(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】エアロゾル発生デバイス及びセット
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240412BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240412BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/465
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559763
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2022062427
(87)【国際公開番号】W WO2022238295
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】マッケボイ,ヤッコ
(72)【発明者】
【氏名】ルンゲンシュミート,クリストフ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC41
(57)【要約】
本発明は、貯蔵コンパートメントを含む交換可能物品(16)と共に動作するように構成されるエアロゾル発生デバイスであって、- 容器軸(A)に沿って延び、容器内側面を画定し、交換可能物品(16)を受け入れるように構成される、容器(10)と、- 交換可能物品(16)が容器(10)内に受け入れられると、交換可能物品(16)を加熱するように構成される、加熱システムと、を備え、エアロゾル発生デバイスが、容器内側面が、容器内側面から突出し、交換可能物品(16)が容器(10)内に受け入れられると、貯蔵コンパートメントの空気流路の一部を圧縮してその断面積を減少させるように構成される、少なくとも1つの突起(14)を含むことを特徴とし、突起(14)又は各突起(14)が、容器内側面に隣接し、且つ空気流方向に突起(14)全体に沿って100°より大きな角度を容器内側面と形成する突起面を画定する、エアロゾル発生デバイスを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化可能材料を含む貯蔵コンパートメントを含んだ交換可能物品(16)と共に動作するように構成されるエアロゾル発生デバイスであって、
前記貯蔵コンパートメントが、前記気化可能材料を通って給気口(12)と排気口との間に延びる空気流路を画定し、
前記エアロゾル発生デバイスが、
容器軸(A)に沿って延び、容器内側面を画定し、前記空気流路が前記容器軸(A)に沿って延びるように前記容器内側面によって境界が定められた空間内に前記交換可能物品(16)を受け入れるように構成される、容器(10)と、
前記交換可能物品(16)が前記容器(10)内に受け入れられると、前記交換可能物品(16)を加熱するように構成される、加熱システムと
を備え、
前記エアロゾル発生デバイスが、前記容器内側面が、前記容器内側面から突出し、前記交換可能物品(16)が前記容器(10)内に受け入れられると、前記貯蔵コンパートメントの前記空気流路の一部を圧縮するように、前記容器の断面積を減少させるように構成される、少なくとも1つの突起(14)を含むことを特徴とし、
前記突起(14)又は各突起(14)が、前記容器内側面に隣接し、且つ空気流方向に前記突起(14)全体に沿って100°より大きな角度を前記容器内側面と形成する突起面を画定する、
エアロゾル発生デバイス。
【請求項2】
前記容器軸(A)に垂直な軸に従って測定される前記突起(14)又は各突起(14)の最大高さが、前記容器の直径の2%~15%、好ましくは前記直径の5%~10%に含まれる、
請求項1に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項3】
前記容器軸(A)に従って測定される前記突起(14)又は各突起(14)の最大長さが、前記容器軸(A)に従って測定される前記容器の長さの5%~75%、好ましくは前記長さの10%~65%に含まれる、
請求項1又は2に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項4】
前記突起(14)又は各突起(14)が、上昇部、上部、及び下降部を形成し、
前記上昇部が、前記容器内側面から前記上部まで延び、前記下降部が、前記上部から前記容器内側面まで延びる、
請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項5】
