IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メドトロニック,インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-18
(54)【発明の名称】人工弁装置のための装填ツール
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564152
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 IB2022054027
(87)【国際公開番号】W WO2022234425
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/183,172
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/701,906
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンズ, クレイグ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC12
4C097CC16
4C097DD01
4C097DD09
4C097DD10
4C097EE06
4C097EE13
4C097MM09
4C097SB03
(57)【要約】
送達システム内にプロテーゼを装填することを容易にするための装填ツールは、第1及び第2の本体部分を有するヒンジ状本体と、ヒンジ状本体の上に摺動自在に配置されたカラーとを含む。本体部分の第1の端部は、取り付けられ、及び本体部分の第2の端部は、取り付けられない。各本体部分は、半径方向突起を含む弾性クリップを含む。各弾性クリップは、締め付け力がそれに加えられるとき、半径方向内側に変位されるように構成される。装填ツールは、第2の端部が半径方向に離間され、且つカラーが第1の端部の上に配置される開放形態を有する。装填ツールは、第2の端部が互いに直接隣接して配置され、且つカラーが第2の端部の上に配置される閉鎖形態を有する。半径方向突起は、弾性クリップが半径方向内側に変位されないとき、装填ツールを閉鎖形態にロックする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送達システム内に自己拡張型プロテーゼを装填することを容易にするための装填ツールであって、
第1の本体部分及び第2の本体部分を含むヒンジ状本体であって、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分のそれぞれは、第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の本体部分の前記第1の端部は、前記第2の本体の前記第1の端部に取り付けられ、及び前記第1の本体部分の前記第2の端部は、前記第2の本体部分の前記第2の端部に取り付けられず、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分のそれぞれは、その上に形成された弾性クリップを含み、前記弾性クリップは、その外面に半径方向突起を含み、各弾性クリップは、締め付け力がそれに加えられるとき、半径方向内側に変位されるように構成される、ヒンジ状本体と、
前記ヒンジ状本体の上に摺動自在に配置されたカラーであって、前記装填ツールは、前記第1の本体部分の前記第2の端部及び前記第2の本体部分の前記第2の端部が互いに半径方向に離間され、且つ前記カラーが前記第1及び第2の本体部分の前記第1の端部の上に配置される開放形態を有し、前記装填ツールは、前記第1の本体部分の前記第2の端部及び前記第2の本体部分の前記第2の端部が互いに直接隣接して配置され、且つ前記カラーが前記第1及び第2の本体部分の前記第2の端部の上に配置される閉鎖形態を有する、カラーと
を含み、前記半径方向突起は、前記弾性クリップが半径方向内側に変位されないとき、前記装填ツールを前記閉鎖形態にロックするように構成される、装填ツール。
【請求項2】
前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分のそれぞれは、その前記第2の端部においてその外面にフランジを有し、前記カラーが前記ヒンジ状本体を前記閉鎖形態にロックするとき、前記カラーは、前記フランジと前記弾性クリップ上の前記半径方向突起との間に挟まれる、請求項1に記載の装填ツール。
【請求項3】
各フランジは、正方形の輪郭を有する、請求項2に記載の装填ツール。
【請求項4】
各半径方向突起は、テーパ付き外面を有し、前記テーパ付き外面は、前記第1及び第2の本体部分の前記第1の端部から前記第1及び第2の本体部分の前記第2の端部に向かう方向に前記カラーが摺動することを許容し、各半径方向突起は、端面を有し、前記端面は、前記弾性クリップが前記締め付け力によって半径方向内側に変位されない限り、前記第1及び第2の本体部分の前記第2の端部から前記第1及び第2の本体部分の前記第1の端部に向かう方向に前記カラーが摺動することを許容しない、請求項1に記載の装填ツール。
【請求項5】
前記第1の本体部分の前記第1の端部は、接着剤を介して前記第2の本体の前記第1の端部に取り付けられる、請求項1に記載の装填ツール。
【請求項6】
前記第1の本体部分の前記第1の端部は、機械的な留め具を介して前記第2の本体の前記第1の端部に取り付けられる、請求項1に記載の装填ツール。
【請求項7】
前記半径方向突起が前記装填ツールを前記閉鎖形態にロックするとき、開放することを防止される、請求項1に記載の装填ツール。
【請求項8】
前記弾性クリップは、半径方向内側に変位されて前記カラーを解放するように構成される、請求項7に記載の装填ツール。
【請求項9】
前記ヒンジ状本体は、前記送達システム内への前記自己拡張型プロテーゼの装填中、前記送達システムの遠位端部の上に配置されるように構成される、請求項1に記載の装填ツール。
【請求項10】
前記ヒンジ状本体は、前記送達システムのカプセルの上に、前記自己拡張型プロテーゼが前記カプセル内に位置決めされるときに配置されるように構成される、請求項9に記載の装填ツール。
【請求項11】
前記第1及び第2の本体部分の前記第2の端部は、前記自己拡張型プロテーゼが前記カプセル内に位置決めされるとき、前記自己拡張型プロテーゼが前記カプセルの第1の端部に接触することを防止するように構成され、且つ前記自己拡張型プロテーゼの取り付けバーを保持するように構成される、その内面に形成された段付き縁をそれぞれ含む、請求項10に記載の装填ツール。
【請求項12】
前記第1及び第2の本体部分は、前記装填ツールが前記閉鎖形態であるとき、集合的にチューブ状の形態を有する、請求項1に記載の装填ツール。
【請求項13】
送達システム内に自己拡張型プロテーゼを装填する方法であって、
装填ツールを開放形態に配置することであって、前記装填ツールは、ヒンジ状本体及び前記ヒンジ状本体の上に摺動自在に配置されたカラーを含み、前記ヒンジ状本体は、第1の本体部分及び第2の本体部分を含み、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分のそれぞれは、第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の本体部分の前記第1の端部は、前記第2の本体の前記第1の端部に取り付けられ、及び前記第1の本体部分の前記第2の端部は、前記第2の本体部分の前記第2の端部に取り付けられず、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分のそれぞれは、その上に形成された弾性クリップを含み、前記弾性クリップは、その外面に半径方向突起を含み、各弾性クリップは、締め付け力がそれに加えられるとき、半径方向内側に変位されるように構成され、前記開放形態では、前記第1の本体部分の前記第2の端部及び前記第2の本体部分の前記第2の端部は、互いに半径方向に離間され、且つ前記カラーは、前記第1及び第2の本体部分の前記第1の端部の上に配置される、配置することと、
前記送達システムの遠位端部の上に前記開放形態で前記装填ツールを配置することと、
前記装填ツールが前記送達システムの遠位端部の上に配置されている間、前記装填ツールが閉鎖形態になるまで前記ヒンジ状本体の上で前記カラーを摺動させることであって、前記閉鎖形態では、前記第1の本体部分の前記第2の端部及び前記第2の本体部分の前記第2の端部は、互いに直接隣接して配置され、且つ前記カラーは、前記第1及び第2の本体部分の前記第2の端部の上に配置され、前記半径方向突起は、前記弾性クリップが半径方向内側に変位されないとき、前記装填ツールを前記閉鎖形態にロックする、摺動させることと、
前記半径方向突起が前記装填ツールを前記閉鎖形態にロックしている間、前記送達システムの前記遠位端部内に前記自己拡張型プロテーゼを装填することと
を含む方法。
【請求項14】
前記自己拡張型プロテーゼが前記送達システムの前記遠位端部内に装填された後、締め付け力を加えて前記弾性クリップを半径方向内側に変位させることと、
前記装填ツールが前記開放形態になるまで、前記弾性クリップが半径方向内側に変位されている間に前記ヒンジ状本体の上で前記カラーを摺動させることと、
前記送達システムの前記遠位端部から前記装填ツールを除去することと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記自己拡張型プロテーゼは、僧帽弁プロテーゼである、請求項13に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分のそれぞれは、その前記第2の端部においてその外面にフランジを有し、前記カラーが前記ヒンジ状本体を前記閉鎖形態にロックするとき、前記カラーは、前記フランジと前記弾性クリップ上の前記半径方向突起との間に挟まれる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
各フランジは、正方形の輪郭を有し、及び前記フランジは、前記自己拡張型プロテーゼを装填する前記ステップ中に平面に対して置かれる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
