(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/16 20060101AFI20240412BHJP
A61M 39/04 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
A61M39/16
A61M39/04 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558625
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 CN2022088878
(87)【国際公開番号】W WO2022228359
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】202110451189.6
(32)【優先日】2021-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】胡 鴻園
(72)【発明者】
【氏名】▲ヤン▼ 彬▲フア▼
(72)【発明者】
【氏名】張 娟
(72)【発明者】
【氏名】陣 殿紅
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066CC02
4C066JJ04
4C066JJ05
4C066QQ15
(57)【要約】
本発明は、コネクタ(100)を提供し、このコネクタ(100)は、第1のポート(11)、第2のポート(12)、及び第1のポート(11)と第2のポート(12)とを連通する第1のチャンバー(13)を有するハウジング(10)と、ハウジング(10)に接続されており、第1のチャンバー(13)と連通する第2のチャンバー(22)を有する蓋体(20)と、第1のチャンバー(13)に設けられ第2のチャンバー(22)に向かって突出して延びる膨出部(30)とを含む。第1のチャンバー(13)には、第2のチャンバー(22)に向かって斜めに湾曲して延びるサイド溝(131)が設けられている。コネクタ(100)の溝構造は、第1のポート(11)から第1のチャンバー(13)に流入した流体の一部を第2のチャンバー(22)へ導くことが可能であり、螺旋状の上向きの渦流を形成することで、洗浄領域を拡大し、洗浄効率を向上させ、汚染のリスクを低減させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流入する第1のポート、流体が流出する第2のポート、及び前記第1のポートと前記第2のポートとを連通する第1のチャンバーを有するハウジングと、
前記ハウジングに接続されており、流体が流入する第3のポート、及び前記第1のチャンバーと連通する第2のチャンバーを有する蓋体と、
前記第1のチャンバー内に設けられ前記第2のチャンバーに向かって突出して延びており、前記第1のポートから前記第1のチャンバーに流入した流体の一部を前記第2のチャンバーへ導くことが可能であり前記第1のポートに近い第1の側と、前記第2のポートに近い第2の側とを有する膨出部と、
を含むコネクタにおいて、
前記第1のチャンバーの内壁には、前記第2のチャンバーに向かって斜めに湾曲して延びるサイド溝が設けられ、前記サイド溝は、前記第1のポートと前記膨出部の第1の側との間に位置し、前記第1のポートから前記第1のチャンバーに流入した流体の一部を前記第2のチャンバーへ導くことが可能であることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記膨出部の第1の側には、前記第1のチャンバーの軸方向中央部に向かって延びるにつれて深さが徐々に減少する中間溝が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1のチャンバーの内壁は、底壁と円周側壁を含み、前記サイド溝は、前記第1のチャンバーの底壁から前記円周側壁に沿って斜めに湾曲して前記円周側壁の上縁まで延びることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第1のチャンバー内には、前記第1のポートと前記中間溝とを連通するとともに前記第1のポートと前記サイド溝とを連通する流入空間が設けられ、前記流入空間の流路断面積は、前記第1のポートの流路断面積よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記膨出部の頂部は、前記第1のポートの最高位置よりも高いことを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記サイド溝は、前記円周側壁の円周方向に沿って前記円周側壁の円周の15%~35%を占めることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記サイド溝の幅と前記第1のポートの半径との間の比は、2:5~3:5であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記サイド溝の深さは、前記第2のチャンバーに向かって斜めに湾曲して延びるにつれて徐々に小さくなり、流体は、前記サイド溝を介して流出した後に、上向き洗浄するための螺旋状の渦流を形成し、前記中間溝から流出した流体を一緒に上向きに螺旋状に上昇させることを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記サイド溝の最大深さと前記第1のポートの半径との間の比は、3:1~4:1であることを特徴とする請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記中間溝は、前記第1のポートに隣接する入口と、前記膨出部の頂部に隣接する出口とを有し、前記入口と前記第1のポートの最低位置との間の距離は、前記第1のポートの半径以下であることを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記第1のポートの中心線が位置する水平面における前記中間溝の中心線の投影は、前記第1のポートの中心線に対して前記サイド溝の側へずれることを特徴とする請求項10に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記第1のポートの中心線が位置する水平面における前記中間溝の中心線の投影と、前記第1のポートの中心線との間のずれ距離は、前記中間溝の幅の2倍以下であることを特徴とする請求項11に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記中間溝の幅と前記第1のポートの半径との間の比は、1:5~1:1であることを特徴とする請求項10に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記中間溝の出口と前記第1のポートとの間の水平距離と前記第1のポートの半径との間の比は、2:1~4:1であることを特徴とする請求項10に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年04月25日にて、中国特許庁に提出され、出願番号が202110451189.6であり、発明の名称が「コネクタ」である中国特許出願の優先権を主張して、その全ての内容は参照されることで、本出願に結合される。
【0002】
本発明は、コネクタに関し、例えば液体輸送管路において複数のカテーテルを互いに接続することに適したコネクタに関する。
【背景技術】
【0003】
患者に輸液、輸血又は採血操作を行う場合に、治療効果を達成するために、複数のカテーテルを接続して薬液(又は血液)から患者への輸液ラインを構成する必要があり、さらに、複数の輸液ラインの間をコネクタで接続する。
【0004】
例えば、血圧のモニタリングの過程で患者の血液サンプルを採集するために、通常、モニタリング管路にコネクタを追加し、シリンジとコネクタを接続してから採血作業を実施し、採血完成後に血圧モニタリングを継続し血液が管路での凝固を防ぐために、管路(コネクタを含む)に洗浄を実施して血液を除去する必要がある。典型的な手段としては、上流側の洗浄袋における洗浄液を、一定の圧力と洗浄量で下流管路に対して洗浄して人の体内に入れることである。しかしながら、洗浄の時に洗浄液の量が少ないため、従来のコネクタの構成により洗浄液がコネクタのキャビティに入った後、洗浄液の大部分がコネクタのキャビティにおける対角方向での頂部へ洗い流すが、コネクタのキャビティにおいて洗浄液が入る側の頂部が洗浄液で洗浄されにくく、血液又は薬液が残った死角を形成する結果、安全上の問題が発生してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術における上記の問題を解決するために、本発明の実施例は、洗浄液をコネクタ内に効果的に導き、それがコネクタ内に入る流体速度を高め、洗浄液による洗浄効果を向上させることができるコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例によれば、コネクタを提供する。コネクタは、流体が流入する第1のポート、流体が流出する第2のポート、及び第1のポートと2のポートとを連通する第1のチャンバーとを有するハウジングと、ハウジングに接続されており、流体が流入する第3のポート及び第1のチャンバーと連通する第2のチャンバーを有する蓋体と、第1のチャンバー内に設けられ第2のチャンバーに向かって突出して延びており、第1のポートから第1のチャンバーに流入した流体の一部を第2のチャンバーへ導くことが可能であり第1のポートに近い第1の側と、第2のポートに近い第2の側とを有する膨出部と、を含み、第1のチャンバーの内壁には、第2のチャンバーに向かって斜めに湾曲して延びるサイド溝が設けられ、サイド溝は、第1のポートと膨出部の第1の側との間に位置し、第1のポートから第1のチャンバーに流入した流体の一部を第2のチャンバーへ導くことが可能である。
