(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-18
(54)【発明の名称】電子構成ユニットの摩耗を検知するための方法およびテスト装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566637
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2022061518
(87)【国際公開番号】W WO2022233730
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】102021204551.0
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ランゲ,ジメオン
(72)【発明者】
【氏名】シュミットライン,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA24
2G036BB02
2G036BB09
(57)【要約】
【課題】 本発明は、電子構成ユニット(2)、特に、少なくとも1つの電子部品(12)、特にコンデンサなどの半導体部品を有するパワーエレクトロニクス系の摩耗を検知する方法であって、構成ユニット(2)がテストプロセスを受け、テストプロセスにおいて、少なくとも1つの選択された動作モードをその都度シミュレートするために構成ユニット(2)を所定期間動作させる少なくとも2つの予め定めることができる電気負荷サイクルが構成ユニット(2)に適用される、方法に関する。
【解決手段】 構成ユニット(2)のテストプロセス中、構成ユニット(2)に少なくとも2つの負荷サイクルが適用された結果として生じる電気的負荷によって生成された電磁波(6)が負荷サイクルのうちの少なくとも2つについて検出されることと、少なくとも2つの負荷サイクルの検出された電磁波(6)が構成ユニット(2)の摩耗を検出するために互いに比較されることと、が企図されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子構成ユニット(2)、特に、少なくとも1つの電子部品(12)、特にコンデンサなどの半導体部品を有するパワーエレクトロニクス系の摩耗を検知する方法であって、前記構成ユニット(2)がテストプロセスを受け、前記テストプロセスにおいて、少なくとも1つの選択された動作モードをその都度シミュレートするために前記構成ユニット(2)を所定期間動作させる少なくとも2つの予め定めることができる電気負荷サイクルが前記構成ユニット(2)に適用される、方法において、前記構成ユニット(2)の前記テストプロセス中、前記構成ユニット(2)に前記少なくとも2つの負荷サイクルが適用された結果として生じる電気的負荷によって生成された電磁波(6)が前記負荷サイクルのうちの少なくとも2つについて検出されることと、前記少なくとも2つの負荷サイクルの前記検出された電磁波(6)が前記構成ユニット(2)の摩耗を検出するために互いに比較されることと、を特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つの負荷サイクルの前記電磁波(6)からそれぞれ、各負荷サイクルの電磁スペクトルが検知され、前記検知されたスペクトルが、摩耗を検出するために互いに比較されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検知されたスペクトルのうちの少なくとも1つが基準スペクトルと比較されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記テストプロセスの少なくとも1つの第1の負荷サイクルが、前記基準スペクトルを検知するための基準サイクルとして実行されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
複数の基準サイクルが順次実行され、その際、検知された基準スペクトルから、前記検知されたスペクトルと比較される平均基準スペクトルが検知されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記負荷サイクルが、前記構成ユニット(2)を全負荷動作で動作させるように指定されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記負荷サイクルが、前記構成ユニット(2)を部分負荷動作で動作させるように設定され、前記電気的負荷は、全負荷動作の前記電気的負荷の70%未満、好ましくは30%~70%、またはちょうど50%に相当するように指定されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記電磁波(6)が、測定機器(5)によって前記構成ユニット(2)の少なくとも1つの電気配線(8)にて直接検出されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記電磁波(6)が、前記構成ユニット(2)に対して離間して配置されたアンテナ機器(9)によって検出されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
