IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 蘇州豊倍生物科技股▲フン▼有限公司の特許一覧

特表2024-516932アルキルエステル塩誘導体及び調製法と応用
<>
  • 特表-アルキルエステル塩誘導体及び調製法と応用 図1
  • 特表-アルキルエステル塩誘導体及び調製法と応用 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-18
(54)【発明の名称】アルキルエステル塩誘導体及び調製法と応用
(51)【国際特許分類】
   C07C 229/22 20060101AFI20240411BHJP
   C07C 227/08 20060101ALI20240411BHJP
   C07C 227/28 20060101ALI20240411BHJP
   A01N 57/20 20060101ALI20240411BHJP
   A01N 25/22 20060101ALI20240411BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240411BHJP
【FI】
C07C229/22 CSP
C07C227/08
C07C227/28
A01N57/20 G
A01N25/22
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559019
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 CN2021114507
(87)【国際公開番号】W WO2022205753
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110359364.9
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523365136
【氏名又は名称】蘇州豊倍生物科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU FENGBEI BIOTECH STOCK CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】平原
(72)【発明者】
【氏名】李寅
(72)【発明者】
【氏名】馬敏
(72)【発明者】
【氏名】任鵬
(72)【発明者】
【氏名】任莉
【テーマコード(参考)】
4H006
4H011
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB04
4H006AC43
4H006AC52
4H006BA07
4H006BA30
4H006BA66
4H006BA68
4H006BC10
4H006BC19
4H006BC31
4H006BC37
4H006BC40
4H006BE32
4H006BN10
4H006BT12
4H006BU32
4H011AB01
4H011BA04
4H011BB17
4H011BC06
4H011DA13
4H011DD04
4H039CA63
4H039CA71
4H039CC40
4H039CH70
(57)【要約】
本発明は、アルキルエステル塩誘導体を提供し、アルキルエステル塩誘導体の一般構造式は式(1)の通り、即ち、
【化1】
となり、
その中で、前記R1が(CH27、(CH210と(CH211の中のいずれかであり、前記R2がCH3、CH3CH2、CH(CH32とCH3(CH23の中のいずれかであり、R3がCH3(CH27、CH3(CH24とCH3(CH25の中のいずれかであり、Xn-が塩素イオン、硫酸イオンとリン酸二水素イオンの中のいずれかである。本発明におけるアルキルエステル塩誘導体は、十分良い親水性と親油性があり、水溶液の表面張力を削減することができる。これと同時に、誘導体は、解離して正電荷が生じることができ、吸着性が強く、分解し難い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記アルキルエステル塩誘導体の一般構造式は式(1)の通り、即ち、
【化1】
となり、
その中で、前記R1が(CH27、(CH210と(CH211の中のいずれかであり、前記R2がCH3、CH3CH2、CH(CH32とCH3(CH23の中のいずれかであり、前記R3がCH3(CH27、CH3(CH24とCH3(CH25の中のいずれかであり、前記Xn-が塩素イオン、硫酸イオンとリン酸二水素イオンの中のいずれかであることを特徴とするアルキルエステル塩誘導体。
【請求項2】
前記アルキルエステル塩基塩誘導体が、下記の構造式に示すような物質の中のいずれか又は幾つかのものであることであり、即ち、
【化2】
【化3】
【化4】
となることを特徴とする請求項1に記載のアルキルエステル塩誘導体。
【請求項3】
一般構造式(2)に示すような物質にエポキシ化反応をさせてエポキシエス
