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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】複合素材セルフラップ遮蔽チューブ
(51)【国際特許分類】
   D03D 3/02 20060101AFI20240412BHJP
   D03D 15/275 20210101ALI20240412BHJP
   D03D 15/25 20210101ALI20240412BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20240412BHJP
   D03D 15/533 20210101ALI20240412BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
D03D3/02
D03D15/275
D03D15/25
D03D1/00 Z
D03D15/533
H05K9/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559855
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 KR2022005854
(87)【国際公開番号】W WO2022234992
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】10-2021-0058072
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0049869
(32)【優先日】2022-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513096691
【氏名又は名称】エルエス ケーブル アンド システム リミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】チョ、チャンウン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ウンキョ
【テーマコード(参考)】
4L048
5E321
【Fターム(参考)】
4L048AA04
4L048AA05
4L048AA15
4L048AA52
4L048AB06
4L048AC13
4L048BB04
4L048CA00
4L048CA15
4L048DA24
5E321AA21
5E321BB41
5E321BB53
5E321BB60
5E321GG05
5E321GG07
(57)【要約】
複合素材セルフラップ遮蔽チューブは、長さ方向に延びて配置される複数個の炭素繊維バンドル、前記炭素繊維バンドルと交互に配置され、金属ワイヤーで構成される複数個のワイヤーバンドル、及び前記炭素繊維バンドル及び前記ワイヤーバンドルと垂直な方向に延びて配置される複数個の緯糸を含み、前記炭素繊維バンドル、前記ワイヤーバンドル、及び前記緯糸を編み組んで構成される編組部材を円筒状に巻いて形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延びて配置される複数個の炭素繊維バンドルと、
前記炭素繊維バンドルと平行な前記第1の方向に延びて交互に配置され、金属ワイヤーで構成される複数個のワイヤーバンドルと、
前記第1の方向と垂直な第2の方向に延びて配置される複数個の緯糸と、
を含み、
前記炭素繊維バンドル、前記ワイヤーバンドル、及び前記緯糸を編み組んで構成される編組部材を円筒状に巻いて形成される複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項2】
前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、8以下の自然数)であることを特徴とする請求項1に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項3】
前記ワイヤーバンドルの総面積は、前記炭素繊維バンドルの総面積の1倍ないし8倍であることを特徴とする請求項1に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項4】
前記炭素繊維バンドルは、3k本、6k本、または12k本の炭素繊維糸で構成されることを特徴とする請求項1に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項5】
前記炭素繊維バンドルを構成する炭素繊維糸は、ポリアミドコーティングされることを特徴とする請求項4に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項6】
前記ワイヤーバンドルを構成する金属ワイヤーは、CCA(Copper Clad Aluminum)材質であることを特徴とする請求項1に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項7】
前記ワイヤーバンドルを構成する金属ワイヤーは、アルミニウム(Al)にケイ素(Si)、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、クロム(Cr)、及び亜鉛(Zn)が混合された材質で形成されることを特徴とする請求項6に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項8】
前記複合素材セルフラップ遮蔽チューブは、100MHzの信号条件で遮蔽率(dB)が40dB以上の値を有することを特徴とする請求項1に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項9】
前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、32以下の自然数)であり、
前記炭素繊維バンドルは、3k本の炭素繊維糸で構成されることを特徴とする請求項1に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項10】
前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、16以下の自然数)であり、
