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特表2024-517035負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
E02D17/20 106
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506123
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 CN2022132248
(87)【国際公開番号】W WO2023202056
(87)【国際公開日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】202210415141.4
(32)【優先日】2022-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520154254
【氏名又は名称】江蘇科技大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.2 Mengxi Road,Zhenjiang,Jiangsu 212003,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】斉永正
(72)【発明者】
【氏名】楊子明
(72)【発明者】
【氏名】張航
(72)【発明者】
【氏名】陳天蛋
(72)【発明者】
【氏名】徐浩青
(72)【発明者】
【氏名】呉思麟
(72)【発明者】
【氏名】王宗志
(72)【発明者】
【氏名】金光球
(72)【発明者】
【氏名】関雲飛
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼▲ヂュィン▼杰
【テーマコード(参考)】
2D044
【Fターム(参考)】
2D044EA01
(57)【要約】
本発明は、負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置に関し、斜面崩壊対策の技術分野に属する。アンカーロッドの一端は、土留め構造、台座および支圧板を順に貫通し、他端は、支圧板固定プレートを貫通して負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造にヒンジ接続される。負ボアソン比穴あきプレートアレイアンカー構造の一端は変位抑制部にヒンジ接続され、一次固定構造が失効すると、負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造が応力を受けてゆっくり展開する。本発明は、
本発明は、自由段の膨張抗力増加効果とリング圧縮収縮の抗力減少効果を実現し、2段階のアンカー効果を奏するため、岩盤および土壌の斜面崩壊、地下工学、トンネル工学、護岸固定工学などに適する。また、剛性アンカーとして使用する同時に、非剛性アンカーとして使用することもできる。固定力は段階的で信頼性が高く、調整と補充が容易で、再利用も容易である。また、抗クリープ性が強く、固定効果は、岩石や土中の空隙の影響を受けず、アンカー全体の強度が高く、耐摩耗性に優れる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカーロッド(9)と、土留め構造(8)と、台座(7)と、支圧板(6)と、支圧板固定プレート(12)とを備え、
前記アンカーロッド(9)の一端は、土留め構造(8)と、台座(7)と、支圧板(6)とを順に貫通し、前記アンカーロッド(9)の他端は、支圧板固定プレート(12)を貫通し、
前記アンカーロッド(9)の他端は、支圧板固定プレート(12)を貫通して負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造にヒンジ接続され、
前記負ボアソン比穴あきプレートアレイアンカー構造の支圧板固定プレート(12)から離れる一端は、負ボアソン比穴あきプレートアレイアンカー構造の端部の変位を防止するための変位抑制部(13)にヒンジ接続され、アンカーロッド部が錨泊に失敗すると、負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造引っ張られて展開し、構造全体が膨張して端部膨張アンカーとなる、ことを特徴とする負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置。
【請求項2】
前記アンカーロッド(9)は、黄銅とステンレス鋼の合金で構成され、オーセチックの負ボアソン比特性を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置。
【請求項3】
前記負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造は、複数の回転剛体拡大構造と、第1弾性ロープ(14)と、第1剛性タイロッド(15)とを備え、前記複数の回転剛体拡大構造が位置ずれて配置され、かつ第1弾性ロープ(14)および第1剛性タイロッド(15)によって接続される、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置。
【請求項4】
前記回転剛体拡大構造は、4つの回転正方形構造を備え、前記4つの回転正方形構造は、2×2配列でヒンジ接続されて回転剛体拡大構造を形成し、前記回転正方形構造は、4枚の穴あきプレート(1)を備え、前記4枚の穴あきプレート(1)は、2×2配列でヒンジ接続されて回転正方形構造を形成し、4枚の穴あきプレートのヒンジ接続により、回転正方形構造に応力が加えられたとき、穴あきプレート(1)がヒンジ点を中心に回転して拡張し、構造全体が拡張し、回転剛体拡大構造のポアソン比が負となる、ことを特徴とする請求項3に記載の負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置。
【請求項5】
