(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-18
(54)【発明の名称】デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20240411BHJP
A61M 25/01 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M25/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563307
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 GB2022000040
(87)【国際公開番号】W WO2022219295
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523389523
【氏名又は名称】イージーアイブイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ボウマン、ジョージ ヘンリー ピーター
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA04
4C267AA12
4C267AA17
4C267AA24
4C267AA28
4C267AA32
4C267BB04
4C267BB23
4C267BB40
4C267CC08
4C267GG02
4C267HH08
(57)【要約】
【解決手段】本出願は、患者の体腔内にチューブを挿入するためのデバイス500に関し、該デバイスは、チューブと、プローブ504と、腔内に進入するように構成され、体腔内へのチューブ及びプローブの進入を可能にするように構成された針502と、を備え、デバイスは、体腔内へのプローブの進入後に、針、チューブ、及びプローブが体腔内で遠位に前進し、プローブが針を越えて遠位に前進するように構成される。本出願はまた、かかるデバイスの使用方法に関する。
【選択図】
図42
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体腔内にチューブを挿入するためのデバイスであって、前記デバイスは、
チューブと、
プローブと、
前記体腔内に進入するように構成され、前記体腔内への前記チューブ及び前記プローブの進入を可能にするように構成された針と、を備え、
前記デバイスは、前記体腔内への前記プローブの進入後に、前記針、前記チューブ、及び前記プローブが前記体腔内で遠位に前進し、前記プローブが前記針を越えて遠位に前進するように構成されている、デバイス。
【請求項2】
前記デバイスは、前記針が前記体腔内への進入の前に身体組織の領域を通して挿入されるときに、前記チューブ及び前記プローブが前記針とともに移動するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスは、身体組織の前記領域を通る前記針の挿入中に前記プローブに付勢力を印加するように構成され、前記付勢力は、前記体腔内への前記プローブの進入後に、前記プローブを前記針を越えて遠位に前進させる、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスは、前記プローブが第1の速度で前進して、前記体腔内への前記プローブの進入後に、前記チューブに対する前記プローブの遠位前進を引き起こし、続いて第2の速度で前進して、前記プローブに対する前記チューブの遠位前進を引き起こすように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記デバイスは、前記体腔内への前記プローブの進入後に、前記チューブが前記針に対して遠位に前進するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記デバイスは、前記プローブが前記針を越えた遠位前進の後に、前記チューブが前記プローブを越えて遠位に前進するように構成されている、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記デバイスは、前記体腔内への前記チューブの挿入後に前記針及び/又は前記プローブの後退を可能にするように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスは、前記体腔内への前記チューブの挿入後に前記針及び/又は前記プローブを後退させるように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記デバイスは、前記体腔内への前記チューブの挿入後に前記デバイスからの前記チューブの分離を可能にするように構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記チューブ、前記プローブ、及び前記針は、同心円状に配置される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記針、前記プローブ、及び前記チューブを遠位に前進させるように構成された駆動機構を更に備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記体腔内への前記針の進入中に前記患者の体表面に当接するように構成された支持脚を更に備え、前記支持脚は、前記チューブが前記支持脚に対して遠位に前進するにつれて前記駆動機構を駆動するように構成されている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記駆動機構は、それぞれの機械的連結を介して前記針、前記チューブ、及び前記プローブの各々に結合された回転可能要素を備える、請求項11又は請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記針、前記チューブ、及び前記プローブの各々の遠位前進の速度は、前記回転可能要素に結合されたそのそれぞれの機械的連結の端部と前記回転可能要素の車軸との間の距離によって決定される、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記駆動機構は、前記針、前記プローブ、及び前記チューブを遠位に前進させるように第1の方向に駆動されるように動作可能である、請求項11から14のいずれかに記載のデバイス。
【請求項16】
前記駆動機構は、前記プローブを後退させるように、前記第1の方向と反対の第2の方向に駆動されるように動作可能である、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記駆動機構は、前記針を後退させるように前記第2の方向に駆動されるように動作可能である、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記チューブを前記デバイスに結合し、前記体腔内への前記チューブの挿入後に前記チューブを前記デバイスから分離することを可能にするように構成された結合要素を更に備える、請求項1から17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記結合要素は、前記体腔内への前記チューブの挿入後に前記チューブを前記デバイスから分離するように構成されている、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記結合要素は、前記体腔からの前記針の後退後に前記針の先端を覆うように構成されている、請求項18又は請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記デバイスは、半自動制御手段を提供する駆動機構を備え、前記機構は、前記機構内の力が、前記針、チューブ、及びプローブを安定した初期の使用前状態又は保管状態に維持するように均衡し、使用時に、前記力が変化して、前記プローブが前記腔に進入する際又はその後に前記プローブを前記チューブに対して前進させ、前記プローブを前記針に対して前進させるように配置される、請求項1から20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記患者の皮膚に接触して前記デバイスの本体と前記患者との間の空間的関係を維持するためのデータム要素(又は支持脚)を含む、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記データム要素は、駆動機構制御手段に動作可能に接続される、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
使用時に、前記駆動機構は、初期の組織係合状態において、又は前記プローブ、針及びチューブが前記腔への進入の前に組織の領域を通って前進する場合に、前記プローブと前記患者の前記皮膚及び/又は組織との接触を介して力(F
tissueと称される)を受け取る、請求項21から23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記制御手段機構は、前記機構の連結要素における力が、力(「F
tissue」)をもたらす前記プローブと前記組織との間の前記接触によって、前記初期の組織係合段階中に均衡するように配置される、請求項21から24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記機構は、駆動機構の前記連結要素における力が、前記腔への前記プローブの穿通中のF
tissueの減少によって不均衡になるように配置される、請求項24又は25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記プローブが前記腔に進入する際の前記組織力F
tissueの減少は、前記駆動機構に前記プローブを前記針に対して前方に前進させる、請求項25又は26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記機構の均衡要素のうちの少なくとも1つは、所望により弾性プラスチック材料要素から形成されたばねを備える、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記機構は、前記機構の前記連結要素における力の不均衡が、連結要素の移動を開始させ、これが次に、前記針、チューブ、プローブ及び/又はデータム(又は支持脚)から選択される接続された構成要素の前進の前記速度を支配するように配置される、請求項21から28のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記機構は、前記プローブ、チューブ、及び針に動作可能に接続され、前記腔へのそれらの進入後にそれらの相対的な前進を制御する制御ホイールを含む、請求項21から29のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項31】
前記機構は、前記チューブが完全展開状態に移動されるときに、又は移動されると同時に、又は移動された後に、前記針が後退されるように配置される、請求項21から30のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項32】
機構は、前記プローブを前記チューブに関連して相対的に迅速に前方に移動させるように配置される、請求項21から31のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項33】
前記機構は、前記プローブが前記腔内に前進するにつれて、前記針を前記チューブに関連して後方に移動させるように配置される、請求項21から32のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項34】
前記機構は、前記プローブの前記腔への進入時又は進入後に、前記針を前記チューブに対して後退させるように構成されている、請求項33に記載のデバイス。
【請求項35】
前記機構は、前記針が前記チューブに対して後退するときに前記針の遠位先端が前記チューブによって遮蔽されるように配置される、請求項34に記載のデバイス。
【請求項36】
前記機構は、前記プローブの前記腔内への進入後、前記プローブが前記チューブよりも速く前記腔を通って延在するように動作する、請求項21から35のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項37】
前記機構は、前記チューブが完全展開状態に移動されるときに、又は移動されると同時に、前記プローブをデバイス本体内に後退させるように配置される、請求項21から36のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項38】
前記機構は、力を印加するための少なくとも2つの力印加手段を含み、前記力印加手段は、機械的に連結され、前記プローブ、針、及びチューブを均衡のとれた使用前状態に維持し、前記プローブが前記腔と接触したとき又はその後に前記チューブに対する前記プローブの前記前進を制御し、前記針に対する前記プローブの前進を制御するように配置される、請求項21から37のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項39】
1つの力印加手段は、前記チューブが完全展開状態まで移動されるときに、又は移動されると同時に、又は移動された後に、針を迅速に後退させるのに十分に強力である、請求項38に記載のデバイス。
【請求項40】
前記力印加手段のうちの別の力印加手段は、前記プローブが前記腔と接触するか、又は前記腔に進入する前、及びその間に、前記チューブに対する前記針及び/又は前記プローブの相対位置を制御するのに十分に強力である、請求項39に記載のデバイス。
【請求項41】
前記力印加手段のうちの少なくとも1つは、ばねを備えるか、又はばねによって構成されている、請求項38から40のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項42】
少なくとも1つのばねは、プラスチック材料から形成される、請求項41に記載のデバイス。
【請求項43】
前記デバイスは、前記針が、前記針の直径の約2~6倍、好ましくは約5倍の距離だけ前記腔内に前進し、次いで停止する一方で、前記チューブが前記腔を通って前進し続けるように構成されている、請求項1から42のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項44】
使用時に、前記針は、ユーザによって手動で後退させられるか、又は手動で後退可能である、請求項1から43のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項45】
前記データム要素(又は支持脚)は、前記駆動機構の少なくとも1つの均衡要素を所望により提供する弾性の細長い部材から形成される、請求項12から44のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項46】
使用時に、前記デバイスは、前記患者に対して空間的な関係でユーザによって保持され、前記駆動機構は、前記針の前記腔への正常な進入の表示後に、前記ユーザによって起動され、それによって、前記プローブは、最初に、前記チューブよりも速く前進させられる、請求項44又は45に記載のデバイス。
【請求項47】
使用時に、前記針は、前記機構によって後退させられる、請求項7から46のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項48】
前記機構は、前記腔への前記チューブ及びプローブの進入後、前記チューブが前記腔に完全に又は正確に挿入されるまで、前記チューブが前記プローブよりも速く続いて前進されるように配置される、請求項1から47のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
【請求項49】
前記プローブ又は前記針とともに作用する前記プローブは、組織係合中に前記組織力F
tissueを前記機構に伝達するのに十分な剛性を有する、請求項24から48のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項50】
使用時に前記針を越えて延在する前記プローブの露出部分は、非直線状の腔内での前記プローブの移動を容易にするのに十分な可撓性を有する、請求項49に記載のデバイス。
【請求項51】
前記プローブの患者の組織に接触する端部は、鈍角である、請求項1から50のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項52】
前記プローブ及び針は、並んで配置される、請求項1から9又は11から51のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項53】
前記プローブは、前記針の外側に配置される、請求項1から9又は11から51のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項54】
前記デバイス本体は、ケーシングと、前記ケーシングに関連して移動可能なスライダユニットと、を含む、請求項21から53のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項55】
前記ケーシング及び前記スライダは、前記本体内に完全に後退させられたときに前記針を保持するように係止することができる、請求項54に記載のデバイス。
【請求項56】
前記後退させられた針は、クリップによって後退状態に保持される、請求項55に記載のデバイス。
【請求項57】
前記スライダユニットは、クリップによって前記チューブの接続端部に係合する、請求項38から54のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項58】
