(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-18
(54)【発明の名称】長尺載荷のための運搬車両
(51)【国際特許分類】
B60P 3/40 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
B60P3/40 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562491
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 EP2021083501
(87)【国際公開番号】W WO2022218561
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202021001376.8
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021120031.8
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021123505.7
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523383635
【氏名又は名称】ハーペーエル-ノイグナーデンフェルダー マシーネンファブリーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】モス ダニエル
(57)【要約】
本発明は、過剰な長さを有する細長物体(2)のための特に風力タービンの回転翼ブレード又はタワーセグメントのための運搬車両(1)であって、運搬中に物体(2)を保持するために運搬車両(1)の載荷プラットフォーム(3)上に配置された運搬デバイス(4)と、運搬デバイス(4)上に保持された物体(2)の配置角度を変えるための第1の回転デバイスと、運搬デバイス(4)を垂直軸線の回りにピボット回転させるための第2の回転デバイスとを備える上記運搬車両(1)に関する。本発明により、少なくとも1つの調節可能なバラスト重り(6)と、バラスト重り(6)の位置を調節するための調節デバイス(19)とを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬中に物体(2)を保持するための運搬車両(1)の載荷プラットフォーム(3)上に配置された運搬デバイス(4)を有し、該運搬デバイス(4)上に保持された物体(2)の据え付け角度を変えるための第1の回転デバイスを有し、運搬デバイス(4)を垂直軸線の回りにピボット回転させるための第2の回転デバイスを有する、過剰な長さを有する細長物体(2)のための特に風力タービンの回転翼ブレード又はタワーセグメントのための運搬車両(1)であって、
少なくとも1つの調節可能なバラスト重り(6)と、該バラスト重り(6)の位置を調節するための調節デバイス(19)が設けられている、
ことを特徴とする運搬車両(1)。
【請求項2】
制御デバイスが、前記バラスト重り(6)の前記位置調節を自動的に制御するために設けられることを特徴とする請求項1に記載の運搬車両。
【請求項3】
前記バラスト重り(6)の位置調節が、前記物体(2)の前記据え付け角度に依存して、好ましくは、前記垂直軸線の回りの前記運搬デバイス(4)の回転の角度に依存して提供されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の運搬車両。
【請求項4】
前記バラスト重り(6)の位置調節が、前記物体(2)の前記据え付け角度の変化の事象において、最初に該バラスト重り(6)の位置調節、そしてその後に前記垂直軸線の回りの前記運搬デバイス(4)のピボット回転移動が行われるように提供されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の運搬車両。
【請求項5】
前記バラスト重り(6)の位置調節が、運搬車両(1)の重心の得られる位置が、前記物体(2)の各据え付け角度に対して運搬車両(1)の転倒安定性限界内の範囲の中にシフトされるように提供されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の運搬車両。
【請求項6】
前記バラスト重り(6)の位置調節が、運搬車両(1)の重心の得られる位置が、前記物体(2)のあらゆる据え付け角度に対して前記運搬デバイス(4)の垂直回転軸線上に位置するように提供されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の運搬車両。
【請求項7】