前記4枚の穴あきプレート(1)のうち1枚の穴あきプレート(1)の片側に、2つの離間した第1端板(2)が設けられ、前記穴あきプレート(1)に隣接する1枚の穴あきプレート(1)の片側に、第2端板(3)が設けられ、前記第1端板(2)および第2端板(3)に貫通孔が設けられ、前記第2端板(3)は、2枚の第1端板(1)の間に配置され、前記貫通孔内にボルト(4)が設けられ、ボルト(4)は、貫通孔を貫通した一端に定着具(5)が設けられる、ことを特徴とする請求項4に記載の負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置。
【請求項6】
前記アンカーロッド(9)の両側のそれぞれに補強筋アンカーロッド(11)が設けられ、前記補強筋アンカーロッド(11)の一端は、土留め構造(8)、台座(7)および支圧板(6)を順に貫通し、前記補強筋アンカーロッド(11)の他端に補強筋支圧板(10)が設けられ、前記補強筋アンカーロッド(11)の他端は、支圧板固定プレート(12)および補強筋支圧板(10)を順に貫通して、負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造にヒンジ接続される、ことを特徴とする請求項3に記載の負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置。
【請求項7】
前記補強筋アンカーロッド(11)と負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造との間に、第2弾性ロープ(17)がヒンジ接続され、前記アンカーロッド(9)と負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造との間に、第3剛性タイロッド(18)がヒンジ接続され、前記第3剛性タイロッド(18)が2つの第2弾性ロープ(17)の間に位置される、ことを特徴とする請求項6に記載の負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置。
【請求項8】
前記回転剛体拡大構造が2つあり、2つの回転剛体拡大構造は、2本の第1弾性ロープ(14)および1つの第1剛性タイロッド(15)を介して接続され、前記2つの回転剛体拡大構造は垂直に設置され、前記第1剛性タイロッド(15)が2本の第1弾性ロープ(14)の間に位置される、ことを特徴とする請求項3に記載の負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置。
【請求項9】
前記変位抑制部(13)と負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造との間に、第2剛性タイロッド(16)が設けられ、前記第2剛性タイロッド(16)の両端は、それぞれ、変位抑制部(13)と負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造との間にヒンジ接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置。
【請求項10】
各前記回転剛体拡大構造は、16枚の穴あきプレート(1)が4×4配列で構成され、前記第1行の穴あきプレートは、第1穴あきプレート(1-1)と、第2穴あきプレート(1-2)と、第3穴あきプレート(1-3)と、第4穴あきプレート(1-4)とを備え、前記第2行の穴あきプレートは、第5穴あきプレート(1-5)と、第6穴あきプレート(1-6)と、第7穴あきプレート(1-7)と、第8穴あきプレート(1-8)とを備え、
前記第1穴あきプレート(1-1)の右縁部の上端および下縁部の右端は端板と溶接され、第2穴あきプレート(1-2)の左縁部の上端、下縁部の左端および右縁部の下端は端板と溶接され、第3穴あきプレート(1-3)の左縁部の下端、右縁部の上端および下縁部の右端は端板と溶接され、第4穴あきプレート(1-4)の左縁部の上端および下縁部の左端は端板と溶接され、
前記第5穴あきプレート(1-5)と第1穴あきプレート(1-1)とは対称に端板が設けられ、第6穴あきプレート(1-6)と第2穴あきプレート(1-2)とは対称に端板が設けられ、第7穴あきプレート(1-7)と第3穴あきプレート(1-3)とは対称に端板が設けられ、第8穴あきプレート(1-8)と第4穴あきプレート(1-4)とは対称に端板が設けられ、かつ第5穴あきプレート(1-5)の下縁部の左端は端板と溶接され、第6穴あきプレート(1-6)の下縁部の右端は端板と溶接され、第7穴あきプレート(1-7)の下縁部の左端は端板と溶接され、第8穴あきプレート(1-8)の下縁部の右端は端板と溶接され、前記第1穴あきプレート(1-1)の下縁部の右端は第5穴あきプレート(1-5)にヒンジ接続されかつ第2弾性ロープ(17)にヒンジ接続され、第4穴あきプレート(1-4)の下縁部の左端は第8穴あきプレート(1-8)にヒンジ接続されかつ第1弾性ロープ(14)にヒンジ接続され、第5穴あきプレート(1-5)の下縁部の左端は第3剛性タイロッド(18)にヒンジ接続され、第8穴あきプレート(1-8)の下縁部の右端は第1剛性タイロッド(15)にヒンジ接続され、
前記第3行の穴あきプレートと第2行の穴あきプレートとは対称に端板が設けられ、第4行の穴あきプレートと第1行の穴あきプレートとは対称に端板が設けられる、ことを特徴とする請求項7に記載の負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置に関し、斜面崩壊対策の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
メタマテリアルとは、人工的に設計された新しい材料で、通常の物質が持たない物理的性質を持っている材料である。その物理的性質は、材料自体の性質よりも内部の微細構造(単体または機能性単体)に大きく依存する。負ポアソン比(Negative Poisson's Ratio)を実現するには、材料科学の発展により材料のマイクロな性質を改良して新しいタイプの材料を開発する方法と、特定の幾何学的構造を利用して特定の方向に応力を加えたときに負ポアソン比特性を発揮する方法の2つがある。この2つの方法による効果を実現できる材料として、負剛性メタマテリアルが期待されている。この材料は、変形中の力と変位の方向が反対となり、負のポアソン比を実現でき、抗せん断性、抗圧性、抗破壊性、表面等方性、浸透可変性およびエネルギー吸収性能において優れるため、多くの分野で使用されている。