前記炭素繊維バンドルは、6k本の炭素繊維糸で構成されることを特徴とする請求項1に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項11】
前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、8以下の自然数)であり、
前記炭素繊維バンドルは、12k本の炭素繊維糸で構成されることを特徴とする請求項1に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項12】
前記編組部材が円筒状に巻かれたとき、円筒状に巻かれた編組部材の周方向に前記編組部材の端部が重なる重ね合わせ部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項13】
前記重ね合わせ部は、
第1の端部に形成される第1の重ね合わせ部と、
前記第1の端部の反対側である第2の端部に形成される第2の重ね合わせ部と、
を備えることを特徴とする請求項12に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項14】
前記第1の重ね合わせ部及び前記第2の重ね合わせ部の面積は、各々前記編組部材の前記第2の方向の面積の1/8ないし1/3であることを特徴とする請求項13に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項15】
前記第1の重ね合わせ部及び前記第2の重ね合わせ部において、前記ワイヤーバンドルの総面積は、前記炭素繊維バンドルの総面積の1/3ないし4/5であることを特徴とする請求項13に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項16】
前記編組部材は、前記第1の重ね合わせ部及び前記第2の重ね合わせ部の間に配置される非重ね合わせ部を備え、
前記非重ね合わせ部の前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、8以下の自然数)であり、
前記非重ね合わせ部の前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが1:nの割合でm回繰り返されて配置される場合、
前記第1の重ね合わせ部及び前記第2の重ね合わせ部の前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、(n+2):nであり、前記第1の重ね合わせ部及び前記第2の重ね合わせ部は、前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが(n+2):nの割合でm/2回繰り返されて配置されることを特徴とする請求項13に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項17】
前記編組部材は、前記第1の重ね合わせ部及び前記第2の重ね合わせ部の間に配置される非重ね合わせ部を備え、
前記非重ね合わせ部の前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、8以下の自然数)であり、
前記第1の重ね合わせ部の前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、8以下の自然数)であり、
前記第2の重ね合わせ部の前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、n:1(ここで、nは、8以下の自然数)であることを特徴とする請求項13に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブ。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の複合素材セルフラップ遮蔽チューブにより覆われたケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合素材セルフラップ遮蔽チューブに関し、より詳細には、ケーブル接続またはケーブル遮蔽作業の作業性を向上させ、良好な電子波遮蔽性能を確保しつつも、重さと費用を最小化できる複合素材セルフラップ遮蔽チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のチューブ型遮蔽織物の場合、導電性繊維または導電性金属素材の2つのうち1つだけで構成されて製作された。導電性繊維を用いたチューブ型遮蔽織物の場合、遮蔽特性が足りず、単層構造でない金属箔をさらに重ねてかぶせるか、これを補完するために、繊維自体にメッキまたはその他、表面処理方法によって導電性を高めるか、導電性金属素材だけでチューブ型遮蔽織物を製作した。
【0003】
上述したように、導電性繊維の場合、遮蔽特性を左右する繊維の導電性が金属材質に比べて相対的に足りず、足りない遮蔽性能補完のために、繊維に追加的な措置を進行するが、この場合、このような措置によってチューブ全体の難燃性が低下するか、チューブの製作工程上または製作以後の取扱においてメッキ及び塗布物質の分離、剥離、そして、これによる遮蔽特性の区間別不均一などが発生する恐れがある。
【0004】
これを補完するために、多層構造を適用する場合、チューブの特性より金属箔層の特性が強くなるので、この部分もチューブとしての取扱上、不便さが増加するという問題点がある。
【0005】
逆に、金属素材だけで製作されたチューブ型製作物の場合、金属箔が含まれた多層構造のチューブと同様に、織物でないチューブ形態に加工するのにおいてベースとなる素材がワイヤー形態の金属合金であるため、繊維で製作された織物がごわつき、チューブ形態で取り扱うのにおいて不便さが存在する。
【0006】
