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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】ジョイントロック機構
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20240412BHJP
   A61B 34/35 20160101ALI20240412BHJP
【FI】
B25J19/00 C
A61B34/35
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505939
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 GB2022052468
(87)【国際公開番号】W WO2023057738
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】2114193.2
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522063697
【氏名又は名称】プレシジョン ロボティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カメルレンゴ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リュー ジンドン
【テーマコード(参考)】
3C707
4C130
【Fターム(参考)】
3C707CX05
3C707HS27
3C707KS21
3C707KX10
4C130AA05
4C130AA13
4C130AA16
4C130AA23
4C130AB01
4C130CA01
(57)【要約】
ジョイントロック機構は、ラッチアセンブリとギアを含む。ギアは、ラッチアセンブリと相対的に移動可能であり、ギア歯を含む。ラッチアセンブリは、退避位置と展開位置との間で移動可能なアクチュエータと、各々がギア歯とインターロックするように適合化された係合要素を含み、各々がロック解除位置とロック位置との間で移動可能な第1及び第2ラッチと、第1ラッチに結合された第1端、第2ラッチに結合された第2端、及び、アクチュエータに回転可能に結合された第1と第2端の間に配置されたピボットを含む枢動可能なカップリングと、を含む。アクチュエータが退避位置にあるとき、第1及び第2ラッチの両方は、ロック解除位置にある。退避位置から展開位置へのアクチュエータの移動により、第1及び第2ラッチの両方ではなく一方は、ロック位置に移動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョイントロック機構であって、ギアとラッチアセンブリとを含み、前記ギアは、ラッチアセンブリと相対的に移動可能であり、複数のギア歯を含み、前記ラッチアセンブリは、
退避位置と展開位置との間で移動可能なアクチュエータと、
各々が前記ギア歯とインターロックするように適合化された係合要素を含み、各々が、それぞれのラッチが前記ギアから離間されたロック解除位置と、前記係合要素と前記ギア歯がインターロックするようにそれぞれのラッチが前記ギアと係合されたロック位置との間で移動可能な第1及び第2ラッチと、
第1端、第2端、及び第1と第2端の間に配置されたピボットを含み、それによって、前記第1端が前記第1ラッチに結合され、前記第2端が前記第2ラッチに結合され、前記ピボットが前記アクチュエータに回転可能に結合される枢動可能なカップリングと、を含み、
前記アクチュエータが前記退避位置にあるとき、前記第1及び第2ラッチの両方は、前記ロック解除位置にあり、
前記退避位置から前記展開位置への前記アクチュエータの移動により、前記第1及び第2ラッチの両方ではなく一方は、前記ロック位置に移動する、ことを特徴とするジョイントロック機構。
【請求項2】
前記枢動可能なカップリングは、弾性変形可能である、ことを特徴とする請求項1に記載のジョイントロック機構。
【請求項3】
前記係合要素は、複数のラッチ歯を含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のジョイントロック機構。
【請求項4】
前記ギアは、略円形断面を有し、ジョイント軸を中心として回転可能であるか、又は、前記ギアは、長手方向に前記ジョイント軸に対して垂直方向に移動可能な直線ギアである、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のジョイントロック機構。
【請求項5】
前記ギアと第1及び第2ラッチはそれぞれ、前記ギア歯と前記係合要素が前記ジョイント軸と相対的に傾斜し、各ラッチの傾斜した係合要素が傾斜したギア歯と協働するような形状とされる、ことを特徴とする請求項4に記載のジョイントロック機構。
【請求項6】
前記ラッチアセンブリは、各ラッチを支持し、各ラッチが前記ギアに近づいたり離れたりするときに各ラッチをガイドするためのラッチガイドをさらに含む、ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のジョイントロック機構。
【請求項7】
各ラッチは前記ラッチガイドと相対的に、前記ギアが回転可能な場合に前記ギアに対して実質的に半径方向に移動可能であり、又は、前記ギアが並進可能な場合に前記ギアに対して実質的に垂直方向に移動可能である、ことを特徴とする請求項6に記載のジョイントロック機構。
【請求項8】
前記アクチュエータは、前記ジョイント軸に対して実質的に垂直方向に移動可能である、ことを特徴とする請求項4~7のいずれか一項に記載のジョイントロック機構。
【請求項9】
前記枢動可能なカップリングは、第1枢動可能なカップリングであり、
前記ラッチアセンブリは第3及び第4ラッチをさらに含み、前記第3及び第4ラッチの各々は、前記ギア歯とインターロックするように適合化された係合要素を含み、それぞれのラッチが前記ギアから離間されたロック解除位置と、前記係合要素と前記ギア歯がインターロックされるようにそれぞれのラッチが前記ギアと係合されたロック位置との間で移動可能である、
前記ラッチアセンブリはまた、第2枢動可能なカップリングをさらに含み、前記2枢動可能なカップリングは、第1端、第2端、及び第1と第2端の間に配置されたピボットを含み、それによって、前記第1端が前記第3ラッチに結合され、前記第2端が前記第4ラッチに結合され、前記ピボットが前記アクチュエータに回転可能に結合され、
前記アクチュエータが前記退避位置にあるとき、すべてのラッチは前記ロック解除位置にある、