テル類物質を得てから、前記エポキシエステル類物質と前記ヒドロキシエチルエチレンジアミンに、酸化亜鉛が存在する条件の下で反応させて、ヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体を調製した後、前記ヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体と無機酸を反応させて、前記アルキルエステル塩誘導体を製造することが含まれ、その中で、前記式(2)に示すような物質の一般構造式が
【化5】
であり、前記式(2)でのR1、R2、R3が前記式(1)でのR1、R2、R3と同じ、前記無機酸が塩酸、硫酸、リン酸の中のいずれか又は幾つかの物質であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアルキルエステル塩誘導体の製造方法。
【請求項4】
前記エポキシ化に下記のステップが含まれ、即ち、前記式(2)に示すような物質に、ギ酸と硫酸が存在する条件の下で、過酸化水素水と反応させ、その中で、前記式(2)に示すような物質、前記ギ酸、前記硫酸の原料投入質量比が100:(5~10):(0.2~0.8)であり、前記過酸化水素水の添加量が前記ギ酸質量の10~15倍であり、前記過酸化水素水の質量濃度が30~50%であり、前記エポキシ化反応の温度が40~70℃であることを特徴とする請求項3に記載のアルキルエステル塩誘導体の製造方法。
【請求項5】
前記エポキシエステル類物質のエポキシ値が1~5%であることを特徴とする請求項3に記載のアルキルエステル塩誘導体の製造方法。
【請求項6】
前記エポキシエステル類物質と前記ヒドロキシエチルエチレンジアミンが、酸化亜鉛が存在する条件の下で、反応を行い、反応プロセス中の圧力が0.1~0.6MPaであり、温度が110~130℃であり、その中で、前記エポキシエステル類物質、前記ヒドロキシエチルエチレンジアミンと酸化亜鉛の原料投入質量比が100:(70~80):(0.5~1.0)であることを特徴とする請求項3に記載のアルキルエステル塩誘導体の製造方法。
【請求項7】
前記ヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体と前記無機酸との原料投入質量比が1:(1.5~5)であり、反応プロセス中の温度を40~60℃に制御することを特徴とする請求項3に記載のアルキルエステル塩誘導体の製造方法。
【請求項8】
前記無機酸の質量濃度が15~40%であることを特徴とする請求項7に記載のアルキルエステル塩誘導体の製造方法。
【請求項9】
反応時間が1.5~2hであることを特徴とする請求項7に記載のアルキルエステル塩誘導体の製造方法。
【請求項10】
前記式(2)に示すような物質に、オレイン酸メチル、大豆油脂肪酸メチルエステル、種子油メチルエステル、オレイン酸エチル、大豆油脂肪酸エチルエステル、種子油エチルエステル、オレイン酸イソプロピル、大豆油脂肪酸イソプロピルエステル、種子油イソプロピルエステル、オレイン酸ブチル、大豆油脂肪酸ブチルエステル、種子油ブチルエステルの中の一種又は多種が含まれていることを特徴とする請求項3又は4に記載のアルキルエステル塩誘導体の製造方法。
【請求項11】
前記製造方法に、下記のステップが含まれ、即ち、
(1)前記式(2)に示すような物質に、ギ酸と硫酸が存在する条件の下で、過酸化水素水と反応させ、エポキシエステル類物質を取得し、その中で、前記式(2)に示すような物質、前記ギ酸、前記硫酸の原料投入質量比が100:(5~10):(0.2~0.8)であり、前記過酸化水素水の添加量が前記ギ酸質量の10~15倍であり、前記過酸化水素水の質量濃度が30~50%であり、前記エポキシ化反応の温度を40~70℃に制御すること、
(2)前記エポキシエステル類物質と前記ヒドロキシエチルエチレンジアミンが、酸化亜鉛が存在する条件の下で、反応を行い、ヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体を製造し、その中で、前記エポキシエステル類物質、前記ヒドロキシエチルエチレンジアミンと酸化亜鉛の原料投入質量比が100:(70~80):(0.5~1.0)であり、反応プロセス中の圧力が0.1~0.6MPaであり、温度が110~130℃であるように制御することと、
(3)前記ヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体と前記無機酸を反応させて前記アルキルエステル塩誘導体を製造し、その中で、前記無機酸が塩酸、硫酸、リン酸の中のいずれか又は幾つかの物質であり、前記無機酸の質量濃度が15~40%であり、前記ヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体と前記無機酸との原料投入質量比が1:(1.5~5)であり、反応プロセス中の温度を40~60℃に制御し、反応時間を1.5~2hに制御することを特徴とする請求項3に記載のアルキルエステル塩誘導体の製造方法。
