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特表2024-516948ウイルス除去フィルタの完全性を試験するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ウイルス除去フィルタの完全性を試験するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/26 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
G01M3/26 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563226
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 US2022027364
(87)【国際公開番号】W WO2022235601
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】17/306,377
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522254815
【氏名又は名称】アサヒ・カセイ・バイオプロセス・アメリカ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ASAHI KASEI BIOPROCESS AMERICA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ブラント、マイケル ディ.
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA21
2G067DD02
(57)【要約】
バルブハウジング、バルブハウジングによって保持されたダイヤフラム、圧力センサ、及び圧力センサに結合されたコントローラを含む、単回使用バルブ構成。バルブハウジングは、入口及び出口を画定し、入口は、ウイルス除去フィルタの出口に流体的に接続されるように適合されている。ダイヤフラムは、バルブハウジングを、第1のチャンバと、第1のチャンバから流体的に隔離された第2のチャンバに分割する。圧力センサは、第1のチャンバ内の圧力変化に応答するダイヤフラムの移動による第2のチャンバ内の圧力変化を測定するように構成されている。コントローラは、測定された圧力変化に基づいてフィルタの実際の漏れ率を決定するように構成されており、コントローラは、実際の漏れ率をフィルタの推定漏れ率と比較することによって、フィルタの完全性を決定するように更に構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス除去フィルタの完全性を試験するためのバルブ構成であって、前記バルブ構成が、
入口及び出口を画定するバルブハウジングであって、前記入口は、前記ウイルス除去フィルタの出口に流体的に接続されるように適合されている、バルブハウジングと、
前記バルブハウジングによって保持されたダイヤフラムであって、前記ダイヤフラムは、前記バルブハウジングを、第1のチャンバと、前記第1のチャンバから流体的に隔離された第2のチャンバとに分割し、前記第1のチャンバは、前記入口及び前記出口の両方と流体連通し、前記ダイヤフラムは、前記第1のチャンバ内の圧力変化に応答して移動可能である、ダイヤフラムと、
前記第2のチャンバと流体連通する圧力センサであって、前記圧力センサが、前記第1のチャンバ内の前記圧力変化に応答する前記ダイヤフラムの移動による前記第2のチャンバ内の圧力変化を測定するように構成されている、圧力センサと、
前記圧力センサに結合され、かつ前記測定された圧力変化に基づいて前記ウイルス除去フィルタの実際の漏れ率を決定するように構成されたコントローラであって、前記コントローラが、前記実際の漏れ率を前記ウイルス除去フィルタの推定漏れ率と比較することによって前記ウイルス除去フィルタの完全性を決定するように更に構成されている、コントローラと、を備える、バルブ構成。
【請求項2】
前記バルブハウジングが、空気トラップ入口を更に画定する、請求項1に記載のバルブ構成。
【請求項3】
前記空気トラップ入口が、前記入口と前記出口との間に画定される、請求項2に記載のバルブ構成。
【請求項4】
前記ダイヤフラムが、前記空気トラップ入口と係合し、それによって前記空気トラップ入口を閉じる位置まで、前記ダイヤフラムが移動可能である、請求項2に記載のバルブ構成。
【請求項5】
前記空気トラップ入口に結合された空気トラップを更に備える、請求項2に記載のバルブ構成。
【請求項6】
前記入口の上流に配設された入口遮断バルブを更に備える、請求項1に記載のバルブ構成。
【請求項7】
前記出口の下流に配設された出口遮断バルブを更に備える、請求項1に記載のバルブ構成。
【請求項8】
前記コントローラが、プロセッサ及びメモリを含み、前記メモリが、前記ウイルス除去フィルタの前記推定漏れ率を格納するように構成され、前記プロセッサが、前記ウイルス除去フィルタの前記推定漏れ率を取得し、前記実際の漏れ率を前記推定漏れ率と比較することによって、前記ウイルス除去フィルタの前記完全性を決定するように構成されている、請求項1に記載のバルブ構成。
【請求項9】
前記バルブ構成が、単回使用バルブ構成である、請求項1に記載のバルブ構成。
【請求項10】
ウイルス除去フィルタの完全性を試験するための単回使用バルブ構成であって、前記バルブ構成が、
入口、出口、及び空気トラップ入口を画定するバルブハウジングであって、前記入口は、前記ウイルス除去フィルタの出口に流体的に接続されるように適合されている、バルブハウジングと、