前記データム要素(又は支持脚)は、細長い可撓性部材を備える、請求項12から57のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項59】
前記データム要素(又は支持脚)は、取り外し可能な構成要素を備える、請求項12から58のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項60】
前記データム構成要素(又は支持脚)は、前記チューブの前記完全展開状態で前記チューブと係合する、請求項59に記載のデバイス。
【請求項61】
前記係合されたデータム構成要素(又は支持脚)は、前記チューブを患者に固定するための翼部又は他の要素を形成する、請求項60に記載のデバイス。
【請求項62】
前記プローブの相対的な鈍さ及び/又は前記針の相対的な鋭さは、前記針及びプローブが前記組織を通過する間に生じる力を制御するように選択される、請求項1から61のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項63】
前記プローブに接続されたピストンは、関連するシリンダ内で摺動し、フラッシュチャンバを形成する、請求項1から62のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項64】
直立要素又は翼形状のグリップは、前記支持脚(又はデータム)の遠位端に設けられて、前記針が手動で後退させられている間に、チューブを静止して保持する、請求項12から63のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項65】
前記腔は、静脈、動脈、頭蓋腔、脊椎腔、胸腔、心膜腔、胸膜腔、腹腔又は骨盤腔である、請求項1から64のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項66】
請求項1から65のいずれか一項に記載の片手で操作可能なデバイス。
【請求項67】
患者の体腔内にチューブを挿入するためのアプリケータデバイスであって、前記デバイスは、
プローブと、
前記体腔内に進入するように構成され、前記体腔内への前記チューブ及び前記プローブの進入を可能にするように構成された針と、を備え、
前記デバイスは、前記体腔内への前記プローブの進入後に、前記針、前記チューブ、及び前記プローブが前記体腔内で遠位に前進し、前記プローブが前記針を越えて遠位に前進するように構成されている、アプリケータデバイス。
【請求項68】
患者の体腔内にチューブを挿入する方法であって、前記方法は、請求項1から66のいずれか一項に記載のデバイス、又は請求項67に記載のアプリケータデバイス、及びチューブを提供することを含み、前記方法は、前記デバイス又は前記アプリケータデバイス及び前記チューブを、場合によっては患者の皮膚と接触させることと、前記針、チューブ、及びプローブが身体組織の領域を通過することを可能にすることと、前記プローブの前記腔内への進入後に前記プローブが前記チューブに対して前進することを可能にすることと、前記針を後退させることと、前記プローブを後退させることと、完全に又は正確に挿入された前記チューブを前記腔内に残すことと、を更に含む、方法。
【請求項69】
前記デバイスは、請求項46に記載のデバイスであり、使用時に、前記デバイスは、前記患者に対して空間的な関係でユーザによって保持され、前記駆動機構は、前記針の前記腔への正常な進入の表示後に、前記ユーザによって起動され、それによって、前記プローブは、最初に、前記チューブよりも速く前進させられる、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記患者は、カテーテルなどのチューブの正確な挿入を阻害する少なくとも1つの状態を有し、前記状態(複数可)は、肥満、比較的小さな血管、脆弱な血管、深層血管、虚脱血管、蛇行血管、皮膚の色、慢性疾患、静脈枯渇、又はリンパ浮腫のうちの少なくとも1つである、請求項68又は69に記載の方法。
【請求項71】
前記デバイス又はアプリケータデバイスは、人間のユーザが片手を使用して操作することができる、請求項68、69、又は70に記載の方法。
【請求項72】
ロボット機械によって実施される、請求項68から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
請求項1から66のいずれか一項に記載のデバイス、又は請求項67に記載のアプリケータデバイス及び関連するチューブは、ロボット機械によって保持される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記腔は、静脈、動脈、頭蓋腔、脊椎腔、胸腔、心膜腔、胸膜腔、腹腔又は骨盤腔である、請求項68から73のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイスの分野に関する。特に、排他的ではないが、デバイス、及び血管内カテーテル留置などの使用における針、ポート、カニューレ、又はカテーテルなどのチューブの挿入に関する。
【背景技術】
【0002】
カニューレ又はカテーテルは、薬剤を投与し、流体を排出し、又は外科用器具を挿入するために静脈又は体腔に挿入することができる細いチューブである。用語「カニューレ」及び「カテーテル」は、しばしば、交換可能に使用されている。本明細書では、「カニューレ」は、カテーテル導入針及び関連付けられた機構を含む医療デバイス全体を意味し、「カテーテル」は、導入針の周囲に同心円状に嵌合し、デバイスの導入針部分の抜去後に残る、チューブ(典型的には、プラスチック)のみを指す。次いで、カテーテルは、例えば、患者に薬剤を導入するか、又は患者から血液サンプルを採取するための導管として作用することができる。本明細書では、用語「静脈」及び「静脈性」は、静脈又は動脈を指すために使用することができる。用語「血管内カテーテル留置」は、当業者には、静脈内カテーテル留置及び動脈内カテーテル留置の両方を包含すると理解される。
【0003】
全入院患者の推定67%に末梢静脈カニューレ(PIVC)が挿入されており、これは、世界中の病院で実施される最も頻繁な医療処置となっている。米国では2014年に3億3000万本のカニューレ(又は米国で知られている「カテーテル」)が使用されている。
【0004】
成人の3分の1及び子供の半分は、静脈へのアクセスが困難であり、したがって高度に経験豊富なユーザがPIVCを挿入する必要がある。静脈へのアクセスは、血管のサイズ、その脆弱性、深さ、及び/又は虚脱の状態、又は蛇行を含む複数の理由で困難となる場合がある。他の要因として、皮膚色、慢性疾患、及び静脈枯渇、又はリンパ浮腫が挙げられる。更に、静脈内の弁又は接合部の存在は、カテーテルの挿入を妨害又は防止する可能性がある。これらの患者は、カテーテル留置での複数の痛みを伴う試み、診断の遅延、治療の開始の遅延、及び中心静脈へのアクセスへの潜在的な拡大に耐える場合がある。
【0005】
先進国における更なる問題は、人口の肥満のレベルの増加である。肥満患者に静脈内カテーテルを導入することはより困難であり、かかる患者の表在性静脈でさえも、患者の皮膚に対して深くなる可能性がある。
【0006】
PIVCを挿入する方法は、1880年代の発明以来、ほとんど変化していない。カテーテル留置の最初の試みの最大40%が失敗すると推定されている。カテーテル留置の複数の試みは、静脈炎、血栓症、及びカテーテル関連感染のリスクを増加させ、早期のデバイス故障につながる。
【0007】
概して、血管内カテーテルの挿入は、熟練した処置であり、血管を発見し、カニューレ導入針及びカテーテルを血管の近位壁を通して管腔内に導入するのに注意を要する。カテーテルの使用に伴う実際の問題は、Harty,E.Update in Anaesthesia p22 et seq.https://www.e-safe-anaesthesia.org/e_library/05/Peripheral_intravenous_cannulae_update_2011.pdfにおいて説明されている。この文献に記載されているように、静脈への針の挿入は、針内の血液の第1の「フラッシュバック」によってユーザに視覚的に示される。針を抜去した後、第2の血液の流れがカテーテル自体の中に見られ、概してカテーテルだけが静脈内にあることを示す。
【0008】
体腔内へのチューブの導入、特にPIVCの配置における失敗の一般的な原因として、過剰貫通及び過小貫通が挙げられる。血管内カテーテル留置の場合、上記のHarty,Eに記載された第1のフラッシュバックは、針が静脈の管腔にあることをユーザに警告する。針の先端からカテーテルの遠位端までの距離は、静脈の直径と同様に、約2mmである。フラッシュバックを見るとき、ユーザは、針の先端上でカテーテルを操作し、針を静止させたままカテーテルを前進させなければならない。これには通常、両手が必要となる。患者又はユーザのいずれかが移動した場合、又は操作が十分に熟練していない場合、針は、過剰貫通し、カニューレ針及び/又はカテーテルが血管の管腔内に留まるのではなく、遠位血管壁を非意図的に通過する可能性があることが理解されよう。あるいは、針は、過少貫通となる可能性があり、カニューレ針及び/又はカテーテルが血管の管腔を出て行くか、又は血管の管腔に到達することができずに、静脈壁の外側に沿って組織を通って前進させられる。過剰貫通及び過小貫通は、熟練したユーザの手先の器用さに依存する従来のカテーテル設計において、重大な問題となる。過剰貫通及び過小貫通は、周囲の組織及び器官への不必要な損傷、並びに不快なうち傷を引き起こす可能性がある。過剰貫通及び過小貫通は、依然として従来のカニューレを用いた血液の視覚的に明白な「フラッシュバック」をもたらし、ユーザを誤解させる可能性がある。
【0009】
血管内カテーテル留置のために概して使用されるカニューレは、比較的単純であり、Becton Dickinson Infusion Therapy ABによって製造されるBD Venflon Pro Safetyカニューレを含み、これは、カテーテルから針を取り外す際の二次的な針刺し損傷を回避するための特徴を含んでいる。
【0010】
別のカニューレが米国特許出願公開第2008/0300574号(BELSON AMIR)に開示されており、これは、従来の方法で同心カテーテルを支持する中空の導入針内に配置された金属ガイドワイヤを含む。使用時には、針を静脈の管腔内に挿入した後、ガイドワイヤを針の周囲内から静脈の管腔に沿って手動で延在させる。ガイドワイヤを針から延在させた後、カテーテルをガイドワイヤに沿って前進させる。カテーテルが完全に前進させられ、静脈の管腔に沿って延在すると、針及びガイドワイヤは、後退させられ、廃棄される。
【0011】
Arrow International,Inc.によって製造されたArrow QuickFlash Radial Arteryカテーテル留置セットは、動脈内カテーテル留置における片手操作を意図しており、これは、静脈内カテーテル留置よりも一般的でない処置である。カニューレは、ポリウレタンポリマーカテーテル内で移動可能な針を含む。所望によるガイドワイヤは、近位動脈壁を通して針を挿入した後、動脈の管腔に沿って手動で前進させられ、動脈を通してカテーテルを誘導することができる。
【0012】
米国特許出願公開第2004/0116864号(BOUDREAUX)は、使用前及び使用後に安全に遮蔽された針を有するカテーテル導入器アセンブリを開示しており、このアセンブリは、針の端部を保護するために中空針から延在させることができる細長い「鈍針」を含むが、全ての操作はユーザの手動制御下にある。
【0013】
米国特許第5,702,367号(COVER/BECTON DICKINSON CO)は、漏出、後退速度、及び再使用をより良好に制御することを意図したカニューレ設計を開示している。挿入針は、カテーテル留置後にデバイス内に後退するようにばね付勢される。針の後退は、ユーザによって手動で引き起こされる。この発明は、デバイスのユーザ体験を改善するために針の後退を制御することに関すると思われる。
【0014】
米国特許第5,330,432号(YOON)は、後退式安全貫通器具に関する。この開示の焦点は、過剰貫通の可能性を回避するために、体腔の貫通直後に自動針後退を達成することにある。導入針を遠位に付勢する1つのばねと、腔貫通時に針を迅速に後退させる別のより強力な後退ばねとを含む、器具の複数の実施形態が説明されている。後退ばねは、トリガ機構によって解放される。このトリガ機構は、確実に動作するように製造することが困難であり、使用中に許容できないほど激しく振動する傾向があり得る。米国特許第5,330,432号の
図8に関連して説明される一実施形態では、「安全プローブ」は、針内に配置され、
図8の実施形態の「安全プローブ」及び針の両方は、カニューレによる腔進入の直後又はその際に後退する。また、米国特許第5,330,432号のデバイスでは、ばねによって印加される力の均衡又は連動がないことにも留意されたい。更に、安全プローブは、針と同期して移動する。その実施形態における「洗浄」への言及から、器具が血管内カテーテル留置などの用途を意図していないことは明らかである。
【0015】
米国特許第5,415,177号(ZADINI)は、血管壁の貫通が感知されたときにガイドワイヤを遠位に移動させるための自動的に作動される手段を有する血管内カテーテル留置デバイスを開示している。実施形態は、ガイドワイヤの空気圧/真空又は磁気による前進を含む。これは、ガイドワイヤの自動前進の形態を提供するが、これは、本質的に比較的制御されておらず、プローブの位置の微細な制御がないと考えられる。
【0016】
米国特許第10,118,020号(AVNERI)は、センサによって検出された血圧などの生理学的パラメータに応答して、ガイドワイヤを自動的に前進させることに関する。センサは、圧力センサ、導電率センサ、流量センサ、超音波センサ、光電センサ、又は抵抗センサであり得る。国際公開第2013/142386号(AVNERI)は、ガイドワイヤの自動前進における圧力センサの使用に焦点を当てた同様の開示である。
【0017】
欧州特許第0653220号(PHASE MEDICAL INC)は、血管内挿入デバイスに関し、針は、カテーテル留置後にデバイス内に後退するようにばね付勢されている。針の後退は、ユーザによって手動で引き起こされる。
【0018】
国際公開第2016/187037号(BARD INC C R)は、伸長可能な針安全構成要素を含むカテーテル配置デバイスを開示している。
【0019】
米国特許第5,295,974号(O’LAUGHLIN)は、血管内カニューレを有する遮蔽された皮下注射針を開示している。
【0020】
技術的背景のみとして、欧州特許第0832663号(BECTON DICKINSON)は、患者の皮膚及び血管を貫通するために導入針を使用して、カテーテルを血管内に導入するための血管アクセスデバイスを対象とすることに留意されたい。所定の位置に配置されると、オペレータは、デバイス内に配置された起動手段を手動で起動させて、針の先端を越えて血管内に推進させることができる。国際公開第2008/005618号(VASCULAR PATHWAYS INC)は、摺動可能なアクセス針と、ユーザによって手動で移動されるガイドワイヤと、ガイドワイヤ及びアクセス針の一方又は両方を自動的に抜去するように構成される解放ボタンとを含む、静脈内カテーテル挿入デバイスを開示している。
【0021】
上記のデバイスは全て、導入針による過剰貫通又は過小貫通のリスクを最小限に抑えるために熟練した操作を必要とする。
【0022】
本開示の目的は、血管内カテーテル留置中の過剰貫通又は過小貫通のリスクを低減又は回避するデバイスを提供することである。
【0023】
本開示の更なる目的は、一旦位置が特定された静脈の中へのカテーテルの半自動挿入を提供することである。
【0024】
本開示の他の目的は、血管内カテーテル留置のためのデバイスを操作するために必要とされる技能の低減、静脈内にある間の針先端の保護、針の迅速な後退、又はデバイスが取り外された後の二次的な針刺しの防止のうちの少なくとも1つを含み得る。
【発明の概要】
【0025】
本開示の一態様によれば、患者の体腔内にチューブを挿入するためのデバイスが提供され、デバイスは、チューブと、プローブと、体腔内に進入するように構成され、体腔内へのチューブ及びプローブの進入を可能にするように構成された針と、を備え、デバイスは、体腔内へのプローブの進入後に、針、チューブ、及びプローブが体腔内で遠位に前進し、プローブが針を越えて遠位に前進するように構成されている。
【0026】
本開示のデバイスは、体腔の中へのチューブの挿入中の針の過剰貫通又は過小貫通の可能性を低減させることができる。特に、針を越えたプローブの遠位前進は、針による腔の過剰貫通のリスクを低減し、チューブの遠位前進を誘導する。体腔内への進入後のプローブの遠位前進はまた、遠位に前進させられたプローブが、体腔内への針及びチューブの遠位前進のためのガイドとしての役割を果たすことができるため、針による腔の過少貫通のリスクを低減させる。プローブを体腔内に進入させた後の針、チューブ、及びプローブの体腔内での遠位前進は、チューブを体腔内に遠位に前進させるためにユーザ側で必要とされる操作が少なくなることを意味する。必要とされるユーザ操作の量を低減することは、腔内に針を維持しながらチューブを遠位に前進させるためのユーザの手先の器用さへの依存が減少するため、過剰貫通又は過少貫通のリスクが減少する。
【0027】
本明細書では針について詳細に説明するが、用語「針」は、組織貫通における使用に好適な他の切断要素を包含する。
【0028】
体腔内へのプローブの進入後の体腔内での針、チューブ、及びプローブの遠位前進は、針(典型的には、ステンレス鋼などの材料から形成される)が、体腔内へのプローブ及びチューブの挿入のための剛性支持体として作用することを可能にし、それによって、例えば、チューブが体腔内で正しい方向に挿入されることを確実にする。加えて、3つ全ての構成要素(針、チューブ、プローブ)の遠位前進は、単純な機構が、構成要素の体腔内への遠位前進を駆動するために使用されることを可能にする。具体的には、これらの構成要素の各々が遠位に前進させられると、駆動機構を使用して、構成要素を連結し、構成要素の各々の移動を駆動することができる。構成要素(針、チューブ、プローブ)を連結し、それらの移動を駆動する駆動機構の使用は、構成要素が平滑な移動を使用して遠位に前進させられることを可能にする。