【請求項12】
請求項1又は請求項2に記載のアルキルエステル塩誘導体及び/又は請求項3~11の何れかに記載の製造方法によって製造するアルキルエステル塩誘導体を、共力剤としてグリホサート除草剤での応用。
【請求項13】
前記アルキルエステル塩誘導体と前記グリホサートとの体積質量比が(3~9)ml:20gであることを特徴とする請求項12に記載の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬助剤技術分野に係り、特にアルキルエステル塩誘導体及び調製法と応用に係る。
【背景技術】
【0002】
業界内において、グリホサートは、市場シェアが最も大きい除草剤製品として、市場規模が大きく、製造業者が多いが、製剤が一般に水剤であり、その共力剤として、一般にアルキルグルコシド、牛脂アミン、ポリシロキサン類及びその複合体が使用されている。但し、牛脂アミンが存在すると、ある程度の危害が発生する可能性があり、且つ、ポリシロキサン類が不安定で分解し易く、アルキルグルコシドの効果が顧客の使用時の要件に達しない欠点がある。
グリホサートの高塩体系の下で、一般的なアニオンと非イオン共力剤によるグリホサートに対する相乗効果がとても小さいので、適切な共力剤を開発してグリホサートの共力剤市場に使用することは、広い見通しがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする一つ目の技術的な課題は、親水性と親油性を兼ね揃え、分解し難く、吸着作用が強いアルキルエステル塩誘導体を提供することである。
本発明が解決しようとする二つ目の技術的な課題は、前記アルキルエステル塩誘導体の調製法を提供することである。
本発明が解決しようとする三つ目の技術的な課題は、グリホサート系除草剤における前記アルキルエステル塩誘導体の応用を提供することによって、除草剤の除草効果を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成する為に、本発明に下記の技術案を採用する。
一方では、本発明は、アルキルエステル塩誘導体を提供する。前記アルキルエステル塩誘導体の一般構造式は式(1)の通りである。
【化1】
その中で、前記R1が(CH27、(CH210と(CH211の中のいずれかであり、前記R2がCH3、CH3CH2、CH(CH32とCH3(CH23の中のいずれかであり、前記R3がCH3(CH27、CH3(CH24とCH3(CH25の中のいずれかであり、前記Xn-が塩素イオン、硫酸イオンとリン酸二水素イオンの中のいずれかである。
【0005】
本発明におけるアルキルエステル塩誘導体にアンモニウムイオンが存在すると、高塩体系の中でのイオンによる構造分解を有効に抵抗できるので、構造安定性が良く、水溶性も良い。これと同時に、誘導体が長鎖アルキルエステル構造を有し、油類及びエステル類物質と融合することができ、脂溶性が良い。例えば、これが作物に働きかける時に、植物葉面のワックス層に有効的に浸透することによって、植物内部に働きかけることができる。
【0006】
このましくは、前記アルキルエステル塩基塩誘導体が、下記の構造式に示すような物質の中のいずれか又は幾つかのものである。
【化2】
【化3】
【化4】
【0007】
他方では、本発明は、前記アルキルエステル塩誘導体の調製法を提供する。その中で、一般構造式(2)に示すような物質にエポキシ化反応をさせてエポキシエステル類物質を得てから、前記エポキシエステル類物質とヒドロキシエチルエチレンジアミンを反応させてヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体を調製した後、ヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体と無機酸を反応させて、前記アルキルエステル塩誘導体を調製することが含まれている。
【0008】
好ましくは、前記式(2)に示すような物質の一般構造式が、
【化5】
である。前記式(2)でのR1、R2、R3が前記式(1)でのR1、R2、R3と同じ。
【0009】
好ましくは、前記無機酸が塩酸、硫酸、リン酸の中のいずれか又は幾つかの物質である。ヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体と塩酸、硫酸、リン酸が反応して生成する塩の電気陰性度が強く、分子間の電荷吸着作用が強く、作物表面に堅牢な保護フィルムを形成することができ、製剤と配合して使用すると、製剤の雨滴浸食抵抗能力を強化することができる。
【0010】
好ましくは、前記エポキシエステル類物質のエポキシ値が1~5%であることであり、更に好ましくは、2~3%である。
【0011】
幾つかの具体的且つ好ましい実施形態によって、前記エポキシ化に下記のステップが含まれている。前記式(2)に示すような物質に、ギ酸と硫酸が存在する条件の下で、過酸化水素水と反応させること。その中で、前記エポキシ化反応の化学反応式が下記の通りである。
