(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-18
(54)【発明の名称】バッテリケースのサイドフレーム
(51)【国際特許分類】
H01M 50/242 20210101AFI20240411BHJP
H01M 50/233 20210101ALI20240411BHJP
【FI】
H01M50/242
H01M50/233
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569732
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 KR2022007582
(87)【国際公開番号】W WO2022255739
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0070559
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、 チャン-ギュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ジェ-ホン
(72)【発明者】
【氏名】チャ、 ミュン―ファン
(72)【発明者】
【氏名】ウィー、 サン-クォン
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AA37
5H040AS04
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC05
5H040JJ02
5H040JJ03
5H040NN00
(57)【要約】
本発明は、外部衝撃からバッテリセルを十分に保護しながら軽量化とコスト削減を同時に達成できるとともに、溶接部を著しく低減して溶接部の欠陥を根本的に解決することができるバッテリケースのサイドフレームに関するものであって、これは、開放断面を有するように形成された第1フレーム部、及び上記第1フレーム部内において上記第1フレーム部の開放断面を閉鎖するように配置されて上記第1フレーム部に結合された第2フレーム部を含み、上記第1フレーム部と上記第2フレーム部は異なる材質で形成され、上記第1フレーム部と上記第2フレーム部の各コーナー部は曲げ成形されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放断面を有するように形成された第1フレーム部と、
前記第1フレーム部内において前記第1フレーム部の開放断面を閉鎖するように配置され、前記第1フレーム部に結合された第2フレーム部と
を含み、
前記第1フレーム部と前記第2フレーム部とは異なる材質で形成され、
前記第1フレーム部と前記第2フレーム部の各コーナー部は、曲げ成形される、バッテリケースのサイドフレーム。
【請求項2】
前記第1フレーム部は、
第1高さを有する第1縦部材と、
前記第1縦部材から第1長さだけ離隔し、前記第1高さよりも短い第2高さを有する第2縦部材と、
前記第2縦部材から高さ方向に離隔しながら前記第1縦部材から第2長さだけ離隔し、前記第1高さよりも短い第3高さを有する第3縦部材と、
前記第1縦部材の一端と前記第2縦部材の一端とを連結する第1横部材と、
前記第1縦部材の他端と前記第3縦部材の一端とを連結する第2横部材と、
前記第2縦部材の他端に一端が連結されて第3長さだけ幅方向に延長した第3横部材と、
前記第3縦部材の他端に一端が連結されて第4長さだけ幅方向に延長した第4横部材と
を含み、
前記第3横部材の他端と前記第4横部材の他端との間に開放部が形成される、請求項1に記載のバッテリケースのサイドフレーム。
【請求項3】
前記第1フレーム部は、
前記第1高さを有する壁部と、
前記壁部から幅方向の一側に前記第3長さ又は前記第4長さだけ延長した突出部と
を含み、
前記突出部の一側に前記開放部が形成される、請求項2に記載のバッテリケースのサイドフレーム。
【請求項4】
前記第2フレーム部は、前記第1フレーム部内において少なくとも突出部に配置され、前記開放部を閉鎖する、請求項3に記載のバッテリケースのサイドフレーム。
【請求項5】
前記第2フレーム部は、前記第1フレーム部内において固定具による機械的接合又は接着剤による化学的接合によって結合する、請求項4に記載のバッテリケースのサイドフレーム。
【請求項6】
前記第1フレーム部のコーナー部には、曲げ成形のためのノッチ部が形成される、請求項1に記載のバッテリケースのサイドフレーム。
【請求項7】
前記第2フレーム部は、
高さ方向に互いに離隔した第1横方向部材及び第2横方向部材と、
幅方向に互いに離隔し、前記第1横方向部材と前記第2横方向部材とを連結する第1縦方向部材及び第2縦方向部材と
を含む、請求項1に記載のバッテリケースのサイドフレーム。