【0029】
本開示のデバイスは、初回チューブ挿入の速度を有意に増加させ、体腔又は身体組織傷害のリスクを減少させることができ、操作に必要とされる技能レベルを低減させることができる。チューブが従来のデバイス設計よりも頻繁に正確に挿入されることにより、治療を実装する際の遅延を少なくすることができる。
【0030】
本開示によるデバイスは、半自動制御手段を提供する駆動機構を備えることができ、駆動機構は、機構内又は機構上の力が、針、チューブ、及びプローブを安定した初期の使用前状態又は保管状態に維持するように均衡し、使用時に、力は、プローブを腔の中へ進入させる際又はその後に、プローブをチューブに対して前進させ、プローブを針に対して前進させるように変動するように配置される。用語「半自動」は、制御手段に関連して、制御手段、具体的には駆動機構が、チューブの挿入中にチューブ(例えば、カテーテル)に対するプローブ及び針の位置を制御するために、実質的にユーザの介入なしに機能することを意味する。用語「半自動」は、チューブの挿入後の針及び/又はプローブの自動後退にも関連する場合がある。かかる機構を含むデバイスは、デバイスの円滑な動作を向上させ、例えば、既知のデバイスと比較して、過少貫通のリスクを低減させ得るという点で有利である。
【0031】
本開示のデバイスは、正常なカテーテル留置ごとに必要とされるデバイスの数に関して大幅な節約、治療を実装する際のより少ない遅延、より少ない合併症、並びに/又は患者及び臨床医の両方にとってより良好な経験をもたらすことができる。本開示のデバイスは、正常なカテーテル留置ごとに必要とされるデバイスの数に関して、カニューレ使用のコストを低下させることによって、医療提供者にとって経済的に有利となり得る。本開示のデバイスは、合併症の発生率を低減させることができる。本開示のデバイスは、患者及び臨床医の満足度を高めることができる。本開示のデバイスは、ユーザのための訓練をそれほど必要としない可能性がある。本開示のデバイスは、二次的な針刺しのあらゆるリスクを低減することができる。本開示のデバイスは、静脈の中へ延在するプローブのより即時的又は確実な挿入を提供することができる。本開示のデバイスは、より即時的又は確実なフィードバックをユーザに提供することができ、このフィードバックは、静脈などの体腔内に延在するプローブからもたらされる。
【0032】
特許文献に記載された特定のデバイスで使用されるような機械的なトリガ機構を必要としないことによって、本開示のデバイスは、体腔内にチューブを挿入する際の動作がより円滑になり、例えば、より信頼性の高い血管内カテーテル留置をもたらすことができる。本開示の別の態様によれば、患者の体腔内にチューブを挿入するための請求項67に記載のアプリケータデバイスが提供される。これは本質的に、チューブを含まない本開示によるデバイスである。アプリケータデバイスは、本開示によるデバイスに関連して本明細書に開示されるようなチューブを挿入するために、カテーテルなどの従来のチューブとともに供給又は使用することができる。
【0033】
本開示の更なる態様によれば、請求項68に記載の患者の体腔内にチューブを挿入する方法が提供される。患者は、カテーテルなどのチューブの正確な挿入を阻害する少なくとも1つの状態を有し得、状態(複数可)は、肥満、比較的小さな血管、脆弱な血管、深層血管、虚脱血管、蛇行血管、皮膚の色、慢性疾患、静脈枯渇、又はリンパ浮腫のうちの少なくとも1つである。有利には、デバイス又はアプリケータデバイスは、ユーザの片手で操作することができる。本開示の方法は、ロボット機械によって実施されてもよい。例えば、この方法では、本開示によるデバイス、又はアプリケータデバイス、及び関連するチューブは、ロボット機械によって保持される。
【0034】
本開示の更なる態様によれば、
a)ユーザによって保持される本体と、
b)先端部を有する細長い導入針と、
c)血管の管腔(すなわち、患者の体腔の一例)に導入するための導入針に関連する細長いカテーテル(すなわち、チューブの一例)であって、接続端部及び先端部を有するカテーテルと、
d)導入針に関連する細長いプローブと、
e)針、カテーテル、及びプローブを安定した使用前状態に維持し、プローブが血管の管腔と接触したとき又は接触した後に、プローブをカテーテルに対して前進させるように構成された半自動制御手段(すなわち、駆動機構の一例)と、
を備える血管内カニューレ、並びに上述の血管内カニューレの使用方法が提供される。例えば、血管内カニューレは、血管を有する患者の血管内カテーテル留置に使用することができ、この方法は、血管内カニューレ又はカテーテルアプリケータ及び場合によっては関連のカテーテルを患者の皮膚に接触させることと、針を半自動制御手段の制御下で皮膚(又は組織)に進入させることと、プローブを血管の管腔に接触させた後にプローブをカテーテルに対して前進させることと、針を後退させることと、プローブを後退させることと、完全に挿入されたカテーテルを血管の管腔内に残すことと、を含む。
【0035】
ここで、本開示によるデバイス及びデバイスの動作方法が、単なる例として、以下の図面、
図1~
図71を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】血管を含む組織に関連して示される、初期の動作状態又は段階における本開示によるデバイスの立面図である。
【
図1A】初期組織係合状態又は動作段階で使用中の本開示による
図1のデバイスの斜視図である。
【
図1B】
図1のデバイスの水平長手方向断面図であり、係止解除状態にあるデバイスのスライダとケーシングとの間の係止配置を示す。
【
図2】カテーテルに対するカニューレ針及びプローブの相対運動を制御するためのプローブスプールを含む、デバイスの機構の一部をより詳細に示す分解図である。
【
図2A】
図2に示す組み立てられた機構の斜視図である。
【
図2B】
図1のデバイスの長手方向断面の斜視図である(初期組織係合状態)。
【
図2C】
図1のデバイスの一部の、部分的切断図を含む、詳細斜視図である。
【
図3】初期組織係合状態における
図1のデバイスの長手方向垂直断面図である。
【
図3B】
図1に示される初期組織係合状態においてプローブスプールに作用する力を示す概略自由体図である。
【
図3C】
図1に示される初期組織係合状態に関与する力の効果を示す、更なる概略図である。
【
図4A】使用の準備ができた
図1のデバイスを示す。
【
図4B】
図4Aに示される状態のデバイスの先端領域の詳細図である。
【
図5A】更なる動作段階の組織係合状態にあるデバイスを示す。
【
図6A】針、プローブ、及びカテーテルが静脈に進入するときの更なる動作段階におけるデバイスを示す。
【
図7A】更なる動作段階における
図1のデバイスを示す。
【
図7B】
図7Aに示される状態のデバイスの先端領域の詳細図である。
【
図8A】更なる動作段階における
図1のデバイスを示す。
【
図8B】
図8Aに示される状態のデバイスの先端領域の詳細図である。
【
図9A】更なる動作段階における
図1のデバイスを示す。
【
図9B】
図9Aに示される状態のデバイスの先端領域の詳細図である。
【
図9C】
図9Aに示された動作段階における係止状態のスライダとケーシングとの間の係止配置を示すデバイスの
図1Bと同様の水平長手方向断面図である。
【
図14】代替的なプローブ配置を示す、本開示による別のカニューレの詳細斜視図である。
【
図15】別のプローブ配置を示す、本開示による別のカニューレの詳細斜視図である。
【
図16】デバイスの針キャリア及び制御スプールを示す、本発明の第2の実施形態によるデバイスの特定の構成要素の斜視図である。
【
図17】
図16のデバイスの更なる構成要素を示す斜視図である。
【
図18】
図16のデバイスの更なる構成要素を示す別の斜視図である。
【
図19】
図16のデバイスの半自動制御機構の構成要素を示す別の斜視図である。
【
図21】患者の皮膚、組織及び静脈に関連して初期の使用状態における
図16のデバイスの長手方向断面図である。
【
図21A】
図21に示される状態において、
図16のデバイスの半自動制御機構の種々の構成要素に作用する力を示す概略図である。
【
図22】患者の皮膚、組織及び静脈に関連して後続の使用状態における
図16のデバイスの長手方向断面図である。
【
図22A】
図22に示される状態において、
図16のデバイスの半自動制御機構の種々の構成要素に作用する力を示す概略図である。
【
図23】患者の皮膚、組織及び静脈に関連して後続の使用状態における
図16のデバイスの長手方向断面図である。
【
図23A】
図23に示される状態において、
図16のデバイスの半自動制御機構の種々の構成要素に作用する力を示す概略図である。
【
図24】プローブが患者の静脈の管腔に沿って延在している後続の使用状態における
図16のデバイスの長手方向断面図である。
【
図24A】
図24に示される状態において、
図16のデバイスの半自動制御機構の種々の構成要素に作用する力を示す概略図である。
【
図25】カテーテルに対するプローブ及び針の後退が開始された後続の使用状態における
図16のデバイスの長手方向断面図である。
【
図25A】
図25に示される状態において、
図16のデバイスの半自動制御機構の種々の構成要素に作用する力を示す概略図である。
【
図26】デバイスのレール要素を主に示す、本発明の第3の実施形態によるデバイスの構成要素の斜視図であって、デバイスは、
図26では不完全に、
図32では完全に示されている。
【
図27】針キャリア及び針を含む、
図26のデバイスの更なる分離された構成要素を示す斜視図である。
【
図28】スライダを含む、
図26のデバイスの更なる構成要素を示す斜視図である。
【
図29】カテーテルを含む、
図26のデバイスの更なる構成要素を示す、別の斜視図である。
【
図30】デバイスの半自動制御機構のカムプレートを含む、
図26のデバイスの更なる構成要素を示す斜視図である。
【
図31】デバイスのハンドル/ケーシングを含む、
図26のデバイスの更なる構成要素を示す斜視図である。
【
図31A】
図26のデバイスの詳細図であって、デバイスが後の動作段階において延在状態にあるときのクリップの位置を示す。
【
図31B】
図26のデバイスの初期状態における、針と、カテーテルと、レールによって形成される溝との間の関係を示す、概略横断面図である。
【
図32】患者の皮膚、組織、及び静脈(断面で示される)に対する初期の使用状態又は使用段階における、
図26のデバイスの斜視図である。
【
図33】初期の使用状態における
図26のデバイスの長手方向断面図である。
【
図33A】
図33の状態にあるデバイスの機構における力を示す概略図である。
【
図34】後続の使用状態における
図26のデバイスの長手方向断面図である。
【
図34A】
図34の状態にあるデバイスの機構における力を示す概略図である。
【
図35】後続の使用状態における
図26のデバイスの長手方向断面図であり、静脈の管腔内でのプローブの延在を示す。
【
図35A】
図35に示される状態において、
図26のデバイスの半自動制御機構の種々の構成要素に作用する力を示す概略図である。
【
図36】後続の使用状態における
図26のデバイスの長手方向断面図であり、静脈の管腔内での針及びカテーテルの延在を示す。
【
図37】後続の使用状態における
図26のデバイスの長手方向断面図であり、カテーテルが静脈の管腔内に完全に延在した状態を示す。
【
図37A】
図26のデバイスの詳細図であり、
図37に示されるデバイスの状態におけるクリップの位置を示す。
【
図37B】
図37のデバイスの状態における針、カテーテル、及び溝の間の関係を示す、概略横断面図である。
【
図38】後続の使用状態における
図26のデバイスの長手方向断面図である。
【
図38A】
図26のデバイスの詳細図であり、
図38に示されるデバイスの状態におけるクリップの位置を示す。
【
図38B】
図38に示されるデバイスの動作状態又は動作段階における、針、カテーテル、及び溝の間の関係を示す、概略図である。
【
図39】本発明の第4の実施形態による、部分的に組み立てられたデバイスの主要構成要素の斜視図である。
【
図39A】
図39に示される構成要素のうちの一部をより詳細に示す、斜視図(部分的切断図を伴う)である。
【
図39B】
図39に示される構成要素のうちの一部をより詳細に示す斜視図である。
【
図39C】
図39に示される構成要素のうちの一部をより詳細に示す、斜視図(部分的切断図を伴う)である。
【
図40】デバイスの更なる構成要素を示す、
図39の部分的に組み立てられたデバイスの斜視図である。
【
図41】デバイスの更なる構成要素を示す、
図40の部分的に組み立てられたデバイスの斜視図である。
【
図42】使用の準備ができた組み立てられた状態にある、
図40の組み立てられたデバイスの斜視図である。
【
図42A】組み立てられたデバイスの一部の詳細な横断面図である。
【
図43】初期の使用状態における、患者に対する
図39~
図42Aの組み立てられたデバイスの長手方向断面図である(断面で示す)。
【
図44】後の使用段階における
図43のデバイスの更なる長手方向断面図である。
【
図45】後の連続的な使用段階における、
図43の組み立てられたデバイスの一連の更なる長手方向断面図である。
【
図46】後の連続的な使用段階における、
図43の組み立てられたデバイスの一連の更なる長手方向断面図である。
【
図47】後の連続的な使用段階における、
図43の組み立てられたデバイスの一連の更なる長手方向断面図である。
【
図48】後の連続的な使用段階における、
図43の組み立てられたデバイスの一連の更なる長手方向断面図である。
【
図49】後の連続的な使用段階における、
図43の組み立てられたデバイスの一連の更なる長手方向断面図である。
【
図50】使用中の
図43の組み立てられたデバイスのスライダ及びクリップの動作を示す一連の部分断面詳細図である。
【
図51】使用中の
図43の組み立てられたデバイスのスライダ及びクリップの動作を示す一連の部分断面詳細図である。
【
図52】使用中の
図43の組み立てられたデバイスのスライダ及びクリップの動作を示す一連の部分断面詳細図である。
【
図53】本開示の第5の実施形態による、デバイスの部分的に組み立てられた構成要素を示す、部分的切断図を伴う斜視図である。
【
図53A】本開示の第5の実施形態のデバイスの構成要素(主に、プローブ及び制御ホイール)の斜視図である。
【
図53B】本開示の第5の実施形態のデバイスの構成要素の斜視図である。
【
図54】部分的に組み立てられた状態における、本開示の第5の実施形態のデバイスの斜視図である。
【
図55】使用準備ができた状態の第5の実施形態によるデバイスの斜視図である。
【
図55A】デバイスの詳細を示す、
図55のデバイスの一部の横断面図である。
【
図56】カテーテルを患者の静脈に挿入する一連の工程における、本開示の第5の実施形態のデバイスの一連の長手方向断面図である。
【
図57】カテーテルを患者の静脈に挿入する一連の工程における、本開示の第5の実施形態のデバイスの一連の長手方向断面図である。
【
図58】カテーテルを患者の静脈に挿入する一連の工程における、本開示の第5の実施形態のデバイスの一連の長手方向断面図である。
【
図59】カテーテルを患者の静脈に挿入する一連の工程における、本開示の第5の実施形態のデバイスの一連の長手方向断面図である。
【
図60】カテーテルを患者の静脈に挿入する一連の工程における、本開示の第5の実施形態のデバイスの一連の長手方向断面図である。
【
図61】カテーテルを患者の静脈に挿入する一連の工程における、本開示の第5の実施形態のデバイスの一連の長手方向断面図である。
【
図62】カテーテルを患者の静脈に挿入する一連の工程における、本開示の第5の実施形態のデバイスの一連の長手方向断面図である。
【
図63】カテーテルを患者の静脈に挿入する一連の工程における、本開示の第5の実施形態のデバイスの一連の長手方向断面図である。
【
図64】本開示の第6の実施形態による、部分的に組み立てられたデバイスの斜視図である。
【
図64A】更なる構成要素を示す、
図64の部分的に組み立てられたデバイスの別の斜視図である。
【
図64B】更なる構成要素を示す、
図64の部分的に組み立てられたデバイスの別の斜視図である。
【
図64C】更なる構成要素を示す、
図64の部分的に組み立てられたデバイスの別の斜視図である。
【
図64D】更なる構成要素を示す、
図64の部分的に組み立てられたデバイスの別の斜視図である。
【
図64E】更なる構成要素を示す、
図64の完全に組み立てられたデバイスの別の斜視図である。
【
図65】カテーテルを患者の静脈に挿入する一連の工程における、本開示の第6の実施形態によるデバイスの一連の長手方向断面図である。
【
図66】カテーテルを患者の静脈に挿入する一連の工程における、本開示の第6の実施形態によるデバイスの一連の長手方向断面図である。
【
図67】カテーテルを患者の静脈に挿入する一連の工程における、本開示の第6の実施形態によるデバイスの一連の長手方向断面図である。
【
図68】カテーテルを患者の静脈に挿入する一連の工程における、本開示の第6の実施形態によるデバイスの一連の長手方向断面図である。
【
図69】カテーテルを患者の静脈に挿入する一連の工程における、本開示の第6の実施形態によるデバイスの一連の長手方向断面図である。
【
図70】カテーテルを患者の静脈に挿入する一連の工程における、本開示の第6の実施形態によるデバイスの一連の長手方向断面図である。
【