前記バルブハウジングによって保持されたダイヤフラムであって、前記ダイヤフラムは、前記バルブハウジングを、第1のチャンバと、前記第1のチャンバから流体的に隔離された第2のチャンバとに分割し、前記第1のチャンバは、前記入口及び前記出口の両方と流体連通し、前記ダイヤフラムは、前記第1のチャンバ内の圧力変化に応答して、第1の位置から第2の位置に移動可能である、ダイヤフラムと、
前記第2のチャンバと流体連通する圧力センサであって、前記圧力センサが、前記ダイヤフラムが前記第1の位置にあるときに前記第2のチャンバ内の第1の圧力を測定し、前記ダイヤフラムが前記第2の位置にあるときに前記第2のチャンバ内の第2の圧力を測定するように構成されている、圧力センサと、
前記圧力センサに結合され、かつ前記第1の圧力と前記第2の圧力との間の差に基づいて前記ウイルス除去フィルタの実際の漏れ率を決定するように構成されたコントローラであって、前記コントローラが、前記実際の漏れ率を前記ウイルス除去フィルタの推定漏れ率と比較することによって前記ウイルス除去フィルタの前記完全性を決定するように更に構成されている、コントローラと、を備える、単回使用バルブ構成。
【請求項11】
前記空気トラップ入口が、前記入口と前記出口との間に画定される、請求項10に記載のバルブ構成。
【請求項12】
前記ダイヤフラムが、空気トラップ入口と係合し、それによって前記空気トラップ入口を閉じる第3の位置に、前記ダイヤフラムが移動可能である、請求項10に記載のバルブ構成。
【請求項13】
前記空気トラップ入口に結合された空気トラップを更に備える、請求項10に記載のバルブ構成。
【請求項14】
前記入口の上流に配設された入口遮断バルブと、
前記出口の下流に配設された出口遮断バルブと、を更に備える、請求項10に記載のバルブ構成。
【請求項15】
前記コントローラが、前記実際の漏れ率が、前記推定漏れ率未満、前記推定漏れ率に等しい、又は前記実際の漏れ率と前記推定漏れ率との間の差が所定の閾値未満であると決定するときに、前記コントローラが、前記ウイルス除去フィルタが使用するのに十分な完全性を有すると決定するように構成されている、請求項10に記載のバルブ構成。
【請求項16】
前記コントローラが、プロセッサ及びメモリを含み、前記メモリは、前記ウイルス除去フィルタの前記推定漏れ率を格納するように構成され、前記プロセッサが、前記ウイルス除去フィルタの前記推定漏れ率を取得し、前記実際の漏れ率を前記推定漏れ率と比較することによって、前記ウイルス除去フィルタの前記完全性を決定するように構成されている、請求項10に記載のバルブ構成。
【請求項17】
ウイルス除去フィルタの完全性を試験するための方法であって、前記方法が、
入口及び出口を画定するバルブハウジングと、前記バルブハウジングによって保持され、前記バルブハウジングを第1のチャンバと、前記第1のチャンバから流体的に隔離された第2のチャンバとに分割するダイヤフラムと、前記第2のチャンバと流体連通する圧力センサと、前記圧力センサと結合されたコントローラと、を含むバルブ構成を提供することであって、前記第1のチャンバが、前記入口及び前記出口の両方と流体連通し、前記ダイヤフラムが、前記第1のチャンバ内の圧力変化に応答して移動可能である、提供することと、
前記バルブハウジングの前記入口を前記ウイルス除去フィルタの出口に流体的に接続することと、
試験流体の一部が前記ウイルス除去フィルタの前記出口から前記バルブハウジングの前記入口を通って流れるように、前記試験流体を前記ウイルス除去フィルタに通過させることと、
前記ダイヤフラムが移動するとき、前記圧力センサを用いて、前記第1のチャンバ内の前記圧力変化に応答する前記ダイヤフラムの移動による前記第2のチャンバ内の圧力変化を測定することと、
前記測定された圧力変化に基づいて、前記ウイルス除去フィルタの実際の漏れ率を決定することと、
前記実際の漏れ率を前記ウイルス除去フィルタの推定漏れ率と比較することによって、前記ウイルス除去フィルタの前記完全性を決定することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記通過後、前記測定前に、前記バルブハウジングの前記出口の下流に配設された出口遮断バルブを閉じることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記バルブハウジングが、空気トラップ入口を更に画定し、前記ダイヤフラムが空気トラップ入口と係合する位置に前記ダイヤフラムを移動させることによって、前記空気トラップ入口を閉じることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記コントローラが、プロセッサと、前記ウイルス除去フィルタの前記推定漏れ率を格納するように構成されたメモリとを含み、前記ウイルス除去フィルタの前記完全性を決定することは、前記プロセッサを介して、前記ウイルス除去フィルタの前記推定漏れ率を取得することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ウイルス除去濾過システムに関し、より具体的には、使用前及び使用後のウイルス除去フィルタの完全性を試験するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的源から製造、抽出、又は合成される医薬品は、薬物製剤中のウイルス汚染の可能性を軽減するためにウイルス低減ステップを通過する必要がある。同様に、血液製剤及び誘導体は、製剤中のウイルス汚染の可能性を軽減するためにウイルス低減ステップを通過する必要がある。