【請求項8】
前記第1横方向部材及び前記第2横方向部材の厚さは、前記第1縦方向部材及び前記第2縦方向部材の厚さよりも厚く形成される、請求項7に記載のバッテリケースのサイドフレーム。
【請求項9】
前記第1横方向部材及び前記第2横方向部材は、前記第1フレーム部よりも厚い厚さを有する、請求項7に記載のバッテリケースのサイドフレーム。
【請求項10】
前記第2フレーム部は、前記第1横方向部材と前記第2横方向部材との間に補強縦方向部材をさらに含む、請求項7に記載のバッテリケースのサイドフレーム。
【請求項11】
前記第1横方向部材及び前記第2横方向部材は、前記第1縦方向部材と前記第2縦方向部材との間の距離よりも延長した延長部を形成する、請求項7に記載のバッテリケースのサイドフレーム。
【請求項12】
前記第2フレーム部は、前記第1フレーム部よりも比重の低い材質で作製される、請求項1から11のいずれか一項に記載のバッテリケースのサイドフレーム。
【請求項13】
前記第2フレーム部は、前記第1フレーム部よりも高い比強度を有する材質で作製される、請求項1から11のいずれか一項に記載のバッテリケースのサイドフレーム。
【請求項14】
前記第1フレーム部は単一板材を折り曲げて成形され、
前記第2フレーム部は押出により形成される、請求項1から11のいずれか一項に記載のバッテリケースのサイドフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部衝撃からバッテリセルを十分に保護しつつ、単一材質に比べて軽量化とコスト削減を同時に達成できるとともに、溶接部を著しく低減して溶接部の欠陥を根本的に解決することができるように、異種材質からなるバッテリケースのサイドフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車に使用されるバッテリシステムは、内部のバッテリセルを保護するために様々な耐力部材を使用する。
【0003】
代表的な例はバッテリケースのサイドフレームであって、サイドフレームは、バッテリケースにおいてバッテリセルが搭載される空間を区画する側壁を構成しながらバッテリセルを囲み、外部衝撃からバッテリセルを保護する。
【0004】
また、サイドフレームは、バッテリケースを車体に固定するのに必要なマウントフレーム(Mounting Frame)を側面に装着可能にする。
【0005】
通常、サイドフレーム及びバッテリケースは、主にアルミニウム又はアルミニウム合金を用いて製造される。これは、アルミニウムがもつ材質自体の軽量性と、例えば、押出工程を用いて複雑な断面のサイドフレームを容易に作製できる成形自由度などの利点があるためである。
【0006】
しかし、アルミニウム又はアルミニウム合金は上述の利点にもかかわらず、鋼材に比べて遥かに高価であり、押出工程は生産歩留まりが非常に低いため、コストが上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2019-0131415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、外部衝撃からバッテリセルを十分に保護しながら、軽量化とコスト削減を同時に達成できるとともに、溶接部を著しく低減して溶接部の欠陥を根本的に解決することができるように、異種材質からなるバッテリケースのサイドフレームを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例によるバッテリケースのサイドフレームは、開放断面を有するように形成された第1フレーム部、及び上記第1フレーム部内において上記第1フレーム部の開放断面を閉鎖するように配置され、上記第1フレーム部に結合された第2フレーム部を含み、上記第1フレーム部と上記第2フレーム部は異なる材質で形成され、上記第1フレーム部と上記第2フレーム部の各コーナー部は曲げ成形されることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サイドフレームを異種材質で形成することにより、押出材の長所と剛性材質の長所とを均一に活用でき、十分な構造剛性を発揮するだけでなく、軽量化及びコスト削減を達成できるという効果が得られる。
【0011】
また、本発明によれば、溶接部なしに曲げ成形でコーナー部を形成することにより、サイドフレームにおいて溶接部を著しく低減し、溶接部の欠陥を根本的に解決できる一方、耐衝撃性が強化されるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施例によるサイドフレームが適用されたバッテリケースを示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例によるサイドフレームを示す斜視図である。