前記上昇部が、前記上部に対して前記下降部と対称である、
請求項4に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項6】
前記上昇部が、前記容器内側面から前記上部まで徐々に増加する横断寸法を画定し、
及び/又は、
前記下降部が、前記上部から前記容器内側面まで徐々に減少する横断寸法を画定する、
請求項4又は5に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項7】
前記突起(14)又は各突起(14)の形状が、
シェブロン形
矢尻形
非対称フィレット及び面取り
対称フィレット
非対称フィレット
対称面取り
非対称面取り
から構成される群の中で選択される、
請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項8】
前記容器内側面上において前記容器軸(A)に従って軸方向に、及び/又は円周方向に配置された複数の突起(14)を含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項9】
前記交換可能物品(16)が前記容器(10)内に受け入れられると、前記突起(14)又は各突起(14)が、前記貯蔵コンパートメントの前記排気口に隣接するように配置される、
請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項10】
前記突起(14)又は各突起(14)が、前記容器軸(A)に従って移動可能である、
請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項11】
前記突起(14)又は各突起(14)が、係合位置と係合解除位置との間で前記容器軸(A)に垂直な軸に従って移動可能であり、
前記交換可能物品(16)が、
前記突起(14)又は各突起(14)が前記係合解除位置にあるときに、前記容器軸(A)に従って前記容器(10)内で自在に移動可能であり、
前記突起(14)又は各突起(14)が前記係合位置にあるときに、前記容器(10)内にロックされている、
請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項12】
前記加熱システムが、磁界を生成するように構成されたコイルを含む誘導加熱システムであり、
前記交換可能物品(16)の前記貯蔵コンパートメントが、上流端と下流端との間で前記空気流路に沿って延び、且つ前記コイルによって生成された前記磁界に置かれると熱を発生させることが可能な、少なくとも1つのサセプタ(20)を含み、
前記突起(14)又は各突起(14)が、前記交換可能物品(16)が前記容器(10)内に受け入れられると、前記交換可能物品(16)の前記貯蔵コンパートメントのサセプタ(20)に少なくとも部分的に面するように配置され、
好ましくは、前記突起(14)の数が、前記サセプタ(20)の数と等しく選択される、
請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項13】
前記突起(14)又は各突起(14)が、前記交換可能物品(16)が前記容器(10)内に受け入れられると、対応する前記サセプタ(20)の前記下流端に面するように配置された上部を画定する、
請求項12に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項14】
前記加熱システムが、前記容器内側面の少なくとも一部及び前記突起(14)又は各突起(14)の接触面に沿って延びる1つ又は複数の加熱素子を含む、
請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項15】
気化可能材料を含む貯蔵コンパートメントを含んだ交換可能物品(16)であって、前記貯蔵コンパートメントが、前記気化可能材料を通って給気口(12)と排気口との間に延びる空気流路を画定する、交換可能物品(16)と、
前記交換可能物品(16)と共に動作するように構成される、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイスと
を備える、
エアロゾル発生セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生デバイス、並びにデバイス及び気化可能材料を含む交換可能物品を含むエアロゾル発生セットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子タバコなどのエアロゾル発生デバイスが、従来の喫煙具に代わるものとして普及している。そのようなデバイスでは、タバコなどの気化可能材料が加熱される。これは、例えば、気化可能材料に埋め込まれ、交換可能物品を収容するように適合された容器を取り囲む1つ又は複数のコイルによって加熱されるサセプタによって生じ得る。言い換えると、サセプタは、取り囲んでいるコイルによって作り出され、サセプタ内で誘導される渦電流によって加熱される誘導加熱デバイスにおいて使用される。