前記退避位置から前記展開位置への前記アクチュエータの移動により、前記第1、第2、第3及び第4ラッチのうちの1つはロック位置に移動するが、それ以外のラッチは移動しない、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のジョイントロック機構。
【請求項10】
各枢動可能なカップリングは、補助カップリングを介して前記アクチュエータに回転可能に結合され、前記補助カップリングは、第1端、第2端、及び前記第1と第2端の間に配置されたピボットを含み、前記第1枢動可能なカップリングは、前記補助カップリングの前記第1端に回転可能に結合され、前記第2枢動可能なカップリングは、前記補助カップリングの前記第2端に回転可能に結合され、前記ピボットは、前記アクチュエータに回転可能に結合される、ことを特徴とする請求項9に記載のジョイントロック機構。
【請求項11】
前記ギアは、前記第1及び第2ラッチが係合可能な第1部分と、前記第3及び第4ラッチが係合可能な第2部分と、を含み、
前記第1部分は、第1の複数のギア歯を含み、
前記第2部分は、前記第1の複数のギア歯からオフセットされた第2の複数のギア歯を含む、ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のジョイントロック機構。
【請求項12】
前記退避位置と前記展開位置との間で前記アクチュエータの移動を駆動するための駆動モジュールをさらに含む、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のジョイントロック機構。
【請求項13】
前記駆動モジュールはモーターを含む、ことを特徴とする請求項12に記載のジョイントロック機構。
【請求項14】
前記アクチュエータが前記退避位置又は前記展開位置に位置するときに感知するように適合化されたアクチュエータセンサーをさらに含む、ことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のジョイントロック機構。
【請求項15】
前記ラッチアセンブリと相対的な前記ギアの位置を測定するように適合化されたジョイントセンサーをさらに含む、ことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のジョイントロック機構。
【請求項16】
ロック可能なジョイントアセンブリであって、請求項1から15のいずれか一項に記載のジョイントロック機構と、第1リムと、前記第1リムに移動可能に取り付け可能な第2リムと、を含み、
前記ラッチアセンブリは、前記第1リムに装着され、
前記ギアは、前記第2リムに装着され、
前記ラッチの1つが前記ギアと係合するとき、前記第2リムは、前記第1リムと相対的な位置にロックされる、ことを特徴とするロック可能なジョイントアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、可動ジョイントをその可動域内で固定化するためのジョイントロック機構に関し、より具体的には、排他的ではないが、マスターコントローラーの一部を形成するジョイントロック機構であって、ジョイントロック機構がマスターコントローラーの可動ジョイントをロックし得るジョイントロック機構に関する。
【0002】
既知の遠隔制御システムは、オペレーターに局所的に位置するマスターコントローラーと、オペレーターに遠隔的に位置するスレーブ装置とを含み、システムは、距離を置いてオペレーターによってスレーブ装置を操縦することを可能にする。このようなシステムは、操縦を指示するバリアがある場合に役立つ可能性がある、例えば、スレーブ装置、患者の内部組織や臓器へのアクセスが制限されているため、外科医が手術用ツールを直接操縦することができない低侵襲外科的処置を行うために使用され得る。その他の例は、爆弾処理などの軍事用途、捜索救助などの緊急サービス用途、直接操縦が危険又は不可能な過酷な環境(真空や高レベルの反応性など)での作業の実行などの科学研究活動などを含む。
【0003】
実証のために、今後は遠隔制御ロボティック手術システムの分野に焦点を当てる。しかしながら、これは、発明が上記のような他の分野への適用から除外されるものではない。
【0004】
遠隔ロボティック手術では、外科医の手の動きを遠隔ロボット器具の動きに転送するためのマスターコントローラーが必要である。既知のマスターコントローラーは、それぞれの手で同時にロボット器具を制御することを可能にする双手の(両手の)制御用の2つのマニプレータアームを含む。
【0005】
外科医は、例えば内視鏡画像を介してロボット器具を監視しながら、指又は手全体で各マニプレータアームの端部でのハンドルを持ち、ロボット器具を制御するようにハンドルを動かす。マニプレータアームは、アクティブとパッシブの2つのカテゴリに分類できる。アクティブマニプレータアームは、各ジョイントを駆動するモーターを有し、これらのモーターは、外科医がマニプレータアームのハンドルを持ち続けるか否かにかかわらず、マニプレータアーム全体のポーズを維持することを可能にする。これは、外科医がマニプレータアームを手放すことができ、重力の影響でマニプレータアームが落下し、対応する動きがロボット器具によって複製されて、患者に危害を与える可能性があるというリスクがないことを意味する。よって、マニプレータアームのハンドルの落下に関連付けられたリスクが軽減され、外科医はロボット器具の制御を簡単に一時停止して別のタスクを行うことができる。
【0006】
しかしながら、既知のアクティブマニプレータアームは、使用中に常に各ジョイントを駆動するために必要な複雑なコンポーネントのため、かさばる。また、モーターの駆動により、外科医の手の動きが意図した動きから偏り、外科医が達成できる正確さや精度が低下する可能性がある。
【0007】
一方、パッシブマニプレータアームは、アームにおける各ジョイントの位置を測定するが、各ジョイントを積極的に駆動しない。これは、外科医の手がハンドルを離すとマニプレータアームが「フロッピー」状態に戻り、マニプレータアームが重力の影響で落下することを意味する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1態様によれば、ジョイントロック機構が提供される。このジョイントロック機構は、ギアとラッチアセンブリとを含み、前記ギアは、ラッチアセンブリと相対的に移動可能であり、複数のギア歯を含み、前記ラッチアセンブリは、
退避位置と展開位置との間で移動可能なアクチュエータと、
各々が前記ギア歯とインターロックするように適合化された係合要素を含み、各々が、それぞれのラッチが前記ギアから離間されたロック解除位置と、前記係合要素と前記ギア歯がインターロックするようにそれぞれのラッチが前記ギアと係合されたロック位置との間で移動可能な第1及び第2ラッチと、