また、繊維材質のチューブに比べて相対的に重さが増加するため、軽量化製品が必要な種々の分野に適用し難いという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これにより、本発明の技術的課題は、このような点から着目されたものであって、本発明の目的は、ケーブル接続またはケーブル遮蔽作業の作業性を向上させ、良好な電子波遮蔽性能を確保しつつも、重さと費用を最小化できる複合素材セルフラップ遮蔽チューブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した本発明の目的を実現するための一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブは、第1の方向に延びて配置される複数個の炭素繊維バンドル、前記炭素繊維バンドルと平行な前記第1の方向に延びて交互に配置され、金属ワイヤーで構成される複数個のワイヤーバンドル、及び前記第1の方向と垂直な第2の方向に延びて配置される複数個の緯糸を含み、前記炭素繊維バンドル、前記ワイヤーバンドル、及び前記緯糸を編み組んで構成される編組部材を円筒状に巻いて形成される。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、8以下の自然数)であることができる。または、前記ワイヤーバンドルの総面積は、前記炭素繊維バンドルの総面積の1倍ないし8倍であることができる。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記炭素繊維バンドルは、3k本、6k本、または12k本の炭素繊維糸で構成されることができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記炭素繊維バンドルを構成する炭素繊維糸は、ポリアミドコーティングされることができる。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記ワイヤーバンドルを構成する金属ワイヤーは、CCA(Copper Clad Aluminum)材質であることができる。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記ワイヤーバンドルを構成する金属ワイヤーは、アルミニウム(Al)にケイ素(Si)、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、クロム(Cr)、及び亜鉛(Zn)が混合された材質で形成されることができる。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記複合素材セルフラップ遮蔽チューブは、100MHzの信号条件で遮蔽率(dB)が40dB以上の値を有することができる。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、32以下の自然数)であり、前記炭素繊維バンドルは、3k本の炭素繊維糸で構成されることができる。または、前記ワイヤーバンドルの総面積は、前記炭素繊維バンドルの総面積の1倍ないし32倍であることができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、16以下の自然数)であり、前記炭素繊維バンドルは、6k本の炭素繊維糸で構成されることができる。または、前記ワイヤーバンドルの総面積は、前記炭素繊維バンドルの総面積の1倍ないし16倍であることができる。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、8以下の自然数)であり、前記炭素繊維バンドルは、12k本の炭素繊維糸で構成されることができる。または、前記ワイヤーバンドルの総面積は、前記炭素繊維バンドルの総面積の1倍ないし8倍であることができる。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記編組部材が円筒状に巻かれたとき、円筒状に巻かれた編組部材の周方向に前記編組部材の端部が重なる重ね合わせ部が形成され得る。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記重ね合わせ部は、第1の端部に形成される第1の重ね合わせ部及び前記第1の端部の反対側である第2の端部に形成される第2の重ね合わせ部を備えることができる。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記第1の重ね合わせ部及び前記第2の重ね合わせ部の面積は、各々前記編組部材の前記第2の方向の面積の1/8ないし1/3であることができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記第1の重ね合わせ部及び前記第2の重ね合わせ部において、前記ワイヤーバンドルの総面積は、前記炭素繊維バンドルの総面積の1/3ないし4/5であることができる。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記編組部材は、前記第1の重ね合わせ部及び前記第2の重ね合わせ部の間に配置される非重ね合わせ部を備え、前記非重ね合わせ部の前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、8以下の自然数)であり、前記非重ね合わせ部の前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが1:nの割合でm回繰り返されて配置される場合、前記第1の重ね合わせ部及び前記第2の重ね合わせ部の前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、(n+2):nであり、前記第1の重ね合わせ部及び前記第2の重ね合わせ部は、前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが(n+2):nの割合でm/2回繰り返されて配置されることができる。
【0023】