前記調節デバイス(19)は、前記バラスト重り(6)を移動する又は変位させるように設計され、及び/又は
前記調節デバイス(19)は、前記運搬デバイス(4)上に配置され、かつ該運搬デバイス(4)と共に回転可能である、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の運搬車両。
【請求項8】
前記バラスト重り(6)の形状が、該バラスト重り(6)が前記運搬デバイス(4)の垂直回転軸線からの最小距離に到達した時に上部構造(22)に対して載置されるように及び/又は少なくとも領域毎に該上部構造(22)に入るように、該運搬デバイス(4)の特に固定された上部構造(22)の形状に適応されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の運搬車両。
【請求項9】
前記垂直軸線の回りの偶発的な回転に対して前記運搬デバイス(4)をある一定の回転位置に機械的に固定するための少なくとも1つの固定手段を有する固定デバイスが設けられ、特に、該固定手段は、該回転を阻止する戻り止め及び/又は固定ボルトとして設計されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の運搬車両。
【請求項10】
運搬中に物体(2)を保持するための運搬車両(1)の載荷プラットフォーム(3)上に配置された運搬デバイス(4)を有し、該運搬デバイス(4)上に保持された物体(2)の据え付け角度を変えるための第1の回転デバイスを有し、運搬デバイス(4)を垂直軸線の回りにピボット回転させるための第2の回転デバイスを有し、特に、請求項1から請求項9のいずれか1項に従う、過剰な長さを有する細長物体(2)のための特に風力タービンの回転翼ブレード又はタワーセグメントのための運搬車両(1)であって、
前記載荷プラットフォーム(3)は、ドロップデッキとして設計される、
ことを特徴とする運搬車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過剰な長さを有する細長物体、特に、風力タービンの回転翼ブレード又はタワーセグメントのための運搬車両であって、運搬中に細長物体を保持するための運搬車両の載荷プラットフォーム上に配置された運搬デバイスを有し、運搬デバイス上に保持された物体の据え付け角度を変えるための第1の回転デバイスを有し、かつ運搬デバイスを垂直軸線の回りにピボット回転させるための第2の回転デバイスを有する運搬車両に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明による運搬車両では、運搬中に物体の回りの有利な風の流れを保証するために運搬物体をその長手軸線の回りに回転させるために、それ自体公知の更に別の回転デバイスも提供することができる。
【0003】
運搬車両は、モーター駆動式重量級車両又は受動牽引式重量級車両、例えば、重量級トレーラー、又は2011年7月15日版でのEC指令2007-46-ECの付録XIに記載されているように「重量級運搬のためのトレーラー」、すなわち、本明細書に与える用語の定義により、それらの寸法に起因して速度及び交通制限を受ける分割可能又は分割不能な積荷、特に風力発電所の回転翼ブレードの運搬のための階級O4の車両とすることができ、それにより、これはまた、車軸及びモジュールの数に関わらず、油圧モジュール式トレーラーを含む。動力駆動式重量級車両でさえも、車軸アセンブリのいずれのものも動力駆動式である必要はないことにも注意しなければならない。
【0004】
更に、本発明の意味での「運搬車両」という用語は、特に、各個々の車軸アセンブリがそれに対して設計される荷重が少なくとも4t、好ましくは少なくとも6tの値を有する重量級車両を含む。
【0005】
回転翼ブレードは、繊細であり、かつ長さが極端である可能性があり、更により大型のタービンに向かう傾向がある。回転翼ブレード長さは、60m及び80mまで又はそれよりも大きい可能性がある。回転翼ブレードアダプタを用いて、回転翼ブレードは、プラットフォームトラック上に装着され、かつそれらと共に運搬され、垂直にされ、60°、70°、又はそれよりも大きい角度までそれらの独自の軸線の回りにピボット回転及び回転させることができる。迅速変換プレート上に装着されると、回転翼ブレードは、すなわち、安全に取り上げられ、かつ障害物を越えて操作することができる。森林地帯又は市街地で、狭いカーブで、又は山間部での目的地までの回転翼ブレードの運搬が可能である。
【0006】
