(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-18
(54)【発明の名称】食物摂取頻度調査ベースの栄養素摂取データから、腸内マイクロバイオーム生態系におけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(FPRAU)の相対量を推定し、並びにフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィを改善するための関連する推奨をするための、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240411BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564050
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 EP2022061952
(87)【国際公開番号】W WO2022233924
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ドグラ, シャイレイ, クマール
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
本発明は、個体のフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Fprau)の量を推定し、Fprauを維持又は改善するための個別化された推奨を提供するための、システム及び方法に関する。本発明のいくつかの実施形態では、個体のFprau量は、食物摂取頻度調査(FFQ)記録に基づいて推定される。いくつかの実施形態では、本方法は、コンピュータシステムによって実施される。本発明のいくつかの実施形態では、個別化された推奨及び食事アドバイスが、当該個体のFprauを維持又は改善するために個体へと与えられる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腸内フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Fprau)の状態を決定するための方法であって、
(i)対象における腸内Fprauの状態を決定することと、
(ii)上記対象におけるFprauの状態を改善又は維持するための推奨を提供することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記腸内Fprauの状態の決定が、前記対象のFprauの状態を予測するために栄養摂取を決定する食物摂取頻度調査によるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記腸内Fprauの状態の決定が、前記対象のマイクロバイオーム多様性を定量化するための生体サンプルによって追加的に行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、コンピュータで実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、腸内Fprauの状態に関連した特徴パラメータを、低、中、又は高として評価することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピュータにより実施される方法であって、
(i)対象における腸内Fprauの状態を決定すること、
(ii)個別化された繊維組成物の推奨を提供すること、を含み、更に、
(iii)個別化された栄養推奨を送達すること、を含む、方法。
【請求項7】
前記対象のFprauの状態を予測するために栄養摂取を決定する食物摂取頻度調査と、Fprau相対量を維持又は改善するための食事推奨のためのコンピュータ実施ツールとを含む、キット。
【請求項8】
対象に対する1つ以上の食事介入を最適化するための方法であって、
(i)請求項1~5のいずれか一項に記載の方法に従って対象のFprauの状態を決定するステップと、
(ii)前記対象に前記食事介入を適用するステップと、を含む、方法。
【請求項9】
請求項1~8に記載の方法又はキットであって、前記推奨が、食品製品、飲料製品、もしくはダイエタリー・サプリメント、又は個体に送達されるキット・オブ・パーツにおけるそれらの組み合わせからなる群から選択される栄養組成物である、キット。
【請求項10】
前記食事介入が、
(i)例えば果実、野菜及び全粒穀物などの食物源から提供される、不溶性繊維及び可溶性繊維の両方から構成される全繊維を摂取すること、
(ii)地中海料理に従うこと、
(iii)ペクチンを含有する食物、例えば、ナシ、リンゴ、グアバ、マルメロ、プラム、グースベリー、及びオレンジ、並びに大量のペクチンを含有することが報告されている他の柑橘果実を摂取すること、
(iv)赤ワインを飲むこと、
(v)レーズンを摂取すること、
(vi)卵、肝臓、タラ肝油などの動物製品を食すること、
(vii)ビタミンAの量を増加させること、
(viii)ニンジン、さつまいも、カボチャ、冬カボチャなどの黄橙色の野菜、並びにブロッコリー、インゲン豆、グリーンピース、ホウレンソウ、カブの葉、コラード、リーフレタス及びアボカドなどの濃緑色の野菜を摂取するなど、α-カロテンの摂取を増加させること、
(ix)カンタロープ、マンゴー、カボチャ、及びパパイヤなどの黄色及びオレンジ色の果実、並びにニンジン及びさつまいもなどのオレンジ色の根菜をより多く摂取するなど、β-カロテンの摂取を増加させること、からなる群から選択される食品、栄養群、レシピ又は食事プランのための推奨を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個体のフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Faecalibacterium prausnitzii、Fprau)量を推定するためのシステム及び方法に関する。本発明のいくつかの実施形態では、個体のFprau量は、個体の食物摂取頻度調査(FFQ)記録から導出される栄養素データに基づいて推定される。いくつかの実施形態では、本方法は、コンピュータシステムによって実施される。本発明のいくつかの実施形態では、個別化された推奨並びに食事アドバイス及び栄養アドバイスが、当該個体のFprau量を維持又は改善するために個体に与えられる。
【背景技術】
【0002】
フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Fprau)は、様々な症状における原因と関連する、ヒト腸内マイクロバイオーム生態系における重要な細菌である(例えば、ヒトの健康におけるその重要性(Miquel,S et al.Current opinion in microbiology,2013、Ferreira-Halder,C V et al.Clinical gastroenterology,2017)、抗炎症(Quevrain,E et al.Gut,2016;Sokol,H et al.PNAS,2008)、潰瘍性大腸炎(Machiels,K et al.Gut,2014)、クローン病(Takahashi,K et al.Digestion.2016)、小児アレルギー(例えば喘息)(Demirci,M et al.Allergologia et immunopathologia,2019)、IBD(Zhao H,Xu H,Chen S,He J,Zhou Y,Nie Y.,2020.J Gastroenterol Hepatol.;Machiels K et al.,Gut.2014)、虚弱(Jackson MA et al.Genome Med.2016)など)。
【0003】
