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特表2024-516936S1PR1とS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用する炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-18
(54)【発明の名称】S1PR1とS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用する炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4192 20060101AFI20240411BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240411BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A61K31/4192
A61P1/04
A61K45/00
A61P43/00 121
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560303
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-10
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 KR2022007785
(87)【国際公開番号】W WO2023182572
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0036306
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523369938
【氏名又は名称】ネクストジェン バイオサイエンス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NEXTGEN BIOSCIENCE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】イ ボンヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク ヤンヘ
(72)【発明者】
【氏名】キム ウンジョン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084NA05
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC60
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA06
4C086NA14
4C086ZA66
4C086ZC42
(57)【要約】
本発明は、S1P受容体のサブタイプS1PR1とS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用する炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物に関し、より具体的には、S1PR1とS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用して、心血管疾患の副作用を引き起こさず、炎症性腸疾患の予防または治療効果を有するスフィンゴ脂質化合物を有効成分として含む薬学的組成物に関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物:
【化1】
ここで、
は、水素であり;
は、水素またはアセチル基であり;
Xは、単一結合、Cアルキレン、またはCアルケニレンであり;
Aは、N原子3個を含む5員環のヘテロアリレンであり;
Bは、C2-11の直鎖または側鎖アルキレンであり;
Cは、単一結合またはフェニレンであり;および
Dは、水素、フェニルおよびC1-6アルキルからなる群から選ばれる。
【請求項2】
前記Rは、水素であることを特徴とする請求項1に記載の炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項3】
前記Xは、Cアルキレンであることを特徴とする請求項1に記載の炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項4】
前記Bは、C2-11の直鎖アルキレンであることを特徴とする請求項1に記載の炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項5】
前記化学式1で表される化合物は、下記化合物群から選択されるいずれか1つの化合物であることを特徴とする請求項1に記載の炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物:
(1)2-アミノ-2-(2-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオール;
(2)2-アミノ-2-(2-(1-オクチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオール;
(3)2-アミノ-2-(2-(1-(4-ヘキシルフェネチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオール;
(4)2-アミノ-2-(1-ドデシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1,3-ジオール;
(5)(E)-2-アミノ-2-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ビニル-1,3-ジオール;
(6)2-アミノ-2-(2-(1-(8-フェニルオクチル)-1H-1,2,3-トリアゾールブチル-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオール;
(7)N-(2-(1-ドデシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-1,3-ジヒドロオキシプロパン-2-イル)アセトアミド;
(8)N-(4-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-1-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)ブタン-2-イル)アセトアミド;および
(9)N-(4-(1-(4-ヘキシルフェネチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-1-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)ブタン-2-イル)アセトアミド。
【請求項6】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式2で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【化2】
【請求項7】
前記炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎またはクローン病であることを特徴とする請求項1に記載の炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項8】
前記薬学的組成物は、経口投与用製剤または非経口投与用製剤であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項9】
前記薬学的組成物は、炎症性腸疾患の治療に適した1つ以上の他の治療剤をさらに含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項10】
前記薬学的組成物は、S1PR1およびS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項11】