汎用タイプの運搬車両は、特開2013-071511号公報から公知である。公知の運搬車両は、運搬中に風力タービンの回転翼ブレードを保持するための台車として設計された運搬デバイスを有する。運搬デバイスは、運搬車両の載荷プラットフォーム上に装着される。運搬中に、回転翼ブレードは、運搬デバイスの回転翼ブレードアダプタ上に保持され、かつ回転翼ブレードをある一定の据え付け角度で運搬することができるように、水平軸線に対する回転翼ブレードの長手軸線の傾きを変える第1の回転デバイスを用いて据え付けることができる。据え付ける時に、道路建設条件に応じて運搬車両の操作性を保証するために回転翼ブレードを例えば60°まで上げることが可能である。公知の運搬車両では、運搬中の優勢な風条件に応じて低い流れ抵抗で回転翼ブレードの回りの最適流れを達成するために、回転翼ブレードアダプタを旋回させることによって回転翼ブレードをその長手軸線の回りに回転させることも可能である。
【0007】
特開2013-071511号公報から公知の運搬車両は、車両の長手軸線に対する回転翼ブレードの横方向ピボット回転を可能にする垂直軸線の回りに運搬デバイスを回転させるための第2の回転デバイスを更に有する。送電線又は他の構造物のような障害物を通過するために又はある一定の道路建設条件を通過する時にも、すなわち、回転翼ブレードを側部に向けてピボット回転させて、公知の運搬車両の操作性を更に改善する可能性がある。これは、特に、回転翼ブレードがある一定の据え付け角度で運搬される必要がある場合に適用される。
【0008】
これに加えて、運搬中の転倒のリスクを低減し、かつコーナリング時に又は車両が斜面又は軟弱地盤上にある時に車両の高い転倒安定性を保証するためにバラスト又は釣合重りを有する過剰な長さを有する細長物体のための運搬車両が従来技術から公知である。転倒条件は、大きく異なり、地面の傾斜角、耐載荷容量、及び車体の設計に依存する。高い転倒安定性を達成するために、公知の運搬車両は、例えば、車両の後部に固定釣合重りを設ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】EC指令2007-46-ECの付録XI、2011年7月15日版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、冒頭に言及したタイプの特に風力タービンの回転翼ブレード又は風力タワーセグメントを運搬するための運搬車両であって、重量載荷を運搬するのに適しており、狭い空間又は道路建設条件での輸送のための、及び特に送電線のような障害物を通過するための非常に良好な操作性を提供し、かつ安定性又は耐傾斜性の増大及び重量の低減したコンパクトな構造を特徴とする運搬車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明により、上記タイプの運搬車両での少なくとも1つの調節可能なバラスト重りと、バラスト重りの位置を調節する調整デバイスとを提供する。位置の調節は、運搬デバイス上に保持された細長物体に関して及び/又は運搬デバイスの回転軸線に関して行われる。バラスト重りの位置調節に関連してバラスト重りの重心又は質量中心の位置の座標を変えることにより、運搬車両の重心又は質量中心位置の座標の位置は、具体的に影響が及ぼされ、運搬車両の高い安定性又は転倒安全性が保証される範囲にシフトさせることができる。運搬車両のバラスト重りを調節することにより、運搬デバイス上に保持された細長物体を運搬する時に、特に、細長物体が大きい据え付け角度を有する時及び空間又は道路構造条件が厳しい時に、運搬車両の安定性及び転倒安全性の増大を達成し、かつ運搬車両の非常に有利な操作性を保証することが可能である。車両を傾斜させる条件は変動する。これらの条件は、取りわけ、地面の傾斜角度、耐載荷容量、及び運搬車体の設計に依存する。
【0013】
位置調節のために、特に、バラスト重りの位置の自動調節を可能にする制御デバイスを設けることができる。制御システムの入力変数は、運搬車両のドライバーによって入力される制御信号及び/又は例えばバラスト重りの位置及び/又はバラスト重りの移動を検出する位置センサ及び/又は移動センサからのフィードバック信号とすることができる。異なる寸法、形状、及び/又は質量で運搬されることになる物体のための及び/又は異なるバラスト重りのためのバラスト重りの異なる調節経路は、制御ソフトウエアに格納及び/又は保存することができる。
【0014】
バラスト重りの位置調節の制御、特に運搬車両上に保持された物体の位置データの関数としての制御も原則的に排除されず、適切に設計された制御デバイスで、及び適切なセンサデバイスを使用して可能である。
【0015】