各半径方向突起は、テーパ付き外面を有し、前記テーパ付き外面は、前記第1及び第2の本体部分の前記第1の端部から前記第1及び第2の本体部分の前記第2の端部に向かう方向に前記カラーが摺動することを許容し、各半径方向突起は、端面を有し、前記端面は、前記弾性クリップが前記締め付け力によって半径方向内側に変位されない限り、前記第1及び第2の本体部分の前記第2の端部から前記第1及び第2の本体部分の前記第1の端部に向かう方向に前記カラーが摺動することを許容しない、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記装填ツールは、前記半径方向突起が前記装填ツールを前記閉鎖形態にロックするとき、前記開放形態まで開放することを防止される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記の前記遠位端部は、カプセルである、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記第1及び第2の本体部分の前記第2の端部は、前記自己拡張型プロテーゼが前記カプセル内に位置決めされるとき、前記自己拡張型プロテーゼが前記カプセルの第1の端部に接触することを防止するように構成され、且つ前記自己拡張型プロテーゼの取り付けバーを保持するように構成される、その内面に形成された段付き縁をそれぞれ含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1及び第2の本体部分は、前記装填ツールが前記閉鎖形態であるとき、集合的にチューブ状の形態を有する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、自己拡張型人工弁装置に関し、特に、送達システム内に人工弁装置を装填することを容易にするツールを対象とする。
【背景技術】
【0002】
ヒトの心臓は、4つの部屋に分けられた筋肉性の器官であり、心周期中に身体の血液循環をもたらす。4つの主な部屋は、肺循環を供給する右心房及び右心室並びに肺から受け取った酸素化血液を体循環中に供給する左心房及び左心室を含む。血流が一方向に心臓を通ることを保証するために、心房と心室との間の接合部に房室弁(三尖弁及び僧帽弁)が存在し、半月弁(肺動脈弁及び大動脈弁)が肺及び身体の残りの部分に通じる心室の出口を調節する。これらの弁は、心腔の収縮及び弛緩に起因する血圧変動に応じて開閉する弁尖又は心臓弁膜尖を含む。弁尖は、互いに離れて開き、血液が弁の下流に流れることを可能にし、またつなぎ合わさって閉じ、上流へのバックフロー又は逆流を防止する。
【0003】
損傷又は欠陥に起因するものなど、心臓弁に関連付けられる疾患は、狭窄及び弁閉鎖不全又は逆流を含み得る。例えば、弁狭窄は、弁を狭く且つ硬くし、これにより下流の心腔への血流が適切な流量で生じることを妨げ、疾患のある弁を通して血液を送り出すため、心臓により負担をかけ得る。弁閉鎖不全又は逆流は、弁が完全に閉じないときに起こり、血液が後方に流れることを可能にし、それにより心臓の効率を悪くする。先天性であり得るか、加齢に関連し得るか、薬物性であり得るか又は場合により感染に起因し得る疾患のある又は損傷した弁は、肥大、肥厚した心臓につながり得、これにより弾力性及び効率が失われる。心臓弁疾患のいくつかの症状は、脱力、息切れ、眩暈、失神、動悸、貧血及び浮腫並びに脳卒中又は肺塞栓症の可能性を高め得る血栓を含み得る。症状は、多くの場合、衰弱させ且つ/又は生死にかかわるほど重症であり得る。
【0004】
疾患のある及び/又は損傷した心臓弁の修復及び置換のための心臓弁プロテーゼが開発されている。そのような心臓弁プロテーゼは、カテーテルベースの送達システムを通して経皮的に送達され、且つ疾患のある心臓弁の部位で展開され得る。そのような心臓弁プロテーゼは、半径方向に圧縮又はクリンプされた形態で送達されるため、心臓弁プロテーゼは、患者の脈管構造を通して前進され得る。治療部位に位置決めされると、心臓弁プロテーゼは、拡張されて、疾患のある心臓弁領域にある組織に係合し、例えば心臓弁プロテーゼを適所に保持する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、カテーテルベースの送達システム内に心臓弁プロテーゼ及び他のタイプのプロテーゼを装填又はクリンプすることを容易にするためのツールに関する。
【0006】
本明細書の第1の実施形態によれば、本開示は、送達システム内に自己拡張型プロテーゼを装填することを容易にするための装填ツールを提供する。装填ツールは、ヒンジ状本体及びヒンジ状本体の上に摺動自在に配置されたカラーを含む。ヒンジ状本体は、第1の本体部分及び第2の本体部分を含み、第1の本体部分及び第2の本体部分のそれぞれは、第1の端部及び第2の端部を有する。第1の本体部分の第1の端部は、第2の本体の第1の端部に取り付けられ、及び第1の本体部分の第2の端部は、第2の本体部分の第2の端部に取り付けられない。第1の本体部分及び第2の本体部分のそれぞれは、その上に形成された弾性クリップを含み、弾性クリップは、その外面に半径方向突起を含む。各弾性クリップは、締め付け力がそれに加えられるとき、半径方向内側に変位されるように構成される。装填ツールは、第1の本体部分の第2の端部及び第2の本体部分の第2の端部が互いに半径方向に離間され、且つカラーが第1及び第2の本体部分の第1の端部の上に配置される開放形態を有する。装填ツールは、第1の本体部分の第2の端部及び第2の本体部分の第2の端部が互いに直接隣接して配置され、且つカラーが第1及び第2の本体部分の第2の端部の上に配置される閉鎖形態を有する。半径方向突起は、弾性クリップが半径方向内側に変位されないとき、装填ツールを閉鎖形態にロックするように構成される。
【0007】
第1の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、第1の本体部分及び第2の本体部分のそれぞれがその第2の端部においてその外面にフランジを有し、カラーがヒンジ状本体を閉鎖形態にロックするとき、カラーがフランジと弾性クリップ上の半径方向突起との間に挟まれることを提供する。
【0008】
第1の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、各フランジが正方形の輪郭を有することを提供する。
【0009】
第1の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、各半径方向突起がテーパ付き外面を有し、テーパ付き外面が、第1及び第2の本体部分の第1の端部から第1及び第2の本体部分の第2の端部に向かう方向にカラーが摺動することを許容し、各半径方向突起が端面を有し、端面が、弾性クリップが締め付け力によって半径方向内側に変位されない限り、第1及び第2の本体部分の第2の端部から第1及び第2の本体部分の第1の端部に向かう方向にカラーが摺動することを許容しないことを提供する。
【0010】
第1の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、第1の本体部分の第1の端部が接着剤を介して第2の本体の第1の端部に取り付けられることを提供する。
【0011】
第1の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、第1の本体部分の第1の端部が機械的な留め具を介して第2の本体の第1の端部に取り付けられることを提供する。
【0012】
第1の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、装填ツールが、半径方向突起が装填ツールを閉鎖形態にロックするとき、開放することを防止されることを提供する。
【0013】
第1の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、弾性クリップが、半径方向内側に変位されてカラーを解放するように構成されることを提供する。
【0014】
第1の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、ヒンジ状本体が、送達システム内への自己拡張型プロテーゼの装填中、送達システムの遠位端部の上に配置されるように構成されることを提供する。
【0015】
第1の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、ヒンジ状本体が、送達システムのカプセルの上に、自己拡張型プロテーゼがカプセル内に位置決めされるときに配置されるように構成されることを提供する。
【0016】
第1の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、第1及び第2の本体部分の第2の端部が、自己拡張型プロテーゼがカプセル内に位置決めされるとき、自己拡張型プロテーゼがカプセルの第1の端部に接触することを防止するように構成され、且つ自己拡張型プロテーゼの取り付けバーを保持するように構成される、その内面に形成された段付き縁をそれぞれ含むことを提供する。
【0017】
第1の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、第1及び第2の本体部分が、装填ツールが閉鎖形態であるとき、集合的にチューブ状の形態を有することを提供する。
【0018】
本明細書の第1の実施形態によれば、本開示は、送達システム内に自己拡張型プロテーゼを装填する方法が、装填ツールを開放形態に配置することを含むことを提供する。装填ツールは、ヒンジ状本体及びヒンジ状本体の上に摺動自在に配置されたカラーを含む。ヒンジ状本体は、第1の本体部分及び第2の本体部分を含み、第1の本体部分及び第2の本体部分のそれぞれは、第1の端部及び第2の端部を有する。第1の本体部分の第1の端部は、第2の本体の第1の端部に取り付けられ、及び第1の本体部分の第2の端部は、第2の本体部分の第2の端部に取り付けられない。第1の本体部分及び第2の本体部分のそれぞれは、その上に形成された弾性クリップを含み、弾性クリップは、その外面に半径方向突起を含む。各弾性クリップは、締め付け力がそれに加えられるとき、半径方向内側に変位されるように構成される。装填ツールは、第1の本体部分の第2の端部及び第2の本体部分の第2の端部が互いに半径方向に離間される開放形態を有し、カラーは、第1及び第2の本体部分の第1の端部の上に配置される。装填ツールは、送達システムの遠位端部の上に開放形態で配置され、及び装填ツールが送達システムの遠位端部の上に配置されている間、カラーは、装填ツールが閉鎖形態になるまでヒンジ状本体の上で摺動される。閉鎖形態では、第1の本体部分の第2の端部及び第2の本体部分の第2の端部は、互いに直接隣接して配置され、且つカラーは、第1及び第2の本体部分の第2の端部の上に配置され、半径方向突起は、弾性クリップが半径方向内側に変位されないとき、装填ツールを閉鎖形態にロックする。自己拡張型プロテーゼは、半径方向突起が装填ツールを閉鎖形態にロックしている間、送達システムの遠位端部内に装填される。