【化6】
【0012】
エポキシ化合物の調製法に、主にハロヒドリン反応法及び過酸による酸化法が含まれている。ハロヒドリン反応法は、原料にハロヒドリンを生成させてから、ハロヒドリンとアルカリを反応させてエポキシ化合物を生成させることである。この方法は、プロセスが煩雑で、副生成物が処理し難い。過酸による酸化法は、原料と過酸を反応させてエポキシ化合物を生成させることである。この方法は、ステップが簡単であるが、過酸が強酸化剤であるので、安定性が悪く、爆発し易い。本出願は、過酸化水素水を酸素供給体とし、硫酸を触媒とし、ギ酸を活性化担体として反応させるので、製造プロセスがより簡単で、反応プロセスが制御し易い利点を有する。
【0013】
更に好ましくは、前記式(2)に示すような物質、前記ギ酸、前記硫酸の原料投入質量比が100:(5~10):(0.2~0.8)であり、なお更に好ましくは、質量比が100:(8~10):(0.5~0.8)である。硫酸とギ酸を加えることによって、過酸化水素水を安定化するだけでなく、エポキシ化反応を促進することができる。硫酸とギ酸の添加量が多ければ多いほど良いことではなく、硫酸とギ酸が多すぎると、エポキシ結合の開環反応が発生するので、硫酸とギ酸の添加量を適切な範囲内に制御しなければならない。
【0014】
更に好ましくは、前記過酸化水素水の添加量が前記ギ酸質量の10~15倍である。
【0015】
更に好ましくは、前記過酸化水素水の質量濃度が30~50%であり、なお更に好ましくは、質量濃度が35~45%であり、なお更に好ましくは、質量濃度が40~45%である。
【0016】
好ましくは、前記エポキシ化反応の温度を40~70℃に制御することであり、更に好まし
くは、温度を50~70℃に制御することであり、なお更に好ましくは、温度を60~70℃に制御することであり、なお更に好ましくは、温度を65~70℃に制御することである。反応温度が低ければ低いほど、エポキシ化反応の速度が低くなり、製造されるエポキシ化物質のエポキシ値が低くなる。反応温度が40℃未満である場合、製造されるエポキシ化物質のエポキシ値が1%を下回る。反応温度が上がると、反応温度を上げることができるが、反応温度が70℃を超えると、エポキシ化物質に開環反応が発生する可能性があるので、生成物の中での副生成物が増える為、製造されるエポキシ化物質のエポキシ値が低くなる。
【0017】
幾つかの具体的且つ好ましい実施形態によって、前記エポキシエステル類物質と前記ヒドロキシエチルエチレンジアミンが、酸化亜鉛が存在する条件の下で、反応を行う。その中で、酸化亜鉛を触媒とする。前記エポキシエステル類物質と前記ヒドロキシエチルエチレンジアミンとの反応式は下記の通りである。
【化7】
【0018】
さらに好ましくは、反応プロセス中の圧力を0.1~0.6MPaに制御することである。
【0019】
さらに好ましくは、反応プロセス中の温度を110~130℃に制御することであり、なお更に好ましくは、温度を120~130℃に制御することである。
【0020】
さらに好ましくは、前記エポキシエステル類物質、前記ヒドロキシエチルエチレンジアミンと酸化亜鉛の原料投入質量比が100:(70~80):(0.5~1.0)であり、なお更に好ましくは、原料投入質量比が100:(70~75):(0.5~0.8)である。本発明は、ヒドロキシエチルエチレンジアミンの高活性なアミノ基を利用し、これとエポキシエステル類物質を反応させることによって、開環重付加反応を通じて、長鎖アルキルエステルの側鎖付きヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体を合成する。ヒドロキシエチルエチレンジアミンに複数の活性化箇所があるので、直接に反応すると、生成する副生成物が多い。本発明は、圧力、温度及び反応原料の投入量を通じて、副生成物の生成を有効に抑制することができる。
【0021】
幾つかの具体的且つ好ましい実施形態によって、前記ヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体と前記無機酸との原料投入質量比が1:(1.5~5)であり、好ましくは、質量比が1:(2~3.5)であることであり、さらに好ましくは、質量比が1:(2~3)である。その中で、前記ヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体と前記無機酸との反応式は下記の通りである。
【化8】
【0022】
無機酸の過量使用を通じて、副生成物の生成を有効に抑制することができる。ヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体に複数の活性化箇所があるので、無機酸過量が多すぎる場合、無機酸が引き続き生成物と反応して副生成物を生成する。ヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体と無機酸との原料投入質量比を1:(1.5~5)に制御することによって、副