更に、Fprauは、劇的な食生活の変化又は抗生物質の使用などの、腸内マイクロバイオーム生態系に対する複合的なストレスのある条件下で影響を受ける。例えば、Mardinogluら(Cell Metabolism 2018)は、ケトン食負荷下でのFprauの減少を示している。同様に、Pallejaらは、Nature Microbiology 2018において、抗生物質投与下でのフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Fprau)の減少を示している。更に、David et al.(Nature 2014)は、高脂肪食負荷下でのFprau量の減少の証拠を提供している。
【0004】
典型的には、腸内マイクロバイオーム生態系における細菌の評価は、糞便試料の収集、試料の保管及び処理、DNA抽出及び配列決定などの実験室ステップ、複雑なバイオインフォマティクス解析、並びに科学的評価を必要とする。これは、金銭、時間、労力を要し、また専門技能及び専門知識を必要とするが、これらは必ずしも入手可能であり、誰にでも容易にアクセス可能であるとは限らない。更に、多くの成人は、糞便試料を提供することを嫌がる。
【0005】
したがって、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Fprau)の相対量を推定するための非侵襲的かつより単純な方法、及びヒト腸内マイクロバイオーム生態系においてFprauを促進するための方法が必要とされている。
【0006】
[発明の概要]
本発明者らは、栄養摂取データからフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(Fprau)の相対量を推定するためのより単純な方法を見出した。ここで、本発明の重要なステップは、
(i)ある種の食物質問に対する個人の応答、(ii)該個体についての摂取栄養素量の推定、(iii)機械学習ベースのモデルの使用、(iv)フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Fprau)の推定相対量の予測、である。
【0007】
したがって、本発明は、広義には、腸のフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Fprau)の状態を決定するための方法であって、
(i)個体の腸内マイクロバイオーム生態系におけるFprauの相対量を評価するステップと、(ii)それに応じて、Fprau相対量を維持又は改善するための推奨を提供するステップと、を含む方法に関する。
【0008】
別の態様では、本発明は、対象のための1つ以上の食事介入を最適化するための方法であって、
(i)請求項1~5のいずれか一項に記載の方法に従って対象のFprauの状態を決定するステップと、
(ii)前記対象に前記食事介入を適用するステップと、を含む方法に関する。
【0009】
本発明の方法及びシステムは、食物摂取頻度調査(FFQ)に由来する栄養データから、個体の腸のマイクロバイオームのFprau量を推定するための、人工知能ベースの機械学習方法を有利に実装する。
【0010】
本発明の1つの利点は、個体が、自身のFprau量の推定値を得るために生体サンプルを提供する必要がない点である。代わりに、本発明は、予測的特徴としての栄養摂取を識別するために、食物摂取頻度調査のセットに対する回答に関してユーザにより提供されたデータに基づく予測モデルを用いることによって行われる。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、前記対象のFprauの状態を予測するために栄養摂取を決定する食物摂取頻度調査と、Fprau相対量を維持又は改善するための食事推奨のためのコンピュータ実施ツールと、を含むキットに関する。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態の1つの利点は、Fprauの状態評価のために、個々のユーザの質問表回答を評価して推奨を個別化し、個体のFprauの状態を維持又は改善するようアドバイスすることである。
【0013】
開示されたシステムの様々な実施形態は、質問表へのユーザの入力、予測されたFprau量、及びFprauを維持又は改善するための個別化された助言に基づいてカスタマイズされた、ダッシュボード又は他の適切なユーザインターフェースをユーザに表示する。
【0014】
いくつかの実施形態では、開示されたシステムは、飲食記録のログを取る食事日記又はアプリなどの様々な形式で、ユーザによって取り込まれた食事記録から必要な入力データを自動的に収集するようにリンクされてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステム及び方法は、個々のユーザ以外の栄養士、ヘルスケア専門家によってもまた使用され得る。
【0016】
本開示の更なる利点は、以下の「発明を実施するための形態」及び関連する図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】低モデル対非低モデル(I)のROC性能。 (平均-1
*std)対残りに基づく階級の定義による、Fprau量についての低対非低モデルのROC性能である。交差検証モード(B)ホールドアウト/検査セットにおける(A)訓練のROCである。
【
図1B】低モデル対非低モデル(I)のROC性能。 (平均-1
*std)対残りに基づく階級の定義による、Fprau量についての低対非低モデルのROC性能である。交差検証モード(B)ホールドアウト/検査セットにおける(A)訓練のROCである。
【
図2A】低モデル対非低モデル(II)のROC性能。 第1/最低四分位数対残りに基づく階級の定義を用いたFprau量についての低対非低モデルのROC性能である。交差検証モード(B)ホールドアウト/検査セットにおける(A)訓練のROCである。
【
図2B】低モデル対非低モデル(II)のROC性能。 第1/最低四分位数対残りに基づく階級の定義を用いたFprau量についての低対非低モデルのROC性能である。交差検証モード(B)ホールドアウト/検査セットにおける(A)訓練のROCである。
【
図3A】低対非低モデル(I)にとり重要な特徴。 重要な特徴及びそれらのFprauとの関連を示す。
【
図3B】低対非低モデル(I)にとり重要な特徴。 重要な特徴及びそれらのFprauとの関連を示す。
【
図4A】低対非低モデル(II)にとり重要な特徴。 重要な特徴及びそれらのFprauとの関連を示す。
【
図4B】低対非低モデル(II)にとり重要な特徴。 重要な特徴及びそれらのFprauとの関連を示す。
【
図5A】低モデル対非低モデルにおける重要な特徴のSHAP依存プロット。 四分位数に基づく階級の定義を用いたFprau量における低対非低モデルについてのSHAPE依存プロットを、主要な例示的特徴について示す。ここでの参照クラスは「低」であったため、特徴の対応するx値のSHAP値の正の係数は、「低」クラスを予測する際にこの特徴によってモデルがどの程度影響を受けたかを示す。
【
図5B】低モデル対非低モデルにおける重要な特徴のSHAP依存プロット。 四分位数に基づく階級の定義を用いたFprau量における低対非低モデルについてのSHAPE依存プロットを、主要な例示的特徴について示す。ここでの参照クラスは「低」であったため、特徴の対応するx値のSHAP値の正の係数は、「低」クラスを予測する際にこの特徴によってモデルがどの程度影響を受けたかを示す。
【
図5C】低モデル対非低モデルにおける重要な特徴のSHAP依存プロット。 四分位数に基づく階級の定義を用いたFprau量における低対非低モデルについてのSHAPE依存プロットを、主要な例示的特徴について示す。ここでの参照クラスは「低」であったため、特徴の対応するx値のSHAP値の正の係数は、「低」クラスを予測する際にこの特徴によってモデルがどの程度影響を受けたかを示す。
【
図5D】低モデル対非低モデルにおける重要な特徴のSHAP依存プロット。 四分位数に基づく階級の定義を用いたFprau量における低対非低モデルについてのSHAPE依存プロットを、主要な例示的特徴について示す。ここでの参照クラスは「低」であったため、特徴の対応するx値のSHAP値の正の係数は、「低」クラスを予測する際にこの特徴によってモデルがどの程度影響を受けたかを示す。
