(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-18
(54)【発明の名称】メンテナンス又は点検を実行するために取り外し可能なエンドキャップを有するガススプリング締結具駆動ツール
(51)【国際特許分類】
B25C 1/06 20060101AFI20240411BHJP
B25C 1/04 20060101ALI20240411BHJP
B25C 7/00 20060101ALI20240411BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B25C1/06
B25C1/04
B25C7/00 Z
B25F5/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568343
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 US2022027841
(87)【国際公開番号】W WO2022235910
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519250431
【氏名又は名称】キョウセラ センコ インダストリアル ツールズ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【氏名又は名称】池見 智治
(74)【代理人】
【識別番号】100130166
【氏名又は名称】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】キャリア, アレクサンダー エル.
【テーマコード(参考)】
3C064
3C068
【Fターム(参考)】
3C064AA09
3C064AB01
3C064AC02
3C064AC09
3C064BA31
3C064BB71
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA53
3C064CA60
3C064CA61
3C064CB17
3C064CB63
3C064CB72
3C064CB75
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC02
3C068CC07
3C068DD13
3C068JJ20
(57)【要約】
圧縮ガス圧力チャンバを有するコードレスのホースレス締結具ドライバツールは、4つのスクリューを介してツールに固定して取り付けられた取り外し可能なエンドキャップを有する。各スクリューを連続して取り外すことが、制御されたやり方で圧縮ガスが解放し、これにより、ユーザが安全に、エンドキャップを取り外して、ツールの内部にアクセスすることを可能にする。ユーザは、ドライバ、ピストン、及び/又はピストン停止部、並びにシリンダスリーブ又は他の内部構成要素を修理又は交換するなど、メンテナンス手順を実行し、ツールの内部の機械的部分を点検することができる。エンドキャップが取り外されると、いかなる更なるツールも使用せずに、上に列挙された構成要素を取り外す(及び交換する)ことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結具駆動ツール(5)を点検するための方法であって、前記方法は、
(a)組み立て型締結具駆動ツールを提供することであって、前記組み立て型締結具駆動ツールが、
外側ハウジング(140)と、
円筒形スリーブ(44)及び円筒形スリーブ(44)の中に可動式ピストン(20、22)を含む作動シリンダ(10)と、
前記作動シリンダと流体連通している、加圧ガスを収容する貯蔵チャンバ(30)であって、前記貯蔵チャンバが外壁(46)を有する、貯蔵チャンバ(30)と、
少なくとも駆動ストローク中に前記ピストンと機械連通している可動式ドライバ(90)と、
前記締結具駆動ツールの前記作動シリンダの高圧部分の近位にある、前記貯蔵チャンバに取り付け可能/前記貯蔵チャンバから取り外し可能であるエンドキャップ(50)であって、前記エンドキャップは、複数の締結具(82)によって前記貯蔵チャンバに取り外し可能に固定されている、エンドキャップ(50)と
を含む、提供することと、
(b)前記複数の締結具を順番に緩めることによって前記エンドキャップを慎重に取り外し、前記複数の締結具のうちの最後の1つが取り外される前に前記貯蔵チャンバを安全な圧力の大きさまで排気することと、
(c)前記エンドキャップの前記取り外しによって作製される開口部を通して、前記外側ハウジングを取り外すことなく、かついかなるツールも使用せずに、
(i)前記可動式ピストン、
(ii)前記可動式ドライバ、及び
(iii)前記作動シリンダの前記スリーブ
のうちの少なくとも1つに直接アクセスして取り外すことと、
を含む、方法。
【請求項2】
(a)前記作動シリンダの遠位端にピストン停止部(38)を提供することであって、前記作動シリンダの近位端は前記エンドキャップの近位にある、提供することと、
(b)前記エンドキャップの前記取り外しによって作製される前記開口部を通して、前記外側ハウジングを取り外すことなく、かついかなるツールも使用せずに、前記ピストン停止部に直接アクセスして取り外すことと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(a)複数の離隔された突出部(152)を呈するスペーサ(150)を提供することであって、前記スペーサは、前記締結具駆動ツールが適切に組み立てられるとき、前記スリーブの近位端に取り付けられ、前記スリーブの近位端は、前記エンドキャップの近位にあり、前記スペーサ及び前記突出部は、前記締結具駆動ツールが適切に組み立てられた後、前記スリーブを前記エンドキャップに対して正しい向きで保持するようなサイズ及び形状である、提供することと、
(b)前記エンドキャップの前記取り外しによって作製される前記開口部を通して、前記外側ハウジングを取り外すことなく、かついかなるツールも使用せずに、前記スペーサに直接アクセスして取り外すことと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(a)前記可動式ピストン、前記可動式ドライバ、前記作動シリンダの前記スリーブ、及び前記スペーサのうちの少なくとも1つを交換することと、
(b)前記可動式ピストン、前記可動式ドライバ、前記作動シリンダの前記スリーブ、及び前記スペーサに対して新しい部品又は元の部品を、以下の手順、すなわち、
(i)前記開口部を通して前記可動式ドライバ及び前記可動式ピストンを挿入すること、
(ii)前記開口部を通して前記スリーブを挿入することであって、前記スリーブは、前記可動式ピストン上に配置される、挿入すること、
(iii)前記スペーサを前記スリーブの近位端に取り付けること、
(iv)前記複数の締結具を使用して前記エンドキャップを前記貯蔵チャンバに取り付け、この取り付け動作中に、前記締結具駆動ツールが適切に組み立てられた後に前記スペーサを前記エンドキャップ及び前記スリーブに対して正しい向きで位置決めさせること、
によって設置することと、
を更に含み、
(c)前記複数の締結具を使用して前記エンドキャップを取り付ける前記動作を除いて、設置のための前記動作の全てが、いかなるツールも使用せずに実行される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
(a)元の部品のうちの少なくとも1つを、前記可動式ピストン、前記可動式ドライバ、前記作動シリンダの前記スリーブ、前記ピストン停止部、及び前記スペーサのうちの少なくとも1つを含む新しい適切な部品と交換することと、
(b)前記可動式ピストン、前記可動式ドライバ、前記作動シリンダの前記スリーブ、前記ピストン停止部、及び前記スペーサに対する新しい部品又は元の部品を、以下の手順、すなわち、
(i)前記開口部を通して前記ピストン停止部を挿入すること、
(ii)前記開口部を通して前記可動式ドライバ及び前記可動式ピストンを挿入すること、
(iii)前記開口部を通して前記スリーブを挿入することであって、前記スリーブは、前記可動式ピストン及び前記ピストン停止部を少なくとも部分的に取り囲む、挿入すること、
(iv)前記スペーサを前記スリーブの近位端に取り付けること、
(v)前記複数の締結具を使用して前記エンドキャップを前記貯蔵チャンバに取り付け、この取り付け動作中に、前記締結具駆動ツールが適切に組み立てられた後に前記スペーサを前記エンドキャップ及び前記スリーブに対して正しい向きで位置決めさせること、
によって設置することと、
を更に含み、
(c)前記複数の締結具を使用して前記エンドキャップを取り付ける前記動作を除いて、設置のための前記動作の全てが、いかなるツールも使用せずに実行される、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
(a)前記開口部を通して前記可動式ドライバ及び前記可動式ピストンを取り外すことと、