前記薬学的組成物は、心血管疾患の副作用を引き起こさないことを特徴とする請求項10に記載の炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項12】
請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む組成物の炎症性腸疾患の予防または治療のための用途。
【請求項13】
前記組成物は、S1PR1およびS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用するものである、請求項12に記載の用途。
【請求項14】
前記組成物は、心血管疾患の副作用を引き起こさないものである、請求項13に記載の用途。
【請求項15】
請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩から選択される物質を個体に投与する段階を含む、炎症性腸疾患の予防または治療方法。
【請求項16】
前記個体は、ヒトまたはヒト以外の動物である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記物質は、S1PR1およびS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用するものである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記物質は、心血管疾患の副作用を引き起こさないものである、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、S1PR1とS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用する炎症性腸疾患の予防または治療用組成物に関し、より具体的には、本発明は、S1PR1とS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用して、心血管疾患の副作用を引き起こさず、炎症性腸疾患の予防または治療効果を有するスフィンゴ脂質化合物を含む薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease;IBD)は、腸内慢性炎症や潰瘍を起こす疾患であり、遺伝的要因と共に腸内に正常に存在する細菌に対する人体の過剰な免疫反応などが重要な発病要因といわれている。炎症性腸疾患としては、潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis;UC)とクローン病(Crohn’s Disease;CD)が代表的である。
【0003】
クローン病は、口から肛門まで消化管全体にわたってどの部位でも起こり得る慢性炎症性腸疾患を意味する。クローン病は、潰瘍性大腸炎とは異なって、炎症が腸内の全ての層を侵入し、病的な変化が分布する様相が連続的でなく、まれに現れることが多い。特に、大腸と小腸が連結される部位である回盲部に疾患が発症する場合が最も一般的であり、次に大腸、回腸末端部、小腸などでよく発生する。クローン病の原因は、まだ正確に知られていないが、環境的要因、遺伝的要因と共に腸内に正常に存在する細菌に対する人体の過剰な免疫反応に起因して発症するといわれている。
【0004】
大腸粘膜に炎症または潰瘍が生じる潰瘍性大腸炎は、大腸粘膜が充血し腫れながら出血を起こし、多発性潰瘍形態で現れ、慢性再発性、慢性持続性、急性電撃型大腸炎の3分類に区分されている。通常、潰瘍性大腸炎は、慢性再発性疾患である場合が最も一般的であり、この場合は、再発するほど症状が悪化し、慢性持続性大腸炎は、6ヶ月程度持続的に重度の症状が持続する。急性電撃型大腸炎である場合、非常に症状が深刻で高熱が伴い、症状が現れてから数週間内に死亡する危険があることもある。潰瘍性大腸炎の発生原因は、まだ明らかになっていないが、その原因として不規則的な食習慣や外部的ストレスなど環境的要因や家族歴などの遺伝的要因、大腸壁の免疫学的異常、腸内分布する正常細菌に対する人体の異常免疫反応などが関連することが知られている。一般的に、潰瘍性大腸炎は、肉食を主とするヨーロッパと北米地域で発症率が高い疾患であったが、最近では、西欧化された食習慣により韓国を含む東アジア地域でも発症率が増加する傾向を示している。潰瘍性大腸炎の治療方法として手術的な処置は、完治を目的とするもので、病変がある全ての大腸部位を切除する。なお、薬物治療法としては、スルファサラジン、メサラミンなどの抗炎症剤、ヒドロコルチゾン、デキサ、ピディ、メドロンなどの副腎皮質ホルモン製剤、アザチオプリン、プリネトールなどの免疫抑制剤、メトロニダゾールなどの抗生剤、レミケードなどの生物学的製剤が使用されているが、まだ潰瘍性大腸炎を治すことができる薬物治療法はない。最も一般的には、スルファサラジン(sulfasalazine)、メサラミン(mesalamine)などの抗炎症剤、副腎皮質ホルモン剤などの治療剤が使用され、患者の状態に応じて免疫抑制剤、抗生剤などの薬物を適切に選択して使用する。その中で、スルファサラジンは、数十年間潰瘍性大腸炎の標準的な治療方法として使用されてきたが、高用量および長期服用によって酸化ストレスを誘発し、吐き気、胸焼け、頭痛、めまい、貧血、皮膚発疹などの副作用を起こすことがあり、まれにこれらの薬物は、肝炎、膵炎、肺炎などを誘発することもある。さらに、直腸にのみ病的な変化が現れる潰瘍性大腸炎は、一時的な薬物治療だけで完治することができるが、直腸以外の部位で病的な変化が発生した潰瘍性大腸炎は、再発の頻度が高く、腸穿孔、毒性巨大結腸などの合併症や大腸がんに進行することもある。
【0005】
これより、炎症性腸疾患の治療に使用できる薬物効能に優れ、副作用や毒性の点から安全な医薬の開発が絶えず要求されている。
【0006】
そこで、本発明者らは、スフィンゴ脂質化合物の中でS1Pサブタイプ受容体に選択的に作用する独立した化合物を開発するために鋭意努力しているところ、本発明による化合物がS1PR1とS1PR4受容体に特異的に結合して機能的拮抗剤(antagonist)の役割を果たすことによって、S1PRサブタイプに対する非選択性による心血管系疾患の副作用を引き起こさず、同時に炎症性腸疾患の予防または治療効果を有することを確認し、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2017-0087813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、心血管疾患の副作用を引き起こさず、炎症性腸疾患の予防または治療の薬理活性を有する化合物を有効成分として含む薬学的組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物は、下記化学式1で表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩から選択された物質を有効成分として含む。
【0010】
【化1】
【0011】
ここで、
は、水素であり;
は、水素またはアセチル基であり;
Xは、単一結合、Cアルキレン、またはCアルケニレンであり;
Aは、N原子3個を含む5員環のヘテロアリレンであり;
Bは、C2-11の直鎖または側鎖アルキレンであり;
Cは、単一結合またはフェニレンであり;および
Dは、水素、フェニルおよびC1-6アルキルからなる群から選ばれる。
【0012】
前記Rは、水素であってもよい。
【0013】
前記Xは、Cアルキレンであってもよい。
【0014】
前記Bは、C2-11の直鎖アルキレンであってもよい。
【0015】
前記化学式1で表される化合物が下記化合物群から選択されるいずれか1つの化合物であってもよい:
(1)2-アミノ-2-(2-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオール;
(2)2-アミノ-2-(2-(1-オクチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオール;
(3)2-アミノ-2-(2-(1-(4-ヘキシルフェネチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオール;