バラスト重りの位置調節に関する前出又は後出の実施形態は、特に、それに適応された又は相応にプログラムされた制御及び/又は調整デバイスでの自動位置調節の制御又は調整に関連し、本発明によるタイプの車両上のバラスト重りの自動位置調節の対応する制御及び/又は調整方法の主題とすることができる。
【0016】
特に好ましくは、バラスト重りの位置は、運搬デバイス上に保持された物体の据え付け角度の関数として調節される。据え付け角度の変化に伴って、運搬デバイス上に保持された物体の重心又は質量中心の位置の座標も変化する。従って、車両の高い転倒安定性を達成するために、本発明は、物体の据え付け角度が変更された時のバラスト重りの重心及び/又は質量中心の座標の位置の変換を含む。異なる据え付け角度、及び/又は異なる寸法の物体、異なる物体の質量、及び/又は異なる物体の形状に関して、それに適応されたバラスト重りの異なる調節経路を提供することができる。
【0017】
バラスト重りの位置はまた、運搬デバイスが第2の回転デバイスによって垂直軸線の回りに回転される旋回角度の関数として調節することができる。
【0018】
更に好ましくは、バラスト重りの位置調節は、運搬デバイス上に保持された物体の据え付け角度の変化及びバラスト重りの重心座標又は質量中心の位置の変化が同時に起こるように設計される。従って、据え付け角度が増加又は低減される時に、バラスト重りは、車両の傾斜安定性を保証するために同時に又は直後に調節される。
【0019】
バラスト重りの位置調節の手動制御も,原則的に除外されない。特に、バラスト重りの重心の位置の補正は、制御及び/又は調整システムでの関与により、及び/又は行われた制御及び/又は調整システムのその後の補正として特に車両レベルに応じて、更に、運搬車両の車軸アセンブリの車軸補正システムの油圧回路又は空圧回路の圧力測定値に応じて手動で行うことができる。
【0020】
運搬中及び物体取り扱い中に、常に本発明による車両の高水準の傾き及び安定性を保証するために、バラスト重りの位置は、最初に、物体の据え付け角度が変更された時に物体が保持された運搬デバイスの垂直軸線の回りの旋回移動を行うことができる前に調節される。従って、運搬デバイス上に保持された物体の据え付け角度に応じて、特に、据え付け角度の変化の場合に、最初に、運搬物体の現在の重心座標又は質量中心の位置の関数としてバラスト重りの重心座標又は重心位置の対応する調節が行われ、その後に初めて、物体は、運搬デバイスのピボット回転によって横方向に偏向される。これは、一方で調節デバイスの及び他方で運搬デバイスを旋回させるための回転デバイスの適切な制御を必要とする。
【0021】
道路の傾斜又は極端な地形条件の場合に、過剰な長さを有する物体及び従って同じく車両の運搬デバイス上に保持された物体のための公知の運搬車両のシャーシは、側部に対して傾く可能性がある。道路の傾斜の場合に、物体が保持された公知の運搬車両は、従って、載荷面を常に進行方向に対して横方向に、すなわち、横断方向に水平に保つために反対方向に傾斜させることができる。このタイプの横断方向傾斜デバイスを有する運搬車両は公知であり、それによってシャーシ面の下にある油圧シリンダは、載荷ブリッジが載ったシャーシ面全体を道路コースの対応する傾斜方向とは反対方向に傾斜させるために、一方でホイール車軸に及び他方でシャーシ面に下方から作用することができる。運搬車両の車軸アセンブリが、運搬車両の載荷面を水平条件に保つために又は同じく必要に応じて、載荷面を傾斜させることができるように「水平制御」とも呼ばれる車軸補正を行う場合に、対応する車軸補正を実施するために、1又は2以上の加圧油圧回路を有して油圧油のような作動流体で作動される油圧作動式車軸補正システムを有する車軸アセンブリが一般的に使用される。これに代えて、空圧で作動する動力デバイスを1又は2以上の加圧空圧回路を有する車軸アセンブリに実施することができる。この関連では、本発明は、好ましくは、特に油圧式又は空圧作動式車軸補償システムの特に運搬車両の車軸アセンブリの圧力測定値に基づく車両レベルの関数としてのバラスト重りの位置調節に対して備えることができる。バラスト重りの位置調節の制御及び/又は調整は、特に、物体の寸法、形状、及び/又は質量を考慮して、並びに油圧回路又は空圧回路の圧力測定値を考慮して運搬デバイス上に保持された物体の据え付け角度及び/又は垂直軸線を中心とした運搬デバイスの旋回角度の関数として行うことができる。
【0022】
特に好ましい実施形態では、バラスト重りの位置調節は、運搬車両の重心の位置が、バラスト重りを調節するか又は物体の重心からのバラスト重りの距離を変えることにより、運搬車両上に保持された物体の各据え付け角度に関して運搬車両の安定性限界内の範囲にシフトされるように行われ、運搬車両の高いレベルの耐傾斜性は、特に側部に向けて保証されるようになっている。
