(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-18
(54)【発明の名称】トランスジェニック哺乳動物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A01K 67/0278 20240101AFI20240411BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240411BHJP
C12N 5/0781 20100101ALI20240411BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240411BHJP
C12N 5/20 20060101ALI20240411BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20240411BHJP
C12N 5/0735 20100101ALI20240411BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20240411BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A01K67/0278 ZNA
C12N15/13
C12N5/0781
C12N5/10
C12N5/20
C07K16/00
C12N5/0735
C12P21/08
C12N15/09 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567910
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 US2022027622
(87)【国際公開番号】W WO2022235759
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518278007
【氏名又は名称】トリアニ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Trianni, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】バロウズ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ドゥオン,バオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァプル,マティアス
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA13
4B065AA91X
4B065AA92X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BA03
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
ここに記載されるのは、治療ウマ抗体の開発のための、ウマ可変ドメインを有する免疫グロブリンを発現するトランスジェニック齧歯類を含む、ウマ可変ドメインを有する免疫グロブリンを発現するトランスジェニック哺乳動物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内因性齧歯類免疫グロブリン可変遺伝子座が欠失され、ウマ免疫グロブリン可変遺伝子コード配列および内因性齧歯類免疫グロブリン可変遺伝子座に基づく非コード制御配列を含む部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座で置き換えられているトランスジェニック齧歯類であって、ここで、トランスジェニック齧歯類の部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座が機能的であり、ウマ可変ドメインおよび齧歯類定常ドメインを含む免疫グロブリン鎖を発現する、トランスジェニック齧歯類。
【請求項2】
部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座がウマV
H、D
HおよびJ
Hコード配列を含む、請求項1のトランスジェニック齧歯類。
【請求項3】
部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座がウマカッパV
LおよびJ
Lコード配列、ウマラムダV
LおよびJ
Lコード配列またはそれらの組み合わせを含む、請求項1のトランスジェニック齧歯類。
【請求項4】
部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座がウマV
H、D
HおよびJ
H、ウマカッパV
LおよびJ
Lコード配列、ウマラムダV
LおよびJ
Lコード配列またはそれらの組み合わせを含む、請求項1のトランスジェニック齧歯類。
【請求項5】
齧歯類がマウスである、請求項1のトランスジェニック齧歯類。
【請求項6】
非コード制御配列が、個々のV遺伝子セグメント、スプライス部位およびV(D)J組み換えのための組み換えシグナル配列の前にプロモーターを含む、請求項1のトランスジェニック齧歯類。
【請求項7】
部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座がさらにADAM6遺伝子を含む、請求項1のトランスジェニック齧歯類。
【請求項8】
部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座がさらにPax-5活性化遺伝子間反復(PAIR)配列を含む、請求項1のトランスジェニック齧歯類。
【請求項9】
部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座がさらに重鎖遺伝子間制御領域1からのCTCF結合部位を含む、請求項1のトランスジェニック齧歯類。
【請求項10】
請求項1~9の何れかのトランスジェニック齧歯類からのBリンパ球系譜の細胞。
【請求項11】
請求項10のBリンパ球系譜の細胞由来のハイブリドーマ細胞。
【請求項12】
請求項10のBリンパ球系譜の細胞由来の不死化細胞。
【請求項13】
請求項10のBリンパ球系譜の細胞、請求項11のハイブリドーマまたは請求項12の不死化細胞由来のウマ可変ドメインおよび齧歯類定常ドメインを含む、一部または完全免疫グロブリン分子。
【請求項14】
請求項1のトランスジェニック齧歯類を産生する方法であって:
a)齧歯類細胞のゲノムに、少なくとも1個の部位特異的リコンビナーゼの標的部位を内因性免疫グロブリン可変遺伝子座の上流および少なくとも1個の部位特異的リコンビナーゼの標的部位を内因性免疫グロブリン可変遺伝子座の下流に統合し、ここで、内因性免疫グロブリン可変遺伝子座は(i)V
H、D
HおよびJ
H遺伝子セグメント、(ii)VκおよびJκ遺伝子セグメント、(iii)VλおよびJλ遺伝子セグメント;または(iv)VλおよびJλ遺伝子セグメントおよびCλ遺伝子を含むものであり;
b)部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座を含むベクターを提供し、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、各々がウマ免疫グロブリン可変領域遺伝子コード配列および齧歯類非コード制御配列を含む部分的ウマ免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントと、部位特異的リコンビナーゼの標的部位に隣接した部分的ウマ免疫グロブリン可変領域遺伝子座を含み、ここで、標的部位は工程a)で齧歯類細胞に導入した標的部位の組み換えが可能であるものであり;
c)細胞に工程b)のベクターおよび標的部位を認識できる部位特異的リコンビナーゼを導入し;
d)細胞のゲノムと部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座で組み換え事象を生じさせ、内因性免疫グロブリン可変遺伝子座の部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座での置き換えをもたらし;
e)工程d)で産生した部分的ウマ免疫グロブリン可変遺伝子座を含む細胞を選択し;そして
f)部分的ウマ免疫グロブリン可変遺伝子座を含むトランスジェニック齧歯類の作製に細胞を使用する
ことを含む。
【請求項15】
細胞が齧歯類胚幹(ES)細胞である、請求項14の方法。
【請求項16】
細胞がマウス胚幹(ES)細胞である、請求項15の方法。
【請求項17】
導入工程後および提供工程の前、第一セットの標的部位を認識するリコンビナーゼの導入により内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を欠失する工程をさらに含み、ここで欠失工程は、齧歯類細胞のゲノムにおける互いに組み換えできない少なくとも2個の標的部位を残す、請求項14の方法。
【請求項18】
ベクターがウマV
H、D
HおよびJ
Hコード配列を含む、請求項14の方法。
【請求項19】
ベクターがκまたはλのV
LおよびJ
Lコード配列を含む、請求項14の方法。
【請求項20】
ベクターがさらに内因性宿主起源のV遺伝子プロモーター、スプライス部位および組み換えシグナル配列を含む、請求項14の方法。
【請求項21】
ベクターがさらにADAM6遺伝子を含む、請求項14の方法。
【請求項22】
ベクターがさらにPax-5活性化遺伝子間反復要素を含む、請求項14の方法。
【請求項23】
ベクターがさらに重鎖遺伝子間制御領域1からのCTCF結合部位を含む、請求項14の方法。
【請求項24】
治療または診断用途のための抗体を産生する方法であって:
(i)ゲノムが、内因性齧歯類免疫グロブリン遺伝子座可変領域が欠失され、免疫グロブリン重鎖遺伝子座にキメラV
H、DおよびJ
H免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1個および/または免疫グロブリン軽鎖遺伝子座にキメラV
LおよびJ
L可変遺伝子セグメントの各々の少なくとも1個を含む免疫グロブリン遺伝子座可変領域で置き換えられたトランスジェニック齧歯類の抗体産生細胞からクローン化されたウマ可変ドメインを有する抗体を発現させ、ここで各キメラ遺伝子セグメントはウマV、DまたはJ免疫グロブリン可変領域コード配列および齧歯類免疫グロブリン可変領域非コード遺伝子セグメント配列を含むものであり;そして
(ii)ウマ可変ドメインを有する抗体を単離することを含み、ここで該抗体が治療または診断用途に適する、
方法。
【請求項25】
抗体がトランスジェニック齧歯類のB細胞からクローン化される、請求項24の方法。
【請求項26】
請求項24の方法により産生される、治療または診断抗体。
【請求項27】
ウマ可変ドメインを有する治療または診断抗体を産生する方法であって:
(i)ゲノムが、内因性齧歯類免疫グロブリン遺伝子座可変領域が欠失され、免疫グロブリン重鎖遺伝子座にキメラV
H、D
HおよびJ
H免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1個および/または免疫グロブリン軽鎖遺伝子座にキメラV
LおよびJ
L可変遺伝子セグメントの各々の少なくとも1個を含む免疫グロブリン遺伝子座可変領域で置き換えられている、トランスジェニック齧歯類からの抗体産生細胞により発現される抗体のウマ可変ドメインをクローニングし、ここで各キメラ遺伝子セグメントはウマV、DまたはJ免疫グロブリン可変領域コード配列および齧歯類免疫グロブリン可変領域非コード遺伝子セグメント配列を含むものであり;そして
(ii)トランスジェニック齧歯類により発現される抗体のウマ可変ドメインを含む治療または診断抗体を産生する
ことを含む、方法。
【請求項28】
ウマ可変ドメインが、トランスジェニック齧歯類からのB細胞により発現される抗体からクローン化される、請求項27の方法。
【請求項29】
請求項27の方法により産生される、治療または診断抗体。
【請求項30】
ウマ可変ドメインを含むモノクローナル抗体を産生する方法であって:
(i)ゲノムが、内因性齧歯類免疫グロブリン遺伝子座可変領域が欠失され、免疫グロブリン重鎖遺伝子座にキメラV
H、D
HおよびJ
H免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1個および/または免疫グロブリン軽鎖遺伝子座にキメラV
LおよびJ
L可変遺伝子セグメントの各々の少なくとも1個を含む免疫グロブリン遺伝子座可変領域で置き換えられている、トランスジェニック齧歯類からB細胞を提供し、ここで各キメラ遺伝子セグメントは齧歯類免疫グロブリン可変領域非コード遺伝子セグメント配列に包埋されたウマV、DまたはJ免疫グロブリン可変領域コード配列を含むものであり;
(ii)B細胞を不死化し;そして
(iii)不死化B細胞または該抗体をコードする遺伝子により発現されるウマ可変ドメインを含むモノクローナル抗体を単離する
ことを含む、方法。
【請求項31】
さらに
(iv)B細胞により発現されるウマ可変ドメインをクローニングし;そして
(v)トランスジェニック齧歯類のB細胞からクローン化したウマ可変ドメインを含む治療または診断抗体を産生する
ことを含む、請求項30の方法。
【請求項32】
ウマ可変ドメインを含む抗体を産生する方法であって、ゲノムが、内因性齧歯類免疫グロブリン遺伝子座可変領域が欠失され、免疫グロブリン重鎖遺伝子座にキメラV
H、D
HおよびJ
H免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1個および/または免疫グロブリン軽鎖遺伝子座にキメラV
LおよびJ
L可変遺伝子セグメントの各々の少なくとも1個を含む免疫グロブリン遺伝子座可変領域で置き換えられているトランスジェニック齧歯類を提供することを含み、ここで各キメラ遺伝子セグメントは齧歯類免疫グロブリン可変領域非コード遺伝子セグメント配列に包埋されたウマV、DまたはJ免疫グロブリン可変領域コード配列を含み、ここでトランスジェニック齧歯類の免疫グロブリン遺伝子座はウマ可変ドメインを含む抗体を発現するものである、方法。
【請求項33】
トランスジェニック齧歯類または該抗体をコードする遺伝子により発現されるウマ可変領域を含む抗体を単離することをさらに含む、請求項32の方法。
【請求項34】
(i)標的抗原に特異的な抗体を発現するトランスジェニック齧歯類からB細胞を得て;
(ii)B細胞を不死化し;そして
(iii)不死化B細胞から標的抗原に特異的な抗体を単離する
ことをさらに含む、請求項32の方法。
【請求項35】
特定の抗原に特異的なB細胞からウマ可変領域をクローニングすることをさらに含む、請求項34の方法。
【請求項36】
B細胞からクローン化されたウマ可変領域を使用して、治療または診断抗体を産生することをさらに含む、請求項35の方法。
【請求項37】
請求項32の方法により産生された、治療または診断抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ウマモノクローナル抗体の産生のための抗原特異的抗体分泌細胞の産生が可能であるトランスジェニック哺乳動物を産生する方法を含む、免疫グロブリン分子の産生に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
以下の記載において、ある種の文献および方法を背景および前置きの目的で記載する。ここに含まれるもの、何れも先行技術の「承認」と解釈すべきではない。出願人は、ここに引用する文献および方法が、適応可能な法規条項の下に先行技術を構成しないことを、適宜証明する権利を明示的に保持する。
【0003】
抗体は、(i)多様な分子形態の抗原を標的とできる非常に強い結合性質を示す、(ii)ヒトおよび動物の処置において忍容性が良好となる望ましい薬物動態を有する生理学的分子であるおよび(iii)天然に感染因子を撃退する強力な免疫学的性質と関連するため、重要な生物学的医薬品として出現してきている。さらに、体内に本来存在しない事実上あらゆる外来物質に対する特異的抗体応答を容易に搭載できる、実験動物からの抗体の迅速な単離のための確立された技術が存在する。
【0004】
最も基本的な形態において、抗体は、各々同一軽(L)鎖と対合した2個の同一重(H)鎖を含む。H鎖およびL鎖両方のN末端は可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)を含み、一体となって固有の抗原結合特異性を有する対合H-L鎖を提供する。
【0005】
抗体VHおよびVLドメインをコードするエクソンは生殖細胞系列DNAに存在しない。その代わり、各VHエクソンは、免疫グロブリンH鎖遺伝子座に存在する無作為に選択されたVH、DおよびJH遺伝子セグメントの組み換えにより産生され;同様に、個々のVLエクソンは、軽鎖遺伝子座の無作為に選択されたVLおよびJL遺伝子セグメントの染色体再配置により産生される。
【0006】
哺乳動物において、ゲノムは、典型的にH鎖を発現できる2個のアレル、カッパ(κ)L鎖を発現できる2個のアレルおよびラムダ(λ)L鎖を発現できる2個のアレルを含む(各親から1個のアレル)。免疫グロブリンH鎖遺伝子座に複数のVH、DおよびJH遺伝子セグメントならびに免疫グロブリンκ(IGK)および免疫グロブリンλ(IGL)L鎖遺伝子座両方に複数のVLおよびJL遺伝子セグメントがある(Collins and Watson (2018) Immunoglobulin Light Chain Gene Rearrangements, Receptor Editing and the Development of a Self-Tolerant Antibody Repertoire. Front. Immunol. 9: 2249. (doi: 10.3389/fimmu.2018.02249))。
【0007】
重鎖遺伝子座において、種々の抗体クラス(アイソタイプ)を発現するためのエクソンも存在する。例えば、ウマ動物において、コードされるアイソタイプはIgM、IgD、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgG5、IgG6、IgG7、IgEおよびIgAである。多型バリアント(アロタイプとも称する)もコードされるアイソタイプの中に存在し、アレルマーカーとして有用であり得る。ウマ動物において、多型バリアントはIgM、IgG3、IgG4、IgG7およびIgEアロタイプに存在する。
【0008】
B細胞発達中、遺伝子再配列がまずH鎖可変遺伝子セグメントを含む2個の相同染色体の一方で起こる。プレB細胞において、得られたVHエクソンが、IgM H鎖(μH鎖)発現のためにその後RNAレベルでCμエクソンにスプライスされる。プレB細胞により合成されたμH鎖の大部分は小胞体(ER)に保持され、最終的にμH鎖の部分的に折り畳まれていないCH1ドメインと常在ERシャペロンBiPの間の非共有結合的相互作用のために分解される(Haas and Wabl, Nature, 306: 387-9, 1983; Bole et al., J Cell Biol. 102: 1558, 1986)。しかしながら、μH鎖のごく一部は不変λ5およびVプレBタンパク質を含むサロゲート軽鎖複合体と結合する。この結合はBiPを押しのけ、μH鎖/λ5/VプレB複合体が、Igα/βシグナル伝達分子ヘテロ二量体と共に、プレB細胞受容体(プレBCR)としてERを出て、分泌経路を通り原形質膜に輸送されることを可能とする。
【0009】
その後、VL-JL再配列が、機能的L鎖が形成されるときまで一方のL鎖アレルで生じ、その後、L鎖ポリペプチドがIgM H鎖ホモ二量体と結合して、未成熟B細胞表面で発現される完全機能的抗原特異的B細胞受容体(BCR)を形成し得る。
【0010】
未成熟B細胞は二次リンパ系臓器に遊走され、そこで成熟B細胞に分化され、これは同族抗原に応答でき、抗体分泌形質細胞および記憶B細胞に分化される。T細胞の助けにより、B細胞は抗体アイソタイプをIgMからIgG、IgAまたはIgEに変えるアイソタイプスイッチングならびにVHおよびVLエクソンのアミノ酸配列を変えることができる体細胞超変異を受け得る。これらの変異はVHおよびVLエクソンに無作為に導入されるが、免疫化抗原に対する親和性が高いB細胞はより多くの抗原を取り込み、処理し、T濾胞性ヘルパー細胞に提示でき、故に、免疫化抗原に対する親和性が低いまたはないB細胞と比較して優先的に活性化される。その結果、体細胞性変異は相補性決定領域(CDR)1、2および3に濃縮され、なぜなら、これらがVHおよびVLドメインの抗原と相互作用する領域であるからである。
【0011】
種々のマウス免疫グロブリンをコードする遺伝子は大規模に特徴づけられている。例えば、BlankensteinおよびKrawinkelは、Eur. J. Immunol., 17: 1351-1357 (1987)でマウス可変重鎖領域を記載する。ウマ免疫グロブリン遺伝子(例えば、サラブレッド、Equus caballus、Twilight breedから)は構造的に特徴づけられている。Sun et al. (Dev. Comp. Immunol. 34: 109 (2010))およびTalmadge et al. (Dev. Comp. Immunol. 1: 33 (2013); Dev. Comp. Immunol. 46: 171 (2014))は、ウマゲノムにおけるIg重およびラムダ軽鎖遺伝子を記載し、Walther, et al.は、Ig遺伝子座(Igh、IgκおよびIgλ)全ての分子特徴づけを記載する(Dev. Comp. Immunol. 3: 303 (2015))。
【0012】
トランスジェニック動物 - 例えば変更された免疫グロブリン遺伝子座を有するマウス - の産生により、種々の研究および開発応用、例えば、薬物開発および種々の生物系の基礎研究におけるこのようなトランスジェニック動物の使用が可能となっている。例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子を担持するトランスジェニックマウスの産生は、国際出願WO90/10077およびWO90/04036に記載されている。WO90/04036は、統合ヒト免疫グロブリン「ミニ」遺伝子座を有するトランスジェニックマウスを記載する。WO90/10077は、トランスジェニック動物産生に使用する免疫グロブリンドミナント制御領域を含むベクターを記載する。
【0013】
マウス内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座を、薬物開発目的で一部または完全ヒト抗体を作るために、例えば、ヒト免疫グロブリン配列で修飾する、多数の方法が開発されている。このようなマウスの例は、例えば、米国特許7,145,056;7,064,244;7,041,871;6,673,986;6,596,541;6,570,061;6,162,963;6,130,364;6,091,001;6,023,010;5,593,598;5,877,397;5,874,299;5,814,318;5,789,650;5,661,016;5,612,205;および5,591,669に記載されるものを含む。
【0014】
薬物として機能する抗体の使用は、ヒト疾患の予防または治療に制限されない。ウマなどの家畜は、ヒトと同様の苦痛、例えば、癌、アトピー性皮膚炎および慢性疼痛に苦しむ。それぞれCD20、IgEおよび神経増殖因子をターゲティングするモノクローナル抗体は、これらの状態のいくつかの処置のためにすでに家畜で使用されている。しかしながら、臨床使用前に、マウスで作製したモノクローナル抗体は、レシピエントであるウマにおける有害免疫応答を予防するために、ウマ化されなければならず、すなわち、アミノ酸配列がマウスのものからウマのものに変えなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前記に基づき、ウマにおける疾患の処置のためのウマ抗体を産生するための、効率的かつ費用対効果が高い方法が必要とされることは明らかである。より具体的に、抗原特異的ウマ免疫グロブリン、特にウマモノクローナル抗体の大規模産生ができるハイブリドーマを産生できる、小さく、繁殖が速い、非ウマ哺乳動物の産生に対する分野の要望がある。すなわち、ウマ抗体、例えば、ウマV領域を有する抗体を産生できるトランスジェニック非ヒト動物を産生する方法の改善が必要とされ続けている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の概要
この概要は、詳細な記載において下にさらに詳述する、単純化された形態の選択された概念を紹介するために提供する。この概要は請求する主題の鍵となるまたは必須の特性を同定することは意図されず、請求する主題の限定に使用することも意図されない。請求する主題の他の特性、詳細、有用性および利点は、添付する図面に説明され、添付する特許請求の範囲に定義される態様を含む下記の詳細な記載から明らかである。
【0017】
ここに記載されるのは、ウマ免疫グロブリン可変領域を有するマウス抗体を産生する方法である。ある態様において、トランスジェニック哺乳動物またはインビトロ細胞培養で産生できるウマ可変領域を有する抗体が提供される。
【0018】
ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座を含むゲノムを有する非ウマ哺乳動物細胞または非ウマ哺乳動物が提供される。ある態様において、異種遺伝子座は、ウマ免疫グロブリン可変領域遺伝子のコード配列および非ウマ哺乳動物宿主の内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座に基づく非コード配列を含む。ある態様において、非ウマ哺乳動物細胞または哺乳動物は、ウマ重(H)および軽(L)鎖可変領域および非ウマ哺乳動物宿主細胞または哺乳動物に内因性である定常領域を含むキメラB細胞受容体(BCR)または抗体を発現できる。ある態様において、トランスジェニック哺乳動物宿主細胞または哺乳動物は、内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座の一部または全てが除去されているゲノムを有する。
【0019】
非ウマ哺乳動物宿主でキメラウマモノクローナル抗体を産生するために、宿主ゲノムは、少なくとも1個のキメラウマ免疫グロブリンHまたはL鎖を発現する遺伝子座を有しなければならない。ある態様において、宿主ゲノムは、それぞれキメラウマ免疫グロブリンH鎖およびL鎖を発現する1個の重鎖遺伝子座および2個の軽鎖遺伝子座を含む。