(b)前記可動式ピストン及び前記可動式ドライバを検査することと、
(c)前記開口部を通して前記可動式ドライバ及び前記可動式ピストンを設置することと、
(d)前記複数の締結具を使用して前記エンドキャップを前記貯蔵チャンバに取り付け、この取り付け動作中に、前記締結具駆動ツールが適切に組み立てられた後に前記スペーサを前記エンドキャップ及び前記スリーブに対して正しい向きで位置決めさせることと、
を更に含み、
(e)前記複数の締結具を使用して前記エンドキャップを取り付ける前記動作を除いて、設置のための前記動作の全てが、いかなるツールも使用せずに実行される、
請求項3に記載の方法。
【請求項7】
締結具駆動ツール(5)を点検するための方法であって、前記方法は、
(a)組み立て型締結具駆動ツールを提供することであって、前記組み立て型締結具駆動ツールが、
外側ハウジング(140)と、
円筒形スリーブ(44)及び円筒形スリーブ(44)の中に可動式ピストン(20、22)を含む作動シリンダ(10)と、
前記作動シリンダと流体連通している、加圧ガスを収容する貯蔵チャンバ(30)と、
少なくとも駆動ストローク中に前記ピストンと機械連通している可動式ドライバ(90)と、
前記締結具駆動ツールの前記作動シリンダの高圧部分の近位にある、前記貯蔵チャンバに取り付け可能/前記貯蔵チャンバから取り外し可能であるエンドキャップ(50)であって、前記エンドキャップは、複数の締結具(82)によって前記貯蔵チャンバに取り外し可能に固定される、エンドキャップ(50)と、
前記エンドキャップ内に配置された充填バルブ(70)であって、前記充填バルブは、前記外側ハウジングのいかなる部分も取り外すことなくアクセス可能であり、前記充填バルブは、前記貯蔵チャンバと流体連通しており、前記充填バルブは、前記貯蔵チャンバから前記締結具駆動ツールの外部環境に前記加圧ガスを解放するように作動可能である、充填バルブ(70)と、
を含む、提供することと、
(b)前記加圧ガスを前記貯蔵チャンバから安全な圧力の大きさまで通気するために、前記充填バルブにアクセスして作動させることと、
(c)前記複数の締結具を順番に緩めることによって前記エンドキャップを取り外し、前記複数の締結具のうちの最後の1つが取り外される前に、前記貯蔵チャンバからいかなる残留加圧ガスも安全な圧力の大きさまで排気することと、
(d)前記エンドキャップを取り外すことよって作製される開口部を通して、前記外側ハウジングを取り外すことなく、かついかなるツールも使用せずに、
(i)前記可動式ピストン、
(ii)前記可動式ドライバ、及び
(iii)前記作動シリンダの前記スリーブ
のうちの少なくとも1つに直接アクセスして取り外すことと、
を含む、方法。
【請求項8】
(a)前記作動シリンダの遠位端にピストン停止部(38)を提供することであって、前記作動シリンダの近位端は前記エンドキャップの近位にある、提供することと、
(b)前記エンドキャップの前記取り外しによって作製される前記開口部を通して、前記外側ハウジングを取り外すことなく、かついかなるツールも使用せずに、前記ピストン停止部に直接アクセスして取り外すことと、
を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(a)複数の離隔された突出部(152)を呈するスペーサ(150)を提供することであって、前記スペーサは、前記締結具駆動ツールが適切に組み立てられるとき、前記スリーブの近位端に取り付けられ、前記スリーブの近位端は、前記エンドキャップの近位にあり、前記スペーサ及び前記突出部は、前記締結具駆動ツールが適切に組み立てられた後、前記スリーブを前記エンドキャップに対して正しい向きで保持するようなサイズ及び形状である、提供することと、
(b)前記エンドキャップの前記取り外しによって作製される前記開口部を通して、前記外側ハウジングを取り外すことなく、かついかなるツールも使用せずに、前記スペーサに直接アクセスして取り外すことと、
を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
(a)元の部品のうちの少なくとも1つを、前記可動式ピストン、前記可動式ドライバ、前記作動シリンダの前記スリーブ、及び前記スペーサのうちの少なくとも1つを含む新しい適切な部品と交換することと、
(b)前記可動式ピストン、前記可動式ドライバ、前記作動シリンダの前記スリーブ、及び前記スペーサに対する新しい部品又は元の部品を、以下の手順、すなわち、
(i)前記開口部を通して前記可動式ドライバ及び前記可動式ピストンを挿入すること、
(ii)前記開口部を通して前記スリーブを挿入することであって、前記スリーブは、前記可動式ピストン上に配置される、挿入すること、
(iii)前記スペーサを前記スリーブの近位端に取り付けること、
(iv)前記複数の締結具を使用して前記エンドキャップを前記貯蔵チャンバに取り付け、この取り付け動作中に、前記締結具駆動ツールが適切に組み立てられた後に前記スペーサを前記エンドキャップ及び前記スリーブに対して正しい向きで位置決めさせること、
によって設置することと、
を更に含み、
(c)前記複数の締結具を使用して前記エンドキャップを取り付ける前記動作を除いて、設置のための前記動作の全てが、いかなるツールも使用せずに実行される、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(a)前記充填バルブに外部ガス源を取り付けることと、
(b)前記外部ガス源から追加の加圧ガスを前記貯蔵チャンバ内に導入するために、前記充填バルブを作動させることと、
(c)前記充填バルブを通して加圧ガスで前記貯蔵チャンバを再充填することと、
(d)前記充填バルブから前記外部ガス源を取り外すことと、
を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
締結具駆動ツール(5)であって、
(a)外側ハウジング(140)と、
(b)円筒形スリーブ(44)及び円筒形スリーブ(44)の中に可動式ピストン(20、22)を含む作動シリンダ(10)と、
(c)前記作動シリンダと流体連通している、加圧ガスを収容する貯蔵チャンバ(30)と、
(d)少なくとも駆動ストローク中に前記ピストンと機械連通している可動式ドライバ(90)と、
(e)前記スリーブの遠位端に配置されたピストン停止部(38)と、
(f)前記締結具駆動ツールの前記作動シリンダの高圧部分の近位にある、前記貯蔵チャンバに取り付け可能/前記貯蔵チャンバから取り外し可能であるエンドキャップ(50)と、
(g)複数の離隔された突出部(152)を呈するスペーサ(150)であって、前記スペーサは、前記スリーブの近位端に取り付けられ、前記スリーブの前記近位端は、前記エンドキャップの近位にあり、前記スペーサ及び前記突出部は、前記スリーブを前記エンドキャップに対して正しい向きで保持するようなサイズ及び形状である、スペーサ(150)と、
(h)前記作動シリンダの遠位端にある機械的底部構造であって、前記機械的底部構造に、前記貯蔵チャンバの遠位端が機械連通しており、前記スリーブの遠位端が機械連通しており、それによって、前記貯蔵チャンバを包囲して圧力容器を作製する、機械的底部構造(36)と、
を備え、
前記エンドキャップ、前記スペーサ、及び前記スリーブの積み重ねは、内部締結具を使用せずに、前記スリーブの前記遠位端を前記作動シリンダの前記底部構造と機械連通するように保持し、
前記エンドキャップは、複数の締結具(82)によって、前記外側ハウジング及び前記貯蔵チャンバのうちの少なくとも1つに取り外し可能に固定される、
締結具駆動ツール(5)。
【請求項13】
前記エンドキャップの取り外しによって開口部が作製され、それによって、
(i)前記可動式ピストン(20、22)、
(ii)前記可動式ドライバ(90)、及び
(iii)前記作動シリンダ(10)の前記円筒形スリーブ(44)
のうちの少なくとも1つへの直接アクセスが可能になる、
請求項12に記載のツール。
【請求項14】
前記エンドキャップと前記貯蔵チャンバとの間にシール(56)を更に備える、請求項12に記載のツール。
【請求項15】
前記シールがOリングである、請求項14に記載のツール。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年5月7日に出願された「GAS SPRING FASTENER DRIVING TOOL WITH REMOVABLE END CAP FOR PERFORMING MAINTENANCE OR SERVICE」と題された米国仮特許出願第63/185,516号に対する優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本明細書に開示される技術は、概して、直線締結具駆動ツールに関し、より具体的には、ステープル、釘、又は他の直線的に駆動される締結具を駆動する携帯型ツールを対象とする。少なくとも1つの実施形態は、直線締結具駆動ツールで使用される「主」加圧貯蔵チャンバ(「圧力チャンバ」)を有するとして開示され、圧縮ガスで充填される作動シリンダは、駆動ストローク運動によって、ピストンを作動シリンダを通して迅速に押し込むために、また、締結具をワークピース内へと駆動するために使用される。作動シリンダは、ピストンを「発射」するために使用される圧縮ガスの大部分を保持する圧力チャンバと(エンドキャップを介して)流体連通している。エンドキャップはまた、作動シリンダの上部領域を覆う。
