、眼窩組織、涙器、眼瞼、結膜(結膜炎)、角膜、網膜、視路の構成要素、例えば視神経、およびぶどう膜路の構成要素(ぶどう膜炎)、すなわち虹彩、毛様体および脈絡膜の炎症を含み得るが、これらに限定されない。OIDの具体例は、ぶどう膜炎、急性結膜炎、ウイルス性結膜炎、非淋菌性細菌性結膜炎、成人淋菌性結膜炎、封入体結膜炎、季節性アレルギー性結膜炎、慢性結膜炎、顆粒性結膜炎、通年性アレルギー性結膜炎、上強膜炎、強膜炎、アトピー性角結膜炎、および春季角結膜炎を含む。
【0055】
「任意の(optional)」および「任意で(optionally)」は、その後に記載される事象または状況が発生してもよく、発生しなくてもよいことを意味し、該記載は、該事象または状況が発生する場合および発生しない場合を含む。
【0056】
「pH調整剤」という用語は、一般に、水相のpHを変化させる、および/または維持することができる化合物または化合物の混合物を指す。pH調整剤の一般的な例は、pH緩衝液(または緩衝剤)である。
【0057】
「薬学的に許容される」とは、生物学的またはその他の点で好ましくないものでない物質、すなわち、臨床的に許容されない生物学的影響を引き起こすことなく、または該物質が含有される製剤の他の成分のいずれとも有害な相互作用をすることなく、関連する活性化合物とともに個体に投与され得る物質を意味する。
【0058】
「ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー」という用語は、CAS登録番号9003-11-6のポロキサマーを指し、その塩および公知の均等物を含む。ポロキサマーの例は、ポロキサマー188およびポロキサマー407である。
【0059】
CAS登録番号61791-12-6の「ポリオキシルヒマシ油」という用語(エトキシル化ヒマシ油またはポリエチレングリコールヒマシ油と呼ばれることもある)は、エトキシル化グリセロールのトリリシノール酸エステルと少量のポリエチレングリコールリシノール酸エステルおよび対応する遊離グリコールの混合物である。ポリオキシルヒマシ油は非イオン性界面活性剤であり、乳化剤または可溶化剤として使用され得る。該混合物はポリオキシルnヒマシ油とも呼ばれることがあり、ここでnは化合物中のオキシエチレン単位の数を表す。市販品の例は、Kolliphor(登録商標)ELであり、これはポリオキシル35ヒマシ油である。
【0060】
「ポリソルベート80」という用語は、ポリオキシエチレン(80)ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノオレートエトキシレートとしても知られているCAS登録番号9005-65-6の化合物、ならびにそれらの塩および公知の均等物を指す。
【0061】
本明細書で使用される「保存剤」とは、微生物の増殖を抑制し、周囲環境に曝された製剤を汚染する微生物を死滅させる添加剤を指す。
【0062】
「溶解補助剤(solubilizing agent)」(または「可溶化剤(solubilizer)」)という用語は、溶媒相または製剤に添加した場合に、前記溶媒相または製剤中における別の化合物の溶解度を上昇させることができる化合物を指す。
【0063】
製剤中の物質(「可溶化剤」)の「可溶化有効量」という用語は、組成物の別の成分を可溶化するのに十分な物質の量を指す。例えば、「API可溶化有効量」とは、可溶化剤が存在しない場合と比較してAPIがより治療上有効となるように、API(本例では、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩である)を可溶化するのに十分な量である。いくつかの実施形態において、「API可溶化有効量」とは、眼用(眼科用)製剤、例えば眼局所製剤において、可溶化剤が存在しない場合と比較してAPIがより治療上有効となるように、APIを可溶化するのに十分な量である。
【0064】
本明細書において、「治療する」とは、例えば、疾患、障害もしくは病態の抑制、退行もしくは静止を誘導すること、または疾患、障害もしくは病態の症状を改善もしくは緩和することを包含する。本明細書で使用される場合、病態または状態を「改善する」または「緩和する」とは、その病態または状態の症状を緩和または軽減することを意味する。本明細書で使用される場合、被験体における疾患進行または疾患合併症の「阻害」とは、被験体における疾患進行および/または疾患合併症を予防または軽減することを意味する。
【0065】
本明細書で使用される「ユニットドーズ」という用語は、1回の投与で被験体に投与される本発明の製剤の量、または前記量の本発明の製剤に含有されるラキニモドまたはラキニモドの塩の量である。本明細書に開示されるユニットドーズは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日おき、週1回、週2回、週3回、週4回、週5回または週6回投与されてもよい。
【0066】
「脈管形成」および「血管新生」とは、新しい血管が形成される過程を意味する。「脈管形成」および「血管新生」という用語は、本明細書では同じ意味で使用される。
【0067】
本明細書で使用される場合、「眼の脈管形成」という表現は眼球血管新生と同義である。
【0068】
「過剰な脈管形成」とは、罹患した組織の正常な機能にとって有害な程度まで脈管形成が起こる事象を意味する。そのような過剰な脈管形成は、角膜血管新生、虹彩血管新生、毛様体血管新生、角膜パンヌス、脈絡膜血管新生、増殖糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、虚血性網膜症、網膜血管新生、高血圧性網膜症、湿性加齢黄斑変性症などの眼疾患もしくは眼障害において、またはその影響として起こる。
【0069】
本開示の文脈において、「眼の過剰な脈管形成を伴う眼疾患または眼障害」および「眼の脈管形成を伴う眼疾患または眼障害」という用語は、眼の1つまたは複数の組織の脈管形成であって、例えば、患部組織の正常な機能にとって有害である、脈管形成に起因する、および/または影響を及ぼすと当業者に考えられる任意の眼疾患または眼障害を意味すると解釈される。このような疾患または障害は、視力の喪失につながる可能性がある。
【0070】
本明細書で使用される「粘度」という用語は、動的粘度を指す。
【0071】
「粘稠化剤」という用語(本発明の技術分野では、粘度向上剤、粘度増強剤、粘度調整剤、粘度付与剤、増粘剤、増粘安定剤などとも呼ばれることがある)は、液体と混和されたときに液体の粘度を増加させることができる薬剤を指す。
【0072】
医薬製剤
眼投与のための医薬製剤であって、水相中に、
(i)有効成分としてのラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、
(ii)薬学的に許容される粘稠化剤、
(iii)薬学的に許容される等張化剤、
(iv)薬学的に許容される保湿剤、
(v)薬学的に許容される酸化防止剤、および
(vi)薬学的に許容されるpH調整剤、
ならびに任意で、
(vii)薬学的に許容される保存剤、
(viii)薬学的に許容される界面活性剤、
(ix)薬学的に許容される溶解補助剤、および
(x)薬学的に許容される油
から選択される1種または複数の成分を含む、医薬製剤が本明細書で提供される。
【0073】
有効成分
本明細書で提供される眼用(例えば眼局所用)製剤は、医薬製剤であり、眼への投与(眼投与)、好ましくは眼への局所投与、例えば点眼剤として投与することにより、治療有効量のラキニモド、または薬学的有効量をもたらすのに適した濃度で、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、ラキニモドは遊離塩基形態(すなわち塩でない形態)で存在する。他の実施形態において、製剤は、ラキニモドの薬学的に許容される塩、例えば、金属塩、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウムおよび鉄から選択される金属を含む塩を含む。いくつかの実施形態において、ラキニモドの薬学的に許容される塩は、ラキニモドナトリウムである。
【0075】
いくつかの実施形態において、製剤中のラキニモドの濃度は、約5g/l~約100g/l(またはラキニモドの薬学的に許容される塩の対応する濃度)、例えば約10~約100g/l、または約20~約100g/l、または約50~約100g/lである。
【0076】
いくつかの実施形態において、製剤中のラキニモドの濃度は、5~70g/l、10g/l~70g/l、または20~70g/lの範囲内である。いくつかの実施形態において、製剤中のラキニモドの濃度は、5~50g/l、10~50g/l、または20~50g/lの範囲内である。いくつかの実施形態において、製剤中のラキニモドの濃度は、5~30g/l、例えば10~30g/l、または20~30g/lの範囲内である。
【0077】
いくつかの実施形態において、製剤中のラキニモドの濃度は、5~25g/l、10~25g/l、または20~25g/lの範囲内である。
【0078】
いくつかの実施形態において、製剤中のラキニモドの濃度は、5~20g/l、5~19g/l、5~18g/l、5~17g/l、5~16g/l、5~15g/l、5~14g/l、5~13g/l、5~12g/l、または5~11g/lの範囲内である。
【0079】
いくつかの実施形態において、製剤中のラキニモドの濃度は、6~20g/l、6~19g/l、6~18g/l、6~17g/l、6~16g/l、6~15g/l、6~14g/l、6~13g/l、6~12g/l、または6~11g/lの範囲内である。
【0080】
いくつかの実施形態において、製剤中のラキニモドの濃度は、7~20g/l、7~19g/l、7~18g/l、7~17g/l、7~16g/l、7~15g/l、7~14g/l、7~13g/l、7~12g/l、または7~11g/lの範囲内である。
【0081】
いくつかの実施形態において、製剤中のラキニモドの濃度は、8~20g/l、8~19g/l、8~18g/l、8~17g/l、8~16g/l、8~15g/l、8~14g/l、8~13g/l、8~12g/l、または8~11g/lの範囲内である。
【0082】
いくつかの実施形態において、製剤中のラキニモドの濃度は、9~20g/l、9~19g/l、9~18g/l、9~17g/l、9~16g/l、9~15g/l、9~14g/l、9~13g/l、9~12g/l、または9~11g/lの範囲内である。
【0083】
いくつかの実施形態において、製剤中のラキニモドの濃度は、10~20g/l、10~19g/l、10~18g/l、10~17g/l、10~16g/l、10~15g/l、10~14g/l、10~13g/l、10~12g/l、または10~11g/lの範囲内である。
【0084】
いくつかの実施形態において、製剤中のラキニモドの濃度は5g/lである。いくつかの実施形態において、ラキニモドの濃度は10g/lである。いくつかの実施形態において、ラキニモドの濃度は15g/lである。いくつかの実施形態において、ラキニモドの濃度は20g/lである。いくつかの実施形態において、ラキニモドの濃度は25g/lである。いくつかの実施形態において、ラキニモドの濃度は30g/lである。いくつかの実施形態において、ラキニモドの濃度は35g/lである。いくつかの実施形態において、ラキニモドの濃度は40g/lである。いくつかの実施形態において、ラキニモドの濃度は50g/lである。いくつかの実施形態において、ラキニモドの濃度は60g/lである。いくつかの実施形態において、ラキニモドの濃度は70g/lである。いくつかの実施形態において、ラキニモドの濃度は80g/lである。いくつかの実施形態において、ラキニモドの濃度は90g/lである。いくつかの実施形態において、ラキニモドの濃度は100g/lである。
【0085】
本明細書で使用される場合、「g/l」は、製剤の体積(l)当たりの、(遊離塩基としての、または薬学的に許容される塩の形態の)ラキニモドの量(g)を示す。濃度はまた、mg/mlで表されてもよく、1g/lは1mg/mlと等価であることに留意されたい。特に明記しない限り、または文脈から明らかでない限り、示された量は遊離塩基の形態を指し、当業者であれば、ラキニモドの塩が使用されている場合、対応するラキニモドの塩の濃度または量を計算することが十分に可能であろう。
【0086】
本明細書で提供される医薬製剤において、ラキニモドは、例えば酸化による化学分解(または「分解」)に対して高い安定性を有し、有利には長い保存期間を可能にする。したがって、いくつかの有利な実施形態において、組成物中に存在する酸化分解生成物の量は、ラキニモドの量に対して0.1%w/w以下、より好ましくは0.05%w/w以下、さらに好ましくは0.01%w/w以下であるか、または、例えば、医薬製剤に適した密封容器中において室温(約18~25℃)で保存した場合、例えば、少なくとも3カ月、好ましくは少なくとも6カ月、より好ましくは少なくとも1年、さらに好ましくは少なくとも2年の期間後に検出不可能である。
【0087】
薬学的に許容される粘稠化剤
本明細書で提供される製剤は、本明細書で説明する方法(落球法)を用いて20℃の温度で測定された場合に、約2mPas~約200mPasの(動的)粘度を有する。いくつかの実施形態において、粘度は、約2mPas~約180mPas、約2mPas~約160mPas、約2mPas~約150mPas、約2mPas~約140mPas、約2mPas~約130mPas、約2mPas~約120mPas、約2mPas~約110mPas、約2mPas~約100mPas、約2mPas~約90mPas、または約2mPas~約80mPas、例えば約2mPas~約75mPasの範囲である。
【0088】
これらの実施形態のいくつかにおいて、粘度は、少なくとも3mPas、少なくとも4mPas、少なくとも5mPas、少なくとも6mPas、少なくとも7mPas、少なくとも8mPas、少なくとも9mPas、少なくとも10mPas、少なくとも11mPas、少なくとも12mPas、少なくとも13mPas、少なくとも14mPas、または少なくとも15mPasである。
【0089】
これらの実施形態のいくつかにおいて、粘度は、最大で180mPas、最大で170mPas、最大で160mPas、最大で150mPas、最大で130mPas、最大で120mPas、最大で110mPas、最大で100mPas、最大で90mPas、最大で80mPas、最大で75mPas、最大で70mPas、最大で65mPas、最大で60mPas、最大で55mPas、最大で50mPas、最大で45mPas、最大で40mPas、最大で35mPas、最大で30mPas、最大で25mPas、または最大で20mPasである。
【0090】
例えば、いくつかの実施形態において、粘度は、約2mPas~約70mPas、または約2mPas~約65mPas、または約2mPas~約60mPas、または約2mPas~約55mPas、または約2mPas~約50mPas、または約2mPas~約45mPas、または約2mPas~約40mPas、または約2mPas~約35mPas、または約2mPas~約30mPas、または約2mPas~約25mPas、または約2mPas~約20mPasの範囲内である。これらの実施形態のいくつかにおいて、粘度は、少なくとも3mPas、少なくとも4mPas、少なくとも5mPas、少なくとも6mPas、少なくとも7mPas、少なくとも8mPas、少なくとも9mPas、少なくとも10mPas、少なくとも11mPas、少なくとも12mPas、少なくとも13mPas、少なくとも14mPas、または少なくとも15mPasである。
【0091】
したがって、いくつかの実施形態において、製剤の粘度は、約5mPas~約75mPas、または約5mPas~約70mPas、または約5mPas~約65mPas、または約5mPas~約60mPas、または約5mPas~約55mPas、または約5mPas~約50mPas、または約5mPas~約45mPas、または約5mPas~約40mPas、または約5mPas~約35mPas、または約5mPas~約30mPas、または約5mPas~約25mPas、または約5mPas~約20mPasの範囲内である。
【0092】
いくつかのさらなる実施形態において、製剤の粘度は、約10mPas~約75mPas、または約10mPas~約70mPas、または約10mPas~約65mPas、または約10mPas~約60mPas、または約10mPas~約55mPas、または約10mPas~約50mPas、または約10mPas~約45mPas、または約10mPas~約40mPas、または約10mPas~約35mPas、または約10mPas~約30mPas、または約10mPas~約25mPas、または約10mPas~約20mPasの範囲内である。これらの実施形態のいくつかにおいて、粘度は少なくとも11mPas、少なくとも12mPas、少なくとも13mPas、または少なくとも14mPasである。
【0093】
したがって、いくつかのさらなる実施形態において、製剤の粘度は、約12mPas~約75mPas、または約12mPas~約70mPas、または約12mPas~約65mPas、または約12mPas~約60mPas、または約12mPas~約55mPas、または約12mPas~約50mPas、または約12mPas~約45mPas、または約12mPas~約40mPas、または約12mPas~約35mPas、または約12mPas~約30mPas、または約12mPas~約25mPas、または約12mPas~約20mPasの範囲内である。
【0094】
いくつかのさらなる実施形態において、製剤の粘度は、約15mPas~約75mPas、または約15mPas~約70mPas、または約15mPas~約65mPas、または約15mPas~約60mPas、または約15mPas~約55mPas、または約15mPas~約50mPas、または約15mPas~約45mPas、または約15mPas~約40mPas、または約15mPas~約35mPas、または約15mPas~約30mPas、または約15mPas~約25mPas、または約15mPas~約20mPasの範囲内である。