電子構成ユニット(2)、特に、少なくとも1つの電子部品(12)、特にコンデンサなどの半導体部品を有するパワーエレクトロニクス系の摩耗を検知するためのテスト装置(1)であって、前記構成ユニット(2)に少なくとも2つの予め定めることができる電気負荷サイクルを適用するための少なくとも1つの機器(3)と、前記少なくとも2つの負荷サイクルによって生成される前記構成ユニット(2)の電磁波(6)を検出するための少なくとも1つの測定機器(5)と、前記テスト装置(1)を制御するための、および前記測定機器(5)により検出された前記電磁波(6)を評価するための少なくとも1つの制御器(10)と、を備える、テスト装置において、前記制御器(10)は、とりわけ、請求項1から9までの少なくとも1項に記載の方法を実行するように設定されていることを特徴とする、テスト装置。
【請求項11】
前記測定機器(5)が、前記構成ユニット(2)に直接導電接続可能である、または導電接続されている、ならびに/あるいは前記構成ユニット(2)に対して離間して配置可能な、または配置されたアンテナ機器(9)を有することを特徴とする、請求項10に記載のテスト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子構成ユニット、特に、少なくとも1つの電子部品、特にコンデンサなどの半導体部品を有するパワーエレクトロニクス系(Leistungselektronik)の摩耗を検知する方法であって、構成ユニットがテストプロセスを受け、テストプロセスにおいて、少なくとも1つの選択された動作モードをその都度シミュレートするために構成ユニットを所定期間動作させる少なくとも2つの電気負荷サイクル(elektrische Lastzyklen)が構成ユニットに適用される方法に関するものである。
【0002】
さらに、本発明は、電子構成ユニット、特に、少なくとも1つの電子部品、特にコンデンサなどの半導体部品を有するパワーエレクトロニクス系の摩耗を検知するためのテスト装置であって、構成ユニットに少なくとも2つの予め定めることができる電気負荷サイクルを適用するための少なくとも1つの機器と、少なくとも2つの負荷サイクルによって生成される構成ユニットの電磁波を検出するための少なくとも1つの測定機器と、テスト装置を制御するための、および測定機器により検出された電磁波を評価するための少なくとも1つの制御器と、を備える、テスト装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
冒頭で述べた種類の方法および装置は従来技術からすでに知られている。電気/電子構成ユニットにおける摩耗を認識するために、構成ユニットが電気的テストプロセスを受けることが知られており、この電気的テストプロセスにおいて、少なくとも1つの予め定めることができる負荷サイクル、通常、複数の負荷サイクルがそれぞれの構成ユニットに適用される。この負荷サイクルの範囲内で、特別に選択された条件下もしくは定められた基準値で、構成ユニットを所定期間動作させる。したがって例えば、負荷サイクルによって、構成ユニットの通常動作をシミュレートすること、あるいは構成ユニットに最大限の負荷をかけること、および酷使することが知られている。特に構成ユニットが比較的大きいユニットの一部ではない場合、構成ユニットの摩耗自体を直接目で見ることができないので、摩耗の検知は、例えば電気接点などを目視で検査できるようにするために、多くの場合、構成ユニットを分解しなければならないことから、比較的高いコストを意味する。時間を費やすこの分解は、さらに、欠陥箇所が後になって初めて発見され、それによって開発時間が長くなるということにつながる。さらに、構成ユニットの機能を少なくとも当分は害しない摩耗が生じる可能性があり、それにより純粋な目視での検査では、認識された摩耗が構成ユニットの機能を害するのか、または例えば近いうちに害するのかを判断できない。半導体スイッチ、パワーダイオード、およびコンデンサなどのパワーエレクトロニクス系の部品では、このような摩耗の場合、それぞれの動作パラメータが変化するが、構成ユニットの機能は機能停止に至るまで害されない。
