(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-18
(54)【発明の名称】水を加圧することによってエネルギーを抽出するための、流水により動力を供給される運動的機械
(51)【国際特許分類】
F03B 13/26 20060101AFI20240411BHJP
F03B 17/06 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
F03B13/26
F03B17/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563299
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 DK2022000079
(87)【国際公開番号】W WO2022218484
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523389361
【氏名又は名称】リングトゥヴィズ,スベント-エリック
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リングトゥヴィズ,スベント-エリック
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA08
3H074BB09
3H074BB10
3H074CC16
(57)【要約】
以下の接続された主要部分を含む、水を加圧するための運動的駆動機械、前部及び後部を含む、運動的駆動圧力ポンプ(以下、圧力ポンプと呼ぶ)に関する。前部はスラスト軸受が取り付けられたポンプを含むため、ポンプはそれ自体を中心に回転することができる。ポンプには、圧力ポンプの前部を回転させることのできる前翼一式が嵌合される。後部は、ポンプに取り付けられたギアボックスを含む。ギア自体が、ポンプの駆動シャフトに取り付けられる。保護筒がギアボックスに外嵌され、保護筒をギアボックスの周りで回転自在にするためにスラスト軸受が取り付けられる。前翼一式と同様に構成された後翼一式が、保護筒に取り付けられることにより、翼一式は、ギアを回転させることができる。保護筒の後端には、圧力ポンプの後方固定点として、ころ軸受のシャフトが取り付けられる。翼一式は反対方向に回転するため、水のエネルギーは回転エネルギーに変換され、それによってポンプを駆動する。圧力ポンプは基礎に取り付けられ、それによって基礎の圧力管に接続される。圧力管は、側管に取り付けられた弁に接続され、それによって圧力ポンプを主管に接続する。主管は、圧力ポンプからの水を、戻り管が設けられた受入ステーションに導く。受入ステーションは、水力発電のために主管からの加圧水を利用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加圧することによってエネルギーを抽出するための、流水により動力供給される運動的機械(100)であって、該機械は、以下の主要部分:
運動的駆動圧力ポンプ(1)であって、前部及び後部を含み、該前部は、スラスト軸受(8)で取り付けられた回転圧力ポンプ(10)を含み、それにより、前記圧力ポンプ(10)を前記圧力ポンプ(10)の長手軸を中心に回転自在にする、運動的駆動圧力ポンプ(1)を含み、
いくつかの角度付き翼を有する翼一式(11)が前記圧力ポンプ(10)(すなわち回転部分)に取り付けられ、前記角度付き翼は、前記運動的駆動圧力ポンプ(1)の前部を回転させるように構成された翼形状を有し、それにより回転エネルギーが前記圧力ポンプ(1)を駆動させて水を圧送することができ、
前記運動的駆動圧力ポンプ(1)は、好適な基礎(21)に取り付けられ、該基礎(21)は前記運動的駆動圧力ポンプ(1)を安定させ、前記運動的駆動圧力ポンプ(1)を該基礎(21)の周りで回転自在にさせ、
前記運動的駆動圧力ポンプ(1)は、好適な連結装置を介して前記基礎(21)の前記圧力管(22)に連結され、該基礎(21)の圧力管(22)は主管(4)に連結され、こうして前記運動的駆動圧力ポンプ(1)を前記主管(4)に連結することにより、該主管(4)は、前記運動的駆動圧力ポンプ(1)から来る水を受入ステーション(5)に導くことができ、
