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特表2024-517041アテローム切除デバイスの制御ハンドル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】アテローム切除デバイスの制御ハンドル
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
A61B17/3207
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541535
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2022059080
(87)【国際公開番号】W WO2023193895
(87)【国際公開日】2023-10-12
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514222743
【氏名又は名称】クリアストリーム・テクノロジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】コノートン,オーエン
(72)【発明者】
【氏名】ロナン,アラン
(72)【発明者】
【氏名】スポドバルスキ,アルトゥル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE12
4C160MM36
(57)【要約】
筐体と、アテローム切除デバイスの研磨ヘッドを回転させるための駆動モジュールとを備える、アテローム切除デバイスの制御ハンドル。駆動モジュールは、筐体に対して長手方向ストローク運動で移動可能である。制御ハンドルは、駆動モジュールへ接続された回転割り出し機構をさらに備える。回転割り出し機構は、長手方向ストロークの後に駆動モジュールを所定量だけ回転させるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アテローム切除デバイスの制御ハンドルであって、
筐体と、
前記アテローム切除デバイスの研磨ヘッドを回転させるための駆動モジュールであって、前記筐体に対して長手方向ストローク運動で移動可能である前記駆動モジュールと、
前記駆動モジュールへ接続された回転割り出し機構と、を備え、
前記回転割り出し機構は、長手方向ストロークの後に前記駆動モジュールを所定量だけ回転させるように構成される、制御ハンドル。
【請求項2】
前記回転割り出し機構は、前記駆動モジュールを回転させるためのステッピングモータと、前記ステッピングモータを起動するためのマイクロスイッチとを備える、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項3】
前記マイクロスイッチは、長手方向ストロークの後に前記筐体の一部によって始動させられるように配置される、請求項2に記載の制御ハンドル。
【請求項4】
前記筐体は、長手方向ストロークの後に前記マイクロスイッチに接触して前記マイクロスイッチを始動させるための内部突起を備える、請求項2または3に記載の制御ハンドル。
【請求項5】
前記内部突起は、近位ストロークの終わりに前記マイクロスイッチを始動させるように配置される、請求項4に記載の制御ハンドル。
【請求項6】
前記回転割り出し機構は、カムトラックおよび従動子を備える、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項7】
前記カムトラックは、前記駆動モジュール上に配設される、請求項6に記載の制御ハンドル。
【請求項8】
前記従動子は前記筐体の内側に固定される、請求項6または7に記載の制御ハンドル。
【請求項9】
前記従動子は、前記カムトラックと係合する突起を備える、請求項6から8のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項10】
前記カムトラックは、複数の長手方向直線部および複数のV字形状部を備える、請求項6から9のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項11】
各長手方向直線部は、隣接する長手方向直線部にV字形状部を介して接続される、請求項10に記載の制御ハンドル。
【請求項12】
前記複数のV字形状部の各々は、前記複数の長手方向直線部のうちの1つの遠位端に配設される、請求項10または11に記載の制御ハンドル。
【請求項13】
前記カムトラックは、前記V字形状部のうちの1つが前記長手方向直線部のうちの1つに接続される点のうちの1つまたは複数に一方向ゲートを備える、請求項10から12のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項14】
前記カムトラックは、前記V字形状部のうちの1つが前記長手方向直線部のうちの1つに接続される各点に一方向ゲートを備える、請求項13に記載の制御ハンドル。
【請求項15】
前記カムトラックは、前記複数のV字形状部のうちの少なくとも1つの先端に一方向ゲートを備える、請求項10から14のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項16】
前記カムトラックは、前記複数のV字形状部の各々の先端に一方向ゲートを備える、請求項15に記載の制御ハンドル。
【請求項17】
前記回転割り出し機構は、つめ車と、つめとを備える、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項18】
前記つめ車は前記駆動モジュールに固定され、前記つめは前記筐体に配設される、請求項17に記載の制御ハンドル。
【請求項19】
前記つめ車は、前記つめと係合するための複数の歯を備える、請求項17または18に記載の制御ハンドル。
【請求項20】
前記つめは、長手方向ストロークの終わりに前記つめ車から解放されて、前記駆動モジュールを前記所定量だけ回転させることを可能にするように構成される、請求項17から19のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項21】
前記回転割り出し機構は、前記駆動モジュールを回転させるためのねじりばね機構をさらに備える、請求項17から20のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項22】
前記つめは、長手方向つめレールと、枢動可能要素とを備える、請求項17から21のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項23】
前記枢動可能要素は、前記長手方向つめレールの近位端に配設される、請求項22に記載の制御ハンドル。
