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特表2024-517001モータサイクル用ブレーキバイワイヤ式ブレーキシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-18
(54)【発明の名称】モータサイクル用ブレーキバイワイヤ式ブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/17 20060101AFI20240411BHJP
   B60T 8/94 20060101ALI20240411BHJP
   B60T 13/138 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B60T8/17 B
B60T8/94
B60T13/138 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568146
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 IB2022054121
(87)【国際公開番号】W WO2022234480
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】102021000011621
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】デンティ,フランカントニオ
(72)【発明者】
【氏名】フォラッティ,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】マッツォレーニ,サムエーレ
(72)【発明者】
【氏名】ブレンビッラ,マウロ
(72)【発明者】
【氏名】ベルターニャ,アレッサンドロ
【テーマコード(参考)】
3D048
3D246
【Fターム(参考)】
3D048AA01
3D048BB03
3D048BB07
3D048CC54
3D048HH15
3D048HH18
3D048HH37
3D048HH38
3D048HH41
3D048QQ07
3D246AA11
3D246BA02
3D246CA03
3D246DA01
3D246GA01
3D246GB37
3D246GC14
3D246KA15
3D246LA01Z
3D246LA04Z
3D246LA33A
3D246LA43A
3D246LA61Z
3D246LA63Z
3D246LA73A
(57)【要約】
モータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)は、モータサイクル(8)の第1車輪(16)に操作可能に連結され、第1油圧供給回路(20)を備える第1ブレーキ装置(12)と、前記第1油圧供給回路(20)に流体的に接続された第1の電気的又は電気機械的に作動するピストン(28)に作動的に接続された第1の電気的又は電気機械的なモータ手段を有する第1電気アクチュエータ(24)と、第1手動操作ピストン(40)を備えた第1油圧装置(36)に作動的に接続された少なくとも1つの第1インターフェース又は入力ポート(32)と、を備える。第1手動操作ピストン(40)が、第1インターフェースポート(32)に直接接続された第1直接ピストン(41)と、第1直接ピストン(41)と直列に配置され、第1戻しばね(43)の介在によってそれに接続された第1間接ピストン(42)とに分かれる。第1間接ピストン(42)は、第1バイパスダクト(44)を介して第1油圧供給回路(20)に油圧接続され、第1の電気的又は電気機械的に作動するピストン(28)と上流側で直列に配置される。ブレーキシステム(4)は、第1間接ピストン(42)の上流側の接続ダクト(56)及び第1間接ピストン(42)の下流側の接続ダクト(60)によって第1油圧装置(36)に流体接続された油圧液リザーバ(52)を備えている。ブレーキシステム(8)は、第1電気アクチュエータ(24)に動作可能に接続され、処理及び制御ユニット(68)を備えている。処理及び制御ユニット(68)は、標準運転において、第1インターフェースポート(32)の作動時に、第1の電気的又は電気機械的に作動するピストン(28)が、第1バイパスダクト(44)を閉塞するように並進し、第1油圧供給回路(20)から第1手動操作ピストン(40)を流体的に切り離し、同時に少なくとも1つの第1ブレーキ装置(12)を作動させるようにプログラムされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)であって、
前記モータサイクル(8)の第1車輪(16)に作動可能に連結され、第1油圧供給回路(20)を備える少なくとも第1ブレーキ装置(12)と、
電気的又は電気機械的に作動し、前記第1油圧供給回路(20)に流体的に接続された第1の電気的又は電気機械的に作動するピストン(28)に作動的に接続された第1モータ手段を有する第1電気アクチュエータ(24)と
第1手動操作ピストン(40)を備えた第1油圧装置(36)に操作可能に接続された少なくとも1つの第1インターフェースポート(32)とを備え
第1手動操作ピストン(40)は、前記第1インターフェースポート(32)に直接接続された第1直接ピストン(41)と、前記第1直接ピストン(41)と直列に接続され、第1戻しばね(43)を介在させて接続された第1間接ピストン(42)とに分けられ、
前記第1間接ピストン(42)は、第1バイパスダクト(44)を介して前記第1油圧供給回路(20)に油圧的に接続され、前記第1の電気的又は電気機械的に作動するピストン(28)と上流側で直列に配置されており、