【
図4】第1フレーム部のコーナー部を成形する段階を示す平面図である。
【
図5】第2フレーム部の変形例を示す断面図である。
【
図6】第2フレーム部のコーナー部を成形する段階を示す平面図である。
【
図7】第1フレーム部及び第2フレーム部を組み立てる段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、例示的な図面を通じて本発明について詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付与するにあたり、同一の構成要素については、例え異なる図面上に表示されていても、可能な限り同一の符号を付していることに留意すべきである。
【0014】
図1は、本発明の一実施例によるサイドフレームが適用されたバッテリケースを示す斜視図である。
【0015】
バッテリケースは、第1ケース1と第2ケース2とを含むことができる。
【0016】
第1ケース1は、ベース板20と、ベース板を囲むサイドフレーム10とを含むことができる。第1ケースのベース板はバッテリセルを支持する床材として作用することができ、サイドフレームは第1ケースの側壁を構成することができる。
【0017】
ベース板20及びサイドフレーム10は、互いに溶接等により結合されて一体となることができる。これにより、第1ケース1は、ベース板の周囲に閉鎖断面を形成するサイドフレーム内に空間部を有することができる。
【0018】
例えば、少なくとも一つのサイドフレーム10がベース板20を囲むように設けられる。サイドフレームの両端部は、選択的に又は必要に応じて、対応する他のサイドフレームの当該端部に接した後に溶接などによって結合されることができる。
【0019】
第2ケース2は、単純な平板からなるか、又は中空部を有する本体3と、本体の端部に形成されたフランジ4とを含むことができる。本体が中空部を有する場合、第2ケースは、適度な強度を有する材質を、プレスを用いて所定の形状に成形することによって製造されることができる。
【0020】
第2ケース2の本体3が第1ケース1の空間部に覆い被さるようにして第1及び第2ケースが互いに結合することにより、その内部にバッテリセルを収容するための収容空間を形成することができる。
【0021】
第1及び第2ケース1、2の結合は、例えば、本体3の端部に形成されたフランジ4とサイドフレーム10とが互いに重なった後、ボルト(図示せず)を締結することによりボルト締めによって行われることができる。
【0022】
一方、バッテリケースの性能を評価する上で側面衝突に対する評価は重要である。側面衝突に対する評価は、剛体(Rigid Body)からなる円柱で、バッテリケースのうち略四角形の断面を有するサイドフレームの側面に衝撃を与え、一定レベルの衝突荷重に耐えるようにすることで行われる。一定レベルの衝突荷重に達するまでサイドフレームとバッテリセルとの間の接触がないと、バッテリケースが衝突性能を満たしていると評価する。
【0023】
横面衝突に対する評価において、サイドフレームの変形モードは、衝突初期の座屈モード(Buckling Mode)と衝突後期の曲げモード(Bending Mode)とに大別されることができる。
【0024】
衝突初期は数ミリ秒(msec)の最初の衝突時点であって、このとき、サイドフレームは、剛体との接触部位で集中変形が発生する。衝突初期には、サイドフレームの断面構造のうち幅方向(Y方向)の横部材が集中的な力を受けるようになり、これにより横部材に座屈が発生すると、座屈地点が塑性ヒンジ(Plastic Hinge)となり、横部材は構造部材としての機能を失うことになる。
【0025】
このような座屈及び塑性ヒンジの現象を最小化するために、サイドフレームを構成する素材の厚さを厚くしなければならないが、例えば、アルミニウム材は、鋼材に比べて軽いため、厚さを厚く設計することができるが、鋼材は軽量化のために厚さを薄くするしかないため、鋼材からなるサイドフレームは衝突初期の座屈モードに非常に脆弱になる。
【0026】
このため、鋼材からなるサイドフレームは、アルミニウム材又はアルミニウム合金材からなるサイドフレームに比べて重く性能が劣る。
【0027】
上述した衝突初期の座屈モードが終わると、サイドフレームの断面構造は急激に崩壊し、集中変形がサイドフレーム全体の曲げ変形に変化する。すなわち、サイドフレームの変形は3点曲げのような形態の曲げモードに切り替わり、このときには、サイドフレームの断面構造のうち横部材よりも高さ方向(Z方向)の縦部材の役割が遥かに大きくなる。
【0028】
曲げモードでは、縦部材が最大圧縮あるいは引張を受けるようになり、これにより縦部材の強度が重要な因子となる。例えば、高強度鋼材からなるサイドフレームは、曲げ抵抗性が増大することができ、曲げモードで生じる圧縮応力又は引張応力に耐えるのに有利である。