【発明の概要】
【0004】
請求項1の特徴を有する本発明には、構成ユニットの摩耗がすでにテストプロセス中に確実に確認できるという利点がある。その限りで、本発明による方法は摩耗の早期発見を可能にする。それに加えて、摩耗を解析するために構成ユニットを分解する必要がなく、それによりこの方法は少ないコストで、したがって安価に実行することができる。本発明によれば、構成ユニットのテストプロセス中、構成ユニットに少なくとも2つの負荷サイクルを適用した結果として生じる電気的負荷(elektrische Belastung)によって生成された電磁波が負荷サイクルのうちの少なくとも2つについて検出されることと、少なくとも2つの負荷サイクルの検出された電磁波が構成ユニットの摩耗を検出するために互いに比較されることとが企図されている。本発明に関連して、電気的負荷とは、特に少なくとも1つの検知可能なもしくは検出可能な動作量、例えば総電力または正味電力(Brutto-oder Nettoleistung)、構成ユニットの可能な最大負荷のパーセント比率、動作電流、動作電圧、動作温度などと理解されるべきである。さらに、本発明に関連して、電気負荷サイクルとは、構成ユニットの少なくとも1つの動作モードをシミュレートするために、選択された条件下、もしくは予め定められた期間に対して定められた基準値で構成ユニットをその都度動作させることと理解されるべきである。特に、構成ユニットは、多数の、特に、それぞれ電気的負荷によって電磁波のうちの少なくとも1つを生成する様々な種類の部品を有する。比較によって、テストプロセスの時間にわたる電磁波の変化を認識できる。これらの変化をもとにして、構成ユニットもしくは部品の摩耗の始まりを確認することができる。殊に、電気的負荷は、構成ユニットの規定通りの動作によって生じる通常負荷に相当する。それによって、テストプロセスの範囲内で、規定通りの動作、すなわち通常動作の確実なシミュレーションが構成ユニットに可能になる。
【0005】
本発明の好ましい一発展形態によれば、少なくとも2つの負荷サイクルの電磁波からそれぞれ、各負荷サイクルの波(Wellen)の電磁スペクトルが検知され、これらの検知されたスペクトルが、摩耗を検出するために互いに比較されることが企図されている。その限りで、それぞれの電磁スペクトルは、構成ユニットの複数の電磁波から構成されていて、個別の、すなわちそれぞれの構成ユニットに特徴的な識別的特徴、いわば構成ユニットの指紋である。その場合、構成ユニットの個々の部品の摩耗は、摩耗しつつある部品にそれぞれ特徴的なスペクトルの変化に反映される。例えば、第1の部品の摩耗は、第2の部品の摩耗とは異なるスペクトルの変化をもたらす。その限りで、スペクトルの比較は、有利にも構成ユニットの摩耗の様々な解析を可能にし、スペクトルをもとにして、摩耗が個々の部品に割り当て可能であるか、もしくは個々の部品に帰することができる。すなわち、複数の電気/電子部品を有することができる構成ユニットの電磁スペクトルを検出もしくは検知することによって、構成ユニット全体の摩耗、および部品のうちの1つの摩耗を推論できるということに特殊性がある。その場合、電磁スペクトルは、特に、構成ユニットのそれぞれの部品から放射もしくは生成された電磁波から構成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
殊に、検知されたスペクトルのうちの少なくとも1つが基準スペクトルと比較される。それによって、摩耗していない構成ユニットを表す基準が常に存在するため、摩耗を確実に確認できるという利点が得られる。特に、基準スペクトルは、構成ユニットの所定の、殊にシミュレートされた理想スペクトルであり、これは、例えば本発明による方法を実行するように設定されたテスト装置の制御器に保存されている。特に基準スペクトルは、同じ属性の別の構成ユニットがそれぞれ検査される複数のテストプロセスにおいて一貫して使用される。このことは、テストプロセスの有利な規格化を可能にする。
【0007】
特に好ましくは、テストプロセスの少なくとも1つの第1の負荷サイクルが、基準スペクトルを検知するための基準サイクルとして実行される。その限りで、テストプロセスの初めに基準スペクトル、すなわち摩耗していない状態の構成ユニットのスペクトルが、検査されるべき各構成ユニットについて個別に、個別に検出され、他の負荷サイクルのための規準として使用される。それによって、各検査された構成ユニットについて、個別の基準スペクトルが存在し、それにより摩耗の検知がそれぞれの構成ユニットの個別のパラメータに合わせて調整され、それによって特に確実に行われる。