【0095】
本明細書で示される粘度は、例えば本明細書に記載される落球式粘度計を使用して、20℃の温度で測定された動的粘度である。
【0096】
製剤は、1種または複数の薬学的に許容される粘稠化剤を含む。
【0097】
本明細書での使用に適した粘稠化剤としては、ポリビニルアルコール、ポリ(アクリル酸)ホモポリマーまたはコポリマー(カルボマー)、および種々のセルロース系ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。
【0098】
いくつかの実施形態において、薬学的に許容される粘稠化剤は、ポリビニルアルコール、ポリ(アクリル酸)ホモポリマーまたはコポリマー(カルボマー)、ポリビニルピロリドン、およびセルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群のうちの1種または複数を含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、粘稠化剤は、セルロース系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ(アクリル酸)ホモおよびコポリマー、ならびにそれらの組み合わせから選択される。
【0100】
いくつかの実施形態において、粘稠化剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系ポリマー(またはセルロース誘導体)を含む。例えば、粘稠化剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、粘稠化剤は、ポリビニルアルコールを含む。いくつかの実施形態において、粘稠化剤は、ポリ(アクリル酸)ホモポリマーを含む。いくつかの実施形態において、粘稠化剤は、ポリ(アクリル酸)コポリマーを含む。
【0101】
本明細書で使用されるカルボマーにおいて、該ポリマーは、アクリル酸のホモポリマーであってもよく、ペンタエリスリトールのアリルエーテル、スクロースのアリルエーテル、またはプロピレンのアリルエーテルで架橋されていてもよい。いくつかの実施形態において、カルボマーは、アクリル酸のホモポリマー(カルボマーホモポリマー、例えばカルボマーホモポリマータイプB)である。いくつかの他の実施形態において、カルボマーは架橋コポリマーである。
【0102】
粘稠化剤(この用語は、1種の特定の粘稠化剤またはそのような粘稠化剤の混合物のいずれかを指す場合がある)は、製剤における所望の粘度、すなわち本明細書で上述した範囲内の粘度をもたらすのに十分な総量で存在する。当業者には明らかなように、正確な量は、選択された特定の粘稠化剤(複数可)に応じて変化し、さらに、製剤中の他の成分、およびこれらの他の成分の濃度に依存する。当業者であれば、本明細書、および本明細書で提供される実施例に照らして、粘稠化剤の必要量を決定することができるであろう。
【0103】
製剤の粘度は、ラキニモド濃度が高くなると低下する傾向があり、任意の所与の粘稠化剤の量は一般に、特に製剤のラキニモド濃度に応じて決定および調整される必要があることに留意されたい。
【0104】
薬学的に許容される等張化剤
涙液は血液と等張であり、0.9%NaCl水溶液に相当する等張性を有する。したがって、眼科用製剤は涙液と等張であることが理想的であるが、一般に、0.6%NaCl水溶液~2%NaCl水溶液程度の張力は眼において許容される。少量の眼用製剤が投与される場合、涙液での希釈が不快感を速やかに軽減し得るため、張力はこの範囲から外れていてもよい。ただし、好ましくは、製剤はほぼ等張であるべきである。本明細書において提供される製剤は、薬学的に許容される等張化剤、好ましくは非イオン性等張化剤、例えばマンニトール、ソルビトール、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)およびソルビトールから選択される1種または複数の化合物を含むが、他の代替的な等張化剤が技術分野において周知であるため、等張化剤はこの選択に限定されるものではない。好ましい非イオン性等張化剤はマンニトールである。
【0105】
いくつかの実施形態において、等張化剤はマンニトールを含む。いくつかの実施形態において、等張化剤はマンニトールである。
【0106】
いくつかの実施形態において、等張化剤(例えばマンニトール)は、製剤の約0.5~約5g/l、約0.5~約4.5g/l、約0.5~約4g/l、約0.5~約3.5g/l、または約0.5~約3g/lの濃度で製剤中に存在する。
【0107】
いくつかの実施形態において、等張化剤(例えばマンニトール)は、約1~約5g/l、約1~約4.5g/l、約1~約4g/l、約1~約3.5g/l、または約1~約3g/lの濃度で製剤中に存在する。
【0108】
いくつかの実施形態において、等張化剤(例えばマンニトール)は、約1.5~約5g/l、約1.5~約4.5g/l、約1.5~約4g/l、約1.5~約3.5g/l、または約1.5~約3g/lの濃度で製剤中に存在する。
【0109】
いくつかの実施形態において、等張化剤(例えばマンニトール)は、約2~約5g/l、約2~約4.5g/l、約2~約4g/l、約2~約3.5g/l、または約2~約3g/lの濃度で製剤中に存在する。いくつかの実施形態において、等張化剤(例えばマンニトール)は、約2.5~約5g/l、約2.5~約4.5g/l、約2.5~約4g/l、約2.5~約3.5g/l、または約2.5~約3g/lの濃度で製剤中に存在する。
【0110】
眼投与のための医薬製剤は、点眼したときに不快感を与えないように、好ましくは200~600mOsm/kgの範囲内の浸透圧を有することが理想的であるが、点眼される製剤の量が少ない場合には、この範囲から多少外れた値も許容され得る。
【0111】
いくつかの実施形態において、本発明の製剤は、約200~約550mOsm/kg、約200~約500mOsm/kg、約200~約450mOsm/kg、または約200~約400mOsm/kg、または約200~約350mOsm/kgの範囲内の浸透圧を有する。
【0112】
いくつかの実施形態において、本発明の製剤は、約300~約600mOsm/kg、約300~約550mOsm/kg、約300~約500mOsm/kg、約300~約450mOsm/kg、約300~約400mOsm/kg、または約300~約350mOsm/kgの範囲内の浸透圧を有する。
【0113】
いくつかの実施形態において、本発明の製剤は、約400~約600mOsm/kg、約400~約550mOsm/kg、約400~約500mOsm/kg、または約400~約450mOsm/kgの範囲内の浸透圧を有する。
【0114】
いくつかの実施形態において、本発明の製剤は、約450~約600mOsm/kg、約450~約550mOsm/kg、または約450~約500mOsm/kgの範囲内の浸透圧を有する。
【0115】
いくつかの実施形態において、本発明の製剤は、約500~約600mOsm/kg、または約500~約550mOsm/kgの範囲内の浸透圧を有する。
【0116】
いくつかの実施形態において、本発明の製剤は、約250~約500mOsm/kg、約250~約450mOsm/kg、約250~約400mOsm/kg、約250~約375mOsm/kg、約250~約350mOsm/kg、または約250~約325mOsm/kgの範囲内の浸透圧を有する。
【0117】
いくつかの実施形態において、本発明の製剤は、約260~約375mOsm/kg、約270~約375mOsm/kg、約280~約375mOsm/kg、または約290~約375mOsm/kgの範囲内の浸透圧を有する。
【0118】
いくつかの実施形態において、本発明の製剤は、約260~約350mOsm/kg、約270~約350mOsm/kg、約280~約350mOsm/kg、または約290~約350mOsm/kgの範囲内の浸透圧を有する。
【0119】
いくつかの実施形態において、本発明の製剤は、約260~約320mOsm/kg、約270~約320mOsm/kg、または約280~約320mOsm/kg、または約285~約315mOsm/kg、または約290~約310mOsm/kg、または約295~約305mOsm/kg、例えば約300mOsm/kgの範囲内の浸透圧を有する。
【0120】
薬学的に許容される保湿剤
本発明の製剤は、保湿剤(技術分野では「湿潤剤」と呼ばれることもある)、例えばポリオール、例えばC3~C6ポリオール、例えばC3~C5ポリオール、またはC3~C4ポリオール、例えばソルビトール、キシリトール、もしくはグリセロール、またはそのような1種もしくは複数のポリオールの混合物を含む。好ましくは、保湿剤はグリセロールを含む。いくつかの実施形態において、保湿剤はグリセロールである。
【0121】
いくつかの実施形態において、保湿剤(例えばグリセロール)は、製剤の約5~約50g/l、約5~約45g/l、約5~約40g/l、約5~約35g/l、または約5~約30g/lの濃度で製剤中に存在する。いくつかの実施形態において、保湿剤(例えばグリセロール)は、約10~約50g/l、約10~約45g/l、約10~約40g/l、約10~約35g/l、約10~約30g/l、約10~約25g/l、または約10~約20g/lの濃度で製剤中に存在する。いくつかの実施形態において、保湿剤(例えばグリセロール)は、約15~約50g/l、約15~約45g/l、約15~約40g/l、約15~約35g/l、約15~約30g/l、約15~約25g/l、または約15~約20g/lの濃度で製剤中に存在する。いくつかの実施形態において、保湿剤は、約16~約20g/l、約16~約19g/l、または約16~約18g/l、例えば約17g/lの濃度で製剤中に存在する。いくつかの実施形態において、保湿剤(例えばグリセロール)は、約20~約50g/l、約20~約45g/l、約20~約40g/l、約20~約35g/l、または約20~約30g/lの濃度で製剤中に存在する。
【0122】
薬学的に許容される酸化防止剤
特にラキニモドを化学分解から保護するために、製剤は、薬学的に許容される酸化防止剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の二ナトリウム塩を含有する。
【0123】
いくつかの実施形態において、薬学的に許容される酸化防止剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の二ナトリウム塩を含む。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される酸化防止剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の二ナトリウム塩である。
【0124】
いくつかの実施形態において、製剤中の酸化防止剤の濃度は、約0.1g/l~約5g/l、約0.2g/l~約5g/l、または約0.5g/l~約5g/lの範囲内である。いくつかの実施形態において、酸化防止剤の濃度は、約0.1g/l~約2g/l、約0.2g/l~約2g/l、または約0.5g/l~約2g/lの範囲内である。いくつかの実施形態において、酸化防止剤の濃度は、約0.1g/l~約1.5g/l、約0.2g/l~約1.5g/l、または約0.5g/l~約1.5g/lの範囲内である。
【0125】
製剤中に存在する酸化防止剤の量は、一般に、製剤中に含有されるラキニモドの量に依存する。いくつかの実施形態において、製剤は、ラキニモドに対する重量比(酸化防止剤の重量:ラキニモドの重量)が約1:50~約1:5、約1:25~約1:5、約1:20~約1:5、または約1:15~約1:5の範囲、例えば、約1:50~約1:8、約1:25~約1:8、約1:20~約1:8、約1:15~約1:8、または約1:12~約1:8、例えば約1:10の範囲で酸化防止剤を含有することができる。
【0126】
薬学的に許容されるpH調整剤
pH調整剤は、製剤に少なくとも6.8のpHをもたらすのに十分な量で製剤中に存在することが好ましい。好ましくは、本明細書で提供される製剤は、約6.8~約8.5のpH、例えば7~8.5のpH、または7.4~8.5のpH(25℃の温度で測定された場合)を有する。いくつかの実施形態において、pHは最大で8.4である。例えば、いくつかの実施形態において、製剤は、7.0~8.4、例えば7.4~8.4、または8.0~8.4のpHを有する。いくつかの実施形態において、pHは最大で8.0である。例えば、いくつかの実施形態において、製剤は、7.0~8.0、例えば7.4~8.0のpHを有する。いくつかのさらなる実施形態において、製剤は、6.8~8.0、例えば6.8~7.9、または6.8~7.8、または6.8~7.7、または6.8~7.6、または6.8~7.5、または6.8~7.4の範囲のpHを有する。いくつかのさらなる実施形態において、製剤は、6.9~8.0、例えば6.9~7.9、または6.9~7.8、または6.9~7.7、または6.9~7.6、または6.9~7.5の範囲のpHを有する。いくつかのさらなる実施形態において、製剤は、7.0~7.9、または7.0~7.8、または7.0~7.7、または7.0~7.6、または7.0~7.5の範囲のpHを有する。いくつかのさらなる実施形態において、製剤は、7.1~7.9、または7.1~7.8、または7.1~7.7、または7.1~7.6、または7.1~7.5の範囲のpHを有する。いくつかのさらなる実施形態において、製剤は、7.2~7.9、または7.2~7.8、または7.2~7.7、または7.2~7.6、または7.2~7.5の範囲のpHを有する。いくつかのさらなる実施形態において、製剤は、7.3~7.9、または7.3~7.8、または7.3~7.7、または7.3~7.6、または7.3~7.5の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態において、製剤は、約7.4のpHを有する。
【0127】
製剤は、上記の範囲内のpHをもたらすためのpH調整剤を含有する。例えば、製剤は約1~約5g/lのpH調整剤、例えば約1~約2g/lのpH調整剤を含有することができる。
【0128】
いくつかの実施形態において、pH調整剤は、1種または複数のpH緩衝剤、例えば、TRIS(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、IUPAC名:2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール)およびリン酸水素二ナトリウム二水和物から選択されるpH緩衝剤を含む。いくつかの実施形態において、pH調整剤は、TRISを含む。いくつかの実施形態において、pH調整剤は、リン酸水素二ナトリウム二水和物を含む。いくつかの実施形態において、pH調整剤は、TRISである。いくつかの実施形態において、pH調整剤は、リン酸水素二ナトリウム二水和物である。
【0129】
必要であれば、製剤のpHは、塩基または酸、例えば水酸化ナトリウムなどの強塩基または塩酸などの強酸の添加によって調整されてもよく、任意で、例えば本明細書で上述されたような好適な緩衝剤の使用によって、所望のpHに維持されてもよい。
【0130】
薬学的に許容される保存剤
いくつかの実施形態において、製剤は、API保存有効量の薬学的に許容される保存剤を含む。いくつかの実施形態において、製剤は、塩化ベンザルコニウムおよび塩化ベンゼトニウム(IUPAC名:N-ベンジル-N,N-ジメチル-2-{2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エトキシ}エタナミニウムクロライド)から選択される保存剤を含む。いくつかの実施形態において、保存剤は、塩化ベンザルコニウムを含む。いくつかの実施形態において、保存剤は、塩化ベンザルコニウムである。塩化ベンザルコニウム(CAS番号8001-54-5)は、一般式
【0131】
【化2】
【0132】
(式中、nは8~16の範囲の整数である)
のアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライドの混合物である。
【0133】
保存剤の濃度は、典型的には、約0.01g/l~約0.2g/l、約0.02g/l~約0.2g/l、約0.05g/l~約0.2g/l、または約0.1g/l~約0.2g/lの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、保存剤の濃度は最大で0.15g/lである。したがって、いくつかの実施形態において、保存剤の濃度は、約0.01g/l~約0.15g/l、約0.02g/l~約0.15g/l、約0.05g/l~約0.15g/l、または約0.1g/l~約0.15g/lの範囲内である。
【0134】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される製剤は、保存剤を含有しない。例えば、いくつかの実施形態において、製剤が単回使用容器(すなわち、1回のみ使用される容器)またはシングルドーズ容器(すなわち、1回分の用量のみ含有する容器)で提供される場合、保存剤は含まれなくてもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、製剤は保存剤を含有しない。
【0135】
また、Nemera社(フランス)から販売されているNovelia(登録商標)PFMDボトルのような保存剤の必要性をなくすマルチドーズ容器や、例えば論文「OPHTHALMIC SQUEEZE DISPENSER - Eliminating the Need for Additives in Multidose Preservative-Free Eyecare Formulations」(Drug Development & Delivery, October 2017, Vol. 17, No. 7, pp. 40-44)に記載されているようなマルチドーズ容器などの類似のデバイスもある。したがって、いくつかのさらなる実施形態において、製剤は、保存剤を含まない製剤を眼に投与するのに適したマルチドーズ容器で提供される、保存剤を含まない製剤である。