本発明の一実施形態において、前記編組部材は、前記第1の重ね合わせ部及び前記第2の重ね合わせ部の間に配置される非重ね合わせ部を備え、前記非重ね合わせ部の前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、8以下の自然数)であり、前記第1の重ね合わせ部の前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、8以下の自然数)であり、前記第2の重ね合わせ部の前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、n:1(ここで、nは、8以下の自然数)であることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、本発明に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブは、互いに異なる2つの経糸素材を所定の割合で交互に配置して、ケーブル接続またはケーブル遮蔽作業の作業性を向上させ、良好な電子波遮蔽性能を確保しつつも、重さと費用を最小化できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】遮蔽物質における電子波遮蔽特性を説明するための概念図である。
図2】本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブの斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブを構成する編組部材を示す平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブを構成する編組部材を示す平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブを構成する編組部材を示す平面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブの電子波遮蔽試験テスト結果を示したグラフである。
図7】本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブの電子波遮蔽試験テスト結果を示したグラフである。
図8】本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブを示す断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係るセルフラップ遮蔽チューブを構成する編組部材を示す平面図である。
図10】本発明の一実施形態に係るセルフラップ遮蔽チューブを構成する編組部材を示す平面図である。
図11】本発明の一実施形態に係るセルフラップ遮蔽チューブを構成する編組部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、様々な変更を加えることができ、種々の形態を有することができるところ、実施形態等を本文に詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物ないし代替物を含むことと理解されなければならない。各図面を説明しながら、類似した参照符号を類似した構成要素に対して使用した。第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するのに使用されることができるが、前記構成要素等は、前記用語等により限定されてはならない。
【0027】
前記用語等は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。本出願において使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0028】
本出願において「含む」または「からなる」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部分品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品、またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解されなければならない。
【0029】
異なるように定義されない限り、技術的であるか、科学的な用語を含んで、ここで使用される全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されることと同じ意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されているような用語等は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有することと解釈されなければならず、本出願において明白に定義しない限り、理想的であるか、過度に形式的な意味と解釈されない。
【0030】
以下、図面を参照して本発明の望ましい実施形態等をより詳細に説明する。
【0031】
図1は、遮蔽物質における電子波遮蔽特性を説明するための概念図である。
【0032】
一般に、遮蔽物質Sが電子波を遮蔽する原理は、図1に示されたように、遮蔽物質Sが、放射された電子波の一部を遮蔽物質S内部に吸収(SEA)するか、一部は、遮蔽物質S表面で反射(SER)させるか、残りは、遮蔽物質内部で多重反射(SEMR)させて、遮蔽物質Sを透過して外側に伝播される電子波の大きさを最小化することである。
【0033】
また、遮蔽物質S内部に伝達された電子波が速く消滅される尺度は、電子波が遮蔽物質S内部で進行する長さと関連があり、電子波の遮蔽物質S内部での進行長さと関連した概念であるスキンデプスδ(Skin depth)は、特定遮蔽物質S内部に流入した電子波の強さが1/eに減衰されるまでの電子波の進行長さを意味するものであって、以下の数学式1として知られている。
【0034】
【数1】
【0035】
特定遮蔽物質Sの電子波遮蔽性能が高いという意味は、つまり、上記の数学式1に記載されたスキンデプスδの大きさが小さいことを意味するものである。したがって、遮蔽材の電子波遮蔽性能を高めるためには、遮蔽材をスキンデプスδが小さい遮蔽物質Sで構成すべきであることが分かり、前記数学式1を介してスキンデプスδを減らすために、電気伝導度が高い物質を使用すべきであることが分かる。すなわち、遮蔽チューブの場合、素材の電気伝導度が製品の遮蔽性能を左右することが分かる。
【0036】
電気伝導度を高めるために、従来には種々の技術が適用された。しかし、このような場合には、各々限界があるが、繊維の電気伝導度を高めるためにコーティングをする場合、導電性が高い金属系のコーティングを進行するようになり、このときは、コーティングのための樹脂類が、今後チューブの難燃性能低下を起こすことになる。
【0037】