【請求項24】
前記枢動可能要素は、長手方向ストロークの終わりに枢動して前記つめ車を解放し、前記駆動モジュールを前記所定量だけ回転させることを可能にするように構成される、請求項22または23に記載の制御ハンドル。
【請求項25】
少なくとも部分的に前記筐体の外側に延び、長手方向ストローク運動で前記駆動モジュールを移動させるように構成された押し要素をさらに備える、請求項1から24のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項26】
回転の前記所定量は、5度~90度の範囲、好ましくは10度~60度の範囲にある、請求項1から25のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項27】
組織を切断または研磨するアテローム切除デバイスであって、
請求項1から26のいずれか1項に記載の制御ハンドルと、
前記駆動モジュールに接続された回転可能な駆動軸と、
前記駆動軸の遠位端に配設された研磨ヘッドと、を備え、前記研磨ヘッドは、前記駆動軸の長手軸線に対して傾けられる、または傾き可能である、アテローム切除デバイス。
【請求項28】
前記駆動軸の上に配設された外側カテーテルシースをさらに備える、請求項27に記載のアテローム切除デバイス。
【請求項29】
前記外側カテーテルシースは、前記駆動モジュールの回転が前記外側カテーテルシースの回転をもたらすように前記駆動モジュールに固定される、請求項28に記載のアテローム切除デバイス。
【請求項30】
前記外側カテーテルシースの遠位端は、前記研磨ヘッドが前記長手軸線に対して傾くことを可能にするために曲がるように構成される、請求項28または29に記載のアテローム切除デバイス。
【請求項31】
前記外側カテーテルシースの遠位端は、前記研磨ヘッドを前記長手軸線に対して傾ける、予め曲げられた部分を備える、請求項28または29に記載のアテローム切除デバイス。
【請求項32】
前記研磨ヘッドを傾けるために前記外側カテーテルシースの遠位端に取り付けられた引張ワイヤをさらに備える、請求項28から31のいずれか1項に記載のアテローム切除デバイス。
【請求項33】
回転割り出し機構と、回転可能な駆動軸を備え、傾けられた研磨ヘッドへ回転可能に接続された駆動モジュールと、を備える制御ハンドルを有するアテローム切除デバイスを使用して組織を切断または研磨する方法であって、
前記研磨ヘッドを患者に挿入し、前記研磨ヘッドを治療される病変の部位まで前進させるステップと、
前記駆動モジュールを起動して前記研磨ヘッドを回転させるステップと、
長手方向ストローク運動を前記駆動モジュールを用いて行って前記病変の長手方向セクションを切断または研磨するステップと、
前記回転割り出し機構を使用し、長手方向ストローク運動の後に前記駆動モジュールおよび前記傾けられた研磨ヘッドを自動的に所定量だけ回転させるステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アテローム切除デバイスの制御ハンドル、組織を切断または研磨するアテローム切除デバイス、およびアテローム切除デバイスを使用して組織を切断または研磨する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アテローム性動脈硬化症は、石灰化したプラークが血管の壁に沈着して血管を狭くして血圧を上昇させる状態である。重症の場合、末梢動脈疾患、冠動脈疾患、組織死または脳卒中を引き起こす可能性がある。
【0003】
アテローム性動脈硬化症は、バルーンが使用されて血管の拡張を強制して血流の改善を可能にする血管形成術、血管の患部を避けるように血流を向け直すための外科的処置が行われる血管バイパス術、またはアテローム切除術など、いくつかの方法で治療できる。
【0004】
アテローム切除術は、カテーテルの遠位端にデバイスを使用して閉塞した血管を開き、血管の壁から動脈硬化性プラークを切断または粉砕する非外科的処置である。アテローム切除デバイスは、一般に、軌道式、回転式、レーザー、および方向性の4つの異なるタイプに分類できる。
【0005】
回転式アテローム切除デバイスは、回転する研磨ヘッドを使用して、血管の壁から動脈硬化性プラークを切断または粉砕する。いくつかの既存の回転式アテローム切除デバイス、例えば、米国特許出願公開第2008/0004643(A1)号および米国特許出願公開第2021/0386451(A1)号に記載されているデバイスには、固定直径の研磨ヘッドを有するカテーテルが組み込まれている。より大きな直径の血管を治療するために、研磨ヘッドは血管壁の片側に向かってオフセットされる、または傾けることができ、病変は複数の軸方向通過で治療され、各通過の後に医師は手動でカテーテルを回転させなければならない。カテーテルのこのような手動回転は不正確であり、時間がかかる可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、病変のより効果的かつ正確な治療を行い、全体的な治療時間を短縮するために、アテローム切除カテーテルを正確かつ迅速に設定量だけ回転できる、アテローム切除デバイスの新しいタイプの制御ハンドルが当技術分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様では、筐体と、アテローム切除デバイスの研磨ヘッドを回転させるための駆動モジュールとを備える、アテローム切除デバイスの制御ハンドルを提供する。駆動モジュールは、筐体に対して長手方向ストローク運動で移動可能である。制御ハンドルは、駆動モジュールに接続された回転割り出し機構をさらに備える。回転割り出し機構は、長手方向ストロークの後に駆動モジュールを所定量だけ回転させるように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、これにより、病変のより効果的かつ正確な治療を行い、全体的な治療時間を短縮するために、アテローム切除カテーテルを正確かつ迅速に設定量だけ回転できる制御ハンドルをもたらすことができる。
【0009】
本開示全体を通して、用語「長手方向ストローク運動」は、長手方向の前進および戻り移動を示すために使用される。「長手方向ストローク運動」は、遠位ストロークおよび近位ストローク、またはその逆を含んでもよい。
【0010】
回転割り出し機構は、駆動モジュールを回転させるためのステッピングモータと、ステッピングモータを起動するためのマイクロスイッチとを備えてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、これにより、駆動モジュールの自動的かつ正確な回転を所定量だけもたらすことができる。
【0012】