【0008】
特に、複数の基準サイクルが順次実行され、その際、検知された基準スペクトルから、検知されたスペクトルと比較される平均基準スペクトルが検知されることが企図されている。平均することにより、基準スペクトルからの、ランダムに、例えば統計上生じる放射などの環境事象により存在し得るスペクトルの標準偏差が補正され、したがって基準スペクトルに少なくとも実質的に存在しなくなる。このことは、有利にも特に信頼できる基準スペクトルの検知を可能にする。
【0009】
本発明の好ましい一発展形態によれば、負荷サイクルは、構成ユニットを全負荷動作で動作させるように指定される。全負荷動作とは、構成ユニットが可能な最大限の負荷で動作する、すなわち構成ユニットの、例えば性能や多機能性などの動作パラメータが最大限に引き上げられる(ausgereizt)構成ユニットの動作と理解されるべきである。それによって、テストプロセスの範囲内で構成ユニットの脆弱箇所が確実に検知され、それにより構成ユニットの高い摩耗耐性を保証できるという利点が得られる。したがって、殊に、負荷サイクルの結果として生じる電気的負荷は、最大限企図された、もしくは可能な構成ユニットの最大負荷に相当する。
【0010】
代替的に、好ましくは、負荷サイクルは、構成ユニットを部分負荷動作で動作させるように設定され、その際電気的負荷は、全負荷動作の電気的負荷の70%未満、好ましくは30%~70%、またはちょうど50%に相当するように指定されることが企図されている。すなわち構成ユニットは、部分負荷動作において、上述のような最大限負荷をかけた場合のようにではなく、そのパーセント比率のみで動作する。これは、構成ユニットを傷めないテストプロセスと、それでも確実な摩耗の検知を可能にする。
【0011】
殊に、電磁波は、測定機器によって構成ユニットの少なくとも1つの電気配線にて直接検出される。それによって、有利にも、電磁波の検出が周囲からの干渉によって害されない。したがって、殊に、測定構成ユニットの少なくとも1つの感知素子が電気配線内または電気配線に接して配置され、特に測定受信器、スペクトル解析器(Spektrumanalysatot)またはオシロスコープが測定ユニットとして使用される。
【0012】
特に、電磁波は、構成ユニットに対して離間して配置されたアンテナ機器によって検出されることが企図されている。それによって、有利にも電磁波の検出が構成ユニットの直近からの妨害信号によって害されない。
【0013】
特に好ましくは、電磁波は、少なくとも1つの電気配線にて、および構成ユニットから距離を置いて、アンテナ機器によって検出される。それによって、電磁波を検出するための2つの測定法式の上述の利点が組み合わせられるため、電磁波の特に有利な検出が可能である。殊に、アンテナ機器は測定機器の一部であり、それにより上述の2つの測定法式を有利にも同じ測定機器を用いて実行することができる。
【0014】
請求項10の特徴を有するテスト装置は、構成ユニットに少なくとも2つの予め定めることができる電気負荷サイクルを適用するための少なくとも1つの機器と、少なくとも2つの負荷サイクルによって生成される構成ユニットの電磁波を検出するための少なくとも1つの測定機器と、テスト装置を制御するための、および測定機器により検出された電磁波を評価するための少なくとも1つの制御器とを有し、制御器が、とりわけ、本発明による方法を上述のように実行するように設定されていることを特徴とする。これに関してすでに述べた利点が得られる。
【0015】
本発明の好ましい一発展形態によれば、測定機器は、構成ユニットに直接導電接続可能である、または導電接続されている、ならびに/あるいは構成ユニットに対して離間して配置可能な、または配置されたアンテナ機器を有することが企図されている。これに関して上記ですでに述べた利点が得られる。
【0016】
好ましい特徴および特徴の組み合わせは、特に上記の説明および請求項から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面をもとにして本発明を詳しく説明する。
【0019】
図1は、有利なテスト装置1を簡略化した図で示す。テスト装置1は、後の箇所で詳しく説明される電子構成ユニット2の摩耗を検知する有利な方法を実行するように形成されている。
【0020】
テスト装置1は、ここでは、特に少なくとも1つの制御命令により、構成ユニット2に少なくとも2つの電気負荷サイクルを適用するように形成された機器3を有する。そのために、ユニット(Einheit)3は、負荷サイクルを実行するための、例えばスイッチング回路などの電子コンポーネントを有し、