第1端、第2端、及び第1と第2端の間に配置されたピボットを含み、それによって、前記第1端が前記第1ラッチに結合され、前記第2端が前記第2ラッチに結合され、前記ピボットが前記アクチュエータに回転可能に結合される枢動可能なカップリングと、を含み、
前記アクチュエータが前記退避位置にあるとき、前記第1及び第2ラッチの両方は、前記ロック解除位置にあり、
前記退避位置から前記展開位置への前記アクチュエータの移動により、前記第1及び第2ラッチの両方ではなく一方は、前記ロック位置に移動する。
【0009】
パッシブマニプレータアームでは、マニプレータアームの一部を形成する可動ジョイントは、軸を中心とした回転や軸に沿った並進などの自由度を提供する。例えば、マニプレータアームは、可動ジョイントを介して第2リムに結合された第1リムを含んでもよい。ラッチアセンブリは、第1リムに装着され得る一方で、ギアは、第2リムに装着され得る。第2リムは、例えば、第1リムと相対的に回転可能であることができ、その場合、ギアは、略円形断面を有する回転可能なギアである。別の例では、第2リムは、第1リムに対して伸縮自在に並進することができ、その場合、ギアは、ラックアンドピニオン機構のラックと同様の直線ギアである。
【0010】
本発明により、可動ジョイント(それが回転可能であるか、伸縮自在であるか、それ以外であるか否かを問わず)は、第1及び第2ラッチの両方がロック解除位置にあり、従ってギアから離間されるように、アクチュエータが退避位置にあるとき、それぞれの自由度内で自由に移動可能であり続けることができる。
【0011】
しかしながら、可動ジョイントをロックする理由がある場合、第1及び第2ラッチのうちの1つをロック位置に移動させ、それぞれのラッチの係合要素をギア歯とインターロックするように、アクチュエータを展開位置に移動させてもよい。従って、可動ジョイントは、複数の構成のいずれか1つにロックされてもよい。ここで、各構成は、ラッチアセンブリに対するギアの位置によって定義される。これにより、例えば、外科医が別のタスクに対応している間、手術用ロボットの制御を一時停止することを可能にする。
【0012】
第1及び第2ラッチはそれぞれ、シーソー(又はティータートッター)のように機能する枢動可能なカップリングを介してアクチュエータに結合され、アクチュエータは、枢動可能なカップリングが枢動する支点である。アクチュエータが展開位置にあるとき、枢動可能なカップリングは枢動し得るので、1つのラッチだけがギアとの係合に向かって移動する。
【0013】
例えば、ギアが60個の歯を有する回転可能なギア(略円形断面を有する)である場合、ラッチあたりのギア分解能は6°(360°/60)である。これは、各ラッチが互いに6°離れた向きでギアをロックし得ることを意味する。しかしながら、第1及び第2ラッチは、一方のラッチの係合要素がギア歯とインターロックされるとき、他方のラッチの係合要素が少なくとも1つのギア歯の最外縁に当接するように、互いに、及びギアと相対的に配置され得る。枢動可能なカップリングにより、第1及び第2ラッチのどちらか一方がギア歯とインターロックするラッチになり、もう一方のラッチが、少なくとも1つのギア歯の最外縁に当接することが可能になる。
【0014】
第1及び第2ラッチは異なる向きでギアと係合可能であるため、ジョイントロック機構の分解能は、ラッチあたりのギアの分解能の2倍になる。従って、上記の例では、ジョイントロック機構の分解能は、6°ではなく3°になる。言い換えれば、ラッチの1つは、3°の回転ごとにギアと係合されてもよい。例えば、第1ラッチは、0°、6°、12°などでギアと係合することができ、第2ラッチは、3°、9°、15°などでギアと係合することができる。
【0015】
分解能が角度ではなく、直線ギアの全長及びそれに含まれる歯の数に依存する距離として定義されることを除いて、同じ原理は、直線ギアにも当てはまることが理解される。
【0016】
ジョイントロック機構の分解能がより細かくなればなるほど、可動ジョイントは、アクチュエータが展開される前に最後に移動した位置に、より正確にロックされる。しかしながら、一般に、より細かい分解能はまた、歯がより小さくなるため、ラッチとギアとの間の可能な係合がより弱くなることを意味する。
【0017】
2つのラッチを設けることによって、ギア歯のサイズを小さくすることなく、ジョイントロック機構の分解能を2倍にする(即ち、2倍細かくする)ことができる。
【0018】
枢動可能なカップリングにより、同じアクチュエータによって作動するにもかかわらず、2つのラッチは互いに独立して、ギアと係合することが可能になる。従って、単一のモーターを使用して2つのラッチを作動させることができ、それにより、ジョイントロック機構に関連付けられたコスト、重量、かさばりが最小にされる。
【0019】
2つのラッチを設けることによって、ジョイントロック機構の分解能が2倍になったとしても、どちらの係合要素もギア歯とインターロックするために最適に配置されないようにギアが配置されたときに、アクチュエータを展開位置に移動させることが可能である。これに対する1つの解決策は、鋭利なギア歯と係合要素を設けて、両方の係合要素がそれぞれのギア歯の最外縁に当接することができないようにすることである。しかしながら、これは複雑で高価な機械加工を必要とし、結果として生じる係合要素とギア歯は、関連付けられた加工コストがさらに増加する硬い材料で製造されていない限り、すぐに摩耗しやすくなる。
【0020】
本発明の実施形態では、枢動可能なカップリングは、弾性変形可能であり得る。
【0021】
これにより、アクチュエータが展開位置にあるが、両方の係合要素がそれぞれのギア歯の最外縁に当接する状況で、枢動可能なカップリングは弾力的に曲がることが可能になる。このような状況では、両方のラッチは、ロック位置に向かって偏っており、一方のラッチがギアと係合することができ、他方のラッチがアクチュエータを中心として枢動する枢動可能なカップリングによりギアから離間されるように、ギアがラッチアセンブリと相対的に一方向又は他方向にわずかに回転するまで、その状態を続ける。
【0022】
これにより、ギア歯及び係合要素を、両方の係合要素とそれぞれのギア歯との当接を回避するため十分に鋭利にする必要がなくなる一方、係合要素の1つをギア歯と適切にインターロックし、従って回転可能なジョイントを適切にロックすることも確保される。ギア歯及び対応する係合要素は、そうでなければ必要とされるよりも鈍い可能性があるため、ギアに対して半径方向に加わる圧力が減少し、それに応じてギア歯及び係合要素の摩耗が減少する。従って、弾性変形可能なカップリングは、ラッチとギアとの間の係合の力を犠牲にすることなく、ギア歯及び係合要素の摩耗を減少させる。