【0020】
ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、非ウマ哺乳動物宿主の内因性VH遺伝子座に存在するウマVHコード配列および非コード配列を含む。ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマVHコード配列および非ウマ哺乳動物宿主の内因性VH遺伝子座に存在する非コード制御または足場配列を含む。ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマDHおよびJH遺伝子セグメントコード配列および非ウマ哺乳動物宿主細胞ゲノムの内因性DHおよびJH遺伝子セグメントに存在する非コード配列を含む。ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマDHおよびJH遺伝子セグメントコード配列および非ウマ哺乳動物宿主細胞ゲノムの内因性DHおよびJH遺伝子セグメントに存在する非コード制御または足場配列を含む。
【0021】
他の態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマVLコード配列および非ウマ哺乳動物宿主の内因性VL遺伝子座に存在する非コード配列を含む。他の態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマVLコード配列および非ウマ哺乳動物宿主の内因性VL遺伝子座に存在する非コード制御または足場配列を含む。ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマVLコード配列およびウマJL遺伝子セグメントコード配列および非ウマ哺乳動物宿主細胞ゲノムの内因性JL遺伝子セグメントに存在する非コード配列を含む。ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマVLコード配列およびウマJL遺伝子セグメントコード配列および非ウマ哺乳動物宿主細胞ゲノムの内因性JL遺伝子セグメントに存在する非コード制御または足場配列を含む。
【0022】
ある態様において、非ウマ哺乳動物は齧歯類、例えば、マウスまたはラットである。
【0023】
ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座を含む非ウマ哺乳動物細胞を産生する方法が提供される。ある態様において、方法は、a)非ウマ哺乳動物宿主細胞のゲノムに2以上のリコンビナーゼターゲティング部位を導入し、内因性免疫グロブリンVH、DHおよびJH遺伝子または内因性VLおよびJL遺伝子を含むゲノム領域の少なくとも1部位上流および少なくとも1部位下流を統合し;そしてb)ウマVH、DHおよびJH遺伝子またはウマVLおよびJL遺伝子コード配列を含む異種部分的ウマ免疫グロブリン可変遺伝子座および非ウマ哺乳動物宿主の内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座に存在する非コード配列に基づく非コード配列を、リコンビナーゼ介在カセット交換(RMCE)を介して非ウマ哺乳動物宿主細胞に導入することを含む。
【0024】
他の態様において、方法は、非ウマ哺乳動物宿主細胞にRMCEを介して異種部分的ウマ免疫グロブリン可変遺伝子座を導入する前に、2個の異種リコンビナーゼターゲティング部位と隣接している宿主動物のゲノムにおける内因性免疫グロブリン可変領域を欠失させることを含む。
【0025】
ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマV
H遺伝子セグメントコード配列、ウマD
HおよびJ
H遺伝子セグメントコード配列ならびに非ウマ哺乳動物宿主のゲノムにおける内因性D
H遺伝子セグメントの上流に存在する配列に基づきウマD
H遺伝子セグメントの上流に非コード制御または足場配列(プレD配列、
図1)を含む。ある態様において、上流足場配列は、雄の妊性と関係するAdam6(
図1)などの非免疫グロブリン遺伝子を含む(Nishimura et al. Developmental Biol. 233(1): 204-213 (2011))。ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、同じ染色体の内因性免疫グロブリンV
H遺伝子座の上流および内因性J
H遺伝子座の下流に予め導入されているリコンビナーゼターゲティング部位を使用して、宿主細胞に導入する。
【0026】
ある態様において、足場配列は、他の種からの天然に存在する核酸配列を含む。ある態様において、足場配列は他の種からの天然に存在する核酸配列に基づき設計でき、例えば、足場配列は、例えば、1以上の核酸置換、挿入、欠失または他の修飾により修飾されている他の種からの天然に存在する核酸配列を含み得る。ある態様において、足場配列は人工配列を含み得る。ある態様において、足場配列は、ウマゲノムの免疫グロブリン遺伝子座に存在する配列を、他の配列、例えば、他の種からの足場配列と組み合わせて含む。
【0027】
他の態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマ免疫グロブリンVL遺伝子セグメントコード配列、ウマJL遺伝子セグメントコード配列および非ウマ哺乳動物宿主細胞ゲノムの内因性L鎖遺伝子座に存在する非コード配列に基づく非コード配列を含む。ある態様において、非コード配列は制御または足場配列を含む。ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、同じ染色体の内因性免疫グロブリンVL遺伝子座の上流および内因性JL遺伝子座の下流に予め導入されているリコンビナーゼターゲティング部位を使用して、宿主細胞に導入される。
【0028】
ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は単一核酸として合成され、単一核酸領域として非ウマ哺乳動物宿主細胞に導入される。異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座はまた2以上の連続的セグメントとして合成され、別々のセグメントとして哺乳動物宿主細胞に導入され得る。異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座はまた、組み換え方法を使用して産生され、非ウマ哺乳動物宿主細胞に導入される前に単離もされ得る。ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座は、イン・シリコで次のとおり産生され得る:マウス重鎖免疫グロブリン遺伝子座のゲノム配列ならびにウマVH、DおよびJHコード配列を、例えば、アメリカ国立生物工学情報センターから得る。マウスVH、DおよびJHコード配列を、例えば、市販のソフトウェアを使用して、イン・シリコでウマVH、DおよびJHコード配列に置き換える。有利には、VH、DおよびJHコード配列を、介在マウス非コード配列をインタクトのままで置き換えることができる。同様に、部分的ウマ免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子座は、イン・シリコで次のとおり産生され得る:マウス軽鎖免疫グロブリン遺伝子座のゲノム配列ならびにウマVLおよびJLコード配列を、例えば、アメリカ国立生物工学情報センターから得る。マウスVLおよびJLコード配列を、例えば、市販のソフトウェアを使用して、イン・シリコでウマVLおよびJLコード配列に置き換える。同様に、VLおよびJLコード配列を、介在マウス非コード配列をインタクトのままで置き換えることができる。イン・シリコ配列に基づく部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座を含むDNA配列を合成する方法は知られる。
【0029】
他の態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座を含む非ウマ哺乳動物細胞を産生する方法が提供される。ある態様において、方法は、a)非ウマ哺乳動物宿主細胞のゲノムに互いに組み換えできない2以上の配列特異的組み換え部位を導入し、ここで少なくとも1個の組み換え部位を内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座の上流に導入し、少なくとも1個の組み換えを同じ内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座の下流に導入し;b)i)ウマ免疫グロブリン可変領域遺伝子コード配列およびii)宿主細胞ゲノムの内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座に基づく非コード制御または足場配列(ここで、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、宿主細胞の内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座と隣接している同じ2個の配列特異的組み換え部位と隣接している)を有する異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座を含むベクターを提供し;c)宿主細胞に工程b)のベクターおよび2個のリコンビナーゼ部位を認識する部位特異的リコンビナーゼを導入し;d)細胞のゲノムと異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座の間で組み換え事象を生じさせ、内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座の異種部分的ウマ免疫グロブリン可変領域遺伝子座での置き換えをもたらすことを含む。ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマVH免疫グロブリン遺伝子セグメントコード配列およびi)ウマDHおよびJH遺伝子セグメントコード配列、ii)非ウマ哺乳動物宿主のゲノムに内因性に存在する個々のVH、DHおよびJH遺伝子セグメントと隣接している非コード制御または足場配列およびiii)非ウマ哺乳動物宿主細胞の内因性ゲノムに基づくプレD配列を含む。ある態様において、リコンビナーゼターゲティング部位は、内因性免疫グロブリンVH遺伝子座の上流および内因性JH遺伝子座の下流に導入される。
【0030】
ある態様において、齧歯類内因性免疫グロブリン可変遺伝子座が欠失され、ウマ免疫グロブリン可変遺伝子コード配列および齧歯類内因性免疫グロブリン可変遺伝子座に基づく非コード制御または足場配列を含む異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座で置き換わっているゲノムを有するトランスジェニック齧歯類が提供される。ある態様において、トランスジェニック齧歯類の異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は機能的であり、ウマ可変ドメインおよび齧歯類定常ドメインを含む免疫グロブリン鎖を発現する。ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマVH、DHおよびJHコード配列を含む。ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマVLおよびJLコード配列を含む。ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマカッパ(κ)VLおよびJLコード配列を含む。ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマラムダ(λ)VLおよびJLコード配列を含む。ある態様において、トランスジェニック齧歯類からのBリンパ球系譜の細胞が提供される。ある態様において、Bリンパ球系譜の細胞から得たウマ可変ドメインおよび齧歯類定常ドメイン配列を含む免疫グロブリン分子の一部または全部が提供される。ある態様において、Bリンパ球系譜の細胞由来のハイブリドーマ細胞が提供される。ある態様において、ハイブリドーマ細胞由来のウマ可変ドメインおよび齧歯類定常ドメインを含む免疫グロブリン分子の一部または全部が提供される。ある態様において、Bリンパ球系譜の細胞由来の不死化細胞が提供される。ある態様において、不死化細胞由来のウマ可変ドメインおよび齧歯類定常ドメインを含む免疫グロブリン分子の一部または全部が提供される。ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座がウマVLおよびJLコード配列を含む、トランスジェニック齧歯類が提供される。ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座がウマVH、DHおよびJHコード配列を含む、トランスジェニック齧歯類が提供され。ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマカッパ(κ)VLおよびJLコード配列を含む。ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマラムダ(λ)VLおよびJLコード配列を含む。ある態様において、齧歯類はマウスである。ある態様において、非コード制御配列は、内因性宿主の次の配列の1以上を含む:各V遺伝子セグメントの前のプロモーター、スプライス部位およびV(D)J組み換えのための組み換えシグナル配列。ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座はさらに内因性宿主の次の配列の1以上を含む:ADAM6遺伝子、Pax-5活性化遺伝子間反復(PAIR)配列および重鎖遺伝子間制御領域1(IGCR1)からのCTCF結合部位。
【0031】
ある態様において、非ウマ哺乳動物細胞は哺乳動物細胞である。ある態様において、非ウマ哺乳動物細胞は哺乳動物胚幹(ES)細胞である。
【0032】
ある態様において、非内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座が異種部分的ウマ免疫グロブリン可変領域遺伝子座に置き換わっているウマ哺乳動物細胞が選択および単離される。ある態様において、細胞は非ウマ哺乳動物ES細胞、例えば、齧歯類ES細胞である。ある態様において、少なくとも1個の単離非ウマ哺乳動物細胞を使用して、異種部分的ウマ免疫グロブリン可変領域遺伝子座を発現するトランスジェニック非ウマ哺乳動物を作る。ある態様において、少なくとも1個の単離非ウマ哺乳動物ES細胞を使用して、異種部分的ウマ免疫グロブリン可変領域遺伝子座を発現するトランスジェニック非ウマ哺乳動物を作る。
【0033】
ある態様において、トランスジェニック齧歯類を産生する方法が提供される。ある態様において、方法は、a)部位特異的リコンビナーゼのための少なくとも1個の標的部位を齧歯類細胞のゲノムの内因性免疫グロブリン可変遺伝子座の上流および部位特異的リコンビナーゼの少なくとも1個の標的部位を内因性免疫グロブリン可変遺伝子座の下流に統合することを含む。ある態様において、内因性免疫グロブリン可変遺伝子座は、VH、DHおよびJH遺伝子セグメントを含む。ある態様において、内因性免疫グロブリン可変遺伝子座は、VκおよびJκ遺伝子セグメントを含む。ある態様において、内因性免疫グロブリン可変遺伝子座は、VλおよびJλ遺伝子セグメントを含む。ある態様において、内因性免疫グロブリン可変遺伝子座は、Vλ、Jλ遺伝子セグメントおよびCλ遺伝子を含む。ある態様において、方法は、b)異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座を含むベクターを提供することを含む。ある態様において、該異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、キメラウマ免疫グロブリン遺伝子セグメントを含む。ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子セグメントの各々は、ウマ免疫グロブリン可変遺伝子コード配列および齧歯類非コード制御または足場配列を含む。ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン可変遺伝子座は、部位特異的リコンビナーゼの標的部位と隣接している。ある態様において、標的部位は、齧歯類細胞に導入された標的部位と組み換えられる。ある態様において、方法は、c)齧歯類細胞にベクターおよび標的部位を認識できる部位特異的リコンビナーゼを導入することを含む。ある態様において、方法は、d)細胞のゲノムと異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座の間で組み換え事象を生じさせることを含み、ここで内因性免疫グロブリン可変遺伝子座は異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座と置き換えられる。ある態様において、方法は、e)工程d)で産生された異種部分的ウマ免疫グロブリン可変遺伝子座を含む細胞を選択し;そして該細胞を使用して、異種部分的ウマ免疫グロブリン可変遺伝子座を含むトランスジェニック齧歯類を産生することを含む。ある態様において、細胞は齧歯類胚幹(ES)細胞である。ある態様において、細胞はマウス胚幹(ES)細胞である。
【0034】
ある態様において、方法は、さらに、工程a)の前かつ工程b)の後、第一セットの標的部位を認識するリコンビナーゼの導入により、内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を欠失する工程を含み、ここで欠失工程は、齧歯類細胞のゲノムにおいて互いに組み換えできない少なくとも1セットの標的部位をその場に残す。ある態様において、ベクターはウマVH、DHおよびJHコード配列を含む。ある態様において、ベクターはウマVLおよびJLコード配列を含む。ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマカッパ(κ)VLおよびJLコード配列を含む。ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、ラムダ(λ)VLおよびJLコード配列を含む。ある態様において、ベクターはさらに次の1以上を含む:プロモーター、スプライス部位および組み換えシグナル配列。
【0035】
ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン可変領域遺伝子座を含むトランスジェニック非ウマ哺乳動物を産生する方法が提供される。ある態様において、方法は、a)非ウマ哺乳動物宿主細胞のゲノムに、内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座に隣接し、互いに組み換えられない1以上の配列特異的組み換え部位を導入することを含む。ある態様において、方法は、b)i)ウマ可変領域遺伝子コード配列およびii)内因性宿主免疫グロブリン可変領域遺伝子座に基づく非コード制御または足場配列を有する部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座を含むベクターを提供することを含む。ある態様において、コードおよび非コード制御または足場配列は、a)の宿主細胞のゲノムに導入されるのと同じ配列特異的組み換え部位と隣接している。ある態様において、方法は、c)細胞に工程b)のベクターおよび1セットのリコンビナーゼ部位を認識できる部位特異的リコンビナーゼを導入することを含む。ある態様において、方法は、d)a)の細胞のゲノムと異種部分的ウマ免疫グロブリン可変領域遺伝子座の間で組み換え事象を生じさせることを含む。ある態様において、内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座は部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座に置き換わる。ある態様において、方法は、e)部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座を含む細胞を選択し;そしてf)該細胞を使用して、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニック哺乳動物を作ることを含む。
【0036】
ある態様において、トランスジェニック非ウマ哺乳動物は齧歯類、例えば、マウスまたはラットである。
【0037】
ある態様において、少なくとも103ライブラリーメンバーの多様性を含む免疫グロブリンライブラリー(レパートリーとも称する)が提供される。
【0038】
ある態様において、ここに記載する部分的ウマ抗体を含む抗体のレパートリーが提供される。ある態様において、レパートリーは、各々同じ標的抗原を特異的に認識する多様な抗体を含む。このようなレパートリーは、同じ抗体タイプまたは構造の抗体ライブラリーと称することができ、ここで、抗体は、例えば、同じエピトープを認識する親抗体の抗体バリアントを産生するための抗原結合部位が異なる。ある態様において、抗体ライブラリーは親和性成熟または他に最適化された抗体バリアントを含む。ある態様において、抗体ライブラリーは、標的抗原であるが、そのような標的抗原の異なるエピトープを特異的に認識する抗体を含む。
【0039】
ある態様において、抗体レパートリーをスクリーニングし、個々のライブラリーメンバーを、例えば、抗体産物を産生するための所望の構造または機能的性質に従い選択する。
【0040】
ある態様において、ここに記載する部分的ウマ抗体を含む、抗体のレパートリーが提供される。ある態様において、レパートリーは、異なる標的抗原を認識する多様な抗体を含む。ある態様において、レパートリーを、各々複数エピトープを含み得る多くの異なる標的抗原を有し得る、ウイルスまたは細菌を含むが、これらに限定されない多成分抗原での非ウマ哺乳動物の免疫化により得られる。
【0041】
ある態様において、レパートリーは、「免疫前レパートリー」とも称し得る、抗体のナイーブライブラリーである。ある態様において、免疫前レパートリーは、最近骨髄から出た、成熟しているが、抗原未経験B細胞により発現される。
【0042】
ある態様において、抗体のレパートリーは、各々異なる抗原結合部位により特徴づけられる、少なくとも約103抗体、例えば、少なくとも約104抗体、約105抗体、約106抗体または約107抗体を包含する多様性により特徴づけられ得る。
【0043】
ある態様において、ウマ可変領域遺伝子コード配列および宿主ゲノムの内因性非ウマ免疫グロブリン遺伝子座に基づく非コード制御または足場配列を有する異種免疫グロブリン可変領域遺伝子座を発現する、非ウマ哺乳動物細胞が提供される。ある態様において、非ウマ哺乳動物細胞は、完全ウマHまたはL鎖可変ドメインと共に完全ウマHまたはL鎖可変ドメインを含むキメラ抗体を発現する。
【0044】
ある態様において、ウマ可変領域遺伝子コード配列および宿主ゲノムの内因性非ウマ免疫グロブリン遺伝子座に基づく非コード制御または足場配列を有する異種免疫グロブリン可変領域遺伝子座を発現する、非ウマトランスジェニック哺乳動物が提供される。ある態様において、非ウマトランスジェニック哺乳動物は、完全ウマHまたはL鎖可変ドメインと共に完全ウマHまたはL鎖可変ドメインを含むキメラ抗体を発現する。
【0045】
ある態様において、完全ウマ可変配列を有する部分的ウマ抗体を発現できるトランスジェニック非ウマ哺乳動物からのB細胞が提供される。ある態様において、特定の抗原に特異的なモノクローナル抗体の源としての不死化B細胞が提供される。
【0046】
ある態様において、診断、予防および治療用途の抗体の産生または最適化に使用するための、B細胞からクローン化されるウマ免疫グロブリン可変領域遺伝子配列が提供される。
【0047】
ある態様において、完全ウマ免疫グロブリン可変領域配列を有する部分的ウマモノクローナル抗体を産生できる非ウマハイブリドーマ細胞が提供される。
【0048】
ある態様において、H鎖およびL鎖免疫グロブリン可変ドメインをコードするVHおよびVLエクソンをモノクローナル抗体産生ハイブリドーマから除去し、VHおよびVLエクソンをウマ定常領域を含むように修飾し、それにより、ウマに注射したとき免疫原性ではない完全ウマ抗体を作製する、方法が提供される。
【0049】
ある態様において、治療または診断用途のウマ抗体を産生する方法が提供される。ある態様において、方法は:
(i)ゲノムが、内因性齧歯類免疫グロブリン遺伝子座可変領域が欠失され、免疫グロブリン重鎖遺伝子座にキメラVH、DHおよびJH免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1個および/または免疫グロブリン軽鎖遺伝子座にキメラVLおよびJL可変遺伝子セグメントの各々の少なくとも1個を含む異種免疫グロブリン遺伝子座可変領域に置き換えられているトランスジェニック齧歯類の抗体産生細胞からクローン化したウマ可変ドメインを有する抗体を発現させ、ここで各キメラ遺伝子セグメントはウマV、DまたはJ免疫グロブリン可変領域コード配列および齧歯類免疫グロブリン可変領域非コード遺伝子セグメント配列を含み;そして
(ii)ウマ可変ドメインを有する抗体を単離することを含み、ここで該抗体は治療または診断用途に適する。
【0050】
ある態様において、抗体はトランスジェニック齧歯類のB細胞からクローン化される。ある態様において、齧歯類はマウスである。ある態様において、ここに記載する方法で産生した、治療または診断抗体が提供される。
【0051】
ある態様において、ウマ可変ドメインを有する治療または診断抗体を産生する方法が提供される。ある態様において、方法は:
(i)ゲノムが、内因性齧歯類免疫グロブリン遺伝子座可変領域が欠失され、免疫グロブリン重鎖遺伝子座にキメラVH、DHおよびJH免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1個および/または免疫グロブリン軽鎖遺伝子座にキメラVLおよびJL可変遺伝子セグメントの各々の少なくとも1個を含む異種免疫グロブリン遺伝子座可変領域に置き換えられている、トランスジェニック齧歯類からの抗体産生細胞により発現される抗体のウマ可変ドメインをクローニングし、ここで各キメラ遺伝子セグメントはウマV、DまたはJ免疫グロブリン可変領域コード配列および齧歯類免疫グロブリン可変領域非コード遺伝子セグメント配列を含み;そして