図71】カテーテルを患者の静脈に挿入する一連の工程における、本開示の第6の実施形態によるデバイスの一連の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の種々の実施形態によるデバイスの以下の説明では、構成要素の着色などの特定の実施形態に関連して具体的に説明される一部の特徴は、それらの他の実施形態に関連して具体的に説明されない場合でも、他の実施形態に適用可能であり得る。
本開示の実施態様は、カテーテルの形態のチューブが血管の形態の体腔内に挿入される血管内カテーテル留置を特に参照して以下に説明される。しかしながら、本明細書に説明されるデバイスはまた、他の形態のチューブを他の形態の体腔の中に挿入することも可能であり、したがって、本明細書に説明されるデバイスは、体腔の中へのチューブの挿入に対する一般的適用性を有することが理解されよう。例えば、本明細書に説明されるデバイスはまた、肋間ドレーン、心膜穿刺術、恥骨上カテーテル留置、胸腔内外科手術ポート部位挿入、及び腹腔内外科手術ポート部位挿入のために使用されてもよい。他の例は、当業者には明らかであろう。更に、本開示の実装形態は、ユーザによる動作を参照して以下で説明されるが、本明細書で説明されるデバイスはまた、ロボットによって動作され得ることが理解されよう。
【0038】
デバイス
本開示の第1の実施形態によるデバイス10が、単なる例として、
図1~
図15に示されている。通常の慣例によれば、デバイス10は、1回の使用のために無菌状態で供給される。
図1に示すように、完全なデバイス10は、主に、プラスチック材料から形成された手動で把持可能なスライダユニット12と、同様にプラスチック材料から形成され、スライダユニット12と摺動可能に係合されるケーシング13と、中空の金属導入針14と、針14の周りに同心円状に配置されたポリマー管状カテーテル16の形態のチューブと、を備える。デバイス10は、概して、導入針14及びカテーテル16が、患者の組織18の皮膚17を通して、血管、ここでは静脈24などの体腔の近位壁20を通して、その血管24の管腔22の中へ前進させられ、カテーテル16が血管24の中に正しく挿入されたままになるように、構築及び配置される。
【0039】
可撓性金属プローブ30(
図1では隠れている)が、
図1に示す構成で針14内に配置されている。
図2Cに示すように、プローブ30は、堅固に巻き付けられた金属ワイヤ(例えば、セルジンガーガイドワイヤのように形成される)から形成される。他の形態のプローブが想定され、該プローブは、組織力F
tissue(以下で参照される)を伝達するために長手方向に比較的剛性であるが、静脈などの血管内で展開されると、過剰貫通することなしにその血管内で移動することができる。プローブ30は、初期/組織係合状態にある間、長手方向に剛性であり、したがって、力を組織からデバイスの機構に伝達することが可能である部材を作成するように、種々の製造技術を使用して、ある範囲の材料から作製され得ることが理解されよう。プローブは、静脈の壁を穿刺するリスクを伴わずに、静脈に沿った非線形経路をたどることができるように、前進するにつれて可撓性になり得ることが想定される。これは、針の過剰貫通のリスクを低減し、カテーテルの前進を誘導する。必要とされるプローブ特性は、針内に保持される堅固に巻き付けられたワイヤによって達成される。これは、組織力(F
tissue)がプローブから機構に中継されて戻ることを可能にする。比較的剛性の針がなければ、プローブが座屈する可能性があるため、所望の結果を達成するためにこれらの構成要素間に相互依存が存在し得ることが当業者によって理解されるであろう。例えば、鈍端プローブは、ステンレス又はニチノールワイヤから形成されてもよい。巻き付けられたコイルは、以下に説明されるように、カテーテルのゲージに依存する針の管腔直径に従って、0.34~0.45m.m.の直径を有し得る。約0.3m.m.の直径が好ましい。より詳細には、
図1Aは、スライダ12が、スライダ12に対するユーザのグリップを向上させる後方グリップ26及び前方グリップ27を画定するように形成されることを示している。ケーシング13は、前方に延在してトラック13Tを形成している。対向するノッチ13Nは、
図1Bに関連して以下に説明されるように、スライダ12によって形成されるロッキングクリップ要素を係合するために、トラックの前方端部に向かってトラック13Tの内壁によって形成される。
【0040】
ポリマーカテーテル16は、概して従来の構造のものであり、(
図1Bに示すように)先端16Tで終端する細長いチューブと、カテーテル留置後に注入ラインへの接続を可能にする接続端部16CEとを備える。接続端部16CEは、リム16CERを形成する。カテーテル16の接続端部16CEは、従来の方法で薬物を注入するためのポート又は弁を含んでも含まなくてもよい。一体型又は閉鎖型システム、例えば、Becton Dickinson Nexiva(商標)閉鎖型カテーテルシステムなどの他のカテーテル設計が使用されてもよい。
【0041】
本実施形態では、プローブ30は、中空針14内に同心円状に配置され、針は、順に、カテーテル16内に同心円状に配置される。当業者は、かかる同心円状に配置された要素を用いて、他の並べ替えが可能であることを理解するであろう。一実施形態では、針及びプローブは、同心円状に配置されなくてもよく、代わりに、相互に並んで位置してもよい(
図14参照)。あるいは、本開示による本デバイス及び他のデバイス内の針は、プローブ内に同心円状に配置されてもよく、次いで、カテーテルは、カテーテル内又はその周囲でプローブの周囲に同心円状に配置される(
図15参照)。これらの配置のうちの一部において、及び実際には本開示による他のデバイスにおいて、針は、円形断面を有さなくてもよく、又は中空でなくてもよい。例えば、それは中実であってもよく、例えば外科用針のように切断面を備えていてもよい。プローブは、その遠位端で鈍角であってもよいが、針(又は切断要素)は、比較的鋭い。針(又は切断要素)は、皮膚/組織/その他を分割し、一方、プローブの鈍端は、血管の管腔内への穿通点まで、組織の抵抗力を機構に伝達することが理解され得る。
【0042】
図1Bはまた、非係止状態におけるスライダ12とケーシング13との間の係止配置、及びスライダによるカテーテル16の初期保持をより詳細に示している。スライダ12は、一対の細長い弾性クリップフィンガ12Fを含むように形成され、クリップフィンガ12Fはそれぞれ、内向き係止ラグ12LI及び外向き係止ラグ12LOで終端する。ケーシングトラック13Tの対向する内壁によって画定されるノッチ13Nは、後述するように、スライダ12及びケーシング13の係止状態において、対応する外向きのラグ12LOを受容するように配置される。
図1及び
図1Bに示され、以下に説明される初期状態では、内向きに面したラグ12LIの形態の1又は複数の結合要素が、カテーテルリム16CERに係合し、それを保持し、したがって、カテーテル16を拘束する。
【0043】
カテーテル16に対する針14及びプローブ30の移動を制御するための制御機構31(本明細書では駆動機構とも称される)の一部が、
図2、
図2A及び
図2Bに示されている。針14は、2つの針キャリア部分15A及び15B(
図2Aに示す)を含む針キャリア15によって保持される。針キャリア15は、針14を患者に向かって又は患者から離れるように移動させるために、スライダユニット12に関連して長手方向に移動可能である。機構31は、半径約10m.m.の刻み付きプローブスプール要素32の形態の回転可能要素と、プローブスプールキャップ33とを含み、これらはともにプローブスプールPSを形成し、プローブスプールPSは、車軸34上のホイール36、37と同じ軸の周りを回転するように取り付けられ、ホイール36、37は、プローブスプールPSよりも半径(r
wheel)が小さく、約5m.m.であり、車軸34の周りを回転するように取り付けられる。前出のHarty,E.によって説明されているように、カテーテルは、種々の異なるゲージで市販されている。したがって、当業者であれば、本発明による他のデバイスでは、カテーテルのゲージを通常のやり方に従って変更することができ、それに応じてプローブ及び針の直径を調整することができることを理解するであろう。プローブスプールキャップ33は、刻み付きプローブスプール要素32内に嵌合し、それぞれの協働する突起及び凹部によって、それとともに回転するように強固に保持される。プローブスプールキャップ33は、ホイール36、37よりもわずかに小さい直径の円形アーバー33Aを有する。アーバー33Aは、アーバーの表面から突出する歯33Tを有する。プローブスプールPSは、2つの針キャリア部分15A及び15Bの間で自由に回転する。プローブスプールPSは、時計型の主ばね38を取り囲み、その一端は、プローブスプール32によって形成された突起32Pに係合し、その他端は、ホイール36、37の中心に形成されたタング36T、37Tに係合する。したがって、主ばね38は、ホイールとプローブスプールPSとの間にトルクT
springを印加する傾向がある。トルクT
springは概ね一定である。プローブ30の近位端はまた、約10m.m.の半径を有する円形刻み付きプローブスプール要素32内のリム32Rの内側に嵌合し、その要素に固定され、それによって、プローブ30の近位端を回転可能要素に機械的に連結する。リム32Rの内側に保持されるプローブ30の近位端は、自然に巻き戻される傾向がある。半自動制御手段の一部を形成する機構31は、スライダ12上で長手方向に並進移動するように取り付けられ、スライダ12は、ケーシング13から延在するトラック13T上で長手方向に並進移動するように配置される。プローブスプールPSは、その回転がユーザに対して視覚的に強調され得るように、ケーシング13又はスライダ12に対して異なるように着色/パターン化され得る。これは、デバイスの動作の視覚的表示をユーザに提供することができる。カテーテル16に対する針14及びプローブ30の移動を制御するための機構31を接続する機械的連結(例えば、テープ又はストリング)が、特に
図2B及び
図3に示されている。ストリング又はテープは、制限された又は非伸縮性の材料で作られる。図示の実施形態では、例えばPTFE(テフロン(登録商標))製のテープが使用される。テープAは、後方に延在して、スライダユニット12の前方部分をプローブスプールキャップ33のアーバー33Aに接続する。具体的には、テープAは、一連の長手方向スロットLS(隠れている)を有し、そのうちの1つは、プローブスプールキャップのアーバー33A上の歯33Tに係合する。テープB1は、前方に延在して、スライダ12の後方部分をホイール36に接続する(ホイール36は、
図2Bでは隠れている)。対応するテープB2も同様に前方に延在し、スライダ13を他方のホイール37に接続する。主ばね38は、プローブスプールPSとホイール36、37との間のトルク(トルクT
spring)により、テープA、B1及びB2が張力を受けるように配置される。更なるテープCが、アーバー33Aの周りから、それが取り付けられている回転可能なホイール58を介してケーシングまで後方に延在している。テープCはまた、アーバー33A上の歯33Tに係合するように離間され寸法決めされた一連の長手方向スロットLSを有する。ホイール58は、ケーシング13上で回転するように取り付けられ、内部制御ねじりばね60(隠れている)によって付勢されて、取り付けられたテープCを張力がかかった状態に保持する。スライダ12の前方端部は、カテーテル16の後方端部16CEと係合し、カテーテル16は、スライダの前方端部によって画定された凹部内に受容される。
【0044】
図2Cに示すように、カテーテル16及び導入針14のそれぞれの前方端部は、ケーシングトラック13Tの前方端部に取り外し可能に固定されたバッファ56内に受容され、バッファ56によって支持される。バッファの主な機能は、患者の皮膚/組織17/18などの体表面に対して係合又は当接して、針14、プローブ30、及びカテーテル16の挿入中にデバイス10を静止状態に保持することである。このようにして、バッファ56は、デバイス10の動作のためのデータム(本明細書では支持脚とも称される)を提供する。より具体的には、バッファ56は、ケーシングトラック13Tの端部に形成されたフック13H(
図2Cでは隠れている)に引っ掛けられ、針14がバッファ56を通って延在している間、トラックに引っ掛けられた状態で保持される。
【0045】
例えば
図3に示すような安定した使用前状態では、プローブスプールPSに作用するトルクは均衡している。
図3Bに示す式は、時計主ばね38の結果として生じるテープA及びBの比較的大きな力が、テープCの比較的小さな力によって打ち消されることを示している。これは、ホイール36、37とアーバー33Aとの間の半径の差が小さいことの結果である。安定した使用前状態では、制御ねじりばね60によってテープC(F
controlspring)を介してプローブスプールキャップアーバー33Aに印加される張力は、実質的に一定トルクの時計主ばね38(T
spring)によって生成される比較的大きなトルクと均衡し、アセンブリは平衡状態で均衡している。この状態では、プローブ先端30T、針先端14T、及びカテーテル先端16Tは、
図3Aに示すように、概して、位置合わせされている。安定した使用前状態では、スライダユニット12は、トラック13Tの後端にあるバックストップにより、ケーシング13に対して後方に移動することができない。これは、テープCにおける少量の張力が上述の均衡を作り出すことを可能にする。
【0046】
更なる例示として、
図3Cは、レバーL(黒色でオーバーレイされている)によって概略的に表されている初期の使用前状態にあるプローブスプールPSを再び示している。この概略的なレバーLは、点Sを中心として枢動し、有効な枢動は、スライダ12に接続されたテープA及びBの連結によってもたらされることが分かる。プローブの有効な連結はPで示され、針14の有効な連結はNで示される。したがって、針14が矢印Dの方向に後方に押される場合、プローブ30は前進し、逆もまた同様であることが分かる。制御ばね60は、それに応じて収縮又は延在し、機構31を初期の使用前状態に戻す。
【0047】
カテーテル16を血管の中に、具体的には、皮膚17及び下層組織18を通して哺乳動物対象102の静脈24の管腔の中に導入する際のデバイス10の通常動作が、
図4から
図13に示され、以下の順序で説明される。
【0048】
図4A及び
図4Bに示すカニューレの初期の使用前状態では、スライダ12、ケーシング13、及び機構31は、図示のそれぞれの位置にあり、プローブ30は、針14及びカテーテル16内にあり、特に
図4Bに示すように位置合わせされている。カテーテル16の接続端部16CEは、上述したように内向きラグ12LIによって保持される。
【0049】
図5A及び
図5Bに示す組織係合状態では、導入針14の先端14Tは組織18に挿入され、バッファ56は組織18の表面、具体的には患者の皮膚17に当接し、デバイス10(より具体的にはケーシング13)を患者に対して静止した状態に保持する。このとき、カテーテル16の前方端部16Tも皮膚17に当接する。スライダ12がケーシング13/バッファ56に対して前進すると、針14が皮膚17及び組織18を切断し、テープCが回転可能なホイール58から巻き出され、制御ねじりばね60が、プローブスプールPSに印加される力(F
controlspring)を増大させることによってプローブスプールPSに付勢力を印加する。これは、プローブスプールPSを第1の方向、すなわち反時計回り(
図3B及び
図3Cの意味において)に回転させるが、この回転は、プローブ先端30Tと皮膚17(従って組織18)との間の接触によって抑制され、結果として力F
tissueをもたらす。
【0050】
図6A及び
図6Bに示すように、針先端14Tが静脈24の管腔22に侵入すると、組織からの力F
tissueが減少し、配置の均衡が乱される。プローブスプールPSは、付勢力(すなわち、制御ばね60によって引き起こされるテープCのテンション)によって反時計回りに回転され、これは、
図7A及び
図7Bに示すように、プローブ30をカテーテル16に対して遠位に前進させ、また、針先端14Tをカテーテル16に対して後退させる(言い換えると、カテーテル16は、針先端14Tの遠位前進に対して遠位に前進する)。
【0051】
その後、プローブスプールPSとプローブ30、針14及びカテーテル16との間の機械的連結を提供するホイール36、37及びプローブスプールPS(すなわち、プローブスプール32/プローブスプールキャップ33の組み合わせ)の相対的な半径は、プローブ30、針14及びカテーテル16の相対的な前進の速度を制御する。特に、プローブ30は、
図8A及び
図8Bに示すように、カテーテル16よりも速く静脈24の管腔22に沿って延在する。このプローブ30の延在は、針14が静脈24の反対側(遠位)の壁25を貫通又は延在するリスクを大幅に低減するか、又は防止する。加えて、それは、過少貫通、すなわち、静脈の外側の組織の中への針/カテーテルの挿入を防止することができる。更に、
図8Bにも示されるように、針先端14Tは、カテーテル16に対して後退し、前進するカテーテルによって迅速に覆われる。カテーテル16が完全に挿入されると、その接続端部16CEはバッファ56と係合し、協働する戻り止めによって構成要素を互いに強固にクリップ留めする。プローブスプールPSは、(
図9Aに示すように)テープAの端部がアーバー33Aの歯33Tから解放されるように、(
図3Bの意味で)反時計回り(すなわち、第1の)方向に十分に回転する。アーバー33AからのテープAの取り外しにより、配置の均衡がここで失われ、ホイール36、37が反時計回りに回転し(
図3Bの意味で)、プローブスプールPSが第2の方向、すなわち時計回りに回転し(
図3Bの意味で)、針キャリア15を含む機構31を後方に(
図3に示す向きで左に)引き、(
図12に示すように)針14をケーシング12の前方部分の内側に迅速に抜去する。
【0052】
図10Aは、テープAがアーバー33Aから解放され、機構31を後方に送るときに、テープC及びB1/B2がどのように引き継ぐかを示している。