【0023】
本発明の実施形態では、係合要素は、複数のラッチ歯を含んでもよい。ラッチ歯はギア歯と同様の形状にされ得るので、ラッチ歯とギア歯がインターロックされているときに互いに接触する表面積を最大にする密な嵌合でラッチ歯とギア歯がインターロックされ、それによってロックを克服するために必要な力を最大にする。
【0024】
本発明の実施形態では、ギアは、略円形断面を有し、ジョイント軸を中心として回転可能である。本発明のこのような実施形態では、可動ジョイントは、ジョイント軸を中心とした回転により回転の自由度を可能にする回転可能なジョイントである。
【0025】
他の実施形態では、ギアは、長手方向にジョイント軸に対して垂直方向に移動可能な直線ギアである。従って、可動ジョイントは、ジョイント軸と相対的なラックの並進を通じて並進の自由度を可能にする伸縮ジョイントである。
【0026】
本発明の実施形態では、ギアと第1及び第2ラッチはそれぞれ、ギア歯と係合要素がジョイント軸と相対的に傾斜して、各ラッチの傾斜した係合要素が傾斜したギア歯と協働するような形状とされる。
【0027】
本発明のこのような実施形態では、回転可能なギアは実質的に円錐形又は円錐台形であるが、並進可能な直線ギアは、例えば台形又は直角台形の形状の横断面を有することができる。
【0028】
互いにインターロックされる係合要素及びギア歯の表面は、ジョイント軸と相対的に傾斜する。これは、ラッチに作用する半径方向力(即ち、ジョイント軸に対して半径方向に作用する力)が部分的にずれて、軸方向力(即ち、ジョイント軸に対して軸方向に作用する力)に変換されるので、枢動可能なカップリングに転送される力が減少し、枢動可能なカップリングが故障する可能性が低くなることを意味する。
【0029】
また、表面が傾斜しているという事実により、ギア及び/又はラッチのサイズを大きくする必要がなく、係合要素とギア歯がインターロックされるときに互いに接触する表面積のサイズが増加する。より大きな表面積により、ラッチとギアとの間にかかる圧力が減少し、ひいてはラッチとギアとの係合が弱くなる可能性のある材料変形が減少する。
【0030】
本発明の実施形態では、ラッチアセンブリは、各ラッチを支持し、各ラッチがギアに近づいたり離れたりするときに各ラッチをガイドするためのラッチガイドをさらに含んでもよい。
【0031】
ラッチの1つがギアと係合すると、ギア歯は、ラッチの係合要素にせん断力を与えることがある。ラッチガイドは、例えばラッチにせん断力が加わったときにラッチがねじれて位置がずれることを防ぐために、ラッチを支持するように構成されてもよい。
【0032】
ラッチガイドはまた、ラッチがロック解除位置からロック位置に、又はその逆に直接移動するように、ラッチをガイドするように構成されてもよい。これは、枢動可能なカップリングが弾性変形可能で、ラッチがロック位置に向かって偏っている場合に特に有利であり得る。ラッチをガイドするラッチガイドがない場合、係合要素の1つがギア歯と完全にインターロックされる前に、ラッチの一方又は両方は、偏りによりねじれる可能性がある。
【0033】
本発明の実施形態では、各ラッチはラッチガイドと相対的に、ギアが回転可能(略円形断面を有する)である場合にギアに対して実質的に半径方向に、又は、ギアが並進可能(直線)である場合にギアに対して実質的に垂直方向に、移動可能である。
【0034】
本発明のこのような実施形態では、ラッチの1つがロック位置にあるときにギアによって該ラッチの1つに与える可能性がある力は、主にそれぞれ接線方向又は長手方向にある。従って、各ラッチは、使用中にギアによって加えられる力に対して実質的に垂直方向に移動可能である。これは、ギアによってラッチの1つに加えられる力により、ラッチがロック位置からロック解除位置に移動する可能性を低下させる。しかしながら、ギア歯及び係合要素は、ラッチの1つがロック位置にあるときにギアによってラッチの1つに加えられる力の一部が、それぞれ半径方向又は横方向にあるように形状にされ得る。半径方向/横方向の力(即ち、ラッチが移動可能な方向の力)の提供は、接線方向/縦方向の力によって発生する摩擦によってラッチがロック位置でスタックすることを防ぐことができるため、望ましい場合もある。
【0035】
本発明の実施形態では、アクチュエータは、ジョイント軸に対して実質的に垂直方向に移動可能である。
【0036】
本発明のこのような実施形態では、アクチュエータは、第1及び第2ラッチの間の実質的に中央に配置されてもよい。従って、ジョイント軸に対して実質的に垂直方向のアクチュエータの移動は、各ラッチをギアに向かって均等に移動させる。
【0037】
アクチュエータがジョイント軸に対して実質的に垂直方向に移動可能であるという事実により、ラッチをロック解除位置とロック位置との間で移動させるためにアクチュエータが移動しなければならない距離を最小にすることもできる。
【0038】
本発明の実施形態では、枢動可能なカップリングは、第1枢動可能なカップリングであってもよい。前記ラッチアセンブリは、第3及び第4ラッチを含んでもよい。第3及び第4ラッチの各々は、前記ギア歯とインターロックするように適合化された係合要素を含み、それぞれのラッチが前記ギアから離間されたロック解除位置と、前記係合要素と前記ギア歯がインターロックされるようにそれぞれのラッチが前記ギアと係合されたロック位置との間で移動可能である。前記ラッチアセンブリはまた、第2枢動可能なカップリングを含んでもよい。前記2枢動可能なカップリングは、第1端、第2端、及び第1と第2端の間に配置されたピボットを含み、それによって、前記第1端が前記第3ラッチに結合され、前記第2端が前記第4ラッチに結合され、前記ピボットが前記アクチュエータに回転可能に結合される。前記アクチュエータが前記退避位置にあるとき、すべてのラッチは前記ロック解除位置にあってもよい。前記退避位置から前記展開位置への前記アクチュエータの移動により、前記第1、第2、第3及び第4ラッチのうちの1つはロック位置に移動するが、それ以外のラッチは移動しない。
【0039】
本発明のこのような実施形態では、2つではなく4つのラッチを設けることによって、ジョイントロック機構の分解能をさらに向上させることができる。例えば、ギアが回転可能で(実質的に円形の断面)、ラッチあたりの分解能が6°の場合、ジョイントロック機構全体は、わずか1.5°の分解能を提供し得る。言い換えれば、各ギア歯がギアの6°を占めているにもかかわらず、4つのラッチのうちの1つがギアと係合するギアの各向きの間の角度は、わずか1.5°である。