【0019】
第2の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、自己拡張型プロテーゼが送達システムの遠位端部内に装填された後、締め付け力が加えられて弾性クリップを半径方向内側に変位させることを提供する。カラーは、装填ツールが開放形態になるまで、弾性クリップが半径方向内側に変位されている間にヒンジ状本体の上で摺動され、及び装填ツールは、送達システムの遠位端部から除去される。
【0020】
第2の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、自己拡張型プロテーゼが僧帽弁プロテーゼであることを提供する。
【0021】
第2の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、第1の本体部分及び第2の本体部分のそれぞれがその第2の端部においてその外面にフランジを有し、カラーがヒンジ状本体を閉鎖形態にロックするとき、カラーがフランジと弾性クリップ上の半径方向突起との間に挟まれることを提供する。
【0022】
第2の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、各フランジが正方形の輪郭を有し、及びフランジが、自己拡張型プロテーゼを装填するステップ中に平面に対して置かれることを提供する。
【0023】
第2の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、各半径方向突起がテーパ付き外面を有し、テーパ付き外面が、第1及び第2の本体部分の第1の端部から第1及び第2の本体部分の第2の端部に向かう方向にカラーが摺動することを許容し、各半径方向突起が端面を有し、端面が、弾性クリップが締め付け力によって半径方向内側に変位されない限り、第1及び第2の本体部分の第2の端部から第1及び第2の本体部分の第1の端部に向かう方向にカラーが摺動することを許容しないことを提供する。
【0024】
第2の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、装填ツールが、半径方向突起が装填ツールを閉鎖形態にロックするとき、開放形態まで開放することを防止されることを提供する。
【0025】
第2の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、送達システムの遠位端部がカプセルであることを提供する。
【0026】
第2の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、第1及び第2の本体部分の第2の端部が、自己拡張型プロテーゼがカプセル内に位置決めされるとき、自己拡張型プロテーゼがカプセルの第1の端部に接触することを防止するように構成され、且つ自己拡張型プロテーゼの取り付けバーを保持するように構成される、その内面に形成された段付き縁をそれぞれ含むことを提供する。
【0027】
第2の実施形態のある態様において且つ本明細書の任意の他の態様と組み合わせて、本開示は、第1及び第2の本体部分が、装填ツールが閉鎖形態であるとき、集合的にチューブ状の形態を有することを提供する。
【0028】
本開示の1つ以上の態様の詳細を添付図面及び下記の記述で説明する。本開示で説明する技術の他の特徴、目的及び利点は、記述及び図面並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0029】
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、添付図面に示されるようなその実施形態の以下の記述から明らかになるであろう。本明細書に援用され、且つその一部をなす添付図面は、さらに、本発明の原理を説明し、且つ当業者が本発明を作製及び使用できるようにする役割を果たす。図面は、縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本開示のある態様による装填ツールと一緒に使用するための例示的な経カテーテル的弁プロテーゼの斜視図を示す。
図2】本開示のある態様による、人工弁構成要素が内部に固定されている状態の図1の経カテーテル的弁プロテーゼの弁支持体の斜視図を示す。
図3】本開示のある態様による、図1に示す経カテーテル的弁プロテーゼの心房端面図を示す。
図4】本開示のある態様による、図1に示す経カテーテル的弁プロテーゼの心室端面図を示す。
図5】本開示のある態様による装填ツールの、装填ツールが開放形態である斜視図を示す。
図6図5の装填ツールの分解図を示す。
図7】装填ツールが開放形態である、図5の装填ツールの側面図を示す。
図8A図5の装填ツールの、装填ツールが閉鎖形態である側面図を示す。
図8B図5の装填ツールの、装填ツールが閉鎖形態である斜視図を示す。
図9】送達システムの遠位端部の上に位置決めする前の図5の装填ツールの側面図を示し、送達システムは、経大腿動脈送達のために構成され、装填ツールは、開放形態である。
図10】送達システムの遠位端部の上に位置決めした後の図5の装填ツールの側面図を示し、装填ツールは、閉鎖形態である。
図11】本開示の別の態様による装填ツールの分解図を示し、装填ツールの第1及び第2の本体部分は、接着剤を介して互いに取り付けられ、装填ツールは、その一方の端部のみで開放している。
図12】本開示の別の態様による装填ツールの分解図を示し、装填ツールの第1及び第2の本体部分は、接着剤を介して互いに取り付けられ、装填ツールは、その両端部で開放している。
図13】送達システムの遠位端部の上に位置決めする前の図12の装填ツールの側面図を示し、送達システムは、経心尖送達のために構成され、装填ツールは、開放形態である。
図14】送達システムの遠位端部の上に位置決めした後の図12の装填ツールの側面図を示し、送達システムは、経心尖送達のために構成され、装填ツールは、閉鎖形態である。
図15A】本開示の別の態様による装填ツールの斜視図を示し、装填ツールの第1及び第2の本体部分は、リング状留め具を介して互いに機械的に留められ、装填ツールは、その両端部で開放している。
図15B図15Aの装填ツールの異なる斜視図を示す。
図16】送達システムの遠位端部の上に位置決めする前の図5の装填ツールの側面図を示し、送達システムは、経大腿動脈送達のために構成され、装填ツールは、開放形態であり、装填用漏斗状部は、送達システムの上に配置される。
図17】送達システムの遠位端部の上に位置決めした後の図5の装填ツールの側面図を示し、装填ツールは、閉鎖形態である。
図18図5の装填ツールの一部分の側面の断面図を示し、装填ツールは、閉鎖形態である。
図19図17の送達システムのカプセル及びピストンが内部に配置されている状態の図18の側面の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を説明し、図面では、同様の参照符号は、同一の又は機能的に同様の要素を示す。別段の指示がない限り、用語「遠位」及び「近位」は、シース、送達機器又はカテーテルベースの送達システムを指すために以下の説明で使用されるとき、治療している臨床医に対する位置又は方向に関する。そのため、「遠位」及び「遠位側に」は、治療している臨床医から遠い又は離れている方向にある位置を指し、用語「近位」及び「近位側に」は、治療している臨床医に近い位置又は臨床医に向かう方向を指す。
【0032】
本発明の実施形態は、送達システム内に自己拡張型プロテーゼを装填することを容易にするための装填ツールに関する。本明細書の実施形態による装填ツールは、送達システムの遠位端部の上に配置される一方、自己拡張型プロテーゼは、送達システムの遠位端部内に位置決めされるか又は引き入れられるように構成される。本明細書の実施形態による装填ツールは、本明細書でより詳細に説明するように、送達システム内への装填中の自己拡張型プロテーゼに対する損傷を防止するように構成される。さらに、装填ツールは、予め決められた位置に到達すると、装填ツールの摺動自在なカラーを適所に自動的にロックするように構成される一体型弾性クリップを含む。摺動自在なカラーが適所にロックされると、弾性クリップは、ロバストで機械的なハードストップを提供し、装填ツールは、同様に閉鎖形態にロックされて、装填ツールが開放することを防止される。摺動自在なカラーは、弾性クリップをユーザが締め付けるか又は半径方向に圧縮し、それにより摺動自在なカラーを解放するときにのみロック解除され得る。ロックされると、装填ツールは、高い半径方向装填力、例えば370N以上の装填力に耐えることができる。ある実施形態では、装填ツールは、370Nを上回る半径方向装填力に耐えることができる。そのようなものとして、装填ツールは、限定されないが、自己僧帽弁内に移植するように構成される経カテーテル的弁プロテーゼなど、高い半径方向装填力を有する自己拡張型プロテーゼと一緒に用いられ得る。さらに、装填ツールは、ユーザによって操作しやすく、且つまた単一のユニットとしてユーザに提供されるため、ユーザが組み立てる必要がない。
【0033】