(ii)トランスジェニック齧歯類により発現される抗体のウマ可変ドメインを含む治療または診断抗体を産生することを含む。
【0052】
ある態様において、ウマ可変ドメインは、トランスジェニック齧歯類からのB細胞により発現される抗体からクローン化される。ある態様において、齧歯類はマウスである。ある態様において、ここに記載する方法により産生された、治療または診断抗体が提供される。
【0053】
ある態様において、ウマ可変ドメインを含むモノクローナル抗体を産生する方法が提供される。ある態様において、方法は:
(i)ゲノムが、内因性齧歯類免疫グロブリン遺伝子座可変領域が欠失され、免疫グロブリン重鎖遺伝子座にキメラVH、DおよびJH免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1個および/または免疫グロブリン軽鎖遺伝子座にキメラVLおよびJL可変遺伝子セグメントの各々の少なくとも1個を含む異種免疫グロブリン遺伝子座可変領域に置き換わっている、トランスジェニック齧歯類からのB細胞を提供し、ここで各キメラ遺伝子セグメントが齧歯類免疫グロブリン可変領域非コード遺伝子セグメント配列に包埋されたウマV、DまたはJ免疫グロブリン可変領域コード配列を含み;
(ii)B細胞を不死化し;そして
(iii)不死化B細胞により発現されるウマ可変ドメインを含むモノクローナル抗体または該抗体をコードする遺伝子を単離することを含む。
【0054】
ある態様において、方法は:
(iv)B細胞により発現されるウマ可変ドメインをクローニングし;そして
(v)トランスジェニック齧歯類のB細胞からクローン化したウマ可変ドメインを含む治療または診断抗体を産生する
ことを含む。
【0055】
ある態様において、ウマ可変ドメインを含む抗体を産生する方法が提供される。ある態様において、方法は、ゲノムが、内因性齧歯類免疫グロブリン遺伝子座可変領域が欠失され、免疫グロブリン重鎖遺伝子座にキメラVH、DHおよびJH免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1個および/または免疫グロブリン軽鎖遺伝子座にキメラVLおよびJL可変遺伝子セグメントの各々の少なくとも1個を含む異種免疫グロブリン遺伝子座可変領域で置き換えられている、トランスジェニック齧歯類を提供することを含み、ここで各キメラ遺伝子セグメントが齧歯類免疫グロブリン可変領域非コード遺伝子セグメント配列に包埋されたウマV、DまたはJ免疫グロブリン可変領域コード配列を含み、ここで、トランスジェニック齧歯類の異種免疫グロブリン遺伝子座はウマ可変ドメインを含む抗体を発現する。
【0056】
ある態様において、方法は、トランスジェニック齧歯類により発現されるウマ可変領域を有する抗体または該抗体をコードする遺伝子の単離を含む。ある態様において、方法は、(i)標的抗原に特異的な抗体を発現するトランスジェニック齧歯類からB細胞を得て;(ii)B細胞を不死化し;そして(iii)不死化B細胞から標的抗原に特異的な抗体を単離することを含む。
【0057】
ある態様において、方法は、特定の抗原に特異的なB細胞からウマ可変領域をクローニングすることを含む。ある態様において、齧歯類はマウスである。ある態様において、方法は、B細胞からクローン化されたウマ可変領域を使用して、治療または診断抗体を産生することを含む。ある態様において、ここに記載する方法により産生された、治療または診断抗体が提供される。
【0058】
これらおよび他の態様を以下にさらに詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】
図1は、染色体12のテロメア末端に位置するマウスIgh遺伝子座(上部)(V(IghV)、D(IghD)、J(IghJ)およびC(IghC)遺伝子セグメントを含む)、染色体6に位置するIgκ遺伝子座(中央)(V(IgkV)、J(IgkJ)およびC(IgkC)遺伝子セグメントを含む)および染色体16に位置するIgλ遺伝子座(下部)(IglV(V)、IglJ(J)およびIglC(C)遺伝子セグメントを含む)を示す。Igh遺伝子座に、1)VDJ再配列における遠位VH遺伝子セグメントの利用を確実にするためのIghルーピングに重要なシス制御配列であるPAIR配列、2)Adam6a雄の妊性を可能にする遺伝子、3)Igh遺伝子座の順番通りの系譜特異的再配列を制御する部位を含む遺伝子間制御領域1(IGCR1)、4)Eμ、重鎖イントロニックエンハンサー、5)Sμ、スイッチ領域、6)アイソタイプスイッチングを制御するシス作用領域である3’制御領域(3’RR)も示される。Igκ遺伝子座に、5’(E5’)および3’(E3’)エンハンサーおよびIgλ遺伝子座に3個のエンハンサー、Eλ2-4、EλおよびEλ3-1も示される。
【0060】
【
図2】
図2は、非ウマ哺乳動物宿主細胞のゲノムにおけるH鎖可変領域遺伝子座の上流の領域に第一セットの配列特異的組み換え部位を導入するための、相同組み換えによるターゲティングの戦略を説明する模式図である。
【0061】
【
図3】
図3は、相同性ターゲティングベクターを介して非ウマ哺乳動物細胞のゲノムにおけるH鎖可変領域遺伝子座の下流の領域に第二セットの配列特異的組み換え部位を導入することを説明する模式図である。本図はまた内因性免疫グロブリンH鎖可変領域遺伝子座の欠失および非ウマ哺乳動物宿主細胞のゲノムからの選択可能マーカーも説明する。
【0062】
【
図4】
図4は、内因性免疫グロブリンH鎖可変領域遺伝子座を欠失するよう予め修飾されている非ウマ哺乳動物宿主細胞ゲノムに異種部分的ウマ免疫グロブリンH鎖遺伝子座を導入するRMCE戦略を説明する模式図である。
【0063】
【
図5】
図5は、マウスゲノムの内因性免疫グロブリンκL鎖遺伝子座への異種部分的ウマ免疫グロブリンκL鎖可変領域遺伝子座の導入を説明する模式図である。
【0064】
【
図6】
図6Aおよび6Bは、マウスゲノムの内因性免疫グロブリンλL鎖遺伝子座への異種部分的ウマ免疫グロブリンλL鎖可変領域遺伝子座の導入を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
定義
ここで使用する用語は、当業者により理解されている平易かつ通常の意味を有することが意図される。次の定義は、読者が本発明を理解する一助となることが意図されるが、特に示されない限り、このような用語を変更するまたはその他限定する意図はない。
【0066】
ここで使用する用語「遺伝子座」は、それぞれ、ゲノムに内因性であるかまたはゲノムに統合されている(またはまさに統合される)染色体セグメントまたは核酸配列をいう。例えば、免疫グロブリン遺伝子座は、遺伝子の一部または全て(すなわち、VH、DHおよびJH遺伝子セグメントまたはVLおよびJL遺伝子セグメントならびに定常領域遺伝子)および免疫グロブリンHまたはL鎖ポリペプチドの発現を支持する介在非コード配列(すなわち、イントロン、エンハンサーなど)を含み得る。用語「遺伝子座」(例えば、免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座)は、より大きな遺伝子座の特異的部分をいい得る(例えば、VH、DHおよびJH遺伝子セグメントを含む免疫グロブリンH鎖遺伝子座の部分)。同様に、免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子座は、より大きな遺伝子座の特異的部分をいい得る(例えば、VLおよびJL遺伝子セグメントを含む免疫グロブリンL鎖遺伝子座の部分)。
【0067】
ここで使用する用語「免疫グロブリン可変領域遺伝子」は、それぞれ免疫グロブリンHまたはL鎖可変ドメインの部分をコードする、免疫グロブリン重鎖可変領域におけるVH、DHまたはJH遺伝子セグメントまたは免疫グロブリン軽鎖可変領域におけるVLまたはJL遺伝子セグメントを含む、可変(V)、多様性(D)、連結(J)遺伝子セグメントをいう。ここで使用する用語「免疫グロブリン可変領域遺伝子座」は、VH、DHまたはJH遺伝子セグメントまたはVLまたはJL遺伝子セグメントおよび、例えば、非コード制御または足場配列を含む、介在非コード配列の集まりを含む、染色体セグメントまたは核酸鎖の一部または全体をいう。
【0068】
ここで使用する用語「遺伝子セグメント」は、免疫グロブリン分子の重鎖または軽鎖可変ドメインの一部をコードする核酸配列をいう。遺伝子セグメントはコードおよび非コード配列を含み得る。遺伝子セグメントのコード配列は、重鎖または軽鎖可変ドメインのリーダーペプチドおよびN末端部分などのポリペプチドに翻訳され得る核酸配列である。遺伝子セグメントの非コード配列は、プロモーター、5’非翻訳配列、リーダーペプチドのコード配列に介在するイントロン、組み換えシグナル配列(RSS)およびスプライス部位を含み得る、コード配列に隣接する配列である。免疫グロブリン重鎖(IGH)遺伝子座における遺伝子セグメントは、VH、DHおよびJH遺伝子セグメント(それぞれIGHV、IGHDおよびIGHJとも称する)を含む。免疫グロブリンκおよびλ軽遺伝子座における軽鎖可変領域遺伝子セグメントは、VLおよびJL遺伝子セグメントということができる。κ軽鎖において、VLおよびJL遺伝子セグメントはVκおよびJκ遺伝子セグメントまたはIGKVおよびIGKJということができる。同様に、λ軽鎖において、VLおよびJL遺伝子セグメントはVλおよびJλ遺伝子セグメントまたはIGLVおよびIGLJということができる。
【0069】
重鎖定常領域は、CHまたはIGHCということができる。IgM、IgD、IgG1~7、IgEまたはIgAをコードするウマにおけるCH領域エクソンは、それぞれ、Cμ、Cδ、C1~7、CεまたはCということができる。同様に、免疫グロブリンκまたはλ定常領域は、それぞれCκまたはCλならびにIGKCまたはIGLCということができる。
【0070】
ここで使用する「部分的ウマ」は、ウマおよび非ウマ哺乳動物宿主両方のある遺伝子座に見られる配列に対応する配列を含む、核酸またはその発現タンパク質およびRNA産物をいう。ここで使用する「部分的ウマ」はまたウマおよび非ウマ哺乳動物両方からの核酸配列を含む免疫グロブリン遺伝子座をいう。ある態様において、「部分的ウマ」は、例えば、齧歯類、例えば、マウスからの核酸配列を含む、免疫グロブリン遺伝子座をいう。ある態様において、部分的ウマ核酸は、非ウマ哺乳動物の内因性免疫グロブリン遺伝子座の非コード制御または足場配列に基づくウマ免疫グロブリンHまたはL鎖可変領域遺伝子セグメントおよび配列のコード配列をいう。
【0071】
用語「基づく」は、非ウマ哺乳動物宿主細胞ゲノムの内因性非コード制御または足場配列に関連して使用するとき、哺乳動物宿主細胞ゲノムの対応する内因性遺伝子座に存在する非コード制御または足場配列をいう。ある態様において、用語「基づく」は、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座に存在する非コード制御または足場配列が、宿主哺乳動物の内因性遺伝子座の非コード制御または足場配列と相当高い程度の相同性を共有することを意味する。ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座における非コード配列は、宿主哺乳動物の内因性遺伝子座に見られる対応する非コード配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%相同性を共有する。ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座における非コード配列は、宿主哺乳動物の内因性遺伝子座に見られる対応する非コード配列と同じである。ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座における非コード配列宿主哺乳動物の免疫グロブリン遺伝子座から保持される。ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座における非コード配列宿主哺乳動物の内因性遺伝子座に存在する対応する非コード配列と同じである。ある態様において、ウマコード配列は、宿主哺乳動物の免疫グロブリン遺伝子座の非制御または足場配列に包埋される。ある態様において、非ウマ宿主動物はラットまたはマウスなどの齧歯類である。
【0072】
「キメラ」は、2種以上の動物からのヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列または2種以上の動物からのヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド、例えば抗体をいう。「キメラ」免疫グロブリン遺伝子座は、2種以上の動物からの核酸配列を含む免疫グロブリン遺伝子座をいう。ある態様において、キメラ免疫グロブリン遺伝子座は、ウマ核酸配列およびマウス核酸配列を含む。ある態様において、キメラ免疫グロブリンは、2種以上の動物からのタンパク質配列を含む。ある態様において、キメラ免疫グロブリンは、ウマ配列およびマウス配列を含む。ある態様において、キメラ免疫グロブリンは、ウマ可変ドメインおよびマウス定常ドメインを含む。ある態様において、キメラ免疫グロブリン可変領域遺伝子座は、ウマVH、DHおよびJHコード配列またはウマVLおよびJLコード配列および非ウマ非コード配列を含む。ある態様において、キメラ免疫グロブリン可変領域遺伝子座は、ウマVH、DHおよびJHコード配列またはウマVLおよびJLコード配列およびマウス非コード配列を含む。
【0073】
ここで使用する「隣接する」は、参照配列の上流または下流である配列、例えば、ヌクレオチド配列をいう。ある態様において、隣接配列は、参照配列に近接する。ある態様において、1対の配列が、第一配列が参照配列の上流および第二配列が参照配列の下流であるように、参照配列に隣接する。
【0074】
「内因性」は、生物または細胞内に天然に存在する核酸配列またはポリペプチドをいう。
【0075】
「異種」は、生物または細胞内に天然に存在しない核酸配列またはポリペプチドをいう。
【0076】
「非コード制御配列」は、(i)V(D)J組み換え、(ii)アイソタイプスイッチング、(iii)V(D)J組み換え後の完全長免疫グロブリンHまたはL鎖の適切な発現または(iv)例えば、膜および分泌形態の免疫グロブリンH鎖を産生するための選択的スプライシングに必須であることが知られる配列をいう。「非コード制御配列」は次の配列をさらに含み得る:CTCFおよびPAIR配列などのエンハンサーおよび遺伝子座制御配列(Proudhon, et al., Adv. Immunol. 128: 123-182 (2015));各内因性V遺伝子セグメントの前のプロモーター;スプライス部位;イントロン;または各V、DまたはJ遺伝子セグメントに隣接する組み換えシグナル配列。ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座の「非コード制御配列」は、非ウマ哺乳動物の内因性免疫グロブリン遺伝子座宿主細胞に見られる対応する非コード配列と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%および最大約100%相同性を有する。ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座の「非コード制御配列」は、非ウマ哺乳動物の内因性免疫グロブリン遺伝子座宿主細胞に見られる対応する非コード配列と同じ配列を有する。
【0077】
「足場配列」は、宿主細胞ゲノムの内因性免疫グロブリン遺伝子座に存在する遺伝子セグメントに介在する配列をいう。ある態様において、足場配列は、機能的非免疫グロブリン遺伝子の発現に必須の配列、例えば、ADAM6AまたはADAM6Bが間にある。ある態様において、足場配列は、他の種からの天然に存在する核酸配列を含み得る。ある態様において、足場配列は、他の種からの天然に存在する核酸配列に基づき、異種である。ある態様において、足場配列は人工配列を含み得る。ある態様において、足場配列は、ウマゲノムの免疫グロブリン遺伝子座に存在する配列を、他の配列、例えば、他の種からの足場配列と組み合わせて含む。用語「非コード制御または足場配列」は包括的意味であり、免疫グロブリン遺伝子座における非コード制御配列および足場配列両方をいい得る。
【0078】
「特異的に結合」は、抗体または免疫グロブリンが、該抗体または免疫グロブリンが他の抗原に結合するよりはるかに高い親和性で、特定の抗原のエピトープまたは抗原決定基に決定できる能力をいう。
【0079】
用語「相同性ターゲティングベクター」は、相同組み換えにより哺乳動物宿主細胞の内因性ゲノムを修飾するために使用される核酸配列をいう。相同性ターゲティングベクターは、例えば、非ウマ哺乳動物宿主のゲノムに存在する、修飾する遺伝子座に隣接する対応する内因性配列と相同性を有するターゲティング配列を含み得る。ある態様において、相同性ターゲティングベクターは、少なくとも1個の配列特異的組み換え部位を含む。ある態様において、相同性ターゲティングベクターは、非コード制御または足場配列を含む。ある態様において、相同性ターゲティングベクターは、1以上の選択可能マーカー遺伝子を含む。ある態様において、相同性ターゲティングベクターを使用して、宿主細胞ゲノムの特定の領域に配列特異的組み換え部位を導入し得る。
【0080】
「部位特異的組み換え」または「配列特異的組み換え」は、2個の適合性組み換え配列(「配列特異的組み換え部位」または「部位特異的組み換え配列」とも称する)間のDNA再配列の過程をいう。部位特異的組み換えは、次の3事象の何れかを含み得る:a)組み換え部位が隣接する予め選択した核酸の欠失;b)組み換え部位が隣接する予め選択した核酸のヌクレオチド配列の反転およびc)異なる核酸鎖に位置する組み換え部位に近接する核酸配列の相互交換。この核酸セグメントの相互交換は、宿主細胞のゲノムに異種核酸配列を導入するためのターゲティング戦略として利用できることは理解される。
【0081】
用語「ターゲティング配列」は、修飾する免疫グロブリン遺伝子座の領域に隣接または近接する細胞のゲノムにおけるDNA配列と相同である配列である。隣接または近接配列は、遺伝子座自体内または宿主細胞のゲノムにおけるコード配列の上流もしくは下流であり得る。ターゲティング配列は、組み換え部位の配列などの宿主細胞ゲノムに挿入する配列がベクターのターゲティング配列に隣接するよう、宿主細胞、例えば、ES細胞のトランスフェクトに使用できる組み換えDNAベクターに挿入される。
【0082】
ここで使用する用語「部位特異的ターゲティングベクター」は、配列特異的組み換え部位、異種部分的ウマ遺伝子座および所望により選択可能マーカー遺伝子をコードする核酸を含むベクターをいう。ある態様において、「部位特異的ターゲティングベクター」を、リコンビナーゼ介在部位特異的組み換えを使用する宿主における内因性免疫グロブリン遺伝子座の修飾に使用する。ターゲティングベクターの組み換え部位は、修飾する免疫グロブリン遺伝子座に近接する、宿主細胞のゲノム配列に挿入されている(例えば、相同性ターゲティングベクターにより)他の対応する組み換え部位との部位特異的組み換えに適する。免疫グロブリン遺伝子座の組み換え部位への異種部分的ウマ配列の組込みにより、内因性遺伝子座が異種部分的ウマ領域に置き換えられる。
【0083】
用語「導入遺伝子」は、ここでは、細胞および特に哺乳動物宿主動物の細胞のゲノムに人工的に挿入されているまたはまさに挿入される遺伝物質をいうために使用する。ここで使用する用語「導入遺伝子」は、部分的ウマ核酸、例えば、異種発現構築物またはターゲティングベクターの形態の部分的ウマ核酸をいう。
【0084】
「トランスジェニック動物」は、その細胞の一部としてまたは生殖系列DNAに安定に統合された(すなわち、その細胞の大部分のまたは全てのゲノム配列に)染色体外因子として存在する異種核酸配列を有する、非ウマ動物、通常哺乳動物をいう。本発明において、部分的ウマ核酸は、例えば、当分野で周知の方法による、宿主動物の胚または胚幹細胞の遺伝子操作により、このようなトランスジェニック動物の生殖系列に導入される。
【0085】
「ベクター」は、細胞の形質転換またはトランスフェクトに使用できる、自己複製性であろうがなかろうが、プラスミドおよびウイルスおよびあらゆるDNAまたはRNA分子をいう。
【0086】
発明の詳細な記載
ここに記載する技術の実施は、特に断らない限り、当技術を実施する当業者の技術の範囲内である、有機化学、ポリマーテクノロジー、分子生物学(組み換え技術を含む)、細胞生物学、生化学およびシーケンシングテクノロジーの慣用の技術および記載を用い得る。このような慣用の技術は、ポリマーアレイ合成、ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよびライゲーションならびにラベルを使用するハイブリダイゼーションの検出を含む。適当な技術の具体的説明は、ここにおける実施例を参照して得られ得る。しかしながら、他の等価な慣用の方法も、当然使用できる。このような慣用の技術および記載は、Green, et al., Eds. (1999), Genome Analysis: A Laboratory Manual Series (Vols. I-IV); Weiner, Gabriel, Stephens, Eds. (2007), Genetic Variation: A Laboratory Manual; Dieffenbach and Veksler, Eds. (2007), PCR Primer: A Laboratory Manual; Bowtell and Sambrook (2003), DNA Microarrays: A Molecular Cloning Manual; Mount (2004), Bioinformatics: Sequence and Genome Analysis; Sambrook and Russell (2006), Condensed Protocols from Molecular Cloning: A Laboratory Manual; and Green and Sambrook (2012), Molecular Cloning: A Laboratory Manual (all from Cold Spring Harbor Laboratory Press); Stryer, L. (1995) Biochemistry (4th Ed.) W.H. Freeman, New York N.Y.; Gait, "Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach" 1984, IRL Press, London; Nelson and Cox (2000), Lehninger, Principles of Biochemistry 3.sup.rd Ed., W. H. Freeman Pub., New York, N.Y.;およびBerg et al. (2002) Biochemistry, 5.sup.th Ed., W.H. Freeman Pub., New York, N.Y.などの標準的実験マニュアルに見ることができ、これら全て、引用により全ての目的で全体として本明細書に包含させる。
【0087】
ここでおよび添付する特許請求の範囲において、単数表現は、文脈から反することが示されない限り、複数を含む。故に、例えば、「遺伝子座」の記載は1以上の遺伝子座をいい、「方法」の記載は、当業者に知られる等価な工程および方法を含むなどである。
【0088】
ここで使用する用語「または」は、明示的に代替のみをいうかまたは代替が相互排他的である場合を除き、「および/または」を言い得る。用語「含み」、「含む」および「含んで」は限定的ではない。
【0089】
他に定義しない限り、ここで使用する全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。ここで使用する全ての刊行物は、ここに記載する発明と関連して使用し得るデバイス、製剤および方法を記載および開示する目的で、引用により本明細書に包含させる。
【0090】
値の範囲が提供されるとき、該範囲の上限と下限およびその記載する範囲内の任意の他の記載されるまたは介在する値の間の各介在する値が本発明に包含されることは理解される。これらの小さい範囲の上限および下限は、独立して、小さい範囲に含まれ得て、また本発明に含まれ、記載する範囲の任意の具体的に除外される範囲に付される。記載する範囲が一方または両方の限界を含むとき、この一方または両方を除く範囲も本発明に含まれる。
【0091】
以下の記載において、多くの具体的詳細が、本発明の徹底的な理解を提供するために示される。しかしながら、本発明は、これらの特定の詳細の1以上がなく実施され得ることは当業者には明らかである。他の場合、周知の特性および当業者に周知の方法は、本発明が曖昧になることを避けるために記載していない。
【0092】
液性免疫系において、多様な抗体レパートリーが、V(D)J組み換えと称される過程による、IgH(Igh)およびIgl鎖遺伝子座の組み合わせおよび接合部多様性により産生される。発達中のB細胞において、生ずる第一組み換え事象は、重鎖遺伝子座の1個のDと1個のJ遺伝子セグメントの間であり、この2個の遺伝子セグメントの間のDNAが欠失する。このD-J組み換えの後、新たに形成されたDJ複合体の上流の領域からの1個のV遺伝子セグメントが連結され、再配列VDJエクソンが形成される。新たに産生されたVDJエクソンの組み換えVおよびD遺伝子セグメント間の他の全配列は、個々のB細胞のゲノムから欠失する。この再配列エクソンが、B細胞受容体(BCR)を形成するようL鎖ポリペプチドと結合した、H鎖ポリペプチドの可変領域としてB細胞表面に最終的に発現される。マウスおよびウマIg遺伝子座は、含む特性の数およびコード領域がどのようにV(D)J再配列により多様化されるかについて高度に複雑である;しかしながら、この複雑さは、各可変領域遺伝子セグメントの構造の基本的詳細にまで拡大されない。V、DおよびJ遺伝子セグメントは組成および機構は均一である。例えば、V遺伝子セグメントは、免疫グロブリン遺伝子座において、本質的に不変の連続的様式で配置された次の特性を有する:短転写プロモーター領域(<600bp長)、抗体鎖のシグナルペプチドの大部分をコードするエクソン;イントロン;抗体鎖のシグナルペプチドの小部分および抗体可変ドメインの大部分をコードするエクソンおよびV(D)J再配列に必要な3’組み換えシグナル配列。同様に、D遺伝子セグメントは次の特性を有する:5’組み換えシグナル配列、コード領域および3’組み換えシグナル配列。J遺伝子セグメントは次の特性を有する:5’組み換えシグナル配列、コード領域および3’スプライスドナー配列。