ウイルス低減の1つのそのような既知の方法は、サイズ排除濾過によるものである。サイズ排除濾過によって、濾過される製剤を含む供給流は、ウイルス除去フィルタを通過する。ウイルス除去フィルタは、製剤から除去されるウイルスを捕捉するウイルス濾過膜を有する。ウイルスを捕捉するために、膜は、フィルタを出るために流体が通過しなければならない格子を形成するために相互接続する複数の毛細管に接続する数百万の空隙を有するように製造される。したがって、流体の流れに含まれるウイルスは、ウイルスフィルタ膜を通って出る進路を見つけるための蛇行性経路を有する。この蛇行性経路では、サイズの排除により、ウイルスが毛細管に閉じ込められたり、毛細管の周りに閉じ込められたりすることがある。また、それは、流体力又は空隙壁への親和性によって空隙内に保持され得る。したがって、例えば、17ナノメートル(「nm」)の断面直径を有するウイルスを捕捉するために、毛細管は、それらの長さに沿ったどこかで17nm未満の断面直径を有しなければならず、又は空隙は、流体力又は空隙壁への親和性によって17ナノメートルの断面直径を有するウイルスを保持しなければならない。
【0003】
フィルタ膜の完全性が損なわれた場合(例えば、フィルタ膜が損傷したため)、流体の流れに含まれるウイルスは、保持されることなく膜を通過又は膜の周りを通過し得る。したがって、連邦規制は、フィルタ膜が、全てのウイルス除去フィルタについて、使用前(すなわち、濾過前)及び使用後(すなわち、濾過後)に完全性について試験されることを求めている。そのため、これらの連邦規制を満たし、フィルタ膜の構造的完全性及び適切な動作性を検証するために、様々な完全性試験が開発された。Planova Leak Tester(「PLT」)として知られるそのような試験の1つは、フィルタ膜を通る、又はその周囲での加圧ガス(湿潤フィルタ膜の上流側に適用される)の拡散及び流出を測定することによって、フィルタ膜の完全性を評価することができる独立した機器である。しかしながら、PLTにはいくつかの重大な欠点がある。まず、PLTは、手動で準備する必要があり(ウイルス除去フィルタの手動設置を含む)、操作が厄介な場合がある。更に、最も重要なことに、PLTは、使用前及び使用後の試験には理想的ではなく、これは、PLTによる使用前の試験が、必然的にウイルス除去フィルタの無菌性を破壊し、PLTによる使用後の試験が、使用済みのフィルタでPLTを汚染するように作用する可能性があるからである。また、PLTは簡単には洗浄できないため、同じPLTを使用前及び使用後の両方の試験に使用することができない。別のそのような試験は、視覚的漏れ試験(「VLT」)として知られている。VLTは、湿潤膜の上流側に加圧ガスを塗布することを伴う。加圧ガスは、膜を通って拡散し、膜の下流側に気泡を発生させる。1人以上のオペレータが、ウイルス除去フィルタの出口を目視で点検して、フィルタ膜を通って又はその周りに拡散し、流出する気泡がないかを調べる。気泡が十分な速度で拡散及び流出して、1分間に3つ又は4つより多い気泡が現れたり、蓄積したりする場合、オペレータは、フィルタ膜が漏れているか、そうでなければ正しく機能していないと確信することができる。VLTは、使用前及び使用後の試験に有効であり得るが、VLTは手動で主観的な測定であるため、業界では大部分で難色が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
新規であると考えられる本開示の特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載される。本開示は、添付図面と併せて以下の説明を参照することによって最もよく理解され得、ここで、同様の参照番号は、いくつかの図面における同様の要素を識別する。
【0005】
図1】本開示の教示に従って構築された、製剤を濾過し、ウイルス除去フィルタを完全性試験するためのシステムの例の概略図である。
図2】ウイルス除去フィルタに対して完全性試験を実行するように構成された、図1のシステムのバルブ構成を示す。
図3図2と同様であるが、バルブ構成に結合された空気トラップを閉じるために、バルブ構成の空気トラップ入口に対して位置付けられたバルブ構成のダイヤフラムを示す。
図4】本開示の教示に従って構築された、製剤を濾過し、ウイルス除去フィルタを完全性試験するためのシステムの別の例の概略図である。
図5】本開示の教示に従って構築された、製剤を濾過し、ウイルス除去フィルタを完全性試験するためのシステムの別の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、概して、ウイルス除去フィルタがそこを通過した製剤からのウイルスを適切に保持することを確実にするように、ウイルス除去フィルタの完全性を試験するためのシステム及び方法に関する。本明細書に開示されるシステム及び方法は、概して、ウイルス除去フィルタの下流に位置付けられることが可能であり、それに流体的に接続されたときに、ウイルス除去フィルタの拡散及び流出速度を評価して、使用前及び使用後の両方のウイルス除去フィルタの完全性を決定することができ、それによって連邦規制を満たす単回使用バルブ構成を利用する。有益なことに、単回使用バルブ構成は、ウイルス除去フィルタの無菌性を維持し、また、上記のPLT及び他の既知の試験とは異なり、汚染のリスクを排除しないまでも低減する方法で上記を実現する。更に、上述したVLTとは異なり、単回使用バルブ構成は、自動的に(すなわち、人間の介入なしに)ウイルス除去フィルタの完全性を決定する。
【0007】