図1~4は、本明細書で説明する装填ツールの実施形態と一緒に用いられ得る経カテーテル的弁プロテーゼ100を示す。心臓弁プロテーゼ100は、本発明の説明を容易にするために本明細書で示される。経カテーテル的弁プロテーゼ100の以下の説明は、実際には単に例示であり、本発明又は本発明の応用及び使用法を限定するものではない。任意の数の代替的な心臓弁プロテーゼは、本明細書で説明する装填ツールと一緒に使用され得ることが理解される。本明細書で説明する装填ツールと一緒に使用され得る経カテーテル的心臓弁プロテーゼの他の非限定的な例は、McVeighらへの米国特許出願第16/853,851号明細書、McLeanらへの米国特許第9,034,032号明細書及びMcLeanらへの国際特許出願PCT/米国特許出願公開第2014/029549号明細書、Kovalskyらへの米国特許出願公開第2012/0101572号明細書、Tuvalへの米国特許出願公開第2012/0035722号明細書、Nguyenらへの米国特許出願公開第2006/0265056号明細書、Birdsallへの米国特許出願公開第2007/05409266号明細書及びDolanらへの米国特許出願公開第2007/05409269号明細書に説明されており、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に援用される。経カテーテル的弁プロテーゼ100は、心臓の僧帽弁内に配置するように構成された心臓弁プロテーゼであるが、本明細書で説明する装填ツールの実施形態は、任意の自己拡張型経カテーテル的弁プロテーゼを送達システム内に装填するときに用いられ得る。例えば、本明細書で説明する装填ツールの実施形態は、肺動脈弁、大動脈弁、僧帽弁若しくは三尖弁内に配置するように構成された経カテーテル的心臓弁と一緒に用いられるか、又は静脈弁内若しくは有用であるとみなされる他の身体通路内に配置するように構成された経カテーテル的弁プロテーゼと一緒に用いられ得る。前述の技術分野、背景、概要又は以下の詳細な説明で提示されるいずれの明示又は黙示された理論にも拘束されない。さらに、本明細書で説明する装填部材の実施形態は、任意の自己拡張型プロテーゼを送達システム内に装填するときに用いられ得、自己拡張型プロテーゼの内部に人工弁構成要素が配置される必要はない。
【0034】
本開示のある態様による経カテーテル的弁プロテーゼ100の斜視図が図1に示されている。経カテーテル的弁プロテーゼ100は、脈管構造(図示せず)内に送達するための縮小径クリンプ形態に半径方向に圧縮され、且つ図1に示すような拡張された展開形態に戻るように構成される。換言すると、経カテーテル的弁プロテーゼ100は、脈管構造内に送達するためのクリンプ形態及び自己心臓弁内で展開するための拡張形態を有する。本明細書の実施形態によれば、クリンプ形態であるとき、経カテーテル的弁プロテーゼ100は、経中隔、逆行性又は経心尖アプローチのいずれか1つによって心臓の自己心臓弁の展開部位まで追跡され得る好適な送達カテーテルを介した自己心臓弁への送達及びそこでの展開に好適な薄型を有する。経カテーテル的弁プロテーゼ100は、ステント又はフレーム102及びフレーム102内に配置され、且つそれに固定された少なくとも1つの弁尖を含む人工弁構成要素108を含む。
【0035】
心臓弁プロテーゼ100の要素として本明細書で説明するフレーム102のいずれの部分も任意の数の好適な生体適合性材料、例えばステンレス鋼、ニッケルチタン合金、例えばNitinol(商標)、コバルトクロム合金、例えばMP35N、他の合金、例えばELGILOY(登録商標)(Elgin、Ill.)、様々なポリマー、熱分解カーボン、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は任意の数の他の材料若しくは材料の組み合わせから作製され得る。好適な生体適合性材料は、自己弁への経カテーテル的な送達のための縮小径クリンプ形態に圧縮され、それにより送達カテーテルからの解放によってプロテーゼを拡張された展開形態に戻すように構成される経カテーテル的心臓弁プロテーゼ100を提供するために選択されるであろう。
【0036】
本開示のある態様では、経カテーテル的弁プロテーゼ100のフレーム102は、固着要素106によって少なくとも部分的に囲まれ、且つそれに結合される弁支持体104を含む。弁支持体104は、チューブ状のステント様の又はフレーム構造であり、弁支持体104の流入端101から弁支持体104の流出端103まで中心ルーメン110を画定する。弁支持体104は、人工弁構成要素108をそこに支えるように構成され、これについては、下記で詳細に説明する。ある実施形態では、弁支持体104は、実質的にシリンダー形状を有し、そこでは、弁支持体104の流出端103の直径は、弁支持体104の流入端101の直径と実質的に同じである。
【0037】
弁支持体104は、その表面に結合されたスカート112を含む。より詳細には、スカート112は、弁支持体104の内面に結合され、その一部分を裏打ちする。代わりに、人工弁構築体の当業者に公知のように、スカート112は、弁支持体104の外面に結合され、その一部分を取り囲み得る。スカート112は、天然材料又は生物材料、例えば心膜若しくは別の膜状組織、例えば腸粘膜下組織であり得る。代わりに、スカート112は、低有孔性の織りファブリック、例えばポリエステル、Dacronファブリック又はPTFEであり得、これは、ステントに取り付けられると一方向の流路を作る。一実施形態では、スカート112は、編み又は織りのポリエステル、例えばポリエステル又はPTFEニットであり得、これは、組織の内方成長のための媒質を提供すること及び曲面に一致するように伸張するファブリックの能力が望まれるときに用いられ得る。代わりに、一方の側面に組織の内方成長のための媒質を、且つ他方の側面に滑らかな面を提供することが望まれるなどの場合、ポリエステルベロアファブリックが使用され得る。これら及び他の適切な心臓血管ファブリックは、例えば、Bard Peripheral Vascular,Inc.(Tempe,Ariz.)から市販されている。
【0038】
本開示のある態様では、固着要素106は、自己弁輪内でその展開位置に固定するために経カテーテル的弁プロテーゼ100のためのアンカーとして機能するステント様又はフレーム構造である。固着要素106は、自己僧帽弁輪などの自己心臓弁輪又はその下方で心臓組織に係合するように構成される実質的にシリンダー形状の構造である。弁支持体104の流入端101では、固着要素106は、弁支持体104から距離Sだけ半径方向に離間され、弁支持体104の流入端101を固着要素106から機械的に隔離する。固着要素106は、その外側面から外向きに延在して心臓組織に係合する1つ以上のクリート又はプロング114を含む。別の実施形態では、固着要素106は、心臓組織に係合するためにバーブ、スパイク又は他の組織固定機構を用い得る。
【0039】
経カテーテル的弁プロテーゼ100は、固着要素106の上流端から外向きに延在する縁又はリム要素116をさらに含む。縁要素116は、重なり合う、180度位相がずれた正弦曲線状のワイヤ形を含み、これらは、バイオインテグレーションを促すために生体プロテーゼインプラント、すなわち血管内グラフト、心臓弁又は左心耳デバイスで使用される好適な生体適合性薄型ファブリック117、例えば織りのポリエチレンテレフタレート(PET)ファブリックによって固着要素106に取り付けられ、且つ蝶番状に取り付けられる。縁要素116は、存在する場合、心房リテーナとして機能し得、そのような機能を果たすために、縁要素116は、自己弁輪の上方で、例えば弁輪上面で組織又は左心房内の何らかの他の組織に係合し、それにより例えば心房収縮中に人工心臓弁100の下流への移動を阻止するように構成され得る。
【0040】
図2を参照して、弁支持体104の構造についてここで詳細に説明する。弁支持体104は、複数のクラウン部119A及び複数のストラット119Bを含み、各クラウン部119Aは、対向するストラット119Bの対間に形成される。各クラウン部119Aは、対向するストラット119B間に延在する湾曲セグメント又は曲がり部である。弁支持体104は、チューブ状であり、複数の側面開口部118は、複数のクラウン部119Aの縁及び複数のストラット119Bによって画定される。ある実施形態では、複数の側面開口部118は、実質的にダイアモンド形状であり得る。弁支持体104は、複数の結節部117を含む。結節部117は、弁支持体104内の複数のクラウン部119Aの2つのクラウン部が接するか又は接続する領域として画定される。スカート112は、弁支持体104の内面にその円周で取り付けられる。スカート112は、弁支持体104の内面を裏打ちする。その流入端101において、弁支持体104は、そこから延在する複数の取り付けバー105を含み、これらは、送達システムに経カテーテル的弁プロテーゼ100を解放自在に結合するように機能する。
【0041】
経カテーテル的弁プロテーゼ100の人工弁構成要素108は、そこを通る流れを、置換弁を形成し得る弁尖によって調整することができる。図1~4は、3つの尖弁を有する例示的な人工弁構成要素を示すが、一尖又は二尖形態が本明細書の実施形態で代わりに使用され得る。インサイチュで展開されるとき、閉鎖状態にある人工弁構成要素108は、一方向の血流を遮って、弁支持体104の中心ルーメン110を通る血流を調整するように構成される。図2は、人工弁構成要素108が内部に固定されている弁支持体104の斜視図を示し、図2に示されている弁支持体104は、説明を簡単にするために、図1に示す経カテーテル的弁プロテーゼ100の残りの部分から取り外されている。図3は、図1の経カテーテル的弁プロテーゼ100の心房又は流入端面図を示し、図4は、図1に示す経カテーテル的弁プロテーゼ100の心室又は流出端面図を示す。人工弁構成要素108は、弁尖109、例えば3つの弁尖109を示し、これらの弁尖は、弁支持体104の下流部分内に固定されている弁尖109の弁尖接合部109A、109B、109Cとつなぎ合わさるように、弁支持体104の上流部分内に配置されて、拡張期中に弁尖109が開放するようにする。弁尖109は、それらのベースに沿って、例えば縫合糸又は好適な生体適合性接着剤を使用して弁支持体104に取り付けられる。隣接する対の弁尖109は、それらの外側端で互いに取り付けられて、弁尖接合部109A、109B、109Cを形成する。弁支持体104内の弁尖109の向きは、経カテーテル的弁プロテーゼ100のいずれの端が流入端であり、且つ経カテーテル的弁プロテーゼ100のいずれの端が流出端であるかに依存し、それにより経カテーテル的弁プロテーゼ100を通る血液の一方向の流れを保証する。
【0042】
弁尖109は、スカート112に取り付けられ得る。弁尖109は、様々な可撓性材料、例えば、限定されるものではないが、天然の心膜材料、例えばウシ、ウマ若しくはブタ由来の組織又は合成材料、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、DACRON(登録商標)ポリエステル、熱分解カーボン又は他の生体適合性材料で形成され得る。いくつかの人工弁尖材料では、異常増殖を防止又は最小限にする材料で置換弁尖の片側又は両側をコーティングすることが望ましい場合がある。人工弁尖材料は、耐久性があり、且つ伸張、変形又は疲労しないことがさらに望ましい。