前記ブレーキシステム(4)は、前記第1間接ピストン(42)の上流側接続ダクト(56)及び前記第1間接ピストン(42)の下流側接続ダクト(60)によって前記第1油圧装置(36)に流体接続された油圧液リザーバ(52)を備えており、
前記ブレーキシステム(8)は、前記第1電気アクチュエータ(24)に作動的に接続された処理及び制御ユニット(68)を備えており、
前記処理及び制御ユニット(68)は、標準運転において、前記第1インターフェースポート(32)の作動時に、前記第1の電気的又は電気機械的に作動するピストン(28)が、前記第1バイパスダクト(44)を閉塞するように並進し、前記第1油圧供給回路(20)から前記第1手動操作ピストン(40)を流体的に切り離し、前記少なくとも1つの第1ブレーキ装置(12)を同時に操作するようにプログラムされている、モータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項2】
前記上流側接続ダクト(56)及び前記下流側接続ダクト(60)の少なくとも一方には少なくとも1つの装置(64,84)が設けられており、
前記少なくとも1つの装置(64,84)は、対応する接続ダクト(56,60)を流体が通過することを許容する少なくとも1つの作動状態と、前記対応する接続ダクト(56,60)を流体が通過することを禁止する閉鎖位置のような作動状態とを有し、
前記標準運転において、前記装置(64,84)は、前記第1間接ピストン(42)が手動操作の後でも動くことができず、端部停止位置に留まるように切り替えられ、一方、前記第1の電気的又は電気機械的に作動するピストン(28)は、少なくとも1つの第1ブレーキ装置(12)を同時に作動させるために並進させられる、請求項1に記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの装置(86,64)が、油圧バックアップモードでの作動中に前記第1戻しばね(43)の寄与を分離するために、対応する前記上流側接続ダクト(56)を通る流体の通過が阻止又は許容される2つの作動状態を提供する、請求項2に記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項4】
前記処理及び制御ユニット(68)は、バックアップモードにおいて、第1バイパスダクト(44)を閉塞せず、前記第1インターフェースポート(32)が作動させられるとき、前記第1手動操作ピストン(40)による前記第1ブレーキ装置(12)の直接的な手動作動を許容するように、前記第1の電気的又は電気機械的に作動するピストン(28)を後退させるか又は後退を許容するようにプログラムされている、ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項5】
前記処理及び制御ユニット(68)は、前記バックアップモードにおいて、前記処理及び制御ユニット(68)が前記少なくとも1つの装置(64,84)を切り換えて、前記第1間接ピストン(42)が前記手動作動に従って動くようにプログラムされている、請求項2と組み合わせた請求項4に記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項6】
前記第1油圧供給回路(20)が、同じ第1車輪(16)に接続可能な一対の第1ブレーキ装置(12',12'')に流体接続されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項7】
前記第1油圧供給回路(20)が、前記モータサイクル(8)の異なる車軸上に配置された前記第1車輪(16)及び第2車輪(76)にそれぞれ接続可能な一対の第1ブレーキ装置(12',12'')に流体的に接続されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項8】
前記ブレーキシステム(4)が、前記第1インターフェースポート(32)とは別に、第2手動操作ピストン(100)を備えた第2油圧装置(96)に作動可能に接続された、少なくとも第2手動操作装置(92)を備えており、
前記第2手動操作ピストンは、第2バイパスダクト(104)を介して前記第1間接ピストン(42)に油圧接続される共に前記第1間接ピストン(42)と上流側で直列に配置され、
前記第1間接ピストン(42)は、前記第1油圧供給回路(20)に流体接続され、前記第1油圧供給回路(20)を介して、前記第1ブレーキ装置(12)及び/又は前記第2ブレーキ装置(72)を作動させる、
請求項1から5までのいずれか1項に記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項9】
前記第2手動操作ピストン(100)が、前記第2手動操作装置(92)に直接連結された第2直接ピストン(101)と、第2直接ピストン(101)と直列に第2戻しばね(103)の介在によって連結された第2間接ピストン(102)とに分かれている、請求項8に記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項10】
前記第2間接ピストン(102)が、前記第2バイパスダクト(104)を介して前記第1間接ピストン(42)と油圧的に連通し、前記第1間接ピストン(42)の上流側に直列に配置されている、請求項9に記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項11】
前記第1ブレーキ装置(12)が、前記モータサイクル(8)の第1単一車軸の前記第1車輪(16)に作動的に連結可能であり、