図1は、製剤(例えば、溶液中の医薬品)を濾過し、かつ本開示の教示に従って構築された、閉鎖型システム100の例を示す。システム100は、概して、複数の入口104(この例では3つ)、ポンプ108、ウイルス除去フィルタ112、複数の出口116、複数のバルブ120(この例では9つ、V1~V、V11、及びV12とラベル付けされている)、複数のセンサ124(この例では3つ)、複数の通気口128(この例では3つ)、及びウイルス除去フィルタ112に対して完全性試験を実行するためのバルブ構成132を含む。この例では、ウイルス除去フィルタ112が、中空繊維濾過膜136を有し、それは、概して、ポンプ108によってウイルス除去フィルタ112に供給される、そこを通って流れる製剤からのウイルス除去を、膜136内の製剤中のあらゆるウイルスを捕捉することによって実現するように構成されている。中空繊維濾過膜136は、好ましくは、例えば、旭化成メディカル株式会社による再生セルロースを使用して製造されるが、膜136は、代わりに、ポリスルホン又はポリフッ化ビニリデンを含む様々な材料から製造することができる。他の例では、そして以下でより詳細に説明されるように、ウイルス除去フィルタ112は、代わりに、異なるタイプのウイルス除去フィルタ(例えば、シート又はカートリッジ膜を備えたウイルス除去フィルタ)であり得る。
【0008】
図2は、システム100で用いられるバルブ構成132に関する更なる詳細を示す。この例では、バルブ構成132は、バルブハウジング150、バルブハウジング150によって保持されるダイヤフラム154、及びバルブハウジング150によって保持される圧力センサ158を含む。この例では、バルブ構成132はまた、バルブハウジング150に結合された空気トラップ166、並びにバルブ構成132の様々な構成要素を選択的に遮断するように構成された3つの遮断バルブ170、174、及び178を含む。しかしながら、他の例では、バルブ構成132は、より多くの、より少ない、又は異なる構成要素を含むことができる。一例として、バルブ構成132は、バルブハウジング150内にばねを含まないが、他の例では、バルブ構成132が、ダイヤフラム154を特定の位置に付勢するためのそのようなばねを含むことができる。別の例として、空気トラップ166は、バルブハウジング150の外部に位置付けられるが、他の例では、空気トラップ166が、バルブハウジング150内に部分的又は全体的に位置付けられてもよい。
【0009】
図2に示されるように、この例におけるバルブハウジング150は、別個に製造され、その後、互いに結合される2つのハウジング部分によって画定される。より具体的には、この例のバルブハウジング150は、第1のハウジング部分182及び第2のハウジング部分186(圧力センサハウジングとも呼ばれ得る)によって画定され、第1のハウジング部分182及び第2のハウジング部分186は、生理用クランプ(別名、トライクランプ)(図示せず)を介して互いに取り外し可能に結合される。しかしながら、他の例では、第1のハウジング部分182及び第2のハウジング部分186が、異なる方法で互いに結合され得る(例えば、互いに取り外し不可能に結合され得る)。例えば、第1のハウジング部分182及び第2のハウジング部分186は、バルブハウジング150がモノリシック構造であるように、互いに一体的に形成することができる。いずれにしても、バルブハウジング150は、入口190、出口194、及び空気トラップ入口198を画定する。この例では、入口190及び出口194の両方が、第1のハウジング部分182によって画定されるが、他の例では、入口190及び/又は出口194が、代わりに、第2のハウジング部分186によって画定されてもよい。一方、空気トラップ入口198は、好ましくは、入口190と出口194との間に配設される。したがって、この例では、空気トラップ入口198もまた、第1のハウジング部分182によって画定される。
【0010】
ダイヤフラム154は、概して、圧力センサ158に無菌インターフェースを提供し、必要に応じて気泡トラップ166を遮断するように構成されている。図2に示されるように、この例のダイヤフラム154は、第1のハウジング部分182の底面に結合(例えば、接着又は溶接)されている。第2のハウジング部分186が第1のハウジング部分182に結合されるとき、ダイヤフラム154は、バルブハウジング150の第1のハウジング部分182と第2のハウジング部分186とによって、その間に捕らえられている。いくつかの例では、1つ以上のシール(例えば、シールガスケット200)は、互いに結合されたときに、第1のハウジング部分182と第2のハウジング部分186との間に配設することもできる。ダイヤフラム154がそのように配置された状態で、ダイヤフラム154は、バルブハウジング150を第1のチャンバ202及び第2のチャンバ206の2つのチャンバに分割する。第1のチャンバ202は、ダイヤフラム154の第1の側面210に隣接して画定され、入口190、出口194、及び空気トラップ入口198の各々と流体連通している。第2のチャンバ206は、第1の側面210と反対側のダイヤフラム154の第2の側面214に隣接して画定される。ダイヤフラム154は、第2のチャンバ206が第1のチャンバ202から流体的に隔離されるように、第1のチャンバ202と第2のチャンバ206との間に障壁をもたらすように機能する。結果として、少なくともこの例では、第2のチャンバ206は、入口190、出口194、及び空気トラップ入口198から流体的に隔離される。ダイヤフラム154はまた、第2のハウジング部分186が第1のハウジング部分182から取り外されたときに、外部環境に対する障壁をもたらすように機能する。
【0011】