(4)2-アミノ-2-(1-ドデシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1,3-ジオール;
(5)(E)-2-アミノ-2-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ビニル-1,3-ジオール;
(6)2-アミノ-2-(2-(1-(8-フェニルオクチル)-1H-1,2,3-トリアゾールブチル-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオール;
(7)N-(2-(1-ドデシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-1,3-ジヒドロオキシプロパン-2-イル)アセトアミド;
(8)N-(4-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-1-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)ブタン-2-イル)アセトアミド;および
(9)N-(4-(1-(4-ヘキシルフェネチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-1-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)ブタン-2-イル)アセトアミド。
【0016】
前記化学式1で表される化合物が、下記化学式2で表される化合物(以下「NXC736」)であってもよい。
【0017】
【化2】
【0018】
本発明において炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎またはクローン病であってもよい。
【0019】
本発明による薬学的組成物は、経口投与用製剤または非経口投与用製剤であってもよい。
【0020】
本発明による薬学的組成物は、炎症性腸疾患の治療に適した1つ以上の他の治療剤をさらに含んでもよい。
【0021】
本発明による薬学的組成物は、S1PR1およびS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用することができる。
【0022】
本発明による薬学的組成物は、心血管疾患の副作用を引き起こさない効果を期待することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明による薬学的組成物は、S1PR1とS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用して、炎症性腸疾患の予防または治療効果を有する。
【0024】
特に、本発明による薬学的組成物は、S1P受容体のサブタイプ(S1P1、S1P2、S1P3、S1P4およびS1P5)のうちS1PR1とS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用して、炎症性腸疾患の予防または治療効果を有すると同時に、心血管疾患の副作用を引き起こさない効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、NXC736(3mg/kg/day)の経口投与後、マウスの全体T細胞およびT細胞サブタイプの細胞数の変化を示すグラフである。
図2図2は、NXC736(10mg/kg/day)の経口投与後、ラットの全体T細胞およびT細胞サブタイプの細胞数の変化を示すグラフである。
図3図3は、DSS誘発大腸炎マウスモデルにおいてNXC736(5、10mg/kg/day)が炎症性腸疾患の抑制に及ぼす影響を示すグラフである。
図4図4は、hERG遺伝子(hERG gene)が過剰発現したHEK293細胞におけるNXC736(1、3、10、30μM)の影響を評価試験した表である。
図5図5は、NXC736(12.5、25、50mg/kg)の経口投与後、ビーグル犬の心拍数の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書または出願に開示されている説明は、ただ本発明の技術的思想による実施例を説明するための目的で例示されたものであり、本発明の技術的思想による実施例は、本明細書または出願に開示されている実施例以外にも様々な形態で実施することができ、本発明の技術的思想が本明細書または出願に説明された実施例に限定されると解されない。
【0027】
本発明において、「予防」とは、薬学的組成物を個体に投与して対象疾患の発病を抑制または遅延させるすべての行為を意味する。
【0028】
本発明において、「治療」とは、薬学的組成物を個体に投与して対象疾患の症状が好転したり有益にするすべての行為を意味する。
【0029】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0030】
本発明による炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物は、下記化学式1で表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩から選択された物質を有効成分として含む。
【0031】
【化3】
【0032】
ここで、
は、水素であり;
は、水素またはアセチル基であり;
Xは、単一結合、Cアルキレン、またはCアルケニレンであり;
Aは、N原子3個を含む5員環のヘテロアリレンであり;
Bは、C2-11の直鎖または側鎖アルキレンであり;
Cは、単一結合またはフェニレンであり;および
Dは、水素、フェニルおよびC1-6アルキルからなる群から選ばれる。
【0033】
前記Rは、水素であってもよい。
【0034】
前記Xは、Cアルキレンであってもよい。
【0035】
前記Bは、C2-11の直鎖アルキレンであってもよい。
【0036】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩から選択された物質を個体に投与する段階を含む炎症性腸疾患の予防または治療方法を提供する。個体は、ヒトまたはヒトを除いた動物であってもよい。
【0037】
前記物質は、S1PR1とS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用して、心血管疾患の副作用を引き起こさない炎症性腸疾患の予防または治療方法を提供することができる。
【0038】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩から選択された物質を有効成分として含む組成物の炎症性腸疾患の予防または治療用途を提供する。
【0039】
前記組成物は、S1PR1とS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用して、心血管疾患の副作用を引き起こさない炎症性腸疾患の予防または治療用途を提供することができる。
【0040】
また、前記化学式1で表される化合物が下記化合物群から選択されるいずれか1つの化合物であってもよい:
(1)2-アミノ-2-(2-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオール;
(2)2-アミノ-2-(2-(1-オクチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオール;
(3)2-アミノ-2-(2-(1-(4-ヘキシルフェネチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオール;
(4)2-アミノ-2-(1-ドデシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1,3-ジオール;
(5)(E)-2-アミノ-2-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ビニル-1,3-ジオール;