【0136】
薬学的に許容される界面活性剤
いくつかの実施形態において、製剤はさらに界面活性剤(表面活性剤)、好ましくは非イオン性界面活性剤を含む。例えば、製剤は、ポリソルベート80などのポリソルベート、およびポロキサマー188またはポロキサマー407などのポロキサマーから選択される非イオン性界面活性剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、製剤は界面活性剤としてポリソルベート80を含む。
【0137】
本明細書に記載される製剤、例えばゲル状製剤において、界面活性剤の好適な濃度は、例えば0.1~5g/l、0.2~5g/l、0.5~5g/l、0.1~4g/l、0.2~4g/l、0.5~4g/l、0.1~3g/l、0.2~3g/l、0.5~3g/l;0.1~2g/l、0.2~2g/lまたは0.5~2g/lの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される製剤、例えばゲル製剤中の界面活性剤の好適な濃度は、0.1~1.5g/l、0.2~1.5g/l、0.5~1.5g/lまたは0.8~1.5g/lの範囲内;例えば、0.1~1.2g/l、0.2~1.2g/l、0.5~1.2g/lまたは0.8~1.2g/lの範囲内である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるゲル製剤中の界面活性剤の好適な濃度は、0.9~1.1g/lの範囲内、例えば約1.0g/lである。これらの実施形態のいくつかにおいて、界面活性剤はポリソルベート80である。
【0138】
本明細書に記載されるエマルション状製剤では、界面活性剤の濃度は一般にゲル製剤よりも高く、界面活性剤の好適な濃度は、例えば5~50g/l、10~50g/l、15~50g/l、5~45g/l、10~45g/l、15~45g/l、5~40g/l、10~40g/l、または15~40g/lの範囲であり得る。
【0139】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される製剤は、界面活性剤を含有しない。いくつかの実施形態において、製剤は、界面活性剤を含有しないゲル製剤である。
【0140】
薬学的に許容される溶解補助剤
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される製剤は、可溶化有効量の、マクロゴール15ヒドロキシステアレート、ポリオキシルヒマシ油、ポリビニルピロリドンまたはシクロデキストリン(例えば、β-シクロデキストリン)などの薬学的に許容される可溶化剤(または溶解補助剤)を含む。
【0141】
いくつかの実施形態において、製剤は、シクロデキストリン、例えばβ-シクロデキストリンを、例えば約10~約100g/l、例えば20~100g/l、または50~100g/l、例えば70~100g/l、または80~100g/lの範囲の濃度で含有する。
【0142】
いくつかの実施形態において、製剤は、マクロゴール15ヒドロキシステアレートを、例えば約0.5~5g/l、例えば1~4.5g/l、または1.5~4g/l、例えば2~3g/lの範囲の濃度で含有する。
【0143】
いくつかの実施形態において、製剤は、ポリオキシルヒマシ油を、例えば約10~約100g/l、例えば20~80g/l、または30~70g/l、例えば40~60g/lの範囲の濃度で含有する。
【0144】
いくつかの実施形態において、製剤は、ポリオキシルヒマシ油を、例えば約1~約30g/l、例えば2~25g/l、または4~20g/l、例えば7~15g/lの範囲の濃度で含有する。
【0145】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される製剤は、溶解補助剤を含有しない。
【0146】
最後に、一部の成分はいくつかの機能的属性を有し、したがって、本発明の製剤中に異なる役割(capacity)で存在し得ることに留意されたい。例えば、当業者であれば、カルボマーコポリマー(タイプB)が医薬製剤の分野で増粘剤として、ゲル形成剤として、安定剤として、および乳化剤として使用されていることを知っているであろう。同様に、ポリオキシルヒマシ油は、非イオン性可溶化剤としてだけでなく、水中油型乳化剤としても利用されている。本明細書で記載される複数の用途を有する他の成分は、例えばマクロゴール15ヒドロキシステアレート(非イオン性可溶化剤、乳化剤)、ポリビニルピロリドン(可溶化剤、粘度増強剤)などである。
【0147】
また、本明細書で言及される任意の機能性剤(例えば、粘稠化剤、等張化剤、保湿剤など)は、一般に、必要な機能性を有する1種または複数の化合物を含んでもよいこと、すなわち、特に明記しない限り、または文脈から明らかでない限り、機能性剤は、1種のそのような化合物のみからなってもよく、または2種以上のそのような化合物の混合物を含んでもよいことに留意されたい。
【0148】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される製剤は、任意成分(vii)~(ix)をいずれも含有しないか、またはゲル製剤の場合は、任意成分(vii)~(x)をいずれも含有しない。
【0149】
いくつかのさらなる実施形態において、本明細書で提供される製剤は、
(i)治療有効量の、有効成分としてのラキニモドまたはその薬学的に許容される塩;
(ii)本明細書で定義される粘度、好ましくは、約2~50mPas、約2~40mPas、約2~30mPas、約10~50mPas、約10~40mPas、約10~30mPas、約10~約25mPas、約15~50mPas、約15~40mPas、約15~30mPas、または約15~約25mPasの粘度をもたらすのに十分な量の、薬学的に許容される粘稠化剤、例えば、カルボマーコポリマー(例えば、タイプB)および/またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体から選択される粘稠化剤;
(iii)本明細書に示される浸透圧、好ましくは約200~400mOsm/kg、または約250~350mOsm/kg、または約280~320mOsm/kgの浸透圧をもたらすのに十分な量の、薬学的に許容される等張化剤、例えばマンニトールなどの非イオン性等張化剤;
(iv)薬学的に許容される保湿剤、例えば、グリセロールなどのポリオール;
(v)薬学的に許容される酸化防止剤、例えばNa-EDTA;ならびに
(vi)少なくとも6.8のpH、例えば約7~8.4、例えば約7.4~約8.4、約7.4~8.0、または約8.0~8.4のpHをもたらすのに十分な量の、薬学的に許容されるpH調整剤、例えばTRISまたはリン酸水素二ナトリウム二水和物などの塩基性緩衝液;ならびに任意で、
(vii)薬学的に許容される保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウム;
(viii)薬学的に許容される界面活性剤、例えばポリソルベート80などのポリソルベート;
(ix)薬学的に許容される可溶化剤、例えばマクロゴール15ヒドロキシステアレート;および
(x)薬学的に許容される油、例えばヒマシ油などの植物油
から選択される1種または複数の成分を含む。
【0150】
いくつかの実施形態において、眼投与のための製剤は、
(i)治療有効量の、有効成分としてのラキニモドまたはその薬学的に許容される塩;
(ii)20℃で測定して10~45mPas、例えば15~45mPasの動的粘度をもたらすのに十分な量の、薬学的に許容される粘稠化剤;
(iii)200~400mOsm/kg、例えば250~375mOsm/kgの浸透圧をもたらすのに十分な量の、薬学的に許容される等張化剤;
(iv)薬学的に許容される保湿剤;
(v)薬学的に許容される酸化防止剤;および
(vi)6.8~8.0のpHをもたらすのに十分な量の、薬学的に許容されるpH調整剤を含む。
【0151】
いくつかの実施形態において、眼投与のための製剤は、
(i)治療有効量の、有効成分としてのラキニモドまたはその薬学的に許容される塩;
(ii)20℃で測定して10~30mPasの動的粘度をもたらすのに十分な量の、薬学的に許容される粘稠化剤;
(iii)200~400mOsm/kgの浸透圧をもたらすのに十分な量の、薬学的に許容される等張化剤;
(iv)グリセロール;
(v)薬学的に許容される酸化防止剤;および
(vi)6.8~8.5、例えば7.4~8.4のpHをもたらすのに十分な量の、薬学的に許容されるpH調整剤を含む。
【0152】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される製剤は、約2~50mPas、約2~45mPas、約2~40mPas、約2~30mPas、約10~50mPas、約10~45mPas、約10~40mPas、約10~30mPas、約15~50mPas、約15~45mPas、約15~40mPas、または約15~30mPasの粘度;約200~400mOsm/kg、約250~375mOsm/kg、約250~350mOsm/kg、または約250~320mOsm/kgの浸透圧;および約6.8~8.5、約6.8~8.4、約6.8~8.0、約7.0~約8.0、例えば約7.4~8.0のpHを有する。
【0153】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される製剤は、約15~45mPasの粘度;約250~375mOsm/kgの浸透圧;および約6.8~約8.0のpHを有する。
【0154】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される製剤は、約20~40mPasの粘度;約280~320mOsm/kgの浸透圧;および約7.0~約8.0、例えば約7.4のpHを有する。
【0155】
いくつかの実施形態において、製剤は、
(i)治療有効量の、有効成分としてのラキニモドまたはその薬学的に許容される塩;
(ii)本明細書で定義される粘度、好ましくは、約2~50mPas、約2~45mPas、約2~40mPas、約2~35mPas、約10~50mPas、約10~45mPas、約10~40mPas、約10~35mPas、約15~50mPas、約15~45mPas、約15~40mPas、または約15~35mPasの粘度をもたらすのに十分な量の、薬学的に許容される粘稠化剤、例えば、本明細書に記載される粘稠化剤;
(iii)本明細書に示される浸透圧、好ましくは約200~400mOsm/kg、約250~350mOsm/kg、約250~375mOsm/kg、または約280~320mOsm/kgの浸透圧をもたらすのに十分な量の、薬学的に許容される等張化剤、例えば本明細書に記載される等張化剤;
(iv)薬学的に許容される保湿剤、例えば本明細書に記載される保湿剤、例えばグリセロール;
(v)薬学的に許容される酸化防止剤、例えば本明細書に記載される酸化防止剤、例えばNa-EDTA;および
(vi)少なくとも6.8のpH、例えば約6.8~8.5、または約6.8~8.0、または約7.0~8.0、例えば約7.4のpHをもたらすのに十分な量の、薬学的に許容されるpH調整剤、例えば本明細書に記載されるpH調整剤;ならびに任意で、
(vii)薬学的に許容される保存剤;
(viii)薬学的に許容される界面活性剤;
(ix)薬学的に許容される可溶化剤;および
(x)薬学的に許容される油
から選択される1種または複数の成分を含む。
【0156】
本明細書で提供される製剤は、ゲル製剤、または水および油含有エマルション製剤のいずれかである。いくつかの実施形態において、水および油含有エマルション製剤は、水中油型エマルションである。製剤中に存在する水は、蒸留水、精製水、注射用水などの、医薬用途に適したものであるべきである。
【0157】
水および油含有エマルション
いくつかの実施形態において、水および油含有エマルション製剤、例えば水中油型エマルションである。
【0158】
水および油含有エマルション製剤において、油は薬学的に許容される油、例えば、ヒマシ油、トウモロコシ油、オリーブ油またはカメリナ油などの植物油から選択される油である。いくつかの実施形態において、油はヒマシ油である。当業者には容易に理解されるように、油が外相を形成するか内相を形成するかによって、油と水相の割合は変化する。したがって、油中水型エマルションでは、通常、油の体積は水相の体積よりも大きくなり、水中油型エマルションではその逆となる。エマルションにおいて、内相(例えば油相)は、例えば10~100g/l、または20~80g/l、例えば30~70g/l、例えば約40~60g/lの量で存在し得ると考えられる。
【0159】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される製剤は、水および油含有エマルション、好ましくは水中油型エマルションであって、
- ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩;
- 本明細書で示される範囲内の粘度をもたらすのに十分な濃度の、カルボマーコポリマーおよび/またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの粘稠化剤;
- マンニトールなどの等張化剤;
- グリセロールなどの保湿剤;
- Na-EDTAなどの酸化防止剤;
- 6.8~8.5、または7.0~8.5、または7.4~8.4、または8.0~8.4の範囲のpHをもたらすpH緩衝剤、例えばリン酸水素二ナトリウム二水和物およびTRISから選択されるpH緩衝剤;
- 任意で、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤;
- 任意で、ポリソルベート(例えばポリソルベート80)および/またはポロキサマー(例えばポロキサマー407)などの界面活性剤;
- 任意で、マクロゴール15ヒドロキシステアレート、ポリオキシルヒマシ油などの可溶化剤(または乳化剤);ならびに
- ヒマシ油などの植物油を含む、水および油含有エマルションである。
【0160】
いくつかの実施形態において、水および油含有エマルション(好ましくは、水中油型エマルション)は、
- ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩;
- 本明細書で示される範囲内の粘度をもたらすのに十分な濃度の、例えばカルボマーコポリマーおよび/またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの粘稠化剤;
- マンニトールなどの等張化剤;
- グリセロールなどの保湿剤;
- Na-EDTAなどの酸化防止剤;
- 6.8~8.5、または7.0~8.5、または7.4~8.4、または8.0~8.4の範囲のpHをもたらすpH緩衝剤、例えばリン酸水素二ナトリウム二水和物およびTRISから選択されるpH緩衝剤;
- 塩化ベンザルコニウムなどの保存剤;
- ポリソルベート(例えばポリソルベート80)および/またはポロキサマー(例えばポロキサマー407)などの界面活性剤;
- マクロゴール15ヒドロキシステアレート、ポリオキシルヒマシ油などの可溶化剤(または乳化剤);ならびに
- ヒマシ油などの植物油を含む。
【0161】
いくつかの実施形態において、水および油含有エマルション(好ましくは、水中油型エマルション)は、
- 治療有効量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、例えば、約5~約100g/l、約10~約100g/l、約20~80g/l、もしくは約50g/lのラキニモド、または対応する量の、その薬学的に許容される塩;
- 約2~約10g/l、例えば約3~約8g/l、または約4~約6g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウム、および/または約0.2~1g/l、例えば約0.3~約0.8、例えば約0.5g/lのカルボマーコポリマー(例えばカルボマーポリマータイプB);
- 約1.5~4g/l、例えば約2.5~3g/l、例えば約2.7g/lのマンニトール;
- 約10~40g/l、例えば約20~約30g/l、例えば約25g/lのグリセロール;
- 約0.2~2g/l、例えば約0.5~1.5g/l、または約0.8~1.2g/lのNa-EDTA;
- 7.0~8.5のpH、例えば7.4~8.4のpH、または8.0~8.4のpH、例えば約8.4のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤、例えばリン酸水素二ナトリウム二水和物およびTRISから選択されるpH緩衝剤(例えば約1~1.5g/lの量のTRIS);
- 任意で、約0.05~約0.2g/l、例えば約0.1~約0.15g/lの塩化ベンザルコニウム;
- 任意で、約10~約50g/l、例えば約20~約40g/lの界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベートおよび/またはポロキサマー、例えばポリソルベート80および/またはポロキサマー407;
- 任意で、約1~約5g/l、例えば約1.5~約3.5g/l、例えば約2.5g/lのマクロゴール15ヒドロキシステアレート、または約30~約70g/l、例えば約40~約60g/l、例えば約50g/lのポリオキシルヒマシ油(例えばポリオキシル35ヒマシ油);ならびに
- 約20~約100g/l、例えば約30~約70g/l、例えば約50g/lの、ヒマシ油などの植物油を含む。
【0162】