前記受入ステーション(5)は、前記主管(4)からの加圧水を受け入れ、水力発電タービン(31)に水を導くことによって加圧水内の位置エネルギーを放出するように構成され、前記タービン(31)はそれによって電気エネルギーを生成する、
運動的機械(100)において、
前記運動的駆動圧力ポンプ(1)がギアボックス(13)を更に含み、該ギアボックス(13)が前記圧力ポンプ(10)に取り付けられており、ギア自体が連結装置を介して前記圧力ポンプ(10)の駆動シャフト(14)に接続されており、
保護筒(15)が前記ギアボックス(13)に外嵌されており、前記保護筒(15)を前記ギアボックス(13)の周りで回転自在にさせるスラスト軸受(16)が取り付けられており、そして、
翼形状を有するいくつかの角度付き翼を含む前記後翼一式(17)が前記保護筒(15)に取り付けられていることによって、前記後翼一式(17)が好適な連結装置を介して前記ギアを回転させることができ、そして、
翼支持体(12)が、前記運動的駆動圧力ポンプ(1)の前記翼一式(11、17)の翼の間に取り付けられており、
ころ軸受のシャフト(18)が前記保護筒(15)の後端に取り付けられており、該シャフト(18)は、前記運動的駆動圧力ポンプの後方固定点として機能し、
前記前翼一式(11)及び前記後翼一式(17)は、反対方向に回転することができるため、前記流水の運動エネルギーの可能な限り多くが回転エネルギーに変換され、
前記基礎(21)の前記圧力管(22)は、好適な連結装置(9)を用いて側管(3)に取り付けられた弁(2)に取り付けられ、該側管(3)は前記主管(4)に接続され、それによって前記運動的駆動圧力ポンプ(1)を前記主管(4)に接続し、
前記主管(4)には、塩水中に存在し、水中で海底に前記主管(4)を固定するように構成された好適な基礎(6)が設けられ、
前記受入ステーション(5)には、弁(33)が取り付けられた迂回管(32)が設けられ、該迂回管(32)は、前記水が前記受入ステーション(5)から離れるように導くために設計された戻り管(7)と前記主管(4)とを接続し、前記戻り管(7)には、塩水中に存在し、前記戻り管(7)を固定するように構成された好適な基礎(6)が設けられていることを特徴とする、運動的機械(100)。
【請求項2】
前記運動的駆動圧力ポンプ(1)が、専ら機械的に動作することを特徴とする、請求項1に記載の、水を加圧することによってエネルギーを抽出するための、流水により動力供給される運動的機械(100)。
【請求項3】
前記運動的駆動圧力ポンプ(1)が、該運動的駆動圧力ポンプ(1)のすべての前記可動部分に周囲の水を入り込ませるように設計されることによって、軸受及び接触面が水により潤滑化及び冷却されることを特徴とする、請求項1に記載の、水を加圧することによってエネルギーを抽出するための、流水により動力供給される運動的機械(100)。
【請求項4】
翼支持体(12)が、前記運動的駆動圧力ポンプ(1)の前記前翼一式及び後翼一式(11、17)それぞれの翼の間に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の、水を加圧することによってエネルギーを抽出するための、流水により動力供給される運動的機械(100)。
【請求項5】
前記運動的駆動圧力ポンプ(1)が、ポンツーン係留システムによって取り付けられ、それにより該運動的駆動圧力ポンプ(1)は、様々な水勢において固定可能であることを特徴とする、請求項1に記載の、水を加圧することによってエネルギーを抽出するための、流水により動力供給される運動的機械(100)。
【請求項6】
各側管(3)に弁(2)が嵌合されていることにより、前記運動的駆動圧力ポンプ(1)の1つ又は複数が遮断されても、前記側管(3)及び前記主管(4)の加圧を維持できることを特徴とする、請求項1に記載の、水を加圧することによってエネルギーを抽出するための、流水により動力供給される運動的機械(100)。
【請求項7】
前記主管(4)からの前記加圧水を逆浸透による飲料水の製造に利用するように更に構成されることを特徴とする、請求項1に記載の、水を加圧することによってエネルギーを抽出するための、流水により動力供給される運動的機械(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を加圧することによってエネルギーを抽出するための、流水により動力を供給される運動的機械(kinetic machine)である。