前記第2ブレーキ装置(72)が、前記モータサイクル(8)の第2車軸の第2車輪(76)に作動的に連結可能である、請求項8、9又は10に記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項12】
前記第1油圧装置(36)及び前記第2油圧装置(96)が同じポンプ本体に包含されている、請求項8から11のいずれかに記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項13】
前記モータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)が、
前記モータサイクル(8)の第2車輪(76)に作動可能に連結され、前記第1油圧供給回路(20)とは流体的に分離された第2油圧供給回路(80)を備えた少なくとも第2ブレーキ装置(72)と、
前記第2油圧供給回路(80)に流体的に接続された第2の電気的又は電気機械的に作動するピストン(88)に作動的に接続された第2電気モータ手段を有する第2電気アクチュエータ(84)と、
第2手動操作ピストン(100)を備えた第2油圧装置(96)に作動可能に接続された少なくとも1つの第2手動作動装置(92)と、を備え、
前記第2手動操作ピストン(100)が、第2バイパスダクト(104)を介して前記第2油圧供給回路(80)に油圧接続され、前記第2の電気的又は電気機械的に作動するピストン(88)と上流側で直列に配置されており、
前記処理及び制御ユニット(68)が、前記第2インターフェースポート(92)及び前記第2電気アクチュエータ(84)に動作可能に接続され、
標準運転時、前記第2インターフェースポート(92)の作動時、前記第2の電気的又は電気機械的に作動されたピストン(88)は、前記第2バイパスダクト(104)を閉塞するように並進し、前記第2手動操作ピストン(100)を前記第2油圧供給回路(80)から流体的に切り離し、前記第2ブレーキ装置(72)を作動させるように、プログラムされている、請求項1ないし5のいずれかに記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項14】
前記上流側接続ダクト(56)と前記下流側接続ダクト(60)の少なくとも一方には、対応する接続ダクト(56,60)を流体が通過することを許容する少なくとも1つの作動状態と、対応する接続ダクト(56,60)を通る流体の通過を阻止する閉位置のような作動状態とを有する装置(64,84)が設けられ、
前記標準作動において、前記少なくとも1つの装置(64,84)は、前記第2間接ピストン(102)が手動作動の後でも動かないように切り替えられる一方、前記第2の電気的又は電気機械的に作動するピストン(88)は、少なくとも1つの第2ブレーキ装置(72)を同時に作動させるために動かされる、請求項13に記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項15】
前記処理及び制御ユニットは、バックアップモードにおいて、前記第2バイパスダクト(104)を閉塞しないように、かつ、前記第2手動操作ピストン(100)による前記第2ブレーキ装置(72)の直接的な作動を可能にするように、前記第2の電気的又は電気機械的に作動するピストン(88)を後退させるか又は後退させるようにプログラムされている、請求項13又は14に記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項16】
前記処理及び制御ユニット(68)が、バックアップモードにおいて、前記第2間接ピストン(102)が手動作動に従って動くことができるように、少なくとも1つの装置(64,84)を切り替えるようにプログラムされている、請求項14と組み合わせた請求項15に記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項17】
前記第1ブレーキ装置及び前記第2ブレーキ装置が、前記連結可能なモータサイクルの異なる車軸に配置されている、請求項13、14、15又は16に記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項18】
前記第1油圧装置及び前記第2油圧装置が同じポンプ本体に包含されている、請求項13から17のいずれかに記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項19】
前記ブレーキ装置が、ディスクブレーキ及び/又はドラムブレーキからなる、請求項1から18のいずれかに記載のモータサイクル(8)用のブレーキシステム(4)。
【請求項20】
請求項1から19のいずれかに記載のブレーキシステム(4)を備える、モータサイクル(8)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にモータサイクル用のブレーキバイワイヤ(BBW)式ブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
モータサイクルにおいては、ブレーキバイワイヤタイプのブレーキシステムがあり、そこでは、ユーザは、ブレーキ動作の要求を特別な制御ユニットに送るために、2つの別個の手動制御装置、典型的には、ハンドルバー上のレバー、及びペダルを手動で操作することができる。
【0003】
このブレーキ動作の要求は、モータサイクルが装備しているブレーキ装置の摩擦要素(通常はパッドであるが、シューであってもよい)に作用する1つ又は複数の電気モータを作動させるように切り替えられる。このようにして、通常の運転状態では、ユーザはブレーキ装置の作動を直接指令するのではなく、制御ユニットによって、前記電気モータが作動するブレーキ要求を送信する。