ダイヤフラム154は、概して、例えば、入口190の開閉、出口194の開閉、入口190を通って流れる多少の流体、又は出口194を通って流れる多少の流体によって引き起こされる第1のチャンバ202の圧力変化に応答して移動可能である。例えば、第1のチャンバ202内の圧力が増加すると、ダイヤフラム154は、第1の方向(図2に示される方向で下向き)に、入口190、出口194、及び空気トラップ入口198から離れて、かつ圧力センサ158に向かって移動する。この方法でのダイヤフラム154の移動は、第2のチャンバ206の容積を減少させ、これは、第2のチャンバ206内の圧力を増加させるように作用する。逆に、第1のチャンバ202内の圧力が減少すると、ダイヤフラム154は、第2の方向(図2に示される向きで上向き)に、入口190、出口194、及び空気トラップ入口198に向かって、かつ圧力センサ158から離れるように移動する。この方法でのダイヤフラム154の移動は、第2のチャンバ206の容積を増加させ、これは、第2のチャンバ206内の圧力を減少させるように作用する。
【0012】
圧力センサ158は、概して、第1のチャンバ202内の圧力変化を測定するように構成されている。この例では、圧力センサ158は、圧力センサ158がダイヤフラム154の第2の側面214とインターフェースし、第2のチャンバ206と流体連通(より具体的には直接流体連通)するように、第2のハウジング部分186によって保持される。このように、圧力センサ158は、第1のチャンバ202内の圧力変化に応答してダイヤフラム154が移動することによって引き起こされる第2のチャンバ206内の圧力変化を直接測定することによって、第1のチャンバ202内の圧力変化を間接的に測定するように構成されている。いくつかの場合では、第2のチャンバ206内の圧力変化は、第1のチャンバ202内の圧力変化に正確に一致し、他の場合では、第2のチャンバ206内の圧力変化は、第1のチャンバ202内の圧力変化に直線的に関連する(又は何らかの他の形態で対応する)ことになる。しかしながら、他の例では、圧力センサ158は、第1のチャンバ202と直接流体連通するように位置付けられ得る。
【0013】
空気トラップ166は、概して、一定量の空気(又は他の圧縮可能な流体)を捕捉して、第1のチャンバ202内の圧力の増加を抑制するように構成されている。この例では、空気トラップ166は、(例えば、バルブハウジング150から外側に突出するタケノコ接続部を介して)空気トラップ入口198に直接結合され、所望の長さで第3の遮断バルブ178によって挟み込まれて、所定の量の空気を捕捉することができる1片のプラスチックチューブである。したがって、一般的に言えば、チューブの長さは、その中に格納される空気の所定の量を決定する。一例では、空気トラップ166を形成するチューブの長さは、所定の量が約29mlに等しいように、約13インチに等しい。他の例では、空気トラップ166は、バルブハウジング150(より具体的には、第1のハウジング部分182)内に部分的又は全体的に一体化することができ、この場合、同じ所定の量を維持するために、より短い長さのチューブが必要とされる。
【0014】
図1に戻って参照すると、第1の遮断バルブ170は、第1の遮断バルブ170が入口190の上流に配設されるように、バルブハウジング150に結合される。第1の遮断バルブ170は、流体が入口190に流れることをバルブ170が可能にする開位置と、流体が入口190に流れることをバルブ170が防止する閉位置とを有する。言い換えると、バルブ170が閉位置にあるとき、バルブ170は入口190を閉じる。第2の遮断バルブ174は、第2の遮断バルブ174が出口194の下流に配設されるように、バルブハウジング150に結合される。第2の遮断バルブ174は、流体が出口194を通って流出することをバルブ174が可能にする開位置と、流体が出口194から流出するのをバルブ174が防止する閉位置とを有する。言い換えると、バルブ174が閉位置にあるとき、バルブ174は出口194を閉じる。この例ではピンチバルブである第3の遮断バルブ178は、第3の遮断バルブ178及び空気トラップチューブ166の長さが、第3の遮断バルブ178が閉位置にあるときに空気トラップの所定の量を画定するように、(バルブハウジング150に結合された)空気トラップ166に結合される。第3の遮断バルブ178は、バルブ178が空気トラップ166を通って空気トラップ入口198から空気を流出させる開位置と、バルブ178が空気トラップ166内に所定の量の空気をトラップする上記の閉位置とを有する。
【0015】
図2にも示されているように、バルブ構成132はまた、バルブ構成132の動作を制御するために、必要に応じてバルブ構成132の構成要素及びシステム100の他の構成要素に(1つ以上の有線及び/又は1つ以上の無線接続を介して)通信可能に接続されるコントローラ162を含む。特に、コントローラ162は、第1、第2、及び第3の遮断バルブ170、174、及び178を制御して、必要に応じて、入口190、出口194、及び空気トラップ166をそれぞれ開閉する。したがって、例えば、コントローラ162は、第2の遮断バルブ170を制御して、必要に応じて出口194を開閉する。
【0016】