【背景技術】
【0002】
世界のエネルギー供給の持続可能で再生可能なエネルギー生産への迅速で安価な移行を可能にするために、以下に本発明と称する、水を加圧することによってエネルギーを抽出するための、流水により動力供給される運動的機械についてのこの着想が考案されてきた。エネルギーには多くの形態があり、加圧水は位置エネルギーである。流水中の運動エネルギーを利用して配管内の水を加圧するためのポンプを駆動することによって、運動エネルギーは位置エネルギーに変換される。水は本質的に非圧縮性であるため、生成されたエネルギーは配管を通って受入ステーションに送られ、そこで位置エネルギーは水力発電タービンに放出され、電気エネルギーに変換することができる。電気エネルギーの生成に位置エネルギーを利用するこの原理は、ダム及び特許文献1から既に知られている原理である。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、請求項1に記載の、水を加圧することによってエネルギーを抽出するための、流水により動力を供給される運動的機械によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項に定義され、以下の説明において説明され、図面に示される。
【0004】
欧州特許出願公開第2216543号明細書は、水を加圧することによってエネルギーを抽出するための、流水により動力を供給される運動的機械について記載している。機械は、以下の主要部分からなる。
【0005】
運動的駆動圧力ポンプであって、運動的駆動圧力ポンプは、前部及び後部を含む。前部は、トラスト軸受が取り付けられた回転圧力ポンプを含み、この軸受は、圧力ポンプを圧力ポンプの長手軸を中心に回転自在にする。圧力ポンプ(すなわち回転部)には、いくつかの角度付き翼を有する翼一式が取り付けられている。角度付き翼は、運動的駆動圧力ポンプの前部を回転させるように設計された翼形状を有し、それにより、回転エネルギーが圧力ポンプを駆動して水を圧送することができる。
【0006】
運動的駆動圧力ポンプは、運動的駆動圧力ポンプを安定させ、運動的駆動圧力ポンプを基礎の周りで回転自在にさせる好適な基礎に取り付けられる。運動的駆動圧力ポンプは、好適な連結装置を介して基礎の圧力管に連結され、基礎の圧力管は主管に連結され、したがって、運動的駆動圧力ポンプを主管に接続することにより、主管は、運動的駆動圧力ポンプから来る水を受入ステーションに導くことができる。受入ステーションは、主管からの加圧水を受け入れ、水を水力発電タービンに導くことによって加圧水内の位置エネルギーを放出するように設計され、それによって水力発電タービンが電気エネルギーを生成する。
【0007】
本発明は、以下の点において、周知の技術(欧州特許出願公開第2216543号明細書)とは異なる。
【0008】
運動的駆動圧力ポンプがギアボックスを更に含み、ギアボックスは圧力ポンプに取り付けられており、ギア自体が連結装置を介して圧力ポンプの駆動シャフトに接続される。保護筒がギアボックスに外嵌されており、保護筒をギアボックスの周りで回転自在にさせるスラスト軸受が取り付けられている。翼形状を有するいくつかの角度付き翼を有する後翼一式が保護筒に取り付けられていることによって、後翼一式は、好適な動力連結を介してギアを回転させることができる。翼支持体が、運動的駆動圧力ポンプの翼一式の翼の間に取り付けられている。翼支持体は、翼一式を支持し、それにより、構造体は、流水から翼への後方向の圧力に耐えることができる。保護筒の後端には、ころ軸受のシャフトが取り付けられており、このシャフトは運動的駆動圧力ポンプの後方固定点として機能する。
【0009】
前翼一式及び後翼一式は反対方向に回転できるため、流水の運動エネルギーが可能な限り多く回転エネルギーに変換される。基礎の圧力管は、好適な連結装置を用いて側管に取り付けられた弁に接続される。側管は主管に接続され、それによって運動的駆動圧力ポンプを主管に接続する。主管には、塩水中に存在し、水中で海底に主管を固定するように設計された好適な基礎が設けられている。