【0023】
運搬車両の重心の位置は、物体が運搬デバイス上に保持される時の運搬条件に関連し、一方で物体の質量及び質量分布から及び他方で全ての上部構造及びバラスト重りを有する無荷重の運搬車両の質量及び質量分布から生じる。
【0024】
運搬車両の車軸アセンブリは、油圧式及び/又は空圧式で昇降させることができ、例えば、安定性三角形又は安定性四辺形を形成するように油圧回路又は空圧回路を通して接続することができる。油圧回路又は空圧回路は、運搬車両の車軸アセンブリ又はホイール車軸の連結昇降に使用され、その各々は、油圧回路又は空圧回路を形成するために接続される。運搬車両の重心が、物体のあらゆる据え付け角度に関して常に安定性三角形又は安定性四辺形内にある場合に、車両の耐傾斜性は保証される。本発明により、バラスト重りは、従って、運搬車両の得られる重心の位置が、相互接続された車軸アセンブリの油圧回路又は空圧回路によって形成された安定性三角形又は安定性四辺形内に常にあるように常に移動又は調節することができる。
【0025】
車両の右前部、左前部、右後部、及び/又は左後部での運搬車両の車軸アセンブリは、車軸補正システムの油圧回路又は空圧回路を通して相互に接続することができる。安定性三角形では、車両の車軸アセンブリ又はホイール車軸は、3つの油圧回路を形成するために相互接続することができ、安定性四辺形では、4つの油圧回路を形成するために車軸アセンブリ又はホイール車軸を相互接続することができる。必要に応じて安定性三角形又は安定性四辺形を形成するために車軸アセンブリ又はホイール車軸を相互に接続することが可能である。
【0026】
更に好ましくは、バラスト重りの位置調節は、物体が運搬デバイス上に保持された運搬車両の重心の位置が、物体の各傾斜角度に対して運搬デバイスの垂直回転軸線上にあるか又は垂直回転軸線の近くにあるように行うことができる。その結果、バラスト重りは、運搬車両の重心が物体の各傾斜角度に対して垂直回転軸線上にあるか又は運搬デバイスの垂直回転軸線の近くにあるように調節され、1m未満、好ましくは50cm未満の回転軸線からの重心の位置の偏差は、本発明による上述の範囲の意味内にあるものとすることができる。
【0027】
調節デバイスは、バラスト重りを移動又はシフトさせるように設計することができる。バラスト重りは、好ましくは、バラスト重りのあらゆる望ましい位置を調節経路に沿って設定することができるように連続的に調節することができる。しかし、調節経路に沿った不連続な調節も同じく可能である。
【0028】
バラスト重りを調節経路に沿って移動するために、バラスト重りが支持されてローラーがレール上を走行する台車を設けることができる。調節は、その後に、スピンドルガイドによって行うことができる。
【0029】
調節デバイスが運搬デバイス上に配置又は装着されて運搬車両の載荷プラットフォームに対して運搬デバイスと共に垂直軸線の回りに回転することができる場合は構造的に有利であり、運搬車両のコンパクトな設計が可能である。それによって調節デバイス及びバラスト重りを有する運搬デバイスを構造化ユニットとして設計することができ、この構造化ユニットは、その後に、運搬車両の載荷プラットフォームに別々の構造化ユニットとして設けられ、載荷プラットフォーム上に装着することができる。運搬される物体は、その後に、運搬デバイス上に保持され、左又は右にピボット回転させることができ、好ましくは、同時に、バラスト重りは、車両の高い転倒安定性を保証するために、バラスト重りの重心の位置と運搬デバイス上に保持された物体の重心の位置との間の距離を変えるために前後に移動するか又は変位させることができる。
【0030】
本発明による運搬車両の高い操作性を保証するために、少なくとも±90°、好ましくは少なくとも±180°、又はそれよりも大きいピボット角度による垂直軸線の回りの運搬デバイスの回転性を提供することができる。
【0031】
コンパクトな設計を保証し、運搬デバイスの垂直回転軸線からのバラスト重りの可能な限り小さい距離を設定することができるように、バラスト重りの形状又は寸法及び成形は、運搬デバイスの特に固定された上部構造の形状に適応させることができる。バラスト重り及び固定上部構造を形成する構成要素は、相補的な形状を有することができる。選択された形状に起因して、バラスト重りは、運搬デバイスの垂直回転軸線の区域で運搬デバイスの固定上部構造に載置され、及び/又はバラスト重りが運搬デバイスの回転軸線からの最小距離に達した時に少なくともある一定の区域で上部構造に進入することができる。バラスト重りは、ワンピース又はマルチピース設計とすることができ、例えばベース区域を運搬デバイスの固定本体のベース区域輪郭に適応させることができるいくつかの積み重ね可能な円板重りを有することができる。