(6)2-アミノ-2-(2-(1-(8-フェニルオクチル)-1H-1,2,3-トリアゾールブチル-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオール;
(7)N-(2-(1-ドデシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-1,3-ジヒドロオキシプロパン-2-イル)アセトアミド;
(8)N-(4-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-1-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)ブタン-2-イル)アセトアミド;および
(9)N-(4-(1-(4-ヘキシルフェネチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-1-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)ブタン-2-イル)アセトアミド。
【0041】
また、前記化学式1で表される化合物が下記化学式2で表される化合物である2-アミノ-2-(2-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオールであってもよい。
【0042】
【化4】
【0043】
化学式1で表される化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態で使用することができる。この際、塩は、薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)により形成された酸付加塩が使用できる。
【0044】
より具体的には、酸付加塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜硝酸、亜リン酸等のような無機酸類、脂肪族モノおよびジカルボキシレート、フェニル置換アルカノエート、ヒドロキシアルカノエートおよびアルカンジオエート、芳香族酸類、脂肪族および芳香族スルホン酸類等のような無毒性有機酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、酒石酸、フマル酸等のような有機酸から収得することができる。
【0045】
また、薬学的に無毒な塩は、サルフェート、ピロサルフェート、バイサルフェート、サルファイト、バイサルファイト、ニトラート、ホスフェート、モノハイドロゲンホスフェート、ジハイドロゲンホスフェート、メタホスフェート、ピロホスフェートクロリド、ブロミド、ヨージド、フルオライド、アセテート、プロピオネート、デカノエート、カプリレート、アクリレート、ホルメート、イソブチレート、カプレート、ヘプタノエート、プロピオレート、オキサレート、マロネート、スクシネート、スベレート、セバケート、フマレート、マリエート、ブチン-1,4-ジオエート、ヘキサン-1,6-ジオエート、ベンゾアート、クロロベンゾアート、メチルベンゾアート、ジニトロベンゾアート、ヒドロキシベンゾアート、メトキシベンゾアート、フタレート、テレフタレート、ベンゼンスルホナート、トルエンスルホナート、クロロベンゼンスルホナート、キシレンスルホナート、フェニルアセテート、フェニルプロピオネート、フェニルブチレート、シトレート、ラクテート、β-ヒドロキシブチレート、グリコレート、マレート、タルトレート、メタンスルホナート、プロパンスルホナート、ナフタレン-1-スルホナート、ナフタレン-2-スルホナート、マンダラートなどを含んでもよい。
【0046】
酸付加塩は、通常の方法で製造することができる。例えば、化学式1で表される化合物の誘導体をメタノール、エタノール、アセトン、メチレンクロリド、アセトニトリル等のような有機溶媒に溶かし、有機酸または無機酸を加えて生成された沈殿物をろ過、乾燥させて製造したり、溶媒と過量の酸を減圧蒸留した後、乾燥させて、有機溶媒下で結晶化させて製造することができる。
【0047】
また、塩基を用いて薬学的に許容可能な金属塩を製造することができる。例えば、化学式1で表される化合物を過量のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物溶液中に溶解し、非溶解化合物塩をろ過し、ろ液を蒸発および乾燥させて収得することができる。金属塩としては、ナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩を製造することが好ましい。また、これに対応する塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩を適当な銀塩(例えば、硝酸銀)と反応させて収得することができる。
【0048】
また、本発明による薬学的組成物は、化学式1で表される化合物およびその薬学的に許容可能な塩を有効成分で含有するだけでなく、これから製造することができる溶媒和物、光学異性体、水和物などから選択された物質を有効成分として含んでもよい。
【0049】
化学式1で表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物は、経口投与用製剤および薬理活性を示す範囲内では、他の類型の製剤に変更することができる。
【0050】
経口投与用製剤は、トローチ剤(troches)、ロジェンジ(lozenge)、錠剤、水溶性懸濁液、油性懸濁液、調製粉末、顆粒、エマルジョン、ハードカプセル、ソフトカプセル、シロップまたはエリキシル剤などの形態を含んでもよいし、これに制限されるものではしない。
【0051】
また、本発明による薬学的組成物を経口投与用製剤に製剤化するために、ラクトース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン(Amylopectin)、セルロース(Cellulose)またはゼラチン(Gelatin)等のような結合剤;リン酸二カルシウム(Dicalcium phosphate)等のような賦形剤;とうもろこしデンプンまたはさつまいもデンプン等のような崩解剤;ステアリン酸マグネシウム(Magnesium stearate)、ステアリン酸カルシウム(Calcium stearate)、ステアリルフマル酸ナトリウム(Sodium stearyl fumarate)またはポリエチレングリコールワックス(Polyethylene glycol wax)等のような滑沢剤;甘味剤;芳香剤;シロップ剤;などを使用することができる。また、カプセル剤の場合、前記言及した物質の他にも、脂肪油のような液体担体などをさらに使用することができる。
【0052】
化学式1で表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物は、非経口投与のための適合した様々な剤形に製剤化して使用することができる。
【0053】
非経口投与用製剤は、注射液、坐剤、呼吸器吸入用粉末、スプレー用エアロゾル剤、軟膏、塗布用パウダー、オイル、クリームなどが挙げられ、これに制限されるものではない。
【0054】
また、本発明による薬学的組成物を非経口投与用製剤に製剤化するために、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、外用剤などを使用することができる。具体的には、非水性溶剤、懸濁剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどを使用することができる。
【0055】
本発明による薬学的組成物を注射液に製剤化する場合、薬学的組成物を安定剤または緩衝剤と共に水で混合して、溶液または懸濁液として製造し、これをアンプル(ampoule)またはバイアル(vial)の単位投与用に製剤化することができる。また、本発明による薬学的組成物をエアロゾル剤に製剤化する場合、水分散された濃縮物または湿潤粉末が分散するように推進剤などを添加剤と共に配合することができる。また、本発明による薬学的組成物を軟膏、クリームなどに製剤化する場合には、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛などを担体として使用して製剤化することができる。
【0056】