【0004】
故障が発生した場合、システムは、ユーザが手動で作動する装置を直接操作してモータサイクルを少なくとも部分的にブレーキできるように、油圧によるバックアップが可能でなければならない。
【0005】
先行技術のモータサイクルの解決策では、E/Eシステム(ECU、アクチュエータ、センサなど)が故障した場合、又は電源が供給されない(バッテリが切断された)場合に、両方の制御装置(レバーとブレーキペダル)から油圧をバックアップすることはできない。最終的には、電気自動車に適合するブレーキシステム(回生ブレーキとの混合、残留トルク低減)を提供する必要性が感じられる。
【発明の概要】
【0006】
したがって、先行技術を参照して述べた技術的欠点を解決することができるブレーキシステムを提供する必要性が当技術分野で感じられる。
【0007】
この必要性は、請求項1によるブレーキシステムによって満たされる。
【0008】
特に、この必要性は、以下の構成からなるモータサイクル用のブレーキシステムによって満たされる。
【0009】
モータサイクルの第1車輪に作動可能に連結され、第1油圧供給回路を備える少なくとも1つの第1ブレーキ装置、
【0010】
前記第1油圧供給回路に流体的に接続された第1の電気的又は電気機械的に作動するピストンに作動的に接続された第1の電気的又は電気機械的モータ手段を有する第1電気アクチュエータ、
【0011】
第1手動操作ピストンを備えた第1油圧装置に作動可能に接続された少なくとも1つの第1インターフェースポート。
【0012】
第1手動操作ピストンは、第1手動作動装置に直接接続された第1直接ピストンと、
第1直接ピストンと直列に接続され、第1戻しばねの介在によって第1直接ピストンに接続された第1間接ピストンとに細分される。
【0013】
第1間接ピストンは、第1バイパスダクトを介して前記第1油圧供給回路と油圧接続され、第1電気的又は電気機械的に作動させられるピストンと上流側で直列に配置される。
【0014】
ブレーキシステムが、第1間接ピストンから上流側の接続ダクト及び第1間接ピストンから下流側の接続ダクトによって第1油圧装置に流体接続された油圧液リザーバを備える。
【0015】
ブレーキシステムは、前記第1電気アクチュエータに作動的に接続された処理及び制御ユニットを備える。
【0016】
処理及び制御ユニットは、標準運転において、第1インターフェースポートの作動時、第1バイパスダクトを閉塞するように第1の電気的又は電気機械的に作動するピストンを並進させ、第1油圧供給回路から第1手動操作ピストンを流体的に切り離し、同時に少なくとも1つの第1ブレーキ装置を作動させるようにプログラムされる。
【0017】
考えられる実施形態によれば、上流側接続ダクト及び下流側接続ダクトの少なくとも一方は、少なくとも一つの装置を備える。該少なくとも一つの装置は、流体が対応する接続ダクトを通過することを許容する開位置などの少なくとも1つの作動状態と、流体が対応する接続ダクトを通過することを阻止する閉位置などの少なくとも1つの作動状態とを有する。上述の標準運転において、セレクタ弁のような装置は、間接ピストンが手動の作動に続いてさえ動くことができずに端部停止位置に留まるように切り換えられ、一方、第1電気的又は電気機械的に作動させられるピストンは、少なくとも1つの第1ブレーキ装置を同時に作動させるように並進させられる。
【0018】
考えられる実施形態によれば、少なくとも1つの装置は、油圧バックアップモードでの作動中に第1戻しばねの寄与を分離するために、流体が対応する上流側接続ダクトを通過するのを阻止又は許容される2つの作動状態を提供する。
【0019】
考えられる実施形態によれば、処理及び制御ユニットは、バックアップモードにおいて、第1バイパスダクトを閉塞しないように、かつ、第1インターフェースポートが作動させられるときに第1手動操作ピストンによる第1ブレーキ装置の直接作動を可能にするように、第1電気的又は電気機械的に作動させられるピストンを後退させるか、又は後退を可能にするようにプログラムされる。
【0020】
考えられる実施形態によれば、処理及び制御ユニットは、前記バックアップ動作において、第1間接ピストンが手動作動に従って動くことができるように、セレクタ弁のような装置を切り替えるようにプログラムされている。
【0021】
考えられる実施形態によれば、第1油圧供給回路は、同じ第1車輪に接続され得る一対の第1ブレーキ装置に流体的に接続される。
【0022】
可能な実施形態によれば、第1油圧供給回路は、モータサイクルの異なる車軸上に配置された前記第1車輪及び第2車輪にそれぞれ接続され得る一対の第1ブレーキ装置に流体的に接続される。
【0023】
可能な実施形態によれば、ブレーキシステムは、第1手動作動装置から分離され、第2手動操作ピストンを備える第2油圧装置に作動可能に接続された、少なくとも1つの第2手動作動装置を備える。
【0024】
ここで、第2手動操作ピストンは、第2バイパスダクトを介して前記第1間接ピストンと油圧接続され、第1間接ピストンと上流側で直列に配置され、この第1間接ピストンは、第1油圧供給回路に流体接続され、この第1油圧供給回路を介して第1ブレーキ装置及び/又は第2ブレーキ装置を作動させる。
【0025】
考えられる実施形態によれば、第2手動操作ピストンは、第2手動作動装置に直接接続された第2直接ピストンと、第2直接ピストンと直列に配置され、第2戻しばねの介在によってそれに接続された第2間接ピストンとに細分される。
【0026】