【0003】
この文脈において、第1に冷気が給気口から連続的に供給されるため、気化可能材料内の均一な熱分布が問題点である。第2に、温度は、通常サセプタのすぐ周囲で特に高く、サセプタは、通常細長く形成され、概して給気口と排気口との間で空気流方向に延びる。これは、加熱トラック、カップ、及び/又はブレードを伴うものなどの、他の加熱方法にも当てはまる。これらの場合、気化可能材料は、サセプタのような加熱素子を含まないが、給気口と排気口との間で気化可能材料にわたる上述した温度勾配は、本質的に変わらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の点を考慮すると、エアロゾル発生デバイス及びセットを提供することが、本発明の基礎となる目的であり、それによって、気化可能材料の加熱がより均一になり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これは、請求項1に記載されたエアロゾル発生システムによって達成される。
【0006】
これは、タバコなどの気化可能材料を含む貯蔵コンパートメントを含んだ、タバコスティックなどの交換可能物品と共に動作するように構成され、貯蔵コンパートメントは、気化可能材料を通って給気口と排気口との間に延びる空気流路を画定する。エアロゾル発生デバイスは、容器軸に沿って延び、容器内側面を画定し、空気流路が容器軸に沿って延びるように容器内側面によって境界が定められた空間内に交換可能物品を受け入れるように構成される、容器を含む。さらに、容器内に受け入れられた交換可能物品を加熱するように構成される、加熱システムが提供される。
【0007】
本発明によれば、容器内側面は、容器内側面から突出し、物品が容器内に受け入れられると、貯蔵コンパートメントの空気流路の一部を圧縮するように、容器の断面積を減少させるように構成される、少なくとも1つの突起を含む。
【0008】
その突起又は各突起は、空気流方向に突起全体に沿って100度より大きな角度を容器内側面と形成する、容器内側面に隣接する突起面を画定する。別の方法では、突起又は各突起は、空気流方向に突起の少なくとも上昇部/上昇部に沿って100度よりも大きな角度を容器内側面と形成する、容器内側面に隣接する突起面を画定する。これによって、望ましくない乱流及び突起の下流で再循環する渦流又は渦が回避され、これらは、蒸気が渦及び凝縮でせき止められ得るために不利である。平滑な形状は、容器と交換可能物品との間に良好な接触を維持することにも役立ち、それは、例えば、容器の壁において抵抗加熱が利用されるときに有利である。長手方向切断図に見られる、突起が内壁から出てくる点における好ましい角度範囲は、100~175度であり、130~170度が好ましい。
【0009】
突起面が空気流方向に突起全体に沿って100度より大きな角度を容器内側面と形成するという特徴は、角度の値が、空気流方向に突起全体に沿って100度より大きな値に留まることを意味し得る。例えば、この特徴は、角度が空気流方向に突起全体に沿って100度よりも大きいままである限り、突起が内壁から出てくる点における角度と比較して、突起面が空気流方向に沿ってより浅くなることを示唆し得る。
【0010】
特に、突起面が、空気流方向に突起全体に沿って100度よりも大きな角度を容器内側面と形成するという特徴は、空気流方向に沿った突起の断面の突起の外形の各点における直線(接線)と容器内側面との間の角度が、100度よりも大きいことを意味し得る。例えば、突起が上昇部、上部、及び下降部を有する場合、直線は、空気流方向に沿って見ると、この場合容器内側面と平行に近いことがあるため、突起の上部に近い点における直線と容器内側面との間の角度が、180°に近い場合があり、したがって100度よりも大きい場合がある。突起面と容器内側面との間の角度に関する特徴に関係するさらなる態様が、好ましい実施形態の詳細な説明及び図面から明らかになるであろう。
【0011】
概して、空気流方向は、エアロゾル発生デバイスの使用中に空気が流れる、給気口から排気口への方向として理解され得る。空気流方向は、容器軸に対して平行であってもよい。
【0012】