【0029】
このようなサイドフレームの変形特性により、衝突初期には横部材の厚さが重要であり、衝突後期には縦部材の強度が重要な因子となる。しかし、単一材質の中で上記2つの条件をすべて満たすものはない。
【0030】
また、従来のバッテリケースには、バッテリケースを車体に固定させるためにサイドフレームの一側に結合するマウントフレームが設けられている。
【0031】
ここで、衝突初期に、真っ先に剛体と接触する部材はマウントフレームであって、サイドフレームが十分に頑丈に設計されると、衝突初期の座屈モードはサイドフレームではなくマウントフレームで発生する。
【0032】
逆に、マウントフレームがサイドフレームに比べてより強いと、むしろ座屈モードがサイドフレームで発生する。
【0033】
これにより、マウントフレームにも衝突初期の座屈モードのような力学的考慮が必要であるが、通常、マウントフレームとサイドフレームを別途作製して溶接等で結合することにより、これらのマウントフレームとサイドフレームとの間の力学的バランスが合わないため、バッテリケースは構造的な弱点を有するしかない。
【0034】
したがって、本発明によるバッテリケースのサイドフレームでは、横部材と縦部材に互いに異なる材質を適用するとともに、マウントフレームをサイドフレームに統合させてサイドフレームに要求される力学的特性を満足させ、構造の効率性を極大化しようとする。
【0035】
図2は、本発明の一実施例によるサイドフレームを示す斜視図であり、
図3は、
図2のA-A’線に沿った断面図である。
【0036】
本発明の一実施例によるサイドフレーム10は、第1フレーム部30と第2フレーム部40とを含むことができる。
【0037】
第1フレーム部30は、所定の幅と長さを有する単一板材を、例えば、横になったT字状の断面を有するように複数回折り曲げて形成することができる。これにより、第1フレーム部は、内部に開放断面の中空部を有することができる。
【0038】
第1フレーム部30は、第1高さH1を有する第1縦部材31と、第1縦部材から第1長さL1だけ離隔し、第1高さよりも短い第2高さH2を有する第2縦部材32と、第2縦部材32から高さ方向に離隔しながら第1縦部材から第2長さL2だけ離隔し、第1高さよりも短い第3高さH3を有する第3縦部材33と、第1縦部材の一端と第2縦部材の一端とを連結する第1横部材34と、第1縦部材の他端と第3縦部材の一端とを連結する第2横部材35と、第2縦部材の他端に一端が連結されて第3長さL3だけ幅方向に延長した第3横部材36及び第3縦部材の他端に一端が連結されて第4長さL4だけ幅方向に延長した第4横部材37と、を含むことができる。
【0039】
第1フレーム部30は、例えば、金属などのような単一板材を機械加工して一体に形成されることができる。
【0040】
例えば、板材が一端から第3長さL3だけ幅方向(-Y方向)に延長して第3横部材36を形成した後、第1方向(
図3において反時計方向)に1回折り曲げられる。次いで、第2高さH2だけ高さ方向(-Z方向)に下降して第2縦部材32を形成した後、最初の折り曲げ方向とは反対の第2方向(
図3において時計方向)に1回折り曲げられる。第1長さL1程度を幅方向(-Y方向)に延長して第1横部材34を形成した後、同様に第2方向にさらに1回折り曲げられる。
【0041】
次いで、第1高さH1だけ高さ方向(Z方向)に上昇して第1縦部材31を形成した後、第2方向に1回折り曲げられる。第2長さL2だけ幅方向(Y方向)に延びて第2横部材35を形成した後、同様に第2方向にさらに1回折り曲げられる。次いで、第3高さH3だけ高さ方向(-Z方向)に下降して第3縦部材33を形成した後、最初の折り曲げ方向である第1方向に1回折り曲げられる。その後に、第4長さL4だけ幅方向(Y方向)に延長して第4横部材37を形成する。
【0042】
このように、所定の長さで延長した後、折り曲げられる方式を繰り返して、所望の数の横部材(34~37)及び縦部材(31~33)と共に開放断面が形成されてから、板材は他端で終結する。
【0043】
これにより、第1フレーム部30は、第1高さH1を有する壁部38と、壁部から幅方向(Y方向)の一側に第3長さL3又は第4長さL4だけ延長した突出部39を含むことができる。
【0044】
壁部38は、略第1縦部材31、第1横部材34、第2縦部材32、第2横部材35及び第3縦部材33に区画されることができる。突出部39は、第3横部材36とそれに対応する第4横部材37とで形成されることができる。
【0045】
壁部38は既存のサイドフレームに対応する一方、突出部39は既存のマウントフレームに対応する。結局、本発明の一実施例によるサイドフレーム10では、マウントフレームをサイドフレームに統合させてサイドフレームと一体に形成できるようになる。