いくつかの実施形態において、水および油含有エマルション(好ましくは、水中油型エマルション)は、
- 治療有効量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、例えば、約5~約100g/l、約10~約100g/l、約20~80g/l、もしくは約50g/lのラキニモド、または対応する量の、その薬学的に許容される塩;
- 約2~約10g/l、例えば約3~約8g/l、または約4~約6g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウム、および/または約0.2~1g/l、例えば約0.3~約0.8、例えば約0.5g/lのカルボマーコポリマー(例えばカルボマーポリマータイプB);
- 約1.5~4g/l、例えば約2.5~3g/l、例えば約2.7g/lのマンニトール;
- 約10~40g/l、例えば約20~約30g/l、例えば約25g/lのグリセロール;
- 約0.2~2g/l、例えば約0.5~1.5g/l、または約0.8~1.2g/lのNa-EDTA;
- 7.0~8.5のpH、例えば7.4~8.4のpH、または8.0~8.4のpH、例えば約8.4のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤、例えばリン酸水素二ナトリウム二水和物およびTRISから選択されるpH緩衝剤(例えば約1~1.5g/lの量のTRIS);
- 約0.05~約0.2g/l、例えば約0.1~約0.15g/lの塩化ベンザルコニウム;
- 約10~約50g/l、例えば約20~約40g/lの界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベートおよび/またはポロキサマー、例えばポリソルベート80および/またはポロキサマー407;
- 約1~約5g/l、例えば約1.5~約3.5g/l、例えば約2.5g/lのマクロゴール15ヒドロキシステアレート、または約30~約70g/l、例えば約40~約60g/l、例えば約50g/lのポリオキシルヒマシ油(例えばポリオキシル35ヒマシ油);ならびに
- 約20~約100g/l、例えば約30~約70g/l、例えば約50g/lの、ヒマシ油などの植物油を含む。
【0163】
本明細書で提供されるいくつかのさらなるエマルション製剤は、表1~表12に示される通りである。
【0164】
【表1】
【0165】
【表2】
【0166】
【表3】
【0167】
【表4】
【0168】
【表5】
【0169】
【表6】
【0170】
【表7】
【0171】
【表8】
【0172】
【表9】
【0173】
【表10】
【0174】
【表11】
【0175】
【表12】
【0176】
ゲル製剤
いくつかの実施形態において、製剤は、ゲル製剤である。いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
- ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩;
- 本明細書で示される範囲内の粘度をもたらすのに十分な濃度の、カルボマーコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、および/またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの粘稠化剤;
- マンニトールなどの等張化剤;
- グリセロールなどの保湿剤;
- Na-EDTAなどの酸化防止剤;
- 6.8~8.5、7.0~8.5、7.4~8.4、7.4~8.0、または8.0~8.4の範囲のpHをもたらすpH緩衝剤、例えばリン酸水素二ナトリウム二水和物およびTRISから選択されるpH緩衝剤;
- 任意で、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤;
- 任意で、ポリソルベート(例えばポリソルベート80)および/またはポロキサマー(例えばポロキサマー188、またはポロキサマー407)などの界面活性剤;ならびに
- 任意で、マクロゴール15ヒドロキシステアレート、ポリビニルピロリドンなどの可溶化剤を含む。
【0177】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
- ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩;
- 本明細書で示される範囲内の粘度をもたらすのに十分な濃度の、カルボマーコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、および/またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの粘稠化剤;
- マンニトールなどの等張化剤;
- グリセロールなどの保湿剤;
- Na-EDTAなどの酸化防止剤;
- 塩化ベンザルコニウムなどの保存剤;
- 6.8~8.5、7.0~8.5、7.4~8.4、7.4~8.0、または8.0~8.4の範囲のpHをもたらすpH緩衝剤、例えばリン酸水素二ナトリウム二水和物およびTRISから選択されるpH緩衝剤;
- ポリソルベート(例えばポリソルベート80)および/またはポロキサマー(例えばポロキサマー188、またはポロキサマー407)などの界面活性剤;ならびに
- 任意で、マクロゴール15ヒドロキシステアレート、ポリビニルピロリドン、またはポリオキシルヒマシ油などの可溶化剤を含む。
【0178】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
- 治療有効量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、例えば約10~約100g/l、約20~80g/l、もしくは約50g/lのラキニモド、または対応する量の、その薬学的に許容される塩;
- 約1~約10g/l、例えば約2~約8g/l、または約3~約5g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウム、および/または約0.5~約6g/l、例えば約1~約5g/l、例えば約1.5~約3g/lのカルボマーコポリマー(例えば、カルボマーポリマータイプB)、または約2~約10g/l、例えば約3~約7g/l、例えば約5g/lのヒドロキシプロピルメチルセルロース、または約20~約60g/l、例えば約30~約50g/l、例えば約40g/lのポリビニルアルコール;
- 約1.5~4g/l、例えば約2.5~3g/l、例えば約2.7g/lのマンニトール;
- 約10~40g/l、例えば約20~約30g/l、例えば約25g/lのグリセロール;
- 約0.2~2g/l、例えば約0.5~1.5g/l、または約0.8~1.2g/lのNa-EDTA;
- 6.8~8.5、または7.0~8.5のpH、例えば7.4~8.4のpH、7.4~8.0のpH、または8.0~8.4のpH、例えば約8.0のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤、例えばリン酸水素二ナトリウム二水和物およびTRISから選択されるpH緩衝剤(例えば約1~1.5g/lの量のTRIS);
- 任意で、約0.05~約0.2g/l、例えば約0.1~約0.15g/lの塩化ベンザルコニウム;
- 任意で、約0.1~約5g/l、例えば約0.2~約3g/l、または約0.5~約2g/lの界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベートおよび/またはポロキサマー、例えばポリソルベート80および/またはポロキサマー407またはポロキサマー188;ならびに
- 任意で、約1~約5g/l、例えば約1.5~約3.5g/l、例えば約2.5g/lのマクロゴール15ヒドロキシステアレート、または約30~約70g/l、例えば約40~約60g/l、例えば約50g/lのポリオキシルヒマシ油(例えばポリオキシル35ヒマシ油)、または約5~約20g/l、例えば約8~約15g/l、例えば約10g/lのポリビニルピロリドンを含む。
【0179】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
- 治療有効量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、例えば約10~約100g/l、約20~80g/l、もしくは約50g/lのラキニモド、または対応する量の、その薬学的に許容される塩;
- 約1~約10g/l、例えば約2~約8g/l、または約3~約5g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウム、および/または約0.5~約6g/l、例えば約1~約5g/l、例えば約1.5~約3g/lのカルボマーコポリマー(例えば、カルボマーポリマータイプB)、または約2~約10g/l、例えば約3~約7g/l、例えば約5g/lのヒドロキシプロピルメチルセルロース、または約20~約60g/l、例えば約30~約50g/l、例えば約40g/lのポリビニルアルコール;
- 約1.5~4g/l、例えば約2.5~3g/l、例えば約2.7g/lのマンニトール;
- 約10~40g/l、例えば約20~約30g/l、例えば約25g/lのグリセロール;
- 約0.2~2g/l、例えば約0.5~1.5g/l、または約0.8~1.2g/lのNa-EDTA;
- 6.8~8.5、または7.0~8.5のpH、例えば7.4~8.4のpH、7.4~8.0のpH、または8.0~8.4のpH、例えば約8.0のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤、例えばリン酸水素二ナトリウム二水和物およびTRISから選択されるpH緩衝剤(例えば約1~1.5g/lの量のTRIS);
- 約0.05~約0.2g/l、例えば約0.1~約0.15g/lの塩化ベンザルコニウム;
- 任意で、約0.1~約5g/l、例えば約0.2~約3g/l、または約0.5~約2g/lの界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベートおよび/またはポロキサマー、例えばポリソルベート80および/またはポロキサマー407またはポロキサマー188;ならびに
- 任意で、約1~約5g/l、例えば約1.5~約3.5g/l、例えば約2.5g/lのマクロゴール15ヒドロキシステアレート、または約30~約70g/l、例えば約40~約60g/l、例えば約50g/lのポリオキシルヒマシ油(例えばポリオキシル35ヒマシ油)、または約5~約20g/l、例えば約8~約15g/l、例えば約10g/lのポリビニルピロリドンを含む。
【0180】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
- 治療有効量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩;
- カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはカルボマーコポリマー(例えば、カルボマーポリマータイプB);
- 等張化剤;
- 保湿剤;
- 酸化防止剤;
- 6.8~8.5、または7.0~8.5のpH、例えば7.4~8.4のpH、7.4~8.0のpH、または8.0~8.4のpH、例えば約8.0のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤;
- 保存剤;
- 任意で、界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤;ならびに
- 任意で、マクロゴール15ヒドロキシステアレート、ポリオキシルヒマシ油(例えば、ポリオキシル35ヒマシ油)、またはポリビニルピロリドンを含む。
【0181】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
- 治療有効量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、例えば約10~約100g/l、約20~80g/l、もしくは約50g/lのラキニモド、または対応する量の、その薬学的に許容される塩;
- 約1~約10g/l、例えば約2~約8g/l、または約3~約5g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウム、および/または約0.5~約6g/l、例えば約1~約5g/l、例えば約1.5~約3g/lのカルボマーコポリマー(例えばカルボマーポリマータイプB);
- 等張化剤;
- 保湿剤;
- 酸化防止剤;
- 6.8~8.5、または7.0~8.5のpH、例えば7.4~8.4のpH、7.4~8.0のpH、または8.0~8.4のpH、例えば約8.0のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤;
- 保存剤;
- 任意で、界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤;ならびに
- 任意で、約1~約5g/l、例えば約1.5~約3.5g/l、例えば約2.5g/lのマクロゴール15ヒドロキシステアレート、または約30~約70g/l、例えば約40~約60g/l、例えば約50g/lのポリオキシルヒマシ油(例えばポリオキシル35ヒマシ油)、または約5~約20g/l、例えば約8~約15g/l、例えば約10g/lのポリビニルピロリドンを含む。
【0182】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
- 治療有効量、例えば約10~100g/lのラキニモドまたはその薬学的に許容される塩;
- 約1~約10g/l、および/または約0.5~約6g/lのカルボマーコポリマー(例えば、カルボマーポリマータイプB);
- 等張化剤;
- 保湿剤;
- 酸化防止剤;
- 6.8~8.5、または7.0~8.5のpH、例えば7.4~8.4のpH、7.4~8.0のpH、または8.0~8.4のpH、例えば約8.0のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤;
- 保存剤;
- 任意で、界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤;ならびに
- 任意で、約1~約5g/lのマクロゴール15ヒドロキシステアレート、または約30~約70g/lのポリオキシルヒマシ油(例えばポリオキシル35ヒマシ油)、または約5~約20g/lのポリビニルピロリドンを含む。
【0183】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
- 治療有効量、例えば約10~100g/lのラキニモドまたはその薬学的に許容される塩;
- 約1~約10g/l、および/または約0.5~約6g/lのカルボマーコポリマー(例えば、カルボマーポリマータイプB);
- 約1.5~4g/lのマンニトール;
- 約10~40g/lのグリセロール;
- 約0.2~2g/lのNa-EDTA;
- 6.8~8.5、または7.0~8.5のpH、例えば7.4~8.4のpH、7.4~8.0のpH、または8.0~8.4のpH、例えば約8.0のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤;
- 約0.05~約0.2g/lの塩化ベンザルコニウム;
- 任意で、界面活性剤、例えば非イオン界面活性剤、例えば約0.1~約5g/lの界面活性剤、好ましくは非イオン界面活性剤;および
- 任意で、約1~約5g/lのマクロゴール15ヒドロキシステアレート、または約30~約70g/lのポリオキシルヒマシ油(例えばポリオキシル35ヒマシ油)、または約5~約20g/lのポリビニルピロリドンを含む。
【0184】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
- 治療有効量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、例えば約10~約100g/l、約20~80g/l、もしくは約50g/lのラキニモド、または対応する量の、その薬学的に許容される塩;
- 約1~約10g/l、例えば約2~約8g/l、または約3~約5g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウム、および/または約0.5~約6g/l、例えば約1~約5g/l、例えば約1.5~約3g/lのカルボマーコポリマー(例えばカルボマーポリマータイプB);
- 約1.5~4g/l、例えば約2.5~3g/l、例えば約2.7g/lのマンニトール;
- 約10~40g/l、例えば約20~約30g/l、例えば約25g/lのグリセロール;
- 約0.2~2g/l、例えば約0.5~1.5g/l、または約0.8~1.2g/lのNa-EDTA;
- 6.8~8.5、または7.0~8.5のpH、例えば7.4~8.4のpH、7.4~8.0のpH、または8.0~8.4のpH、例えば約8.0のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤、例えばリン酸水素二ナトリウム二水和物およびTRISから選択されるpH緩衝剤(例えば約1~1.5g/lの量のTRIS);
- 約0.05~約0.2g/l、例えば約0.1~約0.15g/lの塩化ベンザルコニウム;
- 任意で、界面活性剤、例えば非イオン界面活性剤、例えば約0.1~約5g/l、例えば約0.2~約3g/l、または約0.5~約2g/lの界面活性剤、好ましくは非イオン界面活性剤、例えばポリソルベートおよび/またはポロキサマー、例えばポリソルベート80またはポロキサマー407;ならびに