考えられる実施形態によれば、第2間接ピストンは、第2バイパスダクトを介して第1間接ピストンと油圧的に連通しており、それと上流側で直列に配置されている。
【0027】
可能な実施形態によれば、第1ブレーキ装置は、モータサイクルの第1単一車軸の前記第1車輪に作動的に接続可能であり、第2ブレーキ装置は、モータサイクルの第2車軸の第2車輪に作動的に接続可能である。
【0028】
考えられる実施形態によれば、前記第1油圧装置及び前記第2油圧装置は、同一のポンプ本体に包含される。
【0029】
可能な実施形態によれば、本システムは、以下のものを備える。
【0030】
モータサイクルの第2車輪に作動可能に連結され、第1油圧供給回路から流体的に分離された第2油圧供給回路を備える少なくとも第2ブレーキ装置、
【0031】
電気的又は電気機械的に作動する第2ピストンに作動可能に連結された第2電気モータ手段を有する第2電気アクチュエータであって、前記第2供給回路に流体的に連結された第2電気アクチュエータ、
【0032】
第2手動操作ピストンを備えた第2油圧装置に作動可能に接続された少なくとも第2手動作動装置。
【0033】
第2手動操作ピストンは、第2バイパスダクトを介して前記第2供給回路と流体連通しており、第2の電気的又は電気機械的に作動するピストンと上流側で直列に配置される。
【0034】
処理及び制御ユニットは、第2インターフェースポート及び前記第2電気アクチュエータに動作可能に接続され、以下のようにプログラムされる。
【0035】
標準運転において、第2インターフェースポートが操作されると、第2バイパスダクトを閉塞するように第2の電気的又は電気機械的に作動するピストンを並進させ、第2供給回路から第2手動操作ピストンを流体的に切り離し、第2ブレーキ装置を作動させる。
【0036】
可能な実施形態によれば、前記上流側接続ダクト及び下流側接続ダクトの少なくとも一方は、流体が対応する接続ダクトを通過することを可能にする開位置などの少なくとも1つの作動状態と、流体が対応する接続ダクトを通過することを防止する閉位置などの作動状態とを有する装置を備える。前記標準運転において、セレクタ弁のような装置は、第2間接ピストンが手動操作の後でも動かないように切り替えられ、一方、第2の電気的又は電気機械的に作動するピストンは、少なくとも1つの第2ブレーキ装置を同時に作動させるように並進させられる。
【0037】
考えられる実施形態によれば、前記処理及び制御ユニットは、バックアップ動作において、第2バイパスダクトを閉塞しないように、第2の電気的又は電気機械的に作動するピストンを後退させるか、又は後退させることができるようにプログラムされ、第2手動操作ピストンによる第2ブレーキ装置の直接作動を可能にする。
【0038】
考えられる実施形態によれば、処理及び制御ユニットは、バックアップ動作において、第2間接ピストンが手動作動に従って動くことができるように、セレクタバルブのような装置を切り替えるようにプログラムされている。
【0039】
考えられる実施形態によれば、前記第1及び第2ブレーキ装置は、関連するモータサイクルの異なる車軸上に配置される。
【0040】
考えられる実施形態によれば、前記第1油圧装置及び前記第2油圧装置は、同一のポンプ本体に包含される。
【0041】
可能な実施形態によれば、前記ブレーキ装置は、ディスクブレーキ及び/又はドラムブレーキからなる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明のさらなる特徴及び利点は、その好ましい非限定的な実施形態の以下の説明からより明らかになるであろう。
【0043】
図1図1は、標準運転状態における、本発明の第1実施形態によるブレーキシステムの概略図である。
【0044】
図2a図2aは、標準運転状態における、本発明の第2実施形態によるブレーキシステムの概略図を表す。
図2b図2bは、BBWシステムのシャットダウン状態における、本発明の第2実施形態によるブレーキシステムの概略図を表す。
図2c図2cは、故障又はバックアップ状態における、本発明の第2実施形態によるブレーキシステムの概略図を表す。
【0045】
図3図3は、本発明の第3の実施形態によるブレーキシステムの概略図であり、標準運転状態にある。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に説明する実施形態に共通する要素又は要素の部分は、同じ参照数字で示す。
【0047】
前述の図を参照すると、参照数字4は、全体的に、車両、特にモータサイクル8用のブレーキシステムを示している。
【0048】
モータサイクル8のためのブレーキシステム4は、モータサイクル8の第1車輪16に作動可能に連結され、第1油圧供給回路20を備えた少なくとも第1ブレーキ装置12を含んでいる。ブレーキシステム4は、第1油圧供給回路20に流体的に接続された、第1の電気的又は電気機械的に作動するピストン28に作動可能に接続された第1電気的又は電気機械的モータ手段を有する第1電気アクチュエータ24をさらに備える。
【0049】
電気的又は電気機械的モータ手段と第1電気的又は電気機械的に作動されるピストン28との間の接続は、直接的であってもよく、あるいは、ギア、ギアボックス、リンケージなどのような中間の機械的接続が設けられてもよい。
【0050】
電気的又は電気機械的に作動される第1ピストン28は、第1油圧供給回路20に挿入され、移動すれば、前記第1油圧供給回路に含まれる流体を加圧し、対応する第1ブレーキ装置12を作動させることができる。
【0051】