【0010】
受入ステーションには、弁が取り付けられた迂回管が設けられており、この迂回管は、水が受入ステーションから離れるように導くために設計された戻り管と主管とを接続する。これにより、加圧水を主管から戻り管へ直接導くことによって、受入ステーションの水力発電タービンを迂回することが可能である。戻り管には、塩水中に存在し、戻り管を固定するように設計された好適な基礎が設けられている。
【0011】
その結果、世界のエネルギー供給の持続可能かつ再生可能なエネルギー生産への迅速かつ安価な移行に寄与することができる機械が得られる。
【0012】
本発明を、既に公知の種類の持続可能なエネルギー生産、風力エネルギー、太陽エネルギー及び波エネルギーと比較すると、本発明はそれらとは大きく異なる。それらはすべて、風が吹く、太陽が照る、又は波が存在することを必要とするが、本発明は、連続的に流れる水に設置されたときに、本発明の運動的駆動圧力ポンプが設置されている流水中の運動エネルギーによって駆動されるという明確な利点を有する。これにより、迂回管を介して本発明の水圧を調整することによって、本発明の出力を一定に維持することが可能である。
【0013】
周知の技術との本質的な他の違いは、本発明の運動的駆動圧力ポンプが専ら機械的に動作するという事実である。
【0014】
好ましい実施形態では、運動的駆動圧力ポンプは、通常の手工具を用いて、主要部分ごとに組み立て及び分解されるように設計される。このようにして、運動的駆動圧力ポンプは、各主要部分を分離した状態で輸送して設置の直前に組み立てることができ、それによって運動的駆動圧力ポンプが輸送中に占める空間を減らす。
【0015】
好ましい実施形態では、本発明の運動的駆動圧力ポンプは、周囲の水を運動的駆動圧力ポンプのすべての可動部分に入り込ませるように設計することによって、その軸受及び接触面が水により潤滑化及び冷却される。これにより、本発明に高い動作信頼性及び長寿命がもたらされる。
【0016】
代替的実施形態では、本発明の運動的駆動圧力ポンプの翼一式の翼は、
図6に示すように、異なる角度の翼部分によって段階的に構築される翼形状で設計される。
【0017】
これにより、全体的な翼形状は、周囲の水流方向に交差して取り付けられる直線翼部分と、それに続く、周囲の水流方向に沿った翼部分とによって各々段階的に構築される(
図6及び
図6.1を参照されたい)。この段階的な構築により、交差して取り付けられた翼部分の効率が、後方向に角度付けされた翼部分の強度と組み合わされ、この強度によって翼支持体を取り付けることができる(
図6.1を参照されたい)。これにより、流水中の運動エネルギーの利用度が高まる。
【0018】
好ましい実施形態では、翼支持体が、運動的駆動圧力ポンプの翼一式の翼の間に取り付けられている。これにより、翼一式の翼が互いに接続され、翼一式を支持する。
【0019】
好ましい実施形態では、運動的駆動圧力ポンプ及び弁は、耐塩水性材料から作製される。耐塩水性材料とは、例えば、ステンレス鋼又はアルミニウム青銅を意味する。これらの材料により、腐食が抑制され、本発明の寿命が延長される。
【0020】
好ましい実施形態では、運動的駆動圧力ポンプの基礎は、耐塩水性材料から作製される。耐塩水性材料とは、例えば、ステンレス鋼又はコンクリートを意味する。これらの材料により、腐食が抑制され、基礎の寿命が延長される。
【0021】
好ましい実施形態では、本発明の運動的駆動圧力ポンプは、ポンツーン係留システムによって取り付けられ、それにより運動的駆動圧力ポンプは、様々な水勢において固定可能である。これにより、本発明の運動的駆動圧力ポンプは最も強力な場所の水流を利用し、また運動的駆動圧力ポンプは水流の方向に応じて自らの位置を合わせる。
【0022】
好ましい実施形態では、本発明の各側管に弁が嵌合されていることにより、運動的駆動圧力ポンプの1つ又は複数が遮断されても、側管及び主管の加圧を維持できる。
【0023】
好ましい実施形態では、主管はいくつかの管部から構成される。これらの管部は異なる直径を有し、主管が受入ステーションで最大直径を有し、主管が閉鎖される反対側の端部で最小直径を有するように組み立てられる。これにより、管部分を互いに押し込むことができ、輸送中に占める空間を減らすことができる。
【0024】