- 約1~約5g/l、例えば約1.5~約3.5g/l、例えば約2.5g/lのマクロゴール15ヒドロキシステアレート、または約30~約70g/l、例えば約40~約60g/l、例えば約50g/lのポリオキシルヒマシ油(例えばポリオキシル35ヒマシ油)、または約5~約20g/l、例えば約8~約15g/l、例えば約10g/lのポリビニルピロリドンを含む。
【0185】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
- 治療有効量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、例えば約10~約100g/l、約20~80g/l、もしくは約20~約50g/lのラキニモド、または対応する量の、その薬学的に許容される塩;
- 約1~約10g/l、例えば約2~約8g/l、または約3~約5g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウム、および/または約0.5~約6g/l、例えば約1~約5g/l、例えば約1.5~約3g/lのカルボマーコポリマー(例えばカルボマーポリマータイプB);
- 約1.5~4g/l、例えば約2.5~3g/l、例えば約2.7g/lのマンニトール;
- 約10~40g/l、例えば約20~約30g/l、例えば約25g/lのグリセロール;
- 約0.2~2g/l、例えば約0.5~1.5g/l、または約0.8~1.2g/lのNa-EDTA;
- 6.8~8.5、または7.0~8.5のpH、例えば7.4~8.4のpH、7.4~8.0のpH、または8.0~8.4のpH、例えば約8.0のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤、例えばリン酸水素二ナトリウム二水和物およびTRISから選択されるpH緩衝剤(例えば約1~1.5g/lの量のTRIS、または約1.5~2g/lの量のリン酸水素二ナトリウム二水和物);
ならびに任意で、
- 薬学的に許容される保存剤、例えば約0.05~約0.2g/l、例えば約0.1~約0.15g/lの塩化ベンザルコニウム;
- 薬学的に許容される界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤、例えば約0.1~約5g/l、例えば約0.2~約3g/l、または約0.5~約2g/l、例えば約1g/lの界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート、例えばポリソルベート80;および
- 薬学的に許容される可溶化剤、例えば約1~約5g/l、例えば約1.5~約3.5g/l、例えば約2.5g/lのマクロゴール15ヒドロキシステアレート
から選択される1種または複数の成分を含む。
【0186】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
- 治療有効量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、例えば約10~約100g/l、約20~80g/l、もしくは約20~約50g/lのラキニモド、または対応する量の、その薬学的に許容される塩;
- 約1~約10g/l、例えば約2~約8g/l、または約3~約5g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウム、および/または約0.5~約6g/l、例えば約1~約5g/l、例えば約1.5~約3g/lのカルボマーコポリマー(例えばカルボマーポリマータイプB);
- 約1.5~4g/l、例えば約2.5~3g/l、例えば約2.7g/lのマンニトール;
- 約10~40g/l、例えば約20~約30g/l、例えば約25g/lのグリセロール;
- 約0.2~2g/l、例えば約0.5~1.5g/l、または約0.8~1.2g/lのNa-EDTA;
- 6.8~8.5、または7.0~8.5のpH、例えば7.4~8.4のpH、7.4~8.0のpH、または8.0~8.4のpH、例えば約8.0のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤、例えばリン酸水素二ナトリウム二水和物およびTRISから選択されるpH緩衝剤(例えば約1~1.5g/lの量のTRIS);
ならびに任意で、
- 薬学的に許容される保存剤、例えば約0.05~約0.2g/l、例えば約0.1~約0.15g/lの塩化ベンザルコニウム;および
- 薬学的に許容される可溶化剤、例えば約1~約5g/l、例えば約1.5~約3.5g/l、例えば約2.5g/lのマクロゴール15ヒドロキシステアレート
から選択される1種または複数の成分を含む。
【0187】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
- 治療有効量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、例えば約10~約100g/l、約20~80g/l、もしくは約20~約50g/lのラキニモド、または対応する量の、その薬学的に許容される塩;
- 約1~約10g/l、例えば約2~約8g/l、または約3~約5g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウム、および/または約0.5~約6g/l、例えば約1~約5g/l、例えば約1.5~約3g/lのカルボマーコポリマー(例えばカルボマーポリマータイプB);
- 約1.5~4g/l、例えば約2.5~3g/l、例えば約2.7g/lのマンニトール;
- 約10~40g/l、例えば約20~約30g/l、例えば約25g/lのグリセロール;
- 約0.2~2g/l、例えば約0.5~1.5g/l、または約0.8~1.2g/lのNa-EDTA;
- 6.8~8.5、または7.0~8.5のpH、例えば7.4~8.4のpH、7.4~8.0のpH、または8.0~8.4のpH、例えば約8.0のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤、例えばリン酸水素二ナトリウム二水和物およびTRISから選択されるpH緩衝剤(例えば約1~1.5g/lの量のTRIS);
ならびに任意で、
- 薬学的に許容される保存剤、例えば約0.05~約0.2g/l、例えば約0.1~約0.15g/lの塩化ベンザルコニウム;および
- 薬学的に許容される界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤、例えば約0.1~約5g/l、例えば約0.2~約3g/l、または約0.5~約2g/l、例えば約1g/lの界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート、例えばポリソルベート80
から選択される1種または複数の成分を含む。
【0188】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
- 治療有効量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、例えば約10~約100g/l、約10~80g/l、約10~約50g/l、もしくは約10~約20g/lのラキニモド、または対応する量の、その薬学的に許容される塩、例えばラキニモドのナトリウム塩;
- 約1~約10g/l、例えば約2~約8g/l、または約3~約5g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウム、および/または約0.5~約6g/l、例えば約1~約5g/l、例えば約1.5~約3g/lのカルボマーコポリマー(例えばカルボマーポリマータイプB);
- 約1.5~4g/l、例えば約2.5~3g/l、例えば約2.7g/lのマンニトール;
- 約10~40g/l、例えば約10~約30g/l、または約15~約20g/lのグリセロール;
- 約0.2~2g/l、例えば約0.5~1.5g/l、または約0.8~1.2g/lのNa-EDTA;
- 6.8~8.5、または6.8~8.0のpH、例えば7.0~8.0のpH、または7.4~8.0のpH、例えば約7.4のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤、例えば、リン酸水素二ナトリウム二水和物およびTRIS(例えば、約1~1.5g/lの量のTRIS、または約1.5~2g/lの量のリン酸水素二ナトリウム二水和物)から選択されるpH緩衝剤;
ならびに任意で、
- 薬学的に許容される保存剤、例えば約0.05~約0.2g/l、例えば約0.1~約0.15g/lの塩化ベンザルコニウム;および
- 薬学的に許容される界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤、例えば約0.1~約5g/l、例えば約0.2~約3g/l、または約0.5~約2g/l、例えば約1g/lの界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート、例えばポリソルベート80
から選択される1種または複数の成分を含む。
【0189】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
- 治療有効量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、例えば約10~約100g/l、約10~80g/l、約10~約50g/l、もしくは約10~約20g/lのラキニモド、または対応する量の、その薬学的に許容される塩、例えばラキニモドのナトリウム塩;
- 約1~約10g/l、例えば約2~約8g/l、または約3~約5g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウム、および約0.5~約6g/l、例えば約1~約5g/l、例えば約1.5~約3g/lのカルボマーコポリマー(例えばカルボマーポリマータイプB);
- 約1.5~4g/l、例えば約2.5~3g/l、例えば約2.7g/lのマンニトール;
- 約10~40g/l、例えば約10~約30g/l、または約15~約20g/lのグリセロール;
- 約0.2~2g/l、例えば約0.5~1.5g/l、または約0.8~1.2g/lのNa-EDTA;
- 6.8~8.5、または6.8~8.0のpH、例えば7.0~8.0のpH、または7.4~8.0のpH、例えば約7.4のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤、例えば、リン酸水素二ナトリウム二水和物およびTRIS(例えば、約1~1.5g/lの量のTRIS、または約1.5~2g/lの量のリン酸水素二ナトリウム二水和物)から選択されるpH緩衝剤;
ならびに任意で、
- 薬学的に許容される保存剤、例えば約0.05~約0.2g/l、例えば約0.1~約0.15g/lの塩化ベンザルコニウム;および
- 薬学的に許容される界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤、例えば約0.1~約5g/l、例えば約0.2~約3g/l、または約0.5~約2g/l、例えば約1g/lの界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート、例えばポリソルベート80
から選択される1種または複数の成分を含む。
【0190】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
- 治療有効量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、例えば約10~約100g/l、約10~80g/l、約10~約50g/l、もしくは約10~約20g/lのラキニモド、または対応する量の、その薬学的に許容される塩、例えばラキニモドのナトリウム塩;
- 約3~約5g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウム、および約1.5~約3g/lのカルボマーコポリマー(例えば、カルボマーポリマータイプB);
- 約2.5~約3g/lのマンニトール;
- 約15~約20g/lのグリセロール;
- 約0.8~1.2g/lのNa-EDTA;
- 6.8~8.0のpH、例えば約7.4のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤(例えば、約1.5~2g/lの量のリン酸水素二ナトリウム二水和物);
ならびに好ましくは、
- 約0.1~約0.15g/lの塩化ベンザルコニウム;および
- 約0.5~約1.5g/lのポリソルベート80
から選択される1種または複数(例えば両方)の成分を含む。
【0191】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
(i)治療有効量の、有効成分としてのラキニモドまたはその薬学的に許容される塩;
(ii)本明細書で定義される粘度、好ましくは、約2~50mPas、約2~40mPas、約2~30mPas、約10~50mPas、約10~40mPas、約10~30mPas、約10~約25mPas、約15~50mPas、約15~45mPas、約15~40mPas、約15~35mPas、約15~30mPas、または約15~約25mPasの粘度をもたらすのに十分な量の、薬学的に許容される粘稠化剤、例えば、カルボマーコポリマー(例えば、タイプB)および/またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体から選択される粘稠化剤;
(iii)本明細書に示される浸透圧、好ましくは約200~400mOsm/kg、約250~375mOsm/kg、または約250~350mOsm/kg、または約280~320mOsm/kgの浸透圧をもたらすのに十分な量の、薬学的に許容される等張化剤、例えばマンニトールなどの非イオン性等張化剤;
(iv)薬学的に許容される保湿剤、例えば、グリセロールなどのポリオール;
(v)薬学的に許容される酸化防止剤、例えばNa-EDTA;ならびに
(vi)少なくとも6.8のpH、例えば約6.8~約8.4、約7.0~約8.4、例えば約7.4~約8.4、6.8~約8.0、約7.0~約8.0、約7.4~8.0、または約8.0~8.4のpHをもたらすのに十分な量の、薬学的に許容されるpH調整剤、例えばTRISまたはリン酸水素二ナトリウム二水和物などの塩基性緩衝液;ならびに任意で、
(vii)薬学的に許容される保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウム;
(viii)薬学的に許容される界面活性剤、例えばポリソルベート80などのポリソルベート;および
(ix)薬学的に許容される可溶化剤、例えばマクロゴール15ヒドロキシステアレート
から選択される1種または複数の成分を含む。
【0192】
いくつかのさらなる実施形態において、ゲル製剤は、
(i)10~100g/lのラキニモド、または対応する量の、ラキニモドの薬学的に許容される塩;
(ii)1~10g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウム、および/または0.5~約6g/lのカルボマーコポリマー;
(iii)1.5~4g/lのマンニトール;
(iv)10~40g/lのグリセロール;
(v)0.2~2g/lのNa-EDTA;ならびに
(vi)6.8~8.4、例えば7.4~8.4のpHをもたらすのに有効な量のpH調整剤を含む。
【0193】
いくつかの実施形態において、眼投与、例えば眼局所投与のためのゲル製剤は、
(i)10~12g/lのラキニモド、または対応する量の、ラキニモドの薬学的に許容される塩、例えばラキニモドのナトリウム塩;
(ii)2~4g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウムおよび1~2g/lのカルボマーコポリマー;
(iii)2~3g/lのマンニトール;
(iv)15~20g/lのグリセロール;
(v)0.5~1.5g/lのNa-EDTA;および
(vi)6.8~8.0の範囲、例えば約7.4のpHをもたらすのに有効な量のpH調整剤を含む。
【0194】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、成分(i)~(vi)に加えて、
(vii)薬学的に許容される保存剤;および
(viii)薬学的に許容される界面活性剤(表面活性剤)をさらに含む。
【0195】
いくつかの実施形態において、ゲル製剤は、
(i)10~12g/lのラキニモド、または対応する量の、ラキニモドの薬学的に許容される塩、例えばラキニモドのナトリウム塩;
(ii)2~4g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウムおよび1~2g/lのカルボマーコポリマー;
(iii)2~3g/lのマンニトール;
(iv)15~20g/lのグリセロール;
(v)0.5~1.5g/lのNa-EDTA;
(vi)6.8~8.0の範囲、例えば約7.4のpHをもたらすのに有効な量のpH調整剤;
(vii)0.05~0.1g/lの塩化ベンザルコニウム;ならびに
(viii)0.5~1.5g/lのポリソルベート80を含む。
【0196】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるゲル製剤は、界面活性剤を含有しない。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるゲル製剤は、溶解補助剤を含有しない。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるゲル製剤は、保存剤を含有しない。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるゲル製剤は任意成分(vii)~(ix)をいずれも含有しない。