【0003】
負のポアソン比回転多角形構造は、材料の負のポアソン比性能を実現できる複数の方法のうちの1種類である。その回転システムは一般に、頂点で蝶番を付けられた剛体多角形で構成されている。回転多角形構造のポアソン比は、主に多角形の組み合わせとシステムの展開度に応じて、正または負になる可能性があるが、一般的に、多角形構造を回転させることで、負のポアソン比となり、負のポアソン比効果を実現できる。また、システムに応力が加えられた後、剛体多角形は頂点を中心に回転および拡張(収縮)し、構造全体が拡張(収縮)するので、多方向に展開して三次元構造を形成することができる。
【0004】
斜面土層崩壊対策の技術分野では、アンカー(アンカーロッド)での補強を通じて地盤自体の強度を強化することができる。この場合、斜面土層の固定工程が建築工程の一部工程とすれば、崩壊対策用の土留め構造の体積を大幅に削減するほか、強化構造の自重も削減でき、斜面土層崩壊への抑制効果は顕著である。アンカーの補強能力は、主にアンカーロッドと周囲の岩盤や土層などの摩擦力に大きく依存する。岩盤や土層などの摩擦力は低い場合、引き抜かれないように、アンカーの設計は慎重にしなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術の欠点を解決するために、負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アンカーロッドと、土留め構造と、台座と、支圧板と、支圧板固定プレートとを備え、前記アンカーロッドの一端は、土留め構造と、台座と、支圧板とを順に貫通し、前記アンカーロッドの他端は、支圧板固定プレートを貫通し、前記アンカーロッドの他端は、支圧板固定プレートを貫通して負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造にヒンジ接続され、前記負ボアソン比穴あきプレートアレイアンカー構造の支圧板固定プレートから離れる一端は、負ボアソン比穴あきプレートアレイアンカー構造の端部の変位を防止するための変位抑制部にヒンジ接続され、アンカーロッド部が錨泊に失敗すると、負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造引っ張られた後に展開し、構造全体が膨張して端部膨張アンカーとなる、ことを特徴とする負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置を提供することを目的とする。
【0007】
アンカーを打ち込む時、土層と機械によって加えられた圧力により、ステンレス鋼-銅合金のアンカーロッドは、材料の負ボアソン比特性により、半径方向に収縮し、負ボアソン比による圧縮効果を奏する。
【0008】
動作開始時、不安定な法面体や不安定な地盤は、保持構造に引張応力を与え、この時、補強筋アンカーロッドおよびアンカーロッドは引張応力を受け、ステンレス鋼-銅合金のアンカーロッドは、アンカーロッドの負ボアソン比による変形特性ではせん断応力の方向に沿って拡大する。不安定な斜面領域では、膨張変形によってアンカーロッドと土の間の圧力が増加し、摩擦力も増大する。このため、アンカーロッドと土間の相対的な変位の可能性を減すことができ、アンカー効果を向上させることができる。コンクリート-ステンレス鋼銅合金アンカーの領域では、アンカーロッドの膨張により、アンカーロッドとコンクリートとの間の圧力が増大するので、土部を押し付けて3つの構造間の応力が増加することができ、アンカー効果をさらに向上させることができる。
【0009】
地盤の滑り力が増加し続けると、アンカーロッドと地盤層の相対変位が発生し、末端の変位抑制装置は、負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造の末端変位を防ぎ、不安定部分に近い斜面端の構造は、アンカーと一緒に外側にスライドする。このとき、負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造は、ゆっくりと複数の十字クロス構造に展開し、端部が膨張されたアンカーとなったため、負ボアソン比アンカー全体としてアンカー力の限界値に達することができる。
【0010】
好ましくは、前記アンカーロッドは、黄銅とステンレス鋼の合金で構成され、オーセチックの負ボアソン比特性を有する。
【0011】
従来のアンカー部は、アンカー部が土留め構造を貫通して支圧板に引っ張られて予め応力を与え、その後、アンカー固定構造で固定される。アンカーロッド、支圧板、台座および土留め構造の接続によって、不安定な斜面の滑り力を耐える。
【0012】
好ましくは、前記負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造は、複数の回転剛体拡大構造と、第1弾性ロープと、第1剛性タイロッドとを備え、前記複数の回転剛体拡大構造が位置ずれて配置され、かつ第1弾性ロープおよび第1剛性タイロッドによって接続される。
【0013】
好ましくは、前記回転剛体拡大構造は、4つの回転正方形構造を備え、前記4つの回転正方形構造は、2×2配列でヒンジ接続されて回転剛体拡大構造を形成し、前記回転正方形構造は、4枚の穴あきプレートを備え、前記4枚の穴あきプレートは、2×2配列でヒンジ接続されて回転正方形構造を形成し、4枚の穴あきプレートのヒンジ接続により、回転正方形構造に応力が加えられたとき、穴あきプレートがヒンジ点を中心に回転して拡張し、構造全体が拡張し、回転剛体拡大構造のポアソン比が負となる。
【0014】
前記穴あきプレートは正方形構造であり、穴あきプレートの表面は、穴あきプレートと土の間の摩擦力を高めるため、ザラツキ(紋様)があり、滑らかではなく、凹凸構造を有する。
【0015】