本発明による薬学的組成物は、炎症性腸疾患の治療に適した1つ以上の他の治療剤をさらに含んでもよい。
【0057】
炎症性腸疾患の治療に適した1つ以上の他の治療剤は、コルチコステロイド薬物、非ステロイド性抗炎症薬物(NSAID)、免疫抑制剤、細胞毒性薬物および血管拡張剤からなる群から選ばれ得る。より具体的には、ACE抑制剤、ARBまたはスタチン、コルチコステロイドまたはカルシニューリン抑制剤(例:タクロリムス)などがあるが、これに制限されない。また、炎症性腸疾患の治療に適した1つ以上の他の治療剤は、一緒にまたは別々に投与することができる。別々に投与する場合、これは、同時にまたは任意の順序で順次に投与することができる。化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩および他の治療剤の投与量および投与時期は、所望の組み合わせ治療効果を達成するために選択することができる。
【0058】
本発明による薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含んでもよい。「薬学的に許容可能」というのは、化合物の投与時に生物体を刺激することなく、投与する化合物の生物学的活性および特性を阻害しない、薬学分野において通常使用されるものを意味する。
【0059】
担体の種類は、特に制限されず、当該技術分野において通常使用される担体であれば、いずれも使用することができる。担体の非制限的な例としては、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、マルトデキストリン、グリセロール、エタノールなどが挙げられる。これらは、単独で使用したり2種以上を混合して使用してもよい。
【0060】
また、必要に応じて本発明による薬学的組成物に賦形剤、希釈剤、抗酸化剤、緩衝液または静菌剤などその他薬学的に許容可能な添加剤を添加して使用することができる。また、必要に応じて本発明による薬学的組成物に充填剤、増量剤、湿潤剤、崩解剤、分散剤、界面活性剤、結合剤または潤滑剤などを付加的に添加して使用することができる。
【0061】
本発明による薬学的組成物の薬理的有効量および人体に対する投与量は、前記薬学的組成物の製剤化方法、投与方式、投与時間および/または投与経路などによって多様化することができる。前記の投与量は、薬学的組成物の投与により達成しようとする反応の種類と程度、投与対象となる個体の種類、年齢、体重、一般的な健康状態、疾患の症状や程度、性別、食事、排泄、当該個体に同時または異時に一緒に使用される薬物などその他組成物の成分などを含む様々な因子および医薬分野において広く知られている類似因子によって多様化することができ、当該技術分野における通常の知識を有する者は、目的とする治療に効果的な投与量を容易に決定し、処方することができる。例えば、本発明による薬学的組成物の人体投与量は、1日に0.1mg/kg~1,000mg/kg、好ましくは、10mg/kg~500mg/kgであってもよい。また、本発明による薬学的組成物の投与は、1日に1回投与することができ、数回に分けて投与することもできる。また、本発明による薬学的組成物の投与経路および投与方式は、それぞれ独立していてもよく、その方式において特に制限されない。本発明による薬学的組成物が投与されて、活性成分が目的とする当該部位に到達できる限り、任意の投与経路および投与方式に従うことができる。
【0062】
本発明による薬学的組成物は、経口投与または非経口投与方式で投与することができる。例えば、非経口投与する方法としては、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、経皮投与または皮下投与などを用いることができる。また、本発明による薬学的組成物を疾患部位に塗布したり噴霧、吸入する方法を用いることができるが、これに制限されない。また、本発明による薬学的組成物は、それを必要とする対象体において炎症性腸疾患の治療用に使用できる。この際、対象体の種類は、特に制限されないが、哺乳動物であってもよく、好ましくは、ヒトであってもよい。
【0063】
S1PR1受容体は、主にリンパ球(lymphocyte)に存在し、リンパ球(lymphocyte)が免疫細胞から遊離することを調節する役割を主に担当している。S1PR4受容体も、リンパ球(lymphocyte)に存在し、免疫細胞交換(immune cell trafficking)に作用するだけでなく、T細胞の調節にも作用をして、炎症反応に関与している。したがって、本発明の化合物は、S1PR1受容体に機能的拮抗剤として作用して、リンパ球(lymphocyte)の遊離を阻害するだけでなく、S1PR4に作用し、効果的な抗炎症効果を示し、炎症性腸疾患を予防または治療する効果を有する。
【0064】
具体的には、本発明の化合物は、S1PR1およびS1PR4に特異的に結合した後、細胞内にこれらを流入して消失させる機構を介してこの受容体に対する機能的拮抗剤(functional antagonist)として作用することによって、炎症性腸疾患を予防または治療する効果を有する。また、本発明による薬学的組成物は、S1PR1とS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用して、心血管疾患の副作用を引き起こさないことができる。
【0065】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、ただ本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されると解釈されないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって自明だろう。
【0066】
実施例:化学式1で表される化合物の製造
本発明の化学式1で表される化合物は、韓国公開特許第10-2017-0087813号公報に記載されたような方法を用いて製造することができ、この方法は、以下に記載の実施例の通りである。ただし、本発明の化学式1で表される化合物の製造方法がこれに限定されるものではなく、通常の技術者が変更可能な範囲内で変更された方法で製造することができる。
【0067】
実施例1:2-アミノ-2-(2-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオールの製造
【化5】
【0068】
段階1:tert-ブチル(2,2-ジメチル-5-((トリイソプロピルシリル)ブタ-1,3-ジイン-1-イル)-1,3-ジオキサン-5-イル)カルバメートの製造
【化6】
【0069】
気体条件下で、CuCl(10mg、0.10mmol)、NHOH・HCl(1.02g、14.67mmol)、n-BuNH(3.87mL、39.15mmol)を溶かしたメタノール(50mL)の溶液に、メタノール(30mL)に溶かしたtert-ブチル5-エチニル-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-イルカルバメート(1.25g、4.89mmol)を添加した後、メタノール(20mL)に溶かした2-ブロモ-1-トリイソプロピルシリルアセチレン(2.56g、9.78mmol)を一滴ずつ添加し、室温で2時間反応混合物をよく撹拌した後、反応を水でクエンチ(quench)し、濃縮させた。この濃縮物をエチルアセテートで希釈し、塩水(Brine)で洗浄した後、有機層は、MgSOで乾燥させ、真空状態でろ過した後、濃縮させた。これをフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(hexane/EtOAc、7:1)、白色固体の目的化合物を製造した(1.85g、4.25mmol、87%)。
【0070】
段階2:tert-ブチル(5-((1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチニル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)カルバメートの製造
【化7】
【0071】