【0040】
ギアが並進可能(直線)である場合も同じ原理が適用される。例えば、直線ギアは、ラッチあたりの分解能が2mmであり得る。従って、4つのラッチを設けることによって、ジョイントロック機構の全体的な分解能は、4倍細かくなり、つまり、0.5mmになる。
【0041】
本発明の実施形態では、各枢動可能なカップリングは、補助カップリングを介してアクチュエータに回転可能に結合され得る。補助カップリングは、第1端、第2端、及び第1と第2端との間に配置されたピボットを含む。第1枢動可能なカップリングは、補助カップリングの第1端に回転可能に結合され、第2枢動可能なカップリングは、補助カップリングの第2端に回転可能に結合され、ピボットは、アクチュエータに回転可能に結合される。
【0042】
従って、4つのラッチはすべて、単一のアクチュエータによってロック解除位置とロック位置との間で移動し得る。これにより、様々なラッチを移動させるために複数のアクチュエータが必要となることに関連する、追加のかさばり、重量、及び費用が回避される。
【0043】
本発明の実施形態では、ギアは、第1及び第2ラッチが係合可能な第1部分と、第3及び第4ラッチが係合可能な第2部分と、を含み得る。
第1部分は、第1の複数のギア歯を含み得る。第2部分は、第1の複数のギア歯からオフセットされた第2の複数のギア歯を含み得る。
【0044】
本発明のこのような実施形態では、第3及び第4ラッチは、ギアの第1部分ではなく第2部分と係合可能であることを除いて、第1及び第2ラッチと同一に構成されてもよい。また、ギアの第2部分は、第1及び第2ラッチがそれぞれギアと係合し得る2つの位置のほぼ中間にギアが向いているときに、第1部分からオフセットされてもよく、第3及び第4ラッチのうちの1つは、代わりにギアと係合してもよい。
【0045】
これにより、ギアが例えば1.5°などの非常に細かい回転間隔で回転するのと同じ複数のギア歯と各ラッチが係合可能であるように、4つのラッチを十分に正確に離間させる必要がなくなる。
【0046】
ギアが回転可能なギアである場合、第2の複数のギア歯は、第1の複数のギア歯から接線方向にオフセットされることが理解される。一方、ギアが直線ギアである場合、第2の複数のギア歯は、第1の複数のギア歯から長手方向にオフセットされることが理解される。
【0047】
本発明の実施形態では、ジョイントロック機構は、退避位置と展開位置との間のアクチュエータの移動を駆動するための駆動モジュールをさらに含んでもよい。駆動モジュールは、モーター又はその他の適切な直線駆動コンポーネントを含んでもよい。
【0048】
本発明の実施形態では、ジョイントロック機構は、アクチュエータが退避位置又は展開位置にあるときに感知するように適合化されたアクチュエータセンサーをさらに含んでもよい。
【0049】
本発明のこのような実施形態では、アクチュエータが退避位置又は展開位置のいずれかに到達すると、アクチュエータを駆動するモーターを正確に停止させるために、アクチュエータセンサーによって感知された情報を使用することができる。これにより、モーターがアクチュエータを過小駆動したり、過度に駆動したりして、ジョイントのロックに失敗したり、又は、モーターがギアに向かってアクチュエータを過度の力で駆動する結果として枢動可能なカップリングなどのコンポーネントに過度の力が加わったりすることが防止される。従って、アクチュエータセンサーにより、アクチュエータを駆動するモーターを正確且つ確実に制御することが可能になる。
【0050】
アクチュエータセンサーによって感知された情報はまた、回転可能なジョイントを含む装置のユーザにアクチュエータの位置を指示するために使用される。それによって、ユーザは、アクチュエータへのコマンドが実行され、回転可能なジョイントがロックされているか、又は自由に回転可能であるかの確認を受けることができる。
【0051】
本発明の実施形態では、ジョイントロック機構は、ラッチアセンブリと相対的なギアの位置、ひいては可動ジョイントの構成を測定するように適合化されたジョイントセンサーをさらに含んでもよい。この情報は、例えば可動ジョイントを含むマニプレータアームのポーズを決定するために使用することができる。次に、スレーブロボットがユーザの移動に従うように、マニプレータアームのポーズに基づいてコマンドをスレーブロボットに送信することができる。
【0052】
ギアが回転可能なギアである場合、ジョイントセンサーは、ラッチアセンブリと相対的な円形ギアの向きを感知し得る。ギアが直線ギアである場合、ジョイントセンサーは、ラッチアセンブリと相対的な直線ギアの並進位置を感知し得る。磁気エンコーダや光エンコーダなど、任意の適切なタイプのセンサーを位置センサーとして使用することができる。
【0053】
本発明の第2態様によれば、ロック可能なジョイントアセンブリが提供される。このロック可能なジョイントアセンブリは、本発明の第1態様によるジョイントロック機構と、第1リムと、第1リムに移動可能に取り付け可能な第2リムと、を含む。
前記ラッチアセンブリは、前記第1リムに装着され、
前記ギアは、前記第2リムに装着され、
前記ラッチの1つが前記ギアと係合するとき、前記第2リムは、前記第1リムと相対的な位置にロックされる。
【0054】
ギアが回転可能なギアである場合、第1リムは、ローター部分及びステータ部分の一方を含んでもよく、第2リムは、ローター部分及びステータ部分の他方を含んでもよい。ローター部分は、ステータ部分と係合可能であり、ステータ部分内でジョイント軸を中心に回転可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
ここでは、添付の図面を参照して、例としてのみ本発明を説明する。
図1-3】アクチュエータが退避位置にある、本発明の第2態様の一実施形態によるロック可能なジョイントアセンブリの模式図を示す。
図4】アクチュエータが展開位置にあり、第1及び第2ラッチがロック位置に向かって偏っていることを除いて、図1~3に示されるロック可能なジョイントアセンブリの模式図を示す。
図5-6】アクチュエータが展開位置にあり、第1ラッチがロック位置にあることを除いて、図1~3に示されるロック可能なジョイントアセンブリを示す。
図7-8】アクチュエータが展開位置にあり、第2ラッチがロック位置にあることを除いて、図1~3に示される、excロック可能なジョイントアセンブリを示す。
図9-10】本発明の第2態様の異なる実施形態によるロック可能なジョイントアセンブリの模式図を示す。
図11-13】本発明の第2態様の別の実施形態によるロック可能なジョイントアセンブリの模式図を示す。
図14-15】本発明の第2態様の別の実施形態によるロック可能なジョイントアセンブリの模式図を示す。