好ましくは、前記4枚の穴あきプレートのうち1枚の穴あきプレートの片側に、2つの離間した第1端板が設けられ、前記穴あきプレートに隣接する1枚の穴あきプレートの片側に、第2端板が設けられ、前記第1端板および第2端板に貫通孔が設けられ、前記第2端板は、2枚の第1端板の間に配置され、前記貫通孔内にボルトが設けられ、ボルトは、貫通孔を貫通した一端に定着具が設けられる。
【0016】
回転剛体拡大構造のヒンジ接続に対する要件について、構造が開いたときにボルトが引っかかって相対回転が起こらないことを回避しつつ、鉱物、湿気の多い環境および岩石や土壌中の微生物によって腐食されないようにする必要がある。そのため、特定の防錆および防食処理が必要である。また、ボルトや定着具には潤滑コーティングが施されることが好ましい。
【0017】
好ましくは、前記アンカーロッドの両側のそれぞれに補強筋アンカーロッドが設けられ、前記補強筋アンカーロッドの一端は、土留め構造、台座および支圧板を順に貫通し、前記補強筋アンカーロッドの他端に補強筋支圧板が設けられ、前記補強筋アンカーロッドの他端は、支圧板固定プレートおよび補強筋支圧板を順に貫通して、負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造にヒンジ接続される。
【0018】
1つのアンカーロッドの引張り剛性を確保できない場合は、アンカーロッドの両側に補強筋アンカーロッドを増設し、補強筋アンカーロッドは、土留め構造の予備穴を貫通して補強筋支圧板によって固定され、他端が土留め構造を貫通して支圧板に固定される。
【0019】
好ましくは、前記補強筋アンカーロッドと負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造との間に、第2弾性ロープがヒンジ接続され、前記アンカーロッドと負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造との間に、第3剛性タイロッドがヒンジ接続され、前記第3剛性タイロッドが2つの第2弾性ロープの間に位置される。
【0020】
好ましくは、前記回転剛体拡大構造が2つあり、2つの回転剛体拡大構造は、2本の第1弾性ロープおよび1つの第1剛性タイロッドを介して接続され、前記2つの回転剛体拡大構造は垂直に設置され、前記第1剛性タイロッドが2本の第1弾性ロープの間に位置される。
【0021】
回転剛体拡大構造同士が垂直に設置された場合、アンカー固定効果は最大となる。
【0022】
好ましくは、前記変位抑制部と負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造との間に、第2剛性タイロッドが設けられ、前記第2剛性タイロッドの両端は、それぞれ、変位抑制部と負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造との間にヒンジ接続される。
【0023】
端部の変位抑制部は、負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造の端部変位を防ぐことができる。アンカーロッドの固定が失敗すると、不安定な斜面の端に近い構造は、アンカーとともにスライトするので、負ボアソン比穴あきプレートアレイアンカー構造はゆっくりと展開し、アンカー固定効果を奏する。変位抑制部は底の一端に正方形鋼板を設けた円錐構造であり、端板は鋼板に溶接され、ボルトと定着具を介して負ボアソン比穴あきプレートアレイアンカー構造の端部にヒンジ接続される。より深い土を埋めることができる変位抑制材を増やし、さらに、土留め構造に近い一端に、1つのアンカーロッドと2本の補強筋アンカーロッドを増設することで、アンカー効果をさらに向上させることができる。
【0024】
好ましくは、各前記回転剛体拡大構造は、16枚の穴あきプレートが4×4配列で構成され、前記第1行の穴あきプレートは、第1穴あきプレートと、第2穴あきプレートと、第3穴あきプレートと、第4穴あきプレートとを備え、前記第2行の穴あきプレートは、第5穴あきプレートと、第6穴あきプレートと、第7穴あきプレートと、第8穴あきプレートとを備え、
前記第1穴あきプレートの右縁部の上端および下縁部の右端は端板と溶接され、第2穴あきプレートの左縁部の上端、下縁部の左端および右縁部の下端は端板と溶接され、第3穴あきプレートの左縁部の下端、右縁部の上端および下縁部の右端は端板と溶接され、第4穴あきプレートの左縁部の上端および下縁部の左端は端板と溶接され、
前記第5穴あきプレートと第1穴あきプレートとは対称に端板が設けられ、第6穴あきプレートと第2穴あきプレートとは対称に端板が設けられ、第7穴あきプレートと第3穴あきプレートとは対称に端板が設けられ、第8穴あきプレートと第4穴あきプレートとは対称に端板が設けられ、かつ第5穴あきプレートの下縁部の左端は端板と溶接され、第6穴あきプレートの下縁部の右端は端板と溶接され、第7穴あきプレートの下縁部の左端は端板と溶接され、第8穴あきプレートの下縁部の右端は端板と溶接され、前記第1穴あきプレートの下縁部の右端は第5穴あきプレートにヒンジ接続されかつ第2弾性ロープにヒンジ接続され、第4穴あきプレートの下縁部の左端は第8穴あきプレートにヒンジ接続されかつ第1弾性ロープにヒンジ接続され、第5穴あきプレートの下縁部の左端は第3剛性タイロッドにヒンジ接続され、第8穴あきプレートの下縁部の右端は第1剛性タイロッドにヒンジ接続され、前記第3行の穴あきプレートと第2行の穴あきプレートとは対称に端板が設けられ、第4行の穴あきプレートと第1行の穴あきプレートとは対称に端板が設けられる。
【0025】
回転剛体拡大構造が動作する時、第1行の第1、第3穴あきプレート、第2行の第6、第8穴あきプレート、第3行の第9、第11穴あきプレート、第4行の第14、第16穴あきプレートは、引張力の作用で45°回転するまで時計回りに回転し始める。他の穴あきプレートは、引張力の作用で45°回転するまで反時計回りに回転し始める。この時、回転剛体拡大構造はアンカー最大抵抗に達することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は以下の有利な効果を有する。