【0007】
好ましくは、膨出部の第1の側には、第1のチャンバーの軸方向中央部に向かって延びるにつれて深さが徐々に減少する中間溝が設けられる。
【0008】
好ましくは、第1のチャンバーの内壁は、底壁と円周側壁を含み、サイド溝は、第1のチャンバーの底壁から円周側壁に沿って斜めに湾曲して円周側壁の上縁まで延びる。
【0009】
好ましくは、第1のチャンバー内には、第1のポートと中間溝とを連通するとともに第1のポートとサイド溝とを連通する流入空間が設けられ、流入空間の流路断面積は、第1のポートの流路断面積よりも小さい。
【0010】
好ましくは、膨出部の頂部は、第1のポートの最高位置よりも高い。
【0011】
好ましくは、サイド溝は、円周側壁の円周方向に沿って円周側壁の円周の15%~35%を占める。
【0012】
好ましくは、サイド溝の幅と第1のポートの半径との間の比は、2:5~3:5である。
【0013】
好ましくは、サイド溝の深さは、第2のチャンバーに向かって斜めに湾曲して延びるにつれて徐々に小さくなり、流体は、サイド溝を介して流出した後に、上向き洗浄するための螺旋状の渦流を形成し、中間溝から流出した流体を一緒に上向きに螺旋状に上昇させる。
【0014】
好ましくは、サイド溝の最大深さと第1のポートの半径との間の比は、3:1~4:1である。
【0015】
好ましくは、中間溝は、第1のポートに隣接する入口と、膨出部の頂部に隣接する出口とを有し、入口と第1のポートの最低位置との間の距離は、第1のポートの半径以下である。
【0016】
好ましくは、第1のポートの中心線が位置する水平面における中間溝の中心線の投影は、第1のポートの中心線に対してサイド溝の側へずれる。
【0017】
好ましくは、第1のポートの中心線が位置する水平面における中間溝の中心線の投影と第1のポートの中心線との間のずれ距離は、中間溝の幅の2倍以下である。
【0018】
好ましくは、中間溝の幅と第1のポートの半径との間の比は、1:5~1:1である。
【0019】
好ましくは、中間溝の出口と第1のポートとの間の水平距離と第1のポートの半径との間の比は、2:1~4:1である。
【0020】
従来技術と比較して、本発明の実施例の技術案は、少なくとも以下のような有益な効果を持ち、
本発明の実施例によれば、第1のチャンバーの内壁には、第2のチャンバーに向かって斜めに湾曲して延びるサイド溝が設けられ、サイド溝は、第1のポートと膨出部の第1の側との間に位置し、第1のポートから第1のチャンバーに流入した流体の一部を第2のチャンバーへ導くことが可能である。例えば洗浄液のような流体を使用してコネクタを洗浄すると、洗浄液は第1のポートを通過して第1のチャンバーに入った後、洗浄液の一部が膨出部の第1の側を介して傾斜して上向きに流れ、洗浄液の一部がサイド溝を介して傾斜して上向きに流れ、サイド溝は、洗浄液を上向きに回転させるように導くことで、第1のチャンバーに、回転する渦流を形成し、洗浄液が第1のチャンバーに入った後の流体速度が高められ、洗浄液による洗浄効果が向上し、残った薬液や血液が内部に滞留して細菌感染等を引き起こすことを防止する。
【0021】
さらに、膨出部の第1の側には、第1のチャンバーの軸方向中央部に向かって延びる中間溝が設けられ、第1のチャンバーの内壁は、底壁と円周側壁を含み、サイド溝は、第1のチャンバーの底壁から円周側壁に沿って斜めに湾曲して円周側壁の上縁まで延びることで、洗浄液の流れ速度を高めるのに有利であり、さらに、洗浄液による洗浄効果を向上させる。
【0022】
さらに、第1のチャンバー内には、第1のポートと中間溝とを連通するとともに第1のポートとサイド溝とを連通する流入空間が設けられ、流入空間の流路断面積は、第1のポートの流路断面積よりも小さい。流入空間は、洗浄液を集める効果を奏することができ、洗浄液の流れ速度を高め 、さらに洗浄液による洗浄効果を向上させる。
【0023】
本発明の実施例によれば、コネクタは、サイド溝と中間溝により洗浄液の流れ速度を向上させ、洗浄面積を拡大し、特に片隅での洗浄効果を向上させるような特有の溝構造を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の他の特徴及び利点は、以下で図面を結合して詳細に説明される選択可能である実施形態によってよりよく理解され、図面における同一の符号を付したものは、同一または類似するものであり、そのうち、
【0025】
【
図1】本発明の一実施例によるコネクタを示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例によるコネクタを示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施例によるコネクタのハウジングを示す部分斜視図である。