この例では、コントローラ162は、モジュールベース212及びモジュールベース212内に配設されたプロセッサ214、モジュールベース212内に配設されたメモリ218、モジュールベース212内の通信インターフェース222、及びコンピューティングロジック226を含む。本明細書に示されていないが、上記の構成要素は、既知の様式で配置されるが、任意の様式で配置することができる。プロセッサ214は、一般的なプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ、グラフィックスプロセッシングユニット、アナログ回路、デジタル回路、又は任意の他の既知又は後に開発されたプロセッサであり得る。プロセッサ214は、メモリ218に格納されたコンピュータ可読命令に従って動作する。メモリ218は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリであってもよい。メモリ218は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、電子消去可能プログラム読み出し専用メモリ(EEPROM)、又は他のタイプのメモリのうちの1つ以上を含み得る。メモリ218は、光学式、磁気式(ハードドライブ)、又は任意の他の形態のデータ記憶デバイスを含んでもよい。通信インターフェース222は、コントローラ162とバルブ構成132の構成要素との間の電子通信を可能にする、又は容易にするために提供される。この電子通信は、任意の既知の通信プロトコルを介して発生し得る。ロジック226は、メモリ204に記憶されたコンピュータ可読命令として具体化された1つ以上のルーチン及び/又は1つ以上のサブルーチンを含む。コントローラ162、特にそのプロセッサ214は、以下でより詳細に説明されるように、ロジック226を実行して、プロセッサ214に、ウイルス除去フィルタ112の完全性試験に関連するアクションを実行させることができる。
【0017】
図1に戻って参照すると、バルブ構成132が、ウイルス除去フィルタ112の下流に配設され、ウイルス除去フィルタ112のシェル出口230に流体的に接続されるように、バルブ構成132は、ウイルス除去フィルタ112に流体的に結合されている。次に、第1の遮断バルブ170は、シェル出口230とバルブハウジング150の入口190との間に配設され、バルブ構成132の残りの構成要素は、ウイルス除去フィルタ112のシェル出口230の下流に配設される(いくつかの構成要素は、バルブハウジング150の下流にも配設される)。更に、バルブ構成132は、複数のセンサ124の1つの下流にあり、複数の通気口128のうちの1つの上流にあり、複数の通気口128のうちの残りの通気口の下流にあり、試験流体(この例では、加圧空気であるが、他の圧縮可能な流体を使用することができる)の供給源234の下流にあり、洗浄流体(この例では加圧空気であるが、他の圧縮可能な流体を使用することができる)の供給源238の下流にある。
【0018】
システム100の通常の濾過動作中に、製剤は、ウイルス除去フィルタ112内に供給され、ウイルス除去フィルタ112を通過させ、少なくとも第1の遮断バルブ170が閉じられる。より具体的には、ポンプ108は、複数の入口104のうちの1つ以上から製剤を引き出し、製剤を様々な構成要素(例えば、複数のセンサ124のうちの1つ、プレフィルタ239、及び複数のバルブ120のうちの1つ)を通過させ、ウイルス除去フィルタ112内に引き込む。ウイルス除去フィルタ112に入ると、生成物はフィルタ112の濾過膜136を通過することになる。上記で説明されたように、濾過膜136は、製剤から除去されるウイルスの断面よりも小さい直径を有する様々な相互接続された空隙及び毛細管からなる格子構造を有する。この格子構造は、製剤が流れるための蛇行性経路を形成し、製剤に含まれ、かつ製剤から除去されるウイルスを閉じ込める。濾過膜136を通過した後、製剤は次に、濾液出口240を通ってフィルタ112を出て、複数の出口116のうちの1つを介してシステム100から排出され得る。
【0019】
上述したように、バルブ構成132は、フィルタ112が適切に取り付けられて動作し、濾過膜136が(ウイルスが膜136を通過しないように、又は膜136の周りを通過しないように)十分な完全性を有することを確実にするために、システム100(及びウイルス除去フィルタ112)のこの通常の濾過動作の前後の両方でウイルス除去フィルタ112の完全性試験を自動的に実行するように構成されている。完全性試験を実行するために、以下のステップが、概して、コントローラ162によって実行される(ただし、いくつかの例では、それらのステップのうちの1つ以上を手動で実行することができる)。(1)コントローラ162は、洗浄流体源238からの加圧空気を、空気トラップ166を通って、空気トラップ入口198を通って、バルブハウジング150を通って、バルブ出口194を介してバルブハウジング150から出て、かつバルブ構成132の下流の通気口128に送り出すことによってパージさせ、(2)コントローラ162は、第3の遮断バルブ178をその閉位置に移動させて、空気トラップ166を遮断し(したがって、空気トラップ166の容積を画定するためにチューブ内の所定の位置で挟み込む)、(3)コントローラ162は、濾過膜136を濡らし、出口116を浸水させ(複数の入口104のうちの1つによって供給された湿潤剤を濾過膜136に、濾液出口240を介してフィルタ112から出口116に送り出すことによる)、(4)コントローラ162は、バルブ150を浸水させ(複数の入口104のうちの1つによって濾過膜136に供給されるフラッド剤を、フィルタ112のシェル出口230を介してフィルタ112から、バルブハウジング150を介して、出口194を介してバルブハウジング150から、バルブ構成132の下流の通気口128に送り出すことによる)、(5)コントローラ162は、試験流体(この例では加圧空気である)を試験流体源234から濾過膜136に向かって送り出し、試験流体は、濾過膜136の繊維が平衡位置になるまで試験流体で加圧され、そのとき、(6)コントローラ162は、第1の遮断バルブ170を開き(まだ開いていない場合)、第2の遮断バルブ174を閉じる(まだ閉じていない場合)。加圧された試験流体は、次に、フィルタ112の濾過膜136を通って拡散し始めることになる。場合によっては、加圧された試験流体もまた、濾過膜136を通って、及び/又は濾過膜136の周りに流出することになる。システム100が閉鎖型であるため、試験流体の拡散(及び流出)は、濾過膜136の下流に流体を移動させ、それによって、シェル出口230、及びそれに続いてバルブハウジング150の入口190での圧力を増加させる。