ブレーキ装置4は、第1手動操作ピストン40を備えた第1油圧装置36に作動可能に接続された少なくとも第1インターフェース又は入力ポート32を含んでいる。通常、第1インターフェースポート32は、通常はモータサイクル8のハンドルバーにあるレバー装置、又はフットペグ付近にあるフットペダルに操作可能に接続されている。
【0052】
第1手動操作ピストン40は、第1バイパスダクト44を介して第1油圧供給回路20と油圧接続され、第1の電気的又は電気機械的に作動するピストン28と上流側で直列に配置される。
【0053】
第1手動操作ピストン40は、順に、第1インターフェースポート32に直接接続された第1直接ピストン41と、第1直接ピストン41と直列に配置され、第1戻しばね43の介在によってそれに接続された第1間接ピストン42とに細分される。第1直接ピストン41と第1間接ピストン42との間には、第1油圧室45が介在している。当該構成において、第1間接ピストン42は、それが自由に動くことができる場合、油圧バックアップ状態において、第1油圧供給回路20内の流体を加圧する。
【0054】
第1油圧装置36はまた、第1間接ピストン42が第1直接ピストン41に接近する際のリミットストップを形成する第1保持器48を備えている。
【0055】
ブレーキ装置4は、直接ピストン41と間接ピストン42との間に介装された第1油圧室45に、第1間接ピストン42の上流側接続ダクト56と第1間接ピストン42の下流側接続ダクト60とによって流体接続された油圧液リザーバ52を備えている。さらに、油圧液リザーバ52は、接続ダクト又は供給ダクト94によって第1バイパスダクト44に流体的に直接接続されている。
【0056】
好ましくは、第1保持器48は、第1間接ピストン42が上流側接続ダクト56を閉塞しないように配置される。
【0057】
好ましくは、上流側接続ダクト56及び下流側接続ダクト60の各々は、その動作状態の1つにおいて間接ピストン42の前進を阻止することができる少なくとも1つの装置86,64をそれぞれ備え、特に、少なくとも1つの装置86,64は、流体が対応する接続ダクト56,60を通過することを許容する開位置のような少なくとも1つの動作状態と、流体が対応する接続ダクト56,60を通過することを阻止する閉位置のような少なくとも1つの動作状態とを提供する。
【0058】
好ましくは、少なくとも1つの装置86,64は、流体が対応する下流側接続ダクト60を通過するのを阻止し、それにより第1間接ピストン42の前進を阻止する少なくとも1つの作動状態と、流体が下流側接続ダクト60を通過するのを許容する1つの作動状態とを提供する。
【0059】
好ましくは、少なくとも1つの装置86,64は、油圧バックアップモードでの作動中に戻しばね43の寄与を分離するために、流体が対応する上流側接続ダクト56を通過するのを阻止されるか許容される2つの作動条件を提供することができる。
【0060】
好ましくは、少なくとも1つの装置86,64はセレクタ弁である。一実施形態によれば、少なくとも1つのセレクタ弁86,64は、このようにして、標準運転モードと油圧バックアップモードとの間の切り替えを可能にするように切り替えられる。
【0061】
好ましくは、少なくとも1つのセレクタ弁86,64は、以下でより良く説明される処理及び制御ユニット68に動作可能に接続されている。
【0062】
1つの可能な実施形態によれば、少なくとも1つのセレクタ弁86,64は、部分的に開いた位置も含んでおり、そこでは、油圧液が一方向にのみ、具体的には油圧液リザーバ52からダクト60,56を通ってピストン41,42に流れることを可能にする一方向弁として機能する。
【0063】
有利には、システムは、第1インターフェースポート32及び前記第1電気アクチュエータ24に作動的に接続された処理及び制御ユニット68を備える。
【0064】
処理及び制御ユニット68は、標準運転において、第1インターフェースポート32の作動時に、第1バイパスダクト44を閉塞するように第1の電気的又は電気機械的に作動するピストン28を並進させ、第1油圧供給回路20から第1手動で作動するピストン40を流体的に切り離し、同時に少なくとも1つの第1ブレーキ装置12を作動させるようにプログラムされている。
【0065】
第1バイパスダクト44が閉塞されているために、ユーザは第1ブレーキ装置12の作動を直接調節することができず、その代わりに第1電気的又は電気機械的に作動されるピストン28によって作動される。
【0066】
好ましくは、標準運転において、少なくとも1つのセレクタ弁86,64は、間接ピストン42が手動の作動に続いてさえも動くことができず、第1保持器48によって規定された終端位置に留まるように切り換えられ、一方、第1電気的又は電気機械的に作動させられたピストン28は、少なくとも1つの第1ブレーキ装置12を同時に作動させるように並進させられる。
【0067】
更に、一つの可能な実施形態によれば、処理及び制御ユニット68は、バックアップ動作において、第1バイパスダクト44を閉塞しないように、第1電気的又は電気機械的に作動させられたピストン28を後退させるか又は後退を可能にするようにプログラムされており、第1インターフェースポート32が作動させられたときに、第1手動で作動させられたピストン40による第1ブレーキ装置12の直接的な作動を可能にする。
【0068】
好ましくは、処理及び制御ユニット68は、バックアップ動作において、第1間接ピストン42が手動作動に従って動くことができるように、少なくとも1つのセレクタ弁86,64の切換を可能にするようにプログラムされている。
【0069】
好ましくは、少なくとも1つのセレクタ弁86,64は弾性要素を介してバックアップ作動状態に切り換わる。
【0070】