前記段階1で製造した化合物(334mg、1.20mmol)を溶かした無水DMF(12mL)溶液に、1-アジドデカン(339mg、1.86mmol)、CuI(114mg、0.60mmol)、DIPEA(N、N-Diisopropylethylamine)(0.63mL、3.6mmol)およびAgF(182mg、1.44mmol)を添加した。室温で反応混合物を12時間よく撹拌した後、反応を飽和NHClでクエンチした後、エチルアセテートで2回抽出し、有機層抽出物を飽和NHClと塩水で洗浄した。これをMgSOで乾燥させた後、減圧下に濃縮させた。この濃縮物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc、6:1)で精製して、白色固体の目的化合物を製造した(439mg、0.95mmol、79%)。
【0072】
段階3:tert-ブチル(5-(2-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)カルバメート
【化8】
【0073】
メタノール(30mL)に前記段階2で製造した化合物(149mg、0.32mmol)を溶かした溶液に10%のPd/C(45mg、前記段階2で製造した化合物の30wt%)を添加した。フラスコを真空に作った後、H気体で満たし、室温で1時間撹拌し、混合物をセルライト(Celite)でろ過し、濃縮した後、沈殿物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc、7:1または2:1)で精製して、無色オイルの目的化合物を製造した(110mg、0.24mmol、74%)。
【0074】
段階4:2-アミノ-2-(2-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオールの製造
【化9】
【0075】
室温で前記段階3で製造した化合物(65mg、0.14mmol)を溶かしたCHCl(1.40mL)溶液にTFA(1.40mL)を添加した。反応物を12時間撹拌し、減圧下に溶媒と試薬を除去した後、濃縮物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH/NHOH、100:10:1)で精製して、白色固体の目的化合物を製造した(36mg、0.11mmol、78%)。
H NMR(400MHz、CDCl)δ0.86(t、J=6.8Hz、3H)、1.23-1.29(m、14H)、1.85(t、J=6.8Hz、2H)、1.92(t、J=7.7Hz、2H)、2.47(brs、4H)、2.78(t、J=7.8Hz、2H)、3.57(dd、J=11.2、26.9Hz、4H)、4.27(t、J=7.3Hz、2H)、7.31(s、1H);13C NMR(75MHz、CDCl)δ14.03、19.21、22.57、26.50(2C)、28.95(2C)、29.03(2C)、30.19、31.70、50.42、60.05、63.09(2C)、121.34、146.82;IR(CHCl)υmax;HRMS(FAB)calcd for C1735([M+H])327.2760、found 327.2762。
【0076】
実施例2:2-アミノ-2-(2-(1-オクチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオールの製造
【化10】
【0077】
1-アジドデカンを使用する代わりに、1-アジドオクタンを使用したことを除いて、実施例1の反応過程と同一に行うことで、目的化合物を製造した。
H NMR(400MHz、CDCl)δ0.86(t、J=6.8Hz、3H)、1.24-1.29(m、10H)、1.84-1.91(m、4H)、2.48(brs、4H)、2.77(t、J=7.4Hz、2H)、3.54(q、J=12.2Hz、4H)、4.28(t、J=7.2Hz、2H)、7.28(s、1H)。
【0078】
実施例3:2-アミノ-2-(2-(1-(4-ヘキシルフェネチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオールの製造
【化11】
【0079】
1-アジドデカンを使用する代わりに、1-(2-アジドエチル)-4-ヘキシルベンゼンを使用したことを除いて、実施例1の反応過程と同一に行うことで、目的化合物を製造した。
【0080】
実施例4:2-アミノ-2-(1-ドデシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1,3-ジオールの製造
【化12】
【0081】
実施例1の段階1に使用される2-ブロモ-1-トリイソプロピルシリルアセチレンの代わりに、ブロモトリイソプロピルシランを使用し、段階2の1-アジドデカンの代わりに、1-アジドドデカン(1-azidododecane)を使用することを除いて、実施例1と同一に行うことで、目的化合物を製造した。
H NMR(300MHz、MeOD)δ0.89(t、J=6.7Hz、3H)、1.28-1.32(m、18H)、1.90-1.92(m、2H)、3.89-3.98(m、4H)、4.41(t、J=7.1Hz、2H)、8.07(s、1H)。
【0082】
実施例5:(E)-2-アミノ-2-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ビニル-1,3-ジオールの製造
【化13】
【0083】
実施例1の段階2で製造した化合物が溶けているTHF(5mL)溶液を-78℃に温度を下げた後、LAH(lithium aluminum hydride)が溶けているTHF溶液(0.3mmol)をゆっくり滴加した。0℃で3時間撹拌した後に、水で反応をクエンチし、CHClで2回抽出した。有機層は、塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した後、真空で濃縮した。濃縮物は、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH、20:1)で精製して、白色固体の目的化合物を製造した。その後、実施例1の段階4の反応過程と同一に行うことで、目的化合物を製造した。(24mg、0.074mmol、74%)
【0084】
実施例6:2-アミノ-2-(2-(1-(8-フェニルオクチル)-1H-1,2,3-トリアゾールブチル-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオールの製造
【化14】
【0085】
実施例1の段階2に使用される1-アジドデカンを使用する代わりに、8-アジドオクチルベンゼンを使用することを除いて、実施例1と同一に行うことで、目的化合物を製造した。
【0086】
実施例7:N-(2-(1-ドデシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-1,3-ジヒドロオキシプロパン-2-イル)アセトアミドの製造
【化15】
【0087】
実施例4で製造した化合物(50mg、1eq、0.15mmol)に酢酸無水物(0.2mL)、MeOH(1mL)、飽和されたNaHCO水溶液(1mL)を添加し、30分間撹拌した後、濃縮し、塩化アンモニウム水溶液で反応をクエンチした後、CHClで2回抽出してMgSOで乾燥させ、濃縮して、別途の精製過程なしに目的化合物を98%の収率で製造した(54mg、98%)。
H NMR(300MHz、MeOD)δ0.89(t、J=6.7Hz、3H)、1.28-1.32(m、18H)、1.86-1.96(m、2H)、2.00(s、3H)、4.02(q、J=11.2Hz、4H)、4.35(t、J=7.2Hz、2H)、7.84(s、1H)。
【0088】
実施例8:N-(4-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-1-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)ブタン-2-イル)アセトアミドの製造
【化16】
【0089】
実施例1で製造した化合物を開始物質として前記実施例7で行ったアセチル化反応と同様に行うことで、目的化合物を製造した。