【
図4】本発明の一実施例によるコネクタのハウジングを示す部分断面図である。
【
図5】本発明の他の実施例によるコネクタのハウジングを示す部分斜視図である。
【
図6】本発明の他の実施例によるコネクタのハウジングを示す部分断面図である。
【
図7】本発明の更なる他の実施例によるコネクタのハウジングを示す部分斜視図である。
【
図8】本発明の更なる他の実施例によるコネクタのハウジングを示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、実施例の実施及び使用について詳細に説明する。説明される具体的な実施例は、本発明を実施及び使用するための特定の形態を単に例示的に説明するものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。説明する場合に各部材の構成の位置について、例えば、上、下、頂部、底部等の方向の表記は、絶対的なものではなく、相対的なものである。各部材が図示のように配置されている場合に、これらの方向の表記は、適切であるが、図中の各部材の位置が変化するとこれらの方向表記もそれに応じて変化する。
【0027】
従来のコネクタ内のキャビティ体積は、前段の管路よりも大きいため、洗浄液がコネクタのキャビティ内部に入った後に流速が急速に低下し、何らかの片隅部位に残った血液を洗浄することが困難になった。そのために、本発明の実施例は、洗浄液をコネクタ内に効果的に導き、それがコネクタ内に入る流体速度を高め、洗浄液による洗浄効果を向上させることができるコネクタを提供する。本発明によれば、洗浄液は、薬剤、洗浄用試薬及び水を含むが、これらに限定されない。
【0028】
本発明の実施例によれば、コネクタは、流体が流入する第1のポート、流体が流出する第2のポート、及び第1のポートと2のポートとを連通する第1のチャンバーとを有するハウジングと、ハウジングに接続されており、流体が流入する第3のポート、及び第1のチャンバーと連通する第2のチャンバーを有する蓋体と、第1のチャンバー内に設けられ第2のチャンバーに向かって突出して延びており、第1のポートから第1のチャンバーに流入した流体の一部を第2のチャンバーへ導くことが可能であり第1のポートに近い第1の側と、第2のポートに近い第2の側とを有する膨出部と、を含み、第1のチャンバーの内壁には、第2のチャンバーに向かって斜めに湾曲して延びるサイド溝が設けられ、サイド溝は、第1のポートと膨出部の第1の側との間に位置し、第1のポートから第1のチャンバーに流入した流体の一部を第2のチャンバーへ導くことが可能である。
【0029】
図1~
図2に示すように、本発明の一実施例によるコネクタ100の概略図を示した。コネクタ100は、本分野の既知の手段で接続されるハウジング10と蓋体20を含む。ハウジング10と蓋体20は、樹脂材料を採用して形成されてもよく、樹脂材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル等を含むが、これらに限定されない。
【0030】
ハウジング10は、流体が流入する孔又は第1のポート11、流体が流出する孔又は第2のポート12、及び第1のポート11と第2のポート12とを連通する第1のチャンバー13を有し、第1のポート11と第2のポート12とは、同じ形状とサイズを有してもよい。蓋体20は、流体が流入する孔又は第3のポート21、及び第3のポート21内に設けられた第2のチャンバー22を有し、第2のチャンバー22は第1のチャンバー13と連通している。第1のポート11を通過する流体と第3のポート21を通過する流体とは同じであってもよく、又は異なってもよい。
【0031】
1つの具体的な用途では、コネクタ100は、患者へ輸液のための輸液管路で使用され、複数のカテーテルを互いに接続する。ここで、第1のポート11は、主ラインを構成する第1のカテーテルに接続され、第2のポート12は、同一主ラインを構成する第2のカテーテルに接続され、第3のポート21は、他のラインを構成する第3のカテーテルに接続される。例えば、第1のポート11と第2のポート12は、ハウジング10の両側から反対方向へ延び、互いに軸心が一致しかつ直線状に一列に並ぶように形成される。
【0032】
図3から
図4を結合し、コネクタ100は、さらに、第1のチャンバー13内の軸方向中央部に設けられ、第2のチャンバー22に向かって延びる膨出部30を含み、膨出部30は、第1のポート11に近い第1の側31と第2のポート12に近い第2の側32とを有する。第1の側31は、第1のポート11から第1のチャンバー13に流入した流体を第2のチャンバー22へ導くことができる。
【0033】