【0093】
ある態様において、ウマ可変領域コード配列および哺乳動物宿主ゲノムの免疫グロブリン遺伝子座に存在する非コード制御または足場配列、例えば、宿主哺乳動物がマウスであるときマウスゲノム非コード配列を含む、異種、部分的ウマ核酸配列を含む非ウマ哺乳動物細胞が提供される。
【0094】
ウマゲノムVH領域は、ウマ染色体24の510kb領域にマッピングされた約50個のVH、40個のDHおよび8個のJH遺伝子セグメントを含む。ラムダ(λ)コード領域はウマ染色体8にマッピングされ、約1310kbに及び、約144個のVλ、7個のJλおよび7個のCλ遺伝子を含み、一方カッパ(κ)コード領域はウマ染色体15にマッピングされ、約820kbに及び、約60個のVκ、4個の機能的Jκおよび1個のCκ遺伝子を含む。異常な、特に高頻度の見かけ上非機能的なV遺伝子セグメントであるウマIg遺伝子座のいくつかの特性がある。例えば、50個のVH遺伝子セグメントのわずか12個が機能的である;33個はシュード遺伝子であり、5個はオープンリーディングフレーム(ORF)として分類され、これは、スプライシング部位、組み換えシグナル配列、制御配列に欠損を有するまたはVドメインの誤った折り畳みに至ると予測される高度に保存されたアミノ酸が変化したオープンリーディングフレームを有する可変遺伝子セグメントである。同様に、144個のVλのうち27個および7個のJλ遺伝子セグメントのうち4個および60個のVκ遺伝子セグメントの19個のみが機能的である。λ遺伝子座のゲノム構造も非定型である。ヒトおよびマウスにおいて、例えば、Vλ遺伝子セグメントのクラスター(I)、続いてJλ-Cλ遺伝子のクラスターがある。B細胞発達中、欠失再配列は、Vλ遺伝子セグメントの1個とJλ-Cλ遺伝子の1個の結合をもたらす。ウマにおいて、他方で、Vλ遺伝子セグメントのクラスター(I)、続いてJλ-Cλ遺伝子のクラスター、続いてVλ遺伝子セグメントの別のクラスター(II)がある。配向に基づき、クラスターIIのVλ遺伝子セグメントは反転V→J遺伝子再配列を受け、これは、欠失遺伝子再配列よりはるかに低頻度で起こり、組み換えVλおよびJλ遺伝子セグメントを含むVλエクソンを作製する。さらに、クラスターIIの34個のVλ遺伝子セグメント中、25個はシュード遺伝子であり、2個はORFであるが、Walther et al. (Dev. Comp. Immunol. 3: 303 (2015))は、このクラスターで7個の機能的Vλ遺伝子セグメントを同定している。このコンティグ(NW_001867428.1)の配列の分析は、クラスターIIの7個の推定上機能的Vλ遺伝子セグメントはいずれも慣用のRSSを含まず、それによりウマλLCレパートリーにおいて使用される可能性はないことを示す。しかしながら、表1に示すとおり、これらVλ遺伝子セグメント全7個がGenBankにおけるcDNAとして見られ、B細胞において再配列および発現される可能性がある。ある態様において、ここに記載する部分的ウマVλ遺伝子座は、クラスターIおよびクラスターII両方からのVλ遺伝子セグメントを含み得る。ある態様において、部分的ウマHおよびκおよびλL鎖遺伝子座において、全VH、DHおよびJHセグメントおよび全VLおよびJLセグメントは、B細胞発達中の再配列およびトランスジェニックマウスの部分的ウマ抗体レパートリーへの貢献を促進するため、マウスRSSに隣接される。
【0095】
ヒトおよびマウスと同様、ウマは2タイプのIg軽鎖(κおよびλ)を発現する。しかしながら、κ対λ比は、これらの動物間で顕著に異なる。マウスにおいて、血清抗体における軽鎖の約96%はκタイプであり、一方ヒトにおけるκタイプは、IgL鎖の全集団のわずか66%を示す。対照的に、ウマにおけるL鎖レパートリーはλが優勢(95%)である。
【0096】
Igh、IgκまたはIgλ遺伝子座に組み込まれた部分的ウマ核酸配列により、トランスジェニック動物がウマκまたはλ可変領域と対合するウマ重鎖可変領域を含む抗体を産生できる。部分的ウマ免疫グロブリン可変領域遺伝子座は、制御配列および宿主ゲノム(例えば、齧歯類)の介在配列内の他の要素を保持し、それにより、宿主における効率的抗体産生および抗原認識が促進される。
【0097】
ある態様において、合成または組み換えにより産生された、免疫グロブリンVH、VλまたはVκ遺伝子座からのウマコード配列および非ウマ非コード制御または足場配列を含む部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座が提供される。
【0098】
ある態様において、合成H鎖DNAセグメントは次の配列の1以上を含む:雄の妊性に必要なADAM6遺伝子、Igh遺伝子座収縮に関与するPax-5活性化遺伝子間反復(PAIR)配列、正常VDJ再配列の制御に関与する重鎖遺伝子間制御領域1からのCTCF結合部位((Proudhon, et al., Adv. Immunol., 128: 123-182 (2015))またはそれらの組み合わせ。マウスIgh遺伝子座におけるこれら内因性非コード制御および足場配列の位置は
図1に記載し、これは、左から右に:約100個の機能的重鎖可変領域遺伝子セグメント(101);PAIR、VDJ組み換えのためのIgh遺伝子座収縮に関与するPax-5活性化遺伝子間反復(102);Adam6a、雄の妊性に必要なディスインテグリンおよびメタロペプチダーゼドメイン6A遺伝子(103);プレD領域、最も遠位のD
H遺伝子セグメント、Ighd-5の21609bpフラグメント上流(104);V
H遺伝子セグメント利用を制御するCTCFインスレーター部位を含む遺伝子間制御領域1(IGCR1)(106);D
H、多様性遺伝子セグメント(マウス系統に依存して10~15)(105);4個の連結J
H遺伝子セグメント(107);Eμ、VDJ組み換えに関与するイントロニックエンハンサー(108);Sμ、アイソタイプスイッチングのためのμスイッチ領域(109);8個の重鎖定常領域遺伝子:Cμ、Cδ、Cγ3、Cγ1、Cγ2b、C2γa/c、CεおよびCα(110);アイソタイプスイッチングおよび体細胞超変異を制御する3’制御領域(3’RR)(111)。
図1は、Proudhon, et al., Adv. Immunol., 128: 123-182 (2015)から得た図の改変である。
【0099】
ある態様において、哺乳動物宿主細胞に統合する異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、既知ウマVH遺伝子セグメントの全てまたは相当数を含む。幾つかの例において、しかしながら、このようなVH遺伝子セグメントのサブセットの望ましいことがある。ある態様において、わずか1個のウマVHコード配列が部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座に含まれ得る。
【0100】
ある態様において、非ウマ哺乳動物または哺乳動物細胞は、ウマVH、DHおよびJH遺伝子コード配列を含む異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座を含む。ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、非ウマ哺乳動物宿主の内因性Igh遺伝子座に基づき、非コード制御および足場配列、例えば、プレD配列を含む。ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、完全組み換えV(D)Jエクソンを含む。
【0101】
ある態様において、トランスジェニック非ウマ哺乳動物は、ウマVH、DHおよびJH遺伝子および齧歯類における介在(非コード制御または足場)配列に基づき、例えば、プレD領域を含む、介在配列を含む、異種、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座を含む、齧歯類、例えば、マウスである。ある態様において、トランスジェニック齧歯類は、さらに、それぞれウマVκまたはVλコード配列およびウマJκまたはJλコード配列および齧歯類のIgl遺伝子座に存在する非コード制御または足場配列などの介在配列を含む、部分的ウマIgl遺伝子座を含む。
【0102】
ある態様において、マウスゲノムの内因性VH免疫グロブリン遺伝子座全体が欠失され、12個の機能的ウマVH遺伝子セグメントおよびマウスゲノムのJ558 VH遺伝子座の非コード配列に置き換えられる。ある態様において、異種免疫グロブリン遺伝子座は、40個のウマDHおよび8個のJH遺伝子セグメントを含む。ある態様において、異種免疫グロブリン遺伝子座は、マウスプレD領域を含む。ある態様において、ウマVH、DHおよびJHコード配列は、齧歯類非コード配列に包埋される。
【0103】
ある態様において、相同組み換えおよび部位特異的組み換えの組み合わせを使用して、トランスジェニック細胞および動物が産生される。ある態様において、相同性ターゲティングベクターを使用して、内因性免疫グロブリン遺伝子座における所望の位置で哺乳動物宿主細胞ゲノムに配列特異的組み換え部位を導入する。ある態様において、配列特異的組み換え部位は、相同組み換えにより哺乳動物宿主細胞のゲノムに導入され、哺乳動物宿主細胞におけるあらゆる他の遺伝子の発現またはコード配列に影響しない。ある態様において、免疫グロブリン遺伝子が転写および翻訳されて抗体を産生する能力は、組み換え部位後も維持され、所望により、選択可能マーカー遺伝子などの任意の付加的配列が挿入される。しかしながら、ある場合、得られた抗体分子のアミノ酸配列が挿入により改変されているが、抗体が所望の目的のための十分な機能性を保持するよう、他の異種配列を免疫グロブリン遺伝子座配列に挿入することが可能である。ある態様において、1以上の遺伝子多型が定常領域エクソンにおける内因性遺伝子座に導入され、それにより異なるIgアレルが区別できるようにアロタイプマーカーが提供される。
【0104】
ある態様において、相同性ターゲティングベクターを使用して、内因性免疫グロブリン遺伝子座内の配列を置き換え、配列特異的組み換え部位および1以上の選択可能マーカー遺伝子を宿主細胞ゲノに挿入する。ここで使用する選択可能マーカー遺伝子は、相同組み換えを受けていない細胞またはターゲティングベクターの無作為組込みを担持する細胞の同定および排除に利用できることは当業者により理解される。
【0105】
相同組み換えの方法は知られ、各々引用によりその全体として本明細書に包含させる米国特許6,689,610;6,204,061;5,631,153;5,627,059;5,487,992;および5,464,764に記載のものを含む。
【0106】
部位/配列特異的組み換え
部位/配列特異的組み換えは、リコンビナーゼによる認識に必要な短い、特異的DNA配列が、組み換えが生じる部位のみである点で相同組み換えと異なる。特定のDNA鎖または染色体上のこれらの部位の配向により、これらの特異的配列を認識する特殊化リコンビナーゼがi)DNA切除またはii)DNA反転または回転を触媒する。部位特異的組み換えは、2個のDNA鎖間でも、これらの部位が同じ染色体に存在しないならば、起こり得る。各々リコンビナーゼおよびその同族認識部位を含むいくつかのバクテリオファージおよび酵母由来部位特異的組み換え系が真核生物細胞で働くことが示されており、バクテリオファージP1 Cre/lox系、酵母FLP-FRT系および部位特異的リコンビナーゼのチロシンファミリーのDre系を含むが、これらに限定されない。このような系および方法は、例えば米国特許7,422,889;7,112,715;6,956,146;6,774,279;5,677,177;5,885,836;5,654,182;および4,959,317に記載され;この各々引用により本明細書に包含させる。
【0107】
バクテリオファージラムダインテグラーゼ、HK2022インテグラーゼを含むが、これらに限定されない部位特異的リコンビナーゼのチロシンファミリーの他の系および、例えば、バクテリオファージphiC31およびR4Tp901インテグラーゼを含む、リコンビナーゼのセリンファミリーに属する系を使用できる。
【0108】
部位特異的組み換えが2個の異なるDNA鎖間であるため、部位特異的組み換えを使用して、リコンビナーゼ介在カセット交換(RMCE)と称される過程により、異種免疫グロブリン遺伝子座を宿主細胞ゲノムに導入できる。RMCE法は、リコンビナーゼタンパク質のための野生型および変異体配列特異的組み換え部位を使用して利用される。ある態様において、RMCEは負の選択を含む。例えば、標的とされる染色体遺伝子座は、一端は野生型LoxP部位および他端は変異体LoxP部位に隣接させ得る。同様に、ベクターは、一端は野生型LoxP部位および他端は変異体LoxP部位に隣接した異種宿主細胞ゲノムに挿入する配列を含み得る。ベクターがCreリコンビナーゼ存在下で宿主細胞にトランスフェクトされるとき、Creリコンビナーゼは、各DNA鎖の野生型LoxPおよび変異体LoxP部位が互いの組み換えに不適合性であるため、同じDNA鎖の切除反応の触媒ではなく、内因性DNA鎖とベクターのDNAの間のRMCEを触媒する。すなわち、1個のDNA鎖がLoxP部位が唯一他のDNA鎖のLoxP部位と組み換えられる;同様に、1個のDNA鎖の変異LoxP部位が唯一他のDNA鎖の変異LoxP部位と組み換えられる。
【0109】
ある態様において、RMCEのための同じリコンビナーゼにより認識される配列特異的組み換え部位のバリアントが使用される。このような配列特異的組み換え部位バリアントの例は、逆方向反復の組み合わせを含むまたは変異体スペーサー配列を伴う組み換え部位を含むものを含む。例えば、2クラスのバリアントリコンビナーゼ部位が、安定なCre-loxP統合組み換えの設計に利用可能である。何れもCre認識配列における8bpスペーサー領域または13bp逆方向反復内の配列変異を探索する。lox511(Hoess, et al., Nucleic Acids Res, 14: 2287-2300 (1986))、lox5171およびlox2272(Lee and Saito, Gene, 216: 55-65 (1998))、m2、m3、m7およびm11(Langer, et al., Nucleic Acids Res, 30: 3067-3077 (2002))などのスペーサー変異体は、それ自体容易に組み換えられるが、野生型部位との組み換え率は顕著に低減している。このクラスの変異体は、非相互作用Cre-Lox組み換え部位および非相互作用FLP組み換え部位を使用するRMCEによるDNA挿入に利用されている(Baer and Bode, Curr Opin Biotechnol, 12: 473-480 (2001); Albert, et al., Plant J, 7: 649-659 (1995); Seibler and Bode, Biochemistry, 36: 1740-1747 (1997); Schlake and Bode, Biochemistry, 33: 12746-12751 (1994))。
【0110】
逆方向反復変異体は、別のクラスのバリアントリコンビナーゼ部位である。例えば、LoxP部位は、左逆方向反復(LE変異体)または右逆方向反復(RE変異体)で改変塩基を含み得る。LE変異体、lox71は、野生型配列がTACCGに変化している左逆方向反復の5bpを5’末端に有する(Araki, et al, Nucleic Acids Res, 25: 868-872 (1997))。同様に、RE変異体、lox66は、CGGTAに変化した5個の最も3’塩基を有する。逆方向反復変異体は、プラスミド挿入断片を、「ドナー」RE変異体を組み換える「標的」染色体loxP部位として指定されるLE変異体を有する染色体DNAに統合するために使用される。組み換え後、loxP部位は、挿入セグメントに隣接する、シスで位置する。組み換えの機構は、組み換え後、一方のloxP部位が、二重変異体であるようなものである(LEおよびRE両方の逆方向反復変異を含む)および他方が野生型(Lee and Sadowski, Prog Nucleic Acid Res Mol Biol, 80: 1-42 (2005); Lee and Sadowski, J Mol Biol, 326: 397-412 (2003))。二重変異体は、Creリコンビナーゼにより認識されず、挿入セグメントが切除されない点で、野生型部位と十分に異なる。
【0111】
ある態様において、配列特異的組み換え部位は、抗体発現に使用する制御配列またはコード配列の妨害を回避するために、コードまたは制御配列ではなく、イントロンに導入される。
【0112】
配列特異的組み換え部位の導入は、慣用の相同組み換え技術により達成され得る。このような技術は、例えば、Green and Sambrook (2012) (Molecular cloning: a laboratory manual 4th ed. (Cold Spring Harbor, N.Y.: Cold Spring Harbor Laboratory Press)およびNagy, A. (2003). (Manipulating the mouse embryo: a laboratory manual, 3rd ed. (Cold Spring Harbor, N.Y.: Cold Spring Harbor Laboratory Press)などの参考文献に記載されている。
【0113】
ゲノムへの特異的組み換えは、当分野で知られる正または負の選択のために設計されるベクターを使用して、促進され得る。置換反応を受けている細胞の同定を促進するために、適切な遺伝子マーカー系を使用でき、細胞を、例えば、選択組織培養培地の使用により選択する。ある態様において、異種配列、例えば、マーカー系または遺伝子の2点の末端のまたはそこに近接する核酸配列を、異種核酸を含む細胞の選択後除去できる。
【0114】
ある態様において、内因性免疫グロブリン遺伝子座が欠失されている細胞を、マーカー遺伝子を使用して正に選択でき、該マーカー遺伝子は、所望により組み換え事象後またはその結果として細胞から除去され得る。使用し得る正の選択系は、組み換え事象を介して結合するヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)などのマーカー遺伝子の2個の非機能的部分の使用に基づく。ある態様において、2個の非機能的部分は、内因性免疫グロブリン遺伝子座と異種免疫グロブリン遺伝子座の置き換えの成功により機能的に結合する。ある態様において、機能的に再構成されたマーカー遺伝子は、マーカー遺伝子が適切な部位特異的リコンビナーゼを使用してゲノムから切除できるよう、何れかの側でさらに配列特異的組み換え部位(置換反応に使用した配列特異的組み換え部位と異なる)に隣接する。他の態様において、細胞は、毒素または薬物への暴露により負に選択される。例えば、ターゲティング構築物が相同組み換えにより統合しておらず、ゲノムに無作為に統合している細胞は、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-TK)の発現を、HSV-TK遺伝子が相同性領域外に位置するならば、維持する。このような細胞を、ガンシクロビルなどのヌクレオシドアナログを使用して、選択できる。
【0115】
ある態様において、リコンビナーゼは、精製タンパク質として提供される。ある態様において、組み換えは、宿主細胞に一過性にトランスフェクトされたまたは宿主細胞ゲノムに安定に統合されたベクター構築物から発現されるタンパク質として提供される。あるいは、異種免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニック動物を、リコンビナーゼを発現する動物と交配させ得る。
【0116】
ある態様において、複数のラウンドのRMCEを、部分的ウマ免疫グロブリン可変領域遺伝子座の非ウマ哺乳動物宿主細胞ゲノムへの挿入に利用できるように、2以上のセットの配列特異的組み換え部位が、操作したゲノム内に含まれる。
【0117】
ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座が、CRISPRテクノロジーを使用して導入される。例えば、CRISPR/Cas9ゲノム編集系を標的化組み換えに使用できる(He, et al., Nuc. Acids Res., 44: e85, (2016))。
【0118】
トランスジェニック動物の産生
ある態様において、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニック動物、例えば、齧歯類、例えば、マウスを作製する方法が提供される。
【0119】
ある態様において、トランスジェニック動物のゲノムは、トランスジェニック動物のB細胞が、細胞あたり1を超える機能的VHドメインを発現するよう、すなわち、引用によりその開示を本明細書に包含する、2016年8月24日出願の"Enhanced Production of Immunoglobulins"なる名称のWO20170/35252に記載のとおり細胞が二特異的抗体を産生するように、修飾される。
【0120】
ある態様において、トランスジェニック動物のゲノムは、トランスジェニック動物のB細胞が重鎖を含むが軽鎖がない抗体を発現する、すなわち、細胞が重鎖のみの抗体を産生するように、修飾される。
【0121】
ある態様において、宿主細胞は胚幹(ES)細胞であり、これはその後トランスジェニック哺乳動物の作製に使用され得る。ある態様において、方法は、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座を含む胚幹細胞を単離し、異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニック動物を使用するために、該ES細胞を使用することを含む。
【実施例】
【0122】
次の実施例は、当業者に本発明をどのように製造し、使用するかの完全な開示および記載を提供するために示し、発明者らが彼らの発明と認識する範囲を限定する意図も、下記実験が実施した全てのまたは唯一の実験であることを示すまたは含意する意図もない。ここに記載する本発明の精神または範囲から逸脱することなく、多数の改変または修飾を行い得ることは当業者に認識される。したがって、実施例は説明的と解釈されるべきであり、限定的ではない。
【0123】
使用する期間および数値(例えば、ベクター、量、温度など)については正確さを確保する努力をしているが、一定の実験誤差および逸脱は考慮されるべきである。特に断らない限り、部は重量であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。
【0124】
実施例は、組み換えの部位に隣接する5’ベクターおよび3’ベクター両方によるターゲティングおよびRMCEを介する合成DNAの導入を記載する。本明細書を読むことにより、5’ベクターターゲティングが最初に起こり、続いて、3’であり得るまたは3’ベクターターゲティングが最初に起こり、続いて5’ベクターであり得ることは当業者には明らかである。ある状況において、ターゲティングは、二重検出機構を用いて同時に実施され得る。ある異なる戦略を、適切に統合された5’または3’ベクターを有する細胞の選択のために各実施例で使用するが、このような戦略は、微細な変更をして、Igh、IgκまたはIgλ遺伝子座のターゲティングと互換性であることも明らかである。
【0125】
実施例1:非ウマ哺乳動物宿主細胞ゲノムの免疫グロブリンH鎖可変領域遺伝子座への異種部分的ウマ免疫グロブリン可変領域遺伝子座の導入
非哺乳動物ES細胞のゲノム遺伝子座への異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座の導入を説明する例示的方を
図2~4に示す。
図2は、内因性V
H遺伝子セグメントの上流(5’)の部位特異的組み換え配列の導入のための方法を記載する。2個の異なるリコンビナーゼ認識部位(例えば、それぞれFlpおよびCreについてFRT(207)およびloxP(205))および各野生型カウンターパート/部位(すなわち、野生型FRT(207)および野生型loxP(205))と組み換えられる能力を欠く2個の異なる変異体部位(例えば、修飾変異体FRT(209)および変異体loxP(211))が隣接するピューロマイシンホスホトランスフェラーゼ-チミジンキナーゼ融合タンパク質(puro-TK)(203)を含む5’相同性ターゲティングベクター(201)が提供される。ターゲティングベクターは、細胞の負の選択に使用するジフテリア毒素受容体(DTR)cDNA(217)を含む。ターゲティングベクターはまた所望により緑色蛍光タンパク質(GFP)などの可視マーカーも含む(示していない)。領域213および215は、内因性非ウマV
H遺伝子セグメント(219)を含むゲノム領域の5’である内因性非ウマ遺伝子座における連続領域(229)の5’および3’部分とそれぞれ相同である。相同性ターゲティングベクター(201)は、内因性V
H遺伝子セグメント(219)、プレD領域(221)、D
H遺伝子セグメント(223)、J
H遺伝子セグメント(225)および免疫グロブリン定常遺伝子領域遺伝子(227)を含む免疫グロブリン遺伝子座(231)を有するES細胞に導入(202)される。相同性ターゲティングベクター(201)からの部位特異的組み換え配列およびDTR cDNAは、内因性マウスV
H遺伝子座の部位5’で非ウマゲノムと統合され(204)、233に説明されるゲノム構造をもたらす。
【0126】
マウス胚幹(ES)細胞(C57B1/6NTacマウス由来)を、既知方法に従い、5’ベクター(201)を用いるエレクトロポレーションによりトランスフェクトする。エレクトロポレーション前、ベクターDNAを、原核生物プラスミド配列またはそれと結合するポリリンカーのみを切断する希有切断制限酵素で線形化する。トランスフェクト細胞を播種し、約24時間後、5’ベクターがDNAに統合されている細胞の選択下におく。ゲノムに統合された5’ベクター(201)を有しないES細胞を、培養培地にピューロマイシンを含むことにより選択(死滅)できる;5’ベクター(201)がゲノムに安定に統合され、puro-TK遺伝子を構成的に発現するES細胞のみがピューロマイシンに耐性である。
【0127】
薬物耐性ES細胞のコロニーを、約1週間後裸眼で見えるようになった後、プレートから物理的に抽出する。これら集めたコロニーを脱凝集させ、マイクロウェルプレートに再播種し、数日間培養する。その後、細胞のクローンの各々を、一部細胞をアーカイブとして凍結し、残りを分析目的のDNA単離に使用することができるよう分ける。5’ベクターの導入についての一次スクリーニング法は、サザンブロッティングまたは、サザンブロッティングなどの二次スクリーニング法での確認を伴うPCRで実施できる。