【0197】
本明細書で提供されるいくつかのさらなるゲル製剤は、表13~表37に示される通りである。
【0198】
【表13】
【0199】
【表14】
【0200】
【表15】
【0201】
【表16】
【0202】
【表17】
【0203】
【表18】
【0204】
【表19】
【0205】
【表20】
【0206】
【表21】
【0207】
【表22】
【0208】
【表23】
【0209】
【表24】
【0210】
【表25】
【0211】
【表26】
【0212】
【表27】
【0213】
【表28】
【0214】
【表29】
【0215】
【表30】
【0216】
【表31】
【0217】
【表32】
【0218】
【表33】
【0219】
【表34】
【0220】
【表35】
【0221】
【表36】
【0222】
【表37】
【0223】
調製方法
本発明の製剤を調製するための方法であって、大まかに
(1)粘稠化剤以外の賦形剤を水と混合し、水溶液を得るステップ、
(2)粘稠化剤(複数可)を水溶液と混合し、冷却しながら8~12時間撹拌するステップ、
(3)好適なpH調整剤、例えば塩基性緩衝液を粘性溶液に添加するステップ、
(4)任意で、さらに水を添加して粘性溶液の体積を調整するステップ、
(5)必要に応じて機械的に分散させながら、ラキニモドを粘性溶液と混合するステップ、
(6)水中油型エマルションの場合、必要に応じて、水相の体積をさらに調整し、薬学的に許容される油を水相と混合するステップを含む、方法も本明細書で提供される。
【0224】
製剤の使用
本明細書で提供される製剤は、例えば、10~100μl、または10~50μl、または10~40μl、例えば20~40μlの液滴体積を有する1~10液滴の眼への投与を可能にするように、少量の製剤を点眼することを可能にする用量容器から、患者の眼に部分的に、好ましくは局所投与される。いくつかの実施形態において、製剤は、シングルドーズ容器、または単回使用容器から点眼される。いくつかの実施形態において、製剤は、Nemera社(フランス)から販売されているNovelia(登録商標)マルチドーズ点眼器のように、PureFlow(登録商標)技術を含むマルチドーズ容器から点眼される。
【0225】
したがって、いくつかの実施形態において、有利には保存剤を含まない本発明の製剤は、微生物汚染から製剤を効果的に保護できるバルブ構造を有するマルチドーズ容器、例えばNovelia(登録商標)マルチドーズ点眼器で提供される。
【0226】
治療有効量のラキニモドは、1回の投与当たり0.05~4.0mg(またはラキニモドの薬学的に許容される塩の等価量)の範囲内であり得る。いくつかの実施形態において、治療有効量のラキニモドは、1回の投与当たり0.05~2.0mgである。いくつかの実施形態において、治療有効量のラキニモドは、1回の投与当たり約0.05mgである。いくつかの実施形態において、治療有効量のラキニモドは、1回の投与当たり約0.1mgである。いくつかの実施形態において、治療有効量は、1回の投与当たり約0.5mgである。いくつかの実施形態において、治療有効量のラキニモドは、少なくとも0.05mg/日である。
【0227】
好ましくは、本明細書で提供される製剤は、1日1~6回、例えば1日1~5回、1日1~3回、または1日1~2回、定期的に投与される。いくつかの実施形態において、定期投与は1日1回である。いくつかの実施形態において、定期投与は1日2回である。いくつかの実施形態において、定期投与は1日3回である。いくつかの実施形態において、定期投与は2日に1回である。いくつかの実施形態において、製剤は1週間に1回投与される。
【0228】
いくつかの実施形態において、製剤は1日1回、2~14日間、またはそれより長い期間、例えば1カ月~6カ月間、2~6カ月間、または3~6カ月間投与される。いくつかの実施形態において、製剤は、1日1回、3日間投与される。いくつかの実施形態において、製剤は、1日1回、5~14日間投与される。いくつかの実施形態において、製剤は、1日1回、10~14日間投与される。いくつかの実施形態において、製剤は、1日1回、約7日間投与される。いくつかの実施形態において、製剤は、1~12カ月間、または1~6カ月間、または1~3カ月間、例えば1週間に1回、3~6カ月間投与される。しかし、正確な用量レジメンおよび治療期間の長さは、通常、治療担当医によって決定される。
【0229】
さらなる態様は、本明細書で提供されるラキニモド製剤を含有する用量容器である。用量容器は、製剤の好適な用量を患者の眼に投与することを可能にする一体型手段を含むものであってもよく、そのような手段が別に設けられてもよい。いくつかの実施形態において、用量容器はマルチドーズ容器であり、患者の眼に製剤の適切な用量を点眼することを可能にする。例えば、いくつかの実施形態において、用量容器は、Nemera社によって販売されているタイプのボトルである。いくつかの実施形態において、用量容器は、Novelia(登録商標) PFMDボトルまたは類似のタイプのボトルである。これらの実施形態のいくつかにおいて、本明細書で提供される製剤は、保存剤を含まない。
【0230】
さらなる態様は、本明細書に開示されるような用量容器および使用説明書を含むキット(キットオブパーツとも呼ばれることがある)である。いくつかの実施形態において、このようなキットは、洗浄、拭き取り、別の投与手段などの、製剤の投与に関連して有用なさらなる器具または材料を含有する、1つまたは複数の追加の容器も含む。
【0231】
本明細書に開示される眼用製剤は、緑内障、眼炎症疾患、および眼の過剰な脈管形成を伴う疾患など、ラキニモドが治療上有益な効果をもたらす眼疾患の治療に有用である。いくつかの実施形態において、OIDは眼球の中間部または後部に影響を及ぼす疾患である。
【0232】
このような疾患の治療におけるラキニモドの治療活性は、本明細書において上記で言及された特許文献に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0233】
いくつかの実施形態において、眼疾患は炎症性眼疾患(OID)である。いくつかの実施形態において、OIDは、ぶどう膜炎、細菌性結膜炎、ウイルス性結膜炎、または眼窩組織、涙器、眼瞼、角膜、網膜もしくは視神経経路の炎症から選択される。
【0234】
いくつかの実施形態において、OIDは、ぶどう膜炎、急性結膜炎、ウイルス性結膜炎、非淋菌性細菌性結膜炎、成人淋菌性結膜炎、封入体結膜炎、季節性アレルギー性結膜炎、慢性結膜炎、顆粒性結膜炎、通年性アレルギー性結膜炎、上強膜炎、強膜炎、アトピー性角結膜炎、および春季角結膜炎から選択される。
【0235】
いくつかの実施形態において、OIDはぶどう膜炎である。ぶどう膜炎は、眼の虹彩、毛様体および脈絡膜部分を含むぶどう膜またはぶどう膜管の炎症である。網膜炎と呼ばれる網膜の炎症や、視神経炎と呼ばれる視神経の炎症は、ぶどう膜炎を伴って起こる場合と伴わずに起こる場合がある。解剖学的に、ぶどう膜炎は、ぶどう膜管のどの部分が罹患するかによって、前部、中間部、後部、またはびまん性に分類され得る。前部ぶどう膜炎は主に眼の前部に限局しているもので、虹彩炎や虹彩毛様体炎を含む。中間部ぶどう膜炎は周辺部ぶどう膜炎とも呼ばれ、虹彩と水晶体のすぐ後ろにある毛様体と扁平上皮の領域を中心とする。このため、「毛様体炎」および「扁平部炎」と呼ばれることもある。後部ぶどう膜炎は、網膜炎、脈絡膜炎、または視神経炎といういくつかの形態のいずれかを意味する。びまん性ぶどう膜炎は、前部、中間部、後部構造を含む眼球のすべての部位に及ぶ炎症を意味する(The Merck Manual, 1999)。ぶどう膜炎による炎症は、緑内障、白内障、嚢胞性黄斑浮腫を含む、他のさまざまな眼症状を引き起こし、最終的には永久的な視力喪失につながる可能性がある。
【0236】
いくつかの実施形態において、ぶどう膜炎は中間部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、またはびまん性ぶどう膜炎である。いくつかの実施形態において、ぶどう膜炎は後部ぶどう膜炎またはびまん性ぶどう膜炎である。いくつかの実施形態において、ぶどう膜炎は後部ぶどう膜炎を含む。いくつかの実施形態において、ぶどう膜炎は後部ぶどう膜炎である。いくつかの実施形態において、ぶどう膜炎はびまん性ぶどう膜炎である。
【0237】
いくつかの実施形態において、OIDは結膜炎である。いくつかの実施形態において、OIDは、自己免疫疾患、例えば、多発性硬化症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性ぶどう膜網膜炎、クローン病、慢性免疫血小板減少性紫斑病、大腸炎、接触感度疾患、真性糖尿病、バセドウ病、ギランバレー症候群、橋本病、特発性粘液水腫、重症筋無力症、乾癬、尋常性天疱瘡、関節リウマチ、または全身性エリテマトーデスに関連する。いくつかの実施形態において、OIDはクローン病に関連する。
【0238】
いくつかの実施形態において、眼疾患は、例えば眼への外部刺激に反応した、または加齢の自然な結果としての、眼の過剰な(または有害な)脈管形成を伴う。眼球は、角膜、虹彩、毛様体、脈絡膜、網膜、黄斑などの多くの異なる組織からなり、これらの組織は有害な脈管形成を受ける場合がある。いくつかの実施形態において、眼疾患は、角膜、虹彩、毛様体、脈絡膜、網膜、および/または黄斑の過剰な脈管形成を伴う。いくつかの実施形態において、眼疾患は、角膜、虹彩、毛様体などの、眼球前部の組織の過剰な脈管形成を伴う。
【0239】
いくつかの実施形態において、眼疾患は、角膜血管新生、虹彩血管新生、毛様体血管新生、角膜パンヌス、脈絡膜血管新生、網膜血管新生、高血圧性網膜症、湿性加齢黄斑変性症、増殖糖尿病網膜症、未熟児網膜症、および虚血性網膜症からなる群から選択される。
【0240】
さらにいくつかの実施形態において、眼疾患は、脈絡膜、網膜、黄斑などの、眼球後部の組織の過剰な脈管形成を伴う。
【0241】
いくつかの実施形態において、過剰な脈管形成を伴う眼疾患は網膜血管新生である。いくつかのさらなる実施形態において、過剰な脈管形成を伴う眼疾患は、湿性加齢黄斑変性としても知られる黄斑の脈管形成である。
【実施例
【0242】
以下の略号は、本明細書において以下で使用され得る。
β-CD β-シクロデキストリン
EP 欧州薬局方
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
HPMC ヒドロキシプロピルメチルセルロース
kDa キロダルトン(kg/mol)
MFI マイクロフローイメージング
NaCMC カルボキシメチルセルロースナトリウム
p.a. プロ分析
PVA ポリビニルアルコール
PVDF ポリフッ化ビニリデン
rH/RH 相対湿度
RP-HPLC 逆相高速液体クロマトグラフィー
RT 室温
SD 標準偏差
SVP サブビジブル粒子
USP 米国薬局方
WFI 注射用水
【0243】
材料
製剤に使用されたすべての賦形剤は、米国薬局方(USP)および/または欧州薬局方(EP)に準拠した品質のものを使用した。賦形剤は眼科投与用に選択された。分析法に使用された化学物質はすべて、個々の分析法(例えば、プロ分析)に適した品質のものを使用した。
【0244】
ゲルおよびエマルション製剤の調製
製剤は以下のように調製した:賦形剤の秤量、最終体積の約80%となる注射用水(WFI)に2~8℃で一晩マグネチックスターラーによる溶解、23~25℃に温度調節された製剤のpH調整、最終体積への増量、およびラキニモドの溶解。高粘性製剤のpH調整は2日目に行われ、製剤の分注および加速劣化試験の開始は3日目に行われた。
【0245】
賦形剤の秤量は溶解度に応じた順序で行われた。すなわち、溶解しやすい賦形剤が最初に製剤に投入され、溶解度の小さい賦形剤、すなわちゲル化剤は最後に添加された。詳しくは、本プロセスは以下のようなものである。水(アクアB.Braun、Braun社製)を非滅菌0.5L PPビーカー(Sarstedt社製)に入れ、添加と添加の間に撹拌機のマグネットバー(CIMARECi Poly、Thermo Scientific社製)で製剤を撹拌しながら、上記のように賦形剤を段階的に添加して、最終体積の約80%となるように準備する。
【0246】
pHの調整にはすべての賦形剤の完全溶解が必要であるが、カルボマータイプBのような溶解度の小さい賦形剤が一部の製剤に含まれていたため、一晩撹拌しても、すべての製剤で完全に溶解することは困難であった。そのため、一晩撹拌後の製剤を目視で検査し、賦形剤の不完全溶解が認められた場合は、分散ツール(S 18 N - 19 G、IKA社製)を装着した高性能ロッド分散機(T 18 digital ULTRA-TURRAX(登録商標)、IKA社製)を製剤に適用した。
【0247】
プラセボサンプル用に十分な量の製剤を保存し、単回使用混合容器(DIS-300-S-M.10、IKA社製)を装着した容器装着型分散機(ULTRA-TURRAX(登録商標) Tube Drive P control、IKA社製)を用いて、ラキニモドをゲル製剤に50mg/mlで溶解させた。ラキニモドおよび製剤を混合容器内で混ぜ合わせ、分散機を950rpmに設定し、製剤を少なくとも5分間、または目視でラキニモドが完全に溶解するまで撹拌した。
【0248】
エマルション製剤の場合、製剤の水相を油相とブレンドした。すなわち、水相にラキニモドを溶解した後、ヒマシ油を添加した。したがって、前述のように、ラキニモドを溶解させる前に、油の体積に対して水相の体積を補正した。乳化は、撹拌機と液面との間に渦が生じるような撹拌速度(100ml製剤では1200rpm、50mlプラセボでは750rpm)に設定した分散機で行った。撹拌は2分間行い、その間、油の粘度が高いことを考慮し、逆ピペット法(500~5000μlピペット、Eppendorf社製)を用いて、油を水溶液に約20秒間かけてゆっくりと添加した。
【0249】
pHの調整
すべての製剤と緩衝液の最終pHの調整、および得られた製剤のpH測定は、SevenEasy pH-Meter(Mettler Toledo社製)に接続した校正済みpH電極(VWR社製)を用いて、23℃~25℃の温度で行った(EPおよびUSPの両方に準拠)。
【0250】
バイアル充填
標準的な実験用ピペットと滅菌チップを使用して手動充填手順を行った。充填に先立ち、製剤が均一であることを確実にするため、製剤を混合および乳化し、各製剤3mlを層流キャビネット下で無菌粒子非存在(particle-free)2Rバイアル(Adelphi社製)に移した。バイアルは滅菌FluroTecコーティング(エチレンテトラフルオロエチレン;ETFE)クロロブチルストッパー(13mm;Adelphi社製)で閉じ、好適なアルミニウムキャップで圧着した。
逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)
RP-HPLCによる分析は、表38に示されるパラメータでEpiQMmaxに外挿された。
【0251】
【表38】
【0252】
浸透圧の測定
浸透圧の測定は、浸透圧計(Osmomat 3000、Gonotec社製)で凝固点降下により行った。水溶液全体の浸透圧は、純水と水溶液の凝固点の比較測定によって決定される。各測定は、塩化ナトリウム標準液(600mOsm/kg)と精製水でキャリブレーション後、50μlのアリコートで行った。ゲルとエマルションは2つの複製で測定し、2回測定間の偏差が10%超の場合は3つの複製で測定した。その後、算術平均とSDを算出した。
【0253】
粒子径測定
粒子径は、FlowCam 8100システム、10倍対物レンズ(ANASYSTA社製)を使用して、手動サンプルローディングによるフローイメージング分析で決定した。粒子径測定は、50mg/mlの濃度でラキニモド(APIとして)を含有する製剤について実施した。サブビジブル粒子(SVP)測定の合格基準は以下のように規定される:ラキニモド10μg当たり、25μmを超える粒子が20個以下、50μmを超える粒子が2個以下、90μmを超える粒子がない(PhEur monograph 「Eye preparations」dosage form monograph no. 1163, version 01/2008)。結果は、記載された粒子フィルタ群のそれぞれについて、粒子/ラキニモド10μgとして報告された。
【0254】
粒子径測定のためのサンプル調製は、ラキニモドを過飽和に添加した同じpHの緩衝液でサンプルを1:10に希釈することを含んでいた。pH値6.8および7.4のリン酸ナトリウム緩衝液、pH値8.0および8.4のTris緩衝液を調製し、過飽和点までラキニモドを添加した後、2000xgで3分間遠心分離して、上清をサンプル希釈に使用した。サンプルを希釈する前に、適量の緩衝液をシリンジフィルタ(0.02μmアルミナ膜)でろ過した。FlowCam 8100システムは、繰り返し測定の間に水(Aqua B Braun)で洗浄し、さらに4%界面活性剤(Hellmanex(登録商標)、Hellma Analytics社製)で洗浄してクロスコンタミネーションを防止し、測定間の再現性を確保した。
【0255】
外観の検査
サンプルの、保存中の変化を目視で管理した。評価は、点滅しない蛍光灯と黒と白の背景板を備えた検査用ライトボックスを使用して行った。サンプルは拡大せずに5秒間評価した。
【0256】
サンプルの保存
特性評価中、すべてのサンプル(複製)は、5℃、25℃、30℃、40℃で、遮光して最大で2週間保存された。追試験は5℃、30℃、40℃で行った。5±3℃で保存したサンプルは、冷蔵庫で保存し、外部からの温度監視を行った。加速劣化を受けるサンプルは、それぞれ25±2℃/相対湿度(RH)60±5%、30±2℃/RH65±5%、40±2℃/RH75±5%(ICH Q1ガイドライン)に湿度を制御したキャビネット(Memmert社製)に保存した。温度は保存期間全体を通して監視した。
【0257】
密度測定