【0003】
修理が望まれる場合に、又は摩耗若しくは破損した部品の交換が望まれる場合に、作動シリンダの内部部品にアクセスするために人間のユーザによってエンドキャップを取り外すことができる。ツールと共に使用されているとき、取り外し可能なエンドキャップは、複数のねじ付きスクリューによって圧力チャンバの外壁に取り付けられており、エンドキャップの形状は、その大きなOリングシールと共に、それらのスクリューを緩めている間に、加圧ガスが安全に漏出し始めることを可能にする。最後のスクリューが、圧力チャンバの外壁からエンドキャップを物理的に取り外すことができる点まで緩められるときまでに、(例えば、ゲージ圧力を上回る)加圧ガスの大部分が排気され、したがって安全な圧力の大きさまで低減され、それにより、人間のユーザには、加圧ガスの突発的な危険な放出によりツールのいずれの部分もユーザの顔に「飛び散らせる」危険がない。
【0004】
連邦政府支援の研究又は開発に関する陳述
なし。
【背景技術】
【0005】
多くの従来の締結具駆動ツールはピストンを使用して、それらの動作サイクルの一部として、釘又はステープルを標的ワークピース内へと押し込むドライバブレードを移動させる。これらのピストンは、典型的には、圧縮空気によって、又は場合によっては燃焼ガスによって駆動される。Sencoによって販売されているFUSION(登録商標)として知られている加圧ガスツールの製品ラインでは、加圧ガスは、主貯蔵チャンバに貯蔵され、そのガスは、大気中へと通気されず、代わりに、複数回再使用され、駆動ストロークを複数回駆動することができる(加圧ガスの充填ごとに、数千回の動作サイクル数を含む)。
【0006】
Kyocera Senco Industrial Tools,Inc.(「Senco」)は、空圧ツールのパワーと実用性をコードレスツールの利便性と組み合わせたツールを含む、一般にネイラと呼ばれる自動電動ツールの製品ラインを販売している。そのようなツールの1つの主要な特徴は、それらが釘を発射するピストンを駆動するために加圧ガスを使用するということである。いくつかのSencoのツールでは、加圧ガスが何度も繰り返し再使用されるため、いかなる圧縮ガスホース、又は燃料を必要とする燃焼室も必要性はない。
【0007】
SencoのFUSION「エアツール」は、非常に信頼性が高く、典型的には、いかなる有意なメンテナンスもなしに数千回の発射サイクルに耐えることができるが、実際には特定の構成要素に対して摩耗特性を有する。例えば、数千回の動作後、圧力チャンバ内のガス圧力が、ゆっくりと漏れて増圧が必要になる圧力レベルまで下がることがあり、又は、ツールは、締結具をそれらの標的ワークピース内へと正常に駆動することができなくなり始めることになる。それが起こると、追加の加圧ガスを圧力チャンバに加えなければならない。更に、「エアツール」に機械的故障(詰まりなど)が生じた場合、しばしば、ツールを分解することが必要になり、圧力チャンバから加圧ガスを抜き取ることが必要になる。
【0008】
別の可能性は、特に、釘などの締結具がドライバブレードによって駆動される間に詰まったときに、ツールが損傷し得ることであり、その状況では、人間のオペレータがそのツールを使用し続けることができるように、内部部品を修理又は交換するためにツールを開く必要がある場合がある、又は、最低限でも、詰まった釘をドライバトラックから取り除く必要がある。
【0009】
1つの従来の内蔵型ガススプリングツールは、Milwaukee Electric Tool Companyによって販売されており、メンテナンス手順を実行するためには、まず、その充填にアクセスするために、両方のハウジング半体を取り外さなければならない。次に、内部ガス圧力を解放するために、充填バルブを作動させなければならない。次いで、ユーザは、ピストン停止部(若しくは「バンパー」)又はピストン/ドライバブレードの組み合わせのいずれかにアクセスして点検するために、ねじ込まれた圧力容器を外さなければならない。もちろん、ツールを再組み立てするためには、逆の手順を実行しなければならない。
【0010】
別の従来の内蔵型ガススプリングツールがHitachiによって販売されており、メンテナンス手順を実行するためには、まず、4つの「外側」スクリューを緩めることによって、プラスチック製の上部キャップを取り外し、次いで、両方のハウジング半体を取り外さなければならない。その後、ユーザは、シュレーダ充填バルブを露出させる保護スクリューの取り外しによって内部ガス圧力を解放し、次いで、その充填バルブを作動させなければならない。次いで、ユーザは、金属製の上部キャップを解放するために、4つの「内側」スクリューを取り外さなければならない。全てが達成された後もなお、ユーザは、圧力容器の上部を覆う特殊なナットを緩めるために、Hitachiからのみ入手可能な特殊なレンチを使用しなければならない。そのあと最後に、ユーザは、ピストン停止部又はピストンとドライバとの組み合わせのいずれかを点検するために圧力容器にアクセスすることができる。もちろん、ツールを再組み立てするためには、逆の手順を実行しなければならない。
【発明の概要】
【0011】
したがって、本明細書に開示される本技術の利点は、ツールの内側に貯蔵された加圧ガスを安全に解放すると同時に、エンドキャップを安全に取り外すことができる、ガススプリングの原理に基づいて動作する締結具駆動ツールを提供することである。
【0012】
本技術の別の利点は、ガススプリングの原理に基づいて動作すし、特殊な固定具なしで通常の人間のユーザにとって安全な制御されたやり方で内部ガス圧力を解放することができるように、制御されたやり方で緩めることができる締結具のセットを使用して主加圧貯蔵チャンバに締結されるエンドキャップを含み、それにより、ユーザが、摩耗した部品の修理又は交換のためなど、メンテナンス手順を実行するためにツールの内部部分にアクセスすることを可能にする、締結具駆動ツールを提供することである。
【0013】
追加的な利点及び他の新規な特徴は、以下の説明において一部が記載され、一部は、以下を検討することで当業者には明らかとなることになる、又は、本明細書で開示される技術を実践することで習得することができる。
【0014】
上記及び他の利点を達成するために、一態様によれば、締結具駆動ツールを点検するための方法が提供され、本方法は、(a)組み立て型締結具駆動ツールを提供することであって、組み立て型締結具駆動ツールが、外側ハウジングと、円筒形スリーブ及び円筒形スリーブの中に可動式ピストンを含む作動シリンダと、作動シリンダと流体連通している、加圧ガスを収容する貯蔵チャンバであって、貯蔵チャンバが外壁を有する、貯蔵チャンバと、少なくとも駆動ストローク中にピストンと機械連通している可動式ドライバと、締結具駆動ツールの作動シリンダの高圧部分の近位にある、貯蔵チャンバに取り付け可能/貯蔵チャンバから取り外し可能であるエンドキャップであって、エンドキャップは、複数の締結具によって貯蔵チャンバに取り外し可能に固定される、エンドキャップと、を含む、提供することと、(b)複数の締結具を順番に緩めることによってエンドキャップを慎重に取り外し、複数の締結具のうちの最後の1つが取り外される前に貯蔵チャンバを安全な圧力の大きさまで排気することと、(c)エンドキャップの取り外しによって作製される開口部を通して、外側ハウジングを取り外すことなく、かついかなるツールも使用せずに、(i)可動式ピストン、(ii)可動式ドライバ、及び(iii)作動シリンダのスリーブのうちの少なくとも1つに直接アクセスして取り外すことと、を含む。
【0015】
別の態様によれば、締結具駆動ツールを点検するための方法が提供され、本方法は、(a)組み立て型締結具駆動ツールを提供することであって、組み立て型締結具駆動ツールが、外側ハウジングと、円筒形スリーブ及び円筒形スリーブの中に可動式ピストンを含む作動シリンダと、作動シリンダと流体連通している、加圧ガスを収容する貯蔵チャンバと、少なくとも駆動ストローク中にピストンと機械連通している可動式ドライバと、締結具駆動ツールの作動シリンダの高圧部分の近位にある、貯蔵チャンバに取り付け可能/貯蔵チャンバから取り外し可能であるエンドキャップであって、エンドキャップは、複数の締結具によって貯蔵チャンバに取り外し可能に固定される、エンドキャップと、エンドキャップ内に配置された充填バルブであって、充填バルブは、外側ハウジングのいかなる部分も取り外すことなくアクセス可能であり、充填バルブは、貯蔵チャンバと流体連通しており、充填バルブは、貯蔵チャンバから締結具駆動ツールの外部環境に加圧ガスを解放するように作動可能である、充填バルブと、を含む、提供することと、(b)加圧ガスを貯蔵チャンバから安全な圧力の大きさまで通気するために、充填バルブにアクセスして作動させることと、(c)複数の締結具を順番に緩めることによってエンドキャップを取り外し、複数の締結具のうちの最後の1つが取り外される前に、貯蔵チャンバからいかなる残留加圧ガスも安全な圧力の大きさまで排気することと、(d)エンドキャップを取り外すことよって作製される開口部を通して、外側ハウジングを取り外すことなく、かついかなるツールも使用せずに、(i)可動式ピストン、(ii)可動式ドライバ、及び(iii)作動シリンダのスリーブのうちの少なくとも1つに直接アクセスして取り外すことと、を含む。