説明される角度は、突起の「平滑な」形状をさらにもたらし、それによって、例えば交換可能物品を損傷することなく挿入し、容器から除去することが可能となる。さらに、空気流路の断面積の圧縮又は減少が、交換可能物品を通って流れる空気の加速につながるため、本発明の基となる効果は、ベンチュリ管の効果に類似する。これは、例えば、特に高温領域から熱を除去し、加熱された空気の形態で熱をより低温の領域に移送する。これによって加熱がより均一になり、それは、気化可能材料の有効利用に関して有利である。突起は、追加として、交換可能物品を定位置に固定する有利な効果を有する。突起は、径方向及び/又は軸方向及び/又は円周方向に、同一の若しくは異なる寸法、及び/又は一定の若しくは変化する高さを有してもよく、突起は、軸方向及び/若しくは円周方向のオフセットで設けられてもよく、又は千鳥状の位置に設けられてもよい。さらに、長手方向の延長部を有する突起は、容器軸に平行な、又はこの軸に対して角度を有するこの延長部で方向付けられ得る。現在のところ、突起の最大数は64であると予想されている。突起の形状も、空気力学的と言える。
【0013】
さらなる請求項において、好ましい実施形態が記載されている。
【0014】
第1のシミュレーションは、突起又は各突起が、容器直径の2~15%で、この直径の5~10%が好ましい、容器軸に垂直な軸に従って測定される最大高さを有するときに、層流又は遷移流を依然として促進しつつ流れを加速する所望の効果が特に得られ得ることを示している。言い換えると、タバコスティックなどの交換可能物品に利用可能な空間は、言及された値だけ減少され、利用可能な断面積が収縮される。特に、断面積は、1~15%、好ましくは2~8%減少され得る。言及された値は、7~7.5mm、特に7.1mmの直径と、37~38mm、特に37.5mmの長さとを有する容器の典型的な寸法に特に適当であるように見える。
【0015】
現在のところ、容器軸に沿って測定される突起又は各突起の最大長さが、容器軸に従って測定される容器長さの5~75%、好ましくはこの長さの10~65%であり、15~55%がさらに好ましいときに有利であることも予想されている。最も好ましい長さは、上記の容器長さの約20%であってもよい。
【0016】
突起又は各突起の所望の「平滑な」形状は、特に、突起が上昇部、上部、及び下降部を有するときに得られ得る。
【0017】
この文脈において、突起又は各突起は、典型的には、上昇部及び下降部に関して、上部に対して対称であってもよい。上記に関わらず、非対称形状も選択されてもよい。
【0018】
さらに、容器内側面から上部まで徐々に増加する横断寸法を画定する上昇部、及び/又は上部から容器内側面まで徐々に減少する横断寸法を画定する下降部について、有利な形状が予想される。
【0019】
特に、請求項7に記載の形状は、有利な効果を示すことが予想される。
【0020】
単一の突起は既に所望の効果を有するが、複数の突起が設けられるときに増大した効果が達成され得る。複数の突起は、容器内側面上において軸方向及び/又は円周方向に配置される。
【0021】
貯蔵コンパートメントの排気口において温度が特に高いという観測によれば、突起又は各突起が排気口に隣接して配置されることが好ましい。
【0022】
突起又は各突起は、固定された様式で、特に容器壁と一体に、容器内側面上に設けられ得るが、少なくとも1つの突起が、容器軸に沿って移動可能でもあってもよい。さらに、突起は、物品が容器内に挿入された後、ユーザによって所定の位置に嵌め込まれてもよい。これは、交換可能物品、特にスティック形状の物品の底の損傷を防ぐことに役立ち、交換可能物品は、前方に底を有する容器内に挿入される。
【0023】
したがって、前述した効果を達成するために、突起又は各突起は、また、容器軸に垂直な軸に沿って移動可能であってもよい。いずれにせよ、突起が容器内側面から突出すれば十分である。典型的には、突起は、内側面の一部を構成し、内側面と平滑に接続され、即ち鋭利な縁を避け、曲率半径を示唆する。
【0024】
上記で示されるように、本発明は誘導加熱システムと関連して特に有用であり、交換可能物品の貯蔵コンパートメントは、少なくとも1つのサセプタを含む。この文脈において、現在のところ、突起の数がサセプタの数と等しいことが好ましい。
【0025】
さらに、交換可能物品が容器内に受け入れられると、突起又は各突起の上部が、対応するサセプタの下流端及び/又は最高温部に面するときに、加熱が統合され得る。
【0026】
代替として又は追加として、加熱システムは、容器内側面の少なくとも一部及び少なくとも1つの突起の接触面に沿って延びる、1つ又は複数の加熱素子を含み得る。
【0027】
最後に、本明細書に記載されるエアロゾル発生デバイスが、交換可能物品と結合されて、エアロゾル発生デバイスが交換可能物品と協調するように適合されるときに、上述した利点が特に得られ得る。