【
図5E】低モデル対非低モデルにおける重要な特徴のSHAP依存プロット。 四分位数に基づく階級の定義を用いたFprau量における低対非低モデルについてのSHAPE依存プロットを、主要な例示的特徴について示す。ここでの参照クラスは「低」であったため、特徴の対応するx値のSHAP値の正の係数は、「低」クラスを予測する際にこの特徴によってモデルがどの程度影響を受けたかを示す。
【
図5F】低モデル対非低モデルにおける重要な特徴のSHAP依存プロット。 四分位数に基づく階級の定義を用いたFprau量における低対非低モデルについてのSHAPE依存プロットを、主要な例示的特徴について示す。ここでの参照クラスは「低」であったため、特徴の対応するx値のSHAP値の正の係数は、「低」クラスを予測する際にこの特徴によってモデルがどの程度影響を受けたかを示す。
【
図5G】低モデル対非低モデルにおける重要な特徴のSHAP依存プロット。 四分位数に基づく階級の定義を用いたFprau量における低対非低モデルについてのSHAPE依存プロットを、主要な例示的特徴について示す。ここでの参照クラスは「低」であったため、特徴の対応するx値のSHAP値の正の係数は、「低」クラスを予測する際にこの特徴によってモデルがどの程度影響を受けたかを示す。
【
図5H】低モデル対非低モデルにおける重要な特徴のSHAP依存プロット。 四分位数に基づく階級の定義を用いたFprau量における低対非低モデルについてのSHAPE依存プロットを、主要な例示的特徴について示す。ここでの参照クラスは「低」であったため、特徴の対応するx値のSHAP値の正の係数は、「低」クラスを予測する際にこの特徴によってモデルがどの程度影響を受けたかを示す。
【
図5I】低モデル対非低モデルにおける重要な特徴のSHAP依存プロット。 四分位数に基づく階級の定義を用いたFprau量における低対非低モデルについてのSHAPE依存プロットを、主要な例示的特徴について示す。ここでの参照クラスは「低」であったため、特徴の対応するx値のSHAP値の正の係数は、「低」クラスを予測する際にこの特徴によってモデルがどの程度影響を受けたかを示す。
【
図5J】低モデル対非低モデルにおける重要な特徴のSHAP依存プロット。 四分位数に基づく階級の定義を用いたFprau量における低対非低モデルについてのSHAPE依存プロットを、主要な例示的特徴について示す。ここでの参照クラスは「低」であったため、特徴の対応するx値のSHAP値の正の係数は、「低」クラスを予測する際にこの特徴によってモデルがどの程度影響を受けたかを示す。
【
図6】定量的PCR技術によって決定されたF.prau量の結果。A)24時間後、及びB)48時間後に収集した試料である。
【
図7】F.prau ASV6は、イヌリン、Pump_full及びビタミンB群+イノシトールに応答した。A)24時間後、及びB)48時間後に収集した試料である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
以下、いくつかの定義を示す。しかしながら定義が以下の「実施形態」の項にある場合もあり、上記の見出し「定義」は、「実施形態」の項におけるそのような開示が定義ではないことを意味するものではない。
【0019】
本明細書に記載する全ての百分率は、別途記載のない限り、組成物の総重量によるものである。本明細書で使用するとき、「約」、「およそ」、及び「実質的に」は、数値のある範囲内、例えば、参照数字の-10%から+10%の範囲内、好ましくは参照数字の-5%から+5%の範囲内、より好ましくは、参照数字の-1%から+1%の範囲内、最も好ましくは参照数字の-0.1%から+0.1%の範囲内の数を指すものと理解される。本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数又は分数を含むと理解されるべきである。更に、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項をサポートすると解釈されたい。
【0020】
用語「含む/備える(comprise)」、「含む/備える(comprises)」、及び「含んでいる/備えている(comprising)」は、排他的なものではなく、他を包含し得るものとして解釈されるべきである。同様にして、用語「含む(include)」、「含む(including)」及び「又は(or)」は全て、このような解釈が文脈から明確に妨げられない限りは他を包含し得るものであると解釈されるべきである。しかしながら、本明細書に開示されている組成物は、本明細書において具体的に開示されていない要素を含まない場合がある。したがって、「含む/備える(comprising)」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている構成要素「を本質的に含む/から本質的に構成される(consisting essentially of)」実施形態、及び特定されている構成要素「からなる(consisting of)」実施形態の開示を含む。
【0021】
「X又はYのうちの少なくとも1つ」及び「X及び/又は」のそれぞれの文脈において使用される「のうちの少なくとも1つ」及び「及び/又は」という用語は、「X」若しくは「Y」又は「X及びY」として解釈されるべきである。例えば、「少なくとも1つのイノシトール又はソルビトール」及び「イノシトール及び/又はソルビトール」は、「ソルビトールのないイノシトール」、又は「イノシトールのないソルビトール」、又は「ソルビトールのないイノシトール」と解釈されなければならない。
【0022】
本明細書において使用する場合、用語「例」及び「例えば~など(such as)」は、その後に用語の列挙が続くときは特に、単に例示的かつ説明的なものにすぎず、排他的又は包括的なものとみなされるべきではない。本明細書で使用するとき、別の状態「に関連する/伴う(associated with)」又は「と関連付けられる(linked with)」状態は、これらの状態が同時に起こることを意味し、好ましくは、これらの状態が同じ基礎症状によって引き起こされることを意味し、最も好ましくは、特定されている状態のうちの一方が他方の特定されている状態によって引き起こされることを意味する。
【0023】
相対的な用語「促進する」、「改善する」、「増加させる」、「増強する」などは、本発明における推奨投与によって得られる、本願明細書(ソルビトール及び/又はイノシトールを含む)において開示される組成物の投与後の、対象のマイクロバイオームのF.prausnitziiの状態が、対象のマイクロバイオームにおけるF.prausnitziiの状態と比較して強化されていることを指す。この対象のマイクロバイオームにおけるF.prausnitziiが増強された状態は、(i)対象のマイクロバイオームにおける高い総量のF.prausnitzii(すなわちフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィの総cfu)、又は(ii)対象のマイクロバイオーム中の他の細菌と比較し、より高いフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィの相対パーセンテージ(すなわち、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィのcfu/他の細菌のcfu)、の少なくとも1つ以上により評価することができる。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「食品」、「食品製品」、及び「食品組成物」とは、ヒト又は他の哺乳動物による経口摂取を意図し、且つヒト又は他の哺乳動物のための少なくとも1つの栄養素を含む、製品又は組成物を意味する。
【0025】