【0027】
1.本発明では、アンカーロッド、負ボアソン比穴あきプレートアレイアンカー構造の両方が負ボアソン比の変形特性を示すため、アンカーを打ち込む時、進入段階で土に対する抵抗を低減し、また、外力を受けた時に、アンカーが膨張(展開・拡大)するので、アンカー固定効果を向上させることができる。
【0028】
2.本発明は、二次アンカー構造を使用している。鋼および銅の負ボアソン比アンカーは一次固定構造であり、負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造は二次固定構造であり、一次固定構造が動作する時、二次固定構造が補助としてのみ使用され、一次固定構造が有効性を失った後、二次固定構造が機能を発揮する。この特徴は、アンカーの局在部の修理および部品交換などに便利である。
【0029】
3.本発明の負ボアソン比アンカー局在部の修理および部品交換は便利である。すなわち、固定される岩および土体が高い固定力を必要としない場合、二次固定構造は、設計および計算後に除去することができる。また、アンカーロッドが耐えられる場合、補強筋アンカーロッドの設計必要はない。
【0030】
4.本発明の装置は、アンカーの形状は限定せず、岩盤および土壌の斜面崩壊、地下工学、トンネル工学、護岸固定工学などに適しており、広く使用されることができる。また、負ボアソン比アンカーは、剛性アンカーとして使用する同時に、非剛性アンカーとして使用することもできる。また、固定力は段階的で信頼性が高く、調整と補充が容易で、再利用も容易である。また、抗クリープ性が強く、固定効果は、岩石や土中の空隙の影響を受けず、アンカー全体の強度が高く、耐摩耗性に優れる。
【0031】
5.従来のアンカーも擁壁法面保護材も、不安定な法面の滑り力を打ち消すものであり、ある瞬間に法面保護構造物の支持が困難になると、土砂崩れなどの災害が瞬時に発生する。本発明は異なり、不安定な斜面の滑り力が一定の閾値に達した後、斜面保護体が前方に押し出され、このとき、正方形プレートアレイがゆっくりと開けるため、生じる抵抗効果により、不安定な斜面の滑り力が解放され、瞬時に放たれる強力な衝撃力による地質災害を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の構造概念図である。
図2】本発明のアンカーロッド部分の構造概念図である。
図3】本発明の回転剛体拡大構造が収縮した状態を示す図である。
図4】本発明の回転剛体拡大構造が展開した状態を示す図である。
図5】本発明の穴あきプレートの接続方式を示す図である。
図6】変位抑制部と回転拡大構造との接続を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1:穴あきプレート、1-1:第1穴あきプレート、1-2:第2穴あきプレート、1-3:第3穴あきプレート、1-4:第4穴あきプレート、1-5:第5穴あきプレート、1-6:第6穴あきプレート、1-7:第7穴あきプレート、1-8:第8穴あきプレート、2:第1端板、3:第2端板、4:ボルト、5:定着具、6:支圧板、7:台座、8:土留め構造、9:アンカーロッド、10:補強筋支圧板、11:補強筋アンカーロッド、12:支圧板固定プレート、13:変位抑制部、14:第1弾性ロープ、15:第1剛性タイロッド、16:第2剛性タイロッド、17:第2弾性ロープ、18:第3剛性タイロッド。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面及び図面の簡単な説明を参照しながら本発明の詳細について説明する。
【0035】
本発明の構築方法および利点をより明白にするために、添付の図面および実施形態と併せて、本発明を詳細に説明する。以下の説明では、本発明の構築プロセスをより明確に理解するために、多くの詳細が述べられている。なお、本発明は、ここに記載されたものとは異なる多くの他の方法により実施することができ、本発明に反することなく、当業者が改良及び変更を行うことができる。また、本発明は、以下に開示される実施形態に限定されない。本発明の解決策の技術的思想から逸脱しなく行われた改良及び変更のすべては本発明請求の範囲に含まれている。
【0036】
図1図6に示すように、本発明の負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置は、アンカーロッド9と、土留め構造8と、台座7と、支圧板6と、支圧板固定プレート12と、補強筋支圧板10とを備える。前記アンカーロッド9は、黄銅とステンレス鋼の合金で構成され、オーセチック(auxetic)性質を有する。前記アンカーロッド9の両側に、それぞれ、補強筋アンカーロッド11が設けられ、前記アンカーロッド9および2本の補強筋アンカーロッド11の一端は、土留め構造8、台座7および支圧板6を順に貫通し、前記アンカーロッド9および2本の補強筋アンカーロッド11の他端は、支圧板固定プレート12および補強筋支圧板10を順に貫通して負ボアソン比拡大穴あきプレートプレートアレイアンカー構造にヒンジ接続されている。前記2つの補強筋アンカーロッド11と負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造との間に、それぞれ、第2弾性ロープ17がヒンジ接続され、前記アンカーロッド9と負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造との間に、それぞれ、第3剛性タイロッド18がヒンジ接続されている。また、前記第3剛性タイロッド18は、2つの第2弾性ロープ17の間に位置されている。
【0037】