【0128】
ES細胞クローンからのDNAを、広く実施されている遺伝子ターゲティングアッセイ設計を使用するPCRによりスクリーニングする。このアッセイについて、PCRオリゴヌクレオチドプライマー配列の一方は5’ベクター(201)とゲノムDNAの間で同一性が共有されている領域外にマッピングされ、一方、他方は5’ベクター内、例えば、Puro-TK遺伝子(203)にマッピングされる。標準的設計により、これらのアッセイは、5’ターゲティングベクターと内因性マウスIgh遺伝子座の間の相同組み換えを受けたES細胞のクローンにのみ存在するDNAを検出する。
【0129】
サザンブロットアッセイを、プローブと消化物の組み合わせがクローンにおける標的化遺伝子座の構造を相同組み換えにより適切に修飾されたとして同定することを可能とするように選択した、3個のプローブおよび複数の制限酵素で消化したゲノムDNAを使用して、広く使用される方法に従い実施する。プローブの1個は、5’ターゲティングベクターとゲノムDNAの間で同一性が共有されている領域の5’側に隣接するDNA配列にマッピングされる;第二プローブは、同一性の領域の外側であるが、3’側にマッピングされる;そして第三プローブは、ベクターにおける2個のゲノム同一性のアーム間の新規DNA内、例えば、Puro-TK遺伝子(203)にマッピングされる。サザンブロットは、外部プローブの1個およびPuro-TKプローブにより検出される、Igh遺伝子座の、修飾配列に対応する、DNAの予測される、すなわち、5’ターゲティングベクターとの相同組み換えによる、制限酵素産生フラグメント部分を同定する。外部プローブは、相同染色体の免疫グロブリンIgh遺伝子座の非変異体コピーからの変異体フラグメントおよびまた野生型フラグメントを検出する。
【0130】
PCRおよびサザンブロット陽性クローンのES細胞核型を、マウスES細胞において生ずる最も一般に起こる染色体異常を区別するために設計したイン・サイチュ蛍光ハイブリダイゼーション法を使用して、分析する。このような異常を有するクローンは、さらなる使用から除外する。サザンブロットデータに基づき予測されるゲノム構造を有し、核型分析に基づき検出可能な染色体異常を有しないES細胞クローンを、さらなる使用のために選択する。
【0131】
図3に示すとおり、HPRT-欠損ES細胞における正の選択に使用できる任意的ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝子(335);ネオマイシン耐性遺伝子(337);それぞれFlpおよびCreのためのリコンビナーゼ認識部位FRT(307)およびloxP(305)を含む、3’相同性ターゲティングベクター(301)が提供される。領域329および339は、内因性J
H遺伝子セグメント(325)の下流および定常領域遺伝子(327)の上流である内因性マウス遺伝子座の連続領域(341)の5’および3’部分とそれぞれ相同である。相同性ターゲティングベクターを、内因性V
H遺伝子セグメント(319)、プレD領域(321)、D遺伝子セグメント(323)、J
H遺伝子セグメント(325)および定常領域遺伝子(327)を含む修飾マウス免疫グロブリン遺伝子座(331)に導入する(302)。相同性ターゲティングベクターの部位特異的組み換え配列(307、305)、HPRT遺伝子(335)およびネオマイシン耐性遺伝子(337)を、内因性マウス定常領域遺伝子(327)の上流のマウスゲノムに統合し(304)、333に説明されるゲノム構造をもたらす。
【0132】
3’ベクター(301)で修飾された許容されるクローンを、選択のためのピューロマイシンの代わりに、ネオマイシンまたはHPRT選択を選択する以外、5’ベクター(201)で使用したのと設計が本質的に同一である方法およびスクリーニングアッセイを使用して、同定する。PCRアッセイ、プローブおよび消化物も、3’ベクターによるゲノム領域修飾と適合するよう仕立てる。PCRおよびサザンブロット陽性クローンのES細胞核型を、マウスES細胞において生ずる最も一般に起こる染色体異常を区別するために設計したイン・サイチュ蛍光ハイブリダイゼーション法を使用して、分析する。このような異常を有するクローンは、さらなる使用から除外する。
【0133】
3’および5’ベクター両方により変異されているES細胞、すなわち、両方の操作された変異を担持する二重に標的化された細胞のクローンを、ベクターターゲティングおよび分析後単離する。クローンは、相同染色体とは逆に、同じ染色体上の遺伝子ターゲティングに付されなければならない(すなわち、ターゲティングベクターにより作られた操作された変異は、別々の相同DNA鎖にトランスではなく、同じDNA鎖上にシスでなければならない)。シス配置のクローンを、ゲノム同一性のアームの間の2個の遺伝子ターゲティングベクター(303および337)に存在する新規DNAとハイブリダイズするプローブを使用する、中期スプレッドの蛍光イン・サイチュハイブリダイゼーションなどの分析法によりトランス配置のものと区別する。2タイプのクローンはまた、ターゲティングベクターがシスで統合されているならば、HPRT(335)およびネオマイシン耐性(337)遺伝子を欠失するCreリコンビナーゼを発現するベクターでトランスフェクトし、次いで各クローンからの細胞の一部をG418/ネオマイシンに対する耐性について試験する「同胞選択」スクリーニングによりクローンの薬物耐性表現型を分析することにより互いに区別できる。得られたシス由来クローンの大部分は、薬物に対する耐性を保持するトランス由来クローンとは対照的に、G418/ネオマイシンに感受性でもある。重鎖遺伝子座における操作した変異のシス配置を有する細胞の二重に標的化したクローンを、さらなる使用のために選択する。
【0134】
2個の組み換え部位が哺乳動物宿主細胞ゲノムに統合されたら、次いで、内因性免疫グロブリン遺伝子座を、ゲノムに統合された配列特異的組み換え部位に対応するリコンビナーゼの1個、例えば、FlpまたはCreの導入により組み換えに付す。FlpまたはCre(302)存在下、DTR遺伝子(317)、内因性Igh可変領域遺伝子座(319、323、325)、プレD領域(321)およびHPRT(335)およびネオマイシン耐性(337)遺伝子を含む野生型FRTまたは野生型LoxP部位の間の全介在配列は欠失され、339に示すゲノム構造がもたらされる。方法は、そのホモログではなく、同じ染色体に生ずる第二ターゲティングに依存する(すなわち、トランスではなく、シス)。ターゲティングが意図するとおりシスで起こるならば、ジフテリア毒素に対する感受性を引き起こすDTR遺伝子(317)が宿主細胞ゲノムに不在である(欠失している)ため、細胞は培地に導入されたジフテリア毒素による負の選択に感受性ではない。同様に、第一または第二ターゲティングベクターの無作為組込みを担持するES細胞は、非欠失DTR遺伝子の存在により、ジフテリア毒素に感受性となる。
【0135】
免疫グロブリン重鎖遺伝子座の2個の相同コピーの1個に配列欠失を担持するES細胞クローンを、Creリコンビナーゼ発現ベクターおよびマウス非コード配列に包埋されたウマV
H、D
HおよびJ
H遺伝子セグメントコード配列を含む部分的ウマ免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含むベクターで再トランスフェクトする。
図4は、重鎖可変領域ドメインをコードする内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の一部が、内因性V
HおよびJ
H遺伝子座の間の介在配列を含み、欠失しているマウスゲノムへの、異種部分的ウマ免疫グロブリン重鎖遺伝子座の導入を説明する。非ウマ宿主ゲノムに挿入する部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座を含む部位特異的ターゲティングベクター(441)を、RMCEにより宿主細胞の修飾ゲノム(439)に導入する(402)。部分的ウマV
H遺伝子座(419)、マウスプレD領域(421)、部分的ウマD
H遺伝子座(423)、部分的ウマJ
H遺伝子座(425)ならびにフランキング変異体FRT(409)、変異体LoxP(411)、野生型FRT(407)および野生型LoxP(405)部位を含む部位特異的ターゲティングベクター(441)をRMCEにより宿主細胞に導入する(402)。具体的に、部分的ウマV
H遺伝子座(419)は、内因性非ウマゲノムに存在する12個の機能的ウマV
H遺伝子セグメントコード配列および3’非ウマRSSおよび介在配列を含む;プレD領域(421)は、内因性非ウマゲノムにおける上流に存在する21.6kb非ウマ配列を含む;D
H領域(423)は、非ウマRSSに隣接し、内因性非ウマD
H領域に存在する介在配列に包埋された40個のウマD
H遺伝子セグメントのコドンを含む;そしてJ
H遺伝子座(425)は、5’非ウマRSSを伴い、内因性非ウマゲノムに存在する介在配列に包埋された8個のウマJ
H遺伝子セグメントのコドンを含む。ある態様において、宿主細胞ゲノムのIgh遺伝子座は、
図3に関連して記載するとおり、介在配列を含む全内因性V
H、D
HおよびJ
H遺伝子セグメントを欠失するよう修飾される。この修飾の結果として、内因性非ウマIgh遺伝子座(439)は、上流に変異体FRT部位(409)および変異体LoxP部位(411)ならびに下流に野生型FRT(407)および野生型LoxP(405)が隣接するpuro-TK融合遺伝子(403)と共に残る。適切なリコンビナーゼ(404)の導入により、部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座は、内因性マウス定常領域遺伝子(427)の上流のゲノムにlox5171(411)およびloxP(405)部位の間に統合され、443に説明されるDNA領域を作る。
【0136】
RMCEおよび部分的ウマIgh遺伝子座の組込みに付されていないES細胞はpuro-TK融合遺伝子(403)を保持し、組織培養培地にガンシクロビルを添加することにより除去される。
【0137】
ウマVH、DHおよびJH遺伝子セグメントの配列は配列番号1~65に示す。
【0138】
異種部分的ウマ免疫グロブリン領域の組込みは、サザンブロッティングまたは、サザンブロッティングなどの二次スクリーニング法での確認を伴うPCRで検出できる。スクリーニング法は、挿入VH、DHまたはJH遺伝子座および介在配列の存在を検出するよう設計される。PCRおよびサザンブロット陽性クローンのES細胞核型を、マウスES細胞において生ずる最も一般に起こる染色体異常を区別するために設計したイン・サイチュ蛍光ハイブリダイゼーション法を使用して、分析する。このような異常を有するクローンは、さらなる使用から除外する
【0139】
マウス重鎖遺伝子座に部分的ウマ免疫グロブリン重鎖可変領域(443)を担持するES細胞クローンを、標準法により系統DBA/2からのマウス胚盤胞に微量注入して、ES細胞由来キメラマウスを作製する。ES細胞由来の毛に対する寄与が最も高い雄性キメラマウスを、雌性マウスとの交配のために選択する。これらの交配による子孫を、部分的ウマ免疫グロブリン重鎖遺伝子座の存在について分析する。部分的ウマ免疫グロブリン重鎖遺伝子座を担持するマウスマウスのコロニーを確立するために使用する。
【0140】
実施例2:マウスゲノムの免疫グロブリンカッパ鎖遺伝子座への異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座の導入
マウスIgκ遺伝子座の一部を部分的ウマIgκ遺伝子座に置き換える方法は、
図5に示される。この方法は、マウスゲノムの内因性V
K(515)およびJ
K(519)領域遺伝子セグメントのクラスターの5’または3’に導入できるマウスゲノムへの第一部位特異的リコンビナーゼ認識配列の導入、続く第一配列特異的組み換え部位と組み合わせて、定常領域遺伝子(521)の上流のV
KおよびJ
K遺伝子セグメントを含む遺伝子座全体に隣接する、マウスゲノムへの第二部位特異的リコンビナーゼ認識配列の導入を含む。関連する部位特異的リコンビナーゼを使用して、隣接領域を欠失し、部分的ウマ免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子座で置き換える。
【0141】
VK(515)およびJK(519)遺伝子セグメントいずれかの側の部位特異的組み換え配列の導入に用いるターゲティングベクターも、リコンビナーゼによりなお効率的に認識されるが、非修飾部位と組み換えられないように修飾されている付加的部位特異的組み換え配列も含む。この部位は、VKおよびJK遺伝子セグメントクラスター欠失後、異種免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子座がRMCEを介して修飾VK遺伝子座に挿入される第二部位特異的組み換え事象に使用できるよう、ターゲティングベクターに配置される。この例では、異種免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子座は、ウマVKおよびJK遺伝子セグメントおよびマウスIgκ可変領域非コード配列を含む合成核酸である。
【0142】
直前に概説した工程を達成するため2個の遺伝子ターゲティングベクターが構築される。ベクターの一方(503)は、最遠位VK遺伝子セグメントの上流、遺伝子座の5’末端から採ったマウスゲノムDNA(525および541)を含む。他方のベクター(505)は、JK遺伝子セグメント(519)の下流(3’)および定常領域遺伝子(521)の上流の遺伝子座内から採ったマウスゲノムDNA(543および549)を含む。
【0143】
5’ベクター(503)の鍵となる特性は次のとおりである:ポリオーマウイルスからの2個の変異体転写エンハンサーに結合した修飾単純ヘルペスウイルスI型チミジンキナーゼ遺伝子プロモーターの転写制御下にあるジフテリア毒素Aサブユニット(DTA)をコードする遺伝子(523);カッパ鎖遺伝子座における最遠位可変領域遺伝子の上流にマッピングされる6KbのマウスゲノムDNA(525);FlpリコンビナーゼのためのFRT認識配列(527);マウスPolr2a遺伝子プロモーターを含むゲノムDNA片(529);翻訳開始配列(535、「コザック」コンセンサス配列に包埋されたメチオニンコドン);Creリコンビナーゼのための変異loxP認識配列(lox5171)(531);転写終結/ポリアデニル化配列(533);CreリコンビナーゼのためのloxP認識配列(537);マウスホスホグリセラートキナーゼ1遺伝子からのプロモーターの転写制御下の短縮形態のチミジンキナーゼ(pu-TK)に融合したピューロマイシンに対する耐性を付与するタンパク質を含む融合タンパク質をコードする遺伝子(539);ベクターにおける5’末端に6Kb配列にマッピングされ、天然関連配向で配置される2.5KbのマウスゲノムDNA(541)。
【0144】
3’ベクター(505)の鍵となる特性は次のとおりである:Jκ(519)およびCκ(521)遺伝子座の間のイントロン内にマッピングされる6KbのマウスゲノムDNA(543);マウスPolr2a遺伝子プロモーターの転写制御下にヒトヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)をコードする遺伝子(545);マウスホスホグリセラートキナーゼ1遺伝子プロモーター制御下のネオマイシン耐性遺伝子(547);CreリコンビナーゼのためのloxP認識配列(537);ベクターにおける5’末端に含まれる6Kb DNAフラグメントのゲノムのすぐ下流にマッピングされ、マウスゲノムにおけると同じ相対的方法で配向している2個のフラグメントを有する、3.6KbのマウスゲノムDNA(549);ポリオーマウイルスからの2個の変異体転写エンハンサーに結合した修飾単純ヘルペスウイルスI型チミジンキナーゼ遺伝子プロモーターの転写制御下のジフテリア毒素Aサブユニット(DTA)をコードする遺伝子(523)。
【0145】
C57B1/6NTacマウス由来のマウス胚幹(ES)細胞を、既知方法によりエレクトロポレーションにより3’ベクター(505)でトランスフェクトする。エレクトロポレーション前、ベクターDNAを、原核生物プラスミド配列またはそれと結合するポリリンカーのみを切断する希有切断制限酵素で線形化する。トランスフェクト細胞を播種し、約24時間後、ネオマイシンアナログ薬物G418の使用によ」り、DNAに3’ベクターが統合されている細胞の正の選択下におく。DNAにベクターが統合されているが、相同組み換えによるものではない、細胞についての負の選択もある。非相同組み換えは、遺伝子が発現されたとき細胞を殺すDTA遺伝子の保持をもたらし、一方DTA遺伝子は、マウスIgκ遺伝子座と相同性のベクターの領域外にあるため、相同組み換えにより欠失される。薬物耐性ES細胞のコロニーを、約1週間後、裸眼で可視になった後プレートから物理的に抽出する。これらの集めたコロニーを、脱凝集し、マイクロウェルプレートに再播種し、数日間培養する。その後、細胞のクローンの各々を、一部細胞をアーカイブとして凍結し、残りを分析目的のDNA単離に使用することができるよう分ける。
【0146】
ES細胞クローンからのDNAを、遺伝子ターゲティングアッセイを使用するPCRによりスクリーニングする。このアッセイについて、PCRオリゴヌクレオチドプライマー配列の一方は、3’ベクター(505)とゲノムDNA(501)の間で同一性が共有される領域外にマッピングされ、一方、他方は、ベクターの2個のゲノム同一性のアームの間の新規DNA内、例えば、HPRT(545)またはネオマイシン耐性(547)遺伝子にマッピングされる。これらのアッセイは、3’ベクター(505)および内因性マウスIgκ遺伝子座の間で相同組み換えに付されているトランスフェクト細胞由来のES細胞のクローンにのみ存在するDNA片を検出する。PCR陽性クローンを、拡大および続くサザンブロットアッセイを使用するさらなる分析のために選択する。
【0147】
サザンブロットアッセイを既知方法により実施する;プローブと消化物の組み合わせが、クローンにおける標的化遺伝子座の構造および相同組み換えにより適切に修飾されているか否かについての結論が導かれるよう選択した3個のプローブおよび複数の制限酵素で消化したゲノムDNAを含む。プローブの1個は3’カッパターゲティングベクター(505)およびゲノムDNAの間で同一性が共有される領域の5’側に隣接するDNA配列にマッピングされる;第二プローブも、同一性の領域の外側であるが、3’側にマッピングされる;第三プローブは、ベクターにおける2個のゲノム同一性のアームの間の新規DNA内、例えば、HPRT(545)またはネオマイシン耐性(547)遺伝子にマッピングされる。サザンブロットは、外部プローブの1個およびネオマイシン耐性またはHPRT遺伝子プローブにより検出される、カッパ遺伝子座の、正しく、すなわち、3’カッパターゲティングベクター(505)との相同組み換えにより、変異された部分に対応するDNAの予測される制限酵素産生フラグメントを同定する。外部プローブは、相同染色体の免疫グロブリンカッパ遺伝子座の非変異体コピーからの変異体フラグメントおよびまた野生型フラグメントも検出する。
【0148】
PCRおよびサザンブロット陽性クローンのES細胞核型を、マウスES細胞において生ずる最も一般に起こる染色体異常を区別するために設計したイン・サイチュ蛍光ハイブリダイゼーション法を使用して、分析する。このような異常を有するクローンは、さらなる使用から除外する。サザンブロットデータに基づき予測される正確なゲノム構造を有すると判断される核型が正常なクローンを、さらなる使用のために選択する。
【0149】
次いで、許容されるクローンを、G418/ネオマイシン選択の代わりにピューロマイシン選択を使用し、プロトコールを5’ベクター(503)により修飾されたゲノム領域と適合するよう仕立てた以外、3’ベクター(505)で使用したのと設計が本質的に同一である方法およびスクリーニングアッセイを使用して、5’ベクター(503)で修飾する。5’ベクター(503)トランスフェクション実験の目標は、両3’ベクター(505)および5’ベクター(503)により予測される形態で変異されているES細胞、すなわち、両操作された変異を担持する二重に標的化された細胞のクローンの単離である。これらのクローンにおいて、Creリコンビナーゼは、2個のベクターによるカッパ遺伝子座に導入されたloxP部位間で組み換え(502)を生じさせ、507に示すゲノムDNA配置をもたらす。
【0150】
さらに、クローンは、相同染色体とは逆に、同じ染色体上の遺伝子ターゲティングに付されなければならない;すなわち、ターゲティングベクターにより作られた操作された変異は、別々の相同DNA鎖にトランスではなく、同じDNA鎖上にシスでなければならない。シス配置のクローンを、ゲノム同一性のアーム間の2個の遺伝子ターゲティングベクター(503および505)に存在する新規DNAとハイブリダイズするプローブを使用する、中期スプレッドの蛍光イン・サイチュハイブリダイゼーションなどの分析法によりトランス配置のものと区別する。2タイプのクローンはまた、ターゲティングベクターがシスで統合されているならば、pu-Tk(539)、HPRT(545)およびネオマイシン耐性(547)遺伝子を欠失する、Creリコンビナーゼを発現するベクターと互いに区別もでき、5’ベクター(503)により導入されたチミジンキナーゼ遺伝子に対するガンシクロビル選択で生存したコロニー数を比較し、生存クローンの薬物耐性表現型を、クローンからの細胞の一部をピューロマイシンまたはG418/ネオマイシンに対する耐性に対して試験する「同胞選択」スクリーニング法により分析できる。シス配置の変異を有する細胞は、トランス配置の細胞よりも約103ガンシクロビルにより耐性であるクローンをもたらすと予測される。得られたシス由来ガンシクロビル耐性クローンの大部分は、両薬物に対する耐性を保持するトランス由来ガンシクロビル耐性クローンとは対照的に、ピューロマイシンおよびG418/ネオマイシン両方にも感受性である。カッパ鎖遺伝子座における操作された変異のシス配置を有する細胞のクローンを、さらなる使用のために選択する。
【0151】
細胞の二重標的化クローンをCreリコンビナーゼ(502)を発現するベクターで一過性にトランスフェクトし、トランスフェクト細胞を、その後、上に要約する分析実験におけるとおり、ガンシクロビル選択下に置く。細胞のガンシクロビル耐性クローンを単離し、5’ベクター(503)および3’ベクター(505)により作られた2個の操作された変異の間の予測される欠失(507)の存在について、PCRおよびサザンブロットにより分析する。これらのクローンにおいて、Creリコンビナーゼは、2個のベクターによりカッパ鎖遺伝子座に導入されたloxP部位(537)の間で組み換えを生じさせる。LoxP部位が2個のベクターにおいて同じ相対的配向で配置されているため、組み換えは、2個のloxP部位の間のゲノムインターバル全体を含むDNAの環の切除をもたらす。環は複製起点を含まず、故に有糸分裂中複製せず、よって、クローン増殖に付されるにつれて細胞のクローンから失われる。得られたクローンは、もともと2個のloxP部位の間にあったDNAの欠失を有する。PCRおよびサザンブロット陽性クローンのES細胞核型を、マウスES細胞において生ずる最も一般に起こる染色体異常を区別するために設計したイン・サイチュ蛍光ハイブリダイゼーション法を使用して、分析する。このような異常を有するクローンは、さらなる使用から除外する。サザンブロットデータに基づき予測される正確なゲノム構造を有すると判断される核型が正常なクローンを、さらなる使用のために選択する。
【0152】
免疫グロブリンカッパ鎖遺伝子座の2個の相同コピーの1個に配列の欠失を担持するES細胞クローンを、Vκ(551)およびJκ(555)遺伝子セグメントを含む部分的ウマ免疫グロブリンカッパ鎖遺伝子座を含むCreリコンビナーゼ発現ベクターおよびベクター(509)で再トランスフェクトする(504)。ベクターの鍵となる特性は次のとおりである:lox5171部位(531);ネオマイシン耐性遺伝子オープンリーディングフレーム(547、イニシエーターメチオニンコドンを欠くが、インフレームであり、メチオニン開始コドン(535)の下流のlox5171部位(531)における非中断オープンリーディングフレームと連続的である);FRT部位(527);各々3’側がマウスRSSに隣接し、マウス非コード配列に包埋されているウマコード配列を含む19個のウマVκ遺伝子セグメントのアレイ(551);所望によりマウスカッパ鎖遺伝子座におけるJカッパ領域遺伝子セグメントのクラスターのすぐ上流からの13.5KbゲノムDNA片(示していない);5’側がマウスRSSに隣接し、マウス非コードDNAに包埋された4個のウマJκ領域遺伝子セグメントを含むDNA(555);lox5171部位(531)と逆相対配向のloxP部位(537)。
【0153】
ウマVκおよびJκ遺伝子コード領域の配列は配列番号66~86に示す。
【0154】
トランスフェクトESクローンを、部分的ウマ免疫グロブリンカッパ鎖遺伝子座を含むドナーDNA(509)が、それぞれ5’(503)および3’(505)ベクターにより配置されたlox5171(531)およびloxP(537)部位の間の、欠失内因性免疫グロブリンカッパ鎖遺伝子座に、全体的に統合されている、RMCEに付されている細胞のクローンを濃縮する、G418選択下に置く。RMCEに適切に付されている細胞のみが、プロモーター(529)ならびにその発現に必要なイニシエーターメチオニンコドン(535)がベクター(509)に存在せず、修飾宿主細胞Igκ遺伝子座(507)に予めすでに存在するため、ネオマイシン耐性遺伝子(547)を発現する能力を有する。509配列を使用して作製したDNA領域を511に説明する。FRT部位(527)間に位置する5’ベクター(503)からの残りの配列は、下記のとおりインビトロまたはインビボでFlp介在組み換え(506)により除去し、513に示す部分的ウマ免疫グロブリン軽鎖遺伝子座をもたらす。
【0155】
G418耐性ES細胞クローンをPCRおよびサザンブロッティングで分析して、望まない再配列または欠失なく予測されるRMCE法に付されているか決定する。PCRおよびサザンブロット陽性クローンのES細胞核型を、マウスES細胞において生ずる最も一般に起こる染色体異常を区別するために設計したイン・サイチュ蛍光ハイブリダイゼーション法を使用して、分析する。このような異常を有するクローンは、さらなる使用から除外する。サザンブロットデータに基づき予測される正確なゲノム構造を有すると判断される核型が正常なクローンを、さらなる使用のために選択する。