本明細書で使用するとき、「栄養組成物」及び「栄養製品」は、製品における機能上の必要性に基づき、且つ適用され得る全ての規制を完全に遵守して、任意の数の食品原材料及び場合により任意選択的な追加の原材料を含む。任意選択的な原材料は、例えば、1種以上の酸味料、追加の増粘剤、pH調節用緩衝液若しくはpH調節剤、キレート剤、着色剤、乳化剤、賦形剤、香料、ミネラル、浸透剤、製薬上許容可能な担体、防腐剤、安定剤、糖、甘味料、調質剤及び/又はビタミン類などの従来の食品添加物を含み得るが、これらに限定されない。任意選択の原材料は、任意の好適な量で添加することができる。
【0026】
本明細書で使用するとき、「生活習慣の特徴」は、対象が行う任意の生活習慣の選択であり、これには、生活習慣、動機づけ、又は嗜好に関する質問表から得られる全ての食事摂取量データ、活動性尺度又はデータが含まれる。一実施形態では、生活習慣の特徴は、対象が飲酒者又は非飲酒者であるかどうかに関するものである。別の実施形態では、生活習慣の特徴は、対象がベジタリアンであるか又は雑食者であるかである。
【0027】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用する「栄養素」という用語は、身体に対して、例えば、エネルギー、成長又は健康を提供する有益な効果を有する化合物を指す。この用語には、有機及び無機化合物が含まれる。本明細書で使用するとき、用語「栄養素」は、例えば、多量栄養素、微量栄養素、必須栄養素、条件的に必須の栄養素及び植物栄養素を含み得る。これらの用語は、必ずしも相互に排他的ではない。例えば、ある種の栄養素は、特定の分類システム又はリストに応じて、多量栄養素又は微量栄養素のいずれかとして定義することができる。「少なくとも1つの栄養素」又は「1つ以上の栄養素」という表現は、例えば、1、2、3、4、5、10、20又はそれを超える栄養素を意味する。
【0028】
さまざまな実施形態において、用語「多量栄養素」は、当該分野でよく理解されている使用方法に合致して本明細書で使用され、生物の正常な成長及び発育のために大量に必要とされる栄養素を一般的には包含する。これらの実施形態における多量栄養素には、炭水化物、脂肪、タンパク質、アミノ酸及び水を挙げることができるが、これらには限定されない。カルシウム、塩化物、ナトリウム、又はカリウムなどの特定のミネラルもまた、多量栄養素に分類されることがある。
【0029】
さまざまな実施形態において、「微量栄養素」という用語は、本明細書では、当該分野でよく理解されている使用方法に合致して使用され、身体に有益な効果を有する(例えばエネルギー、成長又は健康を提供する)が、軽微又は微量でしか必要とされない化合物を通常包含するものである。かかる実施形態におけるこの用語は、有機化合物及び無機化合物例えば、各アミノ酸、ヌクレオチド及び脂肪酸;ビタミン、抗酸化剤、ミネラル、微量元素(例えば、ヨウ素)、及び電解質(例えば、塩化ナトリウム、及びそれらの塩)、である。
【0030】
さまざまな実施形態において、「必須栄養素」という用語は、当該分野でよく理解されている使用方法に合致して、本明細書で使用される。必須栄養素は、体内で合成することも、十分な量で合成することもできないため、生物によってその環境から摂取されなければならない。必須栄養素としては、必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、及び特定の食事性ミネラルが挙げられる。例えば、ヒトには2つの必須脂肪酸があり、アルファ-リノレン酸(オメガ-3脂肪酸)とリノール酸(オメガ-6脂肪酸)である。20種のアミノ酸のうち、ヒトによって内因的に合成され得ないものが9種(フェニルアラニン、バリン、トレオニン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、リシン、及びヒスチジン)あり、これらは必須アミノ酸とみなされる。
【0031】
さまざまな実施形態において、「条件付き必須栄養素」という用語は、当該分野でよく理解されている使用方法に合致して、本明細書で使用される。条件付き必須栄養素は、通常は生物によって合成され得る特定の有機分子であるが、特定の条件下で、かかる生合成は、脱落症候群を予防するのに十分ではない。例えば、コリン、イノシトール、タウリン、アルギニン、グルタミン及びヌクレオチドは、特に新生児の食事及び代謝にとって条件付きで必須であると分類されている。
【0032】
さまざまな実施形態において、「非必須栄養素」という用語は、当該分野でよく理解されている使用方法に合致して、本明細書で使用される。非必須栄養素は、体によって合成され得る栄養素である。非必須栄養素は、多くの場合、摂取した食品から吸収することができる。非必須栄養素は、食品に含まれる物質であり、有益であるか毒性であるかに関わらず、なお健康に重大な影響を及ぼす可能性がある。例えば、ほとんどの食物繊維は、ヒト消化管によって吸収されないが、便秘を回避するために腸運動の大部分を維持するのに重要であること、又は繊維の利用について異なる能力又は好みを有する種々の細菌を有する腸内マイクロバイオームに対して有益な影響を有することが、最近明らかになっている。
【0033】
さまざまな実施形態において、「欠乏症」という用語は、当該分野でよく理解されている使用方法に合致して、本明細書で使用される。欠乏症は、栄養失調と呼ばれる栄養摂取の不足、又は生体内での栄養素の利用を妨げる条件を含む、多くの原因に起因する可能性がある。栄養素の利用を妨げる可能性がある条件としては、栄養素の吸着の問題、通常の必要を超えて栄養素を必要とする物質、栄養素の破壊を引き起こす条件、そしてより多量の栄養素の排出を引き起こす条件が挙げられる。
【0034】
さまざまな実施形態において、「毒性」という用語は、当該分野でよく理解されている使用方法に合致して、本明細書で使用される。栄養素の毒性は、過剰な栄養素が生物に害を及ぼすときに起こる。
【0035】
「対象」又は「個体」は、哺乳動物、好ましくはヒトであるが、イヌ又はネコなどのペット動物であってもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、低、非低Fprau階級は、集団Fprau分布の第1四分位数又は下位四分位数を下回るとして「低」であると定義され、分布の残りとして「非低」であると定義される。
【0037】
いくつかの実施形態では、高、非高Fprau階級は、集団Fprau分布の第3四分位数又は上位四分位数を上回るとして「高」であると定義され、分布の残りとして「非高」であると定義される。
【0038】
いくつかの実施形態では、低、高Fprau階級は、Fprau分布の第1四分位数又は下位四分位数を下回るとして「低」であると定義され、Fprau分布の第3四分位数又は上位四分位数を上回るとして「高」であると定義される。
【0039】
いくつかの実施形態では、低Fprau階級は、Fprau分布の平均から標準偏差を引いたものより小さいデータとして定義され、非低Fprau階級は、データの残りとして定義される。
【0040】
いくつかの実施形態では、高Fprau階級は、Fprau分布の平均プラス標準偏差を超えるデータとして定義され、非高Fprau階級は、データの残りとして定義される。
【0041】
いくつかの実施形態では、低、高Fprau階級は、Fprau分布における平均マイナス標準偏差よりも小さいデータとして「低」であると定義され、Fprau分布における平均プラス標準偏差を超えるデータとして「高」であると定義される。
【0042】
いくつかの実施形態では、低、非低、高、非高Fprau階級は、データ分布に基づき、当業者には明らかであろう異なる数値カットオフを有する異なる母集団データセットにおけるもののように定義される。
【0043】
上記の変形であるが、中央値/平均値+/-1標準偏差、若しくは中央値/平均値+/-1/2標準偏差、若しくは中央値/平均値+/-1/2四分位間範囲などの幾分異なる定義、又はデータ分析の当業者に明らかな上述したものとは異なる%のデータ点が階級に入るなどの多くのその他の可能な方法で、かかる群を定義できることを理解されたい。
【0044】