支圧板固定プレート12から離れる、前記負ボアソン比穴あきプレートアレイアンカー構造の一端には、負ボアソン比穴あきプレートアレイアンカー構造の端部の変位を防止するための変位抑制部13がヒンジ接続されている。アンカーロッド部が錨泊に失敗すると、負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造が引っ張られてゆっくりと展開し、結果として、構造全体が膨張して端部膨張アンカーとなる。また、前記変位抑制部13と負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造との間に、第2剛性タイロッド16が設けられ、前記第2剛性タイロッド16の両端は、それぞれ、変位抑制部13と負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造との間にヒンジ接続されている。
【0038】
前記負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造は、2つの回転剛体拡大構造と、2本の第1弾性ロープ14と、1つの第1剛性タイロッド15とを備える。前記2つの回転剛体拡大構造が互いに垂直に配置され且つ2本の第1弾性ロープ14を介して1つの第1剛性タイロッド15に接続されている。前記第1剛性タイロッド15は、2本の第1弾性ロープ14の間に位置されている。前記回転剛体拡大構造は、4つの回転正方形構造を備え、前記4つの回転正方形構造は、2×2配列にヒンジ接続されて回転剛体拡大構造を構成する。前記回転正方形構造は、4枚の穴あきプレート1を備え、前記4枚の穴あきプレート1は、2×2配列にヒンジ接続されて回転正方形構造を形成する。4枚の穴あきプレートの間のヒンジ接続により、回転正方形構造に応力が加えられたとき、穴あきプレート1がヒンジ点を中心に回転して拡張し、構造全体も拡張することで、、回転剛体拡大構造のポアソン比が負となる。
【0039】
さらに、前記4枚の穴あきプレート1のうち1枚の穴あきプレート1の片側に、2つの離間した第1端板2が設けられ、任意の1枚の前記穴あきプレート1に隣接する1枚の穴あきプレート1の片側に、第2端板3が設けられ、前記第1端板2および第2端板3には、貫通孔が設けられ、前記第2端板3は、2枚の第1端板1の間に位置され、前記貫通孔内にボルト4が設置され、ボルト4は、貫通孔を貫通する一端に、定着具5が設けられている。
【0040】
穴あきプレート1は、特定の隅部に円弧形端板が溶接され、前記円弧形端板の中央部に穴が打ち抜かれている。溶接は、互いに隣接して連結する2枚の穴あきプレート1のうちの一方に、2つの離間する第1端板2が溶接され、他方は、穴あきプレート1の厚さ方向の中央部に第1端板2が溶接される。これによって、他方の穴あきプレート1の第1端板2は、2つの離間する第1端板2の間に挿入することができ、ボルトや定着具などを介して固定することができ、変位が制限でき且つ自由に回転できるヒンジ機構を形成する。
【0041】
さらに、各前記回転剛体拡大構造は、4×4配列の16枚の穴あきプレート1で構成され、前記第1行の穴あきプレートは、第1穴あきプレート1-1と、第2穴あきプレート1-2と、第3穴あきプレート1-3と、第4穴あきプレート1-4とを備え、前記第2行の穴あきプレートは、第5穴あきプレート1-5と、第6穴あきプレート1-6と、第7穴あきプレート1-7と、第8穴あきプレート1-8とを備える。
【0042】
前記第1穴あきプレート1-1において、右縁部の上端および下縁部の右端がそれぞれ端板と溶接され、第2穴あきプレート1-2において、左縁部の上端、下縁部の左端および右縁部の下端がそれぞれ端板と溶接され、第3穴あきプレート1-3において、左縁部の下端、右縁部の上端および下縁部の右端が端板と溶接され、第4穴あきプレート1-4において、左縁部の上端および下縁部の左端が端板と溶接される。
【0043】
前記第5穴あきプレート1-5と第1穴あきプレート1-1とが対称に端板が設けられ、第6穴あきプレート1-6と第2穴あきプレート1-2とが対称に端板が設けられ、第7穴あきプレート1-7と第3穴あきプレート1-3とが対称に端板が設けられ、第8穴あきプレート1-8と第4穴あきプレート1-4とが対称に端板が設けられる。また、第5穴あきプレート1-5の下縁部の左端が端板と溶接され、第6穴あきプレート1-6の下縁部の右端が端板と溶接され、第7穴あきプレート1-7の下縁部の左端が端板と溶接され、第8穴あきプレート1-8の下縁部の右端が端板と溶接される。前記第1穴あきプレート1-1の下縁部の右端は、第5穴あきプレート1-5にヒンジ接続されることに加えて、第2弾性ロープ17にもヒンジ接続されている。第4穴あきプレート1-4の下縁部の左端は、第8穴あきプレート1-8にヒンジ接続されることに加えて、第1弾性ロープ14にもヒンジ接続されている。第5穴あきプレート1-5の下縁部の左端は、第3剛性タイロッド18にヒンジ接続され、第8穴あきプレート1-8の下縁部の右端は、第1剛性タイロッド15にヒンジ接続されている。
【0044】
前記第3行の穴あきプレートと第2行の穴あきプレートとが対称に端板が設けられ、第4行の穴あきプレートと第1行の穴あきプレートとが対称に端板が設けられる。
【0045】
アンカーの断面積とアンカー部の長さは、構造要件を満たす必要がある。また、土層内のアンカーの場合、アンカー固定長さは、4.0m以上であり、且つ10.0mよりも小さいことが好ましい。岩石アンカーの場合、アンカー固定長さは、3.0m以上であり、且つ6.0mよりも小さいことが好ましい。穿孔内のアンカーの断面積は、穿孔面積の20%以下であることが好ましい。
【0046】
従来のアンカーも擁壁法面保護材も、不安定な法面の滑り力を静的に打ち消すものであり、ある瞬間に法面保護構造物の支持が困難になると、土砂崩れなどの災害が瞬時に発生する。一方で、本発明は異なり、不安定な斜面の滑り力が一定の閾値に達した後、斜面保護体が前方に押し出され、この時、正方形プレートアレイがゆっくりと拡張して形成された抵抗力(摩擦力)によって、不安定な斜面の滑り力が徐々に解放されるので、瞬間的に解放される強力な衝撃力による土砂崩れなどの災害を回避することができる。
【0047】
アンカーの設計について、個々の岩石や土塊の滑り面や安定土層が異なるため、アンカーロッドの具体的な長さのデータを決めることができない。したがって、実際の状況を応じて計算する必要がある。斜面の安定性分析、横方向の土圧の計算およびアンカーロッドの各部分の長さは、基準要件に從って設計できるため、ここでは詳細を省略する。