【0046】
また、第1フレーム部30において、第3横部材36と第4横部材37は、第1高さH1と、第2高さH2と第3高さH3とを加えた高さ(H2+H3)との差分だけ互いに離隔すると同時に、第3横部材の端部と第4横部材の端部との間に開放部29を有することができる。
【0047】
これにより、第1フレーム部30の突出部39は開放部29を含むことができ、突出部及び開放部は、第1高さH1と、第2高さH2と第3高さH3とを加えた高さ(H2+H3)との差分に該当する高さ(H1-(H2+H3))を有するようになる。
【0048】
ここで、複数の横部材(34~37)と複数の縦部材は、必ずしも完全な水平又は垂直に形成されるものではなく、傾きを有してもよい。これにより、離隔距離や高さ差などは可変することがある。
【0049】
また、選択的に、第1長さL1と第2長さL2は互いに同一であってもよく、又は第2高さH2と第3高さH3は互いに同一であってもよく、又は第3長さL3と第4長さL4は互いに同一であってもよい。
【0050】
このように形成された第1フレーム部30は、サイドフレーム10の外部を構成することができる。
【0051】
図5は、第1フレーム部のコーナー部を成形する段階を示す平面図である。
【0052】
第1フレーム部30は、ベンディング(Bending)、ロールフォーミング(Roll Forming)、プレスフォーミング(Press Forming)などにより開放断面をもって所定の長さを有するように長く形成されることができる。
【0053】
次に、車体に固定するのに必要な装着孔11、及びコーナー部13を円滑に形成するのに用いられるノッチ部12を穿孔又は切断によって形成する。
【0054】
最後に、適切な曲げ加工装置を使用して、約90度の角度を有するようにノッチ部12が広がる側に第1フレーム部30を曲げてコーナー部13を形成する。
【0055】
これにより、一体となった単一の第1フレーム部30、或いは略「コ」字形状を同一又は対称に有する2つの第1フレーム部30が形成されることができる。
【0056】
第1フレーム部30は、第1横部材34の底面のような一側面が、例えば、溶接等のような接合によりベース板20に結合されることができる。このように、第1フレーム部が、例えば、溶接等のような接合によりベース板に結合されることのみでも、第1フレーム部自体は溶接部を省略することができる。
【0057】
選択的に又は必要に応じて、第1フレーム部30自体は、最大2箇所で溶接されることができる。さらに、従来は、フレーム部材間の溶接部が複雑なコーナーに位置していたが、本発明の第1フレーム部は、単純な直線部分に溶接部が位置するように変更することができ、溶接部を減らすとともに溶接が容易になる。
【0058】
また、第1フレーム部30のコーナー部13を溶接なしに曲げ加工により形成することにより、第1フレーム部の部品数と工程数を画期的に減少させることができる。
【0059】
第2フレーム部40は、所定の長さを有するように長く形成され、一定の高さと一定の幅を有する略四角形の断面の管部材で形成されることができる。これにより、第2フレーム部は、内部に閉鎖断面の中空部を有することができる。
【0060】
第2フレーム部は、高さ方向(Z方向)に互いに離隔した第1横方向部材41と第2横方向部材43、及び幅方向(Y方向)に互いに離隔し、第1横方向部材と第2横方向部材とを連結する第1縦方向部材42及び第2縦方向部材44を含むことができる。
【0061】
ここで、第1横方向部材41及び第2横方向部材43の厚さは、第1縦方向部材42及び第2縦方向部材44の厚さより厚く形成されることができる。例えば、横方向部材は、縦方向部材よりも3倍以上の厚さを有することができる。
【0062】
しかし、横方向部材41、43の縦方向部材42、44に対する相対的な厚さは、必ずしも上述の例に限定されない。
【0063】
少なくとも第2フレーム部40の横方向部材41、43は、第1フレーム部30よりも厚い厚さを有することができる。
【0064】
第2フレーム部40の高さは、第1フレーム部30の開放部29の高さに対応し、第2フレーム部の幅は、第1フレーム部の第1横部材31の第1長さL1と第3横部材33の第3長さL3とを加えた長さ(L1+L3)に対応することができる。あるいは、第2フレーム部の幅は、第1フレーム部の第2横部材32の第2長さL2と第4横部材34の第4長さL4とを加えた長さ(L2+L4)に対応することができる。
【0065】
第2フレーム部40は、第1フレーム部30内において少なくとも突出部39と整列して配置されることができ、第1フレーム部の開放断面、すなわち、開放部29を閉鎖してサイドフレーム10全体を閉鎖断面で形成することができる。