【0156】
内因性マウス免疫グロブリンカッパ鎖遺伝子座(513)に部分的ウマ免疫グロブリンカッパ鎖遺伝子座を担持するES細胞クローンを、標準法により系統DBA/2からのマウス胚盤胞に微量注入して、部分的ES細胞由来キメラマウスを作る。ES細胞由来の毛に対する寄与が最も高い雄性キメラマウスを、雌性マウスとの交配のために選択する。後輩に使用するために選択した雌性マウスは、C57B1/6NTac系統であり、また生殖細胞系列に発現され、5’ベクターからFRT隣接ネオマイシン耐性遺伝子(520)および他の要素を欠失するFlpリコンビナーゼをコードする導入遺伝子も担持する。これらの交配による子孫を、部分的ウマ免疫グロブリンカッパ鎖遺伝子座の存在およびネオマイシン耐性遺伝子喪失について分析する。部分的ウマ免疫グロブリンカッパ鎖遺伝子座を担持するマウスを、マウスのコロニーの確立に使用する。
【0157】
実施例1に記載のとおり産生した、部分的ウマ免疫グロブリン重鎖遺伝子座を担持するマウスを部分的ウマ免疫グロブリンカッパ鎖遺伝子座を担持するマウスと交配できる。これらの子孫は、次に、部分的ウマIghおよび部分的ウマIgκ両方についてホモ接合型であるマウスを最終的に作るスキームで互いに交配する。このようなマウスは、ウマ可変ドメインおよびマウス定常ドメインを含む部分的ウマ重鎖を産生する。またウマカッパ可変ドメインおよびマウスカッパ定常ドメインを含む部分的ウマカッパタンパク質も産生する。これらのマウスから回収したモノクローナル抗体は、ウマカッパ可変ドメインと対合したウマ重鎖可変ドメインを含む。
【0158】
ある態様において、部分的ウマIghおよび部分的ウマIgκ両方がホモ接合型であるマウスを、実施例3で作った部分的ウマラムダ遺伝子座についてホモ接合型であるマウスと交配させて、全3遺伝子座がホモ接合型のマウスを産生する。
【0159】
5’ベクター(503)およびIgκ遺伝子座を標的とするためにここで使用するその後の戦略を、Igh遺伝子座を標的とする別の戦略として、
図2における5’ベクター(201)の代わりに使用できることを、当業者は認識する。この場合、5’ベクター(503)は、Igκ遺伝子座と相同のゲノムDNA領域(525および541)を、Igh遺伝子座と相同のゲノムDNA領域(
図2における213および215)に置き換えるよう修飾される。
【0160】
実施例3:マウスゲノムの免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座における異種部分的ウマ免疫グロブリン遺伝子座の導入
マウスIgλ遺伝子座の一部を部分的ウマIgλ遺伝子座で置き換える方法は、
図6Aおよび6Bに説明される。この方法は、Vλ2/Vλ3遺伝子セグメント(613)の上流およびCλ1遺伝子セグメントの下流両方(617の最も右の四角)およびEλエンハンサー(623)の上流または下流両方の内因性マウス免疫グロブリンラムダ遺伝子座と同一性を共有するターゲティングベクター(603)を含む相同組み換え法による、Vλ2/Vλ3遺伝子セグメント(613)、Jλ2/Cλ2遺伝子クラスター(615)およびVλ1-Jλ3/Cλ3-Jλ1/Cλ1遺伝子クラスター(617)を含む野生型マウス免疫グロブリンラムダ遺伝子座(601および
図1、下部)から約200KbのDNAの欠失を含む。ベクターは、約200Kbの内因性マウスゲノムDNAを、RMCEにより異種免疫グロブリンラムダ遺伝子座を修飾Vλ遺伝子座に置き換えるその後の部位特異的組み換えを可能にするよう設計された配列に置き換える(604)。この例では、異種免疫グロブリンラムダ遺伝子座は、ウマIgλコード配列およびマウスIgλ非コード配列を含む合成核酸である。
【0161】
約200Kb欠失および部位特異的組み換え部位挿入を達成するための遺伝子ターゲティングベクター(603)の鍵となる特性は次のとおりである:ジフテリア毒素のAサブユニット(DTA、659)または単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子をコードする遺伝子などの負の選択遺伝子(示していない);免疫グロブリンラムダ遺伝子座におけるマウスVλ2/Vλ3可変領域遺伝子セグメントの5’からの4KbのゲノムDNA(625);FRT部位(627);マウスPolr2a遺伝子プロモーターを含むゲノムDNA(629);翻訳開始配列(「コザック」コンセンサス配列に包埋されたメチオニンコドン)(635);Creリコンビナーゼのための変異loxP認識配列(lox5171)(631);転写終結/ポリアデニル化配列(633);ピューロマイシンに対する耐性を付与するタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(637)、一方このオープンリーディングフレームは、Polr2aプロモーターおよびその隣の翻訳開始配列に対してアンチセンス鎖であり、それ自体の転写終結/ポリアデニル化配列が続く(633);CreリコンビナーゼのためのloxP認識配列(639);ピューロマイシン耐性遺伝子オープンリーディングフレームと同じアンチセンス鎖の翻訳開始配列(「コザック」コンセンサス配列に包埋されたメチオニンコドン)(635);loxP部位(635)下流の開始コドンで翻訳が開始し、ピューロマイシンオープンリーディングフレームにloxP部位を介して戻り、全てそれに隣接するPolr2aプロモーターおよび翻訳開始配列に対してアンチセンス鎖である、ピューロマイシン耐性オープンリーディングフレームの転写を指示するよう配向されたニワトリベータアクチンプロモーターおよびサイトメガロウイルス早期エンハンサー要素(641);Flpリコンビナーゼについての変異認識部位(643);およびEλエンハンサー要素(623)を含むゲノムDNA(645)。
【0162】
C57B1/6NTacマウス由来のマウス胚幹(ES)細胞を、既知方法により、エレクトロポレーションによりターゲティングベクター(603)でトランスフェクトする(602)。相同組み換えは、内因性マウス免疫グロブリンラムダ遺伝子を、約200Kb領域におけるターゲティングベクター(603)からの部位特異的組み換え部位に置き換え、(605)に説明するゲノムDNA配置をもたらす。
【0163】
エレクトロポレーション前、ベクターDNAを、原核生物プラスミド配列またはそれと結合するポリリンカーのみを切断する希有切断制限酵素で線形化する。トランスフェクト細胞を播種し、約24時間後、ピューロマイシンを使用する正の薬物選択下に置く。DNAにベクターが統合されているが、相同組み換えによるものではない、細胞についての負の選択もある。非相同組み換えは、遺伝子が発現されたとき細胞を殺すDTA遺伝子(659)の保持をもたらし、一方DTA遺伝子は、マウスIgλ遺伝子座と相同性のベクターの領域外にあるため、相同組み換えにより欠失される。薬物耐性ES細胞のコロニーを、1週間後裸眼で見えるようになったら、プレートから物理的に抽出する。これらの集めたコロニーを脱凝集し、マイクロウェルプレートに限界希釈で再播種し、数日間培養する。その後、細胞のクローンの各々を、一部細胞をアーカイブとして凍結し、残りを分析目的のDNA単離に使用することができるよう分ける。
【0164】
ES細胞クローンからのDNAを、既知遺伝子ターゲティングアッセイを使用するPCRによりスクリーニングする。これらのアッセイについて、PCRオリゴヌクレオチドプライマー配列の一方は、ターゲティングベクターとゲノムDNAの間で同一性が共有される領域の外にマッピングされ、一方、他方は、ベクターの2個のゲノム同一性のアームの間の新規DNA内、例えば、puro遺伝子(637)にマッピングされる。これらのアッセイは、ターゲティングベクター(603)および内因性DNA(601)の間で相同組み換えに付されているトランスフェクト細胞由来の細胞のクローンにのみ存在するDNA片を検出する。
【0165】
トランスフェクションからのPCR陽性クローンを、拡大および続くサザンブロットアッセイを使用するさらなる分析のために選択する。サザンブロットは、プローブと消化物の組み合わせが、ES細胞DNAが相同組み換えにより適切に修飾されているか否かの同定を可能とするように、3個のプローブおよび複数の制限酵素で消化したクローンからのゲノムDNAを含む。
【0166】
PCRおよびサザンブロット陽性のクローンのES細胞の核型を、マウスES細胞において生ずる最も一般に起こる染色体異常を区別するために設計したイン・サイチュ蛍光ハイブリダイゼーション法を使用して、分析する。異常の証拠を示すクローンを、さらなる使用から除外する。サザンブロットデータに基づき予測される正確なゲノム構造を有すると判断される核型が正常なクローンを、さらなる使用のために選択する。
【0167】
免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座の2個の相同コピーの一方を欠失するES細胞クローンを、ウマVλおよびJλ領域遺伝子セグメントコード配列を含む部分的ウマ免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座を含むベクター(607)と共にCreリコンビナーゼ発現ベクターで再トランスフェクトする(604)。このベクター(607)の鍵となる特性は次のとおりである:lox5171部位(631);イニシエーターメチオニンコドンを欠くが、インフレームであり、lox5171部位における非中断オープンリーディングフレームと連続的であるネオマイシン耐性遺伝子オープンリーディングフレーム(647)(ダイアグラム605における631));FRT部位(627);各遺伝子セグメントが3’側がマウスRSSに隣接し、マウスラムダ非コード配列に包埋されているウマラムダコード配列を含む27個の機能的ウマラムダ可変領域遺伝子セグメントのアレイ(651);Eλ 2-4エンハンサー要素(
図1)を含む、各単位がマウスラムダ遺伝子座からの非コード配列(655)内に包埋されたウマJλ遺伝子セグメントおよびマウスラムダ定常ドメイン遺伝子セグメントを含む、J-C単位のアレイ。ウマJλ遺伝子セグメントは、Jλ1、Jλ5、Jλ6およびJλ7をコードするものであり(他のJλ遺伝子セグメントはシュード遺伝子である)、一方マウスラムダ定常ドメイン遺伝子セグメントは、Cλ1、Cλ2またはCλ3またはそれらの組み合わせである;Flpリコンビナーゼのための変異認識部位(643);構築物における免疫グロブリン遺伝子セグメントコード情報に対してアンチセンス鎖に位置する、ハイグロマイシン耐性を付与するオープンリーディングフレーム(657);lox5171部位と逆相対配向のloxP部位(639)。
【0168】
RCMEは、RCMEベクターからの部分的ウマ免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座(607)を修飾内因性マウスIgλ遺伝子座に挿入し、609に示すゲノムDNA配置をもたらす。
【0169】
ウマVλおよびJλ遺伝子コード領域の配列は配列番号87~122に示す。
【0170】
トランスフェクトクローンを、部分的ウマ免疫グロブリンラムダ鎖可変が、遺伝子ターゲティングベクターにより配置されたlox5171およびloxP部位の間の欠失内因性マウス免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座に統合される、RMCE法に付されている細胞のクローンを濃縮する、G418またはハイグロマイシン選択下に置く。ターゲティングベクター(603)からの残りの配列は、インビトロまたはインビボでのFLP介在組み換え(606)により除去し(下記参照)、611に示す最終部分的ウマ免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座を得る。
【0171】
611部分的ウマ免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座のある配置のより詳細な図は613であるが、単なる一例として提供する。他の配置およびウマVλおよびJλ遺伝子セグメントおよびマウスCλ遺伝子セグメント数ならびにエンハンサー配列の位置および数も可能である。
【0172】
G418/ハイグロマイシン耐性ES細胞クローンをPCRおよびサザンブロッティングにより分析し、望まない再配列または欠失なく予測されるリコンビナーゼ介在カセット交換法に付されているか確認する。ES細胞のPCRおよびサザンブロット陽性のクローンの核型を、マウスES細胞において生ずる最も一般に起こる染色体異常を区別するために設計したイン・サイチュ蛍光ハイブリダイゼーション法を使用して、分析する。異常の証拠を示すクローンを、さらなる使用から除外する。サザンブロットデータに基づき予測される正確なゲノム構造を有すると判断される核型が正常なクローンを、さらなる使用のために選択する。
【0173】
マウス免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座に部分的ウマ免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座(611)を担持するES細胞クローンを、既知方法により、系統DBA/2からのマウス胚盤胞に微量注入し、一部ES細胞由来キメラマウスを作る。ES細胞由来の毛に対する寄与が最も高い雄性キメラマウスを、雌性マウスとの交配のために選択する。ここで選択した雌性マウスは、生殖細胞系列で発現されるFlpリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を担持し、FRT隣接選択可能マーカーを欠失するC57B1/6NTac系統である。これらの交配による子孫を、部分的ウマ免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座の存在およびRMCE工程で作ったFRT隣接ネオマイシン耐性遺伝子およびmFRT隣接ハイグロマイシン耐性遺伝子の喪失について分析する。部分的ウマ免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座を担持するマウスを、マウスのコロニーを確立するために使用する。
【0174】
ある態様において、部分的ウマ免疫グロブリン重鎖遺伝子座および部分的ウマ免疫グロブリンカッパ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型であるマウス(実施例1および2に記載のとおり)を、部分的ウマ免疫グロブリンラムダ軽鎖遺伝子座を担持するマウスと交配させる。このタイプの繁殖スキームから産生したマウスは、部分的ウマIgh遺伝子座についてホモ接合型であり、部分的ウマIgκおよびIgλ遺伝子座についてホモ接合型である。これらのマウスから回収したモノクローナル抗体は、ある場合ウマカッパ可変ドメインおよび他の場合ウマラムダ可変ドメインと対合したウマ重鎖可変ドメインを含む。
【表1】
1 Nomenclature of Sun, et al. Dev. Comp. Immunol. 34: 1009(2010)
2 Nomenclature of Walther, et al. Dev. Comp. Immunol. 53: 303(2015)
3 このcDNAはE. asinus、その他はE. caballus由来
【0175】
配列情報
注:(RC)は、配列が他の配列と比較して逆配向であることを示す、逆相補を意味する。
IGHV
配列番号1:VH1 IGHV1-5*01
L1: ATGGACTGGAGCTGGAGCATCCTCTTCTTGGTGGCAGTGGCTGCAG
L2: GTGTCTCCTCC
VH: GAGGTCCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCAGGGGCATCCGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGAGACAGCTTCACTTATTACTCTATGAGCTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGACGGGATATATCTATCCTGAATATGATGCTATGGGCTACCCGCAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACCATGACTGCGGACAAGTCCACGAGCACAGTCTACATGGAGCTGAGCAGTCTGGCATCTGAGGACACAGCCGTGTATTACTGTGCAACAGA
配列番号2:VH2 IGHV4-11*01
L1: ATGAATCACCTGTGGTTCTTCCTCTTTCTGGTGGCCGCTCCTGCAT
L2: GTGTCCTGTCC
VH: CAGGTGCAACTGAAGGAGTCAGGACCTGGCCTGGTGAAGCCCTCGCAGACCCTGTCCCTCACCTGCCCTGTCTCTAGATTCCCTTTAACCAACCATCATGTACACTGGACCCACCAGGCTCCAGGAAAAGGGCTGGAGTGGCTTGGTGATTCAAGGAGTGGTGAAAGCACATACTACAACTTAACTCTGAAGTCCCAACTCAGCATCCCCAGTGATACTTCCAAAAGCCAAATTTATTTAACGCTGAACAGGCTGAGAGGCGATGACATGGCCATGTACTACTGTGCCAGAGA
配列番号3:VH3 IGHV4-17*02
L1: ATGAGACTCTTGTGTCTTCTCCTTTGCCTGGTGATGGCTCCCCAAG
L2: GAGTCCTGTCC
VH: CAGGTGAAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCCTCACAGACCCTCTCCCTCACCTGCTCTGTGTCTGGAGTCTCCATCACAAGCAGTGGTGACTGGTGGAGCTGGATCCGCCAGCCCCCAGGGAAGGGGCTGGAATGGATGGGGTACATAAGTTATAGTGGTAGCGCTTACTACACCACATCCCTCAAGAGCCGACTCTCCATCTCCAGAGACACGTCCAAGGACCAGTTCTCCCTGCAGCTGAGCTCCGTGACCACAGAGGACACGGCCGTTTATTACTGTGCAAGTGA
配列番号4:VH4 IGHV4S1
L1: ATGAATCACCTGTGGTTCTTCCTCTTTCTGGTGGCCGCTCCTACAT
L2: GTGTCCTGTCC
VH: CAGGTGCAACTGAAGGAGTCGGGACCTGGCCTGGTGAAGCCCTCGCAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGATTATCTTTGAGCAGTAATGCTGTAGGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGAAAAGGGCTGGAGTGGGTTGGTGTTATATATGGTAGTGAAAGTACATACTACAACCCAGCCCTGAAGTCCCGAGCCAGCATCACCAAGGACACCTCAAAGAGCCAAGTTTATCTGACGCTGAACAGCCTGACAGGCGAAGACACGGCCGTCTATTACTGTGCAGGATG
配列番号5:VH5 IGHV4-29*02
L1: ATGAGTCACCTGTGGTTCTTCCTCTTTCTGGTGGCCGCTCCTACAT
L2: GTGTCCTGTCC
VH: CAGGTGCAACTGAAGGAGTCAGGACCTGGCCTGGTGAAGCCCTCGCAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGATTATCTTTGAGCAGTTATGCTGTAGGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGAAAAGGGCTGGAATATGTTGGTGCTATATATGGTAGTGCAAGTGCAAACTACAACCCAGCCCTGAAGTCCCGAGCCAGCATCACCAAGGACACCTCAAAGAGCCAAGTTTATCTGACGCTGAACAGCCTGACAGGCGAGGACACGGCCGTCTATTACTGTGCGAGA
配列番号6:VH6 IGHV1-41*01
L1: ATGGACTGGAGCTGGAGCATCCTCTTCTTGGTGGCAGTGGCTGCAG
L2: GTGTCTCCTCC
VH: GAGGTCCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAGGAAGCCAGGGGCATCCGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGAGACAGCTTCACTTATTACTCTATGAGCTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTCGACTGGATGGGAGGGATCTTGCCTATAGTTGATGATACAAGCTACACGCAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACCATGACTGCAGACAAGTCCACGAGCACAGTCTACATGGAGCTGAGCAGTCTGACATCCGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCAAAAGA
配列番号7:VH7 IGHV1-70*01
L1: ATGGGCTGGAGCTGGAGAATCCTCTTCTTGGTGGCAGTAGCTTCAG
L2: GTGTCTCCTCC
VH: GAGGGTCAGCTGGAACAGTCGGGGCCGGAGTTGAAGAAGCCTGGGTCATCAGTGAAGATCTCCTGCAAGGCTTCTGGATACACCTTCAGTAGCTATGCTGTGCACTGGGTGCGACAGGCCAATGGAAAAGGGATTGAGTGGATGGGATCTATCTATGCTGAATATGATGATACAAGCTACGCACCGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACCATGACTGCGGACAAGTCCACGAGCACAGTCTACATGGAGCTGAGCAGTCTGACATCTGAGGACATGGCCGTGTATTACTGTGCAACAGA
配列番号8:VH8 IGHV9-66*01
L1: ATGGCCCCTCTCCTGGTCATCTTCTGCCTGCTGGCTGCTCTCCACG
L2: GTGTCGAGGCT
VH: GAGGACCCTCTCGTGCAATGGGGAGGTGGAGTGGTGGTCTCCTCACAGACACTCAGCCTCACCTGTGCCGCCTACAAACGCAAAGTTTCAGAATATTCCCTGTGGTGGATTCGCCTTCTCCCAGGGAAGGGGTTGGAGTGCGTAGGTGTGATCTGGGCTAAGGGGGACACTCAGTGCAGCCCCCACCTGCAGTCTCGAGTCAGCATCTCCAGGGACGCCACCAAGAACCAAGTGTTCTTACAGCTGAGCAGTGTGATGCCTGAGGATTCAGGCGTGTATTACTGTGCTCAAGA
配列番号9:VH9 IGHV4-65*02
L1: ATGAGACTCTTGTGTCTTCTCCTTTTCCTGGTGACGGCTCCCCAAG
L2: GAGTCCTGTCC
VH: CAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGCAGCCCTCACAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCACTGGAGGCTCCATCACAAGCAGCTATTCTAGCTGGAGCTGGTTACGCCAGCCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTACATGGGGTACATATATTATGATGGTAGAACTTACTACAATCCTTCCTTCAAGAGCCGCACCTCCATCTCCAGAGACACCTCCAGGAACCAGTTCTCCCTGCAGCTGAGCTCCGTGACCACCGAGGACGCGGCCGTGTATTACTGTGCAAGAGA
配列番号10:VH10 IGHV2-63*01
L1: ATGGACACACTGTATCCCACCCTCCTGCTGCTGACCATCCCTTCCT
L2: GGGCTCTGTCC
VH: CAGATCAGCCTGCAGGAGTCTGGTCCTGGGCTGCTGAAGCCCACCCAGACCCTTACGCTGACCTGCTCCTTCTCTGGGTTCTCACTGACTACTTCTGATATTGGTGTTGGTTGGATGCGTCAACCCCCTGGGAAGGCACTGGAGTGGCTCACCTATGTTTGGTGGACTGATGAAAAGCATTACAACCCATCTCTGAAGAGCCGGCTCACAATCTCCAAGGACACCTCCAAAAACCAGGTGATGCTGACAATGACCAGTTTGGACCCTCCAGACACAGCCACATATTACTGTGTAAAGAGGG
配列番号11:VH11 IGHV4-59
L1: ATGAGGAGGCTGGGTCTTCTCCTTTTCCTGGTGACGGCTCCCCAAG
L2: GTGTCCTCTCC
VH: CAGGTGCAGCTGCAGGAGTCAGGACCAGGCCAGACGAATCCCTCACAGACCCTGTCCCTCACATGCACTGTCACTGGTTACTCCATCACCAGTGGTTATGGCTGGAACTGGATCCGCCAGCCACCAAACAAAGGGCTGGAGTGGATGGGGAGCATAAGCTATAGTGGTAGAACTAACTACAGCCCATCCCTCAGGAGCCGCATCACCATCTCCAGAGACACTTCCAAGAACCAGTTCTTGCTGCAGCTGAGCTCAGTAACCACTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGACAGA
配列番号12:VH12 IGHV4-55
L1: ATGAGGCTGTTGGGTCTTCTCCTTTGTCTTGTGACGGCTTACCAGG
L2: GTGTCCTGTCC