マイクロスイッチは、長手方向ストロークの後に筐体の一部によって始動させられるように配置されてもよい。
【0013】
筐体は、長手方向ストロークの後にマイクロスイッチに接触してマイクロスイッチを始動させるための内部突起を備えてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、これにより、長手方向ストロークの後にステッピングモータを起動させる簡単かつ効果的な方法を提供することができる。
【0015】
内部突起は、近位ストロークの終わりにマイクロスイッチを始動させるように配置されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、これにより、カテーテルは、研磨ヘッドが病変の近位端に配置されたときに所定量だけ回転できる。
【0017】
本開示全体を通して、用語「近位ストローク」は、遠位点から近位点への移動を示す。「遠位ストローク」は、近位点から遠位点への移動を示す。「長手方向ストローク運動」は、遠位ストロークとそれに続く近位ストローク、またはその逆を含んでもよい。
【0018】
回転割り出し機構は、カムトラックおよび従動子を備えてもよい。
いくつかの実施形態では、これにより、病変のより効果的かつ正確な治療を行い、全体的な治療時間を短縮するために、アテローム切除カテーテルを機械的様式で正確に所定量だけ回転させることができる制御ハンドルをもたらすことができる。
【0019】
カムトラックは、駆動モジュール上に配設されてもよい。
いくつかの実施形態では、これにより、駆動モジュールを所定量だけ回転させることが可能な簡単かつ効果的な方法を提供することができる。
【0020】
従動子は筐体の内側に固定されてもよい。
いくつかの実施形態では、これにより、駆動モジュールを筐体に対して所定量だけ回転させることが可能な簡単かつ効果的な方法を提供することができる。
【0021】
従動子は、カムトラックと係合する突起を備えてもよい。
カムトラックは、複数の長手方向直線部および複数のV字形状部を備えてよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、これにより、研磨ヘッドが、所定量だけ回転される前に病変に沿って長手方向に移動することが可能になる。
【0023】
各長手方向直線部は、隣接する長手方向直線部にV字形状部を介して接続されてよい。
いくつかの実施形態では、これにより、研磨ヘッドが、所定量だけ回転される前に病変に沿って長手方向に移動することが可能になる。
【0024】
複数のV字形状部の各々は、複数の長手方向直線部のうちの1つの遠位端に配設されてよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、これにより、駆動モジュールは、近位ストロークの後に所定量だけ回転できる。
【0026】
カムトラックは、V字形状部のうちの1つが長手方向直線部のうちの1つに接続される点のうちの1つまたは複数に一方向ゲートを備えてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、これは、駆動モジュールを、各長手方向ストロークの後に同じ方向に回転させるのに役立つことができる。
【0028】
カムトラックは、V字形状部のうちの1つが長手方向直線部のうちの1つに接続される各点に一方向ゲートを備えてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、これは、駆動モジュールを、各長手方向ストロークの後に同じ方向に回転させるのに役立つことができる。
【0030】
カムトラックは、複数のV字形状部のうちの少なくとも1つの先端に一方向ゲートを備えてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、これは、駆動モジュールを、各長手方向ストロークの後に同じ方向に回転させるのに役立つことができる。
【0032】
カムトラックは、複数のV字形状部の各々の先端に一方向ゲートを備えてもよい。
いくつかの実施形態では、これは、駆動モジュールを、各長手方向ストロークの後に同じ方向に回転させるのに役立つことができる。
【0033】
回転割り出し機構は、つめ車と、つめとを備えてもよい。
いくつかの実施形態では、これにより、病変のより効果的かつ正確な治療を行い、全体的な治療時間を短縮するために、アテローム切除カテーテルを機械的様式で正確に設定量だけ回転させることができる制御ハンドルをもたらすことができる。
【0034】
つめ車は駆動モジュールへ固定され、つめは筐体に配設されてもよい。
いくつかの実施形態では、これにより、駆動モジュールが筐体に対して所定量だけ回転することが可能になる。
【0035】
つめ車は、つめと係合するための複数の歯を備えてよい。
いくつかの実施形態では、これにより、確実な係合をつめ車とつめとの間に提供することができる。
【0036】
つめは、長手方向ストロークの終わりにつめ車から解放されて、駆動モジュールを所定量だけ回転させることを可能にするように構成されることができる。
【0037】
回転割り出し機構は、駆動モジュールを回転させるためのねじりばね機構をさらに備えてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、これにより、駆動モジュールを回転させるための効果的な機械的機構を提供することができる。
【0039】
つめは、長手方向つめレールと、枢動可能要素とを備えてもよい。
いくつかの実施形態では、これにより、アテローム切除カテーテルを長手方向に前進させ、長手方向ストロークの後にアテローム切除カテーテルを所定量だけ回転させる効果的な方法を提供することができる。
【0040】
枢動可能要素は、長手方向つめレールの近位端に配設されてもよい。
いくつかの実施形態では、これにより、アテローム切除カテーテルを近位ストロークの終わりに所定量だけ回転させることを可能にする。
【0041】
枢動可能要素は、長手方向ストロークの終わりに枢動してつめ車を解放し、駆動モジュールを所定量だけ回転させることを可能にするように構成されてもよい。
【0042】
制御ハンドルは、少なくとも部分的に筐体の外側に延び、長手方向ストローク運動で駆動モジュールを移動させるように構成された押し要素をさらに備えてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、これにより、アテローム切除カテーテルを前進かつ後退させる有効な機構を提供することができる。
【0044】
押し要素は、駆動モジュールへ接続されてもよい。