【0066】
このように形成され配置された第2フレーム部40は、サイドフレーム10の内部を構成することができる。
【0067】
図5は、第2フレーム部の変形例を示す断面図である。
【0068】
衝突に対する要求レベルが高い場合に、第2フレーム部40は、横方向部材41、43の間に補強縦方向部材45をさらに含むことができる(
図5の(a)参照)。
【0069】
また、第1横方向部材41と第2横方向部材43とは、第1縦方向部材42と第2縦方向部材44との間の距離よりも延長した幅方向(Y方向)の長さを有して延長部46を形成することができる(
図5の(b)参照)。
【0070】
この場合に、第2縦方向部材44から又は第2縦方向部材の位置よりもさらに延長した横方向部材41、43の延長部46は、第1フレーム部30と第2フレーム部40間の接合のためのフランジとしての役割を果たすことができ、衝突初期の座屈モードが延長部から発生して衝撃吸収を補完する役割も可能になる。
【0071】
図6は、第2フレーム部のコーナー部を成形する段階を示す平面図である。
【0072】
第2フレーム部40は、押出等により閉鎖断面をもって所定の長さを有するように長く形成されることができる。
【0073】
次に、適切な曲げ加工装置を使用して、略90度の角度を有するように、2箇所で同じ方向に第2フレーム部40を曲げてコーナー部14を形成する。
【0074】
コーナー部14を形成する前又は後に、車体に固定するのに必要な装着孔11、又は第1フレーム部30と結合するのに必要な結合孔を穿孔により形成する。
【0075】
これにより、略「コ」字形状を同一又は対称に有する2つの第2フレーム部40が形成されることができる。
【0076】
このように、第2フレーム部40の形成に溶接が不要となり、第2フレーム部は溶接部を省略することができるという利点がある。
【0077】
また、第2フレーム部40のコーナー部14を溶接なしに曲げ加工により形成することにより、第2フレーム部の部品数と工程数を画期的に減少させることができる。
【0078】
本発明の一実施例によるサイドフレーム10において、第1フレーム部30と第2フレーム部40とは互いに異なる材質で形成されてもよい。
【0079】
例えば、第1フレーム部30は、鋼材等のように比重が4以上の重金属材質で作製することができる。第2フレーム部40は、第1フレーム部より比重の低い材質で作製することができる。
【0080】
あるいは、第2フレーム部40は、第1フレーム部30より高い比強度を有する材質で作製することができる。
【0081】
より具体的に、第1フレーム部30は、1GPa級以上の超高強度鋼を採用することで、サイドフレーム10、さらには、バッテリケースの軽量化のための最適な組み合わせがなされることができる。
【0082】
例えば、第1フレーム部30は、本出願人が生産する厚さ0.5mm~1.5mm程度の1470MART(Martensitic)鋼又は1180CP(Complex Phase)鋼などの板材で作製することができる。
【0083】
ここで、1470MART鋼は1,470MPa以上の引張強度及び1,050MPa以上の降伏強度をもって衝突安全性を向上させた鋼種であり、1180CP鋼は1180MPa以上の引張強度及び850MPa以上の降伏強度を保証し、且つ曲げ加工性が改善された鋼種である。
【0084】
また、第2フレーム部40は、押出により成形可能な材質、例えば、アルミニウムなどのような軽金属やその合金、プラスチック、複合材料などで作製することができる。
【0085】
このように、第1フレーム部30と第2フレーム部40は異種材質で形成されるため、第1フレーム部と第2フレーム部はリベット(例えば、ブラインドリベット)、ネジ(例えば、フロードリルスクリュー(Flow Drill Screw))などのような固定具による機械的接合と、構造用接着剤などのような接着剤15による化学的接合で互いに結合することができる。
【0086】
本発明の一実施例によるサイドフレーム10を組み立てる際には、まず別途成形された第1フレーム部30と第2フレーム部40とを互いに対して幅方向(Y方向)に相対移動させながら、第2フレーム部を第1フレーム部内の突出部39に嵌めることができる。
【0087】
次いで、第1フレーム部30の第3横部材36と第2フレーム部40の第1横方向部材41、そして第1フレーム部の第4横部材37と第2フレーム部の第2横方向部材43の間には接着剤15が介在して互いに接合されることができる。
【0088】
また、第1フレーム部30の第1縦部材31と第2フレーム部40の第1縦方向部材42との間には接着剤15が介在して互いに接合されることができる。
【0089】