「受信者操作特性」(Receiver Operating Characteristic:ROC)曲線は、連続スケールで測定される診断試験について「性能を記載するにあたって最良に開発された統計ツール」のうち1つである。ROC使用は予測からの2つのアウトカムを有することに基づく。曲線を要約するのにROC曲線の数値付記(Numerical indices)を用いた。これらの要約尺度はまた、ROC曲線を比較するためにも使用した。
【0045】
「ROC曲線下面積」(AUC)は、最も広く使用されている要約尺度である。理想的なROC曲線を有する完全予測モデルはAUC値=1.0を有するが、一方でランダム予測モデルはAUC=0.5を有する。0.5から1.0に向かって移動するROC曲線AUC値は、予測モデルの改善及びより良い性能を示す。
【0046】
モデル性能の多くのその他の尺度、例えば、真陽性(TP)、偽陽性(FP)、真陰性(TN)、偽陰性(FN)、総予測陽性、総予測陰性、総実陽性、総実陰性、感度/ヒット率/再現率/真陽性率(TPR)、特異度/選択性/真陰性率(TNR)、有病率、精度/陽性予測値(PPV)、陰性予測値(NPV)、ミス率/偽陰性率(FNR)、フォールアウト/偽陽性率(FPR)、偽発見率(FDR)、偽脱落率(FOR)、有病率閾値(PT)、脅威スコア(TS)/臨界成功指数(CSI)、精度(ACC)、平衡精度(BA)、ランダム精度、総精度、F1スコア、マシューズ相関係数(MCC)、Fowlkes Mallows指数(FM)、理解度(Informedness)/ブックマーカ理解度(Bookmaker informedness:BM)、有標度(MK)/デルタP、陽性尤度比(LR+)、陰性尤度比(LR-)、診断オッズ比(DOR)、及びκなどを、混同行列上で計算することができる。
【0047】
AUC-ROCは、様々な確率で偽陽性率に対して真陽性率をプロットすることによって作成される、曲線下面積である。AUC-PRは精密再現率曲線下面積である。
【0048】
用語「特徴」は、本明細書で繰り返し使用される。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される用語「特徴」とは、モデルへの入力パラメータを指す。この用語は、アンケートのセットから得られる回答、例えば、食物摂取頻度調査に由来する栄養摂取を含む。これらの特徴は必ずしも相互に排他的なものではない。
【0049】
様々な実施形態では、本開示のシステムへのユーザ固有の(又は集団固有の)入力はプログラム可能かつ構成可能であり、性別、年齢、体重、身長、身体活動レベル、肥満かどうか、などを含む。
【0050】
実施形態
本発明者らは、アンケートから得られる、例えば食物摂取頻度調査を栄養分の摂取量に変換した特徴に基づく予測ツールを作成すれることができ、またそれが腸のFprauの状態(例えば、低又は非低)を予測することを可能にすることを示した。
【0051】
第一の実施形態では、本発明は、腸内のフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Fprau)の状態を決定するための方法であって、
(i)対象における腸内Fprauの状態を決定することと、
(ii)上記対象におけるFprauの状態を改善又は維持するための推奨を提供することと、
を含む、方法を提供する。
【0052】
一実施形態では、本発明の方法及びシステムは、食物摂取頻度調査(FFQ)から導出された栄養素データから個体の腸内マイクロバイオームFprau量を推定するために、人工知能ベースの機械学習法を実装する。
【0053】
別の実施形態では、これは、予測的特徴としての栄養摂取を識別するために、食物摂取頻度調査のセットに対する回答に関してユーザにより提供されたデータに基づく予測モデルを用いることによって行われる。
【0054】
さらなる実施形態では、消化管Fprauの状態の決定は、上記対象のマイクロバイオームの多様性を定量化するために生体サンプルによって更に提供され得る。
【0055】
好ましい実施形態では、本発明は、より大きな集団における分布内の位置との関連で個体のFprauの状態を決定する。例えば、低若しくは非低(notLow)、高若しくは非高(notHigh)を有すること、又は低、中、高を決定するために一緒に組み合わされ、かつ場合により別の低評価対高評価によって相互確認されたときのいずれかの観点において、低、高又は低、非低又は高、非高とは、American Gut Project(AGP)(McDonald D,et al.mSystems.2018)などの、大きいサイズの一般的集団にみられる分布に基づき様々な方法により定義される。
【0056】
フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Fprau)の相対量が決定されると、本発明のシステム及び方法は、栄養サプリメント、食事推奨、メニュー推奨及びレシピ推奨などの推奨を提供して、腸生態系におけるFprau量を改善又は維持することによって、Fprauの状態の維持及び改善、又はFprauの増殖の増強に寄与する。
【0057】
好ましい実施形態において、その存在量及び機能を維持又は改善するための介入のいくつかが、実施例5として提供されている。
【0058】
加えて他の方法が、当該技術分野で公知である。これには、以下のものが挙げられ得る:
(i)食物繊維の摂取(Lin D et al.Br J Nutr.2018;Benus RF et al.Br J Nutr.2010);
(ii)地中海料理を摂取すること(Gutierrez-Diaz I et al.J Agric Food Chem.2017;Meslier V et al.Gut.2020;Haro C et al.J Clin Endocrinol Metab.2016;
(iii)他の食事を摂取すること(Verhoog,S et al.Nutrients,2019;Fritsch J et al.2020;Kahleova H et al.Nutrients.2020;Medina-Vera I et al.Diabetes Metab.2019;
(iv)果実などのペクチンを含む食品を摂取すること(Lopez-Siles,M et al.Applied and environmental microbiology,2012);(v)赤ワインを飲むこと(Moreno-Indias I et al.Food Funct.2016;(vi)レーズンを摂取すること(Wijayabahu AT et al.Nutr J.2019)など。
【0059】
Fprauに利益をもたらすためのさらなる介入は、ビタミン又はプロバイオティクスによるものであり得るが、現在のヒト臨床治験データは、この点に関して欠けているようである。
【0060】
別の実施形態では、本方法は、腸Fprauの状態に関連する特徴パラメータを低、中又は高として評価することを含む。
【0061】
本発明の一実施形態では、腸内の微生物種のパラメータの測定によって、本発明の推奨の前後に、対象から採取した生体サンプルから、Fprau量の改善又は維持を決定することができる。したがって、個体が、例えば本発明の栄養、食事、メニュー、及びレシピ推奨に従った後のFprauの維持又は改善を、経時的に決定することができる。
【0062】
様々な実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、Fprauに対する栄養上の影響を示すサプリメント、食品品目、メニュー、又はレシピの推奨を提供する。これらの実施形態では、システムは、1回の食事、丸一日、1週間、又は1ヶ月などの所与の期間にわたって、個体のために、推奨が算出されている個体のニーズの1つ以上の指標を決定及び記憶する。
【0063】
更なる実施形態では、個体は、自身の個人的な選択及び健康状態に合わせて調整された自身の加重値を提供することができる。これらの個別化された範囲及び/又は加重値を用いて、次いで、開示されたシステムは、個体のFprauの状態を維持又は改善するための完全に個別化されたアドバイスを計算することができる。
【0064】