回転の所定量は、5度~90度の範囲、好ましくは10度~60度の範囲であってもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、これにより、処置時間を妥当な長さに保ちながら病変の完全な治療を提供する。
【0046】
本開示の第2の態様では、上記節のいずれかによる制御ハンドル、駆動モジュールへ接続された回転可能な駆動軸、および駆動軸の遠位端に配設された研磨ヘッドを備える、組織を切断または研磨するアテローム切除デバイスを提供する。研磨ヘッドは、駆動軸の長手軸線に対して傾けられる、または傾き可能である。
【0047】
いくつかの実施形態では、これにより、研磨ヘッドを自動的に所定量だけ回転させることによって病変を正確、迅速かつ完全に治療できるアテローム切除デバイスをもたらすことができる。
【0048】
本開示全体を通して、研磨ヘッドに関して用語「傾けられる」および「傾き可能である」は、駆動軸の長手軸線に対して、それぞれ、オフセットされた、またはオフセットされるように構成された研磨ヘッドの位置を説明するために使用される。
【0049】
アテローム切除デバイスは、駆動軸の上に配設された外側カテーテルシースをさらに備えてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、これにより、回転可能な駆動軸をよりよく保護することができる。
【0051】
外側カテーテルシースは、駆動モジュールの回転が外側カテーテルシースの回転をもたらすように駆動モジュールへ固定されてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、これにより、外側カテーテルシースを、駆動モジュールと共に所定量だけ回転させることを可能にする。
【0053】
外側カテーテルシースの遠位端は、研磨ヘッドが長手軸線に対して傾くことを可能にするために曲がるように構成されてもよい。
【0054】
外側カテーテルシースの遠位端は、研磨ヘッドを長手軸線に対して傾ける、予め曲げられた部分を備えてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、これにより、研磨ヘッドを傾ける堅牢かつ効果的な方法を提供することができる。
【0056】
アテローム切除デバイスは、研磨ヘッドを傾けるために外側カテーテルシースの遠位端へ取り付けられた引張ワイヤをさらに備えてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、これにより、研磨ヘッドの曲げ量、したがって傾け量を制御することを可能にする。
【0058】
本開示の第3の態様では、回転割り出し機構と、回転可能な駆動軸を備える傾けられた研磨ヘッドへ回転可能に接続された駆動モジュールと、を備えた制御ハンドルを有するアテローム切除デバイスを使用して組織を切断または研磨する方法を提供する。この方法は、研磨ヘッドを患者に挿入し、研磨ヘッドを治療される病変の部位まで前進させるステップと、駆動モジュールを起動して研磨ヘッドを回転させるステップと、長手方向ストローク運動を駆動モジュール用いて行って病変の長手方向セクションを切断または研磨するステップと、回転割り出し機構を使用し、長手方向ストローク運動の後に駆動モジュールおよび傾けられた研磨ヘッドを自動的に所定量だけ回転させるステップとを含む。
【0059】
本開示のよりよい理解を可能にし、どのように同じものが実施されるかを示すために、次に、一例としてのみ、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】本開示によるアテローム切除デバイスの斜視図である。
図2A】遠位ストロークの前の図1のアテローム切除デバイスの側面図である。
図2B】遠位ストロークの後の図1のアテローム切除デバイスの側面図である。
図2C】近位ストロークの後の図1のアテローム切除デバイスの側面図である。
図3】本開示によるアテローム切除デバイスの制御ハンドルの断面側面図である。
図4A】本開示によるアテローム切除デバイスの制御ハンドルの一代替実施形態の断面側面図である。
図4B図4Aの制御ハンドルのカムトラックの近接図である。
図5A】本開示によるアテローム切除デバイスの制御ハンドルの一代替実施形態の断面側面図である。
図5B】AA線に沿った図5Aの制御ハンドルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、アテローム切除デバイス10の斜視図を示す。アテローム切除デバイス10は、その遠位端に配設された研磨ヘッド12を有する回転可能な駆動軸11を備える。回転可能な駆動軸11は、外側カテーテルシース13内に配設される。外側カテーテルシース13は、遠位端近くに曲げ部14を有してもよく、その結果、研磨ヘッド12は、駆動軸11および外側カテーテルシース13の長手軸線に対して一側へ傾けられるか、またはオフセットされる。曲げ部14は、患者への挿入前に既に曲げられている、予め曲げられた部分であってもよい。あるいは、曲げ部14は、患者に挿入されるときに直線状であってもよく、患者の血管の内側に入った後にのみ、曲げ形状をとるだけでもよい。例えば、引張ワイヤを使用して、外側カテーテルシース13の遠位端を引っ張り、それによって曲げ部14を作成してもよい。あるいは、例えばニチノールなどの形状記憶材料が、アテローム切除デバイス10が患者の血管に挿入されるときの温度変化の結果として形状記憶材料の形状の変化に起因して曲げ部14が形成されるように、外側カテーテルシース13内へ埋め込まれてもよい。回転可能な駆動軸11および外側カテーテルシース13は、血管解剖学的構造を通ってより良好に操縦されて、治療部位に到達することを可能にするように、可撓性材料から作られてもよい。
【0062】
研磨ヘッド12は、回転されると、血管壁の内側から石灰化したプラークを削り取る、または切断(換言すれば、切削)することができる1つまたは複数の研磨面または切断面を備えてもよい。研磨ヘッド12は、限定されるものではないが、コバルト基合金、酸化ジルコニウム、またはタングステンなどのいくつかの材料から作られてもよい。切断面は、血管の壁からプラークを切断する、いくつかの鋭い縁辺を含んでもよい。研磨面は、摩擦によって血管の壁からプラークを砕き取ることができる粗い表面であってもよい。研磨ヘッド12は、切断面と研磨面との組み合わせを備えてもよい。
【0063】
回転可能な駆動軸11および外側カテーテルシース13の近位端は、制御ハンドル100へ接続される。制御ハンドル100は、筐体110、駆動モジュール120、回転割り出し機構130および押し要素140を備える。
【0064】