このような接着剤15は、第1フレーム部30と第2フレーム部40との間の結合だけでなく、例えば、第1フレーム部が鋼材で形成され、第2フレーム部がアルミニウム材で形成される場合に、これら異種材質の直接的な接触によって引き起こされる腐食を防止できる効果を得ることができる。
【0090】
もちろん、組み立て方法は必ずしも上述した例に限定されず、リベットやネジなどのような固定具と構造用接着剤などのような接着剤15とが共に組み合わせられて第1フレーム部30と第2フレーム部40の結合に用いられてもよい。
【0091】
このように、第1フレーム部30と第2フレーム部40の組み立てにおいても溶接が不要となり、本発明の一実施例によるサイドフレーム10では、溶接部を著しく低減することができ、組み立てが容易になり得るという利点がある。
【0092】
これにより、本発明の一実施例によるサイドフレーム10において、軽量材質の第2フレーム部40は、高強度材質の第1フレーム部30内に追加の横部材(すなわち、横方向部材41、43)を提供するか、又は少なくとも第3及び第4横部材36、37の厚さをさらに追加することができるようになる。
【0093】
また、本発明の一実施例によるサイドフレーム10において、軽量材質の第2フレーム部40は、バッテリケース及びバッテリセルの側面部を囲んでおり、構造的安定性を向上させることができる。
【0094】
本発明の一実施例によるサイドフレーム10は、異種材質の第1フレーム部30と第2フレーム部40とを含み、厚い横部材を必要とする部分には軽量材質を配置し、強度が要求される縦部材には、高強度材質を配置するとともに、サイドフレームにマウントフレームを一体化させ、高性能及び低コストという非常に効率的な構造を実現できる利点を有する。
【0095】
これにより、衝突初期には、厚い横部材により座屈及び塑性ヒンジの現象を防止することができ、衝突後期には、高強度の縦部材により曲げ変形に対応することができる。
【0096】
また、最初の衝撃を受けるマウントフレームの役割を考慮して、横部材を既存のマウントフレームの位置まで延長し、外側を高強度材質で囲むことで、サイドフレームだけでも力学的特性を満足させ、構造の効率性を極大化することができる。
【0097】
本出願人は、本発明の一実施例によるサイドフレームについてシミュレーションを通じて性能解析を行った。
【0098】
例えば、剛体からなる円柱でサイドフレームの側面に衝撃を与え、一定レベルの衝突荷重に耐える性能と関連し、従来の単一材質からなるサイドフレームと、本発明の一実施例による異種材質のサイドフレームとを比較してみた。
【0099】
その結果、類似の重量を有するにもかかわらず、本発明のサイドフレームが2倍以上の性能を示すことが確認できた。
【0100】
したがって、同等レベルの性能を実現するように設計する場合、本発明の一実施例による異種材質のサイドフレームは、単一材質のサイドフレームに比べて重量を大幅に減らすことができ、シミュレーションによる解析結果によると、最大20%の軽量化効果が得られることが確認された。
【0101】
以上のように本発明によれば、サイドフレームを異種材質で形成することにより、押出材の長所と剛性材質の長所とを均一に活用でき、十分な構造剛性を発揮するだけでなく、軽量化及びコスト削減が達成できるという効果が得られる。
【0102】
また、本発明によれば、溶接部なしに曲げ成形でコーナー部を形成することにより、サイドフレームにおいて溶接部を著しく低減し、溶接部の欠陥を根本的に解決できる一方、耐衝撃性が強化されるという効果が得られる。
【0103】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能である。
【0104】
本明細書及び図面では、第1フレーム部の横部材と第2フレーム部の横方向部材、そして第1フレーム部の縦部材と第2フレーム部の縦方向部材は、単に用語を区分するための目的で用いたものであり、他の技術的な意味を有するものではないことを明らかにする。
【0105】
したがって、本明細書及び図面に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0106】
1:第1ケース
2:第2ケース
3:本体
4:フランジ
10:サイドフレーム
11:装着孔
12:ノッチ部
13、14:コーナー部
15:接着剤
20:ベース板
29:開放部
30:第1フレーム部
31:第1縦部材
32:第2縦部材
33:第3縦部材
34:第1横部材
35:第2横部材
36:第3横部材
37:第4横部材
38:壁部
39:突出部
40:第2フレーム部
41:第1横方向部材
42:第1縦方向部材
43:第2横方向部材
44:第2縦方向部材
45:補強縦方向部材
46:延長部
【手続補正書】
【提出日】2023-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】