H NMR(300MHz、MeOD)δ0.86(t、J=6.8Hz、3H)、1.23-1.32(m、14H)、1.86-1.92(m、2H)、1.94(s、3H)、1.99-2.02(m、2H)、2.47(m、2H)、3.62(dd、J=11.2、26.9Hz、4H)、4.31(t、J=7.3Hz、2H)、7.31(s、1H)。
【0090】
実施例9:N-(4-(1-(4-ヘキシルフェネチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-1-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)ブタン-2-イル)アセトアミドの製造
【化17】
【0091】
実施例3で製造した化合物を出発物質として前記実施例7で行ったアセチル化反応と同様に行うことで、目的化合物を製造した。
【0092】
実験例1:NXC736のマウス免疫細胞に対する抑制効果の確認
FTY720(Fingolimod)は、リンパ節または骨髄からリンパ球の一部を可逆的に捕獲することによって、リンパ球を二次リンパ器官に隔離させて中枢神経系への進入を抑制したり、血流内循環するリンパ球の個体数を減少させて脳に到達する活性化リンパ球の個数を減少させる作用機構を有する多発性硬化症治療剤である。
【0093】
S1P受容体に作用するNXC736も、リンパ球の減少に効果を示すかを確認するために、NXC736が免疫細胞に及ぼす影響を評価した。マウスにNXC736を3mg/kg/day経口投与後、末梢血流(PB,peripheral blood)、骨髄(BM,Bone marrow)におけるリンパ球の変化をT細胞、CD4 T細胞、CD8 T細胞に分類し、試験物質の投与後、0、4、8、12、24、36時間別にFACS分析を行った。細胞数(cell number)を測定し、0時間を基準として百分率(% of control)で示した。
【0094】
図1を参照すると、NXC736を3mg/kgの投与によって、末梢血流(PB)では、4時間後からT細胞、CD4 T細胞、CD8 T細胞がいずれも0時間40.6%/41.6%、16.4%/17.6%、5.9%/9.3%レベルまで減少することを確認することができた。12時間まで減少が維持されてから、回復し、36時間では、88.9%に回復した。用量依存性は、投与後24時間にT細胞に現れ、CD4 T細胞、CD8 T細胞の場合、投与後4時間から24時間まで用量依存的な減少効果を確認することができた。
【0095】
骨髄(BM)では、NXC736を3mg/kg投与後、4時間後に135%、120%、24時間後に131%、118%にT細胞の分布を確認することができた。これは、NXC736によって受容体内在化(Receptor internalization)が発生し、T細胞の遊離が抑制されて現れる現象と判断される。
【0096】
NXC736を3mg/kg投与後にT細胞における細胞数(cell number)は、4時間から減少する現象が現れ、24時間まで抑制効果がある程度維持され回復することを確認することができた。結論的に、NXC736の投与によって血流内循環するリンパ球(lymphocyte)の個体数が減少、免疫抑制効果が現れることを確認することができた。
【0097】
実験例2:NXC736のラット免疫細胞に対する抑制効果の確認
NXC736のラット免疫細胞に対する影響を評価するために、SDラットにNXC736を10mg/kg/day経口投与後、末梢血流(PB)および骨髄(BM)におけるT細胞、CD4 T細胞、CD8 T細胞に分類し、試験物質の投与後、0、4、8、12、24、36、48時間別にFACS分析を行った。細胞数(cell number)を測定し、0時間を基準として百分率(% of control)で示し、T細胞、CD4 T細胞、CD8 T細胞の数を測定し、0時間を基準として 百分率(% of control)で示した。
【0098】
図2を参照すると、NXC736の投与後、末梢血流(PB)では、4時間からT細胞が減少することを確認することができた。抑制効果は、用量依存的に現れ(70%、80%、87%)、NXC736を10mg/kgの投与によって、24時間まで抑制効果が維持されることを確認することができた。骨髄(BM)では、反対に変化がないか、増加する傾向を確認することができた。
【0099】
本研究を通じて、NXC736は、経口投与後、末梢血流(PB)でリンパ球の数を減少させて、免疫抑制効果を示すことを確認することができた。また、骨髄(BM)では、変化がないか、増加する傾向を確認することができた。このような効果は、NXC736がリンパ節(lymph node)、骨髄(BM)などに存在するS1P受容体に機能的拮抗剤として作用して、リンパ球の遊離を抑制する機構と関連していると判断される。
【0100】
実験例3:マウスDSS誘発モデルを用いた炎症性腸疾患の抑制効能の確認
Dextran Sulfate Sodium(DSS)induced Colitisモデルを用いてNXC736の炎症性腸疾患に対する有効性評価を行った。前記マウスモデルは、DSSを2.5%の濃度で飲水でマウスに投与して、炎症性腸疾患を誘発した。治療群は、NXC736を投与する試験群、オザニモド(Ozanimod)またはMTX(methotrexate)を投与する陽性対照群、ビヒクル (Vehicle)群および正常対照群からなり、各群は、n=10である。前記炎症性腸疾患が誘発されたモデルを対象に本発明の化合物であるNXC736を7日間1日に1回5、10mg/kgの用量でそれぞれ経口投与し、陽性対照物質としてオザニモド(Ozanimod)は、5mg/kgを1日に1回経口投与し、陽性対照物質としてMTX(methotrexate)は、3mg/kgを週3回腹腔注射で投与した。
【0101】
図3では、DSS誘発大腸炎マウスの疾患活性指数(DAI)およびDSS誘発大腸炎マウスの疾患活性指数曲線下面積(AUC)を示した。DAIは、マウスの初期体重と比較した体重減少、便の硬さ(Stool consistency)、および腸出血程度の合計点数を示したものである。DAIの算出基準は、下記表1に示された通りであり、DAIは、0、1、2、3、4、5、6、7、および8日に評価した。
【0102】
【表1】
【0103】
図3を参照すると、陽性対照物質MTXを3mg/kg、オザニモド(Ozanimod)を5mg/kg、NXC736を5mg/kg、およびNXC736を10mg/kg投与群においていずれも、陰性対照群(Vehicle)と比べて、統計的に有意な減少効果を確認することができた。
【0104】
特に、NXC736を5mg/kg、およびNXC736を10mg/kg投与した結果、従来潰瘍性大腸炎の標的治療剤として使用されたオザニモド(Ozanimod)と比べて、体重減少量、便の硬さ、および腸出血程度による臨床指標が同等以上を示すことを確認することができた。
【0105】
上記の評価結果は、陰性対照群と試験群または2つの試験群間の統計分析を行い、群間の比較のために、スチューデントのt検定(Student’s t-test)またはマン・ホイットニーのU検定(Mann Whitney U test)においてp値が0.05以下と有意レベルを示した。
【0106】
これにより、NXC736は、炎症性腸疾患の抑制効果を有する物質であることを確認することができた。
【0107】
【0108】
図4を参照すると、1、3、10および30μMの濃度におけるNCX736(B~E group)のhERGチャネル電流(hERG channel currents)の抑制率(Compensated suppression rate,%)は、それぞれ、9.94±1.96、13.98±4.48、35.03±12.09および82.62±7.31%(n=3)であり、陰性対照群(A group)のhERGチャネル電流(hERG channel currents)の補償された抑制率(Compensated suppression rate,%)は、0±4.12(n=3)の値を示した。すなわち、10および30μMの濃度におけるNCX736(DおよびE group)は、陰性対照群(A group)と比較して、統計学的に有意差の値を示すことを確認することができた。