【0016】
更に別の態様によれば、締結具駆動ツールが提供され、締結具駆動ツールは、(a)外側ハウジングと、(b)円筒形スリーブ及び円筒形スリーブの中に可動式ピストンを含む作動シリンダと、(c)作動シリンダと流体連通している、加圧ガスを収容する貯蔵チャンバと、(d)少なくとも駆動ストローク中にピストンと機械連通している可動式ドライバと、(e)スリーブの遠位端に配置されたピストン停止部と、(f)締結具駆動ツールの作動シリンダの高圧部分の近位にある、貯蔵チャンバに取り付け可能/貯蔵チャンバから取り外し可能であるエンドキャップと、(g)複数の離隔された突出部を呈するスペーサであって、スペーサは、スリーブの近位端に取り付けられ、スリーブの近位端は、エンドキャップの近位にあり、スペーサ及び突出部は、スリーブをエンドキャップに対して正しい向きで保持するようなサイズ及び形状である、スペーサと、(h)作動シリンダの遠位端にある機械的底部構造であって、この底部構造に、貯蔵チャンバの遠位端が機械連通しており、かつスリーブの遠位端が機械連通しており、それによって、貯蔵チャンバを包囲して圧力容器を作製する、機械的底部構造と、備え、エンドキャップ、スペーサ、及びスリーブの積み重ねは、内部締結具を使用せずに、スリーブの遠位端を作動シリンダの取り付けら底部構造と機械連通するように保持する。
【0017】
更に他の利点は、本技術を実施するために想到される最良の形態のうちの1つにおける好ましい実施形態が説明及び示されている、以下の説明及び図面から、当業者には明らかとなるであろう。理解されるように、本明細書で開示される技術は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全てその原理から逸脱することなく、様々な明白な態様において修正が可能である。したがって、図面及び説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないと見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付図面は、本明細書で開示される技術のいくつかの態様を示すものであり、説明及び請求項と共に、本技術の原理を説明する役割を果たす。図面では、
【0019】
【
図1】ガススプリング締結具駆動ツールの圧力容器サブアセンブリ及びエンドキャップの分解図であり、圧力容器サブアセンブリ、エンドキャップ、及びガススプリングツールは、本明細書に開示される技術の原理に従って構築されている。
【0020】
【0021】
【0022】
【
図4】
図1のツールの背面右側斜視図であり、2つのエンドキャップ締結具が取り外されていることを示している。
【0023】
【
図5】
図1のツールの背面右側斜視図であり、エンドキャップ締結具の全てが取り外されていることを示している。
【0024】
【
図6】
図1のツールの背面右側斜視図であり、エンドキャップが取り外されていることを示している。
【0025】
【
図7】
図11の線7-7に沿ったツールの切り欠き図であり、エンドキャップが取り外されていることを示している。
【0026】
【
図8】
図1のツールの背面右側斜視図であり、ピストン及びドライバが取り外されていることを示している。
【0027】
【
図9】
図1のツールの背面右側斜視図であり、シリンダスリーブ、ピストン、及びドライバが取り外されていることを示している。
【0028】
【
図10】
図1のツールの背面右側斜視図であり、ピストンのバンパー、シリンダスリーブ、ピストン、及びドライバが取り外されていることを示している。
【0029】
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで、本発明の好ましい実施形態を詳細に参照するが、その実施例は添付図面に示されており、同様の数字は、図面全体を通して同じ要素を示す。
【0031】
本明細書で開示される技術は、その適用において、以下の説明に記載するか若しくは図面に示す、構成要素の構成及び配置の詳細に限定されるものではない点を理解されたい。本明細書で開示する技術は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することが可能である。また、本明細書で使用する表現及び用語は、説明を目的とするものであって、限定するものと見なされるべきではない点も理解されたい。本明細書における、「含む(including)」、「備える(comprising)」、又は「有する(having)」、及びそれらの変化形の使用は、その後に列挙する項目及びそれらの等価物、並びに追加的な項目を包含することを意味する。特に限定しない限り、本明細書における用語「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」、又は「取り付けられた(mounted)」、及びそれらの変化形は、広範に使用され、直接的及び間接的な接続、結合、若しくは取り付けを包含する。更には、用語「接続された」又は「結合された」、及びそれらの変化形は、物理的又は機械的な接続若しくは結合に限定されない。更には、用語「~と通信している」又は「~と通信状態である」とは、2つの異なる物理的要素又は仮想的要素が、その信号若しくは情報の伝達が直接的であるか、又は、それらの間に、信号若しくは情報の伝達に同様に関与する追加的な物理的要素若しくは仮想的要素が存在しているかどうかに関わらず、何らかの形で互いの間で信号若しくは情報を受け渡すことを示す。更には、用語「~と連通状態である」とはまた、「連通」の一方の端部(「第1の端部」)が、発生するある運動力(機械的移動、又は液圧若しくは空圧の状態変化)の「原因」であり得、かつ「連通」の他方の端部(「第2の端部」)が、「第1の端部」と「第2の端部」との間に中間構成要素が存在しているか否かに関わらず、その移動/状態変化の「影響」を受けることが可能な、機械式、液圧式、又は空圧式システムを指すこともできる。製品が、磁場に依存する移動部品を有するか、又は何らかの形で磁場の変化を検出する場合、又は、磁場の使用によって一方の電子デバイスから別の電子デバイスにデータが受け渡される場合には、それらの状況を、互いに「磁気通信している」事項として言及することが可能であり、この場合、「通信」の一方の端部が磁場を誘起することができ、他方の端部が、その磁場を受信して、その磁場から作用を受ける(又は、他の方式で影響を受ける)ことができる。
【0032】
例えば第1の入口、第2の入口など、要素名に先行する用語「第1」又は「第2」は、類似若しくは関連する要素、結果、又は概念を区別するための識別目的のために使用されており、必ずしも順序を意味することを意図するものではなく、用語「第1」又は「第2」は、別途指示のない限り、追加的な類似若しくは関連する要素、結果、又は概念の包含を排除することを意図するものでもない。
【0033】
更には、本明細書で開示する実施形態は、説明の目的のために、構成要素の大部分がハードウェアのみで実装されているかのように図示及び説明される場合がある、ハードウェア及び電子構成要素又はモジュールの両方を含むことを理解されたい。
【0034】
しかしながら、当業者は、この発明を実施するための形態を読むことに基づいて、少なくとも1つの実施形態では、本明細書に開示される技術の電子ベースの態様がソフトウェアで実装され得ることを認識するであろう。したがって、複数のハードウェア及びソフトウェアベースのデバイス、並びに複数の異なる構造構成要素が、本明細書に開示する技術を実装するために利用され得ることに留意されたい。更に、ソフトウェアが利用される場合、そのようなソフトウェアを実行する処理回路は、汎用コンピュータであってもよく、その一方で、特にこの技術を具体的に実装するために設計され得る専用コンピュータによって他の方法で実行され得る全ての機能を果たすことができる。
【0035】