駆動モジュール120は、回転可能な駆動軸11へ回転運動を与えて、それによって研磨ヘッド12を回転させることができるように、筐体110内に配設され、回転可能な駆動軸11へ接続される。駆動モジュール120は、例えば、回転駆動軸11へ回転運動を与えるために回転可能な駆動軸11へ接続される軸を備えた電動モータであってもよい。外側カテーテルシース13は、駆動モジュール120全体と共に回転するように駆動モジュール120自体へ接続される。
【0065】
駆動モジュール120は、筐体110内に配設されてよい回転割り出し機構130へ接続される。駆動モジュール120は、例えば、ユーザによって操作できる押し要素140を介して、筐体110内を長手方向に移動することができる。例えば、駆動モジュール120は、駆動モジュール120が長手方向に遠位方向へ押される遠位ストローク、続いて駆動モジュール120が長手方向に近位方向へ押される近位ストローク、またはその逆からなる長手方向ストローク運動で移動させられ得る。各長手方向ストローク運動の後、回転割り出し機構130は、駆動モジュール120および接続された外側カテーテルシース13を、自動的に所定量だけ回転させる。外側カテーテルシース13の曲げ部14によって、これはまた、傾けられた研磨ヘッド12が所定量だけ回転される結果となる。回転の所定量は、5度~90度の範囲、好ましくは10度~60度の範囲にすることができる。
【0066】
図2A図2Cは、どのようにアテローム切除デバイス10が操作され、使用されて患者の病変を治療することができるかの方法を図示する。
【0067】
まず、アテローム切除デバイス10のカテーテル部分、すなわち、外側シース13は、研磨ヘッド12および回転可能な駆動軸11と共に、アクセス部位を介して患者の血管内へ挿入され得る。次に、カテーテル部分は、血管の解剖学的構造を通って、除去される血管壁におけるプラークの蓄積があった病変まで前進させられてもよい。
【0068】
曲げ部14は、カテーテルの研磨ヘッドを片側へ傾け、またはオフセットさせる。次に、駆動モジュール120が起動されて回転可能な駆動軸11および研磨ヘッド12を回転させる。図2Aに示されるように、ユーザは、次に、押し要素140を押し、それによって駆動モジュール120を長手方向に遠位方向へ押して、遠位ストロークを行ってもよい。これにより、研磨ヘッド12は遠位方向に前進し、病変の長手方向部分に沿って血管壁からプラークを切断または研磨する。
【0069】
遠位ストロークの終わり(換言すれば、ストローク端)は、例えば、駆動モジュール120が筐体110の端部に達したとき、または研磨ヘッド12が病変の端部に達したときに達してもよい。遠位ストロークの終わりに達すると、図2Bに示されるように、押し要素140は、次に、近位方向に引き戻されて近位ストロークを行い、長手方向ストローク運動を完了する。近位ストロークにより、駆動モジュール120および研磨ヘッド12は近位方向に引き戻される。
【0070】
近位ストロークの終わりには、図2Cに示されるように、回転割り出し機構130は、駆動モジュール120を所定量だけ回転させる。駆動モジュール120は外側カテーテルシース13へ接続されているため、曲げ部14を有する外側カテーテルシース13は、駆動モジュール120と共に所定量だけ回転する。したがって、これにより、研磨ヘッド12が所定量だけオフセットされまたは傾けられる、径方向の角度が変化する。研磨ヘッド12は、次に、病変の新しい長手方向部分を治療する準備ができる。
【0071】
これらのステップは、駆動モジュール120および研磨ヘッド12が360度回転され、病変の全周が治療されるまで繰り返すことができる。この方法は、研磨ヘッド12全体が1つの軸方向通過において血管の全周を治療できない、より大きな直径の血管を治療するのに特に有用であることができる。
【0072】
したがって、長手方向ストローク運動の後に駆動モジュール120および研磨ヘッド12を自動的に所定量だけ回転させることで、病変を、従来のデバイスよりも迅速、正確かつ全体的に治療することを可能にする。
【0073】
図3は、上記図1および図2A図2Cに関して説明されたように、アテローム切除デバイス10の一部として使用されてもよい制御ハンドル200の一実施形態を示す。同じ参照符号は、異なる実施形態にわたって同一である特徴を示すために本明細書で使用される。
【0074】
制御ハンドル200は、筐体110、駆動モジュール120、回転割り出し機構230および押し要素140を備える。回転可能な駆動軸11は、駆動モジュール120が回転運動を回転可能な駆動軸11へ与えることができるように駆動モジュール120へ接続されてよい。外側カテーテルシース13は、上記図1で説明されたように、駆動モジュール120全体と共に回転するように駆動モジュール120へ固定されてもよい。
【0075】
図3の回転割り出し機構230は、ステッピングモータ231と、ステッピングモータ231を起動させるマイクロスイッチ232とを備える。ステッピングモータ231は、ステッピングモータ231がマイクロスイッチ232によって起動されるたびに所定量だけ駆動モジュール120が回転されるように、駆動モジュール120へ接続される。
【0076】
筐体110は、内部の出っ張りまたは突起233を備えてもよい。この内部突起233は、筐体110の近位端近くに配置されてもよく、マイクロスイッチ232と接触して、近位ストロークの終わりにステッピングモータ231を起動してもよい。
【0077】
押し要素(換言すれば、プッシャー)140は、ステッピングモータ231へ接続されてもよく、少なくとも部分的に筐体110の外側に延びて、ユーザが、ステッピングモータ231および接続された駆動モジュール120を長手方向ストローク運動で移動させることを可能にできる。制御ハンドル200は、上記図2Aおよび図2Cに関して説明されたのと同様に、アテローム切除デバイス10の一部として使用できる。ステッピングモータ231および駆動モジュール120は、長手方向ストローク運動で押し要素140を介して移動できる。近位ストロークの終わりに、マイクロスイッチ232は、内部突起233によって始動され、駆動モジュール120を所定量だけ回転させる。次に、別の長手方向ストローク運動が行われ、これらのステップは、ステッピングモータ231が駆動モジュール120を360度回転させ、病変の全周が治療されるまで、繰り返すことができる。
【0078】
図4Aは、上記図1および図2A図2Cに関して説明されたように、アテローム切除デバイス10の一部として使用されてもよい制御ハンドル300の別の実施形態を示す。この場合も、同じ参照符号が、異なる実施形態にわたって同一である特徴について使用される。
【0079】
制御ハンドル300は、筐体110および駆動モジュール120と、回転割り出し機構330と、押し要素340とを備える。回転可能な駆動軸11は、駆動モジュール120が回転可能な駆動軸11の回転を行うことができるように、駆動モジュール120へ接続されてもよい。外側カテーテルシース13は、上記図1で説明されるように、駆動モジュール120全体と共に回転するように駆動モジュール120へ固定されてよい。