【0028】
以下では、図面に示される本発明の例示的な実施形態を参照して、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図5】突起のさらなる実施形態の側面図及び平面図である。
【
図6】交換可能物品が挿入されたさらなる実施形態の切断側面図である。
【
図7】
図6の実施形態に類似のさらなる実施形態の切断側面図である。
【
図8】エアロゾル発生デバイスのさらなる部分が示された、さらに別の実施形態の切断側面図である。
【
図9】突起面と容器内側面との間の角度の意味をサポートする、突起の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1から分かるように、エアロゾル発生デバイスの容器10は、本質的に管形状であり、タバコスティックなどの交換可能物品を収容するように適合される。矢印Aによって示されるように、空気は、本質的に容器軸に沿ってタバコスティックを通って流れ、本質的に冷たい状態で給気口12において容器10に入る。空気流路に沿って、タバコスティックは、加熱され、且つ周囲のタバコに熱を伝達するように、容器の周囲の1つ又は複数の誘導コイル(図示せず)と協調するように適合されたサセプタを含む。図示される実施形態において、2つの突起14が、軸方向に沿って同一の位置且つ円周方向に沿って径方向に反対の位置に形成されている。ベンチュリ管と同様に、タバコスティックが対応して圧縮される突起領域において空気流が加速され、それによって、加熱された空気が、サセプタを取り囲む特に高温の領域から急速に移送され得る。
【0031】
図2から特に分かるように、突起は、平滑な断面幾何形状を有し、それによって、望ましくない乱流が生成されず、タバコスティックの損傷の危険を冒すことなく突起の間を滑らせて、タバコスティックを挿入することができる。
【0032】
これは、
図3の実施形態にも当てはまり、
図3の実施形態は、突起の形状及び数の両方に関して、
図1及び
図2の実施形態とは異なる。第1に、突起は、流れ方向に見ると、より急勾配の上昇部と、あまり急勾配でない下降部とを有する非対称形状を有する。これは特に、流れ方向とは反対方向のタバコスティックの容易な挿入を可能にする。第2に、
図1及び
図2とは対称的に、複数の突起、例えば12個の突起が、容器の円周に沿って等間隔で設けられている。さらに、上昇部の横断寸法は、ドロップ形状と同様に、
図3の中央部分に見られ得る下降部においてこれらの寸法が減少する勾配よりも大きな勾配で、流れ方向に見ると増加する。
【0033】
図4に示されるように、複数の突起は、また、異なる軸方向位置に設けられてもよく、それは、千鳥状の配置と考えられてもよい。さらに、図示される実施形態において、異なる軸方向位置における突起は、追加として、円周方向にオフセットされる。複数の突起は、また、2つよりも多くの軸方向位置に設けられてもよく、円周方向の突起位置間の距離が、円周全体にわたって同一であってもよく、又は変動してもよいことは言うまでもない。さらに、図面に示される突起の任意の配置は、
図5に示される任意のさらなる形状を含む、
図1、
図2、及び
図4に示されるような対称的な突起並びに
図3に示されるような非対称の突起で選択されてもよい。この文脈において、複数の突起が存在するとき、それらは全て、同一又は異なる形状を有してもよい。
【0034】
図5から分かるように、シェブロン形(chevron)(A)、矢尻形(arrowhead)(B)、上昇部として面取りと組み合わされた非対称フィレット(C)、対称フィレット(D)、非対称フィレット(E)、対称面取り(F)、及び非対称面取り(D)などの追加の平滑な、及び/又は空気力学的形状が適当である。シェブロン形及び矢尻形は、本質的に、その一端において点を有し、平面図に見られるそれらの形状は、本質的には三角形として記載され得る。平面図において三角形に非常に良く対応する矢尻形とは対称的に、シェブロン形は、平面図で見ると、その点の反対側に切り欠きを有する。面取りは、断面図で見ると本質的には平坦な傾斜面を有し、フィレットは、平面図で見ると本質的には楕円又は長円である。流れ方向は、典型的に、
図5では右から左である。
【0035】
特に
図1~
図4に示されるように、1つ又は複数の突起が、容器壁を厚くすることによって形成され得る。代替として、容器壁は、均一な壁厚を有してもよく、1つ又は複数の突起が、その外側の凹形状に対応して容器の内側に凸形状として形成され得る。特に
図2~
図5から分かるように、各突起は、100°より大きな容器内側面との角度αを形成する、容器内側面に隣接する突起面を有し、特に、