膨出部30の第1の側31は、第1のチャンバー13の軸方向中央部に向かって延びるにつれて深さが徐々に減少する中間溝311を有し、第1のチャンバー13の内壁には、第2のチャンバー22に向かって斜めに湾曲して延びるサイド溝131が設けられ、サイド溝131は、第1のポート11と膨出部30の第1の側31との間に位置し、第1のポート11と第2のチャンバー22とを連通し、サイド溝131は、第1のポート11から第1のチャンバー13に流入した流体の一部を第2のチャンバー22へ導くことができる。
【0034】
蓋体の第2のチャンバーの頂部には、血液又は薬液が溜まりやすいが、従来のコネクタの構成により、洗浄液が第1のチャンバーに入った後、洗浄液の大部分が第2のチャンバーにおける対角方向の頂部へ洗い流すが、第2のチャンバーにおいて洗浄液が入る側の頂部が洗浄液により洗浄されにくく、血液又は薬液が残った死角を形成するようになる。本発明の実施例によるコネクタは、溝構造が設けられ、さらに特に第1のチャンバーの底部から上向きに斜めに湾曲して延びるサイド溝は、洗浄液を螺旋状に上向きに導き、コネクタのチャンバー内に回転する渦流を形成することに成功し、これにより、第2のチャンバーの頂部全体を洗浄することができ、残った薬液や血液が第2のチャンバー内に滞留して細菌感染等を引き起こすことを防止する。
【0035】
第1のチャンバー13の内壁は、底壁132と円周側壁133を有し、サイド溝131は、第1のチャンバー13の底壁132から円周側壁133に沿って上向きに斜めに湾曲して円周側壁133の上縁まで延び、第1のポート11と第2のポート12は、円周側壁133に形成される。
図2に示す実施例では、第1のポート11の末端には第1のテーパ孔111が設けられ、第2のポート12の末端には第2のテーパ孔121が設けられ、第1のテーパ孔111の半径は、第1のポート11から離れる方向に沿って外方に向かって徐々に大きくなり、第2のテーパ孔121の半径は、第2のポート12から離れる方向に沿って外方に向かって徐々に大きくなり、これにより、第1のポート11及び第2のポート12と他のカテーテルとの接続が容易になる。
【0036】
いくつかの実施例では、第1のチャンバー13内には、第1のポート11と中間溝31とを連通するとともに第1のポート11とサイド溝311とを連通する流入空間134が設けられ、流入空間134の流路断面積は、第1のポート11の流路断面積よりも小さい。流入空間134は、洗浄液を集める効果を奏することができ、洗浄液の流れ速度を高め、さらに洗浄液による洗浄効果を向上させる。
【0037】
いくつかの実施例では、膨出部30の頂部は、第1のポート11の最高位置よりも高く、即ち、膨出部30は、底壁132から第1のポート11と第2のポート12の流路の貫通位置を越えて上方へ突出することで、第1のポート11を介してコネクタ100の第1のチャンバー13内に入った洗浄液が、膨出部30に十分に衝突することができ、洗浄液の流れ速度が高められ、洗浄効果の向上に有利である。
【0038】
いくつかの実施例では、サイド溝131は、円周側壁133の円周方向に沿って円周側壁133の円周の15%~35%を占める。言い換えれば、コネクタ100の上方から見ると、サイド溝131は、円周側壁133の円周の0.15~0.35周にわたって円周側壁133に沿って延びる。いくつかの実施例では、サイド溝131の幅と第1のポート11の半径との間の比は、2:5~3:5である。いくつかの実施例では、サイド溝131の深さは、第1のチャンバー13の底部から上向きに斜めに湾曲して延びるにつれて徐々に小さくなる。いくつかの実施例では、サイド溝131の最大深さと第1のポート11の半径との間の比は、3:1~4:1である。
【0039】
いくつかの実施例では、中間溝311は、第1のポート11に隣接する入口3111と、膨出部30の頂部に隣接する出口3112とを有し、入口3111と第1のポート11の最低位置との間の距離は、第1のポートの半径R以下である。いくつかの実施例では、中間溝311の入口3111の位置と第1のポート11の最低位置とは面一である。他の実施例では、中間溝311の入口3111の位置と第1のポート11の中心位置とは面一である。
【0040】
他の実施例では、第1のポート11の入口3111と第1のポート11の最低位置との間の距離は0~1.8Rであってもよい。
【0041】
第1のポート11の中心線が位置する水平面内において、中間溝311の中心線の投影は第1のポート11の中心線に対してずれ、具体的には、中間溝311は、第1のポート11の中心線に対してサイド溝113の側へずれ、ずれ距離は、中間溝311の幅の2倍以下であり、零であってもよく、即ち、中間溝311の中心線の投影は、第1のポート11の中心線に合わせてもよい。
【0042】