生成物の形成を有効に抑制することができる。
【0023】
好ましくは、前記無機酸の質量濃度が15~40%であり、更に好ましくは、質量濃度が15~35%である。
【0024】
好ましくは、前記ヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体と前記無機酸との反応温度を40~60℃に制御することであり、更に好ましくは、温度を50~60℃に制御することである。
【0025】
幾つかの具体的且つ好ましい実施形態によって、前記式(2)に示すような物質に、オレイン酸メチル、大豆油脂肪酸メチルエステル、種子油メチルエステル、オレイン酸エチル、大豆油脂肪酸エチルエステル、種子油エチルエステル、オレイン酸イソプロピル、大豆油脂肪酸イソプロピルエステル、種子油イソプロピルエステル、オレイン酸ブチル、大豆油脂肪酸ブチルエステル、種子油ブチルエステルの中の一種又は多種が含まれている。
【0026】
前記オレイン酸メチル、大豆油脂肪酸メチルエステルと種子油メチルエステル等の原料は、天然植物油を源とし、これらを反応物として合成されるアルキルエステル塩誘導体が良い脂溶性を有していて、植物葉面のワックス層に有効的に浸透することができ、薬物と配合して使用されると、薬物作用効果を強化し、薬物作用時間を短縮することができ、それに加えて、分解し易く、毒性が低く、グリーン環境保護型原料である。
【0027】
本発明の第3面では、共力剤とする、グリホサートにおける前記アルキルエステル塩誘導体及び/又は前記製造法で製造されるアルキルエステル塩誘導体の応用を提供することである。
【0028】
グリホサートの除草効果を向上させ、その投薬量とコストを削減する為に、グリホサート製剤の加工と使用プロセスに共力剤を加えることがある。現在、よく使われる共力剤は牛脂アミン類共力剤であるが、牛脂アミン類共力剤が人畜に刺激作用があり、水生生物に対する毒性が十分高い。アルキルグルコシドとポリシロキサン類共力剤等を含む代替製品が続々と出ているが、普遍的な相乗効果がよくではない。本発明において、アルキルエステル塩誘導体を、共力剤としてグリホサート水剤と混合して使用することによって、グリホサート高塩体系の中でのイオンによる構造分解を有効に抵抗でき、安定性が強く、これと同時に、植物葉身表面への薬液粘着、拡張と浸透性を有効的に強化することができるので、薬液が作物表面に固く吸着し、アルキルエステル塩誘導体がその長鎖アルキルとエステルのラジカルを通じて、植物表面において良好な油膜を形成することによって、防水効果を果たす。これと同時に、当該アルキルエステル塩誘導体が浸透伝導作用を有し、植物体の茎葉を経て植物全体と根元部に伝動することができる。これで、有効成分が植物体内に順調に入り、それに加えて、標的箇所に速く伝導することによって、植物の生物的プロセスの進行を妨げて、除草効果を果たすことができる。
【0029】
好ましくは、前記アルキルエステル塩誘導体と前記グリホサートとの体積質量比が(3~9)ml:20gである。
【0030】
前記技術案の運用により、本発明は、既存の技術と比べて下記の利点を有する。本発明におけるアルキルエステル塩誘導体は、十分良い親水性と親油性があり、水溶液の表面張力を削減することができる。これと同時に、誘導体は、解離して正電荷が生じることができ、吸着性が強く、分解し難い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、実施形態1におけるアルキルエステル塩誘導体の水素スペクトル図である。
図2図2は、実施形態1におけるアルキルエステル塩誘導体の核磁気炭素スペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、実施形態に結びつき、本発明を更に説明する。本発明は、下記の実施形態に限らない。実施形態で採用される実施条件は、具体的な使用例の異なる要件によって更に調整することができる。明記されていない実施条件は、本業界における一般条件である。本発明の各実施形態に関わる技術的特徴は、互いに矛盾を構成しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0033】
別段の定めがない限り、本発明で述べられる部数は、質量部数を指し、本発明で述べられる「多種」は、2種又は2種以上を指す。
【0034】
実施形態1
1. オレイン酸メチル、ギ酸と硫酸を、質量比100:8:0.5によって反応釜に入れ、均一に攪拌し、70℃になるまで加熱した後、ギ酸質量10倍の40%質量含有量の過酸化水素水を定速で注入する。1~2h内に注入を完成する。これから、引き続き3h反応させた後、蒸留してエポキシ値が2%であるエポキシオレイン酸メチルを得る。