【0080】
図4Aの回転割り出し機構320は、カムトラック(換言すれば、経路)331および従動子332を備えるカムと従動子との機構である。カムトラック331は、円筒形状を有してよい駆動モジュール120の外面に配設されてよい。例えば、カムトラック331は、駆動モジュール120の外面に成形されてもよい。カムトラック331は、凹型またはスロット付きトラックの形態であってもよい。従動子332は、筐体110の内側へ固定された突起の形態であってよく、カムトラック331の経路をたどるようにカムトラック331と係合されてよい。
【0081】
押し要素340は筐体110内へ延びてもよく、駆動モジュール120は押し要素340へ直接、回転可能に接続されてもよい。したがって、押し要素340の長手方向ストローク運動は、駆動モジュール120の対応する長手方向ストローク運動をもたらす。従動子332は筐体へ固定され、駆動モジュール120に配設されたカムトラック331に係合するので、駆動モジュール120は、長手方向ストローク運動の後に所定量だけ回転される。
【0082】
カムトラック331は、駆動モジュール120の全周のまわりに延びて、駆動モジュール120を360度回転させることを可能にするので、病変の全周を治療することを可能にする。
【0083】
図4Bは、カムトラック331の一部分を示す。カムトラック331は、駆動モジュール120に沿って長手方向に延びるいくつかの長手方向直線部333を備える。図4Bは、第1、第2および第3の長手方向直線部333a、333b、333cを示すが、カムトラック331は、それらよりも少ないまたは多い長手方向直線部333を有してもよい。例えば、カムトラック331は、2個~20個の範囲の長手方向直線部333、好ましくは4個~10個の範囲の長手方向直線部333を有してもよい。
【0084】
各長手方向直線部333は、隣接する長手方向直線部333へV字形状部334を用いて接続されてもよい。例えば、第1の長手方向直線部333aは、第2の長手方向直線部333bへ第1のV字形状部334aを介して接続されてもよい。同様に、第2の長手方向直線部333bは、第3の長手方向直線部へ第2のV字形状部334bを介して接続されてもよい。V字形状部334は、長手方向直線部333の遠位端に配設されてよい。長手方向直線部333間の間隙により、駆動モジュール120が各長手方向ストロークの後に回転する所定量が決まる。
【0085】
筐体110へ固定された従動子332は、カムトラック331内に配置され、またはカムトラック331と係合される。駆動モジュール120が長手方向ストローク運動で押し要素140を介して移動されると、従動子332はカムトラック331の経路をたどる。最初に、駆動モジュール120は、図4Bに示されるように、従動子332がカムトラック331の遠位端に配設されるように、筐体110の近位端に配設されてもよい。遠位ストロークが行われると、駆動モジュール120は筐体110内で遠位に移動し、一方、従動子332は長手方向直線部333cに沿って近位に移動する。近位ストロークが行われると、駆動モジュール120は近位方向に戻り、一方、従動子332は長手方向直線部333cに沿って遠位に移動し、次に、隣接する2つの長手方向直線部333cおよび333bを接続するV字形状部334bに入る。これにより、駆動モジュール120は、2つの長手方向直線部333cと333bとの間の距離に対応する所定量だけ回転する。次に、これらのステップは、駆動モジュール120が360度回転されるまで繰り返すことができる。
【0086】
従動子332がカムトラック331内を右方向に移動するのを補助するために、カムトラック331は、いくつかの一方向ゲートを備える。各V字形状部334は、そのV字形状の先端に配置された一方向ゲート335を有してもよい。例えば、第1のV字形状部334aは、その先端に第1の一方向ゲート335aを有してもよい。同様に、第2のV字形状部334bは、その先端に第2の一方向ゲート335bを有してもよい。これらの一方向ゲート335は、従動子332を遠位ストロークの開始時にV字形状部の正しい脚部に沿って移動させるのに役立つ。さらに、カムトラック331は、V字形状部334が長手方向直線部333へ接続する各点に一方向ゲート336を含んでもよい。例えば、第3の一方向ゲート336aは、第1のV字形状部334が第2の長手方向直線部333bへ接続する点に配置されてもよい。同様に、第4の一方向ゲート336bは、第2のV字形状部334bが第3の長手方向直線部333cへ接続する点に配置されてもよい。これらの一方向ゲート336は、従動子を近位ストロークの終わりに長手方向直線分333からV字形状部334内へ移動させるのに役立つので、確実に駆動モジュール120を近位ストロークの終わりに所定量だけ回転させるのに役立つことができる。
【0087】
制御ハンドル300をアテローム切除デバイス10の一部として使用して病変を治療する方法は、上記図2A図2Cに関して説明されたものと同じである。
【0088】
図5Aは、上記図1および図2A図2Cに関して説明されたように、アテローム切除デバイス10の一部として使用されてもよい制御ハンドル400の別の実施形態を示す。この場合も、同じ参照符号が、異なる実施形態にわたって同一である特徴について使用される。
【0089】
制御ハンドル400は、筐体110、駆動モジュール120、回転割り出し機構430および押し要素140を備える。回転可能な駆動軸11は、駆動モジュール120が回転可能な駆動軸11を回転できるように、駆動モジュール120へ接続されてよい。外側カテーテルシース13は、上記図1で説明されるように、駆動モジュール120全体と共に回転するように駆動モジュール120へ固定されてよい。
【0090】
図5Aの回転割り出し機構430は、つめ車とつめとの機構を備える。つめ車431は、駆動モジュール120の外面へ固定されてもよい。つめは、長手方向つめレール433および枢動可能要素432の形態で、筐体110へ接続されてもよい。長手方向つめレール433は、筐体110へ固定されてもよく、筐体110に沿って長手方向に延びてもよい。その近位端では、長手方向つめレール433は、下方に枢動できる枢動可能要素432へ接続されてよい。つめ車431は、枢動可能要素432または長手方向つめレール433に係合し、歯431a、431b、431cのうちの1つが枢動可能要素432または長手方向つめレール433に係合している間につめ車431および駆動モジュール120が回転するのを防ぐことができるいくつかの歯431a、431b、431c(図5Bに示される)を備えてもよい。制御ハンドル400は、筐体435に配設されるねじりばね(換言すれば、トーションばね)機構434をさらに備える。駆動モジュール120は、ねじりばね機構434に回転可能に接続されてよい。ねじりばね機構434は、機械的エネルギーを蓄えて、枢動可能要素432がつめ車431との係合から解放されたときに回転運動を駆動モジュール120へもたらすように巻き上げられることができる。押し要素140は、ねじりばね機構434へ接続されてもよい。