本明細書で使用するとき、用語「回路」は、集積回路チップ(又はその一部分)などの実際の電子回路を表すことができること、又は、論理状態マシン若しくは別の形態の処理要素(逐次処理回路を含む)を含む、マイクロプロセッサ若しくはASICなどの処理回路によって実行される機能を表すことができることが理解されるであろう。特定のタイプの回路は、いくつかのタイプのアナログ回路又はデジタル回路であってもよいが、そのような回路は、場合により、論理状態マシン又は逐次プロセッサによってソフトウェアで実装され得る。換言すれば、本明細書に開示される技術に使用される所望の機能(復調機能など)を実行するために処理回路が使用される場合、「復調回路」と呼ばれることがある特定の「回路」が存在しなくてもよいが、ソフトウェアによって実行される復調「機能」が存在することになる。これらの可能性の全ては、本発明者らによって想到され、「回路」を検討する際の本技術の原理内である。
【0036】
ここで
図1を参照すると、FUSIONタイプのツールの新しい実施形態が示されている。締結具駆動ツールは、全般的に参照番号5で示されており、全般的に参照番号10で示されている作動シリンダサブアセンブリを含む圧力容器サブアセンブリ(「圧力容器S/A」)を有する。
【0037】
圧力容器S/Aの各部分は、作動シリンダ壁(又は「主部分」又は「スリーブ」)44、ピストン停止部(又は「バンパー」)38、複数のタブ152を有するスペーサ150、複数のドライバ歯94を有するドライバ(又は「ハンマー」又は「ブレード」)90、並びに上部部分20及び底部部分22を有する2部品ピストンとして示されている。底部ピストン半体22は、小さなチャネルを通して挿入される一対のピン32及び34を使用することによってドライバ90に取り付けられ、これらのピンもまた、ドライバの開口部を通って延びる。ドライバ自体は、ピストン停止部38の開口部を通って、更にガイド本体36(
図7参照)内に入り、ガイド本体は、締結具を駆動するためのドライバの移動中にドライバを案内する。スリーブ44の一端にある厚くなったシリンダスリーブ壁68に留意されたい。この厚くなったスリーブ68は、ツール5の内側に組み立てられたときに、バンパー38を包囲する。
【0038】
エンドキャップサブアセンブリ(「エンドキャップS/A」)は、参照番号80によって示されている。エンドキャップS/A80は、エンドキャップ50と、充填バルブサブアセンブリ(「充填バルブS/A」)70と、複数のエンドキャップ締結具82と、エンドキャップ締結具を受け入れるためのフランジ60と、エンドキャップと圧力チャンバ30との間のシール(本明細書ではOリングとも呼ばれる)56とを含む。
【0039】
エンドキャップサブアセンブリ80は、締結具82によって圧力チャンバの外壁の最上部部分に締結されるエンドキャップ50を含む。いくつかの締結具が、一対のフランジ48及び60において、エンドキャップ50を圧力チャンバの外壁に保持することが分かる。フランジは、この実施形態では一組のスクリュー又はボルト82である、締結具を保持するための開口部を有する延長部(又はボス)を有する。例えば、フランジ60は、エンドキャップ50を所定の位置に保持するスクリュー82を受け入れるための開口部を有し、同様に、フランジ48は、エンドキャップ50をそのフランジ48に保持するスクリュー82を保持するためのねじ穴を有する。
【0040】
参照番号30によって全般的に示されている主貯蔵チャンバは、本明細書では「圧力チャンバ」とも呼ばれ、又は「圧力容器」を示す。この実施形態では、圧力チャンバ30は、主に、作動シリンダ壁44を部分的に取り囲む環状空間であり、加圧された空間30は、本質的に、作動シリンダ壁44の外面と圧力チャンバの外壁46の内面との間にある(
図7参照)。圧力容器はまた、作動シリンダの可動式ピストンの上方に可変容積部を含む。
【0041】
上記のように、参照番号10で示されるツールの部分は、作動シリンダサブアセンブリ全体であり、加圧ガスがシステムに導入されると、加圧下となる。このことを考慮して、圧力チャンバ30内でその圧力を保持するのに役立つ追加のシールが存在する。この第1の実施形態のエンドキャップサブアセンブリ80には、参照番号56のシール(Oリング)がある。エンドキャップ50は、圧力容器全体の一部を形成することが理解されるであろう。
【0042】
圧力チャンバの主な目的は、下向き方向又は「駆動ストローク」方向にピストンサブアセンブリを駆動し、釘又はステープルなどの締結具を駆動している際に使用するための追加の加圧ガスを保持することである。圧力チャンバ内のこの追加の加圧ガスにより、釘又はステープルを木材片などの標的表面内に押し込みながら、ピストンの上部部分20の上面に対して十分な力を加えることが可能になる。圧力チャンバを表すこの貯蔵容積部30は、追加の加圧ガスを保持するための圧力チャンバがない場合には作動シリンダ内のピストンの上方にある変位容積部で必要とされるであろう、非常に高い圧力を必要とすることなくガススプリング効果を提供するために、より低い全体的なガス圧力をこの締結具駆動ツールの全体的な作動に使用することを可能にする。
【0043】
ツール5は、後方ハウジング部分140、前方ハウジング部分142、モータハウジング160、ハンドル148、ハンガー(又はフック)146、バッテリパック144、及び複数のエンドキャップ締結具を受け入れるためのフランジ48を含む、他の主要な構造要素を示す。
【0044】
エンドキャップ及びその圧力チャンバの上部への嵌合フランジ表面の全体的な形状及び構造は、作動シリンダ及び圧力チャンバが内部に比較的高いガス圧力を依然として含んでいる場合であっても、人間のユーザが、スクリュー82を緩めるだけでエンドキャップを安全に取り外すことができるように設計されている。人間のユーザがスクリュー82を取り外し始めると、加圧ガスは、エンドキャップの底面の縁部の周りから安全に漏出し始める。加圧ガスは、そのガスは本質的には、2つの主要な要因を理由に、制御された速度で解放される、すなわち、まず第一に、Oリングシール56が存在し、次に、ガスが外側フランジ表面48及び60の外周部の周囲でガスが漏出し始めることを更に可能にし始めるためにスクリューを取り外すのにいくらかの時間がかかるためである。スクリューが緩められるにつれて、加圧ガスは漏出し始め、最後のスクリューが完全に取り外されるときまでに、内部ガス圧力は安全な大きさになり、次いで、エンドキャップを安全に、圧力チャンバ30の上部から完全に取り外し、それによって、所望に応じてピストン及び他の内部構成要素を交換することができるように、作動シリンダの内部を露出させることができる。
【0045】
ここで
図2を参照すると、ツール5は、加圧チャンバ部分6、出口端部(釘が発射される場所)7、締結具マガジン部分8、及び手動トリガ9を含む。
図2は、ツール5に固定して取り付けられた完全に組み立てられたエンドキャップS/A80を示す。
【0046】
ここで
図3を参照すると、完全に組み立てられたツール5が正面斜視図に示されている。
図4~
図6は、エンドユーザによってどのようにしてエンドキャップS/A80がツール5から安全に分解されるかを示している。
【0047】
ここで
図4を参照すると、エンドキャップS/A80を取り外す際の第1の動作が示されている。ユーザは、一度に1つの締結具82を取り外すことによって分解プロセスを始める。
図4には、取り外された2つの締結具82が示されている。この時点で、加圧ガスは既に安全な制御されたやり方で外に漏れている。
図4には締結具83が示されていることに留意されたい。この図では、締結具83は、取り外される「第3のスクリュー」であり、完全に取り外されると、最後の第4の締結具82を安全に取り外し続けるのに十分な加圧ガスが漏出する。締結具83は、4つの締結具82のうちのいずれであってもよく、どの締結具を連続して取り外すかに関するユーザの好みに単に依存することに留意されたい。
【0048】
ここで
図5を参照すると、4つの締結具82が全て取り外されている。加圧ガスは安全に漏出し、エンドキャップ50は、ユーザの顔に「吹き飛ばされる」ことはなく、安全に取り外される。
【0049】
図6には、完全に取り外されたエンドキャップ50が示されており、ツール5の内部へのアクセスが利用可能である。
図7は、ツール5の切り欠き側面図である。圧力チャンバの外壁46は、スリーブ44の近位に明確に示されている。外壁46とスリーブ44との間には開放空間30があり、これは、ツール5が完全に組み立てられたときに加圧ガスが貯蔵される場所である。ガイド本体36は、バンパー38の近位に示されている。
【0050】
複数のバッテリセル170が、バッテリパック144の内側に示されている。モータハウジング160は、モータ162及びギヤボックス164を包囲している。トリガ9がユーザによって引かれると、バッテリパック144がモータ162にエネルギー供給する。モータ162が作動すると、(ピストンサブアセンブリ20、22全体である)ピストン21及びドライバ90は、リフタ(図示せず)から解放され、締結具を基材へと駆動する。次いで、モータ162がギヤボックス164にエネルギー供給して、ピストン21及びドライバ90を持ち上げて「準備完了位置」(
図7に概略的に示す)に戻す。
【0051】
図8~
図10は、
図4~
図6に示したようにエンドキャップS/Aを取り外した後のツール5の更なる分解を示す。