図10Aにおいて、ホイール36、37は、スライダ内のトラック表面12T上を後方に移動している。
図11Aにおいて、ホイール36、37は、ケーシングのトラック上に移動している。更に、ホイール36、37が、テープB1及びB2がスライダ12に接続される点を通過したとしても、針キャリア15は、テープCにおける力がテープB1及びB2におけるよりも大きいため、後方に引っ張られ続ける。これは、
T
spring=F
TapeC.r
arbour=F
TapesB1&B2.r
wheel
によって表されるホイール36、37の半径と比較して、アーバー33Aの半径が小さいことによる。
【0053】
図9Cに示すように、スライダ12及びケーシング13は、外向きのスライダラグ12LOがケーシングトラック13Tのノッチ13Nと係合するように、相対的に移動している。したがって、スライダ12は、この相互係合によってケーシング13に対して係止状態で保持され、戻ることができない。ケーシングトラックのノッチ13Nとの外向きのラグ12LOの外向きの係合は、カテーテル16の接続端部16CEを解放する内向きのラグ12LIの効果を有する。
【0054】
図9Bにより詳細に示すように、カテーテル16の接続端部16CEは、バッファ56と係合して、2つの構成要素を一緒に係止する。
【0055】
図12Aに示す状態では、針キャリア15は、その最後方位置に移動している。この係止状態において、針14は、ケーシング13の境界内に安全に後退させられる。プローブ30はまた、針14内に後退させられる。テープCをプローブスプールPSに接続するホイール58には、主ばね38によって印加される力の下でホイールが回転し続けることがないように、端部制限が設けられる。
【0056】
図13Aに示すように、針を後退させると、バッファ56をフック13Hから外すことによって、バッファ56をケーシング13から簡単に取り外すことができるが、これは、針14が延在していたときには不可能であった。カテーテル16が正しく挿入されると(すなわち、そのように挿入されたカテーテルが「完全に展開」されると)、カニューレ10の他の構成要素は、次いで、従来の方法で安全に廃棄することができる。上述したように、バッファ56は、ここでは、バッファ内に受容されたカテーテル16の接続端部16CEに固定され、バッファは、ここでは、本質的に、カテーテル16(具体的には、接続端部16CE)を患者の皮膚17にテーピングして従来の方法で所定の位置に保持することを容易にする従来のカテーテル「ウィング」を形成する。バッファ56は、皮膚に対する滑りを低減するように設計することができる。例えば、バッファ56は、粘着性プラスチック材料(高度に可塑化されたPVCなど)で製造されてもよく、又は皮膚係合を増加させる突起(フックなど)を伴って物理的に形成されてもよい。他の実施形態では、バッファ56は、ケーシング13から分離可能ではなく、すなわち、ケーシングと一体的に形成され、カテーテルの挿入後にケーシング全体が取り外されて廃棄される。
【0057】
上述の機構では、プローブスプール、ホイール、及びテープ配置は、ばねとともに、カテーテルに対するプローブ及び針の動きを制御する「レバー」を効果的に作り出す。この所望の制御された運動は、既知のばね、ダンパ、レバー、及び歯車機構の異なる組み合わせを使用して、広範囲の異なる方法で生成することができる。例えば、説明されるプローブスプール、ホイール、及びテープ「レバー」は、単純な物理的レバーによって置換されてもよく、又はテープ及びホイールは、ラック及びピニオン、又は所望の運動制御を生成するために使用され得る他の公知の機械的デバイスと置換されてもよい。かかる代替の制御機構は、後の実施形態で説明される。
【0058】
図14は、本開示による別のカニューレ100の一部のみを示している。カテーテル100は、上述のカニューレ10とほぼ同じであり、バッファ560を通過する対応する針先端140T及びカテーテル先端160Tを含むが、プローブ130の端部が半鈍端130Tを有する点が異なる。プローブ130Tの端部は、プローブ上の先端によって、又はプローブに対する成形された端部によって形成されてもよく、針は、少なくとも針先端140Tに向かって三日月形であり、針及びプローブは、並んで位置する。プローブの相対的な鈍さ及び針の相対的な鋭さは、組織を通過する間に生じる相対的な力を制御するために変更することができる。
【0059】
他の構成も可能である。例えば、
図15は、本開示による別のデバイス200の一部のみを示している。バッファ256を通過する対応する針先端240T及びカテーテル先端260Tを含む、上記で説明されるデバイス10と概して同一であるデバイス200は、プローブ230が針240の外側に配置される点が異なる。
【0060】
別のデバイス
本開示の第2の実施形態によるカテーテル301の形態のチューブを挿入するための別のデバイス300が、
図16~
図25に示されている。この実施形態によるデバイス300では、第1の実施形態のテープは、ラック及びピニオン歯車の形態の機械的連結に置き換えられ、トルクばね及びローラは、単一の弾性ストリングの形態の機械的連結に置き換えられる。この実施形態によるデバイスは、製造がより容易であり得る。以下の説明から理解されるように、この実施形態の機構もまた、第1の実施形態で確立されたレバー原理を用いている。更に、この実施形態の機構はまた、第1の実施形態において確立された力を均衡させる原理を具現化する。デバイス300は、制御スプール302の形態の回転可能要素を備える駆動機構を含み、回転可能要素は、図示のように(例えば、
図16及び
図16Aの点線の輪郭で)形成されて、制御スプールの中心軸CA300からの半径が変化する螺旋溝をその周囲に提供する。例えば天然又は合成ゴムで作られた弾性ストリング303は、溝の端部に接続され、制御スプールの溝内に着座するように制御スプール302の周りに巻き付けられる。制御スプール302は、針311を保持する針キャリア308(第1の実施形態の針キャリア15に相当する)に取り付けられる。制御スプール302は、その中心軸CA300を中心に自由に回転する。
【0061】
図17に示すように、プローブスプール304は、制御スプール302に接続され、その結果、これらは、車軸304A上で一体として回転する。プローブスプール304は、前の実施形態のプローブスプール要素32に相当し、プローブ305の近位端が取り付けられる内部リム(第1の実施形態の特徴32Rに相当する)を有する。リム及びプローブ305は、この図では見えていないが、プローブ/プローブスプール配置は、第1の実施形態のものと同等である。プローブスプール304の半径は、この実施形態では約10mmである。プローブスプール304は、一体型の歯付き平歯車306要素を含み、ピン307がプローブスプール304の面から延在する。この実施形態(必ずしもそうではないが、他のプロファイルが企図されるため)では、平歯車306の半径は、プローブスプール半径と比較して小さい半径で始まり、プローブがプローブスプール304の内部リム内に位置するときにプローブによって画定される半径と同等又はそれよりも大きい半径で終わる対数螺旋の形状に従う。この実施形態では、プローブスプール304の内部リムは、約10mmの半径を有し、これは、その点でプローブによって画定される半径である。対数螺旋は、10mmよりはるかに小さく始まり、約10mm以上で終わることが理解されるであろう。
【0062】
図18に示すように、針キャリア308は、第1の実施形態と同様の方法でカテーテル301に係合するスライダ310(前述のスライダ12に相当)内に着座する。プローブスプール304上の対数平歯車306は、スライダの一部として一体的に形成された直線状の傾斜歯車ラック312と係合し、ラックアンドピニオン配置を形成する。弾性ストリング303は、スライダ310の後部に回転可能に取り付けられたローラ314の周りを通過し、次いで、弾性ストリング303に張力が存在するように、スライダ310の前方部分に接続される。
【0063】
図19に示すように、第1の平歯車316がプローブスプール304の車軸に取り付けられている。この第1の平歯車316は、プローブスプール304の隣接面から延在するピン307に対して作用する平歯車316内のスロット318によって画定される制限内で、プローブスプール車軸の周りを自由に回転する。対応する第2の平歯車319は、アセンブリの反対側に、制御スプール302から突出する同じ車軸上に取り付けられ、更なる平歯車319によって画定されるスロット320(図示せず)内で移動する制御スプール302上に形成された同様のピンによって、その回転が同様に制限される。スロット318、320は、デバイス300の中心面(この図では見えない)に対して鏡面対称である。スライダ310は、2つの部分からなる外側ケーシング322(第1の実施形態のケーシング13に相当)内で自由に摺動する。ケーシング322Lの左側が
図19に示されている。第2の平歯車319は、外側ケーシング322内に形成されたラック324Lに係合し、対隣壁は、ケーシング322の車軸内に画定された溝326内を移動する。同様に、第1の平歯車316は、右側ケーシング322R上の鏡像ラック324R(この図には示されていない)に係合する。
【0064】
右側ケーシング322Rを含む完全に組み立てられたデバイス300が
図20に示されている。
【0065】
一連の連続的な工程において、カテーテル301を組織330を通して静脈332の管腔331内に挿入するためのデバイス300の動作が、添付の
図21~
図25Aに示されている。初期の動作段階(第1の実施形態の
図4A及び
図5Aに相当する)を
図21に示している。針311、プローブ305、及びカテーテル301が組織330に挿入されると、プローブ305にかかる力(F
probe)は、弾性ストリング303の張力(F
elastic)によって均衡となり、プローブスプール304は、本実施形態のラック及びピニオン歯車配置を中心として効果的に枢動する。制御機構におけるこの均衡は、針311、プローブ305、及びカテーテル301が組織330を通って前進するときに維持される。この配置の利点は、ローラ314がスライダ310上で回転しているときに、弾性303の張力が組織切断又は前進段階中に一定のままである、すなわち、スライダ310が前進するにつれて力が増加しないことである。
【0066】
針311が組織330に進入する前に、
図21Aの概略図によって示されるように、プローブスプール304は、平歯車316内のスロット318の端部に対してピン307によって及ぼされる力によって均衡に保たれる。この状態では、スライダ310はケーシング322に対して逆転防止位置にあり、平歯車316はラック324Rに係合しているので回転することができない。スライダ310が組織330の中へ前進させられるにつれて、平歯車316は、反時計回りに(
図21の配向で)回転し、スロット318とピン307との間に間隙を生成することが理解されよう。これにより、均衡力をピン307からプローブ305に伝達することができる。
【0067】
静脈332の管腔331内への針311、プローブ305、及びカテーテル301の「穿通」段階(第1の実施形態における
図6Aの工程に相当する)は、
図22に見ることができる。針311、プローブ305、及びカテーテル301が静脈332の管腔331の中に穿通するにつれて、プローブ305にかかる力(F
probe)は、減少し、
図22Aに反映されるように、弾性ストリング303の張力(F
elastic)ともはや均衡しない。
【0068】
ここで、プローブスプール304は、(この図では)反時計回りの方向にラック及びピニオン歯車配置の周りを旋回し、
図23に示すように、スライダ310のラック312に沿って回転及び移動する。プローブスプール304が回転すると、プローブ305はカテーテル301に対して前進する。対数平歯車306の半径は、ラック312とのこの接続点におけるプローブスプール304の半径と比較して比較的小さい。これは、プローブ305がカテーテル301に対して迅速に前進することを意味する。針311は、概して第1の実施形態に関連して上述したように、カテーテル301に関連して後方に移動する。プローブスプール304が回転し続けると、弾性ストリング303は、上述したように、プローブスプール304に直接接続された制御スプール302の溝に沿って係合する。共通軸CA300からのこの溝の半径は、溝内の弾性体の有効半径がプローブスプール304上の対数歯車306の半径と同じになるまで増加する。この時点で、
図23Aに反映されているように、力は、プローブスプール304が回転を停止するように均衡する。しかしながら、平歯車316は、スライダ310がカテーテル301を静脈332の管腔331の中に前進させ続けるにつれて、回転し続ける。
【0069】
次の動作段階が
図24に示されており、
図24Aの概略図にも反映されている。スライダ310が前進すると、車軸は最終的にケーシング322Lの溝326の端部に当たる。この時点で、プローブスプール304は、スライダラック312と対数歯車306との係合によって駆動されて回転し続ける。この段階中、対数歯車306の半径は、プローブスプールの直径と比較して大きく、したがって、プローブ305の前進の速度は、穿通時よりも小さい。この配置の利点は、プローブ305がカテーテル301の端部よりも大きく前進しないことである(第1の実施形態の先の
図9Aと比較されたい)。あるいは、対数歯車306の形状は、カテーテルがプローブ305に「追いつく」ように配置され得、その結果、これらは、端部位置で位置合わせされる。スライダ310が端部位置に到達すると、対数歯車がラック312から係合解除され、先の実施形態においてテープAがアーバー33Aから解放されるのと同様に、針及び針キャリアが迅速に後退する。ローラ314は、ケーシングの両側に画定された溝の端部で回転するように移動することに留意されたい。これは、スライダ310が前進するにつれて、弾性ストリング303の張力を増加させる。この張力の増加は、針311が後退するために必要とされる。
【0070】
ここで
図25に示す状態を参照し、
図25Aの概略図も参照すると、対数歯車306がラック312から係合解除されると、プローブスプール304は非均衡になり、制御スプール302の周りで弾性ストリング303によって駆動されて時計回りに回転する。ピンは、平歯車のスロットに対して停止し、平歯車は、針キャリア308をケーシング内のラック324に沿って後方に駆動する。この結果、針311及びプローブ305がカテーテル301から後退する。次いで、デバイス300は、第1の実施形態に関連して概ね前述したように、カテーテル301から取り外される。カテーテルをスライダに保持するクリップは、前とほぼ同じように作用する。この実施形態では、ストリング303は、プローブスプール304によって均衡される力が、最初にスライダ310とともに移動するローラ314のために組織切断段階全体にわたってほぼ一定であり、次にケーシングに伝達されて次の針後退段階の張力を増加させるように配置されることに留意されたい。また、この実施形態では、変化する有効半径を有する対数歯車を使用することにより、プローブ305が、静脈内での穿通中に迅速に移動し、次いでカテーテル301に対して減速することが可能になることに留意されたい。これにより、端部位置においてカテーテルを大幅にオーバーシュートさせないプローブが得られる。
【0071】
更なるデバイス
カテーテルの形態のチューブを患者の血管に挿入するための更なるデバイス400、その構成要素、及びその操作方法が、
図26~
図38Bに示されている。第1の実施形態で確立された仮想レバー及び力の均衡の原理に依然として基づくこの実施形態では、第1の実施形態のテープの機能、又は上述の第2の実施形態のラック及びピニオン歯車の機能は、均衡力及び半自動制御機構の仮想レバーの両方を提供する可撓性プラスチックばねの形態の機械的連結に置き換えられる。可撓性の弾性プラスチックばねから仮想レバーを作成することは、歯車又はピンで連結された構成要素を使用することと比較して、特に円滑な動作を与える。前の実施形態の自動針後退機能は取り除かれ、針は手動で後退させられる。プローブスプールは、長手方向に移動するプローブ歯に対して作用するカム機構の形態の回転可能要素を備える駆動機構に置き換えられる。これらの特徴は、半自動制御手段の機構及びこの実施形態のデバイスの関連する製造コストを簡略化する。したがって、この実施形態は、製造及び組み立てがより容易かつ安価であり得る。
【0072】
デバイス400は、
図26に示される細長いレール構成要素402を含み、これはプラスチック材料から作製され、動作時に患者の皮膚と係合してデバイスのデータム(又は支持脚)を提供する前向き先端402Tを有する前部402FSと、デバイスの種々の可動構成要素が摺動する中間レール部402MSと、ボス403を支持する後方ばね部402RSとを備える。後方ばね部402RSは、名目上直線状に形成される(破線の輪郭によって示されている)。後方ばね部402RSの形状、厚さ、及び材料特性は、それが(実線の輪郭によって示されるような)所定の位置に曲げられたときに、ばね部がトルク(T
rear)を中央ボスに(示されるように反時計回りに)与えるようなものである。レール構成要素402は、単一の射出成形プラスチック(例えば、ナイロン)構成要素として
図26に示されるが、例えば、ばね鋼又はプラスチックでオーバーモールドされたばね鋼から作製することもできる。
図26に示すように、細長いレール構成要素402の構造には、ストップピン404及びノッチ405が含まれる。
【0073】
中空の導入針407を担持する針キャリア406が
図27に示されている。針キャリア406(第1の実施形態に関連して上述した針キャリア15と機能的に同様である)は、レール402上を緩やかに摺動するように配置される。針キャリア406はまた、針407の近位端に透明チャンバ409を含み、これは、針と流体連通しており、針407が患者の静脈に進入すると血液で満たされるため、「フラッシュチャンバ」を構成する。デバイス400は、第1の実施形態のプローブ30と同様の可撓性のコイル状ワイヤで作られたワイヤプローブ408を更に含む。プローブ408は、その近位端でその上にオーバーモールドされたプラスチック製の歯状要素410を有する。歯状要素410は、針キャリア406から後方に延在する後部レール412上を長手方向に摺動する。