【0048】
アンカー設置のプロセスでは、(第1ステップ)最初に穿孔作業を行い、ここでは、アンカーロッドの支圧板、台座および土留め構造は、アンカーロッドに対応して穿孔する必要がある。なお、補強筋アンカーロッドが設計されている場合、支圧板、台座および土留め構造のすべては、補強筋アンカーロッドに対応して穿孔する必要がある。
【0049】
次に、(第2ステップ)変位抑制部を作製する。本実施形態では、厚さが0.5cmである正方形鋼板に端板を溶接すればよい。辺の長さは大きすぎないようにすることが好ましく、これは、大きすぎるとアンカーを打ち込む際の抵抗が大きくなるからである。
【0050】
次に、(第3ステップ)端板を各穴あきプレートの縁部の指定位置に溶接する。このステップは非常に重要であり、二次アンカー固定構造の主要な応力支持点の接続はすべて溶接(圧着溶接)方式で接続することが好ましい。圧着溶接方法の特徴としては、溶加材を添加せず、溶接過程に圧力を加えることである。圧着溶接には溶融過程がないため、溶融溶接のような有効な合金元素の燃焼や溶接部への有害元素の侵入問題がなく、かつ溶接工程が簡素化されるため、溶接の安全性と衛生状態が向上することができる。
【0051】
次に、(第4ステップ)負ボアソン比穴あきプレートアレイアンカー構造を組み立てる。穴あきプレートはボルトおよび定着具で接続され、ボルト構造は、二次構造が動作する時に穴あきプレートがスムーズに開くことができる同時に、開く過程で一定の抵抗力を維持することができるように、ヒンジで固定された時にボルトが固く締め付けたり弱く緩んだりしないようにする。
【0052】
また、使用される弾性ロープは、伸縮可能なロープと、ロープ両端に位置される2つのアンカー固定アセンブリとを備える。ロープ本体は、下部スリーブと下部スリーブ内に位置される支持リングと長さ調整装置とを備える。当該調整装置は、調整ロッド、弾性体、ナット、ロックナットおよび連結装置で構成され、前記連結装置は、圧力ベアリングプレート、接続プレートおよびねじ接続プレートで構成された連結装置であり、調整ロッドは、圧力ベアリングプレートを貫通してロープ本体に接続され、ナットおよびロックナットは、順次に調整ロッドの外側を嵌めるように設置される。
【0053】
アンカー全体は、さまざまなポリマー炭化水素の複雑な混合物であるコールタールピッチでコーティングする必要がある。これらの材料の組成に含まれる芳香族炭化水素の含有量が高いため、化学的安定性が高く、耐腐食性が高く、吸水率が低く、絶縁性が高く、微生物腐食に対する耐性が高く、長寿命という利点を有する。また、コールタールピッチは、金属構造体の表面との結合力が強く、陰極剥離に強いため、本発明のアンカー(アンカーロッド)の防錆コーティングとして使用することができる。
【0054】
アンカーの防錆処理は以下のようにする。
【0055】
アンカーの自由段が岩盤層や土層にある場合、アスファルトシッププライマー、アスファルトグラスファイバークロスの2層に対して防錆処理を行う。ステンレス鋼-銅合金部のアンカーロッドに対して、穴あきプレートのように防錆処理を行った後に、スリーブに装入する。自由段のスリーブの両端において100~200mm範囲内にグリースを充填し、外側をエンジニアリングテープで巻いて固定する。非腐食性の岩盤・土層にあるアンカー部の場合、セメントスラリーまたはセメントモルタルの保護層の厚さは25mm以上であることが好ましい。腐食性の岩盤・土層にあるアンカー部の場合、特殊の防錆処理を行う必要があり、かつセメントスラリーまたはセメントモルタル保護層の厚さは50mm以上であることが好ましい。防錆処理後、アンカーの自由段の外端は、鉄筋コンクリート部材に50mm以上埋め込まれることが好ましい。アンカーの支圧板に対して、3回の錆除去と防食塗料の塗布後に、スチールメッシュで覆われてコンクリートで閉じることが好ましい。コンクリートグレードはC30以上、厚さは100mm以上、コンクリート保護層の厚さは50mm以上であることが好ましい。
【0056】
設計時に不安定法面体の引張部のアンカーロッドが引張要求を満たしていれば、鉄筋のアンカーロッドの設計は不要であり、この時点で擁壁までコンクリートを流し込む方式を採用してもよい。
【0057】
また、設計は、主要なコンクリートステンレス鋼銅負ポアソン比固定構造を放棄し、2つの二次固定構造を使用することもできる。
【0058】
上述した説明は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明の技術的な思想から脱逸せず、上記の実施形態を参照して行われた変更、改良および同等の置換などはいずれも本願の特許請求の範囲に含まれている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-01-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカーロッド(9)と、土留め構造(8)と、台座(7)と、支圧板(6)と、支圧板固定プレート(12)とを備え、
前記アンカーロッド(9)の一端は、土留め構造(8)と、台座(7)と、支圧板(6)とを順に貫通し、前記アンカーロッド(9)の他端は、支圧板固定プレート(12)を貫通し、
前記アンカーロッド(9)の他端は、支圧板固定プレート(12)を貫通して負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造にヒンジ接続され、
前記負ボアソン比穴あきプレートアレイアンカー構造の支圧板固定プレート(12)から離れる一端は、負ボアソン比穴あきプレートアレイアンカー構造の端部の変位を防止するための変位抑制部(13)にヒンジ接続され、アンカーロッド部が錨泊に失敗すると、負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造引っ張られて展開し、構造全体が膨張して端部膨張アンカーとなり、