いくつかの実施例では、中間溝311が第1のポート11の中心線に対してサイド溝113の側へのずれ距離は、中間溝311の幅の半分に等しい。中間溝311をサイド溝113の側へずれるように設けることにより、中間溝311とサイド溝113とは共同して流体に対して作用して、サイド溝113を介した流体が中間溝311の流体を動かせて一緒に正の渦流を形成し、全ての流体を第2のチャンバーの頂部に進入させることで、コーナーを含める第2のチャンバーの頂部全体を洗浄することができる、残った薬液や血液が第2のチャンバー内に滞留して細菌感染等を引き起こすことを防止する。
【0043】
いくつかの実施例では、中間溝311の幅と第1のポート11の半径の間の比は、1:5~1:1である。いくつかの実施例では、中間溝311の出口3112と第1のポート11との間の水平距離は、第1のポート11の半径の2~4倍である。
【0044】
いくつかの実施例では、蓋体20の第3のポート21内には、スリット231を有する弾性弁体23が設けられ、スリット231の開閉により第3のポート21を接続又は遮断する。例えば、カテーテルが第3のポート21から挿入されると、弾性弁体23は、スリット231を開けるように弾性変形可能であり、これにより、カテーテルは、コネクタ100と連通可能となる。蓋体20はさらに他の部材を含んでもよく、蓋体20の構成は、当業者にとって既知のものであるため、ここで説明しない。
【0045】
弾性弁体23は、弾性材料で形成することができ、弾性材料として、ポリブタジエン系、ニトリル系、クロロブチル系等の合成ゴム、ポリイソプレン等の天然ゴム、又はウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の熱硬化性性エラストマー、熱可塑性エラストマー、又はその他のエラストマー等を含むが、これらに限定されない。
【0046】
図3と
図4に示す実施例では、第1のポート11と第2のポート12の半径はRであり、中間溝311の入口3111の位置と第1のポート11の中心位置とは面一であり、中間溝311の幅Wは0.42Rであり、中間溝311の出口3112と第1のポート11との間の水平距離は2.6Rであり、第1のポート11の中心線が位置する水平面における中間溝311の中心線の投影は、第1のポート11の中心線に対してずれ、サイド溝131の側へ0.5Wずれている。サイド溝131は、円周側壁133の円周方向に沿って円周側壁133の円周の22%を占め、サイド溝131の幅は0.52Rであり、サイド溝131の最大深さは4Rである。
【0047】
図5と
図6に示す実施例では、第1のポート11と第2のポート12の半径はRであり、中間溝311の入口3111の位置と第1のポート11の最低位置とは面一であり、中間溝311の幅Wは0.36Rであり、中間溝311の出口3112と第1のポート11との間の水平距離は2.8Rであり、第1のポート11の中心線が位置する水平面における中間溝311の中心線の投影は、第1のポート11の中心線に対してずれ、サイド溝131の側へ1.3Wずれている。サイド溝131は、円周側壁133の円周方向に沿って円周側壁133の円周の24%を占め、サイド溝131の幅は0.52Rであり、サイド溝131の最大深さは4Rである。
【0048】
図7と
図8に示す実施例では、第1のポート11と第2のポート12の半径はRであり、中間溝311の入口3111の位置と第1のポート11の最低位置とは面一であり、中間溝311の幅Wは0.42Rであり、中間溝311の出口3112と第1のポート11との間の水平距離は3Rであり、第1のポート11の中心線が位置する水平面における中間溝311の中心線の投影は、第1のポート11の中心線に合わせている。サイド溝131は、円周側壁133の円周方向に沿って円周側壁133の円周の24%を占め、サイド溝131の幅は0.52Rであり、サイド溝131の最大深さは4Rである。
【0049】
図3と
図4、
図5と
図6、並びに
図7と
図8に示す実施例では、例えば、洗浄液のような流体は、第1のポートから第1のチャンバーに流入した後、洗浄液の一部が中間溝を介して流出し、洗浄液の一部がサイド溝を介して流出する。中間溝とサイド溝とはいずれも深いものから浅いものへのスロープ設計を有するため、流体の速度と方向の変化を実現した。流体は、サイド溝を介して流出した後に、上向き洗浄するための螺旋状の渦流を形成し、流体が一定の粘性を持っているので、中間溝から流出した流体を一緒に上向きに螺旋状に上昇させ、2本の流体の共同作用により、コネクタの内部に最大限の衝突を与えることを可能にし、特に、第2のチャンバーの頂部まで全体を洗浄することを可能にすることで、最適な洗浄効果を達成し、残った薬液や血液が内部に滞留して細菌感染等を引き起こすことを防止する。
【0050】
以上に、本発明の技術的内容及び技術的特徴を開示し、しかしながら、当業者は、本発明の創作思想で、上記に開示された考え方について様々な変化及び改善することが可能であるが、いずれも本発明の保護範囲に該当することが理解される。上記の実施形態は、例示性的なものであって制限的なものではなく、本発明の保護範囲は、請求項によって決定される。
【国際調査報告】