図16】本発明の第2態様の更なる実施形態によるロック可能なジョイントアセンブリの模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
最初に図1、2及び3を参照すると、本発明の一実施形態によるジョイントロック機構は、一般に参照番号2で指定されている。ジョイントロック機構2は、ジョイント軸6を中心に回転可能で複数のギア歯8を含むギア4(具体的には、略円形断面を有する回転可能なギア4)を含む。
【0057】
ジョイントロック機構2はまた、アクチュエータ14、第1ラッチ16、第2ラッチ18、ラッチガイド22及び枢動可能なカップリング24を含むラッチアセンブリ12を含む。第1及び第2ラッチ16、18はそれぞれ、ギア歯8とインターロックするように適合化された係合要素20を含む。本発明のこの実施形態では、各係合要素20は、ギア歯8の間にフィットするような形状にされた3つのラッチ歯21を含む。
【0058】
ラッチガイド22は、各ラッチ16、18を支持し、各ラッチ16、18がギア4に近づいたり離れたりするときに各ラッチ16、18をガイドする。特に、ラッチガイド22は、各ラッチ16、18が通過するためのチャネル23(図3に示される)を含み、チャネルは、各ラッチ16、18がジョイント軸6に対して実質的に垂直なラッチガイド22と相対的に移動可能であるように、ギア4から実質的に半径方向に延在する。
【0059】
特に図3を参照すると、枢動可能なカップリング24は、第1端26、第2端28、及び第1と第2端26、28の間に配置されたピボット30を含む。第1端26は、第1ラッチ16に結合され、第2端28は、第2ラッチ18に結合され、ピボット30は、アクチュエータ14に回転可能に結合される。
【0060】
アクチュエータ14は、退避位置と展開位置との間でジョイント軸6に対して実質的に垂直方向に移動可能である。
【0061】
図1~3では、アクチュエータ14は退避位置にあり、第1及び第2ラッチ16、18が枢動可能なカップリング24を介してアクチュエータ14に結合されるため、第1及び第2ラッチ16、18の両方ともロック解除位置にあり、それぞれのラッチ16、18はギア4から離間される。
【0062】
今、図4を参照すると、アクチュエータ14は、図1~3に示される退避位置から移動された展開位置にある。展開位置に向かうアクチュエータ14の移動は、第1及び第2ラッチ16、18をギア4に向かって移動させる。しかしながら、図4において、ギア4は、各ラッチ16、18の係合要素20がそれぞれのギア歯8の最外縁に当接するように配向されている。
【0063】
本発明のこの実施形態では、枢動可能なカップリング24は、弾性変形可能である。これは、アクチュエータ14が展開位置にあるが、ラッチ16、18がギア4と完全に係合できないこの状況で、枢動可能なカップリングが曲がることができることを意味する。枢動可能なカップリング24が曲がった結果として、両方のラッチ16、18は、ギア4との係合に向かって偏っている。
【0064】
よって、ジョイントロック機構2が図4に示される構成になる場合、各ラッチ16、18は、ギア4のわずかな回転に従ってギア4と係合する。しかしながら、ラッチ16、18のうち最大1つがラッチアセンブリに対して特定の向きにある場合にギアと係合できるように、第1及び第2ラッチ16、18は、互いに、及びギア4と相対的に配置される。例えば、ギアが一方向にわずかに回動すると、第1ラッチ16は、ギア4と係合できる可能性があり(図5及び6に示されるように)、ギア4が他方向にわずかに回動すると、第2ラッチ18は、ギア4と係合できる可能性がある(図7及び8に示されるように)。
【0065】
今、図5及び6を参照すると、アクチュエータ14は展開位置にあり、ギア4は、アクチュエータ14を中心として枢動する枢動可能なカップリング24により、第1ラッチ16がロック位置にある一方、第2ラッチ18がロック解除位置に留まるように、ラッチアセンブリと相対的に配向される。ロック位置では、第1ラッチ16は、係合要素20がギア歯8とインターロックされるように、ギア4と係合する。
【0066】
同様に、図7及び8では、アクチュエータ14は展開位置にあり、ギア4は、第2ラッチ18がギア4と係合するロック位置にあり、係合要素20がギア歯8とインターロックされるように配向される。
【0067】
枢動可能なカップリング24により、アクチュエータ14が展開位置に移動するときに、各ラッチ16、18は他のラッチ16、18とは独立してロック位置に移動することが可能になり、従って、ラッチ16、18の対は単一のアクチュエータによって操作されることが可能になる。
【0068】
今、図1~8のすべてを参照すると、ジョイントロック機構2は、第1リム34と第1リム34に回転可能に取り付け可能な第2リム36とも含むロック可能なジョイントアセンブリ32の一部を形成する。
【0069】
ラッチアセンブリ12は第1リム34に装着され、ギア4は第2リム36に装着されるので、第2リムは、ギア4とともにジョイント軸6を中心に、且つラッチアセンブリ12及び第1リム34と相対的に回転可能である。図5~8に示すように、ラッチ16、18の1つがギア4と係合するとき、第2リム36は、第1リム34と相対的な位置にロックされる。
【0070】
特に図2を参照すると、第1リム34はステータ部分35を含み、第2リム36はローター部分37を含む。ローター部分37は、ステータ部分35と係合可能であり、ステータ部分35内でジョイント軸6を中心に回転可能である。
【0071】
今、図9及び10を参照すると、ロック可能なジョイントアセンブリ132は、ギア104が実質的に円錐台形状にされ、各ラッチ116、118の係合要素120がギア104の円錐台形状と協働するようにジョイント軸6と相対的に傾斜することを除いて、図1~8に示されるロック可能なジョイントアセンブリ32と同様である。
【0072】
ギア歯108及び係合要素120がジョイント軸に対して傾斜している結果、係合要素120の1つがそれぞれのギア歯108とインターロックされるときに互いに接触する表面積は、サイズを大きくする必要のあるコンポーネントなしに増加する。従って、これにより、ラッチ116、118の1つとギア104との係合を克服するのに必要な力が大きくなる。
【0073】