【0043】
送達のために、経カテーテル的弁プロテーゼ100は、脈管構造内での送達のための送達システムでの縮小径クリンプ形態に半径方向に圧縮される。当技術分野で公知のように、送達システムは、その遠位部分で経カテーテル的弁プロテーゼ100を受け入れる内側シャフトと、送達中、内側シャフトの遠位部分で経カテーテル的弁プロテーゼ100を圧縮式に保持するように構成される外側シース又はカプセルとを含む。換言すると、外側シース又はカプセルは、経カテーテル的弁プロテーゼ100を囲んで、半径方向に圧縮又はクリンプされた形態に拘束する。経カテーテル的弁プロテーゼ100を送達するための例示的な送達システムは、参照により本明細書に以前に援用されたMcLeanらへの米国特許第9,034,032号明細書及びMcLeanらへの国際特許出願PCT/米国特許出願公開第2014/029549号明細書に説明されている。しかしながら、他の送達システムが用いられ得、送達システムの構成要素は、送達中の経カテーテル的弁プロテーゼの形態及び構造次第で変わり得ることが当業者に明らかであろう。
【0044】
上述の通り、本発明の実施形態は、送達システム内に経カテーテル的弁プロテーゼ100を装填することを容易にするための装填ツールに関する。装填ツールは、送達システムの遠位端部の上に配置される一方、経カテーテル的弁プロテーゼ100は、送達システムの遠位端部内に後退されるか又は引き入れられる。説明のために、経カテーテル的弁プロテーゼ100の構造は、既に上記で詳述したため、経カテーテル的弁プロテーゼ100に対する装填ツールの使用法を本明細書に説明する。しかしながら、上述の通り、本明細書で説明する装填ツールは、送達システム内に任意の自己拡張型プロテーゼを装填するときに用いられ得、自己拡張型プロテーゼの内部に人工弁構成要素が配置される必要はない。
【0045】
より詳細には、装填ツール520は、図5~8Bに示されている。図5は、装填ツール520の斜視図を示す一方、図6は、説明目的で装填ツール520の分解図を示す。装填ツール520は、ヒンジ状本体522、ヒンジ状本体522の上に摺動自在に配置されたカラー540及び留め具554を含む。ヒンジ状本体522は、第1の本体半体又は部分524A及び第2の本体半体又は部分524Bを含む。第1及び第2の本体部分524A、524Bは、集合的にヒンジ状本体522を画定し、これは、本明細書でより詳細に説明するように、カラー540の摺動運動によって機械的に動的に開放及び閉鎖するように構成される。図9及び図10に関してより詳細に説明するように、ヒンジ状本体522は、送達システム内への経カテーテル的弁プロテーゼ100の装填中、送達システムの遠位端部の上に配置されるようなサイズ又は構成にされる。
【0046】
第1の本体部分524A及び第2の本体部分524Bのそれぞれは、第1の端部526A、526B及び第2の端部528A、528Bをそれぞれ有する。第1の本体部分524Aの第1の端部526Aは、留め具554によって第2の本体524Bの第1の端部526Bに取り付けられ、及び第1の本体部分524Aの第2の端部528Aは、第2の本体部分524Bの第2の端部528Bに取り付けられない。取り付けられる第1の端部526A、526Bは、装填ツール520のヒンジ状端部535を形成する。取り付けられる第1の端部526A、526Bは、図6の分解図に最もよく示すように、かみ合い又は合わせ面538A、538Bを含み得る。
【0047】
第1の本体部分524A及び第2の本体部分524Bのそれぞれは、その上に一体的に形成された弾性クリップ530A、530Bを含み、これらは、その外面534A、534Bにそれぞれ半径方向突起532A、532Bを含む。各弾性クリップ530A、530Bは、そのそれぞれの本体部分に形成されたフラップ又はタブであり、それは、締め付け力がそれに加えられるとき、半径方向に内側に変位されるように構成される。各弾性クリップ530A、530Bは、それぞれの本体部分524A、524Bに取り付けられるか又はそこから延在する第1の端部529A、529B及びそれぞれの本体部分524A、524Bから取り外されている第2の端部531A、531Bを含む。半径方向突起532A、532Bは、弾性クリップ530A、530Bの第2の端部531A、531Bに形成される。各弾性クリップ530A、530Bの厚さは、その第1の端部529A、529Bからその第2の端部531A、531Bまでの方向において、その長さ部分に沿ってテーパが付けられる。より詳細には、図8Bに最もよく示すように、各弾性クリップ530A、530Bは、その第1の端部529A、529Bに第1の厚さTを有し、この厚さは、その第2の端部531A、531Bの第2の厚さTよりも厚い。各弾性クリップ530A、530Bの厚さは、第1の厚さTと第2の厚さTとの間で連続的に又は徐々にテーパが付けられ得る。弾性クリップ530A、530Bの厚さにテーパが付けられていることにより、締め付け力がそれに加えられるとき、半径方向内側に変位される弾性クリップ530A、530Bに十分な隙間をもたらすか又は生じ、それにより、本明細書でより詳細に説明するように、カラー540を半径方向突起532A、532Bの上で摺動式に前進させることを可能にする。
【0048】
カラー540は、第1の端部546及び第2の又は対向端部548を備えるチューブ状本体542を有し、且つチューブ状本体542は、そこを貫通するルーメン又は通路544を画定して、チューブ状本体542がヒンジ状本体522の上に摺動自在に配置され得るようにする。カラー540の外面550は、複数のリブ551を含むため、カラー540は、ヒンジ状本体に沿ったカラー540の摺動運動のためにユーザによって簡単に掴まれ得る。カラー540の内面552は、ヒンジ状本体522の外面よりもわずかに大きいのみであるようなサイズ又は構成にされるため、カラー540は、ヒンジ状本体522に沿って簡単に前後に動かされ得、カラー540は、本明細書でより詳細に説明するように、上に配置されるとき、第1及び第2の本体部分524A、524Bの第2の端部528A、528Bを強制的にまとめる。
【0049】
留め具554は、平らで丸いディスク560を含み、ディスクは、第1及び第2の本体部分524A、524Bに組み立てられると、ヒンジ状本体522の端部を閉鎖するように構成される。留め具554は、ディスク560から軸方向に延在する2つの対向するフィンガー部556A、556Bも含む。各フィンガー部556A、556Bは、その長さに沿って丸みを帯びた又は円弧状の断面を有し、フィンガー部556A、556Bは、横断開口部558によって互いに離間している。横断開口部558は、第1及び第2の本体部分524A、524Bの第1の端部526A、526Bを受け入れるようなサイズ又は構成にされ、且つフィンガー部556A、556Bは、第1及び第2の本体部分524A、524Bの第1の端部526A、526Bに機械的に結合するように構成される。そのため、留め具554は、第1及び第2の本体部分524A、524Bを一緒に取り付けるか又は留める。留め具544は、カラー540も含むため、カラー540は、ヒンジ状本体522から滑り落ち得ない。特に、ディスク560の外径は、カラー540の外径よりもわずかに大きいため、カラー540がヒンジ状本体522の上に配置されると、カラー540は、留め具554のディスク560の上で摺動できない。換言すると、留め具554のディスク560は、カラー540のためのストッパーとして機能する。そのため、装填ツール520は、ユーザによる組み立てを全く必要としない単一の組み立て済みのツールとしてユーザに提供され得る。
【0050】
第1及び第2の本体部分524A、524Bの第2の端部528A、528Bに隣接して、各本体部分は、その外面から半径方向外側に延在するフィン又はフランジ536A、536Bを含む。ある実施形態では、各フランジ536A、536Bは、正方形の輪郭を有するため、装填ツール520は、転がることなく、平面、すなわち卓上に載置されるように構成される。第1及び第2の本体部分524A、524Bの第1の端部526A、526Bに隣接する留め具544と同様に、フランジ536A、536Bは、カラー540を収容するようにも機能するため、カラー540は、第1及び第2の本体部分524A、524Bの第2の端部528A、528Bに隣接するヒンジ状本体522から滑り落ち得ない。特に、フランジ536A、536Bは、集合的にカラー540の外径よりもわずかに大きい外径を有するため、カラー540がヒンジ状本体522の上に配置されると、カラー540は、フランジ536A、536Bの上で摺動できない。換言すると、フランジ536A、536Bは、カラー540のためのストッパーとして機能する。
【0051】
装填ツール520は、初めに、開放形態に形成されるか又は形状設定され、第1の本体部分524Aの第2の端部528A及び第2の本体部分524Bの第2の端部528Bは、図5及び図7の側面図に示すように互いに半径方向に離間される。さらに、開放形態であるとき、カラー540は、第1及び第2の本体部分524A、524Bの第1の端部526A、526Bの上に配置される。開放形態は、装填ツール520の端部に末広状開口部562を設け、それにより装填ツール520が装填プロセス中に送達システムの上で簡単に摺動することと、さらに装填プロセスの完了後に送達システムから簡単に滑り落ちることとを可能にする。
【0052】