図2、
図4、及び
図5Bを除く
図5の実施形態において、この角度が、100°より著しく大きく、空気流方向から見て突起全体に沿って大きいままである。言い換えると、各突起には、望ましくない乱流を生成する、容器内側面に向かって「急勾配で」延びるいかなる面もない。
【0036】
突起面と容器内側面との間の角度αの測定及び決定が、
図9A及び
図9Bにそれぞれ詳細に示されており、
図9A及び
図9Bは、突起14の2つの異なる構成を示している。
図9Aにおいて、突起14は、空気流方向(矢印で示される)に沿って線形上昇部(点Aを含む部分)及び線形下降部(点Bを含む部分)を有する、屋根状形状を有する。
図9Bにおいて、突起14は、空気流方向(矢印で示される)に沿って、徐々に浅くなる上昇部(点Aを含む部分)及び徐々に急になる下降部(点Bを含む部分)を有する半円形状を有する。
図9A及び
図9Bに関連して、突起面が容器内側面と、空気流方向に突起14全体に沿って100度(100°)より大きな角度αを形成するという特徴は、空気流方向に沿って突起の断面における突起14の外形の各点における直線(接線)と容器内側面との間の角度が100度より大きいということを意味する。
図9A及び
図9Bにおいて、そのような直線(接線)は、破線で点A及び点Bにおいて例示的に示されている。上昇部(点Aを含む部分)において、角度αは、空気流方向に対する突起14の上流の容器内側面に対して測定される。下降部(点Bを含む部分)において、角度αは、空気流方向に対する突起14の下流の容器内側面に対して測定される。角度αは、
図9Aの上昇部における突起14の各点において変わらないが、
図9Bに示される突起14の上昇部において空気流方向に沿って進むと、角度αは変化し、即ち、より大きくなる。
【0037】
図6は、
図5D又は
図5Fのものに類似の2つの直径方向の突起14を有する容器10を示している。
図6は、追加として、容器10に収容され、且つ突起14の領域において対応して圧縮される、タバコスティックなどの交換可能物品16を示している。この圧縮によって、第1に、突起14の領域においてタバコストランド18がより近付いて移動し、第2に、交換可能物品16に収容されたサセプタ20が曲げられる。これらのサセプタ20は、元の状態で、即ち突起14によって圧縮されなくても、既に湾曲した凸形状を有してもよい。特に、2つ以上のサセプタの凸形状が、交換可能物品16の中心に向かって互いに面していてもよい。代替として又は追加として、図面に示される凸形状は、突起14の領域における圧縮によって生じ得る。
【0038】
いずれにせよ、
図7により良く示されるように、交換可能物品16の断面積は、突起14の領域においてより小さく、それによって、流速が上昇し、熱が、図示される交換可能物品の入口及び出口の領域よりも高速で移送される。典型的には、周囲のコイル(図示せず)によって加熱可能な材料の細いストランドであるサセプタの位置は、突起14の位置に対応してもよく、
図6に示されるように、本質的にはそれと対称であってもよく、サセプタは、また、入口12の方へややシフトされてもよい。
図7に示される実施形態では、各サセプタの入口端は、各突起14の入口端よりも、容器10の入口12にやや近く、サセプタは、突起の長手方向延長部の約3分の2を覆う。上述の通り、
図6の実施形態において、サセプタ20の位置は、突起14の位置と対称であり、それらの入口端は、突起14の入口端よりも、容器の入口12からやや離れており、それらの出口端は、突起14の出口端よりも、容器の出口からやや離れている。
【0039】
さらに、
図7に示されるように、サセプタの非対称位置に起因して、サセプタは、それらの入口端よりも出口端の方に共に近くなっている。
【0040】
特に高温領域から素早く熱を除去するために交換可能物品16を圧縮することの上述した効果は、また、
図8の実施形態によって達成される。
図8の実施形態において、突起14は、容器の出口端において設けられ、加熱素子として形成されている。言い換えると、前述した実施形態とは異なり、交換可能物品16は、容器壁からではなくサセプタ20を用いるなど、内部からは加熱されない。本発明の基礎となる原理、即ち、空気流路を圧縮又は収縮するように突起を設けることには変わらない。
図8の実施形態のように外部加熱の代わりに誘導加熱が使用されるときに、サセプタが、
図8に示される突起14に対応する領域に位置し得ることにも言及されるべきである。完全を期すために、
図8は、容器10の出口端の下流に、空気経路24を有する支持部22を示し、且つ支持部22の下流にフィルタ26を示している。
【国際調査報告】