今、図11、12及び13を参照すると、ロック可能なジョイントアセンブリ232は、図1~8に示されるロック可能なジョイントアセンブリ32と同様である。しかしながら、ラッチアセンブリ212は第3及び第4ラッチ240、242をさらに含み、第1及び第2ラッチ216、218と同様に、第3及び第4ラッチ240、242はそれぞれ、ギア歯208とインターロックするように適合化された係合要素220を含む。本発明のこの実施形態では、第3及び第4ラッチ240、242は、第1と第3ラッチ216、240が互いに実質的に平行に移動可能であり、第2と第4ラッチ218、242も互いに実質的に平行に移動可能であるように、第1及び第2ラッチ216、218の上方に積み重ねられる。
【0074】
また、本発明のこの実施形態では、第1及び第2ラッチ216、218をアクチュエータ214に結合する枢動可能なカップリングは、第1枢動可能なカップリング224であり、ラッチアセンブリ212は、第3及び第4ラッチ240、242をアクチュエータ214に結合することを除いて、第1枢動可能なカップリング224と同等の第2枢動可能なカップリング244をさらに含む。
【0075】
ラッチアセンブリ212はまた、補助カップリング250を含む。補助カップリングは、第1端252、第2端254、及び第1と第2端252、254の間に配置されたピボット256を含む。第1枢動可能なカップリング224は、補助カップリング250の第1端252に回転可能に結合される一方で、第2枢動可能なカップリング244は、補助カップリング250の第2端254に回転可能に結合される。ピボット256は、アクチュエータ214に回転可能に結合され、よって、各枢動可能なカップリング224、244は、補助カップリング250を介してアクチュエータ214に回転可能に結合される。
【0076】
ギア204は、第1部分246と第2部分248を含む。第1部分246は、第1の複数のギア歯208を含み、第1及び第2ラッチ216、218は、それぞれの係合要素220が第1の複数のギア歯208とインターロックされるように、第1部分246と係合可能である。第2部分248は、第1の複数のギア歯208から半径方向にオフセットされた第2の複数のギア歯249を含む。第3及び第4ラッチ240、242は、それぞれの係合要素220が第2の複数のギア歯249とインターロックされるように、第2部分248と係合可能である。
【0077】
第1の複数のギア歯208と相対的な第2の複数のギア歯249の半径方向へのオフセットは、第1及び第3ラッチ216、240がギア204と相対的に実質的に同じ半径方向線に沿って移動可能であるにもかかわらず、第1及び第3ラッチ216、240が互いに同時にギア204と係合可能ではないことを意味する。第2及び第4ラッチ218、242についても同様である。従って、ギア204の所与の向きについては、第1、第2、第3及び第4ラッチ216、218、240、242のうちの1つだけがギア204と係合可能であり得る。
【0078】
アクチュエータ214が退避位置にあるとき、すべてのラッチ216、218、240、242はロック解除位置にある。次に、アクチュエータが展開位置にあるとき、第1及び第2枢動可能なカップリング224、244と補助カップリング250の組み合わせにより、単一の第1、第2、第3及び第4ラッチ216、218、240、242は、それぞれのラッチがロック位置にあるように、ギア204と係合することが可能になる。
【0079】
今、図14及び15を参照すると、ロック可能なジョイントアセンブリ332は、前の図で例示されているタイプの回転可能なギアではなく、並進可能な直線ギア304を含むジョイントロック機構402を含む。直線ギア304は、ジョイント軸6に垂直な長手方向に並進可能であり、複数のギア歯308を含む。
【0080】
ジョイントロック機構302はまた、第1及び第2ラッチ16、18が直線ギア304の移動に対して垂直方向に移動可能であるように第1及び第2ラッチ16、18をガイドするために、ラッチガイド322a、322bを配置することを除いて、図1~8に示されるラッチアセンブリ12と同様のラッチアセンブリ312を含む。言い換えれば、第1及び第2ラッチ16、18は、直線ギア4と相対的に横方向に延在する軸に沿って移動可能である一方で、直線ギア304は、直線ギア304、ラッチガイド22及び枢動可能なカップリング24を介して長手方向に延在する軸に沿って移動可能である。第1及び第2ラッチ16、18はそれぞれ、ギア歯8とインターロックするように適合化された係合要素20を含む。
【0081】
今、図16を参照すると、ロック可能なジョイントアセンブリ432は、ギア104が実質的に円錐台形であるという点で、図9と10に示されるロック可能なジョイントアセンブリ132と同様である。
【0082】
本発明のこの実施形態では、ジョイントロック機構402は、退避位置と展開位置との間のアクチュエータ414の移動を駆動するための駆動モジュール464をさらに含む。駆動モジュール464は、アクチュエータ414の直線運動を駆動するように構成されたモーター466を含む。
【0083】
ロック可能なジョイントアセンブリ432、特に第1リム434及び第2リム436は、マニプレータアームの一部を形成し、マニプレータアームはスレーブロボット(図示せず)を制御するためのマスターコントローラー(図示せず)の一部を形成する。
【0084】
ジョイントロック機構402は、アクチュエータ414に関連付けられた位置センサー(図示せず)をさらに含む。位置センサーは、アクチュエータが退避位置にあるか又は展開位置にあるかを感知するように適合化されている。
【0085】
位置センサーによって感知された情報に基づいて、モーター466は、正確に制御され得る。言い換えれば、アクチュエータ414が退避位置又は展開位置のいずれかに到達すると、モーター466は確実に停止され得る。これにより、モーター466がアクチュエータ414を過小駆動したり、過度に駆動したりして、ロック可能なジョイントアセンブリ432のロックに失敗したり、又は、モーター466がギア104に向かってアクチュエータを過度の力で駆動する結果として枢動可能なカップリング424などのコンポーネントに過度の力が加わったりすることが防止される。
【0086】
位置センサーによって感知された情報は、マスターコントローラーのユーザに、回転可能なジョイントがロックされているか、又は自由に回転可能であるかの指示を提供するために使用することもできる。
【0087】
ジョイントロック機構402はまた、ラッチアセンブリ412と相対的にギア104がジョイント軸6を中心に回転した角度を測定するように適合化された角度センサー(図示せず)をさらに含む。
【0088】
マスターコントローラーはプロセッサを含んでもよく、測定された角度は、角度センサーからプロセッサに供給されてもよい。測定された角度は、回転可能なジョイントを含むマニプレータアームのポーズを決定するために処理されてもよく、次に、スレーブロボットがユーザの移動に従うように、マニプレータアームのポーズに基づいてスレーブロボットにコマンドを送信することができる。