2. エポキシオレイン酸メチル、ヒドロキシエチルエチレンジアミンと酸化亜鉛を、質量比100:75:0.8によって反応釜に入れ、120℃になるまで加熱した後、定温反応を1h行う。圧力がゼロに戻った後、蒸留瓶に注ぎ入れ、陰圧0.4-0.5 MPa、温度210-230℃の下で蒸留を行う。得る留分がヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体である。
3.ヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体100部を反応釜に入れ、50℃になるまで加熱した後、15%質量濃度の塩酸300部を何回に分けて入れる。完全に入れた後、定温攪拌反応を1.5時間行うと、アルキルエステル塩誘導体(製品1)を得る。
【0035】
本実施形態の生成物の中で、主な製品の構造式が
【化9】
であり、関連スペクトル図の詳細について、図1図2を参照してください。室温(25℃)の状況の下で、浅黄褐色~赤褐色クリーム状物質であり、密度が0.937g/cm3である。
【0036】
実施形態2
1. オレイン酸メチル、ギ酸と硫酸を、質量比100:10:0.8によって反応釜に入れ、均一に攪拌し、65℃になるまで加熱した後、ギ酸質量15倍の40%質量含有量の過酸化水素水を定速で注入する。1~2h内に注入を完成する。これから、引き続き3h反応させた後、蒸留してエポキシ値が2.3%であるエポキシオレイン酸メチルを得る。
2. エポキシオレイン酸メチル、ヒドロキシエチルエチレンジアミンと酸化亜鉛を、質量比100:70:0.5によって反応釜に入れ、120℃になるまで加熱した後、定温反応を1.5h行う。圧力がゼロに戻った後、蒸留瓶に注ぎ入れ、陰圧0.4-0.5 MPa、温度210-230℃の下で蒸留を行う。得る留分がヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体である。
3.ヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体100部を反応釜に入れ、50℃になるまで加熱した後、35%質量濃度のリン酸200部を何回に分けて入れる。完全に入れた後、定温攪拌反応を2時間行うと、アルキルエステル塩誘導体(製品2)を得る。
【0037】
本実施形態の生成物の中で、主な製品の構造式が
【化10】
であり、室温(25℃)の状況の下で、浅黄褐色~赤褐色クリーム状物質であり、密度が0.952 g/cm3である。
【0038】
実施形態3
1. オレイン酸メチル、ギ酸と硫酸を、質量比100:10:0.8によって反応釜に入れ、均一に攪拌し、65℃になるまで加熱した後、ギ酸質量15倍の40%質量含有量の過酸化水素水を定速で注入する。1~2h内に注入を完成する。これから、引き続き3h反応させた後、蒸留してエポキシ値が2.3%であるエポキシオレイン酸メチルを得る。
2. エポキシオレイン酸メチル、ヒドロキシエチルエチレンジアミンと酸化亜鉛を、質量比100:70:0.5によって反応釜に入れ、120℃になるまで加熱した後、定温反応を1.5h行う。圧力がゼロに戻った後、蒸留瓶に注ぎ入れ、陰圧0.4-0.5 MPa、温度210-230℃の下で蒸留を行う。得る留分がヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体である。
3.ヒドロキシエチルエチレンジアミン誘導体100部を反応釜に入れ、50℃になるまで加熱した後、35%質量濃度の塩酸200部を何回に分けて入れる。完全に入れた後、定温攪拌反応を1時間行うと、アルキルエステル塩誘導体(製品3)を得る。
【0039】
本実施形態の生成物の中で、主な製品の構造式が
【化11】
であり、室温(25℃)の状況の下で、浅黄褐色~赤褐色クリーム状物質であり、密度が0.929 g/cm3である。
【0040】
前記実施形態で製造した製品をそれぞれ脱イオン水に入れて、アルキルエステル塩誘導体の質量濃度が10%~80%である溶液に調製した後、水の中でのアルキルエステル塩誘導体の溶解性を観察する。具体的な結果について、表1を参照してください。表1から、アルキルエステル塩誘導体と脱イオン水との相互溶解性を見ることができる。水溶性が良い。
【0041】
【表1】
【0042】
本発明実施形態での関連製品を、グリホサートイソプロピルアミン塩水剤と組み合わせて、イチビを防除してから14日後の結果は、下表2の通りです。テスト方法及び防除効果の測定根拠は、中華人民共和国農業業界基準NY/T 1155.4-2006 「農薬室内生物測定試験準則 除草剤第4部:活性測定試験 茎葉噴霧法」に基づくものとする。
【0043】
【表2】
【0044】
以上は本発明を詳細に説明した。その目的は、この分野を熟知する技術者に、本発明の内容を了解させて実施させることである。但し、これで本発明の保護範囲を制限することではない。本発明の精神実質によって実施された等価な変化又は修飾は、皆本発明の保護
範囲に盛り込むものとする。
図1
図2
【国際調査報告】