図8A及び図8Bは、閉鎖形態における装填カラー520の側面図及び斜視図を示し、閉鎖形態では、第1の本体部分524Aの第2の端部528A及び第2の本体部分524Bの第2の端部528Bは、互いに直接隣接して配置され、カラー540は、第1及び第2の本体部分524A、524Bの第2の端部528A、528Bの上に配置される。本明細書で説明する装填カラーの閉鎖形態に関して本明細書で使用されるような「互いに直接隣接して配置される」は、第1の本体部分524Aの第2の端部528A及び第2の本体部分524Bの第2の端部528Bが互いに接触しているか又は当接していることと、第1の本体部分524Aの第2の端部528A及び第2の本体部分524Bの第2の端部528Bが、それらの間に介在する構造がない状態で、小さい予め決められた公称半径方向間隙で互いに対して配置されていることとを含む。閉鎖形態であるとき、第1の本体部分524Aの第2の端部528A及び第2の本体部分524Bの第2の端部528Bは、その開放形態と比べて互いに半径方向において近くに配置される。閉鎖形態であるとき、弾性クリップ530A、530Bの半径方向突起532A、532Bは、カラー540に当接して、装填ツール520を閉鎖形態にロックするように構成される。そのため、カラー540は、カラー540がヒンジ状本体522を閉鎖形態にロックすると、弾性クリップ530A、530Bの半径方向突起532A、532Bとフランジ536A、536Bとの間に挟まれる。第1及び第2の本体部分524A、524Bのそれぞれは、フランジ536A、536Bに隣接して、テーパ付き外面539A、539Bをそれぞれさらに含み(図7に最もよく示されている)、これによりカラー540が弾性クリップ530A、530Bの半径方向突起532A、532Bとフランジ536A、536Bとの間に挟まれているときの密な締まり嵌めを保証する。装填ツール520は、半径方向突起532A、532Bがカラー540及び装填ツール520を閉鎖形態にロックするときに開かないようにされるため、装填ツール540は、装填手順が完了するまで滑ったり又は急に開いたりしない。閉鎖形態にロックされていることにより、経カテーテル的弁プロテーゼ100は、装填中の誤装填に関連する損傷から確実に保護される。
【0053】
各半径方向突起532A、532Bは、第1及び第2の本体部分524A、524Bの第1の端部526A、526Bから第1及び第2の本体部分524A、524Bの第2の端部528A、528Bに向かう方向にカラー540が摺動することを許容するテーパ付き外面533A、533Bを有する。換言すると、ユーザがカラー540を第1及び第2の本体部分524A、524Bの第1の端部526A、526Bから第1及び第2の本体部分524A、524Bの第2の端部528A、528Bに向かう方向に動かすと、カラー540は、追加的なユーザの介入が全くなくても、テーパ付き外面533A、533Bを経由して半径方向突起532A、532Bを横断する。カラー540が半径方向突起532A、532Bを横断するため、弾性クリップ530A、530Bは、カラー540によって半径方向内側に変位され得る。しかしながら、カラー540が半径方向突起532A、532Bを横断した後、弾性クリップ530A、530Bは、カラー540がもはやその上に配置されなくなると、それらの形成又は形状設定された位置に跳ね返るか又は戻る。弾性クリップ530A、530Bが、それらの形成又は形状設定された位置に跳ね返るか又は戻ると、ユーザは、触知クリックを感じて、装填ツール520が閉鎖形態にロックされているというフィードバックをもたらす。
【0054】
各半径方向突起532A、532Bは、弾性クリップ530A、530Bがユーザによって半径方向内側に変位されない限り、カラー540が第1及び第2の本体部分524A、524Bの第2の端部528A、528Bから第1及び第2の本体部分524A、524Bの第1の端部526A、526Bに向かう方向に摺動することを許容しない端面537A、537Bを有する。閉鎖形態であるとき、半径方向突起532A、532Bの端面537A、537Bは、カラー540に当接し、それによりカラー540のための機械的なハードストップを提供するように構成され、これは、同様に、装填ツール520が閉鎖形態にロックされているという可視フィードバックをユーザに提供する。
【0055】
装填ツール520をその除去のためにロック解除したいとき、すなわち装填手順の完了後、ユーザは、弾性クリップ530A、530Bを内側に動かすか又は半径方向に変位させて、カラー540を解放する。換言すると、ユーザが弾性クリップ530A、530Bを締め付けると、半径方向突起532A、532Bの端面537A、537Bが半径方向内側に変位されるため、カラー540は、半径方向突起532A、532Bを横断し得る。そのため、弾性クリップ530A、530Bがユーザによって内側に変位されると、ユーザは、カラー540を後退させて、装填ツール520をその開放形態に戻し得る。開放形態であるとき、装填ツール520は、送達システムから簡単に除去され得る。
【0056】
送達システム上への装填ツール520のセットアップについて、ここで、図9及び図10を参照して全体的に説明する。図9は、装填ツール520が開放形態である状態の、送達システム970の遠位端部972の上に位置決めする前の装填ツール520の側面図を示す。この実施形態では、送達システム970は、経大腿動脈アプローチによって経カテーテル的弁プロテーゼ100を送達するように構成される。経大腿動脈送達のために構成されるとき、経カテーテル的弁プロテーゼ100の流出端103は、送達システム970の遠位端部972内で経カテーテル的弁プロテーゼ100の流入端101の遠位側に配置される。さらに、経大腿動脈送達のために構成されるとき、経カテーテル的弁プロテーゼ100の流出端103は、経カテーテル的弁プロテーゼ100の流入端101より前に解放されて展開される。この実施形態では、遠位端部972は、インサイチュでの送達中に経カテーテル的弁プロテーゼ100を半径方向に縮小された形態に拘束するように構成されるカプセル974を含む。
【0057】
ユーザが、送達システム970の遠位端部972のカプセル974に経カテーテル的弁プロテーゼ100を装填する準備をしているとき、ユーザは、初めに、装填ツール520の末広状開口部562をカプセル974の上で前進させることにより、カプセル974の上に装填ツール520を位置決めする。装填ツール520がカプセル974の上に配置された後、ユーザは、装填ツール520を閉鎖形態に移行させる。図10は、送達システム970のカプセル974の上に位置決めした後の装填ツール520が閉鎖形態である状態の装填ツール520の側面図を示す。装填ツール520のヒンジ状本体522の内径は、送達システム970のカプセル974の外径と実質的に等しい。カプセル974の上に配置される第1及び第2の本体部分524A、524Bは、装填ツール520が閉鎖形態であるとき、集合的にチューブ状の形態を有する。装填ツール520が閉鎖形態であり、且つ遠位端部972の上に配置されている状態では、装填ツール520は、経カテーテル的弁プロテーゼ100が送達システム970のカプセル974に引き入れられるための適所にある。カプセル974内に経カテーテル的弁プロテーゼ100を装填するプロセスは、図16及び図17に関して説明される。さらに、装填ツール520のヒンジ状本体522は、経カテーテル的弁プロテーゼ100が送達システムに引き入れられるときに送達システムと相互作用し、且つ経カテーテル的弁プロテーゼ100に対する損傷を回避するために、面取り部、ピストンレッジ及びカプセルオーバーハングを含むいくつかの統合特徴を含み、これらの特徴は、図18及び図19に関連して説明される。
【0058】
図11は、本明細書の別の実施形態による装填ツール1120の分解図を示し、装填ツールの第1及び第2の本体部分は、接着剤を介して互いに取り付けられる。装填ツール1120は、ヒンジ状本体1122及びヒンジ状本体1122の上に摺動自在に配置されたカラー1140を含む。ヒンジ状本体522と同様に、ヒンジ状本体1122は、第1の本体半体又は部分1124A及び第2の本体半体又は部分1124Bを含む。第1及び第2の本体半体又は部分1124A、1124Bは、集合的にヒンジ状本体1122を画定し、これは、ヒンジ状本体522と同様に、カラー1140の摺動運動によって機械的に動的に開放及び閉鎖するように構成される。送達システム内への経カテーテル的弁プロテーゼ100の装填中、ヒンジ状本体1122は、送達システムの遠位端部の上に配置されるようなサイズ又は構成にされる。
【0059】
装填ツール520と同様に、装填ツール1120は、カラー1140及び装填ツール1120を閉鎖形態にロックする弾性クリップを含む。特に、第1の本体部分1124A及び第2の本体部分1124Bは、そこに形成される弾性クリップ1130A、1130Bを含み、これは、その外面にそれぞれ半径方向突起1132A、1132Bを含む。各弾性クリップ1130A、1130Bは、そのそれぞれの本体部分に形成されたフラップ又はタブであり、締め付け力がそれに加えられるとき、半径方向内側に変位されるように構成されるようにする。各弾性クリップ1130A、1130Bは、それぞれの本体部分1124A、1124Bに取り付けられるか又はそこから延在する第1の端部1129A、1129B及びそれぞれの本体部分1124A、1124Bから取り外されている第2の端部1131A、1131Bを含む。半径方向突起1132A、1132Bは、弾性クリップ1130A、1130Bの第2の端部1131A、1131Bに形成される。
【0060】
第1の本体部分1124A及び第2の本体部分1124Bのそれぞれは、第1の端部1126A、1126B及び第2の端部1128A、1128Bをそれぞれ有する。第1の本体部分1124Aの第1の端部1126Aは、継ぎ目1190で接着剤を介して第2の本体1124Bの第1の端部1126Bに取り付けられ、及び第1の本体部分1124Aの第2の端部1128Aは、第2の本体部分1124Bの第2の端部1128Bに取り付けられない。取り付けられる第1の端部1126A、1126Bは、装填ツール1120のヒンジ状端部1135を形成する。第1及び第2の本体部分1124A、1124Bが接着剤を介して取り付けられている状態では、装填ツール520の機械的な留め具は、省略される。第1の端部1126A、1126Bに隣接して、第1の本体部分1124A及び第2の本体部分1124Bのそれぞれは、半円形の鈍端を含んで、半円形の鈍端が、第1及び第2の本体部分1124A、1124Bが接合されると、ヒンジ状本体1122の一方の端部を閉鎖するように構成されるようにする。装填ツール1120の対向端部は、末広状開口部1162を含み、これは、装填プロセス中、装填ツール1120が送達システムの上で簡単に摺動し、且つさらに装填プロセスの完了後に送達システムから簡単に滑り落ちることを可能にする装填ツール520の末広状開口部562と同様である。
【0061】
第1及び第2の本体部分1124A、1124Bが接合されるとヒンジ状本体1122の一方の端部が閉鎖されるため、装填ツール1122は、図9及び図10に関して上述した装填ツール520と同様に、経大腿動脈アプローチによって経カテーテル的弁プロテーゼ100を送達するように構成される送達システムと一緒に使用するように構成される。