【0089】
本発明の所与の態様、特徴、又はパラメーターの好み及び選択肢は、文脈が別段の指示をしない限り、本発明の他のすべての態様、特徴、及びパラメーターのあらゆる好み及び選択肢と組み合わせて開示されたと見なされるべきである。例えば、図14及び15に示される直線ギア304と同様の直線ギアは、図11、12及び13に示されるラッチアセンブリ212など、第3及び第4ラッチを有するラッチアセンブリと組み合わせて開示されたものとみなす必要がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョイントロック機構であって、ギアとラッチアセンブリとを含み、前記ギアは、ラッチアセンブリと相対的に移動可能であり、複数のギア歯を含み、前記ラッチアセンブリは、
退避位置と展開位置との間で移動可能なアクチュエータと、
各々が前記ギア歯とインターロックするように適合化された係合要素を含み、各々が、それぞれのラッチが前記ギアから離間されたロック解除位置と、前記係合要素と前記ギア歯がインターロックするようにそれぞれのラッチが前記ギアと係合されたロック位置との間で移動可能な第1及び第2ラッチと、
第1端、第2端、及び第1と第2端の間に配置されたピボットを含み、それによって、前記第1端が前記第1ラッチに結合され、前記第2端が前記第2ラッチに結合され、前記ピボットが前記アクチュエータに回転可能に結合される枢動可能なカップリングと、を含み、
前記アクチュエータが前記退避位置にあるとき、前記第1及び第2ラッチの両方は、前記ロック解除位置にあり、
前記退避位置から前記展開位置への前記アクチュエータの移動により、前記第1及び第2ラッチの両方ではなく一方は、前記ロック位置に移動する、ことを特徴とするジョイントロック機構。
【請求項2】
前記枢動可能なカップリングは、弾性変形可能である、ことを特徴とする請求項1に記載のジョイントロック機構。
【請求項3】
前記係合要素は、複数のラッチ歯を含む、ことを特徴とする請求項に記載のジョイントロック機構。
【請求項4】
前記ギアは、略円形断面を有し、ジョイント軸を中心として回転可能であるか、又は、前記ギアは、長手方向に前記ジョイント軸に対して垂直方向に移動可能な直線ギアである、ことを特徴とする請求項に記載のジョイントロック機構。
【請求項5】
前記ギアと第1及び第2ラッチはそれぞれ、前記ギア歯と前記係合要素が前記ジョイント軸と相対的に傾斜し、各ラッチの傾斜した係合要素が傾斜したギア歯と協働するような形状とされる、ことを特徴とする請求項4に記載のジョイントロック機構。
【請求項6】
前記ラッチアセンブリは、各ラッチを支持し、各ラッチが前記ギアに近づいたり離れたりするときに各ラッチをガイドするためのラッチガイドをさらに含む、ことを特徴とする請求項に記載のジョイントロック機構。
【請求項7】
各ラッチは前記ラッチガイドと相対的に、前記ギアが回転可能な場合に前記ギアに対して実質的に半径方向に移動可能であり、又は、前記ギアが並進可能な場合に前記ギアに対して実質的に垂直方向に移動可能である、ことを特徴とする請求項6に記載のジョイントロック機構。
【請求項8】
前記アクチュエータは、前記ジョイント軸に対して実質的に垂直方向に移動可能である、ことを特徴とする請求項に記載のジョイントロック機構。
【請求項9】
前記枢動可能なカップリングは、第1枢動可能なカップリングであり、
前記ラッチアセンブリは第3及び第4ラッチをさらに含み、前記第3及び第4ラッチの各々は、前記ギア歯とインターロックするように適合化された係合要素を含み、それぞれのラッチが前記ギアから離間されたロック解除位置と、前記係合要素と前記ギア歯がインターロックされるようにそれぞれのラッチが前記ギアと係合されたロック位置との間で移動可能である、
前記ラッチアセンブリはまた、第2枢動可能なカップリングをさらに含み、前記2枢動可能なカップリングは、第1端、第2端、及び第1と第2端の間に配置されたピボットを含み、それによって、前記第1端が前記第3ラッチに結合され、前記第2端が前記第4ラッチに結合され、前記ピボットが前記アクチュエータに回転可能に結合され、
前記アクチュエータが前記退避位置にあるとき、すべてのラッチは前記ロック解除位置にある、
前記退避位置から前記展開位置への前記アクチュエータの移動により、前記第1、第2、第3及び第4ラッチのうちの1つはロック位置に移動するが、それ以外のラッチは移動しない、ことを特徴とする請求項に記載のジョイントロック機構。
【請求項10】
各枢動可能なカップリングは、補助カップリングを介して前記アクチュエータに回転可能に結合され、前記補助カップリングは、第1端、第2端、及び前記第1と第2端の間に配置されたピボットを含み、前記第1枢動可能なカップリングは、前記補助カップリングの前記第1端に回転可能に結合され、前記第2枢動可能なカップリングは、前記補助カップリングの前記第2端に回転可能に結合され、前記ピボットは、前記アクチュエータに回転可能に結合される、ことを特徴とする請求項9に記載のジョイントロック機構。
【請求項11】
前記ギアは、前記第1及び第2ラッチが係合可能な第1部分と、前記第3及び第4ラッチが係合可能な第2部分と、を含み、
前記第1部分は、第1の複数のギア歯を含み、
前記第2部分は、前記第1の複数のギア歯からオフセットされた第2の複数のギア歯を含む、ことを特徴とする請求項に記載のジョイントロック機構。
【請求項12】
前記退避位置と前記展開位置との間で前記アクチュエータの移動を駆動するための駆動モジュールをさらに含む、ことを特徴とする請求項に記載のジョイントロック機構。
【請求項13】
前記駆動モジュールはモーターを含む、ことを特徴とする請求項12に記載のジョイントロック機構。
【請求項14】
前記アクチュエータが前記退避位置又は前記展開位置に位置するときに感知するように適合化されたアクチュエータセンサーをさらに含む、ことを特徴とする請求項に記載のジョイントロック機構。
【請求項15】
前記ラッチアセンブリと相対的な前記ギアの位置を測定するように適合化されたジョイントセンサーをさらに含む、ことを特徴とする請求項に記載のジョイントロック機構。
【請求項16】
ロック可能なジョイントアセンブリであって、請求項1から15のいずれか一項に記載のジョイントロック機構と、第1リムと、前記第1リムに移動可能に取り付け可能な第2リムと、を含み、
前記ラッチアセンブリは、前記第1リムに装着され、
前記ギアは、前記第2リムに装着され、
前記ラッチの1つが前記ギアと係合するとき、前記第2リムは、前記第1リムと相対的な位置にロックされる、ことを特徴とするロック可能なジョイントアセンブリ。
【国際調査報告】