好ましい実施形態では、側管、主管及び戻り管は、耐塩水性材料から作製される。耐塩水性材料とは、例えば、工業用プラスチック又は複合材料を意味する。これらの材料を用いることにより、腐食が抑制され、管の寿命が延長される。
【0025】
好ましい実施形態では、主管の基礎及び戻り管の基礎は、耐塩水性材料から作製される。耐塩水性材料とは、例えば、ステンレス鋼又はコンクリートを意味する。これらの材料を用いることにより、腐食が抑制され、基礎の寿命が延長される。
【0026】
好ましい実施形態では、本発明はより多くの主管又はより多くの戻り管を含み、それによって受入ステーションの容量が増加する。
【0027】
好ましい実施形態では、本発明は、主管からの加圧水を逆浸透による飲料水の製造に利用するように更に設計される。それにより、本発明は、エネルギーと共に清浄な飲料水を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1.1】
図1.1の円形拡大図は、1つ又は複数の運動的駆動圧力ポンプ(1)が遮断されても主管(4)を圧力下に保つことができるように、弁(2)が各側管(3)の端部に取り付けられている方法を示す。
【
図2】
図2は、運動的駆動圧力ポンプ(1)が、主要部品の組立体によって構成され得る方法を示す。
【
図3.1】
図3.1の円形拡大図は、運動的駆動圧力ポンプ(1)内の前方スラスト軸受(8)が構成される方法を示す。
【
図4.1】
図4.1の円形拡大図は、運動的駆動圧力ポンプ(1)内の後方スラスト軸受(16)が構成される方法を示す。
【
図5】
図5は、運動的駆動圧力ポンプ(1)が、側面図においてどのように見えるかを示す。
【
図5.1】
図5.1は、運動的駆動圧力ポンプ(1)のための基礎(21)の設計を上から見た図である。
【
図5.2】後方から見た基礎(21)上の運動的駆動圧力ポンプ(1)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1には、加圧水を通じたエネルギー利用のための、流水によって駆動される、安価で信頼性が高く、効果的な運動的機械の主要な要素を組み合わせた、本発明の基本的な構成要素が示されている。本発明の基本原理は、いくつかの側管を介して主管に加圧水を供給することである。これらの側管は、反対側の端部で別個の弁に接続され、その後、運動的駆動圧力ポンプが取り付けられる。主管は側管からの加圧水を受入ステーションに導き、そこで(位置)エネルギーが放出され得る。
【0030】
[
図1]
図1は、本発明の構成を示す。本発明は、すべてが接続されたいくつかの異なる主要部分から構成される。運動的駆動圧力ポンプ(1)にはそれぞれ弁(2)が嵌合されており、弁(2)は好適な連結装置を用いて側管(3)に接続されている。これらの側管(3)はすべて、側管(3)からの加圧水を受入ステーション(5)に導く、主管(4)に接続されている。主管(4)自体は、受入ステーション(5)から水中に入り、水中において反対側の端部で閉止される。主管(4)の全長にわたり、適切な数の基礎(6)が設置されている。基礎は、耐塩水性材料から作製される。受入ステーション(5)は、水力発電タービン(31)を使用することによって、加圧水内の位置エネルギーを放出し、電気エネルギーを生成することができる場所である。受入ステーション(5)には、迂回管(42)及び戻り管(7)が設けられており、水を受入ステーション(5)外へ再び導くことができる。
【0031】
[
図1.1]
図1.1の円形拡大図は、1つ又は複数の運動的駆動圧力ポンプ(1)が遮断されても主管(4)を圧力下に保つことができるように、弁(2)が各側管(3)の端部に取り付けられている方法を示す。これにより、本発明を停止する必要なしに、運動的駆動圧力ポンプ(1)を接続又は遮断することが可能になる。
【0032】
[
図2]
図2は、運動的駆動圧力ポンプ(1)が、主要部品の組立体によって構成され得る方法を示す。前方には、好適な連結装置(9)を有するスラスト軸受(8)がある。スラスト軸受(8)は、好適な圧力ポンプ(10)の正圧側に取り付けられて、圧力ポンプ(10)を回転自在にすることができる。いくつかの翼を含む前翼一式(11)は、適切な固定装置を用いて圧力ポンプ(10)に取り付けられている。翼一式(11)の翼は、流水中の可能な限り多くの運動エネルギーが回転エネルギーに変換されるように角度付けられている。翼一式(11)の翼は、翼支持体(12)を翼間に取り付けることができるように、後方向に角度付けられている。翼支持体(12)が翼一式(11)を支持するため、翼一式(11)は流水からの圧力に耐えることができる。