樹脂コーティングでないメッキを利用する場合にも、メッキされた金属類が製品を製作するための工程または今後製品化された後にも、取扱の際、剥離されて剥げることがあるので、敷設、使用、取扱において困難があり、かつ、性能的な面でもチューブ全体が一括的な遮蔽性能を確保するのに困難がある。
【0038】
また、セカンドレイヤで金属箔を覆う形態に補完する場合にも、チューブの復元性や軽量性の側面で良くないし、敷設の際、仕上げ処理などをする場合にも、きれいに仕上げられないようになる。これは、金属箔層が十分にぴったりと内部電線に密着できないため、これにより、チューブが開いたりする場合が発生するので、チューブ自体の復元力だけでは仕上げが難しく、敷設後、追加的にテーピング作業またはそれに相応する仕上げ作業が必要な場合がほとんどであるためである。
【0039】
逆に、金属素材だけで構成された遮蔽チューブの場合にも、遮蔽チューブに製作の際、これとは異なる問題点が生じる。一般に、チューブ形態に製作される素材は、ほとんど繊維であるため、遮蔽のために経糸を金属で使用する場合、繊維に比べてチューブ自体が重量化される傾向が発生する。
【0040】
また、製品化した場合、自己巻き付け、セルフラップチューブとしての復元力(チューブの巻き付き部位を開いてから置いたとき、再度巻き付こうとする力)があまり強いか、一般繊維チューブとは異なり、極端的な場合が多いので、敷設の際、よく開かれないか、電線を覆うようとするとき、作業上の困難が発生しうる。
【0041】
また、緯糸も金属で製織する場合、セルフラップチューブ化するための熱成形工程で金属がはみ出して外観上問題が発生するので、緯糸としては繊維を使用するしかない場合がほとんどである。したがって、このとき、相対的に経糸に比べて緯糸の剛性がほとんどない水準であるため、チューブ全体の外観を一定に製作するのに困難がある。
【0042】
そして、製品のサイズが大きくなると、経糸及び緯糸の構成によってこのような熱成形過程で経糸自体の合せ糸配列が乱れて製織の際、一定の間隔と形態で製作したとしても、製品段階でチューブが局部的に他の方向の力を受けて完成品がくねくねとするか、一定に均していない場合が発生し、これを工程上の方法にてコントロールするのに難易度が相当高いことが分かる。
【0043】
しかし、本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブは、互いに異なる2つの経糸素材を配置して、ケーブル接続またはケーブル遮蔽作業の作業性を向上させ、良好な電子波遮蔽性能を確保しつつも、重さと費用を最小化できる。
【0044】
図2は、本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブの斜視図である。図3は、本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブを構成する編組部材を示す平面図である。
【0045】
図2及び図3に示すように、本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブ100は、第1の方向D1に延びて配置される複数個の経糸10及び前記第1の方向D1と垂直な方向である第2の方向D2に延びて配置される複数個の緯糸20を含んで構成される編組部材100’で構成されることができる。
【0046】
前記複数個の経糸10は、炭素繊維バンドル11及びワイヤーバンドル12を含むことができる。前記炭素繊維バンドル11及び前記ワイヤーバンドル12は、所定の割合で交互に配置されることができる。
【0047】
ここで、「バンドル」とは、複数の微細繊維糸で構成される繊維束または束を意味するものであって、炭素繊維の場合、何千個の微細炭素繊維糸が1つのバンドルを構成するようになる。
【0048】
前記炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、8以下の自然数)であることができる。または、前記ワイヤーバンドルの総面積は、前記炭素繊維バンドルの総面積の1倍ないし8倍であることができる。前記炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とが配置される形態については、図3図5を参照して説明する。
【0049】
前記炭素繊維バンドル11は、3k本、6k本、または12k本の炭素繊維糸で構成されることができる。前記炭素繊維糸は、伸率が1%以上であるPAN系炭素繊維糸であることができる。
【0050】
前記それぞれの炭素繊維糸は、製造過程でポリアミド(Polyamide)コーティングが行われ、炭素繊維糸間のくっつきまたはもつれなどを防止する効果がある。ポリアミドコーティング層は、炭素繊維表面に、接着性が良く、かつ可撓性が良好な皮膜を形成するようになる。
【0051】
他の実施形態として、前記炭素繊維バンドル11は、金属メッキされた炭素繊維糸で構成され、前記炭素繊維糸の金属メッキ材質は、銅、金、銀、アルミニウム、またはニッケルやその合金材質で形成されることができる。
【0052】
また、前記炭素繊維バンドル11と同一の第1の方向D1にワイヤーバンドル12が配置され得る。前記ワイヤーバンドル12は、炭素繊維だけで十分でない電子波遮蔽性能向上と、収縮の際、別の溶接などの工程を省略するために備えられることができる。
【0053】
前記ワイヤーバンドル12を構成する金属ワイヤーは、CCA(Copper Clad Aluminum)材質のワイヤーが使用され得る。
【0054】
CCA(Copper Clad Aluminum)材質のワイヤーは、アルミニウムワイヤー外側を銅層で覆い、溶接して銅クラッド層を形成し、これを伸線(drawing)などの工程によって所望の大きさの外径を有するワイヤーとして製造したものであって、内部にアルミニウムコアと、コア外側に銅クラッド層が備えられて、銅とアルミニウムとの長所を満遍なく備えた特徴がある。CCAワイヤーの製造方法は、前記方法に限定されるものではなく、メッキなどの様々な工程を考慮できるが、溶接及び伸線工程を適用することが銅クラッド層を均一に形成するのに有利である。
【0055】