換言すれば、電気的故障又はバックアップ状態において、ユーザは、第1インターフェースポート32を介して第1ブレーキ装置12を直接作動させ、モータサイクル8を常にブレーキ又は停止させることができる。
【0071】
第1油圧供給回路20は、一対の第1ブレーキ装置12',12''に流体的に接続されてもよく、これらの第1ブレーキ装置12',12''は、同じ第1車輪16に接続されてもよい。
【0072】
第1油圧供給回路20を、モータサイクル8の異なる車軸上に配置された第1車輪16及び第2車輪76にそれぞれ接続可能な、一対のブレーキ装置12',12''に流体接続することも可能である。
【0073】
本発明のさらなる実施形態(図2a~2c)によれば、ブレーキシステム4は、第1入力ポート32とは別に、第2手動操作ピストン100を備えた第2油圧装置96に作動可能に接続された少なくとも1つの第2入力ポート92を備える。
【0074】
第2手動操作ピストン100は、第2バイパスダクト104を介して第1間接ピストン42(これは順に第1手動操作ピストン41に接続される)に油圧接続され、第1間接ピストン42と上流側で直列に配置される。第1間接ピストン42は、第1油圧供給回路20と流体的に接続され、それを介して第1ブレーキ装置12及び/又は第2ブレーキ装置72を作動させる。
【0075】
好ましくは、第1及び第2油圧装置36,96は同一の油圧装置に組み込まれている。
【0076】
可能な実施形態によれば、第1ブレーキ装置12は、モータサイクル8の第1単一車軸の第1車輪16に作動的に連結され、第2ブレーキ装置72は、モータサイクル8の第2車軸の第2車輪76に作動的に連結される。
【0077】
第2間接ピストン102は、第2バイパスダクト104を介して第1間接ピストン42と油圧的に連通しており、これと上流側で直列に配置されている。
【0078】
一つの可能な実施形態によれば、第2手動操作ピストン100は、第2手動作動装置92に直接接続された第2直接ピストン101と、第2直接ピストン101と直列に配置され、第2リターンスプリング103の介在によってそれに接続された第2間接ピストン102とに細分される。このような構成において、第2間接ピストン102は第2バイパスポート104内の流体を加圧する。第2油圧室105は、第2直接ピストン101と第2間接ピストン102との間に介在される。
【0079】
第2油圧装置96は、第2間接ピストン102が第2直接ピストン101に接近する際のリミットストップを形成する第2保持器108も備えている。
【0080】
ブレーキ装置4は、第2間接ピストン102に接続された上流側ダクト56及び第2間接ピストン102に接続された下流側ダクト60によって、第2油圧装置96に流体接続された油圧液リザーバ52を、見てのとおり含んでいる。
【0081】
好ましくは、第2保持器108は、第2間接ピストン102が上流側接続ダクト56を閉塞しないように配置される。
【0082】
好ましくは、上流側接続ダクト56及び下流側接続ダクト60の各々は、流体が対応する接続ダクト56,60を通過することを可能にする開位置等の少なくとも1つの作動状態と、流体が対応する接続ダクト56,60を通過することを防止する閉位置等の少なくとも1つの作動状態とを有する少なくとも1つのセレクタ弁86,64を備える。セレクタ弁64は、処理及び制御ユニット68に作動的に接続されている。
【0083】
考えられる実施形態によれば、少なくとも1つのセレクタ弁86,64は、流体が一方向にのみ、具体的には油圧液リザーバ52から第2油圧装置96へ流れることを可能にする一方向弁として機能する部分的な開位置も含んでいる。
【0084】
本発明のさらなる実施形態(図3)によれば、モータサイクル8のブレーキシステム4は、モータサイクル8の第2車輪76に作動可能に連結され、第1油圧供給回路20から流体的に分離された第2油圧供給回路80を備える少なくとも1つの第2ブレーキ装置72を備える。
【0085】
ブレーキ装置4は、第2油圧供給回路80に流体的に接続された第2の電気的又は電気機械的に作動するピストン88に作動的に接続された第2電気モータ手段を有する第2電気アクチュエータ84と、第2手動操作ピストン100を備えた第2油圧装置96に作動的に接続された少なくとも第2手動作動装置92とを備える。
【0086】
第2手動操作ピストン100は、第2バイパスダクト104によって第2油圧供給回路80と油圧的に連通しており、第2の電気的又は電気機械的に作動するピストン88と上流側で直列に配置されている。
【0087】
処理及び制御ユニット68は、第2インターフェースポート92と第2電気アクチュエータ84とに作動的に接続されており、標準運転において、第2インターフェースポート92が作動させられると、第2バイパスダクト104を閉塞するように第2電気的又は電気機械的に作動させられたピストン88を並進させ、第2油圧供給回路80から第2手動操作ピストン100を流体的に切り離し、第2ブレーキ装置72を作動させるようにプログラムされている。
【0088】
第2バイパスダクト104が閉塞されているため、ユーザは、第2の電気的又は電気機械的に作動するピストン88によって作動させられる第2ブレーキ装置72の作動を直接調節することができない。
【0089】
好ましくは、標準運転において、少なくとも1つのセレクタ弁86,64は、第2間接ピストン102が手動作動の結果としてさえも動くことができず、第2保持器108によって規定された終端位置に留まるように切り換えられ、一方、第2の電気的又は電気機械的に作動させられたピストン88は、少なくとも1つの第2ブレーキ装置72を同時に作動させるように並進させられる。