図27に概して表されるデバイス400の初期状態に示すように、プローブ408は、その遠位先端408Tが針407の鋭い端部407Tとちょうど位置合わせされるように配置される。
【0074】
レール402に沿って長手方向に摺動するように取り付けられたスライダ414が、
図28に示されており、フラッシュチャンバ409の前方に配置されている。針407は、スライダ414内の中央ボス416によって画定された開口を通過するように配置される。スライダ414は、プレスされたばね鋼クリップ444(
図28では不明瞭であるが、
図31Aに詳細に示されている)の形態の結合要素を収容する。
【0075】
図29に示すように、カテーテル420は、スライダ414内の中央ボス416を覆って搭載され、後述されるばね鋼クリップ444を使用して、定位置にクリップ留めされる。カテーテルは、本質的に従来の構造である。カテーテル420の遠位端は、(
図31Bに詳細に示されている)レール402の前部の遠位端にある溝402G内に置かれている。カテーテル420の近位端は、成形プラスチック接続端部420CEを有する。
【0076】
図30に見られるように、左側カムプレート422は、カムプレート422及びボス403が
図30に示される針キャリアNCAの軸の周りを一体として回転するように、後方ばね402RSのボス403に接続される。対応する右側カムプレート424もボス403に取り付けられている。この右側カムプレート424は、左側カムプレート422を反映しており、軸NCAを中心として、それとともに回転する。カムプレート422、424は、ボス403に接続され、車軸ピン428を使用して固定される。車軸ピン428は、カムプレート422、424のそれぞれの外面から各側に突出し、ハンドル/ケーシング上のスロット430S(
図30には図示せず)内のデバイスの結果として得られる半自動制御機構を支持する。カムプレート424のカム面422CS及びカムプレート422のカム面424CSは、プローブ408に固定された歯状要素410から突出するピン461に対して作用する。
【0077】
図31に示されるユーザが把持可能なハンドル/ケーシング430は、レール402に沿って長手方向に摺動するように配置される。ここでは、ケーシング430の左側430LHが示されている。ハンドル430はスライダ402を収容し、2つの構成要素はクリップ444(
図31には図示せず)で接続される。カムプレート422、424及び後方ばねボス403を接続する車軸ピン428の一端は、ハンドル430によって形成されたスロット430S内に位置する。この配置は、車軸ピン428の他端に対して鏡映されている。カムプレート422,424、ボス403及び針キャリア406は、このスロット内で長手方向に摺動することができる。各カムプレート422、424は、それぞれ、関連する前方ばね422S、424Sを有する。各前方ばね422S、424Sの近位端は、関連するカムプレート422、424に接続される。各前方ばね422S、424Sは、その関連するカムプレート422、424の突出表面の周囲に巻き付けられ、前方ばね422S、424Sの遠位端は、ハンドル430の隣接する内側表面に固定される。前方ばね422S、424Sは、示されるように、それらのそれぞれのカムプレート422、424に時計回り(
図31に示すように)のトルク(T
front)を提供するように形成される。
【0078】
図31Aでは、上で言及した鋼製ばねクリップ444が、針407が通過する孔444Oを画定する直立プレート444Pとともに形成されているものとして、完全な陰影で示されている。クリップ444は、上方に延在し、下方に延在するフック444Hで終端する平坦な上面を形成するように屈曲するプレート444Pによってカテーテル420をスライダ414に接続する。プレート444Pの下部は、スライダ41に形成されたスロット414Sを通って下方に延在し、ハンドル430の対応するスロット430Sに係合する。これは、スライダをハンドルに接続する。クリップ444は、プレート444Pの両側に一対のばね脚部444SLを有し、これがスライダに下向きの力を印加して、孔444O及びフック444Hを備えたプレート444Pを上向きに付勢する。
【0079】
ハンドル/ケーシング430の右側430RHは、組み立てられたデバイス400の左側430LHに接続された位置で
図32に示されている。使用時に、ハンドル430は、右利きのユーザによって、人差し指をAに、親指をBにして把持される。本実施形態では、窓432が、所望により、ケーシング430内に含まれ、ユーザに、針ホルダ406内のフラッシュチャンバ409を通した視界を与え、したがって、静脈の管腔442の中への正常な針進入の後、針407を通して流動する血液を検出することができる。フラッシュチャンバ内の血液のこの視界は、ユーザに更なる快適さを与え得るが、デバイスの正確な動作のために必要ではない。レール402Tの前部は、患者の皮膚440に対して着座するように成形され、静脈442の管腔の中へのカテーテルの挿入中に、デバイス400の半自動制御機構のためのデータムを提供する。
【0080】
次に、カテーテル420を静脈442に挿入する際のデバイス400の動作について、動作中のデバイスの連続的な状態を示す更なる図面である
図33~
図38Bを参照して説明する。
図33に示される「初期」の状態又は動作段階では、レール402の前部の先端402Tがヒト患者の皮膚440に対して着座する。上述したように、この接触は、デバイス400の半自動制御機構にデータムを提供する。カテーテル420をスライダ424に接続し、スライダをハンドル/ケーシング430に接続するクリップ444は、クリップ「位置A」に見られる。位置Aでは(スライダ414がその初期位置からノッチ405まで移動する間)、クリップ444の上面はレール402の下面に沿って移動しており、これはクリップをばね脚部444SLに対して下方に保持する。したがって、プレート444Pの孔444Oは、針407から離れており、針が孔444Oの側面に接触することなく完全に円滑に摺動することを可能にする。クリップの上側フック444Hは、カテーテル接続端部420CEがスライダボス416から離れて前方に移動することを防止する。したがって、2つの要素は接続される。プレート444Pは、スライダのスロット414Sを通って下方に延在し、ハンドル/ケーシング430の対応するスロット430Sに係合し、2つの要素を接続する。最後に、位置Aでは、カテーテル420は、
図31Bに示すように、レールの前部402FSによって支持される。カテーテル420は、長手方向に円滑に摺動することができるように、レール402の前方部分の溝402Gを通過する。可撓性カテーテルチューブ420は、この状態ではカテーテルの管腔内の剛性針407がカテーテルチューブが絞り出されるのを防止するため、溝402G内に拘束される。
【0081】
図33Aに概略的に表されるように、カムプレート422、424は、後方ばね部402Rによって付与されるトルク(T
rear)が前方ばね422S及び424Sによって付与されるトルク(T
front)と均衡するため、
図33に示される段階において平衡状態に保持される。プローブ408の歯410から突出するピン461は、プローブ408の遠位端408Tが針407の遠位端407Tと位置合わせした状態で、カム面422CS、424CSに対して着座する。半自動制御機構(概してSACMとして示される)は、ハンドル430を
図34の矢印Aの方向に前方に押すことによってレール402に沿って前進させられる。レールの前方部分の先端402Tは、患者の皮膚440に対して着座し続け、機構にデータムを提供する。カテーテル420、針407、及びプローブ408は、次いで、皮膚440及び下層組織441を通して前進する。針キャリア406は、レール402に対して前方に移動する。これは、レールの後方ばね部402RSの形状を変化させ、(
図34に表されるように)T
rearを増加させる。T
rearはもはやT
frontに等しくなく、カムプレート422,424を(この図では)反時計回りの方向に付勢する傾向がある。しかしながら、皮膚440及び下層組織441に対して作用するプローブ408の鈍い近位端の力(T
force)は、
図34Aに反映されるように、プローブの長さに沿って伝達され、プローブ歯410を介してカムプレート422、424に伝達される。したがって、カムプレート422、424は、平衡状態にあり、回転しない。
【0082】
図35に見ることができるように、針407及びプローブ408が静脈442の管腔内に穿通すると、プローブ408の鈍い近位端408Tは、もはや組織441によって抵抗されず、プローブ力(F
probe)は減少する。
図35Aに示すように、T
rearはT
frontよりも大きく、カムプレート422、424はともに(この図では)反時計回りに回転する。関連するカムプレート422、424の周りに巻き付けられた前方ばね422S、424Sの形状は、カムプレートが回転すると、針キャリア406がハンドル430(スライダ424及びクリップ444などの組み合わせを介してカテーテル420に接続される)に関連して後方に移動するような形状である。カム面422CS、424CSは、プローブ408を前方に押し、ピン461に作用するカム面422CS、424CSの半径は、関連する前方ばね422S、424Sの半径よりも大きい。したがって、カムプレート422、424は、第1及び第2の実施形態の制御機構の動作と同等の方法で「仮想レバー」として作用し、その結果、針407がカテーテル420に対して後方に移動するにつれて、プローブ408が前方に移動する。関連するカムプレート422、424の周りの前方ばね422S、424Sの形状は、この仮想レバーにおける機構の移動速度を規定する。この実施形態では、前方ばね422S、424Sの形状は、プローブ408が静脈442の管腔内への穿通直後に比較的速く管腔内へと前方に移動するように配置される。
【0083】
図36に示すように、ハンドル430は、レール402に沿って前進し続ける。後方ばね402RSは、前方ばね422S、424Sの延在によってT
frontと均衡するT
rearを増加させながら後方に延在する。これは、針407が前進し続けるが、カテーテル420よりも遅いことを意味する。この動作段階では、前方ばね422S、424Sの有効半径は増加し、プローブボス403は、ここでは、一定の半径を有するカムプレート422、424の部分に沿って移動している。したがって、カテーテル420は、プローブ408に「追いつき」、次いで、プローブを越えて前進する。この動作は、可撓性カテーテルチューブ420が、後の前進段階の間、プローブ408を先導し、静脈又は血管弁などの静脈特徴の内壁に引っ掛かるリスクを低減させるという利点を有する。
図37に示すように、次の動作段階では、ハンドル430は、レール402上のその前方端部位置まで継続する。クリップ444は、
図37Aにより詳細に示すように位置Bに移動し、これは、スライダ414がレール402内のノッチ405に対して前方又は後方に移動することを防止し、また、スライダ414からハンドル/ケーシング430を分離する。位置Bでは、クリップ444の上面が跳ね上がり、レール402のノッチ405と係合して、スライダ414がレール402に沿って前方又は後方に移動するのを防止することが分かる。ここで、孔444Oを画定するプレート444Pの下縁は、針407の下面に載り、クリップ444が更に上方に跳ね上がることを防止する。クリップの上側フックは、カテーテル接続端部420CEがスライダボス416から離れて前方に移動することを依然として防止し、2つの要素は接続されたままである。最後に、位置Bの移動において、スライダのスロット414Sを通って下方に延在するプレート444Pは、上方に移動しており、ハンドル/ケーシング430の対応するスロット430Sにもはや係合しておらず、したがって、ハンドル/ケーシングは、スライダ414に対して後方に移動して針407を手動で後退させることができる。この実施形態のデバイスは、前の実施形態の自動針後退機能を有さず、針407は手動で後退されることに留意されたい。カテーテル420は、この状態では、静脈442に完全に挿入されており、針407は、カテーテルの距離の約半分だけ前進している。図示されていないが、プローブ408は、中空針407の管腔から延在するが、カテーテルを越えて延在しない。ユーザの他方の手は、使用時に、直立タグ446をレール402(
図38に示す)の前部に固定して保持し、ハンドル430を後方に迅速に摺動させて針407を後退させる。この動作は、カムプレート422、424を(
図37に見られるように)時計回りの方向に回転させ、これはまた、プローブ408を後退した針407内に後退させる効果を有する。このプローブの後退中、車軸ピン428は、最終的にハンドル430のスロット430Sの後端に当たる。
【0084】
ハンドル430は、
図38に示すように、ユーザが針キャリア406を後方ばね部402RS上で更に後方に押し進めることによって、後方に移動され続ける。針407の鋭い先端407は、クリップ444を越えて後退し、クリップは、
図38A及び
図38Bに示すように、位置Cに移動する。この位置Cの動作状態又は動作段階では、針407は、ここでは、スライダ414内に完全に後退されている。ここで、クリッププレート444Pは、針407の先端を越えて上方に移動することができ、クリップの上面は、ノッチ405内に完全に移動する。スライダ414は、ノッチ405に対して前方又は後方に移動することができない。クリッププレート444Pによって画定される孔444Oは、もはやボス416内の針孔と位置合わせされず、プレート444Pは、後退した針407が前方に移動することを防止する。したがって、針407は、スライダ414内で「安全」である。この時点で、クリップの上側フック444Hは、カテーテル接続端部420CEから解放され、デバイス400全体が後方に摺動することを可能にする。カテーテル420は、ボス416を係合解除し、レール402の前部は、カテーテル420からクリップ解除されることができる。
図38Bにより詳細に示される、前部における溝402Gの形状は、針407が後退させられるときにのみカテーテル420がデバイス400からクリップ解除され得るようなものであることに留意されたい。クリップ444の位置Cに関連して上述した移動は、ストップピン404が針キャリア406に当接することと一致する。上述したように、クリップ444は、針407が前方に移動するのを防止し、ストップピン404は、針407が後方に移動するのを防止する。したがって、針407は、ここで「安全」であり、その先端407Tは、スライダ414内で保護され、ユーザへの二次的な針刺しタイプの傷害を回避する。これにより、針407を含むデバイスを安全に廃棄することができる。この実施形態で使用される種々の有効半径を有する前方ばねは、プローブが静脈内への穿通中に迅速に移動し、次いでカテーテルに対して減速することを可能にすることが理解されよう。これにより、端部位置においてカテーテルを大幅にオーバーシュートさせないプローブが得られる。上述したように、可撓性の弾性プラスチックばねから仮想レバーを作成することは、歯車又はピン連結された構成要素を使用することと比較して、特に円滑な動作を与える。半自動制御手段の機構の簡略化された特徴は、この実施形態のデバイスの関連する製造コストを低減する。したがって、この実施形態によるデバイスは、製造及び組み立てがより容易かつ安価であり得る。
【0085】
更なるデバイス
第4の実施形態によるデバイス500が、
図39~
図52に示されている。このデバイスは、先の実施形態と同じ重要な構成要素、すなわち、針、プローブ、チューブ(例えば、カテーテル)、支持脚(データム)、及び、構成要素を連結する「仮想/有効」レバーに基づいて、静脈の管腔への穿通まで、穿通中、及び穿通後のこれらの構成要素の相対運動を自動的に制御する機構(例えば、駆動機構)を有する。特定の公知のデバイス設計において使用されるような「トリガ機構」は存在せず、この実施形態において言及される静脈などの体腔に進入する際の円滑な作用を生じる。この実施形態によるデバイスは、デバイスをよりコンパクトにし、製造においてより少ない材料を使用することができる可撓性データムの形態の支持脚を使用する。再び、この実施形態では、機構を制御し、二次的な針刺し安全性を可能にすることに関して複数の機能を提供する単一のばね鋼クリップの形態の結合要素が使用される。この実施形態によるデバイスは、一部の前の実施形態で使用されたテープ又はばねの代わりに、ラック及びピニオン歯車の形態の機械的連結を使用し、これは製造がより容易であり得る。この実施形態は、先の実施形態のプローブスプールを、使用中にカテーテルがプローブに「追いつき」、「追い越す」ことを可能にするように機能する、プローブに接続されたオーバーモールディングなどの要素の面に作用する単一の歯車歯又はカムで置き換える。この実施形態によるデバイスは、よりコンパクトであり、製造がより容易であり得る。それらはまた、使用においてより信頼性があり得る。
【0086】
図39に部分的に完成して示されるカテーテルデバイス500は、針502と、針502内で摺動するプローブ504(その先端は、針先端内にちょうど見える)と、ユーザが把持可能なハンドル507を形成し、概して508として指定される制御機構(又は駆動機構)を支持する「骨格付き」本体506とを備える。制御機構508は、ホイール510の形態の回転可能要素を含み、その車軸は、本体506によって形成されたトラック512L及び512Rに沿って移動する。ホイール510は、本体506の一部として形成された歯車ラック552Rに係合する平歯車522Rを有する。歯車522Rは、左側面522Lに鏡映されており、これは本体506の左側面上に形成された歯車ラック552Lと係合する。
【0087】