前記アルミニウムワイヤーは、アルミニウム(Al)にケイ素(Si)、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、クロム(Cr)、及び亜鉛(Zn)が混合された材質で形成されることができ、前記銅クラッド層は、純度99.9%以上の無酸素銅で形成されることができる。
【0056】
CCA材質のワイヤーは、銅とアルミニウムの割合、例えば、体積割合によって銅またはアルミニウムの特性が強化され得るが、ワイヤーの直径、単一ワイヤーに求められる電気伝導度、または銅クラッド層の溶接性などによってCCA材質のワイヤーの銅体積割合が決定され得る。
【0057】
他の実施形態として、前記ワイヤーバンドル12を構成する金属ワイヤーは、銅、金、銀、アルミニウム、ニッケル材質であるか、銅、金、銀、アルミニウム、またはニッケルの合金材質であるか、銅、金、銀、アルミニウム、またはニッケルメッキされた金属材質であることができる。
【0058】
前記炭素繊維バンドル11及び前記ワイヤーバンドル12は、所定の割合で交互に配置されることができる。本実施形態では、前記炭素繊維バンドル11及び前記ワイヤーバンドル12が1:1の割合で配置されることができる。例えば、前記炭素繊維バンドル11が1つ配置され、次いで、前記ワイヤーバンドル12が1つ配置され、このような割合の配置が繰り返し的になされ得る。
【0059】
前記緯糸20は、前記第1の方向D1と垂直方向である第2の方向D2に配置される収縮繊維糸21で形成されることができる。前記収縮繊維糸21は、ポリオレフィン(Polyolefine)系の繊維糸で形成されることができる。
【0060】
ポリオレフィンとは、合成樹脂の種類であって、エチレンとプロピレンのようなオレフィン(分子1個当り、1個の二重結合を含んでいる炭化水素)を添加重合反応させて作る有機物質を意味する。
【0061】
ポリオレフィンの繊維糸の材質では、ポリエチレン(HDPE(High Density Polyethylene)、LDPE(Low Density Polyethylene)、LLDPE(Linear Low Density Polyethylene)、EVA(ethylene-vinylacetate copolymer)、UHMWPE(ultra-high molecular weight PE)などが適用され得るし、この他にも、各種ポリプロピレン(PP、polypropylene)、ラバー/エラストマー(EPR(ethylene-propylene rubber)、EPDM(ethylene-propylene-diene monomer)、POE(polyolefin elastomer、ethylene/octene-1))などが適用可能性がある。
【0062】
ポリオレフィン繊維糸は、一般的に弾性があり、ほとんどの有機溶媒に溶けず、酸と塩基に耐性があり、電気絶縁性があり、一般的な熱収縮チューブの材料として活用される。
【0063】
このようなポリオレフィン材質で構成されたポリオレフィン材質の収縮繊維糸21を緯糸20で構成して編組部材100’の第2の方向D2に配置する。
【0064】
本発明に係る編組部材100’及び複合素材セルフラップ遮蔽チューブ100は、第1の方向D1には、炭素繊維糸で構成される炭素繊維バンドル11及び金属ワイヤーで構成されるワイヤーバンドル12と、第2の方向D2にセルフラップ(自己巻き付け)、すなわち、熱が加えられれば、熱収縮される収縮性を有する複数個の樹脂材質の収縮繊維糸21で構成される緯糸20を編み組んで軽量及び遮蔽性能を極大化しつつ、仕上げ材としての利便性を付与できる。
【0065】
図4は、本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブを構成する編組部材を示す平面図である。
【0066】
図2及び図4に示すように、本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブ100は、第1の方向D1に延びて配置される複数個の経糸10及び前記第1の方向D1と垂直な方向である第2の方向D2に延びて配置される複数個の緯糸20を含んで構成される編組部材100’で構成されることができる。
【0067】
本実施形態では、前記炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とは、1個の炭素繊維バンドル11と5個のワイヤーバンドル12とが交互に配置されることができる。すなわち、製織の際、1番経糸が炭素繊維バンドル11、2番経糸がワイヤーバンドル12、3番経糸がワイヤーバンドル12、4番経糸がワイヤーバンドル12、5番経糸がワイヤーバンドル12、6番経糸がワイヤーバンドル12で構成され、このような割合の配列が繰り返し的になされ得る。
【0068】
図5は、本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブを構成する編組部材を示す平面図である。
【0069】
図2及び図5に示すように、本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブ100は、第1の方向D1に延びて配置される複数個の経糸10及び前記第1の方向D1と垂直な方向である第2の方向D2に延びて配置される複数個の緯糸20を含んで構成される編組部材100’で構成されることができる。
【0070】
本実施形態では、前記炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とは、1個の炭素繊維バンドル11と8個のワイヤーバンドル12とが交互に配置されることができる。すなわち、製織の際、1番経糸が炭素繊維バンドル11、2番経糸がワイヤーバンドル12、3番経糸がワイヤーバンドル12、4番経糸がワイヤーバンドル12、5番経糸がワイヤーバンドル12、6番経糸がワイヤーバンドル12、7番経糸がワイヤーバンドル12、8番経糸がワイヤーバンドル12、9番経糸がワイヤーバンドル12で構成され、このような割合の配列が繰り返し的になされ得る。
【0071】
本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブの炭素繊維バンドル11とワイヤーバンドル12とが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、8以下の自然数)であることができる。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、炭素繊維バンドルの炭素繊維糸の本数によってその割合が変わり得る。