サンプル密度はGay-Lussacピクノメーター(Carl Roth社製)を用い、室温(RT)においてサンプル量1.103mlで測定した。ピクノメーターの重量は、化学天秤(SECURA 124-1S、Sartorius社製)を用いて測定した。
【0258】
粘度測定
サンプルの動的粘度は、落球式粘度計Microviscometer Lovis 2000 ME(Anton Paar社製)を用い、直径の異なるキャピラリーを用いて、それぞれ20℃、または20℃と37℃の両方で測定した。それぞれのサンプルの動的粘度ηは、公知の球密度(ρb=7.66g/cm)と測定されたサンプル密度(ρs)、およびキャピラリーの特性定数(C1)に基づいて、以下の式に従って計算された。
【0259】
η=C1*t1*(ρb-ρs)
落下時間(t1)は、キャピラリーの角度を70°に設定した、直近の6回の個々の測定における平均値である。合計で12回の測定が行われ、サンプルの高分子特性により、個々の落下時間は最初の6回の測定サイクルで平衡に達した。
【0260】
実施例1~7で使用した材料、ならびに各材料の供給元および品番が表39に示される。
【0261】
【表39-1】
【0262】
【表39-2】
【0263】
実施例1
10種の異なる製剤、すなわち2種のエマルション(E1およびE2)および8種のゲル(S1~S8)が、本明細書で上記の方法を使用して調製された。製剤の成分は表40に示される。
【0264】
【表40】
【0265】
化学的安定性
それぞれ30℃で1週間および2週間、ならびに40℃で2週間保存後に、RP-HPLC分析を実施した。30℃で2週間後、0.03%(平均)という非常に低い分解度が観察されたが、40℃では分解度がわずかに高かった(平均0.34%)。最も高い分解度(RP-HPLCピーク面積に基づく)は、エマルション製剤E1およびE2で観察され、初期濃度(t=0)と比較して、0.9%以上のメインピーク相対面積が減少していることが認められた(表41)。
【0266】
【表41】
【0267】
粒子形成、沈降およびクリーミングに対する製剤の安定性
いくつかの製剤では若干の沈殿が観察され、RP-HPLCにより沈殿プロファイルが決定された。この目的のため、再懸濁前および再懸濁後に、異なる高さ(図1)においてサンプルを採取した。サンプルの絶対ピーク面積(同一希釈後)が比較された(表42)。
【0268】
【表42】
【0269】
表42からわかるように、すべてのサンプルにおけるメインピークの絶対ピーク面積は、再懸濁前および再懸濁後において同程度であった。このことは、目に見える粒子が、製剤中のラキニモド総量のごく一部に相当するに過ぎないことを示している。したがって、上清中のラキニモドは溶解している、またはラキニモドの懸濁粒子が十分に小さく沈殿しない、のいずれかであるに違いないと結論づけられた。沈殿はカルボマーとラキニモドとの相互作用であり、pHの影響を受けると仮定された。製剤S1をpH7.4~pH8.0まで滴定した結果、沈殿物は消失した。これは、カルボマーとラキニモドとのpH依存的相互作用という仮定を支持するものであった。
【0270】
各時点においてサンプルは目視で確認された(図2図4)。t=0において、ラキニモドを含まないゲル製剤はすべて光学的に透明であったが、エマルション製剤はわずかに濁っていた。ラキニモド添加後、S3を除くすべてのゲル製剤は濁っていた。製剤S3のpHは8.0であったため、ラキニモドは完全に溶解した。製剤S8では、t=0でもわずかな沈殿が観察された。
【0271】
保存中、エマルション製剤は5℃および25℃でクリーミングを示したが、30℃および40℃ではエマルションが破壊された(30℃:製剤E1;40℃:製剤E1およびE2の両方)。再懸濁後、すべてのエマルションは再び目視で均質になった。
【0272】
S3を除くすべてのゲル製剤において沈殿が観察された。S1が最も多くの沈殿物を示し、S2およびS8がそれに続いた。製剤S4、S5、S6およびS7では、沈殿はほとんど観察されなかった。製剤S5およびS6では沈殿を完全に再懸濁させることができなかったが、他のゲル製剤は再懸濁後に均一であった。製剤S4およびS7では沈殿がほとんど観察されなかったことから、製剤S4中のβ-シクロデキストリンと製剤S7中のポリソルベートがラキニモドを安定化させる効果があるようであることが示唆された。
【0273】
Ph Eur 10.0「Eye preparations」に従い、粒子径を25μm超、50μm超、90μm超のクラスで測定した。各クラスにおいて、ラキニモド10μg当たりの粒子数が算出された。粒子は製剤E1、E2、S1、S2、S8において見られた。懸濁液(ゲル)では円柱状の粒子が検出され、エマルションでは主に油滴が検出された(図5)。pHの上昇は粒子数の減少をもたらすことが観察された。
【0274】
浸透圧
製剤E1、E2およびS1~S8の浸透圧を測定し、比較として、ラキニモドを含有しないことを除いて同様の製剤(「空の」製剤)の浸透圧を測定した。これらの製剤およびラキニモドを含有しない「空の」製剤の理論的浸透圧および測定浸透圧が表43に示される。
【0275】
【表43】
【0276】
粘度
粘稠化剤の最適濃度を評価するために、目標粘度を15mPasとして、「プラセボ」製剤(すなわち、ラキニモドを含有しない)において粘稠化剤のさまざまな濃度を試験した。ラキニモド添加後、粘度は大きく低下した。これはラキニモドと粘稠化剤との相互作用を示す。HPMCを含有する製剤S5を除いて、すべての製剤の粘度はほぼ同じ範囲であった。異なる製剤の粘度は、異なる粘稠化剤を用いて調整した。粘稠化剤の量はプラセボ製剤で決定した。20℃で測定された製剤E1~S8の粘度は、使用された粘稠化剤のタイプおよび濃度とともに、表44に示されている。
【0277】
【表44】
【0278】
実施例2
製剤E2(E2-0と改称)およびS3(S3-0と改称)が、さらなる製剤、すなわちエマルション製剤E2-1~E2-4およびゲル製剤S3-1~S3-10の出発点として選択された。両方のタイプの製剤において、pHは少なくとも8であり、ラキニモドは完全に溶解した。
【0279】
プラセボ製剤およびラキニモド含有製剤の粘度にかなりの差があったため、ラキニモド含有製剤E2-1~E2-4およびS3-1~S3-10の粘度を、カルボキシメチルセルロースナトリウムの添加により調整した。
【0280】
エマルション製剤の成分は表45に示され、ゲル製剤の成分は表46に示される。
【0281】
【表45】
【0282】
【表46-1】
【0283】
【表46-2】
【0284】
ラキニモドの化学的安定性
すべての製剤のサンプルを5℃、30℃および40℃において最大で2週間保存し、その後RP-HPLCで分析した。5℃および30℃での保存中、メインピーク相対面積の大幅な減少は検出されなかったが、40℃で2週間の保存後にわずかな減少が認められた。RP-HPLC分析結果は表47および表48に示される。
【0285】
【表47】
【0286】
【表48】
【0287】
粒子形成、沈降およびクリーミングに対する製剤の安定性
劣化後の、すべての製剤のサンプルにおける外観を、実施例1について記載されるものと同じ方法で検査し、同様の結果が得られた。
【0288】
浸透圧
製剤E2-0~E2-4およびS3-0~S3-10の浸透圧を、ラキニモドを含有しないことを除いて同様の製剤(「空の」製剤)の浸透圧と同様に測定した。
【0289】
これらの製剤の理論的浸透圧および測定浸透圧が表49に示される。
【0290】
【表49】
【0291】
粘度
ラキニモドおよびカルボマーを含有するいくつかの製剤の粘度は、カルボキシメチルセルロースナトリウムで調整された。Kolliphor(登録商標) HS15、Kolliphor(登録商標) ELPまたはKollidon(登録商標) 17PFを含有する製剤は粘度が低かった。
【0292】
20℃での測定に加えて、眼内の状態に近くなるように、37℃でも粘度を測定した。結果は表50に示される。
【0293】
【表50】
【0294】
実施例3
製剤S7を出発物質として、さらなる粘稠化剤を添加した、さらなるゲル製剤、製剤S7-1を調製した。製剤S7(比較用)およびS7-1の含有物が表51に示される。
【0295】
【表51】
【0296】
本明細書で上記のものと同じ粘度測定システムを使用して測定したところ、製剤S7-1の20℃における粘度は17.6mPasであった。
【0297】
実施例4
ウシ角膜を用いて、本発明の製剤中のラキニモドの眼における透過性を調べた。
【0298】
材料
50mg/mlの濃度でラキニモドを含有する本発明の3種の製剤(S3、S4およびS7)をアッセイに使用した。対照として、生理食塩水(0.9%w/v)中ラキニモド(50mg/ml)の製剤を用いた。製剤は、+4℃に保たれた冷蔵庫で保存した。
【0299】
ウシ眼球は、ABP社(Ruthvenfield Road, Inveralmond Industrial Estate, Perth, PH1 3XB, UK)から供給された。眼球は屠殺したばかりの牛から採取し、冷たいHank’s平衡塩溶液(HBSS)が入った容器に入れた。試験施設への輸送中、眼球はクールパックを使用して保冷された。
【0300】
薬物透過アッセイ用のレセプター液はHEPES溶液(0.1M、pH7.4±0.1、0.01% w/v EDTA含有)であった。
【0301】
実験デザインの概要
6つの複製を、各製剤で4時間の曝露により処理した。透過サンプルは、投与直前および投与後30分間隔で、被験物質処理角膜のみから採取した。最終サンプルは投与4時間後に採取した(角膜1つにつき合計で9サンプルを採取)。角膜の混濁度は、投与前および最終透過サンプル採取後に測定した。透過サンプル中のラキニモド濃度は曝露期間全体を通して測定した。
【0302】
試験システムのセットアップ
新鮮な眼球から角膜を剥離した。到着後、眼球をHBSSで洗浄し、その後、明らかな欠陥や損傷の徴候(例えば、傷、混濁、新生血管)がないかを検査した。損傷のない眼球の角膜を、強膜マージン約3mmを残して取り出した。採取した角膜を、上皮側を下にしてHBSSに入れ、必要なときまで常温で保存した。その後、Duratec Analysentechnik GmbH(Rheinauer Strasse 4, D-68766 Hockenheim, Germany)製の特別に設計された角膜ホルダーに、上皮側を前にして角膜を取り付けた。これらのホルダーは、角膜の上皮と内皮にそれぞれアクセスを可能にする前部と後部のコンパートメントからなる。
【0303】
取り付け後、各角膜ホルダーの両房を、フェノールレッドを含まない、あらかじめ温めた最小必須培地(MEM)で満たした。角膜が元の湾曲に戻ることを促すため、後房を先に満たし、培地中に気泡が入らないように注意した。その後、投与前に、32℃に保たれたインキュベータ内でホルダーを1時間以上平衡化した。
【0304】
平衡化期間終了後、両房の培地を、フェノールレッドを含まない、あらかじめ温めた新しいMEMと交換した。その後、ベースラインの混濁度を測定し、損傷した角膜または混濁度が7opacity unitを超える角膜は、以後の使用から除外した。これらの検査に合格した角膜は、試験処理群に割り当てられた。後房のMEMは、シリンジを使用して、あらかじめ温めたレセプター液と交換し、後房に添加した液量を測定できるようにした。後房の容積を記録した。
【0305】
投与前処理
投与直前に前房内のMEMを除去した。レセプター液の投与前サンプルを各被験物質処理角膜から採取した。ビヒクル対照で処理する角膜からはレセプター液サンプルを採取しなかった。インキュベーション期間中の漏出を防ぐため、後房へのアクセスポートはテープで密封した。
【0306】
投与
ラキニモド製剤および生理食塩水対照を原液で投与した。投与前に角膜ホルダーを前方に倒し、投与液と角膜上皮の接触を避けた。投与量(約750μl)は、シリンジを使用して前房アクセスポートから投与した。各投与量は6つの複製角膜に投与され、4時間曝露された。バイアルから投与量を回収する前に、バイアルを静かに回して製剤を再懸濁させた。
【0307】
曝露
投与後、各角膜の上皮表面を被験物質で覆うように注意しながら、角膜ホルダーを水平に傾けて曝露を開始した。角膜は32℃に保たれたインキュベータ内で4時間、被験物質またはビヒクル対照に曝露された。
【0308】
レセプター液サンプリング
投与前および投与後30分間隔で、各被験物質処理角膜の後房からレセプター液サンプル(約1ml)を採取した。最終レセプター液サンプルは投与後4時間後に採取した。サンプリング後すぐに、除去したレセプター液を、あらかじめ温めた新しいレセプター液と交換し、サンプルの損失や気泡の混入のないように注意しながら、後房を再密封した。採取したレセプター液のサンプルは、分析まで-20℃に保たれた冷凍庫で保存した。
【0309】
洗浄
最終レセプター液採取後、前房から投与液を除去し、フェノールレッドを添加したMEMで角膜を洗浄した(洗浄1回につき約5ml)。角膜の洗浄は、前房と後房の両方で少なくとも3回行うか、被験物質の残留が目視で確認できなくなるまで行った。洗浄が完了したら、その後の光学測定への干渉を防ぐため、フェノールレッドを含まないMEMでさらに1回洗浄を行って、フェノールレッドを除去した。その後、続行する前に、フェノールレッドを含まないMEMで両房を再度満たした。
【0310】
混濁度の測定
洗浄後、Duratec Analysentechnik GmbHから供給されたオパシトメータを使用し、各角膜ホルダーをオパシトメータに入れ、その後のルクス値を記録することにより、すべての角膜の混濁度を測定した。
【0311】
透過サンプルの分析
サンプルは、分析まで-20℃に保たれた冷凍庫に保存された。キャリブレーション標準物質(50.0~25000ng/mlの範囲)、品質管理用サンプル、または試験用サンプルの10μlのアリコートを96ラウンドウェルプレートに移し、各ウェルに10μlの内部標準物質を添加した。これを200μlのメタノールと200μlの0.1%トリフルオロ酢酸で希釈した。次いで、96ラウンドウェルプレートにキャップをし、ボルテックスミキサーにかけ、4℃で5分間、2400gで遠心分離した。その後、サンプルをWaters Acquity UPLC(登録商標)システムと組み合わせたSciex API4000(商標)質量分析計に注入し、公知濃度のラキニモドを生成した。
【0312】
試験サンプルは、確立された方法を用いて、キャリブレーション標準物質および品質確認(QC)サンプルとともにバッチで抽出および分析された。キャリブレーションサンプルは2回ずつ抽出した。
【0313】
検出器の応答をラキニモド濃度に対してプロットし、回帰分析から原点を除いた検量線を作成した。検量線を作成するために使用される、調製された各標準物質の測定された濃度は、公称濃度の100±20%以内であるべきである。キャリブレーション標準物質の少なくとも75%(最低6種)が上記の基準を満たすべきである。ブラケット用QCサンプルの少なくとも67%で測定された濃度が公称濃度の100±20%以内であり、各濃度レベルで少なくとも50%がこの基準を満たすべきである。
【0314】
測定された濃度がアッセイの分析範囲を上回った試験サンプルは、希釈後に再測定された。測定された濃度が分析範囲を下回った試験サンプルは、<LLOQ(定量不能)として報告された。
【0315】
データ収集は、Applied Biosystems社製のAnalyst(登録商標)ソフトウェアを使用して実施した。回帰分析、および算術平均と標準偏差を含む記述統計、正確度と精度を含む統計分析は、Watson Laboratory Information Management System(Watson LIMS(商標))およびMicrosoft(登録商標) Excel(登録商標)を使用して実施した。
【0316】
サンプルの保存
レセプター液のサンプルは、分析まで-20℃の冷凍庫で保存した。
【0317】
コンピュータシステム
本試験で使用されたコンピュータシステム、およびこれらのシステムで収集および/または分析されたデータが表52に示される。
【0318】
【表52】
【0319】
結果
統計分析は、必要に応じて平均値、標準偏差、変動係数の算出に限定した。
【0320】
混濁度
混濁度は以下の式で計算した。
【0321】
【数1】
【0322】
(式中、
=MEMのみを含有する角膜ホルダーのオパシトメータ測定値(ルクス)であり、
I=角膜を含有するホルダーの測定値(ルクス)(ベースラインまたは投与後のいずれか)である)
混濁度変化および補正混濁度変化は、以下のように計算した。
混濁度変化=投与後混濁度-ベースライン混濁度
補正混濁度変化=混濁度変化(被験物質)-混濁度変化(生理食塩水)
表53に、投与前および投与後の混濁度測定の結果が示される。
【0323】
【表53】
【0324】
製剤S3またはS4による処理は混濁度にほとんど、または全く変化を引き起こさなかったが、製剤S7による処理は若干の混濁度の上昇を引き起こした。
【0325】
ラキニモドの透過性
LC-MS/MS分析で得られた結果から、ラキニモドの全透過量を算出した。
【0326】
製剤S3、S4およびS7にそれぞれ曝露した後のウシ角膜(n=6)を通るラキニモドの累積吸収量(μg/cm)による透過結果が、表54~表56および図6図8に示される。
【0327】
【表54】
【0328】
【表55】
【0329】
【表56】
【0330】
ラキニモドの累積吸収量は、各本発明の製剤の曝露期間全体を通して増加した。3種の製剤処理の結果はすべて同じ多さであり、同じ一般的なパターンに従っていた。製剤S4はラキニモドの透過が最も少なく、異なる角膜において最も一貫していた。製剤S3および製剤S7はより高いラキニモド透過性を示したが、結果は角膜によるばらつきがより大きかった。
【0331】
実施例5
pH値および組成が表57に記載される通りである製剤E2-2A、S3-3AおよびS3-8Aを調製した。
【0332】
【表57】
【0333】