図39Aに示すように、針502の近位端は、針ホルダ514に接続される。プローブ504の近位端は、針ホルダ514のシリンダ516内で摺動するオーバーモールディング505を有する。ホイール510及び関連する歯車522は、針ホルダ内で自由に回転する。ホイール510の外部リムは、一端が、モールディング505に組み込まれた面に対して作用する単一の歯車の歯と同様のカム面510CSに形成されるように成形される。ホイール510が(図で見て)反時計回りに回転すると、それはプローブ504を針502に対して遠位に押す。モールディング505上のピン505Pは、外側リムの内側に作用して、歯車Bが時計回り(図で見て)に回転すると、プローブ504を近位に引く。モールディング505は、針ホルダ514のシリンダ516内に滑り嵌めされて自由に摺動することができるが、針の近位端からシリンダチャンバに入る血液(又は他の流体)は、このチャンバ内に収容される。したがって、シリンダ516はフラッシュチャンバとして機能する。
【0088】
ピン520L及び520Rは、歯車522L及び522Rの左右からそれぞれ突出し、ハンドル507に形成された対応するトラック512L及び512Rに対して移動する。これらのピンは、歯車522を歯車ラック552に対して正しい高さに位置決めし、したがって、アセンブリが上方に押し上げられるのを防止する。このため、ホイール510は、ラック552L、552Rに沿って前後に転動することができる。
【0089】
制御歯車521(
図39Bに示す)は、ホイール510のハブの周りを回転するように配置された平歯車からなり、また、偏心アーム521Aを有する。ワイヤねじりばね509の一方の脚部は、偏心アームと係合する。
図39Cに示すように、ホイール510は、制御歯車のハブが回転する中心車軸511を有する。ホイール510はまた、ホイール510の車軸の各端部に同一の平歯車522(右平歯車522Rが見え、左平歯車522Lが制御歯車521のすぐ後ろに見える)を形成する。ホイール510の車軸は、
図39Cの切断図に示すように、制御歯車521の偏心アーム521Aのための端部停止部を形成する外部リム510CSに接続される。ねじりばねの他方の脚部は、制御歯車521がホイール510に対して
図39Cの矢印の方向に付勢されるように、これらの停止部のうちの1つに対して作用する。
【0090】
図40に示すように、針502は、スライダ構成要素524によって形成された中央ボスを通過する。カテーテル526はまた、針502を覆って摺動し、カテーテル本体526Bは、スライダに当接する。ばね鋼クリップ528は、スライダ524内に位置し、スライダをカテーテル526に接続し、以下の図面を参照して説明されるように作用する。タグ528Cは、ばね鋼クリップ528から上方に突出している。
【0091】
図41に示すように、下部歯付き面を有する可撓性データム構成要素530が、ハンドル507内に形成されたトラックに挿入される。トラックは、可撓性データム530がハンドルの後部から出るように、ハンドル507を通して、制御歯車521の上部を越えて可撓性データムを誘導する。
図41のホイール510の切断図は、ラックアンドピニオンと同様に、制御歯車521の平歯車521SGの歯と係合する可撓性データム530の下面に沿った歯車の歯を示している。可撓性データム530の前方部分は、スライダ524構成要素を通過し、カテーテルに沿って延在する。データム構成要素530の下側に沿って移動する溝530Gは、ばね鋼クリップによって形成されたタグの上部の上に位置する。データム構成要素530の側部にはスロット530が形成されている。端部停止部530Xは、データム構成要素530の各側から突出している。
【0092】
図42に示すように、使用のためにデバイスを組み立てるために、スライダ524が後方に押され、スライダの溝がハンドル507に形成された肩部と係合する。
【0093】
データム530の遠位端にあるクリップ532は、
図42Aの断面図に見られるように、カテーテル526の上に押し嵌めされる。カテーテル526は、データム530の下側の溝530G内に着座する。このクリップ532は、患者の皮膚に当接するように設計されており、デバイスのデータムとして機能する。こうして組み立てられたデバイス500は、使用する準備ができている。デバイス500を使用して患者の静脈にカテーテルを挿入する一連の工程を、
図43~
図52を参照して説明する。
【0094】
図43に示すデバイス500の初期状態では、制御歯車アーム521Aは、ホイール510に形成された停止部510Sに対して着座している。針先端502Tが患者の組織540に進入すると、プローブ504は針502の端部と位置合わせされる。データム530の端部は、患者の皮膚538に当接する。
【0095】
図44は、組織540を通る針、プローブ、及びカテーテルの前進を示している。ハンドル507は、前方に押され、カテーテル526、針502、及びプローブ504は、患者の組織540を通って一緒に前進する。データム530は、患者の皮膚538に当接したままであり、したがって、データムの可撓性の歯付き後部530RSは、ハンドル507を通って後方に移動する。これは、制御歯車521を反時計回りに(示されるように)回転させ、アーム521Aを停止部から離れるように持ち上げ、ねじりばね509(図示せず)の対抗力を増加させる。これは、ホイール510を反時計回り方向に付勢するが、遠位プローブ端504が組織540と係合され、プローブが、モールディング505を通してホイール510のカム面510CS上に力を伝達し、回転を防止するため、回転することができない。したがって、ホイールは、
図44Aの自由体図に示すように平衡状態にある。したがって、カテーテル526、針502、及びプローブ504は、組織540を通って一緒に前進する。
【0096】
図45は、使用の「穿通」段階を示している。針502が静脈542の管腔541内に穿通すると、組織540からプローブ504の端部への対抗力が減少する。ここで、ねじりばね509は、ホイール510を(図示のように)反時計回りに回転させ、プローブ504を針502に対して前方に押す。ホイール510が回転すると、針ホルダ514は、平歯車521SGの歯と係合する可撓性データム530の下面に沿った歯車の歯によって形成されたラックアンドピニオンにより、ハンドル507に対して後方に移動する。(プローブモールディング505を押す)ホイール510のカム面510CSの有効半径は、(ハンドル507上のラック552と係合する)平歯車522の半径よりも大きい。この有効レバー長の差は、カテーテル526に対する針502及びプローブ504の動きを制御する。プローブ504が管腔に沿って前進するにつれて、針502はカテーテル内に後退する。
【0097】
図46は、ユーザがカテーテル526を静脈542内に更に押し込むことによって、ハンドル507が前進させられ続ける、静脈内への前進の段階を示している。細長いデータム530は、ハンドル507を通って後方に移動し続け、制御歯車521を(図で見て)反時計回りに回転させる。ねじりばね509は、ホイール510を回転させ続け、その結果、制御歯車のアーム521Aは、リムの端部停止部に戻り始める。したがって、針502は、カテーテル526に対して後方に移動し続ける一方、プローブ504は、カテーテル526に対して前方に移動する。
【0098】
図47は、カテーテル526が静脈542の管腔541内に完全に前進した状態の終了位置を示している。歯車522がラック552に沿って後方に転動するにつれて、針502がカテーテル526に対して後退し続ける一方で、プローブモールディング505は、ここでは、一定の半径を有するホイール510のリムの一部に沿って移動しており、したがって、もはや針502に対して前進しない。これは、カテーテル526が、挿入及び前進段階の終わりに向かってプローブ524を「追い越す」ことを意味する。制御歯車521のアーム521Aは、ホイール510の端部停止部に到達している。データム530は、データムに形成された端部停止部530Xが、データムが更に後方に移動することを防止するスライダに形成された溝に係合するように、ハンドル507を完全に後方に通過している。データム530の溝内のスロット530は、ばね鋼クリップ528上のタグ528Cと位置合わせされる。ばね鋼クリップ528の作用は、この時点でスライダ524をデータム530と係合させ、後の図面でより詳細に説明するように、スライダが後方に移動することができないようにする。データム530の端部上のクリップ532はまた、それを上向きに押すカテーテル本体526Bの楔形端部によって、カテーテル526からクリップ解除されるように強制されている。
【0099】
図48は、「後退」段階を示している。カテーテル526及びデータム530の端部が患者に対して静止して保持されると、ハンドル507は迅速に後方に移動される。スライダ524は、この時点でデータム530に接続されており、後方に移動するにつれてハンドル507から滑り落ちる。ハンドル507が後方に移動すると、可撓性の細長いデータム530がハンドル507を通過する。これは、制御歯車521及びホイール510を時計回りに(示されるように)回転させ、プローブ504を針502内に後退させる。この時点で、細長い可撓性データム530は、制御歯車521の最後の歯に到達し、データムの尾部は、制御歯車の円滑な部分を通過する。ハンドル507は、データム530上の端部停止部530ESが制御歯車521に当接するまで後方に移動し続ける。この時点で、針502は、スライダ524内のばね鋼クリップ528の後方に完全に後退しており、ばね鋼クリップは、後でより詳細に説明するように、針502がスライダに対して前方に移動するのを防止するように作用している。針先端は、ここで、完全に延在されたデータム530によって定位置に保持されるスライダ524内で安全である。
【0100】
図49は、取り外し工程を示している。針502がばね鋼クリップ528の後方を通過すると、クリップは、カテーテル本体をスライダ524から解放するように作用する。
【0101】
ここで、デバイス500の残りの部分をカテーテル526から取り外し、安全に廃棄することができる。
【0102】
次に、上記の順序でのスライダ524及びクリップ528の動作を、
図50~
図52を参照してより詳細に説明する。上述したように、スライダ524は、ばね鋼プレスから作られたクリップ528を含む。クリップ528は、針502が通過するノッチ528Nを有するプレート528Pを有するように形成されている。クリップ528は、プレート528Pを右に付勢する横向きの力を及ぼす「Z」字形のばね脚部を有する。プレート528Pは、カテーテル本体526Bのリム上に接続するフックを形成するように屈曲する。
【0103】
タグ528Cは、このフックから上方に延在している。
【0104】
ばねクリップ528は、以下のような3つの動作段階を有する。
【0105】
クリップ位置Aは、
図50に示されており、スライダ524がその初期位置からデータム溝530G内のスロットまで移動する間に生じる。この位置では、クリップのタグ528Cは、データムの下側に形成された溝530G内を移動している。これは、クリップが右に跳ねることを防止する。したがって、プレート528P内のノッチ528Nは、針502のクリアランス内にあり、針がノッチに接触することなく完全に円滑に摺動することを可能にする。クリップのフック528Hは、カテーテル本体526Bがスライダ524のボスから離れて前方に移動することを防止する。したがって、2つの構成要素は接続される。
【0106】
図51は、スライダ524が終了位置にあるときに取られるクリップ位置Bを示している。この位置において、データム530上の停止部530Xは、スライダ524内の溝と係合する。タグ528Cは、データム溝530Gを横断して延在するスロット530と位置合わせされ、したがって、プレート528Pは、ここで、プレート内のノッチ528Nが、ここで、針502に対して静置するように、右に移動することができる。クリップ528のこの小さな移動は、タグ528Cがここではデータム520の横方向スロット530内にあり、したがってスライダ524がデータム530に沿って前方又は後方に移動するのを防止することを意味する。クリップ528のフック528Hは、依然として、カテーテル本体526Bがスライダ524のボスから離れて前方に移動することを防止する。2つの構成要素は接続されたままである。
【0107】
図52は、スライダが終了位置にあるクリップ位置Cを示している。
【0108】
ここで、針502は、スライダ524内に完全に後退している。ここで、プレート528Pは、針502の先端を越えて完全に右に移動することができる。ノッチ528Nは、もはやボス内の針孔と位置合わせされず、プレート528Pは、針502が前方に移動することを防止する。停止部530Xは、スライダ524がデータム530に対して前方に移動することを防止する。したがって、針502は、スライダ524内で「安全」である。クリップ528のフックは、カテーテル本体526Bから解放され、デバイス500全体が後方に摺動されることを可能にし、ボスから526を係脱する。
【0109】
上述のように、この実施形態によるデバイスは、複数の利点を有することができる。特定の公知のデバイス設計において使用されるような「トリガ」機構が存在しないため、これは、静脈に進入する際に円滑な作用を有する。可撓性データムは、デバイスをよりコンパクトにし、製造においてより少ない材料を使用することができる。一部の先の実施形態で使用されたテープ又はばねの代わりに、ラック及びピニオン歯車を使用することは、製造がより容易であり得る。この実施形態によるデバイスはまた、使用においてより信頼性があり得る。
【0110】
別のデバイス
別のデバイス600が
図53~
図63に示されており、概して言えば、前の実施形態と同じ重要な構成要素、すなわち、針、プローブ、チューブ(例えば、カテーテル)、支持脚(例えば、データム)、及び、構成要素を連結する有効なレバーに基づいて、静脈の管腔への穿通前、穿通中、及び穿通後にこれらの構成要素の相対運動を自動的に制御するための機構(例えば、駆動機構)を有する。米国特許第5330432号明細書に記載されているような一部の既知のデバイスとは異なり、トリガ機構がなく、その結果、体腔に進入する際に、すなわち静脈の場合に、より円滑な動作がもたらされる。この実施形態はまた、デバイスをよりコンパクトにし、製造においてより少ないプラスチック材料を使用する可撓性データムの形態の支持脚を使用する。更に、この実施形態はまた、一部の以前の実施形態で使用されるテープ又はばねの代わりに、ラック及びピニオン歯車の形態の機械的連結を使用し、したがって、製造がより容易であり得る。この実施形態と前の実施形態との間の主な違いは、管腔内への穿通時に、針が、針の直径の約5倍の距離だけ遠位に前進し、次いで、データムに対して停止することである。カテーテルは、管腔内に延在し続ける。これにより、針は、カテーテルの関連部分が組織によって取り囲まれている領域においてカテーテルの関連部分を支持するのに十分に前進することができるが、針は、経路がより湾曲したり蛇行したりする可能性のある静脈の管腔内に不必要に入り込むことはない。対照的に、前の実施形態では、針は、管腔内への穿通後に前進し続けるが、カテーテルよりも遅い速度である。
【0111】
図53に詳細に示すように、本体602は、ハンドル構成要素604を形成する。ハンドルは、針606及び針ハウジング608のシリンダ610の上方にある。ハンドル604は、ユーザの親指及び人差し指のための前方及び後方グリップを形成する。歯付きトラック612Tを形成する可撓性の細長いデータム612は、図示のようにハンドル604から後方に延在する。トラック612Tの歯は、データム612の一端に向かってトラック表面の一部に成形される。更に、データム612に沿って、中間停止部612Sがトラック612Tの側部から横方向に延在する。歯車歯の後のデータムトラックの部分において、溝612Gがトラックの下側に形成されている。長手方向スロット612は、この溝の一部に形成されている。更なる端部停止部612ESは、スロット612-を越えて形成される。データム612の端部には、翼形状のグリップ618WGが形成されている。制御ピン614は、トラック612の側部から横方向に延在し、制御ホイール616によって提供されるカム面と係合する。
【0112】
図53Aにより詳細に示されるプローブ620は、前の実施形態と同様に可撓性のコイル状ワイヤからなる。プラスチック射出成形構成要素622は、コイル状ワイヤプローブ620の近位端上にオーバーモールドされる。この構成要素622は、円筒形ピストン部分622Cと、リンクアーム625により相互に接続された制御ホイール624とからなる。制御ホイール624は、(
図53Aに示すように)歯車歯624GTを提供するように形成される。制御ホイール624とシリンダ部622Cとを接続する細長いリンクアーム625は、比較的厚いが、各端部において非常に薄い部分に向かってテーパ状になっており、可撓性ジョイントを形成している。ねじりばね628は、制御ホイール624のハブ内に収容される。
【0113】
図53Bに示すように、プローブ620は、前方に突出する鋭利な針606上にオーバーモールドされた針ホルダ608内に収容される。プローブ620は、針606内で自由に摺動する。針ホルダ608はシリンダ610Cを形成し、その中でピストン622Cも摺動する。制御ホイール624は、針ホルダ608から突出する車軸624Cに取り付けられる。制御ホイール624は、車軸624C及びねじりばね628を中心に回転することができ、制御ホイールを矢印で示す方向に付勢する。ガイド及びトラック608G1、608G2、608G3、及び608G4は、針ホルダ608によって形成される。
【0114】
図54に示すように、本体602は、針ハウジング608の上を摺動する。可撓性データム612は、針ホルダ608によって形成されたガイド及びトラック608G1、608G2、608G3、及び608G4、並びに本体602内のガイドに嵌合するように、機構内に螺入される。ここで、トラック612Tの歯は、針ホルダ608に取り付けられた制御ホイール624の真上に位置する。ここで、データムトラック612Tの前方部分は、針606の上方で前方に移動する。