図1に例示的に第1の接続線4で示されるように、例えば少なくとも1つのケーブルによって構成ユニット2に導電接続および/または通信技術的に接続されている。殊に、機器3はさらに構成ユニット2を動作させるための供給電圧を提供するように形成されている。
【0021】
テスト装置1は、ここでは測定機器5をさらに有し、測定機器は、構成ユニット2を動作させたときに、負荷サイクルが適用された結果として生じる電気的負荷によって生成され、構成ユニットから放射された電磁波6を検出するように形成されている。
図1には、分かりやすくするために、電磁波6のうちのいくつかのみに参照符号が付されている。
図1に例示的に第2の接続線4‘で示されるように、測定機器5は、電磁波6を検出するために構成ユニット2に直接導電接続可能であり、ここでは接続されている。この場合、例えば測定プローブとして形成された感知素子7が第2の接続線4‘によって示された電気的接続に組み込まれ、それにより構成ユニット2の少なくとも1つの電気配線8にて電磁波6が検出可能である。それに加えて、測定機器5は、構成ユニット2に対して離間して配置され、かつ所定の距離からの電磁波6を検出するように形成されたアンテナ機器9を有している。
図1に第3の接続線4‘‘で示されるように、アンテナ機器9は有線またはワイヤレスで通信技術的に測定機器5に接続されている。
【0022】
テスト装置1は、テスト装置1を制御するため、および測定機器5により検出された電磁波6を評価するための制御器10をさらに有する。そのために、
図1にそれぞれ対応する第4の接続線4‘‘‘もしくは第5の接続線4‘‘‘‘で模式的に示されるように、制御器10は有線またはワイヤレスで通信技術的に、一方で機器3に、他方で測定機器5に接続されている。殊に、制御器10は、プログラム可能なテストツール、例えば、特に構成ユニット2に少なくとも2つの負荷サイクルを適用するように機器3を制御するように形成されたコンピュータである。特に、制御器10は、そのために少なくとも1つのデータキャリアを有し、データキャリアには、とりわけ構成ユニット2に負荷サイクルを適用するように設定されたコンピュータプログラムもしくは検査プログラムが記憶されている。その限りで、殊に、少なくとも2つの負荷サイクルをどのように実行すべきであるのかという情報が制御器10に記憶され、もしくはコンピュータプログラムに含まれ、かつ機器3に伝送可能であり、機器は、これらの情報に従って構成ユニット2を動作させ、もしくは少なくとも2つの負荷サイクルを適用するように形成されている。特に、制御器10は機器3に組み込まれ、機器3と制御器10は一緒にテストベンチ3‘を形成する。そのために、例えば制御器10と機器3は共通のハウジングに配置されているか、または一体に形成されている。
【0023】
電子構成ユニット2は、ここではパワーエレクトロニクス系として形成され、ここでは4つの電子部品12が配置されたハウジング11を有する。ここでは、これらの部品のうちの少なくとも1つがMOSFET(=metal-oxide-semiconductor field-effect transistor:金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)またはIGBT(=insulated-gate bipolar transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)の形態の半導体部品として形成され、部品12のうちの少なくとも1つの別の部品がコンデンサとして形成されている。部品12は、構成ユニット2の電気配線8により電気的に互いに接続されている。特に、部品12は、
図1に破線で例示的に示唆される共通の回路基板13に配置され、電気配線8は、殊に回路基板13の導体路として形成されている。
【0024】
続いて以下に、構成ユニット2の摩耗を検知する有利な方法を詳しく説明する。そのために、
図2は方法の模式的フローチャートを示す。
【0025】
方法は、テスト装置1に、例えばテーブルや構成ユニット2を支持するように形成された支持装置などに構成ユニット2を配置することを含む第1のステップS1で開始する。その場合、構成ユニット2と、構成ユニット2に少なくとも2つの負荷サイクルを適用するための機器3との間に電気的および/または通信技術的接続が作成され、さらに、電磁波6を検出するための測定機器5が相応に準備され、すなわち、特に感知素子7が構成ユニット2、もしくは構成ユニットの電気配線8に電気的に接続され、構成ユニット2に対してアンテナ機器9が方向合わせされる。
【0026】
それに続くステップS2において、構成ユニット2がテストプロセスを受ける。このテストプロセスの範囲内で、構成ユニット2に少なくとも2つの電気負荷サイクルが実行される、もしくは機器3によって少なくとも2つの負荷サイクルが適用される。