図8は、ユーザが実行する分解/メンテナンスの次の動作でツール5から取り外されたピストン21及びドライバ90を示している。締結具82が取り外された後のこの時点ではツールは不要である。
【0052】
図9は、分解/メンテナンスの更なる段階における、ツール5から取り外されたスリーブ44を示している。
図10は、分解/メンテナンスの最終段階における、ツール5から取り外されたバンパー38を示している。この段階において、圧力チャンバの外壁46全体が見えており、その内部部品、並びに既に取り外されたツール5の任意の部分を点検することができる。
【0053】
ここで
図11を参照すると、背面立面図は、エンドキャップ50、締結具82、及び充填バルブ70を示している。この実施形態では、充填バルブ70は、(この図に見られるように)ハンドル148と一列に組み立てられる。
【0054】
以下の説明では、最初に、説明しようとしているメンテナンス手順を実行するためには、充填バルブS/A70がユーザによって作動されないものと仮定する。その代わりに、ユーザは、エンドキャップ50を取り外すことによって締結具駆動ツール(すなわち、ネイラ5)を分解し始める。ネイラ5がその主貯蔵チャンバ30内に加圧ガスを収容しているとしても、そのガスは、エンドキャップを取り外すための以下のメンテナンス手順中に安全に解放することができる。
【0055】
エンドキャップ50は、4つのスクリュー82によって圧力容器の上端部(又は後端部)において、フランジ48に対して所定の位置に保持されている。これらの4つのスクリューは、一度に1つずつ、ユーザによって取り外されることになる。最初の2つのスクリュー82がフランジ48から取り外された後、おそらく内部ガス圧力の大部分は依然として、主貯蔵チャンバ30内に保持されているであろう。しかしながら、第3のスクリュー83を取り外している間に(
図4参照)、ガス圧力の残りの大部分が解放され始める一方で、エンドキャップ50は依然として、残りの第4のスクリュー82(この図では見えない)によってフランジ48に対して所定の位置に保持されている。したがって、第4のスクリューを取り外し始めるときまでに、貯蔵チャンバ30内に保持されていた加圧ガスの大部分は既に解放されており、その第4のスクリュー82を安全に取り外すことができ、その手順中にエンドキャップ50がツール5の後端部(上端部)から「吹き飛ばされる」危険はない。(その手順の動作については
図5を参照されたい。)
【0056】
フランジ48は、圧力容器の一体部分である(例えば、
図7で見られるように、圧力チャンバの外壁46の左手部分にある)。換言すれば、フランジ48は、主に貯蔵チャンバの外壁46で構成される圧力容器の「後方」部分を含む。全ての締結具82が完全に締め付けられている状態でエンドキャップ50がフランジ48に取り付けられると、それが、ツール5の後方部分(又は「上部部分」)においてOリング56と共に圧力シールを作製し、これが、ツールの後方において主貯蔵チャンバ30が包囲する。
【0057】
大きなOリング56は、ツール5全体が組み立てられたときに(すなわち、エンドキャップ50がフランジ48に組み付けられたときに)シールとして作用する。第1、第2、及び第3のスクリュー82をフランジ48から取り外している際に、内部ガス圧力が、設計によって、Oリング56の周りから安全に外に漏れ始める。第3のスクリュー82が緩められるときまでに、ガスの漏れは次第により顕著になり、第3のスクリューが完全に取り外されるときまでに、内部ガス圧力が本質的に大気圧に等しくなる点までより顕著になる。この第3のスクリュー82は、
図4では参照番号83を有するスクリューになり、更に、4つのスクリュー82のうちのいずれの1つも、この手順によって取り外される4つのスクリューの順序の中のその順番に関して、その「第3のスクリュー」になり得ることが理解されるであろう。
【0058】
オプションとして、充填バルブS/A70は、代わりに、必要に応じて、主貯蔵チャンバ30から加圧ガスを通気(又は排出)するように作動され得ることが理解されるであろう。加圧ガスが、好ましくはシュレーダバルブである充填バルブを通して取り除かれると、エンドキャップ50は、更に多くの加圧ガスを漏出させることなく、上記と同じ手順を使用して取り外され得る。(メンテナンス手順のその時点までに圧力容器内に残っている残留圧力はわずかでなければならない。)いずれの場合にも、目標は、エンドキャップ50をフランジ48から取り外し、次いで、以下のように、メンテナンス手順における更なる動作に進むことである。
【0059】
エンドキャップ50がツール5の後端部から取り外されているので、所望のメンテナンス手順を迅速かつ容易に実行することができる。作動シリンダのスリーブ44は、
図6に見られるように、後方ハウジング部分140の後部開口部から部分的に突出している。スペーサ150は、スリーブ44の後方端部に載置されており、いかなるツールも必要とせずに、そのスリーブから手動で取り外すことができる。スリーブのこの「後方端部」は、具体的にはエンドキャップ50の近位にあるので、スリーブ44の近位端と呼ぶことができる。スリーブの反対側の端部は遠位端と呼ぶことができ、これはピストン停止部38の近位にある。
【0060】
メンテナンス手順のこの時点において、ユーザは次の動作に関して2つの主な選択肢を有する。選択肢#1では、ユーザは、スリーブ44を引っ張り、スリーブ自体を取り外すことができ、又は選択肢#2では、ユーザは、スリーブ44内からピストン/ドライバの組み合わせを取り外すことができる。
【0061】
ユーザが作動シリンダ全体を交換することを望む場合、ユーザは、スリーブ44を引き出すことを決定する傾向があり、すなわち、選択肢#1を実行するであろう。「通常」状態にあるツールでは、ピストン21及びドライバ90は、スリーブ44と共にツールから出る傾向がある。しかしながら、ツール5が「詰まった」場合、ドライバ90は、メンテナンス手順のこの時点において移動可能でない可能性がある。その可能性がある場合、スリーブ44自体を取り外す必要があるが、ピストン/ドライバの組み合わせは、ツール5の内側に「スタック(stuck)」したままである。ガス圧力は既に消散しているので、ユーザは、駆動ストローク中に、典型的にはマガジン8からドライバトラック内へと正しく供給されなかった締結具に起因する詰まった状態の「修復」に安全に対処することができる。詰まりが解消された後、ユーザは、
図8に見られるように、ドライバ90とピストン21との組み合わせを引き出すことができる。(注:
図8は、依然としてハウジング部分140の後方開口部内の所定の位置にあるスリーブ44を示しているが、上述したように、ユーザがこの選択肢#1の手順を実行すると決定した場合、スリーブは既に取り外されている。)
【0062】
ユーザが、(#a)ピストン/ドライバの組み合わせを交換すること、又は(#b)ツールの詰まりを(何も交換せずに)なくすことのいずれかのみを望む場合、ユーザは、上記の選択肢#2を実行すると決定し得る。その状況では、ユーザは、ピストン半体20の上部がスリーブ44の上部からわずかに突出するのに十分に遠くまで、ドライバ90の前端部(ツールの出口端部7)をツール内へと押し戻さなければならない。(この正確な状態は図示されていない。注:典型的には、ドライバをツール5内へと押し込むためにツールが使用される。)次に、ユーザは、
図8に示すように、上部ピストン半体20を手で掴み、ピストン21とドライバ90との組み合わせを引き出すことができる。底部ピストン半体22は、
図1に示される2つの接続ピン32及び34を使用することによって、ドライバ90の上部に接続されることに留意されたい。
【0063】
ツール5に対してメンテナンス手順を実行しているユーザが選択肢#1を選択するか、あるいは選択肢#2を選択するかに関わらず、ピストン21、ドライバ90、及び作動シリンダのスリーブ44は、エンドキャップ50を取り外すと容易にアクセス可能であることが、図面及び上記の説明から分かる。
図9は、ピストン/ドライバとシリンダスリーブの両方が、圧力容器の残りの部分を残して、後方ハウジング部分140の内部から取り外されていることを示しており、この残りの部分は主に、(普通は加圧されている)主貯蔵チャンバ30の主構造構成要素である圧力チャンバの外壁46(
図7参照)を含む。ピストン停止部(又は「バンパー」)38(
図7参照)もまた、これまで説明したように、メンテナンス手順のこの段階では、依然として所定の位置にある。
【0064】
ピストン停止部38は、ツール5のようなガススプリング締結具駆動ツールにおける典型的な「摩耗品」である。ピストン停止部を交換するためには、まず、スリーブ44及びピストン/ドライバの組み合わせ(21及び90)を、上述の手順のうちの1つによって取り外さなければならず、これにより、ツール5が
図9に示されるような状態になる。この状態が達成された後、ピストン停止部38は、いかなるツールも使用せずにツール5から容易に引き出すことができる。
【0065】