【0032】
車両ドライバーの制御指令によって設定された垂直軸線の回りの運搬デバイスの回転位置の意図しない変更を防止するために、運搬車両の第2の回転デバイスをある一定の回転位置で機械的に固定する少なくとも1つの固定手段を有する固定デバイスを設けることができる。固定手段は、特に、回転をロックする戻り止め及び/又は固定ボルトとして設計することができる。固定手段のアンロッキングのために、固定デバイスの制御のための制御指令の送信を行うことができ、最初に、固定デバイスを通じた第1の制御指令で固定手段のアンロッキングが行われ、その後に、第2の回転デバイスを通じた制御指令で運搬デバイスの望ましい(他の)回転位置を設定することができる。運搬車両のドライバーは、対応する制御指令によって運搬デバイスの左又は右への横方向の旋回をトリガすることができるようにするため、最初に、運搬デバイスの回転機能を意図的にアンロックしなければならない。
【0033】
物体、特に、風力タービンの回転翼ブレードのモーメント又は重量荷重は、15.432tの回転翼ブレード重量、17.31mの回転翼ブレードの始点から重心までの長手方向延長長さに基づいて、350メートルトンまで、例えば、266メートルトンとすることができる。回転翼ブレード長さは、例えば、30から70mとすることができる。
【0034】
バラスト重りの重量は、好ましくは、10から40t、より好ましくは、個々の重りディスクによって低減可能/増大可能にすることができる。バラスト重りの調節経路は、0から5m、例えば、4.2mまでとすることができる。バラスト重りの最大調節移動量は、運搬デバイス又は車両上のメインコンソールの旋回半径が増大しすぎるのを防ぎ、従って、運転環境との干渉輪郭を可能な限り小さく保つために制限することができる。
【0035】
特に、可能な最大調節経路及びバラスト重りの重量は、車軸ラインを通る一般的な道路荷重で重量力が10から20tよりも大きくなく、好ましくは13から15tよりも大きくないように選択される。例えば、50tの未載荷重量(運搬デバイスなし)の運搬車両、25tの運搬デバイス重量、20tのバラスト重り、及び16tの回転翼ブレード重量により、結果的に111tの総質量になり、それによって8車軸では13.9tの路面荷重になる。より高い載荷の場合に、より多くの車軸ラインを有する駆動モジュールを使用しなければならない。
【0036】
本発明の更に別の態様は、上述のタイプの運搬車両に関連し、上述の課題を解決するために、載荷プラットフォームは、ドロップデッキの形態であり、好ましくは、ドロップデッキモジュールは、運搬車両の少なくとも2つのシャーシモジュール間に配置される。運搬デバイスをドロップデッキ上に配置することにより、車両の重心がこの区域で下方にシフトされ、その結果、転倒のリスクが低減される。
【0037】
図面を参照して本発明を例示的に以下に解説する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】水平運搬位置での及び持ち上げ運搬位置での回転翼ブレードの概略図と共に回転翼ブレードが運搬車両の運搬デバイス上に保持された本発明による運搬車両の側面図である。
【
図2】回転翼ブレードを軸線平行運搬位置に及び横方向に旋回された運搬位置に概略的に示す
図1に示す運搬車両の平面図である。
【
図3】転倒安定性が保証される運搬車両の概略的に描かれた三角形安定性限界区域と共に下方からの
図1の運搬車両の概略図である。
【
図4】バラスト重りの位置を調節するための調節デバイスを有する本発明による運搬車両の別の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、細長物体2を運搬する運搬車両1を示し、物体2は、風力タービンの回転翼ブレードである。載荷プラットフォーム3上には、運搬中に物体2を固定及び保持する回転翼ブレードアダプタ5を有する運搬デバイス4が配置される。運搬車両1はまた、過剰な長さを有する他の物体、例えば、タワーセグメントを運搬するように設計することができることは理解される。
【0040】
運搬車両1は、詳細には示されていない第1の回転デバイスを有し、この回転デバイスを用いて、保持された物体2を据え付けるために回転翼ブレードアダプタ5を上方に旋回させることが可能である。据え付け角度αは、60°まで又はそれよりも大きいとすることができる。回転翼ブレードは、据え付けられた時に、水平軸線K1回りに回転翼ブレードアダプタ5と共に回転される。更に、運搬デバイス4又は回転翼ブレードアダプタ5の構造設計により、物体2をその長手軸線K2回りに回転させることができる。