【0027】
続くステップS3において、テストプロセスの範囲内で第1の負荷サイクルが実行される。この場合、第1のサイクルステップZ1において、特に機器3により提供された供給電圧が構成ユニット2に印加され、それによって構成ユニット2を動作させる。次のサイクルステップZ2において、制御器10により提供された少なくとも1つの制御命令によって、構成ユニット2を機器3により所定の仕方で、もしくは少なくとも1つの所定の動作モードで所定期間動作させる。その場合、構成ユニット2を、殊に少なくとも2つの異なる動作モードで動作させる。その場合、動作の結果生じる電気的負荷によって構成ユニット2もしくは構成ユニットの部品12により電気波(elektrische Welle)6が生成される。この電気波6は、サイクルステップZ2において測定機器5により検出される。続いて、最後のサイクルステップZ3において、構成ユニット2が供給電圧から切り離され、それにより第1の負荷サイクルが終了する。
【0028】
任意的に、続くステップS3‘において任意の数の別のサイクルが実行される。
【0029】
次のステップS4において、第2もしくは最後の負荷サイクルが実行される。この場合、サイクルステップZ1~Z3は、ステップS3の第1の負荷サイクルと同様に実行される。一般に、すべての負荷サイクル、すなわちステップS3‘の任意的な負荷サイクルも同じように実行される。その限りで、構成ユニット2は、同じ期間、すべての負荷サイクルにおいて同じように、すなわちそのような電気的負荷で動作する。殊に、負荷サイクルは、負荷サイクルが構成ユニット2の規定通りの動作をシミュレートするよう電気的負荷および期間が選択されるように設計されている。その場合、殊に、構成ユニット2を各負荷サイクルにおいて全負荷動作で動作させ、それにより構成ユニット2の全部の動作パラメータが可能な最大限に引き上げられる。代替的に、動作は、負荷サイクル中、部分負荷動作で行われ、すなわち特に低減された電気的負荷および/または期間で行われる。
【0030】
ステップS4において実行された最後の負荷サイクルの終了後、ステップS2のテストプロセスが終了する。
【0031】
続く任意的なステップS5において、その前に実行された負荷サイクルにおいて検出された電磁波6から、各負荷サイクルに対してそれぞれ電磁スペクトルが検知される。特に、スペクトルは制御器10によって検知される。
【0032】
続くステップS6において、負荷サイクルにおいて検出されたそれぞれの電磁波6もしくは任意的なステップS5において検知されたそれぞれのスペクトルが互いに比較され、すなわち制御器10により評価される。その場合、検知されたスペクトルが基準スペクトルと比較されることが好ましい。基準スペクトルは、テスト装置1の制御器10に記憶された、構成ユニット2の特別にシミュレートされた理想スペクトルであるか、または検査された構成ユニット2のために個別に検知された基準スペクトルであり得る。殊に、基準スペクトルは検査された構成ユニット2に個別に検知される。この場合、ステップS3において実行された少なくとも第1の負荷サイクルが基準サイクルとして実行される、もしくは実行されたことが企図されている。特に好ましくは、ステップS3の第1の基準サイクルに続いて、任意的なステップS3‘において、任意の数の別の基準サイクルが順次実行され、そこから検知された基準スペクトルが平均され、それにより平均基準スペクトルが得られる。基準スペクトルの検知および基準スペクトルの平均は、殊に任意的なステップS5において、またはステップS6の初めに、すなわち、スペクトルの比較の前に行われる。特にステップS3‘の別の負荷サイクル、およびステップS4の最後の負荷サイクルから検知されたスペクトルは、次いでステップS6において平均基準スペクトルと比較される。
【0033】
次いで、最後のステップS7において、検出された電磁波6もしくは検知されたスペクトルの比較をもとにして、構成ユニット2が摩耗を有するかどうかが特定される。
【0034】
したがって、上記の方法は、放射された電磁波6をもとにして電子構成ユニット2の摩耗を確実に特定することを可能にし、それにより構成ユニット2の機能性が長期的にも確実に保証される。
【符号の説明】
【0035】
1 テスト装置
2 構成ユニット
3 機器
3’ 検査スタンド
4
4‘、4‘‘、4‘‘‘、4‘‘‘‘ 接続線
5 測定機器
6 電磁波
7 感知素子
8 電気配線
9 アンテナ機器
10 制御器
11 ハウジング
12 電子部品
13 回路基板