【0020】
濾過膜136を通る加圧試験流体の拡散は、概して、以下の式に従って定義され、
【数1】
式中、N=毎秒の拡散速度、D=拡散係数、L=湿潤流体中の試験流体の溶解度係数、Δp=膜136で利用可能な差圧、d=膜136内の液体層の厚さ、及びF=有効フィルタ面積である。したがって、異なる湿潤流体(膜136に適用される)及び異なる試験流体は、異なる溶解度係数のために異なる拡散値をもたらすことが理解されるであろう。一方、濾過膜136を通る加圧試験流体の流出は、チョークフローの原理に従い、膜136の繊維の内面の平面上のピンホール面積に比例すると想定される。特に、流出は、概して、以下の式に従って定義され、
【数2】
式中、Qは流出速度(周囲圧力でのmL/min)、kは係数、rはピンホールの半径(μm)、Pabsは絶対圧力(Pgauge+101.3)(kPa)、tは水と周囲温度(℃)と同じ気温である。
【0021】
入口190での圧力増加は、第1のチャンバ202内の圧力を増加させるように作用し、それによって、ダイヤフラム154を第1の位置(例えば、図2に示される位置)から第2の位置に第1の方向で移動させる。したがって、ダイヤフラム154の第1の位置から第2の位置への移動は、第2のチャンバ206内の圧力も増加させるように同様に作用する。圧力センサ158は、所定の時間間隔(例えば、5秒)にわたる第2のチャンバ206内のこの圧力増加を測定するように構成されている。例えば、圧力センサ158は、第1の時点での(例えば、ダイヤフラム154が第1の位置にあるとき)第2のチャンバ206内の圧力、及び第1の時点よりも後(例えば、ダイヤフラム154が第2の位置にあるとき)の第2の時点での第2のチャンバ206内の圧力を測定するように構成され、時間間隔は、第1の時点と第2の時点との間の時間である。
【0022】
コントローラ162は、ウイルス除去フィルタ112の実際の漏れ率を決定するように構成され、これは、所定の時間間隔にわたって膜136を通って及び/又は膜136の周りで実際に拡散及び流出する1秒当たりの試験流体の量に相当する。コントローラ162は、概して、膜136の下流で測定された圧力増加に基づいて実際の漏れ率を決定するように構成され、これは、所定の時間間隔にわたって膜136を通って及び/又は膜136の周りに拡散及び流出する1秒当たりの試験流体の量のプロキシとして機能する。一例として、圧力センサ158が、第1の時点での第2のチャンバ206内の50Paの圧力、及び第2の時点(5秒後)での第2のチャンバ206内の100Paの圧力を測定する場合、コントローラ162は、ウイルス除去フィルタ112の実際の漏れ率が、5秒の時間間隔当たり50Pa、又は1秒当たり10Paであると決定する。
【0023】
コントローラ162は、その後、決定された実際の漏れ率をウイルス除去フィルタ112の推定漏れ率と比較するように構成されている。推定漏れ率は、典型的には、完全性試験の前に決定され、コントローラ162のメモリ218に格納されるが、場合によっては、推定漏れ率は、完全性試験の間に決定され得る。推定漏れ率は、コントローラ162によって決定され得るか、又はシステム100のオペレータによって決定され得る。いずれにしても、推定漏れ率は、フィルタ112が適切に取り付けられて動作し、濾過膜136が十分な完全性を有するときに、所定の時間間隔にわたって膜136を通って及び/又は膜136の周りに拡散及び流出すると推定される1秒当たりの試験流体の量を概して指す。推定漏れ率は、試験流体が過去に膜136を通って及び/又は膜136の周りにどのように拡散及び流出されたか、試験流体、拡散係数、湿潤流体中の試験流体の溶解係数、膜136で利用可能な差圧、膜136内の液体層厚さ、有効フィルタ領域などのパラメータ、及びフィルタ112に関連付けられた他のパラメータを分析することによって決定することができる。
【0024】
次に、コントローラ162は、この比較に基づいてウイルス除去フィルタ112の完全性を決定するように構成されている。場合によっては、コントローラ162は、実際の漏れ率がウイルス除去フィルタ112の推定漏れ率以下であると決定したときに、更なる使用のために、ウイルス除去フィルタ112が十分な完全性を有する(すなわち、フィルタ112が適切に取り付けられて動作し、膜136が十分な完全性を有する)と決定する。場合によっては、コントローラ162は、実際の漏れ率がウイルス除去フィルタの推定漏れ率よりも大きいが、例えば、ウイルス除去フィルタ112の推定漏れ率に対して10%の所定の閾値差の範囲内にあるとコントローラ162が決定したときに、ウイルス除去フィルタ112が更なる使用のために十分な完全性を有すると決定する。逆に、コントローラ162が、実際の漏れ率が推定漏れ率よりも大きい、又は所定の閾値差を超える程度に推定漏れ率よりも大きいと決定すると、コントローラ162は、実際の漏れ率と推定漏れ率との差を、ウイルス除去フィルタ112の膜136の周り又は膜136を通る試験流体の予期しない拡散及び流出に帰する。言い換えれば、コントローラ162は、例えば、フィルタ112が適切に取り付けられていない、及び/若しくは動作していない、並びに/又は損なわれていることによって引き起こされる、膜136の周り又は膜136を通る漏れに差を帰する。したがって、コントローラ162は、ウイルス除去フィルタ112が十分な完全性未満であるため、更なる使用には適していないと決定する。いくつかの例では、コントローラ162は、次に、ウイルス除去フィルタ112(又はその構成要素)を再取り付け及び/又は交換する必要があることを(例えば、システム100のオペレータへの警告を介して)示すことができる。