一実施形態では、本開示のシステムは、食品品目、メニュー若しくはレシピ、及びそれぞれの栄養素含有量を含むデータベースを含む、又はそれに接続されている。この実施形態では、本開示のシステムは、摂取した(又は摂取予定の)食品をユーザが入力し、その後ユーザ提供の品目に最も近い品目を見つけるためにデータベースを検索することを可能にする、ファジー検索機能を備える。この実施形態では、本開示のシステムは、後述するように、一致した食品品目についての記憶された栄養学的情報を使用して、特にFprauのマイクロバイオーム・フレンドリに良い品目であるかどうかを決定する。
【0065】
様々な実施形態では、本開示のシステムは、食事を構成する各食品に利用可能な各栄養素の量を表示し、摂取される利用可能なエネルギー量を表示するためのインターフェース(例えば、グラフィカル・ユーザ・インターフェース)を更に含む。いくつかの実施形態では、このインターフェースにより、ユーザは、摂取されるさまざまな食品又はエネルギーの量を修正することができる。他の実施形態では、システムは、例えば、1つ以上のバーコード、QRコード、若しくはRFIDタグ、画像認識システムをスキャンすることによって、又はメニューから注文された品目若しくは食料品店で購入された品目を追跡することなどによって、ユーザが入力していないデータを使用して摂取される食品又は消費されるエネルギーの量を決定するように構成される。
【0066】
開示されたシステムのさまざまな実施形態は、ユーザのニーズに基づいてカスタマイズされた、ダッシュボード又は他の適切なユーザインターフェースをユーザに表示する。本明細書で開示されるシステムの実施形態では、好都合なことに、ユーザが質問表のセットに対するユーザの回答に関するデータを入力し、予測に適切に基づいて、一般に見られるFprau量の分布におけるユーザの状態の全体的な配置を反映するスコアの表示を見ることを初めて可能にする、グラフィカル・ユーザ・インターフェースが提供される。
【0067】
いくつかの実施形態では、開示されたシステムは、飲食記録のログを取る食事日記又はアプリなどの様々な形式で、ユーザによって取り込まれた食事記録から必要な入力データを自動的に収集するようにリンクされてもよい。
【0068】
本開示に記載される開示された方法及び手順は全て、1つ以上のコンピュータプログラム又は構成要素を用いて実施することができる。これらの構成要素は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、磁気若しくは光学ディスク、光学メモリ、又は他の記憶媒体などの揮発性及び不揮発性メモリを含む、任意の従来のコンピュータ可読媒体又は機械可読媒体上の一連のコンピュータ命令として提供されてもよい。命令は、ソフトウェア又はファームウェアとして提供されてもよく、ASIC、FPGA、DSP、又は任意の他の類似するデバイスなどのハードウェア構成要素においても、全体的又は部分的に実施されてもよい。命令は、一連のコンピュータ命令を実行するときに、開示された方法及び手順のすべて又は一部の性能を遂行する又は容易にする1つ以上のプロセッサによって実行されるように構成されてもよい。
【0069】
上述したように、開示されたシステムは、いくつかの実施形態では、上述したさまざまな機能を実行するために、1つ以上のモジュール(ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせ)に依存する。
【0070】
当業者は、開示された本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示の本発明の全ての態様を自由に組み合わせることができることを、当業者であれば理解するであろう。更に、本発明の異なる実施形態について記載された態様を組み合わせてもよい。本発明を実施例によって説明してきたが、特許請求の範囲で定義された本発明の範囲から逸脱することなく、またその意図する優位性を損なうことなく、変更及び改変を加えることができることが理解されるべきである。したがって、このような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【0071】
次に、本発明の様々な好ましい特徴及び実施形態を、非限定的な実施例により記載する。
【実施例】
【0072】
実施例1:食物摂取頻度摂取データの栄養素への変換
American Gut Project(AGP)と呼ばれる公的に利用可能な市民科学プロジェクト(McDonald D,et al.mSystems.2018)を、vioscreenと呼ばれ、AGPによって公衆に提供されたツールを使用して栄養素摂取量に変換した。
【0073】
実施例2:フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Fprau)の相対量を推定するためのモデルの構築
予測モデルを構築して、個々の対象のフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Fprau)の相対量を決定した。特に、そのモデルでは、いくつかの特徴パラメータによってそのFprau相対量を予測して、上記で定義されたカテゴリーに従い、対象が「低」又は「非低」、「高」又は「非高」、「低」又は「高」、のFprau量を有するか否かを決定した。
【0074】
Fprau量を異なるカテゴリーに階級付けする前に正規分布させるために、立方根変換を行った。階級の様々な定義についての値は、第1/下位四分位数-0.2819、第3/上位四分位数-0.4666、平均-std-0.1954、平均+std-0.5220であった。
【0075】
分類モデルを構築するために、データを訓練セット「訓練」と試験セット「ホールドアウト/検査セット」とに分割した。最適なモデル性能のために、本発明者らは、階級の定義に基づいて発生し得る不均衡なクラスのバランスをとるためにダウンサンプリングを使用した。
【0076】
訓練セットは、モデルを訓練するために機械学習アルゴリズムによって使用された。訓練セットは、群を分類するために使用する変数(即ち、特徴)及び閾値(又は係数)を見つけることを含んでいた。データからの学習は、訓練データのいくつかの部分がモデルの訓練に使用され、かつ他の部分が内部試験に使用されるパーティションへと分割された、交差検証様式で行われ(k倍交差検証、例えば3倍)、又はこの方法もまた数回繰り返された(反復k倍交差検証、例えば10倍、10回反復)。
【0077】
ホールドアウト/試験セットは最終訓練モデルの性能をチェックするためにのみ使用された。したがって、このホールドアウト/試験データセットは、モデル訓練段階では使用されなかった。本発明者らは、自由に入手可能なツール(Rソフトウェア、Python)を用いて複数の統計モデル(異なる機械学習アルゴリズム)を評価し、Fprauについての低対非低、高対非高、及び低対高について最良のモデルを特定した。
【0078】
モデル性能の評価は、モデリングの全ての段階において重要であった。モデルが訓練されると、それは訓練段階中に使用されなかったホールドアウト/試験データに適用された。モデルは各群に属する確率を計算した(例えば、「低」、「非低」)。この確率に基づいて最終決定が行われ、したがって、閾値の使用が必要であった。この閾値は、対象が正しく分類されたか否かにかかわらず、対象の最終的な分類に影響を与えた。したがって、エラーは、閾値の異なる選択について評価された。所与の各閾値について、混同行列を計算した。この混同行列は、正しく分類された対象及び誤って分類された対象の数を本質的に計数する。異なる閾値を用いることにより、多くの混同行列が生成され、これは次に、これを使用して異なる閾値で感度及び特異度を導出した。これらの2つのメトリック(感度及び特異度)は、一般に、受信者操作曲線(ROC)の形式で示された;これは、いくつかの閾値にわたるモデル性能を要約した。
【0079】
このモデルについて、受信者操作特性(ROC)曲線を作成した。本発明者らは、「低」対象の群(及び「非低」群)のいずれかを定義し、かつ対象がこの群へと入る確率を予測した;又は、本発明者らは、対象が「高」群(及び「非高」群)へと入ると定義し、かつ対象がこの群へと入る確率を予測した;又は、本発明者らは、対象が「低」群(及び「高」群)へと入ると定義し、かつ対象がこの群へと入る確率を予測した。