【0091】
制御ハンドル400を使用すると、最初に、駆動モジュール120は、筐体110の近位端に配置されてもよい。つめ車431の歯のうちの1つ、例えば、図5Bに示される歯431aは、つめ車431および駆動モジュール120が回転できないように枢動可能要素432と係合されてもよい。遠位ストロークの間、駆動モジュール120が遠位方向に押し要素140を介して押されるとき、歯431aは、つめ車431の回転がないように長手方向つめレール433と係合したままである。遠位ストロークの後、駆動モジュール120は、近位方向に押し要素140を介して、すなわち、近位ストロークに引き戻すことができる。近位ストロークの初めの部分の間、歯431aは、つめ車431の回転がないように長手方向つめレール433と係合したままである。近位ストロークの終わりに向かって(換言すれば、近づくと)、つめ車の歯431aは枢動可能要素432と係合する。つめ車431の歯431aが枢動可能要素432と係合すると、ねじりばね機構434の筐体435は、歯431aとの係合から一時的に解放されるように、枢動可能要素432を下方に押し込んでもよい。例えば、枢動可能要素432は、ねじりばね機構434の筐体435と一時的に係合して枢動可能要素432を下方に押し込む突起432aを有してもよい。
【0092】
枢動可能要素432がつめ車431から一時的に外されている間、ねじりばね機構434は、つめ車431および駆動モジュール120を回転させる。次に、ばね機構は、枢動可能要素432を上方に押し戻して、つめ車431の隣接する歯、例えば、図5Bに示される歯431bに係合させてよい。これにより、つめ車431および駆動モジュール120は、長手方向ストローク運動の終わりに所定量だけ回転する。ばね機構は、例えば、枢動軸に、または枢動可能要素432の下に配設されてもよい。次に、これらのステップは、駆動モジュール120が360度回転し、病変の全周が治療されるまで繰り返すことができる。
【0093】
病変を治療するために使用できるアテローム切除デバイス10の一部として制御ハンドル300を使用する方法は、上記図2A図2Cについて説明されたものと同じである。
【0094】
図5Bは、図5AのAA線に沿った制御ハンドルの断面図を示す。
図5Bは、つめ車431の歯431a、431b、431c、およびどのようにこれらが、つめ車431が回転するのを防ぐために枢動可能要素432に係合できるかを示す。図5Bは、7つの歯を有するつめ車431を示すが、つめ車431の歯数は、より多くても少なくてもよい。例えば、つめ車431は、2個~20個の範囲の歯、好ましくは4個~10個の範囲の歯を有してもよい。歯の数と歯の間の間隔とによって、各長手方向ストローク運動の後に駆動モジュールが回転する所定量が決まる。歯の数が多いほど、長手方向ストローク運動の後の回転の所定量は少なくなる。
【0095】
様々な変形例が当業者には明らかであろう。
曲げ部14は、予め曲げられた部分であってもよく、またはデバイスが患者の体内に入った後にのみ曲がる部分であってもよい。
【0096】
駆動モジュール120は、回転可能な駆動軸11に回転を与えることができる任意のデバイスであればよく、電動モータのみに限定されない。
【0097】
制御ハンドル100は、手動の押し要素140を備えなくてもよい。
制御ハンドル200では、マイクロスイッチ232は、長手方向ストローク運動の後に始動されることを可能にする任意の適切な位置に置かれてよい。例えば、マイクロスイッチ232は、ステッピングモータ231の背面に配置することができる。
【0098】
同様に、筐体110における突起233は、任意の適切な場所、例えば、筐体110の遠位端に配置することができる。あるいは、筐体は突起233を有していなくてもよい。
【0099】
制御ハンドル200は、手動の押し要素140を有していなくてもよい。
制御ハンドル300では、カムトラック331は、駆動モジュール120の外側に配置されなくてもよい。例えば、カムトラックは筐体110の内側に配置し、従動子332は駆動モジュール120上に配置することができる。
【0100】
従動子332は、筐体110の内側へ固定されなくてもよく、例えば、駆動モジュールへ固定することができる。
【0101】
カムトラック331は、駆動モジュール120に成形されなくてもよく、任意の他の適切な様式で取り付けられてもよい。
【0102】
V字形状部334は、長手方向直線部333の近位端に配設されてもよい。
カムトラック331は、V字形状部の先端に任意の一方向ゲート335を備えなくてもよい。
【0103】
カムトラック331は、V字形状部334が長手方向直線部333へ接続する点に任意の一方向ゲート336を備えなくてもよい。
【0104】
カムトラック331は、駆動モジュール120の全周のまわりに延びなくてもよい。
制御ハンドル400では、枢動可能要素432は、長手方向つめレール433の遠位端に接続されてもよい。
【0105】
ねじりばね機構434は、つめ車431および駆動モジュール120に回転運動を与えることができる任意の他のタイプの機構であってもよい。
【0106】
つめ車431は、長手方向つめレール433および枢動可能要素432が駆動モジュール120へ接続された状態で筐体110へ固定されてもよい。
【0107】
枢動可能要素432は、突起432aを備えなくてもよい。
上記の全ては、本開示の範囲内に完全にあり、上記に開示された特定の組み合わせに限定されることなく、上述の特徴の1つまたは複数の組み合わせが適用される代替実施形態の基礎を形成すると考えられる。
【0108】
これに照らして、本開示の教示を実施する多くの代替案が存在する。当業者は、本開示の範囲内で自身の状況および要件に合うように上記の開示を変形および適応させることができるが、この技術分野における当業者の一般的な知識に照らして、開示された、または上記から導き出すことができるもののいずれかにおける一部または全ての技術的効果を保持できると予想される。そのような等価物、変形または適応は全て、本開示の範囲内に含まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アテローム切除デバイスの制御ハンドルであって、
筐体と、