【0033】
圧力ポンプ(10)の吸引側には、好適な連結装置を用いて圧力ポンプ(10)の駆動シャフト(14)に接続されたギアボックス(13)が取り付けられている。ギアボックスには、スラスト軸受(16)を有する(が嵌合された)保護筒(15)が取り付けられているため、保護筒(15)はギアボックス(13)の周りで回転自在となり得る。保護筒(15)には、いくつかの角度付き翼を含む後翼一式(17)が取り付けられているため、後翼一式(17)は、好適な連結装置を介してギアを回転させることができる。
【0034】
翼一式(17)の翼は、流水中の可能な限り多くの運動エネルギーが回転エネルギーに変換されるように角度付けられている。翼一式(17)の翼は、翼支持体(12)を翼間に取り付けられるように、後方向に角度付けられている。翼支持体(12)が翼一式(17)を支持するため、翼一式(17)は流水からの圧力に耐えることができる。
【0035】
後方ころ軸受のシャフト(18)が、保護筒(15)の後端に配置される。この後方ころ軸受のシャフト(18)は、運動的駆動圧力ポンプ(1)のための後方固定点として機能する。
【0036】
これにより、前翼一式(11)は、圧力ポンプ(10)及びギアボックス(13)を一方向に駆動することができ、一方、後翼一式(17)は、ギアボックス(13)の駆動シャフトを逆方向に駆動することができる。ころ軸受のシャフト(18)が、保護筒(15)の後端に配置されている。このころ軸受(25)は、前方スラスト軸受(8)と共に、運動的駆動圧力ポンプ(1)の固定点を構成するため、流水中で水平を保つことができる。
【0037】
【0038】
[
図3.1]
図3.1の円形拡大図は、運動的駆動圧力ポンプ(1)内の前方スラスト軸受(8)が構成される方法を示す。前端には、スラスト軸受(8)が取り付けられる適切な連結装置(9)がある。スラスト軸受(8)は、転動体(19)とリップガスケットとから構成される。スラスト軸受によって、圧力ポンプ(10)は、取り付けられた前翼一式(11)と共に回転自在となる。
【0039】
【0040】
[
図4.1]
図4.1の円形拡大図は、運動的駆動圧力ポンプ(1)内の後方スラスト軸受(16)が構成される方法を示す。圧力ポンプ(10)の吸引側には、好適な連結装置(9)が取り付けられている。これは、好適な連結装置を用いて圧力ポンプ(10)の駆動シャフト(14)に接続される好適なギアボックス(13)に取り付けられた同様の連結装置(9)に接続されている。保護筒(15)は、転動体(19)から構成されたスラスト軸受(16)を用いてギアボックス(13)に取り付けられている。これにより、保護筒(15)は、ギアボックス(13)の周りで回転自在になり、取り付けられた後翼一式(17)と共にギアボックス(13)の駆動シャフトを駆動することができる。これにより、前翼一式(11)は、圧力ポンプ(10)及びギアボックス(13)を一方向に駆動することができ、一方、後翼一式(17)は、ギアの駆動シャフトを逆方向に駆動することができる。
【0041】
[
図5]
図5は、運動的駆動圧力ポンプ(1)が、側面図においてどのように見えるかを示す。運動的駆動圧力ポンプ(1)は、耐塩水性材料から作製された好適な基礎(21)に取り付けることができる。この運動的駆動圧力ポンプの基礎(21)は、本発明の効率を高めるいくつかの機能を有する。機能の1つは、
図5.1に示すように、基礎(21)の周りを回転自在な運動的駆動圧力ポンプ(1)のための固定足場として機能することである。更に、基礎(21)には、運動的駆動圧力ポンプ(1)の連結装置(9)と、側管(3)の端部に取り付けられた弁(2)との連接部として機能する圧力管(22)が設けられている。これは、図に示すように、取り付けられた好適な連結装置(9)として機能する。
【0042】