【0025】
バルブ構成132によって完全性試験が実行された後、コントローラ162は、(7)第1の遮断バルブ170を閉じる、及び/若しくは第2の遮断バルブ174を開く、並びに(8)試験流体を試験流体源234から濾過膜136に向かって送り出すのを停止するように構成されている。システム100の通常の動作の前に完全性試験が実行されると、バルブ構成132が、膜136が十分な完全性を有し、フィルタ112が適切に取り付けられて動作していると決定する限り、製剤は、ウイルス除去フィルタ112による通常の濾過のために、ポンプ108によってウイルス除去フィルタ112に供給され、ウイルス除去フィルタ112を通過させ得る。更に、所望されるとき(例えば、空気トラップ166の容積を測定することが所望されるとき)、空気トラップ166は、ダイヤフラム154を空気トラップ入口198と密封係合するように移動させることによって閉じることができる。図3に示されるもののようないくつかの例では、ダイヤフラム154は、そのように移動させることができ、空気トラップ166は、加圧流体源242から第2のチャンバ206に加圧流体を選択的に供給することによって閉じることができる。
【0026】
本明細書で説明されるバルブ構成132は、単回使用バルブ構成であることを理解されよう。より具体的には、バルブ構成132の構成要素の少なくとも一部分である。この例では、第1のハウジング部分182、ダイヤフラム154、気泡トラップ166、及びバルブ構成132の構成要素を流体的に接続するために使用されるチューブは、単回使用構成要素である。この目的のために、バルブ構成132のこれらの構成要素は、ガンマ安定性プラスチックのようなプラスチック材料などの使い捨て材料から作られ、残りの構成要素は、より永久的な材料から作られる(例えば、この例では、第2のハウジング部分186及び圧力センサ158が、ステンレス鋼から作られる)。しかしながら、他の例では、バルブ構成132のより多くの構成要素が、使い捨て材料から作られた単回使用構成要素であり得る。一例として、コントローラ162は、単回使用構成要素であり得る。いずれにしても、バルブ構成132は単回使用バルブ構成であるため、バルブ構成132は、システム100の通常の動作の前及び/又は後にウイルス除去フィルタ112に対して完全性試験を実行するために使用され得、次いで、バルブ構成132の単回使用構成要素が、その後に廃棄され得る。
【0027】
図4は、製剤(例えば、溶液中の医薬品)を濾過し、かつ本開示の教示に従って構築された、閉鎖型システム400の別の例を示す。図4に示すシステム400は、図1に示すシステム100と実質的に類似しており、共通の参照番号を使用して示される共通の構成要素を有するが、システム400は、システム100とは異なるタイプのウイルス除去フィルタを含むという点で異なる。より具体的には、システム400は、(フィルタ112のような中空繊維濾過膜の代わりに)カートリッジ濾過膜436を有するウイルス除去フィルタ412を含む。しかしながら、中空濾過膜136と同様に、カートリッジ濾過膜436は、ポンプ108によってウイルス除去フィルタ412に供給される、そこを通って流れる製剤からウイルス除去を行うように構成されている。システム100とシステム400との間に違いはあるが、バルブ構成132は、ウイルス除去フィルタ112に関連して上述したように、ウイルス除去フィルタ412に対して完全性試験を実行するために使用することができる。
【0028】
図5は、製剤(例えば、溶液中の医薬品)を濾過し、かつ本開示の教示に従って構築された、閉鎖型システム500の別の例を示す。図5に示すシステム500は、それぞれ図1及び図4に示すシステム100及び400と実質的に類似しており、共通の参照番号を使用して示される共通の構成要素を有するが、システム500は、システム100及び400とは異なるタイプのウイルス除去フィルタを含むという点で異なる。より具体的には、システム500は、(フィルタ112のような中空繊維濾過膜又はフィルタ412のようなカートリッジ濾過膜の代わりに)シート膜536を有するウイルス除去フィルタ512を含む。しかしながら、膜136及び436と同様に、シート膜536は、ポンプ108によってウイルス除去フィルタ512に供給される、それを通って流れる製剤からウイルス除去を行うように構成されている。システム100及び400とシステム500との間に違いはあるが、バルブ構成132は、ウイルス除去フィルタ112に関連して上述したように、ウイルス除去フィルタ512に対して完全性試験を実行するために使用することができる。
【0029】
当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、上に記載された実施形態に関して多種多様な修正、改変、及び組み合わせを行うことができ、そのような修正、改変、及び組み合わせは、本発明の概念の範囲内にあるとみなされることを認識するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】