本明細書で上記の方法を使用して20℃で測定した、製剤E2-2A、S3-3AおよびS3-8Aの粘度は、それぞれ15.7mPa.s、21.5mPa.sおよび23.7mPa.sであることが判明した。
【0334】
実施例6
実施例4と同じ試験システムおよびプロトコルを使用して、製剤E2-2A、S3-1、S3-3A、S3-6、S3-7およびS3-8Aの角膜混濁度変化および透過性を測定した。表58に、異なる製剤および生理食塩水対照について、投与前および投与後の混濁度測定の結果が示される。
【0335】
【表58-1】
【0336】
【表58-2】
【0337】
表58のデータからわかるように、すべての処理は混濁度にほとんど、または全く変化を引き起こさなかった。結果は、対照群によるものと同様であった。いずれの製剤で処理した角膜にも、損傷の形跡はほとんど、または全く検出されなかった。製剤S3-6は混濁度の上昇が最も大きかったが(2.74±2.36)、この処理群はまた、投与後の混濁度の変化が0.71~6.93の範囲と、最もばらつきが大きかった。
【0338】
製剤E2-2A、S3-1、S3-3A、S3-6、S3-7およびS3-8Aにそれぞれ曝露した後のウシ角膜(n=6)を通るラキニモドの累積吸収量(μg/cm)による透過結果が、表59~表64および図9図14に示される。
【0339】
【表59】
【0340】
【表60】
【0341】
【表61】
【0342】
【表62】
【0343】
【表63】
【0344】
【表64】
【0345】
実施例7
実施例4と同じ試験システムおよびプロトコルを用いて、製剤S3-3AおよびS7-1、ならびにpH8の生理食塩水(PBS)中ラキニモド50mg/mlについて、4時間の曝露1回後の角膜混濁度変化およびウシ角膜透過性をin vitroで測定した。
【0346】
6つの複製角膜を、各製剤または生理食塩水(陰性対照)で4時間の曝露により処理した。透過サンプルは、投与直前および投与後30分間隔で、被験物質処理角膜のみから採取した。最終サンプルは投与4時間後に採取した(角膜1つにつき合計で9サンプルを採取)。角膜の混濁度は、投与前および最終透過サンプル採取後に測定した。有効成分の濃度は、LC-MS/MSにより曝露期間全体を通して採取した透過サンプルにおいて測定した。投与前後における混濁度の測定結果が表65に示される。
【0347】
【表65】
【0348】
表65に示される結果から、すべての処理が混濁度にほとんど、または全く変化を引き起こさなかったことがわかる。
【0349】
製剤S3-3A、S71、および生理食塩水中ラキニモドにそれぞれ曝露した後のウシ角膜(n=6)を通るラキニモドの累積吸収量(μg/cm)による透過結果が、表66~表69および図15図18に示される。
【0350】
【表66】
【0351】
【表67】
【0352】
【表68】
【0353】
【表69】
【0354】
表66~表69に示される結果から、各製剤の曝露期間全体を通して、ラキニモドの累積吸収量が増加したことがわかる。投与4時間後に、製剤は透過性の大きいものから小さいものへと以下の順序でランク付けされ得た:製剤S7-1>製剤S3-3A>PBS中ラキニモド。
【0355】
実施例8
ぶどう膜炎マウスモデルを用い、in vivoで本発明の製剤の有効性を試験した。
【0356】
実験条件
雌のB10.RIIIマウス(試験開始時約6週齢)に、0日目に、結核菌H37Raを添加した不完全フロイントアジュバント(IFA)中の光受容体間レチノイド結合タンパク質ペプチド161-180(IRBP161-180)を含有するエマルションを接種した。
【0357】
経口ラキニモドは生理食塩液で調製した。眼科用製剤は点眼剤とした。眼科用製剤の組成はS3-3A(ラキニモド50mg/mlを含有)であり、対応するビヒクル対照はラキニモドを含まないS3-3A製剤であった。処理は、表70に示されるスケジュールに従って施された。
【0358】
【表70】
【0359】
0日目から実験終了まで、ぶどう膜炎の臨床徴候について動物を毎週採点した。網膜画像は、無麻酔拘束動物で局所内視鏡眼底イメージング(topical endoscopy fundus imaging、TEFI)を使用して、トロピカミド、次いでフェニレフリン塩酸塩を使用した瞳孔拡張後に撮影した。
【0360】
網膜画像は、眼球1つ当たり最大で20点の、表71に記載される採点システムを使用して採点された。
【0361】
【表71】
【0362】
結果
各実験群における各動物の左眼(L)および右眼(R)で観察された臨床的スコアを合計することによって得られた後部ぶどう膜炎の総臨床徴候を分析したところ、時間による有意な効果が認められ、それによって疾患がうまく誘導されたこと、および2つのビヒクル処理群と比較した、すべての処理による全体的な効果が確認された。
【0363】
試験デザインに2つのビヒクルが存在するため、vs.ビヒクル、局所、および再度vs.ビヒクル、経口で、ダネットの多重比較検定を行った。処理14、17および20日目(D14、D17およびD20)において算出されたp値が表72に示される。
【0364】
【表72】
【0365】
2つのビヒクル群の間で差は観察されなかった。ラキニモドの眼科用製剤を眼に投与すると、ビヒクルのみで処理した対照動物と比較して、疾患の経過が有意に抑制された(図19)。
【0366】
実施例9
10.62g/lのラキニモドナトリウム(10g/lのラキニモド塩基)および表73に示される賦形剤を含有するゲル製剤を調製した(総バッチサイズ50.0l)。
【0367】
【表73】
【0368】
得られた製剤は乳白色のゲルであり、浸透圧、pH、粘度および相対密度について試験された。方法および結果は表74に示される通りである。
【0369】
【表74】
【0370】
滴径の試験を行ったところ、体積約34μlの液滴が得られた。
【0371】
実施例10
実施例9の製剤を、点眼用製剤として投与するために、ノズルとキャップPureflow(登録商標)200(レファレンスナンバー20060322)を装着した5mlボトル(Nemera La Verpilliera社製LDPEボトル、レファレンスナンバー20059681)に充填した。合計130本のボトルを準備し、各ボトルに5mlの製剤を入れた。
【0372】
実施例11
実施例9の製剤について、ICHガイドQ1A(R2)に従い、半透性容器でパッケージ化された医薬品について設定された条件(長期保存条件は2℃~8℃、加速条件は25℃/RH40%)で安定性試験を行った。0、2、3、6カ月の保存時間t後の液滴体積、浸透圧、pH、粘度、およびラキニモドアッセイの結果が表75および表76に示される。
【0373】
【表75】
【0374】
【表76】
【0375】
製剤は各時点で目視観察されたが、試験期間全体を通して乳白色のゲルのままであった。上記の表75および表76からわかるように、本発明の製剤は、いずれの試験条件においても、試験特性のいずれにも有意な変化を示していない。したがって、得られた安定性のデータに基づいて、2℃~8℃で保存された場合、本発明の製剤の保存可能期間は少なくとも6カ月、より好ましくは少なくとも8カ月、さらに好ましくは少なくとも9カ月、最も好ましくは少なくとも12カ月と考えられる。
【0376】
実施例12
pH7.4の、表77に示される成分を有するゲル製剤が調製された。
【0377】
【表77】
【0378】
表77に示される製剤の粘度を、本明細書で上記の方法を使用して20℃で測定したところ、17.3mPa.sであることが判明した。
【0379】
実施例13
実施例12の製剤を使用して、ウサギへの単回および反復投与後の、眼局所投与後におけるラキニモドの眼内分布を測定する試験を行った。簡単に述べると、この試験は、投与時の体重が約2.3~3.0kgであった雄のニュージーランド白ウサギ7匹を用いて、10日間の試験期間にわたって実施した。動物は確立された手順に従って飼育および管理され、試験期間全体を通して、水道水およびTeklad Irradiated Certified Global Rabbit Diet(登録商標)(Envigo社製、UK)を自由に摂取できた。試験製剤は使用まで4℃で保存された。
【0380】
試験動物7匹のうち、6匹には実施例12の製剤を投与し、1匹にはラキニモドを含有しないことを除いて実施例12の製剤と同じ組成のプラセボ製剤を同量投与した。各動物は以下のように処理された。1日目に、両眼に1回ずつ眼局所投与を行い;2日目および3日目には投与を行わず;4~9日目に、各眼に2時間間隔で3回ずつ眼局所投与を行い;10日目に、各眼に1回ずつ眼局所投与を行った。投与に際しては、動物を飼育ケージ(housing)から出し、適切に拘束した。その後、ピペットを使用して、各動物の各眼の角膜に直接、眼局所投与を行った。投与量は各投与セッションにおいて各眼30μlであった。投与後、動物は飼育ケージに戻された。試験の詳細は表78にまとめられている。
【0381】
【表78】
【0382】
10日目、最後の眼局所投与からそれぞれ30分後、1時間後、2時間後、4時間後、8時間後に動物を安楽死させ、その直後に眼球を周囲の眼瞼組織とともに速やかに摘出し、トラガカントガムに包埋し、ドライアイスで冷却したイソペンタンで瞬間凍結した。得られた、単離された眼球は、-65℃以下に保たれた冷凍庫で保存された。
【0383】
分布試験のために、眼球(各動物の右眼)を-20℃の温度でクライオスタットを用いて切片化した。各組織について、質量分析イメージング(MSI)のために、厚さ10μmの切片をインジウム-スズ酸化物(ITO)コーティングスライドガラス上に採取した。分析は、Bruker Daltonix社製のSolariX質量分析計を使用して、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(MALDI-FTICR)を用いたマトリックス支援レーザー脱離イオン化法で行った。すべての分析は、60μmの空間分解能で、以下の質量分析計パラメータを使用して実施された。
- モード:CASI(選択イオンの連続蓄積)
- イオン化:ポジティブ
- 質量範囲:0~1000ダルトン
- レーザー周波数:2000Hz
- キャリブレーションモード:2
ラキニモドで観察されたm/zは357.10([M+H])であった。
【0384】
結果は表79にまとめられている。
【0385】
【表79】
【0386】
表79の結果は、実施例12の製剤の眼局所投与後、30分後に角膜および外組織において高濃度でラキニモドが検出されたことを示している。4時間後および8時間後の角膜および外組織におけるラキニモドの濃度はより低かったが、これらのより遅い時点では、ラキニモドは眼の後部、すなわち網膜/脈絡膜および強膜において検出され得た。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2022-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼投与のための製剤であって、水相中に、
(i)有効成分としての、治療有効量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩、
(ii)20℃で測定して2~200mPasの動的粘度をもたらすのに十分な量の、薬学的に許容される粘稠化剤、
(iii)200~600mOsm/kgの浸透圧をもたらすのに十分な量の、薬学的に許容される等張化剤、
(iv)薬学的に許容される保湿剤、
(v)薬学的に許容される酸化防止剤、および
(vi)薬学的に許容されるpH調整剤を含む、製剤。
【請求項2】
前記薬学的に許容される粘稠化剤が、20℃で測定して100mPasの動的粘度をもたらすのに十分な量で存在する、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記薬学的に許容される粘稠化剤が、20℃で測定して10~50mPas、例えば15~45mPasの動的粘度をもたらすのに十分な量で存在する、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
前記薬学的に許容される粘稠化剤が、ポリビニルアルコール、ポリ(アクリル酸)ホモポリマーまたはコポリマー(カルボマー)、ポリビニルピロリドン、およびセルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群のうちの1種または複数を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
前記薬学的に許容される等張化剤が、200~500mOsm/kgの浸透圧をもたらすのに十分な量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
前記薬学的に許容される等張化剤が、200~400mOsm/kg、例えば250~375mOsm/kgの浸透圧をもたらすのに十分な量で存在する、請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
前記薬学的に許容される等張化剤が、非イオン性等張化剤である、請求項1から6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
前記非イオン性等張化剤がマンニトールである、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
前記薬学的に許容される保湿剤が、ポリオールである、請求項1から8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
前記ポリオールC3~C6ポリオール、好ましくはグリセロールである、請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
前記薬学的に許容されるpH調整剤が、6.8~8.5の範囲のpHをもたらすのに十分な量で存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
前記薬学的に許容されるpH調整剤が、6.8~8.0の範囲のpHをもたらすのに十分な量で存在する、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
(vii)薬学的に許容される保存剤をさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項14】
前記薬学的に許容される保存剤が塩化ベンザルコニウムである、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
(viii)薬学的に許容される界面活性剤をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項16】
前記薬学的に許容される界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、請求項15に記載の製剤。
【請求項17】
(ix)薬学的に許容される溶解補助剤をさらに含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項18】
前記薬学的に許容される粘稠化剤が、20℃で測定して10~45mPasの動的粘度をもたらすのに十分な量で存在し;
前記薬学的に許容される等張化剤が、200~400mOsm/kgの浸透圧をもたらすのに十分な量で存在し;かつ
前記薬学的に許容されるpH調整剤が、6.8~8.0のpHをもたらすのに十分な量で存在する、請求項1から17のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項19】
ゲルの形態である、請求項1から18のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項20】
(i)5~100g/lのラキニモド、または対応する量の、ラキニモドの薬学的に許容される塩、
(ii)1~10g/lのカルボキシメチルセルロースナトリウム、および/または0.5~6g/lのカルボマーコポリマー、
(iii)1.5~4g/lのマンニトール、
(iv)10~40g/lのグリセロール、
(v)0.2~2g/lのNa-EDTA、ならびに
(vi)6.8~8.0の範囲のpHをもたらすのに有効な量のpH緩衝剤を含む、請求項19に記載の製剤
【請求項21】
0.1~5g/lのポリソルベートをさらに含む、請求項20に記載の製剤。
【請求項22】
水および油含有エマルション、好ましくは水中油型エマルションの形態である、請求項1から18のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項23】
前記眼投与が眼局所投与である、請求項1から22のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項24】
眼障害の治療に使用するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項25】
前記眼障害が、緑内障、眼炎症疾患、および眼の過剰な脈管形成を伴う疾患から選択される、請求項24に記載の製剤。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項に記載の製剤を含有する用量容器。
【請求項27】
眼障害を治療するための医薬の製造における、請求項1から23のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項28】
前記眼障害が、緑内障、眼炎症疾患、および眼の過剰な脈管形成を伴う疾患から選択される、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
治療有効量の請求項1から23のいずれか一項に記載の製剤を、治療を必要とする哺乳動物に投与することによる、眼障害を治療する方法。
【請求項30】
前記眼障害が、緑内障、眼炎症疾患、および眼の過剰な脈管形成を伴う疾患から選択される、請求項29に記載の方法。
【国際調査報告】