【0041】
運搬デバイス4は、台車として設計され、第2の回転デバイスによって垂直回転軸線K3回りに回転させることができ、物体2を車両の長手方向に対して左又は右に旋回させることができるようになっている。旋回角度β(
図2)は、±185°までとすることができる。
【0042】
物体2を水平な運搬位置から上昇運搬位置(
図1)まで持ち上げる実現性、及び物体2を軸線平行な運搬位置から横方向旋回後の運搬位置(
図2)まで旋回させる実現性に起因して、運搬車両1は、狭い空間又は道路建設条件であっても容易に操作することができる。物体2は、運搬デバイス4により、障害物の回避に適応された据え付け角度α及び/又は横方向旋回角度βで最適な操縦位置の中に容易にもたらすことができる。
【0043】
類似の機能的及び構造的設計を有する対応する運搬車両1は、特開2013-071511号公報から公知である。上述の文献から、運搬中に回転翼ブレードを保持する台車として設計された公知の運搬車両の載荷プラットフォームに接続された運搬デバイスが公知であり、この運搬デバイスは、回転翼ブレードアダプタを有し、回転翼ブレードを設けて横方向に旋回させ、並びに回転翼ブレードをその長手軸線回りに回転させることができる。
【0044】
図面を参照して以下に更に説明する運搬車両1は、
図1から
図3に詳細に示していない調節デバイスにより、運搬デバイス4上に保持された物体2又は運搬デバイス4の回転軸線K3に対して移動又は変位させることができるバラスト重り6を有する。調節デバイスは、運搬デバイス4上に配置され、垂直回転軸線K3回りに運搬デバイス4と共に回転可能である。従って、バラスト重り6も、運搬デバイス4と共に横方向に旋回させることができる。
【0045】
それ自体公知の方法で、バラスト重り6は、一方が他方の上に配置されて互いに締結された複数の円盤状の重り本体から構成される。
【0046】
バラスト重り6の位置調節を制御するため、詳細には示していない制御デバイスが設けられる。バラスト重り6は、物体2の据え付け角度αの関数として調節される。バラスト重り6の調節により、結果的に、運搬デバイス4上に保持された物体2の重心の座標又は質量中心S2の位置に対するバラスト重り6の重心の座標又は質量中心S1の位置が変化する。
図1は、水平運搬位置での物体2の運搬中に、バラスト重り6が回転軸線K3又は物体2の質量中心S2に対して最大水平距離を有することを示している。同じく
図1に示す物体2の持ち上げ後の運搬位置では、バラスト重り6は、低減された距離に配置され、従って、運搬デバイス4の垂直回転軸線K3からより小さい距離に位置付けられる。運搬デバイス4の垂直回転軸線K3から最も離れた位置と垂直回転軸線K3に最も近い端部位置との間のバラスト重り6の最大調節経路aは、2から5mの範囲、好ましくは3.5から4.5mの範囲とすることができる。
【0047】
据え付け角度αが増大する時に、物体2の質量中心S2の位置は運搬デバイス4の垂直回転軸線K3の方向に移動し、結果的に、バラスト重り6は、物体2が据え付けられる時と同様に垂直回転軸線K3の方向に調節される。バラスト重り6の位置調節の制御は、従って、物体2の据え付け角度αに応じて行われ、それによって好ましくはバラスト重り6の調節は、制御によって予め決められた据え付け角度αの変更と同時に行うことができる。
【0048】
バラスト重り6の質量は、物体2の質量及び形状に応じて、例えば、10から45t、好ましくは10から30tとすることができる。例えば、物体2は、10から20tの重量を有することができる。
【0049】
バラスト重り6の位置調節は、好ましくは、物体2の据え付け角度αの関数として自動的に、より好ましくは同時に制御される。据え付け角度αが変更される時に、バラスト重り6の位置調節は、最初に、バラスト重り6の重心座標又は質量中心S1の位置を変更後の据え付け角度αを有する物体2の変更後の重心座標又は質量中心S2の位置に適応させるために行われる。質量補正が行われた後に、対応する旋回角度βによる運搬デバイス4の旋回移動が行われる。
【0050】
特に好ましくは、バラスト重り6の位置調節は、物体2が運搬デバイス4上に保持された運搬車両1の重心S3が物体2の各据え付け角度αに対して運搬デバイス4の垂直回転軸線K3上にあるように行われる。これを
図1に概略的に示している。
【0051】
図3から見ることができるように、運搬車両1の車両ホイール担持車軸アセンブリ7、8、9は、油圧で昇降させることができ、油圧回路10、11、12は、安定性三角形13を形成するように接続することができる。バラスト重り6の位置は、運搬車両1の全体重心S3が物体2の各据え付け角度αに対して安定性三角形13に位置付けられるように調節される。それによって物体2が側部に旋回された時に運搬車両1が転倒することができないことが保証される。