必要に応じて、取り外された部品の全てを新品の部品と交換することができ、これは、本明細書に記載されているメンテナンス手順全体の典型的な目標である。しかしながら、ツールが比較的新しい間に詰まりを起こした場合、メンテナンス手順の目標は、おそらく、詰まった状態の原因にアクセスするように必要な部品を取り外すことだけであり、部品を1つも交換しなくてもよい。いずれの場合にも、「古い」部品がツール5に再挿入されるか、あるいは「新しい」部品が設置されるかに関わらず、設置メンテナンス手順は比較的簡単である。
【0066】
ユーザがツール5を再組み立てする準備が完了すると、ユーザはまず、ピストン停止部38を設置し、ピストン停止部は、ガイド本体36の内部圧力壁面上に単に着座する。
図7に見られるように、ガイド本体は、ピストン停止部の周りに嵌合する上向きの円形の突出部を有し、ピストン停止部が設置されると、ピストン停止部を所定の位置に保持する。ピストン停止部38は、スリーブ44の拡大直径部分68(スリーブの底部にある、
図10参照)内に嵌合するので、任意選択で、ユーザがまずピストン停止部をスリーブの拡大部分68内に設置し、次いで、スリーブと収容されたピストン停止部との組み合わせを主貯蔵チャンバ30の内部に設置することが可能である。(しかしながら、重力を理由に、この任意選択の動作は、一時的にツールを逆さまに位置決めした状態で実行する必要があり得ることに留意されたい。)次いで、スペーサ150を、
図10に示すような位置で、スリーブ44の後部(又は上部)の円形縁部上に配置する。スペーサ150は、円筒形スリーブの上部円形表面上でセンタリングされるように、段付き形状を有する底部円形表面を有しており、エンドキャップ50がツールに再取り付けされるまで所定の位置に静止したままである。
【0067】
ここで、ドライバ90とピストン21との組み合わせが設置され、ドライバ90は、ピストン停止部38の開口部を貫通しなければならない。(また、ドライバ/ピストンの組み合わせは、必要に応じて、スリーブ44が設置される前に、任意選択で設置できることに留意されたい。)上記構成要素の全てが設置されると、エンドキャップ50がフランジ48に取り付けられ、次いで、4つのスクリュー82が4つのエンドキャップ開口部に挿入され、次いで締め付けられる。スペーサ150のタブ152は、スリーブ44をエンドキャップ50の内壁に対して適切な向きで保持する。
【0068】
最後に、充填バルブ上に加圧ガス源を配置して、ツールの圧力チャンバを再加圧する。この図示された実施形態では、圧力チャンバは、スリーブ44を取り囲む主貯蔵チャンバ30と、ピストン21の上部の「上方」にあるエンドキャップの内部の部分(30、
図7参照)とを含む。Kyocera Senco Industrial Tools,Inc.(Cincinnati,Ohio)によって販売されているFUSION(登録商標)締結具駆動ツール(これらの図に示されているタイプのツールである)では、ピストンの上方の加圧ガスは、スリーブ44を取り囲んでいるガスと常に流体連通している。ピストン21の上部の「上方」にある空間の容積は、ピストンがその往復ストローク全体を移動するにつれて変化し、ピストンの上方の可変容積空間は、本明細書に図示されるものなど、Senco FUSIONツール内で常に加圧下にあることが理解されるであろう。
【0069】
エンドキャップ50、ピストン底部22、スリーブ44、及び円筒形の圧力チャンバ46を含む、ツール5の金属部品の大部分は、アルミニウムで作製することができる。任意の好適な材料を使用し得るが、好ましくは、これらの部品の大部分について、金属が指定される。ピストンの上部部分20は、プラスチック材料、好ましくはデルリンで作製することができる。外側ハウジング部分140及び142は、典型的には、強靭なプラスチック材料で作製され、クラムシェル型構造で取り付けられる。
【0070】
本出願で提供される図面は、Kyocera Sencoによって販売されるであろうFUSIONタイプのツールのためのいくつかの他の比較的新しい特徴を含み、それらは、以下に言及する他の特許文書に記載されている。
【0071】
図面及び上記の説明から、ツール5は、後方ハウジング部分140又は前方ハウジング部分142のいずれの部分も取り外すことなく安全に分解することができ、それによって、エンドキャップ50をフランジ48に保持する4つのスクリュー82を緩め、再び締めるために使用されるねじ回し又はレンチなどの小さなツールのみを必要とするメンテナンス手順を行うことが可能になることが分かる。これは、任意のこのようなメンテナンス手順を試みる前にハウジング半体のうちの少なくとも1つを取り外す必要がある従来技術のツールに対する大幅な改善である。
【0072】
更なる選択肢として、圧力容器(すなわち、外壁46によって画定された主貯蔵チャンバ30)内に収容されている加圧ガスを、まずエンドキャップ50を取り外すことによってではなく、充填バルブ70を通して通気(又は排出)してもよい。もちろん、本明細書で上述されているメンテナンス手順のうちの1つを実行するように、いずれの場合にも依然として、エンドキャップを取り外さなければならない。しかし、それでもなお、充填バルブ70は、ハウジングのいかなる部分も取り外すことなくアクセス可能であり、それによって、メンテナンス手順全体を簡略化する。
【0073】
圧力チャンバの全体的な構造は、「メンテナンス部品」の取り外しと設置の両方が簡略化され、簡単であるように設計される。ツール5が完全に組み立てられると、圧力容器46の「上部」部分(
図7で見ると、向かって左)は、エンドキャップ50の内面に当接し、圧力容器46の「底部」部分(
図7で見ると、向かって右)は、ガイド本体36の平坦面に当接する。換言すれば、圧力容器の主要な構成要素は、構成要素の積み重ね、すなわち、エンドキャップ50、スペーサ150、スリーブ44、及びガイド本体36によって提供される底部構造の積み重ねによって、エンドキャップとガイド本体との間の所定の位置に保持される。部品のこの積み重ねは、いかなる内部締結具も使用せずに、所定の位置に保持される。更なる詳細については以下を参照されたい。
【0074】
ツール5が完全に組み立てられると、作動シリンダのスリーブ44の「底部」部分は、ガイド本体36の円形の隆起部分に当接する。ガイド本体のこの隆起部分は、ピストン停止部38を取り囲む(かつ所定の位置に保つ)ためにも使用される。スリーブ44の「上部」部分は、組み立て中にスペーサ150と物理的に接触するように配置される。スペーサ150は主に、特殊な形状の大きなロックワッシャのように円形である。スペーサ150の「特殊な形状」は、複数の突出するタブ152を含む。スリーブと作動シリンダ内に配置される他の構成要素(例えば、ピストン21及びドライバ90)との組み立て中、これらのタブ152は、エンドキャップ50の内壁と物理的に接触するようなサイズ及び形状である。エンドキャップ50がフランジ48に対して(スクリュー82を介して)締め付けられると、スペーサのタブ152は、下向きに(
図7では向かって右に)向けられる力を提供し、この力は、ガイド本体36の最上部の円形リムに対してスリーブ44を、ちょうどピストン停止部38の場所に保持する。
【0075】
複数のタブ152は、スペーサ150の上面に沿って(
図7の左に)離隔されていることに留意されたい。個々のタブ152の間の「間隙」(番号は付されていない)は、加圧ガスが、(それぞれ)主貯蔵チャンバ30から作動シリンダの上側部分(ピストンの「上方」)に流入し、作動シリンダの上側部分(ピストンの「上方」)から主貯蔵チャンバ30へと流出することを可能にする。この構成は、以前のFUSIONツールにおけるように、主貯蔵チャンバ30と作動シリンダの上側部分との間の一定の流体連通を可能にする。
【0076】
圧力チャンバの内部構成要素の組み立て手順全体は、上記2つの段落で説明したように、スクリュー82を締め付けるためのねじ回し又はレンチ以外のいかなるツールも用いずに実行されるように設計されている。これらの内部構成要素の全ては、追加の締結具なしで一緒に嵌合するようなサイズ及び形状であり、したがって、分解も単純化され、ツールなしで実行される。また、上記したように、内部構成要素のセット全体は、外側ハウジングの任意の部分(すなわち、後方ハウジング部分140又は前方ハウジング部分142)を取り外すことなく、容易にアクセス可能である。従来のガススプリングツールはいずれも、これらの単純化された組み立て及び分解の特徴を提供する構造を有していない。スリーブ44、スペーサ150、ピストン21、ドライバ90、及びピストン停止部38を含む、これらの主要な構成要素のこの「積み重ね」特徴は、複数の駆動ストロークにおいて加圧ガスを再使用するFUSIONタイプのガススプリングツールだけでなく、全てのタイプの「エアツール」の中で独特であり得る。(ほとんどの「エアツール」は、内部構成要素の容易な分解、すなわち、ツールなしでの分解を妨げる複数のバルブを含む。)
【0077】