【0062】
図12は、本明細書の別の実施形態による装填ツール1220の分解図を示し、装填ツールの第1及び第2の本体部分は、接着剤を介して互いに取り付けられるが、装填ツール1220は、その両端部で開放している。装填ツール1220は、ヒンジ状本体1222及びヒンジ状本体1222の上に摺動自在に配置されたカラー1240を含む。ヒンジ状本体522と同様に、ヒンジ状本体1222は、第1の本体半体又は部分1224A及び第2の本体半体又は部分1224Bを含む。第1及び第2の本体半体又は部分1224A、1224Bは、集合的にヒンジ状本体1222を画定し、これは、ヒンジ状本体522と同様に、カラー1240の摺動運動によって機械的に動的に開放及び閉鎖するように構成される。ヒンジ状本体1222は、送達システム内への経カテーテル的弁プロテーゼ100の装填中、送達システムの遠位端部の上に配置されるようなサイズ又は構成にされる。
【0063】
装填ツール1220と同様に、装填ツール1220は、カラー1240及び装填ツール1220を閉鎖形態にロックするための弾性クリップを含む。特に、第1の本体部分1224A及び第2の本体部分1224Bは、その上に形成された弾性クリップ1230A、1230Bを含み、これらは、その外面にそれぞれ半径方向突起1232A、1232Bを含む。各弾性クリップ1230A、1230Bは、そのそれぞれの本体部分に形成されたフラップ又はタブであり、締め付け力がそれに加えられるとき、半径方向内側に変位されるように構成されるようにする。各弾性クリップ1230A、1230Bは、それぞれの本体部分1224A、1224Bに取り付けられるか又はそこから延在する第1の端部1229A、1229B及びそれぞれの本体部分1224A、1224Bから取り外されている第2の端部1231A、1231Bを含む。半径方向突起1232A、1232Bは、弾性クリップ1230A、1230Bの第2の端部1231A、1231Bに形成される。
【0064】
第1の本体部分1224A及び第2の本体部分1224Bのそれぞれは、第1の端部1226A、1226B及び第2の端部1228A、1228Bをそれぞれ有する。第1の本体部分1224Aの第1の端部1226Aは、継ぎ目1290で接着剤を介して第2の本体1224Bの第1の端部1226Bに取り付けられ、及び第1の本体部分1224Aの第2の端部1228Aは、第2の本体部分1224Bの第2の端部1228Bに取り付けられない。取り付けられる第1の端部1226A、1226Bは、装填ツール1220のヒンジ状端部1235を形成する。取り付けられる第1の端部1226A、1226Bは、かみ合い又は合わせ面1238A、1238Bを含み得る。第1及び第2の本体部分1224A、1224Bが接着剤を介して取り付けられている状態では、装填ツール520の機械的な留め具は、省略される。第1の端部1226A、1226Bに隣接して、ヒンジ状端部1235において、装填ツール1220は、固定開口部1292を有する。装填ツール1220の対向端部は、末広状開口部1262を含み、これは、装填ツール520の末広状開口部562と同様に、装填ツール1220が装填プロセス中に送達システムの上で簡単に摺動し、且つさらに装填プロセスの完了後に送達システムから簡単に滑り落ちることを可能にする。
【0065】
第1及び第2の本体部分1224A、1224Bが接合されているとき、装填ツール1220の両端部(すなわち末広状開口部1262及び固定開口部1292)が開放しているため、装填ツール1222は、装填ツール520、1220と同様に経大腿動脈アプローチで経カテーテル的弁プロテーゼ100を送達するように構成された送達システム及び経心尖アプローチで経カテーテル的弁プロテーゼ100を送達するように構成された送達システムと一緒に使用され得る。経心尖アプローチを用いて経カテーテル的弁プロテーゼ100を送達するように構成された送達システムでの装填ツール1220のセットアップについて、ここで、全体的に図13及び図14を参照して説明する。図13は、送達システム1370の遠位端部1372の上に位置決めされる前の装填ツール1220が開放形態である状態の装填ツール1220の側面図を示す。この実施形態では、送達システム1370は、経心尖アプローチによって経カテーテル的弁プロテーゼ100を送達するように構成される。経心尖送達のために構成されるとき、経カテーテル的弁プロテーゼ100の流入端101は、送達システム1270の遠位端部1372内で経カテーテル的弁プロテーゼ100の流出端103の遠位側に配置される。さらに、経心尖送達のために構成されるとき、経カテーテル的弁プロテーゼ100の流入端101は、経カテーテル的弁プロテーゼ100の流出端103より前に解放されて展開される。
【0066】
ユーザが、送達システム1370の遠位端部1372内に経カテーテル的弁プロテーゼ100を装填する準備をしているとき、ユーザは、初めに、装填ツール1220のヒンジ状端部1235において遠位端部1372の上で固定開口部1292を前進させることにより、遠位端部1372の上に装填ツール1220を位置決めする。装填ツール1220が遠位端部1372の上に配置された後、ユーザは、装填ツール1220を閉鎖形態に移行させる。図14は、送達システム1370の遠位端部1372の上に位置決めした後の装填ツール1220が閉鎖形態である状態の装填ツール1220の側面図を示す。装填ツール1220のヒンジ状本体1222の内径は、送達システム1370の遠位端部1372の外径と実質的に等しい。遠位端部1372の上に配置される第1及び第2の本体部分1224A、1224Bは、集合的に装填ツール1220が閉鎖形態であるとき、チューブ状の形態を有する。装填ツール1220が閉鎖形態であり、且つ遠位端部1372の上に配置されている状態で、装填ツール1220は、経カテーテル的弁プロテーゼ100が送達システム1370の遠位端部1372に引き入れられるための適所にある。
【0067】
図15A及び図15Bは、本明細書の別の実施形態による装填ツール1520の斜視図を示し、装填ツールの第1及び第2の本体部分は、環状、すなわちリング状留め具を介して互いに取り付けられて、装填ツール1520がその両端部で開放するようにする。装填ツール1520は、ヒンジ状本体1522、ヒンジ状本体1522の上に摺動自在に配置されたカラー1540及び留め具1554を含む。ヒンジ状本体522と同様に、ヒンジ状本体1522は、第1の本体半体又は部分1524A及び第2の本体半体又は部分1524Bを含む。第1及び第2の本体半体又は部分1524A、1524Bは、集合的にヒンジ状本体1522を画定し、これは、ヒンジ状本体522と同様に、カラー1540の摺動運動によって機械的に動的に開放及び閉鎖するように構成される。ヒンジ状本体1522は、送達システム内への経カテーテル的弁プロテーゼ100の装填中、送達システムの遠位端部の上に配置されるようなサイズ又は構成にされる。
【0068】
装填ツール1520と同様に、装填ツール1520は、カラー1540及び装填ツール1520を閉鎖形態にロックするための弾性クリップを含む。特に、第1の本体部分1524A及び第2の本体部分1524Bは、その上に形成された弾性クリップ1530A、1530Bを含み、これらは、その外面にそれぞれ半径方向突起1532A、1532Bを含む。各弾性クリップ1530A、1530Bは、そのそれぞれの本体部分に形成されたフラップ又はタブであり、締め付け力がそれに加えられるとき、半径方向内側に変位されるように構成されるようにする。各弾性クリップ1530A、1530Bは、それぞれの本体部分1524A、1524Bに取り付けられるか又はそこから延在する第1の端部1529A、1529B及びそれぞれの本体部分1524A、1524Bから取り外されている第2の端部1531A、1531Bを含む。半径方向突起1532A、1532Bは、弾性クリップ1530A、1530Bの第2の端部1531A、1531Bに形成される。
【0069】
第1の本体部分1524A及び第2の本体部分1524Bのそれぞれは、第1の端部1526A、1526B及び第2の端部1528A、1528Bをそれぞれ有する。第1の本体部分1524Aの第1の端部1526Aは、留め具1554によって第2の本体1524Bの第1の端部1526Bに取り付けられ、及び第1の本体部分1524Aの第2の端部1528Aは、第2の本体部分1524Bの第2の端部1528Bに取り付けられない。取り付けられる第1の端部1526A、1526Bは、装填ツール1520のヒンジ状端部1535を形成する。
【0070】
留め具1554は、装填ツール1520の第1の端部1526A、1526Bの上に配置される環状、すなわちリング構成要素である。留め具1554は、第1及び第2の本体部分524A、524Bを一緒に取り付けるか又は留める。留め具1544は、カラー1540も含むため、カラー1540は、ヒンジ状本体1522から滑り落ち得ない。特に、留め具1554の外径は、カラー1540の外径よりもわずかに大きいため、カラー1540がヒンジ状本体1522の上に配置されると、カラー1540は、留め具1554の上で摺動できない。換言すると、留め具1554は、カラー1540のためのストッパーとして機能する。そのため、装填ツール1520は、単一の組み立て済みのツールとしてユーザに提供され、ユーザによる組み立てを全く必要としない。
【0071】
第1の端部1526A、1526Bに隣接して、ヒンジ状端部1535に隣接して、装填ツール1520は、固定開口部1592を有する。装填ツール1520の対向端部は、末広状開口部1562を含み、これは、装填ツール1520の末広状開口部562と同様に、装填ツール1520が装填プロセス中に送達システムの上で簡単に摺動し、且つさらに装填プロセスの完了後に送達システムから簡単に滑り落ちることを可能にする。
【0072】
第1及び第2の本体部分1524A、1524Bが接合されているとき、装填ツール1520の両端部(すなわち末広状開口部1562及び固定開口部1592)が開放しているため、装填ツール1522は、図9及び図10に関して上述した装填ツール1520と同様の経大腿動脈アプローチ並びに図13及び図14に関して上述した装填ツール1220と同様の経心尖アプローチのいずれかで経カテーテル的弁プロテーゼ100を送達するように構成された送達システムと一緒に使用され得る。