前記負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造は、複数の回転剛体拡大構造と、第1弾性ロープ(14)と、第1剛性タイロッド(15)とを備え、前記複数の回転剛体拡大構造が位置ずれて配置され、かつ第1弾性ロープ(14)および第1剛性タイロッド(15)によって接続され、
前記回転剛体拡大構造は、4つの回転正方形構造を備え、前記4つの回転正方形構造は、2×2配列でヒンジ接続されて回転剛体拡大構造を形成し、前記回転正方形構造は、4枚の穴あきプレート(1)を備え、前記4枚の穴あきプレート(1)は、2×2配列でヒンジ接続されて回転正方形構造を形成し、4枚の穴あきプレートのヒンジ接続により、回転正方形構造に応力が加えられたとき、穴あきプレート(1)がヒンジ点を中心に回転して拡張し、構造全体が拡張し、回転剛体拡大構造のポアソン比が負となり、
前記4枚の穴あきプレート(1)のうち1枚の穴あきプレート(1)の片側に、2つの離間した第1端板(2)が設けられ、前記穴あきプレート(1)に隣接する1枚の穴あきプレート(1)の片側に、第2端板(3)が設けられ、前記第1端板(2)および第2端板(3)に貫通孔が設けられ、前記第2端板(3)は、2枚の第1端板(1)の間に配置され、前記貫通孔内にボルト(4)が設けられ、ボルト(4)は、貫通孔を貫通した一端に定着具(5)が設けられ、
前記アンカーロッド(9)の両側のそれぞれに補強筋アンカーロッド(11)が設けられ、前記補強筋アンカーロッド(11)の一端は、土留め構造(8)、台座(7)および支圧板(6)を順に貫通し、前記補強筋アンカーロッド(11)の他端に補強筋支圧板(10)が設けられ、前記補強筋アンカーロッド(11)の他端は、支圧板固定プレート(12)および補強筋支圧板(10)を順に貫通して、負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造にヒンジ接続され、
前記補強筋アンカーロッド(11)と負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造との間に、第2弾性ロープ(17)がヒンジ接続され、前記アンカーロッド(9)と負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造との間に、第3剛性タイロッド(18)がヒンジ接続され、前記第3剛性タイロッド(18)が2つの第2弾性ロープ(17)の間に位置される、ことを特徴とする負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置。
【請求項2】
前記アンカーロッド(9)は、黄銅とステンレス鋼の合金で構成され、オーセチックの負ボアソン比特性を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置。
【請求項3】
前記回転剛体拡大構造が2つあり、2つの回転剛体拡大構造は、2本の第1弾性ロープ(14)および1つの第1剛性タイロッド(15)を介して接続され、前記2つの回転剛体拡大構造は垂直に設置され、前記第1剛性タイロッド(15)が2本の第1弾性ロープ(14)の間に位置される、ことを特徴とする請求項1に記載の負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置。
【請求項4】
前記変位抑制部(13)と負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造との間に、第2剛性タイロッド(16)が設けられ、前記第2剛性タイロッド(16)の両端は、それぞれ、変位抑制部(13)と負ボアソン比拡大穴あきプレートアレイアンカー構造との間にヒンジ接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置。
【請求項5】
各前記回転剛体拡大構造は、16枚の穴あきプレート(1)が4×4配列で構成され、前記第1行の穴あきプレートは、第1穴あきプレート(1-1)と、第2穴あきプレート(1-2)と、第3穴あきプレート(1-3)と、第4穴あきプレート(1-4)とを備え、前記第2行の穴あきプレートは、第5穴あきプレート(1-5)と、第6穴あきプレート(1-6)と、第7穴あきプレート(1-7)と、第8穴あきプレート(1-8)とを備え、
前記第1穴あきプレート(1-1)の右縁部の上端および下縁部の右端は端板と溶接され、第2穴あきプレート(1-2)の左縁部の上端、下縁部の左端および右縁部の下端は端板と溶接され、第3穴あきプレート(1-3)の左縁部の下端、右縁部の上端および下縁部の右端は端板と溶接され、第4穴あきプレート(1-4)の左縁部の上端および下縁部の左端は端板と溶接され、
前記第5穴あきプレート(1-5)と第1穴あきプレート(1-1)とは対称に端板が設けられ、第6穴あきプレート(1-6)と第2穴あきプレート(1-2)とは対称に端板が設けられ、第7穴あきプレート(1-7)と第3穴あきプレート(1-3)とは対称に端板が設けられ、第8穴あきプレート(1-8)と第4穴あきプレート(1-4)とは対称に端板が設けられ、かつ第5穴あきプレート(1-5)の下縁部の左端は端板と溶接され、第6穴あきプレート(1-6)の下縁部の右端は端板と溶接され、第7穴あきプレート(1-7)の下縁部の左端は端板と溶接され、第8穴あきプレート(1-8)の下縁部の右端は端板と溶接され、前記第1穴あきプレート(1-1)の下縁部の右端は第5穴あきプレート(1-5)にヒンジ接続されかつ第2弾性ロープ(17)にヒンジ接続され、第4穴あきプレート(1-4)の下縁部の左端は第8穴あきプレート(1-8)にヒンジ接続されかつ第1弾性ロープ(14)にヒンジ接続され、第5穴あきプレート(1-5)の下縁部の左端は第3剛性タイロッド(18)にヒンジ接続され、第8穴あきプレート(1-8)の下縁部の右端は第1剛性タイロッド(15)にヒンジ接続され、
前記第3行の穴あきプレートと第2行の穴あきプレートとは対称に端板が設けられ、第4行の穴あきプレートと第1行の穴あきプレートとは対称に端板が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の負ボアソン比回転拡大型正方形穴あきプレートアレイアンカー装置。
【国際調査報告】