図54はまた、針606がスライダ構成要素630内の中央ボス630Bをどのように通過するかを示している。ばね鋼クリップ632は、スライダ630内に位置し(
図54ではスライダから取り外されて示されているが)、スライダをカテーテル632に接続し、概して、前の実施形態に関連して上述したように作用する。タグ632Tは、ばね鋼クリップ632から上方に突出し、可撓性データムトラック612Tの下面上の溝612G内に位置する。
【0115】
図55は、完全に組み立てられたデバイスを示している。可撓性データム612の遠位端に形成されたデータムグリップ618は、カテーテル634上に押し嵌めされる。
図55Aは、カテーテルがデータムグリップ618によってどのように保持されるかを断面で示している。
【0116】
図56に示す「初期」状態又は動作段階では、ねじりばね628は、制御ホイール624を図示のように反時計回りに付勢する。この回転は、制御ホイール内に形成されたノッチ内に着座する可撓性データムトラック612T上の中間停止部612Sによって防止される。可撓性トラック612T上の制御ピン614は、制御ホイール624に形成されたカム面に係合される。データム612の遠位端にあるデータムグリップ618は、患者の皮膚640に当接する。
【0117】
患者の組織642を通る「前進」段階が
図57に示されている。針606の先端は、患者の組織642に進入し、プローブ620は、針の端部と位置合わせされる。ハンドル604は、前方に押され、カテーテル634、針606、及びプローブ620は、患者の組織642を通って一緒に前進する。データム612は、患者の皮膚640に当接したままであり、したがって、データムの可撓性トラック部612Tは、スライダ630、ハンドル604、及び針ホルダ608の上部ガイドを通って後方に移動する。これにより、中間停止部612Sが後方に移動して、制御ホイール624のノッチとの係合が外れる。ここで、制御ホイール624は、(図示のように)反時計回りに自由に回転する。しかしながら、制御ホイール624は、プローブ620の端部が組織/皮膚640及び642と係合され、プローブがピストン622C及びリンクアーム625を通して制御ホイール624の外側リム上に力を伝達するため、回転することができない。ハンドル604は、カム面と係合する制御ピン614に直接接続されている。これは、ハンドル604とともに針ホルダ608を引く。したがって、カテーテル634、針606、及びプローブ620は、組織642を通って一緒に前進する。
【0118】
「穿通」段階(
図58に示される)では、針606が静脈646の管腔644の中に穿通するにつれて、組織642(F
tissue)からプローブ620の端部への対抗力は、減少する。ここで、ねじりばね628(図示せず)は、制御ホイール624を反時計回りに(図示のように)回転させ、プローブ620を針606に対して前方に押すことができる。これは、鋭利な針606から静脈646の壁を保護する。カム面は、制御ピン614から離れて回転するのに十分な空間があり、制御ホイール624の歯車歯624GTが可撓性トラック612T内の歯まで上方に回転することを可能にするように設計される。したがって、制御ホイール624の歯車歯624GTは、穿通点の前に針ホルダ608がデータム612に対してどれだけ移動したかに応じて、可撓性トラック612T内の次の利用可能な対応する歯と係合する。
【0119】
静脈内への前進の段階が
図59に示されている。ハンドル604を前進させ続け、カテーテル634を静脈646内に更に押し込む。制御ピン614は、カム面の保持面ともう一度係合し、歯車歯は可撓性トラック612Tに係合される。ハンドル604が前方に移動すると、カム面に作用する制御ピン614が制御ホイール624を回転させ、針606をカテーテルの速度の約半分の速度で前進させる。針606は、制御ピン614がカム面から離れるまで前進させられ、その後、ハンドル604は前進を続けるが、針606はデータムトラック612Tに対して静止したままである。カテーテル634、プローブ620、及び針606の相対的な前進の速度は、制御ホイール624の設計(歯車半径、カム面形状など)によって制御することができることが分かる。穿通後に針606が前進する距離も、この機構の設計を通して制御することができる。制御機構は、穿通後に針の直径の約4~6倍、好ましくは5倍の距離だけ針608を前進させるように設計されてもよい。この距離は、カテーテルが皮膚、組織及び近位静脈壁を通過するときにカテーテルを支持するのに十分であるべきである。針は、より湾曲又は蛇行している可能性のある静脈の領域内へと、これよりも更に著しく連続しないことが有利である。
【0120】
図60に示される「終了」位置では、カテーテル634は、静脈646の中へ完全に前進させられる。制御ホイール624は、約90°回転した後に停止し、針606の前進運動を制限する。リンクアーム625は、プローブ620をその完全な前方範囲まで押している。この幾何学的形状は、穿通後、プローブ620がカテーテル634よりも速く前方に移動するが、カテーテルがその移動を継続すると、プローブ620を「追い越す」ようなものである。この段階で、スライダ630は、可撓性トラック612T上の端部停止部612ESに達しており、それ以上進むことができない。データム612の溝内のスロット612は、ここで、ばね鋼クリップ632上のタグ632Tと位置合わせされる。ばね鋼クリップ632の作用は、この時点でスライダ630をデータムトラック612Tと係合させ、その結果、スライダは後方に移動することができない。データム612の端部上のデータムグリップ618はまた、カテーテル本体634Bの楔形端部がそれを上方に押すことによって、カテーテルから外れるように強制されている。カテーテル本体の楔形端部と、データムグリップ618などのデータム上の取り外し可能な構成要素との間のかかる協働は、有利である。
【0121】
「後退」段階は、
図61及び
図62に示される。
図61は、どのようにしてカテーテル634及びデータム612の端部が翼形状のグリップ618WGを使用して患者に対して静止して保持されるかを示している。ハンドル604を後方に素早く移動させる。スライダ630は、この時点でデータム612に接続されており、後方に移動するにつれてハンドル604から滑り落ちる。ハンドル604が後方に移動すると、可撓性データムトラック612Tはハンドル604を通過する。後方に移動する制御ピン614は、制御ホイール624の固定カム面と接触する。これは、制御ホイール624を時計回りに回転させ、プローブ620を針606内に後退させ、最終的に制御ホイールの歯車歯を可撓性トラック612Tと係合解除させる。
【0122】
図62に示すように、制御ホイール624は、ここで、トラックに沿って後方に摺動することができ、ハンドル604及び針キャリア608は、一体として後方に移動する。ここで、可撓性トラック612Tは、それ以上後方に進むことができない針ホルダ608の後部湾曲に対して面一である。この時点で、針606は、スライダ630内のばね鋼クリップ632の後方に完全に後退しており、ばね鋼クリップは、針606がスライダに対して前方に移動するのを防止するように作用している。これに関連して、鋼クリップは、前の実施形態のクリップ528について説明したのとほぼ同様に動作する。針606の先端は、ここで、完全に延在されたデータム612によって定位置に保持されるスライダ630内で安全である。
【0123】
最後に、
図63に示すように、針606がばね鋼クリップ632の背後を通過すると、カテーテル本体634Bをスライダから解放する。ここで、カテーテル634が解放され、デバイスを取り外して安全に廃棄することができる。
【0124】
この実施形態のデバイスは、複数の利点を有する。ここでも、米国特許第5330432号に記載されているような一部の既知のデバイスとは異なり、この実施形態のデバイスにはトリガ機構がなく、その結果、静脈に進入する際の動作がより円滑になることに留意されたい。この場合も、この実施形態で使用される可撓性データムは、デバイスをよりコンパクトにし、製造時に使用するプラスチック材料をより少なくする。更に、一部の先の実施形態で使用されたテープ又はばねの代わりにラックアンドピニオン歯車を使用することにより、より容易な製造をもたらすことができる。針の前進を制御することにより、経路がより湾曲したり蛇行したりする可能性のある静脈の管腔に針が不必要に入り込まないことが確実になり、したがって、損傷のリスクが低減される。
【0125】
更なるデバイス
この実施形態による更なるデバイス700が、
図64~
図71に示されている。デバイス700は、前の実施形態と同じ重要な構成要素、すなわち、針、プローブ、チューブ(例えば、カテーテル)、及び構成要素を連結する有効レバーに基づいて、静脈の管腔の中への穿通時にこれらの構成要素の相対運動を自動的に制御するための機構(例えば、駆動機構)を有する。本実施形態は、支持脚又はデータムを使用せず、針が静脈に進入するにつれて、血液フラッシュの観察に応じて機構を始動させるためにユーザに依拠する。したがって、この実施形態によるデバイスは、前の実施形態よりも「自動化」されていない。しかしながら、それは片手で使用することができ、従来のデバイスよりも少ない操作を必要とする。この場合も、米国特許第5330432号に記載されているような一部の既知のデバイスとは異なり、体腔に進入する際に、すなわち、以下に記載されるように静脈内でより円滑な動作をもたらすトリガ機構は存在しない。
【0126】
デバイス700の種々の構成要素、及びそれらの相互作用は、
図64以降に示される。
図64は、射出成形構成要素である針ハウジング702がどのように針704に接続されるかを示している。プローブ706は、針704内で摺動することができる。プローブ706の近位端は、針ホルダ702内のシリンダ710内で摺動するオーバーモールディング708を有する。オーバーモールディング708は、針ホルダ702のシリンダ710内に滑り嵌めされ、その結果、オーバーモールディングは、自由に摺動することができるが、針704の近位端部からシリンダチャンバ711に入る血液(又は他の流体)は、このチャンバ内に収容される。したがって、このチャンバ711は、フラッシュチャンバを構成する。針704はまた、その遠位端に向かって針の管腔の中に延在するノッチ704Nを有し、これは、血液が半透明カテーテル(まだ図示せず)を通して視認されることを可能にする。
【0127】
図64Aは、針704がスライダ構成要素714内のボス712をどのように通過するかを示している。スライダ714は、針ハウジング702内に形成された溝内で摺動する後方に延在するアーム715からなる。後向きアーム715は、その上面に形成された歯車ラック716を有する。スライダ714はまた、スピゴット718を提供するように形成され、その上に圧縮ばね720が緩く嵌合する。ばね720の他端は、針ホルダ702内に形成された第2のスピゴット722上に嵌合する。切断図は、針ホルダ702内の圧縮ばね720を示している。圧縮ばね720は、スピゴット722上により緊密に嵌合し、後の展開段階で、ばね720が針ホルダ702に接続されたままであるようにする。
【0128】
図64Bに示すように、デバイス700の組み立て中、スライダ714は、ここで後方に押されて、針ホルダ702に当接する。これにより、圧縮ばね720が圧縮される。カテーテル726は、針704の上を摺動するように配置され、カテーテル726Bの本体は、スライダ714に当接し、スライダ714に形成されたボス712の上に嵌合する。ばね鋼クリップ730がスライダ714に挿入されている。このクリップは、カテーテル本体726Bのリム上に係合するフック730Hからなる。クリップ730は、カテーテルをスライダ730に、それらが一体となって移動するように接続する。蓋732は、クリップ730を収容するためにスライダ714の底部にクリップ留めされる。
【0129】
図64Cに見られるように、ハンドル構成要素734は、ユーザの親指に適合するように設計されたグリップからなり、そこからアーム735が前方に延在する。アームは、針ホルダ702に形成された溝に嵌合し、ハンドル734がこの溝内で前後に摺動できるようになっている。アーム735の下側は、その面に形成された歯車ラック735Tを有する。車軸740は、上部歯車ラック735Tと下部歯車ラック716との間の針ホルダ702に形成される。
【0130】
図64Dに見られるように、ホイール742(切断図を伴って示される)は、車軸740を覆ってクリップ留めする。ホイール742は、上部ラック735T及び下部ラック716と係合する平歯車743からなる。この歯車743は、外側リム744に接続される。リム744は、一端が単一の歯車歯744Tのような形状になるように形成される。この歯744Tは、プローブ706のモールディング708に形成された面に対して作用する。ホイール742が(図で見て)反時計回りに回転すると、リム744上の歯車歯744Tがプローブ706を針704に対して前方に押す。
【0131】
図64Eは、使用の準備ができた組み立てられたデバイス700を示している。ユーザの親指及び指によって把持されるようにサイズ設定されたグリップA及びBが強調表示されている。
【0132】
次に、更なる図面である
図65~
図71を参照して、デバイスの動作シーケンスを説明する。
図65に示す初期状態では、デバイスは、グリップBに位置するユーザの指がグリップAに位置するユーザの親指を圧迫することによって「圧縮」状態に保持される。更に、圧縮ばね720は、スライダ714を針ホルダ702から離れるように付勢している。スライダ714の下部ラックはまた、ハンドル734の上部ラック735Tを針ホルダ702に対して後方に押すホイール742を反時計回り(図で見て)に回転させる傾向がある。しかしながら、これは、ユーザの軽い圧迫によって防止される。
【0133】
図66に示される「組織を通して前進」する動作段階では、デバイス700は、ユーザがデバイスを前方に押動させ、針704、プローブ706、及びカテーテル726を患者の組織750を通して押進させるにつれて、「圧縮」状態に保持される。
【0134】
図67に示される「穿通段階」では、針702は、静脈754の管腔752の中に穿通し、血液の「フラッシュ」が、フラッシュチャンバ711内又は針704の遠位端内のノッチ704Nのいずれかで観察される。フラッシュを観察すると、ユーザは、グリップAの親指を患者に対して静止した状態に保ち、グリップBの指の握りを穏やかに緩める。これにより、針ホルダ702がハンドル734に対して前方に移動し、スライダ714が針ホルダ702に対して前方に移動することが可能になる。一方、ホイール742は反時計回りに回転し(図示のように)、プローブ706を針ホルダ702に対して前方に押す。ホイールリム744上の歯車歯744Tの有効半径は、平歯車743の半径よりも大きいため、プローブ706は、カテーテル726よりも速く前進し、一方、針704は、カテーテル726に対して後退する。
【0135】
「静脈への前進」段階を
図68に示す。この段階では、ユーザのBの指は、Bの親指から離れて弛緩し続ける。針ホルダ702は、静止ハンドル734に対して前進し続け、カテーテル726は、静脈754の管腔752の中へ更に前進する。歯車が下部ラック716に沿って後方に転動するにつれて、針704がカテーテル726に対して後退し続けている間、プローブオーバーモールディング708は、ここでは、一定の半径を有するリム744の部分に沿って移動しており、したがって、もはや針704に対して前進しない。これは、カテーテル726が挿入の終わりに向かってプローブ706に「追いつく」ことを意味する。
【0136】
図69に示される「終了位置」では、カテーテル726は、静脈754の管腔752の中へ完全に前進させられる。カテーテル726の先端は、プローブ706の端部を「追い越し」ている。
【0137】
図70に示される「後退」段階では、カテーテル726が完全に挿入されると、グリップAの親指が後方に緩められ、ホイール742が(示されるように)反時計回りに更にロールバックすることを可能にする。これは、歯車743が下部ラック716の端部を越えて転がることを可能にする。
【0138】
最後に、
図71に示される「取り外し」段階では、カテーテル726及びスライダ714は、静止して保持される。グリップA及びBは、同時に一緒に握り、後方に移動させて、針704を後退させることができる。針704は、針先端がスライダハウジング714内に安全に入るまで、カテーテル726から後退する。一旦針704の先端がばね鋼クリップ730を通過すると、クリップは、針先端が前方に移動することを防止するように横断して摺動し、同時に、カテーテル726をスライダ714から解放する。スライダ714は、針ホルダ702(図示せず)内の溝の端部における停止部によって、示されるよりも更に前方に移動することを防止される。針704の先端は、したがって、スライダ714内で安全であり、デバイス700は、このように挿入されたカテーテル726から取り外され、安全に廃棄することができる。
【0139】
この実施形態によるデバイスは、複数の利点を有することができる。片手で使用することができ、従来のデバイスよりも少ない操作しか必要としない。この場合も、米国特許第5,330,432号明細書に記載されているような一部の既知のデバイスとは異なり、静脈に進入する際により円滑な動作をもたらすトリガ機構は存在しない。設計の比較的少ない部品数及び他の特徴は、製造コストの低減をもたらすことができる。
【0140】
複数の実施形態を例としてのみ上述したが、当業者であれば、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対して多数の修正及び変形を行うことができることを理解するであろう。本出願に開示される実施形態に基づかない本発明の精神及び範囲内の多数の更なる実施形態もまた、当業者によって想到され得る。
【国際調査報告】