【0072】
例えば、炭素繊維バンドルが3k本の炭素繊維糸で構成される場合、炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、32以下の自然数)であり、炭素繊維バンドルが6k本の炭素繊維糸で構成される場合、炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、16以下の自然数)であり、炭素繊維バンドルが12k本の炭素繊維糸で構成される場合、炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、8以下の自然数)であることができる。または、前記ワイヤーバンドルの総面積は、前記炭素繊維バンドルの総面積の各々1倍ないし32倍、1倍ないし16倍、及び1倍ないし8倍であることができる。
【0073】
図6は、本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブの電子波遮蔽試験テスト結果を示したグラフである。
【0074】
図6に示すように、1個の炭素繊維バンドル11と5個のワイヤーバンドル12とが交互に配置されて構成される編組部材で構成される複合素材セルフラップ遮蔽チューブの電子波遮蔽試験テスト結果が図示される。
【0075】
本発明に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブ100の場合、1~10MHz信号条件で一般的な車両全長の要求される遮蔽率である40dBから、追加的に安全率が考慮された遮蔽率(SE)が50dB以上の安定した遮蔽率を確保できることが確認できる。
【0076】
また、本発明に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブ100は、1MHz~10MHzの信号条件で遮蔽率(dB)が安全率を考慮する場合にも、50dB以上の値を有し、さらに、高周波信号条件である100MHz(100,000KHz)でも一般的な車両全長の要求される遮蔽率である40dB以上を満足することが確認できる。
【0077】
図7は、本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブの電子波遮蔽試験テスト結果を示したグラフである。
【0078】
図7に示すように、1個の炭素繊維バンドル11と8個のワイヤーバンドル12とが交互に配置されて構成される編組部材で構成される複合素材セルフラップ遮蔽チューブの電子波遮蔽試験テスト結果が図示される。
【0079】
本発明に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブ100の場合、1~10MHz信号条件で一般的な車両全長の要求される遮蔽率である40dBから、追加的に安全率が考慮された遮蔽率(SE)が50dB以上の安定した遮蔽率を確保できることが確認できる。
【0080】
また、本発明に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブ100は、1MHz~10MHzの信号条件で遮蔽率(dB)が安全率を考慮する場合にも、50dB以上の値を有し、さらに、高周波信号条件である100MHz(100,000KHz)でも一般的な車両全長の要求される遮蔽率である40dB以上を満足することが確認できる。
【0081】
図8は、本発明の一実施形態に係る複合素材セルフラップ遮蔽チューブを示す断面図である。図9は、本発明の一実施形態に係るセルフラップ遮蔽チューブを構成する編組部材を示す平面図である。
【0082】
図8及び図9に示すように、本発明の一実施形態に係るセルフラップ遮蔽チューブを構成する編組部材は、第1の重ね合わせ部OA1、第2の重ね合わせ部OA2、及び非重ね合わせ部NAを備えることができる。
【0083】
セルフラップ遮蔽チューブを構成する編組部材が円筒状に巻かれたとき、巻かれた編組部材の周方向に前記編組部材の端部が重なる重ね合わせ部が形成され得る。前記重ね合わせ部は、第1の端部に形成される第1の重ね合わせ部OA1及び前記第1の端部の反対側である第2の端部に形成される第2の重ね合わせ部OA2を備えることができる。前記第1の重ね合わせ部OA1及び前記第2の重ね合わせ部OA2の間には、非重ね合わせ部NAが配置され得る。
【0084】
前記第1の重ね合わせ部OA1及び前記第2の重ね合わせ部OA2の面積は、各々前記編組部材の前記第2の方向の面積の1/8ないし1/3であることができる。図8の場合、前記第1の重ね合わせ部OA1及び前記第2の重ね合わせ部OA2の面積は、各々前記第2の方向の面積の1/3であることができる。
【0085】
図10は、本発明の一実施形態に係るセルフラップ遮蔽チューブを構成する編組部材を示す平面図である。
【0086】
図10に示すように、本発明の一実施形態に係るセルフラップ遮蔽チューブを構成する編組部材は、重ね合わせ部と非重ね合わせ部とを備えることができる。前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、重ね合わせ部と非重ね合わせ部とで異なるように形成されることができる。
【0087】
前記非重ね合わせ部の前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、8以下の自然数)であり、前記非重ね合わせ部の前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが1:nの割合でm回繰り返されて配置される場合、前記第1の重ね合わせ部及び前記第2の重ね合わせ部の前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、(n+2):nであり、前記第1の重ね合わせ部及び前記第2の重ね合わせ部は、前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが(n+2):nの割合でm/2回繰り返されて配置されることができる。
【0088】