【0080】
前述のように、予測モデルの例に使用されたデータセットは、American Gut Project(AGP)データベースに由来する(http://americangut.org)。
【0081】
実施例3:摂取栄養素量データからの「低」Fprau量の推定(I)
これらのパラメータを用いて、低Fprau量対非低塩量のモデルを学習した:階級の定義:(平均-1
*std)対残り、特徴カットオフ:なし、アルゴリズム:RandomForest、練習(Train)モード:cv-splits-3,、cv-repeats-3、処理後練習サイズ:896、ホールドアウト/試験サイズ(オリジナル/前処理前練習/試験分割):764(試験パーセンテージ:20.0%)。交差検証における練習について得られた結果は、精度-0.58±0.02、感度-0.61±0.05、特異度-0.58±0.03であった。練習ROC曲線を
図1Aに示す。ホールドアウト/試験セットについて得られた結果は、精度-0.64、感度-0.56、特異度-0.65であった。ホールドアウト/試験ROC曲線を
図1Bに示す。重要な特徴及びそれらのFprau量との関連を
図3に示す。
【0082】
実施例4:摂取栄養素量データからの「低」Fprau量の推定(II)
低対非低Fprau量についての別のモデルを、これらのパラメータを用いて学習した。階級の定義:第1/最低四分位数対残り、特徴カットオフ:なし、アルゴリズム:RandomForest、練習(Train)モード:cv-splits-3,、cv-repeats-3、処理後トレインサイズ:1554、ホールドアウト/試験サイズ(オリジナル/前処理前トレイン/試験分割):764(試験パーセンテージ:20.0%)。交差検証における練習について得られた結果は、精度-0.58±0.02、感度-0.62±0.03、特異度-0.57±0.03であった。練習ROC曲線を
図2Aに示す。ホールドアウト/試験セットについて得られた結果は、精度-0.59、感度-0.57、特異度-0.59であった。ホールドアウト/試験ROC曲線を
図2Bに示す。重要な特徴及びそれらのFprau量との関連を
図4に示す。
【0083】
実施例5:Fprau量を維持又は改善するための推奨
実施例3に提示されたモデルについて、モデルを構成する上位30個の特徴を
図3に示した。実施例4に提示されたモデルについて、モデルを構成する上位30個の特徴を
図4に示した。(A)及び(B)はいずれも、SHaPley Additive Description(SHAP)値解析(Lundberg SM,et al.Nat Mach.2020)を実行することにより得た。(A)は、高から低の重要度の順でモデル出力に対する特徴ごとの平均影響を示す。主要/最良の特徴は上部の水平バーであった。次の最良の特徴は第2の水平バーなどであった。(B)は、モデル出力に対するインスタンス/サンプルごとの特徴の影響をより詳細に示す。グレーからブラックへのカラーグラデーションは、その特徴の低い値から高い値を示す。0.00の垂直線は、影響の方向性を定義する(左側はモデル出力に対する負の影響であり、右側はモデル出力に対する正の影響である)。ここで、SHAP分析出力は、「低」である参照クラスに関するものであった。
【0084】
特徴が0.00の垂直線の右側に向かって黒色値を有する場合、これは、この特徴のより高い値がモデル出力へ正に寄与することを示す。逆もまた同様であり、特徴が0.00の垂直線の左側に向かって黒色値を有する場合、これは、この特徴のより高い値がモデル出力へ負に寄与することを示す。同様に、特徴が0.00の垂直線の右側に向かって灰色値を有する場合、これは、この特徴のより低い値がモデル出力へ正に寄与することを示す。逆もまた同様であり、特徴が0.00の垂直線の左側に向かって灰色値を有する場合、これは、この特徴のより低い値がモデル出力へ負に寄与することを示す。
【0085】
図3及び
図4から分かるように、一例として、低Fprau量対非低塩量を予測するためのこのモデルの重要な特徴のいくつかは、イノシトール(g単位のイノシトール)、alphacar(mcg単位のアルファカロテンプロビタミンAカロテノイド)、betacar(mcg単位のβ-カロテンプロビタミンAカロテノイド)、ペクチン(g単位のペクチン)、繊維(g単位の総食物繊維、g単位の可溶性食物繊維、g単位の不溶性食物繊維)、及びビタミンA(vita_iu-IU単位の総ビタミンA活性、vita_rae-mcg単位の総ビタミンA活性レチノール活性等価物、vita_re-mcg単位の総ビタミンA活性レチノール等価物)などに関連していた。
【0086】
図5では、特徴ごとに、SHAP依存プロットは、各データインスタンス/サンプルについて、x軸上に特徴値を有し、y軸上に対応するシャープレイ値を有する点を示した。SHAPは、予測に対する各特徴の寄与を計算することによって各インスタンスの予測を説明した。シャープレイ値の説明は、加法的特徴の帰属方法として、線形モデルとして表した。ここでの参照クラスは「低」であったため、特徴の対応するx値のSHAP値の正の係数は、「低」クラスを予測する際にこの特徴によってモデルがどの程度影響を受けたかを示す。
【0087】
ここから分かるように、イノシトールはFprau量に影響を及ぼしたが、それは、このモデルによって使用された最も上位の特徴の1つであった(
図3及び
図4)。
図5Aに見られるように、イノシトールの特定の摂取値は、モデル出力に対する影響との関係を有し、低いイノシトール摂取は、Fprauの状態をより低い側に有する傾向があり、一方、イノシトールのより高い摂取量は、Fprauの状態を「非低」クラスにする傾向があった。したがって、Fprauの状態は、食事からのより多くのイノシトール摂取、好ましくは1日あたり0.2gを超えるイノシトールから利益を得、これは、カンタロープ及びオレンジなどの果実を食べることによって得ることができる。
【0088】
図3及び
図4は、alphacar(mcg単位のアルファカロテンプロビタミンAカロテノイド)の重要性を示し、
図5Bは、alphacar(mcg単位のアルファカロテンプロビタミンAカロテノイド)についてのSHAP依存プロットを示す。alphacar(約2000の値以下のx軸上のすべてのデータポイント)を下回る摂取を行うすべての個人について、SHAP値は正であり、これがFprauの状態の「低」クラスにあることに関連していたことを示した。同様に、約2000を超えるalphacarのより高い摂取量を有する個体についてのみ、SHAP値は負であり、これは、現在「非低」Fprauの状態にあることに関連していたことを示す。したがって、本発明の推奨は、α-カロテンに富むと報告されているニンジン、さつまいも、カボチャ、冬カボチャなどの黄橙色野菜、並びにブロッコリー、インゲン豆、グリーンピース、ホウレンソウ、カブの葉、コラード、リーフレタス及びアボカドなどの濃緑色野菜を摂取することである。
【0089】
上記の同様の推論及び説明に基づいて、
図3、
図4、
図5Cを全体的に見て、約10000 mcgより多いbetacar(mcg単位のβ-カロテンプロビタミンAカロテノイド)の摂取が、「非低」マイクロバイオーム状態にあることに関連していたため、Fprauにとり良好であったと推測することができる。これらの結果に基づいて、本発明の推奨は、カンタロープ、マンゴー、カボチャ、及びパパイヤなどの黄色及びオレンジ色の果実、並びにニンジン及びさつまいもなどのオレンジ色の根菜をより多く摂取することであった。また、betacarは、ホウレンソウ、ケール、さつまいもの葉、ゴーヤの葉などの緑葉野菜にも存在する。更に、栄養補助食品としても販売されている。以下の表は、主要な食品及びβ-カロテン量を列挙する(https://en.wikipedia.org/wiki/Beta-Carotene)
【0090】
【0091】
上記と同様の根拠及び説明に基づき、
図4及び