VH: CAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCCTCACAGACCCTCTCCCTCACCTGCACTGTCACTGGTTACTCCATCACCAGTGGTTACTACTGGAGCTGGATCCGTCAGCCCCCAGGAAAGAGGCTGGAGTGGATGGGCTCCATATATTATAGTGGTAGCACTTACTACAGCCCATCCCTCAAGAGCCGCATCACCATCTCCACAGACACGTCCCAGAACCAGTCCTCCCTGCAGCTGAGCTCCGTGACCACCAAGGACACAGCTGTGTATTACTGTGCCAGAGA
IGHD
配列番号13:DH1 IGHD3-1
GTATTATTCTCCTGGATAGAGTAATTACAAC
配列番号14:DH2 IGHD4-2
TTACTATGGCTGGGGTAAC
配列番号15:DH3 IGHD2-3
ATGATGACTATGGTGATACTTTCTACTATACA
配列番号16:DH4 IGHD3-4
GTATTACTCTTCTGCATATGATTGTATCAAC
配列番号17:DH5 IGHD4-5
TTACTACAACTATAACTAC
配列番号18:DH6 IGHD2-6
ATGGTTACTATAGTAGGAGTTGCTATACC
配列番号19:DH7 IGHD3-7
GGATTTACTGTTCTGGGTGCAGATGCTCGTTACAACCACAGCAA
配列番号20:DH8 IGHD4-8
TAACTACAGATATAGCTCC
配列番号21:DH9 IGHD2-9
ATGGTTACTATGCTAGTGGTTATGACTACA
配列番号22:DH10 IGHD3-10
GTATTACTCTTCTGCATATGCTTGTATCAAC
配列番号23:DH11 IGHD4-11
TAACTACGGTTATGGTTATGCTAC
配列番号24:DH12 IGHD2-12
ACTATAGTTATGGTAGTTACTATGCC
配列番号25:DH13 IGHD3-13
GTATGACTGTACTGGTCATGGATGTGTCTACATC
配列番号26:DH14 IGHD4-14
TAACTACTATGGTAGCAAC
配列番号27:DH15 IGHD2-15
ATGGTTACTATGGTAGTTACTACAGTAGTTACTATGCC
配列番号28:DH16 IGHD3-16
GTATTACTATTCTGGATATAATTATTACAAC
配列番号29:DH17 IGHD4-17
GCCACTGATATAGCTCC
配列番号30:DH18 IGHD2-18
ATGGTTACTATGCTGGTAGTTACTATGCC
配列番号31:DH19 IGHD3-19
GTGTGAATGTCCTGGGCATGGATGTTATTACGAC
配列番号32:DH20 IGHD4-20
TTCCTACCGATATAGCTCC
配列番号33:DH21 IGHD2-21
ACGGTTCCTATGCTGGTAGTTACTTATACTACA
配列番号34:DH22 IGHD3-22
GTATTACTATTCTGCATATGATTATTACAAC
配列番号35:DH23 IGHD2-23
ATGATTACTATGGTATTAGTGACTCCTACA
配列番号36:DH24 IGHD2-24
GTATTACTCTTTTGAATATGGTTATAACAAC
配列番号37:DH25 IGHD4-25
CTGCTATAGCAGCTATGCTTACTAC
配列番号38:DH26 IGHD2-26
ACTATGGTTATGGTGGTGCTTACTACTACA
配列番号39:DH27 IGHD3-27
GTATTACTATTCTGCATTTCGTTATTACAAC
配列番号40:DH28 IGHD4-28
CTGCTATAGCAGCTATGCTTACTAC
配列番号41:DH29 IGHD2-29
ACAGTTACTATGGTGGTAGTTCCTGGTACTCC
配列番号42:DH30 IGHD3-30
GTATTACTATTCTGGACATGATTATTACAACCTCAGCGT
配列番号43:DH31 IGHD4-31
TTACGATGACGGATACTACAAC
配列番号44:DH32 IGHD1-32
GGTCCTGGGTACAGCTCC
配列番号45:DH33 IGHD7-33
AGATACTCCAGTGCTGGTTAC
配列番号46:DH34 IGHD6-34
CTACGGTAGCGGTTGGCC
配列番号47:DH35 IGHD4-35
TAACTATGGCTCCTATAATTACTAC
配列番号48:DH36 IGHD2-36
ATGATTATTATGGTGCTATTGACTACATAAC
配列番号49:DH37 IGHD3-37
TATGACAATTCTGTATATAGCTCTGACTACAGCAT
配列番号50:DH38 IGHD4-38
GGAGAAGAGTTGGAGTAAC
配列番号51:DH39 IGHD2-39
ACAGTTACTGGAGTAGTAGTTACTATGCC
配列番号52:DH40 IGHD3-40
GAATAACTATGCTACATATGATTATATCAAC
配列番号53:DH41 IGHD4-41
AACTGCTATGGTAACAAC
配列番号54:DH42 IGHD1-42
GGTACTTGGGTACAGCTCC
配列番号55:DH41 IGHD7-43
AGATACTCCAGTGTTGGTTAC
配列番号56:DH41 IGHD6-44
ATACGGTAGTGGTTGGCC
IGHJ
配列番号57:JH1 IGHJ1
CTTATGCTTACTTGCAGCACTGGGGCCACGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAG
配列番号58:JH2 IGHJ2
GTCCTGGCACCTCGAGCACTGGGACCACGGCATCCTGGTCACCGTCTCCTCAG
配列番号59:JH3 IGHJ3
GTTATGGCTACGTGGATCACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAG
配列番号60:JH4 IGHJ4
ACTATTTTGGCTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAG
配列番号61:JH5 IGHJ5
ACAACGAGTTGGATTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAG
配列番号62:JH6 IGHJ6
ATTATTATGGTATAAACTACTGGGGCCAGGGCATCCTGGTCACCGTCTCCTCAG
配列番号63:JH7 IGHJ6-2
ATTATTATAATGCTATGGACCCCTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAG
配列番号64:JH8 IGHJ6-3*
ATTATTATGATATAGACTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAG
配列番号65:JH9 IGHJ6-4*
ATTATTATGATATAGACTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAG
*JH8およびJH9は別の遺伝子セグメントであるが、同一配列を有する。
IGKV
配列番号66:IGKV2-48*01
L1: ATGAGGTTCTCTGCTCAGCTCCTGGGGTTGCTAATACTCTGGGTCCCAG
L2: GATCCACTGGG
VK: gacacagttttgacccagaccccactctctctgtctgtcatccctggagagtcggcctcc
atctcttgcaagtctagtcagagcctcctacatggtaatggaaacacctatttgcattgg
tacctgcagaagccaggccagtctcttcagcgcctgatctctatggtttccaatcgggca
tctggggtcccagacaggttcagtggcagcgggtctgggacagatttcacccttataatc
agcaagttggaagctgaggatgttggagtttattactgcatgcaagctacacaaagtccc
cc
配列番号67:IGKV2-46*01
L1: ATGAAATTCGCTAGTCAGCTCCTGGGGCTACTGATGCTCTGGATCCCAG
L2: GATCCAGTGCG
VK: gatgttgtgttgacccagactccactctccctgtctgtcgtccctggagagccggcctcc
atctcctgcaagtctagtcagagcctcaaatatagtgatgggaaaacctatttgtattgg
ttcctacagaagccaggccagtctccaaagctcctgatctatttggtttccacccggtac
tctggggtctcagacaggttcagtggcagcggatcagaagcagatttcaccctgaaaatc
agcagagtggagcctgaggatgttggagtctattactgctttcaagctctatatgcttct
cc
配列番号68:IGKV2-45*01
L1: ATGAGGCTCCCTGCTCAGCTCCTGGGGCTGCTGATGCTCTGGATCACAG
L2: GATCCAGTGGG
VK: GATGTTGTGATGACCCAGACTCCACTCTCCCTGTCTGTCGTCCCTGGAGAGCCGGCCTCCATCTCCTGCAAGTCTAGTCAGAGCCTCAAACATAGTGATGGAAAAACCTATTTGTATTGGTTCCTACAGAAGCCAGGCCAGTCTCCAAAGTGCTTGATCTATTTGGTTTCCACCCGGGTCTCTGGAGTCTCAGACAGGTTCAGTGGGAGCGGGTCAGAAACAGATTTCACCCTGAAAATCAGCAGAGGGGAGCCTGAGGACGTTGGAGTCTATTACTGTGTGCAAGCTCTATATGCTTCTCC
配列番号69:IGKV5-43*01
L1: ATGGGCTCCCAGGCTCAGCTCCTCAGCTTCCTGCTCCTCTGGATTTTTG
L2: ATACCAGGGCA
VK: GAAATAACAGTCACACAGTCTCCGGAATCCATGTTAGTGATTCCAGGAGACAAAGTCATCATCACCTGCAAAGCCAGCCAAGACATTGGTGATGATGTGAACTGGTATCAATGGAAACCAGGAGAAGCTCCTAAGCTCATTATTAAAGAAGCTACTACTCTCTGGTCTGGGGTTCCCTCTCGGTTCAGTGGCACTGTGCATGGAGTAGATTTTACCCTGACAATTGAGGACGTAAAATCTGAGGATGCTGCATATTATTTCTGTCTACAACATGATCGTATACCTCT
配列番号70:IGKV2-39*01
L1: ATGAGGCTCCCTGCTCAGCTCCTGGGGCTGCTGATGCTCTGGATCCCAG
L2: GATCCAGTGGG
VK: GATGTTGTGATGACCCAGACTCCACTCTCCCTGCCTGTCGTCCCTGGAGAGCCGGCCTCCATCTCCTGCAAGTCTAGTCAGAGCCTGCTGGATAGTGATGGAAAAACCTATTTGTATTGGTACCTGCAGAAGCCGGGCCAGTCTCCAAAGCTCCTGATCTATTCAGTTTCCAACCGGGACTCTGGGATCTCAGACAGGTTCAGTGGCAGCGGGTCAGGAACAGATTTCACCCTGAAAATCAGCAGAGTGGAGCCTGAGGATGTTGAAGTCTATTACTGTGTGCAAGCTACACATGCTCCTCC
配列番号71:IGKV1-36*01
L1: ATGAGGGTCCCTGCTCAGCTCCTCAGCCTTCTGCTGCTCTGGCTCCCAG
L2: GTGCCAGGTGT
VK: GAGATCCAGATGACCCAGTCTCCAGCCTCCCTGTCTGCATCTCTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCAGGCCACTCAGGGCATTAACACTTGGTTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCTCTTAAGTTCCTGATCAGTAAGGCAACCATTTTGCACACTGGCGTCTCTTCGAGGTTCAGTGGCAGTGGAACTTGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGGAGCCTGAAGATGCTGCAACTTATTACTGTCAGCAGTATAAGAGCAGCCCTCC
配列番号72:IGKV2-33*01
L1: ATGAAATTCCTTGCTCAGCTCCTGGGGCTGCTAATGCTCTGGATCCCAG
L2: GATCCAGTGGA
VK: GATATTGTGATGACCCAGACTCCACTCTCCCTGCCTGTCGTCCCTGGAGAGCTGGCCTCCAACTCATGCAGGTTTAGTCAGAGCCTCCTACATAGTAATGGAAACACCTATTTGCACTGGTTCCTGCAGAAGCCAGGCCAATCTCCAAGGCGTCTGACCTATAGGGTGTCCAACCGGAACTCTGGGGTCCCAGACAGGTTCATTGGCAGCGGGTCAGGGACAGATTTTACACTTAAAATCAGCAAGGTGGAGGCTGAAGATGGTGGAGTTTATTATTGCTCCCAAGGTACACAAAGTCCCCC
配列番号73:IGKV2-28*01
L1: ATGAGGTTCCCTGCTCAGCTCCTGGGGCTACTAATGCTCTGGATCCCAG
L2: GATCCAGTGGA
VK: GATATTGTGATGACCCAGACTCCCCTCTGCTTGGCCGTCACCTTGGGAGAGCCAGTTTCCATCTCCTGCAGGTCTAGTCAGAGCCTCCTCCGTAGTGATGACTACACCTATTTGGATTGGTACCTGCAGAAACCAGGCCAGTCTCCACGGCTGCTGATCTATGAGGTTTCCAAGCTGGTCTCTGGAGTCTCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCAGGGACAGATTTCACCCTTCAAATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATGTTGGAGTTTATTACTGCATGCAAGGTTCACAAAGACCTCC
配列番号74:IGKV4-18*01 (RC)
L1: ATGATGTCACTGACAAAGGTGTTTATGTCTTTGTTGCTCTGGGTCTCAA
L2: CTGCCTGTGGG
VK: GACATCGTGATGACCCAGTCTCCAGGCTCCTTGGCAGTGTCTCCAGGACAGAGGGTCACCATTAGCTGCAAGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAACTACTTAGACTGGTACCAGCAAAAACCAGGAGAGGCTCCTATGCTGCTTATCTATGCGGCATCCAGCAGAGCATCTGGGGTCCCCGACAGATTCAGTGGCGGTGGATCTGGGACAGATTTCGCTCTCACCATCAGCAGCCTCCAGGCTGAAGATGTGGCAGTTTTCACTGTCAGCAGCATTATACTAATCCTCCC
配列番号75:IGKV4-12*01 (RC)
L1: ATGATGTGGGAGACACAGGTCCTTATGTCCTTATTGCTCGGGGTCTCAG
L2: GTACCTTGGGG
VK: GACATCATGATGACCCAGTCTCCAGACTCCTTGGCAGTGTCTCTAGGAGAGAGGGTCGACATGAAGTGCACGGCCAGTCAGAGTGTTTACCACTACTTAGCCTGGTACCAGCAAAAACCAGGACAGGCTCCTAAGCCCCTCATCTACTCAGCATCTACCAGACCATCTGGGATCCCTGACCGATTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAACTTCCAAGCTGAAGATGCGGCAGTTTATTGCTGTGAGCAGTATTATGGTAATCCTCC
配列番号76:IGKV4-9-1*01 (RC)
L1: ATGATGTCACAGACACAGGTCCTCTTGTCGGTGTTTCTCTGGGTCTCAG
L2: GTGCCTGTGGG
VK: GACCTCGTGATGACGCAGTCTCCAGGCTCCTTGGCAGCGTCTCTAGGACAGAGAGTCGAGATGAAGTGCAAGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCTACTTAGACTGGTACCAGCAGAAACCAGGACAGGCTCCTAAGCAGCTCATCTATGCTGCATCCAGCAGAGCGTCTGGGGTCCCCGACCGATTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTATCACCATCAGCAGCCTCCAGGCTGAAGATCTGGCCATTTATTACTGTCAGCAGTATAATAGTGCTCCTCC
配列番号77:IGKV4-9*01 (RC)
L1: ATGATGTCACAGACACAGGTCCTCTTGTCGGTGTTTCTCTGGGTCTCAG
L2: GTGCCTGTGGG
VK: GACCTCGTGATGACGCAGTCTCCAGGCTCCTTGGCAGCGTCTCTAGGACAGAGAGTCGAGATGAAGTGCAAGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCTACTTAGACTGGTACCAGCAGAAACCAGGACAGGCTCCTAAGCAGCTCATCTATGCTGCATCCAGCAGAGCGTCTGGGGTCCCCGACCGATTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTATCACCATCAGCAGCCTCCAGGCTGAAGATCTGGCCATTTATTACTGTCAGCAGTATAATAGTGCTCCTCC
配列番号78:IGKV4-8*01 (RC)
L1: ATGATGTTGCAGACACAGGTCCTTATAACCTTGTTGCTCTGGGTCTCAG
L2: GTGCCTGTGGG
VK: GACATCGTGATGACCCAGTCTCCAGACTCCTTGTCTGTGTCTGCAGGACAAAGGGTCGACATGAAGTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAATGAGTTATCCTGGTACCAGCAAAAACCAGGACAGGCTCCTAAGCTGCTGATCTATGCAGCATCCAACAGAGCATCTGTGGTCCCTGACCGATTCAGTGGCGGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGTAGCCTCCAGGCTGAAGATGTGGCCGTTTATTACTGTCTGCAGCATTATAATAATCCTCC
配列番号79:IGKV4-5-1*01 (RC)
L1: ATGATGTCGCTGACAAAGGTCCTTATATCTGTGTTGCTCTGGGTCTCAG
L2: GTGCCTGTGGG
VK: GACATCGTGTTGACCCAGTCTCCAGAGTCCTTGGCAGTGTCTCTAGGACAGAGGGTCGAGATGAAGTGCAAGGCCAGTCAGAGTGCTAGCAGCAACTTGGACTGGCACCAGCACAAACCAGGACAGGCTCCTAAGCAGCTCATCTACAGAGCATCCAGCAGAGCGTCTGGGGTCCCTGACCGATTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTCCAGGCTGAAGATGTGGCCGTTTATTACTGTCAGCAGTATAATAGTGCTCCTCC
配列番号80:IGKV5-5*01 (RC)
L1: ATGATGTCATGGACTCAGATCCTTATGTCCTTGTTGCTCTGGGTCTCAG
L2: GTGCCTGTGGG
VK: GACATCGTGATGACCCAGTCTCCAGACTCCTTGGCAGTGTCTCTAGGACAGAGAGTCGAGATGAAGTGCAAGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAACTACTTAGACTGGTACCAGCAAAAACCAGTAAAGGCTCCTAAGCTGCTCATCTATGCAGCATCCAGCAGAGCATCTGGGGTCCCCGACCGATTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTCCAGGCTGAAGATGTGGCAGTTTACTCCTGTCAGCAGCGTTATAGTTCTCCTCC
配列番号81:IGKV4-2*01 (RC)
L1: ATGATGTCGCTGACACAGTTCCTTATATCTGTGTTGCTCTGGGTCTCAG
L2: GTGCCTGTGGG
VK: GACATCGTGATGACGCAGTCTCCAGACTCCTTGGCAGTGTCTCTAGGACAGAGAGTCGAGATGAAGTGCAAGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAGCTTGGACTGGCACCAGCACAAACCAGGACAGGCTCCTAAGCTGCTCATCTACAGAGCATCCAGCAGAGCGTCTGGGGTCCCTGACCGATTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTCCAGGTTGAAGATGTGGCAGTTTATTACTGTATGCAGTCTAATACTGCTCCTCC
配列番号82:IGKV4-1*01 (RC)
L1: ATGCTGACGCAGACGCAGGTCCTTATATCTGTGTTGCTCTGGGTCTCAG
L2: GAGCCTGTGGG
VK: GACGTCATGATGACCCAGTCTCCAGACTCCTTGGCAGCGTCTCTAGGACAGAGAGTCGAGATGAAGTGCAAGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCTACTTAGCTTGGTACCAGCACAAACCAGGACAGGCTCCTAAGCGGCTCATCTATGCTGCATCCAGCAGAGCATCTGGGGTCCCTGACCGATTCAGTGGCAGTGGATCTGGGATGGATTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTCCAGGCTGAAGATGTGGCCATTTATTACTGTATGCAGCATTATAATAATCCTCC
IGKJ
配列番号83:IGKJ1*01
GTGGACGTTCGGTGCCGGGACCAAGCTGGAAATCAAAC
配列番号84:IGKJ2*01
TATACACGTTTGGCCAAGGGACCAAGCTGGAGATCAAAA
配列番号85:IGKJ3*01
GTTCACTTTCGGCCAAGGGACCAAACTGGAGATCAAAC
配列番号86:IGKJ4*01
GCTTACGTTCGGCCAGGGGACCAAGCTGGAGATCAAAC
注:ウマラムダ遺伝子座の配列はなお不完全である。下記配列は、完全ウマIGLVおよびIGLJレパートリーを必ずしも記載していない。
IGLV
配列番号87:IGLV28 (RC)
L1: ATGGCCTGGTCCCCGCTCCTCCTCACCCTCATCGCTCTCTGCACAG
VL:
TATCCTGGGCCCAGTCTGTGCTGACTCAGCCGGCCTCAGTGTCTGGGAACCTGGGCCAGAGGGTCACCATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACACCAGGGATAATTATGTGAACTGGTACCAGCAGCTCCCAGGAACCGCCCCCAAACTCATCATCTATGAAAATAGCAAAAGACCCTCCGGGACCCCAGATCGAATCTCTGGCTCCAAGTCTGGAAACCCGGCCTCCCTGACCATCACTGGGCTCCAGGCTGAGGATGAGGCTGATTATTACTGCCAGTCCTATGATGACAACCTGAATGCTCG
配列番号88:IGLV27
L1: ATGGCCTGGTCCCCTCTCCTCCTCACCCTCATCGCTCTCTGCACAG
VL: TCACTACTATCACTGCTGTAATAGGAACCACAGTAATAATCGGCCTCGTCCTCAGCCTGAAGCCCAGAGATGGTCAGGGTGGCTGTGTTGCCAGACTTGGAGCCAGAGAATCGATCTGGGACCCCTGAGGCTCGTTTGTTATTACCATAGATGAGGGTTTTGGGGGCTGTTCCTGGGATCTGTTGGTACCAGCCCACAGCACTATAACTATACCCGATGTTGGAGCTGCTTCCAGAGCAGGAGATGGTGACTGTCTGGCCCAGGGTCCCAGACACTGAGGCGGGCTGGGTCAGAGACTGGGCCCAGGATC
配列番号89:IGLV26
L1: ATGGCCTGGTCCCCTCTCCTCCTCACCCTCATCGCTCTCTGCACAG
VL: GATCCTGGGCCCAGTCTCTGACTCAGCCCGCCTCAGTGTCTGGGACCCTGGGCCAGACAGTCACCATCTCCTGCTCTGGAAGCAGCTCCAACATCGGGTATAGTTATAGTGCTGTGGGCTGGTACCAACAGATCCCAGGAACAGCCCCCAAAACCCTCATCTATGGTAATAACAAACGAGCCTCAGGGGTCCCAGATCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACAGCCACCCTGACCATCTCTGGGCTTCAGGCTGAGGACGAGGCCGATTATTACTGTGGTTCCTATTACAGCAGTGATAGTAGTGA