例えば、図10のように、前記非重ね合わせ部NAの前記炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とが配置される個数の比は、1:5であり、1:5の割合で2回繰り返されて配置される場合、第1の重ね合わせ部OA1及び第2の重ね合わせ部OA2の炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とが配置される個数の比は、7:5であり、前記第1の重ね合わせ部OA1及び前記第2の重ね合わせ部OA2は、前記炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とが7:5の割合で1回繰り返されて配置されることができる。
【0089】
本実施形態において、前記第1の重ね合わせ部及び前記第2の重ね合わせ部で前記ワイヤーバンドルの総面積は、前記炭素繊維バンドルの総面積の1/3ないし4/5であることができる。
【0090】
本実施形態において、重ね合わせ部OA1、OA2に配置されるワイヤーバンドル12の個数と非重ね合わせ部NAに配置されるワイヤーバンドル12の個数とは同一に形成されることができる。したがって、良好な電子波遮蔽性能を確保し、重さを最小化できる。
【0091】
図11は、本発明の一実施形態に係るセルフラップ遮蔽チューブを構成する編組部材を示す平面図である。
【0092】
図11に示すように、本発明の一実施形態に係るセルフラップ遮蔽チューブを構成する編組部材は、重ね合わせ部と非重ね合わせ部とを備えることができる。前記炭素繊維バンドルと前記ワイヤーバンドルとが配置される個数の比は、重ね合わせ部と非重ね合わせ部とで異なるように形成されることができる。
【0093】
前記非重ね合わせ部NAの前記炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、8以下の自然数)であり、前記第1の重ね合わせ部OA1の前記炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とが配置される個数の比は、1:n(ここで、nは、8以下の自然数)であり、前記第2の重ね合わせ部OA2の前記炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とが配置される個数の比は、n:1(ここで、nは、8以下の自然数)であることができる。
【0094】
例えば、図11のように、前記非重ね合わせ部NAの前記炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とが配置される個数の比は、1:5であり、1:5の割合で2回繰り返されて配置される場合、前記第1の重ね合わせ部OA1の前記炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とが配置される個数の比は、1:5であり、1:5の割合で2回繰り返されて配置され、前記第2の重ね合わせ部OA2の前記炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とが配置される個数の比は、5:1であり、5:1の割合で2回繰り返されて配置されることができる。
【0095】
本実施形態において、第1の重ね合わせ部OA1と非重ね合わせ部NAとの前記炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とが配置される個数の比は、同一であり、第2の重ね合わせ部OA2の前記炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とが配置される個数の比は、炭素繊維の割合が高く形成され得る。
【0096】
また、他の実施形態として、前記第2の重ね合わせ部OA2に配置される炭素繊維バンドル11は、非導電性素材に代替されることができる。例えば、アラミドまたはポリエステルなどで形成されるマルチピラメント素材が前記炭素繊維バンドル11の代りに用いられ得る。
【0097】
また、本実施形態では、前記第1の重ね合わせ部OA1と前記第2の重ね合わせ部OA2とが同じ面積で形成されることと説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、前記第2の重ね合わせ部OA2は、前記第1の重ね合わせ部OA1より少ない面積で形成されることができる。例えば、前記第1の重ね合わせ部OA1に前記炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とが配置される個数の比は、1:5であり、1:5の割合で2回繰り返されて配置され、前記第2の重ね合わせ部OA2の前記炭素繊維バンドル11と前記ワイヤーバンドル12とが配置される個数の比は、5:1の割合で1回配置され、4:1以下の割合で1回配置されることができる。
【0098】
本実施形態において、前記第1の重ね合わせ部OA1と前記非重ね合わせ部NAとは、適正数のワイヤーバンドルが配置されて、良好な電子波遮蔽性能を確保することができ、前記第2の重ね合わせ部OA2は、重ね合わせの際、外部に配置される部分であって、炭素繊維バンドルの数をワイヤーバンドルの数より多く配置してケーブル遮蔽作業の作業性を向上させ、重さを減らすことができる。また、他の実施形態として、炭素繊維バンドルの代わりに、非導電性素材を使用して製造費用を減少させることもできる。
【0099】
以上では、実施形態等を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した通常の技術者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を様々に修正及び変更させ得ることが理解できるであろう。
図1
図2
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図5
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図7
図8
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図10
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【国際調査報告】