【0073】
ここで、図16~19を参照して、送達システム内に自己拡張型プロテーゼを装填する方法が説明される。説明のために、装填ツールの使用法について、経カテーテル的弁プロテーゼ100の構造は、既に上記で詳述したため、自己僧帽弁内への移植のために構成される経カテーテル的弁プロテーゼ100を装填することに関して本明細書で説明する。しかしながら、上述の通り、本明細書で説明する装填ツールは、送達システム内に任意の自己拡張型プロテーゼを装填するときに用いられ得、自己拡張型プロテーゼの内部に人工弁構成要素が配置される必要はない。さらに、説明のために、装填ツールの使用法について、遠位端部1672を有する送達システム1670に経カテーテル的弁プロテーゼ100を装填することに関して本明細書で説明する。この実施形態では、遠位端部1672は、インサイチュでの送達中に経カテーテル的弁プロテーゼ100を半径方向に小さい形態に拘束するように構成されるカプセル1674を含み、且つカプセル1672の流体圧作動のためのピストン1680を含む。送達システム1670は、参照により本明細書に以前に援用されたMcLeanらへの米国特許第9,034,032号明細書の図54A~55C及びMcLeanらへの国際特許出願PCT/米国特許出願公開第2014/029549号明細書に説明されている。
【0074】
経カテーテル的弁プロテーゼ100は、初めに、装填用コーン又は漏斗状部1676内に経カテーテル的弁プロテーゼ100を前進させることにより、縮小径までクリンプされる。別の実施形態では(図示せず)、経カテーテル的弁プロテーゼ100は、半径方向クリンパーによって縮小径までクリンプされ得る。装填用漏斗状部1676は、円錐状又はテーパ付き構成要素であり、第1の直径の第1の端部1675及び第1の直径よりも小さい第2の直径の第2の端部1677を含む。その拡張又は形状設定された形態である経カテーテル的弁プロテーゼ100は、装填用漏斗状部1676の第1の端部1675内に位置決めされ、且つ装填用漏斗状部1676を通してその第2の端部1677に向かって前進されて、その直径を小さくする。経カテーテル的弁プロテーゼ100が内部に配置されている状態で、装填用漏斗状部1676と、その内部に配置された経カテーテル的弁プロテーゼ100とのアセンブリは、食塩水浴中で送達システム1670の内側シャフト1678の上に配置される。装填用漏斗状部1676と経カテーテル的弁プロテーゼ100とのアセンブリは、カプセル1674の近位端部の近位側に位置決めされる。経カテーテル的弁プロテーゼ100は、経カテーテル的弁プロテーゼ100の取り付けバー105が装填用漏斗状部1676の第2の端部1677から延在するか又は突出するまで、装填用漏斗状部1676を通して前進される。取り付けバー105は、送達システム1670のピストン1680に解放自在に結合される。例えば、経カテーテル的弁プロテーゼ100は、例えば、内側シャフト1678の上に摺動自在に装着されるピストンのチューブ状シャフトに形成された対応する又は対となるスロット(図示せず)により、ピストン1680に解放自在に結合され得、それらスロットは、取り付けバー105を受け入れるように構成される。
【0075】
図16の側面図に示されている装填方法のこの段階又は時点では、装填ツール520は、送達システム1670のカプセル1674の上に位置決めされ得る。送達システム1670は、依然として食塩水浴内に位置し、装填用漏斗状部1676と経カテーテル的弁プロテーゼ100とのアセンブリは、上述したように、カプセル1674の近位端部の近位側に位置決めされる。図16は、送達システム1670のカプセル1674の上に位置決めする前の装填ツール520がその開放形態である状態の装填ツール520の側面図を示す。本明細書で説明するように、開放形態であるとき、第1の本体部分524Aの第2の端部528A及び第2の本体部分524Bの第2の端部528Bは、互いに半径方向に離間され、カラー540は、第1及び第2の本体部分524A、524Bの第1の端部526A、526Bの上に配置される。
【0076】
開放形態である間、装填ツール520は、送達システム1670のカプセル1674の上に位置決めされるか又は配置され、且つ装填ツール520が送達システム1670のカプセル1674の上に配置されている間、カラー540は、装填ツール520が閉鎖形態になるまでヒンジ状本体522の上で摺動される。本明細書で説明するように、閉鎖形態であるとき、第1の本体部分524Aの第2の端部528A及び第2の本体部分524Bの第2の端部528Bは、互いに直接隣接して配置され、カラー540は、第1及び第2の本体部分524A、524Bの第2の端部528A、528Bの上に配置され、半径方向突起532A、532Bは、カラー540に当接して、装填ツール520を閉鎖形態にロックする。図17は、装填ツール520をその閉鎖形態に移行した後の装填ツール520の側面図を示す。
【0077】
装填ツール520は、経カテーテル的弁プロテーゼ100が送達システム1670に引き入れられるときに送達システム1670と相互作用し、且つ経カテーテル的弁プロテーゼ100に対する損傷を回避するためのいくつかの特徴を含む。より詳細には、そのような特徴は、図18及び図19に最もよく示されている。図18は、閉鎖形態である装填ツール520の一部分の側面の断面図を示す一方、図19は、カプセル1674及びピストン1680が装填ツール520内に配置されている状態の同じ側面の断面図を示す。装填ツール520の第1及び第2の本体部分524A、524Bのそれぞれは、その第2の端部528A、528Bにおいて、その内面1881A、1881Bに面取り部又は移行先端1882A、1882Bを含む。面取り部1882A、1882Bは、装填用漏斗状部1676とカプセル1674との間の滑らかな移行をもたらすため、カプセル1674に引き入れられるときの経カテーテル的弁プロテーゼ100に対する損傷を回避するのに役立つ。
【0078】
さらに、引き続き図18及び図19を参照して説明すると、装填ツール520の第1及び第2の本体部分524A、524Bのそれぞれは、その第2の端部528A、528Bにピストンレッジ1884A、1884Bを含む。ピストンレッジ1884A、1884Bは、フランジ536A、536Bを越えて延在する。使用中、ピストンレッジ1884A、1884Bは、初めに、解放自在に取り付けられる取り付けバー105と送達システム1670のピストン1680との間の接続部の上に延在する。ピストンレッジ1884A、1884Bは、ピストン1680の周りにリングゲージを形成し、且つ取り付けバー105の望ましくない動きが誤装填及び/又は経カテーテル的弁プロテーゼ100及び/又は送達システム1670に対する損傷の原因となり得るため、装填中に取り付けバー105を適所に保持するのに役立つ。
【0079】
さらに、引き続き図18及び図19を参照して説明すると、装填ツール520の第1及び第2の本体部分524A、524Bのそれぞれは、その第2の端部528A、528Bにおいて、その内面1881A、1881Bに形成されたカプセルオーバーハング1886A、1886Bを含む。カプセルオーバーハング1886A、1886Bは、カプセル1674の近位縁を掴むか又は覆うように構成される一体型の段付き縁であり、それにより、経カテーテル的弁プロテーゼ100がカプセル1674に引き入れられるとき、経カテーテル的弁プロテーゼ100とカプセル1674の近位端部との間が直接接触しないようにする。経カテーテル的弁プロテーゼ100は、装填中に摩擦及び/又はカプセル1674と直接接触することによって不注意に損傷され得るため、カプセルオーバーハング1886A、1886Bは、カプセル1674に引き入れられるとき、経カテーテル的弁プロテーゼ100に対する損傷を回避するのに役立つ。さらに、取り付けバー105の望ましくない動きが誤装填及び/又は経カテーテル的弁プロテーゼ100及び/又は送達システム1670に対する損傷の原因となり得るため、カプセルオーバーハング1886A、1886Bは、装填中に取り付けバー105を適所に保持するように構成されて、装填後に取り付けバー105が外れたり又は急に取れたりしないことを保証する。
【0080】
図17に示すように、装填ツール520がカプセル1674の上に位置決めされると、経カテーテル的弁プロテーゼ100は、ピストン1680の動きによってカプセル1674に引き入れられる。換言すると、ピストン1680は、送達システム1670内に経カテーテル的弁プロテーゼ100を引き入れるか又は後退させる。経カテーテル的弁プロテーゼ100が送達システム1670に引き入れられている間、装填ツール520は、装填ツール520の弾性クリップ530A、530Bにより、カプセル1674の上にその閉鎖形態にロックされたままである。閉鎖形態にロックされている装填ツール520は、経カテーテル的弁プロテーゼ100が装填中の誤装填関連の損傷から確実に保護されるようにする。
【0081】
経カテーテル的弁プロテーゼ100が送達システム1670の遠位端部1672に装填された後、装填ツール520は、送達システム1672から除去される。本明細書で説明するように、装填ツール520は、締め付け力が加えられて弾性クリップ530A、530Bを半径方向内側に変位させると除去される。装填ツール520がその開放形態に戻るまで、弾性クリップ530A、530Bが半径方向内側に変位されている間、カラー540は、ヒンジ状本体522の上で摺動される。開放形態になると、装填ツール520は、送達システム1670の遠位端部1672から除去される。
【0082】
本明細書で開示する様々な態様は、本記載及び添付図面で具体的に提示した組み合わせと異なる組み合わせで組み合わされ得ることが理解されるべきである。例に応じて、本明細書で説明するプロセス又は方法のいずれかのいくつかの行為又は事象は、異なる順序で実施されるか、追加されるか、まとめられるか又は省略され得る(例えば、説明した全ての行為又は事象は、本技術を実施するために必要でない場合がある)ことも理解されるべきである。さらに、本開示のいくつかの態様は、明確にするために、単一のモジュール又はユニットによって実施されると説明されているが、本開示の技術は、例えば、医療機器に関連付けられるユニット又はモジュールの組み合わせによって実施され得ることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】