配列番号90:IGLV25
L1: ATGGCCTGGTGCCCTCTCCTCCTCACCCTCATCGCTCTCTGCACAG
VL: GATCCTGGGCCCAGTCTGTGACTCAGCCCGCCTCAGTGTCTGGGACCCTGGGCCAGACAGTCACCATCACCTGCACTGGAAGCAGCTCCAACATAGTTGCTTATGTGGGCTGGTACCAACAGATCCCAGGAACAGCCCCCAAAACCCTCATCTACGCTAATAACAAACGAGCCTCAGGGGTCCCAGATCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAGCACAGCCACCCTGACCATCACTGGGCTCCAGGCTGAGGACGAGGCCGATTATTACTGTGGTACCTCTAGCAGCAGTGGTAGTAGTGA
配列番号91:IGLV24
L1: ATGTCCTGTACTCCTCTCCTCCTCGTGCTCCTCTCTCACTGCACAG
VL: GTTCCCTCTCCCAGCCTGTGCTGACCCAGCCTCCCTTCTTCTCTGCATCTCCTGGAGCATCAGCCAGACTCACCTGCACCCTGAGCAGTGACATCAGTGTTGACAGCTCTCTCATATTCTGGTGCCAGCAGAAGCCAGGGAGCCCTCCCCGGTATCTCCTGAGTTTCTACTCAGACTCAGTTAAGCACCAGGGCTCCGGGGTCCCCAGCCGCTTCTCTGGATCCAGAGACACCTCGGCCAATGCAGGGCTTCTGCTCATCTCTGGGCTCAAGGCTGAGGACGAGGCTGACTATTACTGTGCTACAGCTGATAGCAGTGGGAGCAGCTCTGGTTACT
配列番号92:IGLV23
L1: ATGGCCTGGTCCCCTCTCCTCCTCACCCTCATCGCTCTCTGCACAG
VL: GATCCCGGGCCCAGTCTGTGACGCAGCCCGCCTCAGTGTCTGGGACCCTGGGCCAGACAGTCACCATCTCCTGCTCTGGAAGCAGCTCCAACATCGGGAGTGGTCATGTGTCCTGGTACCAACAGATCCCAGGAACAGCCCCCAAACGCCTCATCTATTCTTCCGCTAGCAGGGCTTCCAGGGTCCCCGACCGATTCTCTGGCTCCAGGTCTGGCAACACAGCCACCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGGGTGAGGACGAGGCCGATTATTACTGTGGTACATTGTACAGCAGTTGGAGTAGTGA
配列番号93:IGLV22
L1: ATGGCCTGGTCCCCTCTCCTCCTCACCCTCATCGCTCTCTGCACAG
VL: GATCCTGGGCCCAGTCTCTGACTCAGCCCGCCTCAGTGTCTGGGACCCTGGGCCAGACAGTCACCATCTCCTGCTCTGGAAGCAGCTCCAGCATAGGTTCTTATATGGGCTGGTACCAACAGATCCCAGGGACAGCCCCCAAAACCCTCATCTATGCTACTAACAAACGAGCCTCAGGGGTCCCAGATCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACAGCCACCCTGACCATCTCTGGGCTTCAGGCTGAGGACGAGGCCGATTATTACTGTGGTTCCTATTACAGCAGTGATAGTAGTGA
配列番号94:IGLV21
L1: ATGGCCTGGACAGTGCTTCTTCTCTGGCTCCTCACTTACAGCTCAG
VL: GGGCAGATTCTCAGGCTGTGGTGATCCAGGACCCATCATTCTCTGTGTCCCTAGGGGGGACGGTCATACTGACCTGTGGCCTTAGAACTGGGTCAGTCTCTACCAGTAACTATCCTAGATGGTACCAGCAGACACCAGGCAAGGCTCCCCGTACACTCACCTACAGCACAAACAACCGCCCCTCTGGGATCCCTGAACGCTTCTCTGGATCCATCTCAGGAAACAAAGCCGCCCTCACCATCACGGGGGCCCAGCCCGAGGACGAGGCCGACTATTACTGTGATCTGTATGTGGATCGTGGTGTTTC
配列番号95:IGLV20 (RC)
L1: ATGGCCTGGATGGTGCTTCTTCTCGGGCTCCTTTCTTACAGCTCAG
VL: GGGCGGATTCTCAGTCTGTGGTGACCCAGGAGCCATCACTCTCAGTGTCTTCAGGAGGGACAGTCACACTCACCTGTGGCCTTAACTCTGGGTCAGTCTCTTCCAGTAACCACCCCAGCTGGCACCAGCAAACCCCAGGCCAGGCTCCCCGCACACTTATCTACTACACAAACACCCGTGCCTCTGGAGTCCCTAATCTCTTCTCTGGATCCATCTCCGGGAACAGAGCCACCCTCACCATCACGGGGGCCCAGCGTGAGGACGAGGCCGACTATTACTGCGCTCTGTATACGGGTAGTTACACTGA
配列番号96:IGLV19 (RC)
L1: ATGGCCTGGTCCCCTCTCCTCCTCACCCTCATCGCTCTCTGCACAG
VL: GATCCTGGGCCCAGTCTGTGACTCAGCCCGCCTCAGTGTCTGGGACCCTGGGCCAGACAGTCACCATCTCCTGCACTGGAAGCATCTCCAACATAGGTGTTTATGTGGACTGGTACCAACAGATCCCAGGAACAGCCCCCAAAACCATCATCTATGCTACTAACAAACAACCCTCAGGGGTCCCAGATCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACAGCCACCCTGACCATCACTGGGCTCCAGGCTGAGGACGAGGCTGATTATTACTGTGGTATCTATGACAGCAGCCTGAGTAGTGA
IGLJ
注:IGVL遺伝子セグメントはウマIGLJ遺伝子セグメントおよびIGLC遺伝子の上流および下流両方に存在する(示していない)。
配列番号97:IGLJ7
J7: TGCGATGGTCAGGTGGGTGCCTCCGCCGAATGCACCA
配列番号98:IGLJ6
J6: TGCGATGGTCAGGTGGGTGCCTCCGCCGAATGCACCA
配列番号99:IGLJ5
J5: TGCGATGGTCAGGTGGGTGCCTCCGCCGAATGCACCA
配列番号100:IGLJ4
J4: GCGATGGGTCAGGTGGGTGCCTCCGCCGAATACAGCACA
配列番号101:IGLJ3
J3: AGGACTATCAGCTGGGTCCCTCAGCTGAGCACAGGA
配列番号102:IGLJ2
J2: CTAGGACGGTCAGATGGGTACCTCCAGTGAACTATGAA
配列番号103:IGLJ1
J1: CTAGGACGGTCAGATGGGTACCTCCAGTGAACTATGAA
配列番号104:IGLV2 (RC)
L1: ATGGCCTGGACCCCTCTCCTGCTCCTCCTCCTCACTCTCTGCACAG (RC)
VL: GCTCTGTGGCTTCTTCTATGCTGACTCAGCCACTTACCTTGTCCGTGGCCTTTGGAAGCACAGTCACTATCACATGCCAGGGAGAGCTCCTAGACAGTTATTATGCTGAGTGGTACCAGCAGAAGCCAGACCAGGCTCCCGTGCTGGTCATATATTATGGAAGCAAACGTCCTTCGGGGATTTCTACCCGATTCTCTGGCTCCTACTCAAGCAAGATGGCCACCCTGACCCTCAGTGGGGCCTTGGCCGAGGATGAGGCTGACTATTACTGTCAGGTGTGGGACAGCAGTGGTAACCAGCC
配列番号105:IGLV3 (RC)
L1: ATGGCCTGGACCCTTCTCCTGCTTCCCCTCCTCACTCTCTGCACAG
VL: GTTCTGTGACCACCTATGACTTGACGCAACCACACTCAACTTCGGTGGCCCTAGGACAGACAGCGACAATCACCTGCTCTGGAGATAATCTCGAGGATGAATATGCTTACTGGTACCAGCAGAAGACAGGCCAGTCCCCTGCCCTGGTCATTTATAAGGATAGTGAGCACCCCTCAGGGATCCCTGACCGGTTCTCTGGCTCAAACTCAGGAAACACAGCCACGCTGACCATCAGAGGGGCCAAGACAGAGGACAAGGCTGACTATTACTGCCAATCGTGGAGCAGTGCTAATGCT
配列番号106:IGLV4 (RC)
L1: ATGGCCTGGACCCCTCTCTTGTTTGCCTTCCTCACTCTCTGCACAG
VL: GTCCTGTAGTCTCTTCTGAGGTGACTCAGCCAACTGCGGTGTCCGTGGCCTTGGGACAGACAGCCTCCATCACCTGCCAGGGAAGCGACTTTGAAAATTATTATGCTAGCTGGTACCAGCAGAAGCCAGGCCAGGCCCCAGTGCTGGTCATCAATGCTAATAATGAGCGGCCCTCAGGGATCCCTGAACGATTCTCTGGGTCCAGTTCAGGAGAGACAGCTACGCTGACCATCAGTGGAGCCCACGCTGAGGACGAGGCCGACTATTACTGTCTGGCAACAGATGCTTATGTTGCTGAAGCT
配列番号107:IGLV5 (RC)
L1: CTGTGCAGAGAGTGAGGAAGGCTAACAAGAGAGGGGTCCAGGCCAT
VL: AGCTTCATAATCAGAAGCATCTGCTGCCAGACAGTAATAGTCAGCCTCGTCCTCAGCCTGGGCCCCGCTGATGGTCAGCGTGGCTGTGTCTCCTGAGCTGGAGCCAGAGAATCGTTCAGGGATCCCTGAGGGCCGCTCATTACTAGCATCGATGACCAGCACAGGGGCCTGGCCTGGCTTCTGCTGGTACCAGCTACCAACAAAACTTTCAAAGTCGCCTCCCTTGCAGGTGATGGTGGCCGTCTGTCCCAAGGCCACAGACACTGAAGATGGCTGAGTCAGCTTAGAAGAGGCCACGGGAC
配列番号108:IGLV6 (RC)
L1: ATGGCCTGGACCCCTCTCTTGTTAGCCTTCCTCACTCTCTGCACAG
VL: GTCCTATGGCCTCTTCGGAGGTGACTCAGCCATCTGCGGTGTCTGTGGCCTTGGGACAGACAGCCACCCTCACCTGCCAGGGAGACTACTATGAAAGATATATTGTCAACTGGTACCAGCAGAAGCCAGGCCAGGCACCTGTGCTGGTCATCTATGCTAATAGTGAGCGGCCCTCAGGAATCCCTGAACGATTCTCTGGCTCCAGCTCATTAGGCACATCCACGCTGACCATCAGCGGGGCCCAGGCTGAGGATGAGGCTGACTATTACTGTCAGCCAGCAGATGCTCATCGTTCTGAATCTGTCCTATGGCCTCTTCGGAGGTGACTCAGCCATCTGCGGTGTCTGTGGCCTTGGGACAGACAGCCACCCTCACCTGCCAGGGAGACTACTATGAAAGATATATTGTCAACTGGTACCAGCAGAAGCCAGGCCAGGCACCTGTGCTGGTCATCTATGCTAATAGTGAGCGGCCCTCAGGAATCCCTGAACGATTCTCTGGCTCCAGCTCATTAGGCACATCCACGCTGACCATCAGCGGGGCCCAGGCTGAGGATGAGGCTGACTATTACTGTCAGCCAGCAGATGCTCATCGTTCTGAATCT
配列番号109:IGLV7 (RC)
L1: ATGGCCTGGACCCCTCTCTTGTTAGCCTTCCTCTCTCTCTGCACAG
VL: GTCCTGTTGTCTCTTCTGCAGTGACTCAGCCATCTGAGGTGTCCGTGGCCTTGGGACAGAGAGCCACCCTCACCTGCCAGGGAAGCAACTTTGAATTTTTTTCTCCTAGCTGGTACCAGCAGAAGCCAGGCCAGGCCCCTGTACTGCTCATCAATATTAATAATGAGCGCCACTCAGGGATCCCTGAACGATTCTCCGGCTCCAGCTCAGGAGACACGTCCACACTGACCATCAGTGGGGCCCAGGCTGAGGACGAGGCTGACTATTACTGTCTGGCAGTAGATGCTCTTAGTTCTGAAACT
配列番号110:IGLV8 (RC)
L1: ATGGCCTGGACACTTCTCCTTCTCCCTCTCCTCACTCTCTGCACAG
VL: GTTCTGTGGCCCCTTCTGAGCTGACTCAGTTAACTGTGGTGTCTGTGGCCTTGGCACAGACAGCCAGGGTCACCTGCCAGGGAGAGAGACCAAAAAGTGTCTATGCTGGCTGGTACCAGCAGAAGCCAGGCCAGGCCCCTGTATGGGTCATCTATAGTAAAAACAATTGGACCACAGGCACACCTGAACAATTCTCTGCCTCTGACTCAGGGGACACAGCCACCCTGACCATCAGTGGGGTCCAGGTTGAGGGCGAGACTGACTATTACTGTGGGGTAAGTGTTGGAAGTGGGAGCAGCTGGCAGTCACT
配列番号111:IGLV9 (RC)
L1: ATGGCCTGGACCCCTCTCCTGCTCCCTCTCCTCACTCTCTGCACAG
VL: GTTCTGTGTCCTCTTCTGAGCTTACTCAGTCTACTGCAGTGTCATTTTCCTTGGGACAGACAGCCACCATCACCTGCCAGGGAGAAACCCTAAGAAGCCACTATGCTAGCTGGTACCAGAAGAATCCAGGACAGGCCCCTGTATTGGTAATATATGGTAATAACAACCGGCCCTCAGGGATCCCTGCCCGATTTTCCAGCTCCTACTCAGAGGACACAGGCACCCTGACCATCAGTGGGGTCCAGATAGAGGATGAGGCTGACTATTACTGCCAATCATTGGGCAGTGATTATGCT
配列番号112:IGLV10 (RC)
L1: ATGGCCTGGGCTCTGTTCCTCATCACCCTCCTCACTCAGGGCACAG
VL: GGTCCTGGGGCCAGTCTGCCCTGGTTCAGCCTTCTTCGGTGTCCGTGGCTCTAGGACAGTCGGTCACCATCTCCTGTGCTGGAAGCAGCAGTGACATTGGGTATTATAACTCTATTTCCTGGTACCAACAGCACCCAGGCACAACCCCAAAGCTGCTGATTTACTATACCAATAAGAAGCACTCAGGGATCCCTGATCGCTTCTCTGGCTCCAAGTCTGGGAACACGGCCTCCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGGCTGAGGATGAGGCTGAGTATTACTGTTGCTCATATGCAGGCAGTGGCAATTTA
配列番号113:IGLV11 (RC)
L1: ATGGCCTGGACTCTGCTCCTTCTCACCCTCCTCACTCAGGGTACAG
VL: GGTCCTGGGCCCAGTCTGCCCTGACTCAGCCTGCGTCAGTGTCCGGGGCTCTAGGACAGTCGGTCACCATCACCTGTGCTGGAAGCAGCAGTGACATTGGGGGTTATAATGCTGTCAGCTGGTTACAACAGCACCCGGGCACAGCCCCCAAAGTTCTGATTTATAGTGTGAATACTCGGGCCTCAGGGATCCCTGATCGCTTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACGGCCTCCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGGTTGAGGACGAGGCTGATTATTACTGTTACTCGCTTGTGAGTGGTTACACTTTC
配列番号114:IGLV12 (RC)
L1: ATGGCCTGGGCTCTGCTCCTCATCAGCCTCTTCACTCAGGGCACAG
VL: GGTCCTGGGCGCAGTCTGCCCTGACTCAGCCTGCGTCAGTGTCCGGGACTCTGGGACAGTCGGTCACCATCTCCTGTGCTGGAAGCAGCAGCAACATTGGGAGTTATAACTATGTTTCCTGGTACCAACAGCACCCGGGCACAGCCCCCAAACTCCTCATTTATAGTGCCAGTTCTCGAGCCTCAGGGATCCCTGATCGCTTCTCTGGCTCCAAGTCTGGGAACACGGCCTCTCTGACCATCTCGGGGCTCCAGGCTGAGGACGAGGCCGATTATTACTGTAGCTCATATATCAATGCTGATCCTTATC
配列番号115:IGLV13 (RC)
L1: ATGGCCTGGGCTCTGCTCCTCATCACCCTCCTCACTCAGGGCACAG
VL: GTAATTGTAACTGCCAACATACGCGTGACAGTAATAATCAGCCTCGTCCTCAGCCTGGAGCCCAGAGATGGTCAGGGACATCGTGTTGCCAGACGTGGAGCCGGAGAAGCGATCAGGGATCCCTGAGGCCCGATTATTCCCATTATAAATGAGGAGTTTGGGGGCTGTGCCTGGGTGCTGTTGGTACCAGGAAATATATTTATAAGATCCCGTGCTTCCAGCACAGGTGATGGTGACCGACTGTCCCAGAGTCCCGGAGACTGACGCAGGCTGAGTCAGGGCAGACTGCGCCCAGGACC
配列番号116:IGLV14 (RC)
L1: ATGGCCTGGGTGCCACTCCTGCTCACACTTCTGGCTCACTGCACAG
VL: GGTCCACTTCACAGGATGTGGTGATTCAGGAATCTTCACTGATCACAACTCCTGGGGGAACAGTCACACTCACCTGTGGCTCAAGTGCTGGGGCTGTCACCTCCAATAATTATGCCAACTGGGTCCAAGAGAAGCCCTATCAGGGACGCCAGGGTCTAATAGGTGGTACTAGCAACAGGGTCTCAGGGGGTCCCTGCCCGATTCTCTGGCTCCCTGCGCTTGGGAACAAGGCCGCCCTCACTATCATGGGGGCCCAGCCAGAGGACGAGGACGAGTGTTACTGTGCTCTGTGGTTCAGCAACCATTTC
配列番号117:IGLV15 (RC)
L1: ATGGCCTGGTCCCCTCTCCTCCTCACCCTCATCGCTCTCTGCACAG
VL: GATCCTGGGCCCAGTCTCTGACTCAGCCCGCCTCAGTGTCTGGGACCCTGGGCCAGACAGTCACCATCTCCTGCTCTGGAAGCAGCTCCAACATCGGGTATAGTTATAGTGCTGTGGGCTGGTACCAACAGATCCCAGGAACAGCCCCCAAAACCCTCATCTATGGTAATAACAAACGAGCCTCAGGGGTCCCAGATCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACAGCCACCCTGACCATCTCTGGGGTCCAGGCTGAGGACGAGGCCGATTATTACTGCTCAGCAGGAGACAGCAGTGGTAGTAGTGA
配列番号118:IGLV16 (RC)
L1: ATGGCCTGGACTCCTCTCATCCTCATGCTCCTGTCTCACTGCACAG
VL: GTTCCCTCTCCCAGCCTGTGCTGACCCAGCCACCCTCCCTCTCTGCATCTCCTGGAACATCAGCCAGACTCACCTGCGCCCTGAGCAGTGATGTCAGTGTTAGCAGCTCTCTCATATTCTGGTACCAGCAGAAGCCAGGGAGCCCTCCGGGGTATCTTCTGAGTTTCTACTCAGACTCAGTTAAGCACCAGGGCTCCGGGGTCCCCAGCCACTTCTCTGGATCCAAAGACACCTCGTCCAATGCAGGGCTTCTGCTCATCTCTGGGCTCGAGGCTGAGGACGAGGCTGACTATTACTGTGCTACAGCTGATAGCAGTGGGATCAGCTCTGGTTACT
配列番号119:IGLV17 (RC)
L1: ATGGCCTGGTCCCCTCTCCTCCTCACCCTCATCGCTCTCTGCACAG
VL: GATCCTGGGCCCAGTCTGTGACTCAGCCCGCCTCAGTGTCTGGGACCCTGGGCCAGACAGTCACCATCTCCTGCTCTGGAAGCAGCTCCAACATCGGGTATAGTTATAGTTATGTGGGCTGGTTCCAACAGATCCCAGGAACAGCCCCCAAAACCCTCATCTATGGTAATAACAAACGAGCCTCAGGGGTCCCAGATCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACAGCCACCCTGACCATCTCTGGGGTCCAGGCTGAGGACGAGGCCGATTATTACTGTGGTTCCTATGACAGCAGCAGTAGTAGTGA
配列番号120:IGLV18 (RC)
L1: ATGGCCTGGTCCCCTCTCCTCCTCACCCTCATCGCTCTCTGCACAG
L2: TCCCGGGCCCAGTCTGTGACTCAGCCCGCCTCAGTGTCTGGGACCCTGGGCCAGACAGTCACCATCTCCTGCTCTGGAAGCAGCTCCAACATCGGGAGTGGTCATGTGTCCTGGTACCAACAGATCCCAGGAACAGCCCCCAAACGCCTCATCTATTCTTCCACTAATAGGGCTTCTGGGGTCCCCGACCGATTCTCTGGCTCCAGGTCTGGCAACACAGCCACCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGGCTGAGGACGAGGCTGATTATTACTGTGGTACATTGTACAGCAGTTGGAGTAATGA
配列番号121:IGLV19 (RC)
L1: ATGGCCTGGTCCCCTCTCCTCCTCACCCTCATCGCTCTCTGCACAG
LV: CAGTCTGTGACTCAGCCCGCCTCAGTGTCTGGGACCCTGGGCCAGACAGTCACCATCTCCTGCACTGGAAGCATCTCCAACATAGGTGTTTATGTGGACTGGTACCAACAGATCCCAGGAACAGCCCCCAAAACCATCATCTATGCTACTAACAAACAACCCTCAGGGGTCCCAGATCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACAGCCACCCTGACCATCACTGGGCTCCAGGCTGAGGACGAGGCTGATTATTACTGTGGTATCTATGACAGCAGCCTGAGTAGTGA
配列番号122:IGLV20 (RC)
L1: ATGGCCTGGATGGTGCTTCTTCTCGGGCTCCTTTCTTACAGCTCAG
VL: GGGCGGATTCTCAGTCTGTGGTGACCCAGGAGCCATCACTCTCAGTGTCTTCAGGAGGGACAGTCACACTCACCTGTGGCCTTAACTCTGGGTCAGTCTCTTCCAGTAACCACCCCAGCTGGCACCAGCAAACCCCAGGCCAGGCTCCCCGCACACTTATCTACTACACAAACACCCGTGCCTCTGGAGTCCCTAATCTCTTCTCTGGATCCATCTCCGGGAACAGAGCCACCCTCACCATCACGGGGGCCCAGCGTGAGGACGAGGCCGACTATTACTGCGCTCTGTATACGGGTAGTTACACTGA
【0176】
プレDJ
これは、Ighd-5 Dh遺伝子の21609bpフラグメント上流である。プレDJ配列は、Mus musculus系統C57BL/6J染色体12で見られる、アセンブリ:GRCm38.p4、アノテーション106、配列ID:NC_000078.6
配列全体は、下記2個の100bp配列の間にある:
NC_000078.6の113526905~113527004位に対応するIghd-5 Dh遺伝子セグメントの上流:
ATTTCTGTACCTGATCTATGTCAATATCTGTACCATGGCTCTAGCAGAGATGAAATATGAGACAGTCTGATGTCATGTGGCCATGCCTGGTCCAGACTTG(配列番号123)
NC_000078.6の113548415~113548514位に対応するAdam6a遺伝子の2kb上流:
GTCAATCAGCAGAAATCCATCATACATGAGACAAAGTTATAATCAAGAAATGTTGCCCATAGGAAACAGAGGATATCTCTAGCACTCAGAGACTGAGCAC(配列番号124)
【0177】
Adam6a
Adam6a(ディスインテグリンおよびメタロペプチダーゼドメイン6A)は、雄の妊性に関与する遺伝子である。Adam6a配列は、Mus musculus系統C57BL/6J染色体12に見られる、アセンブリ:GRCm38.p4、アノテーションリリース106、配列ID:113543908~113546414位はNC_000078.6。
Adam6a配列ID:OTTMUSG00000051592 (VEGA)
【配列表】
【国際調査報告】