【0109】
これと同じ条件下で陽性対照群(F group)に使用した0.1μMの濃度のE-4031を処理した。hERGチャネル電流(hERG channel currents)の補償された抑制率(Compensated suppression rate,%)は、92.64±1.66%(n=5)の高い値を示した。このような結果を見ると、本試験法は、NCX736のhERGチャネル電流(hERG channel currents)に及ぼす影響を評価するために適した方法であると判断される。
【0110】
上記条件下でhERG遺伝子が導入されたHEK-293細胞を用いたhERGチャネル電流(hERG channel currents)に及ぼす影響評価において、試験物質であるNXC736を最大30μMの濃度まで処理した結果、hERGチャネル電流(hERG channel currents)の補償された抑制率(Compensated suppression rate,%)は、82.62±7.31%を示し、Kイオンチャネル阻害能(IC50)は、12.94μM(ヒル係数(Hill coefficient):1.527)で算出された。したがって、NXC736は、hERGカリウムチャネル活性を阻害せず、心臓異常を誘発しない物質であることを確認することができた。
【0111】
2)ビーグル犬を用いて心血管系に及ぼす影響の確認
遠隔送信機が挿入された無麻酔および無拘束状態の雄ビーグル犬4匹にNXC736を経口投与した。その後、ビーグル犬4匹に対する心拍数を測定して、NXC736が心血管系に及ぼす影響を評価し、目視で異常症状の発現の有無を確認した。
【0112】
本実験は、ビーグル犬4匹それぞれに対し、4次段階にわたって実験物質を投与した。1次投与段階(NXC736を0mg/kg)では、対照物質として賦形剤である0.5% MC水溶液を投与し、2次投与段階では、NXC736を12.5mg/kgを投与し、3次投与段階では、NXC736を25mg/kgを投与し、4次投与段階では、NXC736を50mg/kgを投与した。1次~4次の投与は、1週間隔で施行した。また、実験物質投与前0時間(hours)、実験物質投与0.5時間(hours)、1時間(hours)、2時間(hours)、3時間(hours)、4時間(hours)、6時間(hours)、8時間(hours)、12時間(hours)、および24時間(hours)経過した後、ビーグル犬の心拍数を測定した。
【0113】
図5を参照すると、NXC736を12.5、25、50mg/kgの用量で投与しても、心拍数(Heart rate)の変化が現れないことを確認することができた。
【0114】
また、目視でビーグル犬に対して一般症状を観察する結果、NXC736を12.5、25、50mg/kgの用量投与による異常症状は観察されなかった。
【0115】
以上のように、マウスDSS誘発モデルを用いた炎症性腸疾患の抑制効能の評価結果およびNXC736を投与したビーグル犬の心拍数および目視で異常症状の発現の有無を確認した結果によれば、本発明による化学式1で表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む薬学的組成物は、S1PR1とS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用して、炎症性腸疾患の予防または治療効果を有することを確認することができた。また、本発明による薬学的組成物は、S1P受容体のサブタイプ(S1P1、S1P2、S1P3、S1P4およびS1P5)のうちS1PR1とS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用して、炎症性腸疾患の予防または治療効果を有すると同時に、心血管疾患の副作用を引き起こさない効果を有することを確認することができた。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物であって、
【化1】
ここで、
は、水素であり;
は、水素またはアセチル基であり;
Xは、単一結合、Cアルキレン、またはCアルケニレンであり;
Aは、N原子3個を含む5員環のヘテロアリレンであり;
Bは、C2-11の直鎖または側鎖アルキレンであり;
Cは、単一結合またはフェニレンであり;および
Dは、水素、フェニルおよびC1-6アルキルからなる群から選ばれ
前記化学式1で表される化合物は、下記化合物群から選択されるいずれか1つの化合物であることを特徴とする炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物:
(1)2-アミノ-2-(2-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオール;
(2)2-アミノ-2-(2-(1-オクチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオール;
(3)2-アミノ-2-(2-(1-(4-ヘキシルフェネチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオール;
(4)2-アミノ-2-(1-ドデシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1,3-ジオール;
(5)(E)-2-アミノ-2-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ビニル-1,3-ジオール;
(6)2-アミノ-2-(2-(1-(8-フェニルオクチル)-1H-1,2,3-トリアゾールブチル-4-イル)エチル)プロパン-1,3-ジオール;
(7)N-(2-(1-ドデシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-1,3-ジヒドロオキシプロパン-2-イル)アセトアミド;
(8)N-(4-(1-デシル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-1-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)ブタン-2-イル)アセトアミド;および
(9)N-(4-(1-(4-ヘキシルフェネチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-1-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)ブタン-2-イル)アセトアミド
【請求項2】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式2で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【化2】
【請求項3】
前記炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎またはクローン病であることを特徴とする請求項1または2に記載の炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項4】
前記薬学的組成物は、経口投与用製剤または非経口投与用製剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項5】
前記薬学的組成物は、炎症性腸疾患の治療に適した1つ以上の他の治療剤をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項6】
前記薬学的組成物は、S1PR1およびS1PR4に対する機能的拮抗剤として作用することを特徴とする請求項1または2に記載の炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項7】
前記薬学的組成物は、心血管疾患の副作用を引き起こさないことを特徴とする請求項に記載の炎症性腸疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【国際調査報告】