前記アテローム切除デバイスの研磨ヘッドを回転させるための駆動モジュールであって、前記筐体に対して長手方向ストローク運動で移動可能である前記駆動モジュールと、
前記駆動モジュールへ接続された回転割り出し機構と、を備え、
前記回転割り出し機構は、長手方向ストロークの後に前記駆動モジュールを所定量だけ回転させるように構成される、制御ハンドル。
【請求項2】
前記回転割り出し機構は、前記駆動モジュールを回転させるためのステッピングモータと、前記ステッピングモータを起動するためのマイクロスイッチとを備える、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項3】
前記マイクロスイッチは、長手方向ストロークの後に前記筐体の一部によって始動させられるように配置される、請求項2に記載の制御ハンドル。
【請求項4】
前記筐体は、長手方向ストロークの後に前記マイクロスイッチに接触して前記マイクロスイッチを始動させるための内部突起を備える、請求項2または3に記載の制御ハンドル。
【請求項5】
前記内部突起は、近位ストロークの終わりに前記マイクロスイッチを始動させるように配置される、請求項4に記載の制御ハンドル。
【請求項6】
前記回転割り出し機構は、カムトラックおよび従動子を備える、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項7】
前記カムトラックは、前記駆動モジュール上に配設される、請求項6に記載の制御ハンドル。
【請求項8】
前記従動子は前記筐体の内側に固定される、請求項6または7に記載の制御ハンドル。
【請求項9】
前記従動子は、前記カムトラックと係合する突起を備える、請求項6から8のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項10】
前記カムトラックは、複数の長手方向直線部および複数のV字形状部を備える、請求項6から9のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項11】
各長手方向直線部は、隣接する長手方向直線部にV字形状部を介して接続される、請求項10に記載の制御ハンドル。
【請求項12】
前記複数のV字形状部の各々は、前記複数の長手方向直線部のうちの1つの遠位端に配設される、請求項10または11に記載の制御ハンドル。
【請求項13】
前記カムトラックは、前記V字形状部のうちの1つが前記長手方向直線部のうちの1つに接続される点のうちの1つまたは複数に一方向ゲートを備える、請求項10から12のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項14】
前記カムトラックは、前記V字形状部のうちの1つが前記長手方向直線部のうちの1つに接続される各点に一方向ゲートを備える、請求項13に記載の制御ハンドル。
【請求項15】
前記カムトラックは、前記複数のV字形状部のうちの少なくとも1つの先端に一方向ゲートを備える、請求項10から14のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項16】
前記カムトラックは、前記複数のV字形状部の各々の先端に一方向ゲートを備える、請求項15に記載の制御ハンドル。
【請求項17】
前記回転割り出し機構は、つめ車と、つめとを備える、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項18】
前記つめ車は前記駆動モジュールに固定され、前記つめは前記筐体に配設される、請求項17に記載の制御ハンドル。
【請求項19】
前記つめ車は、前記つめと係合するための複数の歯を備える、請求項17または18に記載の制御ハンドル。
【請求項20】
前記つめは、長手方向ストロークの終わりに前記つめ車から解放されて、前記駆動モジュールを前記所定量だけ回転させることを可能にするように構成される、請求項17から19のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項21】
前記回転割り出し機構は、前記駆動モジュールを回転させるためのねじりばね機構をさらに備える、請求項17から20のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項22】
前記つめは、長手方向つめレールと、枢動可能要素とを備える、請求項17から21のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項23】
前記枢動可能要素は、前記長手方向つめレールの近位端に配設される、請求項22に記載の制御ハンドル。
【請求項24】
前記枢動可能要素は、長手方向ストロークの終わりに枢動して前記つめ車を解放し、前記駆動モジュールを前記所定量だけ回転させることを可能にするように構成される、請求項22または23に記載の制御ハンドル。
【請求項25】
少なくとも部分的に前記筐体の外側に延び、長手方向ストローク運動で前記駆動モジュールを移動させるように構成された押し要素をさらに備える、請求項1から24のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項26】
回転の前記所定量は、5度~90度の範囲、好ましくは10度~60度の範囲にある、請求項1から25のいずれか1項に記載の制御ハンドル。
【請求項27】
組織を切断または研磨するアテローム切除デバイスであって、
請求項1から26のいずれか1項に記載の制御ハンドルと、
前記駆動モジュールに接続された回転可能な駆動軸と、
前記駆動軸の遠位端に配設された研磨ヘッドと、を備え、前記研磨ヘッドは、前記駆動軸の長手軸線に対して傾けられる、または傾き可能である、アテローム切除デバイス。
【請求項28】
前記駆動軸の上に配設された外側カテーテルシースをさらに備える、請求項27に記載のアテローム切除デバイス。
【請求項29】
前記外側カテーテルシースは、前記駆動モジュールの回転が前記外側カテーテルシースの回転をもたらすように前記駆動モジュールに固定される、請求項28に記載のアテローム切除デバイス。
【請求項30】
前記外側カテーテルシースの遠位端は、前記研磨ヘッドが前記長手軸線に対して傾くことを可能にするために曲がるように構成される、請求項28または29に記載のアテローム切除デバイス。
【請求項31】
前記外側カテーテルシースの遠位端は、前記研磨ヘッドを前記長手軸線に対して傾ける、予め曲げられた部分を備える、請求項28または29に記載のアテローム切除デバイス。
【請求項32】
前記研磨ヘッドを傾けるために前記外側カテーテルシースの遠位端に取り付けられた引張ワイヤをさらに備える、請求項28から31のいずれか1項に記載のアテローム切除デバイス。
【国際調査報告】