【0052】
例えば、図示の実施形態では、車両の主走行方向にある4つの前部右側車軸アセンブリ7と第1の後部右側車軸アセンブリ7とが第1の油圧回路10を通して相互に接続される。別の油圧回路11は、4つの前部左側車軸アセンブリ8と第1の左側後部車軸アセンブリ8とを相互接続する。車両の右側及び左側の最後の3つの後部車軸アセンブリ9は、第3の油圧回路12を通して相互接続される。「前部」及び「後部」という用語は、
図3による運搬車両1の図を参照して載荷プラットフォーム3に対する車軸アセンブリ7、8、9の位置を指し、従って、載荷プラットフォーム3の左側(「前部」)及び右側(「後部」)の位置を指す。
【0053】
安定性四辺形も、油圧回路を変えることによって形成することができ、この場合に、安定性四辺形は、物体2の据え付け角度αに応じたバラスト重り6の適切な位置調節により、運搬車両1の運搬デバイス4上に保持された物体2を含む運搬車両1の重心の位置が安定性四辺形内にあることを条件として設けることができる。
【0054】
図1から更に見ることができるように、載荷プラットフォーム3は、運搬車両1の2つの駆動モジュール14、15の間に配置されたドロップデッキモジュールとして設計することができる。載荷プラットフォーム3をドロップデッキとして設計することにより、運搬車両1の重心は下方に移動され、これは、運搬車両1の転倒安定性の改善に寄与する。
【0055】
ドライバーの運転室16は、駆動モジュール14の前端に位置付けられ、駆動ユニット17は、運搬車両1の後端に位置付けられる。
【0056】
運搬デバイス4のベースプレート18は、載荷プラットフォーム3に装着される。運搬デバイス4のベースプレート18は、載荷プラットフォーム3上に載置される。
【0057】
図4及び
図5に基づいて、バラスト重り6を調節する調節デバイス19の側面図(
図4)及び上面図(
図5)を説明する。
図1から
図5に示す実施形態の同一の構成要素は、同一の参照符号によって識別する。
【0058】
調節デバイス19は、バラスト重り6のレール案内式調節に対して設計される。2つのレール20は、この目的のために設けられ、これらのレール上では、バラスト重り6は、図示していないローラーを有する台車によって移動するように案内される。スピンドルドライブは、バラスト重り6をガイドレール20に沿って移動するために設けられる。バラスト重り6の直線調節は、ネジ切りスピンドルを通じて達成される。それによって運搬デバイス4の垂直回転軸線K3に対するバラスト重りの連続的な距離調節が可能である。
【0059】
運搬デバイス4は、2つの側壁21を有するフレーム状の構造を有し、これらの側壁間に、バラスト重り6は、運搬車両1の長手方向に調節可能に案内される。
【0060】
バラスト重り6の形状は、運搬デバイス4の固定上部構造22の形状に適応させることができ、これによりバラスト重り6は、バラスト重り6が回転翼ブレードアダプタ5に可能な限り近づいた時に上部構造22に対して載置されるように及び/又は少なくともある一定の区域で上部構造22の中に移動するように適応させることができる。それによってバラスト重り6の可能な最大の調節経路が実現される。
【0061】
図5による平面図を参照すると、例えば、バラスト重り6の輪郭線が、固定上部構造22に面する側の中心区域に凹部又は開口部を有し、この開口部が、上部構造22の輪郭線の中心領域での対応する突出部に適応されることを規定することができる。
【0062】
平面図では、形状は、バラスト重り6が固定上部構造22の方向に調節される時に、バラスト重り6のベース面に対して配置された運搬車両1の長手軸線に対して横断方向に延びるバラスト重り6の境界平面Y1が、固定上部構造22に対して配置された境界平面Y2を通過し、回転翼ブレードアダプタ5からのバラスト重り6の最小距離に達した時に固定上部構造22の境界平面Y2の後方に走行するように選択することができる。これを
図5に制限平面Y1’によって概略的に示している。
【0063】
参照符号のリスト
1 運搬車両
2 物体
3 載荷プラットフォーム
4 運搬デバイス
5 回転翼ブレードアダプタ
6 バラスト重り
7 車軸アセンブリ
8 車軸アセンブリ
9 車軸アセンブリ
10 油圧回路
11 油圧回路
12 油圧回路
13 安定性三角形
14 駆動モジュール
15 駆動モジュール
16 ドライバーの運転室
17 駆動ユニット
18 ベースプレート
19 調節デバイス
20 レール
21 側壁
22 上部構造
【国際調査報告】