【0090】
処理及び制御ユニット68は、バックアップ動作において、第2バイパスダクト104を閉塞しないように、かつ第2手動操作ピストン100による第2ブレーキ装置72の直接的な作動を可能にするように、第2の電気的又は電気機械的に作動するピストン88の位置を後退させるか、又は後退を可能にするようにプログラムされている。
【0091】
好ましくは、処理及び制御ユニット68は、バックアップ動作において、第2間接ピストン102が手動作動に従って動くことができるように、少なくとも1つのセレクタ弁86,64の切換を可能にするようにプログラムされている。
【0092】
好ましくは、第1及び第2ブレーキ装置12,72は、関連するモータサイクルの異なる車軸上に配置される。
【0093】
好ましくは、第1及び第2油圧装置36,96は同一のポンプ本体に包含される。
【0094】
好ましくは、ブレーキ装置12,72は、ディスクブレーキ及び/又はドラムブレーキからなる。
【0095】
第1手動操作ピストン40は、第1バイパスダクト44を介して第1油圧供給回路20と油圧接続され、第1の電気的又は電気機械的に作動するピストン28と上流側で直列に配置される。
【0096】
1つの可能な実施形態によれば、第1手動操作ピストンは、第1インターフェースポート32に直接接続された第1直接ピストン41と、第1直接ピストン41と直列に配置され、第1戻しばね43の介在によってそれに接続された第1間接ピストン42とに細分される。この構成において、第1間接ピストン42は、第1油圧供給回路20内の流体を加圧する。
【0097】
第1油圧装置36はまた、第1間接ピストン42が第1直接ピストン41に接近する際のリミットストップを形成する第1保持器48を備えている。
【0098】
ブレーキ装置4は、第1間接ピストン42に接続された上流側ダクト56及び第1間接ピストン42に接続された下流側ダクト60によって第1油圧装置36に流体接続された油圧液リザーバ52を備える。より具体的には、油圧液リザーバ52は、第1直接ピストン41と第1間接ピストン42との間に介在された油圧室45に流体連通している。
【0099】
さらに、油圧液リザーバ52は、接続ダクト又は供給ダクト194を介して第2バイパスダクト104に流体的に直接接続されている。好ましくは、第1保持器48は、第1間接ピストン42が上流側接続ダクト56を閉塞しないように配置される。
【0100】
好ましくは、上流側接続ダクト56及び下流側接続ダクト60の少なくとも一方は、対応する接続ダクト56,60を流体が通過することを許容する開位置のような少なくとも1つの動作状態と、対応する接続ダクト56,60を流体が通過することを阻止する閉位置のような少なくとも1つの動作状態とを有する、その動作状態の1つにおいて第1間接ピストン42の前進を阻止することができるセレクタ弁64,86のような少なくとも1つの装置を備えている。
【0101】
例えば、少なくとも1つの装置64は、流体が対応する下流側接続ダクト60を通過するのを阻止し、それにより第1間接ピストン42の前進を阻止する少なくとも1つの動作状態と、流体が下流側接続ピストン60を通過するのを許容する1つの動作状態とを提供する。
【0102】
好ましくは、少なくとも1つの装置86,64は、油圧バックアップモードでの作動中に戻しばね43の寄与を分離するために、流体が対応する上流側接続ダクト56を通過するのを阻止されるか許容されるかの2つの作動条件を提供することができる。
【0103】
前記少なくとも1つのセレクタ弁64,86は、以下でより良く説明される処理及び制御ユニット68に動作可能に接続されている。
【0104】
可能な実施形態によれば、少なくとも1つのセレクタ弁86,64は、部分的に開いた位置も含んでおり、そこでは、一方向、具体的には油圧液リザーバ52から第1油圧装置36への流体の流れのみを許容する一方向弁として機能する。
【0105】
一実施形態によれば、第2手動操作ピストン100は、第2手動作動装置92に直接接続された第2直接ピストン101と、第2直接ピストン101と直列に配置され、第2戻しばね103の介在によってこれに接続された第2間接ピストン102とに細分される。この構成において、第2間接ピストン102は、第2油圧供給回路80内の流体を加圧する。
【0106】
第2油圧装置96は、第2間接ピストン102が第2直接ピストン101に接近する際のリミットストップを形成する第2保持器108も備えている。
【0107】
記述されたことから理解され得るように、本発明は従来技術の欠点を克服している。
【0108】
具体的には、本発明のブレーキシステムは、E/Eシステム(ECU、アクチュエータ、センサなど)の故障の場合、又は部分的に流体を使用しないブレーキシステム(少なくとも1つのDRYキャリパ)の作動と組み合わせた停電(バッテリの断線)の場合に、両方の制御装置(レバー及びブレーキペダル)から油圧バックアップを操作することを可能にする。
【0109】
最後に、本発明は、電気自動車に適合するブレーキシステム(回生ブレーキとの混合、残留トルク低減)を提供することを可能にする。
【0110】
当業者であれば、偶発的かつ特定のニーズを満たす目的で、上述したブレーキシステム及びモータサイクルに多数の修正及び変形を加えることができるが、それらのすべては、機械的及び/又は機能的等価物として本発明に含まれる。
【0111】
本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって定義される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
【国際調査報告】