図5Dを総合的に見ると、ペクチンの摂取(ペクチン、g)はFprauの状態と関連しているものと推測することができる。特に、4gを超えるペクチン摂取の増加は、「非低」Fprauの状態と関連していた。したがって、本発明の推奨は、例えば、ナシ、リンゴ、グアバ、マルメロ、プラム、グースベリー、及びオレンジ、並びに大量のペクチンを含有すると報告されている他の柑橘類果実から、より多くのペクチンを摂取することであろう。新鮮な果物及び野菜中のペクチンの典型的なレベルは以下の通りである:リンゴ:1~1.5%、アンズ:1%、サクランボ:0.4%、オレンジ:0.5~3.5%、ニンジン:1.4%、柑橘果皮:30%、ローズヒップ:15%(https://en.wikipedia.org/wiki/Pectin)。
【0092】
図3、
図4、
図5E、
図5F及び
図5Gに示されるSHAP分析から要約すると、結論は、繊維の量の増加がマイクロバイオームに正の影響を与えたということであった。このデータにおける繊維は、全繊維-全食物繊維(g)(繊維)、不溶性繊維-不溶性食物繊維(g)(fibinso)、及び可溶性繊維-可溶性食物繊維(g)(fibh20)として捕捉された。ここでなされた解釈に基づいて、本発明の推奨は、40gを超える全繊維を有し、不溶性繊維が30gを超え、可溶性繊維が10gを超えることであった。したがって、本発明の推奨は、食物源から得ることができるFprau量を増加させるために、不溶性繊維及び可溶性繊維の両方から構成されるより多くの全繊維を摂取することであろう。食物繊維は、果実、野菜及び全粒穀物に存在する。一般的な食品に含まれる繊維の量をここに列挙する(https://en.wikipedia.org/wiki/Dietary_fiber)。
【0093】
【0094】
可溶性繊維は、豆果(エンドウマメ、ダイズ、ルピナス及び他の豆)、カラスムギ、ライムギ、チア及びオオムギ、いくつかの果実(イチジク、アボカド、プラム、プルーン、ベリー、熟したバナナ、並びにリンゴ、マルメロ及びナシの皮を含む)、ブロッコリー、ニンジン及びキクイモなどの特定の野菜、さつまいも及びタマネギ(これらの皮も不溶性繊維の供給源である)などの塊根及び根菜、オオバコ種子殻(粘液可溶性繊維)及び亜麻仁、ナッツを含む全ての植物性食品において様々な量で存在し、アーモンドは食物繊維が最も高い。
【0095】
不溶性繊維の供給源としては、以下:全粒食品、コムギ及びトウモロコシふすま、豆類及びエンドウマメなどのマメ科植物、堅果類及び種子類、ポテトスキン、リグナン、インゲン豆、カリフラワー、ズッキーニ(チョウザメ)、セロリ、及びノパルなどの野菜、アボカドを含むいくつかの果実、並びに未熟バナナ、キウイフルーツ、ブドウ及びトマトを含むいくつかの果実の皮が挙げられる。
【0096】
同様に、
図5H、
図5I、
図5Jは、ビタミンAの量の増加がFprau量に対して所望の効果を有することを示す。これは、vita_iu(IU単位の総ビタミンA活性)、vita_rae(mcg単位の総ビタミンA活性レチノール活性当量)、及びvita_re(mcg単位の総ビタミンA活性レチノール当量)としてAGPデータに取り込まれた。1 IUのレチノールは、約0.3マイクログラム(300ナノグラム)に相当する。
図5H、
図5I、
図5Jによれば、vita_iu>20000 IU、vita_rae>2000mcg、及びvita_re>3000mcgは、Fprau量に対して所望の効果を有した。
【0097】
食用のビタミンAは2つの供給源から供給される。動物製品は、レチノイドのような活性形態を有し、レチンアルデヒド及びレチノールを含み、手軽に入手可能である。前駆体は活性型に変換されなければならず、プロビタミンと呼ばれ、カロテノイドとして知られる、黄色、オレンジ色及び暗緑色の色素を含有する果実及び野菜から得られる。最もよく知られているのはβ-カロテンである。ビタミンAの量は、レチノール当量(RE)で測定される。1 REは、0.001mgのレチノール、又は0.006mgのβ-カロテン、又は3.3国際単位のビタミンAに相当する。レチノイドは、動物由来の食品中にのみ天然に見出される。以下の各々は、1.75~7oz(50~198g)当たり少なくとも0.15mgのレチノイドを含有する:タラ肝油、バター、肝臓(牛肉、豚肉、鶏肉、七面鳥、魚)、卵、チーズ、及び乳。
【0098】
したがって、本発明の推奨は、卵、肝臓、タラ肝油などの動物製品を食べることであった。更に、合成レチノールは以下のように市販されている:Acon、Afaxin、Agiolan、Alphalin、Anatola、Aoral、Apexol、Apostavit、Atav、Avibon、Avita、Avitol、Axerol、Dohyfral A、Epiteliol、Nio-A-Let、Prepalin、Testavol、Vaflol、Vi-Alpha、Vitpex、Vogan、及びVogan-Neu。(https://en.wikipedia.org/wiki/Retinol)
【0099】
最終的な推奨は、特徴が互いに関連し、かつ個体のフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Fprau)の状態に対する最終的な影響が異なる因子の組合せであった、複雑な多変量解析の結果である。
【0100】
そのユーザフレンドリなデジタルインターフェースを有する本発明のシステムは、ユーザ自身のマイクロバイオームの状態を改善するためにそれらをユーザと直接通信するためにこれらの推奨を組み込む。
【0101】
実施例6
ヒト試験プロトコル下で、健康な成人ドナーから糞便サンプルを収集した。糞便試料を受け取った後、保存緩衝液(PBS及び10%グリセロール)を用いて少量のアリコートを調製し、使用前に-80℃で保存した。各実験の際、250μLの糞便アリコートを、嫌気性チャンバー内の厳密な嫌気性条件下(酸素<3ppm)で最小細菌培養培地を充填した10mLのHungateチューブに接種した。表1に示される異なる栄養素又は栄養素の組み合わせを、時間0で培養培地に添加し、チューブを37℃で24時間又は48時間インキュベートした。フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(F.prau)の生育を、2つの方法、すなわちF.prauを特異的に標的とする定量的PCR及び16S微生物rRNA遺伝子配列決定によって調べた。
【0102】
【0103】
最初に、本発明者らは、24時間後又は48時間後の群集におけるF.prauの絶対量を調べた(
図6のA及び
図6のB)。24時間の時点で、Pump_full、ビタミンB群+イノシトール及びイヌリン中のF.prauは、対照の少なくとも2倍である。しかしながら、イヌリンのみが48時間後に多量のF.prauを維持することができた。
【0104】
F.prauは、ヘテロジェニックであり、遺伝的に多様である。したがって、この次の実験において、本発明者らは、栄養素又は栄養素の組み合わせが、特定のF.prauが混合群集において増殖するのに有利であるかどうかを試験した。合計14種の遺伝的に異なるフィーカリバクテリウムが発酵実験において見出され、それらのほとんど(ASV1、6、9、12及び13)は、予想通りイヌリンに対して陽性に応答した。興味深いことに、ASV6はまた、24時間でPump_full及びビタミンB群+イノシトールに応答し(
図7のA)、48時間でより少ない程度で応答した(
図7のB)。
【0105】
結論として、本発明者らの結果は、特定の栄養素の組み合わせ(Pump_full及びビタミンB群+イノシトール)が、その効果は48時間まで持続しなかったものの、F.prauに混合群集における生育という利益を提供することを実証する。より重要なことに、これらの栄養素の組み合わせの利益は、全てのF.prauではなく、特定のF.prauにおいてのみ見られ、これらの栄養素の組み合わせは、イヌリンなどのF.prau増強繊維と組み合わせて、又はイヌリンが製品中で使用できないか、又は人々によって許容されない場合に単独で、使用することができることを示唆する。
【国際調査報告】