S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7 ステップ
S3‘ ステップ
Z1、Z2、Z3 サイクルステップ
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子構成ユニット(2)、特に、少なくとも1つの電子部品(12)、特にコンデンサなどの半導体部品を有するパワーエレクトロニクス系の摩耗を検知する方法であって、前記構成ユニット(2)がテストプロセスを受け、前記テストプロセスにおいて、少なくとも1つの選択された動作モードをその都度シミュレートするために前記構成ユニット(2)を所定期間動作させる少なくとも2つの予め定めることができる電気負荷サイクルが前記構成ユニット(2)に適用される、方法において、前記構成ユニット(2)の前記テストプロセス中、前記構成ユニット(2)に前記少なくとも2つの負荷サイクルが適用された結果として生じる電気的負荷によって生成された電磁波(6)が前記負荷サイクルのうちの少なくとも2つについて検出されることと、前記少なくとも2つの負荷サイクルの前記検出された電磁波(6)が前記構成ユニット(2)の摩耗を検出するために互いに比較されることと、を特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つの負荷サイクルの前記電磁波(6)からそれぞれ、各負荷サイクルの電磁スペクトルが検知され、前記検知されたスペクトルが、摩耗を検出するために互いに比較されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検知されたスペクトルのうちの少なくとも1つが基準スペクトルと比較されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記テストプロセスの少なくとも1つの第1の負荷サイクルが、前記基準スペクトルを検知するための基準サイクルとして実行されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
複数の基準サイクルが順次実行され、その際、検知された基準スペクトルから、前記検知されたスペクトルと比較される平均基準スペクトルが検知されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記負荷サイクルが、前記構成ユニット(2)を全負荷動作で動作させるように指定されることを特徴とする、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項7】
前記負荷サイクルが、前記構成ユニット(2)を部分負荷動作で動作させるように設定され、前記電気的負荷は、全負荷動作の前記電気的負荷の70%未満、好ましくは30%~70%、またはちょうど50%に相当するように指定されることを特徴とする、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項8】
前記電磁波(6)が、測定機器(5)によって前記構成ユニット(2)の少なくとも1つの電気配線(8)にて直接検出されることを特徴とする、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項9】
前記電磁波(6)が、前記構成ユニット(2)に対して離間して配置されたアンテナ機器(9)によって検出されることを特徴とする、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項10】
電子構成ユニット(2)、特に、少なくとも1つの電子部品(12)、特にコンデンサなどの半導体部品を有するパワーエレクトロニクス系の摩耗を検知するためのテスト装置(1)であって、前記構成ユニット(2)に少なくとも2つの予め定めることができる電気負荷サイクルを適用するための少なくとも1つの機器(3)と、前記少なくとも2つの負荷サイクルによって生成される前記構成ユニット(2)の電磁波(6)を検出するための少なくとも1つの測定機器(5)と、前記テスト装置(1)を制御するための、および前記測定機器(5)により検出された前記電磁波(6)を評価するための少なくとも1つの制御器(10)と、を備える、テスト装置において、前記制御器(10)は
、請求項1
または2に記載の方法を実行するように設定されていることを特徴とする、テスト装置。
【請求項11】
前記測定機器(5)が、前記構成ユニット(2)に直接導電接続可能である、または導電接続されている、ならびに/あるいは前記構成ユニット(2)に対して離間して配置可能な、または配置されたアンテナ機器(9)を有することを特徴とする、請求項10に記載のテスト装置。
【国際調査報告】