圧力容器の底部構造(すなわち、貯蔵チャンバの外壁46及び作動シリンダのスリーブ44など、加圧ガスを収容するツールの部分)は、任意選択で、ツール5の他の構成要素に取り付けられる又はその一部として形成される、別個の部品として設計できることが理解されるであろう。図示された実施形態では、圧力容器の底部構造は、ガイド本体36の一部として形成されており、これは、そのような締結具駆動ツールを設計する例示的な方法である。本質的に、図示された実施形態の圧力容器全体は、ガイド本体36と、スリーブ44と、往復ピストン21及びそれに関連するシールと、貯蔵チャンバの外壁46と、エンドキャップ50と、充填バルブにつながるより小さいガス通路を含む充填バルブサブアセンブリ70と、を含む。ピストン停止部38、ピストン21、スリーブ44、及びドライバ90などの「摩耗部品」を含む、これらの主要な構成要素の多くは、本明細書に記載されているメンテナンス手順によって容易に交換可能である。エンドキャップ50及びスペーサ150はまた、容易に交換可能であるが、それらは通常、そのようなツールの「摩耗部品」であるとは見なされない。
【0078】
ツール5を分解することは、ツールが適切に機能していることを保証するための検査にも有用であることが理解されるであろう。例えば、この検査は、締結具の詰まり事象の後に特に有用である。詰まり状態を検査すること、又は詰まり状態を修理することのいずれかのために、ピストン21及びドライバ90を取り外すことは、上述したように、単にエンドキャップ50を取り外すことによって容易に達成される。ピストン21及びドライバ90に物理的損傷がないように見える場合、ユーザは、単に、それらをスリーブ44内に再設置し、エンドキャップ50をツール5に再締結することができる。そうでなければ、ピストン21及び/又はドライバ90上に何らかの物理的損傷が検出された場合、ユーザは、それらを交換し、新しい構成要素を設置し、次いで、エンドキャップ50をツール5に再締結することができる。
【0079】
本明細書で例示される実施形態のうちの一部は、明確性の目的のために、本明細書の図面のうちの一部に含まれている、それらの構成要素の全てを有するものではない点に留意されたい。特に以前の設計に関して、そのような外側ハウジング及び他の構成要素の実施例を見るために、読者には、Kyocera Sencoによって所有されている他の米国特許及び出願を参照されたい。同様に、ツールの機能を制御するために電子コントローラが「どのように」動作するかについての情報は、Kyocera Sencoによって所有されている他の米国特許及び出願に見出される。更には、本発明のツール技術の他の態様は、以前の米国特許及び公開された出願で開示されている情報を含めて、譲受人であるKyocera Senco Industrial Tools,Inc.によって販売されている、従来の締結具駆動ツールにおいて存在し得る。そのような刊行物の例は、米国特許第6,431,425号、同第5,927,585号、同第5,918,788号、同第5,732,870号、同第4,986,164号、同第4,679,719号、同第8,011,547号、同第8,267,296号、同第8,267,297号、同第8,011,441号、同第8,387,718号、同第8,286,722号、同第8,230,941号、同第8,602,282号、同第9,676,088号、同第10,478,954号、同第9,993,913号、同第10,549,412号、同第10,898,994号、同第10,821,585号、及び同第8,763,874号、また米国特許出願公開第2020/0156228号、同第2021/0016424号、同第2020/0070330号、及び同第2020/0122308号である。これらの文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0080】
本明細書で使用するとき、用語「近位」は、2つの対象物がおそらくは互いに隣接するように、1つの物理的物体を第2の物理的物体と接近して配置する意味を有し得るが、必ずしもそれらの間に配置された第3の物体が存在しないことを必要としない。本明細書で開示される技術では、「雄型位置決め構造体」が「雌型位置決め構造体」の「近位」に配置されることになる場合があり得る。一般に、このことは、2つの雄型構造体及び雌型構造体が、互いに物理的に当接していることを意味し得るか、又はこのことは、2つの雄型構造体及び雌型構造体が連続表面に沿って互いに実際に接触するか否かに関わらず、一方の構造体を互いに対して所定の方向に向けて、かつX-Y(例えば、水平及び垂直)位置に本質的に保持する、特定のサイズ及び形状によって、それらが互いに「嵌合される」ことを意味し得る。又は、任意のサイズ及び形状(雄型、雌型、又は他の形状であるかに関わらず)の2つの構造体は、それらが互いに物理的に当接するか否かに関わらず、互いに幾分近くに配置される場合もあるが、そのような関係は、依然として「近位」と呼ぶことが可能である。又は、特定の点に対する2つ以上のあり得る位置を、棒の端部の「近くに(near)」ある又は棒の端部「に(at)」あるなどの、物理的物体の正確な属性に関連して指定することができ、それらのあり得る、近く/に、の位置の全てを、その棒の端部の「近位」と見なすことが可能である。更に、用語「近位」はまた、単一の対象物に厳密に関連する意味を有することができ、単一の物体は2つの端部を有し得るものであり、「遠位端」は、対象基準点(又は領域)から幾分遠く離れて配置された端部であり、「近位端」は、その同じ対象基準点(又は領域)に幾分接近して配置されるであろう他方の端部である。
【0081】
本明細書で説明及び/又は図示されている様々な構成要素は、本明細書で開示される技術の原理から逸脱することなく、複数の部品に含めて製造すること、又は、これらの構成要素のそれぞれに対して一体型部品として製造することを含めた、様々な方法で製造することができる点が理解されるであろう。例えば、以下の特許請求の範囲の列挙された要素として含まれる構成要素は、一体型部品として製造される場合があり、又は、その構成要素は、一体に組み立てられるいくつかの個々の部品の、組み合わせた構造体として製造される場合もある。しかしながら、その「複数部品の構成要素」は、特許請求されている列挙された要素が、本明細書では一体型構造体としてのみ説明及び図示されていると思われる場合であっても、依然として、請求項の解釈の侵害目的に対して特許請求されている列挙された要素の範囲内に含まれることになる。
【0082】
「背景技術」及び「発明を実施するための形態」で引用された全ての文献は、関連部分において、参照により本明細書に組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本明細書で開示される技術に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0083】
好ましい実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的のために提示されている。網羅的であること、又は、本明細書で開示される技術を、開示される厳密な形態に限定することを意図するものではなく、本明細書で開示される技術は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正することができる。本明細書で説明又は図示されるいずれの実施例も、非限定的な実施例として意図されており、本明細書で開示される技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記の教示を考慮することで、それらの実施例又は好ましい実施形態の、多くの修正若しくは変形が可能である。実施形態は、本明細書で開示される技術の原理、及びその実際的な適用を例示するために選択及び説明されており、それによって、当業者が、様々な実施形態で、及び、想到される特定の用途に適した様々な修正と共に、本明細書で開示される技術を利用することを可能にしている。それゆえ、本出願は、本明細書で開示される技術の、その一般原理を使用したあらゆる変形、使用、又は適応を網羅することを意図している。更には、本出願は、本明細書で開示されるこの技術が関連し、添付の請求項の範囲内に含まれる、当該技術分野における既知又は慣習的な実践の範囲内となるように、本開示からのそのような逸脱を網羅することを意図している。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
エンドキャップ50、ピストン底部22、スリーブ44、及び円筒形の圧力チャンバ30を含む、ツール5の金属部品の大部分は、アルミニウムで作製することができる。任意の好適な材料を使用し得るが、好ましくは、これらの部品の大部分について、金属が指定される。ピストンの上部部分20は、プラスチック材料、好ましくはデルリンで作製することができる。外側ハウジング部分140及び142は、典型的には、強靭なプラスチック材料で作製され、クラムシェル型構造で取り付けられる。
【国際調査報告】