更に、基礎(21)には、耐塩水性材料から作製される支持梁(23)が設けられている。これらの支持梁(23)は、基礎(21)のころ軸受(24)の固定具として機能し、これにより、運動的駆動圧力ポンプ(1)は、基礎(21)の周りを回転自在になる。後方ころ軸受(18)のシャフトは、
図2に記載されているように、運動的駆動圧力ポンプ(1)の後端に取り付けられている。ころ軸受(25)は、後方ころ軸受のシャフト(18)に取り付けられており、それによって、運動的駆動圧力ポンプ(1)は水中で回転自在になる。ころ軸受(25)は、運動的駆動圧力ポンプを確実に水平に保つことができる好適な寸法の支持筒構造(26)に取り付けられている。支持筒構造(26)には、運動的駆動圧力ポンプ(1)が基礎(21)の周りを回転自在になることを補助する支持車輪(27)が設けられている。巻上リング(28)が基礎(21)の頂部に取り付けられ、これにより、基礎(21)及び運動的駆動圧力ポンプ(1)を水中から持ち上げることが可能になる。
【0043】
[
図5.1]
図5.1は、運動的駆動圧力ポンプ(1)のための基礎(21)の設計を上から見た図である。図に示すように、円形の基礎(21)を用いることにより、運動的駆動圧力ポンプ(1)は基礎(21)の周りを回転自在になり、これにより、移動方向からの流水を利用して運動的駆動圧力ポンプ(1)、ひいては本発明に動力を供給することが可能になる。運動的駆動圧力ポンプ(1)は基礎(21)に取り付けられ、また、車輪(27)が取り付けられた支持筒構造(26)が設けられている。図面は、基礎(21)がどのように連結装置(9)の取り付けられた圧力管(22)を収容し、運動的駆動圧力ポンプ(1)を基礎(21)に接続し得るかを示す。反対側の端部では、好適な連結装置(9)が、基礎(21)の圧力管(22)に取り付けられている。連結装置(9)は、側管(3)の後端に取り付けられた弁(2)に接続されている。
【0044】
[
図5.2]
図2には、後方から見た基礎(21)上の運動的駆動圧力ポンプ(1)を示す。図面は、翼支持体(12)が翼間に取り付けられる方法を示す。支持筒構造(26)は、後方ころ軸受の固定具として機能し、運動的駆動圧力ポンプ(1)を水平に保つことを可能にする。基礎(21)は、支持車輪(27)が乗ることのできる、支持車輪(2)用の軌道を有する。
【0045】
[
図6]
図6には、翼の断面を示す。図面は、異なる角度の翼部分によって段階的に構築される翼形状を表し、直線翼の効率を、角度付き翼の強度と組み合わせることができる。
【0046】
[
図6.1]
図6.1は、
図6の断面が由来する位置を示す。
図6.1はまた、運動的駆動圧力ポンプ(1)の翼一式(11、17)を、(
図6に示すような)異なる角度の翼部分(30)によって段階的に構築された翼形状を持たせて設計し得る方法を示す。集合的な翼形状は、水流方向に交差して取り付けられた直線翼部分と、それに続く、水流方向に沿った翼部分とから段階的に構築することができる。この段階的な構築により、交差して取り付けられた翼部分の効率を、後方向に角度付けられた翼部分の強度と組み合わせることができ、この強度によって翼支持体(12)を取り付けることができる。
【符号の説明】
【0047】
(1)運動的駆動圧力ポンプ
(2)弁
(3)側管
(4)主管
(5)受入ステーション
(6)管基礎
(7)戻り管
(8)前方スラスト軸受
(9)連結装置
(10)圧力ポンプ
(11)前翼一式
(12)翼支持体
(13)ギアボックス
(14)圧力ポンプの駆動シャフト
(15)保護筒
(16)後方スラスト軸受
(17)後翼一式
(18)後方ころ軸受のシャフト
(19)転動体
(20)リップガスケット
(21)運動的駆動圧力ポンプの基礎
(22)圧力管
(23)運動的駆動圧力ポンプの基礎用の支持梁
(24)運動的駆動圧力ポンプの基礎用のころ軸受
(25)後方ころ軸受
(26)支持筒構造
(27)支持車輪
(28)巻上リング
(29)支持車輪の軌道
(30)異なる角度の翼部分によって段階的に構築された翼形状
(31)水力発電タービン
(32)迂回管
(33)弁
(100)水を加圧することによってエネルギーを抽出するための、流水により動力供給される運動的